令和2年 区民文教委員会(10月1日)
1.開会日時
令和2年10月1日(木)
午後1時30分 開会
午後2時23分 閉会
2.開会場所
第一委員会室
3.出席者
(8人)
委員長 堀田 弥生
副委員長 渡部 恵子
委員 木村 克一
委員 瓜生 正高
委員 太田 太
委員 高橋 元気
委員 奥村 暁子
議長 押田 まり子
4.出席説明員
(14人)
山本区長
齊藤副区長
平林教育長
遠藤区民部長
眞下区民生活課長
鷲頭地域振興課長
岩田文化・生涯学習課長
田部井商工観光課長
生島教育委員会事務局次長
俣野庶務課長
植木学務課長
染谷学校施設課長
中山指導室長
志賀谷図書文化財課長
5.議会局職員
伊藤議会局長
小倉議事係長
桝谷書記
黒須書記
6.議題
- 議案第64号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
- 議案第69号 指定管理者の指定について(区立図書館)
(午後1時30分 開会)
○堀田委員長
ただいまより区民文教委員会を開会いたします。よろしくお願いいたします。
本日、理事者報告の関係で図書文化財課長が出席しますので、御了承願います。
去る9月29日の本会議におきまして本委員会に付託された議案の決定に当たり、その内容を十分に審査する必要があるとして、本日、開会いたした次第であります。本委員会の運営につきましては、委員各位の特段の御理解と御協力をいただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
審査方法について、付託された各議案について一括して説明を受け、一括して質疑を行い、質疑終了後、それぞれの議案を別々に起立採決によりお諮りすることでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀田委員長
さよう取り扱わせていただきます。
では、理事者の説明をお願いいたします。
○生島教育委員会事務局次長
1 議案第64号 中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例(資料1)
2 議案第69号 指定管理者の指定について(区立図書館)
以上2件報告
○堀田委員長
では、発言の時間制につきましては、通常の委員会での例によりますが、採決に係る時間10分を考慮し、各会派の持ち時間を算出することといたします。ただいまの時刻は午後1時32分です。自由民主党さん56分、あたらしい中央さん32分、公明党32分、新風会さん32分、日本共産党さん32分となります。
それでは、理事者の説明に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋(元)委員
私からは、議案第69号、中央区立図書館の指定管理者の指定についてお伺いをさせていただければと思います。
こちらの指定管理者制度の導入の部分も含めまして、うちの会派の議員からも幾つか御質問をこれまでもさせていただいておりますが、改めまして確認をさせていただければと思います。
今回、図書館の管理運営に当たって、サービスの向上という点において、民間企業のノウハウや経験、知識を生かすという方向性について、何ら私たちも反論するわけではございません。全国においても、東京都武蔵野市の武蔵野プレイスであったり、千代田図書館であったりとか、指定管理者制度を入れて民間のサービスに切り替えてから、来館者も増えている。サービスの質の向上もあって、区民や市民の方からの評判もよくなったというような例もございます。ただし、直営に再移行する事例も散見されます。ですので、どこに管理運営を任せるのかという点も含めて、やはり非常に大事な選択になってくるかと思います。
今回、また一からもう一度確認をさせていただければと思うんですけれども、中央区立図書館の管理運営に当たって、何らかの課題があって指定管理者制度を入れたという流れになっているかと思っています。ですので、現状の管理運営について、どこに課題があって、そして、何を解決するために指定管理者制度を入れるのか。そして、今回、図書館流通センターに決めた理由にもなると思うんですけれども、その課題を解決するために、図書館流通センターはどこが優れていたのかという点について、まず、お伺いをさせていただければと思います。
○志賀谷図書文化財課長
今回、区立図書館に指定管理者を導入するに当たりまして、現状の課題でございます。
