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平成27年第四回定例会会議録(第2日 11月24日)

1.会期

十一日(第二日)

十一月二十四日(火曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時五十分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 小坂 和輝議員

二番 山本 理恵議員

三番 海老原 崇智議員

四番 塚田 秀伸議員

五番 佐藤 敦子議員

六番 富永 一議員

七番 松川 たけゆき議員

八番 森谷 歩美議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 瓜生 正高議員

十三番 染谷 眞人議員

十四番 田中 耕太郎議員

十五番 堀田 弥生議員

十六番 墨谷 浩一議員

十七番 青木 かの議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 木村 克一議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 石田 英朗議員

二十六番 中嶋 ひろあき議員

二十七番 石島 秀起議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 新治満君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 長嶋 育夫君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 坂田 直昭君

監査事務局長 有賀 重光君

企画財政課長 濱田徹君

広報課長 園田 典子君

総務課長 古田島 幹雄君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 笠井 光輝君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(鈴木久雄議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 九番加藤博司議員。

     〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 日本共産党の加藤博司です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問については留保します。

 初めに、安保法制について質問します。

 十一月十三日、週末金曜日、夜の人出でにぎわうフランスのパリ市内で無差別テロが発生、百二十九人もの多数の死者が出ました。犠牲者の家族や関係者に心から哀悼の意を表します。

 一般市民の生命を奪う無差別テロは、国際社会にとっての重大問題であり、いかなる口実や背景があろうとも許されることではありません。二○○一年のアメリカ同時多発テロの後、アメリカがアフガニスタンを攻撃したり、イラクに侵略、政権を崩壊させるなど、世界では戦争とテロの悪循環が続いています。今日の事態を見ると、戦争でテロがなくせなかったのは明らかであり、テロと戦争の悪循環をやめること、無法なテロを世界から根絶するよう、法と正義に基づき、国際社会が力を尽くすことが急務と考えます。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、無法なテロを世界から根絶するためには、有志連合による対応に傾斜するのではなく、法と正義に基づき、国際社会が一致して力を尽くすことが急務と考えますが、いかがですか。

 第二に、アメリカ軍と一体的に行動することを決めた安保法制によって、日本国内でもテロへの危険が増すと思いますが、いかがお考えですか。

 第三に、神戸大学の土佐弘之教授(国際関係論)は、日本は憲法九条を盾にすれば、国際社会に対し、空爆という過剰な暴力でテロに応じるのをやめようと呼びかけることもできるはずだと訴えています。これこそ日本政府が果たすべき役割と考えますが、御見解をお聞かせください。それぞれお答えください。

 安保法制が九月十九日強行採決されて、二カ月が経過しました。憲法九条をじゅうりんし、日本を海外で戦争する国につくりかえる違憲立法、安保法制に対する国民の怒りと抗議の声は、静まるどころか、廃止に向けた行動が全国津々浦々で展開されています。戦争させない、九条壊すな、総がかり行動実行委員会が呼びかけた戦争法の廃止を求める統一署名・二千万人署名の取り組みも開始されています。また、日本共産党の志位和夫委員長が発表した戦争法廃止の国民連合政府提案をめぐって、幅広い団体や個人との懇談が急速に進められ、国民的共感や新たな期待と注目を集めています。

 安保法制成立後、その危険な内容は、ますます明らかになってきています。安倍政権は、アフリカ・南スーダンの国連平和維持活動に参加している自衛隊の任務を拡大し、駆けつけ警護などを可能にすることを検討しています。駆けつけ警護とは、PKOに参加している他国部隊などが武装勢力に攻撃された際、自衛隊が現場まで駆けつけ、武器を使って守るという任務です。これが実施されれば、自衛隊員が南スーダンの国民に銃口を向けて発砲、殺害したり、自衛隊員も攻撃を受けて戦死者が出たりする危険があります。安保法制は、駆けつけ警護や宿営地の共同防衛への任務拡大について、国会の承認を必要としない仕組みとなっており、政府の判断任せです。

 そのほかにも、泥沼のアフガン戦争への自衛隊派兵や、アメリカ軍と一体となったアメリカ軍防護、中国と東南アジア諸国間の領土・領海問題が発生している南シナ海への海上自衛艦の派遣の動きなどがあります。さらに、国内では、オスプレイの横田基地への配備、地方自治を踏みにじる、なりふり構わない沖縄辺野古への新基地建設の強行、平時から自衛隊をアメリカ軍の指揮下に事実上組み込む日米常設の同盟調整メカニズムの設置、その中で中核的な役割を果たす軍軍調整所をアメリカ軍横田基地と防衛省を中心に運用するなど、安保法制の具体化がどんどん進んでいます。日本をアメリカと一緒に戦争する国に変える何物でもありません。安保法制廃止は、いよいよ急務です。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、安保法制の危険な内容について、どうお考えですか。御見解をお聞かせください。

 第二に、自衛隊が駆けつけ警護ができるようになることで危険が増すと思いますが、いかがお考えですか。

 第三に、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄するとしている憲法九条を一内閣が勝手に解釈で変更し、武力の行使ができるようにする安保法制は、憲法に従って政治を行う立憲主義、民主主義、法の支配という国の土台を根底から覆すものだと思いますが、いかがお考えですか。

 第四に、日本共産党は、戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す、この一点で一致する全ての政党、団体、個人が共同して戦争法廃止の国民連合政府をつくろうと呼びかけています。日本共産党が提案する国民連合政府について、区長の御見解をお聞かせください。

 次に、安倍首相が進めるアベノミクスについて質問します。

 内閣府が十一月十六日に発表した二○一五年七月から九月期の国民所得統計で、国内総生産、GDPは二期連続のマイナスとなったことが明らかになりました。物価変動を除いた実質で前期比○・二%減、年率で○・八%減です。GDPは、昨年四月の消費税増税の後、二期連続のマイナスとなり、年度後半はプラスとなったものの、二○一四年度全体では○・九%のマイナス、二○一五年度も年度当初から二期連続のマイナスで、経済の後退は明らかです。

 安倍首相は、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、規制緩和など、成長政策三本の矢を柱とするアベノミクスこそ日本経済再生の切り札だとして、この道しかないと繰り返してきました。企業収益が上がれば投資や賃金がふえ、消費が伸びて経済の好循環が起きるというトリクルダウンがアベノミクスです。しかし、三年間にわたるアベノミクスの結果、大企業の利益はふえ、記録的な水準に達していますが、賃金の上昇や雇用の拡大は進まず、設備投資もふえていません。十一月四日に公表された厚生労働省の調査結果で、非正規労働は全体の四割を超えたことと、経営者が非正規労働者を雇用する理由について、賃金節約のためとする回答が最も多かったことが明らかになりました。経済の好循環どころか、大企業が大もうけをすればするほど消費や投資が落ち込む悪循環がアベノミクスの特徴と言うしかありません。アベノミクスの破綻は明らかです。

 二○一四年四月からの消費税増税が消費の低迷を起こし、GDPの六割を占める個人消費が停滞していては、経済はよくなりません。中央区内景気動向調査の八月調査結果でも、現状判断DIはわずかに低下し、逆に、先行き判断DIは小幅ながら上昇した。どちらも外国人観光客の需要による景気拡大のコメントが多く見られたものの、それ以外で景気が上向く要素のあるコメントは少なかったとまとめられています。外需頼みではなく、個人消費を温める経済政策への転換が求められます。

 そこで、質問です。

 第一に、アベノミクスの破綻は明らかだと考えますが、いかがですか。

 第二に、消費税増税が暮らしと経済に深刻な影響を与えています。区長は、二○一五年第一回定例会での我が党の小栗智恵子議員の質問に対して、本格的な景気回復を中小企業事業者や区民が実感するに至っていないものと認識と、区長は答えています。景気回復を実感してもらうには何が必要と考えていますか。御見解をお聞かせください。

 第三に、消費税を二○一七年四月には、景気がどうであろうと一○%にするとしていますが、さらなる増税は区民の暮らしや経済に深刻な打撃を与えます。消費税増税は中止するよう、国に求めるべきです。お答えください。

 次は、医療と介護の制度についてです。

 最初に、国民健康保険制度について質問します。

 ことし五月、区市町村国保の都道府県化、入院食費の負担増、保険外治療の拡大、医療費適正化計画の強化など、社会保障費削減のため、国民に痛みを押しつける改悪を盛り込んだ医療保険制度の改定法案を国会で可決させました。これにより、二○一八年度をめどに、国保制度の大改変が実施される予定です。

 浮き彫りになっているのは、国保の機能不全です。区市町村が運営する国保は、自営業者や失業者など被用者でない人たちの命と健康を守るための公的医療保険として一九六一年に始まり、それにより国民皆保険が実現しました。ところが、今、保険料が高過ぎるため、全国で三百六十万を超す世帯が保険料を滞納し、多くの人が正規の保険証を交付されず、必要な医療から排除されるという、皆保険の空洞化ともいうべき事態を引き起こしています。国保をめぐっては、国民健康保険には所得の少ない方々が多く加入しているなど構造的な問題がある、相対的に保険料水準が高くなっていると塩崎大臣が答弁し、制度の構造的矛盾を政府、厚生労働省も認めざるを得なくなっています。

 中央区においても、二○一四年度、国保加入全世帯のうち六千四百十七世帯、二二・九六%が滞納世帯となっており、短期証発行は一千五十九件、資格証明書発行は二百七件と高どまりをしています。さらに、二十三区の国保料軽減策であった高額療養費の賦課額の一般財源での対応は、二○一八年からの広域化に向け、予定どおり四年間で順次減らし、来年度は賦課額の四分の三を保険料に算入することを既定方針としており、国保料の値上げは必至となっています。

 そこで、質問します。

 第一に、高過ぎる国民健康保険料の軽減に向け、区は一般財源を投入して国保会計を財政的に支援すべきと考えます。いかがですか。

 第二に、国保料は、所得割と均等割によって決められていますが、特に問題なのは均等割です。子供の数が多いほど負担が重くなる仕組みです。子育て支援に逆行する人頭税ではないかと考えます。子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入について、国に求めるべきです。いかがですか。

 第三に、国保は国の財政支援がないと成り立たない制度です。現在、二一・七○%まで国庫負担率が下がっています。補助の引き上げを国に求めるべきです。それぞれお答えください。

 次に、介護保険制度についてです。

 ことし四月から、介護保険制度始まって以来の大幅な見直しが行われ、同時に、介護事業者に支払われる介護報酬は、基本報酬が平均で四・四八%引き下げられました。職員体制に応じた加算などを上乗せしたとしても、引き下げ幅はマイナス二・二七%と、過去最大規模です。各自治体の第六期介護保険事業計画が実施され、第一号介護保険料改定も行われました。

 介護保険の制度変更は、介護保険料から利用者負担、保険給付の範囲など、多岐にわたっています。主な変更点は、一、要支援者のホームヘルプサービスとデイサービスを介護予防給付から外し、地域の総合事業に移すこと、二、特養老人ホームの新規入所を原則要介護三以上に限定すること、三、利用者負担を所得によって二割負担へ引き上げること、四、低所得者の施設利用者の食費・部屋代補助の削減ですが、既に実施されているものもあります。今年度の改定で、介護の質を支える介護報酬を過去最大規模で引き下げた結果、経営が成り立たずに、閉鎖・休止に追い込まれる事業所が急増しています。担い手の介護職員の処遇改善もできず、人手不足に拍車をかけています。実際、事業者の方にお話を聞くと、介護報酬の引き下げのため、今まで行ってきた通所デイサービス事業をやめざるを得ないとのことでした。また、事業内容を、生活援助のサービスは減らし、保険点数の高い身体介護に移行する、職員体制に応じた加算は条件が厳しく申請が難しいなど、介護現場の声があります。また、利用者にとっても、二割負担になったので、利用回数を減らすなどの影響が出ています。

 介護保険制度は、二○○○年にスタートし、十五年が経過しました。みんなで支える老後の安心を合言葉に、介護保険料を払うかわりに、いざというときには公的介護保険制度で十分な介護を受けられるはずでした。しかし、十五年たった今、要介護高齢者をめぐる状況は、決して安心できるものとなっていません。家族の介護負担は依然として重く、家族の介護のために仕事をやめる介護退職は、毎年十万人以上に上っています。また、行き場のない要介護者、介護難民がふえ続けています。介護を行う職員や介護施設不足は深刻です。

 そこで、質問します。

 第一に、介護保険財政は、利用料以外を公費で給付費の五○%、介護保険料負担五○%で賄う仕組みです。介護保険料、利用料の軽減のために、公費部分を拡大していく必要があります。介護保険料を軽減するため、さらに区が財政支援をすべきと考えます。いかがですか。

 第二に、今後二年間のうちに、要支援者の訪問介護と通所介護は介護予防給付の対象から外し、総合事業に置きかえられることになります。要支援サービスを総合事業に移行しても、現在の水準のホームヘルプ、デイサービスを必要とする全ての要支援者が、今までどおり利用できるように区が責任を果たすべきと考えます。いかがですか。

 第三に、区内においても、常に三百人前後の方が、特別養護老人ホームへの入所を待っています。区内の特養老人ホームの待機者を解消するために、さらなる努力を求めたいと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、子供の貧困対策についてです。

 義務教育における就学援助は、経済的に苦しい家庭の小・中学生の学用品代、給食費、修学旅行費などを補助する仕組みです。憲法二十六条で掲げる教育を受ける権利、義務教育の無償を具体化した制度の一つです。

