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平成28年 決算特別委員会(第9日 10月12日)

1.開会日時

平成28年10月12日(水)

午前10時30分 開会

午後4時32分 散会

2.開会場所

第一委員会室

3.出席者

(16人)

委員長 石島 秀起

副委員長 田中 広一

委員 中嶋 ひろあき

委員 礒野 忠

委員 木村 克一

委員 富永 一

委員 田中 耕太郎

委員 佐藤 敦子

委員 中島 賢治

委員 小栗 智恵子

委員 加藤 博司

委員 渡部 博年

委員 小坂 和輝

委員 原田 賢一

議長 押田 まり子

副議長 石田 英朗

4.説明員

別紙理事者一覧のとおり

5.議会局職員

田野議会局長

小暮庶務係長

荻原議事係長

東調査係長

秋山書記

桝谷書記

鎌田書記

黒須書記

6.議題

  • 議案第66号 平成27年度中央区各会計歳入歳出決算の認定について

(午前10時30分 開会)

○石島委員長
 皆さん、おはようございます。ただいまより本日の委員会を開会いたします。

 それでは、総括質疑について、質問者の発言を願います。

○渡部(博)委員
 それでは、総括質問をさせていただきます。

 この決算特別委員会を通じて、不用額等の中身を随分聞いてきたわけですけれども、大きいのは需用費だとか委託料、工事の関係で契約差金が多かったということでお聞きしながらも、なおかつ、小さいところでいけば日々のコピー代の縮減だとか、いろいろなことも含めて日々努力されて、経費節減について努力されてきたということは理解し、不断の努力をこれからも続けていっていただきたいなというふうに思っております。

 その中で1つだけ、言ってきましたけれども、経費節減で契約差金が多く出るというところで、安かろう悪かろうというものにならないように、しっかりチェックをしていただきながら、チェックをしたことで、しっかり区民の皆さんにいいものを提供していけるように、これからも努力をしていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、質問させていただきたいと思います。

 平成12年の国勢調査では7万2,526人、平成17年では9万8,399人、5年間で2万5,873人ふえた。平成22年の国勢調査では12万2,762人、平成17年から2万4,363人ふえた。平成28年10月1日で14万8,283人で平成22年から2万5,521人ふえた。いろいろ統計が出されている中で、高齢化率は低いと言われておりますけれども、高齢者の人口はふえているということも皆さん御承知のことです。2025年問題も後期高齢者医療に団塊の世代の方々が入るということで、もっといろいろな形で高齢化のものについては大変なものが迫っているということで、今の推計では高齢人口は平成30年には2万4,000人強です。平成32年には2万4,950人。

 それと、中央区というか、都心に多く見られるように、子供が多く生まれている。ゼロ歳から5歳の保育ニーズということで、平成28年で9,145人ぐらいだろうと。年次は高齢者とは違いますが、平成31年には1万人を超える。平成37年には1万4,000人を超えるという状況の中で、この間、27年度も保育所、認証、認可を含めて大きく拡大されているということと、保育ニーズだけではなくて、教育環境のところでも学校の増設、新築、改築ということで、今、急ピッチでされている。現状では足りている部分ではあるのかもしれませんけれども、その対応が間に合うかということを心配しているところであります。

 先ほど言った高齢化の話についても、高齢者の施設については、平成28年度の予算でありますけれども、小規模多機能だとか、いろいろなことも含めて対応をしている。障害者の関係についても、いろいろなサポートをする形がとれてきているということでありますけれども、先ほど言った平成28年の時点で人口が14万8,000人ということで、急激な人口増に対して区が行う社会的な施設の整備が追いついていないのが現状ではないかと思っております。

 ほかの委員も言われておりましたけれども、施策の基本の一つであります人口の推計を適時行う必要があるというふうに思っているわけです。なぜこういうことを言うかというと、基本計画2013のときに人口推計を出されておりましたけれども、その間、ほっといたというのは大げさかもしれませんけれども、人口推計をやらなかったのではなかったのかなというふうに思っている部分があります。そういうところの反省も含めて、人口推計を適時、1年とは言いませんけれども、最低でも2年、3年の間に行うということも含めて、条例改正だとか、そういうものも含めて、そういったときにしっかりやっていくということをお願いしたいと思います。その辺のところをまずお聞きしたいなと思います。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 人口推計の今後のやり方等の質問でございます。

 今回、平成28年1月1日時点の人口推計を出させていただきました。現在、基本構想の策定中ということでございまして、平成28年1月1日の人口推計をもとに、今後の20年の将来像を検討しているところでございます。今、委員御指摘のとおり、人口推計につきましては、今後の10年間につきましては、1年おきの数字、本区の人口、それから人口構造、子供のゼロ歳児の数を公表しているわけでございまして、今度は平成29年1月に、その数字がどうだったか確認する機会も一つ来るのかなと思っています。まだ、平成29年1月は基本構想策定中ということもございますし、また、人口推計の数字自体も、係数の出し方、それから、今、トレンドが大きく変わってきているということも見られますので、その内容等につきまして一度検証する必要もあるのかなということで、今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○渡部(博)委員
 ありがとうございます。

 主要なところは、今までも出されていた部分は理解しているところですけれども、人口の年代とか構成も含めて、これからしっかり出してもらいながら、そこの流れでどういったものが区の政策として必要になってくるのかということが、ある意味、見えてくる部分というのが、人口構成の中で年齢別だとか生産人口とかいう形もありますけれども、そういったところも含めて、やはりしっかり見きわめていかないといけない部分というのは、今までと違う形でしっかりやっていかなきゃいけない部分があるんだろうなというふうに思っております。今、基本構想審議会の最中で、資料として、いろいろ出されていくということも含めて、見させていただきながら、区の施策と照らし合わせて、これからもチェックをしていきたいと思いますので、しっかりとした人口推計の出し方も確立していただきながらやっていただければありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 もう一つ、そこの中で、今の学校だとか、いろいろな施設で急ピッチに進めているものについて、現状では足りているのでしょうが、平成27年までやられてきた改修によって、今後何年まで人口の増、子供たち、また高齢者の関係で対応し切れていくのかということをお知らせいただければと思います。

○斎藤学務課長
 小学校の増改築についてでございます。

 現在、6校の増改築計画を立てて、順次進めているところでございますが、これが完成しますと、当面の間大丈夫だろうと考えています。当面の間というところは、これからの短期的な推計もあわせてやっていかなければいけないんですけれども、今の時点では10年間ぐらいはもつというふうに認識をしているところでございます。

 以上でございます。

○古田島高齢者施策推進室長
 もう一つ、高齢者の施設についてのお尋ねがございました。

 御案内のとおり、今年度については、認知症グループホームあるいは小規模多機能型居宅介護事業所、サービス付き高齢者向け住宅を、湊二丁目及び勝どき五丁目に整備していくわけでございます。それ以前には特別養護老人ホームについても、平成25年度以降、84床の増床をしたという形の中で、現在、申込者も、いわゆる待機者ですけれども、大分少なくなっているという状況でございます。3地域ごとに地域密着型の特養あるいは認知症グループホームも、まだ特養については、今後整備の予定もございますけれども、整備ができるという状況の中で、ある程度地域のニーズは満たしている状況かなというふうに思ってございます。もちろん、今後の高齢者の増に伴って、まだまだ居宅系の施設や入所系の施設の不足が予想されますので、適宜的確に判断しながら、いろいろな手法も工夫しながら整備を図ってまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

○渡部(博)委員
 ありがとうございます。

 学校の関係については、これからまだ大規模再開発も含めていろいろあるわけですから、当面の間ということだと思いますけれども、オリンピックの後には小学校、中学校も整備されるということで、そこで一旦落ちつく部分もあるのかなと。そこには大規模な保育所も含めて整備をしていくということで、オリンピック終了後1年、2年ぐらいかかるんでしょうかね。そのころには、ある一定のものについては確保されていく部分というのはよく理解しているところですけれども、以前、豊海幼稚園の園児が多くなって、授業のやり方も含めて、午前、午後だとか、時間をずらしてだとか、いろいろなことがあったことも記憶にあります。大きな開発があると、そういったことも必然的に起きてくる可能性もあるわけです。どういった方々が入ってくるのか、先ほど言ったものは推計でありますから、なかなか難しい部分があるとは思いますけれども、そういったものを基本として、しっかり対応していっていただければと思います。

 高齢者の施設については、潜在的な在宅の方、また在宅で介護度の高い方もいらっしゃって、頑張って介護を家でされている方たちもいらっしゃるわけですので、今度は施設の申込者だけではなくて、そういったところのニーズも含めて、しっかり把握をしていただいて、対応していただければありがたいなと思います。

 もう一つ、基本構想、基本計画、単年度の予算といろいろある中で、施策をやっていく以上、やはり財政的裏づけが必要になってくるということで、基金の関係を見ましたら、平成27年を平成23年と比較すると、施設整備基金については92億7,367万9千円の減、教育施設整備基金は22億832万5千円の減、財政調整基金に関しては29億5,386万7千円積み増ししているということでありますけれども、この間、平成23年から27年の間にはいろいろな施設をつくったりしてきたということも含めて、施設整備、教育施設整備、こういうものが基金として減ってきているわけだろうというふうに思います。

 そこで、人口がこれだけふえてきた中で、これから施設の部分についても、人口の関係も含めて推計をしていくということでありますけれども、予算規模について、これも平成27年を23年と比較すると、歳入が167億7,908万3千円ふえて、歳出が146億2,140万3千円ふえている。財政力指数は0.7付近を動いている。0.7というのは健全な域だというふうに言われているわけですけれども、新基本構想を策定する過程でありますけれども、パブリックコメントも含めてやるということでありますが、基金の減、予算の増、人口の増というところで、こういった中でいくと、施設、教育、財政の膨らみというんですか、単年度予算の膨らみというものも含めて、今、予算編成に入っていらっしゃると思いますけれども、新しい基本構想を構築していく中で、どういうふうな形で財政的な裏づけを確立していくのかというのもお知らせをいただければと思います。

○濱田企画財政課長
 予算規模について、何回か述べさせていただいておりますけれども、やはり本区の特徴といたしましては、今、委員からも御紹介いただきましたように、投資的経費の動向が大きく予算規模に影響するといった特徴がございます。経常的経費につきましては、経常収支比率が今回73.1%ということでかなり改善しているということで、数字上はでございますけれども、通常の財源のほうで十分賄えているのかなと受けとめているところでございます。

 そうした中、投資的経費ということが今後影響するわけでございますけれども、今般見直しに着手いたしました本の森ちゅうおうですとか、阪本小学校の改築、あるいはもう少し先にいきますと、オリンピックの選手村の後のまちづくりに向けた基盤整備等々、まだまだ投資的経費がこれからふえていく要素があるわけでございます。ただ、近年の動向を見てみますと、平成27年度が一つのピークでございました。築地魚河岸と豊海小学校等の改築が重なりました平成27年度がピークで、平成28年度予算につきましては、施設整備に関する経費は、平成27年度の140億円から70億円ほどに減っているという状況でございます。

 そうした中、今後、先ほど御紹介しましたような施設整備が続いていくわけでございまして、幸いにも主要3基金の蓄えがまだ407億円ほどございます。また、この間、区債等も活用しながら何とか基金を温存してきたということでございますので、今後また区債とうまく組み合わせをしながら、財政の平準化あるいは中長期的な視点に立った持続可能な財政運営を心がけていくということで考えているところでございます。

 以上です。

○渡部(博)委員
 基本構想について、今、まだつくっている最中でありますけれども、基本的にそういった考えをしっかり持っていただきながら、これから出されていくであろう基本計画も含めて、財政的な裏づけがないと、しっかりしたものにならないだろうなというふうに思っております。これからオリンピック後のまちづくりのときに一番大きくお金が動いていく部分は学校の整備、土地を買えというのか、どうなのかということも含めて、どういうふうになるかわかりません。いろいろなことも含めて、今、まだ見当もつかない部分はあるわけですけれども、財政当局には、主要3基金を含めて、しっかり対応していただくということが重要かなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 きのう、新基本構想の審議会があって、私も参加させていただいて、いろいろ御意見等も出ておりました。私はきのうは発言しませんでしたが、新たに中央区民になられた方もそうですし、以前から長く住まわれている区民の方もいらっしゃるわけですけれども、こういったときに区としての考え方をしっかり示していくというのは必要だろうなというふうに思います。基本構想もそうですが、中央区の4宣言というのがありますよね。これも一緒に中央区民全体にもう一度知らせていくということが必要なんだろうと思いました。きのうの資料の中には4つの宣言はさらっとしか書かれていませんでしたけれども、こういった時期を捉えて、4つの宣言も広く区民全体にもう一度知らしめていく。その上で基本構想のパブリックコメントも受けていくということが必要だと思うんです。その辺の考え方についてお知らせいただければと思います。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 中央区の4つの宣言の質問でございます。

 4つの宣言につきましては、中央区平和都市宣言、太陽のまち中央区宣言、花の都中央区宣言、クリーン・リサイクル中央区宣言ということで、昭和後半から平成にかけて宣言されていったものでございます。こちらにつきましては、基本構想を策定する中でも、本区の基本的な考え方ということで、4月に開催した第1回の3つの専門部会の資料の中にも入れさせていただいております。その資料は、本区を取り巻く社会経済情勢と新たな課題、方向性についてということで、各委員にも部会の冒頭で4つの宣言がありますということで御紹介させていただいて、それを踏まえて、これまで委員の方たちに議論していただいてきたところでございます。その基本的な考え方に基づいて、基本構想、基本計画、それから個別の計画という意識につきましては、委員の中、それから事務局等も含めて、持っているのかなというふうに考えております。

 今後、パブリックコメントを実施するにあたっての4つの宣言の区民への周知ということでございますけれども、こちらにつきましては、どういった形で区民に知らせていくのか、今回のパブコメの中でやるべきなのか、また違う方法で周知していくのか、各関係部署と相談、協議しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○渡部(博)委員
 調整しながらやっていただくのは結構ですが、今、14万8,000人、これから15万人になろうとしている中央区の人口の中で、新たに住まわれている方が結構いらっしゃるということで、4つの宣言というのは昭和の後半から平成の初期にかけてというお話もありましたので、長く住まわれている方々も若干薄れている部分があるんじゃないかと。中央区の基本というのはこういうことですよと、4つの宣言と基本構想とセットで考えていくということは、私も基本構想審議会に出ていましたから、紹介があったということはよくわかっていますが、そうではなく、区民の皆さんにどうやってそれを理解していただいた上で、基本構想だとか基本計画だとか単年度予算につなげていく、もっとそういうところで区民の人たちに興味を持っていただくということのほうが大切なのではないのかなというふうに思っているわけです。そういったところも含めて、関係部署と調整しながらというお話もありましたけれども、区民に対してどういうふうな形で4つの宣言を知らしめていくのか、それをもとにして基本構想ということがあるんだということも含めて、しっかりやっていただきたい。それは基本構想審議会の中の人たちだけでなく、ホームページにも載っていますが、改めて見る人がどれだけいるかというのも考えれば、必要なのかなと。だから、そういった意味も含めて、こういった時期を捉えていただきたいということでお話をしましたので、しっかり対応していただきたいと思っております。

 これまでもずっといろいろ指摘をさせていただいたと生意気なことを言いますけれども、昔、昔と言ったらおかしくなってしまいますが、中期的な事業計画というのが、実施計画が3年ごとぐらいのもので前期、後期に分かれてあった部分があります。そういうところで、今回、基本構想の20年間という話がありましたけれども、基本計画が10年ぐらいで、その下に以前は実施計画があって、単年度予算ということであったわけですけれども、長期、中期、中短期でいうと、3年というのは、中短期になるんでしょうか。変化が激しい時代というのは、そういった中で、いろいろな変化を読み取って対応していく。毎年、実施計画が見直されていた部分もあったわけですけれども、そういった中で、しっかり対応していくということが必要だと思うんです。

 実施計画の考え方が1つと、もう一つ、せっかく基本構想がこれから構築されていく中でいくと、いろいろな問題はあるとは思いますけれども、各個別の計画とも整合性を図っていかなければいけないんだろう。整合性という言い方が正しいかどうかというのはありますけれども、要するに、基本構想ができたときに、基本構想より前の時点に策定された個別計画があったということになれば、それ以前の基本計画なり基本構想の中でのもの、また国の関係で出さなければいけないものもあるかもしれませんけれども、そういったところも、あるスタートラインにつける必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、その辺の考え方はどうでしょうか。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 委員お話しのとおり、今、本区では20年を期間とする基本構想、おおむね10年ということでの基本計画、それから、その下に各個別の計画ということで3つの層からなる上位から下位までの計画で成り立っております。中短期の実施計画ということで過去行っていたところは承知をしておりますし、それを実施したというのもありますけれども、基本計画自体がおおむね10年という中で、おおむね5年で前期、後期に分けまして、社会経済情勢の変化に対応するべく、5年での見直しを前提に、これまでしてきているところでございます。

 現在の基本構想が平成10年にできてから、これまで18年程度たっておりますけれども、基本計画の見直し自体は4回になりますので、おおむね四、五年でしてきているといったところでございます。また、その中で、実施計画のあり方、役割というのも、基本計画の5年の見直しの中で、どういった位置づけをしていくのかというのも検討はしていきたいと思います。ただ、現行では基本計画の下には個別計画ということで、現行の3層での計画ということを前提に考えているところでございます。

 個別計画の整合性につきましては、今回、基本構想ができますので、来年度につきましては基本計画、それからまた個別計画につきましても、上位計画の見直しとともに、個別計画の見直しを行い整合性を図っていくというような形で考えております。

 以上でございます。

○渡部(博)委員
 個別計画も、個別計画の策定された年次で3年なり5年なりというところで変えていくということで、基本構想が新たになったときに、例えばその後2年たたなければ個別計画は改正されませんということであっても、2年間のタイムラグが生じる期間も、基本計画、基本構想に合わせてしっかり対応していくということでいいんだよね。前のものを引き継ぐということではないということだよね。それは当たり前の話であって、そうでなければおかしな話なんですけれども、見た目上、何かそういうふうな気になるんですよ。ですから、そういうことも含めて対応をしっかりしていただきたいということです。

 基本計画は今まで5年で見直しということであって、また、各年度の単年度予算の中でいろいろ見直しをしてきたということであったわけですけれども、大きな基本計画を5年ごとに見直すということを今までやってきて、そこで実施計画を廃止しようということでやってきたのかもしれないですけれども、急激な変化の中でいくと、やはり5年という中、4年というときもあったのかもしれませんけれども、中期的な事業計画、2年ごととか、そういう範囲で少し年度をまたいで考えていくことも必要だろうというふうに思っているわけなので、しつこく言っているわけです。

 なぜこういうことを言うかというと、忙しくなるかもしれませんが、今までより各部の連携を密にしていただくことによって、各施策の精度も上がっていくのではないのかなというふうに思っているので、その辺も含めてしっかり対応していただきたいなというふうに思うんです。今まで各部の連携も含めて、縦割り行政の悪いところも含めて、予算特別委員会か何かのときに区長に聞いて、区長は、それはないようにしっかり頑張っていきますという話でありました。そういうものも含めて、事あるたびにいろいろな形で、施策の縦横も含めて、年度の予算、実施計画も含めて、縦横対応していただくことが重要だと思っております。その辺は企画部が中心になるんでしょうけれども、しっかり対応していただくことによって、区の中の施策の形成能力だとか、いろいろなものも含めて今まで以上に活性化をしていただきたいというふうに思っておるわけです。そこの中で、人材育成も含めて、しっかり対応していただきたいというふうに思っておるんです。

 よろしくお願いしますと言ったほうがいいのかな。それでいいねという話みたいですけれども、各部の連携も含めて、今まで若干そういったところが足りなかった部分が何となくあるなという気がしますので、その辺のところも含めて、お答えをいただければありがたいなと思います。

○平林企画部長
 委員お尋ねの件でございますけれども、まず計画から少しお話をさせていただきます。

 今回、基本構想は20年後の中央区の将来像を見据えて、その道筋を文言で表現をしていく、これを具現化するための計画として、基本計画を来年策定予定ですけれども、10年間の道筋をしっかりと数字で今度はあらわしていくものでございます。委員お尋ねの実施計画は、さらに詳細に3年ごとに分けて、毎年ローリングしながらやっていた時期は確かにございました。

