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平成28年第三回定例会会議録(第2日 9月20日)

1.会期

二十九日(第二日)

九月二十日(火曜日)

2.開会並びに散会

午後二時開議

午後七時十四分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 渡部 恵子議員

二番 山本 理恵議員

三番 海老原 崇智議員

四番 佐藤 敦子議員

五番 塚田 秀伸議員

六番 田中 耕太郎議員

七番 小坂 和輝議員

八番 松川 たけゆき議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 富永  一議員

十三番 瓜生 正高議員

十四番 染谷 眞人議員

十五番 木村 克一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 青木 かの議員

十八番 森谷 歩美議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 押田 まり子議員

二十二番 石田 英朗議員

二十三番 石島 秀起議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 中嶋 ひろあき議員

二十六番 鈴木 久雄議員

二十七番 墨谷 浩一議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 島田 勝敏君

企画部長 平林 治樹君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 林 秀哉君

区民部長 長嶋 育夫君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 古田島 幹雄君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 田村 嘉一君

会計管理者 坂田 直昭君

教育委員会事務局次長 高橋 和義君

監査事務局長 小林 秀規君

企画財政課長 濱田徹君

広報課長 園田 典子君

総務課長 吉原 利明君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 小暮 万里子君

議事係長 荻原 雅彦君

調査係長 東 雅之君

書記 鎌田 智之君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(押田まり子議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(押田まり子議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 まず、五番塚田秀伸議員。

〔五番 塚田秀伸議員登壇〕

○五番(塚田秀伸議員)
 中央区議会自由民主党の塚田秀伸でございます。平成二十八年第三回中央区議会定例会の一般質問をさせていただきます。質問通告書に沿った内容にて質問をさせていただきますが、それに先んじまして、築地市場移転問題について一言申し上げさせていただきたいと思います。

 本区にも影響が大きく、また、区民の皆様にも大変懸念されております築地市場の移転問題ですが、問題発生からの成り行き並びに本区への事前通知や情報共有もないことなど、混迷をきわめる展開には、移転の当該区といたしまして大変遺憾に思いますとともに、まことにゆゆしき問題であると考えております。つきましては、責任ある情報開示を都に強く求め、これ以上市場関係者並びに多くの区民の皆様へ悪影響が出ないよう、厳然たる対応をよろしくお願いいたします。

 それでは、質問を始めさせていただきます。

 大規模災害を想定した地域防災体制の一元化について、また、より実践的な訓練を効果的に実施するため、地域の特性に合わせた防災訓練の構築及びバリアフリーの観点から、環境整備につきまして質問をさせていただきます。区長並びに関係理事の皆様におかれましては、区民の立場に立たれた御答弁をお願いいたします。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず地域防災の強化、体制の一元化につきまして質問させていただきます。

 本年六月に政府より発表されました地震調査委員会の資料によりますと、都心を震源とする震度六以上の地震発生率は、今後三十年間で四七%とあります。また、本区から直線距離にしてわずか三十キロの位置にございます千葉市、横浜両市におきましては、いずれも発生確率が八五%、八一%と大変な高確率となっております。また、江戸開幕以来の地震史をさかのぼりましても、都心部で被害のあった地震は、四百十三年間で少なくとも十五回は発生し、甚大なる被害をこうむったものだけでも四回ございます。中でも、十万五千三百八十五人と史上最悪の死者を出した関東大震災からは、既に九十四年が経過しており、首都直下型地震がいつ発生してもおかしくないような状況を歴史も裏づけていると言えましょう。

 本区では、防災拠点運営委員会による災害に備えた地域の協力体制づくりを提言し、区民主体の防災訓練を考え、実行することで災害に強いまちづくりを目指しています。また、消防、警察、自衛隊に加え、医療機関や通信会社までもが連携して行う総合防災訓練も毎年行われ、熟達した救命救急のプロが行う素早く正確な救出活動は、万が一の際にも頼もしく思える、すばらしい演習内容でございます。

 さて、そのように磐石とも思える本区の防災体制ではございますが、かねてより幾つか気になる点もございます。

 まずは、本区人口の四倍に及ぶ六十万人の昼間人口の中心となる事業者の皆さんですが、残念ながら、防災拠点運営委員会の行う防災訓練の中には含まれておりません。当然ながら、事業者や企業も定期的に防災訓練を行っているのですが、我々区民が行う地域自治体の防災訓練と、主に東京消防庁が管轄する事業者向け防災訓練とでは、実質的に協力体制は皆無で、地域防災のかなめとなる情報共有や人材交流はほとんどないのが実情でございます。これでは、災害が発生した際、最も重要とされる地域のコミュニティ力を発揮されず、複数の指揮系統のもと、力の分散した対策班がむやみに駆けずり回ることになるのではないでしょうか。つきましては、住民と事業者との緊密な情報共有を促し、管轄する行政の枠を超えた防災組織の一元化、指揮系統の一本化を図るべきではないかと考えます。

 一元化によるメリットは、幾つもございます。まずは、装備する資機材の数量を抑えることができ、あいたスペースには備蓄品をより多く保存できます。そして、何よりも組織の統合による指揮系統が一本化され、情報の集約に加え、指示・伝達が素早く、スムーズになります。また、人的交流の活性化によるメリットは大きく、例えば昼間人口が多く、日中の高齢者比率が高い地域では、事業者が大きな労働力となり得ますし、一方で、自治体が管理する施設などをBCP面での緊急避難所に提供したりと、事業者にとっての利点も幾つも考えられます。そのような連携の構築とともに、合同防災訓練を繰り返して行うことで地域全員の共通認識が高まり、強い協力体制が実現するのではないでしょうか。

 また、本区に忍び寄る災害は、地震のほかにもございます。近年では、地球温暖化に伴う海水温の上昇から、猛烈な台風が季節を問わず発生し、刺激された低気圧が極端な集中豪雨を降らせることも全国各地で頻発しております。本区でも、平成十二年七月に一時間当たり八十二・五ミリという記録的な集中豪雨に見舞われ、三年前には大手町で二十四時間累計で二百五十ミリに及ぶ降水量を記録するなど、局地的集中豪雨は都心でも発生し、今後はさらなる頻発や降水量の増加が予想され、河川の氾濫や建物の浸水被害など、水害対策の強化を検討すべきではないかと考えております。

 また、二○二○年の五輪開催時のみならず、世界的な繁華街を有する本区におきましては、テロによる破壊行動など人為的災害も視野に入れ、一層の災害対策、減災活動を強化するべきであると考えております。

 そこで、地域防災につきまして、何点かお尋ねいたします。

 町会主体の防災拠点運営委員会に行政管轄の異なる地元企業や事業者の参加を義務化し、地域防災体制の一元化、指揮系統の一本化を図り、地域の防災・減災のために統一防災訓練を実現させるべきかと考えますが、これには越えなければならない壁も幾つかございます。今後の防災訓練につきまして、本区では、どのようにお考えでしょうか。また、地域防災体制の一元化につきましても、お聞かせくださいませ。

 また、本区では、地域ごとに住宅密集地や商業集積地区あるいは帰宅困難者が多数あふれるエリア等、地域特性がございます。全ての地域での昼間人口比率や年齢層、あるいは公園や公共施設の有無、橋梁や道路環境などの特性を分析し、まちの実態に合った訓練内容とすることで、より減災効果は高まり、共助につながる連携も強化されると考えますが、その件につきましても、いかがお考えでしょうか。

 さらには、事業者や企業、マンション管理組合やその居住者など、防災意識の動機づけに苦慮し、訓練参加者もなかなかふえない昨今、「イザ!カエルキャラバン!」等によって参加促進をしていただくことに加え、参加された方には防災グッズなどの進呈にとどまらず、一歩踏み込んだ特別な優遇措置などを与えることは考えられませんでしょうか。この点につきましても、御見解をお聞かせください。

 また、短時間での空模様の激変、降水量の極端な増加が進む近年の集中豪雨ですが、本区内には、過去に被害を受けた場所や、あらかじめ水害が危惧される場所が幾つかございます。大規模な地下街を含めた地下施設、スーパー堤防を含む水辺施設、過去に冠水のあった道路や、亀島川や朝潮運河などの水際対策等、それぞれの対策状況や実情をお知らせください。また、地震時の津波も含め、水際に特化した防災訓練について、お考えがあれば、お聞かせください。

 そして、今後、外国人観光客も一層増加するであろうことから、帰宅困難者の一時避難場所などに外国人が避難滞在することを想定し、最低限の意思疎通が可能となる準備をするべきかと考えます。防災訓練時より内容を確認し、言葉や文化の異なる外国人への対応も、あらゆる面で進めるべきかと思いますが、現状と今後のお考え等ありましたら、お聞かせください。

 また、主要幹線道路が縦横に走ることに加え、数多くの鉄道路線や駅を有し、企業や商業施設が居並ぶ本区では、人の往来も極めて多く、それゆえの問題が大勢の帰宅困難者であり、その一時受け入れでございます。まちづくり基本条例などで民間企業にも御理解いただき、一定の空間利用などで滞在スペースの確保を進めておりますが、発災時には三十万人とも予測される本区内滞留者に向けて、まだまだ施設のスペースは不足していると考えます。今後の場所の確保など、対応につきましてお聞かせください。

 そして、南北に五・五キロ、東西に二・五キロほどの土地に多くの施設などが密集する本区でございますが、首都直下型地震などの広域災害が発生した場合、この区役所本庁舎を初め、各出張所におきましても、同様の損壊や機能不全に見舞われる可能性がございます。つきましては、同程度の被害をこうむることのない場所を精査し、中枢機能を有する対策本部の代替拠点の想定や、あるいは移動可能な対策本部などについて、いかがお考えでしょうか、お聞かせくださいませ。

 そして、身近なスペースを活用し、備蓄倉庫を分散することがふえておりますが、一方で、大型備蓄倉庫の必要性も高まっております。対策本部と同様に、大型備蓄倉庫につきましても、本区内あるいは近隣区を含め、何カ所かに分散させるような必要もあるかと思いますが、その点につきましても、いかがお考えでしょうか。

 続きまして、防災船着場についてお尋ねいたします。

 都の社会実験も本区河川並びに東京湾岸で広域に開始されることから、俄然注目の高まる水上交通につきまして、さらに船着場を含めた整備推進を続けていくべきかと考えます。その一方で、大規模災害が発生し、道路交通網が分断された場合、水上交通は人や物資輸送の最後の切り札ともなるだけに、災害対策の面からも同様に注目が高まります。

 水上交通に適応する本区管理の船着場は三カ所にございますが、民間事業者に門戸を開放する日本橋船着場と黎明橋脇の朝潮運河船着場は、連日、たくさんの小型・中型船が往来し、また、乗船されるお客さんも大変大勢いらっしゃることから、水辺のにぎわいの観点からしても、好ましい状況であるかと思われます。一方の常盤橋防災船着場ですが、通常は利用率が低く、時として、ごみや雑草が絡みつき、ある意味で川の美観も損なっております。いざというときのために備える防災船着場ではございますが、発災時に何の滞りもなく利用するためには、ふだんからの保守点検はもちろん、平常時の利用を倍増させ、使いながら機能を確認することが重要かと思われます。

 そこで、お尋ねいたします。

 地震発生時には、全ての陸上交通が機能不全に陥る可能性も考えられます。橋梁が被災した場合の渡し船としてはもちろん、道路が陥没し車両通行が困難になったり、または重量物資の輸送にと、発災時にこそ水上交通は大きな役割を果たすことが予想されます。今後も船着場の新規設置を本区主導で進めていくべきかと思いますが、本区の御見解をお示しください。

 そして、常盤橋防災船着場におり立つと、階段にスロープが設置されておりません。現状のままでは台車が使えず、荷物の移動が大変困難で、防災船着場の意味を半分失っておるかと思います。一方、二○二七年には、日本橋川を挟んだ対岸に日本一ののっぽビルが建設されることが報じられ、現在とは比較にならないほどの大勢の人の往来が想像されます。現在の防災船着場としての機能充実はもちろんですが、飛躍的に利用者の増加が見込まれる場所だけに、複合的な利用も視野に入れた船着場の整備をするべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

 また、船着場を平常時から利用することで損壊やふぐあいの早期発見につながり、修復費も安く抑えることができることでしょう。また、水辺からの破壊行動を抑止する意味合いからも、ふだんからの利用促進を考えるべきかと考えます。レジャー目的で使用される方にも門戸を開き、手続きや鍵の受け渡しも簡単なものとし、平常時の利用率を上げてはいかがと考えますが、どうお考えか、お聞かせくださいませ。

 続きまして、二○二○年に向けた本区のバリアフリー施策についてお尋ねいたします。

 本年三月に政府が発表した二○二○年の訪日外国人観光客は、当初の三千万人から大幅に上方修正され、四千万人と予測されております。本年見込みの二倍に当たる、そして日本人口の三分の一もの人々が世界中から押し寄せてくるわけでございます。それなりの対策が必要となります。また、消費する金額も八兆円と予測され、インバウンド需要は今後も大きな市場規模を維持することが予想されております。

 NTTコムの訪日アジア観光客の東京のまちに対するイメージ調査によりますと、本区は都内屈指の人気エリアで、新宿に次いで多くの外国人観光客が訪れる場所であると記されております。また、訪れた方の満足度も高く、さらに少しの手間を加えることで、これまで以上の恩恵を授かり、区内各方面に好影響をもたらすと考えております。例えば、土地勘のない外国人観光客は、知名度の高い駅を利用し、その後はかなりの距離を歩くことが多いとされ、景観に連続性のあるまちの人気が高いと。これは、本区にも大いに当てはまり、来街者の多く集まるエリアから適切な誘導をすることで、本区全域への観光客の誘導も可能と考えられます。

 そこで、お尋ねいたします。

 主に、外国人観光客の視点に立った行き先表示板などの設置についてお聞きいたします。

 都内では、車両走行に向けた道路標示板のほかに、行き先を示す案内板は少なく、土地勘のない歩行者や、特に漢字の読めない外国人にとっては、方向すらわからない状況に陥ります。そこで、まちを歩く方に向けた町名や方向を示す案内板の設置を検討されてはいかがでしょうか。例えば、銀座駅でおり立った方を観光情報センターへ誘導し、さらには日本橋からその先へ、あるいは築地方面、そして晴海までと歩いても、たかだか三十分の距離でございます。また、外国語表記の緊急避難先や休憩スペースの案内等も必要かと思われます。歩行者の視点に立った、見やすさを調整した行き先案内板につきまして、本区のお考えをお聞かせください。

 続きまして、バリアフリーの観点から、歩道の再点検と補修についてお尋ねいたします。

 二○二○パラリンピック開催時には、世界中から多くの障害者の方がお越しくださり、車椅子の方を筆頭に、本区を縦横に移動されることでしょう。その際、特に車椅子の方が気にされるのは道路の荒れを含めた段差等でございますが、階段のような段差は言うに及ばず、歩車道の区別による段差もしくは歩道舗装のアスファルトのめくれやタイルの剥がれも走行が厳しいことがあるそうです。そのような路面の点検整備を進めていただくこととあわせ、車道舗装同様に、高遮熱性の舗装を用いれば、夏場の高気温にも楽な移動が可能になるかと思われます。

 さらには、車椅子の方が困るのは、雨降りのときと聞きます。一人で出歩かれる場合、両手が塞がり、傘の差せない状況となる場合、屋根つきアーケードのようなひさしの施された道路は実に便がよく、公共交通の乗りかえ場所などで、このようなしつらえは大変ありがたいとお聞きします。適度な休憩場所となるようなベンチやエレベーターの設置なども含め、本区のバリアフリー対策につきまして、お考えをお聞かせください。

 続きまして、本区が管理します公衆トイレの洋式化についてお伺いいたします。

 本区管理の八十三カ所のトイレにつきまして、六十二カ所のだれでもトイレやオストメイト対応など、内容も充実したトイレがふえている一方で、いまだに和式便器を使用したトイレが多数ございます。和式便器は世界的には使用方法がわからない方も多く、また、日本人であっても、高齢の方は使用を断念する方も多いとされます。早急な洋式化を検討いただきたく、要望いたします。また、手すりの設置や室内の機能性についても、重ねて御検討いただくよう、本区の御見解をお聞かせください。

 最後に、コミュニティサイクルの課題についてお尋ねいたします。

 昨年の導入から間もなく一年が経過いたしますが、さらに便利に御利用いただくために、幾つか改善すべき点が顕在化しているように思います。一つは、多言語対応のおくれで、街角でコミュニティサイクルを見かけるものの、日本語のわからない外国人には恐らく利用できない状況と思われます。また、より多くの方にもお気軽に御利用いただけるよう、区内に四カ所しかない発券機の大幅増設を図るか、一日乗車券の低廉・簡素化、発行自体も簡単にできるような発券を実現していただきたいと考えますが、この件につきまして、いかがお考えでしょうか。

 以上をもちまして、私の第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 塚田秀伸議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、地域防災体制の確立に向けた統一的な防災訓練の実施についてであります。

 地域防災力の向上を図るためには、その核となる町会・自治会と事業所が緊密に連携し、地域防災体制を確立することが重要と認識しております。地域と事業所が一体となった町ぐるみの防災訓練では、銀座震災訓練や京橋地域総合防災訓練などが実施されており、こうした取り組みが評価され、現在、区内の七団体が東京防災隣組として認定されており、また、一部の防災拠点運営委員会では、町会・自治会と事業所による合同防災訓練の開催に向けた意見交換が行われております。こうした取り組みに加え、地域や事業所、各防災関係機関がそれぞれの役割に応じて総合的・一体的に訓練を実施することは有効でございまして、今後、総合防災訓練などの機会を捉えまして、警察や消防、住民、事業所がさらに連携する訓練方法について検討してまいります。

 次に、地域特性を踏まえた防災訓練についてであります。

 各防災拠点運営委員会では、それぞれの地域特性に応じ、高層住宅との情報伝達、物資輸送訓練や地域住民による帰宅困難者誘導訓練など、さまざまな防災訓練が実施されております。地域が持つ特性を検証し、実態に即した取り組みをさらに拡充することは、地域防災の課題解決に向けて大変有意義であります。区といたしましては、今後とも、地域の特性を踏まえた防災力のさらなる向上を目指し、防災拠点運営委員会の活動を支援してまいりたいと存じます。

 次に、防災訓練参加者の促進についてであります。

 区では、地域で行われる防災訓練により、多くの方々が御参加いただけるよう、防災訓練に関する情報を区ホームページや広報紙のほか、町会を通じたお知らせの全戸配布により周知に努めております。また、総合防災訓練では、キッズ防災教室や船舶防災ツアーのほか、関係機関によるノベルティーの配布など、幅広い世代の方々に御参加いただけるよう、訓練内容の充実に努めているところであります。さらに、地域主体の防災訓練では、普及啓発用の備蓄物資の提供にも取り組んでおりますが、御提案のインセンティブにつきましては、今後、他自治体の取り組み状況も参考にしながら検討してまいりたいと思います。

