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平成22年第三回定例会会議録(第3日 9月22日)

1.会期

二十九日(第三日)
九月二十二日(水曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議
午後六時二分散会

3.出席議員

(二十九名)
一番 志村 孝美議員
二番 二瓶 文隆議員
三番 木村 克一議員
四番 礒野 忠議員
五番 増渕 一孝議員
六番 田中 広一議員
七番 中島 賢治議員
八番 田中 耕太郎議員
九番 田辺 七郎議員
十番 鷲頭 隆史議員
十一番 石田 英朗議員
十二番 石島 秀起議員
十三番 今野 弘美議員
十四番 鈴木 久雄議員
十五番 植原 恭子議員
十六番 鈴木 幸子議員
十七番 小坂 和輝議員
十九番 小栗 智恵子議員
二十番 鞠子 勝彦議員
二十一番 中嶋 ひろあき議員
二十二番 神林 烈議員
二十三番 押田 まり子議員
二十四番 原田 賢一議員
二十五番 矢吹 和重議員
二十六番 田畑 五十二議員
二十七番 青木 幸子議員
二十八番 高橋 伸治議員
二十九番 渡部 博年議員
三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君
副区長 髙橋 邦夫君
副区長 吉田 不曇君
教育長 髙橋 春雄君
企画部長 斎藤 裕文君
総務部長 斉藤進君
防災危機管理室長 平沢 康裕君
区民部長 齋藤弘君
福祉保健部長 島田 勝敏君
高齢者施策推進室長 小倉草君
保健所長 東海林 文夫君
環境部長 田中武君
土木部長 宮本 恭介君
都市整備部長 岸田 里佳子君
会計管理者 西川 昭男君
教育委員会事務局次長 新治満君
企画財政課長 平林 治樹君
広報課長 信坂 留吉君
総務課長 中島 佳久君

5.議会局出席職員

議会局長 奥田 春光君
庶務係長 渡辺 忠之君
議事係長 横山 信一君
調査係長 金田 敏明君
書記 村上 和夫君


6.議事日程

日程第一
一般質問

日程第二
議案第五十四号 平成二十二年度中央区一般会計補正予算

日程第三
議案第五十五号 平成二十二年度中央区国民健康保険事業会計補正予算

日程第四
議案第五十六号 平成二十二年度中央区介護保険事業会計補正予算


午後二時 開議

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(中嶋ひろあき議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十六番鈴木幸子議員。

十六番 鈴木幸子議員登壇

○十六番(鈴木幸子議員)
 私は、中央区議会公明党の鈴木幸子です。平成二十二年第三回定例会に当たり、一般質問をさせていただきます。なお、答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 それでは、初めに、うつ病対策についてお伺いします。

 近年、日本では自殺者の数が減りません。警視庁によりますと、一九九八年以降、十二年間の自殺者は三万人以上と言われており、毎日九十人もの人たちが自殺で亡くなっています。自殺未遂者はその十倍に上ると言われており、深刻な社会問題になっております。

 急増する自殺の最大の要因はうつ病であることが指摘されております。自殺者を見てみますと、四十五歳から六十四歳の中高年の男性が圧倒的に多く、次に二十五歳から四十四歳の男性が続きます。動機は、失業などによる経済苦や病気などによる健康問題、家族や職場などにおける人間関係の悩みなどによるものです。実際、自殺を図った人の八割がひどい抑うつ気分を感じていて、その半数がうつ病だったことが判明しております。しかし、うつ病は何も働き盛りの男性に限りません。主婦など女性が発病する割合は高く、罹患率は男性の二倍と言われております。さらに深刻なことは、子供のうつ病も増加しており、場合によっては自殺に追い込まれるケースもあります。

 中央区においては、ここ三年間、自殺死は主要死因の第五位になっており、自殺率は人口十万人当たり二十一から二十三で推移しています。昨今の不安定な経済情勢や複雑化する社会の中で、さまざまなストレスを抱える現代人にとって、うつ病はだれでもなり得る病気になっています。

 厚生労働省によりますと、我が国のうつ病患者は、平成八年の四十三万人から、平成二十年には百四万人と急増し、十二年間で四倍になり、受診していない患者さんを含めると二百八十万人を超えると推計されています。しかし、このように急増しているうつ病患者への対応に対しては、十分な対策が講じられていないのが現状ではないでしょうか。

 うつ病は、早期発見と的確な早期治療を促すことにより、回復が見込まれる疾病と言われております。また、うつ病は、疾病の初期段階においては、他の精神疾患や内科の疾病とよく似た症状を示すことも多いことから、発見されにくい病気とされております。そのためにも、うつ病は早期発見の初期対応が重要になります。早期発見の観点からも、うつ病に対する区民への意識啓発が大切になります。うつ病は、だれでもかかり得る風邪のような病気と言われる一方で、偏見を持った見方をされていることも確かです。

 そこで、お伺いします。

 パンフレットやチラシ、区のおしらせ中央などでうつ病の特集記事を掲載したり、あるいは講師を招いて、うつ病をテーマにした講演会を実施するなど、一層の普及啓発に取り組むべきではないでしょうか。また、保健師などが企業や地域、学校などへ出向き、うつ病についてのセミナーなど開催することも有効ではないでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、早期治療についてお伺いします。

 うつ病の可能性の高いと思われる人が最初に受診する場合、ほぼ六○%が内科医を受診するケースが多いとされております。その結果、診断を誤り、早期発見・早期治療につながらないことが指摘されております。このようなことが今後繰り返されないためにも、内科医と専門医が連携を密にしていただき、スムーズに内科医から専門医や医師会へ患者さんの紹介や情報の提供がされるように、医療機関に働きかけることが重要と考えます。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、認知行動療法についてお伺いします。

 我が国のうつ病の治療は、これまで抗うつ薬による薬物療法と休養によって治るとされておりましたが、薬物療法では回復できず、慢性化と再発に苦しむ患者さんの問題が大きな課題とされてきました。そうした中で、新たなうつ病治療として、認知行動療法が注目を集めております。

 認知行動療法は、精神療法の一つですが、これまでは健康保険のきかない自由診療でした。自由診療のため、都心では一時間当たり診療費が一万円から一万五千円が相場とされておりました。患者さんにとっては経済的負担が重く、受診しにくいものとなっておりました。公明党は、認知行動療法の保険適用の実現を政府に申し入れを行ってまいりました。その結果、二○一○年度の診療報酬制定で、この四月から健康保険適用の運びとなりました。

 うつ病にかかる人は、一般的に自分自身や将来に対して否定的で悲観的な物事のとらえ方をする傾向があり、物事のとらえ方や解釈も否定的になりやすいと言われております。つまり、このことを認知のゆがみといいます。そのため、不快な感情を増大させてしまいます。不快な感情が行動に大きな影響を及ぼすことになり、事故につながるケースもあります。

 認知行動療法は、患者さんの病んだ心の要因となっている否定的な考え方に対して、治療者が反論や対話を重ねる中で患者さん自身のゆがんだ考え方に気づいてもらい、冷静な判断やバランスのよい考え方が身につくように改善していくものです。あわせて、患者さんの苦手な場面に段階的に挑戦し、行動を通して不安を取り去っていきます。例えば、外出が怖い場合、家族と一緒に少しだけ外出し、徐々に距離を延ばし、やがては一人で外出できるようにします。認知、考え方を修正し、行動することで状況になれて自信をつける認知行動療法は、薬物療法と併用することで再発予防の効果が高いとされます。治療方法は、個人差にもよりますが、週一回程度面接を三カ月間かけて積み重ね、自宅では考え方を改善する練習を宿題として取り組むことで効果が期待されます。認知行動療法は、一九七○年代に米国で開発されて以来、欧米を中心に世界的に広く使用されて、うつ病対策に大きな成果を上げております。

 私は、このたび、沖縄県立総合精神保健センターを視察させていただきました。同センターでは、平成十七年八月、自殺予防対策、そしてうつ病対策として全国で初めて認知行動療法を中核としたうつ病デイケアを開設し、大きな反響を呼んでおります。

 うつ病デイケアでは、慢性のうつ病と診断され、長期間にわたり生活への障害を来している方に対して、認知行動療法を中核とした一定のプログラムをもとにリハビリテーションを実施しております。最終的な目的として、否定的な思考や行動を肯定的な方向に修正することでうつ病の改善を図り、回復した後も再発を防ぎ、職場復帰や家事復帰などの社会参加を目指しております。実施期間は毎週火曜日で、月四回行われます。午前九時三十分から午後三時三十分までです。午前中には作業療法、午後には認知行動療法の講習会が実施されます。治療期間は二年間となっております。午前中の作業療法では、陶芸や革細工などの創作活動や軽スポーツといった創造性や達成感の得られる活動を行うことで、うつ病に発病しやすいとされる自律神経症状の改善を図ることを目的としております。午後には、認知行動療法の講習の受講や患者さん同士でホームワークのチェックとともに、意見交換をします。意見交換をすることで悩みを共有し、他の患者さんの受け答えを参考にすることで改善を図ります。

 デイケアを受講した患者さんの開始前と開始後の病状評価の心理テストの結果を見てみますと、デイケアへの通所開始前の就労状況は、就職中十五人、休職中四十四人、無職十九人、専業主婦十一人の八十九人でした。終了時には八十九人のうち五十三人が社会復帰を果たしております。働ける状態まで回復したが、まだ仕事が見つからず休職中の七人を加えると、六十人が就労可能な状態まで回復を可能にしました。沖縄県立総合精神保健センターのデイケアでは、薬物療法のほかに、認知行動療法と作業療法の組み合わせでうつ病の改善に取り組んだ結果、社会復帰を可能にしました。

 以上のことからも、認知行動療法はうつ病や精神科医療の重要な治療手段であることが実証されております。今年度から保険適用にもなり、うつ病の患者さんにとっては受診しやすい環境が少しずつ整ってきました。しかし、認知行動療法は日本ではようやく始まったばかりです。

 そこで、お伺いします。

 うつ病の再発に苦しむ患者さんや家族のためにも、認知行動療法の記事を区のおしらせ中央、チラシ、パンフレットに掲載し、また認知行動療法の講演会を積極的に開催してはいかがでしょうか。あるいは、医療機関などに認知行動療法の情報誌などを置かせていただいてはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、沖縄県立総合精神保健センターで実施している認知行動療法を中核としたうつ病デイケア、本区におきましても、将来的にこのようなデイケアを実施すべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、精神対話士についてお伺いします。

 うつ病対策の質問の中でも述べましたが、現代は科学技術や情報化の目覚ましい発展によって物質的には豊かになりましたが、反面、心の豊かさが失われ、人間関係の希薄化がもたらす孤独感や不安感、喪失感などを訴える人がふえております。心の荒廃が大きく取り上げられる社会にあって、心の手入れをすることが必要となってきております。そして、自分の生きがいをはっきりと認識させてくれる温かな存在があることが、みずからの生きる意欲にもつながってきます。こうした社会の要請の中から生まれたのが、心のケアの専門職、精神対話士です。

 精神対話士は、慶応大学の医学部出身の医師たちにより結成されたメンタルケア協会が養成し認定する、聴く技術を持つ専門職のことです。医師や臨床心理士とは異なり、医療的な治療や心理テストなどはせず、相手に寄り添って聴くことで、前向きに生きるための援助を行います。精神対話士の活動は、学校や病院、企業、福祉施設などに出向き、悩みや不安などを抱える相談者と真心の対話をすることで、これからの人生を前向きに歩んでいくために精神的な支援をします。

 石川県では、二○一○年度において県の自殺者防止対策の補助金認定事業を活用して、自殺防止の一助になればと、施設などに精神対話士を派遣し、悩みを抱える人たちの相談に無料で応じる取り組みをしております。相談内容は、家族に関することや仕事、職場での人間関係、介護疲れ、多重債務、健康問題など多様な悩みに精神対話士が対応しております。昨年末にはハローワーク金沢でのワンストップ・ザ・サービスデイにもブースを設け、深刻な雇用状態が続く中、生活に困っている失業者を対象に精神対話士を派遣し、転職相談の支援のみならず、心の悩み相談にも対応し、反響を呼んでおります。このように、石川県での人権に配慮した先進的な取り組みは、福祉の充実を図る上でも効果が期待できるのではないでしょうか。

 そこで、お伺いします。

 本区におきましても、例えば子ども家庭支援センター「きらら中央」や福祉施設や学校に精神対話士を派遣し、福祉の充実を図ってはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 また、職員に精神対話士の資格の取得を奨励してはいかがでしょうか。例えば、福祉関係の職員や人事担当者、そして教師などです。精神対話士の資格を持つことにより、スキルアップにもなり、ひいては区民サービスの向上につながるのではないでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、乳がんと子宮頸がんの検診無料クーポンの支給事業についてお伺いします。

 女性特有のがん対策として、乳がんと子宮頸がんの検診無料クーポンの支給事業が、公明党の強力な推進により、二○○九年度第一次補正予算で実施され、受診者増加に大きく貢献しました。乳がん検診の対象者は、四十歳、四十五歳、五十歳、五十五歳、そして六十歳の女性です。子宮頸がんは二十歳、二十五歳、三十歳、三十五歳、そして四十歳の女性です。この検診無料クーポンと検診手帳が検診の受診者アップに大きな効果があったことが、がんの撲滅を目指す日本対がん協会の調査で明らかにされております。

 日本対がん協会は、ことしの二月、市町村の委託でがん集団検診を実施している全国四十六道府県支部にアンケート形式で調査を実施しました。その結果、無料クーポンを配布した二○○九年度の乳がん検診は、二○○八年度の八十八万五千七百二十六人から百一万八百四人と十二万五千七十八人増加しており、前年度と比較しますと一四・一%の増となっております。子宮がん検診でも九十七万三百七十人から百五万八千八十一人と八万七千七百十一人ふえており、九%の増となっております。無料クーポンの適用対象外だった検診の胃がんは○・九%減、肺がんは四%減、大腸がんは一%増と平年並みの受診率だったのに比べ、乳がん、子宮頸がんの検診受診者数が伸びていることがわかります。

 クーポンの利用状況は、初回の検診者がふえており、京都では、特に子宮頸がん検診では二十代の女性の検診が大幅にふえたとしております。本区においても、昨年度と比較してみますと、子宮がん一七・二%と一・一ポイントの増、乳がん一一・一%と一・二ポイントの増と、わずかながらの増となっております。検診無料クーポンと検診手帳を受け取った方からは、いつかは行かなくてはと思っていたので、受診するきっかけになりましたと語っておりました。日本対がん協会の塩見事務局長は、これまで検診を受けなかった人たちを無料クーポンが大きく後押しをして、受診へと誘導しました。このことが今後のがん検診の定期的な受診につながる一歩となることを期待したいと述べております。

