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令和5年第四回定例会会議録(第2日 11月21日)

1.会期

十二日(第二日)

十一月二十一日(火曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後五時十六分散会

3.出席議員

(二十九名)

一番 ほづみ ゆうき議員

二番 小坂 和輝議員

三番 上田 かずき議員

四番 黒原 裕司議員

五番 アルール うた子議員

六番 川畑 善智議員

七番 永井 佳代議員

八番 梶谷 優香議員

九番 高橋 まきこ議員

十番 青木 かの議員

十一番 高橋 元気議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 かみや 俊宏議員

十四番 太田 太議員

十五番 竹内 幸美議員

十六番 山本 理恵議員

十七番 渡部 恵子議員

十八番 白須 夏議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 奥村 暁子議員

二十一番 瓜生 正高議員

二十二番 塚田 秀伸議員

二十三番 押田 まり子議員

二十四番 海老原 崇智議員

二十五番 木村 克一議員

二十六番 礒野 忠議員

二十八番 堀田 弥生議員

二十九番 墨谷 浩一議員

三十番 田中 広一議員

4.欠席議員

(一名)

二十七番 原田 賢一議員

5.出席説明員

副区長 田中 智彦君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 浅沼 孝一郎君

総務部長 黒川 眞君

防災危機管理室長 春貴 一人君

区民部長 濱田 徹君

福祉保健部長 大久保 稔君

高齢者施策推進室長 北澤 千恵子君

保健所長 渡瀬 博俊君

環境土木部長 三留 一浩君

都市整備部長 早川 秀樹君

都市活性プロジェクト推進室長 溝口 薫君

会計管理者 山﨑 健順君

教育委員会事務局次長 生島 憲君

監査事務局長 林 秀哉君

政策企画課長 石戸 秀明君

財政課長 野末 託範君

総務部参事(総務課長事務取扱) 田部井 久君

6.議会局出席職員

議会局長 伊藤 孝志君

庶務係長 長田 基道君

議事係長 小倉 正信君

調査係長 佐藤 康之君

書記 鳴子 歩良君

7.議事日程

日程第一
 一般質問


午後二時 開議

○議長(瓜生正高議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(瓜生正高議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 三十番田中広一議員。

〔三十番 田中広一議員登壇〕

○三十番(田中広一議員)
 中央区議会公明党の田中広一でございます。私は、令和五年第四回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに教育長に対し質問をいたします。どうぞ、意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待いたします。なお、御答弁によりましては、再質問をあらかじめ留保いたします。

 まず、初めに、経済対策についてお尋ねいたします。

 長引く物価高騰により、区民生活に深刻な影響を及ぼしています。政府は、十一月十日に総合経済対策の裏づけとなる二○二三年度補正予算案を閣議決定しました。その中には、重点支援地方交付金が含まれています。具体的には、住民税非課税世帯へ一世帯当たり七万円の給付金と、自治体の実情に合わせた物価高騰対策の二点です。区として、生活支援策の充実に生かすことができるよう、迅速な対応が必要と考えます。

 これまで、補正予算を組み、国や東京都からの交付金等を活用しながら、子育て世帯生活支援特別給付金や電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金の支給、住民税非課税の高齢者に対する区内共通買物・食事券の臨時給付、障害・介護サービス事業所、保育所等に対する物価高騰緊急支援など、取り組んできました。また、中央区は、早急に取り組める物価高騰への支援策の一つとして、小学校、中学校及び保育園の給食費の無償化の方針を昨年度いち早く決定し、令和五年度から実施しました。さらに、継続して幼稚園の弁当給食の導入も検討し、令和六年度から実施予定となり、評価いたします。今後とも、さらなる支援策の充実が重要です。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 政府は、重点支援地方交付金の年内予算化を目指しています。今後、中央区としても、スピード感ある対応が求められてくると考えますが、重点支援地方交付金の活用による物価高騰対策について、区の御見解をお聞かせください。

 区内共通買物・食事券は、令和二年度から、新型コロナウイルス感染症対策に伴う対応として、プレミアムを一○%から二○%に引き上げ、発行総額を三倍規模の十八億円に大幅に拡大して取り組んでいます。現在、物価高騰が長引いているため、コロナ禍における対応から戻すことなく、一層の充実を検討すべきと考えます。さらに、スピード感ある対応が求められている中、キャッシュレス決済ポイント還元事業についても、引き続き検討していくことが必要ではないでしょうか。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 区内共通買物・食事券やキャッシュレス決済ポイント還元事業をはじめ、今後の総合的な経済対策をどのように検討しておられますでしょうか。区の御見解をお聞かせください。

 次に、関東大震災からの教訓を踏まえた防災対策及び今後のまちづくりについてお尋ねいたします。

 先日、新大橋のたもとにある震災避難記念碑を訪ねてきました。説明碑文を読みながら、改めて過去の災害を学んでいく重要性を痛感しました。

 関東大震災は、大正十二年、一九二三年九月一日の午前十一時五十八分に発生し、神奈川県西部を震源とするマグニチュード七・九の巨大地震で、日本の自然災害史上、最も大きな被害をもたらしたと言われています。特に、地震直後に発生した火災により被害が拡大し、死者、行方不明者は全体で十万五千余人、全壊・半壊・焼失・流失家屋は三十七万棟以上にも上りました。当時、中央区は、日本橋区と京橋区に分かれておりましたが、震源から離れていたこともあり、震度は五と言われています。地震発生直後は全壊した建物は少なく、延焼火災の発生は少なかったものの、他地域からの延焼または飛び火によって、焼失率は一○○%となりました。

 名古屋大学減災連携研究センターの武村雅之特任教授は、東京は震源から離れ、揺れの中心ではなかった、当時の東京がいかに地震に弱いまちであったかが分かる、江戸時代に起きた、似たような規模の地震と比較しても、関東大震災の死者が圧倒的に多い、これは、明治維新以降の産業都市化政策の下、道路や公園などの都市の基盤整備をしないまま、軟弱地盤の上に人口を集中させたことが原因であると述べられております。

 震災後は後藤新平内務大臣が復興を担い、前東京市長時代の東京市政要綱を踏まえながら、大正十三年から七年にわたり行われました。耐震・耐火を前提に、国民的合意の下で、公共性を第一に、首都として恥ずかしくない品格のあるまちにするという方向で、まちづくりが進められました。特に、事業の柱となったのが道路建設とそれに伴う土地区画整理事業で、橋梁や公園、小学校、住宅、上下水道などが整備されました。中央区に関係する主な道路建設では、東京の大動脈と言われ、最大幅員四十四メートルの昭和通りを筆頭に、永代通り、晴海通り、清洲橋通り、八重洲通り、新大橋通りが整備されました。さらに、将来、地下鉄を通すことを想定して、道路を二十七メートル以上の幅員としました。現在の地下鉄は、都営大江戸線を除いて、ほぼ全てがその道路の下を走っています。隅田川に架かる橋梁では、大正十五年十一月に竣工した相生橋をはじめ、永代橋、清洲橋が施工され、美観にも配慮したものづくりが行われました。さらに、公園については、浜町公園などの三大公園と、東京市として五十二の復興小公園が整備され、区内では十一か所が設置されました。このように、中央区は、復興事業により現在の町並みの骨格が形成されたと言えます。

 現在では、マンション居住率が九四・二%となり、耐火・耐震性は以前より向上していると考えられますが、地域コミュニティの変化や高層マンションにおけるエレベーター、トイレの確保など、都心特有の課題が指摘されています。社会が変化し続ける中で、改めて関東大震災からの教訓を踏まえ、防災対策やまちづくりを進めていかなければならないと考えます。

 河田惠昭関西大学特別任命教授は、巨大災害における社会現象、相転移についての課題を指摘しています。例えば、水は、零度になると突然固体の氷になり、百度を超えた途端、気体の水蒸気になり、このような相の急変を熱力学で相転移と呼ぶと説明しています。平成三年の段階で、関東大震災などのデータから、人がたくさん都市に集まっているというだけで相転移が起こり、犠牲者数が大きくなるという推計ができていたとのことであります。平成七年の阪神・淡路大震災の際には、老朽木造住宅の全壊・倒壊で相転移が起こり、人口密度の高い神戸市で多くの人々がお亡くなりになったと述べています。首都直下地震については、長期広域停電が起き、それに伴う複合災害を指摘しています。そして、相転移の原因を踏まえた事前対策によって被害を減らすことができると述べられています。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 関東大震災から百年が経過した中、中央区としての課題をどのように捉え、防災対策の強化に取り組んでいこうと考えておられるのか、区の御見解をお聞かせください。

 南高橋のたもとには、中央区民文化財と土木学会選奨土木遺産として認定された説明板があります。この中には、関東大震災の復興事業の一つとして架けられたものと説明されており、歴史の重みを感じることができます。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 中央区内における復興橋梁や公園などを継承していくためにも、区のおしらせやホームページによる情報の発信、現地における説明板の充実、展示会や講演会の開催など、過去の災害史について学ぶ機会の拡充に取り組んでいくことが重要と考えますが、御見解をお聞かせください。

 次に、今後のまちづくりについてお尋ねいたします。

 基本計画二○二三には、区内で進む都市基盤整備の進展について示されています。一、日本橋川沿いのまちづくり、二、築地のまちづくり、三、晴海地区のまちづくりの三つの地域を取り上げています。三地域において開発が進む中で、定住人口だけではなく、昼間人口も一層増えてくることが想定されます。令和二年の国勢調査では、中央区の昼間人口は六十三万三千三百九十人となっており、今後の開発により、交通環境などの調査検討がさらに必要になってくるのではないでしょうか。既に、晴海通りの都バスや勝どき駅の混雑緩和に向けても様々な取組が進められていますが、大事な教訓であると考えます。

 昭和五十五年三月に策定された中央区基本構想及び基本計画策定のための基礎調査によりますと、次のような関東大震災からの変遷を記しています。

 大正十二年の関東大震災により壊滅的な打撃を被り、これを契機に昭和通りをはじめとする現在の都市骨格の基盤整備がなされた。昭和六年には、晴海が竣工し黎明橋が架けられ、昭和十五年に勝鬨橋が開通。戦後、昭和二十二年に日本橋・京橋両区の合併により現在の中央区が誕生した。戦後、目覚ましい経済発展を遂げた日本であるが、その象徴的イベントとして東京オリンピックが昭和三十九年に開催された。これに向けて東京の都市基盤は大きく整備されたが、区内においても、首都高速一号線をはじめとする高速道路網の整備や、地下鉄網の整備がなされ、また、豊海、晴海での最後の埋立てが完成するなど、ほぼ現在の中央区の都市構造が完成した。これに伴い、運河、中小河川の埋立てや、市街地電車の廃止が行われ、かつての江戸情緒の名残をとどめていた中央区から、鉄とガラスとコンクリートで固められた都市へと次第に変化を遂げてきた。中央区から自然がなくなっていったのも、この時期であり、自動車・建設活動による公害問題が、多くの地区で発生するようになっている。業務地としての利便性が高まった中央区においては、有数なビジネス街の形成を見た。しかし、この昼間人口の増大は、逆に古くから住んでいた夜間人口の減少を生み、昭和三十年頃の人口の約半分にまで減少を見ている。

 このように、地域形成過程の一部抜粋ではありますが、今後、都市基盤整備を進めていく上で、都市の変化が激しい中央区において、復興事業の公共性の基本理念を継承していくことが大切ではないでしょうか。東京高速道路、KK線再生に向けた事業化や築地川アメニティ整備構想などは、過去の経緯を踏まえますと、重要な意義のある計画と考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 基本計画二○二三には、区内で進む都市基盤整備について示されています。次の百年を目指し、快適な歩行者を中心とした道路や公園などの公共空間の確保、総合的な交通環境の調査・検討など、関東大震災の教訓を生かしながら、住みやすい中央区となるよう、各地域のまちづくりを検討していくべきと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 次に、築地市場跡地開発についてお尋ねいたします。

 十一月八日に開会された環境建設委員会では、築地市場跡地開発に関連する区の考え方の取りまとめについての報告がありました。内容は、一、築地・東銀座における一体的なまちづくりの推進、二、築地市場跡地開発、三、区有地施設の再編等との連携、四、地元に配慮した事業の進め方の四つの視点からまとめられています。東京都は、跡地の中に大規模集客施設の整備方針を示しており、中央区として、大幅な増加が予想される来街者への対応が求められてきます。これまで、築地の歴史性と食、文化、自然、医療など特色ある地域資源との調和連携や、周辺地域と一体的に発展していくことなどを要望書として提出して取り組んできました。築地市場跡地の中だけが発展するのではなく、築地場外市場や浜離宮恩賜庭園など、地域との関わり合いを大切にしていくべきです。

 そこで、先ほどの要望書案に加え、これまで何度も申し上げておりますが、浜離宮恩賜庭園からつながる十分な幅員の緑のネットワークとともに、公園や広場など、公共性の理念を大切にした整備を求めていくことが重要と考えます。

