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平成26年第一回定例会会議録(第2日 2月27日)

1.会期

三十一日(第二日)

二月二十七日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時二十分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 加藤 博司議員

二番 山本 理恵議員

三番 富永 一議員

四番 瓜生 正高議員

五番 染谷 眞人議員

六番 堀田 弥生議員

七番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 増渕 一孝議員

十二番 高橋 伸治議員

十三番 木村 克一議員

十四番 石田 英朗議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 青木 かの議員

十七番 田中 耕太郎議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 原田 賢一議員

二十一番 中嶋 ひろあき議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 礒野  忠議員

二十四番 今野 弘美議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 中島毅君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 浅沼 孝一郎君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 小倉草君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 新治満君

監査事務局長 坂田 直昭君

企画財政課長 黒川眞君

広報課長 園田 典子君

総務課長 長嶋 育夫君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 金田 敏明君

書記 長田 基道君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(原田賢一議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(原田賢一議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十四番石田英朗議員。

十四番 石田英朗議員登壇

○十四番(石田英朗議員)
 自由民主党の石田英朗でございます。

 私は、平成二十六年第一回区議会定例会に当たり、中央区議会自由民主党議員団の一人として、本区の直面する重要かつ緊急を要する課題の中から、さきの質問通告に基づき質問をさせていただきます。区長並びに関係理事者の皆さんにおかれましては、積極的にして建設的かつ明快なる御答弁をお聞かせ願います。なお、御答弁によりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 昨日、矢田区長は、わがまち中央区の黄金時代を築き上げると所信表明で力強い決意を述べられました。大変評価するところでありますが、さらに詳しくお伺いいたしたく、質問をさせていただきます。

 まず、新年度予算において、二○二○年に向けた一歩をどのように踏み出していくのか、テーマに込めた思いを改めてお伺いします。

 平成二十五年九月八日、IOC総会で二○二○年オリンピック・パラリンピックの開催都市に東京が選ばれたことは、大変喜ばしいことであります。次世代の子供たちに夢や希望を与え、東日本大震災からの復興のシンボルとして、また日本経済の再生のために、何としても成功させなければなりません。

 本区は、晴海地区に大会の中心となる選手村が整備されることから、大会後の将来をしっかりと見据え、本区の発展に資するまちづくりを着実に進めていく必要があります。また、銀座、築地、月島、そして日本橋など食文化や伝統文化の中心地である本区は、おもてなしの中心地としても、関係者や多くの観光客でにぎわうことになるでしょう。心から歓迎すると同時に、この機会に本区が世界に誇れる都市としてさらなる発展を遂げる重要な契機になるでしょう。

 本区の人口は、これまでの取り組みのかいがあり、昨年四月には四十六年ぶりに十三万人台に回復し、今も力強く増加し続けております。特に、三十代、四十代を中心とした子育て世代と、それに伴う乳幼児人口の増加が続いており、今後は学齢期人口のさらなる増加も見込まれています。また、現時点では他区に比べて高齢化率は低いものの、将来は高齢社会が進行していくことが予想されます。

 これに加え、二○二○年東京大会の開催に伴い、本区の晴海地区に整備される選手村の宿泊設備が大会後には住宅に転用されることとなっており、これにより、大会後は晴海地区に一万二千人もの人口がふえることが見込まれます。本区としても、さらなる行政需要の増加が想定されることから、しっかり対応していくことが望まれるところであります。

 こうした増大する行政需要に対して確実に応え、若い世代を初めとする増加人口を地域の中に定着させ、にぎわいにつなげていくことが強く求められるところです。そのためには、学校、保育所、高齢者施設などの施設整備を着実に進めていくことに加え、行政サービスの質を一層向上させて、充実を図っていくことが求められております。これまで以上に気を引き締め、区民の負託に応えるよう取り組んでいかなければなりません。

 さて、本区は、昨年二月に中央区基本構想の総仕上げとなる基本計画二○一三を策定したところであり、この計画は、近年の人口増加を踏まえ、あらゆる世代の人々が生涯にわたり安心して暮らしていけることのできる基盤整備を確実にするための各施策を計画化したものであります。まずは、これらの基本計画に掲げる各施策を着実に実施していくことにより、基本構想が目指す本区の将来像を実現し、区民の皆様が都心居住のすばらしさを謳歌できるようにしていくことは、何にも増して肝要であります。

 また、本年四月から実施される消費税の引き上げや二○二○年東京オリンピック・パラリンピックの開催が本区に与える影響を踏まえた対応など、今後生じるさまざまな社会情勢の変化や景気動向などについても、必要に応じて基本計画の施策をブラッシュアップさせ、より柔軟に対応していただくことを望みます。

 本区につくられる選手村は、大会後、数十年にわたって残されるものですから、これを子供たちに負の遺産として残さないためにも、先々を展望した、しっかりとしたビジョンが必要です。

 前回の一九六四年東京オリンピック・パラリンピックは、戦争で焼け野原になった東京が復興した姿を世界に示した大会でもありました。三年間の突貫工事で運河を埋め立て、川に橋脚を立て、首都高速を完成させました。この首都高速は、後の高度成長経済のさなかには、物流の基幹道路としても活躍いたしました。しかし、その後、環状道路や迂回道路の整備で交通量も緩和され、負のレガシー、遺産として撤去や地下化を求める動きも顕在化し、とりわけ日本橋上空にかかる首都高速は何としても撤去してほしいと地元の悲願にもなっております。景観や防災対策の見地からも、この問題は早急な解決が望まれるところです。

 オリンピックのためだけにではなく、将来にわたって持続的発展が可能なまちづくりにつなげていくことが肝要です。そうした意味で、二○二○年は、まさに区長が所信表明で述べられましたように千載一遇のチャンスであると同時に、本区の未来を左右する重要な分岐点であると言えます。

 新年度予算に掲げられた「オリンピック・パラリンピックで子どもたちに夢を!」というテーマは、本区の将来に向けた区長の意気込みを率直にあらわしたものとして受けとめております。実際に東京開催が決まったことをきっかけとして、六年後、いや、二十年後、三十年後、子供たちが大人になったときのまちを区長さんはどのように思い描かれたのでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。

 本区の未来を担う子供たちのために、まずは新年度予算において二○二○年に向けた一歩をどのように踏み出していこうとお考えか、そのテーマに込めた思いを改めてお伺いいたします。

 次に、区としての良好なまちづくりに向けた取り組み姿勢をお伺いいたします。

 二○二○年東京大会は、東京圏の三十三競技会場のうち二十八会場が中央区晴海の選手村を中心として半径八キロ以内に配置される非常にコンパクトな大会であり、本区を含めた二十三区中九区に競技会場等が予定されております。本区においては、晴海地区の都有地を中心とする四十四ヘクタールの土地を活用し、大会時には一万七千人の収容人口を見込む選手村計画が予定されています。選手村計画は、各競技会場の建設とは異なり、大会後には住宅転用により一万二千人もの人口増が見込まれる計画であることから、本区においては、晴海地区だけでなく月島地域、さらには中央区の将来像が大きく変わることとなります。そのため、本区の将来像を見据えた区民の生活の質及び利便性の向上に資するようなまちづくりが必要であり、とりわけ晴海地区では大量の住宅供給により不可欠となる小・中学校を初めとする公共・公益施設の充実や生活利便施設、また公共交通機関の充実の取り組みが重要であります。

 現在、選手村整備を大会開催に間に合わせるため、都からは、その上位計画である豊洲・晴海開発整備計画の選手村に係る部分を先行改定していく旨の説明を受けておりますが、この先行改定に当たっては、地元の意見も踏まえ、晴海地区の将来を見据えた全体改定につなげるよう進めていただきたいと考えております。

 選手村の整備に当たっては、オリンピック・パラリンピックの成功はもとより、晴海地区の将来を見据えたまちづくりに主眼を置いて進めていくことが重要であり、我が党としては、このほか、選手村整備に伴い使用不可となる晴海グラウンド・晴海臨海公園の代替施設の提供や東京湾大華火祭の継続実施など、さまざまな課題をクリアしていかなければならないと認識しております。

 こうした中、選手村を整備する東京都からは、開催都市決定以降、大会開催までの選手村整備のスケジュールや大会後のまちづくりの方向性を示す豊洲・晴海開発整備計画の改定案など、大会後も見据えた選手村整備に係る取り組みが順次示されております。選手村整備に係る工事については、来年、平成二十七年の夏ごろ着手とされることを考えれば、時間的余裕はなく、区としても積極的かつ迅速に取り組んでいただきたいと感じているところです。

 本区がこれまで都に対し、開催都市決定後、迅速に要望書を平成二十五年九月十一日に提出し、大会後の将来を見据えたまちづくりを着実に進めていくよう要望してきていることや、地元への説明や協議の場を設け、地域の課題を踏まえた計画策定等についても協議・検討するよう働きかけていることは理解しております。今後、都の選手村整備計画が進んでいく中で、晴海地区の将来を見据えたまちづくりを推進していくためにも、これまで協議してきた事項やさまざまな課題について確実に推進・実施していけるよう、区として積極的に取り組んでいくことが重要であると考えます。

 そこで、お伺いします。

 区として、二○二○年のオリンピック・パラリンピック競技大会の成功はもとより、本区の良好なまちづくりについて、いま一度取り組み姿勢をお示しいただきたい。また、晴海地区の将来的なまちづくりを進めていくに当たり、区として、今後どのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

 さらに、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック招致で評判になりました言葉、おもてなしに関連しましてお伺いいたします。

 選手村のできる本区らしいおもてなしは何があるでしょう。食文化、伝統文化、衣(着物)文化、下町の文化、人形町や西仲などさまざまな日本独特の文化があります。また、銀座や日本橋など商業施設や店舗も文化の一つでしょう。それらの文化の中には、いつも人がいます。人々がいて文化が生まれ、文化によって人々は豊かになります。旅人は、その文化に触れることにより、その土地に暮らす人々を理解し、親しみを感じます。世界中の人々に、上辺だけではない、これら文化に触れていただくことが最大のおもてなしになると考えます。このおもてなしが、旅人を再びこの地へいざなうことにもなるのです。おもてなしは、行政主導だけでできるものではありません。官民一体となった取り組みが必要です。

 そこで、私からは三つの提案をさせていただきます。

 第一に、着物でおもてなしです。

 二○二○年オリンピック・パラリンピックの開催は夏なので、浴衣でまちのガイドをする浴衣ボランティアがまちのそこかしこにいてもいいでしょう。そして、選手村には、選手に浴衣を着せて記念写真サービスをするブースを設置し、それも提案したいものです。観光客向けには、中央通りの何カ所かに茶屋を設置し、着つけと記念写真、お茶のサービスでおもてなしする。

 また、日本橋ににぎわいを取り戻すとして、室町再開発周辺では文化や伝統はそのままに、新たな魅力を創造する、残しながら、よみがえらせながら、つくっていくとして、現代と伝統の融合地区が生まれつつあります。その取り組みの一つに、「TOKYO KIMONO WEEK~きもの・和・日本橋~」と題して、毎年十月に日本橋から室町にかけて大々的なイベントを開催しておりますが、この組織やイベントの活用も考えたらいかがでしょう。バックヤードには堀留地域の和装問屋の機能を活用し、全国の浴衣産地の協力を仰ぐことも可能でしょう。東京の着物のまち堀留の灯を消さないためにも、協力体制を構築することが不可欠です。

 二つ目の提案は、二百カ国を超えるオリンピック参加国の花を中央通りの花壇に育て、その国の国名や概要を記したプレートを設置してはいかがでしょう。平成元年に花の都中央区宣言をした本区にふさわしいおもてなしではありませんか。銀座から日本橋、世界の花でおもてなし、中央通りはな街道は、国交省国道事務所が二○○二年十二月、江戸開府四百年を記念し、一年間の社会実験としてスタートしました。その後、二○○四年より、中央通り「はな街道」フラワー・サポート・プログラムとして、水奉行、沿道の地元町会員による花壇の水まき、花奉行、花壇に季節の花々を咲かせる寄金を提供する方の三者で推進され、平成十八年からはNPO法人として許可を受け、現在も活動しております。国際都市東京のメーンストリートにふさわしい景観の保全と新たなにぎわいの創出を目指している、この事業と連動し、オリンピックおもてなしバージョンで機運を盛り上げてはいかがでしょう。さて、三つ目は、外国人観光客にモバイル端末を使った翻訳サービスの提供です。

 これは、既に一部の空港や高島屋デパートなどで実証実験中ですが、モバイル端末、タブレットですが、それに向かって話をしてもらうと、多言語に対応して通訳者が即時対応し、タブレットの中の通訳者と三者で会話することにより、商品の説明や外国の方の疑問に、日本語以外の言葉がわからなくても答えることが可能になります。これは、NECが開発したシステムなんですが、海外からの訪問者の多い本区にはうってつけのツールではないでしょうか。区内の店舗や案内所、病院など幅広く、あらゆるシーンで活躍することでしょう。日本人は、外国語で話しかけられると、私もそうなんですが、臆してしまって海外の人々とうまくコミュニケーションがとれません。この端末が区内のあらゆるところに配置されることにより、コミュニケーションが成立して、さらなるおもてなしが可能になります。千客万来の中央区実現にはどうしても必要なツールとなること間違いありません。導入に当たっての財政問題や、端末を置くことを引き受けてくれる店舗やその負担など、さまざまな課題はありますが、導入に向け、検討していただきたいと思う次第であります。

 以上三点の提案をさせていただきましたが、本区ならではのおもてなしはまだまだあると思います。官民一体となって、よりよいおもてなしのプランづくりをしていただき、来日された人々が再び来日してくれる日本好きのリピーターとなってくれることを心から願っております。

 そこで、お伺いしますが、選手村ができる本区におけるおもてなしの重要性について、区長さんのお考えをお聞かせください。

 次に、高齢者対策についてお伺いいたします。

 平成二十五年六月に出された高齢社会白書によると、平成二十四年十月一日現在、総人口は一億二千七百五十二万人、六十五歳以上の高齢者人口は過去最高の三千七十九万人、高齢化率は二四・一%であり、超高齢社会となっております。さらに、将来人口推計を見ると、今後も高齢化率は上昇を続け、現在は高齢者は四人に一人、平成四十七年、二○三五年には三人に一人、平成七十二年、二○六○年には二・五人に一人となることが予測されております。人口の高齢化は社会の活力や社会保障制度等に多大な影響を及ぼすものであり、国においては社会保障制度改革や少子化対策、女性や高齢者の働ける場の拡大など、さまざまな取り組みが進められております。

 このような中、本区では、本年二月一日現在の高齢化率は一六・三%であり、基本計画二○一三の人口想定によると、平成三十五年、二○二三年が一六%と、全国と比べ低く推移するとされています。しかし、高齢人口は二万一千六百八十人が二万三千九百人と確実に増加することが予測され、本区においても高齢社会への対応が急務であります。

 高齢社会への対応として、二つの視点が重要であります。

 一つは、健康寿命を延伸し、元気な高齢者をいかにふやすかということであり、もう一つは、支援や介護が必要になった高齢者を地域でどう支えていくかであります。

 支援や介護が必要になっても、住みなれたこのまち、中央区で暮らし続けることは、多くの区民の願いであります。できれば自宅で、自宅の近くで生活が困難となっても、住みなれたまちで安心して暮らし続けられるような施策、地域包括ケアの推進が必要であります。現在、区では、地域に密着した特別養護老人ホームの整備に加え、ショートステイの増床やデイサービスを基本として、訪問介護や泊まりのサービスを組み合わせて提供する小規模多機能型居宅介護事業所の整備等、在宅へのサービスの拡充にも取り組んでおります。今後とも、御本人の尊厳を守り、御家族等の負担も軽減できるような施策を推進されるよう要望するものであります。

 さて、元気高齢者の増加についてであります。

 今回の介護保険制度改正では、生きがいのある地域づくりが介護予防につながるの考えのもと、地域に根差した住民主体の運動、交流の場の拡大が打ち出されております。身近な場所に健康づくりや交流できる場があれば、少し足が悪くなった方でも参加しやすく、毎日でも行くことができます。毎日参加していると、自然に運営にも加わるようになっていきます。住民主体の活動を広げるためには、何よりも近いところやなじみのある場を使うのが大切であると考えます。

