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平成27年第四回定例会会議録(第3日 11月25日)

1.会期

十一日(第三日)

十一月二十五日(水曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時五十七分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 小坂 和輝議員

二番 山本 理恵議員

三番 海老原 崇智議員

四番 塚田 秀伸議員

五番 佐藤 敦子議員

六番 富永 一議員

七番 松川 たけゆき議員

八番 森谷 歩美議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 瓜生 正高議員

十三番 染谷 眞人議員

十四番 田中 耕太郎議員

十五番 堀田 弥生議員

十六番 墨谷 浩一議員

十七番 青木 かの議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 木村 克一議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 石田 英朗議員

二十六番 中嶋 ひろあき議員

二十七番 石島 秀起議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.欠席議員

(一名)

十八番 渡部 恵子議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 新治満君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 長嶋 育夫君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 坂田 直昭君

監査事務局長 有賀 重光君

企画財政課長 濱田徹君

広報課長 園田 典子君

総務課長 古田島 幹雄君

6.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 笠井 光輝君

7.議事日程

日程第一
諸般の報告

日程第二
一般質問

日程第三
議案第八十五号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四
議案第八十六号 災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第五
議案第八十八号 総合スポーツセンター外壁及び防水改修工事請負契約

日程第六
議案第九十三号 中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例

日程第七
議案第八十七号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第八
議案第八十九号 指定管理者の指定について(区立中央会館)

日程第九
議案第九十号 指定管理者の指定について(区立浜町集会施設)

日程第十
議案第九十一号 指定管理者の指定について(区立総合スポーツセンター等体育施設)

日程第十一
議案第九十二号 指定管理者の指定について(区立月島運動場)


午後二時 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。

 なお、本日、渡部恵子議員より、欠席の申し出がありましたので、御報告申し上げます。


○議長(鈴木久雄議員)
 これより日程に入ります。

 日程第一、「諸般の報告」を行います。

     〔田野議会局長朗読〕


四、議案の送付について

五、損害賠償の額の決定に関する専決処分の報告について


○議長(鈴木久雄議員)
 報告を終わります。

 ここで、ただいま報告のありましたとおり、本日、区長より議案が送付されましたが、うち一件を本日の日程に掲載いたしました。


○議長(鈴木久雄議員)
 次に、日程第二、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 三番海老原崇智議員。

     〔三番 海老原崇智議員登壇〕

○三番(海老原崇智議員)
 中央区議会自由民主党議員団の海老原崇智です。私は、議員団の一員として、平成二十七年第四回区議会定例会一般質問に臨むに当たり、さきに提出いたしました質問通告書に基づき、未来の中央区を見据えて、区長並びに理事者の皆様に、本区の諸課題のうち、まちづくりと高齢者保健福祉につきまして質問をさせていただきます。日本、東京のまん真ん中である中央区の成長、発展に向けた新たな一歩となる、明快にして建設的な御答弁を期待いたします。御答弁によりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 まず、まちづくりについて、四点質問いたします。

 一つ目は、ポスト二○二○年のまちづくりについてであります。

 本区の未来を考える上で、世界の中での日本、そして東京、その中心都市である中央区という視点が重要であります。なぜならば、日本全体を見渡すとき、集積の恩恵を受けやすい非製造業、サービス業である第三次産業が国内総生産の七割以上のシェアを占める現下の構造においては、東京へのヒト・モノ・カネの一極集中は必然であります。そして、日本が人口減少に転じました二○○九年以降も、東京は人口をふやしております。本区でも、一九九七年の七万二千九十人以降、人口は毎年増加しており、二○一五年十一月一日現在、十四万二千二百四十三人となっております。今後も、東京へのヒト・モノ・カネの一極集中の流れがとまるとは思えません。そうであるならば、富を生み出し、東京、ひいては国を豊かにする、いわば国を人体に、ヒト・モノ・カネを血液に例えると、心臓のポンプの役割を東京の中心たる本区は担っていると言えるのであります。また、歴史をひもとくに、一国の国際競争力を養うためには、その中心都市が競争力を持っていたと言えると私は考えております。

 さて、二○二○年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これを日本の経済、社会のさらなる躍進の起爆剤とするべく、さまざまな施策が展開されております。本区でも、都市整備計画、再開発計画を通じて、さまざまな施策が講じられております。その一層の推進を図るためにも、公共交通機関としての地下鉄、BRTの導入やバスターミナル、駐輪場、歩行者空間の整備、また舟運の創設は、今後の国際交流機能やビジネスの国際的中枢機能の強化に大変有意義であり、推進、実現すべきものであると考えます。まさに、日本の、そして本区の国際競争力を高めるための絶好の機会であります。特に、文化の分野でのてこ入れは、観光立国を目指す日本、また第三次産業が主力の東京にとっては必須であります。

 加えて、二○二七年には、東京・名古屋間でリニア新幹線が開通する予定であります。東京・名古屋間を四十分でつなぐ、その起点となる駅は品川であります。かつては、上野駅が東京の玄関口でありました。そして、時代の流れとともに、東京駅へと移ってまいりました。それが、今後、新幹線への乗り継ぎもよく、羽田空港の玄関口でもある品川駅に都心の玄関口の座を脅かされるかもしれません。このような事態は、東京のまん真ん中に位置することを誇りとする本区にとって、ゆゆしき事態であると、私は強く懸念するところであります。

 以上を踏まえて、お尋ねいたします。

 国際競争力を高め、八重洲、銀座、築地を通るBRTの導入や歩行者空間の整備、日本橋、明石、晴海の舟運ルートの創設など、交流や交通の機能を強化して、文化面での充実をも図る、国際都市にふさわしいまちづくりを二○二○年以降もするべきであると私は考えます。東京オリンピック・パラリンピックの活気とにぎわいをいかにして持続させていくのか、ポスト二○二○年の本区のまちづくりのあり方について、お考えをお聞かせください。

 二つ目は、オリンピック・パラリンピックに向けて、観光立国を目指す我が国の、本区におけるあり方についてお尋ねいたします。

 江戸時代のにぎわいの中心であり、下町の概念をつくったとも言える本区にとっては、文化というキーワードは、まちづくりや観光を考える上で、大切な視点であると確信するところであります。実際、本区には、日本橋や勝鬨橋を初め、二十以上の歴史的建造物が、国指定の重要文化財、登録有形文化財あるいは都選定歴史的建造物に指定されております。加えて、区民有形文化財、区民有形民俗文化財、区民無形民俗文化財、区民史跡や本区の歴史的名所は、至るところにあります。有形無形問わず、観光資源と呼べるものが数多くあります。これら観光資源の有用な活用を目指して、中央区観光協会との連携を通じて、文化財めぐりマップや、はじめて物語マップなど、各種パンフレットの発行や、まるごとミュージアムなど、イベントの開催を積極的に行っております。また、外国人向けの案内板の整備なども検討されております。それらの集大成が、京橋二丁目に整備中の中央区観光拠点(仮称)であろうかと思います。

 一方で、本区の至るところにある文化財、殊に区民有形文化財、区民有形民俗文化財、区民史跡や、指定されていない歴史的名所や、お祭りのおみこしの管理や維持、盆踊りや伝統行事の継承はどうなっているでしょうか。まちの方々の努力により保持されていますが、さらに磨いて魅力を増幅させるには、財政的に厳しい状況もあるようです。

 もとより、観光客を引きつけるものは、丁寧な案内板や多言語のパンフレットよりも、文化財など歴史的名所や伝統芸能や食事や買い物場所などのコンテンツであると私は感じております。事実、昨年、JTB総合研究所が外国人旅行者に人気の高い情報サイトのユーザーに行ったアンケートの中で、日本で最も楽しかった活動を聞いたところ、「日本文化の体験」が二四・九%、「美しい景観を楽しむ」が一五・二%、「神社やお寺を訪れる」が一二・九%となっており、いかに日本が育んできた歴史や文化に興味があるかがうかがい知れる結果となっております。

 視点を変えて、日本の伝統的な建物の補修をするにも、書院づくりや数寄屋づくりと呼ばれる特殊なわざを必要とするものがあると聞きます。これらも、現場がなければ廃れてしまう文化であり、これらの技術を含めて、積極的に文化の保全をするべきであると考えます。また、来年には、銀座六丁目の松坂屋再開発事業の完成により、銀座初の観光バスの乗降スペースや観光案内所が整備されます。そして、何よりも喜ばしいことには、観世能楽堂が銀座に戻ってまいります。歌舞伎、そして能楽と、世界が認める二つの日本の伝統芸能の本拠地が、ここ、中央区に置かれるのであります。これらを観光資源として活用することは、日本文化を体験する、すばらしいきっかけになると確信するところであります。

 そこで、観光立国という大きな流れの中で、外国人観光客をターゲットにした日本文化の体験と文化財の保護について、中央区観光拠点(仮称)の活用を含めて、本区のお考えをお聞かせください。

 三つ目に、本区における観光客の受け入れ態勢についてお尋ねいたします。

 ビザの緩和やオリンピック開催の影響で、インバウンド効果が各所に出てきています。さきに触れた史跡めぐりや日本文化の体験、また日本の食文化、日本橋のウナギや築地のおすし、月島のもんじゃ焼きに舌鼓を打ち、銀座や日本橋問屋街でのショッピングを満喫するなど、本区の魅力を余すところなく観光客に伝えることができましたならば、本区への滞在期間は、おのずと長いものになるでしょう。ほかにも、本区を足がかりに観光することを考えている方もおられるでしょう。また、本年九月までの訪日外客数は、一千四百四十八万七千六百人と、三月を余して昨年一年間の総数を超えており、ホテル需要も高まりを見せています。

 ホテルと一言に申しましても、高級ホテル、リゾートホテルからビジネスホテル、カプセルホテルに至るまで、多様にあります。現実には、二十三区内で二番目に狭い面積であるゆえに、狭小な土地や既存建物を利用したビジネスホテルの建築計画が多いと考えられます。ホテル建設の際に、駐車場の附置義務など、二十三区内で足並みのそろわない規制が解釈上なされていますが、今後のホテル需要を考えると、より実態に即した柔軟な対応も必要かと思いますが、本区では、いかがお考えでしょうか。

 一方で、本区は、いわゆる中央区ルールという、まちづくりにおける先進的な取り組みを行い、国の施策をリードしてまいりました。来年には、新たな基本構想も策定される予定であります。本区にふさわしいホテルの整備を考える上で、歴史、品格のある町並みへの配慮、防犯・安全という視点も忘れてはならないと考えます。また、都心にはまだ少ない超富裕層をターゲットにした高級ホテルやリゾートホテルの誘致も、本区の観光資源の多様性の一つになると考えます。

 そこで、歴史、品格ある町並みの景観と、ホテル整備における規制緩和との調和について、今後の方向性をお聞かせください。また、高級ホテルやリゾートホテルの誘致について、お考えをお聞かせください。

 四つ目は、本区の今後の発展を見据えた中での首都高速道路の撤去についてであります。

 本区は、現代においても随所に江戸の名残をとどめる、歴史と伝統のあるまちであります。一方で、首都東京の中心区として、常に新しい町並みを形成してまいりました。一九六四年の前回の五輪では、日本の高度成長を世界に示すとして、公共交通の発展としての新幹線や自動車産業の振興、道路の整備、その最たるものとして首都高速道路が建設され、大いに交通の利便性に寄与しました。

 一方で、高速道路整備のため、京橋川等、多数の河川が埋め立てられるなど、前回の五輪では水と緑を減らしてもいます。そして、首都高速も五十年以上の歳月が過ぎ、改修が必要となっております。現在では、ある一面において、負の遺産として、越えなければならない多くの課題が出てきています。例えば、箱崎のヤマタノオロチと呼ばれている入り組んだ首都高一帯の騒音、昭和通りを覆う首都高の暗がり、本町二丁目の交差点のごみの吹きだまりなど、問題が多くあります。昭和通りでは、陰鬱な暗雲が垂れ込めるがごとく、重たい灰色の首都高が江戸橋北詰から千代田区との区境まで、本町一丁目から四丁目までを東西に分断しております。また、中央通りの南北のにぎわい、人の流れをせきとめる心因的要因にもなっています。東西で通りの名称が違うのも、これらの影響かもしれません。

 日本橋の橋の上に覆いかぶさる首都高速道路は、本区の景観を台無しにしている象徴であります。日本橋川にも日の光は差さず、水の都を標榜する本区にとっては、水辺を活用したにぎわいと舟運による活気あふれるまちづくりを阻害するものであります。本区の特徴である歴史と先進性の融合の観点からも、まちの価値を上げるためにも、少なくとも日本橋と昭和通りとの上にかかる首都高速道路の撤去は、絶対に必要であります。加えて、平成二十七年七月現在、三十二万六千人余りの方が、日本橋の上の首都高撤去に賛成の署名をしております。東京都は、渋滞のない交通を目指して首都高の必要性を説きますが、本区における首都高撤去・移設の論点は、今後のまちの姿そのものにかかわる大きな問題であります。

 以上より、日本橋地域の首都高速道路は、まちづくり、景観、にぎわいと活気のいかなる面から見ても、その歴史的使命を終えていると確信するところであります。首都高撤去に向けた本区の決意をお聞かせください。

 次に、高齢者保健福祉の問題を取り上げます。

 二○二五年、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となります。超高齢社会が目前に迫っております。本区は、現在、三十代、四十代が人口構成の中で最も多い割合を占める若い区であります。しかしながら、本区におきましても、二○二五年には後期高齢者が約三千人ふえると区でも試算をしております。後期高齢者のうち、三割強が要支援・要介護者であります。そこには、ひとり暮らしの身寄りのない方にとっては孤独死の問題、また伴侶や親御さんに介護が必要な場合は老老介護の問題や介護と仕事が両立できない介護離職の問題等、喫緊に解決しなければならない問題が山積しております。つまり、高齢者保健福祉の問題は、当事者ないし介護者の立場で、あらゆる世代にかかわる問題と言えます。かくいう私も、同居していた祖父母の介護を二十代から三十代にかけて経験いたしました。そのとき痛感したのは、住みなれた場所で家族や顔見知りの人たちと行う会話の重要性であります。と同時に、それを実行し続けることがいかに大変かということです。

