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平成20年第三回定例会会議録(第3日 9月26日)

1.会期

二十四日(第三日)
九月二十六日(金曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開会
午後五時三十三分散会

3.出席議員

(二十九名)
一番 志村 孝美議員
二番 木村 克一議員
三番 礒野 忠議員
四番 増渕 一孝議員
五番 鷲頭 隆史議員
六番 田中 広一議員
七番 中島 賢治議員
八番 田中 耕太郎議員
九番 田辺 七郎議員
十番 二瓶 文隆議員
十一番 原田 賢一議員
十二番 石田 英朗議員
十三番 中嶋 寛明議員
十四番 鈴木 久雄議員
十五番 植原 恭子議員
十六番 鈴木 幸子議員
十七番 小坂 和輝議員
十八番 岡田 眞理子議員
十九番 小栗 智恵子議員
二十番 鞠子 勝彦議員
二十一番 今野 弘美議員
二十二番 押田 まり子議員
二十四番 石島 秀起議員
二十五番 矢吹 和重議員
二十六番 田畑 五十二議員
二十七番 青木 幸子議員
二十八番 高橋 伸治議員
二十九番 渡部 博年議員
三十番 守本 利雄議員

4.欠席議員

(一名)
二十三番 神林 烈議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君
副区長 髙橋 邦夫君
副区長 吉田 不曇君
教育長 髙橋 春雄君
企画部長 小泉 典久君
総務部長 斉藤進君
区民部長 小池 正男君
福祉保健部長 斎藤 裕文君
高齢者施策推進室長 竹内 利雄君
保健所長 東海林 文夫君
環境部長 能瀬 晶子君
土木部長 越地 壽宜君
都市整備部長 室木 眞則君
会計管理者 西川 昭男君
教育委員会事務局次長 齋藤弘君
監査事務局長 山﨑 栄三君
企画部参事 新治満君
(企画課長事務取扱)
財政課長 田中武君
広報課長 信坂 留吉君
総務課長 田野 則雄君

6.議会局出席職員

議会局長 土屋 篤志君
庶務係長 遠藤 龍雄君
議事係長 土谷 昌彦君
調査係長 横山 信一君
書記 村上 和夫君

7.議事日程

日程第一
一般質問

日程第二
議案第三十九号 平成二十年度中央区一般会計補正予算

日程第三
議案第四十号 平成二十年度中央区国民健康保険事業会計補正予算

日程第三
議案第四十一号 平成二十年度中央区介護保険事業会計補正予算


午後二時 開議

○議長(今野弘美議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(今野弘美議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十八番岡田眞理子議員。

〔十八番 岡田眞理子議員登壇〕

○十八番(岡田眞理子議員)
 民主党区民クラブの岡田眞理子でございます。本年二度目となるこのような質問の機会を与えていただきましたことに感謝いたしますとともに、この大切な時間を意義ある場となるよう努めてまいります。それでは、民主党区民クラブの一員として、区政の当面する課題につきまして、さきに通知いたしました通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。区民の代表として、区民の目線での質問としてとらえていただき、ここに建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 まず、本区の人口が十一万人を突破したことにお喜び申し上げますとともに、関連いたしまして、中央区のまちづくりについて御質問いたします。

 本区では、定住人口回復を区政の最重要課題と位置づけ、昭和六十三年一月から人口の維持・回復に取り組み、およそ二年半前の平成十八年四月四日に長年の目標であった人口十万を達成し、今日十一万人突破となったわけですが、それも、これまでのさまざまな施策が功を奏したものと思われます。殊に、三十歳代を中心にした若い層の方の転入が多いことから、子供たちもふえ、二十三区中でトップだった高齢化率も一六・七%と、他区の一七%以上に比べ、今では一番低い区になりましたことは、まことに喜ばしい限りであります。

 区のホームページには、今後とも、にぎわいを地域にしっかりと定着させ、活力ある社会をつくるため、子どもから高齢者までだれもがいきいきと活躍できるまちづくりを推進してまいりますとあります。幸いにも、本区には銀座、日本橋と、人のにぎわいが集まる場所が多くあります。ことしは、あと数日で終わりとなるようですが、NHKテレビの朝の連続ドラマで月島が取り上げられましたことによって、月島の西仲通りは平日でも人のにぎわいであふれ返っています。通りから左右につながるたくさんの路地の一つ一つを立ちどまってのぞいてみたり、通り抜けてみたりして、「下町だね。いいね」とか「風情があって何だか懐かしいね」といった言葉を発しながら、外から見えた方々は楽しそうに歩いています。

 そんな月島のまちも、再開発によってまちの顔が変わろうとしています。私自身は、再開発によって防災や防犯に強いまちづくりをすること、個別に建てかえが難しい場合の共同住宅の建設には反対ではありませんが、まち全体を見渡したときのデザインという観点から、そのまちまちにふさわしい建て方があるのではないかと思っております。ヨーロッパの古いまち並み、ブルージュにしても、ロンドンにしても、中心のオフィス街やショッピング街を除いて、人の住むまちは長い歴史と伝統を受け継ぎ、生活環境、住環境を配慮した形でつくられています。本区でも、再開発によってそれが乱開発とならないように秩序あるまちづくりを考えていただきたいと思います。経済優先の目先のことだけでなく、三十年、五十年たったときのまちの姿を思い浮かべながら、古いもの、よきものは後世に伝えていけるような配慮は、今を生きている私たちの義務と責任であります。

 東京駅が改築されるとなったとき、日本の人々は、辰野金吾と葛西万司が設計したあの赤れんがの駅舎を壊すことに反対の声を上げました。当時は本当に壊されかねない状況で、かんかんがくがくとして新聞紙上をにぎわしましたが、やはり民意が通じ、丸の内側の赤れんが駅舎は今日残されました。

 「日本という国は何でも新しければよいと昔のものを壊してしまう」と、よく年配者が言っていた声が耳に残っていますが、バブルがはじけ、景気が悪くなり、やっとここで回復の兆しがと思ったら、サブプライムだ、リーマンだと、アメリカの影響をもろに受け、景気の先行きも危ぶまれる状況にあります。今や、堅実なまちづくりを模索するときだと思われます。今、本区では、勝どき、晴海、湊、月島と、開発が次々に進められていますが、行政主体ではなく、そこに住む地域の人々の声を、また声なき声を聞く姿勢でもって臨んでいただきたいと思います。

 まちづくり協議会が本区では運営されていますが、区内における地域特性を生かしたまちづくりの整備構想や整備計画等について、区と地域住民と意見交換を重ねながら災害に強いまちづくりを推進していくと、その目的に掲げられてあります。各地区の特性に合わせたまちづくりを推進するためには、必要不可欠な協議会であると考えます。住民すべての意見を集約することは容易なことではありませんが、しかし、まちづくり協議会の分科会というものが各地区の中で設置されているところでもありますので、今までのまちづくり協議会よりもより多くの意見を聞く場として、この分科会が有効と思われます。再開発などの地域にはこの分科会を積極的に導入していくことが考えられますが、いかがでありましょうか。

 これまでは行政任せのまちづくりが多かったようですが、今や住民主体のまちづくりに移行していく時代になってきています。晴海地区には晴海デザイン協議会というものがあると聞いております。それはまちの中から声が上がって生まれたもので、陰にはいろいろな方々の御尽力もあったものとうかがえます。

 以上、これらを含めまして、住民にとって住みやすい環境に配慮した本区のまちづくりのグランドデザインをぜひしっかりと描き上げていただきたいと切望するところでございます。

 そこで、お伺いいたします。

 この中央区のまちづくりに関して、再開発を含め、まちづくり協議会などをどのようにお考えかお聞かせください。

 次に、教育に関連した事柄三点について御質問いたします。

 一点目は、中学生への職業教育についてです。

 昨今のニートやフリーターといった就業構造の変化、そしてまた非正規雇用の形態など、この近年におきましては、日本の社会の将来を大きく揺るがすかのような構造が見られてきています。このような状況は、ますます格差社会を増大させ、負のスパイラルが強化されることにつながりかねないと懸念するばかりでございます。また、自己中心的な幼い思考に基づいた青少年犯罪の多発、残虐性など、大人である私たちがつくってしまった社会のひずみであるとしたら、これらを是正していく責任が私たちにはあるのだと考えないわけにはまいりません。

 こういった状況に対して、やはり子供のうちから、働くということ、生きるということ、大人になるということなどをじっくりと考える教育が大事だと思われますし、こういった教えがどこかで欠落してきてしまっているのだと反省せざるを得ません。とするならば、今、ただ憂慮するだけではなく、学校教育の中で最大の効果を上げるべく指導が必要であると考えます。今でさえ授業内容をこなすのに時間がいっぱいだと学校の先生方には敬遠されそうですが、多感な年ごろのこの時期にしっかりと自分の将来を考えさせるための特別なカリキュラムを設定していく必要性を感じます。また、本区は、日本の中心となる大企業が多く集まっている昔からの商人のまち、文化と歴史にあふれた地域でもあります。すぐれた人材が豊富であるといったこの恵まれた環境を生かした、本区独自の教育をつくっていくことが可能な状況にあります。

 中学一年生、二年生あたりを対象に、仕事教育、職業教育、社会教育の講座を学期に一回ずつカリキュラムに組み込んでみてはどうでしょうか。進路を考える、人生を考える、社会を考えるときの手立て、参考となるようなプログラムを構築し、先人の知恵と知識を分け与えていただくのです。偉人伝を読むことも大いに勧めたいところではありますが、活字離れしている子供たちには目の前でリアルな話を聞くことが効果的だと思われます。例えば、ある会社の社長さんからは、社長になるまでのそれまでの人生を語っていただくとか、何代にもわたって商いをしてこられたお店の御主人からは、仕事の御苦労や楽しいことなどのついでに、まちの歴史にも触れていただくとか、さまざまな工夫が考えられると思われます。

 ちょうど、この考えをまとめていましたところ、「やりたいしごと 楽しく探そう」という見出しの記事が新聞に載っていました。子供へのキャリア教育が必要だという認識が広まってきたことから、あるNPO法人が子供たちに本当に必要なものは何かといった議論から開発した独自のプログラムを実践してきた、その活動と成果の報告が掲載されていました。小学生対象のようですが、例えば「お仕事マップ」というプログラムでは、紙の真ん中に好きなことを書き、周りに関連する仕事を書いていく。また、関心を持った仕事につくための調査方法を身につける「なるには探偵団」、職業人にインタビューをして新聞にまとめる「かっこいい大人ニュース」などがあるそうです。そこには、「将来、子どもが社会に出るときに、どんな職業が必要とされるのか、先生も親も新たな視点が求められている。子どもが仕事の発想を狭めないよう、親も発想転換が必要だ」と、リクルート事業戦略支援ユニットの部長さんの言葉が載っていました。

 やはり時代は進んできているのですから、文科省からの教科書中心に頼ったカリキュラムではなく、自由発想を大いに取り入れ、教育に関しては多くの大人がかかわっていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 二点目は、環境教育についてです。

 環境問題は、現代を生きるに当たって地球の将来に向けた気候変動問題の重要性と緊急性を持つ、もう避けては通れない必至の課題です。ことしは洞爺湖サミットが開催され、そこでは気候変動問題について、二○五○年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも五○%削減するという長期目標が決まりました。そして、世界全体の目標として、すべての国連交渉参加国の共有と採択することが求められ、その認識で一致したサミットでもありました。

 身近な生活の中では、サーマルリサイクルをはじめ、エコバッグの使用や冷暖房の節約などが取り上げられ、子供たちの生活の中でもペットボトルの回収やごみの分別がいきわたっています。しかし、CO2削減の問題はそう容易に解消できるわけではなく、朝起きてから夜眠るまで、毎日の生活の中で心して実践していかなくてはならないことだらけです。

 私は、今、区の環境学習講座で勉強させていただいていますが、参加者は、若い方で三十代後半のサラリーマンが一名いらっしゃいますが、あとは皆中年以上の方々です。もっともっと若い世代の方々が関心を持ってくれたらと、残念に思っております。講座内容は非常に中身が濃いもので、講師の先生方の説明もわかりやすく、この地球が抱えている環境問題の重大さをひしひしと感じているところです。

 二週間ほど前の講座では、中央防波堤の東京都廃棄物埋立処分場と海の森建設予定地の見学に行ってまいりました。この処分場の見学は私は三度目でしたが、サーマルリサイクルが始まったことによって不燃ごみがぐんと減ったという事実を目の当たりにして驚きましたし、また、埋立地がさらに拡充されていることも、この目で確かめてくることができました。主催の環境保全課の職員の皆様の御努力がうかがえ、感謝の思いでおります。

 そこで、中央区での子供たちへの環境教育はどの程度まで行われているのかと心配になってきました。学校によっては、ビオトープをつくって自然体験を推進したり、生活科やゆとりの時間を活用して地域に準じた環境教育を施したりしているようです。私は、生活の中で実践に基づいた環境教育が必要であると思っておりますし、それは日ごろの生活の中で培われる教育であることが大事であると考えております。本区では、エコまつりや子どもとつくる環境まつりなどを通して子供たちへの啓発も行われていますが、大人への環境学習講座のようなものを子供たちにも広げてみてはいかがかと思います。学校教育の中に取り入れていくには、縦割り行政ではなく、環境部と教育委員会が共同で行えばできることだと思われます。そして、その指導は学校の先生に任せるのではなく、環境学習講座で協力してくださっているエコビーイングや環境ネットワークの方々にボランティアとして活動していただければよいと思われますが、いかがでしょうか。