 近いところに介護予防の場をつくるといっても、本区のように土地に限りのある都心区では、新しい施設を整備するのはコストがかかるなど困難を伴います。そこで、区内の既存施設の活用を考えてはいかがでしょう。運営に工夫を凝らすことなどにより、新しい介護予防事業も実施することが可能になると考えます。さらに、新しく介護予防のグループをつくるより、なじみの関係ができている高齢者クラブやラジオ体操会等のさまざまな地域の活動を活用することも効果的・効率的であると考えます。

 私も地域のラジオ体操会に参加しておるんですけれども、毎日のラジオ体操から始まって、いつも参加している方の姿が見えないなど、そうした場合には訪問するなど、お互いの見守り体制、そういったことも自然に行う状況になっております。

 そこで、お伺いをいたします。

 今後、区では、どのように地域に根差した運動、交流の場を拡大し介護予防を実施していくかのお考えをお聞かせください。

 さて、区内でこのような健康づくりや交流することができる活動や場所があっても、これから情報が十分周知されなければ、なかなか参加者はふえません。例えば、介護等で支援を必要とする場合、おとしより相談センターに行けば、さまざまな情報を手に入れ、アドバイスも得られ、介護サービス等の利用方法もわかってきます。

 そこで、お伺いいたします。

 元気高齢者にも、おとしより相談センターのようにさまざまな活動の情報の収集や提供を行うなどの拠点が必要であると考えます。ぜひそのような場所を設けてはと思いますが、いかがでしょうか。このように区民が参加しやすい介護予防事業を実施し、周知に努めても、参加者がなかなか伸びないことが懸念されます。また、活動を続けてもらうこともなかなか難しいものです。このような方々をどうやって活動に結びつけ、継続していただくかも考えていく必要があります。

 杉並区では、平成二十一年度から長寿応援ポイントとして、地域貢献活動や生きがい活動、健康増進・介護予防活動に参加した場合、ポイントシールが配られ、シールがたまると、その八割を区内共通買物券と交換でき、二割は長寿応援ファンドに寄附し、さらなる支え合いに活用されるという制度を実施しています。昨年十二月末現在、延べ登録者数は二万八千百七十一人、クラブ数は千二百七十団体となっているそうです。国においても、高齢者同士の支え合いを全国展開するに当たっては、ポイント制度の導入も検討するとしております。活動すると、その分ポイントがたまるというのは、なかなか楽しいものであり、活動の励みともなるのではないでしょうか。

 そこで、お伺いをいたします。

 ポイント制度の導入あるいはポイント制度以外にもさまざまな方法があると思いますが、何か活動の励みになるような仕組みを導入することが必要ではないでしょうか。御見解をお聞かせください。

 元気高齢者をふやすための介護予防事業について、いろいろ提案してまいりました。地域の方たちと交流を図る、ともに運動して体力の向上に努める、そして支援が必要な方がいれば、ささやかな支援を行う、このような活動を通して、地域の一員として生きがいを持って元気に暮らしていけるような高齢者施策の展開を強く望むものであります。

 次に、子育て支援についてお伺いをいたします。

 厚生労働省の平成二十五年人口動態統計の年間推計によりますと、平成二十五年の出生数は百三万一千人と推計され、平成二十四年に比べると六千人の減少となり、日本全国、国内における少子化の進行が顕著にあらわれております。

 一方、本区では、一時は四百人台まで落ち込んだ年間出生数も、平成九年以降は増加に転じ、平成十八年以降は毎年千人を超え、昨年、一千六百九十四人となりました。平成二十四年と比べて百八十三人も増加し、本区のベビーブームはとどまることなく今後も続いていくことが予想されます。さらに、出生数の増加に伴いまして、ゼロ歳から五歳までの乳幼児人口も急増し、十年前の平成十六年四月には四千五十九人であった乳幼児人口が、本年四月にはその二倍に迫ろうかという勢いであります。

 こうした状況は、本区の人口構成の中心を担う三十代、四十代の働き盛りの方々、子育て世代の方々の住民がふえたことによってもたらされたものでありますが、本区において出産支援事業として、妊娠された方への一万円分のタクシー利用券や出産時に三万円分の区内共通買物券の贈呈、中学生までの通院・入院における医療費助成など、中央区で子供を産み育てたい、中央区に住み続けたいと思えるような支援策に取り組んできた矢田区政の成果であると評価するものであります。

 このように、子供たちの声がまちに響き、活気とにぎわいにあふれる一方、乳幼児人口の急増に伴う課題もまた浮き彫りになっております。急速な子育て家庭の増加に伴い、保育需要の増大が続いていますが、昨年四月には百九十三人の保育所待機児童を出すなど、残念なことに、保育所整備が追いついていない状況にあります。

 これまでの対応を見ますと、平成二十一年四月に待機児童が百三十二人となり、初めて百人を超えましたが、こうした状況に対応するため、即座に同年八月に子育て支援対策本部を立ち上げ、全庁を挙げて保育所の待機児童解消に向けた取り組みを進め、本年度開設された私立認可保育所二園と京橋こども園を含めますと、本部設置以降、認可保育所七園、認証保育所六園、認定こども園三園が開設されることなど、千百九十六人の保育定員拡大を行ったことは高く評価できるものであります。さらに、本年四月には六園の認可保育所が新たに開設され、四百八十一人の定員拡大が図られるとともに、待機児童数が一番多い一歳児への対応として、一歳児が確実に入園できる定員を確保するため、一歳児からのクラス編制とするなど、待機児童の解消を目指す取り組みは大変心強いものがあると認識しております。

 しかしながら、今後も予定されている大規模な再開発や高層マンションの建設などにより、引き続き三十代、四十代の子育て世代の転入などによる乳幼児人口の増加が見込まれ、共働き世帯の増加や就労形態の多様化に伴い、保育ニーズがさらに増大していくことが懸念されます。今回の保育所整備により、待機児童は一時的には解消されるかもしれませんが、今後も乳幼児人口が増加することを前提とするならば、さらなる取り組みを行わなければならない状況であると考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 平成二十五年の年間出生数を踏まえた上で、今後の保育ニーズをどのように捉えて分析しているのか、御見解をお聞かせください。また、あわせて、どのようにして待機児解消に向けた取り組みを進めていくのか、御見解をお聞かせください。

 最後に、教育問題、国際教育・理数教育の推進についてお伺いいたします。

 平成二十六年度の中央区予算案におけるメーンテーマは、「オリンピック・パラリンピックで子どもたちに夢を!」であります。東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れながら、次の世代を担う子供たちこそ、地域、中央区、日本、世界の宝物だと考え、就任以来一貫して子育てや教育のまちづくりに全力で邁進してきた矢田区長ならではのテーマであると感服しております。子供たちが夢を持てるまちは、平和で安心・安全で、何よりも一人一人の子供たちがあらゆる大人に大切にされる思いやりに満ちたまちであり、大人にとっても住みやすく生きがいあふれるまちであると考えられるからであります。子供たちが夢を持つためには、人格形成を図り、日本や世界といった社会で活躍できる人材となる基礎を築く学校教育のさらなる充実が重要であります。そのために、区長さんは所信表明の中で、国際教育と理数教育の推進を図ることを述べられております。

 中央区は、都心中の都心であり、日本の経済、金融、商業などの拠点であることから、世界中からビジネス客、観光客が訪れ、多くの人が集うグローバル都市であります。二○二○年のオリンピック・パラリンピック開催のときには、今以上に多くの方々が集うまちになることは間違いありません。

 そこで、グローバル化時代を主体的に生きる人材を育成する国際教育は、本区にとってはまさに重要な課題であります。また、これまでの日本の産業や生活の向上を支えてきたのは、科学技術や丁寧なものづくりであります。日本の科学技術立国を担う人材の育成に向けて、科学に関する素養を十分に養い、知的探求心を高めていく理数教育も重要であります。

 本区は、これまで国際教育の推進のために英語教育の充実やサザーランドへの中学生の体験学習など、長年にわたって実施してこられました。また、理数教育の推進として、子供たちの習熟度に応じた学習指導や教育センターでの科学教室の実施などを行ってこられました。今後、一層の推進を図るためには、その成果を踏まえ、国際教育・理数教育の方向性について明確なビジョンを持つ必要があると考えます。

 そこで、お尋ねします。

 まず、今後の社会のさらなる発展を見据えて、どのような人材が求められると考えるか、区長さんのお考えをお聞かせください。あわせて、教育委員会として、どのような人材を育てていきたいと考えるか、お聞かせ願います。

 次に、教育委員会では、これまでどのような考え方に基づき国際教育や理数教育を進めてきたか、その成果と課題は何か、お考えをお聞かせください。

 次に、今後の具体的な方策づくりについてであります。

 国際教育も理数教育も、子供たちの心を揺り動かし、学びたいという意欲と学ぼうとするきっかけを生み出すことが、真の力を身につけさせるポイントになってくると思います。冬のこの時期、昔であれば、学校に通う道端で当たり前のように霜柱を見たものです。この霜柱が大きな石を持ち上げてしまうほどの力持ちであることに驚いたものです。寒いことを自分の肌で感じるだけでなく、自然現象の不思議として感じたものです。子供たちの理科離れが危惧される中、子供たちの心に響く自然体験が不足していることが、しばしば指摘されます。教室での座学にとどまることなく、本物に触れる、本物と出会うということが、子供たちの発見とみずから働きかけようとする態度を育てていくと私は考えております。今後、目指すグローバル化時代を主体的に生きる人材、科学技術立国を担う人材の育成に向けては、着実にその推進を図るため、学校の現状を踏まえた上での創意工夫が必要だと考えます。

 教育委員会としてのカリキュラムをおつくりになっていくのでしょうが、現場に根差した具体的な方策づくりをどのように取り組まれていかれるのか、お考えをお聞かせください。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕 ○区長(矢田美英君) 石田英朗議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、新年度予算についてであります。

 実に、五十六年ぶりの東京開催となる世界最大・最高のスポーツと平和の祭典は、次代を担う子供たちに大きな夢と希望を与えると同時に、東日本大震災の被災地復興を初め、日本の社会全体に一層の元気、明るさをもたらす大きな原動力となるものであります。また、オリンピック・パラリンピックを間近に体験することから得られる感動と勇気、世界中から訪れる人々との触れ合いを通じて育まれる友愛の精神は、子供たちにとって一生の宝物であり、生まれ育った我がまちへの誇りとともに、大会後のレガシーとして長く生き続けることを切に願う次第であります。そのためには、子供たちが健やかに成長できる環境を整えていくことが何よりも重要な課題でありまして、新年度予算では、待機児童解消への取り組み強化、学びの場である学校の整備・充実や国際教育・理数教育の推進など、「子どもが輝く子育て・教育のまちづくり」に傾注したところであります。加えまして、二○二○年大会は、一層の人口増加や国際化の進展など、本区の未来に大きな変化をもたらす転機であります。次世代を見据えた長期的な展望のもと、都心居住の機能、業務機能、都市観光機能が三位一体となったまちを目指し、利便性や防災性をより一層高めるための取り組み、ユニバーサルデザインのまちづくり、本区ならではの魅力発信に向けた取り組みについて積極的に予算に反映させたところであります。二○二○年を本区のさらなる発展に向けた大きなステップと捉え、全ての区民が生涯を通じまして生き生きと暮らし、活動し続けられるまちの実現に向けて、各施策に一層の磨きをかけ、区議会を初め、区民、関係者の皆様と力を合わせて中央区の黄金時代を築き上げてまいる所存であります。

 次に、オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした本区の良好なまちづくりについてであります。

 二○二○年大会の中心となる選手村を擁する地元区としましては、今大会を成功させる大きな役割がある一方、大会後のまちづくりに主眼を置いて取り組んでいくことが重要であると認識しております。晴海地区におきましては、大会後には五千戸を超える住宅が供給されるなど、大きな変化が想定されることから、地元の方々からなる将来ビジョン検討委員会を設置し、検討を開始したところであります。現在、都からは選手村整備の具体的な計画は明らかにされておりませんが、大会後を見据え、将来にわたって安心して住み続けられる住環境の整備はもとより、魅力あるまちの将来像を地元の方々とともに描き上げ、その実現に向けて都との協議を鋭意進めてまいります。また、本区のさらなる発展に向けては、都心部と臨海部を結ぶ交通網の整備や首都東京の重要な交通結節点である東京駅前の整備、都市景観にも配慮したサイン計画やパラリンピックを念頭に置いたバリアフリー化の促進など、月島・晴海周辺地域だけでなく、日本橋・銀座のまちづくりなどと一体となって区全体の良好なまちづくりに一段と弾みをつけなければなりません。今後、国や都との役割分担を踏まえるとともに、緊密な連携・協力を図り、本区の魅力あるまちづくりに全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、本区におけるおもてなしについてであります。

 二○二○年東京オリンピック・パラリンピックは、日本の文化・商業・情報の中心として発展を続ける本区の多彩な魅力を世界に発信していく絶好の機会でもあります。選手、役員を初め、大会を機に内外から訪れる多くの方々を最高のホスピタリティーでお迎えするためには、安全・安心・快適に過ごすことができる防災・防犯対策の強化や清潔で美しい町並みの維持はもとより、インターネット接続環境の充実など情報のバリアフリー化、多様な楽しみ方を体験できる観光メニューの充実など、さまざまな取り組みが求められます。また、相互の文化や生活習慣を理解した上で世界の方々と触れ合うことができるよう、区民、観光・商業関係者一人一人の外国人に対するコミュニケーション意識を醸成していくことが何よりも大切であります。本区ならではのきめ細やかなおもてなしの心が大会後も地域に根づくよう、御提案の内容も踏まえながら、多面的な取り組みを検討するとともに、区民、地域団体の皆様と連携・協力を図り、何度も訪れてみたいまちを目指してまいります。

 次に、高齢者の運動・交流の場についてであります。

 現在、さわやか健康教室などさまざまな介護予防事業を実施しておりますが、参加者がふえない、教室終了後に継続して活動できる場がない等の問題点が出ております。このため、参加しやすい身近な場所で長期にわたって活動できる場の確保が求められております。今後、身近な場所で運動や交流の場が確保できるよう、十思デイルームや浜町トレーニングルームなどの既存施設において、介護予防事業の充実や見直しを行い、活用を図ってまいります。さらに、高齢者クラブやラジオ体操会等、地域に根差した活動団体に対しまして、一番身近な居場所、介護予防、支え合いの場としての機能を持っていただけるよう働きかけてまいります。また、シニアセンター及びいきいき館を、介護予防を初めとした高齢者のためのさまざまな情報の発信源、つながりの拠点として機能を拡充してまいります。

 次に、活動の励みとなる仕組みについてであります。

 介護予防の効果を上げるには、高齢者みずからが日ごろの生活の中で健康づくりや生きがいづくりに継続して取り組むことが必要であります。そこで、高齢者が参加し、継続したくなるような活動の促進策が求められます。他の地域においては、ポイント制度のほか、活動の発表会、すぐれた活動に対する表彰等が行われております。これらの事例の検証なども行いながら、本区に適した介護予防活動の励みとなる仕組みについて検討してまいります。

 次に、今後の保育ニーズの分析及び待機児童解消に向けた取り組みについてであります。

 平成二十五年四月における保育ニーズの割合は、全体で四○・四%と、三年前より五ポイント以上高くなっております。特に、一歳児、二歳児はそれぞれ四七・六%、四八・三%と、歳児別人口の半数近い割合となっており、年間出生数の増加とも相まって、保育所の申し込みが行われる一年後、二年後に保育所入所希望者の急増が見込まれます。待機児童については、本年四月の私立認可保育所六カ所の開設による定員拡大によって一旦は実質的な解消が図られるものと見込んでおりますが、乳幼児人口や保育ニーズの伸びを考慮しますと、今後も継続した保育施設整備への取り組みが必要であると考えます。そこで、平成二十六年度は、私立認可保育所二カ所の十月開設に向けて新たな支援を行い、約百九十名の定員拡大を図ってまいります。また、現在、平成二十七年度から導入される子ども・子育て支援新制度に基づく事業計画策定に向け、本区子ども・子育て会議において審議を進めているところであります。今後も、潜在的ニーズを含めた区内の子供・子育てにかかわるニーズを把握の上、事業計画に基づく保育施設などの定員確保施策や地域子ども・子育て支援事業を実施し、待機児童解消に向けた施策はもとより、子育てしやすい環境の整備を図ってまいります。