 公明党は、乳がん、子宮頸がんの検診無料クーポン事業を少なくとも五年間継続することにより効果が期待できると考えております。当時の舛添厚生労働大臣は、女性の命と健康を守るためにも、一回きりではなく、定着していきたいと述べておりました。しかし、現政権下のもとでは、残念なことに、予算は大幅に減額されてしまいました。こうした厳しい財政状況の中で、本区においては今年度も乳がん、子宮頸がん検診無料クーポン事業を継続していただきましたことに対して、高く評価をさせていただきます。

 そこで、お伺いします。

 乳がん、子宮頸がんは検診の有効性が高く、もはや不治の病ではなくなってきております。特に、子宮頸がんは予防ワクチンと定期的な検診のセットで、ほぼ予防できる唯一のがんと期待されております。しかし、我が国の乳がん、子宮頸がん検診受診率は、ヨーロッパやアメリカの七、八割に比べて二割程度と、先進国の中では最低レベルです。早期発見、予防診療によって救われる命は救われなくてはなりませんし、検診率を向上させていく取り組みも手を緩めてはいけません。

 そこで、お伺いします。

 乳がんと子宮頸がんの検診無料クーポンの支給事業は、通算五年間継続することで効果が期待できます。公平性を期すためにも、今後三年間は取り組んでいただけるよう提案させていただきます。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、マンモグラフィー車の導入についてお伺いします。

 大田区におきましては、乳がん検診の受診率向上のために、医療機関での検診のほか、昨年度からマンモグラフィー車の導入を図り、受診率向上のレベルアップに取り組んでおります。マンモグラフィー車は、区内の施設三カ所を巡回し、平日午前九時三十分から午後五時まで検診を実施しております。マンモグラフィー車を導入したことで、若い世代の検診者がふえたこと、地域で気軽に検診できることから受診率がアップし、無関心層への普及啓発に効果があったとしております。

 乳がんは、女性の罹患率第一位であるにもかかわらず、本区の受診率はわずか一一・一%です。国が策定した基本計画の二○一二年までの目標である受診率五○%達成までには、ほど遠い数字と言わざるを得ません。本区でも、マンモグラフィー車を導入し、地域で気軽に受診できる取り組みをし、受診率の向上を図るべきと考えます。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、子宮頸がん予防ワクチン接種についてお伺いします。

 本年七月より、区内の女子中学生を対象に、子宮頸がんの予防ワクチンの全額助成を開始していただき、区民の方に大変喜ばれており、高く評価させていただきます。先ほども申し述べさせていただきましたが、子宮頸がんは予防ワクチンと定期的な検診のセットでほぼ予防できる唯一のがんです。

 そこで、お伺いします。

 子宮頸がん制圧のためにも、予防ワクチン接種の対象者の拡大と、現在までの予防ワクチン接種の現状をお伺いします。

 次に、末期がん患者の在宅療養についてお伺いします。

 現在、日本人の死亡原因の三○%はがんによるものです。三人に一人ががんで亡くなるということです。厚生労働省は、十年後、がんで死亡する人は現在の三十万人から五十万人に増加すると発表しております。まさに、がんは国民病であり、二人に一人ががんで命を落とす時代がもう目の前に来ているのです。仮に医師からがんと宣告されたとしても、がんは緩やかに進行しますから、死に至るまでは数カ月から数年の猶予があります。それにしても、元気なうちに余命を知ることはつらく、悲しいことですが、予期することのできない心臓発作や事故などと違って、人生の総仕上げの時間を与えてくれます。命には限りがあり、それゆえ、とうといことに気づかされます。少しずつ死と向き合う覚悟ができ、やがては自分自身の思い描くように死を受け入れられるようになってくるのではないでしょうか。

 このような状況の中で、末期がん患者の願いは、医療機関での療養よりも自宅での療養であり、自宅で死にたいということです。しかし、平成二十年の厚生労働省人口動態統計によりますと、がんによる死亡場所の割合は、医療機関における死亡割合が八九・二%と圧倒的に多く、自宅における死亡割合がわずか七・三%にすぎません。

 次に、末期がん患者の多くの方が在宅療養を望みながらも、家族に迷惑をかけられない、また急に病状が変わったときの対応が不安などの理由から、在宅療養をあきらめています。

 在宅療養が困難とされている中、私は小平市にあるケアタウン小平クリニックを視察させていただきました。ケアタウン小平クリニックは、たとえ末期がんであったとしても、住みなれた家で安心して暮らしたいと願う人々の願いにこたえるため、ホスピス医としての経験を持ち、医師としての誇りと高い使命感に立つ山﨑院長によって二○○五年十月に発足しました。

 ケアタウン小平クリニックでは、在宅で療養している患者に対し十分な医療を提供するため、医療、訪問看護、そして介護サービスの三者間のネットワークが確立しており、協力体制が整備されております。患者さんに病状の急変があれば、二十四時間いつでもスタッフが対応し、手厚い往診による診療が施されています。二○○五年の発足以来、四年間で御自宅でおみとりをした患者さんは、実に二百名近くとのことです。

 この四年間、実に多くの貴重な体験をさせていただきましたと、山﨑院長は語っております。その中の一つとして、患者さんの住まいである在宅という場が持つ力の大きさを高く評価されております。在宅でみとった患者さん二百名に共通していることは、ホスピスで療養している患者さんに比べると、がんの痛みに対して感じ方が少ないということが挙げられるそうです。末期がんは激痛を伴うのが特徴であるにもかかわらず、在宅で療養している患者さんは、大切な家族とともに療養することでがんの痛みが大きく和らげられていると語っております。

 このように、ケアタウン小平クリニックの症例は、がんの末期でも家に帰れて、家でみとりができることを再確認させてくれます。在宅療法のほうががんの痛みを和らげる効果が高く、療養生活の質も高められることを教えてくれています。ケアタウン小平クリニックを利用した患者さんの家族は、家でみとることができ、思い残すことなく見送ることができたと語っています。

 二○○六年に制定されたがん対策基本法の緩和ケア第十六条には、国及び地方公共団体は、がん患者の状況に応じて激痛の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること、在宅においてがん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保することが明記されております。

 そこで、お伺いします。

 本区におきましても、末期がん患者が在宅療養するための整備に早急に取り組むべきではないでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、あんしん居住制度についてお伺いします。

 我が国の総人口は、平成二十年十月一日現在、一億二千七百六十九万人で、前年に比べて約八万人減少となりました。六十五歳以上の高齢者人口は過去最高の二千八百二十二万人となり、総人口の占める割合も二二%を超えました。やがて、団塊の世代が七十五歳以上となる三十七年には、三千五百万人に達すると見込まれています。このままでいきますと、我が国は世界で一番早く高齢化社会へと突入していきます。

 国民の大多数が長生きする長寿社会の中で、高齢者の居住形態も大きく変化しております。高齢者と成人した子供との同居率が最も高かった昭和五十五年の六六%から年々低下し続け、平成十九年には四三・六%まで減少しました。現在では、六十五歳以上のひとり暮らしの高齢者の増加は、男女ともに増加傾向にあります。ひとり暮らしの高齢者の割合が増加する要因としては、未婚率や離婚率の上昇によるものとされております。また、配偶者との死別した後でも子供とは同居せず、老後は単身で過ごすケースが多く見受けられます。

 このように、多様化する高齢者のライフステージに応じて住宅を住みかえようとするとき、深刻な問題に突き当たります。高齢化になるにつけ、低収入になりがちな高齢者は、まず優先的に都営住宅や区営住宅に住みかえようとするのですが、残念ながら、入居できるのはほんの一握りの幸運な高齢者に限られてしまいます。そこで、民間の賃貸住宅への住みかえを希望しても、高齢者というだけで入居が敬遠され、賃貸契約を結ぶことができないケースが多く見受けられます。いまや世界一の長寿国となった我が国において、高齢者の老後は長くなる一方で、社会の第一線でお元気に活躍している高齢者の方々は、人生の先輩として私たちに勇気と希望を与えてくれます。旧来の画一的な高齢者像を社会全体で見直しをしていく時期に来ているのではないでしょうか。

 さて、高齢者の民間賃貸住宅の入居が敬遠される事例が多いことから、本区におきましても、二○○九年度から、遅まきながら高齢者や障害者に対して住居支援を行うあんしん居住制度がスタートしました。

 この制度は、(財)東京都防災建築まちづくりセンターが実施しており、住宅の賃貸借契約の際に必要な身元引受人が見つからない高齢者や障害のある方がスムーズに入居できるよう身元引受人にかわる役割を提供することで、家主が安心して住宅を貸すことができるよう支援する制度です。利用対象者は、六十歳以上の高齢者、そして障害のある方となっております。利用料金の半額は区役所が助成してくれます。

 サービスの内容は、A、見守りサービス、B、葬儀の実施、C、残存家財の片づけなどです。利用料金は、サービスの組み合わせにより異なりますが、見守りサービスだけですと五万三千三百円、しかし、見守りサービス、葬儀の実施、残存家財の片づけの組み合わせになりますと五十五万五千円にもなります。民間賃貸住宅への入居が困難な高齢者や障害者が今後急増する中で、あんしん居住制度は民間賃貸住宅への入居を円滑に行ってくれると同時に、住みなれた地域での安心の生活を支えてくれます。しかし、本区での利用状況を見てみますと、わずか一件と、大変低い利用実績です。

 そこで、お伺いします。

 あんしん居住制度を多くの高齢者や障害者の方に利用していただくためにも、住宅課のみならず、高齢者福祉課などとも連携し、相談窓口を拡大し、普及啓発に取り組むべきではないでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、助成額についてお伺いします。

 利用料金は五万三千三百円から五十五万五千円となっております。例えば、五十五万五千円のサービスを利用したい場合は、区が半額助成を行うとしても、賃貸契約の際には全額自己負担になります。賃貸契約の際に支払う家賃や敷金、礼金のほかに約五十五万円の出費は、経済的負担の大きいものではないでしょうか。負担を軽くしていただくためにも、利用料金の分割払いや助成額の引き上げをしていただくなどの工夫をしていただき、あんしん居住制度を多くの方に利用していただけるよう、制度の見直しをすべきではないでしょうか。区長さんの御見解をお伺いします。

 次に、商店街の宅配サービスについてお伺いします。

 私は、文京区の宅配サービスについて視察させていただきました。文京区が平成二十一年度に実施した第二十一回文京区政に関する世論調査において、区民が商店街に求めるサービスとして最も多かったのは、宅配サービスがあれば商店街でお買い物がしやすくなると回答しております。この調査を受けて、文京区では地蔵通り商店街、白山上向丘商店街振興組合、本郷商店街の三商店街に委託し、区民を対象に商店街で買った商品を自宅まで届ける宅配サービスをことしの六月から順次開始しました。

 サービスの内容は、それぞれ商店街の特性に合わせて決められております。三商店街のうち、白山上向丘商店街では、日曜日を除く週六日、半径約一キロのエリア内で宅配サービス実施しております。午前十一時から午後六時までの時間帯に商店街を巡回している案内係に宅配を依頼するようになっております。一回の配達料金は二百円。料金は、直接案内係に支払う仕組みになっております。

 区の経済課によりますと、「始まったばかりですが、区民には好評で、宅配サービスを商店街が提供することで高齢者や子育て世代などがこれまで商品を持ち帰ることを考え、我慢しながら買い物をしていたのが、たくさんの商品を買うことができると喜ばれています」と語っております。また、地域コミュニティの核である商店街の魅力を高め、活性化にもつながるとともに、地元商店街での購買を促進することもできるとして、この事業に期待を寄せております。宅配事業を委託するに当たっては、離職を余儀なくされた方を新規に雇用する緊急雇用創出事業を活用して、就労支援もしております。

 そこで、お伺いします。

 本区におきましても、地元商店街の活性化と区民の利便性を図る上からも、宅配サービスを導入してはいかがでしょうか。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 これで私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 鈴木幸子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、うつ病対策についてであります。

 まず、うつ病に関する知識の普及啓発についてでありますが、近年、我が国ではうつ病が増加し、平成二十年にはうつ病患者は百四万人を超え、うつ病対策は重要な健康課題となっております。本区におけるうつ病患者数は、平成二十年度の通院医療費公費負担認定状況では、うつ病が二百四十六名、そううつ病が六十五名となっております。うつ病などの精神保健対策として、保健所・保健センターでは区民に対する心の健康相談、精神科医による精神保健相談、産後うつの健康教育等を行っております。同時に、うつ病に関するパンフレットやチラシの配布とともに、区のホームページでは精神保健の情報提供も行っております。また、今月には東京都の自殺対策強化月間にあわせ、区のおしらせに自殺防止の特集記事を掲載し、十月には健康福祉まつりのメンタルヘルスコーナーにおいて普及啓発活動を行い、来年三月には専門家によるうつ病講演会を開催するなど、区民のうつ病への理解を深めてまいります。さらに、企業や地域、学校等に対しては、保健師等による精神保健の普及啓発活動を行ってまいります。

 次に、うつ病の早期治療についてであります。

 うつ病は、眠れない、何もする気が起きない、食欲がないなど、さまざまな症状を訴え、内科などのかかりつけ医を受診する場合が多いと言われております。早期診断に向け、本区の医師会が主催する産業医研修会において、特に精神科を専門としない医師を対象に、うつ病の発見や診断方法、精神科専門医への速やかな紹介などの研修を実施しており、医師会によるうつ病の早期診断、治療の取り組みは進んでいるものと認識しております。今後とも医師会等と連携を図り、うつ病対策を進めてまいります。

 次に、認知行動療法についてであります。

 認知行動療法は、我が国においては、本年一月に厚生労働省の研究班が作成したうつ病に対する認知行動療法の実施マニュアルが厚生労働省のホームページに掲載された新しい療法です。さらに、四月に精神科の専門医が行う認知行動療法が保険適用となったことから、今後、うつ病の治療が進むものと期待しております。保健所では、昨年、認知行動療法の講演会を開催しておりますが、さらに認知行動療法に関する情報の提供や紹介等を行ってまいります。

 次に、うつ病デイケアについてであります。

 うつ病デイケアについては、都内では東京都立中部総合精神保健福祉センターで行っておりますが、一定の規模や多くのマンパワーを要するため、区単独で施設を設置することは困難であり、引き続き都立のセンターと緊密な連携を図りながら、保健所事業として実施してまいります。

 次に、精神対話士の派遣についてであります。

 本区では、保健所をはじめ、福祉関係の相談窓口や学校などに保健師や臨床心理士などのメンタルケアの専門職を配置し、メンタル面での相談はもとより、健康や生活全般に関する幅広い相談に対応しているところであります。このため、心の悩みも含めた各種相談にも職員間で連携をさらに深めることで福祉の充実も可能と考えております。しかしながら、区民の悩みやストレスも多岐にわたり、複雑化していることから、精神対話士の活用も一つの有効な手段と考えられますので、今後研究してまいります。

