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平成31年第一回定例会会議録(第2日 2月25日)

1.会期

二十六日(第二日)

二月二十五日(月曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時十分散会

3.出席議員

(二十八名)

一番 青木 かの議員

二番 渡部 恵子議員

三番 山本 理恵議員

四番 海老原 崇智議員

五番 佐藤 敦子議員

六番 塚田 秀伸議員

七番 小坂 和輝議員

九番 加藤 博司議員

十番 奥村 暁子議員

十一番 原田 賢一議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 富永 一議員

十四番 染谷 眞人議員

十五番 木村 克一議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 松川 たけゆき議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 志村 孝美議員

二十一番 礒野 忠議員

二十二番 鈴木 久雄議員

二十三番 瓜生 正高議員

二十四番 石田 英朗議員

二十五番 中嶋 ひろあき議員

二十六番 押田 まり子議員

二十七番 墨谷 浩一議員

二十八番 田中 広一議員

二十九番 中島 賢治議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 矢田 美英君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長  浅沼 孝一郎君

総務部長 田中武君

防災危機管理室長 濱田徹君

区民部長 遠藤 龍雄君

福祉保健部長 黒川眞君

高齢者施策推進室長 古田島 幹雄君

保健所長 中橋 猛君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 松岡 広君

会計管理者 坂田 直昭君

教育委員会事務局次長 長嶋 育夫君

監査事務局長 高橋 和義君

政策企画課長 山﨑 健順君

財政課長 大久保 稔君

広報課長 園田 典子君

総務部参事(総務課長事務取扱) 鈴木浩君

5.議会局出席職員

議会局長 田野 則雄君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 一瀬 知之君

調査係長 工藤 久栄君

書記 秋山 和美君

6.議事日程

日程第一
一般質問


午後二時 開議

○議長(礒野 忠議員) 
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(礒野 忠議員) 
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十六番堀田弥生議員。

〔十六番 堀田弥生議員登壇〕

○十六番(堀田弥生議員) 
 中央区議会公明党の堀田弥生でございます。私は、平成三十一年第一回中央区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、質問をさせていただきます。矢田区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、どうか区民の立場に立たれ、わかりやすく建設的な御答弁をお願い申し上げます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 本定例会は、平成時代最後、そして今期をもって退任される矢田区長にとりましても、最後となる定例会です。平成の三十年間は矢田区政の三十二年間と丸々重なっており、これまでを振り返り、かつ次の新しい時代へ向けたスタートとするべく、俯瞰しながら質問を始めてまいります。

 昭和六十一年から平成二年をピークとするバブル景気の時代、日本国中で株や土地などの資産価格の高騰が起き、特に都心区である本区は、地価の過度な高騰に見舞われました。底地買いにより、人口は急激に減少し、まちは空洞化しました。その後、実態からかけ離れた高値の不動産や株が暴落し、多くの不良債権が発生して、バブルは崩壊しましたが、人口は戻らず、矢田区長のもと、全区を挙げて定住人口回復に向けた取り組みを進めてこられました。

 この間、都心に人が住めるようにしようと、他区に先駆けて力を入れてこられた子育て支援策では、当時の我が党女性議員たちの意見や提案を数多く取り入れ、実現してくださったことを大いに評価したいと思います。

 人口回復に向けた取り組みが奏功し、平成十年に定住人口が増加に転じて以後は、毎年増加し、途中、平成二十年のリーマンショックなど経済に及ぼすマイナスの影響や、二十三年の東日本大震災を乗り越え、都心回帰の大きな潮流に乗って、昨年五月には、とうとう十六万人を超えるところまで回復したのです。私は、この都心回帰・職住近接の流れで新住民となった一人ですが、人口が減少の一途をたどっていた時期の区長や行政の皆様の苦悩ははかり知れなかったことと拝察いたします。

 今や、ドーナツ化現象は終えんを迎え、国の人口が減少に転じていることを考えても、都心回帰の流れは戻らないと思われます。実際、数年前の予想では、本区への転入超過は平成三十四年ごろにはピークを迎えるとされていましたが、今後三十年はこのまま続くとする最新の分析・報告も見られるようです。

 本区におきましても、昨年、中央区基本計画二○一八を策定する際に、その時点でのより正確と思われる人口推計をもとにされたと思いますが、人の動きは何かのきっかけで流れが変わっていくこともあります。

 本区では、毎月一日現在の地域別人口が公表されていますが、昨年四月以降、今月までの十一回のうち、日本橋地域の増加人数が、月島地域のそれより前月比、前年比ともに多いという月が七回、月島とほぼ同じという月が一回ありました。つまり、日本橋に転入してきた人数が月島を上回っているのです。先日、企画部が作成された中央区将来人口の見通しに係る資料にも示されていたとおり、これまで続いてきた月島地域における増加の勢いに少し陰りが見え始め、一方で、日本橋地域においては増加の勢いが強まっているということで、人の動きに変化が起こっていると言えます。もっとも、これはまだわずか一年にも満たない期間のデータですので、今後どうなっていくかは未知数です。ただ、月島地域における人口が今後もこれまでと同じように力強く増加すると予測するには、いささか不安を覚える要素ではないかと思います。

 また、新しいライフスタイルに合わせ、まちも大きく変わっています。例えば、飲食店の客は、以前なら、会社帰りに仲間と食べに来る会社員がほとんどで、飲食後、電車に乗って自宅へ帰っていく人たちでした。しかし、今は、一人でお店へ立ち寄り、飲食後は歩いてお店近くの自宅へ帰るという人がふえているようなのです。電車に乗らずに歩いて帰れるので、夜遅くまで安心して気楽に食事を楽しめるということでしょうか。新しいライフスタイルに沿うまちができれば、当然、そのエリアを選んで住む人もふえてくるでしょう。今の日本橋地域は、まさにその状態なのだと思います。

 区政をつかさどる私たちは、まちで起きているさまざまな変化を捉え、人の動向を把握し分析した上で区政運営に当たることが、これからの時代、より一層重要になってくると思います。その分析の結果、大きな課題が見つかり、もしかすると大きな転換を余儀なくされることもあるかもしれません。

 そこで、お尋ねいたします。

 人の動きには変化があるものですが、人口推計に余りに乖離があると、今後の本区の区政運営に大きな影響が出ると考えます。新しい時代のスタートに当たり、これまで以上に動向をつかみ、的確な分析を行うことが重要と考えますが、区のお考えをお聞かせください。

 現在、日本橋地域では、老朽化した戸建てやマンションを取り壊し、新しいマンションを建てる共同住宅化が物すごいスピードで進んでいます。そのほとんど全てが小規模もしくは中規模のマンションとしての建てかえであり、大規模なものはありません。マンションが完成したとしても、一つ一つの戸数は三十から五十程度であり、居住者も百人程度で、そこだけを見ればインパクトはさほど大きくないように思えます。しかし、一つの地区としてこれらを合わせると、大変大きなボリュームになり、それによって大きな影響が出てくる可能性があるのです。

 また、日本橋地域における人口増加の特徴は、マンション規模が小さく、建設に要する期間が短いため、人口も短期間でふえるということです。例えば、新しく建ったマンションが密集する地域では、今春入学予定の小学一年生が、ある町会は四十名、その隣の町会では二十五名いるそうです。四十名の新入生がいる町会は、昨年は八名だったそうで、その地域でいかに急増しているかがわかります。全員が地元の小学校へ進むとは限りませんが、ともあれ、その地域を擁する小学校は、今のところ四クラスの予定で、あと二人ふえれば五クラスになるとのことでした。卒業する六年生は三クラスですので、一気に二クラスもふえる可能性があるのです。校舎は数年前に増改築が完了していますが、このままでは、当時試算した以上に子供の数がふえていくのではないか、教室が足りなくなるのではないかと、地域の皆さんも危惧しておられます。保育所の整備も必要ですが、小学校の場合は義務教育であり、教室の不足は絶対に許されません。現在も児童数の推移を一年ごとに子細に把握しておられると認識しておりますが、教育施設の整備という点で手おくれになることがないよう、中長期的な把握と予測をお願いしたいと思います。

 そこで、お尋ねいたします。

 人口が予想以上に急激にふえる可能性があることは、本区の大きな課題の一つと言えます。教育施設の整備という点で対応のおくれとならないよう、児童数の細やかな把握とあわせて、中長期的な予測をしていただきたいと思います。あわせて、万一、教室の不足が予想されるときの対応について、お考えをお聞かせください。

 次に、東京都受動喫煙防止条例の施行に伴う諸課題についてお尋ねいたします。

 昨年七月、東京都受動喫煙防止条例が公布されました。まず、学校や行政機関、病院などの施設において敷地内禁煙の措置など、一部が施行されます。この条例は、どこまでもたばこは有害であり、世界保健機関が認めるがんの発生要因の一つであるとの認識に立っており、そのリスクから煙を吸いたくない人を守る内容となっています。飲食店では、従業員を使用していない場合は禁煙・喫煙を選択することができますが、従業員がいるお店で喫煙できるようにするためには、喫煙専用室を設置することが必要です。店内における喫煙場所の有無がわかるステッカーの掲示が努力義務として課され、来年四月一日には屋内禁煙が全面施行されます。

 本区には数多くの飲食店があり、そのほとんどは従業員を使用していることから、この条例の施行による影響が小さくないと思います。しかし、区内でお店を経営する方の中には、条例が施行されることは知っていても、その内容についてはよくわかっていない、ましてや、どういう対策が必要なのか、具体的に、いつまでに何をどうすればよいのかわからないという方もいらっしゃるようです。喫煙専用室を設ければよいと言うが、どのような部屋なのか、もし対応できていない場合はどうなるのか、どこかに指導されるのか等々、対応を考えなければと頭の片隅で思いつつも、わからないことだらけなので、結局何も考えていないという状態でした。

 そこで、お尋ねいたします。

 東京都受動喫煙防止条例の一部施行に向け、中央区役所本庁舎や各出張所、その他の区有施設における敷地内禁煙への対応が必要となっておりますが、その取り組みの方向性をお知らせください。

 また、条例の全面施行に向け、特に区内の飲食店に対し、条例内容の説明会や遵守のための講習を行うなどの取り組みをしていただきたいと思いますが、区の今後の御対応をお聞かせください。

 また、現在、本区で制定している中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例に基づき、現在対応くださっているのは環境推進課の方々ですが、受動喫煙という角度になると、保健所の領域になると捉えることもできます。条例に基づいた施策を具体的に進めるためのさまざまな取り組みは、どのような体制で行うのでしょうか、お聞かせください。

 次に、屋外での受動喫煙対策についてお伺いいたします。

 本区では、中央区歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例により、歩きたばこに対する規制はありますが、灰皿を設置している固定場所での喫煙ならば、それが屋外であっても規制の対象とはなりません。現在、近隣の方から煙が迷惑だとの御意見をいただいても、対応できる範囲は狭く、公道に出て吸っていないかのチェック、見回りや環境美化の観点からの指導のみです。御担当の課の方々は、お願いすると、いつも迅速に対応いただいていますが、灰皿の設置者に撤去の意思がない場合など、現状では、その指導にも限界があると言えましょう。また、屋外の灰皿で吸っている人たちは近隣のビルで働く会社員も多く、本来なら、そのビルの所有者に専用喫煙室の設置をしていただきたいくらいで、その方面の対応も必要ではないかと思います。

 一昨年三月にまとめられた中央区民の健康・食育に関する意識調査報告書によりますと、たばこを現在吸っている人は、男性平均で一九・七%、女性平均で六・五%、全体で一二・六%でした。厚生労働省の調査による平成二十九年の喫煙率は、男性平均で二九・四%、女性平均で七・二%ですので、男女ともに喫煙率が全国より低いことがわかります。本区の区民は、喫煙する人が少ないからでしょうか、屋外から流れてくるたばこの煙に本当に敏感で、特に子育て中のお母さんたちから、何とかしてほしいと切実な御要望をいただくこともよくあります。健康に留意している本区住民、子供たちのことを思うと、その命を守るためにも、東京都受動喫煙防止条例の施行にあわせて、本区における屋外での規制強化を検討すべきではないかと考えます。