 次に、これからの社会に求められる人材についてであります。

 人や物流・金融・情報が国境を自由に行き交うグローバル社会においては、次代を担う若者には地球規模で考え、足元から行動できる力と、地域に根差して世界に飛躍できる力量の双方を身につけていただきたいと思っております。人格の完成に向けた努力に加え、しっかりとした自分の考えを持ち、それを表現できる力と、相手の考えも尊重しながら建設的な議論を積み上げられる力も肝要であります。中央区に育つ若人が、こうした能力を遺憾なく発揮しながら、平和で誰もが輝ける社会の持続的発展に貢献できる人材に成長し、大きく世界に羽ばたくこと期待してやまないところであります。教育の中央区を標榜する本区としては、学校や家庭、地域、関係機関などの皆様と心を一つにして子供たちの健全育成に努めてまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕 ○教育長(齊藤 進君) 教育問題についてお答えをいたします。

 教育委員会が目標とする人材についてであります。

 本区の学校教育では、初等中等教育を通して、思いやりの心、健康な体、強い意志を持つひと、すすんで学び、考え、行動するひと、ひとの役に立つことを積極的に行うひとの育成を目指しております。こうした人材を育成するため、個性や能力を伸ばす教育、豊かな心、温かな人間関係を育む教育、さらには健康な体づくりを推進するなど、幼稚園から中学校までの学びの連続性に配慮しながら、子供たちの発達段階に応じて知・徳・体をバランスよく育むよう取り組んでおります。

 次に、国際教育・理数教育についてであります。

 急速なグローバル化に対応するため、諸外国と日本の文化を尊重する態度やコミュニケーション能力、思考力、判断力、表現力を育成することは極めて重要であります。本区では、従来から国際理解教育に力を注いでおり、外国人英語講師、ALTを全小・中学校に配置するなど、子供たちの英語への興味・関心を喚起し、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が養われるよう努めてまいりました。また、外部講師を招いての国際理解教室や中学生の海外体験学習など、体験や交流を重視しながら世界を学ぶ機会をつくっております。同じく力を注いできた理数教育では、全小・中学校に算数・数学の非常勤講師を配置し、習熟度別の少人数指導を充実させることにより、子供たちの学習意欲が向上しています。また、小学校の理科支援員の配置、教育センター教室や科学教室の実施は、子供たちの科学への興味・関心を大いに高めてきました。今後の課題としては、子供たちが実際に英語を話してみようとしたり、自然現象をみずから調べてみたりするなど、高められた興味・関心が身近で実用的な知識・技能の習得に結びつき、活用されるような働きかけを一層工夫していく必要があります。教育委員会では、国際教育と理数教育を一層推進するため、今年度委員会を設置し、検討を行っております。委員会の構成員には、管理職だけでなく、一般の教員の代表も加わることにより、現場の声が反映できるよう取り組んでおります。来年度は、学識経験者や保護者、地域の代表も加え、さらなる検討を行い、パイロット校でのカリキュラムづくりに結びつけていきたいと考えております。検討に当たっては、実用的なコミュニケーション能力の基礎を培う効果的な英語教育の推進や日本人としてのアイデンティティーを確立する伝統・文化教育、さらには人権尊重や国際協調の精神を育む取り組みなどについて検証してまいります。また、理数教育では、企業や大学と連携した出前授業や実験・自然観察など体験を重視した学習活動について検証していく予定です。いずれの場合も、これまでのパイロット校の伝統・実績と、地域とのかかわりを大切にした検討を行ってまいります。

 答弁は以上です。

〔十四番 石田英朗議員登壇〕

○十四番(石田英朗議員)
 それぞれ大変御丁寧な、前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 個々の問題につきましては、私も、これから予定されております予算特別委員会にメンバーとして入っておりますので、そちらの方でこの続きの議論はたっぷりと深めてまいりたいというふうに思うところであります。

 ただ、きょうは大勢の元気な高齢者の方がお見えでございます。この方々にリップサービスをするわけではないんですが、健康寿命をいかに伸ばして、寝込んでしまう、人にお世話になる期間を短くするかということは、これからの日本の介護事業にとっては大変重要な問題であろうというふうに考えます。

 今、子育て支援のほう、大変保育園の増設等で中央区も大忙しで、我々も必死になって保育園の充実を図ったりしておりますが、やはり高齢者のほうにもぜひ目を向けて、施設をつくるということでなくて、それだけではない。施設をつくることも大事なんですが、やはりその前の段階、元気な高齢者のための、やりがいのある、張り合いのある地域へ、あるいは皆さん方に出てきていただいて、そしてコミュニケーションを図って、中央区の中で元気に生活をしていただく、これが一番大事なことだというふうに思います。そのことによって、寝たきりになっていくとか、そういう期間を少しでも狭められるというふうに私は確信を持っていますので、何としても、ポイント制度の話は出しましたが、何らかの形でこういった施策の展開を充実させていただきたいというふうに切に願うものであります。

 このあたりを要望して、予算特別委員会のほうに質疑を送りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 本区の未来に向けての本当にすばらしい区長さんの取り組みに敬意を表して、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時三分 休憩


午後三時二十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十六番植原恭子議員。

二十六番 植原恭子議員登壇〕

○二十六番(植原恭子議員)
 中央区議会公明党の植原恭子でございます。私は、平成二十六年区議会第一回定例会に当たり、中央区議会公明党の代表として、区民の目線から、中央区が当面する行政課題について質問通告書に従い質問させていただきます。矢田区長並びに理事者の皆様におかれましては、どうか明快で建設的な御答弁をくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 平成二十六年度中央区予算案は、テーマを「オリンピック・パラリンピックで子どもたちに夢を!」と定め、二○二○年を契機とした将来的なまちづくりを念頭に置きながら、学校の増改築や保育所、介護施設等の基盤整備、商工業と都市観光のまちである本区ならではの活気とにぎわいの創出など、基本計画二○一三に掲げる施策の方向性に沿って各種事業の充実と強化を図られました。

 六年後、二○二○年東京オリンピック・パラリンピックは、半径八キロ圏内で競技が行われるコンパクトな大会、まさに矢田区長がおっしゃるとおり、選手村が整備される中央区を中心としてオリンピック・パラリンピックが開催されると言っても過言ではありません。日本国中はおろか、世界中の人々が訪れ、注目される中央区となることは間違いなく、期待は一層高まります。

 近年、中央区の人口は力強く増加を続けています。特に、若年世帯の増加が著しく、国の少子化とは正反対に、子供の数も大幅にふえ、昨年一年間の出生数は千六百九十四人に上りました。私が区議会の一員とならせていただいた十五年前から思いますと、その数は約三倍にもなり、大変喜ばしい限りです。

 このことは、言うまでもなく、堅実で健全な財政運営のもとで一心に人口回復を目指し、安全・安心と快適で魅力ある都心居住に向けたまちづくり、そして子育て支援、高齢者施策など、トップクラスの住民福祉の充実に邁進された矢田区長を中心とした職員の皆様の不断の御努力のたまものであると高く評価いたします。また、私たち区議会公明党としても、各施策の中でさまざま御提案申し上げてきた立場から、深く感謝申し上げます。

 今、改めて平成二十六年度中央区予算案のテーマのごとく、子供たち、そして全ての区民に二○二○年東京オリンピック・パラリンピックの夢と希望を与え、喜びを共有していただけるような区政運営を心よりお願い申し上げます。

 さて、国においては、最重要課題である景気回復を初めとして、東日本大震災からの復興支援事業、三十年内に七○%の確率で起きると言われている首都直下地震などに備えての防災対策、そして深刻な少子高齢化の進行に伴う介護、子育て、医療、年金、雇用など社会保障制度と税制度の一体改革、さらには教育改革、地域コミュニティの形成等々、私たち区民の生活に直接影響する課題だけでも山積しております。景気回復の兆しが一部には見えてきたようですが、広く国民にその実感をもたらし、家計に景気回復の成果が届くにはまだまだ至りません。

 さらに、この四月から消費税が五%から八%になります。増税分は全て国民の社会保障費に充当されるということで、国の現状や将来を考えると、今、痛みを伴っていくことも仕方がないと理解をされている国民も一定程度いますが、日常生活に影響を及ぼすことは容易に推測されることです。

 中央区では、消費税率の引き上げによる平成二十六年度の増収を約三億円と見込み、待機児童解消などの子育て施策や在宅介護を中心とした高齢者施策のための財源として活用するとしています。

 また、人口増加を背景とした納税義務者の増加などにより、特別区民税は六・五%の増が見込まれているものの、特別区たばこ税の減収により、特別区税としては前年度に比べ五・○%の増となりました。

 特別区債においては、竣工年度を迎える明正小学校・明正幼稚園及び新川児童館の改築のほか、新たに着工する豊海小学校・豊海幼稚園の改築財源として特別区債を発行するため、前年度に比べ二二一・一%の大幅な増となっています。これらは、基金を取り崩して財源とされますが、一昨年から国としても深刻な問題となっている建築資材の高騰や建築にかかわる人材不足、労務単価のさらなる引き上げなどで施設の改築費用は大幅に増額せざるを得ない状況になりました。

 平成二十六年度予算案では、それらを見込んだ上で、改築工事の当初年度である二十六年度予算書に施設全体計画として、年度ごとの計上とともに、施設整備費の全容が示されておりますが、それぞれ当初の見積もりよりも約三割アップして計上し、対応されているようです。これを見ても、施設整備に係る建築業界が経営上いかに厳しい状況であるかを見てとることができました。

 また、積立金全体は開発協力金収入の増に伴うまちづくり支援基金等への積み立て増により一○七・九%の増となっていますが、施設整備基金や教育施設整備基金などは、当然のことながら減少しています。

 二十三区においても、ある区では、この四月に開設が予定されていた複数の私立認可保育所の建築が建築資材の高騰などで間に合わず、開設を遅延し、約三カ月間、緊急対策として公有地に仮設園舎を建設して対応するという、これまでには考えられない異常な事態がニュース報道で映し出されておりました。

 私は、本区の施設整備につきましては、老朽化対策や防災対策はもちろんのこと、急激な人口増に対応し、新たな行政ニーズに応えていくためにも大変重要であると考えています。ただ、中央区においても、今年度、区民待望の生涯学習交流館本の森ちゅうおう(仮称)が建築資材の高騰等が原因で、残念ながら契約不調に終わり、先延ばしになりました。区が施設整備の優先度を検討し善処されたことは理解いたしますが、今後については、少なからず不安が残ります。

 そこで、最初の質問ですが、このような国の財政や社会環境の現状等を踏まえて、区の平成二十六年度予算案を編成するに当たり、区の基本的な方針について区長の御見解をお示しください。

 二点目に、これまでは緊縮財政の中でさまざまな工夫を凝らして基金を積み立てるなど、健全な財政運営が行われてきた中央区ですが、近年では、地震に限らず、異常気象時代に突入したと言われているように、自然災害等による不測の事態が起きることも十分考えられます。

 そこで、今後の財政運営と施設整備についてはどのようなお考えや展望をお持ちか、区長の御所見をお聞かせください。

 あわせて、平成二十六年度の予算案の歳入における起債依存度ですが、国は四三%、東京都は六・六%と伺いました。区の起債依存度は何%でしょうか。これまでの経緯と、今後についてもお示しください。

 三点目は、予算案に関連し、公共施設のマネジメントについてです。

 先般、地方財務に関する研修を受ける機会がありました。そのとき、講師の大学教授より、全国各地の施設整備における問題を事例として、公共施設とインフラの課題はハードウエアの課題として、あるいはその更新の前提となる財政の課題として捉えられる傾向にあり、特に公共施設の場合には施設よりも機能の課題であることが理解されていない現状がある。公共施設の更新問題はソフトの課題である。これまでの行政サービスのあり方、行政運営のあり方に対する根本的な問いかけをし、縦割り組織を超えた行政経営の観点から取り組まない限り、展望が開けないとの指摘がありました。また、ソフトを活用して公共施設とインフラの更新にどれくらいの費用がかかり、財源がどれくらい不足するのかという全体像をつかむことが重要である。精微な白書作成も必要ではあるが、その作業には縦割りの壁を突破する膨大なエネルギーが必要であり、作成した自治体では、白書作成後のマネジメントに向かうエネルギーを再び結集することが難しいという実態があるとの厳しい指摘もありました。

 そこで、お尋ねいたします。

 中央区は、公共施設の更新について、ハード・ソフト両面から何を重視していますか。中央区の施設白書は既に作成されていますが、作成後のマネジメントにどう活用されていますか。また、区の固定資産台帳や施設保全データの管理はどのようになっていますか。リアルタイムで資産の現在価格、更新費用を把握し、施設整備の優先順位を検討するなどの体制は整備されているのですか。大変細かいお尋ねですが、それぞれ区長の御所見をお伺いいたします。

 さて、今月開会された福祉保健委員会において、社会福祉法人賛育会指定管理業務安全対策委員会の報告及び区の対応について、理事者から報告がありました。これは、昨年九月十一日に中央区立特別養護老人ホーム「マイホームはるみ」において発生した入所者の死亡事例を受けて設置された社会福祉法人賛育会指定管理業務安全対策委員会から報告書が提出されたものでした。報告書では、学識経験者を委員長とした安全対策委員会がつぶさに調査・検討され、安全対策上の指摘事項並びに安全対策強化に向けた改善策の提言等が明示されていました。安全対策上の指摘事項では、特に施設の管理体制について、事故報告における検証や日常業務における「ヒヤリハット」等の原因分析が不十分、施設長をトップとするリスクマネジメントが確立されていない、また緊急時における配置医師と主治医の役割が不明確であると記されており、私は、国にも誇れる中央区立特別養護老人ホームの安心と信頼が一挙に崩れ落ちる感がいたしました。

 今後、新たな事業者を公募することとなりましたが、二度とこのような事故を起こさないために、このたびの事故を区の教訓として、単に指定管理者の責任問題とするのではなく、明確な責任分担を含め、区としてもリスクマネジメントを構築すべきと考えますが、いかがお考えですか。

 また、指定管理者制度の前提は、施設の目的を明確にすることであると言われています。特に、高齢者や子供などの福祉施設が拡大されている本区においては、区と指定管理者が施設ミッションをしっかり共有し、連携していくことが重要なことではないかと思いますが、いかがお考えですか。あわせて、指定管理者の評価は毎年実施されていますが、民間事業者による評価制度の導入について区長の御見解をお聞かせください。

 次に、地域包括ケアシステムの整備について質問いたします。

 国は、超高齢社会の到来に備え、地域包括ケアシステムの整備を重要施策として示し、急務の課題となっています。地域包括ケアシステムは、お年寄りが住みなれた地域で介護・医療を初め、住まいや生活支援などのサービスを一体的に受けられるようにする制度ですが、団塊の世代が七十五歳以上となり高齢化のピークを迎える二○二五年以降を見据え、それぞれの地域で必要な高齢者ケアを完結できる仕組みを目指すとされています。

 地域包括ケアシステムという言葉を初めて聞いたとき、私は、介護保険制度もようやく定着し、中央区においては、地域の力をかりて高齢者の見守り活動などさまざまな施策を展開しつつあるところで、改めてどういうことだろうと考えましたが、その言葉から、各地域のおとしより相談センターを核として、当事者家族、地域住民、企業、介護事業者などが地域ぐるみで高齢者を支えていきましょうということと理解いたしました。そして、超高齢社会を迎えるということは、私が思っている以上に深刻な問題と再認識し、特に昨今ふえつつある高齢者の孤独死や虐待、そして孤立化から、そのとうとい生命や生活を守るためにも、大変重要な施策であると捉えております。

 そこで、お尋ねいたします。

 国が示した地域包括ケアシステムの整備について、区における超高齢社会の展望も含め、中央区の取り組み方と課題について区長の御所見をお伺いいたします。

 住民が主役の地域福祉を探求する住民流福祉総合研究所の木原孝久所長は、この地域包括ケア成功の鍵として、目指すべきは住民の自立であると指摘し、次のように語っておられます。

