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平成24年第四回定例会会議録(第2日 11月26日)

1.会期

十三日(第二日)

十一月二十六日(月曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時三十四分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 瓜生 正高議員

四番 富永 一議員

五番 染谷 眞人議員

六番 木村 克一議員

七番 青木 かの議員

八番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 石島 秀起議員

十二番 礒野 忠議員

十三番 中嶋 ひろあき議員

十四番 今野 弘美議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 石田 英朗議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 高橋 伸治議員

二十三番 増渕 一孝議員

二十四番 原田 賢一議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 岸田 里佳子君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 信坂 留吉君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 渡辺 忠之君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(石田英朗議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(石田英朗議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十五番墨谷浩一議員。

十五番 墨谷浩一議員登壇

○十五番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、平成二十四年第四回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 孤立死ゼロを目指してについて質問をいたします。

 初めに、孤立者の早期把握について。

 私は、昨年の夏に一本の電話をいただきました。ある地域の方が亡くなったとの連絡でした。近隣の方から異臭がするとの通報があり、発見されたそうです。五月ごろに元気な姿であいさつを交わした記憶を思い出しました。

 東京都監察医務院の二十三区における二○○九年の一年間、自宅での死亡が見つかったひとり暮らしの高齢者は二千百九十四人となっています。民間研究機関、ニッセイ基礎研究所は、自宅で死亡し、発見まで二日以上経過と定義した場合、孤立死推計値を二万六千八百二十一人と二○一一年に公表しています。

 孤立死の背景について、次のような指摘があります。我が国の家族構成は、多世代同居型から核家族化に大きく変化している。このような核家族は、子供が独立すると夫婦だけが残され、平均寿命の伸びがこれに加わり、夫婦二人、その後、ひとり暮らし構成世帯が増加している。こうした単独高齢者世帯や高齢者夫婦世帯においては、既に退職していることもあって、社会的なつながりが希薄化傾向にあり、身体的にも従来のように活発な活動が衰え、地域や社会から孤立した暮らしになりがちである。また、居住形態の変化である。従来は、地方を中心に戸建て持ち家が一般的であったが、戦後の産業構造の変化の中で核家族化の進行による少家族化や都市部における地価高騰などにより、特に大都市地域においては借家住まいやマンション居住が急増したこと、こうした居住の形態は、近所づき合いの煩わしさから逃れ、匿名性を求める都市住民の意向に合致するものであるが、まさに、それゆえに近隣意識が希薄化し、地域社会とのつながりが途絶え、孤立した暮らしにつながることになる。経済状況の悪化による失業や正規雇用につけない人が増加しております。

 一方、本区では、厳しい経済状況の中、定住人口が十二万人を突破し、今後も増加傾向にあります。さらに集合住宅に八八%の方が居住されており、地域とのつながりが希薄化傾向にあり、課題となっております。

 また、本年の一月には、札幌市白石区で四十二歳の姉が病死し、次いで四十歳の障害を持つ妹さんの凍死が、二月には立川市で四十五歳の母親と四歳の障害を持つ息子さんの死亡が発見されました。一人だけではなく二人以上の家族がともに生活されているにもかかわらず、その御家族が相次いで亡くなられているところが一層深刻な事態であることだと思います。

 そこで、孤立を防ぐ対策が今以上に必要になっていると思います。北九州市では、いのちをつなぐネットワーク事業の取り組みをしています。それは、住民と行政の力を結集し、地域における既存のネットワークや見守りの仕組みを結びつけ、セーフティネットの網の目を細かくすることによって、高齢者のみならず、支援を必要としている人が社会的に孤立することがないよう、地域全体で見守り、必要なサービスにつなげていくための取り組みです。

 この事業の対象者は、高齢者や障害のある人など制度・サービスが必要な人だけでなく、子供から高齢者まで障害のある人もない人も支援・見守りが必要なすべての人を対象にしています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 吉田太一氏著書によると、「遺品が語る真実」には、孤独死の現場にはある一つの特徴があります。それは、故障したまま放置していたらしき電化製品が余りにも多いということです。「幾つもの電化製品がある中の一つや二つがちょっと故障している程度ならば、たまたま最近壊れたのかもしれません。しかし、孤独死の現場では複数の電化製品が壊れていて、修理することも捨てることもせず、部屋の中や家の裏口などに放置されていることが意外に多いのです」と、電化製品にあらわれる孤独死のサインについて語っています。

 生活困窮や孤立者の早期把握が大切と思います。例えば、料金の滞納や郵便物がたまっているなど、孤立のサインをつなげていくことです。それには、電気、ガス、水道事業者や郵便、新聞配達事業者などの連携が必要と考えます。そして、検針員、配達員等が訪問や配達時に何らかの異変に気づいた場合は、区と連携し、対策を進めていくべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、公共住宅との連携・協力に関する協定について。

 近年、増加している孤立死の防止に向けた取り組みを、板橋区では先月、板橋区と東京都住宅供給公社との安否確認に係る緊急時対応についての連携・協力に関する協定を締結しました。協定の目的は、区民の安全・安心な住生活を確保するため、安否確認に係る緊急時対応における相互の連携・協力体制の強化をするものです。区と公社の役割を定め、連携・協力していくことにより、セーフティネットの強化をするものです。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区での公共住宅は、UR賃貸住宅約四千八百戸、都の住宅約二千三百戸、区の住宅約千二百戸であり、セーフティネットの構築には不可欠と思います。公共住宅との相互の連携・協力体制の強化をすることによって、安全・安心な住生活の確保のため、本区でも孤立死の防止に向けた取り組み強化として、公共住宅との協定締結について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、総合的な連絡窓口の設置について。

 三鷹市では、孤立死をなくそう!見守りネットワーク事業を、子供から高齢者までだれもが住みなれた地域で安心して暮らせるよう、市民の方をはじめ、町会・自治会、商店街、地域ケアネットワーク、ボランティア団体、特定非営利活動法人、企業等に協力をいただき、子供から高齢者までの緊急事態等に適切かつ速やかに対応する見守りの仕組み、見守りネットワーク事業に取り組んでいます。その中に、見守り連絡・相談専用電話の設置があります。孤立死に関連する連絡・相談専用電話で、安心見守り電話との名称で健康福祉部に設置し、総合的な連絡窓口として位置づけ、そこから、内容に応じて各部各課につなげる連絡・相談体制を確立しています。

 一方、本区においても、地域見守り事業が展開されております。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 三鷹市で行っているような、高齢者の方などでひとり暮らしになった、引きこもりがちなどの兆しから、最近姿が見えなくて心配、新聞や郵便物がたまっている、洗濯物が長い間干しているなどの気づきにより危ない徴候があったときなど、相談できる総合的な連絡窓口の設置を本区の地域見守り事業の強化策として採用していくべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、環境に配慮した資源ごみの活用について質問をいたします。

 初めに、小型家電リサイクル法について。

 本区のごみと資源の現状によりますと、平成十七年度から平成二十一年度にかけて、二十三区と中央区のごみ収集量が減っていることがわかります。特に、燃やさないごみが平成十七年度八千六百五十トンであったのに対して、平成二十一年度は千七百三十トンへ激減しています。資源回収量は、平成十七年度約九千四百六十三トンであったのに対して、平成二十一年度一万八百六十一トンへ増加しています。平成十八年度からペットボトル、平成二十年度から金属製のなべ、やかん、フライパン、平成二十一年度からプラスチック製容器包装、さらに平成二十二年度からスプレー缶、カセットコンロ用ガスボンベを新たに資源として回収しています。

 続いて、中村繁夫氏著作「レアメタル超入門」によりますと、「世界一都市鉱山を持つ日本では、日本は世界一の都市鉱山国家である。鉱山といっても、従来あるような山を掘り起こすものではなく、廃棄された家電製品内に含まれる金属類、金、プラチナ、銀などの貴金属や工場で出る本来廃棄処分される産業用の端材であるチタン、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、バナジウムなど、レアメタルをリサイクル処理することである。現時点での日本の都市鉱山でも、工場内都市鉱山の回収率はかなりのものであるが、家庭内都市鉱山は残念ながら集荷システムが完備されていないために、経済合理性にはほど遠いのが実態である。今後は広く持続的な発展が望める循環型経済を構築するために、都市鉱山開発が不可欠である」とあります。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本年、携帯電話やデジタルカメラなど、使用済みの小型家電に含まれるアルミニウム、貴金属、レアメタルなどの回収を進める小型家電リサイクル法が八月に成立し、来年四月に施行となります。区として、小型家電リサイクル法についてどのようにお考えでしょうか。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、小型家電の回収について。

 現在、小型家電に含まれるレアメタルや貴金属は、多くを輸入に依存し、その大半はリサイクルされずにごみとして埋立処分されていますが、同法により区市町村が使用済み小型家電を回収し、国の認定を受けた業者が引き取って、レアメタルなどを取り出すリサイクル制度が創設されることになります。二十三区では、足立区、江東区、練馬区、港区が小型家電のリサイクルに取り組んでいます。港区は、九月から使用済み小型家電製品の回収を年間四百キロ目指し、小型家電リサイクルに取り組みを始めました。回収方法は、区有施設七カ所に設置してある黄色い回収ボックスに持参する方法です。また、回収対象は携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルビデオカメラ、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、電子辞書、ポータブルカーナビ、電卓、ACアダプター等のコード類の九品目です。港区役所一階には乾電池、ペットボトルなどを回収する資源回収ボックスと並んで、小型家電回収ボックスが設置されています。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 小型家電の再資源化を促進する小型家電リサイクル法が成立したことを受け、江東区などに次いで、港区は施行に先駆けて回収をスタートさせました。これまで燃やさないごみとして扱われていた小型家電などを資源として有効活用するための取り組みです。本区としても、デジタルカメラやACアダプター等のコード類など、小型家電の回収・リサイクルについて実施をしていくべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、事業者系の紙のリサイクルについて。

 私は、過去に八重洲にある事務所で勤務していました。そのときに、エコアクション21認証・登録へ向けての責任者になりました。エコアクション21とは、すべての事業者が環境への取り組みを効果的・効率的に行うことを目的に環境に取り組む仕組みをつくり、取り組みを行い、それらを継続的に改善し、その結果を社会に公表するための方法について環境省が策定したガイドラインです。効率的な電気、ガス、水道、ごみの分別・リサイクルへの取り組みなど、事業所全体で取り組みをしていました。コピー用紙の削減についても、最新型のコピー機を導入し、書類の電子化や裏紙の再利用なども取り組みました。しかし、シュレッダーのごみについて、燃やすごみで分別されていました。機密書類をシュレッダーにかけないでリサイクルする方法も確認しましたが、ある程度の金額であれば導入を考えていましたが、コスト的に二の足を踏んだことを覚えています。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 区内にある事業所は約四万社を超え、地域別では京橋・日本橋地域に集中しています。私は、まさしく紙資源の都市森林と思います。本区の事業系での紙の資源問題について、またリサイクルについて、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、ちゅうおうエコ・オフィス町内会について。

 本区では、ごみの排出量が多い事業用大規模建築物への立入検査を行い、ごみ減量・適正処理の指導・助言を行っています。事業用大規模建設物から発生する一般廃棄物と再利用率によると、平成十七年度の発生量十二万三百四十四トンであったのに対して、平成二十一年度の発生量は十万八百七十三トンと減っていることがわかります。

 本区での事業系の紙資源化への取り組みとして、ちゅうおうエコ・オフィス町内会があります。区内で事業を営む皆さんがオフィス古紙の効率的な回収を行うことにより、ごみの減量と資源の有効利用を図ることを目的にしています。オフィスの皆さんが簡単に参加できる循環型社会を目指した古紙回収システムです。ちゅうおうエコ・オフィス町内会では、無料でボックスなどをレンタルでき、回収もオフィスの都合に三種類から選択することができる、すぐれたシステムです。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 中央区ごみ排出実態調査報告書によりますと、「ちゅうおうエコ・オフィス町内会を御存じでしたか」の問いに対して、八七・五%が「知らなかった」と回答しています。本区では四万社を超える企業があり、そして事業者規模が四人以下では約一万八千七百社で、五人から十九人以下では約一万五千九百社、合わせて約三万四千社を超えています。ちゅうおうエコ・オフィス町内会への一層の事業の参加によって、ごみを資源に変えると考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 以上で私の第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えします。

 初めに、孤立死対策についてであります。

 本区では、ひとり暮らしの高齢者などが住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、おとしより相談センターを核とした地域見守りネットワークを構築し、民生委員や協力団体が日常的に訪問や声がけを行ったり、新聞販売員がポストに郵便物がたまっている場合はセンターに連絡したり、地域見守り活動を推進しております。また、現在、東京都水道局との間で、検針時等に異変を把握した際には連絡を行うことを内容とする協定の締結に向けて協議しており、ネットワークへの参加を見込んでおります。今後も、地域ぐるみの見守り体制を拡充するため、さらに民間事業者等へ働きかけを行ってまいります。

 次に、公共住宅との連携・協力についてであります。

 区内には、東京都住宅供給公社や都市再生機構が管理する集合住宅が多数あることから、孤立死防止には公共住宅管理者との連携・協力が重要であると考えております。このため、区では、緊急時の安否確認などに係る相互連携の強化に向けて、住宅管理者との協定締結について検討してまいります。

 次に、総合的な連絡窓口の設置についてであります。

 高齢者については、現在、おとしより相談センターで二十四時間三百六十五日の窓口を設けているほか、障害のある方や生活困窮の方など、それぞれの方々への対応を熟知している担当部署で相談等に応じております。現在、総合的な連絡窓口は設置しておりませんが、孤立死対策に係る連携会議の定期的な開催などにより、どこの窓口に連絡・通報しても、迅速かつ的確に担当部署につなぎ、対応できる体制をとっております。

 次に、小型家電リサイクル法についてであります。

 小型家電リサイクル法の制定により、資源小国と言われる我が国において、有用金属は資源として有効活用が期待され、循環型社会の形成がますます推進されていくものであります。本区としても、貴金属やレアメタルなどの有効活用に加えて、ごみの減量や最終処分場の延命にも寄与することから、小型家電のリサイクルを推進していく必要があると認識しております。

 次に、小型家電の回収についてであります。

 現在、国においては、平成二十五年四月の法施行に向けて、対象品目を定める政令や認定事業者の能力などを定める省令等を準備しているところであります。また、東京都においても、本年七月、学識経験者や事業者、処理業者などを委員とする使用済小型電子機器リサイクル促進のための検討会を設置し、区民の排出時の利便性向上や回収量増加のための回収ルートなどを検討しております。本区においては、今後こうした国や都の動向も注視しながら、小型家電のリサイクルについて回収方法や経費等、検討を進めてまいります。

 次に、事業系の紙のリサイクルについてであります。

 本区のごみ量の約九割を占める事業系ごみの削減を図ることは重要であり、平成二十三年三月に策定した中央区一般廃棄物処理基本計画では、事業系ごみの排出量を平成三十二年度までに二十一年度比で約二四%削減する目標を立て、事業を推進しているところであります。事業系の紙ごみの資源化率については、平成二十三年度、大規模事業所は約七四%に対して小規模事業所は約五八%と低く、小規模事業所のリサイクルの取り組みを高める必要があります。また、事業所の紙類のうち、これまでごみとして処分されていたシュレッダーごみやチラシなどの雑紙については、現在、資源化する方法が確立されてきておりますが、こうした情報が周知されていない状況もあります。このため、今後は小規模事業所に対して排出指導をより一層強化するとともに、資源化に関する動向等の情報提供を行うことなどにより、紙類のリサイクルを推進してまいります。

 次に、ちゅうおうエコ・オフィス町内会についてであります。

 ちゅうおうエコ・オフィス町内会は、少人数のオフィスでも参加できる循環型社会を目指した古紙回収システムであります。事業所のごみ処理に係る経費のコストダウンが図られることから、区の広報紙やホームページで周知するとともに、事業所への排出指導の際にも、このシステムへの参加を呼びかけております。しかしながら、ちゅうおうエコ・オフィス町内会に参加している事業所数は二百六十前後で横ばいとなっております。本区の事業所の中には、既に民間事業者と紙類も含めたごみ処理の総合的な契約を結んでいるところもありますが、多くの小規模事業所では区の収集に有料シールを貼付して排出しております。このため、今後はこれまでの取り組みを推進するとともに、中小企業の会合やイベントなど、さまざまな機会をとらえてPRするなど、ちゅうおうエコ・オフィス町内会の普及を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔十五番 墨谷浩一議員登壇〕

○十五番(墨谷浩一議員)
 それぞれの質問項目に対しまして、御答弁大変にありがとうございました。

 水道局については、着々と進められているということでした。孤立している方の早期把握について、本区でもいろいろな対策がなされております。それらにプラスして強化するとの視点で、今回、質問をさせていただきました。今後とも、各関係機関との連携で、さらなるきめ細かい対応を期待いたします。

 また、小型家電リサイクルについては力強い推進を要望させていただき、以上をもちまして私の一般質問を終了いたします。御清聴まことにありがとうございました。

○議長(石田英朗議員)
 次に、二十六番植原恭子議員。

二十六番 植原恭子議員登壇

○二十六番(植原恭子議員)
 中央区議会公明党の植原恭子でございます。私は、平成二十四年区議会第四回定例会に当たり、区議会公明党の一員として、中央区が当面する行政課題について、通告書に従い、質問させていただきます。矢田区長並びに理事者の皆様におかれましては、どうか明快で建設的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 初めに、中央区の男女共同参画について質問いたします。

