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平成20年第二回定例会会議録(第2日 6月24日)

1.会期

八日(第二日)
六月二十四日(火曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議
午後六時二十六分散会

3.出席議員

(三十名)
一番 志村 孝美議員
二番 木村 克一議員
三番 礒野 忠議員
四番 増渕 一孝議員
五番 鷲頭 隆史議員
六番 田中 広一議員
七番 中島 賢治議員
八番 田中 耕太郎議員
九番 田辺 七郎議員
十番 二瓶 文隆議員
十一番 原田 賢一議員
十二番 石田 英朗議員
十三番 中嶋 寛明議員
十四番 鈴木 久雄議員
十五番 植原 恭子議員
十六番 鈴木 幸子議員
十七番 小坂 和輝議員
十八番 岡田 眞理子議員
十九番 小栗 智恵子議員
二十番 鞠子 勝彦議員
二十一番 今野 弘美議員
二十二番 押田 まり子議員
二十三番 神林 烈議員
二十四番 石島 秀起議員
二十五番 矢吹 和重議員
二十六番 田畑 五十二議員
二十七番 青木 幸子議員
二十八番 高橋 伸治議員
二十九番 渡部 博年議員
三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君
副区長 髙橋 邦夫君
副区長 吉田 不曇君
教育長 髙橋 春雄君
企画部長 小泉 典久君
総務部長 斉藤進君
区民部長 小池 正男君
福祉保健部長 斎藤 裕文君
高齢者施策推進室長 竹内 利雄君
保健所長 東海林 文夫君
環境部長 能瀬 晶子君
土木部長 越地 壽宜君
都市整備部長 室木 眞則君
会計管理者 西川 昭男君
教育委員会事務局次長 齋藤弘君
監査事務局長 山﨑 栄三君
企画部参事 新治満君
(企画課長事務取扱)
財政課長 田中武君
広報課長 信坂 留吉君
総務課長 田野 則雄君

5.議会局出席職員

議会局長 土屋 篤志君
庶務係長 遠藤 龍雄君
議事係長 土谷 昌彦君
調査係長 横山 信一君
書記 村上 和夫君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(今野弘美議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(今野弘美議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十七番小坂和輝議員。

〔十七番 小坂和輝議員登壇〕

○十七番(小坂和輝議員)
 皆さん、こんにちは。平成二十年第二回定例会一般質問に、友愛中央のメンバーの一人として、中央区の最重要課題の一つである築地市場問題について御質問いたします。建設的かつ明快なる御答弁を期待しております。場合によりましては、再質問を留保させていただきます。

 冒頭に当たり、一番お伝えしたいメッセージを述べます。築地市場の豊洲への移転は、まだ決定されていません。築地市場の豊洲への移転は、まだ決定されていないということです。

 東京都は、先週行われました環状2号線の地元事業説明会におきましても、築地市場の豊洲への移転は既に決定されたことと既成事実のように述べておりましたし、環状2号線事業を進めること自体で豊洲移転を既成事実化しようとしておりますが、事実無根であります。

 その根拠を述べます。

 中央卸売市場は、中央卸売市場整備計画に基づいて設置されると卸売市場法に定められています。そして、その中央卸売市場整備計画は、農林水産大臣が定めます。築地の豊洲移転計画は、平成十七年三月に第八次中央卸売市場整備計画の中で書かれています。その整備計画を定める際には、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞くことになっています。第百六十六回国会の環境委員会で明らかになったことですが、豊洲移転については、平成十七年三月十七日の一日だけ開催された同審議会の分科会である総合食料分科会で議論されました。その総合食料分科会では汚染土壌と食の安心・安全という議論は一切なされなかったと、農林水産省、佐藤政府参考人は認めています。そもそも分科会には、土壌汚染の関係の専門家は入っていませんでした。よって、審議会で議論の欠けていた土壌汚染については、東京都の動きを踏まえ、また、環境省とも連携して取り組むと農水省が断言しています。よって、土壌汚染のことがきちんと審議され、卸売市場整備基本方針にうたわれている食の安全・安心が担保されて、築地市場の豊洲移転は初めて決定されることになるわけです。

 築地市場の豊洲への移転は、まだ決定されていない。このことを確認して、本題に入ってまいります。

 まず、テーマその一、築地市場移転候補地である豊洲の日本最大規模の土壌汚染状況についてです。

 現在、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議、以下、専門家会議と略しますが、これが昨年の五月十九日から始まって、本年五月三十一日の第七回まで開催されました。この専門家会議で明らかにされたことは、移転候補地の豊洲は、新聞報道でも取り上げられ、だれもが知る事実となりましたが、国内最大規模の汚染区域であるということです。発がん性のあるベンゼンが、三十五カ所の土壌から最高で環境基準の四万三千倍、地下水は五百六十一カ所から最高一万倍の濃度で検出。シアン化合物も、九十カ所の土壌から最高で環境基準の八百六十倍、検出されてはならないという地下水から九百六十六カ所、これは全調査地点の二三・四%でありますけれども、で検出されたと報告されました。基準を下回ると見られた水銀、六価クロム、カドミウムも基準を超え、ヒ素、鉛をあわせて、調査したすべての有害物質が検出。その数は、全調査地点四千百二十二カ所中の千四百七十五地点、調査地点の三分の一強の地点が環境基準を上回るという深刻な汚染の広がりが明らかになりました。

 ちなみに、現状の日本の土壌汚染状況は、平成十五年、土壌汚染対策法が施行以後、ベンゼンについては百三十倍の検出が最高値であります。指定区域の広さの最大は、岩手県の宮古市のケースで四・五ヘクタールでした。現在、豊洲は四十ヘクタールあるわけですので、その全地点の二三・四%がシアン化合物で汚染されているということは、単純計算でも十ヘクタールとなりますので、広さでも最大の土壌汚染状況となります。

 その土壌汚染の原因は何か。豊洲移転候補地は、東京ガス豊洲工場が昭和六十三年まで操業されていた土地で、特に昭和三十一年から昭和五十一年までの二十年間、石炭を原料に都市ガスを製造していました。製造工程でベンゼン、シアン、ヒ素などの有害物質が複製され、敷地土壌と地下水を汚染しました。さらに、衝撃的な話として、先日、六月十八日の赤旗の新聞記事では、昭和三十二年から昭和五十一年に同工場で勤務していた元社員の男性(六十九歳)は、この場所では土を盛って土手の囲いをつくり、その中に石炭からガスを取り出した廃タールをリヤカーで運んでためていた。当時は下にシートを敷く発想はなく、囲いの中にそのまま流し込んでいたと証言しています。

 これら有害化学物質の健康被害も、専門家会議で議論されました。高濃度のベンゼンやシアンでは、RBCAを用いたリスク評価モデルで、ベンゼンにより発がんリスクがあったり、シアンによる急性障害が出ると証明されました。文献的にも、ベンゼンの慢性毒性で妊娠中の胎児への催奇形性も言われており、市場内に働く女性が多い中、健康被害が懸念されます。

 第一問目の質問です。

 移転候補地豊洲の土壌汚染の深刻な状況を受けて、改めて、区長の移転断固反対、築地市場現在地再整備実現に対するお考えを確認させていただきたいと思います。

 次に、専門家会議で実施された調査や考えられている対策は、極めて不十分であることを述べさせていただきます。

 理由その一。専門家会議メンバーには、地質学者、地震専門家、有害化学物質の医学専門家が欠けており、学際的ではありません。

 理由その二。環境基準を上回った地点の深度方向の調査が不十分です。特に、シアンについてです。豊洲移転候補地は、東京都の環境確保条例第百十七条に定められる三千平方メートル以上の土地の改変であることから、東京都土壌汚染対策指針に沿った土壌対策が必要になります。その場合、検出されてならないシアンが検出されるすべての土地で深度方向一メートルおきの土壌調査が必要になりますが、専門家会議においては、シアンが環境基準の十倍未満で検出されている場所は絞り込み調査の対象から外しております。シアンに関してのもう少し深い調査が必要でありますが、これが欠けているのが理由その二です。

 理由その三。軟透水層とも言われ、水を通しやすいと言われる有楽町層へ汚染が広がっている指摘があるのに、汚染が下層へ広がるという理由で、一切調査が行われていません。既に、豊洲の土地は、ゆりかもめの橋脚工事などで有楽町層の破壊は起こっているのにかかわらずです。また、田町、東京ガス跡地では、有楽町層で汚染が見つかっているということも言われております。有楽町層における土壌汚染のリスクは、かなり高い確率で疑われるのではないかと考えております。

 理由その四。専門家会議に提案された土壌改良後、有害化学物質がなくなったことを証明する調査が計画されていません。土壌改良工事が完璧だったと、どうやって我々がわかればいいのでしょうか。

 理由その五。豊洲では、地下水面は、現在、海水面から約四メートル程度の高さにあります。これを下げることができる技術を示していませんし、また、下げたとしても再度上がる可能性はないと断言できますでしょうか。台風や高潮、洪水のときは果たして大丈夫でしょうか。

 理由六。専門家会議では、三十年後に七○%の確率で起きる首都直下型地震での液状化対策について、既に東京都は調査しているという理由で議論されませんでした。豊洲の地盤は大変弱いことが言われており、地震により有害化学物質が地上に噴出し、市場が閉鎖になる危険性が大いにあります。

 第二番目の質問です。

 これらの理由から、私は、第七回まで開催された専門家会議の調査内容や土壌汚染対策の技術的可能性の証明は不十分であると考えます。いかが分析されていますでしょうか。

 第三番目の質問です。

 土壌汚染は大変深刻な状況であり、ベンゼンの慢性毒性(発がん性や催奇形性)、シアンの急性毒性が健康被害を及ぼす可能性は大いに考えられます。シアン化カリウム、これは青酸カリともいいますが、百五十~三百ミリグラムというたったわずかな量で、それが致死量に達します。食の安心・安全、築地ブランドへ及ぼす悪影響も多大であります。よって、そのような場所への移転計画は白紙撤回する必要性があると考えますが、いかがでしょうか。

 昨今のBSE問題、毒入りギョーザ、白い恋人・赤福偽装表示、吉兆の食の使い回しなど、事件がたび重なり、食の安全・安心への関心が大いに高まっています。平成十七年成立の食育基本法も、食品の安全性が確保され、安心して消費できることが健全な食生活の基礎とうたわれています。そのような時代において、専門家会議では、「シアン化合物で土壌や地下水は確かに汚染されている。この汚染された地下水が上昇して、揮発をして、市場内にシアンが浮遊、生鮮食料品に付着する可能性はあります。しかし、微量だから健康被害はない」と言っています。シアン化合物、すなわち青酸カリが付着して、だれが食べたいと思いますでしょうか。

 第二番目のテーマに移ります。

 「中心市街地活性化法」を用いた築地市場地区を核とした活気とにぎわいづくりについて。

 市場には、その土地の凝縮した姿があると言われます。まさに、築地市場は銀座の隣という一等地に位置し、日本橋の魚河岸から引き継いで七十年以上、五ヘクタールの場外市場とともに、日本の魚食文化の伝統を守り続けてまいりました。今や、築地市場は都の魚の八九%、全国の一○%を賄う東京都の台所、日本の台所です。水産物の取扱量は、平成十八年で一日当たり二千九十トン、十七億九千万円、年間五十七万三千トン、四千八百九十八億円であり、世界一の水産物の取扱高を誇っています。年間取引量は、十年前のピーク時の約七千五百億円からは、市場を通さない流通が拡大してきているため、二千五百億円減り、年間約五千億円に下がりましたが、それでも約五千億円に上っている状況です。そして、築地市場の周りにある場外市場五百店舗とともに、築地市場地区のまち並みが形成されています。

 築地市場は、開場から五十年たったころから、老朽化、狭隘化などを理由に、再整備の話が出始めました。さきの六月十七日、都議会代表質問への回答の中で、主に教育庁など教育畑で経験を長くして平成十八年就任した比留間英人市場長は、「現在地再整備につきましては、敷地のほぼすべてが利用されており、再整備工事に不可欠な種地が確保できないこと、敷地が狭隘なため、品質管理の高度化や新たな顧客ニーズに対応する各種施設を整備する余地がないこと、アスベスト対策を含め、営業しながらの長期間で困難な工事となるため、顧客離れなど市場業者の経営に深刻な影響を与えることなどから、築地市場の再整備は不可能でございます」と答弁しております。果たしてそうでしょうか。

 比留間氏の言う課題を克服し、現在地での再整備をなし遂げた市場があります。昭和六年開場の大阪市中央卸売市場(本場)です。私は、六月十七日、現地視察に伺い、この目で確かめてまいりました。現在地再整備は、十分可能なのです。

 大阪市中央卸売市場では、昭和六十二年九月に本場整備促進協議会が発足、昭和六十三年に本場整備基本計画をまとめられました。これは、後で述べます築地市場の再整備計画と軌を一にしています。敷地面積十二・六ヘクタール、現在十八ヘクタールの土地で、平成元年、事業費六百四十四億円、工期九年で着工、その後、完成の予定に見直しが入り、事業費千二十七億円となりましたが、本場開設七十周年記念にあわせて、平成十四年十一月、新市場施設はオープンとなりました。約十五年間で再整備をなし遂げたのです。

 市場棟は、地下一階地上五階の合計十七万平方メートル、一階は水産売場、三階は青果売場、二階と四階はそれぞれ仲卸の事務所。工事は、三期に分けて行われました。平成十九年度の統計で、水産物一日平均六百四十七トン、五億七千万円、年間十七万七千トン、千五百五十七億円。規模は、築地市場の三割強の取扱量です。市場関係者に視察のときにお話をお伺いいたしましたが、約十五年間の工事でも客足が遠のくことはなかったといいます。

 一方、築地市場には、かつて再整備の計画がありました。なぜ、それが頓挫したのでしょうか。流れを追ってみたいと思います。

 昭和六十一年に築地市場再整備推進委員会を設置して、計画は具体的に始まり、昭和六十三年に築地市場再整備基本計画がまとめられ、平成二年、基本設計へと進みました。その設計の基本的考え方は、築地市場は現在地で営業を継続しながら再整備、水産部を一階、青果部を二階とした立体的配置計画、物流円滑化のため十分な交通動線、市場業務に影響を及ぼさない施行計画、流通形態の変化、情報化社会に対応、都民に親しまれる開かれた市場等でした。待望の再整備が始まったことを、市場関係者は、だれもが大変喜び合ったということです。

 平成五年五月二十八日に築地市場全業界を挙げて行った築地市場再整備起工祝賀会の席上、当時の鈴木都知事は、「私は、さすがに世界の築地と言われるような都民の皆様の御期待にこたえられる卸売市場づくりに全力で取り組んでまいります」と申し述べております。総工費三千億円、工期十二年の計画で、平成三年に着工しました。資金は、東京都の特別会計一千億円と神田市場売却による二千億円を原資とした計画でした。ところが、平成八年、三百八十億円使った段階、立体駐車場や冷蔵庫棟などはできましたが、その段階で中止。予定どおり進んでいれば、平成十六年か十七年には完成のはずでありました。

 ここで、実名を伏せさせていただきますが、A市場長までは仮設工事から本工事へと決められた方針どおり続けられてきた現在地再整備が、B市場長となって、推進協議会に諮問することもなく、工事にかかわる公式発表もないまま、しりつぼみのように工事は休止状態になりました。それとは別に、B市場長みずからが臨海副都心への移転話を各団体へ持ちかけてきたのであります。市場行政の最高責任者としての地位にある者が、都自身の定めたルールを踏み外して勝手な行動をとることはあり得ないはずでありますが、実際に、B市場長の呼びかけによって、平成七年九月二十九日、日暮里の某所で一部業者との間に話し合いが持たれたといいます。そうした呼びかけは、水産の卸、仲卸、小売の団体に対しては一切ありませんでした。そこで、これら三団体は連名で、十月十九日付で市場長あてに「築地市場再整備工事促進について」と題した要望書を出しましたが、市場長からの誠意ある回答は示されず、推進協議会も開かれず、水面下で移転話が進められたのでした。

 B市場長の打ち出した移転問題は、同市場長の思いつきというようなものではなく、都の市場行政の財政的な面から、再整備費用の再検討により、その財源捻出をどうするかについての検討の結果として、移転論ということが俎上に上ったことが可能性として考えられます。

 次を引き継いだC市場長は、業界から一致した要請があれば豊洲移転を検討することになるかもと言い、平成十年十二月までに六団体(水産卸、水産仲卸、小売等の買出人団体、青果連合会、関連事業者団体)の一致した表明書を提出してほしいと求めましたが、結果は、移転賛成四、反対二、この反対二は仲卸、小売、となりました。水産仲卸である東京魚市場卸協同組合(東卸)が、このときに全組合員投票をやりましたが、現在地再整備賛成四百九十五、移転賛成三百七十六であり、東卸は現在地再整備を機関決定しました。

