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平成28年第四回定例会会議録(第2日 11月24日)

1.会期

九日(第二日)

十一月二十四日(木曜日)

2.開会並びに散会

午後二時開議

午後七時二十五分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 渡部 恵子議員

二番 山本 理恵議員

三番 海老原 崇智議員

四番 佐藤 敦子議員

五番 塚田 秀伸議員

六番 田中 耕太郎議員

七番 小坂 和輝議員

八番 松川 たけゆき議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 富永 一議員

十三番 瓜生 正高議員

十四番 染谷 眞人議員

十五番 木村 克一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 青木 かの議員

十八番 森谷 歩美議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 押田 まり子議員

二十二番 石田 英朗議員

二十三番 石島 秀起議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 中嶋 ひろあき議員

二十六番 鈴木 久雄議員

二十七番 墨谷 浩一議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 長嶋 育夫君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 古田島 幹雄君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 坂田 直昭君

教育委員会事務局次長 高橋 和義君

監査事務局長 小林 秀規君

企画財政課長 濱田徹君

広報課長 園田 典子君

総務課長 吉原 利明君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 鎌田 智之君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(押田まり子議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(押田まり子議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 二十八番田中広一議員。

〔二十八番 田中広一議員登壇〕

○二十八番(田中広一議員)
 中央区議会公明党の田中広一でございます。私は、平成二十八年第四回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 まず初めに、中央区の将来像についてお尋ねいたします。

 平成二十八年十月、中央区基本構想等に関する答申、中間のまとめが示されました。基本構想審議会は、第一回目となります本年二月九日からこれまで四回にわたって開会され、その間、安心部会、快適部会、躍動部会の三つの部会に分かれ、それぞれ四回の審議が活発に行われました。その後、起草委員会では、答申に向けた検討が行われ、中間のまとめが作成されました。その結果、中央区の将来像は、「輝く未来へ橋をかける─人が集まる粋なまち」です。説明文として、江戸以来の歴史に裏打ちされた伝統文化を育みながら輝く未来を創造し、住み・働き・集うすべての人々が、幸せを実感し誇りを持てる都心「中央区」をつくっていきますとあります。基本構想の体系としては、前述の将来像があり、五つからなる基本的な方向性、そして九つの施策のみちすじから構成されております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 これまでの基本構想審議会の議論を通して、感じた点や課題など、どのように評価されておられるのか、区の御見解をお伺いいたします。

 また、私は、平成二十七年第三回区議会定例会一般質問において、現在の基本構想の総括と課題について質問したところ、区長からは、将来にわたり日本の活力を維持するために、本区がいかなる貢献を果たしていくべきか、審議会の議論を踏まえながら検討してまいりたいと御答弁されておりますが、その検討状況についてもあわせてお聞かせください。

 基本構想の理念については、区民生活に豊かさと繁栄をもたらす礎である平和を基本として掲げております。中央区は、一九八八年三月十五日に平和都市宣言を行い、さまざまな事業を展開してきました。二○○八年三月には、平和都市宣言二十周年となり、日ごろから平和について考えるきっかけの場を提供するため、戦災に関する写真や資料を公開するホームページを開設しております。そして、二○一八年は、平和都市宣言から三十年の節目を迎えることになります。

 また、二○二○年に向けた中央区の取り組みでは、次のように述べられております。本区では、平和をあらゆる施策の根幹に据え、教育の中央区にふさわしい国際教育や平和教育に一層力を入れるとともに、区民の皆様はもとより、区を訪れる全ての人々に平和のとうとさを積極的に訴えるなど、世界の恒久平和実現の先頭に立ってまいりますと示されております。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 月島第二児童公園の平和の広場には、小学生や障害のある方々など、多くの皆様の平和への思いをモニュメントとして設置しており、大切な取り組みの一つであると感じております。平和都市宣言三十周年及び将来にわたり、平和の広場の拡大など、平和意識の普及啓発をさらに推進していくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 基本構想策定に係る基礎調査報告書では、国際化について質問しております。その中で、外国人の増加についての設問では、肯定的な意見もありますが、「不特定多数の外国人が増えることは治安の悪化につながる」と「日本人にとってあたりまえのルールやマナーが理解されず、トラブルを招く」を合わせますと四七・四%となり、約半数が懸念を示しております。また、第四十五回区政世論調査の区の施策への要望では「防災対策」が二四・二%、「防犯対策」が二二・五%となっており、「子育て支援」と「高齢者福祉・介護」に次いで多い順です。

 防災については、首都周辺でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は、今後三十年以内に七○%になると地震調査委員会は発表しております。また、平成二十七年中の区内各種発生件数を見てみますと、交通事故発生状況は七百九十八件、刑法犯罪が二千六百十六件、特殊詐欺被害認知状況は十六件となっており、全体的に減少傾向ではあるものの、課題も見受けられます。また、晴海では選手村の工事が本格化するなど、交通問題も懸念されます。変化の激しい中央区では、改めて安全・安心のまちづくりをさらに強化していく必要があるのではないでしょうか。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 中央区の将来像を検討していく中で、安全・安心という視点は大変重要であります。現在、中央区には四つの宣言がありますが、そこに中央区安全安心都市宣言を制定し、区、関係機関、区民及び事業者等が力を合わせ、安全で安心して暮らすことができるまちづくりをさらに推進していくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 基本構想を策定するに当たり、小学校、中学校を訪問しております。そのときの児童・生徒の声をまとめた子どもたちが考える中央区の未来についての中で、地域のつながり・交流の場の提供という課題に対しては、マンションに住む子供が大半を占めている中、地域のつながりが希薄化していることを指摘する意見が多数寄せられていたようであります。

 また、基礎調査報告書では、コミュニティの形成について質問しております。その中で、地域コミュニティの必要性では、「必要」が八○・二%と回答しているものの、近隣に家族や助け合える友人・知人の有無については、「いる」が五四・四%、「いない」が四四・五%という結果となっておりました。十一月四日現在の中央区の人口は十四万八千八百四十九人で、約八八%の区民がマンション居住者です。推計では、平成三十六年中に人口二十万人を突破すると想定しております。今後のまちづくりを考えますと、防災対策など、さまざまな場面において、住民間で支え合ったり、助け合うようなこともさらにふえてくるのではないでしょうか。

 一方で、都心特有の課題も顕著になっております。養老孟司氏著作の「「自分」の壁」の中には、都市化が進むと、濃密な人間関係を持ちづらくなると指摘し、さらに、濃密な人間関係に煩わしさはつきまとうとしても、大きなメリットがあることも事実ですと述べ、口約束で物事が進むことが多かったことを例に挙げています。そして、日本人同士がお互いに信頼していた時代には、不信から生じるコストが低かった。そのことは案外見過ごされやすいのだけれども、日本の成功の要因だったのではないかなという気もしますと語られておりました。著者御自身の家の購入を例に挙げ、次のように述べております。今住んでいる地域は全部で十四軒しか家がありません。全員が顔見知りです。誰かがまた家を売るというときには、当然他の人の迷惑がかからない相手に売らないとと考える。だから、適当なところでおさまります。そのことが全員のメリットになっているのは言うまでもありませんと、わかりやすく語っています。

 基本構想における基本的な方向性の中に、多様な絆が融合したプロアクティブ・コミュニティの確立があります。プロアクティブ・コミュニティとは、みずから率先して地域における課題を解決し、快適な暮らしを実現していく社会と定義しております。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 基本構想審議会にありましたとおり、地域力による課題解決を図っていくためには、まず中央区や関係法人、指定管理による施設など、区が関係する全ての機関がこれまで以上に区民から信頼される行政でなければならないと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 また、区民と直接接する窓口などにおける接遇の向上についても、さらに取り組んでいくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 基礎調査報告書の中の、今後中央区で生活あるいは余暇を過ごす上で必要なもの、充実してほしいものという設問に対しては、「やすらげる緑や水辺の空間・オープンカフェ」が四四・三%と最も回答割合が高い結果となりました。また、小学校、中学校を訪問し、子どもたちが考える中央区の未来について意見を聞いておりますが、公園や自然に関する意見が比較的多く示されたのではないでしょうか。最近中央区に転入された方からも、休日は、隅田川テラスを歩くと癒されますなどの声を伺うことがあります。日々の忙しさやコンクリート、アスファルトに囲まれている環境の中では息苦しくなってしまうこともあるのではないでしょうか。中央区では、公園や水辺のテラスなど、可能な限り拡大してきております。しかしながら、これまで委員会や一般質問などでも御提案させていただいておりますが、人口が増加している中で、さらに知恵を絞りながら、限られた区内ではありますが、工夫していく必要があると考えます。例えば、ことし五月から始まりました親子で親しむ浜離宮のような事業を着実に継続していくべきであります。

 そこで、第五点目にお伺いいたします。

 平成二十七年第三回区議会定例会一般質問において、公園の拡大について質問させていただいたところ、区長からは、大規模な開発などの機会を捉え、公園や緑地の確保が図られるよう、基本計画などに位置づけ、取り組んでまいりますとの御答弁でした。安らぐことができ、憩いの場となるような緑豊かな公園や水辺の環境を創出できるよう、区内全域を改めて調査・点検し、基本計画や緑の基本計画にも反映しながら、さらに具体的に進めていただきたいと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 次に、子育て支援施策の充実についてお尋ねいたします。

 十一月は、厚生労働省が定める児童虐待防止推進月間です。昨年度、東京都内において児童相談所に児童虐待の通告に対応した件数は九千九百九件で、この十年間で約三倍となりました。中央区では、子ども家庭支援センターにおける平成二十一年度と平成二十五年度の養護相談件数を比較しますと、約二倍に増加しています。

 また、内閣府は、十月二十九日に男女共同参画社会に関する世論調査の結果を発表しました。女性の就業については、「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と答えた割合が五四・二%となり、一九九二年の調査開始以来、初めて五割を超えました。中央区は若い世代の転入者が多い傾向から、共働きの家庭がさらに増加するのではないでしょうか。

 さらに、出産時における環境も大きく変化してきております。第一子出生時の母親の平均年齢は、一九七五年の二十五・七歳から二○一四年の三十・六歳となり、高齢化しております。また、出産後の育児環境では、最初の子供が三歳になるまでに夫婦いずれかの母親から日常的に子育ての手助けを受けた人の割合は、二○○○年以降は五割程度と言われております。高齢出産となりますと、支援者となる母親も高齢化し、夫も年齢上仕事が忙しくなるケースも多く、サポートを受けにくい状況が考えられます。このように他者からの子育て支援が期待できなくなっていることなどが、児童虐待や産後鬱などにつながっていくのではないかと指摘されております。

 そこで、私は、公益社団法人母子保健推進会議主催のシンポジウム「妊娠から子育てを地域で支える!~産後ケアを中心に~」に出席してまいりました。その中で、フィンランドの実情や母子保健行政の歩みなどを説明しながら、一昔前のような家族や地域によるサポートがなくなり、多くの母親が出産直後から不安や負担を感じている点を指摘しておりました。

 このような状況を踏まえ、国では、現状個々に行っている妊娠期から子育て期にわたる支援事業を切れ目なく提供するために、子育て世代包括支援センターを全国展開し始めました。主な役割は、保健師やソーシャルワーカーなどにより、一、妊産婦等の状況の継続的把握、二、相談体制の充実や情報提供、三、保健・医療・福祉・教育の関係機関との連絡調整、四、支援プランの策定で、安心感を醸成する相談機関です。子育て世代包括支援センターは法定化され、おおむね平成三十二年度末までに全国展開を目指しているとのことでした。

 さらに、東京都においても、二○一五年度からスタートしたゆりかご・とうきょう事業が、三十二区市町村で補助を受けながら展開されております。主な内容は、保健師などが面談し、個別の子育て支援プランの作成や、妊婦面接を受けた方を対象に育児に役立つ子育て用品をプレゼントするなど、妊娠から育児まで切れ目ない支援体制を強化しております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 現在、中央区が取り組んでいる妊娠期から子育て期にわたるさまざまな事業を展開する中で、課題をどのように捉えておりますでしょうか。

 また、国の子育て世代包括支援センター事業や東京都のゆりかご・とうきょう事業の補助制度を活用しながら、課題解決とともに、中央区の実情に合った子育て世帯への安心の体制をさらに強化していくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 次に、産後ケア事業の導入についてお尋ねいたします。前回の一般質問においても、同会派の墨谷議員から質問させていただいておりますが、再度改めて質問させていただきます。

 シンポジウムでは、文京区版のネウボラ事業及び産後ケアの取り組み状況や、江東区の医療法人からは産後ケアセンターの活動状況などの説明もあり、大変参考になりました。そして、最後に、「自治体と協働で取り組む産後ケア」と題して、東邦大学の福島教授から講演がありました。その中で、世田谷区と協働で開設した武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町の母子ショートステイと母子デイケアの取り組みを紹介しておりました。利用料金は、一泊二日の場合、補助事業を活用することにより、六万五千八百円のサービスを世田谷区民は六千四百円で利用できます。事業の目的の一つに、母親の仲間づくりや地域の子育て情報の提供を行い、母子の孤立化を防ぐ取り組みがあります。母親同士が一緒に食事をしながら交流が深められるよう工夫し、アンケートでは、ゆっくり休めた、育児不安の相談ができた、他の母親との交流が持てたなどの声があったようです。福島教授は、フェース・ツー・フェースの関係の中で、利用者が地域に帰っていく際の橋渡しの機能を持たせることを強調しておりました。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援体制の強化を検討していく中で、区の相談事業との連携を深め、人と人との信頼感が醸成されるような安心できる産後ケア事業の導入を進めていただきたいと考えますが、検討状況について具体的にお示しください。

 これまで中央区は、平成二十一年八月に子育て支援対策本部を設置するなど、さまざまな子育て支援策を拡充してきました。例えば、平成二十一年と平成二十七年を比較しますと、出生数は一千三百三十二名から一千九百八十一名に増加する中、保育所数は二十六カ所から六十カ所に拡大し、保育所定員数も一千九百八名から三千九百九十名まで着実に充実してきました。今後も転入者がふえるとともに共働き世帯が増加していく中で、さらに工夫をして拡大していかなければなりません。また、子育て交流サロンあかちゃん天国においても利用者が増加傾向にあり、平成二十三年度九万四百五十八人であったところ、平成二十七年度は新規開設も含め十六万二千四百四十五人にふえております。さらに、一時預かり保育事業においても、昨年度四施設で延べ一万六千三百八十二人の利用状況となり、増加傾向であります。

 第四十六回中央区政世論調査によりますと、さらに充実を図る必要がある子育て支援策については、「一時預かり保育、延長保育、病児・病後児保育などの子育て支援サービス」が三六・二%と最も高く、次いで「保育園・認定こども園・地域型保育事業所・幼稚園などの施設整備」が三二・四%という結果となっておりました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 これまでも限られた区内環境の中で取り組んでおられますが、今後もさらに全庁挙げて保育所の拡大やあかちゃん天国、一時預かり保育事業など、どのように工夫して拡大していこうと考えておられるのか、区の御見解をお聞かせください。

 第四点目にお伺いいたします。

 平成二十七年第三回区議会定例会一般質問において、子供の外遊び環境の拡大や芝生広場の整備についても質問させていただきました。そこで、さらに区の可能なスペースを考えたときに、幼稚園や保育園の園庭の開放を行い、子育て家庭の居場所づくりの支援拡充につなげていくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 次に、B型肝炎予防接種事業についてお尋ねいたします。

 平成二十八年第三回区議会定例会において補正予算が可決され、B型肝炎ワクチンの定期接種事業が十月一日からスタートいたしました。接種対象者は生後から一歳の誕生日の前日までとなり、接種回数は三回です。大変重要な取り組みでありますが、対象者について課題があると言われており、区として、さらなる対策を強化していくべきと考えます。

 B型肝炎は、ウイルスが血液や体液を介して感染することで発症します。感染が一過性ではなく、そのまま感染状態が続くキャリアになると、慢性肝炎に移行することがあり、さらに肝硬変や肝臓がんなど、命にかかわる病気を引き起こすおそれもあります。平成二十三年の厚生労働省の報告書の中に、感染者が一歳未満の場合九○%、一歳から四歳の場合は二五%から五○%、それ以上の年齢になると一%以下で持続感染状態、キャリアに移行するとの報告がなされており、一歳児以上の乳幼児においても接種の必要性があるのではないでしょうか。

 さらに、ワクチン接種は、所定の期間をあけて計三回受ける必要があります。今年度早く生まれた乳児ほど定期接種の期間が短くなるため、接種のタイミングがおくれると、一歳までに三回接種することが難しい場合も想定することができます。

