令和7年第一回定例会会議録(第2日 2月26日)
1.会期
三十二日(第二日)
二月二十六日(水曜日)
2.開議並びに散会
午後二時開議
午後五時四十分散会
3.出席議員
(三十名)
一番 ほづみ ゆうき議員
二番 アルール うた子議員
三番 上田 かずき議員
四番 黒原 裕司議員
五番 川畑 善智議員
六番 白須 夏議員
七番 高橋 元気議員
八番 永井 佳代議員
九番 小坂 和輝議員
十番 青木 かの議員
十一番 高橋 まきこ議員
十二番 田中 耕太郎議員
十三番 かみや 俊宏議員
十四番 太田 太議員
十五番 竹内 幸美議員
十六番 渡部 恵子議員
十七番 山本 理恵議員
十八番 梶谷 優香議員
十九番 小栗 智恵子議員
二十番 奥村 暁子議員
二十一番 瓜生 正高議員
二十二番 塚田 秀伸議員
二十三番 木村 克一議員
二十四番 海老原 崇智議員
二十五番 礒野 忠議員
二十六番 原田 賢一議員
二十七番 押田 まり子議員
二十八番 堀田 弥生議員
二十九番 墨谷 浩一議員
三十番 田中 広一議員
4.出席説明員
区長 山本 泰人君
副区長 田中 智彦君
副区長 吉田 不曇君
教育長 平林 治樹君
企画部長 生島 憲君
総務部長 黒川 眞君
防災危機管理室長 春貴 一人君
区民部長 濱田 徹君
福祉保健部長 大久保 稔君
高齢者施策推進室長 田部井 久君
保健所長 渡瀬 博俊君
環境土木部長 三留 一浩君
都市整備部長 早川 秀樹君
都市活性プロジェクト推進室長 溝口 薫君
会計管理者 山﨑 健順君
教育委員会事務局次長 北澤 千恵子君
監査事務局長 林 秀哉君
企画部参事(政策企画課長事務取扱) 石戸 秀明君
財政課長 野末 託範君
総務課長 小林 寛久君
5.議会局出席職員
議会局長 伊藤 孝志君
庶務係長 長塚 由希江君
議事係長 小倉 正信君
調査係長 佐藤 康之君
書記 後藤 絵里子君
6.議事日程
日程第一
- 代表質問
午後二時 開議
○議長(瓜生正高議員)
ただいまより本日の会議を開きます。
○議長(瓜生正高議員)
これより本日の日程に入ります。
日程第一、「代表質問」を行います。順次、質問を許します。
初めに、中央区議会自由民主党議員団を代表して、二十四番海老原崇智議員。
○二十四番(海老原崇智議員)
中央区議会自由民主党議員団の海老原崇智です。会派を代表して、質問通告に沿って、令和七年第一回区議会定例会の代表質問を行います。本区の議会史上初めての代表質問です。令和六年度より議会にて協議を進めて、その結果、本定例会より実施する運びとなりました。
そもそも、代表質問の創設は、急増する人口に伴う多様な価値観の表出、急展開するまちにおける混乱と乖離、これらの妥結点を探る、あるいは調和を図るために、議会はいかなる態度で臨むのか、こうした問題意識が各位の根底に潜在的にでもあったことに基づいています。こうした問題意識の解法は、恐らくは区民、行政、議会が相互に課題を捉え合い、丁寧に議論を積み重ねていく姿に求められるのだろうと思います。議会においては、政治の活動の中で、あるときには議論を闘わせつつも、最終的には同一の考え、そして行動を取る会派という集まり、その代表者が質問を行うことで、区民には分かりやすく、また区行政にはしっかりと対峙ができ、結果的に、議会に与えられた権限を、そして務めを果たすことになるのではないか。そこで、区長の所信表明や予算案が提出をされる、一年の区政の方向性が示される、この第一回区議会定例会にて代表質問を行おうと議会において合意を見たわけであります。
以上、御留意の上、御答弁をいただきたく、また、今回の質疑が区政の前進につながることを願いつつ、質問に入ります。なお、再登壇、再発言をあらかじめ留保いたします。
今回は、区長所信表明より、大きく四つの項目について質問をします。
一つ目は、築地市場跡地の開発にまつわる諸課題への対策についてであります。
昨年の十二月に築地市場跡地の視察に伺いました。晴れ澄み切った日曜日の静かな午前、冬枯れの雑草が各所に茂れるがままになっている茫漠とした跡地、その隣では、場外のある種浮ついた狂乱のようなにぎわい、そのとき、日本橋から築地への魚河岸の移転を哀惜に似た感情を持って描いた小説家、田山花袋の「日本橋付近」の一節を思い出しました。
少し引きますと、「魚河岸の移転がどんなにこのあたりを荒涼たるものにしてしまったろう」、「昔の空気が巴渦を巻いていないことだけは確かであった」、「江戸の真中の人達というよりも、山の手の旦那や細君が主なる得意客になっている」、「三越が」彼らを「相手にするように、ここ等の昔の空気も全くそうした客の蹂躙するのに任せてしまっている」、これは、あくまでも昭和二年の彼の個人的体験に基づく主観ではありますが、開発がもたらすある種の変容のようなものを表していると言えるのではないでしょうか。
それでは、築地市場跡地の開発を区はどのように捉えているのか。所信表明において、築地の歴史と文化を未来につなぐと述べられています。これは、歴史と文化、すなわち江戸から明治にかけて世界に開かれた窓口を、未来、すなわち世界の人々が集い、にぎわう新たな国際化をそれぞれ意味しているのだと思います。また、区民の暮らしを豊かにするという期待も表明をされています。言うまでもなく、築地場外市場への目線、区民生活へのまなざし、自然環境への目配りもそこにはあるわけです。
これらの調和を図りつつ遂行される今回の開発は、中央区や東京都を超えて、現在の混乱した日本にとって一縷の夢と一筋の希望の象徴として私の目には映りますが、本区は、いかなる意義をこの築地市場跡地の開発に追い求めているのか、御見解をお聞かせください。
一方で、いかに高邁な意義があろうが、まずは開発が順調な進捗を見なければ、絵に描いた餅にさえなりません。都度、まちづくり協議会や区議会へも御報告をいただいていますが、当初の時間軸からは相当な乖離があります。また、高速晴海線や都心・臨海地下鉄新線の計画も示されていない中で、東京都と事業予定者との基本協定の締結が迫ってきていることに強い危惧を抱いています。さらには、開発計画が具体化される過程で区民の要望がどのように反映されていくのか。当初の予定より大幅に遅れている現実に、激しい焦燥を感じています。
そこで、築地市場跡地開発における高速晴海線と都心・臨海地下鉄新線に係る計画との調整について、御認識と具体的なお取組についてお示しください。
加えて、昨年の七月をめどに、区民、区行政、区議会の総意を取りまとめて事業予定者に提出する予定であった要望事項について、所信表明では、事業予定者ではなく、事業者との早期の合意形成を目指すとありますが、現在の状況と展望をお聞かせください。
二つ目は、晴海における教育環境の確保についてです。
昨年の十二月に晴海西小・中学校が華々しく落成式を迎えたわけでありますが、校舎の機能美と心地よい空間に目を奪われたことを印象深く覚えています。そして、それ以上に、生徒による多言語での学校紹介や、すばらしい校歌や創意を凝らした校章の作成経緯など、限られた時間の中で、見事に晴海西小・中学校の可能性を感じさせた学校関係者、教育委員会には敬意を表する次第です。
他方、今回の区長所信表明の中で最も毅然、断固、なりふり構わずと申しましょうか、決意を表明されたのが、今後も児童・生徒数のさらなる増加を見据えた義務教育施設の確保については、自治体の責務として、あらゆる手だてを講じてまいりますという一文にあった気がします。
確かに、久松小学校では、教室不足を補うために、久松幼稚園が常盤園舎へと一時的に移転をしました。同様に、生徒数の増加が見込まれる日本橋地域の日本橋中学校も改築となり、今の小学校六年生からは、その学校生活を浜町公園内の仮校舎にて送ることになります。それに伴い、吹奏楽など、生徒の部活動にも影響が出ていると伺っております。すなわち、教室数の不足のみならず、子供たちが体を動かす場所の不足や、部活動の場所の不足も顕在化してきており、今までの連携をさらに強固に柔軟にして、教育委員会と区民部など関係部署に、より対策を講じていただきたく、お願いをする次第です。
また、児童・生徒数の増加が最も急激である晴海地域では、晴海西小・中学校の充実した落成式の興奮の一方で、早くも内部改修による教室数の確保、そして第二校舎の設計が進んでいる。こうした難しい状況をいかに乗り切るか、全庁を挙げて取り組むべきであると考えます。特に、晴海を含む月島地域は、HARUMI FLAGのまちびらきもあり、また、今後の人口推計からも幾多のマンション建築の計画などがめじろ押しと拝察いたします。
限られた土地、そして土地利用の見通しが難しい今後を考えるならば、今、都有地を活用した義務教育施設の確保という考え方を取るべきではないでしょうか。幸いにして、晴海二丁目には二・八ヘクタールの都有地があります。区長所信表明にあったとおり、義務教育施設の確保という使命を完遂するために、あらゆる手だてを講じるべく、晴海二丁目の都有地を買い取ってはいかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
三つ目は、福祉施策全体の方向性についてです。
区の施策は、子育て支援、高齢者施策、障害者施策、そして保健衛生、さらには区民の様々な場面での福祉の観点からのきめ細やかな支援体制の構築など、全方位で福祉施策の充実を図ろうとされていると感謝しております。その目指すものは、子供たちが夢と希望を持って成長でき、若い世代は将来に希望を持ち、高齢者には心身の健康と生きがいを、そして障害者には安全と生活の質の向上をもって生活することであろうと、所信表明からは読み取れます。
一方で、現在の少子高齢化に加えて、本年、二○二五年には団塊の世代全てが後期高齢者となり、本格的な超高齢社会を生きていくことになります。また、格差社会の鬼子とも言える子供の貧困、閉塞社会の迷宮の申し子のようなハラスメント、誹謗社会、中傷社会なる言葉を生み出してしまったインターネット上の誹謗中傷、こうした状況は、およそ夢や希望や将来や安心とは無縁の此岸にあります。こうした陥穽に陥らず、一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちや暮らしを実現するにはどうしたらよいのか。本区においても、HARUMI FLAGの入居を背景に、人口は一年間で一万五百六十九人増えたと所信表明で明らかにされていますが、この一年で区民になった人々の顔が見えにくい、全体像がつかめない中で、いかに彼らの要望にかない、かつ必要な福祉施策を展開していくのか。
また、(仮称)中央区こども計画(第三期中央区子ども・子育て支援事業計画)中間のまとめのページをめくれば、基本理念の標語として、「子どもも育む人も誰もが笑顔輝き、自分らしく成長できるまち 中央区」となっており、親の位置づけは、子育て・教育関連従事者、地域、企業等とともに併記される育む人となっているわけですが、親の位置づけについては、私と同じく違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
さらに、同計画では、新たに二十九歳までの若者を対象に加えているわけですが、ゼロ歳児から始まって、各年代ほぼ全てに福祉施策が行われることになるかもしれません。すなわち、未就学児から未成年、若者、子育て世代、さらには、いずれ若者の保護者のレスパイト事業ともなれば、高齢者まで全世代を福祉施策の対象として捉えることになります。職員の御尽力もひとしおだと推察をいたします。
これらの視点を踏まえて、障害者も環境が変わっても安心して暮らしていける、子供や若者が夢や希望を持って明日に臨める、高齢者が生きがいを持って日々を送れる、そうあるための福祉施策全体の方向性をお聞かせください。
四つ目は、区制八十年の一つの帰結点についてであります。
来年度予算のタイトルが、昨年の十一月補正で事業化をされました地域の魅力発掘・発信支援事業と類似の「中央区の魅力を発掘・発信! ―愛着をもって住み続けられるまちを目指して― 」と題されていることからも、本年は令和八年度の区制八十周年を目指した取組が区政の一つの鍵になるのだろうと解釈しています。
振り返れば、我が会派からは、区制施行八十周年の推進を一般質問で提案したのでありました。そして、さきの支援事業の原形を提案しましたのは、コロナ禍の期間にまちの行事ができなくなり、人と人とが顔を合わせることも減り、町会や地域の活動が収縮していった。さらには、五輪が無観客となり、本区のにぎわいという観点からは、残念ながら不発に終わった。そのような状況から脱却をして、一度失われた人と人とを結び直し、土地と人とがつながっていることを思い起こしてもらうためでありました。晴海では、晴海まつりが盛況に開催され、多くの人がはるみらいに足を運びました。いずれの取組も、所信表明でうたわれている、区と区民、地域等が一体となり、まちへの誇りと愛着心が醸成されることを目指しており、そして、一定の成果が得られていると評価しております。
一方で、築地には市場跡地の開発があり、また、日本橋も再開発が進んでおります。これから、あるいはそこから地域の核、要するに、それは人であり、その地域を象徴するアイデンティティのようなものであるわけですが、それを地域が維持ないしつくり直すのは今後かなり難しくなるのではないか、負担が大きくなるのではないかと懸念をしております。晴海では、晴海まつりの企画にて、子ども神輿かつぎ体験への参加をしつつも、体験型デジタルアトラクションコーナーに子供たちの興味は、より向かったようです。つまり、区制八十一年、八十二年と歩みを進める中で、人口増あるいは開発による退去という要因を含めて、人がつながるコミュニティの一時的な核の喪失や、開発によるまちの変容という危機をはらんでいるのではないかと心配をしているわけです。
そのように考えると、区制施行八十周年で目指したもの、つまり、まちへの誇りと愛着心が醸成される取組の強化、継続していくという方向性が導き出されます。八十一年目を内実ある幕開けにするための八十周年でなければいけないと考えています。以上を踏まえまして、帰結点としての本区の区制八十周年に託す思いをお聞かせください。
以上、よろしくお願いいたします。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
海老原崇智議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、築地市場跡地開発の意義についてであります。
築地市場が平成三十年に閉場した以降、場外市場を含む築地地域の飲食・物販店は、コロナ禍という苦境を乗り越え、現在はインバウンドをはじめとする多くの観光客が訪れ、まちににぎわいが戻ってきたところであります。その一方で、増加する来街者を受け入れるための環境整備が急務となっており、まちの美化対策支援や監察指導など、区としても地元や警察と共に取り組んでいくこととしております。築地市場跡地開発につきましては、昨年四月に公表された提案概要において、築地の魅力を世界に発信し、にぎわいと交流を促進していくことや、マルチスタジアムを含む九つの建物及び約十万平米のオープンスペースなどの整備が示されました。区では、マルチスタジアムが開業する第一期の完成時には、歩行者の円滑な交通環境の実現や安全・安心に過ごせる防災対策の実施、世界中の人々が交流できる空間の整備など、都内最後の広大な公有地において実現していくべき取組が多くあるものと認識をしております。とりわけ、築地の歴史を振り返りますと、外国人居留地として、日本の近代化における世界に開かれた窓口であることから、未来に向けた築地の役割として、跡地開発が国際交流の拠点として整備されていく、こういったことは必然であります。さらには、世界中の人々が陸・海・空での様々な交通手段を活用し訪れるとともに、場外市場との連携はもとより、世界経済と学問・芸術、医療がこの築地で出会い、人々が交流し、エンターテインメントまでもが体験できる開発としていくことが、周辺地域や都市とのつながりを強固にし、世界への窓口としての役割も果たしていくことになるものと考えております。区といたしましては、築地が日本の安全と安心、平和を象徴するまちとして、世界中の人々が訪れる場となるよう、跡地開発に係る取組を全力で進めてまいります。
次に、各種交通計画との調整についてであります。
