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平成19年第三回定例会会議録(第2日 9月26日)

1.会期

二十四日(第二日)
九月二十六日(水曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議
午後六時十三分散会

3.出席議員

(三十名)
一番 志村 孝美議員
二番 木村 克一議員
三番 礒野 忠議員
四番 増渕 一孝議員
五番 二瓶 文隆議員
六番 田中 広一議員
七番 中島 賢治議員
八番 田中 耕太郎議員
九番 田辺 七郎議員
十番 原田 賢一議員
十一番 石田 英朗議員
十二番 中嶋 寛明議員
十三番 今野 弘美議員
十四番 神林 烈議員
十五番 植原 恭子議員
十六番 鈴木 幸子議員
十七番 小坂 和輝議員
十八番 岡田 眞理子議員
十九番 小栗 智恵子議員
二十番 鞠子 勝彦議員
二十一番 鈴木 久雄議員
二十二番 押田 まり子議員
二十三番 鷲頭 隆史議員
二十四番 石島 秀起議員
二十五番 矢吹 和重議員
二十六番 田畑 五十二議員
二十七番 青木 幸子議員
二十八番 高橋 伸治議員
二十九番 渡部 博年議員
三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君
副区長 髙橋 邦夫君
副区長 吉田 不曇君
教育長 髙橋 春雄君
企画部長 小泉 典久君
総務部長 益田 進君
区民部長 斉藤進君
福祉保健部長 斎藤 裕文君
高齢者施策推進室長 竹内 利雄君
保健所長 大倉 慶子君
環境部長 能瀬 晶子君
土木部長 越地 壽宜君
都市整備部長 西正史君
会計管理者 佐藤 マツ子君
教育委員会事務局次長 小池 正男君
監査事務局長 山崎 栄三君
企画課長 新治満君
財政課長 田中武君
広報課長 信坂 留吉君
総務部参事 齋藤弘君
(総務課長事務取扱)

5.議会局出席職員

議会局長 土屋 篤志君
庶務係長 遠藤 龍雄君
議事係長 土谷 昌彦君
調査係長 横山 信一君
書記 橋本 佳明君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(鈴木久雄議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 六番田中広一議員。

〔六番 田中広一議員登壇〕

○六番(田中広一議員)
 公明党の田中広一でございます。私は、平成十九年第三回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。

 まず初めに、京橋図書館の移転整備についてお尋ねいたします。

 文化芸術の秋、読書の秋などと言われますように、特にこの季節、見たり、聞いたり、参加したりすることによって新しい発見や出会いに感動を楽しみにしている方々が多いものと思われます。ある識者は、「読書について言えば、「読む」ことも「心を耕すクワ」と言える。実は、本そのものの中に、知恵や幸福があるわけではない。本来、それらは全部、自分の中にある。しかし、読書というクワで、自分の心、頭脳、生命を耕してこそ、それらは芽を出し始める」と述べられております。文化、すなわちCULTUREの語は、耕す、すなわちCULTIVATEから来ているように、自分を耕し、自分を豊かに変えていくような充実した生活を送る上で、区立図書館の役割が今後ますます求められてくるものと考えます。

 先日、九月七日に開会された区民文教委員会では、京橋図書館の移転整備を視野に入れたことによる改修工事の見直しについての御報告がありました。また、移転予定地となっております労働スクエア東京跡地におきましても、当初のスケジュールよりおくれているようでありますが、本区として取得できるよう東京都と交渉中であると伺い、実現の可能性が高まってきているようであります。

 本来、図書館の存在意義とは何でありましょうか。まず、法律的な見地から、憲法にある基本的人権の中の知る権利、あるいは図書館法という法律の中で、図書館の必要性が位置づけられております。国民に対する知識と情報の提供が目的であると考えられます。

 わかりやすい表現として、「浦安図書館にできること」という本の中に、「なにか知らなかったことがわかったとき人間は、周りが明るく見えたり、体温が上がったりします。体内の物質代謝が変化するわけです。そして、また知りたいと思うようになる。そうやって人類は発展してきたのだと思います。それを最も効率的に実現しようとしているのが、公共図書館というシステムだと私は思っています」と著者は語っておりました。

 また、現代社会では自己判断、自己責任が今まで以上に求められてきており、専門的な知識や情報を必要とするようになってきております。しかしながら、図書館では、ただ本を集めて貸し出しすればよいというように感じている方が少なくないように思われます。

 そこで、例えば、大阪府立中央図書館では、「そんなとき、図書館へ」という出版物を作成し、図書館の魅力を大変わかりやすく紹介しております。一部御紹介させていただきます。

 一、将来は動物にかかわる仕事がしたい。それに対して、図書館は、さまざまな知識や経験の宝庫です。あなたの夢の実現をお手伝いします。

 二、コンビニの人気食品は何か。それに対して、図書館には書店に置いていないような統計類や雑誌のバックナンバーも貯蔵しています。

 三、社長に頼まれたとき。それに対して、図書館では同じテーマでも複数の資料をそろえていますので、比較しながら調べることができます。また、資料の探し方、使い方を司書がアドバイスいたします。

 このように、知りたいとき、楽しみたいとき、困ったときには図書館へ、また学びたいこと、生活情報、仕事、全部図書館が引き受けるというように、皆様にわかりやすく図書館の魅力を紹介しております。したがって、日々の仕事や生活のお役に立つように図書館を効果的に展開していくためには、現代社会におけるビジネスマンや生活者としての住民ライフサイクルなどを分析し、主要なサービス対象を選定して重点的な経営資源投入を行うというマーケティング的観点が不可欠となってきているものと考えます。

 そこで、最近では各地域において図書館の再整備が次々と展開され、新サービスが打ち出されております。

 先日、本年五月にリニューアルオープンした新千代田図書館を視察してまいりました。千代田図書館では、平成十六年五月に素案を策定し、検討会や研究会などで協議を行い、平成十七年七月に「新千代田図書館基本構想」を策定しております。千代田区らしいブランド形成を図り、「千代田ゲートウェイ」「区民の書斎」「キッズセミナーフィールド」「歴史探求のジャングル」「創造と語らいのセカンドオフィス」という五つの機能コンセプトを機軸に、さまざまなサービスを展開することにより相乗効果を発揮し、魅力的な図書館へのさらなる発展を計画しております。現在では、平日は午後十時まで開館し、ビジネスマンの第二オフィスとしての活用、各種相談や案内に対応する図書館コンシェルジュの配置、幅の広い新情報検索システムの導入など、地域活性化に寄与し、従来の図書館のイメージが大きく変わろうとしております。さらに、策定の途中から外部より専門家を特命担当として配置したり、図書館に指定管理者制度を導入するなど、画期的な取り組みがなされておりました。

 一方、京橋図書館では、地域資料室に見られますように、本区の歴史や文化財など多種多様な資料約二万点を収集・保存し、提供することが大きな特徴であります。また、職員の方々の親切な対応について評価のお声も地域の方々より伺っております。さらに、本区には、江戸開府四百年にわたり集積された伝統文化や芸術が継承され、心豊かな区民生活と魅力ある地域社会を実現することを目指す上で、多くの可能性を秘めております。

 そこで、まず第一点目にお伺いいたします。

 京橋図書館の移転整備という機会に際し、単に施設の移転ではなく、だれもが気軽に利用しやすく、区民や在勤者のお役に立ち、司書職などの専門家の配置、開館時間の拡大、お体の不自由な方へのサービス、子ども室の設置、ビジネス支援、文化芸術の中心拠点としてなど、課題はさまざまあるかと思いますが、新たな中央区らしい図書館政策としての構想を検討していただきたいと考えます。

 平成十八年第四回区議会定例会一般質問において、図書館の基本構想を策定すべきと御提案させていただきましたが、来年度示される基本計画に定めると御答弁されております。

 そこで、まず基本計画に概略的な中央区らしい図書館の構想を明示した上で、今後、区民及び有識者などによる検討会を設置するなど検討を重ねる中で、詳細にわたる新中央図書館基本構想を策定していくべきと考えますが、本区として、どのような中央区らしい図書館政策の御構想を描かれておられますでしょうか。教育長さんの御見解をお聞かせください。

 第二点目に、図書館としての機能を最大限発揮していく上で、司書などの専門資格を持った方々の配置が欠かせないものと考えます。また、マーケティング的観点も不可欠であるがゆえに、今後の職員の養成についても一層求められますし、あるいはさまざまな分野のすぐれた経験・知識を持った方の登用も一つの方法であろうと思われます。

 そこで、お伺いいたしますが、社会が変化し続けていく中で、区民及び在勤者などの皆様のお役に立つサービスを提供するために、図書館における文化情報資源全体を扱える人材の確保及び養成が必要であると考えますが、教育長さんの御見解をお聞かせください。

 第三点目に、読み聞かせ及び子供読書活動の一層の充実を図るため、託児所併設の子ども室の設置についてお尋ねいたします。

 本年八月、文京区シビックホールにて「二十一世紀型学力の育成を目指して」という公開シンポジウムが開催されました。内容は、読解力と他の教科学力との関係はほぼ正比例であり、いわば学力向上の原点になるとしております。そのため、学校教育で読書等を取り上げることの重要性が強調されておりました。

 私も、平成十七年第二回区議会定例会一般質問におきまして、特に高校生の本離れが際立ち、読解力の低下が明らかであるため、豊かな読書活動の必要性を主張させていただきました。

 また、二年前に子ども読書活動推進計画の策定について三鷹図書館を訪問した折、読書環境を整備する上で、保護者における読書への姿勢が子供の読書に大変影響を与えると伺いました。また、文部科学省における「親と子の読書活動等に関する調査」などにも保護者の姿勢が子供の読書活動に影響している結果が示されております。

 子供たちにとって、読書への入り口は読み聞かせを行うことではないでしょうか。ある識者は、「読み聞かせをするときには、農業に携わる人が豊かな実りを願って種をまくように、子供たちに語りかけるときにも、どうか健やかに成長してほしい、どこまでも可能性を伸ばし、夢を実現してほしいと、種まく人の祈りを込めていくことが大切ではないでしょうか。自分のことを信じてくれている、思ってくれているという安心感こそが子供の成長の一切の基盤になると思うのです」と述べております。

 したがいまして、区立図書館が中心となって、学校、児童館、子ども家庭支援センターなどと連携し、区内のあらゆる場所でそれぞれの特性を生かしながら、子供たち及び保護者への読書及び読み聞かせ環境の整備を一層推進していくべきであると考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 移転構想の中に、明るくて親しみやすい子ども室を設置し、読み聞かせや読書などを充実させると同時に、保護者の方も図書館を利用できるように、お子さんを子ども室で預かる一時預かりサービスを導入すべきと考えますが、教育長さんの御見解をお聞かせください。あわせて、区内各学校図書館、子ども家庭支援センター、児童館などと連携しながら、読書及び読み聞かせ環境の支援体制をさらに強化すべきと考えますが、教育長さんの御見解をお聞かせください。

 第四点目に、ビジネス支援サービスの拡充についてお尋ねいたします。

 平成十八年第四回区議会定例会一般質問においても御提案させていただきましたが、図書館としてのビジネス支援策も今後一層推進していくべきであると考えます。国会図書館、都立図書館、そして区立図書館等、それぞれ役割があるかとは思いますが、約四万一千もの事業所を抱え、経済の中心拠点である本区では、中小零細企業に対するビジネス支援策を強化し、地域の活性化に寄与していくことが、中央区の図書館政策としての特徴となるのではないでしょうか。

 本区でも、これまで商工会議所などの各機関に連携をとるなど取り組みがなされておりますが、一番大切なのは、資料を探すプロがそこにいなければ迅速に対応することができないものと考えます。先ほども触れました千代田図書館では、五月の開館以来、八月末日現在において来館者が三十三万人に上り、旧館時代の前年と比較し約三・五倍にも拡大しております。特に、土日の利用者よりも平日の利用者が多く、その中でも特に新サービスとして取り入れた平日の開館時間を午後七時から午後十時に拡大したことにより、その間の利用者が著しく多いのが特徴であり、来館者全体の約二割を占めておりました。夜遅くでも資料を閲覧でき、スキルアップを目指し、資格試験などに向け研さんしている若い方々が多いと伺いました。さらに、セカンドオフィスゾーン・研修室を設置し、ビジネス図書、辞典、年鑑、白書などを取りそろえ、インターネットを使える環境を整備しておりました。

 なお、ここで確認したいことは、単に利用者がふえることが目的ではなく、地域特性に応じた調査研究を重ね、その上で新サービスを提供していくことの視点が大切であると考えております。

 そこで、お伺いいたします。

 本区の図書館構想におけるビジネス支援について、専門的な司書などの人材を確保し、また開館時間を一層見直すことなどによるサービスの拡充を図り、地元中小零細企業などへの地域活性化に寄与していくべきであると考えますが、教育長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、京橋図書館の移転整備に関連いたしまして、労働スクエア東京跡地の全体の整備構想についてお尋ねいたします。

 労働スクエア東京跡地は、敷地面積約六千平方メートルもあり、新大橋通り及び平成通りに面し、東京メトロとJR線八丁堀駅に隣接し、ほぼ中央区の中心に位置した都心の貴重な公有地でございます。現在、未確定な状況ではありますが、区民の皆様に還元できるよう十分検討の上、有効活用を図っていくべきであると考えます。

 そこで、以前、私は平成十七年に青森市を訪れ、コンパクトシティーについて視察してまいりました。

 コンパクトシティーとは、自宅から徒歩や自転車、公共交通機関などで行ける範囲内に日常生活に必要な諸機能がそろい、歩いて暮らせるまちのことであり、交通アクセスが便利で高齢者などにとって生活しやすいまちづくりを構築することであります。さらに、道路や上下水道など生活インフラの維持・整備費や不必要な開発費が抑えられるほか、自動車排ガスなどの環境負荷の軽減にもつながると指摘されております。

 これまで青森市は、一九七○年から約三十年の間に、市街地から郊外へ約一万三千人が移住し、道路や下水道などの整備に約三百五十億円を投入しており、道路延伸で市が負担する冬期除雪費も大幅に増加してしまいました。そこで、青森市は一九九九年六月、コンパクトシティーの形成を基本理念に掲げた都市計画マスタープランを策定し、郊外開発の抑制と中心市街地の再活性化を目指した結果、中心街に商業施設やマンションが進出し、青森駅前の歩行者交通量が二○○○年から二○○四年の四年間で約四割も増加する成果を上げております。

 その中でも一番注目された二○○一年開設の青森市駅前の再開発ビル、アウガでは地下一階から九階までのフロアに生鮮市場、商業店舗が入居し、さらに公共施設として図書館や男女共同参画プラザが複合的に構成されており、年間約六百万人が訪れております。その中でも、六階の図書館の利用者は一か月当たりの来館者数が約六万七千人となり、旧館時と比較し四倍近くも利用者がふえております。また、複合施設として併設された五階にある男女共同参画プラザ、カダールでは、託児室、三百人収容できるAV多機能ホール、情報ステーション、会議室、相談室などが整備され、私が伺ったときにもさまざま活動されている方が多く、活気にあふれておりました。

 また、千代田図書館を視察した折にも同様に、図書館と同じフロアに男女共同参画センター、MIWが併設されており、移転前の施設と比較し、訪問者がふえ、普及啓発が一層進んでいるとのことでした。このような複合施設では、相乗効果を発揮することによって区民サービスの向上だけではなく、施策の普及啓発にも大いに貢献しているものと考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 労働スクエア東京跡地を区として取得できるように検討中のようでありますが、土地取得予算及び建設工事予算をどのくらい確保しておられるのか、さらに今後の土地取得における検討スケジュールについてどのようにお考えでしょうか。区長さんの御見解をお聞かせください。

 第二点目に、先ほど述べさせていただきましたが、男女共同参画センターのように複合的に整備することにより相乗効果を発揮していくための取り組みが必要であると考えます。そこで、現在本区が検討されておられる整備構想にこうした相乗効果を発揮する複合施設を整備すべきと考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 第三点目に、良好な立地条件であるがゆえに、福祉施設の充実及び障害者の就労支援を推進していただきたいと考えます。以前、平成十七年第四回区議会定例会一般質問にて主張させていただきましたが、社会福祉協議会の付近では交通量が多いため、高齢者にとっては非常に危険であり、安全な所へ移転すべきと考えます。また、喫茶室のような地域のいこいの場の確保とあわせて、障害者の方々への就労支援及び交流を促進できる施設を設置していただきたいと御提案させていただきます。特に、明石町のアラジンは自立を支援する就労体系であり、大変好評でありますが、今後のさらなる展開として、一般の就労条件と同様の体制を整備し、障害者の方々の就労支援に一層努めていくべきであると考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 安心・安全のため、社会福祉協議会の移転整備及び喫茶室のような地域のいこいの場の確保と同時に、障害者の就労支援策を拡充し、地域交流を一層促進していくべきであると考えますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、地域循環バスの導入についてお尋ねいたします。

