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令和2年第三回定例会会議録(第2日 9月24日)

1.会期

二十三日(第二日)

九月二十四日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時二十六分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 高橋 元気議員

二番 高橋 まきこ議員

三番 梶谷 優香議員

四番 田中 耕太郎議員

五番 かみや 俊宏議員

六番 太田 太議員

七番 二瓶 文徳議員

八番 しらす 夏議員

九番 奥村 暁子議員

十番 青木 かの議員

十一番 小坂 和輝議員

十二番 渡部 恵子議員

十三番 竹内 幸美議員

十四番 佐藤 あつこ議員

十五番 塚田 秀伸議員

十六番 堀田 弥生議員

十七番 墨谷 浩一議員

十八番 山本 理恵議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 押田 まり子議員

二十一番 富永 一議員

二十二番 瓜生 正高議員

二十三番 海老原 崇智議員

二十四番 礒野 忠議員

二十五番 木村 克一議員

二十六番 中嶋 ひろあき議員

二十七番 田中 広一議員

二十八番 中島 賢治議員

二十九番 原田 賢一議員

三十番 渡部 博年議員

4.出席説明員

区長 山本 泰人君

副区長 齊藤 進君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 浅沼 孝一郎君

総務部長 黒川眞君

防災危機管理室長 濱田徹君

区民部長 遠藤 龍雄君

福祉保健部長 田中 智彦君

高齢者施策推進室長 吉田 和子君

保健所長 山本 光昭君

環境土木部長 望月 秀彦君

都市整備部長 松岡 広亮君

会計管理者 鈴木浩君

教育委員会事務局次長 生島憲君

監査事務局長 高橋 和義君

政策企画課長 山﨑 健順君

財政課長 大久保 稔君

広報課長 園田 典子君

総務部参事(総務課長事務取扱) 北澤 千恵子君

5.議会局出席職員

議会局長 伊藤 孝志君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 小倉 正信君

調査係長 工藤 久栄君

書記 桝谷 剛司君

6.議事日程

日程第一
 一般質問


午後二時 開議

○議長(押田まり子議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。

 新型コロナウイルス感染症対策として、出席者の抑制を図るため、指定の議員は退席を願います。

 また、理事者についても同様に願います。

〔指定の議員並びに理事者退席〕


○議長(押田まり子議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 まず、五番かみや俊宏議員。

〔五番 かみや俊宏議員登壇〕

○五番(かみや俊宏議員)
 中央区議会自由民主党議員団のかみや俊宏です。会派の一員として、質問通告に基づき質問します。

 新型コロナウイルス感染症で命を落とされた皆様とその御家族に心よりお悔やみ申し上げますとともに、療養中の皆様にお見舞い申し上げます。

 また、医療現場で御尽力いただいている医療従事者の皆様に深く敬意を表します。

 新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする区政の課題へ真摯に政策提言していくことをお誓いし、質問に入ります。区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、質問の趣旨をお酌み取りいただき、前向きな御答弁をお願いいたします。なお、再質問を留保します。

 初めに、行政運営の基である財政について、その歴史を振り返りながら質問します。

 一九八六年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ブキャナンは、政治家や官僚が公共事業を恣意的に行うことができる裁量的財政政策を批判し、権力者の行動を制限するルールの必要性を主張しました。現在の地方自治法には予算、財政についてのルールが定められており、特に予算は議会の議決を求め、行政の予算執行に対し、制度的な担保が取られております。

 本区は、二○一八年三月に策定した十か年の基本計画に基づき、区民ニーズに応える様々な施策を講じています。前期五年、後期五年の基本計画は、本年九月が終わると、前期の折り返し地点を迎えます。そのような中、令和二年度一般会計当初予算は一千百八十三億七千四百六十一万円で編成され、九月補正予算が議決されれば、補正後予算額は一千五百二十七億六千九百三十万三千円となり、本年度は、コロナ対策や保育所の待機児童対策などに三百四十三億円余り、当初予算のおよそ三割の規模となる補正予算を編成することとなります。区財政の運営状況を令和元年度決算から俯瞰すれば、一般会計の実質収支はおよそ二十三億円、区債残高はおよそ百八十億円、一般会計の主要三基金残高はおよそ五百九十億円であり、他の財政指標も含め、健全な運営が図られていると考えます。しかし、人口の増加に伴い、増大かつ多様化する行政需要への対応に加え、新型コロナウイルス感染症、それらが及ぼす歳入への影響などに十分留意しなければなりません。

 そこで、財政の役割・機能、本区の置かれた状況、近年の予算編成状況などを踏まえ、中長期的な財政運営方針について、想定される課題、今後の方向性を含めた基本的な見解を伺います。

 次に、行政運営でのSociety5・0の実現について伺います。

 新たに発足した菅内閣では、デジタル庁の創設を検討しています。内閣府には、日本のIT化の遅れはテクノロジーよりも構造の問題である、また、はやり病に苦しむと都を移してきた歴史がある、これらに倣い、政府機能をデジタル空間に移すデジタル遷都が必要であるとの見解もあり、行政のデジタル化はますます進んでいくものと考えます。人事院では、書類の押印を見直し、給与簿、残業命令簿など五つの書類で押印を不要としました。経済産業省では、職員約四千人が受け取った名刺を電子化、一元管理し、共有する実証実験を始めたとのことです。

 また、熊本県荒尾市では、二○一八年度からICTを活用した業務自動化への取組を進めています。初年度は年間約一万件のふるさと納税業務を対象とし、申請処理にRPAを用いて業務の平準化を行いました。また、納税者への証明書の印刷、封筒に入れるという手作業部分も自動化しました。前日の納税分を夜間にRPAがデータ処理し、職員が翌朝出勤すると印刷物の封緘まで完成しており、約三百六十八時間の削減が実現しました。二年目の昨年度は、総務省の補助金も受け、四業務に拡大し、年間約三万六千六百件で九百時間を削減したとのことです。三年目の本年度は、高齢者健康診査受診券七千九百件、特別定額給付金五万件などにも拡大しています。さらに、手書きの文字も高い精度で読み取れるAI‐OCRを活用し、五つの課、七つの係の帳票を読み取らせ、さらなる時間削減を見込んでいます。

 基礎自治体として、区民と接する時間や、より効果的な政策を立案する時間を確保するため、ICTを活用していく取組は、もはや不可欠とも言えると考えています。本区でも、チャットボットサービスなどの新たな取組を開始していると承知しています。そこで、AIを含む新しい情報技術を活用し、区の行政運営をより一層効率化させるとともに、区民サービスの向上を実現するべきと考えますが、本区の基本的見解と方向性を伺います。

 次に、新たな行財政運営の展開について伺います。

 区行政は、令和三年度予算編成方針で、厳しい財政環境が見込まれる中、全ての事業の成果を厳しく検証し、事業の見直しやスクラップ・アンド・ビルドにより強固な財政基盤を堅持する、また、AIやRPAなどの新たなICT技術の活用など、最少の経費で最大の効果が得られるよう十分検討するとの記載により、強固な財政基盤の重要性、新技術の活用による効率的な行政運営の重要性の認識を示しています。行政に期待される役割は年々増大しており、インクリメンタリズムという言葉に表されるように、行政の組織、活動は漸増する傾向があると思います。

 そこで、効率的な行財政運営をさらに徹底する取組を三つ提案させていただきます。

 一つ目の提案は、多様な財源の確保です。具体的には、いいお金の使い方ができているかどうか見極めるため、事業評価を強める。そして、お金の使い道をどう決めたのか、多くの方に見てもらうため、予算を編成する過程を公開する。さらに、意味のあるお金の使い道だったか、後から確かめるため、決算を分析するという一連の取組です。これらにより、税の使われ方をさらに深く検証するべきだと考えます。

 また、現時点までに新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなどして中止や規模が縮小された区の主催行事や補助事業があると思います。状況を精査し、東京二○二○大会開催延期に伴う減額のように、事業の減額補正による財源確保を行うべきと考えます。そして、今後減収が想定されることから、財源不足を穴埋めする減収補填債の活用も検討するべきと考えます。

 さらに、特別区交付金について、都区財調に制度上の課題があるとしても、都心区としての本区独自の行政需要が適切に反映されるよう、様々な機会を通じて、機会がないならば新たにつくっていくことも含め、これまで以上に東京都へ働きかけを行っていくべきと考えます。

 様々な財政上の措置を講じ、財政基盤を強化するべきと考えますが、今申し上げたそれぞれの施策の必要性について、また、財政基盤強化についての見解を伺います。

 二つ目の提案は、最新技術の活用です。

 行政運営の業務効率化、区民サービス向上の観点から、トライアル、実証実験などを通じて、AIなど最新技術を活用した取組を、今後、積極的かつ計画的に実施していくべきと考えますが、見解を伺います。

 三つ目の提案は、行政計画の不断の見直しです。

 基本計画二○一八には、計画期間中に社会経済情勢の変化や行財政制度の変更が生じた場合などには、必要な見直しを行うとの記載があります。コロナ禍を大きな社会経済情勢の変化と捉え、本区の行政計画である基本計画二○一八を見直していくお考えがあるか、見解を伺います。

 今年の二月二十七日、学校の一斉休業の方針が発表されました。そして、四月の緊急事態宣言により、人が集まる粋なまち中央区から集いがなくなり、えも言えぬ不安にも似た雰囲気をまちに感じました。特に、地域の飲食店や宿泊施設の方々などから、グループのお客様や企業、団体の懇親会がとても少なくなった、インバウンドを中心とした観光客がいなくなり、厳しい状況であるなど、切実な御意見を伺いました。

 過去の景気悪化を振り返ってみると、一九二九年のアメリカの株式市場の大暴落に端を発した世界大恐慌が有名だと思います。このとき、アメリカ政府は、市場への介入、経済政策は限定的にとどめるという伝統的な古典派経済学の考え方から、市場に積極的に関与する考え方へと政策の転換を行い、ニューディール政策と言われる大胆な経済対策を実施しました。これは、ケインズ経済学の創始者であるジョン・メイナード・ケインズが、その著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」で示した有効需要の原理、政府・行政が需要をつくり出し、景気対策を行っていくという考え方を実施したものとも言われております。

 そこで、次に、新たな日常における経済対策、産業政策について伺います。

 この半年間、国や東京都は様々な財政出動を伴う施策を講じてきました。本区も、大胆な利子補給、保証料の全額補助による融資メニューの創設、プレミア率・金額を大幅に拡充したハッピー買物券の発行など、独自の経済対策を講じてきました。敬意を表します。

 しかし、これまで政府のGoToトラベルキャンペーンが東京を除外していたことなどもあり、中央区の産業は新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻で、経済ダメージが長引く懸念があります。また、経済センサスによれば、中央区の事業所数は三万五千七百四十五事業所と二十三区二位であり、業種別に見ると、卸売・小売業は一万七百八十一事業所で二十三区一位、宿泊・飲食業は五千四百十四事業所で二十三区三位であることから、中央区の特色である商業を維持・発展させることが重要であると考えます。

 定性的ではありますが、街頭やオンラインなど、様々な機会を通じて、区民の皆様から御不便、御不安をお感じとの声を伺うことが多くなっているように感じます。これは、区政への関心が高まっている証左なのかもしれません。そこで、さきに提案させていただいたような財政基盤の強化、行政運営のより一層の効率化を行い、財源を確保する努力をした上で、区民の皆様の気持ちに寄り添った中央区版令和のニューディール政策と言えるような、さらなる施策の充実、さらなる支援体制の強化を実施すべきと考えます。

 そこで、新型コロナウイルス感染症が区内産業に与える影響をどのように認識しているのか、これまでの区独自の経済対策の効果、課題、改善点をどのように認識しているのか、そして、今後、どのような対策を講じていくのか、見解を伺います。

 経済対策を強化するためには、成長により歳入を増やしていくことも重要です。戦略的分野への投資などによる稼ぐ力の育成について、次に伺います。

 OECD、経済協力開発機構の予測によれば、本年の日本の経済成長率はマイナス五・八%と予測され、感染拡大防止と経済活動の両立は、区政に課された重要な使命と考えます。森記念財団の世界都市ランキングで、東京はロンドン、ニューヨークに次ぐ三位ですが、MICEと呼ばれる国際会議の誘致でシンガポールや香港などアジア他都市と熾烈な争いをするなど、都市間競争は激化しています。これまで、国や都は、都市計画法、エリアマネジメントによる道路法、住宅容積率の特例など、規制緩和を通じ競争力を強化する国家戦略特区の取組を、本区では、日本橋地域を中心に、都心区で推進してきました。

 そこで、東京の中心である本区だからこそできる、国や都との連携や、特区に関する提案を積極的に行い、稼ぐ力を高めることが重要と考えますが、見解を伺います。

 そして、最後に、自治体経営においては、環境経営の視点を忘れてはなりません。区長の第一回定例会所信表明でも、経済成長と環境保全が両立した持続可能なまちを目指していくとの見解が示されています。リサイクルの推進、中央区の森などの施策を実施し、以前から環境問題に積極的に取り組んでいる本区として、その取組をさらに推進することが重要と考えます。

 そこで、全国の自治体で策定が進み、都内でも十八の自治体が策定している木材利用方針を本区でも策定するとともに、今後、増加が見込まれる森林環境譲与税を東京都、他自治体、関連団体などとも連携しながら、環境経営の実効性を高め、都市の魅力の向上を通じ、稼ぐ力を育成させることが必要と考えますが、見解を伺います。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 かみや俊宏議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、中長期的な財政運営方針についてであります。

 近年の歳入環境は、ふるさと納税や法人住民税の一部国税化など大都市財源を地方へ再配分する国の動きを受け、本区にも大きなマイナス影響が生じています。加えて、今般の感染症による景気の落ち込みにより、歳入の根幹をなす特別区税や特別区交付金を中心に大幅な減収が当面続くものと考えております。このように、今後の税収見通しが厳しい中にあっても、本区は、住民に最も身近な基礎自治体として、感染症の拡大防止・収束に向けた取組はもとより、区民生活を守り、地域経済の速やかな回復に向けた取組、そして、東京二○二○大会後も見据えた人口増加に的確に対応するための基盤整備を進める必要があります。こうした中、現時点においては、これまでの蓄えである基金に一定の余力が保たれてはいるものの、今般の感染症対応を含め、中長期的に安定した財政基盤を堅持していくためには、将来を見据えた慎重な財政運営に努めていくことが重要であります。そのため、今後とも歳入確保に向けた取組を強化するほか、基金や区債の計画的な活用などにより、安定した財源確保を図るとともに、歳出面においては、施策全般にわたり優先度・重要度などの観点から取捨選択を行うほか、行政評価などを通じ、成果を重視した不断の検証・見直しを行うことで、区民の負託に応える施策展開のための財源を確保し、今後の社会経済状況の変化にも柔軟に対応し得る、持続可能で強固な財政基盤を堅持してまいります。

 次に、本区情報化の基本的な方向性についてであります。

 人口増加や行政ニーズが多様化、複雑化する中にあって、区民の負託に応えていくためには、業務を抜本的に見直し、新たな情報技術を活用することにより効率化を進めるとともに、スマートフォンなどの利用者が増加する中、情報端末ツールを利用した区民の利便性向上につながるサービスを充実していく必要があります。こうした観点から、現在、電子区役所のさらなる推進を図るため、キャッシュレス決済、電子申請、文書管理・電子決裁システムなどの導入について、情報化基本方針の改定作業の中で検討を進めているところです。また、業務を把握するための全庁的なアンケート調査、業務分析・業務改善を目的としたヒアリング調査などを行ったところです。今後、ICT技術を活用したシステムの導入に向け、実証実験を実施するなど、具体的な検討を進め、導入までのロードマップ及びアクションプランを盛り込んだ改定情報化基本方針を本年度中に作成する予定であります。

 次に、多様な財源の確保と財政基盤の強化についてであります。

 財源確保に向けた税の使われ方の検証について、本区では、財務情報などを活用した行政評価や、その結果を踏まえた予算編成、そして決算分析を取りまとめた財政白書の発行などを通じ、広く区民の皆様へ公表しているところであります。今後、さらなる取組強化に向け、研究してまいります。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中止・縮小した各種事業の予算については、本年度後半の影響も加味した上で、最終補正において減額等の対応を考えております。減収補填債については、現行制度上、特例で設けられた徴収猶予による減収分のみ発行が認められており、その返済期限も猶予期間である一年間であることから、発行については慎重に検討しているところであります。特別区交付金については、都と区における事務配分の特殊性から設けられた財源配分の仕組みのため、財調算定されるには特別区共通の行政需要であることが求められます。都心区としての行政需要の算定充実に向け、課題を共有する隣接区等とも連携を図りながら、特別区全体、そして東京都の理解が得られるよう、引き続き働きかけてまいります。あわせて、区独自の行政需要に対し、特別交付金で算定されるよう、今後とも取り組んでまいります。今般の感染症を例に挙げるまでもなく、景気の影響を受けやすく、地方交付税による財源補填制度を持たない特別区にとって、財政基盤の強化は大変重要な課題と認識しております。本区では、歳入の伸びが堅調なときにあっても、将来需要に備え、計画的に基金の積立てを行うとともに、真の区民ニーズを的確に捉えた施策の展開を図り、堅実で効率的な行財政運営に努めてまいりました。この基金を効果的に活用し、厳しい財政環境にあっても、必要な行政サービスを提供し続けられる財政基盤を今後とも堅持してまいります。

