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平成24年第三回定例会会議録(第2日 9月24日)

1.会期

二十九日(第二日)

九月二十四日(月曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時三十五分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 瓜生 正高議員

四番 富永 一議員

五番 染谷 眞人議員

六番 木村 克一議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 中嶋 ひろあき議員

十四番 今野 弘美議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 増渕 一孝議員

二十四番 原田 賢一議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 二十二番高橋伸治議員。

二十二番 高橋伸治議員登壇

○二十二番(高橋伸治議員)
 自由民主党の高橋伸治でございます。私は、平成二十四年第三回区議会定例会に当たり、会派を代表して中央区の行政上の諸問題について、さきに提出しました質問通告、一、中小企業対策について、二、中央区の観光戦略について、三、世代間格差について、四、保育サービスの柔軟化について、五、BCP問題について、六、今後の介護とリハビリのあり方について、区長並びに関係理事者の方々に御質問させていただきます。地域との協働や民間活力の導入を前提として、働きやすい、暮らしやすい中央区の施策に期待をしている中央区民にとって、明るい展望が開けますように、また新しい希望が生まれますように、明快なる御答弁を期待しています。

 なお、御答弁のいかんによりましては、再質問することを留保いたしておきます。

 自動車を運転する場合、速度メーターがあり、ガソリン残量メーターがあり、走行距離メーターなど、たくさんの計器があります。運転者は、それらのメーターそれぞれに目を配りつつ運転を続けています。すべてのメーターを集計した一つの数値があるわけではありませんし、仮にそんな数値があったとしても、それを頼りに運転などしていたら、危険きわまりないことになると思っています。ところが、経済の領域においては、それに似たことが実際に行われています。国内総生産(GDP)という一つの集計値が、他のもろもろの領域の状況をまとめて示しております。まことに便利な数値としてもてはやされてきたことも事実であります。

 サルコジ前フランス大統領がどう考えたのかは定かではありませんが、二○○八年二月、大統領はGDPにかわる生活の豊かさを表現できる指標を作成すべく委員会を設置し、諮問することにしました。諮問を受けたのは、ノーベル賞受賞者五人を含む二十四人の方々です。経済的成果と社会進歩の計測に関する委員会と名づけられた委員会に集結した委員たちは、古典的GDPの再検討、暮らしの質、持続可能な発展と環境の三部会に分かれて、新しい指標づくりのための指針をまとめ上げました。この報告書を中央区の多くの行政担当者が読まれていることを期待したいとも思っております。

 後世の歴史家はこの報告書、それ以前とそれ以降として歴史を語ることになろうと、サルコジ前大統領は大見えを切り、フランスでは幸福度をはかる統計の開発をスタートさせました。さらに、欧州連合(EU)は、二○○九年にGDPを超える幸福の指標を重視することを決定し、二○一○年に発表したヨーロッパ二○二○年戦略では、あえてGDP成長率の目標数値を掲げずに、教育水準向上、就職率向上、貧困者削減など、人間の幸福度向上に直結する数値目標を設定しました。

 私は、安心と安全は同列ではないと考えています。安全は施策の展開で幾らでもできますが、安心は職員や中央区の信頼がなければ得ることはできないと確信しています。中央区でも、安心度合いを上げるために多くの施策展開をしております。その中で、観光立国推進基本法や世代間格差の是正、保育の充実、BCPの確立、新たな介護の課題などの新しい視点を持っての多様な指標が必要になってくるとも思っています。

 アメリカもまた、二○一○年GDPを超える新指標を開発する方針を決め、健康、教育、環境などの改善度を示す目標をGDP統計と同様に国民がいつでもネットワーク上でその数値が見られるようにすると宣言しています。

 フランスやアメリカとは違って、人口減少が進み、労働力も減りつつある日本では、GDPを増大させることはますます難しくなってきているのではありますが、国会ではGDPの成長戦略をめぐってあれこれ議論しているのが実情です。中央区のさまざまな報告書もGDP至上主義になっていると感じています。全国一律で行われる政府の方針だけでは、中小企業の置かれている立場は一層厳しいものになると実感しています。このような観点に立って質問いたします。

 一番目の質問は、中小企業と商店街活動についてであります。

 まちづくりという言葉が商店街活動の中で使われ始めてから、幾年かの年月を過ごしてきました。まちづくりとは、ハード、ソフト両面を踏まえて、単なるイベントなどのにぎわいづくりだけでなく、日常的かつ恒常的にまちが活性化する領域までも含んでいます。

 その観点からすれば、かつてのまちづくり政策は、ハード事業として、アーケードやカラー舗装に駐車場、駐輪場建設といったインフラ整備が中心であり、ソフト事業は、大売出しやその場限りのにぎわいを生み出すイベント事業がその大半でしかありませんでした。中小企業対策も同じように、商工融資に偏った政策だけが突出していたと感じています。

 しかしながら、そうした事業ですらも、国・都、中央区などの行政機関から補助金を当てにできる時代ではなくなり、多額な資金を要するハード事業も、今は昔のようにはならなくなってきています。また、大型資本との競争に疲弊し、資金的にも余裕のないときに、抽せんつきの大売出しも時代おくれとなりました。また、イベント事業もその日だけは多くの方に来ていただけるのですが、翌日からはまるで閑古鳥が鳴いているようなまちの状況が日常的に繰り返されています。中央区の行政施策は、現状の商店街、中小企業の実情に合っているのでしょうか。

 商工融資に関しても、現実に区内在住の方々に資金が回っているのでしょうか。先日の委員会質問でも、いつの間にか大銀行への預託金の割合が七割にもなり、中央区内を中心に活動している信用金庫・信用組合への比率は低下し続けています。どちらが区内に多くの資金が流れるかははっきりしています。

 また、江戸川区では、中小企業の視点を大切にしていますが、その考え方は中央区とは大きく違っています。一人からの事業所の皆さんの意見も大切にしています。営業活動は必要ですが、一人を雇うだけの力がないなどの議論が当たり前のように行われています。また、統計上の平均値など何の意味もなさないという考え方が一般的です。所得の平均値なども、高所得者の多さによって上がっていても、中小企業の購買層を知る数値にはなっていません。民間企業では、所得階層の分布割合がすぐにわかる中央値を採用するのが一般的です。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、中央区がいう中小企業の概念について具体的にお示しください。

 質問の第二は、確かに金融不安のときには信用金庫・信用組合に資金を預託することは難しかったと思います。しかし、現在では先を見る視点が必要で、中央区内の金融機関をみずから育てるという気概が必要であるとも思っています。どうして今の大銀行中心の資金預託をしているのか、現状をお知らせください。

 質問の第三は、中央区の所得階層の分布をわかりやすくするために、区民の平均所得ではなく、中央値と所得分布の割合が一目でわかる統計数値の公表はできないのかお尋ねいたします。

 第二番目の質問は、中央区の観光戦略についてであります。

 観光立国推進基本計画の目標設定に当たっては、平成十九年、基本計画に掲げた基本的な目標数値が設定されていました。この目標設定の中で新たに掲げられたのが、観光の質の向上です。考え方そのものは突然出てきたものではありませんが、国の方針や目標数値として質の向上を掲げたことは、注目すべきことであります。

 観光の質の向上をはかる指標として、観光地域の旅行者満足度を上げ、総合満足度で「大変満足」並びに、再び訪れる意向で「大変そう思う」をいずれも二○一六年までに二五%に設定しています。もちろん、観光の質の問題はこれだけで語ることはできませんが、宿泊観光客の実人数は伸びなくとも、滞在化、リピート化してもらうことで中央区の観光は持続できるのか、そのためには中央区の観光の何を変えるべきなのか、そろそろ受け入れる中央区も、中央区にふさわしい観光の質とは何かを本気で問い直す時期ではないかと考えています。

 また、観光客の満足度を高めるとともに、忘れてはならないのは、住民から見た満足度でありましょう。神奈川県の鎌倉市は、全国に知られた歴史都市であり、観光地でありますが、同市が策定した第二期鎌倉市観光基本計画では、現状の観光客数千八百四十万人に対して、十年後目標を現状値以上とだけ設定し、あえて数値を掲げていません。一方で、観光客の満足度アップとともに、観光都市に対する市民の満足度アップを目標として掲げ、目標数値を設定し、毎年アンケート等でその数値を捕捉し、公表しています。観光庁のビジョン冒頭に、住んでよし、訪れてよしの国づくりがうたわれています。中央区の商工関係者だけでなく、一般住民から見ても、我がまちの観光に対してどれだけ満足し、自慢できる中央区となっているかは、地域で観光に取り組む立場として忘れてはならない視点であると考えます。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、観光立国推進基本計画の趣旨にかんがみ、これからの中央区の観光をどのようにお考えかお尋ねいたします。

 質問の第二は、海外からの観光客にわかりやすい都市環境をつくるために、文字の表示板から、イラストや図形を使った万国共通のだれにでもわかりやすい表示板に変える必要があると思いますが、いかがですか。お尋ねいたします。

 第三番目の質問は、世代間格差の是正についてであります。

 高齢化の進展とともに、社会保障の持続可能性が懸念されています。現状の税と社会保障システムのままでは、今後、極めて大きな世代間不均衡が生ずることが予想されています。人口の高齢化で高齢者福祉、社会保障の支出がふえること自体は驚くべきではありません。関連支出がふえても、それが積み立て方式年金のように設計されていれば、直ちに若年世代やこれから生まれてくる将来世代の負担を増加させるとは限りません。高齢化で世代間の税、社会保障負担の格差と持続可能性の問題が生じるのは、そのシステムが世代間所得移転を前提として構築されているからであります。ここに大きな不安と不満が存在しています。

 二○○八年の調査で、当初所得は三十歳から三十四歳の若年世代が年収四百七十一万円、六十五歳から六十九歳の高齢者世帯は二百五十二万円でした。ここから税、社会保険料負担を払い、現金現物給付を受け取った後の可処分所得は、若年世代が四百二十九万円と当初所得より九%近く減りますが、高齢世帯は年金が加算され、四百五十一万円と当初所得の一・八倍になります。単年度でも税、社会保障を通じて過剰とも言える世代間所得移転が行われています。

 もう一つは国債の問題です。国の財政を考えるときに、最も大きな支出項目である社会保障支出を削減する政策でも、時間の経過とともに生まれ年の違う世代が重複して存在するため、財政政策変更が及ぼす影響は世代により異なるということです。確かに、政府債務は徐々に減少していきますが、負担は段階的に増大し、社会保障受給は減少するため、将来世代はより多くの負担のもとで、より少ない社会保障しか受給できないことになります。政府の将来世帯に負担の先送りはしないという政策は、まやかしでしかありません。

 そこで、世代会計という考え方が示されています。世代会計を一つの基準にすれば、今の社会保障制度の矛盾点などもはっきりします。同時に、現在の政府債務と高齢化による今後の政府の資金不足額を合計し、将来世代が負わなければならない追加負担を求め、政策の問題点を世代間格差という形で定量的に明らかにすることもできます。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、世代会計についての中央区の考え方をお尋ねいたします。

 質問の第二は、世代会計を取り入れるかどうかは国の問題でありますが、このような状況の中で、本題の本区の世代間格差の是正に対しての考え方をお聞かせください。

 質問の第三は、二○一一年の十五歳から二十四歳の完全失業率は八・二%で、二十年前に比べて二倍近くに達しています。学校を卒業した人に限ると、十人に一人が失業している計算です。パートや派遣社員など非正規の若者もふえ、二十年前には十人に一人だった非正規が、現在では四人に一人までになっています。六十歳から六十四歳の就職率は五七%になり、全体の就業率を初めて逆転したことになります。ここでも世代間格差が大きな問題になっていますが、中央区はこの先どのような対策を打っていくのかお尋ねいたします。

 第四番目の質問は、保育サービスの柔軟化についてであります。

 私も、ゼロ歳児から保育園に子供を預けることには反対の立場であります。子供は、できるだけ親とともに過ごすことは必要だとも感じています。しかしながら、共働き世帯が五○%を超えた現在では、保育の充実は喫緊の問題です。

 働く親が保育園を選ぶときに、立地や料金と並んで条件に挙げるのが柔軟性の問題です。職場に復帰すると、急な打ち合わせやトラブルなど想定外のことが起きます。認可保育園に入れても、仕事の都合とかみ合わなければ両立ができません。親としては、環境が充実していて保育料も比較的安い認可保育園に子供を入れたいと思っていても、認可保育園では延長保育を前もって予約する必要があるなど、使い勝手はいま一つです。これでは、働く親にとって本当の意味での子育て支援にはなりません。少子化時代を迎え、私立の認可保育園では生き残りをかけて、さまざまなサービスを提案しています。このような流れに的確にこたえる体制が中央区にはできているのでしょうか。

 また、認可保育園にばかり補助金がつぎ込まれ、認可外のさまざまな保育施設の増設や質の向上に補助金が使われない現状も、正していかなければなりません。柔軟なサービスは、むしろ認可保育園よりも認可外施設のほうがすぐれています。仕事と両立しやすい環境を整えないと、本当の意味での子育て支援にはなりません。そのためには、認可保育園と認証保育園、認可外施設、それぞれのよさを取り入れ、活用していく必要があるのではないでしょうか。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、認可保育園、認証保育園、また認可外施設も含めてトータル的に柔軟性の拡大が必要だと感じていますが、お考えをお尋ねいたします。

 質問の第二は、待機児童対策だけが子育て支援ではないと思います。仕事と両立できることが本来のねらいだと思っていますが、お考えをお尋ねいたします。

 第五番目の質問は、災害時事業継続計画(BCP)についてであります。

 今春、内閣府が想定した首都直下地震の発生モデルに職員を当てはめて推計したところ、夜間や休日に地震が発生した場合、発生から三時間で東京霞が関の本庁舎に集まれるのは、全職員三千三百人の一%だけでした。新たな推計では、二十四時間で参集できる職員は二割弱しかなく、BCPとは大きな開きが出ました。帰宅困難者や瓦れきによる歩行障害を見込んだ結果ですが、改定では使えるマンパワーを厳しく算定せざるを得ません。

 そもそも、省庁のBCPには、災害への切迫感の乏しさから、中央防災会議で決められたからアリバイとしてつくっただけという指摘もありました。中央区の場合はそんなことはないと思いますが、まだまだ甘い見積もりではないかと感じています。事実、警察庁の今までのBCPでは、職員や家族の被害など想定していない、発生から十二時間で一○○%の職員が参集できるという現実味の乏しい内容が記載されています。

 防災マニュアルとBCPは、根本的に違います。防災マニュアルは、地震、津波など発生原因への対処を定めたもので、BCPとは、原因がどうであれ、職場のビルに入れない、職員が五○%しか来られないなどの状況下で必要な業務をどう継続するかに焦点を当てたものです。比較的新しい概念でもあり、中央区も含む地方自治体の取り組みはさらにおくれています。

 行政機関は、広くあまねくやるものという認識から、業務の優先づけが苦手であるとも思っています。職員の参集目標を設定するのはいいが、数値目標に引きずられると本末転倒になってしまいます。重要なのは、優先的な業務に携わる職員が集まらなかったら、関係機関と連絡がとれなかったときにどう対処するかであり、不測の事態のシナリオで演習を重ね、関係機関との連絡を密にしておくことだと考えています。厚生労働省災害救助・救援対策室のBCP担当者も、正直なところ、集まれる見込みの職員がこれほど少ないとは思わなかったと語っています。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、現在の中央区の災害時事業継続計画(BCP)と防災マニュアルの明確な相違点をお示しください。

 質問の第二は、中央区地域防災計画を遂行するときに、参集職員が五○%しか集まらなかったときの対処の仕方をお示しください。

 最後の質問は、介護保険制度についてであります。

 認認介護、認がん介護まで生まれ始める中、介護制度は在宅へとかじを切り始めました。国の方針は、医療保険を少なくし、介護保険に切りかえようとしています。ことし二月末段階で介護サービスを受けている要援護認定者数は五百二十七万人です。二○一二年版「高齢社会白書」によると、六十五歳から七十四歳で要援護認定は三%ですが、七十五歳以上では約二二%と急増します。およそ四人に一人が何らかの介護サービスを受けていることになります。

 現在、要介護者の面倒を見る介護者の六四%は家族で、そのうちの約二六%が配偶者、約二一%が子供、約一五%が子供の配偶者です。介護者の年齢は六十歳以上が六割以上を占め、老老介護がふえています。介護現場では、二人とも認知症になってしまった高齢者夫婦同士の介護を認認介護、またがんを患っていらっしゃる人が認知症の配偶者の面倒を見る介護を認がん介護と呼んでいます。こうした場面で介護保険制度が活躍すべきですが、政府が給付抑制一本やりで、訪問介護サービスを使いづらくしています。

 さらに、配偶者が面倒を見られない高齢者世帯や独居世帯では、二十代から三十代の孫世代が祖父母の介護を行う孫介護もふえています。若い世代は非正規雇用などで収入が少ない一方、親世代は共働きなので、結果的に孫に役割が回ってくることも多くあります。

 また、四十代から六十代のベテラン層が介護・看護を理由に離職・転職するケースもふえています。一九九九年から二○○○年までの一年間では、離職・退職は十万三千三百人でしたが、二○○六年から二○○七年では、十四万四千八百人までふえました。そのうち女性が八割以上を占め、四十代から五十代が六割です。男性は、五十代から六十代が六割となっています。