 先月の決算特別委員会において、築地市場跡地について質問した折、理事者より、防災という視点を踏まえていくとの御答弁をいただきました。築地市場は、関東大震災を機に、中央卸売市場として移転整備されてきた経緯があります。先ほども復興三大公園や小公園について述べさせていただきましたが、当時は公園への理解がなかなか進まない中、公共性優先という基本理念があったことが、結果として公園整備につながったと考えられています。復興公園である現在の浜町公園は、子供からお年寄りまで誰もが集うことができる憩いの場であり、夏の大江戸まつり盆おどり大会などの大規模イベントの開催、スポーツセンターやグラウンドの確保など、区民生活には欠かせない貴重な公園となっています。

 また、これまで、関係当局の様々な御努力により、区内の公園や児童遊園が九十二か所整備され、公園面積は着実に増加しているものの、区民一人当たりの公園面積は三・八三平方メートルです。海外の主要都市は、一人当たりの公園面積が日本と比べて大きく、東京都の約四平方メートルに対し、ロンドンは約二十七平方メートル、ニューヨークは約十九平方メートルなどとなっています。背景の一つには、海外では、公園を含む自然が持つ多様な機能を活用し、防災や気候変動、生物多様性などの課題の解決につなげるグリーンインフラを都市戦略の柱に位置づけていると言われています。

 そこで、第四点目にお伺いいたします。

 築地市場跡地開発について、令和六年三月に事業者が決定する予定ですが、要望書提出後、各課題を解決しながら、まちづくりを進めていくために、東京都や予定事業者、地域の方々と具体的にどのような協議体を構築し、取り組んでいこうと考えておられるのか、区の御見解をお聞かせください。

 第五点目にお伺いいたします。

 築地市場跡地開発には、新たな計画により、多くの人々が訪れることが予想されます。関東大震災の復興事業の理念を引き継ぎ、公共性優先で緑あふれるゆとりのある歩行空間や公園を確保しながら、防災力の強化を求めていくべきと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 次に、晴海地区のまちづくりについてお尋ねいたします。

 先日の企画総務委員会と環境建設委員会では、新たな防災拠点や公衆トイレの新設についての報告があり、令和六年一月のHARUMI FLAGのまち開きに向けて、様々な準備を進めていることと存じます。新たに引っ越してこられる方々が、転入や子育て支援関係などの手続を行うに当たって、区役所本庁舎に来られることが想定されます。毎年、三月頃は移動の多い季節であり、混雑が予想されますが、どのような対応を検討しておりますでしょうか。また、新しいまちが誕生することにより、保育所の入所や放課後の子どもの居場所、ごみの収集、広報などの掲示板、通学路の安全対策、都バスの増便など、区民生活に関わる各分野において、安心して入居できるよう、きめ細やかな配慮が必要と考えます。

 そこで、第六点目にお伺いいたします。

 HARUMI FLAGの入居に伴う円滑な転入手続などの準備状況や、区民生活に関わる各分野の検討状況についてお示しください。あわせて、保育所の入所の見込みや、子どもの居場所の確保における具体的な検討状況についても、区の御見解をお聞かせください。

 次に、認知症施策の充実についてお尋ねいたします。

 先日、千代田区神田神保町のカフェ・のん散歩に行ってきました。店内では、店主の方が気さくに来店者に声をかけながら歓談に花を咲かせ、温かい雰囲気に包まれていました。

 お店は、千代田区が導入した認知症サポート企業・大学認証制度の第一号認証店です。店主の方に伺ったところ、お手伝いしているお母様は認知症で、日頃から認知症と診断された方やその家族らが集まり、語り合う場となっているようです。お話をするときには、「分かるー」と親身になって聞いてあげることが大事ですと強調されていました。また、時にはお店の貼られたステッカーを見た人が相談に訪れることもあるそうです。店主は、認証後のステッカーについても、子ども一一○番があるように、認知症の方や御家族への支援と理解促進につながる啓発として効果的であると語られていました。すばらしい取組であり、店主とお母様の明るい笑顔が印象的でした。

 厚生労働省によりますと、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二○二五年には、六十五歳以上の高齢者の五人に一人が認知症になると推計されています。高齢社会では、認知症が普遍的な課題になっていくことを認識しなければなりません。そこで、政府は、本年九月二十七日、関係閣僚や有識者、認知症の当事者、家族による、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議の初会合を開きました。今後の認知症施策の在り方を議論し、年内に意見を取りまとめるようであります。議論の柱となるのが、認知症になっても安心して暮らし、活躍できる共生社会の実現です。これは、今年六月に成立した認知症基本法の根本理念であり、施策の中に認知症の方及び家族の意見を反映することや、九月二十一日を認知症の日とすることなどが盛り込まれております。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 令和五年六月に成立した共生社会の実現を推進するための認知症基本法について、区の御所見を伺います。

 また、令和三年第四回区議会定例会の一般質問において、認知症の予防と早期発見の視点から質問させていただきましたが、現在の検討状況についてもお聞かせください。

 千代田区では、本年九月五日号の広報紙で、認知症の理解を深めるため、六ページにわたって紹介していました。表紙には、「特集 認知症 私にできること 出会える機会は、すぐそこに ひと足先に認知症になった、私たちの日常をお伝えします」と書かれており、当事者の方々の温かい笑顔が掲載されています。認知症カフェなどの各事業の案内をはじめ、認知症当事者や家族の声なども紹介しながら、分かりやすく理解できるように構成されていました。中央区においても、令和四年九月一日号で「認知症の人にやさしいまち中央区を目指して」との見出しで普及啓発に取り組んでおりますが、さらなる充実が必要と考えます。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 中央区の認知症施策の紹介とともに、認知症への理解が深まるような区のおしらせちゅうおうなどの広報における充実や、九月二十一日の認知症の日を生かした啓発事業、認知症サポート企業の認証制度の導入について取り組んでいただきたいと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 愛知医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、内田育恵特任教授は、男性の場合、七十歳代では五人から六人に一人が日常生活に支障を来すほどの難聴を抱えていると指摘しています。そのままにしておくと、会話や社会的交流が減少し、鬱や無気力、認知機能の低下につながります。補聴器を使うことで認知症予防に一定程度の効果が期待できると述べられています。さらに、難聴に関する社会的な啓発も重要で、それほど困っていないなどと耳鼻科を受診しない人も多いと語られていました。

 中央区では、医師が補聴器の使用を必要と認めた場合など、要件を設定し、補聴器の購入費助成を行っています。以前、御相談を伺う中で、補聴器の利用者から、高額な費用面だけではなく、補聴器選びの難しさを語られていたことがあり、専門家の適切な指導の下で購入できる環境が必要と考えます。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 補聴器の購入費助成の充実と併せ、専門医の受診と調整やアフターケアを担う専門家の助言の下で、高齢者の皆さんが御自身に合った補聴器を安心して使用できる支援体制を強化していただきたいと考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 次に、子育て支援の充実についてお尋ねいたします。

 第五十三回中央区政世論調査によりますと、区の施策への要望の質問では、「子育て支援」が四一・三%で一番多い結果となっております。また、重要と考える子育て支援策や、さらに充実を図る必要がある子育て支援策においては、保育園・認定こども園などの施設整備と、一時預かり保育、延長保育などの子育て支援サービスを求める傾向が示されています。

 こども家庭庁は、十一月十日、親の働き方を問わず、時間単位で保育所などを利用できる、こども誰でも通園制度の導入に向け、全国の約百五十市町村でモデル事業を行うと発表しました。先ほどの二○二三年度補正予算案に九十一億円が計上されました。既に、今年度から三十一自治体で試験的に運用されていますが、様々な課題も指摘されています。

 中央区では、勝どきエリアの新築高層マンションや、来年一月からHARUMI FLAGの入居が始まり、今後の動向を注視しながら対応していかなければなりません。また、令和五年度中央区一般会計十一月補正予算案には、ベビーシッターによる一時預かり利用支援事業の助成増額が計上されており、今後も子育て世帯の増加を考えますと、一時的に保育を必要とする方々への支援も必要と感じます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 こども誰でも通園制度について、中央区としてどのように検討されておりますでしょうか。御見解をお聞かせください。また、一時的に保育を必要とする方々への支援の充実と今後の方向性について、区の御見解をお聞かせください。

 九月に開会された福祉保健委員会では、プレディプラスの実施について報告がありました。令和六年度は、京橋築地小学校と月島第一小学校、豊海小学校、晴海西小学校から実施し、順次拡大を予定しています。今後のスケジュールとして、本年十二月に、令和六年四月入所の学童クラブ利用者募集が始まる予定となっております。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 令和六年四月から開始されるプレディプラスについて、各学校の受付期間や募集定員についてお示しください。

 また、受付や運用面など、これまでと異なる点や新たな取組についても検討状況をお聞かせください。

 十一月十日に閣議決定された補正予算案には、令和六年十二月からの児童手当の拡充に備え、市町村のシステム整備費を国が全額負担するため、二百三十二億円を計上しています。物価高の影響を強く受ける子育て世帯に、児童手当の拡充の成果を少しでも早く届けることは重要と考えます。児童手当は、まだ議論の途中ではありますが、来年十月分から所得制限が撤廃され、拡充後は年六回、二か月分ずつに変更する方針で、対象が高校卒業までに延長し、さらに、第三子以降の支給額は月三万円に増額される予定です。

 そこで、第三点目にお伺いいたします。

 令和六年十二月からの児童手当の拡充について、国の動向を踏まえながら、中央区におけるシステム整備への対応など、どのような検討を行っておりますでしょうか、区の御見解をお聞かせください。

 最後に、子ども読書活動の推進についてお尋ねいたします。

 日頃、本の森ちゅうおうを訪れますと、親子での利用や子供たち、学生の方々が真剣に本と向き合っている姿がとても印象に残ります。本の森ちゅうおうの重点事業の一つに子ども読書活動の推進を挙げており、以前と比べ、若い世代の利用が増えていることは重要なことであると感じています。先月の決算特別委員会においても質問いたしましたが、ビブリオバトルが大変好評であったと伺いました。こうした体験型イベントなどを着実に継続していきながら、様々なところに本との出会いがあるような工夫を推進していただきたいと考えます。

 そこで、第一点目にお伺いいたします。

 本の森ちゅうおうの開設から間もなく一年となりますが、子ども読書活動の推進の観点から、教育委員会としての御所感と今後の方向性について伺います。

 令和五年三月に、第四次中央区子ども読書活動推進計画を策定しました。この中で、令和四年に読書活動調査を実施し、学校図書館に希望することについてのアンケートを取っております。一層の充実を目指し、子供たちの声を大切にしながら、学校図書館における取組をさらに推進していただきたいと考えます。

 本年六月、NHKの番組で「生徒でにぎわう人気の学校図書館」と題して、宇都宮市の上河内中学校が紹介され、その後、早速、八月に視察に行ってまいりました。上河内中学校の学校図書館に入りますと、まず目を引くのが、机の上に本の表紙を見せて並べ、本を手に取りやすいように工夫していました。生徒は、次々と本に手を伸ばすようになったとのことです。背景には、コロナ禍において一人一台のノートパソコンが配付され、授業ではインターネットを使った調べ学習の機会が増えたことにより、生徒たちの足は学校図書館から遠のいたとのことでした。

 さらに、学校司書の方は、よい本に出会ってほしいという願いを込めて企画したのが、一期一会本の福袋です。今では、生徒から大人気とのことです。全て手作りで、一日二十袋分用意しています。本の福袋の中には、司書さんからの心の籠もったメッセージが入っています。表面には、「本の福袋 借りてくれてありがとうございます。この本との出会いが素晴らしいものになりますように。」と添えられています。裏面には、「読書が難しいと感じる時、心配しないで大丈夫。読書は素晴らしい冒険ですので、ゆっくりと楽しんでください。」と書かれ、さらに、本を最後まで読むための三つのコツも紹介されていました。また、本の福袋を借りた人には、誰もが本に挟みたくなるような抹茶ラテ金時やクリームソーダなどのドリンクをイメージしたしおりをプレゼントし、全種類集めようと女性に大変人気とのことでした。

 そのほかにも、本を読むのが苦手な生徒には司書さんが読みやすい本を選んで貸してくれたり、きめ細やかな学級文庫の取組や本くじも行い、楽しみながら本との出会いの機会をつくっていました。これまでの様々な取組により、前年度と比較し、一人一か月当たりの読書冊数が四冊から七冊に増え、貸出し冊数も一・八冊から三・六冊に増加していました。最近、特に力を入れていることは、一人一台端末上での図書館クラスルームにおいて、毎日情報を発信するだけではなく、視覚的に写真や絵を入れて見やすいよう工夫し、本の予約や読書記録もつけられるように取り組んでいるとのことでした。今回、視察させていただき、学校司書の方の熱意に感動いたしました。宇都宮市は、平成十八年から全小学校・中学校に学校司書を配置し、毎日、学校図書館が開いている環境を整備し、充実を図ってきたとのことでした。

 そこで、第二点目にお伺いいたします。

 子供たちが多くの時間、図書に触れ、良書と出会う機会をこれまで以上に確保するためには、学校図書館の開館時間の拡大や本の充実など、きめ細やかな読書環境をさらに推進し、学校司書の全小学校・中学校への配置の検討を進めていただきたいと考えますが、教育委員会の御見解を伺います。

