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平成24年第二回定例会会議録(第2日 6月22日)

1.会期

十二日(第二日)

六月二十二日(金曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時十二分散会

3.出席議員(三十名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 瓜生 正高議員

四番 富永 一議員

五番 染谷 眞人議員

六番 木村 克一議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 中嶋 ひろあき議員

十四番 今野 弘美議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 増渕 一孝議員

二十四番 原田 賢一議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 二十九番渡部博年議員。

〔二十九番 渡部博年議員登壇〕

○二十九番(渡部博年議員)
 民主党区民クラブの渡部博年です。平成二十四年第二回区議会定例会に当たり、民主党区民クラブの一員として、区の一般事務及び当面する区政の課題に対しまして、関係理事者の皆様に質問通告書に沿って質問させていただきます。十二万人区民の安全・安心、福祉向上に向けて、即効性のある前向きな答弁をお願いいたします。なお、再質問はこの場で留保いたします。

 最初に、まちづくりと都市計画及び防災について伺いたいと思います。

 まちづくりという言葉は、今まで土木建築関係が主体でありましたが、都市の成熟化が進むとともに、さらには少子高齢化という人口動態的な変化とともに、最近では社会福祉をはじめ、保健、教育、地域の人材育成など、さまざまな分野、領域で使われるようになりました。使われる場面において微妙に意味を変える言葉であるものの、基本は、目的達成のため、さまざまな人たちの合意形成を行うプロセスを常に包含する言葉であると思います。つまり、まちづくりにおいては、必然的に地域のコミュニケーションの基盤の整備が求められているということであります。

 また、まちづくりにおいて、今最も高い関心事となっている視点として、防災があります。最近、やたらと報道されている首都直下型地震の発生時において機能すべき有事の仕組みも、その基盤となるのは、やはりまちづくりに包含されます。さらに、その機能のパフォーマンスを担保するのは、地域のネットワークであったり、その基盤にのっかっている地域のコミュニケーションの密度であったり、頻度であったりするわけです。

 本区においては、高層住宅に象徴されるマンション居住者が八七%を超えております。また、幾つかの新たな大規模な再開発事業も進んでいます。言うまでもなく、高層住宅のような縦に重なる住宅では、どうしても人間関係が希薄となります。したがいまして、本区においてマンション自治会や管理組合、幼稚園、保育園、学校などのさまざまな組織や集団の交流はもとより、区のおしらせなどによる積極的な情報提供などが、他の地域よりも一層求められることになります。

 そこで、お伺いいたしますが、中央区の都市構造、住環境の独自性を考慮したまちづくりと防災計画と地域のコミュニケーションの基盤づくりをどのようにプランニングし、マネジメントしていく方針なのか、言いかえれば、区内で行う再開発事業に対して、住民の皆さんをどのように当事者として導き、巻き込んでいくこととなるのかを伺いたいと思います。

 次に、まちづくりにおける都との関係について伺います。

 豊洲・晴海整備計画について、私はさまざまな委員会で、計画の目的設定自体があいまい過ぎると指摘してまいりました。この計画の目的は、幾度となく、地元の意見も聞かれぬまま、何度も変更されてきました。強引とも言える清掃工場の建設、地元に了解のないまま進められたオリンピックメインスタジアム計画、さらには選手村計画。都の思いつきとしか言えない軽率な変更につき合わされる形で、晴海地区の住民はどれほど翻弄されてきたか。区はどこまで住民側に立った認識を持っているのか。

 東京都は、清掃工場建設時に、区民に晴海地区の総合的なまちづくり計画に対して責任を持つと約束しました。しかしながら、現時点においてはっきりと申し上げれば、都と住民の約定は守られているとは言いがたい。

 都の誠意を欠いた今までの対応について、本区としてはどのような思いをお持ちなのか。さらには、住民の思いを代弁する立場として、区としてどのような覚悟を持って、今後、都に何を要求していくつもりなのか具体的に伺います。

 そもそも都市計画は百年の大計です。中央区内にある昭和通りは、関東大震災後に整備された道路ですが、自動車が今のように普及することなどイメージできなかった当時にあっては、無駄の象徴とされた道路です。それが、今では都心を貫く基幹的な動脈となっています。震災復興小学校と隣接公園なども、またしかりです。これらの計画を推し進めた後藤新平の目には百年後の東京の姿が見えていたわけではないでしょうが、長期的視点に立った、その先見性と強いリーダーシップが東京の構造と機能を近代化させたのです。

 翻ってみたとき、本区を取り巻く都市計画は、果たして百年を見据えたプランと言えるでしょうか。東日本大震災、そして電力危機を経験した今、改めて区の都市計画における長期的なビジョンの中で、防災とエネルギー対策が震災後どのような見直しがされたのか伺います。

 次に、本区のように大規模再開発が複数進捗している区において、その計画段階において必要とされる視点について伺います。

 都は、基盤整備や広域行政の視点、つまり鳥の視点で再開発のプランニングを承認します。一方、区は、地域独特の地の利、人の和に添って計画を仕立てます。いわば、地をはうアリの視点です。必要なのは、その鳥の目とアリの目の調整と統合です。

 例えば、月島地域を見れば、現在最も再開発が行われている地域ですが、その計画において残され、継承されるもの、新たにつくられるもの、そして失われてしまうものについて、行政と住民が同じ認識を共有しているとは、現時点においては思われません。横の長屋を縦にしたとしても、以前同様にネットワークやコミュニケーションが維持されていないことは、今までの都市計画において十分わかっていることです。今後、この地域の祭礼や商店街活動、その他見えざるネットワークの維持が心配です。仮に、大規模再開発によって伝統的な人と地域とのかかわり合いが失われるようなことになれば、災害などの有事の際に対応不可能な不測の事態が生じないかが心配されます。

 一方で、大規模な開発においては、交通や環境、防災計画においても広域的な視点による整合性の調整や効率化の最適化は必須です。都による広域的なニーズと区によるローカルなニーズ、この二つのニーズが仮に取捨選択しなければならない場面は、常に訪れると想定できます。

 そこで、確認しますが、そのような場合、区としてはどのような哲学を持って現実的な対応を行っていくのか伺います。また、防災については、一義的な区の責任ですが、大規模な帰宅困難者については、区だけの手に負えるものではなく、当然都の責任において対策をしてもらう必要があります。したがって、まちづくりにおいても、防災においても、このクラスの再開発事業となれば、都と区のソフトとハード両面において連携が非常に重要になってまいります。

 昨年の東日本大震災時の帰宅困難者対策など、どちらかといえば具体的対策を施していくとき、都に押しつけられている感があります。大規模開発における都と区の連携、中でも地域のコミュニティのことや有事の際の防災対応について、どのように調整し、統合していくのか、また、その仕組みはどのようなものがあるのか伺います。

 再三申し上げている東日本大震災後の報道発表によると、マグニチュード七クラスの首都直下型地震が発生する確率は、今後三十年以内で七○%と言われています。この試算により、首都圏に住む多くの人は、今まで感じたことのない不安を抱えております。東日本大震災では、津波で多くの犠牲者が出ました。震災二日前には津波警報も出され、行政の出す情報の正確性が非常に大事であることは当然のことですが、それ以上に、住民がその情報に基づき適切な行動をとることこそが最も重要であったということです。そのためには、やはり日常的に行政と住民との信頼関係が存在することが必要だということです。

 首都直下型地震に備え、本年二月に一万人規模の帰宅困難者訓練が行われました。しかしながら、その内容は、残念ながら現実とかけ離れたものでした。JRや私鉄など乗り入れる新宿駅は、一日の乗降客が三百六十万人を超える世界一乗客が多い駅です。にもかかわらず、その訓練にかかわった方が百五十人、デパートなど集客施設での参加者は従業員のみでありました。現実的には、到底あり得ない想定です。同様に、区内においても、銀座で大がかりの災害訓練も行われていますが、やはり震度七クラスを想定したものであったかどうかを検証する必要があると思います。

 現在、日本で行われている避難訓練は、シナリオどおりに進行することが参加した人たちに安心感を与える傾向にありますが、アメリカでは、災害訓練がシナリオどおりに進むということは、むしろ失敗と考えられているそうです。理由は、訓練を行うことによって、むしろ課題、問題が隠されてしまうとともに、参加者に余計な慢心を与えてしまうからだといいます。訓練においては、形骸化されたものであると、実際被災したとき、被害を拡大させる最大の原因だと思います。本区においても、考えられる災害想定を行いつつ、より実践的な災害訓練成果を得ることを目的とした訓練プログラムの見直しを検討すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。

 次に、高層住宅の災害時における対策について伺います。

 本区では、集合住宅に居住する七割が十一階以上の居住者であります。全区民の方々の二割以上が高層階に暮らしている現状を考えたときに、新しく建築するものは対策を施せるのですが、既存マンションなどに対してはさまざまな困難があります。建築基準法との兼ね合いもありますが、既存の高層住宅に対して、どのような対応を進めていくのか伺います。

 また、避難場所の問題においては、避難所自体が安全であるという確認を再度知らせることも重要であるとともに、有事の際には系統電力に頼らない新エネルギーを活用した小規模分散型の電力の確保を進めていただきたいと思います。電気をはじめ、ライフラインの復旧には多くの時間がかかります。そして、自宅に戻るまでの間に暮らしている避難所に対して、阪神・淡路大震災などの直近の災害をしっかりと検証して対策していくことも必要です。各種委員会などで言われていますが、中央区の実情を再度点検し、計画をつくる必要があると同時に、災害時の地域との連携が言われている中、パブリックコメントを含めて、これまで申し上げたことを踏まえた上で、方向性、進め方をお知らせください。

 次に、築地市場移転関連問題について伺いたいと思います。

 平成二十三年十一月一日に都に提出された「市場移転後の築地地区のまちづくりに関する要望」の中で、区は、「都議会としても移転の方向性を明確に示されました。これについて本区は、多くの関係者が真摯に議論を重ねられた経緯を十分に理解するとともに、その結果として出された「移転整備」の結論を区としても厳粛に受け入れ」とあります。今さら、改めて言う話ではないかもしれませんが、あのとき、都議会は方向性を明確に示したわけではありませんでした。世田谷区長選転向を前に、一名の議員が態度を変更したことによって、辛くも可決されたことにすぎませんでした。

 そもそも我が区は、都議会の意向をもとに反対運動を堅持してきたわけではありません。私は、区が市場移転を受け入れたことは、もう少し主体的なニュアンスを持って語られるべきであったと考えております。なぜなら、今後、市場に関係する複雑な思いや利害関係を調整しながら我が区の目的を達成するには、より責任ある主体的立場で対応する必要があると考えるからです。

 そこで、都との協議が本格的に始まる前に、この要望書に沿って、幾つか基本的なことを確認させていただきたいと思います。

 本区は、平成十六年十二月に鮮魚マーケット構想、一昨年十月に賑わい施設の考え方を都に提出し、区民に示してきました。同年末には区内に新聞折り込みをした上で、区の計画を区民に説明しました。そこで、今後、都との協議において、この二つのプランはどのような取り扱いとなるのでしょうか。

 先述した、一昨年、区民に示したプランでは、現在の正門から晴海通り側をもって用地としていましたが、今後、プランをつくり直すかどうかは別として、用地のスケール感は引き続き堅持されるのでしょうか。

 要望には、「市場と場外市場が一体となって築いてきた活気とにぎわいを引継ぎ発展させた「新しい築地」をつくる」とありますが、場内、場外の利害関係者が一体となった話し合いを行っていくための具体的なスキームと、その工程は既にあるのでしょうか。また、食のプロに利用されるとありますが、そのためには、区として具体的にどのような事業者とノウハウが築地に継承されるべきと考えているのでしょうか。

 区の移転受け入れをもって、移転反対を表明してきた東卸組合が豊洲の検討を始める方針に変更しました。今後、区が具体的に計画を詰めていくにつれて、豊洲に行くかどうか悩んでいる仲卸業者、中でも規模の小さな事業者に対して、その経営判断にさらに多くの影響を及ぼすことになると思います。そのようなことについて、区はどのような考えを持っているかお聞かせください。

 次に、基本計画改定について伺いたいと思います。

 東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにした私たち行政にかかわる者として、区民の安全・安心、福祉向上にさらに努力していくことの重要性を肌で感じているところです。基本構想は、区の憲法的存在です。今年度から基本計画の改定に着手し、二○一三年に施行するわけでありますが、まず、区の計画において、各計画における財政的裏づけをどこまで明確にしていくつもりか、加えて、これまで行ってきた事務事業評価などに見られる内部管理の結果をどのように反映していくのか、事業評価自体の手法の見直し、その有用性の評価も含めて伺います。

 基本計画が区政全体を包含する限りにおいて、各部の連携なくして実現が難しい計画も多々あると思います。そのような計画については、どのような形で行政組織に横ぐしを入れていくのか、その仕組みについて伺います。

 バブル経済崩壊後、民間企業をはじめとするマンション建設により、本区は七万人を切るところから、現在の十二万人まで人口が急増しております。そのような中で、新たな区民の皆さんに行政情報がきちんと共有されているかという問題が常にあります。区は、その時々に施策や制度の周知をしているところでしょうが、基本計画においても、改定の機会を逃すことなく区民に周知を進めてもらうとともに、さらには、その作成に積極的に区民の方を巻き込んでいく仕掛けが必要ではないでしょうか。もちろん、パブリックコメントなど既存の制度もございますが、区民との協働という考え方のもとで、より斬新なアイデアがあればお聞かせください。

 各年度予算で単年度施策がわかるところですが、基本計画と事業の進め方も含めた中期的な計画説明を行うことで、区民の参加もしやすくなるのではないかと感じています。実施計画的な情報提供の考え方についても、あわせて伺いたいと思います。また、基本計画に付随する各種計画についても、住民との共有の仕方について、あわせて御答弁いただきたいと思います。

 基本は、区民福祉が区の財政問題や他の要因で後退することのないように対処していくことが重要であります。区長の力強い御答弁をいただきたいと思います。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 渡部博年議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、都市構造、住環境の独自性を考慮したまちづくりと防災計画と地域コミュニケーションについてであります。

 まちづくりに当たっては、防災や地域のコミュニケーションの基盤づくりを行っていくことが重要であります。このため、まちづくり協議会の場において情報共有を図りながらまちづくりを進めることを基本としているほか、市街地再開発事業など大規模開発に対しては、まちづくり基本条例において地域との協議の機会を設けることにより、事業区域外の住民も含む広い地域で、まちづくりの当事者意識を共有することができるよう取り組んでおります。今後も地域住民と区の十分な協議と協働により、防災や地域のコミュニケーションの基盤づくりなどに資するまちづくりを進めてまいります。

 次に、まちづくりと東京都の都市計画についてであります。

 晴海地区におきましては、この間、東京都が進めてきた清掃工場の建設やオリンピックメインスタジアム計画などにおいて、地元との十分な協議が尽くされず、地域の実情や課題に対し適切な対応なく進められてきた一面もあると認識しております。例えば、清掃工場建設時に、電力を地元に還元することやプラスチックを燃やさないなどの約束が、その後の事情の変化から、なされていないと承知しております。こうした状況に対し、これまで区として地域住民の皆様の生活環境の向上を図っていきたいとの思いで、豊洲・晴海開発整備計画の改定を都に申し入れるなど、取り組んでまいりました。現在、計画中のオリンピック選手村については、事後、住宅地となり、まちづくりに大きな影響を与えるものであることから、交通アクセスを改善するBRTやLRTの整備、小学校をはじめとした教育施設や大型スーパーといった生活基盤施設の設置など、住民の皆様の生活環境の向上を図る施設の整備について、東京都へ強く申し入れてまいります。

 次に、都市計画における長期的なビジョンの中で、防災とエネルギー対策について、震災後、どのような見直しがなされたかであります。

 都市計画については、国・都・本区の地域防災計画など行政計画との整合を図りながら、長期的な視点で取り組んできたところであります。これまでも都市再生特別地区などの都市計画では、地域防災倉庫の設置や帰宅困難者対応といった地域の防災機能の向上や、省エネルギーなど環境に配慮した計画となるよう、積極的に指導してまいりました。今後は、東日本大震災等を踏まえた地域防災計画の修正や、最新の技術の導入による都心型創エネルギーの推進を踏まえ、まちづくり基本条例や市街地開発事業指導要綱への反映などを通じ、日本をリードしていくまちづくりに積極的に取り組んでまいります。

 次に、大規模開発における区の考え方と地域のコミュニティや有事の際の防災対応についてであります。

 これまで区は、再開発に当たり、従前からお住まいの方々が引き続きその地域で住み続け、働き続けられることを最優先としてまちづくりを行ってまいりました。再開発においては、広域的なニーズを踏まえることももちろん重要なことでありますが、区としては、これまでと同様に地域住民のニーズにこたえ、生活環境を向上させていくことを最重要課題として取り組んでまいります。また、大規模開発における地域のコミュニティや有事の際の防災対応についてでありますが、再開発後も従前の居住者の方々が引き続きお住まいになることで従来からの地域コミュニティが存続し、開発後のコミュニティの核として機能するとともに、有事の際の防災対応にも有効であると考えております。このような地域のコミュニティの力を活用しつつ、大規模開発における連携について、区として主体的に広域行政を行う東京都と協議を行ってまいります。