 また、これまで日本では母子垂直感染に対する要望が中心でしたが、最近問題視されているのは、父子感染などの家庭内感染や保育園等での子供同士による水平感染です。これらは感染経路がわからない場合も多く、予防接種の重要性が指摘されております。

 そこで、第五点目にお伺いいたします。

 B型肝炎予防接種の定期接種対象外であるにもかかわらず、キャリア化のリスクが高い一歳児から三歳児に対しても任意接種の助成制度などにより対応していくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 次に、婚姻歴のないひとり親世帯に対する寡婦(寡夫)控除の適用についてお伺いいたします。

 寡婦(寡夫)控除は、税法上、配偶者と死別または離婚後ひとり親家庭となった場合に適用されますが、婚姻歴のないひとり親家庭に対しては適用されません。そのため、所得税や住民税の負担が重くなるだけではなく、所得税額や住民税額などをもとに行政サービスの利用者負担額が算定されるため、寡婦(寡夫)控除が受けられるひとり親よりも、同じサービスを受ける場合の利用者負担に大きな差が生じることになります。このような中、昨年十月、国は公営住宅法施行令の一部改正を行い、公営住宅に入居する際の収入算定上、婚姻歴のないひとり親世帯も寡婦(寡夫)控除の対象としました。税法等の改正が行われたわけではありませんが、一歩前進したと考えることができます。

 本年第二回区議会定例会では、婚姻歴のないひとり親世帯に寡婦(寡夫)控除の適用を求める意見書について全会派一致で可決し、税法上の取り扱いを改めるよう、国に対して意見書の提出を行ったところであります。したがって、区の対応として、婚姻歴のないひとり親家庭の経済的負担を軽減すべきと考えます。

 そこで、第六点目にお伺いいたします。

 保育所の保育料を初めとする子育て支援施策などの利用者負担額等の決定の基礎となる所得や、住民税の算定上、婚姻歴のないひとり親世帯に対しても寡婦(寡夫)控除のみなし適用を実施するべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 次に、築地市場移転問題についてお尋ねいたします。

 先日、十一月十九日に築地魚河岸がプレオープンいたしました。施設には多くのお客様などが足を運び、通路も歩けないほどのにぎわいとなりました。これまで築地魚河岸の整備については、築地市場移転に断固反対する会など、長い時間をかけ、地域の要望を踏まえながら、現実的に対応しなければならないという責任感のもと、多くの関係者による御努力の積み重ねがあって、場内移転後も築地の歴史と文化、活気とにぎわいの継承となる拠点を目指して取り組んできました。当初は十月十五日に開業予定でしたが、八月三十一日の移転延期の発表を受け、関係者との協議の結果、このたびのプレオープンとなりました。

 一方、プレオープンの前日の十一月十八日、小池都知事は、築地市場の移転時期の方針や環状二号線などについて定例記者会見を行いました。豊洲市場地下空間の安全性の検証では、来年の一月に地下水のモニタリング調査の最終結果が判明し、その後、専門家会議が四月をめどに報告書をまとめ、移転問題全体を検証する市場問題プロジェクトチームも五月ごろに報告書をまとめることとしております。その後、豊洲市場への移転については、現在地再整備の可能性も含めながらも、早ければ一年後の二○一七年の冬から二○一八年の春までに実施する方針を公表しました。これは、安全性が確認され、環境影響評価のやり直しを行わない場合のスケジュールを前提としております。環境影響評価がやり直しになれば、さらに一年後の二○一八年の冬から二○一九年の春になるようです。

 環状二号線については、当初の地下を通す計画を、物理的に間に合わないと判断しました。現実的に二つの案からなる地上の道路をつくることで対応し、一つ目は地下トンネルの脇を通る地上側道の先行開通、二つ目は市場の外縁部を迂回する暫定道路の整備を検討しているようです。しかし、片側一車線を予定しており、渋滞などが懸念されます。その上で、信号機の連動などソフト対策を行うとしておりますが、どのような効果があるのかイメージしづらい点もあります。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 今回の築地市場の移転時期の方針や環状二号線などの発表を受けて、区として、どのような影響があると考えておられるのか、御見解をお伺いいたします。

 第二点目にお伺いいたします。

 現在、築地魚河岸では、入居する業者の方々への支援を行っておりますが、今回の発表を受けて、今後どのように支援を検討して進めていこうと考えておられるのか、また、環状二号線の暫定開通などによる交通渋滞や交通不便地域の解消課題など、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、区の御見解をお伺いいたします。

 第三点目にお伺いいたします。

 土壌汚染問題や築地魚河岸の物流体制の充実など、将来にわたる支援、環状二号線の暫定開通に伴う交通渋滞や、BRTによる交通不便地域の解消など、東京都に関係する課題が多いことから、改めて全員協議会などを今後も開催し、東京都の方々との協議の場を設定していくべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

 最後に、読書活動の推進と本の森ちゅうおうについてお尋ねいたします。

 十月二十七日は文字・活字文化の日であり、十一月九日まで秋の読書週間が行われ、ことしで七十回目となりました。昨年の一般質問などにおいても取り上げさせていただいておりますが、二○一三年度文化庁の調査によりますと、一カ月に一冊も本を読まない人は四七・五%で、十年前に比べて一○%多い状況となっております。

 また、平成二十六年十二月十日放送のNHKクローズアップ現代では、「広がる“読書ゼロ”~日本人に何が~」と題して、読書離れなどを問題提起しておりました。番組の中では、本を読まなくなったことで学生にどんな変化が起きているのかを調査しておりました。実験に参加したのは、読書ゼロの四人と読書をする二人の合わせて六人の学生です。

 インターネットや図書館を自由に利用できる環境で英語の早期教育は必要かという課題を、一時間で一千五百字以内に意見をまとめるという内容でした。実験がスタートしますと、まず全員がインターネットに向かい、キーワードを入力し、検索を行います。検索結果をチェックし、開始から十二分後に、毎日読書を行うという一人の学生が席を立ち、図書館に向かいます。ネット記事の参考文献になっていた二冊の本を探し出し、さらに、偶然目にした二冊の本も手にとりました。一方で、インターネットを続ける読書ゼロの学生は、記事を読み込むことはありませんが、高い情報処理能力で小論文を完成させていきました。その結果、テーマの多様さが際立ち、考察も深まっていない状況でした。

 専門家は、情報を迅速に集める技量は上がっていますが、集め過ぎた情報に振り回されて、自分の意見の論理的展開は弱くなっていると分析していました。それに対して、図書館で本を借りてきた学生は、小論文のテーマをむしろ絞り、自分なりの意見を展開していきました。専門家は、すぐに出てくるネットの情報をどのように新たな話に展開していくのか、新たな知識を発見していくのか、読書の効用というものがあると指摘しておりました。

 昨年の一般質問でも一部御紹介させていただきましたが、脳科学者の茂木健一郎氏著作の「頭は「本の読み方」で磨かれる」の中で、次のように述べております。本を読むとどんないいことがあるのか。それは、読んだ本の数だけ、高いところから世界が見えるということに尽きます。読んだ本の数だけ、足の下に本が積み重なっていくイメージです。一冊一冊積み重なっていくからこそ、より広い世界、より深い世界が見えるようになる。さらに、どんなに時代が流れても、我々人間は絶対に言葉を使い続ける。そして、言葉は本で磨かなければ光らない。言葉は、僕たちの根本にあるものです。言葉は、人とつながる能力であると同時に、感情や状況を把握する能力でもある。そして、言葉の能力によって、物の感じ方、世界の見え方、世界に対する動き方、人との結びつき方というのは変わっていきますと、大変わかりやすく読書の重要性を示しておりました。

 現在、本区では、平成二十年三月に子ども読書活動推進計画を策定し、現在、第二次の計画として、着実に事業を展開しております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 第二次子ども読書活動推進計画の取り組み状況や主な成果、さらに課題についてお示しください。

 また、第三次計画をどのようにさらに充実させて策定していこうと考えておられるのか、御見解をお伺いいたします。

 次に、本の森ちゅうおう(仮称)整備計画についてお尋ねいたします。

 本年第三回区議会定例会では、補正予算が可決されました。その中の一つに、本の森ちゅうおう(仮称)整備計画見直しに伴う八丁堀駅周辺施設の再編があります。平成二十五年度に建築費の高騰などの影響により入札不調となり、これまで計画を延期してきました。そして、先般の補正予算では、施設内容や規模などについて見直しを行い、八丁堀駅周辺の桜川保育園等複合施設、八丁堀区民館も含めた再編の検討のアドバイザリー委託を実施し、最適な施設整備を進めるとのことでありました。

 そこで、これまでもさまざまな図書館等を視察してまいりましたが、さらに調査・研究を深めるため、二つの施設を視察させていただきました。

 まず、昨年開設したばかりの岐阜市にある複合施設、みんなの森ぎふメディアコスモスを訪問いたしました。同施設は、緑豊かな自然の中に整備され、開設後、約百五十万人が訪れ、子供たちの利用も多く、注目されております。中心となる市立中央図書館を初め、展示ギャラリーやホール、市民活動交流センター、多文化交流プラザなどで構成されています。特徴は、居心地のよい空間づくりにこだわった図書館フロアです。二階に上りますと、岐阜県産のヒノキ材を格子状に組んで張りめぐらした高い天井と、巨大なグローブが目に飛び込んできます。このグローブは、直径約十メートルの布製の電気傘で、それぞれ模様の異なるグローブの下には目的別のスペースを示し、壁もないため、開放的な空間です。また、一階には学校連携室が設置され、本の貸し出しだけではなく、読書指導などを行う専門のコーナーもありました。計画段階では、設計者が小学校に赴き、模型を見せながら特別授業を二回行い、子供たちの声を計画に生かしたとのことでした。

 次に、以前にも訪れておりますが、開設後の状況を調査・研究するため、武蔵野プレイスに改めて視察に行ってまいりました。同施設は、芝生のある公園に隣接し、図書館、生涯学習支援、市民活動支援、青少年活動支援の機能で構成される複合施設です。複合施設のポイントを伺ったところ、それぞれの部署が積み木型の機能とならないように、各部署の職員が一体感を持って取り組めるよう工夫し、定期的に施設内の課題や接遇だけではなく、国の動向や市の状況を把握するなど、さまざまな研修を心がけているとのことでした。このような活動が実り、当初予想していた来場者数を二倍近く上回り、年間約百五十万人の利用があり、ますます増加傾向とのことでありました。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本の森ちゅうおう(仮称)の計画が延期になっている間に、どのような調査・研究を行い検討してこられたのか、御見解をお伺いいたします。

 第三点目にお伺いいたします。

 これまで多くの図書館などを視察させていただき感じたことは、各事業を展開する職員の皆様の熱意や、柱となる図書館の魅力向上、いつまでもいたくなる、何度も訪れたいと思うような空間の創出、公園の併設による緑あふれる環境の整備などの検討が重要であると感じております。こうした点を踏まえ、今後、どのように本の森ちゅうおう(仮称)計画を進めていこうと考えておられるのか、御見解をお伺いいたします。

 また、未来を担う小学校、中学校の児童・生徒の声を伺い、計画に加えていくことも必要と考えますが、あわせてお考えをお聞かせください。

 図書館は、単に本を借りるだけの場所であったり、本が好きな人だけが行く場所というようなイメージを持っておられる方も少なくないと考えます。しかしながら、図書館にはレファレンスサービス、調べ物のお手伝いという柱となるサービスがありますが、周知が進んでいないのではないかと感じております。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 図書館のホームページや広報紙、さらに講演会などにおいて図書館のよさや活用方法について広く周知するとともに、レファレンスサービスの事例なども掲載していただき、区民にとって身近な図書館となるよう一層の充実に努めていくべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 以上で私の第一回目の質問を終わらせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、基本構想審議会の中間のまとめの評価などについてであります。

 これからの二十年を展望いたしますと、定住人口が二十万人を超える見込みの中、人口構造の変化や就労形態の多様化、共働き家庭の増加など、新たなライフスタイルへの対応が求められております。このような状況を踏まえた上で、中間のまとめでは、本区に集う全ての人々が快適な都心居住、都心での事業展開、本区の魅力を堪能できる環境を謳歌し、住む、働く、楽しむなどあらゆる面において、誰もが幸せを実感し、誇りを持てるまちを実現していく道筋が示されているものと受けとめております。また、五つの基本的な方向性では、未来の本区の特色が明確に打ち出されているものと考えております。特に、本区のポテンシャルを生かし、今後も町並みや文化、福祉、教育などさまざまな分野で、個性豊かで魅力あふれる取り組みを推進する決意が中央区スタイルという言葉で表現されております。さらに、これからは、地域の課題はみずから率先して考え、みずからの責任で解決し、快適な暮らしを実現していくことが重要となります。区民だけでなく、企業やNPOなどがともに力を合わせ、支え合う地域力こそがまちの発展の原動力になるものと考えております。将来にわたり、日本全体の人口が減少し、経済の縮小が懸念される中においても、本区は東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会とその先を見据えた晴海地区のまちづくりや都市観光の振興、子育て・高齢者施策の充実、築地地区を中心とする都市基盤や交通インフラの整備など、時代の先頭を走るフロントランナーとしての自覚を持ち、さまざまな難題に立ち向かっていく決意であります。今後、基本構想を具現化する新たな基本計画の策定におきましては、インバウンドへの対応や、先進的なスマートシティの推進など、世界一の都市東京の牽引役として、新たな価値の創造につながる施策を盛り込み、着実に取り組んでいく所存であります。

 次に、平和意識の普及啓発についてであります。

 本区は、昭和六十三年に世界の恒久平和を願い、平和都市宣言を行って以来、平和展や平和の都市の楽しい集いを開催するなど、幅広い世代に平和の大切さを訴えてまいりました。また、平和の鐘を初めとした平和のモニュメントを順次設置し、平和の広場にも、小学校の児童の皆さんが描いた原画をもとに、障害のある方々が制作したモザイク平板のモニュメントを設置したところであります。このようなモニュメントは多くの方が日常的に目にすることから、平和を身近に感じていただける機会となっていることと存じます。戦後七十年以上が経過し、戦争の悲惨さを語り継ぐ世代の方が少なくなっている中、次の世代に平和のとうとさ、大切さをしっかりと伝えていくことが何よりも重要なことと考えております。そのため、小・中学校での巡回平和展や戦争の記録や体験者の証言などを集めたバーチャルミュージアムをさらに充実してまいります。

 また、特に重要なのは、四年後のオリンピック・パラリンピックでありますね。前回、今から五十二年前のオリンピック・パラリンピック、これはもう戦後二十年足らずであのように復興したということで世界中の方々が驚いたわけでありますけれども、今回は別の面で本当に重要なオリンピック・パラリンピックになるというふうに確信しているところでございまして、七十年間も紛争や戦争とは切り離して平和を希求してきた。平和を希求してきたからこそ、このような平和国家日本ができ上がって、そして東京もこんなにすばらしいまちになっているわけでございまして、平和であれば、平和をみんなで希求すれば、こんなにも世の中というのはすばらしくなるんだ、このことを強く強くアピールしてまいりたいな、そういうふうに思うわけでございまして、特に、この七十年間、これは自分たちの国のためだけに行っているのではなくて、世界のためにいろいろと行っているわけでございまして、外務省の資料によりますと、今、国連に入っている加盟国百九十三カ国、その分担金、これは本当に重要ですね。総額二十五億ドルの分担金。アメリカが二二%でありますから、これは一位。二番が、何と日本ですね。日本が九・六八%、これは日本が支払っている。そして、中国が七・九二一%で三位、四位がドイツで六・三八九%、次がフランス、四・八五九%ということで、やはり国連は話し合いの場でありますから、本当に重要な役割を果たしてきている。そこへも日本は率先して、こんなにも分担金を払っている。ユネスコなんかには一番なんですね。一番払っているのがこの日本になっているということでありますし、このほかにも、いろいろな国の経済援助、経済支援を日本は行っている。この間もフィリピンへ行ったり、また、ミャンマーのアウンサンスーチー国家最高顧問がお見えになったときにもしっかりと経済援助をするということをお約束するなど、アジア、またアフリカ諸国へもさまざまな援助を行う。こういった、自国だけを考えているのではなくて、世界全体にいろいろ考えて行っている。そういう意味では、今後もあらゆる機会を捉えて平和意識の普及・啓発に努めてまいりたい、そういう思いでいっぱいであります。