 日本は、義務教育の段階でも、修学旅行費の積み立てや学用品、体操着、クラブ活動費など、かなり多くの出費が必要です。経済的に苦しい子育て世帯にとって、就学援助を利用できるかどうかは、子供の就学の条件と環境を最低限整えることができるかどうかがかかった、極めて重大な問題です。親の失業や離婚などによって家庭の経済状況が悪化し、貧困状態に置かれる子供たちの問題は依然として深刻です。貧困線を下回る所得しかない世帯で暮らす十八歳未満の子供の割合を示す子供の貧困率は、二○一二年に過去最悪を更新して、一六・三%に上りました。区内の子供の貧困については、就学援助を受けている児童・生徒の増加にもあらわれています。二○○五年には八百六十三人から二○一四年には一千六十三人と、十年間で二百人も増加し、一・二三倍になっています。全児童・生徒数に占める受給割合も、一五・二%から一六・四%と増加し、六人に一人になっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、支援が必要な児童・生徒を把握し、支援するため、健康や生活の実態調査を行う必要があると考えます。いかがですか。

 第二に、区として子どもの貧困対策法に基づいて総合的に行い、きちんと計画を立てるべきです。いかがですか。

 第三に、現在、中央区では、就学援助支給を決める所得基準を生活扶助基準の一・二倍未満と定めています。就学援助支給基準の引き上げをすべきと考えます。いかがですか。

 第四に、標準服、修学旅行費用やアルバム代など、保護者負担の軽減を図るべきです。誰もが安心して教育を受けられるよう、保護者負担の軽減に向けたさらなる支援を行うべきと考えます。いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、認可保育所待機児解消に向けた取り組みについてです。

 子ども・子育て支援新制度がことし四月から実施され、待機児童を解消するため、国は、基準の低い施設も認可施設とするなど、受け皿を約十四万六千人分ふやしました。それでも、二○一五年度の待機児童は二万三千百六十七人と、一千七百九十六人も増加しています。

 中央区では、二○一五年十月二十一日現在、認可保育所を希望して入園できない人数は八百十五人、特に一歳児以下が七百五十二人と、九割を超えています。二○一六年四月には四園の私立の認可保育園の開設で二百十九人の定員拡大が計画されていますが、ゼロ歳児の定員は八人、一才児は四十三人しかふえません。今後の人口の増加を考えれば、待機児解消は依然として大きな課題です。区内にある未利用地の国有地や都有地を調査・活用し、保育園を整備するなど、待機児の解消を早期に図るべきです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、認可保育所を希望して入園できない人数は、例年より大幅にふえています。認可保育所の増設で待機児を解消すべきと考えます。解消に向けた今後の取り組みについてお答えください。

 第二に、区内にある未利用の都有地として、勝どき一丁目、以前区民館、保育園があった都有地で、現在、東京都住宅公社の管理地として広場になっている空地があります。東京都に対して、保育所などの福祉施設の建設用地として要望すべきと考えます。いかがですか。

 また、晴海一丁目の警視庁第一方面交通機動隊が一時利用している都有地についてです。晴海三丁目に交通機動隊の庁舎が完成したので、いずれは移転の予定と聞いていますが、その後の土地利用について、東京都に対する区の働きかけはどのようになっているのか、お答えください。

 さらに、区内には、まだ十分に活用されていない都有地があります。東京都に問い合わせをし、調査することを積極的に行うよう求めますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、高齢者にとっても安心・安全なまちづくりについて質問します。

 この間、区民の方から、さまざまな要望や意見を聞いています。特に、高齢者の方からは、買い物に苦労している、歩道を走る自転車が怖い、散歩や出かけたときのトイレが心配、ビル風で吹き飛ばされそうになるなど、さまざまな声が寄せられています。

 そこで、区民から寄せられた要望や高齢者の声から質問します。

 第一に、晴海一丁目と晴海三丁目間の横断歩道の設置についてです。

 現在、横断歩道橋があり、黎明橋公園通りへの右折の信号が設置されました。その結果、右折信号の際、横断歩道橋を渡らず、車道を横断する姿が見受けられます。横断歩道橋の上り下りは、高齢者にとってつらいものです。横断歩道の設置を改めて求めます。いかがですか。

 第二に、勝どき駅前交差点の歩車分離式信号についてです。

 終日歩行者が行き交う勝どき駅前交差点に、歩行者の安全を確保するため、歩車分離式信号の設置を求めてきました。現在、右折車両分離方式信号及びゆとりシグナルに改良されていますが、完全に歩行者と車を分ける歩車分離式信号の導入を求めます。

 第三に、高齢者の買い物を支援するため、歩道にベンチなどの設置についてです。

 再開発や閉店などによって、身近な商店が町なかから消えています。高齢者の方が買い物をする道のりは、どんどん遠くなってきています。高齢者の方が、買い物などのとき、荷物を置いたり、腰かけたり、ちょこっと休めるベンチなどを歩道にもっとふやすよう求めます。

 第四に、自転車道の整備についてです。

 自転車利用者が増加する中で、自転車と歩行者などとの事故が増加しています。歩道を猛スピードで走行する自転車に恐怖を感じるとの声があります。実際、後ろから来た自転車に驚き、転倒し、手首を骨折した高齢者の方もいます。歩道は歩行者優先の原則に従い、車道に自転車走行空間の整備を求めます。

 第五に、ビル風対策です。

 ビル風対策については、再開発において事前・事後の調査を行い、植栽などで改善を指導しているとのことですが、抜本的な改善はされていないと思います。現状の調査を行うと同時に、解消に向けた検討を求めます。いかがですか。

 第六に、勝どき一丁目から三丁目間の隅田川テラスにおける公衆トイレの設置についてです。

 隅田川テラスは、憩いの場、散歩コースとなっています。春は桜、夏は川風と、地域住民の憩いの場であり、来街者の休憩の場でもあります。しかし、周辺には公衆トイレがありません。勝どき一丁目から三丁目の間の隅田川テラスに公衆トイレの設置を求めたいと思います。それぞれお答えください。

 次は、地域の防災リーダーの育成と防災備蓄倉庫設置場所の見直しについて質問します。

 ことしの企画総務委員会の行政視察で、大分県臼杵市の防災対策の取り組み、女性防災士連絡協議会について視察を行ってきました。臼杵市は、南海トラフ巨大地震で五メートルを超える津波が想定される地域で、小さな子供のいる母親や妊婦への細やかな気配りなど、女性ならではの視点を地域防災に生かす取り組みを進めています。臼杵市の防災対策の特徴は、災害時に地域リーダーとなる防災士の育成に行政の力強い支援があることではないかと思います。二○一五年九月現在、防災士は五百十四人、うち女性は百人と、県内最多とのことです。

 防災士とは、NPO法人日本防災士機構が認証する民間の資格で、防災・減災について一定の知識と技能を習得しており、災害現場で避難誘導や負傷者の応急手当て、避難所の設置・運営など、被害を軽減するリーダー的な役割が期待されるとあります。地震などの災害は、いつ発生するかわかりません。災害発生時には、その場にいる区民や在勤者によって初期対応が求められます。

 そこで、質問ですが、区内では、災害時に備え、消防団、各学校区の防災拠点運営委員会や防災区民組織が定期的に防災訓練を行っております。災害発生時や災害予防は、行政の支援、公助がしっかりと発揮されて、初めて自助・共助が機能するのではないかと考えます。区としても、消防団や防災拠点運営委員会などと協力して、地域やマンション内のリーダー育成に取り組むべきと考えますが、いかがですか。お答えください。

 次に、区内の防災備蓄倉庫の地上階への整備です。

 現在、地下にある防災備蓄倉庫は、拠点倉庫二十二施設中十二カ所、副拠点五カ所中三カ所、活動資器材については、三カ所全部、区が保有する備蓄倉庫二十一施設中十施設にも上ります。現在、防災拠点の倉庫は、学校などの改修・改築とともに見直しが行われていますが、災害時の食料や備品を保管している防災拠点や備蓄倉庫は、津波や高潮、局地的豪雨など最悪な事態を想定して、早急に地上階に移すべきと考えます。期限を決めて、対応を求めたいと思います。お答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、テロ根絶についてであります。

 パリ同時テロで犠牲になられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表し、負傷された方々と御家族の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 一般市民を無差別に襲った残虐なテロは、いかなる理由であれ、断じて許されるものではありません。本区では、一貫して平和を区政の根幹に据え、あらゆる施策を通じまして、戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴え続けております。主要二十カ国地域首脳会議、G20でのテロと戦う決意の緊急声明に続き、今月十九日に閉幕したアジア太平洋経済協力会議、APECでは、首脳宣言で、あらゆるテロ行為を非難するとし、テロリストの資金調達を防ぐための仕組みや外国人戦闘員の渡航情報の共有などに取り組むことを確認しております。世界的にテロの危険性が高まりを見せる中、我が国を含め、どの国も、一国のみではテロなどの脅威から逃れることはできません。安保法制は、そうした国際環境の変化を背景に制定されたものと認識しておりますが、国際社会の一員として、憲法の平和主義の理念を堅持しつつ、世界の平和と安定を目指して、より一層の平和的な外交努力を重ねていくことが重要であると考えております。

 次に、安保法制の内容についてであります。

 世界各地で頻発するテロを初めとして、我が国を取り巻く安全保障環境は、ますます厳しさを増しているようであります。安保法制は、そうした状況の中で、我が国の存立を全うするとともに、将来にわたり国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、あらゆる事態に切れ目のない対応を図ろうとするものであると認識しております。国際平和協力法の改正に伴い、自衛隊のPKO部隊に、いわゆる駆けつけ警護の任務を追加できることとなりましたが、政府はいまだ内部規則等の検討・準備段階でありまして、近く南スーダンに派遣予定の部隊には新たな任務を与えない方針であるとしております。安保法制につきましては、政府は憲法との整合性が保たれているとしており、今後、その具体的な運用に当たっては、国民の理解が得られるよう、国の責任において慎重に各種の準備・検討を行うとともに、国会の適切な関与がなされるものと認識しております。また、国民連合政府の構想があることは、報道等で承知しているところであります。

 次に、アベノミクスについてであります。

 我が国経済の近況におきましては、経常利益の顕著な伸びで改善が進む企業業績や高水準が続く有効求人倍率など、上向きの数値が見られており、アベノミクスの一定の効果があらわれたものと考えております。本年十月の区内景気動向調査においては、先行き判断DIが前回調査より七・五ポイント低下したものの、現状判断DIは横ばいとなっており、大きな変化はない状況にあります。一方、世界経済におきましては、中国を初めとするアジア新興国の景気の下振れや原材料価格の変動など、我が国の景気を下押しするリスクがあることから、先行きは予断を許さない状況にあると認識しております。

 次に、消費税についてであります。

 昨年四月の消費税増税後も、国における景気の判断は、一貫して緩やかな回復基調が続いているとしておりますが、国民生活の隅々にまで好況感は広がっておりません。そうした中、中小事業者や区民が景気回復を実感するためには、社会全体で経済の好循環を実現し、身近な職場や暮らしの中で将来への期待が生まれることが何よりも大切であります。区といたしましては、今後とも、国の経済対策を注視しつつ、区内中小企業の支援や商店街振興、消費拡大などの経済対策を最重要課題として、景気や雇用の押し上げに積極的に取り組んでまいります。また、消費税率の引き上げにつきましては、安定的な財源を確保することで国の財政再建を図るとともに、将来にわたる持続可能な社会保障制度を構築するため、法律で定められたものであります。

 次に、国民健康保険料についてであります。

 区では、これまでも低所得者に対する保険料均等割の軽減措置や出産育児一時金、葬祭費の支給などに多くの一般財源を投入し、保険料負担に配慮しているところであります。さらなる一般財源の投入は、今後の財政運営を考慮すると困難であり、国保に加入していない区民との公平性の観点からも適当でないと考えております。

 次に、子供に係る均等割保険料の軽減措置につきましては、子育て世帯の負担軽減を図るための支援制度を設けるよう、全国市長会を通じて国に要望しております。

 次に、国民健康保険の国の財政負担についてであります。

 国におきましては、国民健康保険の見直しの中で、保険財政の安定化に向けた公費拡充の方向性を示しております。区といたしましては、こうした動向を見きわめつつ、必要に応じて都や特別区長会と連携しながら国への働きかけを行ってまいります。

 次に、介護保険制度についてであります。

 介護保険制度は、介護を社会全体で支え合う全国一律のサービスとして創設されたものであり、その負担割合は政令に定められております。区といたしましては、介護保険サービスを区民が確実に利用できるよう、特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護などの誘致に努めるとともに、入浴サービスや住宅設備改善など、介護保険サービスの量や種類を補う本区独自のサービスを充実してまいりたいと存じます。

 次に、総合事業についてであります。

 総合事業は、介護職不足が懸念される中、掃除や買い物など多様な生活支援サービスを、介護事業者に限らず、さまざまな事業主体が行うことによって、より効果的・効率的にサービスを提供することにあります。実施に当たっては、利用者の心身の状況に応じて、おとしより相談センターがケアマネジメントを行いますので、今後とも、必要な方には専門的なサービスを提供してまいります。

 次に、特別養護老人ホームの整備についてであります。

 本区では、地域密着型特別養護老人ホームの整備や既存施設の改修によりまして、平成二十五年度から二十七年度にかけて八十四床を増床したところであります。今後とも、地域包括ケアシステムを推進する中で、在宅サービスはもとより、施設サービスにつきましても、そのニーズを的確に把握しながら対応してまいりたいと存じます。

 次に、子供の貧困対策についてであります。

 区では、生活に不安を感じている方に対して、生活相談窓口でさまざまな相談に応じながら生活状況を把握し、その実態に即した支援を行っております。こうした支援は、それぞれの生活実態や資産の状況等により、きめ細やかな対応が求められるため、児童・生徒を対象とした一律の実態調査は必ずしも有効とは言えず、また、プライバシーや個人情報の収集による問題等もあることから、現在のところ、実施する考えはございません。

 次に、子どもの貧困対策の推進に関する法律への対応についてであります。

 同法は、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境の整備など、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的としており、昨年八月には、国において、子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定さたところであります。同法では、都道府県に子供の貧困対策に関する計画策定の努力義務を課しておりますが、いまだ東京都では策定されておりません。区といたしましては、今後の都の動向を注視しながら、本区の実態を踏まえた支援策を講じてまいります。