 次に、短時間の集中豪雨の対策状況や実情についてであります。

 近年、東京では、一時間に五十ミリを超える局地的な集中豪雨が頻発しております。このような雨が降った場合、河川や下水道の水位は降り始めとともに急速に上昇し、避難などの事前の準備ができないままに浸水が発生する可能性があります。こうしたことから、区民の生命・財産を守る対策を推進することが極めて重要であると認識しております。東京都では、一時間五十ミリ降雨に対応する下水道施設整備を進めるとともに、大規模地下街等の地区においては、一時間七十五ミリ降雨に対応する施設整備に取り組むほか、日本橋川、亀島川等の内部河川や朝潮運河では防潮堤、護岸の整備を図り、安全性を確保しております。区では、区道において透水性舗装や排水性舗装を計画的に実施し、雨水の流出抑制の対策を進めるほか、パトロールの実施や安全・安心メールによる情報配信により、周知の徹底を図っております。大規模地下街である八重洲地下街では、地下街等の利用者の避難確保及び浸水防止計画を策定し、浸水防止を図るとともに、情報伝達や避難誘導等の防災訓練を実施しているところであります。このような対策を講じることによりまして、本区においては、集中豪雨による大きな被害は発生しておりません。水際の防災訓練につきましては、毎年、梅雨の前に実施している中央区合同総合水防訓練において、消防署や消防団などと連携し、水防工法訓練や救助訓練を行っております。今後も、集中豪雨に速やかに対応できるよう、防災力の向上に努めてまいります。

 次に、外国人観光客に対する避難誘導と意思疎通についてであります。

 区では、外国人観光客を帰宅困難者一時滞在施設へ円滑に誘導するため、避難行動の手順などを示した英語版マップを作成し、防災拠点等に配備しております。また、総合防災訓練では、外国人負傷者への通訳を介した救護訓練や、帰宅困難者一時滞在施設における受け入れ訓練など、外国人対策の充実に努めております。東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会では、世界各国から多くの訪日外国人が予想されております。災害時に大量かつ多国籍の外国人に対応する必要があることから、今後、空港などに試験的に配備されているメガホン型翻訳機の導入のほか、多言語による情報発信の充実について検討してまいります。

 次に、本区の帰宅困難者対策についてであります。

 本区では、まちづくり基本条例に基づく開発事業を活用し、帰宅困難者一時滞在施設の整備を順次進めており、現在、十三施設を確保しております。しかしながら、既存の民間建築物の確保につきましては、建物内で避難者が傷害等を受けた場合、施設管理者に法的賠償責任が生じるなどの理由から、民間側の協力をいかに得ていくかが課題となっております。区といたしましては、帰宅困難者の安全確保のさらなる充実に向けて、今後とも再開発事業を通した帰宅困難者一時滞在施設の拡充に努めるとともに、国や都に対しましては、こうした法的課題を整理するよう、引き続き要請してまいりたいと存じます。

 次に、災害対策本部の代替拠点の確保についてであります。

 本庁舎は、平成十年度に耐震補強工事を行い、本部機能に支障はないものと認識しておりますが、万が一の場合には、地域防災計画に基づき、被害状況を踏まえて、日本橋特別出張所または月島特別出張所に災害対策本部を設置することとしております。また、国民保護計画に掲げる事態など、区内に災害対策本部を設置できない場合には、東京都や国に支援を要請するとともに、特別区災害相互協力及び相互支援に関する協定に基づき、被害の少ない自治体に支援を要請することとしており、本部の代替拠点の確保に向けて、迅速かつ的確に対応してまいりたいと存じます。

 次に、備蓄倉庫の確保についてであります。

 現在、備蓄倉庫につきましては、災害時における食料等緊急物資や災害復旧用資器材の保管場所として、区内に防災拠点倉庫二十四カ所、副拠点倉庫五カ所、区保有備蓄倉庫二十二カ所を整備しております。また、民間協力による備蓄倉庫につきましては、まちづくり基本条例や市街地再開発事業指導要綱に基づき、開発事業者に対して防災備蓄倉庫の設置を要請し、九カ所確保しております。しかしながら、荒川水系大規模氾濫による浸水想定など、災害リスクに適応した倉庫の分散化や物資の適正配置は課題の一つであると認識しております。現在、区では、公共施設の整備の機会を捉え、浸水が想定される場合には備蓄倉庫を上層に確保するなどしており、今後とも、さまざまな災害リスクを考慮しながら備蓄倉庫の整備拡充を図ってまいります。

 次に、防災船着場の整備についてであります。

 水域面積の割合が一八・三%と豊かな水辺に恵まれた本区におきましては、大規模災害が発生した際、水上輸送の拠点となる防災船着場は大きな役割を果たすものと認識しております。区内には、現在、七カ所の防災船着場が整備されており、そのうち三カ所を区が管理しております。新規の船着場整備につきましては、昨年度の東京都防災船着場整備計画の改訂におきまして、築地、月島、晴海の三カ所が新たに盛り込まれたことから、傷病者や物資輸送など、震災時の水上ネットワークは今まで以上に充実するものと考えております。今後も、計画に基づく整備が早期に行われるよう、都と連携して取り組んでまいります。

 次に、常盤橋防災船着場の観光利用と平常時の利用についてであります。

 隅田川や日本橋川など豊かな水辺空間を持つ本区におきましては、舟運を活用した水辺のにぎわいづくりは大変重要だと認識しております。日本橋川におきましては、日本橋船着場で昨年度の船便利用が八千百九十五回と、開設した平成二十三年度と比べ、約二・八倍に伸びております。常盤橋防災船着場周辺は、今後、日本橋川沿いの水辺を生かした大規模な再開発により、多くの人の往来が見込まれる地域であります。当該船着場の点検につきましては、月二回の清掃時に目視点検を行うとともに、三年に一度、専門業者による施設の点検を実施しております。今後、再開発事業者によるバリアフリー化等の再整備も予定されているため、その活用につきましては、地域の意向も伺いながら検討してまいりたいと思います。平常時のレジャー目的使用につきましては、日本橋川における船舶の運航ルールが定められていない中、水上バイクの迷惑走行などもございまして、現時点では利用者の安全確保の観点からも難しいと考えております。今後も適正な船着場の管理に努めるとともに、日本橋川周辺のまちづくりと連携を図りながら、水辺のにぎわいづくりや舟運の活性化を推進してまいります。

 次に、外国人観光客の視点に立った行き先表示板等の設置についてであります。

 道路案内標識は、誰にでも見やすく、わかりやすい情報を提供し、道路利用者を安全かつ円滑に目的地へ導くための重要な道路施設であります。しかしながら、道路案内標識は、大きさや設置の高さ、文字の大きさなど、国土交通省令に規定されていることから、観光案内標識や総合案内板などとの連携を図る必要があると考えております。区では、これまでに、国や東京都と連携し、英語併記化の先行的な取り組みの一環として、銀座の一部地域での標識改善を実施してまいりました。今後は、区が管理する全ての道路案内標識の英語併記化やピクトグラムの追加など、表示情報の充実を検討してまいります。

 次に、バリアフリーを考慮した歩道の再点検と補修についてであります。

 本区では、これまで、中央区福祉のまちづくり実施方針に基づき、ユニバーサルデザインの基本理念を取り入れたバリアフリー化を推進してきたところであります。安全で快適な道路の整備におきましては、歩道の拡幅やセミフラット化、歩車道の段差や勾配の改善による、人に優しい歩行環境を整備するとともに、道路の損傷に対しては、職員による道路パトロールを定期的に実施し、補修を行っており、今後も安全な歩行環境の維持に努めてまいります。

 次に、歩行者が快適に移動できる歩行環境の確保についてであります。

 これまで歩道の舗装は降雨時に歩きやすい透水性の舗装で実施してまいりましたが、遮熱材を含んだ舗装材もあることから、今後は技術開発の動向や費用対効果、施工実績などを見据えながら検討してまいりたいと思います。また、ベンチの設置につきましては、高齢者など交通弱者が安心してまち歩きが行えるよう検討してまいります。

 次に、屋根つきアーケードの設置についてであります。

 公共交通の乗りかえ場所に屋根つきアーケードのような施設を設置することは、車椅子の利用者にとって利便性の向上につながるものと考えております。現在、区内には鉄道駅のターミナル施設はありませんが、今後、整備を計画しているBRTの交通ターミナル施設には、このような施設の設置を検討してまいります。

 次に、公衆便所の洋式化についてであります。

 区では、整備から約三十年を経過した公衆便所を計画的に改築しており、高齢者や身体障害者など誰もが快適に利用できるよう、バリアフリー化を初め、だれでもトイレの整備や和式便器の洋式化に取り組んでおります。また、外国人観光客の多い銀座、築地、日本橋の公衆便所につきましては、和式便器の使用方法をイラストと英語、中国語、韓国語表記により表示しております。現在、洋式便器の比率は約四割でありますが、今後、東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、可能な限り改修を行うとともに、和式便器のみの公衆便所には洋式便器のある周辺公衆便所の案内図を表示してまいります。また、手すりについては、ほぼ全ての公衆便所の個室に設置しておりますけれども、今後、公衆便所の改築の機会を捉え、さらに高齢者の方が利用しやすい手すりの整備に努めてまいります。

 次に、コミュニティサイクルの課題についてであります。

 初めに、情報集約サイトの外国語版についてであります。

 運営事業者による中央区コミュニティサイクル専用ホームページは英語に対応しており、また、千代田区、港区及び江東区と実施している自転車シェアリング広域実験のホームページは、英語に加えまして中国語、韓国語にも対応しております。こうした取り組みに加えまして、登録方法や利用手順の動画説明を追加するなど、よりわかりやすいサイトとなるよう、現在、見直しを行っているところであります。

 次に、一日パスについてであります。

 一日パスの低廉化につきましては、自転車シェアリング広域実験を実施している他区との調整が必要でありますが、今後、機会を捉え、運営事業者に働きかけるとともに、発行につきましては、販売場所の増設など、さらに利便性が高まるよう協議してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔五番 塚田秀伸議員登壇〕

○五番(塚田秀伸議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございました。

 まず、防災訓練について、まとめて述べさせていただきます。

 先ほど区長もおっしゃられましたけれども、行政の枠を超えるということ、住民と、それから事業者、今、大きく分けまして、徐々にすり合わせというか、そういった方向、まちは一つであり、そこにいる全員がまちを守るという意識のもとに、防災訓練もかなり緊密にやりましょうという方向には来ておりますが、もう一歩踏み込んで、強制的にお願いするということも視野に入れて、まちを守っていかないと、なかなか難しい時代なのかなという思いでございます。特に、木造家屋とマンションであるとか、あるいは集合ビルと建築資材など、構造についても大変大きく変わりまして、例えばマンションの中にいらっしゃいますと、マンションの中だけで防災訓練を行うということも多くなってきている。そういう意味で、居住環境あるいは事業者、企業、そういった垣根を全て取っ払って行うからこそ、地域の防災、総合的な訓練を行うことが何よりも防災につながるのではないかという思いでございます。

 そして、防災組織の代替拠点をつくるという話につきましてですが、例えば本年四月の熊本地震の震度を計測しますと、西端の宇城市から益城町を越えて阿蘇市に及ぶまで、震度六弱の非常に強い地震が三十キロほど続いたということを考えますと、これは中央構造線に向かって、恐らく断層があって、断層上に強い地震があったと思われます。本区のように、東京二十三区ですと、地震の震度も東京二十三区で十把一からげに言われることもあるぐらい、なかなか中央区の中でどことどこに強い揺れがあり、また、どこに断層が走るという細かいところまではわからないと思うんですが、やはり本区のみならず周辺区も含めて、例えば揺れの弱い場所であるとか、何かそういったところを精査していただいて、なるべく同じような被害がない場所に代替拠点であるとか、あるいは移動可能な拠点を考える、こういうことも視野に入れていただいたほうがいいのではないかなという思いでございます。

 そして、帰宅困難者についてですが、東北大震災の際、本区は震度五弱でございました。言うならば、たった震度五弱の揺れでありました。けれども、帰宅困難者にあふれ、本区でも全ての小・中学校を開放して受け入れたわけでございます。以前にやはり同様の課題があったときに、例えば映画館であるとか、劇場の開放を検討してはいかがというような話があったと聞きますけれども、そういったことも視野に入れて、今後も帰宅困難者の受け入れ等、場所を開放する、あるいはそういった確保をするということを踏まえて、引き続きスペースの確保をどうぞよろしくお願いいたします。

 そして、水害につきましてでございます。

 ちょうど本日の未明に九州地区に台風が上陸したこともございますが、毎年毎年、台風の被害あるいは台風に連続する低気圧による豪雨、こういったものが大変大きな問題になっております。本区の東側を走ります隅田川でございますが、こちらもかつては暴れ川として、大変大きな、甚大なる被害をもたらす氾濫が多くございました。それも、荒川放水路が一九七二年に現在の形に完成して以降は、それもほぼなくなったわけでございますが、例えば荒川放水路につきましても、昭和二十二年のキャサリン台風と同規模の台風、水害が襲った場合に、荒川の処理量も大体そこを賄うぐらいしかないと。その後、その水量が全量隅田川に押し寄せるということも考えにくいんですが、やはり隅田川中域から下流域で集中豪雨に見舞われるということも今後想像されますので、より一層の水害対策を進めていただければという思いでございます。

 そして、ここまで防災につきまして幾つか述べさせていただきましたけれども、やはり防災訓練の一番の減災、それから共助の共通認識を高めるということは、ふだんから地域の皆様が顔を合わせる、そして、企業、住民に限らずですが、地域の一体感を高めて、コミュニティ力を上げるということが何よりも肝であると思います。そして、これらの活動は、防災にとどまらず、まちづくりの根本となる地域コミュニティ力の高揚につながりますので、ぜひとも、いいまちづくりということは防災にも強いまちであるということとほぼイコールであるかと思いますので、どうぞ一元化した防災対策を今後も検討して実現していただきたいと思います。

 続きまして、防災船着場でございます。

 防災船着場の名前どおりに、やはり本区にございます船着場は、まず名前のとおりの防災、それから道路交通網が遮断された場合の水上交通としての施設の充実が一番最優先されるべきと思いますが、もろもろ多角的に検討していただいて、部分的にふだんからの利用、観光を含めて、何かそういった利用ができるのであるならば一番いいのではないかと思います。

 そして、先ほど一般開放については、暴走水上バイク等もあり、なかなか難しいということでありましたけれども、一般には、例えばカヌーであるとか、本区にお住まいの方も水辺にアクセスできれば、水辺で遊ぶということも考えられるということでおっしゃっております。船着場につきましては、観光資源としての観点と、それから水上輸送の観点、そして、もう一つは、やはり水辺環境として親水の場であるべきではないかという思いがございます。区民の皆様に、ぜひとも身近な親水スペースとしてお気軽に活用していただけるように、そういった施設にしていくことも視野に入れていただければという思いでございます。

 続きまして、歩行者向けの行き先表示でございます。

 時折、浜辺などへ行きますと、矢印が幾つか方向を示していて、その先にどういったまちがあるとか、簡単な行き先表示でございますけれども、やはりこれが土地勘のない外国の方などにしては、大変ありがたいものでございます。それと、日常的に生活されている方におきましても、方角というのはわからないこともありますので、これはぜひとも検討していただいて、外国の方に限らず、多くの日本人観光客の方も含めて有益であると思いますので、どうぞ御検討をお願いしたいと思います。

 そして、パラリンピックを含めて、バリアフリーにつきましては、具体的に幾つも挙げてしまいましたけれども、世界で初めて二度目のパラリンピックを実現する東京でございます。さらには、その周辺施設におきましても大変注目され、世界にもまた発信されるわけでございます。そして、本区はまちの熟成化をさらに推進していかなくてはならない場所と思っておりますので、バリアフリーの世界基準となるような道路環境をつくり、ぜひとも世界に向けて発信していただく、そういったことも視野に入れて、設備の充実を図っていただきたいと思います。

 そして、区内の公衆トイレでございます。

 区長の答弁で四○%がまだ和式であるということで、先ほど、銀座、日本橋から和式トイレの使い方について解説をされているというようなことをおっしゃっていましけれども、ぜひとも観光客並びに本区の方も使う可能性の大変高い銀座、日本橋から、だれでもトイレのような設備の整ったトイレをぜひとも優先的に新しくしていただくということで進めていただきたいと考えております。外国のお客様以上に、本区のお年寄りが、やはり和式ではもう最近用を足せないというような話も聞いておりますので、ぜひとも三十年間の耐用年数が過ぎたものからということでなく、人の大勢集まるところにおいては積極的に洋式化の検討をお願いしたいと考えております。

 最後に、コミュニティサイクルの一日券、そういった発券であるとか、簡略化できないかという問いについてですが、コミュニティサイクルの成否は、外国を含めて幾つかの前例を見る限り、どこが成否を分けているかというと、やはりまずはポートの数であろうと思います。そして、次に挙げられるのが、やはり乗り出しの簡便さであろうかと思います。これは、先ほどの答弁にもございましたけれども、まずは街角で自転車を見つけて、当然、ホームページに至れば多言語化されているとは思うんですけれども、まずホームページに至らないわけです。ですから、やはり自転車の置いてあるポート等に多言語対応した指示なり、ホームページに誘導するような内容を大きく表示するとか、何かそういった対策はぜひともしていただきたいと思います。

 幾つかばらばらと述べさせていただきましたが、まずは多言語表示ですね。これは、例えば緊急避難先、それから帰宅困難者の一時施設なども含めて、簡単な意思表示ができる、あるいはイエス・ノーや、数字など簡単な意思の疎通がとれるようなもので結構ですので、何かこれはあらかじめ準備をして置いておくとか、そういった対応が必要なのではないかと考えております。

 少しばらばらになってしまいましたが、バリアフリー面からにつきましても、多言語表示、それからバリアフリーの観点、そういったしつらえをするというのは、今後、世界的な流れでございます。そして、東京、首都の中でも大変注目度の高い本区におきましては、そういったことを真っ先に取り入れて世界に発信するというような姿勢を含めて、ぜひとも対応していただきたいと思うことと、もう一つ、防災におきましては、先ほども言いましたが、やはり地域のコミュニティ力、そして事業者、住民の緊密なる関係というのは、何にも増して防災力を上げ、そして、それが地域のコミュニティ力であり、いいまちづくりにつながるものであるかと思います。そういう意味では、ぜひとも行政の垣根を超えた防災訓練の一元化、そして情報の一本化を図るように、いろいろと越えなければならない壁はございますが、ぜひとも進めていただきたいと思います。

 それでは、私の質問は以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(押田まり子議員)
 次に、四番佐藤敦子議員。

〔四番 佐藤敦子議員登壇〕

○四番(佐藤敦子議員)
 自由民主党の佐藤敦子です。中央区議会平成二十八年第三回定例会の一般質問を、自由民主党の区議団の一員として、質問通告に従い、順次質問させていただきます。区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、区民にわかりやすい御答弁をお願いいたします。なお、御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 日本時間で昨日、リオのパラリンピックが閉会し、次はいよいよ二○二○東京大会です。スポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックは、スポーツマンシップや相手を敬う心など、倫理の尊重に基づいた生き方の創造でもあり、倫理に立脚した世界共通の願いは恒久平和です。スポーツだけでなく、文化や芸術、そして伝統も途絶えることなく、きょうまで維持継承ができた平和の象徴です。