 以上を踏まえて、待機高齢者ゼロ、孤独死ゼロ、介護離職ゼロを目標に、中央区保健医療福祉計画二○一五のうち、高齢者福祉・介護分野で区が示された四つの方向性についてお尋ねいたします。また、区の介護、医療、住まい、生活支援、介護予防が一体的に提供されるとする地域包括ケアシステムの構築について質問をいたします。

 まず、一つ目の質問は、社会参加と生きがいづくりの充実に向けてであります。

 高齢者クラブによる区民文化祭での書道や手芸品などの成果披露や、シルバーワーク中央を通じて登録されている方々が活発に就労されておられる様子は、まちにいて、よく目にするところであります。しかし、私の目には、交流する年齢層が高齢者に限られているように映ります。

 そこで、元気高齢者人材バンクの充実についてお尋ねいたします。

 こちらの施策も、高齢者同士の交流が主になっていると感じます。高齢者の方々の特技を披露する場所の拡充、例えば保育園、小学校での落語やハーモニカのお披露目は、核家族化が進む現代の子供たちに新鮮な刺激をもたらすでしょうし、また、高齢者にとっても喜びになると思います。また、特技をお持ちでなくても、町会や自治会は人手不足で悩んでもいます。高齢者の活躍の場の提供を敬老館からさらに広げられるようにするために、本区ではどのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。

 二つ目は、健康づくり・介護予防の推進についてであります。

 平成二十七年五月実施の第四十五回中央区政世論調査の中の、区に望む高齢者保健福祉サービスという質問に対する回答として、積極的な回答の中で唯一、前年度比を上回る三七・九%が「健康づくり・介護予防の充実」を望んでいると回答しており、区民の方々の関心の高さがうかがえる結果となっています。高齢者の元気のもとは、若者や幼児との触れ合いであると私は思います。

 そこで、介護予防のためのさわやか体操リーダーの裾野を全年齢に広げて、若年層の区民ボランティアの育成を図り、老壮青一体となった交流を持って、高齢者の元気を増進して、健康寿命を延伸していくことが重要であると考えますが、介護予防についてのお考えをお聞かせください。

 三つ目は、住みなれた地域で生活を継続できるサービスの充実であります。

 先ほどの中央区政世論調査の中で、要介護時における暮らし方について聞いたところ、四四・一%と、ほぼ半数の方が「自宅で暮らしたい」と回答しておりますが、平成十七年以降、過去最低の数字でもあります。性別・年齢別で見ると、男性で五十歳代と六十歳から六十四歳の層で、女性で四十歳代から六十四歳までの層で、「自宅で暮らしたい」がそれぞれ三三%から四○%未満と低い割合となっています。いずれも親の介護を経験する世代であり、御自身の将来を考えたときに、子供を初め、周囲に迷惑をかけたくないとの思いから、このような割合になったと推察いたします。

 そして、男女とも、六十五歳以上の世代では、六○%前後の方が「自宅で暮らしたい」と回答をしております。また、区に望む高齢者保健福祉サービスでは、四八・七%の人々が「在宅サービスの充実」を挙げていますが、こちらも前年度比六・二%の減少です。こういった自宅で暮らしたいという高齢者の切実な願いは大変重要であり、尊重しなければならないと、私は強く思います。

 こうした声を確実に聞き漏らさないようにするためにも、住みなれた地域での高齢者の生活を守っていくための包括的・継続的なケアマネジメント支援を担っているおとしより相談センターの役割は、今後一層重要になってくると考えます。その活動をより実効的に支援ができるようにしていく必要があります。例えば、高齢者住宅では、住宅課と連携をとりながら、お住まいの方々の生活などにも今後積極的にかかわっていくなど、関係する課と協力体制を築き、ワンストップでの活動が必要であると考えます。おとしより相談センターのさらなる活躍、いわば、すぐやる課ならぬ何でも耳を傾ける課といった相談窓口の質の充実が大切であると考えますが、高齢者相談窓口の質の充実をいかに担保するか、本区のお考えをお聞かせください。

 四つ目は、互いに支え合う仕組みをつくるという質問をいたします。

 七割以上の高齢者が、日中一人になることがあると回答するとともに、区が力を入れるべき施策として、家族の介護負担を軽減するための施策の充実が挙げられております。核家族化が進んでいる現代において、今後ますます高齢者の独居はふえていくと思われます。それは、高齢者の生活の質の低下、そして、結果的には、金銭面でも、時間的にも、介護家族の負担増につながります。また、家族の介護負担軽減は、介護離職を防ぐためにも必要です。あえて誤解を恐れずに言えば、介護は手を緩めて行うぐらいでないと続かないと、体験上、感じております。

 そこで、地域見守りネットワーク、地域見守り活動支援事業や介護者交流会といった各種施策の充実について、本区のお考えをお聞かせください。

 最後に、地域や在宅で高齢者とともに生きていこうとする試みの根幹のシステムである地域包括ケアシステムの構築についてお尋ねをいたします。

 地域包括ケアシステムは、できる限り住みなれた地域で自分らしい生活を送ることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される包括的な支援サービス体制であります。いわば、高齢者の介護やみとりを病院や施設から在宅に移行していくということであります。そして、出生率が低く、核家族化が進む中、家族の介護力に大きな減退が生じており、地域でそれを賄おうということでもあろうかと思います。

 家族と地域と半々で高齢者とともに生きていく道、それは近居・同居の推進であると私は考えます。国も、三世代での子育てを促進するため、子育て中の世帯が親世代と同居・近居しやすくする優遇制度、同居のための改修制度や、近くに転居した場合の支援など、検討されているとの報道がありました。これは、子育て世代のみならず、地域包括ケアシステムの運用をより強固にする方策であると考えます。家族と地域とが相互に補完、助け合って高齢者を支える。そして、高齢者は、その豊かな見識と経験とで若い子育て世代を導く。子供にとっても、祖父母と暮らす、もしくは近くで暮らすことは大変な学びになり、理想的な形であると考えます。

 地域包括ケアシステムの成功、円滑な運用のためにも、近居・同居の推進は重要であると強く考えますが、本区のお考えをお聞かせください。

 これで、私の第一回目の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 海老原崇智議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、ポスト二○二○年に向けたまちづくりについてであります。

 ポスト二○二○年、オリンピック・パラリンピックで大いに盛り上がった機運に一段と弾みをつける大事な時期であり、やるべき仕事も多様であります。先日、「東京一極集中が日本を救う」という本を拝読しましたけれども、東京の中の東京、まさに東京のまん真ん中である中央区の役割は、今後ますます重要になる、こういうふうに存ずるところであります。

 本区は、江戸開府以来、今日まで、我が国の文化、商業、情報の中心として発展してきた長い歴史と最先端の都市活動が絶妙に交わる、歴史と未来が交差するまちであります。こうした本区の特性を次世代に継承し、都心区として発展を続けるためには、今後、臨海部の開発を視野に、千代田区、港区、江東区など隣接エリアとの連携による総合的なまちづくりを展開することが必要であります。そのためには、現在進めている都心と臨海部を結ぶ地下鉄の新規路線の実現、名橋日本橋の上空に青空を取り戻し、歴史・伝統と最先端の創造性が調和する日本橋のまちづくり、国際ビジネス拠点やバスターミナル、観光インフォメーション機能の整備を通した東京の玄関口を形成する東京駅前再開発、新たな都心の名所を目指した二十三ヘクタールの築地市場跡地の活用、オリンピックレガシーを生かし、人口増加に対応した晴海のまちづくりなど、こうした取り組みを着実に進めてまいります。また、国際化の進展に伴い、高まる国内外の来街者への対応も、本区のまちづくりには欠かせない視点であります。二○二○年東京大会は、本区の多彩な魅力や日本の最先端の技術を世界に知らせる絶好の機会でございまして、同時に、大会開催に向けて進められる交通基盤の整備や観光拠点の形成、情報発信の強化や交流機会の創出など、ハード・ソフト両面の取り組みをレガシーとして定着させることも重要であります。こうしたことから、新たに設置する中央区オリンピック・パラリンピック区民協議会において、関係者の情報共有及び連絡調整の強化を図るとともに、地域の自主的な取り組みを推進することで、産業振興や観光振興のまちづくりにつなげてまいります。今後、本区のさらなる発展を目指し、子育てや教育、高齢者福祉、防災、都市観光など、これまでの取り組みを継承しながら、新たな基本構想をもとにまちづくりに取り組むことで、本区の魅力がさん然と輝きを増し、誰もがあこがれるまちの実現をしっかりと目指してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 次に、観光立国の実現に向けた本区の取り組みについてであります。

 本年六月に発表された国の観光立国アクション・プログラムでは、これからの観光施策としては、訪日外国人に我が国の歴史的・文化的な魅力や地域の人々の暮らしに直接触れ、深く理解してもらうことが重要であるとしております。まさに、本区には国指定文化財を初めとした多くの文化遺産があり、それらが適切に保護される中で、江戸以来の地域の魅力向上に寄与しております。また、銀座、日本橋、築地といった世界的な商業地を中心に、ファッションやアート、食、エンターテインメントなどが一体となって都市文化の魅力を生み出しております。今後は、こうした豊富な観光資源に、着物の着つけや茶道、書道といった日本文化を体験できる要素を加えることで、外国人観光客に本区の文化や生活をさらに深く理解してもらう取り組みが、観光立国の実現に必要であります。区といたしましては、京橋二丁目に整備中の観光情報センターを核としながら、こうした取り組みや、文化財を含めたさまざまな観光資源に関する情報を収集し、外国人観光客に対し、わかりやすく、タイムリーに提供する仕組みづくりを行ってまいります。

 次に、ホテル建設の際の駐車場の附置義務についてであります。

 東京都駐車場条例では、ホテルに限らず、一定規模以上の建物を計画する際、駐車場設置を義務づけております。これは、交通の発生源となる建物に駐車場を設置することにより、路上での駐停車を防ぎ、交通渋滞の緩和と歩行環境の保護を目的としたものであります。しかしながら、建築敷地単位に一律に駐車施設の設置を義務づけることが地域全体の駐車需要と整合しないことが見受けられたことから、平成十四年の条例改正によりまして、地域の実情に合った駐車場整備ルールの策定を可能とし、銀座地区では、駐車場整備に関する銀座ルールが導入されております。

 お尋ねのホテルにおける駐車場整備についてであります。

 本区では、都市観光地として、ホテル需要の増加が見込まれております。区といたしましても、幅広い利用者が安全かつ快適に利用できるホテルが建設されていくことを望んでおりまして、ホテルに設ける駐車場も、宿泊者の利用や荷物の搬入を想定した場合には、必要な機能の一つと考えております。しかしながら、地域の駐車需要や交通状況、業務車両などの受け入れ態勢を勘案し、対応が可能な場合は、交通管理者である警察を初めとする関係機関との協議を重ねながら、地域ルールについて検討してまいります。

 次に、ホテル整備における規制緩和についてであります。

 本区には、日本橋や銀座、築地、月島といった歴史性のある観光拠点が存在するとともに、交通利便性が高いことから、今後もますます国際観光客の増加が見込まれ、受け入れるホテルの需要は高まることが想定されます。一方、ホテルの需要の高まりに伴い、地域にふさわしくないホテル計画の増加が懸念されております。こうしたことから、現在、歴史や景観など地域の個性を踏まえながら、本区にふさわしいホテル計画となるよう、規制・誘導施策について検討しております。今後、地区計画などへ反映してまいりたいと思います。

 次に、高級ホテルやリゾートホテルの誘致についてであります。

 本区は、こうしたホテルの立地に適したポテンシャルを有しております。そのため、これまで事務所や住宅を中心に整備してきた大規模な再開発について、こうしたホテルの誘致を中心に整備が進められるよう、事業者を指導してまいります。

 次に、日本橋地域の首都高速道路の移設撤去についてであります。

 日本橋川上空にかかる首都高速道路を移設撤去し、名橋日本橋の上空に青空を取り戻すことは、地域はもとより、本区の長年の夢、悲願であります。このため、これまでも、まちづくりによる実現を目指して、再開発や日本橋川再生の取り組みなど、さまざまな検討が進められており、現在も日本橋川に面する五地区の再開発計画におきまして、日本橋の歴史や品格の継承、川沿い街区の空地化・低層化の検討が重ねられております。こうした取り組みを区も支援しており、本年九月に策定した日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョンにおいて、この五地区の再開発計画を推進し実現に導くことが首都高速道路の移設撤去にもつながる千載一遇のチャンスであり、再開発計画を一体的かつ段階的に進めることが必要であるとの認識を明らかにしたところであります。昭和通りや日本橋川上空にかかる首都高速道路の移設撤去には、相応の整備費用や時間を要し、容易に実現できるものではありませんが、まちづくりを進める上で必ず実現しなければならない重要な課題であることから、区としても、地元のまちづくりの具体化を的確に捉え、地域と一体となって着実に取り組んでまいります。

 次に、元気高齢者人材バンクの充実についてであります。

 元気高齢者人材バンクには五十九人の方が登録されており、デイサービスでの音楽演奏やフラダンス等の披露、慰安大会でのイベントスタッフなどの活動をしております。人材バンクの登録者からは、多くの児童を前に発表したり、語りかけた経験がなく、どうアプローチしたらよいのかわからないといった声も聞かれております。そこで、技能お披露目会などで、児童の興味や関心を引く発表の方法を練習していただくなどの取り組みを進めてまいります。今後とも、若い世代との触れ合いを通じまして、地域の中に生きがいや役割を持って生活できるよう、高齢者の活動の場を広げてまいりたいと存じます。

 次に、健康づくり・介護予防の推進についてであります。

 高齢者と若者や幼児との交流につきましては、現在、いきいき館において、近隣の保育園や小学校と交流し、子供たちからはダンスやリコーダーの演奏、高齢者からは昔遊びの指導などを行っております。こうした触れ合いは、高齢者の社会参加や生きがいづくりのきっかけとなり、介護予防にもつながるものと考えております。さわやか体操リーダーは、高齢者の気持ちに寄り添いながら、一緒に運動していただけるよう、現在はおおむね五十歳以上の区民の方を対象に募集しているところであります。今後とも、多世代との交流については、さまざまな機会を通して取り組んでまいりますが、さわやか体操リーダーの若年層への拡大につきましては、現在活動しているリーダーの方々とも相談しながら検討してまいりたいと存じます。

