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平成24年第一回定例会会議録(第2日 2月29日)

1.会期

三十一日(第二日)

二月二十九日(水曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時四十三分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 加藤 博司議員

二番 瓜生 正高議員

三番 富永 一議員

四番 染谷 眞人議員

五番 木村 克一議員

六番 堀田 弥生議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 増渕 一孝議員

十四番 中嶋 ひろあき議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 山本 理恵議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 今野 弘美議員

二十四番 原田 賢一議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.欠席議員

(一名)

九番 奥村 暁子議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 斎藤 裕文君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 平沢 康裕君

区民部長 齋藤弘君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 東海林 文夫君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 田野 則雄君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 中島 佳久君

6.議会局出席職員

議会局長 田中武君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 横山 信一君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

7.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十九番志村孝美議員。

十九番 志村孝美議員登壇

○十九番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 まず初めに、社会保障切り捨てと消費税増税の一体改悪についてです。

 野田内閣は、社会保障と税の一体改革を掲げながら、社会保障切り捨てと消費税増税の一体改悪を行おうとしています。政府の一体改革素案及び大綱から見える社会保障の切り捨ては、年金削減で約二兆円、子ども手当の減額で四千四百億円、七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担の一割から二割への引き上げで千九百億円、介護保険の軽度の方の利用料の一割から二割への引き上げで八百億円、合わせて二兆七千億円にもなります。さらに、年金支給開始年齢の引き上げの検討を行うことも示されており、六十八歳まで支給開始年齢が引き上げられたら、年金削減は総額で約六兆円、七十歳まで引き上げられたら、年金削減は総額で約十兆円に及びます。現在の高齢世代にも、現在の働き盛りの世代にも、切り捨てを進める計画になっています。

 今、国民生活は深刻な状況です。金融広報中央委員会の世論調査によると、預貯金などの金融資産がない世帯の割合は、前年より六・三ポイント上昇し、二八・六%と過去最悪を記録しました。非正規雇用の労働者は四割に達しようとしていますが、厚生労働省の二○一一年の調査によれば、非正規雇用労働者の月額賃金は正規労働者の六三%という状況です。餓死された方は、二○○一年からの十年間で全国で六百二十五人に上り、三十代、四十代の餓死も目立っています。

 最近の出来事ですが、新川で十万円の家賃で一人で暮らしていた六十代の女性Aさんは、二月で仕事を失うことになり、わずかな年金だけでは生活できないため、中央区を離れざるを得なくなりました。銀座に居住し、会社を経営してきた七十代の男性Bさんは、会社が倒産し、無収入となったため、住んでいたマンションから追い出され、ホームレス寸前になり、他の区へ引っ越すことになりました。

 このように区民も国民も大変な生活をしているときに、これ以上社会保障を削減することは、文字どおり生存権を奪うものではないかと考えますが、区長の見解をお聞かせください。

 大綱では、消費税を二○一四年四月に八%に引き上げ、さらに一五年十月に一○%まで引き上げるとしていますが、日本経済GDPの六割を占める家計消費への影響ははかり知れません。一九九七年から二○一一年までの十四年間で、可処分所得は五百九十六万円から五百四万円へと減り続けています。消費支出は四百二十九万円から三百七十万円へと五十九万円も落ち込んでいます。そこに巨大負担増がかぶさるのです。

 また、雇用の七割を支え、日本経済を牽引する中小企業・零細業者にとって消費税の一番の苦しみは、消費税が転嫁できないことです。全国商工会連合会の石澤義文会長は、「消費税五%分もの負担がしわ寄せされれば、中小企業の利益は吹き飛ぶ。廃業がふえ、国や地方の税収も逆に減るのではないか。中小事業主は消防団や祭りなど地域活動の担い手でもあり、地域の崩壊すら招きかねないと懸念している」と、新聞のインタビューで述べています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、社会保障切り捨てと消費税増税の一体改悪は、家計と中小企業に破壊的な影響を与えると思いますが、区長の認識はいかがですか。

 第二に、区民の命と暮らし、中小零細業者の営業を守る行政の役割をどのように発揮しようとしていますか、具体的にお示しください。

 消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる最悪の不公平な税ですが、その一方で、累進課税であるべき所得税は、富裕層優遇の不公平な税制になっています。トヨタ自動車の社長は、配当累計額が二十七億円で、証券優遇税制による減税額は二億七千万円にもなるように、最高税率が引き下げられたことや証券優遇税制などによって、所得が高額になれば税の負担率が下がってしまいます。また、消費税増税は、ただでさえ落ち込んでいる内需をさらに落ち込ませ、それは国内投資をさらに減らし、産業空洞化、雇用減をさらに深刻にし、一層の内需の落ち込みにつながります。内需減少と産業空洞化の悪循環の引き金を引くのが消費税大増税です。

 区長には既にお届けしましたが、日本共産党は消費税に頼らなくても社会保障の充実と財政危機打開の道が開かれるという提言を先日発表しました。

 提言では、財源について、八ツ場ダムに象徴される浪費型の巨大開発にメスを入れて一兆円、安全対策費以外の原発推進予算の削減で三千億円、五兆円の軍事費から米軍への思いやり予算やヘリ空母や戦闘機の購入などの削減で一兆円、政党助成金の廃止で三百二十億円など、聖域なく無駄遣いを一掃して財源を確保するとともに、ごく一部の富裕層や二百六十兆円を超える内部留保をため込んでいる大企業を優遇する不公平税制を正し、応分の負担を求めることなどによって十八兆円から二十一兆円を生み出すことができると分析しています。

 この日本共産党の提言について、区長の見解をお聞かせください。

 また、区民生活を守るため、区長は政府に対し、社会保障の切り捨てと消費税増税の中止を求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 次は、二○二○年オリンピック・パラリンピック東京招致についてです。

 区長は、所信表明で東京招致活動を積極的に行っていくと述べましたが、晴海に選手村が建設される期間や開催期間、そして施設の跡利用など、中央区と区民にどのような影響が出るのか検証もせずに東京招致に賛同の意を示すのは拙速だと考えます。

 二月二十四日のオリンピック東京招致計画について都の説明を求めた全員協議会では、選手村が清掃工場に隣接するため、清掃工場の休止を検討していることや、選手村の四十ヘクタールには既存の住宅やホテルも含まれている面積であること、晴海デザイン会議の存在を都は知らなかったこと、選手や報道、業者の関係者は専用の車で移動するが、選手村で働く従業員は大江戸線や都バスを利用すること、晴海と豊海を結ぶ補助三一四号線が計画されている場所は仮の橋で結ぶことなど、区民生活に大きな影響を及ぼす可能性があることが各会派の質問で明らかになりました。

 そこで、お聞きします。

 第一に、晴海の選手村構想は、申請ファイル発表前に中央区に打診があったのでしょうか。

 第二に、オリンピック東京招致について都が表明した昨年九月の時点で都に寄せられた都民の声の八割が反対でした。また、申請ファイルでも六割しか賛成がありません。中央区民が東京招致に賛成か反対か世論調査をした上で区の対応を示すべきだと思いますが、いかがですか。

 第三に、現在、内閣府が首都直下型地震を想定して首都機能を他都市にも担わせるバックアップ機能などの政策指針をことし夏までにまとめるなど、首都機能の一極集中のあり方が議論されています。一方、都が策定した「二○二○年の東京」は、それらの動きと逆行して、オリンピックをてこにした大型開発で一極集中をさらに進めるものになっています。「二○二○年の東京」実現のために投入しようとしている莫大な税金を、今こそ東日本大震災の被災者支援、復興支援に直接活用することが求められていると思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、東京湾大華火祭の見直しについてです。

 日本共産党区議団は、東京湾大華火祭について隔年実施を提案し、予算修正案も毎年提出しています。日本共産党区議団が毎年実施している区民アンケートでは、「中止」と「一年おきの実施」を望む回答が六割から七割を占め、花火にかける約三億円の税金を区民のために使うべきという声が多く寄せられています。

 昨年予定していた大華火祭の予算は、他区の警備まで中央区が持つなど、総額三億五百八十七万二千円の予算が計上されていましたが、東日本大震災が起き、警察などがその対応につくため、警備に支障が出るなどの理由で中止となりました。六月の補正予算では、中止となった大華火祭の予算のうち二億二千五百十九万七千円を財源としてマンション防災対策自己点検調査支援、区内事業所の震災時の対応等調査、防災資器材備蓄の充実、東日本大震災被災地への支援、放射線環境測定調査、観光商業まつりにおける被災地支援、区内共通飲食券(ハッピー食事券)事業補助、復興支援イベント補助、築地場外市場地区における被災地復興支援事業に対する助成、障害児一時預かり事業の実施など有効な事業ができました。

 東京湾大華火祭の経済効果は高いという調査結果もありますが、一日だけのイベントであり、その経済効果は限定されていると考えます。他の花火大会と比べても突出した中央区の財政負担が中心となっている今のあり方は、抜本的な見直しが必要と考えます。区は、華火祭実行委員会で、華火祭は早目に中止が決まったため、関係機関に影響は出なかったことや、二年ぶりの開催でも準備を早目にすればノウハウが継承できるとの認識を示し、隔年実施でも支障がないことが明らかになりました。

 そこで、お聞きします。

 第一に、この際、東京湾大華火祭を隔年実施にするなど、東京湾大華火祭の位置づけ、実行委員会のあり方などの再検討が必要だと思いますが、いかがですか。

 第二に、区民の意見を考慮して大華火祭の見直しを行うために、区は区民へのアンケートを実施すべきと思いますが、いかがですか。

 第三に、花火中止で生まれる三億円の財源を生かして、福祉や防災対策の充実、区民生活応援の施策充実に活用することを提案しますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、築地のまちづくりに関する合意についてです。

 二月七日に区長は、東京都と築地のまちづくりに関する合意を行いました。しかし、具体的に合意したのは、移転を着実に行うこと、築地には卸売市場を整備しないことという東京都の要求であり、中央区の要望についてはこれから協議し、検討していくというものです。これまで区長は、移転は決定されたものと言いながらも、現在地再整備が望ましいと発言してきましたが、今回、区議会にも諮らずに移転を着実に行うことに同意しました。また、記者会見で発表した鮮魚マーケット構想の具体的な内容は議会に説明がなかったものも多く、区議会軽視ではないでしょうか。区長の説明を求めます。

 区は、豊洲の土壌汚染問題の解決が合意の大前提と明言しています。そうであれば、都の報告をうのみにするのではなく、土壌汚染の状況などを区としても検証し、安全性を確認する必要があります。東卸組合の山崎治雄理事長は、日刊食料新聞のインタビューに、汚染対策がうまくいかなかったときのことも考え、現在地再整備の可能性についても今後検討すると答えています。東京都は、土壌汚染について安全だと言いながらも、科学的で正確な情報公開もせず、クロスチェックも拒む姿勢を続けています。合意の大前提が立証されない場合は、区長は合意を破棄し、現在地再整備を求める考えはあるのでしょうか。区長の見解をお聞かせください。

 次に、鮮魚マーケット構想について質問します。

 第一に、東京都の事務局レベルと長年にわたって協議してきた内容はどういうもので、今回の合意にどのように反映されているのですか。

 第二に、先行する鮮魚マーケットの基盤整備は区が財政負担せざるを得ないと委員会で述べていますが、基盤整備のための財政負担はどのくらいですか。また、先行するマーケットの維持管理費をどの程度想定しているのですか。

 第三に、鮮魚マーケットの経営主体を、仲卸による法人か商社への一括委託またはNPO法人と答えていますが、なり手がいなかった場合は、区が経営主体になる可能性はあるのですか。また、経営破綻した場合、区はどのように責任をとるつもりですか。

 第四に、先行営業させるという鮮魚マーケット予定地の地下には首都高速晴海線用のカルバート、トンネルがありますが、東京都都市整備局が○九年三月にまとめた都市高速道路晴海線に関する調査委託報告書によると、築地市場から新富町出口までの区間に既に設置されている中央区既設ボックスは耐震上の課題があり、避難空間が確保できないため、耐震補強、改修が必要だとしています。この経費は、どこが持つのですか。また、地下の耐震改修工事が終わらなければ、鮮魚マーケット建設は不可能です。鮮魚マーケット構想が砂上の楼閣ならぬ落とし穴の上のマーケットになりかねません。耐震補強・改修工事とマーケット建設の整合性とスケジュールをどのように考えているのですか。

 それぞれお答えください。

 次は、児童館などへの指定管理者制度導入についてです。

 晴海児童館等複合施設の指定管理業者には、サクセスアカデミー株式会社が選定され、今定例会で審議されます。サクセスアカデミーは、前身が学習塾で、保育サービス業では珍しいフランチャイズチェーン展開で事業を拡大している企業です。中小企業ビジネス支援サイト、J‐Net21の「保育サービス、数年は市場拡大傾向の見込み、施設不足と規制緩和により異業種からの参入が相次ぐ」と題した記事には、柴野豪男サクセスアカデミー社長の「管理を簡素化するため、保育児の数、保育士の人数を瞬時に把握でき、情報を入力すれば保育士の給与計算までできるシステムを構築しました。今は百カ所の保育所をつなぐネットワークへと進化しています」というコメントが紹介されています。また、業務資本提携先はジェイコムホールディングス株式会社という人材派遣会社です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、晴海児童館等複合施設の指定管理業者となるサクセスアカデミーが運営している施設での労働環境について、区はどの程度把握しているのでしょうか。

 第二に、児童館に指定管理者を導入する理由として、多様化する住民ニーズに迅速かつ適切に対応するため、民間の能力を活用し、柔軟かつ効率的に運営を行うことにより住民サービスの向上を図ることを挙げていますが、なぜ住民サービスの向上が直営ではできないと断定するのでしょうか。

 第三に、晴海児童館に続いて、新川児童館に指定管理者制度を導入しようとしています。夏祭りや焼き芋会、ハロウィン、クリスマスなど、児童館が行うさまざまな行事は、青少年地区委員会、町会、保護者の方々など、地域の大きなバックアップのもとで行われ、それは蓄積されて地域の文化にもなっています。子供たちのためにと力を尽くしてきた新川地域の方たちにとって、児童館が直営であることは大前提であり、民営になるとは夢にも思っていなかったでしょう。保護者や地域・町会、青少年地区委員会への説明責任を果たすとともに、地域の意見を無視して強引に計画を進めないことが肝心だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 指定管理者制度は、二○○三年六月の地方自治法の一部を改正する法律の公布に伴い、六月から施行され、導入する自治体が広がっていますが、指定管理者制度の問題点も共通の認識になりつつあります。

 中央区の指定管理業者が運営する十思保育園では、昨年三月三十一日に在籍職員二十四人のうち七人が退職、三人が異動し、施設長のほか十七人の保育士のうち八人が一遍にかわるという異常な事態が起こりました。

 中野区の指定管理者業者としてピジョンハーツ株式会社が運営する保育園では、子供への体罰やおどしが日常化し、その行為に注意や意見を言った保育士は、職場ぐるみのいじめ行為が行われ、職場に希望を失ったり、心の病で退職に追い込まれるなどにより、二○一○年度だけで十人の職員がやめたそうです。現在、二人の保育士がパワーハラスメントと解雇の不当性を訴え、東京地裁へ裁判を起こしています。

 東京社会保険労務士会の資料によると、新宿区の委託で行った指定管理者制度導入施設の労働環境を調査した結果、三六協定が締結されていないのに時間外労働をさせている、時間外労働、深夜業などに係る割増賃金が計算されていない、超過勤務手当が支給されていない、一斉休憩の適用除外に係る労使協定が締結されていないのに一斉休憩が与えられていないなどなど、多くの問題点が明らかになり、改善方針が出されています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区は次々と区の施設や事業に指定管理者制度を導入していますが、区の施設の管理・運営を民間に丸投げするため、行政内部に施設や事業についてのノウハウの蓄積がなくなっていき、いずれは民間主導の契約内容になる危惧があると思いますが、いかがですか。

 第二に、区は施設運営で区民と接する機会がなくなり、区民の意見や要望を直接聞く機会が大幅に減り、区民の要望をつかむのが難しくなっているのではないですか。

 第三に、民間企業は、みずから提案した企画提案をもとにした契約金額内で管理・運営を進めるため、もうけを確保・拡大するためには人件費を抑えるようになるでしょう。アルバイトや非常勤職員という身分が不安定で低賃金の雇用がふえ、官製ワーキングプアと言われる労働者を多数生み出すことになると考えますが、いかがですか。

 第四に、指定管理者にかかわるトラブルなどが発生した場合には、当事者である業者だけでなく、委託を行っている区の責任が追及されることになります。指定管理者が社会保険や労働条件の管理について適法に行っているかチェックするため、板橋区、千代田区、新宿区、北区、練馬区などで実施されている社会保険労務士などの専門家による労働条件審査が必要だと思いますが、いかがですか。

 第五に、区が発注する事業や指定管理業者の職場で働く労働者の賃金や労働環境などを保障し、官製ワーキングプアをつくらないためにも、中央区公契約条例を制定すべきと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、放射能対策についてです。

 東日本大震災と福島第一原発事故から間もなく一年になろうとしていますが、福島原発からは今も放射性セシウムなどが放出され続けています。専門家の分析によると、原発事故で放射性セシウムは原子炉内の二%から三%が大気中に放出され、その半分は陸上に、もう半分は海洋に落下したといいます。海洋の汚染は、大気中に放出された放射性物質が海洋に降下したもの、高濃度汚染水として海洋に放出されたもの、四月初めに高濃度汚染水を確保する目的で放流された低濃度汚染水に加え、陸上に降下・沈着した放射性物質が雨水や雪解け水に溶けて、河川に注ぎ込んだものがあるといいます。高濃度汚染水は、メルトダウンによって燃料棒が溶融してばらばらになっているところに冷却水を送ったため、本来なら核燃料棒の中に閉じ込められているべき放射性物質が、かなり溶け出しているそうです。放射性ストロンチウムは水に非常に溶けやすく、東京電力は海洋へのストロンチウム90の放出量をいまだ明らかにしていませんが、高濃度汚染水の中に含まれている可能性は高いといいます。

 福島県の放射線モニタリング調査によると、放射性セシウムの残留は、イカやタコ、エビ、カニという特定魚種には不検出が多いものの、浅い海底の魚介類、アイナメなどの底魚には四月からの新基準となる一キロ当たり百ベクレル以上の汚染が確認されています。土壌汚染や海洋汚染の状況を考えれば、相当長期にわたる警戒が必要で、食品の徹底検査で安心を数値化することが重要です。全量検査、全品検査により、口に入るすべての食品の放射能を検査する方向を目指すべきだとの指摘もあります。

 技術的には全量検査、全品検査は可能になっています。例えば、値段が十五万円という比較的安い検査装置が、昨年、製品化されました。また、体内のがんを検査する医療機器を応用し、ベルトコンベヤーで流れる食材を測定する検出器もあります。厚生労働省は、十七都県と政令市、特別区など保健所設置自治体が購入する場合に、半額補助する方針です。都内では、二十六区市町が給食の食材検査を行っています。江東区、国立市、武蔵野市などでは独自検査が行われており、セシウムが微量でも検出された場合、食材の使用を中止したり、産地を変えたりするそうです。杉並区は、千七百万円の測定器を購入し、来年度から測定を行うとしています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区長は、放射線汚染の現状と今後についてどのように認識していますか。