 今、実は国のほうから、さまざまな分野で、いわゆる法定計画なるものが、年次がそれぞればらばらになりながら、3年、5年という計画が相当おりてきております。以前なかった、例えば子育てについても法定計画として位置づけられ、障害者、高齢者、介護保険、それぞれの分野の推進ということでの計画も法定計画として位置づけられてくる。そうすると、計画だらけになってしまって、どれとどれを整合性をとるのというところが、国は国の考え方でこういったものを計画に盛り込みなさいと言ってくると、実態論からいうと、なかなか合わなくなってくる。それから、計画自体を、何を計画として位置づけていくのか、これもまた、国が言っている項目、それから我々が基本構想もしくは基本計画の中で言っている項目とどういうふうに整合をとっていくのか、これも非常に難しくなってくるというところがあります。実際のところ、各部とも基本構想、基本計画をベースにしながらも、当然、国等の指示に倣いながら整合性をとっているというのが実態でございます。

 委員言われたように、こういった多岐にわたった計画があり、実は中央区のようなところは、さきにもいろいろ議論になりましたけれども、ゾーニングですとか、今回新たな考え方を入れていますけれども、そういった中では各部の連携というのは、より密にしていかなければいけない。これは当然だというふうに思っております。そういう意味でも、企画部の中でも調整会議という定例的な会議体を持っておりますけれども、それとは別の、例えばPT的なものを、必要があれば、急遽その都度立ち上げて、各部との連携を図りながら、どれが一番効率的なのか、効果的なのか、手法もさまざまなレベルで検討できるようにする。こういったことに取り組んでいるところでございます。まさに、委員の言われたところは、これからさらに重要になってくるというふうに考えておりますので、我々としてもしっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。

○渡部(博)委員
 企画部長に御答弁いただいたので、これ以上ここのところは言いませんけれども、やはり今までの事業というのは各部で縦割りでうまくいっていた部分は大きいんですけれども、複合施設もできたり、いろいろなことで、一つのものだけで済まないという状況も含めて考えた中でいけば、今、企画部長が言われたことも含めて、しっかり各部の連携をとった上で、事業推進していただきたい。区民のためにやるわけですから、大変なことであるということは理解しますけれども、連携をとっていただいて、区の基本も含めて、予算の確立をしっかりしていただければありがたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、これもいろいろな委員の方から言われておりましたけれども、決算特別委員会の中でオリンピック・パラリンピックの関係が出てきて、中央区の黄金時代にしようというようなお話が出ているわけです。そこの中で、先ほども少し触れましたけれども、オリンピック・パラリンピック前後のまちのつくり方というか、まちづくりはハードもソフトも両方ともあるわけですけれども、区民との協働ということと地域力を高めていくということがきのうも言われておりましたが、これがこれから求められている行政のキーワードであるのではないかなというふうに私は思っております。

 要するに、これまでの行政が地域に対して行っていたサービス、また手助けも含めて、これまでの行政のかかわりとこれからの行政の地域へのかかわりというのは、明らかに違う方向に向けていかなければ、ある意味、地域力というのが備わっていかないんだろうというふうに感じているところです。地域力を高めていくために、これから区としてどういうような形で対応していくのか、そこのところをお知らせいただければと思います。

○長嶋区民部長
 地域力といっても、なかなか具体的なイメージというのがつきにくいところがあろうかと思いますけれども、我々の認識といたしましては、行政がやっている以前から、特に今みたいな近代的な行政ができる前からまちの方の相互扶助みたいな形でまちとして力を持って、お互いが助け合って生きてきた、その流れの中で近代の行政が生まれてきて、行政は行政サービスとしてやってきた。ある面でいえば、現在、より安定した生活を求めてきているという形になっていると思います。ただ、その間に社会情勢あるいは家族形態というのも大きく変わってきて、近代資本主義も含めて、核家族化ですとか、そういったものが進展してきた。そうなってくると、地域が支えていたものが、だんだん難しくなってきた。逆に言えば、介護保険などはむしろそれを行政サイドとして支えていこうというような形で動いてきたというのが大きな流れだと思います。

 ですから、地域力といいましても、昔に戻るという話ではなくて、地域がやったほうがいいもの、資源、人材もそうです。それから、お金という問題もございます。我々もいろいろな形で補助金を出しているわけでございますけれども、そういったものを含めて、地域がやったほうがいいもの、それから行政がやったほうがいいもの、それをきっちりと見きわめていくというのが一点あります。また、同時に、現在、その中に民間企業というのも含まれてきておりますけれども、そういった連携というものをとっていかなければいけない。そのリーダーシップというのは行政がやらなければいけないというふうに考えています。

 と同時に、今度は地域力という面から考えた場合、やはり地域全体の需要とか課題を一番認識しているのは地域になってございます。行政ですと、やはり中央区全体ですとか、月島、京橋、日本橋といったエリアごとに見ていきますけれども、実際に生活されている方は、それこそまちの中の一つ一つの課題に対して対応していかなければいけないという状況でございます。恐らく、そこまでは行政はなかなか難しいと思っています。ですから、そういった部分について、やはり地域の力を十分に高めていかなければいけないと考えています。

 では、どうやって高めるかということであれば、先ほど申し上げましたとおり、社会情勢、また家族形態あるいは就労形態がどんどん変わってきてございます。そういった中で、どうやって対応していくのかということで、今回、基本構想の中でも御議論いただきましたけれども、やはり住民という視点が非常に基本になります。地域として見ると、住民という視点が一番基本になりますけれども、それに加えて、例えば先ほど言いました企業ですとかNPOあるいはボランティアの方々とどういうふうに地域そのものが連携をとっていくのか。そういった意味で、私どもでいえば協働ステーションですとか、協働事業ですとか、いろいろな形でトライはしているわけでございます。実際に住民が中心にはなりますけれども、それに加えて、どの連携をどう高めていくかというのが多分これからの大きな課題になってくるだろうということが言えると思います。

 それと、もう一点は、新しく住民になられた方という言葉が出ますけれども、中央区の場合は、江戸時代以降、下町の互助みたいなものが発展してきてございます。それ自体を余りイメージとして持っていないというような方々も当然いらっしゃると思いますので、そういった方に関して、こういった形の中で、中央区というのは、それぞれ地域として助け合い、まちをつくってきたんだということを御理解いただくという活動が基本になってくると。

 この2方向で、今後の地域力を高めるということについて考えていきたいというふうに考えてございます。

 以上です。

○渡部(博)委員
 ありがとうございます。なかなか一言では難しい部分があると思います。

 今までの町会・自治会、相互扶助も含めて、隣組から始まったのかもしれませんけれども、そういった中から、地域の力というのは昔はすごくあったというところで、新たに、今までのまちの形態、横の形態から縦の形態に変わってきて、今、住民交流がうまくいかな部分があったり、1つのマンションで800世帯だとか、2,000世帯というところもありましたけれども、そういった大きな形で1つの集団としてうまくまとまれないという部分もあるのかなというふうには思います。中央区として、どういうふうな形をとって対応していくのかというのも、先ほど言った、全庁挙げてやっていかなければいけない部分、これは区民部だけではなくて、仕掛けも含めて考えていかなければいけないというふうに思っております。その辺も含めて、地域の力をどうやって高めていくのかというのは、今までと違った形で区としてアプローチを地域にしていかなければいけない部分が出てくると思うので、そういったことを意識しながら、しっかり対応していただければありがたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 そこの中で、一つ今までと違ってきているのは情報化の進展ということで、区長もこの前答弁されていましたけれども、区長への手紙だとか、インターネットも含めて、いろいろな形で、区民からの的確なニーズ、直接区長に対するもの、また各部に対するいろいろな要望なりが受け付けられてきているということであります。この決算特別委員会の中でも言いましたけれども、中央区にとって、情報化がおくれていることが最大の弱点ではないのかなというふうに感じています。情報化は、安易にネットの社会で匿名的なものに関して言えば、誹謗中傷も含めて、いろいろな形で出てくるわけですけれども、そういった形ではなく、中央区民の中でしっかりした情報の把握も含めて、区民ニーズの把握と言ったほうがいいですかね。そういうものも含めて、しっかり把握していくということが必要だし、重要だと思います。そのために重要な情報化がおくれているというふうに感じておるわけです。

 情報化は、中央区ホームページ、ツイッターとフェイスブックをやっていますけれども、私はツイッターもフェイスブックもやっておりません。ですから、そういった情報は流れてきません。登録もしていません。なぜかというと、いろいろ煩雑なものが起きてきて嫌だからという理由だけなんです。そういった中でいくと、そういったツールを通じて区民にタイムリーで正確な情報の提供をされているということでありますけれども、それだけではだめなんだろうというふうに思っています。子育ての関係でこうだとかいうことで、いろいろなアプリも含めて活用されて、個別に各部署でいろいろな形で情報を扱われていると思いますけれども、医療も、災害時も含めて考えていく必要があるんだろうなというふうに思っております。

 そこで、今、中央区の情報化がおくれているというのは、Wi-Fiの設備の関係も含めて、中央区がどうやって情報発信をまちの中にしていくのかというところのWi-Fiの設備の整備の関係と、もう一つは、よくテレビなどで見ますが、韓国だとかではバス停にデジタルサイネージだとか、そういうところも含めてやられているわけですけれども、情報案内板みたいなものがあるわけです。中央区民だけではなく、中央区に来られている方、外国の方々も含めて、そういった形で対応するためには、こちらが一々その人に個別に対応するのではなく、いつでも、どこでも、そういった形でアクセスできて、しっかり対応できることが必要だと思うんです。

 Wi-Fiの整備をどうするのかということと、もう一つはデジタルサイネージの考え方をお知らせいただければと思います。

○田中商工観光課長
 まず、Wi-Fiの整備についてでございます。

 Wi-Fiにつきましては、委員のほうから御紹介がありましたように、さまざまな情報を、区民のみならず、来街者といいますか、観光客も含めまして、いろいろな形で提供する上で非常に有効な手段となっているというふうに認識をしております。また一方では、防災的な面、災害時におけるスムーズな情報提供といったような面でも非常に効果があるというふうに認識をしているところでございます。

 そういった中で、区内にどういうふうに整備を進めていくのかという部分でございますが、Wi-Fiの一番メリットとしては、Wi-Fiを接続しますと、まず最初の画面が、例えば区であれば区の情報提供の場面に飛ぶですとか、そういったようなメリットがあったというふうに認識をしております。また、一方で、デメリットとしましては、Wi-Fiの設置者ごとに接続設定をしなければならないといったような手間もあったというふうに考えてございます。ただ、最近、そのデメリットであります接続の部分につきましては、さまざまなアプリですとか、仕組みができてきてございまして、中央区で設置するWi-Fiが、中央区だけでなく、ほかのエリアから入ってくる方、簡単に言えば空港で飛行機をおりて電車に乗り継いで中央区に入ってくる方が、中央区に入るたびに一々登録をすることなくWi-Fiがつながるような仕組みも含めてできるように、現在、検討しているところでございます。

 以上でございます。

○園田広報課長
 お尋ねのデジタルサイネージにつきましては、平成24年に試行的にスポーツセンターと両出張所で試行事業ということで開始したところですけれども、リース満了を迎えるに当たって、これまで放映してきた内容等を鑑みて、撤退をしたところでございます。今後につきましては、防災等の面をいろいろ検討した上で、Wi-Fiのほうとも連携しながら一番いいやり方を検討していくというところで、現在、検討中というところでございます。

 以上です。

○渡部(博)委員
 Wi-Fiのアクセスポイントの関係では、今、外国の方は1週間か2週間ぐらい、一つの暗証番号みたいなものがあって、それを登録すれば全国で使えるみたいなものがあるらしいですけれども、日本の中ではいろいろなキャリアがあって、いろいろな形で、できる、できないというのがあるわけで、そこのところは少し、ほかの区がどうやっているのか、東京全体がどういう形になっているのか調べていただきながら、うまく整備をしていただきたい。

 Wi-Fiであれば、ふだんは普通の情報を流していても、いざとなれば、区内であれば、そのWi-Fiを整備している施設から区の重要な事項、災害時であっても、そういうときには情報をしっかり流せます。デジタルサイネージは、そこで外国の方が、スマホでもできるんでしょうけれども、スマホではなく大きな画面で、待合の時間に何ができるか、観光情報も含めて流せる。Wi-Fiの設備がしっかり整わなければうまくいかないということなんでしょうけれども、そういった形も含めて、2020年を意識して、今からやっていかないと、おもてなしと言われている中でいけば、なかなか難しい部分があるのではないのかなというふうに思っております。その辺のところで、これからいろいろな形でやられると思いますけれども、中央区の情報を流したりすることも必要ですし、災害時、また地域の情報を流すのも必要だと思います。まず、大きなところではアクセスの仕方が、日本全体のものも含めてフリーでアクセスできるものを見きわめてもらいながら、行政のところ、今、環境情報センターと何カ所かやっていると思いますけれども、最低でも、まずは区の行政の建物にはそういったものを設置していただく必要があるんじゃないのかなというふうに思っております。

 その辺のところをどういうふうに考えているのかということと、アクセスの関係があったからやれませんでしたというふうに答えられるのかもしれませんけれども、なぜ今まで中央区内でそういった積極的な考え方がなかったのかということです。この前も、限定的ではありますが、千葉市でやられている取り組みの話をしました。地域の人たちと地域の町会長だとか町会の方と、道路に穴があいていたら、カメラで写真を撮って、それを送る。その投稿に対しては、こういう対応をしますという形で、その地域に返すというのを限定的な形でやられているところです。また進んだかもしれません。そういった形でやられている先進的なものも含めて、いつか一般質問したときに、そういうものは調査しますと言っていたわけですけれども、その後、調査をされてきたのかというのも聞きたいなと思うんです。

 もう一つは、情報の発信を一元化することが望ましいのではないのかなというふうに思うんです。一元化によって、迅速化だとか正確な情報の提供ができていくんだろうというふうに思いますけれども、その辺の情報発信体制の考え方、先ほど言ったみたいに、外国人居住者の方とのコミュニケーションのとり方も含めて、ホームページだけではなくて、そういったところでうまくコミュニケーションをとっていくということも必要ではないのかなというふうに思うんです。その辺、全体のところでお知らせいただければと思います。

○園田広報課長
 情報の一元化ということにつきましては、庁内の情報につきましては、委員御指摘のとおり広報課のほうで一括して発信をしているところです。関係各署が個別に行う事業につきましても、連携をとって広報課が把握はしているような状況で、マスコミ等の問い合わせにつきましても、広報課を中心に発信を行い、アンケート等についても全て広報課で把握をしているところです。

 それから、外国人対応につきましては、便利帳などは文化・生涯学習課のほうで外国語版をつくって配布をしたり、それから広報課を中心に文化・国際交流振興協会等との連携も図り、紙ベースだけではなくて、内容の把握にも努めているところです。

 以上です。

○平林企画部長
 2020年を契機としたインバウンドの取り組みというのは、昨今かなり話題になっていると思います。そういった意味でのWi-Fiの整備の必要性というのは、ますます重要になってくるだろうと考えてございますし、また、これからの日本の産業を考えたときに、観光業によるサービス業の比重というのは非常に大きくなる。本区の役割も、それに伴ってかなり大きいものになっていくだろうと考えてございます。

 ただ、Wi-Fiの整備に関しては、どこにどうやるか戦略的にやらないと、調べると結構お金もかかりますし、ランニングコストもかなりかかるということが挙げられます。したがいまして、むやみにふやせばいいというものでもないし、先日、職員が区長を含めて海外の視察も行っておりますので、今後、どういう形で中央区にWi-Fiを整備していったらいいのか、それからまた経費の面も含めて、いかに効率的にやっていくのか、これは重要な視点だというふうに考えております。また、東京都、国を挙げてインバウンド対策に向けてWi-Fiの整備というのも考え方があるでしょうから、観光案内版のところにいけばWi-Fiが通じるとか、例えば観光案内版のスパンを短くすれば、歩きスマホはよくないんでしょうけれども、途中でもそれが途切れることなく直線的に通じるとか、そういった整備の仕方もあるでしょうし、それをどの通りにやっていくのかとか、また路地に入ると通じないとか、いろいろ出てくるかと思っておりますので、こういったことを総合的に、さまざまな我々の会議体、部会、オリンピック・パラリンピック区民協議会の下に部会等も立ち上げてございますので、そういった中で、まちの方等の御意見も聞きながら進めていければというふうに考えてございます。

 以上でございます。

○渡部(博)委員
 いろいろ大変なことはよくわかりますが、要するに、最低でも中央区の施設にはつけられる形はあるのではないのかなと。ランニングコストがどのぐらいかかるとか、いろいろなことはあるかもしれませんが、1つは学校の通信の関係については一元化されて、学校間ネットワークもある。そういったことも含めて、つけられる可能性は大きいだろうというふうに思っておりますので、そういったところから始めるということも必要なのではないのかなと。保健所であれば、そういったものがあれば、そこの中で何か見られる、そこの情報を得ることができる。学校の周辺については、普通の区の情報を流せるとか、いろいろなことも含めて、やれるんじゃないのかなと。あとは、観光情報センターもこれからできるわけですし、そういった中でいけば、中に誘導することも必要です。Wi-Fiがつながれば中に誘導できる。観光情報も流せる。いろいろな形で、基点となるところは区として持っているわけですから、そういった対応をしていただきたいなというふうに思っております。

 外国の方で居住されている方は、日本語が堪能な方もいらっしゃいますので、必要ないという方もいらっしゃる部分はよくわかるわけですけれども、文化・国際交流振興協会の果たすべき役割というのがまたいろいろ出てくるのかなというふうに思いますし、そのほかにも、どのぐらいの言語が必要なのかというのも調べていただきながら、英語だけではなく、いろいろな表記も含めて、Wi-Fiの環境、コンピューターの中ですから、いろいろな形でできるんだろうと思いますので、そういったことも含めて調査していただいて、この前、区長以下、議長も行かれましたけれども、海外視察の関係でデジタルサイネージも、いろいろなことも見てこられたということですので、そういうものもしっかり生かしていただいて、区内の的確な情報を一番流せるのは区であり、行政であると思っておりますので、しっかりした対応をしていただいて、情報の管理といってはおかしいですけれども、しっかりリーダーシップをとってもらって、区が行っていただくということが必要なんだろうなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、これは専門的な分野に入っていってしまうのかもしれませんが、いつも私自身が思っていることですけれども、まちづくりだとか、いろいろな形で、一番根本にあるのは都市計画であると思っています。都市計画は、まだ都区制度改革の中で移管されているのは一部であり、限定的なものであるということであります。中央区ではゾーニングという話も新たにありましたけれども、そうではなく、本当の都市計画の中で、地域の文化だとか、その地域の特性だとか、いろいろな形を位置づけていくことによって、大きな意味でいえば、地域の居住者の交流も含めてできるのではないのかなというふうに思っています。それが都市計画の中での地域に対する、仕掛けという言い方はよくないかもしれませんが、そういった形になっていくのではないのかなというふうに思うわけであります。

 現状の都区制度改革の問題も含めて、区が行う中でいくと、都市計画が十分移管されているのかどうか、もう一回確認させていただければと思います。

○吉田副区長
 都市計画というものは、現在、例えば区が置かれている現状に比して、今後どうあるべきかというようなところの理念が整理されていて、それが基本的に計画上、実現しやすい道筋が計画として成立しているのかどうかということをチェックしていかなければならないわけでございますけれども、そういう意味でいいますと、これまでの段階では、ある意味で、制度自体の枠組みの中で権限が国や都にあるということも事実ながら、一方で、逆に、そういう権限が都や国にあっても、区のほうがある程度主体性を持って、こういうふうにしていくんだということであれば、その点は国や都を説得しながら、仕組みをつくるという部分について、現実に過不足があるわけではない。私どもは、そこにところに問題があるとは思っていない。

 ただし、本区の場合はとりわけそうでございますけれども、日本全国一律の都市計画制度が一番不適当なところです。日本全体というよりは、うちの区は突出している区ですから、やはり組み合わせというものについては、それなりに工夫が必要なところがございます。そういう部分で、都市計画制度のみならず、私どもが例えば建築基準法なども改正をお願いしたり、調整をしたりしなければならない部分は確かにあるわけですけれども、それ自体も、区として考えている方向がきちんとしているならば、権限が国や都にあろうとも、ある程度了承していただいて、御支援をいただいているというのが実態でございます。