 国は、男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会をつくることであり、最重要課題であると示しています。今や、少子高齢化の進展・人口減少社会が到来し、都市部に限らず核家族化が進み、人間関係の希薄化などを原因として家族や地域社会は変化しつつあり、さらには長引く経済の低迷による閉塞感の高まり、非正規労働者の増加と貧困・格差の拡大など、社会情勢の変化や経済社会のグローバル化などによるさまざまな課題を解決していくためには、男女共同参画社会の実現が必要不可欠であると多くの有識者が指摘をしています。

 しかしながら、男女共同参画は、あらゆる施策に反映されるべき理念でありながら、一人一人の受けとめ方や世代間にギャップがあることは否めません。私は、今まで以上に職員の皆様みずからが男女共同参画を促進していただくことはもとより、区行政としても横断的な施策の工夫展開を図り、企業・区民等に対してさらに意識啓発を推進していただき、一層の充実に努めるべきであると思います。

 中央区は、新しい男女共同参画行動計画二○一三の策定の参考にと、今年度、区民アンケート調査を実施されました。調査結果の取りまとめはこれからと伺いましたが、前回との比較も含め、調査の状況、調査の目的をお示しください。

 あわせて、毎年六月に実施している区政世論調査では、施策の重要度で、男女共同参画社会の推進はいつも大変低い結果となっています。中央区男女共同参画推進委員会の会議においても委員から御指摘がありましたように、区民に男女共同参画という言葉の意味から、わかりやすく設問を工夫すべきであると考えますが、区長さんの御見解をお示しください。

 私は、同委員会の会議録をホームページで拝見いたしました。中央区の男女共同参画を議題としながらも、防災、子育て、高齢者など、終始区民の生活に密着した内容で議論が交わされています。ただ、それら多岐にわたる区の施策がなかなか男女共同参画ということには結びついていないという課題がある中で、「中央区の男女共同参画関係のチェック機能としての委員会の役目が果たされていない」との委員の厳しい御指摘は、区としても看過できない問題と思いますが、どのように受けとめておられますか、お答えください。

 また、これはジェンダー予算を手法とした施策の評価分析に通ずるものかと推察いたします。ジェンダー予算とは、国や地方自治体の予算をジェンダー、社会的・文化的な性差の視点から分析し、それが女性と男性にどのような影響をもたらしているかを把握しようとするものです。男女共同参画を推進する立場から、ジェンダー予算による施策の評価分析について、区長さんの御所見をお聞かせください。

 振り返りますと、国において平成十一年、男女共同参画社会基本法が施行、平成十二年に男女共同参画社会基本計画が策定されたのを受けて、各地で男女共同参画条例の制定や都市宣言を行うなど、積極的に取り組む自治体も数々ありました。私たち区議会公明党も、当時から中央区における条例制定など積極的な取り組みを求め、お訴えしてまいりましたが、区担当者は、「内容があって初めて条例化という話になる、本区は行動計画の中で確実に実行していく、その実行する過程で法的な規範が必要だということが生じてくれば条例化を検討する必要があるだろう」との御答弁にとどまりました。

 国は、男女共同参画社会基本法施行後十年間の反省として、男女共同参画が必ずしも十分には進まなかった理由に、次の四つの点を挙げています。

 一つ、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるといった固定的な性別役割分担意識が根強く、解消に対する取り組みが不十分であった。

 二つ、男女共同参画はあらゆる人々の課題であるにもかかわらず、働く女性のみの課題、また男性の意識が低く、家庭内等の小さな課題ととらえられ、社会全体の変革にはつながらなかった。

 三つ、男女共同参画を進めることが経済や社会全体の活性化につながるという意識が各主体のリーダーに不足していたため、制度や枠組みの整備が進まなかった。

 四つ、男女のセーフティネットや女性のさまざまな生き方への配慮が不十分であったため、経済・雇用情勢の急激な悪化に対応できず、さまざまな困難に直面する人々が増加したほか、出産、子育て等により離職せざるを得ない女性も多いといったM字カーブ問題の解消や長時間労働の抑制などの成果につながらなかった。

 これらの反省点を踏まえ、国は第三次基本計画に当たって、改めて強調すべき視点として、女性の活躍による社会の活性化、男性にとっての男女共同参画、子どもにとっての男女共同参画、さまざまな困難な状況に置かれている人々への対応、女性に対するあらゆる暴力の根絶、地域における身近な男女共同参画の推進の六つをテーマとしました。

 また、東京都が本年策定した行動計画においては、計画の体系として、あらゆる分野への参画の促進、仕事と家庭・地域生活の調和がとれた生活の実現、特別な配慮を必要とする男女への支援、人権が尊重される社会の形成、男女平等参画を推進する社会づくりの五つのテーマのもとに細かく施策が示され、施策ごとに都行政と都民・事業者の取り組みのそれぞれの役割を明らかにしています。つけ加えますが、都の行動計画には、法に基づき、東京都配偶者暴力対策基本計画が包含されています。

 そこで、お伺いいたします。

 国が示した男女共同参画が進まなかった反省点について、中央区の状況を含め、御認識をお示しください。

 さらに、これまでの中央区の男女共同参画行動計画の進捗状況を検証してこられた過程において、区の条例制定についてはどのようにお考えですか、区長さんのお考えをお示しください。

 行動計画二○一三の策定に当たり、行動計画二○○八で計画された本年度までの五年間における各施策・事業の取り組みや実態などの進捗状況を検証し、それらに対して意見や助言を行う中央区男女共同参画推進委員会での議論を踏まえ、現在、次の五年間の行動計画策定の最終段階の検討に入られる時期であろうかと思います。特に、このたびの行動計画策定に当たっては、平成二十二年十二月に国が策定した第三次男女共同参画基本計画、そして平成二十四年三月に東京都が策定した男女平等参画のための東京都行動計画「チャンス&サポート東京プラン二○一二」をもとに、中央区の新しい行動計画二○一三がつくられるものと認識いたしております。

 本年二月、第一回区議会定例会の折、矢田区長さんは、「中央区男女共同参画行動計画二○一三の策定に当たっては、配偶者暴力の防止や女性の視点に立った防災対策など、今日的な課題を視野に入れる」と、区長所信表明で約束されました。これらの施策について、私たち公明党は重ねてお訴えし、要望してまいりました。さらに、区民の生活現場に密着した男女共同参画社会の実現に向けて推進が図られるものと評価し、期待を寄せるものです。

 そこで、行動計画二○一三の内容についてお尋ねいたします。

 今日的な課題と言われた配偶者暴力の防止と女性の視点に立った防災対策の重要性について、改めて区長さんの御見解をお示しください。

 東京都の男女平等行動計画二○一二では、テーマの一つに、特別な配慮を必要とする男女への支援の中で、ひとり親家庭、高齢者と並び、若年層への支援が明示されています。その背景には、若い女性の貧困や若者の自殺者数の増加が指摘されています。中央区の現状をお示しいただくとともに、行動計画二○一三には今日的な課題として、新たに若年層への支援を位置づけるべきだと思いますが、区長さんのお考えをお示しください。

 さて、行動計画二○○八には、生涯にわたる健康支援と人権尊重の推進が基本目標の一つにありました。健康づくりは男性も女性もともに男女共同参画社会を形成するための前提条件の一つであり、とりわけ女性は妊娠や出産をする可能性があるため、ライフサイクルを通じて男性とは異なる健康上の問題に直面する場合があるとされています。子供の出生数が増加している本区は、母子の健康を支援するため、保健サービスの一層の推進に努められていることを高く評価いたします。さらなる充実を願って、現在区が上乗せ助成している特定不妊治療への支援、流産や死産を繰り返す不育症の方への支援、女性健康手帳の普及促進について、それぞれ現状を含め、区の拡充について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 この質問の最後になりますが、男女共同参画社会の実現のためには、いかに区民や企業に理解を広め、あらゆる人々の生活のベースとなるこの理念を身近に感じていただけるか、区としても施策の工夫と環境づくりが求められると私は思います。

 現在、中央区女性センター「ブーケ21」に総務課女性施策推進係が設置されています。日々、区役所との連携を保ちながら、民間館長のもと、女性団体等の活動や相談事業など、本当に地道に取り組まれていることに対し、私は理解し、評価いたします。

 その上でお聞きいたしますが、大きな課題は、新しく区民になられた方々や多くの子育て家庭の方々にブーケ21という施設を知っていただき、来館していただくこと、そして若い人たちに男女共同参画について理解を深めていただくことだと認識しています。

 先月二十六日、私は石川県金沢市役所を訪問し、金沢市男女共同参画室長に施策の取り組みについてお話を伺ってまいりました。金沢市は人口四十六万人の中核市で、特にDV対策を中心とした相談事業では、被害家庭の住宅の確保など、地道に取り組まれていますが、課題は広く若い世代への意識啓発であるとのお話でした。

 視察をするに当たって私が関心を持ったことは、男女共同参画の所管が市民局、中央区に当てはめますと区民部であることでした。金沢市は、男女共同参画社会基本法が施行された平成十一年に、女性施策推進室の名称を男女共同参画室に改め、所管も総務課から市民参画課に移管したそうです。

 事業として目を引いたのは、女性のための市政参画セミナーでした。内容は、人材育成セミナーとして、市政参画の心構えと現在の市政の状況、課題などについてを学びます。目的は、女性が自己決定し、行動できる能力を身につけることの重要性を学び、市政への関心を高め、地域や社会を女性の視点で変えていく女性を育成するためと伺いました。修了者で希望者には、審議会委員公募時に募集要綱を送付するなど、女性の市政への参画機会を提供しています。平成二十年度から三十名の定員で実施されていますが、大変好評だと伺いました。ぜひ本区も参考にされてはいかがでしょうか。

 中央区の男女共同参画への一層の理解と推進のため、子育て世代など広く区民の参画が得られるように、例えばブーケ21と子ども家庭支援センター「きらら中央」の施設間の連携を工夫するなど、施設や事業のあり方も含め、よりよい環境をつくるべきだと考えますが、区長さんのお考えをお示しください。

 次に、安心できる教育環境の整備について質問させていただきます。

 初めに、豊海小学校・幼稚園の改築についてであります。

 これについては、昨年度、今年度と本会議一般質問で御質問、また予算特別委員会等でも御議論がございましたので、私からは教室不足等の実態等詳細については重ねて申し上げません。それらの御答弁では、「区基本計画二○○八の見直しの中で行われる人口推計を踏まえ、各校・各園の状況に応じた教室等の確保策の検討や増改築に係る条件整理などを基礎調査において実施する、特に早急に教室・保育室の確保が必要となる学校・園については、近隣公有地等の活用も含めた対応策について具体的に検討する」と示されています。

 先月、いよいよ勝どき五丁目市街地再開発事業の工事が着手され、今後も周辺地域では複数の再開発が想定されている中、豊海小学校・幼稚園の児童数の大幅な増加はだれもが認めるところです。しかしながら、区あるいは教育委員会からいまだに公な情報や改築計画の構想が示されないことから、学校、保護者、地域などから不安の声が上がっています。まずは基本計画の見直しからという行政の責任ある立場は理解いたしますが、来春は余裕教室が全くなくなるという幼稚園の現状を聞くと、大変不安が募ります。豊海幼稚園は、都内一のマンモス園だそうですが、教室不足については今始まったことではなく、小学校も含め、もう何年も前から教育現場、まちづくり協議会、そして議会から対策を強く求められてきたと認識しています。

 できるだけ早期の改築を望みますが、改築・改修のための準備協議会を立ち上げるなど早急に対応していただき、皆さんの不安を解消すべきと思いますが、教育長さんの御見解をお示しください。

 さて、今年度になって、文部科学省及び東京都から緊急で調査点検等行うよう通達がありましたいじめと通学路対策についてお伺いさせていただきます。

 先週末、いじめ問題について文部科学省の調査結果が報じられました。それによりますと、小中高でのいじめの認知件数が国として半年で十四万件を超えており、これは文部科学省が毎年行う問題行動調査での昨年度一年間におけるいじめ認知件数の二倍に急増していることが大きく取り上げられていました。このことは、潜在的ないじめが掘り起こされたと見られ、いじめが広がっている実態が浮かんだとされています。ある専門家は、「いじめの問題はどの子供にも、どの学校においても起こり得るものであり、改めて教育の危機管理として取り組むべきである」と指摘しています。

 そこで、本区の調査結果とあわせ、三点質問させていただきます。

 一つ、いじめ問題は、担任など特定の教員に責任を問うのではなく、早い時期から学校全体で対応すべきと思います。その仕組みづくりについて、教育長さんの御見解をお伺いいたします。

 二つ、近年は携帯電話やパソコンなどを使ったネット上のいじめが深刻化し、学校や大人の側が把握できないまま、さらに深刻な事態に進むケースも少なくありません。ネット上のいじめに対する早期発見、また防止のための区の取り組みをお示しください。

 三つ、教育現場では、多忙な教師だけでいじめ問題を抱え込むには限界があり、子供を健全に育成するためにも、地域との連携は大変重要であり、地域の理解と支援は欠かせないと考えます。文部科学省のホームページで確認したところ、中央区はまだ未設置のようですが、地域住民がボランティアとして授業のお手伝いなどを行う学校支援地域本部の設置など、地域の力を有効に活用すべきと思いますが、教育長さんのお考えをお聞かせください。

 最後に、通学路の安全対策です。

 本年五月、国の通達を受けて、本区では区立小学校十六校を対象に、学校、PTA、道路管理者、警察署などによる合同点検が実施されましたが、その結果、改善指摘を受けた学校が六校あったそうです。それらについて対応方など、具体的にお示しください。

 また、本区では、通学路に限りませんが、子供たちを路上犯罪から守るために、地域の協力を得て、緊急時に子供が避難できる場所に子ども一一○番を設置しています。平成十四年の設置から十年たちましたが、区内は地域的に大きく変わったところも多く、子供たちの安全対策として機能は保たれているのでしょうか。協力店の把握等、子ども一一○番の情報を学校は共有しているのでしょうか。現状と点検についてなど、お取り組みについてお示しください。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 植原恭子議員の御質問に順次お答えいたします。

 最初に、区民アンケート調査などについてであります。

 男女共同参画は非常に幅広い概念であるため、性別や年代、社会的な立場などによって、そのとらえ方が異なります。男女共同参画社会の実現のためには、こうしたとらえ方の違いを包容しつつ、ともによりよい社会をつくるために男女が積極的に参画していくという姿勢が最も大切なことであります。今回の調査では、各年代における男女の意識の違いや就労状況などとともに、前回調査から平等感がどう変化したかなどを把握することを目的に実施いたしました。現在、結果の分析を行っておりますが、平等感などは徐々に高まっている傾向が見られます。今後、こうした調査結果をもとに、男女共同参画社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

 次に、区政世論調査における設問についてあります。

 男女共同参画は、あらゆる区の施策に反映されるべき理念であり、施策としてのまとまりや印象が薄くなる嫌いがあることなどから、調査結果では重要度が低く出ているのではないかと考えております。また、男女共同参画の言葉そのものの意味や認知度が低いことも考えられるため、PRの実施や設問に説明文を入れるなど、工夫してまいります。

 次に、男女共同参画推進委員会での指摘についてであります。

 男女共同参画の対象とする事業は、子育てや就労、防災など多岐にわたるとともに、審議会の女性委員の数など量的な面だけでなく、質的にも議論すべき課題を有しております。そのため、男女共同参画推進委員会において御意見をいただく際にも、数多くの事業を取り上げ、さまざまな御指摘をいただいているため、ポイントが絞られ切れていないのではないかと考えております。今後、事業の成果や進捗状況の報告方法を見直すとともに、活発な議論が行えるよう、委員会の運営方法などについても検討してまいります。

 次に、ジェンダー予算についてであります。

 ジェンダー予算とは、予算編成、執行、決算、評価など予算の全過程に男女共同参画の視点を反映し、促進していくことであります。しかし、国の第三次男女共同参画基本計画においては、ジェンダー予算のあり方や家庭で担われている育児、介護などの経済的・社会的評価のための調査・研究を行うとされ、その具体的な分析手法について、まだ確立されておりません。そのため、今後の研究結果や、国や他の自治体の動向を見きわめながら対応してまいります。

 次に、国の反省点についてであります。

 国が指摘している四点の反省点につきましては、本区においてもおおむね同様の認識を持っております。特に、男女共同参画がともすれば働く女性への支援という印象を与え、あらゆる立場の人々にとって必要であるという認識が広まらなかった点に関しましては、住民、地域に密着した自治体として反省するべき点であります。例えば、女性センター「ブーケ21」を中心に女性団体、女性リーダーの支援・育成に努め、一定の成果を上げてまいりましたが、男女共同参画が大きな広がりを持つまでには至らなかったと考えております。今後は、男性も含めた多様な人々にも参加していただけるよう、幅広い活動をしてまいります。

