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令和5年第三回定例会会議録(第2日 9月20日)

1.会期

二十五日(第二日)

九月二十日(水曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時四十七分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 ほづみ ゆうき議員

二番 小坂 和輝議員

三番 上田 かずき議員

四番 黒原 裕司議員

五番 アルール うた子議員

六番 川畑 善智議員

七番 永井 佳代議員

八番 梶谷 優香議員

九番 高橋 まきこ議員

十番 青木 かの議員

十一番 高橋 元気議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 かみや 俊宏議員

十四番 太田 太議員

十五番 竹内 幸美議員

十六番 山本 理恵議員

十七番 渡部 恵子議員

十八番 白須 夏議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 奥村 暁子議員

二十一番 瓜生 正高議員

二十二番 塚田 秀伸議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 海老原 崇智議員

二十五番 木村 克一議員

二十六番 礒野 忠議員

二十七番 原田 賢一議員

二十八番 堀田 弥生議員

二十九番 墨谷 浩一議員

三十番 田中 広一議員

4.出席説明員

区長 山本 泰人君

副区長 田中 智彦君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 浅沼 孝一郎君

総務部長 黒川 眞君

防災危機管理室長 春貴 一人君

区民部長 濱田 徹君

福祉保健部長 大久保 稔君

高齢者施策推進室長 北澤 千恵子君

保健所長 渡瀬 博俊君

環境土木部長 三留 一浩君

都市整備部長 早川 秀樹君

都市活性プロジェクト推進室長 溝口 薫君

会計管理者 山﨑 健順君

教育委員会事務局次長 生島 憲君

監査事務局長 林 秀哉君

政策企画課長 石戸 秀明君

財政課長 野末 託範君

総務部参事(総務課長事務取扱) 田部井 久君

5.議会局出席職員

議会局長 伊藤 孝志君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 小倉 正信君

調査係長 佐藤 康之君

書記 鳴子 歩良君

6.議事日程

日程第一
 一般質問


午後二時 開議

○議長(瓜生正高議員) ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(瓜生正高議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 まず、九番高橋まきこ議員。

〔九番 高橋まきこ議員登壇〕

○九番(高橋まきこ議員)
 かがやき中央の高橋まきこです。議員二期目となり、初回の一般質問です。引き続き、区民の皆様の声を基に質問を取りまとめていますので、区民の意をお酌み取りいただき、前向きな御答弁に期待をするところです。御答弁によりましては、再質問をいたします。

 本年四月にこども家庭庁が設置され、六月にはこども未来戦略方針が出されました。安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図ると、基本的な考え方が示されています。この視点に基づき、本日は質問いたします。

 今年の四月から出産・子育て応援交付金事業がスタートしています。伴走型相談支援では、三回の面談が推奨されています。身近で相談に応じ、様々なニーズに即した支援、必要な支援につなぐ点が最も重要とされています。これを受けた母親からの御意見が特に多かった中央区の保健所・保健センターとの相談までの流れについて確認をしました。

 妊娠届出時の面談については、六割以上の方が区役所や出張所で妊娠届を出しているのですが、この際の相談の予約方法は電話です。次の妊娠八か月頃は、アンケートに面談を希望するとして郵送すると、電話で連絡が来ることになっているそうです。そして、出生届出時の面談は、出生通知書を郵送すると電話で連絡が来るという流れが示されています。これは、九月十五日現在の流れです。このように、妊娠から出産までの一年間に度重なる電話の相談日程調整があり、負担だったとおっしゃっています。特に、就労している保護者が多い中央区では、就労時間内に電話が来ることが多く、困っているというお声もありました。

 中央区では、毎年、二千人を超える子供たちが出生していることから、この伴走型相談支援の事業実施に多くの電話等の業務が必要となっていることが分かります。この事業は、国によると、面談や相談、プッシュ型の情報発信においては、保護者が安心と便利を実感できること、そして、行政側の業務負担軽減と、人的ミスを減らすことを目的とし、SNSやアプリの活用が推奨されています。保護者からも、そうしたスマホでできる、手続が完結することへの御要望が多くありました。登庁、電話、アンケートの郵送、そして電話、こうした混乱しているんだというお声もございました。

 私も所属しております、こどもDX推進協会では、国の基盤整備と並行し、全国の各自治体へ取組の改善を求めています。全国各地で、アプリの導入や既存アプリからの乗換えが一層進んでいます。例えば、北九州市では、妊娠届出がアプリからできるようになった結果、九割を超えるほとんどの保護者がアプリから妊娠届出をするように変わりました。アプリには、面談までできる機能もあります。ツールの一元化により混乱がなく、プッシュ通知によって、忘れや実施時期のずれもなくなるという効果をお聞かせいただきました。

 また、本年四月に母子健康手帳が改正されました。大きな改正点は三点あり、相談記載欄、母親に限定しない子供の育ちの記録欄、そしてデジタル化の推進があります。母子手帳の電子化は、私から二○二一年十一月に一般質問にて要望したところですが、近年は全国に広がり、伴走型相談支援記録の共有の点で、保護者側のニーズも拡大しています。

 ここでお尋ねします。

 こうした保護者の困り事の解消と事務作業負担軽減の両方の実現を目的とし、伴走型相談支援の確実な実施のために、母子健康手帳機能のデジタル化を包括する、スマホでアクセスできる子育て支援アプリの導入を求めますが、中央区の見解をお聞かせください。

 次に、相談の質の向上を求めます。

 保護者から、相談時間の大半がマニュアルの読み上げであり、最後に、何か質問はありますかと聞かれる。非効率な相談との御指摘が多くありました。マニュアルの読み上げ内容は既に学んでいることが多く、その時間に付き合うのが負担だったということです。また、区民からの相談対応では、あまり心配しないようにといったような抽象的な回答が多く、具体的な支援が案内として受けられず、がっかりした、得られる情報がなかったとおっしゃる声もあり、残念に思いました。

 そこで、お尋ねします。

 伴走型相談支援における相談の質の向上と、具体的な支援先の情報提供について、中央区はどのように取り組みますか。

 こども未来戦略方針において、男性育休は当たり前になる社会の実現を目指すとされています。中央区では、男性育休に対する子育て支援が十分であるのか、男性育休を取得した方々からお話を聞き、確認をしました。母子保健分野で改善を求める声が多くありました。子供の健診で保健所に連れて行った際に、保健師から、ママはいかがですか、ママのサポートを頑張ってくださいと言われてがっかりしたというお声がありました。今、育休を取得していて、子供を連れてきていて、主体的に子育てを担っているのは自分なのに、自分がサブメンバーとして特定されたということに違和感があったとおっしゃっています。

 今年の三月、NPO法人ファザーリング・ジャパン主催の男性育休取得促進についての緊急フォーラムに参加しました。ここで、国立成育医療研究センターの竹原氏が、近年、父親の産後鬱の発症率は上昇しており、そのリスクファクターの一つに、社会的なサポートが少ないことがあると説明されました。中央区子ども・子育て会議においても、育休取得をして二人の子育てをする男性区民から、パパとして育休をした日々に、鬱はこれなんだと感じた瞬間があったということが伝えられました。新生児を抱きながら、大人と会話がしたいと苦痛を感じたという男性育休取得者は、これがいつまで続くのかという感覚の苦しさというのは、数日の育休では分からないとおっしゃっています。また、こうした出産を経験していない保護者の悩みは、同性パートナー同士の保護者にも同様にあります。男性も含む、出産をしていない保護者全体への子育て支援が必要です。

 ここで、二点お尋ねします。

 男性育休取得者に向けた相談対応や子育て支援の改善を求める声が多くあります。中央区は何が課題だと捉え、どのように改善に取り組みますか。男性の子育て当事者同士がつながる場を求める要望が多くありました。ピアサポートの場も必要だと思います。中央区はどのように、その場を実現しますか。

 母子手帳など、名称によって、子育ての当事者が自分は対象外と疎外感を受けていることも意見として寄せられました。さきの母子健康手帳改正の議論も踏まえ、京都府や品川区は、昨年、親子健康手帳と改称をしました。こうした自治体が全国に広がりつつあります。

 そこで、質問です。

 母子健康手帳や母と子の保健バッグの名称について、親子健康手帳など、母子に限定しない名称への変更が期待されています。改称を要望しますが、中央区はどのように考えますか。

 来月となる十月から、中央区でも保育園の第二子無償化が始まります。中央区では、対象を認可保育所と認証保育所の児童に限定しています。この財源は東京都によるもので、認可外までを含んでいることを東京都から確認をいたしました。企業主導型保育園に二人の子供を通わせる保護者、複数名から御相談を受けました。私たちは、当時、認可に入れなかったから、企業主導型園に通い始めたのに、認可が空いたら転園させればいいということなんですか。私たちは、自分の子供には特性があり、企業主導型園ならではの小さな規模感、温かさが合っているのに、何とか助けてもらえませんかという悲痛な声でした。

 中央区が十月からの第二子無償化の対象を公表してから、区内企業主導型園からの退園希望申告が続いているといいます。このままでは閉園せざるを得なくなるかもしれないと、事業者は悩んでいます。中央区に一度は開いてくださった大切な子供のための居場所で、子供たちが大好きな先生がいる場所です。子供から大切な大人を引き離すことだけが、認可の定員充足へのアプローチとして正しい方法なのでしょうか。この保護者たちは、転園は認証しか考えていないと話しています。中央区議会の議決前に、区内の企業主導型園、三園の連名にて、第二子無償化の対象とするように要望書が中央区長宛てに提出されています。そこには、保育の連続性、転園が子供に与える影響を懸念する温かい先生方の声が伝えられていました。

 そこで、お尋ねします。

 保育の必要性が認められており、これからはこども家庭庁がしっかりと見ていくとしている企業主導型保育所まで第二子無償化の対象とし、認可外保育施設利用支援事業を認証保育所同等に適用すべきと考えますが、中央区のお考えはいかがでしょうか。

 引き続き対象外とされるのであれば、企業主導型保育所の子供を区別する理由まで具体的にお示しください。

 今年の夏休み、昨年に引き続き、中央区議会会派かがやき中央にて、中央区議会親子見学会を開催しました。協力くださった関係の皆様に、改めて御礼を申し上げます。

 そこで、参加した小学生から、次のような意見が出ました。なぜ、大人はたばこのルールが守れないのですか。なぜ、学校のトイレは職員室前だけ豪華なのですか。誰でも更衣室が使えるようにしてほしい、校庭で毎日もっと遊びたい。たばこへの疑問は、小学校一年生から熱く意見を伝えていただきました。環境問題でもあるのに、理解できないと話していました。

 このように、機会を設けると、子供たちからは、大人の想像をはるかに超える様々な意見や考えがあふれ出します。こども基本法に基づき、中央区として、庁内一体となって、中央区の子供たちの意見を聞く場を設けるべきだと考えます。部や課を超え、一体的に窓口を開く必要があります。例えば、品川区では、品川区民アンケートを小・中学生を対象にして実施しました。中野区では、子どもオンブズマンが任命されました。江戸川区では、区児相を設置したことで、子供からの直接のSOSが急増したとのことです。あそこに相談すればいいんだという安心と認知の広まりが身近な区内にあることが重要で、それが有効となり、子供たちを守るための様々な予防に十分な役割を果たしているということです。

 中央区では、区児相設置が未定のため、どこが拠点となるのかと考えますと、やはり来年、二○二四年の夏にリニューアルオープンを予定している明石町の中央区保健所等複合施設ではないのでしょうか。中央区保健所、子ども家庭支援センター、子ども発達支援センター、教育センターが同じ建物に入り、子供と子育て、教育の相談拠点となることは確かです。

 今年の八月、こども家庭庁は、努力義務としているこども家庭センターの設置を強く求めています。全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行う機能を有する機関であること、できる限り妊産婦、子供や保護者の意見や希望を確認または酌み取りつつ、関係機関のコーディネートを行い、地域のリソースや必要なサービスと有機的につないでいくソーシャルワークの中心的な役割を担うと説明しています。虐待通報件数や不登校が急増している中央区において、設置に緊急性があることは確かです。

 ここで、お尋ねします。

 子供や保護者、関係者がSOSを出せる地域の拠点として、こども家庭センターが速やかに設置されることを強く要望しますが、中央区は、いつ、どこに設置を予定していますか。

 文科省が今年七月十日に、児童生徒の自殺予防に係る取組についてという通知において、自治体に特段の配慮を求めています。児童生徒のSOSを早期に把握し、適切な支援につなげることが重要であり、一人一台端末を活用し、児童生徒の心身の状況把握や教育相談を行うことは有効な方策の一つとされました。文科省において、一人一台端末を活用するマニュアルを作成しました。子供SOSは、自殺のみならず、不登校、いじめ予防としても有効であり、各自治体にて包括的な導入が進んでいます。

 子供からのSOSについて、中央区は、このマニュアルを基に、一人一台端末を活用し、どのように子供たちから直接のSOSを受け取ることになっていて、これからはどのように取組を進めますでしょうか。

 中央区は、子どもの権利条例は東京都を超えて独自に制定しないと、二○二一年六月に、私からの一般質問に対して説明しました。本当に区独自の条例制定の必要がないのか疑問を持ち、私は自治体の視察を重ねてきました。

 鎌倉市は、子どもがのびのびと自分らしく育つまち鎌倉条例を制定しました。ネーミングから、その思いが伝わってきます。市、保護者、住民、地域、育つ施設、事業者と、それぞれの役割を明確に示しています。これにより、当事者や福祉に関わる部署の担当のみならず、行政の縦割りも越えて、広く目線を合わせ、子供たちの権利尊重が実現するとおっしゃっていました。

 江戸川区では、子どもの権利条例が制定され、江戸川こどもプランで子供への支援と親への支援をそれぞれ明確にし、区児相で地域の連携をしながら、児童虐待予防と子育て支援に取り組んでいます。児相や一時保護所の担当者に聞きますと、区の権利条例で目線合わせができていることで、支援の方向性が信頼関係の中で迅速にまとまるのだということでした。そして、学校や保育所など、児相に来る前の施設とも密に連携が取れる、情報共有を深く早くできることで対応も早まるというメリットもおっしゃっていました。

 このように、全ての子供が中央区においてどのように大切にされるのかを明確に位置づける中央区子ども条例の制定が必要であると考えています。さきのこども家庭センターを十分に機能させるために、中央区独自の条例が必要です。これは両輪の関係性にあり、片方では、こどもまんなか社会の実現には至りません。

 そこで、質問します。

 中央区子どもの権利条例制定に向けた検討会、審議会の設置を要望します。改めて、中央区子どもの権利条例制定に対するお考えをお聞かせください。

 本年八月に、二十三区の区議会議員が超党派で集い、NEXT GIGAについて共に学び合う勉強会を主催しました。「学校を変えた最強のプログラミング教育」の著者、松田先生によりますと、リーディングDXスクール事業が予算化しているが、自治体間、学校間で端末活用に大きな格差が生じているとの指摘がありました。Society5・0社会の形成者を個別最適な学びと協働的な学びで実現する学びに向かっていない自治体があるという危機感をお伝えいただきました。「学校のデジタル化は何のため?」の著者、為田先生によりますと、ICTを使って授業をするのにとどまっていてはもったいないとした上、端末更新とされる導入経過五年後、NEXT GIGAに向けて、今の学びを再点検する必要があるとのことでした。次の更新に向け、どんな学びを実現するのかを今からデザインしなくてはなりません。

