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平成27年第三回定例会会議録(第2日 9月17日)

1.会期

三十一日(第二日)

九月十七日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時四十二分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 海老原 崇智議員

二番 塚田 秀伸議員

三番 佐藤 敦子議員

四番 瓜生 正高議員

五番 富永 一議員

六番 山本 理恵議員

七番 松川 たけゆき議員

八番 小坂 和輝議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 染谷 眞人議員

十三番 田中 耕太郎議員

十四番 堀田 弥生議員

十五番 墨谷 浩一議員

十六番 青木 かの議員

十七番 森谷 歩美議員

十八番 渡部 恵子議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 鈴木 久雄議員

二十二番 木村 克一議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 石田 英朗議員

二十六番 中嶋 ひろあき議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 石島 秀起議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 新治満君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 長嶋 育夫君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 宮本 恭介君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 平沢 康裕君

教育委員会事務局次長 坂田 直昭君

監査事務局長 有賀 重光君

企画財政課長 濱田徹君

広報課長 園田 典子君

総務課長 古田島 幹雄君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 笠井 光輝君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(鈴木久雄議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 二十七番田中広一議員。

     〔二十七番 田中広一議員登壇

○二十七番(田中広一議員)
 中央区議会公明党の田中広一でございます。私は、平成二十七年第三回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し質問させていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 まず初めに、台風十八号の影響による記録的な豪雨により、北関東や東北を中心に、各地で甚大な被害が発生しました。被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 中央区基本構想と新地方公会計制度の導入についてお尋ねいたします。

 八月十日開催の東京湾大華火祭を見に行かせていただきました。地域の方々から、「以前は多くの場所から花火を見ることができたけど、最近は超高層マンションが多く建ち並び、景色が変わりましたね」と、空を見上げながら語っておられました。近年、中央区の発展は目覚ましく、関係者の長年にわたる努力が実り、さらに都心回帰と呼ばれる現象も生じたことにより、若い世代を中心に、人口が増加し続けております。全国では少子高齢化と言われている中で、中央区は若い世代が多くなり、出生数も増加傾向です。そこで、将来を見据え、社会の変化に対応しながら、安心して住み続けられるまちづくりを着実に進めていかなければなりません。

 第四十四回中央区政世論調査では、集合住宅の同じ階に住んでいる方をどの程度知っているかという設問に対して、「ほとんど知らない」が四五・三%という結果が示されておりました。東日本大震災の教訓の一つとして、住民同士の助け合いが大切であると言われております。本区は、約八八%の区民がマンション居住者です。災害に強いまちづくりを進めていく上で、重要な課題と考えます。

 また、現代は、インターネットなどの普及により、生活の中でさまざまな変化が起きております。こうした状況について、東京大学名誉教授の養老孟司氏著作の「「自分」の壁」の中では、容易に想像できるのは、人と直面するのが苦手な人がふえるということでしょうと指摘。さらに、脳、つまり意識だけが肥大化し、現実から離れていってしまうとも指摘しております。そして、著者は、自然のものを一日に十分でいいから見るようにしなさいと述べておりました。

 このように、社会の変化を踏まえながら、各事業を検討していかなければなりません。中央区は、今後もさらにマンションが増加していくことを考えますと、自然と触れ合える中で、人の顔の見える広場づくりなど、必要と考えます。

 九月二日の企画総務委員会では、新たな基本構想の策定についての報告がありました。急激な人口増加や二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催等を踏まえ、中央区の将来像を改めて描く必要性について説明がありました。

 現在の基本構想は、見直しの検討を踏まえ、平成十年に策定されました。「生涯躍動へ 都心再生―個性がいきる ひととまち」との将来像を掲げ、四つの基本的方向を示しております。その一つに、「百万人が住み・働き・楽しめるまち中央区」とあり、特に活力ある定住人口十万の都心中央区を目指すことが大きな目標でした。平成十八年に既に人口が十万人を突破し、現在は十四万人を超え、さらにふえ続けております。

 現在、中央区では、晴海の選手村後のまちづくりや築地場内市場移転後の跡地問題、計画されている再開発事業、地下鉄新線構想を初め公共交通の整備、各福祉施策の充実など、多くの課題が山積しております。日本中に中央区という区名が九カ所あると言われておりますが、いずこもその都市の政治経済の中軸であり、顔であります。東京中央区のまちづくりは、まさに、東京だけではなく、日本のモデル都市として、さらに発展していく役割もあると感じており、基本構想の策定は重要です。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 現在の基本構想の総括と現在の課題をどのように捉えておられるのか、御見解をお聞かせください。

 中央区は、若い世代の転入により出生数が年々増加し、保育所の拡充や小学校の増改築を優先的に進めています。特に、建築費の高騰などの影響もあり、予算額として大きい小学校の増改築については、基金の活用を軸に進めておりますが、今後、さらに人口が増加傾向にある中、区の事業全般にわたってキャパシティーは十分なのかどうか、懸念するところであります。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 今後の人口規模と区の事業とのバランスなど、どのような将来像を考えておられるのか、御見解をお聞かせください。また、これまで基金の活用により、急を要する施設整備などに対応できたと考えますが、今後の財政の見通しもあわせてお示しください。

 私は、昨年第二回区議会定例会一般質問において、新公会計制度の導入について質問させていただきました。御答弁では、二十三区では実務担当者による研究会を設置し対応を検討、区としても、区政マネジメント等への活用に加え、職員のコスト意識や経営感覚の醸成にも資するよう、導入に向けた取り組みを着実に進めると述べられました。その後、ことしに入り、一月二十三日に、統一的な基準による地方公会計の整備促進についての総務大臣通知がありました。マニュアルを参考にしながら、平成二十七年度から平成二十九年度までの三年間で全ての地方公共団体において財務書類等を作成し、予算編成等に積極的に活用するよう求めております。マニュアルの公表のほか、システムの提供、財政及び人材育成の支援策も講じています。今後、区の将来像を検討していく中において、新地方公会計制度をどのように生かしていくのか、重要な課題であると感じております。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 新地方公会計制度の導入について、現在の検討状況と、区としてどのように有効に活用しようと考えておられるのか、御見解をお聞かせください。

 昨年の四月二十二日に、公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進についてが総務大臣より通知されました。これは、公共施設等や人口についての現況及び将来の見通し、維持管理・更新等に係る中長期的な経費や財源の見込みなどを、公共施設等総合管理計画として策定を要請しております。

 一方、中央区施設白書によりますと、築四十年以上の建物が十七棟で全体の一八・一%、築二十年から三十九年が三十九棟で四一・五%となり、築二十年以上の建物が過半数を占めるなど、建物の高齢化も進んでいます。人口がさらに増加傾向にある中、財源の見通しも含め、公共施設の全体を把握し、長期的な計画を立てていくことが必要と考えます。したがって、まず新地方公会計の入り口となる固定資産台帳の精度向上が求められ、その上で、公共施設等総合管理計画を策定し、マネジメントをより効果的に推進していくべきです。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 新地方公会計と公共施設等総合管理計画の連携について、御見解をお聞かせください。

 次に、読書活動の推進と本の森ちゅうおうについてお尋ねいたします。

 昨年九月、文化庁が発表した調査結果によりますと、一カ月に一冊も本を読まない人は四七・五%で、十年前に比べて一○%増加しています。また、全国大学生活協同組合連合会の学生生活実態調査では、大学生の四○・五%が読書に充てる時間をゼロと答え、同調査を始めた二○○四年以来、四割を超えるのは初めてで、学生の本離れの実態が浮き彫りとなりました。

 昨年十二月十日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「広がる“読書ゼロ”~日本人に何が~」と題して放送されました。ある大学では、大学図書館の本の貸出数が毎年一万冊のペースで減り続けている現状を指摘、図書館は日常的に大学の中で中心であると言われながら、貸出数が減っている状況に、衝撃が大きいと語っておりました。

 脳科学者の茂木健一郎氏著作の「頭は「本の読み方」で磨かれる」では、本を読むことの重要性を指摘しております。まず、著者は、本なんて必要ないと思っている人は、いずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになると強調。さらに、読んだ本の数だけ、高いところから世界が見えるということに尽きます。足の下に本が積み重なっていくイメージですと、わかりやすく解説しています。そして、読書をたくさんするということは、気軽な挨拶だけの人間関係とは違う、濃い人間関係をたくさんの人と持てるということでもあるのです。太宰治やドストエフスキーと何度も夕食をともにするようなものなのですと述べ、本を読むことは、自身の経験をふやすことにつながっていることを伝えています。

 これまで本区では、平成二十年三月に子ども読書活動推進計画を策定し、その後、平成二十五年三月に第二次子ども読書活動推進計画に基づき、現在、さまざまな事業を展開しております。家庭、地域や区立図書館、学校現場、幼稚園、保育園、児童館などにおける取り組みを具体的に三十四事業進めております。私は、初当選以来、一貫して、各公立図書館や学校図書館など視察調査を実施するとともに、一般質問や各種委員会など機会あるごとに子ども読書活動の推進や学校及び区立図書館の重要性を強調してまいりました。今後、さらに取り組みを強化していくべきと考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 第二次子ども読書活動推進計画の取り組みの現状と課題についてお示しください。

 読書については、子供のころからの取り組みが重要であると言われております。ある専門家によりますと、十歳までに読み聞かせを含め、どれだけの読書量を積むことができたか、つまり読書量の貯金が大切と指摘しております。さらに、読み聞かせにおいては、音を聞かせる大切さや美しい日本語で書かれた絵本、紙芝居の活用、読書ノートをつけることなども重要であると述べられておりました。

 書籍「読み聞かせわくわくハンドブック」には、図書館司書である著者が、わかりやすく解説しております。まず、本を全く読んでもらえない子供がいたら、その子は、想像力が豊かで、お話の世界を楽しめる一番いい幼児期に本の楽しさを知るチャンスをもらえないのですと述べ、人生最初の本との出会いを大切にしています。また、絵本を上手に読む方法も書かれています。例えば、本を丸ごと紹介するのが読み聞かせ。絵本は、本文だけではなく、表紙や見返しの絵や色使いにもさまざまな工夫と作者の意図が込められています。だから、絵本の魅力を隅々まで聞き手に伝えるためには、絵や本のつくりを事前に知って、適切な見せ方を研究する必要がありますと、多くのアドバイスが書かれておりました。さらに、著者は、読み聞かせのすばらしさや実践を伝える本はたくさんあるのに、読み聞かせの方法のコツをまとめた実用的な本は余りないように思えましたと、本を書いたきっかけにも触れておりました。

 一方、本区では、健診時における読み聞かせと絵本リストの配布、児童館やあかちゃん天国において、ボランティアの方々の御協力による読み聞かせの実施、区立図書館のおはなし会など、着実に行っております。特に、絵本との最初のきっかけは、三カ月から四カ月健診時に渡される「はじめてであう 赤ちゃんえほん」という冊子です。ジャンルごとの絵本の紹介やQ&A、読書メモなど、大変わかりやすく、温かみを感じるすばらしい絵本リストです。

 また、第二次子ども読書活動推進計画では、アンケート調査の結果が示されております。本の読み聞かせや読書はお子様の成長に役立つと思われますかという問いに、「思う」、「少し思う」を合わせると、ほぼ一○○%の保護者が役に立つと回答。取り組みやすい環境を整えていくことが大変重要です。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 現在の絵本リストの内容に、読み聞かせの方法のコツをまとめた実用的なアドバイスの充実と、三歳児健診時においても、年齢に応じた読み聞かせハンドブックのような取り組みやすい小冊子の配布を実施していくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 私は、毎年五月の初旬に、東京ミッドタウンのオープン・ザ・パークというイベントに参加します。ここでは、都会の真ん中で新緑の季節を存分に楽しむことをコンセプトにし、ヨガなど、さまざまなイベントが開催されております。その中で、芝生の上で楽しむ読書イベント、ミッドパークライブラリーがあります。「新たな本と出会う屋外図書館」をテーマに、ブックディレクターが選出した本三冊とレジャーシートが入ったバスケットを無料で貸し出ししています。新緑に囲まれた芝生広場で、多くの参加者が気持ちよさそうに楽しんでいる姿が印象的でした。さらに、先日、日本経済新聞にも記事が掲載されていましたが、ことしは九月十九日から二十三日まで、本をテーマにしたイベント、六本木ブックフェスを開催するとのことであります。芝生広場を会場に、青空図書館の設置や朗読会、参加者の交流を促すために、お勧めの本を交換する企画もあり、読書の秋を盛り上げるイベントのようであります。一つの事例ではありますが、このように都心の中であるからこそ、解放感あふれる芝生の上で読み聞かせや読書を行い、本に触れ合う機会をふやしていくべきではないでしょうか。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 今後、さらに本に触れる機会を拡大するため、子ども読書週間及び読書週間を活用し、浜離宮や京橋図書館前のサンクンガーデンなどにおいて、芝生広場の中で読み聞かせや読書を行う取り組みを検討していくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 九月十二日の「NIKKEIプラス1」では、一度は訪ねて読書をしたい美しい図書館をランキングしておりました。東日本の一位は秋田市にある国際教養大学の中嶋記念図書館、西日本の一位は佐賀県の伊万里市民図書館です。専門家は、名建築や空間設計の特色だけではなく、蔵書や本の並べ方など、職員の仕事にもぜひ注目をしてほしいと指摘しています。多くの人々に利用してもらいたいという熱意が、さまざまなところに込められているのだと感じます。現在、本の森ちゅうおうの計画は延期となっておりますが、この間、さまざまな角度から検討を重ねてこられたものと思います。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 本の森ちゅうおうの計画について、事業内容や実施時期など、現在、どのように検討しておられるのか、本区の御見解をお聞かせください。

 日本橋、京橋、月島の各図書館は、開館百年を超える歴史と伝統ある公立図書館です。また、中央区は活字発祥の地でもあり、多くの大学などの発祥の地でもあります。さらに、本区ゆかりの作家も少なくありません。そして、国や東京都においても、継続して読書活動を推進しています。国では、平成十三年十二月に、子どもの読書活動の推進に関する法律が施行され、東京都においても、国の動向を受けて、平成十五年三月に東京都子供読書活動推進計画を策定し、平成二十七年三月には第三次まで展開されてきております。