 次に、精神対話士の資格取得についてであります。

 精神対話士は、営業資格を前提としているため、職員が兼職することはできませんが、精神対話士と同等の知識と能力を身につけることは必要であると考えております。そこで、区では現在、教員を対象に、子供の悩みに耳を傾け、よりよい人間関係を築くための研修や管理監督者を対象としたメンタルヘルス研修を実施するとともに、各職層研修においてコミュニケーション能力を向上させ、区民との信頼関係を高める研修も行っているところであります。

 次に、乳がんと子宮頸がんの検診無料クーポンの支給事業の継続についてであります。

 本区では、これまでも区独自に乳がん検診と子宮がん検診を無料で実施しておりますが、国では昨年度から女性特有のがん検診推進事業を開始し、本区でもこの補助事業を活用し、区の事業とあわせて、がん検診を実施しているところであります。昨年度の受診率では、国と区の両事業で対象となる年齢の方が最も受診率が高くなっており、受診券の個別送付と受診勧奨を繰り返し行うことが受診率向上に有効であったと考えられます。この国の事業につきましては、平成二十三年度予算概算要求の段階では引き続き実施することとされており、今後、国の動向を見定めながら区として実施の判断を行ってまいります。

 次に、マンモグラフィー車の導入についてであります。

 区では、乳がんの早期発見に対する有効性が確認されているマンモグラフィー検査を平成十六年度から導入し、現在、区内の七医療機関と東京都予防医学協会で実施しているところであります。この装置は、高額なため、区では医師会に東京都マンモグラフィー整備事業補助金の活用を働きかけ、検診実施医療機関の拡大を図ってきております。こうしたことから、マンモグラフィー車の導入につきましては、受診率向上に向けた方策の一つとして、今後その必要性を検討してまいります。

 次に、子宮頸がん予防ワクチン接種についてであります。

 本区では、若い女性の子宮頸がんを予防するため、七月二十六日よりワクチン接種の助成を開始いたしました。八月までの接種者は、対象者の約九百五十名に対し、既に二百人以上の方が一回目の接種を完了しており、順調に推移しているところであります。ワクチン接種の対象年齢につきましては、日本産科婦人科学会などが十一歳から十四歳を強く推奨していることから、本区においても中学一年生から三年生を公費負担の対象といたしました。対象者の拡大につきましては、今年度から開始した事業であり、その実施状況や国の定期予防接種の見直し状況を見きわめながら対応してまいります。

 次に、末期がん患者の在宅療養についてであります。

 末期がんの患者さんが御自身と御家族の希望により、住みなれた自宅で残された日々を過ごすための環境整備は、大変重要であると認識しております。末期がん患者の在宅療養には、末期がんに伴う痛みや身体症状のコントロール、患者さんや御家族の精神的不安の軽減などに対応できるよう、在宅療養支援診療所、訪問看護事業所や介護事業所などが連携し、二十四時間支えていく体制が必要であります。末期がん患者の在宅療養に対応できるよう、在宅療養支援協議会などの場で、現在、区内にあるこれら診療所や事業所等の協力体制を検討してまいります。

 次に、あんしん居住制度の普及啓発と負担軽減についてであります。

 この制度は、見守りなど、身元引受人にかわる役割を提供することによって、高齢者または障害者の方が住宅にスムーズに入居できるよう支援していくための制度であり、多くの方に活用いただくため、今後、一層の普及啓発の拡大が必要であると認識しております。このため、区のおしらせでの制度の紹介や区の窓口でのパンフレット配布に加えて、敬老館で実施する高齢者を対象とした事業での周知など、関係部署の連携を強化し、普及啓発に努めてまいります。

 次に、負担軽減についてでありますが、あんしん居住制度の加入に際して、利用者が全額負担した上で助成申請をするため、負担が大きくなることが課題であります。このため、利用者が契約時に全額を負担する必要がないように補助金の支払いの方法について、東京都防災・建築まちづくりセンターと調整を開始したところであります。今後も、より充実した制度となるよう検討を重ねるとともに、普及・啓発に努め、高齢者の方々が安心して暮らせる住宅の確保に向け、積極的に取り組んでまいります。

 次に、宅配サービスの導入についてであります。

 本区にある個性豊かな数多くの商店街は、商品やサービスを提供するだけでなく、まちのにぎわいづくりなど、地域コミュニティの形成に重要な役割を担っております。一方、消費者ニーズの多様化やインターネットショッピングの普及など、中小小売業を取り巻く環境が大きく変化する中、買い物客の利便性を高め、商店街を核とする地域コミュニティの活性化を図るためには、地域に密着した商店街ならではの魅力あるサービスの提供が重要であります。こうした観点から、宅配サービスは商店街振興や地域課題の解決に向けた有効な方策の一つであると考えております。今後は、地域のニーズや商店街の意向、他団体の状況等を踏まえながら、本区で導入する場合の課題、実施方法等について検討してまいりたいと存じます。

 答弁は以上であります。

〔十六番 鈴木幸子議員登壇〕

○十六番(鈴木幸子議員)
 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 私は、質問の中でも述べさせていただきましたけれども、生命が軽視され、そして人間関係が希薄化する社会の中にあって、かけ声だけではなくて、一人一人の命が大切にされ、そして人権が優先される社会を本当に築いていかなくては取り返しのつかない社会になってしまうというふうに日々実感しております。そういう中にあって、さまざまな質問をさせていただきました。

 まだ議論はさせていただきたいのですが、決算特別委員会にゆずらせていただきまして、これで私の質問は終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後二時五十八分 休憩


午後三時三十分 開議

○議長(中嶋ひろあき議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。一番志村孝美議員。

一番 志村孝美議員登壇

○一番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 初めに、核兵器廃絶についてです。

 今、世界には約二万三千発の核兵器が存在し、核兵器保有国はいつでも核攻撃できる態勢を維持し続けています。その一部が使用されるだけでも、その地域の人と自然に大きな被害を与えると同時に、世界的な気候変動を加速させ、冷害による飢餓やオゾン層の破壊による皮膚がんの増加といった地球的規模での人類の生存を脅かす事態が生まれるだろうと言われています。現在、核兵器廃絶が技術的に可能なことは、最高時には世界に約七万発もあった核弾頭が、今では二万三千発、約三分の一にまで減っている事実が証明しています。

 このように核兵器廃絶は技術的には不可能ではありませんが、それを実行するためには、政治的な意思を支える世論が重要な役割を担っています。アメリカは、一九五○年代に中国やベトナムに原爆を落とすことを考えましたが、ストックホルムアピール署名や原水爆禁止運動など、反核の世論と運動が広がっていたため、実行できませんでした。今日では、核兵器廃絶の流れが地球規模で広がっています。核兵器廃絶に向けて、さらなる政治的な働きかけと草の根からの世論と運動が決定的に重要となっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、広島市で行われた平和市長会議、国際会議に参加した感想をお聞かせください。

 第二に、核兵器を二○二○年までになくそうという平和市長会議の掲げる目標に向かって、区長はどのような行動を考えていますか。

 なお、一言申し添えますが、二○二○年まで区長を続けてほしいということではないので、誤解されないよう、よろしくお願いします。

 第三に、区長は、これまで核実験に対し抗議の声明を発表してきましたが、平和市長会議加盟自治体の長として、核保有国に対し、核兵器の廃棄を求める書簡を送るなどの働きかけを提案しますが、いかがですか。

 第四に、核兵器廃絶を目指すという崇高な姿勢を内外に示すため、中央区平和都市宣言とは別に、非核中央区宣言を行うことが重要と考えますが、いかがですか。

 第五に、晴海港へ入港する条件として、核兵器を搭載していないことを証明させる神戸方式を取り入れ、晴海港の非核化を進めるべきだと思いますが、いかがですか。

 第六に、核兵器を持つことが自分たちの安全や自衛のために役立つという核抑止力論、核の傘論があります。これを認めてしまうと、どの国でも防衛のためなら核兵器を持ってもいいということになります。核抑止力論、核の傘論からの脱却が必要だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、新しい公共論についてです。

 中央区では、全国で初めて保育に指定管理者制度を導入し、今では特別養護老人ホーム、区民館、社会教育会館、スポーツセンターなど、多くの区立施設を民間企業などに管理運営させ、行政と区民との接点を次々と減らしています。行政が行う領域への営利企業の参入を徹底的に進めようというのが、民主党政権の新しい公共論です。

 二○○五年の総務省の研究報告書、いわゆる刷新戦略報告書では、行政に地域経営の戦略本部としての機能を持たせ、公共的サービスを担う者として住民団体やNPOなどの市民組織と営利企業などの民間を割り当てるとしています。民主党政権になって、新しい公共論が自公政権のときより加速され、六月四日には「新しい公共」円卓会議が新しい公共宣言を発表しました。

 ちなみに、この「新しい公共」円卓会議は、中央区名誉区民である資生堂名誉会長の福原義春氏が参加しています。住民団体やNPOが、区民こそ主人公の立場で行政とともに地域の課題に取り組むことをもちろん否定するものではありません。しかし、この新しい公共論によると、行政は民間企業や住民を活用して自治体の仕事を安上がりにするために、地域経営の戦略を立てる地域経営体になってしまいます。民主党政権が国の責任を放棄し、地方自治を破壊する地域主権戦略と一体となって、新しい公共論を押しつけようとするとき、中央区が地方自治法にある住民の福祉の増進を貫き、区民こそ主人公の立場に立って施策を進めることが求められています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、新しい公共論について、どのような見解をお持ちですか。

 第二に、行政は効率性を優先する地域経営体になってはいけないと思いますが、いかがですか。

 第三に、これ以上区民サービスの主体を民間企業にシフトするのをやめ、区民サービスを行政が直接提供する心の通った施策が重要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、保育制度を根本から変える子ども・子育て新システムについてです。

 六月二十五日に菅内閣が経済成長戦略の一つとして位置づけた子ども・子育て新システムを公表し、来年の通常国会に関連法案を提出しようとしています。今ある保育の制度を、問題が噴出している介護保険や障害者自立支援制度をモデルにして根本から変えようとしているのです。

 新システムは、子ども手当や妊婦健診、幼稚園、保育園、児童館など、子育て支援にかかわる制度や財源、給付を一つにまとめた制度にして、(仮称)子ども家庭省の創設の検討も示しています。政府が子育て関連の財源や拠出金を一括して特別会計をつくり、市町村に交付し、どのような子育て支援を展開するかは各自治体にゆだねるというものです。保育所に関しては、幼稚園と保育所を廃止して、(仮称)こども園に一本化し、営利企業をどんどん参入させる方向を打ち出しています。保護者は、介護保険と同じような認定書を行政に発行してもらって、直接こども園に申し込みに行かなければなりません。保育料は、時間当たりの応益負担に変えます。

 このような新システムのねらいは、公費の抑制です。今でも日本の三歳以上の児童への公費負担の割合は、OECDの調査によると、二十八カ国中最下位という状況で、子育て家庭は高い教育費負担にあえいでいます。日本における幼稚園、保育所の公立施設は三割台ですが、多くの先進国では五割以上が公立施設です。日本では、さらに保育所も幼稚園も、認可も無認可も一つにして水準を下げ、お金をかけずに企業の参入で施設数をふやしていこうというのです。

 全国では、保育施設での死亡事故がたびたび起きています。営利目的の企業・団体による劣悪な保育が行われ、結果として子供たちが犠牲になることを許してはなりません。行政の責任は、これからますます大きくなるというのに、新システムは、これまで築いてきた、国が最低基準を設置し、保育水準を守り、自治体が保育実施責任を負うという公的保育制度を壊すものです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、新システムは自治体の財政力の違いによってサービスに大きな格差が生じることが危惧されますが、見解をお聞かせください。

 第二に、財源の保障もなく、公的責任がなくなる中で、営利目的の企業に任せて保育所をふやそうとしても、見通しは持てないと思いますが、いかがですか。

 第三に、応益負担を導入すると、休職中の親や単身世帯、生活保護世帯、障害児など、弱者がますます入所しづらくなると思いますが、いかがお考えですか。

 第四に、中央区は保育実施責任を定めた児童福祉法第二十四条に基づいた認可保育所の増設で待機児ゼロを目指すべきだと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、高齢者の無縁社会問題についてです。

 九月二十日は敬老の日でした。百歳以上の方は全国で過去最高の四万四千四百四十九人、中央区でも四十四人いらっしゃいます。敬老の日を迎えたすべての高齢者の方々に、心からお祝い申し上げます。

 しかし、ことしの夏は専門家も経験したことのないような猛暑が続き、熱中症により多くの高齢者が亡くなりました。また、所在不明の高齢者も大きな問題を社会に投げかけました。長寿国日本の実際は、高齢者の無縁社会が広がっている社会であることが浮き彫りにされたのではないでしょうか。

 所在不明の高齢者の年金不正受給事件でも、子供世代はリストラや非正規雇用などで収入が少なく、不安定なため、親の年金を当てにしなければ生活できない状況であったことも報道されています。六十五歳以上の高齢者のいる世帯の一五・七%が貧困で、高齢者の親と結婚していない子の世帯では一九・一%と、さらに貧困率が高くなっています。高齢者の所在不明や熱中症問題によって、行政が高齢者の生活実態を把握し切れていないことや、家族が窮乏し、高齢者が孤立させられている状況が明らかにされました。

 熱中症問題では、長妻昭厚労相は、十三日、参院厚労委員会で日本共産党の田村智子議員の質問に対し、生活保護受給者に冷房費などの光熱費に相当する額を夏季加算として上乗せ支給するという考えを示しました。行政は、高齢者の貧困問題や家庭の問題、地域のネットワークの課題を解決しつつ、行政としての責任を果たす努力が求められています。

 高齢者がこれほど生きづらい社会になってしまった大きな要因として、政府が構造改革と称して社会福祉制度を改悪し、公的責任を放棄してきたことにあります。高齢者福祉を行政が直接サービスしていたときは、住民登録業務を担当する部署も福祉事務所も、地域の高齢者をきめ細かく把握できていたはずです。行革で職員が減らされたこととあわせて、介護保険制度の導入も民間企業に福祉分野を市場として開放した行政の責任も問われています。また、高齢者が抱える福祉や医療の問題とともに、家族や貧困、虐待など、複雑な問題に対応するため、行政と民生委員、そして区民とともに考えるワークショップをまちごとに、マンションごとに繰り返し重ねることも地域力を培う上でも必要でないかと思います。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、高齢者の生活実態をつかむための悉皆調査をすべきと思いますが、いかがですか。

 第二に、高齢者の安否確認など、プライバシーや個人情報がかかわる対策は公務員である区職員を増員しての対応が必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、熱中症問題を未然に防ぐためにも、国が約束した生活保護受給者への夏季加算の実施を求めるとともに、区として夏季見舞金を増額すべきだと思いますが、いかがですか。