 地域包括ケアシステムが掲げる理念は、非の打ちどころのないすばらしいものだが、実現の道のりは険しい。成功の鍵を握るのは住民の支え合う力、つまり互助をどうやって強化させるかだ。また、地域を見渡すと、どこも公助にどっぷりつかり、サービス依存症に陥っている。これでは、施設もスタッフも足りなくて当然、つまり公助の限界だ。介護保険制度が導入された当初の理念は、自立支援だったが、実態は逆方向へと進み、ビジネスの論理が先に立ち、むしろ自立を妨げるサービス体系にすら見えるとの厳しい指摘もありました。

 私は、中央区の介護の現場においても、介護に従事する関係者から同様の声をいただきました。地域や住民の皆さんから感謝されることは本当にうれしくありがたいことですが、できれば感謝にとどまらず、住民の皆さん自身が支え合う共助の形成に踏み出していただければ、なおありがたいことですとの率直な意見でした。

 さきに紹介した木原所長は、この互助を強化する第一歩として、地域の実態を把握する支え合いマップの作成を推奨しています。これは、御近所約五十世帯を対象として、民生委員や町会長など肩書のある人に限らず、地域のことをよく知っている住民数名に集まってもらい、例えばひとり暮らしの高齢者や老老介護の世帯、在宅介護をしている世帯など、気になる人を住宅地図の中に書き入れていくものです。次に、おつき合いのある人を探し出し、線で結んでいきます。ここで大事なのは、時間をかけて、さまざまな質問を交えながら丹念に調べていくこと、この人には知り合いがいないと言われても、諦めないことだそうです。そうすると、思わぬところから支援者が出てくるとのことで、頭の中でばらばらになっている情報を地図上に見える化することが大切と主張されています。さらに、日本人は助けられ下手で互助がうまく機能しないのも、ここに原因があると指摘されております。

 ある調査で、困った人がいたらどうするかと聞いたところ、「頼まれなくても助ける」が二三%、「頼まれたら助ける」が七二%だったそうですが、日本人の善意は受け身型と分析されています。一方、困ったときに助けてと言える人は、わずか三%から五%だったそうです。つまり、問題は助けを求められないということであり、だからこそ、お互いさまと言える人間関係が非常に大事になってくると木原所長は指摘されております。

 このような専門家の指摘や分析を受けて中央区に目を向けますと、地域性に違いがあっても、中央区もそれらを認めざるを得ない現状にあるかと私は思いました。

 そこで、お尋ねいたします。

 中央区の地域包括ケアシステムを具体的に推進していくために、地域の実態を把握する支え合いマップの作成について提案いたしますが、区長さんの御所見をお聞かせください。

 また、都心区である本区の行政としての課題は、高層住宅に居住している高齢者への働きかけ、新旧双方の住民同士の交流、若い世代の区民にこの問題についてどう働きかけ、参画を促すかが大切であると思います。それらについても区長の御見解をお示しください。

 さて、地域包括ケアシステムの構築では、認知症高齢者の増加も大きな起因となっています。平成二十四年の国の調査によると、全国の六十五歳以上の高齢者のうち認知症有病率推定値を一五%、認知症有病者数は約四百六十万人と推計しました。先般の報道では、認知症予備軍が八百万人いるとも言われていました。一方、東京都においても、認知症高齢者は三十二万人を超えており、平成三十七年には六十五歳以上の人口の一五・二%に当たる約五十二万人に達する見込みです。

 これらを受けて、国・都ともに、認知症対策の総合的な推進が平成二十六年度予算案に盛り込まれました。都では、二十五年度に引き続き、認知症早期発見・早期診断推進事業として認知症コーディネーターの配置を拡充するとともに、二次保健医療圏ごとに認知症アウトリーチチームの配置を重点事業として位置づけるなど、積極的に取り組んでいます。

 さらに、若年性認知症の人と家族を支える体制整備事業も、都の新規事業として、平成二十六年度東京都予算案に示されておりました。これは、若年性認知症の人が在宅生活を継続し、身近な地域で安心した生活ができるように支援体制を整備するため、区市町村が行う、一、家族会の立ち上げ支援、二、活動支援のための拠点整備事業、三、普及啓発事業の取り組みに対して都が支援するもので、区市町村包括補助・先駆的事業としています。

 以上申し上げたことを踏まえて、本区における認知症対策と若年性認知症の人に対する支援の取り組みをお示しください。また、かかりつけ医と認知症サポート医の普及に一層努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに、認知症の方やその家族の問題としてではなく、区民に広く、若いころから認知症に対する認識と理解を深めていけるよう啓発すべきと考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、子供の発達支援について質問させていただきます。

 国は、平成十七年に発達障害者支援法を施行、平成十九年四月には障害のある子供の教育が従来の特殊教育から特別支援教育に名称が変わり、学校教育法に位置づけられ、実施されました。そこには、知的なおくれがない発達障害の子供も対象となり、特別支援教育では障害を一つの個性と認め、特別なニーズを持つ子供がどう年齢とともに成長し発達していくか、その全てにわたり本人の主体性を尊重しつつ、できる援助の形は何かを考えていくことを理念としていることは御承知のとおりです。

 私は、この子供の発達障害について教育施策の充実とともに、特に乳幼児期からの成長の過程において、福祉・保健と教育の連携、切れ目のない一貫した支援体制の構築を求めて、一般質問等、機会あるごとに重ねてお訴えしてまいりました。区側からは、その都度、教育委員会、障害者福祉課、保健所等々、それぞれの担当者から前向きに取り組む旨お答えをいただきました。

 これまで、教育委員会では小・中学校における通級指導学級の設置や学習補助指導員の配置など、障害者福祉課では福祉センターにおける放課後等デイサービス事業や子供の発達相談指導など、保健所においては各歳児等における健診事業の充実や子供の発達相談など、それぞれ施策の拡充に御尽力くださり、高く評価させていただきます。

 中央区は、平成二十六年度予算案の中で特別支援教育への対応として、新たな特別支援学級の開設を二校予定しています。一つは、京橋築地小学校に、もう間もなくですが、この四月に情緒障害等の児童を対象とした通級指導学級を、二つ目は、平成二十七年四月に、現在改築中である明正小学校に本区で初めて難聴と言語障害の児童を対象とした通級指導学級が開設予定です。中央区の特別支援教育がさらに充実し、言葉と聞こえの障害のあるお子さんの安心と成長のために、大変期待されるものです。

 私は、このたびの質問に当たって、区立小・中学校三校の通級指導学級を会派議員とともに視察させていただきました。また、ADHDやLDなど発達障害の早期発見と早期ケアにつながると言われている五歳児健康診査についても目黒区役所と千代田区役所を訪問、さらに昨年十月には滋賀県湖南市役所を訪問し、湖南市発達支援システムについて研修を受けてまいりました。そして、ことし一月には新潟県三条市を会派で視察をさせていただき、発達障害やひきこもりなど、さまざまな問題で支援を必要としている子供や若者に対して、乳幼児期から就労に至るまで切れ目のない支援に取り組んでいる三条市子ども・若者総合サポートシステムについても調査・研究をしてまいりました。特に、滋賀県湖南市の湖南市発達支援システムについては、私は、平成十九年に、当時国の先進事例で注目されていたこともあり、視察いたしておりました。今回、その後の実施状況について大変関心がありましたが、心強いことに、中央区の担当職員の方も湖南市発達支援システムについて調査・研究をされたそうです。

 そこで、四点についてお尋ねさせていただきます。

 まず一点目は、中央区基本計画二○一三に明示されています子ども発達支援センターの整備ですが、事業計画として、前期二十五年度から二十九年度に一カ所、事業費は一億三千二百万円と記載されています。この子ども発達支援センターの設置目的と背景並びに整備場所と進捗状況についてお知らせください。

 次に、過去の一般質問でもお尋ねしましたが、改めて五歳児健康診査の導入についてです。

 私が昨年夏、中央区の保健センター理事者に伺ったところでは、中央区では現在の国の取り組み方も踏まえて、五歳児健康診査実施のお考えは全くなく、現行の母子保健サービスの一環として健診事業等の充実を図っていくことで対応していきたい旨お話をいただきました。私は、このお答えを理解したいところでしたが、その後の複数自治体の視察調査を通して、改めて考え直さざるを得ませんでした。特に、中央区の特別支援教育の現場では、中央区においても五歳児健康診査を実施してほしいとの御要望をいただきました。また、区内の小児科医の先生からは、医師の立場からいうと五歳児健診は必要です。ただ、事業として実現するには困難な課題がありますとの御意見もいただきました。

 過去の一般質問においても申し上げましたが、就学前の健診では対応が遅くなるとの有識者の指摘もあります。二点目の質問として、改めて五歳児健康診査に対する御認識と導入の可能性について区長の御見解をお聞かせください。

 さて、区内の全認可保育園では、発達促進保育を実施しています。これは、従来の障害児保育から名称が変わったものです。現在、区では、臨床心理士などの専門職の職員が保育園等を巡回し、園児の発達についての相談や指導をされていると事業概要等で報告されていますが、質問の三点目に、その実施内容についてお示しいただくとともに、巡回先が区立の認可保育園のみであると聞いていますが、民間の認可保育園も対象とすべきであると考えます。また、認証保育所への拡大についてもあわせ、区長のお考えをお示しください。

 四点目は、福祉・保健と教育のネットワークの構築です。

 区内の視察を通して、通級指導学級を担当している先生から、中央区は学校間ネットワークが整備されているおかげで通常学級の担任の先生とも連携をとりやすく、大変ありがたいと感謝の声をいただきました。と同時に、ぜひ福祉とのネットワークの整備をお願いしますと、貴重な御要望をいただきました。これは極めて大切なことだと私は思います。子供の健康状態など、迅速に福祉・保健と連携がとれることで適切なサポートが学校でできるからです。福祉・保健の現場からも同様のことが考えられ、切れ目のない支援をしていくために大変有効であると考えますが、福祉・保健と教育のネットワークの構築について区長の御見解をお示しください。

 最後に、勝どき・豊海地区のまちづくりについて、二点質問させていただきます。

 御承知のように、近年、勝どき地区は大規模の市街地再開発事業が続き、勝どき駅、環状第二号線、新島橋など公共インフラの整備工事も盛んに行われていますが、住民の生活利便性が一層高まることからも、今後はさらに転入など、劇的に人口が増加することは誰でも容易に予測できることだと思います。中でも、勝どき五丁目、六丁目、豊海町は、平成二十六年度予算案に計上され、改築工事が予定されている区立豊海小学校・幼稚園の通学区域ですが、現在建設中で二十八年度完成予定の勝どき五丁目市街地再開発事業ではマンションの総戸数は千四百二十戸と伺っています。また、勝どき六丁目でも民間マンションが建設中です。さらに、豊海地区と勝どき五丁目西地区においても、昨年六月の環境建設委員会で報告をいただいたとおり、地元住民の方々が再開発に向けて協議会や勉強会を立ち上げ、積極的に進めておられます。

 近年、中央区は若年世帯や子育て世帯の増加が著しく、国の少子化とは反対に、子供の人口がふえていることは冒頭に述べたとおりですが、豊海小学校の児童数は、平成十五年四月は百八十四人でしたが、十年後の平成二十五年四月には四百六十二人と大幅に増加しております。さらに、豊海幼稚園に至っては都内一の園児数になったほど、特に未就学児の人口の増加が顕著であります。加えて、当該地区である勝どき五丁目、六丁目、豊海町に居住している義務教育の年代であるゼロ歳から十五歳までの人口を各年一月一日現在で調べていただきましたところ、平成十五年は五百九十五人、平成二十五年は二千百四十人で、十年間で約三・六倍、平成二十六年は二千二百八十六人で、この一年間でも百四十六人ふえておりました。

 このような現状にある中、現在、この地区にある子育て支援の公共施設は、豊海幼稚園・小学校を除くと、勝どき六丁目にある民間の認可保育園一カ所のみです。二年後には勝どき五丁目市街地再開発事業の中で民間の保育園が設置されるというものの、保育園や児童館など子育て支援施設が絶対的に不足しているのではないでしょうか。特に、児童館については、子供の人口が一番少なかった十数年前当時から保護者等から児童館設置に対する強い要望がありました。勝どき児童館の学童クラブの職員からも、豊海小学校の低学年の子供たちが通ってくるのは、距離的にも、また道路事情を考えても大変で、本当に心配ですねと言われたこともたびたびありました。

 このほど豊海小学校・幼稚園の改築に当たっては、改築準備協議会における検討結果を受けて、区はプレディの活動スペース拡充を図ることになり、私も一定の評価をいたします。しかしながら、これまでの経緯を見ても、また今後の園児・児童数の増加を考えても、豊海小学校・幼稚園をめぐる地区に子育て支援施設は果たして充足しているのでしょうか。

 勝どき五丁目、六丁目、豊海地区のこのような現状と将来を踏まえ、さらに申し上げますと、平成二十五年の第一回定例会では他会派の地元議員からの同様の御質問に対し、区長は児童館機能の整備の検討をお約束されましたが、当該地区の子育て支援施設の整備について改めて区長の御見解をお示しください。

 二点目は、この夏、晴海三丁目に移転が予定されている月島警察署の移転後の跡地における交番等安全施設設置についてであります。

 これについては、平成二十五年二月二十七日、区長と議長宛てに地元の勝どき豊海連合町会長並びに勝どき地区の各町会長から要望書が提出されました。また、これに先立ち、月島警察署長に宛てても同様の要望書が提出されております。私は、地元議員の一人として、区長に質問させていただきます。

 これまで月島警察署は、地域の住民にとって安全と安心の拠点として大きな役割を果たしてまいりました。特に、警察署の存在による住民の安心感は非常に大きいもので、目に見える警察施設の存在は極めて重要であり、犯罪の抑止力となります。先ほどから繰り返し申し上げているとおり、月島警察署に隣接する豊海小学校を有するこの地区の人口増加は他の地区と比べても突出しております。さらに、六年後、二○二○年東京オリンピック・パラリンピックを迎えることもあります。移転後の跡地に代替施設が何も設置されないとなると、周辺の住民だけではなく、月島地域全体の住民にとっても大きな不安を抱かせることになり、事実、ここに来て、多くの住民から、交番はできますか等の問い合わせや警察施設設置の要望がさらに大きくなってきております。

 しかしながら、所管である警視庁は月島警察署移転後の跡地において、地元が求める交番や駐在所等の警察施設の設置は大変困難であるようなことをお聞きいたしました。ぜひ中央区からも東京都及び警視庁に強く働きかけていただくとともに、できることなら早急に対応していただきたいと思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 以上をもちまして、私の一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 植原恭子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、平成二十六年度予算編成の基本方針についてであります。

 新年度予算は、二○二○年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催が決定したことも踏まえ、大会開催後を見据えたまちづくりを念頭に置きつつ、保育所や学校・幼稚園、高齢者施設の整備充実など、子供から高齢者まで全ての区民が将来にわたり快適な都心居住を享受していくために不可欠な基盤整備の推進に力点を置きました。二月の政府月例経済報告でも景気は緩やかに回復しているとの基調判断が維持されるなど、我が国経済に明るい兆しが見え始めた中、特別区民税や特別区交付金に一定の伸びが期待される一方で、施設整備に要する建設費の急騰や法人住民税の国税化をさらに強化する国の動きなど、区財政を取り巻く環境はいまだ楽観視できるものではありません。このため、予算編成に当たっては、行政評価を中心とする区政マネジメントサイクルを徹底し、既定事業の大胆な見直しを行うなど、限られた財源の重点的・効果的な配分に努めたところであります。今後とも、中長期的な展望のもと、社会経済状況の変化を見きわめながら健全財政を堅持し、基本計画二○一三を主軸とする各施策の着実な推進を図ってまいります。