 ちなみに、先述の区民の意識調査報告書では、分煙や禁煙エリアができたことによって喫煙の機会が減ったとした人が半分近くいました。

 そこで、お尋ねいたします。

 屋外での受動喫煙対策について、今後、どのように進めていかれるのか、区の御見解をお聞かせください。

 次に、安心して歩けるまちづくりについてお尋ねいたします。

 本区内には坂道もなく、銀座や日本橋などのにぎわいのある町並みや、晴海などの自然豊かな風景などを見ながら、散歩を楽しんでおられる人も多くいらっしゃいます。その数は年々ふえていると思われますが、健常者が歩くには何の障害もないように感じる歩道であったとしても、車椅子やベビーカーを利用している方にとっては、時に怖い思いをすることもあるようです。車椅子を利用している方の中には、車道との段差、勾配が大きく、走行に苦心している方、また、自転車や屋外看板などの障害物があるために車道へおりたところ、車にひかれそうになったというような経験をお持ちの方も多いと伺います。

 本区におきましては、中央区基本計画二○一八に、都心にふさわしい基盤整備の施策の柱として、快適な歩行環境の拡充を挙げ、その取り組みの一つとして、障害者や高齢者など誰もが安全かつ快適に移動できるよう、歩道の拡幅や段差解消等を行い、道路空間のバリアフリー化を推進するとあるように、快適な歩行環境の整備のため、既に鋭意御努力いただいていると認識しております。

 そのような中、先日、ある区民の方から、車椅子を押してまちを歩いていて、交差点のところで信号待ちをしていたら、路面が傾斜になっているので、車椅子が滑って勝手に動いてしまい、怖い思いをした、進行方向と横方向の二方向へ傾斜しているのもよくないとの御意見を伺いました。私自身、それまで気づかずにおりましたが、御意見を伺った後、注意して歩道を歩いてみると、確かに、当該の箇所があることが確認できました。

 歩道の整備について調べたところ、進行方向への傾斜を縦断勾配、そして横への傾斜を横断勾配と呼ぶそうです。この縦断勾配も横断勾配も、東京都がそれぞれ最大パーセントを決め、それ以上の勾配をつけないよう規定しています。加えて、この方が指摘したような交差点、横断歩道がある場所では、傾斜部分を滑って車道に落ちることがないよう、安全に停止できる滞留スペースを確保するため、一メートル以上の平たん部を設けることと定めています。ところが、この当該箇所には、この平たん部が設けられていないのです。歩道が狭いなどのやむを得ない理由からだとは思いますが、ともあれ、そのような場所では、車椅子が傾斜面を滑り落ちてしまい、そのまま車道へ出てしまう危険性があり、信号待ちをしている車椅子利用者の方にとっては、大変怖い思いをすることになります。

 本区が一昨年三月にまとめた中央区障害者(児)実態調査報告書の自由記述欄にも記載されていますが、車椅子利用者にとって不自由で怖く思う要素が、道路の急な傾斜だそうです。本区では、東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会を明年に控え、道路の段差解消、バリアフリー化を進めていただいています。実際、段差解消については、かなり進んでいると思います。また、勾配に関する規定も守っていただいていると認識しております。ただ、今後の歩行環境の整備に当たっては、車椅子やベビーカーの利用者の視点から、傾斜させている箇所が安全かどうかを見直し、必要に応じて改善していただきたいと思っております。

 そこで、お尋ねいたします。

 車椅子やベビーカーを使用する方にとって、現行では、傾斜が怖くて安心して通行できない状態の歩道もあると思いますが、区の御認識をお知らせください。

 また、車椅子やベビーカーを使用する方にとって安全で快適な歩行空間を確保するべく、歩道の傾斜について、使用する方の視点からの点検を行い、必要に応じ改善を施す等、さらなる取り組みをお願いしたいと思いますが、区のお考えをお聞かせください。

 快適な歩行の妨げとなるものに、放置自転者と屋外広告物があります。いずれも通行の妨げになるとともに、交通環境や景観という点でも問題であると言えます。放置自転車は、駅前、駅周辺に多いのはもちろんですが、区民で自転車を利用する人が増加していることに加え、隣接区からも本区内の駅を利用する人が乗り入れてきており、駅から少し離れた場所でも、駐輪場がわりに置かれるケースがふえてきました。中には、原付バイクも置かれていて、他区ナンバーばかりという場所もあります。

 放置自転車対策についても、本区では、中央区基本計画で交通環境の改善のための取り組みの一つとして掲げておられます。具体的には、広幅員の歩道上への駐輪場整備や、大規模再開発事業の機会を捉えた駐輪場の整備促進と、放置自転車禁止区域の指定と撤去活動の強化です。駐輪場の整備は、来年度も人形町一丁目駐輪場の拡大が予定される等、順調に進んでいると認識しております。また、放置自転車禁止区域内の即日撤去は、五年前の平成二十六年から開始しており、中央区基本計画の百九ページに掲載されている資料によりますと、区内駅前の放置自転車台数は翌二十七年から激減しており、即日撤去は有効な手段であることが証明されております。

 しかしながら、今申し上げた、駅から少し離れた場所への放置自転車、バイクについては、今のところ、有効な対策は打てていないのが現状ではないでしょうか。放置自転車、バイクは、例えば公園や隅田川沿いの遊歩道などにも見られます。即日撤去の指定区域ではないため、まずは黄色い張り紙で注意を喚起し、数日そのままであった場合は赤紙で警告し、その後、撤去という手順になっています。担当課の皆様は、依頼すると、本当に迅速に、小まめに動いていただいており、感謝しておりますし、実際、改善傾向は見られます。しかし、通勤で毎日使っている人の昼間放置自転車・バイクは、張り紙を張っても毎日剥がされてしまい、その先の段階へ進めないままでおります。何度も何度も同じことの繰り返しで、指定区域となっていないことによる限界を感じずにはいられません。

 特に、公園は子供が遊ぶ場所であり、また隅田川沿いの遊歩道も近隣の保育園の園児たちのお散歩コースになっており、毎日多くの子供たちが歩いていて、風が強い日などは、倒れて子供に当たるのではないかと不安を覚えます。また、散歩やジョギングを楽しむ多くの方の往来もあります。このような場所に放置された自転車、バイクも即日撤去できるよう、放置禁止区域に新たに指定するべきではないでしょうか。

 放置禁止区域の指定については、自転車の放置防止に関する条例において、自転車の放置により生活環境が阻害され、かつ駐輪場が整備された地域において指定することとされていると承知しております。現在、指定されている地域は全て駅前周辺ですが、例えば、地域の皆様からの声をいただき、子供たちが日常的に遊んだり歩いたりする道路や場所、放置されていることで危険が予想される場所を新たに指定区域とできるよう、条例の一部改正を念頭に検討していただけるよう要望します。

 そこで、お尋ねいたします。

 現行の放置自転車対策について、区の御認識をお知らせください。

 また、放置されていることで、子供たちの生活環境を脅かしたり、危険となったり、快適な歩行の妨げとなる可能性があるため、放置自転車対策をさらに強化するべく、条例改正などのさらなる対応を検討していただきたいと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 また、屋外広告物も歩行の妨げとなります。屋外広告物を道路に設置する場合は、本来は、区に道路占用の許可を得る必要があります。しかし、区から許可を得ないまま、不法に屋外広告物を道路に出しているお店が多いのが現状です。以前から、この問題は地域の悩み事の一つでしたが、近年は、区民の増加とともに、買い物や散歩する人がふえていることや、自転車走行する人がふえたこともあり、狭い歩道が、この屋外広告物があることで、さらに狭くなり、事故が起こる危険性も高まっているように思います。現在でも、区の職員の方や警察、地元の皆さんがパトロールしてくださっていると認識しております。違反を注意すると、一旦は引っ込めるものの、その後しばらくすると、また出してくるというイタチごっこの状態が続いてきました。悪質な場合には警察による撤去も実施してこられましたが、なかなか効果が続かない状況でおります。長年このような状況が続いていることを考えると、そろそろ本区も違法な屋外広告物について厳たる態度を示す時期に来たのではないかと考えます。

 東京都八王子市では、良好な景観の形成及び風致の維持と公衆に対する危害の防止を目的に、八王子市屋外広告物条例を制定し、平成二十七年四月から施行しています。屋外広告物の許可申請を義務づけ、未申請者に対しては通知を行い、許可申請の周知を図るとともに、罰金や過料を伴う罰則が規定されています。許可申請を義務づけることで、屋外広告物設置者の意識啓発ができ、モラルの向上につながっていくことが期待されます。

 そこで、お尋ねいたします。

 屋外広告物対策として、これまで行ってきているパトロール、注意指導による対応について、区の認識をお知らせください。

 また、快適な歩行を守るため、条例制定などのさらなる対策を検討していくべきだと思いますが、区の御見解をお聞かせください。

 次に、幼少期における教育についてお尋ねいたします。

 教育の目的は、子供の幸福にあります。子供たちの幸せになる力を引き出すことが重要であり、子供たちが本来持っている無限の可能性を開花させる教育であらねばなりません。教育というと、多くは就学期以降の教育を重視しがちです。一方、就学期前の幼少期の教育を重視する考え方は、確かに以前から存在しましたが、確かなエビデンスに基づいた幼少期の教育の重要性が認識されるようになったのは、海外での幾つかの研究調査の結果が発表されてからのことであり、そう昔のことではありません。

 その中で最も有名な調査が、アメリカ・ミシガン州の子供たちを三十年以上にわたって追跡調査したペリー就学前プロジェクトです。三、四歳の子供たち百二十三名を、就学前教育を施すグループと施さないグループの二つに分け、子供たちが四十歳になるまで長期にわたって追跡しました。その結果、就学前教育を受けたグループと受けなかったグループの間には、収入や持ち家率、犯罪率などに大きな差が出たそうです。幼少期にどのような教育を受けたかによって、その後の人生が大きく変わることの証左と言えます。

 ただ、この実験で行われた就学前教育の内容とは、学力をつけるためのものではなく、忍耐力、自信、積極性、協働力など、非認知能力の向上に重きを置いたものでした。この非認知能力は、最近の中学・高校・大学の各入学試験においても年々重視されるようになってきています。その背景として、将来的に多くの仕事、職業が人工知能、AIに取ってかわられる可能性が指摘される中、AIに負けない、人間ならではの能力を身につけなければならないとの危機感があると言われています。これからの時代、幼少期にこの非認知能力の基礎を身につけることこそが最も肝要であることに異論を唱える人はいないと思います。

 日本では、小学校、中学校、そして高等学校は既に無償となっていた中、幼児教育については、非課税世帯などへの段階的な無償化までこぎつけてきておりましたが、本年十月、ようやく本格的な無償化が実現する運びとなりました。これまで日本は、子供や子育て家庭の支援が、他の主要国に比べて大きくおくれていたと言われており、大変喜ばしいことだと思います。無償化の対象には、昨年四月に大きく改定された保育所保育指針において、幼児教育施設の一つとして位置づけられた保育所も含まれます。

 この幼児教育無償化に対して、私は、実は、総論としては賛成ですが、各論としては課題があると思っております。

 まず、その対象です。先日閣議決定された内容によりますと、例えば認可保育所に通う三歳児から五歳児の場合、所得の上限なく全員が無償化の対象となります。本区では、保育料の区分を細分化し、所得に応じた金額に設定しています。本区には高額所得者もかなり多いと認識しておりますが、一律の無償化によって、この高額所得の層ほど大きな恩恵を受けることになり、現行の本区の基本的な考え方である応能負担とは逆の方向です。高額所得者が多いという、他の大多数の自治体とは異なる本区の特性ゆえの問題であり、捉え方が悩ましいところだと思っております。

 また、保育士、保育の質の確保についても、さらなる対応が必要です。認可保育園に入れなかった子供たちのうち、保育の必要性が認められた場合は、認可外の施設であっても、一部無償化の対象となるため、認可外の施設に入る子供がふえることが予想されます。しかし、認証を除く認可外の施設には指導監督基準を満たさない施設も多く、今後、保育の質の向上を伴わない施設に注意する必要があります。預かる子供の数がふえ、現状でも大変な保育士の確保が、さらに深刻になります。保育士の不足により、一人当たりで見る子供の数が増加することが考えられ、保育の質の低下も懸念されます。

 このように、各論としては、また本区としては、幾つもの課題を抱えているのが現状です。しかし、この幼児教育無償化は着実に進めていかねばなりません。

 そこで、お尋ねします。

 本年十月に開始する幼児教育無償化を着実に進めるに当たっての課題について、本区の御認識をお知らせください。

 また、保育の質や保育士を確保するために、本区として、さらにどのような取り組み、対応をしていくのか、お知らせください。

 保育園は、これまでは養護の位置づけであり、教育は幼稚園、認定こども園で行うという指針でした。それが昨年の保育所保育指針の改定により、今年度から保育園も幼児教育施設の一つとして位置づけられることになり、小学校教育との円滑な接続を図るよう努めることとされました。保育士さんなど当事者にとっては、かなり大きな改定であると思われ、負担になったのではないかと思います。