 次に、安全安心都市宣言の制定についてであります。

 犯罪や災害、交通事故などのさまざまな危険から、かけがえのない命や生活を守るためには、区民や地域における自助・共助による取り組みを支援するとともに、区・警察・消防などの関係行政機関が一丸となって、誰もが安全・安心を実感できる地域社会を実現していくことが重要であります。区では、平成十六年十月に中央区安全で安心なまちづくりを推進する条例を制定いたしまして、区や区民、事業者、地域団体等における責務を明らかにするとともに、平成二十五年四月には区内四警察署と地域安全の推進に関する覚書を締結し、地域ぐるみの安全で安心なまちづくり活動を推進しております。御指摘の安全安心都市宣言の制定につきましては、既存条例の趣旨や地域社会の変化等も踏まえながら、広く区民や関係団体等の御意見を伺い、研究してまいりたいと存じます。

 次に、区民から信頼される行政及び接遇の向上についてであります。

 地域における課題を地域みずから率先して解決していくプロアクティブ・コミュニティを推進するためにも、信頼される区政の確立が大変重要であると認識しており、また、接遇の向上につきましては、区政の根幹にかかわる課題であり、職員が区民や来庁者の気持ちを真摯に受けとめながら、思いやりのある接遇を実践していくことが大切であります。本区では、平成二十年度に接遇マニュアルを作成し、職員や指定管理者などに配布するとともに、接遇研修を実施するなど、接遇の心構えやビジネスマナーの向上に取り組んでおります。今後も、より一層区民の信頼を得られるよう、さらなる接遇の向上に取り組んでまいります。

 次に、緑豊かな公園や水辺の環境をさらに創出することについてであります。

 区では、これまで隅田川スーパー堤防事業や再開発事業にあわせ、公園や緑地の創出を図ってまいりました。本年十一月には、隅田川を臨む湊公園を新規に開園し、新月島運河沿いにおいては、平成二十九年三月の供用開始に向け、勝どき五丁目親水公園の整備を進めるなど、公園・緑地の増加に努めているところであります。区では、緑に関する平成三十年度までの総合的な計画として中央区緑の基本計画を平成二十一年三月に策定し、それに基づき緑の拡充を図ってまいりました。さらに、土地利用の変化や東京二○二○大会の開催決定など、緑を取り巻く環境が大きく変化しつつあることから、緑の実態を改めて把握し、将来的な環境変化も視野に入れた中央区緑の基本計画の改定が必要であると考えております。そのため、今後、緑の実態調査を実施し、緑被率や壁面緑化の状況などを調査してまいります。その調査結果を踏まえ、区の基本計画と整合を図り、長期的な視点に立った公園・緑地の確保や水辺環境の整備・充実に向けた新たな中央区緑の基本計画を策定し、緑豊かで快適な都心環境の実現に向け、取り組んでまいります。

 次に、子育て世帯への安心の体制の強化についてであります。

 赤ちゃんが、今、どんどん生まれていると。昨年、一千九百八十一人生まれましたけれども、ことしは二千人を超して二千六十人にも上るのではないかということで、何とか待機児童を減らそうということですけれども、まだ四十人程度おられるということでありますから、そういった面でも子育て支援、しっかりやっていかなければならない、こういうふうに思うわけでございまして、区は子育て相談や各種健診事業のほか、プレママ、パパママ教室など、妊娠期からさまざまな支援を実施しております。その中で、妊娠期から出産、子育て期にわたる保護者のニーズは多様であることから、子育てに関するさまざまな悩みに対し、より円滑に対応できるよう、保健師等専門職が身近に相談に応じる窓口の充実が重要な課題であると認識しております。窓口の充実に向けては、面接・相談対応に当たる保健師等専門職員の体制強化が求められるため、国や都制度の活用を含めた方策を検討しております。今後とも、困り事があったときには身近な地域で相談でき、支援が必要な場合は適切なサポートを受けられ、保護者全てが孤立感や不安感を感じることなく子育てできる環境づくりを推進してまいります。

 次に、産後ケアについてであります。

 区では、昨年十一月から本年六月にかけ、区内妊産婦へのアンケートにより、産後ケア事業についてのニーズを確認しております。その後、先行実施区の事業内容の調査や、連携を想定している聖路加産科クリニックとの協議を重ねてまいりました。これらに基づき、家族等から産後の支援がなく、心身の不調、育児不安等が認められるといった対象者の条件や、アンケート結果及び他区の動向を鑑みた利用者負担額等について検討を進めております。今後も情報収集を行いながら、妊産婦の方が安心できる産後ケア事業の導入を目指してまいります。

 次に、保育所等の拡大についてであります。

 区では、子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育施設の整備や子育て支援事業の充実に取り組んでいるところであります。保育施設については、出生数や保育ニーズが急増する中で、定員拡大が追いついていない状況にあるため、保育事業者への開設支援に加えまして、水谷橋公園や勝どき六丁目の道路敷地を活用した保育施設の整備を初め、既存施設や区有地等の活用を図るほか、再開発の機会を捉えた場所の確保などを引き続き行ってまいります。また、あかちゃん天国や一時預かり保育事業については、今後のニーズの増加に対応するため、子育て支援対策本部を中心とする各部連携のもと、既存施設の有効活用や民間事業者との連携など、さまざまな方策を検討しながら、子育て支援事業の拡充に向けた取り組みを推進してまいります。

 次に、幼稚園や保育園の園庭開放についてであります。

 園庭開放は、子供が安心して遊べる機会をつくるとともに、保護者同士の交流や保育士への相談ができるなど、子育て支援に効果的な事業であると認識しております。しかしながら、区立幼稚園の園庭は、十三園中十二園が小学校の校庭と共用しており、平日は小学校の授業やプレディ、スポーツ団体等の利用があるため、園庭部分だけの開放は難しく、独自の園庭を持つ月島幼稚園についても、芝生の養生や施設管理上の課題があると考えております。また、区立保育園については、十六園中十一園が認可基準を満たす園庭を有しておりますが、現在、園庭のない私立保育園の増加に伴う連携利用を進めていることから、現時点での開放は難しいと考えます。区といたしましては、一年を通じて園行事に招待するなど、地域とのつながりを重ねる中で、子供との交流や子育て家庭への支援を引き続き行ってまいります。

 次に、B型肝炎ワクチンの定期接種対象者以外への助成制度についてであります。

 B型肝炎ワクチンについては、B型肝炎ウイルスのキャリア化の予防のため、本年十月から定期予防接種となりました。感染者が一歳以下の場合、キャリア化の割合が最も高いとされ、また、一歳未満で接種すると最もよく免疫がつくことが知られております。そのため、国は、定期接種の対象者を一歳未満と定める一方、一歳以上の子供への接種に関しては、小児期における水平感染のさらなる実態解明と評価が必要であるとし、今後の検討課題とするとしております。一歳以上の子供への任意接種助成につきましては、今後の国の研究や検討の動向を踏まえ、その必要性について検討してまいります。

 次に、婚姻歴のないひとり親世帯に対する寡婦(寡夫)控除のみなし適用についてであります。

 婚姻歴のないひとり親世帯に対し、寡婦(寡夫)控除の対象とすべきか否かについては、本来、国の税制改正によって抜本的に解決されるべき問題であると認識しております。しかし、国の対応が見通せない中、ひとり親世帯における子育ての状況には婚姻歴の有無による差はないことから、区としてできる支援策を検討してまいりました。先般、公営住宅法施行令の一部改正により、個別的な取り扱いが実施されたことを受け、区といたしましても、寡婦(寡夫)控除が適用されないことにより利用者の負担に差が生じる状況を是正し、婚姻歴のないひとり親世帯の子育てを支援するため、平成二十九年四月からの寡婦(寡夫)控除のみなし適用の実施に向け、対象事業のリストアップや手続の整備などを進めてまいります。

 次に、築地市場移転の方針や環状二号線など、区への影響についてであります。

 十一月十八日に小池都知事が築地市場の豊洲地区への移転に係る大枠の道筋を示されたことは、先が見通せないこれまでの状況から一歩前進することができたものと評価しております。しかしながら、安全性の確認など、移転に向けましては一つ一つの工程を着実に実施し、市場事業者はもとより、区民が納得できる安全宣言を発表するとともに、より明確なスケジュールを一刻も早く示していただきたいと思っております。環状二号線の本線はもとより、暫定道路の整備がおくれることにつきましては、東京二○二○大会に向けた選手村整備工事が本格化していく中で、晴海通りを初めとする周辺道路における渋滞の発生等、区民生活に直接影響する重要な課題であると認識しております。また、これらを回避するための暫定道路のあり方につきましても多くの課題があることから、都と十二分に協議していく必要があるものと考えております。

 次に、築地魚河岸の支援についてであります。

 築地魚河岸は、築地市場の移転延期に伴い、豊洲移転後も築地のにぎわいを守るという当初のコンセプトにそごは生じるものの、移転日のめどが立たないことから、十一月十九日にプレオープンしました。当日は大変多くの買い物客でにぎわったものの、その多くは一般客や観光客であったことも事実です。入居者からは、移転問題が長引くと一般客向けの店というイメージが定着するおそれがあるが、一般客への細かな対応など、特色を打ち出しながら、食のプロに支持され、選ばれる魚河岸になる必要があるとの声を聞いております。こうした状況を踏まえ、共同配送サービスの構築、目ききにより選ばれた食材を活用した屋上広場でのイベント実施や取り扱い品目などの情報発信等を、今後取り組むべき方策として検討してまいります。本区といたしましては、買い物客のニーズを把握しつつ、入居者の方々とも意見交換を重ねた上で、当初のコンセプトが発揮できる施設となるよう取り組んでまいります。

 次に、環状二号線の課題に対する取り組みについてであります。

 このたび、豊洲市場への移転時期の見通しが示され、暫定道路の開通も先送りされました。そこで、区としては、来年一月に着工する選手村の整備工事において工事車両等の流入を抑制するため、地域の意向を踏まえ、流入経路の調整や水上交通を活用した工事用資機材の運搬を東京都に対し積極的に働きかけてまいります。

 次に、交通不便地域の解消についてであります。

 月島地域は、交通不便地域がある上、大規模開発等に伴う人口が大幅にふえており、交通問題が深刻化しております。区としては、環状二号線の整備のおくれから、BRTの導入も先行きが見通しにくい状況になっておりますが、BRTが早期導入されるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。また、江戸バスのルートの検討やコミュニティサイクルポートの増設を図るとともに、都バスの新規路線の導入やダイヤの増便について交通局に強く要請してまいります。

 次に、東京都との協議についてであります。

 市場移転に係る一連の事業につきましては、今後、都は信頼回復に向けて、さまざまな部局が責任を持って十分な説明や正確な情報公開など、真摯に対応していくべきものと考えております。全員協議会など都との協議の場につきましては、移転に向け、今後、都から発表される市場関係者の皆様への対応や豊洲市場の調査結果の内容等を踏まえ、必要に応じて速やかに実施されるよう要請してまいりたいと考えております。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えします。

 初めに、中央区子ども読書活動推進計画についてであります。

 第二次子ども読書活動推進計画は、子供たちが健やかに成長し、知性を深め、感性を高める読書活動を推進することを目的に、現在、三十四の計画事業全てに着手しております。新たに取り組んだおすすめ絵本リストの作成・配布やボランティアによるお話し会などでは、毎回、多くの子供たちが楽しそうに参加しており、保護者からは大変好評をいただいております。これらの事業を含め、計画はおおむね順調に成果を上げているものと考えております。しかしながら、一方で、出前お話し会や子供向けお話し会を希望する保育園・幼稚園が少ないなどの問題点も見受けられました。また、東京都の調査では、子供の読書離れが指摘されており、幼少期から本に親しみ触れ合える読書環境をつくることが、今後も引き続き大きな課題であると認識しております。したがいまして、教育委員会といたしましては、第三次計画の策定に当たり、これまでの計画事業を着実に進展させていくとともに、就学前の子供たちへの読み聞かせの拡充を図り、家庭での読書がさらに進むよう、さまざまな機会を捉え意識啓発に努めてまいります。あわせて、幼稚園、小・中学校等へ図書館職員を積極的に派遣し、読書の楽しさや大切さを伝えるなど、次代を担う子供たちの読書活動推進に取り組んでまいります。

 次に、本の森ちゅうおうの整備計画についてであります。

 教育委員会では、計画の延期以降、移転に向けて改めて蔵書の精査を行い、錦絵等の画像資料はデジタル化を図り、戦前の図書など貴重な書籍については適切な保存・管理に努めているところであります。また、ICタグの導入により図書館システムを更新することで、利用者サービスの向上にも努めているところであり、こうした成果は新しい図書館運営にも生かせるものと考えております。今後の本の森ちゅうおうの整備に当たっては、これまでの検討を踏まえ、情報発信機能の充実や子供の読書環境の整備、歴史と文化を身近に感じられる場の創出などのさまざまな視点や、小・中学生を初め、幅広い区民からの意見などを取り入れながら計画づくりを進めてまいります。また、桜川公園に隣接するこの図書館においては、緑を取り入れた快適な読書環境の整備に努め、各機能が有機的につながり一体感のある、区民にとって魅力ある図書館を目指してまいります。

 次に、レファレンスサービスの事例紹介など、図書館の活用方法の周知拡大についてであります。

 図書館でのレファレンスサービスは、利用者の相談に応じながら、求める図書や情報を紹介するもので、重要なサービスであると認識しております。一般図書については、医療や芸術、ビジネス関係といった高度な知識が要求される調べ物が増加しており、複数の司書が協力し、迅速に対応しております。また、地域資料室では、歴史研究などに的確な資料提供や他の図書館への照会を行い、児童室では読み聞かせの絵本を選ぶお手伝いをするなど、それぞれ丁寧な対応により、利用者から喜ばれております。こうしたレファレンスサービスを広く活用していくことは、区民の知的好奇心を満たし、図書館利用促進のために有効な取り組みであります。教育委員会といたしましては、レファレンスサービス対応事例の掲載について検討を行うとともに、職員の専門性の向上を図り、図書館機能のさらなる充実に努め、その魅力を広く周知していくことで、今後も引き続き区民に利用され、親しまれる図書館づくりに努めてまいります。

 答弁は以上です。

〔二十八番 田中広一議員登壇〕

○二十八番(田中広一議員)
 それぞれの質問項目に対しまして、御答弁ありがとうございました。

 今回、質問を作成するに当たりまして改めて考えたことは、確かに、まちを見ていますと、新しいマンション、新しいオフィスが建って、どんどん目に見えて変化がわかるのですが、また一方で、目に見えないところで、いろいろ生活の中で支え合ったり助け合ったり、また、人とのかかわりが今まで以上に保たれない、そういった状況があります。日ごろの区民の皆様からの御相談を伺っていても、そういったことを背景にした上での御相談なのかなということも感じているところでございます。そういった点を踏まえながら、今回は大きく四つの項目にわたりまして質問をさせていただいたところでございます。

 まず、中央区の将来像ということで基本構想審議会の評価などを伺ったわけでありますが、今、まだパブリックコメントを行っているところでありますので、まだこれからでありますけれども、先ほど御答弁ありましたとおり、しっかり行っていただきたいとともに、区長さんの御答弁で地域力こそがまちの発展の原動力になるというお話があったとおり、やはりそういうところにしっかり目を向けた意味で、この基本構想をしっかりまとめていかなければいけないのかなと思っておりますので、そうした要素を持ちながら進めていただきたいと思います。

 それから、いろいろ感じている中で、あえて平和という視点あるいは安全・安心、また、中心となる区役所がしっかり信頼されるべきだと。また、公園ということで四つ取り上げさせていただいたわけでございます。特に、平和ということについては、なかなか大きな話でありますので、今取り組んでいらっしゃることは継続していくべきだと思うんですが、先日、学校の周年行事に伺ったときに、御挨拶の中で、私の捉え方が少し異なっているかもしれないんですが、やはり自分の学校あるいは地域、そういった身近なところを大切にすることが、実は世界につながっていくような趣旨のお話があったと思います。そういった意味で、やはり本当に身近な、御家族であったり、地域であったり、学校であったり、そういったことを大切にすることが、実は平和につながっていくのかなとも感じておりますので、ぜひそうした身近な取り組みを含めて、多くの方がかかわれるような平和の意識普及・啓発を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、安全・安心ということで、条例がありますということなんですけれども、これも地域の方のお話を伺っていると、安全・安心ということに対する御意見とか要望は大変多いなというふうに感じております。これもやはり、これまで先輩方が地域のコミュニティを大切にしてきたがゆえに、安全であったり、安心であったんだろうと私は理解しておりますけれども、今、人口がふえて、また、交流人口もふえておりますので、改めてそういったことの総合力を発揮するためにも、宣言等を行いながら進めていただきたいという思いで質問させていただきましたので、広く声を伺いながら検討していただければありがたいと思います。