 次に、おとしより相談センターの充実についてであります。

 本区のおとしより相談センターでは、国の人員配置基準を超えて、社会福祉士の資格を持った職員を地域連携担当者として配置し、高齢者のさまざまな相談に応じております。また、おとしより相談センターと関係各課との連携を深めるため、毎月連絡会を開催し、住宅の耐震診断や消費者被害防止などの情報提供を受け、その広報に努めるとともに、幅広い相談に応じることができる体制づくりに努めているところであります。今後とも、高齢者を支援するさまざまな部署との協力をより緊密にし、高齢者が困ったときに、まず最初に訪れ、気軽に相談ができる身近な窓口として、さらなる充実に努めてまいりたいと存じます。

 次に、互いに支え合う仕組みづくりについてであります。

 ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が増加する中、介護保険の公的サービスに加え、高齢者の孤立防止、認知症の方への声かけや見守りなどを地域全体で取り組むことは、非常に大切であります。区では、現在、十六の団体に地域見守り活動をしていただくとともに、宅配業者などの民間事業者と見守りの協定を締結しております。また、介護者交流会につきましては、社会福祉協議会や区内三地域のおとしより相談センターで定期的に開催しているところであります。地域見守りネットワークを充実するためには、見守り団体や事業者との協定、介護者交流会など、さまざまな手法を用いて、重層的な支え合いの仕組みにしていく必要があると考えております。そこで、今後は、見守り活動の担い手をふやしていくとともに、高齢者や家族が集える場を設けるなど、さまざまな工夫をして、見守りネットワークを充実させてまいりたいと存じます。

 次に、近居・同居支援についてであります。

 高齢者が最後まで住みなれた地域で自分らしく生活するためには、介護・医療を初めとしたさまざまな公的サービスの充実と連携が求められるとともに、家族、地域での生活支援や見守りが非常に大切であります。高齢者と若い世代との支え合いは大変重要な要素ではありますが、ライフスタイルも多様化しており、仕事やどのような生活を送りたいかという価値観も、人によりさまざまであります。区といたしましては、まず第一に、家族に過大な負担をかけずに、また、ひとり暮らしでも安心して住み続けられる地域包括ケアシステムを推進することによって、高齢者がどのような環境にあっても、より自分らしく暮らせる地域社会を築いてまいりたいと存じます。

 答弁は以上であります。

     〔三番 海老原崇智議員登壇〕

○三番(海老原崇智議員)
 それぞれに、お答えありがとうございます。

 お話を拝聴していまして、二点気づいたことがあります。

 一つは、ポスト二○二○年に向けたまちづくり、隣接区とも連携をしながら、昭和通りや日本橋にかかる首都高速道路も、やはり他区にまたがる問題でもあり、これから、他区と連携をしなければならない、それだけ中央区というのは、一つの区にとどまることなく外に広がっている区であるということを感じました。

 そこで、一点再質問をさせていただきます。

 具体的に、江東区、港区、そしてまた千代田区、台東区、こういった隣接区ないし首都高速道路が延伸する区との具体的な協議であるとか、そういったお考えがありましたら、ぜひ一歩進めるためにも、お考えをお聞かせいただければと思います。

 また、ホテル、そして、駐車場の附置につきましては、地域の実情に合った銀座ルールなどがあり、そしてホテルは地域にふさわしいものをつくっていくと。

 そしてまた、さわやか体操リーダーに関しましては、リーダーの皆様とも検討して裾野を広げるかどうかをというお話がありました。常に現場や地域の声を聞くといったことが重要であるというふうに解釈をさせていただきました。

 地域の声を聞くということは、とりもなおさず区民の皆様一人一人の声を聞くということであります。今現在、本区では、特別養護老人ホームに入れない入所待ちの方々、いわゆる待機高齢者の方々が、本年十月末で二百七十一人おられるということです。つまり、その背後には、老老介護や、先ほど申し上げました介護離職など、介護家族の方々もおられます。非常にこういった方々は困っております。ただし、困っているからといって、特別養護老人ホームをつくるだけでは、やはり解決にはなりませんので、どうか高齢者の方々の生活の質の向上ということも考えて、そして、区政世論調査でも六割以上の方々が自宅で最期を迎えたい、自宅で暮らしたいという御要望もあるわけですので、近居・同居の優遇といいますか、サポート、そういったものを検討していただくよう、こちらは要望して、再質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 再質問に答弁させていただきます。

 協議ですね。御指摘のように、中央区というのは、まさに二十三区の中心、そして他の自治体に囲まれている区でありますから、そういう自治体と協議するのは当然でございまして、区長会という協議体もありますけれども、第一ブロック、千代田、中央、港、新宿の皆さんとは年に一回は必ず区長同士でお話をする、そういうふうにしておりますし、また、江東区さんとも、お隣同士ですから、区長を初め、皆さんと本当に、仲がいいし、例えばいろいろな問題についても、すぐに電話ででも話し合う。オリンピック・パラリンピックが来れば、本区は選手村、江東区さんなどは、十ぐらいですか、競技場があるというところですから、年がら年中のように話し合っておりますし、築地市場も移転というわけでありますから、これも共存共栄でお互いに盛り上がっていかなければならないわけでありまして、こういう話し合いというのは当然のことでありますから、今後とも、どの区とも、どの自治体ともすべからく話して、そして再開発、再整備、まちづくり、そういった面でも思い切り協力してまいりたい。特に、水辺の活用が大事なときで、舟運といった面でも、協力すべきところはたくさんあるわけです。

 これからも、どこの自治体ということではなくて、述べたところはもちろんのことでありますけれども、あらゆる自治体、また、ほかの自治体も中央区とつながりを持ちたいということで、中央区は、今、すごいんですね。どんどん、これだけ盛り上がっているから、この間も市長会があると、いろいろな市長さんなどが来て、交流したいとか、いろいろな声を聞くわけでございますが、そういう機会も通じまして、いろいろと話し合ってまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

     〔三番 海老原崇智議員登壇〕

○三番(海老原崇智議員)
 丁寧な御答弁、どうもありがとうございました。

 オリンピックが終わりまして経済成長率が下がっている国が、直近で五カ国もあるということですので、黄金時代が続くとは限らないというか、続けていくためにも、他区との連携をとりながら、よりよい未来の中央区をつくっていくように要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(鈴木久雄議員)
 次に、五番佐藤敦子議員。

     〔五番 佐藤敦子議員登壇〕

○五番(佐藤敦子議員)
 自由民主党の佐藤敦子です。平成二十七年第四回区議会定例会一般質問を、自由民主党区議団の一員として、質問通告に従い、順次質問をさせていただきます。区長並びに関係理事者の皆様は、わかりやすい御答弁をお願い申し上げます。御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 私は、このたび、二○一五年五月より、新しく区議会の一員として歩み始めました。私の志である、家族のきずなによる自助、地域の再生による共助、弱い者を守り切るというセーフティーネットをそれぞれ確保し、その上で、誰もが、いつからでも、何度でもチャレンジできる活力ある地域、継続的でひたむきな地域による教育文化の再興という視点を明確にした政策を一貫して手がけてまいります。

 子供のころの記憶をたどると、中央区は、家々が寄り添って建ち並び、それぞれが思いのほか小さく隣り合い、潮風の香りが時々漂い、それぞれの暮らしを尊重しながら、家族が寄り添って暮らしていました。やがて時がたち、家族を持ち、子育てをこの土地で行うと決めたとき、ふと私の目線から望むふるさとは、大きなビルやマンションが建ち並び、時代の流れへの適応と先進性を感じさせる最先端都市へと変貌を遂げておりました。

 区長は、ことし三月、わがまち中央区の黄金時代と所信を表明しました。それは、まちづくりにおける都市環境の確保など、先進性や利便性を擁することで、東京の、まさしくど真ん中である都心区としてのにぎわいを最大化することです。しかし、一方で、快適な都心居住の重要性も表明なさいました。果たして、この中央区に居住する人々が、ずっとこの地に住み続けるために望む快適な都心居住とは何でしょう。このまま人口をふやし続けることでしょうか。それにより、今までの継承を消失させることを区民は恐れているのだと思います。

 伝統なき創造は空虚、創造なき伝統は枯渇と表されるように、維持・継承するという、ひたむきで地道な地域の取り組みこそが、この中央区の総体によい影響を及ぼし得ると私は思います。国民性を大きく決定づけたであろう江戸幕府が開かれるとともに始まった本区の伝統文化・歴史は、まちづくりや観光に生かされ、尊重されるべきであり、何よりも、維持しようとする地域の人々の努力により生まれる支え合いや人と人とのつながり、地域に根づく継承の息吹を身近に感じることのできるまちづくりを、新たに策定される基本構想において明確に示すべきだと思います。

 そこで、お伺いします。

 これまで行ってきた定住人口の増加が真に正しかったのだと後世に対して胸を張るためには、今後の施策こそが重要です。利益や効率だけではなく、私たちの子供や孫、後世に対する影響についても、私たちは責務を負わなければいけないのではないでしょうか。このことを踏まえ、来る新しい基本構想の策定に際し、まちづくり、観光、地域コミュニティにおけるわがまち中央区の黄金時代と、伝統文化・歴史との両立と調和を区長のお言葉で明快に語らずして本区の発展はないと思うのですが、この点に関する見解、方針をお答えください。

 次に、誰もが活躍できる地域の実現性についてお尋ねをいたします。特に、女性の活躍、若者の活躍などについてです。

 第三次安倍晋三内閣は、内閣官房に一億総活躍推進室を設置し、ニッポン一億総活躍プラン策定に向け、若者もお年寄りも、男性も女性も、障害のある方も、難病を持っている方も、あらゆる方々が活躍できる社会をつくるために、それを阻むあらゆる制約を取り除いていきたいと、みずから述べました。極めて公平かつ持続可能な国家運営の本質をついた政策であると同時に、私の志でもある、誰もが、いつからでも、何度でもチャレンジできる活力のある中央区をつくりたいということは、まさにこのことにほかなりません。

 本区における総活躍の主役は、まさしく、およそ十四万人の区民です。これから十年後、二十年後も、あらゆる立場の本区民が、家庭で、職場で、地域で、学校で活躍する場所があり、それぞれ異なる立場における、異なる幸せの基準を尊重し、他者と比べるだけではなく、みずからの幸福を見据え、幸福に向かってチャレンジし、チャレンジする人を支えていく、そんな活力にあふれる、そして困難に直面しても、みずからの力で復元できる中央区をつくりたいと思います。みずからの努力や原則論だけでは払拭し切れない障害や問題を乗り越えるチャンスをつくり、臆さずチャレンジする心を家族や地域で支え、障害や問題に挑む人を応援し、失敗しても再び立ち上がり、挑み続ける人を応援する施策を推進していくことは、望むべき姿です。現状、このことを実現するためには、少子化対策などの福祉政策のみならず、税制、行革など、省庁の縦割り行政という大きな課題もありますが、施策を進める過程において、一つ一つ乗り越えていく努力が求められているのだと思います。

 そこで、お尋ねします。

 まず、女性の活躍推進についてのお尋ねですが、女性のM字カーブは、結婚、出産を機に一旦低下をし、育児が落ち着いた時期に再び上昇することで知られていますが、かつて正規雇用で就労していた女性が、結婚、出産に当たる年齢階級で離職をした後は、正規の職員、従業員としてはほとんど再就職をしていない傾向がうかがわれ、M字カーブの二度目の上昇が見受けられず、この限りではありません。三十代から四十代の子育て世代の定住人口増加が特徴として挙げられる本区ですが、子育てがある程度落ち着いた女性が正規雇用あるいは起業家として活躍の場を求める場合、新たなステージに向けての新たな一歩となるチャレンジをしっかりと行政として支援していくべきと考えますが、この点についての施策をお答えください。

 次に、少子化対策についてです。

 結婚、妊娠、出産など、個人の価値観や自由の選択が最優先されるべきものである一方、少子化による人口構造の変化は、地域の、そして国の社会経済システムにも深く関連する問題です。したがって、本区における少子化対策も、一人一人の生き方に反する、いわば強制的なものになってはいけないということは、申し上げるまでもありません。従来の合計特殊出生率は、ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれの女性の各年齢の出生率を過去から積み上げたものであるのに対し、希望出生率では、夫婦の意向に加え、独身者の結婚希望などの数値を使い、現在の日本における、全体として人々が希望している出生率を希望出生率といたします。その希望出生率を二○二五年までに一・八を達成すると明確な数値目標を設定したのが、現政権であります。

 本区は、三十代から四十代の人口比率がおよそ四二%であり、また児童福祉費におよそ百二十三億円を費やしている、いわば子育ての中央区とも言われ、とりわけ児童福祉に手厚いということは、子育て世代の定住人口増加を見ても明らかです。平成十八年から十年連続して一千人を超える赤ちゃんが本区で誕生しており、とりわけ昨年は一千八百三十八人、ことしは十月末で既に一千六百五十四人と、まるで少子化とは無縁であるかに感じるところではありますが、実際の合計特殊出生率は、二○一四年の全国平均一・四二を下回る一・二九にとどまっております。少子化の問題は、待機児童の問題、不妊の問題、経済的理由による不安から出産を決断できないなど、極めて複合的であり、それぞれの問題を取り除くために、俯瞰的な支援を推進するべきであると考えます。

 そこで、お伺いします。

 本区における希望出生率の現状に対する分析をどのように行っておられるのか、また、待機児童、小学校の教室不足など、本区の特性に鑑みて、希望出生率の設定目標をどのように捉え、達成していかれるのか、お聞かせください。

 次に、不妊治療への対応策である特定不妊治療費助成事業制度についてのお尋ねです。

 私自身、二人目の赤ちゃんを心待ちにし、大きな期待を寄せておりましたが、それはかないませんでした。不妊治療は、心と体、そして経済的に大きな負担を強いるものです。平成十九年から二十一年にかけて、この制度利用者は急激に増加をし、国全体では、平成二十一年は平成十九年の一・八倍に増加をし、本区においては、その利用者は二年間で延べ二百六十人とのことです。この助成に対し、国や東京都は、夫婦の合算所得が年間七百三十万円を超えた場合、年齢が四十三歳を過ぎた場合に対し、制限を設けています。しかし、四十三歳を過ぎても無事に出産をし、明るく元気に子育てをしているお母さんを私はたくさん知っていますし、本区は、住宅事情や生活水準が高いだけでなく、余裕がある御夫妻であれ、子供を持ちたい、そして明るく楽しい家庭を築きたいという気持ちは切実なのです。子供は、家族、そして地域を明るく照らす源であり、子育てという、命をつなぐ、とうとい営みをみずからの人生で行いたいという願いへの制限を緩和していくことを検討するべきであると考えます。

