ページの先頭です
トップページ  の中の  会議録検索(本会議・委員会等)  の中の  平成25年第二回定例会会議録(第3日 6月27日)
※発言が2箇所以上ある場合、「前を検索」「次を検索」で前後の発言箇所へ移動できます。

平成25年第二回定例会会議録(第3日 6月27日)

1.会期

九日(第三日)

六月二十七日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時三十二分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 富永 一議員

四番 瓜生 正高議員

五番 染谷 眞人議員

六番 堀田 弥生議員

七番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 増渕 一孝議員

十二番 高橋 伸治議員

十三番 木村 克一議員

十四番 石田 英朗議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 青木 かの議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 原田 賢一議員

二十一番 中嶋 ひろあき議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 礒野 忠議員

二十四番 今野 弘美議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 園田 典子君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問

日程第二
議案第四十七号 中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

日程第三
議案第四十八号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四
議案第五十二号 中央区立日本橋中学校大規模改修工事(建築工事)請負契約

日程第五
議案第五十三号 建物の購入について

日程第六
議案第五十四号 建物の購入について

日程第七
議案第五十一号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第八
議案第四十九号 中央区子ども・子育て会議条例

日程第九
議案第五十号 中央区立まちづくり支援用施設条例の一部を改正する条例

日程第十
議案第五十五号 特別区道の路線の変更について


午後二時 開議

○議長(原田賢一議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(原田賢一議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 二十二番鈴木久雄議員。

二十二番 鈴木久雄議員登壇

○二十二番(鈴木久雄議員)
 私は、中央区議会自由民主党の鈴木久雄でございます。平成二十五年第二回定例会に当たり、さきに提出いたしております質問通告書に基づき、本区が直面する行政課題について、納得のいく答弁を期待して質問させていただきます。

 基本構想の総仕上げとして本年二月に策定された十年間の計画、基本計画二○一三のスタートに弾みをつけるかのように、去る四月十日、本区の人口は昭和四十二年以来、四十六年ぶりに十三万人を突破しました。片や、その六日後には総務省から、昨年十月時点の推計人口で、総人口では二十八万人減で過去最大となり、六十五歳以上の高齢者が初めて三千万人を超えるなど、我が国の人口減少及び高齢化が一段と加速していることが発表されています。このように日本全体が人口減少社会に向かう中、本区においては、行政と議会が一致団結して取り組んだかいあって、一時期七万人近くまで落ち込んだ人口が十三万までV字回復を遂げたことは大変喜ばしく、同時に、この人口増加によってもたらされた地域の活力を区のさらなる繁栄へと結びつけていかなければとの思いを新たにしております。今後の区の至上命題は、十年後に十五万人に迫る勢いで人口増加が進む中で、都心ならではのにぎわい、躍動感と暮らしやすさとを兼ね備えた、百万人が住み・働き・楽しめるまちの実現を目指すことであり、それを達成していくための羅針盤が基本計画二○一三であろうと認識をしております。

 この基本計画二○一三には、これまでの力強い人口増加を地域に定着させるべく、学校、保育所、高齢者施設の整備に加え、障害者サービスの充実など、子供から高齢者、障害のある方々まで、あらゆる区民が安心して住み続けるために不可欠なハード、ソフトの諸施策が網羅されました。あわせて、新計画の初年度を飾る平成二十五年度予算には、区内各地域で心配されている学校の教室不足への対応、保育所や高齢者施設の整備に加え、生涯学習と交流の場、本の森ちゅうおうなどの施設整備費として一般会計予算全体の約一二・六%に相当する百一億円もの予算が盛り込まれ、財政規模も当初としては初めて八百億円を超えるなど、快適な都心居住実現のための集中的な基盤整備に向けて力強いスタートが切られたわけであります。区長におかれましては、輝かしい将来ビジョンを区民と共有するとともに、社会経済状況の変化など世の中の時流を敏感に捉えた上で、目前の課題にも目をそらすことなく、足元をしっかりと踏み固めながら計画を推進していただくよう、お願いしたいと思います。

 さて、基本計画には十年後を見据えて区が目指すべき目標と道筋が示されておりますが、今後重要なのは、具体的にどのように実現していくかであります。

 本年二月、基本計画二○一三の策定とあわせ、強固な財政基盤堅持に向けた当面二カ年の重点取組指針が示されました。当然ながら、区が持つ人的・物的・財政的資源は限られています。加えて、今の日本経済に目を転じれば、デフレからの脱却と次なる成長に向けた過渡期にあって、為替、株価、長期金利といったいずれの指標も連日大きな動きを示すなど、区財政を取り巻く環境は片時も目を離せない状況にあります。

 また、ついせんだっては、公共工事設計労務単価が大幅に改定されたところですが、現場で働く方々の雇用や所得の拡大という大きな視点でこれを評価しつつ、とりわけ施設整備プロジェクトがめじろ押しの本区においては、新たな財政負担への対応が迫られることも、これまた事実であります。このように区に押し寄せるさまざまな変化の波を巧みに乗り越えながら、計画を着実に実行するには、ヒト・モノ・カネをいかにどこから捻出し、どのように配分していくかが肝要であり、ここに知恵を働かせなければ、せっかくの基本構想、基本計画も絵に描いた餅、畳の上の水練、仏つくって魂入れずということになりかねません。

 区は既に、今後の災害に強いまちづくりと子供たちの学びの場の確保に向けた施策展開に備え、マンション建設を伴う開発事業についても新たに開発協力金の負担を求める方針を打ち出しました。基本計画二○一三では、さまざまな社会潮流の変化を踏まえながら策定されたものと理解しておりますが、その上で、例えば二○二○年オリンピック・パラリンピック招致の実現が区に与える影響、景気・物価の今後の動向、地方分権改革や税財政をめぐる議論の行方など、現時点では予測しがたい出来事に対処していくためには、常にできる限りの備えを講ずる努力を続けるべきと考えます。その意味で、新計画のスタートと軌を一にして、行政評価を通じた事業の見直しや歳入確保に着手され、住宅開発からも一定の御負担をいただくこととした区長の御英断を支持するとともに、引き続き無駄の排除、財源確保に知恵と工夫を凝らしていただき、二カ年の重点取組指針に掲げる行財政改革の取り組みを各種施策の推進と表裏一体のものとして着実に進めていかれることを強く期待するところであります。

 そこで、今後の見直しの方向性についてお伺いします。

 先般、区は、事務事業評価の対象とあわせて、歳入確保策として取り組む使用料等の受益者負担についても評価対象を絞りました。そこには、二十三区の中で比較した場合に本区だけが無料または著しく水準が低いものとして、区の刊行物、学童クラブ、保育所・幼稚園の保育料、駐輪場利用料など七項目が示されております。これらについては、今後、区において見直すか見直さないかを判断していくものと考えますが、例えば保育料や学童クラブなど現に利用されている方々の生活にもかかわる見直しについては、時間をかけて議論する、道路占用料については事業者の理解のもと、本区の特性を踏まえた負担をお願いする、区が発行する刊行物の有償化など、行政側の判断で実施可能なものはできる限り早期に対応するなど、区民の納得が得られやすい手順を踏んでいただきたいと思いますが、区は七項目の使用料等の見直しについて、現時点でどのような方向性をお持ちか、お聞かせください。

 また、基本計画二○一三には、多くの区民が切望するさまざまな施策が盛り込まれています。この実現により区民の期待に応える一方で、時には区民が必ずしも歓迎しない見直しも進めていかなければなりません。その際には、基本計画の実現、将来にわたる安定したサービスの提供という共通目標と、なぜ見直しが必要なのかを区民にわかりやすく説明することが重要だと考えます。

 使用料等の見直しに当たっては、見直す、見直さないの結論だけでなく、七項目それぞれについての区の課題認識、どのような理由から見直すのか、あるいはどのような理由から見直しを行わないのかなどをいかにわかりやすく区民に伝えていくおつもりか、お聞かせください。

 あわせて、事務事業評価や使用料等の見直しにより区が目指す到達点についてお伺いします。

 区は、これまでの全ての事務事業の評価結果を踏まえて、八十事業を一斉点検した上で、二カ年で四十五事業の評価をし、あわせて七項目の使用料を見直すとしていますが、こうした取り組みには必ずしも財政削減効果だけでなく、議会や区民との課題の共有、行政における事務の効率化など、さまざまな意義があるものと理解しております。一方で、今後の財政状況によっては、削減目標額を掲げた上で大幅な見直しを進めていかなければならない事態も想定され、現に他区においては削減目標を全面に掲げ、区民サービスの大幅な見直しを実行している例も見られます。本区にとっても、決して他人事と油断できる状況ではありません。

 そこで、区は、今後、二カ年の重点取組指針に掲げた各種取り組みについて削減の目標額を掲げて取り組むつもりがあるのか、見直しにより何を目指していくのか、区のお考えをお聞かせください。

 基本計画二○一三実現に向けて、もう一つの重要な視点は、民間活力の活用であります。人口がふえ、区民の価値観が多様化していく中で、区民ニーズの全てを行政がカバーすることは当然ながら不可能であり、人口がふえ、ニーズの幅が広がってくれば、それを捉えた民間セクターが受け皿として成長してくることも、ごく自然な世の流れであります。区には、民間の動向も捉えながら、行政の立場としてどのような役割を果たすべきかという軸をしっかり持っていただき、民間でのサービス供給が活発に行われている分野については、民間に任せる、あるいは必要に応じて協働を進めるなど、柔軟な施策展開をお願いしたいと思います。

 今後、中でも計画前期の五年間に集中的な施設整備が進められるわけですが、あわせて努力していただきたいのは、施設整備の初期投資だけでなく、その後のランニングコストが過大にならないよう、徹底して効果的・効率的な管理運営を目指すことであります。特に、基本計画二○一三で総合スポーツセンター以来の大型施設として計画化された本の森ちゅうおうは、図書館をベースにしつつ、子育て世帯から高齢者の方々まで、あらゆる区民の生涯学習、交流、居場所といったニーズに応えるものであり、その成否は、いかに行政の縦割りの垣根を超え、柔軟な発想や経営感覚のもとで運営されるかにかかっていると思います。区は既に、この本の森ちゅうおうを一括して指定管理者に委ねることの基本方針を示しておりますが、これを機に、区が施設の運営方針をしっかり示した上で、事業計画の策定など基本的な部分も含めて任せる、他の図書館も一括して任せるなど、民間の知恵や工夫、経営ノウハウが最大限に引き出せる運営形態をとるべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

 次に、教育問題についてお尋ねします。

 区長は、第一回区議会定例会の所信表明において、昨年、山中伸弥京都大学教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されたことを引き合いに出し、これからの日本が進むべき道である教育立国に言及しております。すなわち、中央区に育つ子供たちが持てる力を存分に伸ばし、世界に羽ばたく人材に成長していくことで、教育立国を象徴する姿を本区から全国に発信したいと強く希求されました。そのために、この地に芽生えたたくさんの種を慈しみ、大切に水を与え続けていくといった、これからの教育の方向性を示しています。

 そこで、お尋ねします。

 我が会派では、教育の営みとは正しく日々の積み重ねを行うことであり、学校で学ぶ時間こそ、その大切な積み重ねを担保する基礎であるとし、土曜授業の復活を強く求めてきました。昨年の第二回定例会においても、私が、子供たちに確かな学力を身につけさせることを第一に考えた中央区独自の土曜授業のあり方について質問いたしました。しかし、残念なことに、その答弁は、土曜日の学校公開を拡大するといった程度のものであり、質問が狙いとした区独自に土曜授業の全面復活を推し進める内容のものではありませんでした。

 故事に、粒々辛苦という言葉があります。米でも麦でも、穀物の一粒一粒は農民の苦労と努力の結果実ったものであります。子供たちの学習も同じであります。細かな努力を日々積み重ねて苦労してこそ学習に必要な基礎・基本が身につくし、心底身についたものだからこそ、そこを土台に思考力や判断力、表現力などが養われていくものと考えます。

 ゆとりや精選を掲げて進められた学習指導要領の改訂や授業時間数の削減は、国際的な学力調査の結果に代表される学力低下を招き、その批判から、今回の学習指導要領改訂では、打って変わって内容の充実と授業時間数の増加に方針が転じています。文部科学省は、今回の授業時間数の増加は詰め込み教育への転換ではないとし、各教科の充実した指導事項の学習や、確実な習得を図るための繰り返し学習、レポートの作成など、知識・技能を活用した学習に充てると説明しています。その説明どおりとしても、今回の授業時間数増加で十分であるか、大いに疑問が残ります。

 そもそも授業時間数の減少が加速化したのは、学校週五日制の展開であります。公立学校における学校週五日制の実施は、平成四年の月一回に始まり、平成七年の月に二回、平成十四年の完全実施と、順次進められてきました。しかし、私立学校のうち多くの学校では週六日制が維持されており、一週間に子供が学校で学ぶ時間数、そしてその累積として一年間の時間数、さらに小学校、中学校をそれぞれに卒業するまでに受けられる授業時間数には大きく差が生じる事態となっております。教育の機会均等という観点からも、義務教育段階で授業を受けることのできる日数や時間数に大きな違いが出ることは、決して望ましいことではありません。

 今回の学習指導要領の改訂で卒業までの合計授業時間数が、小学校では六年間で五千三百六十七時間から五千六百四十五時間、中学校では三年間で二千九百四十時間から三千四十五時間へと、それぞれ二百七十八時間、百五時間、授業時間数がふえたとはいえ、全く十分でないと考えています。例えば、中学校の国語の授業ですが、昭和四十七年当時は、どの学年も週五時間が確保されていました。ほぼ毎日全ての学習の基本となる国語の授業があったわけですが、しかし、今回の改訂で前回よりも総時間数がふえたにもかかわらず、国語の授業時間数は一年生、二年生が週四時間、三年生が週三時間にすぎません。三年生では、週の半分くらい国語の授業がない日があるわけであります。各種の学力調査で、子供の読解力が低下していることが指摘されるとともに、言葉を駆使した表現力やコミュニケーション能力の不足も問題視されています。そのもととなる国語の時間が十分に確保されないようでは、どんな立派な計画を立てても子供たちがその力を育むことは無理だと言わざるを得ません。今回の学習指導要領の改訂の趣旨である、じっくり繰り返し学ぶ時間が保障されてこそ子供たちに必要な力が身につくものであり、大切なことと考えております。