 次に、就学援助の認定基準についてであります。

 本区の就学援助は、学校教育法の趣旨を踏まえ、生活保護世帯に加えて、所得額が生活保護基準額の一・二倍未満の世帯など、いわゆる準要保護世帯を対象としております。この認定基準につきましては、半数以上の区が一・二倍を採用していることや、これまでの受給者状況等を踏まえ、妥当なものと捉えており、当面、この基準を変更する考えはありません。また、保護者負担の軽減については、既に就学援助における給付として、標準服相当額を支給しているほか、全ての保護者を対象に、修学旅行費や卒業アルバム代の補助、学校給食の米飯給付など、独自の取り組みを行っており、二十三区でもトップクラスであります。より一層の負担軽減につきましては、受益者負担の公平性、社会経済情勢などを勘案しながら判断してまいります。

 次に、待機児童の解消に向けた取り組みについてであります。

 平成二十八年度以降につきましても、子ども・子育て支援事業計画に基づき、認可保育所の整備を引き続き進めるとともに、地域の多様なニーズに応えられるよう、地域型保育事業などを効果的に組み合わせ、早期解消を図ってまいります。また、都有地につきましては、勝どき一丁目は、同敷地内の建築物との容積率の関係上、新たな建築物を建てることはできず、晴海一丁目は平成三十一年度まで引き続き利用が決まっており、いずれも現在活用することはできませんが、東京都に対して、引き続き情報提供を求めてまいります。

 次に、晴海一丁目と晴海三丁目間の横断歩道の設置についてであります。

 晴海地区の人口増加に伴い、黎明橋公園近くの歩道橋の利用者もふえております。歩行者の中にはベビーカー利用のお母さんなどもいることから、区では、これまで横断歩道の設置について、交通管理者である警察署に要請してまいりました。警察署におきましては、安全性の確保が難しい等の理由から設置は見送られておりますが、歩行環境の改善を図るため、引き続き働きかけてまいります。

 次に、勝どき駅前交差点の歩車分離式信号についてであります。

 勝どき駅前交差点は、右折車両が関係する事故の危険性が高く、交通の安全を特に確保する必要があるため、歩行者等の横断中は車両を右折させない右折車両分離方式を導入しているところであります。歩行者と車両を完全に分ける歩車分離式につきましては、車両の渋滞がさらに伸びることや、脇道を利用する車両がふえ、生活道路における交通事故の発生が懸念されることなどから、現時点では難しいものと考えております。

 次に、歩道へのベンチなどの設置についてであります。

 区では、高齢者や障害者など全ての人が安全で快適に通行できる歩行環境の形成を図るため、人にやさしい道づくり実施マニュアルを策定し、人形町通りや清澄通りなどの歩道にベンチを設置してまいりました。また、街角広場として、道路に面した緑地帯にベンチや花壇を設置するなど、憩いの場の創出に努めております。今後におきましても、高齢者などが安心して外出ができるよう、道路改修などの機会を捉えて、ベンチなどの設置を図ってまいります。

 次に、自転車走行空間の整備についてであります。

 東京都は、本年四月、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、競技会場や主要な観光地の周辺を対象に、自転車推奨ルートを約二百キロメートル整備する取り組みを公表いたしました。この中で、整備方針として、車道の活用を基本に、道路事情や交通事情に応じた整備を行うとしております。本区といたしましては、荷さばき駐車やパーキングメーターなど、地域の状況を踏まえ、自転車が通行すべき部分を車道に矢印で表示する自転車ナビマークの設置や、広幅員歩道の活用などについて警察署と協議し、自転車走行空間の整備を進めてまいります。

 次に、ビル風対策についてであります。

 ビル風の影響を完全に取り除くことは困難であることから、区では、できる限り低減するよう、事業者を指導しております。具体的には、再開発の計画段階におきまして、風洞実験等に基づき建物の形状や植栽計画を工夫させ、竣工後は一年間の事後調査とその結果により、適切な措置を講じさせております。今後も、こうした取り組みを継続するとともに、高齢者を初め、誰もが安心できる歩行環境を確保するため、歩道上のビル風についても、街路樹との相乗効果により、その影響をより軽減できるよう、計画敷地内の樹木の種類や配置について、計画段階から指導してまいります。

 次に、公衆便所の整備についてであります。

 本区では、広く公衆の利便に供することを目的に、公衆便所を区内八十三カ所に設置しております。勝どき一丁目から三丁目間の隅田川テラスにおきましては、適地がない上、半径四百メートル内に月島第二児童公園内公衆便所や西仲橋際公衆便所が設置されております。あわせて、テラスに設置した案内板で周辺の公衆便所を表示していることから、現在のところ、整備は予定しておりません。

 次に、地域の防災リーダーの育成についてであります。

 地域の防災力向上のためには、防災リーダーや活動の担い手となる幅広い人材の育成が重要であります。そのため、区では、消防署や消防団の協力のもと、防災拠点運営委員会の委員を中心に、初期消火や応急救護等の習熟を図るとともに、普通救命講習会や上級救命講習会を毎年開催し、救命知識や技能の習得など、防災リーダーの育成に努めております。また、東京都が主催する防災市民組織リーダー研修会では、昨年度、本区から九名を推薦し、リーダーの役割や組織の運営手法等を学んでいただいたところであります。今後とも、こうした取り組みを継続しながら、地域の防災力向上を担うリーダーの育成に努めてまいります。

 次に、防災倉庫についてであります。

 区では、主に大規模地震を想定し、防災倉庫を、地下を含む低層階に設置しております。地上階への設置につきましては、小学校増改築などの機会を捉えまして、移設や増設を行う考えであります。

 答弁は以上であります。

     〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 ただいま、区長から、それぞれ答弁いただきましたけれども、やはり問題なのは、テロの問題、それから安保法制の危険な内容について、区長のそういう認識でいいのかというのが、今、一番問われているのではないかと思うんです。例えば、先ほど、我が国の周りはますます厳しくなってきていると。だからこそ、憲法九条をきちんと掲げて平和外交に徹することが、今、必要ではないかと思うんです。

 先ほど私も述べましたけれども、同盟調整メカニズムによるアメリカ軍と自衛隊の司令部の一体化、これが大きな問題になっているわけです。地球規模で日米の一体化が進んでいると。安保法制で可能になる海外での共同作戦や派兵先での統合司令部設置に向け、先取り的に日米間の情報認識を共有する狙いがある、このように指摘されているわけです。アメリカ軍と一緒になって作戦行動を行うことは、海外で戦争する国へ大きくつくりかえることになると私は思います。

 区長は、この問題について、我が党の質問に対して、憲法九十九条の憲法尊重擁護義務について必ず触れるわけですけれども、今回閣議決定した安保法制に対して、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官や判事、九割を超す憲法学者らが、法曹界を挙げて、違憲立法だとはっきり宣告しているんです。違憲か合憲か、この問題については、はっきりもう勝負はついているわけですよ。その違憲立法を強行することは、法の支配を根底から覆すものであり、そして、そのことによって日本が新たな危険に巻き込まれていくということが言えるのではないかと思うんです。どんな政権であっても、やはり憲法の枠の中で政治を行う、これが立憲主義の立場だと思うんです。その点について、立憲主義の立場から、今回の安保法制について区長の率直な意見を聞きたい。まず、そのことを一つお願いしたいと思います。

 それから、国民連合政府については、マスコミを通じて知っていると。知っているだけではなくて、私は資料を事前に渡しておりますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。

 それから、アベノミクスの破綻の問題です。

 先日、麻生太郎財務相が、二○一二年度と二○一四年度を比較して、経常利益は十六・一兆円ふえた、従業員の給与、賞与は○・三兆円ふえた、設備投資は五・一兆円増加した、しかし、内部留保は四十九・九兆円もふえた、現金・預金など二十兆円も超えてふえたと、こういうことを繰り返し指摘をしているわけです。これを見れば、大もうけをした大企業の利益は、ほとんどがため込みに回されてきている。大企業がため込んでいるということを、はっきり麻生太郎財務相も認めているわけです。ですから、アベノミクスの失敗というのははっきりしているわけです。賃金にも設備にも回っていない。経済の好循環どころか、大企業が大もうけをすればするほど、消費や投資は落ち込む。株価の上昇によって、一部の資産家は懐を豊かにしていますけれども、多くの中小企業、七割、八割を占める中小企業の皆さんは、今の円安の中で苦労しているわけですよ。そういう意味で、今のアベノミクスに対して、やはりきちんと見ていく必要がある。その点について、もう一度区長の御見解をお聞きしたいと思います。

 それから、国民健康保険についてですけれども、なかなか支援については困難だと。公平性の視点からも適当でないというお答えをいただいたかと思うんです。先ほども言いましたように、来年度、高額療養費の四分の三を保険料に算入させるわけです。これをやれば、来年度の保険料の引き上げは必至なんです。

 ちなみに、数字を申し上げますと、国保加入者の平均所得、一世帯当たり、一九九一年、ちょっとさかのぼって調べました。そうすると、一世帯当たり大体二百七十六万五千円、国保加入者の世帯平均所得はそのぐらいあったんです。ところが、二○一四年度には百四十二万円まで、半減していると言えると思うんです。これは、組合健保と比べても、四割の所得しかない。負担の公平性と言うんだけれども、組合健保の場合は、企業、会社側が半分近く、大体五○%、五○%で負担をするわけですから、保険料の公平性と言うのは、そういう意味からも妥当ではないし、やはりここにきちんとした公的な財源を投入しなければ、国民健康保険はもう破綻してしまう。破綻するというより、さらに保険料が引き上がる悪循環が生まれてくると言えるんです。この悪循環を断ち切るためには、やはり保険料の公費の負担増加がどうしても必要だと私は考えます。

 ちなみに、一九九五年の一人当たりの保険料を見ましたら、六万三千四百六十三円。中央区の資料です。二十年後の二○一四年の保険料は十一万三千五百二十円と、倍近くなっているわけです。そして、ことしの保険料、十二万三千百三十五円。また上がっている。また来年も上がる。その次も上がる。そういう繰り返しなんです。

 確かに、所得による保険料の軽減策はありますけれども、それはあくまでも所得による軽減策です。二割、四割、七割でしたかね。ただし、均等割の軽減措置については、区長も言われましたけれども、全国市長会において要望している。そのとおりだと思うんです。全国知事会でも国に申し入れをしているわけです。中央区としても、軽減に向け、きちんと申し入れを行うべきだと。そして、そのためにも、国保の一般財源の投入によって国保料の負担軽減を図る、そういうことをやっていかないと、新たな滞納を生み、それがまた保険料にはね返るという悪循環に陥る。私は、そこが一番問題だと指摘をして、中央区において国民健康保険に対する財政的支援を行うべきだということを指摘させていただいておりますので、もう一度その点について、お答えいただきたいと思います。

 それから、介護保険についても、全体で一律負担の制度だと簡単にさらっと言いましたけれども、実際に、今、二○一五年から二○一七年の基準階で五千九百二十円、年額七万一千四十円。第六期の介護保険料の基準階でのお金です。ちょっと振り返ってみて、私は先ほど二○○○年に介護保険制度が導入されたと説明させていただきましたけれども、その当時は五段階で、基準で三千二十五円、年額で三万六千三百円。所得はふえないにもかかわらず、介護保険が倍近くにもなってきているという問題は、やはりきちんと見ていく必要がある。

 介護保険給付の増加の最大の理由というのは、結局、高齢者がふえる。それに対して、きちんとした財政支援がなさ過ぎる。やはりこれは中央区においても、制度だと言いますけれども、実際に介護保険料に対して、きちんと財政支援を行えることは国会でもちゃんと答弁があるわけですから、それはやるべきだ。やって、誰もが安心して介護が受けられるように、そういう負担を軽減していく必要があるということで、もう一度その点について御答弁をいただきたいと思います。

 それから、特別養護老人ホームは、ニーズを的確に把握しながら対応するという区長の答弁ですけれども、実際に三百人を超える方が特別養護老人ホームに入りたいという列に並んでいるわけです。そういう人たちをどう見るのか。把握をする前に、実際に三百人近く、これは中央区の資料ですよ。特別養護老人ホームを申請して待機している方は三百人近くいる。これは冷厳な事実です。把握するというのではなくて、もう実際にあるわけですから、やはり特別養護老人ホーム建設に向けて、さまざまな知恵を働かせ、汗を流す必要があるのではないか。もう一度、その点についてもお答えいただきたいと思います。

 それから、子供の貧困の問題で、いろいろと言われましたけれども、実施する考えはないと。しかし、一つの事例として、日本のひとり親家庭の貧困率というのは五四・六%だと。経済協力開発機構加盟三十四カ国中で最悪ということで指摘されているんです。実際に、母子世帯の親たちの就業率は八○%を超えておりますけれども、ほとんどがパートなどの非正規雇用だと。私の知り合いの母子家庭の方も、昼は派遣で働き、夜はアルバイト、そうして働きながら子供を学校に通わせているわけです。やはりこういう方にきちんと行政が手を差し伸べる、そういう姿勢が必要ではないか。

 そして、先ほど受益者負担の公平性から、就学援助について、さまざまな支援については検討する考えはないというお答えですけれども、小学生の制服は二万円以上かかるわけです。中学生でも五万円以上になる。やはりこういうところにきちんと援助をする。それから、ドリルなどの教育活動費用などの軽減を図るべきだ。貧困による学力の格差を生じさせないためにも、中央区がきちんとこういうところに力を入れていく必要がある。就学援助基準の引き上げについては、私の調査によると、今、六割以上の自治体が一・二以上なんです。例えば、江戸川区では一・五倍、板橋区では一・二六倍。それぞれ、やろうと思えばできるんです。そこのところを見ていく必要がある。そのためにも、ぜひもう一度お答えいただきたい。

 そして、認可保育所の待機児の解消については、今、どの子供も、預ける保育園によって保育の格差が生まれないように、中央区がきちんと対応すべきだ。中央区のすぐれた基準の認可保育所を増設して、待機児を解消していくために大きく足を踏み出していく必要がある。そのためにも、ぜひ取り組んでいただきたい。