課題につきましては、これまで単なる図書館機能、図書館として各種資料を購入していたところでございますが、区民の皆さん等に図書館に来ていただくというところに重点を置いておりました。ただ、近年におきまして、人口も急増しております。そういった中で、より多くの皆さんに来ていただく、また、図書館というものを知っていただく、知っていただく中で、中央区のことも知っていただき、郷土愛を育んでいただくというものが1つございます。また、近年、読書離れ等が言われておりますが、そういったところで、お子さんに向けて読書活動を推進していかなければいけない。そういった経緯もございます。
そうしたことから、そういったことをやっていくのに、外の人が必要となります。そういった中で、区にできることは区が直接やっていく。また、民間に任せられるところについては民間に任せていこうというところでございます。民間に任せるといいましても、誰でもいいというわけではございませんで、指定管理を入れるというところは、当然、ほかの各自治体等、どういう状況かヒアリング等を行いまして、実際入れているところでは利用者の満足度が高いというふうに聞いているところでございます。
それから、今回、指定管理者を決めた理由でございます。
選定を行うに当たりましては、指定管理者選定委員会を設置いたしまして、各委員に採点をしていただいたところでございます。その中で、今回、選定させていただいた事業者につきましては、利用者サービスですとか、利用率の向上策であらゆる世代が使えるような具体的な提案があったことですとか、あるいは新たな民間のノウハウを活用した、いろいろな新しい事業が具体的に提案されていたというところでございます。
以上でございます。
○生島教育委員会事務局次長
すみません。少しだけ補足をさせてください。
今、図書文化財課長が申し上げたとおりではございますけれども、今回、きっかけといたしまして、本の森ちゅうおうができることによって、郷土資料館ですとか、京橋図書館が本の森ちゅうおうに一体化されるというところもございます。こういった機会を通じて、私どもが持っている様々な文化的な資源、郷土資料、地域資料を一括して整理、管理していくところを直営の部分でやっていきたい。一方で、それを活用して、地域の皆様あるいは子供たちに還元していくというところを、民間のサービスを活用して、現在の社会教育会館を含めた現状のサービスなどにも連携しながら広めていくことで、中央区の郷土愛ですとか、あるいはふるさと中央区といった意識を育んでいくということが、今後、さらに人口が増えて発展していく中で、地域の皆さんが中央区により愛情を持って住んでいただけるといったようなところも非常に重視しているところでして、本の森ちゅうおうに関していえば、ここがこれから先ずっと変わらずに維持していかなければならない使命に当たるところなのかなというふうに考えているところです。
以上です。
○高橋(元)委員
ありがとうございます。
本の森ちゅうおうができるのがきっかけとなって、構造的な改革を進めていく必要性に駆られたという点で私は理解をさせていただきました。それは、基本的に、今までの中央区の管理運営に何らかの問題があったとか、足りない部分があったというわけではなくて、図書館の地域資料だったりとか、大事なところの管理運営は中央区のほうでやるとしても、基本的には、民間に任せられるところは任せて、中央区については、それを監査していく、コントロールをしていく、大事なところは運営をしていくというような認識でよろしいでしょうか。その点だけ、もう一点確認させていただきます。
○志賀谷図書文化財課長
委員のおっしゃるとおりでございまして、民間にできることは民間で、当然、区が管理、コントロールしていかなければいけないところというのがございます。そういった面からも、毎年必ず指定管理者の評価を行っていく予定でございます。
以上です。
○高橋(元)委員
ありがとうございます。分かりました。
そうなってくると、どのように指定管理者の評価を行っていくかという点が大事になってくるかと思います。その点について、また、ここももう一度明言いただきたいんですけれども、地域資料、郷土資料の管理については中央区のほうで行うと、今、御答弁されました。本の森ちゅうおうや中央区立図書館の設計図というか、見取図を見ると、郷土資料保管庫という、保管をする場所がございます。その場所に区の職員が常駐するという形になるのか。地域資料もしくは郷土資料の管理運営は区でやるというふうに明言をされていますが、具体的にどこまで区はやるのか。職員を出すのか、もしくは民間の、例えば警備会社等に任せる、もしくは民間の図書館流通センターに任せるとして、それを監督していくという立場になるか、具体的な点についてお伺いをさせてください。
○志賀谷図書文化財課長