 第三点目にお伺いいたします。

 本の福袋や一人一台のタブレットを活用した読書活動の推進など、本との出会いの機会を増やす工夫した取組について、各学校図書館や区立図書館において検討して取り入れていただきたいと考えますが、教育委員会の御見解を伺います。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。

〔副区長 田中智彦君登壇〕

○副区長(田中智彦君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、重点支援地方交付金の活用による物価高騰対策についてであります。

 エネルギーや食料品など、あらゆる品目の値上げが相次いでおり、長引く物価高騰の影響は全ての方々に及んでおりますが、とりわけ低所得世帯の家計の負担が大きいものと認識しております。こうした中、国においては、物価高騰に対する本年夏の給付に続く追加の支援策として、住民税非課税世帯への七万円の追加支給などを盛り込んだ補正予算案を国会に提出し、月内の成立に向け、審議を行っているところであり、現在、補正予算案の詳細について情報収集に努めているところです。区といたしましては、国の補正予算の内容も踏まえながら、早期の予算措置や、これまでの給付金支給のノウハウを最大限活用し、できる限り速やかな執行に向け、区議会の御理解と御協力をいただきながら、準備を進めてまいりたいと存じます。なお、来年度に実施が予定されている定額減税の恩恵を十分に受けられない方等への対応については、いまだ詳細な内容が示されていないことから、国の動向も踏まえながら、改めて検討してまいります。

 次に、今後の経済対策についてであります。

 区では、コロナ禍において、区内共通買物・食事券の販売額の拡大やキャッシュレス決済ポイント還元事業、飲食業団体、商店街における集客事業補助の実施とともに、緊急特別融資制度を創設するなど、地域経済の回復に向けた支援策を講じてまいりました。また、今年度においても、社会経済活動の正常化が徐々に進んでいるものの、物価高騰の影響により経済の先行きが不透明なことから、買物券の発行を同規模で継続するとともに、借換融資制度を延長するなど、各種支援を実施しているところであります。こうした中、最近の商工相談においては、積極的な事業展開に向けた動きが多く見られ、また、景気動向調査では、インバウンドの増加などにより経済状況が改善しているといった声が聞かれます。その一方で、物価高騰が重くのしかかるなど、厳しい状況に置かれている事業者がおられることも認識しており、引き続きの支援が必要であると考えております。今後の経済対策につきましては、物価高騰による影響の長期化が見込まれることから、地域経済の情勢を見定めながら、商工業団体をはじめとする各種団体との意見交換等を踏まえ、検討してまいります。区といたしましては、三年にも及んだコロナ禍が一定の収束を迎え、ようやく見え始めた景気回復への兆しを逃さぬよう、今後とも、地域経済の活性化に向け、適時適切な施策を展開してまいります。

 次に、今後の防災対策の強化についてであります。

 我が国の災害対策の出発点となった関東大震災から百年が経過し、この間、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの未曽有の災害が発生しました。これら大災害から、何より命を守る行動の重要性はもとより、自治体及び関係機関の速やかな初動態勢の構築、正確な情報伝達、迅速な救助・救出活動と初期消火活動、ライフライン途絶への対応、建物の不燃化・耐震化の推進、住民同士による助け合いの大切さ、災害関連死の防止策、被災地支援活動の必要性など、数多くの教訓を学んできました。こうした経験と教訓を風化させることなく、次世代への継承をしていくこととともに、区民の生命、身体・財産を守るための終わりなき防災対策と正面から向き合っていかなければなりません。一方で、昨年五月に都から新たな被害想定が示され、現在、本区では、この被害想定を基に、地域防災計画の修正作業を行っています。とりわけ、人口が着実に増加し、マンション居住率が極めて高く、銀座、日本橋、築地などの繁華街を中心として多くの昼間人口を有する本区において、地域特性を踏まえつつ、区民や事業所が一体となった地域ぐるみの防災力の向上と帰宅困難者対策が重要な取組であります。そのため、区民一人一人に日頃からの備えや防災対策の重要性を認識していただくよう、防災意識の高揚に向けた取組を日々実践していくこと。地域防災の要である防災拠点活動の充実を図っていくこと。同時に、教育活動の場やお祭り、地域イベントなど、様々な機会を通じて地域コミュニティの醸成を図り、区民等と協働しながら、より一層共助の強化を進めること。さらには、公助の取組として、迅速かつ的確な初動態勢と情報発信の確保とともに、関係機関との緊密な連携により、ライフラインの維持・回復、復旧に向けた方策を絶えず強化していくことが肝要です。今後、いつ起きてもおかしくない首都直下地震に備え、想定以上の災害が発生する可能性があることも常に念頭に置きながら、防災・減災に向けた歩みを着実に進め、災害に強く、いつまでも住み続けられる中央区の実現に向けた不断の努力をしていく所存です。

 次に、関東大震災の教訓を生かした今後のまちづくりについてであります。

 本区においては、関東大震災の復興事業として、まちの骨格となる道路や公園などの整備が進められ、百年にわたり維持補修や改良を重ねてきたことにより、今日の健全な都市基盤があると認識しております。また、震災の教訓を生かして、都市防災機能の強化に向け、無電柱化の推進や橋梁の架け替えにも計画的に取り組んでおります。このような中、区内では、首都高速道路日本橋区間地下化工事に伴い、新たな高速道路ネットワークの整備が始まるとともに、区の基幹的な交通基盤となる都心・臨海地下鉄新線の事業計画案が公表されております。さらには、食文化の拠点として活気とにぎわいをもたらしてきた築地においては、築地市場跡地の開発事業者の選定が進められるなど、次の世代に引き継ぐ都市基盤整備に関連する取組が着実に行われております。これら都市基盤整備の機会を捉え、各地域のまちづくりに当たっては、水辺や緑を生かした歩行者ネットワークの形成や、広場をはじめとする公共空間の整備など、ビジョンやガイドライン等により、まちづくりの方向性や考え方を示して、開発事業等を進めることが重要です。あわせて、中央区総合交通計画を交通政策のマスタープランとし、人口増加に伴って増大する交通需要への対応も図ってまいります。将来の中央区を形づくる都市基盤整備がそれぞれ具体的な段階へと進む中、次の百年に向け、これまで積み重ねてきた本区の歴史と伝統を軸に、誰もが生き生きと暮らし、働き、集うことのできるまちづくりを進めてまいります。

 次に、築地市場跡地開発における今後の取組についてであります。

 区では、本年十月に、築地市場跡地開発に関連して取り組んでいくべき事項などについて区の考え方を取りまとめたところであり、この考えを基に、地元の意見等も伺いながら、令和六年三月頃に決定予定である事業予定者に対し、要望書を提出することとしております。当該開発は都内でも有数の大規模開発であり、区民への影響が大きいことから、事業予定者に対し、地元に配慮し、丁寧に事業を進めるよう働きかけていくことが重要です。区といたしましては、事業予定者決定後、速やかにまちづくり協議会において情報共有や協議を行っていくとともに、地元、事業者、行政が一体となった、しっかりとした協議体制が必要であると考えております。今後も、築地市場跡地開発に関連する各課題の解決に向けて、地元の方々をはじめとした関係者と協議・調整を進めてまいります。

 次に、防災力の強化を踏まえた緑あふれる歩行空間や公園の確保についてであります。

 築地市場跡地のまちづくりにつきましては、令和三年五月及び十月に東京都知事宛てに要望書を提出しております。要望の一つとして、築地川アメニティ整備構想や東京高速道路の再生と連携することで水と緑のネットワークの形成を図り、環境に優しい水辺に広がる、都民に開かれたまちづくりを実現することや、防災船着場とも連携した災害時の防災拠点となり得る空間の整備を求めております。こうした中、都は、昨年十一月に公表した築地まちづくり事業の事業者募集要項において、歩行者中心の緑のネットワークを創出するよう緑を十分計画すること、オープンスペースや広場等の整備に当たっては、防災機能を適切に果たす空間を確保することを条件としております。また、都自らも築地・竹芝間における防潮堤と海岸保全施設の改良を行い、水辺沿いの歩いて楽しい歩行者ネットワークを確保することとしております。区といたしましては、まちづくり基本条例や市街地開発事業指導要綱に基づく協議等を通じて、事業者が、緑あふれる、ゆとりのある歩行空間等を確保しながら、防災力の強化に資する取組を進めるよう働きかけてまいります。

 次に、HARUMI FLAGの入居に伴う手続等についてであります。

 令和六年一月から、いよいよHARUMI FLAGへの入居が始まり、約一万二千人もの新たな住民を晴海地区へ迎え入れることになります。この、いまだかつて経験したことのない規模かつ短期間での転入者等が見込まれることから、窓口などでの混雑、混乱が生じないよう万全を期していく必要があると認識しております。そのため、入居者が円滑に各種手続が可能となるよう、入居前に手続が必要な保育所や学童クラブ等の情報をはじめ、転入・転居時に必要となる手続の案内など、本年八月からこれまで三回にわたり、特定建築者を通じて、入居予定者に対し情報提供を行ってまいりました。また、今後想定される窓口等での混雑を回避するため、関係部署による円滑な窓口の受入れ態勢の在り方等について検討を進めているところです。加えて、区民生活に密接に関連する各施策については、令和六年一月からごみの収集・運搬を開始することとしており、都バスやBRTの増発、通学路・スクールゾーンや江戸バスの新運行ルートの設定などは、関係機関との協議を行っております。また、入居後に対応が必要となる町会・自治会や防災拠点運営委員会の設立などについても、遅滞なく準備を進めているところです。区といたしましては、新たに住民となる方々が安心して転入手続等ができ、新しい生活に早く慣れていただけるよう、きめ細やかな受入れ態勢の整備を図っております。

 次に、保育所の入所見込みについてです。

 新たに開設する運営事業者への問合せや区への相談状況から、多くの方の入園希望が想定されております。そのため、当初、晴海地区に新たに三百二十四人の定員を確保したところではありましたが、保育の質と安全性が確保できることを前提として、運営事業者と協議の上、さらに三十五人の定員拡大を図ったところです。また、晴海地区周辺においても空きのある既存保育施設があることや、期間限定型保育事業、待機児童向けの居宅訪問型保育事業等によって、保育需要に対応できるものと考えております。子どもの居場所につきましては、晴海児童館に加え、来年四月に新設する晴海西小学校内にプレディプラスを設置するほか、民設民営の学童クラブも開設されるなど、放課後における児童の適切な居場所の確保に努めております。

 次に、認知症施策の充実についてであります。

 区では、これまでも、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、認知症ケアを基本目標の一つに掲げ、認知症に関する普及・啓発の推進、相談・支援体制の充実、認知症にやさしい地域づくりの推進に取り組んでまいりました。本年六月に成立した認知症基本法では、認知症の方を含めた国民一人一人が支え合いながら共生する社会の実現に向けて、地方公共団体は認知症施策を総合的に推進することとされており、令和六年度からの次期計画では、認知症の方が尊厳と希望を持って暮らすことができるよう、各施策のさらなる充実を図ってまいります。そのためには、認知症カフェ等において認知症の方やその家族の声にしっかりと耳を傾け、施策に反映させることが大切であると認識しております。認知症の予防と早期発見の取組については、高齢者が自分で簡単に認知症の疑いを確認できるチェックリストの活用、フレイル予防健診、認知症サポート電話や、専門職から成る認知症初期集中支援チームによる支援などを実施してまいりました。これらに加え、令和六年度からは医療・健診・介護データを分析し、認知症やフレイルのリスクの高い方に対して、保健師等の医療専門職が個別に訪問の上、健康相談・保健指導を実施し、必要な支援につなげるなど、取組を強化してまいります。

 次に、認知症の普及啓発についてであります。

 本区では、区のおしらせへの掲載をはじめ、「認知症ケアパス備えて安心!認知症」や「知って安心認知症」等パンフレットの活用を通じて、区民の皆様へ認知症に関する正しい知識と理解、相談窓口などを普及・啓発してまいりました。また、毎月二十一日には、安全・安心メールを活用した認知症に関する情報の配信も行っております。令和五年度は、小学生を対象とした認知症サポーター養成講座を開催するほか、九月の認知症月間におきましては、本の森ちゅうおうに認知症に関する書籍等を配架した特設コーナーを配置するなど、さらなる充実を図ったところです。認知症サポーター養成講座を受講した企業・事業所に対しましては、千代田区の認証制度と同様に、認知症キャラバンマスコット「ロバ隊長」のステッカーを配布し、認知症の方とその家族の応援者であることが外から見て分かるようにすることで、認知症にやさしいまちづくりに向けた機運の醸成に取り組んでいるところです。区といたしましては、認知症サポーターの養成及びサポーター養成講座の企画・開催、講師役を担うキャラバンメイトの育成・活動をしっかりと支援することにより、地域における認知症の方とその家族を支える見守りの輪を一層拡大してまいります。

 次に、補聴器購入の支援の充実についてであります。

 認知症予防には、適切な聞こえを維持して他者とコミュニケーションを取ることが有効であることから、本区においては、他区に先駆け、平成八年度から補聴器購入費用の助成事業を実施し、高齢者の生活の質の向上に寄与してきたものと認識しております。現在、認知症基本法成立に伴い、東京都の認知症施策に関する補助事業の充実が予定されていると聞いております。そのため、事業の詳細が示されましたら、その活用を含め、高齢者が補聴器を安心して購入・使用できる支援体制の構築について、医師会等、専門家との協議の下、検討してまいります。今後とも、認知症の方とその家族が希望を持って暮らせるよう、認知症の方にやさしいまち中央区を目指し、認知症施策を総合的・計画的に推進してまいります。