 第四に、おとしより相談センターを軸とした見守りネットワークの強化、改善が必要だと思いますが、いかがですか。

 第五に、新聞配達、宅配業者、日本郵便などとの連携や乳酸菌飲料配達で安否確認をするおはよう訪問の復活など、民間業者と連携した見守りシステムの構築が必要と思いますが、いかがですか。

 第六に、地域見守り事業の評価と問題点をどうお考えですか。見守りボランティアの方々の日常生活への負担は大変大きなものがあると思います。見守り活動の普及啓発やボランティアの活動交流などへの支援強化も必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、ワーキングプア解消と雇用確保のための自治体の責務についてです。

 二○一○年三月期決算の役員報酬は、トップが日産自動車のカルロス・ゴーン社長で八億九千万円、二位はソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長で八億一千四百五十万円、三位は大日本印刷の北島義俊社長で七億八千七百万円ということです。景気のいい話ですが、庶民はそれどころではありません。

 低賃金のアルバイトやパートで働くフリーターの数は、二○○九年は前年比八万人増の百七十八万人、二○一○年はさらに増加が予想されます。労働者の三分の一を非正規が占め、苦しい生活を送っていますが、正社員で働いている人でも五一・六%が自分の生活を親や配偶者の収入に頼っているということです。また、失業手当の平均支給日数は百二十五・九日と、前年度より二十六日余り増加しており、景気回復がおくれる中で失業の長期化が進んでいます。放置すれば生活保護受給者になりかねません。

 高校生の就職内定率は、かつてはほぼ一○○%だったのですが、昨年度は九三・九%となり、進学も正規の就職もできなかった卒業生が約七万人に上っています。大学卒業者で就職も進学もしていない人は約一六%です。大学や大学院を出てもパートやアルバイトで生活している、いわゆる高学歴ワーキングプアという言葉も使われるようになりました。青年たちに、自分は社会に必要とされていないと思わせる社会になっています。新卒者の求人が減少している大もとには、景気悪化だけでなく、大企業による非正規雇用の拡大があります。非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和を抜本的に見直し、雇用は正社員が当たり前の社会へ転換し、新規採用をふやすべきです。

 雇用のセーフティーネットを担うハローワーク自身も、職員削減と統廃合が繰り返され、正規職員五千七百人に対し、非常勤職員は一万三千七百人で、大半が日給制の職員で、日額七千五百円が多数、契約更新の不安にさらされており、職業安定所が不安定所になっていると言われています。

 先月、会社を解雇となったため、寮を追い出され、職探しをしながらネットカフェ生活をしている三十六歳の男性から相談がありました。彼の住民票は実家にあり、実家とは中学卒業後から音信不通で、首を切られた後、実家を訪ねたが、引っ越していて行方がわからず、役所に行っても身分証明ができなければ引っ越し先の住所は教えられないと言われたということです。ここにはワーキングプアと所在不明問題がセットになっています。

 心配なのは、働き盛りの世代の自殺もふえており、中央区では死因別死亡数で自殺の占める割合は全国平均より高い状況です。多くの人が、きょうの暮らしがあしたも続くと考えられない社会になってしまっています。今、保育園や幼稚園、学校に通う子供たちを、十年、二十年後にワーキングプアにさせてしまってはなりません。安心して働くことができる社会をつくるために、国や都に対策を求めると同時に、身近な自治体として中央区がやれること、やるべきことを早急に具体化することが求められています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中央区内の高卒、大卒者で就職も進学もしていない人はどのような状況でしょうか。

 第二に、学校を卒業してしまうと、学校や先生に相談しづらくなると思います。既に卒業した青年が就職や進学などについて多様な相談ができる体制を行政としても確立することが必要と思いますが、いかがですか。

 第三に、公務員の非正規職員の低い賃金がハローワークなどの求人票で公開される民間企業の賃金の引き下げにつながっていると指摘されていますが、どう思いますか。

 第四に、中央区の最低時給は九百八十七円です。官製ワーキングプアを解消するためにも時給を引き上げるとともに、非正規から正規職員への雇用を促進することが求められていると思いますが、いかがですか。

 第五に、区が発注する公共事業や指定管理者も含め、業務委託にかかわる労働者の賃金水準を確保するため、中央区公契約条例を制定すべきと思いますが、いかがですか。

 第六に、区が音頭をとって、産業別、職業別の就職面接会を開催し、資質や希望に沿った就労のチャンスを広げることも必要だと思いますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

 次は、中小企業支援・内需拡大を軸とした景気回復策についてです。

 円高の影響が中小企業と国民生活を脅かし、日本政府の無策につけ込んで投機マネーが荒稼ぎしようとしています。経済の専門家は、円高になる要因にデフレがあると指摘しています。

 為替相場を決定する大きな要因は金利差であり、金利の高い国の通貨が買われ、高くなる傾向にあります。デフレが続いている日本では、物価上昇率を加味した実質金利で比較すると、アメリカより二%以上高くなるといいます。円高対策も金利政策だけでなく、デフレ対策が重要だと考えます。日本のデフレは、賃金が減少し、購買力が低下した結果、商品価格が下がる。すると、コスト削減で、また賃金が下がるという物価の下落と賃金の下落の悪循環、つまり賃金の下落がデフレの原因となっているのです。

 円高になっても、大企業は為替の変動の影響を受けないよう、いろいろな手を打ちます。販売消費国での生産を考える、部品の調達コストや人件費の削減でコストダウンに走る、ドルを交換せず、そのままにしておく、海外で運用、再投資する、円安のときに将来の取引を予約し、円高の影響を逃れるなどです。このようなやり方をとれば、労働者や下請企業、地場産業にしわ寄せが行くことになります。円高の被害を最も受けるのは、下請中小企業であり、賃下げ、リストラに直面する労働者です。景気が悪いといいながら、大企業は労働者に犠牲を押しつけながら、内部留保を二○○九年度は十一兆円もふやし、総額二百四十四兆円もため込んでいます。幾ら大企業が内部留保をため込んでも、中小企業や国民生活が疲弊したまま個人消費が伸びなければ、景気回復も日本の経済の立て直しもままなりません。何よりも、極端な輸出依存から内需拡大へ経済政策を転換し、日本経済の担い手である中小企業への支援を手厚くすることが求められています。

 また、日本経済を立て直すためには、国民一人当たり約六百八十万円もの巨額の借金をつくってきた原因にメスを入れなければなりません。巨額の借金は、社会保障にお金を使い過ぎたからできたのではありません。無駄な公共工事や年間五兆円規模の軍事費、大企業や大金持ちへの減税による大幅な税収減などのせいです。ここにメスを入れることが景気回復にとっても、日本経済を立て直すためにも必要です。一メートル一億円の東京外環道路など、無駄な公共工事を見直すこと、自衛隊の海外派兵の装備や経費の削減、米軍への思いやり予算や米海兵隊のグアム移転費の日本負担をやめること、大企業や大金持ちの行き過ぎた減税をもとに戻すこと、そして日本共産党以外の政党がもらっている約三百二十億円の政党助成金をやめることです。政党助成金をやめれば、国会議員四百五十人の経費削減に匹敵します。政党助成金制度が始まって十六年、総額は四千八百四十二億円を日本共産党以外の政党が山分けしてきました。このような歳入と歳出のゆがみを正せば、今すぐ約七兆円の財源が捻出できます。

 庶民の生活を直撃し、購買力を低下させる消費税の増税をする必要はありません。経済対策の軸足を家計応援、内需重視に切りかえ、景気を活性化させることが必要です。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、消費税の増税は消費を冷え込ませ、景気をさらに悪化させると考えますが、いかがですか。

 第二に、内需を振興することで景気を回復させ、日本経済を転換させることが求められていると思いますが、いかがお考えですか。

 第三に、内需拡大のためには可処分所得を高めなければなりません。区民負担を軽減する施策、国保等の保険料の負担軽減、施設使用料・利用料負担の軽減、ハッピー買物券の拡充など、中央区としても内需拡大のための施策を考えるべきだと思いますが、いかがですか。

 第四に、円高・株安の影響を受ける中小企業への対策及び融資の返済が困難になっている中小企業へどのような緊急対策をとろうとしていますか。

 それぞれお答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の質問に順次お答えいたします。

 初めに、核廃絶広島会議についてであります。

 世界十六カ国、百三十二都市・団体が参加した会議に出席し、各国各都市の核廃絶への願いを直接肌で感じることができたことは、平和をすべての施策の根幹とする本区にとって、大変有意義な機会でありました。また、平和市長会議が掲げる二○二○年までに核兵器を廃絶するとの目標につきましては、平和市長会議の一員として、目標達成に向け取り組むとともに、あらゆる場面で平和のとうとさを訴え、その実現に力を尽くしてまいりたいと存じます。

 次に、核保有国に対する働きかけについてであります。

 本区は、従来から、あらゆる核実験に反対し、抗議文を送っておりますが、核保有国に対しても平和市長会議に加盟している百四十四カ国、四千百四十四の都市と一致団結して核兵器廃絶に向けた働きかけを行ってまいりたいと存じます。

 次に、非核中央区宣言についてであります。

 本区の平和都市宣言は、核兵器の廃絶は当然のこととして、地球上から戦争がなくなり、世界の恒久平和が実現することを願って行ったものでありますので、改めて非核宣言を行う必要はないと考えております。

 次に、晴海埠頭の非核化を進めるべきとの御提案でありますが、いわゆる神戸方式を晴海埠頭に取り入れるか否かについては、港湾管理者である東京都において判断すべきものと存じます。

 次に、核抑止力、核の傘についてであります。

 八月六日、潘基文国連事務総長、核投下国のルース駐日米国大使も出席した広島の平和記念式典において、秋葉広島市長は、非核三原則の法制化と核の傘からの離脱を訴える平和宣言を発表しました。これに対し、菅首相は、国際社会では核戦略を含む大規模な軍事力がまだまだ存在しており、また核兵器をはじめとする大量破壊兵器の拡散といった現実もあるとして、抑止力は我が国にとって引き続き必要といった見解を示しております。広島市長の姿勢については、同じ核兵器廃絶を目指す立場から大いに賛同するものでありますが、一方で、現時点では全体としてのアメリカの存在、プレゼンスにより日本の安全保障が守られているという現実も直視しなければならないものと考えます。

 次に、新しい公共についてであります。

 本区は、基本計画二○○五において、新しい形の公共という概念を打ち出しております。この考え方は、住民みずからの創意工夫により、一人一人の多様な暮らしのニーズにきめ細かく対応し、地域にとって最も適した形で課題の解決を図っていくものであります。その一環として、平成十八年三月に地域との協働指針を策定し、本年四月には中間支援拠点として協働ステーション中央を開設したところであります。現在、政府が設置している「新しい公共」円卓会議においても、具体的な取り組み内容に違いがあるものの、本区と同様の趣旨で検討が進められているものと考えており、その経過を注視しているところであります。なお、本区の新しい公共の推進に当たりましては、区行政が効率性を優先する地域経営体となるといった想定はしておりません。本区の目指すところは、みんなでつくる快適で活力に満ちた都心型協働社会であり、区民や企業等とのパートナーシップにより、区民ニーズへの対応に最大限の効果が発揮できる場合に民間の力を活用するものであります。

 次に、子ども・子育て新システムについてであります。

 この新システムでは、子育て関連の財源を包括的に区市町村に交付することにより、区市町村みずからの裁量で子育て支援サービスを提供できる地域主権の考え方や、利用者みずからが事業者と契約を結ぶ公的保育契約制度の導入、さらには株式会社やNPO等、多様なサービス供給主体の参入促進など、従来の仕組みを大きく変える内容となっております。しかしながら、財源問題や利用者負担の問題など不透明な点も多く、今後、国は具体的な制度設計に当たり地方の意見を反映していくとしていることから、その動向を注意深く見守ってまいります。

 次に、認可保育所増設についてであります。

 本年四月一日現在の保育所定員数二千百三十四人のうち、認可保育所の定員数は千六百三十五人と全体の七六・六%を占めております。さらに、今年度については、堀留町保育園など認可保育所を三園新設し、また、かちどき西保育園と人形町保育園の改築などによる定員拡大で、来年四月の認可保育所の定員数は千九百七十四人となる予定です。このように、本区は認可保育所を中心に保育所の拡充に努めておりますが、待機児対策は喫緊の課題であり、特に待機児の多いゼロ歳児から二歳児定員の重点配置が柔軟にできることや、夜間保育、一時預かり保育など、多様な保育ニーズにこたえる認証保育所の活用も有効な施策と考えております。今後も、こうした方針のもと、待機児ゼロに向け、保育所の整備拡充に努めてまいります。

 次に、高齢者の生活実態の把握と安否確認についてであります。

 訪問による悉皆調査につきましては、プライバシーの問題に加え、オートロックのマンションが多い本区の特性を考えると、その実施は困難であります。本区では、高齢者の生活実態に関する調査を三年ごとに郵送により行うとともに、困り事がある方々に対しては区やおとしより相談センター等の相談業務や地域見守りの取り組み等により、その実態を把握し、きめ細やかな対応を今後も進めてまいります。また、高齢者の安否確認や見守りですが、日常的に行われることが何よりも大切であります。個人情報の適正な管理を前提として、民生委員をはじめ、地域の方々の協力により行われることが適切であります。安否が確認されない場合や緊急時等については、おとしより相談センターや区の職員が訪問し、対応いたします。

 次に、生活保護受給者の夏季加算についてでありますが、国において検討の動きがあり、生活保護の充実につながるものと期待しております。また、区が独自に支給している夏季見舞金の増額は、夏季加算の動向や生活保護受給世帯以外の低所得者との公平性、他の手当との均衡などを考慮し、慎重に検討する必要があるものと考えております。

 次に、高齢者の見守りについてであります。

 区では、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、おとしより相談センターを核として、地域団体や民生委員など、地域全体で見守る取り組みを進めております。地域の協力団体による取り組みでは、毎月各対象者への訪問等が行われ、一定の成果が上がっております。しかし、現在、一部地域での活動にとどまっており、参加団体の拡大が必要であります。今後は、一層の周知を図り、特にマンションの管理組合や自治会に対する働きかけを進めてまいります。また、各団体の交流会等を充実し、スキルアップや連携につなげたいと考えております。さらに、見守りの強化には民間事業者との連携が重要であります。現在、日本郵便や新聞配達所、NPOと協議を行うとともに、安否の確認に役立っている配食等のサービスについて、その利用拡大に努めております。今後、関係機関との連携を拡大し、見守りネットワークの強化を図ってまいります。

 次に、青年の就労支援についてであります。

 まず、区内の高卒、大卒者の就職・進学状況について把握したデータはございませんが、国の調査によれば、本年三月に未就職のまま卒業を迎えた大学生、高校生は昨年と比べ、全国で三万人以上増加し、七万五千人に上っており、新卒者をめぐる就職環境は厳しい状況にあると認識しております。