 ところが、この夏休みの端末の活用状況について、各校の保護者や子供たちからは落胆の声があふれていました。夏休みに一度も触らず、始業式を前に慌てて充電した、ダウンロードされているアプリにも制限があって使えない、何もできないからつまらない。子供たちの困り事に写真の挿入があります。思い出をスライドにまとめる宿題に対し、自分や家族のスマホで撮影した旅行や体験の思い出写真を入れたくても入れる方法がないのです。先生方に御指導を伺ったところ、撮影したデバイスの写真画面をGIGA端末で撮影する方法しかないのだといいます。この方法は、GIGAスクール構想が端末導入時に掲げました端末、通信ネットワーク、クラウド、これらをセットで活用ができていないということを示しています。クラウド・バイ・デフォルトの原則は強調されてきました。本年六月に閣議決定されました教育振興基本計画において、教育DXの推進が五つの方針の一つとされ、プロセスにおいては、自治体でルールや標準化を進めるように示されています。

 ここで、お尋ねします。

 教育DXの第一段階とされるGIGAスクール構想の確実な実施として、一人一台端末によって、クラウドを活用した学びが実現できるように取り組む必要があります。中央区は、GIGAスクール構想における学びの成果をどのように認識し、教育DXの実現に向けて、どのように学びの改善に取り組みますか。

 中央区では、引き続き、不登校の児童・生徒が増大しています。今年六月から、月島にて、不登校給食という居場所が不登校児の保護者を中心に始まりました。主催の保護者は、自分以外の人とリアルで緩いつながりの場をつくりたいと話しています。保護者同士は、当事者の気持ちや悩みを共有し、子供は、気持ちに余裕があれば、一緒に食べ、難しいときは持ち帰って食べるそうです。子供は、安定して健康的な昼食を取るタイミングを逃すことも多く、保護者にとっては、昼食提供が負担で仕事を辞めざるを得ないとおっしゃった方もいらっしゃいます。

 ここで、お尋ねします。

 不登校の児童・生徒は、学校給食無償化でも、それは食べられない状況です。不登校の児童・生徒に向けた昼食提供の機会が求められていますが、対応いただけないのでしょうか。

 そして、もう一点、特別支援学校に通う児童・生徒は、給食無償化の対象外となっています。同じ中央区に住む子供ですが、就学相談で支援学校の判定となり、区内には支援学校がないために、中央区から離れて学んでいます。この子供たちも給食無償化の対象としていただけないでしょうか。

 以上、一回目の質問をお願いします。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 高橋まきこ議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、母子健康手帳機能のデジタル化と子育てアプリ導入についてであります。

 現在、国において、母子健康手帳のデジタル化の検討が進められ、システム統一・標準化を踏まえた環境整備を進めるとされていることから、現時点では、区独自のデジタル化は考えておりません。また、子育てアプリにつきましては、既に本区ではちゅうおう子育てナビアプリを導入済みであります。さらに、来月から、アプリ上で妊娠届出時の妊婦面談を予約できるよう、機能の充実を図ることとしております。

 次に、伴走型相談支援における面談についてです。

 区では、本年四月から、全ての妊婦、子育て世帯が安心して出産・子育てできるよう、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型相談支援事業を実施しております。その際、面談において、個別の事例に合わせた丁寧な聞き取りを実施し、必要な支援につなげることで、悩みや困り事の解消に努めているところです。今後も、引き続き、研修や講演会などを通じて、職員の知識や技術の向上に努めてまいります。具体的な支援の情報提供については、育児支援ヘルパーなど、様々な子育てサービスを分かりやすく説明できる資料の工夫を図ってまいります。

 次に、男性育休取得者への相談対応と支援についてであります。

 これまで、育児においては、男性側の育児参加の意識が乏しく、女性に任せきりになる社会意識があったと認識をしております。しかし、近年は、本区でも、出産前の妊婦面談や新生児訪問、乳幼児健康相談などの事業に参加される男性が増加傾向にあり、子育てに積極的に関わる男性が増えてきていると感じております。男性も、育児の主体として適切に支援していくことが必要です。今後、子育て相談が男性も対象であること等をより分かりやすく周知してまいります。また、男性の子育て当事者同士がつながる場については、あかちゃん天国や乳幼児クラブ等を案内し、孤立化防止に努めてまいります。

 次に、母子健康手帳や母と子の保健バッグの名称変更についてであります。

 母子健康手帳は、法律で定められた名称であるため、区が独自に名称変更を行うことはできません。なお、令和四年十二月、厚生労働省から、市町村が独自に名称を設定し、併記できる旨の通知が出されていることから、父親やその他の家族も利用しやすいように、名称の併記を行う予定となっております。また、母と子の保健バッグについても、東京都内の各自治体共通で用いているものであり、区が独自に名称変更を行うことはできません。

 次に、企業主導型保育所の第二子無償化についてであります。

 本区では、待機児童対策として、保育の質を第一に考え、区が責任を持って施設の整備から関与し、開設後の運営状況や保育内容についても直接指導・助言ができる認可保育所と、都独自の基準により適切な保育水準を確保する認証保育所を中心に整備してまいりました。このため、都の認可外保育施設利用支援事業の目的である待機児童の解消や、地域の実情に応じた保育サービスの整備促進や質の向上といった観点から、これまでも、認証保育所のみ、第二子半額の補助を適用しているところです。今回の第二子無償化については、この都制度の拡大を受けて実施するものであり、企業主導型保育施設などの認可外保育施設については、対象とする考えはありません。

 次に、こども家庭センターの設置についてであります。

 昨年、児童福祉法の改正により示された、こども家庭センターの設置は、母子保健と児童福祉の両部門の連携を深め、妊娠期、乳幼児期から就学期にわたる切れ目のない支援体制の強化を図るものであります。区では、令和六年七月より、中央区保健所等複合施設に保健所、子ども家庭支援センター、子ども発達支援センター、教育センターなど、子供の支援に関わる部署が集約することとなります。これらの施設が有機的に連携し、こども家庭センターとしての機能を発揮するためには、指揮命令系統の確立やサポートプランの作成など、母子保健と児童福祉がより一体的に運営できる体制づくりが必要と考えており、こうした課題も含めて、現在、検討を進めております。

 次に、子どもの権利条例の制定についてであります。

 これまでも、本区においては、子ども・子育て支援事業計画をはじめ、教育振興基本計画や青少年健全育成基本方針などの中で、常に子供の視点に立った施策を展開してきたところであります。また、本年四月に施行されたこども基本法には、こども施策の基本理念のほか、地方公共団体や国民の責務などが示されており、区では、法に定めるところにより、着実に子供施策を推進すべきであるとの考え方から、独自に条例を制定する予定はございません。区といたしましては、今後とも引き続き、子供の意見を尊重しながら、全ての子供が将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていける環境整備に努めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、子供からのSOSについてであります。

 児童・生徒の小さなSOSを発見し、心身の状況把握や教育相談を早期に行うなどの取組が生活指導上の課題の未然防止に有効であると認識をしております。こうしたことから、各学校では、日々、児童・生徒一人一人の状況の丁寧な観察を行うとともに、児童・生徒に対して、タブレットを活用し、本区の相談機関や東京都の相談窓口等を定期的に周知するほか、長期休業に入る前などに、SOSの出し方について繰り返し指導をしております。これに加え、アンケートフォームを活用し、子供の悩みや不安など、心の変化を早期発見する取組について、現在、検討を進めているところであります。

 次に、教育DXについてであります。

 クラウドの活用を含めたGIGAスクール構想の成果としては、国の配置基準を上回るICT支援員のきめ細かなサポートにより、授業における効率的な意見交換や意見集約などの共同的な学びが進んだものと考えております。また、学校、家庭を問わず、AIを用いたドリルソフトを活用して、児童・生徒が自らのペースで学習を進めるなど、本区固有の支援体制も充実し、個別最適な学びが推進されてきたものと認識をしております。さきに実施されました令和五年度全国学力・学習状況調査における中央区の平均正答率は、全国平均及び東京都平均を大きく上回っており、学力の向上にも成果として現れているものと考えております。今後は、子供たちの端末活用の幅を広げられるよう、デジタルシチズンシップ教育を一層推進し、児童・生徒が適切に端末を使用できる資質・能力を育み、端末の一斉更新と共に構築される新たなクラウド環境をより効果的に活用した教育活動について検討をしてまいります。さらに、国が推奨している学習eポータルの整備により、個々の学習状況を的確に把握し、個に応じた指導の充実に取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、不登校の児童・生徒への昼食提供についてであります。

 この度の学校給食費の無償化は、あくまで学校設置者として提供する給食について行うものであり、不登校の児童・生徒に対する昼食の提供は考えておりません。

 次に、特別支援学校の児童・生徒に対する給食費無償化についてであります。

 こうした取組につきましては、学校設置者である東京都教育委員会が実施すべきであり、特別区教育長会としても、東京都に対する意見集約を図ったところでありますが、無償化を行っていない区もあることから、要望書の提出には至りませんでした。今後は、特別支援学校の児童・生徒に対する給食費の支援について、他区で実施している先行事例も踏まえ、検討してまいります。

 答弁は以上であります。

〔九番 高橋まきこ議員登壇〕

○九番(高橋まきこ議員)
 それぞれに御答弁をありがとうございました。

 まず、伴走型相談支援については、四月から始まったものでございまして、相談の改善等、いろいろと検討いただく面もあるかと思いますが、まずは、事業に関わった皆様からのアンケートで広く聞いていただきたいという点を要望させていただきたいと思います。

 そして、男性の支援も、また母子健康手帳の併記についても、要望があったことをお伝えしていますので、このように妊娠から出産までの支援に関わった皆様の声をどのように聞いていくのかという点、一点再質問をさせてください。

 ちゅうおう子育てナビアプリは手続が完了しないということを課題と考え、提案させていただきました。十月から面談予約機能ができるということですが、これがプッシュ型で、三回効率的に進まなくては、皆様の不安の解消には至らないというところがございますので、そのように機能していくのかという点についても改善を見ていく必要がありますので、関わった皆様のアンケートをどのように取っていくかという点についてのお考えをお聞かせください。

 そして、次ですが、企業主導型保育所については、待機児童解消の目的、都としては、そのように設定していないということですが、お伝えしましたように、実際には、区内の皆様が、入れなかったから入ったという、待機児童解消として利用している方々がいるということが事実としてはあります。こうしたことから、地域のニーズについても要望としてお伝えしましたので、この点については、企業主導型の保育所の子供たちが都の目的と違うんだと、区別する理由まで、もう一度この点はお聞かせください。

 次に、子供のSOSについてですけれども、こども家庭センターの設置は検討中であるというところを確認させていただきました。ぜひ、来年の開始に向けてというところを、私としては要望したいと思いますので、速やかに、こども家庭センターと条例の両方が両輪で進むというところをお願いしたいと思っております。この点については、また今後の機会でも確認をしてまいります。

 子供のSOSについては、端末上で周知するということを伺いましたけれども、やはりアンケートフォームがそこにあるということが国が示している内容になりますので、この検討も早く進めていただきたいと思います。区内でも、小学生が残念な経験をしているということが昨今も起きておりますし、近日でも、そういったこともありました。子供が誰にも言えないことを抱え込んでいるという状態のないように、一日も早くSOSツールについては、フォームの検討を進めていただくというところを広く、強く要望いたします。

 前後いたしましたけれども、先ほどの企業主導型園、第二子無償化につきましては、今回の第二子無償化の流れで、江東区、隣の区については、既認可外の助成を手厚くしており、また、豊島区や墨田区では、対象の検討にも入ったということもお聞きしておりますので、この点も踏まえて、先ほどの子供たちに対する対応の点、お願いしたいと思います。

 GIGAスクール構想の件ですけれども、ドリルソフトや学力調査について挙げていただきましたが、デジタルシチズンシップと学びの成果というところは、また別のところですので、新たなクラウドを活用し、子供たちが確実にGIGAスクール構想から教育DXの方針の達成に向かうということでは、一つ一つ積み重ねていく必要がありますので、デジタルシチズンシップで活用を学びつつ、今、GIGAスクールのクラウド・バイ・デフォルトを活用した学びというのを両輪で進めていく必要があると思いますので、この点については、引き続きの議会で確認をさせていただきます。

 そして、給食費無償化については、不登校については考えていないという御答弁でございました。例えば、適応教室や区内の各地でお弁当を配布することなどで、出かける機会や外の人たちと触れ合う機会の創出となり、それが定期的になっていくことで、地域の見守りや子供の体力増進にも期待をするところです。この点は、ぜひ保護者の声も子供の声も聞き、検討いただきたいと要望します。

 そして、特別支援学校の給食費補助は、品川区や江東区で既に始まることが決まっています。こうした他区の動きを見ながらということでしたが、区として積極的に都に意見をする、もしくは区独自でも区内の子供に同じように対応する、いずれかの検討については、迅速に行っていただきたいという点を要望します。

 質問としては、二点確認をさせていただきたいと思います。

 伴走型相談支援に関わるアンケートの取り方、また、その取ることへの考え、そして母子健康手帳の併記、この点についてもアンケートの中に入れていく必要があると思いますので、この点の見解をお聞かせください。

 もう一点が、企業主導型園の子供は違うのかという点について、大きく二点お願いします。

〔保健所長 渡瀬博俊君登壇〕

○保健所長(渡瀬博俊君)
 それでは、私からは、ただいま御質問がありました二点につきまして、お答えさせていただきます。

 まず、伴走型相談支援につきましては、御指摘いただいたとおり、現在、新たな導入がなされたというところの中で、妊娠届を出した後の相談、妊娠から八か月程度たったところでの相談、また、出産後の相談といった形で、相談体制をこれまで以上に充実させるというところの中で、現在、実施しているところでございます。

 その中で、それぞれの相談をしていただける、それぞれの方に応じて、個々の人によって、相談したい内容だとか、疑問点だとかは異なるということですので、それに対しては、双方向のやり取りを通じていく中でニーズを酌み取り、疑問の解消に向けて相談員が答えていくというような形で進めているといったところでございます。

 もちろん、そういった中で様々な要望があるかと思いますので、そういった点につきましては、保健所・保健センター等に改めて御質問していただければ、その内容に応じて適宜対応してまいりたいというふうに考えてございます。なので、要望していただくことにつきましては、我々のほうでも広くお話を伺いたいと思っておりますので、それは適宜相談していただければということでございます。

 また、子育てナビアプリについての御質問でございますが、こちらにつきましても、これまでもこの子育てナビアプリは、累積で一万二千人以上の方に利用していただいておりますので、そういった意味でいうと、広く活用のほうが進められているものなのかなというふうに考えているところでございます。

 母子手帳の機能等の包括的な、そういったさらなる充実というところに関しましては、母子手帳等は、今現在、紙で行っているものでございまして、長期的な保存性とか、そういった意味でいうと、紙で記録を残しておくというのが非常に有効であり、デジタルとの双方的な関係で、今後とも、そういったところの機能の充実が図れればと考えているところでございます。

 そういったような形で、子育てナビアプリについても、このような機能が実装されるといいといった点につきましては、様々な御意見をいただければ、それが実装できるものなのかどうなのかというところはございますけれども、そういった内容につきましては、保健所・保健センターのほうでもお話をお聞きできると思いますので、例えば健診のときとかにでも、お気軽に相談していただければなというふうに考えているところでございます。

