ページの先頭です
トップページ  の中の  会議録検索(本会議・委員会等)  の中の  平成27年第一回定例会会議録(第2日 2月25日)

平成27年第一回定例会会議録(第2日 2月25日)

1.会期

二十四日(第二日)

二月二十五日(水曜日)

2.開会並びに散会

午後二時開議

午後六時十二分散会

3.出席議員

(二十八名)

一番 加藤 博司議員

二番 青木 かの議員

三番 瓜生 正高議員

四番 染谷 眞人議員

五番 富永 一議員

六番 山本 理恵議員

七番 河井 志帆議員

九番 奥村 暁子議員

十番 小栗 智恵子議員

十一番 田中 耕太郎議員

十二番 増渕 一孝議員

十三番 木村 克一議員

十四番 石田 英朗議員

十五番 中嶋 ひろあき議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 墨谷 浩一議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 志村 孝美議員

二十一番 原田 賢一議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 礒野 忠議員

二十四番 今野 弘美議員

二十五番 押田 まり子議員

二十六番 植原 恭子議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 渡部 博年議員

三十番 守本 利雄議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 小泉 典久君

副区長 吉田 不曇君

教育長 齊藤 進君

企画部長 田中武君

総務部長 島田 勝敏君

防災危機管理室長 中島 佳久君

区民部長 新治満君

福祉保健部長 平林 治樹君

高齢者施策推進室長 長嶋 育夫君

保健所長 和田 哲明君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 坂田 直昭君

監査事務局長 有賀 重光君

企画部参事(企画財政課長事務取扱) 黒川眞君

広報課長 園田 典子君

総務課長 古田島 幹雄君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 渡邊 千可雄君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(原田賢一議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(原田賢一議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十番小栗智恵子議員。

     〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、党区議団を代表して質問します。積極的な御答弁を期待します。なお、再質問、再々質問をあらかじめ留保します。

 初めに、平和問題について質問します。

 ことしは戦後七十年の節目の年に当たります。中央区は、七十年前の三月十日、東京大空襲によって一晩で死者千三百人、焼失戸数九千四百戸という大きな被害を受けました。また、日本が行った中国、朝鮮を初め、アジアの国々への侵略戦争による加害の歴史を忘れてはなりません。政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすると誓った憲法には、国民、区民の平和への願いが込められています。

 しかし、安倍首相は、昨年、憲法九条の解釈を変えて集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、ことし五月の連休明けにもそれを具体化する法案を提出しようとしています。そして、憲法九条を焦点とした改憲への執念をあらわにしています。

 そこで、質問します。

 二○二○年に向けた中央区の取組では、平和をあらゆる施策の根幹に据え、世界の恒久平和実現の先頭に立つと宣言されています。区長は、具体的にどのような平和に向けた行動を考えているのですか。また、憲法九条を守れ、憲法改悪反対の声を中央区から発信していくことが重要だと考えます。区長の見解をお聞かせください。

 また、区長は、昨年十一月の本会議で、集団的自衛権の行使容認の閣議決定についての志村議員の質問に対し、切れ目のない安全保障整備に向けたものと肯定的な答弁をされていますが、この間の国会での審議の中で、自衛隊の派兵について、従来の戦闘地域には行ってはならないという歯どめが外され、米国の先制攻撃の場合にも集団的自衛権を発動することがあり得るという重大問題が浮かび上がっています。まさに、日本を海外で戦争する国にしていくものではありませんか。区長の見解をお聞かせください。

 ISを名乗る過激武装組織による人質事件が起き、日本もテロの標的になる危険が現実のものとなる不安を感じます。オリンピックがテロの標的にされるような事態を決して生んではなりません。武力でテロはなくせない、法と理性に基づく世界の一致結束した行動によってこそテロは根絶できる、この歴史的な教訓に立って、自衛隊を世界中どこへでも地理的要件をなくして、戦闘地域、非戦闘地域の区別なく派遣できるようにする軍事的な対応はやめるよう国に求めるべきと考えます。区長の見解をお聞かせください。

 ことしはまた、広島・長崎の被爆七十年の年であり、五年ぶりに核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催される年でもあります。核兵器のない世界の実現は国民的悲願であり、人類生存の緊急課題です。中央区長も参加している平和首長会議は、二○二○年までに核兵器廃絶を目標に運動を広げています。広島や長崎では、市長が先頭に立って、核兵器廃絶に向けた署名活動を行っています。中央区でも、オリンピックの年、二○二○年までに核兵器廃絶をと署名運動に取り組むなど、具体的な行動を広げることが重要ではないでしょうか。区長の見解をお聞かせください。

 次に、福祉の増進を図る地方自治体の役割について質問します。

 今、日本経済は、安倍自公政権が進めた消費税八%への増税で消費が落ち込み、二月十六日に発表されたGDP速報によれば、昨年一年間の家計消費はマイナス一・三%、この二十年で最大の落ち込みとなっています。二○一四年の年間を通した実質GDP成長率は○・○%となり、経済成長がとまりました。安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスが日本の経済成長を阻害していることが、改めて示されました。厚生労働省の調査でも、働く人の実質賃金は十八カ月連続で減り続けています。

 中央区の直近の景気動向調査では、現状判断DIは四四・一と前回より一・六ポイント低下、前年同月比では一二・七ポイントも低下しています。先行き判断DIは前回調査より三・二ポイント低下し、四四・七となり、前年同月比では一一・六ポイントの低下です。消費税三%の引き上げ分と三○%以上の円安による物価高によって実質的な可処分所得が減少し、家計が痛んでいるというコメントどおりの事態です。

 また、中央区は人口がふえ、中央区の統計によると、特別区民税の課税標準額が七百万円以上の世帯が、十年前と比べると一・六倍の一万人になっています。しかし、課税世帯のうち四○%の三万一千人が課税標準額二百万円以下の世帯です。生活保護受給者は二○一四年に一千人を超え、就学援助を利用している児童・生徒の割合は、小学生で一四%、中学生で二八%となっています。

 そこで、質問します。

 中央区でも格差と貧困が広がり、生活不安が大きくなっている実態を区長はどうお考えですか。区内の景気の動向や区内中小企業の状況をどう認識されていますか。消費税増税による景気への影響についてはいかがですか。今でも想定の範囲内であり、天候不順や原油価格高騰が原因で好況感が広がっていないだけだとお考えですか。御答弁ください。

 安倍政権は、社会保障のためと言いながら消費税を増税し、一方で社会保障予算の自然増削減路線を復活させて、医療、介護、生活保護、保育制度など、あらゆる分野で制度の改悪、削減を行おうとしています。生活の安心の基礎となる社会保障をどんどん切り捨てる政治が区民の暮らしを脅かしている今、区民に一番身近な自治体である中央区が、区民の暮らしを守り、福祉の増進を図るために力を発揮しなくてはなりません。区の施策は、地方自治法に明記されている住民の福祉の増進を図ることを基本とした役割を十分果たしているでしょうか。

 そこで、四つの問題についてお聞きします。

 まず、第一に、医療・介護の問題です。

 二○○○年から始まった介護保険は第六期に入り、中央区の介護保険料は基準額で一二%引き上げの五千九百二十円にする提案が出されています。国民健康保険料も毎年引き上げられていますが、二○一五年度は一人当たり保険料が、介護納付金を含めると年間十五万三千円となります。今でも高過ぎる保険料で滞納世帯が二五%に上るという実態です。また、特養ホームの待機者が常に三百人に上っており、日本橋で初めて開設された十思スクエアの小規模特養には、定員の六倍の申し込みが殺到しました。

 そこで、質問します。

 保険料が高過ぎて大変という悲鳴が上がっています。保険料を払えない、自己負担が大きいために医療や介護を受けられなくなってしまう事態をなくさなくてはなりません。一般財源もさらに投入して、介護保険や国民健康保険料の値上げを抑えるよう求めます。また、お金の心配なく安心して医療が受けられるように、七十五歳以上の医療費助成制度を実施することを求めます。さらに、不足している特養ホームや認知症高齢者のグループホームをもっと整備していくことが必要です。それぞれ御答弁ください。

 第二に、子育て支援の問題です。

 党区議団は、待機児童の解消を図るために、施設や保育士の配置を下げないよう、認可保育所を中心に整備するよう繰り返し求めてきました。四月に新たに三カ所、株式会社が運営する認可保育所が開設され、定員が拡大されてきましたが、四月入園の認可保育所・こども園の第一回利用調整では約四百人が内定していないという状況で、待機児ゼロに向けた認可保育所の整備はまだまだ必要です。また、子ども・子育て支援新制度が四月から始まり、保育の質の確保も問題になってきます。さらに、学童クラブの不足も深刻になっています。放課後の居場所プレディだけに解消せず、学童クラブの増設も必要だと考えます。それぞれ御答弁ください。

 第三に、住宅の問題です。

 新築マンションが次々建設されても、低家賃の住宅が不足して困っている区民がたくさんいます。比較的家賃が安かった住宅やマンションが再開発などで取り壊され、行き場をなくす事態も進んでいます。昨年六月の本会議で、民間賃貸住宅への家賃補助制度や高齢者、ひとり親世帯向けの住宅の増設を求めた我が党の奥村議員の質問に対し、区長は、財政負担が大きい、用地の確保が難しいと答弁されています。しかし、一方で再開発はどんどん進み、貴重な都有地が民間に払い下げられているところもあります。住まいは人権の立場で、低家賃住宅の確保や家賃補助制度を進めることを求めます。御答弁ください。

 第四に、地域経済、雇用の問題です。

 中央区は事業所も多く、昼間人口は六十万人となっています。今、国会では残業代ゼロ法案、労働者派遣法の改悪法案など、雇用環境を悪化させる安倍政権の政策が大問題になっています。今でも、箱崎に本社のある日本IBMが労働者をロックアウト解雇するなど、無法な雇用実態が横行しています。日本共産党は、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳しく限定し、均等待遇のルール化、非正規から正社員の流れをつくる、残業時間の上限を法律化し、法的拘束力を持ったものにする、全国一律で中小企業への支援と一体で最低賃金の大幅引き上げを行うことを提案しています。労働者の賃金が上がり、安定した雇用環境をつくることは、消費をふやし、地域経済の活性化につながります。区長の見解をお聞かせください。

 また、舛添都知事は、正規雇用化に取り組む中小企業に対し、国と連携して都独自に支援することを打ち出しています。区としても取り組む考えはありませんか。御答弁ください。

 次の質問は、巨大開発優先のまちづくりについてです。

 新年度予算の特徴の一つは、市街地再開発助成や学校増改築などの投資的経費に一般会計予算の三割、二百七十三億円を充て、昨年比で三三%もの大幅増となっていることです。市街地再開発事業助成は、新年度だけで七事業に九十億円を計上、予算の一割を占めています。オフィス、商業施設系の再開発にも補助金が計上され、二○一五年度だけで、銀座六丁目松坂屋跡地で約十四億円、日本橋二丁目高島屋周辺に約十二億円、京橋二丁目明治屋周辺は約十七億円と莫大な金額となっています。これらの事業は、都市再生特区の手法を使い、地域貢献などを評価して容積率の割り増しを受けています。中央区は、いずれの事業でも、区道を廃止して敷地面積を大きくとれるよう大サービスしています。また、銀座六丁目事業の完成後にはCO2、温暖化ガスの排出量が一・六倍になるなど、どの事業でも環境への負荷を増大させ、人や車の集中で災害の際の危険性も増してしまいます。

 そこで、質問します。

 現在、区内で巨大な再開発事業が三十二事業も進行しています。老朽化した建物の更新は必要なことですが、壊してつくるばかりでなく、歴史や文化、地域の特性を生かした、環境への負荷の少ないまちづくりへの転換を求めます。御答弁ください。

 市街地再開発事業では、住宅系の四つの再開発事業だけでも約五千三百五十戸の住宅ができることになります。急激な人口増で、勝どき駅のように交通機関がパンク状態になったり、保育園、高齢者施設、病院などのインフラ整備が追いつかない事態が広がっています。こうした状況をどうお考えですか、お聞かせください。

 また、私がどうしても納得いかないのは、勝どき五丁目地区の再開発のように、地権者は八十六人なのに、千四百二十戸の超高層マンションを建設して、ディベロッパーが巨大な利益を得ることができる再開発事業が区内各地で行われていることです。再開発地域に住む住民の居住継続のためというより、不動産ディベロッパーの利益に資する再開発事業には区の予算の一割に当たる莫大な補助金を投入し、一方で、人口増に伴う施設整備に費用がかかり基金が減ってしまうからと、区民には受益者負担だとして保育料の値上げや駐輪場の有料化を強いる、こんな区政運営は改めるべきだと考えます。御答弁ください。

 さらに、八重洲二丁目北地区で進行中の城東小学校周辺の巨大再開発について質問します。

 この再開発は、小学校の土地を種地として提供し、全国初と言われるオフィスビルの中の小学校をつくり、地上四十五階、高さ二百四十五メートルの事務所ビルを中心に、一万五千平米の敷地に延べ床面積三十一万六千平米にもなる巨大な開発です。なぜこんな巨大なビルが必要なのでしょうか。どうしても納得できません。

 同様に、八重洲通りを挟んだ八重洲一丁目東地区でも、地上五十四階、高さ二百五十メートル、延べ床面積二十三万六千平米の再開発が同時進行中です。最大限の利益確保を追求した再開発でなく、もっとヒューマンスケールの、環境への負荷の少ない、後世に誇れる再開発計画に見直しを求めたいと思います。御答弁ください。

 次に、二○二○年オリンピック・パラリンピック選手村についてです。

 東京都は、昨年十二月十九日に、選手村大会終了後における住宅棟のモデルプランを発表しました。都のプランでは、民間事業者が十四階から十七階建ての住宅棟を二十二棟建設して五輪開催中の宿泊施設とし、五輪終了後にさらに五十階建ての超高層住宅を二棟建て、総戸数六千戸、人口一万二千人のまちにするという計画です。中央区は、晴海地区将来ビジョン検討委員会で晴海地区の将来像や区民の要望をまとめ、十二月二十六日に東京都に対し、晴海地区将来ビジョンを提出しました。この中には、中規模スーパー、病院、保育所などの整備、幅広い世代が住める賃貸住宅や学生寮、サービス付き高齢者住宅、また、練習用トラックを恒久的な運動場になど、具体的な要望が盛り込まれています。

 そこで、質問します。

 晴海地区将来ビジョンについて東京都はどう検討しているのか、また、三月に予定されている新たな要望書に基づく都との協議はどう進めていくのか、お聞かせください。

 日本共産党都議団の吉田信夫都議は、一月二十七日の都議会オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会で選手村問題を取り上げました。モデルプランは、都が国際オリンピック委員会に提出した立候補ファイルに明記した選手村のコンセプトや宿泊棟の配置計画を大きく変更しています。大会終了後に五十階建ての超高層タワー二棟を建設する計画になっていることに対し、事前に意見を聞いた民間ディベロッパーの意向を受けて、民間事業者が収益を確保できる計画になっているのではないかと追及しました。

 晴海地区まちづくり協議会では、これから五十年後、選手村ができたことを胸を張って言えるような計画を望むが、現段階では非常に疑問などという意見が出されています。大会終了後に建設する超高層タワーは、言うまでもなく、選手村には必要のない住宅です。このタワーマンションの建設でロンドン五輪の選手村の二倍の住宅ができ、学校を初めとする施設の規模も整備費も膨れ上がってしまいます。国全体が人口減少社会になり、住宅戸数は十分足りている中央区にとっても、こんなに過大な住宅建設は必要ありません。