今、お話がありました資料保管庫につきましては、郷土資料の保管庫でございまして、今、郷土天文館で保管してございます文化財的な資料を保管する倉庫的なものになります。地域資料の資料管理につきましては、区のことを知らないと、選定もできませんし、廃棄もできないと思います。当然、当初は区の職員なり、今お話があったように郷土天文館の学芸員も同じ場所に移りますので、郷土天文館の学芸員と併せて、地域資料は管理させていきたいと思っています。ただ、最終的な決定というのは当然区で行いますけれども、将来にわたって一から区が関わるかどうかというところは、まだ今後協議をしていきたいと考えております。
以上です。
○高橋(元)委員
今の点につきまして、もう一度お伺いをさせてください。
最終的な決定は区のほうで行うが、将来的には、その部分も含めて民間に任せる可能性があるということでよろしいでしょうか。その場合、例えば地域資料、郷土資料の紛失等が発生してしまった場合、もしくは、その発生が生じないように、どのように区は管理をしていくのか、もしくは監査や見回りをしていくのかという点についてお伺いをさせてください。
○志賀谷図書文化財課長
失礼いたしました。最終的な決定は、将来的にも区のほうで責任を持ってやっていく予定でございます。
紛失等が生じない、それは現行、直営でやっている中でも当然でございまして、どんな資料があるとかデータ化を行うなり、または廃棄等、これは地域資料でなくても一般の図書もそうですけれども、廃棄等を行う場合には、単独の目ではなくて、複数の目で確認し合いながら、必要なもの、必要でないものを見極めていくというようなことで考えてございます。
以上です。
○高橋(元)委員
ありがとうございます。最終的な決定は区で行うということで確認をさせていただきました。
ただ、資料のデータ化も含めて、恐らく既に直営のほうでもやられているかと思いますが、区の職員の方々の目が届きにくい体制になってしまう懸念もあります。ですので、ぜひ区の職員のほうで、具体的にダブルチェックもそうですが、必ず地域資料、そして郷土資料の管理については、行き届いた管理・監督を行っていただければと思います。
区民の方々の関心も非常に高い本件ですけれども、今回、指定管理者制度を導入するというのは、割と構造的な部分から根本的に変わっていく。そして、皆様はサービスの質の低下というところも懸念されているところであるかと思います。パブリックコメントや区長への手紙についても、指定管理者制度を導入してほしいという意見があまりなかった。むしろ、なぜ導入をするんだというような意見のほうが多かったかと思います。そのような声が寄せられているということは、住民の方に対する説明が不十分ではなかったかというふうに私も考えています。
今回、指定管理者制度を導入していく、図書館の運営を民間に任せていくという方針が出た段階で、どのように区民の方々に告知、そして周知を行っていったのか、そして、住民説明会のような形で開催するお考えはあったのかという点についてお伺いをさせてください。
○志賀谷図書文化財課長
指定管理者導入に関しまして、住民説明会の件でございます。
図書館におきましては、毎年1回、利用者懇談会という形で通常の運営に関する懇談会を開催してございます。そういった中で、指定管理者の質問があった折には、当然、指定管理についての説明をさせていただいているところでございます。そのほか、選定委員会の中でも、もちろん、いろいろな議論がされたところでございます。そういったことから、改めて住民説明会を行う予定はございません。
以上です。
○高橋(元)委員
ただいまの御答弁の中で、本年2月に開催された利用者懇談会の中で、そのような質問があった場合は対応しているというふうにお話を伺いましたが、利用者懇談会に参加された方から、そのような説明はなかったというふうにも聞いております。ですので、利用者懇談会の場で指定管理者制度導入をしていくというようなお話を区から発信したのかという点についてお伺いをさせてください。
○志賀谷図書文化財課長
利用者懇談会につきましては、あくまで通常の図書館運営に関する懇談会でございまして、こちらから、例えば議題とかいう形で指定管理者という話をする場ではございませんでした。ただ、懇談会に出席された方から質問されたときに、今後はそういう方向で検討しておりますということで、内容につきまして説明させていただいたところでございます。
以上です。
○高橋(元)委員
ただいまの御答弁にございましたとおり、図書館の運営に関わる非常に大きな決定であるかと思います。ですので、利用者懇談会の中だけではなく、やはり住民に対する説明が不十分であったかと私は思います。
今回、指定管理者が決まる形になると思います。図書館流通センターに決まって、今後、どのようなビジョンというか、どのようなサービスの向上が期待されるのか。そして、図書館の制度がこう変わります、管理運営者が変わるので、このようによくなっていきますというような説明会については必要であるかと思いますが、それをどのように告知していくのか、今後の告知について教えてください。