 次に、今後の財政運営と施設整備についてであります。

 特別区民税や財政調整交付金を主要な財源とする本区は、元来、経済動向に左右されやすい財政構造を有しております。こうしたことから、歳入の伸びが堅調なときにあっても、将来の社会経済状況の変化に備えて計画的に基金への積み立てを行うことなどにより、今日の確固たる財政基盤を築き上げてまいりました。学校や児童館、高齢者施設などの整備に当たっては、これまで蓄えてきた基金を積極的に投入いたしますが、その際には大規模な自然災害や経済環境の急激な変化にも柔軟に対応し得る財務体質の維持との両立に留意する必要があります。そこで、世代間における負担の公平性の観点からも、基金の活用とあわせて特別区債の発行による財源対策を講ずることにより、施設整備に伴う財政負担の平準化を図ってまいります。なお、平成二十六年度予算における本区の起債依存度は三・○%と、国はもとより、東京都との比較においても低い水準にあります。過去十年間においても、平成二十四年度の五・三%が最高であり、今後もこれを大きく上回ることは想定しておりませんが、引き続き過度な将来負担が生じないよう十分に配慮しながら、健全で安定的な財政運営の確保に努めてまいります。

 次に、公共施設の更新についてであります。

 本区の定住人口は、三十代、四十代の子育て世代を中心に力強く増加を続け、それに伴い乳幼児人口の増加も顕著であることに加え、高齢者人口も伸びております。こうした状況のもと、多様化する区民ニーズを的確に捉え、必要なサービスを安定的に供給していく区政運営が何よりも重要であります。一方で、昭和六十一年から平成七年にかけて整備した区有施設は全体の四割以上を占めており、今後、これらの施設が老朽化し、一斉に更新時期を迎えると大きな財政負担が生じることになります。更新に伴う財政負担の軽減や平準化を図るためには、まず施設の長寿命化によるライフ・サイクル・コストの縮減や民間活力のさらなる活用による最適な管理運営手法の導入など、施設を効率的・効果的に維持管理していくことが必要であります。また、施設の改修や改築の時期に合わせた周辺施設の再編・複合化や既存施設の有効活用など、将来を見据えた上で計画的に整備・活用していくことも重要であります。こうした点を踏まえ、各種施設の情報を一元的に取りまとめた施設白書だけでなく、修繕の目安となる施設保全データなど、庁内で保有する情報も取り入れながら計画的・効率的な施設整備に取り組んでいるところであります。今後とも、マネジメントの観点から、施設の更新・統廃合・長寿命化などを計画的に進めることにより、限られた財源の中で行政需要の変化に応じた区民サービスを持続的に提供できるよう、全庁挙げて取り組んでまいります。

 次に、指定管理者制度における区のリスクマネジメント構築についてであります。

 指定管理者の施設運営において、リスクマネジメントの構築も含め、施設の管理運営は一義的には指定管理者が担うものであり、区の役割はそれが適切に機能しているのかどうかチェックし、問題があれば指導を行い、改善させていくものと考えております。今回の事例を受け、指定管理者に対し危機管理体制及び安全対策等の見直し・改善を指導するとともに、区の評価、指導体制の改善を行い、区におけるリスクマネジメントの強化を図っております。

 次に、指定管理者と区との施設ミッションの共有についてであります。

 平成十五年九月の地方自治法一部改正に伴い、公の施設の管理方式として導入された指定管理者制度については、開始から十年が経過したところであります。本制度の課題として、同一事業者に更新が重なっていくと、指定管理者と区との間において導入当初に確認した施設の果たすべき目的や役割についての認識が薄れたり、施設利用者のニーズの変化を的確に捉えられなくなることなどにより、サービスの低下を招くとの懸念が指摘されております。このため、導入時や更新時には区の基本的な考え方を指定管理者に明示することはもとより、実際に施設の管理運営を行う中でも協議を重ね、施設の目的や役割について共通認識を持つとともに、相互の連携により利用者の視点に立って見直しを図っていくことが重要であると認識しております。

 次に、第三者機関による評価制度についてであります。

 本区では、平成十六年の八丁堀保育園、レインボーハウス明石及びリハポート明石での指定管理者の導入以来、現在は十二の福祉施設で制度の活用を図り、さまざまなサービス面の向上や施設運営の効率化に大きな成果を上げております。また、指定管理者によるサービス面や運営面の水準を維持し、さらに向上させるためには、客観的な第三者の監視を受けることは大変重要であると認識しております。このため、区の全ての指定管理者については、毎年、学識経験者や区民代表で構成する指定管理者評価委員会の評価を受けるとともに、特に利用者本位のサービスが求められる福祉施設の指定管理者については、既に財団法人東京都福祉サービス評価機構が認証する民間の第三者機関への受審を義務づけてるところであります。今後とも、指定管理者評価委員会の評価においては、現地調査や職員へのヒアリングを詳細に行うなどにより、評価内容の充実や評価の質の向上に努めてまいります。また、福祉施設以外の第三者機関による評価の導入につきましては、先進自治体の導入事例なども参考にしながら、施設の特性に応じた評価機関や評価方法のあり方について多角的に検討してまいります。

 次に、超高齢社会に向けた取り組み方と課題についてであります。

 本区の一月一日時点での高齢化率は一六・三%で、二十三区中最も低くなっておりますが、その人数は既に二万人を超え、今後も増加すると想定しております。このような中、健康寿命の延伸を図り、元気な高齢者をふやすことと、支援や介護が必要となっても住みなれた地域で暮らし続けられるような施策の推進が求められます。そのためには、区サービス等の公助の充実だけでなく、区民の方々みずからが活動し、支え合う自助や互助の仕組みづくりが必要となっております。今回の介護保険制度改正では、地域づくりによる介護予防の推進が必要との考えのもと、生きがいのある生活の支援、地域コミュニティの再生、地域住民の力の活用などが打ち出されております。来年度の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の改定において、区サービス等の公助の拡充に加え、高齢者クラブや見守り団体など地域の活動団体等との連携による自助や互助を促す地域包括ケアシステムの構築に努めてまいります。

 次に、支え合いマップについてであります。

 地域の実情を把握し、課題を解決していくために、互助は大変重要と考えております。そこで、本区では、災害時要援護者支援体制構築マニュアルの中で支え合いマップ作成を推奨しております。これに加えまして、地域の見守り団体に対して、支え合いマップの作成についても提案してまいります。町会などでの見守り団体の連絡会において、見守りを前面に出さず、イベントや清掃を実施することで交流が生まれ、若い方の参加があり、結果として見守り活動につながった事例の紹介もありました。今後、このような成功事例を集め、多く紹介することによって、孤立の防止や新旧・多世代の交流を促してまいります。

 次に、認知症対策についてであります。

 本区では、認知症で支援が必要な要介護高齢者は、ことし一月末現在で約二千六百名であり、今後もさらに増加することが見込まれております。認知症対策として、本区では、認知症の予防、早期発見、本人・家族への支援、適切な介護等サービスの確保、地域や周りの理解に力を入れて対策を実施しており、今後もさらに推進してまいります。今回の介護保険法改正の中で、地域包括支援センターに東京都の認知症コーディネーターに当たる認知症地域支援推進員を置くことが検討されております。これは、医療機関や介護事業所等の連携支援や認知症の本人・家族を支援する相談業務を行うものであります。改正法案が成立した際には、おとしより相談センターへの認知症地域支援推進員の配置を検討してまいります。また、本区の要介護認定を受けている若年性認知症の方は二名であり、区独自の家族会の立ち上げ等は困難な状況であります。このため、おとしより相談センター等で相談を受けた場合は、東京都若年性認知症総合支援センターに引き継ぎ、適切な支援につなげているところであります。

 次に、認知症サポート医の普及と理解の促進についてであります。

 認知症の早期発見や適切な診断により、症状の軽減や進行の抑制を図ることが可能であります。このため、認知症サポート医等の役割は重要であります。認知症対応力向上研修を修了したかかりつけ医や認知症サポート医の一覧表を記載したパンフレットを作成し、区の窓口や医療機関等で配布し、普及に努めております。今後も、医師会と連携してサポート医等の増員を図るとともに、パンフレットの配布場所や機会の拡大等を行い、さらなる周知に努めてまいります。また、認知症となっても、周りの理解があれば、住みなれた地域で暮らし続けることができます。本区におきましては、区民や在勤者の認知症への理解を進めるため、認知症サポーター養成講座を開催しており、現在の修了者は約三千七百名となっております。講座の開催に当たっては、区内企業や社会福祉協議会とも連携し、若い方や子供たちの参加も促しております。今後も、幅広く、認知症の理解の促進に努めてまいります。

 次に、子ども発達支援センターについてであります。

 平成十七年四月には発達障害者支援法が施行され、発達障害のあるお子さんに対する早期発見・早期支援、学校教育における支援、就労支援等の施策が定められました。本区においては、就学前は福祉センターを中心に、学齢期においては学校と発達障害のあるお子さんに対する支援をそれぞれの組織において行ってまいりました。このため、保護者を初め、学校現場から各支援組織の一層の相互協力が強く求められるようになっております。こうした背景から、子ども発達支援センターは、発達障害を含む障害のあるお子さんが将来にわたり生き生きと地域で暮らし続けられるよう、就学前・学齢期及び将来の社会生活に向けた一貫した支援を行うことを設置の目的としております。また、子ども発達支援センターの整備場所としては、福祉センターを有効活用する計画であります。さらに、現在の進捗状況といたしましては、子ども発達支援センターの運営のネットワークに参画する保健所や教育委員会等の関係機関とともに、具体的な運営のあり方や各機関の役割分担等についての協議を開始しているところであります。

 次に、五歳児健康診査についてであります。

 本区では、定期健診である一歳六カ月健診及び三歳児健診において、発達障害の疑いがあるとされた子供が受診者のうち五%から六%の割合で発見されております。これは、平成二十四年に文部科学省が公表した小・中学生で発見された割合、六・五%と同水準であることから、本区では発達障害児については就学後に支援ニーズが明らかになる学習障害や注意欠陥多動性障害を除けば、三歳児健診まででほぼ発見できていると考えております。また、三歳児健診以降に保護者が発達障害を疑った場合の保健所・保健センターの対応として、医師、臨床心理士による子どもの発達相談を年間計十二回行っております。このため、現行の定期健診等で十分発達障害のお子さんを発見し、支援できるものと考えております。

 次に、民間の認可保育所への巡回など、発達促進保育の拡充についてであります。

 現在、福祉センターでは、施設を利用する児童が在園する保育所に対して臨床心理士を巡回させ、集団生活の適応など発達に関する支援を行っております。一方で、教育センターでは、臨床心理士を月二回保育所に巡回させ、発達や育ちに不安を感じるお子さんについて保育士にアドバイスを行うとともに、保護者からの相談を受けております。双方の巡回とも臨床心理士には高い専門性が求められることから、人員の確保が困難であり、現在は区立認可保育所のみで実施しております。今後は、双方の巡回を子ども発達支援センターの事業に統合して、より効果的に行うとともに、民間の認可保育所等にも巡回できるよう検討してまいります。

 次に、福祉・保健と教育が連携するネットワークの構築についてであります。

 発達障害のあるお子さんについては、関係機関が情報を共有しながら連携して支援することが重要であります。そのためには、支援を要するお子さんの情報を一元的に管理して、支援に携わる学校や保健所、福祉センター等の各組織がその情報を適時適切に活用できるシステムを構築する必要があります。しかし、現状では、各組織において支援を要するお子さんの情報をそれぞれ個別に管理しておりますので、今後は子ども発達支援センターの設置にあわせ、各組織が持つ情報を双方向で共有し、より効果的に活用し合えるようなデータベース化やシステムづくりを検討してまいります。

 次に、勝どき及び豊海地区における子育て支援施設の整備についてであります。

 当該地域を含む月島地域においては、近年、住宅を中心とした大規模な開発事業が進められていることから、大幅に子供の人口が増加しております。そのため、これまで勝どき児童館の移転改築や晴海児童館の新設など、乳幼児や小学生、中高生が自由に来館し、安全に過ごせる児童館の拡充に努めてまいりました。しかし、当該地域の対象児童館である勝どき児童館の学童クラブの状況を見ますと、平成二十六年度申込者数は定員の一・五倍を超える百三十八名で、入会者の八八%が一年生といった状況になっております。こうしたことから、このたび改築を行う豊海小学校内にプレディのスペースとともに、子育て支援用のスペースを確保いたしました。このスペースの位置づけや具体的な管理運営方法につきましては、区全体の学童クラブ待機児童対策とあわせて、本区子ども・子育て会議の意見を聞きながら検討を行い、今後策定する中央区子ども・子育て支援事業計画の中でお示ししてまいります。

 次に、月島警察署移転跡地への交番等の設置についてであります。

 月島警察署は、ことし七月に現在の勝どき六丁目から晴海三丁目に移転いたしますが、現時点で跡地の利用は決まっていない状況と伺っております。月島警察署管内では、現在、警察署を初め、交番や駐在所など七施設が実情に応じバランスよく配置されており、それが月島地域に居住する区民の安心感につながっております。しかしながら、このたびの月島警察署の移転により、勝どき五・六丁目及び豊海町周辺に警察施設がなくなることで、区民の皆様の不安が高まっていることは十分に理解いたしております。新規の交番設置は難しい状況にあることは存じておりますが、区といたしましても、地域の不安を軽減するため、皆様の意見を十分にお聞きしながら、警視庁に対し、粘り強く働きかけてまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十六番 植原恭子議員登壇〕

○二十六番(植原恭子議員)
 それぞれの質問に対しまして、今、区長より大変明快な御答弁をいただきました。

 細かく、大変たくさんの質問をさせていただきましたけれども、その一つ一つについては、ここでは避けまして、予算特別委員会のほうに移したいと思います。

 いずれにしましても、例えば発達支援の関係でも、月島警察署の関係でも、なかなか困難な課題というのも区としてあるんだということは理解はしておりますので、また、さらに御尽力賜りまして、御努力をお願いしたいと思います。

 財政的には、今、オリンピック・パラリンピックを目指して大変大きな希望と夢がある一方で、近年のいろいろな社会状況、また経済状況等も踏まえて中央区の将来を考えたときに、どうなんだろうという本当に素朴な疑問から、きょうは細かなことまで質問させていただきました。今の御答弁は大変明快で、本当に中央区は堅実に、また健全な財政運営を行ってくださって、これまでも行ってくださいましたし、これからも心強いなという思いで今の御答弁を聞かせていただきました。大変にありがとうございました。

 以上で、私の質問を終わります。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時三十四分 休憩


午後四時五十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十番小栗智恵子議員。

十番 小栗智恵子議員登壇

○十番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、党区議団を代表して質問します。御答弁によっては、再質問、再々質問を留保します。

 初めに、区長の所信表明についてです。

 区長は、昨日の所信表明で予算の概要を説明され、商工業振興の中で、一月の政府月例報告では景気の基調判断で八年ぶりに緩やかに回復しているとの表現が用いられ、先行きについても回復基調が続くことが期待されている、この動きを地域経済に広く波及させるべく、中小企業や商店街の活動を後押ししていくと述べられました。

 しかし、区民の暮らしや中小企業、商店街の実態はどうでしょうか。まちでは、アベノミクスといっても景気がよくなった実感がない、四月から消費税が上がったら商売が続けられるかわからないという声があふれています。また、給料も上がっていない、昨年十月から年金が切り下げられ、物価は上がっているのに、その上、天引きされる保険料が高くなって生活が厳しくなっているというのが実態です。

 二月十七日に発表された国民所得統計では、昨年十月から十二月期の国内総生産の伸びは前期比○・三%増で、予測に比べ半分以下でした。政府は四期連続のプラス成長だと言いますが、消費税増税前の駆け込み需要があったのに、個人消費が伸び悩み、輸出や設備投資も低い伸びで、景気回復はかけ声倒れになっています。その上、消費税増税となれば、消費を一層冷え込ませ、暮らしも経済も悪化させることは明らかです。

 また、十二月の中央区内景気動向調査では、現況判断DIは前回より○・九ポイント低下、先行き判断DIは一・二ポイント上昇となっていますが、消費税増税後は大きな影響があると考える、消費税増税により景気は悪くなるという回答も示されています。区民の生活実態や中小企業の実態に基づいて、中央区が国や都の悪政から区民の生活を守る防波堤として、その役割を発揮するかどうかが問われます。

 そこで、質問します。

 区民や区内中小企業の実態をどう把握していますか。また、今、緊急に取り組むべきことは、区民の生活を守り、中小企業の営業を守るために、きっぱりと消費税増税は中止せよと政府に求める、勇気ある行動ではないでしょうか。それぞれお答えください。