 本区におきましては、区で開催している保幼小の連携会議の中で、小学校側から、基本的な生活の姿勢を身につけさせてほしいという要望が上がっていたことから、早くも三年前、小学校への接続期カリキュラムというものを教育委員会と連携してつくっておられました。現在、幼児教育の取り組みとして、五歳児を中心に、このカリキュラムを実施しておられると認識しております。大変先駆的な取り組みとして、評価したいと思います。

 昨年三月に策定された中央区基本計画二○一八には、子どもが健やかに育つ地域づくりの施策の目標として、教員・保育士等の資質向上を図り、就学前教育の充実と義務教育に至る学びの連続性を確保し、小学校への円滑な接続を目的とした接続期カリキュラムを活用するとあります。本区として、保育園における幼児教育にもしっかりと取り組むというお考えを示したものと捉えております。

 ところで、認可外保育園では、単に生活の姿勢に終わらず、当然のように英語やダンスなどを教えていますし、また、認可でも、私立の園では、以前から特色のある教育を行っていました。このような現状から、保護者の方から、同じ保育園なのに、内容に違いがあり過ぎるとの不満の声が実際に出ていると伺っています。施設によって教育の内容が異なることはいたし方ありませんが、さきの非認知能力の向上を最重要目標としつつも、なるべく教育の内容に格差がないようにするための環境整備がある程度は必要なのではないかと思います。

 そこで、お尋ねいたします。

 保育所保育指針改定により、幼児教育施設の一つに位置づけられた保育園における幼児教育のあり方や対応について、これまでの区の取り組み状況や区内各園における現状をお知らせください。

 また、区内の認可保育園の取り組み状況を踏まえ、現在認識している課題及び今後さらに必要と思われる取り組みについて、お考えをお聞かせください。

 子供たちの健やかな成長のためには、睡眠は必要不可欠です。必要な睡眠時間は年齢や個人によって異なり、一概には言えません。しかし、ほとんどの保育園では、現在、一律に午睡の時間が設けられています。長いと三時間くらい寝かせている保育園もあるそうです。長過ぎると、夜になってもなかなか寝つけず、朝も起きるのが遅くなって、保育園に行くのがぎりぎりになり、日中もずっと頭がぼうっとしているという状態の子供がふえ、それが問題視されています。また、小学校へ上がると、午睡がないので、生活リズムがなおさら狂ってしまうようです。将来的なことを考えれば、午睡をとらない幼稚園児と同じ三歳になったら、また、遅くとも小学校入学前には、早く寝て、早く起きられるような環境をつくってあげることが大切です。そのため、自治体によっては、卒園・入学間近の一月または二月に入ると、五歳児の午睡を徐々に減らして、三月ではなくすという取り組みを徹底しているところもあると伺っています。

 しかし、昨今、御両親の就業形態もさまざまで、帰宅が遅い家庭の場合、お子さんはお昼寝をしっかりとったほうが、夜遅くまで起きていられて、御両親と一緒に過ごせる時間が長くなり、よいときもあるのかなと思います。いずれにせよ、一律ではなく、個人の体質や状況に配慮してあげるという対応が重要だと考えます。そのために、第一は家庭における環境、第二に保育園における環境を整えていくべきだと考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 子供の健やかな成長にとって大変重要な、午睡のとり方に対する本区の御認識をお聞かせください。

 あわせて、本区の小学校への接続期カリキュラムの実施状況をお知らせください。

 また、睡眠時間は一律ではなく、個々の状況に合わせた配慮をすべきと思いますが、本区の現状を踏まえ、区の今後の取り組みをお知らせください。

 最後に、児童相談所の開設準備状況及び児童虐待への対応についてお尋ねいたします。

 目黒区や野田市において、また耳を疑うような痛ましい児童虐待事件が発生しました。事件を知り、心を痛めない大人はいないと思います。これ以外にも、同様の事件が連日報道されており、児童相談所による対応、体制等が改めて関心を集めています。本来なら救えたはずの幼い命を守り抜くことが、なぜこれほど難しいのか、児相による不適切な対応とともに、第三者がかかわることの難しさを誰もが感じたと思います。

 児童虐待の相談や事件が増加する中、一方で、職員、特に経験のある職員の不足や強制力が弱いなど、体制的な不備が懸念されています。本区においても、児童相談所開設に向け、職員の研修派遣等準備を進めておられるさなかだと認識しております。これまでは新宿区にある児童相談センターに管轄されていたところが、区内にも児童相談所が開設されることになり、ある意味では安心材料の一つとも言えますが、先述したとおり、他方では慎重に考えるべきとも思います。また、開設されるとしても、まだ何年も先の話ですが、児童虐待への対応は待ったなしです。本区においては、相談件数は他区と比べると少ないと認識しておりますが、それでも早期に対応できる体制を整備するべきと考えます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本区が把握しておられる児童虐待の相談や通報の数をお知らせください。

 また、本区児童相談所の開設準備状況についてお知らせください。

 また、児童相談所が開設されるまで、なるべく早期に、それにかわって対応できる体制を整備するべきと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 
 堀田弥生議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区政運営における人口推計の重要性についてであります。

 区長就任当時、人口減少が続き、まちの活力が失われつつありましたが、定住人口回復、都心回帰を旗印に区政運営に努めてきた結果、現在は人口増加が続き、二十万都市も見据えることとなりました。そのため、公共施設の整備など行政ニーズが増大しております。的確な人口推計を行い、中長期的な視点で施策を実施していくことが重要であると考えております。平成二十八年に中央区人口ビジョンを作成して以来、基本構想、基本計画の策定などでも人口推計を行ってまいりました。これらの推計は、出生数や転出入などの増減だけでなく、開発動向も加味したものとなっており、基本計画二○一八で公表した人口推計と本年一月一日の人口の差異は一千九十九人のマイナス、約九九・三%の実績となっておりまして、十分な精度となっているものと認識しております。先日、本年一月一日の人口をもとにした最新の人口推計を行いましたが、今後も区内各地域の動向を注視し、将来人口を見通した適切な区政運営に努めてまいります。

 次に、本区における受動喫煙防止についてであります。

 本区はこれまで、たばこを吸う人も吸わない人も誰もが快適に過ごせるまちの実現を目指し、受動喫煙防止に関する施策を進めてまいりました。今般、健康増進法の改正や東京都受動喫煙防止条例が施行されたことを踏まえ、庁内にプロジェクトチームを設置し、組織横断的に検討を進めているところであります。

 まず、初めに、区施設における対応についてであります。

 都条例では、保育所や学校について、敷地内も含め禁煙となります。本庁舎や特別出張所などは、屋内は禁煙とするものの、屋外敷地に一定の基準を満たした喫煙所の設置が認められることとなりますが、本区においては、本庁舎や特別出張所などは屋外敷地内に喫煙所を設けることなく、全面的に禁煙としていく予定であります。また、現在喫煙室を設置している区民館などの施設につきましては、健康面に配慮し、分煙設備をしっかり確保した上で、喫煙室を残す予定であります。

 次に、飲食店等への支援や屋外における受動喫煙対策についてであります。

 区では、制度の幅広い周知を行うとともに、受動喫煙防止に関する専門相談窓口を設置し、区民はもとより、一万店を超える区内飲食店や事業者の皆様からの相談や問い合わせ等にきめ細やかに対応してまいります。また、美しく快適なまちづくりを推進していくため、区立公園における分煙環境を整備するほか、区内全域で巡回パトロールを実施いたします。加えて、条例施行に伴う業務を円滑に実施し、受動喫煙防止対策を庁内関係部署が連携して進めていけるよう、新たな体制を整備いたします。今後とも、庁内においてプロジェクトチームを組織し、効果的な対策の検討を進め、全ての人々が健康で安心して暮らせるまちを目指してまいります。

 次に、安全で快適な歩行空間の確保についてであります。

 区内には、沿道の状況によりまして、交差点付近などにおいて、構造上、歩道勾配が比較的大きい箇所があり、車椅子やベビーカーの利用者など誰もが安全かつ快適に移動できるよう、勾配の改善や段差解消を行う必要があると認識しております。本区では、これまで職員による道路パトロールを定期的に実施し、歩道の段差や勾配などの点検結果をもとに、交差点のバリアフリー化を行っております。さらに、バリアフリー法に基づく道路の移動等円滑化整備ガイドラインなどの基準により、平成十七年度から歩道の拡幅にあわせ、車道の高さを上げることで歩道勾配を緩和するセミフラット形式での整備を計画的に進めているところであります。今後も、引き続き道路のバリアフリー化を進め、利用者の視点に立った、人にやさしい歩行環境の整備を積極的に推進してまいります。

 次に、放置自転車対策についてであります。

 放置自転車は、歩行者や車の通行及び災害時の活動の妨げとなることから、区では、条例に基づき、注意・警告の上、撤去するほか、駐輪場の整備や放置禁止区域の指定を行ってきております。現在、区立駐輪場を二十一カ所、四千八百九十七台供用するとともに、駐輪場が整備された九つの駅周辺を放置禁止区域に指定しております。この結果、平成二十九年度の駅周辺の放置自転車台数が二千台程度と、ピーク時の半分以下となったことから、各種施策の効果によるものと認識しております。区といたしましては、もちろん、これで十分であるわけではなく、今後も人口増加が予測され、自転車利用者の増加も見込まれることから、既存駐輪場の周知による利用促進や、コミュニティサイクルによる共同利用の推進に努めてまいります。さらに、駅周辺以外の場所においても、大規模開発の機会や、広幅員の歩道の活用などによる駐輪場整備にあわせて、放置禁止区域を指定するなど、放置自転車対策のさらなる強化を図ってまいります。

 次に、違法な屋外広告物の対策についてであります。

 これも何回か質問を受けているところで、大変重要なことであります。公道上に看板等の広告物を設置することは、安全な歩行環境や良好な景観形成に支障を来すことから、道路法や東京都屋外広告物条例などにより禁止されております。本区では、日常パトロールのほか、地域や警察署との合同パトロールを定期的に実施し、設置者に撤去指導を行うとともに、管理できる状態にない場合には、法令に基づき、区で撤去しております。こうした取り組みを継続して行うことによりまして、改善が図られるものの、再び設置される状況も見受けられます。このような状況を改善するため、道路の正しい使用方法を周知することが重要であることから、営業許可の窓口となる保健所において、事業者への周知徹底に取り組んでおります。今後も引き続き粘り強く指導を行うとともに、パトロールの強化や他の自治体との情報交換も行いながら、より効果的な方法を検討するなど、安全な歩行環境や良好な景観形成に努めてまいります。

 御指摘にあったような公道のバリアフリー化や自転車の放置、あるいは広告物ですね。八王子市では屋外広告物対策として罰則を設けているということでありますから、もしできれば具体的に聞いて、そして、そういうところは優先的に、まず取り組んでまいりたい、こういうふうに思っているところであります。

 次に、幼児教育無償化についてであります。

 本年十月から実施されます児童教育無償化は、家庭の経済状況にかかわらず、子供を産み、育てやすい社会の実現を目指すとともに、全ての子供に対し質の高い幼児教育の機会を保障することを趣旨としたものであると認識しております。実施に当たっては、子供の年齢や施設等の形態により、無償化される範囲や金額が異なることから、保護者に対し、制度の内容を十分に説明、周知していく必要があると考えております。無償化の内容の詳細につきましては、未確定の部分もあることから、引き続き国の検討状況を注視し、確実に実施できるよう準備を進めてまいります。

 次に、無償化に伴う保育の質の確保についてであります。

 認可外保育施設に対する指導監督については、児童福祉法に基づき、都道府県が権限を有することから、保育士の配置も含めた検査や指導は東京都が行っております。施設への立入検査には区職員も立ち会い、指導状況を確認しているところであります。国では、今回の無償化を契機に、認可外保育サービスの質の確保・向上につなげていくため、都道府県による指導監督の充実を図っていくとしており、現在、具体的な取り組みについて検討を進めております。無償化後も、引き続き都が指導監督を担ってまいりますが、区も無償化給付を行う立場から、認可外保育施設とかかわる機会が生じるため、都との連携を強化し、保育の質が確保されるよう取り組んでまいります。