 近代オリンピックの提唱者、ピエール・ド・クーベルタンは、競技種目に芸術を含めることを強く主張しました。大正元年のストックホルム大会から昭和二十三年のロンドン大会までは芸術競技が行われ、昭和十五年の第十二回オリンピック東京大会でも、芸術競技の会場に日比谷公会堂などが指定されておりましたが、この大会は幻となりました。その後、昭和三十九年の東京オリンピックでも、東京国立博物館で芸術展示種目がありました。やがて、一九九二年、バルセロナ大会以降、多彩な文化的行事である文化プログラムの時代となりました。冷戦が終了し、グローバル化が加速する世界情勢の中で、恒久平和を実現するために、多文化理解や共生社会の重要性がより高まったためです。特に、二○一二年のロンドン大会では、かつてない大規模な文化プログラムが実施され、観光や地域振興の面で大きな波及効果を生み出すことになりました。英国全土で千カ所以上、ワークショップ、展示会などのイベント総数十七万八千件、参加アーティスト数約四万人、うち、およそ六千二百人が若手、八百六人が障害者であったそうです。

 二○二○東京大会においても、既に各省庁から文化プログラムの概要が具体的にされ、東京都もまた、文化的レガシーの創出に当たり、公認プログラム、応援プログラムの公募が、この秋から順次始まります。国は、地方公共団体や民間とタイアップした取り組みに、平成二十八年度予算で百三十億円余りを計上しました。

 そこで、冒頭、区長にお伺いします。

 オリンピックを契機に、その国の文化への理解を深めることは、恒久平和や社会的責任といった世界共通の倫理的規範の尊重を醸成することであり、オリンピックの大義です。晴海に選手村を擁する本区が世界に発信すべき本区の文化とは何だとお考えでしょうか。

 江戸期からの文化が今も継承されているという特性と、ことし七月に行われたロンドン市、パリ市への視察で文化プログラムの観点から、参考となる事例がありましたら、それも織りまぜつつ、本区だからこそ、文化を通じて世界に貢献できる点、今後の抱負、決意などもあわせ、お聞かせください。

 さて、夏を彩る大江戸まつり盆踊り大会で、ことしは大きな変化がありました。たくさんの外国人が浴衣を身にまとい、盆踊りをする姿がとてもふえたことです。外国人観光客が、四季のはっきりとした日本の風土において、暑さの厳しい夏の盛りに行われる盆踊りのような、いわば日本人にとっての四季のこなしを体験し、それをこのまちが受け入れる姿は、まさしく国際文化交流でした。本区の盆踊りは、先進的な都心区で行われる伝統の維持継承の象徴であり、平和と豊かな四季のもとで、これからも発展していくべき貴重な文化の遺産です。

 そこで、お伺いします。

 二○二○オリンピック東京大会の期間は七月下旬から八月の上旬であり、納涼会や盆踊りのシーズンです。また、文化庁の文化プログラムにおいても、期間中の地域のお祭りや文化芸術を全国津々浦々にわたり支援するプロジェクトが決まっていることからも、本区において大江戸まつり盆踊り大会を一層盛り上げ、国際文化交流の場として世界にその存在を発信することを御提案したいのですが、この点に関するお考えをお聞かせください。

 さて、人間のわざである歌舞伎、能、舞踊などの無形文化財、江戸幕府の儀礼として武家社会に広がった茶道、昨年、ユネスコ文化遺産に登録された和食、問屋街に浸透された着物文化、まちのあちこちで継承されている職人わざなどは、多様な時代背景を持つものの、本区の誇るべき文化的資源です。これらは、一見して体験するには敷居が高く、かといって、見るだけでなく体験してみたいという外国人は大変多いと思います。観光型から体験型に、これは訪日外国人の観光スタイルの変化ですが、それまで見るだけで終わっていた文化的資源に対し、今まさに体験、交流といった新しい要素を取り入れたニューツーリズムの時代へと変化をしました。本区には、さきに挙げたもの以外にも、多くの伝統文化が根づいています。訪日外国人や来街者が実際に体験をしたり、まちの人々と一緒に参加することを通じ、本区の多様な文化への理解や国際交流をより進化させることができるものと思います。

 そこで、お伺いします。

 和食、着物、伝統芸、職人わざなど、多様な本区の無形文化を一つの観光資源として捉え、国際文化交流としての体験することをツアーの目玉とした訪日外国人向けのアイデアあふれる観光事業を区内で育成する仕組みをつくりたいのですが、この点に関するお考えをお聞かせください。

 さらに、お伺いします。

 文化交流を地域で推進する場の一つとして、町会や自治会などの既存のコミュニティがあります。これらの自発的な取り組みを支援することは、地域社会の充実と発展にも寄与します。例えば、品川区の町会では、まちに暮らす外国人が教師となり、町会青年部が中心となって、区内の誰もが参加できる英会話教室を開き、地域でオリンピック・パラリンピック大会に向けて英語力を磨き、見識を高めようという取り組みをしています。

 本区でも、着物文化や和食文化などの文化的資源を活用し、着つけ教室、茶会、職人わざの講習会、外国語教室なども、二○二○に向け、オール中央区で気概への醸成づくりのきっかけとなると思います。本区の誰もが参加できる、オープンで見える化された新しい試みにより、今までまちの行事に参加をしたことがないような在住・在勤の人々も含めた、より多くの区民を巻き込み、ともに活動していく意味は大きいと思います。

 このような自発的な町会や自治会などの取り組みへの支援をお願いしたいのですが、この点についてのお考えをお聞かせください。

 次に、ICTについての質問に移ります。

 総務省の平成二十七年版情報通信白書によると、仕事や研究、勉強について調べたいことがある場合など、具体的な場面において、いずれもインターネットを利用し検索すると回答した人が、年齢を問わず、七割以上を占めています。五十歳代はこの比率が最も高く、何かを調べるときにはインターネットを利用すると回答している人が七八・三%に達します。このような背景において、進化を続けるICTの活用は、区民の暮らしやすさや訪れやすさといった地方創生の観点から重要です。本区では、ホームページ、フェイスブックなどのSNS、メール配信サービスを行っていますが、ホームページの検索機能についてお聞きします。

 本区では、たくさんの集合住宅が建てられ、現在の年齢別人口は、六十五歳以上が一五・九%に対し、三十代から四十代の子育て世代が四二・一%となりました。人口増加による価値観や生活環境の多様化、障害の有無、訪日外国人や来街者といったビジターである交流人口の増加も大きな変化です。求める情報もさまざまな上に、多忙な現代人は的確に効率よく情報を得られるように、ホームページの検索機能をICT技術の変化とともに強化する必要があると思います。

 例えば、神戸市は、トップページに検索機能だけを置き、ユーザーは入力することで欲しい情報が瞬時に得られるよう、検索機能を格段に強化させました。ホームページを訪れる大半の人は、検索機能を利用することから、文字ばかりが目立ち、必要な情報が探しにくいというホームページが抱える問題を解決することで、トップページには写真やイラスト中心のユネスコ創造都市としての神戸のイメージを表現することが可能になりました。それまでの、かたい、真面目過ぎる、欲しい情報にたどり着けないというイメージの刷新に挑み、今ではアクセス数が従来の五倍に膨れ上がったそうです。

 そこで、お伺いします。

 ホームページを訪れる全ての人が、それぞれ必要としている情報を瞬時に入手できるよう、トップページの検索機能をさらに強化させることを御提案したいのですが、お考えをお聞かせください。

 さらに、写真やデザインを駆使した視覚的なホームページのイメージ戦略についてお伺いします。

 平成二十五年十二月にリニューアルをし、区のホームページはとても充実をしています。つまり、活字がとても多いのが特徴ですが、今後は読み物としてだけでなく、写真、イメージ、デザインを駆使して視覚的に本区の特性を発信していることも必要なのではないでしょうか。特に、トップページについては、現状四点ある画像をもっと充実させ、先進性と伝統文化の両面を視覚的に積極的に発信していくことにより、中央区ってこんなにすばらしいところなんだというイメージを伝えることが可能です。人員が足りないなどの問題があるとは思いますが、中央区のイメージ戦略として、前向きに検討していただきたいと思います。お考えをお聞かせください。

 次に、近年急速に普及したSNSの活用について質問をいたします。

 SNSは、発信した情報が拡散されることにより、威力を発揮するツールです。拡散に当たり、内容に共感したかどうか、情報の信憑性が高いかどうかを重視する人の割合は、全ての年代で共通して高いものの、ただ内容がおもしろいかどうかだけを拡散の基準とする人の割合も、年代が下がるほどに高くなり、これが特定の人や団体を攻撃、排除するなどの炎上につながることから、ルールやマナーを徹底した運用は重要です。さきの事例に挙げた神戸市でも、イベント、観光、教育、英語専用ページなど、さまざまな分野でSNSの公式発信をするのみならず、ユーザーが神戸市の景色を投稿するページなども合わせると、公式SNSは六十八項目にも及びます。

 そこで、お伺いします。

 情報通信白書によると、SNSの一つであるフェイスブックの利用率は、年代が高くなるほど利用率が下がる傾向ですが、二十代以下で約五割、三十代と四十代で四割弱、六十代以上でも二割以上の人が利用しています。マナーやルール遵守を運用要綱で定めつつ、現在、フェイスブックで発信している中央区公式ページを拡充させ、さらに公式ページの外国語版をつくるなど、部署ごとに発信内容に多様性を持たせることにより、本区とは余り深くはないが、かかわり合いが存在するという、いわゆる交流人口への身近な中央区をアピールができるのではないでしょうか。人員などの問題がありますが、実現に向けてお考えをお聞かせください。

 一つの成功例として、神戸市ホームページ検索機能強化やイメージ戦略などの刷新については、市役所内外から若手の意見を中心に企画をし、現在は若手を中心とした少数の広報チームで運営されています。ICTのような時代の先端を見据えた事業や、新しいものに着手するエネルギーを生み出す活力は、どの時代も若き精鋭たちが担ってきました。リオの閉会式における日本セレモニーも、日本の若手クリエーターを中心としたチームが編成され、さらに二○二○オリンピック・パラリンピックもまた、その主役を担うのは若者たちです。

 そこで、お伺いします。

 本区のICT分野において、先進的なアイデアを持った若手職員を登用したり、区役所内外から人材登用を積極的に行うことなど、新しい試みににチャレンジするための人材の活性化に着手していただきたいと思うのですが、この点に関するお考えをお聞かせください。

 さて、二○二○オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、想定外のない防犯対策をしなければなりません。区民を凶悪犯罪から守るためにどうしたらいいか、この点についての質問に移ります。

 ことし七月、相模原市の神奈川県立障害者福祉施設に元職員の男が侵入し、障害を持つ人たちを暴行し、死傷者四十五人、うち十九人が死亡するという戦後最悪の事件が発生しました。障害者が暮らす施設に人をあやめる目的で侵入したと供述する容疑者は、犯行に及ぶ以前に、障害者をおとしめる発言をみずから動画サイトで公表し、手紙にも記していました。これから行う犯罪に対する標的が明確であり、犯罪を行う決意も覚悟も丸見えになっているという点が特徴的でしたが、全く打つ手がなく、犯罪に対して無力であった、この事実が無念で仕方ありません。

 このケースだけでなく、児童虐待、DV、ストーカー犯罪など、およそ犯罪行為に及ぶことが予測できたにもかかわらず、関係機関との連携や情報共有を初め、もう一歩踏み込んだ、より積極的な手だてがとれずに犯行が行われ、取り返しのつかない事態に陥ることは正視にたえません。そして、このような犯罪が本区で起こり得る可能性がゼロでないからには、どのように対峙するべきなのかを議論しておく必要があるではないでしょうか。

 そこで、お尋ねします。

 ある特定の施設、団体、個人が襲われることが、それまでのいきさつや情報からおよそ予測され、児童虐待、DV、ストーカー、そしてさきの事件のようなケースに巻き込まれる可能性がある区民に対し、本区はどのような対応をとることができるのかをお聞かせください。

 既に、防犯カメラの設置や防犯意識の向上、警察、消防との連携などの対策はとられており、テロや武力行使に対しては、国民保護計画において本区のとるべき対応が詳細に記されていますが、特に関係機関との強い連携や情報共有、そして、もう一歩踏み込んだ手だてという観点からの御答弁をお願いいたします。

 さらに、区民館、総合スポーツセンターを初めとしたスポーツ施設やグラウンド、社会教育会館、女性センター、環境情報センター、協働ステーションなど、区の施設において、凶悪犯罪に対し、防犯カメラの設置や警備員の配置のほかに、どのような強化策がとれるのでしょうか。具体的にお聞きいたします。

 さらに、お伺いいたします。

 防犯カメラは、犯罪抑止力と証拠能力という点において、一定の効果があると思います。しかしながら、神奈川県立障害者施設の事件に象徴されるように、犯罪の前後において堂々と姿が映ることをいとわない容疑者が存在します。この事実を考えるとき、犯罪抑止力として機能しない蓋然性があるということを考慮しなければなりません。私たちが今できる手段としては、やはり地域のコミュニティの力をもって防犯につなげることが重要です。町会・自治会のネットワークを、防犯という観点から、今後どのように生かし、活動を強化していくのか具体的にお聞かせください。

 次に、教育についてお伺いします。

 学習指導要領の総則には、子供たちの生きる力を支えるためには、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和が重視され、その調和に立脚した知識・技能の習得と、判断力、思考力、表現力を車の両輪として育み、主体的に学習に取り組む態度を養うとあります。つまり、学校教育に当たり、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させることは、生きる力につながります。これにより標準授業数も増加し、小学校の算数は週当たりの授業こま数が、平成二十年度の二十五こまから平成二十四年度の二十九こまに四ポイントふえ、中学校の理科は八・三こまから十一こまに二・七ポイントふえたことが特徴です。学習指導要領は十年に一度見直されるため、既に次期学習要領に向けての審議が文部科学省において始まっており、これまでに小学校の外国語教育の教科化など、学習内容の削減は行わないとの方針が出されました。つまり、これまでの審議まとめ案では脱ゆとり教育路線を継続することになります。

 さて、本区においても学力は重点施策であり、平成二十八年度報告書によると、基礎的・基本的な学習内容の定着状況を把握し、各学校での個に応じた指導の充実のための具体的な取り組みとして、学力サポートテストを実施しています。学力サポートテストは、小学校四年生と六年生、中学校一年生と三年生で実施され、教科ごとに児童・生徒の正答率と目標値が記載をされており、目標値や区平均値に達していない教科が明らかにされるものであります。

 平成二十七年度の実施結果において、四教科平均ポイントで、参加校平均に対し、小学四年生は二ポイント、小学六年生は三・一ポイント、それぞれ上回りました。反対に、中学校は、一年、三年ともに四教科平均ポイントで参加校平均に達することができず、中学一年生で○・四ポイント、中学三年生で○・二ポイント下回りました。さらに、教科別によると、小学四年生の理科で○・三ポイント、小学六年生の理科で○・四ポイント、中学一年生の数学で一・一ポイント、理科で四・四ポイント、中学三年生の社会で○・五ポイント、理科で五・九ポイント、それぞれ下回りました。理科については、小学四年生の物質・エネルギー、小学六年生の生命・地球、中学一年生の量と測定、数量関係、中学三年生の数学的な技能について、それぞれ課題があることが明らかになりましたが、ここでお伺いします。

 平成二十七年の学力サポートテストの中学校の結果において、参加校平均値に達することができなかったというその結果を受け、その原因をどのように分析しておられますか。

 また、理科については、小学校において、観察や実験などにおける教員の支援を行う理科支援員の配置、中学校においても、視覚化や小テストなど、学力向上に向ける対策を立てながらも、全ての学力サポート実施学年において、本区平均値が参加校平均値に達しなかったという結果についても、その原因をどのように分析しておられますか。あわせてお聞かせください。

 次に、学力サポートテストの結果を踏まえた、より具体的な学習指導についてお伺いをいたします。

 各学校では、学力サポートテストの結果から授業改善プランを作成し、全体的な学力向上を図っておられます。また、一方で、児童・生徒への個別の取り組みとして、学力診断カルテの結果を踏まえ、個別指導や少人数指導を実施しておられます。学力診断カルテには教科ごとの結果及び目標値、さらに区平均が記載されており、目標値に達していない教科や、問題の内容がわかりやすく記載されているため、特に目標値に達することのできなかった児童・生徒に対しては、個別具体的な実情を踏まえた指導ができるものとして、学力向上、苦手克服の観点から、大きな期待を寄せております。

 そこで、お伺いします。

 学力サポートテストの結果を受け、区独自に自主学習支援テキストや学力サポートテストフォローアップワークシートを作成し、基礎・基本的な学習内容の定着と向上を図っておられます。一方で、特に今後の学力向上と苦手克服の観点から、課題が明らかになった理科について、目標値や区平均値を著しく下回ってしまった児童・生徒に対し、学習診断カルテを活用し、どのような指導がなされておりますか。教育現場の具体的な事例なども踏まえつつ、お聞かせください。

 最後に、お伺いします。

 現在、中央区基本構想審議会において、教育行政の未来像やあり方が話し合われているさなかです。本区で受けた教育や、まちや人との出会いを糧に、みずからの人生を立派に歩み、成人し、出会い、生命の営みである子育てを、また生まれたこのまちで行いたい、今の子供たちが脈々とこのまちの継承と発展を担ってくれることを、親として心から願っております。

 我が子も六年生になりました。今の小学生が十年後、二十年後にどのように社会や地域に貢献し、そして社会に携わっていくのか、子供たちの未来を考えるのは親の楽しみでもあります。未来を見据え、中央区の子供たちの未来をどのように描き、どのように小学校教育に向き合っておられるのか、子供たちの未来像とふるさとを愛する心の醸成という観点からお聞かせください。

 以上で、私の一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 佐藤敦子議員の御質問に順次お答えいたします。

 リオのオリンピック・パラリンピック、閉会いたしましたね。オリンピック、四十一ですか、金、銀、銅。パラリンピックのほうは、金はなかったけれども、しかし、二十四のメダルを獲得したということで、本当に頑張ったなと敬意を表する次第でございまして、特にパラリンピックのほうは、若い人だけではなくて、三十代、四十代の方々でも率先してどんどん、負けないようにということで切磋琢磨していた。あれを見て、本当に感激いたしたところであります。無論、オリンピックのほうも随分一生懸命やって頑張って、感激いたしました。両大会も本当に大いに盛り上がって、よかったな、何かいろいろ不祥事等も言われておりましたけれども、そういうこともなく、本当によかったな、そういうふうに思いますね。

 そして、次は、四年後には東京へいよいよオリンピック・パラリンピックが来るということで、小池都知事が旗をしっかりと受け取って、そして二度、三度と振っておりましたけれども、いよいよ東京へ来るわけでありますから、これをすばらしいものにしていきたいな、そういう思いでいっぱいであります。

 御指摘のように、東京の文化ね。押田議長と、先般、パリ、ロンドンのほうを区議会の皆様方の御理解、御支援によりまして、ともに視察してまいったところでありますけれども、御指摘のようにパリのセーヌ川、パリなんかはセーヌ川と一体となって、すばらしい文化都市ができている。また、ロンドンのほうもテムズ川と一体となって、すばらしいまちができている。それに比べると、東京は隅田川というすばらしい川があるんですけれども、これはまだまだ一体的に文化都市として成り立っていないのではないかなというふうに思ったところでございまして、そういう面では、隅田川を中心に、どんどんそうした河川と一体となった文化都市として、東京全体をつくり上げてまいりたいな、そこで世界中のアスリートたちが大いに競い合っていただきたい、そういう思いで来ました。

