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令和5年第三回定例会会議録(第3日 9月21日)

1.会期

二十五日(第三日)

九月二十一日(木曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後六時四十七分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 ほづみ ゆうき議員

二番 小坂 和輝議員

三番 上田 かずき議員

四番 黒原 裕司議員

五番 アルール うた子議員

六番 川畑 善智議員

七番 永井 佳代議員

八番 梶谷 優香議員

九番 高橋 まきこ議員

十番 青木 かの議員

十一番 高橋 元気議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 かみや 俊宏議員

十四番 太田 太議員

十五番 竹内 幸美議員

十六番 山本 理恵議員

十七番 渡部 恵子議員

十八番 白須 夏議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 奥村 暁子議員

二十一番 瓜生 正高議員

二十二番 塚田 秀伸議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 海老原 崇智議員

二十五番 木村 克一議員

二十六番 礒野 忠議員

二十七番 原田 賢一議員

二十八番 堀田 弥生議員

二十九番 墨谷 浩一議員

三十番 田中 広一議員

4.出席説明員

区長 山本 泰人君

副区長 田中 智彦君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 浅沼 孝一郎君

総務部長 黒川 眞君

防災危機管理室長 春貴 一人君

区民部長 濱田 徹君

福祉保健部長 大久保 稔君

高齢者施策推進室長 北澤 千恵子君

保健所長 渡瀬 博俊君

環境土木部長 三留 一浩君

都市整備部長 早川 秀樹君

都市活性プロジェクト推進室長 溝口 薫君

会計管理者 山﨑 健順君

教育委員会事務局次長 生島 憲君

監査事務局長 林 秀哉君

政策企画課長 石戸 秀明君

財政課長 野末 託範君

総務部参事(総務課長事務取扱) 田部井 久君

5.議会局出席職員

議会局長 伊藤 孝志君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 小倉 正信君

調査係長 佐藤 康之君

書記 鳴子 歩良君

6.議事日程

日程第一
 一般質問

日程第二
 議案第九十一号 令和五年度中央区一般会計補正予算

日程第三
 議案第九十二号 令和五年度中央区介護保険事業会計補正予算


午後二時 開議

○議長(瓜生正高議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(瓜生正高議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 十九番小栗智恵子議員。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお、再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

 初めに、ジェンダー平等について質問します。

 世界経済フォーラムが六月に発表したジェンダーギャップ指数で、日本は、百四十六か国中、百二十五位と過去最低になりました。特に、政治分野は百三十八位、経済分野は百二十三位です。日本が各国のジェンダー平等化のスピードに追いつくには、この分野での男女格差の解消が急務です。中央区では、今年三月に中央区男女共同参画行動計画二○二三を策定し、男女共同参画社会を目指して、五つの基本目標を定めて取組が始まっています。

 そこで、中央区の取組について三点質問します。

 第一に、ようやく昨年から始まった男女別賃金格差の公表制度に関わって、中央区役所も特定事業主として、男女別賃金を公表しました。令和五年度女性の職業選択に資する情報の公表によると、職員の男女の給与の差異は、任期の定めのない常勤職員で八六・七%、それ以外の職員で九七・五%、全職員では八二・四%となっています。この現状についての分析と、今後、男女の賃金格差是正にどう取り組んでいくのかお示しください。

 第二に、九月に報告された中央区観光協会の運営状況についての中で、令和五年度以降、中央区観光大使・ミス中央の選出は行わないことを決定したことに注目しました。ジェンダー主流化の視点から、区の施策の内容を一つ一つ見直し、取組を進めていくことが大切だと考えます。御見解をお示しください。

 第三に、審議会などでの女性の比率を高めていく課題も重要です。二○二二年度、審議会における女性委員の割合は二七%となっています。例えば、この間、二つの学校の改築に向けて学校改築準備協議会が設置されましたが、メンバーに女性が少なく、残念に思います。町会からの代表を町会長に限定せずに、各町会で出してもらうなどの方法で女性委員を増やす工夫をし、政策・方針決定過程における女性の参画を促進するよう求めます。御答弁ください。

 次に、新型コロナウイルスの感染症対策について質問します。

 厚生労働省が九月八日に発表した新型コロナウイルス感染症の定点把握調査では、新規感染者が、五類感染症への移行後、三週間連続で最多を更新し続けており、初めて十万人を突破したとのことです。医療現場からは、入院先の調整が非常に困難になっているなど、深刻な実態を示す声が出されています。東京消防庁の週当たりの新型コロナウイルス陽性者を救急搬送した件数は、第七波のピークを超えました。しかし、東京都は、コロナ患者等を受け入れる医療機関への支援金など、感染が拡大したときに実施するとしている事業をいまだに行っていない上、新型コロナ患者のために病床を確保した医療機関に支払う病床確保料も九月末で終了するとしています。また、厚生労働省は、現在全額を公費で賄っているコロナ治療薬を医療費の窓口負担の割合に応じて患者が負担するようにしたり、診療報酬上の特例や病床確保料といった医療機関への支援も縮小するとしています。

 そこで、質問します。

 第一に、中央区内での感染状況や医療現場の状況についてお示しください。

 第二に、東京都に対し、感染拡大時の医療機関への支援金事業を直ちに実施するよう求め、高齢者・妊婦支援型宿泊療養施設を十月以降も継続するように求める必要があると考えますが、いかがですか。

 第三に、国に対し、病床確保料の補助や、コロナの治療薬、入院費用の公費負担などを十月以降も縮小せず、実施するよう求めるべきだと考えますが、いかがですか。

 第四に、保険診療で検査を受ける際の患者負担分の公費負担と、感染不安のある方への無料のPCR検査を再開することを求めますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、保育の質の確保について質問します。

 まず、保育の量の確保、待機児童の解消についてです。

 長年の懸案だった保育所の待機児童数は、昨年度、ようやくゼロとなり、今年も国の算定基準に基づく待機児童数はゼロとなりました。私たち日本共産党区議団は、かねてから、認証保育所などではなく、公立の認可保育所の増設で待機児童解消をと求めてきました。中央区は民間の認可保育所の誘致を進めてきましたが、人口増に施設整備が追いつかず、待機児童は二○一九年度末には五百七十四人、旧定義の希望する認可保育所に入れなかった、いわゆる隠れ待機児でカウントすると一千三百七十三人となる深刻な事態となっていました。中央区は、急ピッチで私立認可保育所を増やし、認定こども園の増設などを進め、ようやく待機児童が国基準でゼロになったことを評価するものですが、昨年は、旧定義の隠れ待機児童は二百七十一人、今年は百五十一人とのことです。

 そこで、質問します。

 今後、HARUMI FLAGへの入所が始まることに伴って、保育所の入所希望も一気に増える中、待機児童を生まないよう、また、隠れ待機児も解消できるようにする施設整備の見通しについてお示しください。

 次に、保育の質の確保の問題についてです。

 国は、待機児童解消のために、規制緩和と企業参入を拡大してきました。ビルの一室、園庭・ホールのない保育園が増え、保育園内での事故も増えています。区内でも、企業内保育所で乳児が睡眠中に亡くなる事故が起きました。全国各地で、お散歩先で子供が置き去りにされたり、こども園で送迎バスに子供が取り残されて亡くなる事故も起きるなど、保育の質の低下が大きな問題になっています。保育の質を確保するには、保育士の役割が決定的ですが、配置基準は長年低く抑えられ、日常的に業務量が多く、長時間労働で、民間の保育士の給与は全産業平均より月八万円低いという状況が続いています。特に、この間、コロナ禍で業務量が増えるなど、保育士の負担は大きくなっていますが、根本的な配置基準の引上げがなされず、賃金の底上げも進んでいません。質の高い保育の提供のためには、施設の改善と併せて、保育士の給与を上げて、人員を増やし、健全な環境の下で保育ができるようにしていくことが必要です。ところが、企業参入を拡大するため、保育事業でも、黒字を出して株主への配当金や高い役員報酬を実現できるような仕組みがつくられ、株式会社が運営する保育所で、人件費、保育士の賃金を抑えて、利益を上げていることが各地で問題になっています。

 そこで、三つの問題について質問します。

 第一に、不正受給の問題です。

 昨年一月に、保育大手グローバルキッズCOMPANYの不正受給が発覚し、その後も、今年八月には目黒区で保育園を運営する会社が五千五百万円を不正受給していたことが発覚するなど、各地で問題が起きています。

 そこで、質問します。

 区内で不正受給問題は起きていないか、チェックする仕組みは万全なのか御答弁ください。

 第二に、保育委託費弾力運用についてです。

 弾力運用とは、私立保育園で、本来、人件費に充てるべき運営費を、人件費部分を抑えて、本部経費や株式配当に流用できる仕組みで、収入の三割は繰り越すことができ、積立金に回したり、他の自治体の系列事業所に回すことも可能となります。中央区では、二○二○年度、取崩し協議書を区を通じて都に提出し、弾力運用を申請したうちの十の保育所で、税や本部経費を目的とした取崩し額の合計が二億一千万円を超えていることが、都への情報公開請求をした報告書で明らかになっています。

 そこで、質問します。

 二○二一年度は取崩し協議書の提出が三十一件とのことでしたが、取崩し額の合計はどれくらいでしたか。

 二○二二年度では、取崩し協議書は何件提出され、額はどのくらいですか。他の自治体にある施設に流用される事例はありますか。

 保育委託費は、株主配当や他の施設に回すのではなく、保育士の待遇改善などに使って、質の高い保育が提供されるよう指導すべきだと考えますが、いかがですか。それぞれ御答弁ください。

 第三に、人件費比率についてです。

 国は、都区部の保育士の給与を年間約四百四十万円と想定して、運営費を支給していますが、昨年十一月議会での御答弁で、中央区の私立認可保育所の常勤保育士の給与は平均で三百六十万円、人件費の割合は四五%とのことでした。現在はどのようになっていますか。

 世田谷区では、事業者に人件費比率が五○%以上になるよう求める人件費比率五○%ルールというものを定めています。中央区でも同様のルールをつくり、質の高い保育を提供する事業所とすることを求めます。御答弁ください。

 次に、マイナ保険証についてです。

 岸田政権は、改造内閣後も、保険証の廃止と一体にマイナンバーカードを全国民に持たせる方針を変えようとしていませんが、今でもトラブルが多発しており、マイナ保険証への一本化を中止して、現行の健康保険証を残すよう求める声が広がっています。マイナ保険証を医療機関の窓口で提示しても、機械でカードを読み込めなかったり、医療費の負担割合が間違って表示されるトラブルが相次いでいます。マイナ保険証のシステムを導入した医療機関が、紙の保険証も持参してくださいと呼びかけることが当たり前になっています。行政の現場では、証明書の誤発行や、公金を受け取る銀行口座の誤ったひもづけが続発しました。マイナカードの誤ったひもづけについて、政府は十一月末を期限として総点検を進めていますが、マイナカードの交付数は九千五百万枚を超え、対象となる個人情報は数十億項目に上ります。政府の総点検をめぐって、実際に点検業務を担う自治体から、膨大な作業を懸念する声も上がっています。

 そこで、質問します。

 これ以上の情報流出やトラブルを防ぐために、直ちにマイナ保険証を利用するシステムの運用を停止し、システムそのものを含めた安全・確実な総点検を行う必要があると考えますが、いかがですか。

 中央区が直接発行している国民健康保険証、後期高齢者医療保険証について、マイナ保険証の登録は三割ということです。マイナ保険証を持たない人も多い中で、健康保険証が廃止されれば、公的保険診療が受けられないことになりかねません。政府は、マイナ保険証を持っていない人全員に資格確認書を発行するなど、対応を打ち出していますが、資格確認書の交付のための費用負担や人手をかけるより、現行の保険証を残せば問題ありません。マイナ保険証を持っている人にとっても、健康保険証を残せば、トラブルが起きた際にもすぐに解決できます。

 そこで、質問します。

 現行の健康保険証を存続させることが必要だと考えますが、いかがですか。

 次に、医療DXについてです。

 政府は、今、国民の個人情報のデータの連携や利活用を大規模に行うデジタル化政策を推進し、その中核として、医療DXでマイナ保険証とマイナポータルを組み合わせた医療情報のデジタル化と共有、二次利用を進めようとしています。蓄積された個人の医療データを基に、公的医療機関の給付の対象を精査して患者の負担を増やすことや、個人情報と行政機関の情報などを合わせて民間企業に提供し、ビジネスとして利用できるようにすることが想定されています。その先には、健康・医療情報はもちろん、個人の生活、購買、移動のデータなど、あらゆる個人情報をひもづけし、企業や行政がAIを使って自動的に分析、評価、選別した上でビッグデータ化して、二次利用することも目指しています。

 そこで、質問します。

 第一に、医療機関の受診歴、処方歴など、機微性の高い医療情報がビジネスに利活用され、情報漏えいのリスクにさらされることは問題だと考えますが、いかがですか。

 第二に、個人情報は人権を基本に、データの使われ方をコントロールできる権利など、人権、プライバシー権を守る仕組みが求められていると考えますが、いかがですか。御見解をお示しください。

 次に、教育問題について質問します。

 まず、中学校英語スピーキングテストについてです。

 東京都教育委員会は、中学校英語の話す力を確認するためのテスト、ESAT‐Jを昨年度の都立高校入試に使いました。実施前から指摘されていた様々な問題点が明らかになっているのに、都教委は、今年度も入試に活用することを予定しています。ESAT‐Jは、公立中学三年生全員が受け、学力検査ではなく、入試の調査書の一部として総合得点に加算される方式ですが、受験しなかった生徒は仮結果推定で点数が決まり、結果的に合否が逆転することもあるなど、不公平な仕組みのテストです。試験当日も、他の受験者の声が録音されたり、前半組の解答が聞こえるなどの問題が起きました。

 そこで、質問します。

 第一に、スピーキングテストを入試に使うのは問題だと思いますが、いかがですか。

 九月の区民文教委員会で、受験する生徒の中に不安があり、都に改善するよう求めている旨の御答弁がありましたが、不安が広がっている不公正な仕組みのテストを入試の合否判定に使うのは、きっぱり中止するよう求めるべきだと考えます。御答弁ください。

 第二に、中央区では、中学一・二年生もスピーキングテストを実施し、全国学力テスト、学習力サポートテストなども行われています。一人一人の到達度を見るため、テストも一つの方法ですが、全国一斉に、また東京都全体で実施するテストは、都道府県ごと、区市町村ごと、また学校ごと、そして個人で順位や点数を比べることになり、不要な競争をあおることになっていることが問題だと考えます。いかがですか。御答弁ください。

 最後に、不登校の子供への支援について質問します。

 中央区での不登校による長期欠席者は、二○二二年度、小学校で九十一人、中学校で百三十六人と報告されています。不登校の子供が前年度の一・二倍、二年前と比べると二倍になっています。全国的にも不登校の割合が急増し、二十四万人と過去最高を記録しました。これは、コロナ禍の影響が大きいと言われていますが、学校が子供にとって安心して学ぶことができない、息苦しい場となっている反映ではないでしょうか。不登校は、一人一人、その理由や状況が違いますが、不登校を本人の性格や家庭の責任とするのではなく、子供の個性や多様性を尊重した丁寧な関わりが必要だと思います。

 そこで、質問します。

 第一に、不登校が増えている要因についてどう把握されていますか。今年度はコロナ禍の状況が変わってきてはいますが、不登校の児童・生徒数、状況はどうなっていますか。

 第二に、本定例会に、不登校の生徒が増加する中、中学校の空き教室を活用して別室指導を充実し、十月から佃中学校と日本橋中学校の二校、来年度は全四校で実施するための補正予算が提案されています。先行して実施している江戸川区は、専任の教員を配置し、自習する場所の提供だけでなく、生徒同士の交流もできるような場にしたことで成果を上げているとのことです。中央区では、どう取り組んでいくのかお示しください。

 第三に、教育センター内に設置されている適応教室「わくわく21」は、新たにタブレットを活用した学習支援なども行われているとのことですが、登録者、利用者の状況はいかがでしょうか。適応教室になじめない子供も多いのも現実ではないでしょうか。今後、どう運営し、充実を図っていくのかお示しください。

 第四に、適応教室や学校の別室指導などの場だけでなく、学校以外の様々な学びの場として、子供に合ったフリースクールなど、学びの場、居場所を拡充していくことも必要です。東京都が行っているフリースクール費用の支援に上乗せして、中央区でも費用の補助を進めるよう求めます。御答弁ください。

 第五に、総務省行政評価局が実施した調査では、不登校の児童・生徒に対し、登校だけを目標にしないという文科省の基本指針を、当事者の保護者の六割が知らなかった、指針を知っていたら、学校外の支援先を選んでいた可能性があるという割合は七割近くに達したということです。一方、学校では、民間の支援機関の情報を提供することが難しいなど、学校外との連携についての課題も示されました。

 そこで、質問します。

 教育委員会の方針として、登校だけを目標にしないという文科省の基本指針を踏まえた丁寧な対応や、情報提供を行うことが必要だと考えますが、いかがですか。

 民間の支援機関の情報や親の会などの情報も提供して、当事者や保護者を孤立させない支援を求めます。いかがですか。御答弁ください。

 以上で一回目の質問といたします。御答弁をよろしくお願いいたします。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、職員の給与における男女の差異についてであります。

