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平成25年第一回定例会会議録(第2日 2月28日)

1.会期

三十日(第二日)

二月二十八日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時十五分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 瓜生 正高議員

四番 富永 一議員

五番 染谷 眞人議員

六番 木村 克一議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 中嶋 ひろあき議員

十四番 今野 弘美議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 増渕 一孝議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.欠席議員

(一名)

二十四番 原田 賢一議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 長嶋 育夫君

6.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

7.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。

 なお、本日、原田賢一議員より欠席の申し出がありましたので、御報告申し上げます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十九番志村孝美議員。

十九番 志村孝美議員登壇

○十九番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 初めは、議場における日の丸掲揚についてです。

 本定例会から議場に国旗、日の丸と区旗が掲示されることになりました。

 昨年十一月十九日の議会運営委員会において、議場における国旗・区旗の掲揚の実施が、自民党、公明党、みんなの党、民主党区民クラブの賛成多数で決定されたのです。議会運営委員会の委員である私は、審議に当たって、国旗、日の丸については、区民の中にさまざまな意見があることを踏まえ、なぜ議場に国旗が必要なのか、議場に国旗を掲げることによって議会の運営がどのように改善されるのかなどについて十分審議し、その必要性や妥当性を検証して判断する必要があると考えていました。

 提案者は、「純粋な気持ちから国の象徴である国旗を議場に掲揚したい」と繰り返し述べるだけで、国旗掲揚の必要性を示すことができない状況の中、突然審議が打ち切られ、採決が行われました。わずか二日目の審議途中の採決は拙速であり、議会制民主主義を踏みにじるものではないでしょうか。

 十九日の委員会を傍聴した方からは、「日の丸を見ると戦争のときのつらい思いがよみがえります。そういう思いをわかっているのでしょうか」との感想をいただきました。十一月三十日に、日の丸を掲揚しないことを求める陳情書が、中央区平和委員会、原水爆禁止中央区協議会、日中友好協会中央区支部、新日本婦人の会中央支部の四団体から区議会に提出されました。

 国旗・国歌法は、一九九八年八月に、自民、自由、公明などによって強行成立されたものですが、その年の六月のNHKの世論調査では、法制化に「賛成」が四七%、「反対」が四八%、七月の毎日新聞の調査では、「賛成」が三六%、「反対」が五七%と、国民意識は二分していました。日の丸の問題は、国民一人一人が日の丸の歴史をどう受けとめるのかという思想・良心に直接かかわる問題を含んでいます。

 日の丸は、太陽をデザインしたものです。専門家によると、太陽は世界中の民族から神話や信仰の対象とされてきましたが、日本では中世の武士、戦国の大名、徳川幕府など各時代の権力者たちが支配のシンボルとして使ってきたものだといいます。その日の丸が国のしるしをあらわすようになるのは、一八五三年のペリー来航以降のことで、薩摩藩が国籍を示す船の印に日の丸の使用を幕府に認めさせてからと言われています。一八七○年、明治維新政府は日の丸を日本の商船、軍艦の船印にしました。

 庶民にとって日の丸も君が代もなじみが薄かったものが、国旗や国歌のように扱われていった節目は、一八八九年の大日本帝国憲法の発布と一八九○年の教育勅語でした。政府は、学校での儀式を通じて日の丸と君が代を国民の中に浸透させていきました。

 一九三一年に日本軍が起こした盧溝橋事件、いわゆる満州事変から始まる十五年戦争で、日本軍は日の丸をなびかせながら中国や東アジアを侵略し、その先頭には常に日の丸が掲げられていました。まさに、日本の侵略戦争のシンボルが日の丸でした。また、国内でも出征兵士を送る場面では日の丸の旗が打ち振られ、日中戦争で南京など主要都市を攻略すると、日の丸やちょうちんで戦勝を祝いました。そして、東アジアの地図には占領地に日の丸がかき入れられました。日の丸は、戦意高揚の道具として大きな意味を持っていたのです。

 私の父の二人の兄は、学徒出陣で召集され、フィリピンのあたりで戦死しました。今、仏壇には軍服姿のおじさんの写真が、アルバムには日の丸を持った人たちに囲まれたおじさんの写真があります。アジア太平洋戦争において大切な家族、親戚の方を失わなかった家は、ほとんどなかったでしょう。多くの国民が、もう二度と戦争をしてはいけない、あのときのつらさを味わいたくないと思っているでしょう。ですから、戦争の悲惨さを思い出すので、日の丸を見るのもつらいという方々も少なくないのです。

 第二次世界大戦で日本とともにファシズムの国であったドイツとイタリアは、戦前使用していた旗を戦後変えています。日本だけが侵略戦争と戦意高揚のシンボルであった日の丸を戦後も使用することに対して、反対の声が上がるのも当然のことではないでしょうか。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、戦前・戦中において日の丸が果たした役割をどう認識していますか。

 第二に、今、区民や国民の中で日の丸に対して批判的な意見があることをどのように認識していますか。

 それぞれお答えください。

 次は、安倍政権のTPP、改憲、原発推進、経済政策についてです。

 総選挙の結果、衆議院で三分の二を超える議席を持つ巨大与党が出現し、暮らしと平和を踏みつぶす暴走を開始していることは、日本の前途にとって大変危険な動きです。

 二月二十三日に行われた安倍首相とオバマ大統領のワシントンでの日米首脳会談は、そのあらわれの一つです。安倍首相は、日本の経済主権を投げ捨て、食と農を初め、日本の産業と国民生活のあらゆる分野に深刻な打撃となるTPP、環太平洋連携協定交渉参加に大きく踏み出す意向を示しました。TPP参加は、国論を二分している大問題であるにもかかわらず、安倍首相は、国会をはじめ、国内での国民的議論の場で態度を明らかにすることなく、日米首脳会談という場で交渉参加に踏み出したことは、許しがたいものです。

 日米共同声明では、TPPの原則として、全ての物品が交渉の対象とされることと、包括的で高い水準の協定を達成していくことを強調しています。これは、関税についても、非関税障壁と呼ばれる各種規制についても、撤廃の対象にならない聖域など存在しないことを安倍首相も確認したものにほかなりません。全ての関税撤廃を前提としないことを確認したという報道もありますが、交渉の場で例外を主張することを認めるという程度に過ぎず、日米共同声明が関税撤廃の例外や聖域を認めたかのような報道は事実を偽るものであり、国民の判断を誤らせるものです。

 日本の食料自給率は三九%と、先進国として異常に低い水準です。日本が歴史的にアメリカの圧力のもとで農産物市場を開放してきたことは周知の事実ですが、その背景には、国際経済政策における食い違いを除くことに努めるとした日米安保条約第二条があるのです。日米軍事同盟と一体のTPPは、日本から経済主権と食料主権をますます奪い、日本をアメリカの属国にするもので、日米同盟の危険性は明らかです。

 そこで、お聞きします。

 国民への公約を投げ捨て、農業や医療、食の安全を初め、広範な分野で地域経済と国民生活に深刻な打撃となるTPPを推進することは許されるものではないと思いますが、いかがですか。区長の見解をお聞かせください。

 日米首脳会談は、日米同盟の強化を強調し、沖縄の新基地建設、軍事力強化、集団的自衛権行使に向けた憲法解釈の変更の推進、原発の再稼働と推進を約束するなど、日本国民の民意に背く異常な対米追随ぶりを際立たせるものとなりました。

 安倍首相とオバマ大統領は、日米合意に基づいて、名護市辺野古への普天間基地移設を早期に進めることで合意しましたが、沖縄県下四十一市町村の全ての市長と議会の議長が署名した建白書、全会一致の沖縄県議会決議に見られるように、辺野古移設反対、普天間基地閉鎖・撤去は沖縄の総意であり、この総意を踏みにじって新基地を押しつけることは、断じて許されるものではありません。

 首脳会談は、日米同盟はアジア太平洋地域の安全保障にとって中心的な礎とうたい、安倍首相は軍事力強化への取り組み、集団的自衛権行使容認に向けた議論を進めていることを強調しました。集団的自衛権行使は、日米が海外で共同した軍事活動を行い、日本とアメリカが一緒になって武力行使するためのものです。日米軍事同盟の極めて危険な侵略的変質を図るものであり、海外での武力行使を禁じた日本国憲法に真っ向から逆らうものです。

 日本国憲法は、一九四五年に敗北した軍国主義と侵略戦争の反省の上に立って、一九四六年に制定されました。戦争を放棄した憲法九条があったおかげで、戦後、日本が戦争によって一人の戦死者を出すことも、一人の外国人を殺すこともありませんでした。日本国憲法こそ、日本の戦後社会の原点であり、日本が世界に誇るべき財産です。ところが、安倍首相は、この憲法を変えることに執念を燃やしています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、憲法九条は戦争を放棄し、交戦権を否認し、戦力は持たないと決めています。日本が攻撃もされていないのに、他国と一緒になって武力行動を起こす集団的自衛権の行使は交戦そのものと考えますが、いかがですか。

 第二に、日本が集団的自衛権の行使を認め、戦争への道を踏み出すことは、国民が認めないのはもちろん、アジアでも世界でも日本は孤立を深めてしまうと思いますが、いかがですか。

 第三に、憲法九条を堅持した平和外交こそ、世界から信頼を受け、グローバルな経済活動も安心してできるようになると思いますが、いかがですか。

 第四に、憲法九条を変えようという動きがありますが、中央区平和都市宣言と照らしても、憲法九条は厳守するべきで変えてはいけないと思いますが、いかがですか。

 それぞれ区長の見解をお聞かせください。

 日米会談で、安倍首相は、民主党前政権の方針を見直して原発を推進することを表明しましたが、これは原発ゼロを求める多数の国民世論をなおざりにするものです。原発で放出された大量の放射能は、そのほとんどが今も環境を汚染しています。

 日本共産党区議団が二月二十五日と二十六日に行った放射線測定の結果は、月島第一公園で○・一○マイクロシーベルト、新川の越前堀児童公園のジャブジャブ池の周辺では○・一九マイクロシーベルトが測定されました。同地点での昨年の夏の測定では、地面から五センチが○・○六、五十センチが○・一七でした。五センチのほうが数値が低いのは、ジャブジャブ池の清掃の効果ではないかと推測しましたが、そのときと比べても決して低くなったとは言えない状況です。

 二月二十日、水産総合研究センターは、汚染が深刻なヒラメやアイナメでセシウムなどの放射性物質の半減に必要な期間が、水産庁の当初の想定を大幅に上回ると報告しました。

 二○一一年十二月に、当時の民主党政権が収束宣言を行いましたが、破壊された原子炉や溶け出した燃料棒、高濃度汚染の冷却水の処理など、数々の重大問題は何一つ解決されていません。東京ドーム約七十五個分の福島第一原発の敷地には、放射能に汚染された水が入った何百ものタンクがあり、そのタンクはふえ続ける一方です。汚染水を減らす見通しが立てられないため、三、四年で敷地内におさまり切れなくなるということです。事故は、収束どころか、続いているのです。それにもかかわらず、安倍政権は原発の再稼働、新増設をしようとしています。

 福島原発事故を防ぐことができなかったのは、一体誰の責任なのでしょうか。日本共産党のたびたびの具体的な警告にもかかわらず、安全神話にどっぷりつかり、また、それを振りまいて、やみくもな原発推進政策を進め、大事故を引き起こしてしまったのも、第一次安倍政権を含む歴代自民党政権の責任です。安倍内閣が進めようとしている再稼働の推進、新増設の容認、原発輸出の推進などのあからさまな原発推進政策は、原発をなくせという国民世論に真っ向から逆らうものにほかなりません。

 そこで、お聞きします。

 第一に、原発事故で放出された放射能の汚染は、軽減していないことが明らかになっています。区は、三カ所の調査だけでなく、子供が集まる場所の大気や土壌、学校給食食材の放射線測定を行い、安全性を確認し続けることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第二に、原発の新設、再稼働などの原発推進政策は中止すべきと考えますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 深刻なデフレ不況からどう抜け出すのか、日本社会が突きつけられている喫緊の課題です。長期にわたって働く人の所得が減り続けていることにこそ、デフレ不況の最大の原因があります。自民党政権が財界の言いなりになって労働法制の規制緩和を進め、派遣やパートなど非正規雇用を拡大してきたことが賃下げ社会をつくり出したことは、誰の目にも明らかです。しかし、安倍政権は、それへの反省がないために、日本が直面するこの危機を打開する解決策を持つことができないのです。

 アベノミクスだとか三本の矢だとか言われている安倍政権の経済政策は、無制限の金融緩和や大型公共事業のばらまき、大企業応援の成長戦略など、全て過去の自民党政権が行い、どれも破綻が証明されているものばかりですから、折れた矢を三つ並べても強い経済をつくることなどできません。

 日本共産党は、デフレ不況脱却のためには、賃上げと安定雇用の確保が鍵を握ると考えます。働く人の所得をふやす政治に転換すること、それ抜きに金融緩和や公共事業のばらまきをやっても、経済はよくなりません。日本共産党は、五百億円以上の内部留保を持っている大企業七百社で内部留保の一%程度を取り崩せば、八割の企業で一万円の賃上げができるとの試算を発表しました。政府は、経済界にデフレ不況打開のため、賃上げをと本腰入れて要請すべきです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、大企業の賃下げ、リストラにストップをかけ、内部留保のごく一部を活用して賃上げすることが景気対策の上でも重要だと思いますが、いかがですか。

 第二に、働く人たちの収入を上げるためには、非正規社員の待遇改善と正社員化の流れをつくること、中小企業への支援とセットで最低賃金を時給千円以上に引き上げることなど、人間らしい暮らしを保障するルールづくりが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、中央区でも公契約条例などを制定し、区が発注する事業で働く労働者を守るルールが必要だと思いますが、いかがですか。

 第四に、消費税を一○%にすれば、労働者世帯の一カ月分の賃金が失われる計算となります。消費税増税の実施は中止すべきと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、区長所信表明と子育て支援、中小企業支援についてです。

 所信表明では、予算の概要と来年度の主な施策を五つの柱で具体例を示しながら紹介しましたが、問題なのは、行政改革が必要だとして、行政評価を通じた事務事業の見直しや受益者負担の適正化を図っていくことを述べ、具体的な中身は説明していないことです。これは、区民サービスの削減、負担増についてはフリーハンドでやっていくということにほかなりません。

 子育て自治体ナンバーワンを目指すと言いながら、出産支援タクシー利用券を削減し、学校給食は値上げします。生き生きと暮らすことのできるまちを実現すると言いながら、敬老買物券贈呈も削減します。これらの事業を含め、来年度は十六の事務事業を見直して、約一億二千万円を削ろうとしています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、一晩で三億円の税金を投入する東京湾大華火祭を一年置きに開催すれば、一年で一億五千万円の財源が生まれます。東京湾大華火祭は一年置きの開催にし、区民福祉を充実する施策に回すべきだと思いますが、いかがですか。

 第二に、区民の理解をいただきながら事務事業の見直しを図ると言いますが、保育料や施設利用料の引き上げを考えているのですか。区民への負担増や区民サービスの削減はやめるべきです。

 それぞれ区長の見解をお聞かせください。

 認可保育所の入所を待っているお子さんは、現在、五百人を超えています。区長は、待機児をゼロにすると豪語してきましたが、待機児ゼロを達成するどころか、ますます保育所への入所が困難になっています。区には、認可保育所を増設し運営するという責任があるにもかかわらず、保育所を民間に任せる政策をとりながら、超高層のタワー型住宅を初めとする再開発事業を積極的に推し進め、急激な人口増、児童増を招いてきた区の責任は重大です。

 私たち日本共産党は、このようなまちづくりを以前から批判し、今日の状況が起きる可能性を何度も指摘してきましたが、それを聞かずにまちづくりを進めてきた区政運営によって、区民の方たちが困っているのです。

 そこで、お聞きします。

 第一に、待機児ゼロの公約が実現できなかった責任を、区長はどう考えていますか。

 第二に、区長は、来年度中に待機児ゼロを実現するため、認可保育所への入所を望む全ての保護者の方たちの期待に応えるための施策をどのように考えていますか。

 第三に、急激な人口増を起こさないためにも、超高層住宅建設は規制すべきと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 今、中小企業や商店の営業は、これまでにない深刻さを増しています。地域に密着している中小企業や商店が撤退や廃業してしまえば、地域のコミュニティが破壊されるなど、地域に及ぼす影響ははかり知れません。倒産は、販売不振を中心とした不況型倒産が大半を占めています。不況の克服こそが政治の責任であるにもかかわらず、安倍政権は大企業本位の経済対策や消費税増税によって、必死で頑張っている中小業者の息の根をとめようとしています。

