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平成30年第三回定例会会議録(第3日 9月25日)

1.会期

二十八日(第三日)
九月二十五日(火曜日)

2.開会並びに散会

午後二時開議

午後五時十分散会

3.出席議員

(二十七名)

一番 青木 かの議員

二番 渡部 恵子議員

三番 山本 理恵議員

四番 海老原 崇智議員

五番 佐藤 敦子議員

六番 塚田 秀伸議員

七番 小坂 和輝議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 富永  一議員

十四番 染谷 眞人議員

十五番 木村 克一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 松川 たけゆき議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 礒野 忠議員

二十三番 瓜生 正高議員

二十四番 石田 英朗議員

二十五番 中嶋 ひろあき議員

二十六番 押田 まり子議員

二十七番 墨谷 浩一議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

3.欠席議員

(一名)

二十二番 鈴木 久雄議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 浅沼 孝一郎君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 濱田徹君

区民部長 遠藤 龍雄君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 古田島 幹雄君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 松岡 広亮君

会計管理者 坂田 直昭君

教育委員会事務局次長 長嶋 育夫君

監査事務局長 高橋 和義君

政策企画課長 山﨑 健順君

財政課長 大久保 稔君

広報課長 園田 典子君

総務部参事(総務課長事務取扱) 鈴木浩君

6.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 一瀬 知之君

調査係長 工藤 久栄君

書記 秋山 和美君

7.議事日程

日程第一
一般質問

日程第二
議案第八十号 平成三十年度中央区一般会計補正予算

日程第三
議案第八十一号 平成三十年度中央区介護保険事業会計補正予算


午後二時 開議

○議長(礒野 忠議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。

 なお、本日、鈴木久雄議員より欠席の申し出がありましたので、御報告いたします。


○議長(礒野 忠議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十九番小栗智恵子議員。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。積極的な御答弁を期待します。なお、再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

 初めに、暴走を続ける安倍政権について質問します。

 安倍政権が二○一五年九月十九日に、安保法制、いわゆる戦争法の成立を強行して、三年が経ちました。ことし六月、米朝首脳会談が開催され、今月十八日には平壌で南北首脳会談も行われて、朝鮮半島の非核化に向けて劇的な変化が起こり、安倍政権が戦争法の口実としてきた北朝鮮の脅威の根拠は、大きく崩れつつあります。しかし、安倍政権は九月十七日、海上自衛隊による南シナ海での潜水艦などによる初めての訓練を実施し、シナイ半島駐留多国籍軍・監視団への陸上自衛隊派遣を検討するなど、戦争する国づくりに向けた姿勢をあらわにしています。そして、日本を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで厳しさを増しているとして、軍事力を強化し、改憲を進めることに前のめりです。

 そこで、質問します。

 第一に、軍事力を強化し、北東アジアでの緊張を高める安倍政権の姿勢について、どうお考えですか。

 第二に、改憲問題について、区長は、憲法改正は国の根幹にかかわる事項であり、発議権を有する国会において、慎重かつ丁寧な審議が行われることが必要だと繰り返し答弁されています。安倍首相は、国会として改憲案を発議しないことを、責任放棄だとかサボタージュなどと言って攻撃していますが、憲法尊重擁護義務のある総理大臣が国会そのものをみずからの意思に従わせようすることは、議会制民主主義を破壊する大問題だと考えます。いかがですか。御見解をお聞かせください。

 外交の面では、九月十二日、ロシアのウラジオストクで行われた東方経済フォーラムで、プーチン大統領が前提条件なしの平和条約締結を呼びかけたのに対し、安倍晋三首相は何の反論もしないまま帰国し、大きな問題になっています。日本共産党の志位和夫委員長は、条件なしでの平和条約締結は領土要求の全面放棄となる、一九五六年の日ソ共同宣言以降の歴代日本政府の立場すら自己否定することになり、ロシア側の主張への全面屈服になる、反論はおろか異論一つ述べないとは屈辱外交だと厳しく批判しました。

 そこで、質問します。

 安倍首相の態度に各界から批判が上がっていますが、この問題についての区長の御見解をお示しください。

 次に、国の財政問題です。

 防衛省の概算要求では、過去最大の五兆三千億円を計上し、二○一八年度の当初予算に比べて一千億円も増額しています。朝鮮半島の非核化に向けて平和の激動が始まっているにもかかわらず、安倍政権は、それには目を向けず、北朝鮮の脅威を一層あおり、弾道ミサイル防衛能力の強化として、陸上配備型迎撃システムイージス・アショアの本体二基を導入するための二千四百億円もの関連経費を盛り込むなど、大軍拡をさらに進めようとしています。その一方、人口の高齢化などに伴って支出がふえる社会保障予算にかかわる厚生労働省の概算要求は三十二兆円近くとなっていますが、安倍政権は、自然増予算を含め、大幅に削り込む計画です。

 そこで、質問します。

 社会保障費の削減は、区の福祉関係予算に直結します。国民の暮らしを脅かす自然増の削減などをやめ、社会保障予算をふやすよう求めるべきと考えますが、いかがですか。御見解をお示しください。

 さらに、国の二○一九年度予算編成で最大の焦点の一つが、二○一九年十月実施予定の消費税率の八%から一○%への引き上げです。消費税は低所得層ほど負担が重く、暮らしも経済も破壊するのは明らかです。また、地方消費税の精算基準の見直しや、法人住民税の一部国税化が消費税増税でさらにマイナス影響となるなど、地方財政への影響は一層拡大します。

 そこで、質問します。

 消費税増税は中止するよう求めるべきだと考えますが、いかがですか。また、地方分権に逆行する歪んだ税制を是正するよう強く求めるべきだと考えます。区長の御見解をお示しください。

 次に、築地市場移転問題について質問します。

 東京都は、あと二週間後、十月十一日の豊洲市場開場に向けて、移転を強引に進めようとしていますが、九月十九日、築地市場で営業する仲卸業者など五十六人が、豊洲市場への移転差しとめを求める訴訟と、差しとめ仮処分の申し立てを東京地方裁判所に行いました。原告側は、豊洲市場の土壌汚染は解決されておらず、安全・安心は確保されていないとし、憲法で保障される人格権が侵害されるとしています。生鮮市場としての安全性も業者の営業権も保障しない都の移転計画は、ますます行き詰まっています。

 九月十一日には、豊洲市場の荷おろし場で、地盤沈下によって、幅十メートル、段差五センチのひび割れがあることが明らかになりました。その後の調査で、合わせて十一カ所もの亀裂やふぐあいが見つかっています。これまでも、土壌汚染に加え、地下水管理システムが機能していない、駐車場不足、床の耐荷重不足など、施設の欠陥がさまざま指摘されてきましたが、九月十六日に行われた全体習熟訓練では、市場に入るのにも出るのにも大渋滞が起き、場内の買い回りも時間がかかり過ぎる、仲卸棟の排水溝が小さくて使い物にならないなど、問題が噴出しました。築地市場協会の伊藤会長も、言い出したらきりがないくらい、いろいろな問題があると述べています。

 そこで、質問します。

 第一に、移転の直前になっても、移転差しとめの申し立てが出され、施設の欠陥も次々と明らかになる中、到底移転は不可能ではないでしょうか。小池知事の安全宣言は信頼できない、科学的な根拠のない安全宣言を取り消すべきだという声が広がっています。小池都知事に安全宣言を取り消すよう要請する考えはありませんか。お答えください。

 第二に、移転を強行すれば、大混乱に陥ることは必至です。少なくとも、十月六日からの引っ越し予定は延期が必要だと思いませんか。お答えください。

 第三に、区長は、東京都と中央区との移転に関する合意の前提は安全性の確保だと、繰り返し答弁されてきました。どう考えても、豊洲の施設は、安全性が確保されているとは言えないのではないでしょうか。移転していない今だからこそ、合意を破棄し、勇気を持って移転の中止を求めていただきたいと思います。いかがですか。御答弁ください。

 次の質問は、保育事故の根絶と質の高い保育の実施についてです。

 二カ月前の七月二十七日、区内の家庭的保育事業者、いわゆる保育ママを利用している乳児が、救急搬送された後、死亡したという報告を受け、大変ショックを受けました。保育ママのもとで保育中に乳児が亡くなった件数は、二○一一年、二○一六年に続き、三人目です。

 私は、日本橋室町の認可外保育所で二○一六年三月に一歳二カ月の男の子が死亡する事故が起き、亡くなった男の子の母親から、こうした悲しい事故が繰り返されないようにしてほしいという訴えを直接聞いて、その年の六月の定例会で、このような事故はあってはならないという思いで、数々の再発防止のための提案を行いました。区も、認可園だけでなく、認証保育所、認可外保育所などへの巡回指導などをふやし、三名の保育ママのところにも、昨年度で二十回の巡回指導や危機管理の研修、連携園との交流などで事故防止に努めてきたということですが、残念なことに、また、こうした事故が起きてしまいました。

 そこで、質問します。

 区長は、二○一六年第三回定例会でも、保育園での死亡事故について、ゼロをしっかりと目指していきたいと答弁されましたが、今回の事故について、どのようにお考えでしょうか。また、これまで死亡ゼロを目指して、どう取り組んできたのか、今後の課題をどう考えているのかお示しください。

 二○一六年の第二回定例会での私の質問のときも紹介しましたが、内閣府の調査に基づいて、死亡事故を子供一人当たりに直した比率は、認可外と認可では認可外が六十倍高いということです。中央区における保育ママのもとでの死亡事故は、二○一六年は病気によるものと診断されましたが、七年間に三人が亡くなっています。施設数も保育している乳幼児の数の多い他の認可保育所などの集団保育に比べ、余りに高い事故率と言わざるを得ません。一人で三人までの子供を預かることができるという保育ママの制度は、補助者をつけずに一人で保育することも認められており、安全面で限界があることは明らかではないでしょうか。

 そこで、質問します。

 第一に、今回の事故について事後検証委員会が設置されましたが、死因や午睡チェックの状況、保育環境、人的配置や保育内容なども十分検証して、再発防止の教訓にしていけるよう求めます。お答えください。

 第二に、保育事故を根絶するために、保育ママも保育士などの資格を持ち、見守りが途切れないよう複数配置することを義務化するなど、区独自に規制を強化することが必要だと考えます。いかがですか。

 第三に、ゼロ歳、一歳の低年齢児は、集団保育のできる認可保育施設に入所できるようにし、保育ママのもとでの保育は中止するべきだと考えます。いかがですか。

 第四に、現在保育ママを利用している保護者は、認可保育所を希望したけれども、入所できず、区の紹介で保育ママに頼んでいるという実態からも、認可保育所をふやして、希望者が全員入れるようにすることが必要だと考えます。いかがですか。