○志賀谷図書文化財課長
今後の告知でございます。
指定管理者になるに当たりまして、事業者が替われば、行っていく事業ですとか、そういったものも増えていくものと思われますが、改めて施設が指定管理者になりますという告知をする予定は、今のところ、ございません。
以上です。
○高橋(元)委員
すみません。なぜ指定管理者制度を導入すること、また決まったということを告知する必要はないと考えていらっしゃるのですか。その点について、もう一度お伺いをさせてください。
○生島教育委員会事務局次長
こうした議会の御意見も聞きながら決めていることでございますので、当然のことながら、指定管理者を導入していくというお話に関しては、こういったことを通じて区民の皆様にはちゃんと伝わっていくものと考えております。指定管理者に変わって、サービスがいろいろ変わっていく部分に関しましても、これまでやってきた周知の中で、そういったことを伝えていく機会は十分にあろうかなと思っております。
基本的には、指定管理者制度を導入することで、これまで行ってきた図書館サービスを向上させていくということに関しては、私どもの責任においてしっかりやっていきたいということで、今回、指定管理者の導入をしていこうということを区のほうで決定しておりまして、それに伴う手続に関しましては、ハード面に関してはパブリックコメントをしたり、あるいは条例改正に関しては議会の議決をいただいて、手順をもって進めているところでございますので、皆さんの御理解がいただけるように、サービス向上をこれからも図っていきたいというふうに考えております。
以上です。
○高橋(元)委員
御説明ありがとうございます。
議会の中で相談、話をしているので、それが区民の方々に伝わると思っているというふうに受け止めさせていただきました。もちろん、私個人の仕事としても、その旨を区民の方に伝えるという仕事は行っていくつもりでありますが、これだけ重要な決定がなされる、そして重要な変革が行われるタイミングで、やはり区からの発信は必要であると思っています。
ですので、うちの会派からの要望としても、ぜひ区民の方々が納得できるように、そして、今までのことはもう仕方がないことは仕方がないと思いますので、今後、どのようなサービスに変わっていくのか、そして、皆様がもし不安になられているのであれば、その不安を解消してもらえるよう、例えば地域資料、郷土資料については、区がしっかりと責任を持って管理をしていくなどというような、皆様からの不安や疑問点について、きちんと説明をしていくというような情報発信をお願いできればと思います。
最後になりますが、指定管理者制度を導入していくに当たって、サービスの質が確実に向上していかないと、あまり意味がないと思っています。もちろん予算もかかってしまいます。サービスの質の向上を担保するための制度についてお伺いをさせていただければと思います。
図書館法の中で規定されている図書館協議会の設置、もしくはサービスの質を担保するために、どのような管理・監督を行っていくのか。そして、サービスの質が向上したか、していないかはどのような基準で判断をしていくお考えなのか。指定管理者評価制度があって、それを定期的に報告するという仕組みになっているのは分かりますが、具体的にサービスの質の向上の指標をどこに置いて判断されるおつもりなのかという点についてお伺いをさせてください。
○志賀谷図書文化財課長
指定管理者のサービスにつきましては、まず1つが、これまで行っておりましたとおり、利用者懇談会につきましては、これまでどおり実施していく予定でございます。
また、区のほうのチェック機能といたしましては、先ほどお話しさせていただいたとおり、毎年の指定管理者の評価を行うとともに、逐一指定管理者と協議を行っていきたいと考えております。それの基となるものについては、今回、選定委員会で提示されました指定管理者の提案書がございますので、そういったものと照らし合わせながら協議していきたいと考えているところでございます。
以上です。
○高橋(元)委員
ありがとうございます。
何度も申し上げていますが、指定管理者制度を導入していく。やはり図書館については、もちろん、地域の地元愛、郷土愛、そして教育の根幹となる施設にもなります。そして、区がどのような図書館の運営を行っていくのかというのは、思っている以上に区民の方々は気にされていますし、そして、地元の愛を育んでいくために本当に大事な事業であると思っています。そのために、やはり区民の方々に対する説明、そして区民の方々がもし不安や不満に思っているのであれば、もちろん、議会を通して、このような委員会の場で私たちも議論をさせていただきますが、ぜひ直接そのような方々の声に耳を傾けて、そして、その方々が納得できるような説明をしていただくよう強く要望いたしまして、私からの質問は終わりとさせていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。