 次に、卒業後の相談体制については、若年者のためのワンストップサービスセンターとして、東京しごとセンター内にヤングコーナーが設けられ、仕事に関する情報提供、適職・適性診断、キャリアカウンセリングなどのさまざまなサービスが提供されております。また、国においては、新卒者雇用に関する緊急対策として、新卒応援ハローワークを各都道府県に設置し、求人情報の提供や職業相談、さらには臨床心理士による心理的サポートを行うこととしており、区に相談が寄せられた場合には、京華スクエアで実施している職業相談とあわせて、これらの窓口を紹介するなど、関係機関との連携を図りながら適切に対応してまいります。

 次に、非正規職員の賃金についてであります。

 本区の非常勤職員と臨時雇用職員の賃金は、人事委員会の勧告を踏まえた正規職員の給与をもとに、職ごとに任用資格や実務経験、他自治体との均衡を考慮して定めております。他の自治体の賃金の決定方法は把握しておりませんが、一般的に公務員の非正規職員の賃金が民間企業の賃金の引き下げにつながるものではないと認識しております。また、本区臨時職員の賃金は、民間企業や他区の賃金と均衡を失するものではなく、現時点では引き上げる必要はないものと考えております。なお、非正規職員については、臨時的・補助的な業務や短時間勤務の職及び正規職員としての採用職種のない専門知識を要する職に従事していることから、正規職員化については考えておりません。

 次に、公契約条例の制定についてであります。

 区では、著しく低い価格での受注を防止するため、最低制限価格制度や低入札価格調査制度を導入しており、これらの制度は、労働者の賃金や労働条件の適正化に資するものであります。引き続き、こうした入札・契約制度の拡充を図るほか、指定管理者制度については労働者の雇用実態を把握してまいりたいと存じます。公契約条例につきましては、条例による労働条件への介入についての法的問題なども指摘されており、今後とも国や他自治体の動向を注視してまいります。

 次に、産業別、職業別の就職面接会の開催についてであります。

 本区では、昨年十二月、若年者の就労機会を提供するための合同就職面接会を開催いたしました。当日は、さまざまな業種にわたる十五社の求人に対して百八十四名の面接希望者が集まり、参加者からも好評を得たところであります。このように、多様な職種を選べる合同面接会は、求人側と就職側のマッチングを図る上でも有効と考えられるため、本年度も十二月上旬に同様の形での実施を予定しております。全体の求人数が低迷する中で、産業別、職業別に一定の参加企業を確保することは困難であることから、本区におきましては、京華スクエアで実施している就職ミニ面接会の場も活用しながら、さらなる就労機会の充実を図ってまいります。

 次に、消費税の増税についてであります。

 消費税については、平成九年に税率が五%に引き上げられた際に消費の冷え込みを招いた経緯を踏まえ、経済の状況や景気への影響を慎重に見きわめながら、国において十分な議論がなされる必要があると考えます。

 次に、景気回復に向けた内需拡大策についてであります。

 内閣府の平成二十二年度年次経済財政報告では、経済全体の大幅な需要不足が設備投資の抑制や雇用環境の厳しさにつながっていると指摘しております。したがって、自律的かつ持続的な景気回復のためには、内需を中心とした生産、所得、支出の好循環を生み出していくことが重要であります。こうした認識から、本区においては、今年度当初予算のほぼ二○%に当たる総額約百四十億円に上る景気対策経費を計上し、過去最高額に並ぶ五億五千万円分の区内共通買物券の発行、約七十四億円の経済効果をもたらす東京湾大華火祭の実施、さらには若年者や高齢者の雇用促進、公共投資による新たな需要の喚起など、多角的な観点から景気回復に向けた地域の内需拡大に取り組んでいるところであります。

 次に、中小企業への対策については、昨今の円高等の影響による資金繰りの悪化に対応するため、今月末での終了を予定していた緊急景気対策特別資金融資及び小規模企業特例緊急運転資金融資の受け付け期間を来年三月末まで延長することといたしました。また、融資の返済が困難となった中小企業に対しては、商工相談の中で貸し付け期間の延長をはじめとする負担軽減措置について情報提供や助言を行うなど、金融機関や信用保証協会と連携しながら経営改善に向けた取り組みを支援してまいります。

 答弁は以上であります。

〔一番 志村孝美議員登壇〕

○一番(志村孝美議員)
 一回目の質問で、本当に日に日に厳しくなる区民生活の立場で提案をいろいろさせていただきました。御答弁いろいろ強弱ありましたけれども、前向きに検討していただくことを、まず初めに強く要望します。

 時間の関係もありますので、幾つか再質問なんですけれども、核の廃絶ですけれども、核保有国に対して核廃絶を働きかけるというのは、団結して、運動としてはありますけれども、区長としてやるというのも大変有意義なことかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいことと、非核中央区宣言も、平和都市宣言、これもすごくロマンの薫り高い宣言ですけれども、やはり核兵器廃絶ということを焦点にした宣言を別途示すことも大事だと思います。晴海の非核化は、やはり地元区として都に働きかけるということが大事だと思います。

 再質問としては、核の抑止力なんですけれども、私の質問では、核兵器廃絶を目指す区長さんが、核抑止論というのは、自分たちを守るためには、国を守るためなら核兵器を持ってもいい、そういうことですよね。となると、では、どの国もそういう立場で核兵器を持ってしまえば、核を廃絶していこうという気持ちと核の傘という論、これは整合性がないんじゃないか、そういう質問ですので、菅首相の言葉は別として、区長さんがどう思っているのか、これをお聞きしたいと思います。

 それから、新しい公共論なんですけれども、今、協働ステーションのことも区長さんは言いましたけれども、地域協働について、二○○五年の総務省の地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針、これに基づいて、今、区はやっていると思うんですけれども、ここには簡素で効率的な行政を実現する観点から、住民や住民が参加する団体など、多様な主体が公共的サービスの提供を行おうとする取り組みと説明しているんです。これは協働、協力して働く、協働の名のもとに公共的サービスを住民に割り当てて、そして行政の仕事をどれだけ安上がりにしていくのか、そういうことを目的にするということになるんです。

 さっき、地域経営体にはなっていないと言いましたけれども、実際、今、ずっと、NPM、ニュー・パブリック・マネジメントとかPFIを含めてやってきていることが、実際は安上がりの民間、区民を動員してやっていることだというふうに指摘せざるを得ない。そういう意味では、やはり行政の、支援をしながら住民が主人公となって、住民が行政と一緒に協働していくという本来の立場に立つべきだと思うんですけれども、その点もお聞きしたいと思います。

 さらに、新しい公共に関して、何か本当に区長さんのさっきのお話ですと、パートナーシップとか、そういう言葉があるんですけれども、実際問題として、例えば昨日、晴海の建設予定の児童館、これに指定管理者制度を導入するとして、他の児童館も今後指定管理者制度の導入を検討していくという発言をしたと私、記憶しているんです。放課後の居場所づくりとしてプレディが運営されました。学童保育もそこで行われていると。

 プレディというのは、区の職員よりもボランティアに支えられていると思います。まさに、新しい公共論の実践なんです。学童保育はプレディに吸収して、十八歳までの児童館は、建物は区が建てて、そこで初期投資もなくて企業が管理運営する。まさに、新しい公共論の具体的事例で、これを見ると、区民とのパートナーシップというのではない。私はそう思います。

 とりわけ、児童館、学童保育の役割というのは、保育園とか幼稚園を卒園して小学生になって生活して、幼児期から児童期への発達的な移行の期間、ここは思考の発達とパーソナリティーの発達とが同時進行している。そして、自己形成が始まる青年期、思春期を迎える。こういう大事な時期を過ごす児童館、学童保育ですから、ここは民間に任せることはできないと思います。

 児童館や学童保育で留意しなければならないのは、子供の健康管理と安全管理、一人一人の子供の生活の援助、集団での安定した生活の維持、遊びや行動、行事など、生活全般を通しての成長への援助、働きかけ、子供の状況把握、家庭との連携や相談、学校との緊密な連携及び地域の生活環境づくり、こういうことがあります。これを民間企業に任せるのではなくて、行政が責任を持って実施すべきだと思います。新しい公共の考えで児童館に指定管理者制度導入をすることは、やはり見直すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

 以上で再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。志村議員の再質問にお答えいたします。

 核抑止力ですね。日本が置かれている周辺を見るということですね。これが非常に重要である。やはりいろいろ世界百九十カ国ほどあるわけですけれども、それぞれ自分の国、国民をいかに守っていくか、これが第一義であろう、こういうふうに思いますね。そのためには、現時点では残念ながらといいますか、やはり核抑止という点、アメリカのプレゼンス、存在ということが非常に重要になってきているというふうに私自身感じているところでございます。

 無論、大量破壊兵器の核の拡散、こういったものはストップさせていかなければなりませんし、核廃絶、これは私たちの願いであり、その方向にどんどん努力していかなければならないというふうに思うわけでありますけれども、現実もやはり、理想だけ追っかけていっても、どうなんだ、本当に守れるのかという保証が得られるのかどうかということ、これは非常に重要であろう、こういうふうに思うところでありますので、どうか御理解のほど、お願い申し上げます。

 また、新しい公共。安上がりでやっているんじゃないとかいう御指摘でありますけれども、簡素で効率的、これは、これだけ国全体も今、無駄を省こう、無駄をなくせ、各自治体もそういうことで行っているわけでございまして、簡素で効率的ということですね。これは各施策とも、そういう観点も度外視してというわけにはなかなかいかないのではないでしょうか。

 また、児童館あるいは学童保育、民間に任せ過ぎな点もあるのではないかという点、プレディなんかは非常に好評ですね。喜ばれているわけで、これは区が民間に任せて自分たちの責任を放棄しているんじゃないかという御指摘のようにも見られますけれども、そうではなくて、まちの方々と一体となって、地域の方々と一体となって、子供たちの幸せを考えて、それから健康で安全ですね。こういう今の時代に即したものであろう、こういうふうに思っているところであります。

 指定管理者制度、こういう問題もあるわけですけれども、こういった問題も慎重にこれからも対応してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。

 以上であります。

〔一番 志村孝美議員登壇〕

○一番(志村孝美議員)
 核廃絶ですけれども、しばらく前は、核廃絶といったらば、そんな非現実的だという声があった中でも、今、これだけ大きく流れてきている。そういう意味では、新しい実現に向けていくためには勇気のある行動も必要だと思います。ということで、理想にぜひ向かって行っていただきたいと思います。

 それから、プレディを私、批判しているんじゃなくて、区の責任とか役割というのをしっかり持ってほしいということですから、これは一つの例ですから。

 これから民主党政権の中で、地域主権戦略とか新しい公共論、この押しつけがずっと来ると思います。こういうのに真正面から対峙して、区民こそ主人公の立場に立って、共産党も区民の願い実現のために頑張る決意ですので、区長さんにもぜひその立場で頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。(拍手)

○議長(中嶋ひろあき議員)
 次に、二十番鞠子勝彦議員。

二十番 鞠子勝彦議員登壇

○二十番(鞠子勝彦議員)
 日本共産党の鞠子勝彦です。党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては再質問、再々質問を留保しておきます。

 最初の質問は、重要文化財相当の明石小学校保存・活用をめぐる問題についてです。

 文化財保護法は、政府及び地方公共団体の任務として、「文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない」と定めています。しかし、この瞬間にも、地方公共団体の中央区の手によって、明石小学校が解体されつつあります。現時点でも校舎解体を中止し、さらなる詳細な調査と記録保存を実施すべきです。お答えください。

 日本建築学会が東京都中央区に現存する復興小学校七校舎の保存要望書で、「国指定の重要文化財建造物として、その価値を後世に伝えていくべき高い価値を有した建物であると位置づけられる」と明石小学校を評価してから、復興小学校の文化財としての重要性はさらに広く認識されるに至っています。保存・活用を求める声は、解体作業が始まった八月以降も広がっています。明石小学校の保存を望む会の区民などからは、「明石小学校校舎建て替え再考に関する要望書」が一月十四日から六回にわたり、四千二百三十七名の署名を添えて提出されました。西村東京大学教授などが呼びかけ人になった中央区立明石小学校を重要文化財にする有識者の会の要望、中央区文化財保護審議会委員七名による明石小学校をはじめとする復興小学校の保存・活用に関する要望などです。区議会でも、日本共産党中央区議会議員団が二回にわたり、区長に保存・活用を求める要望書を提出しています。区長は、これらの要望をどのように受けとめたのか、お答えください。

 区長は、八月二十三日に声明を発表し、明石小学校は中央小学校や明正小学校とともに、あくまで現在の改築計画を進める方針を明らかにしました。ここには文化財建造物の保存・活用と子供の教育条件整備の両立に力を尽くそうとしない中央区の姿勢があらわれています。

 区は、学校改築の検討を始めたのは平成十八年中央区学校づくり検討会からとしています。九月七日の区民文教委員会で、私は、区は平成十八年から二十二年までに中央区文化財保護審議会に対し、復興小学校の文化財的価値ということを踏まえて、具体的に相談や諮問をしたことがあるのか質問し、図書文化財課長は、「ございません」と答弁しました。また、平成二十年からの明石小学校改築準備協議会や改築に関連した地元などの説明会で、復興小学校としての文化財的価値に基づく議論を行うためのテーマ設定と情報提供を区が行ったかと質問し、教育委員会副参事は、「ございません」と答弁しました。区が復興小学校の文化財的価値について十分な議論や検討がないままに、解体・新築計画を策定したことを示しています。こうした経過で改築計画が策定されたことについて、区長の認識をお答えください。

 区長は、重要文化財の評価が出されたのが遅いとも述べています。しかし、元文化庁長官で神奈川県立外語短大、川村名誉教授は、九月一日付読売新聞で、「短期間で認められる登録文化財となった後、重要文化財指定に向けた調査や保存管理計画の策定に取り組んでもよかったはずだ」と述べています。区長は、こうした指摘についてどのように考えるのかお答えください。

 区は、重要文化財の保存・活用と子供の教育環境整備を両立させようとする提案にも真摯に耳を傾けてきませんでした。日本建築学会は、区長あて要望書で、復興小学校について、今回はこれらの建物の保存・活用に関して、できる限りの協力をさせていただく所存であると表明しています。中央区立明石小学校の保存を望む会も、具体的に幾つかのリノベーション案を提案しています。区が明石小学校の保存・活用を決断すれば、専門家の全面的な協力を得て、すぐれた教育環境が整備された重要文化財の学校で子供が学べる保存・活用計画策定が可能です。

 保存を望む会のリノベーション案は、子供の幸せのためという点で、改築推進の人たちと同じです。歴史ある建物こそ、子供たちの情操と地域を愛する豊かな心の育成に重要、リノベーションにより古い校舎が新たに生まれ変わる姿を見た子供たちは、どんなに感動し、その後の人生の指標となるでしょうという目的を掲げています。