 平成十八年第三回区議会定例会一般質問にて、地域循環バスの早期導入について質問させていただきました。質問に対しまして区長は、高齢者等のニーズの把握を行いつつ、区内の民間企業の意向もお聞きしながら多面的に検討していきたい旨の御答弁がございました。そして、平成十九年度の取り組みの中には、区内公共交通のあり方調査を実施し、課題の整理や今後の方向性の検討を行うとありました。このたびの労働スクエア東京跡地の検討にあわせ、こうした地域循環バスの導入も同時に御検討いただき、区民の皆様、特に高齢者など移動が困難な方々への交通手段の確保を行うことにより、単に施設の整備だけではなく、区内全域を考慮に入れ、幅の広い充実した施設及び区民の皆様へのサービス向上につなげていただきたいと考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 本年度の区内公共交通のあり方調査では、どのような調査を行っているのか進捗状況をお示しいただき、その中でも特に地域循環バスの導入実現に向け、どのように具体的に進めておられるのか、区長さんの御見解をお聞かせください。

 以上で私の第一回目の質問を終わらせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、労働スクエア東京跡地の土地取得費及び建設工事費の予算確保と今後のスケジュールについてであります。

 平成十六年三月に閉館となったこの施設の跡地は、六千平方メートルを超える、中央区に残された数少ない貴重な公有地であります。定住人口十万人達成以降も力強く人口が増加している本区においては、子育て支援をはじめとするさまざまな課題に的確に対応していく上で、この土地が有効に活用できれば、施策の一層の推進が期待できるものと考えております。このため、現在、土地の購入を視野に入れた跡地の利活用について具体的な検討を進めておりますが、その土地取得費及び建設工事費は一時的に多額な経費を要することとなります。したがいまして、その予算確保につきましては、財政運営に支障が生じないよう、国や都の補助金の確保はもとより、施設整備基金や起債、PFIの活用など、多角的に検討し、適切に対処してまいります。

 また、今後のスケジュールにつきましては、現在、土地の取得について東京都に申し入れを行っているところでありますが、東京都においては土地の売却の条件整備や東京都自身による土地の一部利用について検討中であります。早急に都の計画と調整を図り、土地の取得に努めてまいりたいと考えております。

 次に、相乗効果を発揮すべき複合的な施設整備構想についてであります。

 労働スクエア東京跡地周辺には、京橋図書館をはじめ、老朽化の進む施設が多く存在しております。また、施設に対する区民ニーズも多様化していることから、施設の整備に当たっては、ただ単に現在の機能を更新するだけではなく、新たな施設の工夫なども行い、サービスの拡充を図っていく必要があります。こうした観点から、労働スクエア跡地においては、子育て支援施設など、本区の課題解決に向けた施設整備を行うとともに、京橋図書館など施設の再編を視野に入れながら、複合施設としての相乗効果が発揮できるよう検討を進めてまいります。また、社会福祉協議会や障害者の方々との交流施設などについては、この中で複合化が可能かどうか検討してまいりたいと考えております。

 次に、区内公共交通のあり方調査の進捗状況及び地域循環バスの導入実現へ向けた検討状況についてお答えします。

 区内の公共交通を取り巻く環境は、再開発事業の進展に伴う地下鉄大江戸線等の利用者増、高齢者をはじめとした区民ニーズの多様化など、大きく変化してきております。そこで、今年度は公共交通機関の現況や将来需要の動向調査及びそれを踏まえた実現可能性の高い交通手段の導入の検討など、今後の区内公共交通を総合的に検討するための調査を実施しております。そのため、現在は関係部署の課長等十名をメンバーとする内部検討会を立ち上げ、所管施設に関する交通需要と現行公共交通機関の運行状況等の課題、今後公共交通と組み合わせることにより需要の増大や利便性の向上が期待できそうな施設の調査等を実施しております。今後は、検討会において議論を深め、課題の整理や今後の区内公共交通のあり方について今年度末までに方向性を取りまとめ、来年度は導入に向けて具体的な検討を進めてまいります。地域循環バスの導入につきましても、需要見込みや民間バス、事業者の意向調査など、あらゆる角度から検討してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えいたします。

 京橋図書館の移転整備に関するお尋ねでございます。

 初めに、本区における図書館構想についてであります。

 図書館の今後のあり方につきましては、現在、施策評価及び基本計画策定の中で検討しており、現況を分析し、課題を抽出し、施策の方向性を定めようとしております。京橋図書館の移転整備につきましては、改定される基本計画の中に位置づけた上で具体化を図りたいと存じます。また、具体化に当たりましては、区民等の意見や要望を反映する仕組みについても、あわせて検討していきたいと考えております。

 京橋図書館は、明治四十三年に設立認可を受けました由緒ある図書館でございます。文化の薫り高い中央区の中心館にふさわしい施設として、こうした伝統を尊重するとともに、IT技術の活用や、多様な利用者ニーズにこたえ得る時代の最先端をいく未来図書館として整備を目指してまいりたいと存じます。

 次に、図書館を支える人材の確保と養成についてでございます。

 図書館の充実を図るためには、蔵書や施設面での整備とともに、サービスを提供するすぐれた人材の確保が重要であると考えております。特に、蔵書の選定やレファレンスなどの業務は図書館の基幹的業務として重要でございます。これらを的確に実施するため、新人研修、レファレンス研修など、職員の研修体制はもとより、専門性を高めるため、司書または司書補の資格取得の講習会に職員を積極的に参加させております。本区の司書等配置率は二九%であり、二十三区平均を上回っております。今後は、司書等専門職に加え、お尋ねにありますマーケティング観点からの図書館運営も担える人材の確保も重要な課題であると認識しております。

 次に、託児所併設の子ども室の設置についてでございます。

 現在、図書館で実施している乳幼児のための絵本講演会では託児サービスを行っており、乳幼児を持つ親が参加しやすい環境づくりに努めているところでございます。京橋図書館を移転整備する場合には、当然このような託児サービスを実施できるような施設面での配慮も必要であると考えておりますが、複合施設の場合は他の施設との連携も含めて総合的に検討する必要があると考えております。学校図書館、子ども家庭支援センター、児童館などとの連携による子供の読書環境の整備につきましては、現在、子ども読書活動推進計画検討委員会で関係部局との協議を進めておりますので、よりよい計画として取りまとめ、充実に努めてまいりたいと考えております。

 次に、ビジネス支援サービスの拡充についてであります。

 図書館には、多様な資料が検索しやすい形で整備されております。この資料を区民の個々のニーズにできるだけこたえられるよう、利用しやすい体制をつくることが重要だと考えております。現在、子供の読書活動の推進や歴史・文化の豊かな本区の地域資料の利用促進などのほか、ビジネスや企業に役立つ情報の提供にも取り組んでおります。京橋図書館の整備に際しては、こうしたビジネス支援の充実や中小零細企業のニーズにこたえ得るサービスのあり方についても、本区地域特性を踏まえて積極的に調査検討してまいりたいと考えております。

 答弁は以上でございます。

〔六番 田中広一議員登壇〕

○六番(田中広一議員)
 それぞれの質問項目に対しまして、なかなか未確定な内容の中での質問でございましたけれども、大変建設的な御答弁ありがとうございました。

 まず、図書館についてでございますが、私もずっと図書館の充実、読書の充実等を含めて一貫して主張させていただいております。そういった中で、今回質問させていただいたんですが、先ほどの教育長さんの御答弁の中で、時代の最先端、未来のそうした図書館を築いていきたいという、いわゆる日本一の図書館を目指していくんだ、そういう御決意を聞くことができたことが、私にとっては、まず第一歩ではないかなというふうに思っております。そういった意味で、細かいサービスの問題等ありますが、ぜひとも研究調査を重ねていただいた上で、区民の皆様に喜んでいただける図書館を構築していただきたいというふうに考えております。

 また、図書館については、やはり子供からお年寄りまでだれもが利用できる施設と考えますので、ある意味、中央区の行政の一つの広報的な役目も示すのではないかなと私は考えております。そういった意味で、図書館の充実をあわせてお願いしたいというふうに思います。

 それから、最後に、地域循環バスの導入についてですが、あらゆる視点から検討を重ねていくということでございますけれども、なかなか状況が難しいようでありますが、ぜひとも、各二十三区の中でもこうした導入をしたがゆえに地域の活性化、またお年寄りの方々、障害者の方々も含めて公共施設の利用が大変進んでいるということを伺っておりますので、ぜひとも今後とも積極的に推進していただきたいというふうに要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(鈴木久雄議員)
 次に、二十六番田畑五十二議員。

〔二十六番 田畑五十二議員登壇〕

○二十六番 (田畑五十二議員)
 公明党の田畑五十二でございます。田中広一議員の残されました時間の中で、通告書に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、お断りをしておりますが、私の私的な感情や疑問に思うことからの質問ではなく、区民の要望や意見、考え方をもとに御質問いたしますので、どうぞ御答弁については区民にわかりやすく、そしてまた希望の持てる御答弁をどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、初めに、まちづくりについて三点ほどお尋ねをいたします。

 中央区の定住人口は、昭和五十年に十万人を割り、平成七年には六万四千人にまで減少し、区としても危機感を持って定住人口の回復に全庁的に取り組んでまいりました。その点では、議会も同じように人口回復の政策実現に努力を重ねてまいりました。その結果、平成十八年四月には念願でありました定住人口は十万人を回復し、その増加傾向はしばらく続くものと思われます。こうした背景には、各地で行われました再開発による超高層の住宅建設も、人口回復の意味では大変大きな原動力になったことは間違いないと私も思います。しかし、一方では、特に月島地域の低層住宅が密集する街区におきましては、十年ほど前から、こうした地域で総合設計制度や市街地再開発事業などを適用した超高層住宅が建設をされてまいりました。どこの事業についても、周辺地域への環境問題、とりわけ風害や日照などの問題で地域住民との間でさまざまなトラブルを引き起しつつも、周辺住民の方々は、結果として環境悪化の中で日々の生活を余儀なくされてまいりました。こうした住民の方々は、長い間、世代を超えて中央区に住み続け、行政とともに地域やまちを、そしてコミュニティをつくり上げてきた方々でございます。今では、中央区のまちづくりに対し、不信と不安を抱いているのが現状であります。こうした住民の状況を考えるとき、区長さんはどのような感想をお持ちになるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

 次に、平成十八年第三回定例会において、容積率の移転によって再開発を可能にし、さらに超高層の住宅を建設すると同時に、低層階の街区をつくり出す手法が提案をされました。こうした考え方は、私から言わせれば大変無責任な提案と同時に、何が何でも当該地区の再開発を誘導するための議論であり、まして低層階の街区に対し、周辺地域の環境を守る規制や、将来にわたっての住環境の保護に対する担保については何ら触れられておりません。そのときの区側の答弁は、環境に配慮した総合的なまちづくりの道を開くものとした上で、高層化することによって周りの環境を悪化させるおそれがある場合には、その開発を低層に抑制し、使わない容積率を高層化の支障がない街区に移転することで、地区計画によるまちづくりと再開発を整然と共存させることができ、本区のまちづくりにとって望ましいものであることから、実現に向けて国や東京都とも積極的に協議、検討をしていくとのことでありました。こうした提案にしろ、区側の答弁にしても、超高層の住宅を建設するための議論であって、その反面、地域の再開発や再整備に名をかりた環境悪化をつくり出すものと思います。つまり、低層階の街区周辺では、近い将来どのような開発による高層ビルが建設をされるか、常に住環境の悪化を心配しながらの生活が続くわけであります。先ほども述べたように、再開発などの高層ビルの陰で多くの住民が被害をこうむりながら生活をされていることをしっかりと認識をしていただき、今後の再開発事業やまちづくりに生かしていただきたいことを強く望むところでございます。その上で、容積率の移転の問題ですが、確かに都市計画法に特例容積率適用地区の制度はありますが、対象となる地域地区の指定については、前提として、当該市街地の環境を確保するために必要な場合に限るとされております。ここでいう当該市街地とは、容積率を提供する街区であり、低層階の街区に対する環境が守られることが大前提であります。しかしながら、この制度を適用したところで、低層階の街区周辺にまで将来にわたり高層ビルの出現を規制することはできません。そうなると、結果として、容積率の移転による再開発は実を結んだものの、低層階の街区では、これまでの再開発事業と同じように、風害や日照などによる被害に悩まされることになります。昨年の答弁では、環境に配慮した総合的なまちづくりの道を開く制度と言われておりましたけれども、どのようにして低層階の街区の環境を守るおつもりか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。あわせて、国や東京都との協議経過についてもお示しをいただきたいと思います。

 次に、都営住宅の地元割り当ての問題ですが、都営勝どき一丁目団地は、区内では数少ない都営住宅の中でも最大の住宅戸数で、昭和二十七年から五十年ごろにかけて建設をされ、六棟三百十一戸の住宅がありました。今日まで区民の住宅困窮者にとっては大変大きなよりどころとして、また多くの区民の安住の場でもありました。しかし、老朽化と時代の使命を果たした団地の建てかえ計画が平成五年に公表され、現在まで二棟二百八十二戸の住宅が完了をしております。住宅困窮者にとっては、少なからず新たに都営住宅の地元割り当てや一般公募の期待を持って見守ってきました。ところが、従前居住者が約半数の住宅に入居はしましたけれども、残りの住宅はすべて他区で行われる都営住宅の建てかえに際しての転居用住宅に割り当てられることになり、多くの区民の期待を裏切る結果となりました。また、当初の計画では、A地区における民間活力を導入した民間住宅も、さらには五十階建ての超高層ビルの計画もありませんでした。地元の中央区としては、こうした東京都の環境悪化や横暴な事業計画に対して、どのような交渉を持たれてきたのか。また、これから進められるA敷地については、都営住宅の地元割り当ての確保に向け、大いなる御努力を期待するところでございますが、区長さんの御見解をお聞かせいただきたいと思います。同時に、勝どき五丁目の都営月島アパート七棟二百八戸の団地に現在百三十世帯が入居されております。この団地についても建てかえ計画が決まり、二百三十一戸の住宅が建設中であります。完成後、同じように、従前居住者の入居により残余の住宅の地元割り当てや一般公募の対象住宅は全くないと聞き及んでおります。なぜこうしたことを平然と見過ごしてこられたのか、私には到底理解ができません。東京都の財政収入に対して、どれだけ中央区が貢献をしてきたのか、さらにまた、区民の住宅要望の強さを再確認していただき、この団地についても、改めて東京都に対し強力に要請行動を行っていただきたいと思いますが、区長さんの御見解をお聞かせください。

 次に、指定管理者制度について三点ほどお尋ねをいたします。

 平成十五年十一月にスタートした指定管理者制度が導入をされて、四年を迎えようとしております。公共施設の管理に民間企業が蓄積をしたノウハウを取り入れることで区民サービスの向上を実現しつつ、コストの削減を目的に制定された制度で、公の施設の管理制度が管理受託制度から指定管理者制度に移行したと認識をしております。私たち公明党としましても、常日ごろから、行財政改革の面から民間活力の導入を強く主張してまいりました。そうしたことからも、広範な意味で行政改革の大きな成果を期待するところであります。既に、本区においても三十六施設で十六事業者へ管理運営業務を指定され、大部分の施設では一年が経過しました。その評価方法については、毎年、報告書の提出に従って一次評価、外部委員会、庁議決定を経て、各委員会に報告されることになっております。さらに、契約更新年度は議会の議決で決定することになっております。そこで、当初の目的であります行財政改革にどのような成果があらわれているのか、大変気になるところでもあります。区民サービスの向上や事業の効率化、さらに経費の削減について、ぜひ所管ごとの内部評価と成果について具体的な数字でお示しをいただきたいと思います。同時に、指定事業者の監督責任と評価については担当部署であると承知をしておりますが、私は区民の方々の施設利用の実態や行政サービスの内容に対する声が公平・公正な評価につながるものと思っております。しかし、評価方法については、事業者の報告書に基づいて所管課が評価シートを作成し、評価委員会の意見を参考に庁議で決定する流れになっております。ここには区民の声、評価の入る余地はなく、主体者である区民の声が反映されておりません。既に、今年度は評価委員会の開催が迫っていると思いますが、今後、区民の声をどのような形で事業評価に反映させるおつもりか。また、区民に対して事業評価の内容を公表する予定ですが、区民の声を反映させる意味からも、厳正・公平な立場で報告書の内容や委員会の意見あるいは評価内容など、積極的に公表することが行政側の責務であると思いますが、御見解をお聞かせください。

