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平成29年第四回定例会会議録(第2日 11月24日)

1.会期

十五日(第二日)

十一月二十四日(金曜日)

2.開会並びに散会

午後二時開議

午後六時二十一分散会

3.出席議員

(二十八名)

一番 渡部 恵子議員

二番 山本 理恵議員

三番 海老原 崇智議員

四番 佐藤 敦子議員

五番 塚田 秀伸議員

六番 田中 耕太郎議員

七番 小坂 和輝議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 富永 一議員

十三番 瓜生 正高議員

十四番 染谷 眞人議員

十五番 青木 かの議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 松川 たけゆき議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 礒野 忠議員

二十二番 石田 英朗議員

二十三番 鈴木 久雄議員

二十四番 木村 克一議員

二十五番 中嶋 ひろあき議員

二十六番 押田 まり子議員

二十七番 墨谷 浩一議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 長嶋 育夫君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 古田島 幹雄君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 松岡 広亮君

会計管理者 坂田 直昭君

教育委員会事務局次長 浅沼 孝一郎君

監査事務局長 高橋 和義君

企画部参事(政策企画課長事務取扱) 濱田徹君

財政課長 大久保 稔君

広報課長 園田 典子君

総務課長 吉原 利明君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 荻原 雅彦君

議事係長 一瀬 知之君

調査係長 東 雅之君

書記 鎌田 智之君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(礒野 忠議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(礒野 忠議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 まず、十四番染谷眞人議員。

     〔十四番 染谷眞人議員登壇〕

○十四番(染谷眞人議員)
 自由民主党の染谷眞人でございます。平成二十九年第四回中央区議会定例会の一般質問の機会をいただき、中央区議会自由民主党議員団の一員として、さきの質問通告に沿って順次質問をさせていただきます。区長並びに関係理事者の皆様には、区民の方々にわかりやすい言葉で御答弁をお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 初めに、子供のいじめ、自殺防止のための相談体制について質問させていただきます。

 文部科学省は、去る十月二十六日、全国の小・中・高校で実施した平成二十八年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果を速報値として公表しました。

 報告によると、平成二十八年度に認知したいじめの件数は、前年と比べ九万八千六百七十六件ふえ、過去最高の三十二万三千八百八件、特に小学校では、前年と比べ八万六千二百二十九件ふえて、二十三万七千九百二十一件と急増しています。これは、いじめ防止基本方針にいじめの定義が示され、表面的、形式的に行うことなく、児童・生徒の立場に立って判断するようになったことで認知件数がふえたとも考えられます。

 自殺した児童・生徒数は、小学校四人、前年度と変わらず、中学校六十九人、前年度五十六人、高等学校百七十一人、前年度百五十五人、全体では二百四十四人、前年度二百十五人、自殺した児童・生徒が置かれていた状況として、いじめの問題があった児童・生徒は十人、前年度九人と報告されています。

 調査結果の中で、二つの気になる点がありました。

 一つは、いじめられた児童・生徒が誰に相談したかを調査したもので、小学校に注目しました。学級担任に相談が一番多く、十八万九千二十九件、次に、保護者や家族で五万四千九百五十七件ですが、三番目に多い回答が誰にも相談していないという回答で、一万四千六百九十九件もあるということです。

 二つ目は、SNSなど、インターネットのいじめが急増していることです。いじめの態様区分で、パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされるという回答が全体で一万七百八十三件あり、この点について、読売新聞は、平成二十三年度の二千九百九十二件から五年で三倍以上になったこと、教師や保護者が把握することが難しいため、深刻化しやすい特徴があり、自殺に追い込まれる事例も発生していると報じています。

 千葉県柏市では、本年度より、SNSでのいじめに対応するため、また、相談できない子供に対するセーフティネットの一つとして、匿名で報告・相談できるスマートフォン用アプリを中学校に導入しました。これは、いじめを受けている児童・生徒のみならず、他の児童・生徒に対して行われているいじめを認識しながら、これを放置することがないようにという狙いもあるようです。

 本区では、いじめ防止のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針として、平成二十七年一月十四日に中央区いじめ防止基本方針を策定し、いじめを生まない学校づくりなど、未然防止への取り組みを進めるとともに、早期発見・早期対応できる体制の構築を図っています。教育センターにおいては、来所や電話による教育相談を行っているほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを学校に派遣し、学校、家庭、教育委員会が連携して一人一人の児童・生徒の状況に応じて、きめ細かく対応されていることは承知しています。

 そこで、お尋ねいたします。

 児童・生徒の悩みや不安を受けとめる観点から、教育委員会では、これまでの取り組みを踏まえ、今後、どのような相談体制を構築されていくのか、お聞かせください。

 続きまして、子供の視点に立ち、子供の権利を救済する専門機関の設置の検討について質問させていただきます。

 子供をめぐる諸問題は、いじめだけではありません。児童虐待など家庭での問題、インターネットを通して外部とのトラブルに巻き込まれるケースもあり、子供を取り巻く環境は複雑で、さまざまな要素があると思われます。担任の先生にも家族にも相談することができずに、一人悩んで困っている子供の立場に立って、障壁を取り払い、どんな種類の悩みも相談しやすい場所が、学校以外でも求められるところです。

 参考に、他の自治体を調べてみました。札幌市は、子どもアシストセンターという名称の子どもの権利救済機関を設置しています。昨年、センターを訪れ、担当の方に直接お話を聞いたところ、平成二十年に制定された札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例の施行とあわせて翌年開設した専門機関で、十八歳未満の子供を対象とし、いじめや暴力などの子供を権利侵害から救済するほか、友人・親子関係など子供に関するさまざまな悩みを幅広く受けとめ、何が子供にとって最善の利益であるかを関係者が共有し、子供を支援する取り組みを行っているとのことです。

 二十三区では、世田谷区が、子ども条例に基づいた子どもの人権擁護機関、通称せたがやホッと子どもサポートを公的第三者機関として設置しています。せたホッとという略称で、イメージキャラクターをつくり、子供への浸透を図っています。

 どちらも、子供からのどんな悩みも相談を受け、人権擁護委員と相談・調査員が相談に応じます。委員には弁護士を配置し、子供の権利侵害に対しては、救済の申し立てに基づき、調査・調整など解決のための活動をしています。相談内容に応じて、例えばいじめであれば学校と、虐待の対応は家庭支援センターや児童相談所などとの連携・協力を図り、本人からの相談を受けるとしています。相談の手段としての子供専用フリーダイヤルを設け、来所及び電話のほかに、メール相談も受けています。メールは、二十四時間いつでも自分の都合のよいときにメッセージを発信できるので、誰かに悩みを聞いてほしい子供にとって利用しやすいことから、子供のメール相談の件数がふえているとのことです。

 本区では、学校以外では、子ども家庭支援センターにおいて、子供と子育て家庭の総合相談という電話相談を行っていると承知しています。また、児童虐待についても、児童虐待情報専用電話子どもほっとラインという、児童虐待のおそれがある場合の相談窓口を設け、虐待の予防や早期発見を図っていると承知しています。

 そこで、お尋ねいたします。

 子供と子育て家庭の総合相談の相談受付状況と、子どもほっとラインで虐待の通報を受けた場合、どのように解決に当たられるのか、また、相談体制について現状をどのように評価されているか、お聞かせください。あわせて、子供の視点に立ち、子供の人権、子供の権利を救済する専門機関の設置についての見解をお聞かせください。

 続きまして、まちづくり環境における光害の対策についての質問に移らせていただきます。

 一年ほど前、マンションに居住されている区民の方から、道路を挟んで新たに建設され、開業したホテルの壁面の照明の光がマンションのバルコニーから部屋に差し込むようになり、夜間、明る過ぎて、カーテンを閉めないといられないという苦情が寄せられました。早速行政に相談し、ホテル側に指導を要請しましたが、ホテル事業者側としては、この地は商業地域でもあり、照明は広告ではなく周辺を明るくするもので、建築上違法ではないとの考えを示されました。行政も、担当の方が親身になって対応していただきましたが、商業地域という言葉で阻まれます。

 そこで、法律家に相談したところ、当事者御本人が照明のないときとあるときを比較し、照明の光により、どのようなストレスが生じたか、そして体調悪化や病気を発症するなど受忍限度を超えた場合に、不法行為の損害賠償を求めて争うことができるというアドバイスでした。その後、ホテル側の協力を得ることができ、現在は午後十時に消灯していただいております。

 本件の場合、困っているのは、その照明の光が差し込む位置にある部屋の住人であり、マンション全体が被害を訴えているわけではないため、個人的な問題とみなされる可能性がありますが、現在、各地に建設中のホテルが開業したときに、同じような問題が起こる可能性があります。商業地域とはいえ、ファミリー世帯が居住しているマンションが集中している地域に、突如隣にホテルが建つことで平穏な生活が妨げられることがないように、あらかじめ指導することが望ましいと思います。

 環境省は、光害、光の害と書いてこうがいではなく、ひかりがいと読みますが、これを照明の設置方法や配光が不適切なために起こるさまざまな悪影響と定義し、平成十八年十二月に光害対策ガイドラインの改訂版を公表しています。

 ガイドラインでは、屋外照明が周辺環境へ及ぼす影響として、人間の諸活動への影響を挙げており、具体的には、周辺環境にそぐわない明るさや、余り必要のない時間帯までつけっ放しの照明、また人工照明の光が住居の窓面から住居内へ強く差し込むことで居住者の安眠を妨げ、プライバシーに影響を及ぼすことがあると指摘しています。さらに、オフィスビルの窓からの光についても、夜に人工光は必要不可欠であるが、都心部などビルの乱立する地域では、ビルの窓からの光が障害となり、通行人への不快感あるいは車の運転に大きな影響を与えるので、夜間にはビルの窓から光が漏れないように不透明カーテンを設けるなど、外への障害となる光を減らす対策が必要であると指摘しています。

 本区の環境対策としては、屋外広告物については、東京都の条例に基づき規制を行っており、広告物の規模や設置場所によっては申請が必要となっています。区内の水辺景観形成特別地区に指定された地区では、建物壁面等の広告物について、光源は点滅させないなどの規制がとられていますが、景観形成のための条例となっています。近年、本区は居住人口をふやす政策により、マンション建設が進み、職住近接のライフスタイルが支持を受け、居住人口は十五万人に達し、なお増加を続けています。そして、今は二○二○年に向けて、特に海外旅行者の受け入れのため、ホテルの建設が進んでいます。中央区区政年鑑によると、平成二十七年にホテルは六十四件でしたが、平成二十八年は六十六件で、今後も増加する見込みです。これらを鑑みると、今回の事例は決して特別なケースではなく、今後も起こり得る課題であると考えます。

 中央区基本構想の一番目は、「中央区スタイル」を確立し、世界に輝く東京を創造することです。交通インフラや宿泊施設の整備、先進的なスマートシティの実現など、最先端都市モデル構築していくと掲げています。三番目の項目では、誰もがあこがれ、住みたい・働きたい都心の実現が目標となっています。住む人・働く人ともに心から愛着を持ち、快適で暮らしやすい都心を築いていくとしています。

 本区は、職住近接が特徴で、魅力の一つであると思います。この二つを同じ区域で実現し、快適で暮らしやすい都心を創造するためには、ガイドラインが必要であると考えます。中央区らしいまちづくりを考えたとき、商業施設について、暮らしのあるまちに合った景観を保てる照明や屋外広告のあり方を議論し、中央区スタイルにつなげていくことはできないでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。

 過去三年間の相隣問題における相談件数と、主な内容をお聞かせください。その中に、このような光の害についての相談はございましたでしょうか。また、今後、区民の平穏な暮らしを守るためには、光害対策として指導を強化するなどの対応が不可欠であると考えますが、お考えをお聞かせください。

 以上をもちまして第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 染谷眞人議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、子供と子育て家庭の総合相談であります。

 子ども家庭支援センターでは、保健・心理・福祉の専門相談員を配置し、子供の養護や育成、虐待や非行など、子供と子育てに関するあらゆる相談に応じております。昨年度も三百六十七件に及ぶ新たな相談が寄せられ、その内容に応じて、関係機関等との調整を図りながら、適切なサービスにつなげていくなど、相談者に寄り添った対応に努めているところであります。また、児童虐待情報専用電話子どもほっとラインに通告があった際には、相談員が四十八時間以内に子供の安全を確認するとともに、児童相談所を初めとする関係機関との緊密な連携のもと、保護者へのきめ細やかな助言や支援を行うなど、問題の深刻化を防ぐため、速やかな対応を図っております。区では、このほか、各児童館や教育センターなどでも相談に応じるとともに、こうした窓口に関するリーフレットを作成し、小・中学校を通じて子供たちに周知しているところであります。しかしながら、現状においては、子供から直接相談が寄せられるケースは限られており、継続的な周知とともに、子供たちにとって、より相談しやすい環境づくりが必要でありと認識しております。区といたしましては、今後とも、さまざまな場や機会を通じて子供たちの声をすくいとっていくため、子ども家庭支援センターを核とする地域や関係機関とのネットワークを強化するとともに、子供の視点に立った相談体制のあり方について検討してまいります。

 次に、まちづくり環境における光害対策についてであります。

 都心で快適に居住していただくためには、近隣の方々が相互に配慮しながら、暮らしやすい住環境を築いていくことが重要と考えております。しかしながら、建物が密集する都心ならではの課題として、さまざまな相隣問題が発生しております。このような相隣問題は、お互いに相手の立場に立って調和した関係を構築することが解決の糸口となります。お尋ねの過去三年間の相隣問題の相談件数は、平成二十六年度五十四件、平成二十七年度五十八件、平成二十八年度四十件となっており、大半は解体工事や建築工事に起因する騒音や振動、粉じん等に関するもので、その都度、良好な関係が築けるよう区が間に立って調整を図っております。また、光害に対する相談は、御紹介をいただいた案件のほかに、ことし八月にマンションの屋上部に設置された照明につきまして、深夜の消灯を求める相談が一件となっております。これにつきましては、マンション管理組合に申し入れを行っておりますが、管理組合の決議など、時間を要することから、引き続き調整を図っております。今後は、建築計画の段階から、このような外部照明等による相隣問題の事例や環境省の光害対策ガイドラインの居住者に対する配慮すべき事項などを紹介しながら、商業目的や単なるデザインによる光害の発生を抑え、近隣に配慮した計画となるよう指導強化を図ってまいります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えします。

 いじめや自殺を未然に防ぐための相談体制についてであります。

 児童・生徒の悩みや不安の背景には、心の問題とともに、家庭や友人関係、学校など、一人一人の児童・生徒の置かれている環境が複雑に絡み合っていると認識しております。学校では、一番身近な存在である学級担任を初め、全教職員が一体となって、児童・生徒の悩みや不安を受けとめる体制づくりを進めております。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門職の活用に加え、必要に応じてケース会議を開催し、児童・生徒はもとより、保護者の相談にもかかわることで、いじめや自殺の未然防止について関係機関と連携しながら対応しているところであります。さらに、スクールカウンセラーが小学校五年生と中学校一年生全員に面談を行うほか、全児童・生徒を対象としたアンケート調査により、悩みや不安の把握にも努めております。今後は、こうした取り組みを進めるとともに、スクールカウンセラーによる面談の拡充や関係機関等における相談窓口との連携強化、教員の研修を通した資質の向上などに努め、他自治体での取り組みも参考にしながら、児童・生徒が抱える心の声を受けとめ、寄り添っていける相談体制の充実をしてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

     〔十四番 染谷眞人議員登壇〕

○十四番(染谷眞人議員)
 御答弁ありがとうございました。

 先日、世田谷区のせたホッとを訪ねてまいりました。夕方の六時を過ぎておりましたけれども、窓口担当の方に快く対応していただきました。また、午後八時まで来所や電話による相談体制で当たっており、文字どおり子供がほっとする子供のための相談場所であるという印象があります。また、活動報告に掲載された相談事例から、多様な相談内容があることがよくわかり、これら全般について、学校の担任の先生が対応するには限界があるように思います。

 本区では、先生方にきめ細かく生徒の声を聞いていただいているということで、安心はしています。ただ、子供の相談対応を専門機関が行うことで、先生方も本来の授業や指導に当たるための時間とか、その辺を確保することができるのではないでしょうか。

 また、SNSなどのいじめなど、外から見えにくいいじめに早期対応するためには、子供自身から相談しやすい窓口が必要ではないかなと感じます。子供は成長過程の途中であり、自分のつらい状況を訴える能力と表現力が十分でなく、弱い立場の存在であることを踏まえ、子供が安心して悩みを打ち明けられるような相談体制が求められています。いじめも虐待も人権侵害に当たるので、権利擁護、権利救済という点で対応する方法が必要ではないかと私は思います。