 次に、保育園における幼児教育についてであります。

 各保育園での幼児教育は、保育所保育指針に掲げられた、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を目指して指導計画を作成し、実施しております。指針を十分に理解し、保育を実践するためには、保育士の資質向上が重要であることから、区では、保育士を対象に研修を行い、スキルアップを図るとともに、必要に応じて個別に指導・助言を行っております。また、他園との交流を通じて、就学前に集団での活動を経験する機会も取り入れております。さらに本区では、小学校への円滑な接続を図るという観点から、就学前の幼児教育に関する情報交換や交流・連携等を推進するため、全ての保育所、幼稚園、小学校の参加による保幼小連絡会や地区合同研修会を実施しております。今後とも、保幼小の連携のもと、認可・認証、私立・公立を問わず、全ての保育所が就学前教育に対する基本的考え方を共有し、取り組みを推進することにより、本区の幼児教育の充実を図ってまいります。

 次に、小学校への接続に向けた午睡のとり方についてであります。

 午睡は、生活のリズムを構成する重要な要素であります。保育園では、児童により保育時間が異なることから、午睡時間についても、その日の児童の体調や状況により対応しております。保幼小の接続期カリキュラムでは、午睡について個別に明記しておりませんが、時間や一日の流れに見通しを持って生活することをポイントの一つとしており、保育園においては、小学校への入学に備えて、午睡の時間や日数を徐々に減らし、就学前に午睡を行わず過ごせるよう取り組んでおります。また、就学を意識した生活リズムをつくる上では、各家庭での過ごし方も重要であることから、今後とも就学前には早寝早起きの習慣を身につけ、規則正しい生活が送れるよう、保護者と園で連携を図ってまいります。

 次に、児童相談所についてであります。

 児童虐待については、初期段階におけるケースの把握と早期の対応が重要であることから、区では、特に子ども家庭支援センターをネットワークのかなめとして、学校や東京都児童相談センターなど関係機関との連携強化を図ってまいりました。その結果、平成二十九年度に同センターに寄せられた相談等の件数は百七十六件と、前年度の百四件と比べて大きく増加しました。なお、本年一月末現在は百四十二件となっております。また、児童相談所の開設準備状況につきましては、専門性の高い人材の確保が重要であることから、職員を東京都の児童相談所に派遣するほか、都や特別区職員研修所が実施する研修へ積極的に参加させるなど、人材の育成に努めているところであります。今後は、来年中の開設が予定されている他区の施設規模や運営状況等も参考にしながら、本区で開設する場合の課題整理をさらに進めてまいりたいと考えております。

 次に、本区における児童虐待等への対応についてであります。

 子ども家庭支援センターでは、平成二十九年度から職員を順次増員して人材を確保するとともに、東京都児童相談センターと速やかに連携しながら、児童虐待の防止や早期の解決に向けて取り組んでいるところであります。本年四月からは、妊娠期から子育て期までにわたる切れ目のない支援を通じて、育児不安を起因とする虐待のリスクを低減させるため、保健所・保健センターと子ども家庭支援センターの連携による子ども・子育て応援ネットワークを構築するなど、相談体制のさらなる充実を図ってまいります。また、東京都においては、都内全区市町村とともに児童虐待防止に向けた検討会を立ち上げ、施策立案や区市町村との連携強化を行うこととしており、区といたしましては、都や関係機関との連携をより一層深めながら、子供を虐待から守る環境の整備を進め、子供の権利利益の擁護と健やかな成長に寄与してまいりたいと存じます。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君) 
 教育問題についてお答えいたします。

 児童数の増加に伴う教育施設の整備についてであります。

 これまで、人口推計に基づき、児童数の増加が見込まれ普通教室の確保が困難な小学校については、増改築を行い、対応してきたところであります。これらの学校を含め、各小学校では、普通教室へ転用可能な多目的室や特別教室を保有しており、普通教室が不足した場合には、それらを改修していくことが基本となります。そのため、余裕を持って改修できるよう、各歳児別の人口や就学率などにより、毎年就学者数を予測しているところであります。今後も時期を失することなく、普通教室の不足が生じないよう、教育施設の整備に努めてまいります。

 答弁は以上でございます。

〔十六番 堀田弥生議員登壇〕

○十六番(堀田弥生議員) 
 いろいろ御答弁ありがとうございました。

 順番に感想を述べさせていただきます。

 まず、区政運営というところで、人口推計は、それこそ一昨年の基本構想策定に当たっても、本当に細かくきっちりとなさったということは十分承知しております。その中で、人の動きというのは動いていくものであるなということを実感したものですから、今回、改めてといいますか、あえて取り上げさせていただきました。

 ある住宅検索サイトの調査によりますと、二○一九年の、買って住みたいまちランキングというのがあったんですけれども、そこに三越前駅が十七位で初めてランクインいたしました。人形町駅も十二位へランクアップしました。月島駅は、この同じランキングで九位、勝どき駅は十六位へ、これはランクダウンという、そのような結果でございました。これも、このときのアンケートですので、ずっとそれが続いていくとかいうことではないのですが、ともあれ、これから住もうというふうに考える人たちの動向というのが、やはり変わっていくのではないかなというところを私自身は強く感じているものですから、そのことはお伝えさせていただければと思います。

 また、普通教室のほうも十分に対応可能な体制をとっていただいているということで、安心しております。ただ、本当に急激にふえていくというか、そのような傾向といいますか、そういうのを実際に目の当たりにしている中で、地域の方も、子供がふえてうれしいんだけれども、やはり怖いねというか、そういうところがあるものですから、その辺、はっきりと皆様にも知っていただけるようにということで取り上げさせていただきました。よろしくお願いいたします。

 次に、受動喫煙防止の面でございます。

 飲食店の方を対象に相談窓口を設置していただけるということで、大変ありがたいなと思います。区役所、また区有施設等においても、しっかりと対応していただけるので、その点、言葉が変かもしれませんが、本気度といいますか、中央区における受動喫煙防止に関する本気度を確認させていただけたかなと思っております。当然、喫煙する人にも吸う権利がありますので、場所によっては、きっちりとしたすみ分けをしていただければというふうに改めて要望したいと思います。また、現在、既に実施中の禁煙外来の補助制度についても、さらなる啓発をしっかり進めていっていただければなというふうに思います。

 また、安心して歩けるまちづくりということで、区長さんからも、最後、また改めてお言葉をいただいたんですが、本当にありがたく、他の自治体のことも踏まえ、参考にしていただきながら進めていただきたいと思います。八王子市のように条例制定ではないんですが、お隣、港区も平成二十一年六月一日に港区景観条例というのを施行しておりまして、それに基づく港区景観計画というのをつくっております。また、平成二十九年十二月には、港区屋外広告物景観形成ガイドラインを策定しております。罰則はないかと思いますが、いわゆるガイドラインということを策定することで、やはり区としてこういうスタンスでおりますよということのPRもできるかと思いますし、また周知も進んでいくのではないかなと思います。現状も、お店に営業許可を与える保健所のほうでチラシを置いていらっしゃるということもお伺いしましたので、それも大変心強い取り組みかなというふうに思いました。

 次に、幼少期における教育ということで、確かに、まだまだ未定の部分も多いということではございますけれども、しっかりと都と連携をとりながら、保育の質、また保育士の確保等、取り組んでいただきたいというふうに思います。特に保育士さんに、幼児教育の施設の一つという位置づけになったことによる、そういう意識の研修をしていただいていることで、それは非常に心強く思いました。

 あと、各園における午睡のとり方ですが、実際に入学前の一月もしくは二月ごろに徐々になくしていく、そういう取り組みを進めていくということで、しておられる園もあるとは伺っていますが、それを全ての園で徹底して行っていただきたいなということを確認の上、要望させていただきます。

 午睡の部分で、保育士の質の確保というところから、今回、区長の所信表明の中でも午睡中の事故を防止する安全対策を講じるという文章がございました。これは、恐らく新年度の新規事業として予算に上がっているベビーセンサーの導入のことなどを指しているのかなというふうに受けとめております。やはり午睡中の突然死というのが非常に多いというところから、ベビーセンサーを導入することで事故を防止することにつながっていると思いますし、非常に大切な事業であるというふうに評価しております。

 最後に、児童相談所でございます。

 件数がふえている。これは皆さんの、周りの意識が高まったことによる意味もあるかもしれませんので、それはそれで捉えておきたいなと思っております。

 児童相談所ができるまで数年かかりますので、何年後になるか、たしかまだ明確にはなっていなかったと思うのですが、それまでの間に、かわる体制をしっかりと充実させていくことで、児童虐待の予防、防止という点において大切かと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 これから始まる新しい時代も、我が中央区がよりよく発展し、また、住み続けることができるまちとなっていくことを祈念いたしまして、以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(瓜生正高議員) 
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員) 
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員) 
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時十一分 休憩


     午後三時三十分 開議

○議長(礒野 忠議員) 
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。まず、九番加藤博司議員。

〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員) 
 日本共産党の加藤博司です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問は、あらかじめ留保します。

 初めに、暴走する安倍政権について質問します。

 安倍政権は、安保法制、いわゆる戦争法、共謀罪、秘密保護法を初め、国民多数が反対する悪法を数の力で強行し続けています。沖縄県知事選挙で示された民意に逆らい、米軍基地建設を強行する姿は、この政権が国民の声に耳を傾ける姿勢がみじんもないことを示しています。民意無視の強権政治を厳しく批判します。

 この強権政治は、うそと隠蔽の政治と表裏一体です。森友・加計疑惑では、安倍首相のうそにつじつまを合わせるために、周りがうそを重ね、公文書の改ざんまで行われました。南スーダンでの自衛隊の日報隠し、働き方改革法をめぐるデータ捏造、外国人労働者の劣悪な労働実態が記された調査結果の改ざんと隠蔽、そして勤労統計の偽装など、強権政治を押し通すために、うそと隠蔽がこんなにも繰り返されるのは異常な事態です。

 最初に、安倍政権の、国民主権をないがしろにして民意無視の強権政治、うそと隠蔽の政治姿勢は許すことはできません。安倍政権の政治姿勢について、区長の見解を求めます。

 さらに、安倍政権は、昨年末、新防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を決定し、五年間で二十七兆四千七百億円の軍事費を投入する空前の大軍拡に進もうとしています。日本は、一機百十六億円もするF35などの米戦闘機を大量に購入しようとしていますが、F35A最新鋭ステルス戦闘機三機分を認可保育所の増設に回せば、二百二十一カ所の増設が可能です。一気に待機児童を解消することができます。

 さらに、憲法九条に自衛隊を明記し、戦争の放棄や戦力の不保持、交戦権の否認を定めた九条一項、二項を死文化させ、海外での自衛隊の武力行使を無制限にする憲法九条改憲を狙うなど、戦争する国づくりへの危険な暴走を続けています。この動きは、朝鮮半島で非核化と平和の流れが起こるもとで深刻な矛盾に直面していると考えますが、安倍政権のもとでの憲法改憲や大軍拡の動きについて、区長の御見解を求めます。

 また、安倍政権は、この六年間で一兆六千億円もの社会保障費の自然増を削減してきました。中央区政が、政府の言いなりで保険料など区民に負担を強いるのか、それとも国の悪政から区民を守る役割を発揮するのか問われています。区民に最も身近な自治体として、中央区政には、国の悪政から区民生活を守る防波堤としての役割を果たす必要があります。区長の政治姿勢が問われています。お答えください。

 次に、安倍自公政権が進める消費税増税についてです。

 総務省の家計調査では、物価上昇分を差し引いた実質家計消費支出は、消費税が八%に増税された二○一四年以降、急降下し、一世帯当たり年額二十五万円も減ったままです。国全体の消費で捉えるGDPでも、家計消費は八%増税による打撃を回復していません。また、毎月勤労統計調査の政府公表の数字でも、増税後、平均実質賃金は年十万円以上落ち込んでいます。消費が冷え込み、賃金・所得が落ち込む中で、ことし十月からの一○%増税で庶民に五兆円もの大増税をかぶせれば、日本経済に破滅的な影響をもたらすことになります。暮らしも経済も壊す大増税です。増税は必要という立場の学者や経済人からも、こんな経済情勢で増税を強行していいのかという声が上がっています。党区議団が行っている区民アンケートでも、年金生活なので増税は困る、ポイント還元は九カ月でなくなる、ずっと続くわけではない、一○%は続くと、増税への不安などが寄せられています。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、消費支出が減り、賃金も落ち込んでおり、増税の根拠は完全に崩れています。区民生活が増税に耐えられると考えるのか、また消費が冷え込んでいる経済状況下で増税を強行していいのか、いかがですか。お答えください。