 それから、信頼されるという視点でありますけれども、やはり区民の皆様にとって、区からの一言というのは重いなというふうに感じております。電話一つとっても、そのやりとり一つだけでも、やはり重いんです。ですので、接遇の向上、今回も取り上げましたけれども、型にはまった丁寧な言葉というよりも、当然できること、できないことはありますけれども、それでも思いに少しでも寄り添いながら、電話一つでも、当然窓口も対応していただく。その小さな積み重ねが、やはり信頼につながりますますよくなっていくのかなと私は思っておりますので、今、こうして次の将来像を描いている中で改めて取り上げさせていただいた次第でございますので、よろしくお願いします。

 細かい事例なんですけれども、以前、私は区民の方と待ち合わせをするのに、一階のエントランスで立っていたことがありまして、ある方が来られて、多分職員と間違えたんだと思うんですけれども、どこどこにこういう相談で行きたいんですと問いかけられたんです。私も即答できなくて、まごころステーションに御案内して、納得して行かれたんですけれども、行かれて、くるっと振り返って、少し気持ちをこちらに傾けてくださったことがありました。そういった意味で、やはり区役所に来て何かそういう対応があるだけでも、区民の方というのはほっとされるのかなと思いますので、ぜひ丁寧な対応をよろしくお願いいたします。

 それから、公園という視点でございますが、これまでも何度も申し上げております。公園の重要性は、防災ですとか、憩いの場、健康とか、さまざまな点でこれまでも取り上げてきましたけれども、先日、ある人気のあるテレビ番組がありまして、そこに民間企業が発表している住みたいまちランキングを取り上げていたんです。その中で、どういった魅力があるのかということを調査して取り上げていたんですが、やはり多くは、憩いの場があるとか、公園があるということが評価の対象になっていたと思います。その中で、最近、順位を上げているのが池袋のようでして、池袋は、最近、新しい公園を整備して、芝生広場が大変広く確保されているんです。そのテレビ番組でも、その芝生広場、公園が一つの自慢だというようなお話もあって、今まで雑然としていたイメージが、その公園の整備で大きく変わったというお話がありました。そのほかにも、近くの百貨店の屋上も食と緑の空中庭園があるということで紹介されていましたけれども、やはりそういったことが区民の方には喜んでいただけるのかなと思いますので、ぜひ引き続き御検討をお願いいたします。

 次に、子育て支援についてであります。

 これも、今、中央区が一番抱えている重要課題の一つでありまして、これは本当にしっかり取り組んでいただいていると思いますが、しかしながら、さまざまな課題もありますので、やはり何か新しい事業を行うには、例えば事業者さんと一緒になって、しっかりと地域への丁寧な説明もしていかなければなりませんし、いろいろなところに配慮していかなければならないところまで来たのかなと思っております。いずれにしても、しっかり取り組んでいただけると思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 また、産後ケアについては、当然検討していただいておりますけれども、他区の状況を見ても、一つの施設だけではなくて近隣の他区の施設も上手に活用しながら、多くの方が利用しやすい環境を整えておりますので、ぜひしっかりと区民の皆さんにお応えできる内容にしていただければと思います。

 それから、築地市場の移転問題ということで、御答弁の中でも今の現状をしっかりいただきましたので、いただいたとおり本当に進めていただきたいと思います。築地魚河岸あるいは環状二号線の交通の問題は、本当に区にとっては大きな課題でありますので、しっかりと取り組んでいかないといけませんし、また、私も一個人としてもしっかり進めていかなければいけない、現場の声もしっかり受けとめていかなければいけないと思っております。

 先日もテレビで築地魚河岸の関係者の方がインタビューされておりましたけれども、質問する側は、大変でしょうと言うんですが、インタビューを受けた方は、いや、とにかく前向きに頑張っていくしかないんですというような趣旨のことを伝えておりました。そうやって、いろいろな方が協力し合っての築地魚河岸だと思いますので、ぜひ支援あるいは今後の、特にプロに向けた取り組みもしていかなければなりませんし、これからも対応のほど、よろしくお願いいたします。

 最後に、読書活動の推進の本の森ちゅうおうということで、これも御答弁いただきましたので、ぜひそのとおり進めていただければというふうに思います。特に、読書については、学年が上がるにつれて、受験あるいは部活動が忙しくなってきますので、最初の段階でどうできるのか、やはり読み聞かせの段階が重要だと思っております。アンケートをとっても、多くの方が読み聞かせが大事だという回答していまますので、次の第三次の策定ではぜひしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、本の森ちゅうおうについては、本当にいろいろ視察してきたんですけれども、武蔵野プレイスに伺ったときに、開設してから五年がたったんですが、当時小学生だった方が今は高校生になって、細かいことは聞かなかったんですが、どこか少し離れたところに住んでいて、帰省してこっちに帰ってきたようなんです。武蔵野プレイスに遊びに来たという話を伺って、やはり多くの方に愛される、また、何度も訪れたい、ここにいたくなるようなスペース、また、そういった施設のコンセプトをしっかり検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上要望いたしまして、私の質問を終わります。大変にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時二十四分 休憩


     午後三時四十五分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。九番加藤博司議員。

〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 日本共産党の加藤博司です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問は留保します。

 最初に、安倍政権が進める自衛隊の海外派兵についてです。

 人の命にかかわる決定が、余りにも楽観的な認識でなされている。十一月十五日、南スーダンPKO、国連平和維持活動での駆けつけ警護などを含む新たな実施計画を閣議決定した安倍政権に対して、自衛隊の元幹部の怒りの声です。隊員の安全性を無視し、安保法制ありきの見切り発車です。

 十一月十九日、陸上自衛隊第九師団第五普通科連隊を基幹とする次期派遣部隊、第十一次隊の要員約三百五十人の壮行式が青森駐屯地で開かれました。二十日、第一陣となる約百三十人が出発しました。安保法制、いわゆる戦争法に基づく新任務、駆けつけ警護と宿営地共同防衛が付与され、任務遂行のための武器使用が可能になり、安保法制に基づく初めての海外派遣です。

 派遣される南スーダンの状況は、反政府勢力が武装蜂起しかねない内戦状態。首都ジュバでも、今後何が起きるか想像できないと、南スーダンの民族調査を続ける日本学術振興会特別研究員の飛内悠子氏は語っております。事実上の内戦状態にある南スーダンで、不測の武装襲撃に際し、緊急の要請を受けた場合、自衛隊が駆けつけて反撃することは、まさに自衛隊が殺し殺される状況に入り込むことです。自衛隊が南スーダンで人を殺し、戦死者、負傷者を出す事態に至れば、憲法九条にこれまでとは次元の異なる大きな傷がつけられることになります。

 そもそも、自衛隊は今もなお通常の軍隊ではなく、海外での武力行使は憲法違反という制限のもとにあります。憲法九条二項の戦力不保持規定は生きております。今、日本国憲法と自衛隊、そして日本国民は重大な歴史的岐路に立っています。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、自衛隊が駆けつけて反撃することは、まさに自衛隊が殺し殺される状況に入り込むことになると考えますが、いかがですか。お答えください。

 第二に、駆けつけ警護による海外での武力行使は、憲法九条のもと、民生支援によって培ってきた日本への信頼を損なうものです。日本が行うべきことは、非軍事かつ日本の独自性を生かした和平に向けた平和貢献をすべきと考えますが、いかがですか。

 第三に、区長は安保法制について、国際社会の一員として、憲法の平和主義の理念を堅持しつつ、世界の平和と安定を目指して、より一層平和的な外交努力を重ねていくことが重要と答えております。安保法制のもと、駆けつけ警護は、区長が言う平和的外交努力に反すると考えますが、いかがですか。

 第四に、憲法違反の安保法制は即刻廃止すべきです。いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、核兵器禁止条約についてです。

 ことし十月二十七日、国連総会の第一委員会は、核兵器禁止条約の締結交渉を来年開始する決議案を、賛成百二十三カ国という圧倒的多数で採択しました。これによって、核兵器を禁止し、その全面廃絶につながるような法的拘束力のある文書の交渉が、市民社会の参加も得て、二○一七年三月と六月から七月にかけて国連で開催されることが確実になりました。

 核兵器禁止条約に仮に最初は核保有国が参加しなかったとしても、国連加盟国の多数が参加して条約が締結されれば、核兵器は人類史上初めて違法化されることになります。あらゆる兵器の中で最も残虐なこの兵器に悪の烙印を押すことになり、核保有国は、法的拘束を受けなくても、政治的・道義的拘束を受け、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入ることになります。

 世界的に高まる核廃絶の声に反し、日本政府は、これまで核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連総会の決議には棄権を続けてきましたが、今回の歴史的決議に際しては、アメリカの恫喝に屈して、さらに後退し、反対の立場をとりました。唯一の被爆国の政府にあるまじき、日本国民の意思を踏みにじる態度ではないでしょうか。

 そこで、区長に質問します。

 唯一の被爆国、日本の政府が決議案に反対したことに、区長の見解をお答えください。

 第二に、決議により、核兵器の違法化へ踏み出すことは極めて大きな意義があると思いますが、見解をお答えください。

 第三に、今、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名、ヒバクシャ国際署名が、全世界で数億を目標に取り組まれています。ことし十一月七日、八日と、千葉県佐倉市で開かれた平和首長会議の第六回国内加盟都市会議総会で、ヒバクシャ国際署名に対し、平和首長会議として賛同、協力する総括文書を採択しました。平和首長会議に参加している中央区長として、ヒバクシャ国際署名に積極的に取り組むべきと考えます。お答えください。

 次は、豊洲市場の土壌汚染と築地市場での再整備についてです。

 小池都知事は、十一月十八日の定例記者会見で、築地市場の豊洲への移転について、来年夏ごろに判断すると表明しました。都知事は、来年一月に判明する九回目の地下水モニタリングの結果を受け、四月から五月の専門家会議と市場問題プロジェクトチームの各報告、環境影響評価の審議を経た上で総合的な判断を下すとしています。また、移転が白紙撤回になる可能性についての記者の質問には、移転が確実ということはまだ言えないと述べております。

 豊洲市場では、青果棟施設の地下水から環境基準を超える濃度のヒ素とベンゼンが検出されたほか、施設の地下空間の空気からも国指針の七倍の水銀が測定されています。十一月四日の全員協議会では、都は地下水管理システムによって水位はだんだんと下がってきていると説明しましたが、盛り土以下にコントロールされるはずの地下水位が、依然として全観測点で目標の海抜一・八メートルを上回って盛り土に侵入していることが明らかになっています。都議会では、システムの稼働前の八月から九月の一カ月間にわたり、外溝工事を理由に地下水の排出をとめていたこと、システムの排出能力が日量六百トンなのに、ほとんど二百トン程度しか排出できていないことなどが明らかになり、盛り土が再汚染されている可能性が指摘されています。汚染地下水の上昇を抑えて盛り土の再汚染と有害物質の揮発を防ぐことは、盛り土の実施と並び、豊洲市場の汚染土壌対策の重要な柱です。そのどちらも機能していないことが明らかです。

 私たち日本共産党は、二○○一年、当時の石原都知事が豊洲への移転を公表して以来、汚染された場所に市場を移転させるべきでないと一貫して反対の立場をとってきました。十五年たっても、いまだに解決しないのは、市場関係者や消費者の土壌や地下水の汚染への不安に対して全く聞く耳持たず、移転を強引に進めてきた結果です。都の責任は重大です。安全性が担保されない豊洲への移転は中止し、築地で整備を行うべきです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、豊洲市場は、依然として深刻な土壌汚染が解消されていません。土壌汚染対策の地下水管理システムが機能しておらず、盛り土の再汚染が指摘されています。この現実をどのように認識していますか。お答えください。

 第二に、食の安全・安心が担保されない築地市場の豊洲への移転は中止することを都に求めるべきと考えますが、いかがですか。お答えください。

 次は、給付型奨学金制度についてです。

 日本は、世界的に見て大学の学費が高額でありながら、給付制奨学金がない特異な国となっています。学生の二人に一人が、卒業時に奨学金返済のため平均三百万円もの借金を背負い、社会人として出発しなければならない深刻な事態です。経済協力開発機構、OECD諸国では、アメリカは三五%、フランスでも三五%、学費無償のドイツでは二七%の学生が給付制奨学金を受けています。

 大学生などの教育費負担を軽減するため、返済不要の給付型奨学金を求める世論に押され、ようやく安倍首相は、給付型奨学金を来年度予算編成で実現すると表明しました。高校については、国公・私立を問わず、年収九百十万円以下の世帯は国の就学支援金が支給され、国公立高校生は授業料が無償になります。しかし、授業料以外の教育費に対する給付は不十分です。

 東京都では、私立学校授業料負担軽減補助、貸与制の育英資金がありますが、小池都知事は、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことがあってはならないとし、都立高校や私立高校の実情に応じた都独自の給付型奨学金について、今後速やかに検討を進めると、十月四日の都議会本会議で述べています。

 足立区では、百万円まで償還を免除する償還免除型の奨学金制度を二○一七年度から実施します。一回の募集で高校生、大学生各五名が対象。成績評価などの条件がありますが、事実上の給付型奨学金です。荒川区においても、奨学金の検討を進めていくとしています。

 中央区では、二○一五年、授業料などの修学資金として、女性福祉貸付資金の利用は二件で百十五万円、東京都が行っている母子及び父子福祉資金貸付の利用では、授業料などの修学資金として五十二件、三千四百六十万円、入学のための就学支度金として十四件、約五百三十万円が利用されています。いずれも、返済しなくてはならない貸付金制度です。中学を卒業し、高校や大学、専門学校への進学の際、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことのないよう、中央区でも給付型奨学金制度が必要だと考えます。

 そこで、質問します。

 中央区でも、高校生、大学生、専門学校生に対して返済不要の給付型奨学金制度創設を検討すべきです。いかがですか。お答えください。

 次は、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険制度についてです。

 最初に、介護保険について質問します。

 介護保険が導入され、十五年がたちました。要介護の認定者が六百万人、利用者が五百万人を超え、介護給付は当然拡大してきています。国は、給付増に対応するため、介護保険の利用の切り下げを進めています。二○一五年度から、特別養護老人ホームの入居条件が要介護三以上に引き上げられ、年収による利用料の二割自己負担が始まりました。また、施設入所やショートステイの家賃と食事代の非課税世帯に対する減額を受ける際、預金・貯金の残高、株券や国債、タンス預金まで届け出が必要になりました。要支援一と二の人の八五%が利用しているデイサービスやホームヘルプサービスが介護保険から区市町村による総合事業に変わり、利用回数や時間や内容の切り下げが始まっています。

 介護保険は、利用者負担自体が応益負担です。より介護度が高く、多くの困難を抱える人ほど負担が重くなる不合理な制度です。応益負担の増大で介護を受けにくくなれば、重度化、重症化を招くことになります。必要なサービスを必要な量、利用できるようにすることこそ、要支援・要介護状態からの自立、重度化の予防が促進されると考えます。

 そこで、質問です。

 第一に、政府は、要支援の予防給付外しに続いて、要介護一・二の生活援助を保険給付から外し、利用料の自己負担を大幅にふやそうとしています。軽度のうちに支援・介護を行って重度化を防ぐ介護予防は、介護の基本です。軽い人の負担をふやすというのは、こうした理念を否定するものと考えますが、いかがですか。

 また、負担割合を引き上げることによる利用控えなどの影響をどのように考えていますか。それぞれお答えください。

 第二に、訪問介護の生活援助は、掃除や買い物、調理、洗濯などの家事を行い、在宅介護を支えています。定期的に訪問介護員が自宅に入り、利用者とかかわる中で、好みや買い物の内容の変化に気づいて認知症の進行を把握し、必要な介護サービスにつなげています。これは、専門職だからこそできるものだと考えますが、いかがですか。

 第三に、中央区での総合事業への移行の現状は、介護事業者以外からの生活支援サービスへの新規参入は今のところなく、また、シルバー人材センターによる生活支援サービスの利用者は、現在のところ一名のみと聞いております。訪問介護や通所介護サービスを住民ボランティアなどに置きかえる構想そのものが破綻していると考えますが、いかがですか。お答えください。

 次は、国民健康保険についてです。

 生活困窮と雇用破壊、連続する社会保障改悪、医療費の負担増のもとで、区民の暮らしは悪化の一途をたどっています。とりわけ、毎年のように繰り返される国民健康保険料の引き上げは、年金生活の高齢者や非正規労働者、経営困難に直面する中小零細自営業者などの生活を圧迫し、診療抑制による健康破壊を深刻なものとさせており、その解決は喫緊の課題となっています。