築地市場跡地開発の提案概要においては、広域交通結節点の整備を行うことが示されており、その整備と関連する高速晴海線や都心・臨海地下鉄新線の計画は、跡地開発の交通処理に大きな影響を与えるものであります。そのため、晴海線や地下鉄新線の整備は跡地開発の計画内容を踏まえるとともに、同時期に行う必要があると考えております。区は、これまでも都に対し、晴海線の線形や出入口の位置などを速やかに定めることや、地下鉄新線など区内の都市基盤整備の実現に向けた緊密な連携について要望書の提出や要請をしてまいりましたが、現在もその詳細は示されていない状況であります。また、晴海線や地下鉄新線の整備は、跡地開発と築地場外市場との間の建築制限区域内で行われる予定となっております。そのため、長期にわたって工事が行われてしまいますと、まちのにぎわいの継続への影響や、跡地開発と場外市場をはじめとする地域との連携、人や車の往来などが困難になることが懸念されます。さらに、昨年十二月のまちづくり協議会では、晴海線の出入口などについて、周辺地域の交通に配慮したものとするよう地元からも要望が出たところであります。区といたしましては、今後も引き続き、都などに対し、晴海線や地下鉄新線の計画内容の早期決定を求めるとともに、これら基盤整備と跡地開発が連携した効率的な施工に向けた検討を行うよう、様々な機会を通じて働きかけてまいります。
次に、地元区としての意見についてであります。
昨年の四月に事業予定者が決定し、速やかに区と区議会で、地元と共にまとめた要望書を提出するとともに、これまでまちづくり協議会を開催し、事業予定者から開発計画についての説明を受けたところであります。要望事項の協議については、開発計画に大きく影響を及ぼす建築制限区域の利用方法等の詳細が都から示されていないことなどから、具体的な進展には至っていない状況であります。今年度末には、都と事業予定者による基本協定が締結され、正式に事業者に決定すると聞いていることから、跡地開発計画の検討もさらなる深度化が図られ、協議も加速するものと考えております。区といたしましては、要望事項の全てにおいて合意が図られた上で、都市計画手続を進めていく考えであります。引き続き、まちづくり協議会の場などを通じて丁寧に地元の意見をお聞きしながら、合意に向けて事業者と協議を行ってまいります。さらに、合意後におきましても、計画や工事内容、連携した取組など、多岐にわたり地元と事業者などの関係者間で情報を共有し、協議することができる体制の構築に向けて調整を進めてまいります。
次に、晴海地区における教育環境の確保についてであります。
晴海地区では、平成二十五年九月に開催が決定した東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会において、一万八千人の収容人数を見込む選手村が設置されることとなりました。大会後には、当時の豊洲・晴海開発整備計画では想定し得ない大量の住宅が供給されることが明らかとなり、その時期を見据えた学校施設の整備が喫緊の課題となったことから、東京都と協議・調整を行い、晴海四丁目及び五丁目の都有地を区が購入いたしました。令和六年四月には晴海西小・中学校を開校し、令和六年一月から入居が始まったHARUMI FLAGの入居者を含む多くの児童・生徒を迎えるとともに、晴海西小学校第二校舎の建設に取り組むなど、確実な教育環境の確保に現在も努めているところでございます。御指摘の晴海二丁目の土地の活用については、これまでの対応も踏まえ、人口の動向や区立小学校、中学校の児童・生徒の状況を注視し、東京都と協議してまいります。義務教育施設の確保は自治体の責務であります。教育委員会をはじめ、区民サービスとの調整も図りながら、子供たちの教育環境に支障のないよう万全を期して対応してまいります。
次に、福祉施策全体の方向性についてであります。
福祉施策は、人が生を受けてから生涯を全うするまでの全ての期間に関わるものであり、とりわけ、住民に最も身近な基礎自治体が担う地域福祉は、人々の暮らしのあらゆる場面で深く密接に関わるものであります。この地域福祉は、誰もが幸せに暮らせる社会をつくることであり、こうした社会をつくるのは、その地域に暮らす全ての住民であり、地域住民と共に歩み、連携して、その活動を支えることが地方自治体の大きな役割であると認識しております。一方で、近年、全国的に進む核家族化や単独世帯の増加は、人口流入が激しい都心区である本区において、より顕著となっております。加えて、コロナ禍を契機に、人や地域との交流、つながりの希薄化がより一層進んでいるものと考えております。一人一人の価値観や生活スタイルが多様化する中、とりわけ人口増加が進む本区においては、住民の抱える課題はますます複雑化・複合化しており、これらの課題に対応する包括的な支援体制が、今、まさに求められております。こうした背景の下、区では、昨年四月に開設したふくしの総合相談窓口を順次拡大し、身近な地域で相談しやすい環境づくりを進めるほか、地域住民の交流・活動拠点づくりや地域の担い手の育成などによる重層的支援体制を整備し、誰一人取り残さない相談支援のネットワークの構築を目指しております。このような相談支援体制の強化は、子ども・子育て分野におけるこども家庭センター、障害者分野における基幹相談支援センター、高齢者分野におけるおとしより相談センターなど、あらゆる分野で重要かつ必要な取組であります。区といたしましては、こうした相談・支援等を通じた人や地域とのつながりを主軸として、本区の福祉施策の基本理念である「みんなが支えあい、自分らしく暮らせるまち・中央区」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、区制八十周年の帰結点についてであります。
本区の人口は、平成十年以降増加を続け、本年一月には十八万七千四百四人と過去最大を記録し、令和九年度には二十万人を超える見込みであります。新しい区民の皆様をお迎えし、まちににぎわいがあふれることは大変喜ばしいことでありますが、その一方で、共同住宅居住率が九割を超える本区では、人のつながる地域コミュニティの維持、活性化が長年にわたる課題となっております。本区では、これまでも、大江戸まつり盆おどり大会などのイベントや各拠点を中心とした防災訓練の実施、地域イベントの支援など、区民が顔なじみになれる場を創出する取組や地域の担い手の養成・支援など、地域コミュニティの活性化に向けた施策を講じてまいりました。しかしながら、令和二年から令和五年五月のいわゆるコロナ禍の間、多くの地域イベント等が中止に追い込まれるなど、地域活動が大きな停滞を余儀なくされる事態となりました。コロナ禍が収束した後、活発に活動を再開された地域の皆様の姿を見て、心強く思う反面、改めてコロナ禍の残した傷痕の大きさを感じざるを得ないところであります。そこで、これまでの取組に加え、令和八年度に迎える区制施行八十周年に向けたシティプロモーションを全庁を挙げて推進することといたしました。節目の年を迎えるに当たって、本区や地域の歴史、起源を重点的に発信することとし、区内の歴史文化資源のデジタルアーカイブ化や記念映像の制作、地域の団体による主体的な歴史文化資源の発掘・発信の支援など、区民、在勤・在学者の皆様の地域への誇りや愛着心の醸成に取り組むものであります。本区は、下町特有の人情など、近隣住民同士、人と人のつながりを大切にしてきた土地柄であり、その連携により地域コミュニティを形成してまいりました。こうした人のつながるコミュニティは、これからも区政運営における大きな力の源であると考えております。折しも、八十周年を超えた八十一年目は、本区がいよいよ二十万都市を迎えることが見込まれております。八十周年が、区と区民、地域等が一体となって、二十万都市として、さらに力強く発展し続けていく礎を築く年となるよう全力で取組を進めてまいります。
答弁は以上であります。
〔二十四番 海老原崇智議員登壇〕
○二十四番(海老原崇智議員)
それぞれに御答弁ありがとうございます。
築地のお話ですけれども、本開発の意義については、国際交流の拠点となるのは必然であるというお話がございました。確かにそうなんだろうなというふうに私も思います。一方で、やはり事業の進捗という面においては、なかなか前に進んだ答弁というか、状況が生まれていないというのも事実かなと思います。やはり議会としても、来年度以降、都や、そして決まるであろう事業者と定期的に会合を持つ、コンタクトを取る、そういった必要があるのではないかなというふうに思いますので、ここで少しお話をさせていただきます。
次に、晴海についてでありますけれども、都と協議を進めていくというお話がございましたので、ぜひとも早い段階での協議を進めていただきたいと思います。協議に際しましては、今、間近にいる、目の前にいるお子さんたちへの手当てというのも当然なんですけれども、やはり将来の子供たちやその地域にとってどうなのか、こういった視点もぜひとも入れていただいて、大変に難しい交渉ではあろうかと思いますけれども、何とか踏ん張り抜いていただきたいというふうに思います。
次に、福祉施策全体の方向性についてでありますけれども、御指摘にもありましたとおり、複雑化・複合化しているということで、そのとおりだと思います。相談支援体制を強化していく。この相談支援体制の強化の後、つまり、相談を受けた区民が、その後、どういうふうになっていくのか。福祉サービスが全てではなくて、区の福祉のサービスを離れて自分らしく生きる、つまり、相談しました、福祉サービスにつながりました、そこで終わりではなくて、より、それぞれの区民の方たちが自分らしく生きられるような、そういう後押しをするような形での相談支援体制に努めていただきたいと思います。
最後に、区制八十周年の一つの帰結点というところでございますけれども、やはり指摘がございました下町特有の人情、これがまさに変容している。これが一番問題なんだろうというふうに思っています。これらの具体については、予算特別委員会等でうちの会派としてもしっかりと問いただしていきたいというふうに思いますので、引き続きお付き合いをいただければと思います。
これをもちまして、中央区議会自由民主党議員団の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(瓜生正高議員)
次に、かがやき中央を代表して、十一番高橋まきこ議員。
○十一番(高橋まきこ議員)
中央区議会会派かがやき中央を代表いたしまして、令和七年第一回区議会定例会代表質問を行います。御答弁によりましては、再質問をいたします。
会派から山本区長へ提出いたしました令和七年度予算要望書の冒頭におきまして、縦と横のつながりを強くし、全庁的に取り組んでいただきたいとお伝えいたしました。中央区は、今、築地川アメニティ整備構想や築地市場跡地開発、晴海といったまちづくりの進展において、東京都や隣接区、そして民間をはじめとした関係する方々と広くつながりを強め、魅力あるまちづくりを展開していくことが重要となっています。こうした視点に基づき、区長所信表明並びに令和七年度予算案につきまして、中央区基本計画二○二三に沿って質問をいたします。
区長所信表明におきまして、多文化共生のまちづくりを推進することが重要とされた点に期待を寄せるところです。本区は、在勤者やインバウンドを含む観光客など来街者が多く、その方向性を分かりやすく示すことも重要です。東京、中央区は、まちがきれいという評価をいただいていることが貴重なものであると思っています。
そこで、二点質問いたします。
まず、受動喫煙対策の強化について伺います。
健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例に基づいた取組により、喫煙所の整備が大きく進みました。そこで、取組をより強化するフェーズとして、現状に残る課題、通学路をはじめとする歩道や児童遊園の喫煙などに対する徹底を望む声が大きくなっています。隣接する千代田区が路上喫煙に対する罰則条例を制定しており、中央区もこうした強化並びに態度を示す条例を求める要望がございます。
そこで、中央区が路上喫煙に対する罰則条例を制定することについて、お考えをお聞かせください。
次に、まちの美化を目的とした環境対策の強化について伺います。
ごみステーションの回収時間が遅くなり、汚れた状態が広がっているとの声が寄せられています。それによって、路上がごみを投げ捨てやすい状況にあったり、カラスが集まっていると指摘する声もあります。
そこで、民間事業者の活用やごみステーションの在り方の検討など、路上の環境美化に向けた取組と、ごみの回収体制やその方法の見直しについて、現状と方向性をお聞かせください。
関連して、中央区基本計画二○二三におけるまちづくりの視点一、一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちについて質問を続けます。
誰もが幸せを実感できるように取り組む方向性を捉え、パートナーシップ制度の導入へのお考えをお聞きします。
性的マイノリティの方のみならず、中央区内で暮らす事実婚の方々からも要望をいただいてきました。中央区とのやり取りに困難があることから、東京都パートナーシップ宣誓制度でカバーされているものではないことが分かります。相互に人格と個性を尊重し合いながら共生社会の実現を目指す中央区の姿勢を示すべく、パートナーシップ制度の制定に向けた検討者会議の設置並びに多様な性に配慮した取組の促進を求めますが、中央区のお考えをお聞かせください。
本年三月に策定される中央区こども計画では、子供の権利や子供の意見の尊重などを理念としたこども基本法に基づき、全ての子供と子育て世帯を対象とした支援が盛り込まれたところです。本計画へのパブリックコメントに、中高生世代の回答者がなかったことを重く受け止めています。
そこで、中央区子ども基本条例を制定し、大人も子供も共に、まず理解促進から始めるべきと捉えますが、中央区のお考えをお聞かせください。
四月に整備されるこども家庭センターや子ども施策推進室といった新しい体制に期待をするところですが、区立幼稚園の預かり保育の拡充や幼保連携型こども園の設置、不登校やヤングケアラーへの支援など、子供や若者の育ちと学びについて、福祉保健部と中央区教育委員会をはじめとした関係部門がさらなる連携を深め、所信表明に述べられている子育て施策を総合的に捉える、一体的な役割を担うことが求められています。
そこで、保育と教育の垣根を越える子ども未来部の創設を求めますが、区のお考えをお聞かせください。
補聴器購入費用の助成額の引上げや、もの忘れ予防検診の実施といった高齢者施策の充実は大切であると考えます。昨年に始まり、本年に月島地域に開設されるふくしの総合相談窓口におきましては、真のワンストップ相談支援体制が確立するように求めますが、中央区のお考えをお聞かせください。
続いて、基本計画におけるまちづくりの視点二、快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまちについて質問をいたします。
これまで以上に、東京都や周辺自治体、民間事業者との連携を深め、中央区がハブとなり、広域でサステナブルなまちづくりとなることが重要です。水辺空間の活用や水上交通の活性化にも一層期待をするところです。
災害に強いまちづくり、危機管理体制についてお伺いします。
地域防災力の向上として、防災士資格取得の支援や、ちゅうおう防災カタログギフトが対象年齢制限なく、全ての区民に届けられたことは大きな前進と捉えています。本年は業務継続計画、BCPの見直しが予定されており、その内容の充実に期待をするところです。BCPの推進においては、日頃から関係機関との連携強化が極めて重要です。
そこで、中央区のBCPにおいて、東京都業務継続計画、都政BCPとの整合性を図っていく点や注力している点についてお聞かせください。
また、中央区のBCPが受援計画策定を視野に入れた改定となるのかお聞かせください。
交通ネットワークにおいては、人が中心となり、歩くことを楽しめるまちづくりが重要です。そして、交通安全への取組の強化が望まれています。そのためには、公共交通機関が快適に利用できることが重要です。
そこで、具体的に、コミュニティバス、江戸バスについて、双方向、現行の逆方向を含む運行ルートの見直し、歩車分離式信号の増設、自転車専用通行帯の増設、また通学路の安全確保を求めますが、いかがでしょうか。
