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平成25年第四回定例会会議録(第3日 11月26日)

1.会期

十二日(第三日)

十一月二十六日(火曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後七時十八分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 富永 一議員

四番 瓜生 正高議員

五番 染谷 眞人議員

六番 堀田 弥生議員

七番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 増渕 一孝議員

十二番 高橋 伸治議員

十三番 木村 克一議員

十四番 石田 英朗議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 青木 かの議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 原田 賢一議員

二十一番 中嶋 ひろあき議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 礒野 忠議員

二十四番 今野 弘美議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 園田 典子君

総務課長 長嶋 育夫君

6.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

7.議事日程

日程第一
諸般の報告

日程第二
一般質問

日程第三
議案第六十六号 中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

日程第四
議案第六十七号 中央区分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例の一部を改正する条例

日程第五
議案第七十四号 中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例

日程第六
議案第六十八号 中央区立知的障害者生活支援施設条例の一部を改正する条例

日程第七
議案第七十二号 指定管理者の指定について(区立敬老館)

日程第八
議案第六十九号 中央区立公衆便所条例の一部を改正する条例

日程第九
議案第七十号 中央区営住宅条例の一部を改正する条例

日程第十
議案第七十一号 損害賠償の額の決定について

日程第十一
議案第七十三号 特別区道の路線の認定、廃止及び変更について

日程第十二
議案第七十五号 中央区副区長の選任同意について

日程第十三
議案第七十六号 中央区教育委員会委員の任命同意について


午後二時 開議

○議長(原田賢一議員)
 ただいまより、本日の会議を開きます。


○議長(原田賢一議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「諸般の報告」を行います。

〔田野議会局長朗読〕


五、議案の送付について


○議長(原田賢一議員)
 報告を終わります。

 ここで、ただいま報告のありましたとおり、本日、区長より議案が三件送付されましたので、本日の日程に掲載いたしました。


○議長(原田賢一議員)
 日程第二、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 九番奥村暁子議員。

九番 奥村暁子議員登壇

○九番(奥村暁子議員)
 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問は留保させていただきます。

 初めは、国民の目・耳・口を塞ぐ秘密保護法案についてです。

 自民、公明の与党と、みんなの党、日本維新の会などが秘密保護法案修正の交渉を行い、修正と呼ぶにも値しない合意で衆院特別委員会での可決を強行してしまいました。国民に、法案の仕組みや狙い、国民生活への影響が明らかにされない中、日本弁護士連合会、日本ペンクラブ、日本新聞協会、日本消費者連盟、刑事法の研究者、マスメディア、テレビキャスターなど各界各層からも廃案や慎重審議を求める声が次々と広がっています。

 秘密保護法案とは、今国会に提出されている国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と一体で、日本とアメリカの間で国家機密を共有し、集団的自衛権の行使で、日本をアメリカと一緒に海外で戦争する国につくりかえるもので、憲法の基本原則にかかわる重大問題です。秘密保護法案の恐ろしさは、国民から見て、何が秘密かも秘密になり、自分が接した情報が特定秘密に当たるのかどうかもわからないまま処罰されることです。

 法案は、特定秘密の範囲として、一、防衛、二、外交、三、特定有害活動の防止、四、テロリズムの防止に関する情報を掲げていますが、秘密の範囲は曖昧です。重大なのは、秘密を指定するのが行政機関の長だということです。首相や外相、防衛相、警察庁長官らの勝手な判断で秘密の範囲を幾らでも広げることができます。秘密にしておく指定期間がありますが、期間は五年で何回でも更新・延長が可能で、これでは一度秘密と指定されれば、永遠に秘密のまま、国民の目に触れることなく闇に葬られてしまいます。

 懲罰規定も、非常に厳しいものになっています。公務員や民間業者らが情報漏えいをした場合、最高懲役十年の処罰、状況によっては懲役十年以下とあわせて、罰金一千万円以下も課せられます。未遂で漏えいしなくても、過失でうっかり漏らしても処罰されます。国権の最高機関である国会の調査権も制限しており、行政機関が一たび秘密の指定をすれば、国会も裁判所も国民も、これをチェックすることはできません。

 秘密保護法案が、憲法で保障された基本的人権の一つである報道の自由や知る権利を侵害することも重大な問題です。国民の目・耳・口を塞いで基本的人権を踏みにじる、憲法違反である秘密保護法案は廃案にするしかありません。

 そこで、お聞きします。

 第一に、十一月七日に開かれた企画総務委員会で、我が党の志村孝美議員の質問に対し、区長は、国の情報を守るのは大事なこと、総務部長は、区に直接かかわるものではないなどと答弁しましたが、原発情報など区民に必要な情報も特定秘密とされ、国民の知る権利が侵害されることについて、どのようにお考えになりますか。また、特定秘密とは知らずに、偶然、インターネットなどを通じてある情報に接触したというだけで逮捕されることや、家宅捜索される可能性が誰にでも起こり得ます。区民生活を脅かす、この法案の危険性について御見解をお示しください。

 第二に、アジア太平洋戦争で戦争遂行に協力してしまった新聞業界は、戦後、その反省から再出発しました。国家が都合の悪い情報を隠そうとしたときに、それを暴くことこそジャーナリズムの役割であり、新聞の価値もそこにあると思いますが、いかがですか。また、秘密保護法案はジャーナリズムを萎縮させ、報道の自由を奪うものだと思いますが、御見解をお示しください。

 第三に、時代に逆行し、国民の知る権利を奪い、アメリカと一緒に戦争する道を切り開く秘密保護法案は、きっぱりと廃案にすべきだと思いますが、区長の見解をお示しください。

 次は、国の責任を投げ捨て、国民に負担を押しつける社会保障改悪についてです。

 医療、介護、子育て、年金などの制度改悪の日程表を盛り込んだ社会保障改悪プログラム法案が、十一月十九日の衆院本会議で自民・公明などの賛成多数で可決され、参院に送られました。

 社会保障改悪プログラム法案は、来年四月からの消費税大増税と一体で行う社会保障改悪のスケジュールをあらかじめ定める異例の法案で、七十歳から七十四歳の医療費窓口負担の二倍化を皮切りに、医療、介護など、さまざまな制度で国民に負担増と給付減を求めるものです。重大なのは、社会保障への国の役割を自助・自立のための環境整備としたことです。これは、憲法第二十五条で定められた社会保障の向上・増進への国の責任放棄です。

 さらに、安倍政権は、困窮に追い込まれた人でも必要な保護を受けられなくする生活保護制度改悪二法案や、高校生を持つ家庭の約二割を直撃する高校授業料無償化廃止法案も国会でごり押ししています。

 一方、同じ衆院本会議では、大企業が大もうけできる枠組みを国がつくる産業競争力強化法案が、自公と民主などの賛成で可決されました。競争力強化法案には、企業がもうけのために邪魔とみなした規制を企業単位で緩和することを認める、前代未聞の仕組みまで盛り込んでいます。また、衆院審議中の国家戦略特区法案は、世界で一番企業が活動しやすい国をうたい文句に、大企業の成長を支える環境整備に向けて国が至れり尽くせりの政策を実施することを定めています。このような大企業にひたすら甘い法案と、国民に厳しい痛みを強いる法案を同時に押し通す安倍政権の姿勢には道理がありません。こんな逆立ちした政治は、即刻改めなければならないと思います。

 そこで、お聞きします。

 第一に、社会保障改悪プログラム法案は、自らの政治が生み出した貧困や生活苦の問題解決を自助努力として国民に迫るものであり、憲法第二十五条で定めた社会保障の向上・増進への国の責任の放棄だと思いますが、いかがですか。

 第二に、消費税増税やアベノミクスによる物価の高騰、貧困と格差の広がりの中、暮らしを守る政治こそ求められているときに、社会保障改悪プログラム法案や生活保護制度改悪法案、高校授業料無償化廃止法案などの法案は完全に逆行していると思いますが、いかがですか。

 第三に、日々の生活に苦しむ国民に自助努力への環境を整える法案を押しつけながら、大もうけをしている財界、大企業にはさらに大もうけできる環境を整備しようとしていますが、自助努力を求める相手が間違っていると思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、オリンピック・パラリンピック東京開催による影響と中央区のまちづくりについてです。

 中央区には一万七千人収容の巨大なオリンピック選手村建設が決まっており、選手村跡地の住宅には一万二千人が住む予定となっています。今後、中央区のまちづくりにおいて、オリンピックの多大な影響を受けることになります。オリンピック開催により、今でも深刻な学校不足がさらに加速し、現在進められている月島第二小学校増築、豊海小学校改築では足りなくなります。

 アベノミクスによる公共事業の復活や東日本大震災からの復興事業、消費税増税前の駆け込み需要などを反映して、建設費の高騰という事態も生まれています。築地の先行営業施設や本の森ちゅうおうの入札に業者が手を挙げない、入札不調という事態も起きています。今後、区の施設建設にさまざまな影響が出てくると考えられます。また、オリンピック準備や行政手続のため、区の業務に支障を来す懸念もあります。

 そこで、お聞きします。

 第一に、選手村のためのインフラ整備や、必要になる学校などの施設整備に対する区の財政負担はどれぐらいを想定していますか。また、オリンピック準備に対応するために、区の職員の増員などをお考えですか。

 第二に、先行営業施設、本の森ちゅうおうのように、今後、区施設の建設工事費高騰が予想されています。計画の再検討、抜本的な見直しを図ることも必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、区は、今でも区民に対し、受益者負担として施設使用料などの引き上げを押しつけています。子育て支援事業や障害者・高齢者施設の利用料など、さまざまな福祉サービスに建設費高騰のしわ寄せが行くことはあってはならないと思いますが、いかがですか。

 それぞれ区長の見解をお示しください。

 オリンピック東京開催が被災地を置き去りにし、ほかの県や自治体の犠牲の上に、東京一極集中を進めることを加速させる点も見過ごすことはできません。

 ことし十一月に、東日本大震災の被災地、石巻へボランティアに行った方から話を聞きました。オリンピック開催が決まって、人も建設資材もトラックも東京にとられてしまうと、仮設住宅に住んでいる人が嘆いていたそうです。中央区でのさまざまな開発やオリンピックの施設建設は、他自治体へ影響を与えることと一体に進められているということを忘れてはならないと思います。

 中央区では、国や都の上位計画に基づいて、大企業が活動しやすいまちづくりが現在も進められ、巨大な再開発事業などの計画がめじろ押しです。ことし六月一日現在、報告されたものだけで三十二の事業計画があり、そのうち既に住戸数がわかっているのは九事業、その住戸数の合計で約一万五百戸に上ります。平均世帯人数である二人を掛ければ、その九事業だけでも、人口は約二万一千人増となります。急激な人口増による保育所、学校、高齢者施設整備や社会インフラ整備が追いついていません。区は、国や都の上位計画のもとに進めている、中央区には都心区としての役割があるという姿勢で、無秩序な開発を進め、都市の成長を管理するという発想がありません。もはやコントロール不能な状態にあるのではないでしょうか。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中央区基本計画二○一三によると、中央区の人口想定は、二○二三年度で約十五万人ということですが、これから住戸数が決まる残り二十三の再開発事業や選手村跡地の住宅、一万二千人が今後加われば、二○二三年以前に十五万人を大幅に上回る人口となるのではないでしょうか。そうした人口増に対応する子育て支援施設や高齢者施設などの整備計画が、後手後手とならないような対策はとられているのでしょうか。

 第二に、再開発住宅に戻り入居する方や地権者の方は、必ずしも超高層住宅に住みたいと考えているわけではありません。老朽化して自力では建てかえが不可能だということを逆手にとって巨大開発を進め、超高層住宅、超高層ビルを乱立させるのは、住民の利益ではなく、企業の利益のためなのではないでしょうか。なぜ、超高層である必要があるのか、御見解をお示しください。

 第三に、オリンピックを一つのきっかけとして、緑あふれるヒューマンスケールで落ち着いたまちづくりへの転換を進めてほしいという願いが、私にはあります。超高層住宅に太陽を奪われ、押し潰されそうなまちづくりや、お年寄りがビル風でよろめくようなまちづくりは、そろそろ終わりにしてはいかがですか。区長の見解をお示しください。

 次は、出口が見えず、泥沼化した築地市場移転問題についてです。

 東京都は、二○一三年度中に豊洲新市場の施設工事着工を目指すとしていましたが、十一月十八日に行われた建設工事の入札は不調に終わりました。入札四件のうち、青果棟と水産卸売場棟、水産仲卸売場の三件の入札が、参加者辞退で不調となりました。都は、予定価格や資材を見直し、再入札を行う予定ですが、再入札には開札の四十日以上前に都広報に掲載する必要があり、年内の再入札は難しい状況にあります。二○一五年度中の完成予定がおくれる可能性が出てきました。一方、豊洲新市場開場の半年前にオープンさせるという中央区がつくる先行営業施設も、豊洲新市場と同様、入札が成立しませんでした。入居者募集要項も十二月にまとめるとしていますが、募集の具体化も施設使用料の設定も、いまだ未定の状況です。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、入札の不調により、豊洲新市場の二○一五年度中の完成に危険信号がともりました。開場が先延ばしされた場合、先行営業施設や築地市場関係者への影響は多大だと思いますが、いかがですか。

 第二に、この泥沼から抜け出すには、現在の築地市場施設を生かし、老朽化対策、耐震化対策を施すなど、最小限の経費で済むような整備計画を立てることが現実的だと思います。市場の再整備については、この際、時間をかけて改めて再検討すればよいのではないでしょうか。築地市場が残れば、先行営業施設の必要もなく、現在の場外市場のにぎわいがさらに発展し、中央区の地域経済に多大な貢献となると思いますが、いかがですか。お答えください。

 都と区の合意の大前提となっている豊洲市場予定地の汚染土壌の浄化も、疑惑は深まるばかりです。建設着工に当たっては、汚染の処理を完了した上で実施することとする附帯決議が存在しています。しかし、十月二十四日に東京都が発表した土壌汚染対策工事の進捗状況によると、最初に工事着工予定の六街区は、汚染土壌の掘削除去も地下水処理も、依然、半数以上の地点で未着手のままです。それなのに、工事入札の手続に入ったのは問題です。

 また、現在進行中の工事で大きな問題の一つに、液状化対策があります。液状化対策の設計では、設定震度が五弱程度、百四十四ガルとなっていますが、百四十四ガルとは最低のレベル一であり、巨大な地震があった場合を考えれば、再液状化の危険がつきまといます。地中に残された汚染が一旦噴き出せば、復旧工事も簡単なものではありません。災害時の食料供給基地としての防災機能が果たせないばかりか、市場再開のめどが立たないことも想定されます。

 もう一つの大きな問題としては、施設設計に必須のボーリング調査で、市場用地四十ヘクタールに対して、たった八本しか調査されていません。専門家の意見として、日本建築学会の指針によれば、必要なボーリング調査は各建物に対し六十本から八十本で、五・六・七街区合わせれば、市場用地全体で二百カ所程度は必要ですが、東京都は最小の調査で済まそうとしているのです。地中の汚染を隠すためではないかと、建築の専門家も指摘しています。

 そこで、区長にお聞きします。

 これほど安全性が科学的に明らかにされず、次から次へと汚染の疑惑が持ち上がる状況は、都と区の合意の前提が崩れていることを示しています。泥沼化した現状から抜け出すためにも、地元区である中央区が築地市場移転反対の立場に立ち戻ることが重要だと思いますが、いかがですか。区長の見解をお聞かせください。

 次は、公的責任による認可保育を軸とした子育て支援策の拡充についてです。

 本当の子供のための保育とはどういうものでしょうか。それを考えるには、現代の子供が置かれている状況を考える必要があります。国連・子どもの権利委員会の所見では、戦後の日本社会が高度に競争的な教育システムによるストレスにさらされ、その結果として、身体的活動及び休息を欠いているため、子供たちが発達障害に陥っていることを懸念すると指摘しています。五感を通して育まれる感覚的感情が衰退し、自己肯定感を持てず、自立と共生のバランスが崩れ、人間的な成長・発達の機会を奪われているという現実が広がっている中で、子供が子供らしく生きる時期、子供期が奪われている状況があると言われています。子供たちにこの子供期を保障していくことこそ、子供のための保育ではないでしょうか。

 子供の健康と安全を保障し、限りない発達を育むためには、一、一人一人の子供のかけがえのない生命をさまざまな危険から守り、健康と安全の確保に努め、二、一人一人の子供の自立の意思を励ましながら、基本的な衣食住を含めた生活自立能力を形成し、三、子供たちが多様な人間関係を生きることのできる共生能力を育み、四、生き生きとした集団生活を組み立て、五、子供たちとともに豊かな生活内容をつくり出していくことが大事だと思います。これらの取り組みを通して、子供に自己肯定感を育んでいくことが求められていると思います。

 子供の発達保障に保育園が果たす役割は重要で、同時に、親が安心して子育てと仕事を両立していくことを実現し、支援していくという社会的役割も担っています。子供を安心して託せる保育をすることで、親の働く権利をも保障しているのです。保育に欠ける全ての子供に対して保育所を整備し、保育を提供することは自治体の責務であり、昨年の法改悪の際にも、多くの父母、保育関係者の声と運動で、この自治体による保育実施義務は、改定児童福祉法にも第二十四条第一項として残されました。

 保育所とは、地域において最も身近な児童福祉施設であり、子育ての知識・経験・技術を蓄積している場です。核家族化が進む中、保護者の子育て不安や孤立感などの悩みに寄り添い、支え、励ます総合的な子育て支援が求められており、区立の認可保育所への希望がふえ続けています。しかし、今、多くの保護者が求める認可保育所不足が大きな社会問題となっており、ことしの春、全国各地で、認可保育所に申し込んでも入れなかった父母たちが行政への不服審査請求に立ち上がりました。中央区では、二○○○年以降、待機児童がふえ続け、二○一三年十月末現在で認可保育園待機児は、旧定義で五百三十七人、新定義で二百七十五人となっています。

 待機児童問題の原因は、長引く景気低迷、所得減など経済的理由から、働く母親がふえている中で、児童福祉法に基づく国や自治体の責務として保育所を十分に整備してこなかったことにあります。国基準の認可保育所をつくるにはお金がかかるとして、石原前都知事が国の基準より下げた都の独自基準による安上がりな認証保育所制度をつくって以来、認証保育所がふえましたが、待機児問題は依然深刻で、認可保育所整備は急務です。

 そこで、お聞きします。

 認証保育所制度は、あくまでも東京都の待機児童対策としての期限つきの制度として位置づけることはあっても、決して恒常的な制度とすべきではないと思いますが、いかがですか。区長の見解をお示しください。

 国は、子ども・子育て支援新制度の二○一五年四月からの本格施行を目指し、新制度の実施主体である自治体に、潜在ニーズも含む保育需要や供給体制などを把握するため、子ども・子育て会議の設置と子ども・子育て支援事業計画の策定を求めています。中央区でも、八月二十八日に第一回子ども・子育て会議が開かれ、潜在的な幼児教育・保育・子育て支援などのニーズ調査が行われましたが、政府は新制度の全体像をいまだ示しておらず、二○一五年の春に施行というゴールだけが決められています。新制度の全面実施により、保育の営利化・産業化路線が拡大し、定数以上の子供の詰め込みや有資格の保育士の人数緩和などがさらに進めば、子供にとって本当によい保育が保障されなくなるのではという不安の声が、保護者や保育関係者の間で広がっています。