 保健所・保健センターにおきましては、広く区民の皆様方から、現場において第一に相談を受けられるような場所というところで機能してまいりたいというふうに考えてございますので、そういった点において今後も活用していただければというふうに思っております。

 以上です。

〔福祉保健部長 大久保 稔君登壇〕

○福祉保健部長(大久保 稔君)
 私からは、認可外保育所、企業主導型の保育所に通われている方への第二子の無償化についてでございます。

 先ほど区長からも答弁させていただきましたけれども、その理由としましては、保育の質が確保されている認可保育所、そして国の基準に基づきまして一定の保育の質を確保できている認証保育所を中心に、保育需要をカバーしていく、そういったこれまでの考え方の下、実施しているところでございます。

 区の認証保育所に対する補助事業につきましては、当然、保護者の負担軽減という事業ですけれども、負担軽減ということの前に、やはり認可保育所で受け止められない保育ニーズについて、認証保育所を中心にカバーしていくという考え方の下、認証保育所への誘導策として実施をしているものでございます。そうしたことから、負担軽減という手法を使いながら、結果として認証保育所に誘導していく、こういった仕組みで事業設計をしているところでございまして、そのために、こういった範囲での補助制度を設けたところでございます。

 なお、先ほど議員からもお話がございましたけれども、江東区での取組をお示しされましたけれども、江東区は江東区でどのような子育て支援策、保育需要の対応をするかということは、その区独自で考えてございますので、区の考え方としては、隣接区の考えによらずに、区の考え方として進めているところでございます。

 私からは以上でございます。

○九番(高橋まきこ議員)
 終わります。(拍手)

○議長(瓜生正高議員)
 次に、十一番高橋元気議員。

〔十一番 高橋元気議員登壇〕

○十一番(高橋元気議員)
 中央区議会会派かがやき中央の高橋元気です。よろしくお願いいたします。理事者の皆様方におかれましては、活発な御答弁のほど、心よりお願いを申し上げます。なお、再質問、再々質問につきましては、あらかじめ留保をさせていただきます。

 令和五年度に入り、これまで三年間にわたり私たちの生活環境を変えてきた新型コロナウイルス感染症の脅威も、社会は克服する状態までに来ています。本区においても、二○二四年春頃にはHARUMI FLAGのまち開きが予定されるなど、大きな変化が起こります。本区の新たな転換点を迎えるこの時期の一般質問として、私からは、今後の晴海地域のまちづくり及び教育問題を中心に、順次質問をさせていただきます。

 まずは、今後の晴海地域のまちづくりについてお伺いをいたします。

 いよいよ来年春頃には、本区内における過去最大規模の再開発計画となるHARUMI FLAGのまち開きが予定されております。住宅棟二十三棟、五千六百三十二戸、最大で約一万二千人の住民が新たに中央区の仲間入りをいたします。本区においても、平成二十六年に策定した晴海地区将来ビジョンを指針として、新たな住民を、ハード面だけではなく、コミュニティを中心としたソフト面においても受け入れるため、晴海コミュニティ構想検討会議を開催し、準備を重ねてきたことと思います。直前となる現段階においては、具体的に予想される懸念事項についてしっかりと議論、準備を進めていただきたいと思います。

 そこで、まずは晴海地域全体のまちづくりの方向性について、改めてお伺いします。

 急激に人口増加が予定される晴海地域においては、その人々の憩いの場となる環境整備も必須となります。HARUMI FLAGに隣接する晴海ふ頭公園、晴海緑道公園、晴海臨海公園を中心に、緑地の有効活用、水辺の利活用という観点からは、どのような町並みを目指していくのか、晴海四丁目の再開発計画の状況も含めて、お答えください。

 次に、晴海地域の交通安全対策について。

 人口増加とともに、人、車の交通量は増大をいたします。特に、新たにできる晴海西小・中学校と、学区であるHARUMI FLAGやパークタワー勝どきなど、大型マンションを結ぶ動線において、通学路の設定は非常に重要となってきます。事故が起こらない安全なまちを実現するため、現在の交通安全対策状況についてお伺いいたします。

 まずは、晴海西小・中学校における通学路設定の検討状況を教えてください。

 また、通学路となるであろうれいめい橋公園通りにおいては、車の路上駐車が問題となっております。さらに、月島警察署前の交差点の車の渋滞などについては、さらなる対策が必要と考えますが、現段階において通学路と隣接をする晴海五丁目、四丁目内の道路における路上駐車対策や、ガードレールを設けるなど、その他交通安全対策については、警察や東京都と連携して準備をしているか、お答えください。

 最後に、約八年前を振り返れば、晴海五丁目が人で最も混雑する時期は、東京湾大華火祭の日でもありました。本区も、昨年度、東京湾大華火祭の復活に向けて、検討を開始したところでもあります。私を含めて、多くの区民、地域住民に望まれるイベントでもありますが、本当に開催ができるのか、あるいは開催したとして、現在は主会場、メイン会場の大部分がHARUMI FLAGとして生まれ変わった現状において、混乱のないよう運営ができるのかという点は大変気になります。

 そこで、お伺いをいたします。

 東京湾大華火祭の再開目途について、区からのこれまでの御報告においては、令和六年度の開催に向けて検討を進めるとしておりましたが、来年の開催ができるのか、検討状況を教えてください。

 また、検討段階において、晴海会場はどのように運営をしていく方針であるのかお答えください。

 続いて、教育問題についてお伺いをいたします。

 ICT教育環境の整備については、私もこれまでも取り上げてきました。政府が掲げるGIGAスクール構想の実現に向けて、本区においても、令和二年度から、区立小・中学校における一人一台のタブレット端末の支給やネットワーク環境の整備が進みました。本区においても、本格実施三年目を迎えますが、本当に現場で活用ができているのか。ほかの自治体においても、一人一台端末の日常的な活用が図られている学校がある一方で、端末の利活用の場面がまだ限られている現場があるなど、地域、学校によって差が見られるという問題があります。

 加えて、二○二五年には端末の一斉更新も予定され、その予算の問題もあります。GIGAスクール構想のその先に、これらの問題を総称してNEXT GIGA問題にも、本区は改めて取り組むべきであると考えます。

 端末の利活用については、現場でとにかく使ってみようという第一フェーズから、ICTならではの使い方を追求する第二フェーズへと移行しています。ただし、個別最適化された学びの実現という観点からは、さらにこの先、児童・生徒自らが適切な活用法を判断する第三フェーズへと転換できるかが大きなポイントとなると言われています。そのために必要なのが、クラウド環境です。現場の児童・生徒だけではなく、教員同士が、学校内だけではなく、区内の学校や全国で事例を共有し、参照し、参考にしてやってみて、さらに共有をして、よりよいものをつくっていく、それができるかがこの先の課題となります。GIGAスクール構想とは、イコール一人一台端末と捉えられがちですが、一人一台端末プラス高速ネットワーク、プラスクラウド環境が合わさって初めて環境の整備が実現いたします。

 そこで、私からは、ICT教育環境整備の観点から順次質問をさせていただきます。

 国のGIGAスクール構想に基づき、これまで本区においても、三年間、環境の整備に取り組んできたものと思います。そこで、改めて端末の整備、高速ネットワーク環境の整備、スクリーンや充電環境など教室環境の整備、クラウド環境の整備については、各現場でどこまで整備がされているか、三年間の振り返りと課題についても併せてお答えください。

 続いて、タブレット端末の一斉更新について。

 本区においても、タブレット端末はリースでの五年契約であったと思いますが、契約の関係から、二○二五年には交換対応が必要となると思われます。端末の更新については、一斉に更新をするのか、また、その予算はどのくらいかかると想定をしているのか、国へ補助を訴えるなど、今後の方向性について併せてお答えください。

 次に、次世代校務支援システムの導入についてお伺いします。

 本区においても、教員の負担軽減、情報共有を目的として、各学校において校務支援システムが導入されていると思いますが、改めて具体的にどのような環境及びシステムで運用されているのかを教えてください。また、職員室のPCでのみつながるなど、閉鎖的ネットワークの中で運用されている場合は、今後のクラウド化の予定についても教えてください。

 次に、学校現場における負担の軽減という観点からは、校務におけるツールの利活用も必要となってきます。例えば、子供たちや保護者へのアンケートも、クラウドツールを使えば、実施も回収も集計も分析もほぼ自動でやってくれます。また、チャットGPTなど、AIの利活用が進めば、教員の単純業務における負担の軽減ともなります。このような新たな技術の導入に対して前向きであるか、本区の考えを教えてください。

 次に、高速ネットワーク環境の強化について。

 国が提唱するGIGAスクール構想の実現標準仕様書の中では、LANケーブルについては、10Gbpsで接続可能なカテゴリー6A以上が推奨されております。令和二年七月九日の区民文教委員会で、この問題を取り上げたところ、本区においては、1Gbpsで接続するカテゴリー5eを学校内に敷設しており、十分であると答弁をされました。しかしながら、昨今の通信技術の発展は速く、必要なデータ容量も数年で増大いたします。今後のクラウド活用などを考えれば、少なくともこのタイミングで、LANケーブルはカテゴリー6Aに換えるべきだと考えますが、本区の御見解をお願いいたします。

 最後に、学校現場の支援体制について。

 やはり個別最適化された学びの実現を目指すのであれば、環境の整備とともに、教員の負担軽減が必須です。例えば、ICT教育環境の整備、利活用においても、知識に強い一部の教員に任されているのではないかと懸念します。ICT支援員の確保にとどまらず、文部科学省が設置するGIGA StuDX推進チームの活用あるいはGovTech東京からの人材派遣または教育委員会の中に専門的人材を教育CIOに登用するなど、さらなる支援体制の強化が必要ではないでしょうか。これまで本区においては、どのように学校現場を支援してきたのか、また、今後の方向性について教えてください。

 続いて、英語教育についてお伺いいたします。

 日本人は、外国語を話す力が他国と比較して低いと言われます。英語能力指数を示すEF EPIによると、二○二二年の日本の英語能力のランキングは百十一か国中八十位で、能力レベルは低いと評価されるなど、改めて課題が浮き彫りとなりました。韓国は三十六位、中国においては六十二位です。その背景には、日本は文法や読み書きを完璧にすることを目指し過ぎており、英語を実際に使う機会が少ないという点が挙げられています。文法を教えるよりも、スペルを正しく書くことよりも、英語を使ってコミュニケーションをしたいというモチベーションを育てること自体が大切であると思います。二○二○年から始まった小学校の英語教育必修化により、子供たちの英語力自体は上がってきたと感じる一方で、英語を使ったコミュニケーションの機会がどこまで確保されているのかという点を伺いたいと思います。

 本区においては、国際教育推進パイロット校に指定する常盤小学校の取組を中心としていると思われます。英語で話す授業の充実、オーストラリアのサザランド市から来た中学生との交流は、まさにそのコミュニケーションの機会を重視されたものかと思われますが、さらなる英語体験学習、機会の充実については、どのようにお考えでしょうか。

 例えば、コロナ禍で中止となってきたサザランド市への海外体験学習にとどまらず、日常的にタブレット端末を活用して、現地の中学校と共同学習が実現できないでしょうか。本区の考えをお聞かせください。

 また、港区においては、区が負担をした上で、修学旅行先を海外とすると発表されました。日常的に現地の児童・生徒との交流が実現し、海外で友達ができるのであれば、その海外の友達に直接会いに行くことは大きなモチベーションともなり得ます。本区における海外留学、海外修学旅行についてのお考えをお聞かせください。

 また、あわせて、質の高い英語本、外国語本の充実についてもお伺いをいたします。

 区民の方々からも多く要望があります。新設された本の森ちゅうおうや、晴海にできる新しい図書館を中心に、英語本のさらなる充実を図っていただきたいと考えています。現状で、区内で外国語本は何冊確保されているのか、そして、今後の展望も併せてお聞かせください。

 また、地域で外国語を教えていくという考えも重要です。専門的知識を持つ住民が積極的に教えていける環境の整備も必須であると考えます。中央区として、地域ボランティアを募集し、学校教育現場で活用するなど、地域住民の方々のコミュニケーションを促進し、英語力を高めていくべきであると思いますが、考えをお聞かせください。

 次に、いじめ問題についてお伺いをいたします。

 先日のニュースで、フランスでは、いじめの加害者への対応を厳罰化し、校長及び自治体の首長の判断により、いじめ加害者を別の学校へ強制的に転校させることができるようになったと取り上げられました。社会的にネットを通じたいじめも拡大する中、中央区においても、いじめの件数は増えています。令和二年度に小・中学校合わせて百五十件であったところ、令和四年度は三百四十七件となりました。いじめは犯罪です。たたかれる、蹴られるという暴行や金品を取られるといった行為以外でも、嫌なことや恥ずかしいことをされたり、させられたりする。冷やかしやからかいも犯罪となります。子どもの権利条約の基本精神に照らしても、いじめは犯罪であり、やってはいけないことであると強く訴える必要があると考えます。

 私が、令和二年十一月十日、区民文教委員会でいじめ問題について取り上げた際には、中央区においては、学校がいじめを認知したら、まず、学校いじめ対策委員会を開き、場合によっては、加害者を出席停止にする等の措置を講ずるとされている一方で、実際の出席停止件数は、これまでゼロ件であると回答がありました。被害者救済の観点から、どのような対応を行うのかについては、ケース・バイ・ケースであると理解をしておりますが、本区においても、より厳格に対応を行っていくべきであると考えます。

 そこで、お伺いをいたします。

 本区におけるいじめの件数、そして、加害者への出席停止の件数、また、いじめ加害者、被害者に対する対応の考え方について、改めてお伺いをさせてください。

 最後に、学校評価についてお伺いをいたします。

 区立学校の課題改善のため、外部評価、内部評価を実施する学校評価システムは、本区における教育の要であるとも言えます。一方で、その手法については、改善の余地があるのではないかと考えます。令和三年十二月九日の区民文教委員会にて、私から、学校評価の手法についてお伺いをしたところ、保護者アンケートにおいて、児童のアカウントから、保護者がフォームによって学校に提出するといったことがされていた学校があり、児童のアカウントで保護者が学校評価を提出してしまうと、匿名性が担保されていないというような問題を取り上げました。

 その中で、学校評価の保護者アンケートは、自己評価の参考資料ではあるが、必ずしも匿名である必要はなく、むしろ個々の保護者を特定した上で、説明、相談に乗るために、記名をお願いしているとのことでした。しかしながら、文部科学省の学校評価ガイドラインにおいては、学校評価におけるアンケート等の実施に当たっては、匿名性の担保に配慮するべきとの記載があります。記名式のアンケートでは正直に答えられないため、無記名で出したいが、アカウントで特定されるため、意味がないとの保護者の方からのお声もありました。

 そこで、改めてお伺いをいたします。

 中央区は、学校評価システムをいかに活用し、成果を上げているか、改めて教えてください。

 また、国の学校評価ガイドラインにおいては、保護者アンケート、児童アンケートの匿名性の担保が要求されていますが、本区においても、できる限り匿名性を担保するべきであると考えます。本区の考えをお聞かせください。

 一回目の質問は以上になります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 高橋元気議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、晴海地区全体の今後のまちづくりの方向性についてであります。