 そこで、質問します。

 小・中学校で新学習指導要領が完全実施となって数年がたった現在、土曜授業の実施状況はどうなっているのか、また、土曜補習授業など、土曜日の教育活動の実施状況も含めてお示しいただきたい。

 さらに、子供たちに確かな学力を保障する観点から、中央区教育委員会として、今後の土曜授業をどのように考えるか、お聞かせをいただきたい。

 以上で、私の第一回目の質問を終わります。矢田区長並びに関係理事者の皆様には、簡潔にして明瞭かつ思い切った答弁をお願いするところであります。なお、御答弁によりましては、再質問をさせていただきます。終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 鈴木久雄議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、使用料等の見直しについてであります。

 限られた財源の中で新たな行政需要に柔軟かつ的確に応えられる持続可能なサービスを提供していくためには、区施設や行政サービスを利用される区民や関係者に適正な御負担をいただくことが不可欠であり、基本計画二○一三においても、受益者負担の適正化を区政運営の基本に位置づけております。区は、これまで基本計画二○一三の策定に際して定めた、強固な財政基盤堅持に向けた当面二カ年の重点取組指針に基づき、全ての使用料等について、受益と負担のバランスや二十三区内における本区の水準などの観点から、調査・点検してきており、このほど、今後のあり方を検討する必要があるもの七項目を評価対象に選定したところであります。この七項目については、今後、区民サービスの安定的な供給や財政の持続性などの観点から、どうあるべきかを検証し、さらに区民生活への影響についても慎重に見定めながら、見直しの可否を検討してまいります。その上で、家計を考慮した、より適切な保育料の負担水準への見直しや、周辺区の動向等を踏まえた適正な道路占用料の設定、区の刊行物の有償化など、できる見直しから順次実施していきたいと考えております。また、区民に評価結果をお伝えする際には、見直すかどうかの方向性だけではなく、各項目の現状、結論に至った理由、見直す場合の時期やプロセスなどをお示しするとともに、課題についても丁寧に説明していくことが重要であると考えております。今後、こうした観点で評価を行い、その結果についてパブリックコメントを実施するとともに、見直しを行う際には、区民や関係者の御理解が得られるよう、予算計上前、さらに予算確定後の各段階で丁寧に周知するなど、区が目指す方向性や問題意識を区民と共有できるように取り組んでまいります。

 次に、見直しの目標についてであります。

 さまざまな環境変化に柔軟かつ的確に対応し得る区政運営を確保するためには、一定の余力を持った安定的な財政基盤を保持し続けていくことが極めて重要であります。こうした基本認識のもと、重点取組指針は、快適な都心居住に向けた諸施策を着実に推進していくため、事務事業の見直しのほか、財源の重点的・効果的な配分や歳入確保対策などの取り組みを総合的に推進し、常に一歩先の財政需要を見据えた万全の備えを講じていくことを目的としております。したがいまして、財政危機が顕在化している他の自治体とは異なり、健全性を維持している本区においては、現時点で具体的な削減目標額を掲げる考えはありませんが、この二カ年における集中的な取り組みを通じて計画・実行・評価・見直しという区政マネジメントサイクルを確実に実践し、将来にわたり持続可能な財政基盤の堅持へとつなげてまいりたいと思います。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えいたします。

 まず、大規模施設である本の森ちゅうおうへの指定管理者導入についてであります。

 本の森ちゅうおうは、労働スクエア東京跡地の立地条件を最大限に生かし、京橋図書館を核に、郷土資料館や生涯学習、文化・国際交流施設の機能を融合させ、さらに高齢者のいきがい施設、敬老館を設けることにより、多様な目的で訪れる区民等に出会い・発見・交流の場を提供する、延べ一万九千平方メートルの広さを有する生涯学習の拠点施設であります。こうした大規模複合施設が目指す相乗効果を最大限に生かし、質の高いサービスを提供するには、各部門が行政の枠組みにとらわれず、組織横断的・総合的な事業展開を行っていくことが必要であります。そのためには、民間の豊かな経営ノウハウや旺盛な活力を生かせる指定管理者制度の導入が欠かせないものと考えております。もとより、設置者である区が直接執行しなければならない業務や指定管理者のチェック機能等、行政の責任は重要であり、できる限り指定管理者に任せることを基本に、区と指定管理者の具体的な役割分担を含めた事業執行体制について、現在、鋭意検討を行っているところであります。また、図書館機能については、中央館である京橋図書館と二つの地域館を一体的に運営することが区民サービスの向上につながるものと考えており、日本橋、月島両図書館についても、同時に指定管理者を導入してまいる所存であります。

 次に、土曜授業を初めとする土曜日における区立学校の教育活動の実施状況についてであります。

 子供たちが知・徳・体をバランスよく育むためには、土曜日を効果的に活用する教育活動の工夫は大切なものと認識しております。そこで、本区では、基礎学力の向上対策の一つとして、全区立小・中学校で、希望者を対象に補習を行う土曜スクールを平成十八年度に開始いたしました。平成二十二年度からは、中央区教育振興基本計画に基づき、保護者や地域の皆様に広く教育活動を公開する土曜学校公開を土曜授業として位置づけ、小学校で年五日、中学校で年二日程度を目安に、各学校が実施してまいりました。平成二十三、二十四年度から、小学校・中学校の新学習指導要領が全面実施されたことに伴い、新たな学習活動に必要とされる標準授業時間数を確保し、児童・生徒がしっかりと学べるようにするため、土曜スクールを廃止し、土曜授業に一本化いたしました。具体的には、実施日数を中学校で年十日に充実させるとともに、子供たちが学習に集中できる授業環境を確保するため、公開部分を学校の判断で限定できるようにするなどの対応を行っております。さらに、従来から各学校では、土曜日における教育活動として、学習活動の集大成である運動会や学芸会、音楽会、展覧会などに積極的に取り組んでおります。また、教育センターでも区立中学生を対象に生徒みずからが学習の進捗状況と課題を学べる補習講座を、平成二十四年度からは夏季休業中に加え、一学期・二学期の土曜日に七回実施いたしております。

 次に、今後の土曜授業のあり方についてであります。

 学習指導要領では、学習内容を身につけるために求められる標準授業時間数が示されております。現在、小学校で年五日、中学校で年十日の土曜授業を実施することで標準以上の授業時間が確保されており、基礎学力の向上を初めとする教育活動を着実に進めることができているものと認識しております。また、土曜授業において学校公開を行うことは、児童・生徒の学習状況や学校の教育方針などを保護者や地域の方に理解していただく貴重な機会と捉えております。命と心の授業や食育に関する授業などを保護者や地域の方が一緒に学ぶことで、子供たちの学習に加えて、家庭や地域の教育力の涵養につながる面もあり、地域ぐるみで子供の健全育成を進める原動力になるものと考えております。これらの点を踏まえた上で、子供たちがさらに確かな学力を身につけ、生きる力を育める効果的な土曜授業の実施となるよう、児童・生徒の学習の定着状況や年間の学校行事・地域行事との関係、教員の勤務体制など、さまざまな角度から検証を行い、実施日数を含め、本区独自の土曜授業について引き続き検討してまいります。

 答弁は以上です。

〔二十二番 鈴木久雄議員登壇〕

○二十二番(鈴木久雄議員)
 それぞれの質問に対しまして、私の意向を酌んで、まことに簡潔にして真摯かつ前向きな姿勢の答弁をいただきました。ありがとうございました。

 そこで、あらかじめそのような答弁が来ることは予測をいたしまして、ここに要望としてまとめましたので、読み上げてみたいと思います。

 まず、基本計画二○一三を実行するための事務事業の見直しについてでありますが、基本計画二○一三、大変結構です。学校、保育所、高齢者施設、本の森ちゅうおうなど、施設整備に加え、ソフト面の施策が網羅されるなど、評価するものであります。しかし、その計画事業費は、前期五カ年で約七百九十七億円となり、事務事業の見直しは当然必要となってくるものであります。御答弁にあったように、徹底した事務改善を行うなど、不断の行政改革を進めていただきたく、改めて要望をいたします。また、使用料の見直しに当たっては、区民への説明を十分行っていただくよう強く要望をいたします。

 次に、教育問題についてであります。

 土曜授業について、私は昨年も質問をさせていただきましたが、本日もしかり、多少改善はされているものの、いまだ満足のいく御答弁はいただけませんでした。まことに残念の極みであります。実は、そのようなことはあらかじめ予測できておりましたので、再度私の主張を強い思いと不満を込めて申し上げます。

 昨年、私は、土曜学校公開について、こう言いました。すなわち、本区の土曜学校公開とは児童・生徒の基礎学力の向上に資するとともに、地域、保護者等に開かれた学校を目指すため、小学校で年間五回程度、これも御答弁にありました。中学校で年間二回程度実施するというものでしたが、本年度は中学校で十回に拡大されました。このほかにも、平日や日曜に小学校八校、中学校一校が学校公開をしています。

 そこで、申し上げますが、そもそも学校公開なるものが中学生になってまでもまだ必要なものかどうか。子供たちにとって、どれほどの意義を持つものなのか。教室の後ろでじっと見詰める親たちの目線が気になって、子供たちは落ち着けません。先生は先生で、親の評価にさらされているようで、さぞかしやりにくいことだと思います。中には、我が子中心で先生の苦労、苦心がわからない親もたくさんいるかもしれません。これで本来のじっくり落ち着いた授業が望めるのでしょうか。私たちが子供のころから年に一、二回日曜にやっていた授業参観なら、まだ納得もいきます。なぜ、こうも頻繁に親たちを学校に呼び寄せなければいけないんでしょうか。全く私には理解できない。

 父母の大半は、そんなことよりも、先生が自信を持って学校で教えていてくれることの安心感、それこそを望んでいるのではないだろうか。落ち着いた環境と十分な授業時間のもとで、じっくりと当たり前の学力を身につけさせることが、区内中学への信頼回復と進学率向上への最大の処方箋になることは明白であります。

 よって、私たちはこの学校公開は小中を問わず、子供にとっても、親にとっても、先生にとっても、落ち着いた教育の妨げとはなるものの、公開の目的として、とってつけたようにうたわれているほどのメリットはないと考えます。

 と、昨年、以上のように熱き思いを込めて申し上げていたんですよ。区長は、これまでに常に教育の大切さを熱心に語り、その上に立ち、自信を持って教育立国を全国に発信するのでありましょうから、なおさらのこと、今後を担う子供たちのために、我が日本国のために、教師の多忙化や子供たちの学力低下の一因とも言われている総合学習とかいうものの思い切った見直しもして、本格的土曜授業をすぐにでも始めるべきでありましょう。

 私は諦めません。私は、正しいこと、あるべき姿を申し上げていると確信をいたしておりますから、決してひるむことなく、これからも機会あるごとにこれを提起していく決意であることを申し上げておきましょう。正しい信念に基づき、夢を持ち続けるならば、いつしかそれが花をつけ、実を結ぶときが必ず来ると私は確信をしております。

 行政は、先ほどの基本計画二○一三で示した見直しのように、何事も勇気を持って果敢に取り組むことが肝要です。尻込みをせず、よいことはほかに先駆けて実行されるよう、強く強く要望いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後二時四十分 休憩


午後二時五十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十七番田中広一議員。

二十七番 田中広一議員登壇

○二十七番(田中広一議員)
 中央区議会公明党の田中広一でございます。私は、平成二十五年第二回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 まず初めに、若年者及び高年齢者の就労支援についてお尋ねいたします。

 日ごろ、地域活動の中でさまざまな御相談をいただきますが、景気回復を望む声を中心に、若者の転職、女性からは出産後、職場復帰をしたい、定年退職後の方からは働き続けたいなど、就労に関する御相談を多くいただきます。先日も、三十歳代の方から、数カ月仕事につけず、転職で悩んでいる御相談を受けました。お話をじっくりと伺いながら、区の職業相談・就職ミニ面接会、若年者合同就職面接会、東京しごとセンター、民間転職サイトなどを御紹介しました。厳しい雇用情勢の中で、希望する職場を見つけることは困難であり、相談者の気持ちを少しでも前に進むよう支援することが必要と感じております。

 そこで、私は、今後の活動に生かすために、以前読んだ「若者のための仕事論」を読み返しました。著者である元大手総合商社の社長は、人は仕事で磨かれ、読書で磨かれ、人で磨かれるという三つのテーマを掲げています。そして、働くことについて、著者は、自分を磨くためであり、皆と喜びを分かち合うためとし、目の前の課題に泥にまみれて働く中で、仕事を通して味わえる深い喜びを得ることができると主張しておりました。読み進める中で、自分自身も反省しながら、若い世代の働くことの意義や就労支援の大切さを再認識いたしました。

 東京都の人口は、二○二○年に千三百三十五万人のピークを境に人口減少社会に転ずると予測されております。高齢化は加速しており、二○一五年の六十五歳以上の人口は二○一○年比で一五%増の三百六万人となり、二○三五年には三百六十九万人にふえると考えられております。一方で、働き手である十五歳から六十四歳の人口は減少傾向にあり、二○一○年に八百八十五万人であったところ、二○二○年には十二万人減、二○三五年では八十三万人も減少すると推計しており、労働力人口の減少による経済成長や社会保障の問題など、さまざまな影響が懸念されております。

 雇用情勢に目を向けてみますと、総務省の調査では、本年四月の完全失業率は四・一%となり、厚生労働省発表の有効求人倍率は○・八九倍で、改善の動きが出てきているようであります。

