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平成26年第四回定例会会議録(第2日 11月25日)

1.会期

十四日(第二日)

十一月二十五日(火曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時四十七分散会

3.出席議員

(二十八名)

一番 加藤 博司議員

三番 瓜生 正高議員

四番 染谷 眞人議員

五番 富永  一議員

六番 山本 理恵議員

七番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 田中 耕太郎議員

十二番 増渕 一孝議員

十三番 木村 克一議員

十四番 石田 英朗議員

十五番 中嶋 ひろあき議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 墨谷 浩一議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十番 高橋 伸治議員

二十一番 原田 賢一議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 礒野  忠議員

二十四番 今野 弘美議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本  利雄議員

4.欠席議員

(一名)

二番 青木 かの議員

5.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 田中武君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 新治満君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 長嶋 育夫君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 坂田 直昭君

監査事務局長 有賀 重光君

企画部参事(企画財政課長事務取扱) 黒川眞君

広報課長 園田 典子君

総務課長 古田島 幹雄君

6.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 渡邊 千可雄君

7.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(原田賢一議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。

 なお、青木かの議員より、本日から十二月四日までの間、欠席する旨の申し出がありましたので、御報告をいたします。


○議長(原田賢一議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十一番田中耕太郎議員。

     〔十一番 田中耕太郎議員登壇〕

○十一番(田中耕太郎議員)
 中央区民の会の田中耕太郎です。質問通告書に基づき、中央区の教育問題について御見解をお尋ねいたします。明快かつ具体的な御答弁をお願い申し上げます。お答えいただいた内容により、再質問をいたします。

 まず、幼稚園教育についてです。

 政府の諮問機関である教育再生実行会議は、本年七月三日の今後の学制等の在り方について、第五次提言において、小中一貫教育学校の設置を促進し、三歳から五歳までの教育を段階的に無償化した上で、五歳児からの教育の義務化を検討するとしています。これは、義務教育の対象を六歳児から一年前倒しして、幼稚園や保育所などに通っている五歳の段階から全ての子供に幼児教育を行うべきというものです。

 海外では、幼児期に早期教育を受けた人のほうが進学率が高いという調査・研究もあり、経済格差や貧困の連鎖の解消につながるのではないかという期待もあります。さらに、本区の区立幼稚園は小学校に併設されており、小学校への連続性のある早期教育を行いやすい環境にあります。また、そうした教育的ニーズに加え、各家庭の保育・子育てに対するニーズは多様化しており、幼稚園において教育とともに保育機能の充実を望む声が区民の多くから寄せられております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 いわゆる早期教育の重要性について、本区の御見解をお知らせください。

 また、幼小一貫体制の整う本区では、五歳児からの義務教育化を想定した早期教育のあり方やカリキュラムを検証し、先進的取組(パイロット)校等を定めた試験的導入も検討すべきと考えますが、本区の御見解をお知らせください。

 また、多様化する保育・教育・子育てニーズに対応するために、区立幼稚園における預かり保育を充実させるべきだと考えますが、預かり保育の現状と今後の展開についてお知らせください。

 次に、学校増改築及び学習環境についてお尋ねをいたします。

 本区の定住人口は増加傾向が継続しており、三十代、四十代の子育て世代を中心とする増加で、出生数並びに学齢期の子供たちも急速に増加しています。昨年まとめられた教育環境の整備に関する基礎調査報告書に基づき、順次学校施設の再整備が行われる予定ではありますが、該当する学校の保護者や学区内の住民の多くは増改築の方針についてよく知らなかったり、知っている場合であっても、学習環境の悪化を懸念される方もいらっしゃいます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 近年の各小学校・幼稚園の増改築について、保護者への周知時期や方法並びに児童の学習環境への影響について、どのように対策を行っているのか、お知らせを願います。

 次に、情報(IT)教育、国際教育、道徳教育の推進状況をお伺いします。

 情報化社会という言葉が陳腐化するほどに、我々の社会生活の中にコンピューターを初めとするICT機器は欠かせないものとなっており、昔は読み書きそろばんという表現も、今やすっかり読み書きパソコンとなり、現代の必須能力として定着しつつあります。そうした社会情勢の中で、教育の現場においても情報教育の充実は緊急課題です。

 先日、私はICT機器を使って先進的取り組みを行っている多摩市立愛和小学校へと視察に行ってまいりました。そこでは、児童一人に一台のiPadが支給され、ほとんどの科目において、アプリを使った学習や黒板のかわりにディスプレーを使った教育、お互いのノートにコメントをつけ合う授業、プログラミングを使ってレゴを動かすICTと算数の融合授業など、先進的かつ現在の大学や企業等での業務の進め方にも密接に関連した取り組みが行われておりました。その高い実用性と将来性は、子供たちの将来にも大きな影響を及ぼすものと考えます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 第一に、本区の総合的な学習の時間等におけるパソコン教室の利用状況とその成果についてどのように認識をされているのか、お知らせください。

 第二に、フロンティアスクールの各校で行われているICT機器の活用による授業開発の現状と成果について御見解をお知らせください。

 第三に、多摩市立愛和小学校で行われているような電子パッド等を活用した実用的な双方向授業を本区のフロンティアスクールでは行うべきだと考えますが、御見解をお知らせください。

 次に、国際教育・道徳教育についてお尋ねをいたします。

 小・中・高校の学習内容を定めている学習指導要領の全面改訂について、下村文部科学大臣は今月二十日に中央教育審議会に諮問し、現在は教科外の活動として小学校五年生から導入されている外国語活動を小学校三年生からに前倒しし、五・六年生は正式教科に英語を加えることについて検討を求めています。また、同じく現在は正式な教科ではない小・中学校の道徳を教科に格上げし、検定教科書と評価を導入するよう下村文部科学大臣に先月二十一日に答申され、二○一八年度からの教科化が予定されております。

 中央教育審議会への諮問とその答申を踏まえて、お尋ねをいたします。

 英語教育の低年齢化の必要性について、本区の御見解をお示しください。

 次に、現在小・中学校で行われている外国人英語講師の授業内容等カリキュラムの充実を図り、英語教育の充実と低学年化に備えるべきと考えますが、御見解をお知らせください。

 次に、中央教育審議会が答申した道徳教育の教科化についての本区の御見解をお知らせしていただき、本区の現状と今後の取り組みについてお知らせをお願いいたします。

 次に、子供たちの安全確保策についてお尋ねをいたします。

 全国では、子供を狙った誘拐、殺人等の凶悪犯罪が絶えず、事件のたびに児童の見守り活動や防犯対策が強化されてきましたが、悲劇は残念ながら繰り返され、本年九月、神戸市では小学校一年生の女子児童の殺害事件が発生し、その他にも、ことしになってから大きなニュースとなったものだけでも、同じく九月、千葉県八街市の中学校一年生女子生徒の誘拐事件、七月にも岡山県倉敷市で小学校五年生の女子児童の誘拐・監禁事件、二月、神奈川県相模原市で小学校五年生児童誘拐・監禁事件、一月にも北海道札幌市で小学校三年生の女子児童が誘拐・監禁されるという事件が発生しています。平成二十六年警察白書によると、十三歳未満の子供に対する刑法犯の認知件数は、二○○四年以降減少傾向にありましたが、昨年度増加に転じ、特に子供への強制わいせつ犯罪が目立ってふえており、監禁と誘拐は合わせて百三件にも上っております。

 こうした中、本区においては、さまざまな安全管理策を学校やPTA、地域等が協力して行っておりますが、いま一度その内容について確認する必要があると考えます。例えば、緊急時に逃げ込めるこども一一○番システムの児童・生徒への指導の徹底や新入生に配布している防犯ブザーの機能の維持を確認すること、PTAにおける安全パトロールの充実策等を早急に検討すべきと考えます。

 それらを踏まえて質問をいたします。

 第一に、子供たちの総合的安全管理について、本区ではどのように取り組んでいるのかをお知らせください。

 第二に、こども一一○番防犯ブザーの配布、安全パトロールなどの防犯・安全管理策の成果をお知らせいただいた上で、より実態に即した改善を行うべきだと考えますが、御見解をお知らせください。

 次に、宇佐美学園と柏学園の活用状況についてお聞きします。

 宇佐美学園は、ぜんそく、肥満、虚弱等の児童の健康回復を目指しながら教育を受けられるように設置されている健康学園であります。公害が大きな社会問題となった高度成長期には、本区以外の他区においても同様の趣旨で設立された健康学園は多数ありましたが、現在では二十学園以上が閉鎖されており、宇佐美学園以外には三学園という状況にあります。

 そこで、お尋ねいたします。

 宇佐美学園の現状と児童の入学事由についてお知らせください。

 そして、他区が健康学園を閉鎖する中で、今後の必要性について本区の見解をお示しください。

 柏学園は、本区の校外学園として、豊かな自然環境を生かした教育活動を目的として設置されており、中央区民の児童・生徒にとっては共有の思い出の地としても親しまれ、区民になじみ深い校外学園として評価されています。しかし、東日本大震災に伴う原子力災害により、放射性物質の除去のため、平成二十三年度は半年の利用休止期間があり、二十四年度から利用を再開しております。

 そこで、お尋ねいたします。

 柏学園の現状と、利用再開後も国の基準を超えていた敷地北側の境界付近の放射線量の現状と対策についてお知らせください。

 また、柏学園の施設開放の利用状況と今後の活用推進策についてお考えをお示しください。

 最後に、図書文化財の有効活用についてお伺いいたします。

 労働スクエア東京の跡地に予定しておりました(仮称)本の森ちゅうおうの開設が建設費の高騰等の事由により延期される中で、その間における本区の図書文化財行政のあり方について質問をいたします。

 近年は、ホームページからの所蔵資料の検索・貸し出し予約のみならず、録音図書の配信やデジタル化した地域資料等の公開、こどもホームページの運用などサービス向上が図られていますが、一方で、インターネットの普及による図書並びに図書館離れの懸念も指摘される状況にあります。

 そこで、図書館の利用状況の推移と今後の利用推進策について具体的な御見解をお示しください。

 社会が成熟する中で、文化財並びに歴史的価値を有するものへの理解と関心が高まっています。本区は、江戸期以来の文化・経済の中心地として発展してきており、有形無形の文化財に恵まれています。近年はまち歩きが大きなブームとなっており、文化財めぐりは観光とともに地域振興においても大きな潜在能力となっています。しかし、認定されている区民文化財は必ずしも有効活用されていないのではないか、また設置されている案内板等が一部老朽化し、その役割を十分に果たしていないのではないかというお声を聞くこともふえてまいりました。

 そこで、お尋ねをいたします。

 区民文化財の認知度を高め、広報・案内板を充実し、積極的に活用すべきだと考えますが、御見解をお知らせください。

 以上で一回目の質問を終わります。御答弁により再質問をさせていただきます。

     〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 田中耕太郎議員の教育問題の御質問に順次お答えをいたします。

 まず、幼児教育についてであります。

 教育再生実行会議において、幼児教育の段階的な無償化や将来的な義務教育化も視野に入れ、幼児教育のあり方が提言されていることは承知しております。幼児教育については、小学校での学習や生活の基礎を確かなものにする意欲や関心を育み、友達と協同性や道徳性の芽生えを培うとともに、生涯にわたる学びと資質・能力の向上に大きく寄与するものであることから、質の高い幼児教育を行うことが重要であると認識しております。幼児教育の義務教育化につきましては、幼児の言葉の習得や心身の発達の早期化、小学校教育との接続などを踏まえた提言がなされており、一定の将来方向が示されているものと認識しておりますが、いわゆる早期教育のあり方につきましては、さまざまな発達の状況にある幼児に対する幼稚園現場の状況を考慮しつつ、今後の動きを注視してまいりたいと存じます。教育委員会といたしましては、既に保育所から小学校へ入学する児童数が幼稚園から入学する児童数を上回っていることから、就学前教育については、本区独自の幼稚園アプローチカリキュラムの活用を初め、保育所・幼稚園と小学校との連携をより強化することが必要であると考えております。

 次に、区立幼稚園の預かり保育についてであります。

 預かり保育は、現在、明石・有馬・月島第一の三園で開園日のほか、土曜日・日曜日・祝日及び年末年始を除く夏季・冬季・春季休業期間に実施しております。定員は各園とも三十人で、このうち二十四人を登録利用、六人を一時利用とし、利用時間は、開園日は教育時間終了後から午後四時三十分まで、長期休業期間は午前九時から午後四時三十分までとしております。昨年度の利用状況は、三園合計で延べ一万二千七百十八人、一日当たり一園約十八人、利用率は約六○%で、ここ数年は同様の状況であります。教育委員会といたしましては、さらなる保護者ニーズの把握に努め、預かり保育事業の充実を図ってまいりたいと存じます。

 次に、小学校・幼稚園の増改築に係る保護者への周知と学習環境への影響についてであります。

 増改築計画の周知につきましては、広く「区のおしらせ」や教育広報誌「かがやき」、ホームページなどで実施しているところであります。各学校の具体的な整備内容についての保護者への周知は、設計完了後、早期に学校だよりでお知らせし、あわせて保護者会や入学説明会などでも説明しております。さらに、近隣の住民の方々には、計画説明会や工事説明会を開催し、周知を図っております。また、増築に伴う学習環境への影響については、従前の校庭や園庭が増築場所となる場合に、遊び場や運動スペースの確保のため、屋上に体育館を兼ねたプールや運動広場の整備、一階のピロティー化など、極力影響が出ないよう工夫した整備に取り組んでおります。

 次に、情報教育についてであります。

 パソコン教室の利用状況については、原則全学年の児童・生徒に利用されており、総合的な学習の時間や各教科において、インターネットを使って調べ学習をしたり、プレゼンテーションソフトを使った発表がなされております。その教育効果については、目的に応じて必要な情報を収集してまとめたり、表現したりするなどの情報活用能力を学年に応じて身につけてきていると認識しております。フロンティアスクールにおけるICT機器の活用では、普通教室に設置している電子黒板を使用した授業を行っております。具体的には、算数では図形や立体、理科では天体の動きなどを視覚的に理解させるデジタル教材を電子黒板に映し出した授業が実践されており、その成果は、児童の学習意欲の向上や学習への理解の深まりとなって出ております。また、教員に対しても成果があらわれており、電子黒板、デジタル教科書、実物投影機、プレゼンテーションソフトなどの活用について、フロンティアスクールを会場に実技研修を行うことにより、ICT機器を活用した新たな指導法の普及が全校に図られております。タブレット端末については、本区でも研究奨励校や中学校特別支援学級において、外部との通信、動画の記録・再生、漢字・計算の反復練習などを取り入れた授業に試験的に取り組んでおります。今後は、双方向授業など他自治体の実践や本区における研究事例を検証してまいりたいと存じます。

 次に、英語教育についてであります。

 文部科学大臣は、今月二十日、中央教育審議会に小・中・高等学校の学習指導要領の改訂について諮問しました。諮問には、英語教育全体の充実を図るため、現在小学校五・六年生で行っている外国語活動を三・四年生で行うことや、五・六年生は英語を教科として学習することなどが含まれています。本区におきましては、既に小学校一・二年生では年間十一時間、三年生から六年生では年間三十五時間の英語活動を実施するなど、低学年からの英語教育に積極的に取り組んでおります。現在、国際教育推進検討委員会では、パイロット校の常盤小学校における英語教育について、授業時数の増加やカリキュラムの作成の検討を行っており、今後の常盤小学校での実践の成果を区内小・中学校に反映させてまいりたいと存じます。また、外国人英語講師、ALTによる授業の充実については、中学校ではALTの資質向上や指導方法の改善について委託業者と協議を行うとともに、小学校では特に低学年において担任の授業へのかかわり方が大切であると考えており、ALTと担任が会話の実演を行うことなどについて検討してまいります。

 次に、道徳教育についてであります。

 今日の社会では、子供たちの社会性や規範意識、善悪を判断する力、思いやりなど豊かな心を一層育むことが求められております。こうした背景のもとに、中央教育審議会の答申において、道徳の時間が特別の教科、道徳(仮称)に位置づけられたものと認識しております。このことにより、道徳の授業において目標や内容、指導方法などが具体的になり、教科書の活用が図られながら、子供たちがみずからの生き方をより深く考えていくことにつながるものと受けとめております。本区では、道徳の時間を中心に教育活動全体を通して道徳教育を推進し、保護者や地域も参加する道徳授業地区公開講座や児童・生徒、保護者を対象に命のとうとさや友情の大切さを考える命と心の授業を実施しております。今後は、国の動向を注視するとともに、特別の教科、道徳(仮称)をかなめとして、本区道徳教育の一層の充実が図られるよう取り組んでまいります。

 次に、子供の安全確保策についてであります。

 区では、学校・PTA・地域が連携して子供を見守るとともに、子供みずからが危機予測や危機回避の能力を身につけることが重要であると考えており、このような考え方に基づき、こども一一○番やセーフティー教室、通学路安全マップの作成など、さまざまな取り組みを行っております。こども一一○番は、現在七百件を超える家庭や事業所などの協力をいただいており、今後はさらに協力ボランティアの拡大を図るとともに、子供一人一人がみずからの通学路にある避難所を把握する必要があると考えております。また、防犯ブザーは、区内在住・在学の全小・中学生に配布しており、本年六月、日本橋地区で児童が防犯ブザーを鳴らして難を逃れた事例があったように、安全確保策として有効であると考えております。今後も学校の安全教育において、これらの取り組みが有効なものとなるよう、子供たちを指導してまいります。PTAが中心となって取り組んでいる安全パトロールについては、犯罪発生抑止の一助となるほか、PTAや地域の防犯意識向上にも寄与しているものと認識しており、今後も警察や地域との連携により、一層効果的な取り組みとなるよう、学校を通じて協力を依頼してまいります。区内では、幸いなことに、児童をめぐる重大事件は発生しておらず、教育委員会としては、このような総合的な取り組みがその防止に役立っているものと考えております。今後とも子供の安全確保策のさらなる充実に努めてまいる所存であります。

 次に、宇佐美学園についてであります。

 宇佐美学園は、ぜんそくや肥満、虚弱などの児童が健康回復・増進に努めながら学校教育が受けられる健康学園で、本年十月現在、四十人の児童が在園しております。入園理由としては、ぜんそくの改善が減る一方、アトピーなどのアレルギーや生活習慣の改善を目的とする児童がふえ、全児童の四割程度となっており、これは児童を取り巻く生活環境や体質の変化が影響しているものと理解しております。宇佐美学園は、このように昭和十二年十月の開設以来、時代の変化とともに発生する新たな児童の健康問題に的確に対応し、たくましい心と体を育む健康学園として、その役割を果たしてきております。教育委員会といたしましては、心身ともに健康な児童の育成に向けて、今後とも宇佐美学園を運営していく必要があると考えております。