 当初、介護保険制度は、介護を家族から社会の手に移し、要介護者の意見を尊重して必要なサービスを提供するという概念でありましたが、改定のたびにねじ曲げられ、再び家族に介護を押しつけ、介護サービスを利用者が選ぶのでなく、行政が与える制度に変質しつつあります。

 ことし、介護保険制度の改定が行われました。十年改定のポイントは、医療と介護の連携を強化し、住みなれた地域で自立した生活が営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムがうたい文句です。しかし、病院から退院して自宅の生活を始めた高齢者が、三カ月もしないうちに病院に戻ってしまう、あるいは介護施設に戻ってしまうのが現実であります。それは、リハビリが十分に行われていないからであります。この理由は、リハビリを実践する場所が不足している、あるいはリハビリを行う専門医や理学療法士などの専門職が不足しているからと言われています。しかし、リハビリを実践する理学療法士の免許を持っている人は、今年度中に十万人を超えます。数の問題ではなく、リハビリ、介護保険に関する情報が患者や家族に浸透していないからだと感じています。同時に、リハビリの質を大きな問題として取り上げる必要があるとも思っています。

 介護保険の導入により、老人保健施設だけでなく、特養、デイサービスセンターなどでリハビリが受けられるようにもなりました。しかし、今まではリハビリ施設もスタッフも十分にいるのに、その中身が問われてこなかった現実があります。高齢者の多くは、病気を患ってはいますが、家に戻ったときにもとの生活は到底送れない状況で退院させられてしまいます。リハビリがうまく進んでいない場合は、自宅復帰後、すぐに路頭に迷ってしいます。

 こうした状況の高齢者は、老健施設に入所してリハビリを継続するのが理想ですが、中央区の場合は、施設もリハビリ対応も満足のいくものになっているのでしょうか。また、高齢者が、訓練を終えて老健施設から自宅に帰らず施設にとどまってしまい、本来の中間施設としての機能を果たしていないという問題も指摘され、老健の特養化も指摘されています。

 質問の第一は、認認介護、認がん介護、孫介護などの実態を中央区は把握しているのでしょうか。また、具体的にはどのような手だてを用いて、これからの高齢化社会を担っていくのかお尋ねいたします。

 質問の第二は、中央区が考えている住みなれた地域で自立した生活が営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムとは、どのようなものなのかお尋ねいたします。

 質問の第三は、中央区内の老健施設のリハビリにより要介護度が下がり、自宅での十分な自立生活に耐えられるようになった実例があるのかどうかお尋ねいたします。

 質問の第四は、特別養護老人ホーム、老健施設、デイケアセンターなどで自立生活ができるようにするためのプログラムをつくって実践しているのかどうか、お尋ねいたします。また、患者や家族に対してもリハビリの必要性、重要性などを納得するまで説明しているのでしょうか。あわせて、お尋ねいたします。

 以上をもって私の第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 高橋伸治議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、中小企業対策についてであります。

 中小企業は、我が国の経済や暮らしの牽引役であり、本区においても銀座や日本橋など日本を代表する商業地域を中心に、長い歴史の中で地域に根づいた伝統産業から最先端のICT技術を駆使した情報・サービス産業まで、あらゆる業種の中小企業が本区のにぎわいの原動力となっております。しかしながら、資本力や人材力の弱さから、景気や社会変動の影響を受けやすい体質にあると考えております。こうしたことから、区では中小企業の振興に関する基本条例を定め、中小企業基本法に掲げる中小企業を対象として、その経営基盤と積極的な事業展開を資金面から支える融資の充実をはじめ、経営の近代化を図るための情報発信と人材育成に対する支援、異業種・企業間における交流促進、さらにはチャレンジ精神あふれる起業家に対する創業支援など、区内中小企業の実情に合わせたきめ細やかな各種振興策を実施しているところであります。

 次に、融資における資金預託についてであります。

 区では、多くの利用者から御好評をいただいている緊急景気対策特別資金をはじめ、運転資金や創業支援資金など十五種類の資金をあっせんし、中小企業の皆様の幅広いニーズにこたえております。現在、区の指定金融機関は都市銀行・地方銀行三十六行、信用金庫・信用組合三十二行となっておりますが、身近に利用できる支店の多さなどから、都市銀行等を利用される中小企業が多くなっており、あっせん金額、件数ともに信用金庫等を上回っているのが現状であります。預託金の配分については、利用実績をもとに各金融機関に配分する仕組みとしており、今年度はおよそ都市銀行等十一億円、信用金庫等六億円となっております。

 次に、所得分布などの公表についてであります。

 現在、区政年鑑やホームページなどに人口や事業所数、課税状況など各種の統計情報を掲載しておりますので、こうした統計データとともに、わかりやすい形で提供できるようにしてまいりたいと存じます。今後とも、中小企業の経営基盤をより強固なものにするとともに、地域特性を最大限に生かし、多様な産業が相互に補完し合い、共存共栄することにより本区の産業全体が安定的に発展するよう、施策のさらなる充実に努めてまいります。

 次に、これからの本区の観光についてであります。

 観光は、本区のにぎわいづくりや経済発展の原動力であり、国際交流、文化振興、まちづくりの活性化にも寄与することから、区政の最重要課題の一つであるととらえております。そこで、これまで観光商業まつりやまるごとミュージアムの開催、各種観光ガイドマップの発行など、観光振興を図る事業に重点的に取り組んでまいりました。また、より一層の施策の充実を図るため、昨年、民間における観光に関する経験やノウハウを有する課長級職員を採用したところであります。さらに、本年三月、「歴史と未来が交差する都市観光のまちへ」をキャッチフレーズに観光振興ビジョンを策定し、住む人と訪れる人がともに楽しむ新しい観光モデルの実現を目指すことといたしました。このビジョンは、国の観光立国推進基本計画に定める観光のすそ野の拡大や質の向上とも同じ方向性であると考えております。ビジョンの推進に当たり、まず本年五月、総合的な観光案内機能と外国人観光客の増加に伴う受け入れ態勢の強化などを目的とした都市観光ステーションを設置いたしました。また、観光客の来街頻度や目的などに合わせた多様な観光メニューを提供し、まちそのものを体験し、繰り返し訪れてもらう回遊性の高い観光ルートの開発に取り組んでいるところであります。今後は、観光客へのおもてなしを高める担い手の育成や観光案内機能の充実、さまざまな媒体を活用した海外への観光情報発信の強化などにより、本区の魅力を世界に向けて発信してまいります。こうした取り組みに加え、地域団体や民間事業者などによる都市観光推進協議会の設置や都市観光ステーションの機能を拡充し、多様な観光の担い手が相互に連携・協働しながら活動できる拠点の整備など、ビジョンの実現に向け、各種施策を積極的に進めてまいります。

 次に、海外からの観光客にもわかりやすい表示板についてであります。

 訪日外国人旅行者数は、東日本大震災の影響等によって一時的な減少が見られたものの、国による観光立国の実現に向けた施策の推進や羽田空港の国際線強化など、官民を挙げて外国人旅行客の誘致に取り組む機運が高まっており、日本を訪れる外国人観光客は増加傾向にあります。こうした中、区では、本区を訪れる外国人が快適に安心して観光を楽しめるよう、国の観光活性化標識ガイドラインに基づく観光案内板を区内十六カ所に設置しております。この案内板は、四カ国語での表記のほか、国際的に通用する絵文字を用いており、日本人、外国人を問わず、一人でも迷うことなくまち歩きを楽しめるものとなっております。今後、国や都などの関係機関と連携を図りながら、この案内板の増設や統一性のある、わかりやすくまちの景観にもふさわしいサイン表示の整備に努めてまいります。さらに、まちのどこにいても、店舗などの観光情報が得られる携帯情報端末を活用した情報発信や、災害時に必要な情報を即時に配信できる機能をあわせ持つデジタルサイネージの導入などについても検討を進め、国際観光都市中央区として外国人観光客の来街促進に向けた体制の充実・強化に努めてまいります。

 次に、世代会計についてであります。

 世代会計は、現在と将来の世代におけるそれぞれの受益と負担を比較・分析することにより、長期的な政策や財政的の持続可能性を評価するものであり、少子高齢化が急速に進展する我が国においても、今後の社会保障制度のあり方を検証するための手法の一つとして研究が行われております。本区では、現在、世代会計に基づく分析は行っておりませんが、施策の立案に当たっては、後年度への負担についても十分に勘案した上で、財政規模に応じた適正で公平なサービス給付の水準を設定しているところであります。今後とも、人口の推移や世代構成の変化などを的確にとらえるとともに、世代会計に関する国の分析結果等も参考にしながら、将来世代に負担を先送りすることなく持続的に区民サービスを提供していけるよう、常に一歩先を見越した安定的な行財政運営に努めてまいります。

 次に、世代間格差の是正についてであります。

 幼児期、学齢期から壮年期、高齢期に至るまで、世代によって求められる行政サービスは異なります。本区においては、幼児期、学齢期には子育て支援や教育環境の確保、壮年期においては健康の保持・増進や余暇活動のサポート、また高齢期に向けては各種介護サービスの提供や社会参加の促進など、各世代のニーズに対応したきめ細やかな施策を講じているところであります。今後とも、世代間の公平性や受益と負担のバランスを十分に考慮しながら、暮らしに身近な基礎自治体ならではの総合的な施策を展開することにより、すべての区民がライフステージを通じて幅広く行政サービスを享受し、生涯にわたって生き生きと活動することのできるまちを目指してまいります。

 次に、就労における世代間格差についてであります。

 年齢にかかわらず、働く意欲のあるすべての方々が能力を発揮し、活躍し続けることは、活力ある地域社会を持続し、さらに発展させていく上で欠かせないものであります。しかしながら、若年者を取り巻く雇用環境は、依然として高い水準にある失業率や新卒者の就職率の低下、非正規雇用の増加など、大変厳しい状況にあります。こうした状況を踏まえ、区では若年者のための合同就職面接会や定期的な就職ミニ面接会の開催のほか、正規雇用を促進するための区独自の雇用奨励金を交付しております。また、未就職の学卒者に対し、職業人として必要な知識や技術を習得するための研修と、区内事業所での体験就業を行う学卒者就業支援事業など、若年者の安定的な就労環境の確保に向け、さまざまな取り組みを進めているところであります。今後とも、東京商工会議所をはじめとする区内経済団体や労働関係機関との連携強化を図りながら、若年者の雇用確保に積極的に取り組むとともに、各世代に対する就労支援策を講じ、活力ある地域社会の創生に努めてまいります。

 次に、保育事業の柔軟性の強化についてであります。

 本区においては、待機児童ゼロを目指して認可保育所を中心に保育所を整備するとともに、一時預かり保育や夜間保育など多様な保育ニーズにも柔軟に対応できる認証保育所の誘致も積極的に進めてまいりました。現行の保育サービスは、法律に基づく認可保育所、東京都の要綱に基づく認証保育所など、制度が異なっており、それぞれ特性を有しております。そのため、各種の子育て支援施設と連携しながら、保育施設がその特性を生かし、良質な保育サービスを可能な限り柔軟に提供できるよう努めているところであります。認可保育所では、月決めの延長保育に加え、急な残業などにも当日でも申し込みが可能なスポット制度を実施し、柔軟性の拡大を図っております。今後は、認証保育所や一時預かり保育のあき情報など民間事業の情報を取得し、一元的に管理して区民からの相談に対し迅速かつ的確に対応できる体制を構築し、利便性の一層の向上を図ってまいります。

 次に、仕事と子育て両立支援の充実についてであります。

 今日、就労形態の多様化に伴い、夜間保育や一時預かり保育などのニーズが高まりつつあると認識しております。本区においても、こうしたニーズにこたえるため、きらら中央や認証保育所において夜十時までの夜間保育や一時預かり保育を実施しております。一方、パートやアルバイト等、短時間の保育需要に対しても、認定こども園を活用し受け入れを進めているほか、京橋二丁目に開設予定の認定こども園では、新たに休日保育を実施してまいります。今後も、各種保育サービスの需要を的確にとらえ、保育環境の充実に努めながら、仕事と子育ての両立を図ってまいります。

 次に、防災マニュアルと業務継続計画の相違点についてであります。

 大規模な災害が発生した場合、区では地域防災計画に基づき、区民の生命、身体、財産を守るため、応急対策業務を行うものであります。これに加えて、災害時にも区民生活や社会活動に重大な影響が生じないよう、通常の業務には優先順位をつけて実施し、限られた人的資源を効果的に活用するための計画が業務継続計画であります。現在の区の業務継続計画では、すべての通常業務のうち、災害時も優先度の高い業務を一六%に絞り込んでいるところであります。なお、災害時職員行動マニュアルは、地域防災計画の応急対策業務と優先度の高い通常業務をあわせて職員の災害時の行動手順を定めたものであります。

 次に、災害時に必要な職員が集まらなかったときの対応についてであります。

 中央区業務継続計画では、職員の居住地も考慮し、発災後三日までは全職員の五○%以下で応急対策業務と優先度の高い通常業務を実施することとしております。しかしながら、東日本大震災の教訓からも、所定の職員が参集できないなど不測の事態も考慮しておかなければなりません。計画やマニュアルに基づき行動するだけではなく、職員一人一人が置かれた状況に応じて行動に移す現場対応力を向上していく必要があると認識しております。そのためには、関係機関との連携を強化するとともに、災害対策本部や防災危機管理センターの実践的訓練を継続的に行っていくことが重要であると考えております。

 次に、介護者の実態と今後の高齢者施策についてであります。

 介護者が認知症やがんを患っている場合、本人の申し出等がないと、その把握は困難でありますが、平成二十二年度の調査では約五五%の介護者から、介護で疲れて体の調子がよくないとの回答がありました。また、主な介護者が孫との回答は一%弱となっております。今後、高齢化が進展していく中、だれもが住みなれた地域で暮らし続けられるよう、自助・共助・公助を組み合わせた取り組みが必要であります。本区において、まず健康づくりや社会参加を促進するとともに、地域見守りネットワークを強化してまいります。介護が必要となった場合でも、介護者支援の視点を持ちながら在宅介護に重点を置いたサービスの充実と連携を図ります。加えて、サービスつき高齢者住宅の整備など在宅介護の基盤となる住まいの確保に努め、二十四時間三百六十五日切れ目のない地域包括ケアシステムを構築してまいります。

 次に、リハビリについてであります。

 リハポート明石では、要介護者の自立を支援し、在宅での生活を目指して、医学的管理のもと、理学療法士や作業療法士等によるリハビリを行っております。在宅への復帰率は五割で、全国平均の三割に比べかなり高くなっており、施設でのリハビリの結果、車いす利用から自立歩行となり在宅生活が可能となったり、会話ができるようになり、家族から喜ばれた事例もあります。介護保険制度では、可能な限り自宅において自立した生活を営むことができるようサービスを提供することとされ、特別養護老人ホーム等では、本人、家族に対して説明を行った上で、利用者ごとの個別計画に基づきリハビリ等を実施しております。しかし、重度の要介護者等の場合はリハビリの効果が出にくく、在宅生活への復帰が困難なこともあり、日常生活の世話に重点を置いたサービスが提供される場合もあります。今回の介護保険制度改正では、在宅復帰や在宅生活の継続を目標とした個別リハビリ機能の強化を促す報酬改定が行われました。本区におきましても、自立支援に向けたリハビリ機能をさらに強化するよう事業者に対し指導してまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十二番 高橋伸治議員登壇〕

○二十二番(高橋伸治議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 幾つか再質問をさせていただきます。

 まず、一番最初なんですが、中小企業の概念の問題なんです。区長さんは、きめ細やかな施策を個々に行っているという話がありましたけれども、私は、聞き方が悪かったのかもわかりませんが、規模的な概念、逆に言うと、一人を対象にした個人商店を含めて中小企業と呼んでいるのが江戸川や墨田や荒川の事例だというふうに思っておりますけれども、中央区の場合にはどうもその辺がはっきりしていないのではないかなという気がしています。

 その中で、細やかな施策をということがあったんですけれども、実際には一般の人で自分たちでは営業がしづらいという人たちも、人を雇ってまで営業ができるというような状況ではない、その人たちをどうやって助けていくのかというのが、先ほども言いましたけれども、真剣に議論されている。中央区の場合には、中小企業の概念が、どうも千人までが中小企業という言い方は、製造業ではないですから、しませんけれども、具体的にはやはりもっと明確なその辺の指針というのを打ち出していかないと、利用しやすい企業にとっては利用しやすいけれども、利用しやすくない個人商店にはなかなか利用価値がないものというのがたくさん出てきているような気がしているので、その辺を含めて、もう一度お教えいただければありがたいなというふうに思います。