○渡部(博)委員
 ほかの市区町村と違って、本区は今まで、都市計画だけではなくて、都市計画に付随するもので、いろいろな形でやられてきたというのはよく理解します。ほかのところとは違って、都市計画だけではなくて、開発の手法も含めて活用されてきた部分というのがあるんだろうと。最先端をいっていた部分があるというふうには思うわけですけれども、そういった中で、今までも、これからもやられていくだろうと思います。

 3.11のとき、私は、ここで予算特別委員会をやっていて、途中で終わって帰って消防団で地域を見て回ったわけですけれども、家路につかれる方が歩道をはみ出して車道にまで出て歩いているという状況を晴海通りで見ました。ああいった形も含めて、都市計画というのは、ふだんは歩道は足りているかもしれませんけれども、災害時だとかも含めて、それをどういうふうに考えの中に取り入れていくのか、全体の都市計画の中でどう考えていくのかというのが重要なんだろうなというふうに思っているところでございます。そういった中でいけば、全体の仕掛けの中で公園の配置、空地の仕掛け、歩道の仕掛け、いろいろな形で都市計画全体の中で、こういうことをやっている。銀座は、三十何メーター、五十何メーターという高さの部分をやって、銀座ルールをつくってきたというのもありますけれども、そういった中で、これからそういうものも含めて、中央区は安全であるということを高めていくためには、そういったところから仕掛けていかなきゃいけない部分というのはあるんだろうなというふうに思っております。吉田副区長がお答えになったので、余りこれ以上は言いませんが、しっかり対応していただければありがたいなというふうに思います。

 これも関連はあるかもしれませんが、人に優しいまちづくりという話でいろいろ言われて、道路の環境、歩道の環境、いろいろな形があると思いますけれども、交通弱者も含めて、歩道の環境をしっかり整備していかなければいけないだろう。この前も、ごみの出し方も含めて、いろいろあったわけですけれども、中央区で中小のマンションが建つときに、管理人が朝しかいないとかいうところが結構あるんです。そういったところでいくと、高齢者の方、交通弱者と呼ばれている方、あと通勤ラッシュのときと子供たちが学校に通うときが大体重なるというようなことも含めて、これから歩行環境のさらなる整備も必要です。また2020年のオリンピック・パラリンピック、その前、後も含めて、観光をいろいろな形でやっていく中でいけば、サインが必要になってくるんだろうと思います。それは、中央区のサインというだけではなくて、東京全体、また国全体のサインの共通性も必要になってくると思うわけですけれども、そういったサインの考え方も含めて、どういうふうにお考えになっているのか、お知らせいただきたいと思います。

○三留道路課長
 お尋ねの歩行環境について、まずお答えしたいと思います。

 バリアフリーに関しましては、これまでも取り組んできているところでございます。先ほどの交通弱者、障害をお持ちの方、それから高齢者の方、歩道を通られる全ての方が安全に安心して通られる歩道の整備に努めているところでございます。一般質問だったと思いますけれども前にも御質問等をいただきまして、バリアフリーの徹底調査ということで、今年度、職員でバリアフリーの調査・点検を実施して、現在、まとめているところでございます。

 それから、サインにつきましては、先日の一般質問等でありましたように、道路標識ではなかなかカバーできない部分に関しまして、住居表示板であったりとか、観光案内板であったりとか、総合案内板であったりとか、いろいろなサイン等、総合的に皆様を御案内できるよう整えていくというような形で今後検討していきたいと思います。

 以上でございます。

○田中商工観光課長
 サインの多言語化について、お話しさせていただきたいと思います。

 まず、サインにつきましては、今お話がありましたように、観光にお見えになる外国の方もたくさんいらっしゃることから、平成27年2月に国のほうで標準化指針がつくられた以降、さまざまな形で東京都や道路関係等で別々の指針が示されているところでございます。そういったものを踏まえまして、現在、中央区においても、その辺の国や東京都の考え方を踏まえまして、中央区における、例えば地名ですとか、橋の名前、道路の名前等、固有名詞をどのように表記したらいいのかといった部分も含めまして、現在、庁内で検討を行っているところでございます。これを受けて、その後、オリンピック・パラリンピック区民協議会の下に観光・文化検討部会がございますけれども、そこを通しまして区民の方々の意見を聞きながら、中央区としての考え方をまとめていきたいというふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

○渡部(博)委員
 いろいろありがとうございます。とにかく、歩行環境というのは、今、自転車の関係で、自転車が歩道を通れるところ、通れないところ、いろいろあって、なかなか厳しい部分がある。だから、自転車が車道をどういうふうに通っていくのかということもしっかり対応していただかなければ、交通弱者も含めて、歩行環境というものがうまく確立できないのかなというふうに思っております。そういったところも、いろいろな事例を見ながら、しっかり対応していただきたいなというふうに思いますし、サインの多言語化も含めて、インバウンドも含めて、いろいろな方々が来て、右へ行けば何がある、左へ行けば何があるというのがわからないような状況ではなくて、それを見ればすぐにわかるというような形も含めて、しっかり対応していただければありがたいなというふうに思います。

 もう時間もなくなってきたので、これは意見として聞いていただければありがたいと思いますけれども、築地魚河岸の話ですが、観光の拠点だけではなくて、食文化の話も含めてやられるということです。築地魚河岸の話については後で言いますけれども、築地市場の移転の問題で、今、場内の方たちが経済的にいろいろ影響を受けているということで、市場関係者だけではなくて、市場の周りにいるいろいろな方々も影響を受けているという状況であります。区として、商工関係になるんでしょうけれども、相談業務も含めて、しっかりサポートしていただきたいなというふうに思っております。移転がいつということがまだ決まっていない状況の中で、なかなか厳しい。もう施設も豊洲のほうに出していたりするわけですし、東京都が幾ら補償すると言っても、いつ補償の形が決まるのかということもわからないのが現状だと思いますので、そういったところも含めて、しっかり中央区を挙げて対応していただきたいなというふうに思っておりますので、これはよろしくお願いいたします。

 それと、築地魚河岸の関係については、この間もずっと質問してまいりましたけれども、食文化の継承ということと築地地域の繁栄ということを主眼に置いてつくったということでありますが、中央区はやはり日本経済の中心であるということも含めて、小さいながらも、中央区発、日本の経済全体に波及効果をもたらすようなものにしていっていただきたいというふうに思います。そのほか、考えるところでいきますと、中央区の築地市場の食文化を残していくということであれば、区民の食文化に対しての中心的な役割も果たしていただきたいというふうに思っています。ですから、これは短絡的な発想かもしれませんが、高齢者の方々に対して、あそこの食材を使ったお弁当の配布だとか、子供たちの孤食への対応も含めて、そういったところで築地魚河岸の果たすべき役割というのは、今、できてプレオープンを控えるという時期ですから、まだまだこれからということになるとは思いますけれども、区としてしっかりかかわりを持っていただいて、中心的な役割をしていただければありがたいなというふうに思います。築地魚河岸だけという話ではなくて、築地全体がどういうふうな形であるべきか、これから今までと違う形が生まれる可能性が高いわけですから、しっかり連携をしながらやっていただきたいということもあります。その辺も含めて対応していただければありがたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 いろいろ質問してまいりましたけれども、縦横斜めと、きのう、竹内先生が言っていましたけれども、横串も含めていろいろな形で考えられているということでありますが、今までの縦割り行政ではなく、やはり各部が連携をして、しっかりと行政が1つにまとまった中で対応していただきたいなというふうに思っております。そうしなければ、結局、誰が一番不幸になるかというと、区民だということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。身近なものであれば、区施設の指定管理の問題も含めて、しっかり見きわめていただきながら、区民に対してのサービスの向上を主眼として対応していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたしまして、終わります。

○礒野委員
 ただいま総括質疑の質疑半ばでありますが、暫時休憩し、午後1時に委員会を再開されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 午後1時に委員会を再開いたしますので、御参集願います。

 暫時休憩いたします。

(午前11時51分 休憩)


(午後1時 再開)

○石島委員長
 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。

 総括質疑について、質問者の発言を願います。

○小坂委員
 では、始めさせていただきますが、始めるに当たって、10月10日の区民スポーツの日は大変お疲れさまでした。私は障害者スポーツに参加させていただきまして、車椅子バスケを初めてやったんですけれども、すごく難しかったし、それ以外にも障害者スポーツを試させていただいたんですけれども、すごく楽しい企画でした。また、女子高校生の方々がボランティアとして指導をするというボランティアの参加も含めて、障害者スポーツの企画をつくられていた点で、非常に勉強させていただきました。

 また、10月11日の基本構想審議会のほうもお疲れさまでございました。

 この決算特別委員会では、冒頭に申し上げさせていただきましたけれども、ソーシャルインクルージョン、ゾーニング、そして築地再生と、この辺が重要ではないかというふうに述べさせていただきまして、そのあたりはまだ課題かとは思いますが、自分自身の最後の質問がその方向で終わらせていければいいと思っております。また、同時に、新基本構想のあり方も考えることができればいいなと思っているところであります。

 では、始めさせていただきます。

 まず、人口推計の話が出ましたので、確認事項としてなんですけれども、昨日の決算特別委員会でも人口推計で、ある開発で何戸、何人ふえるというふうな数を出していただいておりました。それとあわせて検討するために、月島地区の大規模開発も含めて、数を教えていただきたいんですけれども、資料165に月島地区の大きな再開発が3つほど載っております。1つ目の西仲通り商店街二番街の月島一丁目西仲通り地区の開発や2つ目の三番街の月島三丁目地区の開発、これらの戸数や入居予定者数がわかれば教えてください。また、これらの開発においては、商店街の連続性はきちんと保たれるものであるのかどうか教えてください。3つ目の開発として、月島三丁目29、30、31番地区の月島三丁目南地区における戸数と入居予定者数、そのあたりを教えてください。

 今述べました3つの開発においては、それぞれにおいてホテルの機能を入れることの検討の有無があるのかどうかと、平成28年1月1日の人口推計において、これら3つの開発の分を入れて推計を出したのか、入れずに出しているのか、そのあたりを教えていただければと思います。

 これが人口推計に関してです。

 そして、もう一つは、学校のキャパシティーが足りるのかということも心配なので、確認です。6校の増改築が進んでいき、それができ上がるのが、平成28年度教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価(平成27年度分)の結果に関する報告書の21ページによると、それらの6つの開発は、最終的には平成34年、2022年に終わると。これができ上がった段階で、小学校の児童数のキャパシティーは一体何人になるのか教えていただければと思います。

○松村地域整備課長
 私のほうからは、月島地区の3つの再開発の想定される戸数でありますとか、西仲通り商店街との連続性等について御説明をさせていただきます。

 まず、住宅の戸数でございますけれども、概数でございますが、月島一丁目西仲通り地区は約500戸でございます。それから、月島三丁目及び月島三丁目南地区につきましては、現在、都市計画に向けて検討中ということで、まだ具体的な数字は出ていないということでございますけれども、これまでの想定の中でボリューム感を検討していまして、両方合わせると千数百戸ぐらいになるのかなというふうに思ってございます。

 それから、西仲通り地区につきましては、西仲通り商店街に面するということでございますので、やはり商店街との連続性ということで、1階には店舗を設けるでありますとか、それからアーケードとの連続性についてどう工夫をするかでありますとか、そういったような検討をしているところでございます。

 それから、その3つの計画におきまして、ホテルの計画でございますけれども、西仲通り地区につきましては、既に都市計画決定してございますが、ホテルの計画はないということでございます。月島三丁目及び三丁目南地区につきましては、現在、計画内容について検討中ということでございますので、ホテルの計画についても含めて、今後も検討していくということかなと思ってございます。

 以上でございます。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 月島地域の再開発による人口推計の人数でございます。

 今、地域整備課長から話がありましたとおり、戸数がまだはっきりと正確に固まっていないという状況でございますけれども、推計上は、ある程度開発の規模感等を鑑みまして、大きさ等から想定する人数ということを算定して出しているところでございます。

 以上でございます。

○斎藤学務課長
 学校の増改築後の最大キャパシティーということでございますけれども、現在、増改築が終わっているところ、それから平成30年度までに終わるところ、あわせまして推計をしているところでございますが、現実的には一遍にキャパシティーがいっぱいになるわけではなくて、徐々にふえてくるところ、要は普通教室に転用していくところも含めて考えてございますので、最大数のキャパシティーというのは、現在のところ計算をしていない状況でございます。ただ、クラスが足りるかという点では、繰り返しの答弁になりますが、当面の間は大丈夫だというところでございます。

 以上でございます。

○小坂委員
 その3つの月島の開発において、人口推計に大ざっぱで入れたということなので、それぞれにおいて数を教えていただければと思います。

 また、6校の小学校のキャパシティーは計算していないということですけれども、計算できると思いますので、計算していただきたいんですが、それは置いといて、資料210に平成35年に8,521人の児童数になるという一つの推計が出ているわけなので、この8,521人のキャパシティーよりは多くなると。平成34年段階で完了しているわけですから、平成35年の8,521人は受け入れられるか否かだけ教えてください。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 今申し上げましたとおり、いろいろなメディア等の情報とか区のほうでの想定でもって出しておりますので、それぞれの開発の人数を今お話しすることは適切ではないかなと思っています。ただ、合計でどのくらいかという規模感から申しますと、2,000人程度というふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

○斎藤学務課長
 平成35年度の児童数でございますが、8,521名ということで、学級数にしますと270学級ということで推計をしてございます。中央区全体で見ますと、ここの段階ではクラスの不足は生じないというところでございます。

 以上でございます。

○小坂委員
 それぞれに、人口の規模とかクラス、学校の児童のキャパシティーが足るかというところを不安に思っておりましたが、このあたりは理解することができました。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 次、若干細々とした、私の質問の中で落としてきた部分等になりますけれども、まず内容面についてお伺いさせていただきます。

 まず1つが、町会の地縁による団体の法人化の手法のことに関して質問させていただきましたが、そこにおいては、例えば不動産登記法第3条の各号の権利を有する町会や自治会であれば、地方自治法第260条の2を用いた地縁による団体はできるということを、条文の理解で書かれているところであります。そこからすると、賃借権とかも不動産登記法第3条の8号で書かれているので、どこかの事務所を借りて自治会・町会をするということは、必ずどこの町会・自治会もやっているから、それらの権利を有するのであるから、地方自治法第260条の2の手法を用いた法人化は、どの町会も該当するのではないかというふうに理解をしているところです。

 さらに、ここからなんですけれども、第260条の2の第1項で書かれている、そのようなことをして市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負うというふうに書かれております。どのような条文でも、最後に権利を有し、義務を負うとあり、これは当たり前のことですけれども、ここで述べている義務を負うということは、認定町会が法人化をすることでどのような義務を負うのか教えていただければと思います。これが1点目です。

 2点目が、未婚のひとり親の寡婦控除の適用に関してです。

 これに関してですけれども、税の計算において、寡婦控除を適用する、適用しないということがどれほどの所得割へのインパクトがあるかということを教えていただきたいんです。一般的なところで、26万円の住民税の寡婦控除額があります。所得割の計算は(所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額が所得割額となりますが、所得控除額の26万円がすごく大きなインパクトを持ってくると思われます。そういうことからして、このインパクトなんですけれども、未婚のひとり親の方が保育園に預けていた場合に、寡婦控除の適用があることによって、保育園の入園料がD1、D2、D3、D4、D5とありますけれども、大体所得割課税の額が3万円とか2万円でD2からD3、D4と階級が上がっていって、保育料も3,000円とか2,000円単位で変わっていくというふうなことになりますので、言ってみれば、寡婦控除が適用される、適用されないで未婚のひとり親における保育料が大きく変わると考えてよいのかどうか、26万円のインパクトに関して教えていただければと思います。これが2点目です。

 3点目が、これもまた教えてほしいんですけれども、まちの騒音のお話は前にお聞きしました。今度は、まちの落書きに関してです。道に立っている町会の掲示板に落書きがあります。また、都道とかで遮音壁のところに落書きがあります。それを地域の住民が消したいと思ったときに、どのような手続を踏んで消す作業に入っていけばよいのか、何かそのあたりの流れなどがあれば教えてください。どうしても放置しておけませんから。かといって、行政の皆さんがお忙しい中、それを待っていては、割れ窓理論のように犯罪までを許すような地域のように見られてしまいますので、そのようなまちの落書きを地域の人が消したいと思ったときに、消すための何らかの手順なり、そういうものがあれば教えていただきたく考えるところであります。

 もう一つだけ済みません。スクールゾーンに関してですけれども、資料229の小学生の重症事故発生状況で、1年生が登校時に横断歩道を渡る際、タクシーと接触し、全身を強打し、頭蓋骨骨折、肺の挫傷、全身打撲等で15日間入院したというような重症事故が起きているんですけれども、スクールゾーンにおいて歩車分離式信号機があれば、歩行者とタクシーの巻き込まれの衝突は起きなかったと思われます。小学校のスクールゾーンにおける歩車分離式信号の導入の検討なり、これは入れていこうという考え方があるのか、そのあたりの考え方の有無に関して教えていただければと思います。

○眞下地域振興課長
 地方自治法第260条の2、認可地縁団体についてでございます。

 この法律に関しましては、法文のとおり、権利を有するということで不動産登記法による土地・建物に関する権利、立木に関する法律、それから登録を要する金融資産を有する場合、この認可の対象となるというものでございます。御質問の、市町村長の認可を受けた地縁による団体は、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負うということですが、権利を有し、義務を負うとは、法律の権利義務の主体となることを意味するものでございます。

 以上でございます。

○山﨑子育て支援課長
 寡婦控除のみなし適用について、保育料等の影響額ということでございます。

 大きく見まして、地方税法上において、寡婦控除の適用を受ける場合、所得が125万円以下、いわゆる給与収入で大体204万4,000円以下であれば非課税となると。要するに、課税か非課税かの部分で大きく保育料が変わることは実際にございます。ですので、保育料の区分でいえば、住民税非課税の方と課税の方ではかなり違う部分が出てございますので、これは歳児ごとにその分の差が出てくるというのが現実的な影響としてございます。

 ただ、未婚の方でお子さんがいる場合でございますけれども、実際、住民税の非課税区分を超える方はさほど多くはございません。もしみなし適用を行った場合、実際に影響がどれぐらい出るのかというところでいいますと、昨年レベルで、本区の保育を受けている方のうち大体百二、三十名の方は影響が出るであろうという試算はしたことがございます。ただ、全体として、みなし適用前の保育料とみなし適用後の保育料の差額というのは、平均で見ると10万円にいかないぐらい、1人当たりで数えても1,000円、2,000円ぐらいの差が出るレベルで、実際は非課税の区分の方がかなりの数を占めているのが現状でございますので、その影響というのはそれほど大きくはない部分もございます。ただ、これはその方個人の所得と、それを受けての住民税において変わってくるところでございますので、その辺は個々に見ていかないとわからない部分もございます。それについては、引き続き区のほうでも精査して、適用等については検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

○園田広報課長
 まちの落書きということで、広報掲示板への落書きについてお答えいたします。

 広報掲示板につきましては、景観上余り好ましくないということで、これまでいろいろな素材に応じて試してきたところですけれども、素材によって、いろいろ使う材料も違うということで、本日から業者委託して掲示板のいたずら書きを消しているところです。

 以上です。

○小林危機管理課長
 割れ窓理論のような犯罪の視点から、落書きについてお答えさせていただきます。

 確かに、委員おっしゃるように、犯罪者の最大の敵は地域の目ということで、地域の方がどういう関心を持っていらっしゃるか、割れ窓ですとか落書きがあることによって犯罪を誘発するということがございますので、危機管理課といたしましても、地域と連携をしながら、地域のコミュニティの結びつきを強めて対応してまいりたいところでございます。

 以上でございます。

○草場副参事(交通安全対策・特命担当)
 歩車分離式の信号の関係でございます。

 歩車分離式の信号につきましては、最終的に交通管理者である警察が設置を検討することになりますので、こちらから意見を上げる、もしくは警察に相談をするなどして、どこの交差点がこういう危険があるよというところを知らせて、そこで検討してもらって、最終的につけるか、つけないか決定されると考えられます。

 以上です。

○石島委員長
 賃借権は法人化の要件になるかどうかということは。

○眞下地域振興課長
 不動産登記法の先ほどの例による賃借権という話に関しては、対象にならないものと考えております。

○小坂委員
 最初の地縁団体による法人化は非常に使いやすい法律だと思いますので、ぜひとも適用の幅を広げていっていただければと思うところであります。

 また、地方自治法260条の2の第7項、8項、9項あたりに義務を負うということが書かれていると思います。7項で、どのような個人の加入であっても拒んではならないという義務や、8項で、不当な差別的扱いを構成員に対してしてはならない、9項で、特定の政党のために利用してはならない、これらのところが義務をいっているのだと私は考えております。