また、こうした要望について、区民から情報提供を受け付ける通報システムを要望しますが、中央区のお考えをお聞かせください。
続いて、基本計画におけるまちづくりの視点三、輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまちについて質問をいたします。
子供や若者も含む多様な方が関わることで、地域のつながりが強固になり、地域防災力が強化され、そして地域への愛着が形成される、そのように考えております。このことで、地域コミュニティがより活性化してまいります。そのために、私たちの会派では、オープンディスカッション、開かれた会議の実現を求めています。オンラインも含めて、いつでも誰でもどこからでも会議などに参加できる機会を確保していくことが重要で、その結果として、中央区が基本構想で掲げるプロアクティブ・コミュニティが確立していくものと考えています。
各種会議のメンバーに広く一般公募枠を設けること、そして、区の事業に反映させるためのオンラインプラットフォームの導入を求めますが、区のお考えをお聞かせください。
デジタル化の推進は区民の期待が高く、オンライン化、電子申請化に賛同しますが、業務の見直しも含め、職員の働きがいの創出や区民の安心につながるようなDXへとステップアップしていくことが重要です。
そこで、生成AIの利活用に向けた現状と課題、そして本庁舎を含む区の公共施設におけるフリーWi‐Fi完備の必要性について、中央区のお考えをお聞かせください。
関連しまして、区民サービスの充実はもとより、地域防災拠点におけるハブ機能の強化、中央区の愛着形成の拠点づくりといった視点からも、本庁舎の再整備について検討会議を再開することを求めますが、いかがでしょうか。
これまで中央区が、子供と若者が地域の重要な担い手であり、地域コミュニティの拠点は学校であると説明してきたことから、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進を求めます。その必要性について、お考えをお聞かせください。
二十万都市を見据え、学校、公園などの施設整備と、区民が生きがいを感じながら、十分な体験の機会を確保していくことが重要と考えています。次世代の学校教育現場に向けて、教育DXを積極的に推進することで教育課題の解決を急いでいただきたいと思います。学びの姿も進化し続けていかなくてはならない一方で、子供たちの現状は、不登校をはじめとした、その多様性が顕在化しています。他区では、教育課程の時程上の工夫などの取組が始まっています。
そこで、中央区は、子供たちが主体的に学ぶ教育活動をどのように実践していくのかお聞かせください。
進学や登校に希望を持てる選択肢を備える必要性から、自閉症・情緒等支援学級固定の早期設置を要望します。中央区教育委員会のお考えをお聞かせください。
そして、子供から大人まで、希望する誰もが学び、楽しめる機会の充実について質問を続けます。
区民が英語に触れる機会を増やしていくことにつきまして、中央区のお考えをお聞かせください。
こうした方向性の一つとして、中学生の海外体験留学の機会についても、対象や定員枠の拡大を要望します。
次に、スポーツに親しむ機会の充実についてお聞きします。
日常的に誰もが多様なスポーツを楽しめる機会を増やすために、中央区はどのようなことに取り組みますか。
そして、改めて、子供たちが体を動かして主体的に遊ぶことを通して育つプレーパークの早期設置とプレーリーダーの導入を要望いたします。
さて、本年は戦後八十年の節目となり、中央区平和都市宣言から三十七年が経過しています。山本区長によって、改めて平和への願いを込めた宣言をされてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
花火は平和の象徴とも言われます。中央区で地域における心に残る体験の一つとして、東京湾大華火祭の開催について伺います。
令和七年度にも調査予算が提案されていますが、区はこれまでも調査を重ねてきました。東京都や隣接区と協力を強めた上で、より早期の再開を求めますが、中央区はいつ頃の開催を目指して調査を進めているのかお聞かせください。
以上、一回目の質問とさせていただきます。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
高橋まきこ議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、受動喫煙防止対策についてであります。
本区では、事業所が集積する地域特性上、在勤者による路上喫煙が多い状況ですが、これは事業所内やその周辺に喫煙所が少ないことが原因であると認識しております。このため、罰則として過料を設けたとしても、喫煙所がなければ周辺の新たな場所で路上喫煙が発生し、その抑制効果は限定的になると考えております。また、過料は行政処分であり、これを行うための職員数の確保が必要となるほか、路上喫煙が多い私道や駐車場といった私有地では適用できないなど、実効性の担保にも課題があります。区といたしましては、引き続き指定喫煙場所の拡充を図るとともに、巡回パトロールによる中央区たばこルールの周知と喫煙所への誘導を徹底するほか、事業所内での喫煙所の整備を働きかけるなど、受動喫煙防止に向けた取組を推進してまいります。
次に、まちの美化とごみの収集体制についてであります。
区内のごみ集積所は、地域の方々と区との合意の上で定めており、利用される方々によって自主管理がなされております。区では、不法投棄やカラスなどによるごみの散乱を防止するため、ごみの排出は、地域ごとに設定されている収集時間に合わせて排出するようにお願いをしております。また、カラス対策などの相談があった際には、解決に向けて調整を行い、防鳥ネットの貸出しなども行っております。ごみの収集に当たっては、可燃ごみ以外の粗大ごみや瓶・缶・ペットボトルなどの資源ごみを既に民間事業者に委託しているところであり、現在のごみ収集体制等については、区内のごみ排出量の状況を鑑みると、適正であると認識しております。今後も、ごみの排出量に応じた収集体制により、地域の方々と連携して、まちの環境美化に取り組んでまいります。
次に、パートナーシップ制度についてであります。
本制度は、法に定める婚姻制度とは異なり、証明の実効性など法的拘束力に課題があることが指摘されております。また、婚姻や家族観については多様な意見があり、法的保護を受けるためにも、国が広域的に取り組むべき課題であると認識していることから、本区において制度制定に向けた検討者会議の設置は考えておりません。区では、性の多様性をテーマにしたイベントや講座などにより、区民等に対する普及啓発を図るとともに、性的指向などに関する相談体制を整えております。今後とも、こうした様々な取組を通じて人権尊重と多様性への理解促進を図り、全ての人の性の多様性が認め合える社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、子ども基本条例についてであります。
子供の権利や意見を尊重することは子供施策の基本であり、この三月に策定する中央区こども計画においても、第一の基本施策に位置づけております。区といたしましては、本計画を着実に実行し、子供の権利などについて理解促進を図ってまいります。
次に、子ども未来部の創設についてであります。
子供が健全に成長し、安全に安心して子育てできる環境づくりには、福祉だけにとどまらず、妊娠期から関わる母子保健、学校をはじめとする教育、安全に遊び、暮らしを支えるまちづくりなど、幅広い行政分野に関わることから、これまでも区長をトップとする子育て支援対策本部を設置し、関係部署が連携しながら各種施策を推進してまいりました。区といたしましては、子ども施策推進室を設置した後においても、これまでと同様、全庁的な連携体制の下、子ども・子育て施策の推進を図っていく考えであります。
次に、ふくしの総合相談窓口についてであります。
区では、令和六年四月に、自立相談支援機関の機能を拡大し、生活困窮に関する相談だけでなく、八○五○問題、ダブルケアなど、複雑化・複合化した課題や既存のサービスの対象とならない制度のはざまの問題にも対応するふくしの総合相談窓口を本庁舎に開設いたしました。この窓口は、手続や相談のワンストップ化ではなく、年齢や障害の有無等にかかわらず、福祉に関する様々な相談を受け止め、他の支援機関との連携により、適切な支援につなげるものであります。また、従前から、子供、高齢、障害など分野ごとの相談窓口において、各制度に精通した職員が専門性を生かしながら相談者の困り事に対応しているほか、必要に応じてふくしの総合相談窓口に同席するなど、各相談窓口と緊密に連携を図っているところであります。区といたしましては、この窓口を、本年七月に月島区民センター、令和八年度には日本橋区民センターにも設置し、区民が身近な地域で相談できる体制を強化してまいります。
次に、業務継続計画の改定についてであります。
業務継続計画は、発災時において、限られた人的・物的資源をより効果的に活用できるよう非常時優先業務を整理し、区民の生命・身体・財産を災害から保護するための区の考え方や対策を定めた計画です。今回の改定では、一つは、発災状況に応じた職員体制の構築、二つ目は、執行体制の確立、執務環境の確保、三つ目として、様々な災害事象への対応といった三つの基本方針を掲げ、国や都の計画との整合性を図りながら、現在、令和七年度の計画改定に向けた作業を行っているところであります。なお、本区では、受援計画を個別に作成せず、今回改定する業務継続計画にその内容を盛り込むことを検討しております。
次に、交通の安全性・利便性の向上と通報システムについてであります。
区では、交通施策を総合的に推進するため、令和四年に総合交通計画を改定し、誰もが安全で快適に移動できる魅力的な都市の実現を目指し、各交通施策を展開しているところであります。江戸バスの双方向化につきましては、一方通行の多いルートであることや、さらには全国的な運転手不足の中、実現するのは困難な状況であります。また、交通の安全性の向上を図るため、自転車通行空間の整備や通学路の点検・補修などを、これまでも計画的に取り組んでおります。歩車分離式信号機につきましても、交通管理者と交通状況に応じた設置を協議するなど、引き続き道路空間における安全の確保に努めてまいります。交通施策に関する要望については、的確に状況を確認する必要があることから、今後も、ホームページ上で周知している電話やメールなどにより対応してまいります。引き続き、関係機関とともに、安全で利便性の高い交通環境の創出に向け、取り組んでまいります。
次に、開かれた会議についてであります。
区民の意見や要望を把握し、施策に反映させていくことは、区民ニーズに応える区政を推進していく上で大変重要であります。こうした認識の下、これまでも各種審議会等において、その設置目的や審議の内容に応じ、公募委員を選定しているところであります。また、デジタルツールの活用についても、開かれた区政をより一層推進する観点から、その有効性を検討してまいります。
次に、デジタル化の推進についてであります。
中央区のデジタル化については、区民にとってより便利でやさしい区役所を目指す将来像として、中央区情報化基本方針に従い、推進しております。生成AIの利活用についても、この方針に位置づけ、現在、課題解決に向けた検討を進めております。また、フリーWi‐Fiの整備につきましては、現在取り組んでいる本庁舎を含む公共施設の在り方の検討の中で、その必要性を含め、確認してまいります。
次に、本庁舎の再整備についてであります。
区といたしましては、人口増加に伴う施設需要がさらに高まる中、建設工事費の高騰をはじめ、本区を取り巻く社会経済状況の変化が区財政へ及ぼす影響等を勘案すると、いまなお慎重に検討する必要があるものと認識しております。本庁舎の再整備は重要な課題であり、引き続き、将来的な整備に向けた財源確保とともに、DXの進展を見据えた庁舎機能の在り方や必要面積の再検証などについて内部検討を進めてまいります。
次に、英語に触れる機会の充実についてであります。
グローバル化が著しく進展する現代社会において、様々な世代の区民が、英語はもとより、外国語に触れる機会を得ることは、異文化理解を深め、国際社会で活躍する礎となるものであります。また、外国人住民が増加し、多くのインバウンドが訪れる本区にあって、日常的なコミュニケーションや交流を図る上でも重要なものであります。そのため、区では、区民カレッジでの英会話講座や中学生の海外体験学習などを実施しているほか、文化・国際交流振興協会においては、交流の場となる国際交流サロンや国際交流のつどい等を開催しており、今後も、こうした取組とともに、区民が様々な外国語に触れられる機会の創出に努めてまいります。
次に、スポーツに親しむ機会の充実についてであります。
誰もが日常的にスポーツを楽しむ機会を提供することは、区民の健康を増進し、心豊かな生活を送る上で大変重要なものであると認識しております。そのため、区では、区民スポーツの日をはじめとする様々なイベントや教室を実施するとともに、学校施設のスポーツ開放や公園の活用など、限られたスペースの有効活用に努めてきたところであります。そして、今般、本区の特性である都内随一の水辺空間を活用した水上スポーツ関連施設の整備といった新たな分野への試みに着手することといたしました。今後も、中央区スポーツ推進ビジョンの改定を通して、区民がより一層スポーツに親しみ、楽しんでいただけるよう鋭意検討を進めてまいります。
次に、中央区平和都市宣言についてであります。
昭和六十三年第一回区議会定例会において満場一致の議決を経て行った中央区平和都市宣言は、平和が人類繁栄の礎であることを確認し、区の施策に平和の理念を反映させることにより、世界の恒久平和に貢献することを区として内外に示したものであります。今後とも、この揺るぎない宣言の下、全ての人にとって幸せの原点である平和の尊さを明日の世代に伝えるための取組を重ねるとともに、核兵器廃絶や恒久平和の大切さを国内外に訴えてまいります。
次に、東京湾大華火祭の再開についてであります。
華火祭の再開に向けては、令和四年に実施した調査時からの、晴海地区をはじめとするまちの変容といった環境変化への対応や、物価高騰に伴う開催経費を改めて算出するため、より詳細な調査を実施するとともに、引き続き近隣区との調整を進めております。開催時期については、相当程度の準備期間が必要なことから、令和七年度の実施は困難でありますが、なるべく早期の再開を目指してまいります。
私の答弁は以上であります。
〔教育長 平林治樹君登壇〕
○教育長(平林治樹君)
教育問題についてお答えします。
初めに、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の必要性についてであります。
コミュニティ・スクールは、学校が地域住民と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供を育むことを目的としております。これを具現化する地域学校協働活動は、地域と学校が連携・協力して行う様々な活動であり、その必要性については、大変重要と認識をしております。本区においては、各学校創立以来、地域と学校が強い絆で結ばれており、学校が町会や地区委員会、学校評議員会やPTAと一体となって学校運営をしております。さらに、卒業生で組織された校友会や同窓会のほか、区内の多くの名立たる企業に学校の教育活動を応援していただいております。こうしたことから、本区においては、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動と同様もしくはそれ以上の活動が既に実施されているものと考えております。
次に、学校における主体的な学びについてであります。
子供たちが変化の激しいこれからの社会を力強く生き抜くためには、育成すべき資質・能力である知識及び技能、思考力、判断力、表現力等、学びに向かう力、人間性等を三つの柱として、バランスよく育んでいくことが重要であります。こうしたことから、各学校においては、ICTなどを活用しながら、教員が子供の学習進度や到達度に応じて学習課題を柔軟に提示することに加え、子供が自ら学習課題を選択する個別最適な学びと探究的な学習などにおいて、子供同士が学び合いの中で意見交換し、学びを深める協働的な学びを充実させております。これらの取組を通して、子供たちに学習に対する目的意識を持たせ、達成感を感じさせながら、主体的な学びを促しております。今後も学びの質の向上を図り、予測困難な時代や状況にも対応できる資質・能力を備えた子供たちを育んでまいります。