 それから、商工融資の問題で、身近な支店が多い大銀行という言い方を区長さんはされましたけれども、実際に私どもの耳に入ってくるのは、大銀行の支店に断られたけれども、区内の信用金庫・信用組合で商工融資を得ることができましたという話が結構多いんです。それは、銀行にしてみれば、お客さんに対する考え方というのが、信用金庫・信用組合の地域のお客さんに対する考え方と、銀行が地域のお客さんに対する考え方では、やはり全然対象としての違いというのがありますし、商工融資ももっと厳密に、例えば大企業のひもつき企業というか、俗に言う社内ベンチャーですね。中央区内に籍があるから、そういうところが借りに行くと結構簡単に借りられるんですよ。ところが、区内に住んでいる人たちが直接借りに行くと、いろいろ今までの経営実績がどうだとか、そういう話があって、なかなか借りられないというのが現状だというふうに思っています。

 ですから、先を見据えた考え方でいけば、地方の都市は当然地方銀行を中心として成り立っていますから、地域との密着度というのは物すごく高いんです。ところが、中央区という恵まれた地域で大企業もたくさん入ってきている地域ですから、そういう意味で、一般の商工融資の考え方が、民間の人たちが望んでいる商工融資と中央区が行っている商工融資ではちょっと考え方がやはり違ってきているのではないかなというふうに思っておりますので、その辺を含めてもう一度御答弁をいただけるとありがたいなというふうに思っています。

 それは、先ほどの統計の話とも関連をするんですけれども、基本的に統計の話は平均所得というのが全面に出てきているものですから、所得階層の割合というのが一般的によくわからない。商店でも、どれぐらいの利益があって、どれぐらいの所得の人たちが集まっているのかというのがわからない中で政策を打つというのは、非常に難しい、大変労力の要る仕事だというふうに思っています。大企業は大企業なりに、ちゃんと平均価格帯というか、所得がどれぐらいの人たちが多くて、そこに働きかけをすればちゃんとリターンが回ってくるというふうに考えておりますけれども、逆に、消費者を絞り込んだ施策を打つためには、所得階層がどれぐらいの人たちがどれぐらい住んでいるかというのがわからない中で商工政策を打つというのは、非常に各店舗、各事業者にとっては難しいというふうに思っています。中央区の方々はすごいと思います。その辺の資料がなくても、ちゃんと商工政策を打っているんですから、大した情報量だというふうに思いますけれども、その情報量を逆に一般の方々のところにもきっちり流していただいて、いつでも確認ができるような仕組みをつくっていただければありがたいなというふうに思っています。

 それから、観光戦略については、観光ステーションを設置するとか、そういう意味ではハードの設備についてはどんどん進んでいるというふうに思います。でも、その中で、やはり顧客の満足度と、もう一つ問題なのは住民満足度ですね。やはり人がたくさん集まってくれば、住民に対しての不安というのが物すごく大きくなることも現実の問題としてありますから、その辺も含めてきっちりとした対応をしていかないと難しいと思いますので、その辺はいかがでしょうか。

 それから、表示板については、ガイドラインに沿った形で区長さんは進められるという話がありました。国が定めたガイドラインに沿って進められていくという話がありましたけれども、そのガイドラインに縛られた形でどんどん進めていくのか、それとも中央区独自のものをつくっていくのか、その辺を教えていただきたいなというふうに思っています。

 世代間格差について、世代会計の問題なんですが、この問題については、私は、区長さんは後年度の世代に先送りすることなくという話をされましたけれども、これはなかなか難しいと思います。これから社会保障の問題だけをとってみても、年金は当然給付は少なくなり、掛け金は高くなる。それから、当然都市機能の更新ということを考えても、実際に後年度の人たちに対しては、そのインフラ設備の維持管理費も払わなければいけないということになってきますから、生活が便利になればなるほど、当然この負担は大きくなるというふうに考えています。その中で、その負担をできるだけ少なくするためにはどうしたらいいかということを考えていただきたいというふうに思っておりますけれども、その辺もいかがでしょうか。

 それから、保育サービスの充実については、認可保育園がスポット制度として延長保育をやってくれているというふうに言われましたけれども、実際にスポット制度を利用できるということは、一回迎えに行って預けかえるということになるわけですね、大体の人が。迎えに行って預けかえるということになると、それは負担の軽減にはならないんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺が逆に、延長が起きたから、こんなことができるのかどうかというのはわかりませんが、考えていただきたいのは、急な延長があったから保母さんが移動するということができれば、働いている方々からすれば、もっといい生活支援、子育て支援になっていくというふうに思いますけれども、その辺は現実味がないかもしれませんが、いかがでしょうか。もう一度お聞きをさせていただきます。

 それから、BCPの問題については、災害時事業継続計画という形で防災マニュアルを遂行する以前の問題としてBCPがあるというふうに私は認識をしているんです。防災マニュアルのいいものがあっても、それを担う職員の方々が、また地域が人員を集められなかったら、また別の意味で、例えば道路が閉鎖されていて当然身動きがとれなかったら、関係機関との連絡がとれなかったら、そういうことが大前提になるわけで、職員の参集の問題についても、五○%の職員で、今、参集計画を立てているということだったんですが、その五○%、その半分しか集まらなかったときにどうするのか、そこが一番重要な部分なんです。

 一つの例を示せば、例えば中央区は聖路加病院と防災のときの協定を結んでいると思います。ところが、聖路加病院にもBCPがちゃんとあると思います、当然。聖路加病院のBCPを理解した上で、聖路加病院との協定というのをきっちり防災マニュアルどおり動くような仕組みになっているのかどうかですね。それは当然、聖路加病院に被災者を連れていったら、聖路加病院では、もしかしたら、今、入院の方々で手いっぱいで診られないという話になるかもわからないんです。BCPはそういう問題だというふうに私は認識しております。ですから、そういう意味で、BCPの問題というのは防災マニュアルがきっちりと機能するための前段階の条件だというふうに思っておりますけれども、その辺がはっきりした御答弁がいただけなかったので、それはよろしくお願いをいたします。

 それから、リハビリの問題なんですが、当然、区長さんが言われたようにいい方向に進めていただければありがたいというふうに思いますが、ここで注目をしたいのは、では今の時点で理学療法士の方々に本当の意味でスポットが当たっているのかどうか。理学療法士の方々が介護保険や今度の新しい医療・介護の包括ケアシステムの中でスポットが当たっているという話は、まだ私は現実のものになっていないというふうに思っています。理学療法士の方々が中心になって進められるような形の集まりや、そういう動きが出てきたときに初めて地域のリハビリというのが本当の意味で機能していくのではないかなというふうに思っておりますけれども、その辺はいかがでしょうか、お尋ねいたします。

 以上、再質問させていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも、どうも。

 中小企業の概念がわからないということでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、中小企業基本法に掲げる中小企業、これを概念というふうにしているわけでございまして、高橋先生は江戸川出身だから江戸川のことは詳しいというふうに思いますけれども、そういうことでございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、銀行と信用金庫、この利用実績でありますけれども、都市銀行のほうに十一億円、また信用金庫等には六億円、これを預託しているわけですけれども、これはつまり十一対六、利用者がそれだけ銀行も随分使われているんですよね。区民の皆様方が御利用いただいている。十一対六ぐらいの割合でなっている、こういうことでございまして、しかしながら、その中でも貸し渋りというような問題等も起こっている。だからこそ、本区におきましては、十五、六ですか、さまざまな融資制度を行っているわけで、例えば緊急融資制度、一千万から二千万に上げましたけれども、これなんかも月に八十件もあっせんしている、こういうことでございますので、それだけ銀行や信用組合に融資を頼んでも、なかなか応じてくれないということもあるんでありましょう。

 また、それだけではなくて、さっきも言いましたように十五種類ですから、例えば三百万以下の融資、こういう簡単に借りられるという制度も行っているわけで、○・一%ですか、通常ですと二・二%のところを○・一でやっている。だから、例えば二千万円七年間借りるとすれば、個人負担は七万円ぐらいですか、ということでありますから、大いに喜ばれているからこそ月に八十件ぐらいあっせんしている、こういうことであります。

 それから、観光戦略、これはもう本当に今大いに全力投球、挙げているところでございまして、これからも、これからもというか、十月九日から六日間はIMFと世銀の総会があるということで、各方面、銀座、日本橋、月島、各商店街の皆様方のお力添えをもって、いろいろと御協力いただきながらどんどんやるということでございまして、ハード、ソフト、両面、これはもう一体となって観光都市ですね。特に、中央区の都心のまち、このすばらしさ、これはもう見事なものがあるわけであります。

 だからこそ、まるごとミュージアムであるとか、さまざまな、観光商業まつりも十月一日から始まりますけれども、そういうものと一体となってどんどん進めようと、こういうことでありますので、御理解のほどをお願いするわけでありまして、歴史と未来が交差する都市観光、まさにそういうまちですね。四百年の歴史、そして未来都市づくりの最先端を走っている、こういうことでありますので、このまちのすばらしさを大いにこれからも磨きをかけてまいりたい、こういうふうに思っているわけでありまして、したがって国の言うガイドラインだけかというのはとんでもないことで、独自の施策をどんどん進める、こういうことであります。

 それから、世代間格差、難しい、難しいとおっしゃいますけれども、これはもう世代間格差というのはいつの時代でもあるわけでありまして、それから日本だけではなくて世界各国どこにでもあるんですよ。世代間格差、そして持てる者と持たざる者との差であるとか、いろいろな問題、これは日本だけの問題ではないわけでありますから、そうそう難しい、難しいということで突き放すというのではなくて、しっかりと血の通った行政を今後ともやってまいりたい、そういうふうに思うわけであります。

 それから、保育サービス、これはもう、今、どんどん進めて保育所なんかは実質的には定員割れしているぐらいでありますけれども、残念ながらゼロ歳、一歳のところがオーバーしているわけでしょう。だから、これの工夫をしている、こういうことであるわけでありまして、柔軟にやっていくということで、当日でも申し込みが可能なスポット制度、これなんかも非常に人気があるわけでしょう。スポットサービスですね。その日に申し込めるわけですから。今、三十七も保育園、保育所、認可、認証、こども園等々、そして今度も晴海にもできますし、京橋にもできる、こういうことでありますから、一段と子育てしやすい、産みやすく、そして子育てしやすいまちナンバーワンを目指しているところであります。

 また、BCP、災害、これは本当にどのような災害が来るか、それによっていろいろな対応が異なってくるのではないかな、そういうふうに思いますね。マニュアル、マニュアルといっても、どのくらいの、どういう災害が来るのかですよね。南海トラフなんかは二十メートル、三十メートルの津波が来て、最大限三十二万三千人も亡くなると、そういう数字も出ている。中央区、津波のほうでは二メートル十センチで津波の被害は、南海トラフであろうと直下型の東京湾北部地震でもその程度の津波ということでありますから、大丈夫であろうとは思いますけれども、しかし、油断はならない。

 したがって、四月十八日、東京都が発表したような、これまでの被害想定、死者一つをとっても、六十六人と言われたのが百六十二人に上っているというわけでありますけれども、東京都では減災目標を六○%というのを出しているわけでありますから、それにあわせて、今、地域防災計画を全面的に見直し、来年の二月に発表しよう、まとめようと、こういうことで進めているわけでありまして、聖路加国際病院でどうなんだというのは聖路加さんに聞かないとちょっとわかりませんけれども、本区としては全職員の五○%以下でも優先度の高い通常業務はしっかりと実施していこう、こういうことで進めているわけでありますけれども、災害の規模ですね。どのぐらいの被害を受けるか、その時間が何時だと。これはいつ来るかわかりませんからね。今来るかもわからない、こういう時間帯にね。朝になるか、夜中になるかわかりませんが、その時々に応じて職員の集合体制も変わってくるかもわかりませんし、私は五十歩で来られますから、まず大丈夫だろうというふうには思いますけれども。

 それから、リハビリ、これはやはり先ほど申し上げましたけれども、かなりの方々がリハビリで回復して、在宅生活が可能となっているわけであります。だから、自立で歩行が大丈夫になったとか、そういうことであります。

 理学療法士にスポットが当たっているかどうかという質問でしたかね。これは担当者が答弁いたします。

 以上であります。

〔高齢者施策推進室長 小倉草君登壇〕

○高齢者施策推進室長(小倉草君)
 私のほうから、理学療法士さんについてお答え申し上げます。

 今回の改正では、訪問介護等におきましてPTさん、理学療法士さんと介護事業者が連携する場合に加算できるというような評価がされました。この点では、今回、理学療法士さんにスポットが当たったのかなというふうに考えておりますが、やはりまだまだ理学療法士さん等に御活躍いただきたいと存じますので、理学療法士さんや理学療法士さんの所属されている病院や施設と介護事業者さんがうまく連携できるように、区のほうもその仲立ち役となっていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

〔二十二番 高橋伸治議員登壇〕

○二十二番(高橋伸治議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まだまだ聞きたいこともたくさんあるんですけれども、今議会で予定をされております決算特別委員会の場で、また意見を述べたいというふうに思っておりますので、本日のところはこれで終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時二十分 休憩


午後三時四十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十六番堀田弥生議員。

十六番 堀田弥生議員登壇

○十六番(堀田弥生議員)
 中央区議会公明党の堀田弥生でございます。私は、平成二十四年第三回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い質問をさせていただきます。矢田区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、どうか区民の立場に立たれ、わかりやすく建設的な御答弁をお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 毎年九月は、がん制圧月間とされており、本区におきましても、来る十月をがん検診受診率五○%に向けた集中キャンペーン月間として、毎年さまざまな取り組みを行っておられます。我が国で初めて集団検診が行われたのは、宮城県対がん協会が胃検診車で東北地方を巡回実施した住民検診だとされています。昭和三十五年、もう五十年以上も前のことです。

 厚生労働省は、ようやく昭和五十八年になって老人保健法を施行し、以来、がん検診を推進してきました。検診の種類も、胃だけではなく子宮、肺、乳房、大腸の五つへ広がっています。その後、平成二十年にはがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針を定め、がん検診の五つの種類ごとに検査方法や対象年齢などを明確に示しました。本区におきましても、この指針に基づいたがん検診が実施されているところです。

 我が国初の集団検診だった胃がん検診は、当初から現在に至るまで、ずっと胃部X線検査が推奨、実施されてきました。しかし、バリウムを飲むことに対する抵抗感や飲んだ後の胃のむかつき、また人によっては検査後数日間もバリウムが体内に残留し、不快であるなどの理由から、胃部X線検査はつらい、受けたくない検査とも言え、実際、受診率は五つの種類の中でも一、二を争う低さです。五つの中で受診率は低いほうなのに、要精検率は最も高く、その上、実際にがんであった割合を示す的中度は最も低いという平成二十一年度のデータも公表されており、胃がん検診としての胃部X線検査については、その適性が薄れつつあると言えましょう。

 そのためでしょうか、国が定めた指針には示されていない胃がん検診の検査方法である胃内視鏡検査を導入している市区町村は、平成二十二年一月時点で二百三十四、胃の萎縮度合いを検査するペプシノーゲン法は五十三、胃の炎症を引き起し胃がんの原因であると認定されたピロリ菌の有無を調べるピロリ菌抗体検査は十八に及んでいます。厚生労働省も、本年五月の第一回がん検診のあり方に関する検討会で、指針に示されていないこれらの検査方法について検討を進めていくことを決めており、恐らく年度内には結論が出るものと思われます。

 多くの市区町村が指針に示されていない検査方法を既に導入しているわけですが、東京都内においても四つの区において先進的な事例が見られます。いずれも、血液検査によるペプシノーゲン法とピロリ菌抗体検査を併用して実施しています。名称は、胃がんハイリスク検診、ピロリ菌検診、胃がんABC検診などとなっていて、本格導入に向けてのモデル事業として開始したところもございます。足立区では、以前から実施していたペプシノーゲン法に加え、平成二十年度からピロリ菌抗体検査を併用したピロリ菌検診を開始しました。

 平成二十二年秋には、日本公衆衛生学会でピロリ菌検診事業の成果と効果について発表しており、その資料によりますと、胃部X線検査による発見率は○・二二%であったのに対し、ピロリ菌検診による発見率は○・三八%、このうち早期がんはX線検査が三三・三%であったのに対し、ピロリ菌検診が九一・七%だったそうです。受診者数も、X線検査は三年間で二千七百六十一人だったのに対し、ピロリ菌検診は一年間で三千百三十人であり、ピロリ菌抗体検査がいかに受診者にとって受けやすい検査であり、かつ早期発見が多いかということがわかります。

 また、検診事業の実施主体である自治体から見ても、この検査方法は、両方陰性だった方はその後、受診間隔をあけてもよいとされていることから、検査費用が抑えられ、費用対効果が高いという利点があるのです。厚生労働省でも、このペプシノーゲン法とピロリ菌抗体検査との併用による胃がんハイリスク検診、ピロリ菌検診は、今後ますます導入する市区町村がふえると見ています。

 そこで、まず一点目にお伺いいたします。

 本区におけるがん検診の受診率など実施状況を踏まえ、市区町村が実施するがん検診とはどうあるべきか、お考えをお聞かせください。また、本区におきましても、この胃がんハイリスク検診、ピロリ菌検診を導入してはいかがかと思いますが、区としてのお考えをお聞かせください。

 次に、子宮がん検診についてお伺いいたします。

 今月三日開催された第二回がん検診のあり方に関する検討会での審議の結果、厚生労働省は子宮頸がんの原因となるウイルスのDNAが子宮頸部にあるかどうかを調べるHPV、ヒトパピローマウイルス検査への補助を柱とする新規事業費百十六億円を来年度予算の概算要求に盛り込みました。