 そこで、お伺いします。

 希望出生率の設定目標を十分に考慮し、子供を持ちたくても持てない人たちへの支援として、特定不妊治療費助成事業制度について、国や東京都が設けている制限に対し、本区の特性に合わせたものへの緩和を検討すべきと考えますが、そのことに対する見解をお答えください。

 さらに、結婚や子供を産み育てることで家族を持つことと、経済成長及び失業率は深く結びついており、賃金の抑制や雇用情勢の悪化は、出産や結婚をためらうことを助長します。結婚、出産や育児に夢や希望を持ち、未来を担っていく若者を支援する切れ目ない支援の施策として、結婚から育児までの先駆的な取り組みである地域少子化対策強化事業に着目をいたしております。例えば、豊島区で行われている女性のライフプラン形成のための健康相談事業などは、高い人気を獲得したとのことです。

 本区において、ブーケ21を利活用した、結婚を望む若年層の男女に向けてのライフプラン講座や、出産後の育児をおじいちゃん、おばあちゃんも含めた家族全員で行うための講座、女性の再就職や育児中の男性の起業を目的とした各講座など、本区の特性を生かした地域少子化対策強化事業を本区でも推進するべきと思いますが、この点についての本区のお考えをお答えください。

 次に、若者の育成・支援についての質問です。

 本区には、大学や専門学校といった教育機関が少なく、地価も比較的高いことから、学生にとっては暮らしやすい環境とは言えません。本区における若者と行政をつなぐ施策は、成人の日記念式典や青少年リーダーの育成がありますが、そのほか、本区の広報施策を見てもなお、若者に対する内容が充実しているとは言いがたいという現状があるかと思います。本区における二十代の若者は、およそ一一%です。二十代は、就職、転勤、結婚など環境の変化が著しい時期でもあり、実際に町会や自治会を見回しても、この世代はとても少なく、行政に対する意見や要望を吸い上げることは、最も難しいことではないかと思います。

 そこで、若者と中央区行政との結びつきを強め、区内の若者にとっては住み続けたいまちであり、他県や他区に在住している若者にとっては、いつか引っ越してきたい、働きたいと感じるような、近寄りたい中央区のイメージづくりは喫緊の課題であると思います。若い世代が区の施策に触れ、区の職員とのコミュニケーションを図る機会をつくり、ともに中央区の魅力を考え、ともに中央区を広報していく姿を模索することが求められていると考えます。

 そこで、お伺いします。

 行政に関心を抱いてもらえるよう、若者と区の結びつきを強化することにより、若者に対する中央区のイメージづくりを強化していただきたいと思います。今後、青少年リーダーや青少年委員を区内の若い世代から幅広く公募をし、それらの活動を進化させることにより、長く住みたい、あるいは近寄りたい中央区へのイメージづくりや、区政モニターに若年層を一定数設けるなどの試みを検討していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか、御見解をお聞かせください。

 また、若者の自立を支援する施策として、若年者・中小企業マッチング支援事業がありますが、より多くの職種と若者をマッチングできるよう、この事業をさらに拡大していただきたいと考えております。私の知る若者は、地方出身で、紋章上絵師や組みひも職人などの職人わざに対する関心が高く、中央区に住み、手に職をつけたいと夢を語っておりましたが、その中の誰もが、主に住むところが高過ぎるなどの理由から、夢に向かっての一歩が踏み出せずにおります。

 区外の若者と、本区の持つ強みである数々の伝統工芸や伝統芸能など文化的産業とを結びつけるような機会も、あわせて創設していただきたいと考えますが、この点についての御見解をお聞かせください。

 次に、地域の再生、このところの区民の多様な生活スタイルを踏まえた地域コミュニティづくりについてお伺いします。

 私の周囲には、子育て世代、とりわけ定年を迎えるまでの二十年間余りを共働きで過ごすため、都心区としての利便性と江戸文化の発信地としての伝統にひかれ、本区に移り住んできた人々が多数いらっしゃいます。現在、区民のおよそ八○%が三人以下で暮らす核家族であり、およそ九○%が集合住宅で暮らす人々です。核家族化と集合住宅への居住が進んだことに加え、さらに、平成二十七年五月実施の世論調査によると、区民の居住年数は、本区への定住が、生まれてからずっと及び二十年以上の長期居住者は二八・四%であるのに対し、居住年数十年未満が四八・九%です。この二十年間で大きくバランスを変えることとなった本区住民の生活スタイルは多様であり、特にオートロックなどのセキュリティーに万全の配慮が尽くされている集合住宅と、昔の面影を残した商店などの地域との、お互いを確かめ合い、支え合う地域コミュニティづくりはもはや非常に困難であると思われます。

 基本計画二○一三において、地域のことを最もよく理解する住民が主体となって、地域のことをみずから考え、行動し、決定するとの一文がありました。地域コミュニティを考える上で、これは本区における世代を超えた価値観を維持・継承するためにはとうといことではありますが、そのような地域コミュニティを多世代にわたり維持・継承するためには、共働き世帯や子育て世代の余暇時間とのずれが生じるといった問題は看過できません。従来の餅つき、盆踊りなどを行う町会・自治会は、ずっと変わらぬ明かりとして維持・継承しつつ、例えば防災は、必要性が実現させる地域コミュニティのあり方です。実際に、昼間だけ防災・防犯活動が可能であり、夜は別の場所に移動なさる方、また、その逆に、夜だけ防災・防犯活動が可能な方が、それぞれのお立場で参加できるような地域コミュニティの強化に、行政として取り組んでいただいております。また、同様に、自分たちの地域を美しくしたいという必要性や、子育てにおいて助け合う必要性に対応し、それぞれの地域コミュニティのあり方に取り組んでいただいております。それぞれの立場、それぞれの分野、それぞれの目的で地域のことを理解し、使命感を持ったリーダーが生まれ、それぞれの地域ごとのつながりができれば、さまざまな地域コミュニティをリードし、支える次世代のリーダーへの育成にもつながるのではないでしょうか。

 そこで、お伺いします。

 多様性とは、単に一時的な選択肢をふやすことではなく、およそ総体における適応性をふやすことであり、このことが活力やモチベーションの原動力になり得ると私は思います。多様な者同士を包摂、つまり社会的に排除をせず、包み込むような環境がバランスを保ちつつ、多世代にわたり受け入れられ、成立するような地域コミュニティのあり方を常に模索しなければなりません。新住民の本区民としての意識や自覚に伴う必要性が実現する、新しいコミュニティをさらに強力に支援することが重要ですが、この点についての御見解をお答えください。

 最後に、家族のきずなの再生についてお尋ねをいたします。

 本区において、平成二十七年九月の統計では、居住人口に占めるひとり暮らし世帯の割合は、およそ三二・八%、二人暮らし、三人暮らしを含めると、全体のおよそ七九・五%です。核家族化が進み、集合住宅に住まうことにより、孤独感や老後の心配、経済的な負担がより懸念をされます。また、世界を見渡すと、現行の憲法制定において、家族の保護をうたう国は、EU構成国のうち十三カ国に上ります。我が国においては、自由民主党憲法改正草案における家族条項の議論が始まったばかりであり、現行憲法では、何ら家族について特筆をしていません。家族を支援するために支出される現金給付及び現物給付といった家族関係社会支出を対GDPで比較しても、日本は欧米諸国のおよそ四割程度です。

 冒頭に、伝統文化・歴史の継承と先進性の両立と調和についてお尋ねをいたしましたが、古来において、お家を第一とする文化と地域の伝統価値が強力であったこの国には、家族の保護を強いて奨励し、うたう必要がなかったのかもしれません。例えば、ゆりかごから墓場までに見られるような、いわゆる行き届いた福祉政策や、本区でいうところの公助のなす役割が、これからも活発かつ健全な社会をつくる確実性を持つのかどうかをしっかりと見きわめた上で、その一方で、建国の土台とも言える家族を意識的に称揚し、再生し、さらに自助・共助をしっかりと築いていくための方向性を地方行政が定めていくことが重要です。

 そこで、お伺いします。

 今日、家族のきずなを再生するためのあらゆる政策が検討され、いま一度、家族の持つ可能性について検討される傾向が見受けられます。これは、まさしく時代からの要請であり、私はこの動きを適切に捉え、本区においても、あらゆる角度から家族を奨励し、再生する政策に取り組むべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。家族のきずなを強めるための施策についてどのようにお考えなのか、本区における見解をお答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 佐藤敦子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、基本構想についてであります。

 かつて本区は、著しい人口減少によりまして、地域社会全体が活力を失いつつありました。その危機感から、昭和六十三年に定住人口回復対策本部を設置いたしまして、住環境の整備を中心とした、さまざまな施策を区議会の皆様とともに講じた結果、現在の基本構想が目標としていた人口十万をはるかに超える、今では人口十四万都市へと大きく発展を遂げたのであります。住む・働く・楽しむなど、あらゆる面において魅力に満ちたこのまちに集う多くの人々が、快適な都心居住、都心での事業展開のすばらしさを謳歌されているものと存じております。これから先、本区がより高い次元、黄金時代へと成長していくためには、回復を遂げた都心のにぎわいと、先人が築き上げてきた伝統との調和を図ることが極めて重要であると認識しております。江戸情緒漂う町並みや伝統文化、そして人情味あふれる地域のコミュニティを次代に確実に継承するとともに、全ての区民の皆様が生涯にわたり豊かな暮らしを享受できるよう、都心ならではの利便性や世界屈指の都市機能にさらに磨きをかけてまいりたいと思います。そして、東京オリンピック・パラリンピックとその先を展望し、都市観光の振興や子育て・高齢者施策の充実、築地市場移転後の跡地利用等の都市基盤や交通インフラの整備、先進的なスマートシティの拡充など、山積する課題に真正面から立ち向かう将来像を、新たな基本構想の中でしっかりと描いてまいります。

 次に、女性の活躍支援についてであります。

 平成二十七年版男女共同参画白書によりますと、女性の年齢階級別労働力率は、欧米諸国では見られないM字カーブを描いており、そのカーブは近年浅くなってきているものの、依然として結婚、出産、子育て期に就業を中断する女性が多いとされております。本区におきましては、女性の再就労を支援するため、実践的なキャリア講座を年九回開催し、うち二回はハローワーク飯田橋の出張個別就職相談会をあわせて実施するとともに、キャリア・コンサルタントによる個別相談会を年間延べ七十二回開催しております。また、若年者・中小企業マッチング支援事業では、女性の再就労希望者にも受講していただくため、本年度から年齢制限を二十九歳以下から三十四歳以下に引き上げて実施いたしました。さらに、本年度の起業家塾の受講者十六人中十二人が女性であり、女性の起業への意欲の高まりがうかがえるところであります。今後とも、関係機関との連携を深め、積極的に女性の活躍を支援してまいります。

 次に、希望出生率への対応についてであります。

 国では、アベノミクス新三本の矢の一つとして、希望出生率一・八の実現を表明したところであります。この一・八は、結婚し、子供を産みたいという国民の希望がかなった場合の出生率であり、こうした数値目標は、施策をわかりやすくする上で効果的であると考えております。国では、この目標達成のために、二十歳代後半の結婚割合を現在の四○%から六○%に引き上げる必要があるとしており、今月中にも緊急対策を取りまとめることとしております。本区では、かねてより、子供を産み育てやすい自治体ナンバーワンを目指し、住環境の整備や総合的な子育て支援策を推進しており、この十年間で出生数や乳幼児人口は倍増し、合計特殊出生率も毎年上昇しているところであります。今後、新たな基本構想・基本計画の策定に当たり、出生数の動向も踏まえた精緻な人口推計を行うとともに、中長期的な行政需要に応え得る基盤を確実に整備する必要があります。区といたしましては、国の対策を注視しつつ、区としてでき得る施策を積極的に講じ、誰もが安心して子供を産み育て、中央区に住んでよかったと思えるまちづくりに引き続き取り組んでまいる所存であります。

 次に、不妊治療助成についてであります。

 本区では、平成二十二年度から、医療保険適用外の不妊治療である対外受精及び顕微受精について、年間十万円以内、五年間まで助成しております。現行の助成制度における所得基準と年齢制限は、利用者世帯のほぼ九割をカバーすることや、母体への影響など最新の医学的知見から設けられたものであり、現状では一定の合理性があるものと認識しております。引き続き、関係医療機関と連携しながら、助成制度の周知を図るとともに、国・東京都の動向や医学的研究の成果等を踏まえ、助成のあり方について検討してまいります。

 次に、地域少子化対策強化事業についてであります。

 本区では、かつて五百人台であった年間出生数が、昨年まで九年連続で一千人以上となり、本年は、昨年の一千八百三十八人を上回り、二千人に迫る勢いとなるなど、まちには子供たちの元気な笑顔があふれております。地域少子化対策強化事業は、地域における少子化対策の強化を図ることを目的に、区市町村が、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を総合的に展開する仕組みであります。本区におきましては、銀座ブロッサムにおける結婚活動支援事業、妊娠初期から母子の健康に役立つ情報をお届けする母と子のモバイルサイトなどに加えまして、女性センターにおいても、育児中の保護者社会参加応援事業「ほっと一息わたしの時間」や、育児中の男性のための「イクメン講座」など、特色ある取り組みを実施しているところであります。今後とも、本年三月に策定した中央区子ども・子育て支援事業計画などに基づき、地域少子化対策強化事業の活用なども視野に入れ、総合的な子育て支援策を全庁挙げて積極的に展開し、子供を産み育てやすい自治体ナンバーワンを目指してまいります。

 次に若者と区の結びつきについてであります。

 次代を担う若者が区政に関心を抱き、かかわりを持つことは大変重要なことであります。そこで、小・中学生を対象に実施している少年リーダー養成研修会では、研修会を巣立った高校生や大学生に、青少年リーダーとしてカリキュラムづくりから運営まで、幅広くかかわっていただいております。また、新成人のつどい実行委員会委員の経験者にも、成人式の企画や運営に支援をいただいております。さらに、これらメンバー同士で自主組織を立ち上げ、さまざまな地域活動への参加や、区の事業である子どもフェスティバル、大江戸まつり盆おどり大会への協力など、ボランティア活動に積極的に取り組んでいます。若者が、このような地域に根差した活動を積み重ねることにより、区政への関心を一層高め、将来的には行政と一体となって地域を支えるコミュニティ活動の担い手に成長していくものと考えております。区といたしましては、今後とも、若い世代がさまざまな形で区政や地域活動に参加できるよう、御指摘の区政モニターを含め、場の創出や機会の拡充などに努めてまいります。