 海の森は三十年後に完成を目指しているようですが、今小学生である子供たちが大人になったとき、自分たちが環境学習で学んだことを実践してきたことを感じながら、今、CO2も削減され、地球の温暖化も解消されたんだと胸を張って言えるような、そんな社会になっていることを願っております。そのためにも、ぜひ効果的な環境教育の実現を願うものでありますが、どうお考えでしょうか。

 三点目は、絵本の読み聞かせを中心にした活動についてです。

 今、区内の幼稚園や小学校の一部ではボランティアによる絵本の読み聞かせ活動が行われていますが、すべての園や学校で行われているわけではありません。

 ボランティアの方々の活動を知るべく、ことし四月にその会合をのぞかせていただいたことがありますが、朝の九時に集まられ、まず、前回の読み聞かせ活動の反省点を話し合われていました。そして、困った点、工夫や改善を要する点など、活発に意見を出されていました。次の回に、翌月のスケジュールについて話し合われ、何曜日のどこのクラスにはだれとだれのペアが行くなど、細かい役割分担まで決められ、最後に、次に読む本を決める作業に入っていました。この絵本の選定もとても丁寧で、それぞれ年齢に見合った絵本を、図書館で借りてきたり書店で購入したりしたものを何点かずつ持ち寄って、全員の前で選んだ理由などを説明した後、実際に子供の前で読むように皆さんに読み聞かせをしてみせます。そして、その後に、今紹介された本の内容について、これが適切かどうか、よい点や、もし好ましくないと思われれば、その点についての意見交換などがなされ、続けて、今度はいよいよその読み聞かせの仕方について、読み方が速いとか、抑揚がないとか、絵のページをもっと広げて見せたほうがよいとか、さまざまな意見が活発に飛び交っていました。朝から始めてお昼過ぎまで、時間をたっぷりかけて十分な準備をされた上で子供たちを読み聞かせをしようとする、このボランティアの方々の熱意には頭が下がりました。

 このような絵本の読み聞かせ活動は、私もかつては仕事柄行っておりました。手前みそで恐縮ではありますが、少し御紹介させていただきますと、絵本には子育てのヒントがいっぱい詰まっているということから、お父さん、お母さんに、まず、読んでほしいと絵本を紹介し、大人の皆さんと読む活動を二十数年やってまいりました。その報告がてら一冊の本にまとめましたところ、その年の夏休みには福島テレビで取り上げてくださいまして、視聴者からの反響が大きいということで、その年度末の三月末まで絵本のコーナーの番組を持たせていただいたことがございます。やはり絵本の持つ力は大きいなということを改めて知った次第ですが、教室の子供たちとうまくやっていけたのも、絵本の力が大きくありました。

 入学式の日から毎日欠かさずに二年間読み聞かせをしたこともありますが、そのときの子供たちとはもとより、お母さん方とのつながりはいまだに長く続いております。子供同士の中にいじめの芽が出だしたときは、レオ・レオニという作者の「あおくんときいろちゃん」や「まっくろネリノ」という絵本を読み聞かせたり、友情について考えさせたいときは「ふたりはともだち」というガマ君とカエル君の話を読み聞かせたりと、いつも絵本の力をかりてクラスをつくってまいりました。余計なお説教や訓話など全く必要なく、一冊の絵本が子供の心の中にしみ込んでいくことが何よりの教育となっていたのだと思われます。

 ささやかな私の経験ではありますが、学校教育の中にもっともっとこの絵本の読み聞かせ活動が取り入れられることを願っております。ちょうど区内ではボランティア活動で取り入れている園や学校がありますし、これを拡大していくだけでできることです。現在は読み聞かせのサークルの方々が行っていますが、これを地域の方々中心に行っていただいたらどうかと考えます。団塊の世代の方々が大量退職され、まだまだ知力、活力ともにみなぎっている方々にお力をお借ししていただく。その指導は、これまでのボランティアグループにリードをとっていただくのがよいと思われます。今活動されている方々は、お孫さんがいるといった年配の方々です。子供たちがこうした人生の先輩から読み聞かせていただくことにより、人との触れ合いやマナーまでをもいつの間にか学び取れるようになっていけば、こんなメリットはありません。地域の年配者と子供たちとが触れ合う格好な機会となりますし、子供たちは遠くに離れている自分のおじいさんやおばあさんを思い出したり、年配者を思いやる心を見出したりと、大きな成果が期待できると思われます。型どおりの教育活動ではなく、日ごろから慈愛の心を育てる教育活動を、この教育の中央区の特色としてはいかがでしょうか。区内すべての幼稚園や小学校での、この絵本の読み聞かせ活動が行われることを願ってやみません。

 そこでお伺いいたします。

 以上、教育施策に関連した中学生の職業教育、環境教育、絵本の読み聞かせ活動のこの三点につきまして、前向きな区のお考えをお示しください。

 次に、ひとり親家庭への支援対策について御質問いたします。

 若くして夫に先立たれ二人の保育園児を育てている近所のお母さんと、先日、ばったり出会い、近況を聞く中で、子供二人の保育園がそれぞれ違うので送り迎えが大変なことをはじめ、日々の生活の中で頑張っている様子など、お話を伺いました。その中で一番何とかならないかと思うのは、住まいの問題とのことでした。現在住んでいる公団は高過ぎて大変なので、都営住宅か区営住宅に入りたいけれど、入居希望者が多いのだから、宝くじを当てるようなものですと嘆いておられました。「家庭状況が考慮されるといいのですがね」と言いますと、区の相談窓口でも何とかと相談してみたけれど、「今どき母子家庭なんて珍しくありませんよ」と言われてしまったとのことです。病気で配偶者を亡くされ頑張って子育てしている若いお母さんには、こたえた言葉だったようです。

 それにいたしましても、この住宅問題に関しては、ひとり親家庭への支援策の一つに挙がってもよいのではないかと思いましたので、このひとり親家庭への支援対策をインターネットで調べてみましたが、全国どこも同じようなメニューが載っているばかりでした。

 この三月に、中央区ひとり親家庭実態調査報告書が出されましたが、本調査の目的は、第二次中央区保健医療福祉計画の次世代育成支援行動計画部分の見直しに向けて必要な資料を得るため、区内在住のひとり親家庭の生活実態を把握することとありました。そこからの資料によりますと、本区におけるひとり親家庭は、女性の割合が九割を超え、就労状況もおよそ九割が働いている状況であることがわかります。そして、その就労状況については、常勤が五割で、パートやアルバイトが三割を占めています。年収では、百万円から二百万円未満、二百万円から三百万円がそれぞれ三割を占め、経済状態は決して楽ではないことがうかがえます。日ごろの悩みについての調査でも、生活費に関することの割合がおよそ六割で最も高かったとの結果から、さきの若いお母さんが生活はぎりぎりだと言っておられたことがうなずけました。

 こうしたひとり親家庭の経済的負担が少しでも軽減するには、行政の力が大きな頼みの綱であり、まず、やはり住宅問題が一番の課題ではないかと思われます。区民住宅、区営住宅の優先入居はもとより、家賃の補助についてもお考えいただけないでしょうか。もちろん、他の助成と同様に、これには所得制限を付加する必要はあると思われます。

 次に、すぐに就労に結びつくことのできるような職業訓練や技能訓練の充実と就職のあっせん援助を提案いたします。

 飯田橋の東京都しごとセンターの中に東京都母子家庭等就業・自立支援センターが設けられていますが、住まいのある区内において受講でき、また、できることなら区内での就職が見つけられるよう行政が手助けしてくださったなら、ひとり親家庭で頑張っていらっしゃる方々の不安も軽減されることと思われます。

 三つ目に、ひとり親家庭相談の受付時間についてですが、現在は平日の午前九時から午後五時までとなっています。対象者はほとんど働いているわけですから、この時間帯ですと、休みをとってでないと相談に出かけられません。平日の夜間にも相談できる日を一週間に一回設けるとか、あるいは土日の相談日を月に一回は設けるとか、利用者が利用しやすい時間帯を考えるべきではないでしょうか。この相談は、ひとり親家庭だけでなく女性相談も兼ねているようですから、なおのこと、一人でも多くの方が利用しやすい形にしていただきたいと思います。

 四つ目に、保育園に関してですが、実態調査報告書によりますと、保育園に入れないと働けないのに、仕事を持っていないと保育園には入れないと言われたとの声が書かれています。でき得るならば無条件で保育園入園を許可、優先と望みたいところではありますが、待機児童の多い現状をかんがみますと難しい問題だと思われます。ただ、こういった状況を深くとらえて保育園を充実させることを第一にしていただき、また、定員の面や時間延長なども考慮に入れた保育サービスの拡充に行政として取り組んでいただきたいと思います。

 五つ目に、保育園に関連いたしまして、病児保育の充実をお願いいたします。

 実態調査報告書には、仕事と子育ての両立が困難な理由に、子供が急な病気のときに面倒を見てくれる人がいないことの割合が約六割で最も高かったとあります。病児保育は、病気発症初日からの緊急預かりを実践し、その充実に努めていただきたいと思います。そして、これらはひとり親家庭のみならず、子育て世代にとってはとても大事な事柄だと思われます。

 そこで、お伺いいたします。

 ひとり親家庭の方々が安心して生活していかれるようにするため、中央区ではどのようにお考えか御所見をお聞かせください。

 最後に、ワーク・ライフ・バランスについて御質問いたします。

 この夏はワーク・ライフ・バランスについての研修会に出る機会が複数回ありまして、世の中の流れは、今、これなのだということを感じ取ってまいりました。ワーク・ライフ・バランスとは、だれもが働きやすい仕組みをつくることだそうです。政府は、一九九四年にエンゼルプランを策定して以来、保育サービスの拡充などに力を注いできましたが、効果が上がらず、そうした中、仕事と生活の調和を図ることが出生率回復につながるという考え方が広まり、二○○四年策定の少子化社会対策大綱に重点課題として、このワーク・ライフ・バランスが明記されるなどとして、少子化対策の柱に掲げられるようになったということです。

 さて、私たちの国は経済大国日本と言われ、GDPでは世界第二位ですが、労働生産性で見ると、主要先進国七カ国の中では最下位であります。労働時間はどの国よりも長いのですが、それにもかかわらず、このような結果が出ているのは、これは人口が多いからであって、労働生産性という一人当たりの付加価値で見ると非常に低いということです。終身雇用制度が崩壊し、非正規雇用である派遣社員やフリーターといった雇用環境に変化が生じ、少子化による人口減少の縮小経済の中で日本はこれからどうなっていくのか、これまでの働き方では成り立っていかなくなっているのだという危機感すら出てきています。まずは意識の変革が必要だとよく言われますが、労働者である私たち一人一人は大きな枠組み、国であり、会社であり、それぞれの組織の中で生き、生活を成り立たせているわけであり、だれもが働きやすい仕組みをつくることを個人がどれだけ、どのように考え、努力を重ねていけばよいのか、路頭に迷うのは下々の市民であります。

 民間では、社会経済生産本部が平成十八年の六月、国や自治体に基本計画の作成を求めるワーク・ライフ・バランス推進基本法の制定を提言し、八月には経済界、労働界らの代表約百人で推進会議を設立したと言われています。また、一部の先進企業では、労働力が減る一方で女性の七割が出産を機に離職していることから、せっかく育てた女性が退社するのは損失であるというコスト意識を重要視し、合同で研究会をつくったりして情報を交換していると聞いております。

 こうした中、内閣府が一昨年に実施した男女の働き方と仕事と生活の調和に関する調査では、性別、結婚の有無に関係なく、仕事優先を希望した割合は一、二%にすぎないといった結果が出ています。このことから、働く側も仕事一辺倒の生活を望んではいないことがうかがえます。だれもが働きやすい仕組みをつくるには、まずは女性の雇用を確実に進めることと若者の就職を支援すること、そして、日本古来のものづくり業を復活させることだと考えます。殊に日本では、少子化対策の柱としてワーク・ライフ・バランスがうたわれたわけですから、女性が子供を産んでも働き続けられる社会をつくることが先決だと思います。

 お茶の水女子大学の先生が書かれた記事の中で、アメリカやイギリスには女性の研究者が三割程度いるけれど、日本は一二%で、OECD諸国では最低水準であり、教授も少なく、学長も国立大学にはほとんどいないことが課題であるとありました。また、女性研究者は業績を上げなければいけない時期がちょうど子育て期に当たり、三年から五年の任期つき雇用の場合、その間に業績を上げようとすると育児休業はそれほどとれず、それで出産を控えざるを得ず、希望する数の子供が産めないといった深刻な問題が数々あるとのことです。

 この七月に日本医学教育学会で発表されたという報告の中にも、女性医師の半数以上が出産・育児などを理由に常勤をやめた経験があるといった調査報告がありました。その背景には、二十四時間呼び出しがある働き方や、不規則勤務に対応した保育施設のないことなどが挙げられていました。子供がいても仕事を続けるべきと労働意欲は高くても、現実問題の壁が立ちふさがり、断念せざるを得ない状況のようです。