 次に、柏学園についてであります。

 柏学園は、自然環境に親しむ機会が少ない区立学校の児童・生徒及び園児のセカンドスクールや部活動合宿、芋掘りなど、自然環境を生かした教育活動の場として、毎年度百日程度利用されており、昨年度の利用者数は延べ八千五百二十五人であります。柏学園の敷地北側にある雑木林斜面部の放射線量については、本年十一月の測定では最大で毎時○・一九マイクロシーベルトと、国の基準値を下回っておりますが、国の基準値を上回っていた当初、除染作業が困難なため、立ち入りを禁止して安全の確保を図ってきた経緯から、現在も同様の取り扱いとしております。また、施設開放の利用状況については、昨年度は三十四日、十八団体、延べ六百六十三人の利用となっており、休止期間のあった平成二十三年度を除き、近年ほぼ同程度の利用実績となっております。教育委員会といたしましては、柏学園の有効活用を図るため、今後とも広くスポーツやレクリエーションの活動の場として学習室や体育館、運動場などを開放し、より多くの団体に利用されるよう、その周知方法の充実を図ってまいります。

 次に、図書館の利用状況の推移と利用促進策であります。

 図書館の利用状況を貸し出し冊数で見ますと、昨年度には百二十六万千八百三十八冊と、平成二十一年度から二万三十三冊増加しております。また、図書館利用カードの登録者数では、同じく八万九千七百四十八名と、一万二千五百六十九名増加しております。利用促進策といたしましては、本年一月からICタグによる資料管理を実施し、利用者自身による迅速な貸し出し・返却処理や予約資料の受け取りを可能とするなど、利用者サービスの充実を図っております。さらに、図書館ホームページをリニューアルし、お勧め本や錦絵、絵はがきなどの紹介等、多くの区民が図書館に興味関心を持っていただけるよう取り組んでおります。

 次に、文化財についてであります。

 文化財は区民共通の財産であり、教育委員会では文化財保護に対する意識啓発とともに、その活用について積極的に取り組んでおります。文化財については、郷土天文館ホームページ上で紹介するほか、文化財めぐりマップを作成するなど、積極的な周知に取り組んでおります。また、文化財説明板の更新の際には、写真や地図等の図版を加えるなど、文化財の歴史的背景をより理解しやすい工夫を施しているところであります。教育委員会といたしましては、文化財が地域の財産として広く愛され、守り続けられるよう、今後とも区広報紙での紹介や文化財説明板の充実を図るなど、その周知や活用に取り組んでまいります。

 答弁は以上です。

     〔十一番 田中耕太郎議員登壇〕

○十一番(田中耕太郎議員)
 御答弁ありがとうございます。いずれも前向きにというか、現状も踏まえた上で積極的に行っていただいているというふうには認識しましたが、何点か再質問をさせていただきます。

 まず、幼稚園の預かり保育の拡大でございますが、これは保育園行政とも重なってくるところもありますが、やはり幼稚園の預かり時間が長ければ幼稚園に通わせたいという保護者の御意向というのは、間々耳にすることがございます。現状、幼稚園に入園されている御家庭の方だけで考えれば、預かり保育の需要というのはやはり限られてくると思うんですけれども、そもそも入園するか否かという段階の中で、預かり保育の充実というのが区民のニーズとしてあるということをお伝えしていきたいというふうに思いますので、その点について御見解があれば、お知らせをしていただきたいというふうに思います。

 また、子供の安全管理策についてでございますが、いずれもきちんとやっておられるということで、私も基本的にそういうふうに信頼しておるところなんですけれども、やはり先ほどのこども一一○番でございますとか防犯ブザーというのは、大人というよりは、御答弁にもありましたように子供自身がそのシステムだとか道具を使いこなせなければ意味がないわけなんですけれども、私が聞く範囲という形にはなってしまいますけれども、防犯ブザーをいたずらや故障などで一回鳴らしてピンを抜いてしまって、その後、そのままになっていて、いざというときに使えないというようなケースなどもお伺いしていますし、こども一一○番も、先ほど御答弁がありましたとおり、たくさんありますけれども、実際に何かあったときに避難するという訓練までは行っていないというふうに聞いておりますので、そうなってくると、やはりいざというときに本当に機能するのかどうかという点は、もう一歩突っ込んで検証していただきたいというふうに考えますので、その点についてもお考えがあれば、お知らせしていただきたいと思います。

 宇佐美学園についてでありますが、生活環境の改善ということが入園理由として大きく挙げられておりますが、生活環境と一口に申しましても、やはりさまざまなケースがあると思いますので、具体的にどういう生活環境を改善すべく入園されているお子様が多いのかというのを、今わかる範囲でお知らせしていただきたいというふうに思いますし、先ほどの質問の中でも申し上げましたけれども、他区では二十園以上が同趣旨の学園を閉鎖したということでございますので、他区と本区とでは違う存在理由、継続理由があるのかどうかについて御見解をお知らせしていただきたいと思います。

 以上の点だけ、まずお願いいたします。

     〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 再質問についてお答えをさせていただきます。

 まず、幼稚園の預かり保育についての再質問でございます。

 利用時間がもう少し長ければというお話をいただいております。現状では、幼稚園の管理につきましては、園長が責任を持って行うという中で事業の組み立てをしておりますので、幼稚園として責任を持てる範囲がどこまでかという中で、最大の時間として午後四時半という時間設定をさせていただいております。先ほど御答弁でも申し上げましたが、保護者ニーズについては、さらに深めて把握をしていきたいというふうに考えておりますので、入園者だけではなくて、御利用の実態としてどういうものが保護者ニーズにあるかということについては、今後ともよく調べていきたいというふうに考えております。

 それから、子供の安全管理につきまして、防犯ブザーと、こども一一○番のお話をいただきました。これにつきましては、御指摘にもございましたが、使えなくては意味がないというのは、当然こちらのほうも考えてございまして、単に配布ということで終わるのではなくて、きちんと使えるという確認をしていくというのは非常に大切だというふうに思っております。御指摘のような点があるかどうかにつきましては、再度学校のほうに確認をとりますが、使えなくなっている状況がないように、この辺は再チェックをしていきたいと思いますし、また子供たちが具体的に防犯ブザーを使えるような訓練というのは定期的に行う必要があるというふうに考えておりますので、その辺のところについては、学校側ともよく協議をしてまいりたいというふうに思います。

 それから、こども一一○番のほうに逃げ込む訓練ということでございますが、ある意味で、子供が区内で何か危険なことに巻き込まれそうなときは、必ずしもこども一一○番の登録をしている家というだけではなくて、やはり直近のところに逃げ込めるという自分の判断が非常に大切だと思います。そこを探して逃げるというだけではなくて、手近なところでやはり自分の安全を確保していくというところが必要だと思いますし、また中央区の町並みからすれば、その辺は十分対応できることだというふうに思いますので、こども一一○番への逃げ込み訓練というより、むしろ子供たちがきちんと意識をして、危険から逃れて避難ができるような取り組みについては検討をしていきたいというふうに思っております。

 それから、宇佐美学園でございますが、確かに委員御指摘のように生活環境の改善というのはいろいろなものがございまして、広く、食生活もございます。それから、就寝といいますか、寝起きの時間だとか、子供の生活リズム全体の中で健康を害するような状況が起きているということもございますので、アレルギー等を含めて幾つかの要素が重なったような中で生活環境というのが出ているというふうに理解しておりまして、この辺は、具体的には在籍している学校長と、それから宇佐美学園の園長のほうで子供の様子をしっかり把握して、生活環境の改善に何が必要かというようなことについて判断をさせていただいております。

 それから、他区と違って、なぜ宇佐美学園を残すのかということでございますが、これはお答えになるかどうかわかりませんけれども、それぞれ各自治体によって事情が違いますし、健康学園に対する評価も違うというふうに思っております。私ども宇佐美健康学園につきましては、地元の伊東市もそうですし、それからPTAの方、OBの方、各学校、いろいろな形で必要性の認識、それから応援をしていただいておりますし、私どもとしては、子供がそういうニーズがあるというのも、時代が変わっても、いろいろな健康上のやはり問題が出ておりますので、他区と違うというよりは、むしろ中央区として、そのものについては必要だというふうに考えてございます。

 答弁は以上です。

     〔十一番 田中耕太郎議員登壇〕

○十一番(田中耕太郎議員)
 前向きな御答弁をありがとうございました。教育長にお答えいただいた御答弁を具体的に進めていただけたら大変ありがたいなというふうに感じているところでございます。

 宇佐美学園に関しましては、私も宇佐美学園にはもちろん何度かお邪魔しまして、その存在意義は十二分にあるとは考えておるんですけれども、やはり一方で先ほど他区、他区に全て倣えと言うつもりもございませんが、やはり大きな流れとして健康学園の必要性というのを問い直していく、見直していくべき時期は来ているというふうに考えておりますので、継続性も大事ですし、今いらっしゃる御家庭やお子様の健康や健やかな成長というものは何よりも大事なわけですけれども、それとはやはり別次元の問題として、今後どうしていくのかについて検証を絶え間なく続けていただきたいというのが質問の趣旨でございます。

 その他、幾つも教育問題は多岐にわたりますので、質問してまいりたいことはございますけれども、また改めての機会にしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○議長(原田賢一議員)
 次に、二十番高橋伸治議員。

     〔二十番 高橋伸治議員登壇〕

○二十番(高橋伸治議員)
 中央区民の会の高橋伸治でございます。私は、平成二十六年第四回区議会定例会に当たり、会派の一員として、中央区の行政上の諸問題について、さきに提出しました質問通告、一、二○二五年の中央区の未来像について、二、中央区のインフラ維持・管理体制について、三、住民が期待する防災対策について、区長並びに関係理事者の方々に御質問させていただきます。新しい民主主義は、区民と行政が一体となって進めるものです。働きやすい、暮らしやすい、未来に輝く中央区の施策に期待をしている中央区民にとって明るい夢と展望が開けますように、また、新しい希望が生まれますように、明快なる御答弁を期待しています。なお、御答弁のいかんによりましては再質問することを留保しておきます。

 二○二○年の東京オリンピックを控え、これまでに整備されたインフラの老朽化や震災リスクへの対応が迫られています。安全で強靱なインフラを末永く維持管理していくために、必要な施策や取り組みとはどのようなものでありましょうか。インフラなどの社会資本は、それぞれのサービスをもとに、交通、水道及び下水道、廃棄物処理、エネルギー生産と分配、建築物、レクリエーション施設、通信の七つに分類されます。

 日本では、道路や橋梁、水道など基幹インフラのほとんどが公共機関により運営されています。こうしたインフラの寿命は五、六十年ほどと言われ、定期的な補修が必要になります。日本、特に東京のインフラは一九六四年のオリンピックに合わせて約五十年前に集中して構築したものが多く、大規模改修や建てかえが必要な時期に入っています。日本は、これからの十年間がインフラ更新の山場になると言われています。

 しかしながら、日本の老朽化したインフラを一気に更新しようとすれば、莫大な費用がかかります。まずは、各インフラを丁寧に点検し、補修計画を立てることが重要です。景気が上向き、財政的に大規模な改修が可能になる時期までインフラの寿命を延伸することも考える必要があります。インフラの長寿命を図るには、早期の点検と適切な補修が最も有効であります。早期点検を実施し、損傷が悪化しないうちに補修することで、結果的に安価にインフラを維持することができると思います。こうした取り組みを行いながら、更新の緊急性の高いものリストアップし、優先的に手を打っていくことが重要でありましょう。

 また、耐震化の問題もあります。中央区は、東日本大震災の震度五強を持ちこたえましたが、震度六強に耐えられるのかはわかりません。電気や水道などの基幹インフラについては、集中的な耐震対策が必要です。

 こうした課題を放置したら、どのようなことが起きるのでしょうか。過去の事例として参考になるのは、一九七○年代のアメリカ、ニューヨークであります。当時、ニューヨークは財政難に陥っていたため、インフラの維持管理費を削減、補修要員も解雇してしまいました。これにより、補修のペースが急激におくれ、インフラの老朽化が加速しました。その結果、水道管が破裂して地面から水が噴き出したり、道路が突然に陥没して、まちが大混乱を起こしました。

 日本のインフラ管理は世界的に見てもレベルは高く、先端技術も進んでいます。ただ、補修を重ねてインフラを延命しても、いずれは建てかえなどの本質的な更新が必要になります。やるべきことはたくさんありますが、最大のネックになるのは財源です。これからますます人口減少が進み、かつてのような経済成長が望めない中で、どうやって費用を賄うかと考えた場合、民間の力をかりるしかないと思っています。

 そのためには、行政が持つ権限を民間に与えることで、民間が公共インフラの整備・運用を行うコンセッションのような仕組みが有効ではないでしょうか。行政が持つ権限は、目に見えない財産のようなものであります。権限の一部を民間に移譲すれば、民間はこれを利用して利益を生み出すことができます。また、民間団体が持つコスト削減などのノウハウによって、インフラを安価に運営できる可能性もあります。このように、公共インフラにも経済メカニズムを導入していくことが必要であります。

 これまで、公共インフラは利益を生む仕組みではないと言われてきました。確かに、そうした面もあると思います。しかし、一部のインフラに関しては利益を生む仕組みに変え、その利益で次のインフラを整備するというサイクルをつくる必要があります。そうしたサイクルを回すことで都市基盤を整備し、より魅力的な都市をつくっていくことで、国内外から新たな投資を呼び込んでいくこともできると考えます。

 もちろん、民間に任せれば全てがよくなるわけではありません。安全性が担保されるよう、監督する仕組みは必要です。しかしながら、全てを行政が賄うという発想は、もはや困難です。行政が担ってきた業務をどこまで民間に委ねるかという発想が必要な時代になります。これはインフラ整備に限った話ではなく、行政と民間の役割分担を再考するという大きなテーマになっていくだろうと思っています。

 防災についても、同様のことが言えます。従来のBCP、事業継続計画だけでなく、より広範なCCP、地域継続計画の策定が必要になると思います。行政・企業・地域住民の三つの主体が一体となって地域社会を維持する仕組みを考える必要があります。過去に発生した大規模災害では、共助によって助かった人が大勢います。民間企業が地域の防災対策に協力するというような取り組みは、もっと広げるべきでありましょう。そのためには、官民連携や企業と地域住民の連携を促進する仕組みや、行政の権限を民間や地域住民に移譲し協力を得たり、規制を緩和するというような価値観の転換が必要となります。このような災害の際には、行政の管轄や権限を越えた動きが必要になるということであります。一方で、物流インフラを担う民間宅配業者が災害支援を行おうとしても、緊急車両として活動できないという課題も残っています。管轄や官民の違いを超えた相互協力をもっと進めるべきでありましょう。

 このような観点に立って質問いたします。

 最初に、中央区の将来像についてであります。

 二○二五年には国の借金が国民の総貯蓄を上回り、これ以上の赤字国債の発行は不可能になる可能性が大きいと言われています。人口減少も一千万人、労働者人口も五百万人以上が減ると予想されています。二○二○年のオリンピック・パラリンピックまでにやらなければいけないこともたくさんありますが、地域住民が望んでいるのは、将来の限りない安心です。激変する日本社会の中で、中央区も大きな転換期を迎えていると感じています。

 そこで、質問します。

 質問の第一は、二○二五年の中央区の将来像について、区長さんの見解をお尋ねいたします。

 質問の第二は、医療・福祉・介護・子育てなどの社会福祉の二○二五年の実像をお示しください。

 質問の第三は、コンセッションなどの手法を駆使して、権限の移譲も含めた新しい地域との協働をつくるべきだと思いますが、区長さんのお考えをお尋ねいたします。

 二番目の質問は、社会インフラの維持・管理についてであります。

 日本では、一九六○年代の高度経済成長期に道路や上下水道、橋、学校などの社会インフラが一斉に建設されました。そして、その多くが耐用年数とされる五十年を超え、建てかえの時期を迎えていて、実際に事故も発生しています。老朽化したインフラは、本来は適切に補修・修繕を行い、機能維持を図ることが望ましいですが、中には適切な補習・修繕が実施されないことなどにより損傷程度が悪化し、危険性が増し、供用することができなくなったインフラも日本各地で出てきております。こうした状況は、区市町村において、より深刻であると考えてます。幸いにも、我が中央区で現在そのような状況は見られませんが、将来の課題は大きいと思っています。

 そこで、質問します。

 質問の第一は、日本で早い時期に建造された道路や橋のうち、具体的なデータが不足しているものは全体の八七%を占め、これらの道路や橋の多くは設計図だけが残っている。また、特に昭和の時代に建造された道路や橋はデータが残っていないものが多いと言われていますが、中央区の現状をお聞かせください。

 質問の第二は、将来の人口減少社会を迎える前に、前倒しをしてインフラ整備計画を立てるべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。

 質問の第三は、東京都がマスコミ報道をしたオリンピック前までに電線の地中化を積極的に行うという施策に対して、中央区は前倒しして行うべきだと思いますが、いかがですか、お尋ねいたします。

 三番目の質問は、住民主体の防災問題についてであります。

 中央区の防災を考えるときに、問題の本質を難しく、また、わかりにくくしているのは、流入人口と企業の昼間人口の存在です。地域住民だけでなく、これらの人たちにも心配りをしなければなりません。しかしながら、防災問題の第一義は命を守ること、弱者を救済することでなくてはなりません。中央区の防災計画は明確に対応していると言えるでしょうか。中央区が本当の国際都市を目指すのであれば、外国人であろうと、また、遠くから来ている観光客であろうと、けがをしたり事故に遭った人を地域が助ける仕組みが必要です。

 そこで、質問いたします。

 質問の第一は、防災問題で忘れ去られている地域継続計画を策定するべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。

 質問の第二は、ふだんから福祉サービスを受けている皆様に対するサービスはどのように継続するのか、お尋ねいたします。

 質問の第三は、災害弱者への対応ははっきりと位置づけをして、中央区以外にも発信するべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。

 以上をもって、私の第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 高橋伸治議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、二○二五年の中央区についてであります。