 晴海地区では、ウォーターフロントの魅力を生かし、人々が暮らしやすく、住み続け、働き続けることができる職住近接のまちづくりとともに、選手村のレガシーを生かし、水と緑が調和した豊かな都市空間や、個性ある魅力と賑わいの創出を目指していくことを基本理念とした晴海まちづくりの考え方を定めております。とりわけ、水辺や緑地については、七月に策定した中央区水辺環境の活用構想も踏まえながら、地域住民だけでなく、来街者が集い、憩うコミュニティ空間として整備するとともに、晴海の外周を取り囲むウォーターフロントプロムナードと、水辺にアプローチする歩行者空間とでそれぞれをつないでいくことを目指しております。今後、検討が始まっていくと思われる晴海四丁目の再開発におきましても、この考え方を踏まえた計画となるよう、過半を所有している東京都や、地域地権者に対して協議・調整をしてまいります。

 次に、交通安全対策についてであります。

 晴海地区の道路は、各種法令等に基づき、平成二十八年度から、都や交通管理者と協議を行い、安全かつ快適な歩行環境の創出に向け、整備を進めてまいりました。道路には歩道を設置し、車道との間には植栽を設け、分離を図るとともに、防護柵や街路灯を適正に配置するなど、安全対策を講じております。晴海西小・中学校の通学路の設定につきましては、子供たちの安全な通学を最優先に、安全対策の状況や交通量、交差点の規模などを踏まえ、交通管理者や月島第三小学校PTAなどと検討を進めているところであります。また、路上駐車対策は、これまでも交通管理者と連携しながら対策を講じてまいりましたが、渋滞対策につきましては、今後の交通状況の変化を捉えながら、引き続き、警察や関係機関と共に対応してまいります。

 次に、東京湾大華火祭の再開についてであります。

 平成二十七年の開催を最後に、休止している東京湾大華火祭の再開に向けては、昨年度、観覧会場や警備計画、必要経費等の基礎調査を実施したところであります。調査の結果、晴海主会場など、区内各会場のほか、他区観覧エリアにおいても、一定程度の収容人数を見込めることから、会場面からは再開は可能と判断をいたしました。しかしながら、自主警備費が大幅に増加するなど、前回開催時の一・九倍となる約七億九千万円の経費が必要であり、財源の確保が大きな課題となっております。この間、有料観覧席の拡大やクラウドファンディングの活用などを検討いたしましたが、十分な財源を確保するのは難しい状況にあります。そのため、東京都や周辺区に対し、共催の働きかけを行っておりますが、合意に至っていないことから、現時点では、令和六年度に開催できる見通しは立っておりません。

 次に、晴海主会場については、晴海ふ頭公園や、晴海客船ターミナル跡地、晴海緑道公園などに約三万二千人の収容を予定しており、区民の観覧会場とする考えであります。開催に当たっては、晴海地区への交通規制・入場制限はもとより、居住エリアと区別した観客動線の工夫など、居住者の生活や安全にも配慮した綿密な警備計画を策定する方針であります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、GIGAスクール構想の現状と課題についてであります。

 本区では、令和三年度当初に、GIGAスクール構想に基づき、児童・生徒及び教員の一人一台端末や無線LAN環境の構築、教室における大型提示装置をはじめとする周辺機器の整備をいたしました。特に、端末については、高性能かつ様々な場面においてインターネットに接続できるモデルを採用し、いち早く家庭への持ち帰りを実現するなど、全国に比べても先進的な環境を整えたと考えております。これに加え、AIを活用したドリルソフトや、共同学習ツールなど、様々な授業支援ソフトを導入したことにより、充実した教育活動を展開できているものと認識をしております。一方で、今後、学習での端末活用がさらに促進されることや、新たなアプリケーションの導入・活用が進むことに伴うバッテリー稼働時間の不足や通信量の増加などの課題が現時点においては見込まれております。

 次に、タブレット端末の一斉更新についてであります。

 本区の学習用端末は、その大部分が令和七年九月に新システムに更新する予定であります。更新方法につきましては、学校ごとに時期を分散させて行い、令和七年度の一学期から二学期にかけて、新旧のシステム及び端末を並行稼動させることで、児童・生徒の学習に支障が生じないよう配慮して行ってまいります。端末の一斉更新に係る経費につきましては、昨今の物価高騰の影響で端末の値上がりが想定されており、導入時点においては十億三千万円余の経費を要しましたが、現時点において明確な金額をお示しすることは困難な状況であります。本区といたしましては、文部科学省の補助金を活用しながら、着実に更新作業を進めてまいります。

 次に、次世代校務支援システムの導入についてであります。

 これまで教育委員会では、校務系システムと学習系システムのネットワークを分離し、複数の端末を使い分けた構成としておりました。しかしながら、令和四年三月に文部科学省のガイドラインが改定され、アクセス制限の徹底により、一台端末で運用できることが明確になったことから、教育委員会においても同様の観点で、情報セキュリティポリシーを改定しております。これにより、クラウド上における両システムの運用が可能となり、教員がテレワークにおいても校務系システムが利用できる等、働き方の多様化・効率化が促進されるとともに、さらなるデータ連携の推進が可能となりました。システム更新に当たっては、タブレット端末の仕様に大きな影響を与えるため、現在、学習系システムと大半の端末の契約更新時である令和七年九月から、新たなシステムを導入できるよう、既に検討を進めているところであります。導入までの間、クラウドサービスの活用を前提とした対応や、新たに必要なセキュリティ対策などの課題を検証し、円滑に新システムを活用できるよう、着実に準備を進めてまいります。

 次に、学校現場における新しい技術の導入についてであります。

 一人一台タブレット端末が配備され、同時にクラウド環境も整備されました。学校現場においては、クラウドツールを活用した出欠席の管理や保護者への連絡などが行われ、教員や保護者の負担軽減が図られております。生成AIやクラウドツールなどの新しい技術については、積極的に活用することで、より学校現場の負担を減らし、効果的に業務が進められると考えております。こうしたことから、今後はチャットGPTをはじめとする生成AIやクラウドツールの利便性を踏まえ、校務での活用について検証するとともに、国や都の方針を注視しながら、ガイドラインを改定し、安全かつ効果的に活用できるよう取組を進めてまいります。

 次に、高速ネットワーク環境の強化についてであります。

 子供たちの学習における活用コンテンツの拡大を見据え、導入時点で予定していたとおり、令和七年度のネットワーク更新時において、全小・中学校のLANケーブルを、国が推奨する高速ネットワーク環境であるカテゴリー6Aとする計画であります。

 次に、学校現場の支援体制についてであります。

 本区においては、これまで、学識経験者や校長などから構成されるICT教育推進委員会を設置し、適切な教育環境になるよう検討を進めてまいりました。それに加え、教員のICT機器活用スキルの課題となる分野を中心に研修を行うとともに、情報担当教員を対象としたICT教育連絡会での好事例を共有し、教員の情報活用能力の平準化を図るほか、国の基準を上回るICT支援員を配置し、学校現場の支援体制の充実を図ってまいりました。さらに、今年度より、教育委員会事務局に教育ICT推進部門を設置し、専門性の高い人材を配置することで、体制の強化を図ってきたところであります。GIGAスクール構想のさらなる進展を含めた、教育のDX化に向けては、国や都の動向を見極めつつ、他自治体の取組について積極的に情報を収集し、今後も本区の実態に応じた支援体制の充実を図ってまいります。

 次に、英語体験活動等の充実についてであります。

 様々な機会を通じて外国語に触れることは、コミュニケーション能力の向上に大きく寄与するものと認識をしております。現地中学校との共同学習につきましては、本区と姉妹都市であるサザランド市とのオンラインを活用した学校間の交流について検討してまいりましたが、先方の受入れ体制などの関係により、実施に至りませんでした。また、海外への修学旅行につきましては、現在、考えておりませんが、引き続きサザランド市との海外体験学習に加え、海外をイメージしてつくられた体験型英語施設、TOKYO GLOBAL GATEWAYにおいて、中学校二年生全員でのオールイングリッシュの体験活動を実施してまいります。

 次に、英語本の充実についてであります。

 現在、区立図書館三館において、外国語で表記された書籍は、令和五年三月末現在で八千五百三十五冊を数え、その大半は英語本であり、区民ニーズの高まりとともに、毎年増加させることで充実を図っております。また、子供の読書活動についてのアンケート調査で、図書館の蔵書に外国語の本を増やしてほしいとの保護者の声も多かったことを踏まえ、第四次中央区子ども読書活動推進計画においては、区立図書館での取組の一つとして、外国語による資料・行事の充実を新規事業に掲げているところであります。今後も、令和六年七月の晴海図書館の開設に伴う書籍購入と合わせて、英語を含めた外国語の蔵書を充実させる計画であります。

 次に、地域住民が外国語を教えていく取組についてであります。

 本区では、区独自のカリキュラムにより英語教育を推進しており、教員だけでなく、外国人英語指導助手を全ての小・中学校に配置し、英語授業の充実を図っております。その規模においては、小学校が延べ約二千七百日、中学校が延べ七百六十日配置されております。こうしたことから、この規模に応じた地域ボランティアを募集し、安定的に実施することは困難であると考えております。

 次に、いじめ問題についてであります。

 昨年度の本区におけるいじめ認知件数は三百四十七件で、出席停止の措置は行っておりません。いじめ問題への対応につきましては、中央区いじめ総合対策に基づき、被害を受けた児童・生徒には、安全確保と不安解消につながるよう、一人一人の思いに寄り添い、心身の安全を守った上で登校ができるよう取り組んでおります。いじめを受けたことによる心理的ストレスや不安を解消するため、保護者の了解を得ながら、必要に応じてスクールカウンセラーとの面談等により、心のケアを行っております。また、加害の児童・生徒には、いじめをやめさせ、再発防止をするため、学校いじめ対策委員会が長期的な視点に立った対応方針を定め、組織的・継続的な指導を行うとともに、家庭や関係機関と連携し、経過観察など、必要な対応を行っているところであります。

 次に、学校評価についてであります。

 学校評価は、子供たちがよりよい教育を受けられるよう、各学校において、教育活動等の成果を検証し、学校運営の改善に生かす取組であります。こうしたことから、各学校では、自己評価及び外部評価の結果を分析し、課題に対して改善策を加え、次年度の教育課程や特色ある教育活動に活用しております。また、保護者や地域に説明することで、理解を深めながら教育活動を進める点で、教育水準の向上と保障が図られているものと認識をしております。また、アンケートについては、いただいた意見によっては、意図を確認する必要もあることから、記名欄を設けておりますが、保護者の希望により、無記名提出することも可能としており、匿名性の担保は図られているものと考えております。

 答弁は以上であります。

〔十一番 高橋元気議員登壇〕

○十一番(高橋元気議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございます。

 まずは、晴海地域全体のまちづくりの方向性につきましても、やはり、これからまたさらに、晴海四丁目の再開発も含めて、建設が進んでいく。その中で、ウォーターフロントプロムナードという言葉もありました。基本的には水ですけれども、やはり緑に囲まれた、風通しがよく、そして過ごしやすい、住みやすい、そして住み続けられる、働き続けられるまちをというような御答弁もありました。ぜひそれを目指して、東京都、そして地権者の方々に対して積極的に中央区の基本方針を伝えた上で、まちづくりを進めていただければと思います。

 続きまして、交通安全対策につきましては、御答弁の中では、今の現状の交通安全対策につきましては、東京都や、あるいは警察、交通管理者と連携してやっているとのことですが、これは、一点、すみません。お伺いをさせていただければと思います。

 今回、HARUMI FLAGができれば、一万二千人、人が最大で増えると言われています。そうなると、やはり交通量は間違いなく増大いたします。その中で、例えばオリンピックが開催されるときは、どれぐらい交通量が増大するのか、駅が混雑するのかといったような指標、調査を行っていたと思います。それにつきましては、やはり今回、HARUMI FLAGができるタイミングで、中央区としても、しっかりとこれぐらい交通量が増えるということを明確にした上で対策を講じるべきであるかと思いますが、その交通量の測定あるいは調査というものはしているのかどうかという点についてお伺いをさせてください。

 次に、東京湾大華火祭の再開目途につきましても、残念ながら、令和六年度は難しいというような御答弁がありました。しかしながら、会場が大丈夫なのであれば、お金だけが問題なのであれば、非常にもったいないというか、悔しい思いもいたします。そこで、これもお伺いをさせてください。

 本当にお金だけが問題なのであれば、やはり企業の協賛、これも様々な検討をされたとは思いますが、あるいは一般的に区民の方々から寄附を募る。例えば、ふるさと納税も区民以外の方から募れるかもしれません。そういった今の中央区の制度を活用する、あるいは新たな寄附を募るといったような検討がされているのか、そして可能なのかという点についてお伺いをさせてください。

 GIGAスクール構想の、今回取り上げましたNEXT GIGA対応につきましては、基本的には令和七年九月に一斉更新も含めて対応されるという形で理解をさせていただきました。新システムの導入に当たっては、学校ごとに新システムや端末の更新を行っていく、混乱がないようにしていくというような形で理解をさせていただきました。

 一点だけ、お伺いをさせていただきたいのが、これは、やはり契約上の問題あるいはシステム上の問題で一斉に更新を学校ごとにしていくというような形になるかと思いますが、使っている側としては、例えば、まだそういった児童はいませんが、一年生のときにタブレット端末を受け取った。それが五年生になって一回返却をしなくてはいけないといったときに、やはり今まで使っていた端末を六年間使いたいというような希望も出てくるのではないかと思います。そういった中で、児童・生徒の意思を尊重して、私は更新しないで、あと一年間使いたいというような形が可能なのかどうか。もちろん、一斉更新していくべきだとは思うのですが、ケース・バイ・ケースで対応することができるのかという点についてお伺いをさせてください。

 次世代校務支援システムの導入につきましては、もう既にクラウド化されているということで理解をさせていただきました。

 また、チャットGPTなど、AIの利活用につきましても、大変前向きに検討していただいているようで感謝を申し上げます。

 また、高速ネットワーク環境の強化につきましても、令和七年に、このネットワークにつきましてもカテゴリー6Aにするということで、こちらにつきましても感謝を申し上げます。

 また、教育ICT推進部門、今、やはり一部の教員の方々、ICTの情報担当教員のスキルアップに努めているということでありますけれども、やはり中央区全体の学校の職員の方々、教員の方々がしっかりと使えるようにする。そして、そのスキルアップがもちろん大事になってくるかと思いますので、ほか自治体の事例もしっかりと情報共有をしていっていただいた上で、さらなる中央区の教育環境の向上に努めていただければと思います。

 英語学習につきましては、まず、姉妹都市サザランド市の学校には、一応聞いていただいているというような状況で理解をいたしました。もちろん、先方の受入れ体制の都合もあると思いますし、なかなか一朝一夕でできるものではないかと思います。しかしながら、英語を使う環境、英語でコミュニケーションを取るという環境は、やはりいろいろなやり方で整備ができると思います。特に、中央区、そして晴海もそうですが、オリンピックが開かれた国際都市というイメージを持たれています。ぜひ英語の、外国語本の確保も含めて、英語力の強化につきましては、ぜひさらに積極的に進めていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 いじめ問題につきましては、もちろん出席停止や転校しろと言っているわけではなくて、ケース・バイ・ケースであるとは理解をしております。その中で、いじめの加害者、そして被害者、様々なケースがあるとは思いますが、それぞれの心のケア、そして長期的な視点に立って継続的に指導するといったお声もありました。その中で、やはり学校や大人たちの論理ではなく、しっかりと子供たちの考えを聞いた上で、いじめがそもそも起こらないような環境をしっかりと整えていただければと思います。