 また、厚生労働、文部科学両省によりますと、今春卒業した大学生の四月一日現在の就職率が前年同期比○・三ポイント上昇の九三・九%で、二年連続の改善です。また、高校生の就職率は一・○ポイント上昇の九五・八%で、三年連続の改善です。また、これまで懸念されてきた大企業志向だけではなく、中小企業にも目を向ける学生がふえているようであります。

 しかしながら、これまでの厳しい雇用情勢や雇用のミスマッチなどを乗り越え、せっかく入社しても三年以内に離職する大卒者は、全産業平均で約三○%に上り、中でも教育業や宿泊・飲食サービス業では約五○%に達するという厚生労働省の調査結果が出ております。問題は、若い時代に職場で十分な教育や訓練を受ける機会が少ないと、職業に必要な能力を磨くことができず、働く喜びも見出すことが難しくなります。

 また、失業期間が一年以上に及ぶ長期失業者の低年齢化が進んでおります。総務省によりますと、二十五歳から三十四歳までの長期失業者は、二○一一年時点で二十八万人となり、二十年前の七倍もふえております。首都大学東京の村田教授は、若いうちに失業期間が長くなると再就職がしにくくなると指摘しており、対策が求められております。

 さらに、青少年を取り巻く厳しい現状が改めて浮き彫りとなりました。二○一三年度版「子ども・若者白書」によりますと、十五歳から三十四歳の若者を対象に雇用状況を調べたところ、職につかず学校にも行っていないニートと呼ばれる若年無業者は六十三万人に達し、この年代の人口に占める割合は二・三%、また二十五歳から三十四歳の雇用者に占める非正規雇用の割合は二六・五%と、いずれも過去最多となりました。若い方々に対して、希望を持って働ける環境づくりに取り組むために、これまで以上に全力で応援していくべきであります。

 そこで、現在、特別区長会において、平成二十三年十月に二十三区の全区長が参加する就労支援研究会を立ち上げ、シンポジウム「これ以上見過ごせない!働けない若者の現実」の開催や意見交換会など、さまざまな活動がようやく動き出しました。これまで、就労支援については国や東京都の事業と考えられているように感じますが、現場はかなり深刻で、各自治体単位できめ細かく支援していく必要があります。

 一方、本区における二十歳代と三十歳代の方は、六月一日現在で四万四千八百八十人となり、人口の約三四%を占めています。本区の最重要課題の一つである保育所の整備を考えても、働きたいという意向を強く感じております。また、中央区ひとり親家庭実態調査報告書によりますと、働いている方八六・三%のうち転職希望の方が四一・七%、働いていない方一三・一%のうち九二・七%の方が働く意思があると答えております。さらに、本区の区民税の滞納者は、全体で約八千人のところ、二十歳代、三十歳代で約半数を占めており、中には思うように就労できず、区民税を滞納している方もおられるのではないでしょうか。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 若年者の就労支援の重要性について、区長さんの御所見をお伺いいたします。

 現在、本区では、人材不足に悩む中小企業と若者の雇用を促進するため、未就職学卒者の就労支援事業、若年者・中小企業マッチングプログラムを実施しており、きめ細やかなすばらしい取り組みであると感じております。今年度は、二十九歳以下の区内在住で区内の企業に就職したい方が対象で、十名募集し、ビジネススキル、マナー研修や専門の担当者がサポートしながら、派遣先企業における職場の実習を行い、その後、就職に結びつけていく事業です。昨年度の実績は二十五名中二十三名が正社員となり、成果を上げております。

 しかしながら、応募したにもかかわらず、面接により研修を受けることができなかった方々へのフォローが課題と考えます。昨年度の応募者は六十四名で、そのうち研修及び実習に進めた方が二十五名です。面接で落ちてしまうということは、社会人としての何か基礎が欠けているのではないかと想定できます。また、企業に実習に行って脱落してしまう方も出てくることも考えられます。そのような方々をどう支援していくかが、長期失業とならないよう検討していかなければなりません。中央区の職業相談・就職ミニ面接会や合同就職面接会、東京しごとセンターへつなげていくなど、配慮が必要であります。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 若年者・中小企業マッチングプログラムにおいて、研修を受けられなかった方々や就職できなかった方々に対して、長期失業とならないよう、支援体制が大変重要であると考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。あわせて、今後、三十歳代も含めた対象年齢の募集枠の拡大や事業の周知方法の一層の工夫について御見解をお伺いいたします。

 次に、高年齢者への就労支援についてお尋ねいたします。

 高齢者の就労希望状況について、厚生労働省の中高年者縦断調査によりますと、六十歳から六十四歳の方で六十五歳以降も仕事を続けたいと考えている方が五六・七%で、七十歳以降も二八・七%となっております。また、第四十二回中央区政世論調査報告書によりますと、高齢者保健福祉施策で区が力を入れていくべきものは何かという問いに対して、仕事の紹介など高齢者の働く機会や場の提供が四○・九%と回答しております。定年後も働き続けることができる環境を整えていくことは、高齢者人口が増加傾向にある本区としても重要な政策課題です。

 現在、本区では、七十歳就労社会の実現を目指し、さまざまな事業を展開しております。中でも、シルバーワーク中央では、昨年度、登録来所者数千三百三十二名のうち就職者が百五十八名、そのうち区内在住の方が百十三名と、厳しい雇用情勢の中で成果を上げております。これまで何度か訪れたときにも、職員の方々が相談者に対して丁寧に対応されたり、独自の求人情報を確保するなど、工夫をしておりました。一方で、職種のミスマッチ、さらなる独自の求人情報の拡大、区民の方々への周知不足などの課題もあります。

 そこで、シルバーワーク中央のような就業支援センターが都内十四カ所ある中で、一昨年度三百三名の就職者数となり、二番目に多い成果を上げている港区のみなと*しごと55を本年二月に視察させていただきました。港区の施設の特徴は、委託先が社会福祉協議会ではなく、一般公募から選ばれた公益社団法人という点にあります。まず、心がけていることは、みなと*しごと55に来ればゆっくりと話を聞いてくれると言われるように、お話をじっくり伺うことを第一としていました。広報として、「仕事を探している方、求人を考えている方へ」という案内をシルバー人材センターに委託し全戸配布して、広く周知していました。

 職員の中には、民間営業経験者もおられ、フットワークも軽やかに、事業のメリットを最大限生かしながら求人情報を探していました。例えば、採用する会社側としても、ハローワークに求人を出すと電話が多くかかってくるなど手間がかかってしまいますが、職員が間に入り、求人側の意向を事前に直接把握した上でマッチングを進めていくため、会社側にとって安心して採用ができるとのことです。大切なことは、就職先の企業と信頼関係を構築するため、採用された会社や働いている現場を細かく回っているようです。そのことにより、会社側の本音を聞き出すことができ、マッチングに導くことができるとのことでした。御担当の方は、多くの企業は高齢者の方をどのように採用すればよいのか悩んでいると指摘しており、きめ細かく取り組みながら信用を積み上げることで独自の求人確保につながっていくと語っておりました。最近は、港区もマンションが多く、管理人の仕事が多くなってきているようです。そして、現場を細かく回ることによって管理業者との信頼関係が生まれ、継続的に就労に結びついているとのことでした。

 本区もさまざまな御努力をされていると思いますが、人口増加の背景にはマンションの急増があり、港区同様に管理人などの仕事もふえていると考えられます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本区では四万一千もの事業所を擁していることから、シルバーワーク中央における独自の求人情報を確保できるよう一層の工夫を行い、七十歳就労社会の実現に向けて、さらに強化していくべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 本区は、先ほども述べさせていただいたとおり、さまざまな就労支援事業を展開しておりますが、例えばシルバーワーク中央の事業や職業相談・就職ミニ面接会等を御紹介させていただく中で、多くの方が京華スクエアの所在地や区の就労支援事業を認識していないと感じております。したがって、誰でもわかりやすく利用しやすい就労支援の拠点が必要です。

 そこで、私は、先日、杉並区役所にほど近い産業商工会館内にある杉並区就労支援センターに視察に行かせていただきました。同センターの特徴は、若者の就労支援に力を入れていることが一つの特徴です。その背景として、子育て世帯や高齢者に比べると、現役世代に対する支援が弱いとの認識に立ち、基礎自治体である区においても、持続可能な自治体経営を進める上で、若者の安定的な就労の確保は不可欠であり、現役世代支援の大きな柱として正面から取り組んでいく必要性を強調しておりました。そして、平成二十四年十二月三日に杉並区と東京労働局、ハローワーク新宿の一体的運営による就労支援センターがオープンしました。

 同センターは、建物の正面に杉並区就労支援センターと大きな看板で、わかりやすく明示し、全ての年齢の方が対象の職業相談、職業紹介、求人検索のハローワークコーナーと、おおむね三十四歳以下を対象とした若者就労支援コーナー、すぎJOBの主に二つの支援体制となっております。特徴となっている若者就労支援コーナーでは、専門のキャリアカウンセラーが相談者にどこまでも寄り添い、就職後も定着するまで支援し続けるきめ細かいサポート体制が充実しております。さらに、心としごとの相談として、臨床心理士による求職活動中で起こる気持ちの問題の相談も受けています。そのほかにも、地元の区内企業を紹介する企業PRコーナー、インターネットコーナー、応募書類作成コーナー、就職情報コーナーを整備するとともに、さまざまなセミナーなど、充実しております。また、同センター内の内装も明るく、求職者の心理を考慮した机や椅子などの色や形状にも細かく配慮が行き届いておりました。

 本年五月三十一日現在の利用状況では、来所者が千八百九十九人で、内訳として三十四歳以下が九百三十五人、三十五歳以上が九百六十四人と、予想を超えた反響とのことでした。就労準備相談件数では八百四十七件のうち、二十歳代が三百三十四件、三十歳代が二百四十四件と、若い世代の方々が大変多い状況です。そして、就職などの決定者は、ハローワークの職業紹介では百三十七人、就労準備相談者では四十八人と、成果があらわれてきております。就労準備相談者のアンケート調査によりますと、満足が七二%、やや満足が二一%、普通が七%と評価されております。担当者は、ハローワークや東京しごとセンターには行かない方が来所され、杉並区にこのような施設があってよかったという声を多く受けており、仕事に悩んでいる方が潜在的に多いと語られておりました。

 今回の視察を通しても、本区も若者から高年齢者までそれぞれすばらしい取り組みを展開しておりますが、ここに行けば誰でも仕事の相談や就職情報を得ることができるというような、区民にわかりやすく行きやすい就労支援のための拠点が必要であると強く感じました。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 東京都やハローワークと連携しながら、若者の就労支援を強化した上で、本区のさまざまな就労支援事業を総合的にまとめ、例えば京橋図書館移転後の空きスペースなどを活用した中央区役所など、区民の皆様にとってわかりやすく行きやすいところに、若い世代から高年齢者までを対象とした中央区就労支援センターを将来的に設置して、七十歳就労社会の実現をさらに強力に進めていくべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、保育所及び特別養護老人ホームの整備拡大についてお尋ねいたします。

 先ほども述べましたとおり、少子高齢化を背景に労働力不足を懸念する指摘がある中、日本再建の鍵を握るのは女性とも言われております。しかし、働きたいのに働けない女性は、三十歳代を中心に三百四十二万人とも言われております。厚生労働省の「働く女性の実情(二○一一年版)」によりますと、三十五歳から三十九歳で就業率と潜在的労働力率の差が一五%と最大で、働く意欲が仕事に結びついていない現実を指摘しております。一方、女性の労働参加率が高い国では出生率も高い傾向があり、子供を抱える女性が働きやすい国は経済も安定的で、女性が貴重な労働力として活躍しているようであります。

 そこで、三十歳代から四十歳代を中心に転入者が増加し続け、出生数も三年連続で千四百人を超えている本区にとっての緊急な重要課題の一つが、保育園の整備拡大であります。本区は、総合的な子育て支援を最重要課題に位置づけ、各事業の充実に努めております。その中で、保育園については、平成十六年まで十三園、定員数が千三百三十六人であったところ、平成二十一年の子育て支援対策本部の設置により、全庁挙げて待機児童対策に取り組んだ結果、本年四月現在で認可保育所二十一園、認証保育所十六施設、認定こども園二園にまで拡大し、定員数も二千九百二十一人に拡充しており、評価いたします。

 しかしながら、就労ニーズの増加や転入増のスピードに保育園整備が追いついていない現状があります。乳幼児人口ゼロ歳児から五歳児を見ますと、平成十年四月で二千七百七十九人であったところ、平成二十五年四月には七千三百七十一人に増加し、ゼロ歳児の乳幼児人口では、平成十年四月で四百九十一人、平成二十五年四月千四百十九人と、約三倍にまで増加し続けております。また、最近の待機児童数は、平成二十二年四月百五十二人、平成二十三年四月四十人、平成二十四年四月七十九人、本年四月百九十三人と、保育園の整備が進んではいるものの、歯どめがかかっていない状況です。基本計画二○一三では、最終年度の平成三十五年には人口約十五万人を想定しております。特に、今後も大規模マンション計画も予定されており、認可を中心とした保育所のさらなる整備拡大が求められております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 今年度も私立認可保育所三園と京橋こども園の開設により、約三百人の定員数の拡大を予定しておりますが、次年度の四月には待機児童を解消できるよう、さらに強力に拡大していくべきであります。特に、認可保育所のさらなる整備拡充が必要であると考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 国では、本年四月、二○一七年度までの五年間で新たに約四十万人分の保育の受け皿を確保する待機児童解消加速化プランを打ち出したほか、厚生労働省が認可保育所への株式会社参入を前倒しで促進する方針を示すなど、待機児童解消に向けた取り組みが前進しております。東京都においても、今年度から小規模保育所の開設を後押しする東京スマート保育をスタートしております。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区は転入者が多いため、保育需要のスピードに応えていくとともに、多様な保育ニーズも求められております。本区の実情に合った保育の質の維持・向上を目指しつつ、今後の国・東京都の示す方針や財政的な支援を踏まえた上で、各保育事業の定員数を拡大し、きめ細やかな多様な保育サービスを整えていくべきと考えますが、今後の多様な保育形態の充実について、区長さんの御見解をお聞かせください。

