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平成29年 予算特別委員会(第11日 3月28日)

1.開会日時

平成29年3月28日(火)

午前10時30分 開会

午後2時02分 散会

2.開会場所

第一委員会室

3.出席者

(18人)

委員長 鈴木 久雄

副委員長 瓜生 正高

委員 礒野 忠

委員 木村 克一

委員 染谷 眞人

委員 塚田 秀伸

委員 海老原 崇智

委員 田中 広一

委員 墨谷 浩一

委員 加藤 博司

委員 奥村 暁子

委員 渡部 博年

委員 松川 たけゆき

委員 小坂 和輝

委員 山本 理恵

委員 渡部 恵子

議長 押田 まり子

副議長 石田 英朗

4.説明員

別紙理事者一覧のとおり

5.議会局職員

田野議会局長

小暮庶務係長

荻原議事係長

東調査係長

秋山書記

桝谷書記

鎌田書記

黒須書記

6.議題

  • (1)議案第1号 平成29年度中央区一般会計予算
  • (2)議案第2号 平成29年度中央区国民健康保険事業会計予算
  • (3)議案第3号 平成29年度中央区介護保険事業会計予算
  • (4)議案第4号 平成29年度中央区後期高齢者医療会計予算

(午前10時30分 開会)

○鈴木委員長
 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。ただいまより本日の委員会を開会します。

 総括質疑について、質問者の発言を願います。

○山本委員
 おはようございます。本日、最後の質疑となりますので、よろしくお願いします。

 私からは、コミュニティについてと、時間があれば、禁煙外来医療費助成についてお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、コミュニティについてです。

 区長の所信表明にも、新たな基本構想においても、コミュニティを重要な政策として打ち出しております。20万都市を見据えて、中央区が理想とするコミュニティをみんなで考えていく必要があると私自身も思います。ほかの委員の質疑の中で、区は、学校を核とするコミュニティの形成を考えているが、本区の特性として、特認校制度などがあり、必ずしも住まいが学区域にあるとは限らない。そのため、個別性と総合性の両面を考えていく必要があるとの答弁がございました。そして、人々が交流できる場づくり、コミュニティの活用方法を考えていく、そして良好なコミュニティ環境を形成していくとのことでした。

 そこで、今求められているコミュニティとは何かを考えさせていただきました。人口が急激に増加している中央区におけるコミュニティの概念を問い直すときなのかもしれません。

 まず、区が考えるコミュニティの意味あるいは概念についてお知らせください。

 また、コミュニティの再生を目指すのか、それともコミュニティの形成を目指すのか、はたまたコミュニティの創出を目指すのかについてお知らせください。

○眞下地域振興課長
 今さらながらでございますけれども、コミュニティということは、居住地域を同じくし、利害をともにする共同社会、地域社会ということでございます。地域社会とは、ある一定の地域に共通した社会的特徴を持って成立している生活共同体ということになってございます。本区におきましては、それぞれの地域において町会組織等がありまして、濃密なコミュニティが長い時間をかけて形成されてきたと思ってございます。また、歴史的な面でも、お祭り、伝統行事など数多く、まさに江戸の風情を感じられるまちでございます。地域コミュニティというものに関しましては、縁から始まり、地域の中で考えや価値観が違っても、そこに住む方によって時間をかけてその地域内での連帯感が醸成され、深いきずなが生まれることで形成されるものではないかと私自身は考えておるところでございます。

 そういうことも踏まえまして、町会・自治会を中心とした地域コミュニティ、それから先ほども御質問がありましたけれども、創生とか再生とかいうことではなく、単なる地域のコミュニティということではなく、例えば若い方の集まりとか、テーマ型、ミッション型というようなコミュニティも含めて、今後、そういったさまざまなコミュニティができるきっかけづくりの場を多く創出した上で、本当の幸福感を感じられる、非常に住みやすいまち、本当にここに住んでよかったというふうに思っていただけるようなことを目指すのがコミュニティの醸成だと思ってございます。特に再生、創設とか、そういうことではなく、今の地域の町会とかも大切にしながら、いろいろと新しいコミュニティをこれから創設していき、住みやすい地域にしていくということを、中央区にこれから人口がふえていく状況を含めて、私たちが考えていかなければいけないものだというふうに認識してございます。

 以上でございます。

○山本委員
 御答弁ありがとうございます。

 コミュニティに関しては、現在、共通の理解がある状況とは言えないと感じております。今御答弁いただいたように、従来のコミュニティの概念は、町会や自治会などを基本としたモデルでした。近隣住民のネットワークの構築が従来のコミュニティ論の基本的な課題でしたが、現代社会においては、近隣の人間関係に対して余り積極的ではない方々が多数を占めているのが現実です。人口が減少する地域社会や過疎地においては、既存コミュニティをいかに守っていくかが問われますが、人口が急増している地域社会においては、多様なコミュニティをいかにつないでいけるのか、そして参加意思の高い住民を一人でも多くふやすことができるのかが課題であると私は考えております。

 社会学におけるコミュニティの定義は、地域性と共同性という2つの要件を中心に構成されている社会、つまり地域性のみならず、共同性も重要であると考えられております。単に、同じ地域に人が集うだけではコミュニティとは呼べず、そこに共同性というもう一つの契機を要求しています。また、その共同性には2つの要素があると指摘されています。それは、実利的な共同性と心情的な共同性です。言いかえれば、我々意識、役割意識、そして依存意識です。

 そこで、具体的に5つ質問させていただきます。

 これまで地域社会に大きな役割を果たしてきた町会や自治会などの活動は、どのような課題を抱えているのかお知らせください。

 2つ目に、戸建てに居住する場合と高層かつ大規模な集合住宅に居住する場合とでは、近隣とのかかわり方が異なると考えますが、見解をお聞かせください。

 3つ目に、単身者、共働きなどの地域とのつながりが薄かった住民が地域の活動によりかかわっていく仕組みとして、どのようなものを想定されているのかお聞かせください。

 4つ目に、居住スタイルや人づき合いの価値観が多様化する中で、地域住民が緩やかにつながる仕組みなど、多様なコミュニティ活動のあり方についてどのように考えているのかお聞かせください。

 5つ目に、地域社会が変容する中で、基礎自治体、中央区とコミュニティとのかかわりをどのように考えるのか。特に、基礎自治体と高層かつ大規模な集合住宅とのかかわりについてお知らせください。

○長嶋区民部長
 まず、前提として幾つか説明させていただきたいんですけれども、要は、我々の基本的な認識としては、戦後、核家族化が進んで、それに伴って人の動きも非常に大きくなってきた。そういった中で、以前のような共同体的というか、相互扶助的なコミュニティがだんだん機能を果たさなくなってきた。それに対して、今まで日本がどういうふうに対応してきたかというと、それは公的サービスの充実だと思っています。

 そういった意味で、今後のコミュニティというものは、基本的には公的サービスを基盤としながらも、やはり1つ上の暮らしやすさを求めていくという緩やかな形になってくるだろうというふうに考えています。そういった意味でいいますと、あくまでも公的サービスというのは、例えば中央区全域を対象としたサービスです。だけれども、我々の暮らしの生活圏はもっと狭くて、例えばお子さんが多い地域、お年寄りの多い地域、あるいは、極端なことを言えば、住民がほとんど住んでいない地域などさまざまです。ですから、そういったものに対応していくためには、公的サービスだけでいい暮らしができるとは考えていません。ですが、それはあくまでもエリア的な問題ですので、ここで我々が考えているコミュニティというのは、基本的にはやはり地縁的なつながりというのが中心になっていかなければならないだろうと思っています。

 その中で、委員の御指摘のあった、例えば子育てサークルだとか、あるいは高齢者向けの見守り活動ですとか、そういった目的別のものと地縁的なコミュニティをどうやって融合していくかというのが基本的な考え方になっております。そういった意味では、町会・自治会につきましては、基本的には地縁的に結ばれたコミュニティですので、どうしてもそこが中心にならざるを得ないだろうと考えておりますし、行政としても、町会・自治会というのを支援していく意味があるだろうというふうに考えているところでございます。

 次に、戸建てと集合住宅、また単身者と共働きについて、今までのコミュニティの中に参加しにくいというような状況に対してどういうふうに考えているのかという御質問だと思いますけれども、基本的には、先ほど申し上げたとおり、そういった緩やかな形の中でどうやって参加していただくか。無理にこういったことをやらなければいけないというのは、単身者の方にお願いしても、正直言って、それは無理だと思っています。ただ、いろいろ我々も地域手づくりイベントですとか、そういった中で、まず第一に顔見知りになる、それが一番最初のステップだと思っています。その中で、時間的に余裕がある、あるいは興味がある方々が参加しやすい状況をつくっていくということ。それについて言えば、区の施策であれば、地域の担い手づくり養成塾の参加者がかなりいらっしゃる。それをどうやってつなげていくかという話になってくるだろうと思います。ただ、それについては、基本的に言えば、それぞれ考え方が違いますので、町会のほうとどういうふうにかかわっていくのかという話を一つ一つすると同時に、一律にこうすればいいというものはあると思っておりませんので、それはそれぞれの町会あるいは我々が間に立って、いろいろお話し合いを進めていくというような形になるだろうと思います。

 それから、中央区との関係ですけれども、先ほど申し上げたとおり、生活の基盤としての公的サービスを我々が提供していくことは今後も変わらないと思っています。その中で、地域の課題ですとか住みやすさを自分たちで考えて、それをどう実現していくのか、その上乗せしている部分がコミュニティだと。中央区とコミュニティとの関係は、そういうものだというふうに考えているところでございます。

 私からは以上です。

○眞下地域振興課長
 現在の町会・自治会の活動への課題というところに関しては、やはりなり手不足とか役員の高齢化が大きな課題というふうに認識しているところでございます。先ほども区民部長のほうからも申し上げたとおり、共働き世帯の方がふえている。職住一体で昼間に町会とかにいない方もふえているような状況がございます。マンションと個人の住宅という状況では、特に中央区に関しては、非常に高層で1棟当たりの世帯数が多いマンションという中で、セキュリティが優先されて、御近所の顔が見えないとか、当然、中央区にお住まいになる方というのは比較的職住一体というか、接近を求める方が多く、就業形態の多様化とともに、なかなか顔を合わす機会もない。共働きでお忙しい方が多い状況の中で、日々顔を合わせる機会がないような状況だと思っております。

 あと、価値観ということにおいては、今、中央区の人口動態を見ますと、1年に1万5,000人ぐらい転入してこられる方がいらっしゃる状況でございますし、1万人の方が転出する。非常に人口の異動も多いというような状況の中で、中央区の濃密なコミュニティということに関しては、新しく入ってこられる方の中にはそれを実感している方が少ないということも一つの課題というふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