 次に、区外の若者と本区の文化的産業との結びつきについてであります。

 本区は、江戸以来の歴史の中で育まれた江戸表具などの伝統工芸や、歌舞伎など日本を代表する伝統芸能が息づくまちであります。そこで、区では、伝統工芸品を初めとする地域の文化資源を発掘し、展示・公開する中央区まちかど展示館の整備を進めてまいりました。本年度からは、各展示館の事業者等で構成するまちかど展示館運営協議会を立ち上げ、各館の魅力を広く発信する仕組みづくりについて検討を重ねているところであります。また、歌舞伎や文楽、落語などの伝統芸能を初め、さまざまな文化を学べる中央区民カレッジでは、在住・在勤等の方々が優先となりますが、申し込み状況によっては、区外の方も受講が可能であります。さらに、区の文化資源や文化イベントを無料のバスや船で回遊する中央区まるごとミュージアムも、本区の多様な文化と出会える貴重な機会となっております。区といたしましては、今後とも、本区の伝統的な工芸や芸能に多くの若者が触れ、将来の継承につながるよう、文化の魅力を幅広く発信してまいります。

 次に、地域コミュニティづくりについてであります。

 本区の定住人口は、働き盛りや子育て世代を中心に力強い上昇を続けております。こうした中、新たに区民になられた方も含め、多様な方々が、各自のライフスタイルに合わせながら地域活動の担い手として活躍していただくことは、地域力を高める上で大変重要なことと認識しております。しかしながら、地域コミュニティの核である町会・自治会においては、役員の高齢化や担い手不足などが大きな課題となっております。そこで、区では、今年度、地域活動の新たな担い手を発掘・養成するため、NPO法人との協働事業として、地域コミュニティの担い手養成塾を実施することといたしました。この講座は、円滑な組織運営に欠かせないノウハウや、参加しやすい地域イベントの企画・実施、さらには仲間づくりと連携の仕方など、地域活動が未経験の方にも実践的な内容を講義やグループ討議により学べるものとなっております。

 次に、家族のきずなについてであります。

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災を契機に、多くの方が近所同士の交流や家族のきずなの大切さを改めて認識いたしました。特に、家庭は、家族が集う場であるとともに、次代を担う子供たちの健やかな成長を支える基盤であります。そこで、区では、学校関係者やPTA、青少年委員、民生・児童委員等で構成する地域家庭教育推進協議会を設置しております。その中では、家族のあり方を考え、親としての資質と家庭教育力の向上を図るため、各種の学習会や講演会を毎年六十回以上開催し、多くの親子に御参加いただいております。中でも、子育てに関わる機会の少ない父親が子供と一緒に参加する「おやじの出番!」は、親子のきずなを深める絶好の学習会として好評を博しております。また、町会・自治会や青少年対策地区委員会では、家族や地域の触れ合いを深める機会として、餅つき大会や盆踊り、縁日、ラジオ体操、運動会など、年間を通してさまざまな地域行事の運営に積極的に取り組んでいただいております。区といたしましては、今後とも、学校や地域、関係機関と連携を図りながら、思いやりのある明るく温かい家庭づくりを推進してまいります。

 答弁は以上であります。

     〔五番 佐藤敦子議員登壇〕

○五番(佐藤敦子議員)
 それぞれに大変前向きな御答弁をありがとうございました。

 冒頭お尋ねをいたしました伝統文化・歴史とわがまち中央区の黄金期との両立と調和についての御質問ですが、先人たちが築き上げてきた伝統を継承するという区長からの力強いお言葉をいただき、中央区の未来は大変明るいなというふうに感じました。

 女性の活躍を支援することについてでございますが、本区の定住人口を見ても、三十代、四十代の人口比率が大変高いということもあり、子育てが一段落ついた後に、もう一度働きたい、もう一回何か自分のキャリアを社会に生かしたいというような方が今後ふえてくるのではないかと思います。私も、ある一定期間を専業主婦として専念した後に、このように議会で働かせていただいているわけですが、やはりそうした一歩を踏み出すための女性の後押しといったものをしっかり行政でやっていただけるとのこと、そして、起業家塾の受講者十六人中十二人が女性であったと。これは、女性のパワーを感じました。これからも、そのような形で女性の活躍を支援していただきたいと思います。

 そして、特定不妊治療費助成事業への対応についてでございます。

 現状は九○%以上を網羅しているということで、大変それは理解ができることであります。しかしながら、七百三十万円の年間所得というものがどれだけ余裕があるのかといったことに関して、やはりもう少し調べていただきたいなというふうに思うところもある反面、私のように、今、子育てをしながら不妊に悩んでいる方あるいは、不妊治療は既に終えたけれども、夢がかなったのか、かなわなかったのか等々も含め、やはり数値的なデータというか、調査といったものを、まず最初から始めていくといったことも一つの手かもしれないというふうに感じました。そのことをお願いいたしたいと思います。

 そして、最後に、家族のきずなの再生について。

 実は、これが私自身が一番お伺いをしたかった質問であります。昔から、親と独立をした子供がごく近くに住む、スープの冷めない距離に住まうといったことが理想というふうに言われておりましたが、核家族化が進み、家族が離れ離れに暮らすといった現在、これを再び奨励する近居などの政策がいろいろな自治体で進められております。この流れをしっかりと見きわめて、本区でも家族の持つ可能性といったものを適切に見きわめていただきたいということを要望いたします。

 いずれの問いかけも、私が一期生の立場で周囲の方々の話に耳を傾ける中において疑問に感じたところを、みずからの理念に照らし合わせ、お伺いをいたしました。大変数々の前向きな答弁、ありがとうございました。

 質問は以上で終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時四十三分 休憩


     午後四時五分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十六番墨谷浩一議員。

     〔十六番 墨谷浩一議員登壇〕

○十六番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、平成二十七年第四回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 初めに、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援、中央区版ネウボラについて質問いたします。

 日中の町なかに目を向けてみると、小さいお子さんが列をつくって、先生の見守りの中、帽子をかぶり、歩いている風景は、日常的な光景となっています。公園でも、たくさんの小さいお子さんが先生と一緒に遊んでいます。特に、近年の開発により、ベイエリアの中心に高層住宅などが建ち並び、子育て世代の若い区民の方が増加しています。それに伴い、平成二十六年度は赤ちゃんの出産は一千八百人を超え、本年には人口も十四万人を突破しました。これからも人口は、いましばらく転出より転入の傾向が強いと見られる状況であります。

 本区は、集合住宅が約八八%を占めております。ますます核家族化が進み、共働き世帯の増加に伴い、働き方も変化する中で、子育て経験の継承や、子育てを支える環境が昔と大きく変わっています。妊娠、出産、育児についての悩みは、子供を育てるお母さんに重くのしかかっているのが現状です。働きたい女性が安心して仕事と育児などの両立ができるように、女性の活躍を支えるためには、妊娠、出産、子育ての各ステージに応じた継続的な支援が不可欠です。子ども・子育て支援新制度の着実な実施とともに、放課後子ども総合プランの推進に加え、これからは妊娠、出産、育児の切れ目のない支援を行う中央区子育て世代包括支援センターの構築が急務と考えます。

 日本でも、ここ数年、にわかに注目を集めているのが、妊娠から出産、育児を一貫して就学前まで一人の保健師などが継続的にサポートする制度、ネウボラ事業です。ネウボラという言葉は聞きなれない言葉ですが、フィンランドでは、子供を持つ全ての家庭を対象とする、切れ目のない子育て支援をする制度です。妊娠に気づいたときから、出産、そして就学前まで、一つの窓口、ワンストップで同じ保健師がかかりつけ専門職として相談に乗り、必要に応じて、ほかの職種の支援にもつなげていきます。フィンランドの子育て家庭のほぼ一○○%が、ネウボラを利用しているそうです。中央区版ネウボラは、子育て世代包括支援センターとも言いかえられます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区でも、保健所、子育て支援課、子ども家庭支援センターなどが連携した各種サービス体制の構築がされていますが、さらなる向上が必要と思います。こういった妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援、中央区版ネウボラ事業が必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、担当保健師による継続した相談支援のシステム構築について質問いたします。

 習志野市に、習志野市版ネウボラ事業の視察をしてまいりました。簡単な流れを説明します。習志野市では、女性が妊娠に気づいて、市役所のこども部に母子手帳の申請に行きます。母子手帳の申請窓口に集約して、ワンストップの相談体制を構築しています。妊娠届を提出したときと妊婦と四歳未満の転入した方に、看護職が面接しながら、オリジナル母子カルテを作成しています。そのときに、担当保健師の紹介をします。オリジナル母子カルテをもとに、地区担当保健師が各節目の発育、発達、養育面を中心としたプランの作成をし、経過を把握して評価し、産前から就学時まで切れ目のない母子健康支援を行っています。

習志野市は、平成二十六年三月に、一般社団法人福祉自治体ユニットが取りまとめた日本版ネウボラ構想を参考に、習志野市の母子保健の現状を整理し、検討した結果、日本版ネウボラの基本である母子保健と子育て支援の包括支援体制と、担当保健師による継続した相談支援のシステムが既に確立していることを確認。一方で、習志野市の切れ目のない母子保健システムが見える化されていないことが課題となり、この問題を解決するために、このたび、習志野市版ネウボラともいえる四部構成のマニュアルを作成したそうです。

 本区では、妊娠がわかったら、区役所、特別出張所、保健所・保健センターの窓口で妊娠届出書に記入して、母と子の保健バッグをいただくようですが、残念ながら、そこには保健師や助産師さんなどの専門職がいません。また、担当保健師の紹介もないようです。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 母子保健の最初のかかわりとなる妊娠届出書提出時に、母子コーディネーター的な保健師や助産師さんなどの専門職がいることにより、もうそこから母子支援のスタートにつながる流れができます。窓口に母子コーディネーター的専門職の配置、担当保健師の紹介などが必要と思いますが、区長の御見解をお願い申し上げます。

 次に、産後ショートステイやデイケアの導入について質問いたします。

 出産した人の中には、産前産後を実家で過ごしたお母さんもいるでしょう。里帰り出産は、日本特有の慣習として、古くから続いていました。しかし、最近、里帰り出産を選択しない人がふえています。この背景には、女性の社会進出で晩婚化、晩産化が進み、支援者である両親も高齢化しています。また、地方では、分娩を取り扱う施設が減少していることもあります。核家族化が進み、赤ちゃんに接する機会のないまま出産する女性や、出産後の入院期間が短縮されているなど、日本の出産をめぐる状況は、時代とともに徐々に変化しています。また、出産直後から三、四カ月ごろまでのサポートが必要とされています。

 そして、出産直後の女性の約一割が発症するとされるのが、産後鬱病です。育児不安などが原因とされ、日常生活の中で、今までできたことができなくなる、食欲が湧かないなどの症状です。長引くと、子供の感情表現や愛着などの発達にも障害が生じるそうです。産後鬱については、周囲が気づかず、サポートがない状態に置かれやすいため、重症化すると児童虐待につながりやすい上、患者はどこに相談してよいのか戸惑う事例が多く見られるとの指摘もあります。産後の母親を孤立化させないためにも、きめ細やかな施策が大切で、寄り添う形の支援が必要と思います。

 産後ドゥーラの資格を取得している梁川妙子氏の「産後ケアの課題」と題した講座を調査・研究してまいりました。ドゥーラとは、妊娠、出産、子育てをする女性を地域社会で支える存在です。一般社団法人ドゥーラ協会にて認定を受けた資格者で、産後のお母さんにかわって家事をするだけではなく、産前産後のお母さんや赤ちゃん、上のお子さんの対応をするプロです。従来のホームヘルプとは違い、家事からお子さんのお世話、お母さんの情緒面を含め、産後のお母さんに寄り添った対応ができることが特徴だそうです。最近の出産では、正常分娩で五日間、帝王切開では七日間で退院することになるようです。入院中に、授乳など、母子のケアについて短期間で覚え切れず、不安を抱えたまま退院するお母さんが多いとの指摘をしていました。結びには、産後ケアの必要性が今後ますます高まるとのお話がありました。

 中野区では、産後ケアとして、本年十月より、ショートステイ、デイケアを導入しました。ショートステイは、生後四カ月以下が対象となり、出産後に体力的に自信のない方や家族の手伝いを見込めない方などが、宿泊して赤ちゃんのケアと母体の回復ケアを受けられます。デイケアは、生後四カ月以下が対象で、お母さんと赤ちゃんの休養・回復のため、母乳、育児相談等を日帰りで利用でき、それぞれ利用料も助成されています。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 安価で安心できる産後ショートステイやデイケアを導入し、産後のお母さんをしっかりとサポートするシステムが必要と考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 続きまして、ひとり親家庭支援について、初めに、相談事業の拡充について質問いたします。

 私の接したお母様から相談をいただいたとき、母子家庭だからといって子供に肩身が狭い思いをさせたくない、寂しい思いをさせたくないという気持ちで頑張っている。自分が病気になったらとの先行きの不安、日々ぎりぎりの生活をしている。養育費についても、当初は振り込まれていたが、途中で途切れてしまった。養育費について、法的知識がなかった。弁護士費用がわからず、経済的にちゅうちょしてしまった。八月に区役所に訪問したときは、親切な対応でしたよ。また、東京ディズニーランドなど、家族でいい思い出をつくることができましたなどなど、たくさんのお声をいただきました。また、私が接して共通して感じたことは、仕事に、子育て、家事にフル回転、命がけでお子さんを守っている姿です。

 全国で約百四十六万世帯と推計されるひとり親家庭では、貧困率が五四・六%とのデータがあります。これは、日本のひとり親家庭の場合、パートやアルバイトなど、非正規労働にしかつけない場合が多いことを物語っています。一方で、貧困による経済格差は、子供の教育格差につながり、就職時にも正社員などになれず、低収入なままで、親の貧困が子供に継承される貧困の連鎖が社会問題となっています。ひとり親家庭の総合的な支援のさらなる拡充が必要と思います。