 保育所待機児童の対策と同様に求められているのが、特別養護老人ホームの整備であります。現在、区内に民間も合わせ四施設、区外四施設に区民の入所枠を確保しておりますが、現在、待機者は約三百名と伺っております。今年度、月島一丁目に地域密着型特別養護老人ホームが開設し、そして来年度は十思スクエアにも整備される予定であります。さらに、マイホームはるみにおいても、改修工事の中で入所定員の拡大を進めるなど、着実に取り組んでおります。

 本区の六十五歳以上の老年人口は、六月一日現在で二万一千百十二名となっており、基本計画二○一三の人口推計では平成三十五年には二万三千九百人に達すると想定し、その後もふえ続けていくものと考えられます。介護と医療との連携については、地域包括ケアシステムを構築していくという大きなテーマがありますが、その中で特別養護老人ホームをさらに整備していかなければならないと感じております。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 現在、待機児童の解消が求められ、保育所の整備が急務でありますが、中期的に人口構成が変わっていくことを想定しますと、保育所の機能を特別養護老人ホームに転用していけるような体制を整えていくことが必要と考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。あわせて、京橋地域の特別養護老人ホームの整備予定について、検討状況をお示しください。

 さらに、特別養護老人ホームの整備について、他区では都心部で用地確保が困難と考え、都外に施設整備の検討を進め、厚生労働省も都市部の高齢化対策に関する検討会において取り上げているようであります。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 都外における本区所有の土地及び施設には旧館山臨海学園、旧小諸高原学園の土地、柏学園などがありますが、こうした区の財産の活用も含めた今後の特別養護老人ホームの整備構想について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 最後に、防災・減災対策についてお尋ねいたします。

 五月二十三日、二十四日にわたりまして、全員協議会として石巻市へ視察に行かせていただきました。門脇小学校に訪れた折、あたりに建物がほとんどない状態を目の当たりにして、多くのとうとい命を一瞬にして奪い、生活の基盤を破壊し、社会に深刻な打撃を及ぼした津波の恐ろしさを再度実感いたしました。亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表させていただくとともに、一日も早い被災地の復興を心からお祈り申し上げます。

 国では、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの想定される巨大地震への備えや、高度経済成長期以降に整備したインフラの老朽化への対策が求められており、防災・減災という視点が重要であります。地震が頻発する日本では、建物などの構造物の耐震化が減災の鍵を握っていると言われております。建物などが壊れなければ、人命被害や経済的被害を抑えられるだけではなく、復旧・復興にも迅速に取りかかることができます。

 首都直下地震の本区の被害想定を見ますと、揺れ、液状化による建物被害が千九百四十二棟、ライフラインの支障率では上水道が六八・五%、下水道二九・五%、ガス一○○%、電気四○・三%となっております。また、津波による浸水被害では、最大津波高を二・五一メーターと東京都は公表しております。

 そこで、建築物等の耐震化という視点から、四点質問させていただきます。

 まず、非構造部材の耐震化についてでございます。

 東日本大震災では、都内において天井、壁、照明器具、窓ガラス等の落下による人的被害が発生しており、本区においても銀座ブロッサムのグリルでシャンデリアが落下したとの報告を聞いております。これまで本区では、国の指針に基づき、学校の体育館において既に点検を行ったと伺っておりますが、今後さらにしっかりと対策を進めるため、体育館及び人が多く集まる公共施設において、専門家による総点検を実施していくべきと考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 各学校現場における体育館や多くの方々が集まる公共施設の非構造部材の耐震化について、国や東京都の支援を生かしながら、専門家による総点検及び対策を実施していくべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、河川等の直立護岸の耐震化についてお尋ねいたします。

 本区全体の面積のうち、水域面積は一八・三%と二十三区で最も大きく、水辺空間に恵まれております。しかしながら、直立護岸は昭和三十八年から昭和五十年ごろにかけて整備を進めており、スーパー堤防などの安全対策を進めておりますが、一部にとどまっております。コンクリートの耐用年数は、条件にもよりますが、五十年から六十年とも言われており、一部の直立護岸については老朽化しているものと考えられます。首都直下地震などの揺れによって護岸の一部が崩れ、さらに被害想定の津波が押し寄せたときに、住宅地が浸水しないよう対策を進めていくべきであります。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区内の護岸について、水門だけではなく、直立護岸についても総点検を行った上で耐震化を進めていくよう、東京都に対して強く要請していくべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、飲料水・生活用水の確保についてお伺いいたします。

 災害時における飲料水の確保について、一人一日三リットルの給水を基準として考え、各家庭に備蓄を促しております。さらに、迅速な応急給水が行えるように、区内三カ所の給水所、学校など公共施設の受水槽五十九カ所、ろ過器を配備し学校プールの水の活用、民間企業との協定による受水槽四十二カ所、生活用水の確保として二十五カ所に防災用井戸を設置しております。

 一方では、平成二十三年第三回区議会定例会での私の一般質問において、水道の耐震化について聞いたところ、水道は耐震継手管に交換する整備を進めており、現在、区内の約二割が完了していますとの御答弁がありましたとおり、耐震性の高い耐震継手管工事がおくれており、都内でも断水率が高いほうに位置しています。過去の教訓では、阪神・淡路大震災において、この継ぎ手が外れて断水被害が多発しました。また、新潟県中越地震後の住民アンケートでは、困難を感じたライフラインの機能停止として、水道が電気、ガスを上回り最多であったという調査結果もあります。さらに、平成二十三年に石巻市に訪れた際、現地の方にお話を伺ったところ、災害時における生活用水の必要性を訴えておられました。そして、先ほども述べましたとおり、首都直下地震の被害想定ではライフラインの支障率が上水道六八・五%となっており、帰宅困難者の発生などを考慮しますと、現状の飲料水・生活用水の容量で十分なのかどうか、再度検討が必要と考えます。

 現在、東京都では、消火栓等を活用し、今年度から応急給水用スタンドパイプと仮設給水栓、消火用ノズルなどの資器材を今年度五百セット、三カ年で二千六百セットを区市町村に配布、及び適正な管理と活用できるよう説明する計画と伺っております。消火栓を活用したスタンドパイプによる応急給水は、御協力いただく方々の訓練の強化が必要でありますが、区内に千七百四十カ所の消火栓があり、応急給水所の補完的な活用や初期消火にも十分に期待することができます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 東京都に対して、上水道の耐震継手管交換工事の早期実施を求めるとともに、給水施設の増設、再開発における防災用井戸の整備促進、東京都の支援を活用したスタンドパイプ等の資器材による応急給水など、総合的に検討した上で、飲料水・生活用水の確保をさらに進めていくべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、民間建築物の耐震化についてお伺いいたします。

 現在、本区では公共施設の耐震化は進んでおりますが、民間建築物の耐震化が課題となっており、区内建築物のうち、昭和五十六年以前の旧耐震基準の建築物は、本年二月末日現在で一万二千七百八十棟あります。そこで、区では耐震診断・改修工事の助成制度を拡充するとともに、耐震促進協議会による相談業務や総点検を行う中で耐震化を促進しております。

 平成二十四年度の耐震診断・耐震改修の助成制度の申請実績は、木造建築物の耐震診断・補強計画が八十一件、耐震補強工事五十七件、木造以外の建築物の耐震診断が二十五件、補強計画三件、特定緊急輸送道路沿道建築物では、耐震診断百十八件、補強計画十四件、耐震補強工事三件、建てかえ三件と、東日本大震災以降、着実にふえております。

 一方、地域でさまざまな御相談をいただく中で、分譲マンションの耐震化について御相談を受けることがあります。これまでも、都市整備公社の専門家派遣の事業を御紹介するなど推進してきましたが、居住者の合意形成が困難であるため、思うように耐震化が進んでいないようであります。少しでも意識の啓発につながるように、専門家による相談体制の充実や木造・非木造住宅、分譲マンション、事務所ビル等において、さまざまな課題を克服し耐震化した事例を御紹介するような、わかりやすいパンフレットを作成したり、耐震化された建築物の見学会を開催するなど、さらなる工夫が必要と考えます。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 民間建築物の耐震診断・耐震改修及び平成二十七年度を目標に進めている特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、高額な費用、所有者の合意形成等、これまでの課題をどのように支援し、今後の耐震化への実施につなげていこうと考えておられるのか、区長さんの御見解をお聞かせください。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、若年者の就労支援についてであります。

 我が国の将来を担う若者が能力を発揮して働くことは、経済の安定と活力ある地域社会を持続し発展させていく上で欠かせないものであります。しかしながら、依然として高い水準にある失業率や新卒者の就職率の低迷など、若年者を取り巻く雇用環境は大変厳しい状況にあります。そのため、国や都だけでなく、区民に身近な基礎自治体である区が若年者の就労支援に取り組んでいくことが重要であると認識しております。そこで、区では、若年者を対象とした就職をあっせんするさまざまな取り組みを、ハローワーク飯田橋の協力を得ながら進めているところであります。

 次に、若年者を区内事業所への就労に結びつける支援事業、未就職学卒者就労支援事業についてであります。

 本事業は、若年者一人一人を丁寧に指導し、仕事とのマッチングを図ることから、定員を設けておりますが、事業の対象にならなかった方についても、早期に就労に結びつく積極的な支援が必要であると考えております。現段階では特段のアプローチは行っておりませんが、今後は就職ミニ面接会や若年者を対象とした合同就職面接会の案内を送付するとともに、カウンセリングや面接指導、定着支援などを行う国の新卒応援ハローワーク、東京しごとセンター・ヤングコーナーの紹介など、丁寧で親切な対応をしてまいります。

 次に、事業の対象年齢についてであります。

 現在のところ、企業が新規学卒者に近い年齢の方を希望することから、二十九歳以下としておりますが、今後、応募者数、企業の採用意向などを踏まえ、拡大について検討してまいります。また、事業の周知については、ハローワークや商工団体、商工会議所、町会・自治会などの協力を得ながら、積極的なPRに努めてまいります。

 次に、高年齢者の就労支援についてであります。

 高年齢者無料職業紹介所、シルバーワーク中央では、相談員を兼ねた就業開拓員三名を配置し、求人開拓に努めております。その結果、昨年度は千二百五人と多くの求人が得られましたが、就職者数は百五十八人という結果でありました。これは、求人の多くが清掃、保安業務という職種である一方、求職者は事務職の希望が多い傾向があるためと考えられます。今後、就業開拓員により信頼関係を築きながら、求人側ニーズを的確に把握し、あわせて求職者への丁寧な説明に努め、就職者数の増加を図ってまいります。さらに、多様な就職先を確保するため、東京商工会議所中央支部の御協力を得て、会員企業にシルバーワーク中央を紹介する取り組みも行ってまいります。

 次に、総合的な就労支援センターの設置についてであります。

 現在、区では、京華スクエアにおいて、月二回、若年者から高齢者までを対象とした就職ミニ面接会や職業相談、就労のあっせんなどをハローワークと連携し、実施しております。また、シルバーワーク中央とシルバー人材センターで高齢者を対象とした職業紹介等を実施しており、地域に身近な就労相談の場として区民の皆様に御利用いただいているところであります。七十歳就労社会の実現を推進するためには、こうした支援体制のより一層の充実を図るとともに、就労に関する一貫したサービスを常時提供する拠点の設置が効果的であると考えております。今後、ハローワークなどの労働関係機関、区、シルバー人材センター、東京商工会議所などで構成し、区内における雇用の課題や地域ニーズについて話し合う中央区地域雇用問題連絡会議において、総合的な就労支援センターの設置について協議するとともに、設置場所も含め、検討してまいりたいと存じます。

 次に、認可保育所の整備拡大についてであります。

 本年度待機児童が増加した要因は、乳幼児人口の増加に加え、経済状況の影響等から共働き世帯も増加しており、こうしたことが乳幼児における保育需要を大きく伸ばしているものと考えられます。本年四月一日現在の乳幼児人口に占める保育を必要とする割合も、一歳児から五歳児まで四○%を超え、全ての歳児で前年度を上回るなど、高い水準にあります。今後もこうした傾向が続いた場合、平成二十六年四月にかけて整備を行います私立認可保育所等三園の開設だけでは保育需要の伸びに対応する保育定員を確保することが困難になると見込んでおります。そのため、早急に新たな保育施設を開設する取り組みが必要と考えております。現在、幾つかの民間事業者と保育所開設に向けた具体的な協議を行っているところであり、待機児童解消に向けた取り組みを引き続き進めてまいります。

 次に、国や東京都の方針を踏まえた多様な保育形態の充実についてであります。

 現在、本区では、認可保育所を中心に認証保育所や家庭福祉員による保育を行うことにより、保育サービスを提供しております。こうしたサービス以外にも、小規模保育や居宅訪問型保育、地域に一部を活用させる事業所内保育所など、多様な形態があり、主に三歳未満の児童などに対する保育には有効なものであると認識しております。一方、本区の現状における保育ニーズを考えますと、三歳未満の児童はもとより、三歳以上の児童についても保育定員の拡充を図っていく必要があることから、現時点では認可・認証保育所の開設に力を注ぎ、待機児童解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。また、これらの多様な保育サービスの導入につきましては、今後、子ども・子育て新制度のもとで地域型保育給付の対象となることから、国の動向を注視しつつ、設置を予定している本区、子ども・子育て会議の中で検討してまいります。