 そこで、質問します。

 大会終了後に建てる超高層タワーマンションの計画は中止するよう要請する考えはありませんか。見解をお示しください。

 また、晴海地区将来ビジョンでも幅広い世代が住める賃貸住宅などを要望していますが、選手村の宿泊棟をロンドン五輪の選手村のように低家賃で入居できる都営住宅などの公共住宅としても整備するよう求めるものです。御見解をお聞かせください。

 東京五輪による建設ラッシュの影響で建築費が高騰し、東日本大震災の被災地の復興事業がおくれています。私は、二○二○年東京オリンピック・パラリンピックを、環境に優しくコンパクトで、建設費用も節減でき、被災地を含め、国民全体が喜べる平和の祭典にしていくことが必要だと考えます。

 次に、築地市場の移転問題について質問します。

 東京都は、来年二○一六年の十一月に豊洲新市場を開設すると発表し、現在、新市場の建設工事を急ピッチで進めています。この開設時期は、オリンピックの前に臨海部と都心を結ぶ環状二号線を完成させることを優先したもので、実際には、豊洲新市場は問題山積です。

 二月十四日に、東京魚市場卸協同組合、東卸の記者会見で伊藤理事長は、合意したのは開場スケジュールだけで、具体的な内容について合意したものは何ひとつないと語り、冷蔵庫や活魚の水槽などの設備が間に合うか不安があること、新市場の物流システムや交通アクセス、入退場のあり方、新たな設備投資の費用負担などの問題を挙げています。また、千客万来施設について都や事業予定者から説明がないことや、新市場への移転を断念する業者がふえる可能性もあると述べています。二月二十二日には、千客万来施設から大和ハウスが辞退し、一部計画が白紙になる見通しとなったと報道されています。

 また、土壌汚染の問題もあります。土壌汚染対策法に従えば、本来は地下水のモニタリング調査を二年間実施して、汚染がないことを確認してから新たな土地利用が可能になるところを、既に建物の建設に入ってしまっています。東京都は、世論に押され、地下水モニタリングの観測井を二百一カ所設置し、昨年十一月に一回目の地下水モニタリングを行い、その結果を公表しました。今回の観測点でベンゼンについて調べた百二ポイントの検体のうち四八%で、またヒ素は七十ポイントの検体のうち七四%から汚染物質が検出されています。ベンゼンの最高値が○・○○八三と、基準値である一リットル当たり○・○一ミリグラムをわずかに下回った数値だったり、猛毒のヒ素も○・○○六検出された地点がありました。基準値以下だとしても、汚染対策が終わったはずなのに、汚染物質は残っているということが明らかになりました。

 無理に無理を重ねた豊洲新市場計画は、さらに工期や施設の見直しが避けられない事態となっています。安全な生鮮市場の大前提である土壌の安全性の確保もできていないし、二○一二年二月に都と区で合意した着実な移転も不透明なのですから、合意の前提は崩れていると考えます。いかがですか、御答弁ください。

 東卸の記者会見では、築地市場の場外にできる築地新市場についても、新市場が二つでき混乱を招く、移転する組合員も不安を抱く、ネーミングや移転前の開業を避けるよう都が調整すべきと強調したと報道されています。以前から、築地新市場について東卸としては協力できないという姿勢でしたが、実際に築地新市場に出店する仲卸業者の方もいる中で問題が生じていないのか、御答弁ください。

 私は、一九九九年に当時の石原都知事が、突然、築地市場の移転を言い出し、区長を先頭に断固反対する会を立ち上げ、日本橋プラザの前で並んで署名活動を行い、十万筆の署名を東京都に提出した当時のことを思い出します。同年九月には、中央区議会鈴木久雄議長名で築地市場の現在地での再整備を求める意見書、十月には築地市場再整備促進の要望、そして十一月には築地市場再整備に関する抗議を提出しています。

 二○○六年二月に都知事に出した七つの疑問を改めて見てみましたが、一、移転先の四十四ヘクタールの土地の確保、二、築地市場用地の扱い、三、交通アクセス問題、四、場外市場の問題、五、移転までの間の現市場の整備、六、土壌汚染の問題、七、財源確保の問題についての七つの疑問のうち、現在に至っても、一、新市場の土地の確保以外は問題が解消していないし、確保した土地は生鮮市場に最もふさわしくない土地だったのです。改めて、当時の断固反対の趣旨は道理のあるものだったと考えます。この立場を貫いて東京都と交渉していれば、現在地再整備が既に立派にでき上がっていたと確信します。この間を振り返って、改めて断固反対の旗をおろしてしまった責任は重いと考えます。御見解をお聞かせください。

 中央卸売市場の開設には農水省の認可が必要です。豊洲新市場については、安全性の科学的証明と市場関係者や消費者の理解が認可の前提条件になっています。多くの都民、区民、消費者とともに、地元中央区が、安全性が疑わしい、断固反対、築地市場は現在地で再整備をの声を上げれば、国は認可できず、計画を断念させることも可能です。今からでも遅くはない。まだ、移転は実施されていません。土壌汚染が残っている事実も明らかになっています。今こそ食の安全・安心を守り、中央区に二兆円の経済波及効果がある築地市場を現在地で再整備させるために、あらゆる可能性を追求していくことを求めます。御答弁ください。

 質問の最後に、いじめ防止対策の問題について伺います。

 今定例会に、教育委員会制度の改定といじめ防止対策推進法の施行に伴ういじめ問題対策委員会条例案が提出されています。いじめの防止対策推進法は、二○一一年、大津市で起きたいじめ自殺事件が二○一二年に全国的に報道され、社会問題となり、それを契機として、二○一三年六月に制定されました。その際、日本共産党は、いじめは、子供の成長途上で誰にでも生じ得るものであり、第一義的に教育の営みとして解決することが基本。法律でいじめを禁ずるとして子供を服従させるようなやり方は、およそ子供に対して社会がとるべき態度ではないとして、反対しました。

 法律には、子供にいじめ禁止を命じ、いじめる子供は厳罰で取り締まるという仕組みがあります。取り締まり的対応がふえ、いじめの解決に欠かせない子供と先生の信頼関係を壊してしまえば、本末転倒です。厳罰化は、いじめを行う子供の鬱屈した心をさらにゆがめ、人間的に立ち直る道を閉ざしかねません。また、法律は、学校に道徳教育中心のいじめ対策を求めています。しかし、いじめ自殺が起きた大津市立中学校は、市内で唯一の国の道徳教育推進指定校でした。同市の第三者委員会調査報告書は、道徳教育の限界を指摘し、むしろ学校現場で教師が一丸となったさまざまな創造的な実践こそが必要と報告しています。市民道徳の教育は大切ですが、それは自主的に行われるべきもので、上から押しつけては、かえって逆効果です。

 中央区教育委員会が本年一月十四日に決定した中央区いじめ防止基本方針は、いじめ防止対策推進法に基づき、第一、基本的な考え方の三、いじめの禁止で児童・生徒はいじめを行ってはならないとしています。

 そこで、質問します。

 いじめの禁止を子供の義務として課すのではなく、子供がいじめられずに安心して生きる権利と、その権利を守るために大人社会がどういう義務を果たすべきかを考えたいじめ対策が求められていると考えますが、御見解をお聞かせください。

 安倍政権は、大津市のいじめによる自殺事件などで各地の教育委員会がいじめはなかったなどと事実を隠蔽しようとする態度をとったことを口実にして、責任の所在が曖昧、形骸化しているなどとして、昨年、教育委員会制度を改定しました。

 高校入学間もない一人娘をいじめによる自殺で失い、いじめのない社会を目指して活動しているNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里さんは、教育委員会制度の改定問題がいじめ自殺事件での隠蔽問題がきっかけとされていることについて、亡くなった子供たちの命が教育への政治介入を許すきっかけに利用されていることは、一人の遺族として耐えがたく、冒瀆とさえ感じる。教育で子供たちを管理し、右向け右にするようなものに利用しないでくださいと天国で叫んでいると思いますと訴えています。子供の命にかかわる重大事件が起きれば、学校が本来行うべき迅速対応とは、初動調査と、その情報の共有の確立であり、誰も責任をとらないという責任の所在の問題ではない、首長といえども、いじめ問題の専門家ではなく、首長に大きな権限を持たせることになれば、もっと混乱を生むと思われると指摘しています。

 そこで、質問します。

 中央区でも教育委員会制度を変える準備が進んでいますが、区長の教育への権限を強化し、その意を受けた教育長が教育への管理を強めるようなことがないよう求めます。教育の独立性、自主性を重んじ、教育委員会の風通しをよくし、自由に活発に意見を言える教育委員会活動を保障し、いじめのない社会、いじめのない学校を目指すよう要望します。御見解をお聞かせください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、平和の発信についてであります。

 東京で再び世界最大・最高のスポーツと平和の祭典を開催することができますのは、我が国が戦後一貫して平和を希求し、繁栄を続けてきたからこそであると認識しております。大会の中心である選手村を擁する本区においては、二○二○年に向けて、安全・安心かつ快適な都市基盤を整備するとともに、教育の中央区にふさわしい国際教育や平和教育、さらには思いやりあふれる人材の育成や心のバリアフリーを進め、国内外から訪れる全ての人々に本区の魅力を実感していただくことこそが、世界に向けた平和のアピールにつながるものと考えております。今後も、引き続き憲法の平和主義の理念を堅持し、区民の皆様とともに世界恒久平和への歩みを着実に進めてまいります。

 次に、集団的自衛権行使容認の法整備についてであります。

 国においては、国際情勢が激変する中、国民の命と暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めるとしております。こうした中、自衛隊の海外派遣や活動範囲、集団的自衛権行使が容認される場合などについて、さまざまな議論があることは承知しております。これら国の安全保障をめぐる問題については、幅広い国民的な議論のもと、国の責任において決定されるべきものであり、今後、関連法案が国会に提案され、十分な審議が尽くされるものと考えております。

 次に、核兵器廃絶についてであります。

 核兵器廃絶は人類共通の願いであり、人類の英知と勇気を結集して挑むべき大きな課題であると認識しております。本区では、これまでも北朝鮮やアメリカなどの核実験に対して四十一回にわたり抗議文を送付したほか、核兵器を廃絶するための道筋を示すヒロシマ・ナガサキ議定書に賛同する都市アピールに署名するなど、積極的に行動してまいりました。今後とも、平和都市会議への参加などを通じて、加盟都市とともに核兵器の非人道性を世界に訴えてまいります。また、広島と長崎の惨劇を再びこの地球上で繰り返さないため、核兵器廃絶の思いの輪を国内外の皆様に積極的に広げてまいります。

 次に、区民生活の実態と区内の景気動向についてであります。

 本区におきましては、生活保護受給者数自体は増加しているものの、保護率においては七・九パーミルと、十年前とほぼ同水準であり、二十三区中一番低い数値となっております。一方、就学援助における準要保護者は、対象者数、割合とも徐々に増加してきております。こうした状況を踏まえ、平成二十七年度から本区でも新たなセーフティネットである生活困窮者自立支援法に基づく事業を実施し、困窮家庭がより自立し、安定した生活を送ることができるよう支援していくことが重要であると認識しております。

 次に、景気の動向についてであります。

 内閣府は、今月十九日に発表した二月の月例経済報告では、個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いているとしております。また、区の景気動向調査では、消費税率引き上げに伴う影響も落ち着きつつあるとの意見がある一方、大企業では全般的に従業員への利益の還元があるようだが、中小零細企業には及んでいないといった意見もあり、本格的な景気回復を中小企業事業者や区民が実感するには至っていないものと認識しております。そうした中、国や都においては、緊急経済対策として、平成二十六年度補正予算に消費の拡大や地域経済の活性化に資する新たな交付金制度を盛り込みました。区といたしましては、こうした制度を活用することにより、これまで同様、中小企業支援や商店街振興の施策に積極的に取り組むことで、都心中央区から景気浮揚の波を起こし、全国に広げてまいりたいと存じます。

 次に、国民健康保険料と介護保険料についてであります。

 保険制度は、相互扶助の精神に基づいた制度であり、需要額の二分の一を国庫負担金などの公費で、残り二分の一を被保険者の保険料で賄っております。保険料については、それぞれの負担能力に応じた適正な保険料であると認識しております。国民健康保険においては出産育児一時金や葬祭費などに一般財源を充て、制度を充実させており、介護保険においても独自サービスに一般財源を充て、サービスの充実に努めているところであります。今後の財政運営を考慮すると、これまで以上の一般財源を投入することは困難であると考えております。また、現在の後期高齢者医療制度においては、保険料を抑制するため、一般財源を原資とした特別対策を実施しております。加えて、低所得者にも配慮し、保険料の特例軽減として均等割の九割、八割五分の軽減及び所得割の五割軽減などを実施し、誰でもが安心して医療を受けられるよう努めているところであります。

 次に、特別養護老人ホーム等の整備についてであります。

 都市部では、新たな特別養護老人ホームを整備するには用地の確保などの課題がございますが、本区では再開発の機会などを捉え、地域密着型特別養護老人ホームの整備や既存施設の改修により、平成二十五年度から二十七年度にかけて八十四床を増床したところであります。また、認知症グループホームにつきましても、平成二十八年度に京橋地域で開設を予定しており、区内の三地域全てに整備してまいります。今後も在宅サービスの充実に努めるとともに、施設サービスにつきましても、ニーズを的確に把握しながら、適切に対応してまいりたいと存じます。

 次に、子育て支援についてであります。

 待機児童につきましては、昨年から本年四月にかけての認可保育所十一カ所開設による定員拡大の効果によって、保育ニーズの高いゼロ歳児から二歳児までを中心に着実に改善されていると認識しております。今後は、本年三月に策定する中央区子ども・子育て支援事業計画に基づき、認可保育所の整備を中心としながらも、小規模保育事業所等地域型保育事業を組み合わせるなど、保育ニーズに応じた確保策に積極的に取り組み、待機児童の早期解消を図ってまいります。

 また、保育の質の確保につきましては、子ども・子育て支援新制度のもとで保育士の処遇改善や研修などに取り組むとともに、区独自の保育所等巡回指導に向けて、保育士の配置等組織体制の準備を進めているところであります。

 次に、学童クラブの定員を超えるニーズにつきましては、中央区子ども・子育て支援事業計画に基づき、新年度から利用時間の延長等、内容の充実を図るプレディとの連携を深め、児童が放課後等に安心して過ごせる場の確保に努めてまいります。

 次に、住宅政策についてであります。

 本区は、区民の方々が住み続けられるよう、再開発区域内の従前居住者住宅を含む区立・区営・借上住宅、合わせ千二百八十六戸の公的住宅を整備するとともに、家賃軽減を行っております。また、建設費助成や家賃助成が行える高齢者向け優良賃貸住宅制度についても活用に努め、高齢者の入居できる住宅の整備を進めております。さらに、地区計画の導入により住宅建設を促進するなど、生活の本拠となる住宅の確保に向けて、さまざまな取り組みを行っております。こうした取り組みを通して多様な民間住宅の供給が図られている中で、区が新たに低家賃住宅を供給することや民間賃貸住宅への家賃補助制度を導入することについては、財政上の課題はもとより、公平性や継続性などの課題も含め、慎重に検討を行う必要があると考えております。