 特に、子供にとって、いじめはじゃれ合いの延長でありましたり、悪質ではないと思います。ただ、それがエスカレートして犯罪みたいな形になっていくこともありますけれども、本来は子供が聞いてほしいことを訴えていると私は思います。悩んだとき、どこに相談すればいいか、先生もそうですが、周知を図る必要があると思います。例えば、子どもフェスティバルなどでコーナーを設けて、子供がゲームをしながら相談ができる体制をとるとかはいかがでしょうか。

 また、本区は、平成十一年四月に中央区の教育環境に関する基本条例を定め、その前文には、一人ひとりの子どもが、その人権を等しく尊重され、心身共に健康で、自主性と創造性に富み、人間性豊かに育つことは、私たち区民すべての願いであるとあります。平成二十七年三月策定の中央区子ども・子育て支援事業計画の基本理念にもあるように、子供の最善の利益を尊重し、権利を守る、子供を対象にした相談体制を推し進めていただきたく、このように要望させていただきたいと思います。

 次に、光害についてですが、ホテル建設を否定するものではありません。ホテルを利用する人にとっても、近隣住民にとっても、居室が安心できる場所、ホテルにとっては、どんな高級なホテルでも、手ごろなホテルも、安心がまず大事だと思います。そのホテル建設に当たって、マンション等の住宅の多い地区に新たにホテルを建設する場合は、そこに人々の暮らしがあるということを理解の上、周辺環境に配慮し、ホテル側も住民の安心を提供していただきたいと願って、いろいろな話をしました。

 特に、今回、この問題が起きたときに、真摯に対応するように指導強化していただくことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(礒野 忠議員)
 次に、四番佐藤敦子議員。

     〔四番 佐藤敦子議員登壇〕

○四番(佐藤敦子議員)
 自由民主党の佐藤敦子です。平成二十九年第四回区議会定例会の一般質問を自由民主党区議団の一員として質問いたします。区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、具体的かつ建設的な御答弁をお願いいたします。再質問につきましては、あらかじめ留保させていただきます。

 基本構想は、地方自治体の総合的な行政計画の最たるものであり、本区は、平成十年以来、十八年ぶりに、区のいわば憲法、基本構想を改定いたしました。改定は、状況の変化を前提としております。過去の継承すべき点と顧みる点、現状の変化を明らかにし、国際平和の理念が貫かれ、よりよい中央区のための具体的行動計画が、来年施行される基本計画です。理念と、今ある現実との距離を少しでも縮め、基本計画が絵に描いた餅にならないように、具体的な行動が求められています。

 そこで、冒頭、区長のお考えをお聞かせください。

 現在作成中の基本計画は、四年前に策定された基本計画との比較において、本区を取り巻くどのような状況の変化を前提としているのでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。

 正しい理念であっても、努力や原則論で実行し、結果を出せる範囲は限られています。残念ながら、区内には望ましくないこともあります。例えば、本区は、二十三区において四番目に犯罪件数の低い区でありながら、振り込め詐欺は平成二十八年度八件増加いたしました。犯罪や迷惑行為の発生頻度の水準を抑え込む方策も、基本計画には具体的に描かれるべきです。犯罪も迷惑行為も、行う者にとり、想定リスクが想定メリットを上回ることが重要であり、それがないと、必ず将来、過剰な関連予算となって区民生活にはね返ります。

 東京消防庁によると、平成二十二年から二十六年までの五年間で、歩きながら、自転車に乗りながらなどの携帯電話、スマートフォンに係る事故で百五十二人が救急搬送されました。四十歳代が最も多く、二十歳代から四十歳代の搬送が六二・五%を占めています。本区においては、昨年八月のいわゆるポケモンGOブームにより多発した歩きスマホに対応し、公園での歩きスマホの注意を働きかけました。しかし、今後は、公道によるながらスマホの防止策も必要です。十八時前後の帰宅時間のながらスマホは、区内の至るところで二十歳代から四十歳代の若い世代に見受けられ、早急な対応が求められます。

 その観点からお伺いいたします。

 歩きながらや自転車を運転しながらのスマホ操作などに対し、公道における安心・安全を確保するために、見回り活動、ホームページでの啓発、看板の設置など、今の段階で防止策を進めるべきであります。同時に、現在策定作業中の基本計画の現状と課題への記載も検討し、本区の防止策を区民に対し明らかにすべきでありますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

 次に、テロやミサイル発射の脅威に対する区の姿勢についてお伺いします。

 ことし九月十五日、北朝鮮が日本の上空に弾道ミサイルを発射いたしました。北朝鮮のミサイル発射によるJアラートは、今回で四回目です。東北、上越、北陸の各新幹線や在来線が一時運転を見合わせました。北海道、青森、長野では、休校措置をとった小・中学校もあります。Jアラートが出された自治体の防災無線からは、自動的に国民保護サイレンが鳴り、さらに、その地域にいる個人の携帯電話にはエリアメールや緊急速報がアラームつきで配信されました。発射四分後に緊急速報で、頑丈な建物や地下への避難を呼びかける内容が、ミサイル通過が判明したときは、不審なものを見ても決して近寄らないようにとする内容が配信されました。地域の方々にとり、極めて緊迫をした時間であったと思います。

 そこで、お伺いします。

 このような事態に備え、区民が主体的にみずからの生命をみずから守るという意識を持つことが第一歩です。本区においても、奇数月の午前と偶数月の夕刻に一度ずつ、緊急告知ラジオによる試験放送を行っています。今後、ミサイルやテロの速報をJアラートで受信し、ラジオによる告知から実際の避難に至るまでを想定した人為災害訓練を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。その点についてお答えください。

 さて、都心居住のまちづくりを積極的に推進した平成二十五年の基本計画は、その五年後の平成三十年、つまり来年の本区の人口を十四万五千五百人と想定しておりました。しかし、十一月一日現在、本区の人口は、その想定を一年前倒しで想定人口より七%上乗せの十五万五千八百八十四人となりました。つまり、平成二十五年の基本計画は、都心居住の積極的な推進の目的を十分に果たしたと言い切ることができます。

 その一方で、状況の変化に伴い、課題もまた枚挙にいとまがありません。伝統文化の継承と発展、一方で、先進都市としての利便性は、基本構想に明記されている中央区スタイル確立の大前提です。人口比率では、十一月一日現在、六十五歳以上が一五・五%と、二十三区中で一番高齢者比率が低いながら、十五歳から二十四歳までの最も若い生産年齢人口はたったの六・一%です。三十歳代から四十歳代に集中をしている人口比率は本区の特徴であり、国や都の施策においては、ほかの自治体には当てはまっても、本区には当てはまらない蓋然性を持ちます。

 そこで、中央区独自のスタイルを主張し、確立することで本区の特徴を発信していくべきと思います。中央区スタイルとは一体何でしょうか。決して雲をつかむような議論ではなく、中央区スタイルが極めて実効性のある具体策であることを区民にもわかりやすく示すべきであると思います。

 そこで、お伺いします。

 新しい基本計画には、人口流入がただ一時的なブームなのではなく、人口を減少させることなく、今いる方が住み続けることにより、安定した財源を確保する責任があります。現在は、六・一%という最も低い十五歳から二十四歳までの生産年齢人口をふやしていくべきであると思いますが、区として、どのような努力をなさっていくのでしょうか。お考えをお聞かせください。

 次に、本区の課題である築地市場移転問題、湾岸地域における交通インフラの拡充、集合住宅の増加に伴うコミュニティの変化、保育園待機児童問題についての中央区スタイルをどのように確立するのかについて順次お伺いをいたします。

 七年前の平成二十二年十月、区長から当時の石原都知事に宛てた要望書には、本区は今でも現在地再整備を強く望むと書かれております。東京都議会が築地市場の豊洲移転関連経費を含む東京都中央卸売市場会計予算案を可決したことを受け、区長みずからの言葉で、結論を重く受けとめるとした上で、改めて築地の活気とにぎわいを維持・発展させるための取り組みに全力を尽くすと、現在地再整備はかなわない可能性の中においても、築地の活気とにぎわいを維持・継承する決意を改めて示されました。六年半前のことです。これを機に、築地移転を前提としたさまざまな計画が本区において動き始めたのです。

 平成二十四年、本区と東京都は、平成二十六年度中を予定する築地市場の豊洲地区への移転整備を着実に行い、区もこれに同意するとの合意書を取り交わし、本区は、同年、中央区総合交通計画で臨海部の人口増加に対応できる利便性の高い交通を実現するとしました。平成二十六年秋には、東京都が豊洲新市場用地の土壌汚染対策工事の完了を確認いたしましたが、結局、平成二十六年度中の豊洲市場開場は実現せず、豊洲市場開場時期は平成二十八年十一月、つまり昨年十一月の見通しとなりました。延期がなされたものの、本区は、一昨年、オリンピック・パラリンピック後に住宅への転用が見込まれる選手村の予定地などに地下鉄新線を建設する構想を区議会に報告し、昨年から晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業の解体・撤去工事が始まりました。

 中央区のまちづくりは、このように、東京都との関連性や区内における総合的な流れの中で進んできたのです。しかし、昨年八月、市場移転は小池都政により再び延期され、市場移転後の環状二号線の整備及びBRT専用レーンも地下鉄新線の構想も停滞をしております。過去に苦渋の選択の末、市場移転を決断した市場関係者の混乱は想像にかたくありません。

 そして、何と再び、ことし六月、小池都知事が豊洲新市場への移転を決定したことを受けて、オリンピックで主要な輸送ルートとなる環状二号線の新橋から豊洲間の延長三・四キロメートルを二○二○年三月をめどに暫定開通させる方針を決めました。この間、棚上げとなっていた十カ月は一体何だったのでしょうか。ことし九月に議決された築地市場の豊洲への移転関連事業費は、約五十五億円です。とてつもない血税であると同時に、本区は、この間の大混乱に最も翻弄された地元区であると思います。

 そこで、お伺いします。

 築地市場移転問題は、跡地をめぐる再開発のみの問題ではありません。築地は、本区の重要な交通連結点です。環状二号線の地上暫定開通及び地下トンネル供用による選手村へのアクセスと、選手村の住宅転用をめぐる再開発を含んだ総合的なまちづくり計画を停滞させました。この間における混乱ぶりによる現状をどのように受けとめておられるのでしょうか、お答えください。

 築地は守るとの小池都政の基本方針のもとで、先月十二日、都庁で開かれた築地再開発検討会議、本区もオブザーバー参加をしたそうですが、都知事は冒頭の挨拶のみを終わらせ、わずか七分で衆議院議員選挙の応援遊説のために退席をいたしましたと報道されました。築地を食文化の継承の核とし、活気とにぎわいを維持・継承しながらも、交通の連結点として機能させると、長年の議論を経て議決をした本区とのギャップが余りにも大き過ぎると感じます。

 そこで、お伺いします。

 この現実を踏まえ、本区として、どのように東京都との交渉を進めていくのか、交渉努力について具体的にお答えください。

 次に、湾岸地域における交通インフラの拡充についてお聞きします。

 都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査報告書によると、都心部・臨海地域地下鉄の開業年次は二○二五年です。しかし、累積資金収支が黒字転換をするのは二○四七年から二○五六年であるとされています。昨年、交通政策審議会で、この地下鉄新線が重要プロジェクトに位置づけられたことから、同年六月に国土交通大臣と東京都知事に要望書を提出いたしました。

 今後ですが、構想における事業性について、答申に示された臨海部、豊洲・有明地区を抱えている江東区や常磐新線の臨海地域地下鉄への乗り入れにかかわる茨城県、また鉄道関係機関との連携を含め、受け身では今後発展しないものと考えられます。昨年四月の交通政策審議会には、事業性の確保に向けて、都心部・臨海地域地下鉄構想と常磐新線延伸を一体で整備し、常磐新線との直通運転化などを含めた事業計画について検討が行われることを期待とあります。

 そこで、お伺いいたします。

 報告書提出以降、本区には改めて晴海から築地、銀座を通り、東京駅へとつながる新線の構想がある中で、臨海部、豊洲・有明地区を抱える江東区や常磐新線の臨海地域地下鉄への乗り入れにかかわる茨城県、鉄道関係機関、東京都との連携や情報共有の観点から、報告書以降の本区の動きについてお知らせください。

 次に、集合住宅の増加に伴うコミュニティの変化への対応についてお伺いいたします。

 東京が競争力を失うと、その富を得るのは、実は海外の諸都市であって、地方ではないとの主張は、区長も御推薦をされた「東京一極集中が日本を救う」にある一説です。少子高齢化社会においては、富が分散されることにより競争力が低下するという原理だそうですが、これは一面で真理である一方、都心部にありがちな厳しい子育て環境により、出生率の低い東京圏に人口が集中することは、ますます日本全体の人口減少につながると私自身は思います。

 人口が一極集中することの意味は、人が密集することで生じる競争原理の激化と他者への無関心です。第四十四回世論調査では、約五割の人が同じフロアに住む人をほとんど知らないと答えています。これは決してよい影響とは言えず、日本型福祉社会を支えている連携と相互扶助という、家族や隣人との協力関係を破壊してしまう一面を持っています。市場原理に影響を受け、競争が当たり前の地域が蔓延することにより、例えば子育て中のお母さん同士でも、集合住宅の階数による価格差、我が家とよそのおうちという意識が生まれ、他者への思いやりや愛情を希薄化させ、家族や地域社会を壊してしまいます。

 そこで、お聞きします。

 世代間における人口バランスが他区とは異なり、しかも、約九割が集合住宅に住まう本区では、集合住宅におけるコミュニティをどのように描き、どのように実行していくのか、この状況下の中央区スタイルとは、どのようなことを踏まえているのか、具体的にお答えください。

 次に、コミュニティの将来像の一つとして、SNSなどの普及によって成立する電子町内会について質問いたします。

 現在の情報化社会に関する数々の提言を残したアルビン・トフラーは、新しい時代の波を、古い社会と古い文化を脇へと押しやるものと定義しました。トフラーによると、自給自足が主流であった農業文明から産業文明を迎えると、ほとんどの人々は他者によってつくられた食料や財貨、サービスに依存しながらの生活を始めました。

 日本では、一九三○年に農業人口が半数以下となり、一九五五年にはサービス人口が農業人口を超え、市場による交換が経済の中心部分に位置し、男性は働きに出かけ、女性は家事に従事するという分離を生み出しました。家計という単位において、生産と消費を区別するのに好都合であった核家族へと変化をし、時代が大家族の必要性を脇へと押しやりました。

 産業文明から現在への変化においては、大新聞や大衆雑誌は軒並み発行部数を落とし、メディアが非マス化している中で、人々の嗜好も多様化し、社会の構成員全体が細分化されています。これまで以上に、グループ構成員ごとの部分間調整、考え方や価値観の違いと共通認識をお互いに共有するまでに要する時間と労力がかかり、構成員ごとの部分間を流れる大量の情報も必要とされるようになりました。人も組織もインターネットを利用し、常に大量の情報を求め続けることが今後も予測されています。

 ここで、将来像の一つとして、SNSなどの普及によって成立する電子町内会という概念が浮かびます。マーク・ザッカーバーグが立ち上げたフェイスブックは、平成二十六年現在、世界で十二億人を超えるユーザーに利用されています。平成二十三年版の情報通信白書によると、最もよく利用する上位六つのコミュニティに町内会・自治会活動がランクインしています。

 そこで、お聞きします。

 時代は、確実にインターネットによる情報共有や交流を受け入れました。二十年後を見据え、本区における極めて特殊な人口構成、約九割が集合住宅で暮らし、お互いに顔の見えない中で、多様性と区民ニーズに応えるための電子共同体をコミュニティづくりに生かすべきだと思います。それに先駆けた研究調査を行うことへのお考えについて、お答えください。

 先進事例として、平成十四年から岡山市で行われた電子町内会があります。岡山市が電子町内会を開発した目的は、主に、多忙な人が時間にとらわれず町内会活動を知り、あいた時間で実務を手伝える、地域住民同士のコミュニケーションを促進させる、パブリックコメントや電子アンケートなどを通じ、住民参画の促進を図るの三点です。機能としては、誰もが閲覧可能な地域文化の発信を目的とした外向けページと、町内会員限定の内向きページがありますが、町内会活動の主体となる高齢者はインターネットの利用が難しい世代であるため、岡山市は高齢者の電子町内会の操作サポートを徹底したそうです。現在、電子町内会員として活動している人は七千二百三十一人、町内会への普及率は二○%を超えても上昇傾向であることから、市民ニーズによる機能を追加させることを検討しているそうです。

 そこで、お伺いします。

 岡山市の先進事例を本区に生かして、誰もが閲覧可能な町内会ホームページのさらなる充実と、町内会員限定の内向きページを新たに作成し、若い子育て世代の御家族を含めての町内会交流の質と量を担保し、さらに活発な活動を推進していくべきですが、そのことに対するお考えをお聞かせください。

