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平成24年第二回定例会会議録(第3日 6月25日)

1.会期

十二日(第三日)

六月二十五日(月曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後九時五十三分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 瓜生 正高議員

四番 富永 一議員

五番 染谷 眞人議員

六番 木村 克一議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 中嶋 ひろあき議員

十四番 今野 弘美議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 増渕 一孝議員

二十四番 原田 賢一議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問

日程第二
議案第四十一号 公益的法人等への中央区職員の派遣等に関する条例等の一部を改正する条例

日程第三
議案第四十二号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四
議案第四十五号 災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第五
議案第四十八号 中央区立区民健康村大規模改修工事(機械設備工事)請負契約

日程第六
議案第四十九号 中央区立区民健康村大規模改修工事(電気設備工事)請負契約

日程第七
議案第 五十号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(建築工事)請負契約

日程第八
議案第五十一号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(機械設備工事)請負契約

日程第九
議案第五十二号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(電気設備工事)請負契約

日程第十
議案第五十三号 西仲橋架替工事(上部工)請負契約

日程第十一
議案第五十四号 中央区立有馬小学校大規模改修工事(機械設備工事)請負契約

日程第十二
議案第四十四号 >中央区印鑑条例の一部を改正する条例

日程第十三
議案第四十六号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第十四
議案第四十七号 中央区立学校設備使用料条例の一部を改正する条例

日程第十五
議案第四十三号 中央区事務手数料条例の一部を改正する条例


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 一番加藤博司議員。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 日本共産党の加藤博司です。日本共産党中央区議会議員団を代表しまして質問します。なお、再質問、再々質問については留保させていただきます。

 最初に、社会保障と税の一体改革について質問します。

 民主党と自民・公明両党は、十五日深夜、消費税増税法案の修正協議で合意しました。消費税を段階的に二○一五年には一○%に引き上げる法案と、社会保障を政府案以上に切り捨てる社会保障制度改革推進法案などを今国会で成立させるとしています。この合意を一番歓迎したのは、消費税を増税し、社会保障切り捨て、法人税を減税するよう要求してきた財界です。経団連会長は、「与野党が胸襟を開いて議論を行い、一定の合意に達したことを経済界として高く評価する」と述べています。一方、国民世論は、「消費税増税を今国会成立にこだわるべきでない」が七二%(朝日新聞の六月六日付)、「消費税引き上げだけの合意に納得しない」が七六%(報道ステーション十一日)で、「消費税増税そのものに反対」は五○数%から六○%となっており、反対の声はさらに多くなっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、「消費税増税を今国会成立にこだわるべきでない」という七割を超える国民の声をどのように認識していますか。

 第二に、国民の多くが反対する消費税増税は、国民的合意を得ていないと思いますが、いかがお考えですか。

 第三に、三党合意は、密室で合意すれば国会での審議は必要ないという議会制民主主義をじゅうりんする暴挙です。こんなことを許してはならないと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 雇用の七割を支える中小企業の大半は、消費税を価格に転嫁できず、身銭を切らされています。商店街では、「一○%になったら商売が続けられない。もう店を畳むしかない」、「内税なので消費税が上がったからといって値段を上げられない」など、不安の声が寄せられています。税率が倍の一○%になったら、商店街の商店も町工場の倒産や廃業が激増し、ますます税収が落ちることになります。事実、一九九七年に消費税が三%から五%に引き上げられる前年と二○一○年を比べると、税収は十四兆円も落ち込んでいます。歴史から学ぶべきです。

 消費税増税に加えて、重大なことは、自民党の対案をもとに合意された社会保障制度改革推進法案には、年金の支給額の減額、年金・医療・介護の保険料の値上げなど、国民に痛みを強いる改悪ばかり並んでおり、これは自公政権時代に進められた構造改革の名による社会保障の連続改悪路線をよりひどい形で復活させ、それを法制化しようというものです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、社会保障制度改革推進法案のような社会保障の基本理念や制度の全体像を方向づける法律は、戦後、今日に至るまでつくられていません。全くの新法です。憲法二十五条を真っ向から否定する新法を三党の密室の談合で合意したからといって、国会会期末にいきなり提出し、国会での審議を全くせず採決しようなどということは、議会制民主主義を破壊する前代未聞の暴挙だと考えますが、区長の見解はいかがですか。

 第二に、社会保障制度改革推進法案は、社会保障への公費投入を縮減し、国の責任で社会保障の増進を図ることを義務づけた憲法二十五条を真っ向から否定するものとなっています。しかも、財源については、消費税収を主要な財源とすると明記しています。国民に消費税増税か社会保障削減かの選択を迫るようなことを行ってはならないと思いますが、いかがですか。

 第三に、中小企業や商店が消費税を価格に転嫁できず、身銭を切って納税している実態をどのように認識していますか。

 第四に、国民にとっては消費税率の一○%の引き上げだけでも十三兆五千億円の負担増です。社会保障改悪とあわせれば、新たな国民の負担は二十兆円を超えます。平均的勤労者世帯で二十五万円以上の実質負担増です。消費も冷え込み、景気はさらに悪化するのに、これでも暮らしと経済に壊滅的な打撃を与えることはならないとお考えですか。

 それぞれお答えください。

 次に、消費税増税に頼らない道についてです。

 日本共産党は、消費税増税に反対するだけでなく、それにかわる財源を示しています。能力に応じた負担の原則に立った税財政の改革と国民の所得をふやす経済の民主的改革を同時に進め、社会保障の充実と財政危機を打開する道です。社会保障をよくすることは待ったなしです。そのためには応能負担、能力に応じて負担する税制の大改革を行うことです。年収が一億円を超える富裕層や巨大な経済力を持った大企業ばかり優遇される今の税金のあり方は、間違っています。能力に応じた負担に税制を変えることです。

 区長に聞きます。

 能力に応じた税負担で社会保障をよくすることについて、どのようにお考えですか。

 もう一つは、国民の所得をふやして経済を立て直すことです。国民の所得が減り、経済成長もとまったままでは、社会保障の財源づくりも財政危機も打開できません。経済が冷え込んでいるのは、国民の生み出した富が大企業の内部にため込まれているからです。民間の総給与所得は、一九九八年二百二十三兆円から二○一○年には百九十四兆円と大幅に減少しています。しかし、大企業の内部留保は、一九九八年には百四十三兆円だったものが二○一○年には二百六十兆円と、何と百十七兆円もふえています。大企業には相次ぐ減税が繰り返され、手厚い優遇税制で実質税負担は一○%台です。こんな不公平を正し、国民の暮らしと権利を守るルールをつくり、国民の所得をふやす経済改革を行うことです。大企業の二百六十兆円もの内部留保を経済の成長に生かせば、税収もふえ、社会保障の財源、財政危機の打開の道になると考えますが、区長の見解をお答えください。

 次に、子ども・子育て新システムについて質問します。

 新システムについて、民主・自民・公明三党で法案の修正合意を押し通そうとしていますが、基本的な枠組みは変わっていません。新システムの根幹は、区市町村の保育実施義務をなくし、施設と保護者の直接契約、保護者への現金給付の制度の導入にあります。国と自治体が責任を負う現行保育制度、公的保育制度を解体し、保育を市場化するものです。

 三党合意の修正は、保育の実施義務をうたう児童福祉法二十四条については、区市町村が保育の実施義務を引き続き担うこととするなどの修正で合意されていますが、実施義務の中身が問題です。現行の保育そのものを保障する現物給付なのか、はっきりしていません。また、認定こども園、保育所などに共通の給付を創設するとされました。施設型給付という名前がつけられ、保育所への補助金ともとれる装いですが、法案に盛り込まれている直接契約を前提とした個人給付の仕組みは変わっていません。

 新システムの基本構造では、保育の必要性を区市町村が客観的に認定することも引き続き盛り込まれ、区市町村が利用時間を認定する仕組みも残っています。保護者が認定書を持って施設と直接契約する新システムの基本構造は、変えられたとは言えません。また、認可制より基準の緩い施設を容認する指定制にかえて、都道府県による認可制が合意されています。同時に、大都市部では保育需要の増大に機動的に対応できる仕組みとして、児童福祉法の改正にも言及しています。株式会社の参入には、客観的な認可基準に合えば認可するとしており、限りなく指定制に近い制度です。

 政府が法案成立を急ぐのは、肝心な部分は後から政令や省令などで決められるからです。国会の十分な審議もなく、法案採決を強行することは許されません。

 そこで、質問します。

 第一に、区長は、子ども・子育て新システムの三党合意の修正案をどのようにとらえているのか、お答えください。

 第二に、自治体の保育実施に義務がなくなることは、自治体の保育の公的責任がなくなると同時に、子供の保育を受ける権利を奪うことになると考えますが、区長の見解をお聞かせください。

 第三に、保育を現在より低い基準の施設を認めていくことは、事業者指定制度につながり、保育の質の低下や保育事業が営利目的に変質することが考えられます。区長は、どのような見解を持っていますか。

 第四に、児童福祉法の保育所、学校教育法の幼稚園の一体化どころか、より制度が複雑になっています。このことについて、区長はどのように認識しているのか、お答えください。

 次に、介護保険制度と在宅介護について質問します。

 公的な医療保険と介護保険の診療報酬と介護報酬が四月に改定されました。しかし、介護保険の報酬改定で報酬単価が切り下げられ、必要なサービスが受けられない事態が生まれてきています。特に、利用者に深刻な問題を与えているのが、介護保険でヘルパーが訪問して行う買い物や調理、掃除、洗濯などの生活援助の時間の削減です。従来、「三十分以上六十分未満」、「六十分以上」だった区分を「二十分以上四十五分未満」、「四十五分以上」に短縮し、報酬単価を切り下げたためです。実際生活援助を受けている男性の方から、「ヘルパーさんに週四回来てもらっているが、最近は話をする時間がないのか、すぐ帰ってしまう」という話を伺っています。生活援助は、ヘルパーが一緒に調理することなどで利用者の自立支援と要介護度の悪化防止の効果などがある重要なサービスです。それを「限られた財源」、「お世話型からの脱却」(厚生労働省)などと制限することは、利用者置き去りの乱暴なやり方です。

 そこで、質問します。

 生活援助時間の削減による利用者への影響についてお答えください。

 社会保障と税の一体改革では、医療から介護へ、施設から在宅へをうたい文句に、団塊の世代が七十五歳以上になる二○二五年に医療・介護の施設利用者を大幅に抑制する目標を立てています。病院入院約三十万人、介護施設約六十万人の利用者を抑える大規模な計画です。具体的には、重症者の受け入れ比率が低い病院の報酬を下げる、要介護度の高い人が少ない特別養護老人ホームの評価を下げる、在宅復帰率の低い老人保健施設の報酬を下げるなど、いずれも中軽度の患者・介護利用者が多い病院・施設から利用者を追い出す内容です。また、在宅の受け皿として二十四時間対応の定期巡回・臨時対応サービスは、厚労省予測でも十二年度は一日六千人程度しか利用できないお寒い体制です。利用者に必要なサービスが提供される保障はありません。

 そこで、質問します。

 第一に、中央区での実態はどのようになっていますか、お答えください。

 第二に、現在でも特別養護老人ホーム待機者二百八十人(平成二十三年度末)、うち要介護四、五の方が半数以上になっています。希望者が何年も待たされることなく、安心して施設介護が受けられるようすべきです。改定された中央区第三次保健医療福祉計画では、小規模特養二十九人規模が二カ所、認知症グループホーム十八人が一カ所のみです。区内の都有地や国有地などを活用して施設の整備を行うべきです。お答えください。

 第三に、在宅サービスの利用限度額に対する利用割合が、全体で五割程度と低迷をしています。介護サービス利用には一割負担がかかるため、必要なサービスを控えざるを得ない事態も生まれています。また、介護認定を受けながら介護サービスを利用していない方が二割強となっています。当然対象になるのに介護認定を受けていない方もいます。このような方をなくしていくためにも、おとしより相談センターの体制を強化し、必要なサービスを受けられるようすべきです。御答弁ください。

 次に、生活保護について質問します。

 芸能人の母親が生活保護を受けていたという報道に便乗して、民主党政権と自民党が生活保護制度を改悪しようとしています。生活保護制度は、憲法二十五条に基づき国民の生存権を保障する最後のセーフティーネットです。生活保護法上、親族による扶養は生活保護の要件ではありません。仕送りなどの扶養が行われている場合は、収入として保護費を減額しますが、扶養しなければ生活保護を受けさせないというものではありません。芸能人の扶養問題があたかも不正受給であったかのように国会質問で取り上げ、小宮山厚労大臣は、「着実な扶養義務の履行につなげたい。生活保護制度を見直す議論をしている」と答弁し、生活保護給付水準の一○%引き下げも検討することを表明しました。

 貧困の拡大が深刻化する中で、生活保護の役割はますます重要になっています。生活保護給付水準の一○%引き下げは、生活保護受給者だけでなく最低賃金や年金、就学援助、税や社会保障の負担などに連動するものです。国民全体に影響します。生活保護費が高いのではなく、年金や賃金、特に非正規労働者の賃金が低過ぎるのです。

 日本は、今、病気、そしてリストラや雇いどめなどで、失業すればだれもが一気に無収入になりかねない滑り台社会です。日本で生活保護がふえているのは、非正規雇用の蔓延による低賃金労働者や、働きたくても仕事がない失業者の増大、脆弱な社会保障制度が原因です。自己責任として見過ごすことができない社会問題です。低賃金・不安定雇用の規制強化や社会保障制度の充実こそ必要です。こうした問題を放置して、扶養義務の強要や給付額の減額などで生活保護をさらに狭める制度改革を行えば、餓死、孤立死、自殺をさらにふやすことになります。札幌市や立川市の事例を出すまでもなく、中央区でこのようなことを絶対起こしてはなりません。生活保護は、生活再建に向けた最後のセーフティーネットとしての役割がますます重要となっています。憲法二十五条で保障された生存権を破壊する改悪は中止し、生活を保障する機能を強めることが急務です。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、扶養義務の強要は、扶養が必要な人の申請の意欲を失わせることになるのではと考えますが、区長の見解をお答えください。

 第二に、中央区では、平成十七年四月と平成二十三年四月を比較すると、生活保護世帯は五百八十九世帯から七百六十三世帯へ、百七十四世帯、三○%以上も増加しています。この実態と原因について、区長はどのようにお考えですか、御見解をお答えください。