 そこで、第五点目にお伺いいたします。

 今後、本の森ちゅうおうの計画や、平成三十年には第三次子ども読書活動推進計画の策定も予定される中で、本区の歴史的な視点も踏まえながら、読書のまち中央区としての将来像を目指し、これまで以上に読書活動の推進を積極的に進めていくべきと考えますが、本区の御見解をお聞かせください。

 次に、子供の遊び場と公園の拡大についてお尋ねいたします。

 ことし三月の予算特別委員会においても御紹介させていただきましたが、国立青少年教育振興機構の調査によりますと、星空観察や川遊びなどの自然体験をした小・中学生の割合が、減少傾向から、二○一三年に一転してふえているとのことであります。例えば、昆虫を捕まえたことが「何度もある」、「少しある」と回答した児童・生徒の割合は七九%で、前回より二○ポイントも増加。子供が自然と触れ合う事業も人気が高まっており、文部科学省などが小・中学生を対象に行っている事業は、年々増加傾向のようです。専門家によりますと、外遊びが少ない子供の体力低下などを懸念し、意識的に自然の中に連れ出して遊ばせる保護者がふえたのだろうと分析。さらに、調査では、自然体験が豊富な子供ほど、「体力に自信がある」や「勉強は得意なほうだ」と答える割合が高いことも判明し、自然体験を通じて達成感を得ることで自信や自己肯定感が育まれると指摘しておりました。

 一方、本区では、現在、最重要課題の一つである保育所の拡大を毎年着実に進めておりますが、保育所の子供たちの外遊びについては、課題があると感じております。近くの公園や隅田川テラスなどを活用している姿を見受けますが、地域によってはビジネスマンなども多く、オープンスペースは混み合っていると感じております。

また、昨年の十二月十二日開会の区民文教委員会では、平成二十六年度の区立小・中学校児童・生徒体力調査の結果についての報告がありました。その中で、ボール投げと握力については課題が顕著となり、小学校においては、反復横跳びについて、五年前と比べ、下回っている傾向も出てきております。

 これまでのまちづくりの方針としては、住宅の拡大を中心に進めてきたと理解しております。その後、着実に定住人口が増加していく中で、環境や防災、子育て支援や高齢者福祉の充実などを促進するため、まちづくり基本条例の制定や市街地開発事業指導要綱の改正などを進めてきました。今後は、公園の機能を備えた潤いのある緑の空間づくりをさらに強化していくべきと考えます。

 平成十年と現在の公園等を比較しますと、児童遊園については減少傾向にあるものの、公園数は四十七カ所から五十四カ所に、面積も約二十三万七千平米から約三十二万六千平米に拡大しております。限られた区内の中で、さまざまな努力により、公園だけではなく、屋上及び壁面緑化なども工夫しながら、緑の創出やオープンスペースの拡大を進めてきております。しかしながら、公園などのオープンスペースは、健康増進のために体を動かすことや憩いの場であるとともに、防災対策や地域のコミュニティの育成、周辺地区の経済的価値を高めるなど、人口が増加している本区にとって、さらに拡大していかなければならない重要な課題です。

 九月二日開会の企画総務委員会では、第四十五回区政世論調査の結果について報告がありました。その中で、公園・緑地・水辺の整備については、各設問において区民の関心の高さがうかがえます。今後の中央区の将来像を考えますと、子供たちが遊べるオープンスペースの確保と、まちづくりの中に潤いを感じられる緑地の空間をさらに強化して拡大していくべきと考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 現在、区内では空き時間を活用し、月島運動場の無料開放を行っておりますが、今後、さらに運動場など無料開放の拡大や、浜離宮花と緑の集いなどを活用し、子供の外遊び環境を拡大していくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 第二点目にお伺いいたします。

 今後の再開発事業の中で、保育所を誘致する場合など、芝生広場を整備できるよう工夫して働きかけていくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 世界に目を向けますと、ニューヨークでは、貨物鉄道の高架橋を緑豊かな散策路としてリノベーションした空中公園ハイラインが昨年全面開通し、観光としても注目されているとのことであります。このように、困難な都市の中においても、緑のオープンスペースを確保することも可能と考えます。

 昨年の第二回区議会定例会一般質問において、築地市場跡地における大規模な公園の要望について質問させていただきました。最重要課題であります築地の活気とにぎわいをいっときも途絶えさせないことが大前提です。その上で、オリンピックレガシーの一つとして、土地利用計画の中に跡地全体を水辺と緑豊かな公園として位置づけ、隣接の浜離宮との連携も大いに生かすべきと質問させていただきました。御答弁では、都心の価値をさらに高め、本区のまちづくりに資するよう、都に対し積極的に働きかけていくとありました。また、先ほど申し上げました再開発事業などにおいても、公園となるようなまとまった緑のオープンスペースの整備も、これまで以上に検討していくべきと考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 今後、中央区の将来像を検討する予定の中で、さまざまな工夫により、潤いのある緑のオープンスペースを創出し、憩いの場となる公園の拡大をしっかりと目標に位置づけて、未来に残していけるような取り組みが重要と考えますが、御見解をお聞かせください。

 最後に、健康寿命の延伸への取り組みについて質問いたします。

 現在、日本の平均寿命は、男性が八十歳、女性が八十六歳を超えており、人生九十年時代とも言われるようになりました。高齢者が直面するという問題だけではなく、今後二十一世紀を生きる一人一人の課題とも言えます。専門家は、高齢期を生きる上で重要になってくるのが、健康、家庭経済、心の三つのKとし、健康の重要性を指摘しております。

 私は、昨年の第二回区議会定例会において、オリンピックレガシーの一つとして、専門家の指導により、客観的データに基づいた事業の効果の分析など、検証体制も含めた健康寿命の延伸について質問させていただいたところでございます。健康寿命と平均寿命との差が十歳前後の開きがあり、この差を近づけていくための施策が今後重要であると指摘をさせていただきました。御答弁の中には、より積極的に健康を増進することで、発病そのものを予防する一次予防を重視した健康づくりが必要でありますと述べられました。

 そこで、さらに調査・研究を深めるため、会派で静岡県藤枝市を視察させていただきました。藤枝市は、昨年三月に厚生労働省の「第一回健康寿命をのばそう!アワード」で優良賞を受賞。さらに、ことし三月、タイの首都バンコクで開催された国際フォーラムで、副市長が同市の健康政策について講演もされました。創る健康と守る健康を柱にした藤枝方式が高く評価され、日本から同市だけが招待されたようです。

 藤枝市の特徴として、主に三点挙げておりました。まず、一点目は、特定健康診査の受診率が高いことです。二○一二年の特定健康受診率は四七・二%で、全国平均の三三・七%を大きく上回ります。さらに、内臓脂肪症候群は日本一少ない結果です。二点目は、がん検診受診率が高いことです。例えば、肺がんは全国平均一七・三%に対し五一・九%、大腸がんは全国平均一八・七%に対し四九・六%など、全国でもトップクラスです。三点目は、後期高齢者の医療費が全国平均より二十万円低いことです。

 こうした成果を生む背景として、地域ぐるみで守る健康に取り組んできた伝統があります。担当者によりますと、市民の健康増進の成果は、三十年間で延べ二万人が経験者となった保健委員制度によるところが大きいと指摘しておりました。それでも、運動や食事管理が必要とわかっていても行動できない無関心層が約三割と分析。そこで、藤枝市が考えたキーワードが「楽しい」と「お得」、健康以外の動機づけで健康を創る行動へ結びつけていきました。それが、二○一二年からスタートした“健康・予防日本一”ふじえだプロジェクトです。三つの視点から事業を展開しております。

 一点目の歩いて健康「日本全国バーチャルの旅」は、自分が歩いた距離によって、マップの上で旅を体験するものです。日本橋をスタートして、京都の三条大橋を目指す東海道の旅となります。六・五キロ、約一万歩歩くたびに宿場を塗り潰し、日本橋から三条大橋まで七十七日で到着となり、今までに千人以上が完歩しております。中には、地図上で歩いた場所を実際に旅してみる方もおられ、興味が広がっているようです。さらに、ことしから一万キロ歩いた方を表彰する制度を設けたところ、四月に七十代の夫婦が快挙を達成。市民からも、万歩計と体重計の数字を見ることが楽しくなりましたなどの感想が多数寄せられ、市民参加の機運が高まっているとのことです。

 二点目の「ふじえだ健康スポット二十選」は、市内の観光地の中から、楽しんで健康になれる場所を選定したマップです。徳川家康ゆかりの地をめぐる健康ウオーキングを開催し、地域活性化にもつなげております。

 三点目の健康マイレージは、運動や食事などの目標を決めてチャレンジシートに記録していくもので、目標を達成するとポイントがつきます。百ポイントためると、県が発行している、ふじのくに健康いきいきカードを受け取ることができます。このカードは、県内の協力店に提示すると、飲料サービスなどの特典を受けることができる仕組みです。

 担当者からは、こうしたふじえだプロジェクトは、参加者の満足度は高く、経費も少なく済む利点もありますが、すぐに成果が出るものではなく、十年単位で効果を検証していくことが必要であると述べられておりました。

 一方、本区の現状は、九月一日現在の六十五歳以上の人口は二万三千人で、要支援及び要介護者数は平成二十六年三月末日現在、四千二百八十一人で、増加傾向にあります。また、平成二十二年国勢調査によりますと、ひとり暮らし高齢者は五千五百一人で、六十五歳以上人口の二八・二%です。全国平均一六・四%、東京都平均の二三・六%を上回っております。孤独な高齢者は要介護及び認知症発症のリスクが高いと言われており、人との交流が少ないと健康に影響を及ぼすことが指摘されております。

 昨年、中央区は、科学的根拠に基づいた保健医療事業に係るデータの追跡、分析及び評価などを推進することを主な目的として、聖路加国際大学と包括連携協定を結び、中長期的な視点に立ち、重要な取り組みであると感じております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 聖路加国際大学との包括連携協定について、スタートしたばかりではありますが、現在の取り組み状況や今後の展開について御見解をお聞かせください。

 第二点目にお伺いいたします。

 前述したような専門機関との連携を生かしながら、二○二○年に向けた取り組み強化の一つとして、健康寿命の延伸に向けた目標を設定し、総合的な対策をさらに強化して取り組んでいくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 第三点目にお伺いいたします。

 ラジオ体操など、これまでの地域におけるさまざまな取り組みや本区の各事業を着実に進めていくとともに、気軽に楽しく健康づくりに多くの方々が参加できるような、インセンティブを強化した事業も検討していくべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 ことしの七月に「~健康寿命を延ばしましょう~今すぐ実践!お役立ちガイドブック」が高齢者の皆様に配布されました。区のさまざまな事業が一冊にまとまっているため、わかりやすく、活用することができ、一層の健康増進が図られると感じております。このように健康増進の取り組みについては、身近に感じて活動できることが重要と考えます。

 区内の公園内には、十七カ所に健康増進遊具が整備されております。限られたスペースの中で、安全対策も念頭に置きながら拡大してきたと存じますが、活用しやすいように推進すべきです。現在、区のホームページに掲載されていますが、さらに周知に工夫が必要と考えます。例えば、ウオーキングコースの中に加えるなど、検討してはいかがでしょうか。

 神奈川県大和市では、健康都市を目指すことを宣言し、取り組みの一つとして、平成二十九年度までに百カ所の公園にさまざまな健康遊具を設置するとのことであります。単に整備するだけではなく、保健師などの専門家による体験講座を行い、好評のようです。健康増進とともに仲間づくりも促進され、コミュニティの形成にも寄与しているようです。また、世田谷区では、健康遊具マップを作成し、健康遊具の紹介や注意事項、チェック欄も設けるなど、活用しやすい工夫がされております。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 公園の健康増進遊具のマップの作成などにより、身近な取り組みとして有効に活用できるよう推進していただきたいと考えますが、御見解をお聞かせください。

 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、現在の基本構想の総括と課題についてであります。

 現在の基本構想は、長期にわたり定住人口が減少する中で、人口回復を大きな目標に掲げて策定したものであります。以来、この基本構想を区政運営の根幹に据え、都心居住のまちづくりを初め、時勢を捉えたさまざまな取り組みを展開してまいりました。十七年の時を経て、目標をはるかにしのぐ人口十四万都市を実現したことは、本区が将来像に掲げた都心再生をなし遂げ、次の段階に進んだものと認識しております。一方、二○二○年オリンピック・パラリンピックとその先を見据えた文化・教育施策の充実を初め、都市交通や公共施設等の基盤整備、商工業や都市観光の振興など、区全体の良好なまちづくり、築地市場移転後の跡地の活用、先進的なスマートシティの実現など、従来の枠組みを超えた課題も顕在化しております。新たな基本構想では、現在の骨格は継承しつつ、これらの課題を解決し、本区の魅力がさん然と輝きを増し、誰もがあこがれるまちの実現に向けた道筋を描いてまいります。また、我が国が人口減少局面を迎えた中、本区には東京、ひいては日本全体を牽引していく役割が期待されております。将来にわたり日本の活力を維持するために、本区がいかなる貢献を果たしていくべきか、審議会の議論を踏まえながら検討してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 次に、本区の将来像と財政の見通しについてであります。

 本区の将来像を見定めるに当たっては、晴海地区の選手村の住宅転用や臨海部を中心とする開発計画による人口推計をどのように捉えるかが鍵となります。そのため、本区にふさわしい人口推計手法を早期に確立し、精緻な将来推計を算定することが極めて重要であると考えております。この推計をもとに、本区が抱える行政課題を的確に把握し、新たに策定する予定の基本構想の中で、人口規模と区の事業のバランスを踏まえた将来像をしっかりと描いてまいりたいと考えております。また、今後の財政につきましては、こうした将来の行政需要をしっかりと見きわめた上で、これまで計画的に蓄えてきた基金の積極的な活用や特別区債の発行による財政負担の平準化を図りつつ、これまで以上に効果的・効率的な財政運営に努めることにより、健全で安定的な財政基盤を堅持してまいります。