 次に、コムスンに代表されるように、介護保険制度の指定管理者についてお尋ねいたします。

 制度上の問題があるにせよ、指定管理者が不正行為によって事業の継続、介護報酬の不正取得、さらには区民サービスへの重大な悪影響を与え、介護現場はもとより、大きな社会問題になったことは記憶に新しいところでございます。特に、介護事業者については、平成十二年四月の介護保険制度以来、指定の取り消し処分や取り消し処分直前に廃業届を出すなど、事業所は昨年末までに四十二都道府県で二百八十一事業者、四百五十九カ所の事業所、施設に及んでおります。そのうち約七○%が民間事業者ですが、こうした介護保険制度の運営は営利目的の民間事業者の参入が前提で、そうした不正請求の可能性が当初から想定されていたとも言われております。一方、指定業者を決定する行政側の問題として、複数の施設を同一事業者に指定されているケースもあり、制度の目的からすると、あえて競争原理を働かせず、まして不正の温床ともなりかねない環境をつくり出し、結局は住民サービスの低下につながるものと思います。本区におきましても、特養ホームなど、同一事業者への指定が現在も継続されておりますが、私は開設当時から、同一事業者の指定については極力避けるべきだと提案をしてきました。そうした経緯から、コムスンなどの指定管理者による不祥事や文京区が特養事業者としての指定取り消しをされた件などを教訓にすれば、一日も早い改善が必要と思いますが、区長さんの御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、認定子ども園、幼児教育の問題について、二点お尋ねをいたします。

 教育や福祉の制度に完璧な制度はなく、新しい制度も時代のニーズに適合せず、すぐに問題が出てくるものであります。特に、教育、福祉、医療は常に話し合いの場を持ち、見直しをしなければ、制度そのものが機能していかなくなります。その意味では、子供にとって幼稚園と保育園の二重構造は完全に制度疲労を起こしていると言っても過言ではありません。親の就労状況や家庭の状況にかかわらず、子供は皆同じという基本的な考えのもとに、幼稚園や保育園の枠組みにとらわれることなく、すべての就学前の子供に対する教育と保育の一体的な提供と子育て支援の充実が、今、求められていると思います。国においては、幼稚園と保育所などを通じた教育・保育内容の充実、施設の共有化のための環境整備、あるいは幼稚園教諭と保育士の資格の併有の促進など、幼保の連携促進のための施策に取り組んできました。こうした連携をさらに進めて、地域の多様なニーズにこたえ、幼稚園と保育園等のよいところを生かしながら、制度の枠組みを超えた新たな仕組みとして、昨年の十月から認定子ども園制度がスタートいたしました。認定子ども園とは、保育園でも幼稚園でもない全く別の施設として設けるものではなく、保育園と幼稚園が持っている機能に着目して、両者にない機能を付加することによって認定を受ける制度であります。例えば、保育園は保護者が就労等の理由で養育できない子供だけを預かる施設ですが、そうではない子供の受け入れも可能にし、幼稚園と同様の教育機能を付加したりする認定を受けることができます。また、幼稚園も保護者の就労等の状況は問いませんが、原則四時間の教育となりますので、共働きの家庭では預けることができませんでした。しかし、従来の四時間に加えて、時間の延長を可能にする、いわゆる保育機能を付加することで、共働き家庭の子供も同じように集団保育が受けられる制度であります。既に、ことしの八月一日現在、全国で百五カ所が設置をされ、今年度、そして来年度中の申請予定を含めると二千カ所を数え、来年度中には設置数が二千カ所程度にふえる見込みとの新聞報道もありました。さらに、縦割り行政の壁を乗り越えた文部科学省と厚生労働省が連携をとり、認定子ども園制度のスタートを契機に、制度の導入をはじめとする幼保の連携を強力に進めるため、両省で幼保連携推進室まで設置をする力の入れようであります。しかし、残された課題もあります。例えば、保育料の統一による負担の公平性の確保や、設置基準の統一による保育環境の均一化など、そうした課題の解消に向けた作業も当然必要になってまいります。本区におきましても、数年前から教育委員会と福祉部の間で幼保一元化に向けた検討が進められ、延長保育や一時保育あるいは都のモデル事業の試行などを行ってきたと思いますが、その認定子ども園制度に向けた進捗状況と今後のスケジュールについて、また目標年次をいつごろとお考えかお聞かせをいただきたいと思います。

 また、全国の各自治体では子育て支援の充実に取り組んでいるところですが、介護や子育て支援の先進都市と言われる愛知県豊田市は、人口四十一万人、合計特殊出生率は平成十五年では一・五三と全国平均を大きく上回り、また女性の就業率も十二年十月時点で全年齢の四九・九%と非常に高く、こうした背景がもとで、保育園の待機児童が増加し、逆に、幼稚園就園希望者の減少を解消するため、あるいは根本的な課題として、すべての子供の教育・保育の質を保証するために、昭和五十二年ごろより幼保の垣根を取り払うべく、さまざまな取り組みを進めてまいりました。例えば、幼保での人事交流、四・五歳児の教育課程の統一、幼保を所管する部署の統一化、幼稚園の時間延長あるいはゼロ~五歳児の保育カリキュラムの統一など、市独自で幼保一元化への取り組みが進められてきました。私は、認定子ども園の制度については、これまで長い間、行政構造や規制に縛られてきたことを考えれば、大変大きな改革だと思います。行政の都合や管理する側のために置き去りにされてきた子供にとっての権利、つまり教育や保育のあり方に、すべての子供は皆同じであるという考え方を明確にされたものと思います。したがって、今や縦割り行政の弊害も解消され、あとは自治体がどれだけ本気になって幼児教育に取り組むかが試される時代でもあります。本区におきましても、試験的に行われてきたことは承知をしていますが、さきの質問と同時に、ハードの面だけではなく、むしろ豊田市のようなソフトの面で幼児教育の理念に基づく保育と就学前児童の教育の統一化を早急に進めるべきと思いますが、教育長さんの御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。あらかじめ再質問は留保しておきたいと思います。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田畑五十二議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、大規模な開発に対する区民の不信と不安についてのお尋ねであります。

 再開発により建設される超高層建物によってもたらされる建設地周辺の大きな環境の変化が、風害や日照阻害という形で住民に不安を抱かせていることは認識しております。一方で、再開発を通して、地域に不足している保育園、児童館など公共施設やスーパーマーケット、診療所などの生活関連施設を整備することで生活の質の向上を図ってもらいたいとの要望も多くいただいているところでございます。こうした現状を踏まえ、区では計画に当たり、広場や緑地の整備、建物の形状や配置の工夫など、適切な対策を講じ、周辺環境への影響を低減するよう積極的に指導しているところであります。再開発は、個別の建てかえではなし得ない地域課題を解決する方法の一つであります。しかしながら、再開発により地域の機能更新や利便性の向上を実現するためには、開発区域住民はもとより、周辺住民の理解と協力が不可欠であります。区といたしましては、地域住民の相互理解の形成に向けた協議の場を積極的につくるとともに、双方の調整役としての役割を果たしてまいりたいと考えております。さらに、こうした取り組みを通して良好な地域コミュニティの維持・発展につながるまちづくりを進めてまいります。

 次に、容積率移転のまちづくりによる低層街区の住環境の確保についてであります。

 既成市街地では、建物が無秩序に高層化することで周りの住環境を悪化させ、相隣問題につながることもあることから、区では容積率移転によるまちづくりを通して、総合的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。例えば、月島地域では西仲通りを挟み連続する沿道区域と、北側に隅田川が位置するような川沿い区域を連携させることで開発を計画的にコントロールし、まちの中心部では建物の低層化を進め、また開発による影響が比較的小さいと思われる隅田川に面する区域では建物の高層化を計画するなど、地域特性に合わせた総合的なまちづくりが可能になるものと考えております。同時に、低層化街区に接する区域の開発計画についても、低層化街区からの建物の後退距離を定めることで確保される空間を広場や緑地として整備するなど、低層化街区への風害や日照阻害を阻止するための規定を定めることで住環境の確保が図られるものと考えます。新たな制度につきましては、現在、国において制度化した場合に想定される課題の整理をしているところと聞いており、活用方法や制度化の時期については明確にされておりません。しかしながら、こうした区域や整備の考え方を地区計画などの都市計画に具体的に明記することで、それぞれの区域の整備方針に応じたまちづくりが進められるものと考えておりますので、実現に向けて引き続き協議してまいります。

 次に、都営勝どき一丁目団地の建てかえにかかわる東京都との協議の経緯でございますが、平成十四年十月に勝どき一丁目都営住宅の建てかえ計画が東京都によって一方的に見直されました。その内容は、敷地の高度利用等により用地を創出し、民間活力の活用を図りながら、民間の住宅や福祉、商業等の種々の機能を導入するというものです。区としては、公共施設整備のスケジュールがおくれることや、計画内容が不明確であることなど大きな問題があり、受け入れられないとして、早速同年十一月に東京都に強く申し入れを行いました。その後も、平成十六年には老朽化している勝どき保育園の整備がおくれるなどの問題に対して協議を行ってまいりました。その結果、区が整備する土地の無償借り受けが可能となり、今月、きらら中央や区営勝どき住宅などを開設したものであります。東京都は、平成十七年十二月に定期借地権制度を活用して民間事業者を公募し、平成十八年七月には事業予定者を決定しております。現在、子育て世帯向け賃貸住宅百戸と一般賃貸住宅四百三十四戸等を建設する計画になっております。区としましては、これらの賃貸住宅に対する地元割り当ての確保について、引き続き都と協議してまいります。

 次に、都営月島アパートについてのお尋ねですが、平成十九年二月に東京都に対して、都営月島アパート建てかえ計画により現居住戸数を上回って建設される戸数分については、新規に入居者を募集し、そのうち可能な限りを地元割り当てとすることを要望しております。東京都からは、都営住宅の建設に当たっては、総戸数抑制の方針から新規募集は行わない旨の回答がありましたが、都営住宅に対する区民の強い要望もあり、勝どき地区のさまざまなまちづくり課題の協議の中で、東京都に対して新規の募集や地元割り当ての確保について引き続き強く要望してまいります。

 次に、指定管理者制度についてであります。

 まず、評価と成果についてであります。

 区民部及び教育委員会におきましては、平成十八年度に中央会館、区民館、産業会館並びに各スポーツ施設について指定管理者制度を導入いたしました。中央会館におきましては、前年度比で利用率は一・二ポイント増となり、また自主事業としてブライダルフェアを十二回、クリスマスパーティーが一回開催され、利用者サービス及び施設の知名度の向上が図られたものと考えております。区民館におきましても、利用率は前年度比一・七ポイント増となっており、産業会館展示室でも前年度比で三・五ポイント増となりました。これら区民施設全体で、区の財政負担は約五千六百万円の減となりました。区民施設については、今後、外部委員を含む評価委員会の評価をお願いしてまいります。総合スポーツセンターをはじめとするスポーツ関係六施設における区の財政負担は、合計で約九千二百万円の減となっております。評価につきましては、本区スポーツ振興審議会にその評価を依頼し、利用率向上などにおいて一部改善が必要との評価がなされましたので、今後、指定管理者の指導をしてまいります。福祉保健部所管施設におきましては、児童、障害者、高齢者の各分野にわたり指定管理者制度を導入しております。導入の成果として、特別養護老人ホーム二施設で合わせて約六千五百万円、区の財政負担を減ずることができました。評価につきましては、東京都福祉サービス第三者評価システムを用い、サービス内容や提供方法、個別状況に応じた計画策定や記録、プライバシーの保護などの評価項目ごとに四段階の評価を行っております。いずれの施設においても、各評価項目はおおむねAプラスまたはAの評価であり、高い評価となっております。まだ一年間の実績ではありますが、それぞれの施設において指定管理者導入の成果が上がっているものと考えております。

 次に、区民の声の評価への反映についてであります。

 指定管理者を導入した施設につきましては、制度の円滑な実施を図るため、翌年度以降、毎年度、所管部においてその内容を評価することといたしております。区民部では評価委員会を設置し、学識経験者とともに利用者を代表する方々にも委員として参加していただくこととしております。また、各指定管理者に利用者アンケートなどを実施させておりますが、これに加えて、今後、区が直接利用者の声を聞く方策を検討しております。福祉保健部におきましては、評価システムの中で各施設において利用者からのアンケート調査やヒアリングによる調査を実施し、評価に反映させております。さらに、評価内容の公表につきましては、現在、区民部において評価の作業中であります。結果がまとまり次第、福祉保健部所管施設と同時に、その内容を委員会に報告するとともに、ホームページなどにおいて具体的かつわかりやすい形で公表することにより、行政としての責任を積極的に果たしていく所存であります。

 次に、同一事業者への指定についてであります。

 区民サービスの質の向上や経費の縮減などを目指し、平成十八年度から特別養護老人ホームへの指定管理者制度を導入いたしました。導入に当たりましては、選定委員会を設け、事業者の経営方針、経営基盤、事業計画、これまでの実績などの項目について公正な審査を行っております。選定に当たりましては、マイホームはるみ、マイホーム新川の施設ごとにそれぞれ事業者を公募し、選定基準に従い厳正な評価を行っているものであり、結果的に複数の施設が同一の事業者に指定されることもあると認識しております。しかしながら、介護保険法のもとでは、連座制により一指定管理者の不正行為による取り消し処分が施設の設置者である区のすべての介護保険施設に適用されることになります。そのため、これまで以上に指定管理者の監視を強化するとともに、区との連絡を密にすることにより施設の効率的かつ健全な運営に努めてまいります。今後とも指定管理者制度におけるリスク負担を最小限にとどめる方策や、一層のサービス向上が図られるよう研究してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えいたします。

 認定子ども園の進捗状況と今後のスケジュールについてです。

 認定子ども園につきましては、平成十八年十月に就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が施行され、同年十二月に東京都の認定基準が示されました。これらの基準をもとに、既存の幼稚園を幼稚園実施型の認定子ども園に転換する条件を整理し、検討してまいりました。認定子ども園は幼稚園より広いスペースを確保しなければなりませんが、一方、近年、幼稚園の園児数は増加を続けており、今後も増加することが予想されます。そのため、施設の確保が難しく、現状では既存幼稚園を直ちに認定子ども園に転換することは困難だと考えております。しかし、親の就労や家庭の状況にかかわらない、すべての就学前の子供に対する教育と保育の一体的な提供という時代の要請にこたえていくため、幅広い角度から引き続き検討してまいりたいと存じます。例えば、施設整備を伴う早期の認定子ども園導入は困難であるとしても、多様な保育ニーズに対応するための預かり保育のさらなる充実など、認定子ども園を視野に入れて、今後どのような工夫ができるかについて検討してまいります。

 次に、幼児教育の理念に基づく保育と就学前教育の統一化についてお答えします。

 中央区では、平成十七、十八年度の二年間にわたり、東京都のモデル事業指定地域として、保育園、幼稚園、小学校が協力してカリキュラム等を開発してきました。また、区立全保育園・全幼稚園・全小学校が参加する連絡会を設置し、交流や共同研修、リーフレットの作成を進めております。教員の交流につきましては、本年度から幼稚園採用四年目の教員の保育園研修を進めてまいりました。幼保のソフト面での統一化は課題と認識しており、今後とも関係部局が連携を取り合い、できるところから幼稚園と保育園の垣根を低くし、中央区におけるすべての幼児が同じようによりよい教育、保育を受けられるよう努力してまいります。

 答弁は以上です。

〔二十六番 田畑五十二議員登壇〕

○二十六番(田畑五十二議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 若干お尋ねをさせていただきたいと思いますが、一つはまちづくりに関する容積移転をした場合の低層街区の住環境をどのようにして将来的に守るのか、あるいはそうした事柄が担保される理由があるのか、あるいは方法があるのか、あるいは対策をどのようにしてお考えかということでお尋ねをしたわけですが、先ほどの御答弁によりますと、北側に位置する街区についての規制等を含めた方法が考えられるとかいうふうなお話だったかと思いますが、そうした場合の北側に位置する街区の規制に関する内容ですが、もう少し具体的に、こういうことをすれば可能だということがわかれば、お示しをいただきたいと思うんですが、仮に北側に位置する街区の規制をかけるということは、何もない状態の中で最初から北側の街区については高層化はこうした方法でしかできませんよというふうなことを事前に広報する、あるいは周知をする、あるいはお示しをするなんていうことは可能なんでしょうか。その辺の全体的なまちのあり方については、きちっとした対策をお示しをいただきたいというふうに思います。そうした話が既にまち中で、ごく当たり前のように容積移転をすれば、どこの街区でも大変楽に、あるいは非常にきれいに低層階と高層階の住宅街に分けられる、整理をされるというふうな言い方をしながら、地域の再開発がこんなにも簡単にできるんですという言い方をしておられる方々もいらっしゃるようで、実際そういうことが本当に可能なのかどうか、再開発が済んだ後に低層住宅街の方々が将来にわたって、そうした住環境の被害をこうむらない、あるいは悪影響を及ぼさないような対策がもしあるんだとすれば、事前にそれはお示しをいただきたいというふうに思います。