 第三に、区内において生活保護基準以下で生活している区民の実態を把握し、生活再建に向け、支援すべきと考えます。それぞれお答えください。

 次に、築地地区の先行営業施設と豊洲新市場予定地の土壌汚染について質問します。

 中央区は、ことし二月七日、中央区長と東京都中央卸売市場長との間で築地市場の移転に関する合意を結び、豊洲への移転を容認する立場に転落しました。これ以降、移転を前提に、場外にある区有地に鮮魚や青果を扱う店舗が出店する施設、(仮称)築地新市場をつくり、築地市場が移転する半年前に開業する先行営業施設の準備を進めています。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、先行営業施設の運営主体や初期投資はどのように想定しているのか、卸売市場でない商業施設に区の税金をつぎ込むことに区民の同意が得られると考えているのか、区長の考えをお聞かせください。

 第二に、築地市場の・場内・場外市場と一体となって築地ブランドをつくり上げてきました。築地市場が移転となれば、築地ブランドを維持することが難しいのではないかと思いますが、いかがですか。

 第三に、場外市場で営業を行っているある鮮魚店は、「市場が移転すれば仕事が続けられるかどうか。今なら商品が足りなければ、ものの十分で仕入れることができるが、これからは難しい」、また、ある漬物屋さんは、「中央区の計画を含め、移転計画がどのようになっているのか全く情報が入ってこない」と、不安を述べています。場外市場で営業を行っている皆さんにどのような情報提供を行っているのか、それぞれお答えください。

 次に、豊洲新市場予定地の土壌汚染について質問します。

 この間、中央区は、移転予定地の土壌汚染対策が確実に行われることが移転の大前提としています。また、東卸組合の山崎治雄理事長も、「日刊食料新聞」のインタビュー、「現在地の再整備の旗をおろすということですか」との問いに対して、「それは全く違う。豊洲の土地の土壌汚染にはまだ大きな不安がある。汚染対策がうまくいかなかったときのことも考え、現在地再整備の可能性については今後も検討する」と答えています。また、農水省は、移転予定地の土壌汚染について、科学的見地に基づく安全性の確保が市場開設の大前提としています。しかし、土壌汚染対策工事が大幅におくれていることが明らかになっています。

 さきの都議会経済・港湾委員会で日本共産党の清水ひで子都議の質問で、土壌汚染対策工事が、予定地内にある東京ガス建物などの地下構造物が原因で、既に最大で四カ月もおくれていることが明らかになりました。また、清水都議は、「遮水壁工事が終わらなければ、外周部の土壌汚染対策処理や地下水対策工事へ影響する。二○一四年度の市場開場日程を優先すれば、土壌汚染対策がさらに欠陥だらけになる」と指摘し、欠陥のある土壌汚染対策工事を中止し、現在地再整備の検討に入るよう求めています。

 全労連・全国一般東京地本と同東京中央市場労働組合は、五月十七日、細野豪志環境大臣に都の移転予定地の土壌汚染調査は不十分、ボーリング調査の結果、汚染物質を通しにくいとされた難透水性の地層の厚さが基準に満たない箇所が二百七十八カ所ある(東中労調べ)などの問題点を指摘し、指定調査機関による調査と方法の改善を命ずるよう要請しました。また、五月二十五日には、東京都が進める築地市場の移転予定地の土壌汚染対策が土壌汚染対策法で定める要件を満たしていないとして、鹿野道彦農林水産大臣あてに早急に対処するよう要請しました。農水省の担当者は、注視していくと答えております。移転予定地の土壌汚染は、食の安全・安心が最も要求される市場において液状化が起きるなど、土壌も地盤も致命的な問題を抱えています。

 そこで、質問します。

 第一に、合意の大前提である土壌汚染の安全性を、中央区としてどのように確認していくのでしょうか。

 第二に、豊洲新市場への移転が築地市場で営業している業者や働いている皆さん、買い出しや利用者の皆さん、あるいは観光客や区民、都民の皆さんの理解が得られると考えているのでしょうか。

 第三に、やはり現在地での再整備こそ築地地区の活気とにぎわいを継承することができると考えます。移転ではなく、現在地での再整備に立ち戻るべきです。

 それぞれ見解をお答えください。

 次に、中央区防災計画について質問します。

 地震と巨大津波、さらには原発事故による放射能汚染という未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、改めて被害を未然に防ぐことの重要さを示しました。そして、今、日本は地震の最活性期に入ったとされており、東京においても、首都直下地震の切迫が指摘されています。四月十八日、東京都防災会議は首都直下地震などによる被害想定の見直しを発表しましたが、最大震度七、死者九千七百人、木造密集地域に被害集中との報道に、区民の不安が広がっています。スーパー災害と言われる大都市東京を襲う大規模地震から区民の生命と財産、都市と産業を守るために必要な取り組みをどう進めるかは、区政の重要な課題です。中央区は、二○一三年二月に、中央区地域防災計画を発表する予定ですが、今、何より求められていることは、災害を未然に防ぐ予防原則に立脚した取り組みを進めることです。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、震災予防を防災の原則に、自己責任原則による自助の考えを改め、地震による被害の多くは人災との立場から、被害を未然に防止し、最小限に食いとめる予防の原則に立って震災対策を見直すべきだと思いますが、区長の考えはいかがですか。

 第二に、区民向け防災備蓄品の保管場所の見直しと内容の充実を図るべきです。公助の充実が求められると考えます。区長の考えはいかがですか。

 第三に、区民の命と財産を守ることを最優先にした防災計画、自治体が住民の命と財産を守る公的責任を果たせるよう、公務員削減、構造改革路線を転換し、必要な人員と組織の確保が必要と考えます。区長の考えはいかがですか。

 第四に、地域の特性に合わせた、住民が中心の施策と取り組みが必要です。区民の八割以上が高層住宅に居住しています。高層住宅の防災対策や木造建築住宅地区対策も急がれています。地震の被害想定や防災計画を生きたものにするためには、机上の被害想定ではなく、被害を限りなくゼロにするため、住民や地域の組織、自治体が協力して地域の総点検を行い、住民の目線で地域の特性に合わせた被害想定や防災計画づくりに取り組むことが不可欠と考えますが、区長はいかがお考えでしょうか。

 第五に、発災時の震災対応を万全にし、住民本位の復興を基本に、災害時医療体制など、地震発災時対策の確立を進めることです。区民や帰宅困難者のために各主要な公園に災害用マンホールトイレの設置が必要と考えます。また、生活必需品確保、医療体制の強化、通信手段の確保、情報の発信など、災害時の震災対応が求められると考えますが、御見解をお示しください。

 第六に、超過密で地震に脆弱な都市づくりを一層加速させる都心への過度な一極集中を転換し、持続可能な社会、防災と環境を最優先にした防災と福祉都市中央区へ転換が必要と考えます。区長はいかがお考えですか、お答えください。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、社会保障と税の一体改革についてであります。

 消費税率の引き上げは、国民の中でさまざまな意見があることは十分承知しております。民主党・自由民主党・公明党における三党合意は、あくまで政党間での政策協定であり、既に国会に提案されている社会保障と税の一体改革関連法案に加えまして、社会保障制度改革推進法案につきましては、議会の審議手順に従い、本会議で採決されるべきもので、議会制民主主義を否定するものとは認識しておりません。また、社会保障制度改革推進法案は、今後の高齢化の進展に伴い、年金や医療、介護費用などが膨らむ中、どのように財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を維持していくべきかとの視点で議論されるものであり、消費税増税か社会保障削減かの選択を迫るものではないと考えております。

 次に、大企業に比べ価格競争力の乏しい中小企業や商店の中には、消費税分を価格に転嫁できない場合もあると承知しております。こうしたことから、国においては円滑かつ適正な転嫁に支障が生じることがないよう、事業者の実態を把握し対策を講じていくとしており、さらに引き上げに当たり、経済状況を判断し、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できる仕組みを設けるとしております。区においても、こうした国の動向を注視し、これまでと同様、経済環境の悪化や社会状況の変化には迅速に対応し、区民生活を守る立場で施策に取り組んでまいります。

 次に、税制度についてであります。

 社会保障と税の一体改革において、格差の是正と所得再配分機能の回復を図る観点から、特に高い所得階層に絞って一定の負担増を求めるとしており、今後とも能力に応じた税負担のあり方が検討されるものと存じます。また、大企業を含む法人への課税につきましては、雇用や新成長戦略も踏まえて検討するとされております。こうした税制のあり方や社会保障の財源論につきましては、国の責任のもとで議論されていくべきものと存じます。

 次に、子ども・子育て新システム法の修正案についてであります。

 このたびの修正案では、総合こども園制度への移行を取りやめ、認定こども園、保育所、幼稚園制度を踏襲することとなっておりますが、現時点においては詳細が示されていないことから、今後の動向を注視してまいります。

 次に、自治体の保育の実施義務についてであります。

 これまで本区は、待機児童の解消に向け、保育所の整備はもとより、良好な保育環境の充実に努めてまいりました。今後も保育ニーズを的確にとらえ、こうした取り組みを積極的に推進してまいる所存であります。また、指定制度から認可制度への変更につきましては、保育の環境や安定的運営などを考慮し、事業者に対して経済的基盤や社会的信頼性、社会福祉事業の認識や経験を要件としているものと認識しております。なお、多様な保育形態は、現行制度に基づき、一部修正が加えられたものと考えております。

 次に、特別養護老人ホーム等の施設整備についてであります。

 特別養護老人ホームについては、要介護度や介護環境等に基づく区の入所調整基準により、民間施設を含め、毎年約八十人が入所しております。辞退される方も多く、要介護四または五の方であれば、介護環境等にもよりますが、おおむね一年から一年半以内で入所が可能となっております。今後も待機者の現状やニーズを的確に把握しながら、再開発の機会等をとらえ、現計画に基づき、区内三地域に地域密着型特別養護老人ホームや認知症グループホームの整備等を進めてまいります。また、施設の大規模改修に際しても、増床等により利用定員の拡大を図ってまいります。

 次に、在宅介護についてであります。

 まず、生活援助の時間区分等の見直しは、利用者のニーズに応じ、自己負担の軽減や利便性の向上などを図るために実施されたものであります。これまで区には、利用者から見直しに対する苦情や要望は寄せられておりません。二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスについては、現在、二カ所の事業所が本年十月のサービス開始に向け準備を進めております。訪問介護・看護を頻繁に利用し、支給限度額の八割を超えている方は、現在、区内に三十名ほどおり、サービスの利用が見込まれるこれらの方々の受け入れは十分に可能であると考えております。また、おとしより相談センターでは、所内で相談を受け付けるだけでなく、地域との連携を図るために、地域ケア会議等を開催するとともに、町会、高齢者クラブ等に積極的に出向き、介護等に関する周知や支援を進めております。今後とも高齢者の方々に適切にサービスを提供できるよう、センターの体制を一層強化してまいります。

 次に、生活保護についてであります。

 生活保護の開始に当たっては、真に生活に困窮されている方が保護を受けられるようにするため、扶養調査や資産調査等を実施し、適正受給に努めております。これらの調査に当たっては、相談の段階でそれぞれの事情に即したきめ細かい対応に留意すべきと考えております。生活保護世帯は、平成七年度以降、全国的に増加の一途をたどっております。これは、長引く不況の影響による失業者の増加、うつ病等精神疾患の増加、高齢者世帯の増加等が主な要因と考えられております。

 次に、生活保護基準以下で生活している区民の実態把握につきましては、例えば国民健康保険料や税金を滞納している方、水道料、電気代を滞納している方等を生活支援課相談窓口につなげてもらうなど、関係する部署や事業所との連携の中で把握に努めております。また、民生・児童委員の方々による地域の見守り活動において、生活に困窮している方の把握に御協力をいただいております。相談をお受けする中で、生活困窮の程度に応じて生活保護制度や応急小口資金貸付制度、住宅手当等、必要なサービスを提供することにより生活の再建に向けた支援を実施しております。

 次に、築地の先行営業施設についてであります。

 先行営業施設は、築地地区の活気とにぎわいを市場移転後も守るために必要な基盤となる施設であり、これを整備することは、地元区としては当然の責務と考えております。今後、施設の設計を行いながら、整備費用などの詳細を確定させてまいりますが、施設開設後は利用者に応分の御負担をいただくとともに、民間経営の観点やまちづくりへの効果を十分に考慮した、効果的・効率的な運営主体や方法について検討してまいります。この先行営業施設の構想は、場内と場外が一体となって築き上げてきた食文化の拠点としてのにぎわいや、築地ブランドを市場移転後も継承・発展させるため、プロに支持される鮮魚・青果などの店舗の集積を目指しており、場外市場など地域の方々とともに検討を重ねてきたものであります。具体化に向けては、今後、さまざまな機会をとらえ、場外市場の事業者などの関係者に説明していきたいと考えております。

 次に、豊洲新市場予定地の土壌汚染についてでありますが、東京都は技術会議の結論を踏まえた対策を確実に実施し、安全な開場に向け万全を期すとしております。安全性の確認は都の責任において行われるべきものでありますが、区としても、土壌汚染対策工事の進捗や、これにかかわる情報公開など、都の取り組みを注視してまいります。本区は、昨年三月の都議会において、二十年を超える議論を経て移転の結論が示されたことを重く受けとめており、都には多くの関係者にとって移転が最善の結果となるよう取り組んでいただきたいと考えております。今後とも、平成二十六年度の移転に即し、築地の活気とにぎわいを将来に確実に継承し、さらなる発展につなげられるよう、築地地区のまちづくりに区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、中央区地域防災計画についてお答えいたします。

 初めに、防災における自助の考え方についてであります。

 本区地域防災計画の総則では、みずからの身の安全はみずからが守る自助を防災の基本とし、その上で近隣の助け合いなどの共助を位置づけ、行政が果たす公助と連携し、区民の生命・身体及び財産を守るという地域防災の目的を明記いたしております。それぞれの主体の中で災害予防、発災時の応急対策、復旧・復興を講じていく原則は変わるものではありません。

 次に、災害用備蓄品の保管場所の見直しと内容の充実についてであります。

 区では、災害時に備えた応急対策用資機材や食料等の緊急物資を区内二十一カ所の防災倉庫と二十三カ所の防災拠点に備蓄しております。こうした資機材や緊急物資につきましては、人口増や防災拠点運営委員会の方々の意見等を反映して数量や品目を随時見直すとともに、適正な保管に努めております。

 次に、必要な人員と組織の確保についてであります。

 区では、従来から組織、人員配置を常に見直し、効率的な執行体制づくりに努めてまいりました。今後も必要な組織と人員を配置し、区民のニーズを反映した対応を行ってまいります。

 次に、被害想定についてであります。

 本年四月十八日に東京都が新たに公表した被害想定は、客観的なデータや科学的な裏づけに基づき、可能な限り実際に起こり得る最大の被害像を踏まえたものであります。本区地域防災計画の修正に当たっては、こうした被害想定も踏まえ、取り組んでまいります。