○山本委員
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 今お話しいただいたように、コミュニティには2種類のものがあると考えております。まず1つが町会や自治会などの地域性もしくは地域的基盤としてのコミュニティ、もう1つが趣味や教養、文化などのクラブサークルや子育て、学校、福祉、介護、防災、環境、まちづくりなどの市民活動団体のコミュニティです。これはNPOなども含まれると言われております。後者においては、地域性を重視しつつも、近隣ネットワークに制約されることのない地域集団です。地域の課題に対して包括的に取り組む必要はなく、特定の課題に集中して取り組むことができます。町会や自治会に関しては、任意団体、任意組織であるものの、自治性が強調され、コミュニティの形成やまちづくりの有力な担い手としての役割や期待が寄せられている現状がございます。しかし、課題としては、今御答弁いただいたように、全ての町会ではございませんが、町会員の高齢化、役員不足、活動の担い手不足などが生じています。また、町会の活動として、新規会員の勧誘を行っておりますが、なかなか難しい現状があるとお聞きしております。

 そこで、しばしば町会の会員数の拡大がコミュニティの活性化をもたらすような議論がなされますが、私は、これは別だと考えております。たとえ新たなマンションが建った際に町会への加入や町会費についてお願いをしたとしても、それは単に会員数が増加するだけで、自発的な参加をしてもらうことがなければ、コミュニティが形成された、課題が解決されたとは言えないと感じております。

 コミュニティの形成とは、住民の自発的な意思や自発的参加に基づくものでなければなりません。町会や自治会に積極的に参加しない方や近所づき合いを余りしない方も、人とのコミュニケーションを望んでいないわけではないと思います。自分の気の合う人を見つけて話したり、趣味を共有したりすることには積極的になる人もいます。その自発的参加に基づく各種共通目標や目的別に組織された集団が市民団体、市民活動団体であり、公的サービスの提供や主体となり得る意欲と能力を備えた団体です。これは、新しい公共として期待されております。

 現在、区は、公的サービスで補完する、もしくは提供すると言っておりますが、行政に求められているものは、行政がみずから税金を使ってさまざまなコミュニティ形成をするのではなく、今あるさまざまなコミュニティ、小さなコミュニティを活用していく、公共の担い手として活用していくことが求められています。行政と町会・自治会、そして新たな公共をいかにつないでいくかが課題であると考えます。

 そこで、新しい公共と既存秩序である町会・自治会とのネットワーク化、接続をいかにしていくかについて、見解があればお聞かせください。

 そして、各部署で横断的な取り組みをすべきであると考えております。コミュニティが地域に果たす役割は多岐にわたっているということは、行政機関においても、それぞれの部署でコミュニティの創設、形成が行われております。例えば、教育の分野でも、福祉の分野でも、防災の分野でも、さまざまなコミュニティの形成活動を行っております。

 そこで、それぞれの所管の範囲のみで活動している、このようなコミュニティを庁内でどのように連携、調整していくのかについてのお考えをお聞かせください。

○眞下地域振興課長
 中央区においては、平成18年3月に地域との協働指針というものを策定いたしまして、その定義の中には、企業、NPO、ボランティア団体、ほかの市民活動団体も含め、町会・自治会等を中心に、多様な団体との協働ということを打ち出してございます。当然ながら、多様で複雑化する区民ニーズへの効果的な対応、それから地域活動への主体的な区民参加の促進、さまざまな団体が力を出し合う地域力の向上ということを目指し、都心型の協働社会を構築するということを決めておりまして、今、日本橋小伝馬町にございます協働ステーション中央等がそこのつなぎの役を担っているような状況でございます。中央区には、3万7,000を超える多くの企業がございます。そういうことで、企業等も取り入れて、何とかそういう協働ができないかと。東京都のほうも、今後、新しくプロボノだとかのほうにも力を入れていくということも聞いてございますので、中央区の特性に合った協働社会を構築していくというようなことが、これからも求められてくるものというふうに認識してございます。

 次に、庁内の組織ということで、中央区としては、協働に関しては地域振興課のほうでやっておりますが、さまざまなそういう事業が行われております。今、全庁的にそれを横断するような、連携ということまで図られている状況ではございませんが、それぞれの事業に応じて、例えば子供から御高齢者までのライフステージに応じたり、それから趣味の活動だとか文化的な活動とか、さまざまな分野でのそういった取り組みが行われているということは、例えば先ほどもありましたように、単なる地域だけではなく、それぞれの分野で目的別というか、テーマ型とかミッション型とか申し上げられるような状況でございますけれども、さまざまな施策を講じているというところです。特にそれを横断的に調整するということはなく、それぞれの事業課のほうでそれぞれのテーマ、ミッションに応じた対策が講じられているというふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

○山本委員
 御答弁ありがとうございます。ぜひとも、ミッション、目的別に応じたコミュニティをさらにつないでいく、広げていくことができないか、検討なり模索していただきたいと思います。

 専門性を生かした活動をしている団体、地域の企業、福祉施設等の多様な主体が地域内でネットワークを有する自治体または協会とうまく連携することによって、相乗的な効果も上げることができると思います。そして、それが活発な地域活動を持続できる可能性を生みます。また、従来型の町会と新たな公共として期待される市民活動団体が課題に応じて協働していく、これが望ましいのかなと考えております。これまで結構コミュニティがあるかないかを問うことが多かったんですが、今後はコミュニティをいかに有効に機能させられるのかを考えていく必要があるのではないかと感じております。

 次に、コミュニティ活動のあり方について少しお聞きしたいと思います。

 中央区に住んでいる方や企業の方、勤務している方が生活を営んでいく上で、さまざまなコミュニティが自然に生じていると思います。そのコミュニティは、強要されて形成できるものではありません。コミュニティ活動に総体的に、または主体的に参加が可能な人もいれば、部分的な参加であれば可能な人もいます。それぞれの置かれた状況に応じて、何らかの形でまちづくりに参加する人がふえることで、コミュニティは確実に活性化していくと思います。そのためには、いろいろな人が参加できるような多様な仕掛けをつくり、さまざまなきっかけをつくることが必要となります。例えば、子供をきっかけとしたもの、リサイクルや福祉などの活動、公園や花壇の整備など、ある意味では無限に想定でき、それは既に実施しています。折り合いのつく範囲で参加してもらえるだけでも、立派な参加であるということを認めていく必要があると感じております。

 また、子育てや介護等、さまざまな生活の面での経験から、さまざまな団体や多くの人とかかわる機会が多く、地域活動のあり方に重要な知見を有している女性が地域のハブとして活躍することが期待されていると思います。ただ、その一方で、仕事を持つ女性がふえておりますので、コミュニティといっても、家族全員が一つの役割を持つというのではなく、個々人、家族それぞれに何らかの地域活動にかかわっていただきやすい仕組みを考えていく必要があると思います。

 そこで、総体的な参加と部分的な参加についてどのようにお考えか、お聞かせください。

○眞下地域振興課長
 コミュニティの参加ということに関しましては、それぞれの方の価値観、それから考えによって受け取り方が違うような状況でございます。昨今、マスコミ等によって町会・自治会の役員不足とかいうのもシリーズで掲載されたりして、役員の方の負担が大きいというようなことが特に示されているところでございます。

 具体例を申し上げますと、ある町会の方の成功例ということで、それを端的に象徴しているお話を前に伺ったことがあるんですが、地域でイベントをやると。そこで焼きそばをつくるので、キャベツを刻む方が必要というようなことがあって、そのイベントでキャベツを刻む方を募集したら、何人もの方にそれに応じていただいたと。町会の役員を募集するとなかなか応じていただけないですが、そういうことをきっかけとして、町会活動に御参画いただいたというようなところがあります。

 ですから、町会活動とか、そういうところも一つのきっかけづくりとして、総体的に役員ということの募集ではなく、町会とか自治会の活動において一部分でもそういうことに加わっていただくような機会を設けるということが非常に重要なことと思っております。

 以上でございます。

○山本委員
 どうもありがとうございます。

 中央区は、非常にさまざまな人、物、情報、お金、全てがそろっている恵まれた地域であると考えております。あとはどのように活用していくのかだと感じております。

 現在、総務省や国土交通省においてもコミュニティの再生や創生に関することの調査や、また研究会などが開かれております。都市化が進んでいる地域ほど、地域でのつき合い、地域コミュニティ意識は希薄化する傾向があることも示されております。地域の立地環境や居住年数、家族構成などによって、地域コミュニティに対する意識が異なると報告してあります。地域コミュニティは、先ほど御答弁いただいたように、住みやすさに大きく影響することが明らかとなっております。

 住みやすい地域をつくるためには、行政の活動だけではなく、地域住民同士のつながりや助け合いが不可欠なのは言うまでもありません。特に、行政の能力だけでは全ての住民に対してきめ細やかな行政サービスを提供することが困難である分野においては、住民の力によるところが大きいです。これまで住みよい地域をつくるために、地域が抱える課題解決に向けて取り組んできたのは町会・自治会ですが、その町会・自治会の閉鎖性が結構課題となって上げられています。これらの地域活動に参加しやすい仕組みづくりを考える上で、開放的な組織づくりをいかに展開できるかが課題、問題となると思います。

 そこで、今、総体的参加ではなく部分的参加ということも考えていけるということでしたので、さまざまな可能性について検討していただければと思います。

 そして、コミュニティ形成に一番大切なのは、地域への愛着や自己アイデンティティーの醸成になります。最終的にはここに行き着くかと私は思っております。30代、40代の子育て世代が増加している中央区において、小学校を核に、新しい小さなコミュニティが形成され始めている段階であると考えております。既に、先ほども言いましたが、教育、福祉、防災といったさまざまな分野において、区民が交流できる場づくりや仕組みが数多く用意されています。そのコミュニティの活性化に必要なのは参加意識の高い住民をふやすことでありますが、そこに必要な要素は定住意思です。中央区に住み続けようとする意思は、地域への愛着や自己アイデンティティーと結びつくため、住みやすさを感じる、住み心地がよいと思われる空間を形成する必要があります。具体的には、快適な居住、適切なインフラ、そして適度な人間関係が必要であると言われております。

 コミュニティというものは、明確に形づけられるものでもありませんし、理想的な形になるものでもありません。価値観が多様化している今日において、コミュニティの課題も多様になっています。さまざまな活動がさまざまに展開されることがコミュニティの理想ではないかと思います。中央区に移り住んでくださった方々が、また、これから移り住んでくださる方が、これからも住み続けよう、住み続けたいという意思を持っていただくことが、最終的にコミュニティの形成、活性化につながると考えますが、区の見解をお聞かせください。

○眞下地域振興課長
 中央区においてのコミュニティということで、先ほども申し上げましたけれども、中央区では長く歴史を持った濃密なコミュニティが形成されてきたところでございます。

 ちょっと外れるかもしれませんが、特に、基本構想の中に人が集まる粋なまちというところがございますが、粋という3つの要素があるというふうにおっしゃっている学者の方もいますが、媚態という中で毅然としてどこか冷めたような姿勢をとるというところが粋の一つの要素ということになってございます。そういうところが、意外と閉鎖性というようなところを感じさせるところがあるのかなというふうに感じてございます。中央区には、いろいろな方が転入してこられますけれども、一番多かったのが30代、40代の子育て世代で、それも共働きの方、就業形態が多様で、御夫婦で昼夜就業形態が違うとか、さまざまなことがございます。