 次に、子育てをめぐる多様な価値観に対応した区民への就労支援についてです。

 一昨年に女性活躍推進法が施行されてから、一年八カ月になります。三百一人以上の労働者を雇用する事業主は、優秀な人材の確保と企業の競争力向上につなげるため、自社の女性活躍に関する情報の公表を進めています。その一方で、育児に専念をして、ある程度子育てが落ち着いた後で再び仕事を探したいという価値観も尊重しなければなりません。子を持つ保護者たちがみずからの希望に沿った形で就労につき、男女がともに希望を持って子育てと仕事に取り組めることこそ、真の男女共同参画社会であると私は思います。

 ことし二月、ソニー生命が行った調査によると、家事を時給換算すると幾らになりますかとの問いについて、未就学児の育児・世話は一千四百十三円との調査結果があります。特に、未就学児の育児については、二十四時間三百六十五日続きますから、年収にすると一千二百三十八万円に上ります。総務省発表の統計資料をもとに、課税対象所得の総額を納税者数で除算した額を平均所得とすると、本区の一昨年の一人当たりの所得は六百十一万円です。育児とは、世代間をつなぐとうとい営みであり、原則的には未就学児を持つ保護者の子育てを賃金に換算することはできないと思います。しかし、本区の平均所得と比べ、未就学児の育児が平均所得の二倍であると評価をしているのは大変興味深い結果であると思います。

 そこで、お伺いします。

 価値観の多様化に伴い、一旦仕事を退職し、育児に専念する生き方をみずから選んだ保護者も尊重し、その方たちが希望する就労を再開させるための支援、例えばパソコンスキルの習得や定期的なブラッシュアップなどを推進することについて、本区のお考えをお聞かせください。また、ブーケ21の男女共同参画社会の理念を就労支援に生かして、一度退職したお母様たちがみずからの希望で再び就労の機会を得るための本区独自の施策推進が求められていると思います。その点についてのお考えをお聞かせください。

 待機児童解消のための対策には、全庁挙げて取り組んでくださっていると認識をしております。平成二十年度、保育所などの定員数は一千九百六名に対し、平成二十九年度は四千七百四人までに二千七百九十八名もの拡大を行ったものの、平成二十九年四月の段階では前年度を六十一名上回る待機児童数でありました。アベノミクス効果で景気が回復したことで、子供を預けて働きたい人がふえたのは事実ですが、本当に子供を預けて働きたいのか、仕事と家庭を両立させることができるのかについては、子育てとキャリア形成の両面からの板挟みとなり、難しい判断であると思います。かつては私も、キャリアか子育てかは人生で一番悩んだことと言っても過言ではありません。結果、私は子育てに専念する道を選んだわけですが、悩んだこと、そして育児に専念した数年間に子供と毎日向き合えた、このことがあるからこそ、今の私があるのではと、当時悩んだこと、そして決断したことは後になって正しかったとわかりました。

 子育てをめぐる考え方は、多様であるべきです。だからこそ、保育所は本当に必要な方だけが利用する場であるべきと思います。そのためには、区としても、男女共同参画への啓発活動の一環として、ブーケ21を活用し、子育てと仕事の両立に対する多様な価値観を、本区で子育てをする保護者に見直していただくような機会づくりを推進すべきと思います。この点について、お考えをお聞かせください。

 以上で私の一回目の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 佐藤敦子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、本区を取り巻く状況の変化についてであります。

 現在策定中の基本計画は、本年六月に策定した新たな基本構想を実現する長期総合計画として策定するものであります。策定に当たっては、近年の人口増加の傾向や選手村跡地における大規模な住宅開発の見込みを反映させた最新の人口推計を前提としております。また、築地市場の移転や東京二○二○大会の開催、首都高速道路の移設・撤去を含む日本橋川沿いエリアのまちづくりなど、本区の将来に大きな影響を及ぼす動向を踏まえたものとしております。今回の計画は、新たな基本構想を受けて策定するものであり、将来像の実現に向けて、大きな一歩を踏み出すための具体的な取り組みを示してまいります。

 次に、いわゆるながらスマホへの対応についてであります。

 歩行中や自転車等を運転しながらスマートフォンを操作することは、他の歩行者や自転車等との接触、衝突の危険性が高まることから、ながらスマホに起因する事故・事件やトラブルが増加しております。そのため、携帯電話各社はもとより、鉄道事業者等においても、ながらスマホの抑制に向けた各種取り組みがなされているところであります。区としましては、広報紙やホームページでの周知に加え、春・秋の全国交通安全運動における推進要領に自転車乗車中のスマートフォンの使用禁止を明記し、区内警察署など関係機関と連携したキャンペーンを通じて、歩行者や自転車利用者に対するルール・マナーの向上と事故防止の注意喚起を行っております。また、ながらスマホで実際に起きた自転車事故を再現する交通安全教育を実施するなど、各種啓発活動を計画的かつ効果的に行っております。今後とも、関係機関と連携し、交通安全のつどいなど、さまざまな機会を捉え、啓発活動を積極的に行うなど、ながらスマホの防止とルール・マナーの向上に努めてまいります。

 次に、人為災害訓練の実施についてであります。

 弾道ミサイルやテロなどの緊急事態においては、本区国民保護計画に基づき、住民の保護措置を的確かつ迅速に実施するとともに、住民の方にはみずからの命を守るための行動を御理解いただくことが重要であります。そのため、区では、ホームページやリーフレットにおいて、緊急事態に応じた避難行動や警報のサイレン音などの意識啓発に取り組むとともに、防災行政無線や緊急告知ラジオを用いた全国一斉情報伝達訓練により、Jアラートシステムの周知に努めております。現在、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練は、国と自治体の共催により、主に日本海沿岸部を中心に全国二十二カ所で実施されております。しかしながら、大都市部での訓練につきましては、事業所、来街者への周知や大規模な交通規制など、さまざまな課題もあり、いまだ実施されていない状況であります。区といたしましては、国民保護に関する住民への広報・啓発活動をさらに充実するよう国に働きかけるとともに、より実践的な訓練のあり方について国や都とも協議し、研究してまいりたいと存じます。

 次に、生産年齢人口の増加についてであります。

 本区の生産年齢人口は、十一月一日現在、約十一万人で、人口の七○%を占め、区の大きな活力となっております。しかし、このうち十五歳から二十四歳までの人口については、約九千五百人と、他の世代に比べ、少ない状況にあり、今後も区が活力を維持し、さらに発展を続けていくためには、この世代の人口増加が重要であると認識しております。現在、出生数は年間二千人を超え、年少人口の中でもゼロ歳から九歳までの人口は着実に増加しております。この世代がこれから先もふるさとである本区に住み続けられる環境を整備することで、生産年齢人口がさらに増加し、区の発展につながるものと考えております。そのため、今後も子育て世代への支援や質の高い教育の展開など、子供が健やかに育つ環境を整備するとともに、生活に必要な施設やまちのにぎわいに寄与する施設の誘導など、全ての人が幸せを感じ、安心かつ快適に生活できるまちづくりを多角的に進めてまいります。

 次に、築地市場移転をめぐる本区の現状と東京都との交渉についてであります。

 昨年八月の築地市場移転延期に伴い、環状第二号線の整備や東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会での輸送拠点整備、BRT事業の進捗などに既に影響が出ております。東京二○二○大会の成功と、その後の選手村跡地を含めた月島地域の発展のためには、築地市場移転から始まるさまざまな事業を遅滞なく確実に進めていくことが必要であると考えております。また、築地市場跡地の再開発においても、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいを継承しながら進めていくことが、本区のみならず、東京の持続的発展のためには重要であります。そのため、区では、一連の課題について、議会の皆様とともに都知事宛てに要望書を提出したところであります。今後も、都に協力すべきところは協力しながら、地元の声、要望を着実に伝え、反映していただけるよう努めてまいります。

 次に、地下鉄新線についてであります。

 区では、平成二十八年四月の交通政策審議会での答申を受け、国に対し、早期実現に向けた要望書を提出するとともに、都に対しては、昨年六月と本年九月の二度にわたり、都心部・臨海地域地下鉄構想の早期着工・早期開通に向け、事業計画の検討に積極的に取り組むよう要望書を提出しております。また、常磐新線延伸との一体整備を見据え、つくばエクスプレスの運行事業者である首都圏新都市鉄道株式会社はもとより、茨城県や流山市など沿線自治体との情報交換を通じ、緊密な連携を図っております。地下鉄新線の実現に当たっては、関係自治体や鉄道事業者などによる事業計画等を協議する場が必要なことから、今後とも都に対し、検討組織の設置を強く働きかけてまいります。

 次に、集合住宅のコミュニティづくりと電子町内会についてであります。

 地域コミュニティにおける中央区スタイルとは、近年の就業形態や価値観の多様化などに対応しつつ、長い時間をかけて培われてきた下町ならではの良好な地域コミュニティを継承・発展させていくことであります。電子町内会への取り組みにつきましては、本区が運営している町会・自治会ネットがあります。掲示板機能はあるものの、利用には会員のログインパスワードが必要となることなどから、一部の町会・自治会では、簡単に利用できるフェイスブックなど、既存のSNSを独自に活用しております。最近では、ご近所SNSという交流サイトも登場しており、こうしたコミュニケーションツールは、特に集合住宅にお住まいの若い世代のコミュニティづくりに役立つと思われることから、現在、その活用について検討しているところであります。また、中央区スタイルの地域コミュニティ実現のためには、お互いの顔がわかる関係づくりも大切であります。SNSなどの活用とともに、地域イベント助成など、住民同士の交流のきっかけづくりや町会・自治会活動の紹介などを幅広く展開し、ぬくもりのある豊かな地域社会を築いてまいりたいと存じます。

 次に、女性の再就職支援についてであります。

 中央区男女共同参画行動計画の改定に当たり、昨年実施した男女共同参画に関するアンケート調査で、女性が働くことに対する考えを尋ねたところ、回答者の約二六%、三十代・四十代の女性では約五○%の方が、「子どもができたら働くことをやめ、子供が成長したら再び働く方がよい」と答えております。また、現在働いていない人の就労意向を尋ねたところ、三十代の女性の八八%、四十代では五六%の方が「働きたい」と答えております。こうしたことから、区が女性の再就職を支援することは大変重要なことであると認識しております。現在、区では、パソコンの操作方法などを習得するためのキャリア講座や再就職相談、就職とキャリアアップを応援する若年者・中小企業マッチング支援事業などを実施するほか、ひとり親家庭に対しては、資格取得を支援するための自立支援給付金の支給などを行っております。女性の職業生活における活躍を推進していくために求められる中央区スタイルの施策につきましては、職住近接など、本区の特性を生かしながら、男女共同参画推進委員会の意見等も踏まえ、積極的に検討してまいります。また、子育てと仕事の両立に対する多様な価値観を見直す機会づくりといたしましては、育児中の保護者の意見交換の場であるほっと一息わたしの時間や、女性の生き方を初め、さまざまな相談に専門のカウンセラーが応じるブーケ21女性相談などを実施しておりますが、引き続き多様な価値観を踏まえた男女共同参画社会の実現に向けた普及啓発事業に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

     〔四番 佐藤敦子議員登壇〕

○四番(佐藤敦子議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 ながらスマホなどの事故防止策でありますけれども、第三回定例会の際も我が会派から、ポスターやステッカーの表示、あるいは条例の制定についての質問がありましたが、条例制定については慎重な姿勢であると、そういった御答弁でありました。であるならば、公道における歩きスマホを含めた今後の課題、それから解決策をしっかりと区民に周知していく、このことがまず第一歩として有効ではないかと思った次第であります。

 先ほど、ながらスマホに関する広報紙、それから本区のホームページ、春と秋の全国交通安全運動で警察等と連携をした啓発活動という御答弁をいただきました。あわせて、ビデオを使っての交通安全教室というような前向きな御答弁をいただきました。まさしく、中央区スタイルとは、今のうちに手を打てることをしっかりと打っていく、将来にわたり問題を大きくさせない、過剰な関連予算として未来の子供たちにツケを残すことを絶対に避ける、こういったことであると私は思っております。今後もしっかりと対応策、予防策をお願いいたしたい、このことを要望いたします。

 まちづくりにおける中央区スタイルとはどんなことかという質問でありました。

 築地市場の跡地、晴海選手村の跡地の再開発においては、そもそもが市場の移転という大きな前提のもとに動き出した構想であり、東京都との手続も整えたわけですから、昨年十一月の移転は確実なものであるはずだと信じていた。これがこのような結果となり、信じたことが過信であるというのならば、本当に何を信用したらいいのかわからないという状況であると思います。しかし、これが現実であり、それがたった一人の政治家によって行われ、結果として、何も決まらなかった。このことを踏まえ、今後もしっかりと区の発展のために交渉努力をお願いしたい、このようなことを要望いたします。

 その上で、一つ再質問をお願いしたいと思います。

 当初計画でありました築地跡地の地下から築地大橋に出て豊洲までという地下トンネルは、現在、棚上げとなり、暫定道路で対応することになっている環状二号線でありますが、暫定道路におけるオリンピック・パラリンピック後の地下トンネルの整備において、築地からの入路、そして新大橋通りへの二車線での出路について、環状二号線の本格開通時の築地の出入路については、本区にとり、大変切実な問題であると思いますが、交通結節点について東京都との交渉をどのように進めておられるのか、お聞かせください。

 集合住宅のコミュニティについてです。

 ヒト・モノ・カネを集約していくことによって、その地域の経済を活性化させ、雇用や経済効果を生み出す、このことがまちづくりの大きな要素の一つであると思います。しかし、三要素が集中することにより、本来ある伝統や文化と相入れない点がある、このことを端的にあらわしているのが地域のコミュニティであると思います。本当に守るべきものは何であるのか。それは区民の生命・財産、安心と安全であり、そのためのコミュニティづくりであると、そういった原点を忘れずに、時代の趨勢に応じたコミュニティのあり方もお考えいただきたいと思います。このことを要望いたします。

 子育て支援についてです。

 保育園をつくってもつくっても定員が満たされてしまうという現状は、人口構成から見ても、子育て世代が圧倒的に多いこの中央区において、仕方のないことだと思います。しかし、その中においても、本当に保育園を必要としている方に保育園を利用していただきたい。このためには、今御答弁にありました再就職の支援をしっかりしていくということです。区のマッチング支援事業であったり、あるいは職住近接をしっかりと進めていく、こういったこと推進し、一旦お仕事を離れてしまった保護者の方々にも再就職の機会づくり、また、そもそも子育てとは何か、仕事と両立をさせることばかりにとらわれず、一度仕事から離れても、またチャレンジする機会がある、いつからでもチャレンジできるんだ、このような地域をつくっていくべきだと思います。

 中央区スタイルの意味の持つ漠然さを、誰もが憧れる中央区のイメージに進化させるのは、言葉の持つイメージよりも、常に足元の現実を見て結果を出していくことだと思います。つまり、一つ一つの課題に対する行政としての取り組み方と姿勢が問われていると思います。このような視点に立ち、中央区スタイルとはどういうことなのか、これを具体的な現状の変化を例にとり、十二項目の質問をいたしました。

 現在の自民党、とりわけ内閣が支持率を得ている点は、経済を成長させることに集中をしているからだと私は思っております。これを中央区に置きかえると、一つに、ヒト・モノ・カネを集約して、いかにまちづくりを通じて活気やにぎわいといった経済活動、そして人と人とのコミュニティを活発にしていくか、そして、もう一つに、最も多い三十歳から四十歳代が抱える大きな課題である子育て支援を通じて区民福祉の充実を図っていく、このことだと私は思っております。

 おおむね前向きな御答弁をいただきましたこと、大変有意義であったと思います。

 引き続き、再質問に対する御答弁をお願いいたします。

     〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 佐藤議員の再質問にお答えをさせていただきます。

 環状二号線の整備がおくれたということについては、非常に困ったことなんですが、その環状二号線、どういう形でおくれているかということでございますが、環状二号線の本線、地下を通じてつながっていく道路の部分というのは、築地市場のところで地下に潜って、新橋、虎ノ門方面に向かう道路の部分がオリンピックには間に合わないという状態になっております。

 その前提になります、つまり本線ができ上がるまでは暫定道路というもので、築地市場の移転が終わって数カ月の間に、浜離宮側にせり出している河川の上に暫定道路というのをつくりまして、これを新大橋通りのほうにつなぐというのが、上り下りで計画をされております。その上で、オリンピックの直前になりますと、地下の部分はできませんけれども、環状二号線の本線の側道に当たる、いわゆる地上部道路というものがございまして、これはオリンピックの年の三月までに完成をさせると言っております。