 次に、新地方公会計制度導入の検討状況と有効活用についてであります。

 本区では、国の要請を踏まえ、平成二十九年度から日々仕訳による新たな公会計制度を導入する予定であります。日常の会計処理時に仕訳を行う日々仕訳には、財務会計システムの再構築が必須となるほか、仕訳ルールや資産の範囲、資産評価額の算定など、多岐にわたる検討が必要となります。現在の検討状況といたしましては、公会計モデルを東京都方式とするとともに、庁内組織として検討委員会及び部会を設置し、具体的な検討に着手したところであります。新たな公会計制度の導入により、これまでの現金主義会計では把握が困難な減価償却費や引当金などの非現金コストを含めたフルコスト情報の把握が可能となるほか、資産や負債等のストック情報も明らかとなります。今後は、事業や組織別のフルコスト情報を行政評価等にも活用し、事業等の有効性や効率性を検証するなど、区政マネジメント力の向上に資するものとなるよう進めてまいります。

 次に、新地方公会計と公共施設等総合管理計画の連携についてであります。

 国が求めている公共施設等総合管理計画の策定目的の一つは、人口減少社会を見据えた施設の統廃合の促進であり、当面人口増加が続くと見込まれる本区の状況とは大きく異なっております。しかしながら、施設の老朽化が進むとともに、人口増加により施設需要も増大している中、本区の地域特性を鑑みれば、新たな用地取得は困難な状況であります。そのため、新規施設整備を抑制しつつ、現在ある施設の空き時間等を有効利用するなど、既存ストックを最大限に活用していく視点が重要であると考えておりまして、中長期的な財源見通しのもと、施設の長寿命化によるライフサイクルコストの縮減を図っていかなければなりません。こうした観点から、公共施設等総合管理計画の策定やその後の運用に当たっては、これまでの施設保全データや公会計制度の導入とあわせて再整備する固定資産台帳データなど庁内で保有する情報と相互に連携を図り、区民サービスを持続的に提供できるよう取り組んでまいります。

 次に、本の森ちゅうおうの検討状況についてであります。

 本の森ちゅうおうは、図書館を核に、あらゆる世代の多様な学びと交流の拠点として整備を目指す重要な施設と位置づけ、運営内容などを検討しておりますが、資材や人件費などの建築費が引き続き高騰していることから、早期着工は困難な状況と判断しております。今後、公共施設の適正配置や区の財政負担等を十分考慮した上で、整備時期等を見きわめていきたいと考えております。

 次に、読書のまち中央区の将来像についてであります。

 読書は、思考力、判断力、表現力を育み、個人が自立し、他者とのかかわりを築きながら、豊かな人生を生きる基盤となるものでございまして、大変重要なものであると認識しております。こうしたことから、今後、さらなる子供の読書活動を推進するため、これまで取り組んできた事業の成果と課題を検証し、第三次中央区子ども読書活動推進計画を教育委員会において策定してまいります。また、歴史と伝統のある区立図書館の豊富な図書資料を活用するほか、区民の読書への意識をさらに高めるための普及啓発にも積極的に取り組み、全ての区民が生涯にわたり読書習慣を身につけられる環境の整備を目標に、さまざまな機会を通じまして読書活動の推進強化に努めてまいります。

 次に、子供の外遊び環境の拡大についてであります。

 区では、子供の増加に対応するため、これまで黎明橋公園や晴海臨海公園などにおいて、芝生広場や遊具の整備を図ってまいりました。今後も区内では多くの開発事業が予定されていることから、子供の外遊び環境の拡大は重要な課題と認識しております。御提案のあった月島運動場や浜町運動場については、スポーツ利用状況を踏まえた無料開放の拡大に努めるとともに、浜離宮花と緑の集いなどのイベントへの子供たちの参加促進、さらに公園や児童遊園における芝生広場や遊び場の充実により、子供の外遊び環境の拡大を図ってまいります。

 次に、再開発事業における芝生広場の整備についてであります。

 区では、現在、勝どき五丁目再開発の児童遊園におきまして、保育所に隣接する芝生広場の整備を進めております。公開空地における芝生広場については、管理上の課題等もありますが、保育所に合わせた広場の確保が図られるよう、事業者に要請してまいります。

 次に、公園の拡大についてであります。

 区では、これまで隅田川のスーパー堤防事業にあわせた佃公園、石川島公園や晴海一丁目再開発による人工地盤上の晴海第一公園、晴海第二公園など、まちづくり事業の中で公園等の確保を図ってまいりました。大幅な人口増が見込まれる中、都市環境の改善や、子供を初めとする人々の憩い・遊びの場となる公園や緑地の確保は、大変重要なものであると認識しております。このため、今後におきましても、大規模な開発などの機会を捉え、公園や緑地の確保が図られるよう、基本計画などに位置づけ、取り組んでまいります。

 次に、聖路加国際大学との包括連携協定についてであります。

 聖路加国際大学と本区は、これまでも区民カレッジ等各種講座の連携開催や在宅療養支援訪問看護、区立特別養護老人ホーム等での老年看護学実習生の受け入れなど、協力・連携を図りながら、さまざまな事業を推進してまいりました。こうした協力関係をさらに発展させるため、昨年八月、包括連携協定を締結したところであります。これにより、本区の事業において得られたさまざまなデータを医学的な観点から分析、評価することが可能となりました。協定締結後、双方の代表者が出席する全体協議会を四回開催するとともに、国民健康保険のレセプトデータに基づく有効な保健事業及び同大学助産師の豊かな経験が生かせる産後ケアの二分野については実務レベルの分科会を設置するなど、具体的な施策について検討を進めているところであります。今後とも、大学が持つ知的・物的・人的資源を最大限に活用し、健康寿命の延伸を初め、高齢者への支援策や防災対策など幅広い連携に向けた取り組みについて、さらに協議を続けてまいります。

 次に、健康寿命延伸への目標設定や総合的な対策についてであります。

 健康寿命延伸のためには、区民一人一人が主体的に健康づくりに取り組むことが重要となります。これを支援するため、平成二十五年三月に健康・食育プラン二○一三を策定し、生活習慣病の予防、がん対策の充実、こころの健康づくり、高齢者の健康づくり、食育の推進の五つを基本目標として、十年後の区民の姿を描きました。本区では、その実現に向けて、健康教育、健康相談、健康診断、予防接種、がん検診、介護予防など、さまざまな取り組みを展開し、幅広い世代を対象に継続的な対策を推進しているところであります。今後、プランの中間評価に向けた意識調査を実施する予定でありまして、これまでの成果を検証しながら、より有効性の高い健康施策のあり方について総合的に検討してまいります。

 次に、楽しく健康づくりに参加できるようなインセンティブの強化についてであります。

 健康づくりは、区民一人一人が、みずからの健康はみずから守り、つくるという積極的な意識を持つことが重要であります。取り組みへの意識を喚起する上で、例えば、場の確保や区民同士の交流等によるインセンティブの提供は有効な手段の一つであると考えております。こうした観点から、現在行っているヘルスアップ教室や出前健康講座等の健康づくり事業のさらなる周知に努めるとともに、幅広い世代の健康意識が高まるようなインセンティブの強化について、本区の特性を踏まえつつ検討してまいります。

 次に、健康増進遊具の活用についてであります。

 区では、区民の方が日常的に健康づくりに取り組めるよう、足裏を刺激する健康小道を十七公園に設けるとともに、ぶら下がり器具や腹筋ベンチなどの健康遊具を二十二公園等に四十七基設置しております。周知につきましては、現地に説明板を設置しているほか、区のホームページに設置場所や効用等を紹介しております。今後は、さらに多くの区民や事業者の方に御利用いただけるよう、区内の街路樹などを楽しみながら散策する水とみどりのふれあいマップに健康増進遊具の設置場所を掲載するとともに、各遊具の効用や使い方を紹介したリーフレットを作成するなど、健康増進遊具のさらなる周知、活用を図ってまいります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、第二次中央区子ども読書活動推進計画の取り組み状況と課題についてであります。

 現在、三十四の計画事業のうち三十一事業に着手しており、保育園、学校等に対する新刊図書の貸し出しを初め、乳幼児や小・中学生向けの図書の充実、ボランティアによる本の読み聞かせやおはなし会の拡充など、広く子どもの読書活動を推進し、着実にその成果を上げております。一方、区立中学校への図書の貸し出し実績数が減少している状況から、進学の準備や部活動など、さまざまな活動がふえる中学生の読書離れが進んでいることが課題であると認識しております。今後、中学生の図書利用を一層推進するため、年代に応じた推薦図書の紹介や魅力ある書架づくりに努め、本に親しめる読書環境をより充実していく所存であります。

 次に、「はじめてであう赤ちゃんえほん」の充実についてであります。

 読書は、子供のころからなれ親しむことが何よりも大切であり、さまざまな機会を通して子供が本と触れ合う場を提供することは、子供の想像力や表現力を形成する上で大変重要なことであると認識しております。この絵本リストにつきましては、発行の都度、掲載内容を見直し、子供が興味・関心を持つ絵本を適切に紹介してはおりますが、巻末の読み聞かせ方法等の記載内容をより充実させるなど、多くの保護者に活用されるよう取り組んでまいります。また、三歳児健診における読み聞かせ図書リストの配布につきましては、幼児とその保護者の読書活動を推進していく上で有意義であることから、その配布に向けて検討してまいります。

 次に、芝生広場での読書や読み聞かせについてであります。

 自然豊かな屋外での読書や読み聞かせは、家族連れが会話を楽しみながら読書ができる場であるとともに、周囲に気兼ねなく絵本等を読むことで親子の触れ合いときずなを深める機会であります。このような認識のもと、自然環境に触れる機会が少ない本区において、本年秋の読書週間には、本庁舎サンクンガーデンに芝生を臨時に敷設し、誰もが気軽に読書を楽しめる憩いの空間を提供するとともに、まるごとミュージアムの開催日には、図書館職員によるおはなし会を芝生の上で開催する予定であります。教育委員会といたしましては、今後、こうした読書イベントを通じて、多くの区民が本に関心を持ち、読書の楽しさを実感できるよう、読書活動の推進に努めてまいります。

 答弁は以上であります。

     〔二十七番 田中広一議員登壇〕

○二十七番(田中広一議員)
 御答弁ありがとうございました。

 まず最初に、基本構想と新地方公会計制度の導入についてということでございます。

 当然、基本構想については、これから議案で審議していかなければならないことだと思いますが、いずれにしても、御答弁ありましたとおり、一つの大きな人口回復の目標が達成されている中で、やはり次のステップを考えていかなければいけないときだというふうに私は認識をしているところでございます。今、御答弁の中にありました、例えば従来の枠組みを超えるような課題が出てきたとか、そういった言葉の表現がありましたとおり、本当に時代の変化が激しい中で、いろいろな課題が出てきていると思います。むしろ大変なんですけれども、逆に、先ほど本文の中にも入れさせていただきましたが、こういうときだからこそ、本当に日本を代表するようなモデル都市を目指していこうという前向きな気持ちに立っていただいて、ぜひ検討をお願いしたいということで取り上げさせていただいたところでございます。

 それから、公会計制度についてですが、御答弁の中で東京都方式という言葉が出てきたんですけれども、東京都がいち早く取り組んだことによって、国も切磋琢磨をしながら、ここまで来たのではないかなと私は感じております。そういった意味で、ぜひ頑張っていただきたいなと思うんですが、ただ、本当に大事なことは、財政がある程度厳しいということが想定される中で、余り窮屈にならずに、むしろ、私たちも含め、携わる皆さんが、もっといいアイデアが出ないかどうかとか何か工夫していこうとか、前向きに取り組めるようにお願いしたいなと思っております。一部の方だけが事務量がふえて大変だという状況にならないように、その点、よろしくお願いいたします。また、これまでの中央区のすばらしい区民サービスがありますので、そういったことが余り削減されるようなこともなく、しっかりと対応していかなければならないというふうにも感じておりますので、その点もよろしくお願いいたします。

 それから、子どもの読書活動の推進と本の森ちゅうおうについてでございます。

 その中で、本の森ちゅうおうの検討状況について御答弁をいただいたところでございます。本文の中でも少しだけ触れさせていただいたんですが、せっかく、今、少し時間がある中で、もちろん財政的にもいろいろなタイミングを見なくてはいけないんですけれども、このタイミングだからこそ、本当に中身の検討を一生懸命やっていただきたい。当然やっていらっしゃるんだと思うんですが、やっていただきたい。本文で取り上げたのは、本当に職員の皆さんが一生懸命、本の並べ方一つとっても、内装のデザイン一つとっても、考え抜くからこそ、竣工したときに多くの方に喜んでいただけると思いますので、むしろ本当にいいものをつくる意味では、時間をいただいているという前向きな思いで、ぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。

 先日、岐阜市で新しい複合施設がオープンしたそうで、その中に図書館が入っているそうです。まだオープンしたばかりなんですが、一カ月で二十万人を突破して、大変人気だということであります。その一番の中心は図書館なんですけれども、「いつまでもここに居たくなる」というのがモットーだそうです。名称も、みんなの森ぎふメディアコスモス、こんな名称なんですけれども、何かすごく中央区と似た感じもしまして、大変参考になると思って、早速、少し時間が経過したら視察に行ってきたいと思っております。またいろいろ御提案させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それから、子供の遊び場と公園の拡大ということであります。

 御答弁の中でも大変重要だという御認識をいただいておりますので、しっかり対応していただけるものというふうに思っております。当然、誰が考えても、限られた敷地の中で公園をふやしていこう、遊び場を拡大していこうというのは本当に難しい事業だと思っております。でも、むしろ、これまで定住人口の回復やまちづくりの中で環境、防災、福祉と取り組んできた実績があるため、私はできないことはないと思っておりますので、ぜひこれは力を入れていただきたいと思います。