 次に、防災対策の実践的な訓練プログラムについてであります。

 東日本大震災後の昨年の防災拠点運営委員会では、住民同士の活動や連携を強化することが必要との考えから、住民みずからが主体的に避難所の開設・運営を行う訓練を充実しました。より実践的なものとするため、参加住民や委員に訓練内容を示さずに行うブラインド型訓練も一部において実施しております。また、区職員を対象とする災害対策本部運営訓練では、徒歩での防災拠点参集を行うとともに、災害応急活動に対し、シナリオを示さず、職員みずからが考え、行動する訓練といたしました。新たに、警察、消防職員も参加した合同訓練とし、関係機関の連携強化を図っております。今後とも、災害時の活動や行動に混乱が生じることがないよう、一層の訓練内容の充実を図ってまいります。

 次に、地域防災計画の方向性、進め方についてであります。

 現在着手いたしております地域防災計画の修正では、東京都が公表した新たな被害想定も踏まえるとともに、本区の地域特性である高層住宅における防災対策の充実・強化はもちろんのこと、帰宅困難者対策の充実、自助・共助による実践的な防災訓練等を通じた地域防災力の向上を目指してまいります。また、防災拠点の災害時の役割を改めて周知していくとともに、新しいエネルギーの活用なども視野に入れ、取り組んでまいります。計画修正に当たっては、中央区防災会議を開催するとともに、パブリックコメントや防災拠点運営委員会の委員の方々や区民の意見を広範に取り入れながら、区民、事業所、区をはじめとする防災関係機関が一体となって有機的に機能する、実効性の高い地域防災計画となるよう、しっかり取り組んでまいります。

 次に、高層住宅の防災対策についてであります。

 昨年度実施した分譲マンションに対する調査では、災害時に活用できる会議室、集会室の設置率が約二割、防災備蓄倉庫は二割を下回る結果となっております。こうしたマンションの防災対策を進める上で重要なことは、建物内の既存の共用施設や設備の整備・点検を行い、防災倉庫などへの活用方法について住民同士が協議し、理解しておくことであります。さらに、小規模なマンションにおいては、地域の防災区民組織との連携も欠かせないものであります。区では、こうした対策を高層住宅向けのパンフレットや標準マニュアルをもとに防災マニュアルづくりの支援、講習会、アドバイザー派遣等により、マンション居住者や管理組合に行き届くよう普及啓発に努めているところであります。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 本区がこれまでに取りまとめた平成十六年十二月の鮮魚マーケット及び平成二十二年十月の賑わい施設の二つの構想は、築地地区の活気とにぎわいを将来にわたり継承していくために、市場が移転した場合には跡地の一部を食文化継承のために活用するよう、東京都に検討を要望したものであります。これらの構想の理念を踏まえ、本区は昨年十一月、都が目指す平成二十六年度の移転に即した具体的な対応として、築地の活気とにぎわいを市場移転後いっときも途絶えさせないために、場外の区有地を活用した店舗施設を整備する考えを示すとともに、市場内の勝どき門駐車場等の施設を暫定的に活用することなどについて区と協議するよう、都に要望いたしました。区は、当面、区有地の店舗施設を市場移転に先駆けて開設できるよう取り組んでまいりますが、市場跡地全体の土地利用計画についても、食文化継承のまちづくりに十分配慮して一体的に検討されるよう、都に働きかけてまいります。

 次に、食のプロに利用される施設づくりに向けて区が果たす役割についてであります。

 区が整備する店舗施設を食のプロに支持されるものとしていくためには、築地ブランドを支えてきた市場事業者の協力が重要であると考えております。このため、去る五月に開催した第五回新しい築地をつくる会に初めて市場事業者にオブザーバーとして参画いただき、区の取り組みの方向性について御確認いただいたところであります。さらに、店舗の整備計画について市場及び場外市場の事業者や区内料理飲食業の事業者の方々に専門的なお立場から御意見をいただくため、去る六月二十日に先行営業施設開設準備協議会を立ち上げ、今後、食のプロに支持される施設を実現するために、どのような事業者に出店いただくべきかなどの諸条件を今年度内に確定できるよう検討してまいります。また、区が整備する店舗施設は豊洲新市場との緊密な連携を前提とするものであり、今後、新市場整備事業の進捗も見定めながら、さまざまな機会をとらえて市場事業者に区の取り組みを説明していきたいと考えております。

 次に、基本計画の改定についてであります。

 今回策定する基本計画二○一三では、今後厳しさが予想される経済・財政環境下でも必要なサービスを維持し、新たな行政ニーズにもこたえていくための課題と道筋を明らかにしてまいります。そのため、計画の策定段階で将来の財政見通しを厳しく精査するとともに、これまで行った事務事業評価の結果も踏まえ、すべての事業の再検証を行い、将来にわたり健全財政を堅持していくための行財政運営の考え方などを基本計画で明らかにしていきたいと考えております。また、事務事業評価についても、基本計画改定を機に、より実効性のある方策を検討してまいります。

 次に、組織間の連携についてでありますが、基本計画は区が行うすべての施策の基礎となることから、策定段階で全体的な基本方針や検討の方向性を示した上で、各行政分野や事業ごとに関係組織が連携しながら、施策の検証や課題把握を行い、全庁一丸となって目標や施策の方向性を定めてまいります。こうした取り組みや計画策定後の進行管理を通じ、組織間の連携を十分に図ってまいります。区民への周知及び参画につきましては、策定段階でパブリックコメントを実施するほか、区政世論調査や区政モニター制度などを積極的に活用し、幅広い区民の意見を伺い、できるだけ反映させていきたいと考えております。

 次に、中期的な計画の説明についてであります。

 中期的な目標を具体的に示すことは、施策を着実に推進する上でも重要であり、基本計画では今後十年の長期的なビジョンを描いた上で、前期・後期、各五カ年の目標を定めることとしております。さらに、計画事業の着実な推進に向け、行政評価を通じた達成度の確認や新たな課題把握を毎年度行い、これをわかりやすく公表することにより、区民の理解を求めてまいります。また、各種の個別計画につきましても、基本計画との整合を図りながら、庁内の連携を徹底し、多くの区民の方々に御理解いただける、わかりやすい説明に努めていきたいと考えております。

 答弁は以上であります。

〔二十九番 渡部博年議員登壇〕

○二十九番(渡部博年議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 基本的に、まちづくりも含めて、基本計画はこれから改定されていくということでありますので、そこの中でしっかり各部の連携も含めて、まちづくりといっても、先ほど質問したとおりでありまして、土木建築だけではなくて、広く言葉として使われるような状況でありますので、そこの中で、最近若干変わってきたのが、まちづくり協議会で、まちづくりの中の、建築だけではなくて、まちの地域の状況も含めてお話をしていただけるということで、少しずつ変わってきているところでありますけれども、どういうふうな形でまちに入っていくときであろうが、そういうときにはしっかり区の情報を提供していくということが必要なんだろうというふうに思います。

 それと、基本計画を改定するに当たって、各部の連携ということも申し上げましたけれども、そこの中では、やはりせっかく七万人の人口から十二万人になったときに、今までの基本計画を知っていた方が七万人いました。それからいろいろな形で知らしめてきていることは確かでありますけれども、せっかくこういう時期でありますので、基本計画を区民の方々に広く知っていただくために、パブリックコメントだとかいろいろ、さっきの区長の答弁の中にありましたけれども、それだけではなくて積極的に区から情報を発信していくということが必要なのではないのかなというふうに思います。そうすることによって、基本計画なり、その計画を補完する他の計画についても区民が参加しやすい形ができてくる部分というのはあるんだろうというふうに思います。そういうことも含めて、こういう時期に、人材育成も含めて、区の中の若手の人たちも含めて、部長たちが考えることは、それは一つ責任ある立場で考えるということはありますけれども、その下で働いている課長、係長、職員の人たちからもそういった意見を聞きながら、現場でどういうことを抱えているのかということも含めて考えてやっていくということが、本当に基本計画の根本になることであるのかというふうに思いますので、そういったことも含めて、各部横断で、人材育成も含めてやっていただく。そういう方々が基本計画にかかわってきていただけることによって、今度はそういう人たちが表に出たときに、区民の人たちにいろいろな、基本計画の内容だとかほかのものも含めて教えていただけるということになるのではないのかなということだと思います。そこを区として、どういうふうな形でこれから情報を区民に提供していくかということはしっかり考えていっていただかないと、区民との協働と言いながらも協働にはならないということになりますので、その辺はしっかり注意をしてやっていただければありがたいなというふうに思います。

 市場の関係については、プロに愛される築地の新しい食文化の継承の場、賑わい施設をつくっていくということでありますけれども、そこにはやはり市場の場内の人、場外の人、地域の力ということ、この三つがしっかりスクラムを組みながらやっていかないと、結局、築地の魅力というのは継承されていかない部分というのがあるんだろうというふうに思います。

 そこで、これからいろいろ、先ほど言われました六月二十日にも、つい二日前ですか、やられたこともありますけれども、いろいろな調整というのは区が公平的にやれるのかどうかというのもありますけれども、その条件整理も含めて、しっかり対応していただかないと、小さな仲卸の業者の人たちも含めて、生活をかけて、そこに残る、残らないということも含めて考えていくわけですので、本当に食の継承、プロに愛されるものをつくっていく、賑わい施設をつくっていくということであれば、選定基準も、ある意味これからみんなに受け入れられるようなものをつくっていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。それは本当に立場によってはなかなか難しいわけですけれども、行政として公平なそういう形をつくっていただきたいというふうに思っております。

 いろいろ質問してきましたけれども、やはり区民が基本であるということでありますので、区民の皆さんに区の行うことをしっかり伝えて、区民の皆さんと一緒に区が行動できる体制をつくっていただくことを、基本計画二○一三をつくる前に、区の中で検討していただいて、しっかりやっていただけることをお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後二時四十四分 休憩


午後三時五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十一番鈴木久雄議員。

〔二十一番 鈴木久雄議員登壇〕

○二十一番(鈴木久雄議員)
 私は、中央区議会自由民主党の鈴木久雄でございます。平成二十四年第二回区議会定例会に当たり、さきに提出いたしております質問通告書に基づき、本区が当面する行政課題について質問させていただきます。

 さて、時はといえば四月も半ば、桜の花もまさに惜しまれ、散りゆかんとする、そんな日のおおよそ午前九時。晴海での一仕事を済ませ、いつものように愛用の鈴木号にまたがり、トリトン前の道を役所に向かう道すがら。突如として背後から「やだあ、やだあ。ママ、ママ、ママがいい、ママがいい」と張り裂けんばかりの悲痛な幼児の叫び声。何事かと振り返るに、やや離れたところに、おそろいの黄色くかわいらしい帽子をかぶった十数名の散歩中の保育園児たち。見ると、引率の保育士さんの一人が、泣き叫び暴れ狂う、ほぼ二歳とおぼしき女の子を真っ赤になって抱きかかえ、その列におくれまいと懸命に後を追っています。一方、かわいい我が子を保育士さんに預け、後ろ髪を引かれる思いにかられながらも、振り向きたい気持ちを懸命に抑え、いかにもつらそうに悲しみを顔いっぱいににじませて、小走りでその場を離れてこちらに向かってくるお母さんの姿を見たとき、思わず胸がいっぱいになりました。察するに、四月に入園して間もないゆえの情景で、そのうちしばらくすればお互いになれてきて、喜んでバイバイができるようになるのであろう。これはいっときのことなのだろうとは考えたものの、そんな現実を目の当たりにし、ため息の出るような、何とも言いがたい切なさを、正直、私は覚えたのでした。

 きょうび、男女共同参画、女性の社会進出など、私が育ち、過ごしてきた若いころとは女性に対する見方や考え方が様変わりしている昨今の社会状況のもと、女性が仕事を持ち、積極的に社会に進出していくことは当然のこととされていて、うっかりそれを否定などすれば、時代おくれの頑固おやじとやゆされかねず、今後もさらに広がり、定着していくのでありましょうから、したがって、必然的に保育園などの需要がさらに増し、今後、官民がともにその充実に力を入れていかなければならないことは申すまでもないところであります。

 しかし、とはいえ、そういった中で、私が偶然かいま見たのと同じようなことが日常かなりの頻度で起きているであろうことを考えたとき、あの朝の情景が再び胸に迫り、またまたつらい思いにかられます。

 実は、こうしたことがやけに気になってしまうのは、同じ年ごろの孫がいることが一つではありますが、むしろ私自身の子育て観に起因するものであります。

 四十年ほど前、子育て真っ最中のころ、三人の子を持つ我が家の家計は、まことに苦しいものでした。親子五人で三枚のアジの干物を分け合っていたものです。そんなとき、私は子育ても立派な男女共同参画の一環であり、夫婦が互いに協力し合ってなし遂げる誇るべき共同作業であると考えました。それは、私が昔から親や先輩たちに言われて潜在的に持っていた、子供は苦労して育てるものという認識に基づいたもので、それがしっかりとできてこそ、そこに真の親子の深い愛情と結びつきが生まれてくると確信していたからであります。

 そこで、家内に頼みました。子供たちが幼い間は、たとえ家計が苦しくとも、私自身も懸命に働いてくるから、しっかりと家を守ってもらいたい、母親としての深い愛情で優しく子供たちを抱き締め、そして時には厳しくしつけ、守り育ててもらいたい。家内も全く同感で、子育てと苦しい家計のやりくりに追われながらも、耐え忍び、末っ子が小学生になるまでは、それをやり通してくれました。私自身も休日にはなるべくお金のかからない原っぱや公園で一日中子供の相手に時間を費やしました。おかげで、子供たちは素直に育ち、思いやりのある優しい大人になり、それぞれ幸せに暮らしてくれていて、まことにありがたいことだと、家の中を守ってくれた家内に礼を言い、お天道様に心から感謝しているところであります。私たちは間違っていなかったのだ。たとえ生活が苦しくとも、親子の絆が温かくしっかりと結ばれていることが、子供の人格形成にとってどれほど大切なことか、私たちは身をもって実感したのであります。

 さまざまな事情で働かざるを得ないことを、私は決して否定するものではありません。しかし、皆さん、果たしてみずからの理想や自己実現ばかりを求めんがため、あげくは何でもかんでも社会に求める風潮の中での女性の社会進出か、はたまた家庭での子育てなのか、どちらが大切かを問うたとしても、それはそれぞれの価値観や考え方の相違があり、簡単に結論の出る問題ではないでしょう。

 そこで、ここではその議論は置くこととし、現実には、働きながら子育てせざるを得ない御家庭が大半であることは申すまでもないところでありますから、したがって、私たち中央区議会自民党は、保育行政全般の充実など、子育て支援にはこれからも怠ることなく取り組むとともに、女性の社会復帰の環境づくり等もあわせて目指しつつ、力強くあしたに向かって前進し、同時に会派の政策課題の中の重要項目としても掲げているごとく、私のような子育て観のもとに必死に家で子供と向かい合っている御家庭への支援、すなわち、ともすれば従来行政の手が余り及んでいなかった、そうした御家庭への支援のあり方にもしっかりと取り組んでいくことを改めてこの場で申し上げ、その上で質問します。

 まず、家庭内子育てに対しての支援の現況をお示しください。また、保育施設の新設や充実、さらに保育料の補助等が図られ、保育園に通わせる家庭がふえる一方、家で子育てに頑張る家庭に対しては、みずから選んだ道だからとして、どうぞ御自由におやりくださいで、支援の公平さに格差が生まれるようなことがあってはならず、施設の充実や保育料の補助等の施策については評価しつつも、ともすれば、その陰に隠れ、見過ごされがちな家庭内子育ての分野にもさらなる手を差し伸べる必要があると考えますが、いかがでしょうか、お答えください。

 さらに、女性の社会復帰について、行政みずからがなし得ることと、社会復帰のための社会的環境づくりに行政がなし得ることについてお示しいただくとともに、現在実施している施策があれば、具体的にお示しいただき、また今後の推進策についてのお考えもお示しください。

 質問の第二点目は、交通アクセスの充実についてであります。

 平成二十二年十月十二日の決算特別委員会における総括質疑におきまして、ちなみに、そのときの委員長は今野弘美議員でありましたが、それはさておきまして、私は前年の予算委員会、そして秋の決算委員会に引き続き、今後の晴海、勝どき、豊海の開発動向を踏まえた交通アクセスの充実、つまり地下鉄新線の整備について質問を行いました。それは、前月の九月半ばに勝どき・豊海連合町会長と晴海連合町会長の連名で区と区議会に提出された要望書、「月島地域における交通アクセス改善について」を取り上げたもので、その内容に触れるとともに、具体的に地下鉄日比谷線の延伸を訴えたのであります。