 御指摘のように、江戸の文化、本当にすばらしい。世界のファッションをリードするような銀座があれば、下町情緒豊かな人形町もあれば、日本の国道標識の元標のある日本橋もあれば、もんじゃ焼きの月島もあれば、食文化の拠点である築地もあれば、本当にすばらしいところがたくさんありますし、また踊りであるとか、能であるとか、本当に能なんていうのも六百年以上、舞台としては世界最古の舞台芸術である、こう言われているわけでありますから、そういうもの、それから歌舞伎にいたしましても、江戸歌舞伎発祥の地が京橋にありますね。そういう文化もあれば、和装というすばらしい文化もあるわけでありますから、こういうものを本当に我が東京から世界に発信してまいりたいな、そういうふうに思いますね。このマークも、江戸文化と関係があるようでございます。

 したがいまして、いろいろな区民の御意見等を伺っておりますけれども、今度の東京オリンピック・パラリンピックが来たら、何とか江戸文化というのを中心的なものにしてはどうかという声もございます。無論、これは東京だけで楽しむのではなくて、日本中で楽しむものであるということでありますけれども、その日本中の中で江戸文化というのが大好きだという人が随分大勢いるんですね。江戸を大事にしようじゃないかという方々が、非常に日本人に多い。北は北海道から沖縄まで、江戸文化が大好きだという方々もおられるわけでありますから、そういう面では、せっかく五十六年ぶりにやってくるわけでありますから、ぜひとも江戸、日本人が持っている文化、こういうものを、これまで培ってきた日本の文化、これを大いに発信してまいりたい。

 また、平和ですね。もう争い事はやめにしようじゃないかということで、戦後七十年以上平和であるからこそ、こんなにすばらしい国になり、また都市もできているのであるから、平和を世界中の皆さんに示して、くだらない戦争、紛争なんていうのはやめて、テロもやめて、また核なんていうこともやめて、平和な時代、これを二○二○年東京オリンピック・パラリンピックを契機として、世界平和を築き上げたいな、そういう思いでいっぱいであるわけでございまして、区議会の皆様方、関係方面の皆さんと一緒に力を合わせて、すばらしい二○二○年オリンピック・パラリンピック大会を開催してまいりたいな、そういう思いでいっぱいであるわけであります。

 また、盆踊り大会、こういうものも非常に重要ですね。いいですね。盆踊り大会というのも、長い間、日本の文化としてきたわけでありますし、こういうものも国際交流として、そう難しい踊りでもないようでありますので、私は余り踊るのは上手じゃないですけれども、子供のころから親しんできたし、リズムも本当にすばらしいものがたくさんあるわけですから、そういうもので中央区でも国際交流サロンというのをもう三年ほど前からやっておりまして、月に一度ぐらいはやっているようですね。そこで盆踊り大会を外国の方々と一体となってやると。十一月は、国際交流のつどいというのが毎年行われる。これは私も欠かすことなく行っているんですけれども、そこでも盆踊り大会や何かが行われるから、これは国際交流サロンのほうはやらないようでありますけれども、欠ける月であるということでありますけれども、そういうことで、皆さん一緒になって、一体となって、盆踊りなんかを行うということですね。

 押田議長と視察に行ったときにも、セキュリティーの問題でどうなんだと。そうなんですね。本来ならば、選手村がせっかくあるんだから、そこで日本のすばらしい文化・芸術なんかをそこで披露できればいいなというふうに当初思っていたんですけれども、セキュリティーが大変らしいですね。シャットアウト、ほかの人たちは入れられない。ただ、逆に、選手村におられる方々が、終わってまちに出てきて、まちの中で盆踊り大会に出たり、一緒にいろいろなほかのもので楽しんだり、これはもう自由だということでありますから、そういう面では、いろんな、先ほど来言うような、日本にはさまざまな文化が、私が今言わなかったようなことでも、本当にたくさんあるわけですから、そういう日本の文化をどんどん世界に広めてまいりたいな、アピールしてまいりたいな、そういうふうに思うわけであります。

 また、外国人向け文化体験の推進ですか。本区には、名橋日本橋や築地本願寺本堂など国の重要文化財がありますね。今、九つですか、日本銀行であるとか、橋だけでも名橋日本橋、勝鬨橋、永代橋、もう一つぐらい、どこかにありましたね。それから、デパートも二つ、高島屋さん、日本橋三越さん、そういうものもあるわけでありますし、特に名橋日本橋というのは、余計なことかもわかりませんけれども、総予算の一五%ですか、それを装飾に使ったというんですね。麒麟の台なんかがありますね。当時から本当に大事なお金でありましょうけれども、その一五%を装飾に使った。これは日本人のすばらしいところであるなというふうに、それを聞いたときには感服したわけであります。ただ、経済効率だ何だとか、そういうことだけじゃなくて、そうした文化性のものに総予算の一五%をも出すというような、そういう日本人にはすばらしい心があるんだというようなことも示してまいりたいというように思うわけでございまして、今度、観光情報センターもできますし、そういうところを通じて、いろいろな日本のすばらしさを示して、これはもう世界にインターネットでどんどん示すことができますから、そして観光客の皆様方にも来ていただきたい、そういうふうに思うわけであります。

 また、町会や自治会など、こういう人たちの交流への支援、これもいいですね。この間、区のほうで食文化関係の方々を呼んで、おかみさんなんかも皆さん来ていただいて、そして英会話やおもてなしの仕方ですね。簡単な英会話を使ったりして、これが評判がすごくいいんだ、よかったと。区長、ああいうのは本当にすばらしいことだ、これからもどんどんああした催しをしてほしいというお話がございました。食文化関係だけではなくて、いろんな方々との交流の場を設けるためにも、そういうことも必要ではないかな。それこそ町会・自治会というのは、ほかの国にあるのかどうかわかりませんけれども、日本にはこれだけ町会・自治会があり、特に我が中央区、百七十三かな、町会・自治会がありますけれども、こういうすばらしいコミュニティ、コミュニケーションですね。それによって、まちがしっかりと守られているからこそ、都心中の都心なのに犯罪の件数が、たしか十四年間、ずっと減っているということもお聞きしましたけれども、そういうことも非常に重要でありますし、こういうことも世界の方々との交流を通して行っていくということ、これも重要ではないかな、そういうふうに思いますし、また餅つき大会だとか盆踊り大会とか、本当にいろんな町会・自治会が中心になって、さまざまなことをやっている。

 また、生涯学習ですね。お習字の学習であるとか、絵の学習であるとか、さまざまな学習も皆様方がそれぞれ行っているということでございます。

 また、商店街も仲良く、みんな競争相手ではあるけれども、お互いにまちをおこしていこうじゃないか、我がまちをよくしていこうということでは、一体となって行っているわけでございまして、そういう面でも非常に心から敬意を表していますし、いろいろな交流活動を続けていきたい。特に、外国の人とも続けてまいりたい、そういうふうに思うわけであります。

 次に、ホームページにおけるトップページの検索機能の強化についてであります。

 本区のホームページの検索エンジンは、平成二十五年十二月のリニューアルに伴いまして、曖昧語検索や関連するキーワードが自動予測される機能などを備えた最新の製品に入れかえを行っております。その後、平成二十七年四月にはバージョンアップを行いまして、検索の範囲を選択できるなど、機能の充実を図っているところであります。区のホームページは、区民の皆様にとって重要な情報を掲載していることから、誰もが見やすく、わかりやすく、検索しやすいものでなければなりません。今後とも、多くの皆様からの御意見を伺いながら、内容も充実させ、よりよいホームページとなるよう努力を重ねてまいりたいと思います。

 次に、ホームページを活用して、区の特性を視覚的に発信していくことについてであります。

 区のホームページは、区民や利用者に対して、行政サービスやさまざまな業務の案内をわかりやすく公開することが重要であると認識しております。一方で、本区のイメージ戦略においても、重要な役割を果たすものでありまして、区や区のイメージに親しみを持っていただくため、四季を代表する風景やイベントの写真を掲載するとともに、区民や来街者の方に投稿していただいた区内の写真を掲載するコーナーを活用して、区のPRにも努めているところであります。また、観光協会のホームページにおいても、多くの写真を掲載しながら、区の持つ潜在的な価値や魅力を広く発信しております。今後も、観光協会と連携を図り、区の魅力を発信していくとともに、次回のホームページリニューアルに向けて、区のさらなるイメージアップにつながるデザインが取り入れられるよう研究してまいります。

 次に、SNSを活用した交流人口の対応についてであります。

 ICT技術の進展に伴いまして、情報発信・受信の手段として、SNSの普及が着実に進んでいることは承知しております。中でも、年代を問わず利用が浸透しているフェイスブックは、個人や企業のみならず、各自治体にとっても欠くことのできない重要な情報発信手段であります。本区においては、平成二十六年九月からフェイスブックによる情報発信を行っており、また、中央区文化・国際交流振興協会においては、内容に応じて、日本語と英語の併記による発信を行っているところであります。フェイスブックを初めとするSNSのさらなる活用は、利用者間での情報共有や拡散など、本区のアピールに大きな効果を期待できる一方、個人情報の漏えいやなりすましなどの問題も指摘されているところであります。こうしたことから、区として安全かつ円滑にSNSを運用していくためには、職員のスキルアップや人材確保が必要であると考えております。区といたしましては、今後も増加が見込まれる国内外からの来訪者に向けて、SNSが有効に活用されるよう努めてまいります。

 次に、ICTにおける若手人材の登用についてであります。

 ICTの利活用が急速に進展する中、区民等のニーズに的確かつ迅速に対応するためには、若手職員等の斬新で柔軟な発想や感性を施策に反映させていくことが重要であると認識しております。これまで本区では、平成二十八年度から、採用情報サイトや採用PRパンフレットの企画から製作までを、民間事業者からの専門的な助言を得ながら、入庁二、三年目の若手職員で構成する採用PR事業プロジェクトチームで実施してきたところであります。この取り組みは、本区を希望する学生などから大変好評を得ているとともに、職員の人材育成の面からも大きな成果を上げております。今後とも、技術革新が著しいICT分野につきましては、区政のさまざまな分野での利活用が想定されることから、職員の育成や民間活力の効果的な導入に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、凶悪犯罪への対応であります。

 凶悪な犯罪から市民の安全を守るのは、第一義的には警察の責務であります。区では、平成二十五年四月に、区内四警察署と地域安全の推進に関する覚書を締結し、区民の方々への生活安全に関する意識の向上や地域における犯罪防止活動を支援するとともに、警察から寄せられた犯罪情報の迅速な提供に努めております。また、学識経験者や警察、消防、防犯協会などで構成する生活安全協議会を定期的に開催し、関係機関の連携を深めるための幅広い意見交換を行っております。さらに、子ども家庭支援センターや女性センターなどの相談窓口では、児童虐待やDVなどの各種相談や指導に取り組んでおり、犯罪につながる危険性が高いと判断した場合には、警察や都に通報するなど、適切な対応に努めております。このたびの相模原市の事件では、病院、自治体、警察などの連携が十分でなかったことが指摘されており、現在、国において、事件の検証と再発防止に向けた検討が行われているところであります。

 そうですね。相模原市の事件、私は、ことしこそ障害者差別解消法施行になった年ですから、これこそ障害者元年であるというふうに自分では受けとめて、初めて七つの障害者団体の皆様方とも懇談会も開いて、そして皆さんとの対話をさらに重視してきて、いろいろな要望も聞いたところでございますが、ああした事件が起こるなんていうのは本当に恐るべきことで、残念で残念でならないわけでございます。今後、区といたしましては、こうした動向にも注意しながら、警察など、関係機関とのさらなる連携強化や情報の共有を図り、犯罪のない安全で安心なまちづくりに取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、公共施設の犯罪対策についてであります。

 区では、公共施設における犯罪などに適切に対応できるよう、警察への通報体制や職員間の情報伝達、利用者の避難誘導などを定める緊急事態対応マニュアルを作成しており、その適切な活用に努めております。また、毎年、警察署の協力により、職員を対象としたさすまた講習会を実施するとともに、防犯に関する意識啓発にも積極的に取り組んでいるところであります。こうした取り組みは、指定管理者においても同様に取り組むよう指導しており、マニュアルの作成のほか、定期的な訓練や社員研修なども行われております。設備面では、防犯カメラの設置に加えまして、施設の規模や状況等に応じまして、監視モニターやビデオ装置を設置するほか、防犯効果の高い新たな設備の導入についても鋭意研究に努めております。中でも、学校、保育園などでは、警察への非常通報装置や玄関電子錠を設置するなど、子供の安全確保を最優先に取り組んでおります。しかしながら、近年、全国的には公共施設が巻き込まれる犯罪も見られることから、今後、緊急事態対応マニュアルの再点検に取り組むとともに、指定管理者を含む職員が、いざというときに適切に対処できるよう研修を充実するなど、公共施設における安全確保に万全を期してまいります。

 次に、犯罪に対するコミュニティの活用についてであります。

 昨年の本区の刑法犯発生件数は二千六百十六件で、二十三区の中では四番目に少ない数であり、繁華街を抱える区の中では最も犯罪の少ないまちであります。これは、町会・自治会を初めとした地域の皆様がまちぐるみの防犯活動に取り組まれた成果でございまして、たゆまない努力のたまものと認識しております。犯罪被害の抑止を図るためには、自分の身は自分で守る、地域の安全は地域で守るといった自助・共助の取り組みが重要であり、現在、区では安全・安心メールによる犯罪情報の提供を初め、防犯協会への支援、地域の防犯活動に対する用具の給付など、地域ぐるみの防犯活動が推進されるよう支援しております。区といたしましては、犯罪を起こさせない地域の目をふやすなど、みんなで地域を支えていく体制づくりに向けて意識啓発等に取り組むとともに、引き続き、地域の自主的な活動を積極的に支援し、安全で安心なまち中央区の実現に向け、取り組んでまいりたいと思います。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、平成二十七年の学習力サポートテストの分析についてであります。

 本区中学校における実施教科全体の平均正答率は、第一学年、第三学年ともに参加校平均をわずかに下回っているものの、教科ごとに見ると、国語、社会、数学、英語は全国を上回るか、ほぼ同程度であり、良好な結果でありました。しかしながら、理科の正答率は参加校平均よりも五ポイント程度低かったため、全体の平均正答率を押し下げたものです。この結果と小学校を含めた理科の状況を分析したところ、基礎的・基本的事項の未定着や自然事象についての知識・理解の不足などの課題が見られました。その要因としては、学習内容の定着を図るための反復学習が不足していることや、動植物に触れるなどの直接的な自然体験の機会が少ないことなどが考えられます。

 次に、学習力サポートテストの結果の個票を活用した指導についてであります。

 各学校では、個人面談や三者面談などの場において個票を用いて学力の状況について説明し、本区の課題である理科を初め、児童・生徒の習熟や学習状況に応じた課題を与えるなど、きめ細かい指導をしております。こうした指導に加えて、夏季休業中や放課後に補習を実施するなど、児童・生徒のそれぞれの苦手な教科の克服を図っているところです。引き続き、課題である理科を含め、全教科において、さらなる学力の向上に努めてまいります。

 次に、本区の子供の未来像についてであります。

 情報化やグローバル化が進展し、社会や生活が大きく変化するなどの予測困難な未来において、たくましく生き抜くためには、持てる力を全て発揮して主体的に課題を解決していく力や、多様性を受容し、他者と協働していく力を身につけることが必要であると考えております。教育委員会といたしましては、次代を担う子供たちが区を誇りに思い、歴史や文化を背景にしたアイデンティティーを大切にしながら、多様な価値観の人と協働して地域社会を形成し、日本はもとより、世界を舞台に活躍することを願っております。そのため、引き続き、学校教育では、基礎的・基本的な知識・技能を習得し、活用する確かな学力を身につけさせるとともに、豊かな心、健やかな体の育成を着実に行ってまいります。さらには、将来を見据え、国際教育、英語教育、理数教育などの教育課題の取り組みについても充実を図ってまいります。今後も、これらの教育活動を通して、子供たちが志を高く持ち、みずからの未来を切り開いていく力を身につけていけるよう、教育の中央区の推進に引き続き取り組んでまいります。

 答弁は以上です。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 一点、答弁漏れがございまして、恐縮に存ずるところであります。

 訪日外国人向け文化的体験の推進を問うのところで、区といたしましては、文化体験型の観光スポットに関する情報につきましては、広く海外に向けて発信するとともに、独自に体験型ツアーのコースを設定するなど、日本文化を体験できる観光事業の充実に努めてまいります。

 以上であります。

〔四番 佐藤敦子議員登壇〕

○四番(佐藤敦子議員)
 それぞれに御答弁をありがとうございました。

 オリンピック・パラリンピックの開催国としての責任、それから使命、これをどういうふうに果たしていくのか、このことに関しては、国や都で既に議論を尽くされているところでもございますが、では、中央区として一体何ができるのか、そして、何をどのように発信をしていったらいいのか、このことを問題意識の原点として、四項目、そして十四点の質問をさせていただきました。

 区長みずからの御答弁の中に、大変うれしいものがありました。河川文化都市として中央区を発信していく、また盆踊り、能、舞踊、江戸歌舞伎の中央区として世界に活動を発信していく。これぞ、まさに、私もそうですが、私の周りの人たちも皆さん、この中央区にずっと住み続けたい、いつまでもこの土地に暮らしていたいという理由の帰結だと思います。区長におかれましては、言葉だけではなく、行動に、そして発信をして結果を残していただきたいと、このことを強く要望いたします。

 そしてまた、凶悪犯罪から区民を守る、この質問に関しては、本来、警察の所管であるということを承知の上で、区の姿勢についてお尋ねをいたしました。

 違法ではないから、厳密に法制がないから、あるいは適法であるからということで、何もできない、動きがとれないということは、残念ながら、ございます。しかしながら、一方で、本来救えるべき命を救えなかったということが、少なくとも本区において起こってはいけないと思っております。法と法の間で苦しむ、あるいは法と制度の間で苦しむ区民がいらっしゃるのであれば、その方たちを助けたい、このような思いであります。

 その他、いただきました答弁に関しましては、おおむね理解するところでございますが、教育問題に関しては、さらに深い議論をさせていただきたいと思いますが、この続きといたしましては、今期中に開催されます決算特別委員会の席上で、さらに議論を進めさせていただきたいと思います。

 私の質問は終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後四時十四分 休憩


     午後四時三十五分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十七番墨谷浩一議員。

〔二十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十七番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、平成二十八年第三回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し、質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 初めに、がん対策についてより、がん検診のこれまでの取り組み状況と今後の課題についてお伺いいたします。

 日本では、二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで命を落としています。六十五歳以上では、二人に一人ががんで亡くなっています。この割合は、世界のトップレベルです。

 がんについての正しい知識の普及、早期発見及び早期治療の徹底を目的として、昭和三十五年から毎年九月をがん征圧月間と定めています。各地で、さまざまながん撲滅への取り組みが行われています。医学の進歩により、約五○%の方が治るようになりました。特に、進行していない初期の段階で発見し、適切な治療を行うことで、非常に高い確率で治癒します。初期の段階で見つけるがん検診は、がんの死亡率を下げるのに非常に有効です。

 本区の取り組みとしては、肺がん等検診、胃がん検診、大腸がん検診、前立腺がん検診、子宮がん検診等があります。平成二十八年度は、三十六・三十八歳の乳がん検診の項目にマンモグラフィー検査を追加し、検診の精度向上、乳がんの早期発見と死亡率減少を目指しています。また、大腸がん検診は、区の精密検査結果未掌握率が最も高いため、精密検査の受診勧奨と結果掌握を行い、大腸がん検診の質の向上を図っています。本区のがん検診の受診者数は増加傾向でありますが、受診率から見ますと、ほぼ横ばい傾向となっています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 がん検診のさらなる受診率向上を進めてきた中でのこれまでの取り組み状況と今後の課題について、どのように認識していますか。区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、がんの正しい情報の発信についてお伺いいたします。