 この三月末には、中小企業の資金繰りを確保するための中小企業金融円滑化法を政府は打ち切る方針です。金融円滑化法は、中小企業や住宅ローン利用者が貸し付け条件の変更等を希望する場合、応じる努力をするよう、金融機関に義務づけた法律です。その打ち切りは、中小業者の資金繰りの破綻を招き、廃業や倒産をふやしかねません。企業の九九%を占め、雇用の七割を支える中小企業への支援を抜本拡充することは、デフレ不況から脱却して内需主導の経済を実現するためにも重要です。

 今こそ、中小企業への思い切った対策が求められているにもかかわらず、政府の中小企業対策は余りにも貧弱で、一三年度予算案の中小企業対策費は千八百十一億円にすぎません。四兆七千億円規模に膨れ上がった軍事費の伸び率を下回り、負担する義務のない米軍への思いやり予算と米軍再編経費をあわせた額よりも少ないというのが現実です。国の悪政の防波堤となって、中小企業や商店の営業と生活を守るために果たすべき区政の役割は重大です。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、中小企業・業者の方たちが置かれている深刻な状況をどのように認識していますか。

 第二に、来年度予算では景気対策に百九十七億円を計上すると言いますが、そのうち中小企業や業者、商店への支援はどの程度ですか。

 第三に、所信表明では、事業の転換や多角化をサポートするため、相談体制で支援するとありますが、現在営んでいる区内中小企業、商店の事業を継続させるために、どのような施策が必要だと思いますか。

 第四に、共通買物券で区内中小小売店の活性化につなげると言うのであれば、共通買物券を増額すべきと思いますが、いかがですか。

 第五に、中小企業の経営環境が苦しいときに、金融機関が返済条件などを緩和して支援するというのは当然の社会的責任です。金融円滑化法の延長と中小企業金融の抜本的な強化を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、国民健康保険料の値上げについてです。

 国民健康保険料の計算方式は、一昨年度、住民税方式から旧ただし書き方式に変更され、二年間は経過措置がとられてきましたが、その経過措置が新年度で廃止されることが問題となっています。

 二月十五日、東京二十三区でつくる特別区長会の総会が開かれ、四月から国民健康保険料を大幅に値上げする案を確認しました。新たな減額措置を二年間とるとしていますが、実質的には二○一五年度までの段階的な値上げとなります。

 区の試算によると、新たな減額措置を行っても、年収二百万円の六十五歳以上の年金受給者、夫婦二人世帯では、一二年度と比べ、保険料は一万一千五百六十七円の負担増となります。減額措置が終わる一五年度には、住民税方式だった一○年度と比較して、五年間で保険料は四万円上がり、一・七倍にもなる計算です。

 さらに問題なのは、新たな減額措置の対象者は住民税非課税世帯に限られることです。国保料の値上げは、収入の少ない年金暮らしの高齢者や非正規労働者などの低所得者、商店などの事業主、多人数世帯などに負担が重くのしかかります。国保加入者の四○%近くが無職だということを考えれば、値上げにより滞納者がますますふえることは明らかです。中央区では、もともと国保の滞納世帯は、四月末時点で加入者の三分の一、年間を通しても四分の一に上っており、これ以上の保険料値上げは、とても耐え切れるものではありません。診療抑制による健康破壊も深刻です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、所信表明で、生き生きと暮らすことのできるまちを実現するという区長の立場から見て、毎年続く国保料の値上げによる区民生活への影響をどのように考えていますか。

 第二に、これまでの経過措置の対象者は何人で、今回から減額措置の対象でなくなる人は何人ですか。

 第三に、この間、医療費に占める国家負担率は、○二年の二八・二%から一一年度の二○・一%と十年間で八・一%も削減されています。区長会では、国庫負担をふやすよう国に求めていると言いますが、国を動かすような、世論を大きく盛り上げるような創意工夫が必要だと思いますが、いかがですか。

 第四に、区民の生活を守る立場から、保険料が引き上がらないように一般財源の投入をふやすなどの軽減策を講じることが必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、築地新市場計画と豊洲新市場計画についてです。

 築地市場移転に備え、仲卸業者に出店してもらう先行営業施設、築地新市場をつくるため、二十三億円という税金を先行投資する計画がありますが、施設建設工事や入居者の募集に着手するとしながら、区民には計画の詳細が明らかにされていません。区民の税金を投入するのであれば、区民への情報公開が重要です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、施設の運営主体はどこですか。また、出店する業者が負担する管理・運営・使用料などはどの程度を想定していますか。

 第二に、二十三億円にもなる税金投入の回収方法をどのように考えていますか。

 第三に、施設が赤字を出した場合、税金の投入を想定しているのですか。

 第四に、東卸の理事長は、築地新市場は容認できないと公言しています。東卸が組織として容認しないことになれば、東卸に所属する仲卸事業者は出店しにくくなると思いますが、どう認識していますか、それぞれお答えください。

 今、豊洲新市場計画は、あらゆる点で変更を余儀なくされています。新市場予定地は、東京ガス工場跡地で、ベンゼンやシアン化合物など有毒物質で高濃度汚染されていることが判明し、都は土壌汚染対策事業を進めていますが、調査をするたびに新たな汚染箇所や問題点が判明し、浄化処理するための土壌量と処理費が膨れ上がり、開場は二○一五年度中と、一年おくれることになりました。

 豊洲新市場整備費は、当初予定の三千九百二十六億円から五百七十四億円膨らんで四千五百億円になる見込みとなりました。二月二十一日には、新市場予定地の北東約二百メートルの土地で環境基準の五十二倍のヒ素が検出されたと、東京ガス子会社が発表しました。ここは、二○○三年に都が行った調査では六・一倍の濃度の場所でした。土壌汚染の深刻な実態は、次から次へと明らかになっています。

 今後も新たな土壌汚染の実態が明らかになれば、時間も経費もふえていくことになります。施設計画でも仲卸関係者から不満の声が上がっていますし、千客万来施設も明確な計画が出されていない状況です。

 都議会の委託を受けて、都議会議会局が二○一○年八月に作成した築地での再整備案の建設費は、仮移転費用を含めて千四百六十億円から千七百八十億円でした。十四年以上もの歳月と四千五百億円以上もの経費をかけても先の見えない豊洲新市場計画は、石原前都知事の負の遺産です。都知事がかわった今、きっぱりと決別すべきではないでしょうか。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、豊洲新市場計画が現在抱えている問題点、解決しなければならない問題点をどのように認識していますか。

 第二に、次々と明らかになる土壌汚染の実態は、完全浄化が不可能であることを証明しており、東京都と区の合意の前提である安全性が揺らいでいます。農水省も、これでは認可ができないでしょう。先行きが見えないときだからこそ、場外市場の将来のためにも、築地市場は現在地で再整備をの声を大きく上げることが重要だと考えますが、いかがですか。

 それぞれお聞かせください。

 次は、いじめ・体罰問題についてです。

 大津市の中学生がいじめを受け、また大阪市立高校のバスケットボール部キャプテンが顧問の教員から暴力・体罰を受け、それぞれみずから命を絶った痛ましい事件は、多くの国民と学校、スポーツ関係者に強い衝撃を与えました。いじめ・体罰をどうなくしていくかは、日本社会の切実な問題です。

 今日のいじめは、人間関係を利用しながら相手に恥辱や恐怖を与え、思いどおりに支配しようとするもので、時に子供を死ぬまで追い詰める事件に発展し、ネットによる中傷、傷害、性暴力、恐喝などの犯罪ともつながっています。多くのいじめ被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷を受け、大人になっても恐怖で社会に出られないなど、後遺症に苦しんでいます。いじめは、いかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。

 いじめ問題の課題はさまざまありますが、とりわけ目の前のいじめから子供たちのかけがえのない命、心身を守り抜くこととあわせ、なぜいじめがここまで深刻になったのかを考え、その要因をなくすことに正面から取り組み、事態を打開することが大切だと考えます。いじめから子供の命を守るためには、いじめかなと少しでも疑いがあれば、直ちに全教職員で情報を共有し、子供の命最優先の速やかな対応が必要です。

 そこで、教育長にお聞きします。

 第一に、昨年の第三回定例会で、我が党の小栗智恵子議員が、いじめ問題を取り上げましたが、その後、どのような対応がとられましたか。また、いじめの実態をどう認識していますか。

 第二に、人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽が安全配慮義務違反に当たることを明確にし、子供の命を最優先するということを学校と教育行政の基本原則として明確にすることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、いじめる子供は、いじめに走るだけの悩みやストレスを抱えています。その苦しい状態に共感しながら、子供自身が人間的に立ち直るまで、徹底した措置とケア、学習の保障、そして愛情が欠かせないと思います。厳罰主義は、子供の鬱屈した心をさらにゆがめるだけだと思いますが、いかがお考えですか。また、中央区では、いじめる子供に対してどのように対応していますか。

 第四に、教員は、上からの教育改革で学校の雑多な業務がふえ、子供と遊んだり、授業準備をする時間が確保できず、悩んでいます。教職員が児童・生徒にしっかりと向き合うことができる条件が、中央区の学校では整備されているとお考えでしょうか。

 第五に、子供一人一人を丁寧に見られる少人数学級も重要です。国や都の方針待ちではなく、区として独自に少人数学級の学年拡大を検討すべきだと思いますが、いかがですか。

 第六に、カウンセラーを増員し、専門職としての独立性を尊重することとあわせ、いじめなどを発見しやすい立場にある養護教諭の増員を図るよう、国や都に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 第七に、発達障害など、特別に支援が必要な児童は、いじめの対象になりやすいと言われています。学習指導補助員を増員するなど、きめ細やかな対応が必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、体罰についてです。

 体罰は、子供の成長をゆがめる明確な暴力、深刻な基本的人権の侵害であり、絶対に許されないことです。

 戦前の学校現場では、下士官が生徒たちを殴るなどの軍国主義教育が横行し、体罰や暴力は当然のこととされました。戦後は、軍国主義教育の痛切な反省の上に立ち、戦後の教育基本法のもとで、教育の目的は人格の形成にあり、子供の人権を尊重する立場から、学校教育法第十一条では体罰を禁止することが明記されました。しかし、学校の中にも運動部の活動の中にも、軍国主義教育の名残が根強く引き継がれ、現在の教育現場でも一部に体罰を容認する傾向があるのではないでしょうか。

 日本体育学会理事会は、このほど、体罰自殺問題で緊急声明を発表しました。そこでは、「運動部における体罰が指導上の『禁じ手』であることは過去も、現在も、そして未来も自明の理です」としながら、「体罰による運動部の指導は、顧問教員が動物の調教のように生徒を自在に操ろうとする手段であり、決して容認できるものではありません」と厳しく断罪し、「体罰のない指導が競技成績向上にも有効であり、かつ不可欠であることを、学会全体で総力を挙げて社会に訴えかけていきます」と結んでいます。

 体罰のない学校をつくるためには、子供の声を生かした、子供参加の学校づくりが大切ですし、子供や教育のことを真摯に、率直に語り合い、全ての体罰をなくし、子供たちの命と人権が何よりも大切にされる学校をつくるための努力が求められています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区内学校における体罰の実態について調査していますか。その結果を受けて、どのような対応をしていますか。

 第二に、体罰をなくすための取り組みをどのように進めていますか。

 第三に、体罰問題などへの相談と対応を行うセンターが必要だと思いますが、いかがですか。

 第四に、部活動やスポーツなどにおける体罰の背景にある勝利至上主義や競争主義の克服が求められると思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、日の丸についてであります。

 日の丸につきましては、さまざまな御意見もあろうかと存じますが、オリンピックなど国家・国民的行事において、国旗として認められてまいりました。また、平成十一年には国旗及び国歌に関する法律が制定され、国旗として定められたものであります。国旗は、いずれの国でも国家の象徴として大切に扱われており、日本国民の自覚や誇りのあかしとして重要な役割を果たすものであると認識しております。

 次に、TPP、環太平洋パートナーシップ協定への交渉参加についてであります。

 TPPは、工業製品、農産物にかかる関税撤廃のほか、知的財産保護や投資分野での高水準の自由化共通ルールづくりが交渉対象であり、国民生活や地域経済に大きく影響することから、参加によるメリットとデメリットをめぐり、国内に賛否両論があると認識しております。このため、政府としては、守るべき国益とは具体的に何か、どの品目を例外にして関税を残すのかなどのTPPに対する基本姿勢をわかりやすく国民に説明し、十分な国内議論を経た上で交渉参加の判断が行われるものと存じます。

 次に、集団的自衛権と憲法についてであります。

 集団的自衛権につきましては、我が国が主権国家である以上、国際法上、当然有しているものであります。しかしながら、憲法九条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えており、保有するものの行使することができないとされております。憲法の平和の理念は尊重されるべきものと考えますが、安全保障と憲法九条については、さまざまな議論があり、広く国民の意見を踏まえ、検討されていくべきものと考えております。区では、中央区平和都市宣言のもと、平和の理念を全ての施策の根幹に位置づけております。世界の恒久平和を確立することは人類共通の願いであり、人々が平和で安全に暮らすことができる社会の実現に向け、今後も全力を注いでまいります。

 次に、原発問題についてであります。

 現在、大気中の放射線量につきましては、区内三カ所でそれぞれ毎週一回測定しております。測定結果は、最高で○・○九マイクロシーベルトとなっており、基準値である○・二三マイクロシーベルトを大きく下回っております。また、本区を囲むように設置された東京都のモニタリングポスト八カ所で年間を通して測定している結果と同様の値となっており、安定しております。土壌の放射能測定につきましても、昨年十二月に実施したところ、基準値を大きく下回る結果となっております。こうしたことから、区民の安全・安心は確保されていると認識しており、現状においては、測定箇所をふやす必要はないと考えております。食品については、国や地方自治体が検査を行い、基準値を超えるものについては流通に乗らない仕組みがとられております。さらに、学校給食用食材については、本年度、東京都に依頼し、学期ごとに一回、四検体、計十二検体の検査を実施したところであります。その結果、本区を含む都内公立学校の食材およそ三千五百検体全てが国の基準値以内となっております。今後も、国や東京都と連携を図りながら、学校給食の安心・安全の確保に努めてまいります。

 次に、原発政策についてであります。

 電力の安定供給は、国民生活の安定・向上並びに我が国経済の維持・発展に欠くことのできないものであります。国では、原発の再稼働は安全性を第一に、科学的安全基準に基づき専門的見地から判断するとされ、同時に、再生可能エネルギーと省エネルギーの拡大を進め、できる限り電力の原発依存度を低減させるとしております。このようなことから、今後、原発を積極的に推進するということではないと考えております。

 次に、経済政策についてであります。

 経済の再生は我が国の重要政策の一つであり、そのため、現政権においては、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略を掲げ、デフレ脱却に積極的な姿勢を示しております。こうした政策に対する期待感から、株価の回復傾向や過度な円高の修正など、景気押し上げの兆しが見えてきたと考えております。このような傾向を継続し、景気回復を加速するためには、国の緊急経済対策の一層の推進により、企業の収益改善を図り、設備投資や賃金の引き上げに結びつけていくことが必要であります。企業の内部留保については、外部環境の変化や将来に向けた設備投資への備えであり、その活用については、企業の経営判断にかかわるものと認識しております。また、一般的に、非正規雇用は正規雇用に比べ賃金が低いことから、その待遇改善や正規化を図ることが労働者の収入増につながるものと考えます。そのため、国による正規雇用への転換支援や待遇改善の取り組みのほか、本区では若年者等を正規雇用した企業に対して、正規雇用促進奨励金の交付を行っているところであります。最低賃金につきましては、法に基づき、労働者の生計費や賃金の実態、事業者の賃金支払い能力などを総合的に勘案するとともに、生活保護に係る施策との整合性にも配慮して、健康的で文化的な生活を営めるよう決定されているものと認識しております。

 次に、区の発注先の労働者保護についてであります。

 労働者の賃金や労働条件は、労働関係法令に基づき、まずは雇用主が責任を持つべきものと考えております。しかしながら、区においても最低制限価格制度や低入札価格調査制度などにより、著しく低い価格での受注を防ぎ、労働者に負担がかからないよう努めているところであります。今後、引き続き、こうした入札・契約制度の拡充を図るとともに、発注先の労働者の雇用実態把握に向けた仕組みづくりを検討してまいります。なお、公契約条例については、自治体間で最低賃金や労働条件に不均衡を生じるなど、引き続き検討すべき課題があることから、今後も国や他自治体の動向を注視してまいります。

 次に、消費税についてであります。

 消費税増税は、国民の税負担を増加させて可処分所得を減少させることから、国民生活に影響を与えるものであります。こうしたことから、国において、消費税の引き上げに当たっては、経済情勢を判断し、国民生活の激変にも柔軟に対応できるよう、生活必需品に対する軽減税率導入など、さまざまな仕組みを検討しているところであります。区においても、こうした国の動向を注視し、これまでと同様、経済環境の悪化や社会状況の変化には柔軟に対応し、国民生活を守る立場で施策に取り組んでまいります。