 HPV検査は、これまで一部の自治体での実施、また特定地区でのモデル事業としての実施にとどまっていました。しかし、国内外でのエビデンスがまとまってきたことから、より早期での発見を目的に、三十歳以上の女性を対象として、新しく開発された診断技術であるHPV検査を細胞診に併用しようというものです。胃がんハイリスク検診と同様、両方の検査で陰性だった方は、その後の受診間隔をあけ、三年に一度でよいとしています。ただし、二十歳代の女性については、一過性の感染が多いことから、HPV検査は行わず、これまでどおり細胞診のみでよいとしています。現在、国の指針では細胞診の受診間隔は二年に一回となっており、本区においてもそれに準じて実施されております。

 しかし、企業に勤める人たちが加入する健康保険組合が実施するがん検診では、毎年受診できるのが主流です。がんの早期発見のためには毎年検査を受けることが非常に重要ですから、検診を受けられるのが毎年か、それとも二年に一回かというのは大きな違いだと思います。近年、本区では健保の被保険者、被扶養者もふえていると思われますし、同じ区の住民でありながら、加入する保険者の違いによって受けられる検診内容が大きく異なるというのは、ある意味不平等な状態なのではないかと考えます。また、既に、都内においても毎年検査を実施している区もございます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区における来年度以降の子宮がん検診は、三十歳以上については従来の細胞診に加えて、新たにHPV検査を併用することを、そして三十歳以下については毎年実施に変更すべきではないかと考えますが、区としてのお考えをお聞かせください。

 最後に、がん教育についてお伺いいたします。

 本年六月、政府は、がん対策基本法を踏まえたがん対策推進の新基本計画をまとめました。その中に、がん教育の推進が盛り込まれたこともあり、がんの予防・治療の正しい知識を子供たちに教える取り組みが広まりつつあります。

 京都のある私立中学校では、講師を迎え、がんができる原因や仕組み、がん大国日本の実態、定期検診、予防接種等の基礎知識を習得できるアニメを上映し、その後、「大切な人をがんで亡くさないために」というテーマでディスカッションをする時間を設けました。生徒たちからは、定期的に検診を受けてもらう、たばこを買った分お父さんのお小遣いを減らす、生活習慣を改善させる等の提案があったそうです。

 また、せんだって、東京豊島区では、公立小・中学校でがんに関する教育を開始する独自のがん教育プログラムを開発し、全校で本格的展開を開始しました。対象となるのは小六と中三の生徒で、保健の授業で年に一こま以上実施します。教材は国立がん研究センターの医師の監修を得て作成したもので、小・中学生でも理解しやすいように、電子黒板で表示できるスライド形式のプレゼンテーション資料とあわせ、がんを克服した区民の体験談動画も収録されています。こちらも、がんの基礎知識や予防法、検診の大切さが学べるように構成されています。これらのがん教育を受け、生徒たちは、がんは早期に発見すれば怖い病気ではない、生活習慣が一つの原因だとわかったなど、正しく理解した上での感想をアンケートに書き記しています。

 学校の授業でがん検診の重要性を教えれば、将来確実に成果としてあらわれてくることは間違いないでしょう。また、がん検診の重要性を理解した子供たちが、親に逆教育をしてくれることもあるそうです。ちょうど親世代はがんを発症しやすい年代でもあり、この世代のがん検診受診率向上という波及効果も期待できます。

 そこで、お尋ねいたします。

 さきに挙げたような先進事例を参考に、本区においても区立小・中学校においてがん教育を行うことを提案いたしますが、区としてのお考えをお聞かせください。

 次に、子供たちの健康と命を守るための施策についてお伺いいたします。

 子供は、社会の宝です。未来の宝であり、心ある大人ならば、子供の笑顔を守るためにできることは何でもやってあげたいと思っていると思います。一方、子供たちを取り巻く環境は年々厳しくなっているのも事実であり、いじめや虐待なども人ごとととらえるわけにはいかなくなってきています。そのような中、本区の子供たちは元気に成長してくれていると思う区民は、私だけではないと思います。

 しかし、幾ら本人は元気いっぱいでも、体質的に問題を抱えている場合もあります。その代表例がアレルギー体質です。特に、特定の食品を摂取することで症状が起こる食物アレルギーの場合、食品によっては命にかかわる場合もあるため、食物アレルギーのお子さんを持つ親御さんは大変心配し、食品の素材に神経を使っておられます。

 食物アレルギーのお子さんは年々増加傾向にあり、保育園児では四・九%、児童では二・六%との報告がなされています。その対応策として、平成二十年三月には学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインが作成され、全国の小中・高校に配布されました。この中で、給食に対して注意を要することが明記されたことから、現在はアレルギー除去食が提供されるようになってきました。本区におきましても、既にこの対応がなされています。

 このアレルギー除去食とは、文字どおりその日の給食の献立にアレルギーの出る食材が含まれている場合、その食材を取り除いて提供するというものです。現在、区立の保育園では、アレルギー食材を取り除くだけではなく、そのかわりの品を準備し、提供してくださっているそうです。摂取カロリーや栄養のバランスを考えた上での対応であり、働く母親にとっては、大変にありがたい細やかな対応だと感謝の声も伺っております。

 ところが、その後、小学校に上がると、現時点ではアレルギー食材の除去だけで代替食品の提供はなされていません。お弁当の持参が許されていますが、お弁当を持参することでクラスの中で浮いてしまうのではないかなど、不安を感じておられる保護者もおられます。そのような方から、保育園と同様、アレルギー食材の除去とともに代替品の提供を切望するお声をちょうだいいたしました。

 そこで、お伺いいたします。

 小学校の給食においても、保育園と同様の対応をしていただきたいと思いますが、区としてのお考えをお聞かせください。

 次に、ミストシャワーの設置についてお伺いいたします。

 ことしの夏も大変な暑さで、昨年以上に多くの方が熱中症で病院に運ばれました。熱中症に特にかかりやすいのは、御高齢者と子供たちです。御高齢者は、体温や室温が高くなっていることに気づきにくく、また我慢をすることになれているため、そして子供たちは身長が低く、地面から反射する熱を受けやすいためだと言われています。

 本区におきましては、御高齢者を熱中症から守るため、本年度クールタオルをいきいき館で配布するなどの取り組みが行われました。このタオルを首に巻きつけて外出しておられる方も多く見受けられ、大変すばらしい取り組みであったと思います。

 一方、子供たちを熱中症から守る取り組みは、まだまだ工夫の余地があるのではないでしょうか。例えば、子供たちを熱中症から守るため、学校の適切な場所にミストシャワーを設置するという取り組みが全国的にふえてきています。ミストシャワーとは、水を霧状にして上方から噴射する装置で、気化熱で周囲の温度を下げる効果があります。水道の蛇口と直結して使用するため、電気は不要で、かつ霧の粒が非常に小さいため、水道料金も安価で済むといいます。ことしの夏、銀座の一角に設置されているのを見かけましたが、このような商業地域では既に数年前から実施されてきていました。

 このミストシャワーを子供たちを熱中症から守るためにこそ設置しようという取り組みが、現在、各地で進んできているのです。自治体により設置場所はさまざまですが、例えばグラウンドの出入り口や校舎と体育館の間を結ぶ渡り廊下、幼稚園では砂場など、その場所に応じて工夫されています。ミストシャワーの装置費用自体も、安いものであれば一セット三千円弱程度で購入できるということです。

 つい十日ほど前にも、和歌山県の小学校で運動会の開会式のリハーサル中、十一人の児童が熱中症の症状を訴え、救急搬送されたという報道がございました。熱中症から子供たちを守るため、来年に向けて必要と思われる場所に、このミストシャワーを設置してはいかがかと思いますが、区の御見解をお聞かせください。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 堀田弥生議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、がん予防対策に対する考え方についてであります。

 区が区民の命と健康を守る施策として実施するがん検診は、国によってその有効性が検証されたもので、確立された検診方法により対象者全員に公平かつ安定的に実施できるものでなければなりません。現在、本区が実施している六つのがん検診については、こうした考え方に基づいた国の指針に定められた検診の種類及び方法を基本として、医師会との協議のもと、採用しております。がん検診の受診率については、未受診者への再勧奨はがきの送付など重点的な対策の効果もあって、女性特有のがんである乳がん及び子宮がん検診については、年々向上しております。また、その他のがん検診の受診率も二十三区中比較的高くなっておりますが、未受診者の意識分析などきめ細かい対策により、さらに向上させることが必要であると認識しております。

 次に、胃がんハイリスク検診の導入についてであります。

 胃がんハイリスク検診は、ピロリ菌抗体検査と萎縮性胃炎のマーカーであるペプシノーゲン検査を併用し、胃がんになりやすいリスクを評価する検診であります。現在のところ、国によってこれらの検査受診による死亡率の減少効果は確認されておらず、広く区民を対象とした胃がん検診としては推奨されておりません。また、受診サイクルなどの検診方法についても、まだ検証されていないところであります。したがいまして、二十三区においても試行的な取り組みとして、これらの検査を実施している区もありますが、現時点では国における科学的解析と検討状況の推移を見守っていく必要があると考えております。

 次に、子宮がん検診についてであります。

 現在、本区では、国の指針に基づき二十歳以上の偶数歳の女性を対象に、問診、視診及び細胞の形の異常を調べる細胞診による子宮がん検診を実施しております。これまでに子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスの長期感染であることが確認されております。また、このウイルスのDNAが子宮頸部に存在するか否か調べるHPV検診については、知見が重ねられた結果、先般、国のがん検診のあり方に関する検討会で導入が提案され、厚生労働省が導入の方針であることが報道されたところであります。現在のところ、まだ検診の実施方法は明らかになっておりません。今後、導入に向けて対象年齢、検診頻度、従来の細胞診との組み合わせなどについて、国の検討状況を注視してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、がん教育についてであります。

 がんの予防については、小学校六年生と中学校三年生の保健学習において、日ごろの生活行動が大きな原因となる生活習慣病の一つとして取り上げるとともに、生活習慣病健診やがん検診などに保健医療機関を積極的に利用することの大切さを指導しております。御指摘のがん教育については、正しい生活習慣を身につけることで病気を予防することや、検診の有効性を十分理解する上で重要であると認識しております。今後は、保健学習の授業時間数が限られていることや、教材の準備等の課題を踏まえ、本区独自のNPO法人との協働事業「体と心、命について考える出前授業」をさらに活用するなど、健康教育の中でがん教育の取り組みを一層推進してまいります。

 次に、アレルギーを持つ子供の給食についてです。

 子供の食物アレルギーは、最悪の事態では生命の危険も伴うことから、大変重要な問題であると認識しております。近年、食物アレルギーを持つ児童・生徒は増加傾向にあり、卵や乳製品、魚介類、木の実など、原因食物は多岐にわたっております。一般的に、アレルギーの原因となる食物は成長に従って食べられるようになる傾向にあり、本区の給食で除去食対応が必要な子供の割合は、保育所で六・九%、小学校で二・八%、中学校で○・七%となっております。食物アレルギーへの対処では、原因となる食物を摂取しないことが最善であり、学校、保育所のいずれの給食においても、除去調理を原則としております。保育所では、パンや魚、肉などの主食、主菜を除去する場合には栄養価が不足することから、代替食を提供しておりますが、小学校においては、保護者の協力を得て、主食、主菜の代替食を持参していただいております。これは、保育所では各園ごとに食材を調達、調理する方式ですが、小学校十六校では共同献立による食材の一括共同購入方式を導入していることから、代替食への対応が困難なためです。なお、各校において食材を調達している中学校においては、代替食対応を行っております。今後、小学校給食におきましても、共同献立、一括共同購入方式においてどのような対応が可能であるか検討してまいりたいと存じます。

 次に、熱中症対策としてのミストシャワーについてお答えいたします。

 熱中症は、子供たちの健康や生命に甚大な影響を与える可能性があることから、正しい知識を持ち、適切な予防策を講じる必要があります。本区では、これまで夏の暑さ対策として、幼稚園、小・中学校のすべての教室と体育館を冷房化するとともに、熱中症に関する正しい知識や情報の提供、屋外での活動時における安全管理の徹底など、ハード、ソフト両面にわたり熱中症対策を行っております。ミストシャワーにつきましては、少ない費用で手軽に設置でき、視覚的な涼しさを感じることもできるものと認識しており、本区の学校においても既に簡易なミストシャワーを導入している事例があります。今後は、区内の設置校や他の自治体の導入事例などを参考に、ミストシャワーの熱中症に対する有効性や衛生上の問題点などを検証し、各学校・園での取り組みにつなげてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十六番 堀田弥生議員登壇〕

○十六番(堀田弥生議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、検診のあり方というところでは、自治体で行われる場合、やはり多くの方に受けていただけるように、また受けやすい検査をということが大切な観点かという思いもございまして、ピロリ菌、胃がんの検診としての提案をさせていただきました。

 今、区で行われている前立腺がん検診につきましては、国の指針では入っていない検査でもございますので、そのようなことも先進的に行っておられる本区であるからこそ、他の区の事例もかんがみながら、胃がん検診の今後のことをまたさらに御検討いただければと存じますので、よろしくお願いいたします。

 子宮がん検診、また飛びますけれども、アレルギー対応等、前向きな御答弁と受けとめております。さらなる御検討が必要かとは思いますが、何とぞ実施に向けてお願い申し上げます。

 ミストシャワーの件につきましては、前例があったということを私が存じませんで、失礼いたしました。それをまたしっかり、必要なところにというところになるかと思うんですけれども、本当に子供たちを守っていくために大切な事業になってくるのかなというふうにも思いますので、今後の実施に向けて御検討をお願い申し上げます。

 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 次に、二十八番中島賢治議員。

二十八番 中島賢治議員登壇

○二十八番(中島賢治議員)
 公明党の中島賢治です。私は、平成二十四年第三回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快な御答弁をお願いいたします。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 ことしは、オリンピックが七月二十七日から八月十二日までイギリスのロンドンで開催されました。第三十回夏季オリンピックには二百四カ国の地域から約一万一千の人が参加し、事前競技を含め、実質十九日間、二十六競技三百二種目が行われ、日本としても三十八個のメダルを獲得し、今までの最高となりました。

 また、その後のパラリンピックは八月二十九日から九月九日まで、同じくイギリスの首都ロンドンで開催され、北京オリンピック以来、パラリンピックも同時開催され、大きな感動を巻き起こしました。ロンドンでは、大会後にオリンピック選手とパラリンピック選手八百人が一緒にパレードを行い、沿道には百万人からの歓迎を受けたと報じられておりました。そして、シドニーパラリンピック以来三大会ぶりに知的障害者が出場するなど、オリンピック・パラリンピック自体もノーマライゼーションの精神が高まってきております。

 パラリンピックは、二十競技五百三種目に、初参加の北朝鮮を含め史上最多の百六十四カ国の地域から約四千二百八十人の選手が参加し、日本としても十六個のメダルを獲得し、すばらしい大会となりました。東京都は、二○二○年に立候補都市として名乗りを上げております。我が会派としても、このすばらしい感動を日本の多くの方に生で共有できる大会の実現を希望しております。オリンピック・パラリンピックの招致に大いに賛成し、積極的に東京招致に対して活動してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 今までのオリンピックを振り返ると、社会的に大きな環境の変化を与えてきました。戦後最初の一九四八年に戦争からの復興でもあり、平和の象徴として、ロンドンで二回目のオリンピックが五十九カ国四千六十四人によって開催されました。一九六四年、東京オリンピックにおいては、首都高速や新幹線の建設で交通インフラが充実し、日本の高度成長の起爆剤となりました。そして、その後、ロサンゼルスオリンピックよりは経済効果を重視した取り組みが目立ち、演出を売り物としたオリンピックが計画されて、莫大なお金をかけた派手なオリンピックの時代が続きました。現在では、コンパクトでお金のかからない大会が計画されるようになり、環境を重視し、既存の施設のリニューアルなど無駄のない取り組みが反映された大会へと変わっております。

 そして、北京オリンピックからは障害者との同一開催により、スポーツの世界でもノーマライゼーションを強調した大会となり、名称もオリンピック・パラリンピックと言われるようになりました。参加国の拡大は、世界における最小の単位の人と人とのスポーツでつながる平和へのアプローチには欠かせない世界イベントだと感じております。立候補都市として名乗りを上げている東京において、区内のバリアフリー対策について、順次お伺いいたします。

 平成十七年に、銀座地域においてのバリアフリーの推進について質問をいたしました。その後、委員会でも区内のバリアフリーについて何度か質問をさせていただきました。今回は、初めてのバリアフリー質問より七年が経過し、その間、交通バリアフリー法の推進により銀座地域においての階段などのバリアも、民間の事業者の推進のおかげで、かなり障害が改善されております。

 七年前には銀座の地下通路を車いすが通ることが困難でしたし、地上からホームに移動することもできませんでした。しかし、現在ではバリアフリー法やハートビル法の推進のおかげで、ホームと地下通路と地上と、別々ではありますが、エレベーターが設置されております。さらに、地下通路より民間のビル内に入る際に、数段の階段や段差が現在はスロープに変わっており、さらに上下階の移動にはビル内のエレベーターを使用することができるようになりました。それに、銀座の地下通路には、途切れることのない点字ブロックやコントラストがはっきりした黄色地に黒文字で表示板も設置されております。