 次に、こども誰でも通園制度についてです。

 現在、区内認可保育所では、保育サービスを利用していない家庭向けに、保育所体験や園庭開放、各種講座、子育て相談等を行っております。この取組により、保育の必要性のある子供だけでなく、地域に暮らす全ての子供の育ちの拠点として、保育所の機能を強化することで、子育て支援サービスの充実に努めているところです。こども家庭庁においても、こども誰でも通園制度は保育所等の多機能化の大きな柱の一つとして位置づけられていることから、本制度は本区の取組の延長上にあるものと考えております。本区では、晴海地区を中心に大量転入が予定されていることなどから、認可保育所において直ちにこども誰でも通園制度を実施することは困難でありますが、他自治体でのモデル事業の取組状況や、明らかとなった課題などを踏まえ、こども誰でも通園制度を含めた子育て支援サービスの充実について、引き続き検討してまいります。

 次に、一時預かり保育の充実と今後の方向性についてです。

 区では、これまで、一時預かり保育の需要に応えるため、子ども家庭支援センターでの取組のほか、保育所整備に併せて、適宜、一時預かり保育施設を拡大し、それを補完する在宅サービスとしてベビーシッター利用支援事業を実施してまいりました。今後も子育て世帯の増加が見込まれるため、令和六年四月開園予定の晴海西こども園において一時預かり保育を実施するとともに、日本橋区民センターの改修に合わせ、十月から日本橋分室の定員枠を拡大する予定です。また、令和六年七月以降に、子ども家庭支援センターの一時預かり保育・トワイライトステイの利用料支払いのキャッシュレス化やオンライン予約を開始するなど、保護者の利便性向上についても進めてまいります。

 次に、プレディプラスの受付期間等についてです。

 学校内に設置する学童クラブの募集につきましては、来月一日から令和六年一月五日までを申込み期間とし、定員については、京橋築地小学校が六十五名、月島第一小学校が六十名、豊海小学校が八十五名、晴海西小学校が百八十名、合計で三百九十名を予定しております。また、学童クラブの申請については、児童館へお申込みいただく従来の方法に加え、郵送による受付を実施いたします。運用面に関しましては、既存のプレディを含め、お子様の入退館を保護者へお知らせするなどの機能を持つ連絡ツールの導入や、長期休業中における昼食提供など、保護者の利便性向上を図ります。さらに、これまで保護者会が行っていた傷害・賠償責任保険に関する事務手続を学童クラブが行うなど、保護者会の事務軽減にも努めてまいります。区といたしましては、保護者や学校、地域団体などによる運営協議会を通じて、安定した事業運営とともに、お子様が充実した放課後を過ごすことができる環境づくりに取り組んでまいります。

 次に、児童手当の拡充についてであります。

 児童手当につきましては、令和六年十月分からの拡充の方針が示されており、支給対象者や支給額、支給月などに変更が生ずることとなります。このため、区では、国からの通知等をシステム事業者と共有するとともに、システムの改修内容の十分な検証や改修スケジュールの調整を行っているところです。また、新たに対象となる世帯や支給額が変更となる世帯は、現行制度上、申請が必要となることが見込まれるため、制度内容やオンライン申請を含めた手続等に関する周知とともに、受付・処理体制についても検討しております。区といたしましては、国からの速やかな情報提供を求め、円滑な制度移行に努めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えします。

 初めに、復興橋梁や復興公園などの継承のための災害史を学ぶ機会の拡充についてであります。

 本区には、関東大震災からの復興計画により整備された橋梁、公園などが、現在においても貴重な社会資本として利用されております。これらの文化財資源について、区民文化財の指定・登録はもとより、文化財説明板設置などにより、未曽有の大災害である関東大震災の被災と復興に関する歴史を継承しているところであります。特に、今年度は関東大震災の発生から百年を迎えたことから、来年一月に郷土資料館において、震災復興をテーマにした企画・展示の開催を予定しており、広く区民に対して災害史を学ぶ機会の拡充にも取り組んでまいります。

 次に、本の森ちゅうおうについてであります。

 本の森ちゅうおうは、昨年十二月の開館以来、京橋図書館百年の歴史と伝統に加え、豊富な歴史資料を有する郷土資料館との併設による相乗効果により、本区の生涯学習拠点として着実に地域に定着しつつあるものと考えております。また、カフェや自然採光豊かな閲覧席の整備などにより、来館者数は旧京橋図書館と比較して二倍以上のおよそ六十一万人に達しております。さらに、児童書の配架を拡充するとともに、児童エリアを活用した図書イベントを積極的に実施したことにより、平日では地域の保育園や幼稚園の子供たちが、休日では親子連れの来館が増加するなど、本区の子どもの読書活動を推進する拠点施設になりつつあるものと認識をしております。今後とも、本の森ちゅうおうのさらなる充実策に取り組み、心地よい空間の中で多くの子供たちが良書と出会い、知的好奇心が喚起される読書活動を一層推進してまいります。

 次に、学校図書館の環境整備についてであります。

 学校図書館では、図書館ボランティアや司書教諭が本の貸出し・返却だけではなく、選書や掲示物の作成とともに、小学校においては、本の読み聞かせなどを実施しております。こうした取組により、学校図書館を利用する本好きの小学生は増加傾向であり、リクエストに基づく児童書や専門書の配架を充実しているところであります。一方、中学生においては、学年進行とともに読書量が顕著に低下しており、課題であると認識をしております。教育委員会といたしましては、子供たちの本への興味・関心と読書に取り組む機運を高めることで、これまで以上に読書活動を推進できるよう、中学校を皮切りに、学校図書館への司書配置と、開館日時等の拡充について検討を進めているところであります。

 次に、本との出会いについてであります。

 現在、本区においても、子供たちが新しい本との出会いを通じて世界を広げていくことを目的とし、区立図書館では、様々なテーマに合わせた図書の福袋を提供する取組のほか、一人一台端末を活用し、学年に応じた推薦図書や図書館展示情報、各学校の取組などを配信しております。また、各学校図書館では、児童・生徒の発達段階に応じて、学級文庫の入替えや図書ランキングの紹介など、本との出会いを創出する取組を実施しているところであります。今後とも、学校図書館を教育利用のみならず、子供たちが自由に読書できる場として活用するとともに、内容や企画の充実を図りながら、読書活動推進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

 答弁は以上であります。

〔三十番 田中広一議員登壇〕

○三十番(田中広一議員)
 御答弁いただきまして、大変にありがとうございます。

 今回、五点取り上げて質問をいたしました。

 最初の経済対策についてでございますが、これは本当に喫緊の重要課題でありますので、これからの経済対策では詳細な点は御答弁にありませんでしたけれども、どうかしっかり進めていただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 二点目の関東大震災の教訓を踏まえた防災対策と今後のまちづくりについてでございます。

 改めて、地域を歩いておりますと、道路、公園、また、橋梁ですね。本当に、復興事業で整備されたものが、まさに百年近くたって今の中央区を支えていると感じております。今、区内では、多くの都市基盤整備事業が予定されております。むしろ、今、ここに立ったときに、次の百年を目指して何を残していけるのか。先ほど御答弁にありましたとおり、これまで継続的に維持・補修をしていただいたことによって、百年前の大切な取組を継続していただいていますけれども、次に何を残していけるのか、それを考える大事なときではないかなと感じております。したがって、各まちづくりを進めていくに当たりまして、住みやすさ優先のまちづくりと公共性を優先にしたまちづくりを進めていただきながら、また、そこに区民の皆様の連帯意識が生まれて、共助の心を育むような、そういった取組まで検討していただければありがたいと思います。

 次に、認知症施策の充実について質問いたしました。

 日頃、いろいろお話を伺っていますと、やはり今の御高齢の方は、認知症と言うのはすごく恥ずかしいといいましょうか、控えていたいという気持ちが強いようであります。そういった中で、今、区もいろいろな取組をしていただいておりますので、普及啓発をしっかりしていただきながら、少しでも認知症の早期発見・早期対応をしながら、継続的な取組となるようにぜひお願いをいたします。

 四点目の子育て支援の充実については、これは本当に区として最重要課題の一つとして取り組んできておりますので、引き続きしっかりと取り組んでいただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 最後の子ども読書活動の推進についてでございます。

 学校図書館、学校司書のお話、御答弁いただきまして、大変力強く感じているところでございます。ある専門家によりますと、学校図書館は心の保健室という表現で例えておりました。学校現場では、不登校の児童・生徒の方も増えていると伺っておりますので、こうした学校図書館の充実が少しでも子供たちの大切な居場所になっていくものと考えます。

 良書は心の栄養とも言われておりますので、さらなる読書活動の推進を進めていただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。大変にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後三時五分 休憩


     午後三時二十五分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。十七番渡部恵子議員。

〔十七番 渡部恵子議員登壇〕

○十七番(渡部恵子議員)
 議長より発言許可をいただきました中央区民クラブの渡部恵子でございます。

 現在、中央区は、都市再生に向けた様々な動きが同時に進行しています。日本橋の首都高地下化に伴い、八重洲一丁目北地区をはじめとする日本橋川沿い五地区の再開発、また、国際金融都市を日本橋兜町、茅場町に手がけ、東京高速道路の再生の事業化や築地川アメニティ整備構想、築地市場跡地においては、民間活力を最大に活用し、東京や日本の持続的な成長につながるまちづくりを進めるため、東京都が築地地区まちづくり事業の事業者募集を行い、いよいよ今年度三月頃には事業予定者が公表されるほか、新年にはHARUMI FLAGに新たな住民が転入してまいります。今後、一層多様化・複雑化する行政ニーズが想定される中で、今回は、現在直面している問題、課題について四点お伺いいたします。なお、再質問はあらかじめ留保いたします。

 初めに、観光客の増加に伴う築地周辺における交通問題についてお伺いいたします。

 現在、築地市場は解体作業と埋蔵物調査を終え、その名を築地市場跡地と変えながら、新たな開発を静かに待ち続けています。かつて市場の活気とにぎわいであふれた二十三ヘクタールの広大な更地とは反対に、今は築地場外地区の食のまちを訪れる国内外からの大勢の観光客が、連日、まちににぎわいをもたらしています。

 一方、かつて築地市場の勝どき門があった真横の晴海通り沿いでは、連日、工事関係車両が数台駐停車しているために、晴海から銀座方面に向かう車両の流れが悪くなり、時に渋滞を招いているときもあります。また、黎明橋公園周辺にも工事関係車両が時間待ちをしており、同様に周辺に交通渋滞を招くときもあります。波除神社様から市場橋交差点に向かう一方通行の中央区道では、道路上で商売を営む店舗などもあり、そこに列をつくり、順番を待つ観光客が車道にあふれ返り、早朝から午前中にかけて築地魚河岸に荷物を搬入に来た車両の通行を妨げている現状もあります。魚河岸関係者からは、場外は人であふれ返り、車両と接触してしまうおそれがある、致し方がないので、築地川第一駐車場に一旦入り、出口から新大橋通りに抜けるか、市場橋交差点側に抜けるようにしているという声を伺っております。私自身も、順番を待つ列に並ぶ人に接触しないよう、ミラーを閉じてクラクションを鳴らしながら通行している状況です。ようやく新大橋通りに出たとしても、市場橋のバス専用の駐車場に入れない観光バスが、国立がんセンター側と築地市場側に列をなして停車している状況が連日見受けられます。また、最近では、理由は分かりませんが、環状二号線を抜けた月島警察署周辺道路にも観光バスが時間待ちをしている様子も散見されます。

 築地市場周辺は、二○二○年代半ば以降、首都高八重洲線を通行止めにし、Tokyo Sky Corridorの整備に着手していくほか、築地地区まちづくり事業に着手する際は、隅田川など周辺の水辺を活用した魅力的な景観を形成し、バスや舟運、やがては都心部・臨海地下鉄の新駅の工事、また、東京都が整備する防災船着場が予定されています。やがて、高速晴海線の工事、そして日比谷線築地駅から築地二丁目の再開発と、築地周辺には、工事の時期はそれぞれ異なることが予想されるものの、長期にわたり工事車両が出入りすることは明らかです。築地周辺には、保育園、京橋朝海幼稚園・京橋築地小学校、銀座中学校と、幼児、児童・生徒たちの通学路もあります。工事車両、バス、一般車両と搬入トラック、救急病院に向かう緊急車両と築地場外へ向かう観光客の増加も重なり、今後、一層築地周辺の交通事情は過密になることが想定されることから、通行の安全をはじめ、交通問題についてどのような御所見をお持ちでしょうか、区のお考えをお知らせください。