 このような状況は、女性が働く社会すべてに見られることだと思います。少子化対策の一番の施策は、女性が仕事と育児を両立できる環境づくりに力を入れることだと思います。それには、保育園の待機児童をゼロに近づけさせることであり、働く場でのワーキングシェアが推進されることで、ここは行政の力の入れどころだと思います。

 日本女子大学の大沢真知子教授の講演を二度ほど聞く機会がありましたが、その中で紹介された東京スター銀行のタッド・バッジ氏の言葉で、ワーク・ライフ・バランスとは人生の中に四つの領域を持つことだというのがありました。四つの領域とは、仕事、健康や自己啓発を含めた自分、それから家族・友人との人間関係、次の世代によいものを残す社会貢献であるということでした。そして、これらを無理にバランスをとろうとしないで、自分のことに一日のほんの十分でもいいから時間を当てることだと話されていました。

 無印良品を展開する良品計画の社長は、生産性の向上を目指した結果、仕事の終わりを決めるという締め切り効果により長時間労働による無駄や無理を省くことが最善の策として、この一月からは本部勤務社員を対象に原則として残業の禁止を導入したそうです。そして、「子育て、趣味、勉強など、社員には視野を広げてほしい、仕事と生活の調和は生産性を上げる武器だ」と話されているとのことです。ワーク・ライフ・バランスは、企業だけが頑張っても、個人で頑張っても、成り立つものではありません。やはり行政の大きな力が必要だと思われます。

 そこで、お伺いいたします。

 本区としては、このワーク・ライフ・バランスに関してどのような構想をお持ちでしょうか、御見解をお示しください。

 以上で、私の第一回目の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 岡田眞理子議員の質問に順次お答えいたします。

 初めに、まちづくり協議会の活用についてであります。

 本区では、地域での協議を基本とする協議型まちづくりを進めております。その中心であるまちづくり協議会は、町会や商工業関係者など地域の代表者と区が情報や意見交換を重ねながら、地区特性を生かした良好なまちづくりを推進するため、区内を十二地区に区分し、設置しております。この協議会のもとに、特定地域や特定分野の課題について具体的な検討を必要とする場合は、分会や分科会を設置することができることとなっております。こうしたことから、協議会と分科会等との役割分担を明確化し、広域的な課題は協議会で、特定地域の課題や特定分野の課題については分科会などで対応することで、より多くの方の意見や意向をまちづくりに反映することが可能と認識しております。区といたしましては、今後もまちづくり協議会や分科会の運営を工夫するなどして、より多くの区民の意見や意向を組み入れたまちづくりを推進してまいります。

 次に、ひとり親家庭への支援についてであります。

 ひとり親家庭は、ひとり親になった直後から経済的、社会的、精神的に不安定な状態に置かれがちとなり、仕事や住居、子供の養育などの面でさまざまな課題を抱える家庭も多く見られます。昨年、本区が行ったひとり親家庭実態調査では、区への要望として、経済的支援が七割、低家賃の住宅が五割、資格取得支援が三割となっております。こうしたことから、本区では、これまでも経済的支援として手当の支給や医療費助成、資金貸し付けを行い、さらに、ひとり親世帯住宅十五戸を設置しております。また、安定就労へ向けて技能習得支援や求職活動時などのホームヘルパーの派遣を行うとともに、休養ホーム事業やレクリエーション事業、相談事業の充実、保育所入所の際の優遇など、ひとり親家庭への総合的な施策を展開し、きめ細かな支援を行ってまいりました。さらに、この八月からは、ひとり親家庭も対象とした都の生活安定化総合対策事業が開始され、職業訓練を経た自立を支援する制度が整備されたところであります。今後もこうした取り組みをさらに進めるとともに、相談しやすい環境の整備、保育所・保育内容の充実に努め、ひとり親家庭が住みなれた地域で安心して生活できるための施策を実施してまいります。

 次に、ワーク・ライフ・バランスについてお答えします。

 ワーク・ライフ・バランスを推進していくことは、仕事と生活の調和を図り、豊かで活力ある社会、また、男女がともに自分らしい生き方を選択できる社会を実現していくことであり、これは男女共同参画社会の実現にも結びつくものであります。そのために国や自治体が取り組むべき施策は、労働、社会保障、子育て支援、産業振興、生涯学習、健康づくりなど広範囲に及ぶものであります。ワーク・ライフ・バランスを推進するためには、何より働き方、生き方、過ごし方を見直していく必要がありますが、約四万四千の事業所を有する本区がこれを積極的に推進することは大いに意義があるものと考えております。本区では、本年三月に策定した男女共同参画行動計画二○○八においてワーク・ライフ・バランスの推進を重点課題としており、今年度は主に区民・事業者向けとしてセミナーを開催し、意識啓発と情報提供に努めているところであります。また、事業所への働きかけとしては、ワーク・ライフ・バランスに取り組む事業所を認定し、その取り組み内容を広く周知することとしております。今後は、さらにワーク・ライフ・バランスの普及・促進に努めることにより、男女共同参画社会と本区基本計画二○○八の目指す「百万人が住み・働き・楽しめるまち中央区」の実現を図ってまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えいたします。

 まず、中学生への職業教育についてであります。

 御指摘のとおり、昨今の若者の状況を見ますと、より早い段階から、働くということ、生きるということなどについてじっくりと考えさせることは、とても大切なことと考えます。本区では、こうした観点から、全中学校の一年生または二年生を対象に、独自のカリキュラムによる連続三日間から四日間にわたっての職場体験学習を実施しております。地域の事業所や公的機関の御協力により、中学生が働くことの意義や社会のルールを学ぶ貴重な機会となっております。また、中学校でのキャリア教育推進のため、中学校職場体験推進連絡協議会を設置し、地域の企業や関係機関の皆様にも参加いただいております。このほか、各中学校では、先人に学び、みずからの将来を考えさせていくため、地域の人材や卒業生などを講師とした生き方講座などを実施しています。今後とも本区の特性を踏まえて、より地域の教育力を積極的に取り入れた職業教育を展開するよう努めてまいります。

 次に、環境教育についてです。

 現在、学校ではビオトープや栽培園を利用した自然環境についての学習や、屋上緑化の取り組みによる温暖化防止の意識啓発、太陽光発電や風力発電の設備を活用した省エネについての学習など、さまざまな形で環境教育を積極的に進めております。また、子供たちにとって環境問題を身近なものとするため、環境作品コンクールで募集するポスターや標語に、毎年、全校から積極的な応募をしているところであります。さらに、地域の環境団体などが実施する子どもとためす環境まつり、清掃事務所の出張ふれあい環境学習、水道局による小学生対象の出前授業などを活用して環境学習の充実にも取り組んでおります。今後とも、このような地域の環境団体やボランティアなどの力を一層活用して、環境学習の充実を図ってまいりたいと存じます。

 次に、絵本の読み聞かせについてであります。

 御指摘のとおり、絵本の読み聞かせは子供たちの心の教育に有効であると考えております。絵本との出会いを通して、子供たちは未知の世界に胸を躍らせ、人の心の奥深さに触れ、感動に心を震わせるなどの体験を重ねることができると考えます。こうしたことから、本区では、全幼稚園・全小学校で読書週間を設定したり、年間の指導計画に位置づけたりするなど、読み聞かせ活動に積極的に取り組んでいるところであります。その際は、教員のみならず、学校図書館指導員、さらには保護者や地域の方々にも広く協力をいただいております。特に、シニアのボランティアの方々の場合は、子供にとって年配者と触れ合うよい機会ともなっています。あわせて、読み手の声に聞き入る子供たちの素直で真摯な姿は、ボランティアの方々の励みや生きがいにもなっているものと考えます。今後とも、区内のボランティア団体などへの協力要請も含め、地域との連携による読み聞かせ活動のさらなる充実に取り組んでまいります。

 以上、職業教育、環境教育及び絵本の読み聞かせの三点につき御答弁申し上げましたが、これらは一面、教員の負担軽減にもつながるものと考えており、このような観点からも、それぞれより積極的に推進してまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔十八番 岡田眞理子議員登壇〕

○十八番(岡田眞理子議員)
 それぞれに前向きな御答弁をありがとうございました。

 まちづくり協議会等におきましたは、分科会、それから分会などが特定地域で持たれるということ、その話し合いを中心に、これからもより多くの区民の声が届くまちづくりになるよう願っております。

 私は、この夏に岩波新書の「ブータンに魅せられて」という本を読みましたが、そこにはブータンの第四代国王の業績をたたえることが書かれていました。その中のエピソードの一つで、ある開けた谷に住む住民が自動車道路の建設を嘆願し、予算も通ったところで、国王はみずから徒歩でこの谷を初めて訪れ、住民と直接話し合ったそうです。そして、自動車道路が谷の住民にとって、今、本当に必要かどうかをもう一度住民が協議するよう諭したということです。そして、国王としては、国全体の環境という観点から現在のままで残したいということ、そして、教育、医療、通信をはじめとする生活のいかなる分野でも他地域と比べ不利になったり、おくれをとることがないよう政府に措置を講じさせることを約束したということです。国王みずから歩いて現場に出向いたこと、そして、何よりも国全体の環境を重視したこと、住民の生活の保障を約束したこと、今、ブータンという国が、小さいながらも豊かな自然を守りながら国民が国に誇りを持って生活しているのは、この国王のおかげだと書いてありました。

 私たちの中央区でも、新しい事業や再開発をするとき、区長さんみずからそのまちを歩いていただき、その計画が本当に生活環境として望ましいものであるか、住民にとってこの事業がよりよいものであるかどうかを確認した上でゴーサインを出していただけるよう願っております。

 教育行政に関しましては、それぞれこの教育の中央区にふさわしい施策がなされていることは非常に評価しております。さらに、これまで以上に本区独自の教育ができること、推進されること、そして、私たち大人が子供たちにしてやれることを最大限実行していただきたいと思っております。また、心を育てる教育の推進の施策にも十分なお力添えをいただけますよう要望いたします。

 ひとり親家庭では、御答弁の中に相談事業の充実を図ってくださるとありましたけれども、やはり相談時間の延長、それから祭日・土曜・日曜でも開いてくださる、そういった御配慮が必要ではないかと思われますので、これは特に要望させていただきます。一人の働き手で、それぞれにそれぞれの事情の中で懸命に子育てをして生活されている状況でありますから、支援のし過ぎということはないと思われます。特に、住宅や保育園の問題に関しましては優先的配慮を講じることが暮らしの安定につながりますので、この点どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ワーク・ライフ・バランスにつきましては、将来の成長、発展につながるものと言われております。この中央区の四万四千の事業所があるということで、これからこのワーク・ライフ・バランスが本区の中で大きな柱となって、私たちだれもが安心して働き、暮らしていける仕組みづくりを構築していただけるものと期待しております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○十一番(原田賢一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後二時五十五分 休憩


午後三時十五分 開議

○議長(今野弘美議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十七番青木幸子議員。

〔二十七番 青木幸子議員登壇〕

○二十七番(青木幸子議員)
 友愛中央の青木幸子です。平成二十年第三回区議会定例会に当たり、会派のメンバーの一人として、さきに提出いたしました質問通告の順序に従いまして、区長並びに関係理事者の方々に御質問させていただきます。中央区民の立場に立って、明快なる御答弁を期待いたします。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問することを留保いたしておきます。

 まず初めに、現今の社会情勢についてお伺いします。

 さて、ちまたでは、出来レースだとか言われている総裁選挙の真っただ中、海の向こうのアメリカから衝撃的なニュースが飛び込んできました。アメリカ証券大手のリーマンブラザーズが、政府の公的救済も受けられず、いわんや民間大手銀行の吸収合併も断られて破綻したという、とてつもなく大きなニュースでした。負債総額は六十四兆円にも上る史上最大の破綻です。これを受けて、世界各地で株価は暴落し、すわ一九二九年の世界恐慌の再現かと危惧されました。リーマンブラザーズに続き、世界最大の保険会社AIGの破綻が懸念されました。幸いにも、アメリカ政府の公的支援が表明され、一たんは収束されたかに見えましたが、金融不安は解消されず、株価はまだ乱高下している様相です。恐らく、サブプライムローンの影響が完全に払拭されない限り、金融危機はしばらく続くことでしょう。サブをつけたからといって、とてもプライムローンなどと呼べる代物ではありません。むしろハイリスクローンとでも呼ぶべきです。低所得者層が言葉巧みに住宅ローンを押しつけられ、やがて金利が上昇してローンが払えなくなるのは、だれが見ても明らかだったからです。将来、歴史家は、この二、三年をアメリカ的利潤追求、アメリカ型資本主義の破局と位置づけるのではないでしょうか。

 こうしたアメリカ経済の難局は、決して対岸の火事ではありません。リーマンブラザーズの破綻による我が国の大手銀行の損失額は、およそ千四百億円にも上ると見積もられていますが、それだけで済むとはとても思えません。石油の高騰、穀物価格の急激な上昇と、私たちの日常生活も波状的な物価上昇に見舞われています。電気、ガスの公共料金も値上げ、値上げのオンパレードです。