 次に、AIなど最新技術を活用した取組についてであります。

 今年度、コンサルティング事業者による業務分析の結果、定型入力業務の多い部署において、AI‐OCRやRPAの導入により、作業時間の削減に大きな効果が見込めることが明らかになったため、これらの業務を対象に、十月から実証実験を行う予定です。また、総務省の自治体AI共同開発推進事業を利用し、練馬区及びシステム事業者と共同の上、住民税の賦課修正業務の効率化を図るため、AIを活用した実証実験に取り組むこととしています。今後、それらの効果等も踏まえながら、業務効率化・区民サービスの向上に資するICT施策について、情報化基本方針に盛り込み、計画的な導入を図ってまいります。

 次に、基本計画二○一八についてであります。

 基本計画では、基本構想に掲げた将来像の「輝く未来」と「粋なまち」の実現に向けて、「新たな価値を創造する持続可能な発展型まちづくり」と「さまざまな人々が集い、交流し、絆をつないでいく温もりのある豊かな地域社会づくり」という二つの戦略を掲げ、展開していく施策を示しており、これらの戦略や施策の方向性は、感染症の拡大によって直接的な影響を受けることはないものと認識しております。いまだ新型コロナウイルス感染症が収束していない状況において、区政運営には、感染拡大防止と社会経済活動との両立が求められており、基本計画の枠組みの中で、イベントの規模・内容の変更等の感染拡大防止策を講じる一方、中小企業等を支援する緊急特別資金融資制度の創設のほか、家庭と企業双方の支援を目的に、プレミアム付共通買物券の販売額等を大幅に引き上げるなど、社会経済活動の活性化のための対策を講じているところであります。今後とも、感染状況等を見極めながら、本区のさらなる飛躍・発展に向けた歩みを確かなものとするために、二十万都市をも見込んだ基本計画に定める施策を着実に実施してまいります。

 次に、新たな日常における経済対策・産業政策等についてであります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国において、多岐にわたる業種・業態の事業者に依然として甚大な影響を及ぼしており、区内経済にとっても非常に厳しい状況が続いているものと認識しております。御指摘の融資制度の創設や、区内共通買物券の発行といった独自の経済対策に関する効果につきましては、その経済波及効果や貢献度などを表す具体的または客観的な指標はございませんが、多くの事業者にとり、経営の維持・安定化に資することができているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金につきましては、現下の社会経済状況等を踏まえ、受付期間を今年度末まで延長したところですが、今後も当該感染症の影響を多角的に捉え、販路拡大支援事業など、各種中小企業振興事業を適宜点検し、その改善等に取り組んでまいりたいと考えております。区内事業者においては、当該感染症の長引く影響と、それに対する将来への不安感も払拭できない状況にあるものと存じます。あわせて、新たな日常と言われる中で、我々の生活様式をはじめ、在宅勤務の拡大など、仕事の仕方も変化しており、それらは今後ますます進んでいくものと考えております。今後の対策に関しましては、そうした変化と、国や都などの対策をしっかりと踏まえながら、同時に、区内事業者のニーズを的確に把握し、区内経済の回復に資する対策を総合的に展開する必要があります。そのため、区では、現在、商工業の発展はまさに本区の生命線であるとの認識の下、新たな経済対策と既存事業の充実を全庁横断的に検討しており、区議会にも御相談をさせていただきながら、区内経済の一層の発展に向け、積極的に取り組んでまいります。

 次に、戦略的分野への投資等による稼ぐ力の育成についてであります。

 本区は、日本の経済活動の中心を担う都市として、高度な都市機能や魅力を備えたまちづくりを推進しています。国家戦略特区は、都市再生に係る特例措置を可能とする制度であり、民間提案を適切に促すことで、まちづくりの波及効果を大きく引き出すことが期待できることから、本区において、その活用は有効と認識しています。当該制度の運用が平成二十五年に開始されて以降、本区においては九件の取組が認定されています。これらは、日本橋地域や東京駅前地域に集積している金融や創薬などの産業にも着目しながら、ビジネス拠点としての環境整備を図る提案となっており、東京の国際競争力の強化に資するものと考えています。今後も、区内における民間提案に対し、国や東京都、区の取組と適切に連携していくよう、まちづくりの協議等を通じて働きかけ、企業活動が活発に展開していくよう推進してまいります。

 次に、自治体における環境経営についてであります。

 本区では、活発な都市活動により、温室効果ガスを排出して環境に負荷をかけている一方、その低減に向けて、省エネルギーや自然エネルギーの利用の推進に取り組むとともに、行政区域を超えた地球温暖化対策である中央区の森事業を実施するなど、環境に配慮した施策を実施しているところです。こうした環境対策には費用を要することから、森林環境譲与税を効果的に活用していくことが今後重要となります。この税は、森林整備とともに、木材利用の促進や普及啓発をその使途としており、令和元年度分は中央区の森事業に充当しております。令和三年度は、税のより効果的な活用に向けて、複数の区の連携による広域的な森林整備などについて、本区を中心に合同の調査研究を行う予定です。また、区では、これまでも中央区の森の間伐材を豊海小学校の図書室で利用するなど、公共施設での木材利用を進めており、さらなる推進に向けて、木材利用推進方針の策定について検討を進めてまいります。今後も、こうした取組により、環境と経済が循環する持続可能なまちを目指してまいります。

 答弁は以上であります。

〔五番 かみや俊宏議員登壇〕

○五番(かみや俊宏議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございました。

 それでは、幾つか、答弁に対する所感を付言させていただきます。

 まず、今回の質問でありますけれども、昨日、自民党会派として提出をさせていただきました重点政策要望の一項目め、効率的な行財政運営を通じた財政力・組織力の強化、そして、五つ目の項目でありました区内産業の育成、この中から質問をさせていただきました。

 また、要望書の提出に当たって、感染症や自然災害など、これまでの常識がまるで通用しない、こういった中で、新しい価値観を敏感に捉え、局面打開にとどまらない、さらなる発展に向け、動的かつ柔軟な施策を実行するときと考えている、こういった旨の付言をさせていただいていると思いますけれども、これらを踏まえて、今回、基本的な見解、そして具体的な提案ということも質問をさせていただきました。

 幾つか、個別に所感を述べさせていただきたいと思います。

 まず、行財政運営の効率化でありますが、根本的な考え方は、おおむね同じ方向であるというふうに理解をさせていただきました。今、本当に厳しい状況が続いていく。これから、どれぐらい厳しくなるかというところも含めて、大変な御判断をされているんだろうなというふうに推察をいたします。その中で、かなり財源確保について細かいことを申し上げたんですが、予算、お金のことばかり言っているのではないかなとお感じになられたかも分からないですが、やはり財政のところをしっかりと見直すことで、コロナへの経済対策あるいは人口増加に伴う、御答弁の中にもありました様々な基盤整備に関する財源確保をすることで、区民の皆様のためのサービスや事業を行うことができると思いますので、ぜひ引き続き、この取組というものをお願いしたいと思います。

 そして、一点細かいところになりますけれども、予算編成の税の見直しのところ、税の検証を深めていくべきというところでありますが、予算編成過程の公開、いろいろな議論、いろいろな考え方はあろうと思いますが、どこまでやるか、どういうふうにやるか、こういったところも、研究をしていくという答弁をいただきましたので、ぜひ、どういうやり方がいいのかを含めて、研究を進めていただきたい。そしてまた、私自身も、どういうものが正しいのか、いろいろ勉強させていただきながら、引き続き提言させていただきたいと考えております。

 次に、個別の内容で続きますが、特別区の交付金について、こちらは制度上やむを得ない、これはおっしゃるとおりだと思いますし、既に様々御尽力いただいているとも思います。このことに本当に感謝をいたしております。

 一方で、少し個別の事例になりますが、特別区交付金は東京都と特別区の関係、一方で、東京都と国という関係がある。東京都は国に対して、例えばですけれども、皇居の警備の業務、これは本来国のことだけれども、東京都の警視庁がやっているから、それはおかしいということで、様々な提案だったり、要求、要望をしているというふうに理解をいたしております。共通の行政需要として算定されなければいけない、まさにそのとおりなんだと思うんですが、都心区では、やはり昼間人口が増えていく、あるいは多く抱えていること、様々な行政需要を、私は認めていただくべきだと感じておりますので、御苦労があるのは承知をしておりますが、ぜひ引き続き取組をお願いしたいなというふうに思っております。

 次に行政運営の効率化・情報化の点でありますが、今御答弁いただいた中に、方針の改定、ロードマップ、アクションプランを含めたものを本年度中に策定するという御答弁をいただいたものと理解をいたしております。コロナ禍で様々な対策もしなければならない。既存の事業についても、行っていく、あるいは縮小・中止しなければいけない。こういう様々な御判断がある中で、さらにこの計画を見直すということは大変御負担が多いと思いますが、大切なことだと思います。業務分析のアンケート、ヒアリングなども行っていただいている。まさに、事業もやりながら、中のことも見直していくということだと思うんですが、ぜひ引き続き取組を進めていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、情報化のところで、最新技術を活用した取組について、トライアルの実施でありますが、十月から実証実験を始めていただく予定、こちらは総務省の補助金と御答弁がありましたでしょうか。補助金を含めて、練馬区とともにということでありますので、まさに始めようとしていただいているところということなのかなと認識をいたしましたので、こちらもぜひ引き続きの積極的な取組をお願いしたいというふうに思います。

 次に、経済対策について申し上げさせていただきます。

 ここも、今の時期は大変財政と密接なところがあるのかなと感じております。自民党会派として、財政という項目での質問は、平成三十一年の第一回定例会以来かなと思っております。その際の議論のキーワードの一つが、適正な区民サービス、果たして適正とは何かということだというような議論があったものと理解をしております。大変重要かつ基本的な考え方だと理解をしておりますし、私自身もそのように思います。

 今、コロナ禍においては、財政出動をして、先ほど御答弁もありましたが、融資、買物券の施策をやっている。さらにやっていくことが必要ではないかということで、その中で、区独自の経済対策ということでも総合的に展開をしていく。区の産業育成、商業育成というのは本区の生命線だと、区長からの御答弁もございましたが、まさにそのとおりであると思いますし、全庁的に対策を講じていくことを検討いただいているということでありますので、ぜひ、こちらも総合的な展開ということで、販路拡大の事業にも踏み込んでいただいた。融資で金融の支援をしていく。そこから一歩前を向くではないですけれども、反転攻勢ではないですけれども、少し経済を動かしていくための施策という視点なのかなと、御答弁を聞いていて感じました。総合的という言葉に尽きると思いますが、ぜひ段階段階に合った、きめ細やかな支援策の構築を要望させていただきます。

 最後に、戦略的投資による稼ぐ力の育成、こちらも、国家戦略特区については九件の認定をいただいている。価値のあるものだということで、価値観というものは共有させていただいているのかなと感じました。こちらも、様々な取組、やはり規制があるからできませんというものを取り払ってやっていくものでありますし、本来国がやっていくようなものだとも思いますが、都心区、中央区だからこそできることがあるのではないかなと思っておりますので、ぜひ引き続きこちらも取組をお願いしたいと思います。

 最後に、環境経営の実効性、これも、森林環境譲与税について、近隣区と合同での調査研究は大変すばらしい取組だと思いますので、ぜひ近隣区とも連携をしていただきながら、行っていただきたいと思います。方針のほうは検討をぜひお願いしたいなと。御案内かと思いますが、実は東京都が区市町村向けに補助事業、メニューを用意していて、方針を策定していると対象が拡大する、メニューが拡大するというようなことも仄聞しておりますので、ぜひ、そういったところも含めて、様々なところから財源確保もしながら、経済対策というものを充実させていただきたいというふうに考えております。

 以上、るる申し上げましたけれども、引き続きコロナ禍における取組の推進を要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(押田まり子議員)
 次に、十四番佐藤あつこ議員。

〔十四番 佐藤あつこ議員登壇〕

○十四番(佐藤あつこ議員)
 自由民主党の佐藤あつこです。令和二年第三回定例会の一般質問を中央区議会自由民主党議員団の一員として行います。区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、具体的かつ建設的な御答弁をお願いいたします。再質問については、あらかじめ留保いたします。

 二○○○年春の地方分権一括法施行以来、日本の政治改革における地方分権の波はゆっくりと進行しております。地方分権という潮流に対し、新型コロナウイルスは、全体的方針を国が主導し、実働を基礎自治体が担うという大枠を浮き彫りにしました。山本区長の就任から一年半がたとうとしている中で、安全を最優先にするための活動自粛は、人々が場に集い、言葉を交わし、共に活動するという人類の基本的な価値観に揺らぎをもたらしました。山本区長におかれましても、安全と持続の二項対立に対し、暫定的な決断を下していく、その御苦労たるや、計り知れぬものがあったと思います。

 危機管理の最前線を担う基礎自治体は、SNS発信を利用して地域住民への周知を行い、SNSのプレゼンスは向上いたしました。自治体にとっても、議会にとっても、もちろん我々議員一人一人にとっても、SNS発信は単なるアピールなどではなく、地域住民のための情報共有であり、発信と、それに伴う責任は両輪であるという問題意識は、これからも問われ続けることでしょう。同時に、新型コロナウイルスは、地域の安全を第一とするか、持続性を取るかの二律背反またはバランス配分の課題を浮上させました。

 行政にまつわる情報発信は、以前ならば区のおしらせなどに限定されており、それが発行されるまで人々の知るところではありませんでした。しかし、昨今では、SNSに飛び交う臆測や評価が一瞬にして拡散し、新聞やテレビがそれを後追いする形で記事にすることも多くなりました。この流れは、加速化することはあれど、後退することは考えづらいでしょう。独自の対応をする基礎自治体や広域自治体の首長は、かつてないほどにメディアを利用しての発信を行い、新型コロナウイルスは、メディアと自治体の関係性にも変容をもたらしました。特に、マスメディアではなく、SNSという極めて歴史の浅いメディアが効力を発揮する拡散、その効率性に着目したことで、現状、SNSを通じた市民からの要望を陳情と同様に扱うという京都府亀岡市のような行政も出現しました。危機的状況において、SNSは、その影響力を強めることも実証されたのです。

 そこで、区長にお伺いいたします。

 自治体とSNSの関係性の変化と、その捉え方です。首長がSNSを用い、直接的かつ効率的に情報発信することは、普及啓発、告知への効率性を発揮します。他方、一時的なパフォーマンスでもあり、ともすれば衆愚政治に陥るという危険が指摘されます。その両義性をどのように捉え、今後に生かしていくのか、SNSに対する御自身の利用状況や視座、捉え方などについて、区長にお聞かせいただきたいと思います。

 さて、これまで都心回帰、定住人口増加などの理念を掲げ、区政を牽引してきた矢田区政の三十二年間が終わり、これまでの人口増加政策への検証及び今後の飛躍、発展が山本区長に委ねられました。今まで信じて進めてきたこと、それは定住人口の増加でした。定住人口の増加による活気とにぎわいが本区を豊かにし、長く継承された伝統と文化の価値が融合し、古きものと新しきものの価値観が重なることでコミュニティが発達し、多様性が創り出す新たな文化創造が、また持続可能な地域を生成する。こういった好循環が、今後の本区の強みとなることでしょう。少なくない人々が新たな価値への創造を期待する中で、これまでの定住人口増加という価値を一旦静観し、持続可能性という価値に視点を移すことが求められます。これは、目標を達成したことで、その達成地点を一つの終息と捉え、次なるタームを新たな視点と捉えるトランジション理論に適合します。トランジション理論は、新たな試み、例えば改革、起業、イノベーションなど、人の営みがスタートする際の理念づくりに不可欠なものであり、新たな価値を定めるための理論的根拠となります。そして、正当性を担保します。この理論を参照しながら、矢田区政の三十二年間が終息したことを新たな出発点として捉えると、昨年の十月、新聞報道で明らかになった三つの要望は、新たな価値へのシフトを示唆しています。

 以下、山本区長は、都知事に対し三つの要望をいたしました。第一に、銀座のビル屋上などを走る東京高速道路KK線の遊歩道緑化、第二に、旧築地市場跡地で進める再開発を十年で整備完了させること、第三に、首都高晴海線の延伸や都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線を整備すること、この三つの施策は、山本区長の出発点としても、本区の発展・飛躍という点においても、多方面から注目を集めています。都知事の言葉によると、「ニューヨークのハイラインのような、人でにぎわう緑のプロムナード」のイメージは、持続可能性、環境的配慮、にぎわいと活気という全ての視点から極めて有効であり、新たな区政を象徴するものです。

 そこで、お伺いします。

 KK線による遊歩道緑化とにぎわいの創出は、本区の持続性として強く推し進めていくべき施策です。この点についての進捗、課題の両面から、現状をお聞かせください。

 KK線という新たな要因により、新庁舎建て替えの議論が一旦停止しています。新型コロナは、ポストコロナに最適な危機管理機能、つまり最前線の拠点としてふさわしい整備を整えた新庁舎を要請することとなりました。新庁舎建て替えの議論の周辺には、KK線、危機管理、老朽化など、様々な事象が点在しており、重要度の優先順位は決断に難いものでしょう。しかし、政策、外因、内因、政治が交差するところで決断をしなければいけない以上、これを棚上げにするのは得策ではありません。

 そこで、質問いたします。

 庁舎は、危機管理の拠点であるだけでなく、情報発信の拠点であり、情報管理の拠点でもあります。これらの観点から、外因、内因、政策を総合的に勘案し、新庁舎建て替えの議論を早急に再開すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

 第二に、新庁舎建て替えの議論について、進捗情報の共有を積極的に行っていただきたいと考えているところですが、その点についてのお考えをお聞かせください。

 第三に、現庁舎の効率性、機能性の改善についてです。

 現庁舎においては、年々増えていく業務と、それに対応するインフラ整備の必要性から、スペース確保は喫緊の課題です。そのような中において、二○二二年、本の森ちゅうおうに移転予定の京橋図書館の跡地をどのように活用していくべきかの検討も必要です。新庁舎建て替えの議論と並行し、京橋図書館の跡地、空きスペースを有効的に利活用していくための検討はどのようになされているのか、情報共有をどのように行っていくのか、現状をお聞かせください。