 要望書は、概略、以下のような内容であります。

 「当地域におきましては、現在も大規模開発が実施され、また、今後も新たな開発が計画されている中、勝どき駅のホーム増設だけでは混雑の解消には不十分であるばかりか、大江戸線での輸送量の増加は期待できず、今後の開発に伴う昼間・夜間人口の増加に対応した交通インフラの不足には無策と言わざるを得ません。当地域には、さらなる公共・大量交通輸送機関の整備が必要不可欠です。また、昨今の国の新成長戦略の中で、低炭素社会の実現と観光立国の推進及び国際競争力強化のための羽田の二十四時間国際拠点空港化が掲げられております。東京臨海部を魅力的な国際交流拠点として整備していくことが、観光立国の推進及び国際競争力強化を強力に後押しすることとなります。これらを実現していくためには、都心と東京臨海部及び羽田国際空港をつなぐ交通アクセスの改善が不可欠であり、公共・大量交通輸送機関の整備が必要です。また、これにより低炭素社会の実現にも貢献するものと考えられます」とした上で、「短期・中期的な対応方策として、都心と臨海部をつなぐBRTまたはLRTの早期整備と地下鉄新線整備等の目標を掲げ、早期実現に向けて努力すること。そして、その実現とその他地域の課題解決に向け、まちづくりと一体となった交通インフラ整備方策を策定するため、中央区と地元住民、企業が一体となって具体的な研究・検討を実施すること。なお、この方策が事業実施に向け、意味のあるものとなり、国・東京都及び関係機関に積極的に働きかけることを目的とする、地元を中心とした協議会を早急に設置することを求める」と結んでいます。

 それを念頭に置いてか否か、平成二十三年度の予算に勝どき・晴海地区など臨海部と都心を結ぶ公共交通網の充実に向け、LRT等環境に配慮した基幹的交通システム導入に関する調査・検討を行うとして一千五百万余が計上され、続いて、本年度もさらに一千五百万円の調査費が上積みされました。調査費としては相当な高額を二年度にわたり引き当てていることは、本区における喫緊の課題である交通基盤整備に向けての姿勢のあらわれと評価はするものの、しかし、要望書が高度な説得力でその実現を強く求めている地下鉄について、どのようにとらえているのか見えません。

 そこで、質問します。

 今回は、地下鉄問題第四弾として、要望書に沿って、さらに具体的に突っ込んだ質問とします。

 まず、昨年度調査し、取りまとめられた中央区総合交通計画において、地下鉄をどのように位置づけているのでしょうか。計画では、基幹的交通システムとしてLRT、BRTの整備については事業プログラムとして示されていますが、地下鉄については不明です。区の考えをお聞かせください。

 また、地元からの要望書で求めている協議会の設置について、私は早急に設置すべきと考えておりますが、この協議会の設置について、メンバー構成や設置時期などを含め、区の考えをお聞かせください。

 交通アクセスについての最後の質問として、要望書の趣旨に沿った具体的な提案について、区の見解をお伺いします。

 提案内容は、日比谷線の銀座駅から支線として築地の下を通り、勝どき五丁目から六丁目、そして晴海を抜けて豊洲から臨海部へ、ここで東京臨海高速鉄道との連携を図りながら、終着、羽田ハブ空港へ乗り入れるというものであります。区の率直な見解をお聞かせください。

 私が質問いたしましたこの地下鉄問題は、単なる一部地域への行政サービス、利益誘導、御当地ソングなどと狭い視野でとらえてはいけません。長期的視点に立った今後の中央区のまちづくりには不可欠な、国や都も交えての超一級の基幹的大量交通輸送機関整備の一大事業であるととらえ、大局的見地からお答えください。

 次の質問は、教育問題です。

 我が会派は、本区の人口増加を見据えた教育環境の整備について、繰り返し質問をしてまいりました。さきの定例会では、区当局から、喫緊の課題である豊海・晴海地区をはじめ、日本橋の一部地区でも児童数の増加は顕著であり、将来的に教室不足の懸念が生じてきていることから、平成二十四年度には全区立学校・幼稚園を対象に三十五人学級の動向も視野に入れながら、具体的な教室確保策を多角的に調査・検討していくとの答弁をいただいております。既に、新年度は三カ月が経過しようとしています。子供たちの教育環境の維持・向上は、計画的に取り組まねばなりません。

 そこで、お尋ねしますが、教育環境の整備に関する基礎調査の現況と今後の進め方について、その見込みをお聞かせください。

 次に、小学校特認校制度についてであります。

 本年四月十九日開会の区民文教委員会で報告された平成二十四年度の区立小学校・幼稚園の学級数は、この一年間で小学校で四クラス、さらに幼稚園でも二クラス、それぞれふえており、力強い人口増加のあらわれと理解するところであります。また、本区の学校選択制である小学校特認校制度についても報告があり、特認校制度による入学者が急増した学校などの近況が説明されました。児童数の偏在を緩和・調整する目的で導入したこの制度は、開始から四回目の入学者を迎えております。

 そこで、まずお伺いいたしますが、特認校制度のこれまでの実施状況から、教育委員会としてどのように分析・評価されているのかをお答えください。

 子供たちの健全育成は、未来の日本を支える人材を育てることとも言えます。そのためには、教育施設の充実はもちろんでありますが、特色あるカリキュラムづくりといったソフト面の充実や工夫も重要と考えるものであります。国は、学習指導要領によらないことができる教育課程特例校制度を設け、文部科学大臣の指定を受ければ、自治体独自の特色あるカリキュラムづくりができるとしております。我が中央区は、江戸以来の伝統と最先端のものとが融合しているまちであります。学校教育においても、伝統を発展させつつ、時代をリードする新たな取り組みを行うべきものと考えます。

 現在、区は、京橋地域で基本計画二○○八に沿って小学校三校の改築を進めています。その一方で、東京都の歴史的建造物である泰明小学校と常盤小学校については、現校舎の保存・活用を調査・研究するとしています。これら二校を、ハード面に加え、教育的にも末永く発展させていくには、ソフト面の一層の充実が求められるものと考えます。もちろん、独自カリキュラムの実施には施設整備の可能性もあり、さきに触れました教育施設の基礎調査の結果を待たなければ言及できないという点は理解いたしますが、そこで、お尋ねします。

 特認校のさらなる魅力づくりとして、国の制度を活用した新たな特色ある学校づくりを目指すべきと考えますが、教育委員会のお考えをお聞かせください。

 次の教育問題に入ります。

 昨年の第二回定例会において、我が会派の増渕議員が土曜授業と週五日制について質問しました。しかし、教育における重要な問題点として、熟慮の上、会派が取り上げた課題であったにもかかわらず、期待した答弁が得られなかったことをまことに残念に思っております。

 そこで、今回は視点を変えて質問しましょう。

 そもそも我が国では、ゆとり教育なるものは遠く一九八○年、授業時間と内容の削減をうたい文句に始まりました。既に先進的に行われていたアメリカやイギリスにおいては、結果的に失敗したとも言われています。そして、我が国では、一九八○年以来、十年ごとの指導要領改訂においても施策は継続されてきました。

 二○○二年の改訂で学校週五日制が小・中学校において完全実施され、同時に、観点別評価が導入されました。百点満点に例えるならば、テスト結果で二十五点分、あとの七十五点分は意欲などを評価するというような学力評価方法への改訂でありました。七十五点分の評価に、態度ややる気が重要視され、教師の主観や決めつけの比重が非常に高くなったと言わざるを得ないものでした。そして、この評価方法は、高校受験時、内申書となって合否に大きく影響を及ぼすこととなります。この観点別評価が招いた結果とは思いたくはないが、日本の高校生の四二%が学校以外では勉強せず、一方、アメリカ一三%、中国八%と、大きな違いが出ています。はるか昔は、日本の中学生の高校進学意欲は高いが、惰性での進学と言われていましたが、現在は惰性で大学進学なのでしょうか。そして、翌二○○三年には、現在さまざまに評価の割れている総合的な学習の時間の取り組みも本格化しました。

 さて、今回の改訂で大きく変わった点に、例えば二○一一年からは、小学校一年生で六十八時間、二年生で七十時間の授業時間の増があります。これは何を意味するものでしょうか。

 ここで質問するに当たり、以前読んだ本より紹介します。

 公立校でこそ得られるこれだけのメリットとして、一、時間的、金銭的余裕からさまざまな体験ができる。二、勉強以外の活動が充実していて、すぐれた指導が受けられる。三、成績上位組に入ることが容易なので、勉強に意欲が出る。四、悪名高き内申点とつき合うことで社会的技術が身につく。五、公立校の子は結婚力が高い。以上、すばらしい皮肉であります。

 そこで、お伺いします。

 二○○二年の改訂学習指導要領実施時においては、二○○○年教育白書で学力低下はないと断言していることを実施の前提としていた。ところが、今回は授業時間がふやされた。これは、全国的な学力低下を受けてのものか、御見解をお示しください。また、本区においての二○○二年改訂時と今回改訂時の児童・生徒の学力についての教育委員会の認識はいかがか、お聞かせください。

 次に、ここら辺からは相当きつい質問になります。

 次に、我が会派は、これまで土曜日授業再開を強く主張してきましたが、本区においても、本年度より都教委独自の指導によるところの土曜日授業が本格的実施となりました。ところが、二十三区、大変なばらつきがあり、港、品川両区では本区の倍の年二十回程度。注目すべきは、保護者や地域への公開のための特別な授業参観日としては行っていないことであります。これらを踏まえ、本区の現況と御見解をお示しください。

 ところで、本区の土曜学校公開とは、児童・生徒の基礎学力の向上に資するとともに、地域・保護者等に開かれた学校を目指すため、小学校で年間五回程度、中学校で年間二回程度実施するというものでしたが、本年度は中学校で十回に拡大されました。このほかにも、平日や日曜に小学校八校、中学校一校が学校公開をしています。

 そこで、申し上げますが、そもそも学校公開なるものが、中学生になってもまだ必要なものなのかどうか。子供たちにとって、どれほどの意義を持つものなのか。教室の後ろでじっと見詰める親たちの目線が気になって落ち着かない。先生は先生で、親の評価にさらされているようで、さぞかしやりにくいことでしょう。中には、我が子中心で先生の苦労、苦心がわからない親もいるでしょう。これで本当のじっくり落ち着いた授業が望めるのでしょうか。私たちが子供のころから年に一、二回日曜にやっていた授業参観なら、まだ納得もいく。なぜこうも頻繁に親たちを学校に呼び寄せたいのか、全くわからない。父母の大半は、そんなことよりも先生が自信を持って学校で教えていてくれることでの安心感、それこそを望んでいるのではないだろうか。落ち着いた環境と十分な授業時間のもとで、じっくりと当たり前の学力を身につけさせることが、区内中学への信頼回復と進学率向上への最大の処方せんになることは明白であります。

 よって、私たちは、この学校公開は小中を問わず、子供にとっても親にとっても先生にとっても、落ち着いた教育の妨げとはなるものの、公開の目的としてとってつけたようにうたわれているほどのメリットはないと考えます。

 そこで、提案します。

 任意参加の中途半端な土曜補習はきっぱりとやめて、通常の土曜日授業を港、品川並みにさらにふやし、公開については極力減らす方向で真剣に取り組み、例えば中学校では保護者も一緒に話を聞くような土曜日の総合的な学習の時間は十回のうち二回に縮小特化し、八回は通常どおり授業をみっちり行う。小学校においても同様の考え方を導入するなど、各学校対応をやめて、あくまでも教育委員会主導の当たり前の土曜日授業という形を確立すべきときが来たと考えますが、以上申し上げたことに対し、納得のいくお答えをいただきたい。

 教育問題の最後に、我が会派としてあらゆる機会に述べてきた世界一忙しい日本の先生の負担の軽減策について、どこまで真剣に取り組んでこられたかお聞かせください。そして、今後はどうなのかもお答えください。

 以上、教育の中央区としての確たる答弁を求めます。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。矢田区長並びに理事者の皆様には簡潔にして明瞭かつ思い切った答弁をお願いするところであります。なお、御答弁によりましては再質問をさせていただきます。

 終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 鈴木久雄議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、子育てについてであります。

 子育ての原点は、御指摘のとおり家庭であります。次代を担う子供たちが心身ともに健やかに成長していくためには、保護者が子育ての喜びを感じながら、ゆとりを持って子供を産み育てていくことができるよう支援していく必要があります。家庭内で子育てをしている方々に対しては、育児への不安や負担感を軽減する取り組みが大変重要であると考えております。子ども家庭支援センターでは、育児不安を解消するための相談事業や負担軽減のための一時預かり保育、育児支援ヘルパーの派遣等の事業を行っております。また、仲間づくりや情報交換の場としてのあかちゃん天国、児童館の乳幼児クラブ等の事業も行っており、多くの方々に御利用いただいているところであります。

 次に、家庭内で子育てをしている方々に対する支援のさらなる充実についてであります。

 本年十二月に開設予定の晴海こども園や、京橋二丁目に来年度開設予定の認定こども園において、在宅で育児をしている保護者を対象に一時預かり保育や子育てに関する講座、講習などを実施するとともに、児童館の新設や改築にあわせて、あかちゃん天国を増設するなど、より身近にサービスを利用できる環境整備を進めております。今後も、各種相談やアンケート調査の結果などを踏まえ、区として取り組むべき真に必要な子育て支援サービスを見きわめながら、その質や量の充実に努めてまいります。

 次に、女性の社会復帰への環境づくりについてであります。

 子供が健やかに成長していく上で、乳幼児期は大変重要な時期であり、できる限り親子の時間をつくることが大切であると考えております。一方、人々のライフスタイルや価値観の多様化などにより、育児をしながら働き続けたいと考える女性もふえております。しかし、出産を機に離職された場合、また働きたいと考えても、現在の社会経済状況では再就職は難しくなっております。そうした方に対し、区では再就職支援講座を女性センターで開催しており、応募書類のつくり方や面接の仕方など、実際の採用試験に即した内容となっております。また、働きやすい環境づくりに向け、講演会などを開催し、ワーク・ライフ・バランスの普及啓発に努めるとともに、積極的に取り組む企業を応援するため、アドバイザー派遣や推進企業の認定を行っております。さらに、家庭内での子育てには家族の理解と参加が不可欠であります。そうしたことから、子ども家庭支援センターでは、子育て中の父親や祖父母等も対象とした各種子育て講座を開催しているところであります。今後もこうした取り組みを着実に推進し、子育ての楽しさやすばらしさを実感しながら、充実した生活を送ることができる良好な子育て環境を整備してまいります。

 次に、中央区総合交通計画における地下鉄の位置づけについてであります。

 勝どき・豊海・晴海地区の開発動向により、当地区は基幹的な交通インフラの整備が必要になると考えております。そこで、昨年度、有識者や地元代表者、関係行政機関などにより組織している中央区地域公共交通会議を検討・協議の場として、本区における基幹的交通システムなど、総合的な交通計画の考え方をまとめたところであります。この計画では、基幹的交通システムの整備について道筋を示しておりますが、勝どき駅の混雑など、現状の交通課題への対応を喫緊の課題として、まずはBRTを先行導入し、その後、LRTへと移行する段階的な整備を行うこととしております。整備が望まれる地下鉄の新線については、長期目標として、その導入を検討してまいりたいと考えております。

 次に、交通インフラ整備を検討する協議会の設置についてであります。

 現在、交通インフラ整備の短期的・中期的目標であるBRT、LRTの早期導入に向けて、昨年度の総合交通計画を検討・協議した中央区地域公共交通会議の場において、引き続き検討するための作業を進めております。長期的な目標となる地下鉄新線の計画の実現に向けては、この中央区地域公共交通会議が検討の場になるものと考えておりますが、導入ルートなどにおいては、地元の参画はもとより、隣接する江東区や港区との連携も必要と考えていることから、協議の場の持ち方について検討してまいります。

 次に、地下鉄の延伸整備の御提案についてであります。

 日比谷線の銀座駅からの支線を整備し、臨海部から羽田空港まで地下鉄ルートを延伸する計画は、既存の地下鉄の路線を活用することから、有効な考え方であると理解しております。東京が国際競争力を強化し、東アジア諸国をリードしていくためにも、羽田から臨海部を通り、都心、さらには霞が関まで結ぶ交通インフラが必要不可欠と考えております。地下鉄新線の整備は課題も多く、長期的な取り組みにならざるを得ませんが、本区の交通環境の改善のみならず、観光やにぎわいづくりの観点からも必要なものと考えますので、区議会の御協力をいただきながら国や東京都に働きかけるなどして取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、教育環境整備に関する基礎調査についてであります。

 この調査は、年少人口がふえている中で、さらなる教育環境の維持・向上を図ることを目的に、子供たちの学びの場や生活の場として豊かな人間性をはぐくめる学校づくりの視点に立って行うものであります。現在、教育委員会において、普通教室・保育室に転用可能な余裕教室を実際に転用した際の教育活動上の影響などについて、各校・各園ごとに具体的な検証を進めております。今後は、こうした検証及び基本計画二○○八の見直しの中で行われる人口推計を踏まえ、各校・各園の状況に応じた教室等の具体的な確保策の検討や、増改築に係る条件整理などを基礎調査において実施してまいります。特に、早急に教室・保育室の確保が必要となる学校・園については、近隣公有地等の活用も含めた対応策について具体的に検討してまいります。教育委員会といたしましては、この調査結果を踏まえ、将来的な園児・児童・生徒数の増加に的確に対応し、次代を担う子供たちの良好な教育環境の確保に努めてまいります。