 次に、保育所の特別養護老人ホームへの転用についてであります。

 これまでの保育園の整備工事においても、エレベーターの設置やバリアフリー化の徹底などを行っており、内部改修によって高齢者施設など他の用途への転用が可能であると認識しております。今後の保育所整備に当たっては、あらかじめ特別養護老人ホームなどへの転用も想定し、将来の内部改修がより容易となるような整備方法について検討してまいります。また、京橋地域における特別養護老人ホームの整備につきましては、桜川敬老館移転後のスペースを活用する方向で検討を進めております。

 次に、都外区有財産を活用した特別養護老人ホームの整備についてであります。

 現在、特別養護老人ホームへの入所申込者は約三百名となっております。しかし、早期に入所が見込める場合でも区外の施設を希望される方はほとんどなく、現在の申込者は四名となっております。このような状況から、現在のところ、都外での施設整備は考えておりません。介護が必要になっても、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、区内三地域における地域密着型特別養護老人ホームの整備等を進めてまいります。

 次に、防災・減災対策についてであります。

 平成十七年の宮城県沖地震の際に、仙台市のスポーツ施設の天井が崩落し、多くの負傷者を出したことから、非構造部材、特に大空間の天井の耐震化の必要性が提唱されました。本区におきましても、同年に学校の体育館を中心に区施設の調査を行い、日本橋中学校ほか、二施設の天井の改修及び補強を行ったところであります。また、東日本大震災の際には、技術職員が区施設の総点検を行い、直ちに危険な状態ではないことを確認しております。現在、文部科学省の通知を受け、学校の体育館における非構造部材の耐震性について建築士事務所協会に委託し、専門家による調査を行っております。今後、調査結果がまとまり次第、国・東京都の制度を活用し、適切な施設の維持保全に努めてまいります。

 次に、直立護岸の総点検と耐震化についてであります。

 都は、東日本大震災を踏まえ、東京都防災会議が示したマグニチュード八・二の海溝型地震等の想定される最大級の地震に対する水門や護岸、下水道施設の耐震性能の検証を実施しております。その結果、護岸については、一部の区間において浸水を防ぐ機能を保持できないおそれがあることが確認されております。また、検証を踏まえて昨年十二月に策定された整備計画においては、河川と港湾を合わせて約百二十九キロメートルの護岸の耐震対策を実施するとしており、本区内においては、隅田川でスーパー堤防を除く区間、港湾区域では、晴海一丁目の護岸などで対策が必要とされているところであります。都は、これらの対策を平成三十三年度までに全て完了するとしておりますが、区といたしましては、災害に対して、より安全で安心なまちの形成を図るため、早期の耐震対策を講じるよう強く要請してまいります。

 次に、上水道の耐震整備工事の早期実施と、飲料水・生活用水の確保についてであります。

 東京都では、災害時に断水被害を最小限にとどめ、可能な限り給水を確保するため、水道管路の耐震継手化十カ年事業を進めており、平成三十四年度末の整備率を五四%としております。本区での整備率は、平成二十三年度末で一八%と公表されており、区としましては、上水道の耐震化が一日も早く実現されるよう、さまざまな機会を捉えて都に働きかけてまいります。

 また、区における災害時の水の確保については、晴海給水所など三カ所の給水拠点を初め、区立公共施設や小・中学校の受水槽、防災拠点での備蓄により四百三十五万四千リットルの飲料水を確保しており、これは断水の影響を受ける区民が二週間程度使用できる量となっております。加えて、民間施設との協力協定に基づく飲料水の確保とともに、生活用水としては、防災用井戸や学校プール水を活用することとしております。このように必要な水を確保されているものと考えておりますが、一層の充実を図るため、今年度新たに消火栓から給水できるスタンドパイプ二十三台を区独自で防災拠点に配備するとともに、給水のための千リットル車載用給水タンク六台を購入してまいります。震災時における水の確保は、区民の生命、生活を守る上で重要な対策であり、今後ともさまざまな確保手段を講ずることで万全な給水体制を築いてまいります。

 次に、民間建築物の耐震化についてであります。

 区では、耐震助成のメニューの拡充や、国や東京都の助成制度の積極的な活用により、住宅を初めとする建築物の耐震性の向上に取り組んでおります。こうした取り組みにより、木造住宅については耐震診断から補強工事に結びつく事例がふえるなど、着実に耐震化が図られております。一方で、分譲マンションやテナントビルでは、居住者間の合意形成や契約問題など、民事上の課題により耐震化が進んでいない状況も生じております。そこで、区では、東京都との連携のもと、マンション管理組合や建物所有者への個別訪問により、耐震化の啓発や状況の把握に努めるとともに、区の法律相談や都の耐震アドバイザー制度、都市整備公社の分譲マンション管理組合支援事業制度を紹介するなど、状況に応じたきめ細かな対応を今後さらに進めてまいります。また、本区の特定緊急輸送道路沿道の建物の耐震対策の進捗状況は都内でもトップクラスでありますが、しかし、耐震診断や耐震補強工事が必要な建物も多く残っております。これらの建物を対象とする都の助成制度が平成二十七年度末に終了することから、所有者に対する個別の働きかけを強化してまいります。今後とも、国や東京都、中央区耐震促進協議会との連携を図りながら建築物の耐震化を進め、災害に強い安全なまちづくりの実現を目指してまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十七番 田中広一議員登壇〕

○二十七番(田中広一議員)
 それぞれの質問項目に対しまして、御答弁ありがとうございました。

 今回、三点質問させていただきました。

 まず、最初の就労支援についてでございます。

 これまでどちらかというと、中央区は人口も少ないですし、むしろ国や都が行っていく事業だという受け取り方をされているのかなと私は感じておりました。しかし、私もいろいろ御相談いただく中で、例えば若い方でいえば、ある程度恵まれた環境の中において、勤めたけれども、すぐやめてしまって、その後なかなか次の転職活動ができない。また、これは杉並区の担当者も言っていましたけれども、私も相談を受けながら感じているんですが、少し精神的にまいってしまっているような方も見受けられる。杉並もそれがすごい特徴で、新センターをオープンしたことによって、それがよくわかった、そのようにもおっしゃっておりました。したがって、先ほど区長から御答弁いただきましたとおり、区として、きめ細やかにしっかり進めていただきたいと思います。

 一つの象徴として、ここに行けば相談ができる、ここに行けば情報がもらえる、そういった拠点をつくっていく。この中央区就労支援センター、仮称ですけれども、こういったことを着実に検討して進めていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 二番目の質問で、保育所及び特別養護老人ホームの整備について質問させていただきました。

 保育所につきましても、先ほどの就労支援と、ある意味関連しているところもありまして、乳幼児人口はふえていますけれども、やはり先ほどの御答弁があったとおり四○%を超える方が保育ニーズ、働きたいんだという意識を持っておられる。そういった中で、本当に一生懸命保育園の整備はしているんですけれども、なかなかそのスピードに追いつけないという、そういった現状であります。しかしながら、本区の保育所等は大変質も高いという地域の方からの声も聞いておりますので、その点、しっかりと質も確保しながら、受け入れ枠の拡大を同時に進めていただきたいと思います。先ほどの御答弁でも、今年度もまた再度しっかり検討している、協議を進めているというお話がありましたので、次年度の四月には本当に待機児童を解消できるよう進めていただきたいと思います。

 そういった中で、ある程度の枠を広げた中で、やはり国や都が進めている、それこそ小規模保育ですとか、そういったことを組み合わせていく中で、地域によって、また場所によっては、そういったやり方が必要だという場面もあるかもしれません。やはりその基盤となる認可保育所をしっかり整備してから、その上で国や都の事業を生かしていく、こういった視点が必要かなと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、特別養護老人ホームについては着実に進めていくということで、よろしくお願いします。また、都外については、なかなかニーズがないということで、その点は理解をさせていただきました。

 最後の防災・減災対策についてということで、これはどちらかというと東京都あるいは国の援助を使って東京都が進める、こういった内容が中心ですけれども、やはり地域の方からは不安だという声もいただいておりますので、なかなか区が直接動くものは少ないんですけれども、しっかり進めていただきたいと思います。

 その中でも、公共施設については、中央区はもともと阪神・淡路大震災以降、大分進めていますので、やはり課題は民間だと思っております。先ほど御答弁いただいていますけれども、これは総点検をやって、建築士の皆さんがよく御存じのとおり、所有権の問題ですとか、さまざまな障害が出ておりますので、少しでもそういった困難を乗り越えた事例をしっかりとPRしていただいて、一件でも多く耐震化を進めていただきたいと思います。

 以上、要望を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後三時五十一分 休憩


午後四時十分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。一番加藤博司議員。

一番 加藤博司議員登壇

○一番(加藤博司議員)
 日本共産党の加藤博司です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問については留保させていただきます。

 まず最初に、六月二十三日投開票されました東京都議会議員選挙で、暮らしと景気、原発ゼロ、日本国憲法を守り生かすの三つの呼びかけと築地市場移転反対を訴えた日本共産党は、改選八議席から十七議席に躍進し、都議会第三党、議案提案権を持つ強力な都議団になりました。

 私は、都議選を通じて、都政問題と一緒に、憲法を守れ、九条を守れの声が区民の間にも日増しに大きくなってきたことを実感しました。

 そこで、質問ですが、参議院選を前に、自民党は六月二十日、参議院選公約二○一三を発表し、時代が求める憲法をなどとし、憲法改正原案の国会提出を目指すと明記し、憲法改正の発議要件を衆参それぞれ過半数に緩和することや、国防軍の保持などを列挙しました。

 憲法九条一項で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、二項では「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と書かれています。これまでも歴代の自民党政府は、解釈改憲で自衛隊を増強してきましたが、九条二項が歯どめとなって、海外での武力行使はできないという建前は崩せませんでした。九条二項の「国の交戦権は、これを認めない」を取り払うことは、日本を再び戦争できる国につくりかえることと私は思います。区長の認識はいかがですか。

 私は、憲法九条は、さきのアジア・太平洋戦争で日本国民三百十万人以上、アジア諸国では二千万人以上の犠牲と痛苦の反省の上に、二度と戦争をしないことを宣言したものと思います。日本は二度と国権の発動により戦争を行わないという国際公約と考えますが、区長の見解はいかがですか。

 また、国際紛争を戦争にさせないために、憲法九条を生かし、軍事に頼らない、道理に立った外交交渉によって解決を図るべきと考えます。いかがですか。それぞれお答えください。

 安倍首相は、改憲の発議を衆参議員の過半数にすることで改憲へのハードルを低くし、一般法律と同じにし、憲法改悪を図ろうとしています。このような動きに対して、元自民党幹事長の古賀誠さんは、「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューに答えて、「九十六条を変えて憲法改正手続のハードルを下げるということが出ていますが、私は認めることはできません。絶対やるべきではない」と述べ、「憲法は我が国の最高法規です。他の法規を扱う基準とは違うのは当然」と語っています。私もそのとおりだと思います。

 今、改憲論者も参加し、憲法で制限を受ける側の権力が憲法改正規定を変えるのは、ゲームの当事者がルールを勝手に変えるのと同じと批判し、憲法を破壊させないとして九十六条の会が発足するなど、立場の違いを超えて反対の声が広く沸き起こってきています。区長は、九十六条を改定し憲法発議要件を緩和することについて、どのようにお考えですか。お答えください。

 次に、安倍政権の経済政策、アベノミクスについてです。

 長引く不況のもと、景気回復を求める声はますます大きくなっています。安倍首相が、昨年末の政権発足以来、日本経済の再生の最優先課題として持ち出してきたものが、金融緩和、財政出動、成長戦略の三本の矢で、いわゆるアベノミクスと言われる経済政策です。

 第一の矢である異次元の金融緩和は、金融緩和を始めた直後に円安・株高となったものの、史上十番目の大暴落を記録した五月二十三日を境に、株価は乱高下を繰り返し、制御不能になっています。ここには政府が投機とバブルをあおる異常な経済政策の危うさがあらわれているのではないでしょうか。円安によって電気、ガソリンなどのエネルギーや食料品の値段が上昇し、業者や消費者を直撃しています。日銀が発表した三月の企業短観によると、企業の景況感を示す指数は、大企業製造業は円高是正や海外経済の持ち直しで九カ月ぶりに改善しているものの、中小企業製造業は円安に伴う原材料や電気代などの値上がりが重荷となり、五期連続で悪化しています。バブル促進型の金融政策では実体経済の回復を伴わず、賃金は上がらないために、圧倒的多数の国民の暮らしは苦しくなるばかりではないでしょうか。

 第二の矢である機動的財政出動は、二○一二年度の補正予算と二○一三年度予算で明らかなように、基本は借金を元手にしたもので、軍事費や大型公共事業への自民党型ばらまきの復活だけが目立っています。これは、財政破綻を一層深刻にさせるものではないでしょうか。

 第三の矢である成長戦略には、解雇しやすい限定正社員の導入や、金さえ払えば解雇できるという仕組みなどが盛り込まれました。これは、企業活動の障害になるルールを取り払い、安倍首相が述べているように、日本を世界で一番企業が活動しやすい国にするものです。安倍首相は、十年間で国民の平均年収を百五十万円ふやすと繰り返し発言しています。四人家族なら六百万円もふえることになります。しかし、安倍首相の言う国民総所得(GNI)は、日本人や日本企業が国内や海外で得た所得の総額であり、国民の所得がふえるとは限らないのです。自民党は、GNIを最大化するとして、企業が海外展開するための環境を整備するとしていますが、これは多国籍企業のもうけを重視するものです。