 なお、投票前の意向調査時には、組合員に土壌汚染のことは一切知らされませんでした。

 平成十一年四月の東卸の理事長選挙で、築地での再整備を目指していた理事長が解任され、移転推進の現理事長になり、理事会は機関決定に反して移転推進に動き、組合員とねじれができました。

 平成十一年九月、四月に就任した石原慎太郎知事が市場を視察し、「古く、狭く、危ない」と言い、十一月九日、第二十八回築地市場再整備推進協議会において移転整備の方向でまとめられました。

 平成十三年、東京ガスは、豊洲土壌汚染について公表するも、同十二月、第七次東京都卸売市場整備計画で知事は豊洲に移転すると表明し、平成十四年、「豊洲・晴海開発整備計画 再改定(豊洲)案」で築地市場の豊洲移転が計画として明記されました。平成十五年五月、豊洲新市場基本構想策定。平成十六年七月、豊洲新市場基本計画策定。平成十七年九月、豊洲新市場実施計画のまとめ策定。十一月、第八次東京都卸売市場整備計画において、豊洲市場を平成二十四年度開場を目途とすると明記するに至ります。平成十九年四月の東京都知事選挙では、築地市場移転の是非が争点の一つになり、土壌汚染に関しては、翌月、専門家会議が設置されました。

 この流れでわかりますように、築地市場の現在地頓挫の理由は、財政的な部分が大きいということです。それに端を発した行政の不手際により、骨肉相はむ争いを業者間に生んでしまい、百年河清を俟つ状態に置かれたのが現況だと思います。

 では、現状における問題の財政的な部分、費用試算はどうなっているでしょうか。

 六月二十日、都議会経済・港湾委員会では、現在地再整備と豊洲移転の費用の試算が出されました。敷地面積約二十三ヘクタールの築地の再整備には三千億円、これは中央卸売市場会計の留保金千三百五十億円、豊洲の都有地の売却益七百二十億円、市場の建物整備への国庫補助三百億円で合計二千三百七十億円。あと六百三十億円足りないとのことです。再整備には約二十年かかるとも試算しています。

 一方、敷地面積は築地の約一・六倍の三十七・五ヘクタール、防塩護岸を含めば約四十四ヘクタール、豊洲移転の総事業費は四千四百億円。○七年までに一千億円支出して用地取得や護岸整備を行っており、あと三千四百億円が試算されています。留保金千三百五十億円と国庫補助百億円、築地市場跡地の売却益を二千億円以上と見込んでおり、合計三千四百五十億円以上であり、財源不足は生じないとしています。ただし、土壌汚染対策費は、新たな汚染発覚前の六百七十億円で試算。実際の対策費は一千億円とも一千三百億円超とも言われ、場合によっては現在地再整備より多くかかる可能性もあります。

 次に、中央区の動きを見てみます。

 平成十一年十一月九日、移転整備案が出された翌日、区長・議長連名で築地市場再整備に関する抗議を提出。二十九日、築地市場移転に断固反対する会設立。同日から移転反対署名運動が展開され、十二月十日までに十万六千三十二人の署名が集まりました。中央区は、七つの疑問など、意見書を提出したりしましたが、移転は東京都が粛々と進めてまいりました。

 平成十八年二月十七日、築地市場移転に断固反対する会総会が開催され、その活動の終了と、新しい築地をつくる会の新たな出発が決議されました。その総会の場では、このままでは東京都が進めるままに決まってしまう、方針を転換するのは賛成だ、同じテーブルに着き、交渉をしていくべきだ、そろそろ反対の旗をおろしていい時期ではないか、このままでは地域も先の見通しが立たない、都と話し合いをすることが先決だ、などの意見が出ていたところです。

 そこで、第一番目の質問です。

 平成十八年二月十七日当時、東京都と協議していた課題と、その後の進展状況を御説明いただきたいと思います。

 二番目の質問です。

 今年度予算一千三百万円を、築地市場地区を核とした活気とにぎわいづくりに計上しています。本年三月実施の築地市場地区を核とした活気とにぎわいづくり調査の結果も踏まえ、現在の同地区の取り組むべき課題は何か、鮮魚マーケットの先行営業も含め、お聞かせください。

 三番目の質問です。

 築地市場の現在地での再整備の可能性について、いかが考えますか。現業務を継続しながら再整備を実現した大阪市中央卸売市場の例もあるように、築地市場の現在地での再整備は十分可能と考えますが、いかがでしょうか。

 四番目の質問です。

 東京都とまちづくりについて協議していくには、権威づけた形で交渉に臨む必要性があります。中心市街地活性化法に基づく第三セクターを中央区及び地元商店街連合などでつくり、これをTMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーションとして設立します。そのTMOが再整備・再開発計画を策案し、築地市場地区を行政改革特区とすることで、まちづくりを進める手法が可能であると考えますが、いかがでしょうか。

 三番目のテーマに移ります。

 築地市場を有する地元中央区の責任として、「築地市場現在地再整備(及び環状2号線地下化)」を実現するために、今こそ具体的行動を起こす必要性についてお伺いさせてください。

 私は、昨年の第三回定例会の一般質問でも、築地市場の現在地での再整備に関して取り上げました。そのときも、具体的行動をとる必要性を述べさせていただきました。区長は、食の安心・安全の担保がなされなければ、デモでも何でも立ち上がるのもやぶさかではないと御答弁いただき、勇気づけられましたことを思い出します。今、築地市場の移転候補地の豊洲の土壌汚染が日本最大規模の深刻な状態であることが判明し、食の安心・安全が危うくなっています。

 第一番目の質問です。

 本年七月に専門家会議の提言が出され、その後、八月以降に東京都の方針が出されるということでありますが、その前である今だからこそ、中央区が具体的な行動を起こし、東京都に地元及び市場関係者の要望を伝えていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 二番目の質問です。

 世論や地元住民と市場内で働く人々の要望にこたえて、築地市場の土壌汚染地への移転を断固反対する会(仮称)を立ち上げ、同時に、署名を集めて都へ抗議行動をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 第三番目の質問です。

 東京都は、オリンピック誘致の計画の中で、築地市場をプレスセンター建設予定地としていますが、築地市場にプレスセンターを計画する以上、中央区はオリンピック誘致には反対である、もしくは賛成できないという姿勢で臨むべきであると考えますが、いかがでしょうか。わずか二週間程度のオリンピックのために、築地市場をプレスセンターに建てかえる必要性がどこにあるのでしょうか。プレスセンターなどはわざわざ建設せずに、既存施設、例えばビッグサイトでも有楽町の国際フォーラムでも用いれば何とかなる代物ではないでしょうか。

 四番目の質問です。

 築地市場移転を前提として、環状2号線は地上化となりました。事業の住民説明会が開催されていましたが、住民との質疑応答の中で、「環状2号線により六万台の車両増加があったとしても、大気汚染の悪化はない。その理由は、車の性能が上がるから」などと言い、住民の納得できる回答を得ていません。また、環境影響評価書の中で、築地市場地区にできるトンネル換気塔は、汐留のビル風によるダウンウォッシュの影響は想定外であり、食のまちへの悪影響は否定し切れていません。七月から、都は用地取得作業を強引に進めようとしているところです。前提となる築地市場の移転がなくなる可能性は大いにある状況で、今は住民感情に配慮し、少なくとも一時計画を中断すべきであると考えますが、都へ要望を出していくべきと思いますが、いかがでしょうか。

 第五番目の質問です。

 私は、先日、六月九日開催の環境建設委員会の場で、築地市場内のアスベストの残存状況をお聞きいたしました。委員会では回答をいただけませんでしたが、どの程度の残存状況かをお示しください。それは、市場内で働く人の健康を守るための対策をとる必要性があるレベルでしょうか。また、耐震化の状況はいかがでしょうか。両者早急に調査をした上で対策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 最後のテーマです。

 築地市場移転問題は、日本全体の問題であることについて。

 世界の生鮮市場は郊外型であるのに対して、築地が首都の中心に現存するのは、この国が築地市場を日本の食文化として象徴しているからであり、このまま現在地で再整備していきたいものです。

 第一番目の質問です。

 築地市場を現在地で再整備することで、築地市場地区や中央区にどのような将来像をお考えでいらっしゃいますでしょうか。

 第二番目の質問です。

 専門家会議では土壌汚染対策法にのっとらない方法で調査されていることは、初めに述べさせていただきました。その不十分な調査で、学校、公園とともに、土壌汚染があってはならないものの一つ、生鮮食料品を扱う市場を移転されたとすると、悪しき前例となり、日本全国で不十分な土壌汚染調査のままに開発が進められることにつながると考えます。折しも、国会では、豊洲移転候補地が適用されなかった土壌汚染対策法の改正案が参議院で本年五月二十三日に可決され、土壌汚染対策強化の必要性に対する国民的関心が高まっています。改正案では、同法施行前に廃止された有害物質使用特定施設にかかわる土地についても、公園等の公共施設や学校、卸売市場等の公益施設の用地となることで不特定多数の者の健康被害が生じるおそれがある場合、土壌汚染対策法が適用されることとなり、土壌汚染状況調査の徹底と結果に基づく措置を実施しなければならないと罰則つきで定められています。日本の土壌汚染対策の悪しき前例をつくらせないためにも移転はすべきでないと考えますが、いかがでしょうか。

 今まで見てまいりましたが、築地市場に関連して不可解なことが多過ぎます。

 不可解な点その一。築地市場現在地再整備工事の平成八年の突然の中止と、再整備案の不自然な立ち消え。

 不可解な点その二。附則三条を持つ土壌汚染対策法の平成十五年の施行。平成十三年十二月、第七次東京都卸売市場整備計画に豊洲移転を書いた四か月後、平成十四年、土壌汚染対策法公布、翌年十五年施行。この法律の中に、附則第三条なるものが導入されています。この附則第三条では、平成十五年に施行された土壌汚染対策法以前に廃止された有害物質施設にかかわる工場の敷地であった土地には適用しないとわざわざうたい、豊洲土壌汚染地を土壌汚染対策法から外す意図が感じられなくもありません。

 不可解な点その三。農林中金での消えた東卸の債務十億円。

 不可解な点その四。土壌汚染調査費や対策費を買い手である東京都が負担する点。

 不可解な点その五。専門家会議を開催している最中の強引な環状2号線地上化の都市計画変更などです。

 そこで、第三番目の質問です。

 そもそも、築地市場の土地から莫大な売却益を得ることができ、その土地に多くの利権が絡んでくることでしょう。それにより、かけがえのない築地の食文化、魚河岸の文化を犠牲にしてはならないと考えますが、いかがでしょうか。

 以上で質問は終わりますが、終わりに当たり、犬養道子さんという犬養首相のお孫さんに当たる方で、ユーゴスラビア国内の難民救助活動をされていてほとんど帰国されることが少ない方が、「中央公論」で築地市場のことを寄稿している文章を引用します。

 日本へ帰るたびに、相当の無理をしても、必ず行く、行かなければならぬ、たったひとつの場所、それが魚河岸である。まだほんものがそこにはある。魚や野菜だけではない。魚河岸では人間もまっとうで裏おもてがなくて、気っ風や心意気を持っている。つまり正真正銘ほんまものなのである。人間も、魚も、目玉が濁っていない。付焼刃や、ごまかしがない。これは大したことだ。ああ健在なり、健在なり、うれしくなる、たのしくなる、自分の国に帰って、うれしく、たのしくさせられる。というのは実によいものだ。

 築地市場に最高の賛辞を贈っています。築地市場からつくられる食文化、それを守る本物の人たち、これらが経済功利主義の名のもとに土壌汚染地へ行くことを白紙撤回し、現在地での再整備を絶対に実現させていきたいと思います。

 第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小坂和輝議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、豊洲の土壌汚染についてであります。

 中央区は、かねてより終始一貫して築地市場移転そのものに反対し、現在地での再整備を強く要望してまいりました。これは、築地市場が昭和十年の開場以来、都民の台所として都民の食生活を支えてきた歴史や担っている重要な役割、さらには交通機関が発達している都心に位置する利便性からも、現在地に位置することが最適であると考えているからであります。

 次に、専門家会議についてでありますが、都は、生鮮食料品を扱う重要性から、都民が安心できる市場とするため、有害物質、土質、水質、環境保健の分野に精通した専門家を選定し、土壌汚染対策の調査、検討を進めております。去る五月三十一日の専門家会議では、汚染対策のあり方についての基本方針が示されたところであります。この会議の内容は専門的な側面が多いことから、都の担当部署に直接疑問点をただすことが必要であると考えております。築地市場の移転計画に対しては、今後、専門家会議の最終提言や、それに基づく都の対策について十分に説明を受け、区議会や関係者の方々と御相談をしながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

 次に、築地市場地区の東京都との協議状況と取り組むべき課題についてお答えします。

 東京都において築地市場の移転計画が進められる中、万が一築地市場が移転した場合においても、築地市場地区が将来にわたって築地の食文化と伝統を守り、活気とにぎわいのあるまちであり続けるために、区は地元との協議を踏まえ、築地市場地区の活気とにぎわいビジョンを取りまとめております。このビジョンの実現に向けては、市場跡地のまちづくりのあり方、鮮魚マーケットや食文化の拠点整備のための市場跡地の一部優先使用等について、東京都と協議する必要があります。しかしながら、東京都の内部における土壌汚染問題による混乱やオリンピック招致問題等から、具体的な協議が進展していない状況にあります。

 そうした中、区は、鮮魚マーケットの先行営業に向けて、区有地を活用した段階的な整備案を平成十九年三月に取りまとめるとともに、引き続き、その実現に向け、買出人や物流車両、一般車両等の交通計画をはじめとする技術的な検討を平成十九年度調査で実施いたしました。その結果、築地場外市場においては、駐車場機能や店舗の建てかえを支援するための仮店舗機能の充実等が課題となっております。また、鮮魚マーケットづくりにおいては、管理運営方式や物流の仕組みを検討するため、その管理運営主体と想定される仲卸業者との協議が課題となっております。今後、これらの課題を克服し、区有地を活用した鮮魚マーケット等の先行営業のための具体的な計画を策定した上で、段階的な整備を実施してまいりたいと考えております。

 次に、築地市場現在地再整備の可能性についてであります。

 大阪市中央卸売市場につきましては、平成十二年十二月に取りまとめた本区の築地市場現在地再整備促進基礎調査において、事例分析を行っております。それによると、工期や整備費の大幅な見直し、さらには仲卸業者の統合による事業者数の削減など、厳しい対策に迫られながらも、関係者がさまざまな努力を重ね、現在地再整備をなし遂げていると指摘しております。したがって、その成功要因は、開設者や市場関係者の熱意、団結の強さにあったものと受けとめております。築地市場現在地再整備につきましても、こうした事例を参考として、関係者による具体化に向けての進展を期待しているところであります。

 次に、まちづくりを進める手法の可能性についてお答えします。

 中心市街地活性化法は、中心市街地の衰退や空洞化に対処するため、地元市町村が商店街等との連携のもとで、地域の創意と工夫を生かし、市街地の整備改善及び商業等の活性化を総合的、一体的に推進することを目的としていると理解しており、まちづくりを行う有効な手法の一つと考えられます。しかしながら、これを築地市場地区に適用した際には、整備に要する費用の確保、ふくそうした権利関係の調整等、地元負担が大きくなるばかりか、都が有する権限の区への移譲など、大きな課題があると考えます。このため、区といたしましては、NPO築地食のまちづくり協議会や築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会などと継続的な話し合いを進め、築地市場地区の文化と伝統を守るとともに、新たなにぎわいづくりに向けて築地市場地区のまちづくりを推進してまいります。

 次に、築地市場現在地再整備の具体的な行動についてであります。

 まず、六月二十七日には東京都の幹部職員の出席のもとに区議会全員協議会の開催が予定されておりますので、都からの説明とその質疑の状況を注視してまいります。さらに、今後予定されている専門家会議の最終提言や、それに基づく都の対策について十分に説明を受け、その上で、何よりも食の安全・安心や築地の活気とにぎわいを守り、はぐくむ観点から、区議会や新しい築地をつくる会など関係各方面の方々とよく御相談しながら、適切に対応してまいりたいと思います。

 次に、東京都のオリンピック招致計画についてであります。

 オリンピックは、スポーツを通じて人々に感動をもたらし、夢と希望を与える世界最高のスポーツと平和の祭典であります。このたび、IOC理事会で東京が最も高い評価を得て、オリンピック、パラリンピックの立候補都市に選ばれたことは、招致実現に向け、大きく前進したものと受けとめております。再び東京の地で開催されれば、成熟した日本のすばらしさや世界都市東京の魅力を全世界に発信するとともに、友好親善を深め、世界平和に貢献できる絶好の機会になると考えております。ただ、東京都のオリンピック計画には築地市場跡地でのメディアセンター構想や晴海メインスタジアム建設と交通アクセスの問題など、本区のまちづくりに大きな影響を及ぼすものが含まれております。区といたしましては、区議会をはじめ、区民の皆様方の御意見をいただきながら、こうした課題解決に向けて東京都との協議に取り組むとともに、五輪招致実現に積極的に協力してまいりたいと存じます。