 2つ目のところなんですけれども、未婚のひとり親に関しましては、寡婦控除の適用があると所得割が減って、きっと保育園の保育料が下がっていくと思われます。議論もありましたけれども、住宅のほうにおきましても公営住宅法施行令がこの10月1日から改正されて、区も公営住宅法に沿って来年4月1日から住宅に関しては適用していくということでありますので、この際、住宅だけでなくて、保育園の入園料とか全ての事業において、寡婦控除のみなし適用をしていただきますようにお願いいたします。

 まちの落書きに関しましては、これはまたいかに地域住民の方が問題意識を持って消していくのかというあたり、御相談に乗っていただければと思います。

 スクールゾーンの交通事故を防ぐための歩車分離式の信号機の導入に関しましても、警察にいかにうまく伝えていくかというあたり、御相談に乗っていただければと思います。

 では、次の話に入っていきたいと思います。

 次は、中央区の民主主義的な手続に関して質問を数件させていただきます。

 まずは、話題になっている区長の公用車の問題です。これはやむにやまれず質問するんですけれども、平成18年12月1日の最高裁の判例を読むと、これはやはり違法であると私は考えます。自分自身も法律の勉強をし始めてまだ5年であり、この判例を探してみると重要判例で、私は5年間出会っていなかったということで、自分自身の勉強不足も再認識したところです。

 この判例を考えるに当たって、なぜ自分が違法と思うかということに関してですけれども、交際費というのは調整交渉的交際費と儀礼的交際費があって、今回は儀礼的交際費の使い方に関して論じられているわけです。今回のものは伊香保温泉視察というふうなフォーマルな会合ではなくて、伊香保温泉旅行というインフォーマルな会合に出られているわけで、インフォーマルであるがゆえに、区長は私費で参加費を払っておられます。このようなインフォーマルな会合の温泉旅行に公用車で乗りつけるというのはおかしい。自家用車で私設秘書に運転を頼み、行くものであって、公用車で乗りつけるというのはおかしいと考え、私はこれを違法と考えます。であるから、区長は運転手代とかガソリン代は区に返還すべきであると考えるんです。

 判例の考え方、目的要件と儀礼要件という2つの要件があって、目的要件、すなわち地方公共団体の役割を果たすため、相手方との友好・信頼関係の維持増進を図ることを目的とすると客観的に見ることができるという目的要件は合致すると思います。もう一つ、儀礼要件、すなわち社会通念上儀礼の範囲にとどまるかどうかというところにおいては、これは社会通念上、伊香保温泉旅行に私費で参加するのに公用車を使うかというと、区民が見た場合、これは社会通念に当てはまらないと思われます。この儀礼要件が当てはまらないがゆえに、目的要件は認められても儀礼要件は認められないから、区長の交際費支出は違法であると考えるところです。これを違法であると考えている議員は、複数おられると思います。

 これ以上述べると水かけ論になるので、これはここでやめますけれども、ただ、このようなグレーゾーン、もしくは疑わしいと区民やマスコミから言われるような違法な支出と考えられるものがあった場合、そのような内容が本当に違法なのかどうかということを中央区の組織の中で法務部みたいな判断をする部署があるのかどうか教えてください。それが1つと、実際に複数の議員がこれを違法と思っているわけなんですけれども、区役所の中の方々は全員違法でないというふうに思われたのか、違法かもしれないけれども、グレーゾーンだよねというふうな議論の中で最終的な結論が出たのか、そのあたりの経過を教えていただければと思います。違法とか違法でないとかいうところを議論したいのではなくて、判断の過程を私は知りたいだけであります。そうでないと水かけ論になりますので。

 2つ目が、広報のあり方に関して質問させてください。

 東京都において、築地市場の移転問題の技術会議の会議録のホームページにおいて、地下空洞案をつくるという案が技術会議から出たというホームページ上の改ざんがされたという事件が東京都でありました。築地市場移転の問題を述べたいのではなく、ホームページの改ざんがあったということを述べたいんですけれども、そこからすると、中央区ではそのようなホームページの改ざんを防ぐような仕組みがあるのかどうか。パソコンにおいて、我々医者も電子カルテを使うときがあって、カルテの書きかえは絶対にできないような仕組みをつくらないとだめなので、厳格に医療者もしているところなんです。東京都がホームページの改ざんを行ったから言っているんだけれども、中央区のホームページにおいては、そのような書きかえができないようなチェックができているのかどうかということを教えてください。

 3つ目が、中央区議会委員会条例の第18条で出席説明の要求というのが議員からできることになっております。常時出席者以外で出席していただきたい方をお呼びする場合、議長に許可を得れば呼ぶことができるというふうに区議会の会議規則では認められているんです。そこからして、そのような要求をした場合に対応していただけるのかどうか、議会費として質問するのではなくて、議会内の条例を用いてした場合に対応していただけるのかどうかという念のための確認をさせてください。具体的に福祉保健委員会で、今度、子ども発達支援センターの検討がこれからどんどんなされていくけれども、そこにおいて障害者福祉課長だとか福祉センター所長が出られていないので、私も福祉保健委員会の委員として議論したいので出ていただきたいと思うことがあると思うんですけれども、そのような場合に、この条文を用いて出席いただけるのかどうか、理事者側の対応に関して、念のために確認させてください。

 最後ですけれども4点目が、きのうありました基本構想審議会におきまして、今後のスケジュールが出されました。それによると、来年2月20日に第6回審議会が開かれて答申が出されると。2月20日に答申が出されるんですけれども、その後、中央区議会としては、大事な予算特別委員会とか、それらがあるんですけれども、答申が出た後に、我々が予算特別委員会でその答申をもんで、それをさらに新基本構想に反映していくようなことはできるのかどうか。2月20日に答申が出てしまうので、ここで確定してしまうものなのか、その後の予算特別委員会でもう一回もんで、それでバージョンアップできるのかどうか、そのあたりのスケジュールを教えていただきたいと思います。

○田中総務部長
 まず、公用車に関する最高裁の判例に基づく区の判断ということでございますけれども、さまざまな見解はあろうかと思いますが、本区におきましては、最高裁判例を見た上で公務に該当するという判断をしておりまして、それについては、一般的な法令上の解釈ですとか、条例、規則の制定などの法規事務につきましては、総務部のほうで所管をさせていただいているということでございます。

 また、委員会条例につきましては、個別具体的な案件が出たときに、これは区長側のほうの権限でということではなくて、委員会条例第18条に書かれておりますとおり、委員会は、途中省略いたしますが、説明のため出席を求めようとするときは、議長を経てするということになっておりますので、個別具体的なときに御相談をさせていただくことになろうかと存じます。

 私からは以上でございます。

○田野議会局長
 関連して御答弁させていただきますけれども、先ほど委員が言われた委員会条例第18条、今、総務部長が答えましたけれども、委員会が出席を求めるということになりますので、そこの前に委員会の判断があります。ですので、委員会、委員長等の判断があって、委員会として出席を求める場合は理事者側のほうに出席を求めると。そこで、今度は理事者側の判断があります。日程も含めた関係もありますので、出られるかどうかということもございますけれども、こちらの委員会条例としては、基本的には委員会が求めるということになりますので、それを議長に伝えて、議長から求めるということになります。

 以上でございます。

○田中総務部長
 基本的には、そういった御要請があれば対応させていただく、きちんと出席をさせていただいて説明をさせていただくということになろうかと思います。

 以上でございます。

○園田広報課長
 ホームページについてお答えします。

 原則、ホームページのほうは広報係で承認作業を行って、初めてアップされるということになっております。もちろん、間違った情報は修正、訂正をその日にちをもってアップし直したりすることはございますが、これまで改ざんするようなことはしておりません。

 以上です。

○御郷副参事(都心再生・計画担当)
 基本構想審議会の件でございます。

 2月に最終答申を出すということでございますけれども、これはあくまでも区長からの諮問を受けた審議会の中で、30人の委員の中で検討していくものでございます。委員の中には、当然ながら、御案内のとおり区議会議員の方々にも御参加いただきまして、非常に貴重な意見をいただきながら進めてきているところでございます。2月の最終答申の後に予算特別委員会がございますけれども、これはあくまでも平成29年度の予算審議でございますので、その中で最終答申をもむということは全く考えておりません。

 以上でございます。

○平林企画部長
 基本的には、予算特別委員会は予算の審議だと思いますけれども、答申を受けて、ここから議決という過程を経て、基本構想が成り立つわけでございまして、当然、付託という中でそういった議論というのができるだろうというふうに考えてございます。

○小坂委員
 それぞれにプロセスを確認させていただきまして、ありがとうございます。

 区長の交際費に関しましては、マスコミから目がつけられるところもあって、どうしても疑わしい部分もあるところでありますので、この際、全ての交際費に関して再度区民目線から見直しをする必要があろうかと思いますので、そのあたりを要望しておきます。

 2点目の広報のあり方に関しましては、もしかしてホームページの改ざんという悪意のあることがなされたとしても、それを検証するすべは持っているというふうに考えてよいのかどうか、そこだけ再答弁をお願いします。

 3つ目の理事者の出席に関しては、理解いたしました。委員会がというところと議長がと、それで判断という流れを確認させていただきました。ありがとうございます。

 4点目の新基本構想に関しましては、答申は出るけれども、その後のところで、また検討し、議会のほうの意見の内容も含めて、さらにバージョンアップしていくというふうなことで解釈いたしました。でないと、2月に答申したら第一回定例会で議決ができてもおかしくないような日程でありますけれども、なぜ第二回定例会まで待っているかというところは、そのようなスケジュールを持っているというところであるということですね。理解させていただきました。

 1つだけ質問しておきながら、次に進めさせていただきますけれども、教育関連でお願いします。

 1つが、教育面に関して、高齢者の方が学校に入っていくというふうな通いの場を学校内につくれるかどうかということで、私は特別会計の款で質問させていただいたんですけれども、教育の場面において、教育委員会の定例会で高齢者の方が学校の中に入っていくような意見もところどころで出ていることもあり、また、高齢者の活躍の場所づくりという面でも、学校という場所も一つの通いの場となるのではないかというふうな考えを持っているんです。単に御高齢の方をお招きして給食を一緒に食べましょうというだけでなくて、もっと積極的な意味で授業のお手伝いをするとか、清掃のお手伝いをするとか、安全・安心の見守りをするとか、そのような集い、通えるような場所を学校内に設けておくような考え方というのは、教育部門においてはあるのでしょうか。そのあたりの考え方を教育部門から教えていただければと思います。

○平林企画部長
 広報の改ざんというお話ですけれども、これは基本的にあってはならないというふうに考えてございますし、先ほど広報課長が答弁したように、チェック機能としては最終的には広報課の中でチェックをかけますけれども、基本的に原稿自体はそれぞれ所管部のほうで所管の長の決裁を得てから出てくる。したがいまして、間違いとか訂正はあったとしても、改ざんということはあり得ないというふうに考えてございます。

○伊藤庶務課長
 教育の現場に高齢者の方が通い、活躍する場の確保というお尋ねであろうと思います。

 教育委員会の定例会の中では、新しい学校施設の改築などの機会に、例えば一つの例としてある晴海中学校のような、高齢者施設との複合施設のようなことのイメージがあるのかというようなやりとりがあったというふうに記憶してございます。実際に、学校の改築、増築ということはこれからの機会もあろうかと思いますが、これまでも答弁させていただきましたように、これからの児童数の急増、それに対して良好な教育環境を確保するということが、まずは第一の使命であるというふうに考えております。また、当然、学校施設としては、必ず付設し、用意しなくてはいけない設備というのがさまざまありますので、優先順位はそこからということがあろうかと思います。

 その上で、これまでも取り組んでおりますが、高齢の方ということにかかわらず、学校では教育活動の一環として多世代の交流ということを小・中学校、幼稚園はもちろん、保育園も含めて、さまざま取り組んでございますし、また教育活動の中としては、地域理解教室などで地域の高齢者の方に、その地域の事情や歴史、文化など、さまざまな機会を捉えて御講義いただくような機会も設けてございますし、今後もそのような形で取り組んでいくつもりでおりますので、ハードとして用意するか否かというよりも、御高齢の方に学校現場で御活躍いただく機会というのは今後もあると思いますし、そのように取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○小坂委員
 高齢の方というわけではないんですけれども、防災拠点運営委員会も学校とのかかわり合いがあるところでありますので、高齢者福祉と子供の教育というものを何とか融合していけないものかというふうに考えるところであります。小学校を拠点としたゾーニングといいますか、小学校を拠点として見渡して、高齢者福祉に役立たないか、その機能が学校にないかというふうなゾーニングの考え方を今後つくっていけないかなと思うところであるし、ある意味、今、コミュニティスクールとかいう話も出てきているところであり、高齢者だけではないですけれども、コミュニティの方が学校に集えるような教室を持っている。そこに集う。そういう学校は、震災があったときも防災拠点運営委員会の機能をすぐに開くことができたというふうなことも言われているところでありますので、小学校エリアを一つのゾーンとしながら、高齢者福祉もできる、また防災力も高まるというような学校を拠点とした高齢者福祉も地域の安全もと、さらにもう一歩高められるような場づくりを、通いの場や教室のようなものをつくるという発想を今後入れていっていただければありがたいかなと思うところであります。どうしても漠然としたこともありますので、さらにこの辺は今後検討していただければと思うところであります。

 ゾーニングついでに言うのであれば、児童相談所をつくってくださいということを一般質問でも言いましたが、その際に、児童相談所というのは、相談施設、遊び場の施設とか、そのような大変大きな施設が要るという御答弁をいただいたところですけれども、それもゾーニングの考え方を入れて八丁堀のところを考えるのであれば、遊び場とか相談室というものを女性センターの部屋で実施することを考えるようなことをしたら、そのあたりの部屋をつくるのがダウンサイジングできて、今、急ぎであるところの児童相談所機能も八丁堀の施設の中に1つ入れていくようなことも可能なのではないかと思われます。児童相談所がどうしても施設面でも大きな規模が必要であるとか、人の配置も必要であるとかいう話が出ましたけれども、今、この定例会において区のほうから新たに出されたゾーニングという考え方を用いるのであれば、大きな施設がなくても、児童相談所を設置することも可能であろうし、児童福祉法の改正もなされ、5年以内に設置すれば有利であるという法律も出されているところなので、ゾーニングの考え方の中で、そのような児童相談所の機能も含め、つけていくということもありなのではないかと思われますが、そのゾーニングの考え方に関して、いかがですか。

○平林企画部長
 ゾーニングについては、これからさまざまな手法が考えられるのかなということで、ある意味、今回の八丁堀がうまくいけば、限られたスペースですので、中央区にとっては、有効な施策の一つだろうというふうに考えてございます。

 ただ、今お話にありました児童相談所はどうなのか。これは、いろいろな制約があるし、難しいとしか申し上げられないのは、例えば虐待ですとか、そういったことでお子さんを児童相談所で保護する場合、いわゆる母子分離をしたときに、親が取り返しに来る。これで、実際に取り返されるケースというのもあるんです。したがいまして、相当なセキュリティーをかけなければいけない。それが単純に、今言った女性センターを活用してできるかというと、これはいろいろ検討しなければいけないし、法的な問題もクリアしなければいけない。したがいまして、ゾーニングというのは、我々が簡単にこれとこれを一緒にすればいいねということではなくて、さまざまな効果とか、それから経費の面ですとか、法的な面ですとか、そういったものをさまざま考えた上で最適な方法としてのゾーニングというのはどういうものなのかと。したがいまして、今回、アドバイザリー契約の中で、もろもろのものを検討する必要があるだろうというふうに考えております。御提案の趣旨はわかりますし、今後拡大していける部分については拡大していきたい。ただ、私は、児童相談所は非常に難しいというふうに考えておるところです。

○小坂委員
 なぜ児童相談所かというと、女性センターでDVを扱うというあたりの関連から言ったところであります。そしてまた、児童相談所はすごく必要とされつつあるし、要保護の相談件数も増加しており、被虐待の数も年々1.3倍ずつふえているというところもありますので、早く設置しなくてはならない施設でもあるので、ここに限らず、早急に設置の方向を考えていっていただければと思います。

 また、ゾーニングに関しての考え方も、このようなやりとりの中でさらに理解いたしました。都市整備部長にも説明いただき、狭義のゾーニングの考え方も述べていただきましたけれども、さらにゾーニングという考え方は中央区においても使える手法かと思います。今後もゾーニングの考え方を取り入れていくようにしていければと思います。

 あと、レガシーに関して、オリンピックの後、何が残るかといった中の心のレガシーという意味合いのレガシーであれば、どのようなものが残ったらいいか。建物のレガシーも、例えばデザインをつくるという点では、小学生の作品をまちづくりに生かそうというような提案をさせていただきましたけれども、ハード面ではなくて、心のレガシーという点で、何か今出ている内容があれば、教えていただければと思います。

○早川オリンピック・パラリンピック調整担当課長
 いわゆるソフト面のレガシーというところかと思ってございます。

 こちらにつきましては、現在、東京都あるいは大会自体については大会組織委員会の中で、東京自体でどういったレガシーが残せるのかといった検討が進められているところと思ってございます。特に、組織委員会では、この8月にもアクション&レガシープランというものが発表されており、このアクション&レガシープランについては、毎年更新していくということも聞いてございます。また、さきには文化プログラムもいよいよスタートしているということで、4年後に向かっては、ハードだけではなくて、さまざまなソフトの取り組みが地域の中でも、あるいは個人の中でも展開されていくというふうに確認しているところでございます。

 こういった中で、選手村のある本区におきまして、さきの一般質問でも御質問をいただいておりますけれども、選手村だけではなくて、選手村のある区として、どういったものがレガシーとして残せるのか、あるいは地域の方々の心の中にレガシーとして残せるのか、こういったものにつきましては、区の中でも区民協議会を通じて、あるいはその下の検討部会を通じて、どんなことができるのかについて、地域の方々と検討を深めてまいりたいと思ってございます。形については、現在、まだなかなか見えるものではございませんけれども、区も地域と一体となって検討してまいりたいと考えてございます。

 以上です。

○小坂委員
 レガシーのところでは、例えば気楽にスポーツに取り組もうという機運が盛り上がったり、ボランティアにもっと参加していこうという意識改革がなされたり、スポーツをもっと楽しもう、スポーツで健康になろうという意識が芽生えたり、さまざまな心のレガシーがあろうかと思いますので、そのあたりは一緒に私のほうも御提案していければと考えるところであります。

 長々と質問してまいりましたけれども、ホームページの改ざんのことを言いましたけれども、これはセキュリティー面のことを言ったのであって、誤解しないでくださいね。本区の職員がやられるということは全然思っているわけではないので、その辺は誤解なきようにお願いします。また、交際費に関しても、原則はきちんと使われているということも理解しております。その上でのことであります。一応その辺をおわびしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○石島委員長
 次の質問者の発言を願います。

○原田委員
 それでは、私より、今回の平成27年度決算特別委員会の最後の質問者として総括質問をさせていただきます。皆さん、大変お疲れだと思いますが、もうしばらくおつき合いをお願いいたします。

 現在、区民憲章、区の憲法とも言われます基本構想の策定という区政の大きな転換点にいることを踏まえまして、質問をしていきたいと思っております。今回の総括では、決算ですので、主に歳入面から考える財政をマクロ的な視点でお聞きしていきたいと思います。財政でありますから、日本経済、世界経済、また金融問題等々、これらの過去十数年の流れを振り返って、現在に至る社会経済を見、それが本区財政にどのように影響を与えつつ、現在に至っているのかを考察して、過去の歴史が区の未来、将来にどのような材料を与えてくれるのかを探ってみたく、お聞きしてまいります。

 私は、平成27年第三回、28年第二回区議会定例会、また28年度予算の予算特別委員会の中でも、過去、現在、未来という時間軸を視点としての質問をさせていただきましたが、これは私の物の見方の一貫したスタンスであります。

 過去は歩いてきた道であり、現在は歩いている道、未来はこれから歩こうとする道であります。過去を学ぶことによって、今起きていることがこの後どのように進んでいくのか推考できる、これはあくまで推測ということにはなるんですけれども、過去と現在がどのようにつながっているか、現在がどのように未来へとつながっていくのか、過去という点、現在という点、未来という点、この点と点をつなげていく。