 次に、地域経済と雇用の問題についてであります。

 本区は、二十三区でトップの三万七千三百三十三もの事業所を擁する日本一の商工業のまちであり、中小企業の発展、地域産業の振興には景気回復が何よりも重要であります。そこで、個人消費をさらに活性化するには、誰もが安心して働くことができ、安定した収入を得られる環境の整備は大切なことと認識しております。そのような中、東京都は、非正規雇用対策や若者の就業支援、ワーク・ライフ・バランスなど、雇用改善に向けた取り組みを東京都長期ビジョンに位置づけ、さらに事業の具体化に向けて、国との連携強化を図るため、協議会を設けることとし、この二月二十日に初会合を開いております。一方、区におきましては、平成十八年度から国及び区内の経済団体等と中央区地域雇用問題連絡会議を開催し、地域における雇用・労働問題に関する課題やニーズを共有するなど、連携を深めてきております。今後とも、連絡会議を活用することで関係機関との連携をより一層深めながら、都が進める国との協議の進捗状況を注視しつつ、区の実情に応じた施策を検討してまいります。

 次に、まちづくりについてであります。

 本区は、首都東京の中心であり、適切な市街地更新を図りながら、持続的に発展し続けていくことが本区の使命であります。こうした市街地更新の際には、単にスクラップ・アンド・ビルドを行うだけでなく、三井本館、江戸橋三菱倉庫、明治屋京橋ビルといった歴史的建築物の保存再生に努めるなど、歴史や文化、地域特性を踏まえたまちづくりに取り組んでいるところであります。また、急激な人口増加に対応した公共交通機関や保育園、高齢者施設など、生活インフラの整備は必要なことから、再開発など面的整備の機会を捉え、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護事業所、公共駐輪場等の整備に取り組んでいるところであります。こうした区民生活に必要となるインフラ整備に対しては、計画段階から市街地環境の変化を踏まえた検討を事業者に求めるとともに、まちづくり基本条例に基づいて、計画上の配慮や工夫を義務づけるなど、良好なまちづくりが確実に実行されるよう、その対応を図ってまいります。

 次に、多額な補助金を要する再開発を改めるべきとのお尋ねであります。

 再開発事業は、地域の方々が主体的に取り組み、建てかえ資金の負担軽減を図ることに加え、地域課題の改善や公共公益施設の整備を同時に実現できるまちづくりの有効な手法であり、確立された補助金制度の適切な活用により進めているものであります。こうしたまちづくりを通じまして、本区ならではの多彩な魅力の発信やまちのにぎわいが創出され、あわせて都心区として安全で利便性豊かなまちが形成されるものと考えております。

 次に、八重洲の再開発についてであります。

 東京駅前地区は、戦後いち早く復興したことから、建物の老朽化が進行するとともに、まちの一部に環境の悪化が見られるなど、地域の防災性や安全性も懸念されております。また、国や東京都から、国際都市東京の実現に向けた都市再生の拠点として、我が国の陸の表玄関である東京駅前の立地特性を最大限生かしたまちづくりが求められております。現在、地元権利者が一丸となって取り組んでいる再開発は、まちの課題改善に加え、東京駅に不足するバスターミナルを整備し、ハブ化が進む羽田国際空港と東京駅とのアクセス機能を強化するなど、我が国の発展に大きく寄与するものと確信しております。さらに、八重洲二丁目北地区の再開発では、周囲をビルに取り囲まれている城東小学校についても、一体的な計画による新たな学校としてつくりかえることで、よりよい教育環境の確保に取り組んでおります。東京駅前地区全体において、業務、商業、観光、交流など多様な都市機能の集積と充実を図るとともに、最先端の環境対策や防災力の強化により、世界に誇れるまちづくりを実現するよう全力で取り組んでまいります。

 次に、晴海地区将来ビジョンの東京都における検討状況についてであります。

 晴海地区将来ビジョン検討委員会には、都職員が毎回オブザーバーとして参加したことからも、大会後を見据えた晴海地区のまちづくりについては、都区の共通の認識のもと、都の関係各局で情報共有等が図られているものと考えております。また、要望書につきましては、今回の要望事項がいずれも選手村整備に伴う課題解決に向けた具体的かつ重要な内容であることから、都においても関係各局で的確な対応を進めていただく必要があると認識しております。区といたしましては、早期に都に提出し、一つ一つの要望事項の解決に向け、都との協議を今後とも積極的に進めてまいります。

 次に、超高層タワーマンション計画についてであります。

 東京都が示した選手村の住宅棟モデルプランにつきましては、学校や周辺建物に対する配慮やまちのにぎわい形成に資する配置などの工夫が見られるものの、大会後の魅力的なまちづくりに当たりましては、ハード・ソフト両面において、まだまだ改善の余地があるものと思っております。また、選手村の宿泊施設については、民間事業者が大会後に住宅を分譲または賃貸していくことから、都営住宅などの公共住宅の整備は困難であると認識しております。そこで、現在、本区は東京都に対し、晴海地区将来ビジョンに示したとおり、持続的に多様な人々や幅広い世代が住まうまちを目指し、分譲住宅や賃貸住宅に加えまして、社宅や高齢者住宅など、多様な住まいの創出を図るよう求めております。

 次に、築地市場の移転についてであります。

 食の安全・安心の確保は、当然のことながら、市場移転の大前提であります。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事を初めとする移転に向けたさまざまな取り組みについては、東京都の責任で確実に実施し対応されるべきものと考えております。東京魚市場卸協同組合、東卸への対応につきましては、区はさまざまな機会を捉え、築地新市場の整備趣旨について説明を重ねてまいりました。また、意見交換会を通じて、施設に関する御意見を伺うとともに、募集要項にも反映させたところであります。こうした積み重ねによりまして、本事業については一定の御理解をいただけたものと認識しております。区といたしましては、市場移転という現実に即し、移転後も築地の活気とにぎわいを途絶えさせることなく、確実に継承し発展させていくため、築地新市場の開業に向け、引き続き区の総力を挙げて取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 齊藤 進君登壇〕 ○教育長(齊藤 進君) 教育問題についてお答えをいたします。

 初めに、いじめの問題についてであります。

 いじめの問題は、学校だけでなく、保護者、地域、関係機関など社会全体で取り組む国民的な課題であることから、平成二十五年六月にいじめ防止対策推進法が成立しました。本区で策定したいじめ防止基本方針では、いじめは、どの学校でもどの児童・生徒にも起こり得るとの認識に立ち、教育委員会や学校、家庭、地域が連携して、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に機動性を持って適切に取り組むこととしております。従来から未然防止については特に力を入れ、学校と教育委員会が一丸となり、教育相談体制の充実、思いやりの心やコミュニケーション能力の育成、児童・生徒の主体的な活動によるいじめ防止に向けた取り組みなど、いじめを生まない学校づくりを推進しています。また、保護者には、いじめの防止についての家庭での働きかけや大人同士での情報交換などを求めることとしており、保護者と地域が連携して、学校内では見えにくいいじめの芽を摘む取り組みを推進しているところであります。

 次に、教育委員会制度についてであります。

 今回の制度改革は、教育の中立性や継続性・安定性を確保するため、教育委員会を引き続き執行機関として位置づけるとともに、現行の教育委員長と教育長を一本化した新教育長を置くことにより、教育行政の責任の明確化、さらには総合教育会議の設置や大綱の策定を通じて首長との連携の強化を図るものであります。教育委員会では、これまでも委員の合議により大所高所から教育行政における基本方針や重要事項を決定し、個別の課題に対しても各委員それぞれの視点から活発な議論がなされているところであり、教育委員会の活動は今後も変わらないものと認識しております。また、総合教育会議では、首長と対等な意見交換が行われることから、いじめ問題への対応も含め、教育委員会として、より積極的な教育行政が展開できるものと考えております。

 答弁は以上です。

     〔十番 小栗智恵子議員登壇〕

○十番(小栗智恵子議員)
 御答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。

 最初に、平和の問題です。

 区長は、集団的自衛権の行使容認について肯定的な見解のようですけれども、きょう、十一月にやった議会の議事録が届いて、よく読んでみましたら、区長は、集団的自衛権は紛争の抑止力だと、そのようにおっしゃっています。そして、集団的自衛権の抑止力で七十年間紛争に巻き込まれなかったというような御答弁がされているわけなんですけれども、今まで集団的自衛権の行使を容認しない、憲法上できないということで、これを容認しなかったから、この七十年間、自衛隊が海外にいろいろな理由で派遣されましたけれども、実際には紛争に巻き込まれたり、自衛隊が人を殺したり殺されたり、そういう事態にはならなかったと。憲法九条のもとで、そういう縛りがあったからこそ、集団的自衛権の行使容認ができなくて、そして平和がこの七十年間守られてきたと。そういう事実を見れば、行使容認に大きく踏み出したということは、平和憲法がないがしろにされて、本当に自衛隊が海外で実際に、戦闘地域とか非戦闘地域にかかわらず、これからは派遣するんだという方向に法律を改正しようとしているわけですから、大問題になり、そして紛争に実際に日本の自衛隊が参加し、そして相手にとっては、自衛隊が、日本という国が敵になって、そして、それがテロの温床になるというようなことにもなりかねない、そういう重大な事態だと思います。この点で、もう一度区長の御答弁をいただきたいというふうに思います。

 私は、憲法を守り、これを生活の隅々に生かしていく、そして憲法九条の立場に立った平和の発信をしていくということが本当に必要になってきていると思いますし、憲法を区政に生かしていく、そういうことを求めたいというふうに思います。この点についても御答弁をお願いしたいと思います。

 次に、福祉の問題です。

 今、景気は緩やかに回復基調にあるということも紹介されましたけれども、実際には本当に区内の状況、一部の大企業は円安の影響などで大変な利益を得ていますけれども、中小企業や商店、まちの実感として全然潤っていない、それが実態だというふうに思います。そして、働いている人たちの実質賃金は、ずっと十八カ月も連続して下がり続けている。そうした苦境に立たされている。今の安倍政権のアベノミクスによる経済政策などで痛めつけられている。そういう中で、中央区が区民の暮らしや福祉を守る防波堤の役割を果たしていくことが本当に重要になってきているというふうに思います。

 例えば、保険料の問題も、先ほどお話ししましたけれども、相互扶助の制度の中でやっているんだから、上がるのは仕方がないというような御答弁に聞こえましたけれども、今、どんどん国が自然増を抑制していく、消費税を上げたのに、税金を社会保障に投入するということをどんどん抑えている、そういう中で保険料も引き上げられている。介護保険の制度も、今度は要支援の人たちは介護保険から外すというような制度の改悪がされていて、その準備が中央区でも全然間に合っていないということで、今、国の政治がどんどん悪くなっている中で、区が、そういうやり方ではまずいということもどんどん発言していかなくてはいけないと思いますし、区でできることをもっときちんとやっていくということが求められていると思います。

 中央区は財政の力を持っているということで、この四年間を見ても、小学校を三校改築しています。そして、今、四校目に着手していますが、新年度に百億円余の学校の改築予算を投入して、基金もそのために使いますけれども、それでも二○一五年度末の見込みでは、まだ三百二十億円の基金を持つ、そういう財政の力がある区です。区民一人当たりの基金の額を見ると、千代田区、港区に次ぐ第三位の基金の額を持っている、そういう区でもあります。そういう力をきちんと生かして区民の暮らしや福祉を守る、そういう政策をもっともっと進めていかなくていけないというふうに思います。

 確かに、認知症グループホームをつくったり、小規模多機能型の居住介護をふやしたり、そういう施策が計画されていることは評価するものですけれども、京橋地域にできる認知症のグループホームも定員はわずか十八人ということですし、住宅の問題でも、本当に安い家賃の住宅がなくて困っている中で、サービス付き高齢者住宅も市街地再開発事業の中で、今、三十四戸計画されていますけれども、単身者用の住宅は二十五平米で家賃が九万五千七百円、世帯向けは三十五平米の家賃で十四万一千九百円というような、周辺の相場から比べても、かなり高い家賃のものとして計画されているということを考えますと、本当に安い家賃で安心して入れる住宅がまだまだ少ないというのが現実だというふうに思います。

 そういう点でも、そういう四つの問題で、私はもっともっと区がやらなくてはいけないことがあるのではないかという視点でお話をさせていただきましたけれども、区の施策が本当に区民の暮らしを守るというところに至っていない点を指摘したいと思います。再度、区長の御答弁をお願いしたいというふうに思います。

 まちづくりの問題では、国家戦略特区に基づいて市街地再開発事業をやっているんだということで、八重洲の地域も、今、二カ所、先日の委員会で報告がありましたけれども、その隣ももう具体的に再開発の計画が進められて、地元の皆さんの合意でやっているというお話ですけれども、地元といっても大きな企業が中心となった計画だと思いますし、一つのオフィス棟が二百五十メートルとか二百四十五メートルとか、そういうものを駅前にずらっと建てる、それが国際的な表玄関を擁する中央区のまちとして、本当にそういう超高層が並ぶことがまちの発展なのかという点では、私は大変疑問に思います。もちろん、古い建物がそのままでいいということにはなりませんけれども、なぜそんな巨大なボリュームの再開発をあっちでもこっちでもやらないといけないのかという点については大変疑問がありますし、もっとヒューマンスケールなまちづくりを進めていく立場でやっていかないといけないのではないかというふうに思います。

 市街地再開発事業は、半分は国の補助金が出るという財源構成になっていますけれども、今、国は借金が一千兆円と言われるような大変な財政の危機に陥っている。そういう中で、国から予算が来るからいいんじゃないかということにはならないというふうに思います。子や孫への借金として、そういう公共事業にどんどんつぎ込んできた借金がツケとして回っていく、そういうことにもつながっていくわけですから、本当に巨大なオフィスビルで大きな不動産ディベロッパーとか大企業だけが潤うようなまちづくりをしていく姿勢は大変問題だというふうに私は考えておりますので、ぜひこの点についても御答弁をいただきたいと思います。

 オリンピックについては、超高層の五十階建てのタワーマンションは選手村としては全然必要のない建物なわけですから、やはりこの見直しをきちんと要望してほしいと思っています。この点については、いろいろハード・ソフトとも問題があるというお話がありましたけれども、そういう問題の解決の中でも、ぜひこの問題は取り上げて都と交渉すべきではないかということを再度要望しておきます。

 築地市場の問題では、歴史的にも、私もいろいろ今回改めて見てみましたけれども、中央区がやはり築地は現在地で再整備をという立場で東京都に対して七つの疑問を出して、こういう問題もあって、おかしいじゃないかということを主張してきたのに、途中で移転を容認するという立場に変わってしまいました。現実に即してやっているというお話もありましたけれども、やはり今でも土壌汚染の解決ができていない、そして、豊洲の新市場の仕組み自体が大変問題があるということもいろいろ出ている中で、きちんと過去を総括して、誤りに気づいたら引き返すということも大事ではないかというふうに思います。こういう点で、築地市場の現在地再整備ということについては全くもう考えないのか、その点について、もう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。

 以上で再質問とさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 小栗智恵子議員の再質問にお答えさせていただきたいと思います。

 集団的自衛権の行使といいますか、法整備ですね。これは、やはり国として、自治体でも同じですけれども、何といっても国のほうは国を守り、また国民の生命・財産をしっかり守っていくという責務があるわけでありますから、そういう点で安全保障ということをしっかりと考えていかなければならない、そういうふうに思いますね。特に、今、本当に国際情勢がどんどん変化しているわけでありまして、我が国の周辺でも大変な緊張があるわけでありますから、もちろん中東のほう、またウクライナのほうでもありますけれども、我が国周辺でもいろいろな、安全保障の観点から、守っていかなければならない点は随分あるのではないでしょうか。そういうものを国の責任でしっかり守っていく、これが政府の役割であろう、こういうふうに存ずるところであります。