 二○二五年に向けた、これからの十年間において、本区はさらにダイナミックな変化を遂げるものと想定されます。二○二○年東京オリンピック・パラリンピック後の集中的な住宅供給も相まって、今後も生産年齢層を中心とする人口増加が続くことは確実です。また、東京駅前地区を初めとする業務・観光機能の強化などにより、江戸以来、商業・文化・情報の中心として発展してきた本区の潜在力がクローズアップされ、グローバルな企業活動が展開されるビジネスシティーとして、世界中から来訪者が集う観光都市として飛躍的に国際化が進展することが見込まれます。こうした展望のもと、まず第一には、喜びを持って子育てができる支援策の強化や未来に羽ばたく人材を育む教育の推進、命と健康を守る取り組み、高齢者や障害のある方が安心して暮らし続けられる福祉の充実など、全ての区民が快適な都心居住を謳歌することのできる環境の整備を着実に進めていく必要があります。また、まちの機能性を高める地下鉄など交通基盤の整備、名橋日本橋を初めとする風格ある景観の再生、食文化の拠点である築地のにぎわいの継承・発展、国際化を好機とした区内中小企業のさらなる活性化など、我が国の経済的活力を支える都心としての使命もしっかりと果たしていかなければなりません。今後とも、ソフト・ハードの両面にわたる官民一体の取り組みを積極的に展開し、都心居住機能、業務機能、都市観光機能が三位一体となった人を引き寄せ続ける魅力を持ったまちを目指してまいります。

 次に、医療・福祉・介護・子育てなど社会福祉の二○二五年の実像についてであります。

 団塊の世代の全てが七十五歳以上となる二○二五年、本区の高齢者人口は現在のおよそ二万二千人から二万五千人に増加するものの、高齢化率は現在よりも低く推移するものと推計しております。また、乳幼児人口は現在の八千人から一万人を超えると見込んでおり、少子高齢化が進む全国的な傾向とは異なった人口構成になるものと推計しております。しかしながら、高齢者人口の増加は、その全てが後期高齢者であるため、活力ある地域社会を維持するためには七十歳就労社会の実現、介護予防の推進、子育て支援の充実など、さらなる取り組みを強化する必要があるものと考えております。こうした状況を踏まえ、現在、区では医師会等との連携による健康寿命の延伸や地域の柔軟な発想を生かした元気高齢者の介護予防、民間事業者による子育てしやすい環境づくりなど、総合的・包括的な福祉施策を推進しております。今後、生産年齢人口の減少による福祉人材の不足や財政負担の軽減などにも配慮しつつ、住民同士の交流や支え合いのもと、子供から高齢者まで全ての区民が生き生きと安心して暮らせる活力あふれる中央区の未来を実現してまいります。

 次に、地域との協働についてであります。

 限られた財源の中で、多様化する区民ニーズに対応し、質の高いサービスを持続的に提供していくためには、さまざまな主体との協働による効果的・効率的な取り組みが必要であり、基本計画二○一三においても、協働を区政運営における基本的な柱の一つとして位置づけているところであります。公共の施設等に運営権を設定し、民間事業者に売却するコンセッション方式については、官民連携を促進する手法の一つであると認識しております。導入に当たっては、他の自治体における実績も踏まえながら、官民のリスク分担のあり方、運営の柔軟性、コスト削減効果等について慎重に見きわめていく必要があるものと考えております。区といたしましては、将来を見据えた強固な財政基盤を堅持しつつ、多様な行政需要に的確に対応していくため、地域を初めとする民間活力の導入など、さまざまな主体との効果的な連携のあり方について引き続き検討してまいります。

 次に、中央区の道路、橋梁の現状についてであります。

 本区では、道路延長約百五十七キロメートルと三十一の橋梁を管理しております。道路については、断面構造などを示す道路工事標準構造図集を定め、改修工事や占用企業者による復旧工事を行う際には、その構造を更新しております。また、橋梁につきましては、明治・大正時代に建設されたものがありますが、図面はおおむね保存されており、点検や改修履歴等のデータについても、昭和四十年代から蓄積しております。区では、これらのデータに基づき、道路や橋梁の適切な維持管理を実施しているところであります。

 次に、インフラ整備計画についてであります。

 区民生活や社会経済活動を支える道路や橋梁等のインフラの合理的かつ健全な維持管理は大変重要であります。本区では、これまで、施設の老朽化等を踏まえた整備計画に基づき、修繕などを実施しておりますが、将来にわたり、各施設の修繕時期が集中することを考えると、より一層の財政負担の軽減や平準化を図る必要があります。このため、橋梁につきましては、平成二十一年度に橋梁長寿命化修繕計画を策定し、これまでの損傷具合により補修をする対処療法型から、損傷が進行する前に予防処置する予防保全型に取り組むことで長寿命化を図り、三十年間で約十二億円のコスト縮減を見込んでおります。今後も、各施設においては、長期的な視点や財政負担などに十分配慮しながら、予防を重視した取り組みを進め、安全・安心なインフラの維持管理に努めてまいります。

 次に、電線類の地中化についてであります。

 災害に強いまちづくりや安全で快適な都市空間の創出等の観点から、電線類の地中化は積極的に進めなければならない施策と認識しております。本区では、平成十九年度に策定した無電柱化計画に基づき、電線共同溝の事業を推進しており、こうした取り組みなどにより、平成二十五年度末における区内の無電柱化率は四三・三%であり、二十三区中一番となっております。現在は、日本橋本石町四丁目、湊二丁目、勝どき二丁目、築地六・七丁目など四地区で工事を実施するとともに、日本橋堀留町、日本橋久松町地区で詳細設計を行っておりますが、二○二○年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえ、可能な限り整備を推進する必要があると認識しております。このため、電線管理者や埋設企業者の協力を得て工期短縮を図るとともに、中央区まちづくり基本条例に基づき、開発事業者に整備を要請するなど、無電柱化の推進を図ってまいります。

 次に、地域継続計画についてであります。

 区では、地域防災計画を策定し、減災目標を定めるとともに、防災区民組織や防災拠点活動を中心とした地域防災力の向上、三万七千もの事業所を背景とした事業所防災対策の充実に取り組んでおります。また、来街者等への対応につきましては、民間事業者が主体となって設立した帰宅困難者支援施設運営協議会への支援を行い、災害時の安全確保を図ってまいります。地域継続計画は、地域内の住民や区、事業所などが事前に被災時の役割を定め、助け合ってコミュニティの機能を維持するためのものであるとされており、本区のこれまでの取り組みもこうした趣旨にかなうものであると考えております。区といたしましては、今後とも、防災機関と町会・自治会との連携を深めるとともに、事業所に対しても、災害時に地域と連携して活動してもらえるよう、パンフレットやDVDによる普及啓発に加えまして、防災講演会や防災訓練の機会を捉え、働きかけてまいります。こうした取り組みにより、区、町会・自治会、事業所等が一体となって地域の災害対応に当たってまいります。

 次に、災害時の福祉サービスについてであります。

 福祉サービスの停滞は区民の生命・健康に直結することから、災害時においても途切れることなく提供していく必要があります。そのため、区では災害時の限られた人的・物的資源を効果的に投入して、区民生活に不可欠なサービスを継続して行えるよう中央区業務継続計画を作成しているところであります。その一方で、介護サービスのように民間の事業者が中心となって提供している福祉サービスもございます。そのため、災害時においても継続したサービスが提供されるよう、本年七月に中央区介護保険サービス事業者連絡協議会と災害時における協定を締結したところであります。これは、災害時に、いつもお願いしていた介護事業者が被災しサービスが受けられない、あるいは事業者は機能を維持しているが、要介護者がどこに避難しているかわからないなどのミスマッチをなくし、限られた資源を最大限に活用して災害に対処しようとするものであります。このような連携体制を充実させ、行政と民間事業者が一体となって災害に強いまちづくりを推進してまいりたいと存じます。

 次に、外国人など災害時要援護者への対応についてであります。

 区では、災害時に外国人を含む観光客などが交通機関の麻痺等により行き場がなくなった、あるいは事故に遭われたなどの場合に備え、市街地再開発事業を活用して、民間施設を帰宅困難者一時待機施設として整備を進めているところであります。施設の運営につきましては、施設管理者を中心に区や警察、消防、鉄道事業者、区内事業者で構成する帰宅困難者支援施設運営協議会を設置して、民間事業者を中心に官民が一体となって地域で連携して支援する体制を整えております。こうした取り組みについては、ホームページやチラシ等により広く発信し周知を図るほか、英語による地域防災計画概要版や各種防災対策のDVDの作成、災害時には中央エフエムにおいてボランティア等を活用した外国語での災害情報を提供してまいります。さらには、六年後のオリンピック・パラリンピック開催に向けたさまざまな環境整備の中で、来街者に対する災害時の情報提供を充実させていくなど、外国人を含む観光客への支援を行ってまいります。

 答弁は以上であります。

     〔二十番 高橋伸治議員登壇〕

○二十番(高橋伸治議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 何点か再質問をさせていただきます。

 二○二五年というのは、ちょうど昭和百年に当たるわけで、先ほども言いましたように人口は大体一千万人減ると言われています。就業者人口は五百万人減る。それに、ちょうど団塊の世代の人たちが後期高齢者になってくる年でもあるわけです。そういう年の中で、中央区は、今、確かに人口もふえてますし、子供の数もふえています。ところが、国全体の予算というか、財政から見ると、当然さまざまな問題が起きてくるというふうに思っています。将来的には、もしかしたら交付金や補助金、そういうものが全く来なくなる時代が来るかもわかりません。というのは、赤字国債が発行できないということになれば、そうならざるを得ないという状況になってくるわけです。

 二○二五年というのは、先ほども言いましたように、そういう意味で全体の日本のあり方が本当に変わってくるターニングポイントだというふうに思っていますけれども、その中で中央区がこの繁栄を維持していくためにはどうしたらいいかということを、今からきっちりとした形で打ち立てていかなければいけないのではないかなというふうに思っています。中央区だけで財政が成り立っているわけではありません。そういう意味で、全体が悪くなってきたときに、中央区の税収だけで今の中央区のインフラを維持していくのは非常に難しくなってくるというふうに思っています。その中で区民の幸せを考えていかなければいけない、それが今の実情だというふうに思っておりますので、そういう意味では、今の延長線上ではないということを認識して、新しい計画をやはり立てていかなければいけないというふうに思っていますけれども、その辺いかがでしょうか。

 それから、福祉の問題については、先日、ヨーロッパのある方とお話をしたときに、これだけ世界一の高齢化率が高いというか、高齢化率が高くて平均寿命が長い国で、外でほとんど車椅子を見ることがない。ヨーロッパは、もっと普通に車椅子がまちの景色の中に入ってくるような、そんな仕組みが確立されていると。日本で車椅子で外を歩く方が少ないというのは、どういう状況なんでしょうかね。私は、その仕組みがやはりまだまだ足りないんだというふうに思っています。ボランティアも足りない。それから、当然いろいろな意味での偏見やその他もあるかもわかりません。そういうものをなくしていきながら、本当に車椅子がまちの景色の中に入れるような、そんな仕組みをやはり二○二五年までにつくっていかなければいけないのではないかなというふうに思っておりますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

 それから、コンセッションについて、大きな問題ではなくて、区長さんは先ほど、他の自治体の状況を見ながら進めていくということだというふうに言われましたけれども、インフラとか、そういうものまで進む前に、できるだけそういうことについて挑戦をしていくという中央区の姿勢を見せておかないと、いざというときに本当にそれができるかどうかというのは非常に大きな問題だというふうに思っています。財政が小さくなってきたときに、今の中央区の繁栄を維持するためには、民間との協働は当然していかなければいけない。その中で、経済性を持たせて維持管理、発展をさせていくというような仕組みを早く取り入れた地域が、やはり次の勝ち組になってくるんだろうというふうに思っておりますので、この辺も御答弁をいただけたらありがたいと思います。

 次に、社会インフラの整備の問題なんですが、実際にはなかなかはっきりしたデータがないというのも現実だと思います。今までそういう観点でインフラの管理をしていなかったというのが自治体の実態だというふうに私も思っておりますけれども、その中で、もうここから後戻りはできないというような状況の中で、いろいろな意味でのデータを集めて、どういう順序でインフラの更新をしていくか。やはりそれをきっちりとあらわすことが一番安心と安全につながっていくのではないかなというふうに思っておりますけれども、ぜひその辺も含めて御答弁をいただけたらありがたいと思います。

 電線の地中化については、おくれることなく、今、先頭を切っているということでございますので、より充実させて先頭を切り続けていただきたいというふうに思っています。

 それから、地域継続計画の問題なんですけれども、東京都の条例変更によって、帰宅困難者の問題が防災問題のまず第一義みたいな形で語られることが多くなりました。私もびっくりしたし、これで本当に地域が維持できるのかという問題が起こりました。というのは、浜町の都営地下鉄、今の都営地下鉄の浜町駅が、やはり帰宅困難者の問題で、困ったときにどうするかという話になったときに、地域の明治座と直接契約を結んでいますと。今、その契約を進めているところですという話があります。

 地域には全く説明がなく、先ほど言われたように町会を全く無視したような、自主防災組織と関係ないところでそんな話が企業同士でどんどん進んでいる。その実態をこの前聞かせていただきましたし、勉強もさせていただきました。そういう話になってきてしまうと、どんどん、地域としてどういう形で前に進めていったらいいのかわからなくなってきてしまう。そういうことも含めて、行政がきっちりと、地域の継続性はどうするべきか、そういうことを、今、決めていただきたいというふうに思っています。その辺についてもお答えをいただければありがたいと思います。

 その次に、先ほど福祉の停滞は絶対に認められない、災害時でも継続をという本当に力強いお言葉をいただいたんですけれども、これから進めていく福祉というのは、もっと民間業者が多く協力をするような、その中で行われていくというふうに思っています。そうなったときに、では災害時に民間の移動手段を確保するような仕組みというのは本当にできているんでしょうか。民間の人たちも歩いて、みんな福祉の配食サービスや何かができない状況であることは、行政もよく知っているというふうに思います。その中で、そういう意味での、要するに災害時に緊急車両として認めるのか認めないのか、そういう方向に進むのか進まないのかというのは、福祉サービスの継続に対しては、やはり物すごく大きな問題点だろうというふうに思っておりますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。もう一度御答弁いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。再答弁させていただきます。

 ちょっと認識が違うかもわかりませんね。二○二五年ですか、大変な時代になってくるということね。私は、二○四○年が大変である。つまり、国の成長も低成長どころかマイナスに行くのではないか。何しろ人口が一億人を割る、あるいは六十五歳以上ですか、高齢者人口が二五%にだんだん近づいてくる、そういうことで国全体が二○四○年が大変なのではないかというのが、この間、内閣府なんかのデータを分析しても、そういうふうに思えるわけでございまして、いずれにしても、今、東京都、舛添知事さんを先頭に、世界第四位にある東京を一番にしようじゃないかと必死になって闘っている最中でございまして、今、現状で東京の中で一番いい自治体はどこか。これはもう中央区、一番住みたいまち、住みやすいまちという評価が衆目の一致するところですね。そして、一番になったとき、そのフロントランナーはどこかというのも、一番をそのとき走っているのは中央区だよと。これも東京都の皆さんを初め、認識が一致しているわけでございまして、そういう意味で、私たちは自信を持って、堂々と王者の風格を持って進んでいかなければならない、そういうふうに思っているわけでございましてね。

 今、何しろ人口は先ほど申し上げましたとおり、昨年一年間で約四千人ですか、ことしはもう五千人オーバーしているということで、本当に区議会の皆様方の御支援、区民の皆さんの御支援で本当に各施策が大いに充実して、そして、まちの魅力ですね。一段と光り輝いている。したがって、その魅力に引き込まれるように人がどんどん全国から中央区へ、中央区へと来ていただいている。そして、中でもうれしいのは、赤ちゃんがどんどん生まれているということですね。平成十一年までは赤ちゃんが年間わずか五百人。五百人を下回ることもあった。しかし、ここ八年は一千人以上。おととしは一千五百十一人、昨年は一千六百九十四人、ことしは、福祉保健部長が言うには一千八百人に届くのではないか。こんなうれしいことはないですね。だから、私たち、子育て支援、子供を産み育てやすい自治体ナンバーワンを目指して、これからもやっていこうではないかということで踏ん張っているところでございまして、区議会の皆さんの御支援もあって、そういうまちが着々とできているわけでありますから、まさにオリンピック・パラリンピックに向けて中央区の黄金時代、都心居住、これを謳歌できるような都心での事業のすばらしさ、事業展開のすばらしさ、こういうものを謳歌できる、そういったまちをつくり上げようではないか。

 晴海にも二○二五年のときには地下鉄が敷かれるでありましょう。余り触れませんでしたけれども、築地ね。築地なんかも、二○二五年ですと、豊洲新市場と言うと怒る方もおられるかもわかりませんけれども、オープンしているかも、オープンしているでしょう、これはね。というふうに思うわけでございまして、そのときにはもう、あの二十三ヘクタール、都心に残されたこんなすばらしいところは最後の貴重な土地ですよ。これの活用、どう活用するか。全庁を挙げて、区民を挙げて、区議会を挙げて、いいまちをつくろうではないかということで、いろいろ各方面からもアイデアがどんどん出てきておりますけれども、無論、築地新市場、あそこの四千平米に百ほどの店舗、鮮魚マーケットですね、そういうものは当然のこととして、あの二十三ヘクタールをしっかりとつくり上げる。何をつくり上げるかはもうとっくに決まっているでしょうし、ひょっとするとそのときにはもうでき上がっているかもわからない。私たちの夢と希望がつぎ込まれた、そういったまちをみんなでつくり上げてまいりたいというふうに思いますね。

 そういう意味では、高橋伸治議員とちょっと認識が違うかもわかりませんので、御理解と言っても難しいかもわかりませんけれども、ちょっと認識がそこのところは違うのではないかな、そういうふうに思うわけであります。

 それから、社会福祉の関係で、車椅子が少ないということについてはやはり私たちが努力してバリアフリー、ノーマライゼーションをどんどん進めなければならない、そういうふうに思いますね。そういうまだまだ劣っている点があるわけでありましょうから、車椅子でも快適に活動ができる、そういうまちをつくっていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 それから、民間活力ですね。これはやりたいんですよ。民間活力の導入はどんどん進めたいわけでありますが、コンセッション方式というのは、兵庫県の飛行場ですか、一つ例があるということでありますけれども、そういうものは、やはりこれだけ四十七都道府県もあって、いろいろな開発やさまざまな事業をやっているわけで、一つというのはどうなのか。そこら辺のリスクはどうなのかとか、運営の問題であるとか、コストの面であるとか、さまざまな点、これを総合的に判断して、必要ならばやっていかなければならないし、無論、民間活力の導入、活力を大いに活用していく、当然のことでありまして、それでなければ中央区の将来性はない、こういうふうに私は思うわけであります。どんどん民間の皆様に入っていただきたい、そういうふうに思うわけであります。

 それから、インフラ整備ですか。インフラ整備はしっかりやっていくと。ただ、前倒しね。さまざまな老朽化したものの修繕計画なんかも、これは、だから、財政との調整を行いながら、しっかりやっていかなければならない。いつ来ても不思議ではない。長野なんかでも、ああいう惨事がいつ来るかもわからないわけですから、常に、いつ来てもおかしくないと言われる大地震対策を初めとして、しっかり、来たときにあたふたするのではなくて、そういうふうに思うわけであります。