 次に、東京湾大華火祭についてであります。

 昨年の華火祭は、六十五万人の方々にお楽しみいただき、一昨年中止した際に寄せられた開催を熱望する多くの皆様の声にお応えすることができました。華火祭の実施に当たりましては、何よりも来場者の安全確保が最優先となりますが、そのためには、警視庁を初めとする関係機関の理解と協力が不可欠であります。一昨年の中止は、未曽有の大震災というやむを得ない事情であったことから、二年ぶりとなった昨年の開催に当たっては、関係機関より深い御理解をいただくことができました。おかげで無事に終了しましたが、安全確保に万全を期すためには、毎年開催することに、より警備面でのノウハウを継承していくことが最も重要であると改めて実感した次第であります。また、今や全国でも有数の花火大会となった本華火祭は、七十四億円もの経済波及効果はもとより、地域の活性化や本区のイメージアップにも寄与している一大イベントでありまして、その開催意義は極めて大きいものと認識しております。したがいまして、さらなる経費節減や自主財源の拡充に努めながら、区民や関係機関の御理解、御協力のもと、多くの皆様に楽しんでいただける本区の特色ある事業の一つとして、引き続き毎年開催してまいりたいと考えております。

 次に、事務事業の見直しについてであります。

 限られた財源の中で新たな財政需要に確実に応え、持続可能なサービスを提供していくためには、絶えず事業の必要性や執行方法、受益者負担のあり方などを厳しく検証することが不可欠であります。このほどまとめた「強固な財政基盤堅持に向けた当面二カ年の重点取組指針」に沿って事務事業評価を実施してまいりますが、その過程で全ての事業を対象に、重点的に評価すべきものを抽出し、サービスの持続性、後年度の財政負担、効果的な行政サービスの提供といった観点から評価を行い、具体的な見直しの方向性を取りまとめてまいります。また、保育料や施設使用料等については、受益と負担のバランスや二十三区内における本区の水準などの現状を点検・整理しているところであります。今後、区民の負担の増加や事業の廃止・縮小などが必要となった際には、さまざまな機会を捉え、区民への十分かつ丁寧な説明に努めてまいります。

 次に、待機児童の状況と待機児童解消に向けた来年度の取り組みについてであります。

 平成二十一年八月に子育て支援対策本部を設置し、全庁を挙げて待機児童対策に取り組んでまいりました。その結果、保育施設数は十三施設増加し、定員は千五十二人の拡大を図り、本年四月一日現在の保育定員は二千九百十七人となっております。こうした中、新年度四月入所第一回目の認可保育所選考の結果では、一歳児以外の保育需要に対しては、認可、認証保育所等のこれまでの整備により、保育枠が確保されており、実質的な待機児童解消が図られているものと考えております。一方、一歳児については、来年度、認可保育所をベースとした京橋こども園の開設や、私立認可保育所三園を誘致するほか、認証保育所においては、一歳児を保育するのに必要な面積分を他の歳児の余裕のある面積から振り分けるよう、事業者に働きかけてまいります。今後も乳幼児人口の増加や保育需要の伸びにも対応できるよう、認可保育所を中心に、保育所の拡充を図るとともに、多様な保育ニーズにも応じられるよう、認証保育所や小規模保育所など、さまざまな手法を講じながら、待機児童解消に向けた取り組みを推進してまいります。

 次に、超高層住宅建設についてであります。

 地価が高く高密度な市街地を抱える都心中央区で、オープンスペースや緑地、公共施設の整備等を行いながら、限られた土地の有効活用を図り、建築物の耐震化、不燃化を推進するには、超高層の住宅建設は有効な開発手法の一つであると考えております。これらの開発に当たり、本区ではまちづくり基本条例に基づき、地域住民との協議を行いながら、公共公益施設の整備などについて開発事業者を指導してきたところであります。今後とも、広域的なインフラ整備の状況を踏まえつつ、中央区にふさわしいまちづくりの推進に向け、取り組んでまいります。

 次に、中小企業支援策についてであります。

 国の月例経済報告では、ことし一月と二月、二カ月連続して上方修正が行われるなど明るい兆しも見られますが、長引く景気の低迷や欧州の政府債務危機、東日本大震災の影響などにより、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。こうした状況を踏まえ、本区における新年度の当初予算は、総額百九十七億円に上る景気対策経費を計上し、このうち二二%に当たる四十四億円を、商工業融資を初め、商店街が行うイベントへの補助、共通買物券の発行、日本橋問屋街の活性化支援、観光商業まつりの開催など、中小企業支援と商店街振興に充てることといたしました。また、事業継続への支援として、中小企業診断士による出張経営相談や、二十四時間いつでも利用可能なEメール商工相談、東京商工会議所と連携した経営セミナーを初めとする各種セミナーの開催、販路拡大のための展示会出展費補助、中小企業技術者高度研修助成、産業高度化支援、人材育成に資する事業など、経営面での援助のみならず、技術の継承や後継者づくり、新たな事業展開への支援についても引き続き実施してまいります。

 次に、共通買物券についてであります。

 新年度においては、本年度同様、過去最高額に並ぶ五億五千万円分を発行し、区内商店街の活性化や消費の拡大に努めてまいります。発行額については、本区の人口規模や国の財政負担、他区の発行状況等を考慮したものであり、適正な額であると考えております。

 次に、金融円滑化法と中小企業金融についてであります。

 国においては、法の期限到来後も借り手が不安を感じることのないよう、金融機関に対し、貸し付け条件の変更や円滑な資金供給に努めるとともに、借り手の経営課題に応じた適切な解決策を支援することなどを指導しております。さらに、東京都や本区並びに商工会議所の多様な融資制度も利用できることから、法の終了後も中小企業の安定した事業継続の支援体制は整えられているものと存じます。

 次に、国民健康保険料についてであります。

 国民健康保険は、医療費が増加傾向にある中、保険料も増加しており、この保険料の負担は区民にとって決して軽いものではないと認識しております。保険料の算定方式の変更に伴う負担増の軽減対象者は、平成二十三年度が六千百人、平成二十四年度が六千二百九十四人となっております。また、住民税非課税世帯を対象とした新たな減額措置の適用を受けない対象者は、平成二十五年度で五千百七十一人となります。国民健康保険においては、全国的に被保険者に占める高齢者の割合が多く、低所得者の占める割合も多いために、保険料負担能力が低いという構造的な問題が指摘されていることから、国の責任において国庫負担を充実させ、解決することが重要であります。このために、特別区と市町村とが共同で組織的に国に対して要望を行うことが有効であると考えており、国庫負担による保険財政基盤強化策の一層の充実を図るよう、引き続き全国市長会を通じて要望してまいります。二十三区では、これまでも高額療養費を全額保険料の算入に加えず、一般財源で対応するなど保険料の抑制に努めてまいりましたが、今後の財政運営を考慮すると、これ以上一般財源を投入することは困難であると考えております。

 次に、築地新市場計画と豊洲新市場計画についてであります。

 築地新市場については、昨年六月に立ち上げた先行営業施設開設準備協議会において施設の検討が行われ、昨年十二月に区としてその概要を取りまとめたところであります。今後、平成二十五年度の建設工事着工を目指して設計を進め、さらに開業に向けて必要な機能の確保について整理した上で、施設全体の維持管理にどの程度の費用が発生し、誰がそれを負担するのかといった観点から、施設の運営主体、管理運営形態、使用料等を検討してまいります。この施設は、市場移転後のまちづくりの基盤であり、その整備は区の責務でありますが、当然ながら、施設利用者にも応分の御負担をいただき、整備費に充当してまいります。なお、事業の検討に当たっては、施設全体の採算性の観点などについても考慮するものであり、赤字となることは想定しておりません。水産仲卸事業者の出店につきましては、事業者の方々に築地新市場への期待がある一方、豊洲新市場との競合など、不安の声も多いと聞いております。区としては、今後も水産仲卸の組合に十分な情報提供に努めるとともに、さまざまな機会を捉え、市場事業者の幅広い理解を求めてまいります。

 次に、豊洲新市場についてであります。

 豊洲新市場の整備については、土壌汚染の完全な無害化はもとより、東京都と市場関係者との綿密な協議のもとで、施設計画や使用条件などが定められなければならないと認識しております。都には、市場関係者が長年先行きが見えない中で、施設・設備の老朽化等に悩まされてきた実情を十分に踏まえ、各事業者が早期に将来展望を描けるよう取り組んでいただきたいと考えております。食の安全・安心は、当然ながら市場移転の大前提であります。都は、技術会議の結論を踏まえた土壌汚染対策を確実に実施することとしており、昨年七月からは都と市場事業者等で構成する協議会のもとで処理状況の確認などが行われております。さらに、都は、本年一月八日に豊洲新市場整備事業の一年延期を発表し、土壌汚染対策に万全を期すとしているところであります。こうしたことから、本区は今後も場外市場地区の皆様方や市場事業者などの協力を得て進めている築地新市場整備計画をさらに前進させ、築地の活気とにぎわいを将来にわたり確実に継承するためのまちづくりに全力を挙げてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 まず、いじめの問題についてです。

 昨年七月の調査で確認された五件のいじめは、その後、三件が解消し、二件は引き続き指導を行っております。いじめは短期間で解決する場合もありますが、子供たちの主張に食い違いがあったり、謝罪は行われてもお互いの人間関係の修復に時間を要するケースがあります。いじめについては、来年度の教育委員会教育目標の主要施策に、いじめは人間の尊厳を傷つける重大な人権侵害であることを明記し、決して許されないという認識のもと、校長会において、学校でいじめが放置・隠蔽されるようなことはあってはならないことを徹底しております。いじめを行った子供に対しては、自分のしたことの重大さを教え、きちんと反省させ、再びいじめを繰り返すことのないよう指導しております。教育委員会では、教員が子供と向き合う時間を確保するために、学校間ネットワークを整備し、事務文書や教材の共有化による業務の効率化を積極的に進めているところであります。

 次に、少人数学級についてです。

 本区では、小学校での算数非常勤講師や中学校での国語、数学、英語等への非常勤講師の配置など少人数指導を進めており、少人数学級については、引き続き国や都の動向を注視し、適切に対応してまいりたいと存じます。スクールカウンセラーにつきましては、現在、全小学校に週一日派遣しておりますが、来年度より教育センターの専任教育相談員を二名増員し、児童数の多い小学校には週二日派遣できる体制といたします。また、東京都からも小学校全校に週一日スクールカウンセラーが配置される予定です。いじめへの対応は、校長のリーダーシップのもと、養護教諭を含む学校内の全教員はもとより、スクールカウンセラーや心の教室相談員、学習指導補助員などと連携し、組織的に取り組むことが重要であると認識しております。いじめの対象になりやすい子供も含め、全ての児童・生徒がいじめの被害者あるいは加害者とならないために、円滑かつ効果的に組織が機能するよう、学校への指導を行ってまいります。

 次に、体罰の問題についてであります。

 体罰の実態調査については、東京都教育委員会の依頼を受け、小・中学校教員への聞き取り調査及び児童・生徒へのアンケート調査を実施中であり、現在まで体罰があったという報告は受けておりません。体罰をなくすための取り組みについては、年二回、七月と十二月を服務事故防止月間として、体罰を含む教員の非行行為の防止について、自己チェックや事例に基づく研修を実施しております。また、東京都教育委員会の服務事故事例を周知して注意を喚起したり、全教員に配布されている人権教育プログラムを活用した研修を行うことなどにより、体罰禁止の徹底を図っております。体罰に関する相談については、指導室や教育センターの教育相談室で十分対応できるものと考えております。相談に対しては、校長に調査を指示するとともに、体罰が確認された場合には教員への指導や服務事故としての処分等、適切に対応してまいります。部活動やスポーツは、試合に勝つために努力することで意欲や忍耐力を育てることができる面があります。また、競い合うことはお互いを高め合う貴重な機会でもあります。こういった子供たちが部活動やスポーツに取り組む意義を一人一人の教員が正しく理解し、指導に当たることが重要であると考えます。今後とも、体罰は絶対に許されないとの認識のもと、状況に応じた丁寧な指導を行い、教員と児童・生徒、保護者が信頼し合える、風通しのよい学校づくりを進めてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 御答弁いただきましたが、日の丸については、区長の認識をお聞きしたかったので、戦時中、区長は幼少期だったと思うんですけれども、戦争にかかわる日の丸についての思い出など、お聞かせいただければと思います。

 それから、TPPについては、日米首脳会談後、全漁連とか消費者団体とか医師会などから反対の声、反対声明が次々と上がっています。このような国民の利益に背く対米政策を行ったことに対しては、これからも各分野の批判が強まらざるを得ないと思います。

 集団的自衛権については、区長の認識は明確に述べなかったのは残念です。やはり憲法九条を守っていきたいという、その思いから見れば、どんなことがあってもアメリカと一緒に戦争するという体制、これは認められない、そういう御答弁が欲しかったです。

 安倍自公政権が、アメリカのTPPのような理不尽な要求とか、さらには軍拡など反動的な要求、動きに従っていくことになれば、平和を望む多くの国民からの批判は避けられなくなるというふうに思います。そして、その国民的世論の広がりが、アメリカ言いなり政治の根源にある日米安保条約、これをもうそろそろやめよう、そういう世論が高まっていく過程に入るのではないかと、そのように私は思っております。

 原発については、引き続き区議団は独自に測定もしていきたいというふうに思っております。

 原発の推進政策について、積極的には望まないみたいな御答弁だったと思うんですけれども、原発政策は中止すべきだと言わなかったのは残念に思っております。

 経済政策については、やはり安倍政権の三本の矢、私たちから見れば、もう既に折れた三本の矢なんですけれども、それを支持されている姿勢がわかりました。

 ただ、内部留保を賃上げにという、このことにつきましては、二月八日に笠井亮議員がその提案をしたところ、安倍総理も経営者に賃上げを要請すると答弁し、麻生副総理も賃上げできる条件に企業側があることは確かだと、そういうふうに答弁しているんですね。内部留保を賃上げに回すということは大きく広がっているんですけれども、そういう点で、やはりこれから大企業の社会的役割をしっかり果たさせなければいけないと思うんですけれども、この点について質問を二つ目にさせていただきます。

 それから、所信表明との関係なんですけれども、やはりいろいろ理由はあったとしても、例えば敬老買物券の贈呈が来年度から七十五歳からになると。これを知った方、まちの中で本当にがっかりしている人が多いんですね。やっともらえたけれども、来年度からもらえなくなっちゃうと。このように、区民の方をがっかりさせるような区民サービスの削減とか縮小、それは避けるべきだと思います。

 基本計画二○一三を錦の御旗に立てて、区民サービスの縮減とか区民への負担増をやめるべきだと思うんですけれども、この点についても区長の見解をもう一度お聞かせください。

 子育て支援では、私は認可保育所の待機児童と言って質問したんですけれども、区長答弁は認可と認証を合わせれば一歳以外の待機児は解消する、そういうことですりかえていますが、誤解された答弁だったのかもしれませんけれども、やはりしっかりと認可保育所で待機児をなくすという立場をとっていただきたいというふうに思います。

 中小企業支援につきましても、いろいろ述べていただきましたけれども、お聞きしたいのは、中小企業の方、業者の方たちからの苦しみとか不安、これは聞く機会が多いと思うんですけれども、どんな声が寄せられているのか、そして、また新たな施策の展開をどう考えているのか、その必要性があるのかどうかもお聞きしたいと思います。

 国保の値上げについては、負担は軽いものではないという認識が示されました。では、連続する保険料の引き上げで区民の命と健康が脅かされてしまうんだという認識をお持ちかどうか、この点についてもお聞かせいただきたいと思います。

 築地新市場につきましても、まだまだ決まっていないと。予算を通そうとしているのに、新市場について示せないという理由は何なのか、整理し切れていないのでは遅いんじゃないかと。予算が今かかるんですからね。そういう意味でも、この点についてもしっかり御答弁いただきたいと思います。

 いじめにつきましては、いろいろ提案させていただきましたけれども、幅広い専門家も含めた方たちと考えていかなければならない。その点でも、子供の人権を基本に位置づけることが重要だと思います。

 以上で再質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。再答弁させていただきます。

 日の丸の思い出ですね。私は余りないのでね。歌がありましたね、白地に赤く。あの歌は子供のころ歌いましたけれども、志村さんが持たれたような、そういう感じは持っておりませんでしたし、今も持っていないわけであります。

 それから、賃上げですか、内部留保、労働者の賃金、これは上げていったほうが、景気浮揚にももちろん大切であるわけですから、そういう意味では雇用主のほうでしっかりと、働く者の賃金は上げていただきたい。これは、もちろんそういうふうに私も思うわけで、同感であります。

 それから、いろいろな事務事業の見直し、これは非常に重要なんです。税金を投入するということ、この税金というのは、本当にまさに区民の汗の結晶が税金となって区のほうに来るわけですから、これを大事に、大切に使っていかなければならない。また、効果的に投入していかなければならない。そういう意味で、常に事務事業は見直していかなければならない。そういうふうに思いますね。

