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令和6年第四回定例会会議録(第2日 11月22日)

1.会期

十三日(第二日)

十一月二十二日(金曜日)

2.開議並びに散会

午後二時開議

午後八時二十四分散会

3.出席議員

(三十名)

一番 ほづみ ゆうき議員

二番 小坂 和輝議員

三番 アルール うた子議員

四番 上田 かずき議員

五番 黒原 裕司議員

六番 川畑 善智議員

七番 白須 夏議員

八番 永井 佳代議員

九番 高橋 まきこ議員

十番 青木 かの議員

十一番 高橋 元気議員

十二番 田中 耕太郎議員

十三番 かみや 俊宏議員

十四番 太田 太議員

十五番 竹内 幸美議員

十六番 渡部 恵子議員

十七番 山本 理恵議員

十八番 梶谷 優香議員

十九番 小栗 智恵子議員

二十番 奥村 暁子議員

二十一番 瓜生 正高議員

二十二番 塚田 秀伸議員

二十三番 木村 克一議員

二十四番 海老原 崇智議員

二十五番 礒野 忠議員

二十六番 原田 賢一議員

二十七番 押田 まり子議員

二十八番 堀田 弥生議員

二十九番 墨谷 浩一議員

三十番 田中 広一議員

4.出席説明員

区長 山本 泰人君

副区長 田中 智彦君

副区長 吉田 不曇君

教育長 平林 治樹君

企画部長 生島 憲君

総務部長 黒川 眞君

防災危機管理室長 春貴 一人君

区民部長 濱田 徹君

福祉保健部長 大久保 稔君

高齢者施策推進室長 田部井 久君

保健所長 渡瀬 博俊君

環境土木部長 三留 一浩君

都市整備部長 早川 秀樹君

都市活性プロジェクト推進室長 溝口 薫君

会計管理者 山﨑 健順君

教育委員会事務局次長 北澤 千恵子君

監査事務局長 林 秀哉君

企画部参事(政策企画課長事務取扱) 石戸 秀明君

財政課長 野末 託範君

総務課長 小林 寛久君

5.議会局出席職員

議会局長 伊藤 孝志君

庶務係長 長塚 由希江君

議事係長 小倉 正信君

調査係長 佐藤 康之君

書記 後藤 絵里子君

6.議事日程

日程第一

  • 一般質問

午後二時 開議

○議長(瓜生正高議員)
 ただいまより本日の会議を開きます。


○議長(瓜生正高議員)
 これより本日の日程に入ります。

 日程第一、「一般質問」を行います。順次、質問を許します。

 まず、二十六番原田賢一議員。

〔二十六番 原田賢一議員登壇〕

○二十六番(原田賢一議員)
 私は、中央区議会自由民主党議員団の原田賢一です。令和六年第四回区議会定例会に当たり、さきに提出いたしました質問通告書に基づきまして、区民の命を守る医療関係、また、本区行政における執行体制と福祉とまちづくりの取組及び今後の展望と題しまして、大きく三点につきまして質問をさせていただきます。区長さんをはじめ、関係理事者の皆様には、本区の現在の課題を踏まえた上での輝ける未来を見据えて、大きな視点からの御答弁を期待するところであります。なお、再質問はあらかじめ留保させていただきます。

 では、まず初めに、いきなりストレートではありますが、HPVワクチンの男性接種についてでありますが、お聞きします。

 子宮頸がんを予防する効果が期待できるHPVワクチンについては、現在、女性を対象に接種を勧奨しており、かつて積極的勧奨をやめていた期間に接種の機会を逃してしまった女性へのキャッチアップ接種も実施しております。全国的にも、キャッチアップ接種の接種率がなかなか向上しないというお話も伺ったことがありますが、恐らく本区も同様な状況かと推察するところです。

 こうした中、近年、HPVワクチンの男性への接種が、特に今年度、特別区において急激な広がりを見せており、我が会派においても、今年の第三回定例会における一般質問で、実施に向けた本区の考えをお伺いしたところであります。

 HPVワクチンの男性への接種は、申し上げるまでもありませんが、接種者自身の中咽頭がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス、HPV感染を防ぐ効果が期待できるほか、性行為による男性から女性への感染を予防する効果も期待できます。言い換えれば、キャッチアップ接種を受けなかった女性の感染リスクを減らす効果も期待できることとなります。

 さきの一般質問でも申し上げましたが、今年度から都が補助制度を創設したこともあり、二十三区のうち、既に二十一区で男性への接種助成を実施しております。また、そのときの一般質問に対し、一定の効果が認められるものの、費用対効果に課題がある、また、国の動向を注視するとともに、周辺自治体の状況も踏まえて検討するとの区長答弁をいただきました。さらには、区民の命と健康を守る観点から、区内の医療関係団体からも強い要望が出されております。

 そこで、質問いたします。

 区民や医療関係団体などから寄せられる要望や周辺自治体の実施状況を踏まえれば、本区においてもHPVワクチンの男性接種実施にかじを切るべきかと思いますが、区長の考えをお聞かせ願います。

 さて、私は、様々な質問の場面において繰り返し述べさせていただいておりますが、一貫して、過去、現在、未来という時間軸を柱として質問をさせていただいております。過去は歩いてきた道であり、現在は歩いている道、そして未来はこれから歩こうとする道であります。過去、現在、未来における点と点を結ぶことが、これからを推測、また推考することになると考えています。

 こうした考えの下、私は、以前にも令和五年第三回の定例会において、後藤新平の足跡、また生きざまをたどることで、関東大震災からの復興を参考に、本区の人づくりと地域のコミュニティの重要性、そして未来を見据えた環境政策についてお尋ねをいたしました。また、本年十月の決算特別委員会の総括質疑においては、江戸時代が終わり、明治維新を経て、日本が近代国家へと歩み出すその幕開け、新しい日本をつくる、日本という国家をつくるという意味で、これもまた我が国の復興と捉えました。この明治維新からの近代化の過程について、司馬遼太郎氏の著作、「坂の上の雲」を題材に、本区の未来に向けた様々な施策について、坂と雲を比喩に伺ったところです。

 さて、我が国は、これまでも幾度となく深い谷底からはい上がるがごとき経験をしております。その中でも、特に太平洋戦争の敗戦というものは、とりわけ深い谷であったと言えるでしょう。太平洋戦争においては、その終結の年である昭和二十年に近づくにつれ、東京にも大規模な空襲がとめどなく行われました。三月十日の東京大空襲では死者は約十万人にも及び、本区においても日本橋区の大部分が灰じんに帰すなど、人的被害はもちろんのこと、物的被害も大きく受けました。また、その年の七月には、日本に対し無条件降伏を促す、いわゆるポツダム宣言が発せられましたが、広島、長崎へのあの大きな悲劇を経て、ようやく八月十四日に御前会議により降伏が受け入れられ、翌日、十五日にあの終戦の玉音放送がありました。そして、その日を終戦記念日として、我が国の歴史に刻んでいるところです。

 今年、令和六年が明ければ、来年はその戦後八十年となります。戦場に行かれた方はもちろんですが、幼いときにこの戦争を記憶している人でも、今はもうかなりお年を召していることでありましょう。その記憶と歴史をつないでいくためにも、過去の様々な点に視線を向けていくことで、未来への歩みにつなげていきたいと思っています。そしてまた、復興という意味での連続として、関東大震災からの復興、明治維新からの日本の近代化への復興、そして今回、復興第三弾として、戦後八十年を迎えるに当たり、敗戦によって焦土と化した日本を、また、あのとき、東京大空襲によって一面の焼け野原となったこの東京をよみがえらせた、復興させた、あの熱き時代、熱き人々の苦労を振り返って、また学びながら、未来への道へ続く質問へとつなげたく思っております。

 しかしながら、今回、私が過去の学びとして向き合いたいのは、戦後の焼け跡の復興期だけではありません。そこから十年を経て始まる、後に高度経済成長期と呼ばれる時代に視点を広げて、本区の来し方行く末へとつなげたいと思っています。その手がかりとして、今回は日本の経済小説の先駆者と言われる城山三郎氏の著作、「官僚たちの夏」を取り上げたいと思います。

 この「官僚たちの夏」は、一九七五年に出版されました。その前年に、週刊朝日に「通産官僚たちの夏」というタイトルで連載されていた作品であります。日本の高度経済成長期における官僚たちの姿を描いたもので、特に経済政策を推進する通商産業省、現在の経済産業省のキャリア官僚たちにスポットを当てて描いたものです。今回は、終戦後十年足らずの昭和三十年、一九五五年から昭和五十年、一九七五年にかけて、国家の再生、復興に全力を注いで、敗戦によって亡国となった日本という国を再び立ち上がらせた熱き官僚たちの足跡を振り返りたいと思います。

 この物語を語る前に、当時の彼らの生きる時代についてお話をさせていただきたいと思います。高度経済成長期の始まりをどこにするかは諸説あるのかもしれませんが、資料の引用文を基に始めさせていただきたいと思います。当時、経済企画庁から出された年次経済報告書、いわゆる経済白書にある第一章、総論の結びの言葉からの引用であります。昭和三十一年、一九五六年のものです。これは、今からもう七十年も前の経済総論です。少し長くなりますが、当時の文章のままです。引用します。

 戦後日本経済の回復の速やかさには誠に万人の意表外にでるものがあった。それは日本国民の勤勉な努力によって培われ、世界情勢の好都合な発展によって育まれた。しかし敗戦によって落ち込んだ谷が深かったという事実そのものが、その谷からはい上がるスピードを速やからしめたという事情も忘れることはできない。経済の浮揚力には事欠かなかった。経済政策としては、ただ浮き揚がる過程で国際収支の悪化やインフレの壁に突き当たるのを避けることに努めれば良かった。消費者は常にもっと多く物を買おうと心掛け、企業者は常にもっと多くを投資しようと待ち構えていた。いまや経済の回復による浮揚力はほぼ使い尽くされた。なるほど、貧乏な日本のこと故、世界の他の国々に比べれば、消費や投資の潜在需要はまだ高いかもしれないが、戦後の一時期に比べれば、その欲望の熾烈さは明らかに減少した。もはや「戦後」ではない。我々はいまや異なった事態に当面しようとしている。回復を通じての成長は終わった。今後の成長は近代化によって支えられる。そして近代化の進歩も速やかにしてかつ安定的な経済の成長によって初めて可能となるのであると書かれています。

 ここで、一旦区切ります。

 昭和二十年、一九四五年の敗戦、その五年後に朝鮮戦争が勃発して、それをきっかけに、アメリカからの戦争特需が始まって、日本は大変な好況を迎えます。これが、まさに意表外、つまり思いもかけない経済の回復をもたらしたのであります。また、安全保障上の問題から、アメリカにとって日本の重要性が高まって、結果、昭和二十七年、一九五二年、サンフランシスコ平和条約の締結を早めました。この条約締結によって、本当の意味での終戦を迎えて、図らずも、再び日本は世界の表舞台へと立ち上がっていくことになります。そして、もはや戦後ではないというこの有名な言葉は、この文章から来ているのであります。戦後からの回復は終わった。これからは近代化することで経済成長していかねばならないという宣言です。

 それでは、ここまでまた、途中を略させていただきながら、当時の経済白書の結びの言葉を引用し続けます。

 我々は日々に進みゆく世界の技術とそれが変えてゆく世界の環境に一日も早く自らを適応せしめねばならない。もしそれを怠るならば、先進工業国との間に質的な技術水準においてますます大きな差がつけられるばかりではなく、長期計画によって自国の工業化を進展している後進国との間の工業生産の量的な開きも次第に狭められるであろう。このような世界の動向に照らしてみるならば、幸運のめぐり合わせによる数量景気の成果に酔うことなく、世界技術革新の波に乗って、日本の新しい国造りに出発することが当面喫緊の必要事ではないであろうか、白書の結びは、ここまでです。

 補足になりますが、省略した結びの言葉の中で、近代化という言葉について、トランスフォーメーションという言葉を当てています。それを自ら改造する過程と説明しています。この時代、既にトランスフォーメーションという言葉を使っていたんです。七十年も前です。怠けていれば、先進国との差は開いて、途上国からもその差を狭められかねない。したがって、日本の新しい国づくりに出発する、そのためには自らを改造せねばならぬのではないかという呼びかけです。この文章全体は、やや扇情的に過ぎるのかもしれませんが、心揺さぶるものがあります。

 この決意を例えて、城山三郎氏が「官僚たちの夏」と名づけたこの季節、日本の高度経済成長期が始まっていきます。白書のこの文章を書いたのは、当時の経済企画庁に在籍していた後藤譽之助という方です。この方は、当時、四十歳でした。恐らく、当時の中央省庁にはこうした優秀なキャリア官僚がたくさんおり、日本を変える、必ずや復興させるなど、それぞれの自負と頭脳を武器に、互いにしのぎを削っていたのでありましょう。

 小説「官僚たちの夏」は、十五年前の二○○九年、TBSでドラマ化されました。主人公、風越信吾に、映画「壬生義士伝」で最優秀助演男優賞を受けた佐藤浩市、元総理池田勇人をモデルにした役を北大路欣也、また船越英一郎、堺雅人、高橋克実などなど豪華出演陣による重厚なつくりで昭和三十年代の夢を追う男たちを描いて、平成二十一年の文化庁芸術祭優秀賞を受賞した作品であります。

 この小説の主人公である風越信吾は、通産省のエリート官僚として描かれます。経済政策を通じて日本の産業を発展させ、国際競争力を高めようと奮闘します。先ほどお話ししたように、昭和二十五年、一九五○年に勃発した朝鮮戦争によって、日本はアメリカ軍の兵たん基地としての役割を担いました。これによって、日本国内の工業生産が急増して、経済が急速に回復しました。戦争によって陥った谷から、他国の戦争によってはい上がる。こうした事実に様々な思いが去来いたしますが、ともかくも、このことをきっかけに活性化した経済活動により、日本は立ち上がる力を得ました。先ほどの経済白書の結びの言葉で述べたように、新しい国づくりをどうするのか、官僚たちは様々に意見を闘わせます。

 これには、大きく二つの考え方がありました。日本は、昭和三十年、一九五五年にGATT、関税及び貿易に関する一般協定に加盟したことで貿易自由化の波に乗ることが求められていました。経済の国際化と産業競争力の強化を目指す一方で、国内産業の保護も重要でありました。外からは国際化、自由化の圧力を、内からはまだまだ弱い産業を中心に保護政策の声がありました。国としての統制か、また自由化か、官民、官官、そして政治家同士が火花を散らす中で、それぞれがそれぞれの思惑で議論を闘わせて、経済成長へのかじ取りが行われていました。

 主人公、風越は、まだまだ保護が必要な日本の産業を守るため、また、自身の官僚としての野望、通産省の権力保持のため、よりよい人材を見いだして、将来を見越して主要なポストへと配置していきます。事務次官という頂点を見据えて、情熱を傾けて突き進みます。それは、個人的な野望でありながらも、もはや使われることもなく死語と言っていいと思いますが、天下国家のためという強い思い、それが行動原理となっています。彼の周りには、そうした思いに同調する人材が集められます。小説の一節が風越信吾の人物像を表しています。このように書かれています。よくも悪くも、風越は、あらゆる戦野に通産省の旗を高らかにかかげて突進して行く荒武者であった。無骨な風采にもかかわらず、ミスター通産省と呼ばれるのも、当然であった。

 この風越信吾には、実在のモデルがおります。佐橋滋という方です。実際に、当時、ミスター通産省と呼ばれていました。大正二年生まれで、事務次官まで上り詰めています。物語の主軸ともなりますが、この佐橋氏は、一九六三年から六四年の時期に、特定産業振興臨時措置法案の成立に奔走します。これは、国内産業の国際競争力を早急に高める必要性から、設備投資の促進、技術開発支援のほかに、業界の再編、また合併、国内過当競争を排除することを目指して、官民が協力して産業調整をしていくことを目的としたものでありました。しかし、なかなかその趣旨を理解されず、これは形を変えた官僚統制ではないのかという各種団体からの反対の声が上がってしまいます。省を挙げて努力しますが、残念ながら、委員会付託されることもなく、審議未了で廃案となります。しかし、これが成立すれば、戦後最大の経済立法になるはずだったのであります。

 物語の中では、国内産業保護法案という名称で、主人公、風越の部下たちは、これを通産省の将来の要となる法律と考えて、若手を中心に、毎日のように遅くまで庁舎内に詰めながら、その骨子案をまとめていきます。そして、法案を通すため、調整に懸命の努力をします。彼らの仕事への熱量が、この本の読み手の心を打ちます。

 この法案をつくるに当たり、風越は牧という男をフランス駐在から呼び寄せるんです。彼が当時のフランスの経済政策について書いた報告書が、この物語の時代における通産省の進むべき施策の方向性を示唆するものだったからです。この報告論文の内容が、法案の骨子に生かされていくんです。フランス駐在というのは大体出世コースから外れたものでしたが、この牧という人は、フランスに滞在する数年間の間に、たゆむことなく報告論文を本省に送り続けます。それが風越の目に留まって、呼び寄せられるのであります。この登場人物、牧という方にも実在のモデルがいるんです。大正八年生まれ、両角良彦氏であります。通称、西洋かみそりという異名を取った人物であります。佐橋氏の数代後の事務次官に上り詰める人物となります。

 この頃の官僚たちは、それぞれの差はあれど、戦争体験というものをくぐり抜けて生きてきています。多感な時期に終戦期を迎えた人が多く、日本という国をどうにかして自分の力で復興させたい、そんな気持ちが強かったろうと思います。こうした若手官僚を含め、風越は手元に集めた人事情報を駆使しながらチームをつくって、共に天下国家のために邁進します。しかし、一方で、時代は変わりつつあり、省内には自らの生活を守りながら仕事に従事する者も出てきます。今で言えば、ワーク・ライフ・バランスをわきまえて働く人たちです。しかし、風越という人間は、そうした人を好きにはなれませんでした。熱過ぎる性格が、晩年、上下左右に様々なあつれきを生んで、時に組織の中で疎まれます。その下で働く部下が、事態の収拾に苦労する場面も出てきます。最終的に、彼は、紆余曲折の末、次官のポストに座ることになりますが、しかし、その後、事務次官として辣腕を振るいたかった風越ですが、頼りにしていた部下の一人が過労がもとで亡くなるというような不幸もあって、次第に、思うような人事配置もかなわなくなり、省内での力も失っていきます。

 この小説の終わりは、三年の時を経て、風越が既に通産省退官後の日々がつづられます。退官後の通産省内の人事は、風越が意図していたものとは違ってきていました。かわいがっていた部下は前線から異動して、風越はOBとして不満を抱きながら過ごします。ラストシーンは、そんな日々のある冬の夜のことであります。現役時代から親しかった新聞記者と新橋で酒を酌み交わしていたところに、かつてのかわいがっていた部下が倒れて病院に担ぎ込まれたという知らせが届きます。タクシーを使って病院へ向かう道すがら、彼は、同行した新聞記者から、倒れた後輩は、結局、風越、あんたが潰したようなものだよとなじられます。風越は、そんなことはない、自分は人材を大事にしてきたんだよと抗弁しますが、結局、風越の生き方によって周囲に生まれたあつれきが、反感として、かわいがっていた部下たちにぶつけられたのだと重ねて批判されます。そして、新聞記者がさらに言います。けがをしても突っ走るような世の中は、もうそろそろ終わりだ、通産省そのものが、そんなことは許されなくなってきているんだぞと言います。そんなやり取りの中、二人を乗せたタクシーは虎ノ門から霞が関へと差しかかります。お客さん、雪になりましたねと運転手がつぶやきます。前方のヘッドライトの光の中、白いものが無数に踊り込んできます。その降りかかる雪の向こうに、風越にとって懐かしい官庁街が見えた。周囲のほとんどが真っ暗な中、通産省の建物にはまだかなりの明かりがともっている。風越が生きた時代の終わりを暗示するような描写で、この小説は結ばれます。