 次に、個別の施策について、持続性の視点からお伺いします。

 度重なる行事の自粛、延期は、区民の皆様が心身ともにストレスをため込む要因となります。認知、抑鬱状態、フレイルとの相関関係も指摘されています。冒頭にも述べましたが、コミュニティ内外の交流は、本区の持続可能性にとり、必要不可欠ですが、感染症に対する安全性を完璧に求めるのであれば、持続性との両立は困難です。そこで、リスク管理を多少なりとも自己責任の範疇にシフトすることで、持続性を確保する方向への軌道修正が求められます。その含意は、持続性と安全性のベストなバランスを地域性を踏まえて決断するということに尽きるのですが、そういった都度の判断の連続が、少なくとも薬、ワクチンが開発されるまで続くものと見込まれます。技術戦略研究センターによると、薬、ワクチンの開発は二○二一年度内を目途としており、また、集団免疫に至っては、その獲得まで少なくとも二、三年は要するとのことです。

 そこで、来年度に向けての区民行事への安全性と持続性という視点からの基本的方針はどのようなものなのか、お伺いをいたします。

 安全性と持続性のバランス配分をどのような価値基準を基に決めていくのか、つまり、区民行事を楽しみにしている方々と、安全性を確保しなければならないという二つの事情への最適解を規定する価値基準はどのようなものなのか、お聞かせください。

 次に、安全性の観点から質問いたします。

 新型コロナウイルスは、人口密度などの因子と強い相関を認め、密集、密接を回避するライフスタイルの導入が重要です。かつて感染割合の高かった地域では、観光や夜の繁華街など人口密集の要因以外が関与している可能性があり、とりわけ若年層の検査を推進した地域は感染率が高くなるという結果が出ました。しかし、同時に、無症状者やごく軽症者をPCR検査によって特定した結果、日々感染者数の増減に一喜一憂する報道が繰り返され、人々は恐怖と不安を募らせました。感染拡大という恐怖と不安だけが独り歩きしてしまうことを回避するために、厚生労働省は、十八日、入院勧告の対象を高齢者と持病のある方に見直す案を助言組織の作業部会で発議し、それが了承されました。やっと適切な普及啓発を行うことで、今よりも持続可能な日常生活を取り戻せるといった段階に到達したところです。PCR検査を増やす本質的な目的は、とりわけ高齢者と深刻化の危険性のある持病をお持ちの方の命を守るためであり、その他の多くの方たちが入院を余儀なくされることで引き起こされる医療崩壊を防ぐことが重要であるとの認識に立ち、政府もまた、軌道修正をしています。

 そこで、質問です。

 本区においても、高リスクの高齢者を中心に普及啓発を高め、高齢者の重症化を未然に防ぐことを志向すべきと考えますが、いかがでしょうか。あわせて、本区における高齢者の重症化に対する独自の予防策及び啓発活動はお考えでしょうか、お聞かせください。

 次に、医療機関への対策及び支援についてです。

 厚生労働省は、新型コロナ感染症の院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う病院・診療所などに対し、支援を行っています。他方、本区の医療機関に目を向けるならば、ビル内のクリニックが多く、受診者を在勤者と想定している点が特徴です。こうした特性から、緊急事態宣言以降は、区外から在勤している人々との接触を回避するために、持病をお持ちの方や具合の悪い地域の方が受診を自粛する傾向が続いていると伺っています。報道によると、百床未満の開業医市場は六・九%減となり、この五年で最大幅のマイナスとなりました。感染リスクを恐れるあまり、受診が必要な地域住民が受診を回避し、結果として、地域医療が経営破綻を起こしてしまうなど本末転倒であり、こういったリスクを避けるために、まずは医療機関には、感染防止のために効率的な動線確保や飛沫防止パネルの設置など、万全に整えていただき、地域住民が安心して通院できるための方策に対して、本区も感染拡大防止支援を独自に進めていくことは、人の生命に関係する重要な公共財としての医療機関の持続性につながります。

 そこで、お聞きします。

 感染防止のために効率的な動線確保や飛沫防止パネルの設置など、本区独自の感染拡大防止策を推進することが重要だと思いますが、その点についてお考えをお聞かせください。

 次に、特別定額給付金のオンライン給付申請から浮上したマイナンバーカードへの業務対応という点についてお伺いします。

 四月二十日の閣議で、迅速かつ的確に家計への支援を行う目的で、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の実施が決定しました。本区の特別定額給付金については、九月十六日のコロナウイルス・防災等対策特別委員会において、ほぼ振込作業が完了したことが報告され、迅速かつ的確なスピード感で業務を遂行なさったのはすばらしいことだと思います。一点、課題を提示するのであれば、特別定額給付金に際し、マイナンバーカードを利用して給付申請を行った人たちの給付金が、郵送による申請者と比較して振込時期が若干遅くなったという報告がありました。現段階でマイナンバーカードは個人情報のみに限られ、住民票の世帯情報を確認する必要から、区においても、照会し、確認する作業に膨大な人的、時間的コストを割いたことと思います。言うまでもなく、これらは国による根源的なマイナンバー政策や、それに伴う法技術の課題でありますが、区においてもマイナンバーカードでの給付金申請における体制と今後の課題への検証を早期に行うべきと考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 二度とあってほしくないことではありますが、今後の緊急事態宣言や、それに伴うマイナンバーカードによる手続申請などへの想定を踏まえ、区行政の組織体制強化が喫緊の課題であると考えますが、その点についての対策をお聞かせください。

 次に、教育問題についてお伺いします。

 今年の二月二十五日、政府は感染拡大に備えた基本方針を決定し、機動的な臨時休校を促したことを受け、文科省が各自治体に向け、臨時休校とそれに伴う補充事業や家庭学習といった配慮の必要性についても各自治体に通知し、以降、オンライン教育への課題意識が急速に高まりました。オンライン授業の形式は、厳密には、いつでも視聴できる録画アーカイブ型と、オンライン空間の共有を目的としたライブ配信型の二パターンがあります。本質問においては、オンライン空間の共有によりお互いの顔を確認し、空間の共有を念頭に置いたライブ配信型をオンライン教育と定めて質問をいたします。

 実際に、日本橋小学校など、PTAが主体となったライブ配信による集会が行われ、私も視察をしてまいりました。子供たちの笑顔や教員の達成感など、有効であったと思っております。そこで、本区におけるコロナ禍のオンライン教育についてお聞きします。

 今後の対応策を視野に入れ、空間の共有を目的としたオンライン教育について、できるだけ早期に検証し、備えることが必要かと思いますが、本区の基本的指針をお聞かせください。

 次に、学校に行かないという選択を主体的に行う積極的不登校についてお聞きします。

 コロナ禍による家庭の経済的、精神的不安定さは、子供にも保護者にも大きな影響を与え、さらに不登校数が増えていくと想定されます。政府の諮問機関である中央教育審議会は、臨時休校で登校しなくても学べることを経験したため、潜在的不登校から積極的不登校へ変更されるケースが増えることを示唆しています。今後、学校に行く、行かないという選択は、さらに多様性を増す中で、本区においては、この事態をどのように受容し、対策を立てていくのかという視点からお伺いいたします。

 積極的不登校に対する手続上のプロセスをお聞かせください。

 次に、コロナ禍において、多くの不登校児童・生徒がオンライン教育に参加しているという調査報告がある中で、不登校を改善する施策として、オンライン教育についてお聞きします。

 青森市教育委員会教育長は、今年七月の調査報告において、多くの不登校児童・生徒がコロナ禍のオンライン教育に参加していることを明示しました。青森市の全中学校では、不登校生徒の七五%がオンライン教育に参加、うち九三%が、通常登校が開始された五月二十五日以降も登校をしました。また、寝屋川市においても、小・中学校の公教育で、不登校や長期病欠中の子供たちの支援を想定したオンラインライブ授業を始めました。インターネット環境がない家庭に向けては、DVDを配布することで不公平が生じないための配慮も行っているとのことです。

 そこで、質問いたします。

 本区において、不登校対策への一環として、オンライン教育を積極的に活用することについて、今後どのような方向性を据えているのか、お聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 佐藤あつこ議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、SNSを活用した情報発信についてであります。

 区では、区民サービスやイベントをはじめ、災害や気象情報など、様々な情報を区のホームページ、広報紙、コミュニティラジオのほか、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで発信しています。SNSは、即時性、拡散機能などの特性がある上、災害時には簡単・迅速に避難所情報やライフラインに関する情報を提供することが可能となります。首長が個人としてSNSを発信することは、区民の区政への関心を高める効果が期待できる一方、区を代表する首長の発信と捉えられてしまうおそれや、区が発信する情報と表現の相違から誤解が生じることなどが考えられます。こうしたことから、区としては、今後も区公式のSNSにより、様々な情報を正確かつ迅速に発信するための方策について検討を深めてまいります。

 次に、KK線プロムナードについてであります。

 KK線の既存施設の在り方については、東京都が事務局となり、学識経験者や周辺区を委員とした検討会にて議論が進められています。全六回の会議を予定する中、本日第五回が開催されることとなっており、ここで既存施設の有効活用策の取りまとめ素案が提出される状況となっています。検討会においては、目指すべき将来像として、既存の高架道路の形態や連続する屋外空間を生かし、広域的な歩行者系ネットワークや緑のネットワークを構築するとともに、地域の価値及び魅力を向上することが掲げられており、本区の目指すべき方向とも一致しているものと考えています。本区といたしましては、この取組が進む中で、地域との一体性や来街者の回遊性など、地域にとってより有用な取組となるよう、様々な観点から区の考えを伝えてまいります。また、東京の新たな魅力の創出に向け、KK線のみならず、築地川アメニティ整備構想と連携を図っていくことが重要であると考えています。今後、地元の方々の意見も聞きながら、この取組が確実に実現するよう、都などの関係機関に働きかけてまいります。

 次に、本庁舎整備についてであります。

 これまでの本庁舎整備検討委員会では、現在の本庁舎の抱える課題の解消とともに、情報発信機能の充実や防災危機管理機能の強化等を目指して検討を進めてまいりました。まちづくりの動向を慎重に見極める必要があることから、昨年度以降、開催を延期しておりますが、区といたしましては、首都高都心環状線の整備事業の具体化が進み、本庁舎整備への影響が明らかになった時点で、できる限り早期に検討委員会を再開したいと考えております。しかし、一方では、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、財政状況の悪化が避けられないと見込まれることから、整備費の圧縮がこれまで以上に重要な課題となっております。現在、その検討の基礎資料とするため、庁舎規模の最適化に向けたオフィス環境調査を実施しているところであり、検討委員会が再開された際には、その調査結果等を踏まえた具体的な整備案を基に議論を進めていくとともに、その検討状況については、ホームページで公表するなど、広く区民と情報共有を図ってまいります。

 次に、京橋図書館移転後のスペースの活用についてであります。

 京橋図書館が移転した後のスペースの有効活用は、現庁舎の課題の一つである狭隘化を解消するために、大変重要であると認識しております。現在、区民の利便性向上や業務の効率化、職員の執務環境の改善など、様々な観点から、全庁的なニーズの把握を進めているところであります。今年度中には具体的な活用方法を定める予定であり、検討結果につきましては、改修整備に係る予算案を通じて情報共有を図ってまいりたいと考えております。

 次に、ポストコロナの区民生活における安全性と持続性のバランスについてであります。

 一日も早く活力ある中央区を取り戻すためには、区の行事など各施策の展開はもとより、本格的な社会経済活動の再開が不可欠であります。一方で、感染の再拡大を防ぐ取組も継続して行っていく必要があることから、感染防止策と社会経済活動をいかにバランスよく両立させていくかが重要となります。本年四月に国が緊急事態宣言を発出し、六月には都が東京アラートを発動するなど、国・都それぞれのレベルで様々な対策を講じてきたところでありますが、国民一人一人の理解と協力により、危機的な医療崩壊を招く事態は避けられ、現状では、大規模イベントの開催制限等も一定程度緩和されるまでに至りました。こうした中、国や都は、専門家等の意見を反映させながら、対策本部において方針等をその都度決定している状況であり、区独自の感染防止策と経済活動のバランス基準を定めることは難しいものと受け止めております。したがいまして、現時点においては、国等が決定した対応方針等を踏まえ、徹底した感染防止策の下、安全な行事等の開催を平常化していくとともに、関係団体の協力を得てセーフティーマークを配布するなど、都心区として、安全・安心な環境づくりを行いながら、本区の活力を着実に取り戻してまいりたいと考えております。

 次に、高齢者の重症化を防ぐための方策についてであります。

 年齢別に見た場合、高齢であればあるほど重症化する割合が高くなることが、今までの知見から分かっております。したがって、高齢者の重症化を未然に防ぐことは大切であり、そのためには、感染が起きてからの対策ではなく、感染しないための予防策が重要となります。このため、「介護保険つうしん」で新型コロナウイルス感染予防の特集記事を掲載し、高齢者全員に配布するとともに、通いの場などにおいて保健師による講座を開催しております。また、感染症は親しい間柄ほど感染しやすく、高齢者間のみならず、同居の親族などから年齢層をまたいでの家庭内感染が起きています。区といたしましては、せきエチケットや手洗いといった基本的な対策の徹底について、区報やホームページを活用し、幅広く、世代を限定せず、周知してまいります。

 次に、医療機関における感染拡大防止対策の推進についてであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、区内の診療所においては、外出自粛の要請やリモートワークの推進により患者が減少するとともに、診療所内の感染拡大防止対策に費用を要するなど、経営面で厳しい状況にあると認識しております。こうした状況下における医療機関への支援については、全国的な課題でもあり、医療提供体制の維持という視点からも、国が責任を持って実施するべきものであります。現在、国において感染拡大防止等支援事業をはじめとする医療機関への支援策が講じられており、本区の診療所においても、積極的な利用により感染拡大防止対策が進められております。今後は、こうした国の支援策の活用状況を見据えながら、本区の特殊性を踏まえた区独自の支援策について、医師会等の意見を聴取しながら検討してまいります。

 次に、マイナンバーカードによる給付申請と組織体制についてであります。

 特別定額給付金事業におけるオンライン申請については、国が統一的なシステムを構築しましたが、一連の処理において有効に機能しなかったため、申請内容の確認など、想定外の事務量が発生してしまいました。そのため、区では、全庁を挙げての応援体制を構築するとともに、委託業務の処理体制の強化を図り、対応に当たったところであります。その結果、誤支給や重複支給などの事故も発生せず、適正に支給事務を行うことができました。区といたしましては、今回の定額給付金のように、緊急かつ膨大な事務量が発生した場合においても適切に対応できるよう、柔軟かつ機動的な人員体制を確保するとともに、より効率的な業務プロセスの構築を担う人材の育成に努めてまいります。

 私からの答弁は以上です。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、コロナ禍におけるオンライン教育の基本的指針についてであります。

 臨時休業時において児童・生徒の状況を把握するほか、学校と児童・生徒とのつながりを保つために、朝の声かけや朝の会などをライブ配信型で実施したことは効果があったものと認識しております。また、全ての児童・生徒に対するオンラインによる学習保障としては、動画配信や学習課題の提示などが実施できると考えており、引き続き、児童・生徒の学びを止めないという観点から、さらに取組の方向性について検討を進めてまいります。

 次に、学校に行かない選択、積極的不登校への認識についてであります。

 本区において、新型コロナウイルス感染症に関連して登校していない児童・生徒は、小学校八名、中学校三名であります。当該児童・生徒においては、欠席にはせず、出席停止・忌引等の扱いとし、担任が電話連絡等で健康観察や学習状況の把握に努めております。コロナ禍においては、心身に影響を与え、不登校児童・生徒が増えていくことも想定されます。不登校は、どのような要因であっても、その時期が休養や自分を見つめ直す機会など、積極的な意味を持つことも考えられます。よって、不登校児童・生徒の支援は、学業の遅れなどにも配慮しつつ、本人の気持ちに寄り添った社会的自立や学びの保障に向けた支援を行うことが重要であると認識をしてございます。

 次に、不登校問題に対するオンライン活用についてであります。

 不登校児童・生徒に対して、オンラインを活用して様々な学びの場を提供することは、担任とのコミュニケーションを図るほか、学習状況を把握することなど、登校につながる有効な手段の一つであると認識しております。本区の不登校対策は、こうした取組に加え、別室登校や適応教室の活用、メンタルサポーターの派遣など、個々の状況に応じて効果的に組み合わせた支援に努めているところであります。今後も、不登校を生まない魅力ある学校づくりや不登校児童・生徒への学びの機会の保障など、オンラインの教育環境を有効に活用し、学校復帰を目指した着実な取組を推進してまいります。

 答弁は以上であります。

〔十四番 佐藤あつこ議員登壇〕

○十四番(佐藤あつこ議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 国等が定めた枠組みの中で、その方針に従い、活力ある中央区を最大限取り戻していく。そのために判断をして、区民行事も徐々に再開させていくという御答弁をいただきました。これは非常に納得いくものだと思います。

 また、一方で、ワクチンや集団免疫といった見通しが立つまでの間をウィズコロナ、そして、その後にワクチンの開発や集団免疫の見通しが立って、以前の生活に完全に戻るということではなくて、逆に、危機から発生したチャンスを、オンラインやデジタルトランスフォーメーションといった形で、社会変革の時代というのを迎える。これをポストコロナというふうに区切るのであれば、国の施策においてもデジタル庁を時限組織として設立したということは、明らかに以前どおりの生活に戻っていく、構造に戻っていくということは、やはり難しいのではないかなと。そのための軌道修正というのが徐々に必要なのかなというふうに考えております。