 第二に、放射能は見えないため、不安を生み出します。安心を目に見えるようにするため、区民の方に貸し出し中の放射線量測定器の台数をもっとふやし、五千円ほどの携帯用の小型線量計などを区民に渡して、区民と保健所とのネットワークを構築し、日常的な測定を進めるべきだと考えますが、いかがですか。

 第三に、現在行われている給食も含めた食材の放射線測定を継続させるとともに、測定器を購入し、保健所に設置させるなど、放射能対策を充実すべきと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、防災対策についてです。

 このほど国は、東京で直下型地震が起きれば、東京東部及び臨海地域において震度七も想定できると発表しました。防災対策、震災対策のさらなる強化が求められています。

 区長は、十二月二十二日の全員協議会で、東京大学地震研究所の都司嘉宣氏が中央区は大津波の被害が残っていないと述べたことで安心されているようですが、当時は月島地域は海の中だったわけで、安心するのではなく、月島地域や隅田川沿いの地域における大地震で防潮堤が破壊された場合も含めて津波対策を考えるべきです。

 さらに、今注目されているのが長周期地震動です。地震による地盤の振動周期と建物の周期が一致する共振現象によって、建物に大きな損傷を与える可能性があるのです。

 気象庁の調査によると、東日本大震災のとき、東京湾岸の高層ビルの二十階以上では、「はいつくばった」が約三○%、「つかまっても立っていられない」が約二○%でした。また、震源から七百七十キロ離れた大阪府咲洲庁舎は、約十分間大きな揺れが続き、震度三にもかかわらず三メートルの往復の揺れがあり、天井や壁が落下するなど、三百六十カ所が損傷するという大きな被害が出ました。東海・東南海・南海地震が起きたとき、やわらかい堆積層の上にある東京での高層ビルへの深刻な影響は必至と指摘されています。高層住宅が多い中央区として、長周期地震動への対策は重要なものになっています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、防災拠点となる学校警備の機械化をやめ、災害発生時の対応など、地域の安心・安全のために警備員を配置する必要があると思いますが、いかがですか。

 第二に、大地震、大津波、暴風雨、高潮、堤防決壊など最悪の事態を想定した避難ビルを確保するため、高層ビル関係者と地域との協議や協定の締結などが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、区として長周期地震動対策をどのように進めようとしていますか。また、区内にある高層ビルの共振現象の調査が必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 最後は、教育にかかわる問題についてです。

 四月からの中学校における武道の必修化が目前となりました。もともと武道必修化は、二○○六年に改悪された教育基本法を受けて、文部科学省が進めてきたものです。しかし、柔道で重大事故が続いているため、全国的にも保護者や学校現場からの不安の声が上がっています。文科省の外郭団体である日本スポーツ振興センターによると、過去二十八年間で柔道で百十四人が死亡し、二百七十五人が重い障害を負う事故が続いてきたといいます。最近十年間の中学校部活動における死亡確率も、柔道が飛び抜けて高いことが判明しています。

 柔道でこうした重大事故がなくならない理由の一つに、安全配慮に欠けた指導者の姿勢があります。重大事故に多い頭部の損傷は、頭を直接打たなくても脳が激しく揺さぶられることで起きる場合があります。加速損傷と呼ばれる症状ですが、これまで指導者の多くはそうした認識がなく、起きた場合の対処法も知らないままでした。

 もう一つ、事故の温床になってきたのが、指導や練習という名のもとでまかり通ってきた体罰やしごき、いじめです。根性をつけると有段者の指導者が何度も投げ飛ばす、上級生が初心者の後輩に危険なわざをかける、こうした例は枚挙にいとまがありません。実際の授業でも、ふざけてわざをかけて事故を起こせば、子供が被害者だけでなく加害者になる可能性もあります。

 そこで、お聞きします。

 第一に、これまでの柔道の事故を医学的、科学的に解明し、再発防止策を立て、指導者研修を行うことは必修化の前提だと思いますが、いかがですか。

 第二に、文科省が安全対策を確立していない状況で、地域によっては乱取りを禁止したり、ヘッドギアなどを配備する独自の対策をとる動きも出てきました。中央区では、どのような安全対策をとろうとしていますか。

 第三に、指導要領の体育の目標には、運動を適切に行うことによって体力を高め、心身の調和的発達を図るとあります。文科省は、武道必修化の延期を含め、安全の確保を最優先に考えるべきだと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 さて、橋下徹大阪市長と維新の会が大阪府議会と大阪、堺の市議会で制定を目指している教育基本条例案は、教育への政治介入をうたい、知事が決める教育目標実現に責務を果たさない教育委員の罷免も盛り込み、教育関係者と職員を知事や市長の思うままに支配しようというものです。

 教育基本条例案の条文には、知事が教育目標を制定し、府教育委員会はその目標を実現するため、具体的な教育内容を盛り込んだ指針を作成し、校長に提示するとあります。基本理念には、「自己責任の自覚」、「愛国心にあふれる」、「世界標準で競争力の高い」などの言葉が並びます。知事の介入を徹底するため、校長、副校長を公募し、教員は校長のマネジメントに服す、校長は五段階の人事評価を行い、必ず五%は最低のDランクにする。連続最低ランクの教員は免職へ追い込むなど、事細かに規定しています。保護者にも、不当な対応で要求等をしてはならないと明記するありさまです。

 教育は、国民の教育権に基づく教職員と子供たちの人間的な触れ合いを通じた営みです。人間的な主体性が不可欠で、条例や命令でがんじがらめにしてはならない仕事です。最高裁判決も、国家権力による教育内容への介入はできるだけ抑制的でならなければならないとしています。教育基本条例は、それを根本から否定し、公教育を根こそぎ破壊しようとするものです。この教育基本条例案は、その内容だけでなく、枠組みそのものが政治の介入を厳格に戒めようとする教育基本法や諸法規の精神に反するものだと思います。

 条例案の根幹部分である、知事が教育目標を設定するとの項目について、政府は、地方教育行政組織法で規定する地方公共団体の職務権限は、大学や私立学校などに関する第二十四条と例外以外は教育委員会の職務に属するものであり、地方公共団体の長にその職務権限はないとし、知事による教育目標の設定は権限外だと、閣議決定した答弁書でその認識を示しています。ところが、橋下市長は、「ばかみたいなコメントに従う必要はない」と暴言を吐きました。

 知事が教育目標を設定することについて、どのような見解をお持ちですか。

 次に、なぜ教育と政治を切り離したのかという問題についてです。

 それは、教育勅語を中心とした戦前の教育が国家権力の完全な支配・統制のもとに置かれ、それがやがて軍国主義一色に染め上げられていった歴史の反省に立って、教育に対する国家権力による不当な支配を二度と許さないためです。改悪された現行の教育基本法でさえ、十六条で、「教育は、不当な支配に服することなく」とし、「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行わなければならない」としています。

 教育委員会を政治が支配しようとする教育基本条例案は、現行の教育基本法に照らしても許されるものではないと思いますが、教育長の見解をお聞かせください。

 以上で、日本共産党区議団を代表しての一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の質問に順次お答えいたします。

 初めに、社会保障と税の一体改革についてであります。

 現在、国の財政は、税収が歳出の半分程度しかなく、不足する財源の大半を国債に依存しているため、将来の世代がそれを負担しなければならないという状況にあります。社会保障と税の一体改革は、これら世代間の公平性も含め、将来にわたって持続可能な社会保障制度をいかに構築するかという課題に取り組んでいるものでありまして、この改革によって生存権が奪われる、または家計と中小企業に破壊的な影響を与えるとは考えておりません。本区は、これまでも経済環境の悪化や社会情勢の変化に対応し、区民の命と暮らしを守るという視点で、さまざまな施策に取り組んでまいりました。国民的合意が得られ、本改革が実施された場合におきましても、区民への影響を見きわめつつ、これまでどおり的確に対応してまいります。

 次に、社会保障の充実、財政危機打開の提言についてであります。

 社会保障と税の一体改革は、国民生活への影響を慎重に見きわめつつ、十分に議論が尽くされるべきものであり、この提言につきましても、一つの考えではあると認識しております。また、消費税増税等の中止を求めるべきという御指摘でありますが、社会保障と税の一体改革は、本来国の責任において決定されるべきものであるとともに、年金支給開始年齢の引き上げなどは今後の検討課題とされているところであります。そのため、現在、国に要望することは考えておりませんが、今後とも国や各方面における検討と、さまざまな議論の動向を注視し、その推移を見守ってまいります。

 次に、二○二○年オリンピックの招致についてであります。

 今月十六日、招致委員会が国際オリンピック委員会に提出した申請ファイルが公表されました。この申請ファイルで示された晴海の選手村計画をめぐっては、発表以前に報道されたという事実がありましたが、東京都からは正式発表は十六日に行うと聞いていたところであります。また、招致に対する都民等の意向調査については、招致委員会及び東京都において実施すべきものと考えております。区といたしましては、世界最大・最高のスポーツと平和の祭典であるオリンピックを再び東京で開催することは、次代を担う子供たちに大きな夢と希望を与えられるものと考えており、区議会や区民の皆様の御意見をいただきながら招致活動に積極的に協力してまいりたいと存じます。また、大震災からの復興・再生をなし遂げた日本の姿と感謝の気持ちを世界に示す意味でも、大きな価値があり、こうした考えは被災地の理解も得られているものと存じております。

 次に、東京湾大華火祭についてであります。

 全国から七十万人を超える方々が観覧されている本華火祭は、地域の活性化や経済効果、観光振興、本区のイメージアップなどに寄与している中央区の一大イベントであり、その開催意義は極めて大きいものと認識しております。昨年は、東日本大震災の影響により、やむを得ず中止といたしましたが、中止の発表後、直ちに多くの方から開催を熱望する声が寄せられ、本華火祭の人気の高さと重要性を改めて実感したところであります。華火祭の開催に当たりましては、何よりも来場者の安全確保を最優先としているため、警備費用などに多額の経費が必要となります。こうしたことから、区の財政負担をできる限り軽減するため、企業からの協賛金や有料協賛席の設置など、自主財源の確保に努めているところであります。今後とも、さらなる経費節減や自主財源の拡充を図りながら、区民や関係機関の御理解、御協力のもと、多くの皆さんが安全で安心して楽しんでいただける華火祭を引き続き毎年開催してまいりたいと考えております。したがいまして、区民アンケートを行うことは考えておりません。また、高齢者対策をはじめとする福祉施策や東日本大震災の教訓を踏まえた防災対策等につきましては、区政の重点課題であり、華火祭開催の有無にかかわらず充実・強化を図ってまいりたいと存じます。

 次に、築地のまちづくりに関する合意についてであります。

 築地市場につきましては、昨年三月の都議会で移転の結論が明確にされて以来、本区はこの結論を厳粛に受け入れ、市場移転後の築地の活気とにぎわいを将来に継承するための取り組みに全力を挙げることとしてまいりました。また、鮮魚マーケット構想については、市場が移転した場合でも活気とにぎわいを維持するための方策として、平成十六年に策定したものであり、その後、地域や関係者の方々と協議を重ね、修正してきたものであります。これらについては、この間、区議会をはじめ、新しい築地をつくる会などでも御説明し、御理解いただいているものと考えております。今後は、都との合意のもとに、移転後のまちづくりについて具体的な検討を行ってまいります。

 次に、鮮魚マーケット構想についてであります。

 昨年十一月、区は、市場移転が具体化したことに伴い、これまでの要望を整理し、区有地を活用した先行営業施設の整備や勝どき門駐車場などの活用について本区の考え方を示し、都に改めて検討を要望いたしました。都とは、この内容に沿って実務的な話し合いを進めてまいりました。今回の合意は、食文化の拠点としての活気とにぎわいを市場移転後も引き継いでいくことの重要性と、勝どき門駐車場などの有効活用を検討していくことを双方で確認したものであり、本区の方向性やこれまでの要望が反映されているものと考えます。先行営業施設の整備に係る事業費、維持管理費、運営主体や経営支援などにつきましては、今後、設計に当たり、市場事業者などからも御意見をいただきながら検討していくこととしており、現時点で具体的な数字や運営主体などをお示しできる段階ではありません。なお、首都高速晴海線用に整備されたカルバートの区間は、新富町出口から晴海通りまでであり、整備予定地である小田原橋臨時駐車場の下部には設けられていないため、今回の施設整備には影響がないものと考えております。

 次に、児童館への指定管理者制度導入についてであります。

 初めに、晴海児童館等複合施設の指定管理者として選定したサクセスアカデミーの労働環境につきましては、選定の際に提出された提案書や、既に運営している施設の現地調査、ヒアリング等により、労働基準法も含め問題のないことを確認しております。

 次に、児童館への指定管理者制度の導入理由についてであります。

 児童館における乳幼児から中高生までの多様なニーズに柔軟に対応するために、直営館として長年培ってきたノウハウを基盤とし、それに加え、民間の新たなアイデアを活用することにより、さらなるサービス向上を目指すものであります。区職員と指定管理者の両者が協力し合い、切磋琢磨することで、これまで以上のサービスが可能となるものと考えております。また、児童館は、これまで多くの町会、青少年地区委員会、民生・児童委員等の方々の御協力のもと、運営してきており、これからも地域の子育て支援を担っていくためには、地域の方々の御理解と御協力が不可欠であります。新川児童館をはじめとして、今後指定管理者制度を導入する館につきましては、地域への説明会等において丁寧に説明し、御理解を求めてまいります。

 次に、指定管理者と区のかかわり及び区民の声の把握についてであります。

 指定管理者は、民間のノウハウを活用し、区では難しかった通年開館や利用時間延長などのさまざまなサービスを実現し、施設運営の質の向上や利用者拡大などの成果を上げてまいりました。区は、公の施設の管理責任に基づき、これまで培った施設管理の知識や経験を生かして、指定管理者の監督・指導等を行っていく中で、施設運営にかかわるノウハウの維持・向上を図っているところであります。また、アンケート調査や区長への手紙などを通じて運営状況に関する意見を聞くほか、指定管理者評価委員会の委員に利用者代表を加えるなど、常に利用者からの意見・要望の把握に努め、施設運営に反映してまいりました。今後とも、区民の意向を踏まえた事務改善やサービス向上に努めてまいります。

 次に、指定管理者の職場における労働環境についてであります。

 施設の適切な運営と良質なサービスの提供には、従業員が安定的、継続的に業務に従事できる体制を整えることが重要であります。そこで、本区では、指定管理者の選定と運営状況を評価する際に従業員の雇用形態や勤務時間、賃金などの労働条件に関する書類の提出を求めるとともに、ヒアリングを行い、労働関係法令の遵守はもとより、過度な経費の削減につながっていないかを確認しております。この確認は、区職員のほか、法人経営に識見を有する外部の専門家が行っているところであります。社会保険労務士などの活用については、他自治体での実績を踏まえ、検討してまいりたいと存じます。また、公契約条例については、最低賃金単価の合理的な設定が難しいことや、自治体間の不均衡が生じるなどの課題もあるため、引き続き国等の動向を注視してまいります。

 次に、放射能対策についてであります。

 区内の空間放射線量については、三カ所の定点や学校、公園などできめ細かな測定を行い、測定値が毎時○・二三マイクロシーベルトを超える場合は、既に除染や立入禁止にするとともに、適切な安全対策を実施してきたところであります。現状では、空間放射線量は毎時○・○八マイクロシーベルト前後を推移しておりますので、区民生活に問題ない状況であると認識しておりますが、引き続き測定してまいります。

 次に、放射線量測定器の台数をふやすことについてでありますが、測定器の貸し出しを十一月一日から開始しており、当初は希望者が多い状況でしたが、最近は予約に余裕があります。また、測定した区民からは、より安心できたという声も寄せられており、測定値や測定場所なども確認していることから、これ以上は測定器の台数をふやす必要はないものと考えております。

 次に、食材の放射線測定の継続と測定器の購入についてであります。

 区では、現在、新基準値が適用されるまでの間、区民の食の安全・安心を一層確保するために、区内流通食品等のモニタリング検査を行っております。四月以降は、国の厳格な新基準値で規制された食品が流通することから、区での測定の継続や測定器の購入は考えておりません。

 次に、防災拠点の学校警備と災害時の対応についてであります。

 現在、区立学校を含めた防災拠点において、運営委員会の代表の方々に入り口のかぎを所持していただく体制をとっております。本年度は、この体制を検証すべく、すべての防災拠点で避難所の開設・運営訓練を実施し、地域の皆様に玄関の開閉方法について実地体験を行っていただきました。今後とも、こうした地域の自主運営をさらに充実させることで災害対応が円滑に図られるものと認識しております。

 次に、災害時における避難ビルの確保についてであります。

 さまざまな大災害に対応できる避難行動や避難方法を確立することは重要であります。避難ビルにつきましては、今後公表される都の津波の想定を見定めた上で、必要性や地域との協力体制、避難時の安全確保や避難情報の伝達等を総合的に検討してまいります。

 次に、区内の高層ビルにおける長周期地震動対策についてお答えします。

 国は、平成二十二年十二月に長周期地震動への対策試案を公表しましたが、昨年の東日本大震災を踏まえ、さらに検討が必要とし、現在、追加調査がなされているところであります。超高層建築物が多数存在する本区としては、対策が示された場合には高層ビルに対する必要な調査を含め、国や都など関係機関と連携して速やかに対応してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、武道の必修化についてであります。

 中学校における武道の必修化は、学習指導要領の改訂に伴い、伝統や文化に関する教育の充実と、体育の授業において、より多くの運動種目を経験させる観点から実施されるものであります。柔道につきましても、学習指導要領において代表的な武道の種目として位置づけられており、本区におきましては、昨年度より、全中学校で先行実施しております。この間、四校で情報交換をしながら、安全への配慮や生徒の実態に沿った指導内容の工夫など、本格実施への準備を進めてまいりました。柔道のねらいは、相手を尊重する礼儀作法など、伝統的な行動を理解するとともに、受け身や基本動作を確実に身につけさせることにあるととらえております。柔道においては、投げわざの衝撃が事故やけがにつながるものと認識しており、年間八時間程度の授業の中では、受け身と基本わざを中心に、乱取りは行わないなど、安全に十分配慮した指導を徹底しております。また、指導者の資質を高めるために、武道の専門家を招いての体育科教員向け指導者講習会等を行うとともに、専門的な知識・技能を持った種目別指導員を配置し、指導体制を整えております。今後とも、学習指導要領に基づき、生徒が互いに相手の健康や安全に気を配る態度の育成を重視し、武道の魅力を学ぶことができるよう取り組んでまいります。