 区長は、新年度予算案のテーマを「オリンピック・パラリンピックで子どもたちに夢を!」としています。二○二○年を契機とした将来的なまちづくりを念頭に置くとし、オリンピックをてこに、地下鉄の誘致、BRTの導入、選手村ができる晴海地区の将来ビジョンの策定など、大規模開発につながる施策や調査を盛り込んでいます。

 所信表明で区長は、中央区が大会を機にアジアのビジネス拠点としての機能性や文化・商業の魅力がクローズアップされ、グローバルな企業活動が展開されるビジネスシティーとして進展することが見込まれるとしています。五輪を絶好の機会として、国や財界が進めようとしている東京のまちづくりはどういうものか、二月十八日の区議会全員協議会で講演した伊藤滋氏の話の中で、非常にはっきりしたと思います。

 伊藤氏は、「たたかう東京」と題して、森記念財団が示す都市総合ランキングで四位の東京を、シンガポールやソウル、上海との競争に勝ち抜き、さらに、交通の利便性を高めればパリを抜いて三位になる。東京に人・モノ・カネを集めて仕事がしやすいまちにすると述べ、その内容は、安倍政権が国家戦略として進めているアジアヘッドクォーター特区構想そのものです。そして、それはまさに中央区が上位計画に基づいて進めようとしている方向と一致しています。

 東京駅と羽田をつなぐ地下鉄、リニア中央新幹線の東京駅延伸、大阪に負けない容積率二五○○%、高さ三百五十メートルの超高層ビルの建設、築地市場跡地にはカジノの誘致、こんなまちを区民は望んでいるでしょうか。

 そこで、質問します。

 国や都の上位計画に基づいて区が進めようとしている計画は、具体的にはどういうものでしょうか。また、築地市場跡地に都市型IR、カジノを含む統合型リゾートをつくるという計画についてどう考えていますか。お答えください。

 私は、防犯カメラに頼らなくても大丈夫な安心・安全なまち、超高層ビル、マンションばかりでない潤いのあるまち、コミュニティ、人と人とのつながりが豊かな思いやりのあるまち、環境に配慮したエコのまちこそ、人々の願いであると考えます。

 そこで、質問します。

 区長は、中央区を、二十四時間働き、都市間競争に打ち勝つ、利潤第一で経済活動がしやすいまちを目指そうと考えていますか。区民の生活第一のまちにすべきと考えませんか。見解をお聞かせください。

 次に、事務事業の見直しについて質問します。

 新年度予算案では、事務事業の見直しとして、フレーム予算方式による削減で四億一千三百八十八万円を削減するほか、ひとり親パソコン教室の廃止など、七項目千七百十八万円の事業削減も予定しています。

 昨年、基本計画二○一三の実施に向け、強固な財政基盤堅持に向けた当面二カ年の重点指針を打ち出し、約八十項目の事務事業の集中点検を行って、評価対象事業を選定しました。そして、受益者負担の適正化と称して、認可保育所保育料が四月から、幼稚園預かり保育料が七月から値上げされるほか、新年度中に学童クラブの有料化、放置自転車撤去料の徴収、駐輪場使用料の有料化が俎上にのっています。さらに、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料も新年度に値上げされる計画があり、学校給食費も消費税増税分、約二・七%を値上げするとしています。

 区の予算案で歳入を見ると、地方消費税交付金は五億七千三百万円ふえ八十二億円になり、消費増税で三億円の増収を見込んでいるとしています。財政の力はあるのに、区民サービスを削り、区民の負担をふやすのは問題です。

 そこで、質問します。

 区民の税金は、区民のために生かすべきです。保険料、使用料の値上げは中止し、給食食材への区の補助制度を拡大して、負担の軽減を図るよう求めます。区長の御見解をお示しください。

 私は、子供たちに本当の意味で夢を与えられる予算にするには、何といっても福祉の充実で暮らしの安心を広げられるものにすることが一番だと考えます。そして、オリンピックを平和の祭典として成功させるためには、安倍政権が目指す集団的自衛権の行使、憲法九条の改悪を許さず、世界で広がる紛争を戦争にさせない平和の地域共同体を前進させて、アジアと世界の平和に貢献する日本にすることが重要だと考えます。区長の見解をお聞かせください。

 次に、子ども・子育て会議と、これからの子育て支援について質問します。

 中央区では、一月二十八日に第二回目の子ども・子育て会議が開かれ、区民のニーズ調査に基づいて、ニーズに対する供給計画を検討し、二○一四年度に事業計画を策定、二○一五年度から本格スタートする計画です。

 子ども・子育て新制度の実施に向け、政府の子ども・子育て会議が議論を進めていますが、新制度では、対象となる施設がふえて施設型保育と地域型保育の二つに分類されますが、利用者にとってわかりにくく、施設によって基準も別々につくられるため、受けられる保育や教育の内容に格差が生まれてしまうことが大きな問題です。

 また、区市町村による保育の実施責任が書かれた児童福祉法二十四条一項で規定されているのは保育所だけで、それ以外の施設や地域型保育においては、区市町村は直接的な責任を負わないというのも問題です。

 そこで、質問します。

 中央区での待機児問題は依然として深刻です。二月三日時点では、六百四十人を超える待機児童数となっていました。四月に新たに六園の私立認可保育園が開設されますが、新年度の待機児解消の見通しをお示しください。

 今後、中央区の子ども・子育て事業計画で、三地域ごとに幼稚園、保育所、認定こども園等の需要量見込みを設定し、それに対する施設整備、定員拡大等の確保施策を五カ年計画で示すことになります。保育所の整備に当たっては、認可保育所を基本に、保育室の面積はゼロ歳児一人当たり六平米の基準を守るなど、質の高い区立の認可保育所を中心に増設するよう求めます。見解をお示しください。

 また、六人から十九人までの子供を預かる小規模保育や、個人の家で三人程度の子供の保育を行う家庭的保育のような地域型保育の基準は区市町村がつくることになります。保育に当たる人員は国の基準に従いますが、施設の面積など市町村が決めることになっています。

中央区では、今後、地域型保育を拡大していく予定はありますか。また、施設の基準は、子供の成長を育む高い水準を設定すべきと考えますが、それぞれお答えください。

 子ども・子育て事業計画には、学童クラブなどの事業計画も盛り込まれます。放課後児童健全育成のためには、学校内で実施しているプレディだけに解消せず、児童館などの学童クラブを充実させることが大切です。また、学童クラブの有料化を行わないよう求めます。お答えください。

 国では、子ども・子育て新制度に必要な事業費約一兆一千億円のうち、約四千億円の財源の見通しが立っていないことが明らかになりました。安倍政権は、待機児解消加速プランを打ち出していますが、各自治体からは、出した目標に対する財源が保障されるのか、財源の見通しが示されないのは困るという声が上がっています。待機児解消のために国が責任を持って財政もしっかり支えるよう求めることが必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

 中央区子ども・子育て新制度における利用希望把握調査結果によると、父親の平均的な帰宅時間が、十九時までは約三割、二十一時以降が約五割となっています。中でも、帰宅時間が平均で二十二時以降だという家庭が三割となっています。父親の帰宅が遅くて、育児や家事を母親一人で行わなくてはならない孤独な子育ての現実が数字にあらわれています。

 また、就学前の児童の子供の病気やけがの際の対応についての質問で、できれば父母のいずれかが休んでみたいと思ったが、仕事を休めなかった理由として、「仕事を優先せざるを得なかった」三九%、「仕事の性質上、代替がきかなかった」三六%、「子供の看護を理由に休みがとれなかった」一○%などとなっています。病気のときは子供の看病をしたいと思ってもできない、厳しい職場環境がうかがえます。

 これからの子育て支援を考えるとき、この調査にもあらわれているような長時間労働や、子供の病気などで早退や休みがとりにくい労働環境の改善が必要不可欠だと考えます。

 そこで、質問します。

 男性も女性も長時間労働を強いられ、それにあわせて長時間保育や病児・病後児保育が必要になるなど、労働強化を支えるためのメニューをふやすだけでなく、ワーク・ライフ・バランスの推進を図り、労働条件を改善していくことが重要です。国や地方自治体が雇用のルールを強化して、ブラック企業の根絶などを図る、父親も母親もともに力を合わせて安心して子育てしていける家庭生活を営めるような労働環境をつくっていくことが大切だと考えます。見解をお聞かせください。

 次に、教育問題について質問します。

 安倍晋三首相は、第一次内閣の時代の二○○六年に、国民的な反対の声を押し切って教育基本法を改悪し、それに続いて教育再生会議をつくり、学校教育三法の改悪、教員免許更新制度の導入、全国一斉学力テストなどを強行しました。その直後に政権を投げ出し、二○一二年末に再び首相につくと、改正教育基本法の理念が実現したとは言えないと言って、今度は教育再生実行会議をつくり、教育改革の再起動に執念を燃やしています。

 第一に、教育委員会制度の改悪です。

 安倍政権は、今国会に教育委員会改革法案を提出し、教育委員会を首長の諮問機関に変え、首長の権限を強化して政治介入できる制度にしようとしています。その主な内容は、教育政策の基本も教育条件も教員人事の方針も、全て首長側に決定権を移す、教育の仕事を実際に進める教育長を首長が直接任命・罷免できるようにすること、文部科学大臣の権限を強化し、教育委員会に是正指示が出せるようにするというものです。

 大津市のいじめによる自殺事件などで、各地の教育委員会がいじめはなかったなどと事実を隠蔽しようとする態度をとったことに対して国民の強い批判の声がありますが、安倍政権はこれを利用して、責任の所在が曖昧、形骸化しているなどとして、首長に権限を集中させる案を出しています。

 しかし、教育委員会の形骸化が進んだのには理由があります。日本の教育は、戦前の軍国主義教育のもと、侵略戦争でアジアと日本の多くの命を犠牲にした深い反省に立ち、戦後、憲法に沿って教育の自主性を守り、権力的支配を防ぐために教育委員会制度がつくられました。当初は公選制で、教育予算や教育条例の原案作成や送付権を持っていました。しかし、その後、任命制となり、権限も縮小され、形骸化、隠蔽体質などと言われるような状況も生まれています。

 そこで、質問します。

 教育委員会制度を変えて首長に権限を集中させることは、国や行政権力から独立し、国民に直接責任を負って教育を行うという教育委員会の役割を否定するものだと考えますが、いかがですか。

 教育委員会の改革というのであれば、責任と権限を持ち、子供の権利を最優先に考え、子供・保護者・教職員・住民の意見にも耳を傾け、最善の教育を判断して、教育行政をきちんとコントロールしていける組織にすることが大事だと考えますが、いかがですか。

 それぞれについて、教育長の見解をお聞かせください。

 第二に、安倍政権は、教科書検定基準を改定し、政府の統一的見解や最高裁判判例が存在する場合はそれに基づいた記述を求める、重大な欠陥があれば不合格にするなどとしています。政府の考えに沿った教科書をつくらせる、事実上の検閲になる危険が強まっています。

 そこで、質問します。

 政府の考えに合わせて教科書検定基準を変えるのは問題だと考えますが、いかがですか。見解をお示しください。

 第三に、安倍首相は施政方針演説で、道徳を特別な教科として位置づけると表明しています。市民道徳の教育は大切ですが、教科書や評価によって国がこうあるべきという価値観を子供に注入することは、主体性に基づく教育の根本原理に背くものです。戦前の道徳教育は修身と呼ばれ、教育勅語で天皇のために命を捧げる軍国主義教育の中心となっていました。戦後、その痛切な反省から、道徳教育は教育活動全体を通じて行うこととされました。ところが、既に学習指導要領で道徳の内容を文科省が規定しており、これからはさらに教科にすることによって特定の価値観を押しつける体制を確立しようとしています。

 そこで、質問します。

 道徳の内容と指導方法を国の規制で強め、政府の考える愛国心を子供たちに徹底させようとする道徳の教科化は中止すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 第四に、全国学力テストは、安倍第一次内閣のときに本格的に開始され、民主党政権下で抽出調査となりましたが、昨年から全員調査に戻りました。そして、これまで文科省自身が、序列化や過度の競争につながることから個々の学校名を明らかにした結果公表を禁止してきたのに、これからは公表を可能にするとしています。テストの点数で学校を序列化し、一層競争をあおることになります。

 そこで、質問します。

 点数競争によって教育をゆがめる全国学力テストへの不参加を決断すること、学校ごとの正答率などの公表は行わないことを求めます。お答えください。

 これまで述べてきた安倍政権の教育委員会の改革、道徳の教科化などを通じて、安倍政権がどういう教育再生を目指しているのか、その目的はどういうものなのかが明らかになっています。それは、戦争する国づくりのための教育、アメリカと一緒に戦争する国を支える人材づくりのための愛国心や規範意識を教え込むことです。さらに、飛び級などを認め、早いうちからエリートを選び出し、大学改革で産業界との連携を強めるなど、財界の要請に沿って国際競争力強化に貢献できるグローバルな人材づくりを進めることです。

 本来、教育は一人一人が人間として大切にされ、子供の最善の利益が守られる教育を進めて、誰もが人間らしい発達を目指し、能力を精いっぱい伸ばして、人格の完成を目指していくものではないでしょうか。政府や財界の要請に沿った人材づくりが教育の目的になってはならないと考えます。教育長のお考えをお聞かせください。

 最後に、中央区の国際教育について質問します。

 新年度予算で、教育の分野では、オリンピックの機会を生かし、人権尊重、国際協調、社会貢献など、グローバルな視野を養うため、国際教育をパイロット校で進めるとしています。真実を見出す力、本当に国際的な力をつけることは大事なことです。しかし、その内容が問題です。

 国際教育は、単に英語ができればいいというものではありません。日本の歴史や社会の現実をしっかり捉え、自分の頭で考え、違う立場の人とも共感できる、そういう力を養うことが国際教育に求められているのではないでしょうか。

 そこで、お聞きします。

 中央区の国際教育は、どんな内容を考えているのかお示しください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、所信表明についてであります。

 区民や中小企業の生活実感については、商工相談や景気動向調査を通じまして、小売業の売り上げが伸びた、客の動向が回復傾向にある、製造業においても、受注量が増加しているなどの声を伺っているところであります。また、オリンピックの東京開催に向け、景気のさらなる拡大が期待できるという方も多く、景気浮揚の波が区内に浸透しつつあるものと認識しております。消費税率の引き上げは、国の税収が歳出の半分程度しかなく、少子高齢化の進展に伴い年金や医療、介護などの経費が膨らむ中で、将来にわたって持続可能な社会保障制度を維持していくために必要なものと認識しております。国は、税率の引き上げによる反動や景気の下振れに対応するため、商店街活性化や小規模事業者の販路拡大への支援、低所得者への現金給付など、五兆円規模の経済対策を実施することとしております。区においても、こうした国の動向と歩調を合わせながら、これまでと同様に、経済環境や社会状況の変化に柔軟に対応し、区民生活を守り、中小企業を支援する立場で施策に取り組んでまいります。

 次に、区が進めるまちづくりについてであります。

 首都東京の中心であり、日本経済の中心として発展してきた本区は、今後も発展を続けることが使命であります。そこで、二○二○年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として、区内全体の良好なまちづくりに一段と弾みをつけ、我がまち中央区の黄金時代を実現してまいりたいと考えております。そのためには、再開発など面的な整備による市街地の更新も必要であります。その際、国や東京都が定める上位計画との整合を図りながら、本区の特色である都心居住機能や業務機能、都市観光機能が三位一体となった本区ならではのまちづくりを進めてまいります。また、築地市場跡地の土地利用について、現在さまざまな意見や構想があることは認識しておりますが、区では、この跡地利用については、築地の活気とにぎわいが継承される総合的なまちづくりをすべきと考えており、安易に土地が処分され、マンションの林立等を招く状況は決して認められるものではなく、この考えに変わりはありません。今後もこの基本姿勢を堅持し、東京都に強く働きかけてまいります。