 コミュニティというのは、単なる顔を合わせるということではなく、昔でいえば、井戸のところで井戸端会議というようなことで、1つの井戸を共用していたということでコミュニティが形成されていったということもあります。今、地域密着型のソーシャルネットワークシステム、ピアッツァという団体も活動しているところでございますけれども、ある意味では情報通信を利用したコミュニティの形成ということも含めて、いろいろな同士の方、それからそういう年代の方、そういうさまざまなコミュニティということをして、なおかつ地域の担い手養成塾というものを先ほど区民部長のほうから御説明させていただきましたけれども、地域活動に関心のない方ばかりではなく、そういう方がどうやったら地域の活動に参画できるか。中央区の町会そのものが、ある意味では非常に特殊性があるというか、非常に活発な活動をしておられるわけですから、1人で住まわれていたり、転居してきたばかりとか、そういう方はなかなか町会の敷居をまたぐことが難しいというお話も伺っているところでございます。さまざまな機会を通して、コミュニティに加わっていただくきっかけづくりということをこれからも推進していくことが何よりも重要だと考えております。

 以上でございます。

○山本委員
 御答弁ありがとうございます。

 どうしても町会が中心なのはよくわかるんですけれども、コミュニティというのは本当にさまざまなところで形成されていて、最後は町会に結びつけなくてもよいかと思うんです。公共の担い手として、公共サービスの主体として、子育ての分野でもいいですし、例えば福祉の分野でもそうですけれども、結びつけなくても、その分野で立派にコミュニティは形成されるものだと思うんです。あとは、最終的にどのようなネットワークが構築できるかであると思うんです。

 よく、新住民、旧住民みたいな議論がなされることがございます。私は、これは何を定義に新住民と言っているのかなと感じるところです。一番大切なのは、どのぐらい長く住んでいるかではなく、その地域に対してどれだけ愛着があるのか、自己アイデンティティーがあるのかということが問われるのではないかと感じております。

 私は、14年前に中央区に引っ越してまいりました。その8年後、平成23年に区民の皆さんから御信託をいただいて中央区議会議員になりました。中央区議会議員になる前も中央区のことがとても好きでした。ただ、町会に参加するなどといったことはございませんでしたが、今回、中央区議会議員になって、行政の事業や活動に携わり、より愛着を持つようになりました。よりよい中央区を目指したいという思いは、この活動をする前から持っておりました。コミュニティについては、さまざまな地域、立場、年齢によって価値観も異なりますし、置かれている状況も異なりますが、今後も区民の皆さんとコミュニケーションをとりながら、引き続き中央区の理想とするコミュニティについて勉強してまいりたいと思っております。

 今回、まとめますと、何が言いたかったのかといいますと、既にコミュニティというものは存在していると言いたかったんです。小さいコミュニティかもしれませんが、それぞれ人は社会性の中で生きておりますので、全くコミュニティのない方というのは非常に少ないと思います。また、中央区の場合、30代、40代の方たちが多いということ、そして新しく住まわれた方、子育て世代の方が多いということなので、学校を核としたコミュニティが徐々に生まれてきている。今、形成されている段階なのではないかと感じております。最終的にコミュニティの活性化につなげるためには、地域への愛着、アイデンティティー、そして住みやすい居住環境の形成が行政には求められていると考えます。

 では、以上で終わります。

○鈴木委員長
 次の質問者の発言を願います。

○渡部(恵)委員
 よろしくお願いいたします。

 時間の都合上、流れをとめずに質問させていただきますので、御答弁よろしくお願いをいたします。

 平成29年度は区制施行70周年という節目の年に当たり、新たにこれからの20年の将来像を展望し、その実現に向けて、そこに至る道筋を示す中央区基本構想の初年度に当たる予算編成がなされております。また、29年度は基本構想の確かな実現に向けて、各事務事業を計画的に進めるための基本計画策定の検討を行う1年に当たる重要な施策が提案されています。

 さまざま質問させていただく前に、先日、タイムドーム明石に行ってまいりました。その際、江戸の地図が床に描かれていました。今なじんでいる月島地域は佃島だけであり、江戸のまちづくりについての解説では、当時、将軍が住む江戸城を守るために、江戸城を囲むように武家屋敷が広がり、その武家屋敷を囲むように隅田川に沿ってお寺が並ぶ町並みがつくられていたと書かれていました。

 帰宅後、検索した国土交通省のホームページでは、風水で見た都市のあり方として、江戸のまちは徳川家康と天海僧正が江戸のまちに流れてくる龍脈から吹き上げてくるよい気を集め、それを循環させるために、日本橋を拠点として甲州街道、東海道をつくり、それらと富士山や秩父山系から神田明神を通る3本の龍脈が江戸を支えていると書かれていました。私は、当時の徳川幕府が長年続いた戦国時代に終止符を打ち、幕府という行政の継続性を図り、地域住民の安寧を願うためのまちづくりを陰陽五行に求めたのではないかと感じました。ここに、中央区に残る江戸時代から続く、その土地が持つ役割についても歴史と伝統が息づいていると感じることができます。呉服問屋、魚問屋、五街道の拠点として位置づけられていた日本橋、馬問屋の馬喰町、文化が広がった銀座、その後の外国人居留地として発展した湊町、築地と、中央区は江戸から続く歴史と伝統をそれぞれのまちが確かに継承していると、タイムドーム明石を見て新たに感じることができました。

 タイムドーム明石で見た、最近までこの土地が刻んできた時の流れと、それぞれのまちに残る、その土地に合った役割を負ってきた経緯を眺めていると、都心中央区として、未来へ向けて、それぞれの土地が新たに担う役目がその時代を生きる人たちの手によって時代の趨勢に合わせ、つくり上げられ、今、新たに国から期待される役割もあり、都心であるために応えていかなくてはならない役割と責任もあるのだと感じました。

 これからの20年で想定される社会構造の変化について、私が感じたことをお話しいたします。

 基本構想が描く20年の展望ですが、ことし策定する予定の基本計画の10年間には、社会的に大きな変化が想定されていくのではないかと考えます。特に、オリンピック後の2020年以降は、産業構造も大きく変化していくときを迎えていると私は感じております。私なりに、今回、縦軸に時間軸をつくり、同時に今後の人口推計、国の経済環境、産業構造の変化、これによって求められる行政需要、まちづくり、世界情勢の変化について縦軸にとって、2020年以降、それぞれがどう影響をし合い、変化していていくのだろうかと推察しました。

 まず1つ目は、今お話ししたように、大きな変化を伴うことはAIです。汎用人工性機能は、人間の脳を超越するシンギュラリティ、つまりこれは人間の脳を超える技術的な臨界点のようですが、このときを、早ければ2029年ごろ迎えると、今週の日曜日、26日付の日経新聞に書かれていました。人工知能が人間を支配するのではなく、機械とともによりよい文明をつくる時代を迎えるという意味だそうです。次の時代はAIによって各産業におのずと影響をもたらし、私には想像がつきませんが、世の中がどれほど変容し、生活の質を変化させていくのかという時代を迎えていくのだろうと思います。

 2つ目は、この産業の変化とともに、今後ますます地球環境保全に向けて低炭素社会へ向けた取り組みが並行してなされる時代を迎えるのだろうと感じております。中央区は、都心であるがゆえに、世界経済の動向によって影響を受けやすい傾向にあります。世界的な産業構造の変化や、これに伴う経済環境の変化を受けていく10年間、そしてまた、その次の10年間も同じようになるのではないかと推察しております。

 3点目は、昨日の委員への御答弁にもありましたが、日本は少子高齢化社会へ進んでいる一方、都心中央区は、過去に手当てをした人口回復施策の効果によって、今後20万都市へ向けて人口が増加していく推計となっていることから見えてきたことがあります。2020年に生まれた子供たちは、2030年、市街地再開発を終えるときにはちょうど10歳、そして基本構想20年の最終年には17歳を迎えます。さらに、次の10年の基本計画の最終年には27歳を迎え、ここをふるさととして育ってきた子供たちがちょうど子育て世代に入っていきます。横軸と縦軸を眺めていると、次の20年の基本構想をつくるときには、もう一度子育て支援に力を入れる時期が来るとわかりました。今、出産できる世代が人口推計上、一番若い世代が多い人たちです。ここをふるさととして育つ子供たちが親になるころ、もう一度子育て支援に力を入れることで、今後も都心中央区で新生児が誕生する時期を迎えていくはずです。

 なぜこのようなお話をしているのかと申しますと、人口増加は消費が活発となり、これによって生産性も高くなり、企業収益が増加します。住民が多いということは、行政の継続性を担保し、国家の安定にもつながってくるからです。中央区は、人口減少から立ち上がってきた行政です。そして、これから先も人口流入を活発化させるまちづくりを行います。都心へと集まる人を受け入れるまちづくりをしている中央区が果たすべき一つの役割は、子育て支援施策であると見えてきます。

 こうしたことを踏まえ、平成29年度予算案の施策を見ておりますと、東京の表玄関である八重洲口の開発を具体に動かすことが、まず大枠で一つの鍵となってくるように考えます。東京駅丸の内と八重洲、そして京橋、日本橋は、日本の大手企業の本社機能が集中しています。今後の新しい産業構造の変化を先取りし、最先端技術を開発する企業を、本社機能が集まる場所に呼び込むことは、まちの収益安定へとつながっていくからです。世界の最先端の産業を呼び込むことで、産業ツーリズムにもつながっていくと思います。

 それでは、ここでお伺いいたします。

 今回、基本構想20年は、中央区の真柱となります。その1年目に当たり、今後想定し得る産業構造の変化や世界経済、世界情勢の変化を受けやすい中央区ではありますが、中央区の核となるものをどのようにつくり上げるビジョンをお持ちなのでしょうか。これまでお話ししてまいりましたように、中央区のまちが長年重ねてきた場としての歴史もあります。今ある場の価値をどのように生かし、これを発展する施策へと構築していくお考えでしょうか。

 また、市街地再開発の機会の中で、その地域が持つ歴史や伝統という価値を具体的にどのように生かしていくのでしょうか。

 今後も、外貨が日本経済を大きく支えていく中で、都心中央区の役割を生かすとき、情報発信はかなめとなります。平成29年度予算案にも、さまざまな観光産業活性化の事業が組まれていますが、その中で、中央区の観光板にQRコードを取り付けることで、今いる地域の情報を的確に得ることができますが、中央区の観光板の生かし方についてお伺いいたします。

 既に取り組んでいる観光アプリがございますが、このアプリの評価は高いようです。コメントの中に、お役所らしくなく、絵地図師の高橋美江さんの温かな雰囲気の手書きの地図で江戸の古地図、現在の地図に加え、歴史、グルメ、買い物などのアプリとして、私が一番好きなアプリだというお答えがありました。これに新年度の予算案にある防災アプリを組み合わせることについてどのようにお考えでしょうか。