 この大きな原因は、国保財源の国庫補助を大幅に削減したことです。中央区では、国民健康保険会計の歳入に占める国庫支出金の割合は、一九八四年の四四・二一%から、二○一五年には一九・○四%へと大幅に激減しています。加入者の負担が増加し、高過ぎる保険料のため、滞納世帯が増加し、それに伴い、短期保険証、資格保険証が増加してきています。二○一五年度、中央区の国保料の滞納世帯は、加入世帯の二二・九六%に上っています。加えて、国は、二○一八年度から国保の都道府県化を行い、徹底した給付抑制と徴収強化に追い込む道を地方自治体に押しつけようとしています。

 家族数が多くなれば国保料が高額になる、家族一人一人に係る均等割が多子世帯を苦しめていることも問題です。各区が少子化対策を取り組んでいる中で、国保は保険料が子供の人数に比例して重くなる制度であり、多子世帯は均等割が重く、少子化対策に逆行すると問題になっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、高過ぎる保険料の負担を軽減するため、一般会計を投入するなど、さらなる財政支援を抜本的に強めることを求めます。いかがですか。

 第二に、徹底した給付抑制と徴収強化を地方自治体に押しつける国民健康保険制度の都道府県化は中止、撤回するよう国に求めるべきです。いかがですか。

 第三に、多子世帯の保険料軽減のため、区独自に子供の均等割の軽減措置を実施すべきです。それぞれお答えください。

 次は、後期高齢者医療保険についてです。

 二○○八年から実施された後期高齢者医療制度は、制度スタートから八年がたちました。保険料は、政令本則で、均等割の二割、五割、七割軽減を行っていますが、国の特例措置で、さらに均等割の八・五割軽減や九割軽減が行われています。また、収入による所得割についても、年金百五十三万から二百十一万円以下は五割軽減を行っています。加えて、後期高齢者になるまで被用者保険などの被扶養者だった人も九割軽減されています。国は、二○一七年度からこの特例措置を廃止し、政令本則に戻すことを計画しています。特例措置が廃止されたら、現在の保険料が二倍から、多い人で十倍にも負担がふえる大改悪です。

 中央区では、特例措置が廃止されると、加入者一万九百六十八人(二○一六年三月末現在)のうち、約半数の五千二百四十一人が保険料の負担増になります。所得の少ない方が、さらに苦しい生活を余儀なくされかねません。現在でも、滞納者四百二十四人、短期証発行数も二十四件という現状がさらに増加すると考えます。

 国は、二○一四年度以降、七十歳から七十四歳の患者の一割負担を、新規該当者から順次二割負担に引き上げ、二○一八年度には一割負担の人はなくなります。さらに、七十五歳以上の窓口負担も、現在の一割負担を原則二割負担へと、負担増を押しつけようとしています。医療費の自己負担上限額を定めている高額療養費についても、現役世代と同水準に引き上げる考えです。後期高齢者の年金収入の現状は、平均で百二十七万円、そのうち基礎年金満額の八十万円以下の人が四割を占めています。保険料負担増、窓口負担増のダブルパンチです。病気になりやすい高齢者が受診を我慢し、重症化する危険を招くことは、高齢者の健康を守るための後期高齢者医療制度であるという国の主張とも相入れないものです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、加入者の半数以上が負担増になる特例措置廃止の中止と、自己負担上限額の引き上げや二割窓口負担の中止を国に求めるべきです。いかがですか。

 第二に、高齢者を年齢で区切って別建ての医療制度に追い込むことは、許すことはできません。後期高齢者医療制度は廃止して、老人保健制度に戻し、差別医療をなくすべきと考えます。それぞれお答えください。

 次に、勝どき・豊海地区まちづくりについて質問します。

 二○一六年九月に、勝どき・豊海地区まちづくりガイドラインがまとめられました。素案を勝どき・豊海地区まちづくり協議会などで説明し、パブリックコメントを経て作成し、公表されました。ガイドラインでは、まちの特徴を、都市エリアでの国際ビジネス拠点などの整備が進んでいるので、都心エリアとの近接性を前提とした開発の検討が見込まれるとしています。勝どき・豊海地区の周辺では、築地市場の豊洲移転による跡地利用、選手村の跡地開発など、大規模な開発が計画されていることを挙げています。国や東京都の上位計画を錦の御旗に、民間開発業者と一体となって開発を誘導することは問題です。

 現在、勝どき・豊海地区では、勝どき五丁目の勝どきタワーが竣工し、十二月中旬から入居が開始されます。今後、勝どき二・四丁目を中心とする東地区再開発、勝どき駅前南地区、勝どき五丁目七番・八番を中心とする再開発、豊海地区の再開発と、計画、検討、準備が進められています。周辺では、晴海五丁目の選手村がいよいよ工事が始まりました。晴海二丁目では、三棟目の超高層住宅が建築中です。集中的に超高層住宅を中心とするまちづくりは、人口の急激な増加を招き、保育園や高齢者施設不足など、区民サービスの低下が危惧されます。

 勝どき・豊海まちづくりガイドラインに示された交通基盤の整備についても、勝どき・豊海地区を中心に据え、その周辺との交通の整備について必要な位置づけをするべきと考えます。周辺地域との交通アクセスの検討とあわせて、地域住民の暮らしと環境、利便性をどう改善していくかに主眼が置かれるべきです。地区内の人口や働く人の増加により、歩道は歩行者であふれ、自転車や自動車利用者の増加が地域の交通や環境を悪化させることは必至です。さらに、災害時、まちにあふれる多くの帰宅困難者への支援が必要になります。

 そこで、質問します。

 第一に、まちづくりに関しては、地域住民の意見を最大限聞きながら進めることが大事です。ガイドライン策定は、地域住民を対象にした説明会など丁寧な取り組みや、広く区民の声を反映したものにすべきだったと考えます。お答えください。

 第二に、ガイドライン(素案)へのパブリックコメントは、二件しかありませんでした。パブリックコメントは、対象地域に在住・在勤者に限定されています。まちづくりは、その地域の在住・在勤者だけでなく、広く区民などに意見を聞くことが必要と考えますが、いかがですか。

 第三に、地区内の人口や働く人の増加による交通環境の悪化をどのように改善していくのか、お答えください。

 第四に、来街者や居住人口増加によって、ガイドラインに示された災害時の帰宅困難者の一時待機場所、施設の整備、防災備蓄スペースでは不十分だと考えます。さらに拡充を求めます。いかがですか。

 第五に、急激な人口増を招く再開発計画の見直しが必要だと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 以上、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の質問に順次お答えいたします。

 初めに、自衛隊の海外派遣についてであります。

 政府は、今月十五日の閣議で、陸上自衛隊の派遣部隊に安全保障関連法案に基づく新たな任務として、駆けつけ警護を付与することを決定いたしました。しかし、南スーダンの治安状況からリスクも想定されるとして、さまざまな国内世論があることにつきましては、承知いたしております。政府の考え方では、我が国派遣の自衛隊は、道路や避難民向けの施設などを整備する施設部隊で、治安維持は任務ではないことを前提としており、首相は、有意義な活動が困難と判断する場合は撤収をちゅうちょすることはないと述べております。駆けつけ警護をできることとした安保法制について、国は、憲法第九条の合理的な解釈の範囲内であり、立憲主義に反するものではないとしていることから、今後も国際社会の安定に寄与するよう運用されるものと認識しております。世界平和は、国際社会が一丸となって取り組むことによって実現するものであります。国は、各国と良好な関係を築くため、引き続き外交努力を重ねていくことが重要であると存じます。

 次に、核兵器禁止条約についてであります。

 国連総会第一委員会で、去る十月二十七日、核兵器を法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉開始を明記した決議案が賛成多数により採択されました。しかし、本決議案について、国は、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識に基づき、核兵器国と非核兵器国の協力による具体的・実践的措置を積み重ねていくことが不可欠であるという基本的立場と異なっていると判断したことから、反対票を投じたとされております。今後は、国において、国民に対し、決議に反対した理由や、これからの核兵器廃絶に向けた取り組みについて説明を尽くすことが必要であると存じます。平和首長会議がヒバクシャ署名に賛同・協力することとしたことは承知しております。本区といたしましては、これからも憲法の平和主義の理念を区政の根幹に据え、あらゆる施策を通じまして戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴えてまいります。

 次に、豊洲市場の土壌汚染の現状認識と移転中止についてであります。

 食の安全・安心は、当然ながら、市場移転の大前提であり、土壌汚染など豊洲市場の移転に関連したさまざまな課題につきましては、市場開設者である都の責任で適切に対応すべきものと考えております。移転中止に関しましては、現在進められている都の調査結果や審議内容を注視しつつ、さまざまな影響等を見きわめていく所存であります。

 次に、給付型奨学金制度についてであります。

 国では、本年八月に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策において、給付型奨学金制度の実現に向けて検討するとの方針を打ち出しました。また、東京都においては、平成二十六年度から実施している国公立高等学校等奨学のための給付金事業に加えまして、都独自の給付型奨学金を含めた低所得世帯の支援制度のあり方について総合的に検討すると聞いております。給付型奨学金制度は、進学を希望する低所得世帯の子供の学習意欲や受験意欲の向上に資するものと受けとめておりますが、区といたしましては、同制度をめぐる国や都の動向を見きわめながら対応してまいりたいと存じております。

 次に、介護保険についてであります。

 給付状況の分析からは、昨年度に行われた一定以上の所得がある方に対する負担割合の引き上げによりサービスの利用が控えられたという結果は出ておらず、必要な方へは引き続き適切にサービスが提供されているものと認識しております。総合事業における予防生活援助サービスは、従前からの訪問介護等に加えまして、介護以外の事業所や地域の多様な担い手による新たなサービスを提供することにより利用者の選択肢をふやすものであり、現在、事業者の新規参入を含め、利用の拡大に努めているところであります。また、このサービスに従事する方には、国が定めた研修の受講を義務づけているほか、専門職であるケアマネジャーが定期訪問することで、利用者の状況把握と適切な支援を確保する仕組みを設けております。今後も、利用者のニーズや地域の実情を踏まえ、総合事業や包括的支援事業に加えまして、さまざまな区独自サービスを、給付と負担のバランスをとりながら提供していくことで、効果的な介護予防の推進など、適正な介護保険制度の運営に努めてまいります。

 次に、国民健康保険料についてであります。

 区では、これまでも低所得者に対する保険料均等割の軽減措置や出産育児一時金、葬祭費の支給などに多くの一般財源を投入し、保険料負担に配慮しているところであります。今後の財政運営を考慮すると、これ以上一般財源を投入することは困難であると考えております。

 次に、国民健康保険の都道府県単位化についてであります。

 国民健康保険の現状につきましては、被保険者に占める高齢者の割合が高く、低所得者の占める割合も多いために、保険財政の脆弱化が進んでいるという構造的な問題が指摘されております。したがいまして、都道府県が財政運営の責任主体となり、国民健康保険の運営について中心的な役割を担っていくことは、制度の安定化を図る上で大変重要なことと認識しております。

 次に、子供に係る均等割保険料の軽減措置につきましては、子育て世帯の負担軽減を図るための支援制度を設けるよう、全国市長会を通じて国に要望しているところであります。

 次に、高齢者医療に係る特例軽減措置廃止や自己負担上限額の引き上げについてであります。

 国が順次進めている見直しにつきましては、高齢化の急速な進展に伴う国民医療費の増大を見据え、将来にわたり持続可能な医療保険制度を構築するために行われているものと認識しており、区といたしましては、低所得者など、区民への影響を注視しつつ、その動向を見守ってまいりたいと存じます。また、後期高齢者医療制度は、高齢者世代と現役世代の負担を明確にするなどの趣旨から創設されたものであり、その存廃については、社会保障制度のあり方にかかわる問題として、国において十分検討されるべきものと考えております。

 次に、勝どき・豊海地区まちづくりについてであります。

 まちづくりガイドラインの策定につきましては、まちづくり協議会を三回開催するとともに、その構成員や関係者との個別意見交換を五回行い、さらに、対象地域の在住・在勤者の意見を踏まえるなど、区民の声を反映した丁寧な取り組みにより策定しております。なお、当該ガイドラインは、地域住民が地域の個性や課題、まちの将来像などを共有するためのものであることから、勝どき・豊海地域の関係者を対象に声を聞いたものであります。

 次に、交通環境の改善につきましては、道路や水辺における歩行者空間の整備拡充、コミュニティサイクルの導入促進、広域交通と地区内交通との持続性の向上など、取り組むべき方向性をガイドラインに明示してあります。また、防災機能の拡充につきましても、当該ガイドラインにその必要性や整備の考え方を示しており、開発等の機会を捉え、適切な対応を図ります。

 最後に、再開発計画の見直しについてです。

 勝どき・豊海地区の再開発計画は、既存マンションの建てかえや倉庫跡地の土地利用の適切な対応など、地域に不足する公共公益施設の整備も含め、地域住民がみずから取り組んでいる計画です。権利者の合意に基づく再開発事業等の面的な整備は、個別建てかえでは困難な地域課題の改善を図る上でも有効な手法であることから、適切に推進してまいります。

 答弁は以上であります。

〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 ただいま区長から答弁をいただきましたけれども、安倍政権が進める自衛隊の海外派兵について、非常に残念な答弁をいただいた。核兵器の問題についても、非常に残念な答えだったと私は思います。

 実際に、海外派兵について、先日、時事通信の世論調査でも、南スーダンに派遣する陸上自衛隊部隊に駆けつけ警護の任務を新たに付与することについて、国民の半数近く、四七・四%が反対しているんです。やはり不安を持っているんです。賛成が二八・二%。現地の戦闘状態が明らかになるにつれて、任務拡大で自衛隊員への危険が増すおそれがある不安が高まってきているとの調査結果なんです。

 そして、PKO五原則には、武器の使用は、要員の生命など防護のために必要な最小限のものに限られると政府みずから決めているわけです。今回の駆けつけ警護、宿営地共同防衛は、自衛隊員が実際に戦闘が行われている地域に出かけていき、警護や防衛をすることになります。

 さきに紹介した自衛隊の元幹部の人は、こう言っているんです。実際に、この方は北海道の戦車部隊の補給を担当していた人らしいんですけれども、相手は、政府軍だろうが反政府軍だろうが、わからないと。まず、敵味方の区別がつかないということを言っているんです。プロの目から見ても、軍服を着ていない人も、軍隊なのか民間人なのかわからないと。元幹部の人が、こういう表現をしているわけです。撃った相手が民間人だった場合、取り返しがつかない。また、明らかに戦場化している現地に武装した自衛隊を送り込み、邦人救出など武力行使をさせれば、殺し殺される悲惨な、深刻な結果を覚悟しなければならないと、このように述べている。

 私は、こんなことは絶対あってはならないことだと強く思いますし、自衛隊員の皆さんに、命を差し出せというのはちょっと大げさかもしれませんけれども、そういうことを国が強要すること自身、やはり憲法九条を持つ日本としては、あってはならない。そして、実際に、先ほど区長答弁の中で、リスクが想定されるけれども、治安維持、インフラ整備だからという話があり、なおかつ九条の合理的な判断ということを言われましたけれども、政府みずから決めたPKO五原則は、私はもはや崩れていると。現地では崩れているわけです。ですから、私は、今回の安保法制に基づく南スーダンへの派兵は即刻やめるべきだと思うし、やはり武器を使用することになる安保法制は即刻廃止すべきだと私は強く思います。その点について、もう一度区長としての明確なお答えをいただきたいと思います。

 それから、ヒバクシャ国際署名について、いろいろと説明がありましたけれども、第六回平和首長会議国内加盟都市会議総会総括文書の中で、最後に、核兵器を廃絶し、戦争のない平和な世界を実現するため、加盟都市を着実に拡大し、共に行動していくことを宣言すると、こういう形でまとめられているんです。そして、安倍首相に対する要望書、日本政府が決議に反対したことは被爆者の切実な思いに背くものであり極めて遺憾だと、そういう形で厳しく批判しているわけです。ここに加盟する区長だからこそ、私は、そういう思いを区民に語っていただきたい。その思いなんです。ですから、やはりそこのところはきちんと、私の言いたいことを酌んでいただいて、もう一度その点について区民の方にきちんと区長としての声を届けていただきたいと思います。

 それから、豊洲市場の移転の問題については、安全が大前提だということは当然のことです。当たり前です。そして、課題については、都の責任で解決すべきだと。これも当然です。今回の混乱の大もとは、東京都がやったことですから。ただし、私は、そこで中央区としてどうなのかというのをきちんと判断していく必要があると思うんです。