 第五に、保育ママだけでなく、全ての保育施設で保育事故を根絶するために、子供を中心とした保育を実践するための基本的な指針となる保育の質のガイドラインを策定することを提案します。保育の質のガイドラインは、保護者、保育施設関係者、学識者などとの議論を踏まえて策定し、子供の権利、職員に求められる資質、保育環境、保育内容、安全管理、保護者支援、地域の子育て支援、運営体制など、具体的な項目を示すことで保育の質の向上を図るものです。いかがですか。

 それぞれ御答弁ください。

 次に、健康で文化的な生活を保障する生活保護制度について質問します。

 安倍政権は、来月十月一日から、生活保護のうち、食費など日常生活に充てる生活扶助費を引き下げようとしています。生活扶助費は今後三年かけて段階的に減らし、全て実施すれば、国と地方合わせて二百十億円が削減されます。厚労省の試算では、都市部の単身世帯は、ほとんどの世帯で生活扶助費が減額となり、夫婦と子供二人の世帯では年十万円以上も少なくなるケースがあります。今回は、生活扶助だけでなく、母子加算なども引き下げられ、児童養育加算は高校生にも拡充される一方で、三歳未満への支給額は、これまでの一万五千円から一万円へ、五千円も削減されます。子供の貧困対策にも逆行するものではないでしょうか。

 厚生労働省は、所得が生活保護の基準を下回る世帯のうち、保護を利用している世帯は約二割という推計結果を発表していますが、このように捕捉率が低いという問題を放置したまま、所得の低い一般世帯と比較して扶助基準を引き下げるのでは、格差と貧困の拡大を助長してしまうことになります。すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると明記した憲法二十五条に反する事態を拡大させることは許されません。

 生活保護を利用して闘病生活を送っている方から、今でもぎりぎりの生活なのに、また生活費が削られると思うと不安、その上、ことしのこの猛暑の中、電気代もかかるのに、見舞金が廃止されて切ないという声が寄せられ、私も切ない思いに駆られました。

 そこで、質問します。

 第一に、生活保護費の引き下げをやめ、健康で文化的な生活を保障するため、削減されてきた生活扶助基準をもとに戻し、物価上昇や生活実態にふさわしい水準に引き上げるよう国に要請するべきだと考えます。いかがですか。

 第二に、法定外の支援事業として区が独自に行っていた見舞金制度は、他の区が既に廃止したことを理由にして、二○一七年には歳末分、この夏から夏期も廃止し、全てやめてしまいました。生活費のかかる都心区であり、生活保護利用者から喜ばれていた見舞金制度をぜひ復活させるよう求めたいと思います。いかがですか。お答えください。

 次に、住みなれた地域で暮らしていくための介護保険について質問します。

 高齢者世帯の方から、要介護度が一になり、介護用ベッドの利用料がふえてびっくりしたと相談がありました。起き上がり機能のついた特殊寝台は、要介護二以上でないと介護保険で利用できないため、利用料が一割負担から全額負担になってしまいます。また、介護保険の利用料は、制度が始まった二○○○年から利用者負担は一割でしたが、二○一五年八月からは、単身世帯で所得二百八十万円以上、二名以上世帯で三百四十六万円以上なら二割負担へ、さらに、ことし八月からは、単身で三百四十万円以上、二名世帯で四百六十三万円以上の方の利用料は三割に引き上げられました。毎月の保険料も大変だけれども、利用するとお金がかかり過ぎるので、受けるサービスを減らすしかない、障害年金が頼りの生活で、今までは利用料が三%になる区の制度で助かっていたが、三年後には減額制度を打ち切るというお知らせが来た、体のぐあいは年々悪くなるのに、利用料が上がったら暮らしていけないという声が寄せられています。

 介護保険制度は、二○○○年に家族介護から社会で支える介護へというスローガンを掲げて導入されましたが、実際には、要介護度に応じたサービス内容や支給額が制限され、スタート当初から、保険あって介護なしと言われてきました。歴代政権の社会保障費削減路線のもと、負担増やサービス取り上げの制度改悪が繰り返され、中央区世論調査でも多くの方が在宅介護を望んでいるにもかかわらず、介護保険だけで在宅サービスを維持できない状況がますます深刻化しています。

 そこで、質問します。

 第一に、軽度者に対する訪問介護・通所介護、福祉用具などの厳しい利用制限や、生活援助の基準時間の六十分から四十五分への短縮など、この間続けられてきた在宅サービス切り捨てを抜本的に見直すよう国に求めることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第二に、高齢者のサービス利用を阻むハードルとなっている自己負担の重さを軽減するために、区独自に行ってきた利用者負担三%への減額制度を今後とも続けるよう求めます。いかがですか。

 第三に、国の制度として低所得者の利用料を減額・免除する制度をつくり、経済的な理由で介護を受けられない人をなくすよう、国に対し改善を求めることも必要だと考えます。いかがですか。

 それぞれお答えください。

 在宅サービスとあわせて、充実が求められる特別養護老人ホームなどの施設サービスは、この間、地域密着型特養ホームの施設が整備され、桜川にも敬老館、保育所の改築とあわせて、定員二十九人の特養と定員十八人の認知症高齢者グループホームが増設される予定となっています。しかし、特養待機者の方も、ことし三月末で二百九十五人とふえています。要介護四の父親の入所を申し込んで、二年たってようやく入所できた。その間、在宅サービスだけでは無理で、ぐあいが悪くなって入院したり、老健に入って入所を待っていたという御家族のお話を伺い、特養ホームの増設も求められると実感します。二○二五年には団塊の世代が後期高齢者となり、介護を必要とする高齢者も増加します。

 そこで、質問します。

 第七期の介護保険事業計画では、桜川の施設のみの整備となっていますが、さらなる特養ホームの増設が必要だと考えます。いかがですか。御答弁ください。

 さらに、伺います。

 日本橋浜町にあった山村病院が昨年廃院となり、町会や地域の方々から病院をつくってという要望が、ことし一月区議会に出されたことを受け、二月、全会派幹事長名で区長に要請したところ、区がまちづくり基本条例に基づく事業者との協議を行い、跡地に建つマンションの中に保育所と多世代交流スペースができることになりました。しかし、残念ながら、五十二床の山村病院がなくなり、区内には療養型の医療施設がなくなってしまいました。

 そこで、質問します。

 新たに二○一八年四月に創設された、医療の必要な要介護高齢者のための長期療養・生活施設としての機能を持つ介護医療院を区内に整備することが必要ではないかと考えますが、いかがですか。御答弁ください。

 次に、首都高日本橋地下化と周辺再開発について質問します。

 七月十八日、第三回首都高日本橋地下化検討会が開催され、日本橋上空の首都高速道路を地下化するための概算事業費や事業スキーム、道路線形などが発表されました。資料によると、事業区間は一・八キロメートル、そのうち地下構造は一・二キロメートルで、概算事業費は約三千二百億円になるということです。一メートル当たり一億八千万円になる計算です。概算ですから、実際の工事になれば、さらに費用がかさむ可能性があります。

 名橋日本橋上空の高速道路をなくして青空をと求める声は圧倒的な世論ですが、地下化に対しては、地元も含めて、疑問や反対の声が多く出されています。一・八キロメートルの地下化工事にこんなに莫大な費用をかけて行うことが必要なのか、国民的な理解、合意は得られていないのではないでしょうか。

 そこで、質問します。

 第一に、中央区としては、今後、地下化ありきで検討を進める方針なのでしょうか。

 第二に、外郭環状線ができても五%しか交通量が減らないため、撤去は難しいとしていますが、東京の交通のあり方全体を検討し、都心に車を入れない体制をつくる方向で見直し、高速道路網を再検討することが必要だと考えますが、いかがですか。

 第三に、地下化では、費用がかかるだけでなく、工事が終わるまで何年かかるかわかりません。その間、高速道路は、耐震上問題があっても、ずっと使用することになります。地下化ではなく、撤去のほうが時間もかかりません。地下化計画を見直すよう求めます。お答えください。

 日本橋の高速道路の地下化が検討されている周辺の地域では、現在、五カ所の巨大再開発計画が同時進行しています。日本橋コレドのある一角、日本橋一丁目中地区は、地上五十一階、高さ二百八十七メートル、延べ床四十万平方メートルの空をふさぐ巨大ビルを中心とした都市計画が既に決定されています。そのほかに、日本橋一丁目東地区などで市街地再開発準備組合が設立され、五地区のうち三地区が国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加されています。そして、これらの巨大再開発を区が後押しし、区民の財産である区道を廃止して八十億円の財源を捻出し、地下化に貢献するスキームを打ち出しています。

 昨年の区議会第四回定例会での私の質問に答えて、オフィスとしてはオーバービルディングと答弁があり、区は、既にオフィスビルが供給過多であることを認めています。しかし、東京駅前、日本橋のオフィスビル供給については、基本的に不安はないと答弁しています。供給過多だが、中央区では需要がある、大丈夫という強気の発言です。

 そこで、質問します。

 第一に、オフィスビルの需要について、そんなに楽観できるのでしょうか。超高層ビルを乱立させ、一極集中を加速することをこれからも続けるのでしょうか。また、人口減少時代に入り、AIなどの発達でオフィス床の需要がどうなるのか、簡単には予測できないと思いますが、いかがですか。

 第二に、地元からも、超高層ビルばかりつくるのではなく、もっと地域の特性、日本橋らしさを生かしたまちづくりをという声も広がっています。巨大ビルを中心とした再開発計画を見直し、水辺を生かした、潤いのあるまちづくりへの転換を求めます。御答弁ください。

 最後に、性的マイノリティ、少数者の人たちが暮らしやすい社会について質問します。

 LGBT、性的マイノリティは、一般的には、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーを指しますが、四つの類型に当てはまらない人たちもたくさんいます。そのため、最近では、その四つではないが、性や恋愛に関するいろいろなことをあらわすsをつけてLGBTsとあらわすこともあります。どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティの人たちが肩身の狭い思いで生活せざるを得なかったり、あるいは差別や偏見のために、ありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とは言えません。逆に、マイノリティと言われる人たちが暮らしやすいほど、その社会の全ての人々にとっても暮らしやすい社会であると言えます。

 性的マイノリティをめぐっては、この間、行政的にも、社会的にも、非常に大きな変化、発展があり、自治体でも前向きの施策が打ち出されています。渋谷区では、同性カップルを結婚に相当する関係と認定する男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例、いわゆる同性パートナーシップ条例を制定、二○一五年四月から施行され、同年十一月には第一号の証明書が発行されました。同様の動きは、世田谷区、中野区、三重県伊賀市などに広がっています。沖縄県那覇市は、「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言を行っています。