 余談でありますが、皆さん御存じのIT、あのアップル社の創設者、またCEOでありましたスティーブ・ジョブズが亡くなってから、もう五、六年にもなるかと思いますが、生きていれば六十一、二歳になるかと思います。そのスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で講演した、あの伝説と称されるスピーチで語りました言葉の中に、点と点というスピーチがあります。点と線は松本清張ですが、今、点と点です。

 ジョブズは言います。あらかじめ点と点をつないでおくことはできない。後から振り返って初めてできるのだと言いました。これは多くの深い意味があると思いますが、私はこれを、点と点は振り返ってみないとつなぐことはできないのだと理解をしています。振り返ることによって、今まで気づかなかった過去とのつながりを発見する。振り返って初めて過去と現在はつながるんだと思います。現在から未来、これは振り返ることはできないんですけれども、まだ点と点でつながっていない。しかし、過去を振り返ることで、我々が見失った未来への道しるべを見つけることができるかもしれない。やはり現代社会のありようを理解するためにも、過去を知ることが重要であり、過去を直視、徹見することは、未来を開く手がかりとなるはずだと考えるからであります。

 それでは、現在、新たな基本構想の策定に向けて活発な議論がなされていると思いますが、言うまでもなく、地方公共団体にとって基本構想は、区民と区が一体となり、目指すべきまちの将来像とその道筋を明らかにするものであります。また、この基本構想の策定後、将来像を達成するための実行計画ともいうべき基本計画が策定されると思われますが、この具体的な施策、事業を計画化するに当たっては、当然ながら、中長期的な財政見通しを踏まえたものとなるわけであります。そのため、この基本構想や、その後の基本計画を策定するに当たっては、社会経済状況や区を取り巻く財政環境をどう捉えていくのかということが、これらの策定内容に大きく影響してくるものと考えます。

 そこで、今回の質問につきましては、1つ目、現在の基本構想を策定した時期、過去ですね。2つ目は、新たな基本構想を策定している現在、そして3つ目は、新たな基本構想の実現に向けた10年先、未来ですね。この大きく3つの時期を中心に、本区を取り巻く財政環境に関してお尋ねをしてまいりたいと思います。

 現在の基本構想は、平成9年2月に開催されました第1回審議会から始まって、7回の審議会、15回の部会などで活発な議論が行われて、1年余りの審議を経て、平成10年6月に策定されたものであります。この平成9年から10年にかけての社会経済状況を振り返ってみますと、まず世界経済では、1997年、日本では平成9年、タイのバーツ危機に端を発しましたアジア通貨危機がロシア、中南米諸国などの為替、金融市場にまで動揺を広げるとともに、景気拡大局面にあったアメリカにおいても株価が急落するなど、世界経済は不安定化しつつありました。

 一方、このころ日本では、平成3年のバブル崩壊から始まった平成不況のただ中にありました。民間企業は、過剰な設備、雇用、負債を抱える中で、特に金融機関は不良債権処理が急務となって、融資の引き上げ、いわゆるあの貸し剥がしが相次ぐなど、社会問題ともなっておりました。経済は停滞をして、平成9年には北海道拓殖銀行、山一證券が経営の破綻、さらに翌年の平成10年には日本長期信用銀行や、また日本債権信用銀行も破綻をして、日本の金融システム自体に対する信用不安が蔓延した、そのころの時期と記憶しております。また、国では、財政再建と地方財源の拡充を目的として、消費税が3%から5%へ引き上げられたのも、この平成9年でありました。しかし、消費税率の引き上げは、平成8年まで行われてきた特別減税を一旦取りやめたことなども影響しまして、個人消費、企業収益の低迷が続いて、景気回復への道筋が見えない状況であったんです。

 一方、そのころ、本区の状況に目を移しますと、平成9年ごろは、今振り返れば結果的に人口が底を打った年でありますが、第1回基本構想審議会が開催された平成9年2月の時点では、人口はまだまだ底が見えない状況でありました。皆さん御存じのように、本区の人口のピークは昭和28年の17万2,183人でありました。昭和30年代に入ると、高度成長に伴って、業務機能の一極集中、核家族化の進行によって、都心から郊外へ人口が流出する事態となっておりました。矢田区長が就任をされた昭和62年、1987年です。その人口は約8万5,000人で、ピーク時の半分にまで減少をしておりました。そのころはといえば、バブルという名の嵐が吹き荒れて、地価の高騰、底地買いの横行などによって、至るところが空き家あるいは空き地化して、人口も一貫して減少を続け、下町らしい伝統あるコミュニティも崩壊の危機にあったときであります。

 しかし、こうした状況にあって、矢田区長就任以来、都心に人が住めるようにしよう、これを合い言葉に、人口回復に心血を注いできたことと思います。そして、長きにわたり一貫して減少を続けていた人口がようやく底を打って、平成10年1月に45年ぶりに対前年比で増加に転じたのであります。区長、また議会が一体となって取り組んできた努力と成果がようやく目に見える形であらわれ始めたのが、この時期であります。今でも、人口は、もちろん力強くふえ続けておりまして、定住人口20万人をも見据えるほどになりましたけれども、その原点がこの時期だったわけであり、本区に活気とにぎわいがあふれるようになった、大きな転換点とも言えます。

 このように、世界経済は不安定化が増しつつあり、日本経済も平成不況の中にあって、金融不安も重なって、なかなか先行きが見通せない時期でありましたが、そのような不透明な状況にあって、本区では、長年の悲願であります人口増加、人口回復という希望の光が見え始めたこの時期に、現在の基本構想が策定されたわけであります。

 そこで、お聞きいたします。

 当時における本区を取り巻く状況をどのように捉えておられるのか、特に財政面を中心にお伺いをしてみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○濱田企画財政課長
 過去から現在、そして未来に向けての御質問でございます。委員おっしゃったように、点と点をつないで過去を知るといった観点からの御質問かと思います。

 この決算特別委員会においても、各款でそういった質疑があったかと思いますけれども、事務事業等の元来の目的を見詰め直して、その成果を検証し、解決すべき課題等を明らかにした上で今後の施策に反映させるという視点は、とても重要だと思っております。当然でございますけれども、財政状況についても同様でございまして、過去を振り返り、さらに現在の状況をきちんと把握、認識した上で、中長期的な視点に立った、将来に向けての持続可能な健全財政を続けていくということは、極めて重要なことかと思っているところでございます。

 そうした中での基本構想を策定に着手した平成9年当時の本区を取り巻く状況ということでございますけれども、御紹介いただきましたように、やはり減少の一途をたどります人口と、バブルの崩壊の影響によりますまちの空洞化による危機的状況に尽きるのかなというふうに思っているところでございます。昭和63年1月に人口回復を最重要課題と位置づけまして、定住人口回復対策本部を設置いたしましたところでございますけれども、都心に人が住めるようにしよう、また、人集まらずして繁栄なしと、よく区長も申しておりますけれども、そうした言葉を合い言葉にいたしまして、住環境の整備を中心とした総合的な施策に全庁を挙げて取り組んでいたところでございます。

 なお、タイムラグと申しましょうか、なかなかすぐには結果に結びつかなかった面はございますけれども、結果としましては、平成9年が底となりまして、それ以降、人口増加が続くことになるわけでございますけれども、その当時はそういうことになろうとは当然思わないわけでございますので、先行く不安感にあふれていた時期だったかと受けとめてございます。

 また、バブル崩壊に端を発しました平成不況などによりまして、事業継続が困難となりまして、まちが空洞化するなど、活気とにぎわいどころか、まち自体が崩壊しつつある危機的な状況であったかと思います。そうした中、平成10年6月に現在の基本構想を策定するに至りまして、言ってみれば現基本構想に夢を託したと申しますか、預けたわけでございます。

 そうした中の財政状況でございますけれども、平成9年度の決算を見てみますと、歳入のほうが592億8,000万円、歳出のほうが571億6,000万円ということで、平成27年度の決算のおよそ3分の2の規模でございます。歳入の根幹でございます特別区税でございますけれども、決算額が135億3,000万円ということで、平成27年度決算の約半分ちょっとの金額でございます。歳入に占めます特別区税の構成比が平成9年度は22.8%でございまして、27年度が28.7%でございますので、5.9%、6ポイント近く少ないという厳しい歳入状況だったのかなと受けとめてございます。

 そうした中でございますけれども、委員のお話にございましたが、消費税がアップしたことによりまして、地方財源の柱といたしまして地方消費税交付金というのが創設されました。これはかなり期待していたところでございまして、1年目は時期がおくれて入ってくるものでございますから、平年度化いたします平成10年度当時の予算を見ますと、87億円ほどの収入を見込んでいたところでございます。ところが、消費のさらなる低迷などがございまして、年度途中で年度末の見込みが大きな欠損が出るということがわかってきました。25億円ほどの欠損が出るのではないかと。結果としては15億円ほどで済んだわけでございますけれども、そうした事態が年度途中で明らかになったところでございます。

 そうした事態を受けまして、区としては異例なんでございますけれども、年度途中に平成10年度予算執行の依命通達というものを出しまして、例えば経常予算であっても再度目的、規模等を検証した上で、前年度から5%を削減するとか、光熱水費につきましても前年度から5%削減するとか、あるいは工事費につきましても、原状回復以外の工事はしないとか、こういった形での努力をしてきたところでございます。当時の財政状況の弾力性を示す経常収支比率でございますけれども、平成9年度97.8%という数字でございまして、現在が73.1%という数字でございますので、考えられないような、数字を示しているところでございます。そうしたことからも、厳しい財政状況がうかがえるのかなと思っております。

 加えまして、総合スポーツセンターを建設したわけでございますけれども、その財源といたしまして起債を行ったことによりまして、平成10年度末の区債残高が314億円となりまして、いわゆる主要3基金の残高は当時209億円でございましたけれども、これを105億円も上回ってしまったという状況になってございました。今振り返りますと、よくこういった状況を乗り越えてきたなと思うわけでございますけれども、今後につきましても、本区財政を運営していく上では決して忘れてはならない、そして記憶にしなければならない時期であったと受けとめているところでございます。

 以上です。

○原田委員
 お答えありがとうございます。

 今、お答えにありましたとおり、財政環境はかなり厳しい状況でありまして、ある意味、あの当時が、矢田区政の中で一番厳しい財政状況の時期であったかなというふうに思います。

 次に、現行基本構想を策定した平成10年以降の世界経済と日本経済の動きを概観してみますと、世界経済は、先ほどのアジア通貨危機によります景気後退局面を抜け出して、景気拡大に転じておりましたが、平成12年後半から減速が見られて、米国の景気後退や世界的な情報通信技術、ITの需要の減退によって、景気の減速が本格化した時期であったと言えます。さらに、平成13年、2001年9月に発生、世界を震撼させました米国同時多発テロをきっかけとして、米国株式市場の閉鎖、経済活動の一時停止、これに加えて消費者心理の悪化等の間接的な影響もあって、先行きの不確実性が高まった時期でもあります。その後、米国経済やIT需要の回復などによって、徐々に景気が回復しつつありましたけれども、平成19年、米国において低所得者向け住宅ローン証券の焦げつき、いわゆるサブプライムローン問題が発生して、その翌年、平成20年には、名門証券会社でありましたリーマンブラザーズの経営破綻が引き金となったリーマンショックへと続いて、金融危機が急激に世界的不況に陥ることになりました。その後、リーマンショックによるダメージは大変大きかったんですが、時間の経過とともに、金融マーケットも徐々に落ちつきを取り戻してきました。

 しかし、平成22年ごろになると、ギリシャ政府による粉飾決算に端を発した、いわゆる欧州危機が持ち上がって、ギリシャ国家の破綻懸念が高まってまいりました。この懸念は一進一退を繰り返すこととなりますけれども、この問題はギリシャだけにとどまらずに、スペインやイタリアでも財政の先行き不安が高まってきて、金融不安が高まっていた時期です。

 一方、日本経済は、デフレスパイラルの懸念がしきりに議論される中で、日銀は平成11年2月、金融緩和策としてゼロ金利政策を開始いたしました。また、この年、1999年、当時の小渕内閣です。金融システム安定・信用収縮対策、景気回復策を盛り込んだ緊急経済対策などを取りまとめて積極的に打ち出すなど、不況対策を最優先課題として取り組んでいたころであります。こうした取り組みの成果やIT需要の拡大にも支えられて、一旦景気は回復し、平成11年8月にはゼロ金利政策も解除をされましたが、同時に、企業ではリストラが進んで、失業率は悪化の一途をたどっておりました。景気回復しても雇用がふえないことから、ジョブレスリカバリー、仕事がなき景気回復とも言われていたころであります。しかし、IT需要などを背景とした景気回復も長くは続きませんでした。平成13年にはITバブル崩壊によるIT需要の減少のほかに、米国の景気後退などの影響を受けまして、我が国の景気は再び悪化へと転じることとなります。このとき、日銀は市中銀行の預金量をふやす量的金融緩和を導入して、銀行間の金利は再びゼロへと向かうことになりました。また、この年、平成13年には聖域なき構造改革、構造改革なくして景気回復なしというスローガンを掲げました、あの小泉政権が誕生した年でもあります。そして、この年の6月には、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針を決定し、不良債権の処理の強化や、また翌年の国債発行を30兆円以下とするなどの方針を打ち出したところであります。

 この年の9月、先ほどお話しいたしました米国同時多発テロに端を発した我が国の景気の低迷も、その後、米国経済やIT需要の回復を受けて、国内景気も緩やかに回復に転じました。そして、その後も不良債権問題の処理が進んで、中国を初め、新興国による特需などによって輸出が大きく伸びた。設備投資の拡大も伸びた。景気拡大が長く続くこととなります。この景気は平成14年2月から約73カ月間続くこととなって、戦後最長となるいざなみ景気とも呼ばれましたが、所得環境の改善は余り感じることができませんで、実感なき景気回復とも言われておりました。しかし、米国発のいわゆるリーマンショックにより、日経平均株価が4割も下落するなどの余波を受けて、急激に景気悪化に向かうこととなります。リーマンショック後の日本経済、時間の経過とともに、緩慢ながらも景気を持ち直しつつあった中で、今度は、あの平成23年3月に発生した東日本大震災によって再び景気低迷に転じるなど、なかなか景気の回復が見通せない状況でありました。

 こうした景気低迷の中、第2次安倍政権が掲げました金融政策、財政政策、成長戦略というアベノミクス、3本の矢による円安の進行によって輸出関連企業を中心とした企業収益が改善をして、株価が上昇し、一定の成果は上がったものと思われますが、最近では、新興国を中心といたしました経済成長の鈍化や原油価格の下落などを背景として、デフレ脱却に向けたスピードもかなり鈍化しつつあるのかなと思います。また、我が国は経済再生と財政健全化の双方をまた実現していく必要がありますけれども、財政健全化の切り札とも言えます消費税率の引き上げについては、御存じのとおり平成29年4月からの税率10%への引き上げを、平成31年10月まで再度延期する方針が示されたところであります。

 一方、本区を取り巻く環境も大きく変容しました。何といっても、平成12年度に実施された地方分権改革、そして都区制度改革であります。清掃事業の移管を代表とする都区制度改革が実現するとともに、特別区が基礎自治体として、自治法上、明確に位置づけられました。この都区制度改革を踏まえた都区間の財政配分割合の見直しや、税財政制度の見直しなどもありました。さらに、高齢者介護及び医療サービスを社会保険制度の枠組みとして再構築した介護保険制度も導入をされました。

 また、本区の最重要課題であります定住人口の回復につきましては、平成9年を境に、一貫してふえ続け、平成18年4月には昭和50年以来、31年ぶりとなる10万人を達成、平成20年9月には36年ぶりとなる11万人を達成、そして平成27年4月には51年ぶりとなる14万人を達成するなど、まちには活気とにぎわいが戻って、一定のめどが立ったことと思います。

 しかし、一方で、人口増加は行政需要の増大と多様化ももたらします。とりわけ、子供の増加によって保育所待機児童の増加、小学校の教室不足が顕在してきているのは御存じのとおりです。そこで、保育所の積極的な誘致を進めるとともに、小学校の対策では、平成24年に完成した中央小学校、明石小学校から始まって、明正小学校、月島第二小学校、豊海小学校など、相次いで増改築に取りかかるなど、近年は施設整備が急増している状況となっております。

 少し長くなりましたが、現行の基本構想策定以後、これまでの18年ほどを振り返ってみましたけれども、リーマンショックや東日本大震災など、本当に多くのこと、そして大きなことが相次いでおりまして、激動の期間とも言えるのではないかと思います。そして、よい意味でも、悪い意味でも、今の中央区は、この激動とも言える18年間があった上に存在しているのでありまして、また、どのような財政運営をしてきたかの結果でもあります。

 そこで、お伺いします。

 この期間における本区を取り巻く状況と、この間の財政状況に対する認識、また財政運営に当たって、特に留意した点などについてお聞かせ願えればありがたいと思います。よろしくお願いします。

○濱田企画財政課長
 平成10年ごろから現在の動きということでございます。

 区の重立った動きを振り返ってみますと、やはり委員御紹介いただきましたように、平成10年に45年ぶりに人口が増加に転じ、その後、平成18年4月には念願の10万人を達成したということが、まず大きなことかと思います。そうした中、平成10年6月には現行の基本構想を策定いたしまして、翌年度にはそれを具現化する基本計画、さらに本区を取り巻く環境の変化等にあわせまして、その後、2005、2008、2013と3回改定をしていたということでございます。

 また、人口増ですとか、社会経済情勢等の変化に伴いまして、平成14年10月の景気回復対策本部を皮切りに、快適な都心居住推進本部ですとか、子育て支援対策本部など、快適な都心居住に向けてのさまざまな施策を展開してきたところでございます。

 そして、この期間として忘れることができないのは、平成23年3月の都議会で決定しました築地市場の移転・再整備の問題と、平成25年9月の東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催決定かなと思ってございます。今、築地市場移転のほうが問題化しておりますけれども、本区といたしましては、区民等の混乱を最小限に抑えるとともに、2020年以降のまちづくりに向けて邁進していく所存でございます。

 この期間の財政状況というお話でございますけれども、基本的には、人口増加を背景にいたしまして、財政規模は右肩上がりで上がっていくわけでございますけれども、こちらも委員紹介ございましたように、特筆すべきことはリーマンショックの影響でございます。平成20年秋の翌年度の21年度については、特別区交付金が前年度比で約31億円の減収、それから翌々年度の22年度には特別区民税が約16億円の減収となりまして、マイナス補正を余儀なくされるなど、いかに本区の財政構造が社会経済状況に大きく影響されるのかということがわかったところでございます。

 また、先ほど述べましたように、総合スポーツセンターの起債に伴いまして区債残高が大幅に上昇いたしまして、公債費比率でございますけれども、平成13年度には10%を超え、さらに16年度には15%を超えた時期もございます。現在は1.4%なので、かなり大きな数字でございます。こうした区債の償還の負担が区の財政を逼迫させていたということも、忘れてはならないことかなと思っております。

 そうした中、財政運営に当たって留意した点でございますけれども、先ほども述べましたように、景気低迷等の長期化によりまして、いまだかつて経験したことがないような深刻な事態と受けとめまして、不退転の決意で行政改革を推進すべく、平成11年2月に中央区行政改革大綱を策定したところでございます。特に、当時、経常的経費は人件費が約半分を占めておりまして、こういったことから、5年間で職員数を約7%減らそうといったことで重点的に取り組んだところでございます。その後も第2次中央区行政改革大綱を策定することになりますけれども、この間、PFI事業ですとか、指定管理者制度の導入・活用など、コストの平準化・削減のほかに、区民サービスの向上も図ってきたというところでございます。

 また、予算編成につきまして、フレーム予算というものを平成16年から試行、17年から本格実施をいたしまして、現在は一件算定方式というものに改めてございますけれども、試行を含めて12年間実施する中で、予算規模の肥大化の抑制はもちろんでございますけれども、フレームにおさめるといった作業を通して、各部局あるいは各職員の財源に対する意識が高まったのかなということで、それなりの成果が上がったものと受けとめてございます。

 さらに、特にこの間留意したのが基金と区債でございまして、先ほども申しましたように、この期間、将来の需要を見据えて基金の積み増し、温存を積極的に図ってきたところでございます。加えまして、区債発行の抑制をしてきたということで、先ほど述べました主要3基金と区債残高の逆転現象は平成13年度には解消いたしまして、平成21年度には基金が区債残高を452億円上回るまでになったところでございます。また、その他にも、平和基金ですとか、森とみどりの基金あるいは文化振興基金といった、目的を明確にした基金を設置いたしまして、財源をしっかりと確保してきたところでございます。また、新しいところでは、平成25年度から集合住宅に対します協力金でございますけれども、1戸100万円ということで、それを協力金としていただきまして、基金のほうに積み立てているという状況でございます。