 それから、指定管理者の問題ですが、指定管理者の問題につきましては、全体的に御答弁はわかりました。ただ、指定管理者の選定にかかわる事業評価の問題ですが、こうした問題には必ず区民の声がしっかりと反映をされるというふうな事柄を十分に今後取り入れていただきたいというふうなことを重ねて要望しておきます。

 もう一点、同一事業者が同じ業種のところを独占して指定を受けるということは、どなたが聞いても、これは余り好ましい状態とは思わないだろうなというふうに私は思いますので、どうかその辺のことをもう一度よくお考えになっていただいて、しかるべき対応をお願いしたいというふうに思います。

 あとは後日また決算特別委員会等も予定をされると思いますので、そちらにお譲りをしたいと思いますが、一点だけ、ひとつ御答弁をお願いいたします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 一点だけですよね。本区のまちづくりの最大の特色は、住民参加型のまちづくりでございます。ですから、関係者、地域の皆様方の声を十分聞いているということで進めているわけでございます。先般、人形町一丁目再開発が見事に竣工、完成したわけでございます。あそこでも北側が低層階になっていたりしておりまして、さまざまな手法を取り入れたものというふうに理解しているわけでございますが、具体的につきましては、他の理事者の方から答弁させます。

〔都市整備部長 西正史君登壇〕

○都市整備部長(西正史君)
  容積率移転につきましての御質問について、御説明いたします。

 容積率移転をする場合は、特例容積率適用地区の指定をする必要がございます。その中で、今考えておりますのは、地区計画とあわせて行いまして、例えば今回の場合のように通りに面したところを絶対高さ制限で高さを抑える、また川に面したところにつきましては、ある程度の高さを許容する、またそれぞれ中では当然容積率を出すところ、それは出し地と我々は呼んでいますが、それと受けるところ、受け地と呼んでおります。その双方で協議をしながら、まちづくり全体をそれぞれの特性に合わせて計画の中で規制していこうと、そのように考えております。

 以上でございます。


○二十三番(鷲頭隆史議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時二十分 休憩


午後三時四十分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十九番小栗智恵子議員。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗千恵子です。私は、日本共産党議員団を代表して質問します。御答弁によっては、再質問、再々質問を留保します。

 初めに、参議院選挙での民意と安倍首相の突然の辞任についてです。

 安倍首相が九月十二日、国会での代表質問の直前に突然の辞任表明で政権を投げ出してしまいました。無責任の極みです。始まったばかりの国会は休会となり、テレビジャック状態の自民党総裁選挙の末、福田康夫氏が選ばれました。

 安倍元首相は、参議院選挙で大敗した時点で国民から辞任が求められていたのに、居直って続投を決めました。それを与党は認めて、内閣改造を行いました。ところが、ブッシュ米大統領に約束したインド洋での給油活動の継続が国民の反対で困難になったから、辞任で局面を打開したいというのは、全く国民の審判に逆らうものです。国民のことよりアメリカの意向に従うという自民党政治の性格がよく示されています。これは、安倍元首相一人の問題にとどまらない自民党政治全体の問題です。新総裁となった福田氏も、貧困と格差を広げた弱肉強食の構造改革路線、アメリカ言いなりに海外での報復戦争を支援することなど、国民からノーの審判を突きつけられた従来の政治路線を、反省もなく続けようとしています。

 そこで、質問します。

 参議院選挙で示された自公政治ノーという歴史的審判をどうとらえるか、また民意に背いて続投を決め、突然辞任という混乱を招いたことについてどうお考えですか。さらに、小泉・安倍政権が国民へ痛みばかりを強いて進めてきた構造改革路線が、区政と区民にどういう影響を与えたかについて御見解をお聞かせください。

 次の質問は、住民税の問題です。

 六月に住民税が増税されました。定率減税の廃止による増税に加え、税源移譲による住民税率のフラット化で、住民税の増税が多くの区民を襲いました。ほとんどの人の住民税が二倍以上にふえ、生活を直撃しています。日本共産党は、この増税を直ちに中止するよう繰り返し求めてきました。既に実施されている増税を中止するには、法律を改正し、戻し税方式で既に納めた分を国民に返す必要があります。住民税と所得税の増減の差額分を戻し税とし、中止する今後の増税額と戻し税を合計した規模は、おおむね一兆七千億円となります。その財源は、空前の利益を上げている大企業、大資産家への減税をやめるなどすれば、十分に確保できます。

 そこで、質問します。

 住民税増税や、それに伴う国民健康保険料などの負担増によって、区民に痛みを強いていることをどうお考えですか、お答えください。また、住民税増税を中止し、戻し税方式で返すこと、その財源の提案について見解をお示しください。

 東京都では、石原知事が都知事選の前に公約していた低所得者を対象とした個人都民税軽減を撤回しました。都民に対するみずからの公約を覆すもので、断じて許せません。今回見送る理由に、一人当たりの減税額が少なく、効果が期待できないことなどを挙げています。しかし、たとえ月千円程度でも、毎日の食事にも事欠く世帯にとって、かけがえのないものです。三月の軽減策の発表のときは、収入が低い人に過重な負担を与えてはいけない、ゆがんだ税制を放置できない、あるべき地方税制を示したと自画自賛していたものです。

 そこで、質問します。

 今回の東京都の軽減策と、その公約の撤回について、どうお考えですか。また、知事が代替案として就労対策や生活援助を具体化すると表明していますが、これらは減税の有無にかかわらず、都が実施すべき施策ではないでしょうか。御見解をお聞かせください。

 この問題の最後に、区としての軽減策について質問します。

 住民税の軽減制度を求めた六月議会での志村議員の質問に対し、区長は、国から一律かつ無条件に税負担を軽減するような措置を講ずることのないよう留意することとの解釈が示されていると答弁されました。つまり、法律上できないわけではないということではありませんか。実施に向けた検討を求めます。御答弁ください。

 また、生活応援手当、痛み和らげ手当のような助成制度の形で、低所得者の生活支援を図る方法も考えられます。ワーキングプアが社会問題となる中、生活保護水準以下の収入しかなく苦しんでいる人々に、自治体として生活支援の手を差し伸べるべきと考えます。御見解をお聞かせください。

 次に、来年四月から予定されている後期高齢者医療制度について質問します。

 この制度は、二○○六年六月に国会で自民党・公明党の賛成で強行されたものです。後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の高齢者を勝手に後期高齢者と呼んで、現行の医療保険制度から切り離して独立させ、各都道府県単位に全区市町村が加入する一つの広域連合を新たにつくり、運営するものです。半年後の実施を前に、さまざまな問題が明らかになってきています。

 まず、高い保険料です。東京都の広域連合の試算では、保険料の平均額で年十五万五千円に達するケースもあり、全国平均の年額七万四千円と比べて二倍以上にもなっています。国民健康保険料と比べても、年金二百四十万円の単身者で現行の国保料が七万六千円、こういう方が十七万二千円にもなります。これまで保険料負担がなかった約二百万人の扶養家族にも、新たな保険料負担が課せられます。

 そこで、質問します。

 保険料の試算で、なぜこんなに高額になるのか。また、高齢者に大変な負担を強いることをどう考えるのかお答えください。

 保険料は、月額一万五千円以上の年金があれば、自動的に年金から天引きとなります。今回の制度導入にあわせ、六十五歳から七十四歳の年金生活者の国民健康保険料も介護保険料とともに年金から天引きされてしまいます。年金が一万五千円以下しかない人は各自で納付することになりますが、もし保険料を滞納すれば、保険証が取り上げられてしまいます。これまで国民健康保険では七十歳以上の高齢者には医療を受けにくくしないため、資格証明書の発行は禁止されていましたが、これからは滞納者には資格証明書が発行されるようになります。

 そこで、質問します。

 保険料の支払いも困難な人に、窓口で医療費を一たん全額負担しなければならない資格証明書では、医療を受けるなというのと同じです。保険証の取り上げはやめるべきです。御答弁ください。

 次に、診療内容の差別の問題です。医療費の窓口負担は、現行どおり一割とされていますが、現役並み所得者は三割となります。厚生労働省は、七十五歳以上の診療報酬を別建てにする方針で、病気ごとに治療費の上限を決める包括払いによって必要な診療や検査、薬の量を制限するものです。高度な医療を受けたければ、保険のきかない自費負担となります。厚生労働省は、在宅死を二割から四割にふやせば医療給付を五千億円削減できると試算し、在宅療養の受け皿や介護体制も整わないのに、終末期患者を病院から追い出す計画です。

 そこで、質問します。

 受けられる医療を年齢で差別することについて、どうお考えですか。また、このような年齢や所得で医療格差をつけ、受診を制限することをやめるよう国に要請すべきです。お答えください。

 医療改悪は、高齢者だけではありません。第一に、七十歳から七十四歳の患者負担は一割から二割に、現役並み所得者は三割になります。第二に、二○一二年までに療養病床の削減で介護型十三万床を全部廃止、医療型は二十五万床を十万床減らす計画が、来年度から本格的に実施されます。第三は、特定健診の開始です。国保、政管健保、組合健保など各医療保険ごとに加入者への特定健診の実施と、生活習慣病予防に向けた保健指導が義務づけられます。健診の受診率や指導による改善率が悪い医療保険は、特定保険料の加算というペナルティーが課されます。肥満の加入者が多い、喫煙者が減らないなどは保険料が値上げされるというものです。第四に、医療給付の削減を都道府県ごとに競わせる仕組みをつくります。こうした方法で、高齢者だけでなく国民全体の医療給付を減らしていくことが目的となっています。

 そこで、質問します。

 七十五歳以上の健診は各広域連合の判断によるものとなり、実施する場合は国庫補助などがなく、全額保険料と自己負担となります。四十歳から七十四歳までの人は、メタボリック症候群に特化した健診にし、自己負担も導入されようとしています。さまざまな病気の早期発見・早期治療に役立ってきたこれまでの区民健康診査を後退させてはならないと考えます。区民健診をこれまでどおりの内容で無料で受けられるようにすること、七十五歳以上の方の健診も無料で実施することを求めます。また、中央区でがんによる死亡が一位を占めている現状が続く中で、がん検診の受診率を上げ、早期発見できるよう、これまでどおり無料化を続けるよう求めます。お答えください。

 政府は、高齢社会の医療制度を持続可能にするためと説明し、高齢者を悪者のように扱って世代間の対立をあおってきました。今度は、現役世代の給与明細などに自分が加入する医療保険の保険料と高齢者医療分の保険料を明記し、コスト意識を持たせようとしています。

 しかし、対立をあおる方法は限界に来ています。政府は、医療機関がもうけ過ぎるからと診療報酬を削ってきましたが、その結果、医師の労働が一層過酷となり、産科、小児科、内科まで深刻な医師不足、医療崩壊を招いています。

 医療改悪は、財界、大企業の強い要求を酌んで、企業の社会保険料の負担を減らす方向で進められてきました。医療改革関連法で、国や企業の医療費負担を八兆円も削減する計画です。しかし、企業の社会保険料の事業主負担は、フランス一一・四%、イタリア八・九%、ドイツ七・三%と比べて日本は四・五%と低く、これを一%上げるだけで五兆円の財源ができます。

 そこで、質問します。

 今述べた点について御見解をお聞かせください。また、医療制度は国の国民皆保険制度として財政もきちんと投入して支えること、企業の社会的責任を果たさせることを国に強く求めるべきです。お答えください。

 後期高齢者医療制度に対して、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の広域連合は、九月十二日、四人の連合長連名で、舛添厚生労働大臣に対し、来年四月の施行に際し国庫負担をふやすよう文書を提出しました。また、この医療改悪に賛成し、高齢者にも応分の負担をと強行してきた自民党・公明党の中からも、負担増に対する国民の厳しい批判を無視できず、高齢者医療費負担増の凍結を検討、七十歳から七十四歳の窓口負担の据え置き、扶養家族の保険料徴収の凍結などの見直しを提案するようになりました。

 そこで、質問します。

 国に対し、後期高齢者医療制度の来年四月からの実施を凍結し、全面的見直しを求めるべきと考えます。御答弁ください。

 次に、旧「労働スクエア」跡地と日本橋高校移転後の用地の活用について質問します。

 八丁堀にある労働スクエアの跡地は、六千百平方メートル、都心の貴重な公有地です。

 今定例会に京橋図書館の移転も視野に入れた改修工事の見直しの提案がされています。区としては、労働スクエア跡地を取得し、中央図書館として整備する構想があるようですが、それはどういう計画なのか、東京都はこの土地をどうしようとしているのか、また、東京都との交渉はどうなっているのかお示しください。

 この場所の活用について、日本共産党区議団はかねてから、この土地を取得して防災用スペースやコンサートホール、写真などの展示スペースなど、区民や勤労者の要望を取り入れた施設として整備するよう求めてきました。広く区民の声を聞き、貴重な土地を生かした施設整備や緑のオープンスペースとして活用するよう要望します。御見解をお聞かせください。

 公有地の活用という点では、日本橋箱崎にある日本橋高校の移転後の活用にも大きな期待が寄せられています。この用地について、これまで東京都とどのような協議をしていますか、経過をお示しください。用地の取得を積極的に進めるべきと考えます。お答えください。また、日本橋に一つもない特別養護老人ホームや待機児がふえている認可保育所、日本橋に一つしかなくなってしまう公衆浴場の整備など、広く区民の要望を聞き、それにこたえた施設整備の計画を立てることを要望します。御見解をお示しください。

 次に、事業系ごみの処理料金の値上げについて質問します。

 今定例会に事業系一般廃棄物処理手数料を改定する条例改正案が提案されています。

 主な内容は、廃棄物処理手数料を来年四月から一キロ当たり二十八・五円から三十二・五円へと四円値上げし、各区の収集運搬手数料として二円、清掃一部事務組合の処理処分費用として二円配分するものです。この改定に伴って、有料ごみ処理券が四十五リットル券一セット十枚で三百十円値上げの二千七百四十円になります。

 改定の理由として、廃棄物処理手数料が東京都時代の平成六年改定以来十年以上改定されておらず、処理原価との乖離が生じていることを挙げています。私たち日本共産党議員団は、九月七日、清掃一部事務組合議会議員でもある鈴木久雄議長に、手数料の値上げは中小業者や商店の営業に大きな影響を与えるものであり、中止すべき、区議会の総意をもって清掃一部事務組合議会に臨んでほしいと要請しました。

 この問題では、与党会派の委員からも委員会などで、物価が下がっているのに手数料を上げるのは理由にならない、値上げに反対だなど、批判や疑問が出されています。また、先週の二十一日には議長の提案で清掃一部事務組合事務局から各会派幹事長が説明を受けましたが、最終的に幾ら上げるかは区長会が判断したことだとして、質問に対して納得がいく説明ではありませんでした。

 そこで、区長に質問します。

 なぜ二○○五年十一月十六日の特別区長会で値上げ方針を了承したのか、二○○六年四月からの値上げ計画をなぜ一年延期したのか、○六年六月の当時の助役会で収集運搬分は上げないとしていたのに、なぜ二円上げることにしたのかお答えください。また、景気回復といっても、中小零細企業や商店などでは営業が厳しい中、手数料の値上げは営業を圧迫します。値上げは中止するよう求めます。お答えください。

 本来は、ごみを減らせば処理料金も下がって当然です。しかし、手数料算定のもとになる廃棄物処理原価は、ごみ量が減ると単位当たりの原価が上昇するものとなっています。それは、原価計算の分母となるごみ量が減っても、分子である処理経費が大きいからです。二十三区のごみ処理は、一九九六年に全量処理体制が完成しており、ごみ量は四百三十万トンから、昨年度三百三十万トンに二四%も減っています。しかし、九六年以降も中央清掃工場の新設などを行い、施設数は十七から現在三十二となっています。清掃工場の建設費の利子償還や維持管理、運営費に莫大な費用がかかり、原価が上がる原因になっています。