 食の安心・安全を守っていく、注視していくということではなく、今回の中でも、さっき十一月四日の全員協議会のこともちょっとお話ししましたけれども、都が日常管理する地下水位は海抜一・八メートル、そして、現在、十一日現在、二十一の観測井戸で最大四・一メートル、最低で二・四メートル、平均で三・二八メートルと、要するに、東京都が日常的に管理すると言っている地下水位より一・五メートルも上回っているという現実。そして、その後、東京都は、この前の説明のときには順次下がっていますというお話をしていましたけれども、しかし、その後、平均で三・二八メートルだったのが三・三二メートル、四センチ、さらに上昇しているということが、この間の調査の中で明らかになっているわけです。やはりそこのところはきちんと冷静に見ていく必要がある。

 それと、もう一つは、日本環境学会の元副会長の坂巻幸雄さんがこのように述べているんです。私は、そのとおりだと思うんですけれども、地下水の水位を管理して有害物質が盛り土に上がらないようにする、都の土壌汚染対策は水位が盛り土より下に下がっておらず、破綻していると。現状は、盛り土が再汚染された危険性が高く、いつ何どき高濃度の有害物質が出るかわからないというのが正確な評価ではないかと、このように指摘しているわけです。

 豊洲市場の土壌汚染対策の主要な建物の地下の盛り土がなされていない事実、地下水管理システムが機能していない事実、豊洲では食の安全・安心は守れないと、このように私は考えます。その点について、もう一度区長御自身の御見解をお答えいただきたいと思います。

 給付型奨学金制度について。

 区内の中学生、二○一五年度では全生徒数の一千二百九十五人中、三百四十四人の方、二六・六%、実に四人に一人が就学援助を受けています。統計を見ると、東京都の中学生の約六割が私立学校に通う。初年度の納付金、平均で入学金が二十五万円、授業料四十四万円、施設費が二十一万円で、平均ですけれども、大体九十万円前後になる。さらに、大学に進学するとなると、もっと大変なんです。

 大学時代、奨学金を借りた方にお話を聞く機会がありました。その方は、都内の国立大学を卒業し、現在、社会人として勤めているわけですけれども、大学時代に奨学金を借り、現在、三十歳近くになっているんですけれども、毎月二万円ずつ返済していると。それでも払い切れない。完済まで、あと数年かかると。その方は、話の中で、私の場合はまだいいんですよと言っているんです。奨学金は目いっぱい借りていないから、毎月の返済は何とかできるが、もっと借りている仲間はもっと大変なんですよと、そういう話をしていました。

 実際、貧困と格差の広がる中、子供たち自身が、家計の問題、家庭の経済の問題で高校進学や大学進学を諦めてしまうことのないよう、国や都が返済不要の給付型奨学金の導入の検討を始めていると。中央区でも、都や国の後ろに配陣するのではなく、やはり中央区としても独自に、教育の中央区として、きちんとやっていくべきだと、そのように私は思います。もう一度その点について、区長の温かい答弁をお願いしたいと思います。

 介護保険についてですけれども、必要なサービスは提供されているということを言われました。しかし、保険給付から外されるわけです。今度は保険給付と総合事業の二つになるわけです。ですから、実際には、手続をする際に、今度、保険給付のほうは、当然、申請を受けたら全部やらなければいけないわけですけれども、その他のサービスについては、予算の上限が出てくるわけです。そういう問題が一つあるわけです。

 介護保険の歴史、この間見ていますと、ほとんど給付削減なんです。介護保険料は年金から天引きされるのに、利用には負担があるので、希望するサービスがなかなか使えない。必要なサービスは提供されているという言い方をしていますけれども、実際は一割負担、一割のお金を払わなければいけない。負担があるから、使いたくても使えないというのが区民の現実の声ではないかと思うんです。実際に、生活保護とか、それ以外に頑張って生活をしている方に聞いても、やはり介護保険サービスを使うと、費用が一割負担になるから、どうしてもそこのところが乗り越えられないという声を聞きます。実際、要介護一・二になると、いろいろな意味で外出ができにくくなるというのは専門家の指摘のとおりなんです。家に閉じこもりになる時期にきちんと手厚い支援をすることが、その後の介護度が進むのを抑えることになるんです。ですから、要介護三以上に介護度を進ませないためにも、予防給付を基本に、やはり区独自に安心して使うことができるサービスを提供する、そういうことが必要ではないかと思います。それについても、もし御見解があれば、お答えいただきたいと思います。

 それと、もう一つ、国民健康保険について、いただいたのは確かに去年と同じ答弁なんです。しかし、実際、今、少子化対策に取り組んでいる、いろいろなところで、特別区長会でも、やはりそういうものをやらなければいけないよねと。世田谷区でも取り組んできていると。また、三多摩のほうでも、そういう動きがあるということで、三番目の子供さんから無料にするとか、多子世帯に対するさまざまな軽減の取り組みが始まってきているわけです。様子を見ながら均等割の軽減を行うというのではなくて、やはり中央区が率先して、こういう形で取り組んでいく、こういうことが必要ではないかと思うんです。

 実際、国保加入者の未成年の均等割というのは、数字で見ると、二○○六年、三万五千三百円で、十年後、二○一五年、四万四千七百円です。実に、九千四百円もふえてきているわけです。一般家庭の収入がなかなか伸びない中で、一万円近くも負担がふえるということ、やはりこれはきちんと見ていく必要があるし、取り組んでいく必要がある。先ほど、全国市長会を通じて要望しているとありますけれども、要望していると同時に、区としても、きちんとやるべきではないかと、そのように思います。

 後期高齢者医療の問題について言えば、保険料の軽減は、特例措置が何で設けられたのかということなんです。そもそもから入っていくと、二○○八年に後期高齢者医療制度が導入された際、高齢者の切り捨てになるのではないかと、全国さまざまな団体から非難ごうごうの中で、当時の自公政権が特例措置の実施を決めたんです。制度導入から十年もたたないうちに特例措置を廃止することは、高齢者の切り捨てにならないのか、私はそこのところをきちんと指摘したいと思うんです。やはり問題だと思うんです。

 実際に、年齢を重ねて、病気になりやすい高齢者が受診を我慢して重症化を招くことになれば、一時的には財政的な負担は減るかもしれない。しかし、長い目で見れば、高齢者の重症化を招くことによって財政を圧迫するということは火を見るより明らかなんです。ここのところは、国に対して、こういうことをやられたら高齢者の命を守れない、健康を守れないという意味で、やはり区としても、きちんと中止するよう求めるべきではないかと、そのように思います。

 最後に、まちづくりについてですけれども、先ほどの話で、勝どき・豊海地区及び勝どき五・六丁目、豊海分会で、ことしの一月から二月にかけて五回そういう話し合いを持ったと。私は、別にそれを批判しているわけではないんです。これはこれとしてきちんとやりながら、やはりまちをつくっていくという意味で、多くの区民の人たちが参加して一緒にまちづくりをしていこうということが必要ではないかと。ガイドラインを策定する前に、そこに住んでいる住民や働いている方々のさまざまな意見をよく酌み取り、形にしていくことが必要ではないかと思っているんです。そのことが、長い目で見れば、その地域の地域力を高めていくことになると考えます。区民参加型のまちづくりを行うべきと考えます。再度、この件についても区長の御見解をお願いしたいと思います。

 以上で再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤議員の再質問に順次お答えいたします。

 自衛隊の海外派遣につきまして、いろいろ危惧されている声があるのは、元自衛隊の幹部の方が言われたということを例におっしゃいましたけれども、私も聞いているところでありますが、政府のほうでは、先ほども申し述べましたけれども、有意義な活動が困難であると判断した場合には撤収をちゅうちょすることなく実行するということでありまして、また、道路や避難民向けの施設などを整備する施設部隊では、治安の維持、そういうものは任務ではないということも明確になっているわけであります。

 それから、核兵器禁止条約につきましては、国のほうでは、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識に基づいて、核兵器国と非核兵器国の協力による具体的・実践的措置を積み重ねていくことが不可欠であるという基本的立場に基づいての行動であるということでございまして、無論国民に対して、反対した理由などはこれからもしっかりと説明を尽くしていくことが必要であろう、こういうふうに思うところであります。

 それから、豊洲市場、これはもう御案内のとおり、食の拠点が安全宣言ができないようなところへ行くのはいかがなものかというのは終始一貫した本区の立場でございますし、区議会の皆様方と移転反対も、つい最近までやってきたと言ってもいいぐらいに思っておりますが、東京都の予算が決まったところで、現実的に対応しようということで今日に至っているわけでございます。

 それから、もちろん、これからも、先ほども答弁させていただきましたけれども、全員協議会ですね。東京都のほうで新たな動きあるいは新たなデータ等が出る場合には、区議会での全員協議会に出席して、しっかりとした説明をしていただくということで、もちろん行政側も努力していくということであります。

 それから、給付型奨学金制度です。そうですね。奨学金制度というのは給付型が基本であろう、こういうふうに思うわけでございまして、後からいろいろとそれを返済するのに苦労されるというようなことでは真の奨学金制度とは言えないのではないかと思いますので、区といたしましても、国や東京都の動向を見きわめながら、今後とも対応してまいりたい、そのように考えているところであります。

 勝どき・豊海地区、これはもうもちろん、まちの皆様方が参加されたまちづくり協議会、これまでも、先ほど申しましたような回数で行っておりますけれども、これからも必要に応じて開催して、まちの皆様方が必要なまちをつくっていかなければならないというふうに思うわけでございます。

 勝どき・豊海地区と限らず、中央区内のどのようなまちづくりにおきましても、再開発、再整備におきましても、そうした地域の皆様方、そして行政、各方面の皆さん方が安心したまちにできるように努力してまいりたい、このように思うところであります。

 以上であります。

〔高齢者施策推進室長 古田島幹雄君登壇〕

○高齢者施策推進室長(古田島幹雄君)
 介護保険について答弁をさせていただきます。

 本年度から実施いたしました清掃、買い物などの生活支援サービスにつきましては、あくまでも介護保険制度の中において、これまでの保険給付から総合事業のほうに移行したということで、決して要支援者を切り捨てるというようなことではないということでございます。

 本区の総合事業におきましては、従来どおり、ホームヘルパーによる予防訪問介護も実施をしているところでございます。また、本区は、介護保険以外にもさまざまな区独自サービスを実施しているところでございまして、これからも区は責任を持って、これらを組み合わせて、高齢者の方一人一人に適応した効果的な介護予防を実施してまいりたいというふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

〔福祉保健部長 黒川眞君登壇〕

○福祉保健部長(黒川眞君)
 私からは国民健康保険料の関係で、多子世帯の軽減策というお尋ねがございました。

 こちらにつきましては、区長から答弁ございましたとおり、区といたしましては、やはり保険制度の全体的な枠組みにかかわる部分ということもございまして、まずは国に対して、その制度化というところが前提になるだろうという考え方でございます。

 また、多子世帯につきましては、区のほうでも保育料ですとか、そういった軽減策を導入しておりますし、また、医療につきましても、子ども医療費助成の中で窓口負担を助成するというような事業もさせていただいているところでございますので、こういった子育て支援策、総合的な取り組みの中で、多子世帯への支援についても引き続き取り組んでまいりたいという考え方でございます。

 以上でございます。

〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員)
 安保法制について、区長は、いまいち歯切れの悪い答弁をしているかと思うんですけれども、事は人の命にかかわる問題なんですから、やはりそこはきちんと冷厳に事実を見ていく必要があると思うんです。

 紹介しますけれども、陸上幕僚監部作成の南スーダンPKO第十次派遣要員家族説明会資料、二月一日のものです。北海道の部隊です。南スーダン北部に反政府派支配地域が存在することが明記され、支配地域との境界で戦闘発生箇所があると。つまり、政府勢力と反政府勢力がそこで戦闘している箇所があると。ところが、今回は青森連隊です。今回派遣された第十一次派遣要員の家族説明資料、八月一日ですけれども、この支配地域というのがなくなってしまった。反政府派の活動が活発な地域に差しかえられた。つまり、もう内戦もごちゃごちゃしているわけですよ。そういうところに自衛隊が銃を担いで出かけていけば、当然、どうなるのかというのは火を見るよりも明らかだと私は思います。ですから、そういうことをやはりきちんと見ていく必要がある。

 先ほど私が言いましたように、PKOの参加五原則はもはや破綻している。先ほどの政府がしている説明は、もうここの時点でも破綻しているということがはっきりしている。ですから、やはりこのような危険なところに、災害のときに本当に自衛隊の若者たちがつるはしやスコップを担いで災害救助に行く、そういう人たちに人を殺すためのライフルを持って行かせることが果たして許されるのかという問題なんです。私は、そこのところはきちんと見ていく必要があると。

 そして、もう一度言いますけれども、私はやはりここのところをきちんと、日本の国の真柱とも言える憲法九条の問題です。安保法制の駆けつけ警護や宿営地共同防衛は、憲法九条、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する、明確に述べているんです。二項では、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。明確に、このように述べられているわけです。安保法制は憲法違反の法律です。憲法違反の安保法制は、一刻も早く廃止することが必要だと私は強く訴えたいと思います。

 そして、核兵器の禁止の問題については、段階的解消、七十年間やって全然なくならなかったんです。やはり今、今回の決議案の採択が核兵器のない世界へ扉を開く歴史的な第一歩と私は思っています。被爆国としてふさわしい役割を日本政府に果たさせていくことが重要。核兵器のない世界へ、歴史的チャンスが、今、生まれている。日本共産党は、この取り組みに連帯して、その成功のために力を尽くす決意を述べて、私の質問を終わります。(拍手)


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時五十九分 休憩


     午後六時三十分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番森谷歩美議員。

〔十八番 森谷歩美議員登壇〕

○十八番(森谷歩美議員)
 中央区民クラブの森谷歩美でございます。中央区の課題の中から、区長並びに関係理事者の方々に質問通告に基づきまして発言させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。なお、答弁の内容によりましては、あらかじめ再質問を留保いたします。

 初めに、ドローンの活用について、防災対策におけるドローンの活用についてでございます。

 本年は、災害に見舞われた一年でありました。主なものとして、四月十四日、熊本県熊本地方を震央とする、震源の深さ十一キロ、マグニチュード六・五の前震が発生し、熊本県益城町で震度七を観測し、その二十八時間後の四月十六日には、同じく熊本県熊本地方を震央とする、震源の深さ十二キロ、マグニチュード七・三の本震が発生し、熊本県西原村と益城町で震度七を観測した地震が発生いたしました。十月には、鳥取県中部を震源として、震源の深さ十一キロ、マグニチュード六・六の地震が発生しました。さらに、十一月十九日には、和歌山県南部を震源とするマグニチュード五・四の地震が発生し、三重県や大阪府、それに奈良県、和歌山県でそれぞれ震度四を観測するなど、広範囲で強い揺れが広がりました。

 このように日本各地において地震が発生する中、関東においては、三十年以内に七○%以上の高い確率で大地震が起こると言われており、特に中央区が被災した場合には甚大なる被害が想定されます。九月に行われた平成二十八年度中央区総合防災訓練も、このようなリスクに備えたものであり、区内各地で消火、緊急物資輸送、安否確認や事故の対応、防災拠点の開設、避難者の輸送、帰宅困難者の支援施設の運営の訓練など、本庁舎では防災対策本部の運営訓練、災害情報伝達訓練、罹災証明発行訓練が行われました。

 こうした危機管理体制の構築において、一番の肝となるのが状況の確認であり、災害の情報の収集であります。正確な災害情報を迅速にどのように取得するかが重要になってきます。緊急事態対処活動、クライシスマネジメントの基本として、情報の収集による状況把握、これは情報の速やかな収集、必要な情報の選択、迅速な事態把握と判断が含まれていますが、行政としての意思決定、活動の目的、当面の目標明示、事態の進展の予測、事態対処活動、迅速な初動対応、的確な広報があります。

 そこで、お尋ねいたします。

 この中でも情報収集が一番重要でありますが、災害情報の取得収集について、本区の現計画の対応についてお伺いいたします。

 そして、危機に備えて平時に行うべきとして、危機を予知し、予防し、回避し、また、被害を軽減し、さらには克服するためのインテリジェンス技術を初め、さまざまな分野で技術の開発と改良が重要となっています。例えば、近年のIT技術の進歩に伴うビッグデータの収集分析による危機予知、予防あるいは危機対応分野での活用やリスクマネジメント及びクライシスマネジメントの両分野で技術面での研究開発の重要性は増していくものと考えます。

 そこで、最近、非常に注目されているドローンを用いた防災対策を含めたさまざまな利活用が検討されています。まだまだ法的未整備な部分が課題としてありますが、今後、その利活用の幅は広がっていくものと考えられます。