 次に、災害時の対応についてであります。

 現在着手いたしております計画修正において、ソフト面では防災拠点運営体制や医療救護体制等を強化するとともに、ハード面では災害用トイレをはじめとする施設の整備を進め、さらには区民や帰宅困難者等、一人一人へのきめ細かな対応ができるよう、総合的な防災力の向上を目指してまいります。

 次に、都市と防災についてであります。

 災害に強い安全なまちを実現するためには、既存建物の耐震化を促進するとともに、再開発等の機会をとらえ、公開空地の確保など防災面を強化し、防災配慮型の都市基盤整備を推進していくことが重要と考えております。

 答弁は以上であります。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 社会保障と税の一体改革について、とりわけ消費税の問題ですけれども、区長は依然として第二回定例会において、私どもの志村議員の質問に対して答えた内容から一歩も踏み出てないということは、非常に残念に思います。今問題になっているのは、国民の大多数が消費税増税は反対だと。そして、七割を超える方が今国会で消費税の増税をすべきでないというのが国民多数の声なんです。ですから、そこのところをきちっと理解していただきたいと思うんです。

 そして、さまざまな団体が、共産党だけではないんです。例えば、ここに清水信次日本スーパーマーケット協会会長が、先日、憲政記念館で十四日に超党派国民集会を開いて、自民党さん、公明党さんを除く百五十人の国会議員が集まったということなんです。主催は、清水さん、スーパーマーケット協会会長ですけれども、こう言っているんです。日本経済は、ここ数年でGDPも税収も大きく落ち込んでいると。現場の状況から見て、とても増税はできないと。こういう、私たちとは違う立場にいる人たちも言っているわけです。ないしは、日本金融財政研究所の所長さん、まずやるべきことは、国民生活を応援し、景気をよくすることなんだと。そうすれば、十年間下がり続けてきた所得がふえるし、それにより税収も伸び、社会保障もよくできると、このように指摘しているんです。

 ですから、今必要なことは、国民の暮らしを豊かにすることが何よりも求められている。今、この消費税というのは、はっきり言えば所得の少ない人ほど、その税負担が重くなる逆進性の高い税金なわけです。実際に、いろいろな調査によりますと、年収二百万円以下の人は消費税の負担が五・三%になるという数字もあるんです。どうしてかというと、生活ができないから貯金を切り崩して使うから、消費がどんどん、税負担がふえるという内容があるんです。そういう実態を見る必要があるんだということを、やはりきちっと評価をして、見て、中央区としても消費税増税について、区民の負担、区民への影響が大きいということを認識する必要がある。

 それと、消費税は何も消費者だけではないんです。一例だけ、こういう事例もあるということを紹介しておきます。これはマンションの問題なんですけれども、マンションの管理組合、大体築二十年ぐらいで二百数十戸のマンションです。理事長さんとお話しする機会があって、これから大規模修繕を行わなくてはならないが、消費税増税で長期修繕計画の資金計画の見直しをしなければならなくなったと、ため息をついているんです。マンションの場合、大規模修繕になると億単位のお金がかかるんです。その中で、一千万円以上の消費税相当分、追加資金を確保しなければならない。今までの資金計画では立ち行かないと。結果的に言うと、修繕積立金や管理費の増額も検討しなければならないという、そういうため息をついているんです。何も、物を買うだけじゃなくて、こういうところにも影響があらわれてきているわけです。実際に、中央区の場合は八○数%の方がマンションに住んでいるわけですから、七百棟以上の分譲マンションがあるわけですから、そういう人たちにもこういう負担を押しつけることになるということを、まず一つには理解をしていただいて、もう一度その辺について、国民や区民の意見について、消費税を上げるなという思いについて、区長みずからどういう認識をお持ちになっているのか、改めて御回答をいただきたいと思います。

 それから、子ども・子育て新システムですけれども、原則は、先ほど言いましたように区市町村の保育実施義務をなくして、施設と保護者の直接契約になるということです。実際に、この問題は、先ほども言いましたように、新システムは現在の介護保険制度と同じようになるということなんです。利用者が介護認定を受け、サービスの提供を受けるために施設を探し回ることが保育の現場で起きることになるということが、今回の新システムの大きな柱になっているわけです。そうすると、今までのように行政が保育所に入れるところまでいろいろと面倒を見てこられたわけですけれども、その必要がなくなるという、そういう重大な、保育制度そのものを根本からひっくり返す内容なわけですから、その辺についてもう一度区長の認識をお聞かせいただきたいと思います。

 それから、介護保険についてですけれども、実際に介護保険は、要支援一・二の利用者は一割負担から二割に今度は上がるんです。そして、施設に入所する要支援一・二の人の利用料も上がるし、年齢による差別医療制度、後期高齢者の医療制度の棚上げなどが、もう既に明らかになっているわけです。実際に、一体改革に関する民主党、自民党さん、それから公明党さんの三党の修正合意、福祉削減の社会保障制度改革推進法案の提出は決定する。しかし、後期高齢者医療制度の廃止については棚上げ、最低保障年金の創設も棚上げ、そして子ども・子育て新システムについては一部の手直し、低所得者への年金加算を縮小、給付金に変更と、そういう形で、介護保険についてもさまざまな形で区民に影響を与えているわけです。

 そして、私の知り合いの人が、特養老人ホームに申し込んだんだけれども、入れなかったと。順番待ちということで、奥さんも高齢なので自宅で介護ができず、区の施設を探して、仕方なくサニーパレス京橋にお願いをしたと。三年契約も考えたが、一年にしたと。それは何でかというと、一年分だと三百万の入居時費用を一括で払わなきゃいけない。三年分になると五百万以上になると。そして、今、毎月三十万円以上の利用料がかかると言っているんです。「お父さんが汗水働いてためた貯金だから、それを切り崩して使っているけれども、なくなったらどうしようかしら」と。「長生きするってお金がかかることなのね」と、そう寂しそうに話をされるのが印象的でした。また、こういう方もいらっしゃるんです。特養ホームに入りたいが、入れない。たまに外に出かけたいが、家に車いすが入らない。一日中家の中にいると、こう話す御高齢の方もいます。

 今必要なことは、そういう人たちに寂しい思いやつらい思いをさせることなく、行政がきちっとさまざまな支援をすることが、今、求められていると思います。何年も特養に入所を希望して、なかなか入れない。実際、先ほど一年から一年半と言いましたけれども、私の知っている人は五年待った。五年待って、やっと入れた。加藤さん、やっと入れてよかったよ。ほっとしたと、そう言われた。それは昔の話じゃないですよ。最近の話ですよ。だから、そういうことにさせないためにも、やはりきちっと必要な人には施設でちゃんと介護する。それを行政がきちっと対応することが、今、求められていると思います。

 それから、生活保護について、先ほどいろいろとお話がありましたけれども、扶養義務の証明ということは、現在、親族や兄弟などに扶養できませんかと聞いたら、「私のところはちょっと生活が厳しいので、だめです」ということでお断りをすることなんですね。ところが、今度、扶養義務の証明というのは、もっと違うんです。兄弟や身内の人たちの資産まで行政がきちっと調査をする権限を持つということなんです。ですから、今までの照会と扶養義務の証明とは、全然中身が違うんです。今までは扶養義務というのは、一応兄弟や身内の人に、どうですかと聞いて、うちは無理ですと言ったら、それで終わりだけれども、今度はすべて、親戚や身内の人たちの資産まで洗い出しが行われるということなんです。このことは、逆に言えば、生活保護を受ける立場にしてみれば、自分の恥を親戚や身内にさらけ出す。そして、親戚や身内の人たちに、扶養を要請される人に負担を求める形になるわけです。これではなかなか生活を再建していくことは難しいと思います。そして、もっと大事なことは、生活保護を受けている方の約四割が六十五歳以上であるということです。年金だけでは足りないために、生活保護を申請するということなんです。その年金さえ、今度、もらい過ぎだと言って削るわけですから、こんなことはやってはいけないんです。ですから、さらにこういうことをやってしまうと、その日その日生きるのが精いっぱいの人たちをさらに貧困のどん底に突き落としてしまうことになりかねない。再度、その辺についての認識をいただきたいと思います。

 それから、土壌汚染の問題についても、私ども議員団は、この問題について再三にわたって議会でも委員会でも質問しております。ところが、先日もありましたように、五街区、六街区、七街区に満遍なくくいが打ち込まれていると。その数が一万八千本になると。このくいによって、その大部分が不透水層、難透水層と言われている有楽町層を貫通している。このくいが通り道となって、不透水層の全域を汚染していることが想定される。実際に、不透水層から基準値をはるかに超えるベンゼンが見つかっているわけです。不透水層を含めた汚染土壌を入れかえると東京都は説明しています。しかし、全土壌を取りかえるとなると、何千億円もお金がかかると想定されると。土の入れかえを行わなければだめということになって、非現実的な話だと思うんです。

 私は、やはり生鮮食品を扱う市場には移転予定地は不適切だと。もはや築地市場の現在地でしか再整備はないと、そのことをもう一度改めてお伺いしまして、再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。社会保障と税の一体改革。やはり今、何が国で一番問題になっているのかといえば、負債が負債を生む、この体質ですよね。一千兆円の負債があってというか、これまでの累積債務があって、今、予算九十兆と言うけれども、収入は四十兆ぐらいしかなくて、あと五十兆ほどは借金すると。そうすると、これは負債が負債を生んでいくということであって、借金で返済をどんどんまたやらなきゃいけないということ、この体質を何とかしようではないかということで、国において、今、各党とも懸命に審議しているわけでありまして、したがって、健全財政であれば持続可能な社会保障制度、これを享受、維持できるわけでありますから、そういう面にどうやって持っていくかということで、いろいろと審議されているわけでありまして、無論反対意見等々、七○%ですか、という御指摘がありましたけれども、いろいろな御意見があるでありましょう。ですから、まず景気であるというのももちろんよくわかるわけでありますが、日本の今の財政の体質、これを直していかなければならないということでは、国民、また議会の皆さんも一致しているわけでありますから、そういうようにいかに持っていくかということで、真剣に私たちの代表である国で、今、審議されているわけでありますから、しっかりとした審議を見守り、対応していただきたい、このことを望むところであります。

 また、子育ての問題。これは本区におきましては本当に区議会の皆さんをはじめ、区民の皆さんのお力添え、御理解によって赤ちゃんがどんどん生まれる。これだけ赤ちゃんが生まれる、ベビーブームが起こっている自治体というのも少ないでありましょうし、また、人口もどんどんふえている。こういう自治体も珍しいですよね。国勢調査をやれば、必ず一番か二番であるというわけでありますから、きのうも、ある厚労省の方に申し上げたんですけれども、今、中央区でやっていること、これは国の手本であると。手本を私たちは実施しているんだから、国も実行していただきたいということを申し上げたところでありますけれども、やはり子育て、喜びを持って産み、そして育てられるシステム、これは国全体でやはりつくっていかなければならない。今、何しろ人口が減少して、赤ちゃんも減ってきている。これがまた財政というか、将来展望も陰りが差すというような格好に、悪循環になっているわけでありましょう。ですから、そうではないんだと。こうすれば将来展望も開けるんですよということで、本区こそその先頭に立っていきたい、こういうふうに思いますね。

 それから、特養の問題。五年待ってようやく入れたという御指摘がありましたけれども、担当者のほうに聞きましたところ、要介護四あるいは五の方ならば、おおむね一年から一年半で入所が可能となるということでございまして、担当者がおっしゃるんですから間違いない、そういうふうに思っているわけでございます。その人その人の状況等ありますけれども、入りたいという方は、やはりしっかりと入れるようにしていきたい。そういうことで、区内の三カ所ですか、地域密着型の特養をふやしていこうではないかということで、今、どんどん進めているところであります。

 それから、生活保護。これはいろいろ難しい問題があるようですけれども、そう複雑に考えることもないので、受けたいという方々がそう難しい手続をすることなくこれを受けられる、それからプライバシーの問題もあるでありましょうから、そういった点も加味しながら、本区ではできる限り不便をかけないようにということで、窓口も対応しているもの、そういうふうに理解しているところであります。

 築地の問題。これはもう、私たちの代表である都議会、そこで決定された、昨年三月でしたね、ちょうど三・一一の日でしたかね、決まったわけでありますから、これを重く受けとめているんです。やはり都議会、議会で決まったわけでありますから、このことを重く受けとめて、しっかりとした対応をしていこう。特に、にぎわいと活気、今もあるわけですから、これを絶やすことのないように、食文化の拠点、そしてまた世界の観光スポット、そういうところをしっかりと維持・発展させていこうではないかということで、議会の皆様方をはじめ、築地の皆様、また関係者の皆様方のお力添えをいただいて、先行営業施設、これも地域の方々と十分に意見交換してできた計画でありますから、どうか十分御理解いただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 最初に、特養の老人ホームの入所については、区長も御存じだと思いますけれども、常に三百人近くの待機者がいると。そして、一年間に入所できるのは八十人程度しか入所できないということを、まず頭に置いておいていただきたいと思います。

 そして、税の問題。負債が負債を生むというお話がありましたけれども、何で借金ができているのかということをきちっと分析をしないと、幾らやっても借金の返済はできないわけです。まず、何で借金ができたのかをきちっと明らかにすべきだと思います。

 そして、私は、密室談合で議会制民主主義をじゅうりんし、さらなる格差と貧困を広げる消費税大増税と社会保障大改悪を推し進めることは断じて認めることはできません。三党合意は増税先にありきで、社会保障の分野は改悪ばかりです。国民多数の消費税増税反対の声と力を合わせ、消費税大増税法案、社会保障大改悪法案、これらの悪法の廃案を強く求めていく決意です。

 また、築地市場。現在地での再整備こそ、築地地区の活気とにぎわいを継承することができ、食の安全・安心を守ることができることを述べて、日本共産党中央区議会議員団の代表として一般質問を終わります。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時十四分 休憩


午後三時三十五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。八番河井志帆議員。

〔八番 河井志帆議員登壇〕

○八番(河井志帆議員)
 中央区議会みんなの党の河井志帆でございます。私は、今定例会に当たり、会派を代表し、区政の直面する課題につきまして、通告書に従い、区民の目線で区長及び関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうか建設的かつわかりやすい具体的な御答弁をお願いいたします。御答弁のいかんによりましては、再質問をさせていただきます。

 今回は、中央区基本計画の改定、テーマをこの一つに絞りまして質問します。さきの議員と重なる点もあるかと思いますが、別の切り口からの質問ととらえていただけますと幸いです。

 区政運営の指針である中央区基本計画二○○八は、今年度で前期五カ年が終了し、来年度から平成三十四年度の十年間を計画期間とする新たな基本計画へ改定するという方針が明らかにされました。その検討指針として、必要性、実効性の観点から積極的に施策や計画事業を見直すことや、環境変化や将来予測される動向と対応の方向性を主体的に検討し、積極的に施策に反映させること、そして所管をまたがる課題や新たな政策課題については、執行体制の検討も含め、関係部局間で十分な連携、調整を図っていくことが明記されたことは、高く評価をいたします。