 また、景気の動向、これは何といっても都心中の都心で日本の中心であるわけでありますから、ここから景気をどんどん上昇させて、その裾野を全国へ全国へと波及させる、それが本区の役割である、こういうふうに思っているわけでございまして、今はまだまだ十分ではないわけでありますから、そういう意味で、いろいろな施策、国のほうの補正予算なども活用して、区のハッピー買物券と同時に、国のほうのそういった、ハッピー買物券と同様なものを、今度は区商連が主体となってやっていくということでございます。

 それから、福祉の面におきましては、まず健全財政ですね。小栗議員の御指摘にもありましたとおり、国の借金が一千兆円を超える現実に私たち国民は直面しているわけでございますから、全て何でもかんでも国庫負担とか、そういう公費でということも難しいでありましょうし、また、区のほうも、何か十分な基金があるような見解を述べられましたけれども、地震一つとっても、いつ起こっても不思議ではない、こういうときでしょう、東京は。先般も発表されましたけれども、それを国も都も区もしっかりと守っていかなければならないわけであります。どのような災害が起こっても不思議ではないわけでありますから。したがって、そういうときのためにも、ある程度――ある程度といいますか、大丈夫だという――大丈夫だというまではなかなか難しいですけれども、私たちは用意しておかなければならない、そういうふうに思うわけでございます。まずは、何といっても健全財政ですね。これを国のほうも求められているし、本区のほうもしっかりとこれを維持、また、今後とも強化してまいりたい、そういうふうに思うところであります。

 それから、特養につきましては、これはもう地域密着型、こんなに特色ある自治体というのはないのではないでしょうか。地域密着型でないような考え方もあるようでございますけれども、私たちが住んでいるまちで、そして、その中に特養をつくっていくという地域密着型の特養ですね。

 本区におきましても、福祉のほうからちょっと聞いたことがありますけれども、区から離れたところにも特養を確保しているわけでありますけれども、こういうところがありますよと紹介しても、対象者が、いや、それは結構ですと。そういうところではなくて区内の特養に行きたいんだという方が非常に多いということでございまして、そういう意味におきまして、まさに地域密着型の特養なり介護施設、そういうものをつくっていくということでございまして、再開発なども大いに取り入れながら、その中に、その地域で必要な特養であるとか保育園であるとか、必要なものをしっかりと今後ともつくってまいりたい、そういうふうに思うわけであります。

 東京駅前地区の再開発、丸の内側はあのように立派な、景観上もすばらしいまちができ上がっているわけでありますけれども、八重洲側はまだまだな点がありますよね。四・八ヘクタールですか、五ヘクタールぐらいのところを私たちは三つに分けて行っていくんだという方針を発表というか、示させていただきましたけれども、あそこはやはり国や東京都も期待しているわけでありますから、そういう意味でも、東京駅前というすばらしい立地特性を最大限生かしたまちづくりを行っていかなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。

 また、あそこの城東小学校につきましても、もう地域に説明されているわけでございまして、皆さんが納得するような、それが本区のまちづくり、再開発の一番いいところで、地域の皆様、それから企業の皆様、そして行政も一体となって、心を合わせてつくっていく、これが本区のまちづくりの特色になっているわけでありますから、これからも世界に誇れるまちづくりをしっかりと、八重洲に限りませんけれども、全体的にそういうものをつくっていかなければならないのではないか、そういうふうに思うところであります。

 また、オリンピック・パラリンピックの後の超高層タワー、東京都が示したモデルプランにつきまして、いろいろと御指摘をいただいたわけでありますが、あれで決定ということではないわけでありますから、まだまだ改善、改良する、それこそ地域の皆様方の御意見等もしっかりと耳を傾けて聞いて、そして、すばらしいなと思われるものをつくっていかなければならないのではないか、そういうふうに思っているところであります。

 築地市場を現在地に戻す考えはないのかという御指摘でありましたけれども、これはもう現実に即して行っているということで、市場移転という現実ですね。東京都さんの方針に沿って、今、着々と移転の準備が行われているさなかであるわけでありますから、また戻すなんていうことになりますと、それこそ混乱も起こるでありましょうし、東卸を初め、さまざまな業界の方々も戸惑うのではないか、そういうふうに思うわけでございまして、私たちはやはり現実をしっかり直視して、そして行っていかなければならないというふうに思っているわけでございます。

 答弁は以上であります。

     〔十番 小栗智恵子議員登壇

○十番(小栗智恵子議員)
 再答弁いただきましたが、さらに発言をさせていただきます。

 まちづくりの問題では、ずっと大規模な再開発ばかりに力を入れているのはおかしいということで、この間、ずっと私たちは指摘をし、議論をしてきました。以前は、丸の内のようにはしないと言っていたのに、結局は丸の内のようなものを目指して、超高層のものを、丸の内側に負けないようなものを八重洲側につくろうというのが区長の立派なまちづくりの構想のようですけれども、私は、そういう超高層ばかり建てて、潤いのないようなまちにしてしまうのが、中央区にとってのすばらしいまちづくりだとは思いません。そういう意味では、今の国家戦略特区とか都市再生特区などという手法を使って、どんどん大型のまちづくりを進めている区政のあり方自体が問題ではないかということを申し述べたいというふうに思います。

 憲法の問題では、日本の周辺にいろいろな緊張があるとお話がありましたけれども、だからこそ、軍隊を出してそれを制圧するような道ではなくて、憲法九条を守って、紛争を戦争にしない努力を重ねることこそ必要だというふうに思いますので、この点でも、軍隊、力で押さえつけるようなあり方をやめていく、そのことを私は強調したいというふうに思います。

 福祉の問題でも、いろいろお話はありましたけれども、今、福祉だというと財政が足りないとか財源がないとかいって、一方では大型の開発とか軍事費などにはどんどんお金を注ぎ込む、そういう国の政治と一緒になって区がその路線で進んでいってはいけないというふうに私は考えています。

 区長が所信表明でも、二○二○年のオリンピック・パラリンピックを機に、わがまち中央区の黄金時代を築き上げるというお話をいつもいろいろな場でされていますけれども、区長の好きな中央区の黄金時代というフレーズを聞くたびに、私は大変違和感を覚えます。昔から中央区にお住まいの方、また、最近中央区に越してこられた方、誰もが本当に快適な都心居住を謳歌できているのか、そして、二○二○年を契機として希望に満ちた未来が描けるのか、そういう点では、今の現状は大変疑問が大きいというふうに感じています。

 私たち日本共産党区議団は、安倍政権の暴走をストップさせて、本当に区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たす区政へ転換をさせていくために、これからも頑張っていきたいというふうに思っています。区民への負担を減らして、暮らしと福祉、健康を守る施策を積極的に進める区政、そして子供たちが健やかに成長できる環境づくりを進める、そして、巨大開発優先から人に優しいまちづくりへ転換する、こういう方向で今の区政を転換していくこと、そして、憲法九条を守り、憲法を区政に生かす、こうした区政を目指して、これからも頑張っていくこと申し上げて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時三十分 休憩


     午後三時五十分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十九番渡部博年議員。

     〔二十九番 渡部博年議員登壇

○二十九番(渡部博年議員)
 民主党区民クラブの渡部博年です。平成二十七年第一回区議会定例会に当たり、民主党区民クラブの一員として、さきに提出してあります質問通告書に沿って質問いたしますので、よろしくお願いいたします。区政運営を区民目線で行う上で、即効性・実効性ある御答弁をいただきたいと思います。なお、再質問は、この場で留保させていただきます。

 中央区は、二○二○年オリンピック・パラリンピック開催に向けて、各種委員会でも報告されていますが、東京都及び大会組織委員会などから少ない情報の中、努力されているところだと認識しています。この間、区が主催した晴海地区将来ビジョン検討委員会を都職員のオブザーバー参加のもと開催し、結果についても東京都に報告したところでありますが、この検討委員会最終回の二週間後に選手村の計画を発表したことに対して、検討委員会メンバーは不満に思っているところであります。中央区はこの案でよしとしているものなのかと質問されたこともあります。また、晴海連合町会に選手村関係の都職員が挨拶に訪れましたが、またしても二日後に環境アセスメントの申請を行ったことに対して、連合町会役員は不信感を持っている現状であります。

 第一に、東京都は、選手村計画に本当に住民意見を取り入れていく気持ちが全く感じられないという現状を区としてどう考え、今後どのように行動していくのか、そして、区民感情を逆なでするような一連の東京都の対応について、区としてどのように解消していく考え方なのか、このような状況では、心からおもてなしということについて、行政と住民の間に溝を主催者側の東京都みずからがつくっていることが問題であると感じるところですが、今後も含めて対応について伺いたいと思います。

 また、晴海地区将来ビジョン検討委員会の結論を東京都に持参した方は担当部であったと聞いていますが、委員会参加者が真剣に将来の晴海地区をこうしていきたいというあらわれであります。なぜ区長自身が持参しなかったのか、お伺いしたいと思います。

 次に、先日開会された東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会で、ロンドン大会での選手村関係の土地の広さは三十ヘクタールであると報告を受けていますが、東京大会は四十四ヘクタールと言われていますが、私の考えでは、まやかしの四十四ヘクタールであると思います。一万七千ベッドを確保するのは、晴海五丁目地区の二十ヘクタール強の土地の中だけです。そもそも論ですが、豊洲・晴海整備計画の五丁目だけの先行改定が問題であり、本来は四丁目も含めて行うことが本来ではないかと思います。なぜなら、四丁目の倉庫群も解体され、オリンピック関連施設となり、工事が発生するからであります。港湾問題都区連絡協議会での港湾局の考え方についても問題であるとも感じています。

 このようなことは本来の行政が全体を見据えたまちづくりの考え方ではないと思いますが、どのような考え方で東京都は進めているのか疑問でありますので、中央区は現状発表されている選手村計画を承認していく考えなのか、明快な御答弁をいただきたいと思います。

 次に、オリンピック・パラリンピック終了後のまちづくりについて伺いたいと思います。

 単純に他区と違うのは、選手村跡地は、リニューアル後、一万二千人程度の人口増になるということです。行政需要が増大するということで、区としては、中学校などの公共・公益施設の確保も含め、都に対して行っているところでありますが、先ほどの豊洲・晴海整備計画で平成二十七年度全面改定していく中で、晴海四丁目の都有地が民間事業者に売買され、住宅転用になる可能性も否定できません。これを考えたときに、豊洲・晴海整備計画以上の晴海地区の人口増はとめられません。このように、今年度改定作業も信頼のおけるものとはならないと、私自身は感じています。

 私の考えが違えばよいのですが、大会終了後、四丁目、五丁目が開発され、晴海地域の完成形に近づくことになり、第一にまちのコミュニティ形成が大きな課題になると思われます。月島地域全体でも、現状の大型マンションが町会加入等していない場合も見られることについても解決する方向性を見出していかなければ、今後の住民自治のあり方も大きく変わってくることも考えられます。今後、区としてのコミュニティの進め方について、地域の問題と捉えることなく、さらに追求していくことが重要であると考えます。晴海五丁目地区に見られる大型開発が各地域で活発に進行しており、大型再開発後のマンションなどを含め再度点検し、問題解決を図ることについて、お考えを伺いたいと思います。

 第二に、晴海地域を初めとする月島地域全体も含めての公共交通網であります。

 これまでも幾度となく質問をしてまいりましたが、区も、現状で晴海地域は交通不便地区であると認識しています。議会と行政は地下鉄導入が問題解決の道筋として行動していますが、区が行っている検討会の内容と、今後、区として具体的に交通政策審議会に議題としていくための進め方について伺いたいと思います。

 また、国の交通政策審議会の答申に位置づけられた場合の運行開始に至るまでの過程と、運行開始時期の見通しについて、お知らせいただければ幸いです。あわせて、大江戸線勝どき駅の混雑緩和策としてホームの新設を行っているところでありますが、二年間の工期延長に伴い、開発が終了し、入居が始まる大型物件も出てくることを考えたときの駅までの交通環境整備の考え方と、全学校周辺の開発動向も加味した子供たちの安全な交通環境整備も必要であると考えますが、お考えを伺いたいと思います。

 次に、区ができる交通環境及び交通網整備に関して、BRTについて都が行うまでの期間、江戸バスの路線拡大という対策も必要であると考えますが、お考えを伺いたいと思います。

 第三に、豊洲・晴海整備計画の晴海地区将来ビジョン検討委員会の発展的会議体のかかわり方についてであります。

 委員会での報告もありましたが、これまでの委員会を発展的に行うことについては賛成でありますが、これまでの検討段階にも東京都がオブザーバー参加していたわけですが、情報共有も含めて、東京都の体制がしっかりしたものではなく、大きな問題であると考えています。今後、この会議体の求めていく大きな課題の一つとして、さきに申し上げた計画全面改定や、引き続き選手村関係も含め議論をしていただき、晴海地区の将来ビジョンに近づけていただくための大きな考え方をまとめていただきたいと思いますが、区としての考え方及び進め方について伺いたいと思います。

 次に、高齢者対策について、介護保険等の改定を目前とした区の考え方について、前回の質問に引き続き質問させていただきます。

 私は、介護保険制度の中で、介護予防が最も行政が力を入れていく一つの課題であると考えています。なぜなら、高齢者の方々は地域で一定の役割を果たしていただいているわけで、この役割を引き続き地域で果たしていただくことが重要であり、介護保険に頼らない、元気に地域で活動していただく、すなわち社会参加を続けていただくことを新たな概念の介護予防が果たすべき役割が重要であると考えるところであり、二年間の中で行政が進めるべき介護予防の考え方をしっかりとまとめる必要があります。福祉部門だけでなく、各部の連携が不可欠であるとも考えるところです。

 例えば、現在行われている生芝、ポケットパークなどの花咲く街角事業、地域清掃事業、七十歳就労社会の具現化のために区が行える事業の創設の考え方など、仕掛けをつくることであると思います。具体的には、第四次保健医療福祉計画とも密接にかかわってくることと思いますが、介護保険を利用しないで地域で元気に活動していただく施策の考え方について、現状の問題点把握と今後の進め方についてお伺いいたしたいと思います。

 次に、国民健康保険、介護保険、後期高齢者保険、各事業の今後について伺いたいと思います。

 以前の答弁で、国民年金の平均月額は平成二十四年度で約五万五千円と回答をいただきましたが、平成二十六年二月で五万四千五百九十三円であります。この期間でも若干給付金額は下がっている現状を考えたときに、まず平成二十七年度の高齢者、六十五歳以上、七十五歳以上のそれぞれの世代において、今期保険料全体と比べ、上昇する金額について教えていただきたいと思います。また、今後の各保険制度の中で、広域化も視野に入れた考え方も出ている現状について、区としての考え方について伺いたいと思います。

 今後、このような保険料の伸びと反比例した国民年金を基本と考えたときの国民皆保険制度の維持の展望についても、区としての立場からどのようなお考えをお持ちか、伺いたいと思います。

 最後に、区長所信表明の中でお伺いいたします。

 一点目は、オリンピック・パラリンピックを意識したスポーツ振興についてであります。

 現状のスポーツ施設全体を見ても、需要に足りていない部分があるにもかかわらず、オリンピック・パラリンピック開催に伴い、区内グラウンドの消滅、郊外にグラウンドを借りたことについては、区の努力は一定程度認めるところでありますが、これまでの間、いろいろな機会に申し上げてきたところですが、その都度の答えは、適地が見つからないとの回答であったと思います。地域の方々からは、子供とキャッチボールなどが行えるような広場的なスペースがあればよいなどとの意見や、少年スポーツの指導者の方からは、やはりグラウンドが欲しいとの意見も聞かれるところであり、スポーツ振興を考えたときには遅いと感じていますが、基本的なスポーツ施設の現状の検証と整備の目標についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