 第二に、政府が発行する低所得者向け商品券などは、一度きりの対策です。増税された後、区民生活をずっと支える対策ではなく、一時しのぎにすぎません。消費税増税中止こそ最良の景気対策と思いますが、いかがですか。お答えください。

 次は、築地まちづくり方針(素案)についてです。

 一月二十三日、小池都知事が発表した築地まちづくり方針(素案)は、築地市場跡地の活用について、東京の持続的成長につなげていく必要があるとし、都心の大規模な土地の有効利用、国際競争力の向上に資する大規模集客・交流施設を中心とした再開発になっています。場外市場の業者が長年かけて育んできた築地ブランドを切り捨てるなど、多くの重大問題があります。小池百合子知事が二○一七年六月に言明した、築地は守るの約束は一体どうなったのでしょうか。二十一日未明の都議会本会議での施政方針でも、一言も触れられていません。

 小池知事が二○一七年六月に発表した豊洲市場移転の基本方針では、築地市場用地に食のテーマパーク機能を有する新たな市場を整備するとし、豊洲に移転した業者が希望すれば築地に戻れるようにすると約束していました。ところが、素案では、この約束をほごにしました。そればかりか、都心に残された貴重な都有地を民間の知恵を募集して再開発し、大企業の利益追求の場に提供するものです。

 さらに、東京都は、カジノを含む統合型リゾート、IRについて、カジノの制度構築を着実に行い、地方自治体に対して早期に適切な情報提供を行うよう国に提案、要求をしました。都の関係者は、カジノ誘致については実務的に調査を進めている、手を挙げるかどうかは小池知事の判断次第と語っています。

 日本共産党区議団は、築地市場移転後の築地場外市場や周辺地域において、四回の聞き取り調査を行ってきています。今月、二月十九日には、聞き取りなどで出された、カジノなんか要らない、できれば市場が戻ってきてほしいといった声を紹介し、四項目の申し入れを行いました。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、小池知事に対し、公約に立ち返って再開発方針素案を撤回し、市場業者、都民、築地市場の保存を求める建築関係団体の声を聞いて活用方法を再検討するよう求めるべきです。お答えください。

 第二に、中央区として、市場としての機能性にすぐれ、建築学的にも価値の高い水産仲卸棟は、保存・再生して後世に残すよう都に求めるべきです。お答えください。

 第三に、本会議場でも区長は、カジノは反対と述べています。中央区につくらせないという強い意思を都に伝える責任があると思いますが、いかがですか。お答えください。

 第四に、都に対して、場外市場関係者や地元住民、区議会の意見を十分に聞いて反映させるよう求めるべきだと考えます。いかがですか。お答えください。

 次は、国民健康保険料についてです。

 高過ぎる国民健康保険料と、また協会けんぽなどとの保険料の格差が全国的に大問題になっています。二十三区内に居住する給与年収四百万円の四人世帯が協会けんぽに加入した場合、保険料の本人負担分は約十九万八千円ですが、同じ年収・家族構成の世帯が国保加入者だと国保料は年四十二万六千円、実に二倍以上の格差が生じています。この二十五年間に、一人当たりの国保料が六万五千円から九万四千円と三万円も引き上がりましたが、同時期に、国保加入世帯の平均所得は二百七十六万円から百三十八万円に半減しています。加入者の所得は低いのに、保険料は一番高い。この矛盾が深刻化する中で、高過ぎる保険料が低所得世帯を苦しめています。

 公的医療保険は、国民に平等に医療を保障するための仕組みであり、加入する保険によって負担給付に大きな格差があることは、そもそも制度の趣旨に反します。こうした格差をなくすのは、社会の公平・公正という面からも当然のことです。政府・厚生労働省も、医師会などの医療関係者や全国知事会、全国市長会などの地方団体も、国保を国民皆保険を下支えする最後のセーフティネットと位置づけており、全国知事会は、国保制度の持続的運営と国保料を協会けんぽの保険料並みに引き下げるために、一兆円の公費負担増を政府に要望しています。高過ぎる国保料を協会けんぽの保険料並みに引き下げることは喫緊の課題です。

 それなのに、政府・厚労省は、国保料を下げるために各自治体の努力で行っている法定外繰り入れを削減・解消すべき赤字と決めつけ、中央区は、今年度、法定外繰り入れを二億円も削減しました。その結果、国保料は四千円も引き上げられました。高過ぎる国保料のため、中央区の滞納世帯は、加入世帯の二○%を超えています。さきの二○一八年第四回定例会で、我が党の奥村議員の一般質問に対する区の答弁で、滞納世帯は五千九百三十七世帯、所得階層別内訳は賦課の基礎となる所得二百万円未満が三千百八十九世帯と、半数以上が所得二百万円未満だということが明らかになりました。

 また、二○一七年度差し押さえ件数は二百五十九世帯、所得階層別では二百万円未満が五十七世帯と答えています。区長は、今後も被保険者間の公平性を確保するとし、一定の目標を掲げ、差し押さえを行う考えですが、滞納者を追い詰める取り立てをやめ、生活再建型で相談に乗る国保行政に切りかえるべきです。

 そこで、区長に質問します。

 第一に、区が行った二億円の法定外繰り入れの削減を撤回し、増額を求めます。お答えください。

 第二に、国保料滞納者に対して、一定の目標を掲げ、差し押さえを行うとしていますが、一定の目標とはどんな目標ですか。具体的な数値をお答えください。

 次は、世帯の人数に応じて課せられる均等割についてです。

 国保料は、所得に応じて決まる所得割と、ゼロ歳児を含め、加入する家族の人数によって決まる均等割があります。均等割は、家族がふえるたびに一定額の負担がふえる仕組みで、会社や事業所で働く人たち、その家族も一緒に加入する組合健保や協会けんぽなどにはない制度です。原始的で過酷な税とされる人頭税と同様の仕組みです。そのため、国保は、多人数世帯でとりわけ負担が重くなっています。三十九歳以下の人の場合、医療分と支援分を合わせると一人五万一千円にもなります。家族が一人ふえるごとに十万二千円、十五万三千円と、国保料の負担が重くなります。均等割は、ゼロ歳児にまでかかります。また、加入者の医療費を賄うための医療分だけでなく、高齢者医療を支えるために拠出する支援分にも均等割があります。ゼロ歳児にまで、高齢者医療を支えるための負担を求める、まさに不合理きわまる仕組みです。

 そこで、区長にお聞きします。

 均等割軽減を求めますが、いかがですか。お答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 
 加藤博司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、安倍政権についてであります。

 長期政権となった安倍政権のもとで、公文書の管理や毎月勤労統計調査などについて、さまざまな議論が国会でなされていることは承知しておりますが、今後、これらの諸課題について、国においてしっかりと対応されるべきものであると考えております。また、我が国を取り巻く安全保障に関する環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性が増しているとの認識のもと、昨年十二月に防衛計画大綱が改定されたものと承知しております。国民の生命と財産を守るための必要最小限の自衛措置に要する防衛装備の水準や国の予算のあり方などにつきましては、国会で十分な審議が行われ、国の責任において適切に対応されるべきものであります。憲法改正につきましては、いずれの内閣のもとであっても、国民的議論が幅広く展開されることが何よりも重要であります。その上で、国権の最高機関である国会において、十分な議論がなされるべきものであると考えております。

 次に、社会保障制度と消費税についてであります。

 社会保障に関する給付と負担のバランスの見直しや消費税率の引き上げは、少子高齢化に対応し、将来にわたって持続可能な全世代型社会保障制度の実現と安定的な財源確保による財政健全化のためのものと認識しております。社会保険料や租税も含めた国民負担のあり方については、国の責任のもと、総合的に検討されるべきものと考えており、国民健康保険制度における財政支援や保険料負担軽減策の拡充などにつきましては、引き続き特別区長会等を通じまして国や東京都へ働きかけてまいります。また、消費税率の引き上げは、区民生活や景気に大きな影響を及ぼすものであり、国は消費を喚起し、下支えするための低所得者・子育て世帯向けプレミアム付き商品券の発行などの景気対策を予定しているところでありますが、区といたしましても、共通買物券の発行額を増額し、過去最大規模となる総額六億六千万円分を発行するなど、地域経済を担う中小企業や商店街を積極的に支援してまいります。いずれにいたしましても、消費税率の引き上げ、経済環境や社会状況の変化に柔軟に対応しつつ、区民の生活を守り、景気浮揚のための施策の充実に取り組んでまいらねばなりません。

 次に、築地市場跡地の再開発についてであります。

 築地市場跡地に残存する建築物については、八十年以上の長きにわたり運用されてきたものであり、一部の方から保存の声が上がっていることについては承知しております。しかし、跡地については、来年に迫った東京二○二○大会の成功に欠くことのできない輸送拠点として活用されるとともに、区内の交通問題の解決に資する環状第二号線の整備も行われており、これらの工事が遅滞なく進められていくことが重要であると考えております。

 次に、築地の跡地の再開発についてであります。

 今般公表された築地まちづくり方針(素案)において、国際会議場や上質なホテル、交通結節機能の充実などにより、東京全体の活力・競争力の向上を図り、日本全体の成長の源泉としていく方針が示されております。この方針は、これまで区が主張してきた方向性にほぼ合致するものでありますが、示された将来像は二十年以上先のものであり、より迅速な整備が必要であること、築地ブランドを引き継ぐ築地場外市場との連携も不可欠であることなど、地元区として主張すべき課題・要望は、今後もしっかりと東京都に伝えてまいります。

 次に、国民健康保険料についてであります。

 国民健康保険の現状として、被保険者の年齢構成が高く医療費水準が高いことなどから、保険財政の脆弱化が進んでいるという構造的問題が指摘されております。今般の制度改正では、安定的な財政運営等を図り、将来に向けて制度を持続可能なものとするため、都道府県が国保運営の中心的な役割を担うとともに、保険者による一般財源の法定外繰り入れを段階的に解消する方針が示されております。区といたしましても、この方針に沿って、収納率の向上や医療費適正化に取り組みながら、法定外繰り入れの縮減に努めてまいります。また、さらなる財政支援の拡充について、引き続き特別区長会等を通じて国に要望してまいります。

 次に、国保滞納者の差し押さえについてであります。

 差し押さえに関する一定の目標につきましては、滞納整理業務における債権の適正管理を趣旨として設定しているものであり、今年度においては年間百五十件以上としております。この数値は、あくまでもこれまでの実績等を踏まえて目安として掲げたものでありまして、実際の執行に当たりましては、生活状況の聞き取りや財産調査等、個々の状況を丁寧に確認した上で行っております。引き続き、差し押さえは収納相談の重要な機会と捉え、きめ細やかな対応に努めてまいります。

 次に、均等割軽減についてであります。

 相互扶助を理念とする国民健康保険においては、被保険者に応分の保険料を負担していただくというのが基本の考え方となっております。その上で、所得の低い世帯におきましては、被保険者数が多いほど、均等割額の軽減を受けることができる仕組みが設けられ、一定の配慮がなされているところであります。さらなる均等割額の軽減につきましては、保険料の算定方法が国民健康保険法施行令等で定められており、区独自の取り扱いは法令上の疑義があるため、困難と考えております。区といたしましては、特別区長会を通じまして、多子世帯への支援など、均等割額の軽減措置を初めとした制度の見直しについて、引き続き国に要望してまいります。

 答弁は以上であります。

〔九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員) 
 ただいま区長から答弁いただきましたけれども、非常に残念でなりません。

 今の安倍政権の暴走政治とは、一体何が問われているのか。現象面ではいろいろとありますけれども、私は、この国の民主主義そのものが問われているのではないかと、厳しくそういうふうに批判したいと思うんです。実際、昨日行われた沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の県民投票では、圧倒的多数で県民の皆さんは、これは嫌だ、ノーだと。しかし、菅官房長官は、結果にかかわらず進めるんだと。果たして、これが民主主義の世の中で通る論法なのか。私は、厳しくその点について批判をしたいと思います。