 次に、条例の制定についてであります。

 男女共同参画に関する条例は十一区で制定されておりますが、前文で人権の尊重と固定的な役割分担意識の解消を記すなど、宣言的なものであります。本区では、現在、男女共同参画行動計画に基づき着実に施策を推進しており、条例の制定に関しましては、広く区民等の意見を聞きながら慎重に検討してまいりたいと存じます。

 次に、配偶者暴力の防止と女性の視点に立った防災対策についてであります。

 あらゆる暴力は絶対に許される行為ではなく、根絶しなくてはなりません。特に、配偶者暴力は多くの場合、被害者は女性であり、経済的自立が困難であることから暴力を受忍せざるを得なくなったり、相手への愛情や相手が変わることへの期待などから相談することができず、追い詰められてしまうことがあります。そのため、被害者が相談しやすい体制づくりなど、被害の潜在化を防止するとともに、関係機関が連携して暴力の防止、被害者の支援に今後も一層取り組んでまいります。

 また、女性の視点に立った防災対策であります。

 東日本大震災の際に改めて明らかになったように、救援物資の配分や避難所の運営等で男女のニーズの違いに対応できないという状況が生まれました。区では、防災会議や防災区民組織などへの女性の参画拡大や女性の意見を踏まえた防災備蓄物資の見直しなど、女性の視点を取り入れた防災対策を進めてまいります。

 次に、女性の貧困や若年層への支援についてであります。

 女性は男性に比べて非正規雇用の割合が高く、特にひとり親世帯や単身世帯などは経済的に困難な状況に置かれることが多いと考えておりますが、全体像を把握することは困難であります。また、中央区の自殺者数は、人口動態統計によれば年間二十五人前後であり、年度によって幅がありますが、三十歳代、四十歳代の働き盛りに多い傾向があります。貧困やひとり親家庭、若年層への支援につきましては、経済政策や福祉保健施策など総合的な取り組みが重要となりますので、本区の行動計画における位置づけにつきましては、男女共同参画推進委員会での御議論を踏まえ、検討してまいります。

 次に、特定不妊治療を受けている方及び不育症の方への支援並びに女性健康手帳の普及促進についてであります。

 本区においては、平成二十二年度から、医療保険適用外の不妊治療である体外受精及び顕微受精について、治療一回につき、都からの助成金十五万円に本区の五万円を上乗せし、治療費のおよそ半額となる二十万円を助成しております。一会計年度内の助成は二回まで、合計十万円を限度とし、治療のより高い効果が望まれる五年度分までを助成するもので、初年度の利用者は延べ四十三人、平成二十三年度は延べ七十人と、利用実績は増加しております。今後も制度の周知を図る中で、より多くの区民に利用いただけるよう努めてまいります。不育症は、妊娠はするものの、流産や死産を繰り返し、結果的に出産に至らない状態であります。最近の研究では、検査と治療によって約八割の方は出産が可能になるとされており、専門医に相談することの大切さが言われております。本区では、本年度よりホームページ上でこれら情報を提供し、また保健師等の専門職が保健相談に答える形で区民に対する支援を進めております。

 次に、女性健康手帳についてでありますが、この手帳は、女性のライフステージに応じた健康維持のポイントをわかりやすくまとめた小冊子で、健康福祉まつりや区民対象の講演会などで女性の健康についての普及啓発のため、お渡ししております。女性の方々から、内容が理解しやすいとのお声をいただいており、今後もこのような機会にこの手帳をお渡しし、効果的な女性の健康の普及啓発に取り組んでまいります。

 次に、よりよい環境づくりについてであります。

 本区では、教育、文化、スポーツなど、さまざまな分野で女性が参画され、積極的に活動されているところでありますが、そのような身近な場で男女共同参画の理念に接し、取り組むことができる環境づくりをさらに推進する必要があります。とりわけ、子育て世代を中心とした若い世代の転入が多い本区において、将来に向けて男女共同参画を推進するためにも、こうした若い世代の理解を促進することも、また大切であります。そのためには、各自治体での取り組みも参考にしながら、人々が集まる施設間での連携を深め、また地域活動が行われている場を活用するなど、区の事業を進める中で男女共同参画の意識が根づくよう努めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、豊海小学校・幼稚園の改築についてです。

 豊海小学校・幼稚園につきましては、学区域の今後の再開発の動向などを踏まえると、平成二十八年度には普通教室・保育室の不足が危惧されることから、教育委員会としては、早急な改築が必要と認識しております。そのため、現在、改定作業を進めている基本計画二○一三の中に改築計画を位置づけるとともに、今年度内にも学校や保護者、地域の方など、幅広い方々に参画していただく改築準備協議会を発足させてまいりたいと考えております。

 次に、いじめ問題についてであります。

 いじめの問題については、校長のリーダーシップのもと、教職員一人一人が子供たちのわずかな兆候も見逃さず、情報を共有化しながら組織的な対応を進めることが重要であります。さらに、スクールカウンセラー等の心理の専門家や警察等の関係機関との連携も必要であることから、教育委員会として、いじめの早期発見・早期対応につながる総合的な体制づくりに取り組んでいるところであります。ネットや携帯によるいじめの発見については、東京都教育委員会が学校非公式サイト等の監視業務を行っており、問題のある書き込み等があった場合は区教育委員会に情報提供される仕組みになっております。連絡された内容に応じて、子供や保護者への指導、ホームページの管理者への削除要請、警察への通知等の対応を行うこととしております。今後とも子供たちへの情報モラルに関する教育を一層充実させ、ネット上でのいじめの未然防止に努めてまいります。

 子供の健全育成に向けた地域との連携については、道徳授業地区公開講座において保護者や地域の方々との意見交換の場を設けたり、学校評議員会で協議するなど、開かれた学校づくりとしての連携を積極的に進めているところであります。授業への協力については、総合的な学習の時間でのゲストティーチャーなど、各学校で地域人材の情報を積極的に活用しながら、多様な学習活動を進めております。さらに、平成二十三年度からは、子供たちの生活指導面での問題解決のため、各学校において学校サポートチームを立ち上げ、保護司やPTAの代表等、地域の方々の御支援をいただいております。これからも保護者、地域の方々との連携・協力を深めながら、子供たちの健全育成を図ってまいります。なお、本年七月に行われた都の調査での本区のいじめと認知した件数は、小・中学校で五件、疑いがあると思われるものは四十七件であり、八月の国の調査において一学期のいじめの件数として報告したものは八件であります。

 次に、通学路の安全対策についてであります。

 文部科学省は、本年四月以降に全国で発生した登下校中の交通事故を受け、東京都教育委員会に対し、学校、警察、道路管理者、教育委員会等が協働して通学路の安全点検や安全確保を図る旨の通知を行いました。区では、従前より、新一年生が通学を始める年度当初に、学校、PTA、警察による通学路の安全点検を行ってまいりました。今年度の安全点検では、小学校十六校のうち六校で、大規模再開発に伴う工事車両の出入りなど、通学時に注意すべき箇所が見出されたところであります。該当箇所については、区の学童養護員や工事業者による警備員の配置のほか、児童への指導などにより、いずれも対応済みであります。その後、学校移転に伴って行った安全点検においても、新たに注意すべき箇所が見出されていることから、引き続き学校やPTA、関係行政機関とも連携しながら児童の安全確保に努めてまいりたいと存じます。

 次に、子ども一一○番についてであります。

 区では、子供を路上犯罪から守るため、区内の家庭や店舗、事業所等に協力を依頼し、緊急時に逃げ込める避難場所として子ども一一○番を平成十四年度から実施しております。協力ボランティアの登録は、各小学校において受け付けており、現在の登録件数は約七百八十件であります。子ども一一○番の実情を常時把握することは、店舗の移転等も多く見られるため、困難な面もあります。そのため、教育委員会としては、区のおしらせでの周知により協力ボランティアの登録拡大を図るとともに、PTAや地域の方々の御協力を得て、その実態把握に努めているところであります。今後とも、学校、地域と一体となって、子供たちの安全確保のために子ども一一○番をより有効なものとしてまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔二十六番 植原恭子議員登壇〕

○二十六番(植原恭子議員)
 それぞれの質問に対しまして、建設的な御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 中央区の男女共同参画につきましては、男女共同参画という本当に理念というところで、私の質問は細かい健康支援等になりまして、自分自身でも原稿を作成するにしても、男女共同参画の課題を取り上げて質問するというのは大変難しいなという思いで、どこまで区のほうにわかっていただけるかなという思いで、このたびは書かせていただきました。

 それぞれ、本当にこの事業については、地道に着実に皆さんが御努力をされていることと思いますけれども、御答弁にもありましたように、まだまだ意識の啓発等が必要で、特に若い人たちの参画というのは重要だと思います。今、区長さんの御答弁にありましたが、これからもさらに御努力をしていただくということで、期待をしたいと思います。

 その中で、ジェンダー予算、これについては国際的な比較等の視点からもありまして、日本の国でもジェンダー予算に対する情報の共有や、また共通理解、そして具体的な取り組みなどはまだまだ国としても緒についたばかりのところであると伺っております。中央区としても、ぜひこのことは、どういうことなのか、男女共同参画ということ自体もなかなか理解がされないような中で、ジェンダー予算というのは賛否両論あるとも伺っておりますし、その辺も含めて区の担当の方はぜひ研究もしていただき、区政のいろいろな施策の評価等にもメリットがあることを確認した上で、導入が可能であれば、ぜひ導入をしていただきたいと要望させていただきます。

 それから、男女共同参画の中の最後の環境づくりということで、他の自治体のことも参考に、さらに活性化していただくような仕組みづくりについて要望をさせていただきます。

 それから、教育の関連では、豊海小学校・幼稚園は本当に皆さんが何回も、議会でも質疑も行われていますし、本当に今、実際に区も真剣に取り組まれていることだとは認識しておりますが、ただ、地域は全く情報がない中で、本当に改築はあるんですかということをおっしゃる方もいるぐらいです。でも、今年度中に準備協議会を立ち上げてくださるということですので、ぜひよろしくお願いします。

 先日も、十八日に豊海小学校の防災拠点運営委員会が実施しました防災訓練でも大変地域の方々が熱心で、防災担当者の方も、本当に理想的な防災訓練ですと安心して見られていたというような状況もありましたけれども、豊海小学校・幼稚園は開校以来、地元の町会、また自治会、PTA、地域の方々が大変熱心に見守ってくださっていると思いますので、そうした地域の声というものはやはり大事にしていただきたいと要望させていただきます。

 それから、いじめの問題と通学路対策につきましては、それぞれ今、教育長さんのほうから御答弁をいただきましたので、さらなるお取り組みに期待をいたしまして、ぜひ子供たちが安心・安全の環境で通学できますよう要望して私の質問を終わります。御清聴大変にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時十五分 休憩


午後三時三十五分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。九番奥村暁子議員。

九番 奥村暁子議員登壇

○九番(奥村暁子議員)
 日本共産党の奥村暁子です。私は、日本共産党区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保します。

 最初に、野田首相による衆議院解散についてお聞きします。

 野田政権は、消費税増税や原発の再稼働などに対する国民の怒りと批判に追い詰められる中で、衆議院を解散しました。

 民主党は自民党政治を批判して政権についてから三年余り、鳩山由紀夫元首相が、「国外、最低でも県外」との約束を破って沖縄の米軍普天間基地の県内たらい回しを押しつけたのをはじめ、菅直人前首相は、後期高齢者医療制度の廃止棚上げや環太平洋連携協定(TPP)参加に道を開くなど、国民を裏切る悪政を続けてきました。野田首相になってからは、任期中はやらないと約束した消費税の増税だけでなく、原発への固執と無謀な再稼働容認、沖縄での米軍新基地建設と垂直離着陸機MV22(オスプレイ)の配備受け入れ、領土問題の棚上げなど、どの問題を見ても財界本位、アメリカ言いなりの自民党政治をより悪い形で強行しています。

 財界とアメリカが求める原発、TPP、オスプレイ、消費税増税の推進など、世論の多数がノーを突きつけている施策を、公約を踏みにじり次々と進めてきた民主党政権の責任は重大です。アメリカ言いなり、財界本位の政治の異常さを正さない限り、自民党でも民主党でも国民の願いにこたえられないのは明らかです。

 また、震災復興予算の流用を認めた復興基本法の制定や労働者派遣法改正の骨抜き、年金引き下げなど、社会保障と税の一体改革以外にも民主、自民、公明の談合は常態化しています。私は、総選挙でこうした談合勢力に厳しい審判を下し、悪政を撤回させる国会を実現させることが重要だと考えます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、三年半の民主党政権についての見解をお聞かせください。

 第二に、消費税に頼らず、無駄遣いの一掃、応能負担の原則に立った税制改革で社会保障の充実、財政再建を図ることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、オスプレイ配備、TPP参加など、アメリカ言いなりに進めることをやめ、安保条約をなくし、対等・平等・友好の日米関係を目指すことが求められていると思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 第四に、自民党政権時代から棚上げされてきた尖閣諸島や竹島などをめぐる領土問題は、歴史的事実と道理に立って外交交渉で解決を図ることが重要だと思いますが、区長の見解をお示しください。

 次に、暮らしを破壊する年金削減法案と生活保護改悪、国民健康保険料の値上げについてお聞きします。

 十一月十四日、年金削減法案が、十分な審議もないまま、衆議院厚生労働委員会で可決されました。年金を三年間で二・五%削減し、基礎年金国庫負担引き上げに消費税増税を充てるという内容です。施行日を政府案より一年延長して二○一三年十月と修正しただけで、民主、自民、公明、維新の会の各党の賛成多数で可決されました。この間、既に物価スライドによって年金額は十年間で二・二%減っていますが、高齢者の暮らしにかかわる光熱水費、食料品は下がっていない上、介護保険料などは大幅に引き上げられ、さらに七十歳から七十五歳の高齢者の医療費窓口負担を一割から二割に引き上げることまで検討されています。

 厚労省の調査(二○○九年)では、老齢年金受給者の六割近い人が年収百五十万円以下、四割が年収百万円以下で、女性に限れば六五%が年収百万円以下です。それを承知で年金をさらに減らすのは、ぎりぎりで暮らす高齢者に大打撃を与えることになります。消費税増税が実施されれば、収入を年金に頼る高齢者の生活はますます厳しくなります。年金削減は若い世代の将来の受給額を減らすだけでなく、低年金の親を支える現在の子の世代をも直撃します。政府が高齢者と若者の対立をあおり、若者のための年金削減であるかのように論じるのは、欺瞞以外の何物でもありません。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区長は、年金生活者の苦しい生活実態についてどのようにお考えですか。

 第二に、シルバー人材センターやシルバーワーク中央に高齢者が殺到する背景には、年金生活者の苦しい経済状況があると思いますが、区長の考えをお聞かせください。

 第三に、年金削減法案による年金引き下げを中止することと、最低保障年金の実施を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 次に、生活保護についてお聞きします。

 十一月十七日に開かれた行政刷新会議では、生活保護の減額を決定し、理由なく就労しない者にペナルティーを科すことまで検討されています。厚生労働省の社会保障審議会の特別部会で、生活保護利用者への指導・監督強化の方向が示される中、切り捨てたり額を減らすのは簡単だが、それでいいのかという声や、生活保護の中の医療扶助について、カットすることばかりがかかれているが、予防して健康を保つ役割があるなど、異論や見直しを求める意見が相次いでいます。

 生活保護受給者はふえ続け、二百十一万人を超えましたが、保護を受けているのは必要とされる人の二割以下です。中央区でも、受給者は二○一二年度で九百五十七人と、前年の八百七十七人から約一割増加しています。潜在的には、必要とされる人はこの五倍の五千人はいると考えるのが妥当だと思います。

 生活保護は、生存権を保障した憲法第二十五条に基づく国民の権利です。同条と生活保護法は、国が最低限度の生活の保障と自立の助長を行わなければならないと定めています。必要な人すべてが受給できる制度でなくてはなりません。

 そこで、お聞きします。

 第一に、生活保護の減額の実施は、まだ決まったわけではありません。減額しないよう、国に強く求めていくべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 第二に、生活保護受給者が急増している実態を受けて、区でも生活支援の窓口体制強化が急務です。正規職員、ケースワーカーを増員し、専門性に富んだ職員が積極的かつ親身になって相談に乗ることが求められます。また、申請から住宅確保、就労支援までワンストップで相談できる窓口が必要です。区の考えをお示しください。

 第三に、区長は、第二回定例会で我が党の加藤博司議員の質問に対して、「適正受給に努めている」と答弁していますが、適正受給の名のもとに受給抑制が行われるようなことがあってはなりません。必要な人がだれでも申請できるよう、入り口を広くする施策が求められます。区長の見解をお示しください。

 次に、高過ぎる国民健康保険料と経過措置廃止についてお聞きします。

 今年度は、国民年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料がそろって値上げされ、国民生活を直撃しています。国民健康保険料は、昨年度、住民税方式から旧ただし書き方式に変更されましたが、二年間は経過措置がとられてきました。その経過措置も今年度に廃止されます。もともと、旧ただし書き方式は所得の少ない世帯、家族の多い世帯などにより負担が重くのしかかることが問題視されています。