 冒頭御紹介した白書の結びの言葉に、敗戦によって落ち込んだ谷が深かったという事実そのものが、その谷からはい上がるスピードを速やからしめたとありました。確かに、戦争特需はそうしたことを日本にもたらしたのでしょうが、そのスピードを維持して安全に成長軌道に乗せていったのは、こうした圧倒的な熱量を持って仕事に向かった官僚たちのおかげではなかったかと私は思います。もちろん、こうした働き方、働かせ方を今は是とするわけにはいきません。しかしながら、敗戦という大きな同時代的体験を持つ者たちが、それぞれの生きてきた道、経験や考え方を背景に、ぶつかりながらも同じ思いと方向を見詰めながら、新たな日本の国づくりに挑んでいた。そういう時代だったのでありましょう。そうした思いが強力に作用して、あの頃のジャパンミラクルと呼ばれた奇跡のような復興と成長を生み出したことは否定できないと私は思います。

 大変前段が長くなりました。それでは、これより二点目の質問に入ります。いつものことですが、お尋ねしたいことは多々あるのですが、特に絞って質問させていただきます。

 本区の現状も成長過程であると言えるのではないかと思いますが、過去からの人口回復局面と、今後さらに二十万都市を目指す過程における対応について、大きく二点お伺いします。一点目は、区行政の執行体制についてであります。そして、もう一点は、福祉分野とまちづくり分野において力を注いだ施策と今後の展望について、こちらは二つの分野に絞ってお尋ねします。

 では、まず一点目、区行政の執行体制についてであります。

 本区では、昭和二十九年以来、人口減少が続きました。矢田前区長が誕生した翌年の昭和六十三年一月一日に、定住人口回復対策本部が設置されました。しかし、人口減少は継続し続けます。平成十年一月一日に、ようやく前年から二百九十七人の区民が増えます。以降、人口回復基調となりまして、令和五年一月一日には十七万四千七十四人と、七十年ぶりに最大人口を更新しました。直近の推計では、令和九年度中に二十万人に達するとされており、今後、様々な行政需要が見込まれると思います。

 そこで、お伺いします。

 本区の人口回復局面における組織体制の見直しについて、また、今後、二十万都市に向け、強化すべき組織整備についてどのように考えておられるのか、お答えをお願いいたします。

 次に、残念ながら、このところ、国や地方を問わず、公共の仕事の希望者の数に陰りが出ていると聞き及びます。今後、さらなる人口増加が継続する本区において、どのような取組により人材を確保し、そして、その人材をどのように育成していくのか、その考え方をお聞かせ願います。

 二点目は、人口回復局面において、福祉分野で力を注いだ施策と今後の人口増加を見据えた課題について、また、同じく、その局面において、まちづくり分野で力を注いだ施策と人口増加を見据えた課題について、それぞれお聞かせ願います。

 以上で第一回の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 原田賢一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、男性へのHPVワクチン接種についてであります。

 男性への接種については、一部のがんや性感染症である尖圭コンジローマに対する予防効果が認められており、男性に接種することによって、女性の子宮頸がんやHPV関連のがんの予防につながる可能性があるとされております。現在、国において、男性接種による女性への波及効果に関する考え方の整理、評価が進められるとともに、薬事承認に係るワクチンの接種回数についても検討される方針となっております。区といたしましては、国において実施される科学的知見に基づいた分析や、定期接種化に向けた動向を引き続き注視するとともに、男性への接種の助成については、周辺自治体の状況や医療関係団体等からの様々な御意見を踏まえながら、実施に向けた検討を進めてまいります。

 次に、人口回復局面における組織体制の見直しについてであります。

 平成九年に人口が増加に転じて以降、定住人口の回復が急速に進む中、区では、地域コミュニティの再構築や福祉保健分野を中心とする行政需要への対応を快適な都心居住に向けた新たな課題として捉え、平成十七年の生涯学習とスポーツに関する事務の区長部局への移行や、平成十八年の福祉保健部及び高齢者施策推進室の設置など、各施策を効果的に推進するための組織体制を整備してまいりました。また、子育て世帯の増加が顕著となった平成二十一年には、保育所整備をはじめとする子育て環境の充実に全庁を挙げて取り組むため、部局横断的な組織である子育て支援対策本部を立ち上げるなど、時々の行政課題を先取りしつつ、区民ニーズに迅速、的確に対応し得る体制の強化を図ってきたところであります。次年度に向けては、子供を取り巻く環境の変化や新たな課題を的確に捉え、柔軟に対応していくための体制強化として、子供施策を総合的に推進する常設組織の設置を検討しております。

 次に、今後の区の執行体制の在り方についてであります。

 数年後には二十万都市という新たなステージを迎えることになる本区においては、行政需要の量的拡大のみならず、コロナ禍を経た生活様式の変化や、多様性を尊重した社会づくりが進む中で、区民の意識や生活のありよう、また、それを取り巻く地域社会の実情をこれまで以上にきめ細かく捉え、行政として的確に対応していくことが求められてくるものと認識しております。こうした観点を踏まえ、本庁と特別出張所等の行政機関の役割や機能の見直し、DX推進による業務効率化と人的資源の重点的・効果的な配置、地域との一層の連携強化、民間事業者による提案やノウハウのさらなる活用など、様々な視点から総合的に検討を進め、より一層区民に身近なところで多様化・複雑化する行政課題を包括的に受け止め、地域と一体となって取り組める体制の構築を目指してまいります。

 次に、人材の確保・育成についてであります。

 区政の推進にとって、人材こそが最も重要な経営資源であり、その確保・育成は、来るべき二十万都市における行政需要の拡大や多様化する区民ニーズに対応していく上で欠かすことのできない取組であります。一方、近年、職員採用試験の応募倍率が大幅に低下していることに加え、採用後、数年足らずで退職に至る若手職員も増加傾向にあるなど、人材確保をめぐる環境は厳しさを増しております。こうした現状を踏まえ、本区では、令和四年三月に改定した人材育成基本方針に基づき、本区職員を志す方に向けた情報発信をはじめ、採用後における研修やキャリア形成のための支援、安心して働き続けるための健康管理や職場管理など、有為な人材の確保・育成に向けた多角的・効果的な取組を推進しているところであります。その入り口となる中央区採用情報サイトにおいては、本区が求める人物像として三つのCをキーワードに掲げました。すなわち、Catch!、行政ニーズをキャッチできる人、Challenge!、果敢にチャレンジできる人、そしてChuo Love!、中央区を愛し、その発展に全力を尽くせる人であります。本区は、江戸開府以来、四百年以上にわたり、我が国の文化・商業・情報の中心として発展し、伝統と最先端が融合した、にぎわいと活気のみなぎるまちであります。さらに、区の将来を形づくる築地や日本橋などの都市基盤整備も着々と進み、晴海地区における新たなまちの形成により、二十万都市を目前に控えるなど、職員一人一人がチャレンジ精神を発揮し、自己実現を果たすことのできる格好の舞台であると言えます。こうした魅力と発展の可能性を広く発信し、職員同士で深く共有し合うことにより、自らが働くまちに愛着と誇りを持ち、本区の未来を切り開く気概に満ちた人材の確保・育成を図るため、今後とも惜しみなく力を注いでまいる所存であります。

 次に、人口増加局面における福祉分野の施策と今後の課題についてであります。

 本区では、誰もが安心して住み続けられるまちを目指し、子供から高齢者まで様々な施策を展開してまいりました。こうした取組や、都心ならではの職住近接の利便性により、三十代、四十代の共働き世帯を中心に人口が増加しております。そのため、人口増加と併せ、保育ニーズも急激に高まったことから、保育所待機児童対策を区の最重要施策の一つとして位置づけ、取組を進めてまいりました。この間、認可保育所や認証保育所の誘致を積極的に進めるなど、保育定員の確保に努めた結果、二十年前と比べ、本区の乳幼児人口は二・六倍となる中、保育定員を五倍以上に拡大することで、令和四年四月以降、三年続けて待機児童ゼロを達成いたしました。また、定員の拡大と並行して、保育の質の向上に向けた指導体制の強化を図ることで、量と質を兼ね備えた保育環境の整備に努めたところであります。今後の課題としましては、人口増加の中心が月島地域であることなどから、地域や歳児による保育ニーズが偏在化しつつあると認識しております。そのため、月島地域を中心に、引き続き保育所等の整備を進め、待機児童ゼロを継続するとともに、空きが生じている保育所については、保育室等を活用した多様な子育て支援サービスが提供できる仕組みづくりを進めてまいります。また、高齢者や障害のある方が増加する中で、とりわけ障害者のサービス基盤が今後不足することが見込まれております。実態調査では、親亡き後を心配する声が多く寄せられております。今月、月島三丁目に知的障害者グループホーム等の施設を開設いたしましたが、今後も民間事業者の誘致等により、サービス基盤の充実を図ってまいります。高齢者については、ひとり暮らしの割合が多い本区において、高齢者の孤立や社会的孤独が深刻化する懸念もあります。おとしより相談センターを核とした総合相談体制の強化とともに、社会福祉協議会等とも連携した地域とのつながりづくりを推進する考えであります。区といたしましては、二十万都市に向け、誰一人取り残さない福祉施策を積極的に展開していく所存であります。

 次に、まちづくり分野における施策と今後の展望についてであります。

 本区においては、江戸期の街区構造を基礎として早くに市街化が進んだことから、全国一律の法規制の下では建て替えが容易に進まないなど、まちの機能更新が根本的な課題となっております。こうした中、バブル期には地価の高騰や急激な業務地化により人口減少が加速し、区では、にぎわいの回復に向けた都心居住の推進を最優先課題と捉え、定住人口の回復に資する施策を展開してまいりました。人口回復の兆しが見えた平成十年頃からは、長期に及ぶ経済の低迷や、区外での大規模開発の進展による影響なども相まり、事業所の減少や本社機能の流出、それに伴う就業人口の減少も課題となりました。そのため、区では、独自の建て替えルールである地区計画の導入や大規模開発への計画指導を通じて、旺盛な民間活力を誘導し、地域特性に応じた機能更新や環境整備、防災性の向上など、様々な手法を用いてまちづくりに取り組んできたところであります。現在、本区の骨格となる都市基盤が更新期を迎えております。都市機能の更新と基盤の更新を相互に関連づけながら、歴史に裏打ちされた本区ならではの強みを再構築するとともに、区民生活の豊かさにつなげていく必要があります。本区の活気や魅力は、住機能とともに、商業、業務をはじめとする様々な機能や個性が共存し、相乗効果を生む中で培われてきたものであり、二十万都市を迎えるに当たり、これを継承し、さらに高めていかなければなりません。区といたしましては、これからも首都東京を牽引する都市として、活気とにぎわいを絶やすことなく、住み、働く人々の交流が生まれ、人と人とが通い合うまちづくりを目指して取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十六番 原田賢一議員登壇〕

○二十六番(原田賢一議員)
 それぞれに御丁寧に御答弁ありがとうございました。

 HPVワクチンの男性接種については、区民の皆さんの命と健康を守るという施策の一つとして、前向きに検討に入るとの御答弁をいただき、心強く感じます。これにつきましては、どうぞ速やかな実施に向けての具体的な検討をお願いするところです。よろしくお願いをいたします。

 二点目につきましては、いろいろ言われますが、やはり未来を開く鍵というものは人材ですよね。また、今回の話でありますが、今回は昭和三十二年から三十五年の岸内閣の日米安保条約、昭和三十五年から三十九年の池田内閣の所得倍増計画、そして昭和三十九年から四十七年の佐藤内閣の沖縄返還に至る十五年間において、通産官僚たちが、まだまだ弱かった国内産業育成のために流した汗と苦悩と涙と、そしてその熱き情熱を描いた小説「官僚たちの夏」を軸にして質問をつなぎました。この小説の作者、城山三郎氏が人材について語った言葉があります。人間にはいつも四人の人間が住んでいる、一人は探検家であり、一人は芸術家、もう一人は戦士、そして四番目は判事、この四人が正常に機能している人が一番すばらしいリーダーになれるのだと言っています。

 さて、小説では描かれていない当時の背景について、せっかくですので、いま少し話をさせてください。

 この物語のモデルとなった主人公、佐橋氏が活躍した時代に、あの池田勇人元首相も通産大臣を務めておりました。池田氏は、第四次吉田茂内閣時代と第二次岸信介内閣時代に通産大臣を務めています。風越こと佐橋氏は、将来総理となる人にも全く臆することなく言いたいことを言っていたようです。そうした一面がこの言葉です。俺たちは国家に雇われているんだ、大臣に雇われているわけではないんだよという堅い信念を持って我が道を進む風越信吾という人間として、小説では描かれています。

 池田勇人首相が誕生して打ち出されるのが、御存じ、あの国民所得倍増計画であります。十年で国民の所得を倍にするという、大変夢のある計画です。そのためには、計算上、年平均経済成長率が七・二%なくてはできません。この数字に池田首相とそのブレーンは不満だったようですが、一一%は可能だと見ていたんです。結果、池田首相の主導で、十年間のうち最初の三年は九%、あとの七年は七・二%とされましたが、果たして経済成長率は目標の九%を超えて、一九六一年が一四・四%、神武景気を超えて岩戸景気と呼ばれる好況を呈します。

 翌六二年、実質経済成長率は七%とやや陰りますけれども、この頃には第一回東京オリンピック招致が既に決まっており、六四年の開催を見据え、準備が進行中でありました。池田首相は、その機運を捉えて、東京オリンピック開催に向けて、巨額の公共事業を進めていきます。これにより、六三年は一○・四%の成長率、開催の六四年には一三・二%に達し、オリンピック景気として再浮上します。十年で二倍と見込んだ国民所得は、僅か七年で達成されました。日本の経済力は飛躍的に高まって、猛烈なスピードで近代化へと進みます。消費の勢いも高まりました。家庭には冷蔵庫、洗濯機に白黒テレビも普及していきます。いわゆる家電の三種の神器と言われるものです。インフラの整備も進んで、東海道新幹線が開業し、時速二百キロを超えるひかり号が東京・大阪間を四時間で結びました。負の遺産と言われる、あの日本橋上空を走る首都高速も、この頃に整備されました。なおまた、戦後初めて全て国産による旅客機YS‐一一が誕生して、オリンピックの聖火をこの国産機に乗せて日本に持ってきた。そしてまた、国民の手に届く車を作りたい。国産車の開発を急いだ。コンピュータの開発も急いで、IBMとの大変熾烈な争いもあった。そして、完成した国産のテレビで、みんなが、あの第一回東京オリンピックを見たわけです。

 こうしたことを現実にした、あの頃の技術者たちの汗と、それを支えた官僚たちの熱い思い、国を支えた産業界の一大技術革命を成し遂げた、すばらしい人間たちがいたのであります。さらに、オリンピック開催年の六四年には、OECD、経済開発協力機構にも加盟し、国際経済を担う先進国の仲間入りも果たします。また、一九六八年には、GNPがドイツを抜いて、アメリカに次いで第二位となります。日本が様々な方面で成長を遂げたのがこの時代であります。

 「官僚たちの夏」のラストシーンでは、夢破れて退官し、一国民となった風越信吾が、タクシーの中から懐かしい官庁街、周囲が真っ暗な中に通産省の建物にはまだ赤々とかなりの明かりがともっていたと結ばれていました。それは、風越信吾のレクイエムとも言える風景だったかもしれません。しかし、実は、彼が退官した後も、残された官僚たちの夏は、その後も終わることがなく続いていたのだということも暗示しているんだなと私は思いました。

 昨今、様々な風評があり、公務に携わることを希望する人が少なくなっていると聞きます。実に残念なことであり、寂しさを覚えるところです。本区のこの庁舎においても、夜遅くまで明かりがついていることがあります。ありがたいことです。くれぐれも体に気をつけていただきたいと思います。

 当然のことながら、今回、この小説を取り上げたのは、行政の皆さんにこのようながむしゃらな働き方をしてほしいということを意味するものではありません。区長と区議会、この両輪を回していくためには、行政に携わる職員の皆さんの力と情熱が必要です。今後も中央区の成長は続いていきます。二十万都市となって、その方々の暮らしをつくって守っていかねばなりません。本区の夏という季節は、まだまだ続いていくことでありましょう。その季節を歩むに当たり、願わくば、皆さんと熱き情熱を共有しながら、共に進んでいきたいと思っております。

 どうか、これからも区長、区議会、行政の三者が意を一つにしながら、本区の発展と区民の幸せのために努力していけることを願いまして、私の質問をこれにて終わります。

 静聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(瓜生正高議員)
 次に、二十四番海老原崇智議員。

〔二十四番 海老原崇智議員登壇〕

○二十四番(海老原崇智議員)
 中央区議会自由民主党議員団の海老原崇智です。令和六年中央区議会第四回定例会一般質問に臨むに当たり、会派の一員として、質問通告に従って質問をさせていただきます。なお、再質問を留保いたします。今回の質疑が区政前進の一助になるよう努めますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 一つ目は、今後の公共施設全般の在り方とはるみらいの全区的展開についてであります。

 本区を取り巻く人口増加とインフラ整備のせめぎ合いという現象がこれからもしばらく続くであろうことは、各種推計に当たらずとも、直感的に、ある種のうっすらとした危なっかしさを伴って、多くの人々と共有できるのではないかと思います。この名状し難い懸念の霧を払うがごとくの組織改編が、本年の四月一日に行われました。すなわち、都市整備部の一課でありました営繕課が、施設整備課と名称を変えて企画部に編入されたことであります。それに先立つ令和四年三月には、中央区公共施設等総合管理方針二○二二と題して、五年ぶりの改定を見たわけであります。また、平成二十九年三月策定の中央区公共施設等総合管理方針に基づき、令和三年二月に中央区学校施設個別施設計画が、同年三月に中央区公共施設個別施設計画がそれぞれ策定をされています。

 これら組織と方針、計画という器は見事にそろっており、その中身も今後三十年に及ぶ公共施設の長寿命化と財政負担の軽減・平準化とを目指すという方針の下、今後十年にわたる修繕、改修、更新、改築の計画が立てられているのであります。そこには、さらにおおむね十年間を見据えた課題と対応方針も整理をされています。にもかかわらず、付きまとううっすらとした危なっかしさはどこから来るものなのか。例えば、さきの「官僚たちの夏」において、登場人物たちが所狭しと霞が関を歩き回る描写が随分と出てきますが、職務を行う上で、関係省庁が近くにある、庁舎内の動線につまずきがない、それらが重要であることは言をまたず、翻って本区の執務空間が限られていることは承知をしつつも、施設整備課は企画部内でくつわを並べるべきではないかと、折に触れて感じる庁舎内の動線への懐疑の気持ちから来るものなのか。つまり、人と人とが顔を合わせることで得られる表情や表現の機微、かすかに漂う雰囲気といった暗黙知は、同じ執務室で机を並べることで、より多くを、より深くを感得できるものであると感じるのであります。

 あるいは、総合管理方針にて試算をされました今後三十年間の公共施設とインフラの改修・更新等の合計費用二千六百十四億円余り、年平均にするとおよそ八十七億円強になることに対しての疑念、つまり、建築資材の高騰や人手不足に起因するさらなる支出の増加や財源不足への不安から来るものなのか、はたまた建築年度順に次々と更新を控える個別施設の総量にけおされているだけなのか。これらを考える上で、そもそも本区にとって、公共施設の整備を今の時代に進めていく意義をどこに求めていけばよいのか考えてみたいと思います。

 例えば、かつて平成三十年度に五回にわたり開かれました本庁舎整備検討委員会が提示した区役所の姿には、人にやさしい、安全・安心な、柔軟で効率的な、環境に配慮した、区民に開かれた区役所を目指すとしたのであります。その後に策定されました総合管理方針の庁舎等の対応方針を確認してみますと、情報化基本方針に基づき、区民にとってより便利でやさしい区役所の実現に向けて庁舎づくりを進めるとしています。この便利でやさしい、言い換えれば、簡単、分かりやすい区役所の実現とは、書かない窓口から行かない窓口へと流れが加速している行政のデジタルトランスフォーメーションと同じ歩調であろうかと思います。区役所を訪れる明確な目的を持っている区民にとっては、それはすばらしく効率的で、気持ちのよいサービスでありましょう。