 冒頭、問題意識として提示させていただきましたのは、こうした時代の変革期の想定外において、いかに正しい情報を的確に必要としている人に届けていくか、情報発信へのフィードバックを誰がどのような正当性の下に受容していくのかという問題意識です。その一つとして、SNSというものの可能性についてお聞きしてきたわけですが、SNSを発信する側の責任というのを重く受け止める、考えるというような御答弁の趣旨だったと思います。つまり、区長個人としてではなくて、区としての発信に力を入れていくというところです。ここは非常に厳しく発信を精査する、その一方で、しっかりと精査されたSNSというものに関しては、受容する体制というものも、また同時に整えていくという受容の問題を提示させていただきました。

 そして、一つの指標として、自治体として、京都府亀岡市の事例を成功事例として提示させていただきました。SNSと自治体の関係性が、ポストコロナに向けて、大きく変容していく中において、一考の余地があるというふうに思いました。

 一点再質問させていただきたいのですが、京都府亀岡市の事例が大変評価できる点といたしましては、先ほど申し上げたとおり、発信に対する責任を重く規定する代わりに、精査されたSNSならば、しっかりと自治体として受容していくという点です。こういった事例を参照しつつ、パブリックコメントや区長への手紙といった、自治体と地域をつなぐ連結のツールとしてSNSに着目をして、新たなガイドラインを策定するというような可能性が今後あるのかどうかについて、お聞かせいただきたいと思います。

 教育については、取り組み方を検討しているという御答弁をいただきました。

 GIGAスクール構想が単なるインフラの整備とデバイスの配布だけにとどまらず、本区がこれまで積み重ねてきた教育の強みというものをさらに生かして、弱みを補完するためのものとして、ツールとして、そこから派生して教職員の働き方改革などの起点になるということを期待しております。

 一点再質問のほうをよろしくお願いいたします。

〔企画部長 浅沼孝一郎君登壇〕

○企画部長(浅沼孝一郎君)
 SNSを用いました区政への意見等の受容でございます。

 SNSを用いて意見を寄せていただくということは、非常に手軽に、どこでもいつでもできる手法であるというふうには認識をしてございます。本区におきましては、議員から御質問ございましたように、区長への手紙ですとか、あるいは区政への提案制度というものをもちまして、区政の事務事業への意見あるいは要望、それから施策の提案というものをいただいてございます。この際、現在は、意見等を寄せていただく方のお名前と御住所をきちんと明示をしていただく。そうすることで、区としても責任ある回答をするという観点から、そういう取組をしているところでございます。SNSにつきましては、場合によっては匿名での発信もできるというふうな理解をしてございますので、そういうところの観点から、現行の区長への手紙、区政への提案制度等の回答のルールといったものの整合性も含めて、十分に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 答弁は以上です。

〔十四番 佐藤あつこ議員登壇〕

○十四番(佐藤あつこ議員)
 ありがとうございます。

 徐々に検討していって、漸進的にいろいろ進めていければ、それでいいのかなというふうに思いました。

 今回は、十二項目にわたり、持続性と安全性というテーマでお聞きしてまいりました。どれも大変参考になるものばかりでした。今後、政策要望、そして今回の一般質問、決算特別委員会、予算特別委員会という連続性を念頭に置いて、決算特別委員会も開催されますので、また今回の御答弁を踏まえた建設的な議論を進めてまいりたいと思います。

 以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(海老原崇智議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時三十一分 休憩


     午後三時五十分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。まず、十番青木かの議員。

〔十番 青木かの議員登壇〕

○十番(青木かの議員)
 あたらしい中央、青木かのです。さきに提出いたしました質問通告に基づき、質問させていただきます。十分なお答えをいただけなかった場合、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 昨年、消費税一○%への増税、そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、我が国のGDPは連続で前期比マイナスとなっており、最新の結果では、二○二○年四月から六月期のGDPは前期比マイナス七・九%、年率換算ではマイナス二八・一%となっています。また、本年七月分の家計調査報告によれば、二人以上世帯の七月の消費支出は、前年同月比の実質でマイナス七・六%、前月比の実質でマイナス六・五%となっており、消費税増税以降、一貫してマイナス。つまり、分野によっては消費が伸びているところもあるものの、消費の減少傾向に歯止めがかかっていないことは明らかです。さらに、全国的に倒産件数も増えており、帝国データバンクによりますと、九月八日までに確認されたデータで五百件に達しており、今後も増加することは確実です。

 このような状況の中で、苦境にあえぐ区民の皆さんや区内の事業者への支援は喫緊の課題です。そこで、四月補正、六月補正、六月追加補正、さらには、今回提出されている九月補正の各補正予算の内容を踏まえながら、中央区のコロナ対策について質問してまいります。

 まず、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた区内経済の実情をどのように把握していらっしゃいますか。中央区景気動向調査以外の調査の結果等も踏まえつつ、お聞かせください。

 次に、四月補正予算の特別定額給付金、いわゆる十万円給付金についてお尋ねします。

 九月八日の企画総務委員会で、対象者の約九九%の方が申請済み、給付もほぼ完了との報告がありました。この施策について、区民の皆さんや事業者の皆さんからの反響など、区にはどのような声が届いているのでしょうか。どのような成果があったと理解していらっしゃいますか、お知らせください。また、コロナ禍が長期にわたる場合、中央区独自の新たな定額給付金を出す可能性についてもお聞かせください。

 次に、住居確保給付金についてです。

 四月補正予算で、中央区分については一億三百六十三万円の予算が措置されていますが、その執行状況と、この住居確保給付金については、今回、九月補正で増額して対応するとなっています。その背景について詳細をお知らせください。

 次に、六月補正の新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金、いわゆる商工業融資についてです。

 六月補正で二十三億八千百九十四万円が措置されています。さらに、この緊急特別資金に関する区への問合せが多く寄せられており、今後も需要が見込まれるため、期限を今年九月三十日から来年三月三十一日まで延長するとの報告もありました。

 そこで、お尋ねします。

 この融資を活用した事業者の経営状況のその後についてです。改善したり、倒産・廃業等の危機から脱したりすることにつながっているのでしょうか。利子補給が行われ、信用保証料も区が全額補助と手厚い融資の仕組みとなっていますが、融資はあくまでも融資であり、つまりは借金であるから、最終的には返済しなければなりません。新型コロナ不況の出口がまだまだ見えない状況にあって、我が国全体の経済状況も、さきに触れたGDP統計から明らかなように、危機的状況にあることから、区内でも、当面、融資の返済のめどが立てられない事業者も少なからず出てくることが予想されます。そのような場合、区は具体的にどのように対応することを考えていらっしゃるのでしょうか。その具体的な救済策についてと、返済が困難である事業者については、売上げの減少の程度などに応じて一部ないし全部の返済を不要とすることも検討すべきではないかと思いますが、区の見解をお尋ねします。

 最後に、これらの施策の主な財源となっている財政調整基金についてお尋ねします。

 当初予算では、令和二年度末の残高見込みがおよそ百七十億円でした。その後、新型コロナの感染拡大が始まり、区としても、その対応策として施策を次々と打ち出しています。最終的に、令和二年度末、財政調整基金がどの程度残っていると想定されますか。お尋ねいたします。

 次は、コロナ後の新しい日常時代に中央区はどう対応していくのか、主に、まちづくりと防災の視点からお尋ねしてまいります。

 国土交通省都市局は、新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性について、六月以降、有識者にヒアリングを行ってきましたが、八月三十一日、その結果が公表されました。読んでみますと、東京圏では、四月から五月にかけて約四○%の就労者が利用しており、在宅勤務をはじめとするテレワークが大きく進展。と同時に、人々の働き方や生活に対する意識が大きく変化していることが分かります。具体的には、仕事と生活では、生活を重視するように意識が変化したと答えた方の割合が五○%を超えています。外出自粛の中で、多くの方が自宅近くで過ごす時間が増え、住まいの身近な環境や地域の自然環境を重視する方が増えているのです。つまり、都心においても、ストレスフリーな自然とオープンスペースを人々は求めるようになり、それがまちの新しい魅力となり、ひいては資産価値の向上にもつながると考えます。

 この国交省の報告では、自然環境については、緑、緑地となっていますが、中央区においては、令和二年二月末現在の緑被率は一○・七%で、二十三区内で二十番目。都市公園の整備や道路整備の際の街路樹の新規植栽、屋上緑化や壁面緑化の推進など、中央区も大変努力していますが、中央区緑の基本計画での二○一八年度の目標値であった緑被率一二%に達していません。一方、中央区の水辺率は一八・三%で、二十三区一高いんです。区役所の中に水とみどりの課があるのは、その象徴だと思います。中央区の、あるいは運河や川でつながった他区との広域連携による水辺の観光利用については、区としても大変力を入れていると認識しています。そこで、今回は、主に住環境としての、そして防災という視点から、いわゆる水辺の活用について質問させていただきます。

 まず、築地市場跡地についてです。

 東京都は、二○一五年、いち早く築地市場跡地を水の都の舟運の拠点とし、築地リバーフロントターミナル構想を打ち出しました。築地市場跡地の再開発については、市場移転の延期などの理由により二転三転いたしましたが、最新の都の考えとしては、二○一九年三月にまとめられた築地まちづくり方針だと認識しています。この中で、築地市場跡地は水運と陸運の交通結節点として位置づけられ、船着場も明記されています。

 先日、東京都は、新型コロナウイルス感染症に対応するため、既存の事業に優先順位をつけました。一、速やかに休止する事業、二、最小限の体制まで縮小する事業、三、継続事業の三つに分類しています。その結果、築地再開発事業は、一の速やかに休止する事業に分類されています。コロナ禍の状況で休止ということは理解できますが、コロナあるいはオリンピック・パラリンピックの状況によっては、この築地市場跡地再開発計画が大きく変わることを懸念しています。東京都の財政状況によっては、民間への売却もあり得るという報道も気になるところです。

 そこで、お尋ねします。

 築地市場跡地の再整備、特に水路と陸路の交通結節点としての築地計画について、現在の区の見解をお聞かせください。

 次に、晴海客船ターミナルについてです。

 九月十日、青海の東京国際クルーズターミナルが開業しました。コロナの早期収束により、また客船が寄港し、多くの観光客が世界中から訪れるようになることを願いますが、中央区民として気になるのは、晴海客船ターミナルのその後です。都の港湾局によりますと、現在、青海にはバース、船の停泊場です。このバースが一つしかありませんが、オリパラ後、もう一つ増やす予定で、二つ目のバースができたら、晴海の客船ターミナルは取り壊すということでした。また、晴海ふ頭公園、緑地公園については、九月三日、官民連携による整備と概要が発表されました。コワーキングスペースや地域コミュニティ活動拠点が含まれており、区民の憩いの場となることを期待するところです。晴海客船ターミナルについては、この公園には含まれず、そのまま港湾局の管轄となるようです。

 そこで、お尋ねします。

 都の港湾機能が青海に移っても、客船ターミナルは晴海のシンボルとして残し、埠頭も残すことが必要であると考えますが、区の見解をお聞かせください。

 次に、防災船着場についてです。

 防災船着場については、これまで委員会や一般質問でも度々取り上げてまいりました。名前のとおり、災害時は人や物資の輸送拠点として活用できる上、ふだんは地域に開放し、ボートで水上からの眺めを多くの方に楽しんでいただきたいと思っています。最新の資料によると、区内の防災船着場は、都が管理するものと区が管理するもの、合わせて七か所。簡易船着場が二か所。また、今後の計画として、東京港防災船着場整備計画によりますと、晴海五丁目のマルチモビリティステーション、豊海の月島埠頭が入っています。さらに私が注目しているのが、新たに計画されている勝どき東地区の防災船着場、防災広場、そして月島三丁目北地区の防災船着場です。どちらも、市街地再開発事業とともに整備されるものです。

 そこで、質問です。

 今後は、臨海部における市街地再開発事業の地域貢献策の一つとして、防災船着場の整備をこれまで以上に積極的に採用してほしいと思いますが、区の見解をお聞かせください。

 最後に、もう一点、水辺や港湾の活用という視点からお尋ねします。

 ここ数年、今までにない大型台風が日本を襲い、大変な風水害をもたらすようになりました。昨年の台風十五号と十九号では、千葉県を中心に、住民に甚大な被害をもたらし、倒木や電柱の倒壊による長期の停電は都心生活の弱点を見せつけました。一方、東京電力によると、大規模災害時は電気の復旧までの目安として、一週間以上としています。

 そこで、国交省は、今年七月に防災・減災対策本部を開催し、災害時における電動車の活用促進マニュアルを公表しました。電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池車は、蓄電、給電できます。中央区も、先日の企画総務委員会で、災害時における給電車両貸与に関する協定をトヨタモビリティ東京及びトヨタモビリティサービスの二社と締結したとの報告がありました。二社合わせて十台の給電車ですが、避難所を中心に活用するということです。しかし、停電が長引いた場合、蓄電・給電量としては全く十分ではありません。

 これまで、私は、燃料の水上備蓄の可能性について度々取り上げてまいりましたが、今回、国が移動式電源としての電動車の活用を明確にしたことで、さらに水辺の可能性が広がったと考えています。電動車は、電気を蓄電し、供給することはできますが、発電量は十分ではありません。では、どうするか。

 例えば、豊海水産埠頭に停泊している東京海洋大学の練習船「海鷹丸」や「神鷹丸」、これらの船は発電機を搭載しています。海鷹丸は六百キロワットの発電機を三基、神鷹丸は七百五十キロワットの発電機を三基、つまり水上の発電所とも言えます。もちろん、船舶と陸上の電気仕様は違いますので、このまま給電することはできませんが、非常時に備えて、これらの大型船からの電力供給と電動車をつなぐシステムを構築すれば、中央区の大きな財産となります。災害時における支援関係の協定締結について、ぜひ前向きに検討していただければと思いますが、見解をお聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 青木かの議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、区内経済の実情についてであります。

 新型コロナウイルス感染症は、依然として区内経済に甚大な影響を及ぼしており、特定の業種・業態にかかわらず、広範囲にわたって区内事業者には厳しい状況が続いているものと認識しております。また、区では、区内景気動向調査のほか、月例経済報告、消費者物価指数、完全失業率などの経済指標に関する国等の各種調査結果、東京商工会議所等の関係機関や区内事業者との意見交換などを通じて、その実情の把握に努めているところであります。区といたしましては、区内経済の回復にはいましばらくの時間を要すると考えております。そのため、引き続き、社会経済状況の動向等を注視するとともに、関係機関との一層の連携を図り、区内経済の回復と区内事業者の安定的経営に必要な支援に取り組んでまいります。

 次に、特別定額給付金についてであります。

 本給付金の支給に関しては、受付開始当初に申請が集中したことに加え、オンライン申請の確認作業に時間を要したことから、支給が遅いという苦情をはじめ、厳しい御意見をいただく一方、支給された方からは、区の対応に対し、感謝や励ましのお言葉も多数いただいたところであります。また、給付金事業の成果については、ほぼ全ての世帯が申請されていることから、コロナ禍において広く家計の一助となったものと考えております。なお、区といたしましては、今後の財政状況が厳しさを増すと想定される中で、引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や経済対策等に総合的かつきめ細やかに取り組む必要があることから、大きな財政負担を伴う区独自の給付金を支給する予定はありません。

 次に、住居確保給付金の執行状況等についてであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、住居確保給付金の対象範囲が、本年四月二十日から休業等による給与の減少まで拡大されたことから、本区においても迅速な対応を図るため、四月補正において約一億円を予算計上したところであります。しかし、長引く経済への影響から、給付金受給者のうち約八割の方が支給期間の延長を余儀なくされている状況にあり、九月十日時点での交付決定額は一億四千八百万円と、四月補正予算額を上回っております。このため、予備費の活用により財源を確保するとともに、さらなる執行見込額について、今般の九月補正において予算措置するものであります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金についてであります。

 区では、当該特別資金制度を本年三月十八日に設け、現在までに三千九百件余のあっせんを行いましたが、この間、融資実行金融機関から、倒産や廃業した事業者があるとの連絡はございません。このことから、当該特別資金が区内事業者の事業継続に効果的に活用されているものと認識しております。また、融資の実行に当たりましては、金融機関が各事業者の業況や返済能力を審査した上で、貸付金額や返済期間を設定されております。ただし、その後、返済が厳しくなったときには、当事者間の協議により契約を変更し、返済期間を延長できる場合もございます。そのため、区にそのような御相談があったときには、金融機関との協議をしていただくよう御案内をしております。なお、融資制度上、元金の返済を免除し、区が補償することは考えておりませんが、業況悪化への対応や追加の資金調達、借換え等の御要望に関しましては、中小企業診断士による区の経営相談などを御利用いただいております。区といたしましては、引き続き、区内事業者の経営の維持・安定化に資するよう、融資のあっせんや事業者に寄り添った相談を積極的に行ってまいります。

 次に、財政調整基金残高の見通しについてであります。

 今期定例会に提出している補正予算において、土地売払収入の一部を財政調整基金に積み立てることなどにより、現時点における今年度末残高は、令和元年度末とほぼ同水準となる二百四十三億円となります。しかし、今般の感染症の終息はいまだ見通せず、今後さらなる対策を講じていく必要があるほか、景気悪化により、区財政の根幹である特別区税や特別区交付金を中心に歳入が下振れすることも懸念されます。現時点では、これらの規模を見通すことは困難ではありますが、これらを賄う財源は主に財政調整基金になることから、基金残高はさらに下回るものと考えております。