 岩手県久慈市、神奈川県湯河原町、鎌倉市など、多数の観光地が防災アプリと観光アプリを同じくしたものをお使いです。中央区は、日中人口が多いことと、3年後の東京オリンピック・パラリンピック大会の際の防災対策、観光対策、両面へのアプローチとして、それぞれ一体となったアプリの利用は、来街者にとって大変有効なものだというふうに考えておりますが、お考えをお聞かせいただければと思います。

 新年度は、環境行動計画の改定のときを迎えます。中央区が目指す一つの方向性は、東京都とも連携をしながら、スマートシティの実現に向けて進んでいかれますが、世界各地、日本各地から視察に訪れるような都心のスマートシティのまちづくりへの展開について、現段階ではどのようにお考えでしょうか。環境ツーリズムを呼び起こせる都心の環境対策構築を考えるときが来ていると思います。この点をいかにお考えでしょうか。

 それでは、続いて教育についてもお話をさせてください。

 先日、小学6年生の謝恩会の席にお招きいただき、卒業生たちの将来の夢を伺いました。子供たちの多くが、将来外国に行きたいので、中学生になったら英語の勉強を頑張りますと答えていました。現在推進中の国際理解教育について、委員に対する御答弁に、サモア大使館、姉妹都市の中学生との交流をしているということでしたが、私は、パイロット校だけでなく、今後推進する一校一国運動の中で、子供たちに実際に同世代の子供たちとの交流を図ってあげたいと考えています。大使館員の子供たちを通し、教育現場の中で同世代の子供たちとの交流は、その後の子供たちへの未来の展望がさまざま開けるのではないでしょうか。互いにとって忘れられない体験となるのではないかと思います。外国語習得への動機づけはさることながら、世界へ向けて視野が広がり、興味を持てることが一番の国際理解教育であると考えます。同世代の子供たちの交流についてのお考えをお知らせいただきたいと思います。

 次に、子供たちの想像力を豊かにする取り組みについてお伺いいたします。

 イマジネーション力は、大人になってからも予測可能性を図る上で大切です。特に、想像力の豊かさは、相手の立場になって考えることができます。これは、成長して企業人となったときも、お客様の立場という視点や相手のニーズを酌み取るという視点にも通じていきます。今、中央区で育つ子供たちに具体的に想像力を豊かにする取り組みをどのようになさっておられるでしょうか。

 最後に、基本構想にも書かれている中央区平和宣言を柱にしていることについてお伺いいたします。

 2020年の大会に向けた理念を平和と位置づけておられることもあり、予算案にも永遠の平和を願ってというタイトルで平和展やコンサートを実施することになっています。今、戦争を体験した世代が後期高齢者となっています。中央区にも第二次世界大戦を中央区で過ごした人たちが残っています。私も、築地六丁目交差点に大きな防空ごうがあったというお話や、B29が低空で飛んでくるのを下から見上げたというお話を時々耳にします。こうした方々は、戦争を知る最後の世代となっており、時代の生き証人です。このような方々の動画をアーカイブとして具体的に残しておられますけれども、今、それはどのように生かしているのでしょうか。語り部として、戦争を実際に体験した方のお話をどのように生かしていくかということについてのお考えをお聞かせください。

 以上、流れに沿って、時間の都合上、まとめて質問させていただきましたが、御答弁よろしくお願いいたします。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 私のほうから、基本構想に絡みまして、今後のビジョンと、その場の価値の創造について答弁いたします。

 まず、基本構想審議会の議論の中で、平成28年2月9日、最初に中央区の歴史ということで紹介させていただきました。今、委員の御紹介いただいた内容について、審議会委員のほうに紹介しています。簡単に、江戸時代から明治、大正、昭和ということで、もともと日本橋、京橋地区に問屋街等があったといったところ、それから日本橋、魚河岸というところも発展してきた流れから、関東大震災を契機に、今の築地に魚河岸が移転したという話、そういったところで、日本橋、それから築地が中心になって発展してきた。また、さらに銀座についても、ハイカラという形で発展してきたといった歴史を紹介させていただきました。

 そういった中で、竹内会長のほうから、中央区の基本構想を議論する中で重要なことが2つあるといった話を伺っていました。1つ目が、画一的な構想はやめようと。特に、中央区というのは歴史、文化、伝統が非常に色濃く残っている重要なものが多々あるといった中で、地域の個性、特色をしっかり残していこうと。そういったものを構想に反映させていこうといったお話がありました。また、もう1つが、地域もさることながら、しっかりと歴史をひもといて、そこから議論を始めようといった2つが最初に話があったところでありまして、その御意見をいただいて、第1回の基本構想審議会で歴史をひもといた形を紹介させていただきました。また地域性も、日本橋、京橋、月島地域の特色についても紹介させていただいたといった経緯がございました。その中で、先ほども地域振興課長のほうから話がありましたけれども、今ある地場産業も含めた産業など、3万7,000の事業所が集積しているといった特色も当然生かしながら、さらに次の20年をどう考えていくのかというところが議論になりました。

 現行の基本構想につきましては、平成9年の人口が一番減少したところで都市の空洞化が非常に深刻になった時期もございましたので、それをどう人口回復に持っていくのかというのが第一命題といいますか、目標でありましたけれども、生命線である人口回復がある程度見えてきた中で、今後、次の正のスパイラルをもう一周回すのには、新たな活力を創出しなければいけないといったところでのもう一つのスパイラルを観光、それから金融、創薬といった新たな産業についても創出していこうと。そういったところで本区のにぎわい、活気を創出していこうと考えているところでございます。

 地域性についても、今、委員のほうから場の価値という話もありましたけれども、それぞれの地域の特色というものをさらに今後20年伸ばしていきながら、しっかりと個性の部分を生かしていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○松村地域整備課長
 私のほうからは、市街地再開発事業の中で機会を捉えて地域が持つ価値を具体的にどのように生かすかという点についてお答えさせていただきます。

 例えば、日本橋川沿いのまちづくりにつきましては、川沿いの景観形成に向けて、複数の市街地再開発事業を連携させ、首都高の移設、川沿いの歴史的建造物の活用、また魅力あるプロムナードの設置など、日本橋固有の歴史の継承とにぎわいを生み出すまちづくりを目指してまいりたいと考えています。

 また、東京駅前につきましても、複数の再開発を連携させながら、その交通機能を最大限強化するとともに、製薬会社、また金融機関の集積を発展させることが大事であるというふうに認識しております。再開発を通じて、バスターミナルの整備や駅前保育の視点も取り入れたり、それからカンファレンス機能、国際水準のオフィス機能、ホテル等の滞在機能、このような複合機能を集積させて国際都市にふさわしいまちづくりを進められるのかなと認識しております。

 また、月島地域においては、3年に1度開催されるお祭りも地域の伝統として大事なものかと思っておりますが、そういったものに利用される広場の形成であったり、それから西仲通りの商店街を踏まえて、道路に面する低層部に店舗を配置するなど、地域の個性を生かしたまちづくりを進めていくということを再開発を通じても実施していくところでございます。

 基本構想の提言等を踏まえながら、地域の個性を生かした良好なまちづくり、世界に発信する魅力的なまちづくりを、こういった再開発事業もしくは個別更新を両輪として、まちづくりを進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○田中商工観光課長
 私のほうからも何点かお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、観光案内板の生かし方についてでございます。

 平成29年度におきましては、中央通りを中心としまして、外国人観光客の受け入れ環境の整備ということで、観光案内板の新設を考えているところでございます。こちらにつきましては、当然、周辺の地図情報とあわせまして、区内の回遊性を高めたいということから、観光情報センターのほうでつくっておりますウエブサイトへ直接つながるようにということで、観光案内板にWi-Fi機能を付加したところでございます。

 QRコードにつきましては、今、地域の中でもさまざまな形で活用されているのは認識しております。一方で、スマートフォン等の端末に位置情報を提供するビーコンといったようなものを活用して、周辺の店舗の情報提供ですとか、それからナビゲーションシステムに活用できないかということで、今、国土交通省や東京都が銀座や日本橋のエリアの地下街等を活用しながら実証実験等も行っているという状況もございます。こうしたこともありますので、そういった状況を見ながら、観光案内板についても何か違った機能が付加できないかについては、今後引き続き検討していきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、防災アプリとの一体的な活用といった御質問でございます。

 まず、まち歩きマップアプリでございますけれども、こちらにつきましては、平成25年12月に作成しまして、先にできたものですから、今回、防災マップアプリの作成が予算づけされたんですが、これについて一体化できないかという検討は行わせていただきました。その中で、現在の観光のまち歩きアプリは非常にデータ容量が重いものになってございまして、さらに機能を付加すると、なかなかダウンロードがしづらい状況になるということもございまして、現時点では断念せざるを得ないかなというふうに思ってございます。ただ、一方で、どういった形ができるかという連携策については検討しているところでございまして、観光情報センターにおける案内はもちろんのこと、観光協会、それから観光情報センターが持っていますCentral Tokyo for Tourismのウエブサイトの中から防災アプリをダウンロードできる設定をしていくということですとか、今後になりますけれども、Wi-Fi機能のついております観光案内板については、防災アプリを直接ダウンロードできるQRコード等も添付していきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○遠藤環境政策課長
 スマートシティのまちづくりの考えと環境ツーリズムについてでございます。

 現在、東京都において、晴海の選手村地区におけるエネルギーに関する目標、あるいは現時点で考えられる具体的な整備内容、取り組みの進め方について、選手村地区エネルギー整備計画としてまとめております。この中で、水素エネルギー供給事業とか熱供給事業あるいはエネルギーマネジメント事業を施策の方向性や意義として掲げているところでございます。今月末には計画が公表されまして、また、平成29年度にはエネルギー事業者の公募と選定が行われるというふうに聞いておりますので、事業化に向けた検討が進んでいくものというふうに考えており、また、区としましては、当然、都と連携するとともに、その動向を注視してまいります。

 また、選手村地区の整備を契機としまして、都心におけるスマートシティのまちづくりが今後広く波及することを期待しておりますし、本区まちづくり基本条例に基づきまして、最新の省エネ機器の導入あるいは再生可能エネルギーの活用等を強く事業者に働きかけることで、スマートシティのまちづくりを進めていくとともに、水辺環境の整備など、河川等に囲まれた本区の地域特性を踏まえたまちづくりを推進してまいります。

 また、環境ツーリズムということですが、こうした本区の環境に配慮したまちづくりの魅力がさまざまな観光等を通じて本区を訪れた観光客等に伝わることで、その価値や大切さが理解され、それが環境保全につながっていけばというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○吉野指導室長
 まず、現在、中央区版の一校一国運動ということで、これからのグローバル化の中で生きる子供たち、また国際社会の平和と発展に貢献できる子供たちを育成していくというところを狙いに取り組んでおります。世界のさまざまな国についての学習というところを取り組むとともに、その中で直接的に外国の方と交流するというような活動も行っております。今年度につきましては、もちろんパイロット校だけでなく、多くの学校でさまざまな大使館、例えばインド大使館、パナマ大使館、タンザニア大使館、サモア大使館などがあるんですけれども、そことの交流、またインターナショナルスクールとの交流を行っております。それ以外にも、サザランド市の中学生、また東京観光財団というところからの依頼で中国のお子さんたちを学校に入れて交流するというような活動も行っております。