 最後に、学校評価システムについて一点お伺いをさせていただきます。

 先ほど私からの質問でも、まず匿名性の担保がされているのかといった部分でありますが、原則無記名でやってもらっているので、匿名性が担保されているというふうに御答弁をされましたが、先ほども申し上げましたとおり、アカウントが特定されてしまえば、それは無記名ではないと思っていますし、匿名性が担保されているとは言えないと思います。では、誰がこのアカウントから、どのアカウントがこのアンケートを送信したのかというような、まずアカウント管理が特定の、例えば部門、あるいは特定の人しか見られないような環境であれば、匿名性が担保されているとも言えます。そういったアンケートの集計については、誰でもアクセスができるのか。そのアンケートの集計に関わる人を、しっかりと匿名性が担保できるように限定をしているのかという点についてお伺いをさせてください。

 再質問につきましては、以上です。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 交通問題、晴海なんですが、実は、晴海の場合、晴海通りにしても、それから、あそこの横をつないでいる通りにしても、産業道路的な性格と幹線道路的性格が重なっているところで、相当横断がきついというふうに考えているんだよね。そういう意味で、基本的には、お尋ねは交通量の調査ということだったんだけれども、交通量を調査する以前に、道路構造からして、あそこを現実の問題として、横断を重ねていくのがまちの構造として正しいのかどうかということについては、ちょっと検討しなければいけないと思っております。

 私どもの区としては、基本的には、東京都とも、豊洲に市場が移転するときの都とのやり取りの中でも要望していることですけれども、東京都の協力も得ながら、晴海通りについては、例えば一丁目と三丁目をデッキでつなぐとか、トリトンの人工地盤レベルの上のところで合わせるとか、それから、一丁目と二丁目については、基本的には、今、BRTの車庫の問題がちょっとまだ調整がついていないんだけれども、ああいうところの開発ができたときに、実態的には、もうつないでしまう。晴海区民館との間でデッキでつないでしまう。それぞれ開発区域の中にエレベーターがあるものですから、逆に、バリアフリーというのは、そういう形で実現しやすい。

 ただ、環状二号線については、両方が橋だから、むしろリバーサイドの側道を橋の下をくぐってもらうというような形で道路を立体的に交差する。そういう形で歩車分離で、いわゆるバリアフリーの道路、歩行者ネットワークを完成していく。そういう考え方を一応持っています。そういう部分について、具体的な話を進めています。一番短期的には、きっと一丁目と三丁目の連結は割と早い時期にできるだろうと思っておりますけれども、そういったものを含めて、トータルに完成をさせていきたいと思っています。

 それから、華火なんだけれども、本当にお金の問題なんだよ。実は、区民の方々に、最初始めたときはひどいことを言われて、一晩で三億円も燃やすのかよと、かなり言われたんですが、実際に積み重ねていってみると、なかなかいい夏の思い出になるものだから、実際に、あの辺に住んでいるマンション居住者からは、一度もうるさいという声は聞こえたことがないのね。逆に、みんな知り合いが集まってきてくれて、いい祭りだというふうに言ってくれていた。だから、広く区民の人たちに、一晩で四億円まで燃やしてもらうことは許容されていたと思うんだよね。

 ただ、七億九千万となると、一晩で使ってしまっていいものかどうかということは問題があるので、やはりそれらのお金をどういう形で、つまり、単純に言えば、隣接区であるとか、東京都であるとかということを巻き込んだり、民間の企業を巻き込んだりしながら、ある程度我々が負担する金額を何とか従前レベルに持っていけるならば、華火大会はやれるだろうというふうに思っている。そのまとまりをどうつくるかということで、今現在、苦戦しております。だから、先ほど区長からも答弁申し上げましたように、来年はちょっときつい。その先に向けては、希望は失っていない。やっていきたいと思っている。頑張ります。

〔教育委員会事務局次長 生島 憲君登壇〕

○教育委員会事務局次長(生島 憲君)
 利用しているタブレットを、五年使って、最後まで使いたいという気持ちは、非常に物を大切にするという気持ちですので、私としても非常に尊重したいなというふうには考えております。ただ、契約上の問題もあり、借りているものですので、難しいだろうというふうに思います。使っていたタブレット上で使っていたデータですとか、本人が自分の環境だというふうに思っているようなクラウド上のデータについては、引継ぎのときに持っていけるようにしますので、あとはタブレット上の壁紙であるとか、そういったもので自分のものであるという継続性みたいなものを担保しながら、何とかその子の気持ちに応えられないかどうかということは、担当者を含めて、ちょっと相談してみたいと思います。

 それから、アカウントの件なんですけれども、私が確認している範囲では、基本的に、そのアンケート形式でいくと、URLさえ入ってしまえば、どこからでも基本的には回答できるというふうに聞いております。したがって、そのアカウント情報がなかったとしても回答はできるというふうことを聞いていますので、そこのアカウントから個人が特定されるということは、記名しない限りは大丈夫ではないかというふうに考えております。

 答弁は以上です。

〔十一番 高橋元気議員登壇〕

○十一番(高橋元気議員)
 それぞれありがとうございました。大変気持ちの籠もった御答弁だったと思います。

 まず、まちづくり、交通面につきましては、ただいま吉田副区長から、幹線道路の部分につきまして、基本的にはデッキを通していくといったお考えをいただきました。もちろん、それは本当にすばらしい考えであるかと思います。ただ、幹線道路ではないところ、例えばれいめい橋公園通り沿いとか、大きい道路ではないけれども、混むかもしれない道路に車が集中するとかといったところも、やはり考え得られると思いますので、そういった側道だったりとかいうところの交通安全対策も、ぜひしっかりと東京都や交通管理者と検討していただければと思います。

 また、東京湾大華火祭につきましては、やはりお金が問題とのことで、頑張るといったお声もいただきましたので、ぜひ一体というか、みんなで頑張りたいとは思っているんですけれども、例えば七億円かかるとなった場合に、それを区民の方々と一緒に考えてはどうだろうとも思います。簡単にアンケートを取って、七億円かかるんだけれども、やってもいいかなとか、そういったような形で、しっかりと、区民全体が望むことであれば、四億円より上がってしまうんだけれども、区民が許容してくれる可能性もあると思います。ぜひそういったまちの方々の声にも耳を傾けていただいた上で、検討していただければと思います。

 教育問題につきましても、ありがとうございました。

 端末の更新となれば、基本的には、例えばアイフォンの機種変更と同じように、同じアプリだったりとか、データは引継ぎがされるものであるかと思います。契約上の問題もあると思いますので、しっかりと令和七年九月に向けて、端末の更新を進めていただければと思います。

 学校評価の匿名性の担保につきましても、承知をいたしました。必ずしもアカウントから入らなくても、アンケートに答えられると。無記名でいけるというようなお答えがありました。それは私もしっかりと確認をして、保護者の方からお声があれば、その学校の状況を踏まえた上で、お答えをさせていただきたいと思います。

 それぞれに御答弁をありがとうございました。本日取り上げさせていただきましたまちづくりの観点や教育問題につきましては、どちらも、今、直面する課題や想定される問題を解決するとともに、未来への投資という側面があると思います。大きな変化や、そして発展を迎える中央区において、今後、ますます区民の方々にとって明るい未来が待つまちになりますことを願いまして、私の一般質問を終わらせていただきます。

 長くなりましたが、御清聴誠にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時三十六分 休憩


午後三時五十五分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十九番墨谷浩一議員。

〔二十九番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十九番(墨谷浩一議員)
 中央区議会公明党、墨谷浩一でございます。私は、令和五年第三回定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに関係理事者に対し、質問をさせていただきます。どうぞ、意のあるところを酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待するものでございます。御答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。

 初めに、命と健康を守る取組について。

 国立がん研究センターが運営する公式サイトによりますと、がんを取り巻く現状として、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、二○一九年データでは、男性六五・五%で二人に一人、女性五一・二%で二人に一人、日本人ががんで死亡する確率は、二○二一年データでは、男性二六・二%で四人に一人、女性一七・七%で六人に一人とあります。中央区基本計画二○二三に記載されている本区の主な死因内訳によりますと、悪性新生物、がん二九・六%に続いて、心疾患一四・一%と、内訳を見ても、がん対策は喫緊の課題であることが分かります。国のがん対策推進計画については、第四期がん対策推進基本計画が令和五年三月二十八日、閣議決定されました。がん対策推進基本計画の中で、がん予防について見直しがあり、がん検診受診率の目標について、さらなる受診率向上を目指し、五○%から六○%に引上げがされています。東京都では、がん対策基本法に基づき、東京都がん対策推進計画を策定しています。平成三十年三月に策定した計画の期間が令和五年度末で終了することから、令和六年度からの計画を策定中のようです。

 本区では、令和二年度内で、がん患者のウィッグ・胸部補整具購入費助成を行ってきました。がん患者が外見を気にして自分らしさを失うことなく、他者と対等な関係でいられるようにできる社会を構築するためには、治療に伴う外見の変化を補完し、がん患者の苦痛を軽減するアピアランスケアが重要な要素の一つとなります。そこで、がん治療に伴う外見の悩みを抱えている方に対し、がんを克服し生きるよう、社会生活を営む上で、外見の変化をカバーするための補整具の購入に要する経費の一部を助成しています。対象となる経費については、ウィッグまたは胸部補整具の購入費用の半額です。限度額は三万円で、一人につき一回のみの助成となっています。東京都は、がん患者へのアピアランスケア支援について、令和五年度から、がん患者へのウィッグや人工乳房などの購入費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始しました。具体的には、区市町村が患者に助成する費用の二分の一を都が支援することとし、一人二回まで、一回当たり、補助基準額を十万円とすることです。

 私は、女性のがんサバイバーの方とお話しする機会がありました。中央区で行っているアピアランスケア支援事業についてお伝えしたところ、がんになって助成金が出ることを知り、寄り添ってくれている、社会参加を後押ししてくれている取組ですねと、大変に感動されていました。外見が気になって外出することをちゅうちょしている方に、社会参加を後押しする取組と考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 東京都の助成事業を活用したがん患者の方へのアピアランスケア支援事業のさらなる充実について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、がん検診の受診率のさらなる向上について。

 本区のがん検診受診率は、東京都全体の中でも平均以上の取組で、大腸がん検診の受診率を除いては、二十三区中、上位の取組となっています。国の検診指針に定められたがん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんの検診があります。本区では、それらは無料で受けられます。プラスして、前立腺がん検診は、五十五歳以上の男性が受けることができます。東京都がん対策推進計画第二次改定には、がんで死亡する可能性の減少が示されております。定期的な受診により、がんの早期発見・早期治療につながることにより、胃がん、大腸がん、乳がんは九割以上が治ると言われているとの指摘もあります。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 本区のがん検診受診率向上のこれまでの取組と今後の取組について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、私は、中央区のがん対策推進計画の策定が必要と考えます。本区では、中央区健康・食育プラン二○二四への改定を進めているところと認識しています。生活習慣病予防、がん対策の推進を盛り込んでいるようですか。がんサバイバーなどへの計画的な支援が必要と思うからです。がんサバイバーとは、がんを経験しながら生きている人たちのことで、がんサバイバーへの支援、また、その家族などの支援が求められています。厚生労働省では、第三期がん対策推進基本計画では、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを構築し、がんになっても、生きがいを感じながら働き続けることができる社会づくりに取り組んでいることからも、がん患者や家族への支援の充実が必要です。がん教育、がんに対する正しい知識の普及など、さらなる充実を深めるがん対策推進計画の策定が必要です。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 国や東京都では、定期的ながん対策推進計画を策定し、推進しています。本区の特性に合った中央区がん対策推進計画の策定が必要と考えます。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、防災・減災の取組について。

 関東大震災は、大正十二年、一九二三年九月一日、午前十一時五十八分、マグニチュード七・九で、死者約十万五千人、全壊・全焼住家が約二十九万棟あり、火災による人的被害が大きかったそうです。関東大震災発生から、本年で百年の節目に当たります。テレビや新聞など報道番組では、九月を前後に、災害に対する備えや教訓の伝承など、情報発信され、防災に対して意識が向上していると感じます。関東大震災が発生した大正時代と比べて、現代は格段に防災・減災のためのインフラは整備されてきていると思いますが、新たな課題も山積しているのではないでしょうか。今後、都心南部直下地震など、東京都が公表した新たな被害想定を踏まえて、地域防災計画の修正に着手されると伺っています。

 中央区基本計画二○二三には、区内には約三万三千を超える事業所があり、約七十八万人の従業員が就業していますとあり、経済活動の中心地でもあり、中小企業も多数事業を営んでおります。これは、中央区の大きな特色でもあります。本区では、地域と連携した事業所の防災対策の推進及び防災意識の普及啓発を図るために、経営者向けのパンフレットと従業員向けパンフレットがあります。中小の事業所への訪問を行った際に、中央区の発行する防災パンフレットについて知っているかとの問いに、知らないと答えるケースがあります。そうしたときは、事業所向け防災パンフレットをお渡ししました。事業所の防災対策をお聞きすると、水の備蓄はされているようです。本区では、事業所が約三万三千を超え、本区の情報が行き渡っていない事業所があると考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 事業所の経営者向け「あなたのオフィスは大丈夫!?」については、平成二十五年三月に発行されています。年月もたっていることから、今後、中央区事業所向け防災パンフレットの改訂が必要と考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、事業所に対しての情報発信体制の強化について。

 東京都では、感染拡大防止協力金でつながった事業所に対して、コロナ対策リーダーから事業所防災リーダーに移行して、防災知識や防災に関するお知らせなどを定期的に情報発信しております。配信している各コンテンツや情報は、職場内などで展開していただくことを想定しており、周知や研修などに活用できるようにしています。防災の情報の普及啓発の機会を増やし、防災力の強化ができると考えます。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 区内の各事業所とデジタルでつながり、そこから情報の発信ができる取組をすることにより、プッシュ型で防災パンフレットを周知するなど、普及啓発をスムーズに行うことが可能となり、パンフレットの改訂時には、その内容を直ちに伝えることができます。また、適時必要な情報の発信も可能となり、事業所の防災力強化としても有効と考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、区内には約三万三千を超える事業所があり、事業所防災対策のさらなる強化においては、約七十八万人の従業員の防災力のさらなる向上が喫緊の課題でもあります。事業所の取るべき措置として、大地震発生時には、建物に損傷がなければ、原則事務所内にとどまってもらうのが基本ですが、正しい避難行動を認識してもらうことは重要で、事業所への防災対策の強化は帰宅困難者対策につながると考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 これからもさらなる事業所の防災対策が必要と考えますが、課題と今後の取組について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、環境政策の充実について。