 職員の給与は、地方公務員法に基づく条例等により定められており、性別にかかわらず、同一の制度が適用されておりますが、実際には、個々の職員の勤続年数や諸手当の受給状況などにより差異が生じる場合があります。本区においても、女性に比べ、男性の給与額が高い状況であり、その主な要因としては、超過勤務の実績が男性のほうが多いこと、育児に伴う部分休業を取得している職員が女性に多いことなどが挙げられます。こうした要因の背景には、固定的な性別役割分担意識等があると考えられることから、今後とも、特定事業主行動計画に基づき、超過勤務の縮減や男性職員の育児休業の取得促進などに取り組むとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた一層の意識啓発を図り、職員が男女を問わず、その能力を十分に発揮することのできる職場環境の整備を推進してまいります。

 次に、ジェンダー主流化についてであります。

 本区が目指す男女平等及び男女共同参画社会を実現するためには、ジェンダーの視点を持って、各施策を総合的に展開していくことが重要であると認識しております。そのため、区では、本年三月に制定した男女の平等及び共同参画による社会づくりに関する基本条例に定める基本理念の下、男女共同参画行動計画二○二三を策定し、五つの基本目標に沿って各種事業を施策横断的に整理した上で、全庁を挙げて、その推進に取り組んでいるところであります。今後とも、行動計画の実施状況に関する点検・評価に際し、男女平等共同参画推進会議の御意見をいただきながら、ジェンダー平等に向けた施策の展開を図ってまいります。

 次に、審議会等における構成員の女性比率を高めることにつきましては、行動計画二○二三において、女性委員の割合を三○%以上とする目標値を定めております。区といたしましては、引き続き、各事業を通して、様々な場面への女性の参画推進につながる意識啓発を図るとともに、地域代表としての審議会委員等への就任についても、機会を捉えて地域団体に働きかけを行い、御理解、御協力が得られるよう努めてまいります。

 次に、区内の新型コロナウイルス感染状況についてであります。

 本区に五つある定点医療機関の一週間当たりの平均患者数は、令和五年八月二十一日から二十七日の週の一一・六○を最多に、翌二十八日から九月三日の週の一一・二○、翌九月四日から十日の週の九・六○と、二週にわたって減少しています。また、医療現場の現況について、都のモニタリング報告による入院患者数は、五月以降、九月四日の二千七百八十二人を最多として減少しており、九月十一日には二千三百五十三人となっています。区の入院調整依頼数は月に約七件で、五月以降、増減は認められておらず、医療は逼迫していないと考えられます。

 次に、感染症対策の強化についてであります。

 新型コロナウイルスの重症化率の低下が認められるようになり、新型コロナウイルス感染症の位置づけが五類感染症へと変更されました。東京都においては、今月十四日に、医療機関への支援事業として、医療提供体制の整備などに対し、引き続き支援を行う方針を発表しております。病床確保料の補助、コロナの治療薬、入院費用の公費負担の縮小及び高齢者・妊婦支援型宿泊療養施設、保険診療で検査を受ける際の患者負担分の公費負担の廃止、感染不安のある方への無料のPCR検査の廃止の方針につきましては、専門家会議等で十分に議論を重ねた上で、季節性インフルエンザ等の他の疾病との公平性などを考慮して決定されたものと認識しております。したがいまして、国や東京都に対し要望を行うことは考えておりません。

 次に、保育所の待機児童の解消についてであります。

 本区の保育ニーズに対する定員は、利用実態として、居住区域を越えて利用されていることや一時的な需要の増減に対し、広域で調整しやすく、弾力的な対応が可能であることから、中央区全地域で設定しております。そうした中で、まとまった保育ニーズが見込まれるHARUMI FLAGのまち開きに対応するため、令和六年四月に、晴海地区に保育施設を三園開設し、新たに三百二十四人の定員を確保しております。また、近隣の既存保育施設には一定の空きがあることから、入居者の保育ニーズに十分応えられるものと考えております。

 次に、不正受給の対応についてであります。

 保育所への委託費や運営費は、園児数や職員数などに応じて、各事業者からの請求に基づき、交付しております。区では、提出された職員名簿により、配置状況や資格の有無などを確認するとともに、指導検査や巡回指導の中で、職員の雇用実態の把握に努めております。こうした巡回指導は、昨年度、九百回を超えており、詳細に確認を行っていることから、本区では適正な運営がなされているものと認識しております。

 次に、委託費の弾力運用についてであります。

 二○二一年度の取崩し協議書は、提出が三十一件ありましたが、文書の保存期間が経過し、廃棄処分したため、金額については確認できませんでした。二○二二年度につきましては、三十六件、約四億九千万円となっており、法人本部や他自治体の保育所運営経費に充当されている事例を確認しております。このような弾力運用は、適正な給与水準が維持されているなど、人件費の運用が正しく行われていることを前提に認められる国の制度であり、区といたしましても、適切な積立て資産の形成などは、長期的に安定した運営のためには必要なものであると認識しているところです。

 次に、人件費比率についてであります。

 区内私立認可保育所の常勤保育士の給与については、施設型給付費における処遇改善加算の実績報告書などにより確認しており、令和四年度の平均額は約三百六十六万円となっております。また、事業活動収入の総額に対する人件費の割合につきましては、社会福祉法人以外の各事業者から提出された財務情報等から確認しており、新規開設園や事業所内保育所を除く四十八施設の平均で約五四%となっております。なお、給与や人件費の水準は、職員の雇用環境を良好に維持すべき事業者が主体的に判断するものであり、区として、人件費比率をルール化することは考えておりません。

 次に、マイナ保険証についてであります。

 マイナンバーカードと医療保険等、複数の制度にひもづけの誤りがあったことを受け、国は、マイナポータルで閲覧可能な情報を有する全ての制度について総点検を行い、八月に中間報告を行ったところです。オンライン資格確認等システムによるトラブルについては、国において原因の究明と対応に取り組んでいるところであり、システムを停止しなくても確実な点検が行われているものと考えております。また、来年秋に予定されている現行の健康保険証の廃止が円滑に進むよう、国において、資格確認書の運用など、国民の信頼回復に向けた対応を進めております。区といたしましては、区民や医療機関等が安心・安全にマイナ保険証を利用できることを第一に考え、引き続き、国の動向を注視してまいります。医療DX、デジタルトランスフォーメーションについては、国は、オンライン資格確認等システムを拡充し、保健、医療、介護の情報を共有可能とする全国医療情報プラットフォームの構築を目指しております。これにより、さらに効率的かつ適切な医療につながるとともに、国民自らの予防・健康づくりを促進できるとしています。また、医療情報の適切な利活用により、薬剤や治療法の開発の加速化などの効果が期待されます。なお、情報漏えいなど、リスクへの対応については、情報の利用範囲やセキュリティ面など、国において十分な検討を行い、対策を講じるべきものと考えております。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、中学校英語スピーキングテストについてであります。

 スピーキングテストは、学習指導要領に基づいた学習内容の定着を測り、高校での英語指導にも生かすことを目的としていることから、都立高校入試選抜において活用することは、よい取組であると認識をしております。また、スピーキングテスト実施において、特段の問題がなかったことを学校に確認しており、こうしたことから、即時に中止を求めることは現時点では考えておりません。一方で、公平性や実施環境などへの不安の声が東京都に寄せられていることは承知をしており、本区としては、引き続き、東京都教育委員会の責任において、これらの懸念を払拭していくことを強く求めてまいりたいと考えております。

 次に、テストの実施についてであります。

 東京都の児童・生徒の学力向上を図るための調査や全国学力状況調査の目的は、児童・生徒の学習状況を把握し、授業等における指導の改善を図ることが主な目的であることから、今後も、学校や保護者等に学力調査の意義を伝え、理解をいただきながら実施をしてまいります。

 次に、不登校の子供への支援についてであります。

 不登校増加の社会的要因といたしましては、数年間に及ぶコロナ禍の影響により、大人も含めた社会全体が不安を感じている状況下において、子供たちの生活も大きく変化し、心身に多大な影響を与えたものと捉えております。不登校の主たる要因には、無気力、不安が多く挙げられており、心理的なサポートを含め、個々の状況に合わせた支援が必要となっております。令和五年度一学期の小学校の不登校児童は四十五人、中学校の不登校生徒は八十七人で、前年度と同様の人数でありました。また、別室の指導については、本年十月から、佃中学校と日本橋中学校において、空き教室を居場所や学びの場所として活用するため、校内別室指導支援員を新たに配置する予定であります。別室指導を通して、教科によっては、生徒が自分の教室で授業を受けられる機会の確保にもつなげてまいります。さらに、適応教室「わくわく21」では、今年度から民間事業者を活用し、対面やタブレット端末を活用したリモートでの学習支援を行う個別コースを開設し、現在、十人が利用しております。小集団で過ごすことが難しい児童・生徒は、まず個別コースで適応教室の講師や支援員との関係づくりを行うことで、通室コースの利用につなげられるように働きかけており、今後も利用者のニーズに合わせた事業の拡充を検討してまいります。また、東京都が実施しているフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒及びその保護者の支援ニーズや活動内容を調査するための費用負担であり、これに区が上乗せして補助を行うことは、趣旨が異なるものと考えております。今後とも、子供たちが安心して健やかに成長できるよう、国の基本方針を踏まえ、学校をはじめ、スクールソーシャルワーカーや関係機関と連携しながら、子供たちや保護者に寄り添う不登校対策を着実に実施をしてまいります。

 答弁は以上であります。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁いただきましたが、何点か再質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、ジェンダー平等に関連して、職員の男女の給与の差異について御報告がありました。今回出された指標を見ますと、常勤職員で八六・七%、非常勤を含めた全職員では八二・四%と、四・三ポイント低い。これについて先ほども、育休などを女性が取ることが多い、そういういろいろなことも御指摘がありましたけれども、非常勤の職員に女性が多い、このことも全体を引き下げてしまっている要因ではないかというふうに考えます。非正規の雇用を正規雇用に変えていく、そういう取組も併せて必要だと考えますけれども、この点について御答弁をお願いしたいと思います。

 次に、新型コロナの感染症関係ですけれども、今、中央区では入院などの件数も少なくて、逼迫していないというようなお話もありましたけれども、五類に移行して以降、症状があっても受診しないとか、受診しても検査しない、そういう状況もある中での感染者数が減っている、そういう状況ですけれども、感染はかなり広がっているという現実も大きいと思います。

 これで、この十月以降、医療費の負担が増えるということになれば、ますます受診をしない、そして感染を広げてしまう、こういうことにもなってしまうと思いますので、こうしたことがないように、対策を取ることが必要ではないかと考えます。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

 保育の問題では、中央区では、指導検査や実地検査を九百回行って、不正受給が行われないようなチェックも行っているという御報告がありました。そういう中で、実際に保育士さんが何人働いているかというようなことのチェックはされていることと思いますけれども、弾力運用の仕組みの中で、保育士の給与が適正なのかとか、本部経費もこれで適正なのか、そういうような審査ができるような仕組みになっているのか。取崩し協議書の中で、今回の御答弁では実際に使うべきお金を余らせて、約五億円ぐらいの費用を取り崩して本部経費などに使いたいという申請が出ているという現実を見ますと、高い役員報酬や株主への配当にも使える仕組みになっているというのは問題ではないかと考えます。その点について、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

 マイナ保険証の関係では、一昨日、新しい保険証が手元に届きましたけれども、これからは保険証が自動的に送られてくるということはなくなるわけです。これが資格確認書ということになると、毎年、自分で申請しないと保険診療が受けられない、無保険者を生んでしまう、そういう制度になってしまいます。今回、この保険証に同封されてきたお知らせに、マイナンバーカードをぜひ保険証として登録してくださいというお知らせが入っていました。その中で、マイナンバーカードは安全ですという報告がありましたけれども、これはやはり、今、安全なのかということで多くの方が不安に思い、申請も国民健康保険証では三割、後期高齢者でも三割という状況になっているということだというふうに思います。

 この中で、ICチップには健康・医療情報や税情報、年金情報など、プライバシー性の高い情報は入っていません、安全ですということがアピールされていますけれども、そのチップそのものに何かすると引き出されるとか、そういうことではなくて、先ほども御答弁がありましたけれども、医療DXということで、マイナ保険証や医療情報、マイナポータルの情報を組み合わせて、ビッグデータを二次利用できるようにするというのがマイナンバーカードの制度だというふうに思います。医療情報や様々な個人情報をビジネスに利用する、そのことが前提の制度になっている。それが大問題ではないかというふうに考えますけれども、この点についても、御答弁をお願いしたいと思います。

 教育問題では、英語スピーキングテストを入試に使うということをやめるように強く求めたいと思います。

 不登校対策については、やはり人員もきちんと配置して、一人一人に寄り添った対応ができるよう求めていきたいと思います。これについては、御答弁は不要です。

 先ほど述べた点についての御答弁をよろしくお願いいたします。

〔総務部長 黒川 眞君登壇〕

○総務部長(黒川 眞君)
 まず、私からは、職員給与における男女の差異について御答弁をさせていただきます。

 議員からもお話がございましたが、職員全体としては八二・四%の差異ということでございまして、お話がございましたとおり、会計年度職員の職務につきましては、特に保育現場ですとか、学校現場におきまして補助的な業務に従事する会計年度職員の職というのがございます。実際のところ、こういった職に就かれている方は女性の割合が多いということで、補助的な業務ということでございますので、当然ながら、一般の職員よりは給与水準も低くなる。その結果として、この差異につながっているというふうに分析をしているところでございます。

 そうは申し上げましても、職員の給与制度におきましては、職務給の原則というのがございますので、その職務内容ですとか、責任の度合いに応じて給与が定まるという仕組みになっております。また、会計年度任用職員をダイレクトに常勤職員として採用できる道があるかというと、そこでもやはり制度上の課題があるということで、すなわち、人事上の取扱いの中で差異を解消していくというのは非常に難しいというのが実際のところでございます。

 区長の答弁でもございましたとおり、この問題の背景といたしまして、やはり固定的な性別役割分担意識に通ずるところがあるということで、ライフイベントの都合によりまして、女性で働いていた方のキャリアが一時途絶えてしまう、こういった問題につきましては、国のほうでも、今、女性版骨太の方針二○二三の中でも、女性の所得の向上ですとか、経済的自立というところを柱に取り組んでいくということでございますので、こういった動向を注視しながら、区といたしましても、女性が能力に応じて、しっかりと能力を発揮できる社会の実現に向けまして、普及啓発活動、またセミナーの開催などによりまして、そういった意識の普及啓発等を図っていきたいというふうに考えております。

 私からの答弁は以上でございます。

〔保健所長 渡瀬博俊君登壇〕

○保健所長(渡瀬博俊君)
 私からは、新型コロナウイルス感染症の広がりに対する対策といったところでお答えさせていただこうかと思います。

 新型コロナ感染症につきましては、御指摘いただいているとおり、五月から五類感染症ということで、法律の中の位置づけが変わっております。その中で、五月以降につきましても、激変緩和という部分も含めまして、一定程度公費の負担が継続されてきたところでございます。このうち、十月以降につきましては、そういった公費負担の部分で一部縮小が行われる、あるいは廃止が行われるといったところでございますが、治療薬につきましては、これまで負担がなかったものに一部負担が生じる。全部御本人の負担ということではなくて、公費の負担の部分もありますが、一部負担が生じるというところ、あるいは入院の負担につきましても、これまで入院医療費については、五月以降も支援が継続されていたところですが、それに関しても半額という形での支援になるというところでございます。

 そういった意味で申しますと、十月以降につきましても、額は縮小いたしますが、支援については継続されるといったところの中で、ほかの疾病との平等性、公平性、そういうところを考えながら、順次、そういったところの中で対策のほうが進められているというふうに考えているところでございます。

 特に、新型コロナ感染症に関しまして気をつけなくてはいけないと考えているところにつきましては、高齢者の部分でございまして、こちらに関しましては、やはり集団生活をしている高齢者の中での集団感染の発生というところは、非常に心配なところでございますので、そういった面につきましては、引き続き、注意を払っていく必要があります。

 なお、社会全体での流行の部分につきましては、秋のワクチン接種が昨日から始まったところでありますので、こちらに関しましては、なるたけ多くの方に接種をしていただいて、社会全体としての感染症予防を図るといったところで、こちらに関しては、接種のほうをなるたけ多くの方に打っていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 こういった様々な対策を通しまして、引き続き、社会全体としての感染症防止対策を図りながら、流行が起こらないような対応というのを進めていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

〔福祉保健部長 大久保 稔君登壇〕

○福祉保健部長(大久保 稔君)
 私からは、まず、保育所における指導検査についてでございます。

 先ほど区長答弁でもございましたけれども、昨年一年間で九百回を超える巡回指導などを行っております。例えば、事例で申し上げますと、私立認可保育所においては、五十九園に対して五百九十回を超える回数の指導検査を行ったりすることで、かなり多くの頻度で検査をさせていただいております。そうした中で、日頃からの名簿と職員との顔のつながり、そういったものを確認しながら、単に書類だけの確認ではなくて、その職員職員の顔を見ながら、毎回、それだけの回数行くことによって、名前と顔が一致する。そういった流れの中で、職員の確認もさせていただいております。

 また、幾つかの他区での事例で、例えば会計の検査の中で発覚したという事例もございました。自治体にもよりますけれども、区によっては、会計に関する検査を毎年やらずに、複数年に一回やるという自治体もございますけれども、本区におきましては、指導検査の中において、原則年一回、会計的な検査もするということで、かなりきめ細かくさせていただいております。こうした中で、不正受給につきまして一○○%確認できるというのは、なかなか難しいところではありますけれども、本区の中では、かなりきめ細かに確認することで未然に防止をすることができるというふうに考えております。