○奥村委員
それでは、何点か質問をさせていただきます。
議案第69号の指定管理者の指定に関わることでの質問です。
これまでも日本共産党区議団としては、区立の施設に指定管理者制度を導入していくことはふさわしくないのではないかということで、意見も述べさせていただいていました。
図書館の管理運営を指定管理者に委託するということに関しては、まず長期的な運営が難しいということ。これは、指定管理者制度というのは指定期間が定められた下での運営ですから、その期間が満了すれば、再度審査が行われるということで、長期的な運営につながっていかないという指定管理者制度そのものの問題があると思います。
そして、2番目には、専門職員の養成が困難になっていくということ。これも、指定管理期間に定めがあるわけですから、養成した職員がそのまま働き続けられる保障がないという点で、これも指定管理者制度自体の問題であるというふうに考えています。
公立図書館の民営化という問題については、これまでも、1986年には、当時文部大臣だった海部俊樹氏によって、公立図書館の基幹的な業務については、これは民間の委託にはなじまないものという発言もされました。指定管理者制度が2003年以降導入されてからも、2008年には、文部科学大臣の渡海氏が、長期的視野に立った運営や職員の研修機会の確保、後継者の育成等の機会が難しくなる、なじまない、と発言しています。2011年には、総務大臣であった片山氏が、やはり指定管理に図書館はなじまないということ、こうした発言が続いてきたわけです。その当時と今と状況が何か変わっていると思われるか。長期的な運営が厳しいということ、専門職員を継続的に養成していくということの難しさに状況の変化はないと思うんですけれども、どう変わったのかという点について伺いたいと思います。
それと、小栗議員の一般質問に対しての答弁でも、特別区では指定管理者制度を導入しているのが半分に達しているというお話がありました。確かに、特別区では、約230館中120館程度で指定管理者制度が導入されています。これは、東京都と特別区の間にある財政調整制度で指定管理委託料を積算する、事実上のトップランナー方式を導入しているから、特別区では特に多いということで、全国で見れば17%、18%の導入にとどまっていると思います。
これについては総務省の中でも議論がありまして、2016年に総務大臣が、内閣府の経済財政諮問会議で、図書館等へのトップランナー方式の適用を見送るという旨の報告もしています。その報告の中で、地方自治体で指定管理を導入しないという意見が多いということを紹介しながら、その理由として、教育機関や調査研究機関としての重要性を鑑みて、司書や学芸員等は地方団体の職員として配置することが適切であるということや、専門性の高い職員を長期的に育成・確保する必要があるということ、文部科学省や厚生労働省などの関係省や日本図書館協会等の関係団体において、業務の専門性や地域のニーズへの対応の持続性・継続的な運営の観点から、十分に機能を果たせなくなることが懸念されるとの意見があるということ、また、2008年の社会教育法等の一部改正法の国会審議においても、社会教育施設における人材確保及びその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分に配慮し検討すること等の附帯決議があるということなどを紹介しながら、総務省として、トップランナー方式は見送るという発言がなされています。
こうした総務省の見解、国としては、今、公立施設全般的に指定管理者制度を導入していこうという流れがあると思いますけれども、図書館については、やはりなじまないという方向性を国自体も示しているということについては、どう受け止めておられるか、御見解をお聞かせください。
○志賀谷図書文化財課長
まず、長期的な運営が難しいのではというところの御質問でございます。
今回、日本橋・月島図書館につきましては6年間、京橋図書館につきましては5年間の期間での指定管理者の指定となるところでございます。ただ、その期間が終わりましても、評価していく中で、評価がよかったでありますとか、次の提案につきましてもよかったということで、選定されれば、当然、指定管理者は継続しての運営ということになると考えているところでございます。また、違う業者が指定管理になるときには、その提案よりさらによいサービス、区民サービスがさらに向上するような提案をされたということになりますから、一概に長期的な運営ができないからサービスが悪くなるものとは考えていないところでございます。