 そこで、質問します。

 第一に、中央区でも、命の多様性、性の多様性への理解を促進し、LGBTsも含め、あらゆる差別や偏見をなくす取り組みを進める必要があると考えます。中央区基本計画や男女共同参画行動計画にLGBTなどについての記述はありませんが、この分野をどう進めていくのかお示しください。

 第二に、中央区の全職員向けにLGBTs研修などは実施していますか。

 第三に、同性パートナーシップ条例についてどのようにお考えですか。中央区で導入する計画はありませんか。

 第四に、行政手続や申請書類の性別記載をできるだけなくしていくことは、行政が直接取り組むことができる有効な方法の一つです。中央区での対応はどうなっていますか。

 第五に、文京区では、この九月、介護事業者、従事者を対象にした研修会を開催し、LGBTフレンドリーを打ち出すことで人材不足の解消も目指すということです。こうした取り組みも必要だと考えますが、いかがですか。

 第六に、IOC、国際オリンピック委員会が二○一四年十二月の総会で、オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込むとする内容の決議を採択し、その最初のオリンピックが二○二○年東京五輪です。選手村ができる中央区が性の多様性を尊重する都市宣言を行い、世界に発信することは意義あることだと思います。いかがですか。

 それぞれ御答弁ください。

 以上で第一回目の質問といたします。積極的な御答弁を期待いたします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、安倍政権の安全保障政策についてであります。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、本年六月の米朝首脳会談以降も、北朝鮮による完全な非核化への具体的な進展が見られないことなど、依然として厳しいものと認識しております。こうしたことから、国民の生命と財産を守るための必要最小限の自衛措置に要する防衛装備等については、国の責任において適切に対応されるべきものと考えております。

 次に、憲法改正についてであります。

 憲法の改正につきましては、さまざまな意見があることは承知しておりますが、これまでも述べてきたとおり、国の根幹にかかわる大変重要な事柄であり、国会において、国民の理解がしっかりと得られるよう、慎重かつ丁寧な審議が行われるとともに、国民的議論が十分に尽くされる必要があるものと存じます。

 次に、東方経済フォーラムについてであります。

 安倍首相は、プーチン大統領の発言の直前に、四島での共同経済活動が日露の理解を深め、それが領土問題を解決し、平和条約締結の力となると発言しておりますが、こうした従来からの我が国の立場、つまり歯舞、色丹、国後、択捉の四島が返還されて、その上で平和条約が締結されるという立場ですね。これは、決して変更されるべきものではないと考えております。

 次に、国の財政問題についてであります。

 住民生活を支える社会保障制度については、継続かつ安定的に運営されることが重要であります。各制度の内容や財源の確保は、国の大きな役割の一つと認識しており、今後とも、特別区長会等を通じて、充実に向けた働きかけをしてまいります。消費税率の引き上げにつきましては、軽減税率による低所得者対策を講じつつ、その引き上げ分を社会保障財源とするものであり、高齢者などにより今後も増大する社会保障費を賄うためのものと考えております。一方、都市部の財源を奪う不合理な税制改正については、決して受け入れられるものではありません。しかし、国では、現在、さらなる偏在是正措置の検討を進めております。本区は、これまでも国に対して、区議会との連名による要請や特別区長会を通じた反論を行うとともに、財政白書の中でも、その影響を広く区民に訴えてまいりました。今後も、引き続き、特別区長会などを通じ、国に対し強く働きかけてまいります。

 次に、築地市場移転問題についてであります。

 豊洲市場の安全性については、東京都によって、さまざまな対策がなされ、豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議により、法的・科学的な安全性が確認されております。また、将来のリスクに対応するため、追加対策工事も都が実施しております。こうした取り組みの結果として、小池都知事が安全宣言を出され、そして国も中央卸売市場として認可したところでありまして、豊洲市場が安全・安心な市場であることは広く発信されているものと認識しております。十月一日には、これまでプレオープンでの営業であった築地魚河岸が、晴れてグランドオープンを迎えます。本区としては、築地市場移転後も、築地魚河岸を地域の活気とにぎわいの一つの核としながら、場外市場と連携し、八十年以上の長きにわたり日本の食文化の拠点として培われてきた築地ブランドをこれからも継承・発展させてまいります。

 次に、保育における死亡事案についてであります。

 初めに、家庭的保育事業において、お亡くなりになりましたお子様と御家族の皆様に心から哀悼の意を表する次第であります。

 区では、これまで法令に基づく指導・検査はもとより、区立保育園の園長経験者等による巡回指導などを通じて、各事業者に対し、施設の安全確保や子供の健康管理の徹底について指導を重ねてまいりました。それだけに、今回の出来事につきましては、残念でならない思いであります。事案の発生を受けて、直ちに臨時園長会等を開催し、注意喚起を行ったところでありますが、改めて、施設の状況に合わせた、きめ細やかな指導に取り組んでいく必要があると考えております。

 次に、事後的検証委員会についてであります。

 事後的検証委員会は、このたびの事案に関し、学識経験者や医師などの外部委員により、保護者の視点に立った事後的な検証を行い、必要な再発防止策について区に提言することを目的に、設置したものであります。家庭的保育事業における体制につきましては、できる限り複数で保育に当たるよう要請しており、現状においても、利用状況等に応じて、随時、各事業者とも保育補助者を配置しているところであります。

 次に、保育ニーズへの対応につきましては、子ども・子育て支援事業計画に基づき、引き続き認可保育所の開設支援を積極的に進めてまいります。

 次に、保育の質の確保についてであります。

 区といたしましては、保育における基本原則である保育所保育指針に沿って、適切に保育が行われるよう指導するとともに、今後、事後的検証委員会から出される提言も踏まえ、さらなる保育の質の確保・向上に取り組んでまいります。

 次に、生活保護制度についてであります。

 生活保護基準の見直しにつきましては、国の社会保障審議会生活保護基準部会において、専門的な検証を経て行われるものとなっております。生活保護制度は、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する上で根幹となる仕組みであることから、国の責任において、適切に内容を定めるべきものと考えております。

 次に、見舞金制度についてであります。

 区では、これまで、居宅で暮らす生活保護受給世帯に対し、夏期と歳末に独自の見舞金を支給しておりましたが、平成二十七年度から、生活困窮者自立支援制度が施行されたことを機に、関連事務事業の見直しを行う中で、相談体制の充実等に財源を振り向けるべきとの判断から、今年度をもって全て廃止することとしたものであります。今後も、生活保護制度と生活困窮者自立支援制度を両輪として、関係機関相互の連携を深めながら、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。

 次に、介護保険についてであります。

 介護保険制度につきましては、三年ごとに見直しが行われており、昨年五月には地域包括ケアシステム強化法が成立し、地域包括ケアシステムの深化・推進及び介護保険制度の持続可能性の確保の二本の柱のもと、本年度からの改善策が示されたところであります。軽度者に対するサービスの見直しについても、我が国の急速な高齢化の進展の中で介護保険制度を持続可能とするため、将来を見据えながら、議論が重ねられる国の責任において実施されたものであります。区は、保険者として、制度にのっとり、引き続き、必要な人に必要な支援やサービスが行き届くようにすることが重要であると認識しております。

 次に、介護サービス利用料についてであります。

 区では、今年度、低所得者を対象とした区独自の負担軽減策について、介護サービス利用料を三%とする軽減措置から、区分第一段階の介護保険料の軽減措置に転換する見直しを行ったところであります。これにより、介護サービスの利用の有無にかかわらず、より多くの方に軽減の効果が及ぶこととなりました。また、現在の介護サービス利用料につきましては、介護を社会全体で支えていくという基本的な考え方に基づき、利用者の負担能力に応じたものであると認識しております。

 次に、介護施設の増設についてであります。

 特別養護老人ホームにつきましては、平成二十五年度以降、再開発の機会を捉えた新設や既存施設の増床により、八十四床の定員増を図るとともに、現在、平成三十二年度中の開設に向けた桜川敬老館等複合施設において、二十九床の整備を進めているところであります。さらなる増設につきましては、今後の中・重度の要介護者数の動向や入所希望者の状況等を見きわめながら、適切に対応してまいります。また、本年度に創設された介護医療院につきましては、介護施設であると同時に、病院としても位置づけられており、東京都高齢者保健福祉計画において病床の新設は認められないため、区内に新たな整備をすることは難しいものと存じます。

 次に、首都高地下化についてであります。

 本年七月に、首都高日本橋地下化検討会で取りまとめられた内容は、首都高のネットワーク機能や周辺への影響などを検証し、国・都、首都高速道路株式会社及び区の関係者間で大筋の方向性について合意されたものであります。今後も、地元区として、日本橋川沿いで検討が進む再開発事業への支援等を行いながら、首都高地下化計画との整合について、輸送力とネットワークの維持を前提に、さらなる検討を深めていく所存であります。また、広域的な高速道路網のあり方につきましては、国や都が所管するものと認識しており、既存の高速道路の安全性につきましては、具体的な検討が進む中で解決されていくものと考えております。さらに、都心をネットワークする首都高都心環状線は、機能を保持しながら、今後も東京の経済活動を支える重要な都市基盤としての役割を担っていくべきものと認識しております。

 次に、オフィスビルの需要と日本橋らしさを生かしたまちづくりについてであります。

 東京駅前や日本橋地域における再開発事業は、本社機能の移転や従前からの事業継続等により、供給されるオフィスの多くを自己利用する計画となっていることや、極めて高い立地特性から、オフィス需要は確実に見込まれるものと推測され、単に楽観しているものではありません。また、都心部における再開発事業は、一極集中を加速させているものではなく、都市再生という役割を担いながら、戦後いち早く復興したために老朽化が進んでいる都心機能の健全な更新を図っていくものと認識しております。

 なお、今後の人口減少やAI等が発展する中でのオフィスの需給バランスは一概に予測できませんが、面的整備とともに、地域の方々や企業、行政が一体となって、まちの魅力を維持し、高めていくことで、にぎわいは継承されていくものと考えております。こうしたことを踏まえながら、日本橋川沿いの再開発事業は、まちづくりビジョンに掲げる世界に誇る日本の魅力的な水辺景観の形成を目指したまちづくりに取り組むとともに、日本橋らしさの継承という理念を大切にし、取り組んでいるものであります。