 ただ、佐藤議員御指摘のとおり、実は、この環状二号線のつくり込み方は、ちょっと不十分な部分がございまして、側道にしても、あるいは暫定道路にしても、新大橋通りに抜けているわけでございまして、現実の問題として、例えば、そこから場外のほうにどういう形でアクセスするか、あるいは場外の側の築地市場の跡地の側にどうアクセスするかというようなことになりますと、今の構造では大変弱いところがございます。

 この部分については、築地市場の敷地の中で行われる、これから例えば解体であり、そして整地であり、それからまた再建築であり、そういうことの動きの中で、そういうものが全部新大橋通りや晴海通りに、外部に出ていったのでは困るので、築地市場の中で起きることは、そのまま環状二号線にスムーズに吸収されていくような流れにならなければ困るという部分が、佐藤議員が御指摘されたスムーズな交通という部分で問題になるわけでございまして、それを私どもも再三東京都に指摘をしているところでございます。この部分については、東京都のほうも理解をして、改善策については検討しているところでございますが、抜本的には、その部分についての手続を行うには時間がございませんので、基本的には、暫定道路あるいは地上部道路において暫定的な改善策を施しながら、本格的な開発の時点において、きちんとした整備をさせていくような方向で、今、協議・調整を行っているところでございます。

 いずれにしても、あそこの二十三ヘクタールの部分で発生する交通量というのは膨大なものでございますので、それらが外部に持ち出されることのないような道路構造のありようを地元区としては、東京都に対して強く迫っていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○四番(佐藤敦子議員)
 自席にて発言いたします。

 大変わかりやすく、そして建設的な御答弁をありがとうございました。

 今後もまちづくり、そして東京都との交渉になお一層の御努力をお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(鈴木久雄議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時二十七分 休憩


     午後三時四十五分 開議

○議長(礒野 忠議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十七番墨谷浩一議員。

     〔二十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十七番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、平成二十九年第四回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 初めに、健康寿命延伸の取り組みについてから質問いたします。

 健康づくりチャレンジポイント制度についてお伺いいたします。

 昨今、健康に対する意識が高まり、各自治体でも健康の向上のために積極的な施策がとられ、徐々に疾病の予防や健康維持・増進にも重点が置かれるようになって、実績も伴ってきたと思います。

 ある調査では、長野県では、就業率が高い、男性五位、女性四位、六十五歳以上就業者割合が高い、男性一位、野菜摂取量が多い、女性一位、保健師数が多い、女性一位、メタボリックシンドローム該当者・予備群割合が低く、四十五位で、都道府県の合計は四十七なので、優秀な成績だとわかると思います。

 白澤医師著書「長寿県長野の秘密」には、過去に脳卒中が全国でもトップクラスであった、大きな原因が塩分摂取量の多さであったため、昭和二十年に長野に赴任した医師が予防医学の考え方を広めていった、ここから改善の流れができ、長寿県になったとあります。当然、一つだけの施策で改善されたわけではなく、比較的に保健師数が多い、メタボの割合が少ないなど、複雑に絡み合っているそうです。さまざまな取り組みで、長野県は平均寿命一位、健康寿命、男性六位、女性十七位となっている県です。

 そこで、健康幸福都市を目指す長野県上田市を視察してまいりました。上田市では、健康幸福都市を目指して健康幸せづくりプロジェクト事業に取り組まれております。同事業は、超高齢化社会を見据えた具体的な施策として、六本の柱から成ります。

 一、子どもの健康づくり支援の体制強化には、やがては中高年になるとの視点で、子供の状態に合わせた理学療法士などが個別指導するなど、しゃがみ込みや雑巾がけができない子供が増加していることに対応する。

 二、若い世代からの健康づくり支援の推進には、三十歳代健康診査を導入し、保健指導とあわせ、早期の生活習慣病対策を行っている。特定健診の未受診者宅の個別訪問の徹底、二十歳の無料歯科健診を行う。

 三、楽しみながら続ける健康づくり支援の構築には、インセンティブを持たせた健康づくり支援を行う。上田市健康づくりチャレンジポイント制度を平成二十七年六月一日に施行しています。各種健診を受けることでポイントが付与されます。また、「真田家の絆バーチャルの旅」と題して、一日五千歩ごとに一ますを塗り潰し、三回に分けて、その時点で体組成測定をしてポイントが付与され、楽しみながら健康づくりの継続ができる仕掛けをしています。ポイント交換には、社会貢献への寄附を初め、温泉施設、体育施設などの利用ができるようになっています。平成二十九年十月三十一日現在で四千八百六十七人がエントリーしています。

 四、ウォーキング等による身近な地域での健康づくり支援の構築では、健康推進委員、自治会、スポーツ推進委員などと連携して、各地区でウォーキング教室を開催して、身近な地域での健康づくりを推進し、また、ロコモティブシンドロームの予防や介護予防の普及啓発を図っています。

 五、科学的根拠に基づいた健康づくり、信州大学医学部、NPO法人熟年体育大学リサーチセンターとの連携事業では、インターバル速歩の導入により、体重減や腹囲の数値の減が効果としてあらわれています。

 六、運動習慣と地域コミュニティの活性化、朝行うあたま・からだ元気体操の開催で市民の運動の習慣化、高齢者の外出促進、コミュニティの活性化につなげています。

 このように、歩くことをキーワードにした、さまざまな健康づくり事業の展開で健康寿命延伸への取り組みをしています。私は、歩くことは比較的取り組みやすい、どこでもできる、お金がかからないなど、よい点ばかりだと思います。上田市を初め、NPOや自治会、市民を巻き込んだ包括的な施策で健康寿命延伸に取り組んでいると感じました。

 本区では、中央区健康・食育プラン二○一三をもとに、健康推進都市を目指しております。基本目標は、生活習慣病の予防、がん対策の充実、こころの健康づくり、高齢者の健康づくり、食育の推進の五つの目標から成っています。健康づくりの主役はあなたですと位置づけられて、区、地域、医療関係機関、教育関係機関、企業、ボランティア団体などが連携して区民の健康づくりを応援、サポートしています。目標には十年後の区民の姿も打ち出しており、区民の皆さんの健康増進への施策が展開されております。

 全国的に、平均寿命は医療などの発達などで延びていますが、平均寿命と健康寿命の差を縮めて、健康寿命を延ばす取り組みが盛んであります。厚生労働省によると、平成二十二年の本区の男性の平均寿命は、八○・一歳、二十三区中七位です。また、高齢化率一六・一%と、全国平均より低い数値でありますが、六十五歳以上の方は、近年では二万人を超えており、予断を許すことができない状況でもあります。それは、介護の要支援・要介護認定者数も増加し、認定率も増加しているからです。

 本区では、高齢者の方へさわやか健康教室、さわやか体操リーダーの育成をして健康づくりの推進に取り組んでいます。また、生きがいづくり、社会参加の促進では、七十歳就労社会の実現に向けて、高齢者の就業拡大、元気高齢者人材バンク、いきいき館のサービス拡充により、地域社会へとつながる場の提供をしております。そして、本年度には、中央区内に住むひとり暮らしや閉じこもりがちな六十五歳以上の高齢者などが身近な地域で交流できるサロンを立ち上げ、住民主体で運営する通いの場を区内十二カ所で開設しています。団体により異なりますが、主な活動として、健康体操、健康講座、歌などを通して介護予防につながるプログラムを複数取り入れた活動がされています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 私は、これからも一人一人に合った健康寿命延伸施策がますます必要になると思います。そのためには、健康づくり支援のメニューをふやす取り組みが望まれているのではないかと思います。健康増進への場、きっかけ、気づきの場の提供は、自治体として積極的に普及啓発が必要と思います。本区の健康寿命延伸施策のさらなる取り組みとして、子供から大人まで幅広い対象者が取り組めるメニューの一つとして、インセンティブを持たせた健康づくり支援の取り組みの導入について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 科学的根拠に基づいた健康づくりについてお伺いいたします。

 上田市では、信州大学医学部などと連携して、科学的根拠に基づいた健康づくり、インターバル速歩を取り入れています。専用の歩数計を使用して、ゆっくり歩き、早歩きを交互に繰り返す歩き方で、歩数計に消費カロリーの表示や音で歩行のタイミングを知らせてくれる機能が備えられています。

 インターバル速歩のメリットとして、下肢筋力、持続力の向上により、疲れにくい体づくりに役立ちます。また、血圧、中性脂肪、コレステロールの数値の減少が期待できるそうです。インターバル速歩の講座に参加して、実際に六カ月後に体組成測定会などで効果を確認できるそうです。体重が五・四キロ減、腹囲が五・七センチダウンした方や、市民の声として、姿勢がよくなった、体が軽くなった、歩く習慣がつき、楽しさがわかったなどの感想が寄せられているそうです。私は、やせるとの口コミで、それではやってみようかなという背中を押してあげる効果、きっかけづくりもあると思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 歩くことは、容易で、誰でも参加でき、健康によいことは知られていると思います。そこで、より効果の出しやすい科学的根拠に基づいた取り組みも必要と思います。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続きまして、フレイル予防の取り組みについて質問いたします。

 フレイル予防を起爆剤にした新たな地域づくりへの挑戦の取り組みを、東京都で初めて実施した西東京市へ視察してまいりました。

 フレイルとは、虚弱、老衰とも呼ばれ、元気な状態と介護が必要な状態の中間の状態をいい、年を重ねて心身の活力が低下した状態のことであり、より早期に発見・対策できれば、回復度も高くなります。高齢者の大多数が虚弱になるとの研究結果があり、身体機能の虚弱を意味するフィジカル・フレイルだけではなく、認知症等につながりかねない精神、心理の虚弱であるメンタル・フレイル、人や社会とのかかわりが低下した状態である社会性の虚弱を意味するソーシャル・フレイルの三つが、お互いに重なり合い、影響をし合うものとされています。このことから、しっかりかんで、しっかり食べること、運動すること、社会参加をすることをバランスよく実践することが非常に大切であることが、東京大学高齢社会総合研究機構の千葉県柏市での大規模な調査の中でわかりました。

 そこで、自身のフレイルをチェックする方法として、同研究機構は、フレイルチェックというプログラムを開発しました。新たな健康増進活動として、市民の手による、市民のためのフレイル予防をする。イレブン・チェックなどは、自分でシールを張ることで弱点を自覚し、気づき、自分事として自覚できる。また、指輪っかテストのフレイルチェックもあります。指輪っかテストは、測定器を使用せずに、自分の指を使い、サルコペニアの危険度がわかるテストです。

 これらのお手伝いは、基本的に、市民であるフレイルサポーターが行います。このことからも、市民の手による、市民のためのフレイル予防の取り組みがわかります。フレイルサポーターは、特に男性高齢者の参加者が多く、これまで地域に出ることが少なかった意欲ある男性高齢者を獲得でき、地域づくりの核となる人材を呼び込むことができます。また、フレイルチェックに参加した市民に対しては、サークル、高齢者クラブなどを紹介することで、仲間づくり、地域づくりを促進し、さらには孤立する高齢者を減らすことにつながっています。西東京市では、一般的に、イベントの募集には七○から八○%は女性が集うことが多いそうですが、フレイルサポーターは半分を男性で占めていて、東京大学のエビデンスがある取り組みということで、応募者が比較的多いことがわかったそうです。

 NHKのEテレにも西東京市の取り組みが放映されていましたが、フレイルチェックでは、自身の状態が見える化され、フレイルの状態を定期的にチェックできます。このチェックとチェックの間にさまざまな活動への参加を促すことによって、それぞれの取り組みの効果検証ができ、また、定期的にフレイルチェックに参加し、自覚することで市民の予防意識を継続させることができます。Eテレでは、ひとり暮らしの高齢者の方が取材されており、ながら運動など健康への意識向上がされていることがわかりました。

 フレイルサポーターは、第一期十五名、第二期十五名と、計三十人を養成しており、実際に活動も行われているそうです。そして、フレイルサポーターを養成指導するのはフレイルトレーナーで、理学療法士二名、柔道整復師一名から構成され、西東京市はもちろん、近隣市などへフレイル予防を広め、サポーター等の養成を担っています。

 フレイル予防事業の取り組みの出発点は千葉県柏市ですが、東京都の中では西東京市が初となり、平成二十八年十二月二十日に東京大学高齢社会総合研究機構と西東京市の間で連携協力のための協定を締結しました。また、都内では、杉並区、江戸川区、国立市などが事業を行う方向で動いているそうです。

 フレイル予防は、西東京市の課題を解決できる施策で、一、介護予防事業の効果検証が困難で予防意識が継続されないという課題に対して、介護予防事業の効果検証が可能となり、継続的に予防に取り組むようになる。

 二、仲間づくり、地域づくりが困難であるとの課題に対して、サポーターから仲間づくり、地域づくりの核となる人材を確保できる。

 三、介護給付費が増大傾向であるとの課題に対して、将来的な介護給付費を減らすことが可能である。

 これら三点は、どこの自治体でも課題であると思います。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本区でも、本年度には通いの場が本格スタートするなど、健康や介護予防の取り組みがされていますが、より重層的な取り組みとして、今後、フレイル予防活動で介護費の削減、団塊世代の生きがいの活動の場の提供にもつながる取り組みの導入について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、がん対策のさらなる取り組みについてお伺いいたします。

 日本人の二人に一人が、一生のうち一度はがんになるというデータがあります。また、テレビや新聞を見ていても、がん保険のCMが目に入ることが比較的多いと感じます。時代が、働きながら、がんとともに生きる時代へと変化していると感じております。

 国の指針となる第三期がん対策推進基本計画が発表されました。全体目標は、がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す、一、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、二、患者本位のがん医療の実現、三、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築とあります。

 報道によりますと、今回の計画では、がん予防を第一の柱に据え、禁煙や生活習慣の改善、検診率の向上、発がん因子となるウイルス、細菌の感染症対策などによるリスクの軽減と早期発見を掲げたこと、新たに「がんを知り、がんの克服を目指す」をスローガンに、予防、医療の充実、共生を三本柱としたとあります。がんになった後、治療を受けながら、また、治療が終わった後に普通の生活を送るための支援が課題として残されており、そうしたことから、今回の計画に、がんサバイバー、がんと診断された方への支援が盛り込まれました。

 がん患者の五年相対生存率が向上していること、平均入院日数が、平成十四年の三五・七日から、平成二十六年は一九・九日と減っていることなど、三人に一人が働く世代で、がんは治療をしながら働く時代へ変化しています。しかし、職場に迷惑をかけたくない、頭が真っ白になったなどで、治療が始まる前に退職する方が約四○%を超えているという調査もあります。治療と仕事の両立の支援の構築がますます必要となっていると思います。

 東京都の取り組みとして、東京都がん対策推進計画には、基本方針として、一、まず第一に予防を重視します、二、高度ながん医療を総合的に展開します、三、患者・家族の不安を軽減します、四、がん登録とがんの研究を推進しますとあります。医療の発展や社会状況の変化などにより、支援や対策も変わると思いました。

 本区のがんに対する取り組みの中で、がん検診があります。次に上げる数値は、全て平成二十七年度で二十三区中の取り組みの順位です。乳がん検診受診率は三五・七%で一位、子宮頸がん検診受診率三六・二%で一位、大腸がん男女検診受診率は三四・六%で四位、肺がん男女検診受診率は三五・三%で二位、胃がん男女検診受診率は二四・二%で二位と、目標値五○%には届いていませんが、努力されていることがわかると思います。たばこ対策の推進には、平成二十九年四月から、禁煙外来医療費の助成が開始されました。ホームページなどでの普及啓発、講演、中央区医師会主催で本区後援の健康相談、健康福祉まつりでの啓発など、さまざまな取り組みでがん対策の充実が図られてきました。

 がんに関する正しい知識のさらなる普及啓発について、お伺いいたします。

 がん対策に関する世論調査によりますと、インターネットやソーシャルネットワーキングサービス等を通じて、がんに関する情報を取得している国民は三五%を超えており、特に三十九歳以下の年齢では約六割を超えているとあります。しかし、インターネットなどで、がんに関する正しい情報を得ることは非常に困難と考えます。また、がん患者や家族などは、病気の悩みから仕事のこと、治療に伴う外見、経済的な問題など、さまざまなことで課題に直面します。がんの治療法なども新しくなる可能性もあります。そのようながん情報を一元的に提供することは重要と考えます。

 そこで、第一点目にお伺いします。

 がんになった方は、その後、生きていく上で直面する課題を乗り越えていくサポート、サバイバーシップ支援を必要としていると思います。そのためには、本区からがんに対する正しい情報をホームページ上で積極的に情報発信が必要と思います。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 アピアランス支援についてお伺いいたします。

 アピアランスとは外見を示す言葉で、がんのアピアランス支援とは、がん治療による外形変化への影響をカバーする支援のことです。

 国立がん研究センター中央病院には、アピアランス支援センターがあります。二○一三年七月に開設し、がん患者の治療に伴う外見変化への対処を通じ、がん患者が自分らしく日常生活を送れるようサポートしています。