 御質問の同世代の子供との交流ということですが、これはこれで大変価値があると認識しております。ただ、やはり狙いがさまざまありまして、外国の大人の方たちの交流というところも、また一つ価値がありますので、それぞれの狙いに応じて直接的な交流というのは、平成29年度につきましては、全校で取り組んでいきたいと思っております。同世代の子供たちとの交流というのは一つの視点として入れていきたいと思っております。

 続きまして、想像力というような御質問でございますが、以前、文科省のほうからも、新しい時代を生きるために重要な力ということで幾つか挙げてあるんですが、その中の1つに、他者の立場に立って考えることができる想像力というところが示されております。このことからも、御質問にあった想像力を豊かにしていくということは大変重要なことであると思っております。

 中央区での取り組みでございますが、まずは国がこのように示しているのもありまして、当然ながら、学校のメーンであります授業の中でというところが、まず一番でございます。例えば、国語のいろいろな場面では、想像力というところはたくさんちりばめてあります。さらに、算数での考える力、また図工や美術でも想像力というところで、授業の中で想像力を育成しているというのが大きなところです。それ以外にも、考える力や想像力というのは読書活動の中でも培われるということも言われていますので、中央区では読書活動も推進しております。朝の時間を使ったり、読書週間などを設定したりしながら推進しています。さらに言いますと、体験的活動、ボランティア、奉仕活動などで直接的に想像力、考える力というのも育成しているところでございます。

 以上です。

○眞下地域振興課長
 平和についてでございます。

 今、中央区では、戦中の方の体験を動画として保管してございます。具体的に申し上げますと、平成17年が8人、それから平成21年が23人で、28人分の映像ライブラリーを保管してございます。それは、今、バーチャルミュージアムというところの映像ライブラリーの中の語り継ぐ戦争の記憶というコーナーで、いつでもごらんいただくことができるようになってございますし、また、中央区が行っております平和展もしくは各小・中学校を巡回しております巡回平和展のほうでもそのDVDを活用させていただいているところでございます。

 以上でございます。

○渡部(恵)委員
 それぞれの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。本当にたくさんの課題に対応するために、各所管が連携して動いているという御答弁をいただいたなというふうに考えております。

 これから新たな20年に向けて一歩を踏み出していく中で、現段階で想定し得ることと、そして突発的に起こることに柔軟に対応していく必要性があるというふうに考えておりますが、中央区、過去70年、そして、その以前からもさまざまな課題、突発的な事項に柔軟に対応してきた行政であるというふうに、今、御答弁をいただきながら私は感じました。観光施策ももちろんですが、これから晴海地域につくるスマートシティにつきましては、ぜひ東京都と連携しながら、海外から視察を呼び込めるような、そこでもまた新たな外貨獲得につながっていきますので、未来に向けた価値がそれぞれつながっていくようなお取り組みを今後もお願いしたいというふうに考えております。

 まだまだお伺いしたいことはたくさんあったんですが、平成29年度は次のステップとなる1年となっていくので、まちをこれからの時代を生きる人たちの手によってつくり上げていけるように、そしてまちが活性化することで住まう人たちに潤いが生まれたり、ここの土地で生まれた子供たちがこの土地をふるさととして育っていくように、さまざまな施策を通して、伝統文化を大事にしながら、その土地が醸し出す個性を生かした中央区の発展を願っております。さまざまな施策に期待すると同時に、チェック機関としての役目を今後も果たしてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。

○礒野委員
 総括質疑も終了したものと思われますので、次に、議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案について、審査に入るようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案について、提出者の説明を願います。

○加藤委員
 (説明)

○礒野委員
 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算修正案について、提出者の説明も終わりましたので、本修正案についての質疑に入るようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案について、質問者の発言を願います。

〔発言する者なし〕

○礒野委員
 議事進行について、動議を提出いたします。

 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案についての質疑も終了したと思われますので、本修正案についての表決に入るようお諮り願うとともに、暫時休憩し、午後1時に委員会を再開されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 午後1時に委員会を再開いたしますので、御参集願います。

 暫時休憩いたします。

(午前11時42分 休憩)


(午後1時00分 再開)

○鈴木委員長
 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。

 これより採決に入ります。

 副委員長は委員席へお移りください。

 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案について、起立により採決いたします。

 本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○鈴木委員長
 起立少数と認めます。――御着席ください。

 よって、議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案は否決することと決定いたしました。

 副委員長は副委員長席にお戻りください。

○礒野委員
 議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算の修正案について審査も終了しましたので、次に、各会派の態度表明を行うようお諮り願うとともに、暫時休憩し、午後1時5分に委員会を再開されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 午後1時5分に委員会を再開いたしますので、御参集願います。

 暫時休憩いたします。

(午後1時01分 休憩)


(午後1時05分 再開)

○鈴木委員長
 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。

 質疑が全て終了いたしましたので、これより、本特別委員会に付託を受けました議案第1号、議案第2号、議案第3号及び議案第4号に対する各会派の態度表明をお願いします。

 まず、自民党からお願いします。

○木村委員
 中央区議会自由民主党議員団の態度表明を行います。

 政府が発表した3月の月例経済報告では、景気の基調判断を、景気は、一部に改善の遅れも見られるが、緩やかな回復基調が続いているとし、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとしています。

 このような経済環境を背景として、本区の人口は引き続き力強く上昇の一途をたどっており、納税義務者の増加から、特別区税収入は全体で前年度比4.3%の増が見込まれています。また、財政健全化指標はいずれも健全な状況にあることが示されていますが、他方、将来にわたる財政負担は、区債残高、債務負担行為の合算額と各種基金残高の幅が減少傾向にあり、将来に対する財政的な余力が縮小傾向にあります。

 さらには、東京富裕論との認識による特別区の財源を狙い撃ちする税制改正、ふるさと納税制度による影響など、着実な歳入確保、健全な財政運営に一層努めなくてはなりません。

 平成29年度予算は、「20万都市への幕開け!!-オリンピック・パラリンピックとその先の輝かしい未来に向けて-」をテーマに掲げ、健全で持続可能な財政運営を維持していく観点から、既存事務事業を総点検した上で必要な見直しを行い、限られた財源の重点的・効果的な活用に努められたことは、大いに評価します。その結果、新規事業32、充実事業41、継続事業86、合わせて159事業。一般会計総額前年度比0.3%増となる953億2,171万3,000円、7年連続で過去最高の当初予算を更新しました。

 新年度は、今後20年を展望した新たな基本構想の初年度に当たり、ここに掲げる将来像の実現に向けて、基本的な方向性と施策のみちすじを踏まえた中央区基本計画の策定に着手します。

 急速な少子高齢社会の到来、大規模災害に備えた防災対策の充実、国際化・グローバル化の進展への対応が求められる中、2020東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた計画的なまちづくり、混迷を深める築地市場移転問題への取り組み、急増する人口に適応した社会基盤整備、公共施設の適正配置も着実に具体化させなくてはなりません。さらには、大きな社会問題となっている保育園の待機児解消、子供たちの学びや、学校施設の円滑な建てかえ・改築、高齢者施策・子育て支援策の充実、国際都市東京の玄関口である東京駅前地区並びに日本橋地区の再整備、老朽化したマンションの建てかえ支援なども喫緊な課題です。

 我が会派委員は、3月10日に設置された本予算特別委員会において11日間にわたり、その内容を詳細に審査するとともに、各款の質疑では、区民の視点に立ち、将来を見据えた施策の推進についてただし、要望を行いました。

 さらに、29年度中央区各会計予算編成に当たり、区内各種団体よりさまざまな要望を聴取するとともに、所属議員に日ごろ寄せられる区民の真摯な声を礎として、短期・中期・長期的視点に立ち、231項目516点にわたる政策要望を提出するとともに、可及的速やかに取り組むべき事項について、緊急要望を行いました。

 中央区本庁舎建てかえについて調査費が計上されたことを初め、このほか、多岐にわたる要望事項について予算措置がなされたことは高く評価するとともに、一層の充実、着実な取り組みを期待します。区当局におかれましては、この意図するところを十分に理解され、予算の執行に最大限の努力をされることを願うものであります。

 以上申し上げまして、中央区議会自由民主党議員団は、平成29年度中央区各会計歳入歳出予算に賛成します。

○鈴木委員長
 次に、公明党にお願いします。

○墨谷委員
 平成29年度中央区各会計歳入歳出予算案に対する中央区議会公明党の態度表明を行います。

 本区では、定住人口が55年ぶりに15万人を突破し、引き続く人口増加で平成36年ごろには20万都市も見込まれております。区を取り巻く環境は、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けての環境整備、築地市場の移転延期に伴う問題、環状2号線開通の遅延など、重要課題が山積しています。

 本区の平成29年度予算案は、「20万都市への幕開け!!-オリンピック・パラリンピックとその先の輝かしい未来に向けて-」のテーマのもと、本区の20年後の将来像の実現に向けた各施策が計上されています。財政規模は7年連続で過去最大の当初予算を更新しており、平成29年度の一般会計予算は、昨年に比べ0.3%増の953億2,171万3千円となっております。

 歳入面においては、引き続く人口増加を背景とした納税義務者の増加や、雇用・所得環境の改善などによる増を見込み、特別区税全体では、前年度に比べ4.3%の増を見込んでいます。国庫・都支出金は、市街地再開発事業助成や子ども・子育て関連経費の増に伴う国庫・都補助金等の増などにより、前年度に比べ4.3%の増となっています。一方で、特別区交付金はマイナス2.2%を見込んでいます。

 歳出面では、防災行政無線のデジタル化や防災マップアプリの作成など、防災力の強化が図られ、子どもが輝く子育て・教育のまちづくりでは、産後ケアの実施、水谷橋公園内保育所の整備、私立保育所運営事業者に対する補助、晴海地区の小学校・中学校の整備、全ての人々の健康と高齢者の生きがいのあるまちづくりについては、禁煙外来医療費助成、いきいき桜川の改修などがあります。歴史と先進性を生かしたにぎわいのあるまちづくりには、自転車走行空間の整備、(仮称)本の森ちゅうおうの整備、観光案内標識の設置・更新及びフリーWi-Fi環境の整備などがあります。さらに、社会環境の変化を踏まえ、新たな寄附のあり方検討、地域福祉コーディネーター及び生活支援コーディネーターの配置、みんなの食堂に対する支援、本庁舎整備に関するあり方検討などが予定されております。

 そして、将来像を具現化するための基本計画の策定も見込まれており、大変に重要です。また、2020年に向けた中央区の取り組みとして、電線共同溝や歩道上のベンチの設置など、ハード整備とともに、心のバリアフリーも含めた人に優しいまちづくりを強化していくべきであります。社会経済状況が厳しい中にあっても、健全で持続可能な財政運営の維持に対応するため、自主財源の確保とともに、支出においても厳しいコスト意識を持つことが重要です。今後、新公会計制度の導入により、財務情報が示されることから、区民の皆様への説明責任の充実やマネジメントの強化が求められております。