 ここで、まず基本計画の策定経過を振り返ってみます。

 昭和五十六年に二十一世紀を展望した基本構想と十カ年の基本計画が策定され、五年後の昭和六十一年に十カ年の第二次基本計画が策定されました。その後、地価高騰や定住人口の減少など、急激な社会経済情勢の変化に対応する必要が出たため、三年後の平成元年に七カ年の改定基本計画が策定されました。その五年後の平成六年には、前期四カ年、後期三カ年の計画期間七カ年の第二次改定基本計画が策定されました。そして、都心居住のまちづくりを積極的に推進すべく、平成十年に策定されました基本構想を受け、平成十一年には計画期間を十年とする基本計画「安心・快適・躍動'99」が定められ、定住人口回復が施策の目標として掲げられました。その後、計画期間を五年経過し、計画事業の進捗率も九割を超えたことから、平成十七年には計画期間を六年とする中央区基本計画二○○五が策定され、人口を指標とした基本計画から生き生きとした地域社会の実現へ、すなわち量から質へとシフトチェンジされました。そして、加速する時代の変化を十分踏まえた新たな取り組みを推進するため、平成二十年に計画期間を十年とする基本計画二○○八が策定されました。

 今回、基本計画の改定に当たり、本区の人口推計は、計画策定時の推計におおむね近い形で順調に推移してきたが、乳幼児人口が見込みを一○%以上上回って推移していることが、区が取り組むべき施策の方向性に影響を与える。それを改定の趣旨の一つに挙げています。

 そこで、お尋ねをいたします。

 基本計画二○○八の前期五カ年が終了するに当たり、策定当初の想定と異なっている点を乳幼児人口以外にあればお示しいただき、その理由をどのようにお考えなのかお知らせください。

 また、平成十一年から一貫して毎年三千人程度またはそれ以上人口が増加しており、現在も子育て世代を中心に人口流入が続いているという現実から、量から質へのシフトチェンジがうまくいっていないように見受けられますが、それについての御見解をお聞かせください。

 また、二○一三年からの目指すべき中央区の姿はどのようなものか、二○○八年との違いも踏まえて、具体的にお示しください。

 時代に合わせて計画を改めることは非常に重要なことでありますが、その都度、もとの基本計画の総括を行うこと、これは必要不可欠な作業であると考えます。

 さて、年間千四百人がこの中央区で産声を上げるということは、その千四百人に近い人数が六年後に小学校に入学することを意味します。この千四百人という数字がどのくらいの数字かということをイメージするために、一つの計算をしてみます。

 千四百を三十で割ると四十六・六六六、そして、その四十六・六六六を十六で割ると二・九一六。これは何の計算をしたか、言うまでもありません。

 ちなみに、三十で割ったのは、千四百人が小学校に進学したときに一クラス三十人学級だと想定して四十六・六、すなわち四十七クラスになるということ、そして、それを十六で割ったのは区立小すべてで二・九一クラス、すなわち小規模校を含めた全校三クラス体制必要になるということであります。あくまでイメージですので、そのとおりになるということではありませんが、理事者の皆様には危機感を持っていただきたいとの思いからお示しをいたしました。

 最近では、さまざまな幼児教育施設、私立幼稚園、インターナショナルスクールなどの送迎バスが朝夕区内を走っており、その多くは区外の施設のものであります。近隣区の事業者によれば、中央区はドル箱だとまでおっしゃられています。現在進行形で子育て中の世代は、社会とのかかわりを持ち始めたときにバブルが崩壊し、すべてが右肩下がりの失われた二十年しか知らない世代でもあります。懸命に勉強していい学校を卒業したから、一流企業に入ったからといって、生涯安泰ではないことは身をもって知っています。だからこそ、子供に早くから専門性を持たせたいと考えるなど、子育てのニーズも多様化してきています。

 本区では、平成十一年に全国に先駆けて中央区の教育環境に関する基本条例を制定し、教育の充実と教育環境の向上に全力で取り組んでこられたと伺っております。教育の中央区を標榜するのであれば、それを実現するため、スピード感をしっかり持って対応し、次期基本計画においても明確に教育施設の整備計画や教育そのものに対する区の考え方、方向性をお示しいただきたいと思います。

 それと同時に、人口推計に基づく将来の福祉関連経費を試算する必要が出てきます。人口増を手放しに喜ぶ声も聞こえますが、株式会社中央区を経営しておられる幹部の皆様におかれましては、景気が低迷しているここ数年は、人口がふえると税収がふえるというのは幻想で、財政支出が増大するということを痛感されておられることと思います。やりたいことばかりを並べていては、財政は破綻します。今こそ、中央区が今やらなければならないこと、そして中央区だからこそできることを冷静に分析し、施策の見直しに反映させるべきです。

 そこで、人口増に直接つながる区内の住宅供給について考えます。

 平成二十年の中央区住宅マスタープランにおきまして、長期的な人口減少傾向を考えると、投機的な住宅供給を防止し、現在の良質な住宅を長持ちさせることが必要であることから、民間による住宅供給の適切な誘導を図ると記されています。

 また、本年四月の環境建設委員会におきまして、今後の人口推計について質問させていただいたときには、「地域地域の中において開発計画を抑制したり、あるいは誘導していかなければならない状況になってくるだろう」との御答弁がありました。

 人口増に対応した公共施設の整備は、明らかに行政が果たすべき責務であります。そして、整備が追いつかないことがあるとするならば、その責任は行政にあります。また、公共施設の整備に懸念が生じている地域の開発計画について、業者任せにするのではなく、毅然とした態度で指導を行っていくことも行政の責務であると考えます。

 そこで、お尋ねします。

 現状、区民に対する施設整備を含めた行政サービスが十分行き渡っていると思いますか、御見解と、その根拠をお示しください。

 今後の人口予測と、それに伴う行政需要、そして、その対応と財政的裏づけも踏まえ、中央区が提供し得る行政サービスの限界、キャパシティーについてどのようにお考えですか、お聞かせください。

 都市機能やインフラの更新と同じく、老朽化した集合住宅も更新の時期を迎えます。今や、マンション住民が区民の八八%近くとなり、持続可能なまちづくりに関心が高まっています。基本計画の中に人口政策として区の考えを盛り込むべきだと考えますが、その点について御見解をお知らせください。

 さて、中長期で予測される変化の大きなものとして、築地市場の移転及び二○二○年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画があります。今後の区政運営に大きな影響を与えるこれらの事業について、次期基本計画では区の基本的な方向性を示すとしています。

 先日、議員有志によって中央区議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟が結成されたところであります。二○二○年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に関する決議にも、選手村が計画されている晴海地区について、オリンピック招致を契機に都市基盤の充実や生活利便性の向上が図られるなど、地域の課題解決や本区の将来に寄与することも期待できると記されました。

 晴海地区の抱える交通アクセスの問題は、晴海地区に限定されたものではなく月島地域全体の問題でありますし、その課題については、先日策定されました中央区エコタウン構想にも検討すべき課題の一つとして取り上げられ、鉄道などの交通機関が不足しており、開発に伴う交通需要の増加に的確に対応していくことが課題となっていると明記されました。また、このほど策定されました中央区総合交通計画においても、増加する交通需要に対する公共交通の充実、公共交通不便地域の解消などを課題に挙げ、臨海部と都心を結ぶ中量輸送機関の確保等の必要性が示されました。

 前回、二○一六年の東京オリンピック・パラリンピック招致の際の立候補ファイルによりますと、選手村の恒久的施設の着工は、大会開催の四年前の二○一二年六月とされています。現在、都のほうで二○二○年招致に向けた立候補ファイルの作成をされていることと思いますが、同様のスケジュールだとするならば、二○一六年には五輪関連施設の工事が始まることが想定されます。臨海部と都心部の交通アクセスの大動脈となることが予想されている環状二号線の豊洲から汐留区間が二○一五年には開通予定であり、晴海地区は招致計画によってめまぐるしい変化にさらされることになります。

 そこで、お尋ねいたします。

 基本計画は、国や東京都をはじめ、関連団体が中央区にかかわる事業を進める際の区の基本的な方向性を示すものとされていますが、中央区エコタウン構想との整合性についてどのようにお考えなのかお示しください。

 また、基幹的交通システムの導入に向けたタイムスケジュールに、オリンピック・パラリンピック招致計画が与える影響はどのようなものを想定されているのか、具体的にお示しください。

 築地市場や晴海の都有地の跡地利用について、区としてどのような姿勢で臨むのか、そして、どのようなまちづくりがふさわしいとお考えなのか、グランドデザインをお示しください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 河井志帆議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、現行基本計画の総括についてであります。

 まず、基本計画二○○八策定以降の変化についてでありますが、最も大きなものは安全・安心に対する意識であります。昨年三月の東日本大震災は、自治体の防災・危機管理のあり方に根源的な問いを投げかけるとともに、エネルギー政策のあり方や自治体間の協力・連携などについても多くの課題を明らかにしました。また、乳幼児人口の急増に伴う子育て・教育ニーズの上昇や、将来を見据えた高齢者福祉対策、多くの新しい住民を迎える中での都心コミュニティづくりといった課題に取り組んでいくことに加え、平成二十六年度に予定されている築地市場の移転や、晴海地区を選手村とする二○二○年オリンピック・パラリンピック招致計画などへの対応も重要になっております。

 次に、人口増加が続き、行政サービスの量から質への転換が進んでいないとの御指摘についてであります。

 本区の人口は、長年の目標であった定住人口十万を平成十八年に達成した以降も、平成二十年に十一万人、平成二十三年には十二万人を突破するなど力強くふえ続けております。このことは、昭和六十三年に定住人口回復対策本部を設置して以来、住環境の整備を中心とした総合的な施策に区を挙げて取り組んだことに加え、区民生活の質の向上や快適な都心居住を目指し、子育て、教育施策、高齢者施策、健康づくりなど区民サービスを多方面で質、量ともに充実させてきたことが実を結んだ結果と受けとめております。こうした取り組みを維持・発展させた本区の将来の姿としましては、あらゆる世代が将来にわたり安心して住み続けられる快適都心、さらには我が国をリードする最先端未来都市といった方向性を考えておりますが、新しい基本計画において、具体的な目標を示してまいります。

 次に、中央区の行政サービスと持続可能なまちづくりについてであります。

 人口動態を踏まえて施設整備や行政サービスの提供を行うことは、行政の基本的な責務であります。とりわけ、子育て世帯の急増に対しては、平成二十一年に子育て支援対策本部を設置し、保育所待機児童を解消するための緊急対策はもとより、出産支援や延長保育など子育て・教育施策のさらなる充実を積極的に図ってきたところであります。さらに、平成二十二年には、開発事業が本区のまちづくりに重要な役割を果たすことを踏まえ、まちづくり基本条例を制定し、開発事業を通じ、子育て支援に寄与する施設などが地域の実情に応じて整備されるよう、区を挙げて取り組んでいるところであります。今後につきましては、近年の乳幼児人口の急増が将来の人口構成に一定程度の影響を与えると見込まれることから、基本計画改定に際して改めて人口推計を行った上で、将来必要となる施設需要や行政サービスを把握し、健全財政を堅持しながら、どのように対処していくか明らかにしていきたいと考えております。また、人が集うことは都市の活力の根幹であり、定住人口の確保・維持は引き続き区の重要な課題であると考えております。今後とも、にぎわいを地域にしっかりと定着させ、子供から高齢者まで、だれもが生き生きと活躍できるまちづくりを進めてまいります。

 次に、築地市場移転及びオリンピック・パラリンピック招致計画等の本区の基本計画への影響についてであります。

 まず、中央区エコタウン構想との関係ですが、この構想は、環境エネルギーなどさまざまな問題に対応した魅力ある地域をつくるための将来構想であり、区民、事業者、行政が一体となって協力し、実現していくものであります。基本計画の改定に当たっては、エコタウン構想をできる限り計画に反映させてまいります。

 次に、オリンピック招致計画の影響についてであります。

 都の二○二○年オリンピック・パラリンピック招致計画は、晴海地区を選手村とする内容を含むものであり、区といたしましては、晴海地区周辺の交通アクセスや未利用の都有地の有効活用といった課題が、オリンピック招致を契機に解決される必要があると考えております。東京都には、大会後のまちづくりを十分に見据え、地域の将来に寄与する計画となるよう働きかけてまいります。御質問の基幹的交通システムにつきましては、選手村計画により晴海地区の将来の土地利用が大きく変化する機会もとらえながら具体化させていきたいと考えております。また、築地市場の跡地については、食文化の拠点としてのまちづくりを考慮して、一体的に検討することなどを都に要望しているところでありますが、今後、希少かつ大規模な公有地が都心の魅力向上や本区の将来に資する形で利用されるよう都に働きかけてまいります。

 答弁は以上であります。

〔八番 河井志帆議員登壇〕

○八番(河井志帆議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、基本計画の総括についてでございますけれども、今後の基本計画二○一三で示すべき中央区の姿について、区長の所信表明にもありました最先端未来都市というお言葉を引用して御答弁いただいたところではありますが、これこそ区長みずからのリーダーシップを示す絶好の機会だと思いますので、ぜひ区長の生の声といいますか、区長自身が描く最先端未来都市を具体的に表現できるビジョンをお示しいただきたい、そのように考えております。

 また、行政サービスについてでございますが、こちらも今まで一般質問や委員会で幾度となく御指摘をしてまいりましたとおりでございまして、区で行える施設整備はもちろんのこと、都と協力してすすめなければならない交通インフラ等の課題につきましても、ぜひ中央区がイニシアチブをとって取り組んでいただきたい、この点は要望をさせていただきたいと思います。

 そして、築地の関連でございますけれども、市場跡地について、都の都市整備局の方からは、一つの事業者、施設だけで跡地をカバーする体力のある企業や団体はそうない。地区を二分割、三分割する可能性も検討しなければならないという声も上がっているそうです。

 また、オリンピック・パラリンピックの関係で申し上げますと、ロンドンオリンピックまでちょうどあと一カ月となりましたけれども、ロンドンオリンピックの開催地を見てみますと、ロンドンの中心部から東が競技会場となっているようでございます。このオリンピックに向けて、ロンドン中心部を東西に横断するクロスレール、地下鉄が建設されています。これはロンドンの西にあるヒースロー空港から競技場へのアクセスを格段に向上させる大動脈となる鉄道であり、都市計画担当者によると、オリンピックが来なければできなかったとのことです。なので、築地、またオリンピックの後の跡地利用など、地元区として都にしっかりと物を申し上げていっていただきたい、そのように考えております。