 続きまして、取崩し協議書についてでございますけれども、先ほど取崩し協議書において、本部経費などに使われることについて、どうなのかという話もございました。保育所によりまして、当然、保育所一つ一つに事務所機能があったりとか、あるいは保育所をトータルで内部管理的な事務所一か所で集約して持っているところも当然ございますので、本部経費に回すこと自体がそもそもいけないのかというと、そうとは考えてございません。やはり適切に運用される、適切に施設が運営されて、会計上もしっかり管理されている。そして、必要な経費がしっかり、職員の給与費などを中心に、確実に使われている、そういったところが運用されれば、それは特に大きな問題ではないのかと思ってございまして、特に先ほど区長答弁でもありましたけれども、取崩し協議書が認められるのは、東京都に書類が届きまして、給与費にしっかり使われている、人件費に適切な運用がされているということが確認された上で認められているものでございますので、ほかの本部経費などに使われること自体については、問題意識を持っていることはございません。

 続きまして、マイナ保険証についてですけれども、先ほど資格確認書について、今後は、申請しないと、なかなか更新されないというお話もございましたけれども、現在、ひもづけの再確認の中で、来年秋の保険証廃止ということを表明しながらも、その運用については、今、制度設計をしているというふうに認識しております。今後、これらの対策を講じた上で、しっかり国民の理解を得た上で、確認書の運用についても整理されていくものと考えておりますので、そうした取組については、今後もしっかり注視していきたいと考えております。

 また、医療DXにつきましても、先ほど様々な情報がビジネスなどに二次利用されること自体が問題ではないかということもございました。二次利用されること自体につきましては、先ほど区長の答弁でもありましたけれども、最終的には、例えば自分の健康に資するもの、そして新たな治療薬、治療方法、そうしたものに活用される、そうしたことも期待されるものでございますので、そういう観点でいくと、最終的には国民の方にその恩恵が返ってくるものと考えております。二次利用自体を否定するのではなく、それをどのように使っていくのか、どのように安全な管理の下、使われていくのかというところが大切だと思っておりますので、そうした点につきましても、これからの国の動きについて、しっかり注視していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

〔十九番 小栗智恵子議員登壇〕

○十九番(小栗智恵子議員)
 御答弁いただきましたが、特に、男女の賃金格差の問題などについて、いろいろ制度上、制限があるというようなお話もありましたけれども、非正規を正規雇用にしていくなどの努力をぜひしていっていただきたいということを要望したいと思います。

 最後に、マイナ保険証に関わって、最終的には二次利用されたデータが国民によいものとして返ってくるというようなお話がありましたけれども、そういう情報提供を主体的に、それはやめてほしい、それはやってもいい、そういうことを選択できるような制度になっていないということも問題ですし、マイナ保険証でマイナンバーカードを全国民に強制して、医療情報をはじめとした個人情報をもうけの種として利用できるような、そういう仕組みにしてしまうというマイナンバーカードの制度自体が私は大問題だというふうに思います。

 その点で、マイナンバー制度そのものの見直しを強く求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後三時一分 休憩


午後三時二十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。八番梶谷優香議員。

〔八番 梶谷優香議員登壇〕

○八番(梶谷優香議員)
 会派立憲民主党の梶谷優香です。令和五年第三回中央区議会定例会に当たり、通告書に従い、質問をさせていただきます。一般質問の二日目となり、質問が重複する点もあるかと思いますが、区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、再度の御答弁をお願い申し上げます。なお、再質問をあらかじめ留保いたします。

 初めに、災害・防災対策についてお伺いします。

 日本政府観光局によると、新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、今年五月の訪日客数は約百八十九万八千九百人で、コロナ流行前の二○一九年同月比で七割程度に回復しました。世界でも有数の観光名所が東京であり、東京都が発表している国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書というアンケート調査の結果を見ても、本区が有する銀座が外国人に特に人気のエリアということが分かり、今後もますます銀座には多くの訪日客が訪れると思います。訪日客らの密集する観光地で災害が発生した場合、適切な避難誘導などが行われなければ、不安に駆られる人々に混乱が生じる可能性があると観光庁は発表しています。

 二○一八年六月に起きた大阪北部地震では、行き場を失い、鉄道の運行情報などを求める訪日客が大阪駅前などに多くあふれました。地震の三日後、調査会社のサーベイリサーチセンターが実施した調査では、訪日客の二割以上が、言葉が分からず、どこに行けばいいか分からなかった、テレビなどの地震の放送が理解できなかったなどと回答し、国土交通省の調査報告書は、訪日客に特化した情報発信の工夫が必要と指摘しました。

 観光庁は、自治体など向けに訪日客の支援計画策定を要請し、二○二一年から二○二二年に、対応マニュアル作成の指針や手引を公表しました。訪日客数や言語、宗教などの事前想定、発生直後の避難誘導や帰国の支援策、避難中の訪日客リストの作成手順などを盛り込むよう求めています。二○二二年に自治体や観光事業者に調査をしたところ、訪日客を念頭に置いた危機管理計画を作成済みだったのは、都道府県で三割弱、市区町村や宿泊施設など観光事業者は一割未満という結果が出ました。この調査を受け、観光庁の担当者は、地域の実情に合わせた計画作成をサポートしたいと強調しました。

 京都市は、本年二月、災害情報を五か国語で記載するウェブサイトにスマホで容易にアクセスできる二次元コードを観光名所の案内板など三百か所に掲示し、宿泊施設などにコードを印刷したステッカー二百枚を配布しました。避難誘導の多言語化の試みとして、台東区浅草では、本年三月、浅草観光連盟や台東区などが、多数の訪日客が滞在中に地震が発生することを想定した訓練を行い、ドローンを飛ばし、上空から英語や中国語の音声で誘導する取組を初めて実施しました。訪日客などが滞留する地域を機動的に探し、効果的に避難所などに誘導することが狙いです。

 訪日客が多く訪れる銀座を有する本区として、現在、訪日客への支援をどのように計画をしているのか教えてください。

 さらに、今後、東京都から情報提供などを受け、訪日客の支援計画を策定していくのか、御見解を教えてください。

 災害時に周囲の支援が必要な人たちを対象とした個別避難計画は、二○二一年五月に施行された改正災害対策基本法において、作成が市区町村の努力義務となりました。これまでも本区の中央区災害時地域たすけあい名簿について何度か質問をさせていただき、本区としても力を入れていただいていることは承知しております。近年、本人の同意なしに関係者に提供できることを定めた条例案を可決した議会や、逆手挙げ方式を採用する自治体が増えてきました。

 本区で把握している中央区災害時地域たすけあい名簿に該当する方は、現在、具体的に何人おられるのでしょうか。

 そして、本区で把握できている要支援者のうち、現在登録されている方で、同意されている方の割合はどのくらいになるのか、改めて教えてください。

 医療的ケア児の場合、同じ病名でも、年齢などで症状は様々であり、気温や湿度によって必要な処置も異なり、計画に実効性を持たせるには、様々な関係者が関わりながら訓練を重ねる必要があるとされています。一方、計画作成済みの自治体のうち、計画を活用した訓練を実施しているのは一五%にとどまり、非常時に計画どおり進むかは、裏づけがないところも多いと指摘されています。

 佐賀県武雄市では、二○二○年から毎年、医療的ケアを必要とする子供を対象にした避難訓練を実施しています。訓練では、個別避難計画に基づいて行われ、計画には、災害時に支援が必要な人の避難の手順などが盛り込まれており、市は訓練のたびに問題点を見つけ、運用方法に細かな修正を重ね、訓練での気づきを個別避難計画に反映しています。

 本区で登録している中央区災害時地域たすけあい名簿の中で、十八歳未満のお子さんは何名いらっしゃるのでしょうか。

 在宅人工呼吸器使用者のための災害時個別支援計画について、対象の方々は、現在、本区では計画作成済みという認識でおりますが、その方々は具体的な避難訓練を実施しているのでしょうか。実際に防災訓練に参加されている方の割合を教えてください。

 そして、計画や訓練に加え、自治体が重視しなくてはいけないのが災害時に必要な医療機器の電源確保です。二○一八年に起きた北海道胆振地方を震源とする地震では、道内のほぼ全域で電力供給が止まるブラックアウトが発生し、人工呼吸器が止まった人の救急搬送が必要になり、電源の備えに注目が集まりました。停電に見舞われた札幌市では、二○一九年十月、自宅で人工呼吸器を使用する障害者に対し、非常用電源装置の購入費助成を始めました。川崎市では、二○二一年、三菱自動車の協力を受け、避難所でプラグインハイブリッド車の電源を使って、人工呼吸器の外部バッテリーを充電する事業を始めました。

 多くの自治体が災害時に必要な医療機器の電源確保に向けて力を入れており、本区でも、医療的ケア児にかかわらず、人工呼吸器を使用している方の電源確保事業に取り組んでいらっしゃることは承知しております。第七期中央区自立支援協議会の報告書によると、令和四年十月末時点では、中央区には医療的ケアを必要とする六十五歳未満の方が四十一名となっており、この方々に対する電源確保事業の取組について、現状や課題を教えてください。

 次に、安全・安心、魅力あるまちづくりについてお伺いします。

 現在、本区には、九月現在で町会・自治会が百七十六団体あります。令和四年第二回定例会の一般質問において、総務省による初の全国実態調査の結果を踏まえ、住民の世帯加入率の低下について問題提起させていただきました。調査では、都市部の集合住宅が増え、住民の接点が減り、役職や活動を重荷と感じる人たちが増えているのが要因とされており、スマートフォンアプリでの情報共有など、活動のデジタル化による負担軽減が進んでいない現状も明らかとなり、今後のデジタル化について質問をさせていただきました。

 二○二二年五月、当時、百七十七の全団体に対して、デジタル化の現状と意向に関する調査を実施しました。回収率七割時点での集計の速報値では、半数の団体が「デジタル化が進んでいない」と回答しており、デジタル化したい項目として、「回覧板」が約三割と最も多く、次いで「行事などの出欠確認」となっていました。あれから一年が経過し、最終的なアンケートの集計結果、そして、アンケート結果により進展したことがあれば教えてください。

 デジタル回覧板をはじめ、町会・自治会加入者が加入店舗で特典が受けられる優待制度を設ける自治体も増えてきました。現時点で、本区のデジタル回覧板の導入実績はゼロとなっておりますが、デジタル化の現状、そして課題について教えてください。

 さらに、町会・自治会への加入促進について、本区の御見解を教えてください。

 次に、福祉の充実についてお伺いします。

 昨年、医療的ケア児とその家族への支援拡充を国や自治体の責務とした医療的ケア児支援法が施行され、東京都内の自治体で新たなサービスや拡充策などの取組が広がりました。本区でも、本年度から、学校での付添いなど保護者の負担軽減を目的として、これまで自宅への派遣だった訪問看護師を特別支援学校へも対象を拡大し、医療的ケア児保育補助事業の充実を図りました。

 厚生労働省の医療的ケア児者とその家族の生活実態調査によると、二十歳までの医療的ケア児がいる家庭のうち、ゼロから六歳の医療的ケア児の子育てをしている家庭は五二・二%で、呼吸ケアや経管栄養などの医療的ケアを必要とする子供の育児は、二十四時間体制でケアが必要な場合がほとんどです。

 医療的ケア児や生命に関わる慢性の病気で長期間、高額な医療費がかかる小児慢性特定疾病患者の支援に向け、栃木県宇都宮市は、月五千円を支給する医療的ケア児等福祉手当を新設しました。心身障害者福祉手当と難病患者福祉手当の受給者は対象外とし、宇都宮市子ども発達センターでは、患者は年々増えており、本人や家族の経済的・精神的負担の軽減につなげたいとしています。

 国や東京都でも様々な支援を行っておりますが、保護者などの所得による支給制限や障害種別の支給条件が設けられております。本区でも、令和六年四月より、中央区立明石保育園に医療的ケア児専用保育室を開設します。今後もさらに医療的ケア児や小児慢性特定疾病患者を含む障害児への支援に力を入れて推進していただきたいと思いますが、課題を含め、本区の御見解を教えてください。

 お金を賭けない、お酒を飲まない、たばこを吸わないの三原則を掲げる健康マージャンが、高齢者の健康維持対策として注目を集め、普及、利用促進をする自治体が多く広がっております。自治体が行う介護予防や認知症予防教室などは、運動プログラムや脳トレなどが多くありましたが、近年では、eスポーツも注目を集め、多くの自治体が閉じ籠もりがちな高齢者の外出と交流を後押ししようと、様々な工夫を凝らしております。

 本区でも、桜川敬老館と浜町敬老館で健康麻雀教室が開催されており、多くの方が参加されました。令和三年第四回定例会において、認知症予防の新しい一手として、高齢者へのeスポーツの普及を提言させていただきました。当時は、課題等も含めて、実施については慎重に検討との区長答弁でしたが、ついに、桜川敬老館と勝どき敬老館でeスポーツも開催されました。参加をした高齢者の方々の反響、今後、区内全域で広げていく考えがあるのか、また、その場合の課題など、御見解を教えてください。

 次に、妊娠・出産から子育て環境の充実についてお伺いします。

 本区では、認可保育所や東京都独自の基準を備えた認証保育所を中心に、待機児童対策を進めてきた結果、現在、認可・認証保育所、こども園など、九十三施設が区内に設置されており、待機児童は二年連続でゼロ人となりました。六年前、第一子のときに待機児童を経験した当事者として、昨年の第二子の際は、課題が大きく解消されたことを身をもって実感しました。

 政府の提唱する異次元の少子化対策の具体的な中身である、こども未来戦略方針が正式決定され、働いているかを問わず、誰でも、時間単位等で保育所を柔軟に利用できる、こども誰でも通園制度などが盛り込まれました。国のモデル事業として、未就園児を週一日、二日預かりを始める試行事業が全国各地で始まっています。

 子供の預け先を決めるのは、とても重要なことであり、自宅近くがいい、駅の近くがいい、職場の近くがいい、園庭がある園がいいなど、各御家庭によって、預け先を決める優先順位は異なります。保育園落ちた日本死ねというワードが話題となり、待機児童問題が深刻化していた七、八年前、頑張れば通える範囲の保育園を何園も書き、入園できればどこでもいいと考えられていた当時とは違い、大幅に待機児童問題が改善された結果、本来希望する園に入園したいと考える保護者が主流となりました。

 認可保育園、認証保育園、こども園、地域型保育施設、認可外等々、様々な預け先の選択肢がある中で、全ての子供たち、そして子供を育てる全ての御家庭には平等に支援を行うべきと考えます。本区では、十月から第二子無償化がスタートしますが、対象となる保育施設から企業主導型保育園が外れました。そして、認証保育所以外の認可外施設については、事業者が自由に保育・教育内容や料金設定をできることから、幼児教育・保育の無償化の補助のみとしています。

 東京都の認可外保育施設利用支援事業では、国の幼児教育の無償化として、三万七千円の補助に追加し、第一子の場合は二万円を追加補助しております。東京二十三区のうち、十七区という多くの自治体が導入しており、本区の近隣である港区、千代田区、台東区をはじめ、お隣の江東区でも、本年十月より補助がスタートします。近隣区において、同じ園に通園しているにもかかわらず、住んでいる自治体によって保育料が変わるという現象が起きております。今後、HARUMI FLAGに多くの区民が増え、ますます子育て世帯の需要が高まると考えますが、第二子無償化、そして認可外保育施設利用支援事業の今後の展開について、本区の御見解を教えてください。

 最後に、教育環境の充実、学習活動の推進についてお伺いします。

 昨年、全国の公立の小学校、中学校、高校と特別支援学校、義務教育学校、そして中等教育学校を対象に、食物アレルギーがある児童・生徒が全国に約五十二万七千人いることが、九年ぶりに実施された大規模調査で判明し、二○一三年の前回調査より約十二万人増えました。花粉症になると、果物類のアレルギーを発症しやすいと指摘されており、花粉症の子供の増加が食物アレルギーの子供の増加につながっている可能性を指摘する専門家もいます。激しいアレルギー症状、アナフィラキシーを起こしたことがある児童・生徒の数も増加し、アナフィラキシーなどを想定した緊急対応の模擬訓練をした学校は、僅か二六・八%でした。

 アナフィラキシーが起きた際は、すぐに自己注射薬、エピペンを打てるかどうかで救命率が大きく変わるとされており、二○一二年に起きた東京都調布市での死亡事故では、体調不良を訴えてからエピペンを打つまでに十四分かかり、事故の検証委員会は、注射の遅れを指摘しました。調査では、二○二一年度中に、実際にエピペンを使った事例も集計し、全国で計一千四百十五件あり、うち救急救命士が打ったケースが三一・九%と最多、次いで教職員が二八・五%となりました。学校や幼稚園で教職員向けのアレルギー対応研修を行うとともに、アナフィラキシーへの緊急対応の模擬訓練を行うことがとても重要と考えます。