 そして、消費税の問題、さまざまなことを言われましたけれども、消費税そのものというのは、どういうものなのか。日本共産党は、所得の少ない世帯ほど税負担が重くなるという逆進性の高い税制だと、庶民いじめの消費税導入そのものに反対しております。私は、消費税増税でなく、アベノミクスのもとで空前の利益を上げている大企業や富裕層の皆さん、カルロス・ゴーンさんなどもしっかりお金をためていますよね。そういうところに応分の負担を求めれば、増税しなくても、きちんと財源は確保できる、このように考えております。

 実際、消費は持ち直していると。しかし、実際は、それはかさ上げされた内容だったということが明らかになっているわけですから、やはり消費税増税については、区民の暮らし、本当にこれから厳しくなる、厳しくしていく。一度きりのいろいろなことをやっても、一○%というのは今後十年、二十年と続くわけですから、やはりそういうものをきちんと見ていく必要があるのではないかと思います。

 そして、築地の問題についてですけれども、やはり私は、きょう、もう一度この場所で、カジノは要らないんだということを区長の口から、しっかり聞きたかった。しかし、協議はしていくと言っておりますけれども、そのことがやはり残念でなりません。

 そして、国保の問題です。

 私が先ほど言ったように、滞納世帯の全国平均が一五%ぐらいだというのに、中央区は二○%を超えているわけです。この実態をどう見るか。保険料が高いわけですよね。その問題について、やはりちゃんと見ていく必要があるんじゃないかと思うんです。この点について、国保加入者間の公平性を確保すると区長は必ず言うんですけれども、協会けんぽ、組合健保との格差についてどのように考えているのか、この点について再度答弁を求めたいと思います。

 もう一つ、ゼロ歳の赤ちゃんにもかかる均等割は、子育て支援にも逆行する。私は説明しましたけれども、人頭税とも言える均等割は、区の努力で軽減することを再度求めたいと思います。もう一度、この点について答弁をお願いいたします。(拍手)

〔福祉保健部長 黒川眞君登壇〕

○福祉保健部長(黒川眞君) 
 国保に関する再度の御質問に対しまして、御答弁を申し上げます。

 まず、一点目の協会けんぽを初めといたします保険制度間の公平性という御指摘でございます。

 国におきましては、それぞれ被用者でありますとか、自営の方々、そういった被保険者の特性に応じて、それぞれ一定程度の独立性を持った保険制度ということで制度設計がなされているところでございます。保険制度の運営に当たりましては、それぞれの保険制度に応じた財源によりまして運営をされているというところでございます。例えば、協会けんぽで申し上げますと、被保険者の保険料のほかに、企業負担等々によって成り立っている。国保制度につきましては、保険料のほかに、さまざまな公費負担、それから被用者保険からの前期高齢者交付金という形でございますけれども、そういった形で一部財源の支援を受けながら運営をしているという実態でございます。

 いずれにいたしましても、こういった医療保険制度、全国民的な課題でもございますので、そういった制度のあり方につきましては、国におきまして慎重に議論をして進めていっていただきたいというような考えでございます。

 また、人頭割というような御発言がございました、国保での均等割ということでございます。

 区としても努力をというような御意見でございましたけれども、国民健康保険制度につきましては、基本的には、保険料の徴収の仕方、それから設定の仕方につきましては、事細かに法令で定められております。一部の自治体におきまして、均等割の軽減という仕組みを設けている自治体もあると聞いておりますけれども、その際も、やはり一律に軽減するという考え方は法令に反するという見解が示されております。また、減免という形で軽減をしているという例もあるというふうに聞いておりますけれども、そもそも減免制度自体は、被保険者の個々の状況に応じて判断すべきということで、一律の基準に当てはめまして、広く減免の対象者を設定するという考え方は、法の趣旨に合わないといったような見解も示されているところでございます。

 いずれにいたしましても、この均等割の問題も含めまして、国保制度に関する見直しにつきましては、毎年度、国への要望ということで、特別区としても粘り強く努めているところでございますので、そうしたことも踏まえて、今後の国の動きを注視してまいりたいというふうに考えております。

 答弁は以上でございます。

九番 加藤博司議員登壇〕

○九番(加藤博司議員) 
 今、答弁いただきましたけれども、先ほども紹介しましたように、明らかになったように、滞納世帯の収入が中央区で二百万円未満、どういう生活をしているのか、私は心配でなりません。今まで以上に保険料を引き上げることになる。法定外繰り入れ削減はとんでもない。削減の撤回と増額を求めます。

 また、多子世帯に負担の重い均等割は軽減することを求めて、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(礒野 忠議員) 
 次に、十九番小栗智恵子議員。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員) 
 日本共産党の小栗智恵子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して、質問します。なお、再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

 初めに、二十二日に行われた区長の所信表明についてです。

 区長は、所信表明の中で今期をもって退任すると表明され、八期三十二年の足跡を述べられました。区長が就任された一九八七年当時、地価高騰と底地買いの横行で、急激な人口減少とまちの空洞化が進んでおり、区長は、切実な危機感から、都心に人が住めるようにしようと定住人口回復に取り組んできた、当時は、都心居住は現実的ではないなど、国や東京都を含め周囲からの見方は冷ややかで、いわば孤軍奮闘のような状況だったけれども、信念をもって快適な都心居住に向けたまちづくりを進めてきたと述べられました。

 国や東京都の冷ややかな対応に抗して、区民の暮らしを守るために頑張ることは、地方自治の真髄だと思います。地価の高騰で、相続税の納税のため売却や現物給付を余儀なくされ、住みなれた土地を離れざるを得ない事態が深刻になった一九九三年には、区長を先頭に、町会連合会、区議会、区の三者主催で、固定資産税、相続税の大幅な負担軽減を求める区民大会を成功させ、国や都に要請行動したこともありました。日本共産党区議団は、大企業による土地の買い占めや乱開発を抑えるために開発指導要綱を制定することや、低家賃の公共住宅の整備などを提案し、子供の声が聞こえるまちにしようと皆さんと力を合わせてきました。

 人口回復に向けたさまざまな取り組みや区の努力の結果、九七年には七万人を切るのではないかという人口減少に歯どめをかけ、昨年五月には五十九年ぶりに十六万人を超える人口回復となりました。しかし、急激な人口増で、さまざまなひずみが生じていることも直視しなくてはならないと思います。

 一九九七年には、区内ほぼ全域に地区計画の変更でマンション建設の誘導策を導入しました。当時の都市計画審議会で、日本共産党の森山一委員は、建てかえを促進するための地区計画変更が、乱開発につながるもろ刃の剣だと指摘しました。その指摘どおり、規制緩和の恩恵を受けて、マンション建設が各地で進み、区外からの入居者がふえて、急激な人口増加となりましたが、立ち退かざるを得なくなった人、区外に転出せざるを得なかった人も多かったことも忘れてはなりません。

 マンションの建設ラッシュは現在も続いており、直近の五年間だけでも三百十二件のマンションが新築されました。同時期に二百六件の相隣問題の相談が寄せられ、工事中の問題や住環境への影響について不安や懸念が広がっていることを示しています。急激な人口増や住民の入れかわりで、町会を中心とした地域コミュニティが困難な状況に追い込まれています。また、マンションの中で暮らすひとり暮らしの高齢者の支援も大きな課題となっています。こうした中、ことし一月、マンション建設の抑制のため、容積率緩和をやめる地区計画の変更を行いました。地区計画について、どう総括し、住環境や地域コミュニティに与える影響について、どう検討し、マンション抑制策を図ることにしたのか、理由をお示しください。

 まちづくりの問題では、私たち党区議団は、都心再生、国家戦略特区構想など、国や東京都とともに巨大開発を進めている姿勢について、一貫して問題点を指摘してきました。開発事業の全部に反対しているのではありません。老朽化対策の必要な建物の更新や、市街地再開発で共同化による建てかえを行い、緑地や公共施設も整備し、従前居住者の方も住み続けられるまちをつくることは否定しません。

 しかし、以前、区は中央区を丸の内や汐留のようなまちにはしないと言っていたのに、東京駅八重洲口には、城東小学校を種地とした八重洲二丁目一地区など、四棟の高さ二百五十メートル級の超高層ビルが立ち並ぶ計画を国家戦略特区として進め、丸ビル、新丸ビルよりさらに高いビルを建設するために、容積率の割り増し、区道の廃止・つけかえなどのさまざまな規制緩和や優遇策、学校敷地の提供、莫大な補助金の投入が行われています。

 中央区には、銀座ルールという、地元の合意のもとで建物の高さを制限し、まちの特性を生かしたまちづくりを進める、誇るべきルールがあります。それなのに、一方では、八重洲や日本橋エリアは規制緩和の大サービスで、高さ二百五十メートルを超えるような超高層ビルを乱立させ、財界や大企業の利益追求の再開発事業に補助金も投入し協力しています。これが世界一の都市を目指す東京都の牽引役の仕事ということなのでしょうか。御見解をお示しください。

 所信表明では、介護保険や子ども・子育て支援など、社会保障制度の枠組みが変わる中で、特別養護老人ホームや保育所などの整備など、区民福祉の向上に取り組んできたと述べられました。確かに、区立の特別養護老人ホームの整備や、区独自のおとしより介護応援手当、出産支援タクシー券の贈呈など、きめ細かな福祉施策を行ってきたことについては評価するものです。子供の医療費無料化についても、他区に先駆けて実施されてきました。

 私たち日本共産党区議団は、一九九二年三月に乳幼児医療費無料化の条例案を提案し、その年の五月に全会派で区長に要望書を提出したことにより、九三年四月から三歳未満の医療費助成制度が始まり、二○○七年には中学生まで通院・入院とも窓口負担が無料になる助成制度が実施されています。その後も、日本共産党区議団は、千代田区のように十八歳までの医療費の無料化をぜひ実施するよう求めてきました。しかし、区はいまだに実施しようとしていません。高校、大学進学時期は教育費負担も重い中で、子育て支援、健康の増進のために、ぜひ実施すべきと考えます。実施する場合の費用は一億三千万円と試算されます。やる気があれば可能だと考えますが、御見解をお示しください。

 さらに、現在、区独自に進めてきた福祉のサービスを、人口増で対象者がふえたことを理由に、敬老祝品の対象年齢を引き上げて贈呈額は削減したり、出産支援タクシー券も三万円から一万円にするなど、人口増で区民税の収入もふえているにもかかわらず、福祉の施策は細かく見直しを行い、サービスの削減を進めていることは問題です。

 また、国は、年金、医療、介護などの予算を削減し、制度の改悪を進めていますが、区民に一番身近な自治体が、そうした福祉切り捨ての防波堤になって区民の暮らしや福祉を守るべきだと考えます。しかし、残念ながら、この間、生活保護世帯への夏期・歳末見舞金が廃止され、介護保険利用料三%への減額制度を打ち切ることも決めています。新年度には後期高齢者医療制度の軽減特例の廃止が実行に移されようとしています。福祉の増進を図ることは、自治体の責務です。福祉サービスの復活や事業の継続、充実を求めます。いかがですか。見解をお示しください。

 次に、新年度予算案に関連して、幾つかの問題について質問します。

 第一に、待機児対策についてです。

 人口増にインフラ整備が追いついてない問題で、最も深刻なのが保育所不足です。土地がない、区立は困難だとして、整備計画は当初、都が規制緩和で打ち出した認証保育所が中心でしたが、日本共産党区議団は、都有地の活用などで、園庭のある認可保育所の整備を進めるよう求めてきました。現在、区内には区立保育所・子ども園が十六施設、民間の認可保育所が三十六施設と、認可保育所が主流となり、定員も十年間で二千七百二十五人ふえて四千二百三十人となりましたが、それでも待機児がふえ続けて、今現在、四月入転園を希望して内定していない人数は七百六十六人という深刻さです。新年度予算で保育所の増設も計画されていますが、待機児解消は計画どおり達成できる見通しなのか、お示しください。

 また、新年度予算で、認可保育所の入所が待機となっているゼロ歳から二歳児クラスの児童を対象に、居宅訪問型保育事業を定員十人程度行うとしています。昨年七月に保育ママのもとで午睡中の死亡事故が起きており、現在、事後的検証委員会で安全性の検証などの審議が行われ、まだその報告も出ていない状況の中、住宅の安全性などの要件を確認して実施される保育ママよりも、さらにリスクのある居宅訪問型の保育サービスを導入するというのは大問題だと考えます。きちんとした検証もなく、実施するのはやめるべきです。お答えください。