 東京都発行のひとり親家庭サポートガイドによりますと、養育費は民法及び法に定める、経済的・社会的に自立していない子供を養育する費用です。子供に自分の生活費と同じレベルの生活を保障する。養育費の支払いは、離婚の原因によらず、行うものである。別れた親が自己破産した場合でも、養育費の支払いの責務は消えることがないとあります。中央区ひとり親家庭実態調査報告書には、「相手に養育費を請求できるとは思わなかったから」二四%、「養育費を受け取っていない」方は五二・五%になります。それぞれの事情などがあり、一概には言えませんが、養育費に対しての法律的な知識やサポートがあったらと、この報告書を見て、さらに感じました。

 横浜市では、離婚に関する法律相談に特化した、例えば養育費、親権、財産分与、面会交流、慰謝料の問題などです。弁護士についても、数多くの離婚問題を取り扱っている女性弁護士が対応しているようです。ひとり親のお母さんにとっては、女性のベテラン弁護士で安心感もあると思います。プライバシーに配慮された身近な場所での、このような無料法律相談が必要と考えます。

 区役所の一階に相談案内のパンフレットがあります。その内容を見ても、例えば年金相談、保健福祉の相談、高齢者の福祉保健・介護保険の相談、高齢者のための住み替え相談など、相談内容に特化した相談窓口があります。相談者に寄り添った相談事業を展開していると思います。区では、定期的に法律相談を行っています。平成二十六年度八百三十件の相談がされています。法律相談についても、ひとり親家庭の支援に特化した支援が必要とされていると思います。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 女性の活躍支援や子供の幸福のための福祉政策の一環として、ひとり親家庭への支援策の充実が求められていると思います。今後、ひとり親家庭の支援に対して、どのような認識を持っているか、また、プライバシーに配慮された身近な場所での法律的な知識やサポートが得られる無料法律相談が必要と考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、ホームページの充実について質問いたします。

 本区の子育てに関する悩みについて、子育て応援サイト、こどもすくすくナビが充実していると思います。子育て世代の方が気軽にスマホなどで情報を得られるように工夫がされていて、すばらしい取り組みと思います。また、紙ベースでの情報を希望の方は、子育てガイドブックが対応しています。今回改訂された子育てサポート一覧は、年齢別にサポートが一目でわかるように工夫されています。こどもすくすくナビなどに比較して、本区のホームページにある、ひとり親の方へとあるサイトには情報が少ないように思います。ひとり親家庭の総合的な支援サイトの充実が必要と考えます。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 ひとり親家庭支援のサービスが、中央区ホームページの中で一つの場所に集約した形でわかるようになるとよいと考えます。例えば、区立ひとり親世帯住宅や都営住宅のポイント方式のひとり親世帯向けなどの外部リンクや、養育費相談支援センターなど、必要と思われる外部リンクなどを盛り込んだ、ひとり親家庭の総合的な支援サイトが必要と考えます。

 そこで、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、住宅費の助成について質問いたします。

 本区の施策として、住宅に困窮しているひとり親世帯を対象に設置している住宅が十五戸あります。二○一五年六月の募集は三十三倍と高く、全てのひとり親家庭の皆さんが入居できないとの課題も残ります。そして、中央区の一般賃貸物件は、他の地域に比べ、高い傾向にあります。公営住宅に申し込んでいるお母様からは、毎回申し込んでも当たらないとのお話がありました。子供の学校のことや友達がいること、転居には引っ越し代や敷金、礼金など、まとまった出費があるので、考えてしまう。住みなれたまちで暮らしたい。小学校など、子育て環境を変えたくないなど、ひとり親家庭には切実な悩みでもあります。

 区の調査結果には、経済的自立を支援するための低家賃のひとり親世帯住宅の充実や、家賃助成などの居宅支援事業の要望が高いことがわかります。本年四月より、児童扶養手当などが、物価スライド制なので、手当額の改定がされています。それは、物価が上がれば増額、下がれば減額となっており、その時代の物価に見合った手当を支給しています。本区における一般賃貸住宅の家賃相場を確かめても、東京都中、上位に位置しており、他の自治体に比べて家賃が高いのも実情です。地域差による目減りも考えられます。都内の自治体でも、住宅費の助成をしているケースもあります。そして、公営住宅に住んでいない方との公平感など、以上のことを考慮していただきたいと思います。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 ひとり親家庭に対する公営住宅の考え方について、住生活の安定及び向上を目的として、家賃助成が必要であると考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、塾や通信教育費助成について質問いたします。

 小学校六年生のお子さんを持つひとり親家庭のお母様より、相談を受けました。仕事をかけ持ちしているので、子供に勉強を教えてあげられない。塾などや通信教育に対する助成があると助かる、であります。そのお母さんのお話によりますと、同級生のほぼ大半の家庭で、塾や小学生を支援する通信教育を受けていて、子供からも、友達がやっているのでとせがまれて、小学生の通信教育を受けさせているそうです。子供の学習意欲をそぎたくない。学習塾に比べて安価なこともあり、家計を切り詰め、続けさせているようです。区の家庭実態調査によると、七割の方が親と子の二人暮らしとのデータがあるとおり、親が子供の勉強を教える余裕がないことが推測されます。一人で過ごす時間の多い子供たちに対し、学習支援も含めた温かい支援が必要と思います。

 千葉県南房総市では、本年六月から、学習塾や習い事、スポーツ教室など、学校外教育を受ける全ての小学五・六年生を対象に、世帯所得に応じて一人当たり一千円から七千円の月謝を補助する事業を始めています。保護者の経済力による教育格差を避ける施策でもあります。事業費は二千百万円で、国の地方創生交付金から一千六百万円を充て、残りは今年度の一般会計から支出するようです。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 低学年より学習習慣の形成、そして学習に対する動機づけにもなり、また、学習意欲向上につながると思います。友達がやっているなど、興味から学習したいとの子供の気持ちも大切に考えるべきだと思います。ひとり親家庭の学習支援について、学習塾、スポーツ教室や、通信教育などの助成が全てのひとり親家庭のお子さんに必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 続きまして、大規模水害対策について質問いたします。

 世界的な温暖化により、ゲリラ豪雨など、激しい気象現象が頻発しております。今年の九月の関東・東北豪雨による鬼怒川の氾濫は記憶に新しく、さまざまな課題を残し、その教訓を今後生かしていくべきと考えております。また、三・一一の教訓として、住民一人一人が災害の危険性を理解し、例外を除き、いち早く避難できる態勢をみずから整えていく必要があると思います。発災直後は、まずは自分の命は自分で守る備えを、そのために区として、そのさまざまな情報の発信が必要だと思います。

 本区では、地域にかかわるさまざまな災害に対して、訓練や備えを行ってきました。災害対策基本法に基づき、中央区防災会議が作成する中央区地域防災計画が幾度となく修正され、最新版では、平成二十七年にも修正がされています。区民の生命、身体及び財産を災害から保護する目的でつくられています。中央区地域防災計画に記載されている広域避難には、平成二十二年四月に大規模水害対策に関する専門調査会が発表した想定によると、荒川の堤防が決壊するなどの大規模水害が発生した場合、排水施設が全て稼働するケースであっても、浸水地域の排水完了まで約五日を要すると想定されています。大規模水害の発生時においては、家屋退避の際には孤立化が考えられるため、区では、都及び隣接区と連携して、広域避難対策を実施するとあります。

 また、本区では、区民の皆さん向けに、中央区洪水ハザードマップを作成して、配布しています。ホームページからもダウンロードできるように工夫されています。中央区洪水ハザードマップ荒川版では、二百年に一回程度起こる大雨が降ったことにより荒川が氾濫した場合に、想定される浸水の状況をシミュレーションによって求めたものになっています。本区のエリアの月島地域、浜離宮庭園、新川、銀座の一部を除いて、大半が浸水してしまう危機的な状況が示してあります。

 関東・東北豪雨による災害のニュースを見ての問い合わせがありました。大半が避難や警報などについての質問でした。区では、浸水被害を少しでも軽減するため、水防計画を立て、取り組んでいることをお話ししたり、定期的な水防訓練を関係機関と行っているなど、心配であれば、土のうの配布を行っていることを話しました。

 そこで、まだ心配されている方がいるのではと思い、数名の方に、中央区洪水ハザードマップをお持ちして、お話を伺うことにしました。次のようなお話がありました。ハザードマップを見て、びっくりしました。都会のど真ん中で、こんなところまで浸水するなんて、考えられない災害が起こるのですね。備えが大切だと思いましたが、どのように備えてよいか見当がつかない。区の備えは大丈夫ですか、などです。そして、京橋にある会社経営者の方にも、お話をしてみました。日中は営業で外出している社員が多いので、中央区以外の広域的なハザードマップや時間別の水害情報を示してほしい。広域で浸水したときは、電気などのライフラインはどうなるか、などです。共通して感じたことは、地震災害についての備えはほぼされていることです。

 本区の現状として、平成二十四年経済センサスによると、区内事業者数約三万七千、京橋・日本橋事業者数約三万五千、従業者数約七十二万一千人とあります。そして、事業所が浸水想定地域に集約してしまっていること、人口も十四万人を突破して、今後も増加傾向にあります。そのほとんどが集合住宅で、近隣との交流の希薄化となっています。

 群馬大学大学院、片田教授は、大水害が起こることは国家的危機になると強調。水の流れ、人の流れは自治体の境界と無関係。一つの自治体で完結する防災では対応できないと、自治体の垣根を取り払った緊密な連携が必要と指摘しています。

 平成二十七年九月、関東・東北豪雨における大きな被害が発生したことを受け、二十三区の防災担当課長会において、水害など、各区が発令する避難勧告、避難指示に関して、近隣区などと発令状況を共有する仕組みづくりに向け、調査が始まりました。水害など、各区が発令する避難勧告、避難指示などに対して、近隣区との連携が必要になってくると思います。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 近隣区との連携状況について、そして、都及び近隣区と連携した広域避難対策について、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、水害防災ビデオの制作などについて質問いたします。

 本区においても、都市型水害に対処し、被害を最小限にとどめていくには、これまでの治水事業の促進や組織的な水防活動に加え、住民一人一人が水害の危険性を理解し、いち早く避難できる態勢をみずから整えていく必要がある。そのためには、水害防止にかかわるさまざまな情報をあらかじめ住民に周知していくことが重要であると、中央区地域防災計画、第九章にはあります。本区の地震防災では、DVD映像の貸し出し、ホームページでの地震防災映像の配信を行っています。「わが家わがまちの地震防災」パンフレットなども充実しています。本区でも、水害に対するリーフレット、ハザードマップなどの水害に対しての資料はありますが、地震対策に比べて、情報が少ないように思います。

 古河市では、他の自治体と古河・境・坂東地区洪水防災ビデオを制作しています。近隣の自治体と取り組むことにより、経費も削減ができる可能性もあります。片田教授の監修による新しいハザードマップとなる豪雨災害対応ガイドブックを作成しているケースもあります。どちらも工夫が凝らされております。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区でも、防災ビデオ防災パンフがあります。地震災害に比べて、情報提供が少ないように思います。水害に対する関心が高まる中での情報提供、水害防災ビデオ、水害防災パンフレット作成や配布など、近隣区と連携した洪水ハザードマップなどが必要となると思います。そして、区内にある事業所に働く皆様にも周知が必要と考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、中央区役所本庁舎の水害対策について。

 本年の十一月十一日に埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路へ視察に行ってまいりました。首都圏外郭放水路は、低地が広がる中川・綾瀬川流域の浸水被害を軽減するために建設された地下トンネル形式の放水路で、流域の中小河川の洪水があふれ出す前に地下トンネルに取り込み、安全に江戸川に放水する施設です。国道十六号線の地下約五十メートルに建設され、水を地下に取り込む立て坑、水を流していくトンネル、水の勢いを弱め、スムーズな流れを確保する調圧水槽、水を吐き出すポンプ設備などで構成しています。排水能力は、最大で一秒間で二十五メートルプール一杯分の水を排水することができるそうです。首都圏外郭放水路が建設され、浸水被害の大幅な軽減に貢献しているそうです。この視察を通して、改めて自然の脅威というものは人間の想定を超えることがあると感じるとともに、ハード面、ソフト面にわたる対策が必要と感じました。

 中央区洪水ハザードマップ荒川版によりますと、日本橋、京橋地域は浸水が予想されています。中央区役所本庁舎は、災害時の司令塔となる大切な拠点でもあり、避難場所としての受け入れも想定される重要拠点でもあります。そして、図書館もあり、貴重な蔵書なども多数あると思います。私は、注意深く本庁舎の周りを確認しました。本庁舎の地下駐車場に続く入り口や出口があります。また、裏手には図書館の出入り口があり、広範囲にわたり浸水経路が想定されます。現時点での対応では、想定される洪水が本庁舎に向かってきた場合、土のうや止水板などでは浸水経路を遮断できないと思いました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本庁舎の浸水経路の遮断など、水害対策が必要と考えますが、浸水対策について、区長の御見解をお伺いいたします。

 以上で第一回の質問を終了いたします。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、妊娠期からの継続的な支援体制についてであります。

 区民に身近な保健所・保健センターでは、子育て相談や各種健診事業のほか、プレママ、パパママ教室など、妊娠期からさまざまな支援を実施するなど、子育て支援拠点としての機能を果たしております。さらに、今年度からは、子育て支援課職員が保健所・保健センターに出向き、各種保育サービスの御案内を初め、子育てに関する相談に応じるなど、関係部局間の相互連携を進めております。今後は、これら既存の取り組みを着実に推進するとともに、子ども家庭支援センター等とのネットワーク強化を図るなど、中央区版ネウボラ事業ともいうべき切れ目のない支援策の充実を図ってまいります。

 次に、担当保健師による継続した相談支援体制の構築についてであります。

 本区では、母子健康手帳を交付した妊婦に対してアンケートを実施し、ハイリスクと判断された妊婦に対しては、保健所・保健センターで必要に応じ、保健師が継続的な支援を実施しております。妊娠中の経過や産後の育児に不安を持つ妊婦の方にとって、身近な相談相手である保健師の役割は重要であると認識しております。今後、窓口での地区担当保健師の紹介など、気軽に相談できる環境を整えるとともに、保健師の顔が見える相談支援をさらに充実させてまいります。