 これも本文で申し上げたんですが、ニューヨークの空中公園のハイラインのお話もさせていただきました。世界の都市が、緑あるいはオープンスペースを確保することが大事なんだという時代なのかなと私は思っておりますので、やはり中央区は率先して取り組んでいただきたいというふうに思います。そして、質問の中に入れましたけれども、未来に残していける公園をしっかり整えていただきたいと思います。

 最後に、健康寿命の延伸についてでございます。

 御答弁を伺う中で、恐らく御担当の方々は一生懸命取り組んでいただいているなということを感じたところでございます。今回、会派で視察させていただいた藤枝市、大変勉強になったんですが、その藤枝市がなぜインセンティブの強化を進めたかというきっかけのお話が、実はあったんです。それは、平成二十四年に新東名高速道路の開通記念があったそうで、その中で、元気ふじえだ健康ウォーキングということをやったそうです。ふだん、藤枝市がイベントをやると、大体三百人から五百人しか集まらないところが、このときは一千八百人を超えて大変盛況だったということであります。そして、その十キロメートルを誰一人文句を言わずに走った、そういうイベントのようであります。このときに、やはり動機づけが大切だということに気づいたということでした。そういった意味で、本区ではいろいろな取り組みをされていますので、今でも十分さまざまな事業が充実していますけれども、さらにぜひ推進をしていただきたいと思います。

 それから、健康増進の取り組み、これも本文の中で七月に配布した冊子のお話もさせていただきましたけれども、大変わかりやすくて、誰もが大事だとわかっているんですけれども、やはりどう取り組めばいいのかというのがわからないと思うんです。今回の七月に配布した冊子は本当にすばらしいなと思っておりまして、活用していただきたいと考えます。本当は特に若い世代の方にも取り組んでいただきたいんですけれども、でも、御高齢の方を対象にとなっていますので、一つ工夫をお願いしたいのは、御高齢の方であればあるほど、誰かの体験を聞くと、ああ、そうか、自分も同じようにやればいいんだなということがすごく啓発されやすいところがあるのかなと思っておりますので、取り組んで成果が出た方のお話をいろいろなところで御紹介していただけるような取り組みもあわせてしていただいて、健康増進の取り組みにつなげていただければと思っております。

 以上申し上げまして、私の一般質問を終わります。大変にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時七分 休憩


     午後三時二十五分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十番志村孝美議員。

     〔二十番 志村孝美議員登壇

○二十番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 初めは、国会で緊迫している安保関連法案についてです。

 時事通信の九月の世論調査でも内閣支持率が三八・五%となったように、国民の支持が離れているにもかかわらず、安倍自公政権は日本を戦争する国に変えようとしています。これには、首相経験者や自民党の重鎮からも批判の声が上がっています。

 一方、安保関連法案の危険性についての理解が深まるにつれ、廃案を求める行動が、国会周辺で、全国で広がっています。八月三十日には国会を十二万人が包囲し、戦争法案は廃案に、憲法九条を守れと訴える参加者は、官庁街や日比谷公園にまで広がりました。私も参加しましたが、政治学者が二○一五年安保として歴史に残るかもしれないと評価するにふさわしい熱気を肌で感じてきました。

 安保関連法案は、国会論戦を通じて、自衛隊を戦闘地域にまで派兵して、非人道的兵器のクラスター爆弾や劣化ウラン弾、毒ガス兵器、核兵器まで含めた武器・弾薬や兵員の輸送など兵たん活動を行うこと、攻撃中の米軍機に給油もできること、戦乱が続いている地域での治安活動やアメリカ艦船防護のために武器を使用できるようにすること、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動してアメリカとともに海外での武力行使に乗り出すということなど、どれもが憲法九条のもとで許されない戦争法案そのものであることが明らかになりました。圧倒的多数の憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁判所長官など広範な方たちが憲法違反と断じています。参議院特別委員会の参考人質疑で、大森元法制局長官は、憲法の基本原理からの重大な逸脱と批判しました。合憲か違憲かの論争には、はっきり決着がついたのではないでしょうか。九月十五日に開かれた中央公聴会への公述人の応募は、過去最高の九十五人に及び、全員が反対の立場を示しています。

 参議院特別委員会では、政府答弁の混乱などによる審議中断が百十一回に達し、採決に向けた条件が整っているとは言いがたい状況です。直近の世論調査を見ても、今国会での成立について六割、七割の国民が反対し、政府の説明が不十分と答えた人が八割に上るように、国会審議を通じても国民の理解を得ることができていません。自民党の高村副総裁は、国民の理解が得られなくても成立させると発言しましたが、これは、政府・与党が国民を説得する立場も能力も持ち合わせていないことをみずから認めた敗北宣言と言えるでしょう。圧倒的多くの国民が今国会での成立に強く反対している法案を強行することは、日本国憲法の平和主義を踏みにじるだけでなく、国民主権の大原則を踏みにじる暴挙であり、断じて許されるものではありません。民主主義を破壊する独裁政治そのものです。

 さらに大問題なのは、自衛隊統幕長が昨年十二月に米軍幹部と会談し、国会を無視して、法案審議は来年夏までには終了すると約束したことです。四月に安倍首相が法案成立をアメリカと約束した数カ月も前になります。まさに軍の暴走です。憲法と国民世論を踏みにじって、アメリカの軍事戦略の一翼を担うための安保関連法案の成立に必死になっている安倍政権の姿は、日本がアメリカの目下の同盟国であることを証明しているものです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、安保関連法案は憲法違反であることが明白だと思いますが、いかがですか。

 第二に、政治的無関心と言われていた若い世代が動き始め、幅広い国民の中に広がり続ける反対の意思表示や行動は、これまでの日本になかった新しい変化と指摘する方もいますが、区長はどうお考えですか。

 第三に、国民の理解を得ることができていない法案を強引に押し通すやり方は、民主主義破壊の行為であると思いますが、いかがですか。

 第四に、今国会での強行採決は許されないと思いますが、区長の見解をお示しください。

 これまで、我が党区議団は、憲法九条や安保関連法案について、区長の認識を伺ってきました。その中で、看過できない発言があります。

 まず、第二回定例会の我が党の奥村暁子議員の安保関連法案に関する質問に対して、区長は、憲法は残ったけれど国が滅びたではいけないと発言したことです。区長、憲法九条があったからこそ、冷戦など今より厳しい世界情勢の中でも、日本は戦争に巻き込まれず、世界から信頼を得て国を守ってきたのではないでしょうか。一評論家が持論を述べるのなら自由ですが、区長答弁としてのこの発言は、憲法尊重擁護の義務、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うと明記された憲法第九十九条に抵触するもので、区長としての資格が問われるものだと考えます。

 また、区長は、日本周辺の安保環境の変化を挙げ、この法案を容認しています。中国などの脅威をあおり、戦争法案を押し通すためによく使われる説明です。しかし、岸田外相は、日本政府は中国を脅威とみなしてはいないと述べ、日中両国が戦略的互恵関係に基づいて安定的な友好関係を発展させるのは大変重要と答えているように、安倍政権さえも公式に中国を脅威とする根拠を示せないのです。

 アメリカ政府は、二月に発表した国家安全保障戦略の中で、中国への警戒は示しつつも、対決は避けられるものだという見解を示しました。米中関係は、経済、貿易の面でも、人的交流の面でも深い相互依存関係にあるからです。その点で、日中関係も同様です。貿易総額では日米間より日中間が大きく、日中関係は今後も経済依存を深める傾向にあります。将来の利害が一致する国同士が戦争するのは、世界の常識からも考えられません。確かに、中国と日本及び中国と東南アジア諸国との間には領土問題や軍事力強化などの緊張、紛争がありますが、海上自衛隊の艦船が乗り出すようなことになれば、軍事衝突は避けられず、最悪の事態になります。憲法九条を力に、あくまでも外交努力によって問題の解決を図ることが重要だと考えます。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、憲法は残ったけれど国が滅びたではいけないという発言は、憲法第九十九条に抵触していると考えますが、いかがですか。

 第二に、今でも中国の脅威に対抗するために軍事力が必要だと考えているのですか。

 第三に、憲法違反の戦争法案であることが明白となった安保関連法案は必要だとお考えですか。

 第四に、憲法九条に対する認識と、憲法九条を区政にどう生かしていこうと考えているのですか。それぞれお答えください。

 さて、戦争をするためには莫大な財源が必要となります。二○一六年度予算の概算要求で、軍事費は過去最大となる五兆九百十一億円となり、二年連続で五兆円を超えています。防衛省幹部が安保法案にも対応できる防衛装備品の購入が盛り込まれたと説明したと報じられていますが、戦争法案の内容を先取りするものです。このような軍拡予算は、周辺国の軍事力増強をさらに加速させるでしょう。抑止力の強化ということが言われますが、それは軍事対軍事の悪循環を生むだけで、戦争の危険性を増幅させるものです。実際に戦争するようになれば、軍事費はうなぎ登りにふえ、その財源として、社会保障の削減や増税など、区民生活に大きな影響を及ぼすことでしょう。国の今年度予算を見ても、介護報酬の引き下げや生活保護の削減などの社会保障費は約三千九百億円削減される一方で、約三千六百億円かけてオスプレイ十七機と関連装備を購入します。日本が戦争する国になることによる、区民生活への悪影響は必至です。

 そこで、区長にお聞きします。

 軍事費増強による区民生活や区政に及ぼす影響について、区長の見解をお聞かせください。

 次は、マイナンバー制度についてです。

 マイナンバーは、日本国内に住民票を持つ赤ちゃんからお年寄りまで全員に十二桁の番号をつけ、国が管理し、税や社会保障の手続きなどで使用する仕組みです。年金や税金、住民票などの個人情報を一本に結びつけることができるようになるのです。行政側からすれば、国民の所得、社会保障給付の状況を効率よく把握できる半面、国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするマイナンバーがひとたび外部に漏れ出せば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。十月の番号通知後、来年一月から税金事務、雇用保険などの事務で使用し、その後、健診情報や銀行口座などへの民間分野へ拡大されることになります。クレジットカードやポイントカード、健康保険証、運転免許などの資格証明などにも適用を広げることも検討されていますが、範囲を広げるほど情報漏れリスクは高まるとともに、さまざまな個人情報が個人番号で一括管理されることになります。国家が国民を管理する社会に移行するという点で、安保関連法案と同様に、日本の将来に大きな影響を与える制度です。

 日本年金機構から百二十五万件もの情報流出が発覚して、政府の情報管理への不安が強まりました。今月上旬、クレジットカードが長時間にわたって使用できなくなったように、システムトラブルによる広範囲な障害、被害も想定されます。政府は、分散管理や番号の暗号化によって、外部への漏えいや個人情報を引き出すことは困難だとしていますが、不可能だとは言い切っておらず、自治体や企業の安全対策も進んでいません。共同通信のアンケート調査でも、全国の市区町村の六○%が安全対策に不安を感じています。こんな状態で厳重な保管が必要な番号の通知を十月から始めることは、個人情報を危険にさらすことになり、情報が流出した場合、被害の大きさと深刻さははかり知れません。

 従業員や家族のマイナンバーを集め、罰則付きで厳格に管理することが求められている民間企業の対応も立ちおくれています。東京商工リサーチの調査によると、準備がおおむね完了と答えた企業は二・八%にとどまっています。特に、中小企業は業務の煩雑さや出費の重さなどに頭を抱えている状況です。

 内閣府が七月に行った世論調査では、マイナンバーの内容を知らない人は五六・六%で、情報漏えいや不正利用に対して不安を感じる人は、一月調査よりもふえています。簡易書留で送る通知カードが、施設入所中の高齢者など、二百万世帯以上に届かない問題も判明しました。国民の支持が広がらず、逆に不安が広がる制度の導入を急ぐ必要は全くありません。むしろ、マイナンバー実施中止の決断をすることこそ必要です。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、マイナンバーの内容について、区民の何割程度の方たちが理解していると思いますか。

 第二に、中小零細業者にとって制度導入に係る負担をどのように考えますか。

 第三に、システムダウン、情報漏えい、不正利用などは全く起きることはないという確信をお持ちですか。

 第四に、マイナンバー制度導入の中止を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、公契約条例についてです。

 公共サービスの分野では、官から民のかけ声のもと、多くの民間労働者が働くようになりました。官製ワーキングプアなど、公共サービスで働く労働者の労働環境悪化は、サービスの質の低下につながりかねません。

 二○○九年五月、公共サービス基本法が制定され、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするために、公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保、その他労働環境の整備に関し必要な施策を講じるよう努めることが規定されました。二○○九年九月に、千葉県野田市が全国で初めて公契約条例を制定し、その後、条例や要綱等による規定整備が全国の自治体に広がっています。

 また、二○一四年六月には、担い手三法といわれる公共工事の品質確保の促進に関する法律、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、建設業法が改正され、現在及び将来の公共工事の品質確保のための担い手の中長期的な育成と確保の促進、下請契約を含む請負契約の適正化、賃金・安全衛生等の労働環境の改善などが規定されています。公契約条例を制定すれば、労働者に対して公正な賃金が保障され、行政が労働環境のチェックに入ることができ、ひいては区民サービスの質の向上につながるという効果が期待されます。

 公契約条例は、契約自由の原則と民法五百三十七条、第三者のためにする契約に基づく、双方で約束し合うことに根拠を持つ行政法で、最低賃金法などの法律ではありません。双方の合意で成り立っているので、約束が履行されない場合、行政法の範囲内でペナルティーを科すこともできます。都心三区では、千代田区は二○一四年に制定し、港区では、公契約条例ではないものの、内容がほぼ同じの労働環境確保策が二○一六年四月一日以降に締結する契約から適用されることになっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、公共サービス基本法の制定や担い手三法の改正を受けて、公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保や労働環境の整備に関してどのような施策を具体化しましたか。

 第二に、公契約条例の必要性について、どのような認識をお持ちですか。

 第三に、公契約条例については、制定までのプロセスが重要です。事業者や労働者などの関係団体との協議や意見聴取をする必要性があると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、ウッドスタート・木育についてです。