次に、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置についてであります。
この学級は、自閉症または情緒障害があるものの、知的発達に遅れがない児童・生徒が対象となります。これらの児童・生徒にとって、将来の進学や自立に向けて必要な力を身につけるためには、通常の学級における集団との関わりや教科学習の時間を十分に確保することが重要であります。その上で、学習上または生活上の課題を改善・克服するため、教育課程に基づいた自立活動の指導を行うことが大切であると認識をしております。そのため、教育委員会では、今後、特別支援教室に区独自の講師を増員し、これまで以上に児童・生徒一人一人の特性に応じた指導体制を強化していく考えであります。自閉症・情緒障害特別支援学級の設置につきましては、こうした取組の効果等を検証するとともに、他自治体の実施状況を見極めながら、慎重に判断してまいりたいと考えております。
答弁は以上であります。
〔十一番 高橋まきこ議員登壇〕
○十一番(高橋まきこ議員)
それぞれに御答弁をありがとうございます。
中央区は、区民が増え続けています。これまで住み続けてきた方も、そして、これから住む方も、多様な方々の思いを取り込みながら、区政にも積極的な新しいチャレンジが求められています。現状、会議のオンライン傍聴はかなわないものが多く、議事録や区長への手紙のフロー公開には数か月かかっている現状があるために、区民が意思決定に関わる機会に困難があります。こうした視点で、私たちかがやき中央が求めるオープンディスカッション、開かれた区政運営について、オンラインプラットフォームについては、検討していくというところを伺ったところですが、であれば、一人一人の区民の声をどのように区政運営に生かしていくのか、この検討の方向性について詳しく一点のみ再質問をさせてください。
様々に御答弁いただきましたが、江戸バスの逆ルートの運行は難しいとございましたが、今ある限られた区内の資源を、区内のどこに住んでいても、どの方でも活用できるといった視点からも求めたところでございますので、こうした視点から、区内のどこに住んでいても困らない、そうしたところを再度考えていただきたいという点を改めて要望いたします。
また、地域の在り方についても御答弁いただきましたが、担い手確保や困難、また、関係に悩む方々もいらっしゃいますので、ぜひこの再検討についても積極的に進めていただきたいと思います。
そして、BCPについては、受援計画は個別には制定しないが、含んでいくという意思を確認したところでございます。例えば、年に一回東根市に発災の連絡を入れるところまでをやる、そういった訓練をすることでも、この受援計画に近い実効性を担保することができますので、ぜひ、この受援体制強化には積極的に取り組んでいただきたいという点を要望いたします。
自閉症・情緒等支援学級固定の設置については慎重なというところをはっきりとおっしゃっていただいたところですが、この要望については、近日、百五十件を超える方々の署名とともに、要望書が中央区教育委員会に提出されたというところで、設置の要望を急ぐ方々がいらっしゃいます。そして、その方々によると、これは不登校支援としても重要だという御説明もございましたので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい点として、急ぎ、設置について要望いたします。
かがやき中央は、新しい仕組みの導入や人材の登用など、官民連携も積極的に進め、スピード感のある課題解決を実現していくように強く要望するものです。
残る質問の個別については、予算委員会で伺ってまいります。
ありがとうございました。
〔総務部長 黒川 眞君登壇〕
○総務部長(黒川 眞君)
再質問いただきましたオープンディスカッション、また、開かれた区政に関する再質問についてお答えをさせていただきます。
今、会派かがやき中央からのお尋ねがありましたとおり、本区におきましては、人口の流入が進み、多様な世代、また多様な特性ですとか、考え方、価値観を持った区民の方々が移り住んできておられるという状況でございます。こうした中で、いかにこうした区民の皆様方の多様な意見を吸い上げ、それを区政に反映していくかということは、区にとっても極めて重要な課題であるというふうに考えております。
一方で、お話にございましたデジタルツールの活用等々、御提案をいただいたところでございますけれども、デジタルツールになかなか乗ってこられない方々もいらっしゃることは推測できることでございますので、先ほどの区長の答弁でもございましたけれども、こうしたツールをいかに有効に活用できるのかといったところを、まずは研究することを進めながら、より開かれた区政をいかに実現していくかということについては、常に考え続けていきたいというふうに考えているところでございます。
答弁は以上でございます。
○二十三番(木村克一議員)
議事進行について動議を提出いたします。
ただいま代表質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。
お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。
午後三時十五分 休憩
午後三時三十分 開議
○議長(瓜生正高議員)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
代表質問を続けます。
次に、中央区議会立憲民主党・無所属を代表して、十八番梶谷優香議員。
○十八番(梶谷優香議員)
中央区議会立憲民主党・無所属の梶谷優香です。令和七年第一回中央区議会定例会に当たり、会派を代表し、通告書に従い、質問をさせていただきます。なお、再質問はあらかじめ留保させていただきます。
本区は、平成二十九年六月に、区議会の議決を経て、全ての人々が幸せを実感し誇りを持てる都心中央区を目指して、将来像を「輝く未来へ橋をかける ― 人が集まる粋なまち」とする新たな中央区基本構想を策定いたしました。この基本構想は、二十年後の本区を展望し、本区に住み、働き、集う全ての人々が幸せを享受し、輝く未来へ躍進していく社会をつくるとともに、江戸開府以来、日本の文化・商業・情報の中心として発展してきた長い歴史と伝統を背景に、新たなまちの魅力を創造し、活力のある中央区のさらなる発展を目指すものです。都心中央区の魅力に磨きをかけ、世界に誇れる誰もが憧れるまちを築き上げていくため、輝かしい未来へ夢と希望の橋を架けてまいる決意でありますと、矢田美英前区長は力強く決意表明をされました。
昨年、八期三十二年にわたり、定住人口の回復と快適な都心居住のまちづくりに御尽力された矢田美英前区長が永眠されました。謹んで哀悼の意を表します。
さて、平成三十年二月には前計画を取りまとめ、将来像「輝く未来へ橋をかける ― 人が集まる粋なまち」の実現に向けた取組を進めてきました。一九九七年に人口が七万一千八百六人にまで減少した本区は、住環境の整備などの施策により再び増加に転じ、二○二五年二月現在では十八万七千七百五十六人に達し、今後も人口は増加し、二○二七年には二十万人を超える見通しです。
一方で、社会経済状況は大きく変化しており、新型コロナウイルスやデジタル化、気候変動などが区民の生活に影響を与えています。また、築地市場跡地開発や晴海のまちづくりなど、都市基盤の整備も進んでいます。これらの変化に対応し、質の高い行政サービスを提供するためには、中長期的な視点で施策を見直す必要があります。そのため、本区では、中央区基本構想に掲げた将来像の着実な実現に向けた取組を総合的かつ計画的に展開するため、二○二三年度を初年度とし、今後十年間を見据えた新たな基本計画二○二三を策定しました。
中央区基本構想では、施策分野ごとの考え方として、三つのまちづくりの視点から成る九つの施策のみちすじを示しており、この施策のみちすじを基本政策と位置づけています。区長所信表明においても、新年度予算の主な施策について、基本構想に掲げる三つの施策のみちすじに沿ってお話がありましたので、今回、私たちの会派における代表質問においても、この三つの施策のみちすじに沿って、順次質問をさせていただきます。
まず、一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちを目指してです。
人口増加が進む中で、子供や若者、子育て家庭が抱える多様な課題に対する取組は、区民にとって非常に重要です。特に、子育て環境の充実は、地域の未来を担う子供たちの成長に直結するため、私たち全員が今後の未来のために、着実に進めていかなければならない環境づくりと考えます。
初めに、新たに策定される中央区こども計画によって、私たちの未来を担う子供たちが安心して育ち、夢を持てるような社会づくりに向けて、どのような未来を描いているのか、本区の考える今後について御見解をお聞かせください。
安心して子供を育てられる環境づくりや、若い世代が希望を持てる社会の実現に向けて、中央区にはより一層の努力が求められており、子育て支援の充実が不可欠です。質の確保された保育施設の拡充や多様な保育サービスの提供を進めることで、全ての家庭が安心して子供を預けられる環境を整える必要があります。また、長年、全国的な課題であった保育所の待機児童問題では、本区では、重点課題として認可保育所の整備を進め、二○二二年より待機児童ゼロを達成したことはすばらしい成果であります。今後も保育所の待機児童ゼロを維持しながら、急増する保育ニーズに応じた柔軟な対応策を講じていただくようお願いいたします。
高齢者施策や障害者施策については、心身の健康を保ち、自立した生活を送るための支援がますます重要になっています。特に、人口の高齢化が進む現代において、本区ではひとり暮らしの高齢者も多く、高齢者や障害者が安心して生活できる環境を整えることは、地域社会全体の福祉の向上に直結する重要な課題です。
区民が安心して生活できる環境整備が進む中、今後の高齢者や障害者に対する支援策として、どのような長期的な目標を掲げているのか、本区の今後の方向性について御見解をお聞かせください。
区民の暮らしを支えるための相談支援体制の強化も大変重要と考えます。本区では、昨年の四月から福祉に関する相談窓口の充実を行い、福祉に関して、年齢や属性にかかわらず、様々な不安や困り事を一旦受け止め、関係機関と連携しながら解決に向けて継続的に支援を行っていただいております。包括的な支援体制の整備を通じて、区民が安心して生活できる社会を実現するために、今後も相談窓口の周知を図り、より多くの区民が必要なときに気軽に利用できるよう環境整備をお願いいたします。
次に、快適で安全な生活を送るための都市環境が整備されたまちを目指してです。
いつ起こるか分からない大規模災害に備えるための取組は、区民にとって非常に重要であり、喫緊の課題となっております。過去の経験からも、いかなるときに災害が発生するかを予測することは難しく、そのための準備と対策は欠かせません。特に、地域防災力の向上や災害発生時の情報収集・伝達体制の強化は、区民の命と安全を守るために不可欠です。区民が自ら安全を確保できるような環境を整えていくこと、そして、地域社会全体で防災力を高めることが中央区の今後の重要な課題であると考えます。
地域防災力の向上や災害発生時の情報収集・伝達体制の強化に向けた具体的な活動について、区長所信表明の中でもお示しがありましたが、改めて、本区の防災力の向上に向けた今後の方向性について御見解をお聞かせください。
環境負荷低減に向けた取組として、脱炭素社会の実現は、地域の持続可能な発展に欠かせないと考えます。特に、若い世代の環境意識が高まっている中で、区としては、長期的な戦略を策定し、地域全体を巻き込む取組を強化していただきたいと思います。区民が環境問題を理解できる機会を増やし、自発的に参加できる仕組みを整えることで、一人でも多く区民の環境意識を高めることが重要と考えます。中央区全体が持続可能な社会を目指す姿勢を見せ、本区が環境に優しい自治体のモデルになることを願っております。
水と緑あふれる豊かなまちづくりに向けて、公園や水辺空間の整備は、地域の魅力を高める重要な要素であると考えます。自然との触れ合いは、区民の心身の健康を促進し、地域コミュニティを活性化させる役割も果たします。特に、子供たちが安全に遊び、家族や友人と共に過ごせる場所を整備することは、子供たちにとっての成長の場であり、社会性や協調性を育む重要な環境整備となります。今後は、さらに多様な公園や水辺空間の整備を進めていただき、区民の皆様をはじめ、在勤者や来街者の方々が利用しやすい環境を整え、誰もが気軽に訪れることができる公園や水辺空間を実現していただけるようお願いいたします。
都市基盤整備に関する取組については、区民が快適に暮らせる環境を整えるための長期的な計画をぜひ具体化していただき、特に、築地市場跡地開発や日本橋川沿いの再開発が地元の地域に与える影響についても、十分な配慮を持った施策を進めていただくことを要望いたします。地域の活性化やコミュニティ形成に寄与するよう、関係団体には区民の意見を反映させる仕組みを要望し、地域の特性を生かした都市基盤整備を図っていただきたいと思います。
最後に、輝く個性とにぎわいが躍動を生み出すまちを目指してです。
地域経済の面において、円安や物価高騰という厳しい状況の中で、中小企業支援に向けた取組が進められていることに期待を寄せているところです。中小企業は地域経済の基盤であり、雇用の創出や地域の活性化において重要な役割を果たしています。
融資制度の拡充など、商工振興策がどのようにして商工業のまち中央区の未来を支えるのか、本区の今後の方向性について御見解をお聞かせください。
スポーツや文化イベントの推進、そして地域コミュニティの活性化は、区民の絆を深める重要な役割を果たすと考えます。大江戸まつりや晴海まつりなどの地域イベントが地域の個性を引き出し、さらなるにぎわいを創出するために、区としての取組を今後も強化していただきたいと思います。
教育に関しては、未来を担う子供たちが夢と希望を持てる環境を整えるための施策に期待を寄せているところです。
GIGAスクール構想や図書館支援センターの設置など、教育の質向上に向けた具体的な取組を通じて、どのようにして次世代を育成していくのか、本区の長期的な展望、今後の方向性について最後にお聞かせください。
以上で第一回目の質問を終わります。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
梶谷優香議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、中央区こども計画で描く子供たちの未来についてであります。
本区における子供施策の考え方は、全ての子供が人格と個性を尊重し合い、安全・安心に過ごせる居場所を持つことにあります。また、そのような環境の中で、子供たちが意欲や自己肯定感を高めながら力強く成長し、自分らしい生き方を選択できるとともに、地域社会づくりにも参画していけるよう、地域全体で支えていくことであります。本年三月に策定する中央区こども計画では、こうした視点の下で各種施策を推進していくことにより、子供やその保護者はもとより、子供の育ちを支える全ての人の笑顔が輝き、自分らしく成長できるまちの姿を描いております。
次に、高齢者と障害者に対する支援策についてであります。