 このように、基金による財源確保ですとか、指定管理者導入等による行政の効率化を図ってきたことで厳しい財政状況を打破するとともに、できる限り区民サービスへの影響を抑えるよう努めてきた期間であったかと認識してございます。

 以上でございます。

○原田委員
 お答えありがとうございます。今や14万人に達しました人口回復の成果はもとより、その他多くの施策の成果、その陰にありまして、財政運営の御苦労を感じるところです。ありがとうございます。

 次に、新たな基本構想を策定している現在の社会経済状況を中心にお話を振り向けていきたいと思いますが、現在の世界景気動向は、先月の政府月例経済報告によれば、米国が回復基調にあるものの、中国は緩やかに減速している、イギリスのEU離脱問題に伴って不透明感の高まりが景気の下押しリスクとなっているなど、全体としては緩やかに回復しているものの、弱さが見られている状況となっていると言われています。近年、世界経済の実質成長率が下方修正されていることも鑑みれば、回復基調は続くものの、力強さを欠いた状態が当面続くのではないかと思われます。

 それでは、一方、日本経済はといいますと、これも同じ政府月例経済報告なんですが、このところ弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いているとされています。どうでしょうか。しかし、先ほども触れましたが、消費税率8%から10%への引き上げを、平成29年4月に予定どおり引き上げることができないで、平成31年10月まで再度延期する方針が示されております。これは、現在開かれている臨時国会で正式に再延期が決定されると思いますけれども、消費税率引き上げの再延期は、延期した事実よりも、税率引き上げに耐え得る経済状況、また所得環境を構築できなかったことが問題の根幹ではないのかなというふうに思います。

 そして、本区を取り巻く状況はといいますと、先日送付されました財政白書によれば、4年後に迫ってきた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やその後を見据えた区内全体の良好なまちづくりなどが課題となっており、とりわけ災害に強いまちづくり、人口増加への対応が急がれる基盤整備、都市観光を中心としたにぎわい創出などは、オリンピック・パラリンピックがもたらす変化も見据えた対応が必要とあります。また、財政状況に関しましては、経常収支比率、実質収支比率、ともに適正水準の範囲にあり、また財政調整基金残高も標準財政規模の41%となりまして、目安としている残高の2倍を維持しておりますから、現時点での財政状況は、引き続き健全性を保っている。ただし、基金残高が4年連続減少している一方で、特別区債残高が5年連続増加しています。だから、将来に対する財政的な余力が縮小傾向にあることに注意しなさいと言っています。

 今年度、新たな基本構想を策定し、来年度にはその具体策であります基本計画も策定すると思われますが、そうしたときに、計画を実現化あるいは予算化するためには、財源の裏づけがあることが大前提であります。

 そこで、またお伺いしますが、財政白書では、現時点での財政状況は引き続き健全性を保っています。ただし、将来に対する財政的な余力が縮小傾向にあることに留意する必要がありますという言葉で語られておりますけれども、これをもう少し歳入や歳出の具体的な数値も示していただきながら、財政を預かる企画財政課長が感じています本区の財政環境、財政状況を少し御説明いただけないかと思います。よろしいでしょうか。お願いします。

○濱田企画財政課長
 現在の財政状況ということでございます。

 まず、平成27年度決算におきまして、経常収支比率が73.1%となりまして、前年度を5.2ポイント下回ってございます。これは4年連続の減少とともに、3年連続して適正水準内におさまっているというものでございます。理由でございますけれども、特別区税、特別区財政調整交付金あるいは地方消費税交付金の増収が大きな要因でございます。この要因でございますけれども、これは実は23区共通でございまして、港区を除く22区で比率が改善しているという状況でございます。ただ、その中でも本区は特別区の平均を7.4ポイント下回るとともに、低いほうから数えて5番目ということで、ここ数年の比率の推移から見ましても、あくまでも指標上ではございますけれども、通常の行政サービス、需要に対しましては、税収などで十分に対応できているのかなと受けとめているところでございます。

 ただし、増収要素のうち、特別区税は納税義務者数の増によって、今後も一定程度は増収が期待できますけれども、今回、地方消費税交付金につきましては、暦の関係で1カ月多かったということで10億円弱の臨時的な増収だったこと、それから特別区財政調整交付金につきましても、これからの消費税のアップ時に法人住民税の一部国税化あるいは景気動向により、フレーム枠が下がるといったリスクがあることから、決して予断を許さない状況であるかなとは受けとめているところでございます。

 また、基金につきましては、近年、人口増に伴う学校などの基盤整備に活用しておりますので、ここ4年ほどは連続して減少しているところでございますけれども、平成27年度末の主要3基金の残高はいまだに407億円を維持しているところでございます。これは、これまで計画的に積み立ててきたことによるものでございますけれども、逆に言えば、こういうときがあるだろうということを想定して積み立ててきたものでございます。

 区債につきましても、近年、発行が続いておりますので、残高は年々増加しておりますけれども、平成27年度末では113億円でございます。現状としては、これまでのピークである平成10年度末の314億円のまだ半分以下ということ、それから平成1桁の年から11年にかけて発行した区債が、今後、順次完了していくということもございますけれども、やはり今後も区債の発行が続いていくということが考えられますので、この数字の推移には留意していく必要があるのかなと思っております。ただ、現時点といたしましては、基金が区債残高をまだ276億円ほど上回っている状況でございまして、また、公債費比率のほうも、ここ数年の比率が1.4%と低水準で動いておりますので、そういった意味から、あくまでも現時点では、ある程度余力がある状況かなというふうには受けとめてございます。

 今後につきましても、一時的に多額の経費を要する施設整備が続きますので、基金、区債の差が減少していくことは確実かなと思っております。先ほども述べた、景気に脆弱な財政構造ということも踏まえまして、中長期的な視点のもとに、バランスを意識しながら今後も財政運営を続けていく所存でございます。

 以上でございます。

○原田委員
 御答弁ありがとうございました。

 それでは、今の御答弁を受けての、これが最後の質問になるかと思いますが、新たな基本構想は計画期間が20年と聞いております。ただし、今から20年後の将来像は語ることができるかもしれませんけれども、20年後の財政環境、財政状況となりますと、これは雲をつかむような話になってしまいます。また、20年後となりますと、こちらにいらっしゃる理事者の皆さんのうち、どれだけの方が行政にかかわっているのか。どうでしょうか。ここでは、計画の半分、10年ほど先を見据えた話にしたいと思います。10年後であれば、多分皆さん、3分の1から半分ぐらいは行政に携わっているかなと思いますので。

 話を戻しますが、あるシンクタンクのレポートによれば、今後10年間の世界経済については、おおむね平均成長率を3%強と見込んでおります。このうち、勝ち組に含まれると思われる米国経済は、近いうちにも金融政策変更の動きが予測をされております。これはFRBのイエレン議長も年内に利上げをするなどと意欲を見せておりますから、米国の10年間の平均成長率は2%強と順調な成長を見込んでおります。一方、欧州経済については、10年間の平均成長率が1%強にとどまると予想しておりまして、加えて、この見通しはイギリスのEU離脱によるさまざまな影響は反映されていません。だから、さらに下回ることもあるのではないかと思います。

 一方、日本の今後の10年間を見通したレポートによりますと、東京2020大会に向けた建設などの需要、大会開催を控えた期待感、これで景気の拡大が見込まれるとあります。しかし、東京2020大会終了直後は、需要の盛り上がりの反動、減によって景気の減速が予想されています。昭和39年、第1回の東京オリンピックの終わった後は、ひどい不況に見舞われましたからね。また、国家財政を見てみますと、先ほどお話ししましたが、消費税率の10%への引き上げを平成31年10月まで再度延期したことなどによって、平成32年度の財政健全化目標であります国と地方を合わせた基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字化の達成が可能なのかどうか。もし達成できない場合、市場から信任が得られませんから、国債の下落、金利の上昇ということにはならないのかなど、懸念を感じるところです。

 先月、9月22日、日銀の金融政策決定会合が開かれて、金融政策の軸足を量から金利へと移す新たな金融緩和の枠組みを打ち出しました。これは、金融緩和の軸足を、これまでの世の中に出回るお金の量から長期・短期の金利に移すことを決めたことでありまして、長期金利の代表的指標であります10年国債利回りをゼロ%で推移するように国債を買い入れますよと決めたことでありまして、そのために、長期金利がゼロ%を大きく上回ることのないように、日銀が指定する利回りで国債を買い入れる制度、指し値オペレーションを導入しました。そうなれば、市場の金利も必然とゼロ%程度まで下がるとの読みなんですよね。

 しかし、ことしの2月に日銀のマイナス金利政策が導入されました。すると、長期金利が大きく下がり過ぎてしまい、どうしようもないので、軸足を動かしたんです。これは民間企業というか、民間銀行の経営運営に支障を来すからだと思いますが、長期金利は住宅ローンなどの基準となりますから、長期金利が下がれば、もちろん、企業、個人はお金を借りやすくなりますから、投資などがふえて景気を刺激することになるわけです。景気がよくなれば、デフレ解消となります。

 安倍政権の経済政策は、先ほどもお話ししたアベノミクスの第1ステージの3本の矢のうち、第1の矢が金融政策でありました。これはデフレ脱却です。だから、インフレ論者の黒田さんを日銀総裁に迎えた。その上で、第2の矢は財政政策で、第3の矢は1の矢、2の矢を見据えた成長戦略であったんです。そして、2020年に向けての新たなエンジンとして、第2ステージには第1の矢を強い経済としました。日銀は、今、この第一の矢の強い経済を、スピードを上げるために、消費者物価指数の上昇率の目標を2%になるように金融緩和策を続けるインフレターゲット政策を打ち出したわけです。リフレ政策です。しかし、デフレをとめてインフレにしようという試みは、意外や、世界的に前例がありません。この政策は、実は大変な大実験になるのではないかと言われています。

 先ほどの政府の消費税率10%への引き上げ再度延期のお話をしましたが、この消費税率を少し調べてみたんです。消費税率が1%上がると2.5兆円の増収となるというのは、皆さん御存じだと思いますが、そこで調べてみました。1989年、平成元年、ゼロ%から3%に初めて税率を上げたんです。ですから、7.5兆円増収がなければおかしいところ、結果は5.2兆円しかふえなかったんです。また、1997年、平成9年、3%から5%に上げた。ですから、5兆円の増収がなければいけないんだけれども、実は増収があるどころか、4.5兆円もマイナスになってしまったんです。では、このとき何があったかというと、日経平均4万円に迫るほどのバブルの絶頂の時代です。それなのにもかかわらず、減収なんです。増収ではなかったんです。2014年、この間のことです。平成26年、5%から8%に上げた。7.5兆円の増収があるはずだった。でも、結果は2.4兆円しかふえなかった。先ほど申しましたけれども、だから、経済が減速してしまったんです。調べてみると、過去3回一度も目標額に達したことがないんです。だから、税率を上げれば税収がふえるというのは、一体どこに根拠があるのかなというふうに、つい思ってしまいます。

 まだ、金融関係についてお話をしたいところですが、この場は金融会議ではないので、この話はやめまして、次へいきます。

 ここで、もう一度本区の状況に目を戻しますと、将来像となる基本構想を現在策定しているわけでありますので、ここでは余り語らないことといたしますが、人口ビジョンによれば、さらに人口はふえ続けて、10年後の平成38年中には人口が21万人を超えるような状況が予測をされています。こうしたベースをもとに、10年程度先の財政見通しについて、少しお伺いします。

 経済は生き物といいます。リーマンショックや災害等を例に出すまでもなく、1年先を見通すのも極めて難しいものと認識しておりますけれども、しかし、基本構想、そして今後、基本計画を策定するに当たっては、当たる、当たらないは別にいたしまして、一定の制約のもとに財政見通しを立てることは必要であります。10年後の財政状況なのか、あるいは特別区税を中心とした歳入環境となるのかもしれませんし、また基金や特別区債の見通しということになるかもしれませんが、いずれにしても、10年後の本区の財政環境をどう捉えるのか、あるいは10年後の本区の財政状況をどのようにするという目標を持って財政運営をしていくのかという視点は必要でありますし、持っていただきたいとも思います。

 そこで、お伺いします。

 現在、新たな基本構想の策定に取り組まれている中でありますが、新たな将来像の実現に向けて取り組んでいるであろう10年後における本区の財政の絵姿をどのように捉えておられるか、お伺いします。これは、今お話ししたように、漠とした質問で大変答えづらいかと思います。でも、企画財政課長の御意見で結構なので、よろしくお願いします。

○濱田企画財政課長
 10年後の財政の絵姿ということで、なかなか捉えにくい部分もございますけれども、ちなみに、私自身は、20年後はもちろんですけれども、10年後もいない組でございます。

 本区の財政でございますけれども、当然、年々拡大しているわけでございます。これは、もちろん人口増に伴います経常的経費、特に児童福祉費を中心とします需要の増加もございますけれども、やはり大きな要素を占めますのが施設整備や市街地再開発等の投資的経費になろうかと思います。この投資的経費の推移を見てみますと、今現在は10年前の約倍になってございます。その部分はやはり伸びているという状況でございまして、この中でも市街地再開発につきましては、当該年度の国庫補助等の特定財源を除けば、残りは財調のほうで、4年間で算定されますので、いっとき財調立てかえをするといった、その金額には留意していく必要がございますけれども、やはりキーとなりますのは施設の整備がどうなっていくかということかと思います。

 これも何回か御紹介いたしましたけれども、今般整備の見直しを決めました本の森ちゅうおうが恐らく100億円ぐらいは見込んでおかなければいけない。それから、阪本小学校の改築も60から70億円、それから何といいましてもオリンピック後の晴海地区の基盤整備でございます。こちらは土地代すらもまだ決まっていないわけでございます。これからの交渉になりますけれども、最低でも200億円以上は見込んでおかなければならないだろうというふうに思っているところでございます。そうしたことから、10年後の絵姿を語るに当たりましては、やはりオリンピック後の晴海の選手村の後の基盤整備、これが大体平成35年ごろになろうかと思いますけれども、このころをピークと捉える必要があるだろうというふうに思ってございます。こうした経費を捻出するに当たりまして、当該年度の税収等だけでは賄い切れませんので、基金を活用することになりますけれども、さすがにこれまで計画的に積み立てたといえども、基金だけに頼っておりますと枯渇してしまう可能性が十分にございます。

 そうしたことから、当然、区債も組み合わせながら財源対策を行っていくということになりますけれども、基本的には災害等、万一の場合に備えまして、財政調整基金のほうは一定規模以上、従来から申しています標準財政規模の20%でいえば、大体100億円弱でございますけれども、100億円以上をキープしながらも、御紹介ございましたように、今、たまたま金利がかなり低くて、言い方は悪いですけれども、借りどきというような時期でもございますので、積極的に区債のほうを活用しながら、財政の平準化を図っていくということになろうかと思います。ただ、ここで注意しなければいけないのは、借りたときはいいですけれども、借りた後の将来負担もしっかりと頭に入れながら財政計画を立てていく必要があるだろうと思っているところでございます。

 この結果、一時的には区債残高が基金残高を上回るということも想定しておかなければならないかもしれません。ただ、そういった想定をしましても、先ほど申しましたように、今、金額がわからない部分がある中でのあらあらの計算でございますけれども、何とか区民サービスの低下を招くことなく、乗り切れるだろうというふうに確信をしているところでございます。

 歳入環境につきましては、特別区交付金のほうは、法人住民税の一部国税化等の影響で増収は見込めないわけでございますけれども、特別区税のほうは納税義務者数の増加による一定の増収、あるいは景気の動向に比較的左右されにくい地方消費税交付金のほうも、消費税の増税とともに、今の試算では20億円ほどの増収が見込めるといった点もございます。そうした形でいきますと、施設整備のほうはもう落ち着いているだろうという前提のもとになりますけれども、平成35年ごろの一定のピークを過ぎれば、大体1,000億円程度で推移しているのかなというふうに、今のところは捉えているところでございます。

 今後につきましても、過去からこれまでの教訓、委員がおっしゃったように点と点をつなぎつつ、しっかりと過去を振り返りつつ、また事務事業や行政サービスのあり方を常に検証しながら、今後も健全で持続可能な財政運営を目指していきたいというところでございます。

 以上でございます。

○原田委員
 済みません。10年後の未来の財政のお話を聞きましたけれども、考えたら、多分私も10年後にはこの席にはいないかと思いまして、いない者が、済みません、余計な質問をしたようで。ありがとうございました。

 世界の経済と、それに伴う金融の流れ、グローバル化が急速に進んだ現代では、当然、日本経済に及ぼす影響は大でありますし、これらが微妙に区の財政に響いてくるのも当然であります。かといって、こうした流れが的確にわかるものでしたら、苦労は要らないわけで、他国の経済運営の失敗がすぐに日本にも影響してくるような現代では、先を正確に見通すということは大変難しいことと思います。その中での質問でしたが、御答弁は大変参考になりました。ありがとうございます。

 区長が常々言われている、人集まらずして繁栄なし、そのとおりでありますが、財政もまた、財政の安定なくして政策なしであります。どうぞ、これからも持続可能な財政安定確保維持に努めていただくようにお願いをする次第です。

 これから世界はどこへ向かおうとしているのか。日本はどこに向かおうとしているのか。そして今日の21世紀は、後年、後の世にどのような時代として振り返られるのだろうか。今回は、過去10年ほどから現在までの経済、財政を振り返りましたが、最後に、もう少しさかのぼって、昭和30年代、第1回の東京オリンピック開催を迎えようとしていたあのころです。第2回の東京オリンピックは、もう目の前に来ております。

 私ごとで恐縮でありますが、ことしの8月のある夏の夜、寝苦しくて寝つけないので、夜中の2時ごろ起き出しまして、本を読もうと書棚を探っておりますと、たまたま手にしたのが、昔、もう30年も前に読んだもので、その本自体の古さが懐かしくて、その夜は一気にその本を読み返しました。その本は、城山三郎さんの書いた官僚たちの夏です。これは、当時、週刊朝日に連載された通産官僚たちの夏を文庫本にしたものです。既に皆さん、読んだ方も大変多いと思いますが、昭和30年代のころの国民総生産、GNPです。当時のGNPは10年ほどで4.5倍にも伸ばしたんですね。敗戦によって再起不能と思われていた我が国の国力も、たった10年で、もはや戦後ではないと言わしめるほどに回復をさせて、その上、世界先進国の工業力に追いつき追い越すという、まさに日本の奇跡と言われる時代をつくっていたころの話です。

 あのころといえば、昭和32年から35年の岸内閣、日米安保条約。昭和35年から39年の池田内閣、所得倍増計画。そして、昭和39年から47年の佐藤内閣、沖縄返還。これは高度経済成長時代の幕あけのころで、このころの時代を実際に見て、聞いて、その息遣いを肌で感じ取っている方、それがまさにここにおいでになる矢田区長ではないでしょうか。どうでしょうか。当時の佐藤総理の実際の姿も見られておられるわけですから、あのころの生の話を少ししていただければ、ありがたいと思いますが、区長、どうですか。お願いします。

○矢田区長
 あのころ私は共同通信の新聞記者で、政治記者として佐藤、田中、三木、福田、大平、鈴木、中曽根康弘、7代の首相を見てまいりまして、その後、ここに携わらせていただいているわけでございます。池田さんは、実際には私は知らないんですけれども、池田さんの功績というのは大きいですね。岸さんが、あれだけ60年安保闘争で政治的な大混乱を起こした。その後、政治から経済へ、ぱっと国民の目を移して、そして所得倍増計画なんかも堂々と打ち出し、そして、それを実現したということですね。

 所得がどんどん伸びる時代であったわけでございますし、またオリンピックですね。今から52年前にオリンピックを迎えようということで、オリンピックレガシーと言われるものがどんどん出てきた。新幹線、首都高なんかもね。日本橋上空の高速道路のような負の遺産もあるけれども、首都のあり方をがらっと変えた。これによって、経済性といいますか、都内の動きがスムーズになってきた。また、オリンピックを迎えるということで代々木の体育館なんかも文化遺産として残そうではないかという運動もあるようでございますけれども、すばらしいものをつくられた。そして、オリンピックを迎えるということで、どんどん高めていった。もちろん、今御指摘がありましたとおり、その後、景気が落ち込んだときもあるでありましょうけれども、それからまた景気をどんどん上げていった高度経済成長。大阪万博なんかも行ったりして、それこそ黄金時代を少しずつつくり上げていった時代ではないかな、こういうふうにも感ずるわけであります。