 次に、産後ケアの導入についてであります。

 本区では、新生児訪問時に産後の母子の健康状態を把握するとともに、育児相談、母乳相談を実施し、母親へのきめ細やかなサポートを行っているところであります。産後ショートステイやデイケアは、出産後の切れ目のない子育て支援の一つとして、産後鬱の予防、育児不安の軽減、母親の体調不良の改善などに有効であるとの事例も示されております。本区におきましても、アンケート調査などを通じて区民のニーズ等を把握した上で、今後の導入について検討してまいります。

 次に、ひとり親家庭の支援についてであります。

 ひとり親家庭は、ひとり親になった直後から、仕事や住居、子供の養育など、さまざまな課題に直面し、経済的、社会的、精神的に不安を抱える方が多く見られます。こうした方々の思いや悩みを十分に聞き取り、適切な支援に確実につなげていくためには、支援の入り口となる相談体制を整え、各種の相談事業と連携することが大切であると認識しております。区では、専門職である母子・父子自立支援員を配置し、相談業務に加え、コーディネーターとしての役割を持たせて対応しているところであります。相談の中で、離婚や養育費など、法律的なサポートが必要な場合には、区の法律相談を紹介するとともに、予約手続きなどを支援しており、法律相談件数の一割程度が離婚等ひとり親関係の相談となっております。今後も、法律相談など各種相談事業と連携し、ひとり親家庭に対する支援が適切に行われるよう、一人一人に寄り添ったきめ細やかな対応を図ってまいります。

 次に、ホームページについてであります。

 現在、ひとり親家庭支援に関するさまざまな情報は、それぞれ事業の所管ごとに分散されていることから、区民にわかりにくいところが見られます。今後、これらの情報については、支援事業や手当、住宅など種類ごとに一覧性を持った情報として、わかりやすく再構成し、提供してまいります。

 次に、住宅費の助成についてであります。

 経済的に厳しい状況に置かれたひとり親家庭においては、安心して住み続けられる環境が必要であると認識しております。離職等により住宅に困窮するひとり親世帯に対して、住宅確保給付金制度を実施しているところであります。全てのひとり親家庭への家賃助成制度の創設については、限りある財源の中で大きな財政負担を伴うことから、慎重な検討が必要であり、現時点での対応は困難であると考えておりますが、都営住宅の地元割り当ての拡大など、入居の機会がふえるよう、東京都に働きかけてまいります。

 次に、塾や通信教育費の助成についてであります。

 ひとり親世帯などの生活困窮家庭においては、学習習慣を身につけることは、子供の未来のために大変重要なことであると認識しております。千葉県南房総市の取り組みは参考になるものでありますが、親が帰宅するまで一人で過ごすことが多いひとり親家庭の子供にとっては、居場所づくりといった観点も必要なことから、本区では、現在、小学四年生から中学一年生を対象に学習支援事業を実施しているところであります。また、本年八月、国の子どもの貧困対策会議におけるひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトにおいても、子供の学びや生活を支援するため、学習支援の充実、居場所づくりなどの方向性が示されたところであります。今後も、こうした動向を注視し、ひとり親家庭の子供が、親の経済状況にかかわらず、学習できる機会が確保されるよう、学習支援や教育費負担の軽減などの取り組みを充実させてまいります。

 次に、大規模水害での避難指示などの近隣区との連携についてであります。

 本年七月に改正した地域防災計画では、空振りを恐れず早目に、夜間であっても避難勧告等を発令することを基本とし、水害時における避難勧告等の判断基準や屋内退避による安全確保などを新たに盛り込みました。避難勧告等の発令は、気象状況や地形、河川の推移等に応じて各自治体が判断しますが、本年九月の特別区長会において、隣接区で避難勧告等の判断が分かれた場合、区境の住民に不安を与えるとの指摘があり、現在、各区の判断基準等を調査しております。また、荒川下流部三区が参画する国の検討会では、避難勧告等のタイミングを事前に定める全国初の防災行動計画(タイムライン)が施行されており、これらの運用状況も参考にしながら、水防対策における隣接区との連携を強化してまいります。

 次に、水害時における広域避難につきましては、地域防災計画において、住民等の安全かつ迅速な避難の確保を目的に、東京都や特別区相互支援体制による支援区への要請などについて定めております。現在、国におきましては、大規模水害時の広域的な避難や応急対策等について検討が進められており、こうした検討結果を踏まえながら、今後、より実効性の高い広域避難対策となるよう、適宜見直してまいりたいと存じます。

 次に、水害防災ビデオ等の作成についてであります。

 災害時に被害を最小限にとどめ、かけがえのない命を守るためには、区民一人一人が災害の危険性、災害から身を守るすべを理解しておくことが何よりも大切であります。これは、地震、水害など全ての災害に共通するものであることから、区民への防災意識の普及啓発に向けては、総合的に働きかけることが効果的であると考えております。そのため、区では、区民向けの総合防災パンフレット「わが家わがまちの地震防災」の全面改訂にあわせ、洪水ハザードマップや水害時における指定緊急避難場所について新たに盛り込むなど、内容を充実させ、全世帯への配布を検討しているところであります。また、浸水想定を実施した国土交通省におきまして、広域的な洪水ハザードマップが公表されているほか、荒川氾濫を想定した水害防災ビデオも制作されておりますので、マンション防災講習会や出前講座での活用を図るなど、区民や事業所に対する普及啓発に努めてまいります。

 次に、区役所本庁舎の水害対策についてであります。

 区が公表している洪水ハザードマップでは、区役所本庁舎については、隅田川、神田川、日本橋川の氾濫による浸水想定はございません。また、二百年に一回程度起こる大雨により、荒川の堤防が決壊した場合においても、最大で五十センチメートル未満の浸水想定となっていることから、大きな被害は生じないものと考えております。したがいまして、地下駐車場出入り口や京橋図書館側のサンクンガーデン出入り口などへの土のうの設置等により、地下施設への浸水は防げるものと考えております。しかしながら、本庁舎は大規模災害時において災害対策本部を設置し、災害対応に当たる拠点となる重要な施設であります。このため、本年九月に発生した関東・東北豪雨の被害を教訓としつつ、現在、関係部局が連携し、検討を進めているところであり、今後、さらに本庁舎の水害対策に万全を期してまいります。

 答弁は以上であります。

     〔十六番 墨谷浩一議員登壇〕

○十六番(墨谷浩一議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 まず、本区の子育てについては、最近改訂された子育てガイドブックを読むと、手厚いサポートが本当にわかります。子育てサポート一覧というのがありまして、それが年齢別に一覧となっておりまして、本当にわかりやすいというお声もいただきました。また、母と子の健康モバイルサイト、こどもすくすくナビなどについても、スマホから情報をとる子育て世代の方のニーズを捉えた施策だなというふうに感じております。本区の行っているすばらしい施策にさらに磨きをかけて、充実をお願いしたいと思いまして、質問させていただきました。

 最初には、中央区版ネウボラ事業についてということで、習志野市のほうに私も視察に行って、実際聞いてきて感じたこととしては、やはりまず一番最初に行ったところで、窓口で保健師さんがついて、お子さんの悩みについての相談、母子保健相談のスタートを切る、そういったシステムがあるということで、そういうものは、今後、本区としても進めていっていただけるというふうに理解しております。

 また、ひとり親家庭の支援ということで、いろいろな方々がいらっしゃる中で、先ほどもお話ししましたが、私がひとり親のお母様と接して一番感じたことは、仕事に、子育てに、家事に、本当にフル回転をしている。また、命がけでお子さんを守っているという姿勢で、私も本当にお母様の気持ちについて、何とかしてあげたいなという気持ちがすごく動きました。御答弁の中からも、都営住宅のひとり親家庭への拡大等々、お話がありましたので、お願いしていきたいと思います。

 また、法律相談については、本区の法律相談件数の一○%というようなお話でありますが、やはりいろいろな悩みに応じた、その人に寄り添った相談窓口というのもたくさんあると思います。法律相談についても、ふえてもいいのではないかというふうに私は感じました。

 最後、大規模水害については、私も今回の大規模水害について視察をしてきまして、その中でさまざまなことを感じたんですけれども、本当に人の想定を超えてしまうといった点で、いろいろなことを各自治体として取り組み、また本区としても、さまざまな日常の中での訓練とか、そういったものも私も感じながら、しっかりと対応していただいているという中で、地震防災に関して比較してしまうと、情報がちょっと少ないかなというふうに感じました。そういった観点で、しっかりと一人一人の区民の方が、発災したときに、どういうふうに自分は動いていくんだといった資料を、また今後改訂がされていくというお話もありましたので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 また、最後に、本庁舎についても、私も見回っていて、最大で五十センチ以下の浸水想定ということで、ないことは一番いいことなんですけれども、万全な対策を打っていただけるというお話も、最後、あったと思います。しっかりと万全な対策をお願いしたいと思います。

 今回の質問を検討、また実現を要望させていただきまして、私の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後五時一分 休憩


     午後五時二十分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二番山本理恵議員。

     〔二番 山本理恵議員登壇〕

○二番(山本理恵議員)
 無所属の山本理恵です。平成二十七年中央区議会第四回定例会の一般質問を、さきの質問通告に沿って行わせていただきます。区長並びに各理事者の方々には、誠意ある御答弁をお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。御答弁によりましては、再質問を留保いたします。

 今回は、中央区の公共施設並びに行政サービスについて質問をいたします。

 日本においては、高度成長期のころにつくられた建物や設備、橋梁の老朽化が進んでいます。それらの更新に当たり、公共施設等の公共インフラのあり方が問われています。中央区においても、昭和から平成初期にかけて建設された公共施設等が更新の時期を迎え始めています。今後、公共施設等を更新するに当たり、施設等の長期的な財政負担や公共施設利用需要の変化を見きわめ、総合的な管理や最適な配置を検討し、まちづくりを進めていかなければなりません。

 まず、公共施設の老朽化における更新需要及び公共施設等総合管理計画の策定についてお尋ねいたします。

 平成二十五年六月、国は、経済財政運営と改革の基本方針を閣議決定し、インフラ長寿命化基本計画を策定しました。この計画は、公共施設等を新しくつくることから、賢く使うことに重点を置くものです。その翌年四月、総務省が全国の地方公共団体に対して、可能な限り速やかに公共施設等総合管理計画の策定に取り組むよう要請しました。これは、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するため、インフラ長寿命化基本計画を参考にした法定の行政計画を定めるものです。

 総務省は、地方自治法第二百四十五条の四第一項、技術的な助言に基づき、公共施設の老朽化や人口構造の変化等の影響による公共施設等の利用需要の変化を踏まえて、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的かつ客観的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、世代間の財政負担を軽減・平準化するなど、公共施設等の最適配置を実現することが必要と、強く求めています。要するに、公共施設等を総合的かつ計画的に管理することは、地域社会の実情に合った将来のまちづくりを進める上で不可欠であるからです。

 そこで、中央区が保有する施設の老朽化における更新需要と公共施設等総合管理計画の策定に対する認識及び見解をお聞かせください。

 次に、将来をつくっていくための公共施設のあり方について伺います。

 全国の自治体では、公共施設等総合管理計画を策定し、ファシリティマネジメントやプロパティマネジメントなどの手法を用いて、経営戦略的な視点から公共施設の再編が行われつつあります。公共施設の再編においては、自治体が所有する全ての公共施設を対象に、不要施設を見きわめ、単なる整理や合理化だけではなく、地域の未来をつくっていくための資産をどう形成していくのかという視点を最も重視しています。

 特別区では、練馬区が区政改革推進会議を設置し、(仮称)「練馬区の「これから」を考え、現在を見直す」と題した区民への問題提起資料を作成しています。当自治体は、十年から二十年後にモデルなき未知の時代に直面することを認識し、これまで経験したことのない状況への対応が迫られることを自覚しています。従来型の行政改革でイメージされるようなコストや人員削減による対症療法的な対応では、もはや乗り切れないことが明らかであるからです。そのため、公共施設等の維持・更新にどのように取り組むべきかなど、従来の枠組みにとらわれない発想で新しい手法等を検討しています。

 本区では、東京オリンピック・パラリンピックが決定して以来、オリンピックレガシーが重視されています。オリンピックレガシーを将来にいかに継承し、発展させるかが議論の中心となっています。確かに、オリンピック・パラリンピック開催に向け、新たにつくられる公共インフラの社会的・経済的・文化的恩恵を長期にわたり享受することは大切です。しかし、既に本区が所有している施設の価値を高め、将来に最適な形で手渡していく、具体的な検討も必要です。

 そこで、本区の未来をつくっていくための公共施設等のあり方について、どのようにお考えか、お伺いいたします。あわせて、練馬区の取り組みに対する本区の見解を伺います。

 次に、固定資産台帳について確認をいたします。

 減価償却資産の耐用年数等に関する省令によると、建物の老朽化は五十年程度の減価償却期間が想定されていますが、整備費の三割を占める電気や空調、給排水などの整備は十五年程度の減価償却サイクルと言われています。また、消防法による消火、排煙設備や災害報知設備及び格納式避難設備については、約八年です。さらに、更新に当たっては、省エネルギー対応や環境配慮、情報通信技術化への対応等の面からも、改善すべき整備が必要です。したがって、区が所有する公共施設等の更新タイミングを図るためにも、固定資産台帳によるデータ整備が不可欠です。

 平成二十七年一月、総務省は、地方公共団体に対して、原則として平成二十七年度から平成二十九年度までの三年間で、統一的な基準による地方公会計の整備促進について通知しています。この統一的な基準による地方公会計マニュアルでは、固定資産台帳の整備も示されており、自治体が早期に台帳を整備することが望まれています。固定資産台帳の整備等に要する一定の経費については、特別交付税措置が講じられます。

 公共施設等の維持管理・修繕・更新等に係る中長期的な経費の見込みを算出する固定資産台帳は、総合管理計画や、新たな地方公会計に重要な役割を果たすとともに、将来の施設更新必要額の推計や、施設別のセグメント分析等も可能とするものです。一方で、資産の調査過程で権利の確定が不十分な資産や無償貸付資産などを把握することにも期待されています。