 次に、大阪における教育基本条例案についてであります。

 まず、知事が教育目標を設定することについての御質問ですが、大阪府教育委員が参加する府市統合本部において協議が行われた結果、現在は、知事は教育委員会と協議して、教育目標を含めた教育振興基本計画の案を作成し、府議会の議決を経ることと修正されたものと承知しております。教育基本条例案につきましては、昨年来、種々の議論があるところでありますが、条例制定権は個々の地方自治体が有するものであり、大阪府の二月定例議会で教育行政基本条例案として審議されることから、その推移を見守りたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 御答弁いただきましたけれども、最初の社会保障と消費税の問題ですけれども、この一体改悪の影響が生存権を奪うものでない、また、家計とか中小企業に破壊的な影響を与えるとは考えないということでした。私、先ほどの質問の中で、日本で生まれている格差、これだけ苦しんでいる国民、区民がいるんだと。収入も含めて、富裕層と、また国民、区民の方でもこんな違いがあるんだというようなことも具体的に示しました。

 一回目の質問では、自制というか、言わなかったんですけれども、先ほどの区長さんのお話を聞いて、区長さんはよく、人口十二万にふえたとか言いますけれども、それを聞く区民の方で、やはり古くからいた方たちがどんどん中央区から離れていってしまっている。私も先ほど、失業が理由、また倒産が理由で、もう中央区に住めなくなっちゃったという人を紹介したのは、そういうこともあったんです。だけれども、やはりそういう区民の方々の実態が、先ほど一体改悪の影響は考えられないという、そういう答弁がありましたので、やはり区長の認識と、それを受ける区民の方々の思いというのが相当差があるなというのを改めて感じました。

 やはり自治体の長として、区民の方が失業とか倒産などなどで苦しむ、そういう区民を一人たりともつくらないという、そういう立場で施策を展開しなくてはいけないと思います。ですから、そういう立場になってみれば、今進めようとしている一体改悪について、やはり批判的、できれば反対をするということを持っていただきたいんですけれども、その点を改めて区長の認識をお聞きします。

 それから、オリンピックのほうなんですけれども、私も一回目の質問で言いましたように、中央区とか区民、住民に及ぼす影響がどんな影響があるのかわからない中で、積極的に招致をというあたりが問題ではとないかと。やはりしっかりと検証する、そしてアンケートでもいいし、いろいろな形で区民の意向を聞くことが大事だと思います。区民の意向よりも都の意向を重視する、それではまずい。区民の反対の声が多かった場合は立場がなくなるという、そういう思いなのかもしれませんけれども、やはり区民の声、区民の意向を調査するということを求めますけれども、その点について御答弁ください。

 それから、同じく大華火祭もそうなんです。いろいろな声があります。花火のやり方を改める。これまでみたいな中央区が財政負担を大きく持ったやり方というのがいいのかと。東京湾大華火祭にふさわしい取り組みが必要だと思います。それをやるに当たっても、どういうやり方を見直すかに当たっても、やはり区民の意向を聞く、アンケートをする、それをぜひやっていただきたいと思います。いろいろな形で世論調査しているわけですから。以前、私が委員会で区もアンケートをやったらどうですかと言ったら、共産党がやっているからいいですみたいな、そんな答弁もいただきましたけれども、それだけ信頼されているのはうれしいんですけれども、やはり区としても華火祭についてのいろいろな御意見を聞く必要があると思いますので、その点についての御答弁もお願いします。

 それから、築地のまちづくりに関する合意ですけれども、これは聞き落としちゃったのかな。合意の大前提である豊洲の土壌汚染問題、これが立証されない場合は合意を破棄する、現在地再整備に立つということがあるのかという答弁が漏れたのかなと思いますけれども、もう一度この点をお聞かせいただきたいと思います。

 今、市場の中がどういう状況かということで、私の知る限りなんですけれども、今いろいろな新市場の計画が進められる中で、これまで移転を推進してきた、そういう人たちの中から不安とか疑問の声が上がっているんですね。例えば、使用料の問題で、私もやっちゃ場青果で働いていましたので、青果の卸会社の幹部の方なんですけれども、やはり推進していたんですけれども、実際、使用料を含めて不安が出ているという声も聞きました。もちろん、仲卸の店主の方々もそうです。それから、魚市場買参協同組合長が日刊食料新聞でも投稿していましたけれども、豊洲の新市場の水産卸の売り場に欠陥があるというような批判もされています。

 ですから、これも以前、私、指摘していたんですけれども、この新市場の計画というのは、具体化すればするほど矛盾点とか問題点が浮き彫りになるということで、このままいけば、さっきの東卸の山崎理事長のお話も紹介しましたけれども、移転も頓挫する、そういう可能性が大変高いです。市場関係者の声も、そうです。そういう中で合意を結んだという重要性があるわけなので、その合意の前提が土壌汚染対策が十分なことというのが、さきの委員会の中でもありましたけれども、やはりこの土壌汚染対策がどうなのかというのを検証しなくてはならないというふうに思います。

 東京都が、土壌汚染の問題でなかなか情報も公開しないし、ちゃんと調査もしない。それは、私が推測するには、土壌汚染の調査を詳細にやる、例えば有楽町層の下とか全体をやると、出た結果に応じた浄化作業が必要になるわけですね。ですから、ほぼ有楽町層の下は汚染されているということも想定されていますけれども、そこまでやるとなると莫大な経費と時間がかかってしまうというようなことなんですね。今回の有楽町層の下はそのままにして、その上にしっかり固めた市場をつくるということは、豊洲の汚染した土壌を封じ込める、そういうものにすぎないわけで、下にそのままにして、今の放射能の除染した汚染土をどこか埋める場所をとありますけれども、しかし、それはなくならないで、ただ封じ込めるだけです。ですから、そういうことも、今、実際きれいだという証明がされていないということは、汚染されているという、そういうこともありますので、今、膨大な量の汚染した土壌があそこに存在しているということは言えると思うんですね。ですから、そういうことであれば、合意の大前提である土壌の問題が解決されていない。であれば、やはり破棄しなくてはいけないのではないかというふうに思います。

 私はそう思うんですけれども、例えば合意を結んだ区長ですから、その責務として、この土壌汚染問題の疑惑、私が今言ったような疑惑を払拭させるような、そういうデータ、また情報の公開を進める、もしくは合意を破棄して現在地再整備の立場に立ち返る、この二つ、合意を結んだ区長の責務は、その二つのどっちかとるか、しっかりした安全性をちゃんと示すか、それとも安全性が示されない今、もうこの合意を破棄するか、この二つに一つだと思います。この点でもお願いします。

 今、豊洲の汚染工事で受注ゼネコンへの天下りなども問題になっている。また、談合も問題になっています。ことしの賀詞交歓会で、中央区の都市整備部長が天下り先の清水建設の名刺を持って、私のところにもあいさつに来ました。私は、あれ、清水建設の本社の建てかえにおける区道廃止などの、そういう配慮に対する功労賞かななんて思いましたけれども、しかし、やはり中央区の中でデベロッパーやゼネコン、大企業に奉仕するまちづくりが進められている。こういう中で、天下りも含めて、企業と、また行政の癒着、こういうものに対して議会としても厳しい目を持たなくてはいけないなというふうに思ったんです。ですから、そういうような今の土壌汚染対策をめぐる中で、やはり区長としてしっかりと厳しく今の現状を見ていくことが大事だと思いますので、ぜひその点での区長の役割も発揮していただきたいと思います。

 それから、鮮魚マーケットについて、市場関係者の人に、東京都は中央区のその施設には市場とかマーケットの名称を使わせないと言っているそうなんですね。ですから、区長はそのようなことを都から聞いているか、鮮魚マーケットと区は言っているんですけれども、そういう言葉、マーケットとか使わせないと言っているそうなんですね。そういう点で、区長は聞いているのか、また、鮮魚マーケットの名称というのをこれからつくるつもりなのかお聞かせください。

 それから、指定管理者なんですけれども、住民サービスの向上が直営ではできないと断定するのはなぜかということで、住民サービスの向上は直営でもできるのではないかというふうに思いますので、その点ももう一度答弁いただきたいというふうに思います。

 ということで、第二回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも、どうも。

 社会保障問題、消費税問題ですね。

 これも、冒頭に申し上げましたとおり、国の予算の半分は借金であるわけですよね。これを何とかしなきゃいけないというのは、皆さん、国民同じであろう、そういうふうに思いますね。そして、特に社会保障での出費がふえているということでありますから、そういう意味でも、これをしっかりと直していこう、改革していこうではないかというのは、皆さん、共通であろうというふうに思いますね。

 いかに改善していくかのやり方としては、いろいろな考えがあるでしょう。消費税、ヨーロッパのように二○%が当たり前だ、二五%のところもあるというようなところと、また、そうじゃなくて景気をどんどん上昇させることによって負担を軽減していこうではないか、税収をふやすということですね。そういういろいろなやり方があろうかと思います。そういった面で、まさに国で、今、国会で大いに議論されているわけでありますから、しっかり私たちは見守っていかなければならない、こういうふうに思いますね。

 格差というお話もありました。そうですね。格差、いつからこんなふうになったのか。日本は、ちょっと前まで中流意識が九○%ですか、国民の八八%は自分は幸せだと考えていると、そういう世論調査もございました。これは、ちょっと前なんですよね。大昔の話ではない。わずか三年か四年前まではそういう国であったわけであります。それが、ここのところ、がたっと、幸福感が八八%なんて、そんな出るわけないなというふうに。やっていないから、わかりませんけれどもね。また、中流意識も九○%なんていうのは出ないんじゃないかなというふうに思いますけれども、これは世論調査をやってみないとわかりませんけれども、ちょっと前まではそういう国であったわけでございます。

 やはり格差が余りにもあってはいけない、そういうふうに思いますけれども、アメリカなんかはもっとすごいんですね。わずか四百人ほどが国の総予算の三割ですか、を賄っているというわけであります。それほどの格差は日本ではないであろうと思いますけれども、しかし、格差というのはなるべくないほうがいいに決まっておりますから、そういう面でも私たちは努力していかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 オリンピック東京招致、これはぜひ実現したいですね。皆様方は見たかもわかりません。私はちょうど海外にいて見損なっているわけで、自分自身としても見たいけれども、個人的な問題はどうであれ、実現して、何といっても平和、スポーツの祭典であるわけでありますから、これは何とか実現したい。余り世論調査、世論調査、私は好きではないんですけれども、国民の六五%ですか、が賛成している。やろうじゃないかと。都民のやはり六五%ぐらいが賛成しているということでありますし、はっきりしているのでありますから、大いに今度こそ実現したいな、こういうふうに思うわけであります。

 そして、選手村も晴海にできるわけでありますから、これも大歓迎でございまして、そういう意味でも中央区をアピールするためにも、大いに歓迎したいな、こういうふうに思います。

 また、東京湾大華火祭、昨年、怒られましたね、中止したことによって、区民からも怒られるし、国のあちこちからも私のほうに、なぜやめるのかと。私はその前に、ああいう大震災がありましたからね、警察の皆様と消防の皆様方が被災地へ行って大変な思いをしているわけ、もちろん被災地の皆様方も大変な思いをしているわけでございまして、そういう意味で、取りやめということになったわけでありますが、ことしこそしっかりと華火祭、大いに盛り上げて行っていきたい、そういうふうに思いますね。経済波及効果も二十一倍もあるわけで、七十二億円ですか、以上の経済効果もあるわけでございます。こういうときこそ花火をしっかりと行ってまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 それから、築地市場問題、これは二月七日に合意して、以来、場内、場外の方々ともう何回も、いろいろな方々とお目にかかりましたけれども、反対という声は全くなかったですね。私のところには来ていないですね。合意、けしからんじゃないかというあれは来ておりません。昨日も、場内、場外の方とお目にかかりましたけれども、そんなことは全くなかった。逆に、中央区に大いに期待している、場内の方も期待しているし、場外の方ももちろん大いに中央区に期待を寄せておりました。鮮魚マーケット、これもいいじゃないかという話が非常に多かったですね。

 私が聞いているところでは、鮮魚マーケットですか、マーケットだろうが、市場であろうが、マルシェであろうが、何でも使って結構だというように聞いておりますけれども、市場という言葉を使ってはいけないというあれがあったんですか。私のところへはそういうのは届いておりません。

 それから、土壌汚染問題。これは食の安全ということが第一でありますから、これは区だけの問題ではなくて、都民の何しろ台所と言われているわけでございます。当然、豊洲に移っても都民の台所ということで移転されるんでありましょうから、そういう意味では、大前提であるのではないかな、そういうふうに思うところであります。

 それから、児童館への指定管理者制度ですか、これは指定管理することによって民間の皆様方の創意工夫のほうが、あるいは御努力のほうが区民サービスがより一層充実する。答弁をずっとしているとおりですね。休日がなくなったり、あるいは時間が延長されたり、そういうようなことも行われるということでございます。したがって、これを拡大したいと思いますし、また無論、職員によるそういったサービスもあって当然でありますから、まさに先ほども申し上げましたとおり、切磋琢磨することによって、より充実した施策が展開できるのではないか、こういうふうに思っているところであります。

 以上であります。

〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 区長、格差は小泉構造改革、特にそこからがずっとひどくなって、それが今ずっと続いて、こういう状況になっているんですよ。だから、そこを直さなくてはいけないということですね。

 先ほども言いましたように、どうやったらいいのかというやり方は、十八兆円から二十一兆円の財源を生み出せるよと。共産党の提言をぜひ読んでください。

 それから、オリンピック、六五%の支持というのは低いですよ。低い。そういうことも認識していただきたいと思います。

 それから、大前提が崩れた場合、今も崩れているんですけれども、土壌汚染問題、やはり合意の大前提が崩れているという認識を持っていただきたい。この点で答えていなかったので、また別な機会でやりたいと思いますけれども。

 それから、住民サービスの向上も、やはりなぜ公務員ではできないのか、いろいろなサービス、区も努力する、そういうこともすればできるわけです。何でも民間丸投げ、民営丸投げというのも問題だというふうに思っております。

 時間が余り十分なかったんですけれども、第一回定例会をはじめ、区民が主人公の立場で、日本共産党は区民の皆さんのために頑張っていきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(今野弘美議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時二十分 休憩


午後三時四十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番渡部恵子議員。

十八番 渡部恵子議員登壇

○十八番(渡部恵子議員)
 議長から発言許可をいただきました民主党区民クラブの渡部恵子です。平成二十四年第一回区議会定例会に当たり、民主党区民クラブの一員として、区の一般事務及び区政の当面する課題につきまして、区長並びに関係理事者の方々に質問通告書に沿って発言させていただきます。区民の皆様の暮らしの安心・安全、社会福祉の向上に資する御答弁をお願い申し上げます。なお、再質問はこのまま留保させていただきます。

 東日本大震災の影響で、東北地方の海底でマグニチュード八クラスの地震が起きやすい状態になっているという調査結果を海洋研究開発機構の研究チームが、平成二十四年一月に発表しました。当該研究チームは、昨年の災害後、地震活動が活発になっている東北地方の海溝の東側に、合わせて二十個の地震計を設置したところ、昨年五月から二カ月間で約千七百回分の余震データを計測しました。

 東北沖の海底では、陸側の北米プレートの下に海側の太平洋プレートが沈み込んでいます。震災前までは、海側の太平洋プレートの深さ四十キロ付近までのうち、浅い部分は引っ張る力、深い部分は押す力と、その働きは異なっていたところ、調査の結果、震災後は深い部分も引っ張る力に変化していたことが判明しました。

 これが意味するところは、震災前ならば、地震が起きた際、引っ張る力と押す力の異なる作用によって動く断層の範囲が小さいものの、震災後の現在、北米プレートの下に滑り込む太平洋プレートの上から下までの断層が一気に引っ張り上げられる蓋然性が高まったことをあらわします。そうなれば、マグニチュード八クラスの力に達する可能性があることになります。当該研究開発機構の主任研究員は、太平洋プレート内部で起きる地震は、震源が比較的浅い場所で起き、これによって比較的大きな津波が起きる可能性はあると警鐘を鳴らしています。

 また、今回の研究結果を受け、昨年の大震災で、五百キロにわたって岩手県沖から茨城県沖にかけて海底プレートが東側に動いたことによるひずみが一番たまっていると言われている房総沖と十勝沖を含めた広い範囲の調査が、海洋研究開発機構で本格的に始まることになりました。

 また、時を同じくして、本年一月、東京大学地震研究所による試算では、四年以内に南関東でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は七○%と発表されています。直近の本年二月二十一日には、首都直下型地震について、文部科学省などの調査が発表されました。これによれば、研究チームが首都圏三百カ所に地震計を設置して調査した結果、プレートが三層に分かれていること、そして震源がこれまでの想定よりも約十キロくらい浅くなる可能性があることがわかったということでした。これによって想定されるマグニチュード七・三の地震が浅いところで発生すれば、それだけ揺れの規模が大きくなり、政府の試算である冬の午後六時に地震が発生した場合、死者は約一万一千人、経済被害は百十二兆円を上回ることから、中央防災会議でも震度七を想定した対策が急務と発表しています。

 我が会派の渡部博年議員が平成二十三年第四回区議会定例会で指摘いたしましたが、歴史上、過去に数回、東海・東南海・南海地震が一度に襲う三連続地震が発生している中で、この地震の三連続地震が近い将来発生する蓋然性も専門家の間で懸念されている中、いつか起きる大規模地震が発生するXデーに向けて、時計の針は確実に進んでいます。いたずらに危険が迫ることをあおることは最もいけないことではありますが、どの地域を震源とする地震が発生したとしても、区民の生命・身体の安全、また中央区事業者たちの安全確保、区内来訪者たちの生命・身体の安全を考えながら、大規模震災発生を前提とした備えを行う取り組みは、急務です。

 そのような折に、東日本大震災を経験し、大勢のとうとい命の犠牲、壊滅的なまちの被害と経済被害を受けている中で、市長として混乱の日々を一刻も早くおさめるために尽力しておられる石巻市の市長の発言を、復興を考えるシンポジウムで拝聴しました。

 石巻市長は、まず情報が一番大事であるとおっしゃいました。震災直後からライフラインが寸断した中で、震災直後、情報の確保と避難路の確保をどのように各所に伝達できるか。住民の生命の安全のために、情報を的確に伝えていくことの難しさをご経験なさった市長の、一刻も早く情報を伝え、避難させようと思うはやる気持ちと、それができなかった憤りについては、私たちも想像にかたくありません。

 その後、二カ月間にわたって携帯電話が通じなかったという情報の断絶も、防災計画策定時には想定できなかったことでしょう。市長は、さらに、幼い子供たち、高齢者、障害者という方々が真っ先に災害弱者となってしまったことについて、逃げる手段は非常に大事であるが、難しいと発言されました。その理由が、公助は大災害時に役に立たなかった、行政は役に立てなかった、何よりこうした大災害時には自助が必要、それには防災教育を施していくしかない、自助が難しいときには近所という近くの人が助け合うことが人命救助にはかなめとなるという言葉は、私たちが防災対策を考える際の一助となる言葉ではないかと考えます。

 備蓄につきましても、備蓄は三日分と思っていたが、実際五日分は必要、水と食料は最低五日分の備蓄をしておく必要があるということも発言されていました。

 これを伺い、多重防災による減災対策の必要性は、初動時からの的確な対応も含め、減災に直結することから、極めて重要と改めて考える機会になりました。

 また、改正障害者基本法第二章第二十二条第二項におきまして、「国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならない」とし、さらに障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として、第七項に、「国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」と強調しています。