 中央区での国民健康保険料のモデルケースによる試算を見ると、四人世帯で年収二百万円の住民税非課税世帯では、経過措置の間は十四万八千円ですが、廃止後は二十万四千円と、約五万六千円も保険料が上がります。中央区では、二○一一年度の保険料滞納者が六千九百九十三人で国保加入者の三分の一と、全国平均の四分の一よりもかなり高い水準となっています。また、二○一一年度の資格証発行数は二百八十件、短期保険証の発行数は千八百五十五件です。

 二十三区の日本共産党区議と都議団は、十月十日に特別区長会に、十月二十五日には東京都に対し、国保料の引き上げをやめ、経過措置を継続することを求める申し入れを行い、私も参加しました。そこでは、「経過措置がとられている今でも保険料を納めるのがやっと、さらに上げれば払うことはもう無理、これ以上家計の中で切り詰められるものは何もない」という悲痛な実態が紹介されました。

 そこで、お聞きします。

 第一に、経過措置が今年度で終了すれば、どのような影響が出ると区長はお考えですか。

 第二に、国民生活に深刻な影響を及ぼす経過措置の廃止はやめるべきだと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 第三に、中央区における国保料の国庫負担率を見ると、二○○二年が三一・一八%だったものが二○一一年度には二三・八八%と、十年間で激減しています。区長は、国に対して、保険料を引き下げるために国庫負担を上げることを要求すべきだと思いますが、いかがですか。

 次に、経済対策のかなめとなる内需拡大のための雇用確保と区の役割についてお聞きします。

 国内景気の悪化が一段と鮮明になってきました。内閣府が十一月十二日に発表した、ことし七月から九月期の国内総生産(GDP)速報値を見ると、前の三カ月前に比べてマイナス○・九%、年率換算で三・五%の大幅なマイナスとなりました。三期ぶりのマイナス成長です。次の十月から十二月期もマイナス成長が予想されており、景気が後退局面に入った可能性が高いと見られています。

 新興国など世界経済の減速に伴い、輸出が前期のプラスから五%減に転じ、企業の設備投資も三・二%落ち込みました。輸出、外需頼みでは日本経済が立ち行かなくなっていることが改めて示されました。内需の拡大に重点を置いた経済対策こそが急務になっています。

 GDPの約六割を占める個人消費も、前期と比べマイナス○・五%と二期連続のマイナスでした。個人消費落ち込みの背景には、労働者賃金の長期にわたる低迷・減少があります。労働者賃金が減少すれば、消費が冷え込み、生産も減少し、景気も悪くなるという悪循環に拍車がかかることは明らかです。

 そこで、お聞きします。

 内需拡大による経済政策の必要性を区長はどのようにお考えですか、お答えください。

 経済成長のかぎを握るのは、国民の家計と雇用の七割を占める中小企業です。政府の景気対策は、大企業がもうかれば、いずれは家計にもおこぼれが回ってくるという大企業中心の成長戦略に基づいた政策を繰り返すことでしたが、これでは悪循環を断ち切ることはできません。二百六十兆円を超える内部留保を抱えている大企業には、雇用確保や給与を引き上げること、大企業と下請け中小企業の公正な取引のルールをつくり、買いたたきをしないことなど、今こそ社会的責任を果たすことが求められています。

 今、大企業を中心に、働く人の人権を無視した退職強要面談やロックアウト解雇などと呼ばれる違法な退職強要が行われ、中央区に本社があるIBMなどの電機・情報産業では十三万人にも上る首切り、リストラが強行されています。雇用不安が個人消費の冷え込みをより深刻にし、下請け中小企業と地域経済に打撃を与えています。政府は、違法行為を野放しにせず、直ちにやめさせ、雇用促進に努めるべきだと思います。

 そこで、お聞きします。

 第一に、IBM以外にも中央区の事業所でこのような退職強要が行われていないか、把握に努めるべきだと思いますが、いかがですか。

 第二に、大企業のリストラや本社の移転などが地域に与える影響をどう考えますか。

 第三に、大企業の横暴を抑えるために、区としてやるべきことは何だとお考えですか、それぞれお答えください。

 中央区の人口は、一九九七年度の約七万二千人から、ことし十一月一日現在の約十二万八千人と、十五年間の間に約五五%もの急激な伸びを見せています。この人口増に見合った施策を進め、着実に実行するためには、十分な正規職員数が必要です。しかし、区は、非正規職員をふやしたり指定管理者制度の導入を進めたため、区の職員数は、清掃職員などを除くと一九九七年度の千七百十四人から二○一二年度の千三百五十五人と、十五年間で三百五十九人も減っています。これは、区の第一次行政改革、第二次行政改革の数値目標を上回るペースです。区は、指定管理業者で働く人の実態がつかめず、企業の経費削減のしわ寄せは働く人に向けられ、正規職員から非正規職員への置きかえが進みました。自治体みずからが働く貧困層を生み出してはいけません。

 日本共産党区議団は、官製ワーキングプア解消のため、区が発注する公共工事や委託業務で働く労働者の賃金の下限を定め、賃金の確保・適正化を図る公契約条例の制定を提案してきました。条例制定は全国の自治体で広がり、ことし六月には渋谷区、国立市でも制定されました。中央区でも、区から受注された仕事で働く人の賃金や労働条件を守りながら、しっかり仕事をしてもらうという観点から実施すべきだと思います。

 そこで、お聞きします。

 第一に、人口増に見合う正規職員の増員が必要だと思いますが、区長は、第三回定例会で我が党の小栗智恵子議員の質問に対して、「幼稚園や保育所、防災、観光振興などの分野では職員を増員している」と答弁していますが、そのほかの分野では職員増は必要ないとお考えなのか、お答えください。

 第二に、これまで区職員の給与は繰り返し引き下げられてきましたが、公務員給与引き下げは民間企業の給与を引き下げることにもつながります。賃下げスパイラルの悪循環を断ち切るためには、公務員給与も守っていくことが必要だと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 第三に、新宿区は、全国社会保険労務士会連合会に依頼し、指定管理業者で働く職員の賃金や労働条件など、詳細な労働実態の調査をしています。中央区でも実態把握のために実施すべきと思いますが、区長の見解をお聞かせください。

 第四に、第三回定例会で公契約条例制定を求めた小栗議員の質問に対して区長は、制定できない理由として、最低賃金や労働条件に不均衡が生じるおそれや法的問題について述べ、他自治体の動向を注視すると答弁していますが、実施した自治体は、それらの課題をクリアして実現させています。中央区で制定できない特別な理由があるとは思えませんが、区長の見解をさらに詳しくお聞かせください。

 次に、即時原発ゼロ実現のための区の施策についてお聞きします。

 福島第一原発の事故以来、脱原発を求める国民の声は大きな広がりを見せています。東京でも十万人規模のデモがたびたび開かれ、十一月十一日には「十一・一一反原発全国一○○○○○○人大占拠」が実施されました。毎週金曜日の首相官邸前でのデモは、もはや定番化しています。

 世界有数の地震国日本で危険な原発の運転は許されず、停止中の原発の再稼働など論外であることは、原子力規制委員会が行った原発での活断層の調査や、全国の原発が福島事故クラスの事故を起こした際の被害予測などで、いよいよ明らかになりました。原発は、運転すればするほど危険な核のごみ、使用済み核燃料がたまり続けます。再稼働は中止して、直ちに廃止に踏み出すべきです。青森県大間などでの新増設は、断じて許されません。

 東京は最大の電力の消費地であり、また中央区には大規模事業所や高層タワー型マンションが林立し、その消費電力は莫大です。これまでのように、事故などのリスクを他県に押しつけながらエネルギー供給を得てきた構造そのものの見直しを進め、再生可能エネルギーの普及など、脱原発のためにできるあらゆることを、区民の参加と知恵を得ながら検討し、実施していくときです。

 そこで、お聞きします。

 第一に、原発依存から抜け出し、即時原発ゼロの実現を目指すべきだと思いますが、区長の見解をお聞かせください。

 第二に、区長は、国に原発の再稼働反対、脱原発を働きかけることが必要だと思いますが、そのお考えはありますか。

 第三に、省エネ対策として、現在、中央区では事業所に対してのLED購入費助成がありますが、一般家庭やマンションの共用部分での使用に対しても購入費助成を広げるべきだと思いますが、見解をお聞かせください。

 次に、行き詰まった都政を投げ出した石原都知事辞任と築地市場移転問題、オリンピック東京招致問題についてお聞きします。

 惨たんたる石原都政の十三年半が終わりました。福祉は切り縮められ、都立病院は次々と統廃合されました。都民の安心を奪い、人々を生きがたくさせて切り詰めたお金は、都市再開発や道路建設に回され、石原都知事が旗を振る築地市場移転やオリンピック招致、新銀行東京に無意味に使われました。来る都知事選は、このような都政と決別し、人々が人間らしく生きられるまち、平和と人権をとうとび、環境と福祉を重視する、いわば当たり前の都政に転換する絶好の機会だと考えます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区長は、十三年間の石原都政をどう考えますか。

 第二に、区長は、新しい都知事には何が求められるとお考えですか、お答えください。

 石原氏がトップダウンで決めた事業は、ことごとく行き詰まっています。二○一四年度末の開場はもう無理だと指摘されている築地市場移転計画、多額の税金を使いながら失敗した二○一六年オリンピック東京招致と二度目の再立候補などの課題を知事は突然放り出してしまいました。強いリーダーシップという名のもと、都民の声に耳を傾けない強引な都政が続いてきました。

 市場関係者や都民の多くが反対する築地市場の豊洲への移転は、石原氏が都知事就任間もない一九九九年九月、老朽化を理由に移転の方向を示し、一九九九年十一月、築地市場再整備推進協議会により移転検討がまとめられました。中央区では、築地市場移転に断固反対する会が結成され、現在地再整備を求めてきましたが、途中、移転を見据えた新しい築地をつくる会へと改組され、区長も移転容認に態度を変えました。その間、土壌汚染の深刻さが次々と明らかになり、二○一一年の知事選でも移転問題は大きな争点となりましたが、再選された石原氏のもとで移転計画は続行。しかし、移転計画は石原氏の思惑どおりには進んでいないのが現状です。

 移転先となる豊洲の東京ガス跡地からは、シアン化合物や砒素などの有害物質による高濃度汚染が発覚。六百億円近い予算を投入して、これまでも対策工事が続けられてきましたが、ことし九月十三日の都の公表では、汚染水を通さないとされた不透水層からも環境基準の一千倍を超えるベンゼンが検出されるなど、新たな汚染が次々と見つかり、さらなる汚染対策工事費の追加が検討されています。汚染対策工事の欠陥は、当初からたびたび指摘されており、移転計画の撤回を求める声はやみません。

 都は、二○一四年度末までの移転完了を強引に目指していますが、汚染除去工事は始まっているものの、本格着工はまだまだこれからで、いつになるかわかりません。延期が続いていた新市場建設懇談会は十一月十五日に開かれましたが、懸念のある土壌汚染対策工事の進捗状況や千客万来施設の実施方針などについては、結局、都から具体的な報告はされず、広がる工程表と現実のずれから、関係者の間では二○一四年度末の開場について懐疑的な見方が広がっています。

 新市場開場の認可についても、農林水産省に申請するには関係者の理解と汚染の安全性の証明が必要です。石原氏が現在地再整備には時間がかかり過ぎて無理と強引に移転を決めてから、既に十三年がたっています。現在地で再整備工事を進めていれば、とうに完成していたはずです。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中央区や市場関係者、場外市場の方々を翻弄しつつ、強引に移転計画を進めてきた石原氏は辞任しました。このことは、区の基本的な立場である現在地再整備の方向に都の計画を転換させるチャンスとなるのではありませんか、お答えください。

 第二に、九月に新たに土壌汚染が発覚したことにより、都の土壌汚染対策の根拠となっていた、いわゆる不透水層なるものが、実は不透水層ではなかった、すなわち水を通さないものではなかったということが明らかになりました。このことにより、不透水層には汚染を食いとめる能力はなく、土壌の汚染が際限なく広がっていることが浮き彫りになり、完全なる浄化は不可能になっています。区長は、どう認識していますか。

 第三に、ことし二月、都と区は移転推進で合意しましたが、区は、その前提となるのは土壌が汚染されていないことと繰り返し述べています。この前提となる土壌の状況は、調査すればするほど汚染の深刻さが明らかになり、汚染対策もずさんだということが指摘されています。このことは、合意となる前提が大きく崩れたことを示しています。区は、このことを直視し、合意を破棄して現在地再整備に立ち戻るべきだと思いますが、いかがですか。

 次に、オリンピック東京招致についてお聞きします。

 石原氏は、都民の反対の声を無視して、二○一六年夏季五輪の東京招致に百五十億円もの税金を投入しつつ、四千億円もの基金をため込んだものの、落選しました。そして、きちんとした総括のないまま、二○二○年夏季五輪の再立候補に手を挙げました。案の定、再挑戦を決めた途端に、「なぜ東京が」という質問が記者から飛び交いました。ことし二月、IOCに申請ファイルを提出したときにも、外国人記者から、「ホワイ・トウキョウ・ナウ」という質問が出る中、招致委員会の水野正人副理事長は、「東京を象徴として日本がもう一度復活する」と説明しましたが、被災地から遠い東京でなぜ五輪なのでしょうか。招致委員会の小倉和夫事務総長も、「国際的には復興がどうのこうの言っても余りパンチがきかない」ともらしています。

 IOCの独自調査では、再立候補に対する都民の支持率は四七%どまりと、ライバル都市、マドリードの七八%、イスタンブールの七三%に大きく離されています。反対する都民の声の多くは、東北の復興、防災対策こそ優先すべき、税金はオリンピックではなく福祉の向上のために有効に使ってもらいたいなどというものです。

 石原氏と民主・自民・公明三党がオリンピック招致にこだわってきた最大の理由は、オリンピックをてこに、一メートルつくるのに一億円もかかる外環道をはじめ、高速道路多摩新宿線、羽田と築地を結ぶトンネル道路、巨大港湾施設など、ゼネコンが喜ぶ過大な都市施設建設を推進するために莫大な税金をつぎ込んで推進することだと思います。

 オリンピック開催自体にも巨額の資金が必要であり、多くの税金を費やすことになります。都市開発が先行して、国民のスポーツ環境整備がおろそかになるおそれもあります。十月の決算特別委員会で吉田副区長は、「オリンピックを最大限利用するため招致活動に取り組む」と発言しましたが、行政施策と地域への多大な影響を検証することもせず、招致活動に熱を入れるのは問題です。被災地の復興という大義名分もよそに、東京に財政投入を集中し、大型再開発を推し進めることは、オリンピックの精神からも逸脱しています。強引に招致活動を進めてきた石原氏が辞任した今、七十五億円もの大金をつぎ込もうとしているオリンピック招致を国民がどうとらえているのかを冷静に再検討する機会とすべきです。

 中央区でも、招致活動のために一千万円が使われます。内訳は、銀座地区街路灯へのバナー掲出二百三十二万円、月島西仲通商店街に上り旗など百八十三万円、江戸バス二台にオリンピックエンブレム等のデザインラッピング百四十万円などです。日本橋での高速道路橋脚の装飾百五十万円については、まちの方から、「東京オリンピックの負の遺産である日本橋高速道路の橋脚に装飾する神経がわからない」という声も出ています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、七十五億円もつぎ込んで招致活動をすることはやめるべきだと思いますが、区長の見解をお聞かせください。

 第二に、中央区がオリンピックをまちづくりに利用するのは、オリンピック精神からも逸脱していると思いますが、区長はどうお考えになりますか。

 第三に、四千億円もため込んでいる基金は、近い将来に大地震の可能性が高いことが指摘されている東京の防災、福祉などに活用すべきです。区長の見解をお示しください。

 次に、児童増、少人数学級に対応する抜本的な学校整備についてお聞きします。

 中央区の人口は、三十歳代、四十歳代の子育て世代の人口増加に伴い、乳幼児人口も激増しています。その乳幼児が今後成長し、小学校、中学校に通うようになったときの対策が急がれます。今後、文科省も三十五人以下学級を進めることになっており、今でも不十分な学級数が、今後さらに足りなくなることが大いに考えられます。再開発事業などの大規模開発計画は、現時点で区内二十八カ所で計画されています。途切れなく再開発事業が計画され、高層型マンションの建設が進めば、さらに乳幼児人口がふえ、見込み以上の児童数増、学級数増となる可能性があります。今でも晴海地域、豊海地域では小学校が足りず、日本橋地域でも教室が足りなくなっている学校が生まれています。計画的に整備を進めることが求められます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、改修や部屋の組みかえなど、継ぎはぎだらけの対策ではなく、今後ふえるであろう児童数をきちんと把握し、晴海地域に学校を新設するなどの計画的な学校整備を進めるべきだと思いますが、区のお考えをお示しください。

 第二に、児童数の多い地域から児童数の少ない学校に行ってもらうという特認校制度の発想を改めて、地域コミュニティの形成、防災面からも、地元の学校に通えることを基本にすべきです。御見解をお示しください。

 第三に、いじめの解消のためにも、教員が一人一人と向き合える環境をつくるため、三十五人以下学級を小中全学年で実施するなど、少人数学級を進めることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第四に、晴海地域の学校新設は、都の豊晴計画にも位置づけられています。都有地を学校建設に活用することについて、東京都への積極的な働きかけを求めます。区のお考えをお示しください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 奥村暁子議員の御質問に順次お答えいたします。

