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一般質問・答弁の要旨

中央区議会自由民主党議員団 海老原 崇智議員

財政を問う

 本区の財政状況は、過去5年にわたる財政運営の各種財政指標、実質収支比率、経常収支比率、財政健全化比率を見ても、いずれも適正水準の範囲内にあり、健全な状況にある。加えて、都区財政調整交付金については、人口の増加とともに額が上乗せされており、本区に交付される普通交付金も伸びている。一方で、経常収支比率の計算式に着目すると、扶助費が近年10年間上昇し続けている。今後10年にわたり人口増が続くと推計されている本区において、扶助費の上昇は今後より一層進むと考えられ、施策を柔軟に展開する財政の弾力性がより求められる。また、新たな公会計がはじまり、新たな指標の研究もより租税民主主義に資すると考える。本区は、都区財政調整制度の枠組みの中で、財源保障の恩恵も受けつつも、財源の均衡化という縛りも色濃いと感じている。特に、普通交付金の原資となる調整3税の収入額は、景気に左右されることもあり、自主財源の確保も含めた幅広い議論が始まっても良いのではないかと感じている。平成31年度は、当初予算として初めて一千億円を超える規模の予算編成となったが、中央区の財政の現在の状況をいかに分析、認識しているのか。

区長 本区の予算規模増加の主な要因は、人口増加に対し適切にサービスを提供する公共施設などの基盤整備によるもの。一方、経常収支比率などの指標が示すように、施設整備などの臨時的経費を除いた行政サービスの増加に対しては、堅調で安定した税収などで賄えており、財政の健全性は保たれているものと認識している。しかしながら、近年の都市部の財源を狙い撃ちした不合理な税制改正など、本区を取り巻く財政環境は厳しさを増しており、これまで以上に効率的・効果的な行財政運営が求められている。区としては、公会計制度の活用や適切な債権管理など歳入・歳出両面から行財政マネジメントの強化を図り、区民ニーズに的確に対応し得る弾力的な財政運営に一層努めていく。

 投資的経費は、主に施設整備や開発案件であり、本区の制御が必ずしも効かないこと、そして大きな資金が一時に動くことによる資金繰りに注意を払わなければならないと考える。現に過去3年の投資的経費は、開発動向により大きく変動している。とりわけ、オリンピック・パラリンピックののち、晴海地区には、新しいまちが誕生し、マンション、小・中学校、保健センターなどの施設の整備が予定されている。加えて、「中央区将来人口の見通しについて」によると、2024年度内に20万人を超えるとのことである。首都直下地震や、事故、埋蔵物の調査による工期の延長などの懸念を少しでも払拭して、不確定要素を小さく、少なくするためにも、施設ごとの事業別の更新費用の算出をする必要があると考える。また、個別の施設の改修・更新を連携させて、計画的に経費を抑えた方法を模索すべきと考える。「中央区公共施設等総合管理方針」に基づく個別計画の策定にあたっては、よりきめ細かい柔軟性のある個別計画であってほしいと考えるが、本区の特徴である施設整備や開発動向に左右される投資的経費のあり方について考えは。

区長 本区の投資的経費は、今後の人口増加を見据えた新たな施設整備などにより高止まりし、かつ年度間で大きく変動している。そのため、これまで蓄えてきた基金の取り崩しや区債発行などの財源対策を講じるなど実質的な負担の平準化を図っている。こうした施設整備の集中期は、平成35年度を目途に一定程度収束すると想定しているものの、その後は既存施設を含めて適切に維持・更新していくことが大きな課題であると考えている。こうしたことから、一昨年に策定した「公共施設等総合管理方針」に基づき、現在、個別施設ごとの適切な維持・更新を目的とした「長寿命化修繕計画」の策定に向け検討を進めている。この計画策定を通じ、施設の更新時期や経費の平準化を図るとともに、財政的なリスク分散にも努めていく。

 将来、本区も人口減少のときを迎えると予測される。また、技術の発達による利便性・簡便性の進展が様々な場合で発揮されることで、場所も人も今想定しているよりも必要とされなくなると言われている。人口が減少して、ご高齢の方々が増えるとともに、マンションの空き室、老朽化なども進む懸念があるほか、福祉に係る扶助費の伸びは収まらない可能性がある。そうなれば、財政の弾力性は失われていく。一方で、本区は商業のまちであり、今も新進の企業の立ち上げや創薬ベンチャー、国際金融都市など企業の活力向上に資する仕掛けがなされている。人口増加の先の人口減少が予見できる今、将来の財政規模の縮小を見越し、民間活力を一層利用した区の運営を図るべきであると考えるが、将来の財政のあり方について、本区の考えは。

区長 区ではこれまでも、拡大・多様化する行政需要に対応するため、指定管理者制度の導入や活発な民間開発の機会を捉えた事業者からの協力金の活用、保育所整備をはじめとする公共貢献策の誘導などを図ってきた。また、ふるさと中央区応援寄附制度として、寄付金を活用した団体支援を通じ地域の課題解決を図る仕組みも設けたところである。しかし、将来見込まれる人口減少局面では、現在のような税収の堅調な伸びは期待できず、財政規模の縮小も想定されることから、これまで以上に民間・地域と連携した取組が重要性を増してくる。本区では、新たな基本構想において、地域課題に対し企業や団体などと連携しながら、地域が率先して解決する「プロアクティブ・コミュニティ」の考えを打ち出した。区としては、こうした考えのもと、広く共通する課題への対応など行政の役割を果たすとともに、地域課題を地域が自ら解決できる仕組みの構築などにより、財政規模が縮小したとしても、きめ細やかで効果的な区政運営、そしてそれを支える効率的で健全な財政を目指すことが重要であると考えている。