 行財政改革と同じでございまして、ちょっと油断すると、前から言っているように、坂の途中にとまっている車のような感じで、一生懸命支えて押してあげていないと、ずるずる下がってくるわけでありますから、改革、見直し、これは常にやっていかないと、それこそ本区が誇る健全財政に支障を来すということにもなりかねないわけでありますから、そういう面で、しっかりとやっていきたい、こういうふうに思うわけであります。

 また、子育て支援、これは本当におかげさまで、区議会の皆様方と一緒に力を合わせてきた結果、赤ちゃんがどんどん生まれるということで、平成十一年までは年間五百人台であった。五百人を切ることもありましたけれども、その後の七年間はずっと赤ちゃんが多く生まれるということで、七年間千人以上生まれている。だから、倍になっているわけで、ここ三年間は千四百人以上、昨年なんかは千五百十一人も生まれると。かつての二倍、三倍の赤ちゃんが生まれている。これはやはり子育て支援がしっかりしているおかげであるわけでございまして、そういう意味では、これからも子育て支援、特に保育所ですね。これは、もちろん認可を目指すわけでありますけれども、都心中の都心ですから、そう土地があるわけでもございませんし、また区だけでできるわけでもございませんから、公設民営であるとか、あるいは民間の皆様方が手を挙げてくれた事業者の皆様方にお願いする、こういうことで来ているわけでありますので、認可、認証も含めて全体でどうかということを我々は常に考えているわけで、そこのところは意見の相違があるようにも思えるわけであります。

 それから、中小企業支援、これは大事ですね。中小企業、九七%ですか、四十二万事業所の九七%、四万事業所が従業員百人以下の事業所であるわけですから、中小企業、これは一生懸命区のほうでも行うわけでありまして、そういう意味で、いろいろな声を聞いているわけでございます。

 特に、印刷製本ですね。地場産業と言われる印刷製本、本当にいろいろなことで、この会で呼ばれたりして、ちょっと視察に来てくれとか言われますよ。それで、行って意見交換、湊町の方面とか、いろいろ行きますけれども、区への要望をどんどん出すようにということで、これからもお互いに意思疎通をしっかりとしてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 命と健康、人間生活でこれほど重要なものはないわけでありますから、これをしっかりとやるということであります。国民健康保険も、保険料の値上げがないようには努力するわけでありますけれども、やはり持続可能でないと、これは日本が誇る制度でありますから、こういうものはしっかりとやっていかなければならない。そういう観点から、これからも検討といいますか、努力してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。もちろん、負担増にならないようにということをしっかり念頭に置いて対応してまいりたい。

 また、築地新市場、これは大事ですね。築地新市場、おかげさまで多くの皆様方に喜ばれている。関心も高まっているわけでございまして、そういう面で、開業に向けて二十五年度の建設工事着工、そして開業に向けてしっかりやっていかなければならないということでございまして、幅広い声、意見が出ておりますので、そういった皆様方としっかりと調整し、もちろん区議会の皆様方の御意見等も伺いながら、すばらしい市場をつくり上げてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 御答弁いただきましたが、やはり区民の方々は満足できない答弁だと思います。残り時間はわずかですけれども、発言と要望させていただきます。

 日本共産党区議団は、「なぜ 今 議場に「日の丸」なのでしょうか」という区議団ニュースを配布していますが、区議団控え室には「日本人なのに日の丸に反対するのか。議員をやめてしまえ」という匿名の電話がかかってきました。日本人なら天皇をあがめ、日の丸に敬意を払うべきと言う人もいます。

 しかし、日本人の、あえて日本人と言わせていただきますが、日本人の心に大きく流れているのは、思いやりの心、他人を大事にする心ではないかと思うのです。それは、江戸しぐさや結、絆と呼ばれたりします。日本国憲法には、その日本人の心が息づいていると思います。戦争はしない、一人一人の人権を守る、生存権を守る、思想・信条を守ることなど、思いやりの精神であり、あるべき日本の社会を示していると思います。

 TPP参加や日米軍事同盟強化、原発推進など、日米安保条約のもとでアメリカの目下の同盟者として従属し、アメリカ言いなりの政治を進めて国民に犠牲を強いる、売国的な自民党型政治には国民への思いやりが感じられません。

 金丸信が名づけ親の思いやり予算というのがあります。日本に駐留する米軍基地や宿舎の経費を日本が肩がわりする予算です。まさに、思いやる相手が国民でなくアメリカであることがわかりやすく示されています。区長は、所信表明で人への思いやりに触れています。であるのなら、区民サービスを削ったり、負担増を強いるなどの区民犠牲の計画は撤回すべきです。強く要望します。

 日本共産党は、憲法が生きる社会、憲法が生きる区政を実現するために、これまでも頑張ってきましたけれども、これからも力を尽くす所存でございます。学校のいじめの問題につきましても、やはり憲法、そして教育基本法、そのもとでの対応が必要になっていると、そのように思っております。

 新しい日本、本当にこれからどうあるべきなのか、皆さんと御一緒に考えていきたい、そのように思っております。今回の第一回定例会、大変重要な定例会であり、また予算委員会も始まりますので、私も頑張りたいと思います。

 以上で質問を終わります。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時二十八分 休憩


午後三時五十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。八番河井志帆議員。

八番 河井志帆議員登壇

○八番(河井志帆議員)
 中央区議会みんなの党の河井志帆でございます。私は、今定例会に当たり、会派の一員として、区政の直面する課題につきまして、通告書に従い、区長及び関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうか建設的かつわかりやすい、そして具体的で前向きな御答弁をお願いいたします。御答弁のいかんによりましては、再質問をさせていただきます。

 あすから三月に入ります。未曽有の大災害となった東日本大震災から間もなく二年を迎えようとしているこの時期だからこそ、改めて区の防災対策について質問をさせていただきます。

 中央区では、先週二十二日に中央区防災会議が開かれ、中央区地域防災計画の修正が決定されたところであります。これは、東京都が昨年四月に公表した首都直下地震等による東京の被害想定に基づく中央区の新たな被害想定に対して、その対策を示すものとされています。また、今回の修正のポイントとして、本区の地域特性や人口増に適切に対応するということで、八八%のマンション居住者対策が挙げられ、また自助・共助の一層の強化とともに、公助と一体となった総合的な防災力の向上を図る点が挙げられています。

 さて、中央区内において、高さ六十メートルを超える超高層住宅の棟数は、工事中、計画中のものも合わせると四十七棟あるとされています。そのうち月島警察署管内では、高さ百メートルを超えるクラスの超高層住宅が十九棟あるそうです。まさに、区内の超高層住宅のうち、階数が三十階を超えるものが半数以上となっているのが現実です。

 我が区では、震災前から高層住宅防災対策「震災時活動マニュアル策定の手引き」を発行し、防災マニュアルの作成費用の一部を助成するという全国で初めての制度を開始するなど、行政として積極的な支援を行ってきたところであり、また、その姿勢は近隣の自治体を初め、全国的にモデルケースとされました。これは、中央区の地域特性にしっかりとフォーカスした防災対策がとられていることのあかしでもあります。

 震災を受け、その必要性の高まりから、マンションごとの防災マニュアルの策定が進んでいるとのことですが、マニュアルをつくることとマニュアルどおり活動ができることは全くもって別次元の問題であることは明らかです。ライフスタイルも家族構成も、はたまた出身地も興味、関心や趣味も異なるいろいろな方々が暮らす集合住宅においては、隣近所の方々との助け合いが大事なことは、頭では理解することができても、平常時ではない、災害が起きた場合にそれを行動に移せるかと言えば、簡単なことではありません。つまり、防災マニュアルが策定されていても、それが機能しない可能性は十分に考えられます。

 中央区地域防災計画の中では、高層住宅対策として、高層住宅は一般住宅に比べ構造的に耐震上の安全性が高い上、ライフラインの安全性にもすぐれていることから、高層住宅にお住まいの方々が避難所に避難することなく住宅で継続して生活できるよう、居住者への防災対策の普及啓発を進めるとしています。すなわち、高層住宅に暮らす方々にとって、まず大事なのは自助の考え方であるということです。

 区内のあるマンションでは、大災害時にも自宅での生活を継続することを目的に、非常時における電気や水、エレベーターなど、マンションの防災機能を知ってもらうミーティングを、より多くの住民の方に参加してもらうために、数回に分けて開催したそうです。参加した住民の方からは、「自分の暮らすマンションについて余りにも知らないことが多過ぎた」という感想が多く出ていたとのことです。

 災害時、震災時、もし防災マニュアルどおりの組織づくりが困難だった場合に、大事になってくるのが館内放送です。マンション内に一斉放送ができれば、各住戸で不自由ながらも生活を継続している住民に必要な情報を提供することができます。例えば、エレベーターの復旧状況であったり、または重病人が出た場合に住民の中の医師や看護師に呼びかけることもできるでしょう。しかしながら、この館内放送は電気設備であり、もし停電が起こってしまうと使えなくなってしまう代物なのです。

 昨年四月に東京都防災会議が発表した被害想定によりますと、中央区でのライフライン支障率は、電気で四○%を超えるとされています。そして、その復旧には一週間程度かかると想定されています。今、高層マンションに設置されている非常用発電機は、停電時に作動させても四時間程度しかもちません。それは、その発電機用の燃料の備蓄が消防法で制限されていることによります。もし非常用発電機用の燃料が確保できれば、館内放送も使えますし、エレベーターも動きます。また、高層階に水を送るためのポンプも作動し、トイレも使えるようになります。

 昨年十月十四日にお隣の港区の運河沿いの高層マンションの住民が、大地震による停電に備えて非常用発電機の燃料補給のため、燃料タンカーをマンション桟橋に接岸する訓練を行いました。この高層マンションですが、四十二階建てのマンション三棟からなり、二千九十世帯、約五千人が暮らすという規模です。非常用発電機を備え、燃料の重油を三・五トン備蓄しているそうですが、備蓄燃料で発電機を動かせるのは六時間ほどで、停電が長引けば燃料がなくなり、発電できなくなることを問題視、災害時は道路の混乱などで陸路の燃料補給ができなくなるおそれもあるため、二○一二年九月に横浜市の石油製造販売会社と災害時の燃料補給の協定を結び、今回、海上からの燃料補給訓練を実施するに至ったそうです。

 一方で、中央区のある高層マンションでは、非常用発電機の燃料としてA重油を備蓄しているそうですが、その重油の卸売の業者が千リットル単位でしか卸さないと言っているため、もし同じような課題のある高層マンション数棟と共同購入できれば、対策に可能性が広がるというお話でした。また、船舶燃料の活用も考えたそうですが、桟橋の設置が必要になるなど、課題が山積みだとのことです。

 さて、ことし一月三十一日に東京都がある発表を行いました。それは、大規模災害時における石油燃料の安定供給に関する協定の改正についてです。

 発表内容によりますと、「都はこれまで災害時に備え、燃料の優先供給協定を締結していたが、東日本大震災時に都内全域において燃料不足が生じ、病院などの防災上の重要施設の活動に支障が出た。このため、従来の優先供給協定を見直し、災害時に確実に燃料を確保できる仕組みとして、流通在庫を活用した備蓄を行い、災害時の燃料不足に備えることとした」と。平時に重油やガソリンを購入し、ガソリンスタンドのタンクで保管していたのに加え、流通在庫、つまりランニングストックも活用するということです。この確保策で東京都災害拠点病院七十病院においては、発災当初七十二時間分の非常用発電機の燃料を確保でき、また緊急通行車両約六千五百台においては、発災当初七十二時間の災害対策従事用の燃料を確保できるということです。

 都心区の防災対策は、官も民も限られた資源である非常用発電機用など、災害時の燃料確保がこれから大事になってくると考えます。中央区地域防災計画にも書かれてあるように、震災時でも高層住宅において自立的な生活が実現できるような対策を実施するためにも、高層住宅の非常用発電機用燃料の確保は極めて重要なテーマであり、区でも積極的にかかわるべきだと考えますが、いかがでしょうか、区のお考えをお知らせください。

 さて、中央区では、平成十九年に市街地開発事業指導要綱を改正し、その要綱基準で計画戸数二十五戸以上かつ十階以上の共同住宅について、五フロア以内ごとに防災備蓄倉庫を設置することとしました。しかしながら、区内の高層住宅の多くは、その指導要綱改正前に建てられており、防災備蓄倉庫が地下や低層階に設置されているのが実情です。震災時にエレベーターがとまってしまった場合などは、防災備蓄品を、高層階も含めた全ての住民の手に手渡すことが非常に困難になることは想像にかたくないと思います。

 そこで、指導要綱改正前に建てられた高層住宅においても、一定フロアごとの防災備蓄倉庫の設置を義務づけ、また、その費用を助成するなどの対策が必要だと考えますが、区の見解をお知らせください。

 続いて、震災時における防災拠点など公共施設のエレベーター復旧作業についてお尋ねします。

 中央区の防災拠点及び副拠点、福祉避難所については、開設される避難場所が比較的低層であることは周知の事実であります。しかしながら、避難所へ避難されてくる方の中には、お体が不自由であったり、高齢などを理由に階段の上り下りが困難であったりすることが想定され、避難所におけるエレベーターの存在は必要不可欠なものであると言えます。

 東京都においては、エレベーターの早期復旧のために、一ビル一台復旧ルールを推奨しているところであります。一ビル一台復旧ルールとは、地震発生時に全ての住宅、建築物を棟単位で最低限の縦動線を確保していく、文字どおり一つのビルに一台の復旧を行う方法で、これにより、建物全てのエレベーターを復旧していく場合に比べて、約三○%程度時間の短縮ができるということです。

 しかしながら、防災拠点など重要公共施設におけるエレベーターの復旧については、優先して行われるべきだと考えます。そして、東日本大震災時は余震がそれほどありませんでしたが、高い確率で発生が予想されている首都直下型地震の場合は、震度五クラスの余震が続くと考えられています。余震のたびにエレベーターが停止することになるならば、それは大きな問題となるため、区の防災拠点のエレベーター復旧は重要なテーマであります。

 もし二十四時間機能する区の防災拠点で、停止したエレベーターの安全確認を行った後、リセットするという作業をエレベーター管理会社にかわって行うことができれば、電力が途絶えたりエレベーター会社が動けない場合、防災拠点としての機能を高く維持することができます。

 そこで、お尋ねいたします。

 エレベーターの安全確認と再起動におけるスキルには、国家資格のようなものがあるのでしょうか。また、そのスキルを有する人間を防災拠点などの重要公共施設に配置することは可能なのでしょうか。もし不可能であれば、その理由もあわせてお知らせいただきたいと思います。

 次に、学校におけるいじめ問題について取り上げます。

 一昨年、大津市で起きたいじめによる中学生徒の自殺事件を契機に、いじめは全国的に社会問題化しています。東京都教育委員会も、昨年七月に都内全公立学校二千百八十四校を対象に、いじめの実態把握のための緊急調査を実施し、中央区立学校における調査結果について所管委員会に報告があったのは記憶に新しいところです。

 いじめの定義は幾つかありますが、ある生徒が繰り返し長期にわたって、一人または複数の生徒による拒否的行動にさらされている場合、その生徒はいじめられているというノルウェーのオルヴェウスの定義がよく使われています。文科省は、一定の人間関係のある者から心理的・物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているものと、少し緩やかな定義を使っています。また、拒否的行動とは、ある生徒がほかの生徒に意図的に攻撃を加えたり、加えようとしたり、けがをさせたり、不安を与えたりすることとされています。

 政府の教育再生実行会議は、おととい、座長の鎌田薫早稲田大学総長が、第一次提言のいじめと体罰対策を首相官邸で安倍首相に手渡しました。いじめの解決を図る第三者組織の設置や道徳の教科化、体罰対策として国が部活動指導の指針をつくることなどを求めました。

 提言では、いじめの芽を摘み取り、一人でも多くの子供を救うことが教育再生に向けて避けて通れないと宣言。いじめの未然防止と発生後の対応をまとめています。防止策では、心と体の調和の取れた人間の育成に社会全体で取り組むとし、小・中学校で指導されている道徳を教科化し、国と教育委員会に対し、教員の指導力向上や日本の伝統と文化に根差した題材を教材に取り上げるよう求めました。また、いじめ発生後の対応としては、学校に対し、警察との連携や加害生徒の出席停止など毅然とした対応が必要とし、また学校が解決できない場合は、いじめの通報を受けて第三者的な組織が相談を受け解決するとしました。

 いじめの対策については、何よりも教師と児童・生徒、そして児童同士、生徒同士の信頼関係の構築が大切であり、いじめをなくす学級経営という視点が重要になってきます。

 茨城県教育委員会では、さまざまな具体的な取り組みを紹介しています。

 ある小学校では、出番をつくる・認める・褒める学級経営として、誰もが一日一回みんなの前で活躍できる出番をつくり、一人一人が一生懸命努力する学級、一人一人の努力やよさを心から認め合う学級づくりが行われているそうです。