 しかし、これだけ整備されているのに、ハンディを持たれた人の歩行者に出会わないのはなぜでしょうか。いまだに車いすで地下通路を進む姿を見ておりません。地下通路の表示をよく見ると、エレベーターの表示が小さかったり、隣接のビルのエレベーターの中には入り口サイズが七十五センチと狭く、車いすが入れないものや、回転スペースのないエレベーターなどが設置してあり、そのために地下通路にはエレベーターのシンボル表示も出ておりません。

 先日、長岡市へ視察に行かせていただいた際、長岡駅のシンボル表示には大変に驚かされました。等身大のトイレ表示や一メートル角のエレベーター表示、そのほかに柱の表示板は一つが五十センチ角、通路やロビーからは一目瞭然でわかるサイズです。現在、都市部のJR各駅など、改装時に順次表示を変更しております。表示のほかに、問題は、地下道内にだれでもトイレの設置がまだまだ不十分なようです。このような状況で、オリンピック・パラリンピックを迎えることができるのでしょうか。銀座地下通路や現在の庁舎を含めて、区内のバリアフリー状況についての御認識をお聞きいたします。

 二○二○年のオリンピック・パラリンピックが決まれば、より一層のバリアフリー化が求められます。外国から来られた方の言語や文化の違いが生み出す弊害に対しての取り組みも必要になります。地域における表示板の幾つかの外国語表記の必要性や公共交通の進んだ東京ならではの路線バスや電車の乗り方、さらにはトイレの使い方など、私たちが当然として使っている日常の操作など、いろいろなシンボル表示の意味も、他の国から来られる方には大変大きな障害となります。オリンピック限定ではなく、地域への観光として招き入れる心として、電車やバスの切符の買い方や乗り方等々、バリアフリーガイドとしてポケット判の案内なども考える必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 さらに、パラリンピック開催で、ハンディを持った方が地域に多く集まることが考えられます。その対応が、区内のバリアフリーへの環境を大きく変えるものとなります。晴海選手村から築地場外市場や繁華街の銀座に移動するときには、どんな形にせよ、晴海通りを利用することになります。この動線のバリアフリー化は、日本の顔になります。区として、区内のバリアフリー化をどのように考えておりますか。お聞かせください。

 これだけの世界イベントに世界各国から外国の方が来られます。さらに、障害を持たれた方もパラリンピックの際には観光されるでしょう。そのようなハンディを持った方に少しでも負担を減らし、楽しい思い出と観光を楽しむためにも、区として今からでもバリアフリーの基本方針や基本計画、実施計画などを立てる必要があると思いますが、いかがお考えですか。お聞かせください。

 次に、成年後見制度についてお聞きいたします。

 日本の高齢化は、世界に類を見ない速さで進んでおります。そして、現在の日本の人口高齢化率は、二○一○年高齢化白書によれば、二三%を超えており、このスピードでいくと、二○五○年には三五%を超え、三人に一人が六十五歳以上になると言われております。ことしの高齢者数は三千万人を超え、認知症の数は三百五万人を超えたと言われ、六十五歳以上の一割が認知症になりました。

 中央区においての人口は、本年九月一日現在で十二万七千六百九十一名、六十五歳以上の高齢者は二万四百人、高齢化率は一六%ほどであり、全国平均二三%よりもかなり下回っておりますが、絶対的人数は着実にふえております。区内高齢者二万人のうち一割が認知症であれば、区内の認知症患者が二千人いることになります。平成二十四年三月現在で、介護保険認定者は三千八百八十七人、よって介護を受けられている半数以上が認知症となります。高齢者の増加とともに、ふえ続ける認知症の介護に対する取り組みをどのようにお考えになっているかお聞きいたします。

 介護保険制度が二○○○年よりスタートして十二年。高齢者の中にも介護保険が保険制度として受け入れられてきました。措置から契約をうたってきましたが、介護が必要なときには認知症も並行して進んでいる現状で、物事の理解や判断ができなくなることに対して、成年後見制度が介護保険との両輪としてスタートいたしました。

 しかし、現実は、高齢者の年齢とともに、契約が本人に理解されないまま制度が運用されております。その結果、高齢者本人の意思ではなく、周囲の都合により契約内容が決められております。本来、高齢者の望んでいる生活をかなえることが成年後見制度のはずですが、判断できないことで家族による契約がされているのが現状です。このような高齢者の生活を守る地域権利擁護事業や成年後見人制度の状況から、今後の充実の必要性をお聞きいたします。

 先日、北九州市の社会福祉協議会成年後見センターに行ってきました。北九州市では、金銭管理や親族とのトラブルなどを抱えた案件に対して、弁護士や司法書士が対応する成年後見事業「みると」と、市民後見人(貢献型後見人)による介護契約や本人の意思を尊重する暮らしの実現のための「らいと」を平成十八年に立ち上げました。さらに、社会福祉協議会としては、地域権利擁護事業(現在は日常生活自立支援事業)を判断のできる高齢者を主体とした生活支援事業を行っております。

 「みると」は発足から三年で百件を超え、「らいと」は昨年一年間で四十二件、地域権利擁護事業は一年間で二百九十二件となり、高齢者の権利擁護に大きな役割を果たしております。そして、この「らいと」としての成年後見人や権利擁護支援員として活躍しているのが、今、国で進めている市民後見人(貢献型後見人)です。北九州市では、二百九十二件権利擁護案件と四十二件の「らいと」の後見案件すべてを、三十二人の市民後見人研修を修了した市民後見人が生活支援員として対応しております。

 従来であれば、個人として受ける制度ですが、個人で市民後見人として受けても、所得のない人の後見人ですと、後見報酬が裁判の決定でも支払われないことがあり、また、請求する側の市民後見人自体がボランティアの意味合いも強く、請求しないケースもよくあるようです。さらに、親族とのトラブルのほとんどが金銭に関係するトラブルで、金銭の支出を抑えることが親族の相続資産に影響があるために、裁判になることもあります。そのときには、市民後見人が責任の追及を受ける立場に立たされることもあります。

 このような問題に対応するために、「らいと」の扱う市民成年後見人事業では、市民後見人に権利擁護の仕事を専念するために、北九州市では社会福祉協議会が法人として裁判所より成年後見人を受けております。北九州市では、個人においての活動は市民後見人ではなく生活支援員として働き、時給として報酬が支払われております。法人として成年後見人を受けることが、生活支援員を守ることにつながる、安心して後見活動ができると考えております。

 中央区の状況を考えると、高齢化率も低いようですが、今後ふえ続けると言われている都市部の高齢化に対応するためにも、高齢者の生活支援の権利擁護のためには、多くの市民後見人の力が必要と考えておりますが、区のお考えはいかがでしょうか。

 厚生労働省が地域権利擁護事業から日常生活自立支援事業に名称を変更したことも、財産管理を主体としてきた権利擁護事業から日常の生活支援に目的が変更したためであり、今までの法律の専門家など、財産管理から地域生活の手助けとなる市民後見人(貢献型後見人)の必要性が高まったからであります。そんな市民後見人が安心して後見活動、地域権利擁護活動、生活支援活動ができる体制を組むことが、今後将来にわたり高齢者の住みよいまちになると考えておりますが、いかがお考えでしょうか。

 この北九州での後見事業、権利擁護事業の裏づけは、これまでは経験と一般的な判断をもとに行っております。本来、高齢者一人一人、個性も、歩んできた人生も異なります。思い出や価値観も異なるこの現状で、一般的として判断を下すことが本当に高齢者のためになるのか疑問に思います。一人一人の人生の思い出を加味した上での生活支援事業であり、後見事業と考えます。

 そのために、以前質問させていただいた下諏訪社会福祉協議会で実施している「つづり」などのエンディングノートは、後見活動や生活支援として高齢者の支援に必要な判断材料になるのではないかと考えております。今、いろいろな形で市販品を含め、出版されておりますが、家族のための金銭に関する記載ではなく、個人の思い出ノートとしての後見事業や地域権利擁護事業、さらには生活支援事業の判断材料として活用を視野に入れた取り組みが必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 中島賢治議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区内におけるバリアフリー化の状況についてであります。

 障害者や高齢者はもとより、観光で訪れた外国人など、すべての人が安全で安心して生活し、楽しむことができるまちづくりを進めることは、極めて重要であります。区では、これまでに本庁舎改修で誘導タイルの設置、だれでもトイレの増設、授乳室の新設などを行うとともに、人に優しい区道の整備、公園・児童遊園の出入り口の段差解消、公衆便所の多機能化などの公共施設のバリアフリー化を計画的に推進してまいりました。しかしながら、地下通路や既存建築物においては、案内表示やだれでもトイレが不十分であるなど、なおバリアが存する実態があると認識しております。

 次に、外国版バリアフリーガイドについてであります。

 区では、外国人観光客も快適に安心して本区の魅力を楽しめるよう、外国語表記のガイドマップを作成しているほか、四カ国語での表記と国際的な絵文字を用いた観光案内板を区内十六カ所に設置しております。また、各交通機関においては、駅構内のサインは四カ国語の表記がされ、乗車方法や運賃の支払い方法などを盛り込んだ外国語版の利用案内は、既に発行されております。駅構内のバリアフリー設備の設置状況を紹介した「バリアフリー便利帳」の外国語版は作成されておりませんが、今後、外国語版利用案内の充実やバリアフリーガイドの作成などについて各交通機関などに働きかけてまいります。

 次に、晴海通りなど区内のバリアフリー化についてであります。

 東京都では、晴海通りを含む区内の都道において、段差解消や勾配の改善、視覚障害者誘導ブロック設置などのバリアフリー化を着実に進めております。こうした道路整備を中心として、晴海通り沿道においては、平成二十二年十月に銀座五丁目の区有地を活用して、都営地下鉄東銀座駅のエレベーター出入り口が整備されました。また、歌舞伎座の建てかえでは、場内だけでなく、地下鉄駅と直結した地下空間と地上との動線のバリアフリー化も図られる予定となっております。今後とも、東京都をはじめ、関係機関と連携しながら、民間を誘導して公共空地の創出など推進し、バリアフリー化の線から面への展開を図り、安全・安心で魅力あるまちづくりを積極的に進めてまいります。

 次に、区におけるバリアフリー化の方針や計画についてであります。

 区では、平成十七年二月に公共施設のバリアフリー化や関連諸施策を総合的に進めるため、その基本的な考え方や具体的な整備方針を定める福祉のまちづくり実施方針を制定いたしました。その後、バリアフリー新法の施行や東京都福祉のまちづくり条例の改正を踏まえて、平成二十三年三月に福祉のまちづくり実施方針二○一一を策定しております。この実施方針では、観光振興と連携した取り組みの推進を整備方針の一つに位置づけており、今後とも、この方針に基づき、観光の視点にも配慮した区内のバリアフリー化を総合的かつ計画的に推進してまいります。

 次に、認知症対策についてであります。

 本年四月現在、日常生活に支援が必要な在宅の認知症高齢者は、区内に約千六百人おり、今後さらに増加することが見込まれております。認知症になっても住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、地域の方々の理解促進や見守り等への協力、介護者支援の視点を持った医療・介護サービスや生活支援の充実、権利や財産を守る取り組み等が必要であります。本区においては、認知症のよき理解者である認知症サポーターのさらなる拡大や認知症サポート医の周知、おとしより相談センターを核とした地域見守りネットワークの拡充、グループホームの整備等を進めるとともに、成年後見制度の普及に取り組んでまいります。

 次に、成年後見制度等の充実についてであります。

 認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分となった方の権利や財産を守るため、本区では社会福祉協議会が設置している成年後見支援センター「すてっぷ中央」において権利擁護に係る個別支援事業や成年後見支援事業を行っております。これら支援事業の利用契約の締結や支援の実施に当たっては、所定のガイドラインに基づき、契約締結能力の判定を行いながら、利用者本人にとって最善の結果となるよう、また本人の意向に極力沿うよう努めているところであります。しかし、後見人による横領や不適切な金銭管理などの事例も報道されていることから、監督機能の充実・強化が必要であると考えております。

 次に、市民後見人についてであります。

 市民後見人は、弁護士や司法書士等の専門職である必要はなく、成年後見人として家庭裁判所から選任された市民とされ、市民参画と住民同士の支え合いという性格を持つものであります。この背景には、高齢社会の進行により成年後見ニーズの高まりがあり、老人福祉法の改正により区市町村が人材の育成や家庭裁判所への推薦を行うこととされたところであります。現在、本区では五名の区民が研修を修了して実習中でありますが、今後の高齢者人口の増加などを考えると、より多くの方に市民後見人になっていただく必要があります。そこで、後見報酬の助成制度の拡充を含め、後見人が安心して安定的に長期間にわたって活動を続けられるよう、さまざまな支援策を検討してまいります。

 次に、思い出ノートの活用についてであります。

 現在、区では高齢者向けの各種の講座や講習会において、エンディングノートの作成方法及び利用方法の紹介や作成のサポートを行っております。エンディングノートは、単に作成した本人が亡くなった後の財産の備忘録や葬儀、お墓に関する希望の表明としての役割を担うだけではなく、人生を振り返り、さまざまな思い出をつづるなど、作成すること自体が楽しいものとなることが必要であります。また、介護や看護の際に知っておいてほしいことなども記入でき、後見などの支援が必要となったときにも役立つことも重要であります。今後とも社会福祉協議会などと連携し、エンディングノートのあり方を協議しながら、さらに普及・啓発を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十八番 中島賢治議員登壇〕

○二十八番(中島賢治議員)
 いろいろと質問に対しての御答弁、本当にありがとうございます。

 まず、バリアフリーに関しては、気持ちとしては、パラリンピックを迎える以上、やはり区内のバリアフリーは区の責任だというふうに感じております。

 その中で、具体的にお話をさせていただければ、点字ブロック、推進しているというお話を、今、いただきましたが、勝どきビュータワーの晴海通り沿いに関しては、ずっと一直線で、ワンブロック分だけ点字ブロックがあるのにもかかわらず、それ以後は何もない。どういうコンセプトでやっているんだろうと。それは開発とともに少しずつ拡大していくのかもしれませんが。もう一つよくわからないのが、地下鉄の築地駅を出てきたときに点字ブロックが保健所のほうまで行っているんです。それは理解したんです。では、反対側というと、入船橋を渡ってリハポートのほうまで行って、リハポートに向いているのかと思ったら、さらにそれからずっと明石の都営住宅の前で切れている。都営住宅の前で切れているんでしたら何も言わないんですけれども、それを過ぎた最初の角のコーナーまで来ている。何が言いたいかというと、バリアフリーの中で基本方針とか実施計画というお話をさせていただいた中で、区としてどういうふうに点字ブロックをつけるのかということです。

 長岡市については、基本的に駅から二百メートルの範囲内には、駅に向かう、または公共施設に向かうところは点字ブロックをすべてつけているという考え方もあります。私どもの区においては駅がたくさんありますから、そこらじゅうについてしまうのかなというふうには思いますが、ただ、もう少しコンセプトを持って点字ブロックもつけていただきたい。弱視の方が通るときに、どこへ行っていいんだか、これを伝わっていけばどこへ行くのかというのが基本的にわからないような点字ブロックのつけ方というのは、やはり問題があるのではないかなと。この状態でパラリンピックを迎えても、本当に大丈夫なんだろうかと思います。

 この間、銀座の地下に久しぶりに行って、ずっと半日ぐらいぶらぶらしていても、だれ一人車いすの姿を見ないんです。その理由として、今回はシンボルマークが小さいからではないかということで一応発言はさせていただいたんですが、それはもともとやはりそういった身障者に対しての配慮がない地下街のつくりであろうというのが一番の考え方です。

 今、オリンピックに関しても、パラリンピック・オリンピックが同時開催でノーマライゼーションという形でお話をさせていただきましたが、地域において二○二○年、もしオリンピックを誘致するのであれば、そこまでにやはりそういった環境をつくらないと、中央区として外国の方をお迎えする上で情けないものになってしまうというふうに思いますので、ぜひ取り組みのほうをよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 成年後見制度に関しては、実を言うと、本当に言いたいことが今回は抜かしてあったというか、北九州市というのは政令指定都市ですので、九十二万人都市ですから、私どもの特別区の十二万とは違うんですが、北九州においては、法人で受けて責任をすべて法人で受けるというところが今回の質問の趣旨なんです。ですから、成年後見を実施する、今回、生活支援員という話をしましたが、その人が高齢者の支援をしていくときに法律的に守られる、活動が妨げられないということが重要なんです。一生懸命善意でやったとしても、結果として遺産相続の中に巻き込まれて、法廷で証言をさせられるとか、いろいろな請求、賠償をかけられるという事例が幾つもある。ですから、それを守るためには、やはりしっかり法人で、法人でなくても、それにかわる仕組みが必要だというのが今回の趣旨ですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 愛知県の知多市では、最後の「つづり」の話なんですが、知多市ではこういう事例がありまして、介護でずっと一緒に暮らしていた男の人が亡くなるんです。病院で亡くなって、その前日に婚姻届が出されている。そのニュースの報道では、家族による、要は年金の搾取だというような形で書かれて、ひとり住まいの方で、近くに女性の方がいて、それは遠縁の婦人の方なんですけれども、長年ずっと介護を続けてきて、そういうことは一切書かれなくて、その前日に結婚をすることで年金の搾取だというような報道がされるんです。これは裁判になって、今、審理中だと言っておりましたが、それでどうなったかというと、結局、その女性というのは亡くなった後に何の補償もないわけです。昔、近所に住んでいたというのと遠縁だということで、ずっとその人の介護を十年近く見ていて、亡くなって、その家族の人と弁護士が、その人にできることはということで、最後に結婚をして、せめて遺族年金を持たせようというふうにとった行動だったということが後になってわかる。