 次に、築地市場跡地における交通結節点の整備についてであります。

 築地市場跡地の再開発については、昨年三月に区議会との連名で都知事に提出しました築地まちづくり方針に関する要望でお示ししたとおり、跡地全体の将来像の早期提示、築地場外市場の機能継続と発展に向けた配慮、都民に開かれたまちづくり、そして国際都市東京を牽引する交通結節点整備の四点を踏まえることが必要であると考えております。その中で、交通結節点につきましては、環状第二号線や都市高速道路晴海線と接続されたバスターミナル及び都心部・臨海地域地下鉄新線の駅、さらには舟運ネットワークの要となる船着場の三つの機能が複合する交通ターミナルとして、一体的に整備されることが重要であると考えています。築地市場跡地における交通結節点の基本的な計画につきましては、現在、区において検討を行っており、今後、地元の方々とも協議・調整したものを取りまとめ、東京都に対し、提言していきたいと考えております。

 次に、晴海客船ターミナルについてであります。

 東京都は、東京二○二○大会後の選手村のイメージとして、客船ターミナル部分についても晴海ふ頭公園として整備し、東側に新たに整備する晴海緑道公園と連続した開放的な水辺空間を形成するよう、豊洲・晴海開発整備計画の一部見直しを行ってまいりました。晴海五丁目のエリアは、大会後、HARUMI FLAGとして一万二千人もの新たな住民を迎えるまちに生まれ変わることからも、都とも連携して、水辺や緑に親しみ、にぎわいと潤いのある快適な住環境の整備を進めていく必要があるものと考えております。なお、現在の客船ターミナルは大会後に撤去されるものの、船舶の係留機能は確保することから、将来的にも埠頭機能は維持し、運用されるものと認識しております。

 次に、市街地再開発事業と地域貢献策としての防災船着場についてであります。

 防災船着場は、災害時には緊急輸送と地域防災活動を支援するための水上輸送基地として、救援物資輸送や被災者等の運搬に使用される重要な施設であります。そのため、本区では、防災船着場をまちづくり基本条例の防災対策の一つに位置づけ、市街地再開発事業等の大規模開発を行う事業者と協議を行い、整備を進めているところです。今後も、大規模開発の機会を捉え、地域の方々の意見を伺いながら防災船着場の整備を進め、地域防災力の向上に努めてまいります。

 次に、災害時における大型船との支援関係の協定締結についてであります。

 防災拠点における電力確保は、極めて重要であります。そのため、各拠点には、非常用発電機や蓄電池を配備するとともに、補完的な電力供給手段として、今般、民間事業者と給電車両の貸与に関する協定を締結したところであります。一方、御提案の区内に停泊する大型船を活用し、それら給電車両に対して電力供給を行えるシステムの構築及び協定の締結については、今後、区として課題整理と検証を行っていく必要があると認識しております。具体的には、大型船の所有者との協議はもとより、船舶と給電車両を接続する設備機器の設置場所の確保及び日常的な管理の在り方、さらには設備機器の設置費用や管理に要する諸経費などの課題について検討してまいります。

 答弁は以上であります。

〔十番 青木かの議員登壇〕

○十番(青木かの議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 区内経済の実情、そして、このコロナ禍において、あらゆる区民の方、事業者の方々に影響が出ている。これは私たち全て感じていることですが、今回はあえて短期的視点から、それぞれの施策について質問させていただきました。

 ちょうど、いわゆるコロナ禍が区内の経済にも影響を与え始めて半年というところでしょうか。今のお答えの中に、それぞれ効果が出てきている。定額給付金については、私のところにも大変ありがたかったというようなお声もいただいております。そして、これからも、さらに区民の皆さんあるいは事業者の皆さんとの意見交換を重ねながら、対応、対策を取っていくという力強いお答えをいただきました。どうもありがとうございます。

 交通結節点あるいは水辺の利用についてです。

 まずは、築地について、今は報道が先行している感があり、あくまでも東京都あるいは都知事は、あの土地は売らないと言っておりますが、コロナあるいはオリパラで莫大な予算がかかる中で、今後どうなるか分からないという中で、中央区としては、最初の予定どおり、あそこを共同で協力しながら開発していくという、この点、ぜひよろしくお願いいたします。一括して民間に売却、そして、そこにまたビルが建つということにはならないようにお願いしたいと思います。

 市街地再開発事業については、防災船着場の点、こちらはよろしくお願いいたします。

 そして、最後に、これは要望になります。今回、急に出てきた感はありますが、私は東京海洋大学とずっと意見交換をしておりました。防災担当の方、船長さん、機関長の方々です。東京海洋大学、これは国立大学です。まずは大学ですので、学生の安全、乗員の安全、船体の安全を確保した上で、災害時には社会からの要請への対応、これが文科省からの要請として、地域貢献策として、大変プライオリティが高くなっているということです。

 具体的には、全国水産・海洋系学部等協議会で、附属練習船を利用した災害時への対応に関する申合せというのも出されております。この中で、具体的には、今申し上げた電力、それからA重油、軽油、そしてもう一つ、船には海水を真水にできる機能がついております。真水自体もたくさん積んでおります。このように、具体的な指針が文科省からも出ている中で、確かに、まだまだ問題点は多いです。しかし、いかにつなげていくか、ここをクリアすれば、本当にこれは中央区にとって大変大きな財産になる。災害に強い中央区ということで、より人気の高い中央区になると、私は、この施策については思っております。確信しております。

 それから、豊海の市街地再開発事業が始まりますと、現在あります豊海水産埠頭から、この練習船は出ていくことになっておりまして、その後の停泊地が決まっていないそうです。その点でも、ぜひ積極的に中央区として、先ほど晴海埠頭機能は残すという御答弁がありましたが、この点についてもぜひ強く要望をいたしまして、今回は再質問はいたしません。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

○議長(押田まり子議員)
 次に、一番高橋元気議員。

〔一番 高橋元気議員登壇〕

○一番(高橋元気議員)
 あたらしい中央の高橋元気です。さきに提出いたしました一般質問の通告書の内容に沿って、順次質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。また、さきの質問者と質問の内容が重複する点が出てしまうかもしれません。その点におきましては、御了承いただければと思います。理事者の皆様方におかれましては、活発な御答弁のほど、ぜひよろしくお願い申し上げます。なお、再質問、再々質問につきましては、あらかじめ留保させていただきます。

 本年初頭より流行が始まった新型コロナウイルス感染症の余波は、まだまだ予断を許さない状況でございます。世間一般では、オンラインを活用した会議、テレワーク、オンラインでの飲み会、授業など、在宅しながら社会活動が行える、そのような時代が一気に進んでまいりました。私も、オンライン、ZoomやMicrosoft Teamsといったサービスを活用して、会議や区政報告会、またはプライベートでもオンラインで話し合う、大学院の授業を受ける、そういったような毎日を過ごしてまいりました。

 さて、総務省も、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であって、ワーク・ライフ・バランスの実現、人口減少時代における労働力人口の確保、地域の活性化などへも寄与する、働き方改革実現の切り札として、テレワークを推進しています。実際に、働き方改革推進支援助成金など各種、国や団体からの助成金により、その推進が期待されているところであります。しかし、その一方、働き方改革を推進している行政側につきましては、テレワークをはじめとするデジタル化はなかなか進んでいないと私は懸念をしています。

 そこで、東京二十三区の自治体のテレワークの実施状況を独自に調査いたしましたところ、今年度以前にテレワークに取り組んでいた自治体は僅か三自治体でしたが、緊急事態宣言の下では、在宅勤務を含むテレワークを実施したと回答があった自治体は十六に上りました。各自治体に共通する傾向としましては、やはり職務性質上、窓口・相談業務をはじめとする区民と接する部署につきましては実施率が低かった一方、企画立案を主とする部署については、実施率が高い傾向にありました。また、多くの自治体が抱える課題としては、在宅勤務の取扱いや出退勤の管理、人事評価制度の再整備など、人事制度そのものの再検討、規定としての再整備が必要であるという点、セキュリティ上の課題としては、庁外からのアクセスを可能としなければ、積極的なテレワークの実現は難しいと回答がありました。その中でも、特に渋谷区は、持ち出しルーターの貸出し、オンライン会議も実施するなど、積極的にテレワークを推奨されており、今後の人事制度の改定やルーターの増設、端末の整備にも積極的に取り組む意向でした。

 調査の結果からも、業務の性質上、または取り扱う個人情報の多さ、システムのセキュリティ上の課題など、民間企業と行政とでは一概に比較は難しい点があることは理解をしておりますが、ぜひ区長の強力なリーダーシップの下、本区でもテレワークの実施に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 そこで、お伺いいたします。

 本区における本年度のテレワーク、在宅勤務の実施状況、業務上の課題と今後の見通しについてお答えください。

 そして、テレワークの実施におけるシステム上の課題につきましては、令和二年四月に改定された中央区情報化基本方針の内容とも絡めてお伺いをさせていただきます。

 今回の改定内容を拝見したところ、ICTを活用した情報サービスや行政手続を念頭に、電子区役所の実現を目指していく、そのために、ICTに委ねるべき部分と委ねるべきでない部分を見極めつつ、業務処理プロセスの見直し、BPRに取り組むと明確に記載されている点が特徴であると思います。まずは、早期に業務プロセスの可視化を行い、業務効率化の側面からも点検・評価を行った上で、将来的なAIやRPA等、自動化ツールなどの導入に向け、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思っております。

 そこで、お伺いをいたします。

 中央区の現状において、テレワークを実施する上でのシステム上の課題は何であると認識されているか、また、改定された中央区情報化基本方針にのっとり、電子区役所の実現を目指す上で、今後のスケジュールをどのように描いているのか、進捗状況についてお伺いをさせてください。

 中央区情報化基本方針によりますと、二十四時間対応のノンストップサービスの実現を目指していく、情報公開手続の電子化を目指していくと明記されています。この行政サービスのオンライン化、電子化の流れは、様々な行政施策に活用されるべきではないでしょうか。

 例えば、先日、ハッピー買物券二○二○の再販売に当たりましては、たくさんの方々が本庁舎に殺到し、混乱が発生してしまいました。これまでの売行きからも、本庁舎を取り囲むほど区民の方々が殺到する事態になるとは想定されていなかったかとは思いますが、初回販売時においては事前申込みの形式を取っていたものの、二回目の購入を可能とした点、当日販売のみで枚数が制限されていたことによって、この事態が発生してしまったのではと思います。やはり起こるかもしれないという状況を私たちは想定しておくべきであったと思います。今後の販売方法として、例えば次回ハッピー買物券を販売する際には、オンライン予約の徹底、郵送による送付またはオンライン販売とダウンロード、キャッシュレスによる利用というような、オンライン上でも完結できるような取組も検討するべきではないでしょうか。

 中央区情報化基本方針にあるとおり、オンライン対応が取れるもの、取りにくいサービスを精査する必要があるとは思いますが、このような行政サービスのオンライン対応、キャッシュレス対応について積極的に導入をしていくつもりがあるか、本区の考えをお聞かせください。

 さて、この夏は、夏の風物詩とも言える各種イベントが新型コロナウイルス感染症の影響で中止となってしまいました。中央区といたしましても、中央区大江戸まつり盆おどり大会、東京国際合唱コンクール in HARUMI、中央区子どもフェスティバルなど、多数の区民が集まるような大規模イベントについては、イベントの縮小または中止を決めています。その中でも、例えば東京青年会議所が主催されましたオンラインの盆踊りイベント、Ooedo Happy Festivalのように、有志の方々の努力、工夫によってイベントが実現した例もございます。自粛をしながら、何とか例年どおりの日常を取り戻したい、楽しみにしていたイベントの雰囲気を味わいたいという気持ちは、恐らく誰もが持っているのではないでしょうか。

 また、一方で、中央区総合防災訓練など、暮らしていく中で必要となるイベントも中止となってしまっています。渋谷区では、そのような状況の中でも、オンライン上で渋谷防災キャラバンを実施しています。避難所の運営など、マニュアルに沿ったプログラムをユーチューブチャンネルでライブ配信をするといった取組を行っておりました。

 このように、工夫次第でオンラインでも各種イベントは開催をすることができます。例えば、まちづくり協議会のように、区民目線で考えたときに必要な会議、イベントまでも、ただ中止となり、開催が凍結されてしまうような状況は大きな損失となってしまいます。本区においては、このような各種イベント、会議体を中止・縮小するばかりではなく、オンラインを活用して開催するという取組にも積極的に挑戦をしていただきたいと考えております。

 そこで、お伺いをいたします。

 区が主催する各種イベント、防災訓練、まちづくり協議会など、区民が心待ちにしているイベントや会議を中止するのではなく、今後はオンラインで開催していくというお考えがあるか、本区のお考えをお聞かせください。

 続きまして、教育問題についてもお伺いいたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言にのっとり、本区におかれましても、三月から区立小・中学校において一斉休校の措置を取りました。その間の家庭学習支援等の取組方針として、中央区教育委員会からは、オンラインによる朝の会の開催、中学校においては、スタディサプリを活用したオンライン学習動画の視聴等の対応が取られました。迅速な対応につきましては、改めまして感謝を申し上げますが、ただ、残念だったのが、このような対応が一時的なもので終わってしまったことです。

 今年度中に区立小・中学校の児童・生徒一人一台の学習用端末を支給すると方針を示されておりますが、一方で、七月末まで暫定的に中学生に支給されていた端末が回収され、スタディサプリの取扱いも終了されています。先日の区民文教委員会の答弁の中で、スタディサプリの登録率は八二・六%であったと回答がございました。子供たちにとっては、オンラインで学ぶ機会を与えられ、すぐに奪われた形となります。スタディサプリは、子供たちの学習履歴、スタディログを残すことができます。その学習履歴があれば、動画の視聴履歴だけではなく、子供たちが苦手としている問題、得意としている問題の分析を行うことができます。その学習履歴を放棄することがもったいないというだけではなく、子供たちが学びを継続的に行えないというのは教育の面でも悪影響であると思っています。

 また、区民文教委員会の答弁の中で、あくまでICT機器は本来の授業の補完で使うというお考えをお伺いしましたが、私は、子供たちがいつでも、どこでも、自宅でもオンライン環境を活用し、学びたいものを学びたいだけ学べる、そのような環境を整備するべきであり、そのように活用していただきたいと思っております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、いつまた一斉休校の必要が生じるかも分かりません。

 海外に目を向ければ、このコロナ禍の中で学びが止まってしまった国と学びが継続できた国の間には、その学習習熟度に大きな差ができてしまっています。中国では、すぐに学習用端末が整備され、学校での教育が中断されても、自宅で学習する学びが継続されました。授業内容につきまして、リアルの授業の代替版、劣化版ではなく、世界でも最先端の事業をどこでも受けられるような、オンラインならではの優れた教育の提供が目指されています。

 このような世界的なICT教育環境整備の流れの中、本区におかれましても、今後、学習用端末が支給され、どのようなソフトウエア、教育コンテンツを準備するかといった検討がされると思います。ぜひ、短期的、場当たり的な視点ではなく、子供たちの大きな学習の流れの中で継続的に学べる学習環境を提供していただきたいと思っております。

 そこで、お伺いいたします。

 区立小・中学校の児童・生徒への学習用端末の整備が進められておりますが、この整備の目的については、学校の休校時も含めて、子供たちの学びを継続するため、いつでも、どこでもオンラインで学習ができる環境を整備するという方針に基づいたものであるという認識でよろしいか、本区のお考えをお聞かせください。

 また、環境整備という面においては、高速通信環境の整備についても触れさせていただきます。

 本年七月九日に開催された区民文教委員会の中で私も質問をさせていただきましたが、二○一九年十二月二十日に文科省が公開したGIGAスクール構想の実現標準仕様書では、有線LANケーブルについては、10Gbpsで接続可能なカテゴリー6A以上、無線アクセスポイントについては一教室に一つ設置、四十台に接続するのであれば四十接続のものを一台の整備に努めるものとされています。学習活動において、一台当たりの使用帯域の目安については、動画学習や遠隔学習においては、2・0Mbpsの使用帯域が一台当たりに必要であり、四十台であれば、単純計算で80Mbpsの帯域が必要であるとされています。本区においては、有線LANケーブルにおいては使用帯域で劣るカテゴリー5eのLANケーブルを敷設済みとされていました。その理由として、各自が動画を視聴するような使用法は想定していないので、問題はないと御答弁がございました。

 まず、国が指定する通信環境の仕様から現時点で劣っているという点、そして、数年で通信技術は進化し、それに伴い、サービスに必要な通信量も増大していくことから考えれば、回線環境は高めに準備をしておくことにこしたことはなく、あまりに未来が見えていない対応であると言わざるを得ません。また、教育委員会からICT機器の活用方法を制限してしまう、通信環境の限界を設定してしまうことは、現場の職員、そして最終的には子供たちにとって選択肢が奪われるといった事態につながります。ぜひ安定した高速通信環境の整備を強く要望いたしますが、有線LANケーブルのカテゴリー6Aへの変更も含めて、安定した高速通信環境の整備という点において、本区のお考えをお聞かせください。

 また、環境の整備だけではなく、現場の教員がどのように機器を活用し、どのような教育を実現していけばいいのか、教職員の方々への支援は必須となります。本区におかれましては、国の指針である四校に一人程度のICT支援員を配置するという水準よりも多く配置をすると答弁をされていましたが、全国的にICT支援員の確保が争奪戦になってしまう可能性があります。また、ICT支援員に期待される業務としては、ICT機器の操作補助、ウイルス対応だけでなく、肝心なのが、どのように授業で活用するのか、授業内容、実践に関するアドバイスになると思われます。そのためにも、優秀なICT支援員の早期確保、そして各校一人の配備が必要になると思われます。本区における現在のICT支援員の確保状況、そして早期確保及び各校一人配備へのお考えをお聞かせください。