 また、別の小学校では、一日一回声掛け運動として、全てのクラスで朝の出席確認をフルネームで行い、教師が一声、「きょうも元気だね」、「朝食は何を食べましたか」など、声をかけます。時間はかかるものの、子供たちは、きょう、先生はどんな声をかけてくれるのだろうと興味津々となり、その返事もユーモアに富んだものになるそうです。いじめの早期発見や早期解決に役立っているとのことでした。

 そんな学級経営をサポートするものとして、学級集団アセスメント、楽しい学校生活を送るためのアンケート、Q|Uテストというものを導入する自治体がふえてきています。

 Q|Uテストは、学級生活意欲と学級満足度の二つに関するアンケートに答えて、その結果をグラフ化し、学級の生徒の意識を調査するという検査です。学級崩壊の予防や、よりよい集団づくりに活用することを目的に開発され、全国で約二百万人の子供が受けており、東京都では各市区で学校独自に取り組んでいる例があります。中央区においても、過去、学校独自で試験的に導入したところもあると伺っています。

 質問の内容は、仲のいい友達はいるか、悩みを相談できる友人がいるか、冷やかされることがあるか、学校に行きたくないことがあるかなどの十二から十六項目の日常的な学校生活に関する質問に対し、「とてもそう思う」から「全くそう思わない」の五段階の回答から自分の気持ちに一番近いものを選ばせるものと、その他、自由記述からなり、十五分もあれば終わるアンケートです。

 そのQ|Uテストの結果は、四角いグラフの中で生徒の回答が点数化され、点になってあらわされます。グラフは、縦に半分、横に半分に分けられた四つのゾーンからなり、それぞれの特徴はおおよそ次のような感じです。

 まず、右上が一番よくて、学級生活満足群です。このゾーンにいる人たちは、学級の状態に満足している人たちで、全員がここに入っていれば理想的ですが、そのような結果は現実的にはありません。

 そして、左上のゾーン、侵害行為認知群です。このゾーンの人たちは、学級の中で攻撃を受けていると感じている人たちで、ここに生徒が多いということは、学級のルールがない、極端に言えば無法地帯に近いクラスです。

 そして、右下は非承認群です。友達や学級、先生に自分の存在を認められていないと感じている人たちです。このゾーンに生徒が多いということは、学級の人間関係が円滑でないということが考えられます。

 要注意なのは左下のゾーンです。学級生活不満足群と言われ、さきに示した左上と右下の両方を感じている人たちです。つまり、誰にも認められず、攻撃を受けていると感じている人たちです。その中でも、特に左下に寄っている場合は要支援の人です。このような心境の人を放っておいてはいけません。この人たちには早急に何らかの手だてを打たなければならないとされています。

 Q|Uテストは、これらを定点観測することで成果を検証し、教育施策の改善を目指し、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することができるとされています。

 実際にQ|Uテストを導入している教育現場の先生の声を伺うことができました。その先生によると、こんな単純な質問で何がわかるんだみたいなことを考えている時期もありましたが、何回もやっていると、結構参考になるぞと思うことが多くなってきました。要支援とされる左下のゾーンの生徒が自分の学級にもいます。ふだんの生活から薄々は感じていた人は、ちょくちょく話しかけたり、関係をつないだりしているのですが、この検査をやると、意外な人がこのゾーンに入っているときがあり、指導の落ちをチェックできるので、ありがたい検査だなと思っています。

 三十人以上の生徒が学級の中で生活をしています。教科の授業があっても、毎日全員と会話をするのは非常に難しいです。生活記録も重要なツールですが、特にかかわりを持つ場合は、それだけでは不十分です。誰に重点を置くのかについて、Q|Uテストの結果は、ある程度の判断材料にもなります。生徒の側から見ると、いきなり話しかけてくる回数がふえても気持ちが悪いので、私の場合は、まず何回も目が合うように、その子のことを見ています。注目していると、人間関係の変化が起こってきたことに気づいたり、その生徒が興味を持っていることもわかってきます。話しかけるのは、それからだんだんといった感じです。きのうまでほとんど話さなかった先生が急に十数回も話しかけてきたら、おかしいです。

 あとは、活動の写真を撮って紹介するときに多目に入れてみたり、学級活動で名前を挙げて評価する機会を多くしてみたり、生活記録の返信を長目に書いてみたり、ちょこっとずつ変化をさせていきます。個人への対応もそうなのですが、この検査は学級指導の状態のチェックにもなります。

 さて、このQ|Uテストですが、豊島区では平成二十五年度より新規事業として導入されることとなりました。豊島区で採用されるのは、ハイパーQ|Uテストというもので、Q|Uテストで行われる学級生活意欲、そして学級満足度に加えて、対人関係構築に必要なソーシャルスキルも診断尺度として加わったものです。実施対象は小学校五・六年生と中学校全学年の児童・生徒約五千人で、事業費は二百二十二万七千円ということです。

 個々の児童・生徒と学級全体の状態を客観的に把握でき、いじめや不登校の解決にも役立つ心理検査を新たに導入することにより、児童・生徒一人一人の学級への満足度と学校生活への意欲の状況を捉えることができ、単にいじめの有無を子供たちに聞くアンケート調査等では把握し切れない不登校やいじめの兆候などを早期に発見し、組織的な対応により迅速な解決を図っていくとともに、学級づくりの改善・充実につなげていけるとしています。

 同様に、北区でも平成二十五年度からQ|Uテストが導入されることになりました。いじめゼロに向けた取り組みを強化するという区長の強い信念のもと、いじめや不登校を未然に防ごうと、全ての小・中学校で心理検査、Q|Uテストを行うこととし、スクールカウンセラーの増員なども含め、新年度予算案に関連事業費として六千七百八十七万円を計上したそうです。

 これまでも年三回、全校でいじめアンケートはしていたそうですが、北区教育委員会は、「過去のいじめはわかっても、今起きていたり、起きそうないじめはわからなかった」と話しています。心理検査の活用で、その子が抱える困難や問題を解決することで、いじめや不登校の未然防止につなげたいと意気込んでいるそうです。北区で行われるこの心理検査は、年一回、五月から六月にかけて計五十校の一万六千人が受ける予定です。夏休みに全ての教員が、開発者である河村茂雄早稲田大学教授から結果の活用法や対応法を学び、いじめなどの兆候があれば、二○一二年度に作成したマニュアルに沿ってチームで対応するとのことです。ほかに、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーをふやし、年二回程度の校内研修も義務化、いじめ防止条例の制定に向け、教育委員会で先進事例の研究を進めるそうです。

 そこで、お尋ねいたします。

 学級経営には、教師と児童・生徒の人間と人間の信頼関係が必要であることは言うまでもありませんが、それを補完し、学級経営の改善につなげるものとして、Q|Uテストの導入を中央区でも検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお知らせください。

 以上をもちまして、私の一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 河井志帆議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、自家発電設備の燃料確保についてであります。

 災害時には、人命にかかわる病院などの公共施設や災害対策用緊急車両に燃料を確保し、優先的に供給することが被害の軽減や二次災害の防止につながります。このため、自家発電設備を有する高層住宅への燃料確保が難しくなる面があります。こうしたことから、区では燃料を有効に使うため、自家発電設備の断続運転や、燃料がなくなった場合の防災活動上、最低限の照明を確保する発電機・投光器の備蓄などについて、防災マニュアル作成支援やアドバイザー派遣等により普及・啓発しております。

 次に、高層住宅における防災備蓄倉庫の設置についてであります。

 既存の高層住宅に備蓄倉庫の設置を一律に義務づけすることは、場所の確保や費用負担などの面から困難なものと考えております。このため、区では大規模改修の際に備蓄倉庫の設置を働きかけるとともに、中央区都市整備公社では、防災備蓄倉庫の設置工事に対する助成事業により、備蓄倉庫の設置促進を図っております。

 次に、エレベーターの復旧についてであります。

 エレベーターが停止した際の復旧作業に必要な国家資格等はありませんが、人命にかかわることから、各エレベーター事業者において技術研修を実施し、日々の点検等で修練を重ねた技術者がその作業に従事しております。こうしたことから、区独自で専門的な技術者を配置することは困難であると考えております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 学校におけるいじめ問題についてであります。

 いじめは重大な人権侵害であり、絶対に許されない行為であることから、各学校へはいじめの早期発見・早期対応を徹底するよう指導を行うとともに、相手を思いやる心を育む教育の充実に努めているところであります。いじめの防止や早期発見においては、日ごろから子供たちの様子をさまざまな場で観察し、その変化を捉えるとともに、集団内での子供同士の関係をきちんと把握しなければなりません。そのために、各学校では、授業中のみならず、教員が遊びや給食、清掃等の時間に子供と一緒に活動して、学級の状況を把握するほか、子供や保護者との面談を通して様子の変化を捉えております。

 Q|Uテストにつきましては、平成二十二年度、平成二十三年度の二カ年、本区の久松小学校でも実施しております。このテストは、学校生活にかかわるアンケートから子供の意欲や満足度、学級集団の特性に関する情報が得られるとされていることから、担任が把握している子供の状況を検証することに役立つのではないかと思われます。今後は、Q|Uテストを行った久松小学校や他の自治体の取り組みの成果を分析しながら、導入の必要性について検討してまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔八番 河井志帆議員登壇〕

○八番(河井志帆議員)
 御答弁をいただきました。

 まず、防災対策のほうなんですけれども、湾岸地域、水辺に囲まれた地域の自治体として、そして高層マンションを多く抱える自治体として、非常用発電機の燃料の確保というのは、区民の生活を守るために非常に重要な点であるというのは、恐らく我が区だけではなく、臨海部の区では認識しているところだと思います。

 特に、既にもう国会のほうでも、この件に関しては動きが出ておりまして、昨年三月二十一日の衆議院の国土交通委員会において、総務省の答弁で、所轄の消防長または消防署長による取り扱いの承認という手続をとれば、船舶燃料の給油やドラム缶の荷卸しなど、そういった非常用燃料の確保、そして、それの取り扱い、貯蔵する場所についての規制、これが特例で認められるというお話まで国のほうでも進んでいるところであります。なので、この点については、ぜひ同じ課題を持っている自治体として本気で考えていただきたい、そのように考えます。

 また、Q|Uテストについてですけれども、開発者である早稲田大学の河村教授の言葉を引用させていただきますと、開発当時、いじめ被害を受けた中学生が、自分のいじめられた辛さを綿々と大学ノートにつづって自殺する事件が全国的に続き、社会の批判が学校や教師に向けられた。いわく「そばにいて、教師なのに、子どもたちの心に気がつかなかったのか」である。わからなくなったという現代の子供たちの内面を、教師はどう理解し、どのように対応すればいいのかという危機感と、わからなかったでは教育の専門家として許されないという批判への対策、それがQ|Uテストであると言っています。

 しかし、Q|Uテストというのは、テストをやれば終わりではなくて、その結果をどう生かすか、それによって、いじめへの取り組み、そして未然防止に役立つものだと考えています。

 ちなみに、このQ|Uテスト自体は一人当たり三百円、そして豊島区で導入されるハイパーQ|Uテストは一人当たり四百二十円とのことです。

 いじめへの対策として、単に専門知識を持った人材をふやすという選択肢をとる前に、できることがあると考えます。引き続き、可能性も含めて御検討いただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 次に、七番青木かの議員。

七番 青木かの議員登壇

○七番(青木かの議員)
 中央区議会みんなの党、青木かのです。平成二十五年第一回定例会に当たり、会派を代表し、さきに提出いたしました質問通告書に基づき、質問いたします。区長を初め、理事者の皆様には明快で具体的な答弁を期待いたします。答弁の内容によりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 さて、ここ数日、杉並区で起きた問題、認可保育所への一次申し込みに落ちた母親ら六十人が、行政不服審査法に基づき、区の決定に異議を申し立てたというものですが、この問題には深く考えさせられるものがあります。

 児童福祉法は、市区町村に対し、両親が共働きで保育が必要な子供たちの保育を実施する義務を課しています。一方、二○五○年には人口のおよそ四割が高齢者になるという状況の中で、超高齢社会を財政的に持続可能にするためには、労働力の確保が急務です。その決め手は女性労働力。女性の就労は、もはや個人的問題ではなく、行政の課題として取り組まなければなりません。

 きょう、私が取り上げるのは、保育所の問題ではありません。保育園、その後です。

 共働き家庭がふえる社会状況の変化の中、新一年生の学童クラブ利用者は、今や全国で三十万人。保育園を卒園した児童のおよそ六割が利用していますが、潜在的待機児童を含めると、利用者は八割になると言われています。学童保育は、保護者が労働や介護などにより昼間家庭にいない、小学校などに通う子供たちに遊びや生活の場を提供し、その健全な育成を図るための放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブとして、児童福祉法第六条に規定されています。また、放課後児童クラブガイドラインでは、クラブの多様性を重視し、運営に当たって必要な基本事項を示しながらも、望ましい方向を目指して常に質の向上を図るよう尽力することを求めています。

 そこで、この目指す方向とは、質の向上とはということを考えてみました。

 平成二十年に文部科学省が行った調査によると、小学校一年生の学校外学習率は七五・四%、うち塾、添削、家庭教師などの勉強系が三八・八%、小学校二年生では学校外学習率八○・二%、そのうち勉強系四一・九%、小学校三年生では学校外学習率八四・三%、うち勉強系四四・四%となっています。つまり、小学校低学年のころから、およそ四割の子供たちがきちんとした家庭学習の習慣を持っているということになります。ここが重要です。

 区内児童館の活動を確認しましたが、学童クラブにおける生活の中で学習指導の時間はありません。そもそも各児童クラブに配置している児童指導員は、児童福祉施設最低基準第三十八条で、児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましいと規定しており、学習については、宿題、自習等の学習環境を整え、必要な援助を行うとあるのみで、学習指導は行いません。

 小学校低学年の授業時間は千二百時間弱、一方、学童クラブで過ごす時間は、放課後、週末、長期休みを入れると千六百時間以上になります。このような状況の中、民間企業が学童保育事業に相次いで参入し、学習指導に力を入れています。

 ここで言う低学年の学習指導とは、決して受験対策ではなく、毎日勉強する習慣を身につけ、基礎力をつけることにあります。算数は四則演算の基本の習得、国語は漢字の読み書きと日本語の音読、作文、一昔前までは両親や祖父母が家庭で厳しく教え込んでいました。そのような環境が望めない現在、学童クラブで学習の基本的指導を行うことは、ガイドラインで言う望ましい方向、質の向上に当たるのではないでしょうか。

 最近では、高額な保育料を払って勉強や英語を教える民間学童クラブに通わせる保護者もふえており、小学校低学年から所得格差が学力格差につながる懸念が出てきました。一方、このような公的学童クラブにそれぞれの要望に応じて学習指導員を派遣し、学童クラブの子供たちに学習のグループ指導、個人指導を提供する民間サービスも出てきています。

 そこで、お尋ねします。

 社会状況が変化する中、現在の中央区における学童クラブの役割は何でしょうか。改めてお尋ねします。

 学童クラブの活動の中で学習の時間を設けることについて、どう思われますか。

 学童クラブにNPOまたは民間企業派遣の学習指導員を置き、希望者には学習のグループ指導や個人指導を行うことについて、どう思いますか。

 中央区には、厚生労働省管轄の放課後児童クラブのほかに、文部科学省が推進する放課後子ども教室推進事業としてのプレディがあります。このプレディにおける学習指導の実態、可能性についてもお尋ねします。

 さて、民間からの派遣といえば、私は前回のこの定例会一般質問で、杉並区の部活イノベーションを取り上げました。これは休日の運動部の指導を民間のスポーツコーチ派遣会社に委託し、部活動の保護者会と企業が直接契約を結ぶという試みです。企業が安全管理にも責任を負うため、顧問教諭が活動の場にいる必要はなく、顧問教諭の不足や先生の多忙感といった、区立学校における慢性的問題の解決法の一つとして一石を投じています。

 今回、杉並区では、この取り組みを発展させ、公費負担にすることを発表しました。具体的には、区の教育委員会が民間のスポーツ関係団体と契約し、その中から委託を希望する区立中学校の運動部に適したコーチを派遣。派遣されたコーチは、土日の練習を月五回ほど担当するというもので、契約する民間のスポーツ関係団体は、企業、NPO、大学などを中心に、幅広く想定しています。まずは、モデル校として、杉並区内二十三校中十一校、二十二部活動へのコーチ派遣費用として、平成二十五年度予算案に二千百三十三万円が盛り込まれました。