 それから、明治座さんがやっている帰宅困難者対策、それはもうすばらしいことじゃないんですか。今、中央区の、特色の一つは企業が自主的にやってくれているんですね。この間なんかもテレビを見ていたら、日本橋のほうで事業所が事業所内で帰宅困難者対策を自主的にやっている。私は全然それ、ニュースを見るまで知りませんでしたし、こちらの行政がかかわったのかどうかも知りませんけれども、中央区のよさはそういうところにあるんですね。行政はもちろん行政でやっていただいているけれども、そこだけに頼るのではなくて、自分たちは自分たちでやるんだ、そういう町会や自治会が至るところに出てきているわけでね。

 夏には、私、呼ばれましたけれども、自主的にこういうのをやっていますから、もし区長、あいているんだったら来ていただけませんかと。見にですよ。ただ、見に来てくれというだけで、お話がありまして、何を手伝ってくれだとか、何を指令してくれというのではなくて、自分たちがこうやって自主的に、自治会ですか、町会ですか、いろいろなところでやっているから、そういうのを見に来てくれということで、行ってまいりましたけれどもね。やはり中央区というのは本当にすばらしいなと思うんですよね。町会だの自治会、百六十三でしたか、ありますけれども、本当に自主的にどんどんやっている。また、企業なんかも、行政の指令だとか何だとか、そういうのではなくて、自分たちで自主的にやっていただいているところがどんどん出てきていただいているんだなというところで大変感服すると同時に、私たち行政もしっかりしなきゃならない、そういう思いを強くしているわけでございまして、特に災害時の福祉サービス、これはもう大変ですね。福祉サービスの継続、これをしっかりやっていかないと、さっき言ったような災害時にお願いしていても、被災し、サービスが受けられないとか、いろいろな声にならないように、どこへ避難していいのかわからないとか、要介護者がね。そういう問題になるわけでありますから、そういう意味では、私たちはしっかりとやっていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 以上であります。

     〔二十番 高橋伸治議員登壇〕

○二十番(高橋伸治議員)
 御答弁ありがとうございます。

 でも、やはり私は中央区がフロントランナーであり続けてほしいということで、将来の国の財政、東京都の財政が厳しくなった状況の中でも中央区がフロントランナーで常に光り輝くまちであってほしいということで、さまざまな質問をさせていただいたつもりでございます。やはり二○二五年が一つのターニングポイントであることは間違いないということで、そういう形のお話をさせていただきました。この辺は何回言っても、初めと終わりというか、そういう意味での議論になってしまうと思いますので、これ以上の議論はしませんけれども。

 それから、もう一つは、先ほどの明治座の話、私は明治座が悪いと言っているわけではないです。ところが、町会と明治座の間でさまざまな話が進んできていた部分があるわけで、それとは全く別の話が都営地下鉄浜町駅と明治座の間で進んでいました。明治座のピロティーに人を入れるというのは、町会は町会の人たちを入れるつもりで話をしていたんです。ところが、そうではないんです。都営地下鉄が話をしていたのは、地下鉄に乗っていた人たちを優先的に入れるという話なんです。そういう話が、まちとは全然違うところで企業同士で起こっているという現実をどうしたらいいんだろうかという問題で、地域の継続計画をきっちり定めるべきではないんですかという話で質問をさせていただきました。非常にナーバスな難しい話だと思います。ただ、これからも企業が企業同士で連携をしていくのは大いに結構なんですけれども、その中で町会とか地域とかがどんどん置いていかれるという形は余りいい形ではないんじゃないかなというふうに思っているので、ぜひこの点については、もう一度御答弁をいただければありがたいと思います。

 まちに車椅子という話も、基本的にはこれからやはり、インフラの部分でのバリアフリー化というのはどんどん進んできているし、中央区は、だからこそ、今、子供を育てやすいまちになったというふうに思っています。これは、お年寄りのためにバリアフリーにしてきたものが、ちょうどバギーで子供を育てるのにいい環境になっているということが大きな要素になっていることも間違いないと思います。ただ、その中で車椅子がどうしてふえないんだろうということになってくれば、そこからまちの形をスタートしていけば福祉の考え方もいろいろと変わってくるのではないかなというふうに思っています。ヨーロッパと比べたら、どうして中央区のまちに車椅子で移動する人たちがふえないんだろうというふうに考えていくところで、いろいろな問題点、いろいろな人たちとの協力体制、こういうものが構築できるのではないかなというふうに思っていますので、この辺はもし御答弁をいただけるのであれば、いただきたいというふうに思っています。

 これからもっともっと大変な時代になってくるというふうに思っていますけれども、例えば介護一つ取り上げても、介護と仕事を両立できる制度を確立していくということが非常に大きな問題になってきています。介護の問題でも、これは御答弁要りませんけれども、そういう社会保障、社会福祉の問題というのは、その人の生活を一変してしまうような、そういう要素も含んでいるということ、その辺をやはりもっと行政として関与しながら、まちづくり、地域づくりをしていただければありがたいと思っていますので、その二点についてだけ御答弁いただければ、ありがたいと思います。よろしくお願いします。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 帰宅困難者支援ですね。これは、明治座さんは明治座さんで自分の劇場に来た方々を守らなければならないでありましょうから、それはそれで当然のことであろう。また、地下鉄のほうは地下鉄のほうで、そのお客さんを守る、これも当然であろう。では、町会、住民の方々はどこが守るか。これは区ですね。行政のほうでちゃんと防災拠点等あるわけですから、こういう施設等を中心として、しっかりと守ってまいりたいと思いますし、無論、さまざまな、今、協定もいろいろなところが結んでいただいておりまして、帰宅困難者対策を大いに応援しようじゃないかということで、協定もどんどん進んでいるわけでございまして、これはこれで進めて、これは本当にたくさんあればあるほどありがたい。夜間人口だけではなくて、昼間人口の皆さんもしっかり守っていかなければならない。何しろ本当にいつ来ても不思議ではないと言われているわけですからね、大地震が。したがって、常に大丈夫だ、そういう災害に強いまちをつくっていかなければならない、そういうふうに思います。

 また、バリアフリーとノーマライゼーション、これは先ほど来答弁させていただいているとおり、これからも、特にオリンピック・パラリンピック、きょうも昼のニュースでちょっとやっていましたね。パラリンピックのほうですか、余り関心がないというようなのをちらっと拝見しましたけれども、そうではなくて、パラリンピックは東京オリンピック、五十年前のときに始めたということですから、やはりそういう意味でも障害を持った方々が不安なく安心して大いに活躍、活動できる、そういうまちをつくっていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。

 以上であります。


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時四十四分 休憩


     午後四時五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十九番志村孝美議員。

     〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 初めに、暴走する安倍政権が進める亡国の政治についてです。

 安倍政権の経済政策の失敗が明らかになりました。十一月十七日、内閣府は、GDP、国内総生産の速報値を発表しました。GDPとは、個人や企業が国内で生み出して消費されたものやサービスなどの金額を全て足し合わせたもので、日本経済の勢いを示す鏡と言われています。今回発表された七月から九月期のGDPは、事前の予想を大幅に下回り、前期比実質○・四%減、年率換算でマイナス一・六%で、景気後退と判断される二期連続のマイナスとなりました。物価は一年前に比べ、四月から六月期は二・○%、七月から九月期は二・一%と上昇を続ける一方で、労働者の実質賃金はマイナス○・六%と、五期連続の減少です。賃金が物価の上昇に追いつかず、実質賃金が落ち込み続けています。四月からの消費税増税が消費を冷やし、暮らしと経済をさらに悪化させていることは明白です。安倍政権と三党合意で増税を進めた自民・公明・民主の責任は極めて重いと言わざるを得ないでしょう。

 アベノミクスによる金融緩和を初めとした株価対策や法人税減税によって二○一三年度の大企業は内部留保を一年間で十三兆円もふやし、二百八十五兆円に膨れ上がっています。また、株価上昇による資産価値が上昇したため、一億円以上の富を有する富裕層の数は、ことし二百七十三万人となり、前年より九万一千人増加しています。一方、民間企業で働いている労働者のうち、年収二百万円以下のワーキングプアは一千百十九万人で、安倍内閣発足一年で三十万人ふえました。アベノミクスは、一握りの大企業や多国籍企業、投資家の利益を拡大する一方で、労働者の賃上げや雇用の改善に結びつかず、貧困と格差が拡大しているのです。日本経済を、物価上昇、実質賃金の低下、消費の低迷、企業活動の低迷という悪循環に陥れたアベノミクスは完全に破綻しています。安倍首相は、これからも続けていくと言いますが、アベノミクスを続けていけば、さらに景気は落ち込み、国民生活と日本の経済を破綻に導くでしょう。自民党・安倍政権がとっている経済政策は、トリクルダウン、おこぼれ経済と呼ばれるもので、株高などで大企業を肥え太らせれば、やがて国民も潤うという新自由主義的な発想にとらわれたものです。このような政策が失敗しているのですから、これからは国民の懐を暖め、個人消費をふやして内需を高め、景気を回復させていくという経済政策の切りかえが求められています。そのためにも、消費税の増税をきっぱり中止するとともに、国民の所得をふやす政策に転換して、賃上げと安定した雇用を実現すること、社会保障の切り捨てから充実への転換が必要です。その財源は、消費税に頼らず、景気回復と大企業、大資産家の応分な負担で賄うということで生み出すことが可能です。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、八%への消費税増税に理解を示していた区長ですが、消費税増税は日本経済にどのような影響を与えていると思いますか。また、安倍政権の経済政策、アベノミクスの区民生活への影響についてどうお考えですか。

 第二に、安倍政権は、消費税一○%への増税を確実に実施するとしていますが、時期がいつであろうとも、増税は区民と業者に多大な被害を与えます。区長は区民の立場に立ち、消費税増税は先送りではなく中止をと国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 第三に、財源は消費税に頼らず、景気回復による税収の増加と大企業、大資産家の応分な負担で賄うべきです。一年間で十三兆円もふえた大企業の利益を内部留保にするのではなく、労働者の賃金アップや社会保障の負担に回すなどの社会的責任を果たせば、庶民の家計が潤い、消費も上向きになり、景気がよくなれば税収もふえます。こうすれば、消費税に頼らない社会保障充実への道が開けると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 安倍政権は、沖縄県の新基地建設の強行、秘密保護法の施行、集団的自衛権行使を具体化するための安保法制の推進、武器の輸出、九州電力川内原発を初めとする原発再稼働、原発の海外への売り込み、TPP合意などの政策を次々と強行しようとしていますが、国民の世論によって行き詰まりを見せています。

 まず、沖縄県知事選挙についてです。

 沖縄の名護市辺野古への新基地建設に対して、島ぐるみの怒りが広がり、沖縄県知事選挙では、新基地建設反対を掲げた翁長氏が圧勝しました。沖縄県知事選挙の結果は、安倍政権が強引に進めようとしている米軍のための新基地建設を許さないという世論の反映です。しかし、安倍政権は、基地建設をあくまで強行する構えです。

 そこで、区長にお聞きします。

 沖縄県知事選挙の結果をどう認識していますか。また、勝利した翁長氏と、普天間県外移設の公約を裏切って敗北した仲井真氏との票差は十万票でした。公約を裏切った首長が大差で敗北したことについて、区長はどのようにお考えですか。お聞かせください。

 次に、集団的自衛権行使容認です。

 区長は、第三回定例会で我が党の加藤議員の質問に対し、戦争を未然に防ぎ、国民を守るための政府の方針と認識と答弁していますが、日本共産党の国会論戦によって、二○○一年のアフガン戦争や二○○三年のイラク戦争のような、アメリカが起こした戦争に自衛隊が戦闘地域まで行って米軍と肩を並べて戦争を行う海外で戦争する国づくりこそ正体であることが明らかになりました。安倍首相も、身を守るため、任務を遂行するために武器を使うと認めています。そうなれば、敵の標的になり、戦闘になることは確実です。そして、日米軍事協力の指針、ガイドラインの再改訂によって、周辺地域という文言を削除し、自衛隊が地球のどこででも米軍と行動できるようにしようとしています。まさに、憲法九条の下で海外での武力行使は許されないという従来の憲法解釈を百八十度転換するもので、国民の五割、六割が反対するなど、強い怒りが広がっています。安倍首相は、反対世論の高まりを恐れ、具体化する安保法制整備を先送りし、日米軍事協力の指針、ガイドライン再改訂も来年に持ち越します。

 そこで、区長にお聞きします。

 ガイドラインを見直して地球の裏側まで自衛隊が米軍などと行動するということは、いわゆる専守防衛ではありません。集団的自衛権の行使は、憲法違反の海外で戦争する国づくりであるという認識を示す必要があると思いますが、どのようにお考えですか。

 次は、原発問題です。

 全ての原発が停止した二○一三年九月十五日から一年二カ月の間、国民の原発ゼロ、再稼働反対の世論と運動によって、稼働原発ゼロの状態が続いています。区長は、原発再稼働を審査する新規制基準を世界で最も厳しい水準との認識を示していますが、福島原発事故の原因も究明されていないのに、どうして新しい基準が安全と言えるのでしょうか。原発再稼働の突破口にしようとしている川内原発の場合、巨大噴火を起こす危険がある火山地帯にあり、噴火が原発を襲えば大惨事になります。火山噴火対策が大問題なのに、規制委員会は満足な審査をせず、噴火は予知できるという新たな安全神話と無責任な避難計画で再稼働を強行しようとしています。

 そこで、区長にお聞きします。

 日本火山学会の原子力問題対応委員会が、川内原発の再稼働について、火山対策の審査に使う火山影響評価ガイドそのものの見直しを求めていることを見ても、規制委員会の審査が安全を保証していないのは明らかです。このような規制委員会のもとで原発再稼働を次々と行おうとしていることは、国民の不安を増幅させるだけです。きっぱり原発再稼働はやめるべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 次に、政治と金の問題です。

 とめどなく広がる閣僚の政治と金疑惑は、金の力で政治をゆがめる古い金権体質を示しており、国民の不信と批判が広がっています。一連の政治腐敗の元凶には、企業・団体献金と政党助成金があります。特に、導入から来年二十年になる政党助成金は、金に対する感覚を麻痺させ、政治腐敗を加速させていると考えますが、区長はいかがお考えですか。また、政党助成金は廃止すべきと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 雇用と社会保障改悪の動きにも、広範な国民の反対が広がっています。このような日本の平和と国民の生活を危うくする安倍政権の暴走は、まさに亡国の政治と言っても過言ではないでしょう。どの政策も国民にとって百害なものばかりで、国民多数が厳しく反対するのも当然です。その結果、安倍首相は、国民の世論と運動によって、とうとう解散に追い込まれ、十二月二日公示、十四日投票の総選挙が行われることになりました。安倍政権が解散に打って出たのも、国民の批判の高まりのもとで、解散の時期を延ばせば延ばすほど追い詰められるという党略的な思惑による動きであることは明白です。増税の延期と引きかえに解散すると言いますが、自民・公明・民主が三党合意した消費税一○%増税には既に国民多数が反対していますから、増税の先送りは解散の大義にはなりません。国会では多数の議席を占めていても、大義なき解散を行わざるを得なかったことは、自民党・安倍政権の基盤のもろさを露呈しているのではないでしょうか。

 そこで、区長にお聞きします。

 今回の解散は、安倍政権が国民の世論と運動に追い詰められた結果だと考えますが、いかがですか。お答えください。

 次は、安倍政権の悪政の被害から区民を守る行政の役割についてです。

 市場にはまだ食べられる野菜や果物が捨ててあるので、恥ずかしい話ですが、時々拾いに行ってます、配達していただくお弁当を朝昼晩の三食に分けています、生活が苦しくてカードキャッシングを何社も繰り返し自己破産しました、これが私の身近な区民の方たちの実態です。

 厚生労働省の調査でも、現在の暮らしの状況について、一九九一年は五五%の人が「普通」と答えていましたが、二○一三年は六○%の人が「苦しい」と感じています。消費税増税前の数字ですから、現在は七割以上の方たちが「苦しい」と感じているでしょう。勤労者の実質賃金は前年比で十五カ月連続マイナスとなり、日銀による金融緩和を引き金とした物価の上昇は、収入がふえない勤労者世帯に追い打ちをかけています。安倍自公政権の悪政により、区民と中小業者の生活は深刻な事態に陥っています。大企業はもうかったが、区民の暮らしは前より厳しくなった、これがアベノミクスの実態です。さらに、生活保護法の改悪、後期高齢者医療の保険料特例軽減の廃止、マクロ経済スライドによる恒久的な年金削減などの社会保障の切り捨て政策がめじろ押しです。社会保障のためと言って消費税を増税しながら、社会保障を切り捨てるとは、国家的詐欺そのものです。

 アベノミクスを初めとする安倍政権の悪政から暮らしと地域を守るため、区民と中小業者を支援し、区民の暮らしと営業を守る役割を果たすことが行政に求められています。区長は、第三回定例会で、経済環境の悪化や社会状況の変化には柔軟に対応し、区民生活を守る立場で施策に取り組んでいくと答弁しています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、今回のGDP速報値の結果は、区長答弁にある経済環境の悪化や社会状況の変化に該当すると思いますが、いかがですか。また、区民生活を守る立場で施策に取り組んでいくと言うのであれば、悪政に苦しむ区民や中小業者への経済的支援、生活支援を強化すべきだと思いますが、いかがですか。

 第二に、区は受益者負担の適正化として、保育料の引き上げなど施策の見直しを行っていますが、区民への負担増は行わないことを原則にすべきと考えますが、いかがですか。また、利用者とのコンセンサスがない中で利用者に負担を強いる駐輪場使用料有料化、放置自転車撤去保管料徴収の四月実施は中止すべきです。いかがですか。

 第三に、来年予定している国民健康保険料や介護保険料の引き上げをやめるべきだと思いますが、いかがですか。

 第四に、敬老買物券は二○○八年の後期高齢者医療制度の導入に伴う高齢者の負担軽減を目的に増額されましたが、昨年、対象年齢を七十五歳以上に引き上げ、贈呈額は八千円から三千円に減額されました。区長が区民生活を守ると言うのであれば、対象年齢も支給額も二○一二年度までの水準に戻すべきだと思いますが、いかがですか。

 第五に、所得が低い人でも安心して住み続けられる支援策として、他の区でも行っている家賃補助制度を制定すべきと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、小規模企業振興基本法を生かした施策についてです。