 これはまだ決着がついていないんですけれども、こうなったときに、最終的に何が必要かというと、その本人がどういう思いで介護を受けていたかということなんです。そうなると、やはり先ほどのエンディングノートという話でもいいんですが、今までの思い出ノートとして、やはりどこかで自分の気持ちを記載するようなところがあれば、それが最終的な判断の材料になって、その女性は救われるというか、裁判では婚姻が認められるかもしれないというふうに思っております。

 そういう事例は、介護においては大変多くあって、介護しているにもかかわらず、亡くなってしまって、意思表示がないからと、一度も介護の手伝いをしない親族がそっくり財産を持っていく。一生懸命尽くして、ただ、財産が欲しくて言うわけではないんですけれども、そういう本当に苦労してきた人が報われるような社会の仕組みづくりをつくらないと、やはり今後の高齢化社会には太刀打ちできないというふうに思っておりますので、今回その二点について私も強く感じましたので、一般質問させていただきました。

 長い間、御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時四十八分 休憩


午後五時十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十番小栗智恵子議員。

十番 小栗智恵子議員登壇

○十番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、党区議団を代表して質問します。御答弁によっては再質問、再々質問を留保します。

 初めに、尖閣問題について質問します。

 尖閣諸島の領土問題をめぐり、中国各地で日本人に対する暴力行為や威嚇、日本関連企業や建物への破壊活動が行われています。日本共産党は、九月二十日、「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」という提言を発表し、日本政府に手渡しました。申し入れの際、志位委員長は、「日本への批判を暴力であらわす行動は、いかなる理由であれ許されない。中国側に自制を促す対応と在中邦人、企業、大使館の安全確保に万全の措置をとるべき。日中双方が物理的対応の強化や軍事的対応論は、厳に慎むことが必要だ」と表明しています。

 さらに、尖閣諸島について、「歴代日本政府の対応には、領土問題は存在しないという立場を繰り返すだけで、中国との外交交渉によって領有の正当性を理を尽くして主張する努力を避け続けてきたという重大な問題点がある」と指摘しました。「領土問題は存在しない」は、「一見強いように見えても、そのことによって日本の立場を主張できず、中国側の主張への反論もできないという点で、日本の立場を弱いものにしている」と指摘、その上で、「尖閣諸島の問題を解決するためには、領土問題は存在しないという立場を改め、領土にかかわる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決を図るという立場に立つべきです」と提起しました。

 尖閣問題の平和的解決のために、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性を日本政府が粘り強く国際社会及び中国政府に対して理を尽くして堂々と主張することが求められると考えます。尖閣問題の平和的解決について、区長の御見解をお聞かせください。

 次に、消費税増税と社会保障の改悪による区民の暮らしへの影響について質問します。

 八月十日、消費税増税法案が民主・自民・公明三党によって可決されました。しかし、八月三十日、日本共産党など七会派提出の野田首相問責決議案が参院本会議で可決され、消費税増税を進めた本体である民主党は、参院からノーの審判を下されました。自民党は、一緒に増税を進めながら、そのことを批判した問責決議案に賛成。公明党は、問責の採決時に退席し、増税を一緒に進めてきた三党に亀裂が入りました。この変化をつくったのは、増税に反対する国民多数の世論と運動です。法律が通っても、依然として世論調査では増税反対が過半数を占め、毎日新聞の世論調査でも、消費税が増税されたら「暮らしに影響がでる」という回答が九二%に及んでいます。

 そこで、質問します。

 第一に、消費税増税について、「年金は減り、保険料は上がり、その上増税されたら暮らしが成り立たない」、「もうけがなくても消費税は納めなくてはならない。貯金を取り崩して払っているのに、倍になったら商売を畳むしかない」、「医療費には消費税が掛けられないが、医療機器などの仕入れには消費税がかかり損税になっている。医療機関もやっていけなくなる」などなど、悲痛な声があふれています。こうした状況をどうお考えですか。御答弁ください。

 第二に、八月の中央区景気動向調査では、先行き判断DIは依然として五○を下回り、「消費税増税等があって先行き不安な人が多く、無駄や節約を考える人がふえている。先々の実施とはいえ、消費税増税に伴い中小企業に深刻なダメージが波及すれば、日本経済の底力はそがれ、各所各業種で収益が圧迫される」という回答が紹介されています。景況調査からも、消費税増税の影響は明らかです。

 区長は、三月の第一回定例会の志村議員の一体改革の質問に対する答弁で、「この改革で生存権が奪われる、または家計と中小企業に破壊的な影響を与えるとは考えておりません」とのことでしたが、今も同じ考えでしょうか。御答弁ください。

 第三に、社会保障と税の一体改革関連法案は、民主・自民・公明三党の修正合意で内容が政府案よりもさらに改悪に拍車がかかりました。税制では政府案にわずかにあった高額所得者の所得税、相続税の最高税率を引き上げるなど課税を強化する条項もなくなりました。一方、消費税増税による税収増を見込んで公共事業をふやす項目がつけ加えられました。実際、三党が増税法案の衆院通過を強行した直後、政府は三兆円を投入する整備新幹線、事業費九千億円の八ツ場ダムなどの復活を決めました。九月五日には、一メートルつくるのに一億円もかかる東京外郭環状道路の着工を強行しました。消費税増税は、結局、従来型の大型公共事業の財源づくりということが明らかになりました。これでは国の予算の半分が借金という財政破綻状態を立て直すどころではありません。区長の御見解はいかがでしょうか。

 第四に、日本共産党は、消費税に頼らず社会保障を充実させ、財政危機を打開する道を提案しています。無駄遣いを徹底してなくすこと、不公平税制を改めて応能負担の原則で所得の再配分機能を果たす税制にすべきではないでしょうか。区長の御見解をお聞かせください。

 第五に、社会保障の改悪の影響について質問します。

 一体改革関連法の三党合意による修正で、社会保障も一層改悪の方向が打ち出されました。社会保障制度改革推進法は、年金、医療、介護を社会保険制度を基本とするとしています。保険の制度というのは、保険料を払わない人は給付を受けられません。「社会保険制度を基本とし」とわざわざ法律に書いていること、さらに法の目的として受益と負担の均衡のとれた社会保障制度の確立を掲げていることから、社会保険制度を民間保険のような、払った分だけ給付を受けるというものにしていく意図は明らかです。

 今年度、介護保険、後期高齢者医療、国民健康保険が一斉に値上げされ、中央区の窓口に、前年よりなぜ上がったのか、保険料が高いなどの問い合わせが殺到しました。それぞれ区の窓口で期間限定で集計した件数だけで合計七百件も寄せられたということです。特に、毎年値上げが繰り返される国民健康保険は、今でも三軒に一軒が滞納世帯という深刻な状態です。保険料が払えない人は給付も受けられないとなれば、三分の一の世帯が医療を受けられなくなってしまいます。貧困や格差が社会問題となっている中、福祉を最も必要とする人が排除されるのでは、社会保障制度ではなくなってしまいます。こうした状況についてどう考えておられますか。負担をふやし、利用する人を制限して受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度にするのはおかしくありませんか。御答弁ください。

 次に、高齢者の見守りネットワークの強化について質問します。

 ことしも大変な猛暑が続き、区内でも熱中症で救急搬送された方が三十七人、うち高齢者が十二人とのことでした。認知症の方、ひとり暮らし高齢者、また御家族がいても日中一人になる高齢者の方もふえている中、ぐあいが悪くなったときなどになるべく早く対応できるような見守りネットワークを強化することが必要だと考えます。

 二○一○年ににわかに問題になった高齢者の所在不明問題もあり、今、各地で孤独死を防ごう、声をかけ合おうと、見守りネットワークを広げていく取り組みが行われています。現在、中央区では若年世代の人口増もあり、高齢者の割合は減っていますが、人数はふえ続けています。住みなれた地域で安心して暮らしていけるソフト面の支援も大切です。中央区保健医療計画改定への基礎調査として実施された中央区高齢者の生活実態等調査及び介護サービス利用状況調査によると、要介護認定を受けていても在宅サービスを利用していない割合が二割近くありました。ひとり暮らしでも介護認定を受けながら利用していない方が一三%となっています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、介護認定を受けてもサービスを利用していない、あるいは認定も受けていないけれども、日常的な見守りなどの支援が必要だと思われる人数をどのくらいと考えていますか。民生委員が訪問して行うひとり暮らし高齢者の実態調査などで明らかになった課題をどのようにお考えですか。

 第二に、中央区では、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が安心して暮らしていけるよう、おとしより相談センターを核として地域見守り事業の実施団体を支援しています。ことし二月現在、十五団体で百三十一人の協力員が二百七十七人の方を対象に活動されています。しかし、人数も地域もまだまだ限られています。今後、地域の見守り事業をどのように拡大していく計画でしょうか。区が委託をしてニュースを配布しながら安否確認を行う新宿区などの取り組みなどを参考にして、見守り協力委員会ができていない地域を中心に、ボランティアだけに頼らず、専門の協力員を配置して見守り活動を実施するよう提案します。御答弁ください。

 次の質問は、原発ゼロの実現についてです。

 ことしも八月に原水爆禁止世界大会が開かれ、党区議団を代表して、私が広島大会に参加してきました。あいさつされた広島市長は、二○二○年までの核兵器廃絶を目指す平和市長会議の加盟都市が全世界で五千三百を超え、約十億人の市民を擁する会議へ成長していることを紹介されました。原水禁大会広島決議は、放射能で苦しむ人々をつくらないという願いを一つに、核兵器のない世界を目指す運動をさらに広げようと呼びかけました。

 今、国際的にも核兵器廃絶の運動が広がっています。そして、原発ゼロを目指す国民的な行動も大きく広がり、七月十六日、代々木公園で行われた「さようなら原発十万人集会」には十七万人が集まり、毎週金曜日には首相官邸前行動が続けられています。

 東京電力福島第一原発の事故を受け、検討してきた政府のエネルギー・環境戦略は、九月十四日、二○三○年代に原発稼働ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入すると発表しました。しかし、政府は、財界、米国からの反発を受け、閣議決定を見送りました。

 そこで、質問します。

 第一に、現在、日本国内にある五十基の原発のうち、稼働中の原発は関西電力の大飯原発の三・四号機だけです。それでもこの夏の電力は賄えました。ゼロでも大丈夫とさせないために、無理やり大飯原発を再稼働させましたが、関西電力の場合も再稼働させなくても間に合った計算です。原発の再稼働は必要ないことが実証されたわけですが、このことを区長はどうお考えでしょうか。

 第二に、福島原発は、発生から一年半たっても収束の見通しも立たず、一たん事故を起こせば取り返しがつかない被害をもたらすことを目の前に示しました。国会福島原発事故調査委員会は、福島第一原発の事故を、明らかに人災だとする報告書を提出しました。区長は、昨年の第三回定例会での奥村議員の「原発の事故を天災と考えるか人災と考えるか」という質問に対し、「事故の原因については専門的かつ技術的な視点から徹底的に究明され、広く議論されていくもの」と明言を避けられましたが、現在のお考えをお示しください。

 第三に、原発を再稼働させ、運転を始めれば、それだけで危険な使用済みの核燃料がたまります。使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す核燃料サイクルの計画は破綻しているのに、やみくもに原発を再稼働させ、再処理計画を続けるのは危険です。日本共産党は、九月十四日、すべての原発から直ちに撤退する政治決断を行い、即時原発ゼロを実現することを強く要求すると表明しています。原発ゼロを実現することについて、区長の見解をお聞かせください。

 第四に、自然エネルギーの資源量は、太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも二十億キロワット以上と推定されています。これは、日本にある発電設備の電力供給能力の約十倍、原発五十四基の発電能力の約四十倍です。この豊かな可能性を現実のエネルギーとして実用化する取り組みを進めれば、原発は必要ありません。自然エネルギーへの転換について御見解をお聞かせください。

 次に、官製ワーキングプア解消の一つとして、公契約条例を制定することについて質問します。

 千葉県野田市で全国初めて制定された公契約条例は、川崎市、相模原市、多摩市でも制定され、二十三区では渋谷区で六月に制定され、十一月から施行されます。公契約条例は、公共工事や委託業務で働く労働者の賃金の下限額を定め、下請けや労働者に低価格競争のしわ寄せがされないよう、賃金の確保・適正化を図るものであり、そのことによって地域経済の活性化や市民が安心して暮らせる地域社会に寄与するという目的があります。日本共産党は、繰り返し公契約条例の制定を求め、二○一一年第一回定例会に条例提案も行いました。残念ながら否決されてしまいましたが、今、全国的に公契約条例の制定に向けた動きが広がっています。

 中央区では、総合評価方式や最低制限価格制度、低入札調査制度など入札制度の改善がされてきていますが、実際に労働者に適正な賃金が払われているか事後の調査ができないなど、限界があります。先行して制定した野田市では、施設の清掃事業が最低賃金ぎりぎりで就労していたのが、時間給が百円アップし、賃金の大幅改善が図られた、工事においては、設計労務単価の八○%未満の労働者はゼロになるなど、成果があらわれています。中央区でも早期に制定するよう求めます。御見解をお聞かせください。

 次に、雇用環境の改善と雇用創出について質問します。

 深刻な雇用状況が続いています。民主党政権のもとで非正規雇用の労働者は三三%から三六%へ、さらに拡大してしまいました。また、正規雇用でも仕事の現場が長時間で非常に厳しく、就職しても三年後には三分の一の人がやめている。一方で、やめたくてもやめられないで心も体も病んでしまうような過酷な労働実態が横行しています。しかも、民主党政権は雇用の分野でも公約を翻し、低賃金で不安定な働き方が問題になっている有期雇用を雇用の基本とする方向に転換しようとしています。

 中央区労働組合協議会の資料によれば、一年ごとの契約更新でそのたびに賃金がカットされる、深夜に及ぶ残業で脳梗塞を起こし、職場復帰を求めたが退職を迫られた、パワハラを受けてうつ病になり、自己都合で退職させられるなど、深刻な労働相談が後を絶たないということです。また、失業すれば途端に家賃が払えず、住宅から追い出される。国民健康保険の手続をしないまま無保険状態になるなど、安定した雇用と社会保障からも排除される状況が広がっています。

 そこで、質問します。

 第一に、区としても労働相談の窓口を設置するとともに、失業者への生活支援の取り組みを強化することが必要だと考えます。特に、うつ病などの病気や交通事故などを理由に解雇されたり、長期に無給休職を余儀なくされている人への低家賃住宅の提供や失業住宅手当の適用など、緊急な支援・救援策を行うよう求めます。御答弁ください。

 第二に、区内事業所に労働基準法、最低賃金法、労働組合法、労働安全法をはじめ、労働法の周知を図り、労働環境の改善につなげる必要があると考えますが、御見解をお聞かせください。

 第三に、区独自の雇用創出事業を拡充することについてです。

 区で行う新たな雇用の創出事業として、今年度は未就学学卒者の就労支援、路上弁当販売監視指導、学童クラブの時間延長に伴う指導員確保など二十五事業で三百八十七人、所要経費が約八億円とのことでしたが、実施状況と成果はいかがでしょうか。

 そもそも、これらの事業は期限つきの業務がほとんどですが、雇用拡大と継続した就労につなげていけるよう充実させていくことを求めます。御答弁をお願いします。

 第四に、区の職員でも有期雇用、非正規雇用が広がっています。昨年の第四回定例会でも質問しましたが、幼稚園教諭でクラス担任なのに非常勤待遇などという状況は改善すべきです。正規職員をふやすとともに、非正規雇用の労働条件を改善するよう求めます。御答弁ください。

 次に、地域防災計画の修正に関連して質問します。

 中央区では、現在、四月に公表された東京都の新たな被害想定や東日本大震災の中央区における教訓を踏まえ、中央区地域防災計画の修正作業が行われています。内閣府は、八月二十九日に南海トラフを震源とするマグニチュード九・一の巨大地震が起きた場合、最悪で三十二万三千人が犠牲になるというショッキングな被害想定を発表しました。従来の犠牲者数を十三倍も上回る想定をしたのは、マグニチュード九クラスの巨大地震を想定外として備えを欠き、甚大な被害を生んだ東日本大震災の反省を踏まえたためです。注目すべきことは、被害想定の大きさではなく、手だてを尽くせば被害を少なくできることを明確にしていることです。