 それから、高齢者への取り組みについては、それぞれこれから調査等を行いながら取り組んでいくということが答弁としてありましたので、ぜひ私どももこれからこの問題については注視をしていきたいと思います。

 先ほど、歩道のベンチについて答弁がありましたけれども、清杉通りや八丁堀通り、それからポケットパークなどにベンチを用意している。私は、それも承知しております。しかし、それでは足りないんです。ですから、先ほど区長から御答弁いただいたように、今度の道路の改修等の中できちんと整備していく、そういうことに取り組んでいただきたい。それが、高齢者にとっても、元気に買い物に行ける、元気に散歩ができる一つの支援になるわけです。そういう意味では、ぜひこの問題については取り組んでいただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。

 もう一つ、地域リーダーについては、確かに、区長が答弁されたようなことについては、私も承知しております。防災資材や防災時マニュアル、マンションのマニュアル作成など、そういう意味では、いろいろ進んでいるんです。中央区も頑張ってやってきていると思います。しかし、それを実際に災害に生かせるソフト面での充実が私は必要ではないかと。先ほど言いましたように、いつ起きるかわからない。災害が発生したときには、そこにいる人たち、区民の人、来街者の人たちが力を合わせて対応しなければならない。そのためには、そのときに対応できるように、多くの方に参加してもらいながら、地域のリーダーをたくさんつくっていくということが、災害をより減災にしていく大きな力になると私は考えておりますので、災害時地域リーダーの育成を、別にほかの団体に任せるのではなくて、中央区自身がぜひ取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。

 時間が迫っておりますので、以上で再質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の再質問に答弁させていただきます。

 今、日本周辺、本当にさまざまな問題、課題があるわけであります。周辺だけではありませんね。ああした大きなテロが起こっているということでありますから、そういった点で、私たちは国と一体となって国民の生命、区民の生命、そして幸せな生活をしっかりと守っていかなければならないわけであります。

 憲法違反という御指摘がございました。私も、マスコミ等を通じまして、まさにさまざまな憲法学者等々あるいは内閣法制局や法曹界のかつての有能な経験者等が反対を表明されるということは、新聞等、報道で接しているわけでありますが、それはそれといたしまして、やはり現実にしっかりと対応するということでは、何といっても国権の最高機関である国会におきまして、私たちの代表がしっかりと議論をして、そして判断を下したわけでございますから、何といっても、この点はしっかりと私たちは尊重していかなければならないのではないか。

 個人的な見解はいろいろあるのではないでしょうか。それがどうだこうだというのではなくて、さまざまな御意見が各方面からあるでありましょう。私も、日米同盟、まさに鈴木・レーガン会談、ワシントンで、その場で取材を行って、そして記事にした経験がございますけれども、やはり日米同盟、これはもう基本中の基本であり、日米同盟というもの、これも国同士の条約、約束事でありますから、さまざまな点で尊重していかなければならないのではないか、こういうふうに思うところであります。

 新たな危険に巻き込まれるのではないかといったような御指摘もございましたが、そこはもう外交努力ですね。まさに、外交努力等々によって、また各国との信頼関係によって、新たな危険に脅かされないように、私たち国民、区議会の皆様と一体となって、しっかりと対応してまいりたい。区民の皆様方と一体となって対応してまいりたい、そういうふうに思うわけであります。

 それから、アベノミクスにつきましては、大企業が随分利益を上げているという御指摘がございました。それは、大企業は大企業として、各企業が収益を上げるのはね。でも、全てがそうではないんじゃないですか。企業によっては、随分大変なところもある。赤字が出たとかいうところも、大企業の中でもいろいろ報道されているところでございまして、各企業それぞれの経営者は経営手腕を発揮し、株主もそれをしっかりと見ているわけでございますから、全ての大企業が、御指摘されたようにため込んだり何かしているわけではなくて、大赤字だというところもあるのではないかという点も忘れてはなりませんよね。そういう大企業もあるわけでありますから、今のこれだけ変化の激しい、また景気のほうもさまざまな浮き沈みがあって、これはこうなんだと言えるほど単純なものではないわけでありますから、その企業企業、あるのではないかな、こういうふうに思うわけであります。大事なことは、本区は何といっても三万七千三百三十三もの事業所がある、東京都内で一番、事業所の数がある区でありますから、景気浮揚を本区から図って、そして全国へ、その裾野を広げていく、これが私たちの任務であろう。そういう面で、これからも景気浮揚を都心中央区から図ってまいりたいな、こういうふうに思うところであります。

 それから、国民健康保険制度でございますけれども、いろいろ御指摘ありました。一九九一年と比べると、この十年、二十年の間に所得も随分減っているというような御指摘もございました。だからこそ、私たちも全国市長会あるいは区長会を通じまして、何とか、そういった点でも、国民健康保険料についても、さまざま国に要望等をさせていただいているところでございます。ただ、先ほど言いましたけれども、国保に加入していない区民との公平性、そういった観点もやはり重要であるわけでございます。

 介護保険制度につきましても、ニーズを的確に把握しながら、私たちはしっかりと対応していかなければならないというふうに思いますけれども、特養はもう待機者三百人もおられるわけでありますから、先ほども申しましたとおり、どんどん、今、地域密着型の特養二十九床、これまでのマイホームはるみであるとかマイホーム新川を改修することによって、平成二十五年度から二十七年度に八十四床ふやしたというわけでございます。

 待機者が三百人を超しているということであります。本区でも、いろいろな区外の特養もございますから、そういうところも紹介しているのでありますけれども、各家庭それぞれ事情がございますから、そういう点で、もう少し待ってでも区内の特養に入りたいんだという方も多いわけで、区外の特養につきましては、恐縮ながら遠慮させてもらいたいという家庭もあるわけでございます。区外に特養をということで、私の自治体につくってくれませんかという声等もございますけれども、わかりました、やりましょうと言えるかどうかとなると、区民の皆さん、区議会の皆さんといろいろと御相談させていただきながら、やはり区内の地域密着型が本区にとりましては一番望ましいのではないか。土地を見つけるのはなかなか難しいところがございますけれども、それでも、やはり適地を見つけて、あるいは再開発等のチャンス、そういうときにつくっていこうということで、その努力も進めているのはおわかりのとおりであろう、こういうふうに思うわけであります。今後とも、そういった面で、しっかりと対応してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 子供の貧困、これはもう大変なことですね。子供の貧困率が一六・三%ですか、六人にお一人が、残念ながら貧困であるということで、残念で、何とかしたいということは区議会の皆様方お一人お一人同様であろう、こういうふうに思うわけでございます。本区としても、できる限りのことをさせていただきたいなと思うわけでございまして、貧困家庭を何とかなくして、子供が貧困だなんていうことが問題にならないように、これは本当に全力で皆様方と一体となって闘い、前進させてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 また、保育所の待機児童の解消、これもどんどん努力しているわけでございまして、赤ちゃんが、おかげさまで、どんどん生まれている。昨年が一千八百三十六人でしたかね。ことしは二千人になろうとしているわけでありますけれども、この赤ちゃんたちの保育園をしっかりとキープしていかなければいけない、つくり上げていかなければならない、待機児童がなくなるように私たちは努力していかなければならない、こういうふうに思っているわけでございまして、今後とも、そういう面では、子供を産み、そして育てやすい自治体ナンバーワンを目指して、各方面の方々と力を合わせてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 歩道のベンチ等について、本区は道路率も非常に高いのでありますけれども、ベンチを整備できるような広い道路となると、なかなかどこでもかしこでもというわけにはいかないわけでありますから、適地を見つけて、しっかりとベンチ等もつくり上げて、高齢者にとっても安心・安全なまちづくり、また歩行環境といった面でも、高齢者が本当に歩きやすい、そういうまちを皆さんと一緒につくり上げてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 地域の防災リーダー、これはもう、いつ大きな地震が来ても不思議ではない。地震だけではありませんね。これだけ気候変動がある時代ですから、集中豪雨とか、いろいろな問題が起こるわけでありますから、そういう面で、地域の防災リーダーの育成、そしていざといったときに安全・安心で大丈夫だ、そういうようにしていかなければなりませんし、御指摘いただいたような防災備蓄倉庫等といった問題につきましても、先ほど答弁させていただいたとおりであります。

 以上でございます。

     〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 区長から再答弁いただきましたけれども、勘違いしていただきたくはないと思うんです。

 まず、私は日米安保条約について一言も触れていないという問題、それから国会で審議されたということで、それは守る必要があるのではないかのような答弁をされましたけれども、あの九月の参議院特別委員会の議事録は全くないわけです。後世の人が、どういう審議がされて、どういうことが決まったのか聞かれたときに、議事録がないということは最大の欠陥です。こういうことは、安保法制は本当に立憲主義を根底から破壊する何物でもないと思うんです。どんな政権であっても、やはり憲法の枠の中で政治を行う、これが大事なんです。歴代の自民党政権だって、そうだったではないですか。憲法九条のもとで、集団的自衛権は行使できない、国民の前で説明してきた。これを一遍の閣議決定で覆してしまう、こんなおかしなことはないと私は声を大にして言いたいと思います。

 そして、私たち日本共産党区議団は、安倍首相の暴走政治をストップし、主権者国民の力で立憲主義、民主主義を貫く新しい政治をつくるために、また区民が主人公の区政実現に向け、これからも全力を尽くして運動を進めていく、その決意を述べて、質問を終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時三十一分 休憩


     午後三時五十分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番渡部恵子議員。

     〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 議長から発言許可をいただきました、民主党区民クラブの渡部恵子でございます。平成二十七年第四回区議会定例会に当たり、区の一般事務及び区政の当面する課題につきまして、区長並びに関係理事者の方々に、質問通告書に沿って発言させていただきます。中央区が目指す観光について、また都心でできる地球環境負荷の低減について、区の発展、そして区民福祉に資する御答弁をお願い申し上げます。なお、再質問は、このまま留保させていただきます。

 初めに、観光立国中央区のビジョンについて、お伺いいたします。

 既に、皆様が御承知のように、現在、日本経済が直面している四つの課題があります。一つは、二○一一年、貿易収支が三十一年ぶりに赤字となって以来、四年連続赤字を拡大させ、二兆六千億円だった貿易赤字が二○一四年には十二兆八千億円と、六倍もの赤字を膨らませました。また、国の借金は平成二十六年度末に一千五十三兆円となり、過去最高の借金額となっています。

 二つ目は、一人当たりのGDPはアジアで四位となり、世界経済における日本の立ち位置が相対的に低下していることです。

 三つ目は、日本の貧困化です。一般サラリーマン世帯が税金や社会保障費を給料から差し引いた後に残る勤労者世帯可処分所得の低下が顕著となっており、二○○○年の四百七十三万円から二○一四年には四百二十四万円と、月額四万九千円、年間五十八万八千円も、手元で使えるお金が減少しています。就業人口の構造が変化し、ものづくり産業や製造業や建設業からサービス業へと雇用が移ることで、雇用の改善はもたらされても、可処分所得を減らしたことが見えてきます。

 四つ目は、二○○八年をピークにして、日本は異次元の少子高齢化に突入しました。日本は観光に力を入れざるを得ない環境、背景がここにあります。二○二○年の大会に向けて、観光立国に必要なサービス業をより高度化し、収入の高い安定した雇用を促せるからです。

 環境庁の資料では、二○一四年の訪日外国人は一千三百四十一万人、旅行消費額は二兆二百七十八億円であり、一人当たり平均十五万円ほど使っている計算になります。一方、二○一四年に日本が海外から購入した食料、鉱物性燃料を合わせると三十四兆四千円です。単純に、インバウンドの十七倍、日本は外から物を購入しているのです。今後、訪日外国人のインバウンドを上げていくためには、短期的な来日ではなく、ハイエンドリピーターを引きつけて、日本で充実した旅行体験を提供することで日本経済の活力を高めていくことが求められています。

 産業構造の変化に伴い、異次元の金融緩和をしても、日本が得意とするものづくりだけでは、グローバル社会では成果を出せなくなっている現状があり、日本の国際競争力が低下していることを意識した政府は、外国人観光客が増加傾向にあることに着目し、観光立国としての日本の立ち位置を求め、二○一一年、東京を含めた主要都市の都市力の向上を目指した国家戦略特区への提案を各自治体に求め、これを受けて、東京都はアジアヘッドクォーター特区構想を打ち出しました。アジアヘッドクォーター特区として打ち出した五つのエリアの一つが東京都心・臨海地域であり、中央区はこの一翼を担うことになりました。

 その後、政府は、本年、二○一五年六月に、東京圏国家戦略特別区域会議の場で、規制緩和措置として外国人医師が自国以外の外国人を診療できるようにし、聖路加国際病院などで本年から五人の外国人医師が活動できるよう見込みを立てました。また、滞在施設の旅館業法の適用除外として、七日から十日以内の滞在で、許可のない施設に旅行者が宿泊できるように規制緩和を行えるようにしています。都市計画法特例といたしましては、二○二○年東京五輪を視野に、国際ビジネス拠点の形成を図り、国際ビジネス交流、情報発信、起業支援、MICE拠点の整備とともに、外国人を含めた生活環境の整備も打ち出しています。

 政府は、二○二○年の東京オリンピック・パラリンピック開催時に二千万人、二○三○年には三千万人の訪日外国人数を目標とし、これを受け、東京都は二○二○年には一千五百万人観光客を東京に誘致することを目標にしています。現在、中国経済の失速が明らかになる中で、今後の観光客数の推移が気になるところではありますが、二○一三年、経済産業省通商白書を見ると、アジア新興国について、次のように分析しています。