 ごみ問題の解決のためには、出たごみをいかに処分するかではなく、発生源で減らすことです。製品の生産、流通、廃棄の段階まで生産者が責任を負う拡大生産者責任の根本原則が欠かせません。

 そこで、質問します。

 過大な設備投資と利子償還を上乗せしたものをごみ処理原価として計算することは疑問です。また、深刻なごみ問題を解決するためには、ごみの発生そのものを抑えるリデュースを基本に据えたものに転換し、徹底したごみ減量で不要な焼却施設も減らして、コストを削減することが必要です。御見解をお聞かせください。

 また、廃プラスチックなどを燃やすサーマルリサイクルが、この十月からモデル実施、来年四月から本格実施されようとしています。これまで分別していた不燃ごみを可燃ごみと一緒に焼却して熱源として回収するというものです。しかし、ごみ発電の効率は一○%と低く、リサイクルとしてのむだが多く、ダイオキシンや重金属などの有害物質の発生を完全に防ぐこともできません。温暖化ガスをふやすことにもなります。また、定着してきた分別リサイクルによるごみ減量の取り組みを後戻りさせかねません。サーマルリサイクルは中止すべきです。御答弁ください。

 以上で、私の第一回目の質問を終わります。御答弁はゆっくり、わかりやすくお願いします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、参議院選挙と安倍首相の辞任についてであります。

 七月二十九日に執行された第二十一回参議院選挙は、与党が過半数を大幅に下回り、民主党が参院で第一党になり、安倍政権にとって極めて厳しい結果となりました。年金記載漏れ問題や政治と金の問題、相次いだ閣僚の不祥事などが政治に対する国民の不信感を招いたことから、このような選挙結果になったものと認識しております。

 安倍首相の突然の辞任表明につきましては、極めて異例のことであり、驚きましたが、二十四日の記者会見では辞任の最大の理由を健康問題と説明するとともに、みずから所信表明演説直後の辞任表明は最悪のタイミングと認め、国会や国政に支障を来し、国民に多大な迷惑をかけたと陳謝されております。

 構造改革路線につきましては着実に継続させていくことが必要ですが、同時に、格差問題などにきめ細やかな対策が求められていると考えております。区といたしましては、国の動向を見極めながら、区民福祉向上の観点から、必要な施策を実施してまいりたいと存じます。

 次に、住民税の軽減策についてであります。

 まず、定率減税の廃止及び住民税率のフラット化についてであります。

 定率減税は、平成十一年、当時の著しく停滞した経済活動の回復に資するため、特例措置として導入されたものであります。昨今における我が国の経済は、息の長い景気回復を続けており、景気対策としての定率減税の役割は終えたとの認識から廃止に至ったものと理解しております。また、国から地方への税源移譲に伴う住民税の税率改定は、所得税の税率改定、その他の調整措置を講ずることになり、両税を合計した税負担が基本的に変わらない仕組みとなっております。

 住民税の額を基準として算定される国民健康保険料については、急激な上昇を避けるため、課税総所得金額七百万円以下の方を対象とした特例措置を設けて対応するほか、税制改正の影響を考慮した賦課方式の今後のあり方について、二十三区共同で検討を進めているところであります。戻し税方式及びその財源については、法改正が必要であり、税財政制度全体にかかわる問題として、国において議論されるべきものと考えております。

 次に、本年三月に東京都が発表した個人都民税の軽減措置についてであります。

 この軽減措置は、東京都において生活保護受給者や非正規雇用者の増加が全国平均を大幅に上回る状況にあることを踏まえ、低所得者層に配慮した対策として打ち出されたものであります。しかし、その後の具体的な検討において、軽減の効果が限定的であること、真に困窮していない者も軽減対象となるなどの問題が明らかになったことから、税の軽減ではなく歳出による施策で行うべき判断に至ったものと理解しております。歳出による施策の内容については、現在、総合的な対策を検討中とのことであり、今後、より効果的な施策が打ち出されることを期待するところであります。

 次に、区としての軽減策についてであります。

 東京都が行おうとしていた軽減措置については、国の見解が示されないうちに都自身が見直しを行ったことから、地方税法の解釈との整合性はいまだ明らかになっておりません。一定の所得を基準として区民税を免除する措置を区独自に講ずることは、法律上の問題に加えて、他の区市町村との均衡や納税者相互間における税負担の公平性を確保する観点からも多くの課題があり、極めて困難であると考えております。

 次に、低所得者の生活支援についてであります。

 今、働いても生活保護水準以下の暮らししかできないワーキングプアと呼ばれる層が拡大していると報道されております。区は、低所得者対策として、応急小口資金の貸し付けや生業資金の貸し付けを行っております。また、生活保護については、窓口での相談のほか、電話や訪問による相談を実施しており、基準を下回る場合は生活保護法に基づく生活扶助、医療扶助など八種の扶助を行っております。さらに、生活に困窮している方の身近な相談相手となる民生委員について、その活動を積極的に支援しております。今後とも生活保護の制度などについて一層の周知を図るとともに、民生委員との連携を図りながら、生活に困窮する方の把握に努め、適切な対応を図っていく所存であります。

 次に、後期高齢者医療制度についてであります。

 このほど広域連合から示された保険料につきましては、被保険者数、医療給付費など、極めて粗い前提条件で算定されたものであります。この算定においては、国の調整交付金がどの程度交付されるかが大きな要素の一つですが、三割しか交付されない場合には十五万五千円と試算されたものであります。この調整交付金は三割以上交付されるという観測もあり、現段階で保険料を正確に見込むことは大変難しい状況にあります。今後、十月中に国から保険料算定に必要な係数が示され、それに基づく調整交付金を算出し、医療費の伸び率等を精査することで保険料が算定されますので、その内容を見極め、適切に対応してまいります。

 次に、資格証明書の発行についてであります。

 後期高齢者医療制度では、低所得者等の事情のある被保険者に対しては保険料を軽減するほか、火災、地震の被害に遭うなど、保険料を納付することができない特別の事情がある場合については、資格証明書を交付せず、一般の保険証を交付することとしております。しかし、保険料を支払う能力がありながら支払わない場合には資格証明書を発行することとしております。この際には、世帯の状況を踏まえた分納計画などについて事前に相談を行うことにより、できる限り資格証明書に至らないよう努めてまいります。

 次に、後期高齢者の診療報酬についてであります。

 後期高齢者医療の新たな診療報酬体系につきましては、現在、厚生労働省の社会保障審議会後期高齢者医療の新たな診療報酬体系につきましては、現在、厚生労働省の社会保障審議会後期高齢者医療のあり方に関する特別部会で検討が行われているところであります。この部会では、後期高齢者にふさわしい医療の視点として、生活を重視した医療、尊厳に配慮した医療、安心・納得できる医療としております。今後、この趣旨を十分踏まえた上で、中央社会保険医療協議会において具体的な診療報酬案が検討されることとなります。区といたしましては、こうした過程で十分な議論が尽くされ、国民的合意が得られるよう注視してまいります。

 次に、区民健康診査とがん検診についてであります。

 区民健康診査の自己負担については、二十三区のうち二区が導入しております。また、がん検診では十五区が自己負担を導入しております。こうした中で、本区では区民健康診査及びがん検診のいずれも自己負担なしで実施しているところであります。

 なお、区民健康診査につきましては、医療制度改革に伴い、四十歳から七十四歳の方は医療保険者が実施する特定健康診査を、七十五歳以上の方は広域連合による健康診査を受診することとなります。来年度以降の特定健康診査等の内容や自己負担については、枠組みなどが十分に固まっていないため、検討中ではありますが、広域連合や他区の動き、保険料の状況などを見極めながら、区民の方々にとって受診しやすい体制の構築に努力してまいります。

 次に、医療保険制度における負担についてであります。

 現在、国民の医療費負担は、被保険者、事業主としての企業、国、地方自治体と患者の一部負担となっております。これらの負担割合は、国民皆保険制度のもと、さまざまな経過をたどり、現行制度となったものであります。今後、高齢社会の一層の進展の中で、持続可能な医療保険制度としていくため、負担割合について国民全体の合意を得ながら、安定し、安心できる制度が構築されるべきものと考えております。

 次に、後期高齢者医療制度の実施の凍結についてであります。

 後期高齢者医療制度は、高齢者の医療確保に関する法律の施行に伴い、平成二十年四月からの実施が決定されており、東京都広域連合の発足など、その準備が進められております。国においては、七十歳から七十四歳の医療費窓口負担の一割から二割への引き上げの凍結、七十五歳以上の高齢者で被扶養者であった方に対する新たな保険料負担の凍結など、制度の一部を見直す動きがありますが、実施時期については見直す動きはないものと考えており、区としても、当初の予定どおりに実施される前提で準備を進めているところであります。

 次に、旧「労働スクエア」跡地の活用についてであります。

 定住人口十万人達成以降も力強く人口が増加している本区においては、子育て支援をはじめとするさまざまな課題に的確に対応していく上で、この土地が有効に活用できれば、施策の一層の推進が期待できるものと考えております。このため、現在、土地の購入について東京都に申し入れを行っているところでありますが、東京都においては、土地の売却の条件整備や東京都自身による土地の一部活用について検討中であります。早急に都の計画と調整を図り、土地取得に努めてまいりたいと考えております。また、この跡地の利活用については、子育て支援施策など、本区の課題解決に向けた施策整備を行うとともに、京橋図書館など、施設の再編を視野に入れながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、日本橋高校移転後の用地の活用についてであります。

 日本橋高校については、平成二十一年度に墨田区の向島商業高校の敷地へ移転が予定されております。その跡地は、地下鉄半蔵門線水天宮前駅に近く、二千五百平方メートルを超える都心に残された貴重な公有地であり、その利活用は地域のまちづくりに大きな影響を与えます。このため、今後の東京都の動向を注視するとともに、現在進めている基本計画の改定の中で同校跡地の利活用について検討してまいりたいと考えております。

 次に、廃棄物処理手数料の改定についてであります。

 現行の廃棄物処理手数料は、平成六年七月以来改定されておらず、処理処分分で約七円の乖離が生じており、これを解消する必要があることから、特別区長会で平成十九年四月一日を改定時期とすることが了承されました。しかし、社会情勢の変化や収集運搬分の改定等、二十三区間でさらに調整する必要があることから、実施が一年延期されたものであります。収集運搬分につきましては、各区で決定すべき事項ではありますが、一般廃棄物処理事業者が各区から収集する事業系一般廃棄物の混載を認めていること、当分の間、中間処理が共同処理であること、関係事業者等から改定額などの統一的な取り扱いの要望があったことなどから、二十三区で統一的な対応をとり、改定することとなったものであります。また、改定額については、モデル試算と現行手数料の乖離額の二円としたものであります。

 事業系一般廃棄物については、法律や条例で事業者の自己処理責任が規定されており、廃棄物処理という行政サービスの利用に伴い、受益者であるすべての事業者に応分の負担を求めることが必要と考えております。

 次に、ごみ処理原価についてであります。

 ごみ処理原価は、すべての処理処分経費を手数料に反映させるという従来の考え方を踏襲しており、設備プラント更新等の減価償却費や償還利子についても含まれています。ごみ問題の解決のためには、リデュース、リユース、リサイクルの3Rのうちでもリデュースが最も基本であり、本区におきましても、平成十八年三月に策定した中央区一般廃棄物処理基本計画の中でリデュースを最優先にすべきものとして取り組んでいるところであります。清掃一部事務組合は、平成十八年一月に経営改革プランを策定し、効率的かつ効果的な運営を目指して、抜本的な改革を図っておりますので、計画の進捗状況を厳しく見守ってまいりたいと存じます。

 次に、サーマルリサイクルについてであります。

 廃プラスチックのサーマルリサイクルについては、最終処分場の延命及び資源の有効活用の観点から、二十三区としての対応が検討され、平成十七年十月の特別区長会において、平成二十年度を本格実施の時期と定めることとされました。二十三区では、これに先立ち、サーマルリサイクルの実証確認を行うため、平成十八年度に品川区をはじめ五区でモデル収集を実施しました。その検証結果は、各清掃工場とも排ガス、排水などの測定項目は法規制値や協定値等を下回り、モデル可燃ごみを焼却した影響は見られませんでした。本区においても、本年十月一日よりモデル収集を実施する予定で準備を進めております。サーマルリサイクルの実施に当たっては、可能な限り廃プラスチックの発生抑制から再生利用までの各種施策の充実を図ることとされ、本区におきましても、ペットボトルを平成十八年四月から集積所で回収しております。また、その他のプラスチックでは白色トレイの拠点回収を実施していますが、これ以外の品目についても、中央区清掃リサイクル推進協議会の御意見をいただきながら、現在、検討しているところであります。今後ともリサイクルを推進し、ごみ減量に積極的に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁いただきましたので、何点かに絞って再質問をさせていただきます。

 住民税の問題です。

 定率減税の半減廃止によって、中央区で九億二千万円の増税が区民にかかりました。ことしの増税は、全国で一兆七千億円に及びます。これが住民への負担増として増税となっています。その一方で、ことしだけ見ても、減価償却費制度の見直しや証券優遇税制の延長で、同じ規模の一兆七千億円の減税が大企業、大資産家には施されています。住民には大増税で、逆に、バブル期以上の利益を上げている大企業、大資産家には大変な減税となっている。こういう逆立ち税制を正していかないと、庶民の暮らしは苦しくなるばかりだというふうに思います。税金というのは富の再配分機能を持っているはずです。莫大な利益を上げている大企業に応分の負担を求める、こういう方向で税制を大もとから見直しをして、国の責任で、区民に大変な増税となっている減税、戻し税方式で戻すべきだということを重ねて要望したいというふうに思います。この点について、もう一度、大企業は莫大な利益を上げているのに、減税の恩恵を受けている。こういう点も含めて、どうお考えなのか御答弁をいただきたいというふうに思います。

 それから、都知事の、公約を撤回した問題です。

 都知事は、選挙前に減税を公約して、そして今、やらないということになりました。公約は、やろうとしてできないということももちろんありますけれども、やると言っていたのにやらないというのは、これは公約違反ではないかというふうに思います。この点についてどう考えるのか御答弁をいただきたいというふうに思います。

 次に、後期高齢者の医療の問題ですが、元厚生労働省の局長だった堤修三氏も、この制度はうば捨て山だと言っています。高い保険料と、そして年齢によって受けられる医療の内容を制限する、病床も削減していくということを実施しようとしています。診療報酬の中身を一般の診療報酬と別建てにして、年齢で差別するということを、今、検討していますが、例えば延命治療をしないということを家族などが了承すれば診療報酬を上げるとか、在宅医療を推進するということで、病院から出てもらうということを病院として指導すれば診療報酬を上げるとか、そういう方法で医療を差別する、そういう方向が進んでいます。このような制度をこのまま、国で決めたことだからということで認めてしまっていいのでしょうか。余りにもひどい制度ではないかというふうに私は思いますけれども、そういう認識はないのかどうか、もう一度抜本的に、高過ぎる保険料の問題も含めて、見直しの必要性を感じないのか、もう一度御答弁をお願いしたいというふうに思います。

 それと、ごみの手数料の問題ですが、すべての事業者に受益者負担の原則で値上げをするということですけれども、大企業と中小零細企業、商店などの負担能力というのは、おのずと差があります。そういう中で、今、景気回復といっても、中小企業、商店の営業は大変厳しい。そういう中で、ごみの手数料も上げて経営を圧迫するということに対して、これは応分の負担だということで全然心が痛まないのか、その点についてもう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。

 それと、労働スクエアと日本橋高校の跡地の件ですが、今、東京都において条件整備をしているというお話でしたけれども、前にこの問題で質問したときには、九月ごろに話があるというような御答弁だったと記憶していますが、この問題がずっとおくれている。そして、都による一部の活用ということも御答弁にありましたけれども、都はどういうことを考えているのか、もう少し詳しく説明をいただきたいというふうに思います。そして、跡地の取得に関してはいつごろになるのか、明確にしていただきたいというふうに思います。

 それと、日本橋高校の跡地の活用について、これまで東京都と何の協議もされていないのか、その点についてももう一度御答弁をお願いしたいというふうに思います。

 再質問を求めて終わります。よろしくお願いいたします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 答弁させていただきます。