 そこで今後の見通しも含めて、現今の経済情勢について御見解をお尋ねします。

 福田前首相の置き土産ともいうべき福田ビジョンについてお伺いします。

 去る七月の北海道洞爺湖サミットを前に、六月九日に行った「『低炭素社会・日本』をめざして」と題する演説が、いわゆる福田ビジョンと呼ばれるもので、その内容は、一、二○五○年までに長期目標として二酸化炭素排出量を現状から六○から八○%削減する、二、二○二○年までの現状比一四%削減は可能であるなどというものですが、さて、その実現・実効性はどうでしょうか。

 具体的に、例えば二○三○年までに太陽光発電普及率を現在の四十倍に、二○一二年までに電球をすべて省エネ電球にかえることなどを挙げています。しかし、二○○五年二月十六日に発効した京都議定書で義務づけられた目標、すなわち二○○八年から二○一二年までに温室効果ガス排出量を一九九○年比で六%削減するということが既に甚だ困難という現状です。実際、二○○六年度で温室効果ガス総排出量は一九九○年比で六%も増加しているのです。こうした点を踏まえて、お考えをお聞かせください。

 これからの御質問の中で昨日の質問者と重なる点が幾つかありますが、視点を変えて質問させていただきますことを、まず、お断りさせていただきます。

 そこで、環境問題についてお伺いします。

 地球環境の温暖化がもたらしたと思われる昨今の異常気象、中でも、とりわけことしの夏に目立った局地的な集中豪雨、これをゲリラ豪雨と呼んでいる人もいますが、このゲリラ豪雨についてお伺いします。

 私が一番心を痛めた局地的な大雨の人的被害は、八月五日、豊島区の下水道工事中に大雨に襲われ、五人の作業員の方が流されて死亡されたことでした。この事故の後に工事の新安全基準が改定され、雨が降り始めたら直ちに工事を一時中止して下水道から地上に脱出するようになったということですが、なぜ未然に防げなかったのでしょうか。警報の発令も事故発生の後だったようです。確かに、ゲリラ豪雨の予知・予測は難しいのでしょうが、大雨洪水注意報や警報をいち早く付近の住民や河川管理者などの関係機関、この場合ならば下水道工事責任者等々にインターネットや携帯電話のメールで周知させるシステムが必要です。

 また、この下水道工事中の大雨被害の一週間ぐらい前、七月二十八日には、神戸市を流れる都賀川の親水施設で遊んでいた子供たちを含む五人が一気に増水した濁流に飲み込まれ死亡するという痛ましい事故もありました。このときには時間雨量で百四十ミリにも達する猛烈な豪雨で、わずか十分程度で川の水位は一・三メートルも上昇したといいます。本区にも親水公園が整備されていますが、大雨洪水注意報や警報が発令されたときに瞬時に電光表示したり、放送したりする設備が必要です。このことについていかがお考えでしょうか、お答えください。

 本区は、地形的にはまず平たんであり、こうしたゲリラ豪雨が発生しても、道路が冠水したり、家屋が浸水したりすることは少ないと思いますが、数多くのビルの地下、地下街における対策は十分なのでしょうか。

 八月十六日、栃木県鹿沼市で起きた車の水没事故では、運転されていた女性が携帯電話で助けを呼んだにもかかわらず、警察や消防が別の場所と勘違いしたりして現場に急行せず、死亡されたという最悪の結果になりました。この水没箇所は、東北自動車道の下をくぐる市道で起きたようですが、本区に置きかえてみますと、昭和通りには結構長い距離、地下を走っているところもあり、決して人ごとではありません。そこで、冠水が発生しやすい危険箇所を列挙していただき、局地的大雨の際の対策がどのようにされているかお答えください。

 先日、このゲリラ豪雨について特集を組んだテレビの報道番組で市川市の取り組みが紹介されていました。市川市では、条例をつくって、新築住宅では雨水浸透ますの設置が義務化され、既存の住宅では設置に補助金を支給することになり、住宅の浸水例が見られなくなったそうです。考えてみれば、確かに、地表をアスファルトで覆い、雨水はといから下水道に集めて中小河川に放流している現状を改めない限り、局地的豪雨に対処できないということなのでしょう。雨水は、本来、その半分以上が地下に浸透するものだそうです。この自然本来の方法で地下に浸透させる設備を完備すれば、市川市のように、道路が冠水したり、住宅が浸水したりすることは大幅に減ることと思われます。そこで、こうした取り組みも含めて、この夏、極めて被害が頻発したゲリラ豪雨への対策をお伺いします。

 また、今月八日に、政府の中央防災会議の専門調査会は、超大型台風で荒川がはんらんした場合、最悪で三千五百人が死亡するとした試算を公表しました。テレビのニュースでも、銀座付近で一・八メートル、新富町の交差点付近で二・九メートル水没すると報じていました。二○○五年八月にアメリカ南部を襲ったハリケーン、カトリーナでニューオリンズのまちが水没した光景が思い浮かびました。異常気象が日常茶飯事となった今、いつ起きてもおかしくはないのではないでしょうか。そこで、こうした被害想定に対する対策はどのようになっているのでしょうか、お伺いします。

 地下に浸透させるばかりでなく、積極的に雨水を活用しようと、先月六日に全国初の連携組織、雨水ネットワーク会議が設立されました。この会議は、墨田区が事務局を務め、先ほどの市川市や鎌倉市など百二十九の自治体でつくる雨水利用自治体担当者連絡会や国交省の外郭団体の雨水貯留浸透技術協会、日本建築学会などが参加したようですが、雨水の利用に先進的な墨田区にならって、本区も積極的に雨水を活用してはいかがでしょうか。例えば、墨田区役所本庁舎のトイレ洗浄水は三、四割を雨水で賄い、水道料金を年間二百万円程度節減しているそうです。水害防止策の一つとしても、雨水の貯留はその重要性がますます高まることになるでしょう。本区の雨水の利用促進への取り組みをお伺いします。

 次に、地球温暖化対策についてお伺いします。

 まず、屋上緑化ですが、ヒートアイランド現象の改善には排熱の抑制が何よりも大切です。それには、二酸化炭素の吸収という点からも緑化が一番です。本区でももちろん緑化助成はやっておりますが、もっと規模を拡大してやらなければ追いつかない状況です。都は八月二十五日に、既存の建物の屋上緑化に対して最高一千万円を補助することを発表しています。この補助制度は、都として初めてなのだそうです。屋上百平方メートル以上を緑化する場合、対象とするようですが、緑化したら、翌年度から三年間は緑化施設を一般に公開し、維持管理の状況を報告する義務があるとのことです。税金を使うわけですから、そのぐらいきちんと見る必要があるのでしょう。屋上緑化の促進に向けて、本区でももう少しきめ細かく、かつ利用しやすくして緑化面積をふやしてはいかがでしょうか。そこで、これまでの実施面積の推移も含めて、お答え願います。

 次に、校庭の芝生化に移ります。

 東京都は、五輪開催を目指す二○一六年までに公立の全小・中学校の校庭を芝生にする計画を立てていて、現在は五十校余りですが、全部で二千校、面積にして三百ヘクタールを芝生で緑化するとの方針です。子供たちの安全面からも、校庭を芝生にすることは非常によいことと思います。夏場の表面温度は、土よりも十度も低いそうです。芝生の維持管理に子供たちが積極的に参加することで、地球環境への義務を肌身で感じることができることも大変よいことです。そこで、本区での校庭の芝生化をどのようにお考えかお伺いします。

 次に、太陽光発電についてお伺いします。

 太陽光発電は、福田ビジョンでもその普及率の推進を地球温暖化対策の大きな柱にしており、本区でも一般家庭や企業で積極的に採用することが期待されております。しかし、本区での取り組みは極めて貧弱です。「中央区の環境(平成二十年版)」を見ても、例えば地球環境の保全の中の区の事務及び事業に係る温室効果ガスの削減は、主に省エネルギーと緑化のみに重点が置かれ、クリーンエネルギーの創出は一顧だにされていません。そのことで、平成十六年度比三%以上削減を目標にしながら、現実には平成十九年度の温室効果ガス総排出量は平成十六年度比で逆に一・三%増加しています。二酸化炭素排出量も同様で、本区では平成十七年度、一九九○年度比で実に一四・一%も上昇しています。太陽光発電は国の補助制度が中止されてから普及が急速に鈍化し、今やドイツにお株を奪われてしまった経緯がありますが、国はもとより、本区としても太陽光発電設置に助成金を支給すべきです。前向きな御答弁をお願いします。

 次に、私が一貫して主張してまいりましたエコカーについても、新しい視点が必要になってまいりました。さきに挙げた「中央区の環境」に低公害車の普及促進の項目があり、本年三月三十一日現在、ハイブリッド車五台、圧縮天然ガス自動車十六台及び八都県市指定公害車二十五台を導入し、二○一○年度までに低公害車導入率を八七%以上になるよう目標を定めているとありますが、低公害車ではなく、究極の無公害車である電気自動車の普及が目前に迫ってきました。環境省は、この電気自動車の普及促進のために、公用車として購入する自治体に既存車との差額の半分を補助する方針だそうです。本格的に市場に出回る二○○九年の電気自動車元年に乗りおくれるわけにはいきません。家庭のコンセントから一回充電するだけで八十から百六十キロメートルも走行できるというすぐれものです。三菱自動車と富士重工業の二つの車種で来年中に販売されるようですが、販売価格は大体三百万円くらいで、ベース車両となっている既存の軽自動車との価格差の半分、約百万円を補助するようです。GMも二○一○年に家庭で充電できる電気自動車を販売するというニュースも、つい二日前に新聞に出ていました。一台数千万円はすると言われた電気自動車も、本当に手に届くところまで来たのです。本区としても、ぜひ低公害車ではなく、公害の全く出ない電気自動車を採用してください。人によっては、公害がないといっても電力を消費するではないかとおっしゃるかもしれませんが、だからこそ、その電力の一部を太陽光発電で賄うのです。御見解をお伺いします。

 次に、少子化対策についてお伺いします。

 私は、先日、福井市を視察してまいりました。若干上向いてきたとはいえ、日本の少子化は実に深刻です。ところが、全国でも一番ぐらいの共働き家庭が多い福井市で、女性が大変働き者だそうです。その福井市で出生率が上昇しているのです。一人の女性が一生に産む合計特殊出生率が一・五三というのですから、驚きです。いかに自治体の施策によって出生率が上昇するかのよい手本でしょう。結局のところ、夫婦二人に子供二人では人口は減るのですから、福井市では三人目の子供から手厚い支援をしているというわけです。第三子の児童手当が高いほか、医療費が無料、保育園が無料など、盛りだくさんです。普通は病気の子供の保育は断られますが、福井市では、逆に病院だからこそ預けられる病院が完備しているというのも、お母さん方には実に心強いでしょう。本区でも三歳未満月額一律一万円、三歳以上では第一・二子が五千円、第三子以降一万円となっていますが、所得制限があります。所得制限の撤廃、今までにもさんざん提案してまいりましたが、そこまでが無理ならば、緩和した上で、第三子以降を三歳未満から月額二倍にするとかしてはいかがでしょうか、お答えください。

 来年度から妊婦健診の完全無料化が言われています。ある党では分娩費用も完全に公費で賄うという案も出されています。今年度から妊婦健診の補助が多くの区で十四回と大幅に拡充されましたが、都内でも大きな地域格差があり、法のもとの平等ということから見ると、甚だしい不都合と言わざるを得ません。こうしたことからも、妊婦健診の完全公費負担は大賛成です。少子化に歯どめがかかる大きな第一歩になるかもしれません。その場合には、健診費用も含めて、現在支給されているタクシー券三万円分、新生児誕生祝い金、区内共通買物券三万円分の見直しも必要ではないでしょうか。利便性や公平さを期する観点から、すべて出産一時金に含めるということも一案かと思われます。いかがお考えでしょうか、お答え願います。

 次に、男女共同参画社会に向けてについてお伺いします。

 先日配付された中央区世論調査では、男女共同参画社会の推進の施策の重要度で、またしても二十一の施策中の二十一番目の最下位でした。以前にも一般質問で指摘をいたしましたが、既に男女共同参画社会が実現していて区民にとって余り問題でない状況であるのなら、わからないでもありませんが、現況はそうではありません。むしろ男女ともに意識改革がなかなか進んでいないからこそ、このような結果が出たものと考えるべきではないでしょうか。区は積極的に社会に対して男女平等の視点に立った意識の改革に取り組んでいただかなければ、同じことを繰り返すにすぎません。そこで、このような現況をどのようにお考えですか、お答えください。

 区民にとって、より身近な役所や企業に女性の管理職がふえることが足元からの改革になると思います。政府も、二○二○年までにあらゆる分野で女性管理職の割合を三○%まで引き上げることを目標に掲げています。現況は、二○○六年度で企業の女性管理職はわずかに六・九%でした。本区の男女共同参画行動計画二○○八を見てみますと、審議会等において女性委員の割合は二○○三年度の一九%から二○○七年度は二六%と増加してきていますが、区の職員は男女比が五一・八%対四八・二%とほぼ半々ですが、女性の管理職は一七・七%、係長級職で二三・七%にすぎません。この二○二○年までに女性管理職を三○%まで引き上げるという政府の方針は、果たして可能なのでしょうか。本区の見通しを含めてお答えください。