 中央区でも、平成二十五年度予算案に外部指導員に要する費用として一千万円を計上しています。前回、私の外部指導員に関する質問に対し、「地域の方や専門家を学校に紹介できるよう、教育地域人材バンクを立ち上げるなどの支援を行っている」との答弁でしたが、この地域人材バンクは、教科指導や郷土史、伝統芸能など、総合的な学習の時間の指導者が中心のようです。

 確かに、項目の中に部活動支援とありますが、各中学校へ聞いたところ、実際はそれぞれの中学校で地域の方やPTAの協力を仰いでいるということで、大変苦労しているという率直な御意見をいただきました。

 そもそも外部指導員がいても、規則上、安全管理のために顧問の付き添いが必要ですので、忙し過ぎて顧問のなり手がいない、顧問教諭の負担が重過ぎるという問題解決のためには、不十分な制度なのです。杉並区でも、既に外部指導員制度はありますが、同じ理由で今回、民間コーチの派遣に踏み切ったそうです。

 また、政府の教育再生実行会議がおととい提出した第一次提言では、体罰の禁止に向け、部活動指導者への教育を強化するよう求めていますが、私は、一般的に学校や部活動の閉鎖性が問題であると考えています。その意味からも、外部指導者の積極的活用や顧問コーチを民間やNPOから登用することは、一つの方策であると考えます。

 そこで、お尋ねします。

 区内には、四つの区立中学校がありますが、部活動での各中学校の個性化について、どう思いますか。

 区は、どの程度各中学校の部活動にかかわっていますか。

 外部指導員の発掘として、教育地域人材バンクで十分だと思いますか。

 区が、民間やNPOと契約し、顧問コーチを派遣することについて、どう思いますか。今後の導入の可能性も含めて、改めてお尋ねいたします。

 それでは、一回目の質問です。よろしくお願いいたします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、現在の中央区における学童クラブの役割についてであります。

 本区の学童クラブは、児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業として実施しているものであります。その役割といたしましては、法の趣旨に基づき、家庭に近い環境の中で安全に過ごし、集団活動や異年齢交流を通して自主性、社会性を養い、基本的な生活習慣を身につける場であると認識しております。

 次に、学童クラブにおける学習の時間の設定についてであります。

 厚生労働省では、平成十九年十月に学童クラブの運営に当たっての基本的事項を示し、望ましい方向を目指すため、放課後児童クラブガイドラインを策定しました。これは、学童クラブの質の向上を図るため、一人当たりの面積や一クラブ当たりの定員、職員体制などを定めたものであります。本区は、ガイドラインに基づき運営を行っており、日々のクラブ活動の中で状況に応じて声かけや助言を行いながら、子供がみずから宿題や自習などを行う環境を整えるなど、学習の機会の確保に努めているところであります。また、学童保育事業への学習機能を備えた民間事業者の参入が活発化しており、本区でも、本年四月に一カ所開設予定と聞いております。お尋ねのNPOや民間企業を活用した希望者への学習指導についてでありますが、こうした民間事業者の動きを捉えつつ、官民の役割分担を明確にし、行政として担うべき責任を果たしていくべきものと考えております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 まず、プレディについてであります。

 プレディは、小学校施設を活用しながら、放課後や土曜日などに児童が安全・安心に過ごせる子供の居場所として開設・運営しているものであります。プレディでは、宿題をする子、読書をする子、友人と遊ぶ子など、児童の自主性を尊重したさまざまな活動が行われています。さらに、地域ぐるみで子供を育てるとの趣旨のもと、サポーターの協力を得て、各種スポーツ教室や囲碁・将棋教室、クッキング教室、書道教室などを行っております。教育委員会としては、プレディに勉強を指導するための人員配置は予定しておりませんが、学習習慣を身につけることは望ましいことなので、児童が安全に安心して過ごすことを第一に、さらに子供たちがさまざまな事業を通して自主的に学習する機会を持ったり、学ぶことの楽しさを感じることのできる居場所づくりに努めてまいりたいと存じます。

 次に、中学校における部活動についてであります。

 各学校においては、スポーツ・文化の両面にわたって部活動が幅広く行われております。特に、銀座中学校の陸上競技部、佃中学校の月島太鼓部、晴海中学校のバスケットボール部、日本橋中学校の吹奏楽部など、四校それぞれが地域の特色や伝統を生かした個性豊かな部活動を展開しています。教育委員会としましては、顧問の指導上の負担軽減や生徒への専門的な指導の充実を図るために、外部指導員の配置や部活動に必要な物品の購入経費、大会参加費の支給などを行っております。外部指導員の確保は、学校が主体となって、卒業生や学校教育に理解のある地域の指導者を推薦し、教育委員会に登録することを基本としており、必要な人材は確保されているものと認識しております。今後は、さらに関係部局との連携を深め、教育人材バンクの活用も図りながら、外部指導員の確保に努めてまいります。部活動は、技術の向上を求めることのみならず、困難に立ち向かう気持ちや思いやりの心などを育む重要な教育活動であり、教師と生徒の絆を深め、学校としての一体感が高まるなどの成果が見られることから、基本的には顧問である教員がかかわることが望ましいと考えております。外部指導員のほかに、より専門性の高い指導者が必要となるか否かについては、各部活動の実情に即して判断していくべきものと考えており、他自治体における取り組みの成果と課題を注視しながら、民間やNPOからコーチの派遣を受けることの必要性について判断してまいりたいと存じます。今後も指導者や施設・設備などの環境を整えて、教育活動の一環としての部活動の充実を図ってまいります。

 答弁は以上です。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、児童クラブへの学習指導員派遣あるいは児童館での学習について、区長からも法の精神に基づきとありましたが、やはりここでも児童館は厚生労働省管轄であり、プレディは文部科学省の管轄と、また縦割りの壁にぶち当たるわけなんですけれども、その中でも、中央区としては、たびたびこの問題が出てきます。プレディの問題と児童クラブの問題。他区、日本全国、ほかの自治体ではこれを一つに統合するという方向性もかなり出てきて、成功しております。

 いずれにしましても、今、中央区においては生活習慣をつけるということが中心で、学習指導ということは考えていないという御答弁がありましたけれども、官民の役割分担ということからいきますと、やはり今後私は低学年から親の収入の格差が子供たちの勉強の格差につながるということを一番恐れておりますので、必ずしもプレディや児童館で勉強しなければならないということではなく、今後、多様なニーズに応えてということが一つのキーワードになります。あるいは、選択肢の一つとしてということが、やはりキーワードになると思いますので、児童クラブにおきましても、プレディにおきましても、そういう選択肢を子供たち本人あるいは保護者の皆さんに与えるという方向性はあってもいいのではないか。この費用につきましては、公費の補助があってもいいし、受益者負担ということで保護者の皆さんが負担しても、そこに通わせたいという状況も生まれてきます。これは保護者あるいは受益者の選択に任せるという方向性があっても、これは官の役割分担、一つの役割に当たるのではないかと思います。

 それから、スポーツのほう、これは児童館のほうとも共通するんですけれども、今の学校における状況、いじめにしろ、学力格差にしろ、学校の閉鎖性というものが一般的に問題になっています。この解決法の一つとして、やはり文部科学省も進めている開かれた学校づくり、これは地域の方であり、民間であり、NPOも含まれております。将来的には、コミュニティスクールにつながると私は信じております。

 きょうは、これで質問を終わります。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時五十一分 休憩


午後五時十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番渡部恵子議員。

十八番 渡部恵子議員登壇

○十八番(渡部恵子議員)
 議長から発言許可をいただきました民主党区民クラブの渡部恵子です。平成二十五年第一回区議会定例会に当たり、民主党区民クラブの一員として、区の一般事務及び区政の当面する課題につきまして、区長並びに関係理事者の方々に、質問通告書に沿って発言させていただきます。中央区が目指す区民の皆様の幸福ある暮らし、安心・安全なまちづくりに対し、区民福祉に資する御答弁をお願い申し上げます。なお、再質問はこのまま留保させていただきます。

 現在、区は、中央区地域防災計画において、自助・共助の一層の強化を図るとともに、公助と一体となった総合的な防災力の向上を図るとし、さらに減災対策目標を掲げ、平成三十二年度までに死者の六割削減、避難者の四割削減、建物の全壊棟数を六割削減することという目標を掲げておられます。

 ここで、そもそも防災とは、また減災とはどういうことなのかを、改めて考えてみたいと思います。

 防災とは、自然災害から身を守る対策であり、災害を発生させない事前対策です。減災とは、災害時に起こり得る被害を想定し、被害の軽減を図るための災害事後を予測した災害対策です。

 国が定める災害対策基本法では、市区町村が果たすべき責務として、地域住民の生命、身体、財産を災害から保護し、防災計画を実施すること並びに減災に関する事務、業務調整を行うこととされ、市区町村の責務としては、さらに応急対策が求められています。これを主軸として、本区の地域防災計画がつくられたのだと考えますが、本区が掲げる減災対策目標は、これに当てはめるならば、災害を発生させない事前対策である防災の強化を図ることで被害を予防することが可能となり、その結果、実際の災害での被害が減少するものだと理解しております。

 山梨大学の地域防災・マネジメント研究センター所長の鈴木教授によれば、災害対策には四段階あります。一、災害予防、二、準備、三、対応、四、復興の四段階です。

 第一段階の災害予防は、建物などの構造物や構造物以外の物による災害から人命や財産に対する脅威を除去または軽減することです。建物の耐震化、橋梁の耐震化といった大型のハードな予防策から、家具の転倒防止といったソフトな対策までが入り、こうした予防を行えば、効果は持続可能となります。本区が目指す倒壊件数削減と、倒壊した家屋や家具の下敷きによる圧死は、この災害予防によって、人命を事前に保護することができ、本区は既に着手されており、今後も強化を図ることになっております。

 第二段階の準備は、災害発生時に安全な行動をとり、災害に効果的な対応を行って、その後、平常状態に復旧・復興する手順を事前に準備することを指します。これは、地域住民の皆様によるところが大きく、自助・共助では限界があり、公助の効果的な支援によって実現できるものとなり得、本区は既に一部の地域で着手しておりますが、地域コミュニティの自主的な取り組みによって課題を解決していく中でこそ、災害時に迅速で安全な行動をとることができ、結果的に被害を減少することができるものと考えます。

 宮城県気仙沼市唐桑町小鯖地区では、二○○四年に地域住民にアンケートをとった結果、住民が正しい避難場所を認識していないこと、防災備蓄品を備蓄していないというアンケート結果に危機感を持ち、十世帯を一つの班として、地域住民で話し合いの場を設け、避難所までのルートを確認し、その危険性を確認し合い、翌年には防災マップを作成しました。その後、何度もリスクコミュニケーションを繰り返し、毎年防災訓練をしていく中で、さまざまな改善点を見つけ、災害時要支援者に対する策や、班長と行政との連絡を見直し、特に各班長、副班長には災害時に電話の使用ができなくなることを想定して、トランシーバーを常に手元に置くことを住民同士で取り決めました。また、安否確認カードを作成し、この保管をどうするかということも何度も話し合われました。

 三月十一日の大震災では、大津波がまちを襲ったものの、家に忘れ物をとりに帰った人と愛犬を逃すために家に戻った人以外、全員が高台に避難しました。常日ごろから訓練してきたように、各班長、副班長が班の世帯の安否確認を行った上で避難を開始し、途中、各班でトランシーバーでの状況のやりとりをしながら、「津波が入ってきたのが見える。もっと高台へ避難したほうがいい」などの指示を交換したそうです。震災後のアンケート調査では、高齢者の女性は、「トランシーバーから聞こえる声に励まされながら避難することができた」と話しています。また、要支援者が「私は家に残るから、いい」という言葉に班長が説得を重ね、避難した結果、命を救うことができたという報告が上がっているそうです。これは、実に役所と住民がともに協働した好事例であると思います。

 このように、災害に際しての準備を二○○四年から実行した小鯖地区は、海に面したリアス式海岸で、あれだけの大津波にもかかわらず、被害が小さかったことを鑑みるならば、区が目指す死亡者の削減も、こうした地域の力であるソーシャルコミュニティをもとに築き上げた地域住民による事前準備いかんによって地域防災力は向上し、被害を削減していける効果は大きいと思います。

 ここまでの災害予防と準備が、災害発生前の事前の準備となります。

 第三段階の対応は、災害が実際に発生した際、事前に取り決めた対応手順を実行に移すことを指します。災害を地震とするならば、発災直後の被災者救助から避難所開設、運営、道路の危険物除去などに関する数週間程度の対応を指します。

 最後の第四段階は、復興です。被災者の生活を立て直す支援と、まちが災害から復興することまでを指し、第三段階の対応も第四段階の復興も行政主導によります。

 本区は、今後、災害に強いまちづくりをより一層強化していくわけですが、災害の第二段階にある準備は、前述のように地域住民の自主防衛によるところが大きく、この取り組みが今後生存者数を増加させるものと考えます。

 これとは別に、本区が、災害に強いまちづくりの強化に必要になってくる情報収集につき、問題になってくることがあります。公助は、東日本大震災では○・七五%、阪神・淡路大震災でも一%しか機能できなかったように、災害が発生する時刻によっては、職員の皆様方が参集できず、被害状況の情報収集が難しくなることを懸念します。実際、本区の防災計画の防災拠点にも、職員の参集が困難になる事態も想定されることと、発災初期に必要な活動を開始する仕組みを設けなければならないと記されておられます。

 情報収集は、初動態勢を的確に整え、指揮命令を出すことで区民の生命を迅速に守るという点で、発災直後に最も大切なことだと思います。この点、文部科学省の安全・安心科学技術プロジェクトの課題名、住民・行政協働ユビキタス減災情報システムの研究を、実際に山梨県の二つの行政で行った成果が出されています。

 この住民・行政協働ユビキタスシステムとは、住民と行政の災害情報を共有可能とする情報システムです。さきの山梨大学地域防災・マネジメント研究センター所長の鈴木教授によって、東海地震に備える対策として開発されました。

 東海地震を想定した山梨県の二つの小さなコミュニティでは、地域住民を小鯖地区のように十世帯を一組とし、事前に住民みずからが防災拠点までのルートの中で危険物を確認し、リスクコミュニケーションを重ねていきました。ここでも防災マップを地域住民で確認し直しています。防災訓練を重ねるうちに、実体験として住民みずからが必要だと確信したのは、家族の安否確認はどうしたらできるのかということでした。

 また、避難に当たっては、十世帯一組の地域住民の安否確認も必要になるということが問題になると理解した住民たちは、みずから進んで世帯単位で登録した個人情報を地域防災ソーシャル・ネットワーク・サービスの安否確認カードに入力することを決めました。

 この安否確認カードは、ID、パスワードを登録するもので、遠方に住む家族あるいは出勤で別の場所にいる家族が安否を知らせるときも、また安否を確認するときにも使用できます。血液型、既往症、服用している薬、かかりつけ医の登録もしているので、災害後に病院、救護所で受診し、あるいは避難所で避難者名簿に登録すると、この情報を登録している家族に、自動的に家族の居場所を送信することもできます。このように、地域防災SNSは、住民間だけでなく家族の安否確認にも使用できるほか、行政に適宜情報を送信し、行政から適宜指示が出せる相互情報交換が可能なシステムです。

 ここで、実際の山梨県の二つの地域で行った東海地震想定の防災訓練の模様を紹介します。

 まず、行政から住民へ、災害情報を伝達します。一、東海地震発生を伝達。二、災害対策本部設置を伝達。三、避難所開設を連絡。四、避難勧告発令。

 これを受けた住民の行動は、一、東海地震発生を確認。一時避難場所に集合。組単位で安否確認を開始。被災家屋、被害者を発見。二、行政が災害対策本部設置を確認。救急活動、住民四名で腎不全のAさんを一時避難場所まで搬送。ここで地域防災SNSを使用し、行政へAさんを一時避難場所に搬送したことを報告。三、地域防災SNSを使用して、行政へ支援要請。このとき、行政からの避難勧告を受信。続いて、行政が避難所開設したことを地域防災SNSにて受信。公設避難場所へ避難。四、みずからの安否確認情報を地域防災SNSを使用して登録。

 これを受けた災害対策本部の対応は、一、災害対策本部は、総務部から消防本部へ連絡を入れ、町民部へ受け入れ先病院の検討を指示。二、町民部が災害対策本部へAさんの受け入れ先病院を連絡。三、総務部が消防本部へ無線でこれを連絡。四、災害対策本部が総務部へ搬送ルート中の橋梁の通行許可を問い合わせる。五、災害対策本部が県災害対策本部へ県道の橋梁の被災状況を専用回線で問い合わせる。六、県災害対策本部が災害対策本部へ通行可能であることを報告。七、総務部より消防本部へ橋梁が通行可能であることを報告。八、消防本部が救急車を出動させる。九、消防本部が救助完了を報告する。