 商店街では、税金を払うために働いているようなもんだ、商売が心配で夜も眠れないなどの声が聞こえます。東京新聞の「景気不安「給料」「子育て」悲鳴」と言う見出しの記事では、八重洲のサラリーマンの声として、アベノミクスで無理やり市場を動かしてきたけど、中小企業の実態はよくなっていない、大企業にばかり目を向け円安に誘導している、中小企業の経営は苦しいままだという声などが紹介されています。

 黒田ショックと呼ばれる十月三十一日の日銀による追加緩和は、円安を加速しました。急激な円安は、中小企業の経営を圧迫しています。円安の影響で倒産した企業は、一月から十月までの累計で前年比二・八倍にもなっています。十月の中央区景気動向調査の企業動向関連DIは、景気の現状に対する判断が前回調査から七ポイント低下した四二・○で、前年同月比では十八ポイントも低下しています。景気の先行きに対する判断は、前回調査から四ポイント低下した四四・○で、前年同月比では十三ポイント低下という厳しい結果となっています。判断理由として、卸売業からは、消費税増税の影響で小売店の売り上げが大きく落ち込んでおり、仕入れをしてもらえない状況である、出版業からは、急激な円安等、政府の政策の影響で値上がりするものが増加するため、ますます家計の引き締めが厳しくなる、百貨店からは、今後はますます厳しい状況となるという声が出されています。

 一方、ことし6月、小規模企業振興基本法、いわゆる小規模基本法が可決成立しました。この法律は、従業員二十人(商業・サービス業は五人)以下の小規模企業が地域経済の支え手として、また雇用の担い手として大きな役割を発揮していることに着目し、事業の持続的発展を支援する施策を国・地方公共団体などが連携して講じるよう求める内容となっています。一九九九年に改定された中小企業基本法は、中堅企業や急成長型の中小企業を支援する一方で、小規模・零細業者を切り捨てる大改悪でした。そのため、小規模事業者数は一九九九年の四百二十三万から二○一二年の三百三十四万へ激減しています。雇用の場がなくなり、地域経済の底が抜けたような状況がどこでも生まれました。

 今回、小規模企業に着目した新たな基本法を制定したことは、中小企業政策から切り捨てられてきた小規模企業に再び光を当てざるを得なくなったという国の政策の矛盾のあらわれでもあります。十月三日、小規模基本法に基づき、小規模企業振興基本計画が閣議決定されています。この基本計画は、関係者が一丸となって総力を挙げて応援するための羅針盤として位置づけられ、需要の創造・掘り起こし、小規模企業の人材確保・育成を強化し、誰もが小規模企業で働きやすい地域社会の実現、小規模企業とともに持続・発展する地域づくり、成果を出す支援体制の構築の四つの目標を定めるとともに、より地域に密着した立場として、基本計画を踏まえ、地域の特性に応じた施策を策定し、効果的・重点的実施を図ることなどを地方自治体に求めています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、基本計画の四つの目標に基づき、小規模事業者の声や要望を聞くなどして、中央区中小企業の振興に関する基本条例を充実、改正させる必要があると思いますが、いかがですか。

 第二に、小規模な事業所は、地域で雇用の場を提供していると同時に、地域経済循環の役割やお祭り、消防団活動なども含め、地域の伝統や文化も含めたコミュニティを支える役割も発揮しています。地域経済の担い手であり、地域社会の支え手でもある小規模事業者を支援することは、地方自治体にとっても意義のあることです。基本計画を踏まえ、地域の特性に応じた施策を策定し、効果的・重点的実施を図るために、どのような行政の支援が有効だと考えますか。既に努力していること、今後努力しようとしていることは何ですか。お聞かせください。

 第三に、小規模事業者に有効な情報や行政の支援体制などの情報を、多種多様な手法を活用して、わかりやすく積極的に提供することが必要だと思いますが、いかがですか。

 第四に、小規模企業の視点に立って、補助金等の申請や確定検査における書類や手続の簡素化・合理化を進めるとともに、税負担の軽減などを図ることが必要だと思いますが、いかがですか。また、赤字の中小企業からも容赦なく税金を徴収しようという外形標準課税の導入は中止するよう国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 第五に、担当部局の枠を超えた区職員による中小企業の悉皆調査を行って現状を把握するとともに、意見、要望などを聞き、具体的な支援策を講じることが重要だと思いますが、いかがですか。

 第六に、十月には、世田谷区でも公契約条例が制定されました。中央区でも制定に向けて、経営者や労働者、社会保険労務士会などの専門家や有識者などと協議をする場を重ねることが必要だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、中央区都市整備公社とNPO築地食のまちづくり協議会の関係についてです。

 中央区都市整備公社は、区の都市整備事業の推進を補完し、生活環境の改善及び地域産業の振興を図るなど都市整備に関する事業を行うための組織として設立されました。NPO築地食のまちづくり協議会、NPO協議会は、市場移転後も築地の活気を築いていくために、場外市場に関係する商業団体と町会が一つにまとまって二○○六年に発足させ、築地ブランドを高め、場外市場への集客や顧客サービスの向上など、場外市場地区にかかわる業者の営業を支える活動をしている団体ということです。公社は、NPO協議会に補助金を拠出するとともに、築地場外市場にある区の施設、いわゆる店舗施設を無償で提供しています。十一月十四日の築地市場等街づくり対策特別委員会で、NPO協議会が無償で提供を受けている店舗施設を転貸、つまり又貸しし、テナントからの家賃収入はNPO協議会の収益とすることを区が認めていることがわかりました。私は、その根拠となる合意書か契約書などの文書の存在をお聞きしましたが、いまだに提出されていません。NPO協議会は、補助金一千百万円を受け取るとともに、無償で借りている店舗施設をテナントに貸して、得た家賃収入も受け取っています。行政がNPOを支援することを否定しませんが、補助金を支給している場合は、その透明性が求められます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中央区築地場外市場地区まちづくり支援施設要綱の第十四条には、使用者は、店舗施設を転貸し、又はその使用権を譲渡してはならないとありますが、公社から施設を無償で使用しているNPO協議会が転貸していることとの整合性をお聞かせください。

 第二に、区はNPO協議会が施設の転貸による家賃収入を収益とすることを認めていますが、その裏づけとなる条例もしくは規定をお示しください。また、公社に報告されている二○一二年度と二○一三年度の収益額をお示しください。

 第三に、NPO協議会の事例が認められるなら、社会教育会館、区民館など区の施設を使用してのNPOや町会による収益活動も許されることになると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、築地市場移転問題についてです。

 そもそも、築地市場移転の問題がなければNPO協議会も必要なかったのですが、築地市場が移転した場合の影響は、場外市場だけでなく、区内全域にわたります。区の調査でも、築地市場の中央区への経済波及効果は二兆円規模になっており、これを失うことは中央区の地域経済にとって大きな打撃です。築地市場によって、どれだけの区民の生活と営業が支えられていることでしょう。築地市場移転を何としても阻止しなければならないと考えます。そのために、中央区が果たす役割は重要になっています。

 豊洲新市場予定地では、汚染していると想定される地下水の封じ込めと液状化対策などの工事が行われている段階です。土壌汚染対策工事を終えて次のステップに行くためには、土壌汚染対策法に基づいて二年間のモニタリング調査をやらなければならないのですが、都は工事をしながら調査するという態度です。農水省が豊洲新市場の開設を認可するためには、福田内閣の閣議決定で科学的見地に基づく万全の対策と消費者等の理解が必要とされています。区長はたびたび、移転はもう決まったことと発言しますが、区長が、都の土壌汚染対策に疑義がある、都の説明に納得できないと農水省に訴えれば、二年間のモニタリング調査を都に求めざるを得なくなり、その調査結果の状況や中央区を初め、消費者や市場関係者などから上がる移転に異議ありの声によって、豊洲新市場計画は頓挫する可能性があります。

 そこで、お聞きします。

 区長は、都との合意を破棄し、築地市場の現在地営業を継続させるための行動を起こすべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。

 次は、中央区のまちづくりの問題点についてです。

 その一つは、中央区のまちづくりが東京一極集中を加速させているという問題です。

 中央区では、大規模再開発事業が進み、日に日にまちが変化しています。区長は、中央区を百万人の人が住み、働き、訪れるまちにしようとしていますが、それは、国や都が旗を振る、財界や投資家が望む世界で一番企業が活躍しやすい国に沿った都市づくり、都市戦略の実戦部隊としての役割を果たすものです。

 一方で、国交省が七月に発表したグランドデザイン二○五○には、東京圏への一極集中は、結果として国全体の人口減少を加速させているだけでなく、一たび首都直下地震が発生した際の被害をさらに増大させ、国家の存亡の危機を招くことにもなりかねない、東京一極集中からの脱却を図る必要があるとあります。東京一極集中を促進する百万人の中央区構想と矛盾します。

 そこで、区長にお聞きします。

 中央区の百万人のまちづくりと東京一極集中からの脱却との整合性をどう考えていますか。また、東京一極集中から脱却するために、中央区として何をしなければならないと考えますか。お答えください。

 二つ目は、民間主導の再開発事業等の大規模開発に偏重し過ぎた中央区のまちづくりをヒューマンスケールなまちづくりに転換しなければならないという問題です。

 森記念財団が行っている二○一四年の世界の都市総合力ランキングによると、東京は、経済で一位、研究開発は二位ですが、居住は十七位となっています。上位十位の都市は、バンクーバーを除いてヨーロッパの都市です。東京がこれから力を入れなければならないまちづくりは、ヨーロッパで展開されているような、より人間の皮膚感覚の快適性を追求した都市づくり、ヒューマンスケールなまちづくりではないでしょうか。しかし、区が進めている再開発事業等の大規模開発に貫かれている論理は、収益の最大化であり、東京一極集中であり、スクラップ・アンド・ビルドです。区は、区道の廃止や地域貢献の名のもとに、容積率の拡大や用途制限の規制を取り払う大サービスを行い、土地の開発利益を最大化するために努力してきました。結局、その利益は事業者の利益になると同時に、国内外の不動産投資家の利益となり、不動産ブームを加熱させることになっています。

 中央区は、まちづくりを民間ディベロッパーに委ね、再開発事業などで街区の大規模化などによる恩恵を与え、地域貢献として防災対策や保育所などの区施設を設置するなど、足りない区の施策を民間に補ってもらっています。莫大な補助金を民間の事業につぎ込んで、まちづくりの課題も区民施策も解決しようという考えは、トリクルダウン、おこぼれ経済学の考え方と似ています。まちづくりなので、トリクルダウンタウン、おこぼれまちづくりとでも言えるでしょうか。これは、いつまでも続けられる手法ではありません。土地の効率化、高度利用でつくられた都市は、本当に豊かな都市空間とは言えません。これからは、超高層建築物中心ではなく、中低層建築物中心のまちづくりが必要です。その一つとして、地権者との共同による公的住宅を中心としたまちづくりがあると考えます。一つの再開発事業に投入する六十億円、七十億円もの税金を、公的住宅を中心とした中低層のまちづくりに回すことができれば、ヒューマンスケールなまちづくりが進むでしょう。ヒューマンスケールなまちづくりを進めるためには、これまでの中央区のまちづくりを見直さなければならないと考えます。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、区長は、より人間の皮膚感覚の快適性を追求した都市づくり、ヒューマンスケールなまちづくりについてどう考えますか。

 第二に、民間主導のまちづくりから脱却すべきではないかと思いますが、いかがですか。

 第三に、五十年、百年を見越し、地権者との共同による公的住宅を中心とした中低層のまちづくりは可能だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、教育委員会改革についてです。

 ことし六月に教育委員会制度を定める法律、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改悪されました。安倍政権は、教育委員会そのものを廃止し、教育行政を政治直結、首長直結とし、教育の右傾化や競争の激化をより進めやすくしようとしました。しかし、廃止案には広範な人々が反対を表明したため、廃止は見送られ、教育委員会制度を残した上で首長の関与を強めるという改悪法案が提出され、その成立が強行されました。問題なのは、教育委員会の独立性・自主性を奪う三つの新しい仕組み、新教育長を区長が任命する、教育大綱制定権は区長、区長と教育委員会との協議体としての総合教育会議が加わったことです。

 そこで、お聞きします。

 第一に、新たに区長から任命される教育長と教育委員会と、どちらに根本的な権限があると考えますか。

 第二に、法律は新たに教育大綱の策定を区長に義務づけましたが、同じ法律で、教育委員会は区長から独立した意思決定機関として残されました。区長は勝手に大綱に計画を書き込むことができないと考えますが、いかがですか。また、大綱が区民の合意を大切にした創造的なものとなる必要があると思います。大綱制定の過程で果たす教育委員の役割をどのようにお考えですか。

 第三に、総合教育会議は、あくまで区長と教育委員会の対等平等な協議体であるべきだと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 もともと教育委員会は、戦前の軍国主義教育の反省から、戦後、住民自治の組織としてスタートしました。住民代表の教育委員からなる教育委員会が最高意思決定機関で、それが教育行政を指揮監督するものです。しかし、多くの教育委員会での審議は事務局が提出する議案を追認するという形骸化が進んでいると言われていますが、新しい法律のもとでも合議体である教育委員会が残された今、中央区の教育行政の最高意思決定者である教育委員の皆さんが学校現場に赴き、子供や保護者、教職員や地域の方々の意見を聞き、それを教育施策に反映させるために努力をしていることは理解していますが、さらに住民自治の機関として改革、活性化することが重要になっていると考えます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、教育委員会は、子供の学習権を第一義に考え、教育の自主性を守る役割を果たすべきと考えますが、いかがですか。

 第二に、学校現場の悩みや要求を肌で感じている教職員の自主性を尊重し、住民の意見を広く聞き、子どもの権利条約に基づいて、事務局が出してくる提案をチェックすることが大切だと思いますが、いかがですか。

 第三に、各教育委員の方の机やパソコンなど必要な備品を整備し、執務に集中できるようにすることも必要だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、アベノミクスと消費税増税についてであります。

 本年四月の消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動は、規模としては想定の範囲内であったものの、夏季における国内の天候不順や原油価格の高騰などもあり、長期化しております。一方、雇用状況の着実な改善や大規模な製造業での収益改善といった国における経済対策の効果が一部で見られるものの、中小企業の事業運営や区民生活の隅々にまでは好況感は広がっていないものと認識しております。また、消費税増税は国民の生活や景気にさまざまな影響を与えるものであることは承知しております。しかし、国の財政は税収が歳出予算の半分程度しかなく、不足する財源の大半を国債に依存しているため、将来の世代がそれを負担しなければならないという状況にあります。消費税率の引き上げは、安定的な財源確保に向けて財政再建を図るとともに、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築するため、法律で定められたものであり、国に中止を求めることは考えておりません。なお、社会保障の財源確保策につきましては、消費税も含めた税制などのあり方を国の責任のもとで幅広く検討されていくべきものと存じます。

 次に、沖縄県知事選についてであります。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を主要な争点とする沖縄県知事選において、移設に反対する候補者が当選したことについては、米軍基地問題に対する県民の複雑な思いが民意となってあらわれたものであると認識しております。

 次に、集団的自衛権についてであります。

 七月の閣議決定は、平和主義の理念を堅持しつつ、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた政府の基本方針を示したものであります。また、十月のガイドラインの見直しに関する中間報告は、閣議決定を踏まえ、紛争の抑止力を強化するため、日米の役割分担の枠組みを見直そうとするものであると認識しております。今後、安全保障法制の整備についての国会審議とガイドラインの見直しに関する日米協議が並行して行われるものと思われますが、集団的自衛権行使容認をめぐるさまざまな問題は、国民の命と平和な暮らしを守る観点から議論が重ねられ、国の責任において判断し決定されるものと考えております。

 次に、原発再稼働についてであります。

 原発再稼働を審査する新規制基準の中には、原発の半径百六十キロメートル圏内の火山を調査し、火砕流や火山灰などが到達した場合の防護措置が審査基準に取り入れられております。この審査基準に対し、火山学会原子力問題対応委員会により見直しの提言がなされましたが、巨大噴火の予測などについては、原子力規制委員会の専門家チームにより検討が行われているところであります。原発再稼働につきましては、国は、こうした専門家の意見や検討を踏まえつつ、安全性を第一に、原子力規制委員会による世界で最も厳しい水準の規制に基づく徹底した安全審査を行うとしており、地元住民の理解と自治体の同意のもと、幅広い国民の意見を踏まえ、国の責任において判断されるべきものと考えております。

 次に、政治と金についてであります。

 私は、これまで一貫して、清潔で開かれた区政の実現に向けた政治倫理の確立と全体の奉仕者としての綱紀粛正を政治信条としてまいりました。政党助成金制度は、議会制民主主義における政党の機能と公職の候補者の責務の重要性に鑑み、必要なものであると認識しておりますが、政治と金の問題に終止符を打つためには、いま一度政治家お一人お一人がみずからを省み、強い倫理観と使命感を持ち、改めて襟を正す必要があるものと認識しております。

 次に、解散総選挙についてであります。

 衆議院の解散について、安倍首相は、消費税率引き上げの一年半先送りという国民生活と国民経済にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだとして決心したと説明しております。また、安倍政権の経済政策、アベノミクスについて国民の判断を仰ぎたいとも述べています。今回の解散は首相みずからが決断したものであり、これまでの政権運営を含めて、来る十二月十四日の総選挙において国民の審判が下されるものと認識しております。

 次に、区内経済環境の変化と区民や中小事業者への支援策についてであります。

 今月十七日に内閣府から発表されたGDP速報値によれば、大方の予想に反し、実質成長率、名目成長率ともに前期に引き続きマイナス成長となりました。一方で、今月二十日に発表された日本銀行の金融経済月報では、景気は基調的には緩やかな回復傾向を続けている、消費税率の引き上げに伴う影響も収束に向かっていくと見られるとしております。また、本年十月の本区景気動向調査においては、現状判断DIでは四・三ポイント、先行き判断DIでは○・六ポイント、それぞれ前回調査と比べて低下しているものの、景気の現状は変わらないと判断している人の割合が多くなっている状況にあります。こうしたことから、本区の状況については、現時点においても急激な変化はないものと認識しております。したがいまして、区民や中小事業者への経済的支援や生活支援の強化につきましては、引き続き区内外における景気動向を注視しながら、適宜適切に判断してまいります。

 次に、受益者負担についてであります。

 保育料や駐輪場など各種施設の使用料は、特定の区民等のために提供されるサービスについて、その内容や経済的能力に応じた適切な負担を利用者に求めるものであります。したがって、そのあり方については、負担の公平性や将来にわたる財政の健全性確保を念頭に置くべきであると認識しております。来年四月の駐輪場有料化等の実施に向けては、引き続き利用者に対する丁寧な説明に努めるとともに、今後とも受益と負担の関係、区民生活への影響、近隣自治体の動向、社会経済状況の変化等を十分に考慮しながら、受益者負担の全般にわたり不断の検証・見直しを行ってまいります。