 続きまして、児童・生徒一人一台の学習用端末整備後の未来の教育についてお伺いをいたします。

 国のGIGAスクール構想は、あくまで教育環境の整備を念頭に置いており、整備後の教育の方向性、教育コンテンツの中身については、原則、現場に丸投げの状態と言って差し支えはないと思います。現在の教育の延長や補完としてICT機器を活用するのではなく、今の時代に必要な新しい教育の概念を本区においても取り入れていただきたいと思っております。

 そこで、御提案するのがSTEAM教育という考え方です。STEAM教育とは、科学、サイエンスのS、技術、テクノロジーのT、工学、エンジニアリングのE、アートのA、数学、マスマティクスのM、この五つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた二○○○年代に米国で始まった教育理念です。知るとつくるのサイクルを生み出す分野横断的な学びとして注目されています。

 なぜこのSTEAM教育が必要なのかといいますと、今、世界のテクノロジーは日々進化しています。AIと呼ばれる人工知能やロボットが多く社会進出をしています。私たちの生活の中でも、スマートフォンやタブレットなどの電子機器が増え、飲食店などの入り口では、ペッパー君と呼ばれるロボットが予約案内をしていますが、この流れは今後もさらに進み、社会では今よりも多くのAIやロボットの活躍が予想されています。そのように社会が変わっていく中で必要であるのが、変化に流されるだけではなくて、新たな変化を生み出せる能力を持つ人材であると思います。それにもかかわらず、変化を生み出すことができるデザイナーやエンジニアは、全世界で不足しています。そこで、新たな変化を生み出す人材を育てるために、世界ではSTEAM教育が積極的に取り入れられています。ものづくりに特化した科目を複合させたSTEAM教育が、今後、全世界で必要となっていきます。

 それでは、具体的にどのような教育になるのかといえば、簡単に言えば、ものづくりです。今、この現場にはどのような課題があるのか、問題意識を持って原因を分析、対策を立案する。その課題を解決するためにはどのようなものが必要であるのか、調査・分析をするために科学が必要になります。そして、その課題を解決するために必要な技術、工学を学び、自分でものをつくります。そして、その機能を最大化するためには、どのようなデザインが最適なのか、ここで設計図をつくるためのアートが必要になります。プロトタイプをつくり、試行錯誤を繰り返し、数値化を行い、振り返って分析をして、また、つくり直す、その作業のために数学が必要になります。このようなゴールから逆算した学び、教科を横断した上で必要な知識を学ぶ総合型学習に対して、本区としても積極的に取り組んでいただきたいと思っています。中でも、特に必要であり、日本人に最も欠けていると思われるのがアートです。私も最近、二十年ぶりに絵を描いてみましたが、心の中の感情を表現することの大切さ、表現の多様性を改めて実感いたしました。

 そこで、本区でも、このようなSTEAM教育の取組についてお伺いをいたします。本区において、このようなSTEAM教育の導入についてどのようにお考えになられているか、また、本区で実践していく予定はあるか、お伺いをさせてください。

 以上をもって一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 高橋元気議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、テレワークについてであります。

 本区では、国が示した新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針等を踏まえ、四月十四日から六月十八日までの約二か月間、三割程度を目標に職員の出勤抑制に取り組んだところであります。その結果、年次有給休暇を含む出勤抑制の実施率は、おおむね目標を達成したものの、そのうち自宅において職務に従事した在宅勤務の実績は七%程度にとどまりました。その主な要因としては、区民と直接対面する窓口職場は在宅勤務に対応できないこと、企画立案などを主な業務とする職場においても、庁内ファイルへのアクセスや決裁処理が行えないことなどの課題が挙げられます。また、実施した職員からは、職場とのコミュニケーションが不足するなどの感想も寄せられました。区民に身近な対人サービスの提供が中心である基礎自治体の業務においては、本来的に在宅勤務はなじみにくいものと認識しておりますが、一方、職員のワーク・ライフ・バランスに配慮した柔軟な働き方という観点からは、在宅勤務も有効な手段の一つであると考えております。今後、システム面での環境整備とともに、人事制度上の課題を整理しながら、将来的な本格導入の可能性を検討してまいります。

 次に、テレワークを実施する上でのシステム上の課題についてであります。

 現在、職員が業務で使用する庁内ネットワークは、庁内で業務を行うことを前提に構築されており、セキュリティ上の制約から、外部からのアクセスができない仕様になっております。テレワークを行うためには、庁内ネットワークを仮想化した上で、外部からアクセスできる環境を整える必要があります。庁内ネットワークの再構築には多額の費用がかかるため、次期の庁内ネットワークの更新に併せて、テレワークの対応が可能なシステム構築を図る予定としております。

 次に、情報化基本方針についてであります。

 電子区役所の構築をさらに推進していくため、現在、情報化基本方針の改定作業を進めており、業務を把握するための全庁的なアンケート調査、業務分析、業務改善を目的としたヒアリング調査等を行ったところです。改善効果の高い部署には、十月からAI‐OCRやRPAの導入に向けた実証実験に取りかかる予定であります。また、あわせて電子申請の充実やキャッシュレス決済システムの導入、庁内ネットワークの更新、文書管理、電子決裁システムの導入など、取り組むべきICT施策について、本年度中に導入までのロードマップ及びアクションプランを作成し、改定情報化基本方針の中に具体的な内容を盛り込んでいく予定であります。

 次に、区イベント等の開催についてであります。

 オンラインでのイベント等については、映像等の発信が一方通行となり、受け手側の情報環境にも左右されるなど、イベント本来の目的を達成し、効果を得ることが難しい面があります。また、会議形式を取る事業については、双方向の対応が必要となるため、全ての参加者にパソコンなどの情報端末と通信環境が整備されていなければならず、オンラインでの開催には多くの課題があるのが現状です。しかし、こうした中でも、イベントの対象者やその内容など、オンラインでの実施が可能な事業であるかの検討を行っており、十一月には、日本橋保健センターで開催するプレママ教室において、ライブ配信によるオンラインでの受講を一部取り入れることとしております。今後も、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、イベント等の目的や内容、対象者など、様々な観点から、オンラインでの実施が可能な事業であるか見極めつつ、他自治体での取組なども参考にしながら検討をしてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、オンライン学習環境等の整備についてであります。

 現在、教育委員会では、一人一台のタブレット端末の導入に向け、今期定例会に補正予算案を提出しているところであります。これは、国のGIGAスクール構想に基づき導入するものであり、これまでの教育実践の蓄積に加えて、タブレット端末を活用しながら、学習活動の一層の充実と主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を図っていくことを目的としております。また、学校の通信環境については、当面、子供たちがICT機器を活用した学習を行うに当たり、十分対応できるものと考えております。今後の通信環境の向上につきましては、令和六年度から本格実施が予定されているデジタル教科書の導入状況などを踏まえて、適宜対応してまいります。

 次に、ICT支援員の確保等についてであります。

 現在、本区におけるICT支援員は、国の基準の約二倍の巡回ができるように、十分な人員の確保ができていると考えております。今後とも、各校に対する支援に必要な人員を確保することはもとより、教育委員会による集合研修や各校の情報担当教員を中心としたOJTの充実を図り、ICT機器を効果的に活用した授業改善に努めてまいります。

 次に、STEAM教育についてであります。

 本区では、新学習指導要領を踏まえて、各学校において、習得・活用・探求という学びの過程を重視しながら、各教科等で目指す資質・能力を確実に育むとともに、教科横断的な学習や探求的学習の充実に努めております。また、大学や企業等、関係機関と連携した理数教育の推進や、論理的思考力を育むプログラミング教育の実践などに取り組んでいるところであります。これらの教育活動を進めることにより、問題発見・解決能力、言語能力、情報活用能力などの育成につながり、STEAM教育が目指す資質・能力にも通じるものと認識しております。今後も引き続き、児童・生徒一人一人の可能性が開花できるよう、各校において特色ある教育活動を着実に推進し、これからの社会で生きていくために必要な力を育成してまいります。

 答弁は以上であります。

〔一番 高橋元気議員登壇〕

○一番(高橋元気議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございます。

 まず、本区における本年度のテレワークの課題から、一点だけ再質問させていただければと思います。

 今年度において、庁内ファイルへのアクセス、職場とのコミュニケーション不足という点において課題を認識されているということで、承知をいたしました。ただ、二十三区でも多くの自治体が、今年度に業務の整理や庁内アンケートを実施の上、テレワークの推進を行っていくと回答されておりました。ぜひ本区においても、今年度中に取組を実施していただきたいと思っているんですが、こちらの人事制度の課題の整理というのは本年度中に行うと想定されているのか、それとも次年度以降と想定されているのか、その点についてお答えをお願いいたします。

 また、システム上の課題につきましても、庁内ネットワークの仮想化、VPNを取り入れていく、そして、恐らく次期更新までに対応する予定自体はされているとのことで承知をいたしました。やはりシステム上の課題と業務上の課題を両方進めていかなくてはいけないと思います。まずは、人事制度上、本当に可能なのかどうか、そして業務の整理がされているかという点についてお願いをいたします。

 そして、情報化基本方針の部分につきましては、こちらもBPRを既に進めていると。外部コンサルティングを入れて、既にAIやRPA、OCRを念頭に置いたヒアリング調査を実施しているということで理解をさせていただきました。ぜひ、こちらにつきましても、恐らく次の改定の内容に含まれると思いますが、具体的な削減目標や期間を明記した上で次の情報化基本方針をつくっていただければと思います。

 そして、区が主催する各種イベント、防災訓練、まちづくり協議会等のイベントにつきまして、オンラインでの開催、例えばプレママ教室においてライブ配信を実施していくなど、やはりできるものはできると思います。そして、全ての人に整備する必要があるかと言われると、それは別に整備をしなくてもいいと思っています。基本的には、オンラインで参加できる人は参加していく、そして、オンラインでの参加が難しい方は少数でも集まっていただく、そのようなミックスでの取組でもいいと思っています。ぜひオンラインでの開催も並行に入れた上で、今後とも開催について検討していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 そして、教育につきましては、まずはオンライン環境の整備につきまして、今のGIGAスクール構想に基づいた補完や延長という形で活用を考えていらっしゃるように思います。GIGAスクール構想の本質を捉えるのであれば、昨年十二月十九日に文部科学大臣から、「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて」というメッセージが発表されています。今後、PC端末がノートや鉛筆と並ぶ文房具としてのマストアイテムになります。忘れてはならないことは、ICT環境の整備は手段であり、目的ではないということを強調させていただきたいと思います。そして、社会が変わっていく中で、教育の形も私は変わっていくと思います。例えば、今の時代、SNSが発展してきました。その中で、個人が情報を受け取るだけの時代から、個人が情報の発信者に変わりました。そして、働き方の部分につきましても、エンジニアが増えてきた影響で、会社に所属しなくてもフリーランスで働ける、そのように生き方、働き方も変わってまいりました。そのように、教育においても、これから目まぐるしく変化していく社会の中では、自発性、創造性、判断力、問題解決に優れ、自分で学んで、自分で理解する子供たちを育てる必要があるかと思います。

 今回、私も質問をさせていただきましたが、教育の部分において、本区の考えをもう一度お聞かせいただきたいと思っています。既存の教育の補完や延長でICTを活用しようと考えているのか、それとも学びの主体を、私たち大人、保護者や教員が教えていくだけでなく、子供たちが選択していけるような教育の概念、その主語も変わるような新しい教育ということを念頭に置いていらっしゃるのか、ぜひ教育長のお考えをお聞かせください。

 以上で第二回目の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題の再質問についてお答えをさせていただきます。

 今、議員のほうからるるお話がありましたように、これからの教育というのは、Society5・0に向けて、非常に様々な難しい課題があろうというふうに考えてございます。今回のGIGAスクール構想の実現に向けて、機器を整備していくことは、今、議員が言われたように、我々もツールの一つだというふうに考えているところでございます。これからの時代の中で、職業が半分ほどAIに取られるのではないかと。こういう時代に子供たちがどう生きていくのか、生きる力をしっかり育むための教育というのは、様々な形でこれから変わっていくだろうというふうに我々も考えてございます。そういった意味で、端末の使用については、小さいときからしっかりと教えていく環境、それから、学校だけではなくて、様々な形で端末を使いこなしていくことも大変重要であるというふうに我々は考えているところであります。

 したがいまして、これからの学校教育は、ツールとしてしっかりと使いこなせるような、こういった環境の整備をこれからもしっかり整え、子供たちがこれからの難しい時代に対してしっかりと生きていける環境を我々はつくっていきたいというふうに考えているところであります。

 以上であります。

〔総務部長 黒川眞君登壇〕

○総務部長(黒川眞君)
 私からは、テレワークについての再質問について答弁をさせていただきます。

 先ほど区長の答弁にありましたとおり、緊急事態宣言をきっかけとして、二か月間にわたるテレワークを実施したところでございます。これは、この状況下において、なるべく人の移動を抑制するという社会的な要請に基づいて、まず在宅勤務ありきという形で、その形態によって一体何ができるのかという範囲内で、かなり限られた状況の中での実施ということで、先ほどの数字にございましたとおり、七%にとどまっているというような状況かというふうに認識をしております。

 今後、人事制度上もしっかりと位置づけた上で、本格実施をしていくに当たっては、やはり我々、職務上課されております職務専念義務でありますとか、家庭内においても守秘義務というのは課されてくるわけでございますので、家庭内における、システム上の技術的なセキュリティだけではなくて、物理的なセキュリティがどう確保されるのか。また、自宅勤務によって達成された成果がどういうふうに人事評価に適正に反映され、個々の職員の処遇に生かしていけるのかということ。また、職場と離れた状況において、職員個人のモチベーションでありますとか、職場単位でのチームワークをどういうふうに維持していけるのかという部分については、やはり実際にシステム上の課題等がクリアされて、幾つかのトライアルをしながら、そういった課題を検討していく必要があろうかというふうに思っておりますので、人事制度上の課題の整理につきましては、複数年度かけながら、やるのであればしっかり効果が上がる、その勤務形態を検討していく必要があると思っておりますので、ある程度の時間をかけてじっくりと検討していきたいという考えでございます。

 また、業務の切り分けという部分でございますが、この春に行った実績からすると、例えば会議に使用する資料の作成であるとか、また、窓口職場で無理に在宅勤務を適用させるためには、日常的に使っているマニュアルの点検・充実でありますとか、かなりスポット的な仕事でしか活用ができなかったという部分があります。今後、どの程度まとまった業務の切り分けができるのかというところについても、庁内システム環境の整備の内容と併せて検討していきたいというふうに考えております。

 答弁は以上でございます。

〔一番 高橋元気議員登壇〕

○一番(高橋元気議員)
 それぞれ御答弁、誠にありがとうございました。

 テレワークの部分につきましては、やはり複数年度かける必要がある。もちろん、システムの部分につきましてもそうですけれども、時間がかかっても、職員の方々のワーク・ライフ・バランスという面も含めて、そして、コロナ禍の状況であるという面も含めて、ぜひ前向きに、そしてスピード感を持って対応していただきたいと思います。

 教育問題につきましては、教育長から、お言葉、そしてお気持ちを聞けて本当に助かりました。ありがとうございます。

 学校の中でのツールから脱却して、子供たちが学校の外でも使えるような用途をもって考えているというふうに答弁されていました。今後の教育というのは、確実に私は変わっていくと思います。それは、学校での教育だけでなくて、子供たちが学校以外でも学べる、そして教員の方々、大人たち、保護者たちが、学校での教育にとらわれない、子供たちはいつでも、どこでも、そしてオンラインの環境も含めて、いろいろな学びの場を選択できる、そのような時代がやってきます。そして、大人たち、教員の方々、そして学校関係者は子供たちのメンターである。これから大人たちが教えるのでなく、大人たちが子供たちの生き方、人生を考えてあげる、そのような新しい未来の教育が私は実現していくと思います。ぜひそのような未来の教育を中央区でも取り入れていただきたいと思います。

 御清聴、誠にありがとうございました。


○二十三番(海老原崇智議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後五時八分 休憩


     午後五時二十五分 開議

○議長(押田まり子議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十七番墨谷浩一議員。

〔十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○十七番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党の墨谷浩一でございます。私は、令和二年第三回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し、質問をさせていただきます。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。なお、御答弁のいかんによりましては、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

 防災・減災の取組についてから、大型台風対策に臨時相談窓口の設置について問う。

 昨年九月には台風十五号が、十月には台風十九号が立て続けに日本を直撃し、東日本の広い範囲が歴史的な大雨、高波、高潮に見舞われ、各地に甚大な被害をもたらしました。地球温暖化による異常気象を原因とする、観測史上まれに見る超大型台風と言われましたが、近年、日本列島に上陸する台風は大型化の傾向にあると言われています。自然災害の中でも、台風は、地震と比較して、事前に天気予報などで情報を得られ、必要であれば避難の準備ができます。どのような行動を取るべきか、自らの命を守るタイムライン、防災行動計画を立てていくことが大切です。