また、専門職の養成につきましては、現在、区の常勤職員は一般事務というところでございまして、司書資格がある者、ない者がございまして、そういった中で、何年かに1度は異動ということになります。また、図書館サービス専門職の会計年度任用職員につきましては、制度上、5年という雇用の期限がございます。そういった中で、長期的な雇用を前提とした採用ではございませんので、そういった面でも、長期的にということはなかなか難しいと考えているところでございます。
また、国の、図書館が指定管理者制度になじまないというお話でございますが、こちらにつきましては、図書館への指定管理者導入当初は、指定管理者の、本の廃棄の問題ですとか、そういったものがいろいろございまして、行政といたしまして、その辺がちゃんと管理できていなかったというところがあると思います。今回、中央区におきましては、資料管理等、そういったものは今後も区がしっかり責任を持ってやっていくというところですので、指定管理を導入するということで区民サービスが低下するですとか、そういったものはないと考えているところでございます。
以上です。
○平林教育長
少し補足をさせていただきます。
今般、区民の方々から指定管理に対する御意見を幾つかいただいておりまして、それは私も拝見してございますけれども、そういう意味では誤解があったのかなということで、指定管理自体について行政がどこまで何を任せるのかというところが全国的には問題になった事例の一つ、今、図書文化財課長が申し上げましたように、資料の管理も含めて、収集から廃棄までを全部指定管理に任せっきりにしてしまったという事例から、公的な大事な資料をなぜそういうふうに捨てたのか、また、請け負った事業者自体が自社に有利になるような資料購入等をした事例はどうなんだというところがクローズアップされたのかなというふうに思ってございます。
そういう意味では、今回、中央区は、ある意味、指定管理の後発区でございますので、先進事例等を参考に、反省すべき点をしっかり反省し、どこを行政が責任を持ってやるのか、どこを民間に任せるとサービスアップにつながっていくのかというところをしっかりと見極めた上で今回の指定管理を行ったというふうに考えてございます。いろいろ御意見を区民の方々からいただいているものには、我々も真摯に答えているつもりでございますし、必ずやこの指定管理によって、中央区の図書館行政のサービスをよくしていきたいという思いでの指定管理だということで御理解をいただければと考えてございます。
以上です。
○奥村委員
今回の応募を見ても、2社しかなかったので、継続的な運営ということでは、またそこが再指定されればということですけれども、その際に、今回でも2社しかなくて、またもし応募するところがなければ、そのまま問題がなければ継続という形になるのかもしれませんが、選択肢が少ないということ、それはそれで問題だと思いますし、一回委託したところに繰り返し再委託がされていく、再指定がされていくということの問題もあると思います。きちんと応募する事業者が多くあり、その中で適正に比較もしながら審査がされていくべきで、そうした上では、やはり継続的な運営というものが難しいという部分は言えると思います。
そして、先ほど紹介した総務省の見解ですけれども、特別区だけで多いわけで、全国的に見れば、まだまだ図書館への指定管理者制度の導入は少ないという状況。これが何を意味するのかというところもしっかりと考えていく必要があるというふうに思います。
資料の管理等の問題は、確かにTSUTAYAのCCC株式会社が運営に携わっている佐賀県武雄市の図書館ですとか、神奈川県海老名市の図書館などでは、選書の問題、また分かりづらい書籍の分類法などが問題になりました。Tポイントがつくということですけれども、海老名市のほうでは、Tポイントを利用したことで、全く知らない業者からダイレクトメールが来て、個人情報の保護という点からどうなのかという問題もありました。海老名市の市立図書館は、CCCと一緒に、今回、指定管理者となる図書館流通センター、TRCがJVとなって運営してきたということもあります。一度JVを解消するというお話もあったようですけれども、その後、また、どういう取決めがあったのか分かりませんが、そのままJVとして2社で運営をしていっているという不可解な問題もあります。