 私たち中央区議会公明党は、平成29年度中央区各会計歳入歳出予算案の審査において、さまざまな行政課題に対し、区民の目線から施策を検証し、質問させていただき、提案を申し上げてまいりました。区行政当局におかれましては、今後、施策の実行に当たり、可能な限りこれらの意見を反映されますよう心より願うものであります。

 以上申し上げまして、中央区議会公明党は、平成29年度中央区各会計歳入歳出予算案に賛成し、態度表明といたします。

○鈴木委員長
 次に、日本共産党にお願いします。

○加藤委員
 それでは、平成29年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行います。

 安倍政権の経済政策アベノミクスが始まって4年になりますが、その行き詰まりと破綻は明らかです。賃金が上がらないのに物価が高くなった(50代)、勤務先の業績悪化のため、昨冬よりボーナスがカットになりました(50代)、保険料アップ、年金目減り、物価高、高齢者にとって最悪な国(60代)、もう年金削減だけは勘弁してください。老体にむちを打って働いているが、年金だけでは生活できない(70代)など、今、区議団が取り組んでいる区民アンケートに寄せられた区民の悲痛な声です。

 安倍政権は、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すというかけ声のもと、日銀の異次元金融緩和や3年間で4兆円もの企業減税によって、大企業は3年連続で史上最高益を更新し、大株主など富裕層にも巨額の富をもたらしました。しかし、労働者の実質賃金は、3年のうちに年額で17万5,000円も減り、家計消費は実質16カ月連続で対前年比マイナスとなっています。アベノミクスは、格差と貧困を一層拡大し、社会と経済の危機をさらに深刻にしています。超富裕層がますます富み、国民全体の所得が低下しています。

 安倍首相は、日米同盟第一の立場で、世界でも異常な米国追随の姿勢を鮮明にしています。来年度の軍事予算総額は5兆1,251億円と、3年連続で過去最高額を更新し、日米地位協定の負担原則に反する思いやり予算は3,985億円にも上ります。その一方で、社会保障費の自然増分を1,400億円抑制し、社会保障の各分野で国民に負担増と給付減を強いています。

 また、テロ対策の名で国民を欺き、思想や内心を取り締まるとする共謀罪は、物言えぬ監視社会をつくる現代版治安維持法です。法案提出の断念を強く求めます。安保法制のもと、南スーダンに派遣されている現地の自衛隊日報が明らかになり、戦闘ではなく衝突と強弁し、憲法9条違反の実態を覆い隠しています。政府の説明はうそ偽りであったことがはっきりしました。安倍政権は、経済の問題でも、政治の問題でも、迷走を始めています。

 都政では、昨年7月に誕生した小池都知事は、当初予定していた11月7日、築地市場の豊洲への移転を延期しました。日本共産党都議団の調査で、豊洲新市場の安全対策の柱である建物下の盛り土がされていなかったこと、地下水管理システムが稼働していないなど、ずさんな工事であったことが明らかになりました。9回目の地下水のモニタリング調査結果で、環境基準を大幅に超えるベンゼンやシアン化合物などの有害物質が残っていることが明らかになりました。豊洲の土壌汚染が解消されない中、移転そのものの是非が改めて問われています。築地女将さん会のアンケートで、水産仲卸業者の7割が反対を表明しています。築地市場の豊洲への移転は中止すべきです。

 また、都の新年度予算では、保育園の待機児解消策や都立高校生への給付型奨学金の創設など、都民要求を反映し前進していますが、一方で、住民の強い反対がある特定整備路線など幹線道路計画を初め、大型開発を推し進める内容となっています。また、東京五輪の高額な施設整備費は抜本的に見直す必要があります。

 このような国政・都政のもとで、区民に一番身近な自治体である中央区が果たさなければならないのは、国や都の悪政に対して防波堤となり、区民福祉の増進を図ることを基本に、区民生活を守ることです。

 中央区の新年度の一般会計予算は、前年比3億円増の953億円となり、7年連続の過去最大の予算規模となっています。区長の所信表明では、20万都市への幕開けとし、これまで積み立ててきた基金などを有効活用を行い、積極的に予算編成を行ったとしていますが、区民生活を守る予算になっているとは言えません。

 新年度予算案は、市街地再開発事業7事業に前年比10億円増の134億円を充てるなど、国や都の方針に沿って国際競争力を高める都市づくりをより一層進めようとしています。一方、基金残高が4年連続減少する一方で、特別区債残高が5年連続増加するなど、財政的な余力が縮小傾向にあることなどから、区民施設の民間開放やアウトソーシングを進め、歳入の確保のため、区民には受益者負担の適正化を進めるとしています。

 日本共産党区議団は、昨年、2016年9月26日、毎年行っている区民アンケート等に寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約した505項目の2017年度中央区予算編成に関する要望書を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。

 本予算特別委員会では、各款について詳細に質疑し、問題点を指摘するとともに、具体的な提案を行ってきました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、費用弁償の廃止などや交際費などの経費の縮減で無駄を省き、簡素で効率的な区民本位の行財政運営を図ること、ひとり親家庭への家賃助成制度やスクールソーシャルワーカーの増員や歳末見舞金の廃止を中止することなどを内容とする予算修正案を提案しましたが、残念ながら、他会派から賛同が得られず、我が会派の修正案は否決されました。

 本予算案には、スクールソーシャルワーカーの小学校への配置、みんなの食堂への支援、防災アプリ、寡婦控除のみなし適用等の実施など、前進した施策もありますが、本予算を検討した結果、日本共産党中央区議会議員団は、議案第1号、議案第2号、議案第3号及び議案第4号の各会計予算案に反対します。

 以下、その理由を述べます。

 まず、一般会計予算案についてです。

 第1に、新年度予算総額の32%の278億円が環境土木費と都市整備費で、その半分近くの134億円が市街地再開発事業7事業に充てられています。規制緩和による超高層ビル、タワー型マンションを林立させる大規模再発開事業やマンション建設が進められ、急激な人口増による施設不足や、地球温暖化に拍車をかけるCO2増大などの課題は深刻化する一方です。大規模開発優先のまちづくりを見直し、持続可能な区民本位のまちづくりへ転換すべきです。

 第2に、築地市場の豊洲への移転について、都知事の早急な決断を求める発言ばかりで、食の安全・安心第一の立場に立っていません。土壌汚染対策の科学的な証明や市場関係者や消費者の理解が得られていない築地市場の豊洲への移転は問題です。現在地再整備の原点に立ち戻るべきです。

 第3に、区立駐輪場利用の有料化により、駐輪場管理運営費は有料化前よりもふえたにもかかわらず、登録台数は減ってしまいました。結果として、区民負担は増大していることになります。区民の合意形成を図るため、また意向調査のため、アンケートなどで区民の声を聞き取り、自転車施策に生かすことを再三求めましたが、消極的です。区民からの理解を得られていない区立駐輪場は無料に戻すべきです。

 第4に、住民票などの自動交付機の運用を終了させ、常に情報漏えいの危険がつきまとうマイナンバーカードによる住民票の写しなどのコンビニ交付サービスなど、利用を進めようとすることは問題です。マイナンバーカードを持つことを望まない人をもカード作成へと強引に誘導するやり方はやめ、自動交付機による交付を継続すべきです。

 第5に、格差と貧困が拡大しているもと、生活保護世帯への夏期・歳末見舞金の段階的廃止は、生活困窮者をさらに追い詰めるもので、廃止は中止すべきです。

 第6に、情報公開手数料を無料にすることを求めましたが、閲覧を申請しているのは多くが事業者だとして、区は有料の継続に固執しています。区民が区政情報にアクセスしやすくし、区政の透明性を図るためにも、情報公開手数料は無料にすべきです。

 第7に、人口が急増し、多様化する区民サービスの需要に対応するため、大幅な区職員の増員・育成に力を注ぐべきです。個人情報を扱う業務の7割が民間委託されている現状も、個人情報保護の面から問題です。業務の外部委託や非常勤職員の増員によらず正規職員をふやし、区職員の経験や知識を蓄積することが区民サービスの向上につながります。

 第8に、就学援助の入学準備金前倒し支給や学校給食費の無料化など、保護者負担の軽減に消極的です。区はシステム改修が難しいと繰り返しますが、前倒し支給を独自に実施している自治体が全国で拡大しており、こうした自治体はシステム改修の問題はクリアしています。中1のみならず、小1も対象とすることに踏み出した自治体からも学ぼうという姿勢は見られず、国任せの態度は問題です。

 第9に、公衆浴場を、地域コミュニティ形成の場として、また介護予防サービスの地域支援の一つとして位置づけ、公衆浴場の維持に努めるべきです。公衆浴場経営者とのかかわりを密にし、浴場利用者の声を日常的に聞き取る努力が求められます。民間ビルの中に公衆浴場を再建した入船湯の経験なども生かし、後継者不足や利用者減といった課題を解決するため、知恵を尽くすべきです。

 第10に、新年度の認可保育園の待機児は792人に、1歳児以下は510人にも上っています。保育園待機児対策が不十分です。

 第11に、ひとり親家庭などへの家賃補助や低家賃住宅の供給など、生活困窮者に対する住宅施策が不十分です。中央区ひとり親住宅、高齢者向け優良賃貸住宅などはどれも倍率が30倍を超えており、低家賃住宅を望む声は多く聞かれます。住宅費がとりわけ高い中央区で、区として住宅供給に努めるべきです。

 第12に、区内保育園での安全対策強化にさらに力を入れるべきです。区内の事業所内保育所で起きた乳児の死亡事故を教訓に、保育園巡回指導に当たる職員数をふやし、無認可の保育施設も対象として訪問・相談活動に力を入れ、区内での死亡ゼロを目指すことが求められます。

 第13に、区内飲食店での禁煙対策を強化するなど、区として受動喫煙をなくしていく努力が求められます。禁煙にしたからといって飲食店での売り上げが減ることはないという九州看護福祉大学の調査結果や、受動喫煙防止条例を制定した神奈川県、諸外国での例を周知するなど、禁煙後進国から抜け出す一歩を、飲食店数が多い中央区だからこそ踏み出すべきです。

 第14に、英語教育の推進により小学校教員が新たに英語を教えることや、部活動顧問の土日出勤などにより、教員の負担は年々重くなり、教員は授業準備もままならない状況に置かれています。子供と向き合える時間を確保し、子供にとってよい教育を実践するためには、教員の多忙解消が急務です。

 次は、特別会計予算についてです。

 国民健康保険は、2018年度からの広域化に向け、新年度も値上げが予定されています。滞納世帯は年々増加してきています。滞納世帯の9割を超える所得300万円以下の世帯です。また、モデルケースで明らかになった国保料は、年収の1割を超えるという高額な国保料は異常です。所得がふえない中で保険料負担だけがふえています。高過ぎる保険料を払えない滞納世帯が増加しています。病気になっても病院にかかれない事態をなくすため、保険料の引き上げはやめるべきです。また、多子世帯均等割額を軽減すべきです。