 一方で、それが何なのか本人にも明文ならざる事態、段階において、区役所に頼りたい、すがりたいという区民もいるはずであります。彼らが頼りたいのは、区役所のシステムの前段、区役所の中の職員であろうかと思います。迷子の幼子も、生活の中の秘めたる苦しみを抱える大人も、老いの孤独に恐れおののく高齢者も、生身の人間のぬくもりを思い出せば、心が静まることは誰しも経験をしています。ここでも人と人との暗黙知が鍵となるのではないでしょうか。職員の区民と接する経験の豊富さが行政のやさしさ、言い換えれば、寄り添う心、思いやりの深さと比例するのではないかと感じています。

 施設整備の今日的意義を、このように区民と行政との心の距離をいかに測るかに求めて、区民と行政との間に心の距離という関係性が存在するのであれば、区民と区民との距離についてもまたしかりであります。その点、晴海地域交流センターはるみらいは、様々な世代に心地よい居場所、交流とにぎわいを生み出す拠点、この二つを大本の考え方に据えて、晴海の輝く未来、皆さんに愛される施設となってほしいという願いを込めて、命名も、ほっとプラザはるみから、はるみらいに変更された施設であります。

 ある初冬の薄曇りの平日、午後から夜の始まりまでのひとときをかの施設で過ごしました。高い天井に柔らかい照明の下、くつろいだ様子の小さい子供たちが、展示スペースと名づけられた開放的な玄関口から入った空間右手にあるソファに群がり、三、四人の小集団をつくって、時に歓声を上げながら、ゲーム機の画面を食い入るように見詰めている。エレベーターに乗り込んだ乳母車の母子たちは、三階の温暖浴スペースに、そして二階の学習スタジオでは、老若男女がそれぞれの時間をそれぞれの場所で満喫している。五時を回り、夜の装いになったはるみらいの屋上運動スタジオでは、日本橋地域に住む小学二年生の児童がサッカーボールを蹴っているのに遭遇しました。知り合いのこの子と、日本橋ではなく、晴海のこの施設で遭遇するとは思わず、うれしさもあって、図らずもこの施設の地域交流センターとしての役割に可能性のようなものを少し感じたのでありました。すなわち、これらの姿は、区民の、区民生活の多様性が強く体感せられる今日、区民と区民との心をつなぐ可能性をはらんだ施設であるように、私の目には映ったのでありました。様々なしつらえや用途が混在する施設で、そこに立ち止まって話ができたり、くつろいだりできたり、そういう開かれた空間には、偶発的な出会いも、多世代にわたる人と人とがおのずと顔見知りになることも、そこからお互いを少し気にかけるようになるということも、それぞれにあり得ましょうし、区民と区民との心の距離を近づけていく作用が働くのではないかというふうに思っています。

 転出入が多く、コロナ禍による社会的断絶、その中でのHARUMI FLAGの出来など、都心区が常にさらされる変遷の中で、そこに住み続ける意味や価値を見いだすためには、そこに人と人との心のつながりがあらねばなりません。区民と行政との心の距離、そしてまた区民と区民との心の距離を近づけていくために、公共の新たな役割に基づく公共施設の新たな誕生の可能性もありましょうし、既存の施設における今までどおりのありようからの大きな変更も必要になってくるのではないかと考えます。つまり、総合管理方針にも指摘をされておりますが、既存施設の転用、低利用施設や未利用地の活用、本来目的に限定しない空間の有効活用、これらを今の段階から視野に入れて検討するべきであると考えております。

 以上の文脈を踏まえまして、今後の公共施設全般の在り方とはるみらいを全区的に展開させる方向性について、本区の御見解をお伺いいたします。

 二つ目は、つくばエクスプレス延伸と昭和通り上空首都高速一号上野線撤去についてであります。

 一つ目の質問では、区民と区民との心の距離を題材にしました。ここでは、まちとまちとをつなげる交通を通じて、人と人とをつなげる距離についてお尋ねをします。

 先日の推進大会におきましても、都心・臨海地下鉄新線の事業計画の検討を加速していくよう国及び都に要請していく旨、決議をされたところであり、勝どき・晴海を中心とする本路線の早期実現を妨げる事象があってはならないことは当然であります。そうすると、この新線には進捗と進展との二つの側面、軸のようなものがあるのではないかと考えられます。すなわち、進捗は、臨海部の地域の皆様の発意により区政の課題に上がり、交通政策審議会の答申、三者合意、そしてボーリング調査へと進んでいる時間軸のようなもの、進展は、つくばエクスプレス延伸や臨海線との接続、関係区による駅とまちとの連携に関する検討の場の設置などの空間軸のようなもの、この二軸が密接に絡まるのか、それとも時間軸と捉えた側面のみ前に進めるのか、いずれが本路線完遂の最短解なのか。この点、東京から有明、東京ビッグサイトを結ぶ約六・五キロメートルの距離、時間にして約十分で双方がつながるこの路線は、日本橋から見ると、はるか遠望するという表現も誇大ではないと感じていました。

 臨海部と日本橋とを結ぶ公共交通機関の脆弱性は、以前より指摘もされてきました。前々回の大会からでありましょうか、日本橋地域からの呼びかけに、勝どき・晴海地域が応じて、推進大会の壇上に席を得ました。そして、今回から日本橋室町にてパネル展示も行われたのであります。こうした日本橋地域からの新線の活動への参画は、つくばエクスプレス沿線を通じて、臨海部へのアクセス向上、まちのさらなる活性化を見込んでのことであります。恐らく十二月に設立が予定をされている(仮称)つくばエクスプレスと都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟会に本区が参加を決めたことは、新線のためにも、また都心部の役割、使命という視点も含めて、全区的にも有用であろうと判断をしたからであると推察をします。

 そうであるとするならば、つくばエクスプレスの秋葉原駅と東京駅とをつなぐ経路をいかに考えるのか検討が必要となります。その点、本区の令和五年度都心・臨海地下鉄新線検討調査によりますと、駅出入口や地下通路の概略検討箇所のうち、回遊性が高く、構造的に構築可能と考えられる出入口等として、半蔵門線三越前駅との接続、そして、そこから北に延びて外堀通りへの出入口が明記をされています。では、仮にそこにつながるとして、いかなる線形になるのか、地下のどこを通るのか。想定される中央通りは、車線も少なく、工事に難がある。その東側を走る昭和通りは、道路幅は広いが、上空に首都高速一号上野線が架かっている。しかしながら、首都高速一号上野線を撤去してしまえば、むしろ工事の幾つかの障壁は越えられるのではないか。その結果、臨海部と銀座、日本橋とがつながり、距離が近くなり、時間が短縮されることになり、それぞれの行き来は頻繁になります。それは本区の新たな紐帯を生むとともに、行き交う様々な人々、住む人も働く人も訪れる人も、人と情報とが集まることで相互の関係性が深まり、今までにない変革を生み出す素地となります。具体的には、北の秋葉原駅の昭和通り口から、南の東京駅のほぼ中間に位置する江戸の起点の本町かいわいに出入口が設けられることが、紐帯と変革とに寄与することになると考えるわけであります。

 中央区総合交通計画二○二二の中で指摘されているとおり、この昭和通り周辺地域は、本計画独自の基準ではありますが、駅勢圏三百メートルから外れており、さらにはバス停二百メートルの圏域外です。つまり、日本橋地域で数少ない公共交通不便地域となっており、その改善の点でも有益であると考えます。地元の目線から言及するならば、東西に分断されている旧日光街道の復活がこの地域のアイデンティティを呼び覚ましてほしい、あるいは西の進取の気風が流れ込むことで、商業地としての新たな可能性を生み出すのではないかという期待であります。もとより、昭和通り上空の首都高速一号上野線の撤去は、日本橋上空の首都高速道路の地下化と併せての首都の交通機能の更新、そして地元発信のまちづくりという側面がありましたし、今もございます。そこにつくばエクスプレス延伸が加わることにより、昭和通りに接するまちづくりを一体的に進める価値と必要性とがさらに醸成されてきた。これは必然であると考えていますし、進めるべきであると考えます。

 以上の主張を基に、つくばエクスプレス延伸と昭和通り上空の首都高速一号上野線撤去を連動させる可能性について、本区の見解をお聞かせください。

 三つ目は、まちの機能更新と駐車場の附置義務緩和についてであります。

 二つ目の質問で取り上げました区民と区民との距離、これは交通政策の問題でもありました。ここでは、まちから見た交通の課題として、駐車場の附置義務緩和の有用性について考えていきたいと思います。

 まちから見たと申しましたが、まちは個人、法人などが集まり、形成されています。その単一の単位の中で生活が営まれ、あるいは経済活動が行われているわけであります。あるとき、集合住宅の新築が行われる。あるとき、店舗やビルの建て替えが行われる。そのときになって、都条例で定められている駐車場の附置義務が忽然と姿を現す。建築主は、収益の問題から緩和、減免を求めるが、受け入れられず、不承不承で駐車場をおのがマンションや商業ビルの一階に設置をする。そして、竣工すると、まちはにぎわいの連続性が途絶えてしまったことを、そして、そのまちを訪れた人々は、まちが本来持っていた風情の創出を惜しむ。まちを歩けば、地下鉄の駅やバス停は至るところにあり、こんなに駅の近くなのに、使わない駐車場を造らないといけないなんてというのは、人形町で御商売をされている方の実際の恨み節です。また、京橋地域のある方は、マンションに設置されている機械式立体駐車場の大規模改修の高額な費用と、実際の駐車場の利用率の低さに、忌ま忌ましそうに顔をしかめながら、マンションの理事の人々と知恵を絞り、この現状に対して果敢に挑んでおられました。共通しているのは、この制度によって財産価値が毀損されていると感じておられることです。敷衍すれば、商業のまち中央区、住み続けられるまち中央区を脅かしているということになるのではないでしょうか。

 その点、本区は、二○○三年に銀座地区において独自の駐車場銀座ルールをつくり上げており、そこでは敷地規模五百平米以上の建築物は、都条例で規定する附置義務台数の一・二倍、五百平米未満の建築物では、駐車場附置義務台数を集約駐車場内に確保することができるとしました。さらに、昨年には、附置台数の基準を見直すとともに、荷さばきや身障者用の駐車場についても同様の措置を取ることができるようになりました。そこに至る検討には、銀座エリアの最高意思決定機関である全銀座会を冠として、街づくり委員会、銀座街づくり会議、銀座デザイン協議会での長年の取組があったと伺いました。そして、昨年からは、銀座駐車場協議会が運営組織として、開発業者との協議、申請業務などを行っているとのことであります。

 その長年の活動の一端をうかがい知れる銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会「NEWS LETTERS二○○四‐二○一九」の御挨拶と後書きで述べられている部分を抜粋しますと、銀座らしさとはなにかを議論して、ともに学び、対話を繰り返しながら解決策を導き出してきた、時代の流れに合わせながらも、銀座らしさを大切に、守り育てるとあります。後書きでは、銀座街づくり会議は、地区計画銀座ルールの改訂、駐車場銀座ルールの策定に関わり、その時々の銀座のあらゆる課題を議論し、銀座の将来像を描くための場として機能してきたと述べられておりました。そして、「銀座デザインルール」第三版には、銀座型地区デザインへの歩みと副題のついた、銀座が取り組みはじめている未来に向けたデザインとうたった章があり、そこには六つの項目が立てられております。そのうちの一項目、通りと交通をデザインするには、駐車場銀座ルールの解説の表題に、小さなにぎわいの連続を途切れさせないとの修辞がついています。これらが、駐車場銀座ルールの根底にある思想なのだと思いました。

 すなわち、駐車場もまちづくりとともにある。そうであるならば、駐車場の附置義務は、まちづくりの一環として捉え直さなければならないのではないでしょうか。まちづくりが目指すものは、地域の価値を向上させ、究極的には区民の財産を守ることだと思います。それが、あるときは住み続けられるまち、また、あるときはにぎわいや活性化が持続されるまち等の言葉で表現されているのだと理解をしております。

 そこで、駐車場附置義務をまちづくりの一環として捉え直すとして、例えば、東京駅前地区駐車場地域ルール対象地区の北から北東にかけて新たな検討地区をつくり、既存の日本橋地域のまちづくり組織と区行政、警察、専門家等とが連携することにより、地域の願うにぎわいの連続性、歴史・伝統から生まれる変革、品格あるまち並み等、まちの機能更新を図るべく、新たな取組を始めてみてはいかがでしょうか。

 中央区の目指す交通まちづくりのイメージにおいても、日本橋地域について、歩行空間の快適性向上による地域内回遊の促進との言及がなされており、また、歩道の拡幅がなされた道路もあり、自動車中心から歩行者優先へと変化の兆しも感じられます。思うに、本区の交通計画の基本理念である人と環境にやさしく、まちの魅力を高める交通の実現と、都心区である本区の、他区との相対的な交通網整備の充実した状況を鑑みれば、個別の建物ごとに駐車場の附置義務を課すよりも、まち、地域ごとに駐車場の附置義務の在り方を検討するべきであります。都条例が厳然としてある現実、警察への対応などを鑑みれば、銀座の取組も参考にしながら、本区による需要予測等を基礎資料として、エリアマネジメント団体や既存のまちづくり組織等に附置義務の緩和や減免を含めて、駐車場の在り方の検討を区としてまちに促す時期が来ていると感じます。

 以上の考察を踏まえまして、まちの機能更新と駐車場の附置義務を緩和させる有用性について、本区の御見解をお示しください。

 四つ目は、ホテルとまちとの関係の整合性についてであります。

 今回の一般質問の最後の事項となります。区民と行政、区民と区民、それぞれの距離や交通から見たまちの在り方について議論を進めてきました。ここでは、まちの中の距離について考えていきたいと思います。

 ホテルまたは旅館等の整備により容積率の緩和を行う、いわゆるホテル誘導型地区計画が導入されましたのは、東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、本区内においてホテル建築が盛んに行われ出した、あるいはそんな雰囲気が漂い出した令和元年でありました。高揚感が焦燥感に変わった令和二年以降、三年にわたるコロナ禍の社会では、ホテル等宿泊施設は軒並み長い冬の時代を過ごさねばなりませんでした。一転、令和五年には、円安も手伝い、コロナ前の訪日外国人消費額は過去最高を記録し、本年、令和六年も早くも九月の時点で訪日外国人消費額が過去最高を更新しているとのことであります。政府は、訪日客数三千五百万人、消費額八兆円が視野に入ると見ています。中央区にとっては、令和に入って六年ほどで暁光と影、そしてまた曙光と、目まぐるしい変転を眼前で見ることになったわけでありますが、こうした状況を概観するに、いかにインバウンド、観光というものの性質が世相の景気や社会情勢に影響されやすいのか如実に物語っています。

 こうしたインバウンドが本来的にはらんでいる危うさに加えて、中央区の巷間で起こっていることに目をやれば、宿泊事業者と地域、町会の関係、また宿泊者と地域住民との関係、それぞれの擦れ違いの度合いが日々広がっていて、それがこのまま進めば、いつか日常として固定化してしまいそうだという危機感を持っています。事業者とまちとの関係では、地域コミュニティの構築について、地域と交わらない傾向が顕著に出る事業者がいることは残念の極みであると思います。

 恐らく、銀座や日本橋など区内の古くからの商業地では比較的狭小な建物が多く、大どころと呼ばれるような大きく御商売を行っている家は、まちの顔としての自覚、責任感を持つあるいは持つべきであり、それは相応のまちへの貢献をするべきだという意識に移行して、慣習のような、暗黙の了解のようなものが規範としてあったのではないかと推察しております。そういう理由もあってか、さきの駐車場銀座ルールにおきましても、インセンティブが少ないにもかかわらず、敷地面積五百平米以上は集約建築物としての役割を担っていると言えるのかもしれません。また、地区計画によりホテルの容積率が緩和されるということは、取りも直さず本区の成長を促す起爆剤としての役割が、ホテル等の宿泊事業者には期待されているわけであります。そうであるならば、まちとの調和、町会・自治会との地域コミュニケーションの構築は、地域、事業者、区の三者にとりまして特に意味のあるものだと言えます。

 宿泊者と地域住民との関係では、たばこやごみのポイ捨てから、種々の感染症といった生活や健康に関わる衛生の問題が挙げられます。さらには、先日は訪日外国人による放火の被害まで、本区内で発生したのでありました。受動喫煙の防止やポイ捨てといった喫煙マナーの啓発や防犯・防火の諸課題につきましては、何十年も前から、課題認識を持っているそれぞれのまちごとで自主的に町会・自治会が中心となって、中央区や警察、消防、近年ではたばこ販売事業者とも連携して、まちぐるみで巡回警備の強化や火の用心などに取り組んでおり、本区のまちを下支えしております。一方で、こうした活動量を上回る多様な来街者の往来がまちにはあふれてきています。そうしてあふれ出たものの残滓が、たばこの吸い殻であったり、ごみであったり、夜中の喧騒の痕跡であったりするわけであります。これはホテルの宿泊者に限りませんが、たばこやごみのポイ捨て、放火もそうですが、建物の裏、目立たないところ、暗がり、路地などが被害に遭いやすいように感じます。

 訪日外国人をはじめとした来街者、宿泊客は、本区に必要があって、あるいは引かれるものを感じて来訪するわけでありましょうから、まちの魅力の維持は欠かせません。その点、本区の魅力は諸説ありますが、安全・安心、親切、清潔、さらには江戸、祭礼、美食といった言葉に象徴されそうです。戦国時代の宣教師から、幕末明治にかけての政府お抱えの御用学者、ジャーナリスト、大正期の建築家まで、今日の日本の美点を再発見してきたのは、海外からのそうした人々でもありました。そうした人々が書き残した何がしかをひもとけば、往時から、外国から見た日本の美点、魅力の一つに、清潔や親切について驚嘆を持って紹介をされていることがうかがえます。また、近年では、世界から日本の路地が注目を集めているとも聞きます。世界の路地は犯罪の温床であり、日本のそれとは比べものにならないそうです。好んで足を踏み入れる場所ではないとのことで、日本の路地は安全・安心、清潔の象徴なのかもしれません。中央区の路地には、加えて、路地裏文化とも称される、そこにたたずむ風情、江戸の名残り、料理屋への期待など、好奇心をくすぐる、一歩足を踏み入れたくなる魅力があるといいます。そうであればこそ、路地の安全・安心、清潔を守るためにも、まちの今日までの尽力を区としてさらに力を込めて支援していく必要があります。前段で述べました地域のコミュニティへの、より多くのホテル等宿泊事業者の参画が活動の前提であろうと思います。区民生活の安寧、世界からの注目、それらのために、地域、事業者、区の三者が共に手を携えて進めていく特別の理由があるわけであります。

 そこで、ホテル等宿泊事業者とまちとを結ぶための多角的な方策を具体的に検討すべきだと考えます。例えば、ホテル施設のまちへの開放、喫煙所の共用や浴場施設の一般開放など、地域と共に歩むメニューを地区計画において、地域コミュニティへの貢献項目として追加するなど、ホテル等宿泊事業者に対して、まちへの参画を促す仕組みを早急につくるべきであると考えます。

 以上の論旨を踏まえて、ホテル等宿泊施設とまちとの関係を整合させる必要性について、本区の御見解をお示しください。

 以上で一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 海老原崇智議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、今後の公共施設全般の在り方とはるみらいの全区的な展開についてであります。