築地を問う

 先般、東京都より「築地まちづくり方針(素案)」が提示された。住宅は作らない、交通の結節点としての機能を持たせる、そこに係る都心部・臨海地域地下鉄構想については、方針として、「都心部との連携強化に向け、地下鉄など基幹交通インフラ整備の具体化を図る。」と記載され、今回の素案には、いずれも本区の声が届いたと感じるところもある。一方で、波除神社のゲートゾーンと称する一角には、サービスアパートメントといった表記もある。また、交通結節点については、スケジュールの明示がなく、築地場外や周辺のにぎわいを考えると、一刻も早い段階での構築が必須であると考える。本素案は、全体として総花的であると感じている。住民・区民の目線が最も重要であると考えるが、今回の素案を本区としてどのように評価しているか。

区長 今回公表された「築地まちづくり方針」の素案は、環状第二号線や周辺道路から敷地内へのアクセス経路をはじめ、自動車交通、舟運とのアクセスを可能にする交通結節機能や、交通ターミナル機能の整備など、これまで本区が主張してきた内容について、概ね織り込まれていると認識している。また、今回示された国際競争力向上に必要な、質の高い国際会議場や良質なホテル機能の導入は、周辺にある既存の文化施設等との相乗効果により、地域のにぎわいに資するものと評価している。一方で、示された将来像は20年以上先のものであり、工事により長期間にわたり仮囲いでふさがれてしまう状況は、場外市場など周辺環境に悪影響を及ぼす懸念がある。本区としては、迅速にまちづくりを推進することをはじめ、場外市場に対する計画上の配慮や、国際都市東京に相応しい交通基盤の整備、都民に開かれたまちづくりの推進などを、都に対して速やかに要望していく。

 波除神社のゲートゾーンと称する一角は、現在、築地魚河岸の荷捌き所、駐車場として使用している。素案では触れられていないが暫定貸付地とのことで、契約終了後は、使用できなくなると聞いている。築地の市場跡地とその周囲の動向は、細大漏らさず東京都・中央区と共有していくべきである。その点、東京都と中央区の検討会、情報連絡会を立ち上げるべきであると考える。現在の運搬量とそれに見合う広さの場所の確保を本区として東京都にどのように申し入れをしていくのか、また、東京都との協議体の構築について考えは。

区長 現在、暫定貸付地は、荷捌き場や駐車場として機能しており、特に荷捌き場については、場外と豊洲市場をつなぐ物流拠点として、重要な役割を果たしている。今年10月までの貸付期間満了後においても、場外を支える物流機能が損なわれることがないよう、取扱い荷物の運搬量に関わらず、現在、荷捌き場として機能している範囲と同等以上の広さの確保が、最低限必要である。区としては、今後も継続的な用地の貸付に向けて、「築地のまちづくりに関する都区検討会」を通じて、積極的に協議を重ねていく。

日本橋及び昭和通り上空の首都高を問う

 国・東京都・中央区・首都高速株式会社の4者により、3回にわたり、首都高日本橋地下化検討会が開かれ、線形案と費用負担とが示された。積み残しの課題についても、新たな会議体が発足し、実現に向けて確実な一歩を踏み出したと感じている。地下化にあたっては、日本橋川沿い5地区の再開発の成功が何よりも重要であり、つまり、地元の開発との連携あってこその日本橋の青空であると考えているが、今日までの進捗状況と今後の再開発の展望も含めて、地下化への道筋は。

区長 首都高地下化の線形ルート案及び事業スキーム等について、関係者間で合意した昨年7月以降、今日まで、さらなる計画の詳細化と協議・調整を進めてきた。特に、地元区として、再開発事業の検討が具体的に進捗している「八重洲一丁目北地区」や「日本橋室町一丁目地区」の準備組合と首都高地下化との整合性を図る協議・調整を進めてきたところである。今後の再開発の展望としては、「八重洲一丁目北地区」「室町一丁目地区」の都市計画手続きと首都高の都市計画変更手続きが並行して進められ、その後、首都高の事業認可手続きが着手されることから、現在、具体的な検討が進められている「日本橋一丁目一・二番街区」や「日本橋一丁目東地区」のまちづくりとの協議・調整を行い、取りまとめていくことが目標である。首都高地下化への道筋は、川沿い5地区の再開発事業及び地下化の線形に関係する権利者の理解と協力を得て成り立つものである。今後も、継続した川沿いのまちづくり活動への支援と、権利者及び関係機関との協議・調整に最大限の努力をしていく。

 昭和通り上空に架かる首都高速道路の撤去は、日本橋上空の首都高撤去と足並みをそろえて主張してきたが、以前の一般質問において、区長は「1号上野線のまたがる、台東区・千代田区・中央区の3区の連携を、然るべきときに図る」という道筋を示された。今回の日本橋上空の首都高地下化の機運にあやかり、ここで確かな一歩を踏み出すべきである。撤去は、首都直下地震の危険、公衆衛生に係る心配、地域のにぎわい等、様々に中央区ブランドの向上に資するものである。中央区が手を挙げて、3区との協議体に向けた調査、検討を開始すべきだと考えるが、本区の考えは。

区長 日本橋の首都高地下化の取組について、地元説明を行っている中で、日本橋一の部、二の部の方々から昭和通り上空の一号上野線も合わせて撤去してほしいとの声が区にも寄せられている。区としては、日本橋上空の地下化の取組が具体的に進捗してきた現段階において、当該地域における現状の課題や一号上野線を撤去した際のまちをつなぐネットワークのあり方、まちの将来像などについて、整理を行う必要があると認識している。そのためには、これまでの国や都などの協議を踏まえ、関係する千代田区及び台東区のまちづくりの考え方や意向を確認するとともに、協議体の構築に向けた検討を進めていきたいと考えている。

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お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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