 次に、小学校特認校制度についてであります。

 特認校制度は、保護者の学校選択の幅の拡大と、学級小規模化や児童増に伴う施設の狭隘化の進行を緩和することを目的に、平成二十一年度入学者から導入し、今年度は城東、泰明、常盤、日本橋、阪本の小学校五校で実施しております。保護者の皆様の制度への御理解も広がり、四年間で四百名を超えるお申し込みをいただき、就学者は二百四十名となっております。小規模校である城東、常盤、阪本の三小学校へは七十八名入学しており、小規模化の緩和にも有効なものと認識しております。利用者は増加傾向にあり、本年度は入学者が六十九名と、前年度より十二名、二一%増加するとともに、月島地域から小規模校三校へ運行するスクールバスも二台に増便したところであります。特に、阪本小学校は十五名増加しており、フロンティアスクールをはじめとする小規模校における教育活動に対して、保護者の理解が深まったものと考えております。このような状況において、日本橋小学校では今年度の募集枠を五名といたしましたが、学区域内の児童数が増加したことから、応募者が四名であったにもかかわらず、そのすべてを当初から補欠扱いとするなど、特認校として継続することが困難な事態も生じてきております。

 次に、特認校の新たな特色ある学校づくりについてであります。

 これまで、特認校のうち城東、常盤、阪本の三小学校については、先行的教育研究を行うフロンティアスクールに位置づけて、ICT機器や学校間ネットワークの活用による魅力ある学校づくりを進めてまいりました。今後は、フロンティアスクールでの成果をもとに、ICT機器を効果的に活用した授業のための環境整備を拡大する計画であります。この拡大整備に伴い、フロンティアスクールとしては、新たな魅力ある取り組みが必要であると認識しております。例えば、常盤小学校では、校舎が東京都選定の歴史的建造物であることも踏まえて、本区の特色を生かした日本の伝統文化理解を深める学習を行うことは有力な方法であり、その内容の幅を広げたり、体系化したりして発展させることで、次代を先取りするユニークな教育活動の開発につながる可能性は大きいものと考えます。教育委員会といたしましては、現行の取り組みを超えた新たな特色ある学校づくりを進めるために、国の制度を活用した新教科の設置なども視野に入れ、ダイナミックな取り組みを推進できるよう、多角的に検討してまいります。

 次に、学習指導要領の改訂における授業時間数増加の要因についてであります。

 我が国の学習指導要領は、社会の変化や子供たちの現状を踏まえ、それぞれの時代において最適な教育の実現を図るべく、改訂されてまいりました。平成十四年の改訂では、変化の激しい次代を担う子供たちに必要な生きる力をはぐくむために、教育内容の厳選と授業時間数の削減などを行いました。今回の改訂では、各種調査の結果から、基礎的・基本的な知識・技能の習得について一定の成果が認められるものの、思考力、判断力、表現力等を問う読解力や記述式の問題に課題があるとされており、表やグラフを用いて考えたり、自分の考えをもとに書いたり話し合ったりするなどの知識・技能を活用する学習を中心に、授業時間数が増加されたものであります。

 次に、学習指導要領の改訂時の本区の児童及び生徒の学力についてであります。

 平成十四年の改訂時においては、翌年から実施した到達度診断テストで児童・生徒の学習内容の到達度を把握したところ、小・中学校ともに基礎的・基本的な学習内容の定着は、おおむね良好でありました。今回の改訂においては、平成二十一年から実施している学習力サポートテストの結果により、引き続き基礎的・基本的な内容の定着はおおむね良好なものの、思考力、判断力、表現力を問う問題で課題が見られる状況にあります。教育委員会としては、今後も基礎的・基本的な内容のさらなる定着に加え、その活用を通した思考力、判断力、表現力を伸ばし、児童・生徒一人一人の確かな学力の育成に努めてまいります。

 次に、土曜授業、土曜学校公開についての現況並びに今後についてであります。

 東京都教育委員会は、土曜授業の実施の際には保護者や地域への公開を義務づけております。本区におきましては、中央区教育振興基本計画に基づき、土曜日を活用した学校公開を推進することで保護者や地域の方に子供たちの学習の姿や各校の教育活動への理解を深めていただくとともに、新学習指導要領に対応した授業時間数の確保と学力の定着を図っております。今年度からは、土曜日の授業として、土曜学校公開を拡大し、小学校で年間五回、中学校で年間十回実施することといたしました。御提案の土曜スクール、土曜学校公開、土曜授業等の見直しについてでありますが、まず土曜スクールについては、参加者の確保が難しいことから、今年度発展的に見直しを行い、小学校においては放課後や夏季休業日などに基礎的・基本的な学力の定着を図る補習を実施し、中学校においては、教育センターにおける土曜補習講座を新たに四月、九月、十二月に計七回実施することといたしました。

 次に、土曜授業をふやし、学校公開を減らすことの御提案についてですが、土曜学校公開におきましては、原則として通常の教科等の授業を確実に実施し、保護者参加型の授業を減らすよう、学校に指導しております。また、さらなる実施回数の拡大につきましては、今年度土曜学校公開を拡大したところでありますので、年間の授業時間数や部活動、さらには地域やPTA行事などとのバランスも考慮しながら、引き続き検討してまいります。

 次に、教員の負担の軽減についてであります。

 教員の負担軽減は、学校教育の大きな課題であると認識しております。教員が日ごろ負担を感じる主な仕事としては、文書や資料作成といった事務作業、職員間の打ち合わせや会議、学校外での研修などが挙げられております。

 そこで、教員一人に一台の学校間ネットワークでつながったパソコンを導入し、事務書類等の電子データを学校を超えて教員相互間で活用できる環境を整備するなど、業務の効率化を図ってまいりました。同時に、会議回数の削減や打ち合わせ、準備時間の短縮を図るため、スケジュール管理や情報を共有できるグループウエアを導入しております。研修については、今年度よりOJTの一層の推進を図ることとし、研修計画全体の見直しを進め、回数や時間の縮減を行いました。さらに、これまで拡充を図ってきた区費非常勤講師や小学校の体育指導補助員や理科支援員、学習指導補助員などのマンパワーの活用で、教員一人一人が担う業務量が軽減できるよう努めております。今後とも、児童・生徒の成績や保健に関する情報などを一元管理して利用できる校務支援システムの導入の検討など、ソフト、ハードの両面から教員の負担軽減を図ることで教育活動に専念できるよう、環境の整備に努めてまいります。

 答弁は以上です。

〔二十一番 鈴木久雄議員登壇〕

○二十一番(鈴木久雄議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 ちなみに、点数をずっとつけてきたんですけれども、各項目に対して、全体を通して七十五点から八十点ぐらい、中には百点に近いものもありましたけれども、それぞれ行政が、私どもが言ったことに対して日夜相当努力して、また我々の質問を受けて、さらに考え直して、いい答弁を出したというようなことは感じられたので、その点については大変評価をしたいと思います。ありがとうございました。

 そこで、改めて、まず一言言わせていただきます。

 子育てに関してであります。

 まず、子育ては、親にとってどうあるべきかではなく、子供の幸せにとってどうあるべきかの視点に立って行われるものであり、また、そうでなければならないと私はかたく信じております。これこそ生きとし生けるもの、古来より普遍の事実だと思います。人間のみならず、動物の世界でも同じことで、まれにそれを怠る者もいますが、むしろ本能的にしっかりと、我々人間よりも純粋にそれが行われているのかもしれません。

 昨今、ともすれば親本位あるいは身勝手さによる不幸な状況が目立つようですが、私たちは子供たちにとって本当に幸せな世の中をしっかりとつくっていかなければならないと思い、願っております。これは私の思いであります。

 それで、いろいろ申し上げて、先ほども評価点を申し上げましたが、まだまだ納得のいかない部分については、これから折に触れ、時に触れ、厳しい議論を展開していきたいということを新たに決意いたしましたので、よろしくお願いいたします。

 さらに、ここで一つ、二つコメントさせていただきますが、地下鉄、大変ありがとうございます。これは長期的ですから、十年、十五年かかるかもしれません。そのとおりだと思います。しかし、幸い、オリンピックというのが出てきましたね。これは、要するに国の運輸政策審議会にかけて、そこで認められないとなかなかできないことですから、早々と、吉田副区長、それにのせてもらって認可をしてもらって、その上で、オリンピックと、それからその後の晴海のまちづくりにかこつけて、とりあえず臨海部までは持っていけないから、八年後には晴海まで線を引っ張ってもらうとか、そういう、ひとつ強い志を持って進めていただければありがたいということを要望しておきます。

 教育問題、本当に難しいことです。国が踏み切らなくて、まだ五日制にこだわっている。こういう中で、だとしたら、本当に子供たちの学力を考えるんだったら、やはり中央区は独自に、もっと果敢に進むべきだと私は思っておりますが、その片りんが見えたことは大変ありがたいと思っております。ぜひ頑張ってください。

 中学校ね、本当にどんどん私立へ行くんじゃなくて、我が区の中学校、とてもすばらしい中学校ですから、喜んで、みんなこぞって公立の中学校へ入ってくれるようになるように頑張っていただきたいと思います。

 いずれにしても、家庭の教育力や地域力の低下が言われる中、学校教育の重要性はますます高まってきていますから、その最前線で懸命に教育活動に取り組んでいるのは、学校の先生方であります。その職務の専門性や重責さを思うと、ぜひとも先生方一人一人が元気に力いっぱい活躍ができますよう、教育委員会のさらなる御支援をお願いいたしまして、続いて我が会派の超ベテラン、押田まり子先輩にバトンを譲り、格調高い質問を展開していただくこととなります。矢田区長をはじめ、理事者の皆様におかれましては、明快なる御答弁をなされるよう、私からもお願いをいたしまして、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 次に、二十五番押田まり子議員。

〔二十五番 押田まり子議員登壇〕

○二十五番(押田まり子議員)
 自由民主党の押田まり子でございます。本当に久しぶりの質問なので、多少緊張はいたしておりますが、私はさきに石田議長さんに通告をいたしました質問の順序に従いまして御質問させていただきますので、どうぞ区民の立場を大切にしながらも、理事者としての立場をきちんと踏まえて、誠意ある、そしてわかりやすい御回答をよろしくお願い申し上げます。

 まず、近年の本区の動きを見てまいりますと、人口の増加による構成比の変化などもありまして、区民の要望もかなり変わってきています。私が議員になりました昭和五十八年には、本区の中は地上げと底地買いが横行しておりました。借地や借家も多かった区内で、地上げ屋の巧みな手口に乗って自分の家や土地を手放す人が後を絶たなかった。くしの歯がかけたように、まちのあちこちに空き地や空き家が目立ち始めて、区内でみんなに送別会をやって、そして他区に行って新築祝いに呼ばれる、そんな日が続きました。このままでは、まちがまちでなくなってしまうと、そういう危機感を持ちながらも、新しい環境に移って、今よりももっと広い住環境を得て喜んでいる人たちを見ると、とめるすべもありませんでした。行政も、これといった解決策もなかなか見つからずに悩んでいたと思います。しまいには、休日にもまちの中で子供の声がしなくなった。本当に寂しいまちになってしまったなというふうに思います。私のおります新川の明正小学校は、入学式が行われない年がありまして、欠学年ができてしまいました。

 本区の人口の動きをずっと見てまいりますと、平成九年四月には七万一千人強まで落ち込んでしまって、まちの中も活力が出てこなくなりました。矢田区長さんが就任をなさった昭和六十二年、八万五千人弱の人口でございました。

 これを受けて、昭和六十三年一月一日に、定住人口回復対策本部が立てられた。そして、それは人口十万人を目指した定住人口回復元年になったわけでございます。私、そのころは、こんな夢みたいな話が実現するのかなと少し思っておりましたが、平成十八年四月に、本当に三十一年ぶりに見事にそれがなし遂げられたんです。

 この間は、行政も、それから私たち議会も一丸となって人口回復に取り組みました。あらゆる知恵や工夫を出し合ったんです。オフィスビルが乱立し始めた区内に、附置義務の住宅であるとか、コミュニティファンドの設置、さらには区立住宅の建設などです。きょうとかあしたに効くような特効薬はなかったんですが、本当にじわじわと効いていく薬や注射のものを区内に施していきました。

 しかし、限られた十キロ平方の土地の中に十万人の人を住まわせるというのは、並大抵のまちづくりではなかったと思います。必然的に、上に伸びていくのも仕方のない部分がありましたし、横のつながりが希薄になってきたという弊害も出ました。しかし、これらのことをすべて現実としてとらえた上で、本区は新しいまちづくりに歩みを進めてきたわけでございます。近年の動きを見ていますと、住民が増加をいたしましたから、区民税も上がってきたんですね。しかし、昨今の景気の低迷は、区の財政にも影響を与え始めております。

 こういった変遷の中で、区民の要望をと考えていきますと、ハード面では、若年層がふえてまいりましたから、子育て環境の整備とか、また教育環境の整備、そして高齢者の方たちの施設整備など、多岐にわたる問題を抱えています。さらに、ソフトの部分では、今までと違った区民サービスも求められて、充実とか見直しが図られてきています。

 いずれにいたしましても、施策を実施していく場合には、住民にきちんと説明をして理解が得られなければ、いい区民サービスは行えないと思います。ひところは、今よりももっと頻繁に説明責任という言葉が使われました。少し気取ってアカウンタビリティーとか、責任という意味でレスポンシビリティーという言葉が使われて、はやったものです。

 この説明責任について、何点かお尋ねをさせていただきます。

 まず、行政が施策を企画・立案・実施していく場合に、どの段階でどこに説明をしていくかということ、これは非常に難しい問題なんですが、大事なことだと思います。行政、議会、区民、プレスと、さまざまな立場がありますが、この立場に対する説明がばらばらだったり、ある意味、ルールがなかったりすると、問題が起きやすい。住民の方、まちの方は、議会は行政のやることを何でも知っていると思っていらっしゃいますが、私どもは逆に、まちから施策について聞かされてしまうこともある。このことについて、今、それを追及しようとは思いませんけれども、行政が説明をしていらっしゃる場合には、どこにどういう説明をどういう順番でしていくということが重要なのかということをここでお尋ねしていきたいと思っています。

 それから、説明の順序というか、施策を立てたときに、どの時期に説明をしていくか、これも大事なことだと思います。早ければいいというものではないんですね。しかし、形ができなければ説明はできないのはわかりながらも、余り遅くなりますと、まちにうわさが流れてしまったりして、逆に住民の方から疑問を投げかけられたり、問題提起をされることがあるんです。こうなってからの説明は非常に難しいと思います。何で今ごろになってとか、今ごろ説明されても意見を聞いてもらう場もないじゃないかと、行政に対立姿勢が生まれたり、また、行政に不信感を持たれたりすることがあります。説明というのはケース・バイ・ケースだというのはよく理解できるんですが、多くの場合には、どのような段階で、どこに順序立てて説明をしていったらいいのか、このことについてもお考えを伺わせていただきたいと思います。

 次に、情報の管理ということなんです。

 これは、行政の説明ですから、できる限り公平性を持つという意味で、情報の管理も大切なことではないでしょうか。説明責任と一見相反するようだと思いますが、この管理がきちんとなされていませんと、ある人が偶然に何かの事情で知るはずのない情報を得てしまった。それが流出をしてしまったり、また、新聞報道などによって私どもが行政の施策を知ることもある。やはり行政のやる説明責任とか公平性を考えたときに、こういうのに関しては、できる限り公平に、公正に、そして正しい順番をもって流れていくということが必要だと思いますが、これについてもお考えを伺わせていただきます。

 それから、説明の内容と表現方法について、最後に伺います。

 これは、私どもの議会や何かで割と特別な言い回しをしていることがありますが、説明というのは、私は、わからない人にわかってもらうためにするのが説明だというふうに思うんです。だから、対象によっても、これはきちんと言葉とか内容も選択をされていかなければならないというふうに思います。議会とか行政は、意外に特別な用語をふだん使っていることもあるんですね。これらは、住民に対する説明にとっては不適当だというふうに思います。私が一期になったころ、自分のまちで中央大橋の架橋の問題が起きた。このとき、まちで反対運動なんかが起こりまして、非常に悩んでいたものですから、友人に、「私のまちには架橋の問題が起こって困っているの」と言うと、「えっ、中央区って、そんなに中国の人が多いの」と言われてしまった。「かきょう」違いの笑えない話があったんですが、やはり橋をかけるという言葉は、ふだんまちでは耳にするんですが、架橋という言葉はやはり余り耳なれないのかなというふうに思いました。特別養護老人ホームを特養と呼び、社会教育会館を社教という。こうやって略す言葉もいっぱいありますし、特別な言い回しもあるわけです。そして、さらに、説明文章とか説明の部分で驚くほど横文字も多いんですね。それで、なぜこれが英語の表現でなくてはならないのか、たまにはフランス語もあるわけですけれども、日本語で十分に表現できるのではないかと思うときもあります。そういうのに限って、米印か何かで空欄に注釈とか訳とか書いてあるわけです。英語のほうがきちんとした説明の言葉でうまく伝わるというのがあることは認めながらも、それ以外のところはきちんとした日本語で表現すべきではないでしょうか。これら特別な言い回しとか横文字の多いものは、文章で見てもわかりにくいし、耳で聞いても理解しにくいんです。それはいい説明とは言えないと思います。私、最初に申し上げましたように、説明というのは理解をしてもらうため、わかりやすいことが一番だというふうに考えておりますので、説明の内容とか用語の用い方についてどのようにお考えになっていらっしゃるかお尋ねをしたいと思います。