 次に、観光危機管理体制についてお伺いいたします。

 現在、国内外から大勢の観光客が築地以外にも中央区内を訪れ、とりわけ銀座周辺は、連日活況を呈しています。一般に、観光客は観光目的で出かけてくるのであって、来日観光客の多くは、日本が地震大国であるという認識は薄いのではないかと考えます。四十年前に発生した日本海中部地震では、男鹿半島を訪れていた秋田県の児童が津波で犠牲になりました。地震後の引き波で魚介類が潮だまりに残っていたのを喜んだ子供たちが海の中に入っていき、その後、津波にのみ込まれてしまいました。もちろん、地震後に訪れる津波の知識はなかったとはいえ、観光客は土地勘がなく、また、地域の災害特性について知る由もないため、いざ災害が発生したとき、銀座や築地といった大勢の人たちが集中して訪れる場所では、パニックを起こし、車道に飛び出してくる可能性も否めません。来街者に関しては、国や東京都が管轄するものと考えますが、現に、大勢の観光客がパニックを起こしながらまちをさまよい、避難路を探す状況は想定できると考えます。この点、中央区は、二次元コードがついた防災マップアプリのステッカーを作成し、駅などの公共空間に掲示するなど、大勢の観光客へ避難情報等を確実に渡すことができるよう、これまでも取組を進めておられると思います。

 有事の際、観光客に正確な情報を提供することは、避難誘導が円滑に行われ、二次被害の防止にもつながることから、外国人に対しての情報提供について、区のお考えをお知らせください。

 次に、子供と高齢者の孤独対策について伺います。

 長年、区内で動物推進員として活動してこられている方の見解では、昨今、動物についての行政だけでは解決が難しい問題が顕在化しているとのことで、お話を伺いました。令和四年度、動物と暮らしやすいまちづくり会を中心とした支援体制を立ち上げた背景には、二○一七年頃から、飼い主の孤独死、高齢化に伴う認知症発症、心身の病による入院、高齢者施設への入所、貧困等、ペットと暮らしたくても手放さざるを得ない飼育困難な事例が徐々に顕在化し始め、福祉関係者からの相談件数も、これに伴い、増加してきたことが理由にあります。他方、二○○五年から始まった動物との共生推進員制度により、飼い主のいない猫の避妊去勢手術に着手することができ、そのかいあって、一代限りの地域猫となった当時の猫たちは、今、高齢化しています。

 これまでは、まちの路地にも、公園にも、地域を縄張とする猫たちがいて、それぞれの人たちが自由に猫たちの世話をするなど、動物と触れ合う機会がありました。しかし、公園の用途変更などにより自分の居場所をなくした猫たちもいて、地域環境衛生的には非常によい流れとなりましたが、人が自由に猫と触れ合ってきた場所は失われてしまいました。区内で開催される譲渡会には、ペットを飼えない住宅もあるため、子供たちもよく遊びに来ています。同様に、御自身の年齢から動物を飼うことを諦めた方たちも会場を訪れ、せめてこのような機会に猫や犬たちと触れ合いたいという希望をいただくことが増えてきていると同時に、推進員として、動物を介して人と関わるたびに、子供たちも、高齢者も孤独を感じている方々が増えつつあると実感しているというお話もありました。

 十年先の令和十五年の中央区の年齢区分別人口動態推計では、十五歳未満の年少人口は四千四百四十五人増の二万八千二百四人、六十五歳未満の生産年齢人口は三万二千百八十四人増の十五万六千九百八十人と人口をさらに延伸していきますが、同時に、高齢者人口も八千八百五十三人増を見込み、三万四千三百七十二人と延伸していく推計が取られています。集合住宅では、核家族化も顕著となり、命の終わりに接する機会も少なくなり、その結果、見守りの経験がない子供たちも増えつつあることから、東京都が主催する動物事業では、子供たちに聴診器で動物たちの心臓の鼓動を聴く体験をすることで、命の躍動を感じ、命の大切さを実感してもらう機会をつくっていると伺いました。

 これまで中央区の公園というオープンスペースでの猫との自由な触れ合いができていた場所から、クローズドの触れ合いができる場を常設することができるならば、ペットを飼えない子供たちや大人たちが動物たちといつでも触れ合う機会となり、コミュニケーションを取る機会にもなると思います。また、子供たちが高齢者のペットの世話やお散歩代行ができる機会にもなり得、触れ合うことができる場所に来ることにより、孤独感の解消につながると考えます。高齢者にとって、ペットは我が子のような大切な存在であり、これまで家族として大切に慈しんできたペットとできるだけ最期まで一緒に過ごせることのほうが、精神的にも、肉体的にも自立していくよすがになり得、心豊かに日々を暮らせるのではないかと思います。

 これから日本の高度成長期を支えてくれた団塊世代の方々が二○二五年には全員七十五歳を迎えていきますが、年を重ねても、自分らしい生き方をしながら、心を豊かにしていきたいと望む世代の方々が増えていくのではないかと感じております。生活の質を高めていける暮らしの在り方と、そのための選択肢が豊富であることのほうが、リタイアした後、心をすさませることなく豊かでいられるのだと、長年、動物を介し、このまちと人を御覧になってきた方がお話をしてくださいました。

 通いたくなる場は、居場所になります。それは、子供たちにとっても同様です。集合住宅は縦に人が入居していきますが、ペットを媒介とすることにより、人と人とが横でつながっていくこともできるのではないでしょうか。動物共生推進員の方々の実体験として、心が潤うような動物との触れ合いの機会を創出することは、子供たちや高齢者の孤独感の解消となり得、新たなコミュニティにもつながると考えます。区のお考えをお知らせください。

 次に、食の安全性についてお伺いいたします。

 日本とアメリカにそれぞれ居を構え、仕事で行き来している友人から、先日、こんな話を伺いました。アメリカでは、食品のパッケージに発がん性物質の使用が表示されているけれども、日本では、それはしていないようだけれども、なぜと尋ねられました。かねてより食品業界に携わる人たちの間では、世界で生産される食品添加物の半量が日本で消費されていますが、流通側から見ると、食中毒発生のリスクは企業として絶対に避けなければならず、防腐剤や保存料の使用は、その意味での安全な食料の提供には不可欠であると耳にしております。

 そこで、今回、食品について、改めて調べてみることにいたしました。その内情は非常に奥が深く、また、国が農林水産省、厚生労働省とともに判断、決定していることが多いため、短期間では、原因と結果の因果関係も含め、素人では判断し切れない内容でありますが、一つの指標を用いて端的に申し上げるならば、日本は農地単位面積当たりの農薬使用量はOECD加盟国の中で一位であることから、相対的に農薬の使用量が多いということが分かりました。

 一つ事例を挙げるならば、WHO、世界保健機関の外部研究機関である国立研究機関、IARCが、恐らく人に対して発がん性がある結論づけた除草剤の主成分、グリホサートの使用について、既に国として、これを禁止しているのは、ドイツ、オーストラリア、フランスなど十五か国あり、禁止する方向で進んでいる国々を合わせると四十九か国がこれを禁止・規制していますが、日本は引き続き使用しています。これについては、二○二○年十月二十二日放送のNHK「クローズアップ現代」において、世界四十九か国が一部の除草剤を禁止しているものの、厚生労働省は、従来と変わらず使用・販売を許可しており、さらに、グリホサートの使用を二○一七年十二月二十五日、残留基準値を大幅に緩めている、例えば、小麦粉は五ppmから六倍の三○ppmに、トウモロコシは一・○ppmから五倍の五ppmに、そばは○・二ppmから百五十倍の三○ppmに基準を緩めていると放送しました。

 ほかにも、ネオニコチノイド系農薬の規制も日本では緩いようです。この農薬は空中散布するため、浸透移行性が高く、殺虫剤効果が長く持続するのが特徴です。この農薬は神経系に異常を来すことが分かっており、全世界でネオニコチノイド農薬の散布による影響と思われるミツバチの大量死が、現在、問題となっています。EUは、二○一八年から使用が全面禁止となり、イギリスは、二○一七年から包括的な禁止を実施、規制を進めています。アメリカでは、バイデン大統領が舵を切り、米国環境保護庁では、一千七百種以上の絶滅危惧種と八百か所以上の指定生息地に影響を及ぼしているとの見解を出しており、ネオニコチノイド農薬の規制に着手し始めています。この点、東京都は、毎年、都内で流通している残留農薬を調査し、公開していますが、ネオニコチノイド系農薬以外からも複数の農産物から残留農薬を検出し、これらのデータは公表されております。いよいよ農林水産省も、みどりの食料システム戦略の中で、二○三○年までにネオニコチノイド系農薬に代わる新規農薬を開発するなどし、リスク換算で化学農薬の使用量を五○%削減するという目標を立てました。

 ほかに、現在、日本で流通している遺伝子組換え食品を原材料として加工した食品は三百三十種類ほどあり、表示義務があるのは、その中で僅か三十三品目となっています。一方で、EUは、全ての食品及び原材料において表示義務があります。遺伝子組換え食品やゲノム編集食品は、既に日本の食卓にも上っていますが、今まで摂取しなかった新しいたんぱく質が体内に入ると、体は異物が入ってきたと判断し、これを排出するために、小腸の壁面を構成する細胞間の隙間を空けて、小腸内に水分を取り入れることで便を軟らかくして排出しようと働くのですが、これが常態化することで腸の粘膜が薄くなり、穴を空けてしまい、本来なら取り込まない細菌や有害な物質まで血中に取り込んでしまいます。すると、体内に抗体ができ、血中の有害物質を攻撃し始めるために、様々な炎症症状が出始めます。下痢や便秘、腹痛、アトピー性皮膚炎、集中力の低下、神経過敏症など、一連の様々な疾患をリーキガット症候群というそうです。特に怖いのは、小さな子供ほど腸の炎症症状が血液脳関門という脳の関所のようなところから脳へ通過しやすく、とりわけ一歳未満の乳幼児は通過しやすいことが研究で明らかになっています。アメリカの加工食品の八五%に、遺伝子組換え食品やゲノム編集によって人工的につくられた一貫性のないDNAが体内に侵入することにより、体調不良を起こす可能性があることから、子供の体調不良の改善のために、オーガニック食品に切り替えていくことで症状が短期間で改善された事例が報告されています。

 現在、農薬や食品添加物、遺伝子組換え食品やゲノム編集食品が人体にもたらしている様々な影響を受け、EUでは、七年後の二○三○年までに、ケミカル農業から全ての農地の二五%を有機栽培にすることが決定しています。アメリカは、スピード感を持って農業を有機栽培に転換しています。韓国は、日本人の自然農法家を招き、農業を有機栽培にする条例制度を決め、高校までの学校給食、病院、高齢者施設に出す給食の食材を全てオーガニックの食材で提供しています。ブラジルも同様です。

 昨年、二○二二年秋に、全国六十二か所をオンラインでつなぎ、東京の会場には約千二百名もの方々が参集し、学校給食についてシンポジウムが開催されました。東京からは、中野区、杉並区、三鷹市、武蔵野市、多摩市の首長が参加しています。ここでは、さきにお伝えしたように、農水省農産局農業環境対策課の課長が、みどりの食料システム戦略の成立により、二○五○年までに日本の農地の二五%を有機栽培に変えていくことと、オーガニックビレッジ事業に参加することで学校給食への助成を行うことが説明されました。今回、初めて、学校給食をオーガニックにすることについて、文科省初等中等教育局健康教育食育課学校給食食育推進係長により、予算化されたことも報告されました。

 もっとも、オーガニックビレッジは、地産地消によるオーガニック給食を前提としているので、農地がない自治体では手を挙げられない現状があります。しかしながら、姉妹都市をはじめ、中央区とこれまでお付き合いがある自治体がございます。その土地の農産物の提供を受ける可能性を見いだすことができる余地はあるのか。また、成長過程にある子供たちへの給食を、一食だけでもオーガニック食品を使用することで、より健康な体づくりに寄与していけるのではないかと考え、今回、ハードルは高いことを承知しながら、区の区民に対する健康推進と教育委員会の御見解を伺いたいと考えました。

 時を同じくして、令和五年三月、中央区民の健康・食育に関する意識調査報告書をいただきました。これによると、安全な食品を選択し、また食品の表示項目を見るために必要な知識はありますかという設問に対し、「十分にある」、「まあまあある」と回答している人が五九・六%、その中でも七十歳代女性で高いことが報告されています。あわせて、十代、二十代は男女ともに、「あまりない」、「まったくない」と回答している人たちが多いことも分かりました。

 また、現在、中央区健康・食育プラン二○二四(仮称)の中間報告をいただいています。こちらは、第三次健康日本21の市町村計画であり、市町村食育推進計画と一体的に策定するものと明記されています。ここでは、十七ページに、取組の方向性として、「学ぶ」食と健康の基本的な知識を高めると記されています。食育は、その推進を健康づくりのために進めている事業ではありますが、成長期の子供たちの味覚を育てていくことも大きな役目の一つだと考えます。やがて子供を育てる世代となる人たちへ、ケミカルな味を覚えていくのではなく、自然がもたらす旬のものを食しながら健康づくりをすることも、食育の役目の一つと思います。

 区民に対し、中央区健康・食育プラン二○二四において、食の安全な選択について知識をお知らせしていくことについてのさらなる方向性と、学校教育に対するお考えをお聞かせください。

 以上で第一回目の質問を終わります。

〔副区長 田中智彦君登壇〕

○副区長(田中智彦君)
 渡部恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、築地周辺の交通問題についてであります。