人口増などにより高齢者等が増加傾向にあり、また、社会環境が著しく変化する中にあっては、顕在化する課題と今後一層多様化が進む医療、介護などへのニーズをしっかりと見据えて、計画的に施策を展開していくことが重要であると認識しております。そのため、区では、現在、高齢者と障害者に関する施策について、中央区基本計画二○二三を上位計画とする個別計画を策定し、各事業を展開しているところであります。具体的には、高齢者分野では中央区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、健康づくり・介護予防をはじめとした六つの基本目標を示し、地域包括ケアシステムの深化・推進などの取組を通し、互いに支え合い、自分らしくいきいきと暮らせるまちの実現を目指しております。また、障害分野では、中央区障害者計画において、地域で暮らし続けるための仕組みづくりなど三つの施策の方向性を掲げて、障害の重度化や親亡き後を見据えた住まいの確保や就労等による自立支援などの取組を通じ、誰もが個性豊かに輝き、共に暮らせるまち中央区の実現を目指しております。今後も、行政評価や有識者を含む会議体等により検証・改善を図るほか、当該計画の改定などに当たっての様々な調査や日頃の相談窓口等における対応を通じて、ニーズや環境の変化を敏感に捉えるとともに、両分野にまたがる課題等も整理し、各施策を体系的に展開してまいります。区といたしましては、こうした取組を関係機関との緊密な連携により効率的かつ効果的に実施し、高齢者や障害者はもとより、支える家族も含め、誰もが住み慣れたまちで尊厳を持ちながら安心して暮らし続けられるよう、全庁を挙げて様々な施策を推進し、地域共生社会の実現を目指してまいります。
次に、防災力の向上に向けた今後の方向性についてであります。
東日本大震災の発災から、間もなく十四年を迎えようとしています。関東大震災、阪神・淡路大震災、能登半島地震など、過去の震災で得た経験と教訓を風化させることなく、次世代へ継承していくとともに、区民の生命、身体・財産を守るための終わりなき防災対策と正面から向き合っていかなければなりません。一方で、定住人口が十八万七千人を超え、三万を超える事業所の集積や昼間人口約六十三万人を抱える本区の地域特性を踏まえ、マンション防災対策、帰宅困難者対策を含めた事業所防災対策を大きな柱とし、地域の要である防災拠点を中心として、地域ぐるみの防災力を強化していくことが不可欠であります。そのためには、地域社会における日常生活、経済活動、さらには中学生などの若い力を活用した住民参加型の防災拠点訓練を通じて、人と人をつなぎ、人々の結びつきを強めていく取組が極めて重要であります。このことが自助・共助の取組につながり、地域ぐるみでの防災力の強化に向けた強い礎になるものと確信しております。今後とも、防災関係機関との緊密な連携はもとより、区民や事業所の理解と協力を得ながら、自助・共助・公助が一体となって、災害に強いまち中央区を実現していくよう邁進していく所存であります。
次に、商工振興の今後の方向性についてであります。
本区は、江戸開府以来、文化・商業・情報の中心地として発展を遂げ、我が国の経済を牽引し続ける商工業のまちであります。特に、三万社を超える中小企業の活発な活動は、経済の活性化のみならず、雇用の創出や地域の魅力向上をもたらす、まさに本区の生命線にほかなりません。しかしながら、長い歴史の中では、区内経済が苦境に立たされることもあり、中でも、リーマンショックや新型コロナウイルス感染症が引き起こした混乱は記憶に新しいところであります。また、現在も、不安定な国際情勢に端を発した物価高騰の影響が長らく続き、企業の経済活動に重くのしかかっております。こうした困難が発生する都度、区は、区内共通買物・食事券の発行額の拡大や緊急特別支援融資の実施など、ちゅうちょなき経済対策を講じ、区内事業者に寄り添った支援に鋭意努めてきたところであります。さらに、令和七年度予算案においては、買物券のさらなる増額や新たな融資制度の創設、各種補助の大幅な拡大等を図り、中小企業を取り巻く厳しい現状を打開し、明るい未来に希望を抱けるよう、強力な一手を講じてまいります。今後も、こうした支援策をはじめとする経済活性化に資する取組を積み重ね、中小企業の持続的な成長と地域産業の一層の振興を図り、国内外から人々を引きつける魅力と活気あふれる商工業のまち中央区のさらなる発展に向けて、積極的に取り組んでまいる決意であります。
私からの答弁は以上であります。
〔教育長 平林治樹君登壇〕
○教育長(平林治樹君)
教育問題についてお答えをします。
次代を担う子供たちの育成についてであります。
これからの学校教育では、将来の変化を予測することが困難な時代において、子供たちが未来に向けて自らの人生を切り開き、生涯を生き抜く力を培っていくことが何よりも大切であると考えております。こうしたことから、教育委員会では、令和七年度のGIGA第二期のタブレット端末の更新を契機に、ICT機器のさらなる活用を図り、個別最適な学びと協働的な学びの質を高めるほか、デジタルツールを活用した創造性や問題解決能力を伸ばす授業の充実に努めるとともに、インターネット利用に関わる諸課題について、子供たちに社会的責任や公共性を理解させ、自律した使い方を身につけさせるデジタルシチズンシップ教育を家庭と連携しながら推進してまいります。また、教育センター内に学校図書館支援センターを設置し、各学校の読書環境を充実させ、子供たちの読書への意欲を高めるほか、読書活動を通じて、各教科の学びの支えとなる言語能力はもとより、読解力や思考力等を高めてまいります。これらの取組を通して、次代を担う子供たちの知識や技能、思考力や読解力を伸ばし、情報を整理・分析しながら多様な考えを持つ他者と協働し、主体的に課題を解決する資質・能力を育んでまいります。
答弁は以上であります。
〔十八番 梶谷優香議員登壇〕
○十八番(梶谷優香議員)
それぞれ御答弁いただき、ありがとうございます。
今回は初めての代表質問ということで、区長の所信表明に基づき、我が会派の要望を交えながら質問をさせていただきました。
本区が目指す一人一人の生き方が大切にされた安心できるまちの実現に向けて、子育て支援や高齢者、障害者施策の重要性は言うまでもありません。これらの施策が着実に進むことで、全ての区民が安心して生活できる環境が整うことを今後も期待をしております。
快適で安全な都市環境の整備については、大規模災害への備えや環境負荷低減の取組が必要不可欠です。特に、地域防災力の向上や脱炭素社会の実現に向けた具体的な施策について、着実に進展を続けていただきたいと思います。
また、区民が自然と触れ合い、コミュニティが活性化する場を提供することが求められています。特に、人口増加の著しい臨海部を中心に、公園や水辺空間の着実な整備を要望いたします。
地域経済の活性化や文化・スポーツイベントの推進も、区民の絆を深め、中央区の個性を引き出す重要な施策であると認識しています。中小企業支援や教育の質向上に向けた施策の展開が、未来を担う子供たちへの投資となることを期待しております。
これらの施策を進める中で、中央区が誰もが憧れるまちとなるためには、今後も一層の努力が必要です。中央区政の発展のため、私たちも区民の皆様の声をより一層区の施策に反映ができるよう努力してまいりたいと思います。
以上で中央区議会立憲民主党・無所属の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(瓜生正高議員)
次に、中央区議会公明党を代表して、二十八番堀田弥生議員。
○二十八番(堀田弥生議員)
中央区議会公明党幹事長の堀田弥生でございます。私は、令和七年第一回中央区議会定例会に当たり、公明党を代表して、区長所信表明及び一般事務につきまして質問をさせていただきます。山本区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、どうか区民の立場に立たれ、分かりやすく建設的な御答弁をお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。
本年は、昭和にするとちょうど百年、戦後八十年、また、戦後初の都市型大規模震災であった阪神・淡路大震災から三十年となる年です。平和の尊さに思いを致し、平和を後世まで守り続けること、また、いつか必ずや起こるであろう都市災害への不断の対策は、今このときに行政に携わる私たちの最大の責務であります。
以下、区長所信表明について、通告書に従い、順次質問を進めてまいります。
初めに、区長所信表明を受けて、今後の区政運営についてお伺いいたします。
本区の人口は、この一年間で一万五百六十九人増え、また出生数は、東京二十三区内でも減少に転じた区もある中、本区では年間約二千人を維持するなど、新住民は増加の一途をたどっています。区政を預かる私たちは、新しく区民となられた方も、以前からお住まいの方も、ひとしく全ての区民にとって、より一層暮らしやすい中央区を目指すことが重要です。
ただ、日頃、区民の方と接する中で、同じ区民でも、家族構成や年代、住む地域や所得などによって価値観が大きく異なるのではないかと感じております。例えば、子供のいる家庭といない家庭、身近に水辺や豊かな緑を感じることに重きを置かれる方もいらっしゃれば、都会のまちなかで安らぎを感じる方もいらっしゃいます。子供がいない代わりに、ペットを我が子のようにかわいがっている御夫婦や、仕事と余暇のバランスを取りながら都会のシングルライフを楽しんでいる方も多くお見受けします。また、中央区は全国区の知名度を誇るまちが多く、地域性が大変強いところです。歴史と伝統のある地域を愛する方と、新しく誕生した地域で一からつくっていこうという方とでは、どうしても嗜好性が異なるのは当然でしょう。地域ごとの実情に即し、地域性を最大に生かせるようなきめ細かなサービスの提供が必要です。
また、所得格差の拡大は全国共通の問題だと認識しておりますが、特に本区においては、その傾向が顕著なようです。東京都が発表している統計調査によりますと、中央区の給与所得を得ている納税義務者数は、令和四年度から五年度にかけて約一千九百人増え、課税標準額が一千万円以上の方は約一千三百人増えています。数字上ではありますが、新しく区民となられたと思われる方のうち、七割近くが課税標準額一千万円以上の高所得者なのです。これまでも、本区へ転入してくる方は所得の高い方が多かったと思いますが、その格差は広がっていると言えましょう。
区民が区政に望むことは、価値観や嗜好性、所得状況により大きく異なると思います。異なる価値観を有する区民の多様なニーズを踏まえ、全ての人々が暮らしやすく働きやすいと実感でき、住み続けたいと思える魅力的なまちをつくるために、区長はどのようなお考えの下、今後の区政運営をなさるのでしょうか。区長の御見解をお伺いいたします。
次に、今後の物価高対策についてお伺いいたします。
金融経済教育推進機構、旧金融広報中央委員会が行った調査、家計の金融行動に関する世論調査二○二四によりますと、約八割の人が老後が心配であると答えており、その理由として、この一年間で最も増えたのは、生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるからということでした。将来的には、物価の上昇よりも賃金の上昇が安定的に上回る力強い成長型経済への移行が求められておりますが、それが実現するまでの間、家計を温め、暮らしを支える政策が必要です。
本区においては高所得の方が多いとはいえ、一方で、貯金を取り崩しながら日々の暮らしを懸命に送っておられる高齢者の方や、子育てで出費が重なり、必死で家計をやりくりしている世帯もあります。私たち公明党は、これまで一般質問や各種委員会及び予算・決算特別委員会での質疑を通し、また、次年度予算要望などにおいて、重ねて物価高対策をお訴えしてまいりました。
所信表明で、物価対策にしっかりと取り組んでまいりますと述べておられますが、まず、現状をどう捉えておられるのか、そして、今後どう取り組もうと思っておられるのか、区長の御見解をお願いいたします。
次に、新年度予算案からお伺いいたします。
令和七年度予算案には、これまで一般質問や各種委員会及び予算・決算特別委員会での質疑を通し、また次年度予算要望などにおいて、公明党として重ねてお訴えしてきた取組・事業が多く含まれており、評価いたします。
歳入面においては、特別区民税などが、納税義務者数の増加や平均納税額の増に伴い、また経済の回復基調を背景に、毎年増加しております。しかし、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税による税の流出拡大などにより、大きくマイナスの影響を受けています。また、現在、国会で審議中の令和七年度の税制改正では、児童手当の拡充に伴い検討されていた十六歳から十八歳に係る扶養控除額の縮減が見送られ、また、所得税の基礎控除額及び給与所得控除の最低保障額が引き上げられる予定で、一国民の立場ではうれしいことなのですが、区の税収を考えると、令和八年以降はマイナス要因がさらに大きくなることが予想されます。
一方、今後、DXのさらなる推進に伴う行政の在り方の見直しや社会保障関係経費の増加、感染症等への対応、切迫性が叫ばれている首都直下地震や大規模水害等巨大災害への備えなど、山積する区の課題を見据え、また、何より区民の暮らしの質を高める取組を推進するために、より一層、歳入の確保に努めることが重要です。
歳入確保について、これまでも着実にお取り組みいただいていると評価しておりますが、今後も健全で強固な財政基盤を堅持するため、区として、どのような思いで財政運営に取り組んでいかれるのか、御所感をお伺いいたします。
続いて、歳入の一角を担う特別区財政調整交付金についてお伺いいたします。
交付金の額は、基準財政需要額を基に、都区間の協議を経て決定されるものと認識しております。この額を正当な理由と強い納得性、説得性を持たせて増やすことに、区は引き続きしっかりとお取り組みいただきたいと考えます。
先日の企画総務委員会資料によりますと、令和六年度の都区財政調整の再調整が行われた結果、二十三区共通の経費として十四項目が追加算定されたとのこと。その一つに、義務教育施設の新築・増築等経費の起債充当除外という文言があり、これは、児童・生徒が増え、校舎の新築あるいは増築の必要性があるということを二十三区共通の事情として都が認定し、その経費を算定したということを意味します。ただ、本区では、東京都が決めた施策に起因する小・中学校の新築がなされており、これは他区にはない事情、本区ならではの特殊な事情であり、経費だと思うのです。また、出生率、出生数について、本区では依然高い数値を維持していますが、二十三区の中でも既に少子化の傾向に転じている区があり、同じ指標でも、区によって数値が異なってきています。
都の資料によりますと、基準財政需要額の算定には補正係数がかかっており、それには態容補正や密度補正など四種類の補正が設定されています。態容補正は二十三区一律に算定できない場合に、密度補正は区によって対象者の出現率が異なる場合に適用されるとのことで、前述の二つの事情は、交付金算定において補正を適用され得る十分な説得力を持つと考えます。
特別区財政調整交付金の算定に際し、区は、これまでも様々御努力を重ねておられると承知しておりますが、東京都との協議の経過や今後に向けた御認識をお聞かせください。
次に、主な施策について、基本構想に掲げる施策のみちすじに沿って述べておられる箇所からお伺いいたします。
この中の子育て支援策について、様々な取組を踏まえ、これまでの子育て施策を総合的に捉えながら、子育て支援のさらなる充実を迅速かつ効果的に展開するため、新たに子ども施策推進室を設置すると記載があります。
本区における子育て施策は、平成九年、人口が過去最低を更新したことから、都心に人が住めるようにしようを合い言葉として、子育て世帯などの転入を促し、人口回復に取り組んだときから始まっています。その後は都心回帰の流れもあり、どの区よりも早く保育園待機児童問題に直面し、その解消のため、認証保育園の保育料を補助する区独自の制度を創設したり、妊産婦への支援として、タクシー利用券や区内共通買物・食事券を贈呈するなど、他の自治体、否、全国に先駆けた数々の事業を行ってまいりました。私たち公明党は、当時から一貫して子育て支援を強く後押ししてまいりましたし、議会、行政も軌を一にして進めてくださった結果であると認識しております。
このたび、子ども施策推進室の設置など、組織を整備するに当たり、改めて本区におけるこれまでの子育て施策を振り返るとともに、今後の方向性、方針をお聞かせください。
最後に、安全・安心なまちづくりについてお伺いいたします。