 厚生労働省の雇用均等基本調査二○○七年度によれば、育児休業の取得率は二○○七年度、女性が八九・七%、男性は一・五六%と、二○一七年には一○%になるように目標を定めているにもかかわらず、まことに微々たる数にすぎません。女性にしても、育児休業をとったものの、結局、七割の人がその後、仕事をやめているのが現状です。社会全体が育児を支援する、社会全体が子育てをするという考え方をしなくてはいけないのだと考えます。最大のネックは、休業中の所得保障と休業後の復職の支援、保育施設の充実にあるでしょう。本区職員の育児休業取得率はいかがでしょうか。男性の取得率は伸びていますか。管理職の人たちが率先して育児休業をとるように勧め、取得率の向上を管理職の考課材料に加えるようにすることもよいかと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。

 次に、新型インフルエンザ対策についてお伺いします。

 先週、政府は新型インフルエンザの大流行、パンデミックに備えて備蓄しているワクチン接種の優先順位原案を発表しました。現在、大流行前、プレパンデミックワクチンの接種が大規模に調査されており、安全性や有効性を確認した上で、新型インフルエンザ発生前にどの優先順位まで接種すべきか来年度から具体的な検討に入るということです。

 感染症指定病院は当然ですが、保健所、新型インフルエンザ対策に従事する警察職員、救急隊員、消防職員、自衛隊員などが優先順位一位となっています。昨年十一月十日に行われた新型インフルエンザ対応訓練報告書も読ませていただきましたが、果たして実際にはどうなのでしょうか。空港や港湾における検疫で、まさに水際で疑わしき患者を一定期間隔離し、治療できれば一番よいのでしょうが、たまたま発症までの潜伏期にこの検疫をすり抜けたら、あっという間に感染が拡大するでしょう。訓練のように接触した人の調査など、ほとんど不可能です。あのSARSのときも、エレベーターに乗り合わせた人でもすぐに感染しているのです。水際で隔離できなければ、患者は一瞬にして爆発的に各地に発生すると覚悟しなければなりません。すべての患者は発熱センターなどに行かず、すぐにも近くの病院に駆け込むことでしょう。感染症指定病院まで駆けつけることは無理というものです。したがって、すべての医療従事者が優先順位一位でなければならないと考えます。

 訓練で回を重ねて関係者に習熟させることは重要ですが、現実にはプレパンデミックから一足飛びにパンデミックになると想定していたほうが賢明だと考えます。例えば、ある地域や国で人から人に感染する新型インフルエンザが発生したならば、数週間外出しなくても生活できるように、日ごろから食料品などを蓄えておくことが一番重要です。外出しないこと、他人と接触しないこと、これ以外に流行を拡大しないようにする方策はありません。新型インフルエンザに効くワクチンができるまで半年ぐらいかかるそうですから、ひたすら流行が終息するのを家に閉じこもって過ごすほかはないのです。その間のインフラの維持にどうしても必要な要員も、優先順位一位だと考えます。政府の原案では、電気、原子力、ガス、石油等々の人々を優先順位三位にしているのは理解できません。本区としても、きちんとした優先順位を立てるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 最後に、本区が文化の薫る都市となるためにどうすればよいのかお伺いします。

 十一月二日に予定されている中央区まるごとミュージアムは大変よい企画だと思いますが、絵が好きな私には美術館鑑賞会や銀座画廊めぐりは魅力的です。まち歩きも、例えば文学散歩のようにテーマを決めて構成したものがあってもよかったのではないでしょうか。次回では期待しております。港区では、国立新美術館、サントリー美術館など二十四もの美術館や博物館があるそうですが、この九月には二十四施設共同のホームページを立ち上げ、来年度には共同の情報誌を発行し、文化・歴史の地域の普及・啓発活動も連携して実施するそうです。本区でもこれと似たような連携や共同企画など、可能なのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか、お答え願います。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 青木幸子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、現今の経済情勢についてであります。

 国では、本年八月の月例経済報告において四年八か月ぶりに景気の基調判断から回復の表現をなくし、「このところ弱含んでいる」との表現で景気後退感を示しております。本区の景気動向調査では、昨年十二月の調査以降、現状判断及び先行き判断を示す指数DIがいずれも景気の横ばいを示す五○を大きく下回っております。また、原油、原材料高騰対策として先月十八日から緊急に行った特別融資のあっせんでは、当初百件の予想を大きく上回り、五百五十件を超える申し込みがあり、区内中小企業や区民生活を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。また、今後の経済状況につきましても、急速に回復することは考えがたく、区といたしましては、国や東京都の景気回復対策を待つことなく、区独自の施策として、先般、七項目の緊急景気対策を発表したところであります。

 次に、いわゆる福田ビジョンについてであります。

 本年六月に福田内閣総理大臣は、「『低炭素社会・日本』をめざして」と題するスピーチにおいて、現在を低炭素社会に向けた第一歩を踏み出すべきときと位置づけ、日本の二酸化炭素削減の中長期目標を掲げるとともに、具体的な政策について述べております。中期目標二○二○年までに現状比一四%削減は、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーや原子力の比率を五○%以上に引き上げること、特に太陽光発電の導入量を現状の十倍にするなど、幾つかの野心的な目標が実現されれば達成は可能としております。また、長期目標二○五○年までに現状比六○から八○%の削減は、省エネルギーを中心とする既存技術だけでは足りず、温室効果ガスを発生させない革新技術の開発に成功する必要があると述べております。このビジョンを達成して地球環境問題を解決するには、国民一人一人が発想を転換して、経済、社会、コミュニティ、ライフスタイルを変えていくことができるかどうかが問われているものと認識しております。

 次に、大雨洪水注意報や警報が発令された際の親水公園における利用者の避難誘導についてであります。

 本区では、親水公園として石川島公園、佃公園の二つの公園があり、区民の散策や憩いの場として親しまれております。いずれの公園も隅田川の河口域にあるため、短時間局地的な豪雨があっても急激に水位が上昇することは考えられないことから、御提案にあるような電光表示や放送設備は必要ないものと考えております。しかしながら、利用者に緊急避難を呼びかけるなど、重要な情報を伝達する際には、防災行政無線や広報車を活用するなど、利用者に情報が確実に伝達されるよう、複数の媒体を利用するなど、細心の注意を払ってまいります。

 次に、局地的大雨に伴う道路冠水についてであります。

 本区の地形は高低差が小さく、区道も比較的平たんで下水道も整備済みであるため、大雨で区道が冠水する箇所はほとんどないと考えております。御質問の周辺地盤より低い道路は、昭和通りのほか、首都高速一号線があります。それぞれの管理者に問い合わせたところ、流入した雨水は強制的にポンプ排水しており、近年の大雨でも冠水したことはないとのことです。

 次に、ゲリラ豪雨に対する対策についてであります。

 最近、しばしば見聞きするゲリラ豪雨については、定まった定義はありませんが、突然発達した積乱雲によりもたらされる短時間局地的豪雨を意味するものと一般に解されております。このような突発的な豪雨の予測について、気象庁は二○一二年度をめどに局地予報モデルの開発を目指すとしており、現時点での予測は難しい状況であり、また、たとえ予測できたとしても、一時間に百ミリを超える降雨に対処できる河川、下水道等の治水施設を整備することは、現状では到底不可能であると聞いております。幸い、本区においては河川や下水道は一時間五十ミリ対応で整備済みであることから、短時間局地的豪雨においては、一部地域で短時間に道路冠水が生じるおそれはあるものの、重大な被害につながることはないものと考えております。また、御質問にありました雨水の地下浸透につきましては、区道の歩道はすべて透水性舗装を原則としており、車道部についても平成十八年度から幅員五・四五メートル未満について透水性舗装を計画的に実施しております。今後とも、ゲリラ豪雨による水害ができる限り最小限となるよう有効な対策を推進してまいります。

 次に、中央防災会議、大規模水害対策に関する専門調査会の試算についてであります。

 専門調査会の試算によりますと、荒川で千年に一度の洪水が発生した場合、約三千百人の死者が出るとの被害想定であります。試算どおり荒川右岸の堤防が決壊した場合、地下鉄や地下街など地下空間利用が進んでいる本区においては、甚大な被害が生じるものと考えられます。現時点では詳細な被害想定については公表されておりませんが、情報が得られ次第、本区防災会議でその取り扱いについて検討してまいります。

 次に、雨水利用の促進への取り組みであります。

 雨水利用による節水は省電力につながり、二酸化炭素の排出を抑制することから、本区では昭和六十二年から積極的に区施設への導入を進めております。現在、中央区保健所や総合スポーツセンターなど、十七施設でトイレの洗浄水等として利用しております。また、民間施設につきましては、中央区市街地開発事業指導要綱に基づき環境計画書の提出を求め、その際に雨水利用を指導しているところであります。今後も、区施設の新設に際しては言うまでもなく、民間の建築物に対しても可能な限り雨水利用の導入を促進してまいります。

 次に、屋上緑化の促進についてであります。

 本区は、平成六年度、花と緑のまちづくり助成要綱に屋上緑化助成を創設しました。しかし、当時は屋上緑化の認知度が低く、実績が思うように上がらなかったため、平成十四年度、助成限度額を五十万円にするなどの改正を行いました。あわせて、パンフレットや築地社会教育会館におけるモデル緑化など区民PRに努めた結果、平成十四年度の実績は九件、約七百平方メートルと、前年度の二件、約百平方メートルから大幅に増加しました。以来、着実に実績を重ね、平成十九年度末まで助成の実績を累計いたしますと、件数では五十九件、面積では約二千七百平方メートルに上っております。また、都心部における屋上緑化は、近年深刻化するヒートアイランド現象や地球温暖化など環境問題への効果も期待されていることから、屋上緑化のさらなる推進を目指し、平成二十年四月、要綱を改正いたしました。改正に当たっては、助成限度額を四倍の二百万円へと大幅に増額するとともに、管理費用である保護育成費も年間十万円に倍増いたしました。また、住宅の緑化を一層促進するため、住宅系建築物の助成率を三分の二に優遇するなど、きめ細かく区民に利用しやすい制度としたところであります。今後、二十三区でトップレベルにあるこの助成制度を積極的にPRするとともに、苗木即売会などの機会をとらえた屋上緑化のモデル展示や緑化相談などを通じて屋上緑化を促進してまいります。

 次に、太陽光発電についてであります。

 太陽光発電は、化石燃料により発電される電力の使用量を削減できることから、温暖化対策として有効であると考えております。本年三月に策定した中央区環境行動計画において、二酸化炭素削減のためのエネルギー有効利用の具体的な取り組みとして、家庭や事業所に太陽光発電設備を普及させる仕組みづくりを掲げております。今後は、国や東京都において平成二十一年度以降、太陽光発電設備に対する助成を予定していることから、本区においても連携した助成制度を検討してまいります。

 次に、電気自動車の導入であります。

 電気自動車は、排気ガスがなく、排熱も少ないため、大気汚染防止やヒートアイランド対策などに有効と考えております。本区においても、以前は庁有車として使用していましたが、走行距離が短く馬力がないなどの問題があり、現在はCNG車等に変更しております。しかしながら、近年の技術の進歩により二○○九年には高性能の電気自動車が発売される予定とのことですので、その性能や充電スタンドの普及等を見定めつつ、庁有車への導入を検討してまいります。

 次に、少子化対策であります。

 本区においては、人口増加により子供の数は増加しておりますが、我が国全体では少子化の進行は深刻であり、国の推計では二○五五年の出生数は現在の半分以下の約四十六万人になるとしています。こうした中で、住民生活に密着した基礎的自治体が多様なニーズに即したきめ細かな子育て施策を推進し、だれもが安心して子供を産み育てることのできる環境を整備していくことが極めて重要であります。本区においては、子育て支援のニーズが高まる中で、区政の最重点施策の一つとして少子化対策も視野に入れ、総合的な子育て支援の充実に取り組んでいるところであります。御質問の児童手当は、子育て家庭の生活の安定に寄与するための社会保障制度であり、財源の多くを事業主が拠出していることなどから、国は所得制限を設けております。本区は、独自財源で支給対象を中学生まで拡大しておりますが、増額については今後検討してまいります。また、出産支援事業のタクシー券や共通買物券につきましては、安心して健診に通っていただきたい、また区内商店街で新生児用品を整えていただきたいという区からのメッセージを込めたものでありますので、現行の形式を維持していきたいと考えております。

 次に、男女共同参画社会についてであります。

 まず、現況についてお答えいたします。

 本年行った区政世論調査の結果では、施策の重要度において、高齢者福祉・介護や子育て支援など、緊急的かつ生活に密着した施策が上位に位置づけられ、男女共同参画社会の推進は下位となっております。男女共同参画社会の推進は全庁的に取り組む施策であり、その中には子育て支援や高齢者、介護など広範囲にわたる事業を含んでおります。このため、施策としてのまとまりや印象が薄くなる嫌いがあり、区としては、とりわけ意識啓発や意識改革が重要であると考えております。これまでも各種講座、セミナー等を充実させ、積極的に男女共同参画の意識啓発を推進してまいりました。さらに、国の計画の改定や社会環境の変化に的確に対応するため、本年三月に男女共同参画社会の実現に向けた総合的な指針として、男女共同参画行動計画二○○八を策定し、その内容を特集した情報誌「ブーケ」を全戸配布したところであります。今後、この計画に基づき、ホームページを活用した情報発信など、さまざまな機会を通じて男女共同参画への意識がより高まるよう取り組んでまいります。