 外見のケアは、単に見える部分を整えるだけではなく、がんと闘う患者を精神面から支える重要な取り組みとして、注目が集まっています。例えば、がん治療により脱毛、肌色の変化、爪の変化、手術の跡などで外見に変化が起こることで鬱になったり、人に会うことを避けるようになったり、外出したくないなどを軽減するサポートです。訪問して感じたことは、ウィッグ、医療用かつらを初め、化粧品、人工乳房などが陳列されており、ちょっとした化粧の方法などにより印象が変わるアドバイスなどで、がん患者さんに自信が湧き、仕事や外出をしたくなるように後押しをしていることをお聞きしました。

 また、男女関係なく、がん患者さん一人一人に寄り添った相談サポートをしてくれる場ではないかと感じました。治療については、医師に相談しますが、アピアランスケアは専門の相談員が対応すべきではないかと感じました。残念なことに、国立がん研究センター中央病院の患者さんに限定しているそうです。現在、全国のがん診療連携拠点病院に勤務する医療者を対象とした研修会を行っているそうで、拡大が期待されていると思いました。

 乳がんを中心としたがん患者会の活動をされているNPO法人ブーゲンビリア統括理事長、内田さんとお会いさせていただいたときに、乳がん患者さんの抗がん剤治療による精神的、肉体的、経済的なハンデを負うこともある。恋愛や仕事に自信がなくなるなど、たくさんの悩みを抱えた方たちの支援をされている中で、行政の乳房再建手術費用の助成や補正下着、ウィッグなどの購入費助成について、支援の必要性のことをお伺いいたしました。二○○六年から自家組織による再建のみが健康保険の適用、二○一三年七月からはインプラントなどによる乳房再建手術も健康保険で行うことができるようになったが、経済的にちゅうちょする患者さんがいらっしゃるのが現実だそうです。

 岩手県北上市では、昭和五十六年にがん対策基金を創設し、がん在宅支援などに基金が使われていました。また、がんの治療をした人の社会参加を応援するために、平成十七年度から、がん対策基金から、がんで治療されている方への支援として、頭髪補正具、ウィッグ三万円、乳房補正具二万円の購入費用を助成することになったそうです。申請書類などについては、北上市役所を初め、病院の相談室などに置かれており、啓発活動も積極的に行っているそうです。虎の門病院に入院している家族の方からの相談で、たまたま病院の相談室に訪問したときに、がん治療に伴う外見、アピアランスケアへの助成制度のチラシが置いてありました。がんサバイバーへの支援がされていると思いました。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区でも、アピアランス支援などが、がんとの共生という観点から、新たな課題として認識されていると思います。さきの一般質問で区長さんより、ウィッグ等の経費助成を含めたアピアランス支援に関し、講演会でのアンケートなどを通じてニーズを把握するとともに、他自治体の取り組み事例について調査・研究を行うとの御答弁でしたが、一、講演会でのアンケートなどを通じてニーズの把握の状況についてと、二、ウィッグ等の経費助成を含めたがん患者へのアピアランス支援導入について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 がん予防対策推進計画の策定について、本区では、平成二十五年三月に健康・食育プラン二○一三を策定し、がん対策を含む五つの基本目標を掲げて、健康づくり施策を推進していますが、さらなるがん対策の充実に向けて取り組みが必要と思います。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 国の指針となる第三期がん対策推進基本計画が発表されました。都も平成二十五年三月の東京都がん対策推進計画(第一次改定)の改定がされる見込みのようです。本区としても、がんに対する包括的な取り組みや支援がますます必要となってくると思います。仮称・中央区版がん予防対策推進計画の策定の必要について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 最後に、環境への取り組みについてお伺いいたします。

 私は、ごみの最後の処分場である新海面処分場の見学会に参加しました。見学会では、さまざまなごみ処理の取り組みについてお話を伺い、東京湾内のごみの埋め立てには限りがあることをお聞きしました。さらなる「もったいない」の取り組みを一人一人が推進していくことが求められていると強く感じました。

 ごみの減量による効果については、東京二十三区清掃一部事務組合への分担金や収集車両等の収集・運搬に係る経費などの削減が見込まれます。また、ごみの収集・運搬や焼却によるCO2排出量の抑制、埋立量の削減による最終処分場の延命など、環境への負荷の軽減も見込まれます。

 中央区一般廃棄物処理基本計画二○一六によりますと、事業系ごみの減量が進まず、ごみの総量の削減目標達成は厳しい状況となっています。また、家庭系ごみの減量目標は達成に近づいているものと推計されています。分別の徹底等を進めれば、さらなる減量も可能ですとあります。事業系ごみでは、廃棄される生ごみ、その他紙類の削減やリサイクルのさらなる取り組みが必要との課題が読み取れます。

 循環型社会形成推進基本法に示されている廃棄物リサイクル対策の優先順位で、第一に、廃棄物の発生抑制、リデュース、第二に、使用済み製品・部品の再使用、リユース、第三に、回収されたものを原料として利用するリサイクルがあります。今回の質問では、発生抑制、リデュースの取り組みを中心に展開します。家庭系ごみの削減には、ごみの戸別収集の取り組み、事業系ごみで廃棄されている生ごみについては、飲食店に絞り、食品ロス削減の取り組みの中で質問を進めます。

 ごみの戸別収集について伺います。

 家庭系ごみの取り組みでは、区民を対象とした施策として、ごみと資源の分け方・出し方、清掃・リサイクルハンドブックなどの啓発冊子の配布、区報、ホームページ等での啓発、子供を対象とした普及啓発、環境パネル展、エコまつり、フリーマーケットの開催、自転車・土のリサイクルなどの促進、リサイクルハウスかざぐるま、環境情報センターの設置・運営などに取り組んでいます。着実に、家庭系ごみの量が、平成十七年度四万二千八百九十八トンから、平成二十六年度には三万四千八百トンと、八千九十八トン、一八・九%減少しております。二十三区全体のごみの推移より減少率が高いことがわかります。区民の皆様の協力と本区の関係者の皆様の努力であると思います。

 家庭系ごみの量が削減できた取り組みについて、台東区へごみの戸別収集の視察をしてまいりました。ごみの戸別収集は、集合住宅以外の一戸建て等の家庭へ、戸別にごみを収集する取り組みです。台東区の取り組みでは、収集ごみ量の推移についても、平成十二年度は六万九千百八十三トン、平成二十八年度は四万三千百四十トンと、削減の取り組みが順調に推移しております。また、区清掃常勤職員の推移も、平成十二年度百八十一人から平成二十七年度九十人と減っております。区のごみの戸別収集の取り組みは、北区、品川区が導入していて、削減の効果が期待できることが推測されていたそうで、平成十六年度二月から、竜泉三丁目泉町会約五百世帯においてモデル実施に取り組みました。最後の調査結果で一一%の削減がされたことがわかりました。その後、平成二十五年度約二万五千世帯、平成二十六年度約三万三千世帯、平成二十七年度には三万八千世帯と順次拡大していきました。三年かけることで人員・機材の一時的な増を最小限に抑えることができたそうです。

 戸別収集による効果には、排出抑制の面、分別の徹底の面で効果があり、排出抑制の面の効果では、一、自宅前に置くごみは少なくしたい思いが働くことにより、不要な包装を断るなど、ごみの発生を抑制する効果が期待できるそうです。

 二、自宅前が汚れないように、きれいに出したいという思いが働くことにより、生ごみの水分を絞るなど、ごみの量を減らす効果が期待できるそうです。

 次に、分別の徹底の効果では、一、誰が出したごみかわかりやすくなることで、きちんとルールを守って出そうという意識が高まり、適正な分別が促進されるそうです。

 二、分別ができない人に対して、直接ごみの出し方の説明や適正に分別するようお願いができる。

 その他のメリットとして、集積所管理の負担やトラブル、ルール違反ごみ、集積所への不法投棄などの問題が解決される。ひとり暮らしや高齢者などの見守りができる。実際に、おばあちゃんが自宅で転倒していて、救助したこともあるそうです。

 今後は、戸別収集の効果が出づらい集合住宅に対する発生抑制、分別排出の働きかけや、事業系ごみの自己処理責任の働きかけを強化していくそうです。ごみ出しについて、一人一人のさらなる意識向上が働き、ごみの排出削減ができたのだと感じました。区民の皆さんの協力と職員の方たちの熱意と工夫などの取り組みで、ごみの削減ができたのではないかと感じました。一時的に職員をふやしたそうですが、取り組みが継続することで職員数も減ったそうです。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区では、家庭系ごみの減量目標は達成に近づいているものと推計されていますが、分別の徹底等を進めれば、さらなる減量も可能とあるとおり、ごみの戸別収集の取り組み導入で、さらなるごみの削減への取り組みができると思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 飲食店への食品ロス削減強化の取り組みについてお伺いいたします。

 日本の食品ロスの現状として、年間の食品ロス発生量約六百二十一万トン、事業系が約三百三十九万トン、家庭系が約二百八十二万トン、国民一人当たりにすると、お茶わん一杯分、約百三十四グラムの食べ物を毎日捨てていることになります。また、全世界の食料援助量が約三百二十万トンです。また、レストラン等飲食店での食品ロスの中では、宴会での食べ残しの割合が最も高く、一八・九%と農林水産省の調査報告があります。農林水産省では、食品ロス削減国民運動を推進しており、運動のロゴマークをつくり、啓発活動の一つとして展開しています。

 食品ロス削減の取り組みの三○一○運動発祥の地でもある長野県松本市を視察してまいりました。

 残さず食べよう!三○・一○運動の始まりについて、説明します。

 松本市役所で、部や課の忘年会、歓送迎会などでは、最初の三十分は席を立たずに、料理をゆっくり味わう時間が暗黙のうちにあったそうです。それでも、お開きになると、料理が残ってしまっていました。もったいないとの考えで、お開き前の十分も追加し、残さず食べよう!三○・一○運動として、平成二十三年五月から実施されたそうです。

 飲食店での食べ残しを減らす取り組みですが、啓発グッズにポケットティッシュ、コースター、ポスター、折り込みチラシ、ミニ上り旗など、運動の内容など、来店時に、残さず食べよう!三○・一○運動のことが気づけるように工夫しています。推進店と料理をいただく側の事業所等にも認定制度があり、飲食店百十店、事業所六十カ所と、運動の輪が広がっています。推進店へのアンケートには、食品ロス削減効果があったと答えた店は三五・七%になっています。また、一般市民意識変化調査では、実に九割を超える人が取り組みの意思があり、食品ロスへの関心が高いことがわかっており、いかに行動に結びつけ、継続させるかが重要との結果が得られています。動機づけにより、半数を超える人に意識の変化が見られることがアンケートでわかっており、食品ロス削減への啓発の取り組みの重要性がわかるのではないかと思いました。

 そこで、積極的に食品ロス削減に取り組むお店を、「残さず食べよう!」推進店マップから選び、訪問してみました。玄関には、推進店ということがわかるプレートがあり、店内には市で作成した啓発用ポスターが掲示されていました。掲示されているポスターの三分の一は白紙となっており、お店からの食品ロス削減の取り組みへのメッセージが添えられています。その他、店内には、ステッカーやポスターがさりげなく掲示されています。市作成のコースターにも、三○・一○運動への取り組みがコンパクトにまとめられております。お店の方にお聞きしますと、非常によい取り組みと思い、当初より三○・一○運動に取り組んでいて、お客様にも運動が定着しているとのことで、食品廃棄も当初より減ったそうです。ランチでは、お客さんが御飯の量を調整できて、少な目にした場合は二十円引きしているそうです。お伺いしたときも、おつまみの量について聞いてくれ、三○・一○運動の取り組みの成果ではないかと感じました。一人一人の削減の量は小さいかもしれませんが、市民、事業者などに向けた啓発活動により、大きな削減につながると確信しました。

 松本市主催第一回食品ロス削減全国大会が、十月三十日に行われました。二○一六年には、一般家庭から出る食品ロスが、二○一三年に比べて一一・六%減少したとの報告があったそうです。

 本区も食品ロス削減に取り組んでいます。家庭向けでは、ごみと資源の分け方・出し方、清掃・リサイクルハンドブック、イベントなどで普及啓発に取り組んでいます。小学校でも、食品ロス削減についてのパネル展示のような取り組みをされているのを見たことを覚えています。

 飲食店での取り組みですが、さきの答弁では、業務ビルの立入検査において、飲食店などから排出される生ごみをリサイクルに活用しており、約三○%が肥料や飼料に再利用されているとありました。私は、さらなる食品ロス削減の取り組みが必要と思います。また、本区独自の取り組みが必要になってくると思います。区民の皆様への啓発は比較的進めやすいと思いますが、昼間の人口が多い現状を考えると、ランチや夜の飲食店など、事業者などを通して区民以外の皆さんにも食品ロス削減の啓発の取り組みに協力していただくことが求められてくると思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 飲食店に対するアプローチは、本区以外の方も巻き込んだ取り組みも必要になってくると思います。飲食店への食品ロス削減の取り組みのアプローチは行いやすいですが、飲食店がお客さんに主体的に食品ロス削減を訴えることは、よいことと思っても、難しいと思います。松本市で訪問した飲食店では、食品ロス削減の取り組みは、当初はお客さんが冷ややかで、全部食べなければいけないのなどの声もあったそうですが、今ではお客さんも協力的になったそうです。飲食店に対するアプローチは、本区以外の方、飲食店に来るお客さんも巻き込んだ取り組みができます。飲食店に対する食品ロス削減の啓発のさらなる取り組みが必要と考えます。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 食品ロス削減中央区方式の導入について伺います。

 次に、さきの御答弁の中で、東京都では、二○二○年に向けた実行プランにおいて、食品ロスの削減に向け、加工・流通事業者等を構成員とする会議体の設置や、企業との連携や消費者の意識啓発を行うことで、消費行動の見直しを促し、食品ロス削減東京方式を確立するとしていることから、今後の都の動向を注視してまいりますとありました。都ホームぺージの知事の部屋には、これまでの経験、知見などを活かして、食品の削減に取り組んでいきたい、また、消費者が、新しい消費行動をライフスタイルに取り入れる、きっかけ作りができればいい、二○二○年を目標に、「食品ロス削減東京方式」を確立したいと語りましたとあります。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 食品ロス削減について、さきの一般質問で食品ロス削減東京方式の動向を注視するとの区長さんの御答弁がありましたが、立ちどまらず、食品ロス削減のさらなる取り組みとして、仮称・食品ロス削減中央区方式を導入してみてはどうでしょうか。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 以上、第一回の質問を終了いたします。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、ウオーキングを通じた健康づくりについてであります。

 ウオーキング、これはすばらしいですね。科学的にも、生活習慣病や生活機能の低下を予防するために有効な健康づくりの手段である、こういうふうに認識しているわけでございまして、私もなるべく歩くように、ウオーキングするようにしているんですけれども、最大の欠点は、うちから区役所まで五百歩しかないんですね。ですから、これを一日五千歩以上、七千歩にしようとすると、大変でね。ロイヤルパークから歩いてきたり、いろいろ苦労するんですけれども、なるべく歩くということは、生活習慣病、また生活機能の低下を防止するという意味で大変重要であるというふうに思っているわけでございます。

 区では、現在、日常生活の中で気軽に運動に親しめるよう、歴史的な建造物や豊かな水辺など、快適に歩くための魅力的な町並みと健康の視点を生かしたウォーキングマップの作成を検討しております。区民一人一人が、楽しみながら主体的に健康の維持・増進に取り組む上で、健康づくりチャレンジポイントを初めとするインセンティブの仕組みは有効な施策の一つであると認識しております。今後は、各種イベントと組み合わせたウォーキングマップの活用など、身近な健康づくりを奨励するための取り組みについて検討してまいります。

 次に、フレイル予防の取り組みについてであります。

 高齢者の健康づくりと社会参加を促進するため、現在、区においては、各種健康教室や生きがいづくり事業に加えまして、区内十二カ所で多彩な通いの場が展開されております。通いの場では、担い手となっている区民ボランティアやさわやか体操リーダーに加えまして、今年度から育成を始めた元気応援サポーターなどにより、毎回体操や歌、脳トレなどの活動が実施されております。また、新たな取り組みとして、筋力アップや口腔機能、認知機能の向上など、フレイル予防にも効果が見込まれる介護予防プログラムについて、専門の研究機関等からアドバイスを受けながら検討を進めているところであります。今後は、こうした介護予防プログラムを通いの場や高齢者クラブ等のさまざまな場で積極的に普及啓発するなど、より多くの高齢者がフレイル予防に楽しみながら継続して取り組める仕組みづくりを進めてまいります。