 誤りのところも随分あるでありましょうけれども、いろいろと活発な国会論戦なんかを聞いていても、なるほどという論調が随分与野党から出たわけでございますし、そういうことで、過去、現在、未来、点と点を結んでいただきましたけれども、52年前のオリンピックはああいう格好で、終戦の混乱の中、わずか二十数年であれだけのオリンピックをやったということで、日本人自身が物すごい自信を持って、そして各国の方々も驚嘆したわけであります。

 今回のオリンピックは、また違う。こんなすばらしいまちをつくり上げたということでは、何回か申し上げましたけれども、これは日本が紛争に一切巻き込まれることなく、平和貢献、世界の中の日本として世界貢献をやってきたのが報われたのでありましょう。だから、そういう面でも各国の方々は4年後のオリンピック、そういう面でも、平和に徹すれば、こういうまちができるんだ、人々もこれだけ穏やかにおられるじゃないかということで感服していただけるのではないかな、こういうふうに思います。

 先般行われたリオデジャネイロオリンピックね。オリンピックは、世界最高のスポーツと平和の祭典であると申し上げておりますけれども、しかし、どうでしょうかね。オリンピックの最中にシリアでは内戦状態が続き、そしてアレッポでは小さな子供も犠牲になったり、いろいろなことが起こった。この周辺でも、朝鮮半島からミサイルが打ち出されたり、あるいは中国が尖閣諸島に大挙して押し込んできたり、いろいろな事件等が起こる。だから、今でも米韓合同演習なんかも、お互いに刺激し合って行われているわけですけれども、私から見ると、お互いに無駄遣いをやっているな、こういうふうに思えるわけで、戦争をやめて、ああいう訓練だとか何とかのものを国民の平和のほうに使えば、どんなに皆さん、豊かになるか、また難民なんかも救われるか、そういうふうに、何度も何度も思うのであります。

 平和こそ大事なのであって、スポーツと平和の祭典、何百回もお聞きいたしましたけれども、スポーツのほうは確かにいろいろ改善を加えたり、ドーピングをなくしたり何かするけれども、一方の平和のほうは余り声高には言われない。オリンピック中なんだから、もう少し自重したらどうだとか、もうじきオリンピックが行われるんだから、少し冷静になろうではないかとか、世界の平和のために、少し外交面でみんなで話し合ったらどうかということが行われればいいんだけれども、アメリカも大統領選挙が11月ですから、もう一カ月ちょっとぐらいで行われるわけでありまして、慌ただしい最中であるから、そういう余裕がないのかもわかりませんけれども、新大統領が生まれたら、やはり平和を、もう少し冷静に、またロシアのプーチン大統領もこっちへ来るのでありましょうから、そういう場を通して、少し冷静に世界を見て、そして、それこそ点と点を結んで、未来の点は平和なんだというようなものに持っていきたいものだな、こういうふうに思っております。

 無論、経済のほうも健全財政、これこそ本区の一丁目一番地、これは外すことができない。無論、さまざまな改築であるとか、本庁舎自体もつくっていかなければならないということで、両副区長を中心に検討を命じているところでございまして、全庁を挙げて何とかすばらしい庁舎を、次の時代の方々が、いいものをつくってくれたと思えるようなもの、それも工夫に工夫を凝らして、今、23区だけを見ても、さまざまな庁舎のあり方があるわけでありますから、また、ほかの自治体のほうの庁舎等も参考にしながら、すばらしいものをつくっていきたい、そういうふうに思うわけでございます。

 学校のほうは、これは次代の人材を育てる、その原点中の原点でありますから、これはお金がかかるからとか何とかという手抜きではなくて、多少かかっても、しっかりとした人材を育てていくんだという意味を込めてやっていきたい、そういうふうに思っているところであります。

 以上でございます。

○原田委員
 大変御丁寧にありがとうございました。

 区長は、生で各総理に仕えられたというか、その近くにいたので、この当時の佐藤栄作首相などのことも本当によく御存じだと思います。いろいろどうもありがとうございます。大阪万博、その他、当時を区長も思い出すと思いますけれども、実際に区長は見てきて、肌で感じていられる話ですから、今度またゆっくり、時間があれば、そのころのお話を聞かせていただきたいと思います。

 岸内閣から佐藤内閣までの15年間の通産官僚たちが、国内産業育成のために流した汗と苦悩と涙と、そして情熱を描いたのが官僚たちの夏でありました。

 先ほどの区長のお話を少しなぞるようで、これまた恐縮ですが、あのころは個人の年収が20万円です。国産車ができましたけれども、値段は100万円で、家を買うより高かった。車にはまだ手が届かなかった。そこで、国民にも手が届く車ということで、5万円台で買えるようにしよう、そういう国産車の開発を急いだ。コンピューターもおくれていた。電子計算機なんかなかったですよね。だから、電算コンピューターの開発も急いだ。ですから、IBMとの猛烈な争い、駆け引きがあった。テレビもなかった。テレビの開発も急いだ。東京タワーの完成も間近だ。オリンピックも近づいている。でも、一般向けテレビはまだ間に合わない。あのころの放送局は、もう間に合わないので、外国製のテレビで間に合わせようと言いましたが、しかし、一生懸命努力をして、国産のテレビが完成して、オリンピックをみんなが国産のテレビで見ました。

 国を富ませるには外貨も稼がにゃいかんというので、繊維産業の技術革命をやった。工場を機械化した。だから、外国でも飛ぶように売れた。売れ過ぎて、アメリカから自主規制しろと文句が来た。いきなり繊維産業は不況になった。しかし、日本は化学繊維に変えた。またまた売れた。今度もアメリカが文句を言ってきた。輸入規制だ。もう買わないぞ、おまえのところからはと。GATT勧告です。自由貿易の波が押し寄せた、第二の黒船が来たと言われた時代でした。だから、あのころ、アメリカに屈して繊維産業をめちゃめちゃにしましたが、あの時代、あのとき、沖縄返還がなされたのが昭和47年です。だから、糸で沖縄を買ったと、あのころ言われました。

 これから第三回定例会、第四回定例会が終わると、すぐ12月、暮れが来ますけれども、クリスマス文化が根づき始めたのもあのころです。1万円札ができたのもあのころ、そしてベトナム戦争が始まったのもあのころ。昭和39年のオリンピック開催までに急がれていたものが、まだあります。国産初の国際旅客機YS-11だ。当時はYS-11の開発に苦しんでいた。敗戦後の日本の航空産業はGHQによって潰されて、なくなってしまいましたから、ゼロから始めたんです。オリンピックのあの聖火を国産機に載せて日本に持ってくる、その姿を世界に見せるんだという夢を持っていたのが、あのころの総理であった池田首相でありました。そして、YS-11は全て国産で完成をした。間に合った。戦後初めて、純国産の旅客機YS-11は世界の空を飛んだのであります。

 こうしたことを現実にしたあのころの技術者たちの汗と、それを支えた官僚たちの熱き思い。あのころは国を支えた、どえりゃあ男たちがいたのであります。

 10年ほど前、この小説はTBSでドラマ化されて、主人公は佐藤浩市、池田勇人をモデルとした役を北大路欣也が演じています。この官僚たちの夏の主人公は実在した元通産省事務次官の佐橋滋をモデルにしたと言われています。百聞は一見にしかずと申しますから、どうぞぜひ読んでいただいて、またドラマを見ていただくといいと思います。

 私見なんですけれども、この物語のラストシーンがいいんですね。季節は冬で、雪の夜、成立すれば戦後最大の経済立法となる、主人公が必死で国内産業を守ろうとした国内産業保護法案が無残にも廃案となって、夢敗れて通産省を去った主人公が病気入院をしている元の部下の見舞いに向かうタクシーの中のラストシーンです。運転手がつぶやきます。お客さん、雪になりましたねと。ヘッドライトに白い粉雪がさっと舞い込んでくる。その降りかかる白い雪の向こうに古巣の通産省のビル。残業の明かりが赤々とタクシーの窓に映し出される。その明かりを主人公はじっと見詰めながら、降る雪の中で車は去っていくというラストシーンでありますが、高度経済成長を牽引してきた熱き男たちへのレクイエム、ポエムかなというふうに思いました。

 この物語は、今の私たち、男が失ったものは何かを教えてくれます。小説では、ラストで熱き官僚たちの夏は終わりますが、また日本経済の熱き夏も終わりました。しかし、また季節はめぐりめぐってまいります。2020年第2回東京オリンピックは、もう目の前であります。熱き官僚たちが、またおいでになる熱き理事者の皆さんが縦横無尽に、思う存分に活躍する新たな日本経済の熱き夏の時代が再び戻ってくることを期待し、また願いまして、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。

○礒野委員
 総括質疑の質疑も終了したと思われますので、次に、各会派の態度表明を行うようお諮り願うとともに、暫時休憩し、午後3時45分に委員会を再開されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 午後3時45分に委員会を再開いたしますので、御参集願います。

 暫時休憩いたします。

(午後3時11分 休憩)


(午後3時45分 再開)

○石島委員長
 休憩前に引き続き、委員会を再開します。

 休憩前の総括質疑で全ての質疑が終了いたしましたので、これより、本特別委員会に付託を受けました議案第66号に対する各会派の態度表明をお願いいたします。

 まず初めに、自民党さん。

○中嶋委員
 それでは、中央区議会自由民主党議員団の態度表明を行います。

 今後20年を展望した本区の将来像を描くまちづくり憲章、行政運営の指針となる新たな基本構想の策定に着手しました。

 急速な少子高齢化社会の到来、大規模災害に備えた防災対策の充実、国際化・グローバル化の進展への対応が求められる中、多様化、複雑化する区民ニーズを的確に捉え、さらなる区民福祉の向上に努めていかなくてはなりません。

 このような背景のもと、本区財政は人口が引き続き力強く上昇の一途をたどり、納税義務者の増加により特別区税収入は着実に増加しています。また、財政健全化4指標は、いずれも健全な状態にあることが示されておりますが、他方、将来にわたる財政負担は、区債残高・債務負担行為の合算額と各種基金残高の幅が年々減少傾向にあり、財政的な余力が縮小傾向にあります。

 そして、東京富裕論との認識による法人事業税の一部国税化、ふるさと納税ワンストップ特例制度、企業版ふるさと納税の創設など、特別区の財源を狙い撃ちにする税制改正がたび重なり、着実な歳入確保、健全な財政運営に一層努めなくてはなりません。

 平成27年度一般会計予算は、「オリンピック・パラリンピックで中央区の黄金時代を!!」をテーマに掲げ、保育所待機児童解消に向けた取り組み、一人一人の命・健康や安全安心を守る取り組み、2020東京競技大会やその後の区内全体の良好なまちづくりを展望した取り組みなど、新規22、充実49、継続75、合わせて146事業を展開しました。

 我が会派委員は、平成27年度各会計歳入歳出決算の認定に当たり、9月26日に設置された本決算特別委員会において、8日間にわたり、その内容を詳細に審査してまいりました。各款の質疑では、区民の視点に立ち、各事業の執行状況をただすとともに、将来を見据えた施策の推進について要望を行いました。

 さらに、当委員会審査に先立ち、平成29年度中央区各会計予算編成にかかわり、区内各種団体よりさまざまな要望を聴取するとともに、所属議員に日ごろ寄せられる区民の真摯な声を礎として、短期、中期、長期的視点に立ち、231項目516点にわたる政策要望を提出するとともに、可及的速やかに取り組むべき事項について、緊急要望を行いました。

 特に、2020東京オリンピック・パラリンピック大会後を見据えた計画的なまちづくり、大きな混乱が生じている築地市場移転問題への取り組みは、現区政の最重要課題であります。区当局におかれましては、これらの意図するところを十分に理解され、新年度予算編成、そして今後の行政運営に限りなく反映されることを強く願うものであります。

 以上申し上げまして、中央区議会自由民主党議員団は、本決算特別委員会に付託されました平成27年度各会計歳入歳出決算の認定に同意いたします。

○石島委員長
 次に、公明党さん。

○中島委員
 中央区議会公明党の態度表明を申し上げます。

 リオのオリンピック・パラリンピックの熱も冷めやらぬ10月7日、銀座では、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックのメダリストによる凱旋パレードが多くの観衆のもと、盛大に行われました。沿道には80万人の歓声が沸き、4年後の東京大会開催を待ち望んでおります。

 経済において、本年の1月に実施されたマイナス金利策が、デフレ脱却の効果が十分発揮されておりません。このため、株価も下がり、昨年よりも円高が進み、外国人による訪日観光客に影響を及ぼし、観光業の低迷につながり、経済の停滞感を強めているようです。

 このような状況の中、本区の人口は引き続き増加の一途をたどっています。ますます多様となる行政需要に対し、区民にとって一番身近な基礎自治体として、各種施策の有効性、経済性を十分に検証し、その責務を果たすことが重要となります。

 中央区の平成27年度普通会計決算は、歳入は873億8,900万円で、前年度比6.2%増、歳出は830億2,600万円で、前年度比4.7%増となり、歳入歳出とも昨年に続き、2年続け増加となりました。

 財政指標から見た本区財政状況は、財政力指数が0.69で、前年度と同じになりましたが、実質収支比率は前年度より1.0ポイント上回り3.7%、公債費負担比率は平成25年より継続して1.1%で推移しています。経常収支比率は前年度より5.2%下回り73.1%と、3年連続で適正水準の範囲となりました。また、将来にわたる財政負担は、特別区債を基金が276億9,200万円上回り、中央区の現時点での財務状況は、引き続き健全を保っておりますが、基金残高が4年連続減少し、区債残高が5年増加するなど、将来にわたり財政的な余力が縮小し、留意する必要があります。

 そして、子供から高齢者まで幅広い世代の人口増加等に伴う扶助費の一層の拡大や、教育施設を初めとした区施設の維持・整備に要する経費負担が、今後本区の財政を圧迫する懸念があり、これまで以上に健全な財政運営に努めていかなければなりません。

 歳入面においては、納税義務者数の増加や所得環境の改善により、特別区民税の伸びがあったものの、地方分権の流れに逆行する法人住民税の一部国税化や、法人実効税率のさらなる拡大が検討されており、区財政を取り巻く環境は予断を許さない状況となっております。

 安定した区民サービスや、地域特性に応じた独自の施策を展開していくためにも一般財源の確保が必要であり、そのためには収納率の向上・収入未済の解消並びに受益者負担の適正化などの取り組みを強化することが重要です。税負担の公平性を維持しつつ、財源の確保に向けた一層の取り組みをお願いいたします。

 歳出面においては、将来の児童数増加に対応する小学校校舎の増築や、待機児解消に向けた保育園の整備拡大、子ども発達相談支援体制の構築など、障害者施策の充実、超高齢化時代に向け、認知症対策などの高齢者施策の充実、災害時の地域連携のための防災拠点運営訓練などの充実、また2020年オリンピック・パラリンピック開催地の晴海のまちづくりや公共交通の整備、築地市場場外における築地魚河岸、コミュニティサイクルの実証実験、中央区の森など、中長期的な対策など、今後を見据えた施策の実現に努められ、区政全般にわたり充実、強化に努められました。

 今後の中央区の方向性として、子育て支援や高齢者福祉など、これまで積み上げてきた事業の展開とともに、築地川の水質浄化や、障害者とともに暮らすためのインクルージョン教育の推進、食育の充実も含めた健康寿命の延伸、平和教育の充実などに力を注いでいただくことを強く要望します。

 各款における審議に際しまして、私たち区議会公明党は、区民の目線に立ち、さまざまな意見や提案をさせていただきました。当局におかれましては、十分に御検討いただき、次年度の予算編成、また今後の行政運営に反映されんことを強く要望いたしまして、各会計決算の認定に同意いたします。

 以上申し上げまして、中央区議会公明党の態度表明といたします。

○石島委員長
 次に、日本共産党さん。

○加藤委員
 日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行います。

 昨年9月19日、国会議事堂を数万の国民が包囲し、抗議の声を上げる中、安倍政権は、違憲立法の安保法制、いわゆる戦争法を強行採決しました。安倍政権が推し進めた安保法制は、歴代の自民党政権も、憲法9条のもとで集団的自衛権の行使はできないとしてきたものです。

 一方、元内閣法制局長官や全国の全ての弁護士会が違憲の声を上げ、世代を超えて、憲法9条を守れ、戦争法案廃止の運動が全国的に大きなうねりとなって巻き起こりました。この国民的な運動は、戦後初めて国政選挙で野党共闘を生み出す原動力となり、ことし7月に行われた参議院選挙では、32ある一人区中、11の選挙区で野党統一候補が勝利するなど、大きな力を発揮しました。

 区長は、第三回定例会での我が党の志村議員の一般質問への答弁でも、安保法制の必要性を容認しています。日米軍事同盟を強化する安保法制がアジアの平和に寄与すると考える政治姿勢は問題です。

 暮らしと経済では、中央区財政白書で、アベノミクスにより雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いていると評価しています。しかし、日本経済の6割を占める個人消費が、2014年、2015年と2年連続マイナス、働く者の実質賃金は5年連続マイナス、消費支出も実質で2.2%も減少しています。安倍政権は、景気浮揚策として、日銀のマイナス金利、株価維持のために公的年金の投入、円高への誘導、大企業の法人税の減税などを行っていますが、労働者の賃金や雇用には反映されず、内部留保としてため込まれています。個人消費が伸びず、消費税10%への増税実施を2度にわたり延期せざるを得なくなるなど、迷走するアベノミクスの破綻は明らかです。家計の消費支出が改善しない限り、経済も暮らしも財政もよくなりません。

 都政では、政治とカネの問題で、猪瀬、舛添と2代続いて任期途中で都政を投げ出す都民不在の都政運営に対する都民の閉塞感と怒りが広がり、7月の都知事選挙で小池百合子氏が都知事になりました。小池知事は、都政の透明化を進める上で、何よりも重要なことは情報公開の推進とし、都民に開かれた都政の運営を行うとしています。モニタリング調査結果が出る前の豊洲新市場開設を延期し、異常に膨れ上がった2020年東京五輪の費用の解明、施設計画の見直しを行うとしています。

 一方、待機児童解消策として、保育園の面積基準の引き下げや空き家活用など、規制緩和策を打ち出していることは、保育の質、安全性の低下につながり、注視が必要です。

 中央区に求められるのは、国や都の悪政に対して防波堤となって、区民の暮らしや福祉を充実することです。区民の立場に立ち、国や都に積極的な働きかけを行い、区として、人口増に伴う税収増や各種基金の積極的活用で区民の要求に応える独自の努力が求められます。

 日本共産党区議団は、2014年9月26日に、党区議団実施の区民アンケートに寄せられた切実な要求を集約し、我が党の政策的な提起とともに、510項目の2015年度中央区予算編成に関する重点要望書を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。

 2015年度予算を審議した予算特別委員会では、区政運営の問題点を指摘するとともに、具体的な施策を積極的に提案し、予算修正案も提出しました。

 日本共産党区議団は、これらの経緯を踏まえ、2015年度決算を詳細に検討した結果、区民の長年の要望、我が党の要求、行政の努力などを反映し、認可保育所の増設、特養老人ホームの定員拡大、障害児放課後のデイサービスの拡大、コミュニティサイクルの導入、小学校の増改築などの施策が予算化され、実現をしていますが、予算執行にさまざまな問題があると判断しました。よって、平成27年度の各会計決算の認定に反対します。

 以下、その理由を述べます。

 最初に、一般会計についてです。

 平成27年度の決算を見ると、一般会計歳入決算額は883億5,880万2,018円で過去最大規模となっています。「オリンピック・パラリンピックで中央区の黄金時代を!!」をテーマに、2020年オリンピックを機に、さらなる躍進のチャンスと捉えるとして予算を編成しました。そして、オリンピックをてこにしたまちづくりを進めることに意欲を燃やし、今、区内では、選手村ができる晴海地区を含め、再開発事業が、進行中のもの25事業、準備中が7事業、全部で32事業も進められています。

 決算では、市街地再開発助成や学校増改築、築地魚河岸の整備費などの投資的経費が231億円となりました。市街地再開発事業助成は、7事業に80億円を支出し、銀座六丁目・松坂屋跡地や日本橋二丁目・高島屋周辺などのオフィス、商業施設の再開発にもそれぞれ13億円の補助金が投入されました。