 まず、三年二カ月の民主党政権についてであります。

 多くの国民の期待のもと、政権交代を果たし、事業仕分けなどの斬新な政治手法を導入し、国と地方の協議の場を創設して地方分権の推進に取り組みました。また、社会保障・税一体改革関連法を成立させた反面、マニフェストに示された政策において道半ばで実現に至っていないものが多くあることも事実であります。これまでの政権運営に対する評価につきましては、来る衆議院選挙において判断されるべきものと考えます。

 次に、社会保障の充実、財政再建についてであります。

 その財源については、まず歳出において、当然のことながら徹底した無駄の削減に取り組むとともに、歳入の根幹をなす税については、消費税を含め、負担の公平や応能・応益のバランス、所得の再配分効果、税収の安定性などを考慮すべきものと考えます。

 次に、日米関係についてであります。

 日米両国は、対等なパートナーシップに基づき、アジア太平洋地域の平和と繁栄の確保や国際社会が直面するグローバルな課題についてともに取り組む友好な関係であります。今後ともこの立場は堅持されるべきものと考えます。なお、安全保障をはじめとする外交上の諸課題につきましては、国の責任において、広く国民の合意のもと、解決されるべきものであると考えます。また、尖閣諸島及び竹島は我が国固有の領土であり、国際法上も歴史的にも疑問の余地のないところであります。今後の日中・日韓関係の大局を踏まえつつ、外交努力を通じて相互の理解を深め、一日も早く平和的に解決されるべきものであると考えております。

 次に、年金生活者の生活実態についてであります。

 依然として雇用が低迷していることから、就労可能な年金生活者であっても公的年金以外の収入を確保することが非常に難しい状況にあり、生活は厳しいものであると認識しております。一方、本区の就労希望者の状況をシルバー人材センターの実績で見てみますと、六十歳代の会員数がふえており、それに伴い、就業率も増加しております。ただし、その会員の入会理由からは、社会参加や健康づくりなどの要因が七五%を占め、必ずしも経済的な理由だけでふえているわけではないと認識しております。

 次に、特例水準の段階的な解消と最低保障年金の実施についてであります。

 国民年金制度をはじめとする公的年金制度は、高齢期の生活を支える基本的な部分であると認識しております。しかしながら、現役世代の将来の年金額を確保し、世代間の公平性や年金制度の維持という観点から、特例的に据え置いてきた年金額を本来の水準に戻すという特例水準の解消は必要であると考えております。また、最低保障年金に対する国への要望については、社会保障制度改革国民会議での議論や国の動向を見きわめながら、適切に対応してまいります。

 次に、生活保護についてであります。

 現在、国では、生活困窮者支援体系の確立と生活保護制度の見直しに総合的に取り組むため、生活支援戦略の策定を進めているところであります。今回の行政刷新会議において、生活扶助基準については、自立の助長の観点から、就労インセンティブをそがない水準とすべきであり、一般の低所得者の消費実態などとの均衡を図るという提言がなされましたが、それをもって生活保護費の削減が決定されたという認識には至っておりません。こうした中、現在、国に生活保護費を減額しないよう要望することは考えておりませんが、生活支援戦略の策定に当たっては、東京都を通じてセーフティネットの充実策が真に生活困窮者の自立につながるものとなるよう要望しているところであります。

 次に、本区での取り組みですが、生活支援課では、生活困窮者からの相談や生活保護受給者の増加に伴い、人員増等により体制を強化しております。相談の内容に応じて生活保護申請を受理するほか、住宅手当の相談や就労相談等も同じ窓口で実施しております。また、真に生活に困窮されている方がいつでも保護申請ができるよう、受給要件や必要書類等について丁寧な説明を行うとともに、申請されなかった方への追跡調査を行うなど、きめ細かい対応を実施しております。

 次に、経過措置廃止に伴う影響についてであります。

 経過措置期間中における保険料は、課税標準額に応じて旧ただし書き所得を減額して算定しており、経過措置が終了することにより、減額されている方の介護分を除いた保険料の影響額につきましては、一人当たり平均一万九千二百円増加することになります。旧ただし書き方式に移行することに伴う経過措置については、保険料負担が増加する階層に対して、二年間にわたり減額措置を講じる内容とする激変緩和の目的をおおむね達成したと考えております。なお、国保財政は、需要額の二分の一を国庫負担金などの公費で、残り二分の一を被保険者の保険料を中心に一般会計からの繰入金などで賄われており、国庫負担金が上がっても、直ちに保険料の抑制につながるものではなく、国への要望にはなじまないものと考えております。

 次に、内需拡大による経済対策についてであります。

 国が発表した今月の月例経済報告では、アジアにおける経済成長の鈍化やユーロ圏の財政状況の悪化など、対外経済環境をめぐる不確実性は高く、我が国の景気を下押しするリスクとなっていると指摘しております。そのため、自立的かつ持続的な景気回復に向けて、我が国の強みを生かした外需の獲得に加え、内需を中心とした生産・所得・支出の好循環を生み出していくことが重要であると考えております。国においては、内需拡大に向けた経済政策として、医療・介護分野におけるビジネス展開の促進やサービス産業のビジネス機会拡大など、国内需要の喚起に取り組む日本再生戦略を進めることとしております。本区では、今年度当初予算の三一%に当たる総額約二百四十五億円に上る景気対策経費を計上し、過去最高額に並ぶ五億五千万円分の区内共通買物券の発行、必要経費の二十一倍、約七十四億円の経済効果をもたらす東京湾大華火祭の実施、さらには若年者や高齢者の雇用促進、公共投資による新たな需要の喚起など、多角的な観点から景気回復に向けた地域の内需拡大に取り組んでいるところであります。今後とも、景気回復に向けたさまざまな施策を着実かつ効果的に実行することにより、都心中央区から景気浮揚を図ってまいりたいと存じます。

 次に、雇用確保と区の役割についてであります。

 まず、不当な解雇の実態把握についてであります。

 事業主が従業員を解雇する場合は、法により解雇事由の明示や三十日前の解雇予告などをすることが定められております。こうした手続によらない違法な解雇については、区の職業相談等のほか、労働基準監督署や公共職業安定所などの関係機関と構成する中央区地域雇用問題連絡会議において、その実態把握に努めているところであります。

 次に、大企業の移転等が地域に与える影響についてであります。

 一般的には、企業の区外転出や従業員の大量解雇が地域の飲食店をはじめとする商店の売上などに影響を及ぼすものと考えられます。

 次に、法を逸脱した商取引や不当解雇などへの対応についてであります。

 商工相談などにより、こうした情報を得た場合には、公正取引委員会や労働基準監督署等関係機関と連携を図り、中小企業を支援する立場からの必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

 次に、人口増に見合う正規職員の増員についてであります。

 区では、これまで多様化し、増大する行政需要に的確かつ迅速に対応するため、必要な分野に職員を増員し、区民サービスの向上を図ってまいりました。人口の増加が直接職員の増につながるものとは考えておりませんが、今後も引き続き適正な職員配置に努めてまいります。

 次に、区職員の給与についてであります。

 公務員給与は、生計費並びに国や他の自治体職員、民間従業員の給与などを考慮して定めることとされており、社会一般の情勢に適応するよう、特別区人事委員会から勧告を受け、これに基づき、これまで給与改定が行われてきたところであります。今後も、こうした給与勧告を尊重してまいります。

 次に、指定管理者の労働実態の審査と公契約条例についてであります。

 賃金や労働条件にかかわる事項は、労働関係法令に基づき、大一義的には指定管理事業者が責任を持つべきものと考えております。しかしながら、安定的かつ良質な公共サービスが確実に提供されるためには、適正な労働条件の確保が必要であります。このような観点から、これまでも指定管理者の選定や運営状況を評価する際に、雇用形態などの労働条件等について調査を行ってまいりました。これら労働環境に関する調査をより充実させ、効果的かつ効率的に実施するため、労働問題の専門家である社会保険労務士会などと相談しながら、その活用も含め、検討してまいります。

 次に、公契約条例についてでありますが、自治体それぞれの考え方により条例を制定している場合があることは承知しております。しかしながら、一方で、自治体間での最低賃金や労働条件に不均衡が生じるおそれや、労働条件への介入についての法的な問題など、さまざまな課題から、国において統一的な法整備が必要であると考えており、今後も引き続き国の動向を注視してまいります。

 次に、即時原発ゼロの実現と国への働きかけについてであります。

 電力の安定供給は、生活の安定・向上並びに我が国経済の維持・発展に欠かすことができないものであります。そのため、エネルギー政策は総合的かつ計画的な検討が行われるべきものであり、直ちに原発ゼロが実現できるものではないと考えております。原発の問題は、国民の議論を十分に踏まえ、国の責任において、その方向性を早急に示されるべきものであり、区といたしましては、その動向を注視してまいります。

 次に、LED購入費助成についてであります。

 本区は、自然エネルギー・省エネルギー機器導入費助成制度により、導入経費の一部を助成し、助成対象機器の普及促進を図っているところであります。本制度の趣旨としては、これから普及を進める必要があるものや、価格が高いなどの理由で導入が図られにくい機器などを助成対象としております。一般家庭用のLED電球等は、昨年の東日本大震災に伴う電力供給不足を契機に、広く家庭への普及が図られ、現在は比較的購入しやすい価格になっております。このため、一般家庭及びマンション共用部のLEDについて、本制度の助成対象機器とすることは難しいものと考えております。

 次に、石原都知事の辞任についてであります。

 まず、石原都政の評価でありますが、就任以来、「東京から国を変える」をスローガンに、ディーゼル車排ガス規制をはじめ、既成の枠組みにとらわれない、全国に先駆けたさまざまな施策が積極的に展開されたものと受けとめております。とりわけ、都市部における保育ニーズの実態に即し、認証保育所制度が創設されたことは、本区の保育サービス拡充にも大きく寄与しており、新しい知事には、地域の課題解決に資する施策を着実に推進していただくとともに、将来を展望し、先進的・国際的な感覚を持って首都東京を牽引していただきたいと考えております。

 築地市場の移転について、本区は平成二十三年三月の都議会で移転の結論が確定したことを受け、築地の活気とにぎわいを市場移転後も維持・発展させるための取り組みに全力を尽くすことを決意し、本年二月七日に、東京都との間で築地のまちづくりに関する合意を締結したところであります。現在、区は、この合意に基づき、移転後の市場施設の暫定活用などに関し、都との協議を開始するとともに、関係者の御協力もいただきながら、市場移転後の新たなにぎわいの核となる店舗施設を移転に先駆けて整備するよう取り組んでおります。また、都においても、新市場の建設工事着工に向けた関係者との協議が重ねられるとともに、土壌汚染対策に関しては、都と市場事業者等で構成する協議会で汚染処理状況を確認しながら、無害化に向けた取り組みが進められております。こうした東京都の取り組みは、今後も継続されていくものと考えており、区といたしましても、都との合意に基づき、築地の活気とにぎわいを確実に引き継ぎ、発展させるためのまちづくりに区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 二○二○年東京オリンピック・パラリンピック招致については、次代を担う子供たちに大きな夢と希望を与え、震災から復興、再生をなし遂げた日本の姿と感謝の気持ちを世界に示す意味でも、大きな価値があり、オリンピックの精神に沿ったものであります。既に、国や都、経済界、スポーツ界などが一体となって取り組みを進めており、区といたしましても、これを好機ととらえて多彩な魅力を区内外に積極的に発信し、さらに地域の課題解決にもつなげていくために、引き続き区議会や区民の皆様方とともに招致活動に積極的に取り組んでまいります。なお、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の活用等については、都の責任と権限において判断されるべきものと認識しております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、学校整備についてです。

 本区では、これまでの学校施設の老朽化への対応や、児童・園児数の増加に合わせた普通教室・保育室の確保など、各学校・園の状況に応じた施設整備を計画的に進めてまいりました。直近では、かねてから改築を進めてきた中央・明石両校の新校・新園舎竣工に引き続き、明正小学校・幼稚園の改築に着手したところであります。このほか、大規模改修や児童数の推計に基づいた教室転用等を適宜適切に進めてまいりました。また、現在策定中の基本計画二○一三の中にも今後の計画的な学校施設の整備事業を位置づけてまいります。

 次に、晴海地区の学校については、地区内での再開発計画から今後増加が予測される園児・児童・生徒数に対しては、既存校・園での受け入れが可能であると考えております。しかしながら、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック計画の中で選手村が予定されていることから、区として、豊洲・晴海開発整備計画における小・中学校施設想定数の見直しを東京都に対し要望したところであります。オリンピック招致実現の暁には、その後見込まれる住宅供給による人口増に対応した学校施設整備について、東京都との十分な協議が必要になるものと認識しております。

 次に、特認校制度についてであります。

 特認校制度は、保護者の学校選択の幅を拡大するとともに、小規模化や児童増に伴う施設の狭隘化の進行を緩和し、すべての小学校において、よりよい教育環境を確保するために、平成二十一年度から導入したものであります。この制度は、居住する住所に基づいて指定された学校への入学を妨げるものではありません。また、特認校制度により入学された保護者アンケートでは、九割の方から満足との回答をいただいており、区民ニーズにこたえられた制度であると考えております。

 次に、少人数学級についてであります。

 文部科学省においては、公立の小学校三年生から中学校三年生までの三十五人以下学級を平成二十九年度までの五年間で実現していく教職員定数改善計画案を示しており、平成二十五年度概算要求では、五千五百人の教職員定数の改善経費が計上されています。この計画案では、少人数学級は学習面においてもきめ細かな指導が可能であり、また、いじめなどの生活面の問題においても一定の効果が見込まれるものとされております。少人数学級の適用学年の拡大については、今後、政府内や国会での審議も必要なことから、引き続き国や都の動向を注視してまいりたいと存じます。

 答弁は以上です。

〔九番 奥村暁子議員登壇〕

○九番(奥村暁子議員)
 まず、消費税に頼らない税制改革についてですけれども、区長は、やはり歳入の財源として消費税は重要だというお考えでした。しかし、消費税というのは、所得の低い人にほど負担が重くのしかかるというもので、私は歳入の財源として使うのは適切ではないと思います。利益を上げている大企業というのはたくさんあるので、今、大企業も証券優遇税制や研究開発減税などの手厚い減税措置を受けていて、実際に支払っている法人税は一○%台というところも少なくないので、こういった体力のある大企業、それに所得の多い富裕層に負担してもらって、それを社会保障に充てていくべきだと思います。

 今、年収が一億円の方の所得税率は二六・五%で、これをピークにだんだん下がっていく傾向で、年収百億円を超えると一四・二%まで下がるということなんです。世界でも富裕層に課税をしていくべきだというのが流れになっていまして、世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も、ニューヨークタイムズ紙に、自分のような富裕層にこそ課税しろということを書いていますし、イタリア、フェラーリ社の社長も同じようなことを求めていますので、これは今、世界の常識だということをお話ししておきます。

 そして、次に、生活保護についてなんですけれども、生活保護は今、国のほうでは不正受給がとても多いかのように報じていますけれども、二○一○年度、これは最新の情報なんですけれども、厚労省の調べでは、生活保護費の全額が約三兆三千億円、このうち不正受給とされているのは約百二十九億円、計算すると○・○○四%、十万分の四でしかないということなんです。不正受給といっても、高校生がアルバイト代を申告していないとか、そういった場合でも不正受給としてカウントされてしまうということもありますし、不正受給に暴力団が絡んでいると、そういうこともあるので、何でもひとまとめにして不正受給と言って生活保護をバッシングするのは、こういう報道の仕方も問題あると思いますが、不正受給のバッシングについて、区長の見解をお聞かせください。

 そして、次に、国保の経過措置についてなんですけれども、区長会でも、国保の経過措置が二年間で終わるということについては議題となっていると聞いているんですけれども、国保の経過措置が来年廃止になるということについて、区長はこの区長会でどのように発言しているのか、これまでの経過についてもお答えいただきたいと思います。

 そして、次に、雇用の問題です。

 区長は、職員の配置、適正に配置しているということなんですけれども、減らしてよいと考えている分野というのがあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。私は、人口がふえている限り、どんな分野でも必要なサービスの量と質は求められていると思いますので、どこに人は不必要だと考えるのか、区長の見解を問いたいと思います。

 そして、やはり中央区というのは体力のある自治体ですから、中央区のような自治体が率先してきちんと正規職員を雇い入れて、働く貧困層をなくしていくということのリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 そして、退職強要などについては、商工相談で相談も受ければ必要な対応をとっているということですけれども、今までにこういった相談がどの程度あったのか、どういう対応をとってきたのかということを具体的にお示しください。

 そして、公契約条例の制定については、区長は、あくまでも事業者が責任を持つものだというお考えのようですけれども、他の自治体でも今、公契約条例の制定がどんどん進んでいますので、ぜひこれを参考にして、進めていくべきだと思います。中央区は再開発事業が盛んで、大型の工事がたくさん行われる自治体だからこそ、私は必要だと思うんですけれども、公契約条例の制定について、再度区長の見解をお示しください。