 区では、これまでも、場外市場における道路使用の適正化に向けて、NPO築地食のまちづくり協議会をはじめ、築地場外市場商店街振興組合や築地警察署と連携し、パトロールや意見交換会を実施してきたところであります。また、周辺等における路上駐車や渋滞等の対策につきましても、交通管理者などの関係機関と連携を図り、対応を行ってまいりましたが、観光客の急激な増加により、予想を大きく上回る状況となっております。今後は、築地市場跡地開発事業において、工事車両などもさらなる増加が見込まれていることから、工事期間中の対策も必要となります。区といたしましては、都や今後決定される事業予定者に対して、海上輸送を活用するなど、工事車両の抑制を働きかけるとともに、地域と工事関係者を含めた工事連絡協議会などを設置し、工事の進捗、車両の配車計画などを地域に対し丁寧に説明するよう求めてまいります。また、築地市場跡地開発事業により、周辺地域の交通環境改善に資する交通基盤、交通結節機能等が着実に整備されるよう、都や事業予定者へ強く働きかけ、協議を進めてまいります。さらに、地域の方々とともに、市場跡地と場外市場とをつなぐ波除通りにおける安全で快適な歩行環境の在り方についても検討を進めてまいります。

 次に、災害時の観光客等への情報伝達についてであります。

 多くの観光客が来訪する本区において、外国人観光客が災害発生時に適切かつ安全な場所に避難行動が取れるよう、多様な伝達手段で分かりやすく情報提供していくことが極めて重要であります。こうした考えの下、本区では、防災マップアプリやホームページの防災ポータルサイト等を活用した多言語による災害情報の迅速な発信体制を整えており、併せてアプリの二次元コードを駅や区の総合案内板、コンビニエンスストアに掲出するなど、万一の際にも必要な情報を入手できる環境の整備を進めているところであります。また、各防災拠点においても、外国人観光客等が防災拠点に避難してきた場合を想定し、近接する帰宅困難者一時滞在施設を案内する多言語対応のポスターやチラシを配備するなど、適切な避難誘導を実施できる体制も確保しております。区といたしましては、今後、ホテル事業者や大規模集客施設と連携し、情報提供ツールの周知を図るなど、災害時における外国人観光客に対する取組を引き続き強化してまいります。

 次に、ペットを媒介とした子供・高齢者の孤独対策についてであります。

 ペットには、精神的な安定やリラックスのほか、孤独感の軽減を図る効果があると認識しております。区では、令和二年度に地域における動物の相談支援体制の整備に向けた検討会を設置し、複雑化・多様化する動物に関する様々な問題への組織的な対応について議論を行っております。また、令和四年度から、動物と暮らしやすいまちづくり会と協働し、相談窓口の一本化を図る等の体制を整備しております。先月には、新たな試みとして、晴海臨海公園内の猫の保護施設において、人と動物とが直接触れ合う機会の創出を図るための交流イベントを実施いたしました。これらの取組の中で、ひと

り暮らし高齢者とペットの関係に関する相談支援を行ったり、ペットを介して子供とコミュニケーションを図るといった事例が見受けられております。今後、検討会の場などを通じて、共生推進員や獣医師から意見を伺いながら、孤独なお年寄りや悩みを抱えた子供がペットを介して触れ合いや交流を図る場と機会を創出する取組の充実について検討してまいります。

 次に、安全な食品の選択についてであります。

 食の安全・安心を確保するため、区民自らが安全な食品を選択できるよう、食の安全に関する正しい知識や情報を発信するとともに、学ぶ機会を提供することは重要であります。現在、中央区健康・食育プラン二○二四の策定作業を進めているところであり、中間報告の中では、食育の推進の取組の柱として、食の安全・安心の確保の推進を明確に位置づけています。区といたしましては、食品の消費者である区民に向けて、食品衛生出前講座の実施や食の安全・安心講習会、ライフステージに応じた食育講習会、生活習慣病予防教室の開催など、様々な機会を通じて、安全な食を選択する力を身につけていただくための取組を積極的に進めてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 学校給食の考え方についてであります。

 現在、学校給食では、均質で安定的な供給が可能な食材を活用しており、原則として国産食材を使用するとともに、特に一部の野菜については、地産地消の考え方に基づき、定期的に東京都産を使用しております。こうした国産食材の使用とともに、食の安全についても、ふれあい給食や食育授業などにおいて保護者や子供たちへの周知に努めているところであり、教育委員会といたしましては、引き続き安全・安心な学校給食の提供を行ってまいります。

 答弁は以上であります。

〔十七番 渡部恵子議員登壇〕

○十七番(渡部恵子議員)
 それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 築地周辺の工事状況、これからさらに様々過密してくる状況が推定できるために、海上輸送などの働きかけもしてくださるということをお伺いいたしました。とにかく、通行する方々、また来街者の方々の交通の安全を図りながら、まちがこれから幾つも工事が重なっていく中で、常に安心ということを担保されながら工事を進めていただきたいと思います。

 次に、外国人に対する災害時の情報提供、既に区が持っている様々なツールを利用しながら、いざというときに迷って来る方々の保護をしていくことによりまして、一層、区民を安心に守っていけるということの理解をさせていただきました。これからホテルとか大規模施設と協力していくということの御答弁もいただきましたので、その強化のお取組をどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 ペットを介した人々の、特に子供たち、そして高齢者の方々の孤独につきましては、動物推進員の方々や様々な機会を通して相談支援体制も整えていただきながら、今年の十月には臨海公園で交流イベントも実施されたということで、この先、そうした機会がたくさん増え、できるならば常設した、常にクローズドの中で誰でもが来て憩える、あるいは癒やされる、そんな空間がもたらされることを方向性として、どうかお取り組みいただきたいというふうに思います。

 そして、四番目、食の安全です。

 こちらは、非常に御答弁が難しかったんだろうなというふうに思います。なぜなら、先ほど私が皆様にお伝えしたように、ほとんど、国が仕切っているところが非常に多いからです。ですが、どうしてもその中で、その範囲の中で、私たちは、より安全なものを選択していかなくてはならない。ましてや成長期の子供たち、これから幼稚園の給食が始まります。その中で、子供たちのさらなる健康、そして発育途中の中での健康ということを考えて、食は人を良くするというふうにも書きますので、お取り組みをいただきたいというふうに思っております。

 ここで、少しトキについてお話をさせていただきたいと思います。

 日本の野生のトキです。一九八一年、最後の五羽が佐渡で捕獲された後、日本から姿を消しました。新潟県佐渡トキ保護センターでは、中国の協力で人工繁殖が成功し、二○○八年に自然界へ放鳥を開始し、現在では、佐渡に野生のトキが五百羽以上生息しているそうです。ただ、その背景には、農薬、化学肥料の使用を五割以上削減し、あぜ道に除草剤グリホサートを散布しない、生き物調査を年二回必ず行うなど、義務づけられています。

 そして、千葉県いすみ市は、二○○七年、給食のお米を一○○%の無農薬にし、幾つかの野菜も、現在、農薬を使用しないものを提供しています。中央区の明石小学校、杉の子学級の養護教諭だった先生が、いすみ市に農地を買って移住し、たんぼのがっこというものを運営されています。私も何度か子供たちを連れて伺い、実際、農薬を使わない野菜とお米を食させていただきました。当時から、いすみ市の農薬を使用しないお米を給食に提供する取組については、このたんぼのがっこの吉田先生を通して伺っておりますが、オーガニック給食を通して得られる学びこそ大切だといういすみ市の農家の方のお言葉があります。子供たちがそれをどう受け止めるかということが重要であり、いすみ市の子供たちは農業体験学習を通し、農薬を使っていないからカエルがたくさんいるんだよ、カエルが害虫を食べてくれるからなんだと農家の方々から直接話を伺う中で、持続可能な環境の上に自分たちの健康があるという教育がなされているというお話でした。

 欧米諸国で有機栽培に切り替える、これは、今、もう世界の潮流として当たり前になりつつありますが、そのことの背景には、実は、地球温暖化を止めなければならないという理由も横たわっているようでございます。二○一九年、スイスのジュネーブで開かれたIPCC総会、地球温暖化に関する政府間協議で示された報告書があります。世界全体の人為的活動による温室効果ガスの総排出量のうち、林業や農業の温室効果ガスの総排出量は約二三%に相当し、グローバルな流通システムを合わせると約三七%に上るとし、農薬を使用した田畑の土は炭素を含むため、トラクターで耕すことによって、二酸化炭素となって大気中に放出されることを指摘しています。気候変動による食料不足が懸念されることから、各国は、農地を耕すことのない、農薬を使用しない農法へと切り替えているという動きが始まっているとのことでした。

 区民の健康は食から始まります。食の安全性を区民に具体的に、これからも様々な機会を通して知らしめながら、私自身も、これから様々な機会を通し、給食の在り方等々を考えてまいりたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。以上で私の質問を終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後四時三分 休憩


     午後四時二十五分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。二十番奥村暁子議員。

〔二十番 奥村暁子議員登壇〕

○二十番(奥村暁子議員)
 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

 初めに、パレスチナ・ガザ攻撃について質問します。

 イスラエルの大規模攻撃により、パレスチナ・ガザ地区の人道状況が極めて深刻になっています。犠牲者の四割が子供であり、ユニセフはガザが子供たちの墓場と化し、人々の生き地獄となっていると告発しています。平和都市宣言を掲げる中央区として、即時停戦を求めて行動することが必要ではないでしょうか。今回のガザ危機の直接の発端は、十月七日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの無差別ロケット攻撃と民間人連行です。いずれも国際法違反であり、人質の即時解放が必要です。

 同時に、こうした事態が起こった背景には、イスラエルが一九六七年の第三次中東戦争以来、ヨルダン川西岸とガザ地区を占領下に置き、パレスチナ住民の強制排除を行いながら入植を拡大し、二○○七年以来、ガザ地区の封鎖と、天井のない監獄と呼ばれる非人道的状況をつくり出してきたこと、度々の空爆によって多くのパレスチナ人を犠牲にしてきたという歴史的事実があります。これらは全て、国連の決定と国際法に背く無法行為です。今回のイスラエルによる攻撃は、その一つ一つが明白な国際人道法違反の戦争犯罪であるだけでなく、その規模と残虐さから見て、ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅策を世界が防げなかったことへの反省が込められたジェノサイド条約が固く禁じている集団殺りくに当たる重大な危険があります。イスラエルがハマスの攻撃に対する自衛権を盾にして、圧倒的な軍事力を行使した報復を行い、ガザでのジェノサイドを行うことは、決して許されません。この人道的危機を一刻も早く止めるために、各国政府、国際機関が、イスラエルはガザ攻撃を中止せよ、即時停戦をの一点で緊急の行動を強めることが必要です。

 そこで、お聞きします。

 日本政府は、ハマスに対する非難は行うものの、イスラエルの蛮行に対して非難することを一貫して避け、即時かつ持続的な人道的休戦を求めることにもかたくなに背を向けています。日本政府は、イスラエルを支持するアメリカの顔色をうかがうことをやめ、イスラエルに対し、国際法違反の蛮行をやめるよう求めるべきです。そして、双方に即時停戦を働きかける外交努力を尽くすよう、国に求めていただきたいと思いますが、いかがですか、お答えください。

 次に、市街地再開発事業について質問します。

 中央区では、現在、検討中のものも含めると三十二件の巨大な市街地再開発事業等が進行しており、拡大の一途をたどっています。市街地再開発では、開発計画の中に歩行空間の整備や地下鉄出入口、帰宅困難者の一時待機施設、地域冷暖房プラント、喫煙所など、地域貢献策のメニューを組み込むことによって、容積率が一・五倍、二倍と大幅に緩和され、超高層の巨大なビルが建つケースがほとんどとなっています。

 しかし、こうした地域貢献策は、地域住民だけでなく、開発する当該マンションやオフィスビル自体にとっても利便性や安全性を高めることにつながるものばかりで、その貢献策が当該マンションやオフィスビルの価値を高めることにもなっています。自身が大きな恩恵を受けるにもかかわらず、殊さら地域貢献を強調して、容積を積み増していく必要があるのでしょうか。増やされた容積分によって、事業者の利益はさらに拡大することになります。どの地域貢献策についてどれくらいの容積率を緩和するのかという点についても、七月三十一日に開かれた中央区都市計画審議会で確認した際には、基準自体は存在するものの、開発のケースごとに総合的に判断される旨の答弁でした。それぞれの建物について、どのように評価されたかという情報も、一般には公開されていないとのことです。地域住民や議会の目に触れないブラックボックスの中で、地域貢献の名の下に容易に容積率が緩和される仕組みには大いに疑問を持ちます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、地域貢献策による容積率の緩和について評価する場面には、どのような方たちが参加し、どのような話合いが行われるのでしょうか。

 第二に、一つ一つの市街地再開発について、どう容積率緩和の評価がされたか、資料等の公開を求めますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、住宅困窮者対策について質問します。