 介護保険会計は、一定の所得以上の人の利用料を3割負担にし、介護軽度者の生活援助サービスの予防給付外しが行われた上、かかりつけ医以外を受診した場合の窓口負担上乗せなどを図ろうとしています。必要なときに介護サービスが受けられない、介護保険制度の改悪は問題です。

 後期高齢者医療保険制度は、保険料のアップ、70歳以上の高額療養費の負担上限引き上げなどが狙われています。ことし4月から、低所得者に対する保険料の軽減措置を縮小します。所得に応じて支払う所得割は5割軽減から2割軽減に縮小、被用者保険加入者の扶養家族から後期に移られた人の保険料の定額部分も9割軽減だったものが7割軽減に減らします。年齢医療費の適正化の名のもとで医療費の削減を行い、医療内容の差別化を行い、うば捨て山とも言うべき制度です。年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出し、高い保険料と安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。

 以上、議案第1号、議案第2号、議案第3号及び議案第4号の各会計予算案に対する反対理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。

○鈴木委員長
 次に、中央区民クラブにお願いをします。

○松川委員
 それでは、中央区区民クラブの平成29年度歳入歳出予算に対する態度表明を行います。

 本区の定住人口は、本年1月13日に15万人の大台を突破いたしました。平成29年度は、新たに答申された中央区基本構想をもとに、基本計画の策定が予定される重要な年度となります。人口増に伴い、歳入歳出ともに過去最高の予算額を更新し、今後の人口増の流れからすると増加は加速していくものと思われます。

 歳入は、自主財源の確保をしつつ、本区らしいふるさと納税制度の対応をすること、そして常に区民目線で、誰のための施策なのか、縦割り行政になることなく部署間の連携をしっかりとっていただき、どのようにすれば今後区民の利益が最大になるのかを念頭に置いたかじ取りをしていただきたいと思います。

 本年4月に身体障害者差別解消法の施行から1年がたちます。本区の中には、まだまだ改善が必要な部分が多くあります。障害が重い方はもちろんのこと、障害が軽い方にも目を向けて、心のバリアフリーが区民の皆様に浸透する施策の推進をお願いいたします。

 また、有事の際だけでなく、観光や情報発信にも役立つWi-Fiを早急に全区に整備していただくこと、子供のころから新聞の読み比べを通じて読書習慣の定着、学力のさらなる向上を目指していくことを改めて要望いたしまして、平成29年度各会計歳入歳出予算の認定に同意いたします。

○鈴木委員長
 次に、改革2020にお願いします。

○小坂委員
 平成29年度は、中央区の節目の年となる。

 新公会計制度の適用を開始する年度であるとともに、新たな基本構想が6月に策定予定であり、その理念を生かして、中央区の福祉の向上が求められることが期待されている。

 特に、新基本構想を貫く重要な理念の一つは、その用語こそ用いられていないものの、中央区におけるソーシャル・インクルージョンの実現である。そして、その実現のために欠かせない重要な手段の一つが、新基本構想の基本的な方向性の一つに位置づけられているプロアクティブ・コミュニティであり、町会・自治会、NPO、ボランティア団体等が積極的に地域の諸課題を解決していき、中央区のソーシャル・インクルージョンの実現が期待をされている。

 以下、5つの視点から予算分析する。

 第1、全国自治体に先駆け、地域の難題に中央区が解決のモデルを示すべきことについて。

 本年度予算において、以下5つの地域の難題について、中央区が解決モデルを示すことに期待をする。

 1、コーディネーターによる福祉の難題の解決モデル。

 従来から配置されている保健コーディネーター、福祉コーディネーター、教育コーディネーターに加え、平成29年度から、母子保健コーディネーター、認知症コーディネーター、地域福祉コーディネーター、生活支援コーディネーターが新たに配置がなされることとなる。これらコーディネーターが、現場で担当をされている方々と十分に連携がとられることに期待をする。すなわち、民生委員、徴税職員、警察など、さまざまな人や機関との連携や、それぞれの人や機関同士の橋渡しがなされることを期待する。制度のはざまに落ちた事例もあることから、その解決に向けた各コーディネーターの悩みも生じることが考えられ、コーディネーター連絡会のような情報共有の場も創設し、それら悩みの解消や解決手法の共有に生かされる取り組みもあわせて要望する。

 2、平成29年度末に待機児童ゼロの実現モデル。

 平成29年2月1日段階で、待機児童は旧定義で1,261人、新定義で569人に上っている。他の自治体同様に、待機児童問題は本区の最大の問題の一つである。一方、幼稚園では、平成29年度の実績値で2,593人の枠に対し1,798人の利用であり、795人の余裕がある。区や都の未利用地や低稼働率の区民館などの保育所への転換、予定されている全ての市街地再開発事業において、まちづくり基本条例に基づく保育所施設の誘導を行うことなどとともに、幼稚園の認定こども園化を検討することで、3・4・5歳児枠を保育所側はゼロ・1・2歳児に割けることとなり、待機児ゼロの道筋も可能になると考えられる。昨年決特での約束どおりの平成29年度末までに待機児童ゼロ実現を可能にするロードマップの提示に期待をする。

 3、小学校を高齢者等地域の福祉の拠点モデルにすることについて。

 高齢者ら地域の方々が、授業、安全見守り、清掃などのお手伝いをするボランティアとして小学校に集うような通いの場の創設に期待をする。幸い、それら地域の方々の待機、活動の場としては授業時間中のプレディの教室があり、その教室の有効活用に着眼したい。避難行動要支援者の各小・中学校防災拠点への登録合計は8,300人に上っている状況にあり、常に地域の方々に開かれた学校運営がなされていれば、災害時において、地域の方々による防災拠点の運営がスムーズになると考えられる。

 4、障害のあるなしにかかわらず、平等なチャレンジの機会が与えられる評価モデル。

 例えば、現行の評価法に従えば、生まれつき足の不自由な子が、体育の技能の評価点は、絶対的基準を用いる相対評価が行われる結果、下位の成績になってしまう。累進課税の考え方と同様に、相対的基準として各自の100%を設定し、その基準に各自がどれだけ到達できたかで相対評価する評価モデルを開発することで、障害のあるなしにかかわらず、平等なチャレンジの機会が与えられると考える。成績評価においても、合理的配慮を期待する。

 5、まちづくりにおける超高層の再開発事業に頼ることなく長屋再生保存の月島再生モデル。

 月島には、長屋、路地裏、下町、もんじゃがあり、人情味あふれる地域コミュニティと生活景を有する町並みが形成されている。防災上の安全面の向上は求められるにしても、超高層建築を許容することになる第一種市街地再開発事業を採用することは、月島らしさの喪失につながり、まちの繁栄に直結するとは考えにくい。従来型の中央区のまちづくり手法の月島での適用については、十分に検討を要する。月島三丁目には、月島長屋学校という芝浦工業大学教授による長屋をリノベーションした再生モデルが示され、その場で地域住民を集めた定期的な勉強会が開催されているという。住民発案型で、長屋の町並みを残しつつ、災害に強いまち再生モデルを、70年間定期借地権設定の手法導入や、コレクティブハウスやリノベーション手法で個別更新を促し、都心のまちの新たな再生手法モデルを示すことを期待する。

 以上、5つのモデルの提示に期待をする。いずれも容易ではないことであるが、この5つの解決モデルを全国に提示することで、真剣に取り組む自治体として、本区へのふるさと納税へのアピールポイントとしても活用できると考える。

 第2、各事業執行で心がけていただきたい点について。

 1、医療的ケア児の施策については、医療的ケア児の通常保育が可能な拠点保育所整備に期待をする。また、本年度策定する障害児福祉計画においては、医療的ケア児の項目を別建てで設け、検討することを求める。子ども発達支援センターの整備においても、看護師の配置も含め、医療的ケア児も安心して利用できる環境整備を求める。

 2、子供たちのいじめ・不登校の問題の解決を図っていくことに期待をするが、解決が卒業式に間に合わなくて学校を欠席していても、卒業式の予行演習含め、その欠席者の名前を呼び、全員に何らかの形で卒業を祝っていただける場が設けられることを求める。

 3、銀座中学校の特別支援学級の配置人員が1名増員されたが、特別支援学級の中学生生徒数が増加していることからすると、日本橋中学校にも特別支援学級設置の検討を求める。

 4、晴海地区の小・中学校の整備に当たっては、ハード面だけではなく、区民代表者も含めた検討組織を立ち上げ、ソフト面の検討の充実が図られることを要望する。

 5、再開発においては、高度利用地区の都市計画は公共にかかわる計画であり、その指定に当たっては、地権者だけでなく、全ての住民に区は事前説明をして、まちづくりが行われることを強く要望する。また、この計画指定があって初めて都市再開発法3条1号の基準を満たし、第一種市街地再開発が可能になるのであって、第一種市街地再開発の都市計画よりも前に都市計画決定をすべきである。同時に都市計画決定をしないことを強く求める。

 6、認可地縁団体は、特定の政党のために利用してはならないと地方自治法は、第260条の2第9項に規定を置き、選挙において特定候補を町会を挙げて応援する行為は、認定町会において禁止されているところであるが、さらに多くの区民の参加が期待され、プロアクティブ・コミュニティの核として発展していくべき町会・自治会においてもまた同様であることを、都議会議員選挙の年でもあるがゆえに、念のための確認を求める。

 第3、豊洲移転が混迷する中、築地を再検討する視点について。

 第5回専門家会議再調査結果で地下水汚染が残存していることが判明し、女将さん会の署名結果や青果水産仲卸の組合員宛て文書、東卸早山理事長の豊洲移転は現段階では選択肢ではないとする3月22日付所感からわかるとおり、市場内関係者は移転問題の早期解決は望んでいない。

 地下水管理をしていく豊洲新市場においては、地下水モニタリング結果の数値が価格形成に影響を与えてしまうことから、土壌汚染の安心・安全のリスクとともに大きな問題を抱えており、豊洲新市場は卸売市場の認可基準に適合しないと考えられる。したがって、移転の可否の判断のためには、考慮されるべき問題が山積みしており、中央区としては、それまでに入居者支援に生かす客観的なデータとして築地魚河岸の来場者や売上の状況の定期的な実態把握に期待をする。さらに、築地市場再生も現実化してきたことから、東京五輪では、築地の食材でオリンピアン、パラリンピアンをもてなし、世界の築地を一大観光拠点として発展させていくことを期待する。