 本区でのアナフィラキシーを含めたアレルギー対応の研修状況、そして模擬訓練の実施状況について教えてください。

 救命時に重要とされるのが自動体外式除細動器、AEDです。本区でも、駅や学校、公共施設など、人が多く集まるところに設置され、誰でも簡単に使える医療機器です。ところが、ある民間企業の調査によると、男性のおよそ四割がAEDを使うのにちゅうちょする状況があるといいます。目の前で知らない女性が倒れているとき、AEDを使用することに抵抗を感じますかという問いに対して、およそ四割の男性が、できれば、女性には使いたくないと感じる、女性であれば、AEDは使わないと答えたということです。

 最近では、この問題に対し、多くの自治体で、AEDに上半身にかけて使う三角巾を配備する取組が広まっております。台東区では、傷病者が女性の場合に、プライバシーを保護することができ、男性でもためらいなくAEDを使用することができるよう、区内に設置しているAED全てに三角巾を配備しました。また、三角巾は、状況に応じて止血や患部を固定するなど、応急手当等にも使用できます。

 現在、本区での教職員をはじめ、児童・生徒のAED研修の実施状況を教えてください。

 そして、本区内に設置しているAEDに三角巾を配備することについて、本区の御見解を教えてください。

 こども家庭庁は、本年六月末、夏休みなど長期休み中の学童保育における食事提供について、全国一千六百三十三自治体を対象とした調査結果を発表しました。それによれば、五月一日時点、状況を把握している九百九十五自治体にある一万三千九十七か所のうち、児童に昼食を提供しているのは、僅か二二・八%に当たる二千九百九十か所であることが分かりました。お弁当作りの負担や夏場の食中毒を心配する保護者から、学童保育での昼食提供のニーズがあるとして、こども家庭庁は自治体に対し、地域の実情に合わせ、検討をと呼びかけております。提供方法について複数回答で尋ねたところ、「施設が外部に手配して提供している」が六二%、次いで「施設内で自前調理している」が一九%、「保護者会などが外部に手配して提供している」が一三%などとなりました。

 本区の現状として、子供の放課後の過ごし方については、保護者が主体的に参加していただくことが教育の質の向上には必要という考え方から、児童の保護者で組織する保護者会において、おやつの購入や保険加入、そしてイベントの企画などの運営をお願いしている状況です。これまでも、この問題については、多く指摘、議論がなされておりますが、なかなか前に進んでいない状況です。

 来年度より、学校内にプレディプラスが開設され、ますます需要が拡大する中、本区としても、課題解決に向けてどのような方策を取るべきなのか、立ち止まって考える、いま一歩進むべき岐路に立っていると思います。本区の学童クラブにおける保護者負担軽減に対する本区の御見解、そして課題について教えてください。

 さらに、夏休み等の長期休暇中に対して、こども家庭庁が昼食提供の推進をしていますが、本区の今後について教えてください。

 以上で第一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 梶谷優香議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、訪日客支援計画の策定についてであります。

 外国人旅行者に、滞在期間中、不安なく観光を楽しんでいただけるよう、災害時における安全・安心の確保対策を講じることは、極めて重要であります。そのため、区では、これまで外国人旅行者を含む帰宅困難者対策として、一時滞在施設の確保をはじめ、事業所、集客施設に対する利用者保護の普及啓発や、ホームページ、防災マップアプリを通じた多言語による災害情報の提供などの取組を地域防災計画に位置づけ、関係機関との連携の下、各種施策の展開を図ってまいりました。コロナ感染症が五類に位置づけられて以降、本区を訪れる方が増加する中、外国人旅行者が災害時においても安心して滞在できる環境を充実していく必要性は、今後、ますます高まっていくものと認識しております。区といたしましては、現時点において、訪日客支援計画の策定は考えておりませんが、ホテル事業者や大規模集客施設に対して、外国人旅行者を含めた利用者保護の普及啓発をより一層強化するなど、災害時における来街者の安全確保に資する取組を引き続き推進してまいります。

 次に、要配慮者への支援強化についてであります。

 本区では、七十五歳以上でひとり暮らしの方や障害者手帳をお持ちの方など、災害時に特に支援を必要とする避難行動要支援者全員を災害時地域たすけあい名簿に登録しており、本年四月時点での登録者数は八千二人であります。そのうち、防災区民組織や民生・児童委員など、地域の避難支援等関係者への情報提供に同意した方は三千百八人で、その割合は三八・八%となっております。また、名簿登録者のうち、十八歳未満の方は百十人で、災害時において電力の供給停止が生命の危機に直結する人工呼吸器使用者については、現在、区内に十四人おり、全ての方について、個別支援計画作成時に避難訓練を実施しております。医療的ケアを必要とする方のうち、人工呼吸器使用者を対象とする自家発電装置などの購入費助成については、区のおしらせやホームページへの掲載のほか、基幹相談支援センターやおとしより相談センター等、関係機関への情報提供に加え、障害福祉サービス等を利用される方へは、区のケースワーカーが対象者に対し個別相談に応じるなど、災害時の備えについて積極的に取り組んでおります。一方、東京都の在宅難病患者支援事業では、人工呼吸器使用者への災害対策として、医療機関を通じて発電機等を無償貸与しており、こうした区が把握できない方についても、問合せ等があった際には、かかりつけ医に相談するよう御案内しております。区といたしましては、今後も、災害時の支援が必要となる方が平時から備えることにより、自宅での安全が確保できるよう、医療機関をはじめ、関係機関や区内事業所等との連携強化に取り組んでまいります。

 次に、町会・自治会へのデジタル化支援についてであります。

 昨年度、町会・自治会に実施したデジタル化の現状と意向に関する調査の最終回答率は八三%であり、そのうち半数の団体が、「デジタル化が進んでいない」と回答しております。また、デジタル化したい内容は「回覧板」が約三割、区に希望する支援は「講習会の開催」が約二割と最も多く、回答率七割時点の集計と変わりはありませんでした。調査結果からは、デジタル化推進の意向は一定程度あるものの、知識を持つ人材の不足といった課題が明らかになりました。そのため、イベント周知など、外部への情報発信や団体内での情報共有に有用なSNSの知識を学んでいただくための講座を昨年十二月に開催し、十四団体の参加の下、十団体がSNSによる情報発信を開始したことから、今後も継続して開催してまいります。

 次に、町会・自治会への加入促進についてであります。

 町会・自治会は、季節行事やイベント等を通して、互いに顔の見える関係を築いており、日頃からの防犯活動や地域清掃、また、災害時の助け合いなど、住みやすい地域をつくる上で欠かせないものであります。区では、これまでも「こんにちは町会です」の発行や区SNS、町会・自治会ネットを通して、町会・自治会が行う地域活動の魅力を伝え、加入を促してまいりました。今後もこうした取組を積極的に行い、一人でも多くの区民に加入していただき、より活発な地域活動につながるよう努めてまいります。

 次に、障害児への支援についてであります。

 区では、障害児のいる家庭の子育てを支援するため、平成十九年度から、障害児通所支援や補装具の購入等に係る自己負担額の無償化を行っております。また、平成三十年度に、医療的ケア児を含む重症心身障害児を対象とする放課後等デイサービス事業者を誘致したほか、令和四年度から、特別支援学級に通学する医療的ケア児を対象に、リフト付ハイヤーの利用券を追加交付するなどの区独自の取組を進めてまいりました。加えて、子ども発達支援センターでは、子供の発達相談及び障害児通所支援をはじめ、重症心身障害児や医療的ケア児が身近な地域で必要な支援が受けられるよう、保健、医療、教育等の関係機関がニーズなどの情報共有を図り、連携する支援体制づくりに取り組むとともに、医療的ケア児コーディネーターを配置し、対象児童の早期把握に努めております。さらに、来年四月には明石町保育園に医療的ケア児専用保育室を設けるなど、子供の育ちを支えるサービス等の充実に取り組んでおります。障害児が増加傾向にある中、ニーズも増大し、多様化していることから、区といたしましては、障害児が健やかに成長し、家族と共に安心して地域で暮らせるよう、適切な相談・支援、サービスの充実に取り組んでまいります。

 次に、高齢者のeスポーツについてであります。

 現在、本区では、敬老館二階でボウリングゲームを定期的に実施しております。ゲームなどのデジタル機器が特に男性に人気があることから、敬老館における男性の利用を増やす目的で、令和四年度から開始いたしました。七十歳代、八十歳代の方は、若い頃、ボウリングに熱中した世代でもあり、参加した方には大変喜んでいただいております。今後、浜町敬老館においても、ネット環境等設備を整えた後に、eスポーツを導入する予定であります。一方で、eスポーツは筋力や視力の低下等を引き起こす可能性が懸念されているため、一回一時間程度とし、中央粋なまちトレーニングやヨガなど、体を実際に動かすメニューも併せて実施しております。区としましては、高齢者が楽しみながら認知症やフレイルの予防に取り組めるよう、今後も敬老館において、魅力ある講座を検討、実施してまいります。

 次に、子育て世帯への負担軽減についてであります。

 本区は、保育の実施義務者として、区内の保育ニーズに応えるべく、保育の質が確保された認可保育所や認証保育所を中心に、定員拡大を進めてまいりました。その結果、令和四年に続き、本年においても待機児童ゼロを達成し、また、各歳児の定員に一定の空きがあることから、保育の量はおおむね確保できているものと認識しております。こうした中、十月から実施する第二子保育料無償化の対象は、認可保育所と認証保育所としております。保育施設の選択肢が広がる中で、どのような施設を利用するかについては、各家庭の御事情によるものと認識しておりますが、保育の量が確保できている現状において、認可外保育施設への入所誘導となる認可外保育施設利用支援事業の対象施設の拡大は考えておりません。なお、認可外保育施設は利用料が高額であるなど、保護者の負担が大きいことも考慮し、認可保育所への転園に際しては、基本指数に加点を行うなど、入所しやすい仕組みとしております。

 次に、AEDへの三角巾の配備についてであります。

 AEDの使用に当たっては、女性への配慮が必要であることは区でも認識しており、区ホームページにおいて、服を脱がさなくてもAEDを使用できる旨の案内をしているところであります。そのため、現在のところ、三角巾の配備は考えておりませんが、心肺停止からの蘇生は一分一秒を争うことから、対象者の性別にかかわらず、速やかにAEDを使用できるよう、使用方法や設置場所について広く周知を図ってまいります。

 次に、学童保育における保護者負担の軽減についてです。

 学童クラブにおいて、子供が有意義に過ごすためには、御家庭の協力は不可欠と考えており、これまでも、保護者と共にお子様の成長を見守り、保護者会を中心とした様々な活動を通じて、児童の健全育成を図ってまいりました。プレディプラス内の学童クラブにおいても、同様の考え方から、引き続き保護者の御協力をいただきながら運営してまいりたいと考えております。一方で、欠席の電話連絡や夏休み等における昼食の用意などが保護者の負担となっているとの声があることは認識しています。こうした状況を踏まえ、プレディプラス開始に合わせ、欠席連絡や入退室のお知らせ機能などを持つ保護者連絡ツールを導入することといたしました。このほか、昼食提供も含め、さらなる負担の軽減に向けては、区と保護者が共に協力し、子供の健やかな成長を見守るという視点を大切にしながら、引き続き検討してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 学校における緊急時の対応研修についてであります。

 区立学校では、アナフィラキシーを含めたアレルギー対応の研修について、都の研修会を活用しつつ、各校においても、講演会形式の研修の中で注射器を使用した実践的な取組を行っております。また、AEDの使用における研修についても、既に全校で所轄の消防署の協力を得て実施しており、教職員のみならず、児童・生徒にも、発達段階に応じてAEDの目的や設置場所、使用方法について指導しているところであります。今後も関係機関と連携し、学校における児童・生徒の安全を最優先に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔八番 梶谷優香議員登壇〕

○八番(梶谷優香議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございます。

 歌舞伎座のような歴史的建造物もある高級街でありながら、低価格ブランドや裏道のレストランなどの親しみやすさも感じられる、様々な側面を持つ本区は、銀座をはじめ、多くの訪日客が訪れます。事業者の協力を得ながら、訪日客が多く訪れる本区として、訪日客の支援については、今後も考えていかなくてはなりません。国・東京都、そして事業者と連携し、具体的な支援施策に取り組んでいただきたいと思います。

 今回、医療的ケア児をはじめとする障害児について、防災の観点、そして支援の拡充について質問させていただきました。武雄市福祉部は、災害で想定される状況を網羅し、個別避難計画に最初から反映させることは難しい、訓練での気づきを生かし、進化させていくしかないと強調しています。防災課、福祉課といった役所内の縦割り行政を払拭し、ぜひ、医療的ケア児をはじめ、中央区災害時地域たすけあい名簿に登録されている方の避難訓練の実施、参加率向上に向けて、今後も取り組んでいただきたいと思います。

 災害・防災対策の観点からも、町会・自治会への加入促進は、自治体がこれからも力を入れて取り組まなければいけない課題だと思います。ぜひ、デジタル化を含め、今後も地域の活性化につながるよう、町会・自治会へ積極的な対策を講じてほしいと思います。

 高齢者の健康維持対策として、健康マージャン、eスポーツをはじめ、今後も様々な取組に期待をしております。ぜひ、参加された方のお声を聞き、普及、利用促進、そして男性への参加率向上に向けて、今後も魅力ある講座を続けてほしいと思います。

 子育て世帯への負担軽減について、本区のお考えについては理解いたしました。ただ、区民の方で子供を育てる御家庭は、なぜ中央区だけ補助額が少ないのか、なぜ自治体によって差があるのかと、御理解いただくのはまだまだ難しいと思います。東京都の事業ですので、ぜひ本区も前向きに御検討いただけたらと思います。

 教職員向けのアレルギー対応研修、模擬訓練の実施、そしてAEDの研修の実施については、緊急時も素早く対応ができるよう、今後も関係機関と協力をして、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 そして、三角巾の配備についてですが、ホームページの掲示にとどまらず、AED本体にも掲示するなど工夫を凝らし、先行事例の自治体を参考に、三角巾配備についても前向きに御検討いただきたいと思います。

 学童クラブにおける保護者負担軽減、そして昼食提供については、本区の実情に合わせ、課題を把握した上で、一つ一つ課題を解決しながら、こども家庭庁も推進しておりますので、各学童クラブのさらなる充実に期待をします。

 今回、私が質問で提案した内容について、少しでも区政に反映していただけるようお願い申し上げます。

 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

午後四時七分 休憩


午後四時二十五分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。まず、二十七番原田賢一議員。

〔二十七番 原田賢一議員登壇〕

○二十七番(原田賢一議員)
 私は、中央区議会自由民主党議員団の原田賢一です。令和五年第三回区議会定例会に当たり、さきに提出いたしました質問通告書に基づきまして、本区の基本構想、計画の着実な推進を図るための百年後の未来に向けた人の命と健康を公共の中心に据えた都市づくり、まちづくりへの考察と題し、一つ、本区活力の源泉は人、その人づくりについて、二つ、コミュニティ、すなわち地域力の強化について、三つ、将来を見据えた環境政策について、以上三点につきまして質問させていただきます。区長さんをはじめ、関係理事者の皆さんには、将来を見据えた視座広き御答弁を期待するところです。なお、再質問はあらかじめ留保させていただきます。

 一九二三年、大正十二年九月一日、マグニチュード七・九の巨大地震が帝都を襲い、東京は一夜にして惨たんたる状況となった。関東大震災です。今からちょうど百年前です。死者十万五千人以上、全焼全壊した家屋は、実に二十九万三千戸以上に上り、電気、水道、道路、鉄道などのライフラインにも甚大な被害が発生した。特に、隅田川流域の被害は深刻を極め、地震発生後の火災により、現在の本区を含む広範囲にわたるエリア、東京の四三%が文字どおり壊滅的な被害を受けた。この焦土と化した帝都東京の惨状を目の前にして、一人の男が誓いました。百年先を見越して、この東京をつくり直すと。そして、その後、僅か七年で瀕死の重傷を負った帝都東京をよみがえらせた男がいました。

 男の名は後藤新平、この帝都東京の復興という壮大なプロジェクトに命をかけて挑んだ男、都市計画の父と呼ばれた彼、後藤新平の波乱に満ちた人生の足跡をたどりながら、東京はいかにしてよみがえったのかを考察し、質問につなげたく思います。

 後藤新平というと、既に御存じの方は、この本会議場でも多々おられると思いますが、明治、大正、昭和とアジアを股にかけて駆け抜けた、類いまれなるリーダーであった男の人物像を語らずに、質問に入るわけにはいきません。まずは、彼のたどった波乱の道からお話しします。

 一八五七年、安政四年、江戸の末期です。後藤新平は、岩手県水沢、仙台藩の武士の家に生まれました。血縁関係には、蘭学者のあの高野長英、政治家では椎名悦三郎、同郷の士では、斎藤実第三十代首相、原敬第十九代首相の二人の総理大臣がいます。

 一八六八年、明治元年です。彼十一歳のとき、戊辰戦争に賊軍として敗れた後藤家は平民となった。暴れん坊ではあったが、水沢の俊才と言われた彼の東京へ出て官僚になる夢は、ここで絶たれました。そこで、藩閥政治に左右されない医学の道を志し、必死の勉強の下、東北の医学校を出て医者となった。

 明治十年、一八七七年、西南戦争が始まり、あの西郷隆盛の乱です。これに政府側医師として従軍しましたが、そこで、傷ついた兵士をせっかく治したんですが、その兵士たちが伝染病、コレラによってばたばたと死んでいくのを見て、これは行政が先頭に立って伝染病を予防しなければ駄目だと予防医学に目覚めました。