 認証保育所は、多様化する保育ニーズに応えることを目的の一つとしています。確かに、働く保護者の置かれる状況、要望はさまざまです。長時間労働で子供を早く迎えに行くことが難しい、子供の発熱で保育園側からの呼び出しが続くと、会社内で自分の評価が下がってしまうのではと心配だなど、さまざまな思いから、比較的緩やかに子供を預かってくれる認証保育所を支持する声もあります。しかし、そこには、長時間働くことが求められることや女性の社会参画を応援しようという機運が企業内でまだまだ育っていないなどの社会的背景もあるのではないでしょうか。大事なのは、父親も母親も子供と一緒に過ごす時間を持てるようにするため、社会全体で女性が子供を産みやすく、働きやすい環境をつくるとともに、父親が育児参加できるような社会を実現させることです。そうすれば、子供を長時間預ける必要も、会社に遠慮することもなくなるのではないでしょうか。

 また、認証保育所について、英語レッスンなどの教育サービスを評価する声もありますが、認証保育所経営には幼児教育の教材や幼児向け出版物の発行などを主要な事業としている企業が多く参入しており、保護者に早く教育しなければ不安、ほかの子供におくれてはいけないという一種の焦りをあおる情報が氾濫していることも背景にあるのではないでしょうか。

 認可保育園で働く、ある保育士の方が、保育園見学に来た保護者から、この保育園では平仮名を教えるのですかと聞かれた際、直接教えるわけではないけれど、日々の生活の中で覚えられるように工夫をしていますよと具体的に取り組みを伝えると、安心しましたと笑顔になるそうです。教材に頼らなくても、生活を通じてのさまざまな工夫の中から子供は学び、成長していくことを示すことで、母親は安心するということです。初めて母親になった保護者は、子供と一緒に自分自身も母親として成長していきます。そんな母親に寄り添い、支え、成長させることも、保育士の大事な役割だと思います。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区立の認可保育所にあきがなく、やむを得ず認証保育所に預けている保護者のために、保育の量だけでなく、質も確保された区立の認可保育所増設による待機児童解消が求められると思いますが、いかがですか。

 第二に、保育所整備には土地の確保が大きな障害となります。区内にある都有地を活用して区立の認可保育所整備を進めるため、東京都に対して情報公開を絶えず求め、都有地活用の要望を伝えることが必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 国の子ども・子育て支援新制度を目指す動きと呼応して、株式会社の認可保育所への参入や民営化、認定こども園化などの動きが進む中、安倍政権が待機児童解消加速化プランの柱に位置づける小規模保育事業の基準案がまとめられました。多様な主体が多様なスペースを活用して保育を提供するとしていますが、その認可基準には不安がつきまといます。

 国が新たに支援しようとしている定員が六人から十九人の小規模保育事業は、保育士の資格を持つ人が保育従事者の半分でよいなどと、低い基準にすることが決まりました。区立の認可保育所は全員が保育士の資格を持っているのと比べて、余りにも低過ぎる基準だと言わざるを得ません。

 厚労省の発表によると、ゼロ歳児から一歳児の死亡事故は、二○一二年度では十八人のうち認可が六人、認可外は十二人でした。認可外の事故十二人のうち、四件は無資格者だけで、十二施設全てが有資格者比率八割未満でした。死亡事故で最も多いのが乳児睡眠中の変死で、国は突然死や窒息予防に有効としてあおむけ寝を指導していますが、発見時の多くがうつ伏せ寝です。保育の専門知識があれば、防げた事故もあったのではないでしょうか。

 また、区内のある認証保育所では、五年間で全て保育士が入れかわったという話もあります。有資格の保育士を時給九百五十円で募集する広告も、新聞の折り込みなどで見かけます。処遇の低さは、保育士の定着率の低さや子供の安全確保にもかかわるのではないでしょうか。

 そこで、お聞きします。

 第一に、待機児解消のための弾力的運用により、どんなところにでも保育所をつくれるようにし、子供の詰め込みを進め、有資格の保育士数を減らしたことが、保育の質を低下させ、数々の事故を招いているのではないでしょうか。規制緩和によって事故が生まれる危険性について、お考えをお示しください。

 第二に、保育士の給与を上げることや保育士の配置をふやすことは、仕事のモチベーションを上げ、子供一人一人に目をかけられる余裕を生み、それがよりよい保育を保障することにつながると思います。しかし、一般的に、保育所運営費の八割が人件費と言われる中で、株式会社が利益を上げるために人件費の削減を追求し、保育士にしわ寄せされています。人が何より大切な保育分野で、人件費の削減とよい保育は両立するとお考えですか。

 それぞれお答えください。

 子供たちの豊かな成長、発達を保障する観点から、保育園に園庭があることは不可欠だと思います。最近の研究では、小さな子供の場合、体操指導よりも自由に外で遊ばせるほうが運動能力が高いということもわかってきました。しかし、保育園の要件緩和が進む中、今は認証保育所だけでなく、認可保育所でも園庭確保は条件となっていません。

 東京都では、二○一○年度から二○二○年度に百七十三園の認可保育園が新しく設置されましたが、そのうち、敷地内に園庭がないため公園で代替しているところが三四・六%、敷地内では基準を満たせず公園と合わせて基準を満たしているところが二七・七%、合わせると約六四%に上ります。中央区では、区立の認可保育所十四園のうち、十園が園庭基準を満たしており、ほか四園は屋上などのスペースを生かして、園庭に準じた利用をしています。私立の認可保育所では、九園のうち、基準を満たしているのは二園のみです。

 また、問題なのは、安倍政権が進める待機児童解消加速化プランにより、認可保育園経営に株式会社の進出が急速にふえていることです。東京都内の株式会社による認可保育園は、二○○四年度は五カ所でしたが、二○一三年四月一日では百三カ所にふえ、実数も約二十倍になっています。中央区で来年四月にオープン予定の認可保育園六園も、そのうち五園が株式会社の経営で、園庭もなく、ビルの二階、三階、四階など、安全面、防災面で課題があると思います。

 そこで、お聞きします。

 第一に、園庭のあるなしは、子供の成長や運動能力にかかわることです。伸び伸びと走り回り体を動かすことは、同時に頭を働かすことでもあります。子供の成長という観点から、園庭の役割と必要性をどう考えますか。また、園庭のある保育園をつくるために、区はどんな努力をしていますか。

 第二に、園庭がないため、近隣公園へ散歩に行く保育園児の姿もよく見かけますが、散歩とは子供の命を運ぶことです。安全のために神経を注がなければならない保育士の負担は相当なものです。全ての保育園に園庭が確保されれば、危険が軽減すると思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 区立保育園では、三十年ほど前から、陶器の食器を使ってきました。持つ感触を育てることや、落とせば割れることを知り、本物を伝えるためです。調理する前の野菜や魚などの食材を展示し、子供たちが見たり触ったりできる取り組みも進めてきました。子供たちは、並べられた食材を見て、みそは大豆からつくられることを知ったり、秋の七草を嗅いでみたりしながら、食に対して興味を持ち、想像力を育んでいきます。区立保育園の先進的な食育の一例です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、食育の原点とも言える先進的な取り組みは、利益優先ではなく、子供の発達を保障するという役割を第一に考えている区立保育園だからこそ、できたことではないでしょうか。これらの取り組みを今後も継承し、発展させていくことの大切さについて御見解をお示しください。

 第二に、区立保育園では、今、用務員に調理作業をさせるという事態が広がっています。O‐157の発生やアレルギー除去食を必要とする子供の増加、乳幼児の発育に合わせた離乳食の形状の工夫など、慎重かつ細やかな配慮が必要とされる給食調理には、専門職を配置すべきではないでしょうか。子供たちに安全・安心な食を提供するため、調理師の正規職員を採用することが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、中央区は、中央区健康・食育プラン二○一三を策定し、幼少のころから食に関する正しい知識を高めるとともに、食を大切にする心を深め、食の安全・安心を確保するための適切な判断力を身につけることを掲げています。調理師を十分に配置せず、給食をおろそかにしていくことは、食育に力を入れる中央区の姿勢に反していませんか。

 それぞれ区長の見解をお示しください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 奥村暁子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、特定秘密保護法案についてであります。

 この法律案は、我が国の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿する必要があるものについて、その保護に関し、必要な事項を定めることにより、我が国及び国民の安全の確保に資することを目的としております。また、基本的人権につきましては、不当に侵害してはならないと規定されているところであります。ジャーナリズムの役割につきましては、国民にさまざまな情報を提供するという、民主主義にとって非常に重要なものであります。そのため、同法案の中でも国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分配慮しなければならないとされております。特定秘密保護法案は、国民の生命・財産を守るという安全保障と民主主義の根幹である知る権利との関連において、非常に重要な問題であります。現在、国会で活発な議論がされており、広く国民の意見を踏まえ、国の責任のもとで検討されていくべきものと考えております。

 次に、社会保障制度改革についてであります。

 いわゆる社会保障制度改革のプログラム法案は、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の全体像及び今後の進め方を明らかにしたものであります。この法案や一連の改革法案は、自分自身または家族の助け合いによる自立・自助を基本とし、これを相互扶助による共助で補い、なお困窮等の状況にある人には控除によって生活を保障するという考え方のもと、国の責任において、年齢等にかかわりなく、自分の持てる力を最大限に発揮することができる環境の整備を進めていくものであると認識しております。社会保障制度改革は、この法案そのものでは実現せず、健康保険法や介護保険法といった個別分野の法律を改正することによって、初めて実施できるものであります。区においては、今後とも、改革に向けた具体的な議論の動向を注視し、国に対する意見・要望など、適切な対応を図るとともに、これまでと同様に、区民の暮らしを守る立場から、区民福祉のより一層の向上に努めてまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催に伴う本区への影響についてであります。

 二○二○年に東京で開催できることは、本区のさらなる発展やにぎわいに結びつける絶好の機会であると認識しております。また、晴海地区には選手村が建設されることから、将来を見据えた魅力あるまちづくりに一段と弾みをつけていきたいと考えております。選手村の宿泊施設は、大会終了後には住宅として活用され、住民がふえることから、地域における利便性の向上や区民生活の質を確保していくことは重要な課題であります。現在、東京都から選手村建設に係る具体的な経費負担等は明らかにされておりません。しかしながら、大会後のまちづくりには多くの経費がかかることが予想されるため、区では、都に対し、大会実施に伴う施設建設等に関する要望書を提出するとともに、財政負担も含めた協議を進めていくこととしております。今後、学校等を初めとする具体的な公共施設の整備計画を進めていくに当たっては、建設費の高騰等を含め、社会経済状況を十分考慮し、適切に対応していく所存であります。区としましては、二○二○年東京大会の開催を本区のさらなる飛躍の契機としていくためにも、新たな行政課題や事業の執行状況などを見極めながら、適正な職員配置に努めてまいります。今後とも、本区の健全で持続可能な行財政運営の維持に配慮しつつ、区民福祉サービスの提供に取り組んでまいります。

 次に、人口増加による施設整備への対応についてであります。

 本区の人口は、基本計画に掲げた各種施策の着実な成果により、力強く増加し続けております。多くの人が本区の魅力に引かれ、本区に集まることは都心中央区の活力の源であり、この人口増加によるにぎわいを確実に地域に定着させていくため、本年二月に基本計画二○一三を策定したところであります。今後、この基本計画における各施策を着実に実施し、全ての区民が生涯を通じて生き生きと暮らし、活動し続けるための基盤を確実に整備していくことが何よりも重要であると考えております。二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴い、晴海地区に整備される選手村の後利用計画については、現段階では開発規模が明らかにされておりません。区といたしましては、今後とも、人口増加に伴い生じる学校や高齢者施設などの行政需要を的確に捉え、必要に応じて施策の見直しを図るとともに、まちづくり基本条例等に基づき、開発事業者に対して、地域に必要な施設の整備を求めていくなど、区民ニーズに対応した施策を着実に推進してまいります。

 次に、建物の高層化についてであります。

 本区が進める安全・安心のまちづくりを進めるためには、建物の適切かつ円滑な更新と防災性の向上や環境改善を図ることが重要と考えております。しかしながら、住民の高齢化が進む中で、建てかえ費用の負担は大きな課題であり、また、小さな敷地が多く、建物が密集している本区では、こうしたまちづくりを実現するための計画上の工夫も課題であります。再開発事業は、建てかえ事業費の個人負担を伴わない建てかえを可能とすることに加え、空き地や公共・公益施設の整備も図ることから、結果として高層建物となりますが、こうした課題の解決を同時に実現できる有効な手法と考えております。

 次に、まちづくりの考え方についてであります。

 本区では、広範囲に及ぶ地区計画の導入による個別建てかえや耐震助成などによる既存建物の耐震化を図るとともに、地域課題や地域の状況においては再開発などの面的な整備も必要となることから、地域住民との協議を重ね、適切な手法の選択により、まちづくりを進めてまいりました。今後とも、地域住民と協議を行いながら、交通インフラの改善や公共施設の整備などの検討を進め、地域の方々が住み続けられるまちづくりに取り組んでまいります。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 豊洲新市場の建設工事の入札不調につきましては、東京都の責任において確実に対応されるべきものであり、今後、速やかに再入札にかけ、市場移転に向けて着実に整備を進めていくと聞いております。本区が整備する築地新市場につきましても、今後、速やかに再入札を行い、施設の着工時期がおくれたとしても、入居者の募集などは予定どおり実施し、豊洲新市場開場前に確実に開業できるように整備を進めてまいります。また、豊洲新市場予定地の液状化対策を含む土壌汚染対策工事については、都の責任において実施され、昨年七月以降、都と市場事業者等で構成する協議会のもとで、処理状況を確認しながら進められているところであり、専門家で構成する技術会議の確認も経た上で建設工事が進められていくものと認識しております。区といたしましては、市場移転後も築地の活気とにぎわいを確実に継承し、発展させていくため、築地新市場の開業に向け、引き続き区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、子育て支援策の拡充についてであります。

 東京都認証保育所制度は、認可保育所だけでは応え切れない早朝・夜間保育など、都市部の多様なニーズに対応しており、待機児童対策に有効な制度であります。今後も、認可保育所を中心としながらも、認証保育所についてもバランスよく配置して、待機児童解消に努めてまいります。また、都有地の活用につきましては、現在、区内で保育所として利用できるところはありませんが、東京都に対して、引き続き情報提供を求めてまいります。

 次に、小規模保育など新制度に向けた新たな事業に関しましては、保育の質を確保した上で、その事業特性に応じた基準を国の子ども・子育て会議で審議し、定めていくものと考えております。また、株式会社による保育所運営につきましては、国または都が定めた基準に従い、施設整備や職員配置が行われており、区に対する毎月の報告書の中でも職員の退職理由等を確認しておりますが、事業所が人件費の削減を追求しているような状況はないものと認識しております。

 次に、園庭についてであります。

 子供たちが自由に体を動かせる遊びの場は、健全な成長を保障する上で大変重要であります。十分な土地の確保が難しい本区におきましては、屋上を園庭に準じて利用するなど工夫を行い、こうした対応が難しい場合には、安全性を考慮の上、近隣の公園を園庭の代替地として指定しております。今後とも、さまざまな検討・工夫を行い、園庭等の確保に努めてまいります。

 次に、食育についてであります。

 さまざまな経験を通じて、子供たちが食べ物や食事づくりに興味を持つことは、健全な食生活への第一歩として大変重要であると認識しております。食育の推進や園児のアレルギー対応につきましては、栄養士を初め、調理職員や保育士が一丸となって取り組むことが必要であると考えており、職員の連携強化とともに、今後とも十分な職員体制の確保に努めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔九番 奥村暁子議員登壇〕

○九番(奥村暁子議員)
 では、初めに、秘密保護法の区民への影響はどうなのかという私の質問に対しての答弁で、区民の安全は確保されていくというようなお話だったんですけれども、例えば原発の情報なども特定秘密に当たるわけで、区民が例えば原発事故が心配だということで写真を撮ってブログに載せたりすれば、その日突然警察がやってきて逮捕されるというようなことも起こり得るわけで、この秘密保護法の問題というのは幅広い区民にかかわってくる問題だと思います。何よりも、何が秘密か、それが秘密だということですから、そういう危険性もあるわけなので、そのあたりの認識についても再度御答弁いただきたいと思います。

 そして、秘密保護を扱うのは差し当たり民間業者や公務員になるわけなんですけれども、民間業者も兵器などの研究・開発している企業ということになりますけれども、そういった公務員ですとか民間企業の社員に対して適性評価というものが行われて、秘密を扱うのに適性であるかということが徹底的に調査されるわけですけれども、個人の情報というものを区はたくさん保管していらっしゃいますよね。区は個人情報の宝庫ですから、例えば犯罪歴だとか刑罰などは戸籍課が担当していますし、飲酒ですとか、精神疾患、薬物、こういったものは保健所にデータがある。信用状態などについても税務署が保管しているということで、こういう情報を求められれば、区は開示していくということになるわけですから、これは区の責任にもかかわってくる問題だと思います。

 中央区では、中央区個人情報の保護に関する条例というものが平成九年に制定されていますけれども、この条例で個人情報を守るといいながらも、要望があれば個人情報をどんどん明かしていくことになるわけなので、その点でも矛盾すると思うんですけれども、このあたりについても御見解をお聞かせください。

 そして、ジャーナリズムに関してですけれども、十一月十一日には、田原総一朗氏ですとか鳥越俊太郎氏など、テレビでおなじみのキャスターやジャーナリストなども記者会見をして、十一月二十日には、江川紹子氏や永六輔さん、角田光代さんなどの作家なども反対声明を発表していますけれども、区長は元ジャーナリストとして、この秘密保護法案で知る権利が本当に侵害されないと考えるのかどうかという点についてもお聞かせください。

 そして、この秘密保護法案の最も大きな問題というのは、アメリカと一緒に秘密を共有して、一緒に自衛隊も戦争への道を突き進んでいく、アメリカの戦争にどんどん加担していくための道をつくるための法案ですから、この秘密保護法というのを繰り返し求めてきたのも、日本国民ではなくてアメリカなわけです。二○○五年には、日米両国で首脳レベルまで、あらゆる範囲で軍事戦略や情報を共有するということを日本も約束していますし、アメリカの情報が日本から漏れないようにするという対策の強化も要求をされています。戦争に突き進んでいくということになれば、これはもちろん区民にも影響があるわけですから、戦争への道を切り開いていくことになる、この秘密保護法案にはきっぱり反対を求めて、日本共産党としても頑張っていきますし、区長もそういう立場で、ぜひこの法案の重要性というものを正視していただきたいと思いますので、その点についても御答弁をいただきたいと思います。

 そして、次に、社会保障の問題についてですけれども、新自由主義の基本的な考え方として、福祉を充実していけば、それに安住して生きていく怠惰な人間をつくっていくことになるから、福祉はできるだけ抑制して自立・自助、積極的に働いていくようにしていくということが基本にあるわけですけれども、社会保障で国民に自己責任を迫るというのは、憲法に反していると私は思います。病気や老いによる衰えというのは、個人の努力だけでは解決できない問題ですから、だからこそ社会保障が必要なわけで、そして社会保障を充実させていくということは、将来への病気の心配ですとか、そういったものがなくなる、安心して年をとっていけるということで、一生懸命老後のために蓄えたりということをしなくてもよくなるとなれば、自由にもっとお金も使うことができるし、そうすれば内需をふやしていくことにもつながるし、経済対策にもなると思うので、やはり社会保障を充実させていくということが最も大事なことだと思いますので、この点についての御見解も再度求めたいと思います。