 リノベーション案の主な点は、次のような内容です。

 一つ、現校舎をそのまま残すのではなく、現校舎の質の高さを生かして、教育環境を充実する改修です。エレベーター設置など、バリアフリー化も行う提案です。不足する部屋は、仮校舎が建つ場所に別棟を増築し、校庭地下に体育館をつくることも可能です。地下体育館は、港区立高輪台小学校のリノベーションで採用しています。区も、○九年三月の教育委員会、小学校改築計画策定調査報告書では、泰明小学校、常盤小学校のリノベーション案とも言えるスーパーリニューアルなどの調査・検討を進めていくことが課題だとしています。その実例として、港区立高輪台小学校が挙げられています。

 二つ、明石小学校は、児童数増加で教室増が必要となるので、給食室、歴史資料室、防災倉庫、会議室、保健室などを別棟にして、校庭地下に体育館をつくることで一学年二教室を確保し、図書室、パソコン室など教育環境を充実させる。現在の校舎の耐震性は、区も問題なしと発表しているが、リノベーション改修時にはさらに調査して、補修する。

 三つ目、コンクリートはアルカリ性だが、炭酸ガスの影響で表面から中性化が進み、鉄筋に達するとさびるおそれがある。明石小学校のコンクリートの状態はよく、ひび割れもさほど見られない。改修時には調査して補修する。中性化を防ぎ、中性化したコンクリートを補修して長持ちさせる技術が進んでいるとしています。

 区長にお聞きします。

 この提案内容のそれぞれについて、見解をお答えください。また、こうした住民側からのリノベーション案が提案された時点で、積極的に検討すべきではなかったのか、お答えください。

 今からでも遅くありません。日本建築学会などの専門家の協力を得て、住民の理解と協力をつくり出して、保存・活用の具体案を検討すべきであります。お答えください。

 区長は、八月二十三日の声明で、中央区小学校改築計画策定調査報告書(平成二十一年三月)で示した整備の方向性に沿って考えるとしています。具体的には、区内七校の復興小学校のうち、東京都選定歴史的建造物で泰明小学校、常盤小学校は免震対策も含めた現校舎の保存・活用について調査・研究を進めるとしています。明正小学校、中央小学校、城東小学校、阪本小学校は、保存・活用ではなく改築という方針となっています。しかし、明石小学校改築計画のさまざまな問題点が明らかになりました。復興小学校について、そこからの教訓を生かした計画とすることが強く求められています。

 日本建築学会は、区長への要望書で、中央区に現存する復興小学校七校舎について、「復興小学校のデザインの多様性・変遷を知る上でいずれも等しく貴重な遺構となっている。いずれも外観は当初の意匠が良く保たれており、登録有形文化財建造物に必要な価値を十分に備えていると考えられる。よって、今後は外観意匠の特徴を活かした形での保存・活用が期待される」と見解を示しています。

 区長にお聞きします。

 こうした指摘を真剣に受けとめ、復興小学校のこれまでの整備方向にとらわれず、見直しすべきです。その検討は、最初の段階から日本建築学会など専門家の参加と幅広い住民の参加で行うべきであります。お答えください。

 次の質問は、築地市場現在地再整備の問題についてです。

 移転予定地、豊洲の土壌汚染問題をめぐる事態は深刻であります。東京都に食の安全を守る姿勢が欠落していることが明白になりました。都が土壌汚染を浄化できるとした実験結果は、汚染濃度の初期値データを隠し続けたことなどで、実験そのものの信頼性が欠けているのに、都は安全宣言を出しました。さらに、盛り土の三十地点から環境基準を超えるベンゼン、シアン化合物などが検出されました。

 八月二十四日の都議会では、日本共産党、清水都議会議員が市場予定地に搬入された盛り土に旧毒ガス製造跡地周辺の都営住宅工事に伴う残土も搬入されていた可能性をただしました。都の管理部長は、私どもは事実関係がわからないなど、無責任な答弁しかできませんでした。その後、都は念のため調査を行い、安全性を確認するとしています。

 こうした事態を受けて、区長と区議会議長は都知事あてに「都民や市場関係者などの食の安全に対する不安や懸念を払拭できなかったことは誠に遺憾」との要望書を提出しました。土壌汚染をめぐる東京都の対応について、見解をお答えください。

 豊洲の市場移転予定地は、食料品を扱う市場用地として適切だと思いますか、お答えください。

 区長は、市場移転中止を東京都に強く迫る行動を起こすときです。お答えください。

 現在地再整備をめぐっても、新たな展開がありました。都議会の委託を受けた議会局と知事本局が現在地再整備三案の検討中間報告を八月三十日、都議会築地市場移転再整備特別委員会の小委員会に行いました。議会局の再整備案は、建設費が千四百六十億円から千七百八十億円で、都の当初試算三千四百億円の約半額で、用地費や土壌汚染対策費を含めた豊洲移転経費四千三百億円を下回っています。知事本局の報告書は、大型拠点市場化し、国が進めてきた規制緩和路線を踏襲しています。

 共産党都議団は、一九八八年に策定した現在地再整備基本計画は、都が業者、設計会社と一体で検討したもので、実現性が高いと指摘し、市場取扱高が減っている現状に合わせて、現在の技術水準で当時の案を検証し、工期の短縮や費用の節約を検討することを提案しています。さらに、業者、中央区、江東区などに説明し、意見を聞くこと、予算をつけて広く専門家などから公募して、築地再整備案づくりを進めるよう求めました。

 現在地再整備案について議論が始まっている条件を最大限に生かして、今こそ念願実現に向け、全力を挙げるときではないでしょうか。東京都や都議会の動きをただ見守るだけでなく、区としても現在地再整備案への意見表明や提案も行い、都や都議会に働きかけて現在地再整備の具体化を促進すべきです。お答えください。

 第一回目の質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 鞠子勝彦議員の御質問に順次お答えいたします。

 明石小学校の改築問題につきましては、さまざまな報道がなされ、区議会はもとより、保護者の方々をはじめとする区民や多くの関係者の皆様に御心配をおかけし、まことに恐縮に存じます。

 この問題は、平成元年十一月二十七日に、当時の区議会全会派が紹介議員となって、明石小学校のPTA会長、同窓会会長、明石町町会長を代表とする約一万四千人、正確には一万三千九百三十三名の方の署名のもと、提出された請願をはじめ、二十数年来にわたり、さまざまな機会に保護者や同窓会、地域の皆様などから改築してほしい、早期改築は悲願であるという強い要望をいただきながら、区として検討してまいりました。平成二十一年の改築準備協議会での協議などの経過を経て、本年度ようやく本格着工の運びとなったところであります。

 まず初めに、明石小学校について、解体を中止し、さらなる詳細な調査と記録保存を実施すべきとのお尋ねであります。

 御承知のとおり、日本建築学会から明石小学校については重要文化財建造物にふさわしい価値を備えているので、これらにふさわしい保存・活用をとの要望をいただいたのは、本年七月九日であります。その段階では、既に子供たちは校舎のお別れ会を七月三日に終え、校庭には仮校舎もでき上がりつつあり、仮校舎への移転も目前に控えたときでありました。要望として受けとめるには余りにも遅きに失した時期であり、区といたしましては、設計における意匠の継承、記録保存、部材の利活用に可能な限り取り組みながら改築事業を進める旨、回答をしたところであります。現在、解体工事を進めている中で、現校舎の保存を前提としたさらなる詳細な調査は行えませんが、記録保存につきましては、後世に残る貴重な資料として取り組んでいるところであります。

 次に、日本建築学会をはじめとするさまざまな保存・活用を求める要望書についてであります。

 これらの要望書につきましては、それぞれのお立場から、この問題を真剣にお考えになって提出されたものと受けとめております。残念ながら、そうした要望のすべてにはこたえられない状況でありますが、残る復興小学校の整備の検討に当たっては、専門家による建築的価値についての調査を行うなど、今回の問題を教訓として生かしてまいりたいと存じます。

 次に、改築計画の策定の経緯についてであります。

 小学校改築計画は、平成十一年に泰明小学校及び常盤小学校が東京都の歴史的建造物に選定されたこと、あるいは改築に関する地元の要望や教室数の不足、体育館の整備等教育環境の向上、さらには防災拠点など地域の核としての充実等、今日的行政課題を踏まえ、総合的な判断のもと、計画を策定したものであります。したがいまして、復興小学校七校全体としては、お尋ねの文化財的価値も十分考慮したものであります。

 次に、元文化庁長官の指摘についてであります。

 この指摘は、専門的見地からのもので、一般論としては成り立つものと受けとめておりますが、現実の明石小学校改築問題にそのまま当てはめることができるかどうかは、いささか疑問の残るところであります。

 次に、リノベーションの提案についてであります。

 まずは、私も実際に見学いたしましたが、高輪台小学校と明石小学校とでは、その立地条件等が異なり、単純に比較できないものと考えております。リノベーション案につきましては、例えば校庭の真ん中の地下体育館はいかがなものかと思いますし、どのように復興小学校の耐震性を高めるかも明らかではありません。また、平面計画全体を見ても、PTA等による改築準備協議会で検討してきた計画案にまさる内容ではないものと判断いたしました。このようなことで、さらなる積極的検討まで至らなかったところであります。

 次に、専門家の協力を得て住民理解と協力による保存・活用の具体案を検討すべきとのお尋ねであります。

 解体工事を進めている現時点で改築計画を白紙撤回することは、保護者をはじめとする区民や関係者の皆様の御理解を得られないものと存じます。また、この場合、最大の被害者、犠牲者は子供たちであります。今回の改築は子供の幸せを第一義に進めているものであり、その姿勢と相反するものであると言えます。

 次に、復興小学校全体について整備の方向を見直すべきとのお尋ねであります。

 これまで繰り返し述べさせていただきましたが、子供の幸せを第一義に、より良好な教育環境の実現や防災拠点など地域の核ともなる学校施設づくりといった今日的行政課題の解決こそが区の使命であると考えております。そのため、中央、明石、明正の三校の改築計画を予定どおり進めさせていただくほか、他の四校についても、小学校改築計画策定調査報告書で整理した整備の方向性に沿って進めてまいりたいと存じます。また、学校はいかなる災害にも耐えられるよう、絶対的に安全・安心でなければなりません。それでなければ、保護者は安心して児童を学校へ通わせられないものと存じます。

 次に、築地市場についてであります。

 豊洲の土壌汚染対策をめぐっては、実験データの一部の公開がおくれたことや、盛り土の一部において、搬入時における試験が内規どおり行われなかったことなどの事実が明らかになっており、まことに遺憾であります。東京都は、市場開設者として責任の重みを十分に認識し、都民の不安や懸念を払拭するよう、万全の対策と説明を尽くしていくべきであります。土壌の安全性については、技術会議が汚染を無害化することが可能であり、安全・安心の確保が図られることを期待すると報告しており、都の対応を注視していく必要があると考えております。なお、本区はこれまで終始一貫して移転反対を訴えるとともに、万が一の移転にも備え、鮮魚マーケット構想など、日本の食文化の中心である築地が将来にわたって活気とにぎわいを維持するための検討を行っております。都議会における検討は、十月初旬には一定の結論を得るとの報道もあり、本区にとりまして大変重要な局面と受けとめております。今後、都や都議会の動向を一層注視しつつ、区議会や関係者の皆様とも御相談しながら、引き続き築地の伝統とにぎわいの継承、発展のための働きかけを強力に行ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十番 鞠子勝彦議員登壇〕

○二十番(鞠子勝彦議員)
 それでは、再質問します。

 平成十一年に泰明小等が東京の歴史的建造物ということで指定された。平成十一年のことだ。その時点で復興小学校が区内にあることは十分承知していた。そういう指定を受ける価値のあるものが二校あったということがあった。平成十一年ですよ。なぜその時点から復興小学校全体についての文化財的価値の評価をする、そういう作業をしなかったのか。

 文化財保護審議会、私の質問、十八年から二十二年まで四年間は一度もない。それ以前もなかったというわけでしょう。つまり、区自身や教育委員会の文化財としての復興小学校の位置づけを全く認識を欠いていた。その中で新築・改築計画が進んだという、そこが今、広く問題として明らかになったのではないでしょうか。そのことについては、一体どのように反省をしているのか、文化財についての認識はそうであったということについては、どう思っているのか、お答えいただきたいと思います。

 平成元年のことから二十二年たっています。当時は、まだ区民、議会、行政の間でも今日のような復興小学校の文化財的価値の重要性の認識は広くなかったと思います。当然、現時点で認識の発展が二十二年間で研究の側でもあった。そして、それを指摘される側でもあった。住民の中にもあった。こういうわけですから、そういう到達している直近の到達線に立って、文化財としての復興小学校を位置づけた改築計画を行うべきではないでしょうか、お答えください。

 それから、リノベーション案について、検討したというのは、いつ検討したんですか。さまざまなリノベーション案のうちの、これは一つにすぎません。本当に重要文化財を保存・活用するという立場に立つなら、日本建築学会は全面的に協力すると言っているんですよ。最新の技術、建築技術も含めて、日本の最も権威のある団体が全面協力をすると言っているんです。会が出したリノベーションは、その一つです。それならば、本当に本格的に日本建築学会などの協力も得て、耐震性の問題、コンクリートの問題、施設配置の問題等も含めて、日本のいわばトップの知恵と知識を持った、そういう専門家の協力を得れば、リノベーション案がすぐれたものができる可能性があるのではないでしょうか。

 私は、明治生命館も行きました。高島屋も行きました。明治生命館のリノベーションは、日本建築学会賞を受賞しました。受賞した人は、民間の三菱地所の設計部などの民間の人たちです。こういう事例もあります。今の技術は、あらゆる面で保存・活用する技術が進んでいます。

 その点で、本格的なリノベーション案をいつ検討したのか。していないとすれば、今後やはりそのことをしていなかったことについて、どのように思っているのか、再度お答えいただきたいと思います。

 二回目の質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。鞠子議員の再質問にお答えいたします。

 復興小学校、百十七あったんですね、百十七。そのうち、本区に七校あると。今、全体で十校ですか、残っている。本区で七つもあるということ、これは幸せであって、建築学的見地からもいろいろと貢献できているな、こういうふうに思うわけでありまして、無論反省点もなきにしもあらずで、さまざまな点で今後の泰明や常盤小学校への対応とか何かに大いに生かしてまいりたい、こういうふうに、既存のほかの四校に対しても教訓としていきたいと、こういうふうに思っているわけでございまして、建築的価値は十分これからも尊重してまいりたいというふうに思うわけでありますが、反面、教育的見地、これも私たち、忘れてはならないわけでございまして、いよいよ国のほうも三十人学級、三十五人学級を進めようではないかという意向も報道されているわけですね。そういうものに今の校舎の教室の数で十分なのかどうか、またバリアフリーも十分でない。車いす用のトイレもないというのもお聞きしているわけでございますし、また校庭あるいは講堂ですね、体育館、こういうものもどんどん広がる、こういうことでありましょう。教育的見地、観点、こういうことも、私たち、忘れてはならない。まずは学校ということ、これは子供たちの幸せを第一義に考えて進めているわけでございまして、建築学会が言われること、これも十分尊重して、これからも対応してまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。