 都営住宅に応募しても全然当たらない、都営住宅をもっと造ってほしい、都営住宅には空室がいっぱいあるのになぜ入れないのか、年金生活者でも暮らせる単身者向けの低家賃住宅を拡充してほしいなど、切実な声が党区議団に寄せられています。低家賃の住宅を必要とする人が幅広く応募でき、安心して住める都営住宅などの公営住宅拡充が求められているのに、二○○七年に公営住宅法施行令の一部を改正する政令案が閣議決定され、それまで月収二十万円だった入居収入基準が、二○一一年から十五万八千円に大幅に引き下げられる制度改悪が行われました。その結果、国土交通省の推定では、この収入を超過した約十一万世帯が追い出されました。こうした収入超過による追い出しにより、全国の公営住宅での空き家戸数は、二○一一年度から二○二○年度の十年間で倍増し、東京都全体でも三万八千戸に上っています。

 空き家の種類として、入居者の募集を行ったが、応募者の不足や辞退等により入居決定を行えない一年以上の長期空き家や、入居決定を行えない一年未満の短期空き家、入居者の募集を行っている最中で入居決定を行っていない準備中空き家、入居者の募集を行っていない未募集空き家がありますが、最近では、特に都営住宅削減のための用途廃止を行うための未募集空き家が増大しています。入居対象者を狭めて応募を減らしながら、空き家を増やし、募集をかけずに供給戸数を削減していくことは、多くの公営住宅を望む住宅困窮者の願いに逆行しています。公営住宅を増やさない一方で、国は、高齢者や障害者、子育て世帯、低所得世帯など、住まい探しに困っている人を受け入れる民間賃貸住宅をセーフティネット住宅として登録する制度を二○一七年から開始しましたが、十分に機能しているとは言えません。

 中央区でも、かつての高齢者優良賃貸住宅、いわゆる高優賃として運用されていた住宅が高齢者向けのセーフティネット住宅に移行し、現在、四棟七十五戸がありますが、空きはなく、収入に応じて区から四万円の補助はあるものの、中には家賃が十八万円と高額なものもあり、困窮世帯に対応し切れてはいません。中央区は、長年、市街地再開発事業に莫大な税金を投入し、高家賃のタワーマンション建築を進めてきました。このことが近傍家賃を引き上げることにもつながっています。高い家賃を払える富裕世帯への住宅供給が大幅に増える一方で、低所得世帯への供給は十分とは言えません。市街地再開発の見直しも含め、住宅政策の転換が求められます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、生活困窮世帯の住宅確保が大変厳しい現状をどのように認識していますか。

 第二に、区内の都営住宅で未募集空き家はありますか。空き家を改修し、速やかに供給できるよう東京都に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。住宅に困窮しているのに応募できない人を生まないよう、入居収入基準を制度改悪前の二十万円に戻すことと併せ、都営住宅全体を増やすよう、都に強く求めることが必要だと思いますが、いかがですか。

 第三に、区内のセーフティネット住宅の待機者数をお示しください。

 セーフティネット住宅が増えない理由をどのように分析していますか。また、今後、どのように増やしていくおつもりですか。

 第四に、市街地再開発を行う際には、その中で低家賃住宅を整備することを附置義務とすることや、区営住宅の拡充、民間賃貸住宅の借り上げ、家賃補助など、住宅困窮者をなくすため、あらゆる手だてを取ることを求めますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、中小企業・小規模事業者支援について質問します。

 コロナ禍、そして物価・原材料の高騰に加え、過剰債務が中小企業・小規模事業者の経営に重くのしかかっており、十月の企業倒産は十九か月連続で前年同月を上回りました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で倒産・廃業の危機に瀕した事業者の資金繰り支援に、国は実質無利子・無担保のゼロゼロ融資を導入し、二○二○年三月に日本金融公庫などの政府系金融機関、同年五月には民間金融機関で受付を始めました。返済の据置期間は基本的に三年で、民間金融機関への返済は今年七月から来年四月がピークになると言われています。中央区も二千万円を貸付限度額とした新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金や、令和五年度限定で借換資金を受け付けるなど、事業者支援を行っていますが、東京商工リサーチの調査によると、約三百五十八万社の国内企業のうち、本業の営業利益で支払い利息を払えない企業は、約一二%に当たる約四十万社あるとのことです。中央区でも深刻な影響が出ることは避けられません。コロナ危機を上回る倒産・廃業が起きる危機を防ぐための抜本的な対策が必要です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、区内での中小企業・小規模事業者の経営や資金繰りの現状をどのように把握していますか。区として、さらなる支援策を講じる必要があると思いますが、いかがですか。

 第二に、中小企業にとって、ゼロゼロ融資は、コロナがなければ本来借入れを必要としない緊急的な借金です。通常業務で返す借金とは別枠の債務として返済を猶予し、事業継続に必要な新規融資も受けられるようにすることを国に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、ゼロカーボンシティ中央区の実現について質問します。

 中央区基本計画二○二三には、省エネと、エネルギーを創り出す創エネにより、建物で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した、通称ZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル化を進めることが掲げられています。ZEBは四種類に分類されており、省エネ技術で一次エネルギー消費量を五○%以上削減するZEB Ready、そこからさらに創エネ技術を加えて七五%削減するNearly ZEB、一○○%以上削減するZEB、延べ床面積が一万平方メートル以上の建築物でZEB Readyを見据えたZEB Orientedとなっています。

 中央区の公共施設では、今後始まる総合スポーツセンターの改修の際にZEB Ready認証取得を予定しており、これがZEB化の第一号となります。他自治体では、品川区では、昨年五月に開設した環境学習交流施設、エコルとごしは、都内公共建築物として初のNearly ZEBの認証を取得し、今後竣工予定の施設も含め、区内六か所の公共施設でZEBなどの認証を取得しています。同区は、こうした施設の見学に二十三区の職員を招き、ノウハウを共有するなど、人材育成の先頭に立っています。

 区施設のZEB化ではコストが課題となっており、小規模施設をZEB Readyで新築する場合、費用が一割程度増えるとの試算がある中、同区の担当者は、これまでの建築費をベースに考えていてはZEBは実現できない。ZEB Ready相当を基準とするなど、考え方を切り替える必要があると述べています。既存公共施設のZEB化では、新築ZEBと違い、コストに加え、選択できる技術が限られていることも課題です。

 葛飾区では、既存施設の大規模改修のZEB化を検証するため、区立小学校の一教室に断熱材を設置したところ、空調消費エネルギー量が約半減しました。一校全体で実施した場合は、全体の消費エネルギー量を約三○%削減できるという検証結果を得ることができ、同区の担当者は、大規模改修のZEB化についてどこまで目指せるか、今後も検証していきたいと語っています。

 十月十六日には、特別区長会がゼロカーボンシティ特別区の実現に向けた共同宣言を行いました。中央区は、ゼロカーボンシティ中央区宣言の中で、二○五○年にはCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。その実現のためにも、特別区全体でも協働を進め、脱炭素化という待ったなしの課題に向け、ZEB化を強力に推し進めることが重要です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中央区環境行動計画二○二三で、二○三○年までに新たに建設する区有施設におけるZEB化率の目標値は一○○%です。これを確実に達成することと併せ、改修工事の際もZEB化を強力に進めていくことを求めますが、いかがですか。そのためにも、ZEB Ready相当を基準として予算を組むことを基本とすべきだと思いますが、いかがですか。

 第二に、ゼロカーボンシティ中央区実現のため、厳しい経営状況の下で、脱炭素に向けた取組に至っていない中小企業への支援策拡充を求めますが、いかがですか。莫大なCO2を排出する市街地再開発偏重のまちづくりを転換すべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、江戸バスの運行について質問します。

 全国的に慢性的な運転手不足が深刻となる中、人口が集まる東京でも、運転手不足からバスの減便や路線廃止の動きが相次いでいます。働き方改革関連法により、二○二四年四月から、バスやトラックなどの運転手の残業時間について、年九百六十時間を上限とする罰則付規制が適用されることも相まって、さらなる人手不足が懸念されます。中央区のコミュニティバス、江戸バスを運行する日立自動車交通は、晴海とJR東京駅を結ぶ乗合バスである晴海ライナーを九月から減便したほか、台東区や文京区のコミュニティバスも十月から一部減便しています。高齢者や障害者、妊婦の方への無料化も始まり、利用者が増えている身近な交通機関であるコミュニティバスを守っていくことが区に求められます。

 そこで、お聞きします。

 第一に、運転手不足が問題になる中、江戸バスに減便などの影響が出ないよう、日立自動車交通にはどのような要請や支援を行っていますか。

 第二に、区独自に、あるいは国や東京都と協力し、運転手の処遇改善のための予算措置や、運転手を育成していくなどの運転手確保策が必要だと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 次に、学校給食無償化の対象拡大について質問します。

 全国の自治体で学校給食の無償化が広がる中、二十三区は、来年度実施を表明した自治体も含めると、全ての自治体が小・中学校給食無償化に踏み出し、全国の自治体を牽引する大きな役割を果たしています。

 中央区で今年四月から始まった無償化に際し、日本共産党区議団は、時限的ではなく恒久的な制度とすることや、幼稚園や都立特別支援学校への拡大を求めてきました。中央区は、来年度以降も小・中学校の給食無償を継続し、幼稚園では弁当給食を開始することとしました。都立特別支援学校についても、前向きに検討しているとのことです。学校給食は、とりわけ子供の成長発達に直結するものであり、自治体や家庭によって、その食の権利の保障に格差を生じさせてはなりません。義務教育は無償とうたう憲法二十六条の全面実施のためにも、さらなる対象拡大が必要です。

 そこで、お聞きします。

 第一に、中野区は、区立のみならず、私立、国立、また不登校の子供も含め、小・中学生がいる世帯に対し、二○二三年度下半期分の給食費相当額を支給します。新宿区でも、私立等に通う児童・生徒も来年四月から実質無償化する検討をしているとのことです。中央区でもこうした対象拡大を求めますが、いかがですか。

 第二に、六月の区議会第二回定例会で、国に対し学校給食費無償化の実施を要請するよう求めた際、特別区長会などを通じて、国に対し財政措置を求めていくとの答弁でしたが、その後、働きかけはどのように進みましたか。東京都に対しても、学校給食を無償化するよう求めていただきたいと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔副区長 田中智彦君登壇〕

○副区長(田中智彦君)
 奥村暁子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、パレスチナでの紛争についてであります。

 当該地域では、既に数多くの貴重な命が失われ、今なお人々が深刻な状況に瀕していることに、深い悲しみと強い憤りを感じております。現在、世界各国が様々なパイプを通じて、戦闘の即時停止と人道支援の働きかけに努めており、今月十五日には、戦闘の休止をはじめとした国連安全保障理事会の決議が採択されました。区といたしましては、決議の早急かつ確実な実行はもとより、一日も早く永続的かつ包括的な和平が実現されるよう、政府において国連や関係各国との密接な連携を図りながら、今後とも粘り強く外交努力を重ねていくことを期待するところであります。

 次に、市街地再開発事業における容積率の緩和についてであります。

 東京都は、都市づくりの実現に向け、都市開発諸制度の戦略的活用を図るとしており、都内各地域の特徴を考慮した割増し容積率などの設定や評価の考え方について、制度の活用方針や運用基準により公表しています。本区におきましても、これと一貫した考えに基づく制度活用が求められることから、都の基準等を踏まえ、運用しているところです。こうした中、個々の開発に際しては、評価の前提として、区域規模や周辺市街地の実情に照らした貢献であるか、また、整備や管理の確実性が担保されているかなど多角的な検証が必要となり、区や東京都のほか、関係行政庁及び関係機関との詳細な協議が必要となります。都市計画決定権者は、これらを踏まえ、評価容積率を設定しており、都市計画審議会における地域特性や開発意義も含めた審議を経て決定されることとなります。このように、容積率の緩和は、基準に示される数値規定のみによらない総合評価であることから、個別の計画ごとに広く公開する考えはありません。

 次に、住宅困窮者対策についてであります。

 本区におきましては、都心部の立地や利便性等の地域特性により住宅家賃が高い傾向にあり、生活困窮世帯の住宅確保が厳しい状況であると認識しております。都営住宅の空室に関しましては、区のほうで状況を把握しておりませんが、都営住宅条例に基づき、都が適切に管理しているものと認識しております。また、公営住宅法施行令の改正に伴い、都が入居者の年間所得金額の基準を下げたことで、より生活困窮する世帯に住宅が提供されてきたものと認識しており、制度の見直し等を都に求める必要はないものと考えております。区内のセーフティネット住宅の待機者数につきましても、都の事業であることから、区は把握しておりません。空き家や空室を活用した現在のセーフティネット住宅につきましては、本区の地域特性から、増加が見込みづらい状況にあると捉えております。区といたしましては、住宅困窮者への支援策として、都営住宅の地元割当や、令和七年四月から開始予定の中央区セーフティネット住宅家賃補助制度など、様々な取組により、今後とも住宅政策の充実に努めてまいります。

 次に、区内事業者の現状と支援についてであります。

 区内の中小企業・小規模事業者の経営や資金繰りの状況については、区の商工相談での聞き取りや商工業団体との意見交換のほか、二か月ごとの景気動向調査により把握しており、現状は、積極的な事業展開を図る動きが多く見られる一方で、一部には、物価高騰等の影響から今後の経営に不安を抱えている事業者もおられます。区といたしましては、引き続き事業者等の声に耳を傾け、適宜、関係団体等との連携の中で区内経済の状況把握に努めながら、中小企業等が安定的に経営を継続できるよう支援を行ってまいります。