 税金の問題、定率減税の廃止等で随分の負担になったという御指摘をいただいたわけでございまして、私も同感に存ずるところでございまして、やはり税金というのは安い方がいいにこしたことはないわけでございますが、一方で、やはり減税だけやっていけば国庫の方も大変であろうというのは、だれでもわかるわけでございまして、ですから、御指摘のように大企業へも応分の負担をする、これは当然のことでありますね。そしてまた、私たちへも応分の負担を求める、これも当然のことでございますね。そうしたバランスの上に立って行う、これを私たちは大いに希望しているところでございまして、そういうことで、その税金を受けることで国の方はさまざまな福祉施策、医療・福祉施策等を展開するわけでございますから、そういう面をどうなのかということをしっかり監視していくということも、また当然であろう、こういうふうに思うわけでございまして、戻し税でどうだということを主張されているわけでございますが、これから議会で、いよいよ一日に所信表明が行われて、その後、臨時国会でいろいろ議論されるでありましょうから、大いにそういう議論を私たちは歓迎し、また、しっかりと見守ってまいりたい、こういうふうに思うところでございます。

 また、東京都の軽減策の転換、方針転換、公約違反ではないかという主張でございます。そういう見方もあるでありましょうけれども、東京都は東京都でいろいろな事情、考え方があるということですね。一律に税を軽減するということが新たな不公平、格差を生むのではないかという主張、これもよく理解するところでございまして、そういう意味で、果たしてそれが直ちに公約違反と言えるのかどうか、これはどうかなと思うわけでございまして、これからさまざまな手だてを行うということも言明されているわけですから、そういうものをしっかりと、どういうものが出てくるのか、私たち区民生活、都民生活によいものかどうかということですね。これも、今、都議会開会中ですから、いろいろ論議されるんじゃないかな、そういうふうに大いに期待しているところでございます。

 それから、後期高齢者、これは区議会各委員会でも大いに議論されておりますね。まだ不明な点が多々あるわけでございまして、そういう点で、これを実施というわけですけれども、まだまだわからない点がありますから、これもしっかりと私たちが納得できるものになるように区長会でも議論を積み上げ、そして、要望すべきものは要望し、改善、改革すべきものは改革して、実施なら実施というふうに持っていきたいというふうに思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、まだまだわからないところがたくさんあるなというふうに思って、そういうところは解明していかなければならないのではないかなと思います。

 事業系ごみ、これも中小零細企業の皆様方に大きな負担になるのではないか、経営の圧迫になるのではないかという御指摘もわかります。心が痛む点は多々あるわけでございますが、とはいえ、これも先般来の一組の説明が議会でも説明があったようでございますが、そういった理由があるわけですから、これもごみの問題という重要な課題ですから、必要なものは手当てするのは当然であろう、こういうふうに思っているところであります。

 次に、旧労働スクエア跡地の取得の問題、東京都と、今、話し合っているわけですけれども、東京都の姿勢がはっきりしない点が多々あるので、これを、今、どうなんだということで、早く私たちはこれを入手したい、そして、区民生活の向上に役立つものをつくり上げたい、こういう観点から強く東京都に申し入れているわけでございまして、いつごろこれがはっきりするのかということでございますが、相手がいるわけですから、東京都に申し入れているわけですけれども、向うの態度がはっきりしないわけで、突っついているところで、もう少し時間をいただきたい、こういうふうに思っております。

 それから、日本橋高校の移転につきましては、二十一年度に移転が予定されているわけでございまして、貴重な公有地でありますから、もちろんこちらに、地元でどうぞ御利用くださいという姿勢であれば、これにこしたことはないわけですが、これも相手がいるわけでございまして、東京都の姿勢、これをしっかりと承って、どうなのか見極めてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。

 以上であります。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、納得できるような内容ではありません。何点か絞って再々質問したいと思います。

 日本橋高校の跡地の問題については、これまで何も協議していないのかどうか、その点について御答弁いただきたいということです。

 それと、住民税の問題では、これから国会で議論されるというお話でありますが、庶民に負担をかけるような、そういう税制について、区長も大変問題だという発言がありましたけれども、そういう立場できちんとした対応を国に求めることとあわせて、区民への負担を軽減していくための研究をぜひしていただきたいと思います。都がやろうとしたことで、国の見解が出る前にやめてしまったというお話がありましたけれども、まだ国の見解が出ていないということだというふうに思いますので、区として、ぜひ研究をしていただきたい。そういう軽減策をとるべきだというふうに私は思いますけれども、その点について御答弁をいただきたいというふうに思います。

 後期高齢者の問題は、十二月以降になってはっきりしてくると。四月から実施ということでは、余りに拙速ですし、高い保険料の問題でも、本当にいろいろな問題があるというふうに思います。凍結、見直しをするべきだというふうに思いますけれども、この点についても凍結する必要はないということなのかどうか、もう一度御答弁をいただいて、私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔企画部長 小泉典久君登壇〕

○企画部長(小泉典久君)
 日本橋高校の移転後の跡地の都との協議の状況でございます。

 この敷地は、まだ現在も高校として使っているわけでございますので、当然に、今、売却とか、そういった話での協議はいたしておりません。ただ、この後の東京都の活用についてどうなのかとか、あるいはこの移転の時期がどういった時期にあるのか、そういった情報は逐次協議をしている、そういったところでございますので、今回、基本計画の改定、こういったものでいろいろな施策を、今、検討してございますので、その中で利活用、そういう点も含めて多面的に検討をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

〔総務部長 益田 進君登壇〕

○総務部長(益田 進君)
 区としての税の軽減の検討の件でございます。

 税の関係につきましては、地方税法をはじめとしまして、法令の枠組みの中で細部にわたって要件が定められております。また、その適用についても、国から一律かつ無条件の軽減措置は講じることのないようにといった解釈が示されておりまして、東京都の今般の軽減についても、それとの整合性がどうなのかという問題がございまして、その結末が得られないうちに東京都がその軽減措置についての見直しを行ったという経緯がございます。また、そういった事柄に加えて、他の区市町村との関係あるいは税の負担の公平性といった課題がかなり多くございます。したがって、区独自としての税の軽減というのはなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

〔高齢者施策推進室長 竹内利雄君登壇〕

○高齢者施策推進室長(竹内利雄君)
 後期高齢者の凍結・見直しをというお話でございます。

 現在、広域連合で保険料の算定を行っているわけでございます。そうした中で、まだまだ不確定要素、いわゆる調整交付金いかんという問題がございます。それによって保険料が決まるわけでございます。そうしたことから、国等に対して要望もしてございます。そういう観点に立って、区としては四月一日に実施されるわけでございますので、準備は進めていかざるを得ないという立場でございます。

 以上でございます。

○議長(鈴木久雄議員)
 次に、九番田辺七郎議員。

〔九番 田辺七郎議員登壇〕

○九番(田辺七郎議員)
 日本共産党の田辺七郎です。党議員団を代表し、質問します。区民の立場に立った積極的な答弁を期待します。再質問、再々質問をあらかじめ留保しておきます。

 最初に、最近明らかになったミサイル防衛システムの晴海埠頭公園への展開・配備について質問します。

 防衛省が、ミサイル防衛(MD)のため、航空自衛隊入間基地に配備されたパトリオットミサイル、PAC3部隊を移動・展開する候補地として、晴海埠頭公園などを検討しており、早ければ今月中にも移動・展開の訓練を実施すると報道されています。

 御承知のように、パトリオットミサイル配備はアメリカのミサイル防衛計画に自衛隊を組み込むもので、弾道ミサイルを地上から迎撃するミサイルです。防護できる範囲は、半径約二十キロメートルと狭いため、都心をねらうミサイル発射の兆候をつかんだ場合、高射隊を入間基地から都心部に移動させる必要があるとされています。晴海埠頭公園は、周囲に高層ビルなど遮蔽物がなく、弾道ミサイルを追尾するレーダーへの支障が少ないと見られています。

 この問題で、九月四日、日本共産党の笠井亮衆議院議員、東京都議団、私たち中央区議団は、防衛省職員から説明を聞き、パトリオットミサイル配備の現状と今後の計画、訓練の展開地などについてただしました。防衛省の担当者は、マスコミの報道について、防衛省は関知していないとしつつ、具体的訓練については方針を固めた事実はない、都立公園を管理する東京都に対して正式に検討を求めたこともないとしながら、平時における訓練の必要性や、その際の部隊の展開地として、日常不断にいろいろな可能性を検討していることなどを明らかにしました。

 この席上、私は、晴海埠頭公園への展開というマスコミの報道は事実かと問いましたが、防衛省担当者は、方針を固めた事実はない、高射砲部隊の展開先は不断に検討していると繰り返すばかりでした。私は、晴海埠頭への部隊の移動・展開を中止することを強く求めました。

 区長は、報道を御存じのことと思いますが、どのように受けとめましたか。また、どのように対応してきましたか、お答えください。

 自衛隊が構築しようとしているミサイル防衛構想自体が、アメリカの要求、指導のもとで行われ、集団的自衛権の問題も無視して進められているものであり、日本の現行憲法上も許されないことと考えます。区長の見解をお聞きします。

 パトリオットミサイルは、単にミサイルとその発射機だけでなく、レーダーや射撃管制、情報調整、無線中継などの各種装置を合わせた大部隊です。これを公園に展開するためには、国民の道路利用を排除して、異常な警備・警戒態勢がとられる上、市民の憩いの場である公園が使用できなくなるなど、市民生活を大きく妨げることになります。平和都市宣言を発している中央区が、このような軍事訓練を許してはならないと考えます。きっぱりと反対の態度を表明すべきだと考えます。お答えください。

 次に、地域環境を壊す幹線道路環状2号線の地上化・高架化の都市計画決定について質問します。

 石原都政は、築地市場の豊洲への移転とあわせ、幹線道路環状2号線の地上化・高架化を、関係者、地域住民の厳しい反対の意見を足げにして強行しようとしております。

 東京都都市計画審議会は、九月十一日、環状2号線道路計画で、地下で建設する区間を地上化する都市計画変更を自民・公明両党の都議を含む賛成多数で決定しました。日本共産党の委員は反対しました。二人の民主党都議は態度保留と表明し、学識経験者の委員二人も変更案に反対の態度を表明しました。

 これに先立ち、都知事から中央区長に意見照会があり、七月三十一日、中央区都市計画審議会が開催され、区長の諮問に審議会が答申しました。審議会で、日本共産党の小栗千恵子委員は、築地市場の豊洲移転が前提の道路計画の変更であり、認められない。これまで中央区は、議会、行政一体で築地市場移転反対、環状2号線は地下化に戻せという姿勢で対応してきた。当審議会できっぱりと反対の態度を表明すべきだとの意見を述べました。

 私も、この都市計画審議会を傍聴しましたが、区議会各派の代表も含め、だれ一人として環状2号線の地上化・高架化の道路変更計画に賛成しませんでした。にもかかわらず、審議会では、副区長などで構成する幹事会から提案された、賛成も反対も表明しないという文案を答申とし、日本共産党の小栗委員以外の賛成多数で決定しました。このような答申は異例、異常なことであり、我が党の代表が同意しなかったのは当然のことです。こうした審議会の経過と結果について、区長の見解をお聞かせください。

 この問題を重視した日本共産党区議団は、八月十日、環状2号線の東京都都市計画道路の変更について、東京都知事へ回答するに当たっての緊急申し入れを区長に行いました。その趣旨は、区長が八月二十日までに東京都知事へ回答するに当たって、築地市場の豊洲への移転を前提とした道路計画の変更について、認められない、反対であるという意見を明確にすることを強く要請しました。この申し入れに対し、区長は、よく検討し、回答を出す前に議会各派にも相談したいとしていました。しかし、その約束も果たさず、区長は早々と十六日に、中央区都市計画審議会の答申そのままの内容で都知事への回答を送付してしまいました。とても誠実な態度とは思われません。区長は、今、みずからの回答についてどのように評価していますか。また、回答前に議会各派に相談したいと言っていた約束についてどのように考えていますか、お答えください。

 一日六万台もの車が通る環2の地上化は、地域の環境を一挙に悪化させます。だから、地域住民はさまざまな機会に、地上化・高架化反対、もとの地下化に戻せと反対を表明してきたのです。改めて、この計画による地域環境への影響をどのように考えていますか。区民の皆さんの声をどのように受けとめていますか、お答えください。

 築地市場の移転が万が一に強行された場合などと言って区の施策を後退させてきたことが、石原都政の強圧姿勢を許す結果になってはいないでしょうか。また、石原都政に抵抗すれば、とれるものもとれないという言いわけを続けながら、環2の地上化・高架化の容認姿勢を固めてきました。こうした姿勢が審議会で反対の答申を出させまいとする力として働き、区政をゆがめる結果となっていないでしょうか、見解をお聞かせください。この結果、中央区は築地市場問題及びまちづくりについて、どのような条件を都から引き出したのか、また、引き出そうとしているのか、隠さず区民に示すべきです。お答えください。

 環2の地下化の計画を地上化・高架化へ変更を容認することは、築地市場移転計画の外堀を埋めることになり、移転を容認することにほかなりません。やってはならないことではないでしょうか、お答えください。

 さらに、今、東京都の土壌汚染対策の専門家会議の動向が注目されています。土壌汚染地域への市場移転そのものも、国の対応が問われるなど、国会の議論にもなっており、これからさらに活発な議論が展開されようとしているときでもあります。これから展開されるプロセスを見ずに、今、築地市場移転の促進に力をかすことがあってはならないと考えます。中央区として、東京都及び国と国会の全局を見据えた姿勢、対応が求められていると考えます。お答えください。

 築地市場の現在地再整備を実現することは、食の安全と地域経済を守る上で決定的です。区は、この立場と姿勢を鮮明にし、関係者、区民とともに全力を尽くすべきです。区長の決意をお聞かせください。

 次に、民間企業による「勝どき一丁目プロジェクト」について質問します。

 勝どき一丁目の旧都営住宅跡地の再開発事業が、勝どき一丁目プロジェクトとして動き始めました。このプロジェクトのためにつくられた民間企業が、東京都の用地に定期借地権制度を活用し、共同住宅の建設とあわせ、店舗、診療所、認定こども園をつくる計画です。基準容積率四七○%に割増容積率三○六%を加えて、計画容積率七七六%とし、地上四十五階、高さ約百六十メートル、五百三十四戸の賃貸住宅、うち百戸は子育て世帯用住宅として、百七十三台の駐車場をつくるとされています。私たち日本共産党区議団は、都有地であるこの地域の再開発問題を重視し、○二年十一月の第四回定例会、翌年○三年の第四回定例会において私、田辺が、○六年の第四回定例会では鞠子議員が本会議場で質問してきました。日本共産党は、この場所は都営住宅の跡地であり、多くの都民、区民が待望している都営住宅建設など、公的住宅の建設を進めること、東京都の公的責任を果たすことを強く求めてきました。しかし、東京都の姿勢は、利潤追求の民間資本への都有地の提供であり、都営住宅は一戸も建てないという、全く区民要求に反する対応です。

 中央区は、この間、東京都とどのような協議を進めてきたのでしょうか。都営住宅の建設要求をしてきたのでしょうか。また、勝どき一丁目プロジェクトをどのように評価していますか、お答えください。

 私が参加した説明会では、賃貸住宅と言うが、家賃すらこの説明会で明らかにできないのか、そういう批判の声が上がりましたが、区は一般住宅の家賃、子育て世帯用家賃は幾らになると説明を受けているのでしょうか。また、区民の生活実態から、どう評価していますか、お答えください。

 また、この地域の子供たちが通う小学校は、月島第二小学校となりますが、このプロジェクト及び勝どき駅前再開発による児童数の増加をどのように想定し、対応しようとしているのかお答えください。

 またまた巨大ビルの建設です。発生交通量も含め、地域環境に大きな負荷をもたらすものであり、計画の抜本的再検討を求めるとともに、都民要求の強い都営住宅の建設を強く求めるべきであると考えます。お答えください。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田辺七郎議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、ミサイル防衛システムの晴海埠頭公園への展開・配備についてであります。

 先日、防衛省がミサイル防衛システムのための地対空誘導弾、パトリオットの部隊展開先として晴海埠頭公園を検討しているとのマスコミ報道があったことを受け、公園管理者である東京都に問い合わせたところ、マスコミで報道された内容については承知していないとの回答でありました。本区としては、正確な情報がないため、部隊の展開・配備及び訓練の是非について言及できる状況にはありません。

 なお、ミサイル防衛システムと集団的自衛権との関係については、国において検討されたところであり、我が国を防衛することを目的とし、我が国の主体的判断に基づいて運用し、第三国の防衛のために用いられることはないことから、集団的自衛権の問題は生じないとの見解が示されております。