図書館流通センターについては、指定管理者となっていた茨城県守谷市の図書館では、2016年4月に指定管理が始まって、2か月の間に職員、そして館長が相次いで6人退職したということで、TRCの社長も参考人として委員会に呼び、質疑も行ったということもあります。こうしたTRCの問題についてどう考えているのか。図書館流通センターが同じく指定管理者として運営している神戸の市立図書館でも、契約社員が図書館のカードを不正利用して、過去2年間にわたって貸出冊数を超えて大量に本を借りたり、返却せずに借り続けるということを行ったとか、同じ図書館流通センターが指定管理者となっている練馬区立石神井図書館では、図書館内に設置されている防犯カメラの映像を委託業者が警察とともに一般の人に見せたという問題もあって、練馬区では個人情報保護条例に反しているのではないかといった指摘もされているということで、調べるといろいろ問題も出てくるんです。
そうした中で、TRCが今回の評価結果の中で適切だと判断されていることには問題があるのではないかと私は思います。委員会で出された資料でも、個人情報の取扱い、情報管理という項目がありますけれども、こうした中では、こういうTRCの問題をどういうふうに評価されてきたのか、説明がされてきたのかということもお聞きしたいと思います。
それと、TRCは図書館の職員の募集も行っていますけれども、都内の図書館の職員を時給1,080円ということで、司書資格があれば時給1,110円、こういう金額で募集しています。東京都の最低賃金1,013円に僅かに上乗せした金額で職員を、しかも有資格の職員の方も募集している。こういう労働条件の下で、きちんと継続的に働いていける職員を確保していけるのかという問題もあると思いますので、その点についても伺いたいと思いますし、同じように、評価結果の中でも適切な人員配置等の評価などもされていますが、この評価についても適切だと、どういうことから判断をしているのかということについても伺いたいと思います。
○平林教育長
るる御指摘をいただいたところでございますけれども、今回のTRCの評価については、後ほど所管課長のほうから述べさせていただきます。
この会社自体、今、全国で540の図書館の業務運営を行っております。そのうち370を超える指定管理を行ってございまして、今おっしゃった事例の一、二件、こういったものがあったことは私もネット等で見てございます。これが多かったのか少なかったのか、それからまた中身が大きかったのかどうだったのか、それから、なぜ起きたのかというところはしっかり検証すべきだと思ってございますし、どんなに気をつけていても、末端のほうでそういった事例が起きるということも我々は教訓としていかなければいけないというふうに考えてございます。
ただ、中央区でこういったことが、逆に、起こらないように、なぜ起きたのかも含めて、しっかり検証し、これからの指定管理に役立たせるというのが我々の役目なんだろうというふうに考えているところでございます。御指摘の向きを十分理解し、今後の運営に役立ててまいりたいというふうに考えてございます。
○志賀谷図書文化財課長
施設の運営体制及び組織のところでございます。
今回、指定管理者として選定された事業者の提案につきましては、マネジメント業務について、館長を中心に、それぞれ業務責任者を置くことで区立図書館全体を1つの館として機能させるというところ、また、それぞれ広報ですとか、あるいは児童、レファレンス等の担当を個別に置くことで事業、業務の効率化を目指しているというところ、また、職員の採用については、区内の在住者等を積極的に採用していくという提案があったところでございます。
以上です。
○奥村委員
TRCでのこうした問題、不祥事などについては、もちろん検証すべきですけれども、こうして指定管理者を決定する前にきちんと検証がされるべきだったと思いますし、そういう検証がどうされたのかということが今の御答弁だと分からないです。
指定管理者制度の下で様々な問題が起きている。TRCの運営の図書館では、特に茨城県守谷市の図書館などは、指定を取り消して、その後、直営に戻されるということにもなっています。先ほども述べたように、指定管理者制度が持つ制度自体のそもそもの問題は、やはり残されたままだと思いますし、国としても総務省が、やはり指定管理者制度は図書館の運営にはなじまないということも発言されているということです。これまでも述べてきたことですが、図書館は直営でしっかりと運営していく。直営に戻したところも、指定管理だった時代に、例えば開館時間を延長したり、そういったことはそのまま引き継いで、継続したまま直営で運営していっているということですので、そういう意味では、指定管理でなければ区民のニーズに応えられないということではないと思います。
図書館の指定管理の問題では、区議会に請願も出されました。先ほど前委員からもお話がありましたように、パブリックコメントなどでも、図書館への指定管理制度導入については否定的な意見が多いという事実もあります。