 明治十五年、一八八二年、幸運な出会いがあった。岐阜事件、板垣退助が暴漢に襲われ傷を負った、あの事件です。板垣死すとも自由は死なずとは、そのときの言葉です。このとき、愛知県立の病院長であった後藤が板垣の手当てをした。この板垣との出会いが彼の第二の運命を決めました。見事な治療の後、板垣は若き後藤を前に政治哲学を語りましたが、逆に、後藤は板垣に言い返しました。人間は生理学が基礎です、これを外しては駄目です、必要なのは哲学、理念ではなく、生き物としての人間の生理学に基づいた政治ですと言ったんです。それを聞いた板垣が彼に言った。君は医者よりも役人のほうがいいだろう。この出会いによって、彼は医者を辞めて、行政官の道を歩むこととなった。このとき、後藤、二十五歳。

 内務省に入った彼は、ドイツへ留学。当時、最先端のドイツ医学を学ぶ。このときもドイツでの大きな出会いがあった。後に近代日本医学の父となった、あの北里柴三郎でありました。北里の力量を見抜いた後藤は、日本へ帰国した北里を支えて、後日の、日本では民間医学研究所としては初めての北里研究所の設立に力を尽くしたのです。明治二十七年、一八九四年、日清戦争が始まった。このとき、帰還兵のコレラを含む疫病の検疫を、内務省衛生局長として彼が主導して水際対策、国内にコレラ、疫病を持ち込ませなかった。このとき、後藤、三十八歳。

 こうした業績を買われ、明治三十一年、一八九八年、日清戦争で領土となった台湾の総督府の民政長官となった。ナンバーツーです。彼、四十一歳。

 以後、九年足らずで、この台湾の近代都市化を成し遂げた。これもまた出会いがあった。人生、出会いです。一期一会です。この台湾の農業政策で共に力を尽くした、あの新渡戸稲造です。彼の著書、御存じ「武士道」、これは全て英語で書かれています。明治の時代ですよ。そして、百二十年後の今も読み継がれている名著です。国連事務次長としても働いて、女子教育にも尽力し、東京女子大学の初代学長も務めました。教育者です。後藤は、こういうすばらしい人たちとの出会いがあった。

 明治三十七年、一九○四年、今度は日露戦争が始まった。日露戦争によって手に入れた満州の開拓が始まった。台湾での力量を買われた後藤に、満州の開拓が任された。彼は南満州鉄道を設立、その南満州鉄道初代総裁となった。このとき、彼、四十九歳。ここでもまた、大連、奉天など、満州の都市化、近代化を成功させる。

 その後、こうした実績を認められ、中央に呼び戻されて、明治四十一年、一九○八年、逓信大臣となりました。郵政大臣です。そして、鉄道院総裁にも就任する。彼、五十一歳。

 その後は、内務大臣、外務大臣と歴任をし、大正九年、一九二○年、渋沢栄一らの勧めによって東京市長となる。今の都知事です。この東京市長就任のときの彼の言葉が残っています。一生に一度、国家の犠牲になって一大貧乏くじを引いてみたい、こう言ったんです。そして、就任後、直ちに東京改造計画を発表した。スピードが速い。予算は八億円。当時の国家予算は十五億円。国家予算の半分以上を使うというんです。だから、大風呂敷と呼ばれました。国会では、もちろんもう大反対に遭う。台湾、満州での土地改革、近代都市をつくり上げてきた実績の下に、この計画は大変緻密で正確なものであったのですが、議会の反対により計画は挫折します。

 この頃の東京は、東京、都とは名ばかりで、実際は江戸そのものでありまして、城下町でありますから、道は狭い、行き止まりが多い、木造家屋ばかり、どこがどこだか分からない。戦争には勝ったが、東京のまちがそれに追いついていないありさまだったので、江戸の城下町を近代都市にするには、やはり莫大な費用を必要としたんです。しかし、後藤以外のほかの政治家の中で、東京改造が急務であったことの必要性に気づいている者は誰もいなかった。この年、盟友の原敬総理大臣が暗殺されている。東京駅で暗殺されました。原が生きていれば、後藤の計画の流れも進んだと思います。

 そして、大正十二年、一九二三年、この計画が頓挫し、彼は東京市長を辞任した。しかし、辞任したこの年の九月一日、関東大震災が発生した。そして、その翌日、九月二日にはすぐに内務大臣に就任し、帝都復興院総裁となりました。帝都復興は、この男でなければできないと、焼け野原の東京の復興を任されました。彼、六十六歳のとき。

 それでは、いよいよ帝都東京の復興は、どのようにしてできたのか。まず、人集め、人材だ。台湾、満州で近代都市をつくり上げた優秀な部下たちを呼び集めた。皆、後藤のためには命をかけるという男たちが集まった。大プロジェクトの結成だ。調査し、企画、計画し、決定し、実行した。夜も寝ずの作業だ。そのスピードがすごい。復興予算は三十億円。当時の国家予算の三倍だ。これも国会議会での予算削減で、最終的には七億円と、当初の四分の一以下の予算しか取れなかった。冬を迎えて凍死者が出るかもしれない庶民のため、この縮小された予算の中で実行するしかなかった。

 まず、道路の整備だ。道路の拡張だった。江戸のまちの道路というより、ただの道だ。この道を新しく造り直すのは難問題だ。そこで、編み出したのが区画整理だ。今でこそ、ああ、区画整理かと言うが、あの頃では天才的発想だ。世界で初めての試みだった。東京の四割、九百万坪の区画整理を大変な苦労をしてやり遂げた。そして、東京のまちに新しい道路ができた。その一つが今の昭和通り。幅四十四メーター、環状一号から八号までの八本の環状道路で東京の都市構造を決定した。車がまだ大して走っていない時代に、これを考え出したことは、物すごい先見性があったんです。

 そして、その道路の下には上下水道のインフラ整備、防災のための都市公園も後藤の発想だ。日本で初めてのシーサイド公園は、あの横浜の山下公園、日本で初めてのリバーサイド公園は、あの隅田公園だ。御存じの旧十思小学校をはじめとする鉄筋コンクリートの復興小学校、隅田川に架かる、今では観光名所ともなる美しい鉄骨鉄筋の橋の数々、その他もろもろ、現在の東京の都市構造は、実に震災復興の計画からできている。世界的に見ても、これだけしっかりと災害からの復興を果たした例はありません。

 その後、第二次世界大戦の戦禍、あの東京大空襲では死者十一万五千人、損害家屋八十五万戸以上、この経験をしながらも、後藤を中心として策定された大規模な都市計画と経済や産業、さらには文化の復興も含めた帝都復興計画を端緒として、東京のまちは着実に発展を遂げてまいりました。

 ここで重要なことは、後藤の計画が、単に人命救助や被災者の生活再建といった救援、救済を目的としたものではなくて、天下国家の視点から都市の在り方を俯瞰し、長期的展望を持って、都市の復旧ではなくて復興を目指すものであったという点です。

 あれから百年の月日が流れました。今の東京の姿、景色は、後藤の目にはどのように映っているのでありましょうか。あの頃、後藤が思い描いた都市に、果たして我々は暮らしているのか。その評価は、後藤のみぞ知るところでありますが、この間の産業革新、技術の進展は、恐らく後藤の想像をもはるかに超えるものであったことは確かでありましょう。高度に都市化が進み、産業構造も人口構成も、あるいは人々の価値観もまた、当時とは大きく変容しています。関東大震災から百年が過ぎた今だからこそ、時代の変化や現代社会の現実、そして可能性を冷静に受け止め、次の百年を見据えた都市の在り方、まちの在り方を改めて見詰め直す必要があるのではないでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。お聞きしたいことは多々あるのですが、今日は、そのうちの三点についてお伺いいたします。

 まず一つ目、一に人、二に人、三に人という格言に象徴されるように、後藤新平は、この世の中をつくっていくのは人であるという強い信念を有しておりました。事実、震災や戦後からの復興を経て、今の中央区があるのは、まちに愛着を持ち、自分たちのまちを立て直そう、少しでもよくしようと、精いっぱい生きてきた先人たちの努力のたまものであります。都市活力の源泉は、やはり人であり、百年後も存在し得るまちであるためには、そこに生きる人々をいかに育てていくかが肝要です。

 そこで、お聞きします。

 区長は、これから先の中央区について、人づくりの観点からどうしていきたいのか、御見解を伺います。

 次に、関東大震災では、町内の住民組織が救援や相互扶助で大きな役割を果たすなど、地域社会での共助システムの有用性が指摘されております。後藤は、常々、地域で人々が集い、議論するのが自治の出発点だと語っており、地域コミュニティの重要性を説いておりますが、本区においても、地縁コミュニティが地域の核となって、まちの発展を支えてきた歴史があります。次の百年に向けて、こうしたコミュニティ、地域の力をさらに強化していくべきと考えますが、この点について区長の御見解を伺います。

 次に、自然災害が年々激甚化している背景に、地球規模の気候変動があることは論をまちません。気候危機への対応は、世界各国が総力を挙げて取り組むべき課題であり、自治体レベルでの取組も大変重要となっております。百年、二百年と続く持続可能なまちを実現し、次世代へバトンを託すためにも、区としてできることを全てやっていく必要があります。

 そこで、お伺いします。

 将来を見据えた環境政策について、区長の考えをお聞かせ願います。

 以上で第一回の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 原田賢一議員の御質問に順次お答えしたいと存じます。

 初めに、本区の人づくりについてであります。

 江戸開府以来、本区が日本の文化、経済の中心として発展を遂げることができたのは、紛れもなく、このまちを愛し、その時代時代を懸命に生きた人々の思いと努力によるもので、まさに、人こそ本区におけるまちづくりの原動力であります。中央区基本構想では、区の将来像を実現するための戦略として、まちの輝きと併せて、人の輝きを掲げており、先般策定した基本計画二○二三における九つの基本政策と各種施策も、このまちと人の視点からつくり上げたものです。二十万都市が目前に迫り、新たなステージへと進む中で、本区が今後さらなる成長を遂げ、都市としての魅力に磨きをかけていくためには、新たに移り住んでくる方々も含めて、区民がまちに愛着と誇りを持ち、自ら率先して地域の課題を解決していく環境を整えていかなければなりません。そのためには、まず、行政として区民サービスを向上させ、生活の満足度を高めていくことと同時に、区民が歴史や文化、地域資源等、本区の魅力についてよく知り、身近に感じてもらう必要があります。そこで、今後予定しているシティプロモーションの中で、こうした区の魅力を効果的、戦略的に発信し、区民のまちに対する愛着と誇りを醸成する取組について検討してまいります。また、自分たちのまちを自分たちでつくり上げているという実感を持っていただけるよう、防災訓練をはじめとした地域活動や区のイベント、事業等に区民が主体的に参加できるような機会を増やすなど、住民参加、協働の取組も推進してまいります。こうした取組を積極的に展開し、区民のまちへの興味・関心が愛着と誇りへと変わり、それが地域の活性化や暮らしやすさの向上に向けた具体的な行動につながるような好循環をつくることで、人が育ち、将来にわたって発展し続けられるまちを実現してまいる所存です。

 次に、地域コミュニティの強化についてであります。

 本区が誇る、人情味あふれる地域コミュニティは、長年にわたり、顔の見える地域活動を続けてこられた町会・自治会の皆様のたゆまぬ努力のたまものであります。こうした日々の活動は、住みよいまちづくりに寄与するとともに、地域イベントやお祭りの開催など、活気とにぎわいを創出していくものであり、本区の描く将来像、「輝く未来へ橋をかける ―― 人が集まる粋なまち」の実現に向け、欠かせないものと考えております。振り返りますと、百年前に発生した関東大震災を契機に、町会等の地縁組織の組成が進みました。それから約七十年が経過した阪神・淡路大震災において、倒壊した建物から救出された方の実に八割が住民等の自助・共助によるものであり、地域コミュニティの大切さが改めて認識されました。この東京においても、今後三十年以内にマグニチュード七クラスの大地震が七○%の確率で発生すると言われており、区といたしましては、区民の生命、財産を守る上で、地域コミュニティをより一層強化することは不可欠であると考えております。近年、デジタル化の進行により、SNSをはじめとするオンライン上でのつながり、交流が生まれております。こうした新たなコミュニティは、今後もますます多様化していくことが想定されますが、コロナ禍において、区が開催した各種イベントを通して、多くの方から、地域で活発に触れ合い、交流する、顔の見える関係を求められていることを実感したところであります。それは、まさに地域コミュニティを希求する区民の思いであり、区としても、将来にわたって継承・発展させていかなければなりません。そのため、基本計画二○二三におけるコミュニティ活性化プロジェクトの下、令和六年度予算編成方針において地域コミュニティの醸成を基本方針の一つに掲げ、全庁を挙げて取り組むことといたしました。本区の輝く未来に向け、豊かな区民生活とともに、我がまち中央区の魅力向上に資する地域コミュニティの強化を積極的に図ってまいる所存であります。

 次に、将来を見据えた環境政策についてであります。

 今年の七月は、世界の平均気温が観測史上最高を記録し、国連のグテーレス事務総長が地球沸騰化の時代の到来と危機感を訴えるなど、気候危機への対応は待ったなしの状況であります。持続可能な社会の構築に向け、世界中で気候変動対策が進められる中、本区におきましては、本年二月に策定した基本計画二○二三におけるリーディングプロジェクトにゼロカーボンシティプロジェクトを掲げるとともに、環境行動計画二○二三では、各基本目標に個別指標を設け、進捗管理を徹底するなど、気候変動問題を最優先で取り組むべき課題の一つとして位置づけているところであります。脱炭素化を加速させていくためには、区が旗振り役となり、区民、事業者と一丸となって取り組む必要があることから、区が率先して行動するとともに、区民、事業者の行動変容の促進に向け、機運の醸成を図ることが重要であると考えております。これを踏まえ、旧館山臨海学園の敷地を活用した太陽光発電所の整備、将来を担う若い世代が脱炭素社会の実現に向け、自ら考え、実践、発信するTeam Carbon Zeroの始動、本区の主導による都内の十三自治体が連携して森林整備を行う「多摩の森」活性化プロジェクトの立ち上げなど、将来を見据えた取組を他の自治体に先駆けて行っているところであります。区といたしましては、今後も国の動向などを注視しながら、新しい技術を積極的に導入していくとともに、区内建物のZEB化・ZEH化、地域間連携による再生可能エネルギーの利用拡大の推進など、脱炭素化に向けた施策のさらなる充実・強化を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十七番 原田賢一議員登壇〕

○二十七番(原田賢一議員)
 御答弁ありがとうございました。

 私は、先日、再度、東京都慰霊堂、また復興記念館に行ってまいりました。改めて、あの関東大震災の惨状を、写真のほか、見て回りましたが、悲惨ですね。逃げまどい、逃げ遅れた人々の焼け焦げた死体の山です。画家であり、詩人であった竹久夢二が、その惨状を多くスケッチして展示されています。これは見るに堪えません。まさに地獄絵図です。また、その後、全壊した東京の復興を目指した構想図面、模型なども見てみました。その復興図の中に元の久松小の公園の図面もありました。また、私の住まいがある月島の月島第一公園も復興図面の一つとしてありまして、私が子供の頃よく遊んだ公園の中にある六角堂も記されていまして、あのときに復興公園として造られたものなのだなと実感しました。横浜の元町公園の図面もありました。

 今回、後藤新平を軸に質問させていただきましたが、彼が残したものは、帝都の復興だけではありません。彼は、全て形にして残しました。東京の顔としての赤レンガの東京中央駅。官庁街も赤レンガにして、東京というところはこういうまちなんだと見せた。もう取り壊されましたが、中央郵便局もそうです。逓信大臣のときは、簡易保険も初めてつくった。ポストが赤いのも後藤新平です。今は移転した元の築地市場、取り壊されましたが、日本橋から築地へ持ってきて、あの緩いカーブの美しいL字の回廊の市場もそうでした。ボーイスカウトを立ち上げて、その初代総長も新平です。子供たちの教育にも力を注いだんです。人材育成です。また、今でいうNHK、当時の東京放送の初代総裁でもあります。ですから、NHKでの第一声は後藤新平です。

 また、ちょっと遠くは軽井沢の開発にも協力して、今、見事な幅の広い通りとなっている軽井沢のプリンス通り、これもそうです。この軽井沢の開発は西武グループの原点ともなりました。そして、シチズン時計のシチズンという名の名付け親も後藤です。広く市民に愛されるようにとつけました。シチズンとは、市民という意味ですよね。後に時計の名を会社名にしたのがシチズン時計株式会社です。

 日本に最初の海水浴場を愛知県の千鳥ヶ浜に開いたのも後藤です。医療と保養の目的につくった。今はレクリエーションとしてですが。また、後藤の自宅は、帝国ホテルを造ったフランク・ロイド・ライトの弟子、アントニン・レーモンドです。このレーモンドの弟子とも言われるのが、新宿の都庁を造った丹下健三です。後藤の自宅の跡地は、今、中国大使館となっていますが、震災のときは、自宅を避難所として開放して、自ら炊き出しもやった新平でした。

 また、道路といえば、杜の都、宮城は仙台の定禅寺通、幅四十六メートルです。これも後藤の部下であった、後に仙台市長となった岡崎仙台市長が造ったもので、行ったことがありますが、それは見事な通りです。同じく、この人が造ったもので、仙台の中心に造った勾当台公園、これも見事なものです。あの三・一一のとき、避難所としても大いに役立ったんです。後藤の意思は、その部下たちに脈々と受け継がれているんです。