 次に、環状2号線の工事を一時中断すべきであるとの質問についてであります。

 都は、これまで豊洲新市場の開場にあわせ、平成二十四年度に環状2号線を暫定開通させると説明してきております。しかしながら、現状では、土壌汚染対策で豊洲新市場の開場は数年おくれることが確実視されております。東京都は、本年七月の専門家会議からの提言を受けて、早期に具体的な土壌汚染対策等の計画を明らかにするとしておりますので、本区としましては東京都の動きを注視し、一連の都の計画が整合のとれたものとなっているかどうかを検証の上、今後の対応を考えてまいります。

 次に、築地市場内のアスベスト及び建築物の耐震化の状況についてお答えいたします。

 初めに、アスベストについては、平成十七年から東京都が行った調査の結果、水産物部卸売場の一部や青果部卸売場の一部など七カ所に露出した吹きつけ材等のあることが判明しました。そのうち、飛散防止対策を早期に実施する必要があるとされた四カ所については、段階的に吹きつけ材の除去工事が進められ、平成二十年度中に完了する予定となっております。残る三カ所については、吹きつけ材等が安定しており、現状では飛散のおそれがないことから、場内のアスベスト浮遊濃度測定や点検などで状況を確認しながら、安全性の確保に取り組み、建物解体時などに飛散防止対策を行う予定と聞いております。

 次に、建築物の耐震化についてであります。

 東京都は、卸売市場の基幹的施設である卸売場や事務所などを防災上重要な建築物として位置づけ、平成八年度より耐震診断や耐震補強工事を、営業に深刻な支障を来さない範囲で計画的に実施し、建築物の耐震性の向上を進めてきたと聞いております。

 次に、築地市場は、七十三年にも及ぶ歴史の中で、場外市場とともに、日本の食文化を継承する築地ブランドをはぐくんでまいりました。築地市場の現在地再整備は、築地地区の活気とにぎわいをさらに発展させ、銀座などの周辺地域と連携することにより、日本の食文化の中心として、さらには都心商業の一大集積地として、繁栄に導くものと考えております。

 次に、土壌汚染対策が悪しき前例とならないようにとのお尋ねです。

 汚染対策については、法令等に基づき、専門的見地から十分な調査、検討が進められるべきものであり、その上で、生鮮食料品を扱う市場用地として適切であるかどうかを判断できるものと考えております。また、利権などにより築地の食文化に影響を与えてはならないことは、当然であります。日本の食文化を守り、安心・安全の都民の台所として機能を充実させることこそ、今、求められているものと存じます。

 答弁は以上であります。

〔十七番 小坂和輝議員登壇〕

○十七番(小坂和輝議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 それでは、何カ所か御質問させていただきます。

 まず、最初に、やはり区長は断固反対であると、その御意思を確認させていただきました。私は、過去のデータや文献をひもとく中で、非常に区長には頑張ってきていただいた、それをひしひしと文献を読みながら感じました。ほかのこういう市場の審議会の中で、だれもが反対しているのに、区長は最初から意見を言って、これは再整備が実現されない方向に行くんじゃないかというのを早期に察知されて、それへの適切な御答弁をされていた。それらを読ませていただきました。

 今、断固反対ということで御答弁いただきましたが、そこで、まず、お伺いさせていただきたいんですが、この流れでいけば、七月に専門家会議、八月に東京都がその会に沿った案を出してくるということになれば、これは移転決定という方向に本当になる可能性はあります。もし仮にこのような対策をとって、仮に築地市場が移転の方向に動いた場合、区長はどのような行動を八月にとられるお考えでいらっしゃいますでしょうか。そのことについて教えてください。

 もし断固反対とおっしゃるんであれば、ここでもう、やはり行動をとるべきじゃないかなと思います。それは、例えば、急遽区議会を招集して議会の皆さんの意見はどうかとかいうのを聞くのも一つの案でしょうし、区民がそれでいいのかという区民アンケートをとるのも一つの方法であるかと思いますし、そのあたりの、もし専門家会議の意見に沿って東京都が移転ということを言い出した場合の行動に関して教えてください。それが最初の質問です。

 二つ目は、土壌汚染に関してです。ここに関して、私は、区の姿勢が若干甘いんじゃないかなというのがありましたので、気になりましたもので、御質問させていただきます。

 区は、再三、都から説明を受けるというふうに申されました。私は、それでは住民が納得しないんじゃないかなと。積極的に土壌汚染の状況を我々区が分析して、専門家会議が言っている内容を分析して、ここが甘いんじゃないかというのを、中央区の行政側が都に甘い部分を積極的に言っていく必要があるんじゃないか。説明を受けるというところはわかったんですけれども、どこか、私は六つほど甘い部分を指摘させていただいたんですが、調査の甘い部分とかを都に御指摘していただいているでしょうか。説明を受けるという余りにも受け身的な状況であるというふうに受けとめられたので、もっと積極的に東京都の出してくる調査内容に対して積極的に取り組んだのかどうか、そのあたりを教えてください。

 三つ目の質問です。

 築地のまちづくりに関してですが、区有地を活用というのはわかりました。それは区有地の中での話ですので、いいんですけれども、都は築地市場の、そうしたら跡地に関して何らかの開発をしてくるわけですよね。それに対しては、このように開発してください、築地の場外市場のためにこのように開発してくださいというふうなことを要望したのでしょうか。そのあたりのことを教えてください。

 四つ目の質問ですが、これは先ほどのことと絡むんですけれども、私は、築地市場が移転した場合の移転跡地に関しても、積極的に区としては言っていく、権威づけた方法で言っていく必要があると考えております。そのために、中心市街地活性化法を用いたらどうかというふうに御提案させていただきました。中心市街地活性化法を用いるに当たって、都の権限の移譲が問題であるというふうにおっしゃいましたけれども、その権限移譲をもらうというところがかぎなんですよ。中心市街地活性化法を用いることによって、都から権限を奪うわけです。そして、積極的に築地市場地区のまちづくりを提案していく。私は、早い段階から中心市街地活性化法を用いて、その権限を都から奪ってしまう、都から奪うことによって、今まで受動的立場であったまちづくりに関しても、もっと能動的に取り組んでいけるんじゃないかなと思いまして、この手法をぜひとっていただければと提案を申し上げさせていただきましたが、いかがでしょうか。

 次の質問ですが、アスベストに関しては飛散のおそれがないということで安心させていただきましたが、ここは余りにも都知事の方が、アスベストがあって築地が再整備できないとかいうふうに述べておりますので、聞いている我々は築地市場のアスベストは本当に大丈夫かと不安になるわけなんですけれども、本当に、区長が述べられたように、アスベストに関してはそんなに重要なものではなく、再整備に当たっては全然問題でないものであると、私はここで確認させていただきたいと思います。アスベストは、全然、再整備においては処理可能なものであり、再整備における問題には挙げる必要はありません。そのことを確認させていただきましたので、これはいいです。

 以上、私の再質問ですが、根本的なところでは区長と考え方は一緒です。再整備するにしろ、一番大事なものは人の団結なんです。市場というものは、建物があって市場ができているわけではございません。豊洲に建物をつくったからといって、市場が生まれ変わるわけではないし、現在地でするにしろ、それには建物を建てただけではだめであり、その中に生きる人の団結があって、再整備がなされるものと考えております。人の団結が大事です。卸の人や大卸の人や小売の人、青果や魚を扱う人、場内や場外の人、これらの人々が団結することによって再整備が必ずや実現できるものと考えております。まずは人の団結、これが大事であり、この団結ができなかったからこそ、それには行政の不手際もありましたが、その団結が途中で崩れたから、再整備実現が大阪市はできたのに、築地はできませんでした。人の団結をもって、人の和をもって再整備実現を目指していきたいと私は考えます。

 先ほどの御質問への御回答をお願いします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。

 築地市場の問題、残念ながら、東京都は移転、移転へと進めようとしているわけでございます。土壌汚染という重要な問題があるにもかかわらず、そういう姿勢をとり続けているということ、大変残念に思うところでございますが、この七月の専門家会議を受けて、八月には東京都の姿勢が出てくる。対応が出てくる。こういうことであります。東京都が移転に正式に動いて、正式にというか、もう動いているんですけれども、決定した場合にどのような対応をとるのかということであります。

 築地市場という問題、これは、まず都民の台所でありますから、人の命と健康を守っていくということですね。それが大事である。また、築地市場、御案内のとおり、一日五万人の方々があそこで活動されている。生活がかかっているんですね。また、場外にも四百店舗、五百店舗の方々がおられる。まさに、そういう重要な市場であるわけでございますし、また、本区にとっても、にぎわいの拠点であり、観光の名所である。そういう重要性も帯びているわけでございます。

 したがって、今から想定して、仮定の話として、こうなったらどうするんだ、ああなったらどうするんだということを軽々に述べるのではなく、ここはやっぱり、そういう重要性を帯びているんですから、冷静に、専門家会議がどういう姿勢を出し、そして東京都がどういう対応を示してくるのか、これをしっかりと見きわめて、区議会をはじめ、区民の皆様方、そして関係者の皆様方の考え等をしっかりと承って、そして区政として判断し、また行動をとるべきであろう、こういうふうに思っているところであります。さまざまな御提言もいただきました。そういった考えもありましょうが、冷静に、まずは相手のことですから、これをしっかりと見る。そして、幅広い関係各位の声を聞く。これが、今、重要であろう。そのことによって、区民、都民、国民を守っていくべきではないか、こういうふうに思っているところであります。

 また、土壌汚染、これはやっぱり、先ほども申し上げましたけれども、それなりの権威のある方々が専門家会議のメンバーとなっているわけでございますし、また学者の皆様方の世界で分析もされているわけでありますから、私たち素人、専門外の者がああだ、こうだ、素人考えで言うのもいかがなものかなというふうにも思います。ただ、そういう先生方の、学者なんですから、本当のことを述べている、これはもう間違いないのでありましょう。

 四万三千倍ですか、これは本当に驚きましたね。十倍、百倍でもぎょっとするところを、四万三千倍ですからね。千倍だ、四万倍、一万倍だと、こういうことですから、これはここにおられる方々、また区民の皆様方、都民の皆様方、国民の皆様方も本当に驚いた。石原都知事でさえ驚いたと言っているわけですけれども、それなりの説得ある分析、また対応を示さない限り、多くの方々は納得しないのではないかな、こういうふうに思っているところであります。

 それから、万が一の対応ですか、市街地活性化法を活用してはどうかということでございますが、東京都から権限を奪えということですね。今の石原都知事さんの姿勢から、権限を奪えることができますでしょうか。今、区長会でいろいろ論議しているんですけれども、東京都はどういうことを言っているかといいますと、五十万都市をつくれと。二十三区ね。五十万ないところは、基礎的自治体というか、自治体じゃないような言い方なんですよね。報道でも御案内かと思いますけれども、五十万。だから、八百何十万ですから、二十三区が十六ぐらいの自治体になれというのが本音でね。こちらは権限をよこせということでやっていますけれども、全部、東京都が、市になろうということですから、私たちは。市になろうということで、今、ぶつかっているわけですよ、東京都と。向こうは何かというと、権限をよこせ、よこせと言う前に整理して、十六ですかね、十六の自治体になれと、こう言っているんですよ。これでぶつかって、今、大きな問題になっている。その東京都が、権限を奪ってこいというふうに小坂議員おっしゃいますけれども、そう簡単にはよこさないであろう。しかし、もちろん私たち、万が一の場合にはさまざまな、区有地だけではなくて、東京都からそれなりの三・五ヘクタールぐらいは譲歩せよということで闘おうということで、にぎわいビジョンですか、そういうものを出しているわけでありますので、御理解のほどをお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。

 また、アスベストの問題ね。これは、小坂議員が言うのと私は余り違いないんですよね。これだけアスベストがあるから、これを理由にあそこの再整備は危険なんだというのは、いかがなものかなと。ここのアスベストを処理するよりは、あの土壌汚染、四万三千倍、ベンゼンだけでもね。それから、シアンだ、何だというのを処理する、その土壌汚染を処理する方がもっともっと何十倍も大変じゃないかなと。これは素人の考えですけれども、学者さんはまたほかの、いろいろ分析があるかもわかりませんけれども、アスベストを理由に、現在地では無理ですよというのは、いかがかな。さっき説明したような七カ所ですか、ある。これを、今、こういうふうに対処して、将来はこうだというのを申し上げましたけれども、ここの処理の方が、あの豊洲の土壌汚染への対応よりはもっともっと本当に低く、軽くできるんではないかなと。これは私の勝手な考えですけれども、そういうふうに思います。

 あと、何かありましたかね。

〔「ないです」と呼ぶ者あり〕

 もうこれでいいですね。

 以上でございます。ありがとうございます。

〔十七番 小坂和輝議員登壇〕

○十七番(小坂和輝議員)
 御答弁ありがとうございました。

 これは質問というわけではございませんが、一つだけ気になりましたもので、最後に申し伝えておきます。

 やはり我々は、都とは闘うべきだと思っております。それはなぜかというと、それを求めているのは、どんなに大きな相手であれ、住民が求めている以上、中央区は闘うべきであると思います。あんな土壌汚染のある場所に行ってはならない。これは日本国民の世論であると思いますので、その世論を味方につけて、中央区は十分に闘うことができると思います。ですので、築地現在地で、区長も何度も何度も夢見られた築地での現在地での再整備をぜひ実現させていきたいと思いますので、今後ともともに頑張っていきたいと思います。

 どうもありがとうございます。(拍手)


○二十三番(神林 烈議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時十二分 休憩


午後三時三十分 開議

○議長(今野弘美議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。三番礒野忠議員。

〔三番 礒野 忠議員登壇〕

○三番(礒野 忠議員) 自由民主党の礒野忠でございます。

 質問に先立ちまして、人災、天災と大きな問題が立て続けに起こっておりますが、六月八日、秋葉原での痛ましい無差別殺傷事件で被害に遭われた方々、六月十四日に発生いたしました岩手・宮城内陸地震による被害を受けられた被災地並びに被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 私は、さきに通告いたしました順序に従い、質問をさせていただきます。なお、答弁によりましては、再質問をさせていただきます。

 本区は、人口増に伴い、高齢者の比率は低くなっておりますが、若い年齢層の住民が多くなっていることが要因となっていて、実際には高齢者の方の人数が極端に減少したわけではないと思います。現在の中央区を築いてくださった先人の方々にいつまでも安心して住み続けられるよう、さまざまな取り組みをされておりますことは、高く評価をさせていただいております。しかし、高齢者の方から、大家さんや地権者の方が建てかえなどで、ずっと住み続けてきたこの中央区に住むことができなくなってしまいそうなので、何とかならないですかとの住宅に関することをよく聞かれます。

 本区では、区立・区営住宅での高齢者住宅が八十二戸、民間高齢者住宅でイヨシ88が十四戸、それ以外で単身向け住宅のほとんどが高齢者が入居していると聞いております。その住宅もすべて埋まっている状況であります。区立・区営住宅をふやすことは、現在難しい状況であること、また、入居者のそれぞれの体調などで課題を抱えていることは承知しております。そこで、不動産業者へ住宅を探しに行くと、高齢者ということで保証や賃料のことで敬遠されてしまい、住む場所がなくなってしまうとのことです。

 東京都防災・建築まちづくりセンターに高齢者の方を拒まないと登録している持ち主の方が五件、百四十九戸いると聞いています。ただし、この登録に関しては助成制度がないため、不動産業者との連携は余りとれておらず、誘導している状況であると聞いております。高齢者の方が住みなれたこのまちから出ていかざるを得ない状況をできるだけ回避し、不安を少しでも解消することは、とても大切なことだと思います。

 そこで、区長にお伺いいたします。

 高齢者の方の住宅に関して、本区として、今後どのように取り組まれていかれるのか。また、東京都防災・建築まちづくりセンターとの連携を今後どのようにとり、進めるのか。そして、一番難しい部分であると思いますが、不動産業者と積極的にかかわり、連携や誘導、時には指導していかなければいけないこともあるかと思いますが、どのように考えられ、取り組まれていかれるのかをお聞かせください。

 次に、防災に強いまちづくりに関して質問をさせていただきます。

 先日の岩手・宮城内陸地震では、マグニチュード七・二、震度六強と大きな被害をもたらしましたが、関東地方、東京にいつ大地震が起こってもおかしくない状況にあると言われております。本区でもそうした状況などを受けとめ、被害を最小限に食いとめるための施策を進められております。区民防災組織や防災拠点運営委員会で地域の方々の防災に対する対策や意識の充実を図ったり、すべての防災拠点へAEDの設置を行ったり、耐震診断や耐震補強、また簡易補強の助成制度の充実にも取り組まれております。災害に対しては、ある程度の規模を予測して、いろいろな角度から対策を立てているわけですが、そうした取り組みがしっかりと理解され、機能することで被害を最小限に食いとめ、人命を守ることになると思います。