 次に、国際理解教育とか国際化ということについてお尋ねをいたしますが、最近、国際という言葉が非常に使われるようになりました。

 まず初めに、本区の考えていらっしゃる国際社会、国際人というのはどのようなものなのか、大変抽象的なお問い合わせをいたしますが、お答えをいただきたいと思います。

 国際理解教育というと、まず最初に考えられるのが英語教育です。この英語教育はとても大事だと思いますよ。自分の意思を相手に伝えることもできるし、相手の考え方を知ることもできる。とても大事なものだとは思いますが、国際社会にとって、これは一つの手段だというふうに私は思っています。語学が堪能であるということは、国際社会の中では大変重要な条件の一つではありますが、それ自体が目的ではないはずです。やはり相手の文化とか生活とか、そういったものをきちんと理解することが必要なのではないでしょうか。

 新川の明正小学校に、平成三年から平成十五年までの十二年間、リセ・フランコ・ジャポネというフランスの学校が来ました。そのときに、明正のPTAの人たちは、生活や風習の違いから、リセが来たことを非常に困ったことになったなというふうに思ったんです。PTAの人たちにとって、日本人のお母さんや先生は非常にお行儀がいいんですね。だけれども、フランスはというと、先生たちは机の上とかテーブルの上に腰かけて平気で授業をする。子供たちは、放課後にお菓子を買ったりして、まちを食べながら歩いたりとか、また、ガムをかんで平気で歩いたりするわけですね。一つ一つが驚き、困惑をすることばかりでございました。しかし、子供たちの順応性というのは驚くほど速かったんです。すぐに、キャーキャー言って一緒に遊ぶようになったりとか、私が行事で学校に行きましたときに、両校の生徒さんが、こうやって並んでいらしたんですね。そこで、リセの子供たちがすごく騒がしかった。そのときに、明正の子供が「しっ」と言ったのがいるかと思うと、「シランス」と、フランス語で静かにという単語を言ったのには非常に驚かされました。

 平成十五年にリセが移っていった後も、七月の上旬に二週間ですか、一学年五人の三十人の人たちが、今でも体験入学として明正小学校を訪れてきています。両校の間には、今でもいい交流が続いているんです。さらに、PTAの中にフランス文学の教授がいらっしゃいまして、長い時間にわたって子供たちにフランス語を指導してくださっています。これも国際理解教育の一環だというふうに思います。

 何年か前にはペルー人の子が転校してきました。この子はスペイン語しかしゃべれないんです。だけれども、最初から子供たちは仲よしでしたし、教育委員会の御配慮もあって、今では何不自由なく楽しい生活を送っています。

 これらは言語から入った国際理解教育ではありません。生活から入った国際理解教育だと思っています。その国を理解するということは、その国の文化、風習、生活、一生懸命にそれを考えて理解をすることも必要なんですが、それと同時に、言語のようにその国との違いを認め合うということも必要だというふうに思っています。本区の考えていらっしゃいます国際社会の形成や国際人の育成、どのようにお考えなのかお尋ねをしたいと思います。

 また、国際理解教育の一環といたしまして、外国人の講師あるいは関係機関の方々をゲストティーチャーとしてお招きをして、体験的な学習がなされているというふうにおっしゃっていますが、このことについて、この事業をどのように評価なさるのか、今後についてもお尋ねをさせていただきます。

 この問題の最後に申し上げたいのは、相手の国を理解する国際理解ということについて、一番大事なことは、自分の国に対する誇りとか愛、そして理解だというふうに思っています。ですから、そのためにはきちんとした国語教育がなされなければなりません。そして、自分の国の文化とか生活を理解して、それが基本になければならないと思っています。真の国際人の育成と聞くときに、真の国際人ってと引っかかってしまうことがあるんですね。我が区の国際理解教育では、言語教育にとどまらずに、日本という国をきちんと理解できる、そして、それを前提として言語教育が行われたら、国際人に近づいていくような気がいたしますが、総合的な国際理解教育というものについて、行政のお考えを伺いたいと思います。

 次に、古くて新しい問題、男女共同参画についてお尋ねをいたします。

 本区では、昭和五十八年に情報公開・婦人問題主査が設置をされまして、それから長い間にわたって、男女共同参画という言葉が言われてきました。そして、それが、例えば混合名簿に対するあり方であるとか、ジェンダーフリーという言葉がどういうふうに理解したらいいのかとか、さまざまなところで論議はされたんですが、あたかもこれが時代の最先端を行く事業のように言われていたこともあります。しかし、社会も変わりまして、女性の社会進出、子育て環境などが整備されてきますと、男女共同参画ということも余り大声では言われなくなったと思います。個々の事業に対しては非常に理解はあるんですが、男女共同参画事業の推進などという漠然とした事業名には、重要と感じる関心度も理解も極端に低いんです。平成二十三年六月の世論調査でしたか、この事業に対する重要度と考えてみると、重要度は四○%という最下位だったんです。このランクというのは、ずっと長い間変わってきてはおりません。せっかくの施策も、こんなに認知度も関心度も低いとしたら、残念としか言いようがないんですね。

 行動計画二○○八というのがありました。この中で、ブーケ21を開設し、中央区は男女共同社会の実現に積極的に取り組んでまいりました。また、本区の特性をとらえて、社会経済情勢を見詰め、適宜見直しを図ってきましたというふうに書いてあります。

 まず初めに、この長いスパンで行われてきた男女共同参画の事業に対する評価と、せっかく行動計画二○○八を立てられたわけですから、この事業に対する評価もあわせてお尋ねをしたいと思います。また、この中で、本区の特性をとらえてとありますが、本区の特性というのはどのように考えておられるのか。さらに、この問題の最後に伺いたいのは、認知度、関心度、この低さをどのようにとらえておられるか、また、さらにこれに対する解決策みたいなものを考えておられるんでしたら、伺わせていただきたいと思います。

 次に、ブーケ21についてお尋ねをいたしますが、ここは各種の相談とか講演、さらには団体の活動拠点になっているわけでございます。利用条件も、最初のころは女性しか使えませんでした。それが、今では男性も使えるようになって、さまざまな使いやすい御努力をなさってきているとは思います。また、ほかの自治体と比べましても、これだけ立派な女性センターというのはなかなかないんですよ。しかし、その利用率とか認知度を考えると、これは余り高くないと思います。男性の方は、六割以上の方が、女性センターなるものがあることも御存じないんですね。

 このブーケ21について幾つかお尋ねをさせていただきますが、ここでは施設を貸す貸し館事業と、また講演、講座などをやるセンター事業に分かれます。

 センター事業、前年は四十五回行われておりました。この回数の出席者数とか内容も含め、このセンター事業についてどのように評価をしておられるのか、また、新しい事業もさまざまに考えておられるのかについてお尋ねをさせていただきます。

 次に、研修室を借りて登録団体などが活動しておりますが、研修室の利用についてもお尋ねをさせていただきます。

 登録団体というのはブーケにあるんですが、これが九十五団体です。人数にすると千六百人ぐらい。そして、中央区には三館の社会教育会館がありますが、この登録団体は五百九十八団体です。人数にすると九千三百人ぐらいいらっしゃるんですね。単に数字の比較だけはどうかなとは思いますけれども、原因はと考えてみることも必要なのではないでしょうか。七割減免の登録団体、ちょっと申し上げにくいんですが、かなり年齢も高目だなというふうには感じます。もっと多くの人々に、個人利用も含めて使っていただけるような方法は考えられないかと思いました。

 例えば、若いお母さんたちが集まって、そこで情報の交換をしたり、いろいろなことを教え合ったり、そんなことにも、個人利用も含めて使えないのかなと思ってお尋ねをしましたら、返ってきたお答えが、「ここは研修室でございます。研修室ですから、研修とか勉強にお使いになるのは結構なんですが、集会はどうも」という御見解でした。勉強という定義をどこに置くかというのは非常に難しいところだと思いますよ。もっと弾力的な考え方をして、ここがうまく利用できるような方法を考えていくべきだと思っています。登録団体以外の団体というので使っているのを見ますと、会社とかサークルとかで、まちの方というのは本当に少ないんだという話を聞きました。

 これらすべてをとらえて、ブーケ21の現況、それから今後についてどのようなお考えをお持ちかも伺わせていただきます。それで、これがこういう利用ができるようになれば、例えばPTAのお母さんたちとか、そういう人たちが集まっているところに、もっともっと使えるようなPRもできるはずですので、その辺も含めて、今後の見通しをお聞かせください。

 次に申し上げたいのは、我が会派はずっと申し上げてきておるんですが、ここを利用しての預かり保育というのはできないのかなと思います。なかなかいいお答えが返ってこないんですが、港区などは、女性センターではありませんが、使われなくなった幼稚園を使って預かり保育をし、その間にお母さんたちがさまざまな活動ができるというシステムもあるそうです。このブーケ21を利用しての預かり保育、どのようなことができるのか、お考えもお聞かせください。

 さらに、これもずっと申し上げてきたことですが、民間の知恵をかりる、指定管理者制度は考えられないかなというふうに思います。単に館の管理運営だけではなくて、センターの事業などについても、私たち行政にはない発想を指定管理者が持つということも考えられると思いますので、その辺のところも含めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 これをもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 押田まり子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、行政の説明責任についてであります。

 行政の役割が複雑・多様化する中、地域におけるさまざまな課題を区民の参画と協働のもとで解決していくためには、区の考え方を適時・的確に区民に説明し、相互の信頼関係を築いていくことが不可欠であると認識しております。まず、説明の順序、時期等につきましては、庁議等を経た上で、区民の代表機関である議会に報告し、御意見を伺った後、区のおしらせやホームページ、報道機関などを通じて広く区民に公表することとしており、今後もこうした手順を基本としていく所存であります。加えて、区民生活に深く影響を及ぼす施策等につきましては、パブリックコメントにより策定過程での区の考え方を区民に説明し、その意見を反映させているほか、計画から実施に至るまでの節目をとらえながら、必要に応じて地域への説明会を開催するなど、できる限りきめ細やかな対応に努めているところであります。また、わかりやすい表現につきましては、平成六年に「分かりやすく親しみやすい ことばの手引き」を作成し、安易に役所言葉や横文字などを使わず、区民の立場に立った言葉遣いや文章づくりに取り組むよう、指導してきたところであります。

 確かにね、横文字、これは余り使い過ぎると、やはり何か隠しというか、ごまかしているのではないかというようなね、横文字にすることによって、そういうような誤解を与えるところもあるでありましょうから、多用は避けるべきであろう、こういうふうに思っているところでございまして、どこかの総理も「ネバー・ギブ・アップ」と言った後、「ネバー、ネバー、ネバー」と三回言ったということですけれども、あれも、チャーチルは最初、「ネバー・ギブ・イン」と言ったらしいですね、本当は。だから、使うなら正確に引用すべきであるというようなコメントをどこかで読みましたけれども、いずれにしても、余り多用しないほうがいいであろう、こういうふうに思うわけであります。やはり区民がわかりやすい言葉、これが必要であろう、そういうふうに、特に日本語で正確に述べるということが必要ではないか、こういうふうにも思うわけであります。

 今後、手引きの内容の見直しを図りながら、研修等を通じて、再度、職員に指導徹底してまいります。区民と正しく情報を共有し、その理解を得ていくことは、区政を円滑に推進するために極めて重要であります。今後とも、不確実な情報や難解な表現により区民に誤解や混乱が生じることのないよう、適正な情報管理のルールのもとで、公平・公正かつ丁寧な情報提供に努め、区議会の御理解、御協力をいただきながら、行政の説明責任を果してまいりたいと存じます。

 次に、男女共同参画事業についてお答えします。

 中央区男女共同参画行動計画二○○八では、本区の特性を多くの事業所が立地する地域性や子育て世代を中心とした人口増加などととらえ、ワーク・ライフ・バランスへの取り組みや、保育所の整備をはじめとしたさまざまな子育て支援策の充実に取り組んでまいりました。こうした中、子育て支援策などは順調な事業展開を進めることができた反面、事業者へのワーク・ライフ・バランスの普及促進など、十分達成できていない課題も残されております。今後は、行動計画二○○八の達成状況などを検証し、中央区男女共同参画推進委員会での議論も踏まえ、これからの時代に求められる施策の方向性について、広く区民、議会の御意見もいただきながら検討してまいります。

 次に、区民の認知度、関心度の低さについてであります。

 男女共同参画は、あらゆる区の施策に反映されるべき理念であり、施策としてのまとまりや印象が薄くなる嫌いがあります。また、働く女性への支援など、狭くとらえられ、すべての人が尊重され、能力を発揮できる社会という認識がなかなか広まらなかったためではないかと考えております。男女共同参画社会の実現のためには、あらゆる人々に御理解いただくことが大切であり、より一層の啓発活動を進め、男女共同参画への意識がより高まるよう取り組んでまいります。

 次に、女性センターブーケ21の効果的な利用についてであります。

 最初に、講座の参加者数を含めた評価です。

 講座の参加者数は、定員に対して約七○%以上で、中には定員を上回る参加者がいる講座もあり、おおむね順調に運営されているものと存じます。今後も多くの方に御参加いただけるよう、各種講座の充実、PRに努めてまいります。

 また、施設を有効に活用するため、登録団体が使用していない時間につきましては、その他の団体に研修室等を御利用いただいており、勉強だけでなく集会でも使用されております。町会等、まちの方の利用実績が少ない原因といたしましては、女性が利用する施設というイメージから、男性の方が利用しにくいことが考えられます。女性だけでなく多くの人に女性センターを知っていただき、御利用いただくことは、男女共同参画への関心度を高めることにもつながり、とりわけ若い世代の参加は、将来に向けて、よりよい社会を実現していくためには必要不可欠であります。今後は、さらに施設の周知を図るとともに、女性センターの設置目的を踏まえつつ、参加登録団体数の拡大や若い世代の活動の場としての活用を図り、利用しやすく、参加しやすい施設運営に努めてまいります。

 次に、預かり保育についてであります。

 女性センターでは、区が実施する昼間の講座については、お子様連れでも御参加いただけるように、すべて無料で託児を行っております。また、研修室を利用して行われる自主的な活動の際にも、お申し出いただければ保育室を御利用いただいているところであります。一時預かり保育につきましては、人員配置、そして施設両面で一定の規模がある保育所や子ども家庭支援センター等で実施したほうが安定的、効率的に運営できると考えております。女性センターで一時預かり保育を実施する場合、届け出を行い、施設、人員を整備する必要があります。また、無料の託児と有料の一時預かり保育が混在するなどの問題もありますので、今後、託児や一時預かり保育のニーズを見きわめながら検討してまいります。

 最後に、指定管理者の導入についてであります。

 館や講座の運営に民間の発想を取り入れることは有益であり、現在、民間館長の登用や区民事業協力スタッフなどの参画を得て、運営に努めているところであります。こうしたことから、指定管理者の導入についても、他自治体の動向や運用実績を見きわめながら、さまざまな角度から検討し、判断してまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、国際社会と国際人についてであります。

 まず、国際社会についてでありますが、経済や社会のグローバル化が進む中で、歴史や文化への相互理解を通して互恵の精神、共生の理念を共有できる国際社会が望ましいものと考えております。また、国際人とは、国際社会に生きる日本人としての自覚や、伝統文化に対する愛情と誇りを持つとともに、異文化や異なる文化を持つ人々を受容し、共生することができる人と考えております。

 次に、本区のこれからの国際社会の形成や国際人の育成についてであります。

 国際社会の形成においては、社会を構成する人々の国際人としての自覚や態度がとても重要であります。そのためにも、幼児期よりさまざまな人々との触れ合いを通して、思いやりの心や他者を尊重する態度をはぐくんでいくとともに、自分の考えや意思を的確に表現する力を身につけ、人と人との相互理解を深めていくことが大切であると考えます。本区では、このような考えのもと、各学校・幼稚園でゲストティーチャーを招いた国際理解教育を積極的に行ってまいりました。子供たちは、さまざまな人々や文化に触れ、他者への理解が図られるようになるとともに、日本の伝統や文化を尊重しようとする態度がはぐくまれてきました。また、交流を通して自分の考えを相手に積極的に伝えようとするコミュニケーション力も育ってきています。国際理解教育の推進を図るためには、自国の文化や歴史、伝統を正しく理解し、自国への愛着と誇りを持つことが何より重要であります。自己理解があってこそ、他者理解が進むものであり、また、子供たちの思考力、判断力、表現力を育成することが、より一層相互理解を深めるために重要なものであると考えます。今後も、国際理解教育の充実に向け、子供たちが日本の伝統や文化の正しい理解の上に、国際社会の一員としてどのように生きていくかを考え、みずから進んで行動しようとする態度をはぐくんでまいります。