 次に、がんに関する正しい知識の普及啓発であります。

 区では、本年二月に、区ホームページに乳がんの啓発記事を掲載し、乳がん検診等、本区の取り組みに関する情報を提供するとともに、国立がん研究センターがん情報サービスや東京都のがん情報に直接アクセスできるようにしております。区といたしましては、今後もがんに関する幅広い情報をホームページに盛り込むなど、患者や家族の皆様に正しい情報を提供することにより、治療や生活等を支援してまいります。

 次に、アピアランス支援についてであります。

 がん治療に伴う脱毛等、外見の変化に対するケアは、がんと向き合いながら社会生活をしていく上で大切な課題の一つと認識しております。区では、本年九月に、国立がん研究センター中央病院の医師を講師に、乳がんの最新治療と検診のすすめ、アピアランスケアを内容とする講演会を開催し、受講者を対象にアンケートを実施いたしました。その中で、アピアランス支援について御意見を伺ったところ、アピアランスケアについて初めて知った、もっと知る機会があればよいとの御意見や、がん患者同士の交流と支援を図るピアサポートグループの紹介等についての御提案、またウィッグに対する費用助成についてのお問い合わせをいただきました。区といたしましては、こうした受講生の声を踏まえ、まずはアピアランスケアについての普及啓発や情報発信を行うとともに、ウィッグ等の費用助成につきましては、引き続きニーズの把握に努めてまいります。

 次に、がん予防対策推進計画についてであります。

 区では、平成二十五年三月に健康・食育プラン二○一三を策定し、その中で、がんの早期発見・早期治療、がん予防に対する正しい知識の習得と支援体制の推進、たばこ対策の推進を三つの柱とする取り組みを進めております。今年度、同プランの中間評価を実施し、がん検診受診率の向上や成人の喫煙率の低下等の指標に対する実績を点検した上で、これまでの方向性を継続していくことが確認されたところであります。一方、東京都では、国の新たな計画を踏まえたがん対策推進計画の改定を本年度内に予定していることから、区としましては、これらの動向を見きわめながら、今後の取り組みについて検討してまいります。

 次に、ごみの戸別収集についてであります。

 戸別収集は、ごみの減量と資源化率の向上に効果的であり、集積所への不法投棄の減少にも有効な収集方法であると考えます。しかしながら、戸別収集の対象とならない集合住宅の世帯が約九○%を占める本区においては、戸別収集によるごみの減量効果は多くを望めないものと考えております。なお、高齢や障害により集積所へのごみ出しが困難な世帯には、玄関先まで伺うふれあい訪問収集を行っており、近年、利用者が増加しております。今後も、本区の特性に合ったごみの収集やごみ減量と資源分別の普及啓発に努め、排出ごみ量の一層の削減に取り組んでまいります。

 次に、飲食店への食品ロス削減に関する啓発の取り組みについてであります。

 本区には、一万一千を超える多種多様な飲食店が集積していることから、区民や多くの来街者が利用する飲食店への啓発は、食品ロスの削減に大きく貢献するものと考えております。区としましては、区内の地域別や業種別の飲食業関連団体の方々の御意見も伺いながら、各飲食店が一斉に取り組むことができ、幅広く理解が得られる方策について検討してまいります。また、都では、本年九月に食品ロス削減パートナーシップ会議を設置するなど、食品ロス削減東京都方式に着手したところであり、区としましては、都との連携はもとより、環境や消費生活にかかわる区内の団体とも協力しながら、本区ならではの取り組みを検討してまいります。

 答弁は以上であります。

     〔二十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十七番(墨谷浩一議員)
 おのおの御答弁ありがとうございます。

 大きく三点から、各質問について提案をさせていただきました。

 時間の関係で一点だけ、がん対策について、今後の流れとしては、やはり働く人、また、がんと闘う人全員に対しての支援がますます必要ではないかというふうに思っております。さきにも述べましたが、三人に一人が働く世代で、がんは治療しながら働く時代へ変化していると思います。その時流にしっかりと中央区としても寄り添っていただけるような、そういった施策をお願いします。

 それぞれの施策について要望させていただいて、私の質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)


○二十三番(鈴木久雄議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時四十二分 休憩


     午後五時 開議

○議長(礒野 忠議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十九番小栗智恵子議員。

     〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。積極的な御答弁を期待します。なお、再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

 初めに、平和を脅かす安倍政権の軍拡方針についてです。

 十一月六日、初来日のトランプアメリカ大統領と安倍首相が日米首脳会談を行いました。安倍首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発問題で北朝鮮に対する軍事力行使の選択肢を容認し、対話のための対話では全く意味がないと、対話を拒否する態度を改めて示しました。トランプ大統領が訪日の後、訪問した中国・韓国では、両国首脳はいずれも、トランプ氏との共同記者会見の場で、北朝鮮問題への対応として、対話による平和的解決を主張しています。中国、韓国の首脳の発言との対比でも、対話を否定し、軍事力行使を容認する安倍首相の立場は飛び抜けて特異なものです。トランプ大統領も、韓国での記者会見で北朝鮮が交渉のテーブルに来ることは理にかなっていると述べています。

 区長は、九月の本会議での答弁で、我が国は率先して外交努力を重ねていくことが重要と述べられました。日本政府に対し、対話拒否の態度を根本的に見直して、アメリカと北朝鮮との直接対話を求めることが重要だと考えます。いかがですか。

 六日の日米首脳会談で、トランプ大統領は、日本がさまざまな防衛装備をアメリカから購入することになると発言して、ステルス戦闘機F35に言及し、そうした装備を購入すべきだと堂々と武器のセールスを展開し、それに対し、安倍首相は、米国から高額兵器の大量購入を進めると応じました。日本が兵器をふやして軍事で構えるということになれば、日本の側から軍事対軍事の悪循環に拍車をかけることになってしまいます。

 二○一八年度政府予算案の概算要求では、軍事費は五兆二千五百億円を計上しています。兵器の調達も、アメリカ政府からの購入額が大きくふえています。こうした武器購入費を社会保障に振り向けたら、どんなことが実現できるでしょうか。定員九十人の認可保育園増設に係る国費は、一カ所当たり約一億二千万円です。政府換算によると、二○一七年度の待機児童は約二万六千人、オスプレイ三機分で解決する見込みです。また、北朝鮮の脅威を口実に導入を狙う弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアは一基八百億円です。全国をカバーするために二基必要だとしており、一千六百億円にも達する巨費をつぎ込もうとしています。この金額を月額三万円の給付型奨学金に回した場合、約四十四万人の学生に支給することができます。

 国の予算は、武器購入のためより、もっと社会保障や教育に回すべきではないでしょうか。御見解をお聞かせください。

 国民の不安をあおり、北朝鮮の核・ミサイルから日本を守るためだとして、ミサイル防衛には既に一兆八千億円近くが投入されています。しかし、政府関係者も、迎撃は困難、完全に落とすのは無理と指摘しています。それならばと敵基地攻撃論まで浮上し、さらには、それさえ抑止力にはならない、日本も核武装をすべきと、際限なくエスカレートしています。どんなに軍備を増強しても、ミサイル攻撃から国民を守ることはできません。核戦争になれば、勝者も敗者もありません。軍事的緊張が高まり、偶発的な事態や誤算から、軍事衝突、戦争が起きるような事態は絶対に回避しなくてはなりません。

 今、日本の政府に求められるのは、軍事対応の強化ではなく、憲法九条の精神に立った外交戦略で、北東アジアの平和と安定を築くことに全力を挙げることではないでしょうか。また、区長がこれまでも繰り返し表明されている戦争絶対反対の立場から、政府の軍拡政策についてどうお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

 次に、地方自治法施行七十周年に当たり、改めて地方自治について質問します。

 ことしは、日本国憲法の施行、そして地方自治法の制定・施行から七十年目の年に当たります。日本国憲法は、国民主権、基本的人権の保障、平和主義と並んで、地方自治という一つの独立した章を設け、地方自治の本旨を保障しています。この憲法に基づく地方自治法には、地方公共団体の役割として、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとすると明記されています。

 戦前には、地方自治という規定はありませんでした。都道府県や市町村は戦前からありましたが、それは国の統治のための地方制度であり、戦争体制を支えた国家統制機構でした。戦後、この侵略戦争への深い反省のもとに日本国憲法が定められ、あわせて地方自治法が制定されました。地方自治とは、地方のことをみずから治め、国から独立して、住民の意思に基づいて、その事務を処理することです。地方自治法が制定されて七十年、地方自治が豊かに発展し、定着してきたと言えるのでしょうか。沖縄県辺野古の事例にも見られるように、国が地方にとって決定的なことを勝手に決め、それを地方に押しつけるやり方が強まっているのではないでしょうか。

 一九六○年から一九七○年代、公害問題や福祉の立ちおくれなどの社会問題が深刻化する中で、住民運動が広がり、京都、東京、大阪などでも革新自治体が生まれました。そして、老人医療費の無料化など、地方の先進的な施策が国の制度となるなど、住民自治、地方自治が発揮されてきました。しかし、全国的な地方財政危機を理由にして、国は福祉の見直しなどで自治体経費を縮小させる圧力を強め、国主導の行政改革によって、自治体行政の外注化、民間委託の推進、職員の削減などによる財政再建論が押しつけられました。

 一方、一九九○年代から地方分権改革が叫ばれ、二○○○年、地方分権一括法によって、自治体が国の下部組織として扱われてきた機関委任事務は廃止となり、国は自治体の自主性・自立性に配慮して、国の関与は必要最小限にとどめなければならないという原則が定められました。その後、平成の大合併、三位一体改革、義務づけ・枠づけの見直しなどが、国から地方への分権改革という名で進められてきました。そして、現在、安倍自公政権は、地方創生という名で行政サービスと公共施設などの集約化を進め、大都市を中心とした自治体には国際競争力の強化の名のもとに国家戦略特区などの手法で大型開発を集中し、国の政策を地方に押しつけるやり方を強めています。

 そこで、質問します。

 地方自治をめぐるこれまでの経過を踏まえ、現在、地方自治体の自主性・自立性は拡充されてきているとお考えでしょうか。国の地方に対する統制は、分権改革以前よりも強化されていると考えますが、いかがですか。

 国による地方の支配の仕組みは、財政に最もあらわれています。最近の問題でも、地方創生の大義名分のもと、二○一四年度に、地方税である法人住民税の一部が国税化されました。中央区財政白書では、中央区で十三億円のマイナス影響が出ていること、ふるさと納税も、二○一六年度で五億円、今年度は一・八倍の九億円もの税収減が見込まれるとしており、財政に大きな影響が出ています。さらに、政府の経済財政諮問会議は、地方自治体の基金積立残高が二十一兆円にふえていることを理由に、地方自治体への地方交付税の削減を示唆する議論がなされています。これに対し、地方六団体から、地方の基金残高が増加していることをもって地方財政に余裕があるかのような議論は断じて容認できないという意見が提出されています。

 こうした財政運営上の国の干渉や地方財源の削減について、どうお考えですか。地方自治を踏みにじるものだと考えますが、いかがですか。御見解をお示しください。

 国の果たすべき役割は、地方自治体が地方自治法に定められた住民福祉の増進を図る機関としての役割が果たせるよう、財政需要が増す地方自治体の実情に見合う地方交付税などの財源を拡充して、自治体がそれぞれの実態に即して自主的・自律的に運営できるようにすることだと考えますが、いかがですか。

 中央区では、本年六月に新しい基本構想を決定し、今後、基本計画を策定して、具体化を図ることになっています。この基本計画こそ、地方自治の本旨にのっとった住民の福祉の増進を図る精神に貫かれたものにしていくことが重要です。いかに国からの干渉や国家戦略に沿った押しつけを排除し、自主的・自律的に福祉のまちづくりを進めていくのかが問われています。

 基本構想の施策のみちすじの一で示された、一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちにしていくためには、医療、介護保険など社会保障制度の充実を図ることが必要です。現在、国は、高齢化などで毎年一兆円程度ふえるとされる社会保障費の自然増を六千三百億円に抑制するなどの削減を進めています。これでは、中央区の実情を踏まえた施設整備やサービスの提供に大きな影響を与えます。

 国による社会保障の切り下げ政策を改めるよう求めるべきと考えます。いかがですか。

 施策のみちすじの二の快適で安全な都市環境の問題では、国策である東京一極集中政策、国家戦略特区などによる大規模開発優先でなく、建物の耐震化、バリアフリー化、環境に優しい、ヒューマンスケールのまちづくりを進めるよう求めます。いかがですか。御見解をお示しください。

 次に、地区計画の改定とまちづくりについて質問します。

 中央区では、一九五○年代には十六万人だった人口が減り続け、一九九六年には七万人となり、定住人口の維持・回復が区政の重要課題でした。そこで、区では、一九九三年、用途別容積型地区計画、一九九七年に街並み誘導型地区計画を導入し、区内八割の地域で、マンション建設の際、容積率を緩和することで建物の更新、住宅建設の促進を図る制度を進めてきました。そして、地区計画導入から二十年以上経過し、現在、定住人口は十五万人に回復したことから、今後は、これまで行ってきた定住型住宅に対する容積率緩和を廃止するための地区計画の改定を行うことを打ち出しています。

 一九九八年に制定した基本構想が目標にしていた定住人口十万人は、二○○六年に達成しています。一方、急激な人口増によって、保育所不足や学校の教室不足、高齢者施設の整備が追いつかないなど、インフラ整備のおくれが顕著となり、待機児童問題などが深刻化してきたことから、私たち日本共産党区議団は、大規模開発を進めて超高層ビルを林立させるようなまちづくりは見直すよう繰り返し提案をしてきました。今回提案されている地区計画の改定で、人口増を抑制していく方向にかじを切ったことは当然のことと考えますが、一方で、市街地再開発事業はこれからもどんどん進めていくとしていることは大きな矛盾です。

 現在、中央区内では三十一もの大規模再開発事業が進められています。そのうち、住宅中心の市街地再開発事業は九事業となっていますが、例えば豊海地区では四棟で約五百三十戸あるマンションの建てかえで、再開発後は二棟のタワーマンションをつくり、合計二千百五十戸にする計画です。月島三丁目南地区再開発は、地権者が約百名で、七百五十戸のタワーマンションを計画しています。こうした計画は、保留床を売却してディベロッパーには大きな利益を与えることになりますが、地域の環境への影響や、保育園が足りなくなるなどの問題を一層拡大することになります。これからは、マンション建設だけでなく、人口急増を招く市街地再開発事業も抑制していくことが必要だと考えます。御答弁ください。

 地区計画の改定では、生活利便施設やホテル計画には容積率緩和で誘導を図る方向性が打ち出されています。私は、ホテル建設について、容積率緩和で積極的な誘致を図ろうとするのは問題だと考えます。商業地域とはいえ、たくさんの住民が住み、生活している地域に、ホテルが今以上に建設されることは、不安が大きく、トラブルも起きています。自宅マンションの前の事務所ビルが改装されてホテルになり、窓から部屋が丸見えになって、一日中カーテンをおろして生活せざるを得ない、ホテルの宿泊客が夜中も大声で騒ぎながら歩く、人の家の前を汚したり、ごみを捨てていくなど、平穏な生活が脅かされる事態が区内各地で生まれています。

 ホテル建設は、銀座地区で導入するような良質なホテル計画になるよう全地区的に規制をかける、建設・改修に当たっては、近隣との話し合い、合意を得ることを条件とするなど、ホテル建設を規制することこそ必要だと考えます。いかがですか。御答弁ください。

 次に、築地市場移転問題について質問します。

 小池都知事が国政政党を立ち上げ、都政を国政進出の踏み台にするというやり方に批判が集まる中、十一月十六日には希望の党の代表を辞任し、都政運営に邁進するとしています。小池都知事が、食の安全・安心を守るという公約を守り、豊洲新市場への移転問題をどう解決していくのか、東京五輪の計画とも絡んで、重大な局面を迎えています。

 東京都は、築地市場を移転させた跡地について、環状二号線の整備や二○二○年東京五輪の輸送拠点としての活用などを示しています。しかし、五輪に間に合わせるための市場移転計画は矛盾が拡大しています。

 移転先の豊洲新市場の土壌汚染対策のかなめ、地下水管理システムは、一年たっても水位が都の目標値を大幅に上回っており、地下水からは環境基準の百二十倍のベンゼンが検出され、以前の調査よりも数値が高くなってきています。盛り土のかわりに地下空間をつくっていた問題では、アセスメント条例違反も明らかとなり、土壌汚染対策の追加工事は入札が四回不調に終わり、九件ある工事のうち、契約が成立したのは二件という状態で、工事着工のめどさえ立っていません。