いつ起こるか分からない大規模災害に備え、本区では、耐震助成制度の増額や、区民の九割が居住するマンションの防災対策を充実させるなど、安全・安心の確保に最優先で取り組んでいただいており、心強く思っております。とはいえ、災害は本当にいつ起こるか分からないもの。先月二十八日に発生した八潮市の道路陥没事故は、近隣十二市町の約百二十万人もの人々の生活や環境に深刻な影響を及ぼしており、もはや単独事故の域を超え、災害とも言える状況です。現在もトラックごと穴に転落した運転手の救出作業が続いておりますが、一日も早い救出を願うとともに、寒い中、作業に当たっていただいている方々の労をねぎらいたく思います。
下水道管の耐用年数は五十年とされているところ、今回の陥没場所の下水道管は五十年経過していませんでした。にもかかわらず破損した原因は、下水の汚泥が蓄積したことにより発生した硫化水素が、酸素と反応して硫酸を生成し、それが当該箇所を腐食させたためと目されています。また、この場所は地盤が軟弱で、交通量も多い交差点であったことも、空洞が巨大化した一因との指摘もあるようです。
この事故を受け、国は全国で緊急点検を実施しました。下水道管は東京都の管理であることから、本区内の下水道管の日常的な点検や、このたびの緊急点検は東京都が行ったものと理解しておりますが、本区はどのような対応をなさったのでしょうか。また、点検結果なども含めて、課題と感じておられることがあれば、お示しください。
本区では、以前より、路面下空洞調査を計画的に行っておられますが、今後は計画の見直し等も検討すべきではないでしょうか。
一方、下水道管の点検・調査を行う東京都との連携も今後ますます重要になってくると思います。下水道の予防対策として、本区は、今後どのように東京都と連携して取り組んでいかれるのでしょうか。下水道管の点検や路面下空洞調査の今後の計画についても、併せて御見解をお聞かせください。
以上で一回目の質問を終わります。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
堀田弥生議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、区政運営についてであります。
本区は、かつての著しい人口減少という厳しい状況を乗り越え、若い世代を中心に転入が相次ぎ、大幅な人口回復を達成し、まちはにぎわいと活気に満ちあふれております。一方で、区民の生活スタイルや価値観も多様化し、新たな行政需要への対応が求められております。区では、これまでも、日々の窓口対応や各施策に関する協議会等における意見交換のほか、パブリックコメントや個別施策における実態調査など、区民から直接意見や要望を伺う機会を通じて、多様な区民ニーズの把握に努めてまいりました。さらには、防災訓練をはじめとした区と区民、地域等が直接交流する場において、その声を広く、かつ、じかに受け止め、様々なニーズに応じた施策の展開に生かし、区政運営に取り組んでいるところであります。こうしたことに加え、令和七年度においては、本区の魅力を発信するシティプロモーションを全庁を挙げて推進することで、区民の中にまちへの誇りと愛着心が醸成されることを目指しています。区といたしましては、今後も引き続き、これら様々な取組を通じて区民生活の満足度を高め、全ての区民が自分らしく、安心して暮らし、働き、集い、住み続けたいと思える魅力あふれる中央区の実現に力を尽くしてまいる所存であります。
次に、物価高騰対策についてであります。
エネルギーや食品など、様々な品目の値上げが相次いでおり、長期化する物価高騰の影響は、区民生活や事業活動に大きな影響が生じているものと認識しております。物価高騰対策については、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金をはじめとした各種給付金や障害・介護サービス事業所、保育所等に対する支援金など、本年度においても、数次にわたる補正予算を編成し、対応してまいりました。また、新年度予算においては、消費喚起や事業者支援などの経済対策のほか、区民生活や地域活動に密接に関わる補助制度について充実を図るなど、物価高騰対策に資する施策を盛り込んでおります。現在の社会情勢を鑑みますと、すぐに物価が下がることは考えにくいことから、国や東京都の動向も踏まえつつ、区民生活や事業活動を支える観点から、引き続き必要な措置を講じてまいります。
次に、強固な財政基盤の堅持に向けた財政運営についてであります。
本区を取り巻く歳入環境は、納税義務者数の増加などにより特別区民税に一定の伸びが期待できるものの、長引く物価高騰などを背景に、所得環境、企業収益が悪化するリスクも懸念されるほか、国の税制改正の動きもあり、先行きが不透明な状況です。また、ふるさと納税による税の流出拡大、地方消費税の清算基準の見直し、法人住民税の一部国税化など、いわゆる不合理な税制改正については、区民・地域に還元すべき貴重な財源が一方的に奪われており、このような措置を早急に見直すよう、特別区長会を通じて、引き続き国に強く働きかけてまいります。こうした予断を許さない歳入環境にあっても、住民に身近な基礎自治体として、区民の負託に応える各種施策を行うためには、強固な財政基盤の堅持が必要不可欠であります。そのためにも、歳入面では、コンビニ収納やモバイルレジ、キャッシュレス決済などの納付しやすい環境の整備や使用料等の改定を行うなど、歳入確保に向けた取組を強化するほか、歳出面では、必要な行政サービスを提供しながらも、BPR・DXの推進など、効率的・効果的な行財政運営を行うことで収支改善に努めているところです。そこから生み出された剰余金を基金に積み立て、不測の事態や将来需要への備えとして財源確保を図ってまいります。こうした考えの下、社会経済状況の変化にも柔軟に対応し得る、持続可能で健全な財政運営を引き続き行ってまいります。
次に、特別区財政調整交付金の算定についてであります。
特別区財政調整交付金の算定については、東京都と特別区との毎年度の協議の中で、特別区の実態に見合う算定となるよう、新規・充実事業や算定方法などについて協議を重ねながら、現行算定の改善を図っているほか、東京都と特別区の間での役割分担や必要な財源保障の観点から、必要に応じて都区間配分割合の変更を行っております。東京都との協議に向けては、特別区共通の行政需要であることが求められることから、区といたしましては、都心区としての行政需要が適切に算定されるように、算定内容や各種補正の充実を含め、課題を共有する隣接区等とも連携を図りながら、特別区全体、そして東京都の理解が得られるよう働きかけを行っております。あわせて、普通交付金では算定されない本区特有の需要については、引き続き、特別交付金での算定に向けて粘り強く取り組んでまいります。
次に、子育て施策の振り返りと今後の方向性についてであります。
本区では、住環境の整備をはじめとした総合的な人口回復施策の展開により、平成九年を底として人口が増加に転じ、特に子育て世代の転入により、出生数や乳幼児人口も増加いたしました。そうした中、保育ニーズも急激に増加したことから、平成二十一年八月に子育て支援対策本部を設置し、区立保育所の新設や私立保育所の誘致に加え、一時預かり保育や病児・病後児保育など保育環境の整備・充実に全庁を挙げて取り組んでまいりました。その結果、最大三百二十四人まであった保育所待機児童は、令和四年四月にゼロを達成いたしました。また、学童クラブの待機児童解消を図るべく、民間学童クラブの誘致のほか、学校内のプレディに学童クラブを併設するプレディプラス事業を開始するなど、子育て環境のさらなる充実に努めているところであります。近年、子供や子育てを取り巻く環境は急激かつ大きく変化しております。都心区の特性もあり、コミュニティの希薄化などを背景に、子育ての孤立化等への対応も喫緊の課題となっております。そのため、母子保健分野と児童福祉分野の一体的・包括的な相談支援体制として、本年四月に子ども家庭センター機能を整備し、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援体制の強化を図るなど、困り事を抱える子育て家庭を孤立化させず、地域や行政につながるためのネットワークづくりを積極的に推進していく考えであります。区といたしましては、新たに設置する子ども施策推進室を中心に、この三月に策定する中央区こども計画に基づき、常に子供の視点に立った施策を展開し、子供やその保護者はもとより、子供の育ちを支える全ての人の笑顔が輝き、自分らしく成長できるまちづくりを進めていく所存であります。
次に、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けての本区の対応についてであります。
本区は、事故発生直後に下水道局と情報共有を図るとともに、下水道幹線が布設されている約二十三・四キロの区道を対象に、路面に亀裂や沈下がないか緊急点検を実施したところであります。あわせて、各インフラ企業者に対し、占用物件の適正な維持管理を行うよう周知をいたしました。点検の結果、道路陥没に直結するような異常箇所は確認されませんでしたが、今後も、定期的に実施している道路点検において、陥没等の未然防止に努めてまいります。また、下水道に限らず、道路工事調整協議会などの機会を捉え、各インフラ企業者に対し、占用物件の維持管理義務の周知徹底を図るとともに、これまで実施している路面下空洞調査においては、下水道幹線が布設されている箇所の見直しを行い、調査箇所の拡充を検討してまいります。今後も、区民の安全・安心を確保するため、適正な道路の維持管理に努めてまいります。
答弁は以上であります。
〔二十八番 堀田弥生議員登壇〕
○二十八番(堀田弥生議員)
今回、代表質問を行うに当たっては、所信表明の中でも、特に強く心に響いた言葉、例えば、全ての区民、暮らしやすい、真の区民ニーズ、質の高い、そして歴史と伝統を背景に、発展してきた本区の数多くの魅力を活用などの言葉をベースにして構想を練りました。いずれも、私の意を酌んでいただいての丁寧な御答弁であったと感謝いたします。
まず、区政運営についてでございます。
世代間や、また同じ世代同士であっても、所得格差が拡大し、また、価値観や嗜好性の異なる人たちが日々増えている本区です。区民のニーズを捉えることは容易ではないと思いますが、ともかく、どのようにバランスよく民意を反映するのかという点に御留意いただきたいと思います。これまでも、その点、努めてこられたとは承知しておりますが、引き続きお願いいたします。
また、地域ごとにそれぞれ有する魅力を最大限に生かせるよう、また、地域の特性に応じた工夫、例えばホームページ内にエリア別のサイトをつくるなど、さらなる工夫をお願いしたいと思います。
物価高対策についてでございます。
今回、私からは、ざっくりとお尋ねをさせていただきました。明日、一般質問で墨谷議員からも、もう少し細かいことについて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
財政運営についてでございます。
御答弁いただいた内容、本当にしっかりとお取り組みいただいていることを評価したいと思います。また、その上で、給付と負担の考え方について、例えば、基礎的あるいは必要性のある手当や給付などについては所得制限を撤廃、それ以上の付加的要素の強いサービス及び保険料などは受益者負担、応能負担というような検討、また整理を今後は進めていくべきかというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
子育て施策についてでございます。
本当に子供たちの笑顔がすばらしい、まちを歩いていてもそうなんですけれども、その笑顔が輝き、そして、この中央区で生まれ育ったことを誇りに思えるよう、今後も子育て環境のさらなる整備をお願いしたいと思います。
八潮市の事故を受けての対応ですが、路面下空洞調査は調査箇所の拡充をしていただくということで、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
時代が変わり、まちの風景や人の暮らしは変われど、中央区はいつまでも、どこまでも、人情の通う温かな思いやりのある人たちが住まうまちであれと願ってやみません。そのために、誠心で温かな心でこれからも誠心誠意働いていくことをお誓いし、公明党の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○二十三番(木村克一議員)
議事進行について動議を提出いたします。
ただいま代表質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。
お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。
午後四時三十分 休憩
午後四時四十五分 開議
○議長(瓜生正高議員)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
代表質問を続けます。
次に、中央区民クラブを代表して、十七番山本理恵議員。
○十七番(山本理恵議員)
中央区民クラブの山本理恵です。令和七年中央区議会第一回定例会の代表質問を、さきの質問通告に沿って行わせていただきます。区長並びに各理事者の方々には建設的で分かりやすい御答弁をお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。御答弁によりましては、再質問を留保いたします。
中央区民クラブ、初めての代表質問は、次世代に引き継ぐ都市景観をテーマに、質問や提案を重ねてまいります。
中央区では、令和八年度の区制施行八十周年に向けて、本区の魅力等を発信するシティプロモーションを全庁を挙げて推進していきます。区内の歴史文化資源のデジタルアーカイブ化や記念映像の制作、地域団体による旧跡等の歴史文化資源の発掘・発信を支援し、まちへの誇りや愛着心の醸成を図ります。新年度予算においては、「中央区の魅力を発掘・発信! ―愛着をもって住み続けられるまちを目指して― 」をテーマに掲げ、中央区の魅力の発掘・発信によるにぎわいの向上・創出を重点政策の一つに位置づけています。
本区は、東京二十三区の中央に位置し、江戸開府以来四百年以上にわたり、日本の文化・商業・情報の中心地として発展してきました。世界に誇る銀座、五街道の起点である日本橋、食文化の拠点である築地等では、歴史的景観や文化的価値を残しながら、地域の特色あるまち並みや個性豊かな景観づくりを推進してきました。下町風情を残す佃では、佃小橋とリバーシティ21の高層マンション群との新旧調和の取れたコントラストが美しい風景をつくり出しています。隅田川沿いでは、春は桜、夏は花火、秋は紅葉、冬は夜景と四季折々の景色が眺められます。水上から眺める橋梁のライトアップや高層マンション群のダイナミックな夜景は、とても幻想的です。本区では、都市と自然が融和した景色や新旧が対比した風景、昼と夜の表情を楽しむことができます。
地域の歴史や文化、自然を生かしながら景観づくりを進めることは、住民の地域に対する愛着や誇りを醸成することにつながります。将来の本区を形づくる複数の都市基盤整備が進行する中で、地域の特色ある風景や地域を物語る景色を守り、つくり、育む都市景観づくりはますます重要になっていきます。
まず、中央区における景観政策の推進について伺います。
平成十六年に、良好な景観の保全や創出を目的とした景観法が制定されてから、二十年余りが経過しました。令和六年三月末現在における景観法で定める景観行政団体は、全自治体の四割強に当たる八百十六団体となりました。このうち八割に当たる六百六十六団体が景観計画を策定しており、景観行政への関心の高さがうかがえます。景観行政団体は、望ましい景観を形成するために、開発行為への規制や是正措置を講じることができます。また、景観計画では、景観計画区域の指定や景観形成基準等の設定、景観に関する方針等を定めることができます。景観法に基づく届出制度の仕組みを活用することにより、届出前の事前協議や景観アドバイザーによる助言・指導を行うなど、良好な景観を誘導することができます。