 これらを踏まえ、商業地区であり、かつ都心区である当区の防災対策への取り組みについて伺います。

 当区では、トウキョウ・タワーズ建築以降のマンションに対しては、五階ごとに備蓄を置くことが、本区の条例で努力義務として定められています。区民の八八%がマンション住まいという中で、耐震・免震構造のマンションの安全性に信頼を寄せ、そもそも二一%の区民しか避難所に避難してこないであろうという想定のもとでの防災対策を現在は講じていること、また、その際、高層マンション群のエレベーター停止は想定していないと伺っております。地盤の緩さと地震の周期が重なり合えば、長周期地震動によって、現在の建築基準法で建てられている耐震構造のマンションでも、上階は相当程度の揺れ幅が想定できます。また、トウキョウ・タワーズ以前に建築されたマンションでは、マンション全体での備蓄は確保されていないと考えられます。

 強い揺れの地震が起きれば、高層マンション群のエレベーターが停止、あるいは長周期地震動によって上階へと上がれない区民が、発災直後、避難所に避難してくる可能性は高いはずです。また、上階にある住まいにいるときに震災に遭い、エレベーターが停止したことによって階下に行けずに困ったという話は、実際、昨年の震災時に区民から伺っています。

 ライフラインが長期間にわたって寸断した場合、高層マンション上階での避難生活が長引くことを考えると、避難所での生活を選択する住民も出てくる可能性があります。そうした場合を考慮すれば、避難所の確保は拡大する必要性があると考えます。あるいは、避難所の確保が難しいならば、高層マンションの管理者に対し、震災後、マンションの安全性が確認された後、住民にマンションでの避難生活を勧めることを始め、また、備蓄では足りない物資の供給につき、区からの情報を随時お知らせしながら円滑な物資の供給システムを講じておく必要があると考えます。

 この点につき、避難所の収容人数のさらなる拡大と、その確保、また、高層マンションでの被災生活へ向けた備蓄を含めたさまざまな対応について、区では今後どのように対策を講じていくお考えでしょうか。

 続けて、お伺いいたします。

 阪神・淡路大震災の折には、家屋の倒壊、家具の転倒から圧死する方々が多数出ました。さきに述べたように、高層マンションに長周期地震動がどの程度作用するかは不明です。揺れによっては、家具の転倒が心配されます。特に、高齢者世帯と障害者世帯、小さなお子様がいらっしゃる世帯には、家具の転倒は避難路を妨げるのみならず、圧死の危険性も高く、こうした事故は回避しなければなりません。そして、今なら策を講じることができます。これも、防災教育の一つになると考えます。

 区は、区民に対し、家具の転倒防止を啓蒙していますが、特に高齢者、障害者、幼い子供を持つ方々に対し、さらなる転倒防止対策を強く求める必要性があると考えますが、この点につき、今後の区のお考えについて伺います。

 次に、発災直後の区からの情報提供に関連して、幾つか質問します。

 防災無線は、既に地域によっては聞こえにくいということがわかっています。そこで、緊急告知ラジオを区の助成によって広く配布する策を講じていますが、既に問題が発生しています。アンテナがわからずに聞こえない、コンセントを一日中差し込むので電気代がもったいない、防災ラジオの試験放送は偶数月だけでなく毎月行うべきと進言したが、その必要はないと回答が来た、実用的でないので返品するなど、さまざまなクレームが中央エフエムに届いていると報告を受けております。他の行政よりいち早く、防災無線の補完ができる緊急告知ラジオを推進している中で、このようなクレームが早速出ているのであれば、実態の把握に取り組み、問題解決を図るべきではないでしょうか。その上で、区民に改めて緊急告知ラジオの使い方、有益性について、より理解を深めていただける対策を講じ、試験放送の周知を行い、聞こえ方、状況についての情報の把握に努めるべきだと考えます。この点について、区の状況把握は現在のところ、どのようになっているのか、また、今後の対策についてお伺いいたします。

 続いて、緊急告知ラジオの配布についてお伺いします。

 区では、マンションに対しては、共同住宅放送設備工事助成を行い、公平に緊急時の情報を伝える努力をなさっておられます。緊急告知ラジオは、区からの情報を真っ先に伝えることができ、大変有効な情報手段でありますが、配布台数も限られていることから、どのように公平に区民へ配布するようになさっておられますか。現在までの取り組みに、また、これから配布する二万台についてお伺いします。

 東日本大震災の折、携帯電話と一般電話の使用ができず、安否確認ができずに困ったのは、東京でも同じでした。これを踏まえ、コンビニエンスストア大手のセブン・イレブン・ジャパンでは、震災直後、早々に各セブン・イレブンに防災電話を配備し、顧客への安心・安全に備えています。

 災害時の援助、復旧や公共の秩序を維持するために、そして情報を把握・伝達する手段のために、災害時優先電話の導入は必要です。また、その際、いざというときのために、専用のホットラインを導入することも、拠点となる避難所と本部を結ぶためには必要です。

 災害時優先電話は、気象、水防、消防、災害救援機関、国または地方公共団体の機関、放送事業者、防衛、電力、水、ガスの提供に直接関係がある機関など、法で定められた機関のみ使用が許される電話です。災害時優先電話にホットラインと、二重に情報を把握する手段を構築する必要は、初動時においても、発災後のさまざまな対応においても、情報を把握・伝達するために極めて重要と考えます。本区では、伝達手段として無線を既に導入しておりますが、訓練時に混線も報告されました。

 そこで、本部と拠点あるいは拠点同士をつなぎ、情報を把握・伝達する手段として、災害時優先電話とホットラインの導入を考えていますか。区のお考えについてお伺いします。

 次に、震災時の弱者に対する避難路確保についてお伺いします。

 さきの石巻市長の言葉にもありましたが、震災時には弱者が災害弱者になってしまうことが最も懸念されることです。特に、聴覚に障害をお持ちの方は、情報が耳から入りません。盲聾者の方は、目と耳から情報が入りません。知的障害がある方も、どうしても情報から遮断されてしまい、避難がおくれる可能性があります。もちろん、他の障害者の方々や要支援の認定を受けておられる高齢者の方々も、情報が入ったとしても、避難路が散乱物、落下物で危険な状態であれば、日中であっても一人での避難は難しい状況にあります。

 実際、昨年の震災時に全盲で聾唖の盲聾者の方は、情報をとりに行くために、一人で徒歩三十分かかる手話通訳者がいるセンターへ赴く際、通常よりも倍の時間がかかったと報告をいただいております。途中、余震が続いていたため、方向感覚を失ってしまったのが理由だそうです。困っていたところ、一人の男性がセンターまで誘導してくれたのだそうですが、センターで触手話通訳によって、実際は自分が二人の通りがかりの男性に助けられていたのがわかったと話しておられました。その後、帰宅困難者であふれる人たちを避けながら、通訳の方の介助を受けて自宅に戻ることができたのですが、白杖を頼りに道を歩くが、ふだんから自転車や看板が道を遮断することもある。震災時には危険物も落下しているだろうから、一人で歩くのは難しい。家で救助を待つしかない。もし火災が起きたなら、そのときは運に任せるほかはないと伺いました。

 このように、情報から完全に遮断されてしまい、自助による避難が難しい場合、共助あるいは近助の安否確認及び救済は、人命救助と安全・安心の確保のために必要であり、その力の効果は高いと考えます。

 この点については、東京の日野消防署の取り組みが参考になります。日野消防署では、三月十一日の東日本大震災の災害状況を首都直下型の震災に置きかえて考察した際、何らかの障害のある方の避難誘導なども重要な問題であり、これらの対策は公助ではなく、自助・共助で対応できる方策を確立できないかと考え、署員間で検討していた昨年六月に、社会福祉法人東京光の家の担当者から、東日本大震災のこともあり、既に平成十七年に周辺の三つの自治会と相互応援協定を結んでいますが、昼間の地震や火災のときに事業所からも応援をいただける体制にしたいのですがと、相談を受けたとのことでした。

 もともと東京消防庁では、防火管理者等は近隣の事業所及び地域の自主防災組織との協力体制の確立を推進しています。この背景には、平成二十一年十一月、避難路に物を置いていたために客が逃げおくれ、大勢の犠牲者を出した高円寺の雑居ビル火災を踏まえ、消防法第八条で、学校、病院、工場、事業場、百貨店、またこれに準ずる大規模な小売店舗を含む事業管理者は、防火管理設備、消防用水、施設の点検と整備、火気の取り扱いなど、防火管理上必要な業務を行うことを定め、消防法第八条の二の五では、第八条第一項を受け、防火対象物のうち多数の者が出入りするものであり、かつ大規模なものとして政令で定めるものの管理について権限を有する者は、政令で定めるところにより、当該防災対象物に自衛消防組織を置かなければならないと、自衛消防組織の設置を定めています。これを受け、火災予防条例第五十五条の三において、防火管理者が義務となる防火対象物については、消防計画の作成義務があり、その中で自衛消防に関することを定める規定となっています。

 このような経緯から、東京消防庁では、近隣する事業所間で積極的な自衛消防活動に関する相互応援協定を締結すること、すなわち共助を推進することで、有事の際、人命救助の向上が確保されるよう指導推進している背景があります。

 そこで、日野消防署では、東京光の家からの支援の相談を受け、積極的に自衛消防組織を持つ企業に働きかけ、東京光の家の避難誘導及び救護などを行う協定を締結するに至りました。なお、当該消防署では、これらの協定を実効性ある内容とするために、法に倣い、年二回自衛消防訓練を、来月、自治会もともになって実施するそうです。第一回の訓練の目的は、東京光の家で火災が発生したことを想定し、避難誘導をメーンとした訓練を行い、歩行訓練士や視覚障害者の避難誘導訓練経験のある自治会員が指導者となって、障害者に対しての声のかけ方、誘導する際の注意事項を、実地の訓練をしながら、顔の見える関係を築いていくと、その趣旨を伺っております。

 本区でも、京橋消防署におきまして、住宅防災推進協議会を昨年十二月から開催し、その中で災害時要援護者対応を取り入れた防火・防災訓練実施事例として、他の消防署の取り組みを紹介しています。その中の一つに、災害時要援護者名簿を策定している自治会、民生委員協議会などが主となり、身体状況に応じた要援護ランクを三段階に色分けして表示し、発災時には危険度の高い要援護者宅から安否確認を行えるよう、実地の訓練を行っている事例を紹介しています。ほかにも、聴覚障害者と手話サークル会員を対象とした応急救護訓練、布担架を活用した災害時要援護者対応訓練を行った消防署の取り組みを紹介しています。

 本区におきましても、介護老人福祉施設、障害者福祉施設、保育所が多数存在し、たとえ一つの施設での収容人数は少なくても、日中通所サービスで収容人数がふえることもあり、かつこうした施設の方々は避難に時間を要することもあるので、自衛消防組織を有する事業者へ災害時応援支援協定をお願いし、事業所の共助の力、また町会の共助・近助の力を得ながら、有事の際、避難路を確保することが必要になります。

 こうした共助の取り組みを構築することによって、多重防衛による減災に備えることも可能となり、義務づけられている自衛防災訓練によって常日ごろから顔が見える形への人命救助への取り組みもでき、実際の避難訓練からあぶり出される問題点を解決していくことによって、有事の際の避難路を落ち着いて迅速に行うことが可能となると考えます。社会福祉協議会との連絡をとりながら、区内事業者、自治会との共助・近助の取り組みは、本区ではどこまで進んでおられますか。災害時応援支援協定の取り組みについて、区のお考えを伺います。

 次に、区民への防災対策における個人情報の確保についてお伺いします。

 特定非営利法人世田谷区聴覚障害者協会では、聴覚障害者は外見からは聴覚障害者であることがわからないために、過去の災害において情報が得られないケースが発生していたことを踏まえ、自力で災害時に行動できるように必要事項を書き込める防災手帳を配布しています。六つに折り畳めるようになっているB四サイズの紙の片面には、広域避難所の地図を載せ、そこには医療救護所を紹介し、手話通訳者が配置されている避難所が記されています。もう片面には、自分の氏名、血液型、保険証番号、障害者番号、アレルギーの明記、既往症、家族や勤務先の携帯電話とEメールを含めた緊急連絡先、服用している薬の明記ができ、さらに自助として、防災袋に何を入れておくか品目が記され、家族と離れ離れになったときのための集合場所の明記と、家族写真が張りつけられるようになっています。また、情報から遮断されないように手話通訳者が避難所に配置されている間は、聴覚障害者支援コーナーののぼりを立てることになっていることも示されています。また、日ごろの備えとして、もしものときのために近所とコミュニケーションをとり、有事の際は協力していただけるようにお願いしておきましょうと、自助の取り組みも促しています。

 この防災手帳は、聴覚障害者だけでなく、広く区民に役立つものだと考えます。その理由として、家族の集合場所、写真、連絡先が記入でき、さらに個人特有の情報として、アレルギーをはじめ、既往症の明記、服用している薬の詳細も書けるようになっているからです。病気や障害のために薬を服用しなければならない方々、また高齢者の方で薬を服用しなければならない方々、アレルギーをお持ちの方々が日ごろからどのような薬を服用しているのか、第三者がこの手帳を通して把握できれば、万が一気を失っているときであっても、この手帳を携帯することによって、手帳の情報を通し、個人の情報を的確に医療関係者に伝達することが可能になります。墨田区でも、同様の折り畳み式のカードサイズの情報を書き込めるものを聴覚障害者に配布しています。

 本区では、幼い子供たちの人口もふえ、同時に高齢者の方々も増加しております。こうした情報を書き込める防災手帳は、障害者の方々だけでなく、区民が携帯することによって、将来起こり得る有事に備えられ、区民の生命の安全を守り、公共の福祉に資する新たな手段と考えます。また、個人で情報を書き込むので、個人情報保護法を妨げません。この点につき、区のお考えをお示しください。

 次に、スマートフォンやタブレットを通し、区の情報を提供する手段について伺います。

 改正障害者基本法第三条第三項では、言語に手話を含むと条文に明記されました。また、区内の聴覚障害者協会に登録していない人には、個人情報保護の問題から、区からの情報は協会員以外には伝えられません。こうした事情を踏まえ、次世代型の情報通信手段は、広域避難所の地図、手話通訳者による手話での情報提供、文字情報提供といった有事の際の防災情報の提供をあらかじめ準備できるほか、ふだんは中央区の観光情報を提供することもできます。中央区在住外国人も多く、有事の際、障害がある方でなく、広く一般に情報を提供する手段として有効と考えます。これらのツールを通せば、区民以外の方が中央区内に来訪中、震災に遭うことがあったとしても、情報にアクセスすることによって、中央区からのお知らせが的確に伝わります。また、帰宅困難者に対し、中央区ではどのように対応しているのかも含め、あらかじめ取り決めている情報を提供することが可能となり、自助ができるとも考えられます。今後、区では、こうした新しい取り組みについてどのようにお考えでしょうか。

 なお、区では災害時要支援者対策として、さまざまな対策を既に講じておりますが、中でも前述の改正障害者基本法において、手話が言語に含まれると定められたことを、どのように受けとめておりますでしょうか。障害があるすべての方の人権及び基本的自由の完全かつ平等な共有を促進、保護し、障害がある方の固有の尊厳尊重を促進することが法で目的とされたことを踏まえた際、意思疎通のための手段としての言語としての手話、また後天的に聴覚・資格を失った方々には点字や手話は使えないということも配慮した際、こうした方々への意思疎通を行う対策をどのように講じていくのでしょうか。

 例えば、ホワイトボードで筆記での会話ができるよう、災害時だけでなく日ごろから区の施設に意思疎通の対策を講じるべきと考えます。区のお考えを伺います。

 次に、防災訓練についてお伺いします。

 さきの日野消防署の取り組みのように、日ごろから顔が見える関係をつくるためにも、地域の協力を得ながら、高齢者、障害者が参加する実際に即した防災訓練を行うことは、その訓練からさまざまな問題点、改善点もあぶり出され、実際に災害が起きたときに迅速な誘導、避難、救護が可能になるはずです。共助・近助の関係を築くことは、中央区におきましても、実際に即した防災訓練を行うことで得られる利益と思います。高齢者、障害者参加型の防災訓練の必要性について、区のお考えをお伺いします。

 避難所における配慮についてお伺いいたします。

 避難する区民の中には、高齢者や障害者の方々もいらっしゃることでしょう。既に、三月十一日の避難生活を通して声が上げられているように、女性への配慮のための赤ちゃんの授乳場所、またおむつの取りかえ場所も必要ですが、大人のおむつの取りかえ場所を設ける必要もあるかと思います。避難女性に対する配慮、また大人のおむつの交換場所などについて、区の避難所の対応についてお伺いします。

 次に、築地市場移転後のまちづくりについてお伺いします。

 二月七日、中央区と東京都は築地のまちづくりに関する合意書を取り交わしました。この合意書では、中央区と東京都が築地市場が移転した後のまちづくりにおいて、食文化の拠点として築地がはぐくんできた活気とにぎわいを継承していくことの重要性を互いに認識したと述べられております。また、区が移転に同意すること、卸売市場は整備しないことを確認し、一方で、築地のにぎわいをいっときも絶やさないために、中央区が東京都に要望してきた市場内の駐車場施設の活用についても言及し、都と区、早期に検討に着手するとしています。

 これまでの中央区のにぎわい施設の要望に対して都が、極めて問題が大きく受け入れることはできないと返してきた関係からは一変し、ようやく市場移転後のまちづくりに向けて、ともにスタートラインに立ち、築地の食文化の継承に向けて、前向きに検討していく姿勢が示されたものと受けとめております。また、同日、築地市場の事業者の最大の組合である東京魚市場卸協同組合の山崎治雄理事長は、豊洲新市場整備計画について、東京都及び関係団体との協議に積極的に取り組むとの方針を示されました。

 築地市場の移転をめぐっては、中央区、仲卸業者をはじめ、築地市場関係者の多くの強い反対意見がありましたが、とりわけ水産仲卸においては、組合内部での意見対立が長く続いておりました。この間、多くの関係者の合意形成に向けて、都議会から都への厳しい追及もあり、土壌汚染の調査や現在地再整備の可能性の検討などが進められてきたところです。今回の東卸組合理事長の方針表明は、こうしこ経験の中で、組合一致団結して、現実的な取り組みを始めるべきと組合員の多くの声を受けて発表されました。公式に豊洲新市場計画を都と協議していくことを表明した以上、東卸組合という機関として、移転に正式に取り組むという重い決断をされたものと考えます。

 中央区と都が、移転後のまちづくりについて合意し、市場関係者団体で唯一合意形成が調わなかった水産仲卸が移転の方針を表明し、これで移転の是非をめぐる大方の合意は調ったものと考えますが、今後課題になってくるのは、市場の移転と、移転後の築地のまちづくりが限られた時間でいかに円滑に進められるかということです。

 そこで、お伺いします。

 中央区は、今後、市場と場外市場が一体となって築いてきた食文化の拠点としての活気とにぎわいを引き継いでいくとしていますが、そのためには、これまで築地ブランドを支えてきた市場関係者の協力が欠かせないものと思われます。新しい築地をつくる会でも、仲卸業者の参画を求める意見が繰り返し出されています。これまで、区は仲卸業者の合意形成の動向を踏まえて対応するとしてきましたが、市場六団体の足並みがそろった今、中央区が目指すまちづくりについて、仲卸業者などに早急に協力を呼びかけるべきではないでしょうか。区のお考えを伺います。