 では、一点だけ、これからの中央区に対するビジョン、こちらをぜひ具体的な区長の生の声としてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも、どうも。将来ビジョン、大切なことですね。

 中央区、都市観光ということで、今、どんどん観光に力を入れているわけでありますけれども、そのキャッチフレーズ、歴史と未来が交差する都市観光ということで行っておりますけれども、まさにそうですね。四百年の歴史、伝統、そして未来都市、これが交差する、そういうまちをつくり上げてまいりたい、そういう思いでいっぱいでございまして、人口もおかげさまでどんどんふえているわけであります。一日十人ぐらいですね。十人、十一人の方々が、今、中央区へ入ってきていただいて、そして、その方々、いろいろ私にも声が届いてくるわけでありますけれども、本当にほかの自治体から来て、いい自治体に来たという声が多く聞かれるわけで、大変うれしく思うわけであります。

 やはり人。人というのは大事ですね。昔から、人集まらずして繁栄なしと申しますけれども、人が集まらなければ繁栄はしないわけであります。また、先ほども申しましたけれども、人がどんどんふえて、また赤ちゃんも生まれるということによって、将来への展望、これも開かれる。将来への夢、希望も出てくる。それが何か、今、日本全体、残念ながら人口が減少する、赤ちゃんも減るということで、残念ながらそういう夢、希望が描けない、そういう閉塞感に覆われているわけでありますから、そういう意味で、中央区からどうすれば人口がふえて展望が開かれるのかということ、これを本当に自信を持って示していかなければならない、こういうふうに思うわけでありまして、そういう意味では、今度の新しい基本計画をつくり上げるということ、まさにうってつけであって、こうすれば閉塞感はなくなるんですよ、また人口もふえて、いいまちになりますよと。

 無論、人口がふえるというのは、その受け皿をつくっていくわけでありますから、これもやはり再開発のあり方等々、これは地域の方々と、また議会の皆さん方の御理解を得て、しっかりとしたまちづくり、これをつくっていかなければならないというふうに思っているわけでございまして、そういう意味では、本当にまちづくり基本条例、いいものができたなと。この議会で可決していただいたわけでありますけれども、今、これだけ再開発が盛んなまちというのはございませんね。全国には千七百五十ですか、自治体がありますけれども、これだけいろいろなところで再開発、再整備が行われている、これだけ活気に満ちた事業がどんどん行われているというのは本区がナンバーワンであろう、こういうふうに思うわけでありますから、そういう意味で、まさに基本条例によって、その地域の、例えば子育て施設であるとか介護のほうの施設であるとか、あるいは買い物の施設であるとか、いろいろなものもそこに取り込むことができる。駐輪・駐車場ももちろんのこと、いろいろな施設も取り込むことができるわけであります。

 築地市場の再整備、またオリンピック・パラリンピックが来れば、それによっていろいろなことが動き出すわけでありますから、これをしっかりやっていく。本当に夢に満ちた自治体だなと。オリンピックが来るかこないか、来年の九月七日にはっきりするわけでありますけれども、何とかこれを実現することによって晴海の再整備、選手村ができるわけですから、これを再整備のてことして、交通アクセスなんかもしっかりとつくっていくということでありまして、まちづくり、再開発・再整備というのはインフラ整備と一体でなければなりませんね。これが本当に重要である。ですから、勝どき駅の整備であるとか、またBRT、LRT、こういったものも、今、検討に入っているわけでございまして、オリンピック・パラリンピックが来れば、必ずこれはつくっていかなければならない、そういうふうに思っているわけであります。

 また、築地の市場跡地を二分割、三分割なんていうことも東京都が何か検討されているようなお話も、今、言われましたけれども、とんでもないことですね。そんなことにならないように一体的な、切り売りだけは避けたいというふうに思う。あそこが、それこそ雑居ビルみたいなものばっかりになって、そうしたらもう魅力も何もない、将来展望も開けないまちになってしまうわけでありますから、何とかそういう面では、医療でもいいでしょう、学校でもいいでしょう、教育施設でもいいでしょう、またスポーツ施設でもいいでしょうね。野球場やサッカー場でもいいでしょう。一体的なもの、そういうものがなかなか難しいなんていうことは、御指摘ありましたけれども、そんなことはないというふうに私は思っているわけでございます。

 先般も、あるところで読みましたけれども、ある金融機関が、どの自治体がいいか、千七百五十の自治体のうちでどこが一番いい自治体なのかということを調査したら、何と千七百五十のうちで中央区がナンバーワンであると。現状がどうだというのはもとよりのこと、潜在力ですね。潜在力でいい、将来性でいい、可能性でいい、こんな自治体は本当に珍しいと思う。珍しいというか、ナンバーワンなんですからね。これは本当にうれしく思ったところでありまして、それはやはり築地の活用ということもあるでありましょうし、また、晴海、まだまだまちづくりの点でいろいろと絵が描けるじゃありませんか。キャンパスに絵をかくように、まちづくりできるんですよということも含まれて、そういう可能性になっているのであろう、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味で、本当に今回の基本計画、これはしっかりとしたものをつくり、絵をかいていきたいというふうに、議会の皆さんと一体となって、本当にナンバーワンの自治体をしっかりつくり上げてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

○八番(河井志帆議員)
 自席より失礼いたします。

 区長の夢と希望にあふれる言葉、ありがとうございました。

 千七百五十自治体のトップランナーとして、現状に満足し、あぐらをかくことなく、危機感を持って走り続けていただきたい、そのように要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○議長(石田英朗議員)
 次に、七番青木かの議員。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 中央区議会みんなの党、青木かのです。平成二十四年第二回定例会に当たり、会派を代表し、さきに提出いたしました質問通告書に基づき、質問させていただきます。区長をはじめ、理事者の皆様には簡潔で明快な答弁を期待いたします。答弁の内容によりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 ある台風一過のさわやかな日差しが降り注ぐ早朝、私がいつものように朝のごあいさつに立っておりました月島駅周辺、最近は保育園児の半分近くがパパと一緒に楽しそうに登園していきます。そのイクメンパパの一人が、月島一丁目の工事現場の前で立ちどまって、一歳くらいのベビーカーに乗った息子さんに一生懸命何か話しかけています。気になったので、息子さんを保育園に預けて帰ってきたお父さんを呼びとめて聞いてみました。すると、車が大好きな息子さんのために、工事現場で働くクレーン車を二人で見ながらお話ししていたそうです。私は、定着したのは、決してイクメンという言葉だけではなく、男性の子育てそのものであると実感し、感動しました。

 さて、子ども・子育て新システム関連三法案の審議が今国会会期中に行われ、連日、マスコミでも取り上げられました。国として待機児童の解消はもちろんのこと、少子化による労働力の減少という国が抱える大きな問題解決のためにも、女性の活用、ワーク・ライフ・バランスの推進、ワークスタイルの変革といった根本的改革の必要に迫られています。その基本ともなるのが、子供はだれが育てるのかという大命題です。

 私は、子育ても教育も家庭が基本であると考えます。しかしながら、核家族化や働き方が多様化する現代においては、子供は社会とともに育てる環境づくりが重要になってきています。しかし、今国会における審議の中で、ベテラン議員から、子供は家庭で育てるべきだ、社会に頼るなとの趣旨の発言があり、驚きました。全国的には少子高齢化の中で、中央区では幸いなことに毎年およそ千四百名の新しい命が誕生しています。

 そこで、区長には、まず大前提となる区の子育て観、子育て支援に対する基本的な考えをお聞きします。率直にお答えください。

 次に、子ども・子育て新システムについてです。

 今回の審議の中で、民主党は総合こども園を撤回し、現在の認定こども園を存続することになりました。もともと総合こども園は、幼稚園を所管する文部科学省と保育所を所管する厚生労働省を一元化するというねらいがありましたが、民主党はここでもマニフェストを実現することはできませんでした。しかし、こども園の基本となる考え、すなわち、「すべての子供にひとしく学校教育と保育を受ける環境を」は認定こども園で実現されています。

 ここでいう学校教育とは、現行の学校教育法に位置づけられる小学校就学前の満三歳以上の子供を対象とする教育であり、保育とは児童福祉法に位置づけられる乳幼児を対象とした保育を指します。現行の認定こども園には、入所条件に保護者の就労の有無はありません。つまり、実質、保育に欠けるという条件は削除されているのです。中央区でも、保育と教育を行う認定こども園、来年度までに三つ開設される予定ですが、その後の認定こども園開設の予定をお知らせください。

 次に、待機児童解消のための具体策として、中央区では第三次中央区保健医療福祉計画に基づき、前期、平成二十一年度から二十三年度の間に認可保育所が十七園から二十園に、認証保育所が十五カ所から十七カ所に、そして先ほどの新しい認定こども園も一カ所創設されました。さらには、後期の取り組みとして、晴海こども園が今年度、京橋こども園が来年度開設される予定です。しかし、それでも区の幼児人口の推計による保育ニーズには追いついていきません。全国平均では、待機児童のおよそ八○%が三歳児未満ですが、特に中央区の特徴として、待機児童の一○○%近くが三歳未満児となっています。さらに、乳幼児に関しては、ゼロ歳で預けないと定員が埋まってしまい、現実には一歳、二歳になってからでは保育所のあきがなくなるので、本当は一歳まで、あるいは二歳まで手元で育てたいのに、保育園対策上ゼロ歳から預ける方がいらっしゃるなど、本末転倒の事象も起きています。

 ここで、東京都各区で注目されているのが小規模保育サービスです。これは、主に三歳未満児に重点化した需要に対応するための制度で、家庭的保育サービスや複数の家庭的保育者によるサービスがあります。中央区にも家庭的保育サービス、いわゆる保育ママ制度があり、現在も十名近くの保育ママさんがいらっしゃいますが、保育者一人が自宅で子供を保育する従来の仕組みでは、外部の目によるチェックがなく、密室性を心配する声も少なくありません。また、保育者側からも、病気でも休めない、旅行にも行けないなどのかなりの負担となります。このような欠点を補完し、さらに発展させたのが、グループ化した保育ママサービスです。ここでは、三人の保育者が九人の子供を家庭的な雰囲気の中で保育します。保育者が病気になった場合は、別の保育者が派遣されます。また、認可保育所では、保育者一人に対し六人の一歳から二歳児を見ますが、ここでは一人の保育士が三人の子供を見ることになりますので、手厚いケアが期待できます。また、財政的な面からもすぐれていると言えます。例えば、保育園を新規開設する場合、都心部では土地代、建物代で数十億円の初期投資が必要となりますが、グループ型保育ママは区の施設を活用したり、マンションを借り上げたりすることによって、改修費を含めても費用がかなり抑えられます。開設までにかかる時間も半年程度ですので、地域ごとの待機児童に柔軟に対応できるというよさもあります。

 そこで、お尋ねします。

 江東区、品川区、豊島区などでは積極的に推進し、また杉並区、足立区、目黒区などでも新たに取り組んでいる、このグループ型保育ママ、おうち保育園という名称でも知られていますが、中央区での待機児童解消にも大変有効だと考えます。区のプランをお聞かせください。

 さて、先日、IOC(国際オリンピック委員会)は、二○二○年夏季オリンピックの一次選考を行い、東京、イスタンブール、マドリードの三都市を正式に立候補都市として発表しました。ここで改めて問題となったのが受動喫煙防止対策です。

 IOCが二○一○年にWHO(世界保健機関)と合意した文書によれば、「すべての人々に運動とスポーツを奨励し、たばこのないオリンピックを実現し」とあります。実際、ロンドンと北京は開催都市決定後、受動喫煙防止対策を法令化、また、東京にとってはライバルとなるイスタンブールとマドリードでは、既に受動喫煙防止を条例化しています。しかし、東京都では、まだ条例化への明確な動きがありません。日本で最初となる受動喫煙防止条例を二○一○年に制定した神奈川県の松沢しげふみ元神奈川県知事によりますと、制定のためには首長の強い覚悟とリーダーシップが必要とのことですが、残念ながら、石原知事は今のところ、この問題には積極的な動きを見せていません。

 そこで、受動喫煙防止に向けて、中央区の取り組みと考え方を矢田区長にお聞きしてまいります。

 この問題については、まず平成十五年より施行されている健康増進法第二十五条で、「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とあります。

 また、平成十五年、ジュネーブで採択された、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、「たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていること」を認識し、また「出生前にたばこの煙にさらされることが児童の健康上及び発育上の条件に悪影響を及ぼすという明白な科学的証拠があることを認め」とあり、たばこの煙による害を明確にしています。そして、日本はこの条約を平成十六年の国会で承認し、翌十七年に発効しています。

 また、先ごろ、がん対策基本法に基づき政府が策定しました、がん対策推進基本計画の中で、受動喫煙については平成三十四年度までに、行政機関、医療機関はゼロ%、家庭は三%、飲食店は一五%と目標が設定されました。このような状況の中で、まずは受動喫煙防止に対する区長のお考えをお聞かせください。

 次に、中央区では、受動喫煙防止対策の一つとして、飲食、サービス業営業者、施設管理者にお店の入り口にステッカーを張ることを推進しています。このステッカーは、こちらにありますが、施設内全日全面禁煙、ランチタイムなど利用者が多い時間帯を禁煙にする時間分煙、施設内に独立した喫煙室を設けることにより、たばこの煙やにおいが喫煙席に完全に流れないようにする完全分煙、喫煙席と禁煙席をエリアで分ける空間分煙の四種類あります。中央区が行ったアンケートによると、飲食店や喫茶店が禁煙または分煙しているかを確認してからお店に入ると答えた利用者は、全体の三○・六%もおり、このステッカーは大変有効だと思うのですが、残念ながら、私は区役所以外でこのステッカーを余り見かけたことはありません。食品衛生講習会で配布したり……

〔「議長」と呼ぶ者あり〕

○二十三番(増渕一孝議員)
 質疑の途中ですが、動議を提出いたします。

 この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいまの動議は賛成者がありますので、発言の途中ですが、成立いたしました。

 暫時休憩をいたします。

午後四時二十四分 休憩


午後五時四十五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩をされるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後五時四十六分 休憩


午後八時二十五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 先ほどの一般質問中、青木かの議員の通告以外の行動が行われましたので、議場が混乱するおそれがあり、区議会会議規則第百十九条に基づき、休憩を宣告しました。今後、十分注意されますことを望みます。

 一般質問を続けます。七番青木かの議員。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 議長より御指摘いただきました件につきまして、本会議場での規律について私の認識不足があり、議事進行が遅滞いたしましたことを反省し、おわびいたします。

 それでは、一般質問を続けさせていただきます。

 中央区が行ったアンケートによりますと、飲食店や喫茶店が禁煙または分煙しているかを確認してからお店に入ると答えた利用者は、全体の三○・六%もおり、このステッカーは大変有効だと思うのですが、残念ながら、私は区役所以外でこのステッカーを余り見かけたことがありません。食品衛生講習会で配布したり、食品監視員が巡回してステッカーの利用を呼びかけているということですが、それでもこのステッカーが普及しないのはなぜでしょうか。その問題点と今後の対策についてお尋ねいたします。