 そして、オリンピックとまちづくりについてですが、入札不調というところがいろいろな地域で起きていまして、豊島区でも十一月十八日に地域に複合施設をつくるということで入札が行われたんですけれども、二回目の入札が不調に終わったと。そして、一回目の予定価格よりも四割増しで臨んだけれども、折り合えなかったということが報道されていました。豊島区のように四割、五割増ししても業者が挙げないというようなことが今後も考えられるわけで、いつ建設費の高騰というものが落ち着くかということも読めない中で、区への負担がどれぐらいになるのかということは、やはり早急に私は把握する必要があると思いますので、その把握をどう進めていくかについても御見解をいただきたいと思います。

 そして、建設費の高騰という影響が決して区民にしわ寄せしていかないように、適切に計画の見直しですとか、計画の変更も考える必要があると思いますので、そのあたりについても御見解をお示しください。

 そして、超高層の必要性についてなんですけれども、安全性について区長が御答弁されていましたけれども、超高層であれば安全というわけにはいかないわけですよね。公益のスペース、パブリックスペースをとったり、防災備蓄倉庫をつくったりということで超高層住宅をつくるということの免罪符にしてはいけないと思います。防災のためには、やはり実践的な避難訓練を繰り返しやるですとか、隣に住んでいる人の顔が見えるような、そういう地域のつながりを構築していくことと防災は一体にあるものなので、超高層の建物をつくってハード面だけ整えて、それで安全が確保されるというものではないと思いますので、この点についても御見解をお聞かせください。

 そして、まちづくりは、やはりオリンピックを契機にして、成熟した落ち着いたまちをつくっていくべきではないかという思いが私にはありますので、その辺についても御意見をお聞かせください。

 築地市場については、安全性はいまだに確保されていないわけですから、やはり移転反対の立場に立ち戻るべきだと思います。ボーリング調査の件でも、隠蔽を疑われても仕方がないのではないかという状況があると思いますので、現在ある築地の建物を生かして最小限の経費でコンパクトな整備を進めるということも選択肢の一つとして十分にあり得ると思いますので、そのあたりについての御見解も求めたいと思います。

 そして、保育園の問題についてですが、都有地の活用については、北区でも二○一六年四月に都有地を活用して認可保育園をつくるということが、最近、決まりました。中央区には、今、活用できるものはないということなんですけれども、例えば晴海一―一―一という住所で、今、警視庁の第一方面の機動隊が置かれていますけれども、これも近々晴海三丁目に移転していくということなので、この跡地などの活用はどうなのか。建物が二つあって、その二つが移動するかわからないというような話も事前にあったんですけれども、この活用も考えて、区にこの機動隊の跡地がどう利用されるかということも確認していくことが必要だと思いますし、もしあくようだったら、そこで直接都に申し入れをして、活用も考えていくべきだと思います。それに、今後も都有地があいてきた場合ですとかには、機動的に動くために、東京都とも常に連携を密にして、情報の開示を求めて、積極的に都有地の確保に向けて進んでいただきたいと思いますので、そのあたりについてのお考えもお示しください。

 そして、保育士についてなんですけれども、区でも毎月調査していて、退職の理由というのが、待遇が悪いからではないんだということですけれども、これだけ多く保育士が回転していくということは、定着していかないということには、やはり待遇の問題が大きいと思います。実際に、時給九百五十円ですとか、そういう時給で保育士が雇われているわけですから、それに対して面倒を見なければならない子供の数というものも、認証では認可よりも保育士の人数の基準が低いわけで、認証で働く保育士さんなどは本当に大変な思いをしていると思います。

 あくまでも認証というのは認可保育所の補完的なものだと考えて、区立の認可保育園、きちんと園庭も整えられた、そういう保育園をつくっていくということが、全ての方の願いにも応えるものになると思います。何よりも、まず子供が伸び伸びと育てる環境を提供すること、そして保育士が、人数もたくさん充てられて、余裕を持って子供一人一人に目をかけていける、それが安全にもつながるし、子供の幸せにもつながるし、そして親が安心して預けられる保育というものも保障されることになると思いますので、やはり区立の認可保育園を何としても、都有地の活用なども視野に入れて、進めていただきたいと思いますので、そのあたりについても区長の見解を改めて求めたいと思います。

 そして、食育についてなんですけれども、中央区では二○○五年に正規の調理師を採用したのが最後ということなんですけれども、二○○五年以降、この間に区立の認可保育園というのは二園オープンしているわけで、子供の数もふえているわけですから、当然、調理の専門職、調理師も必要になると思いますので、今後、きちんと正規の職員を採用していくことが食の安全にもつながると思いますので、今後の採用の予定についてもお聞かせいただきたいと思います。

 終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。どうも、どうも。

 特定秘密保護法案ね。これは、どれが特定秘密に当たるかどうかということ、区にも関係してくるのではないか等々の問題、そうでしょうね。いろいろどれが当たるか当たらないかということは、今、山場を迎えているようでありますから、国のほうでもね。ですから、いろいろ議論されているわけでありますけれども、大事なのは、特定秘密が妥当かどうかということですね。これは検証する第三者機関も設置を検討しているようでありますから、そういう点でも、やはり妥当かどうかということはしっかりと見守っていかなければならない、そういうふうに思いますね。

 また、もちろん、いろいろジャーナリスト、反対している。これは報道されているとおりであろう、こういうふうに思うわけでございます。それは、ジャーナリストとしては何でも知りたいわけでありますから。私なんかも、かつて本当に、中で会議しているとなると、それを知りたくて、ドアのところで耳を当てて聞き取ろうとしたり、何か録音機を入れたいなとか、いろいろなことを思ったりしたものでありますけれども、ジャーナリストは、やはりそういう記者魂といいますか、何でも知ってやろうと。そして、知る権利でどんどん報道していく、これは大事なジャーナリストとしての任務であろうというふうに思いますけれども、国を守る、国民の生命・財産をしっかり守っていくんであるということに関しては、やはりそれなりの制限といいますか、制約がないと、外国からも情報がなかなか入らない。入ってこないと、それが結果的に国を危うくしたり、国民の生命・財産を危うくするということで、こうした特定秘密保護法案、こういうものが考えられてきているわけでありますから、それはそれで私はわかるわけであります。

 ですから、やはりバランスでしょうね。知る権利、それから特定の秘密。特定の秘密なんですよ。こういうものは安全保障、外交というようなことに関しての秘密というものは、ないと、それは外国だって、海外の私たちがつき合っている外国が、日本についてこんな情報があるんだけれども、教えたら、すぐにほかの国にばれてしまうとか知られてしまうとなると、なかなかそれを伝えることができないことにもなりかねないわけでありますから。

 また、区の情報。区の情報といいますか、個人の情報、これはプライバシーもありますし、いろいろなそういう制限、また条例との兼ね合いで守っていくべきものは守っていかなければならないのではないか、そういうふうに思いますね。

 また、社会保障制度ですね。これは大事ですね。社会保障制度の充実というのは、しっかりと私たち、そのためにいろいろと施策を展開しているわけでありますけれども、しかし、といって何でもいいかというと、やはり受益と負担の均衡がとれていないと、持続可能、つまりどんどん大盤振る舞いしていって、いくのはいいけれども、あるときに、もうだめだ、破綻した、破産したというようなことになってはいけませんから、やはり持続可能なものにしていかなければならない。そういった大事な点を私たちは行政としても見過ごすわけにはいかないのではないかな、こういうふうに思いますね。

 そうですか。豊島区さんも不調に陥りましたか。残念ですね。

 本当に今、建設資材の高騰とか、いろいろな問題で高騰しているから、いろいろな問題が起こっているわけでありますけれども、税金ですから、これを勝手に高騰させてというわけにもなかなかいかないわけで、私たちもいろいろ悩んでいるわけでありますから、しっかりと、どうなんだと先を見通して、また、無理をしないで、何といっても健全財政、これほど大切なことはございませんね。自治体として、さっきも言ったけれども、破産したり、あるいは健全財政が損なわれるというようなことになっては、区民の皆様方に、また議会の皆様方に申しわけないわけでありますから、そういう意味で、どうなんだ、少し待ってもいいのではないかとか、あるいはこれはやっぱり必要なんだと。教育にかかわる問題であるとか、健康にかかわる問題であるとか、文化にかかわる問題であると、いろいろなことで、するべきものはしっかりとやっていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 それから、建物ね。安全・安心なまちづくりということで、木密はどうだということで、いろいろ報道されておりますよね。これを少しでもなくそうということで、特定木密制度をここは活用しようじゃないかとか、いろいろ報道されていますけれども、本区におきましても、この地域というか、少しでも火事にならないようにとか、いろいろな観点から建物をつくろうということ。そんなことをしなくても避難訓練をしていればいいんじゃないかというような見解を述べられましたけれども、避難訓練していれば、このまちを守れるというものではないというふうに私は思いますね。避難訓練だけで自分の身が守れれば、これほど楽なことはないんだけれども、そうはいかない。やはり建物、ハード面も必要であろう、そういうふうに思うわけでありますから、建物も大事だし、また避難訓練ももちろん大事でありますから、避難訓練も、皆さん、やってくださいよね。

 それから、築地市場。築地市場は、やはりさっき答弁したとおりでございまして、何が問題なんですか。移転反対に立ち戻れということですね。そうはなかなか難しい点というか、どんどん今、東京都も進めておりますから。

 無論、入札が不調になったりした。本区でもありましたけれども、先ほど触れたように、資材費の高騰等で、なかなか思うに任せないところもありますけれども、東京都のほうではしっかりやっていくということでありますから、そういう点でしっかりやっていくんであろう、都の責任において確実に実行していくんであろう、こういうふうに思っておりますし、私たちは私たちで場外の四千平米のところの鮮魚マーケット、百店舗ぐらいの鮮魚と青果の、こういうつくるべきものは、あそこが豊洲へ移転する前につくっていこう、こういうことでありますけれども、残念ながら入札不調になったので、多少おくれる点はありますけれども、しかし、移転前には確実につくる、これは私たち、しっかりやっていかなければならない。私たちというのは、区としてやっていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 それから、保育園ですか。晴海一―一があいているんですか。ただ、何か今やっている、保育園を本区でつくっていること、これ、何か待機者がたくさんいるんじゃないかということを前提にいろいろ考えているようですけれども、皆様方に約束しているとおり、来年の四月には待機児童がゼロになるように、四月には六つ保育園ができるわけですから、待機児童はゼロになるという、そういう計算というか、ことで今、進めているわけですから。

 それでも待機児童が出てくる可能性はありますよ、それはね。何しろ、どんどん赤ちゃんが生まれて、これほど楽しい、いいことはないわけでね。千人以上が七年も続いているわけでね。平成十一年までは待機児童なんていなかったんですよ、中央区ね。それはそうでしょう、五百人台しか生まれなかったんですから。保育園待機児童はいなかったんですよ、平成十二、三年ぐらいまではね。ところが、その後、赤ちゃんがどんどん、幸せにも生まれてきた。だからこそ、待機児童が出てきた。それで、どんどんつくって、来年の四月には、たしか四十七園ぐらいになるわけでしょう。そして、定員枠もどっとふえて待機児童はゼロと、こういうことでありますから、それでも出てきたということになれば、またしゃかりきになって、喜びを持ってこの困難を乗り越えていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 食育については、私、専門じゃないから、誰かお願いいたします。

 以上であります。

〔福祉保健部長 平林治樹君登壇〕

○福祉保健部長(平林治樹君)
 食育関係、それから食の安全性も含めました職員の採用関係についての御質問にお答えをさせていただきます。

 答弁の中でも区長のほうで答弁させていただいておりますけれども、本区の取り組みとしましては、調理員のみならず、栄養士、それから保育士、用務も含めて、一体となった取り組みが大切だというふうに考えてございます。

 お尋ねの中の採用に関してでございますけれども、これは特に、今、区立認可保育所の調理員が定数を欠いているというわけではなくて、すべて認可基準を満たした上で、職員配置を考えているというふうに、現状、なってございます。採用については、確かに二○○五年を機に正規職員の採用を行っていないというのは事実でございますけれども、それをもってして定数が足りていないわけではなくて、現行の認可基準は満たしてはいる。その上で、派遣職員ですとか非常勤職員、こういった者を本区の中で採用もしくは活用し、食の安全、食育に当たっているという現状でございます。

 今後の、そういった採用も含めまして、職員の十分な確保という点では、やはり所管部を預かる部長としても、最大限努力もしますし、これは必要に応じて、それぞれの部署と関係を取り合って、連携してやっていきたいというふうに考えておりますので、今後ともそういった取り組みは十分に果たしていけるというふうに考えておりますので、御理解いただければと思います。

 以上でございます。

〔九番 奥村暁子議員登壇〕

○九番(奥村暁子議員)
 初めに、秘密保護法案についてですけれども、特定秘密が何かということが重要だということなんですけれども、その秘密を指定するのは首相や外相や防衛相や警察庁の長官らで、教えたくない、隠したいと思うものを秘密として特定できるわけですから、都合の悪いことは自由に隠せるということです。

 今でも日本というのは非常に秘密も多い国で、例えば福島第一原発の災害時に放射性物質の拡散状況を予測するSPEEDIという機械がありましたけれども、そのデータを政府は、米軍には提供しながら、福島県民を初め、国民にはすぐに開示しないという中で、それを知らされずに線量の高い地域に避難して被曝をした、そういう方もいたわけで、今でさえ、これだけ秘密があって、国民の命が危険にさらされているわけですから、この秘密保護法案は十分な審議もされないままに強行採決するようなことはあってはならないと思います。断固反対をしていきたいと思います。

 そして、保育の問題についてですけれども、何よりも子供の幸せを第一に考えて、預ける保護者も幸せに、そして働いている保育士の方も幸せに働けるような環境をつくるために、今後とも努力を欠かさずに続けていただきたいことを要望して、質問を終わります。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時二十一分 休憩


午後三時四十分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続ける前に、私より一言申し上げます。

 先ほどの一般質問者、共産党の奥村暁子議員の質問は、質問時間がオーバーしておりましたので、今後このようなことがないように御注意をいただきます。お願いをいたします。

 なお、各会派の皆様にも申し上げます。質問時間は守っていただきますように、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、一般質問を続けます。十七番田中耕太郎議員。

十七番 田中耕太郎議員登壇

○十七番(田中耕太郎議員)
 中央区議会みんなの党の田中耕太郎であります。質問通告書に基づき、中央区政の諸課題について、区長並びに担当理事者に質問をいたします。質問テーマは、第一に災害対策について、第二に広聴・広報活動について、第三に子ども・子育て新支援制度について、第四に市街地再開発事業についてであります。一般質問も後半となりまして、これまでの質問者の質問と重複する点がある場合は御容赦いただき、明快かつ具体的な御答弁をお願い申し上げます。

 まず、先月発生いたしました台風二十六号による伊豆大島の土石流災害並びに台風三十号によるフィリピン諸島中部の大災害にて亡くなられた方々に慎んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された地域の方々に心よりお見舞い申し上げます。いまだ多くの方々の安否がわからない状況であり、一人でも多くの方が助かり、被災された方々が安全を確保し、一刻も早くもとの生活を取り戻すことをお祈り申し上げます。そして、私たちが今できることを真剣に考え、行動してまいりたく存じます。

 先月十五日から十六日にかけて、関東の東海上を通過した台風二十六号に伴い、関東の広い範囲に記録的大雨が観測され、特に伊豆大島では二十四時間雨量が八百二十四ミリに達し、土石流災害により三十五人が死亡、今も四名の方が行方不明のままであり、二百六棟の建物が全半壊、百六十二棟が一部損壊という甚大な被害が発生いたしました。伊豆大島は、近年においても、昭和四十年の大島大火、昭和六十一年の三原山大噴火による全島避難など、幾多の災害を乗り越えてきた歴史があり、島民の防災に対する自助・共助の意識は高いにもかかわらず、それでも、行政による避難指示・防災体制、すなわち公助が不十分であったとの厳しい指摘もあります。

 今般の台風被害や東日本大震災の教訓を申し上げるまでもなく、災害対策の見直しと改善は実務上も法制上も急務であり、災害対策基本法等の一部を改正する法律が本年六月二十一日に公布されております。

 改正の概要は、一点目に、大規模広域な災害に対する即応力の強化等であり、災害により自治体の機能が著しく低下した場合、国が応急措置を代行する仕組みを創設すること、二点目に、高齢者、障害者等の災害時要援護者の名簿を作成し、消防・民生委員等の関係者への情報提供を行うこと、三点目に、緊急時の避難場所と区別して、学校等の一定期間滞在するための避難所の生活環境確保と一定基準を設けること、四点目に、自治体首長が罹災証明を遅滞なく発行すること、被災者台帳の作成と個人情報の利用ができることなどであります。東日本大震災では、自治体もが被災し、罹災証明の発行が滞ったため、被災者生活再建支援金の受給等にもおくれが生じ、支援金が実際に被災者のもとへ届かないという深刻な事態が大きな教訓となっています。

 まず、災害対策基本法改正に関連して、質問いたします。

 第一に、万が一中央区役所本庁舎が被災し、早急な災害対応が困難である状況において、現状では、どのような次善対応策を講じるお考えなのか、その具体的な計画について。

 第二に、災害時要援護者対策の現状の取り組みと今後の名簿作成及びその運用指針について。

 第三に、緊急時の避難場所と学校等滞在可能な避難場所の収容人員を区内三地域別にお示ししていただいた上で、避難所のキャパシティーと避難生活環境の改善策について。

 第四に、被災時の罹災証明の発行手続体制の現状と今後の対応強化策について、それぞれ御答弁をお願いいたします。

 続いて、水害対策全般についてお聞きいたします。

 フィリピン中部を襲った台風三十号による死者数が、二十二日現在で五千二百九人となり、負傷者数は約二万三千五百人に上り、依然として千六百名以上の方が行方不明となっています。同国を襲った自然災害の犠牲者数としては、過去最悪の事態にあります。台風三十号は、最大風速が毎秒八十七・五メートルに達する台風であるとされ、米国海洋大気局(NOAA)の定義では、風速毎秒六十六・八メートルを超えるスーパー台風とされています。

 日本の気象庁の分類に台風を上回るスーパー台風の定義はないものの、二○○四年八月に日本に上陸し、死者・行方不明者十七名を出した台風十六号など、過去に日本にもスーパー台風は襲来しているとされています。地球温暖化の影響で、さらにスーパー台風の発生頻度がふえるとの予測もあり、フィリピンの台風災害は他国の問題だけではなくなりつつあります。フィリピンでの被害を大きくした要因として、発達した低気圧が通過する際に潮位が大きく上昇する高潮とされ、高くなった海面に強風が沖から陸へと吹き寄せ、津波のような高さ数メートルの波が人や家を押し流していったとされています。