 平成九年に七万人台であった本区の人口は、平成十年以降、若年層を中心に増加を続け、令和九年度中には二十万人を超えると推計しており、拡大、変化する行政需要への対応が求められております。本区の区有施設は、築四十一年を超える施設は約一八%であるものの、築二十一年から築四十年の施設が約半数を占めており、間もなく多くの施設が大規模改修の時期を迎えることとなります。近年の工事費高騰などの社会状況も考慮し、既存施設を最大限有効活用することで、財政負担の軽減、平準化を図ることが必要不可欠となっております。このような課題に対応するため、令和六年四月の組織改正において、公共施設マネジメントの体制を構築するとともに、区内全ての公共施設に関する工事履歴や運営状況など、建物の様々な情報を一元化して全庁で共有することを目的とした公共施設マネジメントシステムの導入を進めております。一方、晴海地域交流センターはるみらいは、中央清掃工場の附帯施設として運営されていたほっとプラザはるみの用途を見直し、様々な世代に対応した多目的、多機能なサービスを提供する施設として令和五年十二月に開設し、間もなく一年がたとうとしております。これまで様々な世代と地域の方々に御利用いただき、好評をいただいているところです。今後の公共施設全般の見直しにおいても、利用率の低い施設や使用されていないスペースなどを活用して、これまでの用途や運営手法にとらわれずに、様々な利用者層が空間をシェアし、区民同士の出会いを誘発する多目的な施設に再構築することを検討してまいります。こうしたことにより生まれる余剰スペースは、今後必要となる行政需要に対応するとともに、大規模改修施設の仮移転先に活用していくことも可能となり、改修費用や期間の圧縮につながる効果も生まれると考えております。本区の公共施設のマネジメントに当たっては、こうした考えの下、区民の思いに寄り添い、区民と行政の心が通うサービスを生み出せるよう、引き続き取り組んでまいります。

 次に、つくばエクスプレス延伸と首都高速一号上野線撤去についてであります。

 都心・臨海地下鉄新線とつくばエクスプレス延伸との接続は、広域的なネットワークの強化をはじめ、事業性を向上させることから、地下鉄新線の早期実現に向けては、大変重要な要素になるものと考えております。しかしながら、令和四年に東京都が公表した事業計画案では、東京駅から有明、東京ビッグサイト駅までのルートや駅位置が示されたものの、つくばエクスプレス延伸との接続に関しては、具体的な内容は示されておりません。一方、上野線の撤去については、上空を覆う構造物がなくなることで沿道の環境や景観が改善されるとともに、地域間交流が活性化するなど、にぎわいや活気が生まれ、日本橋地域の魅力向上に寄与することから、地域の方々が主体となって勉強会を立ち上げ、機運を醸成しているものと認識をしております。このような中、区といたしましては、地下鉄新線の駅出入口や歩行者ネットワークについて、地域の方々に理解を深めていただく場などを設けていく必要があり、その際には、つくばエクスプレス延伸と上野線撤去との連動の可能性についても意見交換をしてまいりたいと考えております。さらに、期成同盟会への参加により、両路線の接続事業化の検討を加速させ、都などの関係機関と緊密に連携しながら、地下鉄新線の早期実現はもとより、地域の持続的な発展に寄与する路線となるよう、全身全霊で取り組んでまいります。

 次に、まちの機能更新と駐車場の附置義務の緩和についてであります。

 ビルが緻密に集積する本区におきましては、都条例の基準による附置義務では、駐車場の余剰や出入口の乱立によるにぎわいの分断が生じるなど、まちの機能更新を進める上で課題があることから、区として、いち早く駐車場条例の改正を東京都に訴え、地域特性に応じたルールの実現に取り組んでまいりました。地域ルールの策定に向けましては、荷さばき車両の路上駐車や、附置義務の対象外である小規模な建物に起因した駐車需要への対応を含め、その地域の交通環境に資する継続的な取組を盛り込むことが重要な視点として求められております。また、東京都においても、活用の進展に向け、地権者やエリマネ団体等による提案制度を設けるなど、より柔軟な対応が推進され始めたところです。商業・文化のまちとして発展してきた本区であるからこそ、歩行者を中心とした快適な市街地の実現に向け、駐車環境の議論は有用であり、将来を見据えたまちづくりの一環として総合的に取り組むべき事項と捉えております。区といたしましては、地域の機運の高まりを支えるべく、新たな地域ルールの検討に当たりましては、都の動向や他地区の情報提供など、様々な形で積極的に地域の取組を支援してまいります。

 次に、ホテルとまちとの関係性についてであります。

 本区は、銀座や築地、日本橋といった世界的な観光スポットを有し、多くの来街者でにぎわっており、特に、昨今の円安を受け、海外からの観光客が区内各地ににぎわいと活気をもたらしております。その一方、文化や生活習慣の違いによるトラブルも顕在化してきており、来街者によるにぎわいの中にあっても、これまで地域で引き継がれてきた安全で清潔な環境を守っていくためには、海外からの観光客と地域との接点となる宿泊施設が地域に受け入れられることが重要であると認識しております。そのため、本区では、まちづくり基本条例や市街地開発事業指導要綱に基づき、喫煙所、レストラン、ラウンジなどの地域の方も利用できる機能や、災害時における帰宅困難者の受入れ施設の設置など、地域コミュニティの維持や地域防災力の強化につながる計画となるよう、開発の規模に応じた協議を事業者と行っております。また、地域の方々に不安を生じさせないよう説明会を開催し、運営事業者や客室数、営業形態などを事前に説明するとともに、地域の皆様から御意見を伺い、区に報告するよう指導しております。とりわけ、宿泊施設の運営事業者が、開業後、地域に受け入れられることが重要であると考えており、地域の方々の懸念や要望を運営予定者に共有し、それに応じた取組を行わせるよう併せて指導しております。区といたしましては、宿泊施設が地域にとって有益な施設となるだけでなく、町会への加入を促すなど、地域の一員となるよう、さらなる指導改善に取り組んでまいります。

 答弁は以上であります。

〔二十四番 海老原崇智議員登壇〕

○二十四番(海老原崇智議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございます。

 今回の質問は距離という言葉を多用しましたけれども、今、様々な状況を一区民として過ごすことも含めて、つながっていくことの大切さを非常に感じております。多様であればあるほど、やはりつながりというものを持っていかなければならない。そのつながりというのは何かといえば、やはり距離が近いことなのだろうというふうに思います。それは、あらゆるところでの距離であります。この距離を行政としてもいかに捉えて、そして仕組みづくりに落とし込んでいくのか、こういったものは重要なのではないのかなという問題意識で、今回、質問をさせていただきました。

 四点大きくお尋ねをさせていただきましたけれども、少し所感を述べさせていただきたいと思います。

 公共施設の全般の今後の在り方についてでありますけれども、これは私が申し上げたことと比較的思いが重なっている部分が多いのかなというふうに思います。既存の計画もございまして、なかなか大なたを振るうというのは難しいのかもしれませんけれども、ある意味では、築二十一年から四十年の建築物が約半数あって、間もなく大規模改修を迎えていくということですから、そういう機を見て、既存の計画にとらわれず実行に移していただきたいというふうに思います。やはり区民の出会いを誘発するという言葉もいただきましたので、大変にありがたいと思います。また、一方で、大規模の改修工事の仮移転先にもなるということでございますけれども、以前も例にございましたけれども、やはり大きな施設が移転するとなりますと、既存の施設との利益が相反することもございます。違う分野と違う分野でどっちが重要なのだろうと。これをはかりにかけるのは大変に難しいと私も感じておりますので、そこも含めて、地域の皆様とよくお話をして物事を丁寧に進めていただければというふうに思います。以前からも丁寧に進めていることは重々承知の上で、改めてお話をさせていただきました。

 続いて、つくばエクスプレスの延伸と昭和通り上空首都高速一号上野線撤去についてであります。

 一般質問で登壇する機会を与えていただいて、そのうちのほとんどで一度はこれをやらせていただいております。つくばエクスプレスの延伸については具体性がないと、東京都のほうから令和四年でもそういう評価を頂いているということでありますけれども、やはり我々は夢を語らなければいけないのかなというところもありますので、できる限り訴えていきたいと思っています。その中で、昭和通りの駅の出入口についてありましたけれども、やはり外堀通りとなりますと、なかなか地域の理解を、どんなに話しても、得られるのかどうかはちょっと微妙だなというのがございます。ただ、何にしましても、地域の皆様のお声が全てというわけでは当然ございませんので、しっかりとこちらも地域理解を促すようなお話をしていただいて、本区全体の今と未来に向けてプラスになるお話をしていただければと思います。

 それと、駐車場の件であります。

 どうやら、お話を伺っていますと、東京都のほうもエリマネなどで提案制度を設けたりと、比較的だんだんと間口が広がっていくのかなというふうにも思っていますので、地域ありきで駐車場の附置義務ルールが議論されるというのは大切なんですけれども、その地域のまちが団体として、再開発があるとか、大きな目的がその先にあると立ち上がりやすいんですけれども、そうでないところは大体、先ほど指摘させていただいたように、建物が建つ段階になって、あっと気づくというのが非常に多いんです。では、まちで協議体をつくろうよというのをまちだけでやるというのは、実は結構難しいなと。私もまちにおりまして、町会長の会議、地域の会議までは立ち上がります。ただ、この手のやつを立ち上げるのに、警察にも最初から入っていただかないといけませんので、ぜひとも区の力を貸していただきたいというふうに要望させていただきます。

 最後のホテルとまちとの関係性について、事前から、いわゆる地区計画が導入される段階から、地域の方からいろいろな御意見があって、それによって、区の方も、帰宅困難者の受入れであるとか、説明会を開きなさいよというのは、本当に手厚くやっていただいているというのは承知をいたしております。それによって、地域もまちも大変助かっていると思います。ただ、今回質問させていただいたのは、その後なんです。実際に立ち上がりました、ホテルが建ちました、運営が始まりました、その中での日常のところ、この日常というのは、やはり日々暮らす皆さんにとっては非常に重要であります。これは再質問はしませんけれども、指導改善に取り組むだけではなくて、ぜひともその後のところまで、何かしらできる仕組みというのを、まちと、それこそ一緒に考えていただきたいというふうに思います。次の質問の機会をもし与えられましたら、また改めてこの問題について一歩進んだ段階で御議論をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、私の一般質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)


○二十三番(木村克一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、会議時間を延長し、併せて暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、会議時間を延長し、暫時休憩いたします。

     午後三時五十分 休憩


     午後四時十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。まず、三番アルールうた子議員。

〔三番 アルールうた子議員登壇〕

○三番(アルールうた子議員)
 中央区議会議員、アルールうた子です。議長から発言の許可をいただきましたので、質問通告書に基づき質問させていただきます。御答弁のいかんによりましては、あらかじめ再質問を留保させていただきます。

 今日は、区民が私に期待を寄せられているところの、東京都がTOKYOとして国際化を目指し、様々な施策を行っていく中、本区が取り組んでいる国際化、そして持続可能な中央区であり続ける行政運営に、私が必要だと思う国際化をキーワードにした質問をしたいと思います。国際化で必要な国際的ビジネス環境、観光資源の国際化、国際姉妹都市連携、国際的な課題に対する連携と貢献、国際交流プログラム、多文化共生社会の推進などの施策の深化について伺います。

 本区は、江戸の開府以来、日本の文化・商業・情報の中心として発展し、大政奉還後には築地、明石町が外国人居留地となり、多くの外国公館や教会が設置されました。暁星、慶應など多くの学校もこの地から発祥し、日本初の国際ホテルやアメリカンスクールも築地、明石町に設立されています。多くの海外知識人が住み、近代日本の文化や経済の基礎を築いた区であり、音楽などにも影響を与えました。今年五月には、築地本願寺でプロジェクションマッピングを通じ、この居留地の歴史を区民や観光客に紹介させていただいたところです。

 さて、中央区の基本計画では、本区を取り巻く環境変化を踏まえ、将来像の実現に向け、四つのリーディングプロジェクトによる政策横断的な施策がまとめられ、外国人支援や多文化共生、国際ビジネスの推進も含まれております。東京都の進める未来の東京戦略とともに、持続可能な行政運営を図るには、都心区という国内外から多くの人々が集まる拠点を生かした国際化の推進が重要で、今後の行政需要を先取りするような施策が重要であると考えます。

 国際ビジネスの拠点について伺います。

 本区は、国際ビジネスの拠点としての地位確立を目指し、外資系企業やスタートアップの誘致を促進するため、国家戦略特区の枠組みを活用した取組を進めています。この枠組みを活用しつつ、それぞれのエリアの地域特性を生かす東京駅前や日本橋川沿いの地域におけるまちづくりビジョンなど、現在、七つのエリアの指針を策定し、都市型産業に必要なインフラ整備、企業誘致、カンファレンス機能や人材確保のための住居、ホテル整備の計画が進められていると理解しています。都市計画を進めるに当たり、区として取り組めるインフラ整備はその基礎となりますが、実際のまちを形成、構成するそれら箱の中身の多くはディベロッパーの手腕にかかっていると理解しています。

 行政が抱えるビジョンをディベロッパーが共感し、同じ目標を具体的な形にするために、どのような工夫、取組、方策を取っているのか、お聞かせください。

 また、現在進行中の七つのまちづくりガイドライン、ビジョン等の中で、具体的に進み、実現可能な内容があればお聞かせください。

 さらに、観光資源の国際市場への展開と国際的ビジネスコミュニティとの連携強化についても伺います。

 本区には多くの老舗や日本の伝統文化があり、これら地域産業を国際市場に向けての取組が大切と考えます。また、中央区が国際ビジネスのハブとなるために、外国人ビジネスマンが円滑に活動できるようなインフラ整備や海外のビジネスコミュニティ、商工会、そして国際的公的機関との連携強化ができる環境が重要です。政府の戦略では、過度な東京一極集中の是正を進め、文化庁は、本年四月一日に完全に京都に移転しました。京都は、文化首都となるべく画期的な出来事とし、日本の地方創生を経済界と共にオール京都で牽引する取組を行うとしています。

 本区は、東京の心臓部として、東京の発展と地方の繁栄が相乗効果を生む施策に貢献し得ると考えています。歴史的にも、もともと政府が大名屋敷などを外国公館へ貸与、売却により外国大使館などが千代田区や港区へ集中し、昭和の時代に入っても、新たに大使館を設置する国は、財務省が所管する土地を取得し、多くの外国大使館が近隣に集まる傾向があります。が、これは非常に特別なケースであり、本来、外交官や外国機関が住むところは民間貸主には敬遠されがちで、大変苦労しています。最近では、中目黒東京ガス跡地の多くの大使公邸や、麻布にありました多くの南米系の大使館が、ビルの取壊し等により移転を余儀なくされ、ばらばらとなりました。東京への進出が遅れた機関は、都心区から別エリアへ設置をしています。これらの経緯から、都心区だからこそ、都市整備の機会を捉え、観光資源の国際化や外国企業のビジネス支援、外国公館との連携を容易にできる環境整備が必要です。

 海外のビジネスコミュニティや商工会、さらに国際的公的機関との連携を強化することにより、観光資源をより広く国際的に展開し、外国企業や日本企業が円滑に海外進出や国内投資などの情報を得やすい民間と公的機関の参加ができるような環境整備や支援についての区の見解をお伺いいたします。

 次に、国際的な学校について伺います。

 本区が国際的に発展するためには、日本人だけでなく、外国人人材の確保は不可欠です。現在、本区は人口が十八万人を突破し、外国人人口は一万二千人を超えました。九年前の約二・三倍です。今後、外国人人口増加は、国の入管法改正に伴い、労働力不足への対応として、特定技能や技能実習生を含む外国人労働者の受入れで増加、また、家族との滞在の増加も見込まれます。外国人世帯は短期・中期滞在が多く、転勤に際し、家族と共に移るかどうかは、子供の教育環境が居住促進の鍵となっています。例えば、江戸川区や江東区では、インド系インターナショナルスクールの存在が、インド系、英語圏駐在家族の定住につながり、その結果、税収にも影響していると聞きました。現在は、北区に移転したフランス人学校の影響で、北区のフランス人コミュニティが広がっています。

 この北区移転の経緯については、当事者でありましたので、御説明すると、フランス人学校は千代田区富士見でございましたが、学生数増加に伴い、千代田区と中高は台東区浅草橋へ分離しました。その後、バカロレアだけの取得で終わらないインターナショナルバカロレア取得可能な学校への見直しもあり、廃校となっておりました都立池袋商業高校跡地はフランス政府へ売却され、二○一二年、北区に幼稚園から高校までの東京国際フランス学園となりました。さらに、二○二二年には、隣接する区立旧滝野川第六小学校の一部を利用することとなり、東京国際フランス学園がアネックスとしてCE2、CM1、CM2の三百名の生徒が使用することとなりました。もちろん、その際は、北区の基本構想を基に、学校施設跡地利活用検討委員会での検討会を重ねられ、多文化交流を深化させ、区民への開放、オープンスペースの確保等防災への協力、地域や近隣小・中学校との連携・交流協力など一定の条件を付したものを二○一八年に決定しています。

 実際、学校設置後、二○一二年以降、北区ではフランス人人口が拡大し、現在はアメリカ人三百八十八人と同程度の、フランス人三百二十二人となっています。中央区では、アメリカ人四百六十人に対し、フランス人は百三十二人と半分以下ですから、いかに学校の所在地が流動的な外国人住民の選択肢になっているか、お分かりいただけるかと思います。フランス語圏でもあるベルギー、ベナン、ルクセンブルク、コンゴ、チュニジア、モロッコ等々は学校が鍵で、市ヶ谷に大使館や公邸を構え、その影響でフランス語圏コミュニティが確立し、周辺はさらに国際的な活気が生まれました。また、港区には外国公館職員のフィリピン系住民も多く、近隣のインターナショナルスクールや食材の入手のしやすさも、居住地の選択に影響しています。ブリティッシュスクールの麻布台ヒルズへの統合も、英語圏のビジネスマン家族が港区を選ぶ理由になっています。横浜のドイツ人学校への三路線のスクールバス、一千三百名の調布アメリカンスクールへの三十一台の通学バスの運行も、外国人家族が居住地を決める上で重要な要素となっており、教育と職場が駐在外国人、また日本人の海外転勤族の定住にとって大きな要因であることが分かります。

 世帯人員数を調べたところ、特別区の一般世帯人員数は一・八五人、本区は日本人のみの世帯人員数は一・八人、外国人世帯の人員数は一・四人、区全体の一世帯人員数は一・七六人。本来、外国人世帯、例えばアメリカですと平均人員二・五人ですので、日本の世帯人員数よりも多いのですけれども、この数字から読み取れるのは、本区だけではありませんが、特別区の多くの外国人世帯は、ファミリーで居住する方々が日本人世帯よりも少ないということです。ところが、江戸川区の場合、世帯人員数で平均一・九三人、日本人単体の世帯人員数が一・九七人ですから、この人員数に大きな違いはあまりなく、ファミリーで居住しているのが数字からも読み取れます。外国人だけでなく、当然、日本人家族にも学校が居住地の選択要因として顕著に現れているのは千代田区です。千代田区平均一・七四人の世帯人員が、麹町出張所では二・○八人、富士見出張所では一・九人と、インターナショナルスクールではありませんが、公立校が要因で、特別区平均よりも高い数字となっております。

 そこで、質問です。

 国際化に向けての人材確保のため、本区は、インターナショナルスクールなども含む学校の誘致が持続可能な行政の方向性と考えますが、その見解をお聞かせください。

 次に、国際姉妹都市連携について伺います。

 中央区は、一九九一年よりオーストラリアのサザランド市と提携をしており、中学生の海外体験学習では、区立中学において、二○一九年は二十四名の生徒さんがサザランド市での体験学習を行いました。コロナで休止をした時期もありましたが、再開ということです。事前の学習や事後、その経験を、体験学習に参加されなかった生徒さんへの報告会や、その活動を発展させることは大変意義があります。一方、海外体験に参加できなかった生徒さんが大多数でもあります。教育交流は互いの国を訪問すると思いますが、サザランド市の学生の本区の受入れは十名程度で、生徒さんは自費での渡航と伺っております。

 相互訪問は、都心区ゆえに、一般に行われるようなホームステイは、なかなか受入れ家庭募集も困難かとも感じます。本区には柏学園という宿泊もできる教育施設もあること、そして、その利用率は、三学期に学校単位での利用がない一月から三月の冬場は低いことなどを考えると、姉妹都市の生徒さんを短期間、オーストラリアが長い夏休みとなる日本の冬に来ていただくような、柏学園を利用しての交流も検討できるかと考えます。また、近年では、インターネットを活用したオンライン交流も増えており、授業やワークショップを通じての交流が行われることが増えたと聞いています。