 次に、本区の目指すまちの姿についてであります。

 本区におきましては、基本構想に掲げられた将来像「生涯躍動へ 都心再生―個性がいきる ひととまち」の実現に向け、百万人が住み・働き・楽しめるまち、都心コミュニティが息づくまち、個性豊かなまち、世界に誇れる風格あるまちを基本的な方向として区政を推進しております。今後とも、この方向に沿って基本計画二○一三を主軸とする各施策に磨きをかけ、全ての人々が生涯にわたって生き生きと活動し、生活を送ることのできる人間性豊かなまち、そして、常に時代をリードし、新たな都心の魅力を創造し続ける活力ある中央区を目指してまいります。

 次に、保険料・使用料等についてであります。

 普遍的な行政サービスに要する費用を広く分かち合う税に対し、保険料・使用料等は特定の区民等のために提供されるサービスについて、受益の内容や経済的能力に応じた適切な負担を求めるものであります。したがって、そのあり方については、負担の公平性や将来にわたる財政の健全性の確保を念頭に置くべきであると認識しております。こうした観点を踏まえ、今後とも、受益と負担の関係、区民生活への影響、社会経済状況の変化等を多角的に考慮しながら、負担を求めるべき対象者や水準などについて不断の検証・見直しを行ってまいります。

 次に、平和についてであります。

 世界の恒久平和を確立することは、人類共通の願いであります。東京で開かれるオリンピック・パラリンピックは、まさに世界最大の平和のイベントであり、日本が戦後一貫して平和を希求してきたからこそ、現在の豊かな国家を建設できたという事実を世界にアピールし、リードする絶好の機会であります。中央区平和都市宣言のもと、平和をあらゆる施策の根幹に位置づけてきた本区においても、平和のとうとさを世界に発信し、人々が平和で安全に暮らすことができる社会の実現に向け、引き続き全力を注いでまいります。

 次に、待機児童の解消と子ども・子育て支援新制度についてであります。

 待機児童につきましては、四月入所第一回目の認可保育所選考の結果を見ますと、私立認可保育所六カ所の開設による定員拡大の効果により、一歳児、二歳児の入所決定者数を中心に改善されており、実質的な待機児童解消が図られているものと考えております。子ども・子育て支援新制度導入後の保育所整備につきましては、これまでと同様に、保育の質の確保が大変重要なものであると認識しておりますので、認可保育所を中心に保育所の拡充に努めてまいります。小規模保育や家庭的保育などの地域型保育事業につきましては、今後、地域での保育ニーズなどを分析し、導入可能かどうかも含めて検討してまいります。また、区における認可基準につきましては、国が定める従うべき基準、参酌すべき基準に基づき、本区子ども・子育て会議の意見を聞きながら設定してまいります。

 次に、学童クラブにつきましては、今後も引き続き、さまざまな機会を捉えてスペースの確保を図るとともに、プレディとの連携を進めながらサービスの充実に努めてまいります。また、学童クラブの有料化につきましては、子ども・子育て支援新制度に伴う法改正などを踏まえつつ検討してまいります。

 次に、子ども・子育て支援新制度の実施のために必要な財源につきましては、今月二十四日に行われた国の子ども・子育て会議基準検討部会において、内閣府より、財源の確保を重要課題と認識し、政府とも協議を進めていきたいとの意向が示されましたので、引き続き国の動向を注視してまいります。

 次に、ワーク・ライフ・バランスについてであります。

 ワーク・ライフ・バランスは、子育てはもとより、介護や地域社会への参加促進という点でも非常に重要であり、その実現のためには企業の理解が欠かすことができません。そのため、区では、東京商工会議所中央支部と共催で経営者や人事担当者を対象としたセミナーを開催し、多様な働き方の選択を実現することは、有能な人材確保のためにも重要であることなどを啓発してまいりました。また、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業にはアドバイザーを派遣し、支援するとともに、顕彰し、広く紹介しているところであります。一方、勤労者に対しましても、不当な取り扱いを受けることがないように、労働法や社会保険制度などのセミナーを東京都労働相談情報センターと共催で開催しているところであります。今後とも、このような啓発活動を通じましてワーク・ライフ・バランスを推進してまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、教育委員会制度改革についてであります。

 教育委員会制度につきましては、さまざまな議論を経て、昨年十二月、中央教育審議会から文部科学大臣に答申がなされたところです。しかしながら、政府与党内では、現在も、教育委員会を執行機関として残すとともに、教育長と教育委員長を一元化した新教育長を創設する案など、新たな制度設計に向けての議論が行われているものと認識しております。教育委員会といたしましては、引き続きこうした議論の動向と、それを踏まえた国における制度設計を注視してまいりたいと考えております。

 次に、教科書検定基準についてであります。

 文部科学省が本年一月に行った教科書検定基準の一部改正は、教育基本法の目標等を踏まえ、よりバランスよく記載された教科書にするための改正であると認識しております。

 次に、道徳の教科化についてであります。

 道徳の教科化については、子供たちの社会性や規範意識、善悪を判断する力、思いやりなど、豊かな心の育成を一層推進するために行われるものとされています。教科化の効果としては、目標や内容、指導方法の明確化や具体化が図られ、子供がより深く考えられる授業が可能になるものと考えております。教科化に当たっては、道徳教育の特性に照らし、一般の教科のような数値による評価はしないなどの十分な配慮がなされていくものと認識しております。

 次に、全国学力テストについてであります。

 国が行う全国学力学習状況調査は、児童・生徒の全国的な学力状況を把握し、教育施策に生かすことを目的に実施されるものであり、本区では、調査結果から教員が授業改善を図ったり、児童・生徒個々人の振り返りに生かせるようにするなど、各学校で有効に活用しております。調査結果の公表の方法については、実施の目的に照らし、今後、教育委員会で十分な議論を尽くし、決定してまいります。

 次に、教育の目的についてであります。

 義務教育は、教育基本法第五条に定められたとおり、各個人の有する能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として実施されるものと認識しております。

 次に、中央区の国際教育の内容についてであります。

 具体的内容につきましては、実践的な英語力の涵養や日本人としてのアイデンティティーの確立、人権尊重や国際協調の精神を育むことなどについて、来年度、学識経験者を含めた委員会を立ち上げ検討してまいります。

 答弁は以上です。

〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、再質問をさせていただきます。

 最初に、消費税の問題です。

 区長の御答弁では、区内の景気も上向いているというような御認識だったようですけれども、まだまだ景気の回復が実感できない、そういう事態が広がっている。そして、政府が見込んだような景気の回復にはなっていない。それが実態だというふうに思います。そういうときに消費税の増税ということになれば、暮らしと経済に大変な打撃を与えるということは明らかです。

 区長は、増税後に経済的な影響が出たら何とかするというお話でしたけれども、そういうことにならないように、まず今必要なことは、増税を中止して、きちんとした景気の回復、経済対策、経済が上向くように対策をとっていく、そういうことが必要だというふうに思います。そういう点で、全く消費税の増税の中止は求める気持ちがないのかどうか、もう一度伺いたいというふうに思います。

 そして、事務事業の見直しの中で給食費の問題なども指摘をしましたけれども、給食費の値上げを増税にあわせてやる区は、二十三区中六区だと聞いています。今、中央区では米飯給食の補助などもやっているわけですから、そういう補助をふやして値上げを抑えていく、それは政策的な判断でできることではないでしょうか。そういう点でも、教育の中央区などと言うのであれば、そういう支援をきちんと行っていく、そういう立場に立つことを求めます。給食費の補助で給食費の値上げを抑える、そういう考えは全くないのか、お示しをいただきたいというふうに思います。

 次に、まちづくりの問題でいろいろお伺いしましたけれども、先日の伊藤滋氏、森記念財団の理事長をやっている方で、これまでも国や都の大きな計画に深くかかわってきた人が講演した内容を見ると、もう築地市場の跡地にはカジノをつくるんだ、世界のセレブが集まるようなカジノをつくるんだというような話も大変具体的に述べられていました。

 区長は、カジノを中心とした統合型リゾートをつくるという計画について反対なのか、もしそういう計画があれば進めていきたいのか。先ほどは、にぎわいの施設をつくるのに貢献したいというようなお話もありましたけれども、その点についてお考えを伺いたいというふうに思います。

 先日のお話では、容積率を二五○○%にした、皇居も見下ろすような三百五十メートルの超高層ビルを中央区にも建てるんだというような、大変具体的な話もありました。このような超過密のまちづくりをどんどん進めて、直下型地震の想定もあるのに、ビルやマンションが密集した、こういう地域をつくっていいのかというのが大変問題だというふうに私は思います。人やモノやカネを東京に集中させて、一方で、地方の疲弊が大変進んでいるというような事態もあります。CO2を含めて、環境への負荷も大変増大している中で、中央区だけが黄金時代だということで、そういう大きな開発や、人・モノ・カネを集める区にしていく、そういうことでいいのかどうかというのは、もう一度きちんと立ちどまって考えるべきだというふうに思います。区長の御見解を伺いたいと思います。

 教育の問題は、教育長のお話ですと、教育委員会の改革についても、教科書の問題についても、道徳の問題についても、問題はないというような認識に受けとれましたけれども、今、安倍政権が進めようとしている教育改革の内容は、安倍首相が信じている、戦後の教育は問題だったという認識に立って、侵略戦争を認めない、そういう考えのもとで、今の教育をもっと政府の意向に沿ったものにしていこうと、そういう流れの中で起きている問題です。そういう流れをやはり許してはならないと私は考えますけれども、そういう問題意識は全然おありにならないのか、改めて伺いたいというふうに思います。

 以上で再質問とさせていただきます。御答弁をよろしくお願いします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 再答弁させていただきます。

 消費税の引き上げですね。御案内のとおり、国の一般会計九十六兆円の半分が借金でしょう。一千兆円でしょう、今ね。そんなことはずっと続けていいのかどうかということを、やはり私たちは冷静に考えなければいけない。孫子の代にまでこの借金をバトンタッチして、どんどん渡して、自分たちは何の苦労もしないで、どんどん使うというような社会というのは、私はおかしいというふうに思うんですよね。ですから、少しでもそうした努力はしていかなければならない、そういうふうに思いますね。

 そしてまた、国のほうでも、ただ消費税を上げるだけではなくて、五兆円ですか、いろいろと手当てをするということでありますし、また本区におきましても、いろいろな支障が区民生活あるいは商店街等々に出てきた場合には、いろいろと区議会の皆様方と御相談しながら対応してまいりたいな、そういうふうに、例えば補正予算とか、そういうことも新たに組むなり何なり、あるいは国や東京都と相談して行うということも考えられるでありましょうけれども、まずはどういう状況になるのか、これをしっかり私たちは見きわめなければならない、そういうふうに思いますね。

 また、給食費、これはもうずっと本区は抑えてきているわけで、教育の中央区を認めていただいているように、教育の中央区を標榜しているわけでありますから、そういう面では教育にお金がかからないようにということをこれまでも配慮、一番でしたものね。二十三区の中でもいろいろな面で、例えば修学旅行なんかも補助をずっとやっている。これなんか、本当に特筆すべき事例でありましょうし、さまざまな面で負担にならないように、こういうことをこれまでもやってきたし、これからもやっていくと、こういうことであるわけであります。

 それから、伊藤滋先生のお話が何回か出されましたけれども、伊藤滋先生を呼んだのは私ではないんですよ。区議会のほうの全員協議会で呼ばれて、そこへ私は出席させていただいて御意見を聞きました。聞いたから全面的に賛成か、そんなことはないんでございまして、特別、私と伊藤先生は仲いいわけでもございませんしね。

 政策調査会をお願いしてやっていただいて、いろいろと御意見を伺って、その中で、すごくいいことはあったんですよ。例えば、横山町で今、いろいろ活動されている文化服装学院との連携であるとか、ああいうのはあの先生に提唱していただいて、早速地域とも話し合って、もちろん区議会の皆様方の御理解のもとに、ああしたすばらしい施策が展開して、横山町は今、本当に元気いっぱいになって、いろいろやられているわけでありますけれども、伊藤滋先生、築地にカジノですか、そういう計画は余り覚えていないんですけれども、カジノ、日本にはまだないわけですから、どういうものなのか、私、それも実態もよくわかっておりませんので、そういう点もよく研究・検討させていただきたいというふうに思うわけであります。

 また、容積の問題等々も指摘されたということでありますけれども、先ほど来申し上げていますとおり、伊藤滋先生のとおりにまちづくりをやるということではないわけで、区議会の皆様方と一体となって良好なまちをつくり上げていくわけであります。

 中央区の役割ね。やはり日本の経済の中心であるということはお認めになると思います。やはり今、中央区、都心から景気浮揚でも何でもどんどん上げていって、そして、全国に裾野を広げていく、これはもう江戸時代から、そういう役割を中央区というか、都心部、首都の中心である本区では、そういうものを持って、それが任務であるわけでございまして、ですから、そういう役割は今後とも果たしていかなければならないのではないかな、そういうふうに思っているところであります。

 以上であります。

〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育制度に対する問題意識ということで再質問をいただきました。

 戦後の教育につきましては、戦後復興期、高度成長時代、それからゆとり教育という、やはりさまざまな時代に沿った形で、教育制度そのものについては見直しを常にされてきておりますし、教育そのものについては、常に課題を持っていて、やはり改善するところは改善していって、よりよい子供を育てていくということが必要だというふうに思っております。

 今回の教育委員会制度の見直しの中で、私も教育委員会が附属機関になるということについては、大変残念だというふうに思っておりました。現在の私ども中央区の教育委員さんたちの熱意、見識、それから真摯な取り組み、責任感等から鑑みますと、やはり執行機関として、きちんとこれだけやっていただいているのに、制度が変わって附属機関になるのは残念だなというふうに思っておりましたが、先ほど御答弁させていただきましたが、やはりそう思う方はほかにもいっぱいいらっしゃるようで、全体的な見直しの中では執行機関として残すというところが一つの流れになってきているのではないかなというふうに思っております。

 教育そのものにつきましては、よく言われるのは不易流行ということで、残すところは残す、直すところは直す、やはりこれは常に大事だと思っております。

 そして、中央区の教育におきましては、行政だけではなくて、特にどの学校も地域に支えられて、地域の方が一生懸命いい学校にしようとして取り組んでいただいておりますので、いろいろな制度が変わったとしても、そのこと自体は変わりませんので、中央区の子供たちのことを考えてくれている方が、地域あるいは保護者、それから関係機関等を含めてたくさんいらっしゃって、支えていただいておりますので、いろいろな制度が変わった中でも、その中で何が子供にとってベストなのかというのを教育委員会としても考えていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたが、大変納得のできないところが多かった御答弁でした。

 確かに、今、国の財政の半分を借金で賄っているというような状態を解決していかなくてはいけないのはもちろんなんですけれども、それを消費税頼みにして、さらに、その消費税で、入るからということで大型の公共事業が復活して、もともと消費税は社会保障に回すと言っていましたけれども、実際には社会保障の制度がどんどん悪くされて、給付も減らされるというような事態の中で、その口実も崩れているというような状態だというふうに思います。増税後に経済が悪くなったら何とかするということではなくて、そういうことが十分予想されるのに、そのまま見過ごすというのは大変問題だということを改めて指摘させていただきます。

 それから、伊藤滋氏のいろいろな講演で、確かに、時間はかかるけれども、着実にそういうまちづくりを国や財界が進めてきている。ここに問題があるというふうに思います。アジアヘッドクォーター構想とか国家戦略特区とか、そういうことに基づいて、今、どんどん進めている。中央区も、それが上位計画なんだからということで、それを進めるようなまちづくりを進めている。そこをきちんと正していかなくてはいけないというふうに私は思います。

 カジノは今ないって、もちろんですよね。だって、法律で禁止されているわけですから。それを、今度は法律を変えてカジノをつくるということを具体的に考えている。各地で今、カジノ議連などができて、カジノができるようにしようというような動きも急になっていますけれども、その本部長に安倍首相がなっているというような事態もありますし、そういうカジノなどの利用を築地市場の跡地に誘致するようなことになっては断じてならないというふうに私は考えております。

 教育制度については、今、安倍内閣のもとで本当に戦争をする国づくり、集団的自衛権も行使できるようにしようとか、武器も輸出できるようにしようとか、そういう流れの中で、これから戦争に行くような事態になるかもしれない。それを受け入れられるような国民を育てるということを大きな主眼として、今、教育改革をやろうとしています。