 第二に、学童クラブと子どもの居場所プレディについてです。

 新規にプレディで学習支援を行うことは評価しますが、児童館での学童クラブがいっぱいで、原則一年生から六年生まで利用できるはずなのに、一・二年生で定員いっぱいの状況になっているところもあります。プレディで解消せず、希望者が安心して通える学童クラブの増設を進めるべきです。御答弁ください。

 第三に、受動喫煙防止対策についてです。

 健康増進法、東京都受動喫煙防止条例施行に伴って、本庁舎などの喫煙所の撤去、灰皿を設置している区立公園の分煙環境の整備などが予算化されていますが、子供も利用する公園は全面禁煙にすべきではないでしょうか。また、多くの人が利用する民間商業施設での無煙化促進や、飲食店で禁煙にするとむしろ収益が上がるという調査結果などを積極的に周知し、無煙化を促進するため、飲食関係団体に協力を求めることが大切だと考えます。御見解をお示しください。

 第四に、特別支援教育への対応では、心身に障害のある児童・生徒を対象とする特別支援学級に通う人数がふえ、教室不足が深刻化してきていますが、特別支援学級の増設計画は進んでいますか。お答えください。

 次の質問は、日本橋上空の首都高地下化についてです。

 二月に、神田橋ジャンクションから江戸橋ジャンクションの首都高地下化工事についての都市計画変更素案説明会が行われました。二月十七日の説明会では、会場からは、ルート案は何案を検討したのか、三千二百億円かかると言われているが、川底を掘る工法ならまだしも、地下深くトンネルを掘る工事では実際はもっと経費がかかるのではないか、地上部の新設道路の図が示されているが、現在は建物がある場所、建物は撤去するのか、今回説明された部分以外の高速道路の耐震化などはどうなるのかなど、さまざまな質問、意見が出されました。それに対して、高速道路の橋脚部があるので、川の下を掘ることはできない、高架部と地下トンネルを結ぶ地上部道路予定地にある建物については、区が既に別の再開発の場所に移す相談に入っているという説明がありました。まだ質問したいと十人以上の挙手があったのに、時間ですのでと打ち切ってしまいました。説明会のあり方も問題だと考えます。

 日本橋川の川底を交差し、高速道路のくいを避け、地下鉄を避けて、日本橋の上空だけ地下化するのは大変な難工事で、さらに費用が膨らむのは目に見えています。地下化をやめて撤去することをもう一度真剣に検討すべきだと考えます。御答弁ください。

 今回の説明会では、江戸橋ジャンクションでの渋滞を避けるため、環状線機能は八重洲線を使うことが示されていました。そうであるなら、なおさら江戸橋・神田橋間を撤去することも可能だと感じました。撤去した場合のシミュレーションの上、地下化を決定したと言われていますが、実際に当該路線を通行どめにして社会実験を行い、撤去した場合の影響を実地に調査することを求めたいと思いますが、いかがですか。御見解をお示しください。

 実際に工事を始めるとしても、来年の東京五輪後だというのに、ことし八月には道路部分の都市計画変更の手続を行ってしまおうというスケジュールは、余りに急ぎ過ぎではないでしょうか。なぜ都市計画決定を急ぐのか、理由をお示しください。

 日本橋川沿いでは巨大再開発計画が進んでおり、再開発にあわせて地下化工事を進める予定です。日本橋コレドのある中地区は既に都市計画決定され、全体で五カ所の再開発計画が動いており、首都高地下化とリンクさせて、空を塞ぐような再開発を進めることは問題です。地権者や、その周辺でも反対の声があります。計画の抜本的な見直しを求めます。御見解をお聞かせください。

 以上で第一回目の質問を終わります。御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)

〔区長 矢田美英君登壇〕

○区長(矢田美英君) 
 小栗智恵子議員の質問に順次お答えいたします。

 初めに、地区計画の変更についてであります。

 本区は、定住人口の回復と防災性の向上を目的に地区計画を導入し、その運用を適切に行ってまいりました。導入後も、ワンルームマンションの規制や生活関連施設の誘導など、地域ごとに住環境及び地域コミュニティの向上に資する土地利用のあり方等を検討し、必要に応じた地区計画の改定を行いながら、その成果を上げてきたところであります。今回の地区計画の改定は、定住人口の回復が達成されたことから、住宅の容積緩和を廃止し、あわせて地域に必要な保育所などの公共施設や地域に開かれた良質なホテルという用途に着目した検討を行い、良好な都心生活地の形成と良質な地域のにぎわいの創出を目指して改定を行ったものであります。

 次に、八重洲、日本橋エリアのまちづくりについてであります。

 当地域は、戦後いち早く復興したまちであることから、建物の老朽化対策が地域共通の課題となっており、合理的かつ健全な土地利用を実現する市街地再開発事業は、まちの課題の改善を図る有効なまちづくり手法の一つであります。当地域の市街地再開発事業は、国が定めた都市再生緊急整備地域の整備方針に即した計画であり、国際的な高次の中枢業務機能のほか、商業、文化、交流など多様な都市機能の集積とバスターミナルなど、重要な都市基盤の強化を兼ね備えた拠点整備となっているものであります。そのため、それら再開発事業は、世界一の都市を目指す東京の牽引役を果たしているものでありまして、本区のまちづくりに不可欠なものであります。

 次に、子ども医療費助成についてであります。

 子ども医療費助成は、子供の健全な育成及び保健の向上に寄与するとともに、児童福祉の増進を図ることを目的に、成長発達段階の重要な時期である義務教育就学期の中学生までを対象に実施しております。対象者数は現在約二万二千人と、五年間で約五千人ふえております。今後も人口増加が見込まれることから、将来的に財政負担を伴うこと、また、医療費の増加による各種保険制度への影響を考慮する必要があることなどの課題があり、対象年齢の拡大は困難であると考えております。

 次に、福祉施策の充実と見直しについてであります。

 区ではこれまで、人口の増加や年齢構成の変化等に対応しながら、高齢者、子育て世代などへの支援やサービスを充実してまいりました。一方、限られた財源の中で、今後もさらに増大し、多様化する区民ニーズに対応するためには、常に各施策を点検・評価し、公平性や負担と給付のバランスなどにも配慮した上で、より効果的な施策への転換を図っていくことが重要となっております。このたびの見直しも、そうした観点から行ったものであります。今後とも、区を取り巻く環境の変化を的確に捉え、子供から高齢者、障害のある方まで、全ての区民が生涯を通じて自分らしく生き生きと暮らし続けられる福祉施策を推進してまいります。

 次に、待機児童対策についてであります。

 新年度予算では、新たに四園を開設し、二百三十二人の定員を拡大する予定となっておりますが、乳幼児人口及び保育ニーズは今後も増加することが見込まれており、引き続き保育定員を拡大していく必要があると認識しております。このため、平成二十九年度に見直した子ども・子育て支援事業計画に基づき、私立認可保育所に対する開設支援の充実を図りながら、引き続き計画に沿った保育所整備を進めてまいります。さらに、新たに待機児童を対象とした居宅訪問型保育事業を実施し、十人程度の定員拡大を図ります。同事業は、利用者の自宅内で保育を行うことから、利用開始前に事業者が家庭を訪問し、安全な保育環境が確保されることを確認した上で実施いたします。これらの施策を通じ、可能な限り早期に待機児童の解消を図るべく、保育定員の拡大に努めてまいります。

 次に、児童の放課後の居場所についてであります。

 区では、これまでも施設の改築や大規模改修にあわせて学童クラブの定員を拡大するとともに、既存施設においては弾力的な運営による定員の一部拡大を図り、増加するニーズに応えてまいりました。また、学童クラブの定員を超えるニーズに対しては、プレディの開設時間の拡大など充実を図り、双方連携して対応しているところであります。今後とも、学童クラブとプレディがそれぞれの特色を生かしながら、一体的な運営の仕組みづくりを進めるとともに、施設整備の機会を捉えながら、児童が安心して過ごせる多様な居場所の確保に向けて検討していく考えであります。

 次に、子供も利用する公園の受動喫煙防止対策についてであります。

 公園においては、植栽プランターの設置など、分煙環境の整備とともに、児童遊園や子供たちが利用する遊具の近くなどに設置されていた灰皿は撤去しております。平成三十一年度は、浜町公園、本石町公園において分煙対策を図るなど、今後も公園内における喫煙マナーの周知徹底を行うとともに、公園の利用状況に十分配慮した上で、分煙環境の整備を行ってまいります。

 次に、商業施設や飲食店の無煙化についてであります。

 区内の商業施設におきましては、飲食施設では分煙で、小売施設は禁煙とする事例が多くなっております。一般の飲食店につきましては、保健所においてステッカーを配布することにより、禁煙あるいは分煙とするよう呼びかけております。今後は、法と都条例の円滑な施行に向けて、飲食業の皆様の御理解と御協力をいただきながら、喫煙者と非喫煙者が共存できるまちを実現することにより、受動喫煙から区民の健康を守ってまいります。

 次に、日本橋上空の首都高地下化についてであります。

 首都高地下化につきましては、一昨年の七月に国と都から具体的な検討に着手するとの発表以降、首都高日本橋地下化検討会が設置され、技術的な検証等を進め、昨年七月に関係者間で地下ルート案等が取りまとめられたところであります。本検討会で示された首都高の交通状況や対象区間を単純に撤去した場合の影響を考慮すると、都心環状線の機能は継続して必要であるものと認識しております。また、社会実験については、現在の首都高環状線の交通量が全体で日量約四十万台で、当該区間は約十万台であることから、社会的影響が極めて大きく、現実的ではないものと考えております。さらに、本取り組みは、日本橋川沿いの再開発事業との連携を前提として検討してきたものでありまして、首都高の都市計画変更は、関係する再開発と足並みをそろえた形で手続が行われるものであります。なお、川沿い五地区は、日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョンを共通理念としており、川沿い街区において空地の創出や低層化を図りながら、世界に誇れる魅力的な水辺空間の形成に取り組んでいるものであり、計画の見直しは考えておりません。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君) 
 教育問題についてお答えいたします。

 特別支援教育への対応についてであります。

 現在、本区では、特別支援学級を明石小学校、月島第二小学校、銀座中学校に設置し、主に知的に課題が見られ、支援が必要な子供たちに対し、一人一人の自立と社会参加に向けた教育の充実を図っているところであります。ここ数年の学級数を見ますと、各学校とも二学級から三学級程度で推移しております。将来的には、学齢人口の増加に伴い、特別な支援を必要とする児童・生徒もふえることが予想され、特別支援学級の増設も計画的に行わなければならないと認識しております。今後も、適切な就学相談を進めるとともに、特別支援学級に在籍する児童・生徒数の推移を見守りながら、設置時期や開設する学校について検討をしてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員) 
 御答弁をいただきましたが、何点かに絞って再質問をさせていただきます。

 まず、地区計画の変更によるマンションの抑制策についてです。

 一九九七年に、この地区計画を、マンションをどんどんつくろうという方向に大きく変更しようとしたときに、これは建てかえを促進するのとあわせて乱開発を呼んでしまうものだということで、もろ刃の剣だということで、日本共産党の森山委員は保留をいたしました。そこで言った問題点が、今、あふれているというふうに思います。インフラ整備が追いつかない、こういう状況が続いて、そのために、これからはマンションの建設を抑制するという方向になっていますけれども、先ほども御答弁があったように、今度はホテルだということになっています。同じ轍を踏むのではないかというふうに危惧をいたします。広域にばっと容積率の緩和などをやってしまう、そういうことに対しての反省がないのかについて、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

 まちづくりの問題では、世界一の都市を目指す東京都の牽引役を果たすのだというお話がありました。世界一の都市というのは、どういうものを言っているのでしょうか。超高層ビルを乱立させることが世界一の都市、マンハッタンのようなまちを目指しているのかということを問いたいと思います。

 こうした大規模開発に、区道も廃止したり、学校の用地も提供したりして、補助金も新年度でも九十三億円も市街地再開発関係に投入されるということになっています。この点は、ぜひ区長に、どういう都市を世界一の都市と言っているのか、どういう都市を目指しているのかについて、再度御答弁をいただきたいと思います。

 福祉の問題では、いろいろな時代の変化に対応して、今までやってきた事業も削るという方向が示されました。道路占用料は、今度の改定で十億円の増収になります。そういう財源をきちんと使って、今までやってきた事業を継続していくということは十分可能だと考えます。国の制度がどんどん悪くなる中で、その被害が区民に及ばないようにするというのは、中央区がやるべき仕事だと思います。全く継続について検討する余地もないのか、改めて伺いたいというふうに思います。