 次に、環状第2号線の本区都市計画審議会の内容及び都への回答についてであります。

 環状第2号線の都市計画の変更については、昨年八月に都知事から中央区長あて、意見照会があり、都市計画に関する事項を調査・審議するため、本年七月三十一日に本区都市計画審議会に諮問したものであります。

 当日は、長時間にわたり慎重に審議の上、答申をいただきました。本区といたしましては、都市計画審議会の意見を厳粛に受けとめるとともに、再度、私をはじめ、副区長、関係部長を含め慎重に検討した結果、答申を尊重するべきであると判断し、都知事に回答したものであります。

 なお、回答に先立つ会派への説明につきましては、都知事への回答が審議会の答申どおりであり、都市計画審議会には各会派の代表が委員として参加されておりますことから、既に理解は得られているものと判断いたしました。

 次に、環状第2号線の整備に伴う地域環境への影響及び都との交渉についてであります。

 環状第2号線の整備は、築地、勝どき、豊海、晴海の各地域の交通環境、生活環境に大きな影響をもたらすものと認識しております。

 そこで、中央区としては、東京都に対し、環状第2号線の整備を単なる道路整備としてとらえることなく、地域の総合的なまちづくりの課題解決に向け、まちづくり協議会における意見や地元四連合町会からの要望など、各地区のまちづくりの推進はもとより、新たな公共交通基盤の整備・充実、都有地を種地とした再開発事業による地域環境の改善、あるいは本線開通時に交通のボトルネックとなると考えられる新島橋のかけかえ整備などを真摯に検討の上、地域住民との信頼関係を構築するよう強く要請するとともに、本区としても、それらがきちんと履行されるよう求めてまいります。

 また、最終的に地域に責任を持つ基礎的自治体である本区としては、築地市場の移転が万が一強行された場合に備えておくことは当然であり、それが区政をゆがめることにつながっていないことは明白であります。

 なお、環状第2号線の都市計画変更が築地市場移転を容認することにつながるとは理解しておりません。

 次に、東京都及び国などの全局を見据えた対応についてであります。

 現在、東京都は土壌汚染等に関する専門家会議を設置し、追加調査や東京都の土壌汚染対策の妥当性について検討を進めております。区といたしましては、専門家会議の検証・提言及びこれに対する東京都の対応について十分説明を受け、その上で区議会をはじめ、関係者の方々の御意見をお聞きし、適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、築地市場移転問題に関する区の立場についてですが、本区は一貫して築地市場移転そのものに反対し、現在地での再整備を主張しております。その立場は現在でも変わっておりません。

 次に、勝どき一丁目プロジェクトについてであります。

 まず、勝どき一丁目プロジェクトの協議経緯でございますが、平成十四年十月に、東京都より都営住宅の建てかえ計画を一方的に見直す旨の通知があり、区としては、公共施設整備のスケジュールがおくれることなどの大きな問題があることから、早速同年十一月に東京都に対して強く申し入れを行いました。その後、勝どき一丁目地区の公共施設整備について東京都と協議を行い、プロジェクトの内容についても要望してきたところであります。

 また、本プロジェクトに対する評価ですが、本計画は都心部において子育てしやすい環境の整備を目指すもので、区の目標にも合致するものと考えております。

 次に、家賃についてのお尋ねですが、子育て世帯向け住宅百戸の家賃は事業者公募の要綱によると、一平方メートル当たり二千四百円以下、一般賃貸住宅四百三十四戸の半数程度の家賃は勝どき地区の平均的家賃とすることとしており、これらの住宅の家賃が近隣に比べて著しく高くなるとは考えておりません。

 次に、勝どき一丁目プロジェクト及び勝どき駅前再開発による児童数の増加への対応についてのお尋ねですが、これらの開発により、平成二十三年度以降、各学年二十名程度の児童が増加するものと思われます。一方、月島第二小学校では、現在、各学年二学級で五十名程度の児童が就学していますので、各学年三十名程度の児童数の増加には対応できると考えております。

 本計画については、平成十八年七月に事業予定者が決定され、現在、実施設計を行っていると聞いております。区といたしましては、地域環境への配慮について十分指導を行うとともに、地元割り当ての確保などについて、引き続き都に要望してまいります。

 答弁は以上であります。

〔九番 田辺七郎議員登壇〕

○九番(田辺七郎議員)
 御答弁いただきましたけれども、大変不満でございます。私に与えられた時間はわずかですので、幾つかについて意見を述べたいと思います。

 ミサイル防衛システムの問題でありますけれども、区長さんは私の質問に答えていない。私は区長さんに、平和都市宣言を発している中央区がこのようなことを許していいのかという設問もしているのでありますから、きちっと私の質問に対して答えていだきたいと思います。

 さらに、環2の問題でありますけれども、答申を尊重して、その内容で回答を出したということでありますけれども、回答の内容は同じ内容なので、私たちの申し入れの際に、よく検討し、回答を出す前に各会派に相談したいというのは、やらなかったということですね。これは、どういう結論を区長さんが出そうとも、ちゃんと、そういう約束だったんですから、きちっと各会派に、こういう内容で最終的になったということを答えるのは当たり前のことだと思いますね。そういうことをやらないで平気でいる区長の姿勢、私は大変重大な姿勢だと思います。もう一度、あなた自身の姿勢についてお答え願いたいと思います。

 市場の問題では、高架化は移転を容認することになりませんと、そういうふうに言いましたけれども、これも大変おかしいではありませんか。もう一度見解をお聞かせいただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。パトリオットの問題ですけれども、これは田辺さん自身も認めているように、防衛省は関知していない、具体的訓練について方針を固めた事実はない、都立公園を管理する東京都に対して正式に検討を求めたこともない、これが政府の見解ですね。防衛省のね。そういうことなのであって、ですから、そういうことでありますから……

〔「私は確認した」と呼ぶ者あり〕

○区長(矢田美英君)
 静かにしなさい。私たちは正式に受けていない。先ほども答弁したとおりでございまして、だから、どうしようもない。東京都にも、どうなんですかとお聞きしましたけれども、関知していないということでございます。それで理解できませんでしょうか。

 それから、環状2号線の問題、これは私が諮問したんですよ、審議会に。だから、答申を受けたんですから、その答申どおりやる、これほど当たり前の話はないんじゃないですか。権威ある審議会で各会派の幹事長さんクラスが、たしか出て、責任ある立場の方々が出席されておられるんじゃないんでしょうか。そこでの答申ですから、それを尊重して東京都へ本区の回答であるとして述べる、これは当然ではないでしょうか。ですから、皆様方が見えたときも、そういう方針ですということは、もう何回も申し上げたところでございまして、もうこれ以上はどうなのかなということでございます。それに尽きるわけです。

 それから……。何ですか。

〔「約束を破った」と呼ぶ者あり〕

○区長(矢田美英君)
 そんなことはないですよ。これはわかっているじゃないですか。あなたはそばにいたんですから。

 それから、環2の高架を認めたから、これが築地市場移転を容認することにつながる、そんなことはないんじゃないですか。ならば、なぜ、今、あそこで東京都は土壌汚染をやっているんですか。その結果によっては、行かないことだって十分あり得るんでしょう。そういうことですよ。

 あなたも言っているじゃないですか。国でも、これから論議されると。行くか行かないか論議すると言っているんでしょう。そういうことなんでしょう。そういうのに、高架を認めたから、もう決まったんだなんていうのは、ちょっとおかしいんじゃないですか。

〔「あなたの方がおかしい」と呼ぶ者あり〕

○区長(矢田美英君)
 それこそおかしいじゃないですか。

○議長(鈴木久雄議員)
 静粛に。

○区長(矢田美英君)
 静粛にしなさい。議長さんも言われているでしょう。

 以上でございます。


○二十三番(鷲頭隆史議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後五時十三分 休憩


午後五時三十五分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番岡田眞理子議員。

〔十八番 岡田眞理子議員登壇〕

○十八番(岡田眞理子議員)
 民主党区民クラブの岡田眞理子でございます。私は、平成十九年第三回区議会定例会に当たり、民主党区民クラブの一員として、区政の当面する課題につきまして、さきに通知いたしました通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。区民の代表として、区民の目線での質問としてとらえていただき、ここに建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 教育問題に関して、五点お尋ねいたします。

 国づくりは人づくりであると申します。昨今はいじめの問題や子供への虐待問題などが毎日のようにニュースに浮上して、国を挙げて教育改革も進められるところに来ています。やはり、もうこれまでの対症療法で解決できる問題ではなくなっているところまで来ているのでしょう。何が問題であるか、根本的なところへ目を向け、そこに国民一人一人が真っ向から取り組んでいく態勢で臨まなければならないときに来ていると思われます。

 いじめの問題にしても、虐待の問題にしても、人としての教育のひずみから生まれているのであり、その点がこのバブル全盛期からないがしろにされてきた感があります。経済の発展に偏った力を注いできた負のツケが、今に来ていると言えます。これからの国のあり方を考えるに当たって、教育への確かな目を向けることは必然であると思います。長い将来を見据えて、この国のあり方を見つめていかなければならないときに来ています。そして、この国のあり方を考えるとき、必至であるのが教育の問題であります。

 ここ中央区におきましても、これまでの歴史と培われてきました文化・伝統をもっと前面に押し出して、教育の中央区としての基盤をしっかりとつくり上げていくこと、その願いと期待を込めて質問させていただきます。

 さて、この教育改革が進む中、子供たちが真に楽しいと感じる学校、楽しいと感じる授業、よくわかる授業を実現することは、保護者や地域住民をはじめとする区民の願いであり、その実現は学校としての組織的な取り組みや一人一人の教員の熱意や指導力にかかっていると言って過言ではありません。特に、近年の都市化、核家族化に伴い、総じて家庭や地域の教育力が低下していますが、保護者や地域住民の学校や教育に対する期待は非常に大きくなっています。その期待やニーズにこたえ、信頼される学校づくりを行うためには、今や学校の力だけでは不十分であると思われます。保護者や地域住民の方々とともに手を携え合って、地域の子供たちのために力を尽くすこと、学校づくりを行っていくことが求められてきています。

 二○○四年六月に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、教育委員会の判断により、保護者や地域住民の方々が合議制の機関である学校運営協議会を通じて、一定の権限を持って学校運営に参画することが可能になりました。この制度は、地域住民、保護者等が教育委員会、校長と責任を分かち合いながら学校運営に携わっていくことで、地域に開かれ、地域に支えられる学校づくりを実現することを目指すものです。

 我が中央区においては、二○○四年六月七日に中央区学校教育検討会の第一回会合が開かれ、区立学校のあり方や地域に開かれた学校づくり等についての検討がなされ、昨年、その報告書が出されています。その中で、地域教育プラットホーム構想についての記載もありました。都心区としての特性を踏まえた地域人材・資源の活用として、区内の企業や各専門機関との連携もなされるようです。学校運営協議制度、すなわちコミュニティスクールに関しては、まず学校評議員制度の定着を図った上で、他地域の情勢を伺ってから検討されるようですが、中央区のように歴史と伝統・文化にあふれた恵まれた環境の中で、地域住民の皆さんの中にはすばらしい人材がたくさんいらっしゃると思われます。この方たちのお力をおかりしない手はありません。せっかくの人材を埋もれさせてしまうことなく、ぜひ先人の知恵を子供たちのために活用させていただきたく思います。

 核家族化や人と人とのつながりが希薄になっている今こそ、地域で子供を育てていくことを大切にしていきたいと考えます。私がまだ通常学級の担任をやっていましたとき、一年生の「町の人たちの暮らし」の学習で区役所に働く保護者に来ていただいたことがあります。子供たちにとっては、クラスの友達のお父さんが、まちの中で自分たちが安心して暮らせるような仕事をしてくれていることに驚き、親しみを感じ、新たに自分たちのまちに興味を持つことにつながりました。その後、近所のパン屋さん、自転車修理のおじさんなどに来ていただき、教科書から発展した学習に結びつけることができました。何も特殊な能力や技術を持っている人たちが先生にならなくても、子供たちにとっては、近所の方たちだれもが先に生まれた人、先生になるわけです。声をかけられても、答えないで逃げるのよと教えなければならないような物騒な御時世ですが、子供たちがもっと安心して育っていける社会をつくるためにも、コミュニティスクールの効用は意義あるものと考えます。

 全国の小学校では、既に百二十一校がコミュニティスクールを推進しています。東京都においては、二○○五年度から足立区立五反野小学校が導入し、その取り組みが朝日新聞に、一昨年でしたか、連載され、かなり成果を上げている様子が伝えられました。また、杉並区立桃井第四小、世田谷区立用賀小、同じく世田谷区立東玉川小、三鷹市立第四小、小平市立小平第四小学校の合わせて六校が東京ではコミュニティスクールを推進しています。

 そこで、お伺いいたします。

 このコミュニティスクールに関して、中央区ではどのような構想をお持ちでしょうか。地域の人材活用に関して、地域教育プラットホーム構想なども計画されているようですが、あわせての見解もお伺いいたします。

 次に、前質問に引き続きまして、学校自由選択制について御質問いたします。

 この学校自由選択制は、都内二十三区におきましては、中学校で二○○○年に品川区が最初に導入したのを皮切りに、二○○一年に豊島区が、二○○二年には足立区、江東区、杉並区が導入し、現在では大田区、世田谷区、中野区、北区の四区を除き十九区で行われています。

 ここ中央区におきましても、中学校で導入されているわけですが、その成果はいかがなものでしょうか。この学校自由選択制導入の目的は、第一に、生徒と親が自由に学校を選ぶことで、いじめや不登校を減らすことにあると言われています。また、第二に、公立校間で教育内容を競争し、生徒の学力を向上させることにあると言われています。

 ちなみに、筑波大学の吉田あつし教授が行った足立区立中学校の学校選択に関しての研究によりますと、選択制導入で区内の学校間成績格差は縮小したということです。その理由として、選択制導入を機に、生徒の学力向上のため、教員が努力したことが考えられると分析されています。これは、学校自由選択制導入の目的にある、公立校間で教育内容を競争し、生徒の学力を向上させることに関してクリアできるであろう結果となっています。

 しかし、もう一つの目的である、いじめや不登校を減らすことに関しては、残念ながら学校別の不登校生徒数が公表されていないことから、分析できなかったことを報告され、学校選択制全体を正しく評価するには、成績データのみならず、不登校データも含めた関連データの開示が必要であろうとまとめられています。

 以上は中学校に関してのことですが、小学校への学校自由選択制を考えるに当たっては、違った視点が出てくると思われます。つまり、小学校の場合は基本的社会性を身につけさせるための、そして基礎学力を学ぶための最初の場であるからです。学童期における子供たちにとって何より大切なのは、遊びの体験です。同年齢、そして異年齢の子供たちと交わることにより、さまざまな力が培われることになります。子供は子供によって育てられていきます。そのような子供時代にあって、学校に通うときも、学校から帰っても、生活の場であるところ、家の近所に友達が、仲間がいることは、大きな安心や喜びにつながっていきます。この学校自由選択制により、地域と教育現場である学校との結びつきが弱まり、学校の自己中心的傾向が促進され、学校格差が生まれているといった現象も浮かび上がってきています。進学率が高い、設備がよい等の学校が人気度が高く、校舎が古い、単学級である等の理由から敬遠される学校が出てきているとも聞きます。子供たちが地域と結びついた学校で安心して育っていけるよう望むところであります。

 そこで、お伺いいたします。

 この小学校における学校自由選択制に関して、中央区ではどのようなお考えをお持ちでしょうか。地域で子供を育てていくといった観点からも、今後の構想を含めて御質問いたします。

 三点目に、国語力の育成についてお尋ねいたします。

 近年、我が国の子供たちの学力低下が問題となっています。OECDによる十五歳の生徒を対象とした学習到達度調査の二○○三年度の結果では、二○○○年度に比較して、日本は読解力が八位から十四位に低下したということで話題になりました。

 また、最近の全国標準学力テストや、さきに報告されました学力テストの結果などを見ましても、中央区の子供たちも読解力の低下が懸念されるところです。私は、学力テストだけが子供の力をはかるものだとは決して考えておりませんが、全国的に見ても、学力の低下が叫ばれている状況をかんがみて、意図するところを述べさせていただきます。

 さきのOECDによる結果によりますと、北欧、フィンランドは読解力と科学で一位、数学で二位、問題解決能力で二位、総合で一位ということだそうです。このフィンランドという国は、日本と同じ週五日制をとっていますが、総合的な学習に相当する時間も日本よりは多く、ゆとり教育に近い内容だということです。また、ヨーロッパの学校では体育や家庭科などの授業が少ないか、存在していないかで、さらに音楽や芸術などは選択である場合がほとんどなので、同じ週五日制でも基礎科目である国語、数学の授業時間が日本より上回るということです。