 さらに、二○○八年版健康中央21において、ステッカーの表示について協力を求めるとともに、各施設からの報告に基づき、施設の名称や所在地、禁煙・分煙の状況を業種別に区のホームページで公表するとありますが、現在、区のホームページでそのような情報は見当たりませんでした。このようなホームページ上での区内各施設での禁煙・分煙状況は、利用者にとって大変重要な情報だと考えます。今後の区の取り組みについて、具体的にお知らせください。

 同じく、健康中央21の中で、取り組みの柱として、分煙に必要な設備資金の貸し付け制度に関する情報の提供も、必要に応じ行っていきますと明記してあります。確かに、飲食、サービス業営業者にとって完全分煙の考えに賛同しても、実際にそのための設備を整えるための工事には資金が必要です。受動喫煙防止条例を制定した神奈川県では、分煙設備や喫煙所の設置に係る設備資金を融資する制度があります。

 そこで、受動喫煙防止のための対策に関し、利用できる融資制度の内容、これまでの貸し付け状況についてお答えください。

 続いて、職場における受動喫煙防止対策についてお尋ねします。

 働く人が長い時間を過ごす職場は、特に受動喫煙への影響が大きいため、適切な受動喫煙防止対策を行う必要があります。職場での長時間の受動喫煙は肺がんのリスクを高めるとの報告もあり、受動喫煙にさらされることがない職場でのリスクを一とすると、職場で受動喫煙に一年から十五年さらされると、リスクは一・三、三十年以上だと一・九と、二倍以上にはね上がります。今や、職場における受動喫煙防止対策は、快適な職場環境づくりから一歩進んで、健康障害防止措置という位置づけになっています。

 現在、職場における受動喫煙防止対策については、厚生労働省が労働安全衛生法で規定していますが、あくまでも事業者の努力義務にとどまっています。そこで、政府は、職場では喫煙室を除いて喫煙を禁止すること、また、その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならないと文言を強めた改正労働衛生法案を提出していましたが、この四月、喫煙派議員の反対により、この義務づけ規定がもとの努力規定に改悪されたといういきさつがあります。

 そんな中、事業所では、喫煙による健康被害を原因とした病気休業などによる労働力の減少、喫煙による聴覚障害、睡眠障害などが招く労働災害リスクの上昇、ニコチン依存症による集中力の減少がもたらす生産性の低下、喫煙のため席を離れることによる労働時間のロス、これらのことを考慮し、みずから全面禁煙または完全分煙に取り組む事業所もふえています。

 東京都が平成二十二年度に行った受動喫煙防止対策実施状況に関する調査によりますと、建物内は全面禁煙四一・○%、屋外排気装置を設置した喫煙場所を伴う完全分煙三一・六%、つい立て等で区画された空間分煙一一・二%、喫煙場所を指定している一一・○%となっています。また、この調査では、労働者数が少ない事業所ほど、特に対策をしていないと答える割合がふえており、スペースやコストの問題で、やりたくても対策ができない状況も明らかになっています。

 そこで、中央区内事業所及び職場において、どの程度受動喫煙防止対策が進んでいるのか、あるいは進んでいないのか、区で把握している現状についてお答えください。

 次に、中央区内、区立公園・児童遊園での喫煙についてお尋ねいたします。

 中央区では、平成十六年三月、喫煙マナーとまちの美化、屋外における分煙を推進する中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例を制定しました。この条例は、区内の公共の場で歩きたばことポイ捨てを禁止し、駅前など人で混雑する場所での喫煙を禁止するものです。行政、住民、事業者が協力して定期的な喫煙マナーアップキャンペーンを開催したり、また、おそろいのベストを着た指導員がまちなかを巡回しているのもよく見かけます。その効果は明らかで、区の調査によると、路上吸い殻の本数を、計測を始めた条例施行前の平成十六年四月から二十三年三月まで年度平均で比べると、およそ三十六分の一に減少しています。

 しかし、このポイ捨て禁止条例はあくまでも喫煙マナーの向上を目指す条例ですので、受動喫煙の防止を目的にしたものではありません。そこで問題となるのが第八条です。中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例第八条、混雑する場所等での喫煙の禁止、「区民等は、公共の場所のうち、駅の出入り口その他人で混雑する場所又は吸い殻入れのない場所において、喫煙してはならない」。吸い殻入れのない場所での喫煙の禁止、つまり公共の場所であっても、吸い殻入れがあれば喫煙していいということになります。

 そこで、区内の区立公園・児童遊園における吸い殻入れの設置状況を調べてみました。さすがに、すべての児童遊園からは吸い殻入れが撤去されていましたが、久安橋公園七カ所、浜町公園五カ所、佃公園十五カ所、石川島公園八カ所、豊海運動公園七カ所など、大規模公園を中心に、区内五十四公園のうち二十七の公園に吸い殻入れが設置してありました。私も足を運びましたが、午後になると子供たちが遊んでいるそばで会社員がたばこを吸っています。また、処理が悪いのか、人はいないのに吸い殻入れから煙、これは副流煙ですので、喫煙者が吸い込む主流煙より害が大きいのですが、この副流煙がもくもくと出ているのを見かけました。

 そこで、お尋ねします。

 中央区内、区立公園での喫煙についての区としての見解及び公園への吸い殻入れの設置基準についてお答えください。

 最後に、つい先日、六月二十日、政府が進める健康づくり運動、健康日本21の来年度、二○一三年度から二○二二年度までの第二次計画の内容が正式決定しました。これを受けて、来年、健康中央21が改定されるため、現在、審議が進んでいるようです。

 そこで、新しい健康中央21における禁煙・防煙及び受動喫煙防止の位置づけについてお聞かせください。

 以上一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区の子育て観、子育て支援に対する基本的な考えについてであります。

 子育てとは、子供に限りない愛情を注いで、日々成長していく姿を見ながら、親も親として一緒に成長していくことであると考えております。そのためには、原点とも言うべき家庭内において家族が子育てに対し理解を深め、積極的に参加することはもとより、地域や社会全体で子供とその家族を支える仕組みづくりが重要であります。子育て支援につきましては、働きながらの子育てか、あるいは子育てに専念するかなど、各家庭のライフスタイルにより必要なサービスもそれぞれ異なることから、真に必要な子育て支援策を見きわめ、さらなる充実に努めてまいります。

 次に、認定こども園についてであります。

 晴海こども園においては、晴海地域で大規模な住宅開発が進み、乳幼児人口が増加し、保育ニーズとともに幼稚園需要が見込まれたことから、幼稚園と保育所を一体的に整備し、用地の有効活用を図ったところであります。また、京橋に予定している認定こども園では、他の地域からも利用しやすい立地条件にあることから、休日・夜間保育サービスなどを区内全域に提供する拠点として計画いたしました。今後の整備につきましては、これらの施設の利用状況や保育ニーズの動向を見定めながら対応してまいります。

 次に、小規模保育サービスについてであります。

 小規模保育は、主に三歳未満の児童を対象とした家庭内保育サービスであり、現状の待機児童の大半が三歳未満であることから、待機児童対策としては有効な施策の一つであると考えられます。こうしたことから、他自治体での実施状況や効果、また現行の家庭福祉員制度との関係も見きわめながら検討してまいります。

 次に、区の受動喫煙防止に対する基本的姿勢についてであります。

 たばこの煙は、喫煙者が吸い込む主流煙よりも副流煙のほうが、より多くの発がん性物質や刺激物質が含まれており、有害性は非喫煙者の受動喫煙についても指摘されております。したがって、受動喫煙防止対策は非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守るための大切な取り組みであり、たばこ対策の重要な柱の一つであります。このため、副流煙による健康への影響について、さまざまな機会を通じて周知徹底するとともに、喫煙者に対しては喫煙のマナー、ルールを遵守するよう啓発していくことが不可欠であります。そして、一人一人の意識改革を通じて、受動喫煙による被害をなくしていかなければならないと考えております。

 次に、四種類のステッカーの普及のための取り組みについてであります。

 本区では、平成十八年九月に二十三区で初めて禁煙・分煙の四種類のステッカーを区内すべての飲食店や公共施設など、約一万二千カ所に配布いたしました。その後も、営業許可の申請・更新、衛生講習会、定期的な立入調査などの機会を活用して、受動喫煙対策のリーフレットを配布し、ステッカーの表示協力をお願いしておりますが、店舗の構造上分煙ができない、売上が減少するなどの理由から、協力店舗数はなかなか増加しない状況となっております。今後も、リーフレットによる啓発を継続し、粘り強くステッカーの表示協力を要請してまいります。

 次に、区内各施設での禁煙・分煙状況の区のホームページ上での情報開示についてであります。

 区では、平成十八年九月から禁煙・分煙ステッカーの表示協力店舗等について、施設名や所在地を区ホームページで公表してまいりました。しかしながら、店舗等の入れかわりが激しいことや、禁煙・分煙形態の変更の情報収集に時間を要することから、すぐに更新ができないなど、掲載データの正確性が確保できなかったため、平成二十二年十二月に掲載を中止することといたしました。現在は、民間のインターネットサイトから飲食店等の禁煙情報を入手できるようになったことから、改めて区ホームページへの掲載の必要性について検討してまいります。

 次に、受動喫煙防止対策のために必要な事業者への融資制度についてであります。

 現在、融資制度等については、厚生労働省の受動喫煙防止対策助成金と日本政策金融公庫の受動喫煙防止資金があります。厚生労働省の制度は、顧客が喫煙できることをサービスに含めて提供している旅館や飲食店などの中小企業事業主に、一定の要件を満たしていることを条件に、喫煙室設置等の取り組みに対し助成を行うものであります。日本政策金融公庫の制度は、飲食店や理容所、美容所など多数の人が利用する施設において、たばこの煙を防止するために必要な設備の設置等の取り組みに対し融資を行うものであります。申請は、双方ともに直接行うこととなっております。現在、区の商工業融資制度の設備資金も御利用いただけますが、さらに受動喫煙防止対策を強化するため、金利低減策を検討してまいります。

 次に、中央区内事業所、職場における受動喫煙防止対策の現況についてであります。

 これまで全事業所を対象とした受動喫煙防止対策に関する調査は実施していないため、正確なデータの把握はできておりません。今後、企業に対する調査につきましては、関係機関と調整を図りながら調査内容や実施方法などについて検討してまいりたいと存じます。

 次に、区立公園での喫煙についてであります。

 公園は、休息や憩いの場、遊びや運動の場、地域のコミュニティ活動の場など、さまざまな利用目的があります。そのため、公園内においては全面的な禁煙にはせず、吸い殻入れが設置してある場所では喫煙を認めております。一方、公園内の受動喫煙を防止するため、子供の遊び場付近や多くの人が通る歩道の近くには吸い殻入れを置かないことを基本方針とし、吸い殻入れの集約などを進め、分煙化に努めてまいりました。また、分煙が難しい公園や児童遊園については、子供への影響等を考慮し、吸い殻入れをすべて撤去したところであります。今後も、公園利用者にとって安全で快適な公園となるよう受動喫煙防止に取り組んでまいります。

 次に、新しい健康中央21におけるたばこ対策の位置づけについてであります。

 本区におきましては、本年度、区民の健康づくり施策の指針である健康中央21と食育施策の方向性を示した中央区食育推進計画の評価を行い、これらを統合した新たな健康づくり計画の策定を進めているところであります。現在の健康中央21では、喫煙による健康被害の普及啓発、禁煙したい人への支援、分煙の推進、未成年の喫煙防止をたばこ対策の方向性として示し、健康づくりを進めてまいりました。新たな計画におきましては、がん予防におけるたばこ対策の重要性にかんがみ、先般変更された国のがん対策推進基本計画や健康日本21において、たばこ対策の具体的な数値目標が初めて示されたことも踏まえて、健康づくりにおけるたばこ対策の方向性をさらに明確に示し、施策を進めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、新しい子育て支援策についてですが、グループ型保育ママなどの小規模保育サービスについても有効であるというお言葉をいただきました。国の子ども・子育て新システムについては、総合保育園がなくなったことばかりが取り上げられますが、細かいところではグループ型保育ママなどの小規模保育サービスについては、新たに認可基準をつくり、これを満たせば財政支援の対象になるですとか、企業、NPOの参入についても、幼稚園以外の保育所、認定こども園、小規模保育に限り認めるなどのことが入っております。中央区では、平成十六年に八丁堀保育園で指定管理者制度をいち早く導入したという実績があります。これからもNPO、民間企業などとも協働しながら、柔軟で、かつ迅速な対応を、これは要望いたします。

 それでは、受動喫煙防止のほうですが、まず公園の問題につきまして、必要なところからは撤去しているというお答えをいただきましたが、区立公園での受動喫煙が問題になったのは、やはり北区の赤羽公園の訴訟がきっかけではないかと思います。この訴訟は、二○○九年に北区に住みます会社員の男性が長女とともに公園の禁煙化と灰皿の撤去を求めたのに十分な対策がとられていないとして、北区に対し損害賠償を求めたという訴訟なんですが、この訴訟自体は、その後、北区が迅速に吸い殻入れを撤去しまして、取り下げられました。しかし、この訴訟をきっかけに、北区は灰皿が設置されている区内の四十九の公園や二十の児童遊園の運営を見直すことを決定、また子供のための場所で喫煙できるのは理屈が通らないという発言も見られます。最新の数字としまして、先日電話で確認しましたところ、現在すべての児童遊園から撤去、八十三カ所ある公園では四十四カ所から撤去、現在三十九カ所が残っているが、将来的にはなくす方向であるという返答を北区の道路公園課からいただきました。

 また、やはり区長もおっしゃったように、受動喫煙防止対策について、飲食店経営者やサービス業者の方からビジネスへの影響を心配する声は確かに多いと思います。不安の声を私も聞きます。ただし、いち早く導入しました神奈川県受動喫煙防止条例、平成二十二年に施行されまして、一年後、県民意識調査が大々的に行われました。その結果が、ことしの二月に発表されております。その結果を見ますと、規制の対象となる飲食店からの答え、たばこを吸わない利用者の反応が、「よい」、「どちらかというとよい」を合わせて八三%、これは期待どおりの答えなんですが、たばこを吸う喫煙者の反応としましても、「どちらかというとよい」、「よい」を合わせると五一%、「よくない」、「どちらかというとよくない」を合わせると三二%と、よかったという答えのほうが半数以上出ております。