 次に、国民健康保険料と介護保険料についてであります。

 国民健康保険や介護保険は社会保障制度の根幹をなすものであり、これらの制度を適正に維持していくためには、被保険者から応分の御負担を求めていく必要があります。また、本区の来年度の保険料につきましては、現在試算中であり、決定次第、区民の皆様に周知してまいります。

 次に、敬老買物券につきましては、高齢者人口が増加していく中、これからの高齢者施策の充実に向けて見直しをさせていただいたものであります。喜寿や米寿の節目や百歳以上に限って贈呈する区が多い中、本区ではあまねく高齢者の方々にお祝いをしたいという気持ちから、七十五歳以上の方全員に買物券を贈呈しております。今後とも、高齢者の方々がお元気で、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護予防事業や認知症対策、在宅サービスなどの高齢者施策を充実してまいりたいと存じます。

 次に、低所得者に対する家賃補助制度についてであります。

 本区では、これまでも、住みなれた地域に住み続けることができるよう、入居者の収入に応じた応能家賃住宅の供給や区営住宅の建てかえに伴い住宅戸数をふやすなど、さまざまなやライフステージに合わせた住宅供給を行ってまいりました。お尋ねの他区の事例は、千代田区や新宿区など九区で行われているものと思われますが、いずれも民間住宅の住みかえにより生ずる家賃差額について、おおむね二年から五年程度の期間で助成を行うものと承知しております。本区において、こうした家賃補助制度を導入することについては、限られた財源の中、公平性や継続性等の課題もあり、慎重な検討が必要であると考えております。

 次に、小規模企業振興基本法に基づく施策の充実についてであります。

 本区では、都内最多となる三万七千三百三十三の事業所を擁し、その大半は中小事業者であり、中でも四四%が従業員五人未満の事業所であります。こうした状況を踏まえ、区ではいち早く平成七年に中央区中小企業の振興に関する基本条例を制定し、特に小規模な中小企業者及びその従事者に対する必要な配慮を区の責務といたしました。本年六月に成立した小規模企業振興基本法は、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持など、事業の持続的な発展を基本原則としたことが特徴であります。これらの点は区の基本条例の趣旨に合致するものであり、現時点において改正する必要はないものと考えております。

 次に、地域の特性に応じた施策の実施などについてであります。

 区では、既に小規模な事業者を含めた中小事業者への支援策として、取引先の新規開拓に向けた販路拡大支援事業や起業・創業支援としての起業家塾、人材育成のための技術者高度研修助成など、効果的な施策を実施しており、今後とも利用促進に努めてまいります。また、支援策の情報提供につきましても、ホームページや区のおしらせでの広報はもとより、区の施策に加えて国や都の中小企業支援情報も一冊にまとめたガイドブックを発行し、関係団体等に配布するなど、広く周知に努めております。さらに、各種支援施策の申請手続につきましても、法的な制約から限度はあるものの、可能な限り見直しを行い、簡素化・平易化に努めております。また、外形標準課税の拡大につきましては、国において法人税改革の一環として、中小企業への影響を踏まえながら検討が行われているものと認識しており、その動向について注視してまいります。

 次に、中小企業への悉皆調査による現状把握についてであります。

 景気にこのところ弱さが見られる中、小規模企業を取り巻く状況は引き続き厳しいものがあります。区といたしましては、多種多様な中小事業者の声を直接聞くことができる商工相談や中央区商店街連合会、工業団体連合会、東京商工会議所等の関係団体との意見交換の場など、あらゆる機会を活用しながら御意見、御要望をお聞きし、必要と判断した場合には具体的な支援策を検討してまいります。

 次に、公契約条例についてであります。

 この条例の制定につきましては、自治体間で定める最低賃金や労働条件に不均衡を生じるなど課題も多く、国において統一的な法整備が必要であると考えております。したがいまして、制定に向けた協議の場は考えておりませんが、社会保険労務士などの専門家と相談しながら、区が発注する業務に従事する労働者の労働条件の把握方法などの検討を行い、引き続き適正な労働環境の維持・向上に努めてまいります。

 次に、中央区都市整備公社とNPO築地食のまちづくり協議会の関係についてであります。

 築地の店舗施設は、地域のまちづくりの実践施設として、地元により有効に活用されているところであります。店舗施設の貸し付けに当たっては、目的外の使用が行われないよう、中央区築地場外市場地区まちづくり支援施設要綱により使用者による転貸を禁止しております。一方、一般財団法人中央区都市整備公社への貸し付けに際しましては、同要綱に基づき、公社とともに築地場外市場地区の活性化に取り組んでいるNPO法人築地食のまちづくり協議会から使用の申し込みがあった場合には、同協議会に使用させることとしております。その際、公社では、同協議会が行う案内所や休憩所など来街者への利便施設のほか、地方漁連等への施設の貸し付けについても、築地場外市場地区の活性化に資する事業として認めております。NPO法人については、特定非営利活動促進法により、収益の分配等は行えませんが、収益を上げ、目的とする非営利活動に活用することは認められており、同協議会の平成二十四年度及び平成二十五年度事業の収支差額は、それぞれ約一千五百万円、一千百万円となっております。なお、築地の店舗施設は、築地地域の活性化に向けた活動の場として利用者を限定するなど、他の区民施設とは整備目的が異なることから、その利用方法が他の施設の運用に及ぶものではないと考えております。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 食の安全・安心の確保は、当然のことながら、市場移転の大前提であり、そのために必要なさまざまな取り組みについては、東京都の責任で確実に対応されるべきものと考えております。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事についても、都の責任において実施されており、都と市場事業者等で構成する協議会のもとで処理状況を確認するとともに、専門家で構成する技術会議の確認も経た上で建設工事に着手したものと認識しております。豊洲新市場の開設の認可につきましては、こうした都の取り組みを踏まえ、国の責任において適切な判断がなされるものと考えております。区といたしましては、市場移転という現実に即し、移転後も築地の活気とにぎわいを確実に継承し発展させていくため、築地新市場の開業に向け、引き続き区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、東京一極集中についてであります。

 国土交通省が策定した国土のグランドデザイン二○五○は、人口減少と巨大災害の切迫という二つの大きな危機に直面していることを踏まえ、二○五○年を見据えた国土づくりの理念や考え方を示したものであります。目指すべき国土の姿の一つに、東京一極集中は脱却すべきと示されていますが、その具体策は、地方における雇用の場の創造や高速交通体系の整備などとなっております。また、東京などの大都市圏域は高密度な都市活動を実現する国際経済戦略都市を目指すとされ、国際的なビジネス拠点を整備するなどの方策が示されております。そして、各地域が個性を磨き、その上で複数の地域間の連携により人・モノ・情報の交流が促進していくことが示されているものであります。一方、本区の基本構想は、本区が発展してきた歴史を踏まえて、地域の特色や個性を生かし、百万人が住み、働き、楽しめる中央区の実現を掲げたもので、その施策の一つとして、東京駅前周辺では地域の歴史や文化を踏まえつつ、バスターミナルなど交通基盤施設や国際ビジネス拠点機能を備えたまちづくりを進めております。このことによりまちの個性が深まるとともに、交通基盤を通じて地方との交流が図られるものであることから、中央区の掲げる基本構想は国土のグランドデザイン二○五○と整合するものと認識しており、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 次に、ヒューマンスケールなまちづくりについてであります。

 本区では、住み続け、働き続けられるまちづくりを基本理念として、区が地域の方々と協議を重ねていく協議型のまちづくりに取り組んでおります。お尋ねのヒューマンスケールなまちづくりについては、人の感性や行動を踏まえた住みやすさや居心地のよさにつながる適切な空間形成を図ることと認識しており、再開発を実施する際にも協議型まちづくりを通じて取り組んできております。その一例として、浜町三丁目の再開発では、地域の核として親しまれてきた浜町神社を再生するとともに、広場等の空地を整備し、今では毎年夏に納涼祭りが開催されるなど、地域コミュニティの交流の場として有効に活用されているところであります。

 次に、民間主導のまちづくりからの脱却についてのお尋ねであります。

 地域課題の解決に有効な再開発などの面的整備は、土地所有者となる区民や企業などの民間が開発事業者となりますが、区としては、まちづくり基本条例の適用などにより、開発側の一方的な計画ではなく、地域に受け入れられるよりよい計画となるよう、開発事業者を指導しております。また、区民との共同による公的住宅を中心とした中低層のまちづくりについては、その建物規模から建築費用を捻出する保留床を生み出すことができないため、区民にとって建てかえ費用の負担は極めて大きな課題であり、区の財政負担にも限りがあることから、実現は厳しいものと考えております。

 次に、教育委員会改革についてであります。

 このたびの法改正は、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長と教育委員会との連携の強化、さらには国の関与の見直しなど、教育委員会制度の抜本的な改革を行うものであります。新制度では、教育長は教育委員会の会務を総理し、会を代表することとなるため、教育行政の責任者としての位置づけは明確になりますが、教育長と教育委員で構成する教育委員会は、合議制の執行機関として存続する仕組みは従前どおりであると認識しております。

 次に、教育に関する大綱についてであります。

 この大綱は、教育基本法に基づき策定される国の教育振興基本計画における基本的な方針を参酌して定めることとされております。また、大綱は首長が定めることとされていますが、その際にはあらかじめ首長と教育委員会で構成する総合教育会議において協議することとされており、相互に連携を図りつつ、より一層民意を反映した教育行政が推進されるものと認識しております。また、総合教育会議では首長と教育委員会が協議・調整することにより、教育政策の方向性を共有し、一致して執行に当たることが可能になるものと理解しております。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 齊藤 進君登壇〕

○教育長(齊藤 進君)
 教育問題についてお答えをいたします。

 教育委員会の活性化についてであります。

 教育委員会ではこれまでも、教育行政における重要事項や基本方針を大所高所から決定し、次代を担う子供たちが希望に満ち、みずからの未来を切り開いていけるよう、教育の中央区にふさわしい質の高い教育を展開してまいりました。今後も教育委員会は合議制の執行機関として位置づけられており、一般の住民の意向を教育行政に反映していく、いわゆるレイマンコントロールの考え方は変わりなく、引き続き教育の政治的中立性、継続性・安定性は確保されているものと認識しております。また、本区の教育委員は、まちかど教育委員会などにおいて教職員や住民の声に十分耳を傾け、また、定例会を初めとする各種の会議においても、それぞれの専門的な視点から活発にチェックがなされております。教育委員と教育委員会の権限に属する事務を処理する事務局とは、適切な役割分担がなされております。非常勤である教育委員の執務に関しては、執務環境の整備もありますが、事務局のサポート体制を強化していくことが肝要であると考えております。

 答弁は以上です。

     〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 御答弁いただきましたけれども、消費税等の区民への影響、私、実際に生活相談などの活動の中で聞いた、そういう実態をお知らせしたんですけれども、好況感があれば暮らしが楽になったと感じるような、さっき答弁がありましたが、そんなことはないと思うんです。好況感が隅々まで行っていないというようなことで、消費税増税の影響があるんじゃないかということに対して何か否定的な答弁だったと思いますので、そのあたり、気持ちの問題なのかどうか、それを聞きたいと思います。

 それから、国債なんですけれども、何度も言っていますように一九六四年のオリンピックの翌年から赤字国債が始まって、それからアメリカの要求に応じて公共事業をばんばん、百兆円、二百兆円とつぎ込んだ結果なんですよ。それをまた、今、アベノミクスで、また公共事業にばんばん、じゃぶじゃぶやる。これは借金がまたふえるんです。これはトリクルダウン、公共事業や大企業にお金を注ぎ込めば、みんながよくなるというのをおこぼれ経済学でやってきたけれども、それは破綻してしまったと言っているのに、だから、そのやり方を変えて、消費税増税に頼らない道ということで提案しているので、そのあたりの認識ももう一度お聞きしたいというふうに思います。

 それから、集団的自衛権の行使容認、やはり今までと同じような答弁で、認めるような感じなんですけれども、憲法九条との関係でどうなのかと。ここを、やはり本当に国民の命と安全を守るという意味で、憲法九条との関係では違うでしょうと。平和外交が主で、戦争する国、地球の裏側まで行けるような、そういうのはだめでしょうということなので、憲法違反じゃないかという、そのことに対しての区長の見解もお聞かせいただきたいと思います。

 それから、政治と金では、政党助成金について、たしか御答弁がなかったと思うんですけれども、政党助成金を廃止すべきという形で、聞き漏らしたかどうかわからないんですが、その点についてもお聞かせいただきたいというふうに思います。

 それから、安倍政権の悪政から区民生活を守るという点は、区長が経済環境の悪化や社会状況の変化と認識するのはいつなのかということです。手おくれな状況、例えば今まで老舗で何十年もやっていたお店がだめになってから環境が悪化したでは、もう遅いんですよ。今、二期連続、景気の後退局面に入ったという、そういうときに手を打つ。手おくれにならない、そういうときにやらなくてはいけない。本当に何か注視してから判断するなんて、もう遅いんですよ、それでは。今、そういう事態なんですから、それを判断しなくてはいけないということで、では経済環境の悪化というのは、どういう状況なら区長は悪化という認識をするのか、お聞きしたいと思います。

 それから、区民への負担増は行わないことを要求したんですけれども、これはことごとく否定されてしまいました。やはり今のこういう厳しい状況の中で生活を支援していく、そういう意味でも、経済的、また生活の支援は重要だと思いますから、やはりいろいろな見直し、もちろん税金の無駄遣いは見直さなくてはいけない。しかし、やはり区民への負担増は行わない、それを原則にする必要があると思います。

 家賃補助制度については、慎重な検討をしていただくということなので、ぜひ慎重に検討していただきたいと思います。

 それから、小規模企業振興基本法を生かした施策ですけれども、結局、ここで出されているように成果を出す支援体制の構築なんですよ。成果を出す支援。だから、今までやっているのは、それは理解しています。しかし、やっていても、これだけ大変なんです。だから、もっと施策を充実させるということで、小規模企業、中小企業の方たちを応援するというのが、今、大事ではないか。小規模基本法が出された今だからこそ、成果を出す支援体制の構築が大事だと思うので、この点についてもお願いしたいと思います。

 それから、公社とNPO協議会ですけれども、説明は今まで受けたのと同じなんです。文書とか、そういうものが提出されていないのを私は言っているんです。ですから、いろいろこういうことでやられていますというのはもう何度も聞いているので、それをどういう文書でそういう約束がされているのか、担保されているのか、そこを出していただきたい。これも質問であります。

 それから、市場については、結局、科学的な見地のもとでの対策ができているかどうかで、区長は都が認識していると。認識だけでは、みんな、消費者、都民は納得しない。科学的な見地で対策がとられていないということが問題なので、これは質問ではなくていいんですけれども、そこの認識を改めないといけないというふうに思います。もしお答えしたければ、答えても結構です。

 それから、まちづくりですけれども、区長はさっき二○四○年が大変なことになると言っていましたよね。私は五十年、百年先のまちづくり、そこを言っているので、やはり今進めていくと。問題点を指摘したけれども、それを進めていく姿勢ですけれども、これはますます住民との対立を深めますし、これから二○四○年が区長はどういう認識かわからないけれども、その先が今の中央区のまちづくりが本当に恥ずかしいようなまちづくりになる可能性もあるということを指摘させていただきます。

 教育委員会については、ぜひ教育委員会の自主性を尊重する、区民に開かれた教育行政となるよう努力していただきたいということで、教育委員の皆さんに期待しております。

 以上で二回目の質問を終わります。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 再答弁させていただきます。

 消費税の増税ね、これは影響がないとは言っていないんですよ。影響があるから、さっき言ったように駆け込み需要、消費税の引き上げ前の反動、こういうものが、想定内であったけれども、夏季のときに国内の天候不順、本当に天候不順でしたね、ことしはね。そういうようなことや円安による原油価格であるとか、そういうもの等によって、大企業のほうは好況感はあるでしょう、これはね。しかし、残念ながら、区内であるとか区民生活、特に中小企業が非常に多い本区においては、そういった好況感は出ていない。これを申し上げているところであります。

 それから、国債。これは、先ほども申しましたけれども、次の世代の方々に負担をもたらすようなことは、大変な目に遭うのは次の時代のことで、だって、総予算の半分、これが国債なんですよ。国債が、だから、赤字国債一千兆円ですか、超してしまったという中であって、やはりこのままでいいというふうには志村さんも考えないのではないかな、そういうふうに思うわけでございまして、少しでも努力していくという姿勢も示さないといけない。

 例えば、ヨーロッパのほうなんかですと、本当に消費税が定着しておりますよね。ドイツが一八%でしたかね。その最中に、私、行ったことがあるんですけれども、全然そんな、消費税を上げようといったときに、淡々としてそれを受け入れるという状況を見ました。また、ほかの、デンマークなんかでも二○%を超しているでしょう。これは、やはりさまざまな恩恵を受ける、医療であるとか福祉とか子育てであるとか老後であるとか、それはみんなでカバーしていこうではないかということで、完全に定着している。そして、それを孫子の代まで残して負担をかけてはいけない、そういうのが出ているのではないかな、そういうふうに思うわけであります。

 また、集団的自衛権。これは紛争の抑止力ですよ。抑止力ということでありまして、七十年間も紛争に巻き込まれなかった。これは、やはり日本がこれだけ平和主義に徹してきたからであって、だから、憲法のいうとおりですよ。憲法は平和主義でしょう。平和主義に徹しているわけでしょう。五十年前のオリンピックは、戦後わずか十九年ですか。十九年であれだけのオリンピックを行った。だから、世界がこれは本当に奇跡的であると感嘆したし、また、日本人自身も自信と誇りを持ったわけですよ。今度のは違うでしょう。今度のはそういうものではなく、七十年間も平和であった。だからこそ、こんな立派な平和で繁栄している国が存在するのである。そのことを示す絶好の機会。つまり、平和をアピールするんですよ、国際社会に向かってね。国際社会に向かって平和をリードしていく、それが六年後のオリンピックの役割である、私はそういうふうに思っているところであります。

 それから、政治と金。これは、政党助成金制度は議会制民主主義における、ちゃんと先ほども答弁しているでしょう。政党の機能と公職の候補者の責務の重要性に鑑み行っているとね。ということであります。

 それから、経済環境の悪化ですか、これを単に注視するだけではなく、また適宜適切、今こそやるべきであると。今でもどんどんやっていますよ、いろいろ。さまざまな施策を行っているところでございまして、今後ともさまざまに打つべき手を、区議会の皆様方、区民の皆様方と、さまざまな声を聞きながら行ってまいりたい、そういうふうに思うわけでございまして、特に小規模企業振興法に基づきまして応援する姿勢をこれからも行ってまいりたいというふうに、零細企業が多いわけですからね。先ほども申した五人未満の事業所が四四%もあるということでありますから、当然であろう、こういうふうに思うわけであります。