 こうした事態の発生により、平成二十二年に政府の中央防災会議専門調査会がまとめた「大規模水害対策に関する専門調査会報告 首都圏水没~被害軽減のために取るべき対策とは~」が改めて注目されています。二○○五年の米国におけるハリケーン、カトリーナなどの大規模災害を背景としており、一九三四年の室戸台風級の台風が東京湾で高潮を発生させた際、最悪の場合、死者が七千六百名、八十万人が孤立するとの試算であります。その中で、実施すべき提言として、第一に、避難体制・避難率の向上、第二に、公共機関の応急力の強化、第三に、住民・企業の対応力強化、第四に、土地利用誘導による被害軽減等について具体的にうたわれており、とりわけ本区において重要と思われることは、大規模水害のイメージや避難の可能性を周知することや地下空間等における被害軽減策など、住民はもちろん、区内滞在者全てにとっての緊急時の対応策と思われます。想定外を排除するためには、現代文明を過信することなく、大自然の前には我々は時に無力であることを自覚しなければなりません。

 以上の観点から、水害対策について質問をいたします。

 第一に、大規模水害の被害イメージや避難計画の周知による避難率の向上策について。

 第二に、孤立者の救助・救援策について。

 第三に、地下空間等における、管理者が連携した避難及び止水・被害軽減策について、区の対応策をそれぞれお答えください。

 次に、防災対策基本条例についてお伺いいたします。

 これまでも述べてきたように、さまざまな災害発生に備えるために、区民、事業者、滞在者等の生命と財産を守るためには、区が取り組むべき防災課題を明らかにし、基本的事項等を定めて、区の防災対策をより一層推進する必要があると考えます。帰宅国難者等の都心固有の問題も東日本大震災を契機に顕在化しており、さきに申し上げた理念を基礎として、隣接する千代田区においては災害対策基本条例、港区においては防災対策基本条例が既に制定されております。

 そこで、お尋ねいたします。

 中央区地域防災計画を初めとする各種防災計画等とは別に、区、区民、事業者、帰宅困難者等の関係者の責務や対応施策を明確に位置づけした防災対策基本条例を本区でも定め、今後の防災力向上を行う必要があると考えますが、区長の御見解をお知らせください。

 次に、広聴と広報についてお伺いいたします。

 区民主権の本区において、区民の意見を広く聞き、その対応、改善策を講じ、区民に広く発信し、具体的な行政サービスを展開することが区の使命であります。

 広聴について、本区では、行政公聴会、区政世論調査、まごころステーション、法律相談、人権擁護相談、国の行政相談等の各種相談、区政モニター、区長への手紙、さらに近年においてはパブリックコメント等も広聴の一形態と考えられます。多くの窓口や機会を提供することは、多様な意見を取り込む上で大変重要でありますが、一方で、区民からは、問題ごとにどの窓口に相談すべきなのか、相談内容が担当者または幹部職員に伝わっているのか、質問への回答が遅く、進捗状況がわからないといった御意見も少なくありません。

 また、広報については、単に事実を伝達、発表するだけではなく、所管課を超えた横断的な発想で中央区のブランドやイメージアップを図る必要があり、職員の広報マインドの醸成やトレーニング、単なる広告や宣伝にはとどまらないプレスリリース等のパブリシティー、シティプロモーション、SNS等を活用した双方向広報など、新しい媒体や区民ニーズをより具体的に検討する必要があります。

 以上の点について四点質問いたします。

 第一に、本区では各種さまざまな広聴が行われておりますが、その役割分担を明確にした上で、広聴制度のあり方について体系的に一度整理し直し、新たに広聴基本方針を策定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 第二に、各種広聴・相談窓口による御要望や相談内容と回答状況は、現状どのように管理されているのでしょうか。

 第三に、区民の声への迅速な対応と、施策立案や職員間の情報共有・意識啓発につながる広聴システムを全庁的に導入すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 第四に、区政世論調査の回収率が、近年は五○%前後で推移しておりますが、現行の郵送調査に偏らず、必要に応じて、かつて回収率の高かった留置調査やその他面接調査、グループ調査、電話、インターネット調査等を活用し、精度の高い多様な意見の反映が可能な調査を行うべきだと考えますが、どうでしょうか。

 以上四点についてお答えください。

 次に、広報についても三点お伺いいたします。

 第一に、広報戦略のあり方も見直し、広報戦略基本方針を策定するべきと考えますが、区の御見解をお知らせください。

 第二に、現在、区長の記者会見を行っていないのは、二十三区では本区を含む六区となっております。区長は、マスコミ、メディアの御出身でもあり、メディアの有効利用策について詳しく、お得意なはずであります。情報発進と開かれた区政の広報戦略の一環として、記者会見を定例化もしくは不定期でも行うべきではないかと考えます。区長御自身の御見解をお知らせください。

 第三に、近年、プレスリリースにおけるプレゼンテーション能力及び不祥事等の際の謝罪や釈明会見の重要性が高まっています。正しい内容説明と不祥事を起こさないことが何よりも重要でありますが、有権者や視聴者の視点に立った説明、表現能力も高く求められています。職員への研修体制も含めた、広報能力の向上策についての本区の取り組みについてお知らせを願います。

 子ども・子育て新支援制度についてお尋ねをいたします。

 子供を産み育てやすい社会を目指して、政府の子ども・子育て支援新制度が二○一五年度の導入に向けて、本区でも中央区子ども・子育て会議が開かれております。新制度への円滑な移行に向けた取り組みの一環であり、来年度までの二年間を緊急集中期間として取り組む政府の待機児童解消加速化プランについても、本区を含む特別区全てが参加の意向を示しております。

 こうした点を踏まえて、基本的な考え方と方針について三点お尋ねいたします。

 第一に、政府の子ども・子育て支援新制度について、本区でどのように分析し、新制度を最大限活用するための具体策について、考えをお知らせください。

 第二に、待機児童解消加速化プランについて、詳細未定な点も多いと聞いておりますが、示された五項目十九事業の支媛パッケージの中には本区の実情に沿ったものも多数あると思われます。本区の希望する事業内容や、導入によって見込める成果について、お見通しをお知らせください。

 第三に、中央区子ども・子育て会議は、新制度の導入に際して重要な位置づけであると考えます。今後の会議内容や開催頻度をお知らせしていただき、会議内容をどのように区政に反映していくのかについて具体的にお示しを願います。

 最後に、市街地再開発事業についてお尋ねをいたします。

 二○二○年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、世界最高峰の平和とスポーツの祭典を大いに歓迎すると同時に、その中心となる選手村予定地を晴海に抱える本区にとっては、世界中からの来街者を迎え入れるためのソフト面、ハード面ともに、さまざまな整備、開発を急ぐ必要があります。本区は、人口の都心回帰と相まって、主に昭和初期から中期にかけて構築された、さまざまな都市機能の更新を果たすべき時期に差しかかっており、とりわけ都市再生事業による再開発は、都心としての高度機能を維持、更新する上で欠かすことのできないものであると考えます。

 しかしながら、都市再生事業によって大いに得るものがある一方で、決して少なくない失うものに絶えず細心の注意を払い、区民生活に支障が出ないように最大の努力を区や事業者は行う必要があるはずであります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 区内における第一種市街地再開発事業について、平成期以降に竣工したもの及び現在の計画、進捗状況について総括をしていただき、区全体や当該地域への影響について、これまでどのように分析をしているのか。また、悪影響に対しては、どのように事前・事後の対策を講じてきたのかを、具体例を挙げてお示ししてください。

 近年行われる再開発事業の中には、近隣住民への説明が不十分と思われるケースや、計画内容が近隣環境へ大きな負荷をもたらすことが予想されるケースが多々あり、区の所管課はもとより、我々区議会議員のもとへも相談が少なくありません。このようなケースにおいて、区は事業者や関係者に対して、具体的にどのような指導を行い、近隣住民の不満や不安に対して、どのように説明や対応を行うように求めてきたのかについてお知らせを願います。

 さらに、具体的な問題点として、勝どき東地区第一種市街地再開発事業についてお尋ねをいたします。

 本件は、計三棟で約三千戸という、全国的にも有数の再開発事業であります。先端の計画理念や公共貢献も予定されており、再開発自体の利点は大きなものがある一方で、これだけの大規模再開発であるにもかかわらず、当初から計画されていたA敷地のA1・A2棟とは異なり、B敷地のB棟はA敷地と比較して狭い敷地であり、建蔽率、容積率ともに高くなっています。しかも、実質的にはB敷地に現在ある既存の建物の高層化による建てかえ計画となっており、既存建築物をはるかに上回る百メートル超の壁状の建築計画となっていることは見逃すことができません。これでは、日影、風害はもちろんのこと、近隣住民には多大な圧迫感を生じます。

 本来、第一種市街地再開発事業は、個別建てかえでは問題解決が困難な地域に、地域及び公共貢献への大きさの特例としての建蔽率や容積率の緩和を行うものであります。建物の敷地形態が大きく変わらず、建蔽率や容積率のみを緩和することは、特例濫用の可能性さえあります。中央区においては、事業者、区民が各地域において、さまざまな都市計画のルールを守った再開発、更新が行われております。街区の利用形状に特別な変更が見当たらない地域を取り込んでの再開発は、近隣住民への負荷が大きく、公的助成も莫大であることから、住民間の不公平を生じ、第一種市街地再開発事業の基本理念とも異なるものと私は訴えます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 本計画B敷地周辺住民への悪影響について、区としてどのように考えているのか、その分析と対応策をお知らせください。

 また、本計画におけるB敷地B棟のあり方について、現状、全く問題がないという見解であるのか。法的観点のみならず、周辺への影響も含めた総合的・理念的な観点での御見解もあわせてお知らせください。

 以上で一回目の質問を終わります。御答弁によって再質問をさせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中耕太郎議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区役所本庁舎が被災した場合の対応策についてであります。

 本庁舎は、震度七クラスの地震に耐えられる耐震補強を行っておりますが、万が一大きな被害が生じた場合は、地域防災計画に基づき、被害状況を踏まえて、日本橋特別出張所または月島特別出張所に災害対策本部を設置し、災害対応を行うこととしております。こうした対応も困難な被害を受けた場合は、東京都あるいは国に支援を要請するとともに、特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定に基づき、被害の少ない区に対しても支援を要請して対応することとしております。

 次に、災害時要援護者の名簿作成についてであります。

 本区では、地域での助け合いを希望される高齢者や障害のある方の名簿である災害時地域たすけあい名簿を既に作成し、防災区民組織等での要援護者の把握等に活用されているところであります。また、要援護者全員を登載し、災害時の安否確認等に区が使用する災害時要援護者台帳も整備しております。法改正に伴う名簿の作成・活用に係る手順等を示すため、本年八月に国の指針が改定されました。現在は、国と自治体間で指針等の解釈のすり合わせ等、調整を進めているところでございまして、具体的な方向性が示された後、法改正に対応できるよう両名簿を改定し、実効性のある災害時の支援等につながるよう努めてまいります。

 次に、避難場所、避難所の収容人員と生活環境の改善についてであります。

 本区は、大規模延焼火災が発生した場合の避難場所として、広域避難場所が四カ所指定されており、避難計画人口は、京橋地域が四万人、月島地域が七万人で、日本橋地域は全域が地区内残留地区となっております。また、避難所となる防災拠点や副拠点の収容可能人数は、日本橋地域、京橋地域がそれぞれ一万二千人、月島地域が一万七千人で、被害想定に基づく避難者全ての収容が可能となっております。防災拠点では、投光器、発電機などの資器材のほかに、簡易ベッドやエアマット、LEDランタンを備蓄するとともに、活動マニュアルを作成し、災害時要援護者の居室を指定するなど、避難者の生活環境の改善に努めております。

 次に、罹災証明の発行についてであります。

 区では、大規模災害発生時において、住家被害認定調査、罹災証明発行及び生活再建支援を含めた震災復興を円滑に行うため、平成二十四年度に生活再建支援システムを導入し、消防署など関係者も含めた研修会を実施して、災害発生時に的確な運用が可能となるよう努めております。

 次に、水害対策についてであります。

 本区では、平常時から洪水ハザードマップを公表し、浸水の危険がある場所と避難先の周知を図るとともに、台風等で洪水、高潮が予想される場合には速やかに避難勧告や避難指示を発令し、警察、消防、消防団等との連携により、避難率の向上に努めてまいります。また、浸水により孤立者が発生した場合には、災害時要援護者を優先し、関係機関と連携して安全な場所へ救助、誘導してまいります。地下空間等における水害対策につきましては、本年六月、水防法が一部改正され、浸水想定区域内の地下街等においては、避難確保計画に加えて、新たに浸水防止計画を作成することが義務づけられたところであります。区では、荒川浸水想定区域内の地下街等として、八重洲地下街や東京メトロの地下鉄駅など、三十三施設を中央区地域防災計画に位置づけており、既に全施設の避難確保計画が作成されております。八重洲地下街においては、浸水防止計画もあわせて作成され、接続する地下空間管理者と連携した計画となっております。今後、浸水防止計画未作成の管理者へ指導を行うとともに、地下空間の管理者の連携が図られるよう、働きかけてまいります。

 次に、防災対策基本条例についてであります。

 本区の防災対策は、災害対策基本法及び本区防災会議条例に基づく地域防災計画を踏まえて実施しているものであり、本計画において、区、区民、事業者等の責務を初め、災害予防、災害応急対策及び災害復旧・復興計画を詳細に定めているものであります。他区において制定している防災対策基本条例は、こうした内容を改めて条例に規定しているものであり、現在、本区として防災対策基本条例を制定する考えはないものであります。

 次に、広聴についてであります。

 広報は区政の正確な情報発信、広聴は区民の意見・要望等の積極的な情報収集という機能を持つ、区政運営の根幹をなす制度であり、相互に補完し合うことによって区民の声を区政に反映させるものであります。そのため、広聴活動に当たっては、区民との意見交換の場を積極的に設定し、信頼関係を育みながら情報の共有化を図ることを取り組みの指針としております。広聴活動体系の中心となる各種相談事業においては、個人情報の保護に配慮しつつ、区で対処できるものについては、所管部署で速やかに解決を図り、他の専門的な相談についても、関係機関を紹介するなど、相互連携のもとで、相談者の立場に立った丁寧な対応を行っております。相談内容等は、貴重な資料、データとしてさまざまな観点から検証を行い、事業運営にも活用しております。また、本区の特色ある広聴活動の一つである区長への手紙は、直接意見・要望等が届く仕組みで、庁議の場で全庁的な共有を図り、施策立案や事務改善に結びつけております。さらには、ホームページや区のおしらせなどで公開して、区民との情報共有を図っているところであります。

 次に、区政世論調査についてであります。

 平成十九年度まで行っていた区政世論調査における面接法や留置法は、回収率が高い利点があるものの、マンションのオートロック化が進み、直接住民に接触することが困難になってきたことなどから、平成二十年度以降は現在の郵送法に変更して実施しております。なお、本年度に実施した区政世論調査の回収率は五二・四%であり、統計上の信頼水準は十分高いものとされており、当面は現在の手法を継続してまいります。

 次に、広報についてであります。

 広報活動に当たっては、区政への理解を深め、区民との信頼関係を築いていくため、区民の視点に立った、多様でわかりやすい区政情報を発信していくこととしております。その活動の一環として、この十二月にはホームページをよりわかりやすくリニューアルするとともに、スマートフォンにも対応させて、シティプロモーションなどの戦略的な視点に立った情報発信の充実に努めているところであります。今後とも、区民のニーズを的確に捉え、さまざまな広報のツールについて検証を行いながら、情報発信の強化に取り組んでまいります。

 次に、定例的な記者会見の開催についてであります。

 現在、定例的な記者会見につきましては、新年度の当初予算案を発表する会見を開催しております。定例的に行う記者会見は、会見そのものが形式的になりやすくなるという課題もあるため、必要に応じた開催を検討しております。

 次に、職員の広報能力の向上についてであります。

 区では、採用二、三年目の段階から、ロールプレイングを取り入れた実践的な研修やプレゼンテーション研修などにより、コミュニケーションスキルの向上を図っております。また、昇任時の研修においては、クレーム対応など、表現力や交渉力の向上に努めているところであります。今後も、職員一人一人が広報の重要性を認識し、その意識を高めることができる研修のさらなる充実に努めてまいります。

 次に、子ども・子育て支援新制度についてであります。

 この制度は、実施主体である区に対し、地域の子育てニーズを把握した上で事業計画を策定し、幼児期の教育・保育や地域子ども・子育て支援事業の提供体制を確保するとともに、その実施時期を定めて実行することを求めるものであります。区は、潜在的ニーズを含めた区内の子ども・子育てにかかわるニーズを把握するため、区民に対する調査を行うとともに、中央区子ども・子育て会議での審議を通して策定される事業計画に基づき、地域の実情を踏まえた質の高い幼児期の教育や保育を具体的施策として提供することとし、子育てしやすい環境の実現を図ってまいります。

 次に、待機児童解消加速化プランについてであります。

 本年度、保育士等処遇改善臨時特例事業及び賃貸物件による保育所整備事業を活用し、保育士賃金への上乗せ分の補助金を交付したほか、平成二十六年四月の私立認可保育所六カ所の開設支援に向けた取り組みを実施し、保育士の安定的な確保や増加する保育ニーズへの対応を行っているところであります。また、認可を目指す認可外保育施設への支援や認可外保育施設保育士資格取得支援事業など保育事業者の希望によるものについては、私立保育園長会等を通じまして情報提供しており、今後、希望があれば、追加の実施を検討してまいります。

 次に、中央区子ども・子育て会議についてであります。

 平成二十七年度からの事業計画の策定に向け、本年度中に二回、平成二十六年度は三回以上の開催予定の中で、現在実施しているニーズ調査の結果を分析し、審議する見込みとなっております。新制度開始後は、区は事業計画に基づく施策を検討の上、実行し、この会議でその達成状況の点検、評価及び計画の見直しを行っていく予定であります。

 次に、市街地再開発事業についてであります。

 平成期以降に竣工した市街地再開発事業は九地区、現在進められている事業も九地区あり、いずれもまちの将来像を描き、その実現に向け、本区の基本計画など上位計画との整合を図りながら、権利者合意のもと、十数年を費やして取り組んでいるものであります。こうした再開発事業は、本区の長年の課題であった定住人口の維持・回復に寄与し、不燃化の推進や災害時の避難場所の整備など地域防災力の向上とともに、区内では確保が難しい、まとまった空地整備を図るなど、個別の建てかえでは困難な地域改善を実現してきたものと認識しております。また、再開発事業による周辺への影響につきましては、例えば風環境の変化について、事前の予測調査はもとより、事後においても、少なくとも一年間の調査を事業者に実施させ、植栽の充実など必要な対策を講じるよう指導しております。これまでも区では、まちづくり協議会や都市計画法に基づく説明会を通じまして、地元の意向把握に努め、地域課題の改善や計画によって生ずる影響について、事業者に対し、その指導を行ってまいりましたが、平成二十二年十月にまちづくり基本条例を制定し、その強化を図っております。具体的には、再開発事業に伴う影響について、計画地周辺に対する説明会の開催や結果報告を事業者に義務づけることで、地域に対する配慮事項の実効性を高め、よりよい計画となるよう積極的に指導しているところであります。区といたしましては、まちづくりに対する地域住民の理解や協力が必要であることから、今後とも事業者に対し適切な指導を行いながら、協議型のまちづくりを実践してまいります。

 次に、勝どき東地区第一種市街地再開発事業についてであります。

 本事業は、大規模な倉庫の土地利用転換による市街地更新と老朽化したマンションの建てかえを一体的に行うものであります。この計画により、計画地の北西側の地域、とりわけB敷地周辺に対して日影の影響が大きくなることが想定されたことから、区では、その影響を軽減するため、南側に寄せた配置計画を指導しておりますが、今後、隣接地については、住民とも協議の上で、再開発事業の実施も含め、その対策について検討してまいります。