 今後、都と市場関係者の間で、移転に向けた具体的な協議が加速していくと思われます。市場事業者は、経営環境が厳しい中で、日々の資金繰り、豊洲への移転費用や設置投資をどう捻出するか、どう事業を継続し、引き継いでいくかといったさまざまな問題を抱え、移転したくてもできない事業者も多数いるのが実態です。市場事業者が円滑に移転できるかどうかは、区の移転後のまちづくりにも大きくかかわってくると考えられます。例えば、区が目指すまちづくりの中で、豊洲に移転しない事業者や、移転した事業者が市場移転後の築地で新しい可能性を模索できるように取り組んでいくことも一つの支援策となり得ると考えますが、いかがでしょうか。

 区は、市場事業者の移転支援にどのようにかかわるのかお伺いいたします。

 さらに、交通インフラなどハード面での整備も大きな課題と考えます。現在、市場移転後の基幹道路として、環状二号線の整備が進められていますが、生鮮食料品を扱う市場関係事業者は、日々が時間との勝負であり、複数の円滑な交通動線が、移転と同時に確保されることは、移転の絶対条件となります。区は、平成二十三年十一月一日の都への要望において、築地地区などへの交通動線の確保について述べられておられますが、場外市場地区をはじめとする周辺地域との結節という意味においても、環状二号線がどのようなスケジュール、形で整備されていくかは、今後の区のまちづくりを考える上でも大きな課題となります。環状二号線について、区としてどのようにかかわっていくのでしょうか。お考えをお伺いします。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 渡部恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 まず、避難施設の収容拡大と高層住宅での被災生活についてであります。

 現在の避難所の収容数をふやすことは困難な状況にありますが、災害の状況により防災拠点に収容できない場合には、区施設を活用し、対応してまいります。また、高層住宅における防災対策では、災害時に自宅での生活が継続できるよう、ふだんから三日分の水、食料等の備蓄をお願いするとともに、ロビーや集会施設など、マンションの供用部分の利用方法をあらかじめ定め、住民同士が協力して活動するための防災対策マニュアルの整備も進めております。なお、長期にわたり自宅での被災生活が余儀なくされる場合においては、都と連携しながら円滑な物資の供給に努めてまいります。

 次に、家具類転倒防止器具の設置促進についてであります。

 家具類転倒防止器具は、地震から身を守る上で非常に効果が高いことから、昨年実施した地域防災フェアや総合防災訓練において設置促進を図ったところであります。とりわけ、家具の転倒によりけがをする危険性が高い高齢者や障害者に対しては、家具類転倒防止器具の取りつけ支援事業を実施しております。今後もこうした取り組みを進めていくとともに、転倒防止器具の有効性について、高齢者クラブや障害者団体、保育園などに対し、防災パンフレットの配布や出前講座の実施などにより、普及啓発に努めてまいります。

 次に、緊急告知ラジオについてであります。

 ラジオには、取扱説明書のほかに、大きな文字でわかりやすく説明した正しい使い方や試験放送の案内など、簡単ガイドを添付しているところであります。なお、区民の方からいただいたさまざまな問い合わせには、中央エフエムとも連携し、ラジオの仕組みを説明するとともに、電波の受信状況が悪い世帯の方には、現地確認の上、アンテナ設置工事の案内等、個別具体的な対応をいたしております。今後もラジオの接続方法や正しい使い方、地震時の緊急情報の作動基準などについて、さまざま手段や機会を活用し、周知を図ってまいります。なお、平成二十四年度からは、ラジオの試験放送を毎月実施することとしております。ラジオの頒布につきましては、本年度追加で対応した方々について、現在、本庁舎、両特別出張所で順次行っているところであります。また、新年度につきましても、区内三カ所で五月、七月、十月と三回にわたり、合計二万台のラジオを頒布するとともに、共同住宅への工事費助成も行うことにより、広く区民に緊急情報が行き渡るよう取り組んでまいります。

 次に、災害時優先電話とホットラインの導入についてであります。

 災害時の情報収集や発信、安否確認などについては、本部と区の各施設、防災拠点等に配備している災害時優先電話や地域防災無線を活用して対応することとしております。地域防災無線は、災害によるケーブル断絶の影響を受けないことや、バッテリーにより通信が可能であることから、拠点同士の情報共有などの連携を図るためには、非常に有効な伝達手段であると認識しております。また、チャンネル選択により混線等の回避も可能であることから、今後も引き続き区職員をはじめ、各防災拠点運営委員や関係機関において平常時の無線通信訓練を実施し、操作方法の習熟に取り組んでまいります。なお、ホットライン等、専用回線を用いた電話回線の導入については、課題点を整理した上で、今後検討してまいります。

 次に、福祉施設と事業所等との災害時応援支援協定についてであります。

 福祉施設入所者に対し、地域住民や事業所が災害時において、安否確認や救護活動など支援の手を差し伸べることは、災害時要援護者対策を進める上で大変重要であると認識しております。現在、マイホーム新川やマイホームはるみでは、地域の町会・自治会や事業所と災害時の協力協定を締結するとともに、防災訓練を実施するなど、福祉施設と地域の協力関係を構築しております。今後ともこうした協定に基づく取り組みを広げ、災害時要援護者を地域の中で支えていく仕組みづくりに取り組んでまいります。

 次に、防災手帳作成についてであります。

 大震災時には、家屋の倒壊や火災などにより健康保険証番号、常用薬や金融機関情報などの本人にとって必要な情報が失われることも想定されます。しかし、こうした情報は被災後の生活に欠かせないものであります。現在、区では、区内全世帯に配布している地震防災のパンフレットにおいて、情報管理の普及啓発を行っておりますが、障害者や高齢者をはじめ、区民だれもが必要な情報を日常的に携帯できる小冊子の作成について、高齢者クラブや障害者団体、防災拠点運営委員会などの意見を聞きながら、検討してまいります。

 次に、新型情報機器による区の情報提供についてであります。

 災害時における情報伝達手段の多様化は、聴覚障害者など災害時要援護者だけでなく、広く一般に情報を提供するに当たり、非常に重要であると認識しております。区では、現在、携帯型の端末に対しての情報提供手段として、安全・安心メールを導入し、さまざまな災害情報等を提供しております。安全・安心メールは、区民に限らず、登録すればだれでも情報を得ることができ、聴覚障害の方へも効果的に活用できる伝達手段であります。区では、さまざまな技術を活用した情報提供の可能性や、通信事業者等の技術革新をとらえ、災害時要援護者や帰宅困難者等にも適切な情報提供ができるよう、引き続き取り組んでまいります。

 次に、障害者基本法において、手話が言語に含まれたことについてであります。

 区は、これまで手話通訳者の派遣や、区役所に手話通訳者を配置するなど、聴覚障害者の日常生活を支援してきました。区としては、この法律の趣旨である言語としての手話の重要性を尊重し、災害時や区民向け事業などで、これまで以上に手話通訳者を積極的に活用するよう、区の各部署や関係団体に周知徹底してまいります。

 次に、手話等を活用できない障害者への対応についてであります。

 聴覚障害者には、会話の内容を要約する要約筆記者の派遣、視覚障害者にはガイドヘルパーによる代筆や代読などを活用していただいております。また、区役所の窓口において、障害などで意思疎通が難しい方には、筆談や身ぶりなど、その方の障害の状態に応じ、きめ細かく対応しているところであります。さらに、多くの障害者が利用する福祉センターにおいては、ボタンを押すと言葉を再生するタッチパネル機器を導入し、新たなコミュニケーション手段として活用する予定であります。今後ともIT機器など、さまざまな手段により、障害者が円滑に情報を取得・利用し、意思疎通が行えるよう、情報の利用や伝達のバリアフリー化を推進してまいります。

 次に、高齢者・障害者参加型の防災訓練についてであります。

 障害者、高齢者が地域で実施する防災訓練に参加することは必要であり、地域の方々との顔が見える関係をつくることが大切であります。現在は、福祉施設での避難訓練や障害者団体の自主訓練などが行われておりますが、今後、区といたしましては、障害者や高齢者も参加できる防災講習会の開催や防災拠点運営委員会と連携を図り、地域の訓練に高齢者や障害者の参加を促してまいります。

 次に、避難所での配慮についてであります。

 避難所となる各防災拠点には、乳幼児、妊産婦、高齢者が優先して避難できる要援護者優先居室を設けており、受け入れ準備については、防災拠点活動マニュアルを定め、訓練も実施しております。また、防災拠点倉庫には、女性用の更衣室や授乳のための用途に応じた活用ができるパーテーションも配備し、女性への配慮にも努めております。介護度の高い要援護者の対応については、基本的に特別養護老人ホームなど、広域福祉避難所での受け入れとなりますが、災害発生時において、こうした避難所が開設されるまでの間は、防災拠点の要援護者優先居室において、簡易ベッドやパーテーションを活用しながら、思いやりのある対応をしてまいります。

 次に、築地市場移転後のまちづくりについてであります。

 仲卸事業者の参画につきましては、先般、東京魚市場卸協同組合が移転の協議に取り組む方針を正式に示されたことから、市場移転後のまちづくりに参加・協力が得られるよう、積極的に働きかけてまいります。

 次に、市場事業者の移転支援についてであります。

 豊洲への移転が場内事業者の理解を得ながら円滑に行われることは、移転後のまちづくりにとっても極めて重要であります。区は、築地の食文化の確実な継承・発展に向け、来年度から区有地を活用した先行営業施設の設計に着手いたしますが、設計に当たっては、食のプロに利用されるよう、仲卸の方々などの御意見を積極的に取り入れてまいります。こうした取り組みが、市場移転に際して事業展開の可能性を広げ、円滑な移転にも資するものと考えております。環状二号線につきましては、平成二十七年度の完成を目途に工事が進められております。完成後は、豊洲新市場と築地を結ぶ基幹道路となることはもとより、広域道路ネットワークの強化や、築地地区を含む地域内交通の円滑化、防災性の向上など、本区の交通環境改善に資する面が大きいものと認識しております。整備に当たっては、市場移転後のまちづくりにも寄与するものとなるよう、十分な協議を都に求めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 区長、御答弁ありがとうございました。

 まず、自宅避難が長いケースなんですけれども、都と連携するということでございましたが、東日本大震災におかれましても、自宅で避難している方には、せっかく海外や日本じゅうから募金が集められた日本赤十字のほうからも、避難物資は一切届かないという現状がございます。この点を踏まえて、これから積極的に、自宅で避難される方も含め、ましてや本区はなかなか多くの方が受け入れられる避難スペースがないということですので、自宅で避難生活を行うときには、どうぞ、救済手段を講じていっていただきたいと思います。

 また、ラジオにつきましても、既に個別具体的な対応を始められているということでございますし、緊急避難情報が行き渡るように、これからも御努力していただけるということでございますし、新年度、五月、七月、十月に三カ所で頒布するということでございますので、その際、実際のラジオを、特に高齢者の方は取扱説明書などは多分読まないのではないかと思われますので、実際のものを触っていただきながら御説明していただくと、より理解を深めていただけるのではないかと思います。

 それから、情報の件ですが、災害時優先電話は既に導入されているということですし、ケーブルにおける無線なども、情報において非常に混線も避けられるということでしたので、特に大事だと私も思っております。ホットラインにつきましても、今後、課題を検討していただけるということですので、幾重にも情報を伝達し合えるような手段を講じていっていただけることが何より区民の方々への安心・安全につながっていくと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、災害時要援護者対策についても、特にマイホームはるみと新川につきましては、既に町会・自治会と協定を結んで、実際の訓練をなさっておられるということでございますが、レインボーハウス明石ですとか、重度の知的障害を負っていらっしゃる方々のためのものもございますし、また、町会にいらっしゃる高齢者や、また障害者の方たちもお住まいだと思いますので、そういう方々にも避難の手が伸びていけるように公助と近助の力が発揮できるように、これからも対策をとっていっていただければと思います。

 防災手帳におきましても、御検討いただけるということでしたので、関連各署の方々とともに、より区民の安心・安全に資するような方向性を持って検討していただけることが何よりかと思います。特に、常用薬に関しましては、いろいろな方から、その必要性に対して、もし震災時になくなったときにどうしようということも、三・一一のときにそういう声が寄せられておりましたので、この点につきましても、御検討のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 あと、新型情報機器に関しましては、適切な情報を伝えていくような方向性で取り組んでいただけるということですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 あと、手話が法によって言語と同じということで定められたことも、本区ではさらなる尊重をしていくということで、今、御答弁いただきましたし、目が御不自由な方に関しても、ガイドヘルパーですとか、また要約の筆記者、そして筆談、身ぶりによっての意思疎通の方向で取り組んでいるということでございました。

 障害者の方の実際の声を一つ御紹介させていただこうと思います。

 こちらは、実際、盲聾、全盲で全く聞こえないという方のお話ですが、障害者の現実と実態の生活を知ってほしいと。ぜひ区役所の役人の方たちに見に来てほしいとおっしゃっておられました。現場に行くことが一番五感にすべてのことを訴えてくると思われますので、区民の方々のこうした声を拾い上げて、有事の際は命の犠牲が避けられるような方向性での取り組みをしていただければと思います。

 防災訓練に関しましても、これからは参加型でやっていただけるということでございますので、ぜひ取り組みを、まして、またことしの九月に防災訓練を行うと思いますが、その際に車いすの方々、高齢者の方々、お子さん、それから小さなお子さんを、一人ではなく二人、三人お育てになっている方たちもいらっしゃるので、避難のときに子供たち二人、三人、どうやって抱えて逃げたらいいのかというお声もありますので、こうしたことも踏まえ、参加型の講習を行っていただけるようにと思います。

 避難所の配慮につきましても、いろいろと既に着手されているということでございますし、思いやりのある対応をするということでございますので、これに関しましては、本当にありがたいことだと思います。区民の方々のために、引き続き御対応をお願いいたします。

 築地に関しては、仲卸業者に積極的にこれから働きかけていただく道のりもまた、もしかすると極めて厳しいかもしれませんが、困難に負けないのが中央区でございますし、時間的に切迫しているというのも他方で事実でありますので、引き続き仲卸業者と、それから場外の方々を結ぶ、そして、そうした道のりを含めまして、お考えいただきたいと思います。また、御協力いただきたいと思います。

 それから、場外市場を通しました築地の食文化の継承につきましても、前向きな御答弁をいただきました。やはり東京の台所、築地市場が移転された後も、世界の築地というブランドが残っていくような方向性で取り組みを引き続きお願いしたいと思います。

 環状2号線も、本区の利益に資するということでございますし、物流は、やはり時間との勝負をしている際、大変晴海通りだけでは足りないと思っておりますので、これから中央区が行うまちづくりにおいても、非常に有効な動線確保だと思っております。これにつきましても、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 石巻市長のシンポジウムを実際、プロジェクトといいますか、それを立ち上げていただいたことに関しまして、本当にありがたく思っております。やはり現場の方々、そして現地の混乱を実際経験した方のお声を生で聞けるという貴重な経験をいただけたことは、中央区の私としましても、本当に有益なことでございました。感謝申し上げます。

 それでは、これからも引き続きまして、区民の方々の公共の福祉に資するような区政をとっていただけますようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、これから予算の委員会が始まりますが、その点におきましても、さまざま、これらのことも含めて御質問させていただきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)


○二十三番(今野弘美議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時三十七分 休憩


午後五時 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十四番原田賢一議員。

二十四番 原田賢一議員登壇

○二十四番(原田賢一議員)
 中央区議会自由民主党の原田賢一でございます。私は、本日、平成二十四年第一回区議会定例会に臨み、現下の中央区政の直面する諸課題について、さきに提出いたしております質問通告に基づきまして、区長並びに理事者の皆さんにお尋ねをしてまいりますので、どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、実現すべき都心中央区の再生に向けての明快なる御答弁を期待するところであります。なお、あらかじめ再質問は留保させていただきます。

 まずは、昨年の東日本大震災によって家族を、親族を、そして友人を亡くされ、いえない悲しみをいまだに抱えていらっしゃる方々、福島第一原子力発電所の事故で避難を余儀なくされ、遠くふるさとを思いながらの生活を強いられていらっしゃる方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、去る二月十六日、東日本大震災で大きな被害に遭われた宮城県石巻市を舞台に、戦中戦後の世相を背景に支え合う人々の心の優しさが描かれた映画「エクレール・お菓子放浪記」の上映と、東京中央ロータリークラブの方々が石巻市で災害復旧ボランティアをされた際の記録ビデオを拝見いたしました。我が国の原風景とも言える豊かな自然や風土、元気で活躍をされておられた人々の姿と、未曾有の震災後の被災地の痛ましい状況や市民の皆さんの様子を同時に目の当たりにし、戦中戦後の混乱と、あの未曾有の震災による混乱という過去と今との対話を聞く思いがいたし、心に大きく響くものがありました。

 そして、その後行われた亀山石巻市長と矢田区長を囲んでのパネルディスカッションは、今回の震災を踏まえ、我々に何ができるのか、また、我々は何をなさねばならないのか、復興や災害対策に思いをはせる新たなきっかけとなりました。

 改めて、ここに我が党、我が会派は、被災をされたすべての方々の心の中に希望の灯が再びともるその日まで、力の限り御支援申し上げることをお誓い申し上げる次第であります。

 さて、昨年は東日本大震災、そして原子力発電所の事故による放射能汚染、さらにはこれをきっかけとした我が国のエネルギー問題に対する議論など、まさに私たち一人一人の生活をその根底から見直していくことが求められた激動の一年でありました。

 国におきましては急激に少子高齢化が進展する中、被災地の復旧・復興や社会保障と税に関する議論が、残念ながら現在に至っても確かな方向性を見出せないなど、国民の不安、閉塞感は一向に払拭されていない状況であります。

 世界へと目を転ずれば、ことしはアメリカ、中国、ロシア、フランス、そして韓国などで大統領選が予定をされ、世界の情勢や経済に大きな影響を与えることは必至であります。また、欧州債務危機をはじめ、ホルムズ海峡周辺の危機や、いわゆるアラブの春による反政府民主化要求デモの拡大などの不安定要素のほか、COP17における地球温暖化に対する取り組みも、決して参加国の足並みがそろったとは言えない状況で幕を閉じたのであります。

 このように、国内外において、これまで築いてきた制度や枠組みが急速に変貌し、今まさにパラダイムシフトが起こっていると認識しているところであります。

 翻って、本区の今日を見てみますと、三十代、四十代を中心に定住人口は引き続き力強い増加を続け、年間の出生数も高水準であります。さらに、市場の移転やオリンピック誘致など、今後の大規模な動きも控えており、社会経済の変化に加え、地域社会の変化もまた、急速に進展しております。

 こうした現状認識に立ったとき、昨日の矢田区長の所信表明は、今日の中央区を取り巻く極めて厳しい社会経済情勢をまことに的確にとらえられたものであり、本区が実現すべき姿、堅持すべき指針について、区長の熱い思いと崇高なる志を示されたものと高くこれを評価するものであります。