 木のおもちゃは、木目をさわったときのぬくもり、音、におい、色、重さの違いなど、子供たちの五感に刺激を与え、大人には癒やしをもたらします。赤ちゃんが初めて出会うおもちゃ、ファーストトイに木のおもちゃは最適だと言われています。

 ウッドスタート・木育とは、感性豊かな乳幼児期からおもちゃを通じて木と触れ合い、子供を初めとする全ての人たちが木のぬくもりを感じながら、楽しく豊かに暮らしを送ることができるようにしていく取り組みです。それを自治体の施策として展開するときに行うのが、ウッドスタート宣言です。

 ウッドスタートを宣言するには、次の六つのプログラム、一、地産地消の木のおもちゃを誕生祝い品として新生児に贈る、二、木育インストラクターの育成、三、地域材を活用した子育てサロンをつくる、四、木のおもちゃのよさや楽しさを体験できる木育キャラバンを開催する、五、地域の木育推進を語り合う木育円卓会議を行う、六、東京おもちゃ美術館の姉妹館を設立するのうち二つ以上が必要となります。二○一一年に、新宿区は全国で第一号となるウッドスタート宣言をしました。新宿区には森がなく、地産地消で木のおもちゃをつくることが難しいのですが、友好提携都市である長野県伊那市でおもちゃをつくっています。

 中央区の森がある檜原村は、二○一四年十二月十八日にウッドスタート宣言を行い、檜原村で生まれたお子さんたちに、ヤマメやオオサンショウウオなどの檜原村の清流秋川に暮らす生き物たちをモチーフにした清流のモビールと積み木のセットをプレゼントしています。大きくなったら、モビールのひもを外して遊ぶこともできるそうです。村のさまざまな方が、伐採から製材、乾燥、そしておもちゃの制作まで全てを手がけたもので、まさしくメイドイン檜原村。清流のそよ風、ヒノキの香りを感じられる檜原村の木のおもちゃです。中央区でもウッドスタート宣言をして、中央区の森の木や檜原村の木でつくったおもちゃを赤ちゃんの誕生祝いとして贈呈するという施策は、檜原村の協力を得れば、実現が十分可能だと考えます。子供たちの健やかな成長に資するとともに、森の保全と活用、地場産業支援、地球温暖化対策にもつながる大切な施策になると確信します。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、木育についての認識をお聞かせください。

 第二に、中央区でもウッドスタート宣言を行うとともに、木のおもちゃを誕生記念に贈呈するなどの施策に取り組むことを提案しますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、抜本的見直しが求められる中央区のまちづくりについてです。

 党区議団実施の区民アンケートにおける「中央区のまちづくりについてご意見をお聞かせください」の設問に対して、「どこに行っても高いビルばかり。まちとして個性のあるまちづくりを」と願う声や、「どこまで再開発すれば気が済みますか。上へ上へと高いビルが建ち、日照時間はほとんどなくなっていくばかり。景観もごちゃごちゃ。上に立つ者たちの愚かな表現思考で、人は住み心地の悪い中に押し込められていきます」など、まちづくりの転換を求める声が寄せられています。

 中央区では、規制緩和による大規模開発が次々と進められています。現在、三十二件の事業が進行中ですが、将来を見通せば、まちづくりの抜本的な見直しが求められると考えます。規制緩和によって容積率が緩和されることは、事業者が土地代の負担なしに、追加された容積分の建物を建てることができるという、企業にとっては重要な利益拡大の手法となっています。そのため、企業への第二の開発補助金とも言われています。規制緩和は、中曽根民活以降、着々と行われてきました。

 ここで、規制緩和の流れを振り返ってみます。

 一九八六年、中曽根内閣のアーバン・ルネッサンス、民活政策は、都市再開発や宅地開発を促進させるために、都市計画規制を緩和して民間ディベロッパーに自由な活動の場を与えるものでした。つまり、企業利益優先、まちづくりにおける企業の主導性の強化が始まりました。一九八八年には再開発地区計画、一九九○年には住宅地高度利用地区計画、用途別容積型地区計画等の緩和型地区計画が導入されました。土地バブルの契機とも言われています。バブル崩壊後、不動産の流動化による経済の立て直しを図るため、二○○二年、小泉首相を本部長にした都市再生本部が設けられ、中央区では浜離宮を除くほとんどの地域が都市再生緊急整備地域に指定されました。この都市再生緊急整備地域内に、これまでの都市計画の適用を除外する都市再生特区を設定し、再開発を進めてきました。

 その上、さらに二○一三年、安倍内閣は、究極の規制緩和となる国家戦略特別区法を制定しました。国家戦略特区を定め、産業の国際競争力を強化、国際的な経済活動の拠点を形成するためとして、トップダウンで都市計画制度を破壊するものです。ここには、大胆な容積率設定等を盛り込んだ国際的ビジネス拠点プロジェクトを選定することがうたわれていますが、大手不動産やディベロッパーが提案したプロジェクトを選定する区域会議には、行政のほかに、三井不動産、三菱地所、森ビル、住友不動産、東急不動産、鹿島建設など大手開発企業が名を連ねています。自分たちでプロジェクトを提案し、自分たちで選定するという、まさにお手盛りの大企業支援策になっています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、都市計画における規制緩和は、住民よりも企業を優先したまちづくりになっていると思いますが、区長の認識はいかがですか。

 第二に、中央区のまちづくりは、規制緩和の拡大に沿ったものでなく、銀座ルールのような地域や住民を守る中央区独自の規制やルールをつくる方向で抜本的な見直しが求められると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 国家戦略特区の具体化は、中央区でも進んでいます。八重洲一丁目六地区と八重洲二丁目一地区は、国家戦略都市計画建築物等整備事業の認定を受けました。

 私は、七月二十七日の中央区都市計画審議会に出席し、その中で、八重洲一丁目六地区計画について、都市計画案の同意率が七三・七%と低過ぎ、反対する地権者がいるなど合意が得られていないのに、国家戦略特区にエントリーし、国家プロジェクトにすることによって企業の権限強化が図られ、財産権が奪われる地権者が生まれることなどを指摘し、反対の態度を表明しました。

 八重洲二丁目一地区については、国際競争力を強化の名のもとで、城東小学校の敷地を種地にし、学校を超高層オフィスビルの中につくる再開発事業について、計画の当初から参加すべき教育委員会が軽視されていること、子供たちをオフィスビル内に押し込むことによる医学的・教育的な悪影響が危惧されること、国際競争力強化のために子供や学校が犠牲になることなどの問題点を指摘し、同じように反対しました。

 そこで区長にお聞きします。

 第一に、区の財産である小学校を種地にして再開発を行い、その中に小学校を押し込むのは前代未聞の愚策だと考えますが、いかがですか。

 第二に、八重洲二丁目一地区の再開発について、教育委員会のかかわりの経緯と教育委員会での議論の内容を時系列に沿ってお示しください。

 第三に、保護者やPTAへの説明は、いつから、何回行い、どのような意見が出されているのか、お答えください。

 次に、六月に国家戦略特区にエントリーした日本橋兜町の再開発計画についてお聞きします。

 日本橋兜町のまちづくりは、バブル破綻によって金融街構想がお蔵入りになって以来、大きな進展なかったということですが、平和不動産が二○一四年五月に再開発の方向性を示した日本橋兜町街づくりビジョンを公表してから動き始めました。このビジョンで打ち出しているのは、人が集い、投資と成長が生まれる街づくりですが、その七カ月後の十二月に、投資と成長が生まれる街づくり協議会が発足され、今年四月には、平和不動産が打ち出したビジョンをもとにした中間報告を発表しました。そこには、三棟の超高層ビルが建つ図面が添付されています。それは、日本橋兜町の新しい主役を資産運用を中心とした金融人に置き、資産運用等を担う金融人材が育つ街づくり、外国人等の金融人材が住まう街づくりを提案した上で、政府の国家戦略特区制度を活用し、まちづくりがスピーディーに進行していくことを期待するというものです。

 この協議会のメンバーは、座長が、奥田碩トヨタ自動車株式会社相談役で、委員は、日本取引所グループや日本証券業協会、野村ホールディングス、みずほ銀行、十字屋ホールディングス、三菱地所株式会社などのトップや幹部といった、そうそうたる顔ぶれと平和不動産の代表取締役社長で構成されています。オブザーバーに吉田副区長が名を連ねています。自分たちの町が国家戦略特区にエントリーされたことを知った地元の方たちは、区に相談し、ことし八月に初めて兜町街づくり意見交換会を開いたという状況で、まさに地元軽視、大企業・財界主導のまちづくりとなっています。

 そこで、吉田副区長にお聞きします。

 第一に、日本橋兜町のまちづくりについて、これまで区は地元の意向をどのように把握し、まちづくりに生かそうとしてきたのですか。

 第二に、日本橋兜町のまちづくりは大企業と財界主導であると考えますが、いかがですか。

 第三に、吉田副区長が投資と成長が生まれる街づくり協議会のオブザーバーとなった経緯と、どのような役割と任務を果たしているのですか。お答えください。

 最後は、市街地再開発事業についてです。

 行政にとって、市街地再開発事業は、老朽化したマンションや木造住宅が抱えるさまざまな課題を一気に手早く解決できる都合のよい手法です。市街地再開発事業は、再開発によって大量につくられる売却益と補助金によって事業費を生み出すもので、ディベロッパーが再開発事業に参加する動機は、保留床から生み出される莫大な利益があるからです。

 行政が地域貢献などを理由に容積率を緩和して保留床をふやすことによって、その利益は膨らんでいきます。しかし、事業者が想定した収支のバランスが崩れ、支出が膨らみ、保留床からの企業利益が薄くなったとき、計画は行き詰まります。保留床の確保と処分・利用が事業成立の鍵となっているのです。建設費が高騰すれば、再開発事業の工事費も膨らむことになります。それを上乗せして保留床を処分することは、ほとんどできません。不動産市場が低迷すれば、保留床販売額は引き下げを余儀なくされます。

 現在、東京五輪の影響で建設費は高騰しています。一方で、中国の景気動向や株価低迷、そして、二○一九年問題といわれる東京五輪前後の不動産バブル崩壊の危険など、再開発事業を順調に進めるだけの好材料は見当たりません。吉田副区長も、ことし六月の委員会で私の質問に対し、増床型の再開発事業が通用するところはもう限られてきている、そういうことを全般的な状況として、これからどういうまちづくりをしていくのかということを考えなきゃならないと答弁しています。勝どき東地区の再開発事業は、現在、とまっているということですが、市街地再開発事業の行き詰まりが現実味を帯びてきているのではないでしょうか。

 また、市街地再開発のメリットとして地権者に説明されるのが、資金面での心配が要らないということです。しかし、再開発では、地権者が所有する土地財産に応じてビル床が与えられるという権利変換方式をとるため、保有していた土地の大半が失われてしまいます。新しいビルに住めたとしても、資金のかわりに土地を提供することで、まるで地上げに遭ったようだと言う人もいます。提供した土地が容積率の緩和によって多くの保留床を生み出し、ディベロッパーの利益になるからです。また、零細の土地権利者は、再開発ビルに入居することができなくなります。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、勝どき東地区の再開発事業がとまっている理由と、今後の見通しをどう把握しているのでしょうか。

 第二に、工事費高騰等の影響で中断している再開発計画はあるのでしょうか。

 第三に、区も認めているように、市街地再開発事業の手法は既に破綻の兆候が見え始めていると思いますが、その認識はいかがですか。

 第四に、中央区のまちづくりを、中低層の建物を中心とした個性あるまちづくりに転換することは可能だと思いますが、いかがですか。そのためにも、まちづくりにおけるさまざまな課題を、企業優先、経済優先ではなく、住民の立場で解決するための研究やスキルアップが行政に求められていると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、安全保障関連法案についてであります。

 国の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の命と平和な暮らしを守ることであります。安全保障関連法案につきましては、与野党ともにそうした基本認識のもと、これまで国会において多様な論点から審議が積み重ねられてきたところであります。現在、法案に関して憲法違反であるなど、さまざまな意見があり、そうした意見は、国会内にとどまらず、若い世代を含めた幅広い国民的な議論となっていることは承知しております。また、法案の内容や重要性については、いまだ国民の十分な理解が得られていないことも事実であります。安全保障政策は、国の専管事項でございます。国会や政府には、今後とも法案やその運用についてさらに慎重な審議や検討を進めるとともに、幅広い国民的な合意形成が図られるよう、より一層親切かつ丁寧な説明に努め、民主主義のルールに基づき適切に判断し、国の責任において真摯に取り組まれるべきものと考えております。

 次に、憲法の認識についてであります。

 憲法第九十九条は、公務員に対して憲法尊重擁護義務を課したものであります。さきの定例会での発言は、こうした義務を念頭に置いた上で、我が国の存立や平和と安全を守ることが何よりも大切であることを強調したものであります。また、近隣諸国との関係におきましては、相互の信頼と協力関係を深めるための外交努力や国際協調を進めることが最も重要であることは申すまでもありません。本区では、これまでも憲法の平和主義の理念を区政の根幹に据え、あらゆる施策を通じまして、戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴えてまいりました。引き続き、憲法を尊重し擁護する姿勢をしっかりと堅持し、二○二○年オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、児童・生徒を初めとする区民ぐるみの草の根外交を展開し、世界恒久平和への歩みをさらに加速してまいりたいと考えております。また、区民生活の安定を図ることは、区行政の最重要課題であります。今後とも、国の法令や予算が区行政に及ぼす影響を的確に見きわめ、区民福祉の向上に全力を傾けてまいります。