 答弁は以上です。

〔二十五番 押田まり子議員登壇〕

○二十五番(押田まり子議員)
 伺っておりますと、比較的積極的な御答弁をいただいたので、鈴木議員のように点数はつけませんけれども、かなり満足をしておりますことを、まず最初にお伝えいたします。

 説明責任ということなんですが、私どもは民間の方たち、いろいろな方たちの意見を吸い上げて、できるだけ行政の施策に反映させていきたいという役目を持つ一方で、行政の考えとか施策をまちの方に説明するという立場もあるわけです。ですから、行政が説明責任を持つのと同じように、私たちにも説明責任があるわけで、ですから、最初に申し上げましたように、説明の時期とか順序とか、それから情報管理などをきちんとしていただきながら、いいぐあいにお互いが説明責任を果していけたらいいなというふうに思っています。

 易しい説明、わかりやすい説明ということで、区長さんからもるる御答弁がありましたけれども、昔の大学教授の話がありまして、その方は、書いた文章を世間に発表、これは論文ではなくて発表するときに、昔のことですから、中学を出ただけのお手伝いさんがその方の家にいた。その少女にその文章を読ませて、彼女がきちっと理解をできたときに初めて社会に発表したという話があるんです。やはり説明をわかりやすくする。どうしてかというと、区民サービスを行うためには、きちんとした住民の理解が得られなければ、いい区民サービスとは言えないわけですから、これから先もその説明責任がきちんと果たせるように御努力をお願いしたいと思っています。

 それから、国際理解教育についてなんですが、今の児童・生徒さんというのは、私たちの年代と比べて、外国の方を見る目も、それから英語に対するコンプレックスも非常に少ないと思います。ですからこそ、自然な交流ができるわけですから、こういった時代に、やはり一番必要なのは、日本という国をきちんと理解して、きちんとした正しい日本語が話せる、そういう児童・生徒さんたちを育成していってほしいなというふうに思います。

 欧米諸国は国境を接しているんですが、英語を共通語だという認識はあるんですが、自国の文化とか、それから言語に対する誇りはすごく大きなものがありまして、御承知のように、フランス人は、フランス語は世界で一番美しい神の言葉だと言い切るんですね。今はそんなことはないんですけれども、四十年ぐらい前にあそこの国に行きますと、空港でもホテルでも、ちゃんとしたところでも、わかっていても英語を話してくれる人はほとんどいなかった。そんな、やはり自分の国に対するプライドがあるところです。

 これから世界というのはどんどん狭くなってくると思います。そういったときだからこそ、本区の国際理解教育が言語教育のみにとらわれ過ぎずに、きちんとした日本人が国際社会に対応していける、そういう国際人を育てていってほしいなというふうに思っています。

 最後に申し上げました男女共同参画なんですが、私はこんな言葉がない社会が一番いいなというふうに思っています。婦人参政権の時代からずっと変わってきてはいますけれども、今でも、女性の中も社会も、そしてシステムもそうなんですが、女性を弱者として見るということは、これはやはり残っていて、変わらないところだと思います。私、昔からクォーター制度とかそういうものはすごく嫌なんですね。逆に言うと、ばかにしているんじゃないかなと思います。だって、こんなに区議会の中だって女性の議員の方がふえていらっしゃる。ここで何人女性を使わなきゃいけないとか、入れなきゃいけないって、そういう話じゃなくて、ふさわしい人を選んでみたら、十人のグループのうち十人が女性だっていいわけで、選んでみたけれども、ここでは一人もいなかったと。そういう自然な考え方がなぜできないのかなと、少し残念に思っています。

 ブーケ21もそうですが、私、最初に女性だけしか使えない施設をつくることに、建設の前から議員になっていましたから、本当は反対だったんです。しかし、あんな立派な建物ができたわけですよ。そうしたら、これを最大限に利用しなければ、卑近な例えで言うと、宝の持ち腐れだなというふうに思います。預かり保育とか、さまざまなことも申し上げましたけれども、預かり保育もそうなんですが、日本橋と月島にはあるけれども、やはり身近なところにあるのがいいなという意味で、何かを建ててくださいということではなくて、ある施設を使って工夫ができないかなということで御質問申し上げているわけで、そういうときはなるべく部署を超えて、この施設を利用しようというぐらいの発想を持っていただけるといいなと。指定管理者についても同じことを思っています。

 江戸時代の狂歌に、「日の本は岩戸神楽の時代から、女ならでは夜の明けぬ国」という、天の岩戸をもじった歌があります。そこまで女性はうぬぼれてはいけないんですが、男尊女卑でもなく女尊男卑でもない、お互いの違いを認め合いながら、男女共同参画なんて改めて言わないような社会が来るように、これからは行政のほうでも御努力をいただきたい、私どもも努力をしていきたいというふうに思っています。

 いろいろ申し上げましたが、今の風潮は、結構、社会だけではなくて、行政もそうなんですが、パフォーマンスのように派手なことが認められるという風潮がすごくあるんですね。でも、パフォーマンスというのはどう見せたいか、どう見られたいかです。行政に求められているのは、どうしたいかなんですよ。だから、住民の意見をきちっと取り入れて、どう見られたいかではなくて、どうしていったらいいかということ、どうしたいかをきちんととらえた上で、堅実な、あすに向けての行政運営がこれからなされることを心から期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時三十五分 休憩


午後四時五十五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十五番墨谷浩一議員。

〔十五番 墨谷浩一議員登壇〕

○十五番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、平成二十四年第二回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し、質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 私は、東日本大震災の教訓を踏まえ、建物の耐震化や防災の備えなどのインフラ整備は、減災として必要と考えております。現在、公明党は災害に強い国づくりと経済活性化を目指し、十年間で百兆円を集中投資する防災・減災ニューディール政策を提唱しています。国民の命を守るため、社会資本の老朽化対策や防災・減災対策を計画的に行うものです。橋などは、予防的に修繕して寿命を延ばしたほうが、中長期的に見ればコストを抑えることになります。実際に震災などが起きた場合にも、補強されていれば被害を減らすことにつながります。

 それでは、今後の防災教育の取り組みとしての防災学習・研修拠点の整備についてお伺いいたします。

 子供たちに対する地震や津波などの防災教育は、今まで以上に充実させる必要があると感じております。本年五月十日木曜日、市民防災と子育て支援の拠点である、新潟県にあるながおか市民防災センターにて、長岡市危機管理防災本部の方々の話を聞いてまいりました。新潟県中越大震災の発生は、平成十六年十月二十三日土曜日午後五時五十六分で、マグニチュード六・八、最大震度七でした。開業以来初めて脱線した上越新幹線や、液状化で浮き上がったマンホールが約千三百あったことや、道路と橋の間に多数の段差が発生したことなど、多数の貴重な写真を通してお話をいただきました。

 ながおか市民防災センターは、市民防災の拠点として、平常時は防災学習・研修拠点施設に、災害時は災害対応拠点施設となるように設計されています。また、保育士のいる公園として、長岡オリジナルの全国初の施設として注目をされています。主な特徴として、平常時には、だれでも学べる防災学習コンテンツ等の提供、体験型学習、訓練などができます。防災研修の開催や防災関係団体等の活動拠点として活用されています。大規模災害時にはボランティア等の災害活動支援拠点、災害情報の提供などがされます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区でも、ながおか市民防災センターのような防災学習・研修拠点の整備について必要と考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、防災拠点である避難所の環境整備についてお伺いいたします。

 長岡市で伺った話では、新潟県中越大震災の経験のもと、防災対策に取り組んでいる。そして、避難所の環境整備を既存の小・中学校八十七校に、平成十七年から十九年度の三カ年計画で整備しています。主な環境整備は、体育館にケーブルテレビ、電話、LANの端末装置、トイレの洋式化、受水槽に蛇口を設置するなど、災害時の避難場所として、高齢者、障害者などの補助が必要な方のことも考えた施設整備がされています。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区でも、長岡市で取り組んできた防災拠点である避難所に、だれでも安心して避難できる環境整備のより一層の推進を考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、災害時における在住外国人に対する情報支援策の実施についてお伺いいたします。

 長岡市では、新潟県中越大震災の発生後に長岡市臨時災害対策用FM放送局の開設をして、避難生活を送っている被災者等に対し、災害対策情報や被災者の救援のための生活関連情報等のきめ細かい情報を提供した模様です。それは、FM放送局を利用して、在留外国人向けの放送も実施しています。言語は、英語、中国語、ポルトガル語などで、神戸市にあるFMわぃわぃから、被災地の外国人に向けて多言語の情報を放送するため、音声素材の提供を受け、活用しています。在留外国人向け放送は、一日二回、午後四時五十分、午後七時五十分に放送を実施したそうです。長岡市には約二千百人の外国人が在住していたようです。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 平成二十三年版中央区ポケット案内によりますと、外国人登録人口は五千四十七名の方が登録をしていることがわかります。また、災害時には海外の観光客が避難所に避難をすることも想定されていると思います。本区でも、長岡市のような在留外国人向け放送を災害時に行う整備を進めるべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、無電柱化・共同溝化の推進についてお伺いいたします。

 無電柱化・共同溝化のメリットは、電柱がない分、歩道が広がり、安全で歩きやすい歩行空間を生み出します。また、上空に張りめぐらされていた電線がなくなるので、都市の景観向上にもつながります。そして、台風や地震などの災害時に万一電柱が倒れたり、電線が垂れ下がったりするといった危険が減少し、緊急車両の通行も可能になります。阪神・淡路大震災の際は、地上の電話回線の被災率が地中の回線に比べて約八十倍だったとのデータが示すとおり、無電柱化・共同溝化のメリットがあります。本区の無電柱化率は四二・七五%と、二十三区内でトップであります。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 より一層の無電柱化・共同溝化について取り組むべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 続きまして、自転車対策についてお伺いいたします。

 自転車対策については、都市づくりを踏まえた総合的な観点が必要であると思います。健康増進をはじめ、節約や二酸化炭素排出量の削減などの効果が期待される自転車は、持続可能な都市づくりに欠かせないというのが先進諸国の共通認識であります。このため、欧米は早くから自転車利用の環境整備に着手しており、最も自転車施策が進んでいるオランダは一九六○年代に、デンマークは七○年代、米英は九○年代に本格的な取り組みを開始しています。

 警察庁によりますと、全体の交通事故発生件数は減少していますが、自転車対歩行者の事故は、二○○○年が千八百二十七件だったのに対し、二○一○年には二千七百六十件と、約一・五倍に増加しています。エコブームや健康志向などの高まりなどで通勤手段として注目をされる自転車、東日本大震災発生時の交通機関の混乱を教訓に、利用者はさらに増加すると予想されています。

 そこで、第一点目に、児童向け自転車交通ルール学習施設についてお伺いいたします。

 目黒区にある衾町公園児童交通施設の広さは約二千二百四十三平方メートルで、中学生以下を対象にした交通ルールを身につけられる施設があります。先日、施設を見学しましたところ、小規模でありますが、信号機や横断歩道などがあり、補助輪つき自転車などの貸し出しもされていました。主に、児童が保護者と遊びながら自転車の練習や交通ルールを学んでいるとの印象がありました。年間利用者は、平成二十三年度では二万二百三十四人です。このような児童向け自転車交通ルール学習施設について、本区でも必要と思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、自転車運転免許証制度についてお伺いいたします。

 荒川区では、交通事故防止と放置自転車をなくすための取り組みとして、安全な自転車の乗り方や交通ルール、自転車マナーを学び、子供のころから社会ルールを守ることの大切さを身につけることを目的に、自転車運転免許証制度がスタートしています。対象は、小学校四年生以上の方で区内在住・在勤・在学の方となっており、自転車のルール、マナーの向上に寄与しているようです。また、荒川区内で発生した事故全体の六○%が交通違反やマナー違反によるものであったとの調査もありました。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 自転車の交通ルールやマナー向上の取り組みとして、自転車運転免許証制度の導入なども大切なことと考えますが、区長さんの御見解をお教え願います。

 次に、自転車の走行環境の推進についてお伺いいたします。

 警視庁が地域住民と協力して自転車ナビマークを設置する取り組みを始めているとの報道がありました。自転車ナビマークは、自転車のイラストと進行方向を示す矢印の長さ四メートル、幅四十センチで描いていて、自転車通行に適した場所を、自転車利用者のほか、車のドライバーなどにも伝える効果が期待されております。既に、自転車ナビマークが導入されている西葛西駅周辺に訪問してみました。車道の左側にベース色の青色塗装で自転車専用の白文字と白色自転車ナビマークが標示されており、ドライバーも自転車を運転する人もわかるようになっていて、自転車ナビマークがない車道を走るより安心感があると感じました。しかし、矢印と反対に走行する自転車もあり、ルール徹底は必要と感じました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本区でも、関係機関と連携をとり、自転車ナビマークの取り組みを加速すべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、児童・幼児用自転車ヘルメットの普及についてお伺いいたします。

 道路交通法第六十三条の十によりますと、児童・幼児を保護する責任のある者は、児童・幼児を自転車に乗車させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければなりませんとあります。まちなかを見ても、児童・幼児がヘルメットをかぶっていないで自転車に乗っている光景を時々見かけます。自転車運転中の転倒事故による頭部のけがを軽減させるためには、ヘルメットは大切と思います。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 児童・幼児用自転車ヘルメット着用のさらなる向上を図るべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、TSマーク制度の普及促進についてお伺いいたします。

 歩行者との事故で自転車側が高額な賠償を請求されるケースがふえています。あるケースでは、夜間に携帯電話を見ながら無灯火で自転車に乗っていた女子高校生が歩行者と衝突し、歩行者に後遺症を残した事故では、横浜地裁が自転車に乗っていた女子高校生に対し、約五千万円の支払い命令を出しています。自転車で信号を無視して歩行者をはね、死亡させた事故でも、自転車の女性に約五千四百万円の支払い命令が出されています。

 TSマークは、自転車を安全に利用できるようにするため、自転車安全整備士が自転車の点検や整備を行い、安全な普通自転車と認めた場合、その目印として張りつけるTSマーク制度に加入すれば、一年以内に発生した事故については、賠償責任保険や傷害保険がつきます。神奈川県は、今年度から自転車交通安全講習の終了時に交付される講習受講済証を自転車販売店で提示すると、TSマーク制度に加入する際などの自転車の安全点検費用が無料になる制度を導入しました。

 そこで、第五点目にお伺いいたします。

 神奈川県で実施されているような警察や関係機関・団体が実施する自転車交通安全講習の参加者に配布される新たな受講済証を協賛店などに提示すると、自転車安全整備士による無料点検が受けられ、TSマーク制度に加入できる施策について、またTSマーク制度の普及促進について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続きまして、この六月は環境月間です。これは、一九七二年六月五日からストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念して定められたものです。国連では、日本の提案を受けて、六月五日を世界環境デーと定めており、日本では環境基本法が環境の日を定めています。平成三年度から六月の一カ月間を環境月間としています。六月中を中心に、環境保全についての関心と理解を深める月間として、さまざまな取り組みが行われております。本区でも、第九回エコまつり&フリーマーケットや、区役所の一階にパネルの展示など、環境への関心拡大のための取り組みを行っております。

 報道によりますと、空気、水、森林、鉱物といった自然資源を使い経済発展をしてきた人類が環境にどの程度の負担を与えているかを示す指標、エコロジカル・フットプリントに注目が集まっているようです。現在の大量生産・大量消費・大量廃棄社会を見直す指標にもなり、ブラジルで開かれている国連持続可能な開発会議の議論にも生かされる見込みで、その指標であるエコロジカル・フットプリントを使うと、世界じゅうの人が日本人と同じ生活をすると仮定すると、地球二・三個分が必要になると指摘しています。

 エコロジカル・フットプリントの開発に携わった同志社大学和田教授は、「従来の経済指標になかった地球の限界という概念を含み、地球という限られた場でどう生きていくかと発想の転換を促せる」と語っています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 未来のためにも、私たちのライフスタイルを見直すときがまさに来ていると思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 また、気象庁の観測によりますと、大気中の二酸化炭素濃度が国内観測地点で初めて四百ppmを超えたと発表されました。世界平均で四百ppmを超えると地球温暖化が深刻化するとされており、気象庁は、これだけ温暖化対策が叫ばれても全く減る兆候がないと、危機感を強めております。本区では、比較的気軽に導入できる中央区版二酸化炭素排出抑制システム、中央エコアクトがあります。それは、本区独自のCO2排出抑制システムで、家庭用と事業所用があり、それぞれ特典が用意されています。家庭版によりますと、「地球温暖化に対して、私たち一人一人が真剣に取り組まなければなりません。日々の生活から出る二酸化炭素をできるだけ少なくすることが、地球温暖化防止につながります。CO2削減のために、皆さんが無理なくできる取り組みをシステムとしてまとめました。かけがえのない地球を守るため、ぜひチャレンジしてください」とあります。

 中央エコアクトの申し込み状況は、平成二十一年度より累計で家庭が七百三十二人、事業所では六十一事業所であり、平成二十一年度より累計CO2削減は約千九百六十七キロとなっております。