 消費者庁の資料に、我が国の食品ロスの状況として、年間五百二十三万トンで、令和三年度推計での国連世界食糧計画による食料支援の約一・二倍で、十トントラックに換算して千四百三十三台分を廃棄しています。年間一人当たり、食品ロス量は四十二キログラムで、毎日おにぎり一個分の百十四グラムの食べ物を捨てている計算となっています。世界に目を向けますと、食料廃棄量は年間十三億トン、飢えや栄養で苦しんでいる人々は七・七億人など、食品ロスをめぐる現状があります。そして、日本の食品ロスの内訳は、事業系では二百七十九万トン、家庭系では二百四十四万トンとなっており、約半分は家庭から発生しています。

 廃棄物の処理に多額のコストを投入されている市町村及び特別地方公共団体が一般廃棄物の処理に要する経費は、年に約二・二兆円との環境省の調査があります。食品は多くの水分を含むため、焼却の際はたくさんのエネルギーを使い、かつ二酸化炭素も発生します。そのため、百万トンの食品ロスを削減すれば、四十六万トンのCO2を削減できる試算がされています。

 国では、第四次循環型社会形成推進基本計画において、二○三○年までに家庭からの食品ロスを半減するとの目標が掲げられています。食品ロスの削減は、例えば、一、無駄が減り家計にお得、二、事業者の廃棄損失を削減、三、自治体のごみ処理負担を削減、四、環境に優しいなどです。食品ロス削減の取組として、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会の発行する自治体施策集には、主に、食べきり運動、三○・一○運動、フードバンク、フードドライブ、三きり運動・生ごみ削減、子どもたちへの啓発・教育、食品ロス実態調査、エコ・クッキング、レシピ集作成などがあります。本区での食品ロス削減の取組は、主に、フードドライブ、ちゅうおう食べきり協力店などの取組を行っているところです。

 その取組の一つ、フードドライブは、家庭で余っている食品を集めて、子ども食堂やフードバンクなどに寄附をしております。フードドライブ受付窓口も当初より八か所に拡大され、取組に参加しやすくなっています。中央エコアクトに参加している方は、フードドライブへの寄附にエコアクトポイントを付与されます。

 また、ちゅうおう食べきり協力店の取組は令和四年十月より行っており、区が食品ロス削減に取り組む区内の飲食店などをちゅうおう食べきり協力店として認定し、広く周知する制度です。対象店は飲食店、食品販売店、宿泊施設などで、協力店の登録要件としては、次のとおりです。小盛りメニュー、ハーフサイズなどの設定、ステッカー、ポスターなどの掲示による食べ残し削減のPR活動、ばら売りや量り売りなどによる食品の提供、賞味期限または消費期限の近い食品の割引販売、その他食品ロスを削減するための取組とあります。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区では、飲食店、食品販売店、宿泊施設が多く、ちゅうおう食べきり協力店の対象となり、食品ロスの削減効果が見込めると考えます。ちゅうおう食べきり協力店のさらなる拡大について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、第五十三回中央区政世論調査、概要版には、環境を守るための取組として、「ごみ・資源の分別をしている」八二・五%、次に、「食品ロスが発生しないように配慮している」五八・四%となっています。そのことからも、食品ロス削減に対して意識が高いことがうかがわれます。ホームページには、食品ロスの削減にご協力くださいと記載されたページがありますが、簡潔に取組が記載されておりますが、リンクを貼ったり、動画を入れたりと、幅広い年代の区民の皆さんが取組に参加できるように、さらなる工夫が必要と考えます。そして、本区の正しい情報を積極的に発信していくことが、区民の皆さんが食品ロスの削減に対して行動が変わるきっかけとなると考えるからです。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 食品ロスの削減について、さらなる、ホームページをはじめ、情報発信強化について必要と考えます。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、本区では、現在、食品ロス削減推進計画の策定に向けて取組をされていると認識しています。本区は企業も多く、観光などを目的に食事や買物をされる方が多くいます。昨今では、海外からの観光客が多く見受けられます。本区のそのような特性を生かした計画が必要と感じます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 食品ロス削減推進計画の策定に際しては、子供から大人まで幅広い皆様が取り組める食品ロスの削減の取組が必要と考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、デジタル化のさらなる推進について。

 区役所窓口での申請は、住民票、戸籍謄本、住民異動届など、様々な手続があります。利用する方からは、申請書の文字が小さく書きにくい、申請書の書き方が複雑で分かりにくいなどあり、申請によっては、会社を休んで申請に行くなどとお声を聞くこともあります。私が一緒に申請をお手伝いした高齢の方は、記入欄が小さく、筆圧が弱く、記入が大変そうでしたが、窓口の職員の方も丁寧な対応をされておりました。

 近年では、申請手数料のキャッシュレス決済が進んでおり、支払いに対して利便性が向上しています。さらなる待ち時間の短縮や良質なサービスを維持するためにも、窓口での申請書作成について、デジタル化で申請者の手間を軽減する取組が進んでいる自治体もあります。北海道北見市では、二○○九年から窓口業務改善への取組を続けており、デジタル庁も推奨する申請書を書かないワンストップ窓口を導入しております。書かないワンストップ窓口とは、証明書の請求や住民異動の届出などの際に、窓口の職員は、来庁者から本人確認書類の提示を受けるなどして、その情報を基に窓口支援システムに入力することで、来庁者の手間を省くワンストップサービスを行っています。申請者はサインをするだけで、書かないワンストップ窓口が実現されることで、市民へのサービス向上につながっているようです。経験の浅い職員も対応ができ、北見市では、おくやみ窓口もワンストップで対応しています。また、同様なシステムを埼玉県深谷市、越谷市などでも導入がされております。住民サービス向上と職員の業務効率化が併せてされています。窓口職員が申請者と対話形式で進めていくので、高齢者、障害がある方にも親切で質の高いサービスの提供ができると思います。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 サービスも時代とともに変化し、書かないワンストップ窓口も、そうした変化に柔軟に対応できるシステムだと思います。書かないワンストップ窓口は、来庁者の書類記入の手間が省けるなどの住民サービスの向上につながり、業務の効率化が図られるシステムと考えますが、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、本区では、ホームページにオンライン申請で可能な手続一覧が掲載されております。スマートフォンやパソコンなどからの手続が拡大しています。令和五年三月には、マイナポータルを活用した子育て関係十五の手続、介護関係十一の手続、罹災証明書の発行申請が開始されています。私がお聞きした方の中には、オンライン申請の拡大に気がついていない方がたくさんいると感じております。そこで、意外と知られていないオンライン申請の周知が必要と考えます。また、申請時をサポートする動画、申請手続をより分かりやすくする取組も大切だと考えます。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 区民の皆さんの利便性向上に資するオンライン申請のさらなる周知が必要と考えます。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、本区では、第七期中央区情報化基本方針に基づき、令和三年度から令和五年度にかけ、区民にとってより便利でやさしい区役所の実現に向け、デジタル化を進めてきました。施策の方向性として、一、行政手続のデジタル化・オンライン化を進め、区民の利便性を高める。二、多様なツールを駆使し、情報発信の取組強化を図る。三、職場のICT環境の充実を図り、職員の業務効率を高め、行政サービスをより向上させる。四、高水準なセキュリティ環境を確保し、個人情報・機密情報等の流出を未然に防ぐ。目指すべき目標は、いつでもどこでもだれでも区政、開かれた区政、効率的な区政、実効性のある安全対策と個人情報の保護から成っております。デジタル化を加速することにより、さらなる区民の利便性向上が図られると考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 第七期中央区情報化基本方針が令和五年度で終わります。三年間の取組についてと、令和六年度以降の取組の構想について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 次に、バリアフリーのまちづくりについて。

 今後、本区では、令和九年には二十万都市になる見込みで、若い世代を中心に、人口増加が続いており、一昔前に比べ、子育て中の方がベビーカーを押していることが見慣れた光景となっております。人口増加が加速する中で、誰もが安全・安心して社会に参加するために、高齢の方や障害がある方はもちろん、歩行者の誰もが安心してスムーズに移動できる、ユニバーサルデザインによる歩行空間の整備が急務となっています。

 中央区福祉のまちづくり実施方針には、区道については、「人にやさしい歩行環境の整備」などの道路整備事業に併せて、歩道の平坦化や段差解消などを行い、道路空間のバリアフリー化を推進するとあります。本区では、人にやさしい歩行空間の整備を進めております。町中を歩いていると、歩車道の段差が斜めに切ってある場所では、特にシルバーカー、ベビーカーを使用している方からは、歩車道の段差にぶつかったときに、つんのめったりすることが大幅に減って助かるとの声も聞きます。私も、自転車を走行したときにショックが軽減していると実感しています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本区での人にやさしい歩行環境の整備の取組状況と、今後の歩行環境の整備について、区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、晴月橋は、月島から晴海に歩く場合、月島側の階段が歩きづらいとのお声を聞きます。それは、階段の中央に自転車を想定しているスロープがあるため、階段の幅が狭いからだと思います。月島側の二つの階段のどちらかに、スロープを取った幅広い階段の整備が必要と考えます。また、晴海側から月島側に行く歩道の入り口には「この先は階段とスロープです。車椅子は通れません。」との表示がされておりますが、車椅子の利用者も通行できるようなバリアフリーな晴月橋が求められていると思います。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 当面は、歩きやすい階段に修復して、バリアフリー化をすることについての検討が必要と考えます。また、東京都では、朝潮運河沿いに護岸の建設工事をしていますが、今後、護岸工事が拡大されることにより、晴月橋の月島側階段のバリアフリー化が可能と思われます。そして、誰でも利用できるバリアフリーな晴月橋が待ち望まれていると思います。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 続いて、晴海一丁目歩道橋へのエレベーター設置について。

 晴海一丁目から二丁目の晴海通りにかかる晴海一丁目歩道橋は、二丁目のタワーマンションが建設されて、より人口が増加し、月島第三小学校に通う児童も晴海一丁目歩道橋を利用しています。晴海二丁目に住んでいる方より、ベビーカーは歩道橋を上がることができない。また、買物の帰りは荷物が多くなり、ショッピングカートを持ち上げられない。高齢の方は昇降時はつらいなど、お声があります。それらの方々は歩道橋を渡ることができず、遠回りをして、晴海通りを渡ることになるので、大変不便ではないかと思います。中には、片側五車線である晴海通りの車道を横切る歩行者を見かけ、大変に危険であると感じました。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 晴海一丁目から二丁目の晴海通りにかかる晴海一丁目歩道橋へのエレベーターの設置について、働きかけができないのでしょうか。区長さんの御見解をお伺いいたします。

 最初の質問を終了いたします。ありがとうございます。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 墨谷浩一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、がん患者のアピアランスケア支援事業についてであります。

 この事業は、がんの治療に伴い、変化した外見に対する支援であり、患者の精神的苦痛を軽減し、生きる意欲の向上を図る効果が期待されます。事業を開始した令和二年度以降、利用者は増加傾向であり、昨年度は六十三人に助成を行いました。事業継続年数がまだ浅いため、情報を蓄積しながら、区民ニーズを見極めているところです。今後、他区の状況などを参考にしながら、支援の充実について検討してまいります。

 次に、がん検診のさらなる受診率向上についてであります。

 がんは早期発見・早期治療が重要であることから、区は、これまでも、がん検診の自己負担額を無料とするほか、対象者への受診券の個別送付や、子宮がん、乳がん検診未受診者への受診勧奨を行うなど、がん検診の受診率向上に取り組み、二十三区の中でも高い受診率となっております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、令和元年度、二年度において、子宮がん検診を除き、受診率の減少が続いたことから、令和三年度には、従前より受診期間を長めに設けたほか、六十五歳以上の国民健康保険加入者のうち、受診控えと思われる方に、特定健康診査と併せて、がん検診の勧奨通知をお送りいたしました。また、令和四年度には、SNSの活用に加え、本庁舎に啓発コーナーを設け、がん検診受診の必要性を周知したところであり、その結果、全てのがん検診の受診率は増加したものの、いまだにコロナ流行前までには回復していない状況であります。今後も、がん検診の受診につきましては、健康福祉まつりをはじめ、様々な機会を捉えて、きめ細かな働きかけを行うとともに、地区医師会と協議しながら、受診率向上のための新たな取組について検討してまいります。

 次に、中央区がん対策推進計画策定についてです。

 現在、国の第四期がん対策推進基本計画及び東京都がん対策推進計画において、がんの予防や共生、知識の普及啓発等が進められています。区は、これまで、これらの計画の趣旨を踏まえ、がんに関する教育や正しい理解の促進、相談支援窓口の連携体制の構築等を行ってまいりました。また、今年度改定する中央区健康・食育プランにつきましては、国や都の計画と整合性を図りつつ、医師会など関係機関の御意見を聞きながら、がんとの共生に向けた取組など、がん対策のさらなる充実を図ってまいります。今後も引き続き、都の計画に定められた区の役割を果たすため、関係機関と連携・協力し、がん対策を推進してまいります。

 次に、事業所向け防災パンフレットの改訂についてであります。

 区では、東日本大震災の教訓や都の被害想定を踏まえ、事業所の経営者等に防災対策を講じていただくため、平成二十五年三月に「あなたのオフィスは大丈夫!?」のパンフレットを作成したほか、平成三十一年三月には、オフィスでの地震対応を時系列に沿ってまとめた従業員向けの「オフィスサバイバルBOOK」を作成し、ホームページや防災マップアプリ等による広報とともに、事業所向け防災対策の普及啓発に努めているところです。一方、国においては、令和三年十月に発生した千葉県北西部を震源とする地震等を契機に、帰宅困難者対策ガイドラインの見直しを現在行っており、その中で、事業所における取組も改めて整理されるものと受け止めております。区としましては、国のガイドラインの見直しを受け、事業所向けの防災パンフレットについても、必要に応じて修正してまいります。

 次に、事業所に対する情報発信体制の強化についてであります。

 災害発生時に災害情報を迅速かつ正確に発信していくことは、区の極めて重要な責務であります。そのため、区では、ホームページをはじめ、緊急告知ラジオ、LINE、防災マップアプリなどの情報伝達手段を用いた災害情報一斉送信システムを構築し、令和二年七月から、その運用を図っております。また、現在、八十一会員で構成される帰宅困難者支援施設運営協議会を支援する中で、区内事業所の会員拡充を進めるほか、区及び会員相互をつなぐデジタルツールの導入を図るなど、日頃から事業所間同士や地域とのつながりを大切にしながら、事業所における防災対策の強化に取り組んでいるところであります。区といたしましては、今後とも、デジタル技術を活用し、事業所への防災情報の提供や共有化を図りながら、地域と事業所が一体となった共助の取組を積極的に推進してまいります。

 次に、事業所防災対策の課題と今後の取組についてであります。

 六十三万人を超える昼間人口を有する本区では、災害時に区民の生命、財産を守ることはもとより、事業所や従業員が発災直後から適切な行動が取れるよう、事業所の防災対策を強化していくことが大変重要な取組であります。事業所の防災対策における主な課題としましては、災害時の一斉帰宅抑制の基本原則に対する認知度の低さに加え、避難行動や買物客、観光客などの施設利用者を保護するなどの災害対応について、必ずしも正しく認識されていないことが挙げられます。あわせて、行き場のない帰宅困難者に対する一時滞在施設や一時待機場所の受入れ施設数も、現時点では十分と言えない状況となっています。このことから、区では、現在、全ての防災拠点運営委員会の場において、新たに作成した事業所防災対策の周知用チラシを配布していただくようお願いしているところです。また、大規模開発事業の計画の機会を捉えた一時滞在施設等の確保のほか、帰宅困難者支援施設運営協議会活動を通じて、事業所防災対策の普及啓発、帰宅困難者の受入れ施設の拡充や施設利用者の保護についての働きかけも実施しているところであります。区といたしましては、今後とも、こうした取組をさらに推し進め、災害時に区民及び事業者が連携して防災対策が行われる、まちぐるみでの総合的な地域防災力の強化に努めてまいります。