 文科省は、先月末に、学習指導要領改訂の基本的な考え方と小学校の教育課程の枠組み素案を中央教育審議会に示しました。それによりますと、小学校では主要教科の授業時間をおよそ一割ふやし、高学年で英語活動を週一こま程度設け、現行指導要領から導入された総合的な学習の時間を週一こま減らす内容になるということです。

 授業時間は、一九七七年から減り、九八年の改訂でもさらに減りましたから、今度の改訂で三十年ぶりの方針転換となります。これは、週五日制の導入やゆとり教育により学力が低下したとの批判から来ているのであろうと思われますが、そもそも、ゆとり教育が掲げられたのは生きる力をはぐくむということからスタートし、授業時間の削減や総合学習が創設されたのでした。それなのに、五年たったら、今度は授業時間をふやし、総合学習を減らすというのですから、現場である学校は混乱しますし、ひいては、その影響はまず子供に出ると思われます。

 ちなみに、フィンランドは年間授業実数は日本より一○%以上少ないそうです。授業時間をふやせば、それで学力が単に強化されるものではありません。もちろんプラス面もありますが、要は時間ではなく中身、質が問題なのだと思います。子供の学力で何が一番重要かといえば、やはり国語の力、これがすべてと言って過言ではありません。昔から、読み書きそろばんと申しますが、すべての教科の上に成り立っているのが基礎となる国語の力です。また、コミュニケーション能力や知的活動、感性、情緒等の基盤として、生涯を通じて個人の自己形成にかかわることも重要な点です。指導要領の改訂により、英語活動の時間がふえるようですが、もちろんこれからの国際化、情報化の社会に生きるには英語の力をつけることは大事ではありますが、全体的にもっともっと国語の授業に重きを置くべきだと思います。

 フィンランドの学力が世界一であるのも、読解力が一位であるのも、そのわけは読書好きの国民性にあると言われています。子供が十二歳になるまでは、父親が本を読んで聞かせる習慣があり、それ以降は自分で積極的に本を借りて読むということです。読書の効果は、国語力を形成している考える力、感じる力、想像する力、国語の知識、文字や語彙等のいずれにもかかわり、これらの力を育てる上で中核をなすものであります。また、教養や価値観、感性など、生涯を通じて身につけていくために不可欠な知的行為でもあります。

 そこで、お伺いいたします。

 私たちが生きて社会生活を営む上での重要な国語力の育成について、中央区ではどのようにとらえ、また、子供たちにどのように身につけさせていこうとしているか、その見解をお示しいただきたく思います。

 四点目に、道徳教育についてお尋ねいたします。

 昨今、まちを歩いていても、公衆マナーの悪さには目を見張るものがあります。電車の中でお化粧を平然としている女性や、道路の真ん中で立ち話をしている人たち、道路いっぱいに並んで歩く人たち等々、挙げ出したらきりがないほどです。学校では、子供たちに道徳の授業をNHK教育テレビの道徳番組を活用したり、二○○二年から配布された「心のノート」といった副教材を使ったりして行われています。

 この道徳の時間を徳育として教科にすることが、かつての安倍首相の教育改革の目玉として、教育再生会議から挙げられていました。しかし、それはこのたび、中央教育審議会から、現在の道徳の時間を教科とはせず、教科書も使わないという現行の枠組みを維持する方向が発表されました。道徳教育充実の必要性については、文科省も中教審も述べているところでありますが、学校によって指導にばらつきがあり、形式的に扱うだけで終わっているのが現状だと思われます。学校教育の中で重きを置いた指導がされていれば、もう少し違った社会現象が生まれていると思います。

 このような中、世田谷区では、人としてなすべきこと、人として決してしてはいけないことなどを子供たちに教え伝えていくとともに、市民としてのよりよい生活習慣を身につけさせる取り組みを推進する必要があるとして、道義教育を教育ビジョンに位置づけて展開しています。

 やはりこの道徳教育というものは、学校教育だけに終わらせるものではなく、社会全体で担っていくものであると思います。地下鉄メトロの通路などにマナーを喚起するポスターや、かつて江戸の町民たちの生活の中で生きていた江戸しぐさを現代の生活に合わせて推奨するポスターなどが見られ、心がほっとする思いがいたします。殺伐とした社会にならないように、皆がお互いに共存して気持ちよく暮らしていくためにも、今、私たちにできることがあるのではないかと考えます。そして、それは幼児のうちから身につけさせていくべき大切な事柄だと思います。特に、ここ、我が中央区は、江戸の中心のまちとして栄え、江戸しぐさといった、まちに生きる人々の知恵から生まれた粋なマナーがあったわけですから、地域の文化を継承していくためにも、中央区独自で推進していくこともよいのではないかと考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 この道徳教育に関して、中央区ではどのような見識をお持ちでしょうか。

 五点目に、特別支援教育についてお尋ねいたします。

 この特別支援教育の制度は、今年度からスタートしております。中央区では、昨年に特別支援教育検討委員会が設置、開催され、ことしの一月に報告書が出されています。そこには、中央区における特別支援教育の基本理念として、近年、障害の重度・重複化が進んでおり、我が区においても同様の傾向が見られ、通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の児童・生徒への適切な教育的支援の実現という課題が生じていると書かれています。

 他区におきましては、今年度からの実施に向けてコーディネーターの育成や校内委員会の設置、個別支援計画の準備等に数年前から取り組みを進めてきています。そうしたところから比べますと、中央区の特別支援教育に向けての取り組みは、せっかくの理念はありながらも、非常にゆっくりな取り組みであると感じざるを得ません。

 また、特別支援教育検討委員会の第一回議事録の中で、委員の方の、中央区では、通級指導学級は情緒障害学級だけであるが、言語障害等、ほかの障害への対応はどう考えているかとの質問に対して、事務局は、現在はほかの障害で通級を希望する場合は他区の学級に通っているが、人数的には少ないと答えられています。また、それを受けた委員が、すべてに対応していくのは、財政負担ばかりふえ、効率が悪い。近隣区と協力するのも一つの選択肢であると述べています。

 人数的に少ないからとか、経済効率が悪いからといった理由で弱者が切り捨てられていく典型だと、つくづく残念に思っておりますが、こういった状況からかんがみますと、取り組みの遅さも推測されるわけであります。

 しかし、中央区の人口もふえつつある中で、子供たちの数もふえ、恐らく多様な状況がこれからは生まれてくるのではないかと思われます。

 現在、東京二十三区の中では、言語障害児に対応した通級学級が設置されていないのは、中央区と新宿区の二区であります。また、難聴児に対応した障害学級を設置していないのは、中央区、千代田区、新宿区で、渋谷区は休級中、設置しているけれども、対象児が現在はいないので閉鎖しているということです。また、情緒障害学級の設置も、二○○四年に月島第一小学校に開級されましたが、二十三区の中では一番最後です。

 ちなみに、文京区では、固定と通級の情緒障害学級がそれぞれありましたが、さらに二○○五年に一つ開設され、三つとなっています。

 この特別支援教育の制度は、一九九四年に発表されたサラマンカ宣言において、障害のある子供を含むすべての子供たちが教育を受ける権限を有しており、その一人一人の特性や関心、能力及び教育ニーズを考慮して教育計画が立案され、実施されるべきであるとのことから始まりました。

 教育現場において、今、一番手をかけなければならない、必要度の高いのは、通常学級にいるグレーゾーンにいる子供たちへの配慮です。傷病者でも、包帯を巻いていたり、松葉つえをついていたりすれば援助の手が差し伸べられますが、端から見て、目に見えないところがぐあい悪いときは、黙っていたら、だれにもわかってもらえません。それと同様で、読みの部分において障害があるLD児や、言語において障害のある軽度発達障害のある児童などは、通常学級の中でだれにも理解されないまま、能力的に低いとしか見られずに、置き去りにされていってしまうといった状況がこれまではありました。そして、こういった知的発達におくれはないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っていると見られる子供たちは、一つの学級の中におよそ六・三%いると言われています。

 でも、こういった子供たちも、細かい検査や調査などをすることによって援助の方向が見つけられ、その子供の教育ニーズとしてとらえられ、ニーズに適した教育を受けることができるようになる。それが特別支援教育であります。そして、それは生まれたときから、ニーズが必要と判断されたときから、幼児期、学童期、中学、高校へ、そして就労に至るまで継続的なケアをしていくことです。この継続的にという点が、個別支援計画をもとに進められるといった、この制度の重要な特徴でもあります。

 このようなすぐれた制度ができても、実際に運用する現場がなければ、絵にかいたもちです。グレーゾーンに置かれた子供たちのニーズにこたえるべく、言語障害の通級指導学級が早急に必要と思われます。中央区としても、さまざまに検討されてきているとは思いますが、昨年のちょうど今ごろまで現場で実際に取り組んでいた経験から申しますと、もっとこの特別支援には力を注ぐことが必要であることを痛感しております。

 そこで、お伺いいたします。

 この特別支援教育に関して、中央区では今後どのような取り組みを行っていく計画でしょうか。その具体的な構想についてお伺いいたします。

 以上で私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 岡田眞理子議員の質問にお答えします。

 道徳教育についてであります。

 現在、学校における道徳教育では、教室での授業のみならず、地区公開講座も開催し、地域の方や保護者とともに道徳について考える機会を設定してきました。その中で、子供たちはまちの文化を知り、地域を愛する気持ちがはぐくまれているものと思います。また、小学校においては、江戸しぐさを題材として取り上げている学校もあり、江戸文化が生んだしぐさやマナーを通して相手をさりげなく気遣うことを学ぶことができ、とてもよいことだと考えております。

 しかし、御指摘のとおり、道徳教育は学校のみならず、社会全体で担っていく面もあると考えます。子供の健全育成は、すべての大人の責任であります。そこで、文化、スポーツをはじめ、区の施策展開の中で、御指摘の趣旨にも配慮し、幅広く地域社会全体で道徳的実践力を育てていくことができればと考えております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えします。

 まず、コミュニティスクールについてであります。

 これからの学校教育は、学校の中だけで完結させるのではなく地域との連携をとりながら進めていくものであるということは、御指摘のとおりでございます。そこで、中央区の学校では、地域理解学習において地域の伝統工芸や文化、歴史について学んだり、地域の職場体験を実施したりする中で、それぞれ地域の人材支援や教育環境の提供を受けており、学校と地域との連携教育を実践しているところでございます。

 また、地域教育プラットホーム構想のねらいである学校と地域の共同体制の確立を目指し、平成十八年度からは全校で学校評議員制度を取り入れ、地域に学校教育活動の理解を求めております。当面は、これらの制度の定着と充実を積極的に進め、その延長としてコミュニティスクールを目指してまいりたいと考えております。

 次に、学校自由選択制についてでございます。

 地域の中で、学校と家庭や地域住民が協力し合い、子供たちが見守られ、育っていくことは、御指摘のとおり大切なことであると考えております。しかし、その一方で、保護者の半数以上の方が他の学区域へも通える選択制を導入した方がよいと考えているという事実もありまして、それぞれの児童や家庭の御希望や事情に応じて一定程度の選択の幅も必要だと考えております。

 もちろん、その際には、保護者の方が主体的に地域の学校を選びたいと思う、地域に信頼される学校づくりをすべての学校で取り組むことが重要でございます。学校情報の的確な提供や、地域や保護者の方が学校を理解し、その運営に積極的に参加していただくことが欠かせませんので、そのための仕組みづくりが必要だと考えております。したがいまして、小学校の選択制につきましては、このような諸条件の整備を図りつつ、総合的に判断していく必要があります。

 就学制度のあり方につきましては、現在、教育の中央区学校づくり検討会で検討が進められておりますので、その方向性を踏まえて、取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、国語力の育成についてであります。

 国語力は、考える力、感じる力、想像する力、あらわす力など、生涯をよりよく生きていくための基礎となる力であり、その育成は大変重要であるととらえております。区の到達度診断テストにおいては、国語はおおむね良好である状況にありますが、読書については、学年が進むにつれて学校外での読書活動が低下傾向にあり、課題が見られます。これまで平成十七、十八年度の二年間、文部科学省国語力向上モデル事業推進地域として、小学校二校、中学校一校を指定し、読むこと、書くことを中心として研究を進め、研究の成果を区内に広げてまいりました。また、本年度、研究奨励校として国語を研究主題に取り上げている学校が一校、校内研究として国語に関する研究校が小学校で五校ございます。

 読書に関しましては、学校図書館指導員の配置のほかに、本年度から区立図書館の職員が各学校に巡回し、さまざまな読書活動の支援や学校図書館の整備を図っております。今後は、さらなる国語の学習指導の充実と読書活動の推進はもとより、他教科も含めた全教育活動の中で国語力が一層身につけられるように取り組みを進めてまいります。

 次に、特別支援教育についてです。

 本区では、本年一月の中央区における特別支援教育のあり方についての報告を踏まえて、多様な障害の状況に応じて、より適切な支援を行うべく取り組んでおります。すなわち、今年度からは特別支援教育専門員の配置、特別支援教育アドバイザーによる巡回指導や、各学校における校内委員会の中心となる特別支援教育コーディネーターの育成などに取り組んでおります。特に、必要な子供が漏れなく適切な指導を受けられるよう、特別支援学級のみならず、通常学級に在籍する支援を必要とすると思われる子供も含め、心理検査や面接等からなる心理アセスメントを受けられるようにいたしました。その検査結果につきましては、関係機関や保護者が共有して適切な支援につなげられるようにしたところでございます。

 今後は、必要に応じて個別の障害に応じた専門の学習指導補助員を通級指導学級に配置するなどの創意工夫を図るとともに、あわせて多様な障害によりきめ細かく対応できるよう、支援策の充実について多方面から検討を進めてまいりたいと考えております。

 答弁は以上でございます。

〔十八番 岡田眞理子議員登壇〕

○十八番(岡田眞理子議員)
 それぞれの御答弁ありがとうございました。

 今回の私の質問は、すべて地域で子供たちを教育するといった信念のもと、それを共通のテーマとして質問させていただきました。

 まず、道徳教育に関してですけれども、地区公開講座が行われているということもありますし、それから、今、区長さんのお話の中に江戸しぐさを教材としている学校があるということを伺い、非常にうれしく思いました。ただ、これが一つの学校、幾つかの学校ではなく、ぜひ中央区の全学校での取り組みを進めていただきたいと思います。

 道徳教育といいますのは、やはりあいさつ一つもそうですし、子供のこと、問題だけではなく、まず大人が人と人とがきちんとあいさつができるようにすることが一番大事ではないかと思われますので、すべて子供たちだけではなく、大人も一緒に取り組めるような、全区を挙げての取り組みをぜひ期待させていただきます。

 コミュニティスクールの問題ですけれども、これはやはり地域の連携というものが一番大事ですし、子供たちを育てていく、その地域で育てていくことの大切さを生かしてほしいと思いますし、学校評議員制度が発展してコミュニティスクールと、一日も早く実現されることを期待しております。

 学校自由選択制についてですけれども、これもコミュニティスクール同様に、私は小学校時代は小地域で育てていける、それが一番だと思っております。学区域には幅を持たせることは非常に大事なことではあると思われますけれども、やはり総合的な判断をしながら、学校自由選択制、小学校の場合は余り進めないでいただきたいなということを私自身は願っております。

 また、国語力についてですけれども、中央区での取り組みを私自身は要望する思いでおります。読書指導もさまざまな取り組みをされているようでありますけれども、もっと全区を挙げて国語力に力を注がれることを望んでおります。

 特別支援教育に関しましては、非常に私自身、昨年まで現場で働きながら個別支援計画の作成、そして近隣の幼稚園、保育園と連携をとりまして、今年度四月のスタートに準備をして、現場でやってきました経験から言わせていただきますと、やはりちょっと取り組みが遅いように思われます。でも、取り組みは遅くても、内容をしっかり充実させて、これから取り組んでいただけたらと思っております。

 きのうの新聞記事でも、やはり教員や学校の対応におくれが目立っているという記事が載っておりました。言語の通級指導学級の開設が私自身はぜひ欲しいと思っているところであります。それも先ほど述べましたが、学級に、各教室に必ずいるだろうと思われるグレーゾーンの子供たちを早く救っていただきたいと思うからであります。

 どうぞ、いろいろな点、御要望として、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(鷲頭隆史議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時十三分 散会


署名議員
議長 鈴木 久雄
議員 鞠子 勝彦
議員 押田 まり子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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