 東京都は、ことし四月、フィリピン海プレート上面が従来の想定より浅かったことなどから、二○○六年の被害想定を見直し、九月十二日、首都直下地震の取り組みを中心とした地域防災計画の修正素案を公表しました。中央区では、この東京都の新たな被害想定に基づき地域防災計画の修正を行うとしています。区内の被害想定の状況は、建物被害が千九百四十二棟で、前回、二○○六年想定の四%増、出火による被害は百一棟で五・三倍に、死者数は百六十二人で二・五倍になると想定しています。しかし、被害想定の発表に当たり、東京都自身も想定結果は一定の条件を設定したシミュレーションの結果であり、条件設定で結果が大きく異なるものであることに留意が必要としています。

 そこで、質問します。

 第一に、都の被害想定を前提とするだけでなく、被害想定は都心部にも活断層が存在する可能性があること、三連動地震による長周期地震動の影響など最新の知見を反映したものに練り上げ、絶えず見直し・修正することが大切です。常に最悪を想定し、命を守ることを最優先にすることを防災の鉄則にすることが重要です。区長の御見解をお聞かせください。

 第二に、地域防災計画は、住民、地域の組織と自治体が協力して地域の総点検運動を行い、地域の特性に合わせた被害想定や防災計画づくりに取り組み、予防の原則に立って対策を進めていくことが不可欠です。どのように地域の実情に合わせ、地域住民が主体となった総点検、防災計画づくりを進めていくのかお聞かせください。

 第三に、昨年十月、区内事業所の震災時の対応等の実態調査が行われました。また、区内の分譲マンション七百十一棟を対象にしたマンション防災対策自己点検調査の報告書も発表されています。事業所においても、マンションにおいても、防災対策が不十分であること、課題や今後の方向性が打ち出されています。例えば、マンションでの防災マニュアルの作成は三割、耐震診断の実施も三割弱です。防災対策の周知徹底はもちろんのこと、具体的に対策が進むよう、アドバイザーの派遣や耐震補強助成の一層の拡充が求められます。この調査を踏まえ、どう防災計画に反映させ、実施していくのか、具体的にお示しください。

 第四に、帰宅困難者対策について、中央区では一時待機施設の整備や運用を図るため、帰宅困難者支援施設運営協議会を設立して、二○二○年までには都市再生特区の開発事業などで最大三万人を受け入れ可能な支援施設を整備するとしています。しかし、都市再生特区事業のうち、わずか八地区の開発事業だけでも一日当たり七十三万人の集中交通量が発生するというものです。帰宅困難者支援施設を三万人分整備したとしても、到底間に合いません。こうした都心へ人、物を集中させるまちづくりそのものを見直すべきです。御答弁ください。

 第五に、防災訓練についてです。

 九月二日に、堀留児童公園を中心に日本橋地域で総合防災訓練が行われましたが、今後、シナリオを事前に参加者に知らせないブラインド型の訓練や三地区一斉訓練など、より実践的な防災訓練にしていくことが必要だと考えます。御答弁ください。

 次の質問は、いじめ問題についてです。

 大津市立中学校の男子生徒の自殺事件を契機に、今、いじめ問題が国民的課題となっています。東京都教育委員会が実施した緊急調査で、中央区では全児童・生徒対象のアンケート調査を行いました。調査の結果、いじめと認定した件数が五件、いじめの疑いがあると思われる件数が四十七件と報告されました。

 そこで、質問します。

 第一に、教育委員会は今後の対応及び取り組みとして、管理職、主幹教諭、生活指導主任、学年主任、学年教諭、養護教諭、担任等でチームを編成し、事実確認や対応方針の検討、被害者の心のケアや加害者の指導等について組織で対応することをはじめ、保護者との連絡、生徒全体への指導を行うことなどが示されています。いじめに遭った当事者の生徒や保護者の方の苦しみを受けとめ、いじめの解決に向けた丁寧な対応を求めたいと思います。二学期に入って三週間という時点ですが、いじめの疑いについての事実確認や解決に向けた取り組みの状況をお示しください。

 第二に、九月十二日に発表された二○一一年度の文部科学省の問題行動調査では、いじめを把握した件数が全国で七万人、前年度より一割減りましたが、自殺した小中・高校生は二百人に上り、過去二十五年で最多、そのうちいじめが原因だったのは四人とのことでした。大変深刻な事態です。

 この調査による中央区でのいじめ件数は、昨年十一件、今回の都の調査結果では、いじめの疑いを含め五十二件となっています。これまでの調査では、いじめの実態が十分把握できていなかったことが推測されます。いじめを見逃していることがないか、またいじめを未然に防止していくための日ごろの教育実践が試されます。特に、子供たちが主体となったいじめの解決や防止に向けた活動が大切です。中央区では、どのように取り組まれていますか。御答弁ください。

 第三に、いじめの問題の深刻化の背景には、競争と統制が強まっていることがあると考えます。学校の運営が学校経営と言われるようになり、教育活動が学力テストや進学実績などの数値目標で評価される、教職員の多忙化の解消どころか、報告書類の提出などでますます仕事がふえ、研修、主幹制度による管理体制の中、職員会議も伝達のための会議になっている。こうした状況では、子供たちとじっくり向き合い、教職員同士で子供の問題を突っ込んで検討する時間も奪われてしまいます。教育長の御見解をお示しください。

 第四に、一人一人を大切にする、どの子供にも行き届いた教育を進めていくためには、三十人以下の少人数学級が欠かせません。文部科学省は、ようやく小学校一・二年生だけ三十五人学級を実施、二○一七年度までに公立小・中学校の全学年の三十五人以下学級を実現したいとしていますが、早急に実施し、さらに少人数化できるよう求めるべきです。御答弁ください。

 最後に、築地市場問題について質問します。

 東京都は、九月十三日、豊洲の新市場予定地の土壌から環境基準の一千倍のベンゼンを検出したと発表しました。ベンゼンが見つかった箇所は、都がこれまで水を通さないので汚水がそれ以上深く広がらないとしてきた地層の内部です。発表によると、不透水層で行った二百九十二地点の調査で、ベンゼンは百十三地点のうち六十八地点で環境基準を超えました。シアン化合物も三十七地点のうち十六地点で環境基準を超えていました。

 そこで、お聞きします。

 第一に、東京都は、これまで汚染物質の調査を不透水層上端までにとどめ、それ以上汚染は広がらないとしていましたが、事実で覆されました。汚染物質は除去するとしていますが、環境基準の十倍を超えるものもある砒素については、自然由来なので対策は行わないと平然としています。区民、都民や関係者を欺くようなやり方を続けてきた東京都に反省を求めるべきではありませんか。御答弁ください。

 第二に、区長は、土壌汚染が確実に除去されることが移転の大前提と繰り返し述べられていますが、そもそも都の対策工事は汚染物質をすべて取り除くのではなく、深いところの汚染は一部取り除くだけで表層は処理してコンクリートで固めるというものです。築地での再整備を豊洲への移転へ東京都が無理とごまかしを重ねてきた矛盾は、大きくなるばかりです。こんな土壌汚染対策で、生鮮市場が最も大切にしなくてはならない食の安心・安全が保障されるとお考えですか。改めて問いたいと思います。御答弁ください。

 第三に、土壌汚染の確実な除去が望めないのであれば、築地市場を現在地で再整備する立場に立ち戻るべきではありませんか。御答弁ください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 まず、尖閣問題の平和的な解決についてであります。

 現在、中国各地で我が国に対する大小さまざまな抗議デモや暴力行為が行われていることは、まことに遺憾であり、このような感情的な行動や暴力によっては何ら解決するものではありません。まずは、邦人の保護や日本企業の安全性や権益が守られるよう、強く望むものであります。尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領有権の問題は国際法上も歴史的にも疑問の余地のないところではありますが、現在、緊張が高まっている中、今後の日中関係の大局を踏まえつつ、一日も早い外交努力を通じて相互の理解を深め、平和的に解決されるべきものであると考えております。

 次に、消費税増税と社会保障の改革による区民の暮らしへの影響についてであります。

 消費税増税は、国民の税負担が増加し、可処分所得を減少させることから、国民生活や景気にさまざまな影響を与えるものであり、不安を感じる方が多くあることは承知しております。こうしたことから、国において消費税の引き上げに当たっては、経済情勢を判断し、経済・財政状況と国民生活の激変にも柔軟に対応できる仕組みを設けるとしております。区においても、こうした国の動向を注視し、これまでと同様、経済環境の悪化や社会状況の変化に柔軟に対応し、区民生活を守る立場で施策に取り組んでまいります。

 次に、社会保障と税の一体改革は、将来にわたって持続可能な社会保障制度をいかに構築すべきかという課題に取り組んでいるものであり、御指摘のようなこの改革が生存権を奪い、家計と中小企業に壊滅的な影響を与えるものとは考えておりません。消費税増税による増収の使途については、今後の少子高齢化の進展に伴い、年金や医療、介護経費などが膨らむ中、国民に還元される社会保障に使われるものと認識しております。また、国の財政運営については、歳出における徹底した無駄の削減が求められるとともに、歳入の根幹となる税においては、負担の公平や応能・応益のバランス、所得の再配分効果、税収の安定確保などの視点に立って、国民の合意のもと、議論されていくべきものと考えております。

 次に、社会保障制度改革推進法の影響についてであります。

 この法律は、近年の急速な少子高齢化の進展に伴い、年金や医療、介護費用が膨らむ中、安定した財源を確保しつつ、どのように受益と負担の均衡を図り、持続可能な社会保障制度とするか、その基本的な考え方を定めたものであります。この改革による年金や医療、介護制度については、国民負担の増大を抑制しつつ、必要な給付やサービスが受けられるよう、今後新たに設置される社会保障制度改革国民会議の中で十分検討し、構築されていくものと認識しております。なお、御指摘の国民健康保険料につきましては、低所得者の負担軽減を図るため、均等割について所得に応じ七割、五割、二割の三段階の減額制度を設けるなど、社会保障制度としての役割を果たしているものと存じます。

 次に、高齢者の見守りネットワークについてであります。

 介護サービス利用状況調査において、認定者で介護サービス未利用者は二割近くとなっておりますが、その主な理由は、「家族の介護だけで十分」、「現在は介護を必要とする状態にない」などとなっております。未利用者のうちサービス利用の必要性が高い要介護四及び五の方は約百人おられますが、昨年度、保健師が調査を行ったところ、家族介護や入院などにより見守りを必要とする方はいませんでした。また、地域の方々からの情報提供等により、ひとり暮らしや日中独居などでおとしより相談センターが見守りを必要と判断した方は、介護認定を受けている方も含め四百人ほどとなっており、随時訪問等による対応を行っております。ひとり暮らしの方々は、特に見守りの必要性が高いため、実態調査を行い、その結果を民生委員に提供し、見守り活動につなげております。しかしながら、調査を拒否される方等もかなりあり、見守りが必要な方をすべて把握することは困難であります。こうしたことから、緊急通報システムや食事サービスを通じた見守りのほか、おとしより相談センターを核とした二十四時間三百六十五日の地域見守りネットワークを構築し、民生委員に加え、地域の協力団体による日常的な訪問、声がけや緊急時の通報等を行っております。区内全域にわたり、さまざまな機会を通じて見守りが行われるよう、新聞販売店等、民間事業者の協力拡大も進めています。今後は、各地域の高齢者クラブやシルバー人材センターの協力を得るとともに、今年度から開始した見守りキーホルダーや救急医療情報キットの配布等を通じ、見守りを強化してまいります。

 次に、大飯原発の再稼働についてであります。

 ことしの夏、関西電力管内の電力需給は、節電努力等により当初想定した電力需要が三百万キロワット下回ったこと、また供給面では火力発電所や大飯原発の再稼働等により四百万キロワット以上増加したことから、安定供給が実現できました。電力は、生活の面でも産業の面でも、その安定供給は非常に重要であります。一方、天候の影響や発電所のトラブルなど不確定要素も大きく、需給を見きわめるのはなかなか困難であります。再稼働については、その安全性が十分に検証された上で、電力の安定供給を考慮し、判断されたものであると考えております。

 次に、福島第一原発の事故についてであります。

 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、東京電力あるいは政府という事故の当事者や関係者から独立した調査を実施するため、国会が法律に基づき設けた事故調査委員会であり、その報告は非常に重いものと考えております。今後、同委員会から出された七つの提言を踏まえ、一刻も早く原子力発電所の安全確保に向けた取り組みが行われることを望むものであります。

 次に、原発ゼロの実現についてであります。

 エネルギーは、生活の安定・向上並びに経済の維持・発展に欠くことのできないものであり、その政策は長期的、総合的かつ計画的に進められるべきものであります。そのため、原発の問題は、その安全性を含め再生可能エネルギーの利用や二酸化炭素排出による地球温暖化対策など総合的なエネルギー政策の中で十分な検討を行い、広く国民の議論を踏まえ、国の責任において方向性を示すべきものであると考えております。

 次に、自然エネルギーへの転換についてであります。

 太陽光、風水力などの自然エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し利用でき、地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない、すぐれたエネルギーであります。今後、より一層の技術革新や規制緩和などによってエネルギーの安定供給を維持しつつ、自然エネルギーの利用を促進するべきであると考えております。

 次に、公契約条例の制定についてであります。

 この条例の制定につきましては、自治体間で最低賃金や労働条件に不均衡が生じるおそれや、最低賃金単価の合理的な設定が難しいこと、さらには条例による労働条件への介入についての法的問題など、さまざまな課題を抱えております。こうしたことから、国による法整備が必要であると考えており、今後も国や他自治体の動向を注視してまいります。

 なお、労働者の賃金や労働条件の適正化に資する仕組みづくりにつきましては、今年度からさらにJV総合評価方式の本格導入や最低制限価格の対象範囲の拡大を行っており、今後もこうした入札・契約制度の拡充を図るほか、受注業者の雇用実態の把握についても検討してまいります。

 次に、雇用環境の改善と失業者への生活支援についてであります。

 本区では、区内の事業所で働く一人一人が快適な雇用環境を得られるよう、経営者を対象にした労務相談を行うとともに、ハローワーク飯田橋の協力により、従業員向け職業相談会を開催しており、地域の身近な相談窓口として定着しているところであります。また、失業された方への生活支援としては、就労意欲のある方を対象に、住宅手当の給付と専門家による就労支援をあわせて行う住宅手当緊急特別措置事業や雇用保険を受給できない方に対する職業訓練期間中の生活費の給付、失業や減収により日常生活が困難になった方への総合支援資金の貸し付けなどを実施しております。

 次に、区内事業者への労働関係法令の周知についてであります。

 現在、経営者や労務担当者などを対象にした経営セミナーや経済講演会の際に労働講座を開設し、労働法に関する知識や最新情報を提供しております。また、区内事業者等に配布している商工業振興事業ガイドブックには、労働条件や就業規則に関する規定のほか、区のワーク・ライフ・バランス推進事業や勤労者サービス公社などの情報を掲載し、労働環境の改善と福利厚生の向上に努めております。

 次に、区の雇用創出事業の実施状況についてであります。

 完全失業率が四%台を推移するなど、依然として厳しい状況にある雇用情勢を踏まえ、区では雇用・就業機会を創出するため、国の臨時特例交付金などを活用して国民年金事務や放置自転車対策、未就職学卒者の就労支援など、現在二十一の事業を実施しているところであります。こうした事業により現在就労している方は三百四十九人となっており、就業機会の提供はもとより、就労に必要な知識の習得あるいは地域の課題への対応が図られたと考えております。このうち、国の交付金を活用した雇用創出事業については、一時的な事業であり、国の交付金廃止に伴い、今年度をもって終了することとしておりますが、その他の事業については、事業効果などを検証し、継続について検討してまいります。雇用の拡大については、公共職業安定所や商工会議所などと連携して実施している就労支援事業により、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、正規職員の増員と非正規職員の労働条件の改善についてであります。

 区では、従来から、多様化し増大する行政需要に的確に対応するため、幼稚園や保育所、防災、観光振興などの分野の職員を増員し、区民サービスの向上に努めてまいりました。その一方で、効率的な行政運営を図るため、指定管理者の活用や業務委託の拡大などにより職員配置の適正化にも取り組んできたところであります。非正規職員については、正規職員の給与や本人の資格、実務経験、他の自治体との均衡などを考慮し、報酬額を定めております。また、子供の看護休暇や育児・介護休業制度、健康診断など、他の勤務条件についても正規職員に準じ、充実を図ってまいりました。今後も、すべての職員にとって働きやすい労働環境の整備に努めてまいります。

 次に、被害想定の考え方についてであります。

 本年四月十八日に東京都が発表した被害想定は、東日本大震災の経験を踏まえ、客観的なデータや科学的根拠に基づいて可能な限り実際に起こり得る最大の被害像を想定したものであります。また、国が発表した南海トラフの巨大地震についても、その発生頻度は極めて低いものの、東日本大震災で得られたデータも含め、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生し得る最大クラスの地震や津波を推計したものであります。本区といたしましても、こうした最新の被害想定を踏まえ、区民の生命、身体及び財産を災害から守ることを目的として、防災対策に取り組んでいるところであります。

 次に、地域住民が主体となった総点検・防災計画づくりについてであります。

 東日本大震災以降実施した各地域の防災拠点運営委員会の会議や訓練では、委員、住民の方々から避難所の運営や備蓄資機材等について地域の特性を踏まえた数多くの意見や切実な要望が寄せられるとともに、災害予防の観点で地域の再点検も行われております。また、現在進めております地域防災計画の修正に当たっては、防災会議に地域の代表者に御参加いただくとともに、今後、パブリックコメントを行ってまいります。区といたしましては、こうした地域住民の声を十分に反映し、地域防災計画の修正を進めてまいります。