 世界年間可処分所得三万五千ドル以上の富裕層、中間所得層は大幅に拡大傾向であり、中でも上位中間層と同じく、五千ドル以上、一千五百ドル未満の下位中間層の伸びが顕著となっています。中でも、インドを初めとした南西アジアは、経済の底上げに伴い、低所得層を脱し、下位中間層に移行する層が大幅に増加する勢いを示しています。心配される中国ですが、下位中間層の総数は変化がないものの、下位中間層から上位中間層へ、また上位中間層から富裕層へ移行する層が厚くなってきており、ASEANにおいても、中間層の着実な増加が見込まれています。これを踏まえると、アジア新興国の経済成長や富裕層及び中間層の消費活動の拡大がアジア全体の消費を押し上げる可能性が高いと分析できます。

 では、次に、訪日外国人の推移を見てみましょう。二○一四年、日本政府観光局の訪日外国人数の推移を見ますと、二○一一年の六百二十二万人から、二○一四年は一千三百四十一万人に大幅に伸びており、全体の八割近くがアジアからの来訪者となっています。中でも、中国、香港、台湾、シンガポールの大中華圏から来日しており、全体の約五割を占めています。グローバリゼーションの進展に伴い、都市間競争が激化する中で、今後も着実な拡大が見込まれるアジア新興国の観光需要を取り込むことが極めて重要であり、一人でも多くの外国人が日本に行きたいと思えるように、所得層に応じたニーズに応えられるよう、マーケティングを取り入れた戦略的な観光施策を講じる必要があります。

 一つの事例を挙げてみます。オランダに、ことし五月に中国の化粧品メーカーの社員旅行の企画で四千五百人の社員が訪れました。訪れたオランダの地域に十億円の経済効果を数日でもたらし、オランダ市場の最大の経済効果をもたらしました。このように、中間所得層の取り込みはもちろん、社内旅行客やハイエンドの富裕層を引きつける東京中央区の魅力は何か、今、まさに展開を考える時期に来ているのだと感じています。

 都市戦略研究所が打ち出している世界の都市総合力インデックスという指標を、東京都が政策立案の参考指標にしています。都市が持つ活力、文化的指標、接触機会の有無、高級感、快適さ・便利さ、移動しやすさという六つの指標を、さらに細かく二十指標を設け、世界の都市を分析したところ、東京は八年連続世界第四位であります。経済成長性と交通アクセスが脆弱という二指標によって、主要都市に出おくれています。

 ここで参考になるのが、二○一二年にオリンピック・パラリンピック開催都市だったロンドンです。ロンドンは、大会開催後、四年連続二位以下を大きく開き、世界一となっています。その理由は、二十年から二十五年と長期的な視野に立ったまちづくりを計画的に実行し、とりわけ海外からの訪問者数、国際会議件数で世界一となっています。そのベースとなっているのがロンドンプランです。

 二○○四年、ロンドンプランが発表されました。これは、当時のケン・リビングストン市長が、ロンドンが抱える人口問題の解決と、経済発展といった課題を克服するために、人口、経済成長だけでなく、社会的によりすぐれた都市として成長することを目指し、交通システムの整備、都市デザインに対する考え方、持続可能な開発、政治・経済・文化と包括的観点に立った長期的な空間開発戦略です。そこから何度か書きかえながら、二○一五年三月に改訂版ロンドンプランを打ち出しました。それによれば、二○三六年以降もすぐれた世界都市であり続けるために、ローカル、グローバル、両面において、気候変動への対応、公害の低減、低炭素社会の促進、資源消費の効率化など、環境問題の解決をリードする年と目標を定めています。これを推し進めるために、インナーロンドンと、これを取り囲むアウターロンドンの双方において役割の異なる戦略特区を設定し、その発展のための方針も示しています。

 るる述べてまいりましたが、東京都において、二○一一年、アジアヘッドクォーター特区で選定した五地域の一つに入る中央区は、国際競争力を高めるという使命があり、これから特区として指定されている日本橋、八重洲、京橋エリアの再開発計画や、選手村となる晴海エリアのポテンシャルを高めていくためにも、築地市場跡地利用など、オリンピックを契機に世界都市として発展しているロンドンプランのように、今後、本区の長期的なビジョンが非常に重要となってまいります。来年二月より中央区の基本構想を新たに講じていくことになっておりますが、観光やまちづくりは、基本構想のロードマップを待たずに現在進行形で進んでいくべきものですから、この点を踏まえながら、これから中央区が目指していく本区ならではの観光事業についてお伺いしてまいります。

 初めに、カジノなきMICEを視野に入れた中央区のIRに向けた考え方についてお伺いいたします。

 観光客が何度でも訪れたいと思うことは、ハイエンドリピーターを創出し、人をさらに呼び込むために非常に重要な視点と考えています。それには、都市政策、文化政策、観光事業を一つとして考えることが、質の高いIR施設を構築していくためには欠かせない視点になっています。現在、シンガポールは、二位以下に倍近い差をつけて、MICE誘致において年間一千件近い国際会議が開催されており、群を抜いた存在となっています。国際会議の開催に当たっては、レセプションの開催や会議後に食事や観劇などを楽しめる充実したナイトエンターテイメント、同伴した家族との観光を一つの施設で提供できるIRの存在は、MICE開催都市の決定プロセスにおいて、大きな判断材料になると東京都も発表しています。

 本区は、現在進められている高島屋日本橋店再開発計画において、新設する二棟の外装デザインを世界的に有名なスキッドモア・オーウィングス・メリルが手がけ、安心で高規格のオフィス空間を整備しています。区内には、銀座にミキモトビルやデビアスビル、黒川紀章氏の斬新な建築物もあります。また、これから始まる東京駅八重洲口駅前整備計画や日本橋エリアには、コージェネレーションシステムを導入した地域冷暖房施設のネットワーク化といった環境負荷の低いまちづくりが計画されています。日本橋を特区とした創薬事業や、がんの先進医療を受けられるセンターもあります。規制緩和によって、これから外国人医師も医療活動に従事できる病院もあります。

 現在、国土交通省は、観光立国推進基本計画において、産業ツーリズムという視点が入っておりません。しかし、中央区には、江戸創業の和紙や筆、足袋など、現在もたくみのわざが継承されている、さまざまな産業があります。日本橋、八重洲、京橋エリアには名橋日本橋、日本銀行本店本館、高島屋日本橋店など、重要文化財に指定されている歴史的建造物が残されています。江戸時代にどのような役割を担ってきたかという、土地が持つ歴史と文化が息づいています。相撲部屋、伝統芸能である歌舞伎座も擁しております。すしやてんぷらといった、農林水産省が国際ブランド化を目指す和食文化もあります。今後さらに進められていく隅田川や東京湾を利用した水運の中で、ナイトエンターテイメントである屋形船やライトアップも、IRに大きく寄与することになるはずです。産業ツーリズム、歴史ツーリズム、メディカルツーリズム、和食など文化ツーリズムといった、IRに必要な全てがコンパクトに存在しているのが中央区ではないでしょうか。さらに、外国人が感心する、時間を確実に守って走るすぐれた交通機関と、どこへ行っても衛生面ですぐれ、何よりも、諸外国にはない、女性が夜中に一人で歩ける安全性の高さがあります。

 このように、中央区が持つポテンシャルをこうしたツーリズムとして打ち出していくことは、カジノなきIRとして、MICEを視野に入れた中央区ならではの取り組みとして、国際競争力の強化の一助となると考えます。ハードだけでなく、ソフトも含めて、都市の魅力をまるごと観光にすることは、都市政策と経済政策に高付加価値をかけていくことにつながっていくからです。さまざまなツーリズムをもとにし、MICEを視野にしたカジノなきIRについて、本区のポテンシャルを最大に生かしていくことをどのようにお考えでしょうか。

 次の質問に移ります。

 前述のとおり、本年六月、東京圏国家戦略特別区域会議において、旅館業法の適用除外として、七日から十日以内の滞在において、外国人が旅館業法の許可のない宿泊施設を利用することが可能となりました。いわゆる民泊です。一九六四年の東京オリンピックの際、ホームステイという形で外国人が民泊し、現在もホストファミリーと滞在した外国人との交流が続いているという市民レベルの国際交流がなされました。

 現在、国も東京都も二○二○年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、宿泊施設が足りなくなることから、こうした取り組みを応援しているところでありますが、外国人ツーリストにとって、日本の生活を味わう一つの機会として、魅力ある滞在が可能になる反面、民泊による弊害が生じてきています。本区も、晴海にある分譲マンションにおいて、エアビーアンドビーに掲載された民泊が当該マンションの一室であることから、大きな問題となりました。写真から部屋番号を特定し、マンションの管理組合から所有者に又貸しを禁止する規約を伝えたという案件がありました。また、築地にある集合住宅においても、同様に、民泊として短期利用されている部屋があり、夜中に騒ぐなど、区民に不安を募らせる迷惑行為が発生していると相談を受けております。

 本来のBアンドBは、オーナーが自分の部屋の寝室を貸し、朝食を提供する、ベッド・アンド・ブレックファストという民宿であり、現在のような空き部屋を利用したものとは異なります。本区は、高額な分譲マンションが建ち並ぶ地域でもあり、マンション住民の方々にとっては、自分の暮らしの質を求めて居住しており、第三者が入れかわり立ちかわり滞在することは想定していません。また、民泊は、犯罪の温床として利用される蓋然性もあるため、区民の安住な環境を保全する責任がある以上、都心居住の本区にはなじまないと考えざるを得ません。今後、MICEを視野に入れ、都市力の高い滞在を想定するならば、都心中央区の役目は、民泊を推進することではなく、むしろ公有地などに質の高いホテルの建築を促すほうが長期的なインバウンド獲得に通じると考えますが、区が考える民泊についてお知らせください。

 中央区には、在住外国人が増加しております。訪日外国人が東京観光の際に訪れるまちとして挙げられているまちが、銀座、築地市場です。区内で観光ブックを片手に、区の案内板の前で迷っている外国人をこのエリアでよく見かけます。日本に何を求めてやってくるのか、彼らを引きつける中央区のまちの魅力はどこにあるのか、不便な点はどこかなど、在日外国人の視点は、私たちが気づかない指摘をもたらす生きたマーケティングになり得ると考えます。むしろ、彼らの視点は、中央区の観光施策に非常に参考になるものと考えています。

 この点、シンガポールば、ビジネストラベラーの取り込みを積極的に行っています。一度ビジネスで訪れたシンガポールのIRを堪能すれば、後日、家族を連れて戻ってきてくれることと、オピニオンリーダーであるビジネスマンたちが、MICE開催国としてシンガポールを選択することを想定しているからです。中央区在住の外国人もビジネスマンが多く、彼らの生きた意見は、より国際都市としての中央区の魅力創出や改善策に参考になるものと考えます。

 今後、区内在住の外国人の意見を積極的に聞き、新たな視座をまちの観光施策に生かしていくことについて、どのようにお考えでしょうか。

 中央区は、今まで述べてまいりましたように、大々的にハード面で国際競争力強化のエリアとしての一翼を担っています。しかし、そこには、区長が目指す本区ならではのおもてなしのエッセンスが入ることで、さらなる中央区の魅力をソフト面で推進することができると考えています。区内で時折目にする光景の中には、車椅子利用者やつえをついている外国人観光客がいます。

 こんなお話があります。昨年秋、京都国立博物館で、国宝鳥獣戯画と高山寺展が開かれ、ここに出かけた車椅子の作家さんが、長時間並び、ようやく博物館に入れたのですが、車椅子利用者なので、展示物の高さや角度の関係で、見たかった鳥獣戯画を見られずに非常に残念だったとおっしゃっていました。車椅子ユーザーがどのような環境で鑑賞しているのか、主催者は想像できなかったからであろうとのことでした。このようなことは、ほかでも起きているのではないでしょうか。

 私の友人でNPOで観光ガイドと通訳をしている人がいます。中央区を専門に案内している友人が、電動車椅子なら段差は問題がないが、普通の車椅子だと、銀座の歩道の段差が上がれないのだと伝えてくれています。日本ユニバーサル協会のお話では、ここ二十年から三十年にかけて、ハード面のバリアフリー対応は、法整備のおかげで、大分進んできたそうですが、パラリンピック統括推進課長のお話では、二○○四年のアテネ大会以降、日本選手団のスタッフとして選手たちを見ていた経験から、誰もが自由に移動できる環境を整備したいと発言しています。高齢者も障害者も出かけられる環境になってきているが、そろそろ障害とどのように健常者が向き合うか、心の準備をするフェーズに差しかかっているということも指摘されています。

 先ほどお話しした世界の都心総合力インデックスにおいても、高齢者や障害者に対応できるまちにおいては、東京はまだ障害が多いまちと指摘されています。二○二○年の大会だけを視野に入れるのではなく、都市として観光立国中央区を目指すとき、私たちの役割として、ユニバーサルマナーを学ぶ必要性があるのではないでしょうか。大会や観光を問わず、地域の高齢者や障害者への理解という点、また観光立国の一翼を担う中央区のホスピタリティーとして、職員はもちろん、区民の中でも大会を機会にボランティアをしたいと願う人たちに、ユニバーサルマナーを学ぶ機会を提供することは、一人一人へ向けた二○二○年の大会の機運上昇とともに、無形のレガシーと考えることもできます。

 今後、関係各署の職員の方や区民においても、ユニバーサルマナーを学びたい人への一助として、研修を行うことについての区のお考えをお聞かせください。

 この問題の最後に、お伺いいたします。

 今まで、何度でも訪れたいと思う魅力ある中央区について、るる私の考えをお話ししてまいりました。それでは、何度でも訪れたいと思う中央区の観光について、本区はどのようなビジョンを描いておられるのでしょうか。