 次に、性的少数者が暮らしやすい社会についてであります。

 基本計画二○一八では、多様性を認め合う社会の構築を施策に掲げており、性的少数者も含め、人権に対する理解の普及・啓発に努めているところであります。区職員への取り組みにつきましては、性的少数者に対する差別や偏見を解消するため、職層研修などを通じて理解促進を図っているところであり、今後、区内事業者などに対しても、セミナーや講演会の実施などを検討してまいります。また、同性パートナーシップ条例については、既存の法制度との整合等の課題とともに、婚姻のあり方や家族観など、区民の間にもさまざまな意見があると考えられることから、引き続き国や東京都、他自治体の動向を注視し、調査・研究を行ってまいります。性別欄の記載のある申請書等の様式類については、法令等で定めがあるものを除き、所管部署において記載の必要性がないと判断する場合には、様式から削除しております。区における人権尊重の理念については、新たな基本構想における施策の道筋として、全ての区民が多様性を認め合い、心豊かに暮らせる地域社会の実現を掲げて、オリンピック憲章の理念にもかなう今後の人権施策の指針となるべきものと考えております。

 答弁は以上であります。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、何点かにわたって再質問をさせていただきます。

 最初に、安倍政権の問題です。

 自民党の総裁選で三選された安倍首相は、早速、あと三年で改憲にチャレンジしたいというふうに述べて、この秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出しようとしています。しかし、共同通信の世論調査でも、秋の臨時国会への提出に反対が五一%、賛成の三五・七%を大きく上回っている、そういう状態です。国民が望んでもいない改憲に前のめりな姿勢で、もともと憲法を尊重する義務がある総理大臣が、国会に対して早く改憲しろというようなことをどんどん進めるというのは、大変問題があると私は思います。三年前に、憲法違反の安保法制を安倍政権が強行いたしました。今度は、憲法そのものを変えてしまおうというふうに考えています。自衛隊という実力部隊を憲法に明記して、戦力不保持、交戦権否認、この九条の二項を空文化してしまう、そして無制限の武力行使に道を開く、そういう憲法の改定を行おうという、この内容は大変危険なものだというふうに思います。

 先ほどは、北朝鮮の問題でも、非核化に向けた動きがあるけれども、いろいろまだ世界の情勢は厳しいというようなことを区長もおっしゃいましたけれども、そのように北朝鮮は信じられないというような形で敵視をして、弾道ミサイルの防衛力を強めるなどと言ってイージス・アショアを配備する、そういう行動に出たり、中国が南シナ海でいろいろな行動をしていることに対して、きちんとした批判、理をもって正面から批判する、そういう外交的な努力をしないまま、いきなり海上自衛隊で南シナ海での訓練を実施するというようなことは、本当に力ずくで物事を推し進めようとする、近隣諸国との緊張を高める大変危険な行動だと思います。

 また、消費税の問題でも、来年の消費税の増税は予定どおり行うということや、三年間で社会保障制度の改革を断行するということを、総裁選の後、言明していますけれども、国民の将来不安をさらに引き上げてしまうものですし、消費がさらに冷え込んでしまう、そういうことをどんどん行おうとしている安倍政権の姿勢は、大変問題が多いというふうに思います。

 改憲に前のめりで、国民の暮らしや経済を壊す暴走を続ける安倍政権については、本当にこれまでの歴代政権とも異質な大変危険な政権だと言わざるを得ませんが、区長の御見解を改めて伺いたいというふうに思います。

 次に、築地市場の問題です。

 豊洲の新市場では、地盤沈下によるひび割れが十一カ所以上で発生していますが、このひび割れがあることを発表したのは、農水省の認可がおりた翌日ということで、実際に地盤沈下が起きているということを東京都は昨年の秋に把握していたのに、業者にも、都議会にもそういうことは報告していない。安全宣言に基づいて農水省への申請の際にも、そのことがきちんと明記されていないということです。新築の建物で、引き渡し時に五センチもの亀裂が入っていたというようなことになったら、本当は大問題だと思うんですよね。東京都は、こういうことは起こり得る、地盤沈下も想定内ということを言っているようですけれども、今、地下水が上がってこないように強制的にポンプで排出していますけれども、そういうことをずっと行っていけば、さらに地盤が沈下して、ひび割れから地下の土壌汚染物質が上がってくる、そういう可能性も否定できないというふうに思います。

 豊洲市場への移転の中止を求めて、東京地方裁判所に豊洲新市場の差しとめ請求の訴訟を提出した築地女将さん会などの原告団の方々は、この築地市場の移転計画は全部がうそと偽りでしたと。盛り土もうそ、地下水管理システムも、東京ガス由来の汚染物質は全て除去する、これもうそだったと。効果的な物流も、コールドチェーンも、全てがうそなのです。これで移転計画が中止にならなければおかしいと思いますと訴えています。私も、そのとおりだと思います。豊洲の建物の施設の欠陥が日に日に現実のものになって、なぜ現場の意見を聞かないで、こういう施設をつくったのかというような声が、改めて広がっています。

 区長は、安全の確保は東京都がやるべきことだと。これまでの専門家会議などの審査でも安全性は確認されたというふうにおっしゃいましたけれども、都がやるべきことだと。それは、そのとおりだと思います。しかし、都がやるべきことをきちんとやっていないというのが明らかなことではないでしょうか。地下水からは、いまだに百七十倍のベンゼンが検出されています。そして、地盤沈下が起きていると。そういうことも考えて。開設するのは生鮮市場なんですよね。安全・安心が何よりも大切にされなくてはならない、そういう場所に市場を整備しなくてはいけないはずなのに、本当に豊洲が安全な市場だと区長はお考えなのか、もう一度伺いたいというふうに思います。

 さらに、市場内の業者の営業や働く人の雇用の問題、配送などの関連業者など、豊洲の移転に伴って大きな被害、影響を受ける人たちの補償は東京都の責任と考えられますけれども、築地の場外や周辺の飲食店、また築地関連の、例えば印刷屋さんとか市場関係者に事務所を貸していたオーナーとか、築地が移転してしまうことで被害を受ける中央区内の業者や個人の皆さんへの影響を、中央区としては、どのように考えているのでしょうか。

 確かに、築地魚河岸には財政も投入して、出店している業者の皆さんへの支援も行っていますけれども、場外市場だけでなく、周辺の地域や、また、中央区では築地市場が二兆円の経済効果があると、以前、発表していますけれども、その二兆円の経済効果のある築地市場がなくなることで大きな影響を受ける、被害を受ける人たちがいることに対して、この移転に協力してきた責任をどのようにお考えなのか、もう一度御答弁をお願いしたいというふうに思います。

 次に、保育事件の問題です。

 保育ママのもとでの三件目の死亡事故が起きたということで、本当に大変痛ましいことですし、そういう事故がなくなるように、本当に真剣に取り組んでいかなくてはならないというふうに思います。保育ママは研修を受けることが必要ですけれども、子育て経験のある人なら、保育士の資格がなくてもいい、そういう制度設計になっています。二○一四年に家庭的保育事業の条例が審議された際に、私たち日本共産党区議団としては、安全・安心の保育制度にするために、保育ママについても、研修だけでなく、保育士資格を有していることを条件とするなど、認可の条件を厳しくすべきだということで、修正案も提出させていただきました。

 中央区としては、厳しくするということは、今のところ考えていないような御答弁だったんですけれども、やはり一人で、補助者をつけても、二人が常時いなくてもいいというような保育ママの制度のもとでの保育というのは、特にゼロ歳など、リスクの高い乳児の保育をする施設、事業所としては、大変問題が大きいのではないかというふうに思います。集団的な保育ができる、そういう施設で行うことが必要だと思いますが、この点についても、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

 認可保育所の安全性などを行政が確認する実地検査は、二○一六年度には二十三区で二四%しか実施されていなかったということが、最近の東京新聞の報道でありました。中央区では、三十八の施設中、十二施設でしか行われていなかったということも報道されていますけれども、このような、本来やらなくてはいけない実地検査がきちんと行われているのかということとあわせて、今、巡回指導なども行っているというお話はありましたけれども、今の保育園の現状はほとんどがビル内の保育園ということで、園庭がないのが当たり前のような状況になり、今、公園で外遊びをするということも行われていますけれども、大体十五分ぐらい遊んだら、もう帰るというような、本当にビルの中での保育園での保育というのも、いろいろ問題があるというふうに私は思います。

 こうした保育の、量はもちろんなんですけれども、質をよくしていく、そういうことが、今、本当に必要になってきているというふうに思います。保育の質のガイドラインというものを制定して、それが実施できるように、区としても支援を強化していくことが必要だと思いますけれども、この点についても、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

 次に、生活保護と介護保険の問題ですけれども、生活保護の基準を引き下げると、就学援助の制度や住民税の非課税限度、最低賃金などの基準にもリンクすることですし、私立高校の授業料の減免などの制度、子供の支援にかかわるさまざまな制度にもリンクするということで、保護基準が引き下げられると、そういう制度もまた、リンクして引き下げられるということになってしまいます。

 いつも、国のほうは、介護保険制度や医療や介護などの社会保障は、これから対象者もふえて、お金がかかるので、制度を持続可能にしていくためには、保険料や利用料の負担をふやすことと、なるべく利用をしないように利用を抑制して、高齢化によって当然ふえる分もなるべく減らしていく、そういう方向のもとに、これまで介護保険の改定なども行われてきました。しかし、社会保障の制度というのは、所得の再配分で国民の生存権や健康で文化的な生活を営む権利を保障する制度であり、国の制度として、きちんと税金を投入して支える責務があるというふうに思います。そして、介護や保育に税金を投入することで雇用も拡大するし、生産力の拡大にも貢献するし、税収もふえ、生活が安定し、内需も拡大していくということにつながるわけで、社会保障の経済効果は公共事業よりも大きいというふうに言われています。そういう意味でも、暮らしや福祉の制度を、お金がないからということでどんどん削っていくという国の方向性に対して、違うんじゃないかというふうに私は思いますし、区の福祉の施策も、それに準じてどんどん悪くされるということがないように、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 先ほども述べましたけれども、生活保護世帯への夏と歳末の見舞金制度は、必要な金額は九百九十三万円なんですよね。私たちの区議団として予算修正案の提出も行っていますけれども、そんなに大きな金額がかかるわけではない、こういう制度を区の努力で続けていくということをぜひ求めたいと思います。

 以上で再質問といたします。よろしくお願いいたします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 再質問に答弁させていただきます。

 初めに、安倍政権の安全保障政策についてであります。

 私は、共同通信の政治記者として、佐藤栄作さんを初め、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘、七代の政権を間近で取材してきたわけであります。その後も、いろいろな政権がありましたけれども、どちらかというと、もう日本国憲法は定着しているんだと。定着したということで、むしろ本当は自民党の存立の原点は憲法改正ではあるけれども、定着しているという内閣の首相、総理大臣が割合と多かった。ずっとそうでしたね。中曽根さんなんかも、日本は、アメリカの不沈空母だなんて勇ましいことは言いながらも、憲法改正なんかには余り踏み込まなかった。その後も踏み込んでこなかったわけでありますけれども、やはり今、憲法改正、安倍さんが言ったのは、三年前の安保法制のときの問題について、憲法学者と言われる方々が安保法制に反対したり、また自衛隊は違憲であると明言する方が多かったということが原点になっているのではないかな、そういうふうに思いますね。元内閣法制局長官であるとか、最高裁長官経験者の中にもそういう指摘が出るくらいに、やはり問題が大きくなってきたということでありましょう。