 そして、原発ゼロの実現についてなんですけれども、中央区も石巻市に職員を派遣して被災地の支援を行っていますけれども、本当に石巻市の方々を応援したい、支えたいという気持ちがあるのであれば、やはり被害者をもう二度と生まないという立場に立って、原発ゼロを目指すというのが正しい、とるべき立場だと思いますので、この点についても見解をお聞かせください。

 そして、築地市場の移転の問題なんですけれども、都議会でも移転が決まった、区もことし合意したということなんですけれども、現時点においては、やはり汚染が除去されていないという、この事実を見れば、移転の前提となっている、土壌が汚染されていないことということは守られていないわけですから、現時点で見れば、やはり移転が決定したとは言えないと思うんですけれども、区長の見解を改めて問いたいと思います。移転は決定しているのか、いないのかということをはっきり答えていただきたいと思います。

 そして、次に、オリンピックについてですけれども、やはり私は、こんな大金をつぎ込んでオリンピックを招致するよりも、今、東京にはやるべきことがたくさんあると思います。石原都政のもとで、防災に関しての予算というのも随分削られてきました。東日本大震災を踏まえて、首都直下型地震対策を東京都も力を入れていくべきだと思います。

 そして、次に、学校整備に関してですけれども、共産党区議団も以前から晴海地区での学校の不足の問題などを取り上げてきたんですけれども、区は再開発の計画ですとかマンションの建設計画というものを知る立場にあるわけですから、児童数の増加というのは当然読めるわけです。何で今足りないということが騒がれることになっているのか。計画的に整備していくことは可能だったのに、なぜそれをしてこなかったのかという点をお聞きしたいのと、今後きちんと晴海の学校建設については、豊晴計画にも盛り込まれているので、都有地を取得するということを都にきちんと要請して協議を進めて、学校建設に乗り出していただきたいと思います。豊晴計画というのは、平成十四年に出たものですけれども、これは東京都が出したもので、これはまだ生きていますので、この中でも小・中学校の新設というものがうたわれています。都有地の取得というのは、きちんと取得の根拠があるものですので、都有地の取得をぜひ検討して、きちんとした学校整備を進めていただきたいと思います。

 そして、少人数学級、特認校制度についてなんですけれども、これから大きな災害などがあった場合に、特認校で遠いところにいれば、自宅に帰るのも大変だということも考えられるので、やはり私は地元の学校に行くということが基本だと思います。人気校と人気のない学校、生徒が集まる学校、集まらない学校という格差を生むのも、同じ公立の中でそんな競争が必要なのかなという思いもありますので、特認校の必要性についても、再度、教育長の見解をお聞きしたいと思います。

 以上で二回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。再答弁させていただきます。

 生活保護、これはもう本当に重要ですね。あの有名なハリーポッターの著者も、ひとり親ということで生活保護を受けていた時期があったということでございます。やはり人というのはどんなことがあるかわからないわけでありますから、こうした制度をしっかりやっていかなければならない、そういうふうに思います。

 ただ、不正受給となると、これは税金で保護費を出しているわけでありますから、それはやはりしっかりとした対応をしていかなければならないのではないか、こういうふうに思うところであります。

 また、区長会での発言については、私は特にしておりません。

 それから、区の職員、これは人口増に応じてふやすという考えはとっておりません。適材適所、必要なところにどんどん出すということで、先ほども答弁いたしましたけれども、福祉なんか、そういうところは増員しておりますよというのを最初の答弁でも申し上げましたけれども、そのとおりでございます。

 それから、公契約条例ね。これは、もうこれまでも何回も質問され、また何回も答弁しているとおりでありまして、国においても統一的な法整備が必要であると考えておりますので、引き続き国・都あるいは他の自治体の動向等も注視して対応してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 原発ゼロということでありますけれども、先ほども答弁いたしましたけれども、電力の安定供給、これは生活の安定・向上並びに我が国の経済ですね。これ以上不況にしたり、景気低迷に陥らせるというのはいかがなものかなとも思いますし、また、そういうものにも直接関係するでありましょうから。将来的にはね、いろいろあるでありましょう。したがって、本区では省エネルギー、創エネルギーですね。新たなエネルギーもどんどん開発していこうではないか。そして、省エネですね。これも進めていこうということで進めているわけであります。

 それから、築地市場ですか。これはもう、先ほど来答弁いたしておるとおりでございまして、移転ということで対応を決めているのかということであります。そういうことであります。先ほども答弁いたしましたけれども、昨年三月十一日ですか、奇しくも、その日に東京都でも移転ということを正式に決めているわけでありまして、都議会で民主的に決まって、都との合意文書も交換しているわけでございます。

 今、決められない政治というのが何回も何回も報道されておりますけれども、本区は決められる政治、決める行政、これをモットーとしている。その旗印のもとに、すべての施策を推進しているところでございまして、そういう意味で、いろいろな、例えば学校問題でも改築問題等々、反対等もありましたけれども、しかし、決めて行うべきことは行う、それを実現して、どんどん進めているところでございまして、決められる政治、決める行政、これを念頭に置いて、これからも進めてまいりたい。

 土壌汚染に対しては、先ほども答弁いたしましたけれども、東京都と市場事業者等で構成する協議会でも汚染処理状況を確認しながらやっているわけですから、無害化に向けてね。事業者の皆さんだって、それは厳しくそうした問題については監視するでありましょうから、無論我々ももちろん監視していくわけであります。

 それから、オリンピック。東京都が何か防災予算を削ったと、さっきおっしゃっていましたね。そんな事実があるんですか。石原さんがそういうことをやるとは思わないですけれどもね。防災の必要なところはちゃんとこれまで東京都も、本区も必要なところは、この庁舎だって耐震補強をちゃんとやっておりますしね、やっているであろう、やっていく。

 そして、オリンピックの精神にあわせて、どんどん進めるということでございまして、何かオリンピックを利用してどうだこうだとおっしゃいましたけれども、そんなことはございませんね。だって、オリンピックのために何かつくって、それを直ちに壊す、終わったから競技場を壊すんだとか、橋を壊すだとか何だとか、これは無駄なことでありますから、つくられたものはその後も、競技場でも何でも利用していく、地域のために活用する、それは当然のことではないでしょうか。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題につきまして、再度御答弁をさせていただきます。

 まず、学校整備についてでございます。

 当然、再開発の動向については、区長部局のほうで把握しておりまして、その辺については、教育委員会のほうも情報をもらっておりますので、将来的な児童数等の増についても把握しながら計画を立てております。今、それぞれの地域でいろいろ地元の方に御不安を与えているということは大変申しわけないところもあるんですが、私ども教育委員会としては、児童数の増に備えまして、もともと余裕教室というのを各学校に持たせてございます。ただ、余裕教室というと、そのまま学校では空き室にしているわけではなくて余裕の間は何らかの活用をしているものですから、それを本来の余裕教室としての機能の一般教室に転用させるような形で人口増、児童増に対応しているというところがありますので、その辺は御理解をいただきたいというふうに思っております。

 それから、晴海地区できちんと都有地を取得してというお話をいただきました。私どもも、きちっと晴海については学校をつくっていく必要というのは十分認識しております。ただ、最初の御答弁でも申し上げましたが、オリンピック等の関係もございますし、晴海地区がどのように再開発あるいは開発されていくかというところの部分を見据えないと、どういう土地をどういうふうに取得するというのも、具体的な東京都との協議には入れない状況でございます。その辺は、きちっとした計画が出た段階で、これは間違いなくきちっと協議をして、晴海地区に必要な学校施設をつくっていくというのは、教育委員会としても考えているところでございます。

 それから、特認校のお話がございました。

 一つ、近くの学校でという、これは先ほどの御答弁でも申し上げましたが、私たちも別に絶対遠くへ行ってくれということではなくて、もともと地域の学校に入ろうという方については、それをお断りするような経緯はございません。基本的には地元の学校に行っていただくということで取り組んでおります。

 遠いか近いかというのは、一番近くの学校に比べれば、確かに距離はあるかと思いますが、議員のおっしゃっていたような形で災害時の対応なんかについては、きちっと特認校のほうで子供の安全について確保をしながら、保護者と連絡をとって、間違いなく安全にお子さんをお返しする手だてをとるということでやっておりますので、基本的な安全性は確保されているという認識でございます。

 それから、学校間の競争というお話が出ましたが、それぞれの各学校において、地域特性、それから歴史や伝統がございますので、自分の学校をよりよくしたいという思いは、どこの学校も共通でございます。そういう意味での競争というのは、各学校、励んでもらっているところでございます。ただ、特認校等につきましては、現在、フロンティアスクールということでICT教育等をやっておりますけれども、単独の学校の範囲ではなかなかできにくい区の教育全体を上げるための取り組みというものについては、こういう特認校制度を使いながら、中央区全体の学校の教育レベルを上げていく、その成果については全校に戻していくということで考えてございます。

 そういうことですので、現行の特認校制度については、議員の御指摘のような形での、何か競争性がさらに高まるという認識のもとに運営していることではないことは御理解をいただきたいと思います。

 答弁は以上です。

〔九番 奥村暁子議員登壇〕

○九番(奥村暁子議員)
 区長の答弁で、商工相談についての答弁が抜けていたと思うので、またこれは次回、委員会を通してでも聞きたいと思います。

 それと、石原都知事が防災予算を削ったというような事実があるのかないのかということなんですけれども、石原都知事のもとで、木造住宅の耐震化の助成、これがこの五年間で三百一件しか進んでいないということ、もともと年間一兆円あった震災対策事業の予算が、今、半分の五千億円にまで減らされてきているという事実があります。耐震化の助成ですけれども、五年間で三百一件。静岡県では九千件、同じ五年間で耐震助成をしていますので、三十分の一にすぎないということで、これは非常に少ないものだということをお伝えしたいと思います。

 それと、築地市場の移転についてなんですけれども、これも都議会で移転が決まったということですけれども、やはり現時点では豊洲の土壌は汚染されているわけだから、前提は私は崩れていると思います。

 そして、次に、区としては公契約条例もしっかり検討して、働く人の労働条件、そして賃金、働く環境を守るということに力を入れていただきたいということを再度要望します。

 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後五時二分 休憩


午後五時二十分 開議

○議長(石田英朗議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。七番青木かの議員。

七番 青木かの議員登壇

○七番(青木かの議員)
 中央区議会みんなの党、青木かのです。平成二十四年第四回定例会に当たり、会派を代表し、さきに提出いたしました質問通告書に基づき、質問いたします。区長、教育長をはじめ、理事者の皆様には明快で具体的な答弁を期待いたします。答弁の内容によりましては、再質問、再々質問をあらかじめ留保させていただきます。

 さて、教育の中央区として、中央区は平成十一年、全国で初めて、中央区の教育環境に関する基本条例を制定しました。さらに、子供の教育環境の向上に努めるため、平成十六年に、中央区の教育を考える懇談会、平成十八年、中央区学校教育検討会、平成二十年には教育の中央区学校づくり検討会を設置し、中央区における新しい学校と学校教育像の構築に向けた取り組みを行っています。その成果として、区立小学校における特認校制度、中学校における自由選択制度導入など、制度的な改革が行われてきました。しかし、区立小学校の卒業生の実に半数が私立中学校に進学するという状況が、今も続いています。児童またはその保護者にとって、魅力ある選択肢となるよう、さらなる公立学校の改善・改革が求められます。

 そこで、きょうは、魅力ある区立学校づくりという観点から、小中一貫教育、教育現場へのICTの導入、部活イノベーションに絞って、区の考えをお聞きしてまいります。

 昨年、文部科学省が公表した実態調査によると、全国千七百六十三市町村教育委員会のうち、小中連携にかかわる取り組みを行っているのは七二%に上ります。また、乗り入れ授業を継続的に実施している学校は三六%、さらには教職員の兼務発令を実施した学校は一六%となっています。そして、小中連携の取り組みについては、九六%が成果が認められると答えています。

 この小中一貫教育に平成十七年度から取り組んでいる横浜市の場合、導入の背景には九年間の連続した教育による、いわゆる中一ギャップの解消、複数の学校で協力して課題を解決するなど学校に対する多様なニーズへの対応、教職員の大量退職・大量採用への対応、学校規模の適正化などがありました。

 そこで、横浜型小中一貫教育を推進するために、まず横浜版学習指導要領を制定し、この要領に基づくカリキュラムの編成を行い、小・中学校の教職員が連携して義務教育九年間の連続性を図っています。また、それぞれの小・中学校を七つのブロックに分け、合同授業や合同研修、児童・生徒交流会などブロック内での取り組みが進んでいるほか、さらに一歩進んで、併設型小中一貫校が平成二十二年四月に二校誕生しています。この施設併設型小中一貫校の特徴として、校長一名による迅速な意思の決定と、准校長一名、副校長二名によるサポート体制、教員は小中両方の免許所有者が多く、兼務辞令による教員の相互乗り入れも進んでいます。こうした取り組みから二年ですが、既に、不登校児童の減少、小学校課程六年修了後、私立や国立中学校に進学する児童の減少など、具体的な成果があらわれています。

 また、平成十八年四月から、すべての区立小・中学校で小中一貫教育を実施している品川区では、小学校六年、中学校三年という壁を取り払い、四・三・二のまとまりに配慮し、系統的・継続的な教育活動を行っています。

 具体的には、子供の心や体の発達を踏まえ、一年生から四年生で基礎力の定着を図り、五年生から七年生は基礎・基本の徹底に重点を置いた指導を、最後の八年生と九年生は教科や内容の選択の幅をふやし、生徒の個性や能力を十分に伸ばす指導を行っています。これらの内容については、品川区小中一貫教育要領に定め、小学校一年生からの英語科や、市民科など新たな授業も取り入れています。その成果として、九年間継続した指導により、学習能力が向上しているのはもちろんのこと、環境の急激な変化を緩和することにより、ストレスを解消し、幅広い年齢の児童・生徒と学校生活をともにすることで多様な人間関係を形成し、中一ギャップの解消に成功しています。

 このように、各自治体が独自の取り組みを行ってきた小中一貫教育ですが、ことし六月、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会の作業部会は、小中一貫教育の取り組みに関して規制緩和を要請しました。これまで、各学年の教える内容を定めた学習指導要領を超えた授業を行う場合、文部科学大臣の特例指定を受ける必要がありましたが、今後は、学校を設置する市区町村などの自治体が柔軟に対応できるようにするよう、文部科学省は今年度中に学校教育法施行規則を改正する方針です。これで、中学校の学習内容を小学校で前倒しして教えるなど、高校受験を視野に入れた、さらに進んだ取り組みも可能になります。

 そこで、お尋ねします。

 佃中学校と佃島小学校及び月島第一小学校をモデル校とした三年にわたるカリキュラム型小中一貫教育の成果と課題を具体的にお答えください。

 また、その課題を踏まえ、現在実施されている晴海中学校と月島第二小学校、月島第三小学校及び豊海小学校でのカリキュラム型小中一貫教育の研究目標を教えてください。

 次に、文部科学省の規制緩和に伴い、内容の前倒しなど学習指導要領を超えた授業及び六・三制から四・三・二のまとまりでのカリキュラムを行うことについて、区の考えをお聞かせください。

 さらには、東京都とも協力した晴海中学校と晴海総合高校の中高連携について、その可能性も含め、区の考えをお答えください。

 次に、ICTの教育現場での活用についてです。

 教育分野におけるICT活用の推進には、授業の双方向性を高め、児童・生徒の主体性、意欲・関心を高めるという効果があるのはもちろんのこと、一人一人の能力が効果的に伸びることが実証されています。そして、このような状況の中、シンガポールや韓国では、国家プロジェクトとして教育分野でのICTの活用に取り組んでいます。日本においても、平成二十二年に教育分野におけるICTの利用と活用について政府方針が示され、新成長戦略の工程表で、児童・生徒一人一台の情報端末の推進を平成二十五年度までに、二十一世紀にふさわしい学校教育の実現を平成三十二年度までの成果目標としています。

 そこで、総務省は、平成二十二年度から文部科学省と連携して全国から十校を選定し、フューチャースクール推進事業を開始しました。この実証研究は翌二十三年度も続けられ、その成果についてまとめられたガイドラインが、ことし発表されています。このガイドラインによると、必要な導入機器は、一人一台のタブレットPC、各教室の電子黒板、PC保管庫、無線LANの環境、授業支援システム、教育クラウドとなっています。また、これらの機器を使って、学習者の主体性や能動性を喚起するためのフレキシブルな学習環境を実現するために、個別学習、共同学習、一斉学習、遠隔地とつないでの交流学習など、学習形態の多様化が必要であるとしています。

 中央区でも、平成二十二年度から二十六年度までの五カ年計画である中央区教育振興基本計画で、このICTの活用と情報教育の推進が明確にうたわれています。具体的には、校内無線LAN、電子黒板、プロジェクター、大型デジタルテレビ等を効果的に活用し、子供たちの知的好奇心を喚起する授業を展開すること、また、教員のICT活用研修を推進するとともに、専門業者による技術支援など、ICT環境のサポート体制の充実を図ること、さらには情報リテラシーやネットモラルなど、子供たちの情報活用能力を育成することとなっています。

 教室でICTを活用することの利点は、まずクラス全体に何かを大きく見せることができるということです。これは、以前から黒板に文字を大きく書いたり、模造紙に大きく書くなど、教室内で日常的に行われていましたが、ICTを使うことで、より簡単に行われるようになりました。