 次に、施設の配置計画についてでありますが、計画地周辺は木造低層建物が混在する密集市街地であり、避難場所の不足など防災上の課題から、安全・安心のまちづくりが求められております。そこで、本計画では、一体的な計画の中で建物の配置を工夫し、地域住民が日常的に集い、災害時には地域活動や避難の場として活用できるスポーツアリーナや防災広場を整備するとともに、朝潮運河に面する立地を生かした幅員十三メートルのプロムナードや人道橋、防災船着場を整備する計画としております。本計画により、地域環境への新たな影響も生じますが、できる限りその影響を軽減するとともに、安全・安心で地域の魅力が高まるよう、総合的な観点に立って、まちづくりを進めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十七番 田中耕太郎議員登壇〕

○十七番(田中耕太郎議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 まず、災害対策全般についてでございます。

 御答弁の中でもきちんと、もう法改正以前から準備しているものがあるということで対応はばっちりだというふうに、聞いていて思うところもあるわけなんですけれども、何点か、確認も込めましてお伺いしたいんですけれども、例えば水害対策の中で、先ほど事業者、大規模な事業者や大規模な地下通路等は対策をとって、計画も既にあるというお話なんですけれども、本区の場合は、中小企業や一般のマンション等においても、地下ですとか駐車場等々もあったり、既存の計画の枠組みに必ずしも入っていない、大規模とは言えないけれども、影響の大きい物件や地域といったものが多数あるのではないかと思うんですけれども、そのような点について、現状、まず大きいところから優先的に整備や対応をしていくというのは当然のことでありますけれども、今後、中小でございますとか、個人のお宅ですとか、そういった既存の災害対策計画の中に含まれないもの、例えば水害対策などでどのようにお考えになられているのかについて御見解をお知らせしていただきたいというふうに思います。

 それから、防災対策基本条例については、地域防災計画でもう同趣旨のことは賄っているということは、私のほうでも承知している部分でございます。ただ、防災計画、東日本大震災も受けまして、さまざまな計画や指針が区内でもあるかというふうに思います。さまざまな計画の相互の関係ですとか、あと、やはり何といっても区独自の計画というだけではなくて、区民の方や区の滞在者、帰宅困難者もそうですけれども、この責務とか位置づけをもう一歩、現在の地域防災計画の中にも定義されておるのは知っておりますけれども、さらに明確に位置づけをしていくということは、今後の防災対策を考える上で非常に重要ではないかというふうに思いますので、現在の地域防災計画と、それを仮に基本条例のような形で条例化した場合の違い、これは全くないというお考えなのかどうかについて御見解をお知らせしていただきたいと思います。

 私は、計画と条例は、当然、位置づけ、意義が違うとは思っておりますけれども、条例で体系立てて明確に位置づけするということは重要なことであるというふうに考えておりますので、そこの点について、計画と条例の相違という点についても、お考えがあれば、お知らせしていただきたいというふうに思います。

 また、広聴・広報についても、基本方針をどちらも策定すべきではないかということを申し上げました。これも、今申し上げた災害対策と類似する点もあるんですけれども、さまざまな手段やメディアがあるわけでございます。そうすると、一個一個の計画や指針といったものは、しっかりとしたものを中央区はつくっているというふうに思うところなんですけれども、やはり相互の関係ですとか、全体として本当に機能するのかどうか、機能させていこうという、そういったことを考えていくならば、広聴全体、また広報全体の戦略や計画、指針を改めて見直す。改めて見直す際には、広聴や広報のあり方を、時によっては外部の有識者等も招いて、抜本的、総合的に見直すというようなことも必要なのではないか。現に、そういったことをやっている自治体というのは、ここ近年、大変数がふえてきているというふうに認識しておりますので、その点について、いま一度御見解をお知らせしていただきたいと思います。

 また、私の質問の方法が若干悪かった点もあるんですけれども、広聴について、システムという言葉を使ったんですが、ここでいうシステムというのは、御回答、私の聞き漏らしやもしれませんけれども、ITを使ったシステムというような意味づけというか、位置づけでお聞きしている部分も、広聴システムというので、ですので、今ある全体としての、組織としてのシステムという意味もありますけれども、ITを使って全庁的に、例えばどこで相談を受けても、御相談内容や御相談担当者、それから回答内容等が一元化して把握できるようなITを使ってのシステムというのは現在あるのかどうか。ないのであれば、今後、そういったものを整備していく必要性がないのかという点について、もう一度お答えをしていただければというふうに思います。

 子ども・子育て新支援制度については、まだ始まったところでございますし、中央区における会議もまだ第一回が八月に行われたばかりということでございます。来年度の計画予定として三回程度を予定しているということでございますけれども、非常に子育ての範囲は広いわけでございますが、この三回の会議で具体的な提言、事業計画等を盛り込むことが果たしてできるのかどうかという点についてお知らせをしていただきたいと思います。内容は非常に盛りだくさんで、第一回も現状報告だけで大半が終わったというふうな感もあります。

 私も子供がおりますので、ニーズ調査が自宅のほうに送られてまいりましたけれども、かなり詳細な内容のもので、データの量、質ともに膨大なものになるかというふうに予想されますので、今後、この分析やこの内容を踏まえて具体的なアクションに結びつけるためには、この三回という会議では少ないのではないかというふうに思うんですけれども、その点、御見解があれば、お知らせをしていただきたいというふうに思います。

 そして、最後に、再開発についてもお伺いをいたします。

 本区、一般質問本文の中でも述べましたけれども、再開発事業自体は積極的に行っていくべきでございますし、現在、耐震、免震の建築技術も進化してまいりましたので、高層化をしても安全面を確保することができるというふうにも思います。時代の要請として、本区はそういったことを積極的に行っていくべきであろうというのは、私自身も強く思うところであります。

 ただ、一方で、やはりどうしても近隣への影響は本当に大きいわけでございます。中央区だと、日は多少当たらなくともやむを得ないのではないかというような考え方をしている方もいらっしゃるようでございますけれども、既存の誰もが同じルールの中で日影等に問題が生じるのであれば、納得せざるを得ない部分はありますけれども、大規模再開発、とりわけ第一種市街地再開発事業というのは、事業組合もそうですけれども、公的な支援も受けた上で行われる特例的な措置なわけでございますので、周辺住民の方に過大な負担や影響を決して与えないように細心の注意を払うべきだというふうに思っております。

 まちづくり協議会や事業者への説明等々も行っているというふうな御回答だったというふうに思うんですけれども、実際問題として、今回、勝どきの東地区、最新の計画でございますけれども、近隣住民の方からは、事業者や区に、現在、日影の予定図なども資料として出ているんですけれども、今現在の日影図との比較ができないので、今現在の日影図について提出が可能かというようなことを区や事業者に問い合わせたところ、可能だとは言うんですけれども、実際はなかなかその提出が行われていないというような具体的な問題もあります。

 また、この計画は非常に巨大な計画で、勉強会も含めれば、もう十数年以上前からの計画なわけでございますけれども、近隣への具体的な説明会としては、本年六月の説明会が実質初めての説明会というふうに聞いておりますけれども、その際に事業者側は、これは今後ほとんど変更する予定のない計画なんだというような趣旨の発言をされているとも聞いておりますので、それでは、周りの方からの意見をどのように吸収するお考えがあるのか、修正していく考えがあるのか。これは、周りの人からすると、もう決まったものを見せられまして、おしまいですというふうに言われているような部分が大きいというふうに思います。

 また、そういった場所で反対や意見を述べた方の意見が、区に正確に届いているのかどうかという点につきましても、周辺住民の方からは非常に疑問を抱いておられる方がおりました。そういった説明会の場できっちりと反対意見や懸念を申し上げたにもかかわらず、区のほうでは正規の反対意見はなかったというような認識を担当者が述べていると。これでは、どこに、誰に、どんな意見をどのように伝えれば、正しく意見が反映されるのかがわからないというような御意見が地元の近隣住民の方からも出ておりますので、説明責任は大変重要でございますので、こういった住民、新しく建てる建物の方、今住んでおられる方もそうですし、新しく移ってこられる方も住民でございますけれども、近隣に住んでおられる方も、当然、区民でありますので、最大限の配慮をお願いしてまいりたいと思います。その点について御見解、御回答をお願いしてまいりたいと思います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。

 水害対策ね。これ、御案内のとおり、毎年、水防訓練、五月ですかね、行ったことがあると思いますけれども、ああいうような土のうをやったり何かしている訓練ですね。消防団の皆様方を中心に、本当に活動されているわけであります。

 本区におきましても、これまでも湊町ですかね、地域で地下のところに水が入ってきたというようなことが、三、四年前ですかね、ございましたし、また、中野のほうですか、駐車場に水が入ってきて、そして、お一人亡くなった、そういう事故もあったわけでありますから、そういうような中小あるいは個人に対する水防は非常に重要なものがあるというふうに思っているわけであります。

 中央区は、比較的ほかの二十二区に比べれば水はけが非常にいいわけでありますけれども、しかし、それでもそういうおそれもあるわけで、毎年、水防訓練を行って、あそこでさまざまな、水が入らないようにということで手だてをやっていただいている。ああいうのをどんどん取り入れよう、取り入れるというか、もう取り入れているから、ああいう訓練をやっているわけでありますけれども、そういうことで今後とも中小や個人の皆様方が不安にならないように対策はしっかりやっていきたい、こういうふうに思うわけであります。

 それから、地域防災計画とは別途、基本条例をつくったらどうかという御意見でございますけれども、先ほど答弁いたしましたとおり、防災計画でしっかりやっておりますので、ダブる点が、全くダブることになるわけでありますから、いかがなものかな、こういうふうに考えているところでありますけれども、いや、ダブらないんだということならば、それもいろいろ研究、検討していかなければならない、こういうふうに思うわけであります。

 それから、広聴・広報。中央区の広聴・広報は非常に充実しておりまして、本当にすばらしいな、広報関係の皆様方、いろいろやっていただいている。田中議員も質問の中で述べているとおり、広報・広聴、本当に充実しているわけでありますけれども、それでも足りない点があれば、それはしっかりと補っていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。

 全体として見直しを図れって、余り意味がわからないんですけれども、全体としてしっかりしているのではないかな、こういうふうに思うわけですけれども、どういうのが具体的に欠けているのか、あれば、教えていただきたいな、こういうふうに思うわけであります。

 また、子ども・子育て会議ね。これは大いに期待しているところでございまして、特に、これは今年度中に二回、来年度は三回以上開催の予定であると申し上げましたけれども、この会議自体はずっと続くわけでありますから、これで終わりというわけではございませんし、そして、特に子供を産みやすく育てやすい自治体ナンバーワンをつくろうということで、全庁を挙げて取り組んでいるところでございまして、先般も、森まさこ少子化対策大臣のもとに少子化危機突破タスクフォースというのがございまして、そこへ、中央区のが非常にすぐれているから、いろいろ披露してくれという御依頼がございまして、行ってまいりまして、中央区の人口回復とか、あるいは子育て、そういう点を述べてきたわけであります。

 御案内のとおり、国の社会保障・人口問題研究所の見通しによりますと、先般の国勢調査、平成二十二年でしたか、あのときが一億二千何百万であった。それが五十年後には八千万台になってしまうと。人口がどんどん減っていく。そして、高齢化率も三九・何%、四○%近くになってしまう。これではいけないということで、国も少子化危機突破タスクフォースというのをつくって、懸命に努力しているわけでございまして、そういう意味では、本区、本当に区議会の皆様方、区民の皆様方のお力添えによって人口がどんどん伸びて、もうかつての二倍になろうとしているわけでありますし、また赤ちゃんがどんどん生まれてくれている。大変うれしい。こんなに子供を産みやすく育てやすい自治体はないのではないかと思われるぐらい、ことしなんかは赤ちゃんが千七百人を突破する。昨年が千五百十一人でしょう。それがどんどん伸びるというわけですから、そういう人たちの子育て支援という意味では、何といっても保育園をつくろうということで、どんどんつくっていると。こういうことで、今後とも子供を産みやすく育てやすい自治体ナンバーワンをしっかりと目指して進みたい、こういうふうに思うわけであります。

 それから、市街地再開発事業、これはそうですね。近隣の皆様方に大きな影響を与えてはいけないということで、いろいろと工夫して、まちづくり協議会等も、本区は十地区につくって、これはもう住民の皆様方の意見をどんどん取り入れたまちづくりをやろうというのが心でございまして、何といっても事業者、そして地域の住民の皆様方、そして企業、そして自治体、一体となった良好なまちをつくり上げようではないかということでありますね。それこそ災害に強いまちになるのではないか、そういうふうに思うわけで、不燃化の推進、災害時の避難場所としての整備、あわせてつくっていくということでございまして、当然、御指摘のような日影の問題であるとか、風環境なんかについては、しっかりと対応していかなければならないわけでありますけれども、十分行き渡っていないのではないか、そして手直し、手直しと言うけれども、手直しされないというように不安を持っている住民も多いという御指摘もございました。直接の担当者に答弁を、これ以上させたほうがよいのではないかなというふうに思いますので、そうさせていただきます。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 勝どきの東地区の再開発についてでございます。

 委員御指摘のとおり、これは二十数年かかって検討している事業でございますけれども、近隣に対する説明というのが、町会レベルでは四年前ぐらいからいろいろやっておりましたけれども、住民の方々のレベルでの説明が、委員御指摘のとおり、ことしの六月であったと。そういう状況の中で、基本的な計画を見た場合に、実際的にお住まいになっている方々の被害が大きいということで、いろいろ御提起があることは、私ども十分承知をしております。

 この再開発事業については、現在、都市計画というところに向かって検討を進めているわけでございますけれども、御案内のとおり、再開発事業自体がまだ道のりがあるものでございますし、また、その周辺環境についても、今後の全体のまちづくりの中で対応する部分もございますので、そういった点を含めて、近隣の住民の方々と私ども区側とできちんと話し合いをさせていただきながら、直接の再開発事業者との話し合いも含め、区として責任を持って近隣の方々とも話し合いをさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

〔十七番 田中耕太郎議員登壇〕

○十七番(田中耕太郎議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 水害、災害に関しましては、水防訓練等もということで、私も一消防団員として毎年水防訓練等にも参加させていただいておるわけでございますが、今回質問の中で申し上げました内容というのは、やはり大島でもそうですし、フィリピンのこともそうなんですけれども、本当にまさに想定をはるかに上回る集中豪雨等によって、水防する暇もないぐらいに、要するに逃げることを優先しなきゃいけないような、本当に最悪の事態というのは、東京でも、ここ中央区でも絶対に起こらないとは言えない。可能性は低いといえども、起こり得るという趣旨でお聞きをした部分もございます。

 中央区の治水能力自体は、区長もお答えありましたように、私も知れば知るほど、非常に水はけのいい場所、海に近いにもかかわらず対応をとられているんだということを認識する部分もあるんですけれども、やはり我々の想像をはるかに超える最悪の事態ということを念頭に置いた計画、避難、命あっての全てでございますので、そういった対策も行政として責任を持って展開をしていただきたい、このように思うところでございます。

 また、広聴や広報、全体としてということで、区長のほうから、逆質問ではないですけれども、いただきましたので、広聴や広報、さまざまな施策、今、区長も自信をお持ちで展開しているということでございます。種類が多いわけですから、その種類の中で、この分野は特にこちらに力を入れよう、この方法を使っては、特にこういうことに力を入れようという特色を分けていったほうがよいのではないかと。それを分けるためには、指針ですとか戦略のようなもの、計画のようなものを、より明確に広聴や広報という分類で計画や指針をつくったほうがよいのではないかという趣旨で申し上げております。

 例えば、今でしたらIT、これまでも申し上げておりますけれども、SNSと言われるソーシャルネットと言われる、インターネット等を使った新しい広報の方法ですとかも近年あらわれたわけでございます。そういったものを中央区も少しずつ取り入れたりしているわけなんですけれども、新しいから取り入れるというのではなくて、必要性があるのかないのか検証して、この分野には非常にあるから、では積極的に使いましょうという計画の段階だと、まだ思うわけなんです。その計画を立てるべきではないかという趣旨で質問と御意見を差し上げたところでございます。

 先ほども質問して、私、また聞き落としたかもしれませんが、システム、ITシステムについてはあるのかないのかについて、これは区長ではなくて、御担当の理事でも構わないと思うんですけれども、御見解をお知らせしていただきたいというふうに思っております。

 子ども・子育てに関しましては、これも区長に自信満々でお答えしていただいたように、中央区の能力やパフォーマンス、私も子供をこのまちで育てる一親として、非常にうれしいと思う部分、満足する部分もあるわけなんですけれども、やはり人口もふえてきている。子供の数がふえれば、それに対応した新しい問題も出てくる。これを先取りして、予見して行っていただきたいということでございます。

 最後の再開発についてでございますが、今、副区長のほうからも具体的な御答弁がありましたけれども、地元でも昔からお住まいの方は町会や既存の組織等を活用して、計画自体はもう二十数年来あるということであれば、知らないほうが難しいというか、知っている方が多いというのは理解ができます。

 ただ、中央区は今、人口の急増地帯でございまして、ここ十年間で引っ越してこられたような方が半数にも及ぼうかという、この中央区の現状を考えたならば、また町会自体への加入率がもう一つ上がらないということが区の問題の一つとして、常に上がってきているわけです。私自身も町会やマンションの管理組合で役員や会員として活動をしておるわけなんですけれども、残念ながら、現状の中央区の地域では、新しく越してこられた方やマンションの一住人が町会や地域の情報を得る手段というのは、区のおしらせのような、区が公式に発表、発行しているデータや資料は、意識のある方は、新住民の方もごらんになっていますけれども、やはり会議、会合等の情報というのは、残念ながら、現状得られていないというのが実情だと思います。ですので、そういった方々を念頭に置いた説明の方法をしていかなければならないというふうに思います。

 今回、別に一つの計画だけをもって、悪い、よいということを本来は論じるべきではないとも思うわけなんですけれども、六月に具体的な近隣の方に説明をして、あたかもこれが最終決定に近い形である、もう予定変更はできないというような趣旨の説明をしている、このことは非常に大きな問題だと思いますので、ぜひとも、区もかかわる公的な大規模な開発でございますので、指導等、相互理解を深めるための方策、今、区長のほうからも全体のまちづくりや直接の事業者との理解を得られる方法を考えるというような御答弁があったと思いますので、これを具体的な実行に、近々に移していただきたい、このように要望してまいりたく思います。

 以上、先ほどのシステムの件だけはお答えをいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

〔企画部長 中島毅君登壇〕

○企画部長(中島毅君)
 ICTを使った、いわゆる広聴システムについてでございます。

 本区で申しますと、例えば区長からも御答弁させていただきました区長への手紙、これについては、大体Eメールでの受け付けというのが七○%を超えているといった状況がございます。これを受けますと、広報課が中心になって、これを受けているわけでございますけれども、直ちに所管部のほうに通知をし、それについての対応を早急に協議するように指示をいたします。それをまた一元化いたしまして、広報課のほうでそろえまして、区長のほうに上げていく、こういった仕組み、システムになっているわけでございます。

 ICTでもって全て処理するかどうかといった問題はあろうかと思いますし、また近隣区でこういったICTを使った取り組みがなされようとしているといった状況は聞いておりますけれども、そういった点も踏まえて、ICTを前提としたシステムにつきましては、今後の検討課題の一つであるというふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