 こうした状況の中、豊洲新市場の開場日を決めるはずだった十一月十日の新市場建設協議会も急遽中止になりました。築地市場で最大の業界団体である東京魚市場卸協同組合では、理事長宛てに全組合員投票による意見集約を求める署名が取り組まれ、市場予定地が無害化されていないのに、開場の日程だけ決めるのはおかしいという声が広がっています。また、物販、飲食、運送などの市場関連事業者有志も移転合意の撤回を求める署名を開始しました。江東区では、区長や議長が、都のやり方は不誠実、現状のままでは豊洲新市場の受け入れは困難というコメントを発表しています。

 そこで、質問します。

 江東区が不誠実な都のやり方に異議を唱えているのに、中央区は唯々諾々と移転を受け入れ、早期移転を求め続けるおつもりなのでしょうか。

 九月に中央区が提出した要望書は、その後、東京都からどういう回答なり、予定が示されているのでしょうか。議会には何の説明もありません。東京都の不誠実なやり方に抗議すべきではないでしょうか。それぞれお答えください。

 豊洲新市場の問題が山積している中、東京五輪を口実に移転日程の決定を急いで、無理な計画を推し進めれば、かえって大変な混乱を招くことになります。環状二号線も、もともと築地市場内の地下を通すはずだったのに、地上化に変更されたため、卸売市場法に基づく協議会の中で、環状二号線の工事によって卸売市場の業務に支障を来してはならないことが確認されています。環状二号線のために築地市場の事情を無視して立ち退かせることはできません。現実的な問題として、土壌汚染対策の追加工事が予定どおり来年七月までに終了して、小池都知事による安全宣言が本当に出せるのか、その後、準備をして引っ越しが間に合うのか、まったく見通しは立ちません。

 東京五輪を成功させるためには、築地市場の豊洲移転が予定どおり進まない事態を想定した環状二号線や輸送拠点の整備、選手村にかかわる交通課題の検討が必要になってきていると考えます。いかがですか。

 みんなの築地を合い言葉に、土壌汚染の豊洲への移転の中止を求めている築地女将さん会の皆さんは、築地市場で培われてきた目ききのわざ、食文化、物流効率にすぐれた施設の価値を生かして、東京五輪の際、世界中の方に築地の本物の和食を食べていただきたいと訴えています。五輪のために築地を更地にするというスケジュールありきの考え方をやめ、築地の食材でおもてなしという選択も必要ではないでしょうか。御見解をお聞かせください。

 次に、二○一八年度から二○二○年度を計画期間とする第七期介護保険事業計画の策定について質問します。

 介護の社会化を掲げ、二○○○年から始まった介護保険制度ですが、国の社会保障制度の連続改悪、社会保障費の自然増の強引な削減が矛盾を拡大させ、保険あって介護なしという状況が広がっています。二○一六年から要支援者の予防サービスは自治体独自の生活支援総合事業に移され、緩和型のサービスも始まりましたが、中央区でもシルバー人材センターによるサービス提供の利用者はわずか一名とのことで、利用は進んでいません。

 特養ホームの入所の要件は、原則要介護三以上に制限されたことに加え、施設不足で、希望してもすぐに入所できないため、有料ホームに入らざるを得ず、費用負担が大変という相談や、家族の介護で疲れ果ててぐあいが悪くなった老老介護のお宅など、区内でも深刻な状況が広がっています。

 中央区で行った高齢者の生活実態調査及び介護サービス利用状況等調査報告書によると、介護保険の居宅サービス利用者の約六割が高齢者のみの世帯で、そのうち、ひとり暮らしの方が三割です。利用料負担について、「負担である」、「やや負担である」という方を合わせると四割を超え、施設への入所・入居の「申し込みをしている」方が一三%、「検討している」は二○%とのことです。今後も「自宅で暮らしたい」という希望は約六割に上り、住みなれた地域で暮らしていくために、家族の介護負担を軽減するための施策の充実に力を入れてほしいという意見が最も多くなっています。

 そこで、質問します。

 実態調査で明らかとなった家族介護、老老介護、ひとり暮らし高齢者の生活実態から、介護の社会化という介護保険の目的に照らして、現状のどこに課題があるとお考えですか。お答えください。また、生活支援総合事業の緩和型サービスの利用が進まない理由について、御見解をお示しください。

 ことし五月、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が可決されました。この法律は、介護保険法だけでなく、健康保険法、児童福祉法など三十一もの法律を一括して改正し、医療・介護の一体的改革や高齢者と障害者・障害児の福祉などを複合化させた膨大な内容のものですが、衆議院の委員会では二十二時間、参議院では十六時間という短時間の審議で決められてしまいました。

 今回の介護保険法改正の大きな柱は、地域包括ケアシステムの深化・推進、それと介護保険制度の持続可能性の確保です。介護保険制度の持続可能性の確保というのであれば、国庫負担の割合を大幅に引き上げることで財政的に支え、制度を持続、充実させることこそ必要だと考えますが、いかがですか。

 介護保険料の引き上げや現役並み所得者の利用料三割負担化で利用者、家族への負担をふやし、利用を抑制していくことは問題です。いかがですか。

 地域包括ケアシステムの深化・推進として打ち出されているのが、「我が事・丸ごと」地域共生社会です。地域のさまざまな課題を住民一人一人が他人事でなく我が事として捉え、助け合いや自助努力で公的支援に頼らない方向を強める狙いがあります。私は、介護保険の公的サービスの利用を減らしていくやり方ではなく、中央区の第七期の事業計画で、公的支援を充実させて、住みなれた地域で必要な介護サービスを利用でき、家族介護に頼らない体制をつくっていくことを求めます。

 区が中心になって、地域包括支援センターや社会福祉協議会の地域福祉・生活支援コーディネーターと協力し、医療・介護にかかわる関係機関の連携を強め、サービスを充実させていくことが大切だと考えますが、いかがですか。

 在宅サービスの充実とともに、特別養護老人ホーム、小規模多機能型施設、グループホームなど、多様な施設を計画的に整備し、食費や部屋代への公的補助などで低所得者が利用できるよう改善することとあわせて、事業計画に盛り込むよう求めます。御答弁ください。

 最後に、障害児の発達支援のための教育について質問します。

 心身に障害のある児童・生徒のための特別支援学級の在籍児は、全国的に、この十年で約二倍になっています。同時に、従来から多かった知的障害の子供に加え、対人関係をうまく結べない情緒障害や発達障害の子供、障害の重い子供など、障害の状態が多様になっています。

 ところが、学級編制基準はこの十七年間変わらず、従来のような丁寧な教育ができなくなったなどの悩みが深まっています。また、多くの学校で、施設や教室の不足や不十分さが深刻になっており、子供の急増と障害の多様化に見合った条件整備が必要となっています。

 現在区内には、明石小学校、月島第二小学校と銀座中学校に特別支援学級がありますが、中央区でも近年、在籍する子供たちがふえ、障害の多様化への対応も求められています。特に、銀座中学校は現在十八名が在籍し、来年はもっとふえると予想されることから、教室不足の解消が緊急の課題となっています。

 障害のある子供の人数が全国的にふえていると言われていますが、中央区でのこれからの見通しはいかがですか。また、特別支援学級の現況と来年度に向けた準備状況をお示しください。さらに、近い将来、人口の多い月島地域の中学校での特別支援学級の増設も必要になると考えますが、いかがですか。

 通級指導学級、特別支援教室は、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、発達障害や情緒障害の状態などに応じて特別な指導を受けられるものですが、従来の言語障害や難聴に加えて、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症などの子供を指導する場として位置づけられています。

 ことしから、小学校では、発達障害の子供がその学校内で指導を受けられるように、通級指導学級から特別支援教室という形に制度が変わりましたが、それに伴う教室の確保や教員の配置、学習指導を補助する体制を今後も強化していくことが求められます。また、来年度から、中学校でも特別支援教室の設置が予定されていますが、その準備状況や今後の見通しについて、それぞれお答えください。

 以上で第一回目の質問といたします。積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、北朝鮮問題と安倍政権についてであります。

 北朝鮮が核ミサイル開発を続ける現状は、地域の平和と安全を損ねる深刻かつ重大な脅威であり、断じて許すことはできません。この問題につきましては、先日の国会における安倍首相の答弁において、私は平和的解決の重要性を誰よりも理解している、政府として、他の国や地域の体制を力により転換することを目的として掲げたことはないと述べていることからも、最終的には米国を初め、国際社会と連携して平和的・外交的な対話による解決が図られるものと認識しております。また、北朝鮮問題に加えて、中国の海洋進出など、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、国民の生命と財産を守るための必要最小限度の自衛措置に要する防衛装備の水準や国の予算のあり方などにつきましては、国会で十分な審議が行われ、国の責任において適切に対応されるべきものと考えております。世界平和は、国際社会が一丸となって取り組むことにより実現されるものであり、国は率先して外交努力を重ねるとともに、各国と良好な関係を築いていくことが重要であることは申すまでもありません。本区といたしましては、これからも憲法の平和主義の理念を区政の根幹に据え、あらゆる施策を通じまして戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴えてまいります。

 次に、地方自治のあり方についてであります。

 地方自治体は、住民の福祉増進を基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に行う役割を広く担っており、そのためには、権限とともに財源も適切に配分される必要があります。これまでも、平成十二年のいわゆる地方分権改革を初め、地方みずからの発意により分権改革を目指した提案募集方式など、地方の自主性・自立性は高まっているものと考えております。しかし、近年、国において都市部の財源を吸い上げ、地方に再配分する動きを加速させていることは、受益と負担に基づく応益課税という地方税の原則だけでなく、地方分権にも反するものであります。そして、これらの減収規模は、社会保障財源である地方消費税増税分に匹敵し、その影響は甚大であることから、その是正に向け、特別区が一体となり、国に強く働きかけているところであります。また、住民福祉の基本である社会保障制度については、その持続的・安定的な運営を確保することが国の大きな役割の一つと認識しており、今後とも、特別区長会などを通じまして、医療・介護保険制度の充実を図るよう働きかけてまいります。なお、基本構想における快適で安全な都市環境が目指すものは、一極集中、大規模開発優先ではなく、安全、環境、魅力の三つの視点で、住み、働き、集う全ての人々がより安全で快適な暮らしを享受できるまちづくりを推進するものであります。

 次に、地区計画の改定とまちづくりについてであります。

 本区では、地域特性を踏まえながら、個々の建物更新を行う際の地域ルールを導入し、本区独自の取り組みを通じて、良好なまちづくりを進めております。一方で、個別更新では実現困難な地域課題の改善に対して、面的な整備の機会を捉え、公共交通機関や保育園、高齢者施設など、区民生活に必要な生活インフラの整備を進めてきたところであります。特に、市街地再開発事業は、都市再開発法の規定により事業を進めるもので、区民にとって、住み続け、働き続けられるまちづくりを実現する上で、有効なまちづくり手法であります。今後とも、適切な地区計画の運用と市街地再開発事業による地域課題の改善等に取り組んでまいります。

 次に、地区計画の改定につきましては、現在、対象となるまちづくり協議会の中で、ホテル計画の誘導も含め、さまざまな御意見等をいただいております。今後は、これらの意見を集約し、さらに地域の方々や国・東京都とも協議を重ねる中で、規制としてではなく、まちに調和し、近隣の方々にも受け入れられる良好なホテルが立地されるよう、さまざまな観点から地区計画改定の検討を進めてまいります。

 次に、築地市場移転に伴う区の対応についてであります。

 築地市場の移転については、当初、区では断固反対の立場をとってまいりました。しかし、都の平成二十三年度予算において豊洲への移転が決定された後は、築地地区のにぎわいを維持・発展させていくことを重視し、築地市場の移転を受け入れてまいりました。江東区長も、基本的には豊洲市場への移転受け入れの立場に変わりないと表明されています。今後、都が市場事業者や関係区を初め、さまざまな関係者と調整し、移転に向けて努力されるものと考えており、区といたしましても、引き続き都に協力してまいります。

 次に、九月に都知事宛てに提出した要望書に係る都の対応についてであります。

 要望書では、築地市場の移転を初めとした五項目を要望しております。区は、それぞれの項目について、既に都と具体的な協議や調整を進めているところであり、今後の都の施策形成において、区の要望を反映していただきたいと考えているため、個別の回答は求めておりません。都は、今回の要望書を真摯に受けとめ、その実現に向けて密に調整を続けていくとしており、区としては、良好な関係を築けているものと考えております。

 次に、東京二○二○大会に向けた対応についてであります。

 都は、本年六月、築地は守る、豊洲を生かすといった市場移転に係る基本的な方針を示したところであります。この方針の中で、大会時の輸送計画についても、環状第二号線の整備や築地市場を輸送拠点とすることなどを公表しております。東京二○二○大会を成功させるため、都において、この基本的な方針のもと、検討を進めていくとともに、本区が九月に提出した要望事項につきましても、着実に実行されることが重要であるものと考えております。

 次に、食のおもてなしについてであります。

 大会時に築地の食に対する文化や技能を発信していくことは、世界各国から本区に訪れる方々に日本を知ってもらう上でも重要なことであると認識しており、区といたしましても、さまざまな機会を捉えて積極的にPRを行ってまいりたいと考えております。

 次に、第七期介護保険事業計画の策定についてであります。

 まず、生活実態調査から明らかになった現状の課題であります。

 今後の暮らしについては、多くの高齢者が自宅での生活の継続を希望していることから、在宅サービス等の充実とともに、ひとり暮らし高齢者などが地域の中で孤立することなく、生きがいや役割を持って活動できる場や機会をいかに拡大していくかが課題となっております。また、専門職が不足している中で、高齢者のさまざまな生活ニーズに対応していくため、介護人材の効果的な活用や地域での支え合いの仕組みづくりなども求められています。生活支援総合事業の緩和型サービスについては、昨年度は介護業界以外からの参入がなく、利用が進まなかったところでありますが、本年度になって新規参入もあり、現在、徐々に利用者がふえております。今後も、利用料負担が従来の介護サービスよりも少額であることや、所定の研修を受けた従事者によるサービスであることなどを普及啓発し、利用の拡大を図ってまいります。

 次に、介護保険の国庫負担についてであります。

 本区は、これまでも調整交付金の交付割合についての制度上の問題点の改善などを区長会を通じて国に要望してきたところであります。今後とも、大都市の実情に合った国庫負担となるよう、粘り強く働きかけてまいります。また、介護保険料や利用者負担につきましては、介護を社会全体で支えていくという基本的な考え方に基づき、被保険者の負担能力に応じたものであると認識しております。引き続き、サービスの充実や給付の適正化に取り組み、必要な方に必要な介護サービスを提供してまいります。

 次に、第七期介護保険事業計画策定に向けた考え方についてであります。

 現在、区が中心となって在宅療養支援協議会や地域支えあいづくり協議体などにおいて、医療・介護の多職種連携や区民ボランティアなどの多様な担い手との協働により、サービスの充実や支え合いの仕組みづくりを進めているところであります。特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームについては、ニーズを踏まえて、さまざまな手法による計画的な整備を図るとともに、区有財産の減額貸付などにより運営事業者の負担を軽減し、居住費等を抑制しているところであります。策定中の計画においても、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの深化と推進を基本方針とし、住みなれた地域で互いに支え合い、自分らしく生き生きと暮らせるまちの実現を目指してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えします。

 初めに、特別支援学級についてであります。

 特別な支援を要する児童・生徒は、本区においても増加傾向にあり、今後もふえていくと見込んでいます。現在、小・中学校における特別支援学級については、児童・生徒一人一人の教育ニーズに応じて専門的な指導・支援が行えるよう、教員を適切に配置し、多様な学習活動を行える教室を確保しております。来年度につきましても、こうした教育環境が維持できるよう、体制を整えているところです。中学校における特別支援学級については、在籍生徒数が増加傾向にあるため、今後、新たな学級の設置が必要になるものと認識しております。現在、人口推計や通学距離、教室の確保などを勘案して、設置時期や開設する学校について検討しているところであります。

 次に、特別支援教室についてであります。

 今年度から、全ての小学校で特別支援教室を設置したことにより、児童が巡回指導教員による指導を在籍校で受けられ、拠点校への通級に伴う負担が軽減されました。また、学級担任と巡回指導教員との連携がより一層図られたことから、児童の学習・行動面での改善にもつながってきております。在籍校での指導を受けられることにより、入室を希望する児童が増加してきており、発達の状態や学習状況に応じてきめ細かく指導・支援できるよう、適切な教員配置を行っております。さらに、学習と生活を見守り、教員間の連絡調整をする特別支援教室専門員を全校に設置したほか、臨床心理士等の派遣などにより、児童一人一人の支援の充実を図っております。今後も、こうした体制のもと、教職員の資質向上に努めるとともに、引き続き良好な教育環境を確保してまいります。中学校においては、平成三十年度から全校での開設に向け、教育委員会と学校による協議会を設置し、学習の指導方法や複雑化する人間関係への対応、巡回指導体制や相談機能のあり方などについて検討するとともに、学習活動の場や教材の準備などを進めております。今後も、特別な支援を要する全ての児童・生徒が能力や可能性を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現できるよう、特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。