 それから、文書の提出をということであります。ちょっとほかの理事者の方からお願いいたします。これ、NPO法人の問題ですね。

 それから、一極集中問題。本区の役割というのは、本当に歴史的にも、本区というのは、本区だけ考えていればいいという自治体ではないんですね。まさに、東京全体、日本全体を考えて、常にまちづくりを行わなければならない、そういう宿命にあると申し上げても過言ではない、こういうふうに思いますね。だって、わずか十平方キロしかない。その半分しかない、宅地はね。そういう自治体でありながら、国税の四%でしょう。都税の一○%以上を賄っている、そういう自治体であるわけでありますから、そういった観点からも、常に東京全体、国全体を見据えたまちづくり、これを行っていかなければならない、そういうふうに認識しているわけでございまして、そういう意味からも、これからもさまざまな、そういった貢献もしっかり認識しながらまちづくりを行ってまいりたいと思いますが、もちろん、まちづくり、先ほど来申し上げているとおり、地域の皆様方や区議会はもちろん、区内の皆さんの意向、地域特性を踏まえたまちづくりを行ってまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔都市整備部長 田村嘉一君登壇〕

○都市整備部長(田村嘉一君)
 都市整備公社とNPOのあの施設の利用に関するお問い合わせに対するお答えでございます。

 あの施設につきましては、区は中央区築地場外市場地区まちづくり支援施設要綱、こちらに基づきまして、公社のほうに貸し出しをしているわけでございます。同時に、NPOに対しましても、同要綱の第十五条で、公社に対し、NPO等からこの施設の使用の申し込み等があった場合については使用させなければならないとしてございます。この規定を受けまして、公社では、また公社として一般財団法人中央区都市整備公社、築地場外市場地区まちづくり支援施設要綱に基づきまして、こちらの申請の際に、このNPOからどういった事業目的でこの施設を使うのかといったことを、申請の際に詳細に事業計画等を提出させてございます。その中に、こういった店舗を漁連さん等にお貸しするということも、築地のまちづくりの活性化に資する事業として計画をされてございまして、そういった形で活用することについては妥当だということで、公社のほうでこの使用を認めているという内容となってございます。したがいまして、文書につきましては、その使用の申請許可書の中に事業計画等が詳細に記載をされてございますので、そちらを御確認いただくことで内容については見ていただくことができるかというふうに考えてございます。

 以上でございます。

     〔十九番 志村孝美議員登壇〕

○十九番(志村孝美議員)
 再答弁いただきましたけれども、国債は、だから、公共事業で膨らんでしまって、アベノミクスでさらに膨らまされると。次世代に残るのは、そういう借金なんですよ。そういう認識が、まず違いますね。

 それから、ヨーロッパは恩恵を受けているんです。日本は消費税増税で社会保障を充実しますよと言ったけれども、社会保障も切り捨てる。私は国家的詐欺と言ったでしょう。ヨーロッパと大違いなんですよ。だから、消費税も、区長の認識はやはり違っていますね。

 それから、集団的自衛権、これは憲法九条に違反するという質問、ただオリンピックが出たんですけれども、オリンピックは、やはり九条があって七十年間平和だと。それを見せるところなのに、集団的自衛権で戦争ができる国になる。憲法の解釈改憲をしてしまえば、オリンピックだって危うくなるというような事態です。ですから、先ほどの区長の答弁でも、やはりオリンピックを成功させるためにも、集団的自衛権の行使容認は認められないというふうに思います。

 政党助成金については、廃止すべきということに対して答弁はなかったので、認めたものだと思います。

 NPO協議会については、その根拠となる条例とか区の条例とか、規定を知りたかった。その書類はわかる。それはどういう根拠のもとに作成されているのかなので、引き続き慎重に調査をしていきたいと思います。

 きょうは、消費税の問題とか集団的自衛権、原発とか、まちづくりもそうですけれども、これらの問題に対して共通しているのは、国や東京都のそういう方針に、区が、区長が従ってしまっているという、そういう姿勢だと思います。区民の世論や立場に沿って国や東京都の悪政と対峙しなければならない問題なのに、そういう姿勢がない。民意の力が勝利した沖縄県知事選挙の結果は、やはり住民が主人公という、首長としてあるべき姿勢を示した、そういう結果だと思います。これからそういう自治体の長がたくさん誕生していくというふうに確信して、そうすれば日本の政治も大きく変わると思います。

 住民こそ主人公を貫いてきた日本共産党です。さらにパワーアップして、これからも頑張る決意を述べて質問を終わります。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後五時三十六分 休憩


     午後五時五十五分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十八番渡部恵子議員。

     〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 議長から発言許可をいただきました民主党区民クラブの渡部恵子です。平成二十六年第四回区議会定例会に当たり、区の一般事務及び区政の当面する課題につきまして、区長並びに関係理事者の方々に質問通告書に沿って発言させていただきます。中央区が目指す区民の皆様の幸福ある暮らし、安心・安全なまちづくりに対し、区民福祉に資する御答弁をお願い申し上げます。なお、再質問はこのまま留保させていただきます。

 今から六年前の二○○八年十月、国土交通省の中に観光庁ができ、その際、MICEの部署も創設されました。MICEとは、企業等の会議をあらわすミーティングのM、企業等が行う報酬・研修旅行のインセンティブトラベルのI、国際機関や団体が学会等を行う国際会議を意味するコンベンションのC、文化・スポーツイベント、展示会、見本市を行うエキシビションのEの頭文字を意味し、多くの集客交流が見込めるビジネスイベントなどの総称をいいます。

 MICEは、企業・産業活動や研究・学会活動と関連している場合が多いため、MICE開催を通じた主催者、参加者、出展者等の消費支出や関連の事業支出は、MICE開催地域を中心に大きな経済波及効果を生み出していきます。会議開催場所、宿泊、飲食、観光等の経済・消費活動の裾野は広く、滞在期間が比較的長いと言われ、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すという地域への経済効果が顕著に出ているため、ここに着眼した海外の多くの国や都市は経済戦略の手段としてMICEを位置づけ、戦略・成長分野における産業振興、イノベーション創出のためのツールとして、国際会議や見本市を活用しています。このため、現在、国際社会において、MICE誘致競争が激化している状況です。また、国際会議等のMICE開催を通じた国際・国内相互の人や情報の流通、ネットワークの構築、集客力などがビジネスや研究環境の向上につながり、都市の競争力、ひいては国の競争力の向上につながっていくという付加価値も生み出しています。

 しかし、日本は、MICE誘致活動における地位が相対的に低下しており、他国の都市がより意欲的・戦略的にMICE誘致に取り組む中で取り残されている現状があります。これに危機感を持った国は、二○一二年十一月に有識者やMICE関係者と委員会を設置し、集中的に論議を深め、二○一三年六月十四日の日本再興戦略において、二○三○年にはアジアナンバーワンの国際会議開催国としての不動の地位を築くという目標が掲げられ、多くの人のすぐれた知見・投資を日本に呼び込む重要な戦略としてMICEを位置づけました。

 同様に、同年六月十一日に観光立国推進閣僚会議で決定された観光立国実現に向けたアクションプログラムにおいても、主要な柱の一つとしてMICEが位置づけられ、グローバルレベルの都市の育成を今後一層図るとされています。東京都は、国のグローバルMICE戦略都市として、横浜市、京都市、神戸市、福岡市とともに選定されました。今後、世界トップレベルのMICE都市を目指し、国から強く支援されていくという流れにあります。

 他方で、東京都港湾局は二○一四年一月十六日、東京クルーズビジョンを策定しました。東京クルーズビジョンは、東京港がクルーズ客船の拠点として国内外からの多くの来訪者を呼び込み、クルーズの大きな経済効果を取り込むとともに、臨海副都心のMICE誘致や国際観光の拠点化推進を図ることを目的としています。東京都港湾局によると、世界のクルーズ市場は過去二十年で四倍に増加しており、日本のクルーズ市場も二○一二年には前年比一六・二%増の二十一万七千人となり、クルーズ客船寄港回数は初めて一千回を超え、一千百五回を記録しています。現在、東京港では、晴海客船埠頭でクルーズ客船を受け入れていますが、レインボーブリッジの下を通過できない大型客船が年々増加しており、これに対応するため、今後は臨海副都心の青海コンテナ埠頭北側水域に新客船埠頭を整備し、二十二万トン級の大型クルーズ船の発着や二隻以上の同時着岸に対応可能な係留施設を設置し、迅速に船内で通関手続を済ませる機能を備え、大型客船に十分対応できるスペースを有する新客船ターミナルを建設し、シャトルバス乗り場、駐車場の整備を行うとしています。

 さらに、東京港の二○二○年、二○二八年のクルーズ客船年間誘致目標を設定し、二○二○年の目標はクルーズ客船利用客数が二十一万人、利用回数が百十三回、二○二八年度には利用客数は五十万二千人、利用回数は二百八十回としています。この目標達成のため、二○二○年のオリンピック・パラリンピック開催を見据え、二○一九年度中の開業を目指し、新埠頭への係留誘致の強化を始めると発表しました。これを受け、舛添都知事も、にぎわいあふれる国際観光都市東京を実現していくと発言しています。

 現在のMICE誘致状況を国土交通省観光庁の担当者に伺ったところ、現在、ターゲットとして力を入れているのは国際会議の誘致であり、中規模の国際会議で一千名程度、小規模の国際会議で三百名以下の国際会議の誘致に力を入れているとのことでした。今後、国のMICE誘致活動によって世界中から集まってくる人たちを受け入れる宿泊施設や会議場が必要になっていきます。また、文化・スポーツイベント、見本市などが東京で開催されれば、これを受け入れる規模の施設が必要になります。東京では、有明の東京ビッグサイトの施設利用が有力です。小規模、中規模の国際会議では、東京国際フォーラムの利用も考えていると観光庁の担当者が話しておりました。今後、東京都も新客船埠頭使用開始を見据え、二○一九年開業に向けてアピール活動を強化すると方向性を示しています。このように、二○二○年の大会終了後も、MICEや大型クルーズ客船で湾岸エリアを訪れる来訪者数は増加していくという環境が整いつつあることを本区は認識しておかなければならないと考えております。

 中央区は、都心でありながら、伝統的な江戸文化をたたえた商業が根づき、世界に誇れるものづくりを行う老舗が並ぶ日本橋、人形町、銀座を擁し、築地はもちろん、ほかにも老舗の味を楽しめる食文化の豊かなまちでもあります。文化的な学びを得たい人にとっては、古典芸能の歌舞伎や相撲の荒汐部屋の稽古といった、日本だからこそ楽しめる場所もあり、そのすぐ近くには最先端の家電やファッションなど、ショッピングも楽しめる観光資源の豊かな場所です。

 そこで、私は、こうしたMICEの機会や新客船埠頭使用開始による観光客増加により、今後東京を訪れる三百人から千人規模の人たちをしっかりと中央区へいざなう必要があると考えております。それには、有明からの交通アクセスの充実をここ数年のうちに整備する必要があります。また、日本を訪れる外国人たちは、専ら外国人旅行客の口コミサイトであるトリップアドバイザーや英語、中国語、韓国語に対応したポータルサイト、ジャパンガイド、世界中の国々の観光情報、天気など、全ての情報を得られるロンリープラネットというサイトで日本についての情報を得、この情報をもとに来日していることをNPO法人東京フリーガイドで通訳をしている友人から聞いております。観光資源をたたえる中央区の回遊性を高めるためには、本区の観光資源を掘り起こしながら、こうしたサイトに情報を発信していくことも、中央区へ来日した人をいざなう事前の観光案内であると考えます。

 また、国際観光都市東京の中央区として、本区へ来た外国人たちが簡単に回遊できるように案内所の整備を見直し、また、多くの外国人が利用しているタブレット端末などに向けた情報提供のあり方を整備する必要があると考えています。これに加えて、まちの中を歩きやすくしていくために、公共施設やまちの中のピクトグラムの統一化も国際観光都市には必要です。二○二○年の大会終了後もMICEで日本と海外の研究者や関係者のネットワーク構築が可能となり、新しいビジネスチャンスやイノベーションの機会を呼び込むために、本区でできることは何かを考え、中央区の魅力を世界に発信していく必要があります。また、MICEや大型クルーズ客船で東京を訪れる人たちを受け入れていくまちづくりを視野に入れた、大会終了後を見据えた環境整備に取りかかる必要があると考えております。

 現在、観光資源のソフト面ですぐにでも整備の必要があるのは、イスラム教やユダヤの人たち用のレストランガイドです。また、ベジタリアンと一口に言っても、その中身は、一切動物性たんぱく質を避ける人たちから、魚食は許す人など、中身が異なるため、ベジタリアンレストランについても同様の対策が必要であると、外国人観光客の通訳をしている友人から指摘されています。MICEで東京を訪れる人も、大型客船クルーズで訪れる人たちにも、こうした食についての情報整備を行うことは、国際観光都市として準備をすべきことの一つと考えます。

 そこで、次のことをお伺いいたします。

 今後、MICEで有明を訪れる人たちを中央区へいざなうための交通整備の必要性はどうお考えでしょうか。道がまちをつなぐのか、路線でまちをつなぐのか、区のお考えをお知らせください。

 また、よりわかりやすく中央区の魅力を案内できる観光案内所や、レストランを初めとした情報提供のあり方、及び外国人が来日する際に検索する口コミサイトへ情報を発信する対策についてどのようにお考えでしょうか。

 歩きやすいまちのために、ピクトグラムの統一化をどのように構築していくのか、今後、MICE誘致の可能性が高まる小規模会議、中規模会議を行う機会を本区ではどのように生かせるのか、ハードとソフトの両面の環境整備に向けた展望と施策についてお知らせください。

 本年七月三十一日に、JOCの広報部長、中森康弘氏からオリンピック・パラリンピック開催に向けたお話を伺いました。

 まず、オリンピズムの根本原則について語られました。オリンピズムとは、スポーツを通して心と体を鍛えよう、世界のいろいろな人たちと交流しよう、そして平和な社会を築いていこうということを目的とするために、一八九六年にフランスのクーベルタン男爵が千五百年ぶりにオリンピックを復活させた、その根本の考え方をいい、今ではオリンピック憲章にオリンピズムの七つの根本原則として書かれています。

 根本原則は、冒頭に、オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものであると書かれています。つまり、スポーツを通して文化、教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造であり、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することが書かれています。また、スポーツは基本的人権の一つであることもオリンピズムの七原則の一つとなっています。現在使用されている五輪は、一九一四年、IOCの二十周年式典に際し、クーベルタン男爵自身がつくり上げたものだそうです。五輪は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアの五大陸を示し、世界中の国々が平和であることを象徴し、各五輪の青、黄色、緑、黒、赤の五色と下地の白を合わせた六色を使用すれば、世界中の国々の国旗を描けることから、団結を意味すると説明をいただきました。このような強い平和への思いをもとに、四年に一度競技が開催される二○二○年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村を本区に迎えることができることは、中央区の歴史上、非常に有意義で価値のあることだと思います。

 これを機会に既に多くの自治体が動き出していることも、JOCの中森さんから伝えられました。

 川崎市長は、パラリンピックなど障害者スポーツに特化した施策を打ち出しています。この機に、川崎市はスポーツを通じた人づくりを行うことを主軸とし、スポーツで庁舎内全部局に横串を刺し、都市政策を活性化させるために、交通網の整備、高齢者や障害者に配慮したユニバーサルデザイン、地域コミュニティなど、まちづくりを一堂に行うこととしています。また、スポーツを形成した文化に貢献するために、障害者スポーツ、高齢者スポーツを通した国際交流を図れる下地をつくり、競技力を向上させていくという目標も掲げています。川崎市の大会への協力としましては、ボランティア教育を施し、ボランティアの育成と、まだどこのルートを走るのか決定していないにもかかわらず、トーチリレーに協力し、そのためのリスク管理に協力すると公表することで、川崎市内をトーチリレーで通過ルートにしようとアピールするなど、川崎市のそれぞれの方向性を打ち出しています。さらに、市長は、パラリンピアの精神に根差し、元気な障害者の就職あっせんを既に行っています。JOCでもトップアスリートたちの就職支援を行っている中、このような地方自治体の協力は非常にありがたいそうです。地方企業がトップアスリートを企業に社員として就職させてくれることにより、新たな価値創造になるように、JOCも企業とのマッチングに力を入れているというお話でした。

 文京区では、既に国際基準を満たした練習会場の準備をしており、この夏、姉妹都市であるドイツのIOCのバッハ会長を訪ねたそうです。

 福岡市は、北京オリンピックに当たり、直前練習会場のホストシティーとして名乗りを上げ、スウェーデンの選手を丸抱えしたそうです。スウェーデンは、福岡市に対し、恩返しとして、各子供たちへ直接トップアスリートたちから、それぞれのスポーツの指導を行ったそうです。

 JOCの中森さんのお話では、現状、日本の自治体のスポーツ施設は国際基準を満たしたスポーツ施設が極めて少なく、いわんや障害者利用ができるスポーツ施設は少なく、あたかも障害者をスポーツから締め出しているかのようだと指摘されていました。また、選手の滞在先も国際基準を満たしていることが条件であり、これらの条件の整備ができる自治体しかホストシティーになり得ないハードルの高さが一方の側面であります。しかしながら、既に各自治体が教育的側面、まちづくり的な側面、国際交流を視野に入れた側面、未来の障害者の選手を育てていく側面など、それぞれの地域住民への幸福の福祉の実現のため、この機会を生かし、何かを生み出そうと動いています。

 本区は、直近の委員会で、ロンドンオリンピック開催時のセキュリティーから、大会期間中の選手村での選手との交流やイベントは難しいと想定されていますが、福岡市のような事前合宿に向けた取り組み方もありますし、本区独自の区民福祉を想定した二○二○年の五輪の祭典の受けとめ方もあることでしょう。

 このような中、本年十月十日にJOCが開催した一九六四年東京オリンピック・パラリンピック五十周年記念ウィークの中で、TOKYO二○二○ビジョン骨子を発表しました。これは、来年二月に国際オリンピック協会に提出する大会基本計画に盛り込まれる大会ビジョンの核となるものです。ビジョン骨子は、「スポーツには、世界の未来を変える力がある。一九六四年日本は変わった。二○二○年世界を変えよう。すべての人が自己ベストを目指そう。一人ひとりが互いを認め合おう。そして未来につなげよう」と基本コンセプトが決まりました。

 これらを踏まえ、お伺いいたします。

 既に、本区も幾つかの学校で、トップアスリートとして活躍してきた選手たちから直接指導を受けている児童・生徒もいますが、この機会を生かし、子供たちに伝えていきたいことは何でしょうか。区のお考えをお知らせください。