 ドローンとは、英語の雄蜂といった意味で、飛行中の音が蜂が飛ぶときのブーンという音に似ているところから、その名がついたと言われています。広義として、操縦者が搭乗していない航空機をいい、ドローンの別名が無人航空機、UAVなどであるのは、この定義によるものであります。ドローンには操縦者が存在し、地上でドローンを目視しながら操縦する、あるいはドローンのカメラがモニターする外界の映像を見ながら操縦する場合がある一方で、飛行中に操縦者が存在しないことがあり、この場合にはドローンみずから位置を把握しながら所定の経路に沿って、あるいは目的地に向かって飛行する自律制御機能を備えているものであります。

 研究が始まったのは第二次世界大戦中と言われており、当初の開発目的は完全に軍事使用のためのものでした。この七十年以上前に開発されたドローンが民間利用されるようになったのは比較的最近のことで、当初は農薬散布を目的として、一九九○年代に広まったものと言われています。ドローンの民間活用においては、日本は世界に先んじており、二○○二年の段階で世界中のドローンのうち、六五%は日本で農薬散布に使われていたというデータもあります。

 しかし、今の日本では、ドローンと言われて私たちが一番目にするものは、自律制御された無人機タイプよりも、地上からコントローラーなどを使って操縦するラジコンタイプのものでしょう。その形態は、マルチコプターと呼ばれる三つ以上の回転翼を持ったものが主流で、それを通信機、タブレット、スマホなどを組み合わせたもので操作します。安いものは数万円から購入できるとのことです。現在のように爆発的に流行したのは、マルチコプターの高性能化と価格破壊があります。ドローンに搭載されているMEMSと呼ばれる微小電気機械システムや加速度計、ジャイロ計の価格が数十から数百分の一まで下落し、数百万円のシステムが数万円で購入できるようになりました。そして、ドローンで空撮映像が簡単に撮れるようになると、プロの映像関係者、マスコミ関係者が利用するだけでなく、個人ベースにまで広がり、その映像がユーチューブなど動画サイトに投稿されるようになり、一気に世間の認知度が高まりました。こういったことから、ドローンが流行語トップテンに入った二○一五年が、ドローン元年という言われ方をしております。

 ドローンは非常に便利なツールでございますが、まだまだ生活に根づく前の黎明期と言えますので、さまざまな問題も噴出しているのも事実です。ドローンの墜落や接触による危険性も問題になっております。安価な製品は、子供でも買えてしまうくらい手軽に入手できるため、個人が飛ばしたドローンの墜落事故が世界中で起こっています。日本国内では、二○一五年四月二十二日、首相官邸に落下する事件があり、これを契機に航空法が改正され、ドローンに対する規制も設けられ、現在では、高度百五十メートル以下の空域が原則として利用可能となっているものの、人口密集地、空港周辺、大勢の人が集まる催し物などの上空飛行は、国土交通大臣の許可が必要となっております。しかし、このように法整備やルールづくりが進めば、ドローン自体は非常に大きなニーズ、可能性があることは間違いありません。

 世界の軍事用と民間用、産業用、ホビー用、サービスの全てを合わせた世界市場規模は、二○一五年で一兆二千四百十億円ということですが、二○一五年から二○二○年にかけて平均成長率は一二・九%で推移し、二○二○年には二兆二千八百十四億円が予測されています。世界市場全体では、現状で軍事用が過半数を超えていますが、二○二○年までには軍事用と民間用はほぼ半々になるものと予測されております。国内に関しては、ある予測会社によれば、ドローンの機体本体の市場規模と、ドローンを活用したサービスの市場規模を合算して、ドローンの市場規模として推計した結果、二○二○年には二○一五年の三十八億円の約十六・七倍の六百三十四億円の市場となり、二○二四年にはさらに利用が進み、二千二百七十億円の市場となると予測しています。

 ドローンは、さまざまな用途に使用ができ、個人で楽しむだけでなく、空撮を初め、建物の雨漏りの点検、断熱効果点検等家屋調査や、橋梁や道路、トンネル等、実際に有人で目視をすることが困難な場合に、ドローンを使って映像を確認することなど、社会インフラの点検、太陽光発電施設の故障点検、測量などにも利用されることが想定されます。また、防災上では、地震発生時のドローンの活用として、自治体、消防、警察等から個人への災害情報映像の共有、河川での災害では、増水決壊状況のリアルタイム映像共有や、ドローンの輸送力を用いた浮き輪、救命ボート、AED等の救命具の搬送が考えられます。特に、中央区では、八割を超える区民がマンション等に居住していることから、高層マンションの火災、地震発生時にドローンの映像による現場での避難者の確認や、消防本部での現場の映像確認に役立てるなどの利用が期待できるものであります。

 民間では、二○一六年十月、NTTドコモなど三社は、携帯電話ネットワークを利用するドローンを活用した社会的課題解決を見据えた買い物代行サービスの実証実験を二○一六年十一月から実施するとのことです。実証実験では、離島におけるシニア、子育て世帯に対して、電話にて依頼を受けた商品を自宅まで配達するサービスにおいて、ドローンを活用すると発表しました。サービスのイメージとしては、電話にて商品を依頼、購入、商店にて商品の準備をし、ドローンにて積み荷、あらかじめ設定した目的地にドローンを飛ばす。中継地点到着後には、商品を短距離用ドローンもしくはトラックに積みかえる、配達完了という流れです。

 政府もドローン技術の普及に積極的な姿勢を示しており、具体的には、まず荷物配送に関し、二○一五年十一月五日、官民対話において、安倍総理は、早ければ三年以内に小型無人機を使った荷物配送を可能にするとの発言をしています。また、国土交通省では、道路建設などの公共事業の測量と工事終了後の検査に関して、ドローンの利用を検討している動きがあります。

 一方、ドローン導入を検討する自治体の動きも既に始まっています。

 沖縄県石垣市では、主に産業振興、観光面を中心にドローンの活用を進めています。石垣市では、ドローンイベントを通じて、ドローンの島としてPRを行うことをコンセプトに、国家戦略特区の制度を用いて石垣島をドローン特区にすることを検討しているとのことです。ドローンを用いた魚釣りや遊覧飛行プログラムを実施することで観光プログラムを検討し、また、離島間輸送実証実験なども検討しているようであります。石垣に観光客を呼び込み、また、石垣のドローン操縦者にドローンの技術を提供することで雇用創出も狙ったスキームを検討しているようです。

 また、岩手県大船渡市では、災害対策としてドローンの活用を進めています。大船渡市では、民間のドローンの操縦士が登録している協会と協定を結び、災害発生時に現場の状況の把握のため、ドローンを飛行させる判断を行った上で、必要となれば、災害概要の連絡とドローン操縦士の派遣要請を行い、協会から派遣された操縦士が災害状況について記録・配信を行い、消防、警察と連携しながら災害状況の確認をするというスキームの作成を検討しているようであります。

 このように、観光PRや災害時における情報収集の手段として、ドローンを用いることが検討されているようです。

 災害については、一つの自治体だけで済むような小規模なものではなく、より広範囲に被害が及び、また、中央区では昼夜人口の比率が四九三・六と高いため、昼間に災害が発生すれば、多くの方が被災することになります。災害が発生すれば、行政や行政職員もまた被災者となり、行政が住民、多くの被災者を十分に救援・救護することは困難であります。そうしたことから、被災時の行政の能力を補う上でも、ドローンの活用は検討するべきものと考えます。

 また、防災については、行政だけでなく地域住民の力が重要になってきます。

 京都市では、消防署員が、顔見知りの町内単位で構成されている自主防災組織の構成メンバーに対して、京都市消防局が開発した防災カルテにより、ビジュアル防災情報、パソコンプログラムによる災害対応力診断、火災延焼シミュレーション、地震被害シミュレーションを提供しています。地域住民は、自分たちのまちの防災について考え、話し合い、その内容を防災行動計画として、町内版の防災計画である市民防災行動計画を策定し、実践しているようであります。この京都市の市民防災行動計画が作成された背景は、阪神・淡路大震災にあるとのことです。阪神・淡路大震災では、多くの家がつぶれて、何万人もの人が下敷きになったり、閉じ込められたりしたが、ほとんどは顔見知りである近所の人に救出されました。また、災害が発生したときに被害を最小限にとどめたのも、日ごろから連帯が強い地域でありました。

 このように、災害が起こったときに大きな力を発揮するには、家庭や地域のつながりが重要との教訓から、京都市では、平成十二年から、顔見知りの町内単位で構成する自主防災部の住民みずからが自分たちのまちの防災について考え、ワークショップ形式で話し合い、その内容を防災行動計画としてまとめた町内版の地域防災計画である、身近な地域の市民防災行動計画づくりを推進しているとのことです。京都市には、小学校区単位に自主防災会が、町内ごとに地域防災の核となる自主防災部が形成され、それぞれの地域事情に応じた、さまざまな自主防災活動が展開されています。市民防災行動計画は、この自主防災部で作成され、いざというときのために、自分たちのまちに何が必要で、何をしておくべきかをまとめた計画で、地域の実情に応じた防災活動が継続して実施できる内容であります。

 本区としても、京都市の例を参考に、導入を検討すべきものと考えますが、これを一歩進め、災害時にはどこでどのような災害が起き、どこに人が逃げおくれているのか等の情報を行政に連絡し、行政がドローンを用いて的確な災害状況を収集する取り組みを検討すべきものと考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 区として、災害を含め、ドローンの利活用についての考え方、将来の導入についてお伺いいたします。

 また、導入の際には、ドローン操縦については、テクニカルな技術の習得が必要であり、特に災害時では気象条件などから高度な技術が要求されるものであります。そこで、区として、ドローンを活用するような職員の養成について、お考えがあるかお伺いをいたします。

 職員の養成が経済的及び時間的に困難な場合には、大船渡市のように民間に委託する必要が出てくると思われます。ドローンからの映像についても、どのような映像が必要で、また、ドローンではどのような映像であれば撮影可能であるとか、どのような場所であれば行くことが可能であるとか、防災の知識及びドローンの運用上の技術双方の知識が必要となってまいりますので、民間連携についての考え方をお伺いいたします。

 次に、ドローンの活用におけるアプリとの連携についてでございます。

 日本のような先進現代福祉国家においては、社会の成熟化と少子高齢化、人口減少等が相まって出現し、それにより、新しい社会的課題が生まれています。すなわち、公的サービスへのニーズが変化し、対応のため、新たな財政需要が発生いたします。少子化により不要になった公的サービスの供給体制の見直しなどが必要であり、さらに、高齢化の進行は経済活動の影響のみならず、地域社会の維持に支障が生じる。住民のネットワークの再構築も必要になってまいります。

 一方、経済的に豊かになったことにより、個人は自我や自己の実現への欲求が高まり、人々の関心は物の豊かさから心の豊かさへと移行するようになりました。しかし、心の豊かさの基準は人によってさまざまであるため、価値観の多様化が進んでおり、そのため、求められるサービスは多様・肥大化せざるを得ない状況にあります。財政・人員制約のもとで、最新の技術を活用した業務効率化、新サービスの創出が求められると言えます。

 この業務効率化、新サービスの創出を行うに当たって、必要な視点として、公共部門に民間の経営手法などを導入する、いわゆるニュー・パブリック・マネジメント、NPMが行われてきました。C・ポリットとG・ブッカートという二人の世界的に著名な公共経営学の研究者が二○○四年に発表した、十五カ国のニュー・パブリック・マネジメント、NPMの状況を比較分析した研究があります。

 そこで、福祉国家における公共部門の改革の方向性として、保守、現代化、市場化、最小化の四類型を挙げています。この中で、保守とは、伝統的な枠組みの中で経費節減、定員削減などの行財政の改革を行うこと、現代化とは、民間経営の手法を政府部門に適合するようにアレンジすること、市場化とは、公的部門に市場のシステムを導入すること、最小化とは、公共業務を可能な限り市場部門に移転することであり、民営化、外部委託、アウトソーシング、協働型事業などを進めることをいうとされています。

 公共部門の改革は、この四つをそれぞれのケースで使い分けられていくべきで、私は、ここで最小化の手法の一つとして、ガバメント二・○という考え方を挙げたいと思います。

 ガバメント二・○とは、IT企業経営者のT・オライリー氏が二○○九年提唱した概念で、彼の主張は、政府はプラットホーム化しなければならないということであり、ガバメント二・○とは、国や自治体などの行政が保有しているデータを再利用しやすい形で公開して、個人や企業などの民間が利用し、住民の力を行政サービスに生かしたり、住民が政策決定に参加したりする取り組みです。これは、電子政府を示すだけでなく、一つには、行政の透明化と公共データのオープン化があります。しかし、単なるオープン化ではなく、市民が積極的に利用できるウエブサービスを提供しなければ、市民から行政への情報提供及び市民の行政参加が十分に機能しません。アメリカのオバマ大統領は、就任時に、オープンガバメントに対して、透明性、国民参加、協業という三原則を示しました。このような背景から生まれたのがデータガブであり、ガバメント二・○の一つの形態であります。

 オープンにするデータは、加工可能な形で提供されるので、国民はそのデータを使って新たなサービスや事業を始めることができます。また、市民から行政への情報提供と、その情報や問題の市民間の共有が重要で、国民や市民の意見を聞くということではなく、行政や市民からの情報に即応し、即応できない場合には、市民と情報共有し、場合によってはボランティアに対応を任せることも重要であります。ボランティアによる公共事業または公共社会へと発展し、市民と地方行政は、より密接に連携することとなります。このように、市民と行政が協働する仕組みが行政の負担を軽減させると同時に、行政への市民参加が促進されることにつながると考えております。

 この協働という考え方は、行政の分野では既に広く知られたことであり、今さら紹介するまでもないと思いますが、その意義を再確認することは大切だと思います。

 協働という概念は、荒木昭次郎東海大学名誉教授がV・オストロムのコプロダクションを紹介し、我が国の実態研究を整理し、日本では初めて提唱したものであります。荒木名誉教授によれば、協働とは、地域住民と自治体職員が心を合わせ、力を合わせ、助け合って、地域の住民の意思に基づいて判断した公共的性質を持った財やサービスを生産し、供給していく活動体系と位置づけ、私たち一人一人が社会的力を身につけ、他者との関係の中で自律的に合意形成を図る存在に成長していけば、そのような人たちからなる自治体の行政は効率性が高くなり、人々にとって満足度もより高くなることをいい、協働とは、対等な立場と価値の生産が要件として挙げられています。

 そこでは、住民が行政下請と感じさせられないことが重要となっています。住民がサービスの受益者だけでなく、主体的にサービスの一端を担う存在であることが求められているのです。行政サービスを受けることになれている方々は、このような考え方に転換していていただくことは一見難しいことと思われるかもしれません。しかし、地域のために、他人のために力を合わせるということは、本来、日本人に備わっていた特性だと思われます。

 ここで歴史を振り返ってみれば、我が国では、いわゆる行政サービス、インフラ整備は行政主体だけでなく、さまざまな主体が、その必要に応じて行ってきたという歴史的事実があります。例えば、江戸時代の町奉行の設立により、町単位で自治が認められて、それに伴い、社会基盤は自前で行う範囲が発生し、資金について、町人を初めとする大店などが負担し、主に大工、とび、木材商などに従事する者が行っていました。具体的には、道や石垣、井戸や上水道の木管の布設や排水溝の敷設、鯨船鞘廻御用での橋梁建設や町火消しで消火活動などが挙げられます。村や町においても、自治の政の中心的な存在として寺社があり、その普請を寺社普請といい、管轄や由来によっては、お上が行う寺社普請も数多く存在しています。農林水産業などが基幹産業である地域では、自治や公共事業として、かんがい用水路やため池、林道やいかだ場、港湾や防波堤などの普請が行われていました。また、道普請、溝普請という言葉に見られるように、自分たちの地域の生活環境を良好に保全していくために、道路や水路などの修理、草刈りを行う勤労奉仕の作業が行われていたし、これは今でも行われている地域があります。このように、我が国では、協働を受け入れる概念があり、ガバメント二・○の考え方は、それを現代につなげるものであると考えます。

 現在、世界の多くの市町村は、シークリックフィックスというアプリを利用して、市民参加を促した上で、行政サービスを向上させています。例えば、公園のベンチの破損、放置自転車、落書きなど、身近にある問題を写真や情報にして投稿し、地図上で表示させることによって、自治体、行政へ改善を呼びかけるようなアプリケーションであります。このシークリックフィックスというアプリは、市民がコミュニティの問題を行政やメディアにレポートすることができることをコンセプトにしたものであり、市民が問題意識を持ち、これを行政に提示することを容易にすることで、市民と行政の距離を縮めるとともに、市民が参加することで行政の負担を軽減する役割を持つものであります。このような公共政府も、ローカルガバメント二・○の一つの側面と言えます。