 次に、おもてなしという点であります。

 中央区は、江戸開府以来四百年以上の歴史と文化があり、来街者に対して誇るべき点であり、この歴史と文化を継承していくまちづくりが重要であると感じています。江戸以来の歴史と文化に触れていただき、中央区のよさを知っていただき、再度来ていただく魅力を、行政が中心となり、さらにつくり出していく必要があると思います。また、オリンピック・パラリンピック開催に伴う種々の活動については、地域の協力が不可欠であると言われていますが、一連の東京都の対応で地域は不信感があふれています。このたびの区長と議長の連名による要望書で一定の回答を得ることにより、不満の解消につながる可能性はありますが、おもてなしの基礎の地域住民に対しての区の今後の対応について、お考えを伺いたいと思います。同時に、これからのまちづくり、ハード・ソフト、歴史的継承も含めた中央区の将来像について、大きな視点から伺いたいと思います。

 今回の質問は、私が日ごろ考えていることを素直に表現したもので、聞き取りにくいことがあるかもしれませんが、前向きな御答弁を期待いたしまして、私の第一回目の質問を終わります。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 渡部博年議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、選手村整備における行政と区民のかかわりについてであります。

 選手村整備により晴海地区の将来像が大きく変わることとなることから、区は、これまで東京都とたび重なる協議を行ってまいりました。その中で、特に地元区民等への丁寧な説明を行うよう都に働きかけ、延べ五十回を超える協議の場において地元との意見交換を行ってきたところであります。選手村整備に係る都からの情報提供につきましては、IOCや大会組織委員会等との関係において一定の制約があるものの、区といたしましては、できる限り地域に対し迅速かつ丁寧な説明を行うなど、誠意を持って対応するよう引き続き要望してまいります。また、晴海地区将来ビジョンの都への提出につきましては、昨年十二月に検討委員会において案を取りまとめ、晴海地区まちづくり協議会に報告後、直ちに区として正式に都に提出したものであります。

 次に、都が示した選手村の住宅棟モデルプランにつきましては、学校や周辺建物に対する配慮やまちのにぎわい形成に資する配置などの工夫が見られるものの、大会後の魅力的なまちづくりに向けては、ハード・ソフト両面において、まだまだ改善の余地があるものと思っております。区といたしましては、晴海地区全体が誰もが憧れるまちとなるよう、地下鉄新規路線の導入、水辺のプロムナードの整備、選手村に整備される四百メートルトラックを初めとしたスポーツ練習施設の活用など、地域の意見も聞きながら、今後さまざまな検討を進め、引き続き都と協議を重ねてまいります。

 次に、大型再開発後のマンションにおけるコミュニティ形成についてであります。

 晴海地区では、豊洲・晴海開発整備計画において、住宅地として位置づけのある晴海四・五丁目などの住宅整備を含め、四万三千人の居住人口が計画されており、近い将来にはマンション住民を主体とするコミュニティ形成の場になると想定されます。良好なコミュニティ形成のためには、マンション居住者間の交流はもとより、マンション周辺住民との交流、各丁目の住民同士による交流が重要であると考えることから、今般取りまとめた晴海地区将来ビジョンに多様な人々が住まい、交流が育まれる場の実現を掲げたところであります。そこで、区といたしましては、地域の交流の場として活用されるコミュニティ空間の創造を目指し、再開発において中央区市街地開発事業指導要綱やまちづくり基本条例に基づき、広場や地域交流施設の整備を指導するとともに、都に対して水辺のプロムナードの整備を働きかけてまいります。

 次に、地下鉄新規路線の検討状況についてであります。

 区では、東京オリンピック・パラリンピック大会後の交通需要の増加などに対応するため、都心部と臨海副都心とを結ぶ地下鉄新規路線の導入に向けた検討調査を本年度より実施しております。調査においては、学識経験者、国、地元住民代表等で構成する検討会を設置し、建設計画や運行計画、事業採算性などの検討を行ってまいりました。来年度は、本年度の検討結果を踏まえ、さらに詳細に検討を進めるとともに、平成二十七年度に予定されている交通政策審議会の答申に位置づけられるよう、国や都に対して強く働きかけてまいります。

 次に、答申後の対応についてであります。

 答申に位置づけられた場合には、運行開始を目指して、事業化に向けた詳細検討を行う必要があります。また、地下鉄を開業するためには、事業主体の決定、事業認可の取得や都市計画の決定、事業者間調整など、さまざまな手続が必要であります。このため、具体的な運行開始時期は、現段階では未定でありますが、オリンピック大会後のできるだけ早期の開業を目指してまいります。

 次に、月島地域の交通環境整備についてであります。

 人口増加が著しい月島地域において、子供たちを含む全ての人が安全で安心・快適に移動できる交通環境の整備は、大変重要であると認識しております。このため、本区では晴海通りの歩道混雑緩和に向けた歩行者専用橋の整備を進めるとともに、勝どき駅から橋に至る区道の電線共同溝の整備にも着手し、平成二十八年度中の完了を目指しているところであります。さらに、大規模開発事業では、交通混雑の改善を目的として、民間事業者にシャトルバスの導入を要請し、月島駅や東京駅等までの運行が実施されております。また、学校周辺では、学校、PTA、警察等との合同による通学路を中心とした道路パトロールを継続的に実施し、運送事業者への安全指導のほか、車のドライバーに注意を喚起するカラー舗装やカーブミラーの設置など、交通環境の改善を図っております。今後も月島地域においては、さまざまな開発が行われ、人口や就業者等の増加が見込まれることなどから、駅や学校等に至る交通環境の整備をより一層推進する必要があります。そのため、歩道の拡幅や自転車走行空間の整備など、道路整備を計画的かつ積極的に進めるとともに、東京都や警察署を初めとした関係機関との連携を図るなど、地域の交通環境の改善に努めてまいります。

 次に、江戸バスの路線拡大についてであります。

 区では、勝どき・晴海地区における交通不便地域の早期解消は喫緊の課題であると認識しており、これまで東京都交通局に対して都バスの運行改善等の要請を行うとともに、BRTについても、できる限り早期の導入が図れるよう、東京都と協議しているところであります。江戸バスについては、これまで区民の要望に合わせた運行ルートの改善を実施しており、今後は環状第二号線の開通にあわせた一部ルートの見直しなどを予定しております。路線拡大については、今後も検討を行うとともに、都バスの運行の拡充などの要請を引き続き行うなど、地域の交通環境の充実に向けて取り組んでまいります。

 次に、晴海地区将来ビジョンの発展的会議体についてであります。

 晴海地区の今後のまちづくりに当たり、晴海地区将来ビジョンの提言を実現していくためには、その内容が平成二十七年度に予定されている豊洲・晴海開発整備計画の全体改定に織り込まれることが重要であると認識しております。そのためには、選手村整備計画検討に加え、BRTや地下鉄に係る検討の進捗状況などについて把握することが必要であります。また、東京都は、昨年十二月に公表した東京都長期ビジョンに、選手村においてスマートエネルギー都市のモデル実現を目指すことや水と緑のネットワークの形成などを位置づけており、その具体的な進め方についても確認することが必要であります。こうしたことから、区では、晴海地区将来ビジョン検討委員会の構成員に引き続き参画していただき、晴海地区将来ビジョン推進会議を設置してまいります。その上で、検討内容に応じて東京都や民間事業者の出席を要請し、適時適切な情報共有と地域全体として取り組むべき方向性について意見交換をしてまいります。

 次に、高齢者が地域で元気に活動していく施策の考え方についてであります。

 これまでの介護予防は機能回復訓練が中心でありましたが、今後は向上した機能を社会参加につなげ、介護予防と社会参加を一体的なものとして取り組んでいくことが重要であります。これまでも元気高齢者人材バンクや高齢者クラブ等、地域の活動団体の活性化を図るとともに、七十歳就労社会の実現に向けて取り組んでまいりましたが、多様な選択が可能となるよう、スポーツ、公園緑化、地域清掃など、さまざまな既存の資源を有効に活用し、より一層社会参加や地域貢献を後押ししてまいりたいと存じます。また、特に介護リスクが高い閉じこもりがちな高齢者の社会参加も重要な課題であります。そのため、高齢者の孤立防止・生きがい推進懇談会を設置し、どうしたら地域との交流を深め、社会参加していただけるかについても検討してまいります。全ての高齢者が生きがいを持ち、役割を持って活躍できる地域社会を実現してまいりたいと存じます。

 次に、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療制度についてであります。

 平成二十七年度の国民健康保険料は、六十五歳以上の一人世帯年金受給者で均等割のみ課せられる年収百五十三万円の方をモデルケースとした場合、保険料は今年度と比較して月額約四十円の増、介護保険料の六十五歳以上の方の基準額は月額六百六十円の増となります。また、七十五歳以上の後期高齢者の方の保険料は、来年度は保険料率の改定がないため、所得が同じであれば、今年度と同額になります。国民健康保険の現状につきましては、被保険者に占める高齢者の割合が高く、低所得者の占める割合も多いために、保険料負担能力が低いという構造的な問題が指摘されていることから、東京都が財政運営の責任主体となり、国民健康保険の運営について中心的な役割を担うこととし、制度の安定化を図ることが大変重要なことと認識しております。さらに、平成三十年度からの都道府県化により財政基盤を強化しつつ、国民皆保険制度の根幹をなす国民健康保険制度を堅持してまいりたいと考えております。

 次に、スポーツ振興に向けた施設の現状と整備についてであります。

 子供から高齢者まで区民の誰もが身近なところで日常的にスポーツを楽しめる環境づくりは、大変重要なことと認識しております。しかしながら、都心機能が集積する本区においては、用地の確保を含め、飛躍的な施設の拡大は困難であります。そこで、区では、可能な限りスポーツ施設の充実に努めるとともに、学校施設における体育館や校庭のスポーツ開放を積極的に進めたほか、公園・広場へのキャッチボール場やバスケットゴールの整備など、既存施設を最大限に有効活用してまいりました。一方、本区における人口の増加やオリンピック・パラリンピックの開催に伴い、スポーツへの関心やニーズはますます高まっていくものと存じます。グラウンドに対する区民ニーズにつきましては、今回、晴海運動場の代替施設を民間施設の借り上げで確保できたものの、より適した候補地を確保できるよう、東京都に対して引き続き要望してまいります。また、区立学校の増改築や公園整備の機会を捉え、学校施設のスポーツ開放や運動施設の整備を着実に進め、スポーツ環境の充実に努めてまいります。

 次に、おもてなしについてであります。

 二○二○年東京大会は、江戸以来の歴史に裏打ちされた伝統・文化を初めとする本区のさまざまな魅力を世界に発信し、新たなにぎわいの創出に結びつける好機であります。大会を機に本区を訪れる多くの方々を最高のホスピタリティーでお迎えするためには、安全・安心に過ごすことができる防犯・防災対策の強化はもとより、誰もが自由に活動できるバリアフリー環境の整備や公共サインの多言語対応、多様な楽しみ方を体験できる観光メニューの充実、ボランティアの積極的な活用など、さまざまな取り組みが求められます。こうした五年後の大会開催を見据えた取り組みを総合的に推進していくためには、晴海地区だけでなく、区内全ての地域の方々の協力が不可欠であり、区民、関係団体、区が一体となって進めていく必要があります。新年度には、関係者間の情報共有、連絡調整等を行うオリンピック・パラリンピック区民会議を設立し、地域との連携強化を図ってまいります。この区民会議を通じまして、本区ならではのきめ細やかなおもてなしの心を広く区民と共有し、大会後のレガシーの一つとして地域に根づくような取り組みを進め、国内外から多くの人々が集い、誰もがあこがれるまちを目指してまいります。区といたしましては、今大会を本区のさらなる躍進への絶好のチャンスと捉え、その先の将来を見据えつつ、都市交通や公共施設などの基盤整備、商工業や都市観光の振興など、ハード・ソフト両面から区内全体の良好なまちづくりに一段と弾みをつけまして、区民の皆様が快適な都心居住を謳歌し、本区に集まる全ての方々が豊かさを享受することができる、そういうまちを築き上げてまいりたい、そういうふうに思うわけであります。

 答弁は以上であります。

     〔二十九番 渡部博年議員登壇〕

○二十九番(渡部博年議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 多岐にわたって、いろいろな観点でお話をさせていただきましたが、東京都と区がたび重なる協議をして、その間、中央区の区民の方々にいろいろと情報提供もされていたことかと思いますが、しかし、その結果も含めて、区民が不満に思っているということがいまだにあるわけです。そこの解消についてしっかりやっていかないと、最後にも言いましたおもてなしの気持ちということについて、区民感情の中にそういうわだかまりだとかが残っていたときに、外国から来た方、また、ほかの市町村から来た方々に対して心からおもてなしができるのかということが、私たちも含めて、一番考えなきゃいけないことなんだろうというふうに思っております。

 その辺は、この間、それなりに東京都の中でIOCとか大会組織委員会との情報開示の問題でなかなか難しい部分があるということはよく理解するところですけれども、やはりそういったところも、情報開示ということではなく、最低限、オリンピックの選手村をつくる行政の中央区に対して、情報をしっかり、公にしないでくれということも含めて、やはり区が知っていないといけない問題というのはいっぱいあると思うんですよね。だから、そういうことも含めて要請をしていただいて、しっかり区民に対する答えを出していただくことが必要なんだろうというふうに思っております。

 それと、一つ、区長が何で持参してくれなかったのかというのは、これはオリンピックではなくて、晴海地区将来ビジョン検討委員会の人たちが十回にわたって本当に真剣に長い時間をかけて、日曜日に集まってやって真剣に議論してきたものだったので、できれば区長が東京都に行って、中央区の将来を変えるものだ、だから私が持ってきたんだということで言ってもらいたかったという気持ちが将来ビジョン検討委員会の方々の中にはあったということなんです。ですから、時を捉えて、やはり区長自身がしっかりこういうときにアピールをしてもらいながら東京都に対してやっていただかないと、区の発展というのは、そこの区長が、一生懸命やっていらっしゃるのはよく理解するんですけれども、ほかの区の区長に比べて、やはりもう少しアピールも足りない部分があったんじゃないのかなということが一つ感じられるところです。ビジョン検討委員会の人たちが一生懸命地域のためにいろいろなことをまとめたものを持っていってもらいたかったという気持ちがあったということで、これから区長自身が政治的判断のもと、そういうときに積極的に出ていくということも含めて、やはり考えていかなければいけない問題の一つなんじゃないのかなというふうに思っております。今後、どういうふうな形になるにしても、オリンピックはやってくるわけですから、そういうところも含めて、区の主張も含めて、区のトップがしっかりやっていくことが必要なんだろうというふうに思っております。