 十月は、乳がん月間です。現在、日本人女性の十四人に一人が乳がんになると言われています。女性が発病するがんの中で一番多いがんです。乳がんは、早期発見すれば治癒率が高いと言われていますが、毎年、一万三千人を超える方が亡くなっています。乳がんについて、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターによりますと、年齢別で見た女性の乳がん罹患率は、三十代から増加し始め、四十歳代後半から五十歳代前半にピークを迎え、その後は次第に減少します。女性では、乳がんにかかる数は、乳がんで死亡する人の数の三倍以上です。これは、女性の乳がんの生存率が比較的高いことと関連しています。男性の乳がんは、年間の死亡者数で女性の乳がんの百分の一以下のまれながんですが、女性の乳がんに比べて生存率が低いことが知られています。年次推計では、罹患率、死亡率とも一貫して増加しており、出生年代別では、最近生まれた人ほど罹患率、死亡率が高い傾向があります。

 また、国立がん研究センターの資料に、乳がんは東京都の発症率が比較的高いというデータがあります。それは、女性ホルモンのエストロゲンに長くさらされているほど発症しやすく、妊娠や授乳の期間はエストロゲンの分泌が抑えられ、危険性が下がるとされています。東京で乳がんが多いのは、結婚年齢が高く、出産を経験していない女性が多いことが影響している可能性があると、同センターは指摘しています。本区の乳がん発見率は、三十六歳以上で平成二十四年度○・一六%、平成二十五年度○・一九%、平成二十六年度○・一七%で、四十歳以上では少しふえ、平成二十四年度○・一九%、平成二十五年度○・二二%、平成二十六年度○・二○%と推移しております。

 医師による乳がんの最新治療・標準治療について、乳房再建手術について、自家組織・インプラントについての講演会に参加いたしました。講演されたドクターからは、医療に関しては自己選択が必要だとありました。最新医療についての情報を知るということは大切なことであるとともに、がん体験者からの情報交換も必要だと思いました。講演の後、質問会になり、乳がん患者の方が、自分の治療が適切なのか心配して質問がありました。現代はインターネットを通じて情報が氾濫していて、その情報が正しいとはわからない、自分が正しい情報をつかんで、それを選択していかなければならない、知るのと知らないのは全く違うと感じました。それには正しい情報を提供することが必要と思いました。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 相談窓口の開設、ホームページなどで正しい情報の提供など、さらなる啓発をする取り組みが必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、乳房再建の助成についてお伺いいたします。

 二十年以上乳がんを中心としたがん患者会の活動をされているNPO法人ブーゲンビリアの内田絵子理事長さんと乳がん体験者の方にお話を伺う機会をいただきました。御本人も乳がん体験者で、多数の乳がん患者の方へのアドバイスをされ、信頼が厚い方です。

 乳房再建手術は、乳がんの手術で失ったり変形したりした乳房を新しくつくり直す手術のことで、がん患者さんは抗がん剤治療による脱毛や乳がん手術による外見上の変貌に関する悩みを抱えているそうです。具体的には、恋愛や就活を諦めている方もいる、会社等に就労していても自信がなくなってしまうこともあるそうです。そして、乳がんの摘出により、体のバランスが悪くなることにより、肩こり、頭痛の症状を発症する方もいるそうです。また、抗がん剤の影響により脱毛したため、人に会ったり、外出するのが嫌になったり、対人恐怖症のような状態や孤立状態に陥ったりする患者さんもいるそうです。内田理事長さんを初めとするがん体験者さんの活動により、二○○六年に自分のおなかなどの組織を活用した自家組織の乳房再建手術が保険適用となり、二○一三年にはインプラントでの乳房再建手術が保険適用となりました。しかし、乳房再建手術には保険が適用となりましたが、まだまだ経済的なハードルが高いので、乳房再建手術を受けられないで我慢している患者さんがいるそうです。

 そして、医師からお聞きしたお話で、シングルマザーの方の中には、子育てなどで、乳房再建手術を受けたくても、経済的なことで諦めている方がいらっしゃる、経済的な要因で乳房再建を諦めている現実があることを教えていただきました。乳房再建で自信を取り戻すことで、女性の社会進出の後押しになる、働けることで社会の中で恩返ししていける、そのためにも行政が助成金を出して乳房再建手術の後押しができないか、乳房再建への知名度を上げることができる、患者さんに対して希望を与えることにもつながるとのお話をいただきました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 乳房再建手術は保険適用となっていますが、経済的な負担などの理由で乳房再建の手術を受けられない患者さんもいます。また、乳房再建の認知度を上げることにもつながる、そして患者の皆さんに対して希望を与えることにもつながる助成金の施策について、必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、医療かつら、ウィッグ、補整下着の助成についてお伺いいたします。

 乳がん患者さんは、抗がん剤治療による脱毛や、乳がん手術による外見上の変貌による悩みを抱えております。脱毛したために、人に会ったり、外出するのが嫌になったり、対人恐怖症のような孤立状態に陥ってしまう方もおります。その上、高額なため、経済的にも苦しむことになります。そのような悩みの課題を軽減できるのが、医療かつら、ウィッグや補整下着です。医療かつらは、フルオーダー品で三十万円から八十万円と高価であります。そして、乳がん患者さんの補整下着も比較的高額です。鳥取県では、がんの治療に際して、化学療法、放射線療法などにより脱毛や、手術療法による乳房切除など、がん治療による外見変貌を補完する補整具の購入費用の助成を導入しております。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 経済的な悩みの軽減に資する医療用かつら、ウィッグの助成は、乳がん患者さん以外のがん患者さんに対しても必要です。また、心理的負担の軽減、社会参加を促進し、療養生活の質の向上が見込まれることから、医療かつら、ウィッグ、補整下着の助成が必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 第二点目に、子ども・子育て包括支援についてお伺いいたします。

 初めに、妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援、中央区版ネウボラについてお伺いいたします。

 あちらこちらの保育園では、天気がよい日は公園で遊ばせようと、かわいい帽子をかぶり、公園に向かっています。中には、大型ベビーカーに五、六人乗せて移動している光景を頻繁に見かけます。本区地域開発は今後も継続の方向で動いており、人口も推計では今後二十万人を超える想定がされ、子育て世代の方も多数転居されることが想像できます。

 本区は、集合住宅に居住する方が八八%を占めており、今後も高層マンションの建設が続く中、人口もふえ、ますます核家族化が進み、共働き世帯の増加に伴い、働き方も変化する中で、子育て経験の継承や晩婚化、子育てを支える環境が昔と大きく変わっています。妊娠、出産、育児についての悩みは、子供を育てるお母さんに重くのしかかっているのが現状です。仕事と子育ての両立に対する御相談も、切実なお話が多いです。マンションを購入したので、ローン返済もあるので、共働きで仕事をしていきたい、また、専業主婦の方でも、実家が遠方で子育ての相談や親に手伝ってもらうことができない、子供が泣きやまない、子供の成長についてなど、子育ての悩みの変化、子育て環境の変化が妊婦さんに心身ともに重荷となっていると、相談の中でも痛感いたします。

 妊娠から出産、産後まで切れ目なくワンストップで総合的な相談支援を行うため、子育て世代包括支援センター、日本版ネウボラの全国展開が各地で進んでいます。子育て世代包括支援センターは、二○一五年度末時点で百三十八市区村が設置、二○一六年度は二百五十一市区町村まで拡大する予算を確保し、準備が進んでいます。ネウボラは、北欧のフィンランドで一九二○年代に始まった子育て支援拠点です。フィンランド語で助言の場という意味があります。核家族化、共働きなどのライフスタイルの変化により、妊婦さんが孤立して不安を抱えながらの子育て世帯に対して、日本版ネウボラは、保健師や医療専門職などが妊娠から出産、就学前までの支援をする、安心で手厚い体制をつくり出すことを目指しています。

 母子を支えるためには、妊娠、出産、子育ての各ステージに応じた継続的な支援が不可欠です。子ども・子育て支援新制度の着実な実施とともに、放課後子ども総合プランの推進に加え、これからは妊娠、出産、育児の切れ目のない支援を行う中央区子育て世代包括支援センターの構築が急務と考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区でも、保健所、子育て支援課、子ども家庭支援センターなどが連携した各種サービス体制の構築がされていますが、さらなる向上が必要と思います。こういった妊娠期から出産、子育て期にわたる切れ目のない手厚い支援、中央区版ネウボラ事業の構築が必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、担当保健師などによる継続した相談支援のシステム構築についてお伺いいたします。

 千葉県習志野市版ネウボラ事業を視察した際にお聞きした一つとして、女性が妊娠に気づいて妊娠届を市役所のこども部に申請に行きます。母子手帳の申請窓口に集約して、ワンストップの相談体制を構築しております。妊娠届を提出したときの妊婦さんと、四歳未満の転入した方に看護職が面接しながら、オリジナル母子カルテを作成しております。そのときに、担当の保健師の紹介をします。習志野市オリジナル母子カルテをもとに、地区担当保健師が各節目の発達、発育、養育面を中心としたプランの作成をして、産前から就学前までの切れ目のない母子健康支援を行っております。

 また、調布市では、妊娠期から切れ目のない子育て支援の充実を目指し、調布版ネウボラとして、ゆりかご調布事業を平成二十八年九月一日から開始しました。これは、調布市に住民登録があり、医師または助産師による妊娠の診断を受けた方が妊娠届出書の提出時に、保健師等の専門職が面接し、出産までの準備や子育てに必要な情報をお伝えしたり、妊娠、出産、育児についての御相談を受けられるものです。いち早く妊婦さんのリスクなどが確認できる仕組みをつくっております。そして、妊婦さん御本人が面接を受けていただいた方には、市より、育児に関連したギフト、一万円相当をプレゼントされています。ギフトが面接の動機づけにもなるようです。

 妊婦さんの不安を軽減し、安心して出産を迎えていただき、子育て期にわたり継続的なサポートをさらに充実させるためには、妊娠届出書を提出したときに保健師等の医療専門職が面接して、いち早く妊婦さんのリスクなど確認をいただければ、そこから全ての妊婦さんのサポート体制が確立され、妊娠期から切れ目のない子育て支援の流れができると思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区では、本庁舎、各出張所、保健所、二カ所の保健センターで妊娠届出書の受け付けを行っております。例えば、本庁舎窓口では、妊娠届出書を提出すると、母子健康手帳と母と子の保健バッグなどをいただくことになります。また、妊婦さん本人が窓口に訪れる比率が多いとのお話を聞きました。ここで工夫があるとよいと考えます。妊娠届出書の提出時に保健師等の医療専門職が面接し、いち早く母子のリスクなどが確認できる仕組みをつくる必要があると思います。区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、産後ケア導入についてお伺いいたします。

 中野区の妊娠・出産・子育てトータルケア事業について、担当の方の講演会に参加しました。産後ケア事業についての取り組みについて、次のように説明がありました。出産年齢の高齢化に伴い、妊婦の親世代も高齢となり、妊娠や出産について親の支援が受けにくくなっています。一方で、若い世代の妊娠や出産も一定の割合見られ、妊娠や出産に対する知識不足から生じるリスクへの対応も必要になっています。都市特有の核家族化や地域コミュニティの希薄化の傾向も依然として続いている孤立した環境の中で、子供を産み育てることによる不安感や困難さを感じやすくなっているという背景があります。日本の出産をめぐる状況は、時代とともに徐々に変化しています。また、特に、産後は母親の身体回復や疲労といった問題、授乳や育児の問題を多く抱え、自信喪失感から育児放棄や虐待などにつながることもあります。出産直後から三、四カ月ごろまでのサポートが重要とされています。

 中野区の産後ケア事業について、一、産後ショートステイ事業は、出産後、病院から直接自宅に帰るのは体力的に自信のない方または赤ちゃんのお世話などに御家族のお手伝いが見込めない方などが、中野区と契約している助産院に宿泊し、助産師が母体のケアや赤ちゃんのケアをお手伝いいたします。宿泊して赤ちゃんのケアと母体の回復ケアが受けられます。

 二、デイケア事業は、出産後のお母さんの休養や赤ちゃんの適切なケアを日帰りで受けることができます。助産師による母乳相談や育児相談なども実施します。お母さんと赤ちゃんの休養・回復のため、母乳・育児相談等を日帰りで利用できます。

 三、ケア支援者派遣については、生後六カ月以下の乳児と母が受けることができます。利用には条件があり、それぞれ利用料も助成されています。予算は、ほぼ国と都の予算で事業が行われているようです。

 実施状況として、平成二十七年十月から平成二十八年二月までのデータがありますが、産後ケア事業のショートステイ利用六十五人、デイケア利用は九十五人、ケア支援者派遣は六十人となっています。それぞれ助成がされており、条件により、利用しやすい環境を構築しております。担当者は、妊婦さんなどの悩みの掘り起こしが必要と、従来よりもさらに妊婦さんに寄り添った施策が必要とあり、妊婦の母体の不安、育児の不安を取り除くことにより、虐待未然防止につながると期待を寄せていました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 平成二十七年第四回定例会の一般質問におきまして、産後ケアの導入についての質問に対し、御答弁では、アンケート調査などを通じて区民のニーズ等を把握した上で、今後の導入に対して検討してまいりますとお答えをいただいております。その後の調査結果と産後ケア事業の導入について、区長の御見解をお伺いいたします。

 三点目に、道路の陥没防止のための空洞調査についてお伺いいたします。

 本区の道路総延長は十八万三千四百四十八メートルで、そのうち特別区道の延長は八六%で、十五万七千百三十七メートルです。道路の区面積に占める割合は約二六%で、舗装率は一○○%整備されています。また、本区の面積の約二九%が道路に覆われており、二十三区中で一番高い道路率となっています。

 平成十一年には、本区の銀座で、下水管の老朽化等により、下水管の割れ目から土砂が引き込まれ、舗装の下に空洞が起こり、バスが通過した際に道路陥没し、バスも陥没した道路にはまってしまい、動けなくなることがありました。平成十二年、品川区高輪では、歩道部分が陥没してしまう。平成十五年、墨田区では、路上のトラックが道路の陥没により、前輪が埋没した道路にはまってしまうことがありました。

 国土交通省の調べによりますと、下水道に起因する道路陥没件数の推移に、下水管布設後三十年を経過すると、陥没箇所が急増することがわかります。ある資料によりますと、道路の陥没の主たる原因別発生件数を見ますと、管のずれ、接合不良がトップにあり、老朽化や他の工事により破損、埋め戻し不良など、多岐にわたっています。また、一回空洞調査をしても、その後、空洞ができてしまうこともあるので、定期的な調査が必要になっています。

 私が参加した路面下空洞調査の講演会では、トラックに特殊な装備を搭載して、マイクロ波を活用して、道路の下の空洞調査や埋設物位置確認調査などについてお聞きしました。埋設物の位置と布設状況を正確に把握することができ、安全な道路の掘削工事が効率的に行えるようになっていて、道路の下に埋設された下水管、ガス管、水道、通信や電力など、3Dの映像として解析されています。また、道路が陥没した写真や路面下空洞調査をしている映像などを拝見させていただきました。道路の下に潜む劣化や空洞化の調査は、目視等では困難な調査ですので、特殊な装備を搭載したトラックで調査をする必要があります。

 初めに、路面下空洞調査の総点検への取り組みについて伺います。

 本区では、平成八年から路面下空洞調査が行われており、平成十二年より、毎年、路面下空洞調査が行われています。路面下空洞調査をするに当たり、六年サイクルで計画的に行っております。空洞箇所が発見され、適切な対応がされています。過去三年では、年間約二十キロから三十キロ、主要部の道路調査となっております。

 二十三区内で、総点検と称して区道のほぼ全域を調査している例があります。北区では、平成二十七年度に特殊な装置を搭載した車両を使って、走行しながらマイクロ波を照射することで区道下などの劣化や空洞化の点検に取り組んでおります。区が管理する三百五十三・四キロメートルの道路のうち、幹線道路や生活道路で車両通行可能な全ての路線三百六キロメートルを調査しています。大田区では、地域防災計画における緊急道路障害物除去路線等、防災に主眼を置いた重要路線を対象に、ほぼ全域にわたり調査しています。北区、大田区では、国からの交付金を活用して、広域な路面下空洞調査を行っています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区でも、道路陥没未然防止への取り組みとして、調査規模を拡大して路面下空洞調査の取り組みが必要と思います。それは、二○二○年東京オリンピック・パラリンピック開催時には、晴海地域は選手村となります。防災・減災への取り組みとしても、首都直下型地震など巨大地震に対応すべきと考えます。そして、区民の皆様はもとより、国内外から来場される観光客皆様の安全・安心な道路整備のための、路面下空洞調査の規模を拡大して、積極的に取り組むべきと考えますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、プロポーザル方式の検討についてお伺いいたします。

 一般入札ではなく、プロポーザル方式の入札を取り入れている自治体が、豊島区、目黒区、渋谷区、北区などで行われており、路面下空洞調査に対しての入札方式として、技術を評価していく傾向があります。二○○九年九月十一日付の東京新聞に、路面下空洞調査に対して、企業の分析力不足による空洞の見逃し記事があります。また、路面下空洞調査には企業間での技術力に違いがあり、一般入札からプロポーザル方式に変更した自治体もあるようです。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 プロポーザル方式は、業務実績や探査技術力、技術提案力を審査し、より高度な技術を持った業者に業務を委託する方式で、路面下空洞調査に向いた入札方式と考えます。区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、路面下空洞調査の覚書作成についてお伺いいたします。

 マイクロ波を活用しての路面下空洞調査は、埋設物の位置と布設状況を正確に把握することができ、道路の下に埋設された下水管、ガス管、水道、通信や電力など、3Dの映像として解析されています。その情報をもとに、空洞になった原因の特定ができるようです。路面下空洞調査で空洞が特定された場合を想定して、補修に際して事前の取り決めが必要となってくると考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 想定される原因者と事前の取り決めを行っている自治体があります。東京都、豊島区では、覚書などを作成して、復旧作業の円滑な取り組みをしております。本区でも、同様に想定される原因企業などと取り決めをする、また、費用など覚書を交わし、憂いのない取り組みが必要と思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。

 第四点目に、図書館機能のさらなる充実についてお伺いいたします。

 本区の図書館サービスは、ホームページのリニューアルや、平成二十六年一月よりICタグ管理による図書システムへの更新による貸し出しや返却手続の自動化による手続時間短縮などが向上し、さらに図書館特別整理に要する臨時休館期間を減らすことなど、図書館を取り巻く環境の変化に対応し、図書館サービスの向上がされています。また、京橋図書館、日本橋図書館、月島図書館の三館体制となっています。

 本の森ちゅうおう(仮称)については、平成二十五年十一月、建築費の高騰などを受けて入札不調となり、翌月には財政負担を考慮して数年間の工事の見送りを決定されました。本年九月の企画総務委員会には、建築費の高どまりや新たな行政需要への対応等を総合的に判断し、財政状況を鑑み、施設内容の規模などを見直して、老朽化により早期の建てかえが必要な八丁堀駅周辺の既存施設の再編も含めた整備を検討することが示されました。京橋図書館は歴史がある図書館であり、手狭となっている図書館の建てかえには区民の皆様も期待されていると思います。