 次に、マイナンバー制度についてであります。

 初めに、制度に対する区民の認識度につきましては、国が本年七月に実施した世論調査において、「内容まで知っていた」という回答が半数近くとなり、前回一月の二八・三%の調査結果に比べまして認知度は高くなったものの、制度そのものを「知らなかった」と答えた方が約一割いたことから、いまだ十分には理解が得られていないものと認識しております。また、民間事業者には従業員から収集した個人番号の安全管理措置が義務づけられておりますが、従業員が百人以下の中小規模事業者には、管理体制やシステムのセキュリティー対策の整備について負担軽減につながる特例措置が設けられていることから、業務内容や規模に応じた周知が必要と考えております。区といたしましては、マイナンバー制度の内容について周知を図るため、新たに専用窓口とコールセンターを設置して各種の相談に対応するとともに、引き続き、町会や法人会などの区内の関係団体等の会合や研修に出向いて、制度の内容や民間事業者における適切な安全管理措置などについてきめ細かな説明を行ってまいります。また、これまでの情報セキュリティー対策に加えまして、システム運用に係るさまざまなリスクについて、特定個人情報保護評価に基づく安全管理措置を講じながら、職員への研修や委託事業者への指導監督などを徹底してまいります。今後とも、制度の円滑な導入に向け、個人情報の保護に最大限配慮しつつ、区民から信頼され、区民福祉の向上に資する仕組みとなるよう、万全を期してまいります。

 次に、公契約条例についてであります。

 本区では、これまで最低制限価格制度や価格以外の要素も評価して落札者を決定する総合評価方式の入札などを導入し、順次対象範囲を拡大することにより、労働者の適正な賃金や労働条件の確保を図ってまいりました。また、いわゆる担い手三法の改正を受けまして、本年四月からは、建設業の持続的な発展に必要な人材の確保等の観点から、本区発注の入札工事においては、元請業者と一次下請業者について、社会保険等加入業者に限定することといたしました。さらに、本年七月からは、区が発注する契約における適正な履行の確保と労働環境の整備に配慮した調達の推進を図るため、社会保険労務士会とも相談の上、労働環境チェックシートによる労働環境の確認を開始いたしました。今後とも、このような入札・契約制度の改善を進めるとともに、公契約条例につきましては、他の自治体の事例も参考にしながら、条例制定の効果や課題を研究してまいります。また、制定に向けた関係団体との協議や意見聴取は現在のところ考えておりませんが、労働環境の維持・向上のための方策につきまして、引き続き社会保険労務士などの専門家と相談してまいります。

 次に、ウッドスタート・木育についてであります。

 木育は、子供が育つ環境に木を取り入れることで子供の五感に働きかけ、感性豊かな心の発達を促すとともに、国産材の利用促進による森林業の活性化や地域の経済を潤わせる効用などがあるものと認識しております。

ウッドスタートについてでありますが、中央区の森から搬出される間伐材については、公園のベンチ、環境情報センターや改築小学校の内装材の活用のほか、エコまつりなどのイベントでは、子供たちが遊べる間伐材の積み木やワークショップでの木製貯金箱の組み立てなど、子供たちが木のぬくもりや香りが感じ取れる機会を積極的に提供しているところであります。また、中央区の森環境ふれあい村構想に基づき、檜原村産材のさらなる利用促進を協議しておりますが、今般、村がウッドスタート宣言を行ったことから、今後、区としての協力拡大について検討してまいります。

 次に、都市計画における規制緩和に対する認識についてであります。

 都心区として首都東京を牽引し、発展してきた本区は、国際化が進展する中、さらなる発展につながる国際都市東京にふさわしい市街地更新が求められております。こうした社会的な要請に的確に応え、住民の立場に立った地域課題の改善や地域環境の整備を図るためには、再開発など面的な整備は有効であり、従来の法規制の緩和が必要であると認識しているところであります。

 次に、まちづくりの見直しについてであります。

 本区では、まちづくりの主役は住民であるとの考えのもと、まちづくり基本条例などを通じまして、協議型のまちづくりを実践しているところであります。こうした協議型のまちづくりを進める中で、銀座におきましては、環境や景観に配慮したまちづくりを既に行っており、東京駅前地区や晴海地区などにおいても、住民との協議を重ねながら、目指すべきまちの将来像を共有し、地域ルールやまちづくりビジョンとして整理してきたところであります。今後も改善すべきところは改善し、守るべきところは守るといっためり張りあるまちづくりに取り組んでまいります。

 次に、八重洲二丁目一地区の再開発による小学校の整備についてであります。

 この再開発事業は、平成十四年九月に本区主催の東京駅前南地区まちづくり検討会を皮切りに協議が進み、今月中には都市計画決定が告示される段階にあります。再開発区域内にある城東小学校につきましては、築八十六年が経過し、校舎の老朽化に伴い、教育環境の整備が喫緊の課題となっております。そのため、再開発事業による同校の改築は、老朽化への対応はもとより、教育環境の向上、防災拠点を初め、地域の核としての機能の充実など、今後とも教育委員会と連携して取り組んでいくべきものと考えております。

 次に、市街地再開発事業についてであります。

 初めに、勝どき東地区の進捗及び工事費高騰の影響についてであります。

 勝どき東地区では、現在、再開発組合設立に向けた手続き中であります。この間、工事費高騰を踏まえ、都市計画の範囲内で建物計画の合理化を検討しておりまして、今後、着実に進められるものと認識しております。工事費高騰という現在の状況は、本区の全ての再開発地区に影響を及ぼしておりますが、中断している地区はございません。

 次に、市街地再開発事業の認識についてであります。

 本区では、民間投資意欲が高く、地方都市のように保留床の処分見通しが立たないといったおそれは少ないと考えておりますが、再開発事業は期間が長期にわたるため、社会経済状況の変化などに対して適切に対応することも必要であります。そこで、再開発事業の計画段階では、事業を取り巻く環境の変化に対応できる余裕のある計画づくりを指導しているところであります。

 最後に、中央区のまちづくり及び行政のスキルアップについてであります。

 本区は日本の文化・商業・情報の中心でございまして、日本を牽引する役割を有することから、区では、本区の歴史や文化を踏まえ、国際水準となるビジネス拠点や観光拠点の形成を図るとともに、まちの個性を生かした住み働き続けられるまちづくりを目指しております。規模の小さい敷地が多い本区におきましては、こうした目標を見据え、市街地更新に必要な都市基盤の整備や良質で多様な機能集積と都心居住を実現するためには、地権者の合意のもとで進められる再開発事業は有効であると認識しております。こうしたまちづくりを今後とも継続できるよう、行政としてのスキルを磨いてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

     〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 私から、日本橋兜町のまちづくりについてお答えをいたします。

 証券のまちとして長年発展してきました兜町でございますが、平成十一年に東京証券取引所の場立ちが廃止をされまして以降、大手町や丸の内方面へ証券会社の転出が続き、その後にワンルームマンションが建つなど、事態が進みまして、地域活力がちょっと低下をし、まちのアイデンティティーにも陰りが見えるようになってきたことから、何らかの対応が必要であるというのが私どもの認識でございます。そういう中で、地元町会においても同様な懸念と防災面の不安などについて話し合いが行われ、昨年度、区にオブザーバーとして参加要請があったところでございます。

区としては、証券業者に対して、兜町というまちの認識や将来像についてヒアリングを行うとともに、地元町会との連携を図るため、本年八月に意見交換をする場を設置したところであります。この場において、地元からは、兜町の歴史や証券取引所の立地をまちの強みとして大切にし、新たな兜町づくりを目指す必要がある旨の御意見をいただいております。こうしたことから、今後も地元協議を重ね、兜町地区にふさわしいまちの将来像を描き、実現に必要となるまちづくりの考え方を取りまとめていきたいと思っております。その上で、今後の開発計画に対し、適切な計画誘導と事業者への指導を行う考えでございまして、大企業と財界主導のまちづくりといった認識はございません。

 次に、投資と成長が生まれる街づくり協議会についてであります。

 本協議会は、兜町エリアの再活性化を通じて、日本の証券・金融マーケットの発展に資するまちづくりのあり方について協議するために設けられたものと認識しておりますが、その協議の場に地元区として、あくまでもオブザーバーとして参加の要請を受け、出席したものでございます。オブザーバーでございますから、特に役割や任務を担ったものではございません。

 私からの答弁は以上でございます。

     〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、八重洲二丁目一地区の再開発における教育委員会のかかわりについであります。

 まず、平成十八年三月の教育委員会において、城東小学校が再開発事業区域の対象であることを報告しております。また、平成二十一年五月の教育委員会において、同校は、東京駅前にふさわしい特色ある学校となるよう、まちづくりと連携した整備を検討していくことを位置づけた小学校改築計画策定調査報告書を説明し、理解をいただいております。さらに、平成二十四年六月の再開発準備組合設立以降は、その検討状況を報告しているところであります。

 次に、保護者やPTAに対しては、平成二十五年二月に、学校評議員やPTA関係者、近隣町会長を対象として再開発事業の中で校舎整備を行う方針と、それから理数教育の充実について説明し、理解をいただいており、保護者にも同様の説明を終えたところであります。今後は、都市計画決定後、校舎整備の方針やスケジュールが決まり次第、さらに具体的な説明を行ってまいります。

 答弁は以上です。

     〔二十番 志村孝美議員登壇

○二十番(志村孝美議員)
 再質問です。

 安保関連法案についてですけれども、安保関連法案が憲法違反であると思いませんかということで、一般論ではなくて、区長にこれは質問しているので、区長の答弁をお願いいたします。

 それから、国民の理解を得ることができていないことは事実だということで、丁寧に民主的に進めてという発言がありました。その立場であれば、昨日、この本会議場で安全保障関連法案の丁寧かつ具体的な議論を求める意見書を全会一致で採択いたしましたので、ぜひその立場に立って、今、国会は大変緊迫している状況でありますけれども、政府などに意見書、また要望書など、その可能性を追求していただきたいというふうに思います。その点についてお聞かせください。

 それから、憲法は残ったけれど国が滅びたではいけないという区長発言について、区長はそう思っていないかもしれないんですけれども、これは国が滅びてはいけないから憲法は変えてもいいんだみたいに私は受け取ってしまったんです。安全第一というのは、私がお話ししましたように、憲法があったから日本の安全は守られてきているということですので、いろいろな方たちがこういう言葉を使っていることも私は聞きますけれども、誤解がないように、そういう点では反省といいますか、発言については、ぜひ気をつけていただきたいというふうに思います。

 それと、マイナンバー制度なんですけれども、お答えがなかったのは、システムダウンとか情報漏えいとか不正利用、こういうものが全く起きないという確信をお持ちなのかという点で、全く起きないよというのであれば、その根拠も示していただきたいんです。この判断をお願いしたいんです。

 区も努力して安全対策をとっていますけれども、結局、今の時点での対策なんですね。悪いことをする犯罪者たちは先手を打ってくるということで、今安全だと思っても、システムに直接だけではなくて、さらにまたいろいろな形で犯罪者は区民に手を伸ばしてきますので、そういう意味で、安全対策が後手後手になる可能性があるんです。ですから、その点も含めて、そういうことは全く起きないんだという確信があるのかどうか。もし一抹の不安があるのであれば、やはり制度の導入中止もしくは、せめて百歩下がって、来年からの実施は、いろいろな体制がとれるまで延期すべきだと、そのようなことを国に求めたらいかがかと思うんですけれども、その点についてもお聞かせください。

 公契約条例ですけれども、いろいろ社会保険労務士の方たちとお話もしていくということですけれども、ぜひ関係者の方々と協議の場を持って、そういう協議をする中で、公契約条例の必要性も判断していただきたいというふうに思っています。いろいろ手を打ったとしても、やはり行政がチェックに入ること、それから一人一人の労働者の環境状況を把握するというようなこともできる。いろいろな自治体の例も研究するということで、都心三区だけ言うことではないですけれども、都心三区では中央区が残ってしまっているわけです。大企業が多いとか本社が多いとか、いろいろな点はあると思いますけれども、そういうものも学びながら、いろいろな方たちとの話し合いの場もぜひ持っていただきたい。これは要望させていただきます。

 ウッドスタートにつきましても、これは検討させていただくという話でしたけれども、そういう点で、地域材を持つ都心、都会の自治体というのは少ないと思うんです。中央区の森を環境対策として本当に先鞭をつけて、いろいろな対策を打ってきたという意味では、そういう成熟の上で、さらにこれからどう発展させていくのかということで、区長は御答弁されましたけれども、新しい時代に向けての一つのきっかけになればと思いますので、ぜひ実現に向けての検討をしていただきたいというふうに思います。

 それから、八重洲二丁目一地区ですけれども、教育長のお話を聞きますと、本当は学校敷地は行政のものだと言ってはおしまいなんですけれども、計画の最初から教育委員会がかんでなくて、後で報告を受けたのかなという印象を持ちましたので、まだこれはいろいろな形でこれから具体化していくと思うんですけれども、やはりこういう問題が教育委員会という、自立したというか、学校に対する責任を持った組織でもありますので、ここら辺がもうちょっとどうなのかと。これも本会議場だけでは明らかにできませんので、今後も議論を進めていきたいというふうに思っています。

 まちづくりについてです。

 きょう、日本橋兜町の再開発計画を取り上げたのは、結局、ディベロッパーが発案したものを、プロジェクト産業協議会、国的に言えばJAPICですけれども、地域の兜町プロジェクト産業協議会がいろいろつくって、計画がほぼ固まってから地元に説明すると。先ほど住民との協議を進めているというお話でしたけれども、そういう中央区のやり方がそういうふうに見えてしまうわけです。一つの再開発が、ディベロッパーの発案からプロジェクトの協議会があって、ある程度絵ができてから、住民の皆さんといろいろ具体化を進めていく。そこに規制緩和がある。容積率とか規制緩和で、まちづくりを促進していくという意味では、やはり企業が求めるまちづくりに行政が加担しているというふうに私には見えるわけなんです。

 市街地再開発事業が早晩行き詰まるということで、その先、どういうまちづくりを考えるかというのが行政の仕事だと私は思います。委員会で吉田副区長の答弁に、これから考えなくてはいけないとありました。そこで、吉田副区長に、今度そういう市街地再開発事業のやり方が行き詰まって、その先どういうまちづくりが考えられるのかお聞きします。私としては、人々の活動や触れ合い、コミュニティ、また安心・安全な生活ができる物理的な条件とか、緊密なネットワーク、そういうような、本当に住民のためのまちづくりが大事だと。そういうまちづくりというものを私は期待するんですけれども、そのためには大変知恵も必要であり、そういう意味では、市街地再開発が行き詰まった後のまちづくりについて、どういうものを考えているのか、これをお聞かせいただきたいと思います。