 気象庁も、昨年十月から緊急地震速報の発信を始めました。震源地から速く到達するP波を検知した時点で瞬時にデータを伝送し、大きな揺れをもたらすS波の到達前に速報を発信するシステムのため、震源地との距離などによっても時間にばらつきがあるとのことですが、約十秒ぐらい前に知らせることができるそうです。岩手・宮城内陸地震においては、この緊急地震速報が数秒前に機能しました。その効果に関しては余り報道されていませんが、これを定着させることにより、発災前に災害からまず命を守るという一番大切な行動をとることにより、被害を最小限近く食いとめることができると思います。過去の地震被害に関する統計記録によりますと、大地震の死者の多くが、地震直後またはその日のうちに亡くなっており、死因は家具、家屋倒壊によるものと言われています。揺れが来る前に少しでも時間があれば、とっさに頭や体を守ることにより、多くの命が救われる可能性があったことを示していると思われます。テレビなどでも放送を流しておりますが、常時テレビやラジオをつけているわけではないため、伝わらない方も多く出てくると思います。

 難視聴対策で、本区と東京ベイネットワークでの整備が、昨年度末、終了いたしました。東京ベイネットワークも緊急地震速報サービスを行っておりますが、専用端末の親機が一万八千九百円、月額使用料が二千四百十五円かかるとのことです。そのほかにも緊急地震速報サービスを行っている業者もあり、個々のマンションなどで導入を検討したり、進めているところもあると聞いております。一例ですが、六百五十世帯が入居しているマンションで導入した際、そのマンション全体に緊急地震速報が流れるようにするインターネット工事を含め、初期費用で約百二万円、月額使用料約四万八千円かかるそうですが、一軒当たりにならすと、初期費用約千五百七十円、月額使用料が約七十四円となり、個々の負担額もとても安く済むことになるそうです。自分の身は自分で守ることが前提ではありますが、本区として、そうした部分のお手伝いはできないものでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。

 今、八○%がマンションとなっていることを踏まえ、今後、緊急地震速報サービスの導入に当たり、区としてどのように考え、取り組まれていかれるのか。また、町会でも、放送設備のないところも多いと思います。そのような町会などは特に古い住宅も多く、必要性が高いと思いますが、緊急地震速報を流す放送設備を含め、本区として何ができるのかを検討されているのか、また、検討されているのであれば、どのように取り組まれるのかをお聞かせください。

 次に、地域のまちや商店街などとのかかわり方、連携について質問をさせていただきます。

 新しい住民の方がふえ、昔から住まわれている住民の方とのコミュニケーションの重要性があちらこちらから言われております。まちの方々も、新しい住民の方と一緒に、地域を活性化させるためにいろいろな取り組みをされております。もちろん、区としても、まちのコミュニティ充実のためにさまざま取り組まれ、御苦労されていることは十分存じ上げております。

 今、区の施策として、新しい事業を始めるとき、地域住民参加型の事業が多くなっていると思います。決してそれを否定するわけではありませんが、地域住民参加型の事業を始めるに当たり、必ず町会と自治会に声をかけ、説明をしていると思います。そこで説明を受けた町会・自治会の方々がそうした事業に協力体制をとり、参加されているのが現状であります。

 しかし、町会や自治会において実際に活動している方々は、各団体によって人数もまちまちでありますが、そう大人数で動いているわけではない状況であることをよく耳にします。携わっている方々は、責任感が強いため、何とか協力しようと何でも一生懸命参加してくださっておりますが、実際問題として、一部の方にほとんど負担がかかっているのも事実だと思います。限られた人数のところへ区のあちらこちらの部署から事業をおろされることで、携わっている方々にそうした仕事が集中してしまっていることによる負担を分散することが必要な時期に来ているように思います。例えば、区ホームページや広報紙を利用し、区民ボランティアを募集したり、区民以外でもかかわれる仕事があれば参加していただくこともよいのではないでしょうか。今後の地域住民参加型の事業をさらに拡大していき、コミュニティの充実を図っていく上において、負担の分散と方法をどのようにお考えかをお聞かせください。

 先日、築地場外市場仮店舗で世界一の大きさと規模の築地千社額を作成いたしました。この築地千社額を掲げるに当たり、壁の老朽化が目立っていたため、外壁を塗り直しました。外壁塗装ができ上がったときに、取り付けられているシャッターの老朽化に気がつき、地元の方々と協議し、浅草仲見世通りや伝法院通りのような絵をシャッターにかけないものかとの案が出て、早速調べてみたところ、枚数は違うものの、二千万円ぐらいの費用がかかったとのことでした。そこで、そんなに費用を捻出することもできないため、学生ボランティアの方などに声をかけたらとの案が出て、たまたま場外市場のイベントのときにお手伝いいただいた学生さんにその話を持っていったところ、その学生さんが自分のネットワークやインターネットでいろいろな学生さんやボランティアを募集し、作家の方が三人、ほかのペイント担当の方が約六十人も集まってくださり、十四枚のシャッターに築地にちなんだ絵をかいていただけました。もちろん、みんなボランティアで、集まっていただいた方の中には築地に来たのは初めての方も多くて、こうしたことがきっかけとなり、今後も何かあったら、ぜひ声をかけてくださいと言ってくださる方もおりました。日常の仕事とは全然違う別分野のことでも、ちょっとしたきっかけで輪が広がり、すばらしいものができ上がることを経験し、中にいたらわからないことも含め、外部からの力も取り入れることにより、地域の活性化に役立てていくことの大切さを学びました。

 本区の中でも、今まで国交省の行っていた日本橋学生工房や横山町で行っている産学連携事業、また月島でもまちづくりに携わっている学生さんなどが地域商店街のイベントや活性化にお手伝いをしていると聞いております。今後、区内の商店街活性化とさらなる発展のために、大学や学生さんの若い力との連携をしっかりと構築することも大切だと思います。しかし、窓口になるところがないため、行動に移せない商店街や困っている商店街も少なくないと思います。

 そこで、お伺いいたします。

 大学や学生さんと商店街の連携をとる窓口として対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、取り組んでいただけるのでしたら、具体的にどのように取り組まれるのかをお聞かせください。

 最後に、六月一日に改正されました道路交通法に関しまして質問させていただきます。

 国では、平成二十四年までに交通事故死者数を全国で五千人以下にすることを目標に掲げ、平成十九年六月二十日に公布の改正道路交通法においては、これを目指して、飲酒運転の厳罰化などの悪質・危険運転対策をはじめ、後部座席シートベルトの着用義務づけなどの被害軽減対策や、七十五歳以上の高齢者の免許更新時の認知機能に関する検査の受験義務、また、自転車利用者対策などが定められております。これら一連の改正のうち、後部座席シートベルトの着用義務づけや自転車の歩道通行可能要件の明確化や、児童・幼児の乗車用ヘルメット着用努力義務の導入など、自転車利用者対策は本年六月一日から施行されており、新聞報道等で既に御存じのところであると思われます。

 自転車は、大人にとっても、子供にとっても、手軽で身近で利便性にすぐれた乗り物でありますが、その一方で、転倒や衝突の危険性も高く、特に児童や幼児は自転車の転倒を予測し自分自身で頭部を守る能力が低いことなどを考え、ヘルメットを着用すれば確実に被害が軽減できるということで、子供が自転車に乗る場合はヘルメット着用の努力義務が保護者に課せられているものであります。中央区においては、年少人口が六月一日現在、一万一千五百人を超え、平成十年に比べ約一・三倍となるなど、年少人口がますます増加することが期待される中で、本区として、次世代を担う大切な子供たちの交通安全対策にしっかりと取り組むことが重要であると思います。

 そこで、お伺いいたします。

 区内において、子供の交通事故の発生件数はどのくらいあるのか、そのうち自転車乗車中の交通事故はどのくらいなのかをお聞かせください。また、法により努力義務が課されることにより、保護者が子供の安全により注意を払うようになることが期待され、万が一事故が起きた場合、子供の頭部の負傷を軽減し、命を守るためのヘルメット着用に対する関心はますます高まっていると思います。区として、こうした状況を踏まえ、交通事故から子供の命を守るということで、子供のヘルメット着用をどのように普及促進していこうと考えておりますか、お聞かせください。

 これで、私の一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 礒野忠議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、高齢者の方の住宅に関して、今後の区の取り組みについてのお尋ねであります。

 高齢者の方が中央区に住み続けられるようにするために、高齢者が入居できる民間賃貸住宅の供給を促進していくことは重要であると認識しております。そのため、本年三月に策定した中央区住宅マスタープランにおいても、賃貸住宅に居住する高齢者等の住みかえ支援の充実を図るとともに、高齢者向け住宅を確保していくことを施策として掲げたところであります。今後、この施策を実現していくため、高齢者のための住みかえ相談の実施、バリアフリー改修資金の融資あっせん、民間事業者による高齢者向け賃貸住宅の供給の誘導などについて、制度の充実を検討してまいります。

 次に、東京都防災・建築まちづくりセンターとの連携についてでありますが、このまちづくりセンターが登録受け付けを行っている高齢者の入居を拒まない賃貸住宅をふやしていくことが必要であると考えております。現在も、東京都宅地建物取引業協会などに出向き、高齢者の住みかえが難しい状況を説明し、会員への周知や登録の働きかけを依頼しているところであります。引き続き、制度の普及啓発や登録の推進に力を入れてまいります。このほかに、まちづくりセンターでは、保証人にかわる役割をするあんしん入居制度など、高齢者への入居支援事業を実施しております。今後、高齢者の入居支援を強化するため、まちづくりセンターと連携して、あんしん入居制度の活用促進策を検討してまいります。

 また、不動産業者との連携や誘導に関する取り組みですが、これまでも不動産協会など住宅関連団体を通して、高齢者が入居できる住宅の供給について協力依頼を行ってきたところであります。さらに住宅供給を推進するには、不動産業者や賃貸住宅の家主等の理解と協力が不可欠であることから、パンフレットの作成やホームページへの掲載による普及啓発活動のほか、説明会を開催するなど、事業の推進に向けて、民間事業者へも積極的に働きかけを行ってまいります。このような取り組みを行うことにより、民間活力による高齢者向け賃貸住宅の供給を促進し、高齢者が安心して住み続けることのできるまちの実現に努めてまいります。

 次に、緊急地震速報についてであります。

 六月十四日早朝の岩手・宮城内陸地震では、昨年十月、気象庁が本格実施して以来、三回目の緊急地震速報が出されました。震度六強を記録した岩手県奥州市では、震源から近いため、速報の発表前に地震が到達しておりましたが、震度五強の仙台市では五秒前に速報を受信するなど、条件によっては生命、身体を守ることができる画期的な仕組みであります。この情報を得る手段は、テレビ、ラジオによる報道が主となっておりますが、スイッチを入れていないと情報を知ることができないという制約があります。こうしたことから、マンションにおいては専用端末を防災センターなどに設置し、各家庭に配信する方法もありますが、放送設備の改修も必要なことから、管理組合などの対応となるものと考えております。また、個人の住宅に専用端末を置く方法も費用負担が課題となります。しかし、現在、携帯電話に速報を無料で配信する仕組みも始まり、受信専用の安価な防災ラジオの開発も行われているなど、今後さまざまな手段での情報提供が進んでいくものと考えられます。区では、防災行政無線をはじめとした災害時情報伝達手段の再構築を視野に入れて取り組んでおり、緊急地震速報の普及・活用につきましては、今後の技術の進展や導入状況等を踏まえながら検討してまいります。

 次に、地域住民参加型施策の負担分散についてであります。

 町会・自治会の役員の皆様には、日ごろより地域コミュニティの推進に向けて、住民同士の交流や地域行事、防犯・防災など地域活動に御尽力いただくとともに、長年にわたり、区政のさまざまな分野で各種事業に御協力をいただいているところであります。昨年実施した町会・自治会へのアンケートでは、町会等の運営上の課題として、役員の高齢化や後継者不足が上位を占め、役員の皆様の御労苦は並々ならぬものがあると受けとめております。現在、区内ではボランティア団体やNPO法人などによる福祉や環境、文化、芸術、スポーツをはじめとした多様な地域活動が行われております。今後は、こうした地域の力をさらに高め、区民参加の促進と町会活動を支援する団体育成なども進めていくことが大切であります。区では、平成十九年十月に学識経験者や活動団体代表者などで構成される協働推進会議を設置し、本区にふさわしい行政と団体との協働の仕組みづくりなどを検討しており、来年七月には最終報告がされる予定であります。今後、こうした仕組みの構築を図りながら、町会・自治会の皆様とも十分話し合い、躍動とうるおいに満ちた都心コミュニティの実現に努めてまいります。

 次に、商店街における産学連携の窓口と今後の取り組みについてであります。

 商店街をはじめ、地域の活性化のため、産学連携を図ることは極めて重要なことと認識しております。東日本橋地域における問屋街活性化委員会と文化服装学院との産学連携は、本年で二期六年目を迎え、学生による商品ディスプレーや文化服装学院を卒業したデザイナーによるファッションショーなど精力的な活動がなされております。日本橋学生工房の方々には日本橋のまちづくりの提案や常盤小学校の総合学習に、また、月島学生工房の方々には西仲商店街と地域町会による月島草市の開催に御協力をいただいております。月島学生工房からは、本区との連携をさらに深め、区内各地域の活性化やまちづくりに協力したいとの提案もいただいております。区の窓口としては、区民部商工観光課が担当しており、日本橋・月島の両学生工房の事業報告会へも参加をしております。今後も商工観光課が窓口となり、商店街連合会をはじめ、商店街の皆様に産学連携に関する情報を積極的に提供するとともに、商店街の方々からの要望をお伺いし、商店街と大学や学生との連携を推進してまいります。

 次に、子供の自転車乗用時のヘルメット着用の努力義務化についてお答えします。

 区内における中学生以下の子供の交通事故は、過去十年を見ますと、年平均で二十七・二件発生しており、そのうち自転車乗用中の交通事故は、年平均で十六・四件、率にして約六○%となっており、子供の事故を減少させるためには、自転車乗用中の交通事故を防止することが特に重要であると認識しております。また、都内において、平成十九年中、保護者等と一緒に自転車に乗っていたときに交通事故に遭って負傷した子供の約六割が頭部を負傷しており、自転車乗用中のヘルメットの着用は子供の命を救うことにもつながります。子供の自転車用ヘルメット着用の普及促進につきましては、区内の警察署と連携し、春の全国交通安全運動などを通じて啓発活動をしてまいりましたが、ヘルメット着用の普及がいまだ十分と言えない状況にあります。区といたしましては、ヘルメット着用に向けた普及促進を図るため、現在、購入時の助成を積極的に検討しております。

 答弁は、以上であります。

〔三番 礒野 忠議員登壇〕

○三番(礒野 忠議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 きょう質問させていただいた問題というのは、すぐに余り答えが出るものではないなというふうに感じて質問させていただいたんですが、やはりこの中央区、今、人口がどんどんふえて活性化されているこのまちで、今後しっかりとこれに取り組んでいかなきゃいけないだろうというふうに私は思って質問をさせていただきました。

 高齢者の方、本当にこの中央区をずっと支えてきていただいた方々が住む場所に困って、せっかくここでずっと生きてきたのに、この年になって中央区から出ていかなきゃいけないんだよ、何とかしたいんだよという声がとても多いんです。ぜひ、区として何ができるとかいうことでは、なかなかないと思いますが、やはり不動産業者とか、しっかり連携をとっていただき、そういう高齢者の方たちがしっかりと最後まで住み続けられるまちをつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、緊急地震速報なんですが、これも本当にわずかな時間ですが、数秒間の間で命が守れるかどうか。やはり命を守るための数秒間なんですね。そのために、今、携帯電話なんかでもこれから対応されていくだろうと思いますし、そういう部分もどんどん発達されていくと思うんですが、少しでも早く、この三十年の間に七○%ぐらいの確率で大地震が起こるというふうに言われているこの東京ですから、少しでも早い対応をしていただきたいなというふうに思います。民間で体力のあるマンションなんかは、先ほど例を出したとおり、管理組合で対応されたりはできますが、やはりしもた屋さんで古い家、直下型の地震が来たら一瞬にして家が倒壊してしまうようなところも、まだ中央区には残されております。そうした部分で、一軒一軒に配置ではなくて町会の放送でも流せるようにすれば、多少違うんじゃないのかなということで質問させていただきました。ぜひ、これに関しては今後しっかりと御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、町会ということで、先ほど協働推進会議ですとか、町会活動支援策ということで取り組まれているということなんですが、確かに、今、町会は高齢化が進んでいるというお話をよく聞きます。なかなか若い人たちが、地元で昔だったら商売をやっていて、そこに住んでいるから町会に参加できた方も、今は外に働きに行ってしまったりしている部分が多いんですね。やはり一緒に住まわれて生活しているという方も大分少なくなっているということで、町会自体がなかなか成り立たなくなっているところにすごく仕事が集中しておりてしまっている。これを何とか分散してほしいなということで、お話しさせていただいたんですが、例えば、その前の地震のことにしてもそうですし、東京ベイがせっかく中央区と一緒に難視聴対策で整備が終わったわけですから、そういうところで、そういうものを利用した番組を中央区の方で提案していただき、働きかけていただくとか、地域のことを取り上げることによって、地域の方は自分がテレビに映ったというと、喜んで見るんですよね。そうした部分をしっかりと取り入れるようにしていただければ、もっといい効果が上がっていくのかなという気がしますので、そこら辺を御検討していただきたいと思います。