 そこで、最後にお伺いいたします。

 地道な取り組みが未来を変えるかぎとなると思います。幅広い区民の皆様や企業の方にさらなる推進が必要と考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 以上で私の第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 まず、防災学習・研修拠点の整備についてであります。

 区では、防災・防犯に関する普及啓発を進めるため、本庁舎一階の防災危機管理センターに防災用品や災害用備蓄品の展示、災害の映像や写真による情報の提供、クイズコーナー等を設置し、日常的に区民の方々に御利用いただいております。学習・研修スペースや災害発生時の活動拠点として活用できる機能を備えておりますが、体験型学習や区民の訓練には十分であるとは言えません。区民の皆様が防災について体験し、学ぶことは、防災意識を高めていただく上で重要であることから、東京消防庁が設置する防災館などの利用を紹介いたしております。区民が広く参加できる体験型機能を備えた施設の整備については、今後の課題と考えております。

 次に、避難所の環境整備についてであります。

 十七年前の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、本区では学校等の施設を防災拠点として整備し、救出救助や給食用の資器材の備蓄、トイレの耐震化、災害時優先電話の設置などのハード面の整備を行ってまいりました。また、東日本大震災後は、新たにカセットボンベ式の発電機やバルーン投光器、高齢者・障害者などの要援護者向けとして避難所用マットや簡易ベッドを配備しました。ソフト面では、避難所として災害時に円滑な活用を図るため、活動マニュアルの整備を進めるとともに、訓練も実施しております。こうした防災拠点の環境整備に当たっては、防災拠点運営委員会の皆様の意見を反映し、随時見直し、追加等を行っております。今後も区民の方々が災害時において安心して避難できる施設となるよう、さまざまな事例も取り入れ、防災拠点運営委員会とも協議して、さらなる充実に努めてまいります。

 次に、災害時における在住外国人に対する情報支援策についてであります。

 区では、外国人向けの防災対策として、外国人登録や本区へ転入する際に、防災の基本的な事項も盛り込んだ四カ国語版の生活ガイドブックを配布しております。また、英語による地域防災計画概要版を作成しているほか、避難所体験ができる外国人向けの防災講習会を開催するなど、普及啓発に努めてきているところであります。こうした取り組みに加えて、観光客も含めた外国人に向けて、FMラジオを活用して災害情報を提供することは、正しい情報が伝達できるとともに、不安解消にもつながることから、有効であると考えます。そこで、本区と協定を締結している中央エフエムを活用し、外国語放送を行うことを検討してまいります。

 次に、電線共同溝の整備についてお答えいたします。

 安全かつ円滑な道路交通の確保、都市景観の向上、都市災害の防止等の観点から、電線共同溝の整備は重要であると認識しております。このため、本区では平成十一年度から整備を開始し、現在、日本橋室町・本町地区を中心に、面的に整備を進めております。また、昨年度から築地地区、今年度からは日本橋茅場町地区で新たに着手したところであります。こうした取り組みにより、平成二十三年度末の整備延長は三千六百三十メートルとなっております。今後も、二十三区中一番である無電柱化率のさらなる向上を目指し、平成十九年度に策定した中央区無電柱化計画に基づき、着実に整備を進めるとともに、大規模開発事業などの機会をとらえ、民間での整備を促進してまいります。

 次に、児童向け自転車交通ルール学習施設についてであります。

 御提案の施設は、子供たちが自転車で楽しく遊ぶことができる上、交通ルールやマナーを学ぶことが可能であります。また、保護者にとっても、子供たちの自転車の練習を安心して見守ることができるなど、すぐれた特徴を持つ施設であると考えております。しかしながら、施設の整備においては、一定規模の面積が必要であり、都心の本区で適地を確保することは難しいところであります。このため、公園改修の機会をとらえた交通広場の確保や、既存公園の一部を活用した自転車の練習場所の確保を検討してまいります。

 次に、自転車運転免許証制度についてであります。

 本年五月末までに区内で発生した自転車が関与する交通人身事故は百十件で、事故全体の二八%を占めております。また、事故の多くが信号無視などの交通違反が原因となっており、自転車の交通ルールとマナーの向上を図ることが重要であります。区では、現在、自転車は車道が原則、歩道は例外など、自転車安全利用五則の徹底や、春秋の交通安全運動時に自転車マナー向上キャンペーンなどを実施しておりますが、今後、これらの取り組みをより一層強化するとともに、自転車運転免許証制度についても、警察署と連携を図りながら検討してまいります。

 次に、自転車の走行環境についてであります。

 警視庁は、本年一月に自転車が通行すべき部分と進行すべき方向を路面に標示する自転車ナビマークを導入しました。路面上に自転車マークが表示されることにより、自転車の左側通行が徹底されるとともに、歩行者や車を運転する人に対して注意喚起の効果があります。しかしながら、自転車ナビマークの導入につきましては、商業・経済をはじめ、文化・情報の中枢機能など、多様な都心機能が集積・展開している本区においては、荷さばき車両やタクシーなどの路上駐車との錯綜が多いなどの課題があります。このため、今後はナビマークの検証効果を踏まえて、交通管理者である各警察署と協議しながら検討してまいります。

 次に、児童・幼児用自転車ヘルメットの普及についてであります。

 児童や幼児がかかわる自転車事故は、重大事故につながるおそれがあることから、ヘルメットの着用は欠かせないものであります。このため、本区では、平成二十一年度から二十二年度にかけてヘルメット購入費用の助成を行うなど、普及に努めてまいりました。今後は、自転車安全教室等、さまざまな機会をとらえ、ヘルメットの着用を促進してまいります。

 次に、TSマーク制度の普及促進についてであります。

 自転車利用者の増加に伴い、自転車が関与する交通事故も増加傾向にあり、加害者になった場合、自動車事故と同様に、治療費等で多額な賠償金が必要となる例があります。そこで、本区では、警察署及び自転車商協同組合と連携し、交通安全教室や自転車購入時等にTSマーク付帯保険への加入を奨励しているところであり、今後も幅広く本制度の普及促進に努めてまいります。なお、御提案の神奈川県の制度については、今後、その事業の仕組みや効果などについて調査・検討を行ってまいります。

 次に、ライフスタイルの見直しについてであります。

 世界の人口は約七十億人となり、人口増に伴う森林面積の減少や気候変動による異常気象の頻発など、地球環境の危機はますます深刻化しております。こうした状況の中、地球環境を持続可能なものとするためには、まず足元の生活から見直すことが重要であると考えております。昨年の電力危機は、いかに多くのエネルギーを消費しているか認識し、生活を根本から見直すきっかけとなりました。多くの家庭や事業所では、さまざまな節電に取り組むとともに、電力使用のピーク時を避けるなど、電気の使い方の見直しを図りました。今後は、区民や事業者のこうした省エネの取り組みがさらに環境負荷の少ない生活や活動となるよう、さまざまな環境施策を通じ、取り組んでまいります。

 次に、中央エコアクトのさらなる推進についてであります。

 本事業は、事業活動や日常生活に伴う二酸化炭素排出量を削減するシステムとして平成二十一年度から開始し、区のおしらせへの掲載や事業者向け説明会の開催など、普及を図ってまいりました。また、昨年度は、より取り組みやすいシステムにするとともに、省エネナビの貸し出しやエコまつりでの周知などを行い、申込者数を前年度比約二倍の三百九十七件に伸ばしたところであります。今後においては、家庭向け説明会を開催するなどの普及を図り、区民や事業者による地球温暖化防止への取り組みを促進してまいります。

 答弁は以上であります。

〔十五番 墨谷浩一議員登壇〕

○十五番(墨谷浩一議員)
 それぞれの質問項目に対しまして、御答弁大変にありがとうございます。

 平成二十四年二月九日木曜日、宮城県庁にて、主催が宮城県土木部、宮城県建設技術協会の東日本大震災社会資本再生・復興シンポジウムに参加をさせていただきました。東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター長の今村文彦氏より、「巨大津波の被害実態と今後の防災・減災対策について」と題して、講演がありました。その中で、中長期的な課題について経験を継承する、災害の伝承をすることの重要性を指摘していました。私は、そのため、本区でも防災学習ができる研修拠点の整備が必要であると思いました。

 自転車対策については、マナー、ルール等の周知徹底を各機関との連携でさらなる御対応を期待いたします。

 以上をもちまして、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 次に、二十六番植原恭子議員。

〔二十六番 植原恭子議員登壇〕

○二十六番(植原恭子議員)
 中央区議会公明党の植原恭子でございます。私は、平成二十四年区議会第二回定例会に当たり、区議会公明党の一員として、中央区が当面する行政課題について質問させていただきます。矢田区長並びに理事者の皆様におかれましては、どうか区民の立場に立たれ、明快で前向きな御答弁をくださいますようよろしくお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 初めに、女性の視点に立った防災対策について質問いたします。

 第一回区議会定例会の折、矢田区長さんは、区長所信表明の中で、男女共同参画に関しては、配偶者暴力の防止や女性の視点に立った防災対策など、今日的な課題を視野に入れた行動計画を策定してまいりますと示されました。私は、男女共同参画社会を推進する女性議員の一人として、大変心強く思い、現在取り組まれていらっしゃる新たな中央区男女共同参画行動計画二○一三の策定に大いに期待したいと思います。

 さて、今月六日、私は、女性センターブーケ21で開催された水曜イブニングトークに参加させていただきました。今年度は、メーンテーマを「災害への備えと復興─私たちに何ができるか」として、東日本大震災を機に男女共同参画の観点からできることを参加者やゲストと一緒に考え、災害時の地域連帯や活動などに生かしていくことを目標とし、計四回にわたる講演会となっています。

 当日は第二回目で、「中央区の防災対策と男女共同参画」と題し、中央区防災危機管理室長がゲストとして講演してくださり、御自身の地域活動や施策担当管理職としての御経験を踏まえ、女性にとっての災害という視点から、防災対策と男女共同参画について、わかりやすく語ってくださいました。

 中でも、NPOによる東日本大震災で女性を対象とした災害調査結果の報告は、衝撃的なものでした。例えば、避難所において、紙おむつや生理用品などの備蓄が不足していたことや、着がえる場所がなかったことなどは、明らかに女性の視点が欠落していると、多くの方が認めるところですが、長期にわたる避難所生活は、避難所では授乳室がないので、母乳をやめ、ミルクに切りかえたなど、その事態をさらに深刻にしています。

 調査報告によりますと、避難所の運営責任者はほとんどが男性。男性リーダーの避難所では女性が声を出しにくく、環境改善が進みません。また、入所者の食事三百食を三回、女性たちで調理する避難所もあり、女性からは、負担だとの声が聞かれたそうです。男性は瓦れき処理などで報酬が支払われる一方で、女性の労働は無償奉仕が当たり前になっていました。また、在宅で避難生活を送る女性たちからは、「子供が夜泣きをするため、避難所では迷惑をかけるので、車の中でずっと過ごしている」、「仕事をしていて、日ごろ地域の中で交流がなかった。避難所では知り合いがいないため、不安で自宅に戻った」、「自宅は無事だったが、余震の恐怖やライフラインの途絶などで体調を崩した。病院が開いていないため、困った」、果ては「物資を求めて避難所を回って歩いた」など、在宅への支援が届いていない現状も浮き彫りにされました。このように、女性たちの声がなかなか届かない状況下で、被災地ではあきらめと我慢の生活を余儀なくされていると報告はまとめられていました。

 東日本大震災を通し、日本人は我慢強いなどと諸外国から高い評価を受けましたが、実は、その我慢強さが大きなストレスになっているとの講師の言葉が私の心に残りました。

 そこで、お尋ねいたします。

 子育て、介護など、生活現場の主な担い手である女性の視点を生かした防災対策が重要であることから、現在修正している中央区地域防災計画の中に、ぜひ女性の視点に立った防災対策を明確に位置づけるべきであると考えますが、矢田区長さんの御見解をお示しください。

 本年五月、内閣府と総務省消防庁は、全都道府県の防災担当部局に地方防災会議への女性の登用推進を求める通知を送付しました。それには、女性の委員が人事異動でいなくなるのを防ぐため、役職ではなく個人を対象に委員を選定するよう助言をしています。本区では既に取り組まれていることと思いますが、その目標値もあわせ、防災会議の女性の参画についてお考えをお示しください。また、災害対策本部と避難所運営を担う防災拠点運営委員会についても、同様お示しいただきたいと存じます。

 次に、帰宅困難者対策は、東日本大震災の教訓を踏まえ、都心区である本区の重要課題の一つとなっています。区は、東京都との役割分担を明確にした上で、一時待機施設の運営方法を構築し、事業所内にとどまるなど帰宅困難者の発生抑制を図るため、民間事業者と一体となった帰宅困難者対策に取り組むことが示されています。

 女性の暮らしは、仕事のほか、子育て、介護、障害、妊娠中、ひとり親など多様であり、災害時にはさまざまな不安や心配があることがさきの報告でも指摘がありました。今後、帰宅困難者対策の本区の取り組みにおいては、このような女性の視点に立って対策を講じるよう、中央区役所としても、また区内事業所に対しても積極的に働きかけるべきだと思いますが、区長さんのお考えをお聞かせください。

 東日本大震災から一年三カ月。長期にわたる避難生活の過酷さや将来への不安などから、体調を崩して死亡したり、自殺したりする人が後を絶ちません。復興庁の報告によりますと、三月末現在、震災関連死として認定された死者数は十都県で千六百三十二人を数え、既に阪神・淡路大震災の九百二十一人を大幅に上回っています。医師や保健師ら専門家は、不便な仮設暮らしが続き、避難者の心身の疲れはピークに達している。今後、関連死が急増するおそれは否定できないと指摘しています。生活環境の激変によるストレスや、先の見えない将来への不安が想像以上に積み重なっていると考えられます。あれほどの惨劇をくぐり抜けた命がここに来て死に追いやられるのは、いかにも残念で悲し過ぎます。地元自治体は、ボランティアや医療機関などと協力し、これまで以上に心のケアと生活支援に努めていかなければならないとの厳しい指摘もありました。

 さて、水曜イブニングトークでは、講師から被災地の避難生活の様子が伝えられ、復興の担い手として女性たちの活躍が大変重要であることが強調され、そのようなときには女性のほうがはるかに健全であるとも述べられました。それは、女性が地域内で子育てや介護など暮らしのノウハウにたけるとともに、豊富な人脈を持っているからだそうです。私は、これからは女性たちが復興の担い手として活躍できる仕組みをつくることが肝要であり、それも日常的に行われているものでなければならないと思いました。

 先日、区内の特養ホームで入所者のお話相手としてボランティア活動をしている高齢者の方から、貴重なお話を伺いました。長年にわたり、入所者に笑顔で語りかけ、傾聴する地道な活動を通して、家族が驚くほど認知症の症状が軽くなり、感謝されたこと、失語症の人が、最後、「ありがとう」と言葉を発してくれたことなど、見えないところで区民の心の支えとなってくださっているとうとい方がいらっしゃるのだと、私は感動を覚えました。

 中央区内では、地域において、団体、個人問わず、さまざまな分野でボランティア活動をしている方が多くおられます。被災地避難所からの報告でも、洗濯、裁縫、お化粧などは大変喜ばれたとありましたが、これらは女性ならではのボランティアであり、お話相手や傾聴ボランティアも比較的女性が多いのではないでしょうか。復興の担い手として女性が力を発揮できる仕組みづくりについて、区長さんの御見解をお聞かせください。

 さて、今月の委員会では、中央区地域防災計画の修正についての報告がありました。計画修正の方向性の一つとして、医療救護体制の強化が示されていますが、主に発災時における広域的な医療救護連携の強化が中心になっていくと思われます。それは大変重要な取り組みです。その上で、私は、介護や在宅療養の担い手の多くが女性であることを考えると、特に避難生活が長期化する場合にも安心できるように、広域的に医療施設と協定を結ぶなど、協力体制の拡大も必要ではないかと思いますが、区長さんの御所見をお伺いいたします。

 続きまして、本年三月に改訂された第三次中央区保健医療福祉計画について質問させていただきます。

 この計画は、既に障害福祉計画、高齢者福祉計画・介護保険事業計画も一本化され、保健・医療・福祉施策を総合的に、計画的に推進していくためのものと理解いたしております。

 今回の改訂は中間の見直しでありますが、中でも特徴的なのは認可保育所等の整備です。前期二十一から二十三年度の取り組みでは、急激に増加した保育ニーズに対応するため、取り組み計画を上回る認可保育所及び認証保育所の追加整備を行い、後期二十四から二十六年度の取り組みは、新規一カ所を含む認定こども園三カ所の整備計画が示されています。前期においては、平成二十一年八月一日に中央区子育て支援対策本部を立ち上げられ、保育所待機児ゼロを重点目標として、全庁挙げて施策を展開し、保育所を精力的に整備されました。今年度は、晴海こども園が開設予定です。

 そこで、本区における保育需要の推移並びに前期三年間の認可・認証保育所の整備数及び定員の拡大数をお示しいただくとともに、現段階における待機児童の現状と、待機児ゼロに向けての本区の展望について、区長さんの御見解をお示しください。