 首都高の問題では、日本橋の上空に青空を取り戻そうというのは悲願であり、四十四万筆もの署名に託された願いではありますけれども、首都高全体の老朽化が問題になっていて、交通網全体の見直しも求められているときに、わずか一・八キロメートルだけに三千二百億円以上のお金を投入して地下化するということが、本当に多くの国民の理解が得られる、そういうものなのかということを問いたいと思います。一・八キロメートルに三千二百億円ですから、一メートルつくるのに一億八千万円もかかる。どうしてもこれしかないということなのか、改めて問いたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君) 
 地区計画をめぐって、いろいろ御議論があったわけでございますけれども、実際には、地区計画というものをてこにして、まちづくりというものに区がどういうふうに地元とかかわれるかということを始めたのは、実は、平成七年、八年の時点で、私どもとしては、いろいろ議論を地元で開始したわけでございます。

 私どもが地区計画について考えるときに、考えなければならない側面は、そのまちのありようというものと現在の法律が合っているかという問題があって、そこのところをどういう形で地区計画をまとめるかという考え方を一つするわけでございます。

 それから、もう一つ、これは大事な要素なんですが、実は、本区は日本一土地の値段が高いところでございますから、従前、かなり違反建築というのがたくさんありました。実際には、この違反建築物を是正させなければならないんですが、書類上は完璧に申請はしてくるんですが、実際に建ってしまうと、後で変わってしまうというような違反建築もたくさんあったわけでございます。

 そういうものを含めて、地区計画についての考え方の中で、地域にふさわしくて、守れる建築基準法は何だということです。そういうことを私どもは、基本的には地域の方々に呼びかけて、話し合いをしてきたんです。そういう中で、街並み誘導型地区計画などもつくり、話し合いを地元で進めてきたというのが経緯でございます。その中で、当然、最大の問題がございましたのは、やはり人口の回復という問題でございましたので、ある意味で、基本的には、人口回復のためには容積率の緩和をしてもいいのではないかというようなこともあって、容積緩和も組み込みながら地区計画というふうな形で動かしてきました。

 また、その地区計画を導入する過程において、地域にふさわしいということから、この地区計画についても何度か改定をしておりますが、とりわけ委員が御指摘になりました銀座ルールなどにつきましても、銀座では、その地区計画についてどう取り扱うかということを個別に話し合いをして、これは、導入した当初の段階の平成十年のときと平成十八年度のときに変わっています。これは、大型再開発が出てきまして、高さが、例えば相当大きなものが建つ計画が出てきて、それが銀座にいいのか悪いのかということの議論も地元の方としまして、その上で地区計画を改定しているわけでございます。私は、この地区計画の基本は、やはり日本一土地の値段が高くて、そして江戸時代からの民家の構造を持っている敷地の中で、本当にみんなに健全に守ってもらえる建築のルール、建築基準法というものは何かというと、全国一律の建築基準法では済まないので、地区計画という形で展開をしているわけでございますので、これは反省というよりも、私どもとしては、常時、その時その時に合わせて変更されてしかるべきものだと思っております。

 ですから、今回の地区計画変更についても、一律にやっているわけではございませんので、その地区計画の単位において要望があるものについては受け入れながら、変更もいたしておりますので、今後とも、私は、この地区計画は変更されていくのが当然だと思っておりますので、この部分について十分地元の方々と話し合える姿勢を常に私どもが持っていくことが、この地区計画を守っていくことになろうかと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 次に、補助金の問題でございます。

 高額な補助金投入の問題でございますが、実態的には、これは国の補助制度で決まっているルールの中で出てくるお金でございますから、基本的には、それを十分活用しようということでございます。

 例えば、先ほどから強調し過ぎてしまっているかもしれませんけれども、東京駅前でバスターミナルをつくります。実際にバスターミナルを東京駅前でつくるということは、本当に用地買収をしたら、大変お金のかかることでございます。とんでもないお金がかかりますから、土地なんか買えません。ですから、再開発事業の全体の区画の中に取り入れて整備をするわけでございます。そういうときに、基本的には、バスターミナル、東京駅前の広場が不十分で整備されておりませんから、今、歩道上に散在しておりますバスの停留所をビルの中に収容いたしましょうとなると、これは、申しわけありませんが、決してお金が稼げる施設ではありません。そういったものを公共施設として整備をしていく。莫大なお金もかかりますし、これから運用する上でもお金がかかってまいります。そういう部分について、これはまちの基盤として整備をしていくので、そういうものに補助金を要求する。これは、私は当然だと思っておりますし、スタイルとして、こういった補助金の導入については、特に基盤整備にかかわる補助金の導入については、今後とも積極的にやっていくべきものだと思っております。

 それから、日本橋上空の高速道路の撤去の問題についてでございます。

 この高速道路の撤去の問題については、私どもも、実は、議員おっしゃるとおり、基本的には撤去すべきだと。地下化という以前に、撤去すべきだということをずっと考えていたわけでございます。しかしながら、実は、平成二十八年の首都高の中期計画の中で、阪神・淡路大震災のときに高速道路がああいうふうに地震で倒壊してしまったことが悪夢になっていて、耐震補強を完全にしなければいけないという目標を立てたわけです。そうなってしまいますと、その中期計画の中では、現状のままでさらに補強しますという話になるわけですから、その補強が進んでしまったら、それは七十年、八十年たってしまわないと、今後、次のチャンスは来ないわけでございます。ですから、この時期にこそ、撤去なり地下化なり、具体的な対策を立てないといけないということで、東京都と国と協議をして、今回の結論に至ったわけでございます。

 冒頭、私どもも、それから前の都知事でございました舛添さんも巻き込んで、いろいろ議論をしました。そのときには撤去という議論も、舛添前知事からも出たんです。そういう議論もありましたけれども、実は、外郭環状の整備とか何かが終わっても、やはりあそこの部分の交通量が大幅に減るという見通しはなくて、今の首都高環状線の機能を維持しないと、都市機能は維持できないという問題、それから、車両の自動化とか何かということは相当進むだろうけれども、車両自体が減少するという見通しはそんなにないという現実、そういったところから勘案しまして、環状の循環性の維持というものも必要なんだということで、今回、地下化という形で耐震化を図ろうとしているわけでございます。再開発が起きていることも現実ですし、首都高が耐震化を進めようという中期計画を持っているということも現実でございますので、それらの現実二つを寄り合わせると、この時期に決定をし、方向性を示して進めていかないといけないということになっておりますので、その点も御理解をいただければと思います。

〔副区長 齊藤 進君登壇〕

○副区長(齊藤 進君) 
 区長にということではございましたが、世界一の都市はどのようなものかについて、私のほうからお答えをさせていただきたいと思います。

 区長の答弁でも申し上げたところですが、都市でありますので、やはりそれなりの集積というものが大事かというふうに思っております。この答弁の中では、商業、文化、交流など多様な都市機能の集積という表現をさせていただいております。こういう中で、市街地の再開発というものが一つの要素になるというふうには考えておりますけれども、ただ、これだけではなくて、先ほど御例示ではマンハッタンかというようなお話もございましたが、いわゆる構造そのものが世界一の都市ということではございません。あくまで、安全な都市であり、それから文化活動だとか経済活動が活発に行われていく持続可能性に満ちた都市であり、交流にあふれた都市であるというような幾つかの要因のもとに、世界一の都市というものを目指していくことになると思います。特に、都心部ですので、そういう中で、環境負荷等の影響もどのような問題があるかというようなことについても十分考えていかなければいけない。ですから、いわゆる高層のものというようなことが世界一の都市ということでの考えではございません。

 以上でございます。

〔福祉保健部長 黒川眞君登壇〕

○福祉保健部長(黒川眞君) 
 私からは、福祉施策についての再質問についての答弁をさせていただきます。

 区といたしましても、時代の変遷でありますとか、区の状況、また区民の暮らしぶりといったところを反映しながら、さまざまな福祉施策を展開してきたところでございます。やはり昨今、一口に例えば高齢者という方々を見ましても、その生活の仕方というのは、それぞれさまざまな考え方、また状況の中で、さまざまな暮らしを営んでおられるという中で、一律的に金銭的な支援というよりも、より個々の区民のニーズに合った事業を展開していくべきだろうというのが大きな考え方でございます。

 質問の中で議員からも取り上げられておりましたが、例えば敬老祝品の見直しにつきましても、こういった一律の支給という形ではなくて、これを例えば高齢者の方の健康づくりでありますとか、生きがいづくり、こういった事業の充実に振り向けたほうが、さまざまなそういったニーズに応えられる事業が展開できるのではないか、また、生保世帯の見舞金の廃止につきましても、これは生活困窮者の方々のための相談体制の強化でありますとか、事業の充実によりまして、自立的な生活を支援していく、そういったニーズが高まっているのではないかといったような状況を鑑みながら、鋭意施策の充実に努めてきたところでございます。

 今後につきましても、やはり事業を実施する以上は、一定程度の持続性、安定性というところも踏まえながら、より時代のニーズに合った施策展開に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員) 
 御答弁をいただきましたが、矢田区長への私の最後の一般質問で、期待した御答弁が得られずに、本当に残念です。

 区長が就任された当時、地価高騰と底地買いの横行でまちの空洞化が進んでいたと。それに対して果敢に闘ってきたという問題について、私も大変感動しておりましたけれども、今、誤った国政や都政のもとで、一緒になってそういう方向に進もうとしているのではないかということを指摘せざるを得ません。

 今、安倍政権のもとで、東京一極集中の是正と地方への新しい人の流れや魅力あるまちづくりということが、方針上は国の政策として掲げられていますが、実際には、東京一極集中をどんどん進めるという政策が進められています。大企業のためのまちづくりというのが行われている中で、中央区もそれに乗って一緒に超高層のビルをどんどん建てて、そこにいる住民を追い出したり、中小企業のお店がやっていけなくなったり、そういうことが実際に起きているのに、そういうまちづくりを進めているということに対して、本当に一極集中をひどくするまちづくりを進めているという問題点を改めて指摘させていただきたいというふうに思います。

 特に、都政との関係では、築地市場の移転の問題では、区長は、当初は断固反対だということで、東京都のやり方に対して、断固反対の旗を掲げて、皆さんと一緒に都議会に行ったり、市場の検討会で区長が検討委員だったときに、みんなで応援して、やはり築地市場はこの場所で再整備すべきだということを、都政の悪い点を指摘して頑張ってきたのに、途中で断固反対の旗をおろしてしまって、結局は賛成してしまったというようなこともありました。

 私は、地方自治体というのは、やはり国や東京都の悪政を許さない、そういう立場で、区民の暮らしや福祉を守る、その先頭に立つことが区の仕事だと思いますし、福祉の充実のために頑張るというのが区の最もやるべき仕事だというふうに思います。わずか九百万円でできる生活保護世帯への見舞金も、もう継続できないと。そして、道路占用料で十億円の収入があっても、福祉にはもう回さないということで、福祉の問題では、残念ながらゼロ回答だったということです。これは、私に対して冷たい答弁だということではなくて、区民に対して大変冷たい区政ではないかというふうなことを思わざるを得ません。

 大規模開発そのものがいけないということを言っているわけではなくて、そういうところにお金をどんどん注ぎ込んで、それをどんどん進めることが、今、区の中心的な仕事になってしまっているのではないかという点を厳しく指摘したいというふうに思います。やはり中央区がやるべき仕事は、そういう大規模開発優先の区政を、本当に暮らしや福祉を第一にした区政にしていく、そういう転換が今求められているのではないかということを非常に実感しています。

 矢田区長の三十二年間の区政の中で、何をこれから引き継いでいくのか、何を後世に残すべきかということが、今、大きく問われています。繰り返しになりますけれども、やはり私は、区民の暮らしや福祉を第一にした、そういう区政をつくっていくということが、今、最も求められているというふうに思います。介護保険や子ども・子育て支援の制度などもどんどん変わっていく中で、社会保障の制度が逆に区民を苦しめているというものがあれば、それに対して、きちんと物を言い、そして区でできることをきちんとやっていく、それが地方自治体の果たすべき役割だということを強く申し述べたいというふうに思います。

 そのことを最後に述べまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(瓜生正高議員) 
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十六日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員) 
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(礒野 忠議員) 
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十六日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後五時十分 散会


署名議員
議長 礒野 忠
議員 志村 孝美
議員 押田 まり子

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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