 産学連携に関しては、窓口を商工観光課がやっていただいているということなんですが、もっとそれを大きく広げていただきたいということと、宣伝をもっといろいろな商店街の方に投げかけていただくことによりまして、商店街の方たちも、本当はもちはもち屋でみんな狭い世界で商売をやっている方が生きていまして、いろいろなアイデアが出てこないんですね。だから、商店街の人間が十人とか二十人とか集まっても、自分たちの範囲での話になってしまって、新しい意見がなかなか生まれてこない。ところが、そこに全然違う分野の学生さんたちが入ってきたりして、我々はこういうふうに思うんだけれども、どうですかねとか、違う角度からの意見というのがとても活性化につながっていくと思います。ぜひこれを商工観光課の方で大学、それから学生さん、それ以外のボランティアでもいいと思うんですが、そういった部分もどんどん宣伝していただき、大きく広げていただきたいと思います。

 最後の交通安全の自転車のヘルメットなんですが、確かに、これが施行されてから、まちを歩いていまして、ヘルメットを着用したお子さんが自転車に乗っている姿というのがちょっと目につくようになってきました。ただ、やはりまだまだ少ないなというのが感想で、逆に、ヘルメットをかぶっているから目立つというぐらいの状況なんですね。今回、購入時の助成なども検討されるということですので、やはりこれはすべて子供の命にもかかわることですし、まち全体がもっと活気にあふれたまち、そして明るくて、安心で安全なまちをつくるために、今、すべて質問させていただいたわけですが、しっかりと取り組んでいただき、この中央区がさらに発展するようにお力添えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 これをもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(今野弘美議員)
 次に、十番二瓶文隆議員。

〔十番 二瓶文隆議員登壇〕

○十番(二瓶文隆議員)
 質問に先立ちまして、国内、国外において災害や事件の被害に遭われました皆様方に心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。おけがをなさった方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 私、二瓶文隆は、平成二十年度第二回中央区議会定例会に当たり、中央区議会自由民主党議員団の一人として、中央区の当面する重要課題について、質問通告の順序に基づき質問をさせていただきます。区長並びに関係理事者の皆様には、中央区民の未来を見据えた積極的な、そして前進的な御答弁をされるようお願いを申し上げます。なお、答弁いかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 六月八日午後、秋葉原駅前において無差別殺人事件が起こりました。容疑者は、携帯サイトの掲示板に具体的な内容の犯行予告を書き込み、静岡県の自宅からレンタカーのトラックで秋葉原に向かう様子を刻々と実況中継するように書き連ねていたと言われております。また、硫化水素を発生させた自殺は、ことし一月から五月に四百八十九件、計五百十七人に上ったことが、十九日、警察庁のまとめでわかりました。昨年は一年間で二十七件、二十九人でした。インターネットなどを通じて、その手法が広まったことが急増の要因であると裏づけされたわけでございます。

 インターネットや携帯電話は、適正な管理、環境づくりなどについての論議などがされないままに自然発生的に成長したために、その負の側面もまた急激に肥大化しているのが現状です。当初は想像もできなかった犯罪や事故、トラブルが頻発しております。特に、社会経験が少なく、自分で責任をとれない子供たち、特に小中高生がインターネットや携帯を利用して被害者にも加害者にもなるケースが急増をしております。

 第百六十九回国会において、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が本年六月六日に衆議院で可決され、十一日に参議院で可決され、成立をされました。この法律の目的として、第一条、「この法律は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする」とし、その基本理念として、一つ目、青少年自身がインターネットを適切に活用する能力を習得すること、二つ目、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくすること、三つ目、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することとされております。

 さらに、国及び地方公共団体の責務として、第四条、「国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされております。また、第三章におきましては、インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等で、「国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとする」、「国及び地方公共団体は、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための効果的な手法の開発及び普及を促進するため、研究の支援、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする」とされ、「家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため、必要な施策を講ずるもの」とし、「広報その他の啓発活動を行うものとする」とされております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 本区における青少年の健全育成という視点から、有害なインターネット、携帯の情報に関する状況はどのように把握されていますか、お聞かせください。また、この法律が成立し一年以内に施行されますが、本区の取り組み方の考えをお聞かせください。

 政府の教育再生懇談会は、五月二十六日に第一次報告を福田首相に提出をいたしました。そのポイントとして、子供を有害情報から守るために、一つ、携帯電話利用についての教育を推進し、必要のない限り小中学生が携帯電話を持つことがないよう、保護者、学校をはじめ、関係者が協力する。二つ目、小・中学生が持つ場合には、通話機能等に限定したものが利用されることを推進する。機能を限定した携帯電話の開発と普及に携帯電話事業者も協力する。三つ目、小・中学生の携帯電話のフィルタリングのあり方について、今後さらに検討するが挙げられています。小・中学生に携帯電話を持たせるか、持たせないかの議論はありますが、警視庁の調査でも、携帯電話の保有率は、小学生三二・四%、中学生六八・四%、高校生九六%に上っている現状から、その利用の仕方や犯罪につながることなど、教育が重要であると考えます。

 そこで、教育長にお尋ねをいたします。

 本区内小・中学校における携帯電話利用についての教育は、どのようになっていますか。また、子供を有害情報から守るための教育委員会としての取り組みはどのようになっていますか、それぞれお聞かせください。

 次に、本区の文化振興についてお尋ねをいたします。

 本区の基本構想で、文化の香る交流のまちづくりを掲げ、区民の文化活動の支援や活動が活発に行える環境を整備し、主体的な活動基盤の強化と新しい文化の創造を図るとしています。そして、中央区文化・国際交流振興協会を設置し、区民等が主体となって行う文化事業及び国際交流事業に対し、これらの事業の実施に必要な経費の一部として助成金を交付することにより、文化及び国際交流の振興に役立てることを目的とした事業助成を実施しております。文化事業助成一件十万円とされ、各種の団体が助成事業を実施しております。

 さて、マスコミ報道でも話題になりました映画「靖国」は、日本芸術文化振興会という文化庁所管の独立行政法人によって、税金を原資とする公的助成金七百五十万円が支給されました。国会議員による事前試写会の様子や一人の右翼団体構成員の街宣活動がクローズアップされ、言論の自由を侵す行為だ、また、政治の不当介入だなどと報道されましたが、事実は違っています。

 本年三月二十七日の参議院内閣委員会において、有村治子参議院議員が、この問題に関する質問を行いました。この主な内容は、助成の基準として「商業的、宗教的又は政治的な宣伝意図を有しないもの」とあるが、その執行は果たして適切だったのかどうかということでした。週刊新潮は二度にわたって、反日映画「靖国」は日本の助成金七百五十万円でつくられたと記事を掲載しています。その記事の内容は、靖国神社のドキュメンタリー映画が中国人監督によってつくられ、中国が反日プロパガンダに用いた南京事件の捏造写真を挿入され、反日映画と言わざるを得ないものだが、何と文部科学省所管の独立行政法人日本芸術文化振興会から助成が出されているのだというものでした。

 ここで申し述べておきますが、この映画を制作した中国人監督にも、私たちにも、言論・表現の自由があり、どのような映画を制作し、発表しても自由だということ、そして、その表現活動は他者の基本的人権を侵害しない限り、文化をとうとぶ民主主義国家である日本においては最大限に尊重されなければならないと思っております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 金額の差はあるにしても、税金を原資とする助成を本区の文化・国際交流振興協会も実施していますが、その実行基準はどのようなものか、現状の実施状況は適切であるか、また、今後の取り組み方についての御見解をお聞かせください。

 四月に歌舞伎座で開催された中央区第九の会による公演は、区内在住・在勤者による合唱団とオーケストラによって、ベートーヴェン第九を通して新しいコミュニティがつくられた成功例の一つであったと思います。私も立ち上げからかかわり、超党派の議員が一合唱団員として参加をしました。その活動の中でもわかったことですが、中央区行政の協力は大変大きなものであり、特に文化芸術の振興には行政の力が必要であるとの思いを強くいたしました。

 そこで、お尋ねをいたします。

 中央区文化・国際交流振興協会や中央区観光協会をさらに発展させ、独立した機関として成長させる必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。

 次に、北朝鮮による日本人拉致事件について質問をいたします。

 北朝鮮による日本人拉致事件は、一九七○年代から一九八○年代にかけて、多数の日本人が北朝鮮の工作員などにより極秘裏に拉致、誘拐、監禁されたという事件です。日本政府が認定した拉致被害者は十七人、男性八人、女性九人で、北朝鮮側は、このうち十三人、男性六人、女性七人について拉致を公式に認めました。また、北朝鮮に拉致された日本人は、特定失踪者として公開されている方でも二百七十七名に上り、北朝鮮に拉致された可能性を排除できない不特定失踪者を入れると四百名を超える可能性すらあります。

 さて、安倍晋三元総理は、一貫して北朝鮮に対して圧力をかけ、アメリカをはじめ、国際社会も北朝鮮をテロ支援国家として認定し、厳しい制裁を加えてきました。しかし、この六月十一、十二日の日朝実務者協議会で、北朝鮮は、拉致は解決済みという立場を変更して再調査することを約束し、それを受けて、我が国は制裁一部解除の表明をしました。町村信孝官房長官は、十九日の衆議院拉致問題特別委員会で、北朝鮮に対する制裁の一部解除について、同国が約束した拉致被害者の再調査の具体化を見ながら実施していく方針を明らかにいたしました。

 中央区と拉致問題の関係としては、拉致被害者家族会の増元照明さんは勝どき在住、そして、特定失踪者のリストを調べますと、第三次公開された米川茂雄さんは、昭和四十年一月十八日に自動車の下取りをするために査定に出かけ、四時三十分ごろ、会社に今から帰ると電話があった後、失踪しました。そして、三、四日して築地がんセンターの川のそばに車が見つかり、築地で拉致をされたとされています。港区、江東区、台東区と、都内の多くでも拉致されたと特定失踪者調査会では公開しております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 中央区としての拉致問題の認識と御見解をお聞かせください。

 また、六月十一日に、石原慎太郎東京都知事が拉致被害者救出のための北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」で流すメッセージを収録し、私たちは皆さんのことを決して忘れてはいないと呼びかけをいたしました。矢田区長もメッセージを収録してはいかがかと思いますが、御見解をお聞かせください。

 最後の質問は、水の都、中央区のまちづくりについてです。

 私は、一貫して、水辺の活性化と水の都、中央区のまちづくりについての御質問と御提案をさせていただきました。また、前回の質問に対して、区長さんからは、水の都プロジェクトとして、日本橋川の護岸緑化、今年度は朝潮運河のにぎわいづくりの調査等も行う、今後も中央区水辺利用の活性化に関する方策をもとに、水辺とかかわりを持つ人々や国・都と連携を図り、水の都、中央区のまちづくりを推進していくと御答弁をいただきました。そこで、現在の進捗状況をお伺いいたします。

 まずは、朝潮運河についてです。

 朝潮運河ルネッサンス協議会では、活発な研究と活動を行っていますが、その中で、月島二丁目付近に船着場設置計画が報告されました。私は、防災機能とエコボートなど、水辺に親しむための多機能船着場は賛成をしていますが、現状はどのようになっていますか、お聞かせください。

 次に、日本橋川、亀島川では、地域やNPO団体が護岸緑化や水質浄化の取り組みをしています。また、日本橋の上架の高速道路を撤去して日本橋川に青空を取り戻すために多くの皆さんが活動を続けています。

 そこで、お尋ねをいたします。

 日本橋川、亀島川の緑化、水質改善の本区の取り組み状況はどのようになっていますか、お聞かせください。

 以上で、私の第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
二瓶文隆議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備についてであります。

 近年、情報化が進展する中、インターネットや携帯電話が青少年の間にも急速に普及しております。これらは、生活を便利にしてくれる一方で、だれもが容易に情報を発信できることから、有害な情報がはんらんし、青少年が犯罪やトラブルに巻き込まれるなど、青少年の健全育成にとって大きな脅威となっております。有害情報の中には、犯罪や自殺を誘引する情報も含まれております。また、出会い系サイトに関連した事件も多発しており、警察庁によると、その被害者の八割以上が十八歳未満の青少年となっております。インターネットや携帯電話は、既に私たちの生活に欠かすことのできないものとなっております。こうした中、有害情報から青少年を守っていくためには、青少年がこれらを適切に活用できるようにしていくことが必要であり、家庭や地域、関係機関が連携し、社会全体で取り組みを進めていくことが重要であると考えております。

 次に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する法律の施行後における中央区の取り組みについてであります。

 本区では、これまでも青少年をインターネットや携帯電話の有害情報から守るため、小・中学校においてセーフティ教室を開催するとともに、青少年対策地区委員会や青少年委員に対し、研修会等を行ってまいりました。この法律では、内閣総理大臣を会長とするインターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議を設置し、国において基本計画を定めることとしております。本区といたしましても、こうした計画等を踏まえ、学校や地域、家庭においてインターネット等の適切な利用についてさらに教育を進めるとともに、フィルタリングの普及等を図ってまいります。

 次に、中央区の文化振興についてであります。

 区では、本年を文化飛躍元年と位置づけ、この三月に提言を受けました中央区文化振興プランに基づき、文化施策の充実を図っております。実施に当たっては、文化・国際交流振興協会や観光協会との連携により、区民や企業、NPO等の主体的な文化活動を支え、区民主体の文化振興を進めていくことが重要であると考えております。

 お尋ねの文化・国際交流振興協会における助成制度でありますが、区民等の文化事業を対象に、事業経費の二分の一の範囲内で、原則として十万円を限度に助成を行っております。対象となる助成の基準は、区民等が主体となることと、本区における文化振興につながることを基本としており、幅広く活用されております。また、区民等の文化活動を支えていくためには、活動への参加、取り組みに対するきっかけづくりや区民相互の協力・連携の調整等を担う役割も重要であります。そのため、今後は文化・国際交流振興協会や観光協会について体制面の充実や、文化振興に係る基金の創設等、財政基盤の拡充を図り、一層の機能強化を進めてまいりたいと考えております。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてであります。

 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であると認識しております。その解決なくしては北朝鮮との国交正常化はあり得ず、すべての被害者の安全確保及び即時帰国、真相究明並びに拉致実行犯の引き渡しを強く要求するという政府の姿勢を全面的に支持するものであります。また、過日の日朝実務者協議において、北朝鮮は拉致問題の再調査を実施するとしていますが、この調査を我が国が検証できる十分な仕組みが必要であると考えております。

 なお、本区は、被害者家族の居住する三十七の自治体を対象に国が設置した拉致問題に関する地方自治体ネットワークに加入しており、こうした場で情報交換等を行いながら、ラジオ放送なども含めて地方自治体としての対応を検討してまいります。

 次に、朝潮運河ルネッサンスと船着場計画についてお答えいたします。

 朝潮運河ルネッサンス協議会は、水域の活用等による地域のにぎわいや魅力の創出を目的としており、民間十六団体で構成され、東京都港湾局長により運河ルネッサンス地域協議会として登録された団体であります。当協議会では、現在、朝潮運河を中心としたまちづくり活動として、月島二丁目に面した運河内に屋形船中心の船着場を設ける計画を進めており、地域のにぎわいや魅力の創出、防災対策に寄与する計画であると認識しております。しかしながら、整備に当たっては、乗降時における送迎の車の問題や乗船客の出す騒音、ごみ等の問題があり、地元住民との合意形成が不可欠と考えております。区では、本計画について、いまだ地元住民の理解が得られていない状況であると認識しており、今後の推移を見守ってまいります。

 次に、日本橋川、亀島川の緑化・水質改善についてお答えします。

 まず、緑化につきましては、日本橋川で平成十八年度から水の都プロジェクトとして、ツタ類による護岸緑化に取り組んでおり、約二百六十メートル実施したところであります。本年度は、既に日本橋の乙姫広場に草花によるハンギングバスケットを設置しており、今後は桜やもみじ、ハギなどの緑化を予定しております。また、亀島川では、昨年度、緑化計画をまとめたところであります。一方、東京都も「十年後の東京」により、日本橋川や亀島川の緑化を計画しているため、都と連携して緑豊かで潤いある水辺環境の創造を図ってまいります。

 次に、水質改善についてであります。

 本区からの強い要望により、都では平成十七年度から日本橋川のしゅんせつに取り組んでおり、本年度でヘドロの堆積が多い西河岸橋下流の四割程度が完了いたします。また、亀島川も昨年度からしゅんせつを行っているところであります。これにより、日本橋川の悪臭は改善されてきておりますが、降雨時の下水の河川への流入による水質悪化の課題などがあります。今後とも、区としては、下水道の改善や駅地下水の浄化用水としての活用を関係機関に働きかけるなど、水質浄化に取り組んでまいります。