 明石小学校、つくられて八十四年ですか、たって、建築的価値は高いんだよということがわかったというのは、ぎりぎりになってわかったということで、これはちょっと私としても、区長としても、まことに残念に思うわけでございまして、もう少し早ければ、もっともっと区議会の皆様と一緒に対応できたのではないかな。八十四年目でようやくわかったというのもいかがなもの、いかがとは申しませんけれども、それはやむを得ない点があったんでしょうけれども、もう少し早く、すばらしいんだよということを一言言っていただければよかったのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。

 平成元年、地域の皆様方も、我々の悲願であるんだということで請願も出たわけでございますね。あの当時、生徒の数、三百八十人以上ですかね、おられた。だから、今より多い。だから、あの当時つくってもよかった、改築してもよかったでありましょうけれども、残念ながら人口がどんどん、何とあのころは八万四千人ぐらいいたんでしょう。それが七万一千までばっと落ちる。生徒の数もどんどん、百二十人ぐらいですかね、まで落ちた。それがようやく、今、どんどんふえて百八十人ですか、超す。そういうふうになって、ようやく時期到来だなということで、今、それから、幼稚園児の数もどんどんふえている。こういうことで、区議会の皆様方の御理解、地域の皆様方、そしてPTAの皆様方の要望をしっかりと踏まえて行っているところでございますので、どうか御理解願いたい、こういうふうに思いますね。

 先日も、PTAの皆様、また各町会の皆様方とお話しいたしました。絶対反対だというのは、幸せなことに、お一人もおられませんでした。そういう意味でも、だんだん御理解を得つつあるな、こういうふうに思っているところでございますので、どうか御理解、御協力のほどをお願いするところであります。

 以上であります。

〔「まだ答えていないでしょう」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 もう一点あるんじゃないですか。

〔「リノベーション案について」と呼ぶ者あり〕

○区長(矢田美英君)
 リノベーション。いろいろ研究しているところでございまして、職員の中でも優秀な職員、たくさん建築学会に入っている職員もいるわけで、専門家はたくさん、それから建築学にも理解というか、すばらしい方々にどんどん来ていただいておるわけですから、リノベーションというのはこういうものなんだよということをよく、私自身、私は素人ですけれども、専門家がおりますので、よく対応できるというところまで来た。大変うれしく思っているわけであります。ありがとうございます。

○二十番(鞠子勝彦議員)
 私はいつリノベーション案を……。

〔「不規則発言だよ」「おかしいぞ」「質問するなら質

問しろよ」「立って質問」「答えていないじゃないです

か」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 立ってから言ってください。どうぞ。

○二十番(鞠子勝彦議員)
 いつ……。

〔「質問するなら質問すればいいんだよ」「不規則発言

になっちゃうぞ」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 鞠子議員、どうぞ御発言。

〔二十番 鞠子勝彦議員登壇〕

○二十番(鞠子勝彦議員)
 同じ復興小学校で東京都の指定を受けた泰明、常盤については、リノベーション、真剣に調査・研究すると言っている。明石小で抱えている問題は、その二つの学校にも共通した問題です。その共通している両校については、そういう措置をとる。明石小学校にはそういう措置をとらないで解体する。全くこの方針は一貫していないと思います。ここに重要文化財や文化財の認識の低さが端的にあらわれていると思います。

 このことを指摘して私の質問を終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後五時 休憩


午後五時二十分 開議

○議長(中嶋ひろあき議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。八番田中耕太郎議員。

八番 田中耕太郎議員登壇

○八番(田中耕太郎議員)
 会派かけはしの田中耕太郎でございます。質問に先立ちまして、一件訂正とおわびがございます。私の一般質問通告書において、あろうことか中嶋議長のお名前を誤植しておりました。訂正しておわび申し上げます。

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ありがとうございます。

○八番(田中耕太郎議員)
 議長のお許しを得ましたので、中央区政、とりわけ平成二十一年度決算と平成二十三年度予算について、若者と子供たちのキャリア形成・教育について、児童虐待防止について、並びに新しい公共について、区長並びに教育長の御見解をただすものであります。明快な御答弁をお願い申し上げます。

 まず、平成二十一年度決算についてであります。

 米国のサブプライムローンに端を発した世界金融危機の影響を大きく受けた平成二十一年度決算は、人口増加により特別区税は増収となったものの、企業収益の悪化による市町村民税法人分の大幅な減収により、特別区交付金が三十一億四千万円の減収となりました。また、景気低迷の影響を受けることにより、生活保護をはじめとした扶助費の増加も顕在化しつつあります。これらの厳しい景気動向を踏まえて、まずお伺いいたします。

 平成二十一年度本決算について、どのように総括し、評価しておられるのか、区長の御見解をお聞きいたします。

 次に、平成二十三年度予算編成と今後の財政運営についてお伺いいたします。

 内閣府が公表した今月の月例経済報告によれば、「景気は、引き続き持ち直してきており、自律的回復に向けた動きもみられるが、このところ環境の厳しさは増している。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とされ、本区実施の八月区内景気動向調査、景気の現状に対する判断についてもまた、「良くなっている」、「やや良くなっている」との回答が一四・八ポイントも低下し、経済に対する先行き不透明感が増しております。本区は、三十代から四十代を中心に生産年齢人口が増加しており、他の自治体に比べて恵まれた状況にあるとはいえ、安定的な財源確保が困難な時代となってきております。本区では、これまで堅実な財政運営を行ってきたと評価いたしますが、歳出面では、人口増加に伴う新たな行政ニーズや更新時期を順次迎える各種施設、インフラ、その他、さらには社会保障関係経費のさらなる増加も懸念されております。

 そこで、厳しい経済状況が本区に与える影響についての現状認識と、平成二十三年度予算編成並びに中長期的財政運営に対して、今後どのように取り組まれるつもりであるのか、区長の御見解をお伺いします。

 さらに、現在の各種基金などの積立金残高の累計は、平成二十二年度末に四百九十七億円超が見込まれておりますが、この点についての現状認識と今後の基金の利用とあり方についてのお考えをあわせてお知らせください。

 次に、若者と子供たちのキャリア形成・教育についてお聞きいたします。

 先ほども述べましたが、我が国の経済情勢は厳しく、総務省労働力調査による最新の完全失業率は五・二%であり、とりわけ十五歳から二十四歳までの若年者は、本年五月、六月と一○%を上回るという過酷な状況にあります。私自身も二○○○年代初頭の就職氷河期時代に現在同様の厳しい就職活動を経験し、能力や努力が必ずしも報われずに途方に暮れる同年代の姿を目の当たりにしてきました。

 本区においても、国・都との連携による早急な景気・雇用対策が必要とされておりますが、同時に一部の中小企業や業種では求人を出しても応募が少なく、人手が足りずに困惑しているケースも多数報告されております。近年の若者の勤労観、職業観の希薄化や職業人としての基本的な資質をめぐる課題、さらには就職ができたとしてもミスマッチを理由とした早期離職やフリーター、ニートの存在も深刻な社会問題であると言えます。

 こういった事態に対して、北区では二十八歳以下の新卒者の就労支援を人材派遣会社と連携して行い、区内中小企業への紹介予定派遣による就労支援を特別区で初めて行う予定であるなど、新たな動きも出てきています。

 そこで、お伺いいたします。

 現在の雇用、とりわけ若年者の厳しい雇用情勢を区としてどのようにとらえ、日本有数の経済商業地を抱える自治体として、いかなる姿勢と対策で取り組んでいくのかをお知らせください。

 若者の高い職業意識、能力を確立させるために、政府は二○○六年の改正教育法に基づき、二○○八年の教育振興基本計画において、「子どもたちの勤労観や社会性を養い、将来の職業や生き方についての自覚に資するよう、経済団体、PTA、NPOなどの協力を得て、関係府省の連携により、小学校段階からのキャリア教育を推進する。特に、中学校を中心とした職場体験活動や、普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する」と定められ、具体的には若者自立・挑戦プラン、キャリア探索プログラム、ジュニアインターンシップ等の施策が実行に移されております。

 そこで、お伺いいたします。

 近年の若者の勤労観、職業観についての考え方並びに初等・中等教育からの継続的なキャリア形成、就職支援が重要であると考えますが、本区の取り組み状況と今後の展望についてお聞かせください。

 また、本区の教育振興基本計画において掲げられた生きる力とキャリア教育との連動性についても、現状認識と具体的展望をお願いいたします。

 若年者の失業率の増大は、若者の意欲と成長の機会を奪うだけでなく、これまで家族とともに手塩にかけて育ててきた社会、行政にとっても多大なる損失であります。若者の未来を支える前向きな御答弁をお願いいたします。

 次に、児童虐待防止対策についてお伺いいたします。

 先月、大阪市西区において二人の幼児が食べ物もろくに与えられずに放置されて死亡するという、実に痛ましい児童虐待事件が発生いたしました。私自身も同年次の子供を持つ親として、この上ない悲しみとともに、なぜに我々は二人を助けてあげることができなかったのかと強い憤りと反省を禁じ得ません。

 平成十二年の児童虐待防止法を皮切りに、平成十六年の児童虐待防止法及び児童福祉法の改正等により、制度的充実が図られているにもかかわらず、子供の命と健康が奪われる虐待が後を絶たず、全国の児童相談所における虐待の相談件数は増加の一途をたどり、年間四万件を超えています。本区においては、現在のところ、深刻な虐待事件は発生していないとの報告をいただいておりますが、大阪の事件や連日の全国における虐待報道は他人事ではなく、近隣の江戸川区では、本年一月に区立小学校に通う児童の両親暴行による虐待死事件や台東区の都立高校では虐待の疑いがありながら校長が児童相談所への通報を怠ったことが先月判明し、我々の身近なところでも虐待が相次ぎ、また、それは氷山の一角であるという専門家の指摘もあります。

 こうした状況を踏まえて質問いたします。

 本区における児童虐待を絶対阻止するための意気込みをお示しいただいた上で、乳児の全戸訪問事業、子ども家庭支援センター、要保護児童対策地域協議会等の取り組み状況と児童相談所との連携状況並びに地域や近隣住民からの通報体制について詳細をお知らせください。

 また、十一月の児童虐待防止推進月間に向けて、区民への集中的な広報啓発を行うべきであると考えますが、どうでしょうか。NPO法人、児童虐待防止全国ネットワークが中心となって実施しているオレンジリボンキャンペーンは、政府も後援しており、本区も積極的に参画するべきであると考えますが、どうでしょうか。

 さらに、児童虐待による重大事例の検証は、再発防止と対策を講ずる上で最も重要であると考えます。これらの調査・研究を本区ではどのように入手、検証しているのかをお知らせください。そして、それらが地域や学校等での虐待の早期発見に生かされる体制になっているのかをあわせてお伺いいたします。

 最後に、新しい公共についてお伺いします。

 政府は、本年六月、内閣府における懇談会、「新しい公共」円卓会議にて新しい公共宣言を発表いたしました。これは、公共的な活動を行う機能は従来の行政機関、公務員だけが担うわけではなく、地域の住民、企業等があらゆる分野において共助の精神で参加する社会活動を応援するというものであります。具体的には、非営利セクターの活動力、経済力を担うためのソーシャルキャピタルの育成、統合型地域スポーツクラブやPTAの活性化等に見られる地域人材・組織の発掘・育成、個人、企業等からの寄附による地域独自の歴史や特性を生かした新しい発想と公共サービスの展開等が挙げられ、我々地方自治体においては、業務実施にかかわる市民セクター等との関係について再編し、依存型の補助金や下請型の業務委託ではない、民間提案型の業務委託、市民参加型の公共事業について新しい仕組みを創設するべきものとうたわれております。

 この趣旨自体には私も強く賛同し、政府及び自治体によるトップダウン型の行政運営から、市民からのボトムアップや市民との協力、協働が必要不可欠であると感じております。

 そこで、最初に、まずお伺いいたします。

 政府の「新しい公共」円卓会議において示された新しい公共宣言の考え方について、本区はどのように評価し、新しい公共のあり方について今後どのように取り組んでいくお考えがあるのかをお示しください。

 新しい公共のあり方は、常に市民参加、市民との協働であることが念頭に置かれるべきものと考えますが、その具体的手法については、さきに述べた新しい公共宣言以外にも、実にさまざまなものがあります。

 そこで、一つ、私自身が関心を持ち、本区でも有効性があるのではないかと考える具体的手法として、ドイツのプラヌーンクスツェレについて申し上げます。プラヌーンクスツェレは、日本語では市民討議会と訳されることもある、ドイツ発祥で他国にも普及した新しい市民参加の手法です。プラヌーンクスツェレの特徴は、一に、解決が必要な真剣な課題に対して実施する。二に、参加者は住民台帳から無作為で抽出する。三に、有償で四日間程度の参加。四に、中立的独立機関が実施機関となり、プログラムを決定。五に、メンバーを固定せずに参加者のみが討議を繰り返す。六に、市民答申という形で報告書を作成するという概要になります。誤解を恐れずに例えるのならば、裁判員裁判のように無作為で住民を抽出することで、市民の一般感覚を反映した公の諮問機関や審議会等を自治体内に設けるようなスタイルとなります。この手法に沿って、三鷹市ではまちづくりディスカッションにおいて日本版のプラヌーンクスツェレ、市民討議会が一部導入され、成果を上げております。

 本区においても、さまざまな公聴会や区民世論調査、パブリックコメント等の区民意見聴取の努力は認めますが、固定された委員や一部の意見者のみが重用され、閉鎖的である傾向が否めません。また、本区での地域のあり方を住民で協議しているまちづくり協議会の運営や再開発における近隣相隣問題、現在の復興小学校の建てかえ問題等においても、住民の参加と意思表明を客観的に行う重要性がますます高まっています。

 そこで、お伺いいたします。

 ドイツのプラヌーンクスツェレや三鷹のまちづくりディスカッション等の具体的な新しい公共の手法の導入について、本区の基本的な考え方をお示しください。

 本区において最重要課題の一つであるまちづくりを中心とする行政課題に対して、区民参加と区民の意思の反映の観点から、本区独自の新しい公共の基本概念を制定し、具体的手法についても検討、整備する時期に来ていると考えますが、いかがでしょうか。

 以上で一回目の質問を終わります。御答弁によって、再質問をさせていただきます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中耕太郎議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、平成二十一年度決算の評価についてであります。

 平成二十一年度においては、景気の低迷を背景に特別区交付金をはじめとした一般財源が減収となる厳しい財政環境の中、財政調整基金の活用も行い、基本計画二○○八に掲げた十年後の中央区の実現に向け、安全・快適で活気にあふれるまち中央区を推進するための各種施策や、直面する課題への対応を着実に実施してまいりました。特に、商工業融資の拡大による中小企業対策や保育所待機児童対策、聖路加国際病院産科施設の開設支援、コミュニティバスの運行、公共施設の緑化推進などに加え、緊急対応が必要であった新型インフルエンザ対策や景気、雇用などの緊急経済対策にも補正予算などにおいて積極的な対応が行えたものと思っております。