 環境対策、都心中央区が講じていく環境負荷の低いエネルギー対策についてお伺いいたします。

 政府は、本年十月二十三日、地球温暖化被害の最小化を目指す国家戦略、適応計画(案)を日本で初めて策定しました。今世紀末までに年間雨量が最大で三割増加することから、豪雨災害が今後深刻になると判断し、温暖化ガスの排出削減だけでは温暖化による悪影響は避けられないと、今後、法制化を視野に検討し、地方自治体や企業などにも計画策定を促す方向という方針が打ち出されました。中身を見ると、温暖化によって米やリンゴ、ミカンなどの品質低下が著しいため、温暖化に耐え得る新品種の開発を急ぐこと、また、熱中症患者が増加する見通しや、都市部ではヒートアイランド現象の対策として、緑化対策と風が通りやすい都市計画の推進を挙げています。農家の中には、温暖化を逆手にとり、亜熱帯地方のパッションフルーツの栽培に着手している人もいます。築地市場も、この夏、漁獲高が海水温の上昇によって減少し、場内のおすし屋さんが、インバウンドをもたらしてくれる外国人顧客に対し、魚が足りず、お昼前にのれんをおろさざるを得ない状況を目の当たりにし、海にも温暖化の影響が着々と進行していることに危機感を一層強くしております。二一○○年には現在より平均気温が四度上昇すると警鐘を鳴らされていますが、真夏の異常な暑さから熱中症にならないためには、冷房で部屋を冷やさざるを得ず、地球に負荷をかける生活を余儀なくされています。

 折しも、二○二○年開催の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、舛添都知事は、レガシーとして水素社会の実現を掲げ、東京都は、東京戦略会議で取り組みの方向性を明確に打ち出しています。水素については、高額なリチウムイオン電池から、容量を増すとコスト高になってしまうために、コストパフォーマンス上、どのように考えているのかを、先日、東京都の環境局地球環境エネルギー部の担当課長様から御教示をいただいてまいりました。

 現在、水素は、ハイブリッド車とほぼ同額まで価格を抑えられており、水素五キログラムに対し五千五百円で七百キロメートル走行可能ながら、高コストであることは現在も課題となっており、水素ステーションについては、補助金で後押しをしているところというお話でした。また、水から水素を電気分解できることについて伺うと、自動車の場合は純度の高い水素が必要という御回答でした。二○二○年東京オリンピック・パラリンピックでの活用に向けた環境整備を視野に入れている中で、世界へ向けて、日本の高い技術力をアピールしたい都知事の思いはあるものの、簡単な移行は難しいと実感しています。

 しかし、これでは、CO2削減まで実質的な成果を生み出せません。現在、日本の最終エネルギー消費量の三割以上を住宅・建築部門が占めていて、しかも、増加傾向にあります。家庭での最終エネルギー消費量の拡大は、ひとり暮らしでも五人暮らしでも照明や冷蔵庫など家電で最低限の電力が必要となるので、単身者や核家族がふえれば、エネルギー消費量の増加につながっていきます。これは、世界も同様です。そこで、多くの建設企業は、ゼロエネルギーに向けた建物の研究を重ね、既に研究を終えて実行段階に入っています。

 イギリスでは、政府が二○一六年までに全ての新築住宅をゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEBにし、二○一○年までに非住宅にも、新築はZEBにすると宣言しました。他の欧州諸国でも同様の動きが進んでおり、欧州会議では、二○二○年以降の新築建造物を全てニアリーZEBにすると宣言しています。

 さらに、ことし、二○一五年九月に、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOは、フランスのリヨン市で、太陽光発電や蓄電池、蓄熱材を活用し、エネルギー・マネジメント・システムで管理することでビル内の消費量を上回るエネルギーを生み出すポジティブ・エナジー・ビルディング、PEBの実証運転を開始しています。このビルは、HIKARIと名づけられており、今後、幅広く展開していく方向です。これを受けて、フランスは、全ての公共の新築ビルをPEBにする目標を掲げています。

 シンガポール、韓国でも、超省エネに取り組み、小規模オフィスをZEB化し、戸建て住宅はネットゼロ・エネルギー・ハウスとして建築しました。日本では、ZEBの実現と展開について、二○三○年までに新築ビル全体でZEBを実現する方針を発表しています。

 日本が取り組むZEBは、省エネ法の基本となっている年間の一次エネルギー消費量において、正味でゼロ、またはおおむねゼロとなる建築物をZEBの定義としています。それには、断熱性や冷暖房、給湯、換気など、建物の基本的な省エネ性能を高める建物をつくることがその第一歩になりますが、アメリカのエンパイア・ステート・ビルディングのように、建物の改修工事によってスーパーウインドーという断熱効果が高いガラスを採用し、エネルギー消費量を三八%削減し、エネルギーコストも四億円低減されたことから、建物のリニューアル時にZEBを目指すことも可能になっています。

 ZEBは、平常時のCO2削減はもちろん、確実な電力ピークの抑制が可能となることのほか、最大のメリットは、震災など非常時にエネルギーの自立性を確保できるので、停電はしません。中央区のような高層ビルやマンションを擁する地域には、エレベーターが停止しないため、BCP効果があります。この点、水素だけではエレベーターを動かすだけの力はないと、環境局の担当者から教えていただきました。都心の中央区がゼロ・エネルギー・ビルディングに取り組む意味は、非常に大きいと考えています。これにスマートグリッドの技術を入れれば、エネルギーの自給自足と建物同士をスマートグリッドで結ぶことで、地域や街区単位での省エネにも寄与することが可能になります。

 港区に、オアーゼ芝浦という、既成市街地で初めてスマートコミュニティを実現した建物があります。国土交通省、経済産業省、港区が、行政の既存法規制の緩和への取り組みとエネルギー会社の協力、また地権者の企業の協力のもと、三敷地間によるスマートなエネルギー利用によって、電力ピークカットを二五%、除湿、暖房、給湯への熱の高度利用による低炭素化としてCO2削減を三○%可能にし、非常時に自立電源の面的利用は平常時の五○%を確保し、防災性の向上にも寄与しています。また、三地域間の公道を一体化したことで、潤いやにぎわいの創出、そして憩いのための緑豊かなオープンスペースを確保しています。地域の防災倉庫も入れて、災害時は帰宅困難者の一時避難場所となり、炊き出しも可能な応急活動用のオープンスペースとして提供されることになっています。

 国内初のZEBを取り入れた山梨県の生長の家、森の中オフィス、中部大学春日井キャンパスもスマートグリッド化しており、増加傾向にある電力使用量の抑制を可能としています。私がZEBを御教示いただいた清水建設さんの社屋もZEB化しており、多彩な最先端技術でCO2排出量を六二%削減しています。平常時は省エネと創エネ、災害時は自主エネルギーで自立できる社屋となっています。こうした取り組みは日本各地でも始まり、スマートコミュニティを活用した地域経済の活性化プロジェクトを進めているのが岐阜県瑞浪市であり、定住人口の増加を図り、地方創生に寄与する目標を立てています。宮城県石巻市では、復興住宅地区に太陽光発電と蓄電池を備え、最先端のエネルギー管理システムで、明かりが消えないまちを目指しています。

 五十年後、百年後、次世代の人々が住む地球環境を鑑みるならば、このように各地で取り組みが始まっているCO2削減と省エネ・創エネプロジェクトであるZEBやPEBを、都心中央区だからこそ取り入れていく必要があると考えます。今後、ZEB、PEBを導入した低炭素社会に向けたスマートコミュニティについて、区はどのように考えていく方針でしょうか。

 以上をもって私の第一回の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 渡部恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、中央区の観光資源を生かした複合観光施設についてであります。

 本区は、江戸以来、四百年以上にわたり、日本の文化・商業・情報の中心であるとともに、常に時代の最先端を行く都市活動が活発な、歴史と未来が交差するまちであります。区内には、名所・旧跡、美術館、画廊、劇場、豊かな水辺といった文化的空間、さらにファッションの銀座や食文化の築地、老舗の連なる日本橋といった日本屈指の商業地、歌舞伎に代表される伝統芸能など、魅力ある文化・観光資源が満ちあふれております。また、銀座柳まつりや名橋日本橋橋洗い、観光商業まつり、まるごとミュージアムなど、多彩なイベントが一年を通して開催されており、まさにまちそのものが複合観光施設であると言えます。今後とも、訪日外国人は増加が見込まれることから、MICEなど、さまざまな目的で来日された方が、本区を訪問先に選択する情報の提供が重要となってまいります。区といたしましては、京橋二丁目に整備中の観光情報センターを核として、民間観光案内所との連携を深めながら、文化・観光資源の宝庫である本区の立地特性を最大限に生かした情報発信の仕組みづくりを進めてまいります。

 次に、民泊についてであります。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、都内を訪れる来街者の宿泊施設不足が懸念される中、国家戦略特区の特例を活用して民泊を認める動きが一部の自治体で進んでいることは承知しております。しかしながら、一般の住宅に不特定多数の人が出入りすることは、住民に不安感を与えかねず、また感染症が発生したときの対応や事件・事故、違法行為の取り締まりなど、衛生面や治安面からも多くの課題があるものと認識しております。本区といたしましては、今後の国の動向を注視しつつ、区民の安全・安心を最大限に考慮し、慎重な対応を図ってまいります。

 次に、区内在住の外国人の意見を生かした観光施策についてであります。

 日本人では知り得ない、また、気づきにくい外国人の考え方や意見を把握し、観光施策に生かす取り組みは大変重要なことと認識しております。そこで、来年十一月に開設を予定している観光情報センターの運営計画を策定する中で、外国人の視点からの観光に関するニーズ等を把握するため、首都圏在住の外国人に対するヒアリングやウエブによるアンケート調査を行っております。また、中央区文化・国際交流振興協会が開催している日本語教室や国際交流サロンの中でも、区内在住・在勤の外国人の方から御意見を伺っております。今後は、こうした情報に加えまして、観光情報センターを運営する中で寄せられる声も収集・分析し、本区の観光施策のさらなる充実に活用してまいります。

 次に、ユニバーサルマナー研修についてであります。

 障害の有無にかかわらず、誰もがまちの中を自由に移動し、人と触れ合い、活動できる環境を実現するためには、高齢者や障害者など多様な方々への対応スキルであるユニバーサルマナーを普及させていくことが重要であります。このため、本区では、職員に対して、接遇マニュアル「粋なおもてなし」を活用した接遇研修や、採用三年目から五年目の全職員を対象に、高齢者在宅サービスセンターや福祉センターで福祉体験研修を実施し、職員の高齢者や障害者への理解を深めるための取り組みを行っております。また、区民や事業者の皆様に対する研修につきましては、現在、社会福祉協議会におきまして、ボランティアや福祉等に関心のある学校、企業等に出向き、点字、手話、アイマスク、車椅子等の体験講座を実施しており、今後とも、さらなる内容の充実に向けまして、社協との連携を進めてまいります。

 次に、何度でも訪れたいと思う中央区の観光についてであります。

 東京都が行った平成二十六年度国別外国人旅行者行動特性調査では、実際に訪問した都内の観光地は、新宿・大久保に次いで、銀座が二位で、日本橋は六位、築地が十二位となっております。また、一番期待していた場所や一番満足した場所は、ともに銀座がトップであります。さらに、東京都を訪れた外国人の九六・一%が満足としており、再び来たいと回答した方も九五・二%に上っております。こうした声を踏まえると、本区の観光施策としては、まずは外国人に人気の高い銀座、日本橋、築地の魅力をさらに発信し、本区へのさらなる集客を図ることが重要であります。その上で、訪れた方が、下町情緒あふれる人形町や浜町、水辺豊かな佃、月島、晴海など、本区の個性豊かな地域を知り、区内を回遊していただくことが必要であります。そのため、現在、区では、中央通りと晴海通りを中心としたエリアをモデル地域とし、地元団体と協議しながら、外国人旅行者向けの情報提供を行うウエブサイトの構築に向け、準備を進めているところであります。区といたしましては、こうした取り組みも含め、新たな観光情報センターの運営の中で、常に新しい観光情報やわかりやすい交通アクセス情報を提供することで回遊性を高め、国内外の中央区ファンが一人でも多くなり、繰り返し訪れていただけるよう努めてまいります。

 次に、スマートコミュニティについてであります。

 本区は、オフィスなどの業務部門からの二酸化炭素排出量が多く、地球温暖化防止に向けて、業務部門における排出抑制は重要な課題であると認識しております。このため、中央区まちづくり基本条例等に基づき、最先端の省エネ機器や再生可能エネルギー等の設置促進を図っており、東京スクエアガーデンなどの省エネビル等が各地区で建設されております。また、日本橋室町三丁目地区では、コージェネレーションシステムを活用した地域冷暖房の計画が進められるなど、環境面にすぐれ、災害にも強いスマートコミュニティづくりが促進されております。御提案のネット・ゼロ・エネルギービル、ZEBにつきましては、現在、実現に向けた国のロードマップを踏まえ、建設業界各社におきまして、省エネ・創エネ技術の高度化やコスト縮減などが検討されており、ポジティブ・エナジー・ビルについては、海外での実証実験にとどまっております。しかしながら、ZEB化に向けた省エネビルによるスマートコミュニティの形成は、二酸化炭素削減やエネルギーの有効活用、防災力の強化などに大いに寄与するものと考えております。現在、区内においては、京橋三丁目の京橋環境ステーションを核とした地区の低炭素化への取り組みや、京橋一・二丁目では二酸化炭素排出量削減に向けた検討が行われており、これらに本区もかかわっているところであります。今後におきましても、ZEB化などに向けた省エネルギーや自然エネルギーなどの技術革新等の動向を注視しながら、スマートコミュニティ形成の取り組みを促進し、低炭素なまちづくりを進めてまいります。

 答弁は以上であります。

     〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 私の質問に対しての御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、観光立国についてですが、おっしゃるとおり、中央区はたくさんのポテンシャルを抱えて、その点におきまして、江戸時代から現在に至るまで日本の中枢を担うようなまちとして、将来も有望視されております。情報提供が重要という御答弁をいただきました。それをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、私たちは東京駅という表玄関を擁している区でございますので、東京駅から観光客が日本各地に飛び立っていくわけです。そこも本当に、あるところ、扇のかなめのような役割を持っている区でございますので、日本全国の都市の方々のためにも、中央区が一翼を担う何かが、例えば中央通りを利用して何かができるとか、オリンピックの機運を醸成していくためにも中央区としての観光のPRができるのではないかなということを、御答弁をいただきながら、思いました。