 本区では、急激な人口増加や区民の価値観、ライフスタイルなどの変化に伴い、余暇や学習活動へのニーズが多様化しています。第四十六回区政世論調査によりますと、現在不足していると思う公共施設の設問に、八・五%で上位から五番に位置しております。「利用したい施設ではあるが、近くにないから」五・六%で、図書館に対する関心度も比較的高いことがわかります。また、統計によると、区民一人当たりの貸し出し数は十・六冊で、視聴覚資料も含むデータでは、二十三区中、上位から五番目となっていることがわかります。学生の方の御相談で、パソコンを使用できるコーナーが混雑していると学習できないこともある、若い世代の方より、手狭ではないか、近くに貸し出し・返却場所があると便利など、お話をお聞きいたしました。図書館の建設には財政負担が重くのしかかるのも現実です。

 初めに、読書の場、貸し借り・返却場所の拡大についてお伺いいたします。

 今回は、図書館の連携施設として、三カ所あるうち、みなとパーク芝浦を訪問しました。二階にある男女平等参画センター、リーブラの図書資料室を視察いたしました。この資料室は、図書館との連携施設となっており、港区の他の図書館の貸し出し可能な蔵書類を貸し出し・返却ができ、読書や学習の場としても活用できる利便性がある施設でもあります。

 本区では、中央区立女性センターブーケ21情報資料コーナー、シニアセンター、各児童館での図書室、小学校・中学校図書室なども書籍が借りられますが、ブーケ21以外は対象者が決まっており、誰でも借りることができるわけではありません。そして、ブーケ21では、情報資料コーナーですので、他の図書館の書籍を貸し出し・返却ができません。せっかく図書館に行き、満員で席がなく、がっかりした、手狭ではとのお声を何人かの人からいただき、私も確認をさせていただきました。時間帯により、席に座れないこともあるようです。図書館の連携施設は、そのお声にぴったりではないかと思いました。

 本区では、図書館の資料予約は全体で四十六万一千三百九十六件、インターネット経由の予約は三十五万九千二百六件となり、七七・八五%の割合で資料の予約がされていることがわかります。このことから、事前に図書資料などをネットで調べて借りに来る方が多くいます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区では、三館体制となっており、距離的なすき間を埋める意味で、例えばブーケ21情報資料コーナーを図書館の連携施設として、貸し借りができる場の提供、読書や学習などの場として提供していく、今後、地域開発などで施設の連携施設を整備していくことが必要と思います。図書館の増設にはたくさんの予算がかかります。連携施設での読書の場の提供、貸し出し・返却の図書館機能の一部を分散させ、利便性向上に資する取り組みが必要になってくると思います。貸し借りができ、読書などができるコンパクトな図書館機能を持った連携施設について御見解をお伺いいたします。

 次に、ブックポスト増設についてお伺いいたします。

 JR新橋駅に近い港区立生涯学習センター前にあるブックポストに行きました。ブックポストとは、図書館で借りた本、雑誌が返却できる便利なポストです。話が変わりますが、DVD、CDなどを貸し出すショップには、コンビニで返却できるショップがあります。DVD、CDなどを貸し出すショップとしては、より近所で返却できることで、お客様の利便性などと、コンビニとしては来店するお客様が増加するメリットがあるのではと思います。高松市の図書館でも、図書館以外にも返却場所が設けられています。市内のコープ七店舗、シティホテル等の返却ボックスも利用できます。より返却の利便性を向上しています。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 図書などの返却に対して、返却の手間が減るブックポストの増設が必要と思いますが、御見解をお伺いいたします。

 次に、読書通帳機導入についてお伺いいたします。

 過去に、江戸川区立上一色中学校に読書通帳機の視察に訪問をいたしました。その際には、生徒が読書への興味を持ち、励みになるなど、効果があること、読書通帳を落とした際には、プライバシー保護のために氏名の記載をしないことになっているとのお話を伺いました。

 本年、埼玉県にある鴻巣市立鴻巣中央図書館へ視察してまいりました。JR鴻巣駅から近くにあり、一階に図書館があり、その上部に映画館、歯科診療所、飲食店、市の施設などがある複合施設となっています。屋内は木材を随所に使い、温かみを感じるスペースと思いました。今回は、特に読書通帳機があるとの情報をもとに、訪問しました。二○一○年九月に導入されていて、対象は小学生となっており、通帳一冊で二百十六行印刷できるそうです。一人で三冊から四冊という小学生がいるそうです。銀行の通帳のような形をしており、無料で活用できるそうです。読書通帳で本が好きになるきっかけとなればよいと感じました。

 下関市立中央図書館では、二○一○年には読書通帳を全国初の取り組みをしております。当初は小学生以下に無料で発行していましたが、市民の要望で、図書カードを持っている方全員の方に読書通帳を発行するサービスとなっております。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 どちらの図書館も、子供たちなどの読書への励みになることを期待して導入しています。本区でも、読書通帳機導入について必要と思いますが、御見解をお伺いいたします。

 以上で第一回の質問を終了いたします。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、がん検診のこれまでの取り組み状況と今後の課題についてであります。

 本区では、受診率向上のため、全てのがん検診について、対象者に個別通知を行うとともに、精密検査を除いて、受診者の自己負担額を無料といたしております。また、胃がん、肺がん、大腸がん及び前立腺がんにつきましては、特定健康診査との同時受診が可能となるよう、受診しやすい環境を整えております。さらに、がん検診に関する医療情報の普及啓発と未受診者に対する個別受診再勧奨などのきめ細やかな働きかけを行うことによりまして、二十三区の中でも高い受診率を保っているものと認識しております。しかし、近年、受診率が横ばい状態にあり、平成二十六年度の実績では、最も高い子宮がん検診でも三六・九%にとどまるなど、国が掲げる目標値の五○%の達成に向けて、いかに対象者の受診意欲を高めていくかが課題となっているのであります。今後も、さまざまな機会を捉えまして、未受診者の傾向を的確に把握し、性別や年齢層に応じた受診勧奨方法の改善に取り組むことで受診率の向上を図ってまいります。

 次に、乳がんの正しい情報の発信についてであります。

 乳がんの治療は、診断や治療方法を十分に納得した上で開始することが望ましいため、最新医療について正しい情報を提供することは非常に重要であります。都内では、がん患者の相談に対応する窓口として、聖路加国際病院を初め、国や東京都が指定する三十四カ所のがん診療連携拠点病院等にがん相談支援センターが設置されております。保健所・保健センターでは、これらの窓口を周知したリーフレットを用意し、御相談を受けた際に御案内しているところであります。今後は、ホームページや講演会等で最新医療についての情報発信を図るほか、保健所内に設置している医療相談窓口を幅広く周知してまいります。

 次に、乳房再建、医療用かつら及び補整下着の助成についてであります。

 乳がんの手術による乳房の外見上の変化や、抗がん剤の副作用による脱毛は、がん患者の方々の治療や就労などへの意欲を低下させると言われております。乳房再建や医療用かつら及び補整下着の着用による外見へのケアは、療養生活や社会参加を促進する上で大切な要素の一つと考えております。これらの費用の助成につきましては、既に取り組んでいる自治体の事業の内容や利用状況などを参考にしながら、本区における必要性について今後検討してまいります。

 次に、子ども・子育て包括支援についてであります。

 まず、中央区版ネウボラ事業についてであります。

 区民に身近な保健所・保健センターでは、子育て相談や各種健康事業のほか、プレママ、パパママ教室など、妊娠期からさまざまな支援を実施することで、子育て支援拠点としての機能を果たしております。また、妊娠期から出産、子育て期にわたる保護者のニーズは多様であり、さまざまな支援が一体的・包括的に提供される必要があることから、子育て支援課や子ども家庭支援センターなどとの相互連携を進めております。今後は、これらの既存の取り組みを着実に実施するとともに、子育てに関するさまざまな悩みに対し、より円滑に対応できるよう、保健所・保健センターの保健師が身近に相談に応じる窓口の充実を図るなど、切れ目のない支援策のさらなる推進に向けて検討してまいります。

 次に、担当保健師による継続した相談支援体制の構築についてであります。

 保健所・保健センターでは、妊娠届け出の際に、保健師等が面接を実施しており、本庁舎、各出張所提出分については、窓口で地区担当保健師の紹介を行うとともに、届出書やアンケートの内容等をもとに、状況を把握しております。また、ハイリスクと判断された妊婦に対しましては、保健師が継続的な支援を行っております。場所や人員の確保等、さまざまな課題はありますが、今後、保健所・保健センター以外での面接体制の充実に向けて、検討を行ってまいります。

 次に、産後ケア事業の導入についてであります。

 産後ケアにつきましては、昨年十一月から本年六月にかけ、区内妊産婦の方を対象に実施したアンケート調査結果におきまして、ショートステイは妊婦で六五%、産婦で七四%、デイケアでは妊婦で八四%、産婦で八六%の方が利用を希望すると回答しております。区内妊産婦からの多くのニーズを確認できたことから、今後は、実施医療機関の確保、利用条件の設定、利用者の負担のあり方等の課題について引き続き検討してまいります。

 次に、路面下空洞調査の取り組みについてであります。

 区では、これまでも道路陥没の原因となる道路下の空洞調査を平成八年度から隔年で実施し、平成十二年度からは毎年計画的に行っておりまして、現在は、調査対象とする区道を六年で一巡するよう取り組んでおります。単年度で大規模調査を行っている事例もありますが、コスト平準化の観点から、引き続き計画的に調査を実施してまいります。今後は、国庫補助金の活用、対象路線の拡大、調査サイクルの見直しなど、詳細な検討を行ってまいります。

 次に、プロポーザル方式についてであります。

 現在、指名競争入札方式を採用しており、これまで問題なく業務が履行されております。入札方式のあり方につきましては、業務特性を踏まえながら、今後も公共工事の品質確保に関する国の動向や他区の入札状況も注視しながら検討してまいります。

 次に、路面下空洞調査の覚書作成についてであります。

 区では、道路占用を許可する際には、工事完了後においても、道路に与えた損傷等の復旧について条件を付しており、占用企業者と覚書は締結しておりません。空洞が確認され、原因者が特定できた場合には、迅速かつ適切な復旧工事の指導をしております。今後も、一般交通や歩行者などの利用に支障を及ぼさないよう、各企業者と連携しながら、より一層の安全・安心な道路空間の確保に努めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、図書館機能を有する連携施設とブックポストの増設についてであります。

 図書館機能を有する施設が身近な場所に整備されることは、図書館利用者の利便性が増すものと存じます。また、時間的に余裕がないなど、図書館を利用しづらい方々にとっても、図書の貸し出し・返却が身近な場所でできることで、本への親しみや読書のきっかけづくりにもつながるものと存じます。しかしながら、既存の区施設に図書館機能を持たせるには、設備改修の問題や新たな職員配置など、さまざまな課題もあるところです。今後は、利用者の増加や多様化するニーズに応え、区民に利用しやすい図書館の整備や区施設との連携のあり方などについて検討し、区民の読書活動の支援、充実に努めてまいります。なお、ブックポストにつきましても、利用者の御意見を伺いながら、設置場所や管理運営上の問題などを見定め、増設について検討してまいります。

 次に、読書通帳機の導入についてであります。

 読書通帳は、図書の貸し出し履歴を目に見える形にすることで、子供たちの読書量の増加や学習意欲の向上につながるなどの事例も見受けられ、子供の読書活動推進に効果的な取り組みの一つであると考えます。しかしながら、図書館システムを利用した読書通帳機の導入については、現在、本区が導入している図書館システムとの接続ができないこともあり、貸し出し履歴のデータ保存やシステム改修に要する費用などの課題があります。今後、教育委員会といたしましては、こうしたシステム上の課題や他自治体における利用状況、さらには費用対効果などを把握・検証し、子供の読書環境の充実を図る視点から、読書通帳機の導入についても検討してまいります。

 答弁は以上です。

〔二十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十七番(墨谷浩一議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 がん対策について、くしくもがんになってしまった方や家族の方に対して、正確な情報の提供というのがすごく大切かなというふうに感じておりました。また、本区でもホームページや、また講演会など、いろいろな周知をしていただけるという方向で、今、お話をいただきまして、安心しております。また、経済的な支援についても、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。

 続いて、子ども・子育て包括支援については、本当に他の自治体からもいろいろ進んでおりまして、中央区も過去から子育て支援についてはすごく進んでおりまして、タクシーの利用券など、本当に中央区はすごいというふうに私も他区から引っ越してきた方からお話をお聞きする中で、中央区の先進事例というものをお聞きしていました。また、その補完をする意味で、私が質問させていただいた部分について、また足していただいて、よりよい子育て支援をつくっていただきたいというふうに思いました。

 また、道路陥没防止のための空洞調査については、本区は過去から、比較的早くから対応はされてはいますが、大体距離にして二十キロから三十キロというような状態の中で、しっかりと、できたら国の予算等を使いながら、調査範囲の拡大ができればというふうに思いまして、ぜひこの件については、今後の課題検討をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、図書館機能のさらなる充実でございますが、中央区も人口が本当に短時間でふえてくる中で、やはりより近くにそういった施設があるとありがたいというお声もいただきます。また、勉強する場として、また図書館をつくるのではなくて、新しい施設をつくったところに連携施設をつくっていくとか、そういったことで、図書館機能を分散させながら、つくっていくことなどもできるのではないかというふうに思いました。

 ブックポストについて、検討していただくというような、いろいろな前向きな御答弁をいただき、本当にありがとうございました。

 以上で私の質問を終了いたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、あわせて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後五時三十五分 休憩


     午後五時五十五分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十番志村孝美議員。

〔二十番 志村孝美議員登壇〕

○二十番(志村孝美議員)
 日本共産党の志村孝美です。日本共産党中央区議団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 まず、初めは、安倍政権が進める戦争する国づくりについてです。

 昨日の九月十九日で、安保法制、戦争法の強行成立から丸一年たちました。安倍首相は、参議院選挙で語らなかった安保法制、戦争する国づくりを、選挙が終わると具体的に進めています。

 八月三十一日、防衛省は、将来の軍事技術開発の方向性を示した軍事技術戦略や研究開発ビジョンを策定するとともに、来年度予算の概算要求で、大学や公的研究機関、民間企業を兵器の研究開発へ動員するための安全保障技術研究推進制度に今年度予算の十八倍となる百十億円を計上しました。

 八月二十四日に、稲田防衛大臣は、内戦が続く南スーダンへ十一月から派遣される自衛隊のPKO国連平和維持活動における新たな任務の訓練開始を表明しました。新たな任務は、離れた場所で襲撃されている他国の軍隊などのところへ自衛隊が武器を持って加勢・支援に向かう駆けつけ警護や宿営地の共同防護を想定しているため、自己防護を超えた武器が使用できることになり、安保法制の危険な新段階です。

 九月十二日には、安倍首相が、防衛省での自衛隊高級幹部に対する訓示で、集団的自衛権行使容認の安保法制の整備や日米新ガイドラインの策定などを挙げて、今こそ実行の時だと本格的な運用段階への移行を求め、自衛隊と政治とのシームレスな関係を構築していきたいと、政治と軍事の垣根を取り払い、文民統制を骨抜きにする考えを表明しました。文字どおりの戦争する国づくりが進んでいるのではないでしょうか。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、南スーダンに派遣され、駆けつけ警護などの新たな任務によって、青森駐屯地所属の自衛隊員の命が戦闘によって失われる危険性が現実味を帯びてきました。この事実をどう受けとめていますか。

 第二に、日本が攻められてもいないのに海外で武力行使を行うというのは、明白な憲法違反だと考えますが、いかがですか。

 第三に、自衛隊の派遣を許さず、殺し、殺される事態を食いとめるため、安保法制を発動しないよう政府に求めることが必要だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 十月から十一月にかけ、集団的自衛権の行使などを想定した共同統合実動演習や共同指揮所演習という日米共同訓練が予定されています。これまでは日本に対する武力攻撃を想定した訓練が行われてきましたが、今回は他国が攻撃を受けたときの存立危機事態、重要影響事態などの事態も想定し、集団的自衛権の行使を含む、米軍と自衛隊の連携を確認する内容となっており、紛れもなく、アメリカとともに戦争する国づくりを進めています。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、今回の日米共同訓練によって、日本が海外で戦争する国の道を進んでいることが明白となったと考えますが、いかがですか。

 第二に、平和都市宣言をしている区として、集団的自衛権の行使反対と安保法制廃止を政府に求めるべきだと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 さて、戦争放棄をうたった日本国憲法をアメリカに押しつけられたと誤解している人がいますが、憲法九条のアイデアは終戦直後に幣原喜重郎首相がGHQ最高司令官マッカーサーに提案していたことを裏づける新たな書簡が発見されました。マッカーサーは、これまでも憲法九条は幣原首相の発案と米上院などで証言していましたが、一九五八年十二月十五日付の書簡で、マッカーサーは、戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は幣原首相が行ったのですと述べ、九条は世界に対して精神的な指導力を与えようと意図したものであります。本条は、幣原首相の先見の明と経国の才志と英知の記念塔として、朽ちることなく立ち続けることでありましょうとたたえています。

 一九四六年三月の戦争調査会で、幣原首相は、原爆よりもさらに強力な破壊的新兵器も出現するであろうときに、何百万の軍隊も何千隻の艦艇も何万の飛行機も全然威力を失う、世界は早晩、戦争の惨禍に目を覚まし、結局、私どもと同じ戦争放棄の旗をえいして、はるか後方からついてくる時代があらわれるでありましょうと発言し、一九五一年二月には、戦争をやめるには武器を持たないことが一番の保証になると述べています。一方で、幣原首相は、戦争放棄と天皇制維持をセットで提案したかったが、敗戦から間もない状況で、日本側から提案することはできず、憲法は押しつけられたという形をとったと説明しています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、憲法九条は占領軍の押しつけではなく、日本側の提案を受けたものであることは紛れもない事実だと思いますが、区長の認識はいかがですか。

 第二に、幣原首相が述べた、戦争をやめるには武器を持たないことが一番の保証になるという見識はもっともだと思いますが、区長のお考えはいかがですか。

 第三に、世界中が戦乱の危機にある今こそ、九条の理念を世界に広げ、平和を築いていく方向での議論が世界的に求められていると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 アジアと世界の平和を破壊しかねない北朝鮮問題にも触れたいと思います。

 北朝鮮は、ことしに入り、弾道ミサイルを例年以上の頻度で発射しており、八月二十四日に潜水艦発射弾道ミサイル、SLBMを発射し、九月六日にはノドンと見られる三発のミサイルを同時発射し、いずれも日本海に落下しました。九月九日には、五回目の核実験を行いました。このようなたび重なる暴挙は、断じて許せません。区長と区議会は、抗議文を提出しました。日本共産党は、国連安保理決議への明確な違反で、北東アジアの緊張を激化させ、六カ国協議などで確認された朝鮮半島の非核化方針にも逆行する暴挙と厳しく批判しました。

 北朝鮮に核兵器を放棄させるために、六カ国協議の話し合いのテーブルに北朝鮮を着かせることは、いよいよ急務となっています。国際社会が一致して制裁を厳格に実施、強化するなど、政治的・外交的努力の抜本的な強化がますます重要になっており、北朝鮮に対して、核武装をやめて、六カ国協議声明の道を進んでこそ未来が開かれるということを認識させる必要があります。