 そういうことは断じて許せないということを改めて述べまして、私の質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(原田賢一議員)
 次に、一番加藤博司議員。

一番 加藤博司議員登壇

○一番(加藤博司議員)
 日本共産党の加藤博司です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によって、再質問、再々質問は留保いたします。

 最初は、勝どき東地区第一種市街地再開発事業についてです。

 この計画は、勝どき東地区と名づけられた勝どき二丁目・四丁目南側、朝潮運河沿いの三万九千平米の地域に巨大超高層タワーマンション三棟を建て、総戸数三千二十戸、総人口六千から七千人にもなる大規模な再開発です。

 この事業の問題点の第一は、周辺の人たちには寝耳に水の計画の進め方です。

 巨大な開発にもかかわらず、周辺住民には計画が決まった段階で初めて説明が行われました。二○○九年五月には、準備組合を設立しているのに、地元説明会は二○一三年六月十一日と十二日です。直接影響を受ける周辺住民への計画段階での説明が全く行われてこなかったことは、大問題です。大規模な再開発になればなるほど、計画地周辺への影響は大きくなります。決まったから説明するのではなく、計画段階から周辺住民の声を聞きながら進めていくことが必要ではないでしょうか。区長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 二点目は、日影被害の問題です。

 南側及び朝潮運河側に三棟の超高層住宅により、計画地の北側及び東側では、等時間日影図によると、最大で八時間全く日が当たらない地域が生まれます。近接地域では、最大七時間日が当たらなくなり、影響が広範囲に生じることが明らかになっています。私たちの太陽を奪わないでください、つぼの中で暮らすようになってしまうという悲痛な声が上がっているのに、区や事業者は日影で影響が出ることを認めながら、日影規制地区ではないと強調し、影響を受ける周辺住民の見直しを求める声に全く耳を傾けようとしていません。日影被害を軽減するよう、事業計画の見直しを指導すべきです。お答えください。

 三点目は、計画地が幹線道路に面していないという問題です。

 勝どき東地区再開発計画は、黎明橋際でわずかに幹線道路に接するものの、区道と運河に囲まれている地域です。清澄通りなど幹線道路に接していません。しかも、計画地内で一日に発生すると予測されている二千四百台もの車が通行できる道路は、計画地と幹線道路を結ぶ上下一車線の区道だけです。その上、再開発地区と近隣幹線道路である晴海通り、清澄通りに接続する一般道は車線も増設されず、現状のままです。計画地に出入りする車の台数、生活する居住人口を考慮すれば、周辺地域への影響は多大であり、細い区道が車でいっぱいになることは明らかです。幹線道路へのアクセスに課題が残る袋小路のような計画地区の再開発は、見直す必要があると考えます。お答えください。

 四点目は、区道の廃止の問題です。

 勝どき東地区再開発計画は、区道で囲まれた四つの街区を、区道を廃止して一つの巨大な街区に統合し、超高層タワー型マンションの建設を可能にしようとするものです。現行の指定容積率四○○%、六○○%を一・五倍から二倍の一○七○%、九五○%、九九○%に引き上げ、高さ百九十五メートル、百六十五メートル、百六メートルのマンションが南側運河沿いに並ぶことになります。区道は、貴重な区民の共有財産です。区道の改廃は、原則禁止が中央区のまちづくりの基本のはずです。再開発を指導・監督する行政は、区民の共有財産である区道の廃止は原則禁止に立って、事業者の計画の再検討を求めるべきと考えます。お答えください。

 また、区長は、これからも区道の改廃を行い、巨大な街区をつくり、再開発を推し進めるお考えですか。それぞれお答えください。

 五点目は、勝どき東地区再開発計画は周辺住民との合意が得られていないという問題です。

 勝どき東地区再開発計画は、二○一三年六月に周辺住民の皆さんに、事業者により計画案の概要について初めて説明会が行われました。九月にはまちづくり基本条例に基づく説明会、十月には環境影響評価書案の説明会が、それぞれ事業者によって行われ、十二月には中央区と東京都による都市計画案策定に向けての説明会が開催されました。いずれの説明会においても、周辺住民から、日影や風害、高さ百六メートルの板状のマンションによる圧迫感など、見直しを求める声が多数出されています。計画は、周辺住民の合意が得られているとは言えません。周辺住民との合意が得られていない勝どき東地区再開発計画は、ことし四月に開催予定の中央区都市計画審議会に諮問すべきではないと考えます。お答えください。

 六点目は、急激な人口増加により、インフラが追いつかない事態が広がるという問題です。

 現在でも、勝どき駅の朝夕の混雑は想像を絶するものがあります。ホームの拡張工事や出入り口の増設を行っていますが、極めて深刻な事態です。勝どき東地区再開発計画以外にも、勝どき、豊海、晴海地域は大規模な再開発の着工や計画が進んでおり、なお一層勝どき地域、駅周辺が混雑することは明らかです。平成二十四年度の資料によると、区内で三十一の再開発事業などが完了や計画・検討が進んでいます。大規模再開発により、想定を上回る人口の急激な増加を生み出し、今でも保育所待機児問題は深刻です。特認校制度では解消できない小学校の教室不足は、現実のものとなりました。学校の増改築など、区財政にも負担をかけています。急激な人口増加がもたらす大規模再開発優先のまちづくりは、見直すべきです。区長のお考えをお答えください。

 次に、築地市場移転計画について質問します。

 東京都は、今年度中に豊洲新市場の建設工事の着工を強行しようとしていますが、豊洲新市場の整備計画と築地市場移転の問題点を改めて検証し、質問します。

 最初に、豊洲の移転予定地は、国内でも有数の土壌汚染地帯です。今でも、市場関係者、消費者、研究者から、食の安全が心配、都の汚染除去対策は欠陥だと批判が渦巻いています。しかも、都は、昨年十二月、土壌汚染対策法に基づく汚染浄化の確認もせずに安全宣言を出し、工事着手を急ごうとしていることは問題です。政府が中央卸売市場の立地条件としている生鮮食料品などの安全・衛生上適切な環境にある地域であることとしていますが、豊洲は全く適さないと考えます。区長は、土壌汚染地の豊洲の新市場予定地は卸売市場として適切であると考えているのか、お答えください。

 第二に、中央拠点市場は、小泉政権下の二○○四年の卸売市場法の改定で方向づけられました。大規模な中央卸売市場と中小規模の中央卸売市場との間での機能・役割の明確化を図るとあるように、中央拠点市場として豊洲新市場計画の推進は、新自由主義的な規制緩和政策の一環として、市場機能を解体し、多国籍化した食品産業のために巨大な食品流通センターをつくることです。豊洲新市場は、単なる築地市場の移転ではなく、首都圏の拠点市場として建設されるものであり、大手スーパーチェーンなどの大企業のための大規模物流センターとして新築されるものです。それは、築地市場でこれまで季節ごとに新鮮で安全な多品種の生鮮食料品の流通を支えてきた仲卸商の縮小・再編を図るものであり、これにより、築地市場を頼りにする全国の多数の農漁民、都内の専門小売店・料理店などの営業を困難にします。巨大な食品流通センターとして整備される豊洲新市場について、どうお考えですか。お答えください。

 第三に、二○一○年の第九次卸売市場整備方針では、中央拠点市場が大規模小売業者や外食産業のニーズに応えるための施設整備を求めています。すなわち、閉鎖型施設、コールドチェーン、輸送や搬送施設、加工や処理施設、場内搬送の自動化などです。豊洲新市場は、これらの施設整備に重点が置かれています。効率化最優先の豊洲新市場は、単に中小の仲卸の転廃業をもたらすだけでなく、小売業、お寿司屋さん、料理店などの多数の小営業者を市場機能から排除することになりかねません。築地市場には多数の売買参加者と買い出し人が集まっており、多くの小売業にとって欠かすことのできない施設です。効率化最優先の豊洲新市場によって、多数の仲卸業者や小売業者などが排除されかねないことについて、どうお考えですか。お答えいただきたいと思います。

 第四に、築地市場は、場外市場と一体となって伝統的な日本の食文化を守り育てており、国内外の有名な観光スポットとして多数の観光客が集まり、中央区の経済にとっても重要な役割を果たしています。これらを失うという問題です。築地市場は一九三五年につくられ、今日に至っています。この期間に築地市場ならではの食文化がつくられてきました。都内の料理屋さんなどで築地直送などの看板が立っているように、料理店や鮮魚専門店など多くの人たちにとって、本当に重要な施設です。また、築地市場外でも、たくさんの業者が商売をしています。築地場内・場外が一体となって築地ブランドをつくり上げてきたのではないかと思います。まだ工事は行われていません。築地市場の現在地の再整備に立ち戻るべきです。お答えください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 加藤博司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、勝どき東地区第一種市街地再開発事業についてであります。

 本事業は、木造低層建物が混在し避難場所の不足など防災上の課題から、安全・安心のまちづくりが求められている密集市街地でありまして、大規模な倉庫の土地利用転換による市街地更新と、老朽化したマンションの建てかえを一体的に行う計画となっております。そのため、地域住民が日常的に集い、災害時には地域活動や避難の場として活用できるスポーツアリーナや防災広場を整備するとともに、朝潮運河に面する立地を生かしたプロムナードや人道橋、防災船着場を整備する計画としております。計画地周辺の住民への説明は、計画案がまとまる前に行うことで、かえって地域の混乱を招くおそれがあることから、準備組合により計画案を策定後、速やかに行われてまいりました。

 次に、日影についてであります。

 現状でも、六時間を超える日影が生じている敷地周辺の一部に対しまして、さらに影響を与えることが想定されたことから、その影響を軽減するため、南側に寄せた配置計画を指導しております。今後、隣接地については、住民とも協議の上で再開発事業の実施も含め、その対策について検討してまいります。

 次に、道路要件についてであります。

 本計画では、区道の拡幅や歩行者通路を新設するなど、開発規模を踏まえた道路配置としており、交通処理計画についても、国土交通省の大規模開発地区関連交通量計画マニュアルを用いて、周辺地域に対して支障がないことを確認しております。開発に伴う区道の改廃については、地域課題の改善を図るなど、良好なまちづくりに資する計画と認められる場合に都市計画に位置づけながら、進めてまいります。

 次に、都市計画手続についてであります。

 本計画により地域環境への新たな影響が生じますが、地域の課題改善に向けて必要な計画であることから、都市計画法に基づく住民説明会での意見を踏まえ、都市計画審議会に諮問してまいります。再開発事業は、施設建築物の整備とともに、空地や公共・公益施設の整備も同時に図ることから、地域の課題を解決する有効な手法と考えております。地域住民と協議を重ね、再開発事業が適切な手法として判断される場合は、その推進を図ってまいります。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事につきましては、東京都の責任において実施されております。これまで、都と市場事業者等で構成する土壌汚染対策工事と、地下水管理に関する協議会において対策工事の処理状況を確認しながら進められ、専門家で構成する技術会議の確認も経て、今回の建設工事着工に至ったものと認識しております。また、豊洲新市場の施設整備につきましては、平成二十四年十一月、都と仲卸業者や小売業者などの市場事業者で構成する新市場建設協議会において施設計画が承認されているところであります。食の安全・安心の確保は、当然ながら、市場移転の大前提であります。豊洲新市場の整備に向けては、土壌汚染の完全な無害化はもとより、施設内容や使用条件などについて、今後も都と市場事業者との綿密な協議が進められていくものと考えております。区といたしましては、市場移転という現実に即し、移転後も築地の活気とにぎわいを確実に継承し、発展させていくため、築地新市場の開業に向け、引き続き区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 最初に、勝どき東地区再開発についてですが、再開発の進め方、それから袋小路のような計画地の地形の問題、区道の廃止やまちづくりなどの指摘について答弁をいただきましたけれども、納得することはできません。

 そして、この場所は木密地域ではありません。ほとんどが法人地権者の場所でもあります。そして、一棟の大型のマンションがそこに存在するだけであります。

 私は、本来、再開発事業は隣接する居住者の居住環境を十分に配慮し、よりよい環境をつくり出すべきものと考えております。この再開発計画は、周辺居住者に対して、そのような配慮がなされているのか、この点について再度質問します。

 周辺居住者の方々からは、南側に超高層三棟の建設により、太陽が奪われ、冬場はほとんど日が差さなくなり、一日中日影になってしまう、あるいは全く日が当たらなくなり、空も真上にしかなくなり、つぼの中で暮らすようになってしまう、私たちの太陽を奪うなという近隣住民の悲痛な声に行政はきちんと耳を傾け、事業者を指導すべきです。再度、この点について区長の御答弁をお願いします。

 築地市場移転の問題です。

 区長は、土壌汚染について、東京都が実施する計画だからという姿勢は、やはり問題だと思うんです。この問題は、今回改めて追及しておりますけれども、政府が進めている道州制との絡みもあります。首都圏の拠点市場と位置づけられる豊洲新市場は、都内だけでなく、首都圏にある中小の卸売市場、地方卸売市場の廃止・再編をもたらすことになります。拠点市場ということで、都内だけでなく、首都圏三千三百万の人に対応する拠点市場ということであります。これらの市場に依存している生産者、小売業、消費者に甚大な影響を与えることは必至です。豊洲移転に反対し、築地市場を守ることは、中央卸売市場だけでなく地方の卸売市場を含めて、生産者、小売業、消費者を守ることにつながります。その点について、再度区長の御認識をお答えいただきたいと思います。

 以上で再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 築地市場、これは何といっても食文化の拠点であるしね、そして御指摘のような世界有数の観光拠点、観光スポットでもあるわけですから、私たちはしっかりとこれを守っていかなければならないし、また、関係者の方々も、これまでも応援してきたし、そういった方々に対しては、しっかり期待に沿ってやっていかなければならない、そういうふうに思いますね。

 いろいろな考え方はあるでありましょうけれども、無論この東京の台所というだけではなくて、首都圏のための拠点市場でもあったわけでありますから、そういう面では、今度は豊洲新市場がかわって行うということでありましょう。と思いますよ。したがって、そういうことで、関係者の理解、また期待を担っていただけるもの、こういうふうに期待しているところであります。

 勝どき東地区の問題につきましては、他の理事者から答弁いたします。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 勝どき東地区の再開発についてでございますが、委員もお触れになったように、今、区内で幾つも再開発というのは進んでいるわけでございますが、これは国や都や、あるいは悪漢である副区長が無理矢理やらせてこんなに三十四カ所出てきているわけではないんですよ。やはり再開発というのは、自分たちの建物の更新や生活の改善のために役に立つということで選択をされている区民の方がたくさんいらして、私どものところでもやってくれという話があって、今、話が進んでいるわけでございまして、もちろん、当然のことでございますけれども、再開発を行うに当たっては、都市計画決定時点で大体八五%ぐらいの地域の住民の方々の賛成が必要でございますし、実際的に実施をする際に至っては、本当に九九%に近い状態で賛成がなければ、事業というものはできないわけでございまして、そういう部分において、基本的には、私どもはそこにお住まいの住民の方々を含めて、基本的に、その生活改善につながるような開発というもの、住民主体の開発というものをやってきているからこそ、それなりに今でも再開発をやってくれという声が続いているという前提が、ひとまずあるということを御理解いただきたいと思います。

 勝どき東地区につきましては、この東地区周辺においても、幾つかまだ再開発をしようという動きはあるわけでございまして、そういう問題も、再開発も含めて、周辺の方々とは今後、新たな再開発の実施も含めて、今後お話し合いを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

〔一番 加藤博司議員登壇〕

○一番(加藤博司議員)
 再々質問になりますけれども、私は、本来、先ほど言いましたように、再開発事業は隣接する居住者の居住環境も十分に配慮して、よりよい環境をつくるべきだということを私は指摘したつもりです。ですから、そういう視点からいうと、今回の勝どき東地区の再開発計画については、周辺住民の合意が得られていない。ことし四月に行われる中央区都市計画審議会には諮問すべきではない、見直すべきだと思います。

 また、築地市場の移転に伴い、東京都が担う大規模な事業者と労働者のリストラ計画に中央区は絶対に手をかしてはいけません。移転反対に立ち戻るべきです。

 そのことを述べまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十八日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十八日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時二十分 散会


署名議員
議長 原田 賢一
議員 渡部 恵子
議員 今野 弘美

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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