 また、後藤は医者出身ですから、医者としての目で物事を見ることができた。国家は生き物であるが彼の哲学でした。国が生命体であれば、その血管である道路網、鉄道網、上下水道整備も不可欠であり、血管をきれいに通す。災害対策も同じこと。行政官となる早く前から、予防医学の重要性を訴えて取り組んでいた。東京を診察する。これは調査です。東京の治療法が分かる。これは検査。そして、その処方にかかる。すなわち、実行する。これは医者のやり方です。だから、当時の東京を一刻も早く治療しなければならないということが分かっていた。病を治すかのように。なぜか。庶民のことを考えたからです。国という体を治す行政官でありたかったんです。人の命と健康を守る。人間中心の機能を備えた都市づくりを、この時代に既に構想していた。

 後藤新平の残した言葉があります。金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だと言っています。一に人、二に人、三に人と、人を育てる天才でした。東京復興は、後藤に優秀な部下たちが、人材がいたからできた。最大の経済対策は人を育てることだとも言っています。すなわち、人づくりです。また、彼は、自治三訣の中で、こうも言っています。人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そしてそのむくいを求めぬよう。これは、思いやり、助け合い、そして自立の精神です。すなわち、地域力の強化です。そして、お話ししてきた帝都復興による庶民のための東京の環境の改善・整備です。すなわち、今でいうSDGs、持続可能なまちの実現です。

 そういえば、SDGsといえば、後藤新平の業績をしのんで、後藤新平賞というのがあります。今年、第十七回の後藤新平賞は、世界的な日本の照明デザイナーの石井幹子さんが受賞されました。去年は日本フィルハーモニー交響楽団だったと思います。この石井幹子さん、日本の都市、まちの夜景、夜の明かりに大きな変革をもたらした照明デザインにおけるパイオニアです。東京タワー、レインボーブリッジ、東京ゲートブリッジ、横浜のベイブリッジ、そして隅田川にかかる十橋のライトアップ、あの歌舞伎座もそうです。私がまだ若い頃、日本橋の三越の設計室でデザイナーとして務めておりましたとき、石井幹子さんと、ある物件で御一緒したときがありますが、やはりエレガントで、とてもすてきな方でした。石井さんは、もう今、八十歳を超されたと思いますが、まだまだその制作意欲は衰えず、これからは未来のまちと人の暮らしを照らしていきたい、今後はサステナビリティを意識した照明の実現をしたいと言っています。まさに、SDGs、持続可能、サステナブル社会の実現に力を貸すんだと言っています。後藤の思いは、今日もこうした方々に受け継がれているんです。

 ちょっと横道にずれました。話を元に戻します。

 昭和五年、一九三○年、関東大震災から七年後、東京が復興した。よみがえった。生まれ変わった東京を祝う記念祭が催された。三百万人がこれを祝った。しかし、この記念式典、記念祭に後藤の姿はありませんでした。復興に忙殺された後藤は、この前年に七十三年の生涯を閉じました。四月の桜の舞い散る日のことでありました。後藤が亡くなった後、個人資産は全く残っていなかった。後藤の部下のために用立てた借金だけが残っていた。日本人の中で、これほど大きな構想力のある人はいなかった。スケールが大きい。スピードが速い。私利私欲がない。異色の政治家にして行政マン、理想的な政治家にして、百年先を見通して時代を切り開き、日本の羅針盤となった男、後藤新平。東京をよみがえらせ、今日、一千四百万人が暮らす東京をこの男がつくったと言っても過言ではないでしょう。

 今回は、モダン都市東京、そして日本の近代をつくった政治家、後藤新平を軸に話を進めさせていただきました。大変駄弁を弄しましたが、どうぞ、この話の真意をお酌み取りいただいて、今後の理事者の皆さん、行政の皆さんの大なる努力によって、本区の基本構想、計画の確実なる進捗が図られ、未来への見事な橋を渡すことができますようにお願いをするところです。

 最後に、後藤新平の優秀な部下であり、後藤亡き後、東京市長を務めた永田秀次郎が後藤の死を悼んで詠んだ俳句を読み上げ、終わりとします。

 後藤新平の死を悼み、一句。花吹雪 日本淋しくなりにけり。花吹雪 日本淋しくなりにけり。東京市長、永田秀次郎。

 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(瓜生正高議員)
 次に、十三番かみや俊宏議員。

〔十三番 かみや俊宏議員登壇〕

○十三番(かみや俊宏議員)
 中央区議会自由民主党議員団のかみや俊宏です。会派の一員として、質問通告に基づき、質問いたします。区政の課題、地域の課題へ真摯に政策提言していくことをお誓いし、質問に入ります。区長並びに関係理事者の皆様におかれましては、一般質問二日目となり、他の質問者の質問と重なる点もあるかと存じますが、質問の趣旨をお酌み取りいただき、前向きかつ積極的な御答弁をお願いいたします。なお、再質問を留保いたします。

 初めに、効率的な行財政運営について伺います。

 一点目は、デジタル施策の推進についてです。

 本区は、これまで、中央区情報化基本方針で策定したロードマップ・アクションプランに基づき、キャッシュレス決済の導入、電子申請の充実、AI‐OCRやRPAの活用による業務効率化などに取り組まれてきたものと思います。この間、新型コロナウイルス感染症の流行や、チャットGPTやWeb3の普及など、社会情勢の変化や技術革新による新たな取組も進んでいると感じています。

 今年の夏、自民党議員団は、党情報調査局長兼ネットメディア局長である平将明衆議院議員を講師としてお招きし、デジタル・ニッポン二○二三~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~などを踏まえた今後の基礎自治体のデジタル政策について、政調会を開催しました。講義の中では、まずは書類を書かずに手続できる、そして、役所に足を運ばずに手続ができると、利便性向上、行政の効率化について学ぶ機会となりました。本区の情報化基本方針の計画期間は本年度までで、来年度は更新を行うタイミングです。

 そこで、伺います。

 本計画期間では、社会経済状況の劇的な変化もあり、様々な取組が進んだものと思いますが、ロードマップ・アクションプランの達成状況について、区の見解を伺います。

 あわせて、次期計画では、区民の利便性向上、行政の効率化に資する取組をさらに推進していただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

 二点目は、財政運営、公会計制度などについてです。

 先日、令和六年度の予算編成方針が公表されました。基本方針の冒頭に、公共施設需要の増大に対しては既存ストックの有効活用等を検討することと公共施設事業の増大に対する考え方が予算編成方針にも新たに示されたものと理解しています。施設整備は、後年度推計を含め、自治体の財政運営上、極めて重要な論点であると考えます。本区は、中央区公共施設等総合管理方針二○二二を策定し、区施設を七十年使用して更新・改築した場合、今後三十年間の費用はおよそ二千三十億円、年平均およそ六十七・七億円と見込んでいます。一方で、昨今、報道にもあるように、大阪万博の建設費大幅増をはじめ、全国的に工事・建設関連経費が維持管理費を含め、増加しているものと思います。本区でも影響を受けている事業もあると感じております。

 そこで、伺います。

 現在の物価高騰、工事関連経費の増加が中央区公共施設等総合管理方針二○二二の推計や今後の財政にどのような影響を及ぼすとお考えか、見解を伺います。

 また、施設整備の在り方、公共施設の新設、既存施設の有効活用など、公共施設の適切な維持管理の重要性と、今後の財政面での本区の対応について見解を伺います。

 あわせて、方針策定後に決定した大規模施設の後年度推計の重要性や、工事関連経費の高騰などを踏まえ、本方針の見直しを含め、再検討も必要かと思いますが、区の見解を伺います。

 次に、公会計制度などについて伺います。

 本区は、平成二十九年度から複式簿記・発生主義による公会計制度の運用を開始し、平成二十九年度決算から財務諸表を作成しています。公会計制度の方式は東京都方式を採用し、行財政マネジメントへの活用とアカウンタビリティの強化を図っています。

 そこで、伺います。

 財務諸表作成から六年が経過し、新たな公会計制度導入の意義をどのように考えているのか、区の見解を伺います。

 あわせて、ストック情報やフルコスト情報を通じた財務分析などを不断に活用し、効率的な行財政運営を目指すことが重要と考えますが、区の見解を伺います。

 次に、子育て施策の新たな展開について伺います。

 一点目は、中央区における今後の子育て施策の新たな展開についてです。

 本区は、先般、国・都の動向を踏まえ、今後の子育て施策の新たな展開の整理を行いましたので、都心区としての新しい放課後対策の推進について伺います。

 本区は、これまで様々な取組を講じ、保育所の待機児童を解消しました。しかし、学童クラブでは定員が足りず、令和五年四月時点で二百六十名の待機児童が発生している状況であります。我が会派としても、施策の充実を重点政策要望として区長へ提出し、様々な提言・提案をしてきました。そして、本年三月に策定された中央区基本計画二○二三では、区立小学校内の学童クラブ設置、プレディとの一体的運用が明記され、その後、六月には一体的運用の方向性が示され、本定例会において、来年四月からの実施に向けた準備経費などを盛り込んだ補正予算案が提案されるなど、着実な歩みを進めていると感じています。

 放課後対策の柱である学童クラブとプレディにおける長期休業中の子供の昼食は、お弁当の持参が原則となっています。この考え方は、親と子のコミュニケーション形成や子供の食生活の把握などの観点から理解するところであります。親が作るお弁当は、慣れ親しんだ味であることだけでなく、親への感謝の気持ちなど、子供の心と体の成長に資する側面もあると思います。一方、仕事を持つ親御さんを思うと、前日の疲れを引きずりつつ、朝の限られた時間でお子さんのお弁当作りを行っているかもしれません。加えて、近年のように猛暑が続く夏には食中毒への懸念が高まり、保護者の方々から多くの不安や心配の御意見をお聞きしています。

 現在、児童館内の学童クラブでは、これまで保護者会の取組により、長期休業中は外部事業者から配送されるお弁当の受け取りを児童館職員に担っていただけるようになっている一方、学校内のプレディでは、運営事業者の人員配置などの観点から、プレディ職員による受け取り対応が困難であるとのことです。

 子供の立場に立ったとき、子供にとっての最善は何か、親にとってどうすべきか、それぞれの家庭の状況などによって変わるものであり、意見の分かれるところであると認識しています。

 新年度から始まるプレディプラスは、小学校内に学童クラブとプレディを併せ持つものと理解しています。長期休業中のお弁当は様々な議論がありますが、児童館の学童クラブでは対応している外部事業者からのお弁当の受渡しが、小学校内に新たに設置される学童クラブでは対応できないというのは、公平性の観点から、早急に解決すべき課題と考えます。

 そこで、伺います。

 プレディプラスの長期休業中の昼食対応について、お弁当の持参を原則としながら、お弁当の配送を希望する方に対しては、お弁当の質や価格などを十分に考慮し、区や運営事業者が公益性も踏まえ、責任を持って信用できる業者を選定するなどして、お弁当の発注・受渡しを可能にする形を取ることができればと考えますが、区の見解を伺います。

 学校という環境を踏まえると、事業運営への支障や安全対策の面で様々な課題もあると思いますので、そのような課題もクリアし、様々な公益性を判断し、お弁当の発注を可能にしていただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

 二点目は、国が策定したこども未来戦略方針を踏まえた本区の取組についてです。

 今年の四月からこども家庭庁が設置され、六月にはこども未来戦略方針が示されました。その中で、国は、幼児教育・保育の質の向上として、昨今、幼児教育・保育の現場での子供をめぐる事故や不適切な対応事案などにより子育て世帯が不安を抱えており、安心して子供を預けられる体制整備を急ぐ必要がある旨の認識を示しています。

 そこで、伺います。

 子供をめぐる事故の状況を踏まえ、本区でも、認可外施設を含め、区内全ての保育園を対象に、さらなる安全対策などにつながる支援策を講じていただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、多様な支援ニーズへの対応、特別支援学校へ通う児童・生徒に対する支援について伺います。

 特別支援教育については、令和五年第二回定例会において、我が会派から一般質問でお尋ねをした日本橋地域への特別支援学級設置に向け、教育長から、検討案がまとまり次第、お示しをする旨の大変前向きな御答弁があり、その後、九月の区民文教委員会で、その検討案が報告され、令和七年度からの月島地域での増設、令和十年度から日本橋地域での新設という迅速な対応に感謝申し上げます。

 本区は、国・東京都に先駆けて、給食費の無償化を開始し、特別支援学級に通う子供たち、普通学級に通う子供たちへの支援が充実しました。一方で、やむを得ず区立以外の学校、特別支援学校に通う子供たちは異なる状況となっています。本区には区立の特別支援学校がないため、対象の子供たちの多くが近隣区にある都立の特別支援学校へ通っています。この負担軽減は、本来、学校設置者の東京都が実施すべきですが、やむを得ず区外の特別支援学校へ通う子供たちに対しては、可能な限り区立学校の児童・生徒と同様の支援を行っていただきたいと考えます。特別支援学校へ通う本区の子供たちは、区立学校にも籍があると聞き及びます。

 そこで、伺います。区が給食を学校設置者として無償化していることは理解していますが、こうした事情を踏まえ、都立特別支援学校へ進学した子供たちに対しても、区立学校へ通う子供たちと同様に、給食費を無償化していただきたいと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

 次に、日本橋東部地域の価値向上について伺います。

 初めに、グリーンリカバリーの進捗と中央区水辺環境の活用構想などについてです。

 自民党議員団の重点政策要望に加えて、令和三年、四年の一般質問など様々な機会を捉えて、グリーンリカバリーの考え方に基づく水と緑のネットワーク化、隅田川テラスの利活用などを推進していただきたい旨、前期の四年間、提言・提案、そして活動を続けてきました。

 この間、本区は、千代田公園や浜町川緑道の再整備、中央区水辺環境の活用構想の策定など、積極的な取組を推進していただいていることに感謝申し上げます。

 そこで、初めに伺います。現在進めている公園・緑道の再整備、隅田川テラスの利活用と中央区水辺環境の活用構想とを有機的に連動させ、日本橋東部地域においても、十年、二十年先を見据えながら、地域のさらなる魅力向上を計画的に推進していただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 次に、個別の論点について三点伺います。

 初めに、浜町川緑道についてです。

 本年度は、生まれ変わる浜町川緑道のシナリオとも言える基本設計について準備が進んでいるものと思います。今回の改修を通じて、緑道や段差の目立つ歩道の拡幅、違法駐車の対策を行っている車道の幅員の見直し、東西の往来の利便性向上、法的に公園と位置づけられていないことへの対応などが必要と感じています。

 そこで、伺います。

 緑道、車道、歩道を一体的に改修し、法的にも公園と位置づけ、地域の一つのシンボルとなるような緑道公園の整備を目指していただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 次に、浜町公園についてです。

 この間、様々な質疑・提言を続けてきましたが、日本橋中学校の改築に伴う仮校舎設置を踏まえ、浜町公園について改めて伺います。

 浜町公園の広場スペースの利用可能面積減少を公園内でどのように代替していくのか、区の見解を具体的にお聞かせください。

 また、近隣や利用者の皆様への影響が大きいと考えることから、隅田川テラス沿い、あやめ公園、久松児童公園など近接地も含め、代替機能、ヒートアイランドへの対応などを広域的にも御検討いただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

 最後に、中央区水辺環境の活用構想についてです。

 今回の構想では、京橋、日本橋、月島の地域ごとに、コンセプトや主に期待する機能が示されています。日本橋地域は、まちに開かれた働く人でにぎわう新進の水辺まちづくりというコンセプトと、歴史・文化の継承、ビジネス空間、にぎわい創出、コミュニケーション醸成、アウトドア活動が主に期待する機能として示されています。

 そこで、伺います。

 日本橋地域の一つの水辺の核と示された東日本橋・浜町公園エリアの水辺活用の今後の方向性について、どのような展開例を検討しているのか、区の見解を伺います。

 次に、地域資源を活用した魅力向上についてです。

 本年二月、浜町駅前にナウマンゾウの化石、浜町標本の案内板が設置されました。同時に、ナウマンゾウ研究の第一人者、滋賀県立琵琶湖博物館館長高橋啓一先生による講演会も開催されました。昭和五十一年の浜町標本の発掘、クリーニング、その後、論文の制作や復元も行われた高橋先生によれば、一つ、約三百か所のナウマンゾウ発掘の中で、まとまった同一個体の骨格が発見された数少ない標本であること、二つ、頭の骨と体の骨が一緒に発見されたのは浜町標本だけであること、三つ、体の骨の産出数が多かったため、それまでの復元よりも正確な復元ができたことなどの理由から、学術的価値が極めて高く、浜町標本は日本を代表する標本であるとのことでした。

 また、日本で最も多く展示されている北海道の忠類標本が新たに展示用に製作される際には、浜町標本の成果を使って修正がされています。その理由は、忠類標本は一つ一つの骨の変形が大きく、アジアゾウを見本として組み立てたため、ナウマンゾウの真の姿になっていなかったからとのことであります。浜町標本の復元に当たっては、アジアゾウやアフリカゾウなどの別種のゾウをモデルに使うのではなく、浜町から発掘された化石を使って、できるだけ忠実に復元したことから、復元された標本の中で最も真のナウマンゾウの姿に近くなったと言われているとのことであります。学術的に貴重だからこそ、この標本を浜町のためだけでなく、広く日本国民、もっと言えば地球の宝として今後どうあるべきかという視点で考える必要がある、そのような旨のお話もありました。