 また、教科書だけでなく、児童・生徒のノート、デジタルカメラで撮った写真、インターネットでダウンロードした資料など、さまざまな教材を拡大提示することができます。ICTを活用することで簡単に動画を見せることができるようになる。動画の教材やビデオカメラで撮影した映像、教材コンテンツのアニメーションなどを使うとイメージがつかみやすく、児童・生徒の理解が促進されます。さらに、これらの映像には、注目させたいところに書き込みもできます。重要な部分を強調したり、児童・生徒に感想や意見を書き込ませることもできます。その他、画面の一部分を隠したり、再表示する、次々と新しい画面を表示するフラッシュカード機能、もちろん、これらの画面をそのまま保存しておくことも簡単にできます。

 このように、教室でICTを活用することによる効果は、ガイドラインによると、情報となる映像を拡大して見せることで、児童・生徒の興味・関心が高まる、教科書の説明文を拡大提示しながら説明することで児童・生徒が学習課題をきちんと把握することができる、視覚的な情報を加えることで説明がわかりやすくなる、フラッシュカード型の教材を使い繰り返し学習することで学習内容の定着を図ることができるなどとなっています。

 次に、教職員の校務でのICTの活用の効果も甚大です。校内の文書や児童・生徒に関する情報をデジタル化する。それらのデータを教職員間で相互に共有する。教育委員会と各学校間がネットワークで結ばれ、相互に連携する。校内にある情報を教職員間で連携して活用する。このような状況を実現することで、個人個人で処理するより、大幅に事務量を軽減することができます。区内すべての学校で情報を共有することにより、このように校務の情報化で生まれた時間的なゆとりを、児童・生徒とのコミュニケーションに向けたり、授業の準備時間にかけるなど活用することで、教育の質の向上につなげることができます。

 そこで、中央区の取り組みについてお尋ねします。

 フロンティアスクールとして指定されている城東、常盤、阪本小学校における現在までのICT機器の導入状況と、これからの導入予定について具体的にお答えください。

 現場の先生方のICTの活用状況について、教室内、校務、それぞれについてお答えください。

 各校にはICTコーディネーターが派遣されていますが、その人数と、それぞれの学校への派遣状況、教職員への支援の状況についてお答えください。

 中央区内では、既に区立幼稚園、小学校、中学校、教育センター及び教育委員会事務局を結ぶ学校間ネットワークが構築されています。このネットワークが日ごろの授業や先生方の校務にどのように生かされているかお答えください。

 最後に、ICT機器の活用について先行的に研究・開発しているフロンティア事業の研究成果を、今後、区内全校にどのように反映させていくか、そのアイデアを具体的にお知らせください。

 最後に、区立中学校における部活動についてです。

 中央区内、銀座、佃、晴海、日本橋、四つの区立中学校には、運動部、文化部、合わせて五十三の部活動があります。毎日、放課後の数時間と週末の数時間を練習に当てる部活動は、それぞれの分野での能力の向上はもちろんのこと、仲間のメンバーたちとがむしゃらに頑張った青春の一ページとして、必ず大切な思い出となるはずです。

 ところが、最近、この部活動に危機が訪れているというのです。文化部、運動部のいずれにも属さない、参加しない、いわゆる帰宅部の子供たちがふえているということなのですが、このこと自体は、もともと部活動は自由参加ですし、学校外での活動の機会が広がるなど、放課後の過ごし方の多様化という視点から見れば問題ないと思うのですが、子供たちが参加しない理由の一つが、やってみたい魅力的な部活動がないということであれば、話は別です。全国調査でも、この二十年で一割の運動部が消滅しているといいます。

 それぞれの部活動には責任者としての顧問の先生が必要です。そして、部活動、特に運動部における顧問教諭不足というのが、実は運動部の存続の危機を招いているのです。もともと、部活動は顧問の先生の善意、ボランティアで支えられているのが現状です。しかし、先生方は通常の業務でますます忙しくなり、その上、週末や長期休暇での指導というのは大変な負担となっています。二○○八年、中等教育研究会が行った調査によると、教員の四四%が「部活の時間や量が負担」、三九%が「やったことのない種目の顧問を担当している」と答えています。また、やる気はあっても体調の変化や親の介護などの事情で休日の指導ができない先生もいらっしゃいます。また、顧問教諭の異動や退職の後、後任が見つからず廃部になった例も珍しくありません。

 このような状況を各学校は競技経験のある地域住民や保護者、大学生などの外部指導員の力をかりて乗り切ってきました。日本中学校体育連盟によると、この外部指導員の数は、二○○二年度と比べ、この十年間で一・八倍に増加しています。しかし、外部指導員のなり手にも限界があります。また、外部指導員に指導は任せることができても、規則上、安全管理のために顧問の付き添いも必要で、顧問教諭の負担軽減という意味からは不十分な制度と言えます。

 そこで、新しい取り組みが始まりました。これが部活イノベーション、杉並区立和田中学校が始めた取り組みで、休日の運動部の指導をスポーツコーチを派遣する企業に委託しています。公認資格などを持ったコーチが、技術指導だけではなく安全管理にも責任を負うため、顧問教諭が活動の場にいる必要はありません。具体的には、土日の練習を学校の教育活動の部活と切り離し、各部の保護者会と企業が直接契約を結びます。費用は一回一人当たり五百円、これにはおよそ三時間の指導料と保険料が含まれています。家庭への負担を考え、現在、和田中では委託は月二回までに限定していますが、毎週末の派遣も可能です。もともと、この取り組みは土日も練習して技術を向上させたいという生徒の要望にこたえる形で、ことしの六月から本格スタートし、現在九つある運動部のうち、委託を希望したサッカー部、野球部、バドミントン部など六つの部活動が契約しています。また、例えばサッカー部の指導員はオーストラリアで指導法を学び、コーチ歴は七年、丁寧で熱のこもった指導で、生徒からも保護者からも好評だそうです。

 そこで、中央区の状況ですが、部活動の種類にはかなり隔たりがあります。例えば、一般的に人気のサッカー部は銀座中学校にしかありません。陸上部も銀座中学校と日本橋中学校のみ、武道では、剣道は佃中学校以外すべての中学にありますが、柔道部は日本橋中学校のみです。また、活動日、活動時間を調べてみて意外だったのは、平日でも毎日活動していない運動部があること、週末については、土日のいずれか一日のみ、あるいは週末は活動しない部が多いということです。このような状況の理由の一つが顧問教諭の不足にあるなら、区としても前向きな対応が必要です。

 そこで、お尋ねします。

 現在、区立中学校の部活動に対し、教育活動の一貫としてどのような位置づけを行っていますか。

 顧問教諭の多忙感について、どのような対策をとっていますか。

 区として、各部の外部指導者探しにどの程度協力していますか。

 最後に、部活動の顧問にプロのコーチを企業から派遣してもらう制度についてどうお考えになりますか。導入の可能性とともに、お答えください。

 以上、一回目の質問を終わります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、小中一貫教育についてであります。

 佃中学校と佃島小学校及び月島第一小学校の三校をモデル校としたカリキュラム連携型小中一貫教育の取り組みでは、算数・数学、体育、道徳を重点教科とし授業研究を行い、教員の授業力の向上を図りました。小学校高学年では、中学校での学習内容を踏まえて、基本的な知識や技能を確実に定着させ、中学校では、小学校で既に学習した内容を活用して問題解決を図る授業の工夫が行われるようになりました。今後、教員の授業改善が子供たちの学力向上につながるよう、実践を継続してまいります。

 さらに、今年度からは晴海中学校と月島第二小学校、月島第三小学校及び豊海小学校の四校をモデル校として、佃地区での成果を生かしながら小・中学校の円滑な接続を図る授業の工夫について研究を進めております。現在、小学校六年生に中学校の授業を体験させ、小学校との学習の違いについてアンケートを実施して分析をしているところであります。

 小中一貫教育で学習内容の前倒しを行うことや六・三制のまとまりを変えることについては、まずは現行の枠組みの中で子供たちの学びの連続性を確かなものにするために必要な教員の意識改革や指導方法の工夫を行ってまいる所存でありますので、慎重に判断していくべきものと考えます。

 次に、晴海中学校と晴海総合高校との連携についてです。

 現在、晴海中学校三年生を対象に、隣接する高校を訪れ、体験授業と学校見学を実施しております。また、中学校の文化祭で高校のダンス部が演技を披露したり、吹奏楽部や剣道部が合同練習を行ったりして、相互の交流を図っております。今後も、交流の機会をふやすことで、生徒たちが高校生活への理解を深めたり、進学への意欲を高められるよう取り組んでまいります。

 次に、ICTの活用についてであります。

 平成二十年度にICT機器を導入した城東、常盤、阪本のフロンティアスクール三校では、すべての普通教室に電子情報ボードやプロジェクターを設置し、デジタル教科書を用いた授業展開などに各教科で活用しております。また、WEB会議システムも導入しており、三校合同で実施している柏学園でのセカンドスクールの事前学習などに活用しております。こうしたICT機器は、さまざまな活用方法があることから、その工夫をフロンティアスクールで先行的に研究・開発しているところであり、現在、新たな機器の導入は考えておりません。

 学校でのICTの活用状況については、教室内では電子情報ボードを活用した教材の投影や、強調したい部分の書き込み、拡大画像等により子供たちに学習内容の理解を促しています。ほかにも、調べ学習でまとめた内容をプロジェクターで写しながらプレゼンテーションを行うなど、さまざまな学習場面でICT機器を効果的に活用しています。校務では、学校間ネットワークを中心に、作成した教材を教員間で相互に活用したり、学習指導に関する情報の共有化を図っています。また、学力調査の結果や成績のデータを電子情報として処理したり、通知表の作成も電子化するなど、校務の効率化を推進しております。

 ICTコーディネーターの派遣状況については、現在、コーディネーター一名を、フロンティアスクール三校には各校毎月二日間、それ以外の小・中学校については要請に基づいて派遣しており、本年度では十月末現在、五校で延べ八回の利用実績があります。派遣されたICTコーディネーターは、各学校において学校ホームページの更新や充実、教員による教材作成やICT機器操作等の支援を行っております。

 フロンティアスクールにおける研究成果を区内全校に反映させていくことは大切なことであり、そのために、フロンティアスクールにおいて公開授業を実施したり、当該校の教員やICTコーディネーターを活用して研修会を開催したりしております。今後も、ICT機器を効果的に活用し、児童・生徒の学習への興味・関心を高め、わかりやすい授業づくりに努めてまいります。

 次に、中学校における部活動についてであります。

 部活動は、学習指導要領に基づき、スポーツや文化及び科学等に親しみ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等を図り、生徒が授業で学んだ内容について改めてその大切さを認識するなど、教育課程との関連を図りながら実施する教育活動と位置づけております。顧問教諭は、通常の授業に加えて部活動の指導を行うことから、多忙感があることは否めませんが、指導上の負担を軽減するために、教育委員会として外部指導員を配置するとともに、各学校では年間を通して部活動と学校行事の日程的なバランスに配慮しております。

 外部指導者探しの支援については、学校教育に理解と情熱があり、専門的知識及び指導力を有する外部指導員の登録を行っています。また、地域の方や専門家を学校に紹介できるよう、昨年度、教育地域人材バンクを立ち上げるなどの支援を行っております。部活動は、学校教育の一環であり、教員が顧問として管理と指導を行うことにより教師と生徒の触れ合いが深まり、教師と生徒、さらには学校としての一体感が生まれるものであります。

 企業等から部活動の顧問にプロのコーチの派遣を受けることにつきましては、現状において外部指導員により専門的な指導がなされていることや、保護者の経済的負担が新たに生じることなどから、当面導入は考えていないところであります。

 答弁は以上です。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、一貫教育のほうですが、円滑な接続に力を入れるということで、枠組みについては今のところ見直しはないというような御意見でした。義務教育に関しては六・三制、これにさらに高校、大学を含めた中で、今後、六・三・三・四制の枠組みの見直しというのも進んでいくのではないかというような意見も最近聞くようになりましたので、今後もこの点については柔軟な取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 さらに、中高連携につきましても、私も何度か委員会などでも質問してまいりましたが、生徒たちの交流という枠を超えた、せっかく同じ中央区内、向かい合った近くにあるということで、さらに一歩進んだ中高連携というものをぜひ進めていただきたい。これは要望です。

 フロンティアスクールを中心としたICT機器についてですが、本当に中央区、ハード面では確かにかなり設備が入っておりますが、やはり今後はソフト面でいかに先生方が活用していくかということにかかってくると思います。本当に若い先生がふえていらっしゃって、いわゆるデジタル時代の先生方は、もう取説などなく、割となじんでいらっしゃると思うんですけれども、やはり年配の先生方にとっては、積極的に活用するということは大変難しい状況にあるやもしれない中で、ICTコーディネーターを本当にうまく活用しているところが積極的にハードを活用することができるという状況が全国的に見られています。

 今、お答えの中にありましたように、ICTコーディネーター、小学校十六校でたった一名、それもフロンティアスクールに関しても一月に二日間ずつということで、大変少ないように感じました。もっと積極的に、せっかく税金を使ってしっかりとしたハードが整ったわけですから、ICTコーディネーターもしっかりと配備して、ソフト的な活用をぜひ進めていただきたいと思います。今後は、いかにソフトを充実させていくかというところにかかっていると思います。

 それから、部活動の改革についてなんですが、現在のところ、プロのコーチ派遣については考えていないということですが、この一点だけ再質問させていただきたいんですが、コーチの派遣、現在、地域の支援を得ながら地域スポーツクラブとして発展させていくときに、大変相乗効果を生んでいるということが全国的にあらわれております。今、中央区におきましても、月島で地域スポーツクラブ、来年二月十七日設立に向けて準備が進んでおります。今後、部活動と地域スポーツクラブ、どのように連携させていくか、どのように進めていくか、この点についてだけもう一度質問させていただきます。お願いいたします。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 地域スポーツクラブとの連携についての御質問についてお答えをさせていただきます。

 やはり学校の施設を使いながら、子供たち、生徒が、顧問あるいは外部指導員と取り組む中身以外の部分で、地域スポーツクラブの種目等については違ってくるところがあると思いますから、部活動イコールということではなくて、中学生あるいは小学生もそうだと思うんですけれども、スポーツに地域と一緒に接する機会がふえるということは大変好ましいことだと思って、私どもとしても大いに期待をしております。

 このような中で、地域と一緒にそういう活動をやっていくというのは、スポーツの振興ばかりではなくて、子供たちの人格形成あるいは地域との連携の中でも大変大きな役割を持つところだと思っておりますので、ぜひ関係の学校には積極的な参加について働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。

 答弁は以上です。

〔七番 青木かの議員登壇〕

○七番(青木かの議員)
 ありがとうございました。

 地域とともに、部活動も含めてスポーツクラブを発展させていくということで、ぜひ期待しております。

 最後に、今の質問内容から教育長に全部お答えいただきましたので、最後に矢田区長にお答えいただきたいんですけれども、私の最初の全体の大きな質問の枠組みであります魅力ある区立学校づくりということで、きょう、私の質問の中にありましたフロンティアスクール、ICTを強力に推し進めていくフロンティアスクールが全部日本橋地域にあります。小中一貫教育は月島エリアで進められているということで、今後、奇しくも先ほどの議員のお答えの中にありました公立学校でも地域特性を生かした個性的な教育をやっていこうということが教育長の御答弁の中にありまして、私、力強く思ったんですが、今後、この個性化の一つとしてICTの日本橋、一貫教育の月島地域ということで、このような具体策を進めることによって魅力的な区立中学校づくりを行っていく、この点について区長のお考えを、あるいは独自の魅力的な区立学校づくりについて、最後にお聞かせください。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 ことしは山中教授がノーベル賞を受けたと。本当にすばらしいわけでございまして、やはり教育ほど崇高なものはないわけであります。私は前々から教育立国、これを唱え、したがって、その基盤づくりということで教育の中央区を標榜したり、あるいは日本で一つしかない教育環境基本条例、平成十一年、区議会の皆様方の全会一致で決まったわけでありますけれども、教育ですね。やはり日本、教育を重視していかなければならない、そのもとは、何といっても義務教育の基盤整備であろう、こういう信念にあるわけでございまして、そういう意味で、今、各学校も改築したり、あるいは増築したり、そういうことを行っているわけでありますけれども、これからも、まさに特色ある学校づくりをどんどん進めてまいりたい。特色ある学校をつくってまいりたい、これからもそういう意欲を持っていきたいということでございまして、教育は次なる時代の人材育成のためにもどうしてもしっかりとしたものをやっていかなければならない。

 したがって、フロンティアスクールなんかもやっているわけであります。三校ね。これは三校に限らず、どんどんやっていかなければならないであろう、こういうふうにも思うわけであります。人材育成ですね。それにこれからも区議会の皆様方、区民の皆様方と一体となって全力で当たってまいりたいというふうに思うわけであります。

 以上であります。

○議長(石田英朗議員)
 次に、十七番田中耕太郎議員。

十七番 田中耕太郎議員登壇

○十七番(田中耕太郎議員)
 中央区議会みんなの党の田中耕太郎であります。平成二十四年第四回区議会定例会に当たり、会派の一員として、質問通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問をいたします。明快な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁の内容によりまして、再質問をさせていただきます。