 次に、女性管理職をふやす政府方針についてであります。

 国では、第二次男女共同参画基本計画において、二○二○年までに主導的地位に立つ女性の割合を三○%程度とするとの目標を掲げております。現状といたしましては、平成十八年度の民間企業における女性課長相当職の割合は三・六%、国家公務員の管理職に占める女性の割合においては平成十七年度で一・七%と、いずれも極めて低い状況であります。そのため、本年四月、内閣府が策定した女性の参加加速プログラムにおいて、平成二十二年度末に少なくとも国家公務員における女性管理職の割合を五%程度とすることを目指すとされ、具体的には各省庁において女性職員の登用拡大計画等で数値目標を設定し、取り組むこととされております。この目標が達成されても、国の基本計画の目標数値である三○%を達成するためには、さらなる積極的な取り組みが必要となるものと認識しております。一方、本区では本年度から平成二十四年度までを計画期間とする男女共同参画行動計画二○○八において、管理職及び係長級職からなる管理監督者層に占める女性職員の割合を三○%とする目標を設定しております。今年度の女性管理監督者の割合は二三%で、年々、わずかではありますが、増加しております。今後とも女性管理監督者の計画的な育成を図るなど、目標達成に向け、鋭意取り組んでまいります。

 次に、本区職員の育児休業取得率についてであります。

 本区では、平成十七年三月に仕事と子育て両立支援を目的に、中央区特定事業主行動計画を策定し、子育てしやすい職場環境の整備に努めております。この計画に基づき、男性、女性ともに安心して育児休業を取得できるよう、必要に応じて非常勤職員や人材派遣制度を活用した代替職員を配置しております。こうした取り組みにより、女性の育児休業取得率は、平成十八年度、十九年度ともに一○○%であり、また、男性については現在も一名が取得中であるなど、育児休業取得への理解は浸透してきております。職員の育児休業取得率を管理職に対する人事考課の対象とすることについては、職場により対象者の有無などの違いがあることから、共通の評価項目とすることは困難であると考えます。しかしながら、管理職の意識や働きかけは重要でありますので、今後とも育児休業を取得しやすい職場づくりに取り組むよう指導してまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策であります。

 本年九月、国の新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議において、新型インフルエンザワクチン接種の進め方についての第一次案が示されたところであります。この案においては、ワクチン接種に三段階の順位をつけることとしております。最優先のカテゴリーⅠでは第一線で発症者、感染者と対応する指定医療機関や保健所、消防、警察、検疫所職員などが、カテゴリーⅡでは社会機構の維持や国民の安全・健康を守るため、首相、閣僚や自治体の長、医療・福祉関係者などが、カテゴリーⅢではライフライン事業者などが指定されております。こうした指定を行った目的は、感染拡大を阻止し、健康被害を最小限にとどめ、社会、経済を破綻に至らしめないこととされております。このワクチン接種は、総合的な戦略の一部として位置づけられており、本区としても、こうした国の動きに沿って区の接種計画を策定していくことが必要と考えております。なお、国はこの接種案については、今後国民的議論を経て決定していくとしております。

 次に、本区における文化施設の連携等についてであります。

 本区は、我が国の文化、商業、情報の中心として発展し、歌舞伎座、明治座、新橋演舞場などに代表される劇場をはじめ、ホール、美術館、画廊等、多くの文化施設に恵まれております。それぞれの施設だけでも質の高い芸術や美術品に触れることはできますが、それらの連携を図っていくことで新たな魅力を生み出していくことが可能になるものと考えております。中央区まるごとミュージアムも十一月二日という一時点を切り口として、区内の名所旧跡や美術館、画廊などの魅力を一体的に内外に発信する取り組みであります。今後もこのような取り組みを通して、また文化振興プロデュースチームでの検討を踏まえて、文化施設や文化事業のさらなる連携に努めてまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えいたします。

 校庭の芝生化についてですが、本区のほとんどの小・中学校の校庭は狭隘で、かつ多目的に利用されており、芝生の生育には必ずしも適しているとは言いがたい状況であります。また、毎年四週間ほどの養生期間のほか、日常の刈り込みなど、維持管理も課題であります。しかしながら、芝生化には、御指摘のように、夏涼しく冬暖かいという効果や、子供たちが緑を大切にする心を養うというメリットもあります。こうしたことから、現在は学校の改修にあわせて、できるところから屋上の一部芝生化に努めております。あわせて、ビオトープを設置するなど、環境に配慮した学校の整備を行い、子供たちが進んで地球環境を考えられるようエコスクールの推進に取り組んでおります。

 答弁は以上です。

〔二十七番 青木幸子議員登壇〕

○二十七番(青木幸子議員)
 御丁寧な御答弁ありがとうございました。

 それでは、幾つかについて発言させていただきます。

 環境問題について、石川島公園、佃公園とあります。そのような中で、また防災無線、そして広報車、これだけで周知されるのは大変不備であると思っております。

 他区の例なんですけれども、都市型豪雨、メールで即応、局地的に豪雨が降ることによって発生する都市型水害、その被害を最小限にとどめるために自治体が防災情報のメール発信に力を入れているという報道があります。河川の水位情報などを即時に住民の携帯電話などに配信するもので、上手に活用することで大きな効果が得られそうだ。自治体のメール配信は、登録した住民の携帯電話などに防災や防犯情報を配信するサービス、登録は無料だが、通信料を負担する。防災情報の配信は、気象庁が発表する大雨警報などを流す場合が多いが、独自のデータを素早く配信する自治体もある。杉並区を代表に、また世田谷区、中野区、港区では外国人居住者に対応し、英語版もつくっているとのことです。本区におきましても、都市型豪雨に対してメールで即応できるような体制を整えてください。速やかに実施されるよう要望といたします。

 と申しますのも、私は、五十年ほど前のお話で大変恐縮ですけれども、隅田川は大丈夫だというお話ですけれども、西仲商店街のところに向いているところが母の実家だったんですけれども、そこで、私が遊びに行ったときに足首まで水が浸水してきた記憶があります。そういう意味では、千年に一度という豪雨があるわけですから、そういうことを考えに入れていかなくてはならないのですから、隅田川は大丈夫という、そのようなお考えは大変危険なものだと思っております。金沢の浅野川のあの勢いで、大変著名なまち並みが一気に床下・床上浸水になったような、そういう状況もテレビで報道されるにつけて、隅田川は大丈夫かなというふうな思いもあるものですから、そのためにも、やはりメールで即応できるような、他区では盛んにいろいろ工夫をされてやっておりますので、本区でもできないわけがありませんので、これについて、この施策を取り入れてくださるよう要望させていただきます。

 次に、教育長から御答弁をいただきました校庭の芝生化ですけれども、私が発言をさせていただきますと、いつも狭隘だとかいろいろおっしゃって、多目的に校庭は使うので芝生化は難しいというお話ですけれども、それでは佃小・中学校、一つの校庭があります。そのお話を教育関係者の理事にお話しいたしましたら、あそこは広過ぎるというお話でした。そうではなくて、全部覆ってくださいというわけではないんです。そういう意味で、できるところからやっていただく。例えば、花と苗木の即売会では校庭芝生化のデモンストレーションをメーカーがしていて、パンフや実際の芝生も置いてありました。そこに参加された皆さんが触って感触を確かめることもできます。花と苗木の即売会はいろいろな地域で開かれているわけですから、このように区民に披露することは校庭の芝生化は近いのではないかと大変思わせるのに十分なものがあります。子供たちも大変期待していると思いますし、それにこたえられるよう実現に向けて、他区では実際に実現しているのですし、また校庭芝生化、年々大変バイオの関係でいろいろと技術が進歩しております。これは雪印のあれですけれども、スノーエコターフ、これはマット型なんですね。いろいろなものがありますから、そういうものを調査し、検討していただきますよう要望させていただきます。

 次に、実効ある子育て支援について御提案させていただきました。

 十四回の健診費用に当たる金額、これは今年度から新しくできた金額です。タクシー券の三万円、新生児誕生祝い金、共通買物券三万円も含めた金額として、出産一時金三十五万円にプラスすることを提案をさせていただきました。既にこの三万円のタクシー券、そして共通買物券につきましても定着している、そういう施策について言及するのは大変乱暴なお話だと思われるかもしれませんけれども、妊婦の方に安心して、この中央区で、他区のいわゆる、このタクシー券を創設したについては墨東病院に行っていただくような形でも入っているはずです。そういうことではなく、他区の産院に行かず本区で産院を利用されたほうがいいに決まっているんです。緊急事態が起きたとき、本区で、二次救急ですけれども、その総合病院は。その産院でされる、年間千人ほどの方ですから、お産をされる方、中央区できめ細かい施策ができないはずがないんです。そういう中央区の中で産院を利用していただくためには、私立ですから多少お金がかかります。三十五万円ではだめです。その中で、築地産院が他区に統合されてなくなってしまった現在を踏まえて、固定されたタクシー券、共通買物券も固定されています。そういうものではなく、出産一時金をふやす方が産院の選択肢が広がる、ふえるという思いで、こういう提案をさせていただきました。これも、一時金をふやしていただければ、タクシー券について、新生児の祝い金、共通買物券についても、この施策は廃止しなくても結構なんですけれども、要するに一時金をふやして中央区で安心して子供を産んでいただける施策を充実したいという思いから、このように多少、区民に定着しているタクシー券、そして共通買物券について言及させていただきました。

 次に、男女共同参画社会に向けて、大変区役所におきましても、なかなか女性が管理職試験を受けないということが言われて久しいところです。NPO法人が働く女性二千五百人を対象に実施した調査では、「管理職だった人」や「管理職になりたい」人が計二二%だったのに対し、「管理職になりたくない」という人は四一%、「どちらとも言えない」という人が三四%でした。なりたくない理由は、「今まで以上に長時間働きたくない」五一%、「責任を負いたくない」三○%、「部下を持ちたくない」二○%、「見合った収入は得られないと思う」一八%など、大変厳しい労働環境が影響していることがわかります。これらの問題一つ一つを解消しなければ、先に進まないと思われます。中央区の女性職員の場合も、これに当てはまるところも多々あると思います。そういう中で、まず役所の女性職員を管理職職員にふやす努力を、まず今、なりたくない理由を一つ一つ解消しながら、女性管理職職員をふやすことを始めてください。要望とさせていただきます。

 最後に、文化の薫る都市を創造するために、中央区まるごとミュージアム、ほかに何が考えるかということで港区の例を取り上げて御提案させていただきましたけれども、本区でもそのようなことをするということで冊子の中に記載もされてありましたけれども、私は美術鑑賞が好きですから、鑑賞ができたらというふうに思っていますが、募集人員が午前午後百名ずつ、ブリヂストン美術館鑑賞会、三井記念美術館鑑賞会、午後の部五十名、これは物理的にこの程度で、これ以上は無理だろうなというのは実感するところですけれども、中央区文化国際交流振興協会が主催しているいろいろな講演会、大変好評で老若男女いろいろと、私も二回ほど参加させていただきましたけれども、いろいろな方が出席されて大変好評です。次の「源氏物語の千年」特別文化講演会では二百名が入るという月島社教で実施される。このような状況の中で、もう少し人数をふやせないかということで、これは次回に期待して、これも要望とさせていただきます。

 なお、文化の中心に位置されなくてはならない築地の教育センターの中にある資料館が、この中央区まるごとミュージアム、十一月二日日曜日に実施されるミュージアムの中で位置されていない、参加されていないのは大変不思議に思っております。まず、かなめであります築地の資料館の充実を図り、そして区民に親しんでいただける、まるごとミュージアムについても参加できるような形での資料館の充実を要望させていただいて、終わりとします。

 どうもありがとうございました。(拍手)


○十一番(原田賢一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時二十八分 休憩


午後四時四十五分 開議

○議長(今野弘美議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。八番田中耕太郎議員。

〔八番 田中耕太郎議員登壇〕

○八番(田中耕太郎議員)
 会派かけはしの田中耕太郎でございます。今般は、一般区民を代表しまして、本区政、とりわけ都市再生事業を中心とする総合的なまちづくりについて、区長以下、担当理事者の御見解をただすものであります。明快な御答弁をお願い申し上げます。

 現在、中央区では、月島地域、とりわけ月島駅、勝どき駅周辺などの市街地再開発事業が進行し、高層マンションの建設が相次いでおります。今後は、京橋、晴海地区にも大型計画が控えており、再開発事業は土地の高度利用並びに防災上危険とされている木造密集市街地の解消を主目的としており、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえ、平成九年の密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行をはじめとして、関連法令の改正も伴い、国家としての都市整備の大きな指針の一つともなっております。

 ところが、こうした再開発事業が進む中で、地域では保育所や区民館といった公共施設の不足が懸念されているほか、開発周辺地域の風害や日照被害といった環境悪化が顕在化しつつあります。また、再開発によって、これまでどおりの生活や御商売ができなくなったり、商店街としての連続性が失われる地域が予想されるなど、生活の激変に見舞われる住民も少なくありません。そして、これらの住民の中には再開発事業に対して懐疑的な方や、明確に反対を表明されている方もおられます。