 危険なのは、北朝鮮の核やミサイルによる挑発に対し、軍事対軍事の悪循環に陥ってしまうことです。関係国には、いま一度、軍事対軍事の対抗ではなく、対話によって北東アジアの緊張緩和を図ること、六カ国協議による外交的な朝鮮半島の非核化実現の枠組みに立ち返ることが求められています。ホワイトハウスの大統領報道官は、ミサイルが発射された六日の記者会見で、軍事的選択肢もあるのかと問われ、外交的解決しかないと答えています。

 その点で危惧するのが、日本の安保法制です。安保法制は、軍事に対して軍事で対応するためにつくられたものです。北朝鮮の挑発に対して日本が軍事で対応するということになれば、軍事対軍事の悪循環に陥ることになります。区長は、北東アジアの情勢が緊張しているので、安保法制が必要という趣旨の見解を繰り返し述べています。しかし、安保法制、戦争法は、北東アジアに存在する緊張を助長するだけです。緊張緩和には戦争という選択肢はなく、対話にしか解決への道はないと考えます。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、安保法制が北東アジアの緊張緩和に寄与するとお考えですか。

 第二に、北朝鮮を六カ国協議に着かせるには、国際社会が一致結束して迫っていくことこそが大切だと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、重要局面を迎えた築地市場移転問題についてです。

 八月三十一日、小池百合子都知事は、築地市場の豊洲への移転について、安全性への懸念、巨額かつ不透明な費用の増加、情報公開の不足の三つの疑問があるとして、移転延期を表明しました。この延期発表は、移転の再検討を求める市場関係者、消費者団体、都民の大きな世論を受けたものであり、重要な判断ですが、その後の展開は、私が昨年十一月の築地の委員会で、豊洲新市場計画が具体化すればするほど問題が噴出すると指摘したとおり、移転中止をも考えざるを得ない重要局面に突入しました。小池都知事が挙げた三つの疑問点について、都として徹底した検証と情報公開が求められますが、これらの点は、これまでも日本共産党が繰り返し指摘してきたものです。

 そして、新たに、都の調査によって建物内の空気が高濃度のベンゼンで汚染されていることがわかり、さらに九月七日の日本共産党都議団の調査で、水産棟と青果棟など主な建物の下では盛り土が行われず、深さ四・五メートルもの空間となっていることが判明し、大問題になっています。水産棟の地下では、捨てコンといわれる薄いコンクリートが敷設され、地下水と見られる水が一センチ以上たまっていて、建物内の空気が、特に高い濃度のベンゼンで汚染されていた青果棟の地下は、砂利がむき出しの上、十数センチから二十センチの水がたまっていることが発覚しました。

 小池都知事は、十日に緊急の記者会見を行い、全てが入れかえた土で盛り土されているというのは現状では正しくないので、訂正したい。改めて専門家の方々に判断してもらうなどと発言しました。都民をだましたことにならないかとの質問に対して、小池都知事は、真摯に反省していると述べました。

 東京都は、これまでも市場関係者や都民に満足な情報を与えてきませんでしたが、今回判明した施設地下の空間が、専門家会議も技術会議も知らない中で決め、関係者や都民には虚偽の説明をし続けていたことが明らかになりました。移転を推進してきた市場関係者からも、強い憤りの声が上がっています。また、六千億円に膨れ上がった整備費の疑惑とともに、落札率が一○○%近いという談合疑惑も浮上しており、東京都の信頼と移転計画を揺るがす大問題になっています。

 中央区は、二○一二年二月に、東京都と築地のまちづくりに関する合意を行いました。内容は、豊洲地区への移転整備を着実に行うというもので、直後に開かれた第一回定例会での私の質問に対し、区長は、合意の大前提は市場予定地の土壌が完全に浄化されることと答えています。しかし、今回、東京都が中央区と区議会に対しても虚偽の報告をしていたことが明らかになったのです。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、小池都知事が移転延期の理由として挙げた安全性の懸念、膨れ上がった経費、情報公開の不足について、どのような見解をお持ちですか。

 第二に、都が土壌汚染対策について虚偽の報告をしていたことは、合意の大前提である安全性と都への信頼を覆すものだと思いますが、いかがですか。

 第三に、豊洲新市場をめぐる新たな動きが中央区に及ぼす影響をどう考えますか。また、その影響に対して、どのように対応しようとしていますか。

 第四に、東京都に対して、一定の調査結果が明らかになった時点で、都の幹部職員を全員協議会などの場に呼び、直接説明を受けるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 私は、これまでも財界戦略と中央区のまちづくりの関係について取り上げてきましたが、築地市場移転には三つの動機があると考えます。

 その一つは、大手スーパーや商社のための流通センターにすることやTPPに対応できる流通機構に転換することです。

 二つ目の動機は、広大な市場跡地の民間への売却と大規模開発による財界、ゼネコンの利益確保です。

 私は、二○○五年の本会議で、日本プロジェクト産業協議会、JAPICが一九八一年に、築地は汐留とともに、都心一等地として今後めったに発生しない大規模再開発用地なので、晴海、銀座などの開発とリンクさせて、情報発信基地か都市型高層住宅として活用すべきと提案していることや、築地市場移転、環状二号線、JAPICの関係性を指摘しました。

 そして、三つ目の動機は、環状二号線を通すことです。鈴木都政の時代にマッカーサー道路として塩漬けになっていた環二を延伸させて、臨海部と結ぶ計画が、臨海副都心計画とあわせて公表されました。築地市場は現在地で再整備することになっていたため、環二は地下を通す計画でしたが、二○○一年、石原都知事が豊洲移転を強引に決めたため、環二計画は地上化へと動き出しました。

 その後の経緯を見てみます。

 東京都が環二地上化への計画変更を二○○四年二月に発表すると、五月の断固反対する会で、万が一市場移転が強行された場合のためと言って、築地市場移転を前提としたビジョンの作成を決めました。十月には、都による環二地上化の住民説明会が開かれました。翌十一月の委員会で、私が住民説明会についての見解を求めたところ、当時の企画部長だった吉田副区長は、地上化案は反対が多い、しかし、市場の移転と全く同様で、環状二号線も地上化で強行された場合にどう備えていくか考えなければならないと方針転換を合理化する答弁をしました。そして、二○○六年二月の断固反対する会で移転反対の旗をおろし、六月には環二地上化への都市計画変更案について都から説明を受ける全員協議会が開かれ、翌年の中央区都市計画審議会を経て、地上化実施へと進みました。まさに、中央区は、東京都が強引だから、万が一に備えるとして築地市場移転と環二地上化への道筋をつけてきたと言えます。

 そこで、区長にお聞きします。

 第一に、築地も環二も反対から容認、推進へと転換したことは、中央区の歴史にとっても消すことができない汚点を残したと思いますが、どのように総括しますか。

 第二に、中央区が築地市場と環二の問題で反対の立場を貫き通していれば、状況は大きく変わっていたはずです。築地、環二、オリンピックで東京都と歩調を合わせてきた中央区の責任は重大だと考えますが、いかがですか。それぞれお聞かせください。

 現在の状況を見ると、豊洲市場は、開場を延期すればオープンできるという状況でないことは明らかです。立地条件が悪く、貧弱な交通アクセス、水産と青果を移動する物流動線の悪さ、円滑で迅速な物流が阻害される三区画に分断され重層化している売場棟、不十分な仲卸店舗の排水システム、ろ過海水を流すことができない床、活魚水槽に入れる海水の量が制限され、鮮魚を運ぶターレット、フォークリフトの積載量も制約される床の耐荷重の弱さ、そして、解明しなければならない建物の耐震性能や構造計算の違法性、土壌汚染対策、膨れ上がった整備費、移転用地選定の経過など、山積しています。このような問題の解決にどのくらいの時間がかかるのか、また、この都が出した調査の結論に都民が納得するのかが不透明です。

 農水省としても、福田内閣が我が党の笠井亮衆院議員の質問に対する答弁書で、閣議決定した都民、関係者の理解を得ることと土壌汚染対策の安全性を確認するまでは許認可できる状態ではありません。農水省も世論を意識して慎重にならざるを得ないでしょう。これらの流れを見れば、移転するにも、今後どれだけの時間がかかるのか、どれだけの税金が投入されるのか、先の見えない状況です。信頼を失った東京都のもとでは、これ以上豊洲への移転計画を進めることは困難になったと言えるのではないでしょうか。

 その間、築地市場は、長期間にわたって営業を続けることになり、早急な築地市場施設の耐震補強と改築が求められますが、十年、二十年維持できる工事をすれば、豊洲への移転が中止になっても築地で営業を続けられます。小池知事も移転中止を否定せず、総合的に判断すると発言しています。築地市場の地元、中央区の行動が築地市場移転問題の帰趨を左右すると考えます。築地市場が移転してしまえば、地域経済に深刻な影響を与えるのは目に見えています。

 先日、八丁堀の印刷業者の方から、市場が移転するので廃業を考えていたが、移転が延期になったので、しばらく仕事ができる。ぜひ、移転を中止させてほしいとの声が寄せられました。私は、これまで繰り返し、築地の問題で強権政治や強引なやり方は長くは続かない、矛盾は出てくると指摘し、区長が築地市場移転反対、環二地上化反対の原点に立つことを求めました。都と区の合意は虚偽の上に成り立っているのですから、豊洲地区への移転整備を着実に行うという合意を破棄し、この新たな情勢の変化のもとで、地元中央区が原点に返って、移転反対の立場に立つことは、小池都知事の背中を押し、築地市場を守る決定打になると確信します。

 専門家が指摘しているように、日本のゼネコンの技術を持てば、築地で営業しながらの整備、改築は十分可能です。また、豊洲の建物は、徹底した安全性を確立した上で、商業モールやイベントホールなど、他の用途に転用することも可能です。しかし、耐震上も安全上も保障できない施設なら、取り壊しの運命となるでしょう。更地になった場合は、バスの駐車場などに使えます。築地市場移転が不透明になったことを受け、環状二号線を使わなくても、選手村から円滑にアスリートを競技場に運べる方策を考えなければならず、これによって築地市場移転とオリンピックのスケジュール的な関係はなくなりました。

 そこで、お聞きします。

 第一に、豊洲新市場は余りにも欠陥が多く、卸売市場にふさわしくないと考えますが、いかがですか。

 第二に、どの角度から見ても、豊洲市場を使用することは不可能な状況で、移転中止の可能性が大変強くなったと思いますが、いかがですか。

 第三に、豊洲の施設と土壌汚染対策の安全性と信頼性が失われてしまった今、合意を破棄して、改めて現在地再整備の立場に立つべきと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次は、受動喫煙対策についてです。

 先月、中央区議会に、受動喫煙防止対策にかかわる陳情が四件提出されました。四件のうちの三件は、飲食業団体やたばこ業界からのもので、法制化による強制的な規制を危惧する内容です。しかし、共通する認識は、二○二○年の東京オリンピック大会を契機に、国や都の法制化の動きを前提としていることです。

 IOC国際オリンピック委員会は、一九八八年に禁煙開催方針を採択し、カルガリー大会以降、会場の内外が禁煙化され、二○一○年にはIOCと世界保健機関がたばこのないオリンピックを目指す合意文書に調印し、以来、オリンピック会場だけでなく、飲食店を含む屋内施設が全面禁煙の国や都市で開催されることが慣例となっています。二○○八年の北京を初め、バンクーバー、ロンドン、ソチ、リオデジャネイロの大会では、国や都市で受動喫煙防止の法整備が行われています。

 世界を見ると、北京市は、二○○八年のオリンピックを機に喫煙禁止規定の範囲を拡大し、さらに、室内での全面禁煙に八四%の市民が賛成という調査結果を受けて、二○一四年に職場、公共施設の屋内、公共交通機関での全面禁煙を盛り込んだ喫煙規制が制定され、昨年から実施されています。また、韓国では、二○一二年に公共施設内、二○一四年には、敷地面積百平方メートル以上の飲食店・喫茶店などで禁煙、二○一五年には、規模に関係なく禁煙となりました。ニューヨーク市では、二○○三年に無煙条例が施行され、二○○九年に医療施設の敷地内や出入り口での喫煙を禁止し、二○一一年には人の集まる公園や歩行者広場での喫煙が禁止され、二○一四年には電子たばこが無煙条例の対象になりました。

 興味深いのは、ニューヨーク市で無煙空間が年々拡大する中、十年間で市内の飲食業の数が四七%ふえ、観光業の利益は一○○%以上増加しているということです。ニューヨーク市の健康衛生保健部の元課長は、無煙条例が観光、レストラン、バーをだめにするとたばこ産業は宣伝したが、根拠がないことがわかったと、ことし日本で開かれた国際シンポジウムで発言しています。

 そもそも、たばこの葉には、非常に強い神経毒を持つ猛毒の一種であるニコチンとタールが含まれています。タールには四千種類もの化学物質があり、発がん性を含んだ物質は人体に悪影響を与えます。また、ニコチンは一酸化炭素と結合することで心臓に悪影響を与え、高血圧や動脈硬化、狭心症、心筋梗塞などの疾患を発病させます。ニコチンが脳に達すると、快感を生じさせる物質、ドーパミンが放出されるため、気持ちよい、落ち着くという感情が起きますが、ニコチンが切れると、いらいらしたり、落ち着きがなくなったりするため、もう一服喫煙したくなるという依存性や中毒性があり、禁煙が続かない原因となっています。厚生労働省は、たばこ産業は命より利益を優先している、たばこ会社は魅力的なパッケージで装った新製品を宣伝し、販売して、巧妙にごまかし続けていると、大変厳しい指摘をしています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、たばこの人体における有害性と受動喫煙に対する被害について、どのような認識をお持ちですか。

 第二に、公園や区役所も含む区立施設での無煙化に取り組むべきと思いますが、いかがですか。

 第三に、受動喫煙防止を達成するためには、区民を初め、飲食店や事業所等の支持と認知が必要です。今後、区として、どのような施策や条例化を考えていますか。それぞれお答えください。

 次は、保育施設における災害共済給付制度加入についてです。

 第二回定例会で、我が党の小栗議員が、ことし三月に日本橋の事業所内保育所で起きた乳幼児の死亡事故について取り上げ、再発防止を訴えましたが、残念ながら、その後も全国で同様の事故が相次いでいます。今月の2日には、板橋区の認可保育所で、うつ伏せ寝による一歳児の死亡事故が起きました。この保育所の運営は、中央区でもほっぺるランドの名前で保育所を運営しているテノ.コーポレーションです。そして、同じ日に、千葉県君津市の認可外施設で生後十一カ月のお子さんの死亡事故が起きています。保育における死亡事故のほとんどが、我が子が、どのような理由で、どのような状態で亡くなったのかを知ることができないのが実態です。親御さんの精神的苦痛はどれほどのものでしょう。

 日本橋でのうつ伏せ寝による死亡事故を受け、東京都から注意喚起の通知が出されたことを踏まえ、中央区は、私立認可保育所等への巡回指導の中で、午睡時における安全管理の取り組みの強化を進めています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、巡回指導の人数と指導方法及び通知後に全ての対象施設で巡回指導が行われたのか、うつ伏せ寝を放置していた施設はあったのか、それぞれお聞かせください。

 第二に、うつ伏せ寝による死亡事故が頻繁に起きる背景に何があると考えますか。

 第三に、区内全ての保育施設でうつ伏せ寝による事故が起きないようにするために、区として考えていることは何ですか。それぞれお答えください。

 今、事故調査の面で注目されているのが、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度です。この災害共済給付制度は、事故調査は当然のこと、保育者や施設の過失の有無にかかわらず、一定の補償があり、当事者が救済される仕組みになっています。加入対象は、特定教育・保育施設、特定地域型保育事業となっています。しかし、認可外施設などは災害共済給付制度の加入対象となっていないため、民間の賠償責任保険での対応となり、過失が認定されなければ、一切の補償はありません。このため、制度の加入対象となっていない認可外施設などにおける事故では、責任回避を意識した施設や保険会社からの指示により、事故の詳細が明らかにされないだけでなく、謝罪もないまま、うそを重ねるといった例も珍しくはありません。

 三月に死亡事故を起こした日本橋の事業所内保育所を運営するアルファコーポレーションは、いまだに被害者家族に謝罪の言葉さえかけていないという不誠実な態度をとっています。こんな事態を放置してよいものでしょうか。

 二○一五年度から子ども・子育て新制度がスタートしましたが、二○一五年の保育所における死亡事故は、一年間で十四件にも上っています。国は、待機児童対策として、企業主導型保育所で解消しようとしています。

 そこで、お聞きします。

 第一に、民間を含め、区内全ての認可保育所が災害共済制度に加入しているのでしょうか。

 第二に、区内にある認可外保育施設の賠償責任保険の加入状況はいかがですか。

 第三に、全ての保育・教育関係の施設や事業等を災害共済給付制度の対象とし、加入を義務づけるような法の整備を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 最後は、入学準備金の入学前支給についてです。

 子供の貧困が年々深刻になっています。特に、経済的な理由で食費が制限される、病院にも行けない、進学もできない、その社会の普通の生活ができないという相対的貧困、生活の苦しさが見えにくい貧困が広がっています。日本では、普通の生活水準の半分以下で暮らす家庭の子供の割合は、六人に一人となっています。

 二○一四年九月、千葉県銚子市の県営住宅で、母子家庭のお母さんが十三歳の娘さんを殺害し、無理心中を図るという事件が起きました。生活困窮の中、中学の制服代として闇金融からお金を借りてしまい、返済のおどしに追い詰められていたところに、県営住宅から退居を求める張り紙をされたのがきっかけになったと言われています。

 入学準備といえば、二月、三月という必要な時期に必要な額が支給されることが望ましいのに、支給は六月、七月となっています。二十三区内では、板橋区、世田谷区で中学一年生に対する就学援助の入学準備金が、小学6年生の3月時点で前倒し支給されています。八王子市では、小学一年生の入学準備金を入学前の三月に支給しています。また、受験の費用負担も重いものですが、社会福祉協議会を窓口にした受験生チャレンジ支援貸付事業を知らない方もいらっしゃいます。高校や大学に入学すれば返済する必要がない、この制度の活用が求められます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、入学準備にかかる費用の保護者への負担の重さについて、どのような認識をお持ちですか。

 第二に、就学援助における入学準備金は入学前に支給するよう改善すべきと思いますが、いかがですか。

 第三に、受験生チャレンジ支援貸付事業の周知状況と活用状況及び現制度について、どのような評価をお持ちですか。それぞれお答えください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 志村孝美議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、南スーダンへの自衛隊派遣と日米共同訓練についてであります。

 安保法制やその具体的な運用につきましては、国の責任におきまして適切に行われるものと考えております。また、安保法制は我が国の存立を全うするとともに、将来にわたり国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対応を図ろうとするものであると認識しているところであります。

 次に、憲法第九条についてであります。

 憲法第九条につきましては、日米のどちらが提案したかは両説ありますが、新たな史料が見つかったことは承知しているところであります。本区は、これまでも憲法の平和主義の理念を区政の根幹に据えまして、あらゆる施策を通じて、戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴えてまいりました。現在、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、必要最小限度の自衛措置については、国の責任において、適切に対応されるべきものと考えております。本区におきましては、引き続き平和のメッセージを発信していくとともに、東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会を通じて、本区を訪れる世界の人々に恒久平和の大切さを訴えてまいります。

 次に、北朝鮮問題についてであります。

 北朝鮮のたび重なる核実験の強行やミサイル発射実験は、北東アジアを初め、国際社会の平和と安全を損なう暴挙であり、断じて許すことはできません。安保法制は、こうした状況の中で、我が国の安全・平和を維持しつつ、北東アジアを含め、国際社会の安定に寄与するよう運用されるものと認識しております。世界平和は、国際社会が一丸となって取り組むことにより、実現されるものであります。国は、各国と世界平和に資する良好な協力関係を築いていくとともに、六カ国協議の実現に向けて、外交努力を重ねていくことが重要であると存じます。