 もう一つ、晴海五丁目の環境アセスメントの問題で、この前、説明会がありましたけれども、そこの中でいくと、本来であれば晴海四丁目も含めた形で環境アセスメントにかけなきゃいけない部分があったんじゃないのかなと。それはなぜかというと、あそこの東京都の港湾施設については、壊して仮のものを建てるということで、東京都の土地であるということも含めて、その先の再開発も含めて、にらまれているわけですから、先行改定については、やはり四丁目も含めてやるべきだったんだろうと。そうしないところに問題があって、二十数ヘクタールの中にオリンピックの一万七千ベッドを確保するために、ああいう形で詰められた選手村の図面になったのではないのかなというふうに思います。ですから、本当ならば晴海四丁目もしっかり含めた先行改定をすることによって、もう少し、東京都の都有地であるわけですから、そういうところも含めて考えたときに、選手村のスペース的な部分については大きくなるわけですから、もっとゆったりとしたものになるだろうし、ロンドンオリンピックの三十ヘクタールに匹敵するようなものになっていくんだろうというふうに思います。環状二号線の橋で分かれるかもしれないからという話はあるかもしれませんが、水と緑のネットワークという話もありましたので、そこのところはしっかり通過できるわけですから、そういうネットワークに関してはしっかりつくれるわけですので、東京都に対して、四丁目の問題も含めてしっかり対応していただいた上で、選手村、また地域のバランスを含めて、しっかり見ていっていただく必要があるんだろうというふうに思っております。

 こういうことも含めて、東京都がなぜ焦って晴海五丁目だけをやったのかということも若干不思議に思うわけですけれども、そういったところも含めて、人口割も含めて、どういう形になるのかというのは、これから不安要素がいっぱいあるということでございますので、しっかり区長として対応していただきたい部分があると思います。

 選手村の関係については、まだ改善が必要だということであるわけですから、私の言った意見も含めて、それをしっかり東京都に伝えていただき、改善をしていただかなきゃいけないと思っています。ですから、港湾問題都区連絡協議会でしたっけ、まず、ここで東京都の認識が違ったんだと思うんです。そこのときに、五丁目の改定について、小さな改定ですと言ったわけです。五丁目の改定については、オリンピックの選手村が来るということがわかっているにもかかわらず、小さな改定ですと。計画上、小さな改定であっても、やることについては大きな問題がありますということがなぜ言えなかったのか、そういうところの部署間のしっかりした連携がいまだに見えない部分があるということでございます。晴海五丁目についてもいろいろな問題があって、マンションの土盛りの問題も含めて、いろいろあるわけですので、そういったところもしっかり調整をしていただかないと、これから先、地域の人たちの気持ちが――気持ちというか、住民の人たちの納得が得られない部分というのは大きくあると思いますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。

 交通環境の関係については、子供たちが学校に行けないんですよ。月島第二小学校は特にそうです。晴海は、今、開発も含めてあるわけで、皆さんも御存じだと思いますけれども、朝八時から九時の間にかけて相当な人が歩いています。そういった中でいくと、子供が歩くスペースがないということがあるんです。だから、今まで警察の方とか学校のPTAのパトロールの方々だとか、いろんな方が立っていらっしゃって、いろいろやっていただく部分であるんですけれども、特にひどいのは晴海通り沿いの横断歩道が、晴海三丁目も含めて、晴海一丁目も含めて、人が多いということで、子供たちの通学は大変な苦労をしているところであるということを学校の父兄さんからお伺いしました。そういったところも見ていただくということも含めて、これから歩行者専用橋ができますが、まだ先であります。晴海三丁目も含めて、これから再開発がある程度完了するところになると、黎明橋しか渡るところがないということも含めて考えたときに、そういった交通環境は早急に整備する部分があるんだろうというふうに思いますので、しっかり対応していただかないと、あそこの混雑というのは解消できない。勝どき駅に出てくる方も、それで本当に苦労するということになりますので、歩道環境も含めて整備をしていただきたい。本来は、歩行者専用橋ができる前に整備しなきゃいけない問題だというふうに思っておりますので、その辺はしっかりお願いしたいと思います。

 それと、BRTの関係については、東京都が一定の、平成三十一年でしたっけ、一応開通をするということで、環状二号線を中心とするということでありましたけれども、そこの中で言いますと、江戸バスの関係については、東京都が不採算路線はやらないよということで都バス「東12」路線を廃止した経緯もあるわけですから、やはりここで区として、本来、晴海地域が交通不便地域ということであるという認識であるならば、平成三十一年までの間も含めて、区のバスを走らせるという意気込みも含めて区民にアピールしていく必要があるんじゃないのかなと。平成三十一年以降はBRTと都バスがしっかりやれるよという話であるのであれば、その期間だけでもしっかり区のバス、江戸バスを走らせるという意気込みが必要なんじゃないのかなというふうに感じています。その辺は、今、路線の検討をされているというところでございますので、しっかり対応していただければありがたいというふうに思います。

 高齢者の関係ですが、元気に地域で長生きをしていただいて、今まで果たしていた役割をこのまま継続していただくということで、今回の介護保険で私は唯一褒められるのかなと思うのが介護予防というところであります。ほかの部分については、いろいろ問題がある部分もあるわけですけれども、元気高齢者の方々に地域でいろいろ活動していただく、それが一番いいことだというふうに思っておりますので、その辺は、これから二年間かけてしっかりそういうものを確立していくわけであると思いますが、今、再開発の中でもいろいろ言われているサービス付き高齢者住宅だとか、そういうものも含めて、今、やられておりますが、そういったところで、公園も含めて、公園というものもそこにあればいいというものであってはいけないと思うんです。再開発の中で地域の人たちが、こういうところに公園があればいいねということを、大きな開発の中でもしっかり対応していただければありがたいなと。配置も含めて、子供たちが安全に遊べる公園、そういったものも含めて、PTAの人たちに聞くだとか、いろいろなことを含めて、地域ともっと話し合いをしていただきながら、しっかりしたやり方をしていただいて、開発も含めて、そこの中で高齢者の人たちが一定の役割を果たせるようなものをつくっていく。今、晴海三丁目で、生芝というので黎明橋公園のところで芝を管理して高齢者の方たちが雑草をとったりして、いい芝になってきました。そういうことで、その人たちはほとんどボランティア的なものもありますけれども、そういう形でやっている。そのほかに、高齢者クラブということも区長の答弁の中でありましたけれども、高齢者クラブというのは、今、マンション一個で八百世帯とかということになったら、今まで各丁目ごとに一つとか、その地域に一つということであったわけですけれども、高齢者クラブの考え方もやはり変えていかなきゃいけない部分というのは出てくるのかと。地域に一つということではなく、臨機応変な対応もこれから求められてくるところでありますし、そういう方たちから地域の中で活動していただける方たちがコミュニケーションをとりながら、しっかり深くコミュニティを形成していっていただくのが筋なのではないのかなというふうに思っておりますので、そういったことも含めて対応していただければありがたいと思います。区の施策をお金を使ってやるということだけではなく、予算を使ってやるということではなく、逆に言えば、地域にこういうことはどうなんでしょうかという投げかけも含めてやれるような形をつくっていくことが必要なんだろうなと。きっかけづくりは区がしていくべきなのだろうというふうに思っておりますので、元気高齢者も含めて、地域のコミュニティの中核をなしてもらうということで、そういう位置づけも含めて、お願いをしたいなと思っています。

 介護保険とかの各保険の関係については、正直言って今のままでは、国民年金の方は百五十三万円と言いましたけれども、年金五万五千円程度の月額であれば、減額措置もあるかもしれませけれども、成り立たない部分というのはあるのかと。そういったところでいくと、なかなか今の状況では苦しい部分は出てくるなと。そこで、平成三十年に都道府県にしっかり広域化をしていこうという話もあるかもしれませんけれども、区ができるのは、先ほどの高齢者の、介護保険の介護を受けないということではなくて、地域で元気に暮らせる人たちを多くつくるということが必要だということで、第四次保健医療福祉計画の中で、そういったことで健康づくり、スポーツの話も出ていましたけれども、そういったことをしっかり含んでやっていくということが重要だというふうに思っております。

 所信表明の中でありましたスポーツ施設の関係については、今まで何回も言ってきたんですが、こういう機会でなければ外にスポーツ施設を設けなかったということが、本来、ちょっと残念な部分であります。ですから、いろいろな形でこれから中央区内、大きな開発も含めて、東京都の土地があるところの開発を含めて、いろいろあるわけですから、そういったところに広い空地を設けていくということ、やはり大きなマンションだとか建物の中にしっかりした空地を設けていくということが必要なんだろうというふうに思っておりますので、単純な公開空地ではなく、公園という位置づけの空地をしっかり持っていただきたいというふうに思っております。そういったことも含めて、そういう中でスポーツができる環境を整えていただければありがたいと思います。

 ということでございまして、これから地域のおもてなしも含めて、地域の気持ちを酌んでいただいて、しっかりとこのオリンピックに向けて地域がまとまらなければ、地域の人たちと行政が一つにならなければ、正直な話、来られる方が余りいい気持ちがしないということになっては一番いけないと思っておりますので、そういったことも含めて、区が努力するべきことは、これからオリンピック・パラリンピックだけではなくて、東京で行われるかは別にしても、サミットも含めて、いろいろな国際会議が行われる中でいけば、しっかりした形をつくっていかなければいけない。そのおもてなしの心をつくるために、行政と地域の人たちの心が通じ合うような形をつくっていかなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時四十八分 休憩


     午後五時十分 開議

○議長(原田賢一議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十五番中嶋ひろあき議員。

     〔十五番 中嶋ひろあき議員登壇

○十五番(中嶋ひろあき議員)
 自由民主党の中嶋ひろあきでございます。私は、平成二十七年第一回区議会定例会に当たり、中央区議会自由民主党議員団の一人として、本区の直面する重要かつ緊急を要する課題の中から、さきの質問通告に基づき、質問をさせていただきます。区長並びに関係理事者におかれましては、明快なる御答弁をお願いいたします。なお、御答弁によりましては、あらかじめ再質問を留保いたします。

 初めに、二○二○年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた本区の取り組みについて、昨日の矢田区長の所信表明を踏まえ、幾つかの点についてお伺いいたします。

 二○二○年東京大会の開催まで、いよいよあと五年余りとなりました。本区の平成二十七年度当初予算は、「オリンピック・パラリンピックで中央区の黄金時代を!!」をテーマとして編成され、各種事業の充実・強化が図られるとともに、さきの区議会東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会においては、二○二○年大会と、その後の将来を見据えた本区の取り組みが示されたところであります。大会の成功はもとより、本区のさらなる発展に向けて、我が会派も全力を挙げて支援・協力していく所存でありますが、大会後のまちづくりの展望を考えると、今からしっかり取り組んでおくべき課題があることも事実であります。

 まず、晴海地区を初めとした月島地区の交通環境の充実・強化についてであります。

 選手村が計画されている晴海地区は、交通不便地域である上、大規模開発等に伴う人口の急激な増加により、現在も都営大江戸線勝どき駅が著しく混雑するなど、交通インフラの充実が深刻な課題となっております。昨年末、平成二十六年十二月十九日には東京都から選手村大会終了後における住宅棟のモデルプランが公表されました。このモデルプランでは、大会後に約六千戸の住宅が供給されることが示され、一万二千人を超える人口増が見込まれるなど、晴海地区だけではなく、勝どき・豊海地区も含めた月島地区全体の交通環境に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。

 二○二○年の大会開催を見据えては、基幹的交通システムとしてBRTの導入について、都と区の間で鋭意協議されているところと聞き及んでおります。しかしながら、大会後の臨海部には多くの競技会場の利活用や国内外からのビジネスイベントである、いわゆるMICE機能の強化、さらに国際観光拠点として面的な発展が遂げられることを考えますと、臨海部と都心部を結ぶ交通インフラのさらなる充実・強化が不可欠のものであると私は考えております。

 そこで、お伺いいたします。

 区として、今大会開催を本区の発展の絶好の機会と捉えるならば、こうした臨海部の人口増に耐え得る大規模輸送機関である地下鉄新規路線の導入をどのように実現させていくのか、本区のお考えをお聞かせください。

 次に、オリンピック・パラリンピック大会開催に伴うセキュリティー計画についてであります。

 我が国は、世界でも類を見ない治安のよい国であり、今大会においても、日本、東京の安全性を世界に発信する絶好の機会であります。しかしながら、イスラム過激派組織による日本人人質事件など、世界中でテロが相次ぐ中、決して我が国が常に安全であるとは言い切れないような社会情勢の変化といったものも生じているのが実情だと思います。このことは、先日開催された東京マラソンにおける警備の状況を見ても明らかであります。

 こうした中、二○二○年大会時における選手村や周辺地域の安全を確保することは当然のことではありますが、逆に、厳重なセキュリティー計画が区民や区内事業者へ及ぼす影響を極力小さくするような対策も大変重要な課題であると考えます。

 そこで、お伺いします。

 大会のセキュリティー計画は、大会組織委員会が担うものと伺っておりますが、区としても、一刻も早く区民等の大会開催に係る懸念を払拭していくことが必要であると思いますが、お考えをお聞かせください。

 次に、大会開催時の海外からの来街者に対するまちのサイン表示についてお伺いします。

 さきに報告された二○二○年に向けた中央区の取組では、本区は世界平和を根幹に、スポーツ、国際教育・交流、観光・文化、防犯・防災、そして、まちづくりと、五つの分野の取り組みを総合的に推進していくとして、具体的な事業も示されました。その中でも触れられておりますが、大会開催期間中には大変多くの外国人観光客が世界各国から本区を訪れることが予想されることから、それらの方々が不自由なく快適に移動できる案内標識などのわかりやすいサイン表示の取り組みは必要不可欠なものと考えております。先日も、国土交通省と東京都が銀座地区の道路案内標識を対象に、日本語に併記しているローマ字を英語表記に改める作業を始めたことが報道されておりました。

 そこで、お伺いします。

 こうしたわかりやすい英語表記等の準備が、今後、区内各地で順次進められていくと思いますが、世界各地から多くの方々を本区ならではのおもてなしの心を持って温かく迎え入れていくためには、道路標識だけではなく、交通機関や公共公益施設、さらには商店街や宿泊施設、飲食店等、まち全体のわかりやすさを区として一体的に進めていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。

 次に、今大会開催を契機としたスポーツの持つすばらしさについてであります。

 この世界最大・最高のスポーツと平和の祭典を再び東京で開催することができることは、次代を担う子供たちに夢と希望と喜びを与え、一生の思い出に残る祭典になるものと思います。前回の東京大会、一九六四年大会では、日本国内から当時の有楽町にあった都庁舎に向けて四つのコース、全長百九十三キロメートル、走行者二千七百六十人に及ぶ聖火リレーが行われました。当時、高校生であった私は、光栄にも聖火ランナーの一人として選出していただきました。沿道からの大勢の声援で緊張と興奮の中、清洲橋から茅場橋まで一生懸命走らせていただいた記憶は、いまだに色あせることなく、心に焼きついております。オリンピック・パラリンピックは、何といってもスポーツの祭典であります。子供から高齢者まで全ての人々の思い出、記憶に残るよう、何らかの形で大会にかかわることができる機会をぜひともつくっていただきたいと思います。

 さて、来年、二○一六年にはブラジル、リオデジャネイロで大会が開催されます。いよいよ次は本区を中心とした東京大会が行われるという実感が増し、私たちのスポーツに対する機運も高まっていくものと思います。今や、本区の人口は十四万人が目前に迫ってまいりました。そして、人口の四○%以上を三十代、四十代の方々が占めております。仕事や育児に何かと忙しい世代であり、昨年五月に実施された区政世論調査によりますと、男女とも過去一年間に行ったスポーツや運動の頻度が他世代に比べて低いという結果が出ております。また、子育て世代とともに、出生数、子供の数がふえ続けている一方、割合は低いものの、高齢者の人口も確実にふえております。こうした状況を踏まえて、私は、今こそ中央区のスポーツ振興を進めていく重要な時期であり、絶好の機会であると思います。