 来月十六日に当開票が行われる衆議院選挙は、二十九年ぶりの師走選挙かつ都知事選との同時選挙となり、本区を取り巻く環境は新年度に向けて大きく変化しつつあります。しかし、いかなる環境の変化にも対応可能な中央区政であることが何よりも肝要であります。

 そこで、まず健全財政を目的とした公会計制度改革についてお伺いいたします。

 これまで地方自治法に基づく自治体の会計処理は、単年度の現金の収入・支出を管理する単式簿記・現金主義会計であり、明治期以来のいわゆる大福帳のままでありました。この会計制度では、予算がどのように使われたかを明確にできる一方で、現金以外の資産や負債が不明であると同時に、会計年度に直接かかわらない資産や負債の増減についても把握が困難でありました。ある施設のサービスにコストが幾らかかっているのか、資産や負債は全部でどのくらいあるのかを明らかにするには、民間の企業会計に準ずる基準を用いた発生主義による複式簿記の実現が必要不可欠であります。

 現在、複式簿記・発生主義会計に基づく全国統一の会計基準はないものの、平成十八年に総務省が公表した新地方公会計制度実務研究会報告書において、総務省方式改訂モデルと基準モデルの二つのモデルが示されており、本区では財務会計システム等の大幅な改修を必要としない総務省方式改訂モデルが採用されております。しかしながら、この方式は、決算が出た後に数値を組みかえて財務諸表を作成するため、リアルタイムに財務諸表を作成できないことや、政策事業別、所管別の正確な財務諸表を作成することが困難であることが指摘されています。

 こうした状況の中で、東京都では、平成十八年度から新公会計制度を導入し、職員が日々の会計処理の段階から一件ごとに複式簿記の仕分けを行っており、多様な財務諸表を迅速に作成することが可能になったとされております。また、都内の自治体においても、導入済みの町田市に次いで、江戸川区が二○一五年度から東京都方式の導入を目指すなど、新公会計制度に新たな動きが広がりつつあります。

 以上の観点を踏まえまして質問をいたします。

 第一に、現在の公会計制度、すなわち単式簿記・現金主義会計並びに基準モデル、総務省方式改訂モデルの利点と問題点をどのように認識されているのかをお知らせください。

 その上で、本区が平成二十一年度から財政白書において公表している総務省方式改訂モデルのバランスシート等を含んだ財務諸表を導入に至った経緯と、導入による成果と問題点をどのように分析されているのかをお知らせください。

 第三に、現在、東京都、大阪府、新潟県、町田市で導入され、愛知県、大阪市、江戸川区で導入が検討されている東京都方式による新公会計制度に対する本区の考え方と、導入検討の是非についてもお示しください。

 次に、中央区勤労者サービス公社「レッツ中央」についてお伺いいたします。

 勤労者サービス公社「レッツ中央」は、厚生労働省所管の中小企業勤労者福祉センターに分類されるサービスを提供しており、中小企業単独では実施が困難な福利厚生について、地域の中小企業勤労者と事業者が共同し、そのスケールメリットを利用して総合的な福祉事業を行うことを目的とした公益法人であります。

 しかし、近年は、加入者の伸び悩みや会員の求める福利厚生の多様化などの背景が重なり、どこの自治体も財政負担が大きくなる傾向にあります。また、ガバナンス体制として理事会と評議会を開催しておりますが、両会で同様の内容を審議しているなど、実態として両会の間に大きな差異が認められず、固有の機能を果たしていないのではないかという疑問が従前からあります。さらに、常勤理事は、現職も前任も中央区を退職した職員が就任しており、実態として勤労者サービス公社は区職員の再就職先となっていると言えます。

 以上の観点から、加入者数、サービス内容、財政負担等の推移と現状についてお伺いいたします。

 会員数は、平成九年三月の九千三百五十六人をピークに、平成二十四年三月は八千三百九十九人と、近年は減少ないし横ばい傾向にありますが、その原因をどのように分析しているのでしょうか。また、新規会員獲得の取り組みについてお知らせください。

 次に、本区の財政負担の推移について、会員数に照らし合わせてお知らせください。

 また、ガバナンスの体制として、常勤理事一名に対して非常勤理事及び監事十七名、評議員二十名のバランスとその必要性について御説明を願います。

 さらに、常勤理事の役員報酬額、年間約七百万円の妥当性と、歴代常勤理事の前職について、及び非常勤理事並びに評議員に支払われている費用についても御説明をお願いいたします。

 適正なサービス内容の拡充並びに縮小はどのような観点で行われているのか、具体的な事例とともにお知らせください。

 さらに、ことし四月に豊島区と北区の勤労者サービスセンターが二十三区で初めて合併し、東京城北勤労者サービスセンターとなりました。さらに、この東京城北勤労者サービスセンターへ、荒川区も来年度から合併に向けた準備を進めております。こうした勤労者サービスセンターの合併や広域化の取り組みについて、本区も広域化のメリットと経費の節減に向けて、近隣他区との協議や検討を試みるべきだと考えますが、御見解をお知らせください。

 最後に、施設の改築・大規模改修並びに災害対策についてお伺いいたします。

 本区では、これまで中央区基本構想に基づいた中央区基本計画及び実施計画により施設整備を行い、平成二十二年度の施設白書によると五百四十四施設という大きな資産を有しております。しかし、建物の老朽化、人口増等に伴う改築・大規模改修はもちろんのこと、行政ニーズの多様化による各施設の維持管理費も上昇する可能性があります。本区の財政状況は、現時点では健全と言えますが、人口増加ほどの区民税の増収が見込めず、都区財政調整交付金の減少や、今後は政府の財政改革による補助金負担等の削減が見込まれるなど、先行き不透明な面も多く、厳しい展開も予想されます。

 本区は、社会基盤整備を早期に行ってきたため、築二十年を超える施設が全体の約五七%となっています。そのうち、築三十年を超える施設が二十九施設あることからも、施設の老朽化が着実に進んでいると言えます。劣化予防及び劣化診断の充実を図るとともに、既存施設のリニューアルによる有効活用、さらにはバリアフリーや環境、エネルギーに配慮した施設整備を推進する必要があります。当然のことながら、その際は財政状況に応じた優先順位を明確に行い、費用対効果を重要視すべきです。また、公平性の観点から、使用料等の改定、受益者負担の適正化もあわせて考えていく必要性があります。

 さらに、東日本大震災を受けて、区有施設の災害対策並びに災害復旧についても最大限の対策を講じなければ、区民の安心・安全は守れません。建築物の耐震性能については、建築物の耐震改修の促進に関する法律によって構造耐震指標、いわゆるIs値で示され、この値が大きいほど耐震性能が高いとされております。

 先般、新宿区が東日本大震災を受けて実施した本庁舎の耐震診断で国の基準値を満たしていないことが判明し、耐震補強を行うことが大きな問題となっています。本区の本庁舎は築四十三年と、新宿区役所の築四十六年と同年代の建築であり、本区の本庁舎はIs値が○・六であるとの報道がなされております。

 一般的には、震度六強から七程度の規模の大地震発生時に安全であると考えられているレベルが○・六以上であります。しかし、災害応急対応活動に必要な建築物のうち、特に重要な建築物は基準Ⅰ類が目標とされており、この基準Ⅰ類のIs値は○・九以上であります。当然ながら、区役所本庁舎はⅠ類が理想と考えられ、他の自治体では本庁舎は耐震改修時に○・九以上を目指す動きが全国的に広がりつつあります。また、単に耐震性が高いのみならず、素早い復旧活動を行うためにも、大型物件では免震構造が新築並びに耐震改修時に重要視されている現状もあります。

 以上の観点から、第一に、今後予想される施設の改築・大規模改修についての取り組みとプロセスについて、どのように行っていくのか、現在、来年度に向けて策定中の中央区基本計画二○一三の進捗内容を踏まえて、具体的にお示しください。

 第二に、災害時の素早い復旧に向けて、区有施設は本庁舎をはじめ、公共施設の耐震性や免震機能をさらに高めるような取り組みについて、どういった御見解をお持ちかお知らせください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中耕太郎議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、公会計制度についてであります。

 本区では、平成十三年二月に、企業会計的な手法を取り入れた中央区のバランスシートを公表し、以来、財政白書において、総務省から示された指針に沿った貸借対照表、行政コスト計算書などの財務諸表を作成・公表しております。財務諸表の作成に当たっては、既存の決算統計データが活用できること、財務会計システムの再構築が不要であること、多くの自治体で採用されており、相互に比較しやすいことなどから、総務省方式改訂モデルを基本とした上で、より実態に即した資産情報を把握するための改善を加えているところであります。財務諸表が即時に作成できない等の課題はあるものの、こうした取り組みにより、過去から蓄えてきた資産や将来負担となる負債、行政サービスに係るコストなど、従来の単式簿記・現金主義会計方式だけでは把握し切れていなかった区財政の全体像が明らかになったほか、施設整備等に伴う将来の資産・負債の変化を踏まえた財政計画の検討やコスト分析による施策の費用対効果の検証への活用も期待できるものと考えております。東京都方式を含む地方公会計制度については、総務省に研究会が設置され、今後のあり方に関する検討が現在も続けられているなど、いまだ発展途上の取り組みであります。本区におきましては、必要に応じて現行方式の改善を図りながら、その目的である財務情報のわかりやすい開示、行政評価、予算編成、決算分析での活用に加え、職員一人一人のコスト意識や経営感覚を醸成する観点から、さらなる活用に向けた研究を深めてまいりたいと存じます。

 次に、中央区勤労者サービス公社についてであります。

 中央区勤労者サービス公社は、中小企業の振興と地域社会の発展を目的に、区内中小企業に勤務する勤労者と事業主等を対象に、給付事業や余暇活動事業等の福利厚生事業を実施しています。本年十一月一日現在の会員数は八千九百三十三人であり、ピーク時である平成九年三月の九千三百五十六人に比べ、五%近くの減少が見られる一方、加入事業所数は千七百五十一社となり、千三百八十一社と比べ約二七%ふえております。この要因としては、長引く景気の低迷を背景に、中小企業を取り巻く経営環境が大変厳しく、派遣社員の増加など、雇用環境の変化によるものと考えております。会員の加入促進には、会員の皆様には大変喜ばれている多岐にわたる事業などのPRの一層の徹底が不可欠であります。そのため、区のおしらせをはじめ、ポスターの掲示やチラシの新聞折り込み、入会案内のポスティング、戸別訪問による勧誘を行うほか、一般の方を対象にした講習会での案内など、あらゆる機会をとらえ、会員の増加に努めております。本区の財政負担と会員数については、例えば平成二十一年四月の会員数は八千五百四十四人で、二年後の平成二十三年四月は八千八百四十四人と三百人、三・五%増となっております。一方、区の補助金は、平成二十一年度、二十三年度ともほぼ同額の八千二百万円となっており、会員数の増加率と区財政負担額の増加は比例していないものであります。

 次に、公社の執行体制についてであります。

 理事は、商工業団体や労働団体の代表など、多様な業種の関係者から勤労者の福利厚生に関する幅広い意見を聞き、サービスに反映させるため、十六名が選出されております。このうち、常務理事は、日々の業務の円滑な執行と、理事会等の決定事項を運営に反映させるために、必要な人数として一名が配置されております。また、監事は、公社の運営内容や経理関係を複数の視点で厳正に審査するため、二名となっております。評議員は役員の選任や財務の承認など重要な権限を有するため、区内各地域から中小企業勤労者の実情に精通した事業主と従業員二十名が就任しております。常務理事の報酬額については、評議員会で業務内容や責任の重さなどを総合的にしんしゃくして定められ、妥当なものと認識しております。また、常務理事には本区の教育長や助役であった者が就任しております。なお、非常勤理事と評議員は無報酬ですが、会議出席などの費用弁償が支払われることとなっております。サービス内容については、中小企業勤労者の福利向上の観点から、会員をはじめ、利用者のニーズを十分踏まえ、例えば産地直送の果物のあっせん拡充や宿泊施設の見直しなどに取り組んでおります。

 次に、他区の団体との合併等についてであります。

 中小企業勤労者サービスセンター事業は、地域特性を踏まえ、地域の皆様の協力を得ながら、それぞれの区で実施しております。この四月に公益財団法人として再スタートした本区公社では、会議数も多いことから、統合等は必要ないものと考えておりますが、他区との連絡・協議を進めることは、公社運営のより一層の効率化につながるものと存じます。

 次に、施設の改築や大規模改修に向けた取り組みについてであります。

 本区の人口は、昨年十一月に四十二年ぶりに十二万人台を回復し、その後も力強くふえ続けております。新しい基本計画策定に向けては、この人口増加によるにぎわいを確実に定着させ、さらなる発展につなげることが極めて重要であり、そのために、これまで行ってきた保育施設の充実に加え、児童数の急増に対応するための学校の増改築や改修などに集中的に取り組む必要があると考えております。また、各施設の計画的な更新に向けて、予防を重視した管理による修繕費の抑制や、長寿命化を図りつつ、財政負担の平準化を考慮し、改築・改修の時期や方法を適切に判断してまいります。さらに、改築・改修の機会をとらえて、省エネルギー化や緑化などを確実に実現し、施設の維持管理、コストの縮減に努めるほか、増大する施設需要に対応する強固な財政基盤を確立するため、適正な受益者負担の観点に立った施設使用料のあり方について検討してまいります。

 次に、区有施設の耐震性向上への取り組みについてであります。

 区有施設は、災害時における防災拠点等の重要な役割を担っております。特に、本庁舎においては、災害対策本部としての機能を有しており、耐震性を確保することは極めて重要であると認識しております。本区の本庁舎におきましては、平成十年、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、耐震改修に関する評定及び認定を取得し、耐震改修工事を行っております。現在では、震度六強から七の大地震時においても倒壊せず、その機能が確保されるものと考えております。今後とも、区有施設の重要性を考慮し、適切に建てかえや大規模改修を進め、免震構造等も視野に入れた、さらなる安全性の向上に努めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十七番 田中耕太郎議員登壇〕

○十七番(田中耕太郎議員)
 御答弁ありがとうございます。

 公会計制度に関しましては、非常に、中央区でやっていただいている財政白書等の財務諸表等、まとまっている部分も大きくて、私自身も大きな不満ということがあるわけではないんですけれども、御答弁の中にもありましたように、今現在取り入れているモデルといったもの以外の東京都方式をはじめ、新しい基準等を模索する動きというのは当然ございますので、こういったものに対して、中央区にとって何が重要なのか、またどういった制度を敷くことがわかりやすい財政の健全化、財政の見える化を促進していくのかといったことを常に念頭に置いていただきたい、そういう趣旨で質問をさせていただきました。

 公会計制度に関しましては、専門家の中でも意見の分かれる部分もございますので、皆さんとともに中央区に何が最もふさわしくて、何が必要で、何が必要でないのかというのを考えていきたい、こういうふうに考えてございます。特に、行政評価ですとかコスト意識を職員に徹底するという御回答がございましたけれども、まさにこれを反映できる仕組みづくり、ぜひとも推進していただきたい、このように思います。

 勤労者サービス公社についてでございますが、部分的な質問になってしまった点もあるんですけれども、やはり一番最後に質問しましたけれども、豊島区、北区、それから荒川区の三区は、それぞれ個別に行っていた事業を今後統合するというような新しい動きが出てまいりました。本区は商業のまちでございますから、中小企業向けのサービスといったものを独自に、また充実させていく必要性もあるんだろうと思いますが、やはりこういったスケールメリットを求める動きといったものが二十三区内でも出てきたというのは、非常に注目に値すると考えてございます。どういったことが、結果として中小企業の利用者にとって何が一番ベストなのかというのを模索していただきたい。その一助として、きょうは質問をさせていただいたというところでございます。

 最後に、耐震対策を中心にする施設整備についてでございます。

 今までも委員会等でも本庁舎の耐震性は問題がないということでございますし、今もそういったお答えなんですけれども、Is値が○・六という点は、専門家によっても表現が分かれるところではございますが、○・六というのは、人命の安全確保が図られているという最低限の基準でございまして、その後の十分な機能保全・確保が図れているという点でいけば、Is値は○・九以上が望ましいというふうにされていると思います。ですので、まずこの○・六というのが正しいのか否か、そして震度七クラスの大地震が起きても事業の継続性が担保されているのかどうかだけ、最後、お答えいただければと思います。

 ありがとうございます。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 議員御指摘のように、○・六という数字は、少なくともこの施設の中において人命の安全が確保されているという状態であるわけでございます。そのことでもって災害対策本部等を含めた我々の事業運営については、基本的に支障がないというふうに考えておりますが、引き続き、区長答弁でも申し上げましたように、免震などの処置を含めた耐震性能の向上については、我々のこの施設についても年々やはり劣化していくわけでございますから、そういったところも含めて、私どもとしては今後引き続き検討をしていきたいというふうに考えておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。

○十七番(田中耕太郎議員)
 終わります。


○二十三番(増渕一孝議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十七日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石田英朗議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十七日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時三十四分 散会


署名議員
議長 石田 英朗
議員 染谷 眞人
議員 田中 耕太郎

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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