 民泊につきましては、今後、しっかりお取り組みをいただきながら、区民の暮らしの安心・安全を守っていただければというふうに願っております。

 それから、外国人の御意見を取り入れているし、これからも取り入れていくという御答弁をいただきました。これから中央区も見直していくということでございますが、日本の広島市とか、外国人が多く訪れる場所には、地域の案内看板にQRコードがついていて、スマートフォンをかざすと多言語化して情報が全部とれるような仕組みも既に始まっているようでございます。

 それから、外国人の方々からの意見というのは、あるところ、ビッグデータでございますので、これを活用しない手はございませんので、ぜひ生きた御意見を区政に反映していっていただけたらと。また、滞在を短期で、例えば日帰りだけではなくて、やはりステイしていただいて、それも一泊、二泊、長期的にステイしていただくことと、それから、先ほど回遊性を高めるというお話がございましたが、区内、本当に江戸情緒の残るところとか、まち自体が歴史をしっかり含んでいるところでございますので、そういうふうなものを打ち出しながら、多くの観光客の方に長時間滞在していただいて、また日本に、東京に、中央区というまちに戻りたいなと思ってもらえるようなまちづくりをお願いしたいと思います。

 また、よく橋の上から夜景を撮っている海外の方々を見かけますが、本当に水辺空間が美しくて、東京タワーを写したり、あるいは隅田川の反対側を写したり、そういうようなまちの魅力もあると思います。回遊性を高めるということは、さまざま、こうした区内在住の外国人の方々の御意見をビッグデータとして活用することにつながっていくと思いますので、この点におきましても、お願い申し上げます。

 あと、ユニバーサルマナーについてなんですが、区内の案内看板が車椅子から見えるかなというふうに思っております。一つ一つ、まちづくりにおいて、担当の職員の方々が、こうした視点も取り入れていくことが、やはり中央区ならではのきめ細やかなおもてなしにつながるのではないかなというふうに考えております。

 それから、世界のトレンドは、まちの中を気持ちよく歩くことだそうです。その点、中央区、東京のまちは非常にきれいになったということが外国人観光客の方々の御意見だそうです。ですから、区内を回遊しながら、きれいなまちを、そして江戸情緒あふれるまちを楽しんでいただけるように願っております。

 スマートコミュニティにつきましては、本当に世界のトレンド、どんどんヨーロッパのまちも、海によって満潮時に沈むという場所も出てきておりますので、危機感が高いんだと思いますが、本区も東京都心からこのまちをZEB化して、環境負荷のかからない都心という形で打ち出していっていただければというふうに思います。

 まず、観光についての語源、これはそもそも古代中国、周の時代に書かれた「易経」の中に観光という言葉が初めて出てきたそうです。国の光を「みる」と読めば、他国の実情を視察する、見聞を広めるという意味があって、そして、国の光を「しめす」と解釈すると、自国のすばらしさを見せる、他国に示すという意味があるそうです。日本は、江戸末期から、観光船とか観光館など観光という言葉が使われ始めて、現在のようなツーリズムという観点は、ようやく大正時代になって出てくるようです。ここを踏まえながら、中央区の観光を再度強く見直していただくことを願ってやみません。

 それには、例えば、現在、循環型社会というような環境問題、循環型社会をこのまちは築いていますというと、世界中から視察に来るそうです。私は、昨年十二月に、藤沢市が取り組んでいるFujisawaサスティナブル・スマートタウンというまちがありまして、これは本当に世界で初めてサスティナブルシティが成功したということで、世界中から視察に来ています。中央区に本当にインバウンドとして、これは産業ツーリズムでもあり、それから環境ツーリズムでもありますので、こうしたことも本区ならではの新しいポテンシャルということを提言していけるのではないかと思います。

 これからも中央区の発展について、私たちもしっかりと取り組んでまいりますし、これが全て区民の利益につながっていくような観光施策、そしてエネルギー施策を講じていけますように、今後とも施策、しっかりお取り組みいただけますように、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時四十四分 休憩


     午後五時五分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十七番青木かの議員。

     〔十七番 青木かの議員登壇〕

○十七番(青木かの議員)
 維新の党、青木かのです。さきに提出いたしました質問通告に基づき、質問させていただきます。答弁内容によりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 さて、十一月三日、晴海トリトンスクエアの二階グランドロビーにおいて、育児フェスティバル、略して育フェスCHUO二○一五が開催されました。

 このイベントは、中央区版子ども・子育て会議において選ばれた公募区民第一期生の皆さんが中心となり、「知ろう・つながろう!中央区の子育て」を合い言葉に、区内で子育て中の方はもちろん、子育て支援団体や子育て中のファミリーを応援する企業、NPO法人が一堂に集結。当日は、ステージでは、パパのバンドライブやママのゴスペルライブ、親子でのフラダンスなど、また、会場内のブースでは、子供のためのプログラミング教室や、新しいタイプの小規模保育と学童保育の紹介、忙しいママやパパのための家事代行サービス業など、さまざまな子育て支援事業者が一堂に会しました。主催者によりますと、当日の来場者数はおよそ八百家族、二千名を超えたということで、余りの反響に驚いているそうです。また、このイベント開催に当たり、中央区の後援を得ることができ、子育て支援課や子ども家庭支援センターの協力に大変感謝しているということでした。

 子ども・子育て会議の主な目的であった事業計画に基づき、この四月から子ども・子育て支援新制度が始まっていますが、その過程で、これまで母親一人あるいは家族単位で取り組んでいた問題に、これからはみんなで情報を共有し、助け合う仕組みが自然発生的にできてきたことは、本当にすばらしい成果だと思います。主催者としては、今後も定期的に開催していきたいということでした。まさに、行政との協働です。今後も、中央区の子育て支援のイベントの一つとして定着することを願います。

 さて、中央区こどもすくすくえがおプランと名づけられた事業計画に話を戻しますと、特に公募区民メンバーの皆さんから要望の高かった訪問型病児・病後児保育を事業計画に盛り込めなかったのが残念と伺っております。また、子ども・子育て会議の中では、メンバーでもあり、病児・病後児保育を担っている小児科医の先生からも、キャンセル率が四六%と、半数近いという問題提起がありました。

 そこで、お尋ねします。

 病児・病後児保育の理想的なあり方について、中央区の考え方と今後の対応についてお答えください。

 事業計画には、病児・病後児保育の見込みと確保策が、月島、京橋、日本橋の地域別に示されており、月島地域については、量の見込みが受け入れ最大枠を超え、一日当たりの利用延べ人数が定員を超える数値となっていますが、実績から見ると、現行の受け入れ態勢でも十分対応できる状況となっています。しかし、病児・病後児については、先ほどキャンセル率の例も挙げましたが、利用したいけれども、利用できなかった方、例えば民間事業者や家族に頼むなど、預け先を確実にするために、ほかの方法をとった方がどれくらいいるかの把握、つまり需要見込みの出し方が大変困難であることは理解できます。

 そこで、現在、保護者に大変人気があるのが訪問型の病児・病後児保育です。二十三区内では、渋谷区、千代田区、足立区、墨田区、杉並区の五区が、NPO法人フローレンスの訪問型を取り入れていますが、フローレンスでは、現在、供給が追いつかず、新規入会の申し込みを一時停止している状態だそうです。

 第二回定例会において他議員がこの訪問型について質問したところ、仕事と子育ての両立支援の推進に当たっては、保護者が病気の子供を見守れる社会環境の整備が必要であり、病児保育を無制限に量的拡大すべきではないとの区長答弁がありました。しかし、残念ながら、そのような社会環境はまだまだ整っておらず、病気の子供を預けて仕事に出なければならないことは、保護者にとってどんなにつらいことか、想像にかたくありません。

 そこで、改めてお尋ねいたします。

 今後、訪問型病児・病後児保育の導入の可能性についてお答えください。

 次に、認可保育所の健診回数についてお尋ねします。

 私のところには、園医による健康診断のための訪問回数が、ゼロ歳児について月二回から一回に減らされたことに対する不安と、回数をふやしてほしいとの要望の声が、保護者の皆様から寄せられています。前委員会での私の同様の質問に対し、認可保育所の健診回数は、東京都条例においては、少なくとも一年に二回実施することが定められており、中央区では、その基準は大きく上回っているとの答弁でした。そこで、他区の状況を調べましたところ、新宿区と目黒区は月に四回、豊島区が月三回、千代田区、文京区、墨田区、中野区、足立区、葛飾区が月二回、園医が訪問をしており、中央区の月二回が特別に多かったわけではないことがわかりました。今回の健診回数の削減は、ことしの八月、医師会からの要望で決定したということですが、このような重要な施策を変更する過程において、区がどの程度の話し合いを医師会と持ったのか、区の要望を伝えたのか、疑問が残るところです。

 そこで、お尋ねします。

 今回の認可保育所における健診回数の削減について、医師会とのやりとりなど、決定の過程について御説明ください。

 次に、水素エネルギーモデルタウン構想についてです。

 東京都は、昨年五月、水素社会の実現に向けた東京戦略会議を設置し、二○二○年東京オリンピック・パラリンピックでの水素エネルギーの活用方法について議論を重ね、その結果は、昨年末に策定された東京都長期ビジョンにも反映されています。この長期ビジョンでは、燃料電池車の普及台数、水素ステーションの整備箇所数、家庭用燃料電池普及台数などについて、具体的に目標値が示されています。例えば、二○二○年までに、それぞれ、水素ステーション三十五カ所、燃料電池車六千台、燃料電池バス百台、家庭用燃料電池十五万台など。ことしに入ってからも、水素エネルギーと燃料電池車について、東京都から、あるいは舛添知事がメディアを使って積極的に発信しています。

 ちょうど連休前の十一月二十日、東京都は「二○二○年に向けた東京都の取組―大会後のレガシーを見据えて―」をプレス発表しましたが、その中でも示されているのが、晴海選手村を水素エネルギーのモデルタウンとする構想です。まちに水素パイプラインをめぐらし、選手が滞在する宿泊棟に電力や温水を供給、五輪後はエリア内の商業施設や学校などへの供給も目指し、最終的には、水素エネルギーのみで運営される究極のエコタウンを目指すというものです。また、燃料電池車の導入にも積極的で、都の環境局では、燃料電池車への補助事業を開始しています。国がおよそ二百二万円、さらに東京都がおよそ百一万円助成しますので、モデルケースとしては、七百万円の燃料電池車をおよそ四百万円で購入できることになります。

 また、十月十五日には、水素社会の実現に向けた取組に関する東京都の意見として、国に対し、意見書を提出しています。その一つが水素ステーションの整備に関するもので、水素ステーションの整備に関しては、公道と水素充填設備との距離を八メートル以上確保しなければならず、地価が高く用地の確保が困難な東京においては、設置を進める上で大きな制約となっていることを理由に、規制の緩和を求めています。

 私は、岩谷産業の小倉と芝公園の水素ステーションの視察と、燃料電池車では一歩先を行っているトヨタ自動車のMIRAIに試乗し、官民挙げての政策であることを実感しました。それだけに、そのモデルタウンとなる中央区には、冷静な判断が求められます。

 そこで、お尋ねします。

 ことしの第一回区議会定例会の所信表明において、区長は、エネルギー問題に言及し、未利用エネルギーや再生可能エネルギー、さらには水素エネルギーを活用した先進的なスマートシティの実現と述べていらっしゃいます。所信表明において水素エネルギーという言葉が入ったのは、ことしが初めてです。また、ことし三月、区長と区議会議長連名で東京都へ提出した選手村整備に伴う本区への影響等に関する要望書の中でも、水素エネルギーの検討を行い、その活用に取り組むという項目が入っています。

 まずは、中央区が現在目指している先進的なスマートシティについて、特に水素エネルギーの役割も含め、お答えください。

 二つ目に、先ほども触れましたが、東京都は、公道と水素充填設備との距離を八メートル以上確保するという基準を緩和するよう、国に対し要望していますが、あくまでも安全性の確保が前提となっています。水素をためるタンクの周辺で火事が起きると、タンク内の圧力が高まり、爆発が起きる可能性も否定できません。新聞報道によると、中央区晴海地区にも水素ステーションの建設が予定されています。区が考える安全性の確保について御説明ください。

 最後に、水素エネルギーを使ったFCV、燃料電池車についてです。

 環境規制が厳しくなる中、各自動車メーカーはエコカーの開発に力を入れています。燃費のよいHV、ハイブリッド車、充電して走るEV、電気自動車、そして走行中には水しか出さないFCV、燃料電池車と、進化しています。現在のところ、中央区は電気自動車を一台リースし、来年度までの契約となっているようです。また、電気エコスタンド、つまりEVの急速充電器を、中央区役所附属駐車場、浜町公園地下駐車場、月島駐車場と、区内の三カ所に設置して無料で充電できるなど、その普及を助成していますが、利用状況を見ると、三カ所合計で二○一三年度の八千百八回をピークに、二○一四年度からは減少に転じています。今後のエコカーの普及・啓発について、HVかEVかFCVか、具体的に区の方針についてお聞かせください。

 最後に、水上バイクの騒音問題等についてです。

 この問題については、さきの第二回定例会の一般質問において他会派の議員も取り上げておりますが、私も複数の区民の方から御意見、御相談をいただいており、少なからぬ区民の皆さんが、この騒音問題に悩んでいらっしゃることは容易に想像がつきます。

 東京海上保安部の調べによりますと、東京港を走り回る水上バイクの船籍は、実は東京が半数で、残りの半数は東北など地方の登録であり、これらは、トレーラーで運んできて千葉や埼玉のマリーナから海におろし、川を下って東京港にやってくるのだそうです。ことし、東京海上保安部では、初めて水上バイクの集中取り締まりを行った結果、無免許や船舶検査を受けていないなどの理由で十二名が逮捕され、書類送検されています。免許すら持っていない、車検に相当する検査も受けていない、これはもうマナーの啓発という段階ではないように思います。

 まずは、この水上バイク騒音に関する区民からの苦情や相談が、現在、どれくらい区に寄せられているのか、また、そのとき、区民の皆さんには区はどのように対応しているのか、お聞かせください。