 次に、いわゆるゼロゼロ融資については、今般、返済に苦しむ企業の事業再生支援に向けた国の動きが報道されており、今後も動向を注視してまいります。区といたしましては、事業者に寄り添った各種相談を継続するとともに、今後の状況によっては、支援策を検討してまいります。

 次に、ゼロカーボンシティ中央区の実現についてであります。

 ゼロカーボンシティを実現するためには、区が旗振り役として率先して行動するとともに、区域全体の二酸化炭素排出量の約七割を占める民生業務部門の対策が重要であると考えております。区の率先行動の一つが区有施設のZEB化であります。既存の区有施設につきましても、大規模改修の機会を捉え、ZEB Readyを含むZEBの実現可能性について、技術面、費用面からの検証を適宜行うとともに、環境配慮技術や省エネ設備を積極的に導入し、建物の省エネ化を図ってまいります。民生業務部門につきましては、再開発を通じて環境負荷の軽減にも寄与する都市のコンパクト化を図るとともに、省エネ設備の導入の促進に向けた自然エネルギー及び省エネルギー機器等の導入費助成などによる中小事業者の支援を行っております。これらの取組の推進や事業者の協力により、二○二○年度における民生業務部門の二酸化炭素排出量は、二○一三年度比で約マイナス二八・七%となっており、着実に削減が進んでいるところであります。区といたしましては、今後とも、区民、事業者と一丸となった取組を推進してまいります。

 次に、江戸バスの運行についてであります。

 これまでも、区では、江戸バスの運行事業者である日立自動車交通と定期的に協議を行い、運行課題に対する意見交換や安定運行に向けた要請を行うとともに、必要な経費を補助してまいりました。また、日立自動車交通では、積極的な採用活動や研修制度の拡充、労働環境の向上などを図り、運転手の採用や離職防止に取り組んでおります。今後もルート変更を控えており、さらなる運転手の確保が必要となることから、引き続き、日立自動車交通と連携し、区民の身近な移動手段である江戸バスの安全・安定な運行に取り組んでまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 学校給食費無償化の対象拡大についてであります。

 学校給食の無償化は、国として全国一律に行われるべきものと認識をしております。しかしながら、教育委員会としては、保護者の経済的負担等に鑑み、学校設置者として早期に対応すべきものと考え、区立小・中学校で提供する給食費を無償化したところであります。こうした対応は、あくまで現物支給する給食を無償化するものであるため、私立学校等進学者に対する昼食の補助は考えておりません。また、特別区教育長会では、令和五年八月二十四日付で、文部科学大臣及び少子化対策特命担当大臣に対して、学校給食の無償化に係る要望書を提出するとともに、来年一月に開催される東京都教育委員会との意見交換の際にも議題とする予定であります。

 答弁は以上であります。

〔二十番 奥村暁子議員登壇〕

○二十番(奥村暁子議員)
 順不同ですが、再質問させていただきます。

 最初に、先ほど読み上げた文章で、学校給食無償化について、特別区長会と言ってしまったところがあったんですが、特別区教育長会の間違いでしたので、訂正させてください。

 学校給食についてですが、国にも要望書を出しているということです。国で全国一律に実施するのがもちろん望ましいと思いますが、今は自治体によってばらばらで、差が生まれているという状況になってしまっています。ほかの自治体を牽引していく、それがいずれ国や東京都の制度となっていくよう動かしていくためにも、各自治体での取組は大変重要だと思います。中央区として、そういう給食費無償化を引っ張っていくという立場に立っていただきたいと思うので、その気持ちについて再度伺いたいと思います。御答弁をよろしくお願いします。

 江戸バスの運行についてですが、日立自動車交通のほうでも運転手確保のために頑張っているということですが、今後もさらに運転手は不足していくという見込みとなっています。二○二三年、全国で一万人不足しましたが、二○三○年には三万六千人不足すると、そういう試算もあります。日立自動車交通だけに任せていては、運転手の確保が大変難しいということにもなりかねないと思うのですが、その点についても御答弁いただきたいと思います。

 そして、処遇改善のために区が補助をしていくということについての具体的な答弁はなかったのですが、私としては、区としてできることとして、処遇改善も行って早急に対応していく、今後のためにも必要な施策だと思いますので、その点についても再度御答弁をいただきたいと思います。

 運転手の所得というのは、全産業平均よりも約百万円少ない三百九十九万円だということです。処遇改善をしていくということが運転手確保にはとても有効だと思いますが、そういう認識をお持ちかどうかという点についても御答弁をお願いいたします。

 ゼロカーボンシティの実現ということについてですが、中央区環境行動計画や、またゼロカーボンシティ中央区宣言などでも目標値が定められていますが、今後、具体的に、四種類あるZEBの中で、何をどう組み合わせて、本当にこの目標値を達成していくことができるのか、検討が大変重要だと思います。質問の中で最初に御紹介した、学校の教室一つに断熱材を施したという葛飾区の例などもあるので、こういったことからでも、すぐに中央区でも取り組んでいただきたいと思いますので、この点についても御見解をお示しください。御答弁をいただきたいと思います。

 そして、住宅問題についてですが、セーフティネット住宅などについては、中央区のほうでの把握はないという、大変人ごとのような答弁だなというふうに感じました。墨田区では、セーフティネット住宅を区のホームページ上で募集もかけていたり、登録してくれた住宅に対しては謝礼金を支払う、また、高齢者の見守りなど生活支援なども事業者と協力してやっていると。安否確認の機器設置の際にも、一万円補助するなどもしているそうです。セーフティネット住宅は、空きがどれぐらいなのか、応募の状況などもなかなか分からないようですが、そもそも家賃が高いものもあるので、応募したくても応募できないという方も、中にはいると思います。ですので、より安い家賃で住まえる住宅を、区の責任として増やしていく必要があると思います。再度、御答弁いただきたいと思います。

 そして、市街地再開発における容積率の緩和についてですが、多角的に検証しながら、やはりケースごとに決まっていくんだということですが、どういうふうに決まったかという経緯が分かる、そういう資料というものは当然存在するんだと思うんですけれども、そういう資料の存在について確認をさせていただきたいと思います。何か口約束で、口頭で話し合ったことだけで決まっているということではないと思うので、資料の公開を求めたいと思います。御答弁いただきたいと思います。

 地域住民の方も、何も超高層を望んでいるわけではなくて、再開発の地域に地権者として土地を持っている方なども、自分の経済力で建て替えなどを老朽化した住宅に対して実施していくのが難しいということで、やむなく市街地再開発に組み込まれている、そういう住民の方も多いわけです。環境にかける負荷も、こういった超高層の建物というのは大きいですから、地域の方、また議会に対しても、なぜこういう高い建物になってしまうのか、その詳細なデータというのは公表していく必要があると思います。総合評価なので公開できないという答弁だったんですが、この点についても再度御答弁いただいて、公開を求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で再質問を終わります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 奥村暁子議員の再質問についてお答えをさせていただきます。

 学校給食費の無償化の中央区としての牽引ということで、お話をいただきました。

 今回の無償化については、先ほど御答弁させていただいたとおり、中央区としては、いち早く決断できたものというふうに考えております。結果的に、第一ブロックの中では一番先に決断できたということから、ある意味、特別区の中の第一ブロックの港区ですとか、新宿区、こういったものを牽引できたのかなというふうには考えてございます。

 ただ、全国に対するという取組の中で、一中央区だけが牽引するということではなくて、私は、これは東京都、二十三区が一致団結して国に対して、今回、要望書を出したように、これは特別区として取り組んでいくべき課題かなというふうに考えております。もちろん、そういった牽引していきたいという気持ちはございますけれども、一区だけ特別にやるわけではなくて、これは二十三区共同でやっていければというふうに考えているところでございます。

 答弁は以上でございます。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 私のほうから、残りの質問についてお答えします。

 まず、日立自動車交通の江戸バスの運行についてでございますが、これは、私どもが直接運転手を雇い上げているわけではございませんので、やはり日立自動車交通の努力に待たなければいけない話でございます。ただ、日立自動車交通の運行経費の中で、当然、私どもは、運行経費については、赤字分の補塡という形で負担をしているわけですから、そこの中でそれなりの配慮をさせていただきながら、日立自動車交通が運転手を確保しやすい、いろいろ処遇状況の改善も含めた運行経費のありようについて協議をさせていただきながら支援をするという形を取らざるを得ないので、そういう形で協議をさせていただきたいと思っております。

 それから、ゼロカーボンシティの問題でございますが、これは先ほどの御答弁でも申し上げましたように、いわゆる改築とか改修とか、それから新築のときに、もちろん、建物のZEB化を考えていくというのが基本的には前提でございまして、今回、浜町の総合スポーツセンターにおいても、ZEB Readyを目指しているわけですが、今後の建て替えあるいは改築においては、それに合わせて、基本的には常にZEB Readyをやっていくというのは、私どもの覚悟でございます。ZEBだけを目標にして工事をするというわけにはなかなかいかないので、いわゆる全体の改修とか何かと併せてやらないと効率的にできませんので、そういう機会があるごとにZEBを狙っていくというのが私どもの考え方でございます。その点は御理解をいただきたいと思います。

 それから、住宅についての考え方でございます。

 実態的に、住宅の選択、住宅政策というのはかなり難しいところがございまして、地方自治体が住宅政策にどう関わるかというのは、かなり難しいところがあると思います。個人の御職業、その御世帯の御職業なり何かとの関連で住宅というのは選択されるところもあるわけでございます。生活のありようとの関わりで住宅も選択されるところがあるわけでございまして、家賃補助なども加えていくことはありますけれども、これも個人の資産形成と関わってしまう部分もあるので、公共的な住宅政策はどう展開されるべきかというところについては、かなり難しい判断があるだろうと思っております。

 私どもの区というのは、かなり独特の江戸時代からの町家でございましたので、実は、都心区の中では、唯一、旧借地借家法がかなり利いておりまして、いわゆる低い所得の方々が旧借地借家法で守られて、こういう言い方をすると大変怒られますけれども、都心部の中に、ある程度、比較的安い所得で住んでいられて、都市をメンテナンスする労働力を供給してきた区であった、そういう過去がございます。そういう中で、私どもとしては、区として、その辺の事情を分かりながら、家賃補助というものに踏み切ったのは、実は、昭和のおしまいというか、平成の初めでございまして、開発事業などを通じて、借家の方がいきなり高額な家賃上昇が出て、これまで借家であった人たちが追い出されてしまう。開発を通じて追い出されてしまうようなことがあってはならない。この部分については、行政として関与できるだろうということがございまして、私どもは、これは平成二年のときでございますけれども、コミュニティファンドという制度をつくりまして、大規模事業からお金を取り上げて、その開発事業のお金から家賃補助するという仕組みを今日まで運用しているところでございます。この点について、こういうような考え方を持ちながら家賃補助をやっておりますので、基本的には、この部分、私ども役所と、それから住宅という資産の持ちようというものについての関わりについては、それなりの考え方を持って実施をさせていただいております。

 安い住宅をたくさん供給されるのは、全般的にはいいことかもしれませんが、都心部の中で、今の地域の状況の中で、現実にそれを経済的にどう実現して、その利益をどういうふうに全体に分配していくかというのは、かなり難しい課題でございますので、一概に、おっしゃるように公営住宅を増やしていくということが本当にいいことなのかどうかということも含めて、それは議論がある問題だと思っております。そこについては、これからも議論をさせていただきたいと思っております。

 最後に、容積率に関してでございます。

 容積率に関しては、御答弁でも申し上げましたように、基準は公表されておりますから、それについては、皆さんにもお分かりになるような形で資料を提供することは可能だと思います。それぞれの基準は公に出ておりますから。個々の建物についての具体的な地域貢献策だとか、計画の中身による容積率の緩和の状態というものについては、実は関係事業者が非常に多いものですから、最終的に、いろいろな関係者との協議の中で決まっていくものでございます。これは形成的なものでございますので、一概に、一般的に資料でお示しできるものではございません。この点については、一件一件案件が違います。そういった個別の案件についての資料は、公表できる形のものはございませんので、その点については公表できないという返事で御了解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

〔二十番 奥村暁子議員登壇〕

○二十番(奥村暁子議員)
 容積率の緩和についてですが、かつては、二○○七年、日本橋室町東地区、今のコレド室町で地域貢献として地下広場を防災拠点にすることなどが計画された際には、まち協などでも銀座のような高さ制限はできないかと意見が出されたり、地元町会などから意見書も出されたといった経緯もあります。都市計画審議会でも附帯意見をつけたりもしました。こういう高さが本当に必要なのかという議論がかつてはあったのに、今は当たり前のようになってしまい、高層のビルばかり造られて、環境の悪化、そして高い家賃のところで、なかなか住むことができない、区外に転出していく人が増えてしまう状況改善のためにも、まちづくりの見直しが必要だと思います。

 終わります。(拍手)


○二十三番(押田まり子議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明十一月二十二日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明十一月二十二日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後五時十六分 散会


署名議員
議 長  瓜生 正高
議 員  田中 耕太郎
議 員  堀田 弥生

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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