 だから、先日の記者会見でも、憲法学者の二割が、今でも自衛隊は違憲であると述べているということ、これは大変重要な問題であるという認識が非常に強いわけで、今度、憲法改正を出したいということに意欲を燃やしているのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、実は、自衛隊は憲法に違反しているとか、あるいは安保法制は憲法に反対していると言われる人々の中でも、だからといって憲法を改正しろという方は、そんなにも多くないんですね。憲法を何も改正する必要はないという方は、ある新聞だと八三%の方に上ると。改正する必要があるというのは五%ぐらいであるということで、なかなかこれは複雑な問題になってきているわけであります。

 安倍さんは、ああいうように大勝されたわけでありますけれども、大勝、大勝と言いますけれども、分析してみると、国会議員では八二%をとっている。しかし、地方のほうでは五五%しかとっていない。四五%は石破さんのほうに行っているわけでありますから、全体として物すごくとっているわけでもないのではないかなというふうに思いますけれども、憲法という大変国の根幹にかかわる重要な問題でありますから、いつも私が言うように、国会において、国民の理解がしっかりと得られるよう、慎重かつ丁寧な審議が行われるとともに、国民的議論が十分に尽くされる必要があるもの、このように感じるところであります。

 あと、財政問題ですね、消費税。消費税につきましては、これは国によって随分違いますよね。日本では、あと二%、来年十月から上げるということでありますけれども、八%が一○%になる。デンマークなんかだと、六○%が消費税になっているわけでありますから、その国その国のあり方によって随分違うというふうに思うわけでありまして、無論、食べ物とか、そういうものはもっと低く抑えられているわけでありますけれども、いろいろな国のあり方によって、消費税は高く取って、そのかわり、医療費であるとか、学校であるとか、いろいろなものがただ、特別養護老人ホームもただというような国もありますし、だから、国によって消費税を高くしたり、低くしたり、いろいろな国があるのではないか。

 今、日本がこれを上げていいのかどうかということが非常に重要であるわけで、これによって景気を落とすようなことにならないように、しっかりと私たちは見守っていかなければならないのではないか、そういうふうに思うわけであります。

 私からの答弁は以上であります。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 築地市場移転にかかわる問題についてお答えいたします。

 まず、豊洲市場の安全性についてでございますが、これは基本的に、私どもとして、いわゆる地下水のベンゼン等の含有についての化学的な領域についての安全性は、専門家会議において、その対処方法も含めて、既に東京都において適切になされているものと確認をしております。

 それから、御指摘いただきました地盤沈下問題というものでございますが、これは、実は、用語の使い方がかなり不適切だと私は思っております。豊洲市場の本体構造物については、これは東京れき層に、現実の問題として、しっかりしたくいでもって打ち込んで、構造物自体はくいに支えられている建築物でございます。周辺の土の部分は、二メートル五百以上土の入れかえをした、いわゆる盛り土でございます。基礎の構造自体が違っている。ですから、くいで支えられたものについては、沈まない。盛り土のものは当然に、圧縮されたり、乾燥したりすることによって伸び縮みする。そこの中に断裂が起きている。これは、基本的には地盤沈下とは言わない。ある意味で、構造的な断裂であるということで、それは当然、これは私、建築屋として申し上げますけれども、そういう意味で、この部分について、特に問題を生じるような構造だとは、私どもも考えない。ですから、この部分について、豊洲市場の問題についての安全性は、基本的に、東京都において責任を持ってなされていると私どもとしては考えております。

 それから、築地市場の移転にかかわる本区に対する影響でございます。

 この問題については、私どもが平成十八年に実際に築地市場の移転というものについて、ある程度起こり得る状態と想定して、新しい築地をつくる会をつくったときから、我々としては、基本的な考え方としては、考えてきたわけでございます。これらの影響を最小限にするために、区として何ができるかということを考えながら、基本的には、築地魚河岸という結論にたどり着いたわけでございます。

 民間の御商売の成り立ちでございますから、何か社会的な状況の大きな変化があっても、それについて全部、地方自治体として支援ができるかというと、なかなか難しいところがございます。基盤的な部分において何ができるかということを考えつつ、かつ社会的な状況の変化の中で起こり得る、例えば市場移転というような問題について、起こり得るさまざま問題について、我々は相談体制なり、バックアップ体制というものをつくっていくことが必要ということで、個々にその部分について何ができるかということを考えた末の結論として、築地魚河岸をつくっております。今回、この魚河岸の開設についても、御案内のとおり、いわゆる事前のプレオープンと言っていたものから、グランドオープンに至るまで二年間の延期等がありまして、築地の、やはり場外も場内も、それぞれの業者さんは大変苦しい思いをされたと思います。

 具体的に、築地市場が移転した後において、どういう影響があるのかという問題については、さらにその状況が起こってみないと、どういう深刻な形で出てくるのかというのがわからないところもやはりございますので、私どもは、今、現実に移転を想定したものについては、区としては、基本的に万全を尽くしたつもりでございますけれども、移転後に起きる問題については、これはまた我々として考えなければならない、状況をよく確認しなければいけないというふうに思っておりますから、そこにはそれなりに注意深く対応させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

〔福祉保健部長 黒川眞君登壇〕

○福祉保健部長(黒川眞君)
 私からは、保育に関しましての再質問にお答えをいたします。

 まず、保育ママについてでございます。

 本区の保育ママでございますけれども、平成十二年から区の独自事業ということで、家庭福祉員制度というのがございましたけれども、それ以来、二十七年に新しい子ども・子育て支援法ができましてから、位置づけは変わりましたけれども、そういった流れの中で実施をしているというところでございます。

 区といたしましても、この事業実施に関しましては、認可という形になっておりますので、その内容、質の確保等につきまして、必要な確認等をした上で、事業を実施していただいているという状況でございます。研修等のお話もございましたけれども、現状におきましては、必ずしも保育士の資格をお持ちでない方も事業を実施しているわけでございますけれども、所定の研修の上に、いろいろと現任研修といった、スキルですとか知識をより高めていただくための日々の御努力というのも要請をしているところでございます。区といたしましては、今、待機児童の問題が続いているわけでございますけれども、中心といたしましては認可保育所をつくっていくという方針のもとに、こういった地域型保育というものも適宜組み合わせながら、多様なニーズにも対応していきたいという考え方でございます。

 また、保育ママにつきましては、集団保育と異なりまして、例えば家庭的な雰囲気の中で保育ができるですとか、一人一人の発育、興味に合わせてきめ細かな保育ができるといったようなメリットをお感じになる保護者の方もいらっしゃるのではないかというふうに思いますので、さまざまな手法を用いた保育ニーズへの対応ということも、今後、引き続き考えていきたいというふうに思っております。

 次に、実地検査等を含めました指導、それから保育の質の向上ということでございます。

 まず、指導につきましては、委員御指摘のとおり、新聞報道等でおおよそ保育施設の三割程度、法定の指導監査が入っているということでございます。この法定の指導監査は、どちらかといいますと認可基準に沿った、例えば施設基準でございますとか、安全基準、また人員体制、それから経理関係、こういったものをつぶさにチェックするというような内容が主になっておりまして、区といたしましては、こういった検査の必要性は当然に認識をしているところでございますけれども、現実として、今、毎年、新しい保育園が次々と開設していくという中で、やはり保育現場において、しっかりとした安定で質の確保された保育が提供されていくというのが非常に重要というふうに認識をしております。例えば各保育所におきます日々の保育の流れでございますとか、各部屋の備品あるいは玩具の使われ方、それから、どの程度備えているかとか、開設と同時に配置をされた保育士さんが精神的にも安定して保育に当たれるように、精神的なサポートなども行っているところでございますので、こういった現場主体の指導を、まず優先して、しっかりと行っていきたいという考え方でございます。

 また、ガイドラインのお話もございましたけれども、こちらにつきましては、国のほうで定めております保育指針、これが何よりも原点となるべきガイドラインというふうに区としても認識をしております。これに加えまして、いろいろ区として、地域特性上、さまざまな考慮すべき事項というのがございますでしょうから、そういったものは、先ほど申し上げました巡回指導等の中でしっかりと反映していきたいというような考え方でございます。

 私からの答弁は以上でございます。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、見解の隔たりは、なお大きいと感じています。特に、福祉の分野では、いろいろ切り下げられている国の施策に対して、その福祉政策にストップをかけて、区独自の施策で充実させていくということが重要だと思いますし、そういうことをぜひ行っていくよう重ねて求めて、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(瓜生正高議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時三十分 休憩


     午後三時五十分 開議

○議長(礒野 忠議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。一番青木かの議員。

〔一番 青木かの議員登壇〕

○一番(青木かの議員)
 無所属・中央、青木かのです。さきに提出いたしました質問通告書に基づき、質問させていただきます。答弁内容によりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 まず、受動喫煙対策についてです。

 私にとりましては最重要施策の一つであり、この二期八年、一貫して取り組んでまいりました。この八年の間、一般質問はもちろん、各種委員会、決算特別委員会、予算特別委員会でもさまざまな角度から質問してまいりましたので、中央区議会ホームページでこのキーワードで検索してみたところ、何と二十三回も取り上げており、自分でも驚いているところです。

 平成二十四年第二回定例会一般質問での区長答弁は、受動喫煙防止対策は非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守るための大切な取り組みであり、たばこ対策の重要な柱の一つであります、このため、副流煙による健康への影響について、さまざまな機会を通じて周知徹底するとともに、喫煙者に対しては喫煙のマナー、ルールを遵守するよう啓発していくことが不可欠でありますというものでした。つまり、受動喫煙については、健康被害を認めながらも、この当時は喫煙者のマナーやルールの点から語られることが多く、なかなか区の施策として踏み込んだ答弁をいただくことはできませんでした。

 その後、オリンピック・パラリンピック東京開催が決定し、スモークフリーを掲げるIOCの方針にのっとり、ようやく受動喫煙防止法が制定されることを期待いたしました。しかし、国会でことし七月に可決成立した受動喫煙対策を強化する改正健康増進法は、原則屋内禁煙をうたっているものの、百平米以下の飲食店は規制の対象とはならない、つまり実質半数以上の飲食店が規制の対象にはならないという、ざる法です。