 そこで、お伺いします。

 これまで区は、基本計画に基づき、スポーツ施策を展開しておりますが、現在の基本計画二○一三は東京開催決定前の計画です。基本となる軸は変わらないにしても、区民のスポーツに対する関心の高まりを受けとめて、子供も高齢者も働き盛りの世代も、また障害のある方も、区民お一人お一人がスポーツを通じて健康で元気な生活を送ることができるよう、本区のスポーツ振興をいま一歩前に進める必要があると思いますが、区のお考えをお聞かせください。

 続きまして、高齢者対策についてお伺いします。

 二○一三年の日本人の平均寿命は、男性が八十・二一歳、女性が八十六・六一歳で、いずれも過去最高を更新し、男性が初めて八十歳を超えました。国際的な比較では、女性は二年連続世界一、男性は前年の五位から四位に上昇しております。大変喜ばしいことですが、一方、健康寿命はと申しますと、男性が七十一・一九歳、女性が七十四・二一歳で、平均寿命と健康寿命との差は、男性が九・○二歳、女性が十二・四歳となっており、いかに健康寿命を延ばしていくかが大きな課題となっております。

 また、本年一月に発表された認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランでは、二○二五年には認知症の人口は七百万人前後になり、六十五歳以上の高齢者に対する割合は、現状の七人に一人から五人に一人になるのではないかと言われております。本区におきましても、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上になる二○二五年には、六十五歳以上の高齢者人口が現在の二万二千人から二万五千人と三千人増加するものと見込まれており、その増加の全てが七十五歳以上の後期高齢者であると推計されております。これまで国を支えてきた団塊の世代が給付を受ける側に回り、医療、介護、福祉サービスへの需要が高まることが想定されるため、これまで以上に健康寿命の延伸や認知症対策など、高齢者対策にしっかり取り組んでいく必要があります。

 そこで、お伺いします。

 現在、中央区高齢者保健福祉計画の策定に取り組んでおられますが、二○二五年を見据えて施策の方向性をどのように定め、当面どのように取り組んでいかれるか、区の考えをお聞かせください。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。ありがとうございます。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 中嶋ひろあき議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、地下鉄新規路線の導入についてであります。

 オリンピック・パラリンピック大会後の晴海地区における人口増加や大規模開発による交通需要増への対応等、都市交通の課題解決を図るためには、お台場・有明地区と中央区を結ぶ地下鉄新規路線の整備が必要不可欠であると考えております。そのため、本年度より地下鉄新規路線の導入に向けた検討調査を実施するとともに、国や都に対して導入の必要性や意義について説明してきたところであります。来年度は、本年度の概略検討の結果を踏まえ、建設計画や運行計画などについて詳細に検討を進めてまいります。また、地下鉄を新規に導入するためには、国の政策的な位置づけが必要となることから、平成二十七年度に予定されている交通政策審議会答申に位置づけられるよう、国や東京都に強く働きかけるなど、実現に向けて取り組んでまいります。

 次に、セキュリティー計画についてであります。

 二○二○年東京大会においては、大会組織委員会がセキュリティー計画を策定し、警察庁を初めとする公的機関や民間機関が一体となった警備体制により、全ての人に対して安全・安心な環境を提供していくこととされております。選手村のセキュリティーについては、晴海地区での歩行者・車両の検査エリアの設定や、豊海地区から選手村にかかる関係者専用の仮設橋の設置など、選手村への侵入を防ぐセキュリティーラインが計画されております。また、大会期間中は選手や大会関係者の迅速かつ安全な輸送を行うため、首都高速道路等を活用したオリンピックレーンが区内に設定されるなど、さまざまなセキュリティー規制がかかるものと聞いております。こうした大会時の運営と地域の安全を確保する取り組みは、万全の体制で臨むとともに、区民生活や事業活動への影響も最小限にとどめていかなければなりません。現段階では、大会組織委員会よりセキュリティー計画の具体的な内容が示されておりませんが、区といたしましても、引き続き情報を収集するとともに、御指摘のように区民の皆様の懸念を払拭することができるよう、都に対して要望していくなど、継続した働きかけを行ってまいります。

 次に、まちのサイン表示についてであります。

 本区におきましては、銀座地区が観光庁の訪日外国人旅行者の受入環境整備事業の戦略拠点として選定されていることから、銀座中学校入り口の道路案内標識の英語表記の改善を行ったところであります。また、都では、東京を訪れる外国人旅行者等が安心して交通機関を利用し、迷うことなく、まちをひとり歩きして観光を楽しむことができるよう、国内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針を本年二月に公表しております。区では、こうした国や都の動向を踏まえ、新年度には二○二○年の大会に向けて、地域や関係機関と一体となったオリンピック・パラリンピック区民会議のもとにサイン検討部会を設置し、選手村や来訪者が集中するエリアを中心に、面的な案内サイン整備や多言語表記等の取り組みの検討を進めてまいりたいと考えております。区といたしましては、大会後にも海外から訪れる方々が区内全域で快適に移動できる都市環境の実現に向けて取り組んでまいります。

 次に、今後のスポーツ振興についてであります。

 本区においては、これまで、いつでも・どこでも・誰でも・いつまでもスポーツを通じて健康の維持増進を図れるよう、スポーツ施策の充実に努めてまいりました。今後は、五年後に迫った二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、区民のスポーツを楽しむ気持ちや健康への意識はさらに高まっていくものと存じます。そこで、これらの機運に的確に応えるとともに、中長期的な展望のもと、国・都におけるスポーツ振興に関する方針を踏まえた今後のスポーツ施策の方向性を示す中央区スポーツ推進計画の策定に着手してまいります。計画の中では、スポーツに関する区民ニーズの調査やスポーツ事業の現況を把握するとともに、本区における課題の整理等を行いながら、区民の誰もが気軽にスポーツにかかわれる環境づくりを目指してまいります。また、この計画に先駆けて、新年度には子どもの得意スポーツ発見事業や中央区地域スポーツクラブ大江戸月島との協働事業である子育て支援運動教室を実施するほか、パラリンピックへの関心を高める障害者スポーツ体験会を充実させてまいります。

 次に、高齢者施策の方向性についてであります。

 団塊の世代が七十五歳を迎える二○二五年以降、介護需要が今まで以上に増加することから、健康寿命の延伸と地域包括ケアシステムの構築に早期に取り組むことが重要であります。今回策定する高齢者保健福祉計画では、第一に、全ての方が社会参加・健康づくりに取り組むこと、第二に、地域包括ケアの中でも特に認知症対策に重点を置いているところであります。社会参加と健康づくりにつきましては、七十歳就労社会への取り組みや介護予防教室等をさらに充実させるとともに、新たに閉じこもり予防にも取り組んでまいります。外出の機会や地域との交流が少ないと、心身両面で活動力が低下してまいります。そこで、閉じこもりがちな高齢者の実態を把握するとともに、地域団体や関係機関等で構成する懇談会を設置し、孤立化を防止し、生きがいづくりを推進する支援策などについて、きめ細かく検討してまいります。

 次に、認知症対策です。

 認知症は、早期に発見し、適切に対応することが大切であります。そのため、認知症の状態に応じたサービス提供の流れを示した認知症ケアパスを作成するとともに、各おとしより相談センターに認知症地域支援推進員を配置し、早期発見、適切な医療・介護の提供など、認知症の方とその家族への支援を充実してまいります。今後とも、誰もが安心して、住みなれた地域で生き生きと生活できる地域社会を築いてまいりたいと思います。

 答弁は以上であります。

     〔十五番 中嶋ひろあき議員登壇〕

○十五番(中嶋ひろあき議員)
 御答弁ありがとうございました。

 前議員と共通するところがあったんですけれども、やはり二○二○年のオリンピック・パラリンピックというのは、本区にとって本当に大変な事業だと思うんです。その中で、地下鉄路線の導入ということでお伺いしたんですが、実は晴海地区は、これは晴海地区だけではないと思うんですけれども、勝どき・豊海地区を含めて、月島全体、やはり交通網の整備が悪いわけですよね。ですから、その辺を含めて、前議員も強く言っていましたけれども、まず晴海地区に、これだけ大きな事業を展開していきますので、その辺もしっかりやっていただきたい。一昨年の十一月に我々も中央区議会地下鉄整備促進議員連盟を立ち上げたわけですよね。ですから、区と一緒になって、この問題は真摯に取り組んでいかなきゃいけないと私は考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、セキュリティーなんですが、一番最初のファイルを見ますと、当然、選手村は晴海にできるんですけれども、どうも勝どき・豊海地区にセキュリティーがかかるのではないか。これは私の読みなんですけれども、一つには、選手とか役員の方は勝どき一丁目、四丁目、五丁目、六丁目を通って、あそこの豊海運動公園にテニスコートがありますね。あそこにまた橋をかけてやるというような計画もあって、今でもまだ生きているらしいんです。そうすると、やはり大変なセキュリティーになると、区民が一番困るわけですよね。まして、月島警察署の跡地は、本来だと、もう撤去しなきゃいけない。だけれども、オリンピックが来るまでに、今はDVとか、そういうあれが入っているんですけれども、いずれオリンピック・パラリンピックの要員が入ってくるということを聞いておりますので、そういった面で、私は、もちろん外国人も大切なんですけれども、区民の方がきちんと納得するような形でやっていただきたいと思います。

 それから、まちのサインなんですけれども、私も、本当に情けないんですけれども、今、ローマ字表示になっていますよね。だけれども、今、外国人というのは英語だけではないんですね。特に、今、中国の方は日本に相当来ておりますので、やはりそういったものを、何も道路標識だけではないと訴えているんですけれども、はっきり言って、飲食店の隅々、それから特に区民の皆さん方がどう認識するかというのは、やはり強く訴えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。ただ道路に書いてありますよと。

 私なんかは外国人が来ると、すぐ逃げちゃうんですけれども、やはり英語をしゃべられると困ったなと思う。これは皆さん共通したことだと思うんですよね。私たちの年代ですよ。皆さんは違ってもね。

 ですから、そういう面で、やはりサインというのは大切だと思うんですよ。これは区だけではなくて、オール中央区、オール東京都、それからオール国と。やはりこれはきちんと上まで精査していくことが必要だと。その発信は中央区だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、今後のスポーツ振興なんですけれども、やはり何といっても、我々はこれからスポーツをどう評価していくかとなると、今、中央区は十キロ平方メートルしかありませんから、はっきり言って、やりたくても場所がないんですよね。場所的な問題がやはりネックになってくると思うんですけれども、でも、習慣づけるということはいいことだと思うんですよ。

 私も、実は、朝、散歩しているんですけれども、今、お年寄りの方の散歩が大変多くなりましたよね。健康ですか。ただ、寿命と健康寿命は違うので、ちょっと離れていますので、これをいかに縮めていくかということも大変必要だと思うんですよね。

 それから、今後の高齢者対策なんですが、二○二五年と言ったのは、実は、団塊の世代というのは昭和二十二年に生まれた人から入るんですね。それで、昭和二十三、二十四年と続いて、この方々が二○二五年を迎えるに当たりますと、これは大変なことになってくるのではないかと。介護保険料も、先ほどもちょっと触れましたけれどもね。

 あと、健康寿命と寿命の差があるんですけれども、認知症というの徘回したり何かして困るわけですよね。ですから、その辺、区の取り組みもしっかりやっていただいて、やはり僕が一番ここで申し上げたいことは、習慣づけることですよ。御高齢者に、散歩でもいいんですよ。運動しろと言ったって、もう無理ですから、散歩して、実は、私も一日一万二千歩ぐらい歩いているんです。朝、七千三百歩ぐらい歩くんです。時間があると、夕方から歩いて、今、大体一万から一万二千歩の間を歩いているんです。歩くのなんか大嫌いですけれども、やはりこれも習慣づけていけば歩くんです。でも、はっきり言って、やはり健康寿命を延ばすには習慣をつける以外ないわけですよ。

 その辺、区の取り組みもしっかりしていただきまして、団塊の世代と認知症対策、いろいろ御高齢者もこれからふえてきますから、少子高齢化の中で一番ふえるのは、何といっても高齢者ですから、ですから、その辺も含めて、しっかり区が指針を出すと。これは、全体的にオリンピック・パラリンピックということの中で高齢者対策も一点だけ入れさせていただきましたけれども、やはり先ほど前議員が言ったように、はっきり言って、晴海の人は大変ですよ、オリンピック・パラリンピックが来るって。でも、それはみんなで支えるしかないわけですよね。先ほど前議員が言ったことは事実ですよ。晴海の方がこういうふうに言いましたよ。中嶋さん、頼むよ、晴海だけじゃ、もう無理なんだからと。やはり勝どき・豊海、月島、それから中央区が支えていかなかったら、晴海の方は大変ですよ。晴海をよくする会を何回も開いたり、やっていますけれども、そういう面がありますので、ぜひオリンピックのこと、それから高齢者のこと、今後大きな課題になってきますので、その辺を十分認識していただきまして、施策をしっかり展開していただきまして、特にかみ砕いても結構ですから、やっていただきたいということを申し上げまして、これは全て要望にしておきますので、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、私の質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(原田賢一議員)
 次に、二十四番今野弘美議員。

     〔二十四番 今野弘美議員登壇

○二十四番(今野弘美議員)
 中央区議会自由民主党議員団の今野弘美です。平成二十七年第一回中央区議会定例会に当たり、会派の一員として、区政全般にわたり質問をいたします。区長を初め、関係理事者の皆様には、未来につながる建設的かつ積極的な御答弁を期待いたします。なお、答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保いたしておきます。

 私自身、平成三年四月の統一地方選挙において初当選以来、早いもので、二十四年間にわたり、中央区の趨勢を見てきました。平成三年当時はバブルが崩壊し、まちは歯が抜けたように地上げの嵐の爪跡があちらこちらで見受けられました。毎年、定住人口が減り続け、定住人口の維持・回復が最大の行政課題となり、昭和六十三年一月には定住人口回復対策本部が設置される、そんな時代でもありました。公営住宅をふやすとともに、中央区初となる民間賃貸マンションの借上住宅や応能家賃制度を導入するなどの努力が実り、平成十年一月一日には、実に四十五年ぶりに本区の人口は対前年比で増加に転じました。以来、積極的な都市計画手法の活用など、住宅開発の誘導政策が功を奏し、七万人台まで落ち込んだ定住人口は、ことしの五月にも十四万人へと倍増するまでに回復することになるとの予測です。

 まちには子供たちの声が響き渡り、活力あるまちに生まれ変わりました。平成三年当時は、児童数の激減もあり、小学校の適正配置が行われていたことを考えると、現在の児童数増加による教室不足は隔世の感があります。五年後には二○二○年の東京オリンピック・パラリンピック大会が開催され、終了後に予定される選手村の住宅転用により一万二千人以上の人口増加が想定されるなど、今後も中央区は、東京都の総人口が平成三十二年をピークに減少が予測される中、増加が続くと見込まれています。今後のまちづくりを考えるとき、人口増加や年齢構成の見通しをこれまで以上に分析し、将来を見据えた計画的なまちづくりを行っていく必要があります。

 なぜなら、正直難しいことではありましたが、中央区における人口推計はほぼ予想どおりだったものの、人口構成では三十代、四十代の人口増加率を見誤ったことは否定できません。出生数が想像以上に増加し、まちのにぎわいや活気には大きく貢献したものの、小学校・幼稚園における教室不足を招き、保育所待機児童を発生させてしまったことを改めて検証しなければなりません。東日本大震災による原発事故発生時には、想定外の言葉がよく聞かれました。行政は、常に想定外を想定し、行政サービスの停滞を許してはなりません。