○十七番(田中耕太郎議員)
 終わります。


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時五十六分 休憩


午後五時十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。三十番守本利雄議員。

三十番 守本利雄議員登壇

○三十番(守本利雄議員)
 私は、民主党区民クラブの守本利雄でございます。既に議長に通告いたしました通告書に従いまして、二点質問いたします。その一は、総務省地方財政審議会地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書について、二点目は、中央教育審議会教育制度分科会中間まとめについてであります。

 初めに、御答弁によっては再質問をあらかじめ留保させていただきます。また、地方公共団体の長を首長(しゅちょう)と称しますが、市長との聞き間違いを避けるため首長(くびちょう)と言うことに倣って、そのように表現させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、一番目の総務省地方財政審議会地方法人課税のあり方等に関する検討会(会長 神野直彦東大名誉教授)報告書について質問いたします。

 本年十月三十日、地方法人課税のあり方等に関する検討会は、報告書を決定いたしました。報告書の柱は、地方消費税の税率アップにあわせて法人住民税の一部、法人税割を国税化して、地方交付税の財源に回すというものであります。この報告を受けて総務省は、平成二十六年度税制改正での実現を目指すとしております。

 この制度化への理由は、地方消費税の引き上げで不交付団体の財源超過が拡大することを挙げ、法人事業税の暫定措置を継続する考えを示すとともに、税源の偏在性を是正する方策としております。法人住民税は、御案内のごとく、都道府県、市町村が法人に課す地方税であります。特別区では、市町村民税相当分も合わせながら法人都民税として東京都が徴収し、都区財政調整制度の調整三税の一つとして、固定資産税などと一緒に都と区に分配されております。課税標準は、国税の法人税に一定税率を掛けた法人税割と、資本金や従業員数に応じた均等割があります。

 法人住民税の一部国税化は、全国知事会が税源偏在の是正に向けた試案を前提にすると、二十三区全体で千四百億円程度の法人住民税が国税化され、地方消費税の増収分を含めても四百億円程度のマイナスが発生すると見込まれております。当然、不交付団体の都区には、交付税として返ってはまいりません。練馬区が全国知事会の試案を前提に試算したところ、地方消費税の増収分を差し引いても、約六十億円の減収になると言われております。

 そこで、まずお尋ねいたします。

 中央区における影響額等は、いかがでしょうか。特別区長会は、国への要請で、地方の自主財源である地方税を充実するという地方分権の進展に逆行すると強調。限られた地方財源の中で財源調整を行うのではなく、地方の財源拡充という本質的な問題に取り組むべきであると、一部国税化に強く反対を表明したとのことであります。

 さらに、十一月一日に区長会が発表した主張でも、法人住民税が法人の地域での活動や労働者の生活を支える施策の財源として負担を求めている点に触れ、地方自治体間の財源調整の財源に用いることは地方税の根本原則をゆがめると批判し、反論の理由に、首都を抱える特別区の膨大な行政需要を例示。インフラでは、老朽化した道路の維持・補修、鉄道立体交差事業、都市公園の整備、木造住宅密集市街地への対応、公共施設の老朽化による改築などが急務で、多大なコストがかかる。また、少子高齢化に伴う福祉費も増大。急激に進む高齢化への対応における老人福祉費の増。生活保護費の増加も見込まれる。さらに、待機児対策などの児童福祉費の増大を挙げているところであります。

 区長会事務局は、総務省の検討会は地方税収の偏在ばかりに目を向けているが、行政需要の偏在も大きい。交付税で財源不足を補うのが国の役割であって、地方税の一部国税化で補うのは筋が通らないと指摘しているところであります。

 東京都財務局と主税局は、十一月一日、都市と地方の財政力格差是正論への反論を発表いたしました。法人住民税の交付税原資化は、法人住民税が都道府県、市町村の基幹税の一つであるという事実を無視している上に、地方交付税の依存度を高めることで地方の自立的な財政運営を阻害する懸念を示しました。そして、猪瀬知事は記者会見で、都として承服しがたいもの。こういう提案が、地方分権の旗振り役である総務省の検討会から出されたことには驚きを禁じ得ない。都議会や東京選出の国会議員、特別区長会などと協力し合って、強く国に働きかけたいと語っているところであります。

 十一月七日には、指定都市市長会、矢田立郎会長談話として、法人住民税法人税割の交付税原資化に対する反論を発表いたしました。その内容は、以下に示します。

 総務省地方財政審議会の「地方法人課税のあり方等に関する検討会」において、検討会報告書が取りまとめられた。報告書の中で、税源の偏在是正を行うべく法人住民税法人税割を一部国税化し、地方交付税として再配分する制度の創設が提案されている。しかしながら、法人住民税は、地域の構成員である法人が、市町村から産業集積に伴う社会資本整備などの行政サービスの提供を受けていることに対する応益負担であり、市町村の基幹税目として重要な役割を果たしている。加えて、指定都市では圏域の中枢都市としての役割や、人口の集中・産業の集積に伴う都市的課題から生ずる大都市特有の財政需要を抱えており、都市的税目である法人住民税は非常に重要な財源である。地方公共団体間の財政力格差の是正は、国・地方間の税源配分を是正し、地方税財源を拡充していく中で行われるべきであって、法人住民税法人税割を地方間の税収の水平調整のために一部国税化し、地方交付税として再配分することは、受益と負担の関係に反し、また真の分権型社会の実現の趣旨にも反するものであり、到底容認できるものではないと、強く訴えております。

 十一月八日には、政府主催の全国知事会議が首相官邸で開かれ、安藤副知事が法人事業税の暫定措置の継続、法人住民税の地方交付税原資化について反対を表明するとともに、猪瀬知事は、強行されれば日本経済が停滞すると見直しを求めたのに対し、安倍首相は、偏在が少ない地方税の構築に取り組みたい。地方があって東京があると語るなど、格差是正に理解を示したと報道されているところであります。

 十一月十四日には、西川太一郎区長会会長が、総務省の岡崎事務次官が出席している全国市長会で、地方税制や分権のあり方をゆがめ、地方自治の将来に禍根を残す。地方税制の原則に立ち返り、これまで進めてきた分権の流れに沿った解決策に英知を示して欲しいと意見表明し、日本経済を牽引する地域の行政需要を見過ごして、収入だけに着目して財源を奪うということは、地域の活力を失わせるだけではなく、日本経済全体を停滞させる。地方税制の基本原則や地方分権の考え方に反していると批判をしたところでございます。

 愛知県小牧市も、地方自治体の税源涵養の努力が報われるインセンティブがないと活力が失われ、日本全体が衰退の一途をたどる。地方自治に必要な税財源が十分確保されていないことが本質と、同調したとのことであります。

 私たち中央区議会におきましても、第三回定例会の十月十七日、地方税財源の拡充に関する意見書を全会一致で可決し、衆参議長、総理大臣、総務大臣、財務大臣宛てに提出したところでございますが、区議会として、車の両輪である区長とともに、強く国に対して働きかけるべきであると私は思っております。

 報告書が示した法人住民税の一部国税化に対して、矢田区長の御見解をお聞かせいただきたいと存じます。特に、与党税制調査会は、十二月中にまとめる税制改革大綱で国と地方をめぐる問題を決着させる方針とのことでありますので、早急な対応が求められております。国等への働きかけなど、より具体的な取り組みをお示し願いたいと思います。

 続いて、二点目の中央教育審議会教育制度分科会中間まとめについて質問いたします。

 教育委員会制度を議論している中央教育審議会の分科会が、十月十一日、今後の地方教育行政の在り方について、中間まとめを公表いたしました。

 分科会は、「はじめに」において、昭和三十一年に制定された地方教育行政の組織及び運営に関する法律は、今日まで五十七年間続いてきた現在の教育委員会制度の骨格を形成した重要な法律であり、教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保を制度的に担保してきた。しかしながら、一つの重要な課題をはらみつつも、関係者の善意と協力によって維持されてきたという側面がある。その課題とは責任の不明確さである。この課題は、今日、児童生徒の生命・身体や教育を受ける権利を脅かすような重大な事案が生じる中で顕在化し、地方教育行政に対する国民の信頼を維持するためには、制度の抜本的な改革が不可欠な状祝となっている。本年四月十五日に、内関総理大臣が開催する教育再生実行会議でまとめられた教育委員会等の在り方について(第二次提言)は、合議制の執行機関である教育委員会、その代表者である委員長、事務の統括者である教育長の間で責任の所在の不明確さ、教育委員会の審議等の形骸化、危機管理の不足といった課題が指摘され、地方教育行政の責任者を教育長とすることを柱とする改革が提言されたのであります。現行制度においては、非常勤の教育委員は、教育委員会という合議体の執行機関の一員として、教育行政について共同して教育長を指揮監督責任を負っている。教育委員の中には、事務局が行う行政事務や所管の学校等の状況について常勤の教育長と同じだけの情報を得ることができない中で、どのような事項について、どこまで強く意見を言ってよいものかという戸惑いがある一方で、重要な決定については教育長と同様に行っていることへの違和感があるという声が少なくない。こうした中で、いじめによる自殺など重大事案が生じた場合に、教育委員として果たすべき役割を明確にできず、教育長及び事務局、学校という専門家集団の対応を住民目線からチェックするという役割を果たせない場合もある。このような状況が五十年以上の間続いてきたことが、責任の所在の不明確さ、審議の形骸化、危機管理能力の不足といった教育委員会の課題の原因となっていると考えられ、こうした課題を解決するためには、属人的な努力による運用の改善に期待するだけではなく、教育委員会制度の抜本的な改革を行う必要があるとして、「教育委員会の現状と課題」では、実際に教育にかかわる現場経験(教育委員、教育長、首長)からの意見を載せているところであります。

 それによると、教育委員の意見では、就任したときは、委員の机も椅子もなかったが、全員分そろえてもらい、委員の重み、法律上の位置づけを事務局職員にも理解してもらった。また、教育委員は非常勤であって、教育長が常勤のプロであることを考えると、教育委員会が教育長を指揮監督するには限界がある。また、教育長の意見では、教職員の個別の人事や教育委員会規則の形式的な改正など、教育委員に議論のしようがないことに多くの時間を費やしており、教育委員会で決定すべき事項は精選する必要がある。また、会議が形式的にならないよう、県レベル、全国レベル、自分のまちの教育課題を毎回委員長と詰めた上で議論するようにしており、非常に積極的な意見をいただいている。また、首長の意見では、制度上は首長が教育委員を任命し、教育委員会が教育長を任命することとなっているが、実際には、首長が教育長にすることを前提として委員に任命して、この点では制度は形骸化しているんだと。継続性、安定性が言われる余り、時代の変化への適応力や突発的事態への対応力に欠ける面もある。非常勤の教育委員長が教育全般について権限を持つことは、実際上困難である。

 このような現状と課題を踏まえ、検討の視点を、一、教育長及び教育委員会の権限と責任の明確化。

 現行制度においては、教育行政について教育委員会に全ての職務権限があり、教育長は、教育委員であることと同時に、教育委員会の指揮監督のもとに、教育委員会の権限に属する全ての事務をつかさどることとなっている。非常勤の委員の合議体である教育委員会が、常勤の専門家である教育長と一体の責任を負うことにより、教育長とは異なるべき教育委員の役割が不明確となっている。教育長及び教育委員会の権限と責任を明確化するため、首長が任免を行う教育長が、地方教育行政の責任者として個別具体的な事務の執行を行うこととし、教育委員会は、その性格を改め、地域の教育のあるべき姿や基本方針など大綱的な事項を審議するとともに、教育長による事務執行を住民目線による第三者的立場からチェックすることを柱として検討する必要がある。

 二、政治的中立性、継続性・安定性の確保。

 現行制度においては、首長から独立した執行機関で、教育が知事や市町村長が属する党派の利害に左右されることがないようにするとともに、合議体の委員会とすることにより、個々人の判断や恣意の介入を防ぐ仕組みとなっている。首長が任免を行う教育長を地方行政の責任者とするに当たっても、引き続き、政治的中立性、継続性・安定性を確保する必要があり、教育長による事務執行に必要な歯どめをかけられるような制度的措置を講じることを前提として、具体的な制度改正のあり方を検討する必要がある。

 三、首長の責任の明確化。

 現行制度においては、首長は教育委員の任免権及び予算に関する権限を有しており、教育に関する重要な責任の一端を担っているが、学校等の教育現場において深刻な事案が生じた場合に、地方公共団体が一体となって迅速に対応する体制を整えるようにすべきではないかという指摘がある。このため、首長が、現在、教育委員としての任命しか行っていない教育長については、教育長として任免及び罷免を行うことにより任命責任を明確にするとともに、どのような形で教育長あるいは教育委員会に関与できるのかを明確にする方向で、具体的な制度改正のあり方を検討する必要がある。

 そして、今後の地方教育行政の在り方における教育委員会制度のあり方において、現在の教育委員会制度は、責任者が教育長なのか、教育委員長なのか、合議制の教育委員会なのか、責任の所在の不明確となっている現状を改め、地方公共団体における教育行政の責任体制を明確にするため、常勤の教育の専門家である教育長を地方公共団体の教育行政の責任者とするよう抜本的に改革すべきとして、「新しい教育委員会の組織と役割」で五つの柱を明示しているところであります。

 一、教育委員会が審議すべき事項を、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映が必要とされる事項に限定するなど、地域の教育のあるべき姿や教育基本方針をじっくり議論できるよう改めるべき。

 二、教育委員は、一歩離れた立場から教育の事務をチェックできるようにすることが必要。

 三、教育委員会が本来の機能を発揮するためには、単に一般的な見識があるだけというだけではなく、教育に深い関心と熱意を有する人物が登用される必要がある。

 四、教育委員の選考の過程を地域住民に公開することや、議会同意の過程で教育委員の所信表明の機会を設けるなど、選任方法を工夫することが考えられる。

 五、教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保等の観点から、教育委員は、首長が議会の同意を得て任命することが考えられる。引き続き、任期を四年とするとともに、委員の交代が一部ずつ行われる仕組み、厳格な罷免要件による身分保障という現行制度を維持することが適当。

 「教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保」では、多様な属性を持った複数の委員による合議体が関与する仕組みを残すことが必要としております。

 「首長と教育長の関係」では、四つの柱を示しました。

 一、首長の任命責任を明確にするため、首長が教育長を直接任命するとともに、教育長の資質能力や適格性を担保するため、議会の同意を得ることが適当。

 二、公立学校の管理等の教育行政の責任者が教育長であるという観点から、一定の独立性を持った存在であるという前提に立って、制度設計をする必要がある。

 三、教育長の罷免については、首長が議会の同意を得て行うことができるようにし、罷免要件については、現行の教育委員としての罷免要件より広げることも検討する必要があるという意見がある。また、教育長の任期を現行より短縮することも検討する必要がある。

 四、首長の責任を明確化するため、公立学校の管理等の教育行政において重大な事案が生じた際の首長の関与のあり方について、引き続き検討する必要がある。

 そして、「新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性」では、A案とB案の二案を示したところであります。A案は、教育長は首長の補助機関、教育委員会は首長の附属機関として、一、教育長を責任者とするため、首長は、教育長の事務執行について日常的な指示を行わない。

 二、教育委員会は、首長または教育長からの諮問を受けて答申を行うとともに、自ら首長または教育長に対し、建議、勧告等を行う機関とする。

 三、教育長の事務執行に問題があるなど特別な場合には、首長が教育長に対して必要な指示を行う。B案は、教育長は教育委員会の補助機関、教育委員会は性格を改めた執行機関として、一、教育長と教育委員会の責任体制の明確化を図るため、教育委員会は、教育長の事務執行について日常的な指示を行わない。

 二、教育委員会は、基本方針等の限られた事項について審議決定を行うとともに、教育長の事務執行をチェックする機関とする。

 三、教育長の事務執行に問題があるなど特別な場合には、教育委員会が教育長に対して必要な指示を行う。また、首長も教育長に対して調査または勧告といった一定の関与ができるようにすることも考えられる。

 「国、都道府県、市町村の役割分担と各々の関係の在り方」における「県費負担教職員の人事権・給与負担の在り方について」では、引き続き一定規模の区域や都道府県において人事交流の調整を行う仕組みを構築することを前提に、市町村に移譲することを検討するとしております。このことについては、平成十七年中央教育審議会答申で、教職員人事権を市区町村に移譲する場合には、その財源保障は安定的で確実のものであることを前提に、人事権者と給与負担者はできる限り一致することが望ましく、人事移譲に伴う給与負担のあり方も適切に見直すことを検討する必要があると、引き続き検討課題となっているところであります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 中間まとめにおける教育委員会制度の改革に対して、本区の現状と課題を踏まえた教育委員会での議論がどのように行われてきたのか、また、それらに対して具体的な取りまとめをお示し願いたいと思います。さらに、首長、教育長の立場から、中間まとめへの所感及び具体的対応をお聞かせ願います。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。積極的な御答弁を御期待申し上げます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 守本利雄議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書についてであります。力強い御意見を伺い、大変心強く存じました。

 東京都が徴収する法人住民税の市町村民税相当分は、二十三区における膨大な行政需要を支える都区共通の財源であるとともに、これを原資とする特別区財政調整交付金は、本区にとりましても、特別区民税と並ぶ基幹的な歳入であります。地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書では、国税化の規模について、関係者の理解が得られる範囲内でと記されるにとどまり、詳細が明らかにされておりません。現時点において、本区への影響額を正確に算出することは困難でありますが、地方消費税の引き上げに伴う約十二億円の増収見込みを上回る規模のマイナス影響が生ずるものと想定されます。なお、練馬区に準じて全国知事会が取りまとめた見直し案をもとに推計した本区の影響額は、差し引きで約五億円の減収が見込まれ、こうした減収が続いた場合、人口増加等に伴う歳入の伸びを前提とした今後十年間の財政見通しにも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。そもそも今回の見直し案は、地域の構成員である法人が受けるさまざまな行政サービスに対し、応分の負担を求めるという法人住民税の基本的な考え方にそぐわないばかりでなく、財政自主権の確立とともに、地域の課題を主体的に解決していくことを目指す地方分権の流れにも明らかに反するものであります。また、税収のみに着目し、事業所や昼間人口が高度に集積する大都市特有の財政需要を無視した議論は、地域の活力低下、ひいては日本経済全体の停滞にもつながりかねず、本区としても、到底容認できるものではありません。こうした認識のもと、特別区長会は、特別区議会議長会とともに、東京都及び都内市町村との緊密な連携を図りながら、オール東京体制で国等への精力的な要請活動を重ねてまいりました。さらに、本日、区長会独自の行動として、全国の市町村長宛てに地方法人課税見直しに関する提起書を送付し、今回の見直し案に反対する立場への理解、支援を求めることとしております。国における税制改正の議論が本格化する中、区といたしましても、ホームページを通じた区民等へのアピールを初め、区議会の皆様とも一体となり、断固反対に向けた幅広い世論を喚起してまいりたいと存じます。