 また、今回の件に関しましては、築地ですし店を営むオーナーさんから意見を伺う機会がありました。私は、おしかりの声を受けるんじゃないかと覚悟して伺ったんですが、やはり区長も何度もおっしゃっていたように、この中央区、築地という国際都市、インターナショナルな都市、全世界から観光客を迎える、そういう状況の中で、世界的な流れである受動喫煙防止対策を進めていくのは、自然の流れであるので、今後は積極的に受動喫煙防止について、そして将来的には禁煙を進めていくという力強いエールをいただきました。

 がん対策推進基本法では、その数字、現在喫煙率一九・五%、そして二○二二年までに一二%に下げると目標が出ている。十年後には十人に一人しか吸わないという状況の中で、やはりこの中央区から、区長がおっしゃった最先端未来都市になるためには、やはり受動喫煙防止条例を、ぜひ区長の強いリーダーシップをもって、この条例を中央区でつくっていくべきではないか、私は強くそう思うのですが、最後に、この受動喫煙防止条例について区長の考えをお聞かせください。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。そうですね。受動喫煙防止条例、いろいろ効果が、神奈川県ですか、上がっているようでありますし、また好評のようであるという御指摘も受けたところでございます。

 いろいろな考え方があろうかと思います。これだけストレスの世の中で、いろいろストレスがあるわけで、そこから逃れるのにお酒を飲んだり、あるいはスポーツに興じたりされる方もおられるでありましょう。また、たばこも、そういった面でストレス解消ということで吸われる方もおられるようであります。

 無論、がんとか、そういう点、御指摘のとおりの点もあるでありましょうから、もう少ししっかりと、私は本当に素人でありますから、もう少しいろいろな点をよく学んで、また調査等もして対応してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

○七番(青木かの議員)
 前向きな御検討と区長の強いリーダーシップを期待いたします。

 自席から発言を終了いたします。ありがとうございました。


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばでありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後八時五十五分 休憩


午後九時五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十一番石島秀起議員。

〔十一番 石島秀起議員登壇〕

○十一番(石島秀起議員)
 会派絆の石島秀起です。本会議運営上の関係で会議時間が大分延長しておりますが、議員各位、そして理事者の皆さんには、いましばらくご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、平成二十四年第二回区議会定例会に当たり、中央区の当面する諸課題について、質問通告の順序に従い、質問させていただきます。区長並びに理事者の皆さんには、区民の視点に立った積極的な御答弁を期待いたします。なお、答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。また、最後の質問者となりますので、他の質問者と重複する内容につきましては、その趣旨をご賢察の上、御答弁いただきますようお願いいたします。

 最初の質問は、がん検診並びに特定健康診査の受診率向上への取り組みについて、五点にわたり質問させていただきます。

 区民が生涯を通じて生き生きと明るく暮らしていくためには、偏った食生活や運動不足、喫煙や飲酒など、生活習慣に注意を払い、みずから健康に対する意識を高めることが大切です。そして、その健康づくりを支えるために、各種の情報提供、健康診査の充実、相談体制の整備など、区の役割は年々重要性を増しています。本区においては、六種のがん検診をはじめとして、独自に追加項目を付加した特定健康診査、特定健康診査の結果、生活習慣の改善が必要があると判定された方に対する特定保健指導など、区民の命と健康を守る施策を積極的に推進しています。

 しかし、施策の充実度とは裏腹に、残念ながら受診率は伸び悩み、横ばい状況が続いており、受診率向上への取り組みが喫緊の課題となっています。

 がんは、我が国においては、昭和五十六年より死因の第一位であり、平成二十二年には年間約三十五万人が亡くなり、生涯のうち、約二人に一人ががんにかかると推計されています。このことから、がん対策の一層の推進を図るために、平成十九年四月より、がん対策基本法が施行され、同法に基づき、がん対策を総合的かつ計画的に推進するためのがん対策推進基本計画が同年六月に策定されました。同計画の策定から五年が経過しましたが、この間、がん診療連携拠点病院の整備や緩和ケア提供体制の強化、地域がん登録などの充実が図られ、死亡率は減少方向で推移するなど、一定の成果が得られました。

 しかしながら、高齢化の進展とともに、罹患者の数、死亡者の数はこれからも増加していくことが見込まれています。そこで、継続的にがん対策のさらなる充実を図るために、本年六月に新たながん対策推進基本計画が策定され、前計画と同様に、がん検診の受診率を五年以内に五○%を達成することを目標としています。

 これらを受けて、東京都では、平成二十一年度から東京都がん検診受診率向上事業を開始し、医療保険政策区市町村包括補助事業を活用して、受診率向上に取り組む区市町村を支援するとともに、効果的な受診率向上策の検証を行っています。

 さて、本区における各種がん検診の受診状況は、平成二十三年度ベースでは、胃がん検診一三・三%、肺がん検診二四・九%、大腸がん検診二三・○%となっており、二十三区の中では受診率は比較的上位に位置していますが、がん対策基本計画の目標値には及びません。また、女性特有のがんである乳がん検診二一・三%、子宮がん検診二四・三%となっており、より受診率の向上が求められています。

 平成二十三年度、区では、受診率向上対策として、がん検診の個別通知を行うとともに、さきの東京都包括補助事業を利用して、乳がん検診については、受診勧奨はがきの送付、子宮がん検診については、受診勧奨パンフレットの送付を行い、一定の成果を上げることができました。また、今年度においては、乳がん検診に加えて、新たに子宮がん検診においても受診勧奨はがきの送付を予定しています。

 そこで、お尋ねします。

 受診率が六○%から九○%に上る欧米や韓国では、個別受診勧奨、電話や手紙による再勧奨など、徹底した受診勧奨を行い、受診率向上に努めています。今後、本区における受診率向上に向けての具体的な取り組みについて御見解をお聞かせください。

 また、東京都がん検診受診率向上事業取組事例報告書では、個別受診勧奨、再勧奨の有効性に加えて、正確な医療情報の普及啓発の重要性、画一的な対策ではなく、ターゲットを明確にしたきめ細かい対応の必要性を検証し、推奨しています。これらに対する区の御見解をお聞かせください。

 さらには、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん検診については、特定健康診査と同時に検診が行われることから、事務処理上速やかな再勧奨がしづらい状況にあります。受診率向上に向けて、今後事務作業の改善、また新たな取り組みが必要と思われますが、御見解をお聞かせください。

 次に、特定健康診査受診率向上についてお尋ねします。

 本区における国民健康保険加入者の特定健康診査等の受診率は、ここ数年三四%前後で推移しており、二十三区内においては下位に位置しています。平成二十三年度、区では受診率向上対策として、受診券発送時期及び受診期間の変更、検診周知用チラシの全戸配布、各種啓発活動を実施しましたが、残念ながら高い効果はあらわれていません。今後も、継続的かつきめ細かな取り組みが必要と考えます。

 そこで、お尋ねします。

 本区における特定健康診査受診率が低い背景をどのようにとらえているのか、御見解をお聞かせください。

 また、今後の受診率向上対策への取り組みについて、あわせて御見解をお聞かせください。

 二番目の質問は、障害者の就労促進について、二点にわたり質問させていただきます。

 障害者が地域において自立して生活し、その生活の質の向上を図るためには、障害者が当たり前に働くことができる社会を実現することが必要です。障害者の就労支援を推進する障害者自立支援法では、地方自治体へ障害福祉計画の作成を義務づけ、その指針として、福祉施設から一般施設への移行を推進するための就労移行支援事業、雇用型である就労支援事業A型、非雇用型である就労支援事業B型のような福祉施設における雇用の場を拡大することなどを示しています。

 また、平成十九年に策定された「福祉から雇用へ」推進五カ年計画では、一般就労が特に難しい知的障害者が、たとえ保護者の方が亡くなっても、地域で経済的に自立していくために、工賃倍増五カ年計画による福祉的就労の底上げなどの施策が盛り込まれ、これを引き継ぐ平成二十四年度からの工賃向上計画では、区市町村において事業所が行う工賃向上への取り組みを積極的に支援することがうたわれています。

 一方、障害者雇用促進法では、法定雇用率を一・八%と定めて、障害者雇用義務の個々の事業所ごとに課しています。障害者の雇用率の低い事業主には、雇い入れ計画の作成を明示、計画に沿って雇用率を達成するよう指導したり、計画が適正に実施されない場合には勧告や企業名の公表などを行っています。

 本区の状況は、二十三年度に最終年であった第二期中央区障害福祉計画における福祉施設から一般就労への移行については、計画の目標が達成できませんでした。したがって、第三期計画での目標達成が使命であり、就職された方の離職率が四割を超えていることも大きな課題と言えます。

 また、就労支援事業、就労継続支援B型の月間工賃は、平成十九年度実績で約一万六百円、二十三年度の実績は約一万六千五百円であり、国の実績を見ても、工賃倍増が一筋縄でいかないことが理解できます。さらには、平成二十三年六月、障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業の雇用率は、中央区を管轄する飯田橋ハローワーク管内では、来年度には雇用率二・○%に引き上げる予定がある中で、一・六七%となっており、障害者の雇用の促進及び安定を図るためには、行政や企業のより一層の努力が必要だと思われます。

 そこで、お尋ねします。

 まず初めに、障害者自立支援法の施行から約六年が経過しましたが、福祉施設から一般就労へ移行する障害者の数も、福祉施設での工賃もいまだ十分ではなく、障害者の自立の実現に向け、より多くの障害者が企業や福祉施設での就労により収入を得ていくための支援策を充実・強化していくことが必要と考えますが、御見解をお聞かせください。

 次に、障害者雇用の促進に有効である特例子会社制度についてお尋ねします。

 この制度は、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の条件を満たす場合には特例として、その子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率として算定できるものです。全国で、この認定を受けている企業は平成二十三年六月現在で約三百社あり、雇用されている障害者は約一万六千人となっています。中央区にも幾つかの特例子会社が存在しますが、ヤマトホールディングス株式会社の特例子会社である株式会社スワンの取り組みについてであります。

 スワンは、ヤマト運輸の元会長の小倉昌男氏が、障害者の小規模作業所の工賃が月額平均一万円に満たないことや、それが仕方ないことで済まされている実態を、阪神・淡路大震災後の支援を通じて知ったことがきっかけで設立されました。

 この会社は、障害者が働く喜びを知り、真に自立するための場として、焼きたてパン屋とカフェの直営店をチェーン展開しています。同社では、障害のある人もない人もともに働き、ともに生きていく社会の実現という企業理念のもと、障害者を特別視しない雇用を追求し、最低賃金以上の給与を確保しています。スワンカフェでは、バリスタの資格をとり、健常者以上の給与を得ている方もいるとお聞きしています。スワンの直営店、チェーン店、合わせて約三百名の方が経済的な自立に向けて就労しており、このような先進的な取り組みは、障害者雇用の拡大を確実に推進していると思われます。

 そこで、お尋ねします。

 このような特例子会社の事例を参考にしながら、障害者が安心して一般就労にチャレンジし、企業等も安心して障害者の雇用に踏み切ることができるように、また障害福祉計画の目標を達成させるためにも、区と障害者就労支援センターが積極的に区内企業との連携強化を図る必要があると思われますが、御見解をお聞かせください。

 三番目の質問は、快適な公共空間の創出とまちの環境浄化について、三点にわたり質問させていただきます。

 道路は、区民の共通の財産、公共の場として、環境に配慮し、災害に強い安全かつ快適な空間として維持管理していかなくてはなりません。しかし、近年、利用する人々のモラルの低下やルールの無視、マナーの欠如により、放置自転車、置き看板、商品の陳列などによる路上占拠、路上喫煙所、弁当販売、客引き行為などの路上営業による環境の悪化など、安全性、快適性が損なわれつつあり、良好な公共空間の保持に向けて、改善を図っていく必要性が高まっています。

 放置自転車対策では、駐輪場整備を積極的に進め、放置禁止区域の指定を図ってきたことなどから、ピーク時より二七・六%減少していますが、平成二十三年ベースで約三千八百台の放置が確認されています。また、置き看板は、商業地域という特性上、区内随所に見受けられ、特に銀座、人形町、東京駅八重洲口周辺、茅場町地区に散在し、指導の徹底が行き届かない状況にあります。そして、ドラッグストア、小売店などの路上への商品の陳列、飲食店の道路にはみ出しての飲食提供に対しては、商店会、町会、警察等の合同パトロールによる注意指導を実施し、一定の効果は見られるものの、結果的には、残念ながら一過性となっています。

 さらに、昨今では、たばこ店の店先や自動販売機の横などに設置された灰皿、いわゆる簡易な喫煙所の副流煙による近隣への健康被害、行商鑑札の許可を得た路上での弁当販売の衛生管理問題や地域飲食店への経済的影響、キャバクラ、エステ等の客引き行為によるまちの環境悪化など、極めて深刻な状況が見受けられ、効果的かつ即効性のある総合的な対策が求められています。

 そこで、お尋ねします。

 区では、このような道路環境についてどのような認識を持ち、対策を講じていこうと考えているのか、御見解をお聞かせください。

 また、現行の監視・指導は、それぞれの所管ごとに実施されていますが、これらを組織横断的な体制に改め、効率性を高めるとともに、総合的な監視・指導体制を新たに構築していく必要性があると考えますが、御見解をお聞かせください。

 次に、まちの環境浄化に資する条例整備についてお尋ねします。

 放置自転車、置き看板、路上への商品陳列などの路上占拠に対しては、中央区自転車の放置防止に関する条例、道路交通法、屋外広告物法など、法的根拠を背景とした指導・取り締まりが行われています。一方、路上の簡易喫煙所、弁当販売、客引きなどに対する指導・取り締まりは、その根拠が必ずしも明確に規定されているわけではなく、行為者のマナー、モラルに頼らざるを得ず、効果的な指導・取り締まり体制が確立されていないのが現状です。

 豊島区では、商店会、町会など、地域で自主的にパトロールを行っている団体の要望を受けて、生活安全条例を改正し、地域環境の浄化に向けて取り組みを強化しました。その内容は、風俗営業法や東京都迷惑防止条例で規制がかかっていない部分に独自の規制を加えたほか、パトロール団体等へ権限を委託し、区民による指導活動を支援することを特徴としています。

 そこで、お尋ねします。

 本区では、中央区安全で安心なまちづくりを推進する条例、中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例などにおいて、安全・安心なまちづくり、快適な歩行空間、清潔な地域環境の確保に努めています。路上の簡易喫煙所、弁当販売、客引きなど、新たな社会問題に対して区の姿勢を明確にするとともに、区民の活動を支援するために関係条例等の強化を図っていく必要があると考えますが、御見解をお聞かせください。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 石島秀起議員の御質問に順次お答えします。