 また、近年では女性の社会進出が著しく、その働き方も年々多様になってきています。待機児童となった場合、その間の保育サービスの選択も、例えば保育所とファミリーサポートセンター、預かり保育と民間保育サービス等々、組み合わせて必死に工夫しながら勤務している母親も少なくありません。また、幼稚園と認証保育所、認可保育所と認証保育所を利用されている家庭もあるようです。このように、二重、三重保育となると、経済的な負担は重くなり、さらには親子ともに時間に追われ、一日のうちに保育環境が変わることの精神的負担など、健康面も危惧されるところです。

 一方、認可保育所への入所がかなわないため職場復帰を断念し、パート就労に転じた女性や、親族にお子さんを預けて職場復帰するために区外に引っ越された家庭もありました。

 最近、待機している保護者や関係者から多く聞かれることは、保育サービスが大変わかりにくいので、窓口を一元化してほしいということです。認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭福祉員、一時預かり保育、幼稚園の預かり保育、ファミリーサポートセンターなど、それぞれの保育サービスを理解するのは大変なことだと思います。また、区立と私立では保育内容に違いもあります。まして、新しく区民になられた方は、住んでいる地域の情報を知ることすら容易ではないと思います。

 区のホームページには、現在、認証保育所の待機状況も掲載されていますが、一日も早く入所を願っている保護者の立場になって考えますと、例えば民間も含め、新しく整備される保育施設のタイムリーな情報提供や働き方に合わせた横断的な保育サービスの選択の相談に応じるなど、もっと子育て家庭に寄り添う形での窓口の一元化が必要ではないでしょうか。区長さんのお考えをお示しください。

 次に、特別な支援を必要とする子供への支援についてお尋ねいたします。

 発達のおくれや障害のある児童・生徒の支援については、今年度特別支援教育への対応として、新規に教員向けの特別支援教育推進マニュアルの策定を行うほか、特別支援教育アドバイザーの派遣を拡充するなど、教育委員会としても支援の強化が図られます。また、福祉保健部は障害者福祉課と福祉センターを窓口として、障害のある方が乳幼児期から学齢期、成人までの途切れのない一貫した支援を受けるために、ライフサイクルを通して医療、教育、福祉サービス等の情報を記入できる「生活支援ノート」を作成され、安心の施策として一層の充実が図られ、御尽力に感謝いたします。

 その上で、一貫した支援のさらなる充実のために質問させていただきます。

 本計画の中でも、近年、障害の多様化が進んでいるとして、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援を重点事業とし、自閉症やLD、ADHDなど、通常の学級に在籍しながら一部特別な指導を必要とする児童・生徒に対して、専門家による支援を行うとあります。この内容は、小・中学校における特別支援学級と通級指導学級の取り組みや、通常学級における学習指導補助員の配置、各小・中学校、幼稚園・保育園への臨床心理士等の派遣、復籍制度の実施などで、これらについては一定の評価をいたしますが、いわゆるグレーゾーンの子供への支援体制をどのようにお考えでしょうか。

 と申しますのは、未就学児に対しては福祉センターにおいて、こどもの発達相談・指導や専門家による言葉の療育など、機能訓練が手厚く行われていますが、小学生になると、支援を受けることが困難であり、子供にとって大きく環境が変わる大切な時期に支援が途切れてしまっている現実があるからです。保護者からは、低学年時にせめて一年生の半年間だけでも継続して機能訓練が受けられないかとの要望がありました。残念ですが、その要望はかなわず、今では放課後、民間の発達支援教室に通っている児童もいるとのことです。

 このような現状を踏まえて、施策充実のお考えをお示しください。あわせて、小学校におけることばときこえの教室の設置について、教育長さんの御見解をお示しください。

 本区の教育センターは、学校教育の一層の充実及び振興を図るために設置され、中央区保健所、区立福祉センター等複合施設の四階、五階に位置し、大変恵まれた環境にあります。日常的に教育に関する調査・研究、教員研修、教育相談、科学教室、適応教室、児童・生徒の作品展示など、さまざまな教育活動が行われています。さらなる特別支援教育の充実のために、そして学齢期、思春期の子供の健やかな成長のためにも、複合施設の利点を生かした、今まで以上の福祉・保健・教育の連携並びに施設整備を含めた教育センターの拡充を求めますが、教育長さんのお考えをお伺いいたします。

 次に、高齢者福祉の充実と課題について質問させていただきます。

 御承知のとおり、今、日本では人口の高齢化が世界に類を見ないスピードで上昇、六十五歳以上の老年人口は二○一○年現在、総人口の二三・一%を占め、高齢化率が二一%以上の超高齢社会となり、所得保障や医療保障を含めて、高齢者福祉のサービス受給者は増加の一途をたどっています。そして、二○一三年には四人に一人が六十五歳以上の高齢者になると予測されています。長生きをすることは人類の長年の夢であり、喜ばしいことですが、年々増大する医療費の問題など、年金・介護ともに高齢社会の課題は多く、国における社会保障制度の再構築が待たれるところです。

 いずれにしても、高齢者が生きがいを持って生活できるように、社会全体で支援していくことが必要であることは言うまでもありません。

 さて、中央区では、高齢化率が一六・四%と二十三区で最も低いものの、このほど高齢者人口が二万人を超えました。矢田区長は、区長所信表明で、高齢者一人一人が住みなれた環境でいつまでも安心して暮らし続けられるための施策の実現を約束され、新たに区内の有料老人ホームと提携し、三カ月程度利用が可能なミドルステイ及び医療ニーズの高い方にも対応できる緊急ショートステイのベッドを確保、特に、在宅介護に重点を置いた取り組みを明示されました。さらには、新たに再開発の中で小規模多機能型居宅介護事業所、サービス付高齢者向け住宅及びおとしより相談センターの整備も着手されることとなっています。

 これまでも本区の高齢者福祉施策は、区独自の施策として、介護者支援や在宅サービス、敬老大会など、高齢者や家族から大変喜ばれ、全国自治体の中でもトップレベルの内容であると私は認識し、高く評価するものです。これからは、さらなる高齢社会の進行の中で、第三次中央区保健医療福祉計画に示されているとおり、七十歳就労社会の実現を目指すとともに、高齢者の生きがいづくりが重要な視点であり、元気高齢者人材バンクの充実や敬老館の機能強化など、区の取り組みに大いに期待したいと思います。

 その上で、お尋ねいたしますが、この春、特に介護保険料等の見直しで経済的負担が重くなったとお訴えする高齢者が多くいらっしゃる一方、近年では高齢者御自身から、手厚い区のサービスに対する感謝の言葉と同時に、施設入所などサービスが必要になったときにすぐ受けられるのか、また、若い人たちの未来を心配されて問いかけを下さる高齢者の方も多くいらっしゃいます。

 そこで、改めて本区の高齢者福祉施策の充実と課題についてお伺いするとともに、高齢者人口の増加とあわせ、要介護認定者の比率も徐々に上昇している区の現状を考えると、将来を見据え、限られた財政基盤のもとで本区の高齢者福祉施策を存続させていくことができるのか、区長さんの御所見をお聞かせください。

 最後に、福祉サービス第三者評価制度について質問させていただきます。

 御存じのとおり、本区では、今、子育てや介護等に関する福祉施設がふえ続けています。当然のことですが、利用者はその施設における良質なサービスを求め、ソフト、ハード両面の安心を求めてやまないと思います。しかしながら、福祉サービスの事業所や入所施設をみずから判断し選択することは、なかなか難しいことです。そのための一つの目安として、東京都が実施している福祉サービス第三者評価制度があります。とうきょう福祉ナビゲーションのホームページを見ますと、すべてではありませんが、中央区内の特養ホームや保育所の評価結果が公表されています。本区の福祉施設における福祉サービス第三者評価制度の活用状況と、区のかかわりについてお示しください。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 植原恭子議員の御質問に順次お答えいたします。

 まず、地域防災計画における女性の視点についてであります。

 東日本大震災では、避難所生活などで女性が困難な生活を送った事例が報告されております。本区の地域防災計画の修正に当たっては、東日本大震災の被災地におけるこうした教訓を踏まえ、平常時から発災時、避難所生活、仮設住宅から復興期へと、各段階できめ細かい配慮ができるよう取り組んでいるところであります。区では、今後、防災会議をはじめ、防災拠点運営委員会など、さまざまな機会をとらえて女性の意見もお伺いし、地域防災計画修正に反映させるとともに、計画書の中に女性の視点を明確に位置づけてまいります。

 次に、女性の参画の推進についてであります。

 東日本大震災の教訓を踏まえ、女性の声を代表するため、中央区防災会議委員に新たに京橋、日本橋、月島三地域の防火防災女性の会から委員を選任し、御意見をいただくことといたしました。また、各地域の防災拠点運営委員会においても、女性の参加を働きかけているところであります。なお、区の災害対策本部の事務局を担う防災危機管理室の各係には女性職員を配置し、発災時から女性のニーズにも対応できるようにしているところであります。各組織とも目標値の設定は難しい面もありますが、区としましても、防災面への女性の参画を積極的に働きかけてまいります。

 次に、帰宅困難者対策における女性の視点についてであります。

 災害発生時に帰宅困難となった方が、混乱せず、安心して事業所内にとどまるためには、家族の安否情報をいち早く確認できることが必要であり、そのため、災害用伝言ダイヤルの活用など、災害発生時の連絡体制を家族で日ごろから話し合っておくことが重要であります。また、子供や要介護者が家庭にいる場合は、地域や近隣で助け合う関係を築いておくことが必要であります。特に、女性はこうした対応に当たることも多いことを、事業者が帰宅困難者対策を進める上で十分に認識しておく必要があります。区といたしましては、こうした女性の不安を軽減できるよう、本年度更新する事業所向け防災パンフレットで事業者に対し理解を求めてまいります。

 次に、女性が力を発揮できる仕組みづくりについてであります。

 これまで、災害発生時の活動では男性の役割が中心とされてきましたが、東日本大震災の被災地では女性のボランティア活動が注目されました。こうした活躍は、女性ならではのきめ細やかな配慮によるものであり、また平常時からのさまざまな社会参加の活動が裏づけとなっております。復興の担い手として女性が力を発揮するためには、防災関係の委員に女性をふやし、意見を反映してまいるなど、女性の社会参加を促進する日ごろからの男女共同参画への取り組みが欠かせないものであり、今後、一層推進していく必要があると考えております。

 次に、広域的な医療施設との協力体制についてであります。

 災害時において要援護者の避難は、介護者にとっても大きな負担となることから、区では、地域で要援護者を支える仕組みとして、個別支援プランの作成に取り組んでおります。また、長期の避難生活に対応する福祉避難所についても、東日本大震災の教訓を踏まえ、運営マニュアルの修正を進めているところであります。区では、要援護者だけでなく介護の担い手の方々も安心できるよう、要援護者支援体制について強化を図ってまいります。避難生活が長期化する高齢者の介護や在宅医療につきましては、個別支援プランの作成の中で、区を超えて広域的な取り組みが必要となることも想定されますので、都との役割分担のもと、取り組んでまいります。

 次に、待機児童解消に向けた取り組みであります。

 本区の保育需要は増加傾向にあり、特に待機児童数の多い一歳児の保育ニーズの割合は、平成二十一年の三六・二%から平成二十四年には四一・八%と五・六ポイント高くなっております。こうした中、本区は保育所待機児童解消に向け、保育所整備計画を策定し、平成二十一年四月から平成二十四年三月までの三年間で認可保育所四カ所、認証保育所六カ所、認定こども園一カ所を新設し、保育所定員を千八百六十三人から二千七百十五人に拡大し、八百五十二人の定員増を図ってまいりました。こうした取り組みにより、本年六月一日現在、全体では定員割れが百五十四人となっているものの、ゼロ歳児、一歳児、二歳児を中心に待機児童数は八十七人に上っております。今後の保育需要については、区内における出生数が二年連続して千四百人を超えており、今後も高い水準で推移することが見込まれます。そのため、今般の基本計画の策定にあわせて保育整備計画を見直し、待機児童解消に向けた取り組みを強力に推進してまいります。

 次に、保育サービスに関する窓口一元化についてであります。

 現行における保育サービスは、法律に基づく認可保育所や、東京都の要綱に基づく認証保育所など、さまざまな制度があり、手続などすべてを統一することは難しいと考えております。今後は、制度や申し込み方法などをより区民にわかりやすくホームページなどで周知するとともに、認証保育所や一時預かり保育の空き情報については一元管理し、区民からの相談に対し迅速かつ的確に対応できる体制を整備してまいります。

 次に、高齢者福祉施策についてであります。

 今後、さらに高齢化が進む中、要介護認定者がふえるだけでなく、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯、認知症の高齢者等が増加していくことが見込まれます。本区においては、集合住宅に居住する方も多く、孤立化等も大きな課題であります。こうした中、施策を充実し、継続的に展開していくためには、高齢者が自立して健康に生活できる期間を延ばすとともに、公的な取り組みに加え、地域による支え合いや支援が重要であります。そのため、高齢者の方々には地域を支える担い手として元気に活躍していただけるよう、健康づくりや社会参加の場や機会の拡充を図り、七十歳就労社会の実現をはじめ、高齢者が生涯にわたって躍動できる社会を目指してまいります。また、介護が必要になった場合でも、だれもが安心して住みなれた自宅や地域で暮らし続けられるよう、在宅介護の支援に重点を置いてサービスを展開するとともに、住民の参画を得て二十四時間三百六十五日の高齢者あんしんネットの充実等を図り、地域ぐるみで支え合う仕組みを強化してまいります。

 次に、福祉サービス第三者評価制度についてであります。

 この制度は、福祉サービスの利用者に事業者の行うサービスの内容をわかりやすく示すとともに、福祉サービスを提供する事業者が利用者のニーズを的確にとらえ、より多様で質の高いサービスを提供することを目的として、中立・公正な第三者機関が評価を行うものであります。区が提供する子育て、高齢者、障害者等に係る福祉サービスだけでなく、区内でサービスを提供している事業者も定期的かつ継続的に評価を受けており、結果は年度ごとに公表されております。中でも、指定管理者により提供されるサービスについては、この評価制度の結果を毎年度実施している指定管理者の評価に活用し、運営に反映させております。また、区内でサービスを提供している事業者に対しては、評価を受けやすくするよう費用の助成をしております。今後とも、利用者をはじめとする区民の皆様の声を聞くとともに、第三者評価制度の積極的な活用や普及啓発を図り、より良質で満足度の高い福祉サービスの提供に努めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 まず、特別な支援を必要とする子供への施策の充実についてであります。

 区では、就学後の児童への療育につきましては、福祉センターにおいて対応しておりますが、療育を希望するすべての方への対応はできていない状況にあります。こうしたことを踏まえ、今年度、福祉センターでは施設内に療育の部屋を確保し、児童が療育を受けられるよう環境を整備したところであります。今後も、就学後の児童の発達を支援するため、活動スペースの確保や療育体制の見直しを行うなど、施策の充実を図るとされております。教育委員会といたしましても、福祉保健部をはじめ、都立特別支援学校や区立小・中学校との連携を図りながら、特別支援教育の充実に努めてまいります。

 次に、小学校におけることばときこえの教室についてであります。

 現在、本区では言語障害学級に一名、難聴学級に二名、計三名の児童が近隣区の通級指導学級に通っております。こうした児童の通学に係る負担軽減を図るとともに、これまで本区に未設置であったために通うことができなかった潜在的なニーズにもこたえるべく、今回の明正小学校改築にあわせて、ことばときこえの教室の設置を計画しているところであります。今後とも児童一人一人の障害に応じた適切な指導や支援に努めてまいりたいと存じます。

 次に、特別支援教育充実のための福祉・保健・教育の連携と教育センターの拡充についてであります。

 教育センターには、学校に登校できない児童・生徒を対象に学習指導を行う適応教室「わくわく21」や、教育に関するさまざまな問題について児童・生徒や保護者から相談を受ける教育相談室などがあります。そこを訪れる児童・生徒には、発達障害の疑われる子供もおり、今後、福祉や保健との連携を進めていく必要があると考えております。本年四月の児童福祉法等の改正により、将来的には障害児相談支援事業所において障害児支援利用計画を作成することとされました。この作成時には、学校の個別教育支援計画と連動することで、就学前から学齢期、さらには学校卒業後のいずれの時期においても連続した福祉サービスの利用が可能となることから、教育委員会といたしましても、福祉保健部との連携強化に努めてまいりたいと存じます。こうした国の動向を踏まえ、教育・福祉・保健の複合施設の中に所在する教育センターにおいては、郷土天文館の移転予定により活用できるスペースが拡大することから、学校教育上の支援機能の充実はもとより、教育と福祉の相互連携の推進に努めてまいります。

 答弁は以上です。

〔二十六番 植原恭子議員登壇〕

○二十六番(植原恭子議員)
 今、二つの質問事項につきまして、それぞれ御答弁をいただきました。大変建設的な御答弁の内容で、感謝いたしております。一つ一つ区民のために、また中央区にいらっしゃるお子さんたちのために、すべての区民のために、また安心の中央区を目指して一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十三日、明後二十四日を休会とし、来る二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十三日、明後二十四日を休会とし、来る二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時十二分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 礒野 忠
議員 田中 広一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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