 そこで、地域の方々は浜町標本の今後の活用について考え、来年、二○二四年の秋に、ナウマンゾウ命名・生誕百年を記念して、中央区で全国ナウマンゾウサミットを開催する準備をスタートしました。現在、サミットの開催に向け、北海道幕別町教育委員会、長野県野尻湖ナウマンゾウ博物館、滋賀県多賀町立博物館、同教育委員会、静岡県浜松市の方々と検討を始めています。

 そこで、改めて伺います。

 昨年御答弁いただいた、本の森ちゅうおうでの江戸東京博物館が所有する浜町標本の展示やトークイベントに加えて、全国ナウマンゾウサミットを教育委員会にも応援していただけると、大変心強く思います。また、九月十八日まで千葉県立中央博物館で千葉県誕生百五十年として開催された特別展のように、中央区でも、ナウマンゾウ命名・生誕百年を記念して、八王子市教育委員会所蔵の浜町標本を借用・展示いただくことを検討いただきたいと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

 最後に、久松幼稚園の移転などについて伺います。

 令和三年第三回定例会で、母校、久松幼稚園の移転などについて五つの質問を行いました。内容は、それまでの経緯や関係者の方々への説明と反映した意見、小学校の増改築、近接地の活用など、地域の意見に対しての検討経緯、久松・常盤の歴史・伝統を大切にした園名・通称、移転に係る現実の問題認識、対策の検討状況、そして、移転は仮移転のイメージとし、久松地域へ戻るべきではという五つでした。

 あれから二年がたちました。六月の第二回定例会では、久松幼稚園の位置を変更する条例案も可決されました。その際、一時的な移転である旨の御説明があり、二年前の経緯、質疑を踏まえた御説明と理解しています。移転が進んでいることを実感しているところであります。

 そこで、伺います。

 来年九月の移転に向け、これまで生活面で準備、サポートしてきたこと、また、現在の準備状況を踏まえ、今後、子供たちの教育面やバス移動などの安全対策について、さらに、保護者や地域の皆様に配慮を考えている事項について、教育委員会の見解をお聞かせください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 かみや俊宏議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、デジタル施策の推進についてであります。

 令和三年二月に策定した第七期中央区情報化基本方針では、区民の利便性向上と業務の効率化を図るため、七つの取組の柱と具体的なアクションプランを定めております。これまで、窓口におけるキャッシュレス決済やオンライン申請の拡充、ホームページのリニューアル、SNSを活用したプッシュ型の情報発信など、区民ニーズに対応した質の高いサービス提供に取り組んでまいりました。また、保育所の利用調整でのAI活用、RPAによるデータ入力の自動化などを進めるとともに、来年一月には電子決裁・文書管理システムを導入し、デジタルを活用した業務の効率化を図ることとしており、方針に掲げた取組はおおむね達成できる見込みであります。この三年間において、新型コロナウイルス感染症の流行などにより様々な分野でのデジタル化が進むとともに、社会全体でのデジタル技術を活用したトランスフォーメーションが求められていると認識しております。そのため、次期方針においては、オンライン申請の拡大などによる区民の利便性向上はもとより、デジタルを活用した業務プロセスへと事務を見直すほか、デジタルを業務で活用できる人材の育成などに積極的に取り組み、DXによるさらなる効率的な行政運営に取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、物価高騰や工事関連経費の増加が与える影響についてです。

 本区では、人口増加に対応した施設整備など、投資的経費の割合が高い状況にあり、物価高騰による工事費の増が落ち着く兆しも見えない中、今後さらなる物価上昇も危惧されていることから、財政運営に与える影響は予断を許さない状況であると認識しております。公共施設等の整備や維持管理経費は、財政出動として規模も大きく、また、人件費や原材料費など、社会経済状況の影響を受けやすい側面があります。本区の公共施設等の管理に当たっては、中央区公共施設等総合管理方針二○二二に基づき、適切な予防保全を行いながら施設の長寿命化を進め、計画的な維持管理、改修・改築等を行うことで財政負担の軽減・平準化を図っております。施設の整備、改修等の財源については、計画的に基金の積立てを行い、厳しい財政環境にあっても、今後見込まれる施設需要に対して適切に対応できるよう努めてまいります。公共施設等の具体的な整備、維持管理は、中央区公共施設個別施設計画等にのっとって実施しており、この中で、今後十年間に大規模改修または改築の対策が必要となる施設について、対策内容と実施時期を実行計画として整理しております。この実行計画については、財政状況や施設需要、施設の老朽化状況等のほか、物価高騰など、昨今の社会状況の変化も総合的に考慮しながら、適宜見直してまいります。

 次に、公会計制度についてです。

 区では、平成二十九年度に新たな公会計制度を導入したことにより、それまでの官庁会計では把握できなかった資産、負債などのストック情報や減価償却費や引当金などを含むフルコスト情報が把握できるようになりました。平成三十年度からは、前年度決算の分析にストック情報等を盛り込んだ財政白書を発行しているほか、令和元年度からはフルコスト情報を組み入れた新たな行政評価を導入するなど、財務情報を活用した行財政マネジメントやアカウンタビリティの強化を図っているところです。また、行政評価の評価単位と予算の大事業を連動させ、行政評価で明らかになった各事業の課題や方向性を踏まえ、翌年度の予算編成を行っております。今後とも、財務情報を基に、課題の発見や解決策の検討、効率性の検証など、公会計制度を活用しながら効率的な財政運営に努めてまいります。

 次に、プレディプラスにおける長期休業中の昼食対応についてです。

 学校休業中における日々のお弁当作りが保護者の負担となっているとの声があることは認識しております。プレディプラスにおける昼食提供については、現在の児童館のように複数の事業者のお弁当が様々な時間に届く状況では、スタッフの配置や施設のセキュリティの観点から、対応が困難でありますが、御提案のように特定の事業者からの配達であれば、実現性の高い有効な手段であり、保護者の負担軽減や事業の効率化にも資するものと考えております。御提案の内容を実現するためには、お弁当の内容や配達、保管方法など、安全・安心な昼食提供が可能な事業者を選定する必要があるため、他自治体の事例を参考にしながら、区として早急に検討してまいります。

 次に、保育所におけるさらなる安全対策についてであります。

 保育施設における子供の安全確保につきましては、運営事業者が第一義的責任を負うとの認識の下、本区では、事業者の主体的な取組により、安全・安心で質が確保された教育・保育が提供されるよう、指導検査や巡回指導を実施しております。また、本年四月の保育施設における安全計画策定の義務化を受け、区内保育所に対し区が助言するなど、計画策定の支援を行ってまいりました。さらに、この夏には、送迎バスの安全装置設置に対する補助制度を新設するなど、安全対策を積極的に講じてきたところです。そうした取組の中で、区として、園内・園外活動中においても、より一層の対策の必要性を認識したところであり、認可外保育施設も含めた、さらなる安全対策の強化について前向きに検討してまいります。

 次に、日本橋東部地域のさらなる魅力向上についてであります。

 日本橋東部地域は、緑と水辺、歴史と文化が共存する魅力あふれる地域であると認識しております。緑につきましては、浜町公園を拠点に、周辺の公園や浜町川緑道などを街路樹等でつなげることにより、緑の連続化を図っているところであります。水辺につきましては、隅田川における周辺景観との調和にも配慮した空間を形成するとともに、スロープの設置やテラスの有効活用を図っていく予定であります。区といたしましては、緑と水辺の連携により、地域の回遊性や防災性の向上を図るとともに、本年七月に策定した中央区水辺環境の活用構想を踏まえ、文化的資源に触れながら散策することのできる、緑豊かで水辺が楽しめる水と緑のネットワークを構築することで、地域のさらなる魅力向上を図ってまいります。

 次に、浜町川緑道についてであります。

 浜町川緑道は、日本橋東部地域の緑のネットワークの軸として、地域の方々に親しまれているところであります。しかしながら、前回の整備から三十年以上が経過し、施設が老朽化するとともに、利用者ニーズも多様化しています。また、沿道の路上駐車や人形町と浜町間のアクセスにも課題があることから、再整備に当たっては、緑道はもとより、道路を含めた一体的な整備が必要であると考えております。区では、昨年度、交通量調査を行い、現況や路上駐車の実態を把握し、浜町川緑道に関する区民の意識調査を実施したところであります。それらを踏まえ、今年度は、緑道の樹木の健全度調査を行うほか、意見交換会を開催するなど、基本設計の策定に向け、作業を進めているところであります。区といたしましては、この機会を捉え、緑道を区民が憩える公園として位置づけ、機能の充実など、質的な向上を図ってまいります。

 次に、浜町公園についてであります。

 日本橋中学校仮校舎を設置する広場は、現在、子供たちの遊び場や地域のイベントなど、様々な用途に利用されていることから、代替となる広場を確保する必要があります。代替広場は仮校舎の設置場所に隣接するエリアに設け、その整備は、樹木を保全するための移植工事に着手する前に実施する予定であります。整備に当たっては、多様な用途に利用できるよう、築山の整地や既存遊具の再配置により、現在と同等の面積を確保してまいります。さらに、あやめ公園の広場の活用や久松児童公園の遊具の利用を促すなど、利用者の分散が広域的に図られるよう、それぞれの公園の施設情報を区のホームページ等を活用し、区民に分かりやすく周知してまいります。

 次に、日本橋地域の水辺活用の今後の方向性についてであります。

 都内随一の豊かな水辺空間を有する本区では、公園や緑地と併せて水辺を活用し、区民はもとより、来街者も憩え、楽しめる水辺空間を形成していくことは重要であります。今般策定した中央区水辺環境の活用構想では、本区の地域特性に応じた水辺活用の展開について示しており、日本橋地域の水辺の核の一つである東日本橋・浜町公園エリアにおいては、浜町公園を拠点とした隅田川沿いの水辺や緑道の一体利用を掲げております。この拠点を水辺の核とし、水と緑のネットワークを形成することにより、回遊性、連続性のある散策路の整備、舟運の利便性向上、隅田川テラスを活用したオープンカフェやマルシェによるにぎわいの創出などについても検討することとしております。また、都においても、本年六月に隅田川等における未来に向けた水辺整備のあり方を公表し、本区においては、両国橋から浜町公園までを水辺の拠点の一つとして位置づけており、歴史・文化が息づく「水の都」東京の顔をコンセプトとして、水辺整備を目指すとしております。区といたしましては、今後も関係機関などと連携し、当該エリアのさらなる魅力の向上やにぎわいの創出に向け、積極的に取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、特別支援学校へ通う児童・生徒に対する支援についてであります。

 給食費の無償化につきましては、本来、学校設置者である東京都教育委員会が実施すべきであり、特別区教育長会としても各区の意見集約を図ったところではありますが、無償化を行っていない区もあることから、要望書の提出には至りませんでした。しかしながら、御指摘のように、都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒は、居住する地域とのつながりの維持・継続を図るため、地元の学校に副次的な籍を持つこととされております。こうしたことから、東京都が学校設置者として実施するまでの間、教育委員会といたしましては、学校給食費の無償化の対象とすることについて、前向きに検討を進めてまいります。

 次に、浜町標本についてであります。

 浜町から出土したナウマンゾウの化石は、古生物の生態のほか、大地や気候変動の解明に資する発見として有意義なものと認識をしております。本区近隣においても、日本銀行本館や江戸東京博物館において発掘された遺物の展示が行われているほか、千葉県立博物館においてもナウマンゾウなどの古生物の化石標本を集めた特別展が開催されるなど、考古学的な重要性を考察する取組として実施されました。こうしたことから、本区浜町地域や関係自治体、ナウマンゾウ発掘地の博物館などで機運が醸成されつつある全国ナウマンゾウサミットが開催された場合には、教育委員会として後援するとともに、郷土資料館での関連企画の開催に向けた準備など、可能な協力と支援を行っていきたいと考えております。また、八王子市教育委員会からの浜町標本借用については、子供たちにとって理科学習への関心を喚起する観点から有効と認識しており、借用に向けた条件整理とともに、さきに御提案のサミットと関連した展示等について検討してまいります。今後は、本区の歴史的資源としての位置づけにとどまらず、さらなる地域活性化に向けた活用について、本区観光協会や関係部署と協議を行ってまいりたいと存じます。

 次に、久松幼稚園の移転と今後の教育環境についてであります。

 久松幼稚園では、令和六年九月の常盤園舎への移転を見据え、これまで保護者に対して移転スケジュールや定員数、通園方法等、説明を行ってまいりました。また、園児には、常盤園舎の工事状況を園内に掲示し、紙芝居で分かりやすく説明を行ってきたほか、実際に保育室で使う内装材料に触れる機会を設けるなど、常盤園舎への移転に向けて期待感が高まる取組を実施しております。現在、通園バスの安全対策として、添乗員や教員が乗車するほか、安全装置を設置する予定であります。また、園児自身が通園に慣れるよう、移転までの期間中、通園バスで常盤園舎に行く機会や、常盤園舎で事前に教育活動を試行することを計画しております。さらに、教育面においては、これまでの久松小学校に加え、常盤小学校とも直接的な交流を行い、両校の文化や特色を生かしながら、幼稚園と小学校の連携を一層推進してまいります。今後も、保護者や園児、地域の方々の移転への期待が高まるよう、様々な機会を通じて丁寧な説明を行うとともに、通園バスを披露するほか、常盤園舎の内覧会を実施するなど、機運醸成を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔十三番 かみや俊宏議員登壇〕

○十三番(かみや俊宏議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございました。順次、所感、要望等を述べさせていただければと思います。

 初めに、効率的な行財政運営、デジタル施策の推進、御答弁いただきましたが、様々な取組が、コロナ禍ということも含めて、進んでいった。そして、それを今後もしっかりと進めていくということでありますので、業務の効率化、この中でどのように業務を行っていくのか、どれぐらいの業務量になっていくのか、いろいろな意味で検討を進めていただいて、その取組というものをさらに推進していただきたいと思っております。

 また、物価高騰、建築費を踏まえた公共施設の管理方針の見直しでありますが、適宜見直しをしていくということでございましたが、認識は共有していただけているのかなと。御答弁のとおり、投資的経費だったり、維持管理費の金額が非常に大きい。少し予算書等を拝見しますと、本年度の当初予算案でも一千五百億円弱、投資的経費が五百七十億円余り、今の計画の維持管理費六十七億円ということでいうと六百四十億円余りということで四割を超える。非常に大きい経費だと思いますので、御答弁の趣旨のとおり、適切な管理というものをしっかりとお願いしたいと思いますし、恐らく実際に建物を管理している部局、そして事業を所管する、その施設の所管の部局、全体の計画をつくっていらっしゃるのは企画部門だと思いますし、予算部門も含めて、全庁でしっかりと見ていただきたい。

 と申しますのも、やはり予算の話に戻りますけれども、非常に影響が大きい。箱物を一つ造る。その後の後年度推計、後年度負担というのがすごく大きいんだろうと私は思っておりまして、恐らく、今、様々に管理していただいていると思いますけれども、予算編成あるいは決算のタイミングだけでなく、非常に大きい金額の負担が間違いなくかかってきてしまうものです。この管理・監督はしっかりしていただいていると思いますが、大きい事業については、特に個別に予算・決算の時期だけでなく、適宜見ていただきながら、後年度負担を見誤ることなく、これからも管理運営、効率的な行財政運営をお願いしたいと思っております。

 そして、財務諸表作成から六年たった公会計制度の意義、様々な工夫をしている中で、つくられるのは本当に大変だと思います。そして、新しい公会計制度の意義、フルコスト情報を活用して、決算を踏まえて、それをまた予算編成に反映いただいていると思いますので、この取組をさらに推進していただきたいと思っております。

 次が、子育て施策の新たな展開ということで、プレディプラス、学童クラブの長期休業中のお弁当の発注についてであります。

 御答弁の中で、まず、課題としてはしっかりと認識をされているということ、そして、やり方に課題はあるが、前向きに、早急に検討いただけるという旨の御答弁だったと思います。御答弁の趣旨で、ぜひ前向きに、利用者の皆様、そして運営事業者の方々もしっかりとできていくような、子供たちの視点を大切に、これからも取組というものを進めていただければと思います。

 また、安全対策のさらなる強化、これまで取り組んでいただいている。そして、これからも、今の事故を踏まえて、検査であったり、指導監督というものをしっかりとやっていただいているけれども、その中で、さらなる対策というものを行っていく、このことについて検討いただけるということでありますので、ぜひ御答弁の趣旨で取組を推進していただきたいと思います。

 すみません。先に日本橋東部地域の価値向上について申し述べさせていただきたいと思いますが、本当に、全体として非常に前向きかつ積極的な御答弁をいただけたことに感謝を申し上げます。

 議会で前期から質問させていただいて、この課題をずっと申し上げていると思います。この四年間で本当に様々なことを推進していただいていると思いますので、ぜひ、さらなる取組の推進というものを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、教育委員会、教育長からの御答弁に対してでありますけれども、まず、特別支援学校についても、副籍制度ということで、様々な資料などを拝見したり、都教委の資料など、随分前からの資料もあるかと思いますけれども、拝見をしていても、この副籍制度というところを含めて、ぜひ、どのような形で子供たちのためにすることができるのか、検討を進めて、施策として取組を推進していただきたいというふうに思います。