 しかし、オリンピック・パラリンピックのホストシティである東京都は、国の法律よりも厳しい受動喫煙防止条例を制定いたしました。この条例によって、都内の飲食店の八四%が規制の対象となります。

 そこで、お尋ねします。

 これまで受動喫煙対策に、区はどのような方針で取り組んできたのでしょうか。改めて質問いたします。

 また、東京都の受動喫煙防止条例が制定されましたが、この条例に基づき、各飲食店をチェックし、指導をし、必要であれば罰則を科するのは、実質、各区の保健所の役割となります。施行は段階ごとに行われますが、二○二○年四月までに全面施行されるということです。全面施行まで、あと一年半しかありません。

 日本橋や銀座等、繁華街を抱える中央区としては、今後、どのような方法で各飲食店の受動喫煙防止対策を徹底していくのでしょうか。その方法を具体的にお聞かせください。

 続いて、LGBTについてです。

 LGBTについては、これまでもダイバーシティ、多様性という面から取り上げてまいりました。多様性とは、性別の違い、国籍の違い、障害のあるなし、LGBT等を含めて、それぞれの違いや個性を尊重し、みんなが差別なく生活しやすい社会を目指すことです。戦後の日本の社会は、一定の大学を卒業した健康な男性たちが、政治の世界でも、ビジネスの世界でも、リーダーシップをとり、築いてまいりました。そして、このような社会の中で、女性や障害者や外国人やLGBTが差別されてきたのです。一方、社会の多様化は、昔に比べて確実に進んでいるのも事実です。

 しかし、ことしに入ってからも、某衆議院議員の、LGBTの彼ら彼女らは子供をつくらない、つまり生産性がないという著書における発言、東京医科大学の入学試験における得点操作事件、国や自治体による障害者雇用率の水増し事件等、多様性社会の実現とは相反する事件が相次いでいることは、大変憂慮すべきことです。

 私は、これまでLGBTについては、平成二十七年決算特別委員会、平成二十八年第四回定例会、そして平成二十九年十二月の企画総務委員会で、それぞれ取り上げておりますが、これまでは児童・生徒への教育、そして区内小・中学校の教職員に対するLGBT研修という観点から質問してまいりました。児童・生徒や教職員のLGBTへの無理解や偏見が、学校におけるいじめにつながることが多いからです。今や、いじめのおよそ三○%がLGBTに起因するという調査結果もあります。きょうは、さらに進めて、LGBT当事者が気軽に集うことができるコミュニティスペースと、パートナーシップ制度についてお尋ねしたいと思います。

 二○一五年、電通ダイバーシティ・ラボの調査によりますと、国内でもおよそ七・六%、十三人に一人はLGBTといった性的マイノリティであるという結果が出ています。国でも、法務省の人権擁護機関が性的指向を理由とする偏見や差別をなくすための各種啓発活動を実施したり、文部科学省がLGBTの児童・生徒に対するきめ細かな対応についての教職員向けの資料を作成し、全国の小中・高等学校に配布したり、また、厚生労働省は民間事業者に相談窓口を設けることを諮るよう指導したりという動きがあることは認識しておりますが、具体的な成果については、見えてきません。

 そんな中、いち早く具体的措置をとったのが渋谷区です。平成二十七年に渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例が成立し、同性カップルを認めるパートナーシップ証明書の交付を開始いたしました。この渋谷区方式は、証明書を得るためには公正証書が必要であり、その内容によっては五万円から六万円かかりますが、それだけに、渋谷区内では異性婚と同じような行政サービスが受けられるという利点があります。

 また、渋谷区では、同時に、LGBT当事者が気軽に集まり、情報交換したり、相談することができるコミュニティスペースをいち早く設置しました。つまり、当事者のための拠点の設置です。もともと渋谷女性センター・アイリスの名称で運営されていた部署を、渋谷男女平等・ダイバーシティセンター〈アイリス〉と改め、多様性を尊重する社会を実現するための事業を行っているのです。私もアイリスに行ってまいりました。会議室のほか、ライブラリーもあり、LGBT関連の本が大変充実していることに感動しました。

 そこで、お尋ねします。

 中央区にもLGBT当事者向けのコミュニティスペースと相談窓口が必要だと思いますが、区の考えをお聞かせください。

 では、話をパートナーシップ制度に戻します。

 渋谷方式とは違う、もう一つの方法が世田谷方式です。世田谷区では、平成二十七年九月に、条例ではなく、世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱を策定しました。こちらは、同性間のパートナーシップに関して、地域社会の一員として存在を認めてほしいという同性カップルの気持ちを受けとめ、区長名でパートナーシップ宣誓書を発行するもので、費用はかかりません。この世田谷方式は、その後、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、三重県伊賀市、北海道札幌市、福岡県福岡市、そして都内でも中野区が八月二十日からスタートさせました。そしてまた、まさに今、この第三回定例会において、豊島区が来年四月からパートナーシップ制度を導入することを発表いたしました。

 また、当事者の積極的な動きも出てきました。ことし六月の定例会にあわせて、首都圏の当事者グループがパートナーシップ制度の導入を求める請願や陳情書を首都圏の自治体二十七議会に同時提出したのです。中央区へも出されましたが、陳情でしたので、審議されることもなく終わってしまったのは大変残念に思います。しかし、中央区は、基本計画二○一八において、多様性を認め合う社会の構築を掲げ、一人一人が個人の尊厳を尊重し、多様な価値観を認め合う地域社会の実現に向けて、さらなる取り組みが求められると明記しています。

 東京都も、今定例会で、小池都知事肝いりで進めてきたLGBT条例を策定するということで期待しておりましたが、既に東京都のホームページで公開されているこの条例案、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を読んでみました。大きく、一、人権尊重に関する基本的理念、二、LGBT、三、ヘイトスピーチの三つに分かれており、LGBTについては、第三条から第五条まで書かれています。

 少し長いですが、引用します。

 第三条、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るものとする。第四条、都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない。第五条の三、都は、国及び区市町村が実施する差別解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の取組について協力するものとする。

 以上、ここまでが引用です。

 つまり、強制力や違反した場合の罰則もない、単なる理念条例であり、期待外れである感は否めません。

 そこで、お尋ねします。

 東京都の条例が、このような中途半端な条例である以上、パートナーシップ制度については、これまでどおり各自治体ごとに取り組んでいく必要があると思われます。パートナーシップ制度について、前議員からも質問がありました。私からも、改めてお聞きいたします。区長の考えをお聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、受動喫煙防止対策についてであります。

 区では、健康中央21を策定して以来、非喫煙者の健康影響の排除・軽減を達成した上で、喫煙者、非喫煙者の両者にとって、より満足度の高い分煙対策を推進していくことが重要であるとの考え方から、区施設や公園における分煙化を進めてまいりました。また、中央区まちづくり基本条例に基づき、開発事業者による屋内喫煙所の設置も進んでいるところであります。このように、本区では、喫煙者と非喫煙者が共存できるまちの実現を目指してまいりました。

 次に、東京都受動喫煙防止条例について、飲食店への対応であります。

 平成三十二年四月に全面施行される都条例による規制につきましては、現段階において具体的な事務のあり方が明らかにされておりませんが、庁内に検討組織を設置し、想定される課題の整理を進めているところであります。今後とも、受動喫煙による健康被害から区民の皆さまを守り、誰もが快適に過ごせるまちを実現してまいります。

 次に、LGBT等、性的少数者に対する施策についてであります。

 LGBT等、性的少数者からの相談につきましては、現在、区役所・出張所での人権相談や保健所・保健センターでの相談、女性センターの電話相談で受け付けることとしております。他自治体におきましては、専門相談窓口やコミュニティスペースの設置などの取り組みを進めていることは承知しておりますが、本区におきましては、区民の意識や関心の度合い、ニーズ等の把握に努め、LGBT等、性的少数者に対する正しい情報の提供や理解促進のための啓発活動などの取り組みを進めていくことが必要であると考えております。また、パートナーシップ制度につきましても、法律上の課題や区民の間にもさまざまな意見があることなどから、他自治体などの動向を注視し、調査・研究を行ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔一番 青木かの議員登壇〕

○一番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 受動喫煙防止対策については、共存という言葉がありました。この共存というのは大変難しい。国も東京都も、多分大きく言えば、そういうことだと思いますが、それが公の屋内では禁煙となった場合、喫煙者もちゃんと一○○%設備が整った喫煙室をつくっていく、そういうことだと思いますが、屋内禁煙については、しっかりと進めていっていただきたいと思います。

 それから、LGBTについてです。

 LGBTについてですが、先ほどのお答えにもありましたように、引き続き国や都、他自治体の様子を見ながら対処していくというお答え、この引き続き国や都、他自治体の様子を見ながら対処していくという、パートナーシップ制度についてですが、このお答えは、ほかの質問でもよくいただくお答えです。

 中央区といたしましては、様子を見ながら、まさに早からず遅からず、しかし、国として、あるいは東京都としての動きにはちゃんと対応していくというふうに理解はしているのですが、例えば、LGBTについては、今の法律では、同性間の結婚には法的根拠がないということで、当事者が大変悩んでいるということが多い。そして、その中で、渋谷区パートナーシップ証明実態調査というものを、渋谷区がパートナーシップ制度を始めて二年後、この実態調査をかなり大規模に行いまして、その報告書が二十九年十一月に出ております。

 これによりますと、例えば自治体が動いたことで、完璧ではないにしても、渋谷区が区としてできる範囲で条例をつくったことで、民間が動きました。社員のうち、同性カップルにも異性間の結婚と同様の福利厚生を適用すると。これは民間でできますので、そういう動きがあった。あと、生命保険会社でも、同性カップルにも保険金の受取人として同棲相手を指定することを認めると。

 このように、民間が動く。民間は、需要があれば動いてまいります。ということは、LGBT、受動喫煙対策についてもそう言えると思いますが、まず地方から動きが始まった。やはりこれは地方自治体あるいは地方議員、私たちが一番有権者の皆さんの意向を肌で感じているということから、まず地方議会あるいは行政が動き、そして、そこに需要があれば民間も動き、そして国を動かす。これが、これからの大きな流れ、よく言われますが、地域主権であり、草の根が国を動かすということだと思います。

 そこで、パートナーシップ条例につきましては、先ほども御回答をいただきました。他区の例を見ながらというような回答をいただきましたが、では、中央区にはすばらしい宣言がありますね。矢田区長がお出しになった四つの宣言、中央区平和都市宣言、花の都中央区宣言、太陽のまち中央区宣言、クリーン・リサイクル中央区宣言ということで、五つ目の宣言といたしまして、多様性を認め合い多文化共生を推進するまち中央区宣言という、まずは区長の宣言から始めていただいてはどうでしょうか。