 予算審議の際、国や都の国際競争力を高める都市づくり路線にのって、都市再生特別地区の手法により規制緩和や区道の改廃で大サービスし、超高層・超過密な都市をつくることは、災害時の危険を増大させ、オフィスの供給過剰となる問題を指摘しましたが、さらにマンションについても2020年問題と言われる供給過剰などの問題も指摘されています。こうした大規模開発中心のまちづくりは抜本的に見直すべきです。

 第2に、人口増に福祉施設などのインフラ整備が追いつかず、待機児童は増加の一途です。さらに認可保育園を増設して、早急に待機児童ゼロにするために力を尽くすべきです。

 第3に、投資的経費の増大で財政が厳しくなるとして、区民には、受益者負担の適正化の名のもとに、駐輪場の有料化、放置自転車撤去・保管料の徴収を導入しました。有料化などによる新たな負担増は4,000万円となりました。しかし、駐輪場登録台数は予算計上時の想定の半分にとどまり、区民の理解が得られていないことは明らかです。

 第4に、健康増進、区民相互の交流や文化・観光資源として注目されている公衆浴場が、この1年で2軒廃業となりました。公衆浴場の営業継続のために、支援をさらに強化すべきです。

 第5に、マイナンバー制度が導入され、予備費からも流用して10億7,000万円が使われました。情報保護の安全対策のために湯水のように税金が使われています。利用実態は、個人番号カードの発行枚数が約1万2,000枚と、人口の1割にも達していません。個人の情報を国家が管理して、徴税強化や社会保障給付の抑制に使われるマイナンバー制度は問題です。

 第6に、教員の多忙な実態を解消するため超過勤務を減らし、子供たち一人一人に目が届く、きめ細かな指導ができる少人数学級を小・中学校全ての学年に早急に実施することを求めてきました。国の方針を待つという消極的な姿勢を見直し、区独自に早急に実施すべきです。

 第7に、区長の公用車の不適切な利用が見受けられます。運転日誌の記載事項を改善し、公用車の使用目的を明らかにすることを求めます。

 第8に、予算の態度表明で、当時の舛添都政のもと、豊洲新市場計画は、土壌汚染対策の欠陥、高騰する汚染対策費と整備費、非効率的な施設・物流計画など、問題が山積しており、オリンピックにあわせて強行しようとしている築地市場移転計画は凍結すべきと主張しました。現在、移転は延期され、豊洲新市場をめぐる矛盾が噴出しています。移転計画を根本的に見直すよう都に求めるべきです。

 次は、国民健康保険事業会計決算についてです。

 国保料は毎年値上げされ、国保の広域化に向けて一般会計の繰り入れを抑制するとし、高額医療費の4分の2を保険料賦課総額に算入したため、1人当たりの国保料は、過去最高の11万4,725円になりました。滞納世帯が22%を超える深刻な事態となっており、既に区民の負担能力を超えています。国民皆保険制度を維持するために、国庫負担をふやし、保険料を抑制することを国に求めるとともに、一般会計からの繰り入れをふやすべきです。また、国保の広域化はやめるよう求めるべきです。

 次は、介護保険事業会計決算についてです。

 介護保険料は、基準額で2015年12%の引き上げとなり、月額5,920円、年額7万1,040円となりました。さらに、制度の改悪も進み、一定の所得以上の人は利用料が1割負担から2割負担になり、施設の食事代や部屋代の補助の削減が行われたため、負担がふえています。特養老人ホームは、新規入所は原則要介護3以上に制限されました。介護保険は社会保障の一環として、国の政策です。国に対して、国庫負担をふやし、責任を果たすことを強く求めるとともに、区としてもサービス抑制、低下を招かないよう財政投入すべきです。

 最後に、後期高齢者医療会計決算についてです。

 後期高齢者医療制度は、2年ごとに保険料の見直しが行われ、年金支給額の削減の中で負担は重いものとなっています。滞納者は424人へと増加しています。75歳以上の人口増と医療費負担が保険料に直接はね返る仕組みとなっていることに加え、制度導入時に低所得者に対して設けられた減免制度も廃止されようとしており、今後も保険料負担が重くなることは確実です。年齢で区切って、別建ての医療制度に囲い込む、世界に類を見ないこの制度は、即刻廃止すべきです。

 以上、各会計歳入歳出決算の認定に対する反対の意見を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。

○石島委員長
 次に、中央区民クラブさん。

○渡部(博)委員
 平成27年度中央区各会計歳入歳出決算に対しての中央区民クラブの態度表明を行います。

 平成27年度は、現在の基本構想に基づき力強く回復した人口、そして次の基本構想の20年に向けて、中央区のあるべき姿を考える大変重要な年度であったと思います。また、予算編成に至っては、人口増に対応した施設整備を初めとし、子育て・高齢者施設の増加はもとより、安全対策も重視した予算編成であったと考えられます。

 一方、監査意見書にも、基金残高が減少し、特別区債の残高が増加している傾向にあることから、将来における財政負担を見据え、健全財政の維持に十分注意とふれられています。

 また、特別区民税を初めとして、自主財源の確保や新たな自主財源の創造も含め、みずからの努力により増収を確保することにより、多様な区民ニーズに対して柔軟な対応ができることを考えるところであり、将来にわたっての財政展望の明確化をさらに努力していただき、区民福祉向上を図っていただきたいと思います。

 今決算特別委員会を通じて、各款にわたり、不用額を中心に多岐にわたって質問、意見、要望などをしてまいりました。平成29年度予算編成を行っている時期でもあり、各部の連携をさらに図り、平成27年度決算から得られた検討課題と区民ニーズの把握に努めていただき、区民目線での予算編成を行っていただきたいと思います。

 これからもさらに中央区の人口は伸び続け、4年を切った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた選手村建設及び跡地開発による中央区の影響と問題把握を迅速に行い、区民が主人公の区政運営を行うことにより、誰もが中央区に憧れ住み続けたい、住みたいまちとして、区長先頭のもと、前進していただきたいと思います。

 以上を申し上げまして、平成27年度中央区各会計歳入歳出決算認定について同意いたします。

○石島委員長
 次に、改革2020さん。

○小坂委員
 平成27年度決算及び平成28年10月現在に至るまでの予算の執行状況を分析し、来年度予算編成及び来年6月に策定を予定する新基本構想に役立つ提言ができることを念頭に、本決算特別委員会に臨んだ。

 平成27年度一般会計決算は、実質単年度収支、財政力指数、実質収支比率、公債費負担比率、経常収支比率等、各指標の検討と特別区民税の伸びから、弾力性、健全性を有していると判断する。しかし、基金残高が特別区債残高を上回るものの、ここ数年減少傾向が続くこと、及び、将来にわたる財政負担も、平成23年度と比較して5年間で約半減していることから、将来の健全な財政運営を維持するに当たっては十分に注意を要することを指摘する。

 決算特別委員会での議論を踏まえ、以下の5つの視点から、来年度予算編成と新基本構想のあるべき方向性について述べる。

 第1、子供の安全と健康を守り、教育と福祉の充実の視点から。

 子育て世代の人口増加が著しく、出生数も平成27年は1,981人に上っている。子供の増加に対応した保育所整備、学校整備が喫緊の課題である。

 待機児童は、平成28年4月現在で263人であり、1年間の待機児童増加数はプラス144人で、大幅に増加した自治体としてワースト3位であった。平成29年度末の解消を目標に掲げ、立体都市公園制度を用いた水谷橋公園内の保育所整備など成果を出しているところであるが、休園中の幼稚園の利用等含め、目標達成に向けた子育て支援対策本部のさらなる検討に期待をする。また、発達障害や医療的ケア児など障害のある子供たちへの適切な保育環境の提供についても引き続き検討をいただきたい。

 また、小学校児童数は、平成30年6,293人、平成35年8,521人と、平成25年4,862人から大幅に増加が想定されている。学校改築も急がねばならないが、阪本小・城東小改築においては、坂本町公園の両校の3階建てプレハブ鉄骨の仮校舎を予定している。首都直下型大地震を考えるのであれば、坂本町公園への本校舎建設、近隣校との1校舎2学校制度の利用など、より安全な手法を選択することを求める。また、両校は復興小学校であるから、解体前にきちんと記録保存されることをあわせて求める。

 区内認可・認証保育所での重症事故は発生がないが、区内事業所内保育所で平成28年3月、死亡事故が発生、また、平成28年7月21日、家庭的保育事業利用児の急変死亡の救急対応事案が発生した。全ての保育施設での子供たちの安全の確保に向けた取り組みが引き続き求められる。

 平成27年度幼稚園、小・中学校における重症事故は、それぞれ1件、3件、1件であった。うち小学校事故は、登校時、横断歩道を渡る際の車両との接触事故であり、スクールゾーンにおいては歩車分離式の信号機の設置が求められる。

 小・中学校のいじめ発生数は、それぞれ9件、0件である。いじめ防止対策推進法施行に伴い設置された、いじめ問題対策委員会における専門的な対応により、ゼロを目指すことを期待する。

 小・中学校の長期欠席者は、小学校で病気24人、不登校17人含め54人、中学校で病気8人、不登校43人含め55人である。不登校において、いじめが遠因としてないかどうかの分析と、学校出席扱いされるわくわく21の通いの場の充実とともに、それら子供たちの教育の機会の提供として、テレビ会議システムを用いた自宅や病室での授業の受講を可能にする検討を求める。

 平成30年、子ども発達支援センター開設に向け、子ども発達支援のあり方検討部会において準備中であるが、同部会には児童精神科の医師も加えることを求めるとともに、一貫した支援体制の構築に欠かせない育ちのサポートカルテが、個別の教育支援計画、個別指導計画と統合され、就学相談時を含め有効に活用されることを求める。

 特別支援教育では、平成27年度より小学校各校に特別支援教室の設置を始めたが、中学校においても同教室の全校設置を求めるとともに、平成27年度から明正小学校に開設した難聴・言語障害の通級指導学級が、区内中学校においても継続できる体制整備を求める。特別支援学級においては、小学校における自由選択制の導入と、児童・生徒の重症度に応じて、教師、補助員、介助員のさらなる柔軟な配置を求める。

 被虐待相談が64件、養育困難など、合わせて養護相談合計が173件と著しい増加傾向を見せている。児童福祉法改正により、特別区においても児童相談所を設置することが可能になったこともあり、DV問題などで連携が考えられる女性センターの立地する八丁堀駅前周辺地域の整備に加えるか否かは別にしても、ゾーニングの考え方を用いつつ、児童相談所整備も含めるなどして早急に設置することを強く要望する。

 新生児等訪問指導において、訪問対象者数1,956人に対し、要支援者は176人、9.0%であった。地区担当保健師によるきめ細やかな支援体制がなされているところであるが、今後、聖路加産科クリニックの縮小に伴い空きスペースができることもあり、同施設内に宿泊型の産後ケア施設の整備の検討を要望する。

 最後に、平成28年7月1日中央区議会は、婚姻歴のないひとり親世帯に寡婦(寡夫)控除の適用を求める意見書を国会・内閣に提出したところであり、また、国においても、非婚の母または父においても寡婦(寡夫)控除を適用する改正公営住宅法施行令が平成28年10月1日から施行されたこともあり、この際、中央区の全事業において、未婚のひとり親に対して、みなし寡婦(寡夫)控除を適用することを強く要望する。

 第2、高齢者、障害者初め、全ての人の安心・安全の区民生活と福祉の充実の視点から。

 ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)、誰もが社会から孤立したり、排除されたりせず、社会の構成員として能力を発揮でき、互いを支え合おうという考え方を、新基本構想、そして全ての施策に取り入れていくことを期待する。

 中央区は、本年8月、医療的ケア児・者の全家族実態調査を施行し、65歳未満24人、18歳未満16人に面談を行った。引き続き全数把握を続けるとともに、日中一時支援、放課後デイ、保育園など、いただいた要望を、高齢者だけにとどまらない全ての人を対象とした地域包括ケアシステム構築をしつつ、サービスの充実を求める。

 要介護時、在宅で暮らしたい人の割合は68.7%であり、死亡場所の全国平均が自宅が12.8%、病院75.2%であるところ、中央区の在宅死は21.5%と高い水準である。在宅療養支援のための医療型の緊急ショートステイの整備や、認知症ケアパスの有効活用、在宅療養連携マニュアルの活用など、在宅療養支援協議会での検討を中心に、整備が図られることを期待する。

 本年度より高齢者の通いの場事業が開始されているが、高齢者が、授業、安全見守り、清掃等のお手伝いをするボランティアとして小学校に集うような通いの場の創設ができないか、小学校を中心としたゾーニングの考え方を用いつつ、教育委員会と高齢者部門の連携による検討に期待をする。

 不足する介護人材に対しては、外国人の介護者を積極的に受け入れる介護人材特区などの手法もとれないかなど、検討に期待をする。

 本年度策定されるスポーツ推進計画では、高齢者も障害者も誰もがスポーツを楽しむことができる施策の方針が具体的に打ち出され、誰でも参加できるスポーツ行事が毎月のように開催されることに期待をする。

 第3、東京五輪までになすべき事柄の視点から。

 東京五輪までになすべきこととして、1、受動喫煙をなくすこと、そのための公共の場所における屋内全面禁煙の早期達成、2、感染症をなくすこと、そのための欠席者情報収集システムの保育園、小・中学校での運用と感染症情報の医療機関間の共有、3、ヘイトスピーチ撲滅、4、テロへの完璧な備えをすること、5、中央区の伝統文化を残しつつ、バリアフリーのまちづくり、6、国内外の観光客を受け入れる商店街振興策の充実、そのための観光情報センター、まちかど展示館、商店街振興プランの有効活用などに期待をする。そして、7、レガシーともなるべき、子供たちの作品やデザインを、晴海選手村のまちづくりで生かすことへの取り組みに期待をする。

 第4、ガラス張りの中央区政と区民の区政への参加の視点から。

 区民参加の上で、町会・自治会が欠かせない存在である。27年度末で175団体のうち25団体が法人化しているが、地方自治法第260条の2以降の規定は、法人化を簡便になし得る規定であり、法人化を求める町会・自治会には、同規定も含め、積極的な法人化支援を求める。

 まちづくり協議会は、同協議会設置要綱4条2項及び同5条で規定された、会長が設置されないまま、説明会形式で現在議論がなされている。晴海地区将来ビジョン推進会議、同地区デザイン協議会含め、全てのまちづくり協議会と関連部会において、学識経験者の会長を設置し、会議体でのまちづくりの検討を強く要望する。

 情報公開について、原則会議を公開することの徹底と、教育委員会定例会含め、会議資料の迅速な公開を求める。区のホームページでは、より丁寧な説明による施策・事業の説明や、区民が求める情報に簡単にアクセスできる配置のさらなる研究を求める。

 来年6月策定予定の新基本構想の内容の検討においては、総括で確認をしたところであるが、来年2月に答申をして議論を終了するのではなく、3月の予算特別委員会や、引き続きの各種委員会における中央区議会での検討の成果も反映されることを強く要望する。

 区長の都議後援会主催の温泉旅行への公用車使用問題が、最高裁、平成18年12月1日の判例を引用しつつ議論されたが、この際、区長交際費についても区民目線での徹底的な見直しを強く要望する。

 第5、豊洲移転が混迷する中、築地を再検討すべき視点から。

 土壌汚染が確実に解決されることを条件に豊洲移転を容認した中央区ではあるが、1、専門家会議・技術会議の検討の上、土壌汚染対策法の具現化として提言された盛り土の欠如、2、盛り土を行うことを前提にしているがゆえに、環境アセスメントのやり直しの必要性、3、盛り土を行うことを前提とした卸売市場計画に沿わない市場建設、4、315号線下の土壌汚染の残置、5、2年間の汚染の検出のないことの確認を要する水質モニタリング検査での汚染の検出、結果、再度2年間のモニタリング検査の必要性、6、技術会議から地下空洞案が出されたとする技術会議の会議録のホームページの改ざん、7、建物の積載荷重の大幅な不足、8、豊洲建物の耐震性の問題、9、仲卸ブースの狭さ、10、建物内のスロープ含め動線の問題など、問題が山積みであり、豊洲移転は混迷している。

 解決に時間を要することから、東京五輪では、移転の有無にかかわらず、築地の食材でオリンピアン・パラリンピアンをもてなし、世界の築地を一大観光拠点として発展させていくことを期待する。

 以上、今後の施策に反映されていくことを期待して、改革2020は平成27年度各会計決算の認定に同意をする。

○石島委員長
 次に、新青会さん。

○原田委員
 中央区議会の新青会の態度表明を行います。

 「オリンピック・パラリンピックで中央区の黄金時代を!!」、これをテーマに編成されました27年度当初予算は、2020年に向けて、国内外から多くの人々が集い、誰もがあこがれるまちを目標に掲げ、その実現を目指す1つ目は、誰もが健康でいきいきと活動し続けられる社会、2つ目は、次代を担う国際感覚を持った思いやりあふれる人材の育成、3つ目は、さらなる国際化に焦点を当てた都市観光の推進、4つ目は、安全・安心を実感できるまちの実現、5つ目は、誰もが住みやすく快適に過ごせる都市環境の確保、この5つの取り組みを積極的に推進し、2020年とその後のさらなる本区躍進の礎を築くことに重点を置かれたものであります。財政規模は、平成27年度各会計決算において、歳入決算総額1,127億、歳出決算総額1,078億となり、今や1,000億台の規模であります。

 現在、急増する人口に伴う財政需要の拡大に対処すべく、新たな基本構想の策定に着手されているところです。

 新しい基本構想達成のための実行計画であります基本計画における各種施策、事業の実行・推進に当たっては、その根幹となる中長期的財政見通しが重要であります。そのため、本日に至る平成27年度各会計歳入歳出決算の審査においては、現在の基本構想を策定した時期と、新たな基本構想を策定している現在、そして新たな基本構想の実現に向けた10年先の、この3つの時期を中心に、本区を取り巻く財政環境に関して主に質疑させていただきました。

 財政状況は、経常収支比率、実質収支比率ともに適正水準であり、現時点においては、財政状況は引き続き健全性を保っております。しかしながら、将来に対する財政力余力が縮小傾向にあるとも言われています。いまだ世界経済も日本経済も混沌の中であります。その中にあって、2020年に向けての本区区政の発展、推進には、何よりも確実な財政基盤が必要であります。

 今後も、健全にして確実なる財政運営確保への御努力をお願いするとともに、今後、新たに編成される29年度予算がよりよく区民の皆さんのために反映され、実行されるよう願うものです。

 以上申し上げまして、中央区議会の新青会は、本決算特別委員会に付託されました平成27年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に同意を表し、態度表明といたします。

○石島委員長
 各会派の態度表明が終わりましたので、これより採決に入ります。

 副委員長は委員席へお移りください。

 議案第66号、平成27年度中央区各会計歳入歳出決算の認定について、起立により採決いたします。

 本案を認定することに賛成の皆さんは御起立を願います。

〔賛成者起立〕

○石島委員長
 起立多数と認めます。――御着席願います。

 よって、議案第66号、平成27年度中央区各会計歳入歳出決算の認定については、これを認定すべきものと決定いたしました。

 副委員長席へお戻りください。

 さらに、ここでお諮りいたします。10月14日開会の本会議において本特別委員会の委員長報告をいたすこととなりますが、その報告についてはいかが取り計らいましょうか。

〔「正・副委員長一任」の声あり〕

○石島委員長
 正・副委員長一任の声がありますので、さよう取り扱わさせていただきます。

 なお、委員長報告案ができ上がりましたら、次の委員会で御検討をお願いいたすことになりますが、その際、各会派の態度表明部分の朗読を省略したいと存じますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 御異議なしと認め、態度表明部分の朗読を省略いたします。

 それでは、次回の委員会開会日時については、いかがいたしましょうか。

○礒野委員
 来る10月14日午前11時に開会されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。

 来る10月14日午前11時に委員会を開会いたしますので、御参集願います。

 それでは、私より一言御挨拶申し上げます。

 (挨拶)

 次に、議長より挨拶を願います。

○押田議長
 (挨拶)

○石島委員長
 次に、区長より挨拶を願います。

○矢田区長
 (挨拶)

○石島委員長
 それでは、本日はこれをもって散会いたします。

 委員、理事者の皆様、どうもお疲れさまでございました。

(午後4時32分 散会)

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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