 そこで、まず、都市整備に対する本区の基本的なお考えをお尋ねいたします。

 本区において、都市再生事業、とりわけ大規模な市街地再開発事業を行う際、区民のメリットとデメリット、事業に対する賛否の声などをどのようにとらえ、どのように考えておられるのか、また、それらの計画のメリット、デメリットの比較検証はどのような形で行っているのか、デメリットや反対の声に対して具体的にどのような方法で対応策を講じているのかをお示し願います。

 次に、再開発における住宅マスタープランについてお尋ねいたします。

 住宅マスタープランは、本区の住宅・住環境における十か年にも及ぶ基本計画でありますが、本プランにある「地域住民によるまちづくりのための自主的なルールづくりや活動を支援していく」というくだりについて、その解釈と実態を確認いたします。

 現在計画中の複数の再開発事業において、近隣住民や地権者住民の中からも、区は高層住宅推進の考えを持つ地権者や事業者に対しては積極的な情報提供を行っているが、区の考え方とは隔たりのある住民に対しては、意思の確認どころか、計画の情報自体を意図的に隠しているのではないかというような声が何件も聞かれました。新しく大規模な計画を立てれば賛否の声が上がるのは当然のことであり、そのどちらもが区民であり、少なくとも経過情報の提供とその分析は平等に行われなければなりません。また、一つの計画の進行状況に際して、勉強会、説明会、まちづくり推進委員会、まちづくり勉強会、法令に基づく説明会等々、たくさんの会合があり、一般の区民にとっておのおのがどのような位置づけで、どの程度重要なのか否か、参加可能なのか否か、いつ、どこで開催を決定して日程を公開しているのか、これらがわからないといった御意見も多数お伺いしております。これらの区民から上がっている複数の現状を踏まえて、以下をお伺いいたします。

 本区の考える地域住民とは、大規模再開発事業の場合、どの範囲までをその地域住民として定義づけているのかを明確にお示しください。そして、自主的なルールづくりや活動支援の対象は、具体的にどのような基準で行っているのかお答えください。

 さらに、その実績として、地域住民の自主的なルールづくりはどのような成果が上げられたのか。再開発事業の準備組合や勉強会等の計画推進のための場に区の関係者が出席した機会と、その反対とする慎重派や反対派住民の会合等に出席した機会が、時間やその回数において不均衡がないのか、具体的なデータがあれば、あわせてお示しください。

 具体的な再開発事業例として、月島一丁目の三番から五番街区の計画について、区長のお考えをお伺いします。

 本件は、今後の区の再開発事業の一つの指標となる可能性が極めて高いと考えております。月島駅前に五十五階、百九十メートルの超高層住宅棟を予定するものです。都心中央区にあって、土地の高度利用は必要不可欠であり、ある程度の高層化を基本的に促進すべきだと私も考えております。しかしながら、本計画地は五十五階を建てるには一般の人間の感覚から見ても手狭であり、結果的に飛び地となる街区が存在することも、その理解を困難としています。区内外の超高層ビルとのデータ比較を行っても、敷地面積に対して、高さはもちろん、建ぺい率や容積率はかなり過大と言わざるを得ません。さらに、近隣住民から、なぜこのような高さや容積なのかという質問に対して、区の担当者は主に、合法であるから、計画実現のためにはやむを得ないという趣旨の回答を繰り返しており、周辺住民の感情を逆なでしている感があります。

 そこで、お尋ねいたします。

 超高層ビルとして、区内はもちろん、都内、国内も含めて最高レベルとなる建ぺい率や容積率、最低レベルとなる空地面積について、近隣の住環境、月島駅前の景観、防災・安全面、急激な人口増加等の各影響に問題がないというお考えなのか否かを具体的な理由とともにお答えください。また、もしも問題があるということであれば、具体的にどのような対応策を講じるおつもりなのかをお示しください。

 市街地再開発事業は、都市再開発法と都市計画法等に基づく都市計画事業であり、極めて公共性の高い事業であります。それゆえに、多くの助成制度や融資制度が設けられており、補助金としては、補助対象となる金額が、国家が三分の一、都が三分の一負担しております。これ以外にも、区でも行うことのできる再開発関連調査、コンサルタント派遣、再開発住宅の建設などがあり、再開発事業に対しては国・都・区から多面的かつ多額な公的支援をしていることになります。

 そこで、これらの再開発助成制度に、近年、本区が投じているその件数や金額を年度単位でお示しいただいた上で、助成をした結果として、どのような公共貢献や有効性を得られたのか客観的に評価するシステムが必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。法的な適用要件を満たしているのか否かは、現在でも、当然ながら確認されているはずではありますが、本区独自に中央区基本計画にのっとった評価体系を構築して公共貢献の度合いを測定するべきだと考えます。それに対する御意見をお聞かせください。

 最後に、都市再生事業に関連して、まち並み保存への御見解をお伺いします。

 先日、私は飛騨の京都と呼ばれる岐阜県高山市と合掌集落が世界文化遺産に登録されている同県の白川村へと参りました。権威ある外国の旅行ガイドには、東京以上に訪れる価値があるまちとの評価もあり、国内外の観光客が多数訪れる、言わずと知れた歴史と文化の薫るまち並みと集落であります。しかし、これらのまち並みや文化財は自然に残ったわけではなく、住民や行政の保存や活用へのたゆまぬ努力が結実したものだと、当地を訪れ、実感しております。近年、全国の自治体では、このように古いまち並みや歴史的建造物、旧跡の保存を地域振興の中核に据える例もふえてきております。郷土愛や自治の精神をはぐくむ上でも、重要性は今後ますます高まることでしょう。

 常に時代の先端を走り、歴史の面影を残すものは数少なくなってきているといえど、江戸開府以来四百年の歴史を有する本区は、そのような歴史文化の宝庫であります。しかし、現在、これらのまち並みや旧跡の保存や有効活用について十分に検討されているとは言えない状況にあると考えます。例えば、日本橋が商業地としての地位を確立した魚河岸跡地には、その面影となるものは現在見当たらず、かつての河岸がどのような形態であったのかは容易には想像することができません。現在の築地市場にも通ずる魚河岸文化は中央区の完全なオリジナル文化であり、当時をしのばせる施設の復元や歴史文化施設を旧魚河岸地区を周辺に計画すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。また、現在、再開発の対象であることが多い月島地域の長屋と路地のある風景も、太平洋戦争時の空襲被害を余り受けなかったことから、東京で数少ない戦前の面影を残す貴重な財産との評価が高まっています。NHKの連続テレビ小説「瞳」の例を挙げるまでもなく、都心といえども下町情緒や地域の素朴なコミュニティを、区民のみならず国民が期待していることのあらわれであります。

 再開発事業は、都心区として、未来を担う行政の責任から計画的に行う必要がある一方で、歴史あるこれらまち並みは一部積極的に修復・保存を行い、区民の共通財産として文化・観光活用に役立たせるべきだと考えます。例えば、月島長屋保存館のような現存家屋の施設を計画して、月島の観光振興と歴史保存に寄与すべきだと考えますが、いかがでしょうか。人は、合理的なもの、新しいもののみに価値を見出すわけではありません。価値あるまち並み保存への見解をお聞かせください。

 以上、再開発を中心としたまちづくりのあり方について質問させていただきました。私は、再開発自体は新しい魅力ある都心、中央区のために十分必要性があり、計画的、継続的に行っていくべき必要があるものと考えております。しかし、それらの計画の決定のためのプロセスの明示や近隣住民の意向を酌み取るためのシステムを確立することは、その計画の進行以上に重要なことと考えております。だれにでもわかりやすい明確なルールをつくることによって、余計な混乱を防ぎ、計画実現までの時間を短縮できるはずです。現状の対応は、区の考え方と隔たりのある住民を乖離し、不信感を抱かせ、かえって双方に無駄な手間と時間をかけさせているように見えてなりません。

 再開発事業は、総論賛成、各論反対となりやすい事業であります。しかし、だからこそ、急がば回れの精神を行政が持ち、都市再生事業の関連法令以上の自主的かつ明快な枠組み、ルールづくりが望まれます。下町の情緒と最先端の文化・商業都市としての顔を持つ中央区にふさわしい円滑な仕組みづくりを早急に整備することを強く要望いたしまして、一回目の質問を終わります。御答弁によって再質問をさせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中耕太郎議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、市街地再開発事業を行う際の区民のメリットとデメリット及びデメリットの対応策などについてであります。

 市街地再開発事業によるまちづくりは、個別計画では果たせない面的な防災性の向上などの地域課題への対応を図り、市街地環境の改善を図る上では有効なまちづくり手法の一つであります。また、区民が地域での生活や営みを継続しつつ、広場や緑地の整備をはじめとする地域の機能更新、利便性の向上及び地域の活性化を図る上では大変有意義なものであり、個々の建てかえに比べ、地域の更新に要する時間が短くなるなど、地域にとって望ましい側面も多くあると認識しております。

 一方、建物が大規模化することにより、風害や日照阻害など、周辺に少なからず影響を与えることから、事業に対してさまざまな意見があることは承知しております。このため、計画策定から事業完成するまでの経過の中で周辺住民の理解と協力を得ることが極めて重要なことと認識しており、区としては、関係法令や基準に基づく整備のみならず、建物の配置の工夫など、周辺環境への影響を低減するよう事業者に対して積極的に指導しているところであります。加えて、事業者による地域周辺住民への説明の場を設けるなど、地域住民の理解の形成に向けたきめ細やかな取り組みを事業の進捗段階に応じて実施するよう指導しているところであります。

 次に、住宅マスタープランに掲げる住民のまちづくり活動への支援についてであります。

 まちづくりの主役は住民であり、その範囲は幅広く多様なものと認識しております。まちづくりは、一定のプロセスを踏んで計画的に進めるものであり、計画の進捗状況に応じて、対象となる住民の範囲や活動内容が異なることから、適切な対応が必要になると考えております。再開発を例にとれば、計画策定段階では地権者による勉強会、地区内居住者による協議会や準備組合活動、その後、周辺住民への説明会など、段階的に進んでいきます。このため、区では住民の活動内容や取り組み内容に応じて行政目標を実現する観点から総合的に判断し、また、地域ごとの公平性を損なうことのないよう活動への参加や支援に取り組んでいるものであります。こうした区の取り組みの実績として、銀座ルールなどの広域的な地区計画の導入や、晴海トリトンスクエア、月島ムーンアイランド、トルナーレ浜町などの再開発事業がありますが、いずれも住民主体のまちづくりを積極的に支援した結果、実現したものであります。区といたしましては、今後も住民のまちづくり活動を積極的かつ柔軟に支援することで、築地や東京駅前地区においても住民主体によるルールづくりやまちづくりを進めてまいります。

 次に、月島一丁目三・四・五番街区の再開発事業についてであります。

 本事業は、住民みずからが協力し、個別建てかえでは対応し切れない面的な防災性の向上などの地域課題の解決を目的に、法律に基づく市街地再開発事業を行うものであります。この事業の前提となる容積率、建ぺい率、公開空地などの都市計画案については、ザ・トウキョウ・タワーズや晴海三丁目西地区をはじめとする多くの市街地再開発事業にも適用してきた再開発等促進区を定める地区計画の運用基準に基づき、適切に設定しているものであります。一方、建設地周辺への環境変化に対し、今回の計画においては、まち並みへの配慮として、建物の低層部分を周辺市街地と調和するように高さを抑えているほか、風対策上必要な場所での植栽の実施やひさしの設置を計画するとともに、西側高層マンションへの日照の影響を軽減するため、建築物の配置や高さに工夫を凝らすなどの配慮がなされていると認識しております。区といたしましては、今後とも本事業の計画が具体化する中で、さらに周辺環境への影響を低減するよう、開発事業者となる再開発準備組合に対し、積極的に指導してまいります。

 次に、公共貢献の客観的な評価についてであります。

 本区における市街地再開発事業に対する補助の実績としては、除却工事、建設工事等に係る費用の一部を対象とし、昨年度は五地区、七十四億二千百十七万六千円、平成十八年度は四地区、六十億七千八百二十二万二千円となっております。これらは、国が定める市街地再開発事業等補助要領に基づいて算出されたものであります。なお、これら事業においては、地域に不足している集会施設、医療機関、子育て支援施設等の生活関連施設の整備や駅との接続等により、地域固有の課題解決に努めているところであります。したがって、建設地の立地条件や地域の課題を踏まえて施設計画を立案するものであり、一律的な基準に基づき地域に対する貢献度を評価することは困難であり、事業ごとにその必要性、妥当性などを総合的に判断することが重要であると考えております。

 次に、歴史的建築物や古いまち並みの保存などについてであります。

 本区は、江戸開府以来、日本の文化、商業、情報の中心にあったことから、区内には歴史的建築物や旧跡が多く残っており、それらを後世に残していくことが重要と考えております。このため、御提案のあった旧魚河岸の復元の関係では、現在、地元とともに進めている首都高速道路の移設や日本橋川再生に向けたまちづくりの中で、日本橋川川岸地区はオープンスペース化を図る計画となっております。この計画の具体化にあわせ、当時をしのばせる施設の一部を復元するなどについて地元と協議してまいりたいと考えます。また、歴史的建築物や古いまち並みの保存の関係においては、実例として、日本橋室町の日本橋三井タワーでは重要文化財特別型特定街区制度を活用し、三井本館を残しつつ建てかえを行ったほか、銀座の交詢社ビルディングでは機能更新型高度利用地区などを活用し、内部空間及び玄関周りの外壁について復元と保存を行ったところであります。さらに、月島地区では、路地空間を保存しながら個別建てかえを可能とする街並み誘導型地区計画制度を導入し、月島らしいまち並みの保存と居住継続が可能なまちづくりを進めております。今後とも都市計画の諸制度などを有効に活用しながら、区内に残る貴重な歴史的建築物やまち並みの保存などに努めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔八番 田中耕太郎議員登壇〕