 サザランド市の学生を区内で受け入れる仕組みや、オンラインでの相互交流の現状と課題についての見解をお聞かせください。

 姉妹都市連携では、例年、中央区文化・国際交流振興協会で姉妹都市親善写真展を開催しております。一般的に、姉妹都市連携ではスポーツ交流やアート、食文化、経済交流などの分野で行うことも多く、拡大することも可能です。二○二一年に中央区はゼロカーボンシティ中央区宣言をし、若者によるTeam Carbon Zeroが結成されています。互いの都市の若者が国際的な視点で地球環境、気候変動問題に取り組む、このような活動をサザランド市との共同プロジェクトとして発展することだって可能です。姉妹都市交流は、異文化理解の促進や平和な国際関係の構築に寄与し、グローバルなつながりを強化する重要な役割を果たしています。

 この国際姉妹都市連携の価値を高め、広げることを積極的に、かつ前向きに広げていく、区としての見解をお尋ねします。

 また、三十五周年になる姉妹都市連携の今後の計画をお聞かせください。

 次に、国際交流プログラムについて伺います。

 未来を見据えたグローバルな視点を持つ子供や若者の育成や、多くの区民の方々への国際交流プログラムは重要な施策の一つと考えます。私も、学生時代、総務省世界青年の船で南半球を巡り、多様な国のユースと交流をしながら、文化や生活体験を共有いたしました。経験を通じ、季節の違いや宗教、肌の色、先住民族など異文化の理解を深めてまいりました。

 東京にいる留学生、東京のインターナショナルスクールやYMCA、ボーイスカウト、ライオンズクラブやロータリークラブなど国際的な団体と連携することや、これらの団体の各国ユースとの受入れ交流は、区内の子供たちの国際交流に役立つと考えます。これらのユース世代の交流や区の支援や関わり方について、区の見解をお聞かせください。

 公益財団法人となっている他区の国際交流協会では、音楽や映画、スポーツ交流や留学生、また地元の海外企業や大使館などが参加する国際交流プログラムなどもあります。実際、私もかつて、これらの国際交流プログラム出展者として参加をし、モロッコやアラブ・アフリカ諸国の文化紹介の機会を得て、例年、多くの日本の方々が楽しまれておりました。任意の外郭団体である中央区文化・国際交流振興協会への補助金の内訳は、文化的事業費の六・六%程度が国際交流振興事業費です。再来年には設立三十五周年となり、その間の東京の国際化、今後を鑑みますと、協会の事業拡大や組織の抜本的見直しも必要だと考えます。

 本区の子供たちのグローバルな視点を育て、そして区民のための国際的な文化交流、経済交流、スポーツ交流に本区が今後どう取り組まれていくのか、御見解をお聞かせください。

 次に、帰国子女と混合世帯、外国人世帯の子供の教育について伺います。

 本区では、冒頭お話ししたとおり、約六・六%が外国人です。外国人だけの世帯は七千六十一世帯、外国人を含む世帯に日本人がいる混合世帯は一千七百九十五世帯、様々なケースがありますので、単純計算はできませんけれども、八千八百五十六世帯、八・三%の世帯が多文化世帯と言えます。と同時に、さらに海外での生活経験のある区民やその子供たちも、滞在期間相応の日本とは違う価値観や文化をお持ちの隠れ多文化の方々も多くいらっしゃるかと推察されます。

 さて、外国人支援と同様に、混合世帯の方々、そして帰国子女、隠れ多文化の区民への支援はどうなっているのでしょうか。異文化環境からの適応には、心理的支援も必要ですが、日本語の支援や、それに伴う学習支援も非常に必要です。日本語指導を受けた児童は、二○二二年度には四十名、二○二三年度で八十二名、二○二四年八月末時点では六十三名と伺っており、国際化が進む中で、年々増加し続けるでしょう。

 現在の帰国子女教育も含む日本語指導と学習サポートの現状と課題、そして今後の日本語教育支援についての見解をお聞かせください。

 最後に、多文化社会について伺います。

 多文化共生社会の実現には、相互の理解が必要不可欠です。本区では、文化的イベントや国際交流フェア、日本語教室などを通じて、外国人住民に日本文化を伝える取組が行われておりますが、外国人住民が自身の文化を発信する機会は十分ではありません。また、地域活動の基盤となる町会単位の構造において、言葉の壁や文化の違いが外国人住民の参加を難しくし、外国人住民がお客様から地域の一員として参画する機会が限定される現状があります。外国人住民が自身の文化を発信できる場を増やし、地域全体で多様な文化を理解し交流できるプラットフォームを構築する支援、例えば外国人住民による文化紹介イベントや異文化の交流の場を定期的に設けることで、地域住民と外国人住民が相互に学び合える環境を整えることが可能です。

 本区の外国人コミュニティの交流を促進し、地域活動に積極的に関与できるような支援についての御見解をお聞かせください。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 アルールうた子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、国際ビジネス拠点としてのまちづくりについてであります。

 本区では、国際都市東京の活力創出の観点から、東京駅前地域、日本橋川沿いエリア、日本橋七の部地域のまちづくりガイドラインにおいて、多様な機能集積の一つとして、国際ビジネス拠点を位置づけています。これらを実現していくためには、開発事業者と目標を共有し、取り組むことが重要であり、協議において様々な工夫を講じ、進めているところであります。計画の事前協議に際しては、当初からまちづくりガイドラインなどについて説明を重ね、理解を深めるとともに、提案を適切に評価して具体的な取組を促すなど、計画誘導を図っております。また、複数の再開発事業が一体的に進むエリアにおきましては、開発相互の連携による地域全体での戦略的な取組が進むよう、相乗効果を意識した計画づくりを指導しているところです。こうした取組の結果として、東京駅前地域のまちづくりガイドラインに基づいて計画された再開発事業では、国際水準のカンファレンスセンターやホテル、ビジネス交流施設、国際医療施設、国際空港とを結ぶバスターミナル等の整備が行われ、また、日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョンに基づいて計画された再開発事業では、都心型MICE拠点や国際水準の居住施設、高度人材のための生活支援施設等の整備が計画されております。国際ビジネス拠点の形成に向けましては、国内外の優れた企業や人材が集い、働き、交流し、居住できる環境の整備が重要であり、今後ともこれらの取組を継続し、拠点にふさわしい魅力あふれるまちを実現してまいります。

 次に、地域産業の国際展開と国際的ビジネスコミュニティ等についてであります。

 本区が誇る老舗を中心とした地域産業は、海外から見ても魅力的で高い評価を受けており、そうした自社の商材を国際的に展開し、活発な経済活動を行っていくことは、本区にとって望ましいことであります。こうした老舗企業を含む区内事業者の国際展開を後押しするための取組として、本年七月の経営セミナーにおいて、日本貿易振興機構、JETROより講師を招き、具体的な成功事例や公的支援制度の活用方法などの説明を参加企業三十八社に向けて行っております。また、区の経営相談においては、個別の状況に合わせた助言を行うなど、国際展開に向けた細やかな支援を行っております。過去には、観光庁及び日本政府観光局主催のシンガポールにおける観光フェアに区としてブースを出展し、観光協会の協力の下、日本橋の老舗企業による商材の展示・販売を行ったところであります。区といたしましては、今後も機会を捉えて、区内事業者の国際展開に向けた活動への支援を行ってまいります。

 次に、国際的ビジネスコミュニティ等についてであります。

 外務省においては、外国の経済界の有力者を招聘する交流事業などを、東京都においては、国際都市戦略プロジェクトとして、在京大使館等との連携やビジネス面での関係機関同士のマッチングなどを行っております。こうした取組例からも、国際的ビジネスコミュニティや大使館など、国際的な公的機関等との連携強化については、広域的な観点で国や都が主体的に担っていくものであります。しかし、区としても連携して積極的に取り組んでまいります。

 次に、インターナショナルスクールなどの学校の誘致についてであります。

 学校誘致は、魅力あるまちづくりを進める上で重要な要素であり、特にインターナショナルスクールの誘致は、地域の国際化を推進し、多様な人材の育成に貢献するだけでなく、本区に住み、働く外国人にとって暮らしやすい生活環境を整備する上で、必要とされる施設の一つと認識しております。しかしながら、商業施設やオフィスビルなど様々な機能が高度に集積している本区では、立地場所の確保が極めて困難であることから、市街地再開発事業などの機会を捉え、その実現に向けた可能性について検討してきたところです。こうした中、本年八月に着工した八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業において、インターナショナルスクールの開校計画が公表されました。区といたしましては、今後とも様々な民間活力との連携を図りながら、国際都市東京を牽引する魅力あるまちづくりを進めてまいります。

 次に、姉妹都市サザランド市との連携についてであります。

 本区とサザランド市は、在豪日本大使館の紹介により、平成元年にサザランド市で本区の中学生が初めて海外体験学習を実施したことをきっかけに交流が始まりました。平成三年に両都市で姉妹都市提携調印式を行い、以降、中学生の海外体験学習、姉妹都市親善写真展、五年ごとの周年記念事業を中心に、三十年以上にわたり、文化・教育などの分野での交流を通じて友好の絆を深めてきたところであります。中でも、中学生が相互に行き来する海外体験学習は、ホームステイを通して互いに温かい友情を育むことはもとより、異なる文化や生活様式に触れることで国際的な視野を広げる貴重な機会となっております。こうした体験を通して、次代を担う子供たちが成長していくことは、両都市にとってかけがえのない財産となっており、こうした関係がさらに広がり、深まりゆくことは大変有意義であります。令和八年には姉妹都市提携三十五周年を迎えることとなりますが、その記念事業の内容を含め、今後の交流の進め方につきましては、サザランド市の意向を確認し、その思いを尊重しながら検討してまいります。

 次に、ユース世代の国際的な交流についてであります。

 国際化が一層進む昨今において、ユース世代が国際的な感覚を学び、身につけていくことは重要であり、それに向け、様々な団体活動を通した国際交流を進めることは有益な手段の一つであります。お示しの各団体は、設立趣旨や活動目的が異なり、それぞれの目的に沿った団体活動をされているものであります。そのため、ユース世代の交流にあっても、それらの目的に合わせた交流をそれぞれ主体的に行っているものと認識しております。区といたしましては、そうした活動を行う上で団体から個別の相談があった場合には、活動の周知や場の提供など、必要に応じて支援してまいります。

 次に、子供たちのグローバルな視点の育成に向けた国際交流の取組についてであります。

 国際化が進展する中で、次代を担う子供たちが健やかに成長し、世界で活躍していくためには、様々な機会や交流を通じて国際感覚を身につけていくことが重要であります。コロナ禍で中止を余儀なくされていたサザランド市との中学生の海外体験学習は、本年、五年ぶりに再開することができ、外国の文化に触れる貴重な体験をさせることができました。また、区内の各小・中学校においては、東京都国際交流コンシェルジュを介した海外の小・中学校との交流授業を実施するとともに、旅行業者からの紹介による受入れなど、授業を通して海外の児童・生徒と実際に触れ合う機会を創出しております。さらに、文化・国際交流振興協会では、外国文化に気軽に触れられる国際交流のつどいを開催しており、子供たちにとっても、外国文化を知り、外国人と交流できる場となっております。東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会開催の折には、区内小・中学校における海外選手団の受入れや、公式練習会場となった区施設などにおいて、子供たちと海外選手とのスポーツ交流をはじめとした様々な交流が行われました。さらに、選手団を受け入れたブラジルオリンピック委員会との交流をきっかけとし、現地スポーツ大会に本区の中学生が招待され、競技に参加するとともに、互いの文化を教え合うなどの交流が図られました。今後とも、こうした交流の機会を積極的に捉えるとともに、現在展開している様々な交流事業の充実を図ることにより、子供たちが国際的な感覚を着実に育んでいけるよう取り組んでまいります。

 次に、多文化共生社会についてであります。

 本区の外国人人口は、近年、大幅に増加しており、外国人住民が地域社会において様々な方と心通わせ、安心して、より豊かに日常生活を送るためには、異文化理解や相互理解を促進し、多文化共生社会を実現することが重要であります。そのため、文化・国際交流振興協会において国際交流のつどいを開催し、日本の伝統文化を紹介するほか、民族衣装の着つけや、国を代表する料理を振る舞うなど、自国の文化を発信するコーナーを設けており、参加者からは、国境を越えた交流を楽しむことができたなどの声が寄せられていることから、それぞれの文化を相互に理解する場となっております。また、日本文化を体験しながら交流を深める国際交流サロンにおいても、同様の声が寄せられております。さらに、日本語教室においては、様々な国の参加者が、六か月間、共に学ぶ環境にあり、言語の異なる方々の貴重な交流の機会となっております。区といたしましては、今後も外国人人口が増加する中において、新たなニーズを捉えつつ、こうした取組を継続することにより、外国人コミュニティの交流を促進するとともに、相互理解を進め、多文化共生社会を実現することで、地域活動に気軽に参加しやすい環境づくりを推進してまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、国際姉妹都市連携についてであります。

 サザランド市姉妹都市委員会は、中央区への派遣の目的を、ホームステイを通して日本の文化や習慣に触れること、体験入学を通して言語を学び、伝統文化を体感することとしております。教育委員会では、コロナ禍で交流ができない時期においても、生徒にとって有意義な体験プログラムとなるよう、姉妹都市委員会と協議を重ね、中央区とサザランド市の学校間で、実施時期や内容、派遣生徒数、滞在先での文化交流に関する事項を盛り込んだ協定を締結したところであります。この協定に基づき、サザランド市の生徒の受入れでは、学習のほか、日本文化に触れる機会として、着物の着つけ、華道、茶道、琴の体験等を行うとともに、ホームステイでは日本の生活様式や食への理解を深めることができ、今回の体験プログラムが大変有意義であったと評価をいただいております。また、オンラインでの相互交流の現状と課題につきましては、サザランド市の現地校は、当面の間、直接交流に注力したいとの強い意向があることから、早期の実施は難しいと考えておりますが、引き続き、現地との親密なコミュニケーションを目的とした相互交流に向けて、検討を進めてまいります。

 次に、日本語指導と学習サポートについてであります。

 現在、教育委員会では、外国から編入学した児童・生徒が言語や生活習慣の違いを理解し、速やかに日本の学校教育に適用できるよう、語学指導員による個別指導を実施しております。課題については、日本語指導が必要な児童・生徒の増加による語学指導員の不足と、授業中における迅速な意思疎通や内容理解に困難が生じる場合があることと認識をしております。今後は、語学指導員の人員確保に努めるとともに、AI通訳機による円滑なコミュニケーションを図る取組の試行などを通して、日本語能力が十分でない児童・生徒の学校生活を継続的に支援してまいります。

 答弁は以上であります。

〔三番 アルールうた子議員登壇〕

○三番(アルールうた子議員)
 御答弁ありがとうございます。

 まず、帰国子女等の子供の教育について所感を述べさせていただきます。

 個別指導員が不足している、そして、AI通訳などを使って子供さんのサポートをしていただいているということは理解いたしました。

 外国人の児童も帰国子女への日本語教育の支援は基本中の基本ですけれども、学習サポートというのが実はとても重要です。経験談ですけれども、小学校の算数教育は、最後の解答は同じになるんですけれども、引き算や割り算など、各国の答えを導くまでの考え方というか、方法が違うので、筆算自体も全く異なります。仮に、その学年だったり、それを身につけてから日本で編入をするときには、日本語能力があったとしても、学力がそうでも、そういった授業の方法というか、考え方についていかれないような児童さんもいらっしゃるのではないかなというふうに推察いたします。

 また、日本のインターナショナルスクールに行っていて、途中から現地の日本の学校に通おうと思われるようなお子さんも、一定程度いらっしゃるかと思うんですけれども、これもまた経験談なんですが、フランス人学校に行っている場合ですと、現地学校、東京でしたら日本語を学びなさいという規定がありまして、日本語を学ぶんですけれども、日本人と同じ日本語能力がないと、同学年の日本語の国語の授業に入れていただけずに、フランス人から日本語を学ぶという事態がありまして、もちろん、そこは文部科学省の教科書ではありませんので、卒業まで学習し終えたとしても、同学年の日本語レベルには達成しないということもあります。仮に、そういったお子さんが編入したりとかということもあるかと思います。日本語での読み書きについていかれないために、学力があったとしても、ほかの教科の学習に影響が及ぶことも多いです。どうぞ、多くの可能性を持った生徒さんが自信を失うことがないよう、そして自分を諦めないような学習サポートと教育環境を整えていただきたいというふうに思います。

 それから、多文化共生社会についてです。

 るる、いろいろなことを昨今やっているというふうに伺っておりますけれども、なかなか、その場が定期的にあるというものは年に一回ですとか、サロンも通われる方は一定数いらっしゃいますけれども、ほぼ同じような方々が参加しているような状況というふうに伺っております。また、現在、相談される日々のいら立ちの多くは、価値観の違いや生活習慣の違いによって起こるものが非常に多いです。江戸川区では、インド人会というものがありまして、日本人社会と共存していく中で様々な役目を果たしているというふうに伺っております。外国人住民が日本の住民と共に暮らし、理解する外国人コミュニティのプラットフォームの整備というのは、私はとても大切だと思います。地域振興課や文化・生涯学習課の縦割りに横串を刺すような、そんな組織改革か、もしくはそのような組織をつくり、多文化共生社会の推進のために、ぜひそのようなプラットフォーム支援に向けた検討をお願いしたいと思います。

 それから、国際化ビジネスの拠点や、その環境整備についてです。

 非常に前向きで、現在、都市開発の中で進んでいることは理解しております。実は、議員になる数年前、私は、区民の立場で本区への提案で、再開発の機会を捉えて、公的機関、国際的な機関や、例えば大使館とか観光局や経済局の出先機関の誘致、また、それに関連するような文化や食文化、アート、ファッションをはじめ、世界各国の物販があり、レストランもあるようなワールドショーケースを提案しています。日本の伝統と文化の名店が集まるような本区には、日本中のアンテナショップもありまして、その相乗効果は計り知れません。現在、本区におきましては、様々な都市計画で、地域の特性を生かしたまちづくりを進めているというふうに理解はしておりますけれども、果たして、その行政の目標がディベロッパーの方と共に、同じ目的意識を持って共有し、同じパッションで都市計画、都市整備を進められるような工夫をいま一歩検討していただきたいというふうにお願い申し上げます。

 学校の誘致についてです。

 八重洲におきまして、インターナショナルスクールが入る予定だというようなお話もございました。人は、まちをつくる原動力です。その貴重な方々が継続的に流入し続けるような鍵は、短期・中期滞在外国人の家族や、日本人の中でも転勤族や海外転勤家族です。八重洲の学校はそうではないと思いますけれども、九月の新学期の学事暦の学校や、インターナショナルスクールや日本の学校でも英語で教育を受けられるような学校、国際的な入学資格が得られるような学校の設置は本当に重要だと思います。学校不足への対応は、喫緊の行政需要でもあります。本区の平均世帯人数は一・七六人でありますけれども、新しい方々が入ってきている月島特別出張所の平均世帯人員数は一・九五人です。この数字からも、多くのファミリー層が増加し、その方々は教育熱心であると推察されます。子供と一緒に過ごせる時間は本当に短いです。なのに、学校がネックで単身で転勤をする方が一定数いらっしゃる。

 とりわけ、本区は子供の教育に力を入れております。本区で育つ子供が日本人として国民性や道徳観を持ち、日本の伝統や文化を理解し、グローバル化の中で世界で活躍できる人材となり、日本の将来を牽引できる、そんな子供たちが育成できる、そういったための教育環境やプログラム、そして現役世代の流入が継続し、持続可能な本区であるために、国や東京都などにも働きかけて、国際的な学校や特色のある学校の設置を強く望みます。また、現在の区内にある学校も、さらに魅力のある学校へと進化し、継続的に現役世代が住みたいまちにつながるよう強く要望し、所感を述べて終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