 このように、アベノミクスの三本の矢には国民の所得をふやす矢は一本もなく、国民にとって三本の毒矢とも言えるものであることが明らかになっているのではないでしょうか。

 働く人の平均給与は一九九七年のピーク時から年間約七十万円も減っているように、長期にわたって国民の所得が減り続けていることにこそ日本経済がデフレ不況に陥った最大の要因があります。景気をよくするためには、内需を拡大することが必要です。日本共産党は、国民の所得をふやすこと、働く人の所得を温めることが本格的な景気回復の道と考えています。例えば、二百六十兆円の内部留保をため込んでいる大企業が、その一%を従業員の賃金に使えば、八割の大企業で月給一万円ふやすことができるという試算があります。大企業が従業員の賃上げや下請単価を上げるなど、社会的責任を果たすことによって内需拡大への道が開けるのではないでしょうか。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、いわゆるアベノミクスの第一の矢である金融緩和は、大企業にとっては景気のいい話でも、庶民生活と中小企業の経営を破壊するものであると考えますが、いかがですか。

 第二に、第二の矢である財政出動は、財政破綻を一層深刻にさせるものだと思いますが、いかがですか。

 第三に、第三の矢である成長戦略は、働く人を犠牲にする企業に対する規制緩和だと思いますが、いかがですか。

 第四に、国民総所得(GNI)をふやしても、十年間で国民の平均年収を百五十万円ふやすという表現は正確ではなく、国民に誤解を与えると思いますが、いかがですか。

 第五に、現在のデフレ不況の原因についてどのように認識していますか。

 第六に、内部留保を活用して国民の所得をふやしていけば、内需をふやして景気をよくする道につながると思いますが、いかがですか。

 第七に、労働法制の規制緩和はすべきでないと思いますが、いかがですか。

 第八に、正規職員、正規社員が当たり前の安定した雇用ルールが求められていると思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次に、消費税増税と社会保障改悪について質問します。

 安倍内閣が打ち出した骨太の方針では、社会保障を際限なく削減すると明記されています。今、生活保護改悪が大問題になっていますが、それを突破口に、年金、医療、介護など、社会保障を切り捨てる計画がめじろ押しです。その上、二○一四年四月には消費税を八%に上げ、翌二○一五年十月には一○%に大増税を行うなど許されるものではありません。

 消費税増税は、国民の暮らしにも中小企業の経営にも大打撃を与えます。こんな国民いじめ、中小企業の経営や商店いじめの消費税増税はやめるべきです。そもそも、今、消費税を増税しても、景気を悪化させ、国民の所得、企業の利益が減れば、税収全体は減ってしまいます。一九九七年の消費税増税のときに消費税の税収はふえましたが、法人税や所得税などの他の税収がそれを上回る減収になり、税収の総額は九十兆円から七十六兆円に十四兆円も減ってしまいました。今回の消費税大増税は、この悪循環をさらに大規模に繰り返す危険があります。

 また、高齢者の生活を支えている年金はことし十月から減額され、生活保護費は八月から削減されます。国保などの社会保障費の負担も毎年毎年増加しています。これでは国民一人一人の物を買う力が痩せ細るばかりです。消費税増税と社会保険料値上げなどを合わせて二十兆円もの負担増を一気に国民にかぶせるなどというのは、政府がみずから進める大不況推進策です。私は、消費税増税と社会保障費の負担増が国民の暮らしを根底から破壊してしまうと思います。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、区民や区内中小企業などに与える消費税増税の影響をどうお考えですか。国民の六割から七割が反対している消費税増税はきっぱりと中止すべきと考えますが、いかがですか。

 第二に、社会保障の改悪が区民生活に与える影響についてどうお考えですか。今必要なのは消費税増税ではなく、国民の所得をふやすことです。政府に対して年金額の削減中止を求めるべきと考えますが、いかがですか。

 第三に、税金は、所得や資産など能力に応じた負担の原則で集めるべきです。大金持ちほど低い所得税の負担率を改める必要があると考えます。増税するなら、まず富裕層から所得税の負担を上げるよう求めるべきです。区長の御見解をお答えください。

 次に、高過ぎる国民健康保険料についてお聞きします。

 国民健康保険料の納付通知書の送付が始まっています。東京二十三区内では、年二万円から十六万円もの値上げの人もいます。受け取った住民から、高くて払えない、毎年値上げが繰り返され、もう限界と悲鳴が上がっています。この背景には、国や都の補助金の削減があります。また、国保加入世帯は、失業されている方、非正規労働者や年金生活者などが多く加入する健康保険です。厚生労働省の試算によりますと、国保加入者の平均収入は二○○四年度から二○○八年度の五年間で見ると、年間百三十万円台で推移し、一方、国保料は二○○八年世帯平均で十五万七千六百九十六円と、年間所得の一一・四%を占めるに至っています。

 もともと国民健康保険制度は、国の財政支援がないと成り立たない制度です。毎年毎年の国保料値上げで、国保加入者が保険料を払い続けられなくなります。保険料滞納のため、短期証や資格証あるいは無保険となり、必要なときに必要な医療を受けることができなくなり、国民皆保険制度を根本から破壊してしまうのではないかと思います。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、中央区の国保滞納世帯は、二○一三年度の加入世帯二万七千二百七十八世帯、うち滞納世帯は七千五百十四世帯と滞納の割合は二七・六%にも上り、四件に一件が滞納世帯となっています。全国平均が二○%くらいですから、全国平均と比べても非常に高い水準です。このことについて、どのような御見解をお持ちですか。お聞かせいただきたいと思います。

 第二に、高過ぎる国保料を下げるために、国や都に、減らされた補助金の増額を要求すべきと考えます。いかがですか。

 第三に、区内に国保未加入者がどの程度いるのか、つかんでいますか。また、国保未加入者及び未納のために保険証を喪失した加入者への対応はどのようになっていますか。お答えください。

 次に、生活保護について質問します。

 年収二百万円以下のワーキングプアが六年連続で一千万人を超えるなど、貧困問題が深刻化する中で、生活保護利用者が増加しています。中央区も例外ではありません。生活保護受給者の増加の原因は、高齢者の場合はぎりぎり生活していたのが、社会保障の改悪で医療費や介護の保険料・利用料が増加する一方、低い年金がさらに引き下げられ限界に達していること、青年労働者の場合は非正規や派遣労働という不安定な雇用状況、リストラ合理化、収入減が挙げられます。

 私たち議員団にも、生活保護に関する相談がいろいろ寄せられています。ある七十代の男性は、まだ働いていますが、不定期な仕事のため、アパートの家賃が払えなくなって親類のお店で寝泊まりをしており、住まいを確保したいという相談でした。別の六十代の男性は、会社が残業代を払わないなど就業規則違反ばかりしていることに我慢できず、個人加盟の組合に入って交渉中で、給与が出ない中、やはり家賃が負担できず友人宅を転々としているという状態です。また、三十代の会社員の女性は、会社の合併で給料がどんどん切り下げられ、母親を扶養しながらぎりぎりの生活をしていると切実な訴えがありました。いずれも、今現在の収入が生活保護の基準よりわずかに上回っているため、保護申請に至りませんでした。別の八十代の女性の場合は、保護基準内の家賃の住まいに転居する費用で貯金が底をついたら受給できるめどが立ちました。

 生活保護制度が本当にセーフティネットとして機能しているかが問われていると思います。現在生活保護を利用している世帯の生活も、本当に厳しいものです。部屋の電気はなるべくつけない、食事も一日二食にしているなど、生活費を切り詰めなくてはならないのはもちろん、医療証を持って診療所に行くと生活保護世帯だとわかり、冷たい対応を受けるという話も複数寄せられており、惨めな思いをするなど、精神的な負担も大きいのが現状ではないでしょうか。今でも健康で文化的な生活を国民に保障する憲法二十五条に基づく制度として決して十分ではない生活保護費ですが、安倍自公政権は二○一三年度予算で生活扶助費百五十億円を引き下げ、期末一時金の見直しで七十億円、合わせて二百二十億円もの削減をこの八月から実施しようとしています。

 そこで、お聞きします。

 生活保護世帯の生活実態について、どうお考えですか。

 生活保護費の削減で、特に多人数世帯、つまり子育て世帯で減額幅が大きいとされていますが、影響を受ける世帯の割合と総額はどのくらいなのかお示しください。また、受給者の生活にどのような影響が出ていると考えますか。お答えください。

 さらに、自公政権は生活保護法自体の改悪を行おうとしていましたが、昨日、参議院で廃案になりました。しかし、政府はことしの秋に想定される臨時国会で再提出する考えです。

 この法案が持っている問題の第一は、申請者を制度の入り口で締め出す制度が設けられていることです。現行法では、口頭であっても申請を受け付けなければなりませんが、改定では、申請に関係書類の添付を必要とし、申請のハードルを高めることになります。

 また、第二に、親族による扶養を事実上の要件に変えることで資産や収入を徹底して調べ、生活の苦しい親族にも仕送りを迫るものです。今でも生活保護の申請をためらい、いろいろ聞かれることが負担となって申請を諦める人が多い中、さらに水際作戦を助長することになるのではないかと考えます。このようなことが行われれば、生活苦に陥っても申請すらできない人や、親族に迷惑がかかると申請をためらう人が激増し、貧困による餓死、孤立死が相次ぐ事態を引き起しかねません。

 そこで、お聞きします。

 第一に、政府が進めようとしていた生活保護の見直しは、憲法二十五条の生存権という国民の権利から見て大問題だと考えますが、区長の御見解はいかがですか。

 第二に、保護を受給できる人が生活困窮者の二割程度しかいない問題の解決こそ急ぐべきであり、区内において生活保護基準以下で生活している区民の実態を把握し、生活再建に向けた支援を行うべきと考えますが、いかがですか。

 第三に、生活扶助基準は区市町村民税の非課税基準や地域別最低賃金、就学援助、保育所の保育料など、いわば日本の社会保障水準の物差しとなっており、生活扶助基準の引き下げは各種制度に波及します。保護基準の引き下げによって、どのような影響が出るとお考えですか。自治体が独自に基準を設けて認定する就学援助の準要保護世帯の基準など、せめて現状維持できるよう、区が財政的に支える考えはありませんか。御見解をお聞かせください。

 次に、子ども・子育て支援制度について質問します。

 認可保育所の入所の希望は、依然として高いものがあります。全都で二万一千人の待機児がおり、中央区においても六月時点で待機児は四百六人に達しています。認可保育所の不足により、全都で子供を預けられないお父さん、お母さんが行政不服審査請求を行うなど、認可保育所の不足は深刻です。

 二○一二年八月、社会保障と税の一体改革の一環として、消費税増税法案とセットで子ども・子育て支援新制度(新制度)関連法案が成立しました。新制度については、保育関係者だけでなく、研究者や弁護士団体からも反対の声が上がり、運動が広がったことで、現行保育制度の基本である市町村の保育実施義務を保育所には残すことができました。しかし、子供の保育に格差を持ち込み、保育を市場に委ねるという制度の本質は変わっていません。保育所探しが保護者の自己責任になってしまうと大きな不安と批判の声が広がった直接契約の制度も、基本的に原案どおり導入されています。

 政府は、二○一五年四月から、関連三法による子ども・子育て支援新制度の本格実施を目指しています。そして、新制度の実施主体である区市町村には、国の方針を踏まえ、二○一四年十月から認定手続など、新制度の具体的作業に入るよう求めています。国の日程に従えば、区市町村は来年の夏までに新制度にかかわるさまざまな基準や保育料などを条例で定め、住民に周知しなければなりません。ところが、肝心の国の方針、新制度の詳細は、内閣府に設置された子ども・子育て会議でこれから検討するというのです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、中央区においても、子ども・子育て会議の設置が進められていますが、制度の全体像さえ示されていないのに、わずか一年で本当に子供のためになる制度の準備ができるとお考えですか。

 第二に、新制度では補助金の対象となる施設等の種類がふえることにより、施設型保育と地域型保育に分けられます。施設型保育の中の児童福祉法二十四条第一項による市町村が保育を実施する保育所以外は、児童福祉法二十四条第二項による利用者と施設が直接契約をする施設となり、自治体は直接的な責任を負いません。入る施設によって異なる自治体の責任のとり方の格差は、子供の平等という原則から大きく外れていると考えますが、区長の御見解をお示しください。

 第三に、保育所を利用する子供も、それ以外の施設を利用する子供も、同じように保育を受ける権利が保障されるよう、公的責任が重い第二十四条一項を基本にした制度運用が必要です。二項の対象になる施設、事業についても、一項同様、区が保育の実施責任を負うべきだと思いますが、いかがですか。

 第四に、新制度では、施設によって基準も別々につくられるため、職員の配置や保育室の面積なども異なることになりますが、施設に差をつけることは子供を差別することになります。保育環境や保育条件に格差を生んではいけないと思いますが、区長のお考えをお示しください。

 第五に、世界的に見ても、現行の保育所、幼稚園の基準は低過ぎるため、少なくとも現行の保育所最低基準は保障されるべきだと思いますが、いかがですか。

 第六に、新制度では、保護者が入所申請をする前に保育の必要性、必要量の認定を受ける仕組みに変わります。保育が必要かどうかの必要性、受けられる保育時間は何時間かの必要量は、保護者の就労状況が基本となるため、これまでよりも保育時間が短くされてしまったり、障害を持つ子供が認定されないなどの問題が起こりかねません。認定は、保護者の状況だけでなく、子供の状況を基本とすべきだと思いますが、区長の見解をお示しください。

 第七に、保育を自己責任に解消させることなく、これからも自治体が責任を持って現行の公的保育を守っていくべきと考えますが、区長の御見解をお聞かせください。

 第八に、保育環境が劣る都の認証保育所の増設ではなく、認可保育所で待機児の解消を図るべきと考えますが、区長のお考えはいかがですか。

 第九に、区内にある国有地や都有地を積極的に活用して認可保育所の増設を図ることが必要です。区内に保育所に活用可能な未利用国有地・都有地がどこにどれだけあるか、お示しください。

 それぞれお答えください。

 次に、築地市場移転について質問します。

 新しい都議会は、築地市場の現在地の再整備を一貫して主張している日本共産党が十七議席に躍進し、それに反して、移転反対から推進に転向した民主党は、都民や区民の厳しい審判を受けました。この結果、依然として都民、区民の多くが築地市場の現在地再整備をしてほしいと望んでいることが明らかになったのではないかと思います。