 第4、月島三丁目南地区市街地再開発事業について。

 本事業は、計画策定のための予算であり、固まっていない計画は出せないとの理由で、何らの事業計画の概要を議会に提出されなかった。当然、月島まちづくり協議会での説明もなく、月島地区まちづくりガイドラインへの内容の記載もない。結果、予算審議では、計画の内容面に分析を加えることができなかったわけであるが、このような提案手法は今までの市街地再開発事業の中でとられたことはなく、前代未聞のことであり、議会のチェック機関としての重要な役割をこの一事業については果たすことが全くできなかった。そもそも事業計画の概要さえ出せないような未成熟な段階においては、予算づけはされるべきものではなく、もともと当該地区では第一種市街地再開発を積極的に望む住民の声自体も少ない。また、財源とされた国の補助金、密集市街地総合防災事業については、年度当初でなくても、いつでも交付申請が可能であり、申請の結果も30日で出されるのであって、当初予算に計上する必要はなく、計画がまとまった段階で補正予算を組んでも十分に対応が可能であった。あわせて、密集市街地総合防災事業の交付申請には、密集市街地総合防災計画の策定が必要であり、2年前に策定をされたということであるが、所管の委員会への報告はなされず、事後的ながら報告を求める。同様のまちづくりの手続に影響を与えることであるから、本事業については、以後の民主的な手続がきちんと踏まれない以上は、予算執行が許されない事業であることを申し述べる。

 第5、新基本計画において、行政の運営のあり方で記載を充実させるべきことについて。

 基本構想に引き続き、新基本計画が策定をされる。基本計画2013においては、行政運営についての記載が全ページ314ページ中の4ページ、1.3%であった。行政課題が多様化、複雑化する中で、その対応に当たる行政運営については、記述が充実されることを期待する。例えば、情報公開の徹底、情報セキュリティ、事務事業評価や行政評価における指標の選び方、教示義務のあり方やワンストップサービスの提供のあり方、現場の声の政策へ反映させる手法、施設更新の考え方、ICTやAI環境整備の考え方、政策立案過程における図書館及び司書の活用について、予算編成過程の透明化、職員の心身の健康策やワーク・ライフ・バランス策など、記載の充実に期待をする。

 以上、大事な観点を述べさせていただきました。

 この予算に関しては、昨年の決算特別委員会の場で、私たち会派も指摘をしてきた宿泊型産後ケア、婚姻歴のないひとり親へのみなし寡婦控除の適用、歩車完全分離式信号機導入へもつながる交差点の調査、特別支援教室の全中学校への配置、医療的ケア児の保育としての訪問型保育事業・障害児保育事業の開始などに対し新規に予算づけがされていることを高く評価をいたします。

 さらに、この予算がソーシャル・インクルージョンをこの中央区で実現することを期待し、各会計予算に賛成をいたします。

○鈴木委員長
 次に、無所属にお願いをいたします。

○山本委員
 平成29年度各会計歳入歳出予算に賛成の立場から無所属の態度表明を行います。

 平成29年度予算は、都心にふさわしい基盤づくりに重点を置いた予算編成でした。新たな中央区基本構想の初年度に当たることから、その整合性を図りつつ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と20万都市を見据えたものであったと理解しております。

 予算編成に当たっては、将来にわたる健全な区財政を基本として、喫緊課題に重点的、優先的に取り組み、これからも区民の方々が安心して暮らせる施策を着実に推進する予算として策定されたと認識しております。また、昨年度決算実績に基づく事務事業の見直し、経費削減も努力されていると感じております。これらの積極的な取り組みを評価いたします。

 さて、今回の質疑に当たっては、より多くの方が受益を実感できるように、区民の立場、納税者の視点で質問や提案を行ってまいりました。

 歳入においては、力強い人口増加に伴う特別区民税の伸びが期待できる一方で、特別区交付金においては、法人住民税の一部国税化や法人実効税率引き下げのさらなる拡大により、予断を許さない状況です。

 また、築地市場の豊洲移転延期問題やオリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた選手村整備関連工事の影響が懸念されており、柔軟に対応していく必要があります。さまざまな懸念事項を抱えながらも、区民の方々の信頼と期待に応える行政サービスを着実に提供していかなければなりません。今後も、各施策の経済性、効率性、有効性の観点を大切に財政運営を行い、その成果を期待いたします。

 本委員会において私が申し上げた意見及び要望などを十分に反映していただくことを期待申し上げ、本予算特別委員会に付託されました平成29年度各会計歳入歳出予算に対する賛成の態度表明とさせていただきます。

○鈴木委員長
 次に、歩む会にお願いします。

○渡部(恵)委員
 平成29年度中央区各会計歳入歳出予算案に対し、歩む会の態度表明を行います。

 「20万都市への幕開け!!-オリンピック・パラリンピックとその先の輝かしい未来に向けて-」をテーマとして、選手村を擁する区として、人類共通の願いである平和を大会の理念と位置づけ、世界恒久平和を世界へ向けて発信し、同時に、深刻な危機に直面している環境問題へ積極的に取り組みながら、スマートシティの実現に向けて積極的に取り組むと宣言されました。

 新年度予算案では、中央区基本構想推進として、新規事業32案、充実事業41案を策定しています。

 第1目標、思いやりのある安心できるまちでは、核家族の中で出産する母親の出産後の支援対策として、健康確保・増進に向けて、新規事業として産後ケア事業を。保育園待機児童対策には、私立認可保育所4園の開園と水谷橋公園に立体都市公園制度を生かした保育所を整備し、高齢者対策では、通いの場を通し、生きがいや語らいの場づくりを来年度から本格的に実施し、地域包括ケアシステムの構築の中で住みなれた地域で過ごせる環境整備、また認知症高齢者グループホーム、地域密着型特別養護老人ホーム、健康寿命を延ばす取り組みなど、高齢者の暮らしの質を一層高めていける施策を。障害者に対しては、発達におくれが見られる子供たちに相談支援を提供できる子ども発達支援センターの整備を行い、支え合う福祉構築を地域福祉コーディネーターを通し、より一層推進していく施策や、孤食を防止しながら世代間のコミュニティの実現に向けて、みんなの食堂開設を新規事業とし、区民福祉の一層の充実した事業が提案されています。

 第2の目標、うるおいのある安全で快適なまちでは、地球にやさしいまちづくりに向けて、環境行動計画を改定し、水と緑のうるおいの空間の創出のための緑の実態調査に着手し、災害に強いまちづくりでは防災マップアプリを新たに作成、屋外スピーカーの新設、防災ネットワークカメラを高層ビルに配置し、行政無線のデジタル化を推進するなど、災害対策をさらに充実し、都市基盤づくりでは、東京都が自転車推奨ルートとして設定した区道3路線を整備し、区民福祉に資する快適な住空間をもたらす施策を推進しています。

 第3の目標、にぎわいとふれあいのある躍動するまちでは、ビジネス交流フェアや共通買物券の発行で中小企業や商店街の活性化に取り組み、都市観光の推進では、観光情報センターを核にし、魅力ある観光資源を面的に整備する中でまちに回遊性を持たせ、利便性を向上させる取り組みを一層推進しています。中央通り沿いでも観光案内標識を新たに設置し、フリーWi-Fi環境整備、観光プロモーション映像の作成と発信を行うなど、2020年の競技大会に向けて、都市観光の推進に一層力を注いでおられます。歴史と伝統が息づくまちの魅力を世界へと発信していけるよう期待しています。

 移転延期中の本の森ちゅうおうは、本区ならではのゾーニングを施す中で、新たな区民へ向けた図書館の設計が始まりますが、子供たちから御高齢の区民の居場所となり、歴史資料と新しい情報が得られる22世紀図書館となるような提案を期待しています。

 教育では、特色ある学校を自由選択制で選びながら、次世代を担う子供たちの可能性を伸ばす教育の中央区らしい施策が充実しています。新規事業として、スクールソーシャルワーカーを各小学校に派遣し、発達のおくれやいじめ、不登校の早期発見を行いながら、特別支援教室を全小学校、中学校に設置し、オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を生かす中で、子供たちの心に躍動感が広がる教育の推進を期待しています。

 今回の予算案は、区制施行70周年の節目の年に当たり、さらに20年の中央区基本構想の初年度に当たります。また、初めて取り入れられた新公会計制度の予算案の中で、私は継続事業の行政評価、区政世論調査をもとに、29年度提案されている事務事業について、山積する行政課題解決に向けた区民福祉に資する事業なのか、また区の発展に効果的な事業なのか、区民目線を基準として質問してまいりました。

 人口増加はさらに続き、時代の変化とともに増大する区民ニーズに対応するために、今後一層効率的、効果的な行政運営が求められています。これまで積み立ててきた基金を有効に活用しながら、急激な人口増加に対応し、緊急性、必要性を要する重要な施策を取捨選択しながら、限りある財源をどのように充てるのか、今後も健全性が担保されなければなりません。20年の基本構想、そして新年度に策定する10年の基本計画を推進する中で、先行き不透明な社会的な変化が激しい中でも、子供たちの教育の充実及び区民福祉の向上と区の繁栄のために、持続可能な財政運営をこれからも推進していただけるようお願いいたします。

 歩む会は、本委員会に提案された平成29年度中央区各会計歳入歳出予算案に賛成いたします。

○鈴木委員長
 各会派の態度表明が終わりましたので、これより採決に入ります。

 副委員長は、委員席へお移りください。

 まず、議案第1号、平成29年度中央区一般会計予算について、起立により採決いたします。

 本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○鈴木委員長
 起立多数と認めます。――御着席願います。

 よって、議案第1号は原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。

 次に、議案第2号、平成29年度中央区国民健康保険事業会計予算について、起立により採決いたします。

 本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○鈴木委員長
 起立多数と認めます。――御着席願います。

 よって、議案第2号は原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。

 次に、議案第3号、平成29年度中央区介護保険事業会計予算について、起立により採決いたします。

 本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○鈴木委員長
 起立多数と認めます。――御着席願います。

 よって、議案第3号は原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。

 次に、議案第4号、平成29年度中央区後期高齢者医療会計予算について、起立により採決いたします。

 本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○鈴木委員長
 起立多数と認めます。――御着席願います。

 よって、議案第4号は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

 副委員長は副委員長席にお戻りください。

 さらに、ここでお諮りいたします。

 3月30日開会の本会議におきまして、本特別委員会の委員長報告をいたすこととなりますが、その報告についてはいかが取り計らいましょうか。

〔「正・副委員長一任」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 正・副委員長一任の声がありますので、さよう取り扱わせていただきます。

 なお、委員長報告案ができ上がりましたら、次の委員会で御検討をお願いいたすことになりますが、その際、各会派の態度表明部分の朗読を省略したいと存じますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認め、態度表明部分の朗読を省略いたします。

 それでは、次回の委員会開会日時については、いかがいたしましょうか。

○礒野委員
 明後30日午前11時に開会されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 明後30日午前11時に委員会を開会いたしますので、御参集願います。

 それでは、私より一言御挨拶を申し上げます。

 (挨拶)

 次に、議長より挨拶をお願いします。

○押田議長
 (挨拶)

○鈴木委員長
 次に、区長より挨拶をお願いします。

○矢田区長
 (挨拶)

○鈴木委員長
 本日は、これをもって散会いたします。

 お疲れさまでした。

(午後2時02分 散会)

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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