○議長(瓜生正高議員)
 次に、二番小坂和輝議員。

〔二番 小坂和輝議員登壇〕

○二番(小坂和輝議員)
 かがやき中央の小坂和輝です。会派の一人として、区の喫緊の課題について、通告に従い一般質問します。明快なる御答弁をお願いいたします。再質問は留保します。

 前回、第三回定例会の一般質問において、第一種市街地再開発事業の制度を用いた超高層タワーマンション建設は、現在建設中のものが完成すると、月島地域で四千五百九十五戸増え、教室不足等を生じ、インフラの許容量が超えている旨、議論した。人口推計も踏まえ、再度質問する。

 区は、毎年、十年先の人口推計を行っており、人口推計で二十万人突破を令和九年と予測している。その後の十年間も一貫した上昇基調で、令和十四年には二十一万人をも突破する。

 国立社会保障・人口問題研究所、社人研と以下略す、の令和五年の地域別将来人口推計を用いると、二○五○年まで中央区の人口は増加し続けると読める。区は、二○五○年までの長期の人口推計をどのように分析しているか。

 十一月現在の区の人口、十八万六千九百六十五人から二十一万人まで二万人強が増えるとして、児童がさらに一千人程度は増加するのではないかと推察する。このような急激な人口増加が予測される中、小学校は、本年開校の晴海西小学校を加えた十七校と分校一校で足りるというお考えか。

 神戸市は、二○一九年七月、中心街三宮の人口集中を避ける目的でタワーマンション規制するために、神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例を改正、翌二○二○年に施行した。同改正により、地区計画で都心機能誘導地区を導入。敷地面積一千平方メートル以上には、容積率を四○○%までに制限され、八階から十階建て程度のマンションが限界となった。久元喜造市長は、急激な人口増加によって小学校などの教育施設が逼迫し、神戸市中央区に対する人口の一極集中を抑制し、神戸市全体にバランスの取れた人口配置をすることを目的としている旨を市議会で答弁している。二○一八年九月にタワーマンションのあり方に関する研究会を設立し、一年弱の検討の後に規制の方向へかじを切った。同市は、建てることの規制だけではなく、建ったことによる影響もまた、タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する有識者会議の下、分析し、対応を本年度検討しており、注目すべき内容となっている。

 本区でも、既に高さ六十メートル以上の超高層住宅が、工事中のもの五棟を含め、六十五棟、三万二千十三戸存在する。うち四十一階以上の建物が三六・九%、総戸数五百一戸以上が三八・五%の、おのおの四割弱で規模が大変大きい。

 本区は、ほぼ全域に条例で地区計画を定めており、神戸市の手法と同様に、地区計画では規制があるのであって、そして横浜市でも同様の手法を用いて規制し、既にタワーマンションは建てられないとみなすこともできる。それでも学校などインフラ整備が整わない中で、タワーマンションの建設が続き、歯止めが利かなくなる可能性があることから、その建設に対する規制の必要性をいかがお考えか。

 少なくとも、タワーマンションのまちづくりの在り方を見直すため、神戸市のようにタワーマンションの在り方に関する研究会を立ち上げ、学識経験者も交え、検討をするべきではないか。

 ここで、タワーマンションの乱立と厳しめの表現を用いていますが、インフラ整備が追いつかないまま建設が続き、教室数不足で子供たちの学校生活に支障を来すレベルに達するなら、やはり私は乱立と表現することをお許しください。

 さて、公的資金を投入し、大規模な面的整備を図るタワーマンション建設の手法を用いないとして、では、どのようなまちづくりができるか。前回の第三回定例会一般質問の場で、私の再質問に対し、区長からも研究する旨の御答弁をいただいたが、その後の進捗はいかがか。

 銀座では、民間の東京高速道路株式会社、KK線の上部空間の歩行空間化が進められ、KK線再生プロジェクトがこの十一月に始動した。その整備のコンセプトは、共創的公共とある。多領域の専門家がパートナーとして必要な領域、検討フェーズに応じてフレキシブルに関わり、連携、共創しながら透明性高くグリーンインフラを整備していくという。キックオフの第一弾カンファレンスに私も参加したが、建物の上を橋でつなぎ、道路として車で走っていたものを、今度は歩行空間として新たによみがえらせる。二十一世紀の世界遺産を創出させるぞという熱気にもまれながら、その発想は今後のまちづくりにも生かせるのではないかと考える。

 共創的公共の発想を用いたまちの更新、共助の建て替えができるのではないか。すなわち、小さな面的手法として、隣接する複数の土地所有者らが協議をして共同の住居を建設するコーポラティブハウスが広がりつつある。住民がそれぞれの実現したい生活の理想を、それぞれが一つの共同住宅の中で間取りなど知恵を出し合いながら設計をする。低層で建て替えをし、人口急増の負荷を生じることなく、住民は住み続けることができ、地域の課題解決を織り込みながら、まちも更新をする手法である。

 このような共助により建て替える住民のコーポラティブハウスの取組に対し、区として、その推進やアドバイザーの派遣をする等、支援をすることはできないか。

 学校関連に移ります。

 コロナ後、いまだにコロナの影響が残った学校生活が送られている。学校給食は、私語はできるが、黒板を全員が向いている。課外活動では、小学校四年生の宿泊行事が、コロナ前には二泊三日であったものが、一泊二日と短くなった。運動会では、種目が徒競走と団体演技の二競技である学校が複数校存在する。午前のみで終了、全校が半分に分かれて応援・見学、紅白対抗戦がなくなるなど、大きな変化が生じたままである。

 学校給食は、原則、皆で向かい合って談笑しながら楽しく食事をする共食の形に戻すべきではないか。

 宿泊行事を経験した四年生や、これからの三年生に、一泊がよいか二泊がよいか聞くと、七、八割が二泊がよいと回答が返ってくる。自然体験が少ない本区としては、四年生の宿泊行事も二泊三日に戻していくべきではないか。

 運動会も、できる限りコロナ前の形へと戻していくべきではないか。それぞれの考え方をお示し願う。

 少なくとも、児童・生徒にも意見を聞いて、在り方の検討を行っていただきたいが、いかがか。

 本来であれば、上述のような学校運営方針についても、児童・生徒の意見も反映させながら、地域が一緒になって考える事項ではないかと考える。中央区は、学校運営方針を検討するに当たり、学校評議員会制度を用いている。この制度では、学校評議員が説明責任を担うこととなるが、評議員だけでは、地域にその内容を知らせていくことは限界がある。学校評議員会での開催されて検討された内容を保護者が知り得ていないのではないかと危惧する。教育委員会では、学校評議員会での検討事項の、地域への周知をどのように行うお考えか。

 学校評議員会で検討された内容を広く保護者に知っていただけるように、PTAを通じて保護者への周知を図っていくなど、有効な周知の方法はさらに検討できないか。

 こども基本法が施行され、子供に関する施策は子供の声を反映させることが、その第十一条で義務化された。こども基本法の趣旨にのっとり、学校の運営方針を定める評議員会へ児童・生徒の参画が求められるところであるが、学校評議員会へ児童・生徒が参画することはできないか。

 子供から意見を聞くことは、突拍子もない意見が出て収拾がつかなくなると危惧される大人がおられるかもしれないが、杞憂にすぎない。私たちの会派でも、夏休みに、子ども議会と題して、小学生たちを中央区議会へ招き、率直な意見交換を実施しているが、いつも真っ当な意見が出され、こちらが勉強させていただいている。

 さて、現在、コミュニティスクール、学校運営協議会を導入している学校は、文科省の統計上も、中央区においては存在しない。全国では、学校運営協議会を導入する学校も増えている。学校を地域の核と位置づけ、地域の人が学校に参画していくことは、今まで中央区が行ってきた学校評議員会制度の方向性と一致しており、より開かれた形を求めるのであれば、学校運営協議会がこれからの本区に適していると私は考える。コミュニティスクールを導入することを、各学校の実情に合わせて選択することを、その自主性に任せて進めることができると考えてよいか。

 コロナで後退した事柄をさきに述べたが、進展したこともあった。感染症への備えの強化や、ICTの進展である。子供たちにも、コロナ禍、学習タブレットが全児童・生徒に配布され、GIGAスクール構想が始まった。このたび、第一期が終了し、来年四月から令和十一年三月末まで、第二期が始まろうとしている。教育委員会もGIGAスクール構想推進計画を本年九月に策定し、第二期に向けた準備が進められるとともに、児童・生徒の機種をマイクロソフト社のSurfaceからダイナブック社のK70へ変更し、学習環境の充実を図ろうとしている。なお、特別支援学級は、アップル社のiPadを引き続き用いることとなる。

 今回のGIGA第一期の取組の総括及びこれからのGIGA第二期に向けて強化をしていきたい方向性は何か。

 先日、十一月六日、令和五・六年度研究指定校である阪本小学校では、デジタルシチズンシップ教育の研究成果の発表会が実施された。本区のICT教育推進委員会委員長であられる東京学芸大学大学院教育学研究科教授、北澤武氏の講演会もなされ、私も拝聴させていただいたが、学校現場におけるデジタルシチズンシップ教育の取組では、メディアの特性を体験を通して理解させること、保護者や地域と連携して取り組むこと、実際に子供に触れさせて考えさせる体験を積むことが大切である旨の重要な問題提起がなされていた。阪本小学校のデジタルシチズンシップ教育の成果を、どのように全校展開を考えているか。

 今回、GIGA第一期の終了に当たり、学習用タブレット、以下、端末という、一万台余りは、リース切れで業者に返却となる。リース切れで返却する端末には使用期間の短いものがあり、引き続き十分に作動が可能である。それらが回収され廃棄されることは、たとえリサイクルされて希少メタルを回収したとしても、環境への負荷がかかることとなる。できる限り、まだ使用可能な端末は再活用の方向へ、区としてもリユースを考えてはどうか。

 今後、多数のタブレット端末の配備を計画する庁内の部署はあるのではないかと考える。防災の観点からは、防災拠点の各委員や消防団員、福祉の観点からは、通いの場や高齢者クラブの運営スタッフ、民生・児童委員などである。この際、各部署に投げかけ、多量にタブレット端末の導入を考える部署がある場合、端末のリユースを検討してみてはいかがか。環境負荷の低減と低予算でのICT化推進の一石二鳥の施策であると考える。

 先日、昨年度の不登校の子供の数が約三十五万人と報道された。毎年、五万人規模で増えている。本区も、小学生百七人、全国平均二%のところ一・二二%、中学生百十六人、全国平均六・七%のところ六・八%、前年度から小学生は十六人増加、中学生は二十人減少している。学校間の割合の幅は、小学生が○・三%から二%、中学生が五%から七%である。担任の先生らが連絡を取り、全員の対応はできているものの、機関につながっていない児童・生徒は、小学生二十五人、中学生二十人、合計四十五人とのことである。本区では、学校へ行かない選択をする児童・生徒への多様な学びの提供として、適応教室「わくわく21」、晴海西中学校へも来年度開設し、全中学校で別室登校ができる環境整備、フリースクールとの連携等、それぞれの居場所が整備されてきている。適応教室では、民間学習塾のクラスを開講したり、来年度からメタバースでの出席の取組も開始予定である。

 まずは、全小学校へも別室登校の場を早急に整備すべきと考えるが、整備の考え方をお示し願う。プレディ、学童、図書室、高齢者施設の一角などの場所をタイムシェアするなど、早急に拡大できないか。

 また、プレディサポーターのように地域ボランティアの力も活用して、別室登校の子供たちを見守る支援員の確保も急ぐべきと考えるが、いかがか。

 フリースクールに通う児童・生徒は、助成金申請数からは二十九人ということであるが、在籍校と当該フリースクールとの連携体制は取れているか。

 四十五名に上る機関につながっていない児童・生徒へのアプローチとして、区はいかがお考えか。

 それら児童・生徒に寄り添うためには、親からも学校からも独立した立場で本人の思いや考えを聞き、その思いや考えを親や学校に言えるように支援し、時には代弁し、本人の最善の利益のために行動する独立した第三者が、場合によっては必要ではないかと考える。後に述べる子供アドボカシーの実践者、アドボケイトの役割であるが、本人の思い、考えを聞くために心がけている点は何か。

 御自宅からたとえ出られない場合でも、医療・福祉とも連携し、居宅訪問型児童発達支援などの制度も活用し、御本人、御家族と相談をしながら、訪問の形での活動の機会を提供できると考えるが、いかがか。文京区や台東区では本制度の活用ができており、制度の適用拡大に向けた検討を望む。

 最後に、情報提供が重要である。本人及び家族に対して、別室登校、適応教室、フリースクール助成、社会福祉協議会に登録した支援団体の情報などを分かりやすく整理した一覧を作成し、ホームページに掲載することや、紙媒体を作成し、情報提供が行われているか。

 本年度は、第三期子ども・子育て支援事業計画となるこども計画策定及び教育振興基本計画中間年度の見直しが行われている。福祉保健部、教育委員会それぞれに、こども基本法第十一条の趣旨も鑑み、自治体の施策作成時の責務となった、子供の声を反映させながら計画策定作業中であり、その手続に感謝申し上げる。子供の声を政策に反映させるシステムアドボカシーの実践例の一つと言える。

 さて、こども計画の基本理念では、子どもも育む人も誰もが笑顔輝き、自分らしく成長できるまち中央区とうたわれている。子ども・子育て会議の中で、基本理念を含め、各事業の在り方の丁寧な議論がなされてきたところであるが、基本理念に込めた区の思いは何か。

 こども計画も教育振興基本計画も、その施策の推進に当たって最も大事なことは、事業を実施する支援者誰もが、施策の対象となる個別の一人一人の子供の意見、思いを聞いて、その子の最善の利益の実現に向け、意見形成を支援し、表明を支援し、代弁できる、その結果、子供が元気な気持ちになる子供アドボカシーの力を持つことであると考える。

 子供アドボカシーとは、それが実践されている欧米では、子供のマイクとなること、子供の声を運ぶこと、子供の声を持ち上げることと説明されている。さきに述べた不登校児童・生徒の支援者、一時保護所から家庭復帰する子供が約三十名おられるが、その意見表明等支援員、子どもショートステイを提供する協力家庭、ファミリーサポートの提供会員、民生・児童委員、保育士、教師をはじめ、子供に関わる全ての人に、そして、こども計画の基本理念がうたうように、全ての区民が子供の権利や子供アドボカシーについて理解する必要があると考える。それらの研修の際に、子供の権利や子供アドボカシーを教授できているか。広く区民がそれらを学べる場はあるか。

 子供アドボカシーを実践する場合に、大切にしなければならない六原則があると言われている。一、独立性、二、エンパワーメント、三、子供主導、四、守秘、五、平等、六、子供参画の六原則である。子供アドボカシーを教授する場合に、どのような点に重きを置いて子供の支援者に伝えているか。

 以上です。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 小坂和輝議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、長期の人口推計の分析と、急激な人口増加が予測される中での小学校整備に対する区の認識についてであります。

 本区の人口推計は、今後十年間を対象としたものであり、二○五○年までの推計は行っておりませんが、国立社会保障・人口問題研究所の三十年間の人口推計につきましては、各事業の将来的なニーズを把握するための参考資料として、その数値を注視しております。義務教育施設の確保は自治体の責務であることから、子供たちの教育環境の整備につきましては、引き続き、あらゆる手だてを講じて適切に対応してまいります。

 次に、タワーマンション規制条例についてであります。

 本区では、面的整備と個別建て替えの両輪により、地域の課題や社会状況の変化に即したまちの機能更新を進めてきております。とりわけ面的整備については、地域防災力の向上や憩いと潤いの空間整備など、個別建て替えでは、対応が困難な地域課題の改善に向けた取組を行うよう、計画誘導を図ってきております。面的整備の規模や形態については、それら取組内容に応じて、個別の都市計画の中で定めるものと認識しており、条例や在り方研究会などにより一律に方向づけるものとは考えておりません。

 次に、まちを更新する新たな手法についてであります。

 本区では、地区計画を通じて、現状敷地での個別建て替えのみならず、中小規模の共同化についても推進しているところです。こうした中、従来の手法での機能更新が困難な無接道敷地等に対しても、防災機能向上に向けた新たな取組となる制度の創設に向け、現在、鋭意検討を重ねているところであります。

 次に、個別建て替え等における建築計画の手法の一つであるコーポラティブハウスにつきましては、入居希望者が自らの意思で集い、土地取得から設計者や建設業者の手配まで自由に計画を進めていくものと捉えております。こうしたことから、アドバイザー派遣等の支援は予定しておりませんが、建設に関わる様々な御相談に対して、地区計画の制度紹介をするなど、まちづくりの窓口で丁寧に対応してまいります。

 次に、学習用タブレットの再利用についてであります。

 現在、本区においては、多量のタブレット端末を必要とする部署はないことから、再利用を検討する考えはございません。また、環境負荷への低減につきましては、国の方針に基づき、その所有権を有するリース会社が再利用・再資源化を適切に行うこととなっております。

 次に、不登校の児童・生徒への医療、福祉の連携についてであります。

 学校に登校できない児童・生徒の中には、重度の障害や医療的ケアが必要であるなどの要因により、外出することが著しく困難な児童・生徒も見られます。そうした児童・生徒に対する福祉サービスとしては、居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識・技能の付与などの発達支援を行う居宅訪問型児童発達支援を行っております。このサービスの利用対象は、重度の障害があり、外出が困難な場合や、強度行動障害の状態にあり、集団生活が困難な場合のほか、人工呼吸器を装着しているなど医療的ケアが必要な状態や、感染症が重症化するリスクが高い場合などであります。区といたしましては、本人の意向や障害の状態を踏まえ、特別支援学校や教育委員会と連携を図りながら、必要なサービスにつなげるなど、適切に支援してまいります。

 次に、(仮称)中央区こども計画の基本理念についてであります。

 現在、子ども・子育て会議には、子どもも育む人も誰もが笑顔輝き、自分らしく成長できるまち中央区を基本理念として提示しているところであります。本理念は、社会の希望であり、未来を創るかけがえのない存在である子供が、親の第一義的な責任の下、地域社会に見守られながら成長するとともに、親はもとより、育ちを支える様々な支援者が子供の成長に喜びや生きがいを感じ、自らも成長することができるまちの姿を示しています。区といたしましては、今後策定する(仮称)中央区こども計画を着実に推進し、基本理念の実現を図ってまいります。

 次に、子供アドボカシーについてであります。

 子育て支援や教育に携わる関係者が子供の権利を尊重し、子供が自ら考え、安心して自分の意見や考えを表明できるように支援するアドボカシーを実践することは重要であると認識しております。このため、本区では、子供の人権をテーマにした研修などを通じて、職員の意識向上を図るとともに、児童相談センターと連携し、社会的養護が必要な子供の支援に携わる職員の専門性の向上に努めております。子供の支援に当たっては、特に年齢や発達段階に留意しながら、個に応じた対応を図ることとしております。現在、子供アドボカシーについては、それに特化した区民向け講座はありませんが、子育て支援講座など、様々な機会を捉え、理解促進を図ってまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えします。

 初めに、コロナ禍後の学校行事等についてであります。

 各学校は、コロナ禍を経て、授業や学校行事のほか、学校生活全般について、より教育効果が高まるよう活動の見直しを行っております。給食の時間では、子供たちの希望や学校、学級の実態に応じて席を配置し、向かい合っていない場合でも、子供たちは談笑しながら楽しく食事をしていると聞いております。また、感染症が流行しているときは全員の席を前向きに配置して食事をするなど、柔軟な対応も学校の判断で行っているところであります。四年生の宿泊行事については、コロナ禍で旅行経験がなく、宿泊への抵抗感が高い児童や保護者の不安の声も少なくないことから、児童の心身への負担も考慮し、宿泊日数を決定しております。さらに、運動会などの体育的行事については、児童・生徒たちが増加している学校も多く、各学校の施設の状況を踏まえた上で、行事の目的を達成するために、必要な会場のスペースや参加者の人数に合わせた開催方法を検討し、実施しております。子供たちの意見の反映につきましては、これらの取組を含め、全ての教育活動において、子供たち自身に振り返りをさせる活動の中で意見を酌み取り、各学校が改善を図っているところであります。