 昨年の台風十九号のときは、スーパーやコンビニの棚からほとんど食品がなくなっていました。営業時間を繰り上げて臨時休業しているお店もありました。お店によっては、ガラスにテープを貼り、台風被害で割れても被害を最小限に抑えようと工夫をしているところもありました。区では、台風被害を想定しての台風対策を、職員の方たちが前日から体制を組んでいただいていました。夜になると、月島社会教育会館では、避難をされる方が徐々に増え、他区の方もいらしたそうです。まちには、倒木や木の葉をはじめ、傘や飛んできたと思われるものが散乱していました。私のところにも被害に遭った木造住宅にお住まいの方から、屋根が吹き飛んでしまった、どうしよう、また、ある方は、家が壊れて補修しないと住むことができない、困ったなどの深刻な相談が寄せられました。

 中央区は九割が集合住宅ですが、戸建ての木造住宅も一定数あり、平時からの備えで家の補修をしていれば、瓦やトタンなどが飛んできてけがをすることなどを最小限に防ぐこともできたと思います。ところが、御高齢の方などは、家の補修をしたくても資金的に余裕がないとか、大工さんや工務店が分からないなど、どこに相談してよいか分からないといった声を伺いました。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 大型台風のときの一定期間、ワンストップで台風臨時相談窓口を開設して、区民の皆さんのさらなる安心につながる取組を検討すべきと思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、防災士の育成について。

 コロナ禍の中で大規模な防災訓練ができないなど、新たな事態に備えた取組が求められています。愛媛大学防災情報研究センター、二神透副センター長は、愛媛大学では環境防災学という講義を開催し、防災士の資格取得に対して希望する学生を、他大学の学生も含めて受入れをしています。これまで一千人近い学生が受講しましたが、その学生を対象に毎年アンケート調査を実施し、心理的特徴を分析してきました。その結果、一般学生と比べて、災害から家族や地域を守りたいという意識、つまり利他的意識が強いことが分かったのです。いきなり地域のために行動するといっても難しいかもしれませんが、身近な人を守るためなら、具体的に思い浮かべることもできますし、周囲の人を守ろうと思うと、想像以上の力が出るものです。災害から家族や地域を守りたいという意識が強まるとの指摘をされています。

 防災士は、自主防災組織の活性化を図るために、その核となる防災リーダーの養成が急務との観点から、平成二十四年度から防災士養成事業の取組が始まりました。近年の大規模災害の頻発により、危機管理や防災への意識の高まりから、資格を取得される方が増えています。愛知県知立市では、二○一七年度から、災害時に地域で活躍する防災士を養成するため、防災士資格取得に対して助成制度を設けて、地域の防災力向上のために共助の要となる地域の防災リーダーを育成しております。また、防災士を対象に、資格取得後の知識向上や防災士同士の交流を目的としたフォローアップ研修などを開催して、地域防災力の向上に努めています。地域の防災リーダーである防災士の育成については、地域の皆さんが共に助け合うまちぐるみの防災体制の構築を進めてきた本区の考えに沿ったものだと思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区でも、さらなる地域の防災力向上のために、防災士の育成を検討すべきと思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 中央区耐震改修促進計画及び耐震補強等助成制度の拡充について問う。

 東日本大震災から九年六か月を迎えました。コロナ禍の中であっても、大地震への備えを着実に進めていかなければならないと思います。本区では、平成七年に耐震助成制度を創設するなど、耐震診断や耐震改修に関する取組を行うとともに、従来から市街地再開発事業や地区計画などの活用により、各地区の特性に合わせた建て替えを誘導することで耐震性の向上に取り組み、中央区耐震改修促進計画を策定、改定をし、より一層の建築物の耐震化に努めてきており、耐震化アドバイザー制度により、耐震化に関する疑問や相談に耐震の専門家を無料で派遣する耐震補強等助成制度を通して、建築物の耐震診断や耐震性を向上させる補強工事などへの助成、超高層建築物に対しての長周期地震動対策支援制度の支援などを行い、まちの耐震性の向上に努めてきました。

 愛媛大学、二神透氏は、阪神・淡路大震災で亡くなった方は八割が建物倒壊による圧死・窒息死で、旧耐震基準の住宅の場合は早めに耐震診断を行い、倒壊を防ぐために、必要に応じた補強工事の重要性を指摘しています。一九九五年一月に発生した阪神・淡路大震災は、都市直下型の大震災であり、建築物の倒壊などに甚大な被害をもたらしました。当時の報道では、高架型の高速道路が倒れ、バスの前輪が脱輪している映像や、住宅やビルの倒壊、火災などの映像を見て衝撃を覚えたことを忘れません。

 本区では、様々な大地震などの教訓を踏まえて、中央区耐震改修促進計画を二○一六年に改定し、二○二○年度末までの耐震化率の目標を掲げ、区内の耐震化を支援してきました。同計画では耐震化率の目標を掲げ、一、住宅については、九五%以上を目指してきました。二、民間特定建築物については、九五%以上を目指してきました。木造簡易耐震診断の実績件数は、平成七年から令和二年三月末現在で一千二百四十四件行っております。木造建築物に対する助成、木造以外の建築物に対する助成、緊急輸送道路沿道等建築物に対する助成、特定緊急輸送道路沿道建築物に対する助成などの施策で、防災・減災につながる取組を行ってきました。これまでの成果と課題を分析し、耐震補強等助成制度などをさらに利用しやすくなるよう拡充し、災害に強いまちづくりを進めていくべきと考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 これまでの中央区耐震改修促進計画の成果と課題について、そして、新しい計画をどのように考えているか。耐震補強等助成制度などをさらに利用しやすく拡充し、区内の防災・減災対策をこれまで以上に強力に進めていくべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、高齢者福祉の充実についてから、エンディングノートについて問う。

 令和二年一月推計中央区将来人口の見通しについてによりますと、令和二年一月の高齢者人口の実績で二万四千九百四十五人、高齢化率は一四・八%、また、二○二五年問題とされる令和七年一月の推計によりますと、二万七千五百五十人となっており、本区の構成比は一三・八%、高齢化率は一%低下していますが、高齢者人口が着実に増加しております。子供の世代へ大きな負担はかけられないなど、高齢者の間では、周囲に迷惑をかけずに人生を終えるための終活が社会現象になっています。主な事柄としては、生前のうちに、自身のための葬儀や墓などの準備、残された者が自身の財産の相続を円滑に進められるための計画を立てておくことなどが挙げられています。

 終活というと、葬儀やお墓の事前準備のイメージがありますが、最近では、自分の人生の終末期を見詰め、今を自分らしく生き生きと生きるための活動を意味するようになりました。厚生労働省は、もしものために人生会議、ACP、アドバンス・ケア・プランニングの普及に取り組んでいます。誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があります。命の危険が迫った状態になると、約七○%の方が、これからの医療やケアなどについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなると言われています。人生会議とは、元気なときに人生の最終段階を話し合っておくという取組です。人生会議をやっていれば、もしものときでも、家族などが、多分こう考えるだろうと患者の気持ちを想像しながら、医療・ケアチームと医療やケアについて話合いをすることができ、その場合も、家族などが患者の価値観や気持ちをよく知っていることが重要な助けとなるのです。人生の最終段階における医療・ケアについての話合いの人生会議といっても、認知度も低く、分かりにくさが伴い、現場での誤解や混乱があるのではないでしょうか。

 新聞記事に、「終末期「人生会議」の意義」と題して専門家の対談が掲載されていました。記事によると、ACP、アドバンス・ケア・プランニングは、二○○○年以降、欧米で活発化した取組であり、患者本人の意思決定を支え、人生の質を上げると期待されているそうです。欧米では、患者本人を中心に、医療や介護を組み立てる仕組みを模索してきたと言えます。しかし、人生の最終段階の過ごし方を自己決定することに不慣れな日本の高齢者にとって、ACPはまだハードルが高い世界と指摘する声もあります。超高齢化社会に突入している日本は、多くの高齢者が、病気を抱えつつ自分が老いていくことを意識しながら生きるという新たな社会を迎えました。一足飛びに充実したACPを実現させることは不可能ですが、各御家庭での人生会議で、最後の過ごし方について自らの方向性を出すことで、終末期の医療の在り方とも関連し、残された家族や本人が望まない治療を避けることにつながっていくのではないかと考えます。当然のことですが、知りたくない、考えたくない方への十分な配慮も必要となっていると思います。

 そのような意味合いから、私は、エンディングノートを作成している自治体に注目し、調べてみました。府中市では、「未来ノート~わたしの生き方整理帳~」とのタイトルで、三十七ページもあるノートです。いつまでも自分らしい生き方ができるようにとの思いが込められ、介護・看病についての希望、延命治療・緩和治療・臓器提供・病名告知等についての私の考え方、葬儀についての希望、遺言についてなどの項目があります。ゆったりと思い出を振り返りながら、書けるところから記入し、一年に一回振り返りながら、心の変化があれば書換えができるよう工夫がなされています。

 エンディングノートは一般的に随分普及していますが、自治体が発行する場合、発信したい地域の身近な相談窓口など、情報を盛り込むことができ、より身近なエンディングノートになると思います。本区のエンディングノートは、中央区消費生活センターで発行しています。記入欄も大きめに取られており、各所に工夫がされていることが分かります。また、町会・自治会、高齢者クラブ、PTAなどの団体グループに出前講座でエンディングノートの書き方などを含め、普及をしています。しかし、出前講座だけでは区民の皆さんに幅広く情報が伝わりにくいという欠点があります。そこで、区の作成したエンディングノートの書き方などのアドバイスをホームページ上にアップしたり、おとしより相談センターなどでお渡しするのはいかがでしょうか。エンディングノートに、従来の内容に加えて、区の相談窓口など適切な情報の掲載で、エンディングノートを手にした多くの方が自分らしい人生をはつらつと送れるようにサポートが求められていると思います。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 区独自の情報などを盛り込んでエンディングノートを広く区民の皆さんに活用できる取組を進めるべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、住宅入居支援の強化について。

 中央区高齢者保健福祉計画・第七期介護保険事業計画には、世帯構成の変化に伴い、住まいの住み替えが必要となる場合などにおいて、自らの住宅を確保することが困難な高齢者等を対象に、賃貸住宅に居住する高齢者等への住み替えを支援していきますとあります。

 主な施策としては、住み替え相談、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の登録の促進、高齢者の住み替え支援制度の一部費用助成による活用促進があります。中央区保健医療福祉計画二○二○によりますと、高齢者住み替え相談は、実施件数、平成三十年度四十件となっております。

 私に御相談に来られた方は、不動産屋から高齢者の一人住まいは入居が厳しいと言われたとのお話でした。月島地域では、月に七万円以下のワンルームマンションを探すのは年々困難になっているそうです。今後ますます高齢者の方が増え、世帯構成の変化に伴い、住まいの住み替えが必要になる場合が想定されています。公営住宅などに入居ができないため、民間住宅を探している高齢者で区の相談会や区内の不動産屋に訪れた方の住み替えに結びつく入居支援について求められていると思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 今ある住宅支援のさらなる充実と、地域の再開発などで高齢者向け住宅が供給できないか検討をすべきと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、介護施設への支援について問う。

 新型コロナウイルス感染症の感染が続く中、高齢者施設におけるクラスター、感染者集団の発生を防ぐための取組は一層強化が求められていると思います。報道によると、国内全体では新規感染者数に占める高齢者の割合が増えており、高齢者施設での集団感染の発生も各地で相次いでいるとあります。介護サービス事業所・施設に勤務する職員は、自分が感染すると施設利用者に拡大するので、うつさないように心身に負担がかかる中、強い使命感を持って業務に従事しています。私も、介護事業所に働いている方から、無料で受けられるPCR検査があると、今までより安心して働くことができるとの声がありました。高齢者は感染すると重症化するリスクが高いため、集団感染を防ぐためには、高齢者施設の新規利用者に加えて、利用者と身体的な接触が避けられない職員を対象にした検査が重要と考えます。職員の方も、今までに比べて安心感が増すと思います。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 東京都では、高齢者施設などへの新型コロナウイルス感染症対策強化事業でPCR検査費用の全額補助をする方針で、令和二年度の補正予算案に盛り込んでいますが、本区として、どのような体制で行っていくか、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、子育て環境の支援について、待機児童対策と保育の質の確保について問う。

 本区では、「中央区こどもすくすくえがおプラン わくわく子育て~みんなで育てる未来の力~」と題して、第二期中央区子ども・子育て支援事業計画が推進されています。基本理念では、子どもも親も笑顔が輝き、地域で安心して子育てができるまちを目指しています。

 政府は、二○一七年六月に子育て安心プランを発表し、二○一八年度からの三年間で保育の受皿を約三十二万人分拡充し、今年度末までに待機児童ゼロを達成する計画を立てていますが、残念ながら、本区では待機児童の解消ができない見込みとなっております。本区の取組として、資料「認可保育所等の園数及び定員数」によると、認可保育所等の園数は、平成二十三年二十園、令和二年六十一園で、三倍となっています。そして、平成二十三年定員数一千九百七十四人に対して、令和二年五千二百二人となっており、二倍以上増加していることで、努力していることが分かります。第二期中央区子ども・子育て支援事業計画では、令和四年度には待機が解消される見込みです。また、保育施設の急拡大に伴い、保育の質の確保も求められていると思います。本区では、区の巡回支援、指導検査を行われており、保育・衛生・安全を視点に定期的に巡回相談に応じたり、指導及び助言を行っています。また、保育所の第三者評価、保育士の研修などを行っています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 待機児童解消に向けて、計画以上の定員数を確保できるよう、今まで以上に積極的な園の整備が望まれていると思います。そして、定員数の急激な拡大により、保育の質の確保が求められていると思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、養育費の受け取り支援について問う。

 豊島区が令和二年四月より養育費の受け取り支援をスタートさせました。ひとり親家庭の調査では、多くのひとり親家庭で経済的に厳しい状況であることや、子供たちへの支援との思いがあったそうで、明石市などの先例自治体を調査し、独自財源で取組をすることになったそうです。養育費の受け取り支援には、養育費に関する公正証書等作成促進補助金事業、豊島区養育費保証契約促進補助金事業の二つから成っています。相談窓口として豊島区ひとり親家庭支援センターが、養育費の取決めについて、同行を含む寄り添い支援も行っているそうです。

 中央区ひとり親家庭実態調査結果によりますと、養育費についての約束の有無についての問いに、「特に取り決めをしなかった」四二・六%が最も多く、次いで、「書面を取り交わした」が三一・五%、「口頭で約束した」が一二・五%となっています。養育費について取り決めなかった理由では、「相手に支払う意思や能力がないと思ったから」が四○%で、養育費の受け取り状況については、「受け取っている」が五九%、「受け取っていない」が三九・八%となっております。養育費について約束が守られているのかの問いには、「きちんと守られている」五八・九%と過半数が守られており、「大体守られている」が二七・四%、「あまり守られていない」が一○・五%となっています。

 養育費は子供への支援につながるため、経済基盤が比較的不安定なひとり親家庭にとって、養育費が入金されなくなると、大きなマイナスとなります。本区の実情として、平成三十年度に実施した中央区ひとり親家庭実態調査では、就労状況について、四二・七%が「常勤」であるものの、「パート・アルバイト」が二五・七%、「派遣・契約社員」が一四・二%で、非正規雇用の割合も四割を占めており、八・六%が未就労の中、働く意欲のある人は約九割となっています。また、年収については、「二百万円~三百万円未満」が二五・九%と最も多く、次いで「百万円~二百万円未満」が二二・四%となっており、三百万円未満の人が半数以上を占めていることから、多くのひとり親世帯が経済的に厳しい状況に置かれていることがうかがえますとあります。

 離婚に伴う子供の養育支援について、ますます重要となっています。本区では、ひとり親家庭支援として、ひとり親家庭等医療費助成、ひとり親家庭等学習支援事業などをはじめ、サポートをしています。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 家庭によっては、養育費の未払いで経済的に厳しい状況になる可能性があります。包括的な養育費の受け取り支援を本区としても導入すべきと思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、図書館での電子書籍貸出しと紫外線除菌装置について問う。

 本区との友好都市でもある山形県東根市では、東根市電子図書館として、二○一六年十一月よりサービスが開始されました。同サイトのホームページには、左側に、「ジャンルで絞り込む」、「資料状態で絞り込む」、「対応デバイスで絞り込む」から選ぶことができ、真ん中から右手に、本の表紙とタイトルなどが整列されて、選択しやすい感じを持ちました。新型コロナ問題で多くの図書館施設が閉館し、図書館サービスが中止・縮小する中、電子図書館サービスを導入している自治体での電子図書館サービスの利用は増加しており、図書館流通センターの電子図書館サービスの場合、五月貸出し実績が前年同月比五二六%増と、三月以来、電子書籍の貸出しが大幅に増加しています。コロナ禍の中で、図書館の休館や学校などが休校になり、利用者が大幅に増加したようです。

 私たち会派で、二○一四年一月十七日に秋田県立図書館に電子書籍やビジネス支援などを調査するため、視察してまいりました。秋田県立図書館では、全国の都道府県立図書館で初めて開始した電子書籍がありました。感触として、当時はまだコンテンツが少なく、電子図書の黎明期のようなときでした。現在は、私が知るところ、電子図書館のコンテンツは増加していますが、書籍に比べては少ないです。千代田Web図書館の所蔵点数は九千八十点となっています。電子書籍の利点として、人の手に触れない、返却忘れが発生しない、保管場所が少なくて済むなどのメリットが考えられます。欠点として、パソコン、タブレットなどを持たない家庭では使用できない、紙媒体での書籍に比べてコンテンツが少ないことなどが考えられます。そして、今後、本区の小・中学生などにタブレットなどが普及されれば、電子書籍も活用でき、読書がより身近になると考えます。