 次に、豊洲新市場の現状認識についてであります。

 先月の小池百合子東京都知事が指摘した市場移転延期の三つの理由や、その後明らかになった豊洲新市場の建物の地下空間等に関しましては、現在、都において安全性の検証や調査が進められているものと認識しております。さらに、食の安全・安心の確保は、当然のことながら市場移転の大前提であり、区といたしましても、現在進められている都の調査結果を注目しているところであります。また、移転延期等により区民や区内事業者に混乱が生じないよう、最大限努めていくことが区の責務であり、引き続きしっかりと対応してまいります。今後、都は信頼回復に向け、十分な説明や正確な情報公開など、真摯に対処していくべきものと考えており、東京都から説明を聞く機会を設けるかどうかにつきましては、調査結果の内容等を見きわめた上で、必要に応じて要請してまいりたいと考えております。

 次に、築地市場移転をめぐる経費についてであります。

 築地市場の移転問題につきましては、三十年を超える長い期間にわたり、多くの関係者が先の見えない不安の中で真摯に議論を重ねながら、本年十一月の移転に向けて準備を進めてまいりました。当初、現在地再整備を求めていた本区は、平成二十三年三月都議会で移転関連経費を含む予算が可決され、移転が明確化されたことを受けとめ、食文化の拠点としての活気とにぎわいを確実に継承、発展させていくため、全力で取り組んでいくことといたしました。その取り組みの一環として、築地魚河岸の整備を進めてきたところであります。また、築地市場の移転の議論とは別に、地域内交通の円滑化など、交通環境の改善に資する基幹道路として環状二号線の地上化の検討がなされていたものと認識しております。このように、区といたしましては、将来にわたって活気とにぎわいのある築地のまちづくりを第一に考えた区政運営を推進してきたところでございまして、当面は来年一月以降に予定されている都知事の判断を注視してまいりたいと考えております。

 次に、豊洲新市場の開設についてであります。

 豊洲新市場の移転に関連したさまざまな課題については、市場開設者である東京都の責任で適切に対応すべきものと考えております。都知事は、先月末の会見で、新たな移転の時期は調査の進展を待ち、できる限り速やかに判断すると話しておりましたが、その後明らかとなった豊洲新市場の建物の地下空間の安全性についても、今後開催予定の専門家会議での検証が待たれるところであります。本区といたしましては、引き続き都知事の判断を注視してまいりたいと考えております。

 次に、受動喫煙対策についてであります。

 初めに、たばこの有害性についてであります。

 喫煙は、肺がんを初め、循環器疾患、糖尿病など、生活習慣病の危険因子であり、また受動喫煙による健康への悪影響につきましても、科学的に明らかにされているものと認識しております。

 次に、区施設の受動喫煙対策についてであります。

 現在、区施設におきましては、施設の構造や利用者の特性を踏まえ、禁煙や分煙としているほか、公園においては、児童が多く集まる場所や遊具付近には灰皿を設置せず、児童や公園利用者が煙の影響を受けないよう配慮しているところであります。今後とも、非喫煙者を健康被害から守るため、こうした取り組みを続けてまいります。

 次に、区民や飲食店等の理解についてであります。

 飲食店では、営業への影響を懸念される方もおり、条例などによる一律の規制は難しいものと考えております。そこで、区といたしましては、飲食店への利用する方が禁煙や分煙施設を識別できるよう、表示ステッカーを作成し、食品衛生講習会などの機会を捉え、活用を呼びかけているところであります。今後とも、こうしたステッカーの普及により、区民や飲食店の方々の受動喫煙対策に対する理解を深めてまいります。

 次に、保育施設における乳児のうつ伏せ寝についてであります。

 区では、現在、園長経験者を含む保育四名体制で巡回指導を実施しており、従前より、睡眠チェック表の確認やうつ伏せ寝の危険性について事例を示すなど、指導を行っております。なお、五月までに私立認可保育所や認証保育所などの施設において、一回目の巡回を終了し、うつ伏せ寝への対応を確認の上、必要に応じて指導助言行ったところであります。

 次に、うつ伏せ寝と死亡事故の因果関係につきましては、必ずしも明確に証明されているわけではありませんが、うつ伏せ寝はあおむけ寝の場合より乳幼児突然死症候群のリスクが高いことが、厚生労働省等の通知にも示されております。区といたしましては、乳児の睡眠時において、ゼロ歳児は五分ごと、一歳児、二歳児は十分ごとのチェックを徹底していくよう、今後とも指導してまいります。

 次に、災害共済給付制度についてであります。

 本制度につきましては、全ての区立保育所が加入しておりますが、私立の保育施設につきましては、認可保育所が七カ所、小規模保育事業所が一カ所の加入となっており、未加入施設は民間の賠償責任保険等に加入しております。なお、認証保育所を含めた認可外保育施設における賠償責任保険につきましては、事業者が事故等に備えて、基本的に加入しております。また、災害共済給付制度は、保険制度とは異なり、国、保育事業者、保護者で運営に要する経費を負担し合う互助共済制度であることから、加入義務化にはなじまないものと思われます。しかしながら、児童の災害に対して厚い給付が受けられる大きなメリットがありますので、区といたしましては、園長会等を通じて本制度を周知し、加入の促進を図ってまいります。

 次に、受験生チャレンジ支援貸付事業についてであります。

 まず、本事業の周知方法ですが、事業案内を区立中学校等に毎年配布するとともに、本庁舎及び社会福祉協議会の相談窓口におけるチラシ配布やポスター掲示、さらに国のお知らせやホームページにも掲載するなど、幅広い周知に努めております。昨年度の実績は、貸付件数が五十七件、貸付額が約七百万円であり、ほとんどの受験生が希望どおりの進学を果たし、貸付金の返済を免除されております。区といたしましても、本事業を通じて、子供の学習や受験の意欲が高まるなど、進学を希望する低所得世帯の子供の大きな支えになっているものと受けとめております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 島田勝敏君登壇〕

○教育長(島田勝敏君)
 教育問題についてお答えいたします。

 入学準備の負担軽減についてであります。

 新たな学校生活を迎えるに当たっては、学用品や標準服などを一度に買いそろえることが必要となり、費用が一時的にかさむものと認識しております。本区は、これまで保護者負担の軽減に積極的に取り組んでおり、就学援助における新入学の準備に対しても、二十三区で唯一、小学生では二万円、中学生では五万円上乗せしております。しかしながら、入学前の支給につきましては、前年の所得を認定基準とする支給方法の見直しや、それに伴うシステム改修など、さまざまな課題があり、直ちに実施することは困難であると考えております。

 答弁は以上です。

〔二十番 志村孝美議員登壇〕

○二十番(志村孝美議員)
 最初の、戦争する国づくりについてですけれども、余りにもひどい答弁漏れではないですか。私は、第一、第二と詳しく、今起きている事実について区長の見解を問うているんです。だから、再質問です。

 PKO、南スーダンですけれども、ことし七月に首都ジュバで、二百七十人以上が死亡した大規模な戦闘が発生しました。この数日の報道ですけれども、そのときに、PKOに参加する自衛隊の宿舎の隣のビルで二日間にわたって銃撃戦が起きた。そこでは、政府軍の兵士が二人死んでいるんです。ですから、そういうところに自衛隊が行く。こういうところに駆けつけ警護をすれば、自衛隊員が武器を持って行くわけです、その戦闘の場所に。そういう現実。自衛隊の青年が命を奪われるかもしれない、また他国の青年を殺すかもしれない、そういう現実が起きるのではないか、こういう事実をどう受けとめるんですかということを聞いているんですから、ぜひ答えてください。

 それ自体が、海外で武力行使してはいけないという憲法に違反しているのではないか。このことも答えない。だめですよ。これもちゃんと答えてください。

 それから、日米共同訓練も、安保法制を経て、集団的自衛権の行使を容認してアメリカ軍と一緒にと、今までと内容が違うんです。そのことについて、もうはっきりしているのではないかということ、戦争をする国づくりに進んでいるのではないかと、そういうことを尋ねているんですから。これは、区長の見解を聞いているんです、国の責任で適切にやるとか、そういうことを聞いているのではない。事実に基づく、区長の見解を聞いています。

 それから、北朝鮮の問題ですけれども、安保法制が安全・平和に寄与すると言うんですけれども、実際、安保法制が施行されて半年で北朝鮮は十数発の弾道ミサイルを発射して、五回目の核実験を強行している。中国の船籍の領海侵入も、ことし八月で二十三隻になった。つまり、安保法制が、そういう意味では、全く力を発揮していないわけです。ですから、こういう問題も、やはり安保法制ではなくて、外交的な、平和的な枠組みの中で解決しなければならない、そういうふうに思っています。そのような答弁もされていましたけれども、しかし、安保法制が安全・平和に寄与しているという認識は、事実を見ても間違いだ、このことは指摘させていただきます。

 築地市場も、やはりこれは東京都の判断とか、それだったら小池都知事の記者会見を聞けばいいわけです。区長に聞いているんです。築地がある地元の区長として、どうなのかということです。

 最近、地下空間の水に、ヒ素、六価クロムが検出されたというようなこともありました。それから、別の報道では、臭素とかアンモニアとか、そういうものも検出されたと。つまり、入れかえた土でも地下水が浸透してきている。これは空間だからわかったので、盛り土をしたところでも、やはり浸透していると私は思うんです。このように、今まで安全だと言っていたことが、実際は、正確な調査はこれからかもしれないけれども、しかし、盛り土をやっていたということがやっていないことを含めて、これは都民へうそをついていたということなんですけれども、合意をした区長として悔しくないか。虚偽の報告をされて、何だ、安全性もどうなんだ、本当に都の信頼を覆すものではないかというようなことでの質問なんですから、このことについての区長の見解もお聞かせいただきたいというふうに思います。

 それから、今起きている問題は、延期が何年になるか、また移転を中止するか、これはわからないけれども、今現に起きている。それが中央区に及ぼす影響が余りないような認識で、区長の今の答弁だと、しっかり見ていくみたいな、こんなことなんですけれども、そのような中央区への影響の認識なのかという点について、再度お聞かせいただきたいと思います。

 結局、こういう状況の中で、移転中止の可能性も生まれてきたと。万が一、豊洲に移転するかもしれない。状況が逆転しているんです。こういうときに区長の本心は、豊洲への着実な移転なのか、現在地にやはり残ったほうがいいのか、区長はどう思っているのか、それが僕は大事だと思うんです。今、都の認識はあるんです。自分の区として、どういう行動がこれから必要なのかということを、いろいろな状況を見きわめながら行動はしなくてはいけないんですけれども、区長自身の本心をぜひはっきり聞かせていただきたいというふうに思います。そういう意味では、やはりこういうときに勇気を持って現実を直視していく、それで、そもそもの移転反対の立場、きのう、きょうといろいろ区長もテレビにも登場しておりますけれども、やはり移転反対の立場、初心に戻って、ぜひ力を発揮していただきたいと思います。

 たばこについては、吸う吸わないはその人の判断ですので、やはり有毒性を社会全体で周知することとか、子供のときから、例えば麻薬とかドラッグというものとともに、たばこの危険性というものを周知することも重要になっているというふうに思います。

 保育ですけれども、これからいろいろな、直営ではない保育所がどんどん出てきます。例えば、巡回指導の人数もふやさなくてはいけないでしょうし、また、死亡事故が起きないように、保育士の労働環境も改善しなくてはいけないと思います。区長にお聞きしたいんです。ですから、区内で保育中の死亡事故を起こさせないという区長の決意、これがあれば、いろいろなことができると思いますので、ぜひこれもはっきり見解を聞きたいと思います。

 それから、見えない貧困をつかみやすいのは、私は学校だと思います。いろいろ困難があるかもしれないけれども、入学準備金の前倒しは、ほかでやっているところもあります。それだけではなくて、子供たちのためにできることは、他の先進的な経験も学びながら、ぜひ実施をしていただきたいというふうに思っています。

 以上で再質問を終わります。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君)
 どうも。いろいろ質問いただきまして、ありがとうございます。

 南スーダン、大変な問題ですね。報道等で私も知っておりますけれども、大変な緊迫した状況になっているわけであります。自衛隊のPKO部隊による駆けつけ警護につきましては、国の参加五原則は、そちらで御指摘されているとおりでございまして、停戦合意が存在すること、それから受け入れ国などの同意が存在する、中立性が保たれていると。要件が満たされなくなった場合には終了して撤退することができると。そういう五原則などの前提条件が満たされていれば憲法違反とはならないということが国の見解でございまして、そういう意味におきまして行われているということでございますが、御指摘のとおり、随分緊迫しているわけでありますから、さまざまな問題が起こらないようにと念願しているところであります。

 また、防衛大臣は、どう部隊に新任務を付与するかについて状況を見きわめていかなければならない、こういうふうにも述べているわけであります。

 いずれにいたしましても、国の責任において、我が国を守る守らない、また、国際的な協調体制、こういうことが非常に大切になっているわけであります。

 また、日米共同訓練、これはもうこれまでも何回も行っているわけであります。日米同盟調整メカニズムの中での演練というんですか、そういうものを実施するものと認識しているわけでありますけれども、やはり余り周辺国を逆に刺激するようなことにならないようにというのは願うところであります。

 それから、北朝鮮問題、これは本当に大きな問題ですね。北朝鮮、五回ですか、核実験ね。これは大問題で、断固反対で、議長と一緒に抗議文も出しておりますけれども、安保体制に違反しているのは北朝鮮なんですからね。北朝鮮が安保法制に違反しているわけでございまして、そういう意味で、北朝鮮が核実験をやめたり、長距離ロケット弾の発射、こういうことを行わないようにということを願い、また六カ国協議ですね。何といっても話し合い、外交ですね。話し合えば、私はわかり合うと思うんですよ。だから、なぜ六カ国でしっかりと、そういう枠組みまでできているわけですから、話し合わないのか、そこが不思議でね。お互いに、どんなに仲が悪くても、話し合えば、おのずから道というものは、平和への道、戦争は愚かなものというのは、日本人はもう身にしみてわかっているわけで、世界中の方々もわかっているわけでありますから、そういうことは武力の強化であるとか、武器の強化とか、緊張の強化とか、そういうことではなくて、話し合う、このことが一番大事なことではないかな、こういうふうに思っているわけでございます。

 この間も、加藤紘一さんという、前、防衛庁長官をやられたり、内閣官房長官をやったり、自民党の幹事長をやられて、東根市さん、議長さんと一緒に二十五周年ということで行きましたけれども、亡くなられて、自民党と加藤家、合同葬が青山斎場で行われましたけれども、駐日大使も見えていれば、ジェラルド・カーティスさん、有名な学者や、もちろん総理も見えておりました。YKKと言われる中のお一人の山崎拓さんが、私も聞いたことがありますけれども、憲法には一つの加筆もしないというのが自分の考えだということを言われたということを告別式で言われておりましたけれども、中国大使も告別の御挨拶をされておりましたし、ジェラルド・カーティスさんも挨拶されておりまして、中国語、英語で学生と話し合ったりされた方でございますけれども、やはり平和を願う政治家がどんどん日本にも育っていくように願うところでございます。

 また、築地市場移転問題、これも本当に驚きましたね。大変なことになってきているわけでございまして、小池百合子都知事が、三つの理由ですか、こういうことがこれから一月には次第次第に明らかになっていくんでありましょうけれども、やはり情報公開をしないといけないということでありましょうし、それによって安全性が、食べ物ですから、安全性ということを条件に、本区も移転ということを決断したわけでございますし、まず安全ということで、これが一番重要なのではないでしょうかね。いろいろな問題に波及しつつあるわけでありますけれども、食の安全をしっかりと、これは東京都の責任で行うということを言われて今日まで来ているわけでありますから、そういう面で、これからも食の安全性をしっかり守っていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。

 これからどうなるか、どういうふうに判断するんだというのは、まだ動いている最中でございますから、これは区議会の皆様方と一体となって、その時その時一つ一つ、重要な段階に来ているわけでありますから、これは区民の皆様、区議会の皆様だけでなく、東京都全体で、国全体で考えていかなければならないというふうに思っているわけであります。

 保育園、これは死亡ゼロ、これはもちろん目指して、しっかりといきたいというふうに思っているところであります。

 以上であります。

〔二十番 志村孝美議員登壇〕

○二十番(志村孝美議員)
 時間もないんですけれども、PKOですけれども、五原則と言いますけれども、実際、隣のビルで戦闘が起きた、駆けつけ警護に来てくれといったときに、五原則があるからというので、ジュバみたいな戦闘のところで、逃げるなんていうのは実際できない。そういう意味では、現実的ではないんです、そんな話は。だから、そういうことはきかないから、出してはいけないんだ、駆けつけ警護の安保法制を発動してはいけないんだということを私は言いたいと思います。

 それから、日米共同訓練は、言ったように、今回から違ったんです。集団的自衛権の行使容認を踏まえた内容だから、中身が変わってきているというふうに言いたいと思います。

 それから、北朝鮮、区長も力説されていましたけれども、対話なんです。ただ、なぜ進まないのかというと、アメリカが北朝鮮が核を捨ててから協議しようと。それを言っているため、それをまた北朝鮮が口実にして、協議なんて、そんなものではできないということで核開発するという、そういう指摘もあるんです。だから、話し合いをするためにはどうしたらいいのかというのを、本当に知恵を出し合って具体化しなければならないというふうに思っています。

 平和の問題は、いつも平和、平和と言うんですけれども、事実がどうなっているか見ながら、的確に判断していただきたいと思います。

 築地市場ですけれども、安全であったから移転を判断したという、そういうようなことを言ったようなんですけれども、築地市場が築地にあるという、地域経済の問題として、しっかり位置づけると。原点に戻るということが大事だと思うんです。ぜひ、そういう意味では、沖縄の基地問題の翁長県知事を私はぜひ見習ってほしいんですよ。県民の立場に立って、国を相手にして果敢に闘っている。

 そういう意味では、豊洲がこれまで六千億円かけて、このありさまですからね。今後、どれだけ莫大な税金を投入して調査、検証、汚染対策、施設改修を進めるのか。こういうことが都民の理解を得られるのかどうか。それは小池都知事の判断することだと思うんですけれども、世論がそれを許すのかどうか、そういうのが問われているし、今の使い勝手も含めて、市場関係者がどうなのか。今、汚染地豊洲のイメージがどっと広がってしまっているわけですから、ここでどれだけいくのか。安全・安心な豊洲というふうにはならないというふうに私は思うんです。

 ですから、区長はこういうような現実も直視しながら、区民が求める立場、地域経済、そういうこれまでの本当に初心に戻る。今、移転を阻止する可能性があるわけなんです。ですから、今、東京都の中でいろいろな議論がされるけれども、地元中央区の矢田区長、また議会が、もうこんなところはだめだ、築地市場移転は反対なんだということを上げれば、これはまた大きなマスメディアの話題になるし、また区長へのインタビューも来るかもしれません。ですから、これからの中央区の経済も、築地市場の未来も、今、本当に重要な局面にかかっている。そのことを強く皆さんと一緒に認識していきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(石島秀起議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十一日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十一日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後七時十四分 散会


署名議員
議長 押田 まり子
議員 塚田 秀伸
議員 墨谷 浩一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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