 私からの答弁は、以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えします。

 小・中学校における携帯電話等の利用の問題に対する教育委員会の取り組みについてであります。

 これらの問題につきましては、本区の教育基本方針、個性や能力を伸ばす教育の中でも、子供たちの発達段階に応じて情報を選択・活用する能力や、情報モラルの育成などを掲げており、大変重要と認識しております。

 各学校での具体的な取り組みとしましては、警察や情報関連企業から講師を招いてセーフティ教室を実施し、児童・生徒への指導を行うとともに、保護者に対してもフィルタリングなどの安全対策について啓発を行っております。また、道徳の授業において、規範意識の醸成に関する題材として取り上げたり、中学校の技術科の授業で情報モラルについて指導したりするなど、あらゆる機会を利用して指導、啓発に当たっております。さらに、有害情報へのアクセスやハイテク犯罪を未然に防ぐため、学校への通知等で指導、啓発の観点を明確にするとともに、生活指導主任研修会などでは、実態の把握や指導法の研究に努めてまいりました。また、全教員対象の情報教育研修では、情報モラル等についての理解を深め、その指導案を作成するなどして実際の授業に生かしているところであります。今後も国や都あるいは情報技術発展の動向を見ながら、実効性ある取り組みの推進に努めてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十番 二瓶文隆議員登壇〕

○十番(二瓶文隆議員)
 それぞれ御答弁をありがとうございました。

 インターネットから青少年を守るこの法案は、規制のあり方や国の関与等、さまざまな賛否があり、紆余曲折があって成立をいたしました。それは、民放連や携帯通信会社やプロバイダーなど、直前まで表現の自由を振りかざして、国の関与はけしからん、法律は要らないと抵抗したからとのことでございます。そこにネット関連業者等の利益追求が大きく影響したのではないかと思っております。また、この法律は三年以内に施行の状況について検討を加えるという附帯条件をつけたことは評価できますが、当初の自民党案では、「青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律」といたして、「青少年の健全育成に資する」ことを目的とするとなっていたのですが、審議の過程で、「青少年の権利と擁護に資する」として成立をいたしました。

 そして、現在、NTTドコモ等が採用している有害情報を遮断するフィルタリングサービスは、有害サイトだけではなく一般サイトも閲覧を制限し、携帯電話会社が選んだ公式サイトに接続が限定される、いわゆるホワイトリスト方式ではなくて、不適切なサイトをブラックリストに掲載して制限するブラックリスト方式をとっているのです。さらに、フィルタリング解除には親の同意があれば可能であり、選択式になっております。主要国のインターネット違法・有害情報に対する規制を調べてみますと、アメリカでは児童インターネット保護法、ドット・キッズ法が、ドイツでは放送とテレビメディアにおける人間の尊厳の保護及び青少年保護に関する州際協定があります。

 私が今回申し述べたいことは、出会い系サイト、残酷サイト、家出サイト、自殺サイトといった有害情報から子供たちを守り、犯罪に巻き込まれないように、地方自治体として、大人として知恵を絞るべきだということなのであります。広島市では、十八歳未満の未成年者の利用する携帯電話やパソコンにフィルタリング機能をつけることを義務づける条例、青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例を本年三月に成立させました。しかも、罰則規定も設けられております。

 改めて、インターネットに関しましては、さきのNHKのドキュメンタリー番組でもございました。バングラディシュの過疎の農村では、インターネットが貧困からの脱出に非常に有効であるということも言われております。しかし、今現在は、有害情報が我が国、そして先進国には子供たちに襲いかかっているのが実態でございます。休憩時間に、我が党の石田政調会長より新聞の記事を手渡されました。やはり、それにはマスメディアによって、この法律はざる法であり、全くけしからん法律と書かれてあります。そこには、子供を守る、青少年の健全育成を図るという視点は抜けているように、私には思えるのであります。

 改めて、この課題に対しまして、区長さんの御見解をお聞かせいただければと思います。

 次に、文化振興についてですが、私個人といたしましては、子供のころより、お正月には靖国神社に参拝し、八月十五日にも自民党青年部の同志の地方議員とともに正式参拝をし、思想、信条、宗教を超えて、国の未来を信じて命を捧げられたみたまを慰め、感謝の誠を捧げ、恒久の平和を祈念しています。

 映画「靖国」のパンフレットに、靖国神社の御神体は日本刀であり、昭和八年から敗戦まで十二年間、靖国神社の境内において靖国刀が鋳造されていたというふうに書かれておりますが、これも事実誤謬でございます。神社で大切にされている御神体は神剣であり、片刃で反りのある日本刀とは形状も異なっており、この御神体自体、日本刀ではありません。この誤謬を知られざる事実としてドキュメンタリーと称して吹聴されること自体が、大変に遺憾なことです。この御神体について、靖国神社に対する事実確認や問い合わせも一切せずに、この事実誤認をドキュメントと称し、広く宣伝をされているのです。

 また、映画の中でも最も多く時間を割かれて登場される刈谷直治さんは、靖国刀をつくっていた現役最後の刀匠で、現在九十歳の御高齢で、美術品として純粋に靖国刀匠のドキュメンタリーを撮りたいという若い中国人の青年の申し出に、刀をつくるみずからの映像を撮影することを承諾され、これが現役最後の仕事になると覚悟を決めて協力をされたそうでございます。また、刈谷さんは、実際には本映画ではキャストになることを全く知らされておらず、このことを承諾されていないばかりか、完成品の映画を見る機会すら与えられていないという事実が判明しました。現在も、刈谷さんは、この映画において刈谷氏の肖像が入ることを全く承服しておらず、作品からの自身の映像を一切外してほしいと希望されているとのことでございます。

 この一連の問題を見ましても、行政として、文化・芸術の振興施策の難しさがわかりますが、区長さんの御見解をお聞かせいただければと存じます。

 拉致問題ですが、本日、傍聴席には特定失踪者の生島孝子さんの御家族のお姉様がおいででございます。先ほど来、矢田区長の答弁にもいただきましたように、この問題に関しましては、協議者会を行っておりますが、みずからの御家族が三十年前に忽然と自分の前から消え去り、新潟の日本海の海を隔てた対岸の国に生きているにもかかわらず、何も手を出せないことをぜひ想像をしてみていただければと思います。今回、質問をさせていただきました趣旨は、拉致という問題を忘れてはいけない、何としても被害者全員を救出、奪還しなければならない、そして最大の人権侵害を犯している北朝鮮に対して強く抗議をする意味がございました。

 ラジオ短波の収録に関しましては、別の意味での、区長さんはじめ、中央区として取り扱いをされていると御答弁をいただきましたが、改めまして、区長さんみずからのお声でぜひともラジオ短波に乗せて、必ず、必ず救うというお声をいただければと思いますが、改めて御答弁をお願いしたいと思います。

 最後に、水の都、中央区のまちづくりですが、区長さんも船にお乗りになって水上から御視察されていることと思いますが、着実に一歩一歩前進していただきますよう、改めて要望いたします。

 また、亀島川は現在では生活排水が流れ込んでおらず、二つの水門で日本橋川と隅田川から遮断ができます。そこで、水門の開閉を利用して水流をつくり出し、水質浄化の社会実験をするには大変おもしろい河川だと思っております。さらなる御研究をお願いしたいと存じます。

 また、日本橋上架の高速道路に関しましては、本当に地域の皆さんや本区、矢田区長を先頭に、一日も早い撤去、そして日本橋川に青空を取り戻すための活動が続けられております。

 一方、日本橋かいわいには有名な歴史に残る建築物がございます。野村證券の本社ビル、そして三菱倉庫、多数の有名な建築家によって建築された建物が、万々が一、壊されることのないように検討されるべきではないかと思っております。一部の学者の中には、高速道路を地下に埋めるまでもなく、環状線、その他一般国道の整備が整った後には首都高速道路の環状線そのものが、都心流入がなくなり、必要性を欠くようになれば、さらに、今、首都高速の銀座線が川床式になっておりますが、再び日本橋川からそこに水を入れ、数寄屋橋にまた運河をつくり、舟運をつくってはいかがかという提案もされているところでございます。ぜひとも矢田区長を先頭に、水の都、中央区のまちづくりは進めていただきたいと存じます。

 これで私の再質問を終了し、再び再々質問の留保だけをさせていただきます。ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。答弁させていただきます。

 インターネット、有害情報のはんらんですね。これは、連日さまざまな犯罪が報道され、その中にもインターネットの有害性が多く取り上げられているわけでありますし、また、識者の意見も本当にそういう面ではしっかり規制していかなければ、青少年、子供たちを守ることができないという論調も多く拝読するところでございまして、そういう意味では、本区も子供たちを守るんだ、次の時代をしっかり担っていただくように、青少年の健全育成、このために私たち、しっかりと規制すべきことは規制していかなきゃならないというふうに私は思っているところでございまして、そういう意味で、全庁挙げて、よく研究、検討して行動してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。

 「靖国」の問題といいますか、文化振興ですね。「靖国」を私も、あれだけ騒がれましたから、見まして、なるほど、いろいろな論議が出てくるなというのは、なるほどなと思うわけでございました。一つだけちょっと、別に批判というほどの批判じゃないかもわかりませんけれども、天皇が何回か出てくるんですけれども、戦前の天皇が出てくるんですけれども、戦後の天皇、人間天皇ですね、それが出てこないのはどうしてなのかなと強く感じたところでありますけれども。

 それは別といたしまして、文化振興ですね。これは、先ほども申しましたとおり、中央区の助成、区民が主体となること、また本区における文化振興につながる、こういうことから振興は大事で、文化飛躍元年というふうに位置づけているわけですから、また基金も設けてはどうかという御提言も文化振興プランの方から承っているわけですから、そういった基金もしっかりと確立して、文化の振興を、この都心中央区から大いに盛り上げていく。やはり広く考えていかなければならない。ことしは明治維新百四十年という節目の年であるわけでございまして、私たち、明治維新以来の歴史を振り返って、やはり反省すべきことは反省して、そして、なるほどと感服すべきことは感服して、まず人をつくれとかいうことで、中央区というのは二十五も学校の発祥の地ということであるわけですから、そういう歴史と伝統を守っていかなければならないし、文化の振興こそ、私は日本がこれから生きていく道であると、こういうふうに確信するところでありまして、そういう意味からも、やはり文化がしっかり確立した国というのは、隣国からも世界じゅうからも尊敬されるわけですし、また、それが観光振興等にも役立つわけでありますから、これはしっかりやってまいらなければいけない、こういうふうに思うわけであります。

 それから、拉致の問題ですね。本当に大変な、私たちの国家主権の侵害であるわけでございます。三十年前ですか、拉致されたままでおられる、そういう方々がおられるということ、まことに残念であるわけでございます。

 北朝鮮、私も記者時代に、三木内閣のときでしたけれども、訪問したことがあるんですけれども、自民党初の北朝鮮訪問団というのが、議長にもなった田村元さんを団長とする訪問団ができまして、行ったことがあるんです。あのころは拉致というのはなかったんですね。どちらかというと、日朝の交流を促進しようじゃないかという機運が割合と高まっていたんですけれども、その後、冷却が起こって、こういう拉致の問題が発生してきたわけですね、拉致問題をちょっと振り返ってみますと。だから、隣国といいますか、近いところで国との交流が途絶えて、こういうふうになってしまって、拉致という深刻な問題が起こってきていること、まことに残念でならないわけであります。

 北朝鮮だって、あそこの人々はいい方々はたくさんいるわけですから、やっぱりその国の政権ですね。政権のあり方一つで、こんな残酷なことを行うということですから、これもしっかり風穴をあけて解決していかなければならない。そのために私たちも三十七ある自治体の一つなんですから、拉致問題に関する地方自治体ネットワークの一つであるわけですから、するべきことはする、実行していく、そういう姿勢はとっていかなければいけないのではないかな、こういうふうに思うわけであります。

 水の都、一八・三%が水である、これは誇るべき中央区の特性ですよね。ですから、水の都を大いに盛り上げていかなければいけない。

 先日も視察いたしました。中央区の朝潮とか、そこだけではなくて、品川区の方も行きました。あそこは天王州ですかね。向こうの方も見ましたけれども、本当に水をうまく活用して、すばらしいまちができ上がっているというのを拝見して、向こうが先にやり出したということですけれども、運河ルネッサンスということで指定を受けているわけでありますから、ああいうふうにできるんだなと。後からこちらはできるということですが、向こうは向こうでやっても別に、大いに学ぶべきこととか何かはどんどん学んで、すばらしい水の都をつくっていかなきゃいけない。日本橋川もありますし、中央区全体を、この水辺を大事にしていかなければならない。しっかりとしたものをつくってまいりたい。水辺と、それから環境ですね。環境も本当に重要な課題です。そういうものが一体となったまちづくりを進めていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。

 以上です。

〔十番 二瓶文隆議員登壇〕

○十番(二瓶文隆議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 映画「靖国」に関しましては、私は中央区の文化振興の難しさについて、一例として、現在話題になっていることで取り上げさせていただきました。矢田区長さんには映画をごらんになっての御感想をお聞きしまして、まさに戦前の昭和天皇が映画に使われていたのも事実でございます。くれぐれも、私は表現の自由を侵かすものではなく、中央区の文化振興のあり方論として展開をさせていただきました。

 また、今、区長さんからの御答弁ありました天皇陛下のお姿、まさに来年は天皇即位二十周年の行事が日本各地で行われるということを聞いております。地方自治体においても、一致団結して、現在の天皇陛下の御巡幸、その他二十周年をお祝いしていただければなと思っております。

 また、拉致に関しましては、矢田区長さんの記者時代のお話をいただき、まさに三十年前に自分たちの目の前から忽然と消えた事実を決して忘れてはいけない。そして、二度と我々はそのことを許すことはせずに、今まさに日朝協議、実務者協議の中で制裁措置を解除するかのごとくに北朝鮮側は拉致問題を再び調査すると言ってきておりますが、何度も何度もそのことに関しまして、我々はだまされ、うそをつかれてきたという事実を忘れてはいけないと思っております。自分の身に置きかえて、やはり本区は、本区の皆さんとともに、この拉致問題に関しましては決して忘れない、そして被害者の方を一日も早く奪還するという決意を矢田区長さんからいただきまして、心強く思っております。

 水の都に関しましては、ぜひとも一歩一歩、一八・三%の水辺に潤いのある中央区のまちづくりを推進していただければと思います。

 これをもちまして、私の質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)


○二十三番(神林 烈議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後五時二分 休憩


午後五時二十分 開議

○議長(今野弘美議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十六番鈴木幸子議員。

〔十六番 鈴木幸子議員登壇〕

○十六番(鈴木幸子議員)
 私は、中央区区議会公明党の鈴木幸子です。平成二十年の第二回定例会に当たり、区民の目線に立って一般質問をさせていただきます。なお、答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 質問に先立ちまして、去る八日、秋葉原において無差別殺傷事件が、また去る十四日には岩手・宮城内陸地震が発生しました。このたびの事件、災害において犠牲となられた方々に対し、衷心より御冥福をお祈り申し上げます。また、おけがをなされた方々並びに避難所生活を送られている方々に、心よりお見舞いを申し上げる次第です。

 それでは、初めに、男女共同参画社会の実現についてお伺いします。

 人権の世紀と言われる二十一世紀は、男女共同参画の世紀でもあります。一九九九年に制定、施行された男女共同参画社会基本法は、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題として位置づけています。男女が、性別に由来する不当な差別や偏見によって、その自由や人権を侵害されることなく、個性と能力を十分に発揮して、政治的、経済的、社会的、文化的活動など、あらゆる活動に参画できるような社会が男女共同参画社会なのであります。このことを男女共同参画社会基本法は、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」という定義によって明らかにしています。

 例えば、女性は育児や介護に向いている、育児、看護は女の仕事などの特性や性役割についての固定観念に基づいて保育や看護の仕事は女性だけに限るのではなく、女性にも男性にも、それに向いている人もいれば、そうでない人もいると考えて、男女ともに個性や才能に基づいて、男女ともに保育や看護の仕事につけるようにすることが、近年、求められるようになってきたのです。従来の看護婦や保母という名称が看護師、保育士に変わり、その職場が男女ともに開かれたことは、その好例と言えるでしょう。あるいは、女性は家事、育児があるから夜間の会議に出席できない、あるいは転勤できない、だから女性は昇進できないというような性別役割分業観に基づく論理によって不当な昇進差別などをされることのない社会、それも男女共同参画社会であります。

 男女が、互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会、そのような社会を実現するために、男女共同参画社会基本法では、国や地方公共団体に対して施策実施などの責務を課し、そしてまた、国民に対しては努力義務を課しています。

 この基本法を受けて、全国の自治体では、二○○○年三月の東京都、埼玉県、出雲市などを先頭に、男女共同参画推進条例などが制定され、積極的な取り組みがなされました。基本法の制定、施行がなされた一九九九年から二○○八年までの間に、都道府県で制定された男女共同参画推進条例は四十六、区市町村では千二十二にも及んでいます。また、男女共同参画宣言都市は八十七です。本区でも、男女共同参画社会の形成を目指して、二○○一年度を初年度とする中央区男女共同参画行動計画が策定されました。