 港の規則は港則法で定められておりますが、この港則法には、騒音規制や速度規制は定められておりません。これら、港の実情に合わせた規則は、条例で定めることになっています。そこで、東京都の条例を調べたところ、東京都水上取締条例というものがありました。この条例は、罰則もある非常に強い条例ではありますが、つくられたのが、何と昭和二十三年という、まだコンテナ物流や水上バイク等の概念すら存在しない、戦後間もない時期につくられた条例であり、さらに驚くことに、罰則以外の内容が、その後、一度も改正されていないことがわかりました。この条例では、現状、東京都港湾局や東京海上保安部が行っている許認可業務が、条例上は警察署長のままであったり、国際ルールにおいて船舶の追い越しは右側追い越しが原則にもかかわらず、条例では左側追い越しであったりと、現状に即していないため、条例を所管する警視庁での、現状や時代に合った条例改正が至急求められるものでした。

 そこで、我が維新の党の田中朝子都議会議員が、ことし九月の第三回都議会定例会で、この条例を現状に即したものに改正するよう、強く要望したところ、港湾局長から、今後、関係機関や地元自治体と連携し、実効性のあるルール、マナーづくりの検討を進めていくとの回答を得るとともに、警視庁も条例改正の指示が警視総監より出たと聞いております。

 そこで、お尋ねします。

 第二回定例会において、区の答弁は、区内水域のうち、本区と川沿いの三区及び東京都が、水上バイク等の意見交換会を開催しており、各河川の三カ所に水上バイクの徐行を呼びかける横断幕を設置している。今後も、これらの意見交換を通じて、運行ルールの設定を都に要請していくというものでした。その後の規則やルールづくりについて、東京都との情報共有がどの程度進展しているか、現在の状況と今後の見通しについてお答えください。

 もう一つ、水上交通に関して質問します。

 ことし初めに来日されたイギリス王室のケンブリッジ公を東京都が最初におもてなししたのは、水上タクシーによる東京湾クルーズでした。東京都が東京オリンピック・パラリンピックまでに水上交通を新たなおもてなしにするべく、築地市場の跡地に水上交通ターミナルを整備する計画や、細かく張りめぐらされた運河の活用、新たな水上交通網の見直し計画を進めるとの情報もあります。

 しかし、現在の海上運送法においては、タクシーのような、時刻表によらない旅客不定期航路事業には発着地点同一の原則という決まりがあり、A地点から人を乗せたら、B地点でおろすことはできません。また、旅客不定期航路事業で、旅客定員十三名以上の場合に限り、二点間運航が認められていますが、現地で乗客を募集することは禁止されています。このような規制から、事業者も、水辺の観光開発において事業投資することをちゅうちょしているというのが現状です。

 お客を乗せて別な場所でおろせるタクシーのような船、欧米を含め、海外の臨海都市ではどこにでもある水上タクシー、これを実現するための規制緩和。今月五日には、舛添知事が水上タクシーに乗り、二○二○年までに六十隻の水上タクシーを走らせるとの報道がなされましたが、東京港における舟運の活性化に、旅客不定期航路事業の規制緩和は必須です。そこで、我が党の湾岸区議連盟では、戦略特区域内における規制緩和を都に対し強く求めていく活動をしています。具体的には、海上運送法第二十一条の二の規定に、国家戦略特区域内における、事業者が運航する起点と終点が一致しない航路という項を追加するというものです。

 そこで、お尋ねします。

 水上タクシーが乗降できる船着場は、予定地も含め、現在十二カ所。その中には、中央区の明石町も含まれていますが、一カ所では余りにも少ない。私は、東京の水辺の中央に位置する本区が、水上交通のハブになるべきと考えます。国家戦略特区として、海上運送法の規制緩和を求めることに関し、東京都への働きかけも含めて、区の見解をお聞かせください。

 これで、一回目の質問を終了します。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、病児・病後児保育についてであります。

 病児・病後児保育は、仕事を休めず、親族など頼れる人が近隣にいない保護者を支援するセーフティーネットとして、重要なサービスであると認識しております。本区におきましては、保護者が体調の変化しやすい子供を安心して預けられるよう、医療機関とも緊密に連携し、経験のあるスタッフが保育する施設型が最善であると考えております。訪問型につきましては、より高い専門性がスタッフに求められるなど、課題が多いものと認識しており、現時点では導入することは難しいものと思います。

 次に、認可保育所の健診回数についてであります。

 本区の健診におきましては、区立・私立の区別なく、医師会から推薦を受けた小児科医が園医として毎月必ず健診を行うため、公私間の格差がなく、質が確保されております。今回の健診回数の見直しにつきましては、医師会及び園医会とも協議の上、保育所整備により私立認可保育所が今後も増加する中で、引き続き小児科医を園医として配置するために行ったものであります。今後は、欠席者情報収集システムを導入し、日々の状況を園医と共有することにより、これまで以上に連携を深め、感染症対策を初め、園児の健康管理に万全を期してまいります。

 次に、先進的なスマートシティについてであります。

 区では、平成二十四年六月に、東京駅前地区及び晴海地区をモデルとした中央区エコタウン構想を策定し、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの有効活用、省エネ技術の導入、エネルギーの高効率利用などにより、低炭素で環境に配慮したまちの実現を目指しております。水素エネルギーは、利用段階で二酸化炭素を一切排出せず、災害時には非常用電源としても利用可能な、すぐれた次世代のエネルギーであると認識しております。東京都は、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における会場への輸送や選手村での水素エネルギー活用は、日本の高い技術力を世界にアピールし、水素社会の実現というレガシーを後世に引き継ぐこととなる絶好の機会と捉えております。区におきましては、燃料電池バスによるBRTなどの新たな交通システムの導入、最先端の省エネ機器や家庭用燃料電池の普及、さらに、カーシェアリングやコミュニティサイクルの利用を促進するなど、快適で住みやすいスマートシティの実現を目指してまいります。

 次に、水素ステーションの安全性の確保についてであります。

 水素は、燃焼速度が速い気体であるものの、拡散が速いため、密閉された空間で一定の濃度になるなど、限定的な条件下でなければ着火しないという特性があります。水素ステーションにつきましては、これらの水素の特性を踏まえ、国の厳格な安全基準に基づき、ガス検知器や自動停止装置の設置、耐震設計、水素が滞留しない構造の屋根の設置など、必要な安全対策を施すとともに、法に基づき、有資格者による保安管理が行われることから、安全性が確保されるものと考えております。

 次に、エコカーの普及・啓発についてであります。

 本区では、大気環境の改善や地球温暖化防止を目的に、ハイブリッド車や電気自動車などの低公害車の導入を積極的に推進しており、平成二十六年度末現在の庁有車の導入率は、約九七%となっております。また、低公害車の普及に向けて、区営駐車場の優遇措置や低公害車購入の融資あっせんを行っているほか、電気自動車用の急速充電設備を本庁舎など三カ所に設置しており、利用状況も、平成二十一年度の設置から増加傾向にあります。さらに、中央区まちづくり基本条例等に基づき、再開発事業者に対して、電気自動車用の充電設備整備を要請しており、これまで十二件で協議が調い、二カ所に設置されるなど、導入促進が図られております。今後、ハイブリッド車や電気自動車について、これまでの取り組みを引き続き推進するとともに、燃料電池車についても、二酸化炭素や大気汚染物質を排出しない、環境に優しい自動車であることから、国や都と連携を図りながら普及・啓発に努めてまいります。

 次に、水上バイクの騒音についてであります。

 水辺のにぎわいや魅力を高めていくためには、安全で安心な水辺環境の確保が何より重要であります。水上バイクにつきましては、これまで亀島川などで騒音苦情が寄せられているほか、平成二十四年四月には、日本橋船着場を利用する事業者などから、船舶運航の危険性などを懸念して、規制を求める要望書が提出されております。そのため、本区は、東京都と川沿いの三区で水上バイク等の意見交換会を開催しており、本年二月、水上バイクの徐行を呼びかける横断幕を、高橋など三カ所に設置したところであります。

 次に、運航ルールの進展についてであります。

 区では、日本橋や朝潮運河の各船着場運営協議会や東京都、周辺区と情報交換を行い、水上バイクの実態把握に努めております。また、東京都におきましては、今年度、船舶や水上バイクの実態調査を実施しているところであります。今後におきましても、東京都等と連携を図りながら、運航ルールの設定に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 次に、海上運送法の規制緩和についてであります。

 水辺に恵まれた本区では、にぎわい創出のために、日本橋船着場を設置するなど、水辺の環境整備を積極的に推進してまいりました。また、舟運の活性化におきましては、日本橋船着場、朝潮運河船着場とも民間事業者に開放しており、本年十一月三十日に開設予定の水上タクシーも、両船着場と明石町防災船着場の三カ所が利用可能なことから、さらに舟運観光に弾みがつくものと考えております。水上交通につきましては、本年七月に、東京都において、学識経験者や区、舟運事業者も含めた、利用者の視点に立った東京の交通戦略推進会議が設置され、交通戦略の一つとして、羽田空港と都心・臨海部を結ぶ航路の充実に向けた検討も始まっております。今後、御提案の規制緩和も含め、会議メンバーとの連携を図りながら、水辺空間の活用による舟運の活性化について検討を進めてまいります。

 答弁は以上であります。

     〔十七番 青木かの議員登壇〕

○十七番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まずは、エネルギーのほうから、お答えについての感想を述べさせていただきます。

 スマートシティ、水素エネルギーも含めまして、レガシーという言葉も出てまいりました。非常用電源としての役割を担う燃料電池を含め、積極的に進めると同時に、今、回答の中にもありましたけれども、国の厳しい安全な基準に沿って、ここが大事だと思います。国の厳しい安全な基準、これからつくられますが、それに沿って、そして、それをしっかりと地元としてチェックしていく働きかけが必要だと思います。

 エコカーにつきましては、HV、EV、FCV、お答えは、それぞれ進めていくというふうに理解いたしました。これが、状況を見る中で淘汰されていくという状況になると思いますが、今お話ししましたように、中央区に関しましては、晴海を中心に、FCV、燃料電池車になる、東京都のほうも、最初は違いますが、BRTも燃料電池車にしたいという答弁をしておりますので、最終的にはこちらの方向、燃料電池車のほうに進んでいくのかなという感想を持ちました。

 それから、水上バイクにつきましては、東京都との情報共有ですね。東京都もここへ来て、慌ててといいますか、昭和二十三年に制定された条例を変えていくということで、大きく変わっていくということを私も直接聞いてまいりました。地元自治体と会話を重ねながらというお答えも、都のほうからありました。ぜひ中央区の情報も、区民の皆さんの希望も入れながら、この条例が改正され、そして水上バイク騒音から、特にお休みの日、区民が解放されることを願います。

 あと、水上タクシーにつきましては、明石町のほかに、現在ある二カ所も合わせ、三カ所が利用可能ということで、中央区内ではこの三カ所になりますが、国家戦略特区として、まずは海上運送法の規制緩和が必要です。これにも賛成というお言葉を、今、いただきましたので、ぜひ海上運送法の規制緩和に向けて、さらに東京都に要望を出していただきたいと思います。

 訪問型病児・病後児保育に戻ります。

 これについて、今、御意見の中で感じたのは、ちょっと不安な部分があるということかもしれません。保護者の方にも、訪問型については不安を持つ方もいらっしゃいます。ただし、今、大変進んでおりまして、例えばNPO法人フローレンスでは病児保育スペシャリストを養成しているとか、あるいは地元の医療機関と連携し、いざというときには小児科医の往診も頼める。セットになっている。渋谷区では、バウチャー制を利用して、必要なときに使い、年間の上限額は五万円となっているというように、使い勝手のよいバウチャー制の病児・病後児保育が進んでいるようです。

 そして、認可保育所の健診回数についてですが、一つ気になるのが、園医の先生方には大変感謝する気持ちは変わりませんが、例えば平成二十七年度、今年度、予算、園医の嘱託医報酬として十六名、一千五百五十三万円が計上されています。先ほどお答えの中にもありました、あるいは私の決算特別委員会の中での質問のお答えにもありました、これから保育所に通う子供たちの数がふえていく中で対応するためにも、質の高い医療を施すためにも、回数を減らすという考え方がありますが、では、中央区内にはもっと多くの小児科医、内科医の皆さんがいらっしゃいます。

 そこで、十六名ではなく、人数をふやしていくという選択肢はないのでしょうか。この点についてだけ再質問です。よろしくお願いいたします。

     〔福祉保健部長 黒川眞君登壇〕 ○福祉保健部長(黒川眞君)
 保育園の園医の健康診断の回数についてのお尋ねでございます。園医全体の人数をふやしたらどうかというような御提案がございました。

 現在の健診の体制といたしましては、小児科の先生方と連携をとり、公立、私立の区別なく、こういった健診事業を実施しているというような実態でございます。

 実際、お子さんの状況につきましては、特に乳幼児のお子さんについては、一般の内科の先生だけの通常の診療の範囲の中では、なかなか対応できない部分もあるというような御意見もございまして、実際の医師の方の御意見等も踏まえながら、今の体制で何ができるのかといったようなところを区として検討した結果、今年度、最低でも月一回の健診体制を維持していくというような考え方をとったところでございますので、その点について、何とぞ御理解をいただければというふうに存じます。

 以上でございます。

     〔十七番 青木かの議員登壇〕

○十七番(青木かの議員)
 御答弁ありがとうございました。

 今の状況については、八月に医師会のほうから、このような御提案があり、区でも話し合った結果、これを受け入れたということですね。来年度に向けましては、先ほどの答弁にもありましたように、今年は、新生児が二千人近くになるということで、ますます子供たちの数がふえていきます。今後は、やはり園医の皆さんの数もふやしていくという方向で考えていただければと思います。

 これで私の質問は終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後五時五十分 散会


署名議員
議長 鈴木 久雄
議員 原田 賢一
議員 田中 耕太郎

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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