 この質問だけを再質問といたします。よろしくお願いします。

〔企画部長 浅沼孝一郎君登壇〕

○企画部長(浅沼孝一郎君)
 LGBT等の性的少数者に関する再質問をいただきましたので、私のほうからお答えをさせていただきます。

 再質問で、中央区で五つ目の宣言をしたらどうだという御質問をいただいたところでございます。さきの議員からの御質問にも区長からお答えをさせていただいてございますけれども、全ての区民が多様性を認め合い、心豊かに暮らせる地域社会の実現、まさにこれが性的少数者の方への対応の宣言になるかと思います。これにつきましては、基本構想における施策の道筋として既に定めてございますし、基本計画の中にもこうしたことの実現を目指していくというふうに盛り込んでございますので、既に区として宣言しているものというふうに、同じように考えてございます。

 以上でございます。

〔一番 青木かの議員登壇〕

○一番(青木かの議員)
 ありがとうございました。

 そうですね。基本構想に含まれているということで、これが区長の意思である、宣言であるというふうに私も受けとめました。

 中央区は、まちづくりあるいは再開発によって、まちづくりにはすごく最先端で取り組んでいる。それが大成功して、続くところも出ています。ところが、理念については、ちょっとおくれているところが多い。他区を見ながらということで、どうしても最初にそれを取り入れるというところがなく、私としては寂しい気がいたします。これからは、理念でも東京都を引っ張っていただきたい。まちづくりにおいては、まさにこの中央区、臨海部が東京都を引っ張っていく中で、理念においても、しっかりと引っ張っていっていただきたい、先頭になっていただきたいという思いです。

 以上で質問を終わります。(拍手)


○二十三番(瓜生正高議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時十八分 休憩


     午後四時三十五分 開議

○議長(礒野 忠議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十一番原田賢一議員。

〔十一番 原田賢一議員登壇〕

○十一番(原田賢一議員)
 私は、中央区議会の新青会の原田賢一です。平成三十年第三回区議会定例会に当たり、さきに提出いたしました質問通告書に基づきまして、本区にとって大変重要な課題であります都市整備及びまちづくり案件について、一つ、日本橋上空にかかる首都高速道路の地下化について、二つ、同じく首都高速道路の関連で、都心環状線の覆蓋化による上部空間の活用について、三つ、築地市場の移転に関連した事項、以上三点につきまして質問をさせていただきます。区長さん初め、関係理事者の皆さんには、将来を見据えた明快なる御答弁を期待するところであります。なお、再質問はあらかじめ留保させていただきます。

 今回の質問につきましても、本年三月の予算特別委員会の質疑に引き続きまして、時をつなぎ、時を運ぶ、時代から時代へと人をつないで運んでいく、今という時代から時をつないで、区民の皆さんを、現在から、基本構想でいう二十年後の輝く未来という時代に運んでいくというイメージから、区政の流れをステーション、駅、ターミナル、また列車というイメージに重ねて、お尋ねしてまいります。

 本区の人口は、現在、十六万人を超え、大きなターミナル駅、セントラルターミナルとなっていることは、さきの委員会でも述べさせていただきました。この大きなターミナル駅では、二○二○年に大きなイベントがあり、関係の方々が国内外から訪れてこられます。そうであります。来る東京オリンピック・パラリンピックです。

 オリンピック・パラリンピック自体は一過性のものでありますが、本区で、この大きなターミナルで生業されている方、毎日利用される方、また、目的を持って訪れる方などが、誰でもいつでも過ごしやすく、快適で安全であることが重要であると考えています。今回は、快適で安全なまちを築くという視点で、都市整備及びまちづくり案件についてお伺いしていきたいと思います。

 初めに、さきの予算委員会でも触れさせていただきましたが、改めて日本橋上空にかかる首都高速道路の地下化についてお伺いをいたします。

 日本橋上空の首都高速道路につきましては、昨年七月二十一日に、石井国土交通大臣、小池東京都知事により、日本橋周辺のまちづくりと連携し、地下化に向けて取り組んでいく旨の発表がなされ、区長も同日付でコメントを発表しました。その中では、長年の悲願に向けて具体的な大きな一歩を踏み出したことは、大変喜ばしく思っていますと述べられるとともに、国や都と緊密な連携を図り、地元区として、日本橋川沿いで展開されている都市再生に資する再開発事業などに対して支援を行い、東京の将来につなげていくまちづくりに全力で取り組んでまいりますとも述べられておりました。

 何度も述べさせていただき恐縮ではありますが、この首都高速道路地下化の取り組みは、「輝く未来へ橋をかける 人が集まる粋なまち」という区の基本構想の将来像と一致する取り組みであり、まさに江戸以来の歴史を有する日本橋において、百年後に誇れる輝く未来を創造する取り組みであります。と同時に、首都東京にとって、百年後のまちづくりとして誇れる東京の姿を未来に残せる取り組みでもあると強く強く思っているところであります。

 さきの予算委員会では、昨年の七月の国交大臣、都知事による地下化の取り組みの発表以降の国や都の検討状況と、本区のかかわりについて及び地元区としての再開発事業への支援についてお聞きいたしました。さらに、首都高速道路の地下化という駅と、都市再生という新しい駅の実現によって、区は、この地域の未来をどのように思い描いているのかについてお聞きをいたしました。区長からは、首都高速道路の地下化を契機に、中央区は、文化、芸術、芸能、さらには環境問題に積極的に取り組む区としてアピールし、そのシンボルが名橋日本橋になるよう取り組むという前向きな御答弁をいただき、また、吉田副区長からは、中央区は水の都ということの発信として、お堀の水も含めて、水路全体の見直しを行い、最終的には清流日本橋川を取り戻したいと、これまた大きな目標を述べられました。なおまた、五つの地区の開発への支援の考え方としては、地下化による開発建物への若干の制限が権利の制限にならないようにすることなどが挙げられて、一番の支援は、国や都との調整役をしっかり行うとの答弁をいただきました。本区のターミナル駅としての輝く未来が垣間見えた気がいたしました。

 が、しかし、ことし三月の時点では具体的な方策、いわゆる具体的な地下化された首都高の姿が見えない状況にありました。その後、五月二十二日に第二回首都高日本橋地下化検討会、七月十八日に第三回首都高日本橋地下化検討会が開催される中で、首都高の地下ルート案及び概算事業費や事業スキーム及び工程イメージなどが示され、首都高地下化の全体フレームが明確になったものと受けとめております。

 そこで、区長にお聞きいたします。

 本検討会でまとめられた内容について、区はどのように受けとめておられるのか、お聞かせを願います。

 なお、地下化の事業スキーム案の一つでもある民間プロジェクト、首都高地下化と地元まちづくりとの連携についても、そのお考えをあわせてお答え願います。

 首都高速道路というキーワードの中では、もう一つ、平成三十年度予算にも計上されました基本計画二○一八の中のトピックであります。基本計画二○一八において、区長は、川面に光を取り戻すとともに、緑の都市空間づくりにも挑戦し、にぎわいの連続性を確保しつつ、「アメニティ空間」を創出し、都心「中央区」のさらなる魅力向上を目指すとしております。すなわち、首都高速道路都心環状線築地川上部の覆蓋化による空間活用の検討についてのお尋ねです。

 築地川は、昭和初期に入船川及び桜川と結ぶ連絡運河として開削をされ、一九六四年東京オリンピック時の高度成長期に自動車交通の急速な普及に伴い、築地川は掘り割りの形状でほとんどの区間が埋め立てられ、首都高速道路都心環状線として整備されまして、現在に至るまで都心の輸送道路として重要な役割を担っています。そのため、築地川は、わずかに浜離宮恩賜庭園脇の水路が残るのみとなっています。

 一方で、都心環状線は全線にわたって老朽化が進んでおり、首都高速道路株式会社において、平成二十六年六月、更新計画を策定し、その中で、都心環状線の銀座から新富町までのいわゆる築地川区間については、事業年度を平成四十年度までとしております。また、同計画の参考資料には、築地川区間における上部空間の活用イメージが示されていることから、まとまった土地の確保が難しい本区では、こうした覆蓋化に伴い新たに生まれる首都高速道路の上部空間の有効活用は、大変意義あるものと思っております。

 そこで、お聞きいたしますが、貴重な水辺空間であります築地川にかわる壮大な整備が求められると思いますが、区として、上部空間活用について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

 さらに、今後の進め方及び本庁舎のまとめ方、具体的には築地川上部空間の将来像、ビジョンなどについて区として公表していくお考えがあるのかお伺いをいたします。

 次に、本区にとって長年の懸案であった築地市場の移転に関連した事項についてのお伺いです。

 これまで本区のにぎわいの大きな核でありました築地市場が、来月、十月十一日にいよいよ豊洲新市場へ移転します。面積が十キロ平方メートルと小さな区である本区にとって、築地市場の約二十三ヘクタールという新たな土地利用が展開される広大な土地が生まれることは、区の将来像や区政の発展の道筋を描いていく上で、かつ今後の百年の歴史を考える上でも、極めて重要、重大なまちづくり案件であります。当地の大規模な土地利用転換再開発の動きは、本区の将来にとって、まさに新たなレールが敷かれ、新しい駅ができ上がってくることにほかなりません。築地市場跡地の再開発は、現在、都で築地まちづくり検討委員会を新たに設置し、その委員会の中でまちづくり方針を取りまとめていくものと伺っておりますが、現時点においては具体的な再開発後の絵姿が見えてきません。

 そこで、お伺いいたします。

 区としては、この市場跡地及び築地地区全体をどのようにしていくべきと考えておられるのか、その御見解をお伺いいたします。

 以上をもちまして私の第一回の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 原田賢一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、首都高日本橋地下化検討会についてであります。

 本検討会は、昨年十一月から本年七月まで、約九カ月という短期間で検討の取りまとめが行われたものであり、地元区として、国・都及び首都高速道路株式会社の御尽力に対して改めて感謝の意を表するものであります。

 また、本検討会で取りまとめられた内容は、関係者間で大筋の方向性について合意されたものであり、このことを前提として、現在も関係機関と継続して協議調整を行いながら、検討を深めているところであります。あわせて、この地下化の取り組みは、川沿いの再開発事業等との連携が不可欠であり、区として、地元のまちづくり活動に対して最大限の支援等を行いながら、首都高地下化と再開発事業との連携の具体的な方策について検討していく必要があります。そのためにも、今後とも、国や都など関係機関との調整役をしっかりと担い、地元から理解と協力を得られるよう、区として最大限の努力を進めてまいりたいと思います。