国は、景観計画の区域を絞って、より重点的に政策を進める自治体を大幅に増やす目標を掲げていますが、地域の特色を生かした魅力的な景観の保全・創出を実現する自治体がある一方で、画一的な計画にとどまり、地域の個性を十分に反映・発揮できていない自治体が見受けられます。東京都では、景観計画、景観条例及び同条例施行規則を平成十九年四月に施行しました。事業者が指定区域で一定規模以上の開発行為等を行う場合、景観行政団体である都への届出が必要となります。区市町村が景観行政団体となるためには、都との協議を経て同意を得る必要があります。独自の景観計画を策定することで、地域の実情に合わせた、より柔軟な対応が可能となります。東京二十三区では、中央区を除く二十区が景観計画を策定し、景観政策の実効性を高めています。
そこで、区独自の景観計画を定めていない本区における景観政策の方針について伺うとともに、これまでの取組と都市特有の課題についてお聞かせください。
また、景観形成に関する政策を総合的に推進する観点から、景観法に基づく景観行政団体への移行及び景観計画の策定に対する本区のお考えを伺います。あわせて、法的拘束力のある景観計画を定めるメリットとデメリットについても確認をさせてください。
本区では、法的拘束力を持たない中央区市街地開発事業指導要綱において、日本橋一の部、日本橋問屋街、銀座、築地場外市場、晴海の五つのエリアにデザイン協議会を設置し、地域の景観等に配慮したまちづくりを主導しています。対象エリア内での一定規模以上の開発計画や工作物については、行政手続に先立ち、デザイン協議会との事前協議が必要となります。例えば、銀座らしい統一感あるまち並みを守るため、地区計画や駐車場地域ルールのほか、デザイン協議会において様々な銀座ルールを定めています。
そこで、本区では、地元代表者等を中心とした協議型のまちづくりを進めていますが、その活動状況と課題、今後の方向性について伺います。
また、調和の取れた景観形成の観点から、エリアとエリアをつなげる連続性や回遊性あるまち並み景観に対するお考えをお聞かせください。
平成十九年十一月に区制施行六十周年記念事業の一つとして発刊された「中央区歴史・観光まち歩きガイドブック」では、歌舞伎十八番のおはこ十八番にちなみ、中央区見どころおはこ十八景や夜景八選ナイトスポットを選定しています。あれから十八年が経過し、本区のまち並み景観は移り変わっています。百年に一度とも言える都市活性化プロジェクトが進行する中で、新たな風景やビュースポットが誕生しています。
そこで、区制施行八十周年記念事業を本区の景観を磨く機会と捉え、魅力ある景観の再発掘・再発信に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、美しく魅力的な夜間景観の形成について伺います。
東京都は、東京ならではの夜間景観と良質な光の誘導を図るため、平成三十年八月に東京都景観計画を改定し、夜間における景観の形成に関する方針を追加しました。方針では、都市活動の象徴でもある高層ビル群や高速道路、橋梁等の構造物の統一的なライトアップの推進や地域の個性を生かした連続性のある夜間景観の形成を目指しています。
区内では、銀座や日本橋の夜のまち並み、高層マンション群が織りなす夜景、隅田川八橋のライトアップなど、光きらめく夜景を楽しめます。夜の橋梁は輝きが川面に映り、昼間に見る橋梁とはまた格別の趣を感じます。川面に映える屋形船の風情や屋形船から一望する隅田川と都市の夜景は、中央区を代表する情景の一つです。一方で、区内では、事業者の自主的なライトアップが数多く実施され、個々の照明がそれぞれに個別的に整備されており、中には、必要以上に明る過ぎたり、光害を引き起こしそうな場所が見受けられます。ライトアップを競うのではなく、全体の光を抑えながら良質な光で照らすことにより、その効果を際立たせていくことが重要です。
そこで、本区における夜間景観の光害に対する現状と課題について伺うとともに、魅力的な夜間景観の形成に向けた方向性について確認をさせてください。
最後に、まちへの愛着と誇りを育む地域理解教育の推進について伺います。
平成十六年に制定された景観法は、誰もが景観まちづくりに積極的に関わる責務があると定めています。景観政策の目的は、住民自身が暮らしの中の景観に関心を持ち、ふだんは意識しない景色に気づくきっかけをつくることにあります。景観法に基づく景観行政団体では、子供向けのパンフレットやリーフレットを作成し、景観学習を推進しています。子供たちが景観を通してまちに関心を持ち、その成り立ちや暮らしとの関わり、人々の思いや努力について探求することにより、住んでいるまちに対する誇りや愛着を育み、自らもどう関わるかを考えていくものです。誇りと愛着の持てる魅力的なまちを次世代に引き継いでいくために、子供の頃から景観に対する意識を高めていくことが大切です。
そこで、学校教育の場など様々な機会を捉えて、子供たちに景観などを題材とした地域理解教育を推進していくことを提案しますが、見解をお聞かせください。
以上で一回目の質問を終わります。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
山本理恵議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、本区における景観政策についてであります。
江戸開府以来の文化・商業・情報の中心地として発展してきた本区では、地域の活力により、常に新たな試みや表現方法による都市活動が盛んに行われてまいりました。こうした中、まちの景観につきましては、地域の営みに密接に関わるものであり、行政による保全的な景観政策や一定の基準に基づく指導では、個性の発揮や新たな挑戦を阻害する要因になりかねないことから、地元の方々による協議と総意に基づき議論されるべきものと考えているところです。景観行政団体への移行や景観計画は、景観に係る取組を俯瞰的に整理して示せることに利点があると認識しておりますが、本区では、地域の特性を生かし、にぎわいや連続性の観点から地域主体のまちづくりを推進していくことが重要と考えており、現在の取組を継続していく所存であります。また、デザイン協議会を中心とした、協議型まちづくりにつきましては、地域ごとに自らの協議方針を取りまとめ、更新しながら事業者との協議に当たっており、取組として定着しているものと考えております。区では、こうした取組を下支えするため、景観に係る地元協議が行われるよう、まちづくり基本条例や指導要綱に基づく計画協議の中で規定整備等を進めてまいりました。また、広域に影響を及ぼす開発計画等に際しては、区として事業者を指導し、デザイン協議会の対象エリアを超えた協議がなされるよう促しているところです。区といたしましては、本区全体のまちづくりを見据え、引き続き、様々な角度から各エリア間の連続性や回遊性を生み出すような計画づくりがなされるよう推進してまいります。
次に、魅力ある景観の再発掘・再発信についてであります。
本区は、古くからの歴史・文化を受け継ぐ建造物と、洗練された近代的なまち並みが融合するとともに、潤い豊かな水辺空間に囲まれた多彩な都市景観が広がるエリアであります。また、区内各所で四季折々に活気あふれるイベントが開催されており、多種多様な見どころに満ちあふれた魅力満載のまちであります。こうした魅力を区内外の多くの皆様に発信するべく、区制施行六十周年を迎えた平成十九年に、中央区おはこ十八景、夜景八選を選定し、これまで本区を代表する景観として親しまれてまいりました。この間、東京二○二○大会後の晴海のまちびらきや新たなイベントの開催などにより、本区の姿は変貌しており、こうした中で創出された魅力をいま一度見詰め直し、発信するに当たっては、区制施行八十周年という節目は絶好の機会であります。今後、八十周年に向けてシティプロモーションを全庁を挙げて推進していくに当たり、様々な取組を行ってまいりますが、その中で、本区の景観が醸し出す新たな魅力の発信について検討してまいりたいと存じます。
次に、夜間景観の形成と光害についてであります。
区内には、銀座など商業地のイルミネーションや、隅田川周辺の橋梁のライトアップなど、本区ならではの魅力的な景観資源が多数存在しております。こうした夜間の光に対し、環境省では、光害対策ガイドラインを策定しており、事業者は、本ガイドラインに基づき、良好な光環境を形成しているものと認識しております。さらに、区では、屋外看板やデジタルサイネージなどの屋外照明の光が原因となる健康被害を防ぎ、快適な生活環境を確保するため、光害防止指導要綱を制定し、事業者に対して、周囲への影響に配慮した対応を行うよう指導しているところであります。住宅地と商業地が隣接する本区における夜間景観の形成に当たっては、まぶしく不快な光を抑制し、生活環境との調和を図ることが最も重要であります。区といたしましては、ガイドライン等の普及啓発を行い、地域特性を最大限に発揮した魅力あふれる美しい夜間景観と、良好な生活環境との調和を目指してまいります。
私からの答弁は以上であります。
〔教育長 平林治樹君登壇〕
○教育長(平林治樹君)
教育問題についてお答えをいたします。
景観を題材とした地域理解教育の推進についてであります。
現在、区立小・中学校では、子供たちの郷土愛を育むために、地域に根差した公立学校の利点を生かし、地域と関わる教育の充実を図っております。具体的には、小学校の生活科では、まち探検を通して、まちへの親しみを感じられるよう、地域の学習を行っております。また、社会科や総合的な学習の時間において、子供たちは、全ての区民が住みやすいまちのバリアフリー化など、まちの景観に着目しながら、探求的な学びを深めております。さらに、中学校では、鎌倉への遠足や京都等への修学旅行の際に、生徒が日本の歴史的なまち並みに触れる中で、歴史的背景が異なる中央区の京橋・日本橋・月島各地域の特徴ある景観と比較し、まち並みや人々の営みについて改めて考える機会となっております。今後も、地域との関わりを大切にした学びを充実させ、子供たちが自分たちのまちのよさを感じ、誇りを持つ教育を推進してまいります。
答弁は以上であります。
〔十七番 山本理恵議員登壇〕
○十七番(山本理恵議員)
それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございました。
魅力ある景観づくりの推進は、区民の地域への愛着や誇りをより強く持つことにつながります。同時に、世界中から人々を引きつけます。まちの景観は区民の共通財産として認識し、次の世代に引き継いでいくことが大切です。区民の共通財産である景観には、歴史的・文化的・社会的な背景があります。また、優れた景観には、経済的な価値があります。区内には、名所や発祥の地、旧跡などの歴史的・文化的に価値の高い地域資源が数多く存在し、道行く人の目を楽しませてくれています。日中のみならず、夜のまち歩きを楽しむことができるよう、地域資源のライトアップによるナイトライフの充実なども提案させていただきます。
東京の水辺の玄関口となる築地市場跡地開発では、東京都の事業者募集要項や事業予定者の事業概要の中で、水辺の東京を象徴する景観の創出、水と光の魅力的な夜間景観の形成、ナイトクルーズ等によるナイトライフの充実など、新たなにぎわいの創出が挙げられています。陸・海・空から見た良質な夜間景観の形成を期待します。
また、本区の夏の風物詩であった東京湾大華火祭の復活が本区の夜間景観に彩りを加えることも願っています。
以上で中央区民クラブの代表質問を終わります。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
○議長(瓜生正高議員)
次に、日本共産党中央区議会議員団を代表して、二十番奥村暁子議員。
○二十番(奥村暁子議員)
日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問を行います。再質問は留保させていただきます。
区長は所信表明の冒頭で、中央区の定住人口の増加を誇り、本年一月には十八万七千四百四人と過去最大を記録したことや、合計特殊出生率は七年連続で二十三区トップとなっていると述べ、一方で、人口増加に伴い、子供を取り巻く環境整備や多世代交流の面など、様々な課題が生じていると述べられました。私は、安心して住み続けられるまちづくりの問題を中心に質問します。
まず、市街地再開発についてです。
都市再開発法や都市再生特別措置法など、国の法律は、大手デベロッパーや大手不動産業者が進める稼ぐまちづくりを制度面で支援するものです。特区制度などにより都市計画決定プロセスを骨抜きにし、そこに税制優遇など事業者支援策が重なっています。一例として、二○○三年頃から国の認定を受けた民間都市再生事業は全国で百七十件あり、容積率緩和に加え、税制優遇を受けています。実施する大企業、大手不動産会社への税制優遇措置は、二○一二年から二○二一年の十年間で約七百六十三億円にも上り、その上、事業者は補助金も手にします。認定を受けた百七十件のうち、東京都内での事業は八十一件、そのうちの十件が中央区内の事業です。
東京都も、国際競争力の強化と称して、大企業が利益を上げやすいまちづくりを進めています。都有地までも激安価格で大放出したHARUMI FLAGや築地市場跡地の再開発は、その最たる例です。中央区が国や都と足並みをそろえ、大企業の利益を最大化する市街地再開発中心のまちづくりを長年続けてきたことは問題です。こうした仕組み自体を見直し、再開発優先から、住民生活と住民自治が優先されるまちづくりに転換することが求められています。
そこで、お聞きします。
一握りの特定企業の利益を最大化するまちづくりはやめ、地域住民が住み続けられるまちづくりに役立つ法制度や予算に変えていくことが必要だと思いますが、いかがですか。
まちづくりと都市計画に関わる再開発は、その計画段階から情報が住民に開示され、住民参加の下、進められるようにすべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。
次に、防災と環境問題について質問します。
区長は災害に強いまちづくりも掲げていますが、規制緩和による超高層マンションや巨大なオフィスビル建設による昼間人口、夜間人口の急激な増加は、住民の避難所不足や帰宅困難者の増大など、災害時には大きなリスクとなります。長周期地震動、火災、電源喪失など、災害時の超高層ビル特有の危険も指摘されており、超高層ビル向けの防災安全対策には大きな費用負担が伴います。また、超高層ビル、超高層マンションは、日照、強風など周辺住環境への被害やコミュニティ分断などの問題も発生します。環境負荷低減に向けた取組にも区長は言及していますが、巨大ビル建設が環境にかける負荷という悪影響も甚大です。
そこで、お聞きします。
災害時のリスクや環境への負荷という観点から、超高層ビルを林立させることは、持続可能なまちづくりとは対極にあると思いますが、いかがですか。お答えください。
次は、住宅政策について質問します。
区長は所信表明で、全ての区民の皆様がまちに愛着を持ち、住み続けたいと思える中央区を目指していくと述べていますが、今の中央区は果たして住み続けられるまちと言えるでしょうか。二十三区のマンション販売価格が四年間で一・五倍に急騰し、ファミリー向け賃貸の家賃も一年間で一・二倍に高騰しました。二○二四年の新築マンションの平均価格は一億一千百八十一万円で、平均年収の十八倍にもなり、バブル期を超える異常事態です。
価格高騰の背景には、工事費の値上がりだけでなく、転売目的の投機マネーの存在があります。異次元の金融緩和と規制緩和で、住宅を投機の対象にしてしまった国と東京都の責任は重大です。同時に、中央区も区道の廃止で敷地面積を最大化し、地域貢献の名の下に容積率をアップするなど、巨大開発を拡大する役割を担ってきました。国民の税金・財産を使った開発により、土地と住宅価格は上がり、大手不動産開発業者を大もうけさせ、投機マネーを呼び込んで、区民が住み続けられない東京にしてしまったのです。
そこで、お聞きします。
住宅価格高騰を招いた責任の一端が中央区にはあると思いますが、いかがですか。
住宅価格を抑えるため、外国人投資家等による住宅市場への投機について規制や課税を強化することや、特区制度を見直すなど、大手デベロッパーへの減税や優遇の仕組みを改めるよう国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。