 その中で、区長は、これからの十年を展望した中・長期的なビジョンと具体的な道筋を示すため、新たな基本計画を策定すると述べられました。激動のときにあって、今後十年の計をはかるためには、区長の透徹したまなざしによる正確な現状分析と将来予測が、今まさに必要とされていると存じます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 この新たな基本計画策定に当たり、改めて区長の御所見についてのお考えをお聞かせ願います。

 次に、厳しい経済環境の中での今後の財政運営についてお伺いをしたいと思います。

 ギリシャに端を発しました、いわゆるソブリンリスクの問題は、先進国のイタリアにまで広がる様相を呈してまいりました。アメリカ経済の低迷とも相まって、行き場を失って円に矛先を向けた投機マネーは、歴史的な超円高をもたらして、国内の産業を圧迫しております。財務省が先月二十五日に発表した二○一一年の貿易統計速報によれば、貿易収支は二兆五千億円の赤字で、一九八○年のあの第二次石油ショック以来、実に三十一年ぶりの赤字転落となりました。東日本大震災や超円高、海外景気の低迷で輸出が減少する一方、原子力発電所の停止で火力発電用の燃料輸入が膨らんで、輸出に依存してきた日本経済の先行きにはますます不透明感が増してきております。

 このように、いまだに先の見えない経済状況を受けて、東京都は平成二十四年度一般会計予算を前年度比で一・四%の減としたほか、都内の各自治体においても予算を減額するところが大勢を占めております。そうした中にあって、本区の新年度予算は前年度比で一二・一%の大幅な増、過去最高の七百八十九億円余という大型予算となりました。この主な増要因は、学校や児童館、高齢者施設などの快適な都心居住に向けた基盤整備であり、将来を見据えて今やっておくべき投資であろうと、これを理解するところであります。

 また、我が国の経済がデフレにあえぎ、低迷しているときであるからこそ積極的に財政出動をして、都心から景気浮揚を図っていくべきという区長の御見識も大変頼もしく感じるところであります。しかし、その一方、歳入の柱であります区民税は、決して人口増加に見合った伸びとは言えません。また、都区財調交付金は、地価下落や企業業績の低迷により、対前年比でマイナスが見込まれているところであります。

 こうした厳しい財政状況にあっても、労働スクエア跡地での施設整備をはじめ、今後に控える大型プロジェクトを着実に推進するとともに、当然のことではありますが、さまざまな区民サービスの維持・向上も求められるものと考えます。

 さきの決算における各種の指標から見ても、本区の財政状況が健全であることは承知をしておりますが、この先も盤石なる財政体質を維持し続けなければなりません。

 そこで、お尋ねです。

 本区の持続的発展に向けた中・長期的な財政の見通しと、厳しい経済環境の中での財政運営のあり方についてのお考えをお聞かせ願います。

 次に、二○二○年オリンピック招致についてお尋ねをいたします。

 去る二月十三日、東京都と日本オリンピック委員会は、二○二○年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致に向けて、IOCに申請ファイルを提出し、会場計画や大会運営計画の概要を明らかにしました。前回の二○一六年招致活動では、東京は残念ながら敗れたところでありますが、今回は震災からのニッポン復活、これを掲げるなど、前回の招致活動とは状況が大きく変わっております。ぜひとも今回のオリンピック招致活動が、東日本大震災からの復旧・復興をはじめ、我が国が直面するさまざまな閉塞感を打ち破る起爆剤となるとともに、世界じゅうから寄せられた震災への支援と善意に感謝の意を表する、その機会となることを期待するところであります。

 オリンピックに立候補した以上、オールジャパンとして日本人が一体となって、何としてでも勝ち取りたいと心を一つにして招致に取り組んでいくことが何よりも重要だと考えます。本区においても、都心区として、東京の魅力を世界に発信するなど、オリンピック招致に積極的に協力していくことが求められると存じます。

 そこで、まずお尋ねをいたします。

 二○二○年、このオリンピック招致活動をどのように認識されて、また、今後これにどのようにかかわっていくおつもりか、お考えをお聞かせ願います。

 さて、今回発表された会場計画では、晴海地区を選手村とし、これを中心に競技会場を半径八キロ圏内に配置するとされています。今後、オリンピック招致に向けて、施設や都市基盤の整備が進んでいくことが想定されますが、単にオリンピックに必要な施設が整備されるだけでなく、オリンピック計画が、晴海地区をはじめとする本区のさまざまな課題を解決して、将来のまちづくりにも大きく貢献するように進められなければなりません。そのために、地元区として、地域の将来を見据え、計画の初期の段階から積極的に意見を述べていく必要があると考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区は、今後、晴海地区を選手村とする計画にどのようにかかわっていくのか、区長のお考えをお聞かせいただきます。

 次に、築地市場の問題についてお尋ねをいたします。

 昨年三月、都議会で移転の結論が明確にされて以来、区はその結論を厳粛に受けとめて、築地の活気とにぎわいを市場移転後も確実に守っていくために全力を挙げることとしてきました。昨年三月に開催された新しい築地をつくる会においても、この方針が理解をされ、さらに十月の会議を経て、十一月には、これまでの主張を平成二十六年度の移転という現実に即して改めて整理をし、食文化の拠点としてのまちづくりを進めていくための具体的な要望書を東京都に提出したところであります。

 こうした流れを受けて、去る二月七日、本区と東京都の間で築地のまちづくりに関する合意文書が交わされました。合意の内容は、区は移転に同意する、築地に卸売市場は整備しない、勝どき門駐車場などを暫定的に有効利用することについて検討を行っていくというものであります。

 そこで、お尋ねです。

 区は、今回の都との合意について、その意義をどのようにとらえられておられるのか、区長の御見解をお聞かせ願います。

 また、今回、市場移転後のにぎわいを途絶えさせないため、勝どき門駐車場を暫定利用することについて都と合意ができたことは、これは一定の前進であります。勝どき門駐車場は、場外市場に隣接する大規模かつ比較的新しい施設であって、駐車場としての活用、店舗としての活用など、区が目指す食文化の拠点としてのまちづくりに大きく寄与していくものであります。

 そこで、区としては、勝どき門駐車場などについてどのような活用を想定し、東京都とどのように検討を進められるお考えなのかお聞かせを願います。

 さらに、区は、区有地を活用し、鮮魚マーケットの先行営業に向けた施設整備に着手することを発表しました。食文化の拠点としての機能を確実に継承していくためには、この施設の設計や運営、さらには今後検討する勝どき門駐車場の活用について、これまで築地ブランドを支えてきた場内の事業者の方々の意見を十分にお聞きをして、その協力を得る必要があるものと考えます。

 一方、築地ブランドを象徴する水産仲卸業者においては、この間、移転の賛否をめぐっての合意形成に大変苦慮をされて、市場移転を前提とした区のまちづくり構想に協力を得ることが難しい状況にありましたが、二月七日、東京魚市場卸協同組合は、東京都との協議に積極的に取り組んで、移転にかかわるさまざまな問題に現実的に対応していくとの方針を初めて文書で公式に示し、全組合員に周知しました。

 区が目指す鮮魚マーケットは、至近距離にできる豊洲新市場とも緊密な連携が必要であって、豊洲新市場の計画や移転をめぐる仲卸業者の動向に大きい影響を受けるものと考えます。

 市場移転に関して、都と区が合意し、水産仲卸組合を含む市場業者六団体すべての意向がそろった今、市場移転後の築地のまちづくりの進展に向けて、新しい築地をつくる会に仲卸事業者に参画をしてもらうなどの新たな出発に向けての積極的な取り組みが必要であると考えますが、いかがでしょうか。そのお考えをお聞かせ願います。

 次に、本区のにぎわいづくりという視点から、観光についてお伺いをいたします。

 我が国は、観光を新成長戦略の一つととらえ、平成十九年、観光立国推進基本計画を策定し、平成三十一年までに訪日外国人年間二千五百万人という目標を掲げております。平成二十年には観光庁が設置をされ、観光立国に向けた本格的な取り組みも進められております。また、東京都においても、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想、これを平成十八年に策定し、水辺を生かした都市空間の形成や観光への取り組みに力を入れているところであります。

 こうした中、本区は、世界に冠たる銀座、日本橋、これはもとより、食のまち築地、ウオーターフロントとしての晴海、もんじゃの月島など、魅力あふれる観光スポットや史跡に恵まれて、国内のみならず海外からも多くの方々が訪れております。現在、中央区周辺では、東京スカイツリーの開業、羽田空港の国際線強化など、観光に関する取り組みが活発化しており、区内だけで観光サービスを完結させるのではなく、今こそ東京都や周辺区との広域的な連携、さらには区民、観光事業者、行政などが一体となった推進体制を築くことが必要なときではないかと考えております。

 そこで、お伺いをいたします。

 にぎわいづくりは、本区の生命線であります。新たな観光振興のあり方や方向性を示す中央区観光振興ビジョンが今年度策定をされますが、本区の特色を生かした観光行政をどのように考え、今後の観光振興施策をどのように展開なさるのか、そのお考えをお聞かせ願います。

 さらに、お尋ねをいたします。

 折しも、本年十月、IMFと世界銀行グループの総会が東京国際フォーラムを中心に開催されます。東京での開催は、昭和三十九年以来、二度目となりますが、前回の総会は、同じ年に開かれた東京オリンピックとともに、日本を世界へとアピールする格好の舞台となり、戦後からの再出発の大きな原動力となりました。ことしの年次総会には、各国代表団や市民社会団体の代表など百八十八カ国、約二万人の参加が見込まれております。開催に向けて、国においてもさまざまなおもてなし、これに向けた事業を計画しているようであります。

 会場に隣接する本区におきましては、銀座をはじめ、区内各地において、この会議を契機に外国人観光客を積極的に誘致する絶好の機会であると考えますが、これについての区長のお考えと具体的な取り組みについてもお聞かせを願います。

 最後に、教育問題についてであります。

 さきの定例会における我が会派の富永一議員の一般質問に対する御答弁の中で、人口増加の著しい豊海小学校の将来的な教室不足について、改築を前提とした学校施設整備調査を来年度実施するとありましたが、区内では、月島地域に限らず、日本橋や京橋地域の一部においても、保育所や幼稚園に通う子供たちが増加をしており、将来的な教室不足も懸念されるところであります。

 今回の調査は、区内全域での学校施設を調査されるとお聞きしておりますが、区立幼稚園、小学校・中学校の各教育施設の現状と、今後の人口増加を踏まえた施設整備の方向性はどのようなものとなるのか、御見解をお伺いいたします。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 原田賢一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、基本計画についてであります。

 平成二十年度から平成二十九年度までの十年間を計画期間とした基本計画二○○八は、来年度で前期五カ年が終了いたします。この計画は、前期経過時に見直しを行うこととしており、加えて、この間の本区を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、新たに十年間を見越した基本計画を策定することといたしました。中でも、最も大きな変化は安全・安心に対する意識であります。さきの大震災は、被災地に甚大な被害を与えたばかりでなく、これまでの自治体の防災・危機管理のあり方に根源的な問いを投げかけました。さらに、原子力発電所事故による放射性物質の拡散と、電力不足をきっかけとしたエネルギー政策のあり方、自治体間の協力・連携の重要性など、さまざまな課題が明らかになりました。加えて、人口増であります。本区の人口総数は、これまで二○○八策定時の推計に近い形で推移してきましたが、見込みを上回る乳幼児人口の増加による子育て・教育ニーズの高まりに確実に対応していくことが求められております。また、高齢者福祉のさらなる充実、新しい都心コミュニティの形成などの課題に適切に対応していくことも重要であります。さらに、築地市場の移転、二○二○年オリンピック・パラリンピック招致など、区政運営に大きくかかわる課題にも対処していかねばなりません。新しい基本計画の策定に当たっては、こうした視点に立って、現行の計画事業のすべてを再検証いたします。その上で、人口増に伴い、将来見込まれる施設需要や新たに出現する行政ニーズ、再開発の動向、さらには経済のグローバル化や産業・流通機構の変化、社会保障政策の行方など、今後予測される変化をしっかりとらえながら、あらゆる世代が将来にわたり安心して住み続けられる快適な都心居住を実現するための中期目標と、その具体化への道筋を明らかにしてまいります。

 次に、今後の財政見通しと財政運営についてであります。

 本区では、歳入の伸びが堅調なときにあっても、将来に備えた計画的な基金への積み立てを行うとともに、行財政改革の継続的な推進などにより、簡素で効率的な行政運営に努めてきたことから、これまで健全財政を維持してまいりました。しかし、東日本大震災の影響に加え、海外経済をめぐるリスクの存在など、我が国の景気は依然として先行きが不透明であり、歳入の根幹である特別区民税や財政調整交付金の本格的な回復も当面は期待できない状況にあります。一方、歳出面では、扶助費をはじめ、人口増加に伴う経常経費の上昇が確実に見込まれることに加え、学校や各種施設の整備・改修など、多額の財政需要にも対応していかなければなりません。こうした中、現時点においては、主要な基金に一定の余力が保たれているものの、中・長期的に安定した財政基盤を維持していくためには、将来をしっかりと見通した上で、慎重な財政運営を続けていくことが重要であります。そのため、今後とも歳入確保の取り組み強化、基金や起債の計画的な活用などにより円滑な財政運営を図るとともに、施策評価、事務事業評価を通じて、成果重視の視点に立った不断の見直しを行ってまいります。加えて、新たな基本計画の策定を機に、将来的な財政見通しを厳しく精査し、事業の再構築や存廃を含めた検討を行うことにより健全財政を堅持しつつ、これまで以上に効果的・効率的な行財政運営に努めてまいりたいと存じます。

 次に、二○二○年オリンピックの招致についてであります。

 世界最大・最高のスポーツと平和の祭典であるオリンピックを再び東京で開催することは、次代を担う子供たちに大きな夢と希望を与え、震災からの復興・再生をなし遂げた日本の姿と感謝の気持ちを世界に示す意味でも、大きな価値があるものと考えております。今月十六日、招致委員会が国際オリンピック委員会に提出した申請ファイルが公表されました。今後は、来年九月の開催都市決定に向けて、招致活動がさらに本格化するものと思われます。本区においても、区議会や区民の皆様の御意見をいただきながら、積極的に協力してまいりたいと存じます。今回の申請ファイルで示された大会開催計画は、本区晴海地区の都有地を中心とした約四十四ヘクタールに選手村が建設される内容を含んでおります。本区といたしましては、選手村計画の影響について十分検証し、交通・環境対策などを要望していくとともに、本区の将来のまちづくりに真に寄与するものとなるよう、都と協議を重ねてまいります。

 次に、築地市場についてであります。

 まず、今月七日に都と取り交わした合意についてであります。

 この合意は、食文化の拠点としての活気とにぎわいを市場移転後も引き継いでいくことの重要性と、勝どき門駐車場などの有効活用を検討していくことを都区双方で確認したものであります。この中では、市場移転後のまちづくりに関する本区の方向性やこれまでの要望が反映されており、移転後のまちづくりを具体的に進めていく上で大きな前進であると考えております。

 次に、勝どき門駐車場でありますが、上層部はそのまま駐車場として活用し、一階部分を店舗や荷さばきの拠点としたいと考えております。今後、利用条件や周辺施設、用地の利用可能性などを含めた詳細について、都と協議してまいります。また、仲卸事業者の新しい築地をつくる会などへの参画につきましては、築地の食文化を継承・発展させていく上で必要不可欠なものと考えております。先般、東京魚市場卸協同組合が移転の協議に取り組む方針を正式に示されたことから、市場移転後のまちづくりへの参加協力を積極的に働きかけてまいります。

 次に、区の特色を生かした観光振興の取り組みについてであります。

 本区は、江戸以来の名所旧跡はもとより、歴史・伝統に根差した最先端の都市文化や豊かな水辺空間など、多様で魅力的な観光資源に恵まれた高いポテンシャルを有する都市であります。こうした地域特性を踏まえ、現在策定中の観光振興ビジョンでは、単に名所旧跡を見るといった従来型の観光にとどまらず、多彩な食事やショッピング、芸術・文化、下町情緒の残るまち並みなど、現代都市の魅力そのものを楽しむ都市観光をコンセプトに掲げ、新しい観光モデルの実現を目指すことといたしました。このため、今後はまち全体を楽しめる回遊性の高い観光ルートの開発や、外国人旅行者の来街促進、観光客へのおもてなしを高める担い手の育成、さまざまな媒体を活用した効果的な情報発信の仕組みづくり、新たな観光拠点の整備など、実効性の高い施策を戦略的に展開し、国際観光都市としての地位を確かなものとしてまいります。また、区と観光協会を中心に官民一体となって施策を推進する拠点や横断的な協議の場を設置するなど、持続的な都市観光のまちの実現に向けた推進体制を早急に整備してまいりたいと存じます。

 次に、国際通貨基金(IMF)と世界銀行年次総会を契機とした外国人観光客の誘致についてであります。

 本区には国際的にも知名度の高い銀座や築地、日本橋など、魅力ある地域が存在するとともに、歴史的・文化的資源、豊富な水辺空間など、多様な観光資源に恵まれ、海外からも多くの観光客が訪れております。しかしながら、国の調査によれば、東日本大震災以降、外国人観光客数が激減し、全国的にいまだ十分に回復していない状況となっております。こうした中、本年十月、世界百八十八カ国から約二万人の来日が予定されている国際通貨基金(IMF)、世界銀行年次総会の東京開催は、本区の魅力を世界に発信するとともに、一層の観光振興を図る絶好のチャンスであると考えております。開催期間中は、国や都、地元商店会、民間事業者と連携し、多様な観光資源を活用したイベントやツアーを積極的に開催するほか、多言語による観光案内や情報提供など、本区ならではのきめ細かい受け入れ態勢の充実・強化を図り、国際観光都市中央区の魅力を大いにアピールしてまいります。これらの取り組みが、本区への外国人観光客の増加や、二○二○年オリンピック・パラリンピック東京招致の実現につながっていくものと考えております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 区立学校の現状と今後の施設整備についてです。

 近年、人口増加が著しい月島地域を中心に、区内全域で園児・児童数が増加しており、平成二十三年度の学級数は、五年前と比べ、幼稚園では十三学級、小学校では五学級増加しております。教育委員会では、これまでも計画的な施設更新など、良好な教育環境の整備に努めるとともに、余裕教室を活用しながら、必要な教室数の確保に取り組んできたところであります。しかしながら、喫緊の課題である豊海・晴海地区をはじめ、日本橋小学校や久松小学校などの学区域においても、児童数の増加は顕著であり、将来的に保育室や普通教室が不足する懸念が生じてきております。来年度実施する教育環境の整備に関する基礎調査では、三十五人学級の動向も視野に入れながら、全区立幼稚園・小・中学校の将来的な園児・児童・生徒数に応じた保育室や普通教室の具体的な確保策について調査するものであります。この調査においては、学校は子供にとって学びの場であると同時に、一日の大半を過ごす生活の場でもあることを踏まえ、豊かな人間性をはぐくむ環境づくりの視点に立って、学校施設の増改築の判断や近隣公有地等を活用した教室数の確保策など、多角的に検討してまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔二十四番 原田賢一議員登壇〕