 初めに、がん検診及び特定健康診査の受診率向上への具体的な取り組みについてであります。

 現在、本区では、女性特有のがんである乳がん及び子宮がんの検診について、重点的な受診率向上に向けた取り組みを実施しております。今年度は、昨年度に引き続き乳がん検診では、未受診者へのはがきでの再勧奨を行うとともに、新たに子宮がん検診においても再勧奨を実施することとしております。また、先日、女性センターで開催したブーケまつりでは、啓発コーナーを設け、健康クイズを実施したところ、日本人の二人に一人ががんに罹患することを知らない方が多いことが改めてわかりました。こうしたことから、これまでの啓発情報に加え、さらに区民に有用な健康に関する情報を発信いたします。今後は、これらの取り組みを継続的に実施するとともに、その結果を検証・分析し、がん検診の総合的な受診率向上のための具体的な取り組みに活用してまいります。

 次に、がん検診に関する医療情報の普及啓発、未受診者に対するきめ細かな対応などの受診率向上策についてであります。

 東京都がん検診受診率向上事業取組事例報告書では、個別受診勧奨及び再勧奨の有効性、他の自治体が行ったがん検診に関する意識調査に基づき、検診受診者が検診の科学的根拠を求めていることや、未受診者の意識の違いを分析し、その結果に応じて対応することにより、効果的な受診率向上に資する可能性が示されております。これらが本区においても効果的であるか否かは検証することが必要であり、さらに、受診率を向上させるためには、性別、年齢層など対象者を絞って実施方法や伝える内容を変えるなど、本区の実情に合った受診勧奨策を講じることが必要であります。今後は、本区における未受診者の傾向を詳細に分析し、受診勧奨の対象者を選定するとともに、地区医師会と連携して、正確な医療情報の提供や受診勧奨の実施方法等について検討してまいります。

 次に、がん検診の事務の改善など、新たな取り組みについてであります。

 胃がん、肺がん、大腸がん及び前立腺がんの検診については、特定健康診査と同時に受診することができるため、比較的高い受診率を保つことができているものと認識しております。さらなる受診率の向上に向けて、再勧奨は有効であると考えますので、がん検診に係るシステム改修などの必要な事務改善を行った上で、過去二年間以上受診していない方を対象に、未受診者への再勧奨を実施してまいります。

 次に、特定健康診査の受診率が低い背景についてであります。

 平成二十二年度における本区の受診結果を見ると、四十歳代の受診率が二四%に対して六十歳代が四○%であり、年齢が低いほど、忙しいなどの理由により受診率が低くなっております。また、高齢化率の低い自治体ほど、比較的受診率が低い傾向にあります。本区は、四十歳代が多く高齢化率が一六・三九%と、二十三区中最も低いことが大きな要因であると考えております。

 次に、特定健康診査受診率向上のための取り組みについては、胃がん検診などと同様に、過去二年間以上受診していない方への再勧奨を実施する予定であります。また、忙しいなどの理由で受診していない方が受診しやすい体制づくりについて、地区医師会とともに多角的に検討してまいります。

 次に、障害者の自立の実現に向けた就労支援策についてであります。

 障害者が地域で経済的に自立していくためには、一般企業への就労を支援していくことが大変重要であります。本区では、障害者就労支援センターが中心となり、ハローワークや福祉施設と連携しながら、日々の訓練や職場実習などを通じて障害者の就労能力を高め、一般企業への就職に結びつけられるよう取り組んでおります。また、就職後も支援を継続し、離職を防止することも重要であります。就労支援センターでは、就労先企業を訪問し、企業と障害者の意見を聞きながら、障害特性に合ったアドバイスや職場環境への改善を働きかけるなど、職場への定着支援も積極的に行っているところであります。さらに、一般企業での就労が難しい福祉施設に通う障害者には、福祉センターでのモザイク平板事業の拡大や、さわやかワーク中央での清掃事業の新規受託など、これまで以上に作業単価の高い仕事の受注を目指すとともに、就労支援ネットワークでの先進事例検討などを通じて、福祉施設に通う障害者の工賃引き上げに結びつけていきたいと考えております。

 次に、区内企業との連携強化についてであります。

 障害者の就労を促進するためには、身近な区内の企業と障害者の就労について、情報交換や各種連携を図ることは大変重要であります。本区では、ハローワーク、特例子会社、東京商工会議所などと障害者就労に関する意見交換を行ってまいりました。今後は、特例子会社のメリットや障害者雇用に関する情報を区内企業へ周知するとともに、障害者と区内企業を結びつける役割を強化するために、就労支援センターに地域開拓のためのコーディネーターの配置などを検討してまいります。さらに、労働スクエア跡地に現在計画している施設においては、株式会社スワンの理念である、障害者を特別視しない雇用を参考にしたカフェの設置を検討しており、区内での就労の場の拡大と障害者の就労意欲の向上にもつなげていきたいと考えております。

 次に、道路環境の認識と対策についてであります。

 本区においては、駅周辺の放置自転車や商店街などでの置き看板、一部地域での路上弁当販売が見受けられるとともに、大型商業施設周辺の路上駐輪や銀座、東京駅八重洲口での飲食店による客引きが増加傾向にあるものと認識しております。このため、区では道路の不適正使用に対して、これまで職員等による道路パトロール、警察署や地元商店街等との協力のもとで、指導などを実施してまいりました。この対応の中で、直ちに指導を受け入れられない場合でも、継続的に警告を行うことで改善が図られた事例や、路上弁当販売では出現数が減少するなど、効果があらわれております。こうしたことから、今後、関係機関等とより一層の連携を図りながら、継続的かつ粘り強い取り組みを行い、道路環境の改善に努めてまいります。

 次に、総合的な監視・指導体制の構築についてであります。

 地域の課題解決に向けては、それぞれの所管が関係条例等に基づき、対応を図ることが基本になるものと考えております。しかし、道路上の違法行為は交通対策や生活安全にわたることから、組織の連携強化を図る必要があると認識しております。

 次に、制度面の強化についてであります。

 豊島区では、繁華街における悪質な客引きや路上スカウトが横行するなど、目に余る行為が行われていたことから、生活安全条例を改正したものと伺っております。本区においては、東京駅八重洲口周辺や人形町などの一部地区において、放置自転車や置き看板、客引きなど、道路環境の悪化が見受けられます。このため、今後、関係条例の周知徹底を図りながら、庁内関係部署の連携や警察署、地域との環境浄化パトロールの取り組みを充実させるなど、道路環境の適正化に向けて努めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十一番 石島秀起議員登壇〕

○十一番(石島秀起議員)
 それぞれの質問に対しまして、おおむね前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、がん検診並びに特定健康診査の受診率向上についてですが、本区では区民の命と健康を守るために積極的に各種施策の検診の充実を図っています。しかし、残念ながら、その受診率が伸び悩んでいるというのが現状でありまして、がん検診につきましては、さきに質問させていただきましたが、東京都が実施した受診率向上事業報告書では、個別通知、再勧奨、正確な医療情報の普及啓発など、受診率向上に向けての具体的な取り組みについて、既に検証・推奨をしていますので、これらを参考にしながら、中央区の状況をさらに検証しまして、今後具体的な強化策を図っていただければと思います。

 また、障害者の雇用促進についてですが、なかなかその目標値達成が難しく、障害者が自立して生活をしていくためには、いわゆる福祉的行政支援にとどまることなく、民間企業との連携強化が不可欠だと思っています。特例子会社の活用は、非常に有効であるということが実証をされているわけです。今後、この特例子会社について、さらに研究を深めて、この中央区の障害者雇用のために活用できるように、企業とも連携を図っていただくよう要望をさせていただきます。

 最後に、快適な公共空間、まちの環境浄化についてですが、特に路上に設置された簡易な喫煙所による副流煙、近隣への迷惑の問題であるとか、弁当の引き売りの衛生管理問題や地域飲食店への経済的影響、客引きなどによるまちの環境悪化は、中央区としても積極的に対策を進められていることは十分認識しております。ただ、なかなか思うように浄化が進んでいないというのが現状で、まさに新たな社会問題として、早期から対策を講じていく必要があるというふうに思っています。

 この問題につきましては、先ほど豊島区の事例を引きましたが、何といっても区の姿勢を明確にしていくということが非常に大切だと思っておりますので、ぜひ区の姿勢を明確にして、また条例等の整備強化を行っていただいた上で、地元、地域商店街とも連携を深めながら、まちの環境浄化に努めていただきたいと思います。

 それでは、以上をもちまして一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(石田英朗議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(石田英朗議員)
 次に、日程第二から日程第十一までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二から日程第十一までを一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第二

 議案第四十一号 公益的法人等への中央区職員の派遣等に関する条例等の一部を改正する条例

日程第三

 議案第四十二号 中央区特別区税条例の一部を改正する条例

日程第四

 議案第四十五号 災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第五

 議案第四十八号 中央区立区民健康村大規模改修工事(機械設備工事)請負契約

日程第六

 議案第四十九号 中央区立区民健康村大規模改修工事(電気設備工事)請負契約

日程第七

 議案第 五十号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(建築工事)請負契約

日程第八

 議案第五十一号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(機械設備工事)請負契約

日程第九

 議案第五十二号 中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事(電気設備工事)請負契約

日程第十

 議案第五十三号 西仲橋架替工事(上部工)請負契約

日程第十一

 議案第五十四号 中央区立有馬小学校大規模改修工事(機械設備工事)請負契約


○議長(石田英朗議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第四十一号、議案第四十二号、議案第四十五号及び議案第四十八号から議案第五十四号までにつきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第四十一号、公益的法人等への中央区職員の派遣等に関する条例等の一部を改正する条例であります。

 本案は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益社団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の規定により、財団法人中央区勤労者サービス公社が公益財団法人に、財団法人道路管理センターが一般財団法人に移行したことに伴い、関係する条例中、これらの団体の名称を財団法人中央区勤労者サービス公社から、公益財団法人中央区勤労者サービス公社に、財団法人道路管理センターから、一般財団法人道路管理センターに変更するものであります。

 次に、議案第四十二号、中央区特別区税条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「地方税法の一部を改正する法律」等の施行に伴い、年金所得者の申告手続を簡素化するとともに、東日本大震災に係る特例として、居住用家屋を失った納税義務者が住宅を再取得した場合における住宅借入金等特別税額控除、被災居住用財産の敷地の譲渡期限の延長等を定めるほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第四十五号、災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令第六条の二第一項の規定に基づき、総務大臣が定める金額を一部改正する告示が施行されたことに伴い、災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る介護補償の額を改定するものであります。

 次に、議案第四十八号及び議案第四十九号の中央区立区民健康村大規模改修工事に係る機械設備工事及び電気設備工事の請負契約であります。

 これらの契約につきましては、去る五月二十二日、厳正に入開札を執行いたしましたところ、機械設備工事につきましては大成温調・中島建設共同企業体に、電気設備工事につきましては川瀬・ふじでん建設共同企業体に落札いたしましたので、それぞれ仮契約を締結したところであります。本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 次に、議案第五十号から議案第五十二号までの中央区立特別養護老人ホームマイホームはるみ等複合施設大規模改修工事に係る建築工事、機械設備工事及び電気設備工事の請負契約であります。

 これらの契約につきましては、去る五月二十二日、厳正に入開札を執行いたしましたところ、建築工事につきましてはイズミ・友菱建設共同企業体に、機械設備工事につきましては東熱・三建サービス建設共同企業体に、電気設備工事につきましては浅海・ディグアウト建設共同企業体に落札しましたので、それぞれ仮契約を締結したところであります。本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 次に、議案第五十三号、西仲橋架替工事(上部工)請負契約であります。

 この契約につきましては、去る五月二十二日、厳正に入開札を執行いたしましたところ、高田機工株式会社東京本社に落札いたしましたので、仮契約を締結したところであります。本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 最後に、議案第五十四号、中央区立有馬小学校大規模改修工事に係る機械設備工事の請負契約であります。

 この契約につきましては、去る五月二十二日、厳正に入開札を執行いたしましたところ、三建・荏原実建設共同企業体に落札いたしましたので、仮契約を締結したところであります。本契約につきましては、本区条例の規定に基づき、議会の議決を必要といたしますので、本案を提出したものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(石田英朗議員)
 ただいま上程されました議案第四十一号、議案第四十二号、議案第四十五号及び議案第四十八号から議案第五十四号は、企画総務委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については企画総務委員会へ付託いたします。


○議長(石田英朗議員)
 次に、日程第十二から日程第十四までを一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第十二から日程第十四までを一括して議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第十二

 議案第四十四号 中央区印鑑条例の一部を改正する条例

日程第十三

 議案第四十六号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

日程第十四

 議案第四十七号 中央区立学校設備使用料条例の一部を改正する条例


○議長(石田英朗議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま一括上程されました議案第四十四号、議案第四十六号及び議案第四十七号につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 まず、議案第四十四号、中央区印鑑条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」等の施行により、外国人登録法が廃止され、外国人住民に住民基本台帳法が適用されることに伴い、外国人住民に係る印鑑の登録資格、登録できる印鑑の範囲等を変更するほか、規定を整備するものであります。

 次に、議案第四十六号、中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、「都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例」の施行により、改定された都立学校の学校薬剤師に係る公務災害補償の補償基礎額に準じ、区立小学校及び中学校の学校薬剤師に係る公務災害補償の補償基礎額を改定するほか、規定を整備するものであります。

 最後に、議案第四十七号、中央区立学校設備使用料条例の一部を改正する条例であります。

 本案は、区立中央小学校及び区立明石小学校の改築に伴い、区立中央小学校のスポーツ利用に係る屋内体育館の使用料の限度額を改定するとともに、同校のテニス利用に係る校庭及び温水プール並びに区立明石小学校のスポーツ利用に係る屋内体育館の使用料の限度額を定めるものであります。

 以上、よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(石田英朗議員)
 ただいま上程されました議案四十四号、議案第四十六号及び議案第四十七号は、区民文教委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、区民文教委員会へ付託いたします。


○議長(石田英朗議員)
 次に、日程第十五を議題といたします。

〔田野議会局長朗読〕


日程第十五

 議案第四十三号 中央区事務手数料条例の一部を改正する条例


○議長(石田英朗議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第四十三号、中央区事務手数料条例の一部を改正する条例につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 本案は、「特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」の施行に伴い、ふぐ加工製品取扱届出済票の交付等に係る事務手数料の額を定めるとともに、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」の施行に伴い、外国人登録原票の写しの交付等に係る事務手数料の廃止及び住民基本台帳の閲覧方法の変更をするほか、規定を整備するものであります。

 よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。

○議長(石田英朗議員)
 ただいま上程されました議案第四十三号は、福祉保健委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本議案については、福祉保健委員会へ付託いたします。


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま各常任委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十六日より七月一日までを休会とし、来る七月二日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日より七月一日までを休会とし、来る七月二日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後九時五十三分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 礒野 忠
議員 田中 広一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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