区民の住宅費負担が厳しい状況にある中で、新たな住宅政策が求められています。毎回応募者が殺到する都営住宅ですが、新規建設は二十六年間連続ゼロが続いています。小池都知事が公約した手頃な価格で入居できるというアフォーダブル住宅も、家賃は相場の八割程度と、低所得者向けとは言えず、供給の規模も約八十戸と微々たるものです。東京都は、家賃補助にも背を向けています。
そこで、お聞きします。
都営住宅を大幅に増やすこと、また、民間住宅を借り上げて都営住宅として提供するよう東京都に求めるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。
中央区でも低家賃で住める区営住宅は倍率が高く、サービス付き高齢者住宅や、かつての高齢者優良賃貸住宅であるセーフティネット住宅など高齢者向けの住宅も待機者が多く、なかなか入居できません。党区議団に寄せられる相談でも、都営住宅になかなか当たらない、本当は高齢者住宅に入りたいが、そもそも募集が少ない、三月末には家主から退去するよう言われていて困り果てているという声や、車椅子利用の女性からは、民間のバリアフリー住宅に住みたいけれども、そもそもバリアフリーに対応している住宅が少なく、家賃も高い、セーフティネット住宅も待機者となってしまうなど、悲痛な声が届いています。大本にある住宅費の高騰を抑えることと併せ、低家賃の住宅供給や家賃補助制度創設が必要です。
そこで、お聞きします。
第一に、杉並区は、低所得者や高齢者、子育て家庭など住宅確保要配慮者に対して、民間賃貸住宅の入居促進を図る居住支援協議会を設置しており、入居相談・住宅情報の提供、家賃等債務保証及び見守りサービス等の居住支援事業を行っています。また、住宅や福祉分野などの事業者や関係機関と連携し、総合的な居住支援にも取り組むとのことです。こうした取組を中央区でも行うよう求めますが、いかがですか。
さらに、杉並区では、住まいは人権との考え方の下、区営住宅の抽せんに落選した低所得者のひとり親世帯と子供が三人以上いる多子世帯に対し、一世帯年三十万円、最大二年まで助成が受けられる家賃補助制度を都内で初めて創設します。民間の住宅ストックを活用する狙いもあります。ほかにも、転居費用が準備できない低所得者向けに、単身世帯十五万円、二人以上の世帯には二十万円を助成する制度も新設します。こうした制度を中央区でも実施するよう求めますが、いかがですか。お答えください。
第二に、サービス付き高齢者住宅や、かつての高齢者優良賃貸住宅であるセーフティネット住宅には四万円の家賃補助制度がありますが、住宅によっては、その補助があっても、まだ低家賃とは言えないものもあります。家賃補助の拡充を求めますが、いかがですか。
また、こうした住宅を整備する事業者に対して補助制度が設けられていますが、さらに住宅件数を増やすためにも、補助額の引上げを求めますが、いかがですか。それぞれお答えください。
次は、公園整備について質問します。
区長は所信表明で、水とみどりあふれる豊かなまちづくりとして、公募設置管理制度、Park‐PFIを活用して桜川公園の再整備に取り組むとしています。二○一七年の都市公園法改悪に伴って創設された、このPark‐PFIとは、全国で進められている稼ぐ公園づくりに用いられている制度です。この手法は、一部のデベロッパーのみがもうかる住民無視の都市開発の延長上にあります。
そこで、お聞きします。
桜川公園のPark‐PFIの公募には一者からの応募があったとのことですが、先日の環境建設委員会では、事業者名も整備内容も明かされませんでした。区民や議会には知らされず、ブラックボックスの中で検討が進められることには、指定管理者制度同様、大いに疑問を持ちます。開かれた場での議論もないまま、このまま事業者を決定してよいのでしょうか。貴重な桜川公園にわざわざPark‐PFI制度を用いてカフェなど造らなくとも、区が直接管理運営することに何の問題もないと思いますが、いかがですか。お答えください。
人口増に伴い、子供の数も増え続け、保育園もどんどん開設されてきましたが、中央区で園庭のある保育園は全体の僅か一七・六%にとどまっており、安全に伸び伸びと外遊びできる園庭がない保育園がほとんどです。そんな中、二○二一年から私立認可保育所等の園児を近隣の公園まで送迎する事業が始まり、喜ばれていますが、それほどまでに中央区には園庭や公園が不足していることを象徴する事業だと言えます。送迎の頻度は各園月一回までとなっており、十分とは言えません。
そこで、お聞きします。
園庭のある保育園を増やしたり、まちなかでポケットパークを整備するなど、公園を増やすことを求めますが、いかがですか。お答えください。
次に、築地市場跡地について質問します。
十九万平方メートルの築地市場跡地では、五万人を収容するマルチスタジアムを中心とし、高層オフィスビルやマンション、ホテルなどを集積させた開発計画が進められようとしており、三月までに東京都と三井不動産を代表企業とする事業予定者が基本協定を締結する予定とのことです。この場所では、二○二一年に、天下の名園と呼ばれた浴恩園の遺構が発掘されました。江戸時代、白河藩・松平定信が築いたもので、園内の池に海水を引き込み、独特の景観を持っていたこの庭園を再生させようという運動があります。東京都は、今、江戸文化を世界遺産にという声を上げていますが、その傍らで江戸文化の上に大規模開発を進めることには矛盾があると言わざるを得ません。
区長は所信表明で、築地市場跡地開発は、首都東京、ひいては日本の将来を牽引する大きなプロジェクトだと述べていますが、巨大プロジェクトを心底望んでいるのは、莫大な利益を得るデベロッパーです。今後、子供たちのために、また幅広い区民のためにも、中央区内で広い公園や緑地を整備できる可能性が残されているのは、都有地である築地市場跡地しかありません。浴恩園など緑の空間をつくることこそ、将来のために必要なのではないでしょうか。
そこで、お聞きします。
最後に残された貴重な都有地までデベロッパーに格安で貸し出し、巨大開発をすることが、真に都民、区民の願いにかなうのでしょうか。区長のお考えをお聞きします。
さらに、築地の歴史と文化を未来へつなぐとの区長の言葉を体現するのならば、いま一度立ち止まり、巨大開発を見直すよう東京都に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。お答えください。
以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長 山本泰人君登壇〕
○区長(山本泰人君)
奥村暁子議員の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、市街地再開発についてであります。
面的整備となる再開発事業につきましては、まちづくり基本条例や要綱等に基づき、地域防災力の向上や憩いと潤いの空間整備など、地域環境の改善に資する整備を行っており、従前居住者だけでなく、地域住民にとっても、住み続けられる環境づくりに有効な手段であると捉えております。再開発事業の情報開示等につきましては、都市計画手続前の段階で、区と区民の協議や、事業者から近隣の方々へ計画概要や地域貢献等の説明を行うことを義務づけており、広く周知し、御意見等を伺った上で事業が進められているものと認識しております。再開発事業による建築物のリスクや環境負荷につきましては、建物の耐火・耐震化や省エネ化はもとより、地域貢献としての防災対策や環境対策が推進されることから、地域全体の機能向上が図られているものと認識しております。また、次年度からは、能登半島地震での災害を踏まえ、建て替えが困難な無接道敷地等のある街区での環境改善を図る密集街区環境改善まちづくり事業を展開するなど、再開発によらない新たなまちづくりに取り組んでまいります。区といたしましては、面的整備と個別建て替えを軸としつつ、こうした新たなまちづくりに取り組むなど、引き続き、地域課題や社会状況の変化に即した安全・安心で持続可能なまちづくりを進めてまいります。
次に、住宅施策についてであります。
住宅価格高騰の要因といたしましては、建設現場における人手不足による人件費の上昇や、燃料費・資材価格の高騰、住宅性能基準の引上げ、さらには円安の影響や投資需要の増加など、昨今の国を取り巻く社会状況の変化によるものと認識しております。住宅政策に係る規制や課税の強化、特区制度の見直し等につきましては、国において検討や対策が適切になされるものと認識しており、区として国に要望することは考えておりません。
次に、都営住宅の拡充についてであります。
都営住宅につきましては、東京都住宅マスタープランにおいて、住宅ストック全体が量的に充足している中で、今後人口が減少する見込みであり、新たな整備は行わず、現在のストックを最大限に活用していくことが示されていることから、区として増設や借り上げの提供を求める考えはありません。
次に、住宅確保要配慮者に対する居住支援についてであります。
住宅確保要配慮者に対し民間賃貸住宅などへの円滑な入居の促進を図る居住支援協議会は、住宅行政と福祉行政及び関係団体が連携し、入居者、賃貸人双方へ情報提供等の支援を行うものと認識しております。本区においては、地価や不動産相場が非常に高い地域特性から、住宅確保要配慮者が入居できる物件が極端に少なく、こうした協議会を設置したとしても、直接的な支援に結びつきにくいことから、セーフティネット住宅の供給を促進することにより、住み替え支援を実効的に行うことができる環境の構築に向けて取り組んでいるところです。ひとり親世帯や多子世帯などへの家賃補助につきましては、公平性の課題や個人資産の形成につながることなどから、導入は考えておりませんが、生活困窮者に対する家賃が低廉な住宅への転居費用につきましては、生活困窮者自立支援法の改正に伴い、住居確保給付金制度が拡充されることから、来年度より実施してまいります。
次に、高齢者向け住宅への補助についてであります。
地価や不動産相場が非常に高い本区では、一般向けの賃貸住宅で安定した事業が見込まれることから、入居者の様々なリスクが想定される高齢者向け住宅が事業として選択されにくい状況にあり、補助額では解決されづらい都心特有の課題があると認識しております。こうした中、入居者に対しましては、入居中の家賃債務保証や、見守り、また、お亡くなりになられた場合の葬儀及び家財の片づけへの対応など、様々なサービスに係る利用費助成などの支援を実施しております。一方、事業者に対しましては、現在行っている補助制度の事業者募集を積極的に進めていることと併せて、高齢者の入居に不安を抱く事業者に対しては、不安の軽減につながる入居者への支援制度を紹介するなど、事業者が参入しやすい環境の構築に取り組んでいるところです。区といたしましては、引き続き、入居者及び事業者双方への支援により、高齢者向け住宅の利用と供給が促進されるよう取り組んでまいります。
次に、Park‐PFIについてであります。
桜川公園のPark‐PFIについては、利用者ニーズや利便性に配慮しながら、公園の魅力や質の向上を図るため、民間事業者が設置する収益施設の売上げの一部で、高質化した公園施設を整備することを要件としております。さらに、整備後は、民間事業者がこれらの施設の維持管理や公園の魅力向上施策を行うほか、公園連絡会(仮称)を設け、その運営についても担うことで、利益等の一部が公園利用者に還元されるものと考えております。今後、事業者選定委員会の審査を経て、提案者が事業予定者に決定した際は、選定経過や提案概要を公表いたします。また、具体的な整備内容については、来年度実施される予定の公園設計の中で、地域の声も含めて、区と事業者で協議を行ってまいります。
次に、保育園における外遊びの確保についてであります。
本区では、待機児童解消に向けて積極的に認可保育所の整備を進めてまいりましたが、十分な土地の確保が難しいことから、園庭のない保育所が多くなり、伸び伸びと外遊びできる環境が少ないことが課題です。区としては、外遊びが子供たちにとって重要であることは十分に理解しており、近隣の公園利用や広い公園へのバス送迎以外にも、運動場等を遊び場として開放したり、区立保育所の園庭開放等によって、外遊びの支援をしてまいりました。さらに、今年度からは、真夏の暑い時期でも体を動かせるよう、区施設のホール等を活用する取組も始めたところです。公園の増設につきましては、公園用地の確保が困難な状況にある中、再開発事業や立体都市公園制度の活用などにより整備・拡充に努めているところですが、今後も様々な機会を捉え、公園機能の充実を図り、ソフト・ハード両面から子供たちに健全な遊び場を提供してまいります。
次に、築地市場跡地についてであります。
築地市場跡地開発に関しましては、東京都において、事業者募集要項の策定や事業予定者の選定に当たり審査委員会を設置するなど、適切に進められてきたところであります。土地の貸付けにつきましては、都が鑑定し、募集要項に示した貸付料の基準額以上の条件で事業予定者が提案することや、都と事業者で定期借地権設定契約を締結することが示されていることから、規定に基づき、手続がなされていくものと認識しております。跡地開発の具体的な計画内容は、いまだ示されていないものの、地元と区で取りまとめた要望書に基づき、本開発が周辺地域と連携し、共存共栄を図るものとなるよう、事業者との協議を行っていく姿勢に変わりはなく、事業者のみならず、都に対しても、本開発が社会的に意義のあるものとなるよう強く働きかけてまいります。
答弁は以上であります。
〔二十番 奥村暁子議員登壇〕
○二十番(奥村暁子議員)
初めに、築地市場の跡地の開発に関わってですが、区長からは、社会的にも意義のあるものを整備していくべきだというお話がありました。社会的に意義のあるものということで言えば、やはり公園など緑を増やしていくことにぜひ使っていただきたいというふうに思っています。大きな建物、マルチスタジアムですとか、ホテル、住宅などは都内にもあるわけですし、そういう建築物はいずれ陳腐化していく、そして、それが負の遺産となっていくということ、維持管理費などもかかります。修繕なども大変です。そういった意味から考えても、将来を見据えて、緑を増やしていく、環境にも配慮した整備としていくよう、東京都に求めていただきたいということは、繰り返しになりますが、強く求めたいと思います。
そして、まちづくりの中では、新年度から始まる無接道敷地の空き地の買取り事業によって、再開発によらないまちづくりに取り組んでいくということですが、もっと早く取り組むべきであった、取組として大変遅いと思います。
私たち日本共産党区議団は、持続可能なまちづくりということで、中央区が進める再開発中心のまちづくりの問題点も指摘してきました。そして、これまでも中規模や小規模で共同建て替えを進める研究もしてほしい、実施もしてほしいということも繰り返し求めてきました。しかし、いまだに、任意の民間開発も入れて三十の再開発が予定されているというのが今の状況です。土地の価格が上がる。住宅価格が上がる。そこに区の責任があるということは、答弁では出てきませんでしたが、やはり再開発が牽引役となって、まちの、土地の価格などを引き上げることにつながっていると思います。住宅困窮者に対しても、住宅が上がってしまうまちづくりに中央区も責任があるということを認識して、ぜひ困窮者へ向けての支援策というものも進めてほしいと思います。
セーフティネット住宅や公有地などというものも、なかなか増えていかない、ずっと待機者が多いという状況です。区の責任で住宅支援を行うよう強く求めて、質問を終わります。(拍手)
○議長(瓜生正高議員)
以上をもって代表質問を終わります。
○二十三番(木村克一議員)
議事進行について動議を提出いたします。
本日の会議はこの程度とし、明二月二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。
お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(瓜生正高議員)
御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二月二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後五時四十分 散会
署名議員
議長 瓜生 正高
議員 ほづみ ゆうき
議員 海老原 崇智
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