 この実際の防災訓練に要した時間は一時間三十分であり、この間、多くの対応と情報が共有されたことが確認できます。

 なお、この地域防災SNSは多くの個人情報を含むため、行政からは災害の情報のみが伝達されています。腎臓透析を必要とするAさんを知った住民は、携帯電話を使用して、地域防災SNSへアクセスし、町への報告機能を用いて、患者に対する救援を要請しました。一時避難場所では、携帯電話による通話ができなくなっても、地域防災SNSに入れられた報告を速報として災害対策本部が確認できた結果、このような対策を講じられたという訓練でした。

 こうした訓練をPDCAサイクルで繰り返し、行政、関係各署、地域コミュニティが実働防災訓練を行うことで見えてくる課題を解決していくことで、より被害を削減することが可能になっているという報告が出ています。その際、災害時要支援者の避難支援体制も整備し、地域コミュニティの共助として救護する仕組みが次第にでき上がっていったという効果も報告されています。

 こうした訓練を重ねることによって、課題のあぶり出しと解決、再び訓練を繰り返す一連の防災訓練の効果は、さきの小鯖地区が二○○四年から津波を想定し、さまざまな実働訓練で課題を解決した結果、震災での被害が最小で済んだことが何よりの証明かと思います。

 このように、行政が直接現場に駆けつけなくても地域防災SNSによって被害情報を把握できるだけでなく、住民からの救護の要請が来た際は、すぐに行政から関係各署に的確に情報を通達することができます。震災直後に携帯電話や固定電話が使用できなくなったときでも情報収集が相互に迅速にできるという点が通常のSNSにはないメリットです。

 そこで、お伺いいたします。

 情報を双方で有効的に共有できる地域防災SNSの導入は、本区が懸念する職員の参集問題も、発災初期に必要な初動を開始するためにも有効な手段と考えますが、この点についての区のお考えをお知らせください。

 また、地域コミュニティによる自主防災への共助に向けた取り組みは、地域防災力を向上することにつながると考えます。すなわち、本区もさきの小鯖地区のように小さな組織を組み、実働訓練を行う中で見えてくる地域に存在する問題は、地域住民の力で解決していくことこそ、地域防災力の強化と向上につながっていくはずです。その結果として、住民同士の防災意識が向上し、共助の仕組みができ上がれば、おのずと被害想定の数字が改善されていくことでしょう。

 今後の地域防災力向上へ向けた共助の仕組みを構築すること、そして区がその構築に向けて、でき得るサポートについて御見解をお伺いいたします。

 前述のように、災害発生時に参集しなければならない役職員の方が参集できないとき、通常の携帯電話、固定電話などの通信手段が制限を受けるか、あるいは断絶することによって情報をやりとりすることが難しい事態になることも想定できます。メールは、送信しても、相手に到着する時間が、混乱時には一時間以上たった後になる可能性もあり、これでは早急にさまざまな対応をとらなければならない災害対策本部の機能に差し障りが生じ、結果的に区民への対応が後手に回っていくことになってしまいます。

 しかし、現在は地球に近いところを飛ぶ六十六台の衛星を利用したイリジウム衛星携帯電話というものがあります。拠点はハワイにあるので、日本で震災が起きたときでも、問題なく衛星電話を利用することができます。建物の中から電話をかけるには、屋上にアンテナが必要になりますが、屋外であればアンテナを使う必要もなく、離れたところでも、衛星を利用した電話なので、話をすることが可能です。中央区地域防災計画の概要案に関するパブリックコメントの中でも、区民が衛星電話の導入について質問しています。

 災害に対し、災害対策本部で、重要な判断と指示を行う役職員の方々は、区民の生命、財産の安全を確保するためにも、区内事業者や夜間に帰宅困難になった来街者の方々の対応のためにも、自宅や遠隔地から被害状況を把握し、対応について迅速な情報のやりとりを行う体制を整えておくことは必要であると考えます。

 そこで、衛星携帯電話の導入につき、区のお考えをお伺いいたします。

 次に、通学経路の安全性の確保と学校内の安全ゾーンについてお伺いいたします。

 昨年十二月の中ごろに起きた東京震度四の地震発生の際、西仲通りを下校中の小学生が、怖くて座り込んで泣いていたのを目撃したという連絡をいただきました。

 揺れの強い地震が発生した場合、自動車が歩道に突っ込んでくる危険性もあると、防災危機管理の専門家は指摘しています。また、ビルの窓ガラスの落下、マンションのベランダに置かれた植木鉢などの落下物などによる危険など、子供たちのそれぞれの通学路の安全性を確認し、通学中に震災に遭った際、どこに逃げたら安全なのか、まちの安全ゾーンはどこなのかということを確認しておく必要があると思います。

 また、学校内でも机の下が必ずしも安全とは限りません。地震の際、窓ガラスの飛散、また天井の蛍光灯の落下のおそれもあり、教室に閉じ込められた場合は避難路を失うことになります。いま一度教室内では、どこが最も安全なのか、また学校内の避難経路の中で安全ゾーンはどこなのかを各学校で確認しておく必要があると思います。

 また、体に障害がある園児・児童については、具体的に誰が避難誘導を行うのか。

 この点も含め、通学路、教室内、学校内の安全ゾーンの確認について区のお考えをお知らせください。

 実際、被災地の方から伺った貴重品の管理とプライバシーの保護の問題についてお伺いします。

 被災地では、津波で家財道具も商売道具である船も失い、中には御家族も亡くした方々がたくさんいらっしゃいますが、長引く被災生活の中で心がすさんでいってしまうのも理解できないことではありません。

 心がささくれ立ってしまった結果なのか、避難所の中で私物を盗んだ、盗まれたという事態が発生し、ぬれぎぬを着せられた方が居場所にいられなくなって苦しい思いを強いられたというお話を伺いました。疑われた方も被災者です。震災で失ったものがたくさんある中で、あらぬぬれぎぬを着せられた苦痛は、さらなる打撃を御本人とその家族に与え、避難所での居場所をなくしてしまう結果になってしまいました。

 震災直後に避難所へ伺った際、私が実際に目にしたのは、雑魚寝の状態で布団が敷き詰められている中で人々が座り、食事をしている状態でした。これでは隣の方とのプライバシーの垣根がなく、何とか持ち出した手荷物の保管も布団の上だけでした。また、垣根がない状態では、若い女性や授乳中のお母さんは特にお困りになったことでしょう。実際、着がえにも困り、プライバシーどころではなかったことから、震災後は女性の視点が防災に必要であると、今では当たり前に言われるようになりました。

 長引く被災生活のプライバシー保護の観点から、高額な段ボールの仕切りによる対策が多くの行政でとられていますが、垣根がないよりはましなものの、人の目が全く気にならない日々はありません。避難所になる体育館の上から見たら、全てが見えてしまう状態では、決してプライバシーが保護された状態とは言えません。震災で疲労した心と体を休めるためにも、しっかりとプライバシーが保護できるテントのようなものを取り入れなければならないと考えます。また、これができるならば、持ち出した貴重品を自己責任で管理することもでき、長期化する避難所生活には互いに気持ちよく生活するために大切なことだと考えます。

 避難所でのプライバシーの保護と貴重品を自己責任で管理してもらうための対応策について、区のお考えをお伺いします。

 区内走行自転車の危険性についてお伺いいたします。

 水辺のまち中央区は、多くの橋梁がまちとまちをつないでいますが、中央区の橋は、勾配の強い太鼓橋が多くかかっています。

 最近、この橋の傾斜を自転車が猛スピードでおりてくる様子を何度も目にするようになりました。一度、勝鬨橋で歩行中の私の横を自転車に乗った中学生が二人で猛スピードでおりていき、一人は勝鬨橋を渡り切った後、歩行者を避けるために晴海通りに飛び出して、さらに二人の競争は続いていきました。車の運転手にとっては、気をつけていても、このようにいきなり飛び出してくる自転車は避けようがありません。幸いなことに、日曜日なので車の通行量が少なく、晴海通りに飛び出した自転車に車が追突する事故につながらずによかったと、二人の背中を見送りながら、心臓が縮まる思いがしました。

 先日、区民の方から、日本橋の百貨店の前で、小学生の自転車に当てられ、御高齢の女性がけがを負われたというお話も耳にしています。また、私自身、晴海通りの横断歩道を通行中、小学三年生の児童が自転車に当てられ、転んだ痛みで泣いているところに出くわしたことがありました。区内では、このように毎日自転車でひやりとするような体験をなさる区民や、実際に大けがに至らなくても、自転車に当てられる事故が発生している蓋然性も少なからず起きていてるのではないかと思われます。

 最近では、ピストバイクと言われる競技用の前輪、後輪にブレーキを取りつけていない自転車がインターネットなどでも簡単に手に入るようになりました。このピスト自転車は、危険を察知してからの制御距離は、ブレーキがついている自転車の二、三倍と言われており、ペダルを逆回転しないととまらないため、過去に男女に衝突し、死亡事故を起こすなど痛ましい事故が多発している自転車です。

 ピスト自転車は、道路交通法施行規則のブレーキ基準に違反している自転車です。ただ、もともと競技用でスピードが出る構造の自転車なので、長距離通勤に利用する方や若い人たちに愛用者が多く、本区内でもピスト自転車を通勤に利用している方もいるはずです。ほかにも、耳にイヤホンをつけ、音楽を聞き、携帯電話を操作しながら自転車を走行している人たちがいますが、これでは安全な走行に注意ができる状況ではないと思います。

 平成二十三年に本区内で起きた自転車が関係する事故件数は、対歩行者で十九件、対自動車で二百五十四件、その他、単独自転車同士を合計すると三百十五件の事故が発生しています。前年の平成二十二年では、対歩行者が二十三件、合計三百十八件と、平成十九年から五年間で最も自転車が絡んだ事故件数が多くなった年でした。東京都内での自転車が絡む事故発生件数と比べれば、本区の事故件数は極めて少ない現状ではありますが、それでも、この二年間はいずれも三百十五件以上の事故が発生しました。

 区内には、ほかにも橋梁の勾配を利用してスピードが乗る場所が多数あり、橋をおりた場所には小学校や区の子育て支援施設、高齢者施設がある地域もあります。スピードを出した自転車が子供たちや高齢者に追突した場合、双方に大けがを負うことも懸念されます。

 そこで、お伺いいたします。

 区内の自転車の中で、ピスト自転車、イヤホンをつけながら走行する自転車、スピードの出し過ぎの自転車の取り締まりを関係各署と一斉に実施することは、区民が安心して歩けるまちづくりにつながると考えますが、こうした対応は可能でしょうか。

 また、児童・生徒だけでなく、区民への自転車の安全走行についての教育と、その普及・啓発については、どのようにお考えでしょうか。また、道路管理者とともに、橋の勾配を利用してスピードを出す自転車に対して、何らかの対策を講じていくことは可能でしょうか。

 次に、自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に張ることができるTSマーク付帯保険についてお伺いします。

 公益財団法人日本交通管理技術協会では、昭和五十七年四月一日に、自転車安全整備制度の促進を図ること、自動車と異なり、自転車は強制保険制度がないことから、特に自転車搭乗者が加害者となる交通事故の場合、被害者の救済に資することを目的に、トラフィックセーフティー、交通安全の頭文字をとったTSマーク付帯保険を発足しています。

 昭和五十七年の当時より、現在のほうが自転車保有台数が増加していることに伴う自転車乗車中の交通事故が年々増加していることや、歩行中の被害者が死亡して遺族から民事訴訟での高額な賠償を求められても、保険未加入のために十分な損害賠償ができていない事実を踏まえ、平成十七年三月にTSマーク付帯保険の賠償責任補償限度額の拡大が図られています。重度後遺障害の適用等級も一から七級に拡大して適用されることになりました。区民が損害保険会社に個人的に契約をせずとも、公益財団法人日本交通管理技術協会が契約を締結しているので、保険加入者は自転車の整備料金だけでこの保険に登録し、TSマークのシールを張ることができます。

 そこで、お伺いいたします。

 区民へ、毎日使用する自分の自転車の整備点検は、みずからの安全にも備えることができるほか、自転車走行時の安全を促し、歩行者が万が一のときに備えた補償を担保するTSマークを告知していくことについて、区のお考えをお伺いします。

 今や、区民の便利な足となっている江戸バスですが、前述のとおり、区内にかかる橋の勾配がきついために、西仲橋、月島橋、いずれかを通行し、江戸バスの停留所がある勝どき駅まで歩くには、足腰に厳しいというお声を月島三丁目、四丁目周辺の住民の方々からいただいています。江戸バスは、この地域に停留所がないので、周辺にお住まいの方々にとっては、利用したくても難しい環境にあります。

 そこで、お伺いいたします。

 江戸バスの停留所が近くに来たら、周辺住民の、とりわけ御高齢者の方にとっては、活動範囲が広がり、銀座や日本橋へと足を伸ばす機会がふえていくものと考えます。江戸バスの停留所がない、この地区の区民の方々へ、交通利便性を高めることについては、どのようにお考えでしょうか。対応策について、御見解をお伺いします。

 次に、学校のバリアフリー化についてお伺いいたします。

 昨年末、中央区民として生をうけた新生児の数は千五百名以上となり、これからこの新生児たちも中央区の幼稚園、小学校に入学し、本区の教育を受けていくことは大変喜ばしいことであります。

 本区の人口が増加することに伴い、今後、障害がある子供たちも増加していくものと推定できます。しかし、問題は学校のバリアフリー化が難しい点にあります。今後、学校の増改築については、区を挙げて着手してまいりますが、体に障害がある園児・児童・生徒が自分が入園・入学する予定の幼稚園、小・中学校において安全に学べる環境が整いにくい現状につき、教育委員会の御見解をお伺いいたします。

 なお、新築された明石小学校、明正小学校にはエレベーターが設置され、バリアフリー化された学びやが生まれました。仮に、体に障害がある子供たちには、学外であってもバリアフリー化された小学校で学ぶ機会をつくり、通学の援助を行うことについては可能でしょうか。障害がある子供たちが学ぶ場の安全性の担保、また授業の間の移動時間の短縮の点からも、教育委員会のお考えについてお知らせください。

 次に、観光のまち中央区、日本橋箱崎町の可能性についてお伺いいたします。

 格安航空券だけでなく、最近ではロー・コスト・キャリアと言われる、当初から格安に設定される航空券が販売され、大勢の外国人観光客が来日しやすくなりました。

 LCCの利用者たちは、成田空港におり立ちますが、先日、中央区に住む外国人の方から、成田におりて、さあ、どこへ行こうと思ったときに、中央区のまちのインフォメーションがないという御指摘をいただきました。羽田空港の国際線を利用して日本に入国する際も、同様であるという御指摘がありました。また、東京に観光に来る外国人にとって、築地市場、銀座、原宿という土地の名前は有名だけれども、築地市場、銀座、歌舞伎座が中央区にあるということは皆知らないので、中央区の魅力をもっとアピールしたらどうかという御提案をいただきました。

 私自身も、築地市場の観光を終えた外国人ツーリストたちから、水上バスで浜離宮から浅草に行きたいのだけれども、浜離宮の場所がわからないという質問を受けることがたびたびあり、このような質問を受けるときは、中央区が水辺のまちの魅力もたたえているのだと、改めて実感しています。

 観光立国日本をうたう中で、その東京の観光資源の大部分を占め、さまざまなまちの魅力が豊かな観光都市中央区のこれからの役目は、今後さらに広がり、大きくなると考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 LCCがおり立つ成田空港、そしてハブ化した羽田空港でおり立つ観光客に対し、本区内の観光案内情報を真っ先に伝えるための施策を講じることは可能でしょうか。

 また、成田空港から東京へ陸路を利用したリムジンバスが向かうのは、本区、中央区日本橋箱崎町です。こうした外国人観光客が東京に最初におり立ち、最後に東京を後にする場所である日本橋箱崎町は、いわば陸路の東京の玄関と考えることもできるのではないでしょうか。

 江戸文化の発祥の土地で、江戸のおもてなし文化を楽しみながら、泊まってよし、食べてよし、歩いてよし、学んでよし、買い物してよしという多面的なまちの魅力や楽しさを外国人観光客に案内する場所が日本橋箱崎町から始まるという考え方につき、区の御見解をお伺いいたします。

 以上で第一回の私の質問を終わらせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 渡部恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、災害時の双方向の情報伝達手段についてであります。

 本区では、二百六十四局からなる中央区専用の地域防災無線を活用し、区と各防災拠点、警察、消防を初めとする防災関係機関と相互通信により、発災直後から地域の災害情報の収集・伝達が行える体制としております。また、職員の参集に当たっては、メールを活用した職員参集システムで地域の災害情報を収集しつつ、初動態勢を確保することとしております。インターネットを活用したSNSなどの区民相互または区民と行政をつなぐ新しいシステムにつきましては、今後の技術動向を注視するとともに、その活用方法や個人情報への課題などについて検討してまいります。