 そして、ナウマンゾウについても、これは初めての一般質問のときからやらせていただいておりまして、地域での機運が醸成されておりますが、本当に前向きな御答弁ありがとうございます。

 そして、最後に、久松幼稚園の移転についてでありますが、移転に向けた機運の醸成、ぜひ、本当に皆さんが前向きに捉えていただけるような取組というものを教育委員会として、地域には恐らくいろいろな思いを持った方がいらっしゃると思いますが、皆さんにそういうふうに思っていただけるような取組というものを推進していただきたいと思います。

 大変長くなりましたが、様々に積極的かつ前向きな御答弁をいただきましたことに感謝を申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

午後六時一分 休憩


午後六時二十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。四番黒原裕司議員。

〔四番 黒原裕司議員登壇〕

○四番(黒原裕司議員)
 中央区議会参政党の黒原裕司です。さきに提出しました一般質問通告書に従いまして、今回、初めて中央区議会の一般質問に臨ませていただきます。不慣れな点が多々あるかとは思いますが、区長及び理事者の皆様におかれましては、明快な御答弁のほどお願い申し上げます。なお、御答弁によりましては、再質問をさせていただきます。

 私からは大きく二点、新型コロナウイルス感染症への対応について、そしてLGBT理解増進法案への本区の取組姿勢についてです。それぞれ、取り巻く状況を述べた後、質問をいたします。

 まず第一に、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。

 本年五月八日に新型コロナ感染症の分類は五類へと変更となり、マスク着用が基本的に個人の判断になるなど、変化がありました。これまでは、外に出る、人と話すという機会がなかなか持ちにくい雰囲気が続いておりましたが、まちにはコロナ禍前の日常風景、活気が戻りつつあります。

 その一方で、新型コロナ対策としてのワクチン接種の体制は継続しており、本区でも、昨日、九月二十日から追加のワクチン接種が開始となりました。本ワクチン接種では、接種自体は最終的に任意、個人の判断としながらも、これまで努力義務や推奨とされてきた六十五歳以上の方々、基礎疾患のある方については、もう七回目にわたる実施となっています。コロナ禍の三年間での予防接種実施回数としては、極めて頻度の高い施策と感じられます。そして、日本全体では、これだけの追加接種等を重ねても、追加接種を行わなくなった諸外国よりも感染者数が多いという結果も出てきております。

 そうした中で、本ワクチンによる被害、ワクチン後遺症も確認されてきております。厚生労働省の疾病・障害認定審査会、本年九月十一日付の審議結果によれば、本ワクチンの予防接種健康被害救済制度の申請状況は、これまでの総申請数が八千件以上、そのうち手続が完了し、被害認定をされたものだけで四千件以上となってきております。その中には死亡の二百件超を含んでいます。この被害件数は、一九七七年から本ワクチンが始まる二○二一年までの過去四十五年間でのインフルエンザや日本脳炎ワクチンなどで認定されてきた同被害救済制度の被害件数の累計三千五百件、死亡百五十件を上回るものです。たった三年間で、過去四十五年間の実績を超えてしまっている。また、四千件近くの未審議の案件も、これから確認されていく状況であります。さらなる被害件数の増加、また、これから救済申請自体も増えることが予想されてきます。

 そして、これとは別のまとめになりますが、厚生労働省が審査を対応している本ワクチンの副反応疑い報告制度では、因果関係は不明とされてはおりますが、接種後の死亡疑い報告が累計二千件を超えてきております。これまでにも、人口動態統計における年間の超過死亡者数は本ワクチン接種が始まった二○二一年から異常な増え方をしているということが一部でも懸念されてはおりましたが、国がワクチン被害として認めるところでも、こうした状況が明らかになってきています。従来、インフルエンザなどに使用されてきた不活化ワクチンとは異なり、十分な長期試験が行えていない新技術である今回のmRNAワクチンの問題点が出てきているのではと感じております。

 本ワクチンの被害については、新型コロナワクチン後遺症患者の会という団体が本年七月二十四日に記者会見をされ、被害状況や救済認定の迅速化を訴えております。この会の参加者には中央区民の方もおられ、実際に体験した症状等について直接お話を聞かせていただきました。本ワクチン接種後に、体に明らかにふだんとは違う不調が出ているにもかかわらず、相談に行ったほとんどの病院は、ワクチン後遺症については全く考慮しなかった。救済申請についても、体調の悪いときに煩雑な申請や資料集めをしなくてはならず、そこでまた必要な資料としてカルテの取り寄せ等を病院にするも、病院側の非協力的な態度、理解のなさに苦しんできたと言われておりました。

 そして、九月からの追加接種に関する懸念点といたしましては、九月から使用される本ワクチンがXBB対応という新しい型であることです。もともと本ワクチンは、日本でも緊急承認という形で進められてきたもので、人体への五年や十年といった長期的影響の確認というものはされてきておりません。このXBB対応のワクチンは、その中でも、既に緊急承認された、これまでの本ワクチンからの対応株が変更となったという手続上の理由から、マウスによる非臨床治験の結果だけで進められてきておりまして、人への治験を経たものではございません。国は、安全性の十分な確認もない中で、九月からの新しいワクチン接種を進めてきております。

 そうした中で、本区の現在のワクチン対応といたしましては、本区の対象者、つまり、初回接種を完了して直近の接種から三か月以上経過した生後六か月以上の区民に対し、九月からの追加接種券を配布し、また、本区のホームページ上には、ワクチン接種に関する特設サイトを設け、情報発信をされてきております。

 こうした状況を踏まえて、三点お伺いいたします。

 一点目、本ワクチン接種は、最終的には個人の判断、自己責任として行われています。国が行う施策のため、本区としてワクチン行政を止めることはできないかと思いますが、後遺症被害も確認されている中、より区民の判断に任せていくような事務手続をしていくことは可能と考えております。一例として、接種券を一律対象者に配布するということではなく、申込制にするといった形です。例えば、愛知県名古屋市では、接種の努力義務のない対象者については、申込制としております。本区では、既に九月接種分、追加接種分の配布というものは完了してしまったかと思いますが、国は今後、このワクチンについて定期接種の体制へと継続していくということも言われてきております。このような申込制にするといった運用変更案につき、本区の考えをお聞かせください。

 二点目、広報面につきまして、前述しました本区の特設サイトを拝見した限りでは、接種体制や手続の説明が中心で、本ワクチンに関するリスク面や被害状況、被害救済制度の案内については、明らかではありませんでした。接種が個人の判断である以上、区民の判断材料を増やすために、本ワクチンに関する否定的な情報も、より分かりやすく表示すべきと考えますが、本区のお考えをお聞かせください。

 三点目、本ワクチンの被害に遭われた方は、病院側がワクチン後遺症に対して理解がなく、治療・対処が進まない、診察してもらえない、病院からの本人のカルテ取得など、救済申請の資料準備もなかなか手続が進まないと言われておりました。そうした状況が少しでも減るように、本区からも改めて、各病院に向け、患者に対してワクチン被害も考慮した対応を取るよう要請すべきと考えますが、本区の考えをお聞かせください。

 続きまして、第二に、LGBT理解増進法への本区の取組姿勢についてです。

 本年六月の通常国会にて成立した性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律、いわゆるLGBT理解増進法案は、その審議において、同時期に開催を控えていた広島G7に成立を間に合わせることを念頭に置かれ、衆参両院での内容の十分な議論がなされないまま、成立の運びとなってしまいました。LGBT当事者の複数団体からも法制化までは不要との意見書が政府に提出されていたり、今後想定される課題への対応として、国会議員による新たな議連が法案成立直後に立ち上がってきたことなどからも、議論が十分ではなかったということが見受けられます。また、そうした状況があってか、本法八条に規定される政府による理解増進のための基本計画というものは、まだ発表になっておりません。

 この法案の内容は理念法とされ、罰則がないので、差別してはいけないことを理由に何かを強制されることはないと言われております。一方で、本法の定めにより、各地方公共団体や学校の設置者は、国との連携を図りながら、それぞれにLGBTの方々への理解増進、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現のための施策実施に努めることとされております。強制力がないとはいえ、当然、本区もこうした対応を求められている立場からして、今後、そうした対応を図っていくことになるかと考えております。

 こうした法整備に関しまして、先行しているアメリカ、カナダといった諸外国が直面しているのは、価値観の押しつけであったり、女性用スペースの利用に関わる安全の面、スポーツ界におけるジェンダー問題や、自意識の確立し切っていない子供への悪影響などの社会的混乱です。行き過ぎた対応により、かえってLGBT当事者の方々が不安の目で見られたり、女性、子供が不利益を被るという事態が現実に起きてきております。日本でも、最近、経済産業省のトランスジェンダー職員による女性用トイレ利用問題の最高裁判決、民間でも、開業したばかりの新宿歌舞伎町タワーに設置されたジェンダーレストイレが苦情を受け、急遽廃止された件などが話題に上り、一般の問題意識の高まりというものが感じられるものでございます。

 LGBTの方々が直面している問題を理解すること、差別することは許されないとの認識を持つことは非常に大切なことであります。一方で、日本ではそもそも憲法十四条で法の下の平等を定めており、全ての人が差別されないということがうたわれております。歴史的に見ても、性の多様性については寛容で、現在でもテレビ等で女性的な男性タレントが活躍しているといった状況が見受けられます。あえて個別に法整備をするべきものではなかったと考えております。

 こうした状況を踏まえ、三点お伺いいたします。

 一点目、まず、本区におきましては、これまで申し上げてきたようなLGBTに関する法整備を行った諸外国の現状でありますとか、日本での出来事というものを把握されておりますでしょうか。

 二点目、そうした状況を踏まえたとき、本区が今後実施する施策では、どのような対応を検討されているでしょうか。例えば、本区の管理する施設における更衣室やトイレ等の女性用スペースの運用について、性自認は女性で身体的には男性の方が利用されたいと希望された場合、どのような対応をお考えでしょうか。

 三点目、本法の成立を受けて、自治体によっては、対応する条例を制定しようという動きが既に見られております。本区でも、そのような条例制定をする考えはおありでしょうか。もしある場合は、その概要についてもお知らせください。

 一回目の質問は以上です。よろしくお願いいたします。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 黒原裕司議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、新型コロナワクチン接種の運用方法についてであります。

 区では、希望する区民が速やかに接種できるよう、対象者へ接種券を一斉に発送しており、申込制とするなどの運用変更については、考えておりません。なお、接種券に同封しているチラシには、接種が強制ではない旨を記載しており、御自身の判断に基づいて接種いただけるよう配慮しているところであります。

 次に、新型コロナワクチンのリスク情報の開示についてです。

 本区の新型コロナワクチン接種特設サイトでは、接種の体制や手続などのほかに、令和五年秋開始接種で使用するワクチンの有効性や安全性を含めて御案内をしております。健康被害救済制度については、より分かりやすいページとなるよう更新を予定しております。今後も引き続き、内容の充実や改善を図りながら、リスク情報を含め、区民の皆様に見やすく分かりやすい情報提供を行ってまいります。

 次に、新型コロナワクチン健康被害に関する各病院への要請についてであります。

 区では、これまでも区内の個別接種医療機関に対して、副反応への対応に関しての情報提供を行い、連携が図られていることから、改めてこれらの対応について医療機関へ要請する必要はないと考えております。なお、副反応に係る御相談については、かかりつけ医療機関のほか、東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターにおいても対応しております。健康被害は、事例によって症状も経過も異なりますが、どなたも身体的、精神的につらい思いをされていることを念頭に、各事例に丁寧に対応してまいります。

 次に、LGBT理解増進法についてであります。

 LGBTに関する法整備が進む諸外国では、LGBTであることで人権が阻害されないことが保障されており、特別なものではなく、当たり前の制度として運用されている一方で、性的少数者の権利を制限する法的な動きがあることや、国内では性の多様性等に対する理解が及ばないケースも見受けられるなど、性的マイノリティ、マジョリティの双方の間で様々な不安や問題が生じているものと認識しております。区が管理する施設では、これまでも、その用途やフロアの状況に応じて、男女別トイレや更衣室、バリアフリートイレ等を適切に配置するなど、誰もが使いやすい環境整備に努めているところです。女性用スペースの運用については、合理的と認められる範囲内において、個別の事情を踏まえ、対応すべきものと考えております。区では、本年二月に策定した基本計画において、年齢、性自認、性的指向、国籍、文化、障害の有無等の様々な違いを超え、相互に理解し、支え合う地域社会の実現を施策の目標に掲げており、LGBTをテーマにしたイベントや講座などにより区民や民間事業者に対する普及啓発を図るとともに、性的指向などに関する相談体制を整えております。区といたしましては、LGBT理解増進法の基本理念にのっとった、こうした様々な事業に引き続き取り組んでいくことで多様な性の在り方についての理解促進を図ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔四番 黒原裕司議員登壇〕

○四番(黒原裕司議員)
 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 まず、ワクチン接種の体制につきましては、現状から変更がないということを理解いたしました。

 先ほど私の質問の中で触れさせていただきましたが、患者の会の方等、実際に被害救済制度の利用をされている方も、中央区の中でも確認されてきております。また、そうした状況は変化していくものと思いますので、ぜひ、そうした実態を受けて、また、私のほうからも区民の方としっかりとコミュニケーションをさせていただき、その状況をお伝えしながら、改めてどのような制度、対応がいいのかどうかというところを区とぜひ議論させていただきたいと思っております。また、そうした状況を確認しながら進めてまいります。

 そして、LGBT対応の件ですけれども、こちらは、まさに御答弁いただきましたとおり、中央区におきましては、基本計画の中で多様性社会というところをうたって進めていることは重々に承知をしております。そして、一方、御答弁いただいたとおりで、個別の事情に対応していくということが非常に重要かと思っております。一律にこうした施策を進めていくということは、今回の法案整備という形で、あまりにも強制的に進められることがあれば非常に問題となってくると思いますが、個別の事情で一つ一つ解決していくということであれば、当然、やれることは多岐にわたってくると思っております。そうした進め方のところは、今回、私は女性用スペースのところだけ取り上げましたけれども、様々な分野で出てくるものと思っております。ぜひ、その都度議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 繰り返しですが、この件につきましては、私は決して多様性社会を否定したいというわけではなく、あくまで社会秩序の中で、いかに全体の利益となるように進めていくべきかということが必要であると考えております。ぜひ、そうした思いとしては、本区の考えと同じだと考えておりますので、引き続き、共につくっていくことをさせていただきたく、よろしくお願いいたします。

 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(瓜生正高議員)
 以上をもって一般質問を終わります。


○議長(瓜生正高議員)
 次に、日程第二及び日程第三を一括して上程いたします。これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、日程第二及び日程第三を一括して議題といたします。

〔伊藤議会局長朗読〕


日程第二

 議案第九十一号 令和五年度中央区一般会計補正予算

日程第三

 議案第九十二号 令和五年度中央区介護保険事業会計補正予算


○議長(瓜生正高議員)
 提案理由の説明を願います。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 ただいま一括上程されました議案第九十一号及び第九十二号、令和五年度本区各会計補正予算につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。

 今回の補正は、一般会計で二億七千六百十四万五千円の追加、介護保険事業会計で二億三千三百九十四万七千円の追加をするものであり、補正後の予算額は、一般会計は一千五百一億四千百十三万八千円、介護保険事業会計は九十四億九千四百五十五万四千円となるものであります。

 初めに、一般会計補正予算について御説明申し上げます。

 まず、歳入では、国庫支出金、都支出金、寄附金、繰入金及び繰越金を増額いたします。

 次に、歳出についてです。

 総務費は、ふるさと中央区応援寄附等活用事業に要する経費を増額いたします。

 区民費は、総合スポーツセンターの改修費を増額いたします。

 福祉保健費は、福祉サービスの安定的な提供と利用者への負担転嫁の抑止を目的とした「障害・介護サービス事業所、保育所等に対する物価高騰緊急支援」のほか、児童の放課後対策の充実に要する経費を計上いたします。

 環境土木費は、自転車用ヘルメット購入補助に要する経費を計上いたします。

 都市整備費は、銀座地区における交通環境改善支援事業に要する経費を計上いたします。

 教育費は、児童の放課後対策の充実に伴い、晴海西小学校プレディ開設経費を減額するほか、サービスの安定的な提供と利用者への負担転嫁の抑止を目的とした「認定こども園に対する物価高騰緊急支援」に加え、幼稚園預かり保育の拡充及び中学校における不登校生徒の支援の充実を目的とした「校内別室指導支援員の配置」に要する経費を計上いたします。

 諸支出金は、介護保険事業会計への繰出金を増額いたします。

 また、繰越明許費は二件の追加、債務負担行為は、一件を追加するとともに、四件を変更いたします。

 次に、介護保険事業会計補正予算について御説明申し上げます。

 歳入では、国庫支出金、繰入金及び繰越金を増額いたします。

 歳出では、基金積立金及び諸支出金を増額いたします。

 よろしく御審議の上、御決定のほどお願いいたします。


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について、動議を提出いたします。

 ただいま上程されております議案第九十一号及び議案第九十二号は、企画総務委員会に付託されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決します。


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、ただいま企画総務委員会に付託されました議案の審査の関係もありますので、明二十二日から二十四日までを休会とし、来る九月二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十二日から二十四日までを休会とし、来る九月二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

午後六時四十七分 散会


署名議員
議 長  瓜生 正高
議 員  青木 かの
議 員  海老原 崇智

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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