 そこで、本区の固定資産台帳の整備状況について確認させてください。

 次に、既存公共施設のランニングコストと改修・改築費用、そして充当可能な財源の見込みについてお伺いいたします。

 中央区は、平成二十二年に区有施設などのあり方について、基本的な考え方を整理した中央区施設白書を作成しています。現在、この施設白書を作成してから五年が経過し、本区を取り巻く環境や人口構造は変化しつつあります。こうした変化に対応するため、本区は、市街地再開発事業等の機会を捉え、子育て支援施設や高齢者福祉施設の確保等に努められています。さらには、整備着工が延期されている生涯学習交流館、本の森ちゅうおうやオリンピック・パラリンピックの選手村のレガシーとして残す施設についても、検討を重ねています。新たに高度化、多機能化された施設整備が計画される中で、既存公共施設等の維持管理、改修・改築等に係る中長期的な経費の見込みや、これらの経費に充当可能な財源を見込むことは、極めて重要な意味を持ちます。

 そこで、本区が保有する公共施設の中長期的なランニングコストと、改修・改築費用を確認させてください。その試算から、施設を現状のまま維持していくために、年間どのぐらいの費用が必要となるのか、現状のまま施設を維持していくための充当可能な財源の見込みに対する見解をお聞かせください。

 次に、公共施設における行政サービスの再編について伺います。

 国の公共施設等総合管理計画は、施設総面積の圧縮・縮減を主要な位置づけとしています。しかし、公共施設は行政サービス提供の場であるとともに、中央区地域防災計画に定める指定避難所やコミュニティの場といった役割を担っています。そのため、公共施設をどう賢く活用するかという発展的な議論が必要です。例えば、ある施設の利用実態を見ると、特定の地域住民や団体だけが多く利用しているのではないかという施設が存在しています。施設の延べ利用者数や利用者アンケート調査は良好であっても、住民全体における施設需要や問題意識とは必ずしも一致しない例も見受けられます。従来の公共施設の考え方は、原則として、福祉や生涯学習、スポーツといった事業ごとに施設を保有し、いかに公平で効率的な運用を図れるのかが中心でした。公共施設マネジメントの一環として、施設の利用者と利用形態の想定、管理運営形態や経費と利用料金との適正な関係など、行政サービスを効果的に提供していくことに焦点が当てられてきましたが、その公共施設がどれだけの住民に利用対象として認識されているのか、もっと充実すべき施設があるのではないかという根本的な問いかけをすべき時期が来ていると考えます。

 当然ながら、公共施設には、福祉、教育といった、利用者が特定されているものもあり、誰もが対象となるわけではありません。しかし、人口構造が変化した本区において、住民全体の心情をつかむために、誰もが利用できる公共施設を利用しない理由について、無作為抽出による意識・意向調査を実施してはいかがでしょうか。この調査結果をもとに、住民が真に必要とする行政サービスを真に必要とする地域で的確に提供できるように、公共施設における行政サービスの配置再編や統合、拡充を行っていくべきと考えます。本区の人口は、しばらく増加することが予想されています。新たな用地取得による施設整備は、地理的にも財政的にも困難であり、既存施設を最大限に活用するための工夫が必要です。

 そこで、行政サービスを享受する住民と行政、議会が問題意識を共有し、公共施設の使用目的の変更や範囲の拡大など、現実的な議論を行うことこそが大切であると考えますが、認識をお聞かせください。

 次に、行政サービスの再検証について伺います。

 昨今、公共施設の運営者が公共であっても、民間であっても、差異はないと考えられ始め、ニュー・パブリック・マネジメントやパブリック・プライベート・パートナーシップが推進されています。こういった公民連携や公民協働事業は、課題も残されていますが、中央区でも民間の技術や活力を活用する指定管理者制度や民間委託などを推進し、財政負担を減らしつつ、良質な行政サービスを提供することに努められています。

 東京の自治のあり方研究会の最終報告によると、東京都の総人口は、平成三十二年の約一千三百三十五万人をピークに、加速度的に減少していくのに対し、都心、臨海地域では人口が一○%以上増加することが見込まれています。この推計から見えてくる行政サービスの課題は、さらなる子育て支援や高齢者福祉の拡充です。また、中央集権のあり方の見直しにより、行政サービスの事務の多くが移譲され、基礎自治体の事務範囲の拡大が予想されます。国の新たな要請に機動的に対応していくためには、中央区が提供している約五百ある行政サービス本来の目的を再度検証し、提供方法も含めて、再編することが求められます。

 中央区において、どの行政サービスを優先すべきか。そのサービスを提供するに当たって、行政と民間で役割を分担すべきか、民間に任せるべきか、そのサービスが公共施設を維持しなければ提供不可能なものであるのかなど、全庁的視点で検証すべきと考えますが、基本認識と現状に対する考えをお聞かせください。

 最後に、リノベーション事業について伺います。

 公共施設オープン・リノベーションマッチングコンペティション事業についてです。

 総務省は、公共施設の空きスペースや職員寮、廃校などをリノベーションして、多目的スペースや介護施設などへ活用する取り組みを促進しています。自治体が公共施設再生ナビにリノベーションを希望する公共施設情報を登録し、クリエーターは、登録された施設を保有する自治体にリノベーション提案を提出します。総務省は、五年以内に全国で一万件の新規事業の立ち上げを目指しています。例えば、築四十八年の晴海職員住宅などのリノベーションに適している事業と考えますが、本区の活用可能性と課題について見解をお聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 山本理恵議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、中央区が保有する公共施設の更新需要及び公共施設等総合管理計画の策定についてであります。

 国が求めている公共施設等総合管理計画の目的は、施設の老朽化対策と人口減少社会を見据えた施設の適正配置であり、当面、人口増加が見込まれる本区の状況とは大きく異なります。しかしながら、本区の施設におきましても、築三十年以上の建築物が三二%となっており、計画的な老朽化対策が必要であると認識しております。そこで、今年度は全ての公共施設を対象に、施設概要や補修履歴、利用状況などを把握する実態調査を行います。その上で、来年度には地域の実情と将来の人口動向を見据え、新たな施設整備方針を含めた公共施設等総合管理計画を策定する予定であります。

 次に、将来を見据えた公共施設のあり方と他の自治体の取り組みに係る見解についてであります。

 本区は、当面、定住人口の増加が見込まれることから、引き続き子育て支援施設や高齢者施設、学校の増改築などをしっかりと充実させていく必要があり、不要な公共施設の転用や整理の段階には至っておりません。一方、今後ますます多様化する区民ニーズに対しては、新規公共用地を創出し、整備していくことは極めて困難であることから、既存公共施設を最大限活用するタイムシェアの導入など、新たな取り組みも検討してまいりたいと考えております。練馬区の取り組みは、本区と異なり、人口減少社会を見据えた行政改革の一環として、公共施設の転用や廃止など、今後のあり方を検討しているものと認識しております。

 次に、固定資産台帳の整備状況についてであります。

 本区では、平成二十二年度に固定資産台帳を整備し、企業会計的手法による財務分析に活用しているところであります。さらに、平成二十六年四月には、総務省から、地方公共団体における財務書類の作成に関する統一的な基準が示され、本年一月には、全ての自治体に対し、この基準による地方公会計の整備促進が要請されました。これを受けまして、本区では、新たな公会計制度を平成二十九年度から導入することとし、固定資産台帳についてもあわせて再整備することといたしました。新たな固定資産台帳は、これまで建物単位で作成していたものを、事業別・施設別に細分化するなど、公共施設のマネジメントにも一層の活用が可能となるものであり、平成二十九年四月からの運用を目指し、現在、準備を進めているところであります。

 次に、公共施設のランニングコストと充当可能な財源の見込みについてであります。

 本区が保有する庁舎や出張所、区民施設、福祉施設、教育施設など九十七の建築物で試算しますと、今後十年間で維持管理経費は約四百六十億円、改修経費は約二百三十億円を見込んでおります。これを年間当たりに換算しますと、合わせて約六十九億円になります。一方、充当可能な財源として、使用料などの歳入を年間で約十九億円見込んでおります。残りの約五十億円は、基本的に一般財源で賄うことになりますが、本区の歳入状況を鑑みますと、中長期的な視点においても十分に対応が可能なものと認識しております。なお、一時的に多額の経費を要する改築につきましては、これまで蓄えてきた基金や区債の計画的な活用により、確実な財源対策を講じてまいります。

 次に、公共施設の利用に対する意識意向調査の実施及び使用目的の変更・拡大等についてであります。

 社会経済状況や人口構造の変化に伴い、公共施設に求められる機能やサービスも変化することから、施設に対する区民等のニーズを的確に把握することは極めて重要であると認識しております。このため、区といたしましては、公共施設等総合管理計画の策定に際し、施設の実態調査とあわせて、区民意識調査の実施を予定しているところであります。また、計画の策定については、新たな基本構想の策定とともに進める予定であり、基本構想審議会における議論を初め、区議会や区民の皆様からの御意見をいただきながら、より充実したサービスの実現に向け、一丸となって取り組んでいく所存であります。

 次に、行政サービスの再検証についてであります。

 本区におきましては、平成二十年度から二十四年度の五年間にわたり、五百八事業の行政サービスを対象に、区の関与の必要性など、全庁的な視点で適切に評価し、今後の事業のあり方を明らかにしてきたところであります。このような中、多様化する区民ニーズへの柔軟かつ迅速な対応や、効率的で効果的な区民サービスの提供を目指し、公共施設を対象として指定管理者制度の導入等を検討し、順次民間活用を拡大してまいりました。今後とも、行政サービスの必要性や施設の役割、内容等を十分に踏まえ、民間事業者等が持つノウハウやアイデア、専門性などを活用することがふさわしい施策や施設については、指定管理者制度やPFIなどの導入、民営化等を進めてまいりたいと考えております。

 次に、公共施設オープン・リノベーションマッチングコンペティション事業の活用についてであります。

 総務省におきましては、不要な公共施設を核とした新たな地域経済循環の創造や活性化を目指し、当該事業の推進を掲げていることは認識しております。しかしながら、本区では、人口増加に伴い、待機児童解消に向けた保育施設の整備や高齢者施設、障害者施設の拡充や学校の増改築など、新たな施設を整備・充実する必要があり、不要な公共施設や空きスペースを有しておりません。お尋ねの職員住宅につきましても、防災機能強化の面から、区内に一定数の職員を定住させることが重要と考えており、現時点では引き続き必要不可欠な施設と位置づけております。

 答弁は以上であります。

     〔二番 山本理恵議員登壇〕

○二番(山本理恵議員)
 御答弁ありがとうございます。

 公共施設等総合管理計画については、公共施設等の老朽化対策という課題を将来の施設更新必要額という数値データで見える化することにより、行政だけでなく、広く住民や議会も巻き込んだ形で、財政的・社会的な課題を共有することができると期待しています。

 平成二十七年第三回定例会では、今後二十年を見据えた新たな中央区基本構想の策定についての議案が議決されました。この中央区のまちづくり憲章である総合計画と、それを踏まえた新たな基本計画の策定に際し、固定資産台帳及び公共施設等総合管理計画を大いに活用し、将来にわたり真に必要とされる公共施設における効率的な行政サービスの提供を望みます。

 都心区ならではの戦略的なビジョンを掲げ、より多くの住民が共感できる展望を描くことができるのは、行政にしかできないことです。今後も、山積した政策課題に果敢に挑戦していただけることを要望し、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(鈴木久雄議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(鈴木久雄議員)
 次に、日程第三から日程第六までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第三から日程第六までを一括して議題といたします。

     〔田野議会局長朗読〕


日程第三

 議案第八十五号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四

 議案第八十六号 災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第五

 議案第八十八号 総合スポーツセンター外壁及び防水改修工事請負契約

日程第六

 議案第九十三号 中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例


○議長(鈴木久雄議員)
 提案者の説明を願います。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第八十五号、議案第八十六号、議案第八十八号及び議案第九十三号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第八十五号、中央区特別区税条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「地方税法等の一部を改正する法律」の施行に伴い、徴収猶予等に係る担保の徴取を不要とする基準、分割納付の方法等を定めるほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第八十六号、災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」等の施行に伴い、傷病補償年金等と厚生年金保険法による障害厚生年金等の併給調整をするほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第八十八号、総合スポーツセンター外壁及び防水改修工事請負契約であります。

 この契約につきましては、厳正に入開札を執行いたしましたところ、萬世建設株式会社に落札いたしましたので、仮契約を締結したところであります。

 本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 最後に、議案第九十三号、中央区職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例であります。

 本案は、特別区人事委員会による「職員の給与に関する報告及び勧告」等を考慮し、関係する二条例について、本区職員の給与を改定するものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま上程されました議案第八十五号、議案第八十六号、議案第八十八号及び議案第九十三号は、企画総務委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案につきましては、企画総務委員会へ付託いたします。


○議長(鈴木久雄議員)
 次に、日程第七から日程第十一までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第七から日程第十一までを一括して議題といたします。

     〔田野議会局長朗読〕


日程第七

 議案第八十七号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第八

 議案第八十九号 指定管理者の指定について(区立中央会館)

日程第九

 議案第九十号 指定管理者の指定について(区立浜町集会施設)

日程第十

 議案第九十一号 指定管理者の指定について(区立総合スポーツセンター等体育施設)

日程第十一

 議案第九十二号 指定管理者の指定について(区立月島運動場)


○議長(鈴木久雄議員)
 提案者の説明を願います。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第八十七号及び議案第八十九号から議案第九十二号までにつきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第八十七号、中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」等の施行に伴い、傷病補償年金等と厚生年金保険法による障害厚生年金等の併給調整をするほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第八十九号から議案第九十二号までの指定管理者の指定についてであります。

 議案第八十九号は区立中央会館の指定管理者に「松屋グループ」を、議案第九十号は区立浜町集会施設の指定管理者に「タフカ・日本メックス共同事業体」を、議案第九十一号は区立総合スポーツセンター、区立浜町運動場及び区立月島スポーツプラザの指定管理者に「シンコースポーツ・大成有楽不動産共同事業体」を、議案第九十二号は区立月島運動場の指定管理者に「タフカ株式会社」を、それぞれ指定するため、「地方自治法」等の規定に基づき提出したものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま上程されました議案第八十七号及び議案第八十九号から議案第九十二号までは、区民文教委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案につきましては、区民文教委員会へ付託いたします。


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま各常任委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十六日から二十九日までを休会とし、来る十一月三十日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日から二十九日までを休会とし、来る十一月三十日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後五時五十七分 散会


署名議員
議長 鈴木 久雄
議員 原田 賢一
議員 田中 耕太郎

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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