 次に、来年度の予算編成と今後の財政運営についてであります。

 本区の財政は、定住人口の増加による特別区民税の順調な伸びに加え、計画的に蓄えてきた基金と起債の活用により、これまで健全性を維持してきました。しかし、今年度の状況を見ると、特別区民税の七百万円を超える所得層の方が一割近く減少し、さらに法人住民税の大幅な減により、特別区交付金も平成二十年度との比較では昨年並みの減が見込まれます。こうした状況を踏まえ、今後も区税や使用料等の収納率向上など、歳入確保の取り組みを強化してまいります。また、歳出面では、行政評価と予算編成の連動性を高め、より成果重視の視点に立ったマネジメントサイクルを実施するとともに、事務事業の再構築や廃止を含めた見直しを行い、効果的・効率的な区政運営に努めることが必要と考えております。こうした努力により、健全性を今後も維持しつつ、来年度の予算編成に当たりましては、平和と環境をすべての施策の根幹に据え、引き続き基本計画に基づき、子供が輝く子育て、教育のまちづくり、すべての人々の健康と高齢者の生きがいのあるまちづくりなど、重点事業に積極的に取り組んでまいります。

 次に、基金の現状と活用についてであります。

 平成二十一年度末における本区の主要三基金の残高は、合計で四百九十六億円余となり、特別区債の残高四十一億円余を大きく上回っております。この基金を活用し、現在進めている学校改築や今後の児童館及び小規模特別養護老人ホームの建設、労働スクエア跡地の購入と区施設の再編などを着実に進めてまいります。さらに、災害など予想できない事態が発生した場合にも安定した区政運営を継続することができるよう、基金の充実に努めてまいります。

 次に、若年者の雇用情勢とその対策についてであります。

 国の調査によれば、本年三月の大学卒業者の就職率は九一・八%と、過去最低であった平成十一年の九一・一%に次いで低い水準にとどまっており、若年者をめぐる就職環境は非常に厳しい状況にあると認識しております。本区では、毎年六月にハローワーク飯田橋との共催により、区内企業を対象として求人募集を働きかける新規学卒求人申込説明会を実施するとともに、昨年十二月には若年者を対象とした合同就職面接会を開催するなど、就労機会の提供に積極的に取り組んでいるところであります。また、区内中小企業における若年者等の正規雇用を促進するため、昨年度から区独自の奨励金支給制度を導入しております。四万四千の事業所が活発な活動を展開している本区においては、有望な人材の確保に向けて高い求人意欲を持った企業も数多く存在すると考えられます。今後とも東京商工会議所をはじめとする区内経済団体と協力しながら、こうした企業の掘り起こしに努めるとともに、ハローワーク飯田橋など、労働関係機関との連携を図り、若年者の安定的な雇用環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、児童虐待防止についてであります。

 子供の命と人権が踏みにじられる重大な事件が後を絶たず、児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき重要な課題であります。子供はかけがえのない未来への希望です。本区におきましても、児童虐待を絶対容認しないという姿勢で事業を展開してまいります。

 次に、乳児家庭全戸訪問事業などの取り組み状況です。

 区では、育児不安を原因とした虐待予防の観点から、生後四カ月までの乳児がいる家庭を保健師等が訪問し、指導、助言を行う新生児等訪問指導事業を行っております。こうした中で、特に養育支援が必要と判断した家庭に対しては継続して訪問指導を行い、適切な支援につなげていくなど、きめ細かな対応に努めております。また、子ども家庭支援センターでは、近隣住民からの虐待通告にも迅速に対応できるよう、子どもほっとラインを設置するとともに、緊急的かつ重篤な場合には児童相談所に援助要請し同行訪問するなど、常に両者が密接に協力、連携しながら対応しております。さらに、要保護児童対策地域協議会の取り組みの中で、児童虐待による重篤な事例につき国や都から報告書を入手し、関係機関の担当者が支援の方向性や対応方法について協議し、検証しております。こうした事例から学んだ教訓を今後は事例集としてまとめ、学校や地域の関係機関に配布し、児童虐待の早期発見、防止に生かしていけるよう努めてまいります。なお、児童虐待防止推進月間に向けて、ポスター、リーフレット、オレンジリボン等を学校など区内関係機関に配布し、児童虐待防止に向けた普及啓発を行ってまいります。さらに、健康福祉まつりにおいても、オレンジリボンを活用したキャンペーンを実施し、広く区民に呼びかけ、児童虐待問題に対する関心を喚起してまいります。

 次に、新しい公共についてであります。

 本区では、基本計画二○○五から新しい形の公共として、同様の概念を打ち出しております。この考え方は、住民みずからの創意工夫により、一人一人の多様な暮らしのニーズにきめ細かく対応し、地域にとって最も適した形での課題の解決を図るものであります。現在、政府が設置している「新しい公共」円卓会議においても、具体的な取り組み内容に違いはあるものの、本区と同様の趣旨で検討が進められているものと受けとめております。本区では、今までも区政を話し合う会やまちづくり協議会など、あらゆる場面で新しい公共の概念を取り入れた施策展開を図ってきたところであります。また、今年度からエコタウン構想の策定において、区民の皆様や企業の方々の意見を取り入れたワークショップによる検討も進めているところであります。今後ともこれら区民参加型事業の積み重ねの中で、大規模なまちづくりなど地域の重要課題に対して十分な情報提供を行い、広く意見を聞く将来的な協議型まちづくりについて検討を進めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 髙橋春雄君登壇〕

○教育長(髙橋春雄君)
 教育問題についてお答えします。

 子供たちのキャリア教育についてであります。

 今日の若者の職業観や就職の実態などから、御指摘のキャリア教育の重要性は十分認識しております。本区小学校では、校内での委員会や当番活動の中で、自分の役割や責任を果たすことの意義を学ぶとともに、施設、職場見学により、働くことの大切さについて理解を深めるよう指導しております。中学校では、民間企業等の協力による延べ五日間の職場体験を通して、働くことの意味を実感し、みずからの職業観をより確かなものにする学習活動を行っております。進路指導におきましても、将来の職業選択を視野に入れた相談の充実に努めているところであります。今後は、本区の地域特性を生かした職場体験の充実やハローワークと連携した出前講座など、より質の高いものとなるよう取り組んでまいります。こうした自立する力を養うことを目的とするキャリア教育は、生きる力につながるものであり、その充実はより生きる力を高めることに寄与するものと考えております。教育委員会といたしましては、今後とも地域の協力をいただきながら、幅広いキャリア教育の充実に取り組み、若者の高い職業意識や能力の確立につなげてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔八番 田中耕太郎議員登壇〕

○八番(田中耕太郎議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 決算につきましては、今後設置されるであろう決算特別委員会で詳細については議論されるものと思いますけれども、景気の低迷が深刻であるという前提を考えるならば、今後の方針というのが今のままでいいのかというのが根本的な問題意識として、区長をはじめ、皆さんもありますし、私も強くあるというところでございますので、今までどおりのやり方、今までどおりの発想でこの不況を乗り越えられるのかどうかというのは、いま一度根本からともに考えていきたいというふうに考えております。

 若者と子供たちのキャリア形成・教育についてでございますけれども、これも現在、ハローワーク飯田橋等との連携や合同就職説明会等を行っていただいていると。これは私も存じ上げておりますけれども、やはりもう一歩行うべきことが具体策としてあるのではないかという趣旨で御質問を差し上げました。

 急激な雇用情勢の悪化、それによって新卒者、若者を中心に状況が悪化している。この急激な悪化に対して、自治体として、我々として何ができるのかという視点が大事でございますので、ハローワーク飯田橋での取り組みや合同就職説明会というのは、今の目の前の危機というか、やはりこれも従来の路線にのっとって行っているというのが私の認識でございまして、ここからいま一歩踏み出した形、具体的な政策といったものをぜひとも考えていただきたいというふうに要望いたします。

 進路指導等につきまして、キャリア形成につきまして教育長のほうから御答弁いただきました。現在も進路指導等を通してキャリア教育は行っているという趣旨の御発言だったというふうに思いますけれども、仕事は何につくか、将来何になりたいかと聞かれる機会が、今、少子化の影響もありますし、核家族化の影響もあるかもしれませんけれども、余り聞かれない状況が児童や生徒たちにふえているというふうに私、個人としては認識してございますので、さまざまな面でキャリア教育といったものを若い段階から行っていくべきであろうということを繰り返し申し上げたいというふうに思います。

 児童虐待防止に対しては、さまざまな取り組みをされているということで、一安心ではございますけれども、やはりこの区内でも児童虐待に近いような事件、事象というのは起こっていますし、起こり得るというふうに考えておりますので、本区からはこういった事件を決して起こさないという形で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、新しい公共についてでございますけれども、基本計画の中でこういった概念に近いものを行っているということでございましたけれども、先ほどの一回目の質問でもお聞きしましたけれども、まちづくり協議会ですとか、エコタウンワークショップ等、新しい取り組みをしていただいているのは存じ上げてございますけれども、やはり閉鎖的であったりですとか、新しい発想がもう一つ出てこないのではないかというふうに考えております。

 そこで、具体的な例として三鷹のまちづくりディスカッションですとか、ドイツの例を挙げたわけなんですけれども、ドイツの例については、当然、海外の事例でございますので、なかなか日本に置きかえるというのは難しいとは思うんですけれども、重要なところといたしましては、無作為抽出による市民協議会、我々ですと区民協議会ということになりますけれども、そういう概念が重要かというふうに考えてございます。三鷹でもそれを行ったという事例がございます。こういった取り組みが本区でもできないかという趣旨で質問を差し上げましたけれども、そこの点についてはお答えをいただけなかったように感じましたので、こういった無作為抽出での新しい協議会、討議会等の運営、実施、こういったものを検討していただけないかということについて再質問をさせていただきたいというふうに思います。

 以上、よろしくお願いいたします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 再質問にお答えいたします。

 ドイツでの無作為抽出、やはり人間の、地域住民の本音を聞く、これは大事ですね。そういう意味で、例えば記名でなく無記名にしたりすると、本音が聞こえてくるとか、また、閉鎖的というお話もございましたけれども、そういうものでもなくなってくるとか、いろいろな工夫は必要であろう、そういうふうに思いますね。無作為抽出なんかも、世論調査ではもちろんそういうことで住民、有権者の本音を聞こうじゃないかということで従来から行っているわけでありまして、こういうものも大いに参考にしながら、中央区のまちづくりにも大いに導入してまいりたいな、こういうふうに思います。

 以上であります。

○八番(田中耕太郎議員)
 ありがとうございます。

 無作為抽出というのはなかなか簡単ではないということは、私自身も心得ておるつもりなんですけれども、人口増加の著しい本区においては、サイレントマジョリティーという言葉がよろしいかどうかわかりませんけれども、なかなか意見を言う機会、場に立てないという御意見を私はお聞きするケースがふえております。ですので、無作為がよろしいかどうかは別にしても、今までの地域の代表のあり方ですとか、今までの会議や協議会のあり方というものは検討し、新しいものを模索していく必要性があるのではないかというふうに感じてございます。

 詳細については、今後設置されます決算特別委員会でお話ししたいというふうに思います。

 終わります。(拍手)

○議長(中嶋ひろあき議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(中嶋ひろあき議員)
 次に、日程第二、日程第三及び日程第四を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二、日程第三及び日程第四を一括して議題といたします。

〔奥田議会局長朗読〕


日程第二 議案第五十四号 平成二十二年度中央区一般会計補正予算

日程第三 議案第五十五号 平成二十二年度中央区国民健康保険事業会計補正予算

日程第四 議案第五十六号 平成二十二年度中央区介護保険事業会計補正予算


○議長(中嶋ひろあき議員)
 提案者の説明を願います。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ただいま上程されました議案第五十四号、第五十五号及び第五十六号、平成二十二年度本区各会計補正予算につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 今回の補正は、一般会計で十七億六千五十六万二千円を、国民健康保険事業会計で千八百五十一万円を、介護保険事業会計で五千六百十二万四千円をそれぞれ増額するものであります。その結果、一般会計は七百十億三百十五万九千円、国民健康保険事業会計は百五億二千四十一万九千円、介護保険事業会計は五十九億八千百十八万六千円となるものであります。

 初めに、一般会計補正予算の概要について御説明申し上げます。

 歳入の分担金及び負担金は、新設認可保育所の入所者負担金三百七十五万三千円の計上です。

 国庫支出金は、児童福祉費負担金四百八十五万三千円の計上です。

 都支出金は、児童福祉費負担金二百四十二万六千円、保育所設置促進事業費補助金三千二百四十一万九千円、待機児童解消支援事業費補助金一億五千二百三十二万四千円、合わせて一億八千七百十六万九千円の計上です。

 繰入金は、施設整備基金からの繰入金十四億二千万円の増額、平和基金からの繰入金三百万円の減額、合わせて十四億一千七百万円の計上です。

 繰越金は、前年度からの繰越金一億四千七百七十八万七千円の計上です。

 次に、歳出について御説明申し上げます。

 地域振興費は、平和モニュメントの制作と設置に要する期間が平成二十三年度まで及ぶこととなったため、その経費の一部、三百万円の減額です。

 民生費は、私立認可保育所二カ所に対する開設準備及び運営費助成経費二億四千四百六十四万七千円、認証保育所一カ所に対する開設準備助成経費六千四百三十八万九千円、(仮称)晴海二丁目児童館等複合施設の建設用地取得費十四億二千万円、合わせて十七億二千九百三万六千円の計上です。

 土木建築費は、老朽化が進んでいる新島橋のかけかえに向けた実施設計に要する経費三千四百五十二万六千円の計上です。

 なお、債務負担行為として、平和モニュメントの設置等、一項目を追加計上します。

 次に、国民健康保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入は、前年度からの繰越金一千八百五十一万円の計上です。

 歳出では、諸支出金が前年度超過交付に伴う償還金一千八百五十一万円の計上です。

 次に、介護保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入は、前年度からの繰越金五千六百十二万四千円の計上です。

 歳出では、諸支出金が前年度超過交付に伴う償還金五千六百十二万四千円の計上です。

 以上、平成二十二年度本区各会計補正予算の概要について御説明申し上げました。よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま上程されております議案第五十四号、議案第五十五号及び議案第五十六号は、企画総務委員会に付託されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について、さらに動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま企画総務委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十三日から二十六日までを休会とし、来る九月二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(中嶋ひろあき議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十三日から二十六日までを休会とし、来る九月二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時二分 散会


署名議員
議長 中嶋 ひろあき
議員 鈴木 久雄
議員 高橋 伸治

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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