 次に、教育委員会制度についてお答えいたします。

 本区は、かねてより教育の中央区を標榜し、平成十一年に区議会の議決をいただき、全国初となる教育環境に関する基本条例を制定するなど、一貫して質の高い教育の実現に向けて、施策の充実に努めてまいりました。教育行政を執行する本区教育委員会では、区議会の御同意を得て任命いたしました各教育委員により、教育や学術に関する豊かな識見のもとで、責任ある立場から、熱意あふれる御議論とともに、活発な御審議をいただいております。また、区長部局と教育委員会との関係では、地域から区に寄せられたさまざまな御意見、御要望を緊密な連携のもとで随時教育行政施策に反映していただいていることから、本区の教育委員会制度は十分その機能を果たしているものと考えております。しかしながら、全国に目を転じますと、学校におけるいじめや体罰への対応など、必ずしも全ての自治体において教育委員会制度が十分機能しているとは言えない状況も見られるところであります。その背景には、中央教育審議会教育制度分科会の審議経過報告でも指摘されている、権限と責任の所在が不明確であるなどの課題もあると考えられます。教育委員会制度改革につきましては、多様な御意見があることから、今後進められる具体的な制度設計に向けた検討が、よりよい教育行政に結びつくよう、引き続き審議会の議論を注意深く見守ってまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、教育委員会制度改革についてであります。

 本年四月、文部科学大臣は、責任ある教育体制を築くため、現行の教育委員会制度を抜本的に改革することを中央教育審議会に諮問しました。この段階で、本区教育委員に対し情報提供を行った際には、教育委員と教育長の緊密な連携のもと、教育行政を適正に進めている現状を踏まえ、より活発な委員会活動を目指すことを再確認いたしました。本区教育委員会では、定例会の審議のほか、研究奨励校での授業見学や研究発表の聴講、各種教育事業の勉強会出席、開かれた学校づくりを推進する学校評議員との意見交換に出向くまちかど教育委員会や、PTAと直接意見を交わすなど、多種多様な活動を行っており、これらを通して各教育委員が、その能力を十二分に発揮していただいているものと認識しております。今後とも、教育委員相互と教育委員会事務局との情報共有を一層進めることにより、さらに意欲的に教育行政の推進にかかわっていただけるものと考えております。今回の中央教育審議会教育制度分科会の審議経過報告は、全体として教育長に権限と責任を一元化させることにより、責任の明確化や迅速性、機動性のある委員会運営を実現し、教育現場の抱えるさまざまな課題に対し、的確に対応していこうとするものであると認識しております。しかしながら、こうした制度改革により、指摘されている課題の解決が期待される反面、幅広い区民の意見やさまざまな立場からの考え方の集約など、いわゆるレイマンコントロールや政治的中立性などの面で支障が生じる危惧もあり、新たな制度設計に当たっては、こうした点にも十分配慮することが必要と考えております。

 次に、県費負担教職員の人事権・給与負担のあり方についてであります。

 現行制度では、区立小・中学校の管理権限が区にあるのに対し、教職員の人事については、給与を負担する東京都の所管となっております。この点においても、教育行政に対する責任体制の明確化と地域の特性を生かす教育を充実するために、任命権と財源とがともに区に移管されることが必要であります。そのため、特別区として、国に対して権限と財源の移譲を強く要望しているところであります。

 答弁は以上です。

〔三十番 守本利雄議員登壇〕

○三十番(守本利雄議員)
 御答弁ありがとうございました。

 一番目の総務省地方財政審議会地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書の質問につきましては、力強い区長の御見解と受けとめさせていただいております。

 法人住民税の問題については、先般、地域活性化対策特別委員会で平成二十四年二月実施された経済センサス活動調査結果というものが提出されたわけですけれども、それを見てまいりますと、中央区は事業所数が三万七千三百三十三事業所、前回調査の一位だった港区を抜いて、一位となっておりました。そしてまた、従業者数も、中央区は七十二万一千四十四人、前回と同じ、二十三区ですけれども、第三位。全国従業者数は、中央区は九位ということで、事業所、そして従業員数が、この小さな中央区にとても多く集中している。ということは、逆なことを考えれば、法人の地域での活動や労働者の生活を支える施策の財源として負担を求めている。応益負担ですね。

 住民だけではなくして、これだけの多くの従業員の方々が区内で使う道路、こういったものの区道の補修、あるいは公共施設の老朽化に伴う、区民館も会議室に使っているわけです。住民と同じ使用料です。また、昨今大変問題になっているトリトンの、そして勝どきとトリトン間の朝夕のラッシュといった問題も、この本区がそれに対応して道路改修あるいは橋の建設、そういったものもしていかざるを得ない。また、帰宅困難者問題も、この小さな中央区の中で行っていく必要がある。また、江戸バスも非常に利用がふえてきた。これも住民だけではない。法人に働く従業員も使っている。百円です。また、将来のLRT、こういった問題も、当然ここで働く方々も使うであろう。公衆便所、当然ですね。また、図書館、これらも住民だけではなく、この中央区内で働く方々も利用されている。

 そういったものを、この法人の住民税という負担の中で、区の場合は、それを一括して都民税という形で都で徴収して、それで都区財政調整の中で水平調整しているわけですけれども、応益負担を受けていることは間違いない。しかし、それらの財源を、地方との財源の格差が生じているからといって、水平調整するということは、逆に言えば、この大都市の中で、先ほど提起したような法人が使っている、これが地方で、都市ではないところでは事業所がない、工場もない、それほど多くない、そういったところでは、そういう財源を必要としていないんです。だから、財源がないからといって、財源を必要とする大東京の中から地方にその財源を持っていくなどというのは断固許せざる思いで、この問題に触れさせていただいたところでございます。

 また、建設工事の入札不調ということで、本の森ちゅうおうでは建設全体で九十四億、これが不調になって、全体では九十四億ですけれども、着工を数年間見送るということで、これも百二十億円ぐらい、二、三割アップだろうと。築地新市場も二十五億円が三十億円ぐらいだろう。学校の増改築も八十九億が百十二億というような現状の中で、基本計画二○一三を着実に実行していくには、必ず財源が裏づけになければならない。そして、基本計画二○一三の五年で基金を半分近く取り崩し、そして後半で七割、八割戻そうと。しかし、この制度改革が進んだとしたらば、そういったことも非常に厳しくなってくる。これから五年、十年の中央区の財源、そして行政サービス、法人も含めた住民に対するサービスをさらに進めようとすれば、しっかりと財源を守っていく、これが地方分権のあり方ではないんでしょうかということで御質問させていただきました。

 区長からも御答弁いただきましたが、早速、先ほど昼休みに地方法人課税のあり方等に関する検討会について、見直しに関する提起ということで、十一月二十六日、本日付で特別区長会会長、西川太一郎名で提起をしていると。

 一つは、地方税制の基本原則や地方分権の考え方に反するという点を、全市町村長、各市長会長、各町村会長宛てに申し上げている。二つ目は、地方税源の偏在のみに着目して、それぞれの自治体の抱えている行政需要についての視点が欠けているよということを訴えて、東京を初め、大都市特有の需要に充てるための財源を奪うことは、日本経済全体を停滞させることにつながりかねないし、一時的には財政が厳しい自治体が潤うように見えても、決して根本的な解決策にはなり得ないんだと。地方共倒れの提案だというふうに提起しております。そして、地方自治体同士が税源を奪い合うような議論を行うべきではなく、地方税の国税化を容認してしまうことは、地方税や分権のあり方をゆがめ、地方自治の将来に禍根を残すことなんだということを、きょう付で出したということでございます。

 また、中央区のホームページも先ほど資料としていただいたんですが、「地方の固有財源を国税化する地方法人課税の見直しに反対します!」ということでホームページに出したわけですが、ここでも先ほど区長の御答弁をいただいたとおり、「中央区は、東京都や他自治体等と連携し、断固反対してまいります」と、力強く明言されております。

 そこで、先ほど質問もさせていただいたんですが、やはりこれは区長だけにお任せするのではなく、区議会も全会一致で意見書を前回の定例会で出させていただきました。それらも踏まえながら、この十二月中には具体的な方向が定まってしまうかもしれない。そういう危機感を持って、区長だけではなく、中央区議会の議長とも綿密な連携を持って、具体的な対応をしていきたい、ぜひともしていただきたい。この中央区から、この問題については、この制度改革には反対であるという御旗を都心からしっかりと立てていただきたいと思いますので、この部分について、区長、もう一度力強い御決意を示していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 余分かもしれませんけれども、これも十一月二十二日付の新聞では、政府与党である自民党の都連さんも地方税国税化に反対決議をということで力強く、自民党の都連もまとまっているようでございますので、これは議会と区長も一体となって、この中央区ではできるというふうに認識をしているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、教育問題なんですけれども、なかなか難しい問題ではあると思います。難しい問題であると思うんですが、やはり大津市でのいじめによる自殺の問題、また、東京では足立区の三年前の中三のいじめの自殺、これも先般の二十二日の新聞によると、足立区の中三のいじめと因果関係については、要因の一つにいじめがあったのは明らかだということは、教育委員会としては、要因がいじめだというふうになっていなかったんですね。それを、区の第三者調査委員会をつくりまして、この結果、やはり要因はいじめであると。因果関係が不明とした区教育委員会の調査結果を覆したということでございます。

 ところが、ここで私は思ったんですが、先ほどからも質問させていただいたんですけれども、近藤区長が記者会見で不明を恥じると述べ、謝罪しているんです。むしろ、ここでは教育長、教育委員会、青木光夫教育長も、当時の調査では言葉のいじめだけで自死に至らないのではという疑念があったと振り返り、今思えばいじめだったと認識の甘さを認めたと。そしてまた、この因果関係の書類等も保管ができてなかったと。

 これ、謝罪するのは教育委員会でしょうというふうに私は思いましたが、このことに対して何か御見解があったら教えていただきたいと同時に、こういう問題があるからこそ、責任の明確さ、そしてまた機動性、対応力、そういったものが大事だということで制度改革という声が惹起されてきているというふうに認識をしているところでございます。本区においては、特段の問題はないというようなお答えもいただいているところでございますけれども、それでも、区長の御答弁では、やはり今言ったようないじめの問題等のことを考えていくと、このままということではなく、いろいろな課題に対して対処すべきものは対処しなくてはいけないというふうな区長の御答弁だったというふうに思うんです。

 今後の問題としては、うちの教育委員会としても、これは四月からの問題として研究をされていたという御答弁、教育長からお話を伺ったわけですけれども、これも十二月にはかなりB案に限りなく近い形の中でまとまってくる可能性があるということを踏まえますと、傍聴人をしっかりと得ての定例会はいいです。年に大体十五回か十六回ぐらいになると思うんですけれども、しかし、それ以外に、こういう問題を教育委員の中でざっくばらんに、率直に、傍聴人なしの、これは別に秘密会ということではないんです。思う存分しっかりとした意見を、教育委員、合議制ですので、率直な意見を交換する、そういうような調査・研究の場を設けながら、そして議論していただきたい。これは教育長のほうに強く、答弁していただきたいと思うんですけれども、要請をすると同時に、そして、その中でまとまったものを、ある程度のまとまりを区議会に御報告していただきたい。

 制度になりました、だから、ついていきますではなくて、制度に異議があるのであれば、中央区の教育委員会として、こういうところは変えていかなくてはいけない、しかし、この部分は十分認識しているんだという先ほどの答弁を前提にしておりますけれども、そういったことをしっかりと捉まえて、それで国等に働きかけをすることが大事なことだろうというふうに思いますので、この部分については教育長に答弁をお願いすると同時に、県費職員の人事権の問題については、かねがね私は絶対に県費職員の人事権は区に移譲すべきだということを申し上げてまいりました。しかし、この中でも問題提起されているのは、市町村の場合だと、市としての異動がなかなか難しいというようなことで、これが検討の段階でとまってしまっているんです。

 しかし、幸いにも二十三区の場合は、今度妥結したようですけれども、特別区人事委員会というのが合同でできているわけです。こういうように、二十三区の中では、区の職員も世田谷や練馬と交流できているわけです。そういう背景をしっかりと国に訴えかけていきながら、しっかりと人事異動もできるんだということで、二十三区については、いち早く人事権の移譲を図れというようなことを前向きに進めていただきたいという思いもございますので、この点も含めて御答弁いただければと思います。

 以上で第二回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 地方法人課税のあり方検討会、本当にもう守本議員のおっしゃるとおりでございまして、区議会と一体となって断固阻止してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 今、東京だけが豊かであるとか、一極集中であるとか、いろいろ東京のお金を取ろうという策略といいますか、そういう声が強くなっているということ、非常に残念でございまして、私たち、ここでさまざまな税金を区民の皆様、事業者、企業の方々からいただいて、それを本当に有効に活用しているわけでございまして、昼間人口だけでも大変なものであるということ、お話がありましたし、三万七千三百三十三という事業所の数ですね。二十三区で一番多いのが本区。わずか十平方キロ。十平方キロといったって、それだけではないですね。宅地が半分ですから、わずか五平方キロの中で、これだけ密集して、いろいろとやっているわけでございまして、あとは水辺であったり、道路であったり、公園であったりと、そういう中で、この五平方キロの中に三万七千三百三十三の事業所があって、昼間人口や従業員数もそこで懸命になってお仕事をされているわけでございます。

 今、何といっても景気浮揚、これこそ私たちがしっかりとやっていかなければならない。これは東京から、本当にどんどん景気浮揚を図る。そのことによって、その裾野を全国へ広げていく、これが私たちの役割であるわけでございまして、そういう面では、もし地方法人課税が取られてしまうようなことがありましたら、先ほど申し上げましたとおり、今後十年間、非常な損失となるわけであります。また、さまざまな計画等も、いろいろと見直しせざるを得ない。そういうわけでございますから、議会と一体となって、闘うべきときはしっかりと闘うのであると、そういうふうに思いますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

 以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 再質問にお答えをさせていただきます。

 他の自治体のことでございますので、余り立ち入った話は遠慮させていただきますが、首長の権限というのは、教育行政においては、今の地方教育行政の組織及び運営に関する法律においては、予算執行、学校設置、契約事務等でございますので、そういう中では、きちんと教育委員会が責任を負っていくという姿勢を明確にする必要はあるというふうには思っております。

 それから、教育委員さん方の、私どもは勉強会と言っておりますが、これは大変必要なことでございまして、限られた定例会の中だけで議論をし尽くすということはできませんので、課題があるものについては、随時勉強会等の中でいろいろ意見交換を行っておりますし、これからもその辺はきちんと充実していきたいというふうに思っております。また、今日的には、タイムリーな課題につきましては、メール等もございますので、全員そろわなくても、それぞれ意見交換をしながら、情報交換をして、合議体としての意思形成をしていきたいというふうに考えてございます。

 それから、今回の制度改革に対する国等への働きかけでございますが、私どもも公務員として現行法制度の中で最大限の取り組みをするというのがベースになっておりまして、国の法律がどういう形になって、どういう問題があるかということについては、きちんと認識した上で、それを最大限、問題がないように、あるいは改正の内容を最大限生かしていくというのを、今後の分科会のまとめに対応した形で教育委員の皆さんとお話し合いをしていきたいと思っております。その上で、御意見を踏まえまして、必要があれば国等への働きかけについても対応してまいるというふうに考えてございます。

 それから、人事権等の権限移譲につきましては、議員御指摘のとおりでございまして、全国の都市教育長会議におきましては、まだ中核都市への権限移譲のお話しか出ていないところでございますが、特別区の教育長会におきましては、やはり人事権の移譲は必須だということで、東京都のほうに条件整備と、それから、あわせて一緒に国への働きかけをしてほしいという要望を現在しておりますので、ぜひこれについては全力を挙げて、実現に向けて取り組みたいというふうに思っております。

 答弁は以上です。

○三十番(守本利雄議員)
 自席から発言させていただきます。

 この検討会の会長であります神野直彦東大名誉教授という方は、東京都の税制調査会のかつて会長を務めて、法人事業税の暫定措置に反対してきた方なんだそうですね。これは都議会で公明党の都議会議員さんが言っていると思うんですけれども、非常に矛盾したような形のものがあらわれているわけです。

 しかし、いずれにしても、区長の力強い御答弁をいただきましたので、どうぞ議長もひとつよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後六時十六分 休憩


午後六時三十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。七番河井志帆議員。

七番 河井志帆議員登壇

○七番(河井志帆議員)
 ただいま議長より発言の許可をいただきました河井志帆です。平成二十五年第四回区議会定例会に当たり、中央区が直面する諸課題につきまして、さきに提出いたしました質問通告書に従い、質問いたします。区長及び関係理事者の皆様におかれましては、建設的でわかりやすく、区民目線に立った積極的な御答弁をいただけるものと期待しております。また、最後の質問者となりますので、ほかの質問者と重複する内容が含まれる可能性がありますことを御了承いただき、御答弁くださいますよう、お願いいたします。御答弁の内容によりましては、再質問、再々質問をさせていただきます。限られた時間でございますので、私からは、電力自由化の推進及び区の債権管理の二点について質問をいたします。

 中央区の人口は、昭和二十八年に最多の十七万二千人を記録して以降、長らく減少の一途をたどり、平成九年には七万二千人まで落ち込みました。その後、定住人口回復を施策の最重要課題と位置づけ、積極的に取り組んだ結果、ことし四月には定住人口が十三万人を突破いたしました。現在進行中の大規模開発による大量の住宅供給に加え、七年後に迫りくる東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村跡地の晴海にも住宅が供給されるなど、今後も右肩上がりの人口増が見込まれております。

 一方で、ここ数年の人口の推移と特別区税の伸びを比較してみると、必ずしも正比例しているとは言えません。この点においては、私からも平成二十四年第二回定例会の一般質問で御指摘させていただいたとおりであります。

 中央区では、現在、区民ニーズの多様化に対応するため、積極的に民間活力を導入し、効率的で質の高いサービスを提供するという方針で区政運営が行われています。中央区が千七百五十自治体のフロントランナーとして、財政面での創意工夫をしていくことが今後さらに必要になってくることは明らかで、区民サービスの充実のためにはさまざまなコストを削滅することや、歳入確保に努めることは避けられません。

 まず、コスト削減という視点から、電力自由化の推進を取り上げます。

 今回は、百近くある区有施設、建築物の維持管理コストのうち、今年度より一層の自由化の取り組みが自治体間で広がってきている電力の調達状況について、区の現状を確認させていただきます。東日本大震災から二年八カ月が経過した現在の最新の状況をお答えいただきますよう、あらかじめ御要望させていただきます。

 電力事業は、地域の電力会社が独占する体制が続いてきましたが、東日本大震災や、その後の電力会社による電気料金値上げにより、新電力からの調達に切りかえる動きが、財政難の自治体のみならず、二十三区でも加速しています。今年度、練馬区では、小・中学校に加え、区民事務所や出張所、保健相談所や管外施設を対象施設とし、経費削減率は一六・五%となったそうです。世田谷区でも、本庁舎や保育園、児童館、図書館、デイホームなど、幅広い施設で本年度は新電力との契約を行いました。このように、自治体の新たな電力調達先として活用が拡大している新電力会社の数も、この二年で約二倍となり、年内には百社を超える見通しで、東京電力管内では新電力のシェアが一○%に達したとのことです。

 東京都は、ことしの十月より、新電力からの電力供給を受ける施設を、これまでの三十三施設から約十倍の三百四施設にふやしました。これは、都全体の契約電力の一割、施設数では四分の一に当たるそうです。トラブルなどで新電力の安定供給が難しくなった場合には東電からの融通などがあるため、送電がとまるおそれはないそうで、都知事は、大口需要家として、これからも新電力の育成に取り組む、具体的な、現実的な取り組みを東京都が進めていくことで電力自由化の突破口をつくっていくとおっしゃっています。