私たち日本共産党区議団としては、図書館への指定管理者制度の導入、またTRCを指定していくということについては反対をしたいと考えています。終わります。
○堀田委員長
副委員長は委員席へお移りください。
では、質疑を終了いたしましたので、これより採決に入ります。
まず、議案第64号、中央区立小学校及び中学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例について、起立により採決いたします。本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。
〔賛成者起立〕
○堀田委員長
全員起立と認めます。――御着席願います。
よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第69号、指定管理者の指定について(区立図書館)について、起立により採決いたします。
〔「委員長」と呼ぶ者あり〕
○奥村委員
議案第69号、指定管理者の指定についての反対意見を述べます。
本議案は、2021年4月1日から日本橋図書館及び月島図書館に、2022年4月1日から京橋図書館に指定管理者制度を導入し、指定管理者に株式会社図書館流通センターを指定するものです。指定期間は、日本橋図書館及び月島図書館は6年間、京橋図書館は5年間となっています。
日本共産党区議団は、これまでも区施設への指定管理者制度導入について、繰り返し問題点を指摘してきました。
公の施設は設置主体が自ら管理するのが原則であり、特に図書館運営に指定管理者制度はなじまないと考えます。この間、図書館の指定管理者の指定取消しや自治体直営に戻す例が全国で見られています。
区はこれまで、指定管理者制度を導入している区施設について、利用者満足度は高いと評価していますが、例えば図書館運営を指定管理者から自治体直営に戻したところでも、指定管理者の下で行われた開館時間の延長や開館日数の増加については、継続・維持した上で直営に戻すこととした自治体もあります。開館時間の延長や、それに伴う分の貸出冊数の増加、加えてカウンターでの対応の改善や職員のスキルの向上などは、民間に委ねることなく、自治体の取組によって実現できるものであり、指定管理者でなければ利用者満足度を上げることができないという理由はありません。
そもそも図書館は、区民館などの貸館業とは性格が異なり、教育文化の発展の基礎となる施設です。住民の知る権利や豊かな学びを保障するための施設とするためには、事業の継続性と職員の育成が不可欠ですが、指定管理者制度自体の問題として、指定管理期間が定められる下で働く職員の雇用継続には限りがあり、その結果、職員の養成や後継者の育成は保障されません。
また、今回、指定管理候補事業者となっている図書館流通センターは、都内の公立図書館で最低賃金に僅か67円を上乗せした1,080円で非正規の契約社員を、司書資格を持つ図書館司書スタッフでさえ97円を上乗せした1,110円という時給で募集している点も看過できません。図書館職員の労働条件が悪化すれば、やりがいを持って働くという意欲がそがれ、ひいては区民サービスの低下につながるのではないでしょうか。自治体自らが非正規化を進め、官製ワーキングプアを大量につくり出していく構造の転換も求められます。
図書館流通センターが指定管理者となっていた茨城県の守谷市立図書館は、館長と職員が相次いで退職するなどの問題があり、2019年度から市直営に戻されています。加えて、図書館流通センターが運営する公立図書館で、図書館カードの不正利用や個人情報保護に反する防犯カメラ映像の一般人への開示などの問題が起きている点も問題です。
以上の理由から、日本共産党区議団は、株式会社図書館流通センターを区内3つの図書館の指定管理者に指定する議案第69号、指定管理者の指定についてに反対します。
以上です。
○堀田委員長
それでは、本案を可決することに賛成の皆さんは御起立を願います。
〔賛成者起立〕
○堀田委員長
起立多数と認めます。――御着席願います。
よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
副委員長は元の席にお戻りください。
本会議における委員長報告の取扱いについて、正副委員長一任ということでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀田委員長
ありがとうございます。さよう取り扱わせていただきます。
以上で区民文教委員会を閉会いたします。
お疲れさまでございました。
(午後2時23分 閉会)
お問い合わせ先:区議会議会局調査係
電話:03-3546-5559