 以上で再質問を終わります。(拍手)

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。安全保障、安保関連ね。本当に大きな山場をきょう迎えているわけでございまして、そういう中で、昨日、区議会の皆様方が採択された意見書、本当によかったな、そういうふうに思うわけであります。専守防衛に徹するのである、それから他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないというのは当然で、非核三原則を守っていくということでありますし、そして何といっても国民の生命と尊厳をしっかり守っていく、国民の命と幸せをしっかり守っていくのである。さらに、万が一ということも、やはりいろいろと想定することも可であるということで採択されたということ、大変区長としても心強いわけでございます。今こういった中で、私、本当に両方の立場がわかるというか、憲法には違反しないという立場、論議もよくわかりますし、また違反であるという御指摘もなるほどと。元法制局長官だとか最高裁の長官であるとか、いろいろな御指摘を受けているわけでございます。私は憲法学者でもないし、私自身が区民の前で、これはどうだというほどの知識もございませんから、どうだああだと言うのは差し控えさせていただきますけれども、現憲法があって、そして戦後七十年、安全・安心でこれたという御指摘も本当にそのとおりだな、そういうふうにも感じるところでございます。憲法をしっかりと、これからも守っていく。そして、区民生活にこれを生かしていく。二十三区の区長といいますか、区の中で現憲法を区民生活に最大限に生かしている、それが本区であろう、こういうふうに自信を持って断言できるところでございまして、これからも区議会の皆様方と力を合わせて、そういう観点を忘れることなく推進してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。

 マイナンバー、そうですね。セキュリティーの問題等々ありますから、これは万全を期して、これからも取り組んでいくわけでありますけれども、人間生活ですから、漏えいであるとか、いろいろな御指摘も受けているわけでございますが、本当にそういうことのないように、不祥事が起こらないように、また誤りがないように、職員の皆様方と、これはもう法律でしっかりと定められているわけでございますから、周知を図るとともに、まだ一○%、一割の方々が知らないということでありますから、周知に努め、また内容の徹底を図る。セキュリティーの面でもしっかりとしてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。

 以上でございます。

     〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 私のほうから、まちづくりについてお答えをさせていただきます。

 議員の御指摘さまざまございますけれども、私どもとして、実は、こういうことだけははっきり申し上げたいと思いますけれども、私どもの区は都心区です。日本全国一律の法律や条例等で全体のまちづくりができる区ではございません。ですから、国で決めた、都で決めた、では区でやってくれ、同じようにやれ、あるいは国の議論で決まったんだから、それをやってくれということでできるところではありません。自分たち自身で工夫をしなければ、やはりまちづくりはできないところでございます。

 私どものまちづくりの本当の意味でのスタートは、私は、昭和六十年前後であったと思います。底地買い、地上げでまちが荒らされていったときに、私ども、人口回復という目標も目指しながら、まちづくりをスタートさせたわけでございまして、そのときに今の指導要綱の最初の形をつくっております。そのとき、現在の国土交通省、その当時の建設省に私自身が呼ばれまして言われたのは、末端の自治体が、この中曽根民活の時代に、何で住宅をつくれというような規制を入れるんだと。その当時、私はそう言われたんです。それでは我々に人口ゼロになるまで指をくわえて待っていろと言うのかと私どもは国に反論いたしまして、民間活力の活用とは何だと。民間活力の活用をする主体というものが基礎的自治体や基礎的自治体の住民であって、なぜ悪いんだということを国に働きかけ、それを認めさせてきたところが私どものスタートでございますから、大変恐縮でございますが、私どもは国の言うとおり、都の言うとおりということでは済まない形でこのまちづくりをスタートさせているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 その上で、例えば銀座ルールなどについては、現実の根拠がございまして、今、銀座のビルにまだ百軒程度残っていると思いますけれども、容積率制度が導入される以前に建った建物で、容積率が現実にオーバーしてしまっている。建てかえすると、現実に今よりも狭くなってしまうというところに、私どもは高度利用地区型の容積率制度を導入して、その際に、あわせて銀座ルールを定めて、そして銀座ルールの詳細化ということの中で高さや何かを整理したわけでございますけれども、そのときも、私はその景観について、例えば銀座では景観の問題も処置させていただいておりますけれども、景観というような、ある価値観を生む問題について、行政が何らか判断を下すべきではないと。あくまで景観については、どちらかというと、自分のまちにふさわしいのかどうかをまちの方々が判断すべきだ。行政が価値を創生するということになったら、これは戦前の行政と同じことになってしまうというふうに私どもは考えまして、こういう景観行政についても、基本的には地元のデザイン協議会に具体的な景観についてはお任せをしている。その部分は今の東京都の流れとも違います。景観審議会等を東京都は設けておりまして、そこの中で有識者という人が、この色は黒いとか白いとか言っておるわけでございますけれども、そういうことも私は入れたくない。どちらかというと、それは地元が決めるべきことだというふうにやっておりまして、その考え方を今後とも私どものまちづくりの中で貫いていきたいと思っております。

 再開発事業について、いわゆる行き詰まりがあるという部分については、私も申し上げているとおり、ある種の行き詰まりがあります。ただし、現実の問題として、まちづくりは巨額のお金がかかります。私どもの区の予算にも再開発補助金というのはかなり巨額にどんと出てきますけれども、実は補助金で担われている部分というのは、例えば住宅系でも全体の五分の一がいいところでございまして、その五倍は全体の事業費でかかっているわけです。その事業費をどう稼ぎ出すかということが、開発事業の仕組みの中ではやはり重要な部分でございます。この部分について、実は行き詰まりというのは、やはり本質的にあって、今、区長からも何度か申し上げましたように、基本構想の見直しもさせていただいておりますけれども、例えばこの行き詰まりの部分について申し上げますと、今までは、どちらかというと、月島地区などでは、開発をやってきたとき、その事業費全体を賄うための保留床というものを住宅でやってきた。だけれども、今、本当に住宅供給をこれから大規模にやっていいのかどうかというところも含めて、これはやはり考えなきゃいかん。見直しを含めて、まちづくりの用途の部分についても、基本的な見直しをしなきゃいかん。

 それと、もう一つ、これは大事なことだと私は思っておりますけれども、月島の路地長屋の風景は大変人間的な空間で、非常にいいというふうに外部には表現されるんですが、実はあそこの路地の中、十八軒の中、やはり二、三軒は既に空き家があるんです。その上に、老人独居がやはり五、六軒あるとかという状況があって、なかなか地区計画で個別に建てかえてくれという経済力が出てこない。では、そこを基本的に、それでは従来と同じように再開発型で全部ビル化してしまっていいのかどうか。これはやはり問題ですから、その部分については、また新たな知恵を使ってやっていかなきゃいかんわけですけれども、これは個人の資産にかかわるところですから、逆に、それに対して全面的に補助して、建てかえのお金を区が出すなんていうことは絶対できませんので、そこの組み立てをどうするかということ、それは全体の開発事業との関連をどうするかというようなことも含めて、知恵を使わなきゃいかん。そういう岐路に、今、私どもは立っている。その認識を持って、これから見直しをさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

     〔二十番 志村孝美議員登壇〕

○二十番(志村孝美議員)
 まず、まちづくりですけれども、やはり結局、吉田副区長もおっしゃっていますけれども、巨額のお金がかかるまちづくりを見直していくと。新しい知恵が必要だとおっしゃいましたけれども、そこを行政としてしっかり見ていく。例えば、中低層なら、そんなにお金はかからないとか、超高層だからかかるけれども、低ければ、例えば六階、七階というのはそんなにかからないとか言う専門家もいらっしゃいますけれども、そのようなさまざまなまちづくりなども今後研究していただきたいというふうに思います。

 あと、安保関連法案なんですけれども、区長にも意見書を評価していただいたので、ぜひ要望も出していただきたいと思うんですけれども、今の安保関連法案、戦争法案をめぐって、若い世代、本当に幅広い国民を政治に目覚めさせてくれたというふうに思います。

 八月三十日の集会、私も行きましたけれども、そこでSEALDsの二十二歳の寺田ともかさんという方がスピーチしたんです。私も感動しましたので、抜粋なんですけれども、それを読ませていただきます。

 安倍首相、私たちの声が聞こえていますか。この国の主権者の声が聞こえていますか。自由と民主主義を求める人たちの声が聞こえていますか。人の命を奪う権利を持つことを拒否する人間の声が聞こえていますか。全ての命には絶対的な価値があり、私は、それを奪う権利も、奪うことを許す権限も持っていません。この法案を許すことは、私にとって、自分が責任のとれないことを許すということです。それだけは絶対にできません。私は、この国の主権者であり、この国の進む道に責任を負っている人間の一人だからです。私の払った税金が弾薬の提供のために使われ、遠い国の子供たちが傷つくのだけは絶対にとめたい。人の命を救いたいと自衛隊に入った友人が、国防にすらならないことのために犬死にするような法案を絶対にとめたい。国家の名の下に人の命が消費されるような未来を絶対にとめたい。いつの日か、ここから、きょう、一見絶望的な状況から始まったこの国の民主主義が、人間の尊厳のために立ち上がる全ての人々を勇気づけ、世界的な戦争放棄に向けてのうねりになることを信じ、二○一五年八月三十日、私は戦争法案に反対します。

 このようなスピーチがありました。

 区長は、なかなか憲法についての判断に触れませんでしたけれども、この法案が、今、国会でどうなるかわかりませんけれども、万が一成立したとしても、これから闘いは続いていくと。日本社会に大きな変化、変革が起きる、そういうことも私は感じております。憲法違反が明白となり、立法の根拠も総崩れした法案を、国民大多数の反対の声にも耳をかさず、国会のルールさえ乱暴に踏みにじって強行するなどというのは、憲政史上最悪の言語道断の暴挙にほかなりません。

 日本共産党は、戦争法案を廃案にするために、最後の最後まで力を尽くします。そのことをお誓いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時四十九分 休憩


     午後五時十分 開議

○議長(鈴木久雄議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十七番森谷歩美議員。

     〔十七番 森谷歩美議員登壇〕

○十七番(森谷歩美議員)
 民主党の森谷歩美でございます。今回、民主党区民クラブの一人として、中央区の課題の中から、区長並びに関係理事者の方々に質問通告に基づきまして発言をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。なお、答弁の内容によりましては、あらかじめ再質問を留保いたします。

 初めに、本区における都市環境美化とマナーモラルに関する問題についてでございます。

 観光庁の発表によれば、円安ドル高となったことやビザの発給条件が緩和されたことなどを要因として、訪日外国人の旅行客がふえると同時に、旅行消費額は昨年同期と比較して八二・五%増加し、一・四半期として過去最高値を記録するなど、外国人による消費がふえ続けており、いわゆる中国人旅行客による爆買いと呼ばれる現象が日本各地で確認されております。本区においても例外ではなく、日本有数の商業地域である銀座、日本橋を抱えていることから、銀座地域においては観光ツアー客による大型電器店での炊飯器等の大量購入などが大々的に報道されているほか、銀座を代表する百貨店である銀座三越さんが免税店を設ける計画について表明するなど、東京を代表する商業、観光の名所であることを生かした訪日外国人の来街に対する取り組みを各事業者が行っているところでございます。

 しかしながら、例えば都内では、空港や大型商業施設を中心に、マナーやモラルに関するトラブルも相次いでおり、中央区の中でも、商業地域のみならず住宅地域の方でも、こういったトラブルの声を聞きます。中央区としても、観光客とのトラブル防止や環境美化の観点から、マナーやモラルに対する一層の啓蒙活動などといった対策が求められていると感じております。

 そこで、まず外国人観光客を対象としたマナー啓発施策についてです。

 これからも増加が見込まれている外国人観光客に対してのマナーやモラルの啓発は、文化圏の違いによる常識やマナーの違いといったことを鑑みますと、従来の日本国民を前提とした来街者対策とは異なる対応が必要と考えています。まちの環境美化などに対する意識も大きく異なることから、これまで以上の取り組みが必要だと考えています。大規模事業者の中では、独自に中国語を初めとした外国語のスキルを持ち合わせたスタッフの雇用や、外国語に翻訳されたパンフレットなどの制作を行う事例もありますが、中小事業者にはこういった余力はありません。個人経営の飲食店などにおいて、他店で購入した食品や飲料を断りなく食べ始めてしまっても、スタッフが言語の問題から注意ができなかったというケースも聞き及んでおります。

 そこで、お尋ねいたします。

 区として、外国人観光客の増加に対応したマナーやモラルの啓発事業について、特に自力での対応、取り組みに限界がある中小事業者への支援なども含めた、さらなる取り組みの必要性についてどうお考えか、具体的な計画などがあれば、それも踏まえてお聞かせください。

 次に、ごみのポイ捨てについてです。

 都市環境美化の観点から取り上げられることの多い、ごみのポイ捨てについても、マナーやモラルの問題の一つと言えます。中央区にもポイ捨てに関する条例があり、以前は定点観測によって、たばこの吸い殻のポイ捨てが減っているということがホームページなどでも公開されております。しかしながら、先ほどから申し上げている来街者の変化により、銀座かいわいでも、大型商品を購入した消費者による街路への買い物袋や段ボールの不法投棄などについて、区民から私に相談があるなど、都市環境美化の問題は異なるステージに入ったとも考えられます。