 何といっても、オリンピック・パラリンピック、前回のオリンピック・パラリンピックの負の遺産の象徴となっているのが日本橋上空の高速道路であるわけでありますから、これをしっかりと直さなければならない。やはり日本というのは、文化性、それから地域の環境ですね。地域環境、やっぱりあれがあっては、日本人が幾ら文化を大事にしているんだ、環境を大事にしているんだと言っても、外国から見れば、何言ってるの、日本の道路元標の上にこんなものがあるじゃないかということで卑下されるわけでありますから、これはもう本当にしっかりとやらなければならない。そのためには、地域の企業の方々、五つの事業もしっかりとやるということで合意していただいているわけでございまして、そういう五事業の関係者の皆様にも心から敬意を表する次第でございまして、これをやっぱりしっかりとやることによって、日本の文化というのは物すごいものがあるんだということを示す絶好のチャンスである、まちづくりの象徴でもあろうというふうに思っているわけであります。

 次に、首都高速道路都心環状線の覆蓋化による上部空間の活用についてであります。

 首都高速道路株式会社の更新計画で新たに整備される都市基盤とともに、周辺のまちづくりと一体となる都市空間の形成を図るため、首都高速道路の上部空間を活用する検討を行っております。築地川区間を覆蓋化することで銀座と築地のまちをつなぎ、にぎわいの連続性を確保するとともに、人々が憩い、安らぎ、交流のできる場としてアメニティ空間を創出し、築地川を緑の川として取り戻すことにより、快適かつ良好なまちづくりを目指してまいります。本調査では、構造や費用面などの課題を整理するとともに、官民連携による一体的な整備の可能性などを検討し、ビジョンをまとめ、議会に報告した上で、首都高速道路株式会社はもとより、国・都などに、その実現に向け、積極的に働きかけてまいりたいと思います。その意味で、区議会の皆様方の御支援、御協力を心からお願い申し上げる次第であります。

 次に、築地市場跡地及び築地地区全体のまちづくりについてであります。

 築地市場の跡地は、現在、立地など、都心部に残された最後の貴重な公有地であります。二十三ヘクタール、都心部に、こういうところはもうございませんね。この土地利用方針は、所有する都が定めるものとなりますけれども、何しろ区内にあるわけですから、区内にある土地でありますから、区としても、国際都市東京の永続的な発展の核となるような開発が行われるよう働きかけてまいりたいと思いますし、私としては、本当に、中央区だけではなくて、東京、日本のシンボルとなるようなものができるように、区議会の皆様方とともに検討してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 また、この土地は三本の幹線道路が集中し、東京湾にも隅田川にも面する交通要地であります。大事なところですね。この立地を生かし、陸上・水上の交通を有機的に連結するターミナルや船着場を整備し、地域交通環境の改善はもとより、都市観光の多様な発展につなげていくことも重要であると考えております。さらに、築地地区全体のまちづくりという観点では、高速道路の上部空間を活用したアメニティ空間の創出や、地下鉄新線の整備構想など、将来の基盤整備を視野に入れながら、浜離宮を初め、場外市場及び歌舞伎座や新橋演舞場などとの相乗効果により、にぎわいを創出し、築地エリア全体が首都東京はもとより、日本の魅力を世界に発信する拠点になるよう、東京都と連携を深めてまいりたいと思います。

 答弁は以上であります。

〔十一番 原田賢一議員登壇〕

○十一番(原田賢一議員)
 御答弁ありがとうございました。

 日本橋上空の首都高地下化については、日本橋そのものもそうですが、その周辺地区についても、少しずつイメージが湧いてきたところです。

 五街道の起点となっていた江戸時代の日本橋は、あの作家、池波正太郎による「鬼平犯科帳」にもよく出てきますが、国の重要文化財に指定をされている今の石づくりの日本橋は一九一一年にできたもので、あのころの青空が広がる日本橋、中央区に、東京都に復活するんですね。日本橋が生き返るということですよね。同時に、また話は少し昔に戻って恐縮ですが、首都高速道路自体の話ですが、首都高は、御存じのとおり、あの一九六四年第一回の東京五輪に間に合わせるべく、つくられた高速道路であります。首都高速一号線として京橋から芝浦間に四・五キロの日本初の都市高速道路が開通したのは、その二年前の一九六二年、昭和三十七年でありました。

 今回の質問に当たり、「首都高速物語」という本を読んでみました。都市の道路づくりにいちずな夢を託した技術者たちの物語でありました。戦後の復興の象徴となった、あの東京オリンピックを成功に導いた幾多の日本人技術者たちの汗と努力に感謝の拍手を忘れずにいることは、日本橋上空高架撤去とは意は異にしつつも、先人の輝かしい足跡に対する礼儀かとも思った次第です。

 また、ムービー、映画で思い出したんですが、昔のソ連映画ですが、一九七二年に公開されて、もう四十年以上の前の映画です。その年のカンヌ映画祭で審査員特別賞をとった「惑星ソラリス」という映画があります。当時のSF映画で未来の都市を描いたものですが、この映画の中で、ビルの間を走る高速道路が出てくるんですが、これは第一回の東京五輪の後の東京の首都高速道路を撮影したものなんです。ですから、出口飯倉とか銀座方面渋滞とか、そういう標識が映っています。あのころの日本の首都高は、あの当時の未来の都市道路の姿として映画に映し出されていたんですね。

 話は戻りますが、今回の首都高地下化による経済面に関する、すなわち日本橋上空高架撤去によって取り戻された景観が生む経済効果はどのようなものかはお聞きしませんでしたが、本区にとりましても、東京都にとりましても、これは都市競争力を高める重要なプロジェクトと改めて思うところです。

 高速道路高架撤去に関する海外におけるプロジェクトについては、一つは韓国・首都ソウル、清渓川という川があります。大きな川です。この清渓川再生プロジェクトがあります。もう一つは、アメリカ・ボストンの高架地下化のボストン道路再生プロジェクトがあります。もちろん、首都高日本橋地下化検討会においても、これらのプロジェクトについての考察は十分になされているものと思いますが、韓国・ソウルの清渓川再生プロジェクトは、川にかかる高架高速道路を取り除いて、五十年ぶりに復活し、もとの清流を取り戻したものです。また、ボストンでは、ボストン中心部を貫いていた高架高速道路を地下化をして、あわせてボストン中心部と空港を海底トンネルで結んで、上部空間に公園など緑の空間を整備した大きなプロジェクトで、プロジェクトの名はビッグ・ディグという有名なプロジェクトです。いずれも、経済効果を大きく視野に入れたビッグプロジェクトの成功例であります。

 首都高日本橋地下化が二○二○年東京五輪後の着工で大筋合意となり、あと二年後です。この地下化の完成まで、十年から二十年の見通しです。非常な難工事が予想されます。周辺地下には、地下鉄はもとより、インフラが網の目のように入り組んでおり、工事が始まれば、交通渋滞、社会活動・地域活動・経済活動への支障・混乱など、検討、吟味、精査すべき問題が多発します。しかしながら、臆することなく、先ほどの海外の成功事例にもあるように、日本橋、築地川、また築地市場跡地などの日本橋・築地地区の再生を軸として、地域活性化への新たな大きなブループリントを描くことができるのではないかと思っています。

 築地川上部の覆蓋化による空間の活用については、緑の川をつくる、緑の川、非常にいい言葉です。築地川アメニティ構想といった将来像がまとまって、この取り組みがまさに輝く未来へ橋をかける、その橋となるといいですね。

 今回は、首都高速道路関連のまちづくり及び築地地区のまちづくりに焦点を当てて質問をさせていただきました。これは、単に核となる拠点整備として開発がどのように進められるかだけではなく、中央区の将来を位置づける重要な案件であるとともに、東京全体、ひいては我が国の将来像をも左右する大きな大きなまちづくり案件であると思っています。

 なお、しかし、まちづくりにおける課題は全てを含んでおります。福祉から教育まで、赤ちゃんから高齢者まで多種多様であります。これら各部各施策の課題におけるディテールと、その議論については、この後の決算特別委員会の場に移したいと存じます。

 それでは、終わりに際し、日本橋及び築地の開発が区民の皆さんや本区に訪れる方々を輝く未来へ誘うドリーム列車でありますように、首都高速の覆蓋化によって生まれるアメニティ空間が、区民の皆さんや区に訪れる方々にとって、ほっと憩える郊外の景色豊かな鈍行列車のような存在になりますように、区長さんを初め、理事者の皆さんの御努力に期待をさせていただき、これをもちまして私の今回の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(礒野 忠議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(礒野 忠議員)
 次に、日程第二及び日程第三を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二及び日程第三を一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第二

 議案第八十号 平成三十年度中央区一般会計補正予算

日程第三

 議案第八十一号 平成三十年度中央区介護保険事業会計補正予算


○議長(礒野 忠議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第八十号及び第八十一号、平成三十年度本区各会計補正予算につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 今回の補正は、一般会計で七億百九十八万二千円の減額、介護保険事業会計で一億八千二百七十万三千円の追加をするものであり、補正後の予算額は、一般会計は八百八十九億五千五百三十六万四千円、介護保険事業会計は八十五億六千九百十三万三千円となるものであります。

 初めに、一般会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入では、使用料及び手数料、国庫支出金、都支出金、繰入金及び特別区債を減額し、諸収入を増額いたします。

 次に、歳出について御説明申し上げます。

 区民費は、月島スポーツプラザの改修先送りにより、工事費などを減額いたします。

 福祉保健費は、保育所整備に係る都有地の借入れ経費などを増額いたします。

 環境土木費は、水辺環境の整備費を減額いたします。

 都市整備費は、築地場外市場地区における駐車場の整備費などを増額し、月島西仲住宅の改修経費を減額いたします。

 教育費は、新入学学用品費の前倒し支給のため、就学援助費などを増額し、阪本小学校の改築経費などを減額いたします。

 また、繰越明許費は、「月島スポーツプラザの改修」ほか一件の金額を変更いたします。

 債務負担行為は、「保育所整備にかかる都有地の借入れ」ほか二件を追加し、「月島スポーツプラザ等複合施設の改修」ほか一件の内容を変更いたします。

 特別区債は、起債の限度額を変更いたします。

 次に、介護保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入では、支払基金交付金及び繰越金を増額いたします。

 歳出では、諸支出金を増額いたします。

 よろしく御審議の上、御決定のほど、お願いいたします。


○二十三番(瓜生正高議員)
 議事進行について、動議を提出いたします。

 ただいま上程されております議案第八十号及び議案第八十一号は、企画総務委員会に付託されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。


○二十三番(瓜生正高議員)
 議事進行について、さらに動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま企画総務委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十六日を休会とし、明後二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日を休会とし、明後二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後五時十分 散会


署名議員
議長 礒野 忠
議員 富永 一
議員 小栗 智恵子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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