○八番(田中耕太郎議員)
 御答弁ありがとうございます。

 おのおの回答をいただいておるわけなんですけれども、やはり対応として、いつも区が挙げていただいておりますきめ細やかな指導ですとか、柔軟な対応という、非常にあいまいさを残す表現が混乱を招くもとだというふうなことで今回の質問をさせていただいております。今回も、やはり地域の声にきめ細やかに対応する、柔軟に対応するというふうには御回答いただいているわけなんですけれども、やはりそこに具体性が伴っていないのではないか、なので、システムが必要なのではないかという趣旨でございますので、いま一度、柔軟な対応とかきめ細やかな対応というのは具体的に何をどうすることなのかというのを区長の見解としてお伺いしたいというふうに考えております。

 さらに、再開発事業の公共貢献の評価は、一律は非常に難しいという御見解でございましたけれども、これも一つの再開発事業を行えばすべてが万事解決するなどということは当然あり得ないわけでございますから、そういった一律的なものを期待しているわけではなくて、その地域にとって必要な目標を掲げて、その目標をどれだけクリアしたのか、これをやはり区民、周りの周辺住民にわかるようにしていただかなければ、その開発事業が果たして未来にとって評価できるものなのかどうかというのが、我々自身、行政自身も評価できないのではないかと。再開発事業はすべて成功かといえば、必ずしもそうではないということは、本区の内外を見ましてもわかっていることでございますので、評価をしっかりと定めないままに次の事業、次の事業と進めていくことは非常に危険であるということを申し上げまして、再度その御見解もお伺いいたします。

 最後に、歴史的な保存ということで、月島の、最後、例で、街並み誘導地域になっているという御見解でございましたけれども、街並み誘導型地域を導入しているにもかかわらず、大規模再開発が、目白押しになってしまっていて余りまち並みが必ずしも保存されていないのはどういうことなのかというのをもう一度、区長のお考えとしてお聞かせ願いたいと思います。

 さらに、申し上げたいこととしましては、昨日の一般質問の中で、区長の答弁の中に、私は必ずしも大規模再開発は好きではないといったような旨の趣旨があったかと思いますし、非公式な場ではございますけれども、区長もやはり、ほかの場でも、高い建物は個人的にはそれほど好きではないと。いろいろ問題も起こり得るので、いろいろ考えたいといった趣旨の発言は、非公式な場ではございますけれども、されたことがあるというふうに認識しておりますので、なぜそういったお考えの区長のもとで大規模再開発が次々と進んで、それに対してさまざまな意見が出ているにもかかわらず、きちんとした検証が行われていないのかというのをいま一度お答えください。

 以上、よろしくお願いいたします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも、どうも。

 きめ細やかな対応、また柔軟な対応ね、これほど重要なことはないんじゃないですか。中央区、余りよくわからないかもわかりませんけれどもね、百七十二かな、三かな、町会や自治会があるんですよね。私は前から言っているんですけれども、中央区というのは本当に個性豊かでね、わずか十平方キロですけれども、本当にダイヤモンドをカットしたように、本当にその地域地域、月島は月島らしさ、晴海は晴海らしさ、元佃のほうは元佃らしさ、勝どき、また銀座は銀座、兜町は兜町、日本橋周辺は日本橋というように、浜町は浜町、人形町は人形町と本当に、一律一律と言いますけれども、システムですか、一律的なシステムをと言いますけれども、そう単純なまちではないんですね。ダイヤモンドのカットのようなものであるから、全体として、小さくともきらりと光り輝く、そういうまちであるわけでしてね、これほど私たちにとってきめ細やかに一つ一つ柔軟に対応していかなければならないまちはないんではないかな、そういうふうに私自身は思っているんでありましてね。田園地帯だとか住宅地だとか商業地だとかね、そう一律に割り切れるものではない、こういうふうに思っておりますから、常にきめ細やかに柔軟に対応していこう、まちづくりについてですね。

 また、住民の方々もさまざまな方々がおられる。どんどん人もふえておりますけれども、本当に中央区を喜んでいただいている。来た方々の世論調査を見てもおわかりのとおり、八○%以上の方々がこれからも住み続けたいと言われているわけで、これは指数にもちゃんと出ているわけでございますね。

 それから、大規模な再開発というか、高いところ、私は高所恐怖症なのかな、東京タワーはまだ行ったことがないんですよね。余り大きなもの、大規模な開発といいますか、私は、最初、だから開発という言葉も余り好きじゃなくてね、再整備ですね、特にこのまちというのはでき上がったまちでありますから、それを再開発するよりは一つ一つ再整備していくんである、そういう観点から取り組んで、自分自身はですよ、取り組んできているわけでございますが、一般的には再整備というよりは再開発というほうがわかりやすいんでありましょうから、再開発という言葉が一般的になっておりますけれども、私自身は再開発と言われようと再整備であると。既存市街地の、既成市街地の再整備をしているんである、そういう姿勢で常に臨んでいるところであります。

 そういうことでありますが、また、文化ね。月島地区の街並み誘導型地区、いわゆる路地ですね。あそこはすばらしいところではあるんですが、あそこに住まわれたことありますか。ないでしょう。やはり住んでいた方々の気持ちになって、そのまちをどうするかということをお考えになったほうがいいんではないかな、私はそう思いますね。私は、今、ぼろ家に住んでおりますけれども、これはもう大変ですよね。それこそ、ネズミはガチャガチャ運動会をやるしね、雨が降ると、もうバタバタうるさくて寝られやしないというような家ですけれども、それでも、あそこのところ、再整備、再開発しようという動きは全然ありませんしね、別にそういうことを期待しているわけでもありませんが、やはりそれを保存しろと言われるときに、それに合った、その人たちがそこに住んでいるわけですから、現在ね。その人たちの身になるということから、こういう手法もありますよということで、街並み誘導型の地区計画というのも導入して、こういうことで、もし防災という観点あるいはよりよい住環境を望むならば、こういうことでできますよという手法を提示しているわけでありまして、それを行うかどうか、これはまさにそこに住まわれている方々の判断ですね。住民主体、住民が主人公となったまちづくり、これが私が区長になってからの一貫した姿勢でございましてね。

 ですから、住民というのはどういうものかというのは、だから、それを地権者あるいは住んでいる方々の、借りて仮住まいをされている方々、また周辺の住民、そういった方々が主体となって、主人公となって話し合って、それこそ本当に大いに議論して、そこから真理が出てくるんであろう、こういう姿勢を貫いてきているところであります。

 以上であります。

〔八番 田中耕太郎議員登壇〕

○八番(田中耕太郎議員)
 御回答ありがとうございます。

 中央区をよくわからないでしょうというお話でございましたのですが、新しい住民が、今、ふえている中で、区長の御見解としては、それはいかがなものかなと。新しく住んでよくわからないから任せておけというようなニュアンスに聞こえてしまいますので、その点は御考慮いただきたいなというふうに思います。

 地域らしさは単純ではない、中央区は非常に複雑な歴史と有効な多面性を持っているというお話ではございました。しかし、だから、できないということではないというふうに思います。有効な多面性を持っているからこそ、矢田区長ほどの優秀な方であれば、おのおのに対応したすばらしい計画や素地づくりができるというふうに思ってお願いしておりますので、複雑であるということを理由に掲げられてしまいますと、では、だれもできない、どうしようもないといった結論になってしまうと思いますので、その点は非常に、もう少し何とか考えようがないのかということを今後とも提案させていただきたいというふうに思っております。

 大規模再開発につきましては、開発というよりも再整備なんだというお考えだということでございました。区長のお気持ちは、今のお話を聞きましても、私なりには理解したつもりではございますけれども、結果的に、ほかの方から見て、再開発と再整備との違いは、では何なのかとか、あれは再開発ではなくて再整備なんですと言ったところで、それは普通の方には届かないお話だというふうに私は思いますので、もしもそういったことも、再開発と再整備は明確に違うということであれば、やはりそれも今後の区政に反映していただくような方法を考えていただきたいというふうに思っております。

 古い家屋について、最後、住んだことは、こちらもないでしょうというお話でございまして、まさに住んだことがございませんので、それについて細かいことを申し上げるつもりはございませんけれども、古い家屋にお住まいの方が新しい家屋にお住まいになりたいんであれば、当然、新しい家屋を準備するというのは理の通った話ではございますけれども、私が申し上げたのは、あくまでもこれは文化的な価値もあるという側面で最後の保存は申し上げましたので、そうしましたら、では先ほどの私の例ではないですが、高山の合掌づくりにお住まいの方が現代的な生活として楽なのかといったら、そういうわけではございませんよね。ですが、そういう選択を皆さんされているし、そういった形のものを援助していこうという形で行政や住民も協力しているわけでございますので、月島にお住まいの方で一応御不便を感じている方というのはいらっしゃるとは思いますけれども、それと、今、私の申し上げた施策というのは必ずしも一致しないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

○議長(今野弘美議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(今野弘美議員)
 次に、日程第二、日程第三及び日程第四を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二、日程第三及び日程第四を一括して上程いたします。

〔土屋議会局長朗読〕


日程第二
議案第三十九号 平成二十年度中央区一般会計補正予算

日程第三
議案第 四十号 平成二十年度中央区国民健康保険事業会計補正予算

日程第四
議案第四十一号 平成二十年度中央区介護保険事業会計補正予算


○議長(今野弘美議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第三十九号、第四十号及び第四十一号、平成二十年度本区各会計補正予算につきまして、提案の理由を御説明申し上げます

 今回の補正は、一般会計で三億五千四百五十六万四千円を、国民健康保険事業会計で八千三百三十三万九千円を、介護保険事業会計で一億六百六十三万四千円をそれぞれ増額するものであります。その結果、一般会計は六百十九億九千九百九十九万九千円、国民健康保険事業会計は百六億六千八百九十五万円、介護保険事業会計は五十四億二千四百六十五万六千円となるものであります。

 初めに、一般会計補正予算の概要について御説明申し上げます。

 歳入の国庫支出金は、市街地再開発事業費補助金一億二千三百六十二万三千円の計上です。

 都支出金は、都市計画交付金一千八百六十二万三千円の計上です。

 寄附金は、中央区の森寄附金五十五万五千円の計上です。

 繰入金は、財政調整基金からの繰入金一億五百万円の計上です。

 繰越金は、前年度からの繰越金七千六百七十六万三千円の計上です。

 諸収入は、共通買物券収入一億円の増と、開発協力金七千万円の減、合わせて三千万円の計上です。

 次に、歳出について御説明申し上げます。

 まず、総務費は、PFI方式による(仮称)人形町保育園等複合施設の整備におけるアドバイザリー委託費五百二十五万円の増と、地方税法等の一部改正により、個人住民税の公的年金からの特別徴収実施に必要となる地方税電子申告審査支援サービスの導入に要する経費二百七十八万六千円、合わせて八百三万六千円の計上です。

 地域振興費は、原油・原材料の高騰に伴う区内中小企業向け支援策等として実施する共通買物券の追加発行に要する経費一億一千五百五十万三千円と、区内中小小売店等の顧客拡大に向けた商店街等の活性化支援に要する経費四千七十二万六千円、合わせて一億五千六百二十二万九千円の計上です。

 土木建築費は、児童・幼児用自転車ヘルメットの普及に要する経費四百十九万一千円と、市街地再開発事業助成費二億四千七百二十四万六千円の増、合わせて二億五千百四十三万七千円の計上です。

 教育費は、子どもの居場所「プレディ」の拡大のための学校施設改修等に要する経費八百三十万七千円の計上です。

 諸支出金は、まちづくり支援基金への積立金九千六百万円の減、森とみどりの基金への積立金一千三百五十五万五千円の増、新たに設置する文化振興基金への積立金一千三百万円、合わせて六千九百四十四万五千円の減額です。

 次に、国民健康保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入は、前年度からの繰越金八千三百三十三万九千円の計上です。

 歳出では、諸支出金が前年度超過交付に伴う償還金八千三百三十三万九千円の計上です。

 次に、介護保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入は、前年度からの繰越金一億六百六十三万四千円の計上です。

 歳出では、諸支出金が前年度超過交付に伴う償還金一億六百六十三万四千円の計上です。

 以上、平成二十年度本区一般会計及び国民健康保険事業会計並びに介護保険事業会計補正予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。


○十一番(原田賢一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま上程されております議案第三十九号、議案第四十号及び議案第四十一号は、企画総務委員会に付託されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。


○十一番(原田賢一議員)
 議事進行について、さらに動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま企画総務委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十七日から二十九日までを休会とし、来る九月三十日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(今野弘美議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十七日から二十九日までを休会とし、来る九月三十日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後五時三十三分 散会


署名議員
議長 今野 弘美
議員 鷲頭 隆史
議員 鈴木 幸子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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