 答弁は以上です。

     〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、何点かに絞って再質問させていただきます。

 私は、今回、日本国憲法とそれに基づく地方自治法が七十周年の年に当たって、改めて地方自治とは何か、どうあるべきかを考えて質問をいたしました。

 地方自治体の現状について、区長はいろいろ述べられましたが、特に地方財政においては、法人住民税の一部国税化や、また、今後、地方消費税の交付金、都道府県の間の生産基準の見直しによってマイナス影響がさらに拡大するというようなことも財政白書でも述べられています。充実すべき自主財源の縮小は、地方分権の流れに逆行するものであり、国に断固改善を求めるべきだということを改めて述べたいと思います。

 地方自治に基づく基本計画の策定の中で触れた今後のまちづくりに関連する問題ですが、区長は、東京一極集中や大規模開発ではないということを述べられました。今、国会で注目の加計学園問題でも、国政私物化に使われたのは国家戦略特区の仕組みです。内閣府に設置される国家戦略特別区域諮問会議は、首相が指名する国務大臣や首相が任命する財界人らのメンバーで構成されて、規制緩和を実行するため、極めて強い権限が与えられる会議です。規制緩和にかかわる分野を所管する関係大臣も、影響を受ける地域の住民も、意思決定にかかわれない、そういう仕組みとなっています。

 この国家戦略特区に基づく巨大再開発が、中央区では八重洲地区で実施され、また、今後は日本橋兜町でも進められようとしております。地権者の中の反対の声や不同意の声も届かない国家プロジェクトとして進行しています。こうした計画が有無を言わせないやり方で持ち込まれるのは、地方自治の視点から見ると、大変問題があると考えますが、いかがでしょうか。

 そして、こうした国家プロジェクトに中央区自身が、区民の財産、学校の敷地を提供して協力し、巨大開発を進めていくことに大きな疑問を持ちます。老朽化した建物の更新による災害に強いまちづくりのためという理由はあるとしても、容積率の緩和など大サービスで、ゼネコンやディベロッパーの利益を最大化するために働く、これが地方自治体の仕事なのでしょうか。良好な市街地や災害に強いまちづくりは、地方行政の役割だと思いますが、八重洲や、これから兜町証券街で進めようとしている計画は、三井不動産、東京建物、平和不動産などの特定企業が主体の、大企業が主人公の計画となっています。

 私はこのような大規模な再開発が全部いけないと言うのではありません。しかし、こうした財界、大企業の利益第一で、あらゆる規制を排して国家プロジェクトが超法規的に進められ、区が積極的に貢献しているのではないか、その点についてどのようにお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

 そして、今後のまちづくりを考えると、二○二○年問題と言われるオフィスの供給過剰の問題、特に、今、東京駅前地区では、千代田区側ですけれども、三菱地所によって常盤橋の再開発は延べ床面積が六十八万平米という巨大なビルがつくられようとしています。千代田、中央、港の都心三区におけるオフィス床面積の供給量に匹敵する、このような計画が進められ、完成は二○二七年と言われていますけれども、オフィスの供給過剰危機がかねてから言われているように、いつまでもこんな巨大なビルをあちこちにつくり続ける、本当にこんなに需要があるのか、そういう問題も近々大きな課題になってくると思います。十年、二十年先を考えた行政運営が求められると考えますけれども、この点について御答弁をいただきたいと思います。

 次に、ホテル誘致のための規制緩和の問題です。

 今、ホテル業界は、東京五輪も控えて、インバウンドをターゲットにしており、特に、銀座地域では、森トラストがホテル開発に乗り出すなど、大乱戦状態だと言われています。今回、中央区のホテル誘致のために、全地区的に容積率を緩和するということになっていますけれども、こうした森トラストなどの意向を酌んだものではないのかというふうに私は考えます。この点について、御答弁をいただきたいと思います。

 介護保険の問題では、これからも住み続けられるように、いろいろ考えて力を入れていくというようなお話もありましたけれども、今、国全体として社会保障の制度がどんどん悪くなっているという中で、対象者がふえるのに、それに充てる費用を減らしていくというようなやり方は本当に問題だというふうに思います。地方の裁量で介護の社会化に向けたサービスの充実を図る、そのことが、今、本当に必要になってきているということも強調したいと思います。

 介護保険料については、介護保険の給付準備基金が積み増しされていますので、それを活用して保険料を引き下げる、こういうことも可能ではないかと思います。また、地域包括支援センター、おとしより相談センターの体制をさらに強化して、介護サービスを充実させていく、そのために力を発揮していただきたいというふうに思います。

 その点で、先ほども御答弁はありましたけれども、国による改悪に反対する、きちんと国の制度として充実させていくように求めることとあわせて、区の力で介護の社会化に向けたサービスの充実を図ることを求めたいと思いますので、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

 次に、築地市場の問題ですが、区長は、築地市場の移転を受け入れた後で、スムーズに移転ができるように、東京都とも、もう既にいろいろ協議もしているということでしたけれども、区議会にはそういう内容の報告はまだ全くありません。私は、そもそも土壌汚染の場所にわざわざ生鮮市場を移転するという、この計画自体が根本的に間違っているし、これからも現在地での再整備を求めていきますけれども、区の考えとしては移転ということだとしても、今、現実的に考えると、東京五輪の成功のためにも市場が移転しないと環状二号線もできない、交通拠点もできない、そういう呪縛にとらわれているというふうに私は思います。

 東京都に対して、第二、第三の案を都の責任で考えることを求める、このことが、今、現実的に必要になってきているというふうに考えます。この問題について、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

 最後に、安倍政権の軍拡方針に対して、区長は、直接削減を求めるような発言はございませんでした。十一月十五日に送られてきた広聴の記録を見ますと、保育所に入れない、何とかしてほしい、こういう保護者の悲鳴がたくさん載せられていました。私も、改めてこの待機児問題は、一刻も早い解決が求められるというふうに感じました。こうした問題も、オスプレイ三機分で全国的に解決するというのがはっきりしているのに、そういうふうに使うということを求めないという区長の答弁は、大変残念です。税金の使い方を変えれば、暮らしや福祉の充実はできるし、軍事費をふやすことは、逆に、日本を危険にするということを改めて申し述べたいと思います。

 この件は、御答弁は要りません。これ以外の再質問に対する御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)

     〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 何点か、お尋ねがございました件についてお答えいたします。

 まず、最初のお尋ねは国家戦略特区のあり方であろうかと思いますが、議員の御発言の中では、国家戦略特区というのは国に押しつけられたものではないかということで、それにまた唯々諾々と従っている中央区のあり方ということで、お尋ねがあったと思います。

 この国家戦略特区については、正直申し上げると、規制緩和の一手法でございまして、これらについて、まちづくりの過程の中で、私ども地元のほうから、ある程度発議して表に上げないと特区認定というのは行われないわけでございます。国から全部押しつけられているわけではございません。基本的には、地元の発意もそれなりにあるわけでございます。

 いろいろ大企業の名前をお挙げになって、それらのためにやっているのではないかというような御意見もあるようでございますが、例えば日本橋兜町などの場合、平成十三年から場立ちがなくなって、本当に人通りがなくなって、現実の問題として、あそこのまちの更新がなければ、もう一度兜町として、アイデンティティーも、それからにぎわいも取り戻せないんだと。だから、基本的に開発をしてくれというのが、実際の地元の願いでございます。

 それから、東京駅前でございますけれども、現実に、それぞれ耐震補強の関係を含めて、建てかえの時期に達しているビルの集まりでございます。かなり早期に復興をしているまちでございますから、それぞれ更新の時期に達しております。そういう過程の中で、基本的には、集合的に建てかえをしたほうがよかろうということで、開発の話が動いていく中で、大変申しわけありませんけれども、JR等の開発の偏ったやり方の中で、現実に、東京駅前の交通広場としての機能は完成をしておりません。そういったこともございますので、こういった大規模な開発、集合体の中でバスターミナルを整備しながら、東京駅前の広場整備も一緒に行って開発を進めるというようなことで、これは地元が行っているものでございます。

 同じように、日本橋地区の国家戦略特区につきましても、これは、基本的に先ほどの東京駅と同じように、ビル自身も相当老朽化して、耐震化の観点から建てかえをしなければならなくなっているビルの集まりでございます。その中で、高速道路の地下化を含めて、私どもとして、これは具体的に規制緩和をしてほしいということでお話をさせていただいているものであって、この部分について地元の発意も当然あるわけでございます。ある意味で、国家戦略特区を地元として使いこなさせていただいているので、私どもが唯々諾々と国の指令に従ってまちづくりをしているというような言われ方は、大変心外でございます。

 それから、オーバービルディングの話でございます。

 今の時点でビルディングの床量として、現実にオーバービルディングではないかと言ったら、そうなんです。オフィスとしては、やはりオーバービルディングでありますし、住宅はそれぞれオーバービルディングであります。今、日本全体として、建築として見た場合に、かなりオーバービルディングであります。

 ただし、それぞれのビルディングが現実の今日的な機能に対して適切なビルディングであるかどうかということについては、問題があるわけでございます。そういった部分において、これはつくり直しをし、整備をしているわけでございまして、この点の需給の関係については、床量だけ着目すればオーバービルディングではないかということで、かなり懸念を持たれる部分もあろうかと思いますが、現実の問題として、新しく、これから二十年後を見据えた、例えばオフィスビルとか何かということを考えましたときには、東京駅前、日本橋、そういったところのオフィスビル供給については、基本的に不安を持っておりません。

 それから、ホテルの容積率の緩和について、これは何か大変勘違いがあって、あるディベロッパーの戦略に乗って区がやっているかのようなお話がございましたけれども、これはとんでもない話で、私どもとしては、基本的には、実は、国側から、都心部のホテル供給が非常に少ないから、今後の観光立国の上で、民泊などをやれという話が、全体として来ているわけです。本区としては、そういうことは積極的に対応するつもりは全くございません。やみくもに民泊という方向に乗るわけにはいかないと思っております。そういう意味で、我々はきちんとした良質なホテル供給をしたいというふうに思っておりまして、やるからには、それなりの良質なということを確保するためのインセンティブも必要だということで、容積緩和を含めた地区計画の改定を行っているわけでございまして、その点もぜひ御理解をいただきたいと思います。

 次に、築地市場の移転の問題でございます。

 この問題については、区長からも答弁申し上げましたように、私どもは平成十一年に豊洲移転のにおいが出てきたときから、ずっと反対をしております。土壌汚染についても、平成十四年に出した七つの疑問というものの中に土壌汚染も挙げて、我々は闘ってきたわけでございます。しかし、先ほど申し上げたように、平成二十三年度東京都予算の決定、それはちょうど三・一一の地震が起きた日でございますけれども、都議会で予算が議決されたわけです。そういう中で、私どもは現実的な対処が必要だということで、基本的には、それに向かって対応してきたわけでございます。

 今日、大変せっぱ詰まった状況になっている中で、今、小栗議員のほうからお話があるのは、築地市場を現在のままにしながらも、オリンピックを迎える第二案、第三案があるのではないかというお話でございます。単純に申し上げます。今、築地市場の出入り口は、青果門であり、市場門であり、そして勝どき門でございます。大型貨物は全部そういう形で入っております。つまり、新大橋通りから、晴海通りから入っているわけでございます。築地市場があるとしますと、そこには環状二号線というのは通っていませんから、そういう中で、選手村をオープンし、市場を営業するということはどういうことになるか。仮に、豊洲に市場があるとすれば、基本的には、湾岸道路を中心とした大幹線の中で、有明と豊洲を連絡する道路、それから環状二号線というものが動いていて、そこに市場への物流は入るはずでございます。選手村の一万七千人の役員、選手に対する毎日毎日の物資の補給はどうしますか。そのときに環状二号線が使えていないと考えたら、それは成立するでしょうか。

 私は、オリンピックと環状二号線の問題に関して明確にしておきたいのは、この問題がつまずいたときに最大の被害を受けるのは中央区だと思っています。だからこそ、再三にわたって要望書を出させていただいているわけです。現実的に解決する方向は何かということをやはり真剣に考えなければいけないと思います。その意味で、小栗議員の御指摘も一つの御意見ではあろうかと思いますが、先ほど私どもが指摘したような現実的な問題点もございますので、その辺は十分考慮をいただきながら御検討いただければと思う次第でございます。

 以上でございます。

     〔高齢者施策推進室長 古田島幹雄君登壇〕

○高齢者施策推進室長(古田島幹雄君)
 介護保険についてでございます。

 介護保険の社会化によるサービスの充実ということでございます。

 介護型の社会化と申しますのは、介護保険創設当時において、それまで家庭内や家族が担ってきた介護を、広く社会共通の課題として認識し、社会全体で担っていこうという考え方でございます。

 本区におきましては、昨年度から総合事業を開始いたしました。総合事業の実施によりまして、介護給付で行っていた要支援者などの予防訪問介護や予防通所介護を、同じ介護保険制度内の地域支援事業に移行したところでございますが、こうした制度の見直しは、今後、介護福祉士などの専門職員の不足が見込まれていることから、専門的な知識や経験を必要としない掃除、洗濯、買い物などの生活援助サービスについては、専門職員でない従事者にも参入していただきまして、従事者を拡大したり、利用者の選択肢を広げたりしようとするものでございます。そういった意味から、介護を地域社会全体で担っていくという介護の社会化の考え方については、全く反しないものであるというふうに認識をしているところであります。

 区におきましては、介護保険をめぐる厳しい財政状況の中でも、介護サービスの充実を初め、介護サービス以外のさまざまな担い手による各種サービスや支援を拡充し、地域社会全体で支え合う仕組みづくりを進めまして、高齢者一人一人に寄り添いながら、支援が必要な方には必要なサービスや支援が届くような取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところございます。

 以上でございます。

     〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、意見を述べさせていただきたいと思います。

 築地市場の問題は、もともと中央区も区議会も一緒になって断固反対をしてきた。そのとおりです。そして、都で予算が決まったからということで、苦渋の選択でやってきたと思いますけれども、その大前提であった土壌汚染の対策ができていないというところで、そこでもう一回考えて、計画自体を見直す、そういうことも必要な時期が何度もあったのに、もうここまで来てしまったということです。

 このまま環状二号線ができないような状態だと、大混乱だというお話がありましたけれども、本当に市場が移転できるのかどうかがわからない、現時点でそういうことになっているわけですから、そういうことも踏まえたことを今から考えておかないと、それこそ大混乱になってしまうというふうに私は思います。最大の被害者は中央区だというお話がありましたけれども、本当にそのとおりだと思います。だからこそ、きちんとした対応を都に求めていくということを、中央区として積極的に進めるよう求めたいと思います。

 築地の食材でユネスコ無形文化遺産にも登録された和食を世界のアスリートに味わっていただくということは、大変夢のあることだと思います。そういうことを、ぜひ築地市場がそのまま残っているということも想定した対策を考えていくということが、責任ある態度ではないかというふうに思いますので、その点はもう一度強調をさせていただきたいと思います。

 あと、国家戦略特区の関係でいろいろお話がありましたけれども、国家戦略特区ということで、本当にいろいろな岩盤規制をなくして、超法規的にいろいろできるという制度なんですけれども、経過的に見れば、兜町の計画についても、当初から吉田副区長がオブザーバーとして出席し、どういうふうにしたら開発がうまくできるか、どういうまちがいいのかということでやってきたという経過から見れば、国から押しつけられたのではなくて、区が積極的にやってきたということは、そのとおりだと思います。

 逆に、私は、地元の発意だということは言いますけれども、大企業やディベロッパーがどれだけ大きなものができるのかということを中心にして考えている計画に、いろいろアドバイスし、一緒にやってくるというのは、唯々諾々と言われましたけれども、逆に、お先棒を担いで、どんどんそういうものを進めているというのが中央区の今の実態ではないかというふうに思いますので、その点は私の意見として申し述べさせていただきます。

 東京一極集中が地方の都市をどんどん疲弊させているということも、先ほどのお話にありましたけれども、そういう中で、中央区が、東京駅前も日本橋も、これからもオフィスの需要はあるのだということで、どんどん進める、そういう大型開発優先の区政のあり方は、やはり根本から見直すべきだというふうに思います。私は、憲法、地方自治法に照らして、開発優先の区政は大変問題だということを考えます。

 地方自治の本旨に基づいて、福祉のまちづくりを進めるということを基本計画の中でもぜひ実行していただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(鈴木久雄議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十五日、明後二十六日を休会とし、来る二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十五日、明後二十六日を休会とし、来る二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後六時二十一分 散会


署名議員
議長 礒野 忠
議員 山本 理恵
議員 石田 英朗

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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