 築地市場の豊洲移転は、土壌汚染対策費、建設費とも当初の予算より大幅に増額され、現在四千五百億円まで膨れ上がっています。とりわけ、土壌汚染対策工事は八十六億円増の六百七十二億円となり、工事期間も一年間延長して行うとしています。しかし、環境学会の専門家は、それでも土壌が浄化されることは不可能と指摘しています。築地市場移転問題について、日本共産党の笠井亮衆議院議員への二○○七年十一月二十七日付の政府答弁書で、食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づく万全の対策、また消費者等に対して対策の内容などについて十分な説明を行い、その理解を得ることを挙げています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、都議選で日本共産党が躍進したことは、政府答弁の消費者の理解を得ることができていないことを証明していると思いますが、いかがですか。

 第二に、環境学会の専門家の指摘は、政府答弁の万全の対策がとれていないと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、憲法第九条及び第九十六条についてであります。

 日本国憲法が基本原理として定める平和主義、国民主権、基本的人権は、いかなることがあっても守られるべきものであると考えております。とりわけ、平和は人類繁栄の礎であり、その実現は今を生きる私たちに課せられた最大の使命であります。本区におきましても、昭和六十三年に中央区平和都市宣言を行って以来、常に平和を区政の根幹に位置づけ、区のあらゆる施策に反映させているところであります。憲法第九条と国の安全保障につきましては、さまざまな議論、解釈がありますので、広く国民の意見を踏まえ、検討されるべき問題であると考えており、国際紛争についても、外交交渉により平和的に解決されるべきものであります。また、九十六条は日本国憲法が国の最高法規であることから、改正要件を他の法律より厳格に定めた重要な条項であります。そのため、改正に当たっては、国は十分な情報を提供するとともに、丁寧な議論を積み重ね、最終的には国民の判断に委ねるべきものであると存じます。

 次に、経済政策についてであります。

 国の月例経済報告では、五月、六月、二カ月連続して景気の上方修正が行われ、区の四月の景気動向調査においても、景気回復への期待感から消費意欲が高まっているとの声が聞かれるなど、明るい兆しが見えつつあります。こうした景気回復の機運は、経済再生の政策が広く国民に受け入れられ、海外からも評価されている結果であると認識しております。金融政策により過度の円高の是正や株価の回復が図られ、外国人観光客の増加や高級ブランド品の販売増、一部企業におけるボーナスの増額などの効果があらわれております。しかしながら、こうした景気回復の効果が区内の中小企業に波及するには、もう少し時間がかかるものと考えております。また、財政出動については、景気の下支えを行いつつ、切れ目のない経済対策を実行することが目的であり、歳出の無駄を最大限縮減するとされております。また、成長戦略では、先端設備投資や革新的研究開発などの民間投資を喚起し、持続的な成長を目指しており、あわせて女性や若者の安定した就労環境づくりも行われるものであります。なお、六月五日に安倍首相が発表した成長戦略第三弾の骨子では、一人当たり国民総所得を十年後には百五十万円ふやすと説明されております。

 次に、デフレ不況についてであります。

 その原因については、人口の減少や過度な円高など、複合的な要因があると認識しております。企業の内部留保については、外部環境の変化や将来に向けた設備投資への備えであり、その活用については企業の経営判断にかかわるものと考えます。また、限定社員制度の導入を目的とする労働契約法の改正については、成長産業への再就職の促進を図ることが目的であり、現在、国において検討されているものであります。

 次に、雇用形態についてであります。

 生活や価値観の多様化などにより、さまざまな形での働き方があるものと認識しておりますが、労働に対する適正な報酬や処遇が図られるべきものと考えます。

 次に、消費税増税と社会保障制度改革についてであります。

 消費税率の引き上げは、国民の税負担が増加し、可処分所得を減少させることから、さまざまな意見があることは十分承知しております。こうしたことから、国は引き上げに当たり経済状況などを総合的に勘案して判断するとしており、国民生活の激変にも柔軟に対応できるよう、簡素な給付措置や軽減税率の導入などの仕組みを設けるとしております。さらに、価格競争力の乏しい中小企業や商店が消費税分を円滑かつ適正に転嫁できるための対策も講じることとしております。区においても、こうした国の動向を注視し、これまでと同様、経済環境の悪化や社会状況の変化には柔軟に対応し、区民生活を守る立場で施策に取り組んでまいります。また、社会保障制度改革は、国民の負担を抑制しつつ、必要なサービスが受けられるよう、現在設置されている社会保障制度改革国民会議の中で国民生活への影響を慎重に見きわめ、議論が尽くされるべきものと認識しております。年金の特例水準の解消については、特例的に据え置いてきた年金額を本来の水準に戻すものであり、年金制度の維持という観点から、解消は必要であるため、国に対して中止の要望は考えておりません。なお、税の応能負担についてでありますが、社会保障と税の一体改革において、格差の是正と所得再分配機能の回復を図る観点から、特に高い所得階層に絞って一定の負担増を求めるとしており、これを受け、税制改正において所得税や相続税の最高税率の引き上げなどが決定されたところであります。税制については、今後も負担の公平や応能・応益のバランス、所得の再分配機能などの視点に立ち、国民の合意のもと、議論されていくべきものと考えます。

 次に、国民健康保険料についてであります。

 都市部では、社会保険が適用されない非正規労働者の方や倒産等により離職する方が多いことから、滞納世帯割合が全国平均よりも高いと指摘されており、本区においても同様な傾向があると考えております。また、本区の国保未加入者については、国保加入の届け出をしていただかない限り、他の健康保険の資格を喪失したことがわからないため、国保未加入者の数を正確に把握することができません。しかし、国保未加入者のうち、倒産等で離職し保険料の支払いが困難な方には非自発的失業軽減制度による保険料の減額手続を御案内し、納付相談に応じております。なお、資格証明書を発行した被保険者が自己負担額を支払えない状況が生じた場合は、短期保険証を発行するなど、個々の事情に応じたきめ細やかな対応に努めております。また、昨年度、国は保険財政基盤を強化する法律改正を行いましたが、引き続き国庫負担の一層の充実を図るよう、全国市長会を通じて要望してまいります。

 次に、生活保護についてであります。

 生活保護の生活扶助基準については、本年一月に取りまとめられた社会保障審議会生活保護基準部会における検証結果を踏まえ、年齢、世帯人員、地域差による影響や物価の動向を勘案し、適正化を図ったものであると認識しております。この見直しについて、本区では生活扶助費総額約六百六十万円の減額と試算しており、一人当たりに換算すると月額約八百五十円の減額となります。また、減額幅の大きな四十歳以下の多人数世帯が占める割合は約五%となっております。生活保護法の改正案は、必要な人には確実に保護を実施するという基本的な考え方を維持しつつ、生活保護制度が国民の信頼に応えられるよう、就労による自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化等を図るためのものであったと認識しております。生活保護基準以下で生活している区民の実態につきましては、地域の民生委員の見守り活動を初め、全庁的に把握に努め、相談窓口につながるよう働きかけております。また、離職者を対象とした住宅支援給付事業において、就労支援や生活相談を強化するなど、生活保護に至る前の段階での自立に向けた取り組みを進めているところであります。

 次に、生活保護基準の見直しに伴い、他制度に生ずる影響についてであります。

 国は、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方としております。今回の基準改定により、これまで生活保護受給者であった方が対象でなくなることはほぼないと想定しておりますが、今後、区の独自事業において影響が出る場合には、他自治体の動向等も踏まえ、適切に対応してまいります。

 次に、子ども・子育て新制度についてであります。

 現在、国の子ども・子育て会議において、基本指針や子ども・子育て支援事業計画、保育の必要性の認定基準など、制度の根幹となる事項について検討を進めております。こうした国の動向を注視しつつ、東京都とも連携をとり、新制度に対応できるよう、しっかりと取り組んでまいります。新制度における保育の実施責任につきましては、児童福祉法第二十四条第二項で自治体が必要な保育を確保するための措置を講じなければならないとされており、地域ニーズに応じた手段で全ての子供に保育を保障することを自治体に求めていることから、同条第一項の趣旨と変わるものではありません。新制度における保育施設の基準につきましては、従うべき基準と参酌すべき基準の二つが国から示されることになります。現在、基準の詳細については、国の子ども・子育て会議で検討されております。保育の必要性の認定につきましても、ひとり親の子供や障害のある子供、虐待を受けるおそれのある子供などの優先的な利用について、国の子ども・子育て会議の中で議論されております。いずれも、今年度中に国から示される基準に沿って、適正に対応してまいります。

 次に、認可保育所の増設についてであります。

 これまでも、区は保育の実施主体として責任を持って保育環境の整備に取り組んでまいりましたが、新制度導入後も区が保育の実施主体であることに変わりはございません。今後の保育所の増設につきましては、認可・認証保育所をバランスよく配置し、保育環境の充実とともに、待機児童ゼロに向け、区が責任を持って取り組んでまいります。なお、未利用国有地につきましては、国から勝どき五丁目の国土交通省宿舎跡地が提示されましたが、未利用都有地につきましては、現時点で東京都からの提示はございません。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 都議会においては、平成二十三年三月、二十年を超える議論を経て移転が決定されており、消費者等の理解に向けては都が十分に説明責任を果たしていくべきものと認識しております。食の安全・安心は、改めて申し上げるまでもなく、市場移転の大前提であります。安全性に関しては、さまざまな意見があるものと存じますが、都は技術会議の結論を踏まえた対策を講じ、安全な開場に向けて万全を期するとし、昨年七月以降、都と市場事業者等で構成する協議会のもとで、処理状況の確認などが行われております。御指摘の政府答弁への対応については、最終的には農林水産省による認可の際に判断されるべきものと考えております。区といたしましては、引き続き区民や関係者等への十分な説明と情報公開を都に求めるとともに、築地の活気とにぎわいを確実に守り、さらなる発展につなげられるよう、市場移転後のまちづくりに区の総力を挙げてまいります。

 答弁は以上であります。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 それぞれ御答弁いただきましたけれども、憲法九条と九十六条をめぐる動きについては、もう少し私は危機感を持って対応していただきたいと思うんです。

 例えば、自民党が新防衛大綱の提言として、国防軍の設置とともに海兵隊機能を持った水陸両用部隊の新設や、敵基地攻撃能力の保有を唱えているわけです。私は、自衛隊の侵略機能の強化を図ろうとするもので、自衛隊の組織と装備の面でも日米軍事同盟のもと、アメリカと一緒に海外で戦闘する危険が大きくなってきているのではないかと思います。その最後の障害が憲法九条の二項なんです。

 私は海外で戦闘をしたいという思いは、憲法九十六条の先行改定で憲法改定のハードルを低くして、時の権力が都合のいいように簡単に憲法を変えることができるようになると思います。この点については、もう一度区長の御認識をお伺いしたいと思います。

 それと、改憲を声高に言っている皆さんは、北朝鮮の問題や中国の関係を考えても憲法の改定が必要だと言っているわけですけれども、しかし、先ほど言いましたように、北朝鮮の問題にしても、中国との領土問題にしても、何よりも求められるのは道理に立った外交交渉によって解決を図ることではないでしょうか。紛争を戦争にしない、紛争の対話による解決は、今、世界が真剣に取り組んでいる課題ではないかと思います。

 東南アジア諸国連合、ASEANですけれども、東南アジア諸国連合の国々では、紛争が起こっても絶対に戦争にしない、軍事に頼らない平和的安全保障の考え方を取り入れ、それを今、実践しています。このASEANの方式を北東アジアにも広げようというのが日本共産党の提案です。その際、最も力強いよりどころとなるのが憲法九条です。その憲法九条を生かした平和外交によって、アジアと世界の平和に貢献することができると私は考えます。その点について、もう一度区長の見解、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 それから、アベノミクスの問題についてですけれども、先ほど言いましたように、平均給与がピーク時より年間七十万円も減っているということです。つまり、単純に言うと二カ月分の給料が減っているわけです。長期にわたって国民の所得が減り続けていることこそが日本経済のデフレ不況に陥った最大の要因だと思います。安倍首相は、さっき言いましたように、投資減税を行い、法人税の大胆な引き下げで大企業がもうかれば、やがて国民にも回るということは、もう既に破綻した政策と言ってもいいんだと思います。収入が落ち込み、その上、消費税増税、社会保障費の負担増。国民にとっては、安倍政権の経済政策は三本の毒矢どころか、五本の毒矢と私は言ってもいいのではないかと思います。今、国民の懐を温め、冷え込んだ消費を元気にすることが最大の景気対策ではないかと考えます。再度、この件について区長の見解をお聞きしたいと思います。

 消費税と社会保障の問題ですけれども、これまで消費税を増税するときには社会保障を充実ということが必ず枕言葉にあったんです。ところが、今回の場合、消費税増税がもう既に決まったかのごとく、社会保障の改悪だけが議論されている、そのように私は感じるんです。

 税と社会保障の一体改革で、国民生活と医療、介護、年金を初めとする社会保障制度を破壊、解体に追い込むのではないかと思います。私は、中央区がこのような攻撃に対して、区民生活を守るために文字どおり防波堤となることが、今、求められているんだと思うんです。区民生活を守るという視点で区長の姿勢はいかがか、お伺いしたいと思います。

 それから、国民健康保険料についてですけれども、ある統計によりますと、民医連加盟事業所から報告のあった死亡事故、二○○九年一年間で見ると、三十七名が死亡事故で届けられているんです。内訳は、国保資格証明書四人、短期保険証六人、そして、これが大変なんですけれども、無保険者が二十七人です。経済的理由から病院に行かれず、手おくれで死に至るケースも報告されています。私は、このようなことを絶対に中央区では起こしてはならないと、そのことを思います。