 都心区である中央区も、このような電力自由化の推進に対する取り組みは重要であるという御認識を持っていただいており、平成二十四年の定例会でも、既に一部小学校で東京エコサービスとの電力契約を締結し、経費削減を図っているが、さらに活用を拡大するため、電力入札の導入について検討しているという御答弁がありました。その結果、昨年度より本格的に新電力からの電力調達を行っているというお話を伺っております。

 そこで、お尋ねいたします。

 平成二十二年から電気販売事業を開始した東京エコサービスからの電力調達によって、年間電気料金がどれほど削減されたのかお示しください。また、東京エコサービスとの契約は随意契約となっているそうですが、その理由をお知らせください。

 また、その他の区有施設において、一般競争入札によって新電力会社から電力調達を行った事例があれば、その施設の種別と数及び年間電気料金の削減見込み額及び割合をお示しください。

 昨年十二月、資源エネルギー庁により、部分供給に関する指針が公表され、電力市場の十分な競争状態を実現するため、ベース電源や夜間電源が不足する新電力会社の事業実態に配慮して、事業者が協調して供給できる環境を整備しました。これにより、一部自治体では、ベース電力を東京電力から、そして変動部分を新電力から調達する契約形態が広まりつつあります。ことしの一月一日から、東京電力と新電力のエネットとの複数契約を導入している東京都立中央図書館では、東京電力単独契約の想定料金より約八%、年間約四百万円の経費削減となる見通しだそうです。また、二十三区では、板橋区役所の本庁舎でも今年度から部分供給契約を結ぶことになったとのことです。

 一方で、一部自治体で電力入札が不調となっているとの報道も目にします。その理由の一つとして、新電力の供給力に限りがある点が挙げられています。入札が不調となっている事例を見てみますと、本庁舎など一度に確保しなければならない電力が多い施設向けのものが目立ちます。そのような施設における電力調達において、電力の部分供給契約は有効であると考えられます。

 そこで、電力の部分契約という制度及び、その導入について、区の見解をお示しください。

 東京都がこれだけ電力改革に意欲的で、かつ電力自由化の推進に積極的であることは、私たちの暮らす中央区にとっても非常に恵まれた環境であると私は考えています。新電力からの調達によって、コスト削減という区財政に対するメリットが得られるだけではなく、中央区が行う電力入札は環境配慮型のものであることから、区として地球温暖化防止への取り組み姿勢を示すことにもつながります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 今後の区施設の電力調達の方向性と新電力による入札の展開について、区として、どのようにお考えでしょうか、お知らせください。

 続いて、歳入確保対策としての区の債権管理について取り上げます。

 中央区では、財政の健全化を図るとともに、行政サービスの受益者負担の公平性を確保するため、区民税や各種使用料など各種債権の収納率の向上に取り組んでいることは、これまでの予算・決算を初めとするさまざまな機会の質疑の中で明らかにされてきました。庁内に歳入確保対策委員会を設置し、その中で自主財源の確保や各種徴収率の向上について部局横断的に協議できる場を設けたり、区民税の滞納者へのアプローチを高額滞納者から少額滞納者へシフ卜することで、きめ細やかな対応をしたほか、東京税務協会から徴税業務などのノウハウを持った人材を週四日派遣してもらい、研修を行うなど、積極的な取り組みを展開していることは高く評価したいと思います。

 しかし、近年、景気低迷を背景に世帯収入が伸び悩む中、収入未済率も高どまりしています。これは、どの自治体も抱えている課題であり、その対応に苦慮しているところであります。区民税や国民健康保険料のみならず、公債権や私債権における回収の強化、未収額縮減のためには、滞納者情報の共有化や、複数の債権を滞納している重複滞納者への対応など、効率的な債権回収に向けた現行体制の見直しを検討することが必要であり、その解決策の一つとして、それぞれの担当課でばらばらに管理されていた複数ある債権を一元管理する部署をつくり、業務の効率化を図る自治体がふえてきました。

 徴収業務の一元化で得られる効果としては、以下のようなものが挙げられます。

 まず、滞納整理を専門とした職員による専門部署を設けることにより、効率的な処分ができる。組織の存在により、区全体の意識改革を図ることができる。また、区民に対し、債権回収担当の設置を強くアピールした上で、滞納債権の回収業務を債権回収担当に移管する通知を滞納者にすることにより、自主納付を促進する効果が期待できる。続いて、滞納者の情報を一元化することにより、滞納者への窓口が一本化でき、滞納者にとっては、複数の所管からの催告に対応する必要がなくなるとともに、計画的に納付できる可能性が高まる。区にとっては、催告や調査、強制執行などの業務重複を回避できる。四つ目に、高額・悪質な滞納者の徴収業務を移管することにより、担当課はほかの滞納者に集中して交渉することができる。最後に、債権回収の専門部署が悪質滞納者の財産調査と差し押さえを実施できれば、課の業務量をふやさずに滞納債権を回収できる。

 日本でも有数の成果を上げている千葉県船橋市の例を御紹介します。

 平成二十年度から、地方税法の滞納処分の例により処分することのできる強制徴収公債権を一元管理し、徴収を行ってきたとのことですが、平成二十三年度からは、条例を制定することにより、強制執行できない非強制徴収公債権や私債権も一元的に扱うことで、悪質滞納者に対する対応を強化したそうです。市の担当者によると、その効果として、同一の滞納者に対する債権を全て把握し一括管理できる。専門知識、ノウハウを集約し、効率よく徴収業務を行うことができる。正しく納める市民との不公平を解消できるという点を挙げています。

 全ての債権の一元化については、地方税法第二十二条の守秘義務に抵触する可能性もあり、慎重に検討する必要はあると思いますが、中央区でも、今後は債権回収業務や滞納者情報の一元化など、抜本的な対策を講じることにより、債権管理の効率化と収納率の向上による歳入確保対策をより一層積極的に進める必要があります。

 そこで、お尋ねいたします。

 区の債権について、徴収業務や滞納者情報などを一元管理する部署をつくることにより、歳入確保を図ることについてどうお考えですか。御見解をお知らせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 河井志帆議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区施設における新電力との契約状況と費用削減効果についてであります。

 本区におきましては、平成二十二年度から小学校五校で東京エコサービスによる電力供給を受けており、東京電力による料金と比較すると、昨年度は年間三百八十五万円の削減効果がありました。なお、この契約は、時価に比べて有利な価格での契約締結が見込まれるため、地方自治法施行令に基づき、随意契約を行ったものであります。また、平成二十四年十月からは、制限付き一般競争入札により、小学校八校と中学校三校の計十一校で新電力事業者と契約しました。その結果、東京電力による料金と比較すると、年間六百九十五万円減、四・一九%の削減効果があったところであります。

 次に、新電力を含めた電力調達の方向性と部分供給契約についてであります。

 今後の本区における電力の調達については、引き続き安定的かつ確実な電力供給を第一に、安価な価格や事業者の環境への取り組みなどを入札条件としながら、効率的・効果的な調達を図ることを目的に進めてまいります。こうした中で、区施設への部分供給契約についても、他自治体での例を参考に、有効性や料金節減効果などを検証し、導入の可能性について検討してまいります。

 次に、徴収業務と滞納者情報の一元化についてであります。

 区では、基本計画二○一三の確実な実施を図るため、計画当初二年間を強固な財政基盤確立のための集中改革期間とし、歳入確保対策のさらなる強化を取り組み指針の一つとしております。これまでも歳入確保に向けた滞納への取り組みについては、電話による納付案内や訪問調査、民間事業者を活用した私債権の回収、区税における滞納処分などを行い、収納率向上に努めてまいりました。今後も、こうした取り組みを進めるとともに、区税で蓄積した徴収ノウハウや財産調査結果の庁内共有化に向けた検討など、関係部署間での緊密な連携を図り、より効率的・効果的な対応に努めてまいります。

 なお、債権一元管理を行う部署の設置についてでありますが、システムの一元化による財政負担や個人情報保護の問題、法的位置づけが異なる各種債権を同一部署で取り扱うための体制づくりなど課題も多く、現時点での設置予定はありませんが、今後、マイナンバー制度の動向や先行自治体での実施状況なども注視しながら、研究してまいります。

 答弁は以上であります。

〔七番 河井志帆議員登壇〕

○七番(河井志帆議員)
 最後の質問者であります私の質問に対し、お疲れのところ、建設的かつ具体的な御答弁をいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。

 まず、電力自由化の推進について、区としての最新の取り組み状況をお知らせいただきました。実際に、東京エコサービスのほうでは年間三百八十五万円の経費削減、そして競争入札によっては六百九十五万円の削減という具体的な実績をお示しいただきまして、ありがとうございます。

 現状、新電力との契約というのは学校施設が中心となっておりますが、新電力からの調達に適した施設については、先ほどほかの自治体の例を挙げさせていただきました。ぜひ今後も検討を引き続き続けていただくように要望をさせていただきます。

 また、債権管理についてです。

 今も非常に熱心な取り組み、電話、訪問、そして民間企業の活用、こちらも私債権の回収のほうで使われているということでございますが、今、さまざまな自治体で債権管理条例みたいなものを制定するところが非常にふえてきています。しかし、条例をつくったことで実際に債権回収につながるか、条例を実際に機能させること、実際の歳入確保につなげること、これが非常に大事だと考えています。そのためには、やはり情報と人材を一元化する、そういったチームをつくって対処することが必要だと私は考えています。

 先ほど挙げました船橋市の方の話によりますと、一元化して部署をつくって取り組んだことによるデメリットは全くない、むしろ職員の士気が上がったということもおっしゃっていました。こちらも、ぜひ前向きに今後も研究、検討をしていただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(原田賢一議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第三から日程第五までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第三から日程第五までを一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第三

 議案第六十六号 中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

日程第四

 議案第六十七号 中央区分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例の一部を改正する条例

日程第五

 議案第七十四号 中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第六十六号、議案第六十七号及び議案第七十四号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第六十六号、中央区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、大規模災害からの復興に関する法律等の施行に伴い、災害派遣手当の支給対象に、復興計画の作成等のために本区に派遣された職員を追加するものであります。

 次に、議案第六十七号、中央区分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、分担金等に係る延滞金の割合について、特例で定める割合を変更するものであります。

 最後に、議案第七十四号、中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例であります。

 本案は、特別区人事委員会による「職員の給与に関する報告及び勧告」に従い、関係する二条例について、本区職員の給与を改定するとともに、住居手当の支給対象の変更等を行うものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案六十六号、議案第六十七号及び議案第七十四号は、企画総務委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、企画総務委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第六及び日程第七を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第六及び日程第七を一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第六

 議案第六十八号 中央区立知的障害者生活支援施設条例の一部を改正する条例

日程第七

 議案第七十二号 指定管理者の指定について(区立敬老館)


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第六十八号及び議案第七十二号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第六十八号、中央区立知的障害者生活支援施設条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、区立知的障害者生活支援施設の事業に、基本相談支援及び計画相談支援並びに障害児相談支援を追加するとともに、計画相談支援及び障害児相談支援に係る利用の資格及び手数料の額を定めるほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第七十二号、区立敬老館の指定管理者の指定についてであります。

 本案は、区立敬老館の指定管理者に、「アクティオ株式会社」を指定するため、地方自治法等の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案第六十八号及び議案第七十二号は、福祉保健委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、福祉保健委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第八から日程第十一までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第八から日程第十一までを一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第八

 議案第六十九号 中央区立公衆便所条例の一部を改正する条例

日程第九

 議案第七十号 中央区営住宅条例の一部を改正する条例

日程第十

 議案第七十一号 損害賠償の額の決定について

日程第十一

 議案第七十三号 特別区道の路線の認定、廃止及び変更について


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第六十九号から議案第七十一号まで及び議案第七十三号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第六十九号、中央区立公衆便所条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、新たに区立江戸桜通り地下公衆便所を設置するものであります。

 次に、議案第七十号、中央区営住宅条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律」の施行に伴い、単身入居が可能である者の範囲に、生活の本拠を共にし、かつ婚姻関係に類する交際をする相手からの暴力を受けた者を追加するほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第七十一号、損害賠償の額の決定についてであります。

 本案は、平成二十四年十一月二十七日、自転車で走行していた区職員が、歩行していた損害賠償の相手方と接触し、転倒させ、左大腿部を負傷させた事故につきまして、法律上、区が義務を負う損害賠償の額を定めるものであります。この損害賠償の額の決定につきましては、地方自治法の規定に基づき、本案を提出したものであります。

 最後に、議案第七十三号、特別区道の路線の認定、廃止及び変更についてであります。

 晴海三丁目の開発行為、区立久松小学校の増築及び日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業の施行に伴い、特別区道の路線の認定、廃止及び変更をするため、道路法の規定に基づき、本案を提出したものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 ただいま上程されました議案第六十九号から議案第七十一号及び議案第七十三号は、環境建設委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、環境建設委員会へ付託いたします。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第十二を議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第十二

 議案第七十五号 中央区副区長の選任同意について


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第七十五号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 吉田不曇副区長が十一月三十日をもって任期満了となりますので、その後任として、引き続き吉田不曇副区長を選任いたしたいと存じます。

 つきましては、地方自治法第百六十二条の規定に基づき、御同意をお願い申し上げるため、本案を提出した次第であります。

 よろしく御同意のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 本案について、意見開陳の申し出がありますので、これを許します。

 十番小栗智恵子議員。

〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 日本共産党中央区議会議員団を代表し、ただいま上程されました議案第七十五号「中央区副区長の選任同意について」に対する反対の発言を行います。

 まず、副区長二人制について、これまでの経過を見てみますと、一九八八年の第二回定例会において、中央区ではそれまで一人制だった助役を二人制にする条例が、日本共産党の反対、他の会派の賛成多数で成立し、同年七月一日から施行されました。そして、二人目の助役のポストは、事実上、東京都からの天下り人事のための受け皿づくりとなってきました。しかし、その後、二○○○年から二○○五年までは一人欠員の一人体制で執行されていました。

 東京二十三区の状況を見てみますと、二人副区長制を条例として制定している区は十四区ですが、そのうち二人制を実施している区は十区です。条例で二人制をとっていても、現人数が一人の四区を含め、現在、十一区が一人副区長となっています。また、千代田、新宿、練馬、江戸川の四区は、かつて二人制をしいていましたが、今は一人制に変更しています。千代田区は、本年九月一日現在、副区長を置いていません。中央区の人口の六倍を超える練馬区や足立区でさえも、一人副区長で区政を運営しています。人口十三万人の中央区では、一人副区長体制で十分ではないでしょうか。中央区で副区長が一人のときも、部長を初め、課長、職員の方々が能力を発揮し、区政を運営してきました。副区長が一人でも、十分仕事をやっていけるはずです。

 また、副区長の年額給与は約千六百九十万円で、勤続期間四年で六千七百六十万円、退職手当を含めれば、四年間で七千九百三十万円という大きな金額です。一人制になれば、約八千万円の削減となります。

 さて、現在は二人制のもと、中央区規則で区長の職務を代理する副区長の順番で第二順位の吉田不曇副区長の担任事項は、環境土木部及び都市整備部に関することとなっています。

 私たち日本共産党区議団は、本日の一般質問でも奥村暁子議員が詳細に質問したように、国や都の上位計画に基づいて、さまざまな規制緩和の特典を与えて大企業が活動しやすいまちづくりが進められていることを批判してきました。そして、無秩序な大規模マンション乱立など、大型開発優先のまちづくりで福祉施策や交通などのインフラ整備が追いつかない事態になっていることを厳しく指摘してきました。あわせて、超高層ビル中心の開発事業による床面積の急増で、CO2発生量も激増させ、地球温暖化対策の強化と逆行する流れをつくり出しています。こうしたまちづくりを担当しているのが吉田副区長です。中央区のまちづくりを大規模開発優先でなく、都市の成長管理による持続可能なまちづくり、ヒューマンスケールのまちづくりへ転換することが求められていることを改めて強調するものです。

 なお、本会議での議員の質問中に、吉田副区長の集中力を欠いた態度がたびたび見られ、問題だと思います。

 そのことを一言つけ加え、日本共産党中央区議会議員団を代表して、議案第七十五号「中央区副区長の選任同意について」に対する反対の発言を終わります。出席議員の皆様方も本議案に反対されることを期待します。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(原田賢一議員)
 意見開陳を終わります。

 本案は、起立により採決いたします。本案に同意することに賛成の皆さんは御起立願います。

〔賛成者起立〕

○議長(原田賢一議員)
 起立多数と認めます。──御着席願います。よって、日程第十二、議案第七十五号は原案に同意することと決しました。

 ここで、ただいま本区副区長の同意を得られました吉田不曇さんより挨拶があります。

〔副区長 吉田不曇君、議会局職員に導かれて議場に入る〕

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 一言御礼を申し上げます。

 ただいまは、私の副区長選任に御同意を賜り、まことにありがとうございます。

 今、私たちの目の前には大きな課題が幾つかございます。オリンピック問題、跡地利用を含む築地の問題、それらを統括するインフラ整備の問題、これらの問題は、いずれも本区のみならず東京の未来を左右する大きな課題だと思っております。

 私、もとより浅学非才でございますが、区民の皆さん、区議会の皆さんとともに、これらの課題に全力をもって挑戦し、何らかの道筋をつけることができればと念願している次第でございます。

 この上は、区議会の皆様のこれまで以上の温かい御指導、御鞭撻をお願いするとともに、今回の重ねての同意に心から感謝申し上げ、御挨拶とさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(原田賢一議員)
 挨拶を終わります。


○議長(原田賢一議員)
 次に、日程第十三を議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第十三

 議案第七十六号 中央区教育委員会委員の任命同意について


○議長(原田賢一議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第七十六号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 本区教育委員会委員であります永嶋久子さんが十一月三十日をもって任期満了となりますので、その後任委員を任命するに当たり、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第四条第一項の規定に基づき、本案を提出したものであります。

 すなわち、後任委員につきましては、本区教育行政の重要性に鑑み、慎重に検討を重ねた結果、人格が高潔で、かつ教育行政に関し識見を有しております窪木登志子さんを任命することが最も適当であると存じますので、ここに議会の御同意をお願い申し上げるものであります。

 よろしく御同意のほどお願いいたします。

○議長(原田賢一議員)
 お諮りいたします。本案に同意することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第十三、議案第七十六号は原案に同意することと決しました。


○議長(原田賢一議員)
 ここで、ただいま本区教育委員会委員の同意を得られました窪木登志子さんより挨拶があります。

〔窪木登志子さん、議会局職員に導かれて議場に入る〕

〔窪木登志子さん登壇〕

○窪木登志子さん
 ただいま御紹介いただきました窪木登志子でございます。このたび、教育委員任命御同意、まことに光栄に存じ上げます。

 今後は、中央区教育行政推進のため、まことに微力ではございますが、全力を尽くしてまいります。どうぞ皆様の御協力をよろしくお願いいたします。

 甚だ簡単ではございますが、これをもちまして御挨拶とさせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。(拍手)

〔窪木登志子さん、議会局職員に導かれて退場〕

○議長(原田賢一議員)
 挨拶を終わります。


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、先ほど各常任委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十七日から十二月二日までを休会とし、来る十二月三日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十七日から十二月二日までを休会とし、来る十二月三日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後七時十八分 散会


署名議員
議長 原田 賢一
議員 奥村 暁子
議員 鈴木 久雄

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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