 次に、食品ロス削減についてであります。

 飲食店を数多く抱える本区において、食品ロス削減を推進するには、ちゅうおう食べきり協力店の拡大は重要であると認識しております。これを踏まえ、区では、これまでも広報紙等を通じて周知を行ってまいりましたが、まだまだ協力店舗が少ないことなどから、より多くの店舗に制度を知ってもらうため、区のホームページでの協力店の紹介、エコまつり等の区の環境イベントにおけるパネルの展示、保健所主催の食の安全・安心講習会での広報など、様々な機会を捉え、協力店の拡大に向け、さらなる周知の徹底を図ってまいります。また、食品ロス量の半分は家庭から発生していることから、人口増加が予定されている本区においては、区民に対する意識啓発が重要であります。そのため、国や東京都など関係機関の取組をホームページへ掲載するほか、今年度改定する「ごみと資源の分け方・出し方」において、食品ロスを削減するための身近な取組を紹介するなど、積極的に情報発信を行ってまいります。区といたしましては、食品ロス削減が、SDGsの目標の一つである持続可能な生産消費形態の確保を達成する上でも重要であることから、今後も、区民、事業者と一丸となって食品ロス削減の取組を推進してまいります。

 次に、食品ロス削減推進計画の策定についてであります。

 食品ロスの削減に向けては、子供から高齢者まで、年代を問わず取り組める施策が必要であると認識しております。そのため、区では、令和七年度に予定している一般廃棄物処理基本計画の改定に向け、来年度にごみ排出実態調査を実施し、幅広い年齢層の区民に詳細なアンケートを行うことで、食品ロスに対する意識を把握していきたいと考えております。この調査結果を基に、一般廃棄物処理基本計画の中で、食品ロス削減推進計画を定めてまいります。また、策定に当たりましては、学識経験者を含めた、清掃リサイクル推進協議会の委員の意見を踏まえ、区民、事業者、行政のおのおのが食品ロスの削減に具体的に取り組めるよう計画してまいります。

 次に、デジタル化のさらなる推進についてです。

 本区では、区民にとってより便利でやさしい区役所の実現を目指し、行政手続のデジタル化やオンライン化を進め、電子申請による講習会やイベントの申込み、マイナンバーカードを活用した子育てや介護サービスの利用申請、引っ越しワンストップサービスなど、区民の利便性向上を図ってまいりました。また、令和六年四月開所予定の晴海特別出張所において、タブレットやスマートフォンへの入力により届出ができる書かない窓口システムを導入する予定であります。窓口のワンストップ化については、特別出張所において一部の手続で実施しておりますが、さらなる拡充は、スペースの確保や人員体制の課題があり、書かない窓口の拡大と併せ、引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。オンライン申請につきましては、本年八月現在、百二十六の手続がスマートフォンやパソコンなどで、いつでもどこでも行え、さらに種類を増やしていく予定としております。この利用を促進するため、ホームページのトップページにオンライン手続のボタンを配置したほか、広報紙やSNSで区民の皆様にお知らせをしております。今後、より多くの方に御利用いただけるよう、窓口にオンライン申請の案内チラシを配置するなど、積極的に周知を行ってまいります。

 次に、第七期中央区情報化基本方針の取組についてであります。

 計画期間の三年間において、新たにAI‐OCRやRPA、窓口でのキャッシュレス決済の導入を開始いたしました。また、ホームページの更新に合わせたSNSによるセグメント配信やチャットボットの利用など、本区のデジタル活用を着実に進めております。今後は、区政世論調査で明らかとなった区民からの要望の多いオンライン申請やキャッシュレス決済の拡充を図るとともに、区全体のDXに取り組み、より一層の区民サービス向上に努めてまいります。

 次に、人にやさしい歩行環境の整備についてであります。

 本区では、中央区福祉のまちづくり実施方針に基づき、歩道の拡幅やセミフラット化、歩車道の段差や勾配の改善など、道路空間のバリアフリー化を計画的に推進してまいりました。現在、中央区型特殊ブロックの設置は約九割完了しているとともに、歩道上の交差点巻き込み部や車両乗り入れ部などの勾配改善についても、着実に整備を進めております。さらに、電線共同溝整備による無電柱化を推進し、安全で快適な歩行空間の拡充を図っているところであります。今後も引き続き、道路空間のバリアフリー化を進め、利用者の視点に立った人にやさしい歩行環境の整備を積極的に推進してまいります。

 次に、晴月橋のバリアフリー化についてであります。

 晴月橋は、地形による高低差が大きいことなどから、階段とスロープが併設された構造となっております。区では、これまでもバリアフリー化をはじめ、安全かつ快適な歩行環境の改善に向け、交通管理者との協議や技術的な検討を重ねてまいりました。しかしながら、橋のバリアフリー化に向けては、十分な車道幅員の確保や沿道建物との関係など、取り組むべき課題も多く、改善に至っておりません。現在、都による朝潮運河の護岸整備工事が順次行われており、今後、区が行う護岸上部の修景工事の中で、橋周辺の回遊性や遊歩道の連続化を図るとともに、スロープの設置によるバリアフリー化について検討してまいります。

 次に、晴海一丁目の歩道橋へのエレベーター設置についてであります。

 晴海地区は、広幅員の幹線道路で各丁目間が分断されており、区としても、道路横断の安全性の観点から、バリアフリー動線の確保が必要であると認識しております。区では、晴海一丁目歩道橋が設置されている月島運動場交差点のバリアフリー化について、都及び警視庁に働きかけ、現場実査を行うなど、具体的な対応策について検証を行ったところであります。その中で、晴海一丁目歩道橋へのエレベーター設置については、施設管理者である都の判断により、困難であるとの見解が示されております。区といたしましては、晴海まちづくりの考え方に示す歩行者ネットワークの整備方針に基づき、周辺開発の機会を捉えながら、各丁目間をデッキでつなぐ立体的な歩行空間の確保に向け、引き続き関係機関と検討を進めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十九番 墨谷浩一議員登壇〕

○二十九番(墨谷浩一議員)
 まず、御答弁ありがとうございます。

 命と健康を守る取組ということで、今回、がん対策について質問させていただきました。本区としても、がん検診の取組は進んでいるというふうに私は認識しております。これからも、がん対策、またがん予防、また早期発見・早期治療につながる、そういった検診を加速していただきたいというふうに思います。

 そして、中央区がん対策推進基本計画の策定についてでございますが、私は、特に早期発見・早期治療、また生活習慣病を予防していく、そういった取組はすごく大切なことだと思っております。また、がんになってしまったがんサバイバーに対して、また御家族への支援を計画的に進めていくことが重要ではないか、そのように思い、質問させていただきました。しっかりと、サバイバー、また御家族への支援の充実もこれから質問してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、防災・減災の取組、今回は中央区の事業所に対しての防災・減災の取組ということで取り上げさせていただきました。中央区としても、本当に、事業所、またそこに働く方々がたくさんいらっしゃる。また、関東大震災から百年もたって大規模な発生があるというふうに、その備えが本当に必要ではないかというふうに思っております。そういった中で、区民を守っていく、そういう視点でも、事業所に対しての防災対策の強化が区民を守っていくのではないかなというふうに思っております。また、デジタルで事業所とつながることによって、プッシュ型で情報が企業にいくのではないかなというふうに思っておりますので、今後とも引き続き、つながっていくことによって、事業所の防災対策の強化をお願いしたいと思います。

 そして、環境政策の中で、今回は食品ロスの削減の取組について質問させていただきました。区としても積極的に意識啓発に取り組んでいく、そのような御答弁をいただきました。やはり私は、中央区の世論調査の中でも、食品ロスの削減について、区民の皆さんの高い意識というんですか、そういった中で、しっかりと食品ロス削減の正しい情報を積極的に発信していくことによって、区民の皆さんが食品ロス削減に対しての行動変容を行っていく、また、そのきっかけをつくっていくということがすごく大切かなというふうに思っております。これからもよろしくお願いいたします。

 デジタル化のさらなる推進でございますが、デジタル化を加速する上で、やはりセキュリティ対策が私は一番重要というふうに考えております。そういった中で、本区としても取組を進めているというふうに認識しております。また、全ての住民、また事業者に行政サービスの利便性を実感してもらうためには、やはり高齢者や障害のある方へのデジタルディバイドの配慮が必要というふうに思っております。先ほどの御答弁では、晴海の特別出張所で書かないワンストップ窓口の設置を進めていくとの前向きな御答弁もいただき、ありがとうございます。今後とも、デジタル化、またデジタルディバイドへの配慮を含んだデジタル化の加速をお願いしたいと思います。

 そして、最後に、バリアフリーなまちづくりでございます。着実に中央区としても推進しており、地方に行くと、歩道などは全然歩きやすいというのは実感します。本当に、ふだんからいろいろなところでバリアフリー化をされているのではないかなというふうに思っております。そういった中で、私も一期目のときに晴月橋の歩道のバリアフリー化について提案させていただきました。晴月橋のバリアフリー化について、本当に入り口に書いてあるんですけれども、車椅子の方は通れないというようなことが書いてあります。これが、将来、前向きに検討していただくという中で、誰もが晴月橋を往来できる、そういうまちにしていっていただきたいというふうに切にお願いします。

 そして、最後に、晴海一丁目の歩道橋へのエレベーターの設置でございます。本当に人口が増え、また片側五車線ある晴海通りを、私も何回か、近くに行ったときに、車道を歩いている、走っている人たちを見かけます。そういった意味で、高齢の方、また子育ての方も、やはりエレベーターの設置を強く求められているのではないかなというふうに思いますので、私はしっかりと今後も働きかけていただきたい、そのように思っております。

 以上をもちまして私の質問を終了させていただきます。御清聴誠にありがとうございます。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時五十分 休憩


午後五時十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十六番山本理恵議員。

〔十六番 山本理恵議員登壇〕

○十六番(山本理恵議員)
 中央区民クラブの山本理恵です。令和五年中央区議会第三回定例会の一般質問を、さきの質問通告に沿って行わせていただきます。区長並びに各理事者の方々には誠意ある御答弁をお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。御答弁によりましては、再質問を留保いたします。

 世界を揺るがした新型コロナウイルス感染症は、今年五月に感染症法の位置づけが二類相当から五類へと移行されました。基本的な感染症防止策を継続しつつも、感染症法に基づく行動制限等はなくなり、区民生活や社会経済活動は正常を取り戻しつつあります。コロナ禍では、緊急事態の長期化による急激な生活変化で、これまで顕在化しにくかった生活に困難を抱える方々が浮き彫りとなり、セーフティネットである生活困窮者自立支援制度や住居確保給付金、生活福祉資金等が生活の下支えに大きな役割を果たしました。

 生活が立ち行かなくなってしまった方々への支援を強化するため、福祉保健部生活支援課と社会福祉協議会等関係機関との緊密な連携、生活困窮者自立相談支援機関の人員体制の強化、電話、メール等を利用した相談支援等の環境整備、住居確保給付金の対象拡大・延長等を行いました。また、社会福祉協議会が行う生活福祉資金の特例制度における緊急小口資金や総合支援資金の延長・再貸付を実施するほか、特例貸付を利用できない世帯に対する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の支給、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した低所得世帯等への各種給付金の支給、さらには、ロシアのウクライナ侵攻を契機とする物価高騰等による家計負担を踏まえ、国基準の対象外となる住民税均等割のみ課税世帯に対する区独自の生活支援を講じました。

 中央区行政評価によれば、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関の相談実績は、コロナ前は三千件台で推移していたのに対し、コロナ禍の令和二年度は一万四千八十五件、令和三年度は一万百七十五件、令和四年度は五千二百五十六件と大幅に増加しました。また、生活保護相談件数も、令和元年度は九百七十六件だったのに対し、令和二年度は一千九百八件、令和三年度は二千七百十七件、令和四年度は一千七十五件と急増しました。一方で、生活保護被保護者世帯及び被保護者数ともに微増にとどまっており、臨時的、応急的、特例的な生活困窮者支援が集中的に講じられたことによる効果と解することができます。

 令和三年一月に全国社会福祉協議会が実施した生活福祉資金の特例貸付の利用世帯の状況調査によれば、コロナ禍で特例貸付を利用した世帯は、コロナ前から低所得だったり、収入が不安定だったり、何らかの生活上の困難や不安を抱えていたことが明らかになっています。コロナ感染症の拡大が新たな生活困難を引き起こしたというよりも、コロナ感染症の蔓延によって低所得世帯や収入不安定世帯の生活困窮が表面化しました。これらの世帯は、貸付け等で生活を維持してきたものの、依然として家計は苦しい状況が続いています。五類感染症への移行を機に、コロナ禍で顕在化した経済的な困難を抱える方々の生活の立て直しに向けた継続的かつ効果的な相談支援体制の強化が求められています。

 まず、初めに、生活困窮者自立支援制度の取組や今後の方向性について伺います。

 平成二十七年に施行された生活困窮者自立支援制度は、社会保険制度と生活保護制度の中間に張られた第二のセーフティネットと位置づけられています。社会保険制度では支えられず、そのままでは生活保護に行き着くであろう人に就労支援を行い、自立の促進を図る仕組みです。

 支援事業は、全ての自治体が実施しなければならない必須事業と、努力義務にとどまる任意事業に区別されます。必須事業は、自立相談支援事業と住居確保給付金から成ります。任意事業は、就労準備支援事業、家計改善支援事業、一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業等があります。就労準備支援事業と家計改善支援事業については、厚生労働省は必須事業化を検討しています。

 生活困窮者自立支援法第三条は、支援対象となる生活困窮者を、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者と定義しています。平成三十年の法改正では、第八条で、自治体は、福祉、就労、教育、税務、住宅その他のその所掌事務に関する業務の遂行に当たって、生活困窮者を把握したときは、本制度の利用を勧奨するように努めることとしています。

 生活困窮者自立支援制度は、複雑かつ複合的な困難を抱える生活困窮者を幅広く受け止め、単に保護するのではなく、自律的に暮らせる自立支援を目的としています。この自立とは、経済的自立だけではなく、自律的に暮らしを営むことができる生活自立、社会とのつながり、居場所を持てる社会的自立が併せて重視されています。社会福祉法第百六条の三でも、自治体が生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業を中心とした支援関係機関の有機的な相互連携を進めることにより、高齢、障害、困窮、子供といった既存の縦割りの諸制度に横串を刺して機能していくことを期待しています。縦割りを超えた包括的・重層的な相談支援で人々を支える、支えられるという一方的関係を超え、つながる、つなぐ、場をつくるという地域共生社会の理念を追求しています。