 続いて、書籍除菌機についてですが、私は、二○一六年九月に文京区本郷の住宅街に隣接された場所にある文京区立真砂中央図書館を訪問いたしました。そのとき、おじいちゃんがお孫さんの手をつかみ、絵本を書籍の除菌装置に入れて二人で待っている光景が印象的でした。その装置は、紫外線を使って書籍を除菌し、本に風を当てて挟まったごみなどを取る装置で、あるメーカーのホームページには書籍除菌機にできることが掲載されており、本の隙間に入ったほこりや髪などを送風で取ったり、除菌などができると記載されています。過去に何か所かの図書館を視察した印象としては、図書館利用者により気持ちよく利用していただく住民サービスの一環として設置されている印象でした。他の地域から転居された方より、前の図書館に書籍除菌機があり、便利であったとのお声を伺いました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本区でも、コロナ禍の中で需要が高まっている電子図書館サービスの導入と、図書館に、紫外線で除菌でき、ごみなどを取る装置の導入を進めるべきと思いますが、御見解をお伺いいたします。

 続いて、生涯学習についてから、生涯を通じた学習の推進について問う。

 生涯学習とは、人が生涯にわたり学び、学習の活動を続けていくことです。令和元年度文部科学白書第三章、生涯学習社会の実現の総論によると、一般には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち学校教育、家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられます。また、人々が、生涯のいつでも、自由に学習機会を選択し学ぶことができ、その成果が適切に評価される社会を指すものとして、生涯学習社会という言葉も用いられます。

 教育基本法第三条においても、生涯学習の理念として、国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならないと規定されています。文部科学省では、同法を踏まえて、現在、第三期教育振興基本計画に基づき、生涯にわたる一人一人の可能性とチャンスの最大化に向け、新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策の検討や、職業に必要な知識やスキルを生涯を通じて身につけるための社会人の学び直しの推進など、人生百年時代を見据えた生涯学習の推進に取り組んでいます。さらに、人生をより豊かにするための社会人の学びが重要と指摘されており、社会人が学び直すリカレント教育の推進に加え、コロナ禍での社会の変化で、今後のキャリアを考え直す人のために、同省のユーチューブ公式チャンネルで「いまスタ!社会人の学び応援プロジェクト」を公開しています。国民一人一人の生涯を通じた学習の支援並びにこれからの時代の変化に応じた支援が求められていると思います。

 中央区政年鑑には、より豊かな文化の享受や積極的な社会参加を目指す区民の意欲に応えるため、平成十九年度に生涯学習推進事務を教育委員会から区長部局へ移行し、文化振興と一元的に展開できるよう組織を再編整備した、これを踏まえながら、区民の生涯学習が円滑かつ効果的に行われるよう、学習の場や機会の提供、社会教育関係団体の育成などに努めているとあります。

 本区では、生涯を通じた学習の推進として中央区民カレッジがあり、三年単位制の生涯学習の場です。中央区ならではの地域の歴史や文化に触れる講座やワークショップを取り入れた学習会、ボランティアの養成など、様々な講座を開催しています。区民カレッジの中心である「まなびのコース」は、地域の歴史や文化、現代社会をテーマとした「きほんの講座」、料理や音楽などの「趣味の講座」、さらに、中央区ゆかりの生涯学習機関などと連携した「連携講座」から構成されています。六十歳を過ぎ、同世代の仲間と楽しく学びたい方には「シニアコース」、そして、この区民カレッジの目標である学習の成果を地域に生かすための「生涯学習サポーター養成コース」の三コースを設けています。

 人生百年時代に対応することや、社会人の学び直し、リカレント教育の推進がより一層重要となっています。また、コロナ禍に対応した双方向などのデジタル学習機会の提供が求められていると思います。会場で講師の方に直接受けるスタイルと、積極的にICTを活用した生涯学習事業の推進を行っている自治体もあります。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区でも、区民のライフスタイルに寄り添った学習機会の充実と、コロナ禍に対応した動画配信やオンラインなどで学べる環境整備が求められていると考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、社会教育会館のWi‐Fi設備の導入について問う。

 今や人々の生活になくてはならないものとなったインターネット環境。パソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機も、インターネットに接続していることが必須の機器とも言えます。カフェやレストラン、空港、駅、コンビニなど、続々フリーWi‐Fiスポットが増えてきております。中央区でも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、フリーWi‐Fiが拡大しています。

 さて、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、区施設が一時休業していましたが、緊急事態宣言解除や東京都の感染状況等を踏まえ、利用に当たっては制限がありますが、社会教育会館の全ての施設が再開されました。社会教育会館は、サークル、学習会、講座、体操、研修など、住民の皆さんの生涯学習、文化活動の拠点としての地域コミュニティ施設です。あるパソコン講座では、社会教育会館はネット環境がないため、設備のある京華スクエアを利用したと耳にしました。また、学習中に関連した動画を見たいとか、利用者の中には、ちょっと調べものをしたいとき、Wi‐Fiが使えると便利ですといったお声を聞きます。今や、まち中どこでもWi‐Fiが利用できる環境になりつつあります。本区では、防災拠点、福祉避難所などで、災害時の対応としてWi‐Fi設備が整備されています。社会教育会館は福祉避難所としての整備がされていますが、日頃の区民サービスとして提供がされていません。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 生涯学習、文化活動の拠点でもある社会教育会館に、住民サービスの向上を目的として、日頃よりWi‐Fi設備が活用できる取組が求められていると思いますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、今後の生涯学習事業の充実について問う。

 令和四年度に建設を予定している図書館本の森ちゅうおう(仮称)では、子供から大人まで誰もが親しみを持って利用でき、歴史・文化を未来に伝える地域の生涯学習拠点として整備を予定しております。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 本区では、推計によると、令和七年には二十万都市と見込まれております。図書館本の森ちゅうおう(仮称)は、誰もが親しみを持って利用できる重要な施設と考えます。生涯学習拠点について、どのように充実、発展させていくのか、御見解をお伺いいたします。

 以上、第一回目の質問を終了いたします。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、大型台風時における臨時相談窓口の設置についてであります。

 昨年の台風十五号、十九号では、本区においても木造住宅等で被害が発生しており、被災した住家の応急修理をはじめとする生活再建に向けた各種支援制度が確実に受けられるよう、区民等への的確な周知が重要であることを改めて認識したところであります。御質問の臨時相談窓口につきましては、災害救助法が適用されるなど、一定規模以上の被害が発生した場合には、設置する必要があると考えております。また、窓口設置に至らない場合であっても、防災危機管理センターにおいて、担当部署を適切に御案内するとともに、ホームページや広報紙を通して、誰もが分かりやすい情報提供を行ってまいります。

 次に、防災士の育成についてであります。

 平常時の防災訓練や災害時における救助活動、避難所運営等の中心的な役割を担う防災リーダーは、本区の地域防災力の要であり、区では、防災区民組織の方々を対象に、都が主催する防災市民組織リーダー研修への推薦や、区が行う応急手当講習会等を通じて、その育成に努めております。一方で、民間の資格である防災士を取得された方は、地域に密着した様々な活動を行うことにより、本区の防災リーダーとしても、ふさわしい御活躍をいただけるものと考えております。こうしたことから、区といたしましては、今後、防災士の育成への支援の在り方について検討してまいります。

 次に、中央区耐震改修促進計画及び耐震補強等助成制度の拡充についてであります。

 平成二十八年三月に改定された耐震改修促進計画では、住宅及び民間特定建築物の耐震化率の目標を九五%以上としております。このうち、住宅の耐震化率につきましては、建て替えによる建物更新のほか、マンション管理組合への個別訪問や段階的整備など様々な施策を講じたことにより、九四・四%とおおむね目標を達成しているところであります。しかしながら、対象となる戸建ての木造住宅は老朽建物が多く、耐震補強工事の範囲外の内外装工事や設備機器の取替え工事など、助成の対象とならない工事が発生することから、耐震補強工事に踏み切れないケースが多く、課題となっています。また、民間特定建築物においては、権利が複雑なテナントビルが多く、耐震化率は八七・七%と目標の数値に届いていない状況にあります。こうした状況を踏まえ、現在策定中の耐震改修促進計画では、具体的な数値目標は検討中ですが、耐震化に向けての普及啓発の強化や、建物所有者である区民や事業者に対し、丁寧な指導・助言を行うことで耐震化の促進を図っていくとともに、耐震補強等助成制度においては、助成対象となる工事範囲や助成条件の見直しなどの拡充を図り、区民がより利用しやすい制度となるよう検討を進めてまいります。

 次に、エンディングノートの活用についてです。

 本区のエンディングノートは消費者教育の一環として作成しておりますが、終活に向けて自分の意思や思いを整理するための有効な手段となります。そのため、おとしより相談センターや消費生活センターでエンディングノートを使った講座を実施し、その普及啓発を図っております。また、区が独自に作成したパンフレット、認知症ケアパス「備えて安心!認知症」においても、人生の振り返りや医療・介護が必要になったときに望むことを記入できるようにしております。今後は、認知症ケアパスについて、エンディングノートの要素をより多く盛り込むよう見直すとともに、区ホームページ等を活用し、広く高齢者に活用していただけるよう周知に努めてまいります。

 次に、住宅入居支援の強化についてであります。

 今後想定される高齢者の増加を見据えると、公営住宅や高齢者住宅に入居できない高齢者に対し、民間住宅への入居支援のさらなる充実が求められるものと認識しております。現在、高齢者の入居につきましては、都心部での高額の家賃設定という課題のほかにも、孤独死や家賃滞納リスクにより家主が敬遠することが多いために進まない状況となっており、区といたしましては、家主の不安の解消につながるよう、あんしん居住制度や家賃債務保証制度の活用を推進しているところであります。あんしん居住制度については、区のおしらせなどを通じて、高齢者へ分かりやすく周知していくなど、一層の普及啓発に努めてまいります。また、家賃債務保証制度については、家主の積極的な関与が必要であることから、東京都宅地建物取引業協会の協力の下、地元不動産業者や家主に対して、より積極的な周知を行い、制度の理解を求めてまいります。また、高齢者向けの住宅供給につきましても、まちづくり基本条例の運用等を通じて促進を図っており、現在、晴海五丁目西地区の再開発において、サービス付き高齢者向け住宅が二百八戸供給される予定となっております。今後も、本区における高齢者に対する民間住宅への入居支援につきましては、ソフト・ハード両面からの充実を図ってまいります。

 次に、高齢者施設におけるPCR検査費用助成についてであります。

 特別養護老人ホーム等の入所施設における感染防止対策としては、施設内にウイルスを持ち込まないことが基本となります。そのため、区内各施設では、面会の自粛とともに、新規入所者等に対する入所前の症状の有無等身体状況の確認及び入所後の一定期間の個室での対応を行っております。また、従事職員についても、日々の健康管理の徹底に努めているところであります。今般の東京都高齢者・障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業は、広域型特別養護老人ホーム等を対象に、新規入所者や職員に対するPCR検査費用を一定の上限の範囲内で助成するものと認識しております。区といたしましては、区内の対象となる施設に東京都の補助事業を活用するよう、適切な情報提供に努めてまいります。また、定員二十九名以下の地域密着型特別養護老人ホーム等においても同事業の対象となるよう、東京都に対し、強く働きかけてまいります。

 次に、待機児童対策と保育の質の確保についてです。

 本区では、本年三月に策定した第二期子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育事業者への認可保育所開設支援を中心に、大規模開発等の機会を捉えた保育施設の整備に努めております。また、保育の質は、良好な保育環境において、適切な保育内容を知識の豊富な保育士により提供されることで確保されるものと認識しております。そのため、区では、指導監督等の専門性を有する管理職の配置や職員数の増員による指導体制の強化を図るとともに、保育施設に対する巡回支援・指導検査等の訪問回数を増やすなど、さらなる保育の質の確保に努めております。今後とも、機動的な保育施設の整備に取り組み、本事業計画を上回る保育定員の拡大に努め、早期の待機児童解消を目指すとともに、量・質を兼ね備えた保育環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、養育費の受け取り支援についてであります。

 養育費の不払いについては社会的な問題となっており、国においては、令和二年七月に、女性活躍加速のための重点方針二○二○において、養育費の履行の確保に向けた取組が明記され、都においても、養育費確保支援を実施する自治体への補助事業を開始したところです。本区では、家庭相談等において離婚の相談があった場合には、養育費専門相談を行っている養育費相談支援センターや東京都ひとり親家庭支援センター「はあと」など関係機関を紹介するとともに、公正証書など公の文書で養育費の取決めを行うよう周知を図っているところであります。今後も引き続き、養育費の取決めに関するサポートを行うとともに、国や都の取組状況を踏まえ、本区における養育費支援の在り方を総合的に検討してまいります。

 次に、生涯を通じた学習の推進についてであります。

 全ての人が生涯にわたって学ぶことができるよう、それぞれのライフスタイルに合った学習の場や機会を提供することは大変重要なことだと認識しており、本区においては、中央区民カレッジを中心に生涯学習を推進しております。御指摘の人生百年時代への対応やリカレント教育の推進につきましては、国が示す第三期教育振興基本計画にも提言されていることから、本区においても必要な取組だと考えております。今後は、区民カレッジの講師などの専門家の意見、受講生のニーズ及び他自治体の実践例等を踏まえ、カリキュラムの充実等に努めてまいります。

 次に、コロナ禍の環境整備についてであります。

 動画配信等につきましては、区民カレッジの講座の一部を中央区公式ユーチューブで配信するなど、幅広く学びの機会を提供いたしました。また、本年十一月に、早稲田大学エクステンションセンターと連携したオンライン講座を実施するための準備を進めているところであります。今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、より安全で効果的な学習の機会を提供できるよう、オンライン講座等のさらなる充実に努めてまいります。

 次に、社会教育会館のWi‐Fi整備についてであります。

 社会教育会館は、社会教育関係登録団体をはじめとした利用者が、ホールや講習室等において、趣味や学習など多様な活動を行っております。このため、日常的に活用できるWi‐Fi環境を整備することは、利用者の利便性向上はもとより、効果的な事業展開やコロナ禍に対応したオンラインでの活動の円滑な運営にも資するものと考えます。しかし、導入に当たっては、施設全体への通信回線の整備や、安心して接続できるセキュリティ環境の構築などの課題があることから、指定管理者をはじめとする関係事業者との調整を進めるとともに、施設の改修時期なども踏まえながら、導入に向けた検討を行ってまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、図書館での電子書籍貸出しと紫外線による書籍除菌装置についてであります。

 区立図書館では、ICTタグ管理による図書の自動貸出システムやウェブ予約など、区民の利便性を考慮した図書館システムを構築してまいりました。こうした取組は、人を介することなく図書の貸出しを行う図書館サービスとして、感染症対策にも有効であると認識したところであります。教育委員会といたしましては、区民が安心して図書館を利用できるよう、今般、再注目された電子書籍や紫外線による書籍の除菌装置の導入について検討を進めてまいりたいと存じます。

 次に、今後の生涯学習事業の充実についてであります。

 令和四年度に開設を予定している本の森ちゅうおうは、区民の知的好奇心に十分応えられるよう、子供の読書活動推進や、本区の歴史・文化を総合的に紹介する社会教育施設として長年検討を重ねてまいりました。また、本区人口が力強く増加する中、乳幼児や高齢者のほか、ビジネスパーソン向けなど、多様な利用者ニーズに対して適切な図書館サービスを提供できるよう、蔵書構成やサービスなどを常日頃より見直すことにも努めてまいりました。教育委員会といたしましては、今後とも、区民の社会教育に対する期待の大きさを十分踏まえ、講座やイベントの共催の検討など、区長部局とも緊密に連携を図り、本の森ちゅうおうの開設準備に取り組んでまいりたいと存じます。

 答弁は以上であります。

〔十七番 墨谷浩一議員登壇〕

○十七番(墨谷浩一議員)
 様々御答弁ありがとうございます。

 時間の関係もございますので、何点かお話しさせていただきたいと思います。

 防災・減災の取組については、やはり喫緊の課題だというふうに認識しております。また、コロナ禍の対応というのがすごく大変な中、本区としても様々、今、取り組んでいる最中というふうに伺っております。これからも首都直下地震、都市型水害などの防災・減災に資する取組を加速していただきたい、そのように考えております。

 高齢者福祉の充実についてでございます。

 私は、エンディングノートということを通して、人生百年時代に対応できる人生会議などを知るきっかけとなればいいかなというふうに思っておりました。今回、認知症ケアパスなどを通して、区民の皆さんに、人生百年時代に対する終活など、様々な形で提供していただけるというようなお話を伺いました。よろしくお願いいたします。

 公営住宅等に入れない高齢者の方の、民間住宅への入居支援についてですが、様々な課題があるとは思いますが、さらなる支援の拡大をお願いしたいと思います。

 そして、子育て環境の支援については、やはり待機児童対策、また保育の質ということで、本区としても一生懸命努力しているところも分かります。しっかりと対応していただくことと、また、養育費の受け取り支援でございますが、ひとり親へのさらなる支援として、質問させていただきました。ひとり親家庭の方が、今後、養育費についての支援が受けられるような体制組みを検討いただきたいというふうに思います。

 図書館での電子書籍、また紫外線の除菌装置についても、しっかりと検討していただけるというお話を伺いました。

 生涯学習については、様々なカリキュラムの検討を幅広くやっていただくというようなお話と、また、生涯学習の拠点に今後つながる図書館についても、しっかりと拡充していく、またコロナ禍に対応した生涯学習支援の充実をお願いしたいというふうに思います。

 国・東京都・中央区も、感染拡大防止対策と、経済対策を進めているところでございます。一日も早い終息を願って、以上で私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(海老原崇智議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明九月二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(押田まり子議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明九月二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後六時二十六分 散会


署名議員
議 長  押田 まり子
議 員  山本 理恵
議 員  木村 克一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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