 オリンピズムを基本として考えた場合、誰もがひとしくスポーツができる環境整備は必要であると考えております。本区のスポーツ施設が高齢者、障害者の方が御利用しやすい整備がなされているかということにつきましても、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 中央区は、この大会に際し、区として得たい具体的な目標は何か、そして区民に何を伝え、残したいのか、現段階での所見をお伺いいたします。

 次に、ボランティアについてお伺いいたします。

 一九九八年の長野オリンピックでは、オリンピックボランティアの養成に大会の四年前から準備したそうです。ロンドン大会では、大会ボランティアの育成に三年を要しました。二○二○年東京オリンピック・パラリンピックのボランティアは八万人必要だそうです。JOCは、既に二百ほどの大学にこの協力要請をし終えているというお話でした。長野オリンピックで公式ボランティアを経験した人たちのその後ですが、各地域に戻り、地域のリーダーとして成長し活躍している人たちもいれば、海外青年協力隊として長野から世界各地へと舞台を移しボランティア活動に従事している人、シニアボランティアの方も同様に、海外ボランティアとして、また地域ボランティアとして活動する人もいるなど、それぞれがそれぞれの場で五輪をきっかけに生きがいを見出し、活躍の幅を広げているとのことでした。大会公式ボランティアの方々の心にはオリンピズムの根本精神がレガシーとして残っているというあかしだと受けとめることができると思います。

 本区は、多くの観光客を擁しています。区内のWi―Fi整備に力を入れるなど、ここ数年、観光しやすい環境整備に力を入れておられます。しかし、二○二○年にはパラリンピック関係者も本区を訪れることになり、道路や公共交通のバリアフリー化の整備などを今まで以上にスピード感を持ち、実行していくときを迎えています。ハードの整備以外に、現在、聴覚障害のある外国人と意思疎通ができる国際手話を使える人材が足りず、来日した外国人聴覚障害者が手話が通じず、その日の宿泊先がとれずに困ったというトラブルなども発生しているために、国際手話通訳の人材育成に東京都が乗り出すことになりました。世界共通語が英語であるように、手話にも公用語としての国際手話と、比較的需要が高いアメリカ手話を使いこなせる人材が必要になっています。既に、二○二○年に向けて、大会ボランティアになるために、健常者だけでなく、聴覚に障害がある人御自身が、この機会に積極的に国際交流を図りたいという思いで、国際手話やアメリカ手話を習得しにNPO法人日本ASLで学んでいる方もいます。今まで外国人との交流が手話という会話では難しかった聴覚障害者の方にとって、外国人と手話で語り合えるチャンスでもあり、前向きなボランティア精神だと思います。

 中央区では、幼稚園児や小学生たちに手話を教えています。今後、ボランティア育成に当たり、国際手話やアメリカ手話を使える人材育成についても門戸を広げていくことも必要であると考えます。現在の小学生たちは、二○二○年に青年期を迎える人たちもいます。親子で手話を習得すれば、二○二○年の祭典のときには親子でボランティアとして活躍することができるでしょう。これから数年間にわたり、中央区の歴史と魅力を親子で学びながら、それに合わせた国際手話、アメリカ手話の習得ができれば、大会終了後も観光ボランティアの手話通訳者として、あるいは本職にして活躍の場を海外に移すこともできるのではないでしょうか。

 今後、大会組織委員会が募集する公式ボランティア募集の際、地元優先枠が得られるよう、本区として積極的に要望を伝えることはできるでしょうか。

 東京都とも連携し、中央区が行う国際手話ボランティアの育成について、また、区としてどのような業務についてボランティアが何人必要なのか、その内容、人数、期間も含め、ボランティア育成計画を立てる必要があると考えますが、この点はどのようにお考えでしょうか。

 また、奈良県が県民一人一人に観光都市としてのおもてなしについて配布している「おもてなし読本」がありますが、今後、区内全体におもてなしの心や風土を育てていくことについての区のお考えをお知らせください。

 東京都内の区市町村では、元気な赤ちゃんを産むための妊娠中の母体の健康診査を促し、同時に妊婦さんの費用負担を減らすために、妊婦健康診査受診票として、妊娠確定後の一回目の検査と、その後二回から十四回の検査、また超音波検査の一部を助成しています。検査は、それぞれの回ごとに検査項目が決められていますが、実際に行われている検査項目と助成対象として検査の回数ごとに認められている検査項目が一致していないことが多く、検査費用を助成するための受診票を使用することができず、結果的に妊婦さんへの費用負担が大きく発生しています。例えば、二回目以降の検査でしか受けられないC型肝炎ウイルス検査と白血病の抗体検査であるHTLV―1抗体検査について、通常一回目の血液検査の際に行うB型肝炎ウイルスを初めとした血液検査と同時に、二回目以降に費用助成されるこれら二つの検査を同時に行うことが多いことが、調査の結果、他区でも同様に起きています。

 中央区の多くの妊婦さんが訪れる聖路加国際病院に問い合わせたところ、当該病院では妊娠初期である八週から十週で検査に来た妊婦さんには、一回目の健診の際、C型肝炎ウイルスの検査を行うというお話でした。十週目以降に初回の検査で来院した妊婦さんには、必ずこのときにC型肝炎検査を実施し、HTLV―1抗体検査については、妊娠中期までに必ず行っているとのことです。聖路加国際病院では、助成されている妊婦健康診査受診票で回数ごとに決められている検査に合わせず、妊婦さんの状況に合わせて検査をしているとのことでした。こうしたことは、採血を何度も行う妊婦への苦痛の配慮やハイリスク妊婦を早期に発見するために第一回目の検査で行う採血の際、C型肝炎やHTLV―1抗体検査を同時に実施するほうが医療を施しやすいという医師たちの配慮から検査を行っている事情もあります。この制度の目的は、妊婦さんの検査費用を助成し、経済的な負担軽減であるはずですが、こうした事情があるために、なかなか費用負担軽減の目標が効果を上げにくい状況となっています。実際に、妊婦さんの検査費用の軽減を是正するには、妊婦健康診査受診票をより柔軟性を高めた使用ができるように配慮することが必要です。

 そこで、お伺いいたします。

 これは、本区だけでは対応ができない問題です。今後、この制度の柔軟性を高め、妊婦さんの費用負担軽減のために、まずは本区内を調査し、他区と連携して東京都へ制度の改善を求めることが必要だと考えますが、どのような対処が可能か、区のお考えを伺います。

 現在、障害者福祉の中で、親亡き後が注目されています。とりわけ、知的障害者の方の高齢化の速度は健常者より速く年を重ねていくようであり、レインボーハウス明石の利用者も実年齢より高齢化が進行し、現在でははさみを入れた刻み食でなければ嚥下障害を起こしかねない状況だと、利用者の保護者の方から御相談を受けています。障害者といっても一くくりにできず、障害の種別の違いや生活状況で必要な支援も異なってきます。現在、親と同居している身体障害者は一三・三%、精神障害者は三八・○%、知的障害者は七八・九%という状況です。この数字があらわすとおり、知的障害児、精神障害児の御父兄は、家庭での介護をしていくために老障介護となっていくケースが多く、介護者である親が急に体調を崩した場合、あるいは他の行政で発生したケースのように親の突然死によって障害児が餓死するケースも発生するなど、無視できない問題も出てきています。

 荒川区自治総合研究所が七カ月調査したところによると、親が加齢により障害児を介護できなくなった場合、親族が介護できるケースはまだしも、それができなくなった個別の場合を想定するべきだと指摘しています。それには、障害者と家族が自ら個人別ライフプランの作成をし、長い目で見ながら、その人の生き方に照らした親亡き後に備えることが必要であり、行政はこのライフプランに合わせた居住支援、生活支援など総合的な施策メニューを用意することが必要です。

 本区も、今後こうした障害者の方の高齢化対策のために個人別ライフプランの作成を検討する時期に入っていると考えますが、今後の個別ライフプランの作成についての見解をお聞かせください。

 以上で第一回目の私の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 渡部恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、MICEと交通機関の整備についてであります。

 今後、有明地区を含む臨海副都心においては、MICEの誘致による国際観光拠点の整備が加速するものと予想されております。MICEでは、一度に多くの参加者や観光客が訪れるため、施設等への足となる公共交通機関の整備が重要であります。そのため、東京都では、本区と連携して、環状第二号線を中心とした都心と臨海副都心を結ぶBRTの整備検討を本年度より開始したところであります。また、東京オリンピック・パラリンピック大会後の晴海地区における人口増や大規模開発による交通需要増への対応等、都市交通の課題解決を図るためには、お台場有明地区と中央区を結ぶ地下鉄新規路線の整備が必要であることから、本区では、本年度より検討調査を実施しているところであります。BRT並びに地下鉄新線の整備は、東京における国際競争力の強化に必要不可欠であり、今後、実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 次に、中央区の魅力を案内する観光情報の提供についてであります。

 区内には、銀座や築地、日本橋など、日本のみならず世界有数の観光スポットが集積しております。また、二○二○年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人観光客の増加が見込まれることから、本区を訪れる方に必要となる情報を多様な方法で提供できることは重要な観光振興策と認識しております。現在、区では、平成二十八年十月に竣工予定の京橋二丁目西地区再開発事業において、観光拠点の整備を進めております。将来的には、この施設を核に、民間の観光案内事業者とも連携することで、わかりやすい観光情報を誰もが手軽に入手できることを目指してまいります。その際には、口コミサイトの活用なども含め、より効率的・効果的な方策が構築できるよう、本区観光振興の一翼を担う中央区観光協会と積極的に協議を進めてまいりたいと存じます。

 次に、MICEを活用した会議参加者の本区への呼び込みについてであります。

 国際会議などで訪れた多くの研究者や要人に中央区の魅力を知っていただくことは、国際観光都市として発展するために大切なことと考えております。現在、国や東京都において、オリンピック・パラリンピックを視野に、絵文字であるピクトグラムの統一化が検討されており、その結果を踏まえ、表示の多言語化も含めた各種案内表示の見直しなど、ハード面の整備を進めてまいります。また、会議参加者への直接的な観光情報の提供については、おととし東京で開催されたIMF・世界銀行年次総会のように、その内容や方法に関して主催者の了解が必要となる場合があります。区といたしましては、国際会議等の開催情報の把握や主催者との調整の進め方など、必要となる条件を整理し、どのようなことが可能であるか研究してまいります。

 次に、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてであります。

 まず、子供たちに伝えたいことについてであります。

 本区では、この大会を子供の夢と希望や生きる力を育む絶好の機会と捉え、今年度より全ての学校・幼稚園でオリンピック・パラリンピック教育を推進しております。競泳のオリンピアンから実技指導を受けた児童は、水泳に対する真摯な姿勢を学び、意欲的に授業に参加するようになりました。また、バスケットボールのパラリンピアンから講話を聞いた生徒は、その前向きな生き方に感銘を受け、強い心を持って生きていくことの大切さを学んでおります。夢と希望、目標を持って努力を続けることの大切さ、お互いの違いを乗り越えて認め合い、ともに生きることのすばらしさ、そして何より戦後七十年にわたって戦争に巻き込まれずに平和を貫いたからこそ、アジアで初めて二度目の夏季オリンピック・パラリンピック大会を開催することができる日本の姿から、平和のとうとさ、かけがえのなさを、子供たちを初め、全世界に伝えてまいりたいと考えております。

 次に、スポーツ施設の環境整備についてであります。

 スポーツを通じて疾病予防や健康づくり、体力づくりを進める上からも、高齢者等を対象とした生涯スポーツの推進は重要なことであると認識しております。区では、これまでスポーツ施設におけるバリアフリー対応はもとより、だれでもトイレや障害者専用更衣室、安全な利用に配慮した手すりの設置などを積極的に進めてきたところであります。今後とも、大規模改修等の機会を捉え、高齢者や障害のある方が利用しやすい施設の拡充に努めてまいります。

 次に、本区の目標と区民へ伝え残していくものについてであります。

 大会の中心である選手村を擁する本区としましては、大会後のレガシーとして、四百メートルトラックを初めとした練習施設の有効活用も含め、晴海地区の将来を見据えたまちづくりを推進してまいります。また、スポーツや国際教育を通じた平和理念の継承、商工業や都市観光を通じた日本文化の発信、さらにはバリアフリー化を初めとした安全・安心の取り組みや最先端技術を活用した環境面の取り組みなど、多角的な視点から目標を見定め、区内全体の良好なまちづくりに一段と弾みをつけて取り組んでまいります。こうした取り組みを通じまして、二○二○年東京大会という貴重な経験が全ての区民の皆様にとって一生の宝物となるよう、地域の方々や関係団体とも協力・連携して取り組み、その活力が将来にわたって快適な都心居住を謳歌し、豊かさを享受し続けることができる中央区の黄金時代を築き上げてまいりたいと存じます。

 次に、大会のボランティアについてであります。

 選手村のある本区は、魅力あふれる都市観光のまちでもあることから、大会時には国内外から多くの方が訪れることが想定され、交通や観光案内、語学など、さまざまなボランティアの活躍が期待されております。また、今年度の区政世論調査結果では四割近くもの方が何らかのボランティアに参加したいと回答していることからも、区民の参加意識が高いことがうかがえます。こうしたことから、大会開催はボランティア文化を将来に根づかせていく絶好の機会であると捉え、ボランティアの裾野の拡大と活動促進が図られるよう、関係団体等とも連携しながら積極的に取り組んでまいります。約八万人が必要とされる大会ボランティアの募集につきましては、現段階ではその詳細が明らかにされておりませんが、区といたしましては、一人でも多くの区民の皆様が参加できるよう、今後の動向を注視してまいります。また、本区のボランティアの育成につきましては、聴覚障害のある方の公用語である国際手話のボランティアも含め、今後、大会組織委員会や東京都等との連絡協議会を通じまして密接に連携を図りながら、計画的に取り組んでまいります。

 次に、おもてなしについてであります。

 大会に伴い国内外から訪れる多くの来訪者を最高のホスピタリティーでお迎えするためには、ボランティアだけでなく、区民、観光・商業関係者等、お一人お一人が来訪者を温かく迎え入れ、心の触れ合う交流ができることが大切であります。本区ならではのきめ細やかなおもてなしの心が大会後も区内全体に根づくよう、多面的な取り組みの検討を進め、区民、区内関係団体の皆様と連携・協力して、何度も訪れてみたいまちを目指してまいります。

 次に、妊婦健康診査の制度改善についてであります。

 東京都では、指定を受けているどの医療機関でも妊婦健康診査を受診できるよう、都内の全区市町村で十四回分の健診項目と実施方法が統一されております。初回の健康診査時に二回目以降で公費負担となる検査が前倒しで実施されている実例があることは認識しており、都内の区市町村が連携してこの問題に取り組んでいく必要があります。今後におきましては、妊婦健康診査を実施している医療機関への調査も含め、検査の実施時期の改定の必要性について、特別区の部長会などを通じて働きかけてまいります。

 次に、障害のある方の高齢化問題についてであります。

 障害のある方とその御家族にとっては、保護者亡き後、障害のある方が充実した生活を維持できるかは切実な問題であり、障害種別や置かれた状況に応じた柔軟な支援計画が必要となっております。しかしながら、障害のある方につきましては、生活環境等のさまざまな要因によって身体状況が変化する場合も多く、長期にわたる個人別ライフプランの作成には課題が多いと考えております。こうした中で、区内では昨年度より障害者版ケアプランとなるサービス等利用計画の作成が始まり、障害のある方や御家族の意向を十分に反映した総合的な支援計画が提供できるようになりました。また、本年十月からは基幹相談支援センター事業を開始し、障害者福祉サービスの利用にとどまらない、成年後見制度利用などを含めた地域生活全般での相談に応じております。今後とも、区といたしましては、サービス等利用計画の質の向上を図るため、相談事業者への助言と指導を強化するとともに、基幹相談支援センターについては、障害のある方のライフステージ全般にわたる御相談にお答えできるよう、相談員の資質の向上に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

     〔十八番 渡部恵子議員登壇〕

○十八番(渡部恵子議員)
 私の質問に対して前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 東京クルーズビジョンですが、二○二○年には二十一万人を目標としております。月間ベースに直しますと一万七千五百人、週間ですと四千三百八十人が東京港から来日するという計算になります。本区は、ことしの五月から、日本橋地域が国から創薬特区として認定されておりますし、これから東京駅の八重洲に大規模再開発が入る際に国際会議を行えるような会場も整備していくという方向性を打ち出しておられますので、観光庁が誘致を目指している小規模・中規模の会議を本区で行うことも実現できるのではないかと思います。ぜひ主催者の方々とお話し合いをしながら、中央区にこうした方々を呼び込んでいくような道筋をつけていっていただければというふうにも思っております。

 また、MICEもそうですが、大会後の本区の繁栄ということを考えたときに非常に重要になってくると思います。それには、今御答弁いただきましたように、今計画中のBRTの整備、そして地下鉄新路線、確実に整備して、それが実現していくことによって多くの方々のアクセスがよくなりますので、今後も本区の観光、そして繁栄のために、そうした施策を継続して取り組んでいただけますようにお願い申し上げます。

 それから、オリンピック・パラリンピックに関しましては、子供たち、そして、おのおのの区民の方々にそれぞれの思いを残していくような、また子供たちに対しては夢と希望、生きる力を与える絶好のチャンスという形で、既に子供たちの教育的側面ということでのレガシー創出といいますか、有形無形の何かを生み出そうという御努力をされているということがよくわかりました。やはり今、たくさん多角的な目標ということでいただきましたけれども、目的をどこに置くかということによって、おのずとそうした手段、施策は決まっていくと思いますし、それが結果的に本区の未来につながり、それぞれの区民の方へのレガシーとして残っていくものだと思っております。今後もボランティアの裾野も考えながら、区民の皆様がたくさん参加できるように施策をお願いしたいと思います。

 また、妊婦さんのことに関しましては、どうぞ、本区だけでは声を上げていっても小さい声かもしれませんが、問題は既に把握されておられるということですので、妊婦さんのためにも、そして未受診妊婦さんが出ないためにも、というのは診療報酬が高いので、自己払いが二、三万円かかってしまうということですので、こうしたこともないように対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、障害者の方の高齢化問題、これはどうしても避けては通れない問題であり、私はいつもそこが一番気になるということを御相談されます。親亡き後ということを考えるに当たりましても、本区は、昨年、基幹相談支援センターをつくりましたので、こちらを、とても心配されている方々のためにも活用を上手にしながら、成年後見を初め、皆様方の心の支えにもなっていっていただけるように願いまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十六日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後六時四十七分 散会


署名議員
議長 原田 賢一
議員 染谷 眞人
議員 守本 利雄

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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