 そのためにも、中央区として、高過ぎる保険料を下げるために、より一層の努力はすべきです。そして、東京都は今年度、区市町村の国保財政への独自支援策を三百二十億円から四十三億円に減額したわけです。その結果、国保料の大幅値上げを招いている要因です。都の独自支援策の増額を申し入れるべき、そのように区長も答弁しておりますけれども、ぜひこの点については強力に取り組んでいただきたいと思います。

 それから、生活保護についてですけれども、先ほども言いましたように、生活保護改悪法案は、改悪を許すなという国民的な運動の中で、ついに今国会で廃案になりました。しかし、政府は依然として諦めていないんです。私は、生活保護など社会保障は施しでもお金で買う商品でもなく国民の権利、これは近代社会の大原則ではないかと思います。以前、政府、そしてマスコミも一緒になって、ほんの一握りの生活保護の不正受給者を取り上げ、生活保護の受給者がさもみんなが不正受給しているかのような、国民同士をたたき合うようにしむける、分断攻撃やバッシングを行うことは絶対に許されないと思います。生活保護受給者がたばこやお酒、たまには映画を見に行くなど世間並みの暮らしがなぜ許されないのか、世間並みの生活をするのに足りない分を援助するのが生活保護だと思います。国民全体の生活を底上げすることにつながると思います。区長の見解を改めてお伺いしたいと思います。

 それから、子ども・子育て支援新制度についてですけれども、現行の児童福祉法二十四条に、市区町村は保護者から入所の申し込みがあったときは子供を保育所で保育しなければならないと。この保育所というのは認可保育所のことなんです。この趣旨からいえば、保育ママさんとか認証保育所、これは東京都独自の制度ですけれども、これらは認可外保育所、あくまでも補完の施設です。何よりも子供の保育に格差を生み出すことがあってはならないと思います。

 ところで、先ほど国家公務員宿舎跡地の提供がされているということがあったわけですけれども、これについて、ぜひその場所に保育園をつくれるように全力を挙げて取り組んでいただきたい。それから、東京都についても、やはりきちんと、こういう状況があるわけですから、認可保育所が足りないわけですから、中央区においても六月現在で四百六人の待機児がいるわけですから、それを解消するために、保育環境が劣る認証保育所ではなく、中央区基準、中央区ルールに基づいた認可保育所をきちんとつくるということで、私は積極的に東京都にも働きかけていく必要があるのではないかと思います。その点について、区長の決意を述べていただきたいと思います。

 それから、築地市場の問題については、やはり豊洲の予定地は消費者の理解や科学的な見地に基づく安全性の前提条件が確保されていないと思います。東京ガス工場跡地では、食の安全は守れないと思います。いつ来てもおかしくないと言われている首都直下型地震によって、建物は無事でも、敷地の液状化によって汚染された地下水が噴き出し、市場機能が失われることも考えられます。実際に、阪神・淡路大震災のときには神戸のポートピアみたいに一年以上も使えないことがあったわけですから、このことが豊洲の新市場を予定している場所で起きないとは限らないわけです。だから、リスクを負って移転させるのではなく、現在地できちんと再整備していくことが、地域の、中央区の中小企業経営者の皆さんの経営を守ることになるし、築地の繁栄もあるんだと思うんです。

 実際、私もいろいろな形でお話を聞く機会があります。銀座の近く、京橋の近くの方から聞いた話ですけれども、自転車屋さんです。ところが、その方が築地市場がなくなったら、私は商売をやめなきゃいけない、そういう話をされているんです。

 中央区というのは、築地市場を中心にして、築地の場外市場も含めて、そういう地場産業として成長してきているわけです。実際に、中央区が以前に調査を行ったという話はありますけれども、地域への波及効果、年間二兆円とも言われているわけです。これが失われるということは身を挺して移転を阻止するというのが、私は中央区の区長の立場ではないかと思うんです。確かに、東京都は強引に進めてきております。そのことは十分に承知しております。でも、地元区である中央区がきちんと旗幟鮮明にして、築地市場移転反対を唱えるということは、区民への激励にもなるわけですし、そのことが今、改めて求められているのではないかと思います。実際、今度、都議会で共産党は十七議席になりました。今まで八でしたから、なかなか難しいところもありましたけれども、十七という議席で、このことは全力を挙げて現在地再整備、大きな力になっていると私は確信をしております。ぜひそのことに目を向け、区民の、そして地場産業を守るという視点で、区長に改めて現在地再整備の声を聞きたいと思います。

 そのことを述べて、再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。

 憲法の問題でありますけれども、憲法九条を変えて海外で戦争ができるようにしたいということで、海外で戦おうという意思のあらわれだとか何かおっしゃっておりましたけれども、今、日本国民で海外で戦争したいなんていう方はいないんじゃないんですか、これ、本当に、全国民の中に戦争をしたいなんていう方はね。誰かいたら紹介してもらいたいと思うぐらいで、戦争をしたいなんていう方は一人もいないと思いますよ。

 無論、紛争の場合にはそういうことではなくて外交でやるということ、これは本当に加藤さんと一致するところですね。外交でしっかりとやっていくのであるということでありまして、戦争をやりたいから憲法九条を変えたいんだということにはくみできませんね。

 それから、アベノミクスでありますけれども、法人税の減税ですね。これは大企業だけがもうかるんだとか何とかいうことでありますけれども、そんなことないんだよね。法人、中央区内でも四万以上あると。この九十七、八%は中小企業なんですよ。そういう方々も減税を求めているわけでありますから、法人税の減税が大企業だけを優遇するものであるとは、私は思っていないところであります。

 それから、消費税、社会保障制度ね。消費税につきましては、先ほども答弁させていただきましたけれども、今、これからいろいろと国のほうで総合的に検討を始めるということでありましょう。区民生活を守る立場からね。そういうことでありますから、消費税をアップするならアップするで、いかにしたら守れるかという観点から、さまざまな施策を行ってくれる、そのことを大いに期待しているところであります。

 それから、生活保護。これは重要ですね。本当に重要である、こういうふうに思いますね。ハリーポッターの著者、シングルマザー、あの方だって、物すごくハリーポッターというのがあんな大評判になって世界中で大ヒットしましたけれども、やはり苦しいときもあって生活保護を受けて、そういうときもあったわけですよね。そこから頑張って、そして、ああいうすばらしい小説を書かれたということでもあるわけですから、人間何が起こるかわからないし、最低保障するんだというのはしっかりとやっていかなければならない、そういふうに思うわけであります。

 それから、保育に関しての未利用国有地、先ほど言いましたように勝どき五丁目、国土交通省宿舎跡地ですね。ただ、これはただじゃないようですね。しかるべきお金を取られるんでしょうけれども、それを使わなくてもできるように、先ほども答弁させていただきましたけれども、さまざまな企業の皆様方も参入したいということでありますから、待機児童が出ないように万全を期してまいりたいというふうに思うわけでございます。

 それから、築地市場。これは平成二十三年、都議会でもう決定されているわけですよね。採決が行われてね。でございますから、それはもう当然おわかりいただいていることと思うわけでございまして、民主主義ですからね。そういうことで行っているわけですけれども、しかし、食の安全・安心、これは移転の大前提であるということは東京都もそういう方針でありますし、本区としてもそういうわけであるわけでございまして、東京都がこれから、都の責任で行っているわけですからね、この事業は。ですから、いろいろな万全な対策を今、行いつつあり、これからも進めていくのでありましょうから、それはしっかりとやっていただきたいと思いますし、また情報の開示ですね、しっかりと進めていくように、区からももちろん東京都に対し、それは伝えてまいりたい。情報の公開ですね。こういうふうに進めてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 まず最初に、保育所の問題については、例えば新聞の報道にもありますように、土地購入の必要な問題については、権利金が不要となる定期借地権を使った方式で利用してもらうということも、いろいろな手法を考えていけば、決してお金がかかる問題ではないと思うんです。その辺は、やはり行政当局のほうで、きちんといろいろと、なるべくお金がかからないように検討して、お互いに、国ですから、そういうのをやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つ、都有地については、やはりこれは積極的に行政としても働きかけていく必要があると思うんです。猪瀬さんがスマート保育とか、保育についていろいろと言っているようですから、やはりそこのところは、中央区は認可保育所で待機児を解消するんだということを強力に打ち出して、土地の利用についても申し入れていく必要があるのではないかと思います。

 それから、今、やはり一番大きな話題は九条の問題だと思うんです。皆さんも御存じのように、九条二項というのは、海外で戦争をしないということなんです。つまり、この間、イラクの派兵の問題、テロ対策名目のインド洋への派兵でも、法案には一応対応措置というのがあって、実施は武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないという条項が必ず盛り込まれているんです。それから、後方地域支援にとどめるとか、非戦闘地域に限るなどの制約を与えているわけです、イラクの派兵とかインド洋への海外派兵についても。

 それで、二○○八年四月に名古屋最高裁判決で、航空自衛隊が武装した米兵をクウェートからバグダッドまで輸送する行為は、みずからも武力行為を行ったと評価を受けざるを得ないとして、憲法に違反すると断罪しているわけです。そういうのは、やはりきちんと見ていく必要があると思うんです。ですから、憲法九条を毛嫌いする人たちは、常にそういうところで、いつ、私たちが油断をすると、そういうところに目を向けて必ずやってくるということを私は見ていく必要がある。区長が言われたように、誰も戦争をしたくない、戦い、そういうことはしたくない、殺し殺されることはしたくないと、それは誰でも思います。ところが、実際にアジア・太平洋戦争のときにどうだったのかということ、知らないうちにどんどんと。

 ナチスがどういう政策でヨーロッパ戦線を拡大していったのかと考えると、ヨーロッパで最初に弾圧されたのは共産党員が弾圧されたんですね。そして、その後、ラジカリスト、民主主義者が弾圧された。最後に教会が弾圧された。そのときに何を言ったかといったら、教会の牧師さんが言ったのは、私は共産党員じゃない、だから、見ないふりをしていたと。私はラジカリストではないから、見ないふりをしていたと。ところが、自分のところに来たときに、見たら、誰もいなかったということを言っているんです。

 それで、時間がないので最後になりますけれども、今、ここに区長も申しました、「いまいちどたちどまり 平和の尊さをみつめよう ささやかな幸せも こよなき繁栄も 平和の光が消えたなら すべてが失われる 私たちの手にあるこの輝きを 明日の世代に伝えよう」、これは一九八八年三月十五日に宣言された中央区平和都市宣言です。私は、私たちの手にあるこの輝きとは憲法九条ではないかと思えてなりません。

 平和であってこその幸せであり、繁栄だと思います。私たち共産党は憲法を守り生かすために、これからも全力を挙げていくことを述べ、質問を終わります。(拍手)

○議長(原田賢一議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第二から日程第六までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二から日程第六までを一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第二

 議案第四十七号 中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

日程第三

 議案第四十八号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四

 議案第五十二号 中央区立日本橋中学校大規模改修工事(建築工事)請負契約

日程第五

 議案第五十三号 建物の購入について

日程第六

 議案第五十四号 建物の購入について


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第四十七号、議案第四十八号及び議案第五十二号から議案第五十四号までにつきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第四十七号、中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の施行に伴い、新型インフルエンザ等緊急事態派遣手当を災害派遣手当に含めるものであります。

 次に、議案第四十八号、中央区特別区税条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「地方税法の一部を改正する法律」の施行等に伴い、住宅借入金等特別税額控除の適用期限の延長及び控除限度額の拡充をするとともに、延滞金の割合の引き下げ等をするほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第五十二号、中央区立日本橋中学校大規模改修工事に係る建築工事の請負契約であります。

 この契約につきましては、厳正に入開札を執行いたしましたところ、萬世・ゼネラル建設共同企業体に落札いたしましたので、仮契約を締結したところであります。本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 最後に、議案第五十三号及び議案第五十四号の建物の購入についてであります。

 議案第五十三号は区立京橋こども園等の用に供するため、清水建設株式会社が建設する建物を、議案第五十四号は地域密着型特別養護老人ホーム等の用に供するため、月島一丁目三、四、五番地区市街地再開発組合が建設する建物の一部を、それぞれ購入する予定であります。これらの購入につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案第四十七号、議案第四十八号及び議案第五十二号から議案第五十四号までは、企画総務委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については企画総務委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第七を議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第七

 議案第五十一号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第五十一号、中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 本案は、「都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例」の施行により改定された都立学校の学校医等に係る公務災害補償の補償基礎額及び介護補償の額に準じ、区立小学校及び中学校の学校医等に係る公務災害補償の補償基礎額及び介護補償の額を改定するほか、規定を整備するものであります。

 よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案五十一号は、区民文教委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、区民文教委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第八を議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第八

 議案第四十九号 中央区子ども・子育て会議条例


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第四十九号、中央区子ども・子育て会議条例につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 本案は、「子ども・子育て支援法」の施行に伴い、区長の附属機関として、新たに中央区子ども・子育て会議を設置するものであります。

 よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案第四十九号は、福祉保健委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、福祉保健委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第九及び日程第十を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第九及び日程第十を一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第九

 議案第五十号 中央区立まちづくり支援用施設条例の一部を改正する条例

日程第十

 議案第五十五号 特別区道の路線の変更について


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第五十号、議案第五十五号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第五十号、中央区立まちづくり支援用施設条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、新たに区立月島一丁目まちづくり支援用施設を設置することとし、その名称及び位置を定めるほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第五十五号、特別区道の路線の変更についてであります。

 本案は、朝潮運河歩行者専用橋の整備に伴い、区道の路線の変更をするため、道路法の規定に基づき、本案を提出した次第であります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案五十号及び議案第五十五号は、環境建設委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、環境建設委員会へ付託いたします。


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま各常任委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十八日より七月二日までを休会とし、来る七月三日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十八日より七月二日までを休会とし、来る七月三日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後五時三十二分 散会


署名議員
議長 原田 賢一
議員 加藤 博司
議員 石田 英朗

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

ページの先頭へ