 次に、災害時に重要となる共助についてであります。

 区では、区民一人一人の日ごろの備えはもとより、地域での助け合いの意識啓発を図るため、出前講座の実施や防災パンフレットの全戸配布を行うほか、防災区民組織への助成や防災拠点運営委員会への支援、また高層住宅防災対策への支援など、さまざまな機会を捉え、共助の確立に向けて積極的に働きかけてまいります。

 次に、衛星携帯電話の導入についてであります。

 東日本大震災では、通信が途絶し、孤立した東北沿岸地域において、衛星携帯電話を有効に活用した多くの事例がありました。現在、都においても、広域的な医療救護体制の新たな情報伝達手段として、衛星携帯電話を活用し、拠点病院や関係各機関との連絡体制の整備が進められているところであります。本区は、関係機関や施設が集中している地域特性から、比較的情報伝達のしやすい自治体であるものの、災害時には区外との連絡も確保する必要があることから、今後の通信技術の革新を見据えつつ、衛星携帯電話の導入を検討してまいります。

 次に、避難所生活についてであります。

 災害発生時の避難所となる各防災拠点の活動マニュアルでは、プライバシーへの配慮として、乳幼児のいる世帯用居室や着がえの部屋を設けるなど、スペースの利用方法を具体的に定め、対応することとしております。また、防災拠点に配備している組み立て式のパーテーションは、訓練の中で区民の方々の意見も取り入れながら、設置する方法や場所について検証しております。貴重品の管理につきましては、他人の居住空間への立ち入り制限などの自主的な生活ルールを作成するとともに、巡回等を行い、防犯上の運営管理に当たることとしております。こうした対応とともに、避難生活が長期化した場合にもプライバシー保護に有効な資機材について、防災拠点運営委員会の皆様とも協議しながら、検討してまいります。

 次に、区内走行自転車の危険対策についてであります。

 ここ数年、都内では自転車の交通違反を原因とする事故が多発し、本区内においても、必要以上のスピードを出しての走行や、携帯機器を操作しながらの走行実態が見られることなどから、区内各警察署では昨年二月から、晴海通り、昭和通り及び新大橋通りの一定区間を自転車重点路線として定め、ブレーキのないピストバイクなどの取り締まりを含めた定期的かつ重点的な街頭指導活動を実施しております。区といたしましては、今後、道路管理者としての立場から、道路上の危険箇所や自転車の走行実態の把握に努め、必要な情報提供を行うなど、警察署及び関係機関との緊密な連携を図りながら、区民が安心して歩けるまちづくりに努めてまいります。

 次に、自転車の安全走行についての教育と、その普及・啓発についてであります。

 誰もが安全で安心して利用できる良好な道路空間を確保するためには、自転車利用者のルールやマナーに対する意識の向上が不可欠であると考えております。このため、区では、今年度、銀座及び佃中学校、また堀留児童公園において、スケアード・ストレイト方式の自転車交通安全教室を行ったほか、自転車のマナー向上キャンペーンや広報紙による自転車安全利用五則の周知を図ったところであります。今後も、これらの普及啓発活動としての取り組みを継続するとともに、区内警察署を初めとした関係機関との連携を図り、子供から高齢者まで対象者の年代に応じた自転車利用の問題点や危険な違反行為に重点を置いた交通安全教育を推進してまいります。

 次に、自転車の速度抑制対策についてであります。

 区内の橋のうち、隅田川にかかる勝鬨橋や中央大橋など東京都が管理する橋では、接続する道路の勾配が急で、その延長が長い箇所があります。こうした箇所においては、自転車の速度が超過傾向になることから、都では、注意看板やポールなどを設置し、自転車の速度抑制や歩行者の安全確保を図っております。しかしながら、一部の自転車利用者は、速度抑制を行わず走行している状況が見受けられます。このため、区においては、警察など関係機関との連携を図るとともに、東京都に対し、自転車の利用実態等を踏まえた効果的な安全対策の推進を要請するなど、適正な自転車利用と安全な歩行空間の確保に努めてまいります。

 次に、TSマークについてであります。

 近年、自転車利用者の増加に伴い、自転車が関与する交通事故の割合が増加傾向にあり、本区においても昨年発生した交通事故の約四分の一を占めております。また、万が一自転車利用者が交通事故の加害者となった際には、被害者に対して多額の賠償金を支払う義務が生じる場合もあります。このため、区では自転車安全利用推進キャンペーンや交通安全教室などの機会を捉え、TSマーク付帯保険の普及を行うとともに、自転車商協同組合とも連携し、自転車購入時等にTSマーク付帯保険への加入を奨励しているところであり、今後も幅広く本制度の普及拡大に努めてまいります。

 次に、江戸バスの路線についてであります。

 区では、三年前の平成二十一年十二月から江戸バスを導入しておりますが、区内には江戸バスが走行していない地域もあり、路線変更の御要望があることは承知しており、これまでも人形町の一部区間で変更するなど、要望に沿って、できる限り改善してまいりました。ただ、現在の南北二つの路線は、それぞれ一周六十分から七十分の運行時間と二十分の運行間隔により走行しており、こうした運行時間などの制約の中で、路線の変更はなかなか難しいものがあります。そこで、現在、改善策として南北二つの路線をつなぐ、新たな路線の検討を進めているところであります。お尋ねの月島三・四丁目についても、こうした取り組みの中で改善策を検討してまいります。また、月島三丁目地区に隣接する月島一丁目西仲通り地区の再開発において、新たな停留所の整備を予定するなど、停留所の増設による利用環境の改善にも努めているところであります。区では、交通インフラの充実は区民生活における利便性の向上に資するものと考えておりますので、今後も区民の方々の御理解のもとで、江戸バスが身近な公共交通機関としての役割を果たすよう取り組んでまいります。

 次に、成田空港と羽田空港における外国人観光客に対する本区の観光案内情報の発信についてであります。

 本区には、国際的にも知名度の高い銀座や築地、日本橋など、魅力ある地域が多数あり、歴史・伝統に根差した都市文化や豊かな水辺空間など、多様な観光資源に恵まれていることから、海外からも多くの観光客が訪れております。こうした外国人観光客の利便性を高め、来街の促進を図るためには、外国人が最初に訪れる空港でのPRが大変効果的であると認識しております。そこで、昨年十月のIMF・世銀年次総会開催の際には、観光スポットなど、本区の魅力を外国語で紹介したガイドブックを羽田空港で配布し、多くの外国人旅行者に利用されたところであります。今後は、空港施設などへ観光パンフレットを常時配置できるよう、関係機関、団体等と連携を図るとともに、空港におり立った瞬間から利用できる携帯情報端末を活用した外国人向け観光ウエブサイトの開設などについても検討を進め、国際観光都市中央区の魅力を大いにアピールしてまいりたいと存じます。また、日本橋箱崎町には成田、羽田、両空港へのバスターミナルがある東京シティエアターミナルのほか、地下鉄などが隣接しており、両空港に向けた都心の空の表玄関であるため、観光振興ビジョンで定めたまちかど案内所を整備してまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、震災発生時の通学路の安全性についてであります。

 区立小学校では、これまでも毎年、学校、PTA、警察による通学路の安全点検に取り組んでおり、その中でブロック塀の多い箇所や道路上の看板の把握など、災害時の危険箇所を洗い出すとともに、一時的に避難できる公園や公共施設等を調査・把握し、教職員への周知徹底に努めております。こうした情報は、学校において危機管理マニュアルに盛り込んでおり、保護者や地域との共有に努めているところであります。また、児童や生徒への防災教育や避難訓練においても活用しております。

 次に、学校施設の安全性についてであります。

 本区の学校施設は、全て新耐震基準を満たしており、震度六クラスの地震に対しても、建物が倒壊するなどの被害はないものと認識しております。教室や廊下、階段につきましても、窓ガラスの飛散防止、照明器具の落下防止、家具類の転倒防止措置を講じており、教室内や避難経路については安全性が確保されております。また、身体に障害のある子供の避難誘導につきましては、原則、担任の教諭または介助員、特別支援教育補佐員が行います。いずれにいたしましても、いつ起こるかわからない災害に立ち向かうには、学校、保護者、地域、さらには関係機関との連携は不可欠であり、児童・生徒の安全確保を最優先に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、学校のバリアフリー化についてであります。

 学校施設は、児童・生徒の学習と生活の場であることはもとより、地域コミュニティの核であり、災害時の避難場所でもあることから、子供から高齢者、さらには障害者など、誰にとっても利用しやすい施設であることが求められております。そのため、本区では、これまで学校施設の改築に当たっては、エレベーターや誰でもトイレの設置などのバリアフリー対策に取り組んでまいりました。また、学校の大規模改修や障害のある児童・生徒の入学の機会を捉え、玄関スロープや階段手すりの設置など、できる限りの対策を講じております。さらに、重い障害のある児童・生徒が在籍する学級には、介助員を配置するなど、ソフト面の対策により、安全・安心に学校生活を送れるよう支援しているところであります。エレベーター設置などは、校舎のスペースに制約があり、難しい面もありますが、今後ともハード、ソフト両面にわたり工夫することにより、快適で安全な学習環境の確保に努めてまいります。

 次に、身体に障害のある子供の学区域外への就学についてであります。

 障害のある子供の就学に当たっては、就学相談を通して障害の種類や程度に応じて、児童・生徒一人一人に最もふさわしい教育が受けられるよう、保護者と十分話し合いながら就学先を決定することが大切であります。障害を持つ児童・生徒の学区域の学校にエレベーターがなく、バリアフリー化が十分でない場合につきましては、個々の児童・生徒の障害を踏まえ、医師などの専門家の判断も仰ぎながら、学区域外の学校への就学も検討する必要があるものと認識しております。その際には、児童・生徒の安全性や学校生活のしやすさについても十分考慮してまいります。学区域外の学校に就学する場合の通学支援につきましては、通常の学級に通う児童・生徒は自力での通学を原則としておりますが、個々の事例に応じて、その必要性を検討してまいりたいと考えております。

 答弁は以上です。

〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 区民福祉に資する御答弁をいただきました。

 防災のことはさておきまして、まず子供たちのことからお話しさせていただきたいと思います。

 障害が体にあるなしにかかわらず、子供たちにとって大切なことは、やはり幼稚園、小・中学校を通して心と、それから体、あと学ぶ場もそうですが、健やかなる成長が図られる場を行政として提供していってあげることだと思います。その中で、新築された小学校において学ぶ場をつくっていただけるということも、障害があるお子さんをお持ちのお母様やお父様にとっては大変ありがたいお話だったと思います。

 小学校、中学校の通学路の安全性ですが、やはりここはもう一度お母さんと一緒に歩くなど、いま一度検討していただければなというふうに思います。特に、総務省消防庁のホームページの中に「地震にあったら」というところがあるんですが、外出先での地震の対処の仕方とかをマニュアルで教えています。

 また、子供たちは習い事や、それから塾などに通う子もいるので、必ずしも通学路だけの安全性が担保されればいいというふうには私は考えません。やはりどこにいても、自分の力でどういうところが安全なのかということを理解していけるような、防災に向けた教育というものは施していってあげる責任があるのではないでしょうか。

 自転車につきましては、大変これも区民の安全性に資する御答弁だと思います。

 TSマークにつきましては、先日、自転車屋さんに伺ったところ、本区内ではまだ五%ぐらいしか登録されていないということでした。事故がないのが最も大切なことではありますが、万が一歩行者の方に当ててしまったときの保険を担保するならば、TSマークの普及、そして区民の方たちへの自転車の安全な走行ということは、教育を子供たちから大人まで含めてお願いしたいと思います。

 特に、私自身も何度か目撃しておりますし、その自転車屋さんにも、区民の方からも伺ったんですが、二人子供を乗せられる電動アシスト付自転車に乗ったお母さんが、私が見たのは信号無視です、子供を乗せながら。坂の勾配を結構なスピードを出して曲がっていくという様子を目撃する方が、自転車屋さんを含め、おられました。幼稚園や保育園に急いで通わせたいという気持ちもわかりますが、命を積んでいるということと、万が一にも、せんだってお母さんが電動アシスト付自転車で転んだ際に後ろの子供を落っことして、信号待ちをしている大型トレーラーの下に入り込んで、そのまま通過して、ひき殺してしまったという事故がありました。このような痛ましい事故は絶対に避けたいので、幼稚園や保育園のお母様たちにもいま一度、そのようなことのないように徹底していただきたいと思います。

 江戸バスにつきましても、周辺住民の方たちが足として使われているものなので、これにつきましても、再開発の際に停留所を新たに設けていただくなど、お考えいただけるということなので、区民の方たちは、特に御高齢者の方たちは本当に喜ばしいことだと思います。

 それから、観光都市中央区に関しましては、失礼いたしましたという感じです。国際観光都市中央区なんですね。国際観光都市中央区であるということを、空港を初め、箱崎のまちのさらなる活性化ということで、本区の魅力を新たにますます、日本各地からいらっしゃる方にも、それから外国人の方にも広げていっていただきたいということを、御答弁を伺いながら、大変ありがたいなと思いながら、また希望を持ちながらお話を伺うことができました。

 では、大切な防災についてですが、無線が配備されているのはよく存じております。職員参集のメールということでありましたが、メールは、三・一一のときは一時間から一時間四十分ぐらい、相手に着くまでに時間がかかったというデータが出ております。ですから、やはり区民の方たちへの迅速な対応をとるに当たっては、衛星電話の利用はもちろん役職員の方々にはお願いしたいと思いますし、何とか情報というのを、人の命に係って迅速な対応ができる鍵となるものなので、この情報収集、そして情報のやりとりができる手段をぜひ構築していっていただければというふうに願います。

 また、自助と共助というものは地域コミュニティが図られることによって関係性が向上していくものと思いますが、共助と公助というのは互いに連携し合って協働していくことで連携を保って、その結果、逃げおくれだとか取り残されて不安な思いをする人とか、けが人、要援護者の方たちが緊急対応が必要なときに本当に困ると思うんですが、こうした取り組みが地域からしっかりと、常日ごろからコミュニケーションをとって構築されていくことが小鯖地区のようにでき上がれば、自然に本区が目指す死者やけが人の削減、減災が可能になると思います。そして、地域防災力が向上していくことが、何より地域のコミュニケーションを活性化していくということにつながっていくことと思います。

 それから、避難をした後のことですが、貴重品の管理につきましては、私の目の前で泣きながらそのことを語られたときに、こういうことも実際に起こるんだなということを実感したわけですが、本区におきましても、基本的には高層マンション、マンションにお住まいの方たちは自宅でということですが、避難していくエリアにお住まいの方たちが、このような二度目、三度目の被害を受けるようなことのないような取り組みを今から予防していっていただきたいなというふうに思っています。

 人を助けるのは人であるということ、防災に向けた地域での取り組みをしっかりと構築していくということは、地域の絆を深めていくことであるというふうに私は思いますし、何より地域の防災力を向上していただくことこそが自分たちの命を守っていくことであり、家族の命を守ることだというふうに私は思います。

 最後になりますが、釜石の小学校の子供たちに群馬大学の片田教授が教育を施しました。そのことについて触れたいと思います。

 まず、想定にとらわれるなということをおっしゃいました。

 津波てんでんこをお話しした方のようですが、まずは最善を尽くせということをお話ししています。

 子供たちには、通常から、まちを歩いてどこに危険があるかということ、また、そういう危険性に対してはどのように行動したらいいかということを平時から勉強させていたと。有事でも最善の行動をとれるように、日ごろから意識していたということでした。

 また、率先避難者たれということ、親のことを考えず、自分から進んで逃げなさいというふうに伝えていたんです。なぜならば、人間というのは危険を察知しても、なかなか逃げられないものだそうです。というのは、人間というのは危険認知安全行動というのがとりにくい環境にあるようで、目の前で起きていることをなかなか受け入れたくないというようなハザードが自分の中で働いてしまって、いわゆる凍りつき症候群というものがあるそうです。正常性のバイアスというのが、きのうも大丈夫だから、きっときょうも大丈夫であろうとか、経験の逆機能ということです。

 例は悪いんですが、被災地でたくさんの子供たちと先生が犠牲になった小学校では、校長先生が「裏山へ逃げよう」とお話ししたんだそうです。しかし、地域の方が、「いや、ここまで津波は上がってきていないから大丈夫だよ」と。その言葉をうのみにしてしまった。経験則にとらわれてしまったがために避難がおくれ、大勢の命が犠牲になってしまいました。

 また、同調性のバイアスといって、人が逃げないから、きっと大丈夫であろうというような安心感というか、そこによりどころを持ちたいということもあるようです。あと、専門家が言っているから大丈夫、誰々が言っていたからとか、みんながやっていないから平気だとか。

 人間というのは、凍りついてすぐには避難ができないようですが、有事の際はしっかりと自分の力で行動ができるように、自分の身は自分で守るということを子供たちから大人まで、ぜひ本区が伝えていっていただきたいなということを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明三月一日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明三月一日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時十五分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 富永 一
議員 墨谷 浩一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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