○二十四番(原田賢一議員)
 大変明確にして力強い、また心強い御答弁をありがとうございました。

 まず、今後の区政運営に対する質問につきましては、新たな基本計画の策定に当たって、今後とも健全財政を堅持しつつ、行財政運営を進められる、この旨の御答弁でありました。区長も述べられましたとおり、当面は大変厳しい財政環境が続くであろうとの御認識でありますが、私もまた同感であります。したがいまして、区民ニーズには的確に対処しつつも、財政出動につきましては、今後、徐々にアクセルからブレーキへと切りかえる場面も想定しなければならないものと思います。

 さて、未曾有の震災から、はや一年がたたんとする今日、本区はもとより、我が国を取り巻く混沌たる社会・経済情勢は、まさにカオス状態を呈しております。ただいまの御答弁では、こうした現状を的確にとらえて、新たな基本計画策定に当たっての御所見、また財政運営に対するお考えのほか、オリンピック・パラリンピック招致や築地市場問題など、今後の区政運営についての区長の炯眼と凜とした決意に触れさせていただきました。

 そこには、大変唐突ではありますけれども、さきの大戦における、あの終戦処理の際、時の吉田茂外相の片腕としてマッカーサー率いる占領軍GHQと渡り合って、従順ならざる唯一の日本人と言わしめた、あの白州次郎のプリンシプル、すなわち、その時々の世の中の価値観に付和雷同しない、ぶれない、自分自身の軸ではありますが、これをほうふつとさせる響きがありました。敗戦で疲弊し切った我が国にありまして、彼が若き日に学んだあの英国ケンブリッジ・クレア・カレッジ留学で培ったノーブレス・オブリージュ、すなわち高貴なる者の義務、この理念のもと、武士道精神、また騎士道精神をあわせ持った感性で日本の復興を支えた男の本懐がうかがえるのであります。

 矢田区長は、昭和六十二年四月の就任以来、実に二十五年間の長きにわたって、刻々と変化する社会・経済状況に適時・的確に対処をされて、この混迷する大海原の中で巧みに中央区政のかじをとり続けておられます。今、四半世紀に及ぶ矢田区政の足跡ともいうべき歴史をひもとけば、そこには長年区民の悲願でもあった定住人口の回復をはじめとする幾多の功績が、そのページを刻んでおります。先ほど来の御答弁をお聞きして、改めてその思いを強くいたしたとともに、私もまた、その思いを同じくするところであります。

 ここに、私どもも改めてあのプリンシプル、そしてノーブレス・オブリージュの精神を胸に刻んで、都心から日本を元気に、安全・安心で世界に魅力を発信と銘打たれたこの新年度予算のもと、さらなる都心再生の進展による区民生活の安定と充実に邁進されることを願って、我が会派、自由民主党は、今後も矢田区長をしっかりと支えて、ともに区政発展に全力を傾ける所存であることを申し上げ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 次に、二番瓜生正高議員。

二番 瓜生正高議員登壇

○二番(瓜生正高議員)
 自民党の瓜生正高です。平成二十四年第一回中央区議会において、定例会の一般質問を自民党議員団の一員として、さきの質問通告に従って順次質問させていただきます。区長並びに関係理事者の皆様には、中央区及び中央区民の未来を見据えた積極的、前向きな御答弁をお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 質問に先立ちまして、原田議員とともに、東日本大震災においてお亡くなりになられた方々、御遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表します。

 明けない夜はないとの言葉があるとおり、私たちも最大の支援を続けることをお約束いたします。

 私は、平成二十三年四月二十四日投票の中央区議会議員選挙において、以下述べることを区民の皆様に訴えてきました。医療、高齢者及び障害者の介護などの福祉や、教育・子育て環境の充実など、区民ニーズは多様化が進み、さらなる活力のあるまちづくりが求められている現状についてです。どの政策も重要なものであり、本区の発展には欠かすことはできないものであると認識していますが、まずはすべての政策に優先して、私たちの生活、命の安全保障とでもいうべき安全・安心対策の礎である防災対策をしっかり取り組ませていただきたいと、地域の方々にお約束し、当選させていただきました。

 そこで、私は、三月十一日の東日本大震災を教訓とした新たな中央区防災対策を中心に質問させていただきます。

 中央区は、歴史的経緯から見て、商工業、伝統文化を中心に、おのおのの時代の流行発信基地として発展してきたまちでありますが、バブルによる地上げにより、平成九年には七万人を切るまでに人口が落ち込み、本区の定住人口回復施策と都心回帰現象の相乗効果により、平成二十三年十一月十六日には、昭和四十四年以来、四十二年ぶりに十二万人台に回復いたしました。これは、子育てや高齢者福祉に重点を置いた施策が大いに関係があると私は思います。それは、中央区のブランド力ともいうべき都心区、通勤・通学時の交通の利便性、他区に比べて治安がよいことに魅力を感じる三十代から四十代の、いわゆる子育て世代の方々が大勢転入してきた結果であります。

 七年ほど前、今後三十年以内にマグニチュード七クラスの首都圏直下型大地震が、本区も含む都内沿岸部に七割の確率で起こるとのデータが発表されました。私は、いざというときの備えはできていますか、常に区民の皆様に問いかけてきました。

 阪神・淡路大震災から十七年が経過をし、そのときの教訓をもとに、私自身、災害時に一番大切なことは地域住民同士の自助・共助と、子供からお年寄りまでのさまざまな世代に対応するバランスのとれたまちづくりであると確信しています。従来からある町会・自治会の活動が共助の核となることは言うまでもありませんが、町会・自治会を中心とする組織だけでは、昨今の新住民を主体とする都市型のライフスタイルを信奉する方々の満足感を高めることはできません。現在の本区の世帯数の八八%の方々は、マンションにお住まいの方々です。その中核を担うのは、さきにも述べた三十代から四十代の子育て世代であります。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区の世帯数の八八%を占めるマンションに居住する住民の防災対策について、自助・共助・公助の視点も含め、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

 また、次世代の中央区、各地域を担う子育て世代の三十代から四十代の若い方々に、本区防災対策の構築、地域活動の中心となるPTA行事などを利用し、防災意識の啓発を促し、多くの方々に参加・協力していただくことが、今後の我が区の重要課題だと私は思いますが、本区のお考えをお聞かせください。

 三月十一日の東日本大震災、発災直後から、私は消防団員として、地域警戒、大勢の帰宅困難者の避難誘導などに当たりました。道路には人があふれ、交通機関はストップし、スーパー、コンビニからは飲料水、食料品、レトルト食品に至るまで、あらゆるものが売り切れ、物流にも影響が起き、私たちがいかに脆弱な基盤の上で生活を営んでいるか思い知らされたのでした。

 平成二十三年七月に実施された中央区政世論調査によれば、家庭での災害に対する備えとしては、「飲料水の備蓄」が六割台半ばで最も高く、以下、「食料の備蓄」、「消火器・救急セットなどの備え」、「家具類の転倒防止」などが続いています。このことを踏まえましても、災害時には自助・共助が必要不可欠であり、区民の方々にも改めて災害時の意識改革が重要であると考えます。

 そこで、お尋ねします。

 東日本大震災以後、この災害の教訓をもとに、個人に対しては各家庭での備蓄を啓発し、防災拠点や大規模マンションにおいてどのようなものが防災備蓄品として新たに必要だとお考えでしょうか。本区の考えをお聞かせください。

 私は、高校二年生まで木造長屋に住んでいた経験があり、その体験をもとに、月島地域における再開発には、私自身、強い関心を持っています。特に、月島地域は中央区の中でも木造密集地帯で、この地域の再開発は歴史的建造物を取り壊し、情緒あるまちづくりを喪失させると指摘される方もいますが、防災上の観点から見ても、大変意義のあることです。まず、再開発を通して自分たちの居住する地域の環境を再認識し、まちづくりの原点とは何かを再確認すべきであると考えます。地方自治の根幹である、自分たちの住むまちは自分たちの手でつくるをモットーに、私は活動してきました。何度も繰り返しますが、自分たちの住むまちのブランド力、付加価値をつけるためにも、その根底に安全・安心対策の基本である防火・防災対策の再構築・再検証が本区の喫緊の課題であることは言うまでもありません。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区では、震災後、平成二十三年七月より、区内木造建築物に対する耐震診断については無料になり、補強工事については、簡易補強が百万円から百五十万円に助成限度額がふえ、全体補強については二百万円から三百万円と大幅に拡充されました。助成実施後八カ月が経過をしますが、その成果をお示しください。

 そして、月島地域を中心とする木造住宅密集地域における、防火も含めた今後の対策について、本区の考えをお聞かせください。

 今の子育て世代である三十代、四十代においては、私もそうですが、あと十年もすると、今度は親の介護という問題に直面します。中央区の高齢化率は二十三区中、一番若い区と言われていますが、間もなく高齢者が二万人になろうとしています。区民のボランティア活動は、ここ数年醸成されてきました。

 そこで、ある地域を例に挙げると、社会福祉協議会、ふれあい福祉委員会が中心となり、高齢者の見守りから災害時の高齢者安否確認が行われております。これは一つの例ですが、共助、ボランティアを活用した本区ひとり住まいの高齢者の防災対策に取り入れていくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 次に、地域に応じた保育所対策について質問いたします。

 最近、特に子育て世代の方々から、保育園の相談を受けることが多々あります。私の住んでいる月島地域は、再開発による中高層マンションの影響により人口が急増した地域であります。地域内にある認可・認証保育園を含めても、現在入園を待機している乳幼児の絶対数には足りません。都心区中央区においては、居住環境、生活環境に照らしても、共働き世帯でないと生計を維持するのは大変厳しい状況にあると言わざるを得ません。区もそういう状況を理解し、認証保育所の積極的誘致や助成を通して努力していると認識しています。

 ここ十年の激しい人口増加に対応して、使用稼働率の低い公共施設を利用した保育園などの新設、建てかえ時に柔軟に対応できる仕組みづくりが必要だと思うのですが、費用面から考えて大変難しいと感じます。しかし、そこには区民ニーズの大きな変化があり、地域の子育て世代の方々からお話を聞くと、せっかくマンションを購入し、中央区に転入してきたのに、区の施策が追いついていないと、おしかりを受けることがあります。行政、地域、議会が中心となり、区長の英断のもと、人口回復したのでありますが、住民がふえた分だけ、行政としての責任が増したことは間違いありません。

 昨年七月の世論調査によりますと、定住意向、「住み続けたい」、愛着心、「感じる」方々が全体の八割にも上り、人口世代別構成でも中軸になる三十代から四十代の子育て世代に対する子育て支援の重要性が高まっています。

 そこで、お尋ねいたします。

 今後、建設が予定されている大規模マンションを含めて、共働き世帯が多く転入し、保育に欠ける児童が増加すると推察します。保育事情のニーズも多岐にわたってきました。パート、アルバイトなど、短時間保育の需要もふえてくることが想像されます。そこで、仕事と子育てを両立できる環境、女性の就労支援を含め、本区の御見解をお聞かせください。

 また、新年度に向けて、保育園の入園選考の時期でありますが、本年度では二月十日現在、区内認可保育園の三歳児、四歳児、五歳児の空き状況は、三歳児三十名、四歳児四十七名、五歳児六十三名と、計百四十名もの定員割れがあります。認証保育園も同じような状況にあると認識しています。

 そこで、お尋ねいたします。

 中央区の認可保育園においては難しい面もあると思いますが、柔軟性のある認証保育園で、現在の定員割れの状況を逆転の発想でとらえ、保育ニーズの高いゼロ歳から二歳児の保育員及び保育定員をふやす考えはあるのでしょうか、お聞かせください。

 次に、育児アドバイザーについて質問いたします。

 現在、日本は少子高齢化社会に本格的に突入をし、社会保障給付費に関しましても抜本的な見直しが迫られている状態です。本区は、子育て施策の積極的展開で出生数が三倍に伸び、約千五百人になりました。子育て環境のさらなる整備拡充は大きな課題の一つであります。それに伴い、都心部である本区の居住環境の特性上、核家族化が進行し、本区の事業を見れば、若いお母さん方への子育て支援として、あかちゃん天国、保健所で行われている幼児教室などがあります。特筆すべきは、あかちゃん天国において行われている元気高齢者、子育て見守りサポーターによる三世代交流です。

 そこで、お尋ねいたします。

 この子育て見守りサポーターを、区として地域に居住する方々の中から育児アドバイザーとして認定し、地域力の向上や地域のきずなを深めることに役立てることは、大変重要なことであると私は思いますが、このことに関する区の御見解をお聞かせください。

 中央区立子ども家庭支援センターきらら中央では、一時預かり保育、トワイライトステイ、子どもショートステイ、育児支援ヘルパー、緊急一時保育援助事業などを展開しております。中でも、一時預かり保育は、子ども家庭支援センター日本橋分室でも行われております。需要が高く、子育て世代の強いニーズに的確にこたえています。

 そこで、お尋ねいたします。

 今後、きらら中央が行っている子育て支援事業は、京橋・日本橋地域においても、その必要性が迫られています。同様の施設整備の計画はいかがお考えでしょうか、お聞かせください。

 続いて、昨今の社会情勢、各家庭の経済状況の変化により、働く女性の増加に伴い、育児環境の充実を求める声が年々大きくなっています。職場保育など、働く女性の育児環境の充実も課題であります。来年六月には京橋二丁目に保護者の就労の有無にかかわらず、就学前の子供に対して教育と保育を一体的に提供するとともに、夜間や休日・年末年始保育などを実施する認定子ども園がスタートします。

 そこで、お尋ねいたします。

 今後の月島、日本橋地域において、京橋二丁目と同様の育児環境の整備拡充を行う予定はあるのでしょうか、お聞かせください。

 また、長年、我が会派が政策要望に取り上げてきた家庭内子育て支援の公費負担も含めた施策の充実をどのようにお考えか、再度お聞きいたします。

 次に、商店街活性化策の充実について質問いたします。

 中央区は、伝統的に商工業を中心に繁栄を極めてきたまちであります。日本橋地域、京橋地域、月島地域の地域環境に大分違いはありますが、おのおの大変魅力的な地域であります。私の住む月島地域の商店街では、従来は物販店が多数を占めていたのですが、十数年前より、もんじゃのまち月島と、名前も全国区になっています。テレビや雑誌で取り上げられ、地域経済の活性化に大きく寄与しています。これは、発想の転換から生まれた最たる例ではないでしょうか。元祖まちおこしであります。昨今の経済情勢からかんがみても、日本全国の商店街の多くは、深刻な不況のもと、シャッター通りとやゆされるほど閑散としております。もんじゃが一時のブームからB級グルメとして定着してきました。そのような環境の中、少ないながらも頑張っている物販店に活気を取り戻したいと思います。

 そこで、現在、観光客を積極的に誘致しているもんじゃ店等の繁盛店を土台にしながら、新たな商店街を再構築する必要性があると私は考えます。活気とにぎわいのあるまちづくりに商店街の繁栄は、欠かすことはできません。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区は、水辺率一八・三%と、水運にも恵まれた環境の地であります。そこで、日本橋地域、京橋地域、そして一昨年、月島地域で中央区が管理を始めた朝潮運河船着場など、防災船着場、観光船着場を利用し、各地区商店街、商業地へのにぎわいへと進めていく考えはどうでしょうか。本区の御見解をお聞かせください。

 また、商店街活性化対策の充実として、商店街振興プランの官民交えた積極的議論や地域通貨など、中央区全体での大店舗も含めたポイントカード制度導入なども視野に入れて検討するのが最善策であると私は考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本年度から商店街活性化を目的としたポイントカード制度などを取り入れた地域通貨の基礎調査が行われていると聞いておりますが、進捗状況も含め、本区のお考えをお聞かせください。

 続いて、商店街の近隣における駐輪対策の検討についてであります。

 どの自治体にとっても、昨今急増した放置自転車対策は喫緊の課題であると思うのですが、例えば私の住む月島地域では、商店街に自転車をとめるスペースが確保されていません。その中で自転車を利用し、買い物及び飲食される方は、店舗周辺に無造作に駐輪しています。地域の特質上、駐輪用地を新たに確保するのは大変困難であると感じています。例えば、月島駅周辺の駐輪場や自転車保管場所を整理して、利用するのはいかがでしょうか。月島駅周辺の駐輪スペースの収容台数は千二百四十八台で、平成二十三年三月末の登録台数は千三百八十台となっています。工夫によっては、買い物、飲食をされに来られる方への提供も可能かと思います。自転車の利便性は、目的地の直近まで乗り入れられるという点にあります。このため、現在の新月陸橋下の自転車保管場所を改めて重点的に整理するなど工夫しながら、区民の方々に啓発し、余裕のある用地利用を再考するべきであると私は思います。

 そこで、お尋ねいたします。

 月島駅前の一等地を地域活性化のために有効利用するお考えはありますか、お聞かせください。

 日本橋・京橋両地域は、日本橋、銀座、築地と世界に通用するブランドとして確立していますが、月島地域の現在の状況は、住宅地としての側面が強いと思いますが、今後の月島地域の商業地としての可能性は、限りなく広がっていってほしいとの思いを強く持っています。現在は、行政として、例えば月島西仲通り商店街のアーケード整備の助成、観光商業まつりなどの各種イベントの助成に力をいただいています。

 今回、中央区観光振興ビジョン二○一二(案)の中間のまとめが発表されました。東京都では、国に先駆けて、平成十三年、観光産業振興プランを策定し、平成二十四年には観光産業振興プランの三回目の策定を進めています。私は、これまで商店街振興の充実につき、るる質問を行ってまいりました。観光振興と産業振興は不可分のものであると思います。今回の本区中間のまとめにより、商店街振興の視点からは、どのように読み取ればよいのか、御見解をお聞かせください。

 次に、高齢者施策について質問させていただきます。

 本区の高齢化率は約一六%と、二十三区の中でも最も低い状況でありますが、高齢者人口は一貫して増加を続けて、間もなく二万人に達しようとしています。中央区基本計画二○○八によると、平成三十年には二万三千人を超えると想定されています。

 このような状況のもと、第三次中央区保健医療福祉計画の見直しが進められて、この一月には中間報告が出されました。この中間報告において、今後の高齢者施策の方向性として、要支援・要介護状態になっても住みなれた地域で暮らし続けられるよう、介護サービスをはじめ、地域生活を支えるさまざまなサービスを充実していくことが示されております。平成二十三年度中央区世論調査では、要介護時における暮らし方について、六十五歳以上の区民の七割の方が「自宅で暮らしたい」と回答しておりますし、特別養護老人ホームの施設整備・運営にかかる費用などを勘案しても、今後は在宅サービスを中心とした施策の推進を図ることが重要であると考えます。しかしながら、在宅生活を支えていくためには、増加するひとり暮らし、認知症を患う高齢者への対応、介護を担う方々の負担軽減などへの迅速な対応が求められています。

 まず、ひとり暮らし高齢者への対応ですが、平成二十二年に行われた国勢調査によると、本区におけるひとり暮らし高齢者は五千五百一人、高齢者の二八・二%を占めており、前回の調査から九百人以上も増加しています。また、同調査によると、区民の全世帯のうち約九割が集合住宅に居住しており、オートロック型のマンション等が増加する中、高齢者の生活の様子が周りから見えづらくなっています。