 次に、開かれた学校評議員会運営とコミュニティスクールについてであります。

 学校評議員会は、特色ある教育活動をはじめ、教育活動全般について意見を聞く重要な役割を担っており、その内容や検討事項の概要を保護者や地域へ周知していくことは、各学校の教育に対する理解を深めていただく上で重要であると考えております。現在、学校評議員会の内容等については、各学校の判断で保護者、地域へお知らせをしておりますが、開かれた学校づくりの観点から、学校だよりなどにより広く周知できるよう、学校に働きかけてまいります。学校評議員については、学校教育法施行規則に基づき、本区の設置要綱において、保護者や地域の有識者等で、学校教育に関する理解と識見を有する者の中から教育委員会が委嘱するものとしており、児童・生徒の参加については行っておりません。学校運営協議会については、教育委員会が設置するものではありますが、その検討に際しては、学校からの要請に応じて行うべきものと考えております。

 次に、GIGAスクール構想第二期への取組とデジタルシチズンシップ教育についてであります。

 これまで、GIGAスクール構想第一期において、一人一台端末の整備やAIを活用したドリルソフトの導入などにより、個別最適な学びと協働的な学びが充実し、主体的・対話的で深い学びがより一層推進されたところであります。このような取組は、子供たちの知識及び技能、思考力、判断力、表現力、学びに向かう力、人間性の資質・能力の育成において、着実に成果が現れていると認識をしております。これらの成果を踏まえ、GIGAスクール構想第二期では、ICT環境をより効果的に活用した学習の充実と公務のDXを推進し、子供たちが情報を適切に取り扱えるよう、情報教育全体計画に基づくデジタルシチズンシップ教育を充実させる必要があります。こうしたことから、全小・中学校においてデジタルシチズンシップ教育を着実に推進するとともに、今後につきましては、阪本小学校の研究実践を踏まえ、発達段階に応じた各学年、教科の年間指導計画を各校の指導計画と照らし合わせながら改善するよう指導をしてまいります。

 次に、不登校児童・生徒の多様な学びの実現についてであります。

 不登校の要因は複雑多岐にわたり、これらに対応するためには、子供たちのニーズに応じた多様な学びの場を整えていくことが重要と認識をしております。現在、小・中学校では、教室へ入室できない児童・生徒への対応といたしまして、校内において教室以外での受入れを行っております。今年度、新たに中学校四校において指導支援員を配置した校内別室指導は、学校生活に不安や困難を抱えている生徒にとって安心して過ごせる場となっており、効果的な施策であると評価をいただいております。こうした取組を小学校にも拡大するため、場所や指導員の確保など、早期実現に向け、検討を進めております。フリースクールからは、保護者の求めに応じ、サポートプランや通所状況報告書が学校に提出され、それに基づき、児童・生徒の状況把握を行っているところであります。関係機関につながっていない児童・生徒においても、全員が学校の教員や管理職と継続的につながっているとともに、保護者や学校以外の第三者と相談したい場合には、相談先を紹介し、第三者と直接つながる体制も整えております。本人及び家庭への情報提供につきましては、紙媒体等で提示することだけではなく、直接相談に応じながら、個の状況に適したきめ細やかな情報提供を行っております。

 答弁は以上であります。

〔二番 小坂和輝議員登壇〕

○二番(小坂和輝議員)
 それぞれに御答弁ありがとうございました。

 まちづくりに関する部分に関しましては、やや前回の第三回定例会のところから進捗がなかなか厳しいところであったとは思っております。再質問への区長の御答弁では、何らかの研究をするというふうなこともおっしゃっておりました。もちろん、区が無接道のところの空地をいかに入手して活用するかということは、六月の補正予算でつけていただいている話ですから、これはこれで検討を続けていただきたい部分ではあるんですが、人口推計の部分、二十一万人、二十二万人と増えていく中では、特に学校施設が足りなくなるはずなんです。私が言ったように、二十一万人で一千人、二十二万人でさらに一千人と、これから二千人の児童・生徒が増えると。児童に限って二千人増えるんです。そのような状況においてどうするのかというのが、私は大変不安なんです。

 私は、単純にタワーマンションを否定したいとも思っておりません。ただ、いかに人口の規模も抑えながら地域貢献するような協働のものをつくっていくというところは、さらに研究をする必要があるのではないか。タワーマンションを一切否定するようなことを言っているのではなく、いかにまちのキャパシティに合った開発をするかということの方向性を見いだしたいと思い、今回、しつこく質問したわけでございます。

 ここに関しては、申し訳ないですけれども、区長、再度御答弁いただければと思います。区長がおっしゃった研究という部分が、今回、きちんと答弁されたのかどうかという部分で、区長がどのような研究を描いているかということが現場にぜひ伝わるような形で答弁いただければと思います。ここはぜひお願いします。

 また、区のほうは、社人研の統計も用いられているということを教えていただきました。では、三十年間の予測としては、区の人口規模がどれだけになるかということを考えた上で施設整備をするという、社人研が出している、それを利用していると今おっしゃいましたので、その規模をどれだけとみなして、それに対して、どのように備えているかというところの御説明をいただければと思います。

 また、コーポラティブハウスに関しましては、相談があれば、それに応じて相談に応えていくということでありましたが、これに関しては、さらにアドバイザーなど、これは利用できるものではないかと私は考えるところであり、アドバイザー派遣なども、コーポラティブハウスということをやりたいという、どちらかというと、より積極的に進めていくというような点で、アドバイザー派遣などは難しいか。実際に、マンション建替円滑化法にのっとったアドバイザー派遣をしているわけです。一つのマンションを建て替えるという場合に、かつ、その手法を使えば、総合設計を用いて容積率をアップできるということで、それと似たようなものではないですか。各土地の所有者がどのように更新していくか。そのときに、コーポラティブハウスを用いたいといった場合に、より積極的にアドバイザーなどを派遣するというところまで、制度をもう一歩進めていただけないかなと。

 私は、共創的公共と述べさせていただきましたが、まちの更新として、あり得る形はこれではないかと考えますので、そのあたりを御答弁いただければと思います。まちづくりに関しては、これを再質問とします。

 次に、タブレットの再利用に関しましては、業者任せということでありますが、もしできれば、リユースしていく。区が大量にタブレットを用いる場所がないということをおっしゃいましたけれども、消防団の会議においては、消防団員にもICTのタブレットを配布していくということを都に答申していこうという結論にもなっているわけであり、そのように消防団員とかにタブレットを配布するということも一つの方策であり、タブレットを多量に配備して、区民福祉の充実のために有効活用するということは考えられますので、そのあたりのことに関して、特にタブレットを多量に使うことはないということに関して、本当なのかどうか、有効活用できる場所はあるのではないかという点で再質問させてください。

 また、訪問型の児童発達支援のことは、ちょっと誤解があるというふうに受け止められます。医療的ケア児の、外に出られない方の活動をきちんと促すために、その制度はもちろんあります。ただ、人工呼吸器がついていて、自宅から外に出られない方に対してのサービスではあるけれども、不登校で外に出られないという点では、同じ深刻な状況にある方にも、その制度を拡大できないかということでお伺いさせていただきました。その点での制度の拡大に関して、再度御答弁いただければと思います。

 教育の点におきましては、ICTを、デジタルシチズンシップを強化していくという点は理解いたしました。また、多様な学びを進めていくというところは理解するところであります。

 教育のところは、それで理解するところでありますので、区長答弁のところの再質問をお願いします。

〔副区長 吉田不曇君登壇〕

○副区長(吉田不曇君)
 前回の本会議で、具体的な検討していると言っていること、実際に、例えば住宅密集地域になっている空き家の問題とか何かということを含めて、いわゆる建てないまちづくりというものについての検討をどう進めているかということで、お尋ねだと思いますけれども、それについては、近々、その部分についても、補正予算で一回調査費をつけさせていただいていますから、その結果については、正直言うと、来年度予算案なり何なりで早急に結論としてお話をさせていただくつもりでございますから、きちんと検討は進んでおります。

 それから、人口推計と教育施設の関係だけれども、実際に学校が足りなくなるよと言って、一番そういうことを、我々行政のほうが、申し訳ないけれども、明石小学校から始まって、中央小学校、明正小学校を建て替えして、それから豊海小学校を建て替えして、順番にやっている。その最初から、体を張って学校建設に反対された議員もいらっしゃいますけれども、その方々が、今になって学校が足りないと不足をおっしゃるんですが、何度も申し上げたように、義務教育の義務という部分については、行政体が教育施設をきちんとするということは、我々の責務だと言っている。その覚悟を持っている。そういう部分において、今、ここの中で具体的にお話しすることはできないけれども、御心配のないように、きちんと対応するつもりでございますので、御理解をいただきたい。

 それから、コーポラティブハウスについて、コンサルがつけられないかという話でございます。

 いろいろ言うけれども、とにかくコーポラティブハウスなんて、聞こえはいいんだけれども、個別の建て替えであるよね。個別の建て替えのところに、そこを利用する何人かが共同で出資して、それで土地を買って建て替えしましょうと。申し訳ないけれども、個別建て替えがしやすいように、うちはかなりしにくいところだから、地区計画を工夫したりなんかすることはできるよ。それは面的にやる。ただ、個々の建て替えに、悪いけれども、コンサルタントをつけたりはしないよね。やらないよ、何人いようと。そういうことだ。

 それから、その辺、経緯を十分御存じだと思うけれども、例えばタワマンの規制とか何かについておっしゃいますが、平成十八年頃、銀座の建て替えで、我々は、地区計画の中で、地域の地区計画の中で、実は、銀座の地区計画の中でも、都市計画の諸制度に基づく高層建築物はこの限りではないという別条項があって、銀座の松坂屋の建て替えが超高層で計画されたときに、これは地区計画にただし書があるから、いけないんだと。基本的には、そのただし書を削除しましょうということを、地域の中で御相談してやっている。

 私どものまちづくりについて、いろいろ御批判をお持ちでしょうけれども、全区的に地区計画を定めていて、その地区計画の改定について、常に地域と御相談をさせていただきながらやっていますので、我々は、そういう部分について、地元とも十分話し合いながらやっていくものですから、この件について高邁な御思想はお持ちでしょうけれども、地元と話し合いの上、きちんと対応するというのが我々の基本理念でございますので、御理解をいただきたいと思います。

〔企画部長 生島 憲君登壇〕

○企画部長(生島 憲君)
 タブレットに関してですけれども、もちろん、個々の、例えば区民の皆さんがタブレットがあったらいいな、ほしいな、あると便利だなといった思いを否定することはありませんし、そういった声はあるのだろうとは思います。

 ただ、例えば一千台近いパソコンなり、タブレットなりを管理していこうといったときには、やはりある程度の準備と考えと一定のシステムというものが構築されていないと、そういったものを管理していくことができませんので、そういうレベルでのニーズはないというふうに認識しているということでございます。

 以上でございます。

〔福祉保健部長 大久保 稔君登壇〕

○福祉保健部長(大久保 稔君)
 私からは、訪問型の児童発達支援の制度拡大についてでございます。

 今回、御質問いただいた内容につきましては、様々な要因があって学校に行けないという状況かと思います。一律に、いわゆる障害者サービスを活用して、対象外のことについて区独自で制度拡大をするという考え方は、今のところ持ってございません。

 まず、例えば教育委員会、学校、あるいは状況によっては子ども家庭支援センターなど様々な機関で、学校に行けない要因をしっかり把握した上で、それを解消していく中で、どのように学校のほうにつなげていくか、こういったものに取り組むべきものというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

〔二番 小坂和輝議員登壇〕

○二番(小坂和輝議員)
 再々質問させていただきますが、区長から何か御意見はないのかどうか、お願いします。

 それと、社人研の人口推計は、どれだけを区は予測しているかということに関してお願いします。漏れているので、お願いします。


○二十三番(木村克一議員)
 動議を提出いたします。

 この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後五時五十分 休憩


     午後七時十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 小坂議員の再々質問二件について、理事者の答弁を願います。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 先ほど吉田副区長のほうから答弁したとおりであります。

 以上です。

〔副区長 田中智彦君登壇〕

○副区長(田中智彦君)
 私のほうからは、三十年後の人口推計の数字についてということでお答えさせていただきたいと思います。

 社人研の人口推計につきましては、区が様々な事業を行う上で参考として数値を用いているということで、人口推計はあくまでも十年間ということで、三十年後の人口推計は行っていないところでございます。

 以上でございます。


○二十三番(木村克一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 ただいま一般質問の半ばではありますが、この際、暫時休憩されるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、暫時休憩いたします。

     午後七時十二分 休憩


     午後七時二十分 開議

○議長(瓜生正高議員)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。三十番田中広一議員。

〔三十番 田中広一議員登壇〕

○三十番(田中広一議員)
 中央区議会公明党の田中広一でございます。私は、二○二四年第四回区議会定例会に当たり、当面する行政課題につきまして、通告書に従い、区長並びに教育長に対し質問をいたします。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただき、明快にして建設的な御答弁を期待いたします。なお、御答弁によりましては、再質問をあらかじめ留保いたします。

 まず初めに、経済対策について質問いたします。

 エネルギー価格や物価高騰が長引く中、区民生活に深刻な影響を及ぼしており、引き続き継続した支援が必要です。政府の最近の主な取組では、八月分からの電気・都市ガス代の負担軽減を実施するとともに、ガソリンなど灯油価格の高騰を抑える激変緩和措置を年内まで継続しています。また、一人当たり四万円分の定額減税の実施とともに、定額減税の恩恵が受けられない世帯には、給付金及び子育て世帯への加算金を支給しています。

 中央区では、二○二三年度二月補正予算における区内共通買物・食事券の充実や、本年度の予算執行による経済対策などを行ってきております。さらに、十一月補正予算案として、障害・介護サービス事業所、保育所等に対する物価高騰緊急支援も計上しているところです。また、中央区は、物価高騰への支援策につながる取組として、昨年度より小学校、中学校及び保育園の給食費の無償化を実施し、さらに、今年度から幼稚園の弁当給食の導入も実施され、評価いたします。今後とも、物価高騰への対応策の充実が重要です。

 そこで、第一点目に質問いたします。

 これまで中央区として物価高騰対策を進めてきておりますが、現在の取組状況と、今後の物価高騰対策を含めた総合的な経済対策をどのように検討しておりますでしょうか、区長の御見解を伺います。

 昨年第四回区議会定例会の一般質問では、経済対策の一つとして、区内共通買物・食事券の一層の充実について質問いたしましたが、今後も継続して検討を行っていくことが求められます。その中の一つとして、紙の共通買物・食事券とともに、電子版の買物券の導入も検討してはいかがでしょうか。区民の方からは、レジで時間がかからず、一円単位で精算ができると助かります、残高の把握や二種類のうちどちらの買物券で利用できるのかも確認できると便利ですなど、電子で利用できるとありがたいとの声をいただいております。

 さらに、昨年充実された中央エコアクトや、今年から始まった中央区健康アプリでは、各ポイントに応じて、抽せんにより区内共通買物・食事券と交換することができます。こうした他の事業と一体化させたアプリの導入により、各施策の相乗効果にもつながるような工夫はできないでしょうか。

 そこで、第二点目に質問いたします。

 区内共通買物・食事券について、発行額の増額とともに、紙の買物券と併せ、電子版の買物券の発行の充実など、どのような検討を行っておりますでしょうか、区の御見解をお聞かせください。

 先日、京都市わかもの就職支援センターを視察してきました。場所は、京都駅の目の前にあるキャンパスプラザの六階にあり、同センター内に就職氷河期世代活躍支援コーナーが設置されていました。ここでは、おおむね三十五歳から五十四歳までの方などを対象にしています。支援の特徴は、カウンセラーが仕事の悩みや転職相談など様々な相談に対応していることです。九時から十九時まで常駐しているため、気軽に対面で相談することができ、事前予約では朝六時から深夜の一時まで無料で相談もできるようです。さらに、転職後も定期的に相談が可能となっており、一人一人に寄り添った就労支援に取り組んでいました。御担当の方にお話を伺ったところ、ハローワークではここまで寄り添って相談できないので、このような支援はありがたいとの利用者の声や、LINEなどによる相談支援も重要ですと語られ、相談事業の大切さを再認識いたしました。

 中央区においても、様々な検討を重ねながら、就労・雇用支援事業や就職ミニ面接会、心理カウンセリング、若者のための就職面接会を実施しております。

 そこで、第三点目に質問いたします。

 就労支援の取組として、相談事業の充実がポイントと考えます。今後、就労支援の相談事業の拡充と、気軽にいつでも相談ができる常設窓口の設置について検討していただきたいと考えますが、区長の御見解を伺います。

 次に、子供から高齢者まで誰もが健康で暮らせるまちづくりについて質問いたします。

 中央区基本構想では、すべての人々が健康で安心して暮らせるまちを掲げ、ライフステージに応じた健康づくりや、健康危機管理対策の推進を目指して各施策を展開しております。これまでも、出産・育児、子育て支援から高齢者福祉まで、様々な提案など質問してまいりましたが、今回は、健康アプリ、ちゅうおうヘルス&ウォーク、五歳児健診、認知症施策の拡充の三つの課題を取上げて質問いたします。

 まず、今年の九月一日から開始されました中央区健康アプリについてです。

 ちゅうおうヘルス&ウォークは、歩数や食事、運動、体重、睡眠などの情報を一目でチェックできる機能など、様々な健康管理機能を搭載しています。十月一日からは、歩数や食事記録などに応じてポイントが付与され、一定のポイント数に達し、応募された方に抽せんで区内共通買物・食事券の贈呈を開始しました。また、中央区ウォーキングマップの内容も反映されており、健康づくりを楽しく続けることができます。区として、この二か月間で約二千五百件のダウンロードがあったと伺います。

 私は、二○一四年第二回区議会定例会の一般質問の中で、健康寿命の延伸という視点から、健康づくりの具体的な取組として、埼玉県加須市の健康マイレージや横浜市のよこはまウォーキングポイント事業などを取り上げ、さらに、専門家による検証体制や、歩きたくなるまちづくりとして浜離宮恩賜庭園及び築地市場跡地エリアから緑と水辺のネットワークの構築など、御提案させていただきました。

 よこはまウォーキングポイント事業は、二○一四年十一月から開始し、二○二三年三月末時点で参加登録者が三十六万三千四百十七人となり、事業の検証結果では、糖尿病の新規発症率及び重症化率の低下が分かっております。さらに、過去のアンケート調査では、周囲の人との会話や挨拶が増えたとした人が半数近くおり、地域のつながりにもよい変化が現れているとも分析していました。

 そこで、第一点目に質問いたします。

 ちゅうおうヘルス&ウォークについて、今後どのように充実して健康増進につなげていこうと考えておりますでしょうか。

 あわせて、参加者のアンケート調査や大学機関などとの連携による検証体制の構築も検討していただきたいと考えますが、区長の御見解をお聞かせください。

 次に、五歳児健診について質問いたします。

 五歳児健診は、小学校入学を前に、発達障害を早期に発見し、医療や福祉などの支援につなぐことが目的です。現在の三歳児健診から就学前健診までのこの期間は、発達障害にとって重要な意味を持つと言われています。五歳程度になると健診で発見することが可能ですが、就学前までに健診の機会がないため、ようやく就学前健診で発見されたのでは遅く、保護者が事実を受け入れるのに時間がかかって、適切な対応や対策を講じることなく、子供の就学を迎えてしまうなど、課題が指摘されてきました。

 五歳児健診については、会派として、他自治体の視察や区民の方々の声を踏まえながら、何度も取り上げてまいりました。これまでの御答弁では、三歳児健診に併せて心理相談を実施し、保育園、幼稚園においても健康診断を受けており、そうした連携強化で早期発見が可能であるとの趣旨でした。御相談などを伺う中で感じることは、早く気づいて早くケアしてあげることで、親御さんも安心できることを求めているのではないかと思います。