 このように、ガバメント二・○の考え方は、行政の情報を市民と共有しながら、行政のアウトソーシングを進め、区民の中に社会基盤を地域住民でつくり、維持していくという意識を根づかせるための一つの方策としても重要視していくべきであると考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区としても、区民との協働によるまちづくりを進める上でガバメント二・○の発想を区政に取り入れるべきだと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 そして、ガバメント二・○の発想を取り入れた一つの例えとして、ドローンとアプリの連携が考えられると思います。つまり、区民から問題の情報提供を行政にし、行政としては、状況確認のためにドローンを用いて情報の収集と、情報により得られた問題の解決に当たっては、次のような流れが考えられます。例えば、街灯など公共物破損、ごみ不法投棄等が発生した場合、住民がその問題箇所をスマートフォン等で撮影し、位置情報については、GPSを使用したアプリケーションソフトを使って行政に送信する。行政は、問題を把握し、場所と現場の状況を確認した上で、ドローンを使用して現場状況を確認するというような流れでございます。

 こうしたガバメント二・○の発想を取り入れたアプリケーションの開発とドローンを連携するシステムを導入することにより、区民と行政が、より身近になり、しかも区民が積極的に自分たちの地域環境の維持や向上に役割を果たす機運が生まれてくるものと思います。官民連携した協働のまちづくりを推進する上で、このような新しい技術を導入することについてのお考えをお伺いいたします。

 次に、摂食障害の取り組みと、女性アスリートの健康サポートについてでございます。

 拒食症や過食症など摂食障害は、先進国を中心として多発し、社会的な問題となっています。摂食障害とは、体重が異常に減る拒食症、幾ら食べても満足感が得られず暴飲暴食発作を繰り返す過食症など、日本で増加している慢性の難治性疾患です。

 摂食障害は、男性よりも女性に多く、女性の周囲との競争や各種メディアからの不正確な情報の影響もあり、健康の範囲を超えてダイエットをする者も珍しくありません。その割合も女性が九五%と圧倒的な数で、ストレスが主な原因と言われています。また、成長期では、身長が伸びなかったり、骨粗しょう症を併発したり、生理不順、無月経が長引き、不妊につながります。また、嘔吐を繰り返している人の中には、胃酸で歯を失うこともあるとのことです。発症すれば、精神面、心理面、行動面にさまざまな症状があらわれ、悪循環しながら生活全般に影響を及ぼしていきます。そのため、学業や職業に差し支えが出たり、対人関係や社会適応に支障が出たりして、多くの困難が伴いやすくなります。摂食障害は、命を落とす場合も少なくありません。摂食障害の致死率は七~一○%であり、精神疾患の中でも最も高いとされています。身体、精神ともに慎重な治療を要する病気です。

 八月に開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、連日のメダルラッシュで日本は過去最高のメダル数を獲得し、日本中が大いに沸きました。中でも、レスリングの伊調選手の五輪四連覇を含む、女子レスリングの金メダルを初め、柔道女子金メダリストの田知本選手などの女性アスリートの活躍が印象的であり、四年後の東京オリンピックへのさらなる期待も膨らんだところです。オリンピックを契機とし、このような女性アスリートに憧れ、学校での部活など、日々スポーツに取り組んでいる女性も大変多いとのことです。

 女性アスリートの健康管理上の問題としては、トレーニング量や質が高まったにもかかわらず、それに応じたバランスのよい食事をとらなかったりすることで起こる摂取エネルギー不足が挙げられています。摂取エネルギー不足、無月経、骨粗しょう症は、女性特有のスポーツ障害です。ホルモンは脂肪からつくり出されるため、体操や新体操、陸上の長距離選手など、体脂肪を減らして体型維持をするスポーツは、無月経の確率が高まります。女性トップアスリートの約四○%が、無月経や月経不順の問題を抱えていると言われます。

 そこで、お尋ねいたします。

 摂食障害や女性特有のスポーツ障害を予防するためには、正しい知識の普及、早期発見することが必要であると考えます。中学、高校などの成長期で摂食障害や女性特有のスポーツ障害を予防するための正しい知識の普及に対して、区はこれまでどのように取り組み、今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。

 また、女性アスリートの選手寿命を延ばし、現役引退後も健康な生活が送れるようなサポートなどが必要かと思いますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、本区における夜間救急医療に関する問題についてでございます。

 東京消防庁の発表によれば、東京都における救急車の出動件数は年々増加しており、平成二十六年には、交通事故を除く日常生活内における事故によって約十二万七千人が救急搬送されたと報告されています。その内訳を見ますと、五割以上が入院を必要としなかったとされる軽症患者で、さらに年齢別にその内訳を見てみますと、六割弱が高齢者からの救急要請だったというものです。

 出動件数の増加は、救急車が現場に到着するのに必要とする時間も遅延をもたらし、重篤な患者の搬送に影響を及ぼすと考えられます。実際に、二○○四年から二○一四年の十年間で、救急車が現場に到着するのに必要とした時間は二・二分伸びたと報告されており、一分一秒を争う重篤患者の対応に悪影響を来しているのは明らかでございます。

 そこで、お尋ねいたします。

 区として、救急車の出動件数の増加に歯どめをかける、救急車が現場に到着する時間を短縮するには、どのような対策をとるべきかと考えますか。

 次に、夜間における一次医療施設の受け入れ態勢についてでございます。

 東京都福祉保健局の発表によれば、東京二十三区内で平日夜間に開院している一次医療施設は、わずか十九施設しかありません。土日・祝日になると、幾らか対応する施設はふえますが、それでも、土曜日で二十五施設、日曜日で三十施設にとどまっています。さらに、文京区、新宿区、渋谷区、港区、目黒区の五区においては、平日夜間に対応している一次医療施設は存在しておらず、結果として、二次救急病院や三次救急病院に負担が集中し、医師や看護師を含めた医療スタッフの疲弊につながっています。

 本区においても、平日夜間に対応している一次医療施設は、聖路加国際病院小児総合医療センターの一施設しかなく、受付時間は午後六時四十五分から九時四十五分で、対応する診療科も小児科に限られています。それ以外の患者対応については、聖路加国際病院、木挽町医院に集中しているのが実情でございます。夜間に救急外来を受診する患者の多くは軽症患者であることがわかっており、小児では九割、成人では七割が軽症だったと報告されております。医療資源の適正化のためにも、夜間における一次医療施設の充実は急務と考えております。

 そこで、お尋ねいたします。

 区として、夜間における一次医療施設の充実化の必要性についてどうお考えでしょうか。

 続いて、夜間における高齢者患者の受け入れ態勢についてです。

 東京消防庁の発表によると、夜間救急搬送される患者の約六割が高齢者であり、その半数は軽症患者ということでした。この原因を近年の高齢者の家庭環境をもとに考えてみますと、少子高齢化や核家族化の進行によって、老老介護を強いられている世帯が多く見受けられます。二○一五年の東京都の調査によると、東京都内で六十五歳以上の高齢者がいる世帯のうち、ひとり暮らしが二割を超え、六十五歳以上の人が配偶者や親などの高齢者を介護する老老介護の世帯の割合は一一%で、初めて一割を超えました。こういった世帯からの救急依頼は全体の多くを占めており、理由として、かかりつけのクリニックが夜間対応していなかったり、歩行能力の衰えによって救急病院への通院が難しかったりすることが挙げられ、このような高齢者の対策は急務と考えられます。

 本区においても、平日夜間に対応している一次医療施設は小児科に限られており、高齢患者の受け入れ態勢は改善の余地が大きいと考えます。最近では、こういった問題に取り組む民間の医療機関も見受けられ始め、例えば、東京都内ではファストドクターという夜間往診に特化したクリニックがございます。これまでにも訪問診療を行うクリニックは数多くありましたが、夜間の救急医療に対応した往診クリニックは、全国初と聞いております。こういった民間サービスの努力が広まれば、医療機関へのアクセスに困窮する高齢者世帯へも適切な医療が提供されることになり、さらに夜間の二次救急病院や三次救急病院の負担は緩和され、救急車の出動件数の低減にもつながる可能性を秘めていると考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 区として、夜間における高齢者患者の診療体制の充実化の必要性についてどうお考えかお聞かせください。

 以上で第一回目の私の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 森谷歩美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、災害情報の収集計画についてであります。

 大規模災害時に、災害対策本部が的確に対応するためには、あらゆる情報収集手段を駆使し、迅速かつ正確に情報を把握することが重要であります。そのため、区では、職員を災害現場に派遣することを基本に、災害時優先電話や地域防災無線等を活用して、区施設を初め、防災拠点、防災関係機関、帰宅困難者支援施設等との情報を集約し、総合的な状況の把握に努めることとしております。また、関係各所とは、円滑な情報収集機能を確保するため、定期的に通信訓練を行うとともに、特に区内の警察署・消防署とは緊密に連携しながら、家屋の倒壊状況や死者・負傷者等の状況、火災の状況などの情報を共有してまいります。さらに、京橋プラザ屋上に設置した防災用ネットワークカメラによる映像監視や、各職員が参集途上で撮影した区内の被災写真をメール受信するなど、災害情報を迅速に把握できる体制を整備しているところであります。区といたしましては、引き続き、警察・消防などが参加する災害対策本部運営訓練をより実践的なものとして充実していくとともに、各地域ごとに防災用ネットワークカメラを計画的に拡充するなど、さらなる情報収集体制の確立に向け、推進してまいります。

 次に、ドローンの利活用、導入についてであります。

 ドローンは本当に急速に、最近、進歩しているわけで、最初にドローンという言葉を聞いたときには、おもちゃ程度のものかというふうな認識でしたけれども、今はもう認識を改めて、的確に対応したい、こういうふうに思っているわけでございまして、最近では、ドローンは、インフラの点検や自動測量などの分野で利用が拡大し、災害現場の調査などにおいても、その活用が期待される一方、ドローンによる事故や犯罪の発生など、安全面での課題が指摘されております。現在、航空法の改正により、無人飛行機の飛行ルールが定められまして、人や家屋が密集する二十三区全域では、原則、ドローンの飛行が禁止されております。災害時にはその適用が除外されるものの、高層ビルが林立し、都市機能が集積する本区では、ビル風による操縦の困難性や二次災害への懸念、さらには災害時の飛行調整など、安全の確保に大きな課題があることから、現段階におけるドローンの利活用や導入については、非常に困難であると認識しております。また、こうしたことから、職員による操縦につきましても現在のところ考えてはおりませんが、警視庁や東京消防庁では、捜索や救助活動に活用するため、ドローンの試験的導入がなされており、今後、災害時の情報共有等について協議してまいります。

 次に、民間との連携についてであります。

 現在、航空法による規制がされていない自治体の一部において、民間事業者とのドローンによる災害情報の収集協定が締結されておりますが、特別区を初め、首都圏での協定事例は把握されておらず、民間における安全体制の確保などについて今後の動向を注視してまいりたいと存じます。

 次に、ガバメント二・○の区政への活用についてであります。

 区民ニーズが多様で複雑化する中、それらにきめ細かく対応するためには、行政だけでなく区民や多様な団体等と協働していくことが大切であります。ガバメント二・○は、情報化技術を活用して、住民から施策に対する意見や公共物の管理などの情報を得て、より効率的に行政を運営するとともに、住民の行政への参加意識を高めることで、みずからが問題解決に取り組む環境をつくることを目指しております。日本でも、既に千葉市が行っているちばレポを初めとして、幾つかの自治体が住民からの情報を受け付けるサービスを開始しております。しかしながら、住民との協働という点では、千葉市でも昨年からサポーター制度を実施したばかりであり、その効果や影響を見守る必要があると考えております。区といたしましても、こうした技術を活用した協働の推進は今後もさらに進んでいくものと考えますので、先進自治体の取り組みを参考としながら、本区における活用について研究を進めてまいりたいと存じます。

 次に、摂食障害や女性特有のスポーツ障害を予防するための知識の普及についてであります。

 摂食障害は、社会・文化的要因、心理的要因及び生物学的要因が複雑に関与し発症する病気であります。また、女性特有のスポーツ障害は、継続的な激しい運動トレーニングが誘因となり、利用可能エネルギー不足、無月経、骨粗しょう症を発症するとされております。区立の学校では、養護教諭が保健指導の中で児童・生徒の食事量や体格、メンタルヘルス等に留意しているほか、保健の授業の中で規則正しい食生活と健康について学習しております。また、保健所では、三月の女性の健康週間に行うヘルスアップ栄養展で、適正体重を保つことの重要性やバランスのとれた食事や、運動によるエネルギー消費量に見合った食事を心がけること等について広く啓発しているほか、摂食障害については、精神科専門医や保健師による精神保健相談で、必要な方に専門医療機関受診を勧めるなどの相談支援を行っております。今後も、これまでの取り組みを継続するとともに、ホームページや講演会で正しい知識を周知するなど、普及啓発を図ってまいります。

 次に、女性アスリートの健康サポートについてであります。

 多くのアスリートが競技生活を送る思春期から二十代において、スポーツ障害による月経異常などにより骨密度が低下することは、将来的な骨の健康にまで影響を及ぼしかねないとされております。そのため、ある程度正常な周期の月経を維持し、高い骨密度を保つことは、女性アスリートが生涯にわたり健康を保持する上で非常に重要とされております。国立スポーツ科学センターでは、女性アスリート専用電話相談窓口を設置し、女性アスリートが抱える悩みについてサポートしているほか、女性アスリートの月経異常などの症状に対し、婦人科受診を勧めております。区としましては、広く女性の健康について普及啓発を続けるほか、健康相談業務の中で、必要な方には専門医療機関を御案内するなどの支援を行っております。

 次に、一次救急医療体制の充実についてであります。

 緊急性のある重篤な患者をスムーズに医療機関へ搬送するためには、現在、救急車による搬送者のおおよそ半数を占める軽症患者の利用を抑制することが必要であります。このため、東京消防庁では、救急相談センターを設置して、救急車の要請の適否を電話により助言する救急相談を実施しております。区といたしましては、今後とも、区民の皆様が適切に救急車を利用できるよう、救急相談センターを初めとする情報の周知に努めてまいります。また、一次救急医療体制の柱となる応急診療所につきましては、区民の健康を守る上で貴重な医療資源であると認識しております。しかしながら、平日も含めた夜間診療の拡大については、診療を担う医師等の人材確保等の課題もあり、地域の医療ニーズ等を慎重に見きわめながら検討する必要があると考えております。

 次に、高齢者の夜間在宅医療の充実についてであります。

 本区では、これまで夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護の導入などにより、二十四時間三百六十五日の介護体制を整備してまいりました。また、病状の急変時等に速やかな受け入れが可能な在宅療養支援病床を三床確保しているほか、かかりつけ医や訪問看護ステーション、ケアマネジャー等、多職種の連携を深め、在宅療養支援の充実を進めております。ひとり暮らしの方を含め、在宅療養中の高齢者が安心して自宅で生活を送れるようにするためには、さらに夜間の在宅医療の充実などを図っていくことが重要であると認識しております。今後とも、在宅療養支援協議会などにおいて医療機関等と協議しながら、医療的ケアを必要とする高齢者等が可能な限り在宅での生活を継続できる支援体制の強化を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔十八番 森谷歩美議員登壇〕

○十八番(森谷歩美議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございました。

 まず、初めに、ドローンについてお伺いいたしましたが、災害情報をいかに迅速かつ正確に収集することが防災で重要であります。ドローンにはさまざまな可能性があり、民間、国、他の自治体も取り組んでおり、本区としても積極的な導入の御検討をお願いします。

 また、ドローンの技術は日進月歩、進歩するものであります。正確な情報の収集の前段階として、適切なドローンの操縦技術が必要となってまいりますので、区の職員についても、できれば育成ができるような方向での検討を望みます。

 そして、区の職員がドローンの技術を習得されることも重要であるが、民間によりすぐれた知識や技術を持っている方があれば、民間にお願いしていくことが経済的でありますし、本区で被災すれば、区の職員も区も被災者となることから、職員だけで対応することは難しいので、民間活力を最大限に利用することが重要と考えますので、民間連携について積極的に検討をお願いいたします。

 ガバメント二・○では、区民の方の積極的な行政参加により行政のコストを削減できるものでありますので、ガバメント二・○を千葉市、横浜市、神奈川県においても導入を積極的に考えており、ほかの自治体の例えを参考にしながら、ぜひとも積極的な御検討をお願いいたします。

○議長(押田まり子議員)
 時間です。


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後七時二十五分 散会


署名議員
議長 押田 まり子
議員 佐藤 敦子
議員 堀田 弥生

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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