 こうした中、本区では、安心して在宅生活を続けることができるよう、おとしより相談センターを核とした二十四時間三百六十五日の見守り体制が構築されていますが、さらに強化が必要であると考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区における高齢者の見守りの現状についてお示しください。また、今後、強化していく取り組みがございましたら、あわせてお聞かせください。

 次に、認知症対策について質問させていただきます。

 第三次中央区保健医療福祉計画推進委員会中間報告によれば、平成二十三年三月時点で、認知症で日常生活に何らかの支障を来している方は千三百九十三名であり、高齢者人口の約七・一%に上っており、今後も高齢化の進展により、さらに増加することが予測されています。認知症であっても、住みなれた地域で暮らし続けるためには、何よりも近隣の方々などの理解が必要であり、地域ぐるみで見守り、支えていくことが求められます。区においては、認知症の方と家族への応援者である認知症サポーターの養成に取り組んでいるとのことですが、現在までにどれくらいの方が認知症サポーターとなられたのか、また、今後の養成の方向性やサポーターとなられた方々の具体的な活動について、お考えをお聞かせください。

 次に、介護者の負担軽減について質問させていただきます。

 昨年実施した中央区介護サービス利用状況等調査の結果を見ると、今後力を入れるべき高齢者施策として、家族の介護負担を軽減するための施策の充実を要望される方が最も多くなっております。介護負担が過大なものとなると、介護者本人の心身の健康状態に悪影響を及ぼすだけでなく、要介護者への虐待にもつながるおそれがあり、負担軽減策を講じる必要があると考えます。特に、介護問題を抱え込みやすいと言われている男性介護者への対応も含め、区は介護者を支援する視点を持って施策を推進する必要があると思います。

 そこで、お尋ねいたします。

 今後の本区の介護者負担軽減に対する考え方及び取り組みについてお聞かせください。

 以上で私の一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 瓜生正高議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、マンションの防災対策についてであります。

 マンションは、耐火性、耐震性にすぐれ、大地震においても比較的安全な建物が多く、ライフラインやエレベーターが停止した際にも、水、食料などの備蓄や家具類の転倒防止など、各家庭での安全対策を行うことで自宅での生活の継続が可能となります。また、居住者同士のつながりを強め、一致協力して災害対応に当たることが災害時の被害を軽減することになります。このため、区では全国に先駆けて高層住宅防災対策のDVDやパンフレットを作成し、自助・共助についての重要性を訴え、防災意識の啓発に努めるとともに、区が支援する防災マニュアルづくりを通じ、居住者同士のさまざまな対話や防災訓練など、地域住民を含めた共助の仕組みづくりに努めているところであります。今後とも住民の自助・共助意識をより一層高め、災害が発生しても安全・安心な体制づくりに努めてまいります。

 次に、三十代から四十代の方々への防災意識の啓発についてであります。

 区では、防災拠点運営委員会が実施する訓練において、集合時間を定めず、キッズコーナーを設け、小さなお子様連れの方にも自由に参加いただけるフェスティバル方式の試みを行っております。また、昨年の区の総合防災訓練において、PTAの方々に炊き出しの御協力をいただいたほか、防災拠点運営委員会によってはPTAの方の御参加もいただき、日ごろの拠点運営委員会活動への御意見を伺うなどの協力を得ております。区といたしましては、今後ともこうした取り組みを他の拠点運営委員会にも広げ、若い世代の方々の地域活動への参加促進や防災意識を啓発し、地域防災力の向上に努めてまいります。

 次に、新たな防災備蓄についてであります。

 東日本大震災の教訓や防災拠点運営委員会の御意見、防災拠点ごとの避難所開設・運営訓練を通じて、必要とされる防災資器材の点検を行い、昨年の補正予算において、夜間照明用バルーン投光器やカセットボンベによるガス式発電機、簡易ベッドなど、新たな資器材の整備を行ったところであります。平成二十四年度においても、引き続きマイクスピーカーやヘッドライト、LEDランタンなど、必要度の高い資器材の整備・充実に努めてまいります。また、大規模マンションにおいては、東日本大震災で数多くのエレベーターが停止したことや、通信手段の錯綜による情報伝達に支障が生じたことから、建物内で連絡をとり合うトランシーバーや、緊急告知ラジオで災害情報を館内放送できる工事などの普及に努めてまいります。

 次に、木造建築物に対する今後の防災対策についてお答えします。

 耐震助成につきましては、昨年七月に、対象建築物の見直しや助成限度額の引き上げなど、助成メニューを拡充して取り組んでまいりました。その結果、二月末日までの今年度の申請実績を前年度と比較しますと、簡易耐震診断を含む耐震診断については、百二十六件から二百四十六件、耐震補強工事が十四件から二十二件、簡易補強工事が二件から二十四件と、それぞれ大幅に増加しており、建築物の耐震化について一定の成果を上げているものと理解しております。今後、木造密集地域においては、既存建築物の耐震化に加え、地区計画による個別の建てかえや共同化による不燃化の促進を図るなど、安全・安心なまちづくりに向けて積極的に取り組んでまいります。

 次に、ひとり暮らし高齢者の震災時対応についてであります。

 本区では、ひとり暮らし高齢者等、災害時に支援が必要な要援護者に対し、災害時地域たすけあい名簿への登録を進めております。登録者に対しては、より実効的な避難誘導や支援を行う体制の構築が必要であり、新年度において、登録者一人一人の個別支援プランの作成に向け、災害時要援護者支援体制マニュアルの整備を進めてまいります。地域の方々は、要援護者のもとにすぐに駆けつけることができ、特に日常的に見守り活動を行っている場合は、その方の身体や生活状況を把握しており、災害発生直後やライフライン復旧までの対応において、大きな力となります。したがって、マニュアルの整備に当たっては、民生委員や防災区民組織とともに地域のボランティアに活躍いただけるよう、その役割や取り組みについても定めてまいります。

 次に、多様化する保育ニーズについてであります。

 本区は、近年、人口回復により子育て世代が急増しており、年間の出生数も二年連続して千四百人を超えるなど、今後も保育需要の増加が見込まれております。一方で、就労形態や個人の価値観の違いから、保育ニーズも複雑かつ多様化しております。こうした中、本区では、保育所待機児童の解消に向けて、認可保育所の新設や、夜間保育、一時預かり保育等、多様な保育ニーズに対応可能な認証保育所の誘致を積極的に行ってまいりました。また、パートやアルバイト等、短時間の保育需要に対しても、認定こども園を活用し、受け入れを進めているところであります。今後も、仕事と子育ての両立支援を図る観点から、子育て環境の整備など、総合的な子育て支援策を積極的に展開し、だれもが安心して子供を産み、喜びを持って育てることができる自治体ナンバーワンを目指してまいります。

 次に、定員割れの認証保育所の活用についてであります。

 最も待機児童数の多い時期である本年二月一日現在の認証保育所の状況は、三歳児以上の保育定員に対して三十七人のあきが生じております。こうした状況を踏まえ、国の施設面積基準を維持しつつ、現在余裕のある三歳児以上の面積分を、待機児童が多く定員増の必要なゼロ歳児、一歳児に振り分けるように、事業者に対して働きかけを行っているところであります。今後は、区が把握している待機児童数や保育需要推計などの資料を提供し、事業者がより計画的に適正な定員設定ができるよう、誘導してまいります。

 次に、育児アドバイザーについてであります。

 本区では、あかちゃん天国において、シルバー人材センターに委託している子育て見守りサポーターのほか、児童館での囲碁・将棋教室や折り紙教室、読み聞かせボランティア、いきいき館での交流行事など、さまざまな機会において、子供や子育て世代と高齢者の三世代交流を行っております。高齢者の方がそれぞれの得意分野や知識、人生経験を生かしたかかわりをしていただくことで、育児に関する相談の一翼を担っていただいていると考えております。しかしながら、子育て不安が増大している現状においては、相談内容が多岐にわたり、専門的対応が必要な場合も多くなっております。高齢者の方を育児アドバイザーとして認定するためには、認定基準や研修内容等の課題もあり、慎重に検討すべきものと考えます。

 次に、子ども家庭支援センターきらら中央の施設整備の拡大についてであります。

 子ども家庭支援センターは、区内の子育て支援の拠点として、さまざまな事業を行っております。センター事業のうち、相談や交流の場はどの地域においてもバランスよく配置され、気楽に立ち寄れる施設であることが必要との考え方から、区内の七つの児童館をセンターのサテライトとして位置づけ、専門職による巡回相談、あかちゃん天国等の事業を実施しております。近年、需要の高い一時預かり保育については、平成二十二年九月より、日本橋分室を開設しております。また、平成二十五年開設予定の京橋二丁目の認定こども園においても、新たに一時預かり保育やトワイライトステイを実施する予定であります。今後も、多様な保育ニーズに対応し、本区の子育て環境の充実を図ってまいります。

 次に、保育サービスの拡充についてであります。

 京橋二丁目に整備予定の認定こども園は、交通の便がよく、他の地域からも利用しやすい立地条件であることから、夜間・休日・年末年始における保育サービスを区内全域に提供する拠点として計画したところであります。今後の日本橋・月島地域へのサービスの拡大については、京橋二丁目の認定こども園の利用状況や保育ニーズの動向を見定めながら、適切に対応してまいります。

 次に、家庭内子育て支援についてであります。

 家庭で子育てしている保護者の方は、核家族化により、子育てに対しての不安や負担を感じやすく、孤立感を抱きがちなことから、それらに対応した支援策が必要と考えております。子ども家庭支援センターでは、育児不安への対応のための相談事業や、負担軽減のための一時預かり保育、育児支援ヘルパーの派遣等の事業を行っております。また、孤立感の解消のために、あかちゃん天国や児童館の乳幼児クラブ等の事業に参加していただいております。今後も、家庭内子育て支援サービスの推進のために積極的に公費を投入し、新規開設する晴海児童館や晴海こども園、京橋二丁目の認定こども園等においても、家庭で子育てする方への支援をより充実させていきたいと考えております。

 次に、船着場を利用した商店街振興についてであります。

 長引く景気の低迷や消費者ニーズの変化などにより、区内商店街は大変厳しい経営環境に置かれているものと認識しております。こうした中、水辺利用は新たな地域活性化への取り組みにつながるものと注目されており、隅田川、日本橋川など、豊かな水辺空間を有する本区においては、商店街振興も含め、多様な活用が期待できます。例えば、昨年四月開設した日本橋船着場では、日本橋架橋百周年のイベントやまち歩きコースに活用されるとともに、舟運事業者等の利用も多く、地元商店街の集客力の向上などに大きな成果を上げているところであります。このため、今後は隣接区との連携による舟運ネットワークの形成や、舟運と周辺の商店街を結びつけた回遊性の高い観光ルートの開発、平常時の利用が限られる防災船着場の利用拡大を、管理者である都に働きかけるなど、船着場のさらなる活用により、商店街振興と地域のにぎわいづくりに努めてまいります。

 次に、地域通貨導入に向けた基礎調査についてであります。

 地域通貨は、ポイント制度や売り出しセールなどと連動させることにより、買い物客の増加や区内消費の拡大、商店街の活性化につながる効果が期待できます。現在、本区では導入に当たっての課題や経済効果、他自治体における先行事例などについて調査・分析を行っており、その結果を本年度内に取りまとめる予定であります。今後は、この調査結果を踏まえ、商店会や商工会議所など、関係団体と連携し、本区の実情に即した具体的な仕組みづくりやモデル事業の実施などについて検討を行ってまいりたいと存じます。

 次に、駐輪場対策についてであります。

 買い物客等の駐輪場については、本来、個々の施設で整備することが原則であると考えております。しかしながら、区内の商店街では、各商業施設の規模が小さく、駐輪場を整備することが難しいため、自転車が道路上に放置されている状況があります。月島駅周辺の月島駅前第一並びに月島駅地下駐輪場は、現在、通勤・通学利用者が対象となっており、買い物客等の短時間利用には対応しておりません。そのため、今後は既設駐輪場の利用状況や隣接する自転車保管場所の運用状況などを検証した上で、これらの一部を買い物客等の駐輪スペースとして整備することについて検討を行ってまいります。また、観光振興ビジョンと商店街振興の関連についてであります。

 観光は、まちににぎわいと活気をもたらすとともに、サービス業をはじめ、交通、宿泊など、関連する産業への経済波及効果も大きいことから、区内産業の活性化に大変有効であると認識しております。こうしたことから、現在策定中の観光振興ビジョンでは、娯楽、商工業、サービスなどを魅力ある観光資源ととらえる都市観光をコンセプトに掲げ、観光と産業双方の振興を図る新しい観光モデルの実現を目指したところであります。このため、今後は、産業を観光の視点から積極的にPRするとともに、老舗めぐり、ものづくり体験といった本区ならではの産業を生かしたテーマ型の観光ルートを開発するなど、観光振興を促進すると同時に、ビジネスチャンスの拡大につなげ、区内商店街の振興を図ってまいりたいと存じます。

 次に、高齢者施策についてであります。

 本区におきましては、ひとり暮らしの高齢者等に安心して生活を送っていただけるよう、二十四時間三百六十五日見守りを行う高齢者あんしんネットの構築を進めております。この取り組みでは、緊急通報システムや配食サービスを通じた見守りのほか、民生委員や地域の協力団体による日常的な訪問、声がけや緊急時の通報等を行っております。町会や自治会等による協力団体は、現在、十四団体あります。さらに、区内全域をカバーし、さまざまな場や機会を通じて見守りが行われるよう、新聞販売店等民間事業者に対し協力を働きかけております。今後は、マンションの管理組合など、協力団体の一層の拡大を図るとともに、飲食店、理美容店など、多様な事業者に呼びかけ、体制の拡充を図ってまいります。また、新年度においては、外出中の急病等に対し、素早く身元や連絡先を確認できる見守りキーホルダーの配布を行い、高齢者が自宅に閉じこもることなく安心して出かけられるよう、外出時の見守りも強化してまいります。

 次に、認知症サポーターについてであります。

 認知症の方が地域で暮らし続けるためには、周囲の温かい理解が何よりも大切であります。本区では、認知症のよき理解者となる認知症サポーターの養成講座を平成十八年度から開始し、区民や在勤者、区役所窓口の職員等を対象に、これまで六十六回の開催により二千人を超えるサポーターを養成してきました。今後は、高齢者クラブやマンションの管理組合をはじめとした地域団体への出前講座などを行い、サポーターのさらなる拡大に努めてまいります。また、今年度行った講座修了時のアンケートにおいて、約半数の方々が見守り活動への参加の意思を表明しております。今後、認知症への対応力を高めるフォローアップ講座や交流会を開催し、地域の見守りや傾聴などのボランティア活動につなげてまいります。

 次に、介護者支援についてであります。

 認知症や要介護度の高い方を在宅で介護する場合、家族など介護者の負担は大きく、その軽減に向けた取り組みは非常に重要であると認識しております。このため、介護者が心身の疲労を回復できるよう、本年六月から、区内の有料老人ホームの活用により特別養護老人ホームの待機者等が三カ月まで宿泊できるミドルステイや、経管栄養や気管切開など医療ニーズの高い方も利用できる緊急ショートステイを開始します。あわせて、特別養護老人ホームの整備や大規模改修等に際し、ショートステイの増床を図ってまいります。また、介護者が気軽に悩みを相談したり、互いに情報交換等を行うことも大切であります。しかし、地域に相談できる相手を見つけにくい男性の介護者では、介護の抱え込みや虐待につながることも懸念されております。今後、男性も参加しやすいよう、区内事業所への出前講座や夜間・休日における講座・交流会の開催等により、相談窓口の周知や情報提供等に努め、介護者の支援に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔二番 瓜生正高議員登壇〕

○二番(瓜生正高議員)
 それぞれに誠実な御答弁ありがとうございました。

 区民ニーズの多様化する昨今、行政運営に対し、区民の方々の関心は高まっています。ここはあえて再質問というよりは、今回の質問項目を踏まえた、新たな取り組みについて要望させていただきたいと思います。

 去る一月十七日、品川区は二十三区で初めて、震災時の帰宅困難者や被災者を受け入れる避難場所として、民間マンションの共用部分を使えるようにするため、区内のマンション管理組合と協定を結びました。

 管理組合は、昨年三月の東日本大震災を受け、高齢居住者の避難対策などを検討する中で、区や地域との連携が不可欠と判断し、帰宅困難者ら居住者以外の一般避難者を受け入れることを決めました。区が避難所開設を要請した場合、管理組合は、トイレや非常電源も備えた一階と地下一階の各九十平方メートルの集会室を開放します。百人程度の受け入れを見込み、避難者の誘導や避難場所運営は区が行い、費用も負担します。避難所開設期間は、災害発生から七日以内とし、協議により延長可能などと定めています。

 本区も検討に値する内容だと思います。御一考ください。

 高齢者施策に対しても、前向きな御答弁をいただきました。

 超高齢化社会に本格的に突入した我が国にとって、今後の高齢者福祉の試金石となる介護・医療の在宅サービスが四月から拡充されます。さまざまな地域、地方自治体で二十四時間在宅介護サービスの運用がスタートします。地域に暮らす高齢者を支えるためにも、適切なる運用を検討しなければなりません。

 二月二十七日付の東京新聞の社説で、新潟県長岡市の高齢者総合ケアセンターこぶし園の施設長の介護に対する考え方が紹介されていました。二十四時間介護以外は介護サービスにならない。もう一つのこだわりは、施設で暮らす人たちを地域に帰すことだとおっしゃっています。その考えに至るまでには、強烈な体験があったそうです。八二年、特養ホーム開設時、ある入居者と家族は泣きながら、年老いた親を施設に預けていたそうです。だれもが自宅で暮らしたいが、家族も仕事があり、介護できない。その入居者の方の娘さんが、帰り際に、「お母さん、ごめん。こんなところに置いていって」といった言葉をつぶやいたそうです。そこから、まち自体を介護施設にしたい、道路が廊下、自宅は居室と考えればいいという考えに到達したそうです。地域を施設にする発想は、高齢者の在宅生活を支える理念になります。

 こういった取り組みは、国がデザインする地域包括ケアのモデルとして注目されています。病院ではなく、住みなれた自宅や地域で最期を迎えたいとの思いは、だれにも共通する願いであります。しかし、在宅介護・医療を支えるサービスの普及は、一筋縄ではいきません。課題は、人材の確保であります。今回のサービス拡充が人材育成の一助になることは、確かであります。しかし、理想を絵にかいたもちに終わらせないためには、息の長い取り組みをするしかないのです。利用者や家族にも不必要なサービスを控える協力が要ります。介護職員や看護師、医師との信頼関係を構築することも家族の大切な役割になります。地域で暮らす安心は、その基盤の上に成り立ち、私たちのあしたの高齢者福祉を支える大きな柱になります。

 高齢者福祉のサービス拡充に伴い、本区においても、区民、議会、行政の方々にも肝に銘じてほしいとの思いを胸に、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(今野弘美議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明三月一日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明三月一日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時四十三分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 原田 賢一
議員 植原 恭子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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