 そこで、まず、生活困窮者自立支援法が施行されてから八年が経過し、中央区における生活困窮者自立支援制度のこれまでの取組と成果、課題についてお聞かせください。

 また、コロナ禍における各種支援事業の実施状況と課題、今後の方向性について伺います。

 次に、生活保護制度の現状と課題等について伺います。

 社会保障制度は、雇用や住居が確保されていることを前提に生活保障が行われる仕組みです。第一のセーフティネットとして、全ての国民を対象にする社会保険、社会福祉、公衆衛生・医療等の各制度があり、また、それが十分に機能しない場合は、第二のセーフティネットである生活困窮者自立支援制度が、そして、それも十分に機能しない場合は、最後のとりでである生活保護制度が対応することになります。

 生活困窮者自立支援制度は、生活保護の受給を抑止することを一義的課題とするものではなく、必要なときには、むしろ生活保護につなぎ、所得保障を確保した上での就労支援などを行うものです。高齢者や障害者など再就職が難しい人には、一時的に生活保護の利用を働きかけ、被保護者への家計改善支援事業等の実施など、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との一体的な実施が望まれます。

 令和四年十二月に厚生労働省が発表した生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)では、両制度の連携上の課題として、就労準備支援事業等を利用する者が生活保護制度に移行したものの、被保護者向けの事業の実施主体が異なる場合があり、連続的な支援が困難となること、自立相談支援機関の支援を受ける者が生活保護制度に移行した場合、支援者が自立相談支援機関の担当者からケースワーカーに変更となるため、うまく支援がつながらず、支援の円滑な引継ぎや継続性の確保に支障が生じることなどが挙げられています。両制度のはざまで支援が途切れることのないよう、重なり合う支援の体制の構築が重要です。

 そこで、中央区における生活保護制度の現状と課題についてお聞かせください。あわせて、制度間のつながりを確保する観点から、両制度の連携状況と課題、今後の展望について伺います。

 次に、住居確保給付金の利用者実態等と住宅困窮者支援の展開について伺います。

 住居確保給付金とは、離職等で住居を喪失またはそのおそれのある方に、求職活動等を行うことなどを要件に、一定期間、家賃相当額を支給することで、住居の安定と就労の自立を図る制度です。令和二年四月に本制度が改正され、従来の離職、廃業等の要件に加えて、コロナの影響を受けて収入が減少した方についても適用されることとなりました。要件緩和による対象拡大により申請が急増し、多くの相談者の救済につながりました。一方で、児童扶養手当や児童育成手当等の特定給付も一律に収入算定されたため、僅かに収入要件を超えたがゆえに受給できなかったケースも見受けられます。

 中央区行政評価等によれば、中央区における住居確保給付金の支給実人数は、令和元年度に三件だったのに対し、令和二年度は五百八十二件、令和三年度は百十五件、令和四年度は三十九件であり、令和元年度から令和四年度までの支給決定件数は七百三十九件に上ります。

 コロナ感染症の影響の長期化に伴い、住居確保給付金の再支給等に係る申請期間の延長を重ねてきましたが、特例措置は令和五年三月三十一日をもって終了しました。今後は、本制度と生活の立て直しに向けた自立相談支援事業との組合せによる支援効果の発揮や、再び困窮状態に陥ることのないよう、家計改善支援事業の活用による予防効果が期待されます。

 コロナ禍に住居確保給付金の受給者が増加したことでも明らかなように、低所得者層を中心に、家賃の負担の重さが生活の不安定さにつながっています。令和五年七月に国土交通省及び厚生労働省並びに法務省は、住まいを確保するのが難しい単身高齢者や障害者、ひとり親世帯等の支援拡充に向けた検討会を設置しています。生活の基盤である住宅政策と生活を支援する福祉政策の緊密な連携が強く求められています。

 そこで、中央区における住居確保給付金の利用者実態と支援効果について確認するとともに、住宅困窮者支援の現状と課題、今後の展開について伺います。

 次に、生活福祉資金の貸付の効果や償還問題等について伺います。

 生活福祉資金とは、国や都の補助金を原資として、社会福祉協議会が実施する緊急小口資金や総合支援資金等の公的貸付事業です。実施主体は東京都社会福祉協議会、申請窓口は中央区社会福祉協議会となっています。貸付対象は、住民税非課税程度の低所得世帯等です。

 令和五年九月五日の福祉保健委員会の報告資料、社会福祉法人中央区社会福祉協議会の運営状況についてによれば、令和四年度における緊急小口資金の相談件数は一千二百二十三件、総合支援資金の相談件数は一千二件なのに対し、両貸付ともに、申請、決定件数は百五十一件にとどまっています。厳しい要件や審査ゆえに申請や貸付けにつながらなかった、至らなかった相談者が見受けられます。

 コロナ初期の段階から実施されてきた生活福祉資金の特例貸付は、コロナ不況の中で延長貸付や再貸付が可能となり、一世帯当たりの貸付金額は最大二百万円に拡大しました。長期にわたり貸付けで資金を供給すれば、借受人の返済額は膨らみ、将来の負担が生活を圧迫することにつながります。

 この特例貸付の特徴として、住民税非課税世帯であれば償還免除とする方針が事前に示されていたことです。今後の生活見通しに不安を抱える世帯は、返済を過度に気にすることなく、特例貸付の申込み相談ができたと思われます。しかしながら、住民税非課税世帯は償還が免除されたからといって、借受人の経済的な困難や不安が解消されるわけではありません。住民税非課税となる限度額の水準は、おおむね生活保護基準額の水準となっています。住民税非課税世帯は、生活保護世帯と同等の経済的困窮状態にあることを意味します。そもそも住民税非課税という償還免除の基準自体が低く、非課税限度額を超える収入であれば、生活が安定しているということにはなりません。

 また、償還免除の特徴として、小口、初回貸付、延長貸付、再貸付の債務は一括免除でなく、分割免除であることが挙げられます。各特例貸付の償還免除判定が三年に分かれており、その都度、借受人本人からの免除申請が必要です。償還免除とならない場合は、段階的に償還が開始し、毎年のように返済額が変動し、重い固定費となることは否めません。債務を気にするがゆえに、非課税限度額を上回らない就労収入に抑えようとする心理が働き、借受人の生活再建を遅らせることにつながりかねません。

 中央区社協だより「かけはし中央」二百九十号によれば、生活福祉資金の特例貸付の償還中や償還免除後の生活を支援できるよう、東京都社会福祉協議会や生活支援課との密な情報共有により、相談援助の拡充を図っているとのことです。また、令和五年新規・充実事業として、償還業務の開始等に伴い、コロナ禍の貸付事業等で顕在化した多様で複雑な生活課題に対応できる相談体制の構築を図るとのことです。

 そこで、中央区における生活福祉資金の貸付状況と貸付効果についてお聞かせください。

 また、令和五年一月から段階的に償還が始まっていますが、償還に関する問題への対応と、生活再建に向けた支援について確認させてください。

 さらには、柔軟な償還業務の観点から、区独自の償還免除基準の引上げを提案しますが、区の見解を伺います。

 最後に、生活福祉資金制度への家計改善支援事業の積極的関与について伺います。

 生活福祉資金の貸付制度は、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が貸付要件となっており、包括的な相談支援や就労支援の実施により、相談者の自立の促進を図っています。また、資金の経済的援助に併せて、社会福祉協議会の相談員や民生委員による相談援助活動を行っています。

 生活福祉資金における民生委員の関わりは、民生委員法第十四条の職務内容に関する規定に基づき、相談者の生活状況の把握、生活課題の相談、償還への協力、償還猶予や免除などの情報提供等にとどまり、生活改善までの支援は行われていません。相談者が再び困窮状態に陥らないよう、自ら家計管理できる能力を育てることが大切です。

 そこで、家計管理能力の向上による経済的自立の助長の観点から、生活福祉資金制度に生活困窮者家計改善支援事業が積極的に関与していくことが両制度の効果的な実施に資すると考えますが、現状と課題、今後の方向性についてお聞かせください。

 また、ファイナンシャルプランナー等の専門的知識に基づく家計相談や生活支援が有効であると考えますが、区の認識を伺います。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 山本理恵議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、生活困窮者自立支援制度の取組や今後の方向性についてであります。

 本区では、平成二十七年度から生活困窮者自立支援制度を開始し、平成二十八年度から家計改善支援事業を、平成三十年度から就労準備支援事業を追加したところであり、これまで延べ二万九千件を超える相談に応じてまいりました。相談者の意向をできる限り尊重し、個別具体的な支援に努めており、就労支援を行った方の約四五%が生活保護に至る前段階において、経済的な自立を果たしております。コロナ禍における各種支援事業については、住居確保給付金の対象拡大や期間延長を図ったほか、子どもの学習・生活支援事業では、小・中学校の全児童・生徒に貸与しているタブレット端末を活用し、オンラインによる学習支援を行えるようにいたしました。課題としましては、生活困窮に至る原因が、これまでは主に経済環境に起因していましたが、近年では、これらに加え、八○五○問題など多様化、複雑化しており、個々の状況に応じた幅広い対応が求められております。そのため、区では、相談者の属性や世代を問わず、包括的に相談を受け止める福祉の総合相談窓口を令和六年度に開設する予定であり、支援体制及び関係機関との連携をより一層強化し、伴走型による支援を行ってまいります。

 次に、生活保護制度の現状と課題についてであります。

 本区における生活保護世帯数及び人数は、令和五年四月現在で一千九十五世帯、一千二百十人となっており、令和元年度より微増で推移している状況です。また、被保護世帯を類型別に見ると、高齢者世帯が全体の約五八%を占め、単身世帯は全体の約九○%を占めています。課題といたしましては、高齢化や障害があるなどの就労を阻害する要因のない世帯が年々増加しているほか、高齢者など、金銭管理が適正にできない被保護者も増えております。こうしたことから、金銭管理支援プログラムに基づき、金銭管理能力を向上させ、安定した生活が送れるよう自立の促進を図るとともに、就労が可能な世帯には就労支援を集中的かつ切れ目なく行ってまいります。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度については、いずれも区が一つの部署で実施しており、必要に応じて両制度の担当者が同席し、面接相談を行うほか、日頃から両制度の勉強会や個別支援ケースの情報共有を行うなど、相談者が制度間を円滑に移行できるよう連携の強化に努めております。また、両制度の就労準備支援事業においては、同じ事業者に委託し、一体的に実施することによって、切れ目のない支援が行えるようにしております。今後とも、両制度における連携強化を図り、より一層の自立に向けた支援を行ってまいります。

 次に、住居確保給付金の利用者実態と住宅困窮者支援についてであります。

 住居確保給付金の申請理由は、休業等による減収が全体の約六七%と最も多く、次いで、離職、廃業が約三三%を占めています。また、職業の形態別では、会社員が全体の約四八%と最も多く、次いで、自営業が約三五%、フリーランスが約一二%と続いています。支援効果としましては、住居に対する当面の不安が解消され、自立に向けた就労活動等に注力した結果、これまで九十五人の方が常用就職または就業機会の回復をいたしました。一方で、生活保護となった方は十二人にとどまり、第二のセーフティネットとしても一定の効果があったと認識しております。住宅困窮者支援につきましては、現在、低所得の世帯やひとり親世帯、高齢者世帯など、住宅の確保に困窮する方々に対し、それぞれの状況に応じた区立住宅等を提供しているほか、民間賃貸住宅への住替えや、公的住宅について情報提供を行う住替え相談を開催するなど、きめ細かな取組を行っているところであります。また、現に住居のない方には、生活困窮者自立支援制度の一時生活支援事業により、一定期間宿泊場所と食事の提供等を行うとともに、一時的な住宅の供給や住宅資金等の貸付けを行う東京都のTOKYOチャレンジネットと連携し、居住支援を行っております。区としましては、生活再建に向けて、引き続き住まいの確保を必要とする方に支援を行ってまいります。

 次に、生活福祉資金の特例貸付についてであります。

 本貸付制度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で減収となった世帯を対象に、全国で本来よりも貸付対象や貸付要件を緩和した特例貸付が令和四年九月まで実施されたところであります。中央区社会福祉協議会からの報告によれば、貸付状況は、緊急小口資金は二千九百五十五件、五億九千万円、総合支援資金は四千二百六十一件、二十一億三千万円となっております。貸付けに際しては、借受人の生活状況の把握等について、本来面談するところを書面で行うなど、迅速な対応に努めたところであり、経済的支援が必要な世帯に対し、生活を守るためのセーフティネットとしての役割を果たしたものと認識しております。また、償還につきましては、現在、社会福祉協議会において、借りた方に丁寧に寄り添いながら相談に応じているところであり、返済が困難な方には、必要に応じて償還免除や猶予の手続を進めるほか、区との連携により、自立に向けた支援等を行っております。償還免除基準の区独自の引上げについては、考えておりませんが、顕在化した地域生活課題の解決に向けて、来年度開設を予定している福祉の総合相談窓口などを活用することにより、支援が必要な方一人一人に対し、きめ細やかな対応を行ってまいります。

 次に、生活福祉資金制度への家計改善支援事業の積極的関与についてであります。

 区では、これまで、生活福祉資金の貸付要件を満たさず、貸付けを受けられなかった方に対し、自立に向けた相談支援を行う中で、家計改善支援事業の利用などを提案してまいりました。しかしながら、貸付けを受けられた方でも、経済的自立のためには家計状況の根本的な改善が必要であることから、今後は社会福祉協議会との連携を一層強化し、貸付けを希望される方全員に、家計改善支援事業を含む生活困窮者自立支援制度を紹介し、利用を促すなど、区の関与を強化してまいります。また、現在、自立相談に関する窓口にファイナンシャルプランナーは配置しておりませんが、それと同等の能力または事務経験を有する家計改善支援員を配置しており、家計再生に向けたプラン作成や東京都の生活再生相談窓口等への同行などの支援を行っております。今後とも、早期に生活再生が実現できるように、各関係機関と緊密に連携を図るとともに、伴走型の支援に努めてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十六番 山本理恵議員登壇〕

○十六番(山本理恵議員)
 それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、生活困窮者自立相談支援機関への相談者の増加や相談内容の複雑化・複合化が見られました。これは、急激な社会経済情勢の変化により、誰しもが生活困窮に陥る可能性があることへの示唆でもありました。また、これまで顕在化しにくかった生活に困難を抱える方々が浮き彫りとなり、セーフティネット機能の重要性も明らかになりました。三年以上にわたったコロナの影響下において、生活困窮者自立相談支援機関、生活保護等の実施機関のほか、特例貸付の業務等を担った社会福祉協議会や民生委員など、各種支援やセーフティネットを支えてこられた多くの方々の御尽力に対しまして、改めて敬意と感謝を申し上げます。

 生活困窮者自立支援制度は、単に現金を給付するものではなく、自立に向けた人的支援を中心とするものです。困難を抱える方々に寄り添うことで、人と人とのつながりや人と社会とのつながりを紡ぎ直していくことが望まれます。令和六年度から福祉の総合相談窓口の設置をなさるということで、ぜひこれに期待していきたいと思います。また、改めて言うまでもなく、行政の最大の使命は区民の生命と財産を守ること、区民の暮らしを守り、幸せを守ることです。誰もが安心して心豊かに暮らせ、誰もが未来に希望が持てるウェルビーイングな地域づくりが求められています。ウェルビーイングとは、心身ともに健康で社会的に良好な状態を意味する概念です。

 ウェルビーイングの実現による区民生活の質の向上に取り組んでいただくことを要望し、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明九月二十一日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明九月二十一日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後五時四十七分 散会


署名議員
議 長  瓜生 正高
議 員  青木 かの
議 員  海老原 崇智

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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