 短期間にこれだけ多数の条例や基本計画が策定され、具体的な取り組みが進んできたことは、その必要性がいかに大きいかを示しています。言いかえれば、法律や条令を制定して制度的な転換を図らなければ、日本社会に根差した性別役割分業や構造的な男性支配型社会のありようは容易に変わりそうもない状況にあると言えましょう。

 このことは、決して日本だけではありません。積極的な法的措置を導入しなければ、男女平等の達成が困難であることを認識して、世界の多くの国で政府・与党が本腰を入れて、男女共同参画政策に取り組んでおります。最近では、積極的差別是正措置ないし積極的改善措置、いわゆるポジティブ・アクションを導入することによって、政治・行政分野や雇用における女性の参画率を高めた国も多いです。これに対して、日本では、ポジティブ・アクションなどの具体的施策はほとんど実施されておりません。ゆえに内閣府発刊の男女共同参画白書や世界経済フォーラムなどのデータによると、日本のジェンダー・エンパワーメント指数は九十三カ国中五十四位、ジェンダー・ギャップ指数は百二十八カ国中九十一位、衆議院の女性議員率は九・四%足らずで、十二カ国中十一位、管理職における女性の占める割合は一○・一%で十二カ国中十位、男性の賃金を一○○とした場合の女性の賃金水準は六六・八で十二カ国中十位、男女計の家事・育児の時間に占める男性の時間割合はわずか一二・五%です。このように、我が国の男女共同参画の推進状況は大変に憂慮すべき状況にあるのです。

 その上、最近では、日本の伝統や文化を持ち出して男女共同参画の考え方に反対するバックラッシュの影響もあります。男女共同参画やジェンダーフリーが、男らしさ、女らしさなどの性差の否定や専業主婦の否定につながるという誤った考え方が一部に出現した背景には、男女共同参画やジェンダーの観念自体についての理解不足や誤解が存在していると思われます。男女共同参画を推進することが専業主婦などの選択を否定するものではもちろんないですし、性差を否定するものでもありません。目指すべきものは、男性、女性という性差に由来する固定観念や偏見、ジェンダー・バイアスなどの否定であります。

 ジェンダーとは、一般に、文化的、社会的に形成された男らしさ、女らしさと解されております。ジェンダー・フリーや男女共同参画を推進するということは、男性とは、女性とは、こういうものであるという特性論や、性差や性別についての固定観念など、いわばつくられたイメージを前提として物事を考えることをやめ、性別に基づく偏見などから解放されて、男女ともに個人として尊重される社会をつくることです。

 しかし、このジェンダー・フリーという用語は、これまでさまざまな誤解を生じたこともあり、二○○六年から使用しないことが適切との考えが内閣府から示されました。ともかくも、性差や性別をなくすという意味ではなく、性差に由来する不当な差別や偏見などをなくそうという意味であり、本来はジェンダー・バイアス・フリーのことであると改めて確認しておきたいと思います。また、男女共同参画やジェンダー・バイアス・フリーの考え方は、フェミニズムや女性のためのものではなく、性差そのもの、男女を分ける境界線そのものを問い直すことで、男女双方にとって有益な、理想的な関係を築くことを目指すものなのです。

 さて、本区においては、二○○一年度を初年度とする中央区男女共同参画行動計画が策定され、男女平等の意識啓発や男女の社会参加促進が図られました。しかし、策定から七年が経過した今では、少子高齢化の急激な進展に伴う世帯構成や、労働の担い手の変化、社会経済情勢に伴う人々のライフスタイルや価値観の多様化などにより、従来とは異なる課題への対応が求められるようになりました。

 その間、国においては、二○○五年に第二次男女共同参画基本計画及び女性の再チャレンジ支援プランが策定されました。東京都においても、二○○七年三月に男女平等参画のための東京都行動計画が改定され、仕事と生活の調和、つまりワーク・ライフ・バランスや、女性のチャレンジ支援などに関する新たな取り組みが始まりました。こうしたことから、本区においても、新たな社会環境に対し的確に対応するとともに、国や東京都の計画との整合性を踏まえ、本区の特性に配慮した行動計画の改定を行うこととなりました。それが、本年発表された中央区男女共同参画行動計画二○○八です。

 では、男女共同参画社会実現に向けての本区の具体的な取り組みについてお伺いします。

 初めに、ワーク・ライフ・バランスの取り組みについてお伺いします。

 中央区男女共同参画行動計画二○○八では、ライフスタイルに応じた多様な生き方を認め合い、支え合う基盤づくりを進めるとして、ワーク・ライフ・バランスの推進が挙げられております。既に、欧米では高い効果が上がっているワーク・ライフ・バランスですが、近年の日本においても、効果が認識され始めています。職場環境と仕事の満足度の関係に関する調査によれば、子育てする人が働きやすい職場で、かつ女性登用が進んでいる環境であるほうが、既婚女性のみならず、既婚男性や独身男女も仕事の満足度や意欲が高いことが証明されています。これは、雇用者にとっても有益なことです。

 本区の取り組みとしては、ワーク・ライフ・バランスの先進的な中小事業所を認定し、その活動を総合的に支援するとともに、専門知識を有するコンサルタントを派遣するなどとしています。本区は二十三区内で有数の事業所を抱えており、その数は四万四千社にも及びます。ゆえに、本区が事業所に対しワーク・ライフ・バランスを推進することは、大変重要な施策であると思います。

 そこでお伺いします。

 先進的にワーク・ライフ・バランスの推進をしている区内中小事業所を認定するとありますが、どのような方法で認定するのでしょうか。また、区内中小事業所におけるワーク・ライフ・バランスの実態調査はどのように行なっているでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、男女共同参画社会の実現において無視できない問題の一つ、ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVについてお伺いします。

 二○○八年一月に、配偶者暴力防止法の一部改正法が施行されました。改正のポイントは、DV被害者の保護命令や支援体制の強化が図られたことです。特に、改正前は都道府県のみに義務づけられていた配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本計画の策定が、市区町村の努力義務となりました。ですから、本区もDV問題に積極的に取り組まなければなりません。中央区男女共同参画行動計画二○○八には、「配偶者からの暴力防止と被害者保護に総合的かつ計画的に取り組むための基本計画を策定します」と示されておりますが、その基本計画はいつ策定されるでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 DVの基本的な解決策は、何といっても初期対応にあります。そして、その初期対応がしっかり行われるためには、DVが起こる前の被害者になり得る方々への意識啓発が重要です。DVには、身体的暴力だけではなく、精神的・経済的・社会的暴力などがあり、それらが複雑に絡み合っていたりします。さまざまな形であらわれるDVを、被害者が被害と認識できるかがかぎです。自分が受けているものは、もしかしたらDVかもしれないと思っても、だれにも相談できず、一人で悩んでしまう。そうなる前に、その被害者が日ごろから的確な情報を入手している、ここにDV啓発の意義があると私は考えます。いざというときにどこに相談し、どこに助けを求めればよいかをふだんから広く啓発しておくことが大事です。

 本区が設置している女性相談窓口は、区役所内の子育て支援課と女性センター「ブーケ21」の二カ所です。子育て支援課の受付は、月曜日から金曜日の九時から十七時までです。「ブーケ21」の受付は、毎週水曜日の十三時から十六時です。さらに、第三水曜日のみ十七時三十分から二十時三十分です。二カ所の相談窓口の平成十九年度におけるDV相談件数は、二十三件ありました。しかし、このほかに、潜在的なDV被害がまだまだあると思われます。問題は、働いている女性にとっては、ブーケ21の第三水曜日十七時三十分から二十時三十分だけでは利用しにくいのではないでしょうか。働いている女性のために、休日の相談窓口を拡大させる必要があると思います。

 そこで、お伺いします。

 女性センター「ブーケ21」の相談窓口を土日祝日にも開設し、受付時間も夜間まで延長してはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、DV防止啓発パンフレットについてお伺いします。

 中央区男女共同参画行動計画二○○八では、新規の発行を実施するとしております。そこで、そのパンフレットをどのように区民に配布するかが課題です。女性の目につきやすい店舗にパンフレットを置かせていただき、区民の皆さんが自由に持っていけるようにしたらよいと思います。例えば、美容室や病院、スーパーマーケット、デパートなどに置かせていただいてはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、ヨガ教室についてお伺いします。

 子ども家庭支援センター「きらら中央」のあかちゃん天国の中で行われたアンケート調査で、最もリクエストの多かったのは、親子ヨガ講座だったそうです。そのヨガ講座が本年五月二十一日、「親子で楽しく心と体のリフレッシュ!ベビーヨガ講座」として開催されました。開催前、希望者を募ると、十五組の定員がすぐにいっぱいになったそうです。五月二十一日午前中のわずか一時間の講座でしたが、参加者のお母さん方からは大反響の感想が寄せられました。「昨夜までのいらいらが吹き飛ぶようなリラックスできる内容で、ありがたかった。少しの時間でも子供と離れて体を動かせ、心も体もすっきりしました」、「ヨガを学べることもうれしかったが、ママ自身のリフレッシュになった」、などなど。中央区男女共同参画行動計画二○○八では、母子保健サービスの充実を掲げていますが、今回のヨガ講座は、まさにその理念に即した施策の一つだと思います。

 そこで、母子の健康増進のために、大好評の親子ヨガ講座を引き続き開催してはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 では、男女共同参画についての最後の質問をさせていただきます。

 日本における男女共同参画の推進状況は、世界から見れば、大変に低い水準にあります。そこで、本区が男女共同参画社会を実現し、人権都市の最先端をいく自治体となるよう、男女共同参画推進条例及び宣言都市を行うことを提案させていただきます。条例や宣言都市は、男女共同参画社会の実現に向けての区民の皆さんの機運を広く醸成していくものと思います。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、がん対策についてお伺いします。

 二○○七年版厚生労働白書によりますと、がんは我が国において一九八一年より死因の第一位であり、現在では年間三十万人以上の国民ががんで亡くなっています。また、生涯のうちにがんにかかる可能性は、男性の二人に一人、女性の三人に一人と推計されています。そのうち、三人に一人が亡くなっていると言われています。がんの医療を継続的に受けているがん患者数は、現在では百四十万人以上、そして、一年間に新たにがんにかかる患者数は、現在五十万人以上とされています。このように、がんはだれもがいつ発病しても不思議ではない病気なのです。かつて日本人の死亡原因の第一位は、結核でした。しかし、ストレプトマイシンなどの抗生物質が開発されて以来、結核による死亡は、大変珍しいものとなりました。その後、脳卒中が死因のトップに変わりましたが、一九八一年以降はがんが死因のトップになり、今日に至るまで右肩上がりにふえています。

 なぜ、これほどまでにがんがふえているのでしょうか。さまざまな原因が挙げられますが、一つには、日本人が長生きをするようになったからだと言われています。がんは、人間の細胞の設計図であるDNAに徐々に傷がつくことで生まれる異常細胞と言われています。簡単に言えば、がんは細胞の老化です。そして、DNAの傷が積み重なるには時間がかかります。たった一つのがん細胞が検査でわかるほど大きくなるには、十年から二十年の時間が必要とされます。つまり、人間が長く生きなければ、がんはつくられることはないというわけです。日本人は長生きになり、世界一の長寿国となった結果、世界一のがん大国となってしまったわけです。日本人の寿命は、今後さらに延びると言われていますから、がんは一層ふえることになるでしょう。ですから、がんは日本人にとって切っても切れない病気なのです。

 家族や友人、知人など、がんにかかった人が身近にたくさんいるはずです。そのように、がんは最大、最強の国民病であるはずですが、実は日本人はがんのことを余りよく知りません。いいえ、知りたがらないのかもしれません。がんイコール不治の病と決めつけているのかもしれません。ともかくも今日の日本においては、がんが原因で多くの国民が命を落としており、国民はがんについて大きな不安を抱えていることだけは確かです。しかし、定期的な検診により早期にがんを発見し、適切な治療につなげることで、がんによる死亡率を減少させることは可能なことです。

 現在、我が国のがん患者やその家族の状況を見てみますと、よい医師が見当たらず、どこの病院に行けばよいのかわからず、八割以上の方が日本のがん医療に不満を持っております。患者や家族の方がよい病院やよい医師を探してさまよう姿をがん難民と称されるほど深刻になっています。

 公明党は、こうした背景を踏まえ、生命尊厳の党、福祉の党として、がん対策に格段の力を入れて取り組んできました。これまでも、対がん十か年戦略や予算措置の拡充などを一貫して推進してきました。二○○六年三月には、公明党独自でがん対策推進法案も提出しました。そして、ついに、国を挙げてがんとの闘いに取り組むとの意思を明確にしたがん対策基本法が二○○六年六月に成立し、二○○七年四月から施行されました。さらに、同年六月、がん対策推進基本計画を閣議決定しました。この基本計画には、がん対策で日本が立ちおくれてきた放射線治療や緩和医療の充実などが盛り込まれています。残念ながら、がん登録は法律に盛り込まれませんでしたが、がん患者の罹患状況を把握、分析するため、地方自治体が進める取り組みを支援するとしています。

 さて、それでは、実効性のあるがん対策を展開していくために、本区としては、どのような対策を講じることがよいでしょうか。

 まずは、すべての区民が、がん予防のため、生活習慣の改善に取り組み、また、早期発見のため積極的にがん検診を受診することを目指すとともに、病状の進行や再発といったさまざまながんの状態に応じて、安心、納得できる医療を受けられるようにすべきです。そして、がんによる死亡者の減少、及びがん患者とその家族の苦痛の軽減、そして自宅療養生活の質の維持向上を目標とすべきではないでしょうか。

 がんの罹患率を低下させるには、日常生活を改善することが大切です。特に、喫煙対策が重要です。健康中央21二○○八年版で示されている本区の喫煙状況と禁煙への意識調査によりますと、現在、「タバコを吸っている」と回答した人のうち、喫煙をやめたいかと尋ねたところ、男性では六割が、女性では七割もの人がやめたいと希望しています。そのような禁煙希望者への支援として、本区は二○○六年から中央区保健所並びに日本橋保健センター、月島保健センターに禁煙相談窓口を設置し、電話などで個別相談に応じ、医療機関の紹介などを行なうとしました。しかし、残念なことに、この相談窓口に電話をかけてこられた区民は、現在のところゼロです。

 そこで、お伺いします。

 この禁煙窓口を有効に稼働させるための取り組みについて、どのようにお考えでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 言うまでもなく、未成年者の喫煙は、法的に禁止されています。未成年期に喫煙を開始すると、成人後に喫煙を開始した場合に比べ、がん、心臓病、呼吸疾患などのリスクが一層高くなります。小・中学校教育における喫煙防止教育のあり方について、健康中央21によりますと、中学校では喫煙防止教育が充実しているようですが、小学校においては十分な教育がなされておりません。

 そこで、お伺いします。

 中学校で行われている喫煙防止教育を、小学校まで引き下げて実施してはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、がん検診の受診率についてお伺いします。

 胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がん、この代表的な五つのがんの二○○五年度の本区の受診率と、二十三区における順位を見てみましょう。肺がんの受診率四二・七%、二十三区中第一位、胃がんの受診率二三・三%、二十三区中第二位、大腸がんは三七・七%、二十三区中第二位、子宮がんは一二・八%、二十三区中第八位、乳がんは五・四%、二十三区中第十七位でした。

 胃がん、肺がん、大腸がんについての本区は、二十三区中トップクラスです。しかし、国が策定した基本計画では二○一二年までの受診率を五○%にしなくてはならず、トップクラスの本区といえども、まだまだ目標には至っておりません。まして、子宮がんや乳がんの受診率となると、二十三区中においてすら、決して高い受診率ではありません。乳がんに至っては、女性の罹患率第一位であるにもかかわらず、本区の受診率はわずか数%、しかも、ここ数年後退傾向にあるのです。

 二○○七年に施行されたがん対策基本計画では、がんの死亡率を食いとめるために、受診率を五○%にすることを目標としているわけですが、宮城県、山形県、島根県、岡山県の四県は、既に受診率が四○%を超えており、目標の五○%に手が届くところまで来ています。宮城県は、二○一○年度までの三年間で、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの検診率を七○%以上にするとしており、より短い期間で一層高い目標を掲げております。山形県や福井県も、それぞれ高い目標を掲げております。このような全国のハイレベルから比較すれば、本区の受診率はまだまだ低いと言わざるを得ません。さらに、二○○八年度からは、医療保険者による特定検診が新たに導入されました。このことにより、健康保険組合などの加入者にとって、がん検診が受診しにくい状況になるものと思われます。

 そこで、お伺いします。

 区民ががん検診を受診しやすい体制に整備し、一層の受診率向上を図るべきと思いますが、区長さんの御見解をお伺いします。

 さらに、検診の結果、要精密検査と判定された区民が再度精密検査を受診するかというと、急に低い受診率になります。精密検査の受診率を向上させるために、その普及奨励に取り組むべきではないでしょうか。区長さんの御見解を伺います。