 翻ってみるに、諸外国では、シンガポールなどの先進国でも、公共交通機関での飲食や路上でのポイ捨てに対し、複数の外国語表記で罰則規制までを解説するなど、外国人であるかどうかを問わず、厳格な罰則規定の適用運用を行うほか、マナーやモラルの啓発には、言語に依存しないピクトグラムなどを利用して罰則規定を明示したサインを町なかに設けるなどの取り組みを行い、一定の効果が上がったとされています。今後、東京オリンピックに向けて、外国人来街者がふえることが予想されている点や、オリンピック会場などを含めた禁煙並びに昨今の歩行喫煙に対する各自治体の規制強化、禁煙運動の広がりなどを鑑みますと、中央区の取り組みのみならず、東京都、また国の施策と連携した効果のある取り組みの必要性もあると考えております。

 そこで、三点お尋ねいたします。

 まず、たばこの吸い殻ポイ捨てに関する定点観測について、中央区のホームページに記載されている内容によれば、以前は実施していたと承知していますが、現状でも実施しているのか、この状況について御説明をお願いしたいと思います。

 次に、中央区の歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例は、区民のみならず、外国人も含む来街者にも当然適用されるものではありますが、外国人を初めとする来街者の変化が起きている状況を鑑みても、十分に有効性がある内容とお考えでしょうか。

 また、同条例では、違反者に対して指導や勧告、場合によってはその内容についての公表を行うこととして、過料などの行政罰を含む行政処分については含まれていませんが、この内容で、外国人を含む来街者に対する対応としては、今後も十分とお考えでしょうか。

 この点につきましては、現状の効果効用の観点のみならず、将来的な観光客の増加や来街者の変化も含めて御回答をいただければと思います。

 次に、清掃活動ボランティアの方々によるごみ処理方法についてです。

 これまで申し上げてきた環境美化に対する自主的な取り組みとして、商店街などでは街路の清掃活動を行っている団体もございます。事業者の方々による草の根的な活動が、中央区の美化に一定の効果、影響を与えていることはすばらしいことです。しかし、こういった取り組みを行っている方々にお伺いすると、最近では、これまで多くなかった大型のごみ投棄なども見受けられるようになり、こういったごみについても放置するわけにはいかず、収集することが多いそうですが、これらのごみについても、事業主が収集して処分するということになると、事業系有料ごみとして処理されることとなり、事業主がごみ処理の費用を負担するという問題が発生します。

 この点については、ほかの自治体では、例えば北海道の札幌市では、ボランティアで行う清掃活動に対しては無料で回収するごみ袋を提供したり、東京都の渋谷区では、特定のごみ回収場に無料で持ち込むことができるなど、清掃活動ボランティアの方々をサポートする取り組みを行って、都市環境に取り組む市民団体の草の根活動を行政が支援しているケースも見受けられます。区内事業者の善意ある環境美化活動に行政が支援を行うことで、結果的に都市環境美化を区民や区内事業者レベルで完結できる取り組みとして、注目に値するものだと考えております。

 そこで、お尋ねいたします。

 自発的な環境美化活動に取り組む区内事業者のごみ処理費用について、事業者負担から区負担にして、都市環境に取り組む市民活動の支援の可能性について、区の御見解をお聞かせください。

 続きまして、人形町駅並びに水天宮前駅近隣に関する交通整備についてです。

 人形町駅周辺は日本橋地域の中心部でもあり、御存じのとおり歴史ある街並みであります。また、同様に、水天宮前駅は東京シティエアターミナル、いわゆるT―CATを併設し、羽田空港、成田空港を経由する遠隔地からの来街者にとって、文字どおり交通のターミナル、要衝となっている場所となります。この東京メトロ人形町駅と水天宮前駅との駅間距離は、直線距離にして約四百五十メートル、また最も近い出口である人形町駅A二出口と水天宮前駅八番出口は、距離にして約百五十メートルと非常に至近距離にあります。この二つの出口、交差点でいいますと甘酒横町の交差点と水天宮前駅の交差点との間は、この二駅間の乗りかえのときにも必ず地上に出る必要があり、利用者の利便性で評判がよろしくありません。人形町かいわいでの私のほうで開催したタウンミーティングでも、雨天時の移動などから、この近距離の二駅間の地下道をつくることはできないのかという質問要望がございました。

 そこで、お尋ねいたします。

 甘酒横町、水天宮前各交差点間の道路については、区道であると承知しておりますが、地下鉄駅を連結させる地下道の整備について、これまでに同様の検討がなされたことがあるか、また現状における区としての御見解をお聞かせください。

 次に、人形町駅は東京メトロ日比谷線と都営地下鉄浅草線とがありますが、このうち東京メトロ日比谷線にのみつながる水天宮前方面の出口にはエレベーターがなく、足腰の悪い高齢者の方や障害がある方も、わざわざ人形町交差点まで移動した後に、エレベーターに乗って移動しなければならないという状況にあります。バリアフリー化については、エレベーターの設置が行われているかどうかだけではなく、その場所や利便性も考えるべきであり、区民の利便性を考慮すべきだと考えます。これまでも、区内ではバリアフリーに対する取り組みが幾つかありましたが、区内におけるバリアフリー化については、今後の人口動態の変化などを考えれば、さらに強化していかなくてはならない問題でもあり、区全域について総合的に見直し強化を行っていく必要があるものと考えております。

 そこで、お尋ねいたします。

 人形町駅におけるエレベーター設置場所に関して、バリアフリーの観点から、現状が適切かどうか、区のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 最後に、花火大会についてお聞かせいただきたいと思います。

 今年度の花火大会は無事終了しましたが、来年度以降の花火大会について、区民の方から問い合わせをいただくことが多くあります。東京湾大華火祭は東京都を代表する花火大会であり、多くの方がその動向を気にしているところではありますが、東京オリンピックの開催に伴う工事の関係から、来年度の開催については調整中であるという認識を持っております。東京湾大華火祭は中央区主催であるところ、区民のみならず、東京都民、また全国から観光客が来場する全国有数の花火大会であり、ガイドブックなどにも掲載されていることから鑑みれば、来年度以降の開催方針などについて早期に広報周知を行うことが望ましいと考えております。

 そこで、お尋ねいたします。

 東京湾大華火祭の来年度以降の実施可否について、現時点で決定した事実があるかどうか、また決定していない場合には、最終決定がいつか、その場合の広報周知の方法はどのように行われるのかをお聞かせください。

 また、今回の東京オリンピック関連工事に伴う東京湾大華火祭の開催可否に関する検討並びに判断は、東京オリンピック開催までの一時的な対応についてであり、長期的にはこの東京湾大華火祭を再開させるという方向性だと承知しております。

 そこで、お尋ねいたします。

 東京オリンピック開催後の東京湾大華火祭について、区としてあるべき姿はどのように考えているか、区としての考えをお聞かせください。

 以上で第一回目の私の質問を終わります。

     〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 森谷歩美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、外国人観光客に対するマナーやモラルの啓発についてであります。

 観光スポットが集積する本区におきましては、外国人観光客の増加は顕著であり、地域経済の活性化に大いに寄与しているところであります。一方、文化や生活習慣の違いなどから生じるトラブルを懸念する声も出てきており、大変重要な問題と認識しております。しかしながら、短期間で広範囲を移動する外国人観光客に対し、日本の生活習慣やマナーを周知するには、区単独ではなく、国や東京都による広域的な取り組みが重要でございます。また、来日された方が日本への理解を深めつつ、トラブルなく観光を堪能していただくためには、訪日前を捉えた母国での啓発活動も効果的であります。そこで、現在、日本政府観光局は、観光に関する情報提供の一環として、中国語によるホームページを活用した日本のマナーの紹介やパンフレットの配布など、現地に向けた周知活動を開始いたしております。今後は、このような政府観光局の取り組みや国・東京都の動向を注視しつつ、中小事業者の窓口となる観光協会、商店街連合会を初めとする区内各種団体と連携しながら、区としてどのような対応が可能なのか、効果的な方策を研究してまいります。

 次に、歩きたばこ及びポイ捨ての取り組みについてであります。

 本区では、たばこの吸い殻や空き缶等のポイ捨てのない清潔な地域環境を確保することを目的に、平成十六年、中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例を制定し、これまで街頭キャンペーンや立て看板の設置を初めとする各種PR活動を実施するとともに、ポイ捨て等の多い交差点、駅周辺を重点的に巡回指導するなど、まちの美化活動を推進してまいりました。こうした取り組みにあわせて、吸い殻の調査を継続的に実施しており、主要交差点六地点における吸い殻の数は、条例施行前の二千七百三十三本に対しまして、施行後、大幅に減少して、平成二十六年度の調査では五十八本となっております。

 次に、外国人を初めとする来街者への対応についてであります。

 外国人につきましては、歩きたばこやポイ捨てを禁止する絵表示や英語併記の路面シートの貼付、パトロール員による直接指導などを行ってまいりました。これによりまして、条例の周知や理解が図られているものと認識しております。

 次に、将来的な外国人観光客の増加や来街者の変化の対応についてであります。

 二○二○年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、本区には、国内外から多くの来街者が訪れると考えられることから、一層の条例周知や喫煙モラル等の向上を図る必要があります。このため、現在、英語、中国語、韓国語による多国語併記の路面シート等の貼付やパトロール時の多国語によるチラシの配布などを検討しているところであります。また、今後におきましても、区民や事業者等と連携したクリーン活動やおもてなしの心を持った街頭キャンペーンの実施などを推進し、清潔で美しいまち中央区の実現を図ってまいる所存であります。

 次に、区内事業者の自主的環境美化活動の支援についてであります。

 本区は、平成十年、クリーン・リサイクル中央区宣言を行い、クリーンデーやまちかどクリーンデーなど、区民、事業者、区が一体となった美化活動を通じて、快適で清潔なまちづくりに取り組んでまいりました。こうした中、区内の事業者による事業所周辺の道路や公園などの清掃を行う自主的な活動も増加している状況であります。区民や事業者の自主的な清掃活動で一時的に排出されるごみにつきましては、ボランティアシールの交付制度があり、区において廃棄物処理手数料の免除を行っております。このため、今後、この制度の周知に努めながら、区民や事業者による環境美化活動のより一層の促進を図ってまいります。

 次に、人形町駅と水天宮前駅間の地下道の整備についてであります。

 地下道の整備につきましては、人形町通りが幹線道路であることや、沿道が商業地であること、また道路下の埋設物の状況や費用面などから、難しいものと考えております。また、基本的に、駅と駅を連絡する地下道については、鉄道事業者が整備するものでありますが、東京メトロにおきましても、計画は持っていないと伺っているところであります。

 次に、エレベーターの設置場所についてであります。

 公共交通機関の骨格をなす鉄道駅は、区民生活にとって重要な社会基盤であり、バリアフリー化の推進は社会的にも急務の課題であります。東京メトロでは、バリアフリー新法に基づき、これまで駅のバリアフリー化を推進しており、人形町駅におきましては、地上から改札階を結ぶエレベーターが二基整備されており、バリアフリー経路が確保されております。さらに、区では駅のバリアフリー化の一層の推進を事業者に要請しており、現在、東京メトロでは水天宮前駅方面にエレベーターの増設工事を検討しているところであります。

 次に、東京湾大華火祭についてであります。

 ことしで二十七回目を迎えた東京湾大華火祭は、日本を代表する夏の風物詩として、区民、都民はもとより、多くの方々に楽しまれている一大イベントであります。来年度以降の華火祭につきましては、関係機関や地域の皆様、事業者等で構成する実行委員会において決定されるものでありますが、晴海地区において東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村の整備工事が行われるため、その工事期間中の休止はやむを得ないものと考えております。そのため、実行委員会を例年より早い年明けには開催し、主催者として決定いただいた内容を区のホームページなどを通じてお知らせしてまいります。選手村は、競技大会後には住宅に転用されることから、区内の観覧スペースが大幅に減少することは避けられない状況でありますが、区といたしましては、再び東京湾を会場に、首都東京の誇りともなる大華火祭の開催を目指し、東京都や関係機関、周辺区に積極的な協力を求めてまいります。

 答弁は以上であります。

     〔十七番 森谷歩美議員登壇〕

○十七番(森谷歩美議員)
 それぞれの質問に御答弁ありがとうございました。

 まず、都市環境美化とマナーモラルに関する問題についてお伺いしましたが、前向きな御答弁ありがとうございます。

 この問題は、中央区のみならず、多くの自治体で現在取り上げられている問題でもあり、今後も同様の課題が積み重なっていくものと考えております。その中で、来日外国人による購買の多い中央区の取り組みは、区内外から注目を浴びているものであり、持続的な取り組みが必要と考えておりますので、ぜひとも将来性と継続性のある取り組みを実施していただきたいとお願いします。

 また、自発的に都市環境美化に協力いただいている事業者の方との意見交換を通して、官民協働での都市環境美化への取り組みの必要性について、その役割分担も含め、定期的に実施体制のチェックが必要だと考えております。来街者の変化や交通状況の変化といったものを加味しながら、都市環境美化の計画運用についても、定期的な見直し、また、こういった自発的に取り組む区民や区内事業者と情報交換、意見交換なども積極的に行っていただきたいという点を申し添えさせていただきます。

 次に、人形町並びに水天宮前駅近隣に関する交通整備についてお伺いしましたが、中央区内の交通整備については、来日外国人観光客を初めとする観光客の増加という昨今の状況を鑑みて、柔軟性のある取り組みが必要だと考えております。区のほうからも能動的な情報収集や区民、事業者に対するヒアリングなど、区民の意見として東京メトロに働きかけなども検討していただければと思います。

 最後に、東京湾大華火祭についてお伺いしましたが、本件は、区民のみならず都民、また他県からも楽しみにやってくる来街者の多い、中央区を代表する催し物の一つでございます。こういった多くの方々に愛されてきた花火大会であるということを再度御認識いただきまして、今後についての広報周知の徹底をお願いしたく思います。今後のあり方については、東京都並びに近隣自治体と協議をいただき、適切なあり方について模索していく必要があると思いますから、その点につきましても、区民、区内事業者を初めとした関係者へのヒアリング等々を含めまして、ぜひ広い視野から、そのあり方や可能性について再度検討いただければと思います。

 以上にて質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明十八日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(鈴木久雄議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明十八日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後五時四十二分 散会


署名議員
議長 鈴木 久雄
議員 木村 克一
議員 渡部 博年

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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