 その認識に立てば、五年後の東京オリンピック・パラリンピック大会が決して黄金時代のゴールではなく、あくまでも通過点でしかないのです。今後は、できる限り人口推計を見誤ることなく見通し、将来をしっかりと見据えたグランドデザインを描く作業に入ることが急務です。そして、区民の皆様が夢と希望が持て、中央区に生まれ暮らせてよかったと実感できる日本で一番のまちにしていかなければなりません。

 具体的には、待機児童ゼロを目指す保育所整備、出生数がイコールではないにしても、小学校入学児童数を想定した学校の増改築、高齢化率は低くなったものの、三十代、四十代の人口構成を考えると、高齢者数は確実に増加していく現状を踏まえた健康寿命を延ばす施策の充実、人口偏在による交通不便地域に対するBRTや地下鉄新線の導入、コミュニティファンドの終了や、今後、古いマンションの建てかえの対応など、さまざまな課題が容易に想定できる今、今後は住民の流入よりも優先しなければならないのが、現在の区民への定住促進に向けた施策の展開です。

 これらの現状認識に立ち、六項目にわたりお尋ねをいたします。

 まず、第一の質問は、今後の人口推計についてです。

 全ての行政課題の指標となるのが、人口総数と人口構成です。その意味からも、本区の人口推計については、これまで以上に重要なまちづくりの要素になると言っても過言ではありません。今後、本区の人口推計をどのように分析しつつ、人口誘導を現時点でどう考えているのか、あわせて、私は今後、中央区のキャパシティーに合った人口目標値を設定する必要もあると考えますが、御見解をお聞かせください。

 第二の質問は、子育て環境についてです。

 昨年は、出生数が千八百三十八人となりました。今後も、この傾向が続くと思われます。子供たちの子育て環境を考えるとき、保育所、幼稚園、小学校、学童クラブ、子供の放課後の居場所プレディなど、今後確実に不足が予想される中、どのように課題を認識されておられるのか、あわせて、行政の責任として、今から対策を講じていく必要がありますが、どう対応していくのか、具体的にお聞かせください。

 第三の質問は、健康長寿社会の実現についてです。

 同僚の中嶋議員より、二○二五年を迎えての本区の高齢者対策について質疑がありましたが、角度を変えてお尋ねをいたします。

 私は、日本における高齢者対策については、発想の転換が必要だと感じています。重度化してから施設が足りないとの繰り返しでは、日本の福祉政策は限界に来ています。少子高齢化社会を迎え、今後想定される超高齢化社会に各自治体がどう対応していくのかが大きく問われる時代となりました。中央区においても高齢化率が二十三区で一番低い区になったといっても、現実に高齢者数は増加しています。それ以上に、人口に占める割合において、三十代二一・九%、四十代二○・七%、五十代一一・四%の現状を見る限り、二十年先、三十年先を見据えた施策展開が、今、求められています。その意味で、この年齢の方々に対する健康寿命の延伸の視点が、発想の転換からも重要です。区の現状認識と健康寿命の延伸に対する施策をどのようにお考えか、お聞かせください。

 第四の質問は、中央区役所本庁舎の建てかえについてです。

 中央区役所本庁舎は、昭和四十四年に竣工してから、早いもので四十五年が経過しています。しかし、これまで耐震補強やIT化に対応したOAフロアの整備など、大規模修繕を行ってきました。また、外見上も、築四十五年とは思えないほど古い建物には見えません。先日、八丁堀にお住まいの方から、京華の跡に中央区役所が建つのかと単刀直入に質問を受けました。中央区政運営の司令塔、大事な拠点として重要な役割を担う本庁舎の建てかえについてどのような検討がなされているのか、お聞かせをいただくとともに、事実とすれば、情報管理に問題がないのかも含め、お聞かせをください。

 第五の質問は、晴海のまちづくりについてです。

 二○二○年の東京オリンピック・パラリンピック大会の終了後に選手村が住宅に転用されるなど、豊洲・晴海開発整備計画における晴海地区では、将来的に四万三千人の居住人口になるとされております。これまで中央区は、京橋、日本橋、月島と三つの地域に分けて所管区域を設け、本庁と両特別出張所を拠点として、基本的な行政サービスを提供してきました。しかし、人口の面だけから考えても、晴海地区については、近い将来、まとまった規模の行政ニーズを有するエリアを想定したまちづくりの視点が重要となります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 晴海地区における将来の行政サービスの提供体制について、どう認識しているのか、お聞かせください。あわせて、人口増の要因となる今後住宅に転用される選手村の大会終了後における住宅棟モデルプランについては、晴海地区将来ビジョン検討委員会の皆様に限らず、そのまま認めることに対し、地元から不満の声が聞かれます。地元区として、このような意見に対し、どのような見解をお持ちか、また、この案をそのまま承認することになるのか、お聞かせをください。

 次に、晴海運動場の使用ができないことから、新年度予算案に三郷市の河川敷グラウンドを土日に限り借り上げる予算が計上されています。もちろん、これが代替の全てではなく、三月中旬にも提出が予定されている東京都への要望書の中でもスポーツ施設についての記載があることも事実です。今後の晴海のまちづくりを考えた場合、晴海地区内に運動場の確保は考えられないのか、また、要望書にある選手村に整備される四百メートルトラック等の練習施設については、レガシーの観点からも、必ず残すことを実現しなければならないと考えますが、見通しも含め、御見解をお聞かせください。

 さらに、交通不便地域の解消として期待されていたBRTの運行については、環状二号線を通るルートのみが先行し、晴海全体を網羅する運行となるのか、不安視する声も聞かれます。区の責任において、住民の声を真摯に聞くとともに、ルートについては、区の政治力の発揮が重要と思いますが、御見解をお聞かせください。

 最後の質問は、区長の政治姿勢についてです。

 為政者、政治を行う者にとって大事なことは、ぶれない強い信念と最終責任者であることの自覚、そして発言の重さに対する認識であると私は思っています。一月十日の新聞に区長のコメントが載っていました。それは、自身への多選批判について聞かれ、国会議員には私より長く務めている人もいると述べたとの記事です。事実とすれば、大きな間違いと指摘せざるを得ません。権限において大きな違いがあり、大統領と称される首長と議員を同一視することに関して違和感を覚えます。改めて、首長と議員の認識についてお聞かせをいただきたいと思います。

 以上をもちまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 今野弘美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、今後の人口推計についてであります。

 人口推計は、区が抱える行政課題を把握し、将来を見据えた施策を展開するための基礎資料として重要であると認識しております。本区では、基本計画の策定時に中長期的な視点から十年間の人口推計を行っております。加えて、施策ごとに対象者の動向をきめ細かく捉え、子育て支援や高齢者福祉など、個々の行政需要に的確に対応しているところであります。現時点において具体的な人口目標値は設定しておりませんが、二○二○年東京大会の開催など、本区を取り巻く環境は今後大きく変化すると想定されるため、中長期的な視点から区の将来像について改めて描く必要があると考えております。区といたしましては、今後とも、あらゆる世代の方々が生涯を通じて生き生きと暮らし、活動し続けるための基盤を着実に整備し、快適な都心居住を謳歌していただけるよう全力で取り組んでまいります。

 次に、子育て環境についてであります。

 平成二十七年度から始まる子ども・子育て支援新制度において、区は保育所や幼稚園、学童クラブ、プレディの今後の需要に対する計画的な提供体制を構築するよう、子ども・子育て支援事業計画を策定することが求められております。本区では、平成二十七年度からの五年間における乳幼児人口の増加数と教育・保育や子育て支援事業に対するニーズの見込みをもとに、本区子ども・子育て会議で審議の上、具体的な確保策を盛り込んだ事業計画を策定しているところであります。今後はこの事業計画を着実に実行し、子育てしやすい環境の整備を図るとともに、年度ごとの点検評価を踏まえ、必要に応じ事業計画の見直しを行ってまいります。また、小学校につきましても、現在、教育環境の整備に関する基礎調査等に基づき、児童の増加に伴う必要な学級数を確保するため、学校施設の増改築を進めているところであります。今後も増加が見込まれる乳幼児を含めた児童の人口動態を注視し、保育施設や学校施設、子育て支援に関するニーズに応えていくため、施設整備や子育て支援策を推進し、子供を産み育てやすい自治体ナンバーワンを目指してまいります。

 次に、健康寿命の延伸についてであります。

 区民の健康状態の実態を把握するため、平成二十三年度に区民に対して健康・食育に関する意識調査を実施しました。その結果、区内の四十歳から六十四歳の方々の健康状態については、八割以上の方が「よい」、「まあよい」と回答しており、また、定期的に運動している人の割合は約三割、睡眠を十分にとる人は約二割で、これらの割合は全国とほぼ同じ水準となっております。区では、平成十二年度から既に健康寿命の延伸に向けて取り組みを開始しております。現在は、三十歳代の区民には三十歳と三十五歳の節目健診を、四十歳以上の区民には特定健康診査・特定保健指導を実施しているほか、食生活の改善などの指導により、生活習慣病の予防と健康の維持・増進に取り組んでおります。今後とも、平成二十五年三月に策定した中央区健康・食育プラン二○一三に基づいて分析評価を実施し、健康寿命の延伸に向けて、青壮年期からの継続した健康づくりを推進してまいります。

 次に、区役所本庁舎の建てかえについてであります。

 本庁舎は、計画的な改修工事や日常的な維持管理により、建築物としての健全性は確保されております。しかしながら、行政需要の増加などにより執務スペースが手狭となり、区民の皆様にとっても、窓口の配置などの利便性の面で必ずしも十分とは言えない状況にあります。区政全体を見渡したとき、学校施設の整備、オリンピック・パラリンピック競技大会とその後を見据えたまちづくりなど、山積する諸課題に最優先で取り組む必要があることから、現時点では本庁舎建てかえの具体的な検討には至っておりません。したがいまして、八丁堀地区には再開発の構想はあるものの、京華小学校跡地の活用計画も含め、白紙の状態であります。

 次に、晴海地区における将来の行政サービスについてであります。

 東京大会を契機とした晴海地区の将来の人口増に対しましては、さまざまな公共公益施設が必要であると認識しております。特に、幼稚園及び小学校の整備につきましては、都に積極的に働きかけた結果、選手村の大会終了後における住宅棟モデルプランにおいて、晴海五丁目にその用地を確保したところであります。また、区民生活にとって身近な行政サービス施設である月島特別出張所の派出所や保健センター等につきましても、晴海地区内での整備が必要であるとの認識のもと、晴海地区全体でのまちづくりの中で検討を進めているところであります。一方、選手村を整備する都や民間事業者に対しましては、まちづくり基本条例や晴海地区将来ビジョンを踏まえ、保育所や生活利便施設等、大会後に必要な公共公益施設が適切に整備されるよう取り組んでまいります。区といたしましては、晴海地区全体の開発動向などを見きわめながら、将来の急激な人口増に対応した行政サービスの提供体制を計画的に構築してまいります。

 次に、選手村の大会終了後における住宅棟モデルプランについてであります。

 東京都が示したモデルプランについて、ビジョン検討委員会や地元から、その周知方法や晴海地区将来ビジョンが反映されずに住宅棟の配置のみが公表されたこと、さらにはタワーマンションなどの配置計画に対して不満が出ていることは承知しております。モデルプランにつきましては、学校や周辺建物に対する配慮やまちのにぎわい形成に資する配置などの工夫が見られるものの、大会後の魅力的なまちづくりに当たりましては、ハード・ソフト両面において、まだまだ改善の余地があるものと思っております。区といたしましては、晴海地区将来ビジョンの実現に向けて、交通基盤の充実に加え、多様な住まいの誘導、地域貢献施設の整備、建物の外観デザイン、水辺のプロムナード整備、スポーツ施設の整備、防災機能の強化、スマートシティの実現など、さらなる計画上の工夫も必要と考えており、積極的に東京都と協議をしてまいります。

 次に、晴海地区におけるスポーツ施設についてであります。

 運動場の確保につきましては、今後、選手村整備に係る工事が本格化していくことや、晴海地区全体のまちづくりの観点からも、現段階では困難であると考えております。こうした状況を踏まえ、区といたしましては、区外の代替候補地の確保も含めたスポーツ施設に係る情報提供を行うよう要望するなど、引き続き都に対して積極的に働きかけてまいります。また、都では、昨年十一月に東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会を設置し、有識者や民間事業者等の意見も踏まえ、選手村やその周辺のレガシーの検討を始めたところであります。区としましては、組織委員会が整備する四百メートルトラック等の練習施設について、都として選手村レガシーに位置づけるよう、引き続き強く要望してまいります。

 次に、BRTの運行についてであります。

 晴海地区においては、人口増加に伴う交通需要が増加しているにもかかわらず、公共交通機関は路線バスに限られており、利便性の高い公共交通の充実が喫緊の課題となっております。そのため、区では、これまで、都心部と臨海部を結ぶBRTの導入に向けた検討を実施するとともに、設置した検討会において、銀座や月島、晴海地区の代表の方々から意見や要望を伺ってまいりました。こうした中、昨年八月、東京都が都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する基本方針を策定し、BRTの運行検討を開始いたしました。区は、都との協議において、これまで検討してきた内容が反映されるよう要請しており、現在、環状二号線を基軸とした基幹ルートだけでなく、晴海地区内の交通需要に対応したルートの導入を検討しているところであります。今後においても、BRTの基本計画や事業計画の策定においては、区民の要望等を踏まえた内容が反映されるよう、継続的に都と協議してまいります。

 次に、首長と議員に関する認識についてであります。

 首長は執行機関として、議員は議決機関の構成員として、それぞれ異なる権能を有しておりますが、ともに選挙により選出された住民の代表であり、国政や地方行政において重要な職責を担っているものと認識しております。そのため、首長と議員はその期数の長さを問題にするのではなく、それぞれの立場と役割において、住民の負託に応えるためには、何を目的として、何をなすべきかを常に問い続けていくことが大切であると考えております。

 答弁は以上であります。

     〔二十四番 今野弘美議員登壇〕

○二十四番(今野弘美議員)
 それぞれ御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の質問のポイントは、中央区がこれまで進めてきた人口誘導政策の見直しということの観点に力点を少し置かせていただきました。このまま人口増加政策を続けていけば、先ほども触れましたように、さまざまな行政課題がふえてまいります。当然、子供さんたちがふえることによってのにぎわいや活力、本当に中央区がすばらしいまちになったことは事実です。しかし、しっかりと先の行政課題を見据えて、人口推計の部分も触れましたが、そうした将来、未来を見据えた、統計に基づく将来計画をしっかりと打ち出していかなければ、中央区の行政自体が大変なことになるというふうには、私自身考えております。なかなか人口推計、そのとおりいかないことは十分承知をいたしておりますが、財政規模を考慮して、未来を見据えた長期計画を早急に打ち出すべきだと、今回の答弁をお聞きして、私は思いました。

 そして、二○二○年の東京オリンピック・パラリンピックが決して中央区にとって黄金時代のゴールではないということも再認識をいたしました。中央区は、未来永劫、私たちの力によって発展し続けていかなければなりません。その意味においても、今後設置をされます予算特別委員会におきまして、我が会派の議員が質問を通じて区民福祉のさらなる向上のために論議を深めていくと思いますので、きょうは、私の質問はこの程度にさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)


○二十三番(礒野 忠議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十六日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原田賢一議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後六時十二分 散会


署名議員
議長 原田 賢一
議員 瓜生 正高
議員 田中 広一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

ページの先頭へ