 次に、事業所・マンションの調査結果についてであります。

 本区の事業所の従業員規模は、大半が五十人未満と規模が小さく、事業所内の安全確保や備蓄など、対応が十分でないことがうかがえます。また、マンションにおいても、五十戸未満が約半数であり、管理組合が独自に安全対策を講じようとしても難しい面があります。こうしたことから、区では耐震補強を促進するとともに、災害への備えの一層の普及啓発を図るため、事業所においては経営者にわかりやすいパンフレットの活用やDVDの作成に取り組み、マンションにおいては防災講習会やアドバイザー派遣による防災マニュアルづくりを強化してまいります。こうした取り組みを地域防災計画にも反映させ、防災力の向上に努めてまいります。

 次に、帰宅困難者対策についてであります。

 本区は、早くから市街地として発展してきたことから、老朽化した建物が密集しており、災害に強い安全・安心なまちづくりのためには再開発も有効な手段であると考えます。こうした開発により人が多く集まり、地域に活気とにぎわいをもたらすと同時に、このような開発の機会をとらえて帰宅困難者対策も含めた防災対策の充実を図ることは重要であると考えております。

 次に、実践的な防災訓練についてであります。

 防災拠点の訓練は、毎年二十一カ所の全拠点で実施しており、内容は防災拠点運営委員会の皆様の意見をもとに計画し、これまでブラインド型訓練をはじめ、夜間訓練や要援護者への対応訓練等も行っております。今後も防災拠点運営委員会と連携して、より実践的な防災訓練を実施してまいります。なお、総合防災訓練の三地区一斉実施につきましては、区民や関係機関の対応など難しい点もありますが、今後検討してまいります。

 次に、築地市場問題についてであります。

 東京都は、豊洲新市場予定地の不透水層について、かねてから土壌汚染対策工事の際に調査を行い、ガス工場操業由来の汚染が確認された場合には掘削除去するとの方針を示しており、現在、この方針に基づき調査結果等を随時公表しながら工事を進めております。都からは、調査により確認された汚染土壌は確実に除去していくと聞いており、今後もその動向を注視してまいります。食の安心・安全は、改めて申し上げるまでもなく、市場移転の大前提であります。都は、技術会議の結論を踏まえた対策を確実に実施し、安全な開場に向け、万全を期するとしており、本年七月からは都と市場事業者等で構成する協議会のもとで処理状況の確認などが行われております。区といたしましても、引き続き区民や関係者等への十分な説明と情報公開を求めてまいります。現在、本区は築地の活気とにぎわいを移転後も継承していくための基盤となる先行営業施設の開設に向け、地域や関係者の御協力を得ながら施設の設計などを進めているところであります。今後とも、築地の活気とにぎわいを確実に守り、さらなる発展につなげられるよう、築地地区のまちづくりに区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 まず、いじめの疑いに対するその後の取り組みについてであります。

 本年七月にいじめの疑いとして報告されたすべてのケースについて、各学校において児童・生徒や保護者からの聞き取りを中心に事実確認を行いました。確認した内容に基づき、児童・生徒に適切な指導を行うとともに、関係する保護者に解決に向けた取り組みを要請したところであります。また、朝礼で校長がいじめについての講話を行い、担任は友達の気持ちを思いやることについての指導等を行っております。さらに、学校として全教職員の共通理解のもと、教育相談員等と連携した指導を進めております。

 次に、子供たちが主体となったいじめ解決のための取り組みについてです。

 中学校では、平成十九年度より各校の代表が集まる生徒会サミットでいじめ問題を取り上げ、いじめ撲滅運動として各校でいじめ撲滅についてのポスターを作成したり、全校集会等で呼びかけたりしています。小学校では、児童会を中心にあいさつ運動を行ったり、各学級においていじめのない学級にするための話し合いをする等、いじめ防止に向けた主体的な活動をしております。教育委員会といたしましても、小学校に教育相談員を派遣し、中学校には都のスクールカウンセラーのほかに、心の教室相談員を派遣することで教育相談体制の充実を図っております。また、六月、十一月、翌年二月の年三回のふれあい月間の中で、学校のいじめに対する継続的な取り組みを推進しております。今後もいじめの未然防止に努めていくとともに、子供たちのサインを見逃さず、早期発見・早期対応に努め、さらには子供たちの主体的な取り組みを支えてまいります。

 次に、いじめを防止するための教育環境の整備についてであります。

 いじめの未然防止や早期発見・早期対応のためには、教員が休み時間や放課後を一緒に過ごしたり、学校行事でともに活動することなど、児童・生徒と確かな信頼関係を築くことが大切であります。本区でも、教職員に多忙感があることは否めませんが、子供たちと密度の濃い時間を共有し、一人一人の状況をしっかりと把握しているものと考えております。教育委員会としても、多忙感を解消するために、これまでも学校間ネットワークを整備し、事務文書や教材の共有化による業務の効率化のほか、スケジュールや連絡事項の電子データ化を進め、打ち合わせ時間の縮減を図っております。また、研修についても、メンタティーチャーの活用や主幹教諭を中心としたOJTの充実により、校内での業務時間を確保できるよう取り組みを進めております。

 次に、少人数学級についてであります。

 文部科学省においては、公立小・中学校の全学年の三十五人以下学級を平成二十九年度までの五年間で実現していく教職員定数改善計画案が示されております。この計画案では、少人数学級は学習面においてもきめ細かな指導が可能とされており、また、いじめなどの生活面においても一定の効果が見込まれるとされております。少人数学級については、今後の国における調整により実現するかどうかが決まるものと認識しておりますので、引き続き国や都の動向を注視し、適切に対応してまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、幾つかの問題に絞って再質問をさせていただきます。

 まず、消費税の増税の影響についてです。

 昨日の朝日の朝刊に、消費税が一○%に引き上げられた場合の家計負担の試算が出ていました。今まで民間レベルの試算はありましたが、内閣としての試算が出たのは初めてだということです。年収五百万円の四人家族で消費税の増税による負担増が十一万五千円、そして社会保障関係も含めて家計全体への影響は三十三万八千円になるというような試算が出されていました。大変な負担増になることは明らかだと思います。

 また、一九九七年に橋本内閣が消費税を三%から五%に引き上げましたが、そのときの負担増というのは、社会保険の改悪と合わせて九兆円の負担増だったわけです。その影響について、区長は、平成九年に税率が五%に引き上げられた際、消費の冷え込みを招き、景気の低迷を長引かせる要因となったということを述べられています。

 そのときと比べても、今回の消費税の増税は十三兆円、そして社会保障の制度改悪を合わせると二十兆円という大変な負担増になります。それでも国民の暮らしに打撃になるというふうには考えないのか、もう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。

 中小企業にとっても、この消費税というのは本当に過酷な税金となっています。今でも価格に転嫁できずに身銭を切って納税をせざるを得ない、そういう状態が広がっています。特に、消費税は所得税や法人税を含めた国税の中でも一番滞納が多い、国税の滞納の半分を占めるというふうに言われています。そのために、大変取り立てが過酷だということで、自殺に追い込まれるような事態も広がっています。まちの自営業者や商店がますます苦境に立たされるのは目に見えていると思いますが、区長の見解を問いたいと思います。

 次に、高齢者の見守りネットワークについてですが、見守りが必要な対象者は約四百人ぐらいではないかというようなお話もありましたけれども、区内でも訪問看護の定期訪問で看護師が行ったので大事には至らなかったけれども、温室のようになっていても御本人が気がつかなくて、本当に熱中症の症状になっていたというようなことがあったというふうに聞いていますし、認知症の方がヘルパーさんを頼んでいたのに、頼んだ覚えはないというふうに思い込んでしまって、ヘルパー派遣を断ったというような例もあります。ですから、介護保険を利用している方でも日常の見守りが必要な方もふえていますし、今、マンションで暮らす方が大変ふえているわけですけれども、日常的な声かけや見守りが必要な方はもっともっと多いのではないかというふうに思います。

 地域の中で防災のための総点検、そして、それを防災計画に生かしていくことということも先ほど提案させていただきましたけれども、こういうマンションや地域の中で見守りのネットワークを広げて日常的なつながりを強めることが、震災時にも大きな役割を果たすと思います。そういう意味で、もっともっとこのネットワークの網を広く、そして強くしていくことが必要ではないかと思いますので、この点についても御答弁をいただきたいというふうに思います。

 それと、労働者の問題です。

 九月十四日に発表された労働経済白書でも、非正規の増加が消費を押し下げたということを分析して、今、賃上げや正社員化が必要だということが提起されています。今、消費税の問題も先ほど述べましたけれども、消費税は非正規雇用をふやしていく、そういう問題もあるということも強調したいというふうに思います。

 消費税を納める企業は、売上に五%を掛けた額から仕入れ額の五%を差し引いて納税するわけですけれども、人件費は控除の対象になっていません。もしそれを外注や派遣労働者で賄えば、人件費ではなくて仕入れにかかった経費として仕入れ額控除の対象になるということで、納税額が減るということで、今、消費税が逆に非正規雇用をふやす、そういう役割も果たしているということも見ていく必要があるというふうに思います。こういうことで内需が冷え込み、景気を一層悪くする、こういうやり方をこのまま許していいのかというのが問われているというふうに思います。

 その点でのお考えを伺いたいということと、こうした事態を食いとめていくために、今、区でも雇用創出事業をいろいろやっているというお話でしたけれども、一部は中止になるかもしれない、継続するかどうか考えるというようなお話もありましたけれども、やはり雇用創出の事業をもっともっと拡大していくこと、そして中央区で働く人たちが中央区の仕事として働く人たちが官製ワーキングプアというような事態に陥らないように、公契約条例や非正規の職員の待遇をよくしていくということが求められると思いますけれども、先ほどの御答弁では十分やっているということなのかどうか、その辺の見解を問いたいというふうに思います。

 築地市場の問題ですが、無害化された状態で開場するんだというようなお話をされていますけれども、今回一千倍のベンゼンを検出した箇所は、水を通さないから汚染はないんだと、ずっと言い張ってきたけれども、いろいろそれはおかしいんじゃないかという中で、工事を進めるときに調査をして、汚染があったら処理するというふうに言っているという先ほどの御答弁でしたけれども、今回の調査でも砒素が検出されていますが、これについては、もともとあった自然由来のものなんだということで、環境基準の十倍を超えるような砒素が検出されていますが、それはもう処理しないと、そういうことを決めています。そういうことで毒物が埋まっている場所に市場を建設するというような無謀は、今のようなやり方では払拭できないというふうに考えます。きちんと無害化する工事をやるから大丈夫だということで、東京都のやり方をそのままこれからも見守る、そういう態度でずっといくのか、改めて問いたいというふうに思います。

 最後に、地域防災計画の修正についてですが、東京都が四月に発表した被害想定は、先ほども述べましたけれども、一定の条件を設定したシミュレーションの結果であり、その条件の設定内容を変更することで結果が大きく異なるという点も注意が必要だというふうに思います。

 また、今、中央防災会議が大規模水害の想定を出していますが、荒川が決壊した場合には日本橋や京橋で広く浸水が起きて、地下鉄や地下街に浸水被害が起きるということも想定されています。いろいろなシミュレーションもあるし、いろいろな被害想定が、今、出されていますけれども、そういうものを取り入れて対策を立てることが大変重要だというふうに思います。この点で、東京都の想定でいいんだということなのか、そういういろいろな想定を考えて対応していくのか、その点についてもう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。

 以上で再質問を終わります。よろしくお願いいたします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも、どうも。

 消費税の増税、これが打撃にならないなんていうことは、私は全然言っていない。打撃になりますよ、それはね。一般家庭だけではなくて中小企業にとっても大変な打撃になるであろう、そういうふうには思いますよ。だからこそ、前に指摘した毎日新聞なんかでも、不安を感じる人が出ていると、こういうことでありましょう。

 また、税関係の人だって、滞納もふえるのではないか、そういう見方をされる方もおられるわけでありますから、それは打撃になるでありましょうけれども、御指摘にあるような生存権を奪うとか、あるいは家計と中小企業に壊滅的な影響、そこまでいくかどうかとなると、いかがかなというふうに思うわけでございまして、三から五のときでもかなりの影響を与えたわけでありますし、これが今度五から八、八から一○、こういうことでありましょう。したがって、それなりのさまざまな影響は出てくるであろう、こういうふうに思いますね。

 ただ、これから政府のほうでも各党の間でもさまざまな緩和策、食べ物についてはどうするんだとか、一律にやるのではないでありましょうから、そうするとどうなんでしょうね。打撃もどの程度の打撃になるのかといった点ですよね。それは、これから考えるんでありましょうから。

 特に、この間、私もコペンハーゲンとかフランクフルトへ行ってまいりました。あそこは二五%ですよ、消費税ね。コペンハーゲンが二五%。もう、ほかの税金を入れると五一%ですか。また、フランクフルトなんかでも消費税一九%。でも、皆さん、混乱なくといいますか、与野党でしっかりと話し合って、何といっても健全な財政を行っていこうじゃないかということで、ヨーロッパのほうではやっている。こういう国もあるわけでありますから。そして、そういう人たちは、食べ物はぐっと減らしたり、いろいろなそういう、医療なんかはただだと。コペンハーゲンなんて、デンマークなんかは医療、病院、ただですよね。そういう点もあるわけですから、どういうような施策をするかにもかかわってくるのではないか、こういうふうに思うわけであります。

 次に、高齢者の見守りネットワーク、これはやると言っているんですよ、見守りネットワークはね。ネットワークを広めろと言うんでしょう。これは、だから、さっきから何回も言っているように、何回もというか、一回ですか、二十四時間三百六十五日の見守り体制等をずっと進めるんだということはこれまでの議会でも答弁させていただいているわけでございまして、しっかりとこれをやっていこうと、こういうことであります。

 それから、雇用環境、これは大変なことですよね。これは改善していく。どんどん区もやっていこう。この間、どこでしたかね、福祉よりも仕事だというのが出ておりましたけれども、それぐらい仕事をしっかりする、雇用をしっかりする体制ができれば、福祉も賄えるんであるという論文がありまして、それを拝読したわけですけれども、そういう点もあるから、何といってもお仕事、雇用、これは非常に重要でございます。

 ただ、国の交付金、これは今年度限りでありますから、そこで雇用創出事業の一部、これはできなくなるでありましょうけれども、やはり他の部分で区独自の施策としては、これからも進めていかなければならないということをるる申し上げているところであります。

 それから、築地市場は、もちろん食というのは安全・安心ですよ。まず、食の安心・安全、これが第一でありますから、そういう面で東京都はしっかりやるんだと再三にわたり言われているわけでしょう。ですから、それをしっかり注視しているところであります。

 また、防災のほうの、荒川が決壊する、それは大変なことですよね。荒川が決壊したら、これは大変なことになるでしょうから、これは本区だけの問題ではないや、これ。都というか、国全体の大災害でありますから、そういうことはしっかりとやっていかなければならない。いずれにしても、まずは四月十八日に東京都が発表した被害想定をしっかり、これは最大のものと言っているわけでしょう、一応今の。

 それから、南海トラフの想定、こういったものをしっかり念頭に置きながら、警察、消防、自衛隊あるいは各ライフライン関係の皆様方、もちろん区議会の皆様方、御意見をいろいろと、もちろん防災会議も開きますし、それからパブリックコメントも行って区民の御意見もしっかり承って、地域防災計画をまとめようと、こういうことであります。

 以上であります。

〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、まだまだ納得できないことがたくさんございます。

 消費税の増税の影響については、打撃にならないということは言っていないというお話でしたけれども、やはりその影響を小さく見ているのではないか、消費税増税を肯定しているというふうに受け取れますので、この点は到底納得できないと、そういうことをお伝えしたいと思います。

 そして、土壌汚染の上につくる豊洲市場、これについても東京都がきちんとやるんだからいいんじゃないかということで、砒素が地中深くに眠っているわけですけれども、それでも安全なんだというふうに言う東京都の姿勢をそのまま繰り返しているということは大変問題ではないかというふうに思います。

 雇用の問題でも、本当に今、深刻な実態が広がって、特に若い人たちの間では非正規でいつ首になるかわからない、将来の見通しも立たない、結婚もできない、そういう事態が広がっている中で、本当に区でいろいろなことをやることはもちろんなんですけれども、消費を冷え込ませるような消費税の増税や労働者派遣法がどんどん改悪されている、そういう問題を見過ごさないで、きちんと現場の声を上げていくということも大変重要だというふうに思います。

 特に、区で非正規の雇用が区の職員の中でもふえているという実態もあるわけですし、先ほども述べましたけれども、幼稚園の教諭の中でクラスの担任を持っている人でも非正規の教諭もいるというような実態も早急に改善すべきだということを改めて強調したいというふうに思います。

 福祉の充実の問題とか公契約条例の制定、また雇用の確保、防災問題など、これからもさまざまな委員会などで私も提案、審議していきたいと思いますけれども、ぜひ防災と福祉を最優先にしたまちづくりを進めるよう強く要望したいというふうに思います。

 これをもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時三十五分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 木村 克一
議員 志村 孝美

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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