 がん対策の最後として、末期がん患者の在宅療養についてお伺いします。

 厚生労働省人口動態統計によると、平成十八年がんによる死亡場所の割合は、医療機関における死亡割合が九二・七%、自宅における死亡割合が六・二%となっています。平成十八年二月に東京都が実施した保健医療に関する世論調査によると、約半数の都民が在宅療養を希望しています。しかし、そのうちの八割が、家族に負担をかける、急に病状が変わったときの対応が不安などの理由で、在宅療養は難しいと回答しています。がん患者の意向を踏まえ、住みなれた家庭や地域での療養をだれもが選択できるよう、在宅医療の充実を図ることが求められています。

 私は、墨田区で在宅ホスピス・緩和ケアを実施しているグループ・パリアンを視察してまいりました。グループ・パリアンは、二○○○年六月の発足以来、家で死ねるまちづくりを目的に掲げ、取り組んできました。グループ・パリアンで自宅ケアをされた方の九五%が、自分の家で最期を迎えています。グループ・パリアンを利用した患者の家族は、「病院の対応では不満だった。家でみとることにより、思い残すことなく見送ることができた」と語っていました。

 二○○六年四月の介護保険制度改正では、在宅で療養する四十歳以上六十四歳の方が介護保険の対象となる特定疾病に、がん末期が新たに追加されました。しかし、がん患者の在宅療養生活の質の維持向上を図るため、在宅においても適切な外来化学療法や緩和ケアが提供できる体制の整備を図る必要があります。本区においても、末期がん患者が在宅療養するための整備をすべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、コールセンターについてお伺いします。

 本区は、近年の急激な人口増加に伴い、区民を取り巻く環境が目まぐるしく変化しております。区民生活の二十四時間化やインターネットの爆発的な増加、そして、情報ニーズの多様化などです。本区も、この区民生活の多様化に積極的にこたえなければ、スピード社会から立ちおくれていくことになりかねません。高齢化に伴い、ITを使う区民とITを使わない区民との間の情報格差、デジタルデバイドが社会問題化されてきております。その解消策として、インターネットに傾斜することなく、だれでも使える簡便な電話一本で対応できるコールセンターは、情報提供の重要な機能を果たすと思われます。

 コールセンターを導入することにより、以下のような行政サービスを区民に提供することができます。一、区民が役所に足を運ばなくても電話やパソコンを通じてサービスが受けられる。二、ITを使わない区民にも同等の情報提供ができる手段を確保することができる。三、区民の視点から、区民が望む情報を区民の手段で提供することができる。二十三区内でコールセンターを設置している区は、二○○八年三月現在、九区に及んでおります。中野区は、現在検討中とのことでした。

 私は、その中の千代田区と足立区のコールセンターを視察してまいりました。両区のコールセンターとも区民から大変に高い評価を得て、順調に運営されているとのことでした。ここでは、足立区のコールセンターの実施状況について述べさせていただきます。

 足立区がコールセンターを開設したのは、二○○八年一月。コールセンターをだれにでもわかりやすく利用していただくために、お問い合わせコールあだちとしました。言うまでもなく、足立区のさまざまな制度や手続のお問い合わせ、イベント情報、施設の案内、暮らしの質問など、どんな質問にも専門のオペレーターが直接お答えします。運営時間は、午前八時から午後七時までです。年中無休。コールセンターへの入電件数は、開始時の一月が九百七十七件、二月は千八百七十一件、三月は三千九百三十八件と、右肩上がりでふえております。よくある質問の第一位は、後期高齢者医療制度、二位は転入・転出の手続、三位は税の申告方法、四位はごみの出し方、五位は区内施設の道案内、六位は子育て関連でした。

 オペレーターの対応についての区民満足度調査によりますと、「大変分かりやすい」、「分かりやすい」が全体の九二%を占めており、大変に高い満足感を得られていることがわかります。この高得点の主な理由としては、一、区役所から郵送されてきたお知らせ書類を読んだだけではよくわからなかったが、コールセンターに問い合わせたらよくわかった。二、難しい言葉を避けて、わかりやすく説明してくれた。三、言葉遣いもよく、優しく丁寧な対応だったなどが挙げられています。以上のように、オペレーターの丁寧な対応によって、区民は区役所からの情報をわかりやすく受けとめていることがわかります。

 最も多かった質問が後期高齢者医療制度だったのはなぜかと申しますと、福祉部高齢サービス課高齢医療係では、高齢者に後期高齢者医療制度の関係書類を郵送するに当たり、書類を受け取ったときの高齢者の不安や疑問、混乱を解消するため、封筒の表にお問い合わせ先として、大きな文字でお問い合わせコールあだちの電話番号を記載したのです。案の定、コールセンターの問い合わせが集中しました。多い日の入電件数は、一日三百五十件にも上りました。福祉部高齢サービス課高齢医療係では、「コールセンターのおかげで、わかりにくい後期高齢者医療制度の説明を区民に少しでも理解してもらうことができました。オペレーターの説明に、区民は満足感を得たと思います」としています。

 このように、コールセンターは、区民へのサービス向上に確実な効果を上げるものです。自治省、現総務省は、一九九七年十一月に地方自治新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針を発表しています。その中でうたわれていることは、行政改革の推進に当たっては、既存の枠組みや従来の発想にとらわれない柔軟な姿勢で住民へのサービス向上、制度の企画立案等に取り組むことが重要であるとしています。

 そこで、お伺いします。

 中央区区民への一層のサービス向上のために、本区にもコールセンターを設置していただきたく思いますが、区長さんの御見解をお伺いします。

 以上で、私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
鈴木幸子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、男女共同参画社会についてであります。

 まず、ワーク・ライフ・バランスについてお答えいたします。

 数多くの事業所を抱える本区が、ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組むことは、男女共同参画社会の実現に向けて大いに意義があるものと考えております。そのため、本年三月に策定した本区男女共同参画行動計画二○○八において、ワーク・ライフ・バランスを推進している区内中小事業所を認定し、融資あっせん等具体的な支援を行うことといたしております。その認定に際しては、企業の取り組みの実情を的確に把握しながら、例えば子育て支援や介護支援、働きやすい環境づくりなどの項目について審査することを考えております。具体的方法につきましては、今後十分に検討してまいりたいと存じます。

 一方、企業へのワーク・ライフ・バランスの普及につきましては、国では、仕事と生活の調和推進官民トップ会議による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が昨年十二月に策定されたばかりであり、まだまだこれからという状況にあります。そのため、区内事業所に対する実態調査の実施につきましては、まずはパンフレットの作成配布などにより積極的に区内事業所への普及啓発に取り組み、一定程度普及した段階で判断してまいりたいと存じます。

 次に、ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVについてお答えいたします。

 DVについては、毎年十一月に行われる、女性に対する暴力をなくす運動の期間にあわせ、本庁舎、日本橋・月島両特別出張所においてパネル展を開催して被害防止の啓発に努めております。また、女性センターでは、DVの相談をはじめとする各種女性相談のため、相談窓口を開設し、面接または電話による相談事業を行っております。その際、必要に応じ、子育て支援課の女性相談や東京ウィメンズプラザ、東京都女性相談センターなど関係機関を御紹介しているところであります。

 DVに関する相談は、今後、利用実態や潜在的需要を勘案しながら、回数増等相談窓口の充実を図ってまいります。また、DV被害者の未然防止及び潜在的な被害者への支援として、DV啓発パンフレットの配布が重要であると考えており、区施設はもとより、御提案のありました美容院等を含め、女性が出入りしやすい場所での配布を工夫してまいりたいと存じます。以上のようにさまざまな取り組みを行ってまいりますが、DV対策は、より計画的に推進していく必要があると考えており、本区男女共同参画行動計画二○○八で配偶者等からの暴力防止と被害者保護に関する基本計画の策定を規定したところであります。策定の時期につきましては、DV対策は本区だけの問題ではなく、広域的な支援を踏まえた対応が必要となりますので、東京都が今年度改定する配偶者暴力対策基本計画の内容を精査した上で、計画の策定に取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、親子ヨガ講座についてであります。

 子ども家庭支援センター「きらら中央」では、乳幼児の救急救命講習や絵本の読み聞かせなど、さまざまな講座を開催しております。中でも、先月実施した親子ヨガ講座は、親子の楽しい触れ合いや産後の母体のケア、心身両面のリラックスなど多くの効用があり、参加者からは、自分の心と体に向き合う時間が持てた、育児の疲れ、不安の解消ができたなど、好評をいただきました。こうしたことから、ヨガ講座を年度内に再度実施する予定であり、今後とも利用者の御要望などを伺いながら、各種の講習、講座を積極的に開催してまいります。

 次に、男女共同参画推進条例及び男女共同参画宣言都市についてであります。

 男女共同参画社会づくりを推進するに当たって、条例を制定し、また宣言を行うことは、自治体としての明確な姿勢を打ち出すものであり、一定の効果があるものと考えております。一方で、具体的事業を進めるに当たっては、条例のもとでの行動計画の策定などが欠かせないところであります。本区では、本年三月、男女共同参画推進委員会の御意見、御助言をいただき、中央区男女共同参画行動計画二○○八を策定したところであります。今後は、この行動計画の実現を図りながら、本年六月に新たなメンバーで発足した男女共同参画推進委員会でさまざまな観点から御討議いただけるものと期待しております。

 次に、がん対策としての禁煙相談窓口についてであります。

 保健所、保健センターでは、健康中央21に基づき、禁煙したい人への支援対策として、平成十八年度から禁煙相談窓口を設置するとともに、健康福祉まつりや健康増進フェアなどのイベントでも相談を実施しております。相談窓口の利用実績は、当初の見込みを下回っていますが、出産を控えた夫婦を対象とした両親学級に参加した喫煙中の方五十四名に指導した結果、九名が継続して禁煙サポート事業に参加し、二名が禁煙に成功しております。喫煙者のがん発生率が高まることは、統計上からも明らかであり、今後は禁煙相談窓口についてホームページや各種事業、区内事業所への働きかけを通じ積極的に周知を行うとともに、妊婦や乳幼児のいる家族など、特に禁煙が求められる方や禁煙を希望する方に対する支援体制を強化してまいります。

 次に、小学校における喫煙防止教育についてであります。

 未成年の喫煙防止対策として、平成十八年度に区独自の啓発冊子「SUWANAI CHUO」を作成し、中学校に配布しました。さらに、平成十九年度は保健所、保健センターによる中学三年生に対する健康教育を実施しました。しかし、未成年者の喫煙防止と成人になってもタバコを吸わない生活習慣を身につけるためには、より早期からの教育が必要であります。

 そこで、今年度からは、中学校に加え、小学校への出前健康教育事業を開始し、既に一校で小学校五・六年生を対象に実施したところであります。今後も学校と連携し、未成年者の喫煙防止対策を推進してまいります。

 次に、がん検診の受診率向上についてであります。

 がんは、国民の疾病による死亡の最大の原因であり、早期発見・早期治療が最も重要であります。昨年実施した健康・食育に関する意識調査では、健康診査を受けない理由として時間がない、面倒だ、病気と診断されるのが怖いなどが挙げられており、正しい知識の普及や意識の向上、受診しやすい体制づくりが必要であると考えております。本区では、これまで受診率向上に向けて、制度の周知や啓発、通知方法の工夫、実施医療機関の拡大などに取り組んでまいりました。こうした中で、平成十九年度の受診率は、肺がん五四・七%をはじめ、すべての検診で向上しておりますが、今後一層これを高めていくことが大切であります。そのため、引き続き実施機関の拡大や休日実施などに取り組むとともに、区のおしらせやホームページ、健康福祉まつりや健康増進フェアなどの機会をとらえて、検診の重要性やがんに対する知識を周知、啓発してまいります。なお、医療制度改革により、本年度からは各医療保険者ごとに特定健診が実施されますが、がん検診につきましては、加入している保険の種別に関係なく、今までどおり対象の区民全員に区が実施してまいります。また、精密検査につきましては、検診機関が専門医療機関を受診者に紹介するシステムになっておりますが、区による受診勧奨や受診状況の把握については、改善の余地があるものと考えております。今後、検診機関との連携を強化するとともに、効果的な精密検査の受診勧奨などについて検討してまいります。

 次に、末期がん患者の在宅療養についてであります。

 末期がん患者の在宅療養に当たっては、医療及び緩和ケアに加えて、介護する家族の身体的・精神的負担を軽減していくことも重要であります。そのため、二十四時間往診などの対応が可能な在宅療養支援診療所や訪問看護とともに、デイサービスなどが連携していくことが必要であります。特に、医療機関と連携したデイサービスである療養通所介護は、患者の社会的孤立感解消などに有効であるとともに、介護者の休息にもつながります。区内では、現在、在宅療養支援診療所と訪問看護事業所により末期がん患者のケアが行われておりますが、療養通所介護事業所については、指定が都内で三カ所にとどまっており、本区にはまだ整備されておりません。区といたしましては、区民がこうしたサービスを利用することができるよう、療養通所介護の整備に向け、良質な民間事業者の誘導を図るなど、積極的に取り組んでまいります。

 次に、コールセンターの設置についてであります。

 区民生活に一番身近な行政である区役所には、毎日さまざまな問い合わせや相談などが寄せられております。本年五月一か月間の電話交換取り扱い件数は七千二百五十九件であり、一日平均で約三百六十件の問い合わせに電話交換オペレーターと各担当職員とが連携して適切に対応しているところであります。御提案のコールセンターは、区役所が閉じている時間帯にも問い合わせが可能なことや、担当部署がわからないときでも一定程度の情報がワンストップで得られるといったメリットがあるものと認識しております。しかしながら、定型的な質問には有効に機能するものの、プライバシーに触れる個別相談や専門的な問題には対応できないこと、さらには職員が区民の声を直に聞く機会が減少するといった問題点も指摘されております。また、費用とその効果についても十分に検証すべき課題があると考えております。現在、区では年度末・年度始めの土曜日窓口開庁や毎水曜日の時間延長により区民の利便性を図っております。この七月には長寿医療制度に関する夜間や休日の臨時相談窓口開設を計画しており、区民サービスの向上に努めているところであります。今後、このような取り組みを進めるとともに、他自治体の導入状況を十分に研究しながら課題を整理し、本区にふさわしい区民サービスのあり方について検討してまいりたいと思います。

 答弁は、以上であります。

〔十六番 鈴木幸子議員登壇〕

○十六番(鈴木幸子議員)
 それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。

 ワーク・ライフ・バランスについてですが、区内において有数な事業所を持っております本区としまして、ぜひとも全国の模範になるようなワーク・ライフ・バランスの事業所の推進を期待しておりますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 それから、DVについてでありますが、先週の木曜日でテレビ番組が放映終了されましたけれども、「ラスト・フレンズ」という長澤まさみ主演のテレビドラマですけれども、これが実は若い女性の方々に大変高い視聴率をもって最終回を終えました。これは、実はDVを扱ったテレビ番組だったんですけれども、現在、若い男女、男女交際が本当に行われているのが当たり前のような社会の風潮ですけれども、一方におきまして、まだまだ男性から暴力を受けて被害に泣いている女性が大変まだまだ潜在的に多いというふうなことが言われております。全国的にも、それから東京都のDV相談窓口においても、年々DVに対する問題が増加傾向にあります。ぜひとも、潜在的には、本区におきましても二十三件どころではなく、もっともっと被害を受けているであろうと思われるDV被害の方々、そしてまた若い女性の方々にもですけれども、ぜひとも周知徹底を図っていただきたいと、このように思います。

 それから、がん対策についてでありますが、私もがんで家族を亡くした者の一人として、がんに対する知識が余りにも無知であったということと、それから、患者がどれほど自宅に帰りたいかということを私も切実に体験をいたしました。末期ですから、自宅に帰るときはもう三か月とか、そんな期間なんですけれども、やはりこれからがんがふえるであろう、そのため、そしてまた家族の方、介護する方が多分御高齢になるであろう方々のためにも、介護のために病院通いすることも、実は家族の方にもとても大変な心労でありますので、ぜひとも早期にこのような環境を整備していただきたいと、私は体験者の一人として、切に希望するものであります。

 それから、コールセンターですけれども、近年、職員の方々の対応は非常によくなったというふうなこともありますが、実はまだまだ電話の対応の職員の方が非常に、どちらかというと高圧的であったという苦情等も受けております。万が一、コールセンターが設置されましたら、皆さんがもっと気軽に、身近に区役所に相談を持ちかけられるのではないかというふうに思います。そして、三百件以上よりもっと多くの相談件数がコールセンターなどに問い合わせされるのではないかというふうに私は思います。ぜひとも一生懸命研究されて、コールセンターの早期の導入をお願いしたいと思います。

 以上で、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(神林 烈議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時二十六分 散会


署名議員
議長 今野 弘美
議員 鈴木 久雄
議員 植原 恭子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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