 中央区は、二○一八年四月に子ども発達支援センターゆりのきを開設し、着実に環境を整えていただいていると感じておりますが、さらなる支援の充実を検討していただければと思います。

 今年から、国では、五歳児健診と一か月児健診を実施する市区町村への助成事業を開始しました。二十三区では、葛飾区が二○一五年から五歳児健診を開始しております。対象者が毎年三千五百人に上るため、まずは保護者アンケートを行っています。保護者の心配の度合いが高い場合は、幼稚園や保育園を心理士などが訪問し、集団遊びの様子を観察しています。未通園の場合は、子ども総合センターで集団遊びの様子を観察しています。結果は保護者に個別で説明し、必要に応じて医師の診察や専門機関につなげております。アンケートの回収率は約九割と高く、相談や観察のきっかけになり、よかったとの声が寄せられ、五歳児健診が保護者の安心感にもつながっているようです。

 国立成育医療研究センターの小枝達也副院長は、次のように述べています。五歳児健診によって、落ち着きがない、周囲とうまく関われないなどの発達の特性に気づき、適切な支援や療育につなげることができれば、多くの子供たちが通常学級でも問題なく学べるようになる。実際に、五歳児健診を導入した自治体では不登校が減ったという研究もある。小学校入学前の就学時健診もあるが、就学までの期間が短く、支援が難しい。また、子供の成長に不安を感じているが、相談できる場がなく、一人で抱えてしまう保護者も多い。我が子の特性を理解し、関わり方などについて保護者が専門家に相談できる場としても、五歳児健診と実施後のフォローアップ体制の充実は重要だ。今後、五歳児健診の実施を検討する自治体にとっては、医師、保健師といった発達障害の診断や生活指導ができる専門家の確保が課題になる。都道府県などが設置する療育センターと連携するなど、広域で人材の養成や派遣の取組を進めていくことが大事だと語られていました。

 そこで、第二点目に質問いたします。

 発達障害などを早く発見し、安心の就学につなげることを目指すため、五歳児健診の導入とその後の相談支援体制の構築に向けた検討について、区長の御見解を伺います。

 次に、認知症の早期発見と早期対応及び補聴器の購入費助成などの支援体制の充実について質問いたします。

 厚生労働省の研究班は、今年の五月に、六十五歳以上の高齢者数がピークを迎える二○四○年には、高齢者の三人に一人が認知機能障害を起こすと分析しています。多くの認知症は進行性であり、発見が遅れるほど進行速度も加速し、対応が困難になると言われています。一方、早い段階で認知症が判明し、薬で症状の進行をある程度抑えられれば、よりよい状態で長く生活を送れることも期待でき、早期診断は、当事者にとって重要と考えます。

 二○二一年第四回区議会定例会一般質問において、認知症の予防と早期発見について質問しました。区長からは、今後、認知症の検診事業や予防プログラムに関して、他自治体の取組の情報をさらに収集し、聖路加国際病院と協議を行いながら、本区にとってどのような認知症施策が効果的なのかを検討してまいりますとの御答弁でした。

 そこで、第三点目に質問いたします。

 認知症の早期発見・早期治療を推進するために、認知症検診や予防プログラムを含めた今後の認知症施策の充実について、現在、どのような検討が行われておりますでしょうか。検討状況をお示しください。

 難聴に早く気づき、補聴器を使用するなどの対策を取ることは、認知症予防のために重要と言われています。昨年第四回区議会定例会一般質問において、補聴器購入の支援の充実について質問いたしました。区長からは、高齢者が補聴器を安心して購入・使用できる支援体制の構築について、医師会等、専門家との協議の下、検討してまいりますとの御答弁でした。

 そこで、第四点目に質問いたします。

 高齢者が補聴器を安心して購入し使用できる購入費助成拡大など、支援体制の充実について、どのように検討が進められておりますでしょうか。検討状況をお示しください。

 次に、晴海通りなどの交通対策と築地川アメニティ整備構想について質問いたします。

 通勤・通学時において晴海通りを通る交通が大変混雑しており、今後の人口推移を考えますと、喫緊の課題です。これまでも、人口が増加するたびに、中央区として東京都と連携しながら、バスの増便や東京BRTの運行、江戸バスのルート変更などに取り組んできました。特に、都バスについては、昨年度に比べて四十六便増やしていただいております。さらに、本年九月補正予算では、都心と臨海地域とを結ぶ交通環境整備促進として、東京BRTの東京駅ルートへの調整・支援に区が積極的に取り組み、交通需要の増加が見込まれる臨海部の公共交通網の拡充を進めています。都心・臨海地下鉄新線の早期実現がますます求められてきておりますが、それまで一定の時間がかかるため、しっかりと対応していかなければなりません。

 中央区は、東京都に要請しながら一生懸命に取り組んでいただいておりますが、区外にあります大規模集客施設におけるイベントの開催や訪日外国人の利用も重なり、区内で乗車するときには、都バスが満員となり、乗り過ごすことが少なくありません。利用される地域の方々からは、子供が通学で利用しているが、とても心配です、体調が悪く、病院に行くのに不安です、勝鬨橋南詰のバス停から乗ると混雑しているので始発を増便してほしい、乗降車中に訪日外国人が運転手さんに様々な質問をしてバスが立ち往生してしまう様子をよく見かけるので、外国語表記や対策ができないでしょうかなど、様々な声をいただいております。

 今後の主な新築マンション建設計画は、HARUMI FLAGのタワー棟の二棟が一千四百五十五戸で二○二五年秋に、豊海地区のタワー棟が二千四十六戸で二○二六年度中に、月島三丁目北地区の住宅が一千三百四十一戸で二○二六年六月に、同南地区は七百四十四戸で二○二七年度中に、勝どき東地区ではB棟四百六十四戸が二○二八年十月に、それぞれ竣工を予定しています。現地調査とともに、工程表を作成し、東京都と計画的に交通環境の充実を進めていくことが重要です。

 そこで、第一点目に質問いたします。

 今後の人口推計を踏まえますと、都バスや東京BRTなど、都心と臨海地域とを結ぶ交通環境のさらなる増便・拡充が急務と考えますが、区長の御見解を伺います。

 あわせて、東京BRTの銀座・東京駅ルートの今後の展望についてもお聞かせください。

 日頃、地域の方々から、歩いていると自転車が物すごいスピードで横を通り危険ですなどの声を多くいただき、さらなる交通ルールの遵守と交通マナーの向上が欠かせません。

 そこで、第二点目に質問いたします。

 今後も、臨海部の人口増加が見込まれており、歩行者をはじめ、車やオートバイ、自転車、電動キックボードなど、交通量もさらに増加し、歩道と車道における一層の交通ルールの遵守と交通マナーの向上などの安全対策と、快適な通行空間の確保が重要と考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 先日の築地等都市基盤対策特別委員会では、築地市場跡地開発の進捗等についての御報告を受けました。二○三二年度に第一期建築工事が完了し、二○三八年度に第二期建築工事が竣工を予定しています。今後、難しい調整を行っていくこととは存じますが、大きな課題の一つが交通対策となります。約五万人を収容する大規模集客施設やオフィス、ホテルなどが予定されており、晴海通りや新大橋通りなどの交通対策をはじめ、現在の築地駅や東銀座駅などの地下鉄駅の拡充も検討しなければならないと感じています。さらに、晴海通りに隣接するエリアでは、ほかにも再開発事業が検討されています。したがって、それぞれの事業の竣工後だけではなく、各事業の工事中も様々な影響が出てまいりますので、人口動向や車の流れなど、しっかりと調査・検討しながら中央区全体を俯瞰し、工程表を作成して計画を立てながら対策を行っていくことが求められていると考えます。

 二○二二年三月に策定された中央区総合交通計画二○二二では、増加する交通需要への対応など七つの課題を示し、人と環境にやさしく、まちの魅力を高める交通の実現~誰もが安全・安心・快適に移動できるまちをめざして~を基本理念として取り組んでいます。今後、築地市場跡地開発や都市計画道路などの計画が示された段階で、中央区総合交通計画二○二二の改定など、検討していくことが必要ではないでしょうか。

 そこで、第三点目に質問いたします。

 今後の築地市場跡地開発をはじめ、様々な開発などにより交通環境が大きく変化していく中、人口動向などを調査し、安全な歩行者空間の確保や、築地、東銀座駅など地下鉄駅の拡充、都バス、東京BRTなどをしっかりと検討していくことが求められます。各事業の工程表の作成とともに、交通計画を立て、関係機関と連携しながら総合的な交通対策を行っていくことが重要と考えますが、区長の御見解をお聞かせください。

 次に、築地川アメニティ整備構想について質問いたします。

 中央区は、本年十月三十一日に築地川アメニティ整備構想の実現に向けた基本協定を締結しました。今後、三者は、本協定に基づき、新しく安全な擁壁へ造り替えるとともに、憩いとにぎわいの場となる緑豊かなアメニティ空間の完成を目指し、三吉橋から万年橋区間の覆蓋化に向け、連携して進めていくこととなります。これまで、様々な協議調整を経て取り組んでいただいていると存じますが、次の段階として、上部空間における緑豊かな公園となるよう、(仮称)築地川アメニティ整備計画などを策定し、詳細設計など具体的に進めていくことが重要と考えます。

 日頃、地域の方々とお話をしますと、築地川公園は、家族で楽しく過ごしていますなど、評価の声をいただいております。二○一八年の築地川公園の改修計画では、テーマを、公園の近隣に住み、働く人々に、自然との触れ合いと安らぎの場を提供するとし、整備コンセプトとして、既存の樹木に加えて、四季折々に花や新緑や紅葉などの植物の移り変わりを楽しむとともに、せせらぎのある水辺環境を設け、水辺の草花やそれらの上を舞うチョウやトンボなどの生き物との触れ合いを楽しむ公園とするを掲げながら進めてこられました。

 築地川アメニティ整備構想は、全体コンセプトとして、国際性豊かで多様なライフスタイルを支えるアメニティ空間の創出とし、緑の量的拡大と質的向上などの三つの視点から方針を示しています。大事な事業となりますので、これまでの経験を生かしていただきながらテーマを掲げ、詳細設計などの計画を立てていただき、緑豊かな憩いと安らぎの空間となるよう、心から期待しております。

 二○一七年に策定された基本構想には、水とみどりにつつまれたやすらぎのある空間づくりを掲げております。先ほどから晴海通りの交通環境について述べさせていただいておりますが、中央区の将来像を実現するためにも、臨海地域から築地へと続き、そして銀座を結ぶ同エリアは、今後、ますます重要な役割を果たすものと考えます。

 そこで、第四点目に質問いたします。

 築地川アメニティ整備構想について、今後、三吉橋から万年橋区間の覆蓋化に向けて進めていくこととなりますが、次の段階として、上部空間の具体的な整備方針となる(仮称)築地川アメニティ整備計画を策定し、緑豊かで憩いと安らぎの場となるようテーマなどを掲げ、詳細設計などに取り組んでいただきたいと考えますが、区長の御見解をお聞かせください。

 最後に、教育環境の充実について質問いたします。

 本の森ちゅうおうが開館し、間もなく二年となります。先日、地域を回っている中で、高校生の方より、本の森ちゅうおうによく行っていますと語りかけてくださいました。日頃から本の森ちゅうおうに訪れておりますが、幅広い年齢層の方々が利用される中、親御さんがお子様とともに絵本の読み聞かせをされている姿や、若い世代の方々が利用している様子はとても印象的です。これまで、教育委員会の取組によりまして、本の森ちゅうおうや晴海図書館が開館し、区立図書館が四館体制となり、子供たちの大切な居場所となるなど、読書環境が充実されたことは大変すばらしいことであると認識しております。

 脳科学者の茂木健一郎氏著書の「頭は「本の読み方」で磨かれる」では、本を読むことの重要性を分かりやすく述べています。著者は、本なんて必要ないと思っている人は、いずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになると強調、さらに、読んだ本の数だけ、高いところから世界が見えるということに尽きます。足の下に本が積み重なっていくイメージですと、分かりやすく解説していました。また、報道や文部科学省の資料などを拝見しますと、全ての学力の基礎となるもので、読書に取り組んでいくことは重要であることが指摘されております。

 中央区の学習力サポートテストや教育振興基本計画二○二○では、中学生の読書離れが進んでおり、教育委員会としても取組を強化していかなければならない事項として掲げています。既に、ビブリオバトルを新たに開始するとともに、学校図書館のさらなる充実を目指し、学校図書館支援センターの開設準備を進めるなど、第四次子ども読書活動推進計画の各事業を着実に実施しております。そして、今後も子ども読書活動の推進を行っていただく中で、読書の量・質の充実を行いながら、併せて読解力の向上についても、これまで以上に取り組んでいくことが重要と考えます。

 国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子教授によりますと、子供たちの多くが教科書を正しく読めていないことを指摘しています。新井教授は、読解力を測定するために開発したリーディングスキルテストを行うことにより課題を明確にし、教科書を読めるようにする教育を目指しています。新井教授は、福島県相馬市の取組を次のように紹介しています。二○二一年度から、全小・中学校で読解力向上に向けた取組を進めています。例えば、教科書を毎日一分間視写します。国語だけでなく、算数や理科、社会など全科目の教科書です。その結果、小学校では、たった三年間で全国学力テストの成績が上がったんです。算数の問題も、分からないと言っていた子の半数は、みんなで問題文を音読するだけで解けるようになるんですと述べられていました。

 新井教授は、二○一一年より、AIロボ、東ロボくんを用いて、ロボットは東大に入れるかというプロジェクトのディレクターを務めています。読解力について、さらに次のように述べています。読解力を身につけない限り、そこから先の成績は伸びません。読解力のある生徒が受験勉強に精を出し始めると、読解力のない子の相対的な成績は、むしろ下がる一方になります。東ロボくんも、幾ら覚える英文の数を増やしても、英語の偏差値は五十前後で伸び悩みましたと述べられ、中学校を卒業する段階で、約三割が表層的な読解もできないことが読解力調査で分かったと説明していました。

 そこで、都内では、板橋区が読解力向上に向け、同じ取組をされていると伺い、先日、視察に行ってまいりました。板橋区は、新井教授に指導を受けながら、子供たちの読み解く力の育成に取り組んでいます。読み解く力の育成は、文章の仕組みや意味を正しく理解するために必要な、基礎的な読む力を測るテスト、リーディングスキルテストの結果を踏まえ、六つの分類に着目した指導方法を各授業で行っています。御説明の中で、中学校の理科の授業の一例を御紹介してくださいました。リーディングスキルテストにより、課題が事前に明確になっており、つまずきそうなところを先生は分かっていますので、絶妙なタイミングで的確な支援を行うようです。生徒が分かったという表情をされたことが、とても印象的だったと説明していました。このような授業を通し、これまでは教科書が読めていることを前提にして授業を行ってきた、今は、教科書を本当に理解しているのかというのを突き詰めながら、授業を行うようにしているとのことでした。報道でも紹介されておりましたが、子供たちからは、用心深く読むようになって点数も上がりました、前よりいろいろなことが考えられるようになった、ノートにまとめるのがうまくなったなどの声が紹介されていました。今後とも、子ども読書活動の推進を行っていくとともに、併せて学び続けていく力となる読解力の向上に向けた取組も、これまで以上に強化していくことが大切ではないでしょうか。

 一方、学校現場では、コロナ禍において、GIGAスクール構想が新たに開始されました。GIGAスクール構想は、社会のデジタル化が急速に進む中、欧米諸国と比べ、日本はICTを活用した学習が十分ではなく、児童・生徒一人にタブレット端末を一台配備し、教育の質向上を目指した国家戦略であります。昨年十二月五日、経済協力開発機構は、二○二二年に実施した学習到達度調査、PISAの結果を公表しました。日本は、読解力が前回、二○一八年調査の十五位から三位へ、数学的リテラシーは六位から五位に、科学的リテラシーは五位から二位となりました。文部科学省は、長期的傾向を見ることが大切としつつも、コロナ禍において、学校現場の先生方が感染予防の様々な工夫を行い、対面による学びの充実に取り組んでこられたことが今回の結果につながったと述べられています。さらに、PISAは、コンピュータ使用型調査で行っています。GIGAスクール構想の前倒しによりICT環境の整備が進み、生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたことなども要因の一つとして考えられています。

 次年度は、GIGAスクール構想第二期がスタートし、学校内のICT環境がさらに充実するとともに、児童・生徒、教員の端末が更新されます。そして、これからの高度な情報化社会を生きる子供たちには、デジタルシチズンシップ教育などにより、ICT活用能力や問題解決能力、コミュニケーション能力、適応力、倫理感など、必要な能力を身につけていくことがますます重要となってまいります。

 そこで、第一点目に質問いたします。

 現在、学校教育において、読解力の向上について、どのように取り組んでおりますでしょうか、お示しください。

 また、今後、GIGAスクール構想第二期を進めていく中で、これまで大事にしてきた読解力の向上などについて、どのように取り組んでいこうと考えておりますでしょうか。教育長の御見解をお聞かせください。

 第二点目に質問いたします。

 二○二五年度に、学校図書館支援センターが教育センター内に開設されます。まずは、区立中学校の学校図書館から読書環境が充実され、司書による子供たちへの積極的なアプローチが重要と思いますが、読解力の向上の観点から、どのように取り組んでいこうと考えておりますでしょうか。教育委員会の御見解を伺います。

 あわせて、小学校についても、今後、どのように読書活動の充実を図っていこうと考えておりますでしょうか。検討状況をお示しください。

 次に、晴海地区などの人口増加を踏まえた泰明小学校へのスクールバスについて質問いたします。

 先ほど、晴海通りを中心とした通学時の都バスの混雑については、申し上げたとおりです。通学では、既に混雑した中で区内の子供たちが乗車する状況が発生しており、安全対策が一層求められています。帰宅時においても、バス車内の混雑による様々な影響が考えられ、学期当初には、教職員自らが児童のマナー向上に向けた指導を繰り返していると聞いています。さらに、学校や教育委員会に対しても、マナー向上に向けた御意見が多数寄せられていると伺い、教員負担の増加も、今後の課題として検討が必要ではないでしょうか。

 これまでの質疑において、特認校である泰明小学校へのスクールバスについては、月島地域からの公共交通の便がよいことなどの理由から、予定はないとの見解であります。今後、混雑したバスの通学環境が続く中、さらなる人口増加などを考慮しますと、子供たちへの安全対策が何より重要と考えます。スクールバスについては、月島地域から比較的離れている特認校への交通手段であることや、児童数の増加に伴うバスの台数増により、全学年を対象とする負担について、様々なお考えがあるとは思いますが、今後の通学環境を考慮し、状況変化を踏まえた見直しが必要ではないでしょうか。

 そこで、第三点目に質問いたします。

 現在、通学時におけるバスの混雑が続き、今後もさらに人口増加が見込まれている中、子供たちの安全対策とともに、教員負担の軽減も考慮し、泰明小学校へのスクールバス開始について、教育委員会として改めて検討を行っていただきたいと考えますが、教育長の御見解を伺います。

 以上で私の第一回目の質問を終わります。

〔区長 山本泰人君登壇〕

○区長(山本泰人君)
 田中広一議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、物価高騰への対応についてであります。

 エネルギーや食品など、あらゆる品目の値上げが相次いでおり、長期化する物価高騰の影響は、区民生活や事業活動に大きな影響が生じているものと認識しております。物価高騰に対する現在の取組については、本年度の当初予算や今期定例会を含め、これまで数次にわたる補正予算で計上した各種事業の着実な執行に努めているほか、既定予算では対応し切れない項目については、計上予算の流用など、機動的に対応しているところです。今後の総合的な経済対策については、昨今の物価高騰など社会経済状況を踏まえた予算編成方針に基づき、必要な施策について、新年度予算編成の中で調整を図っているところです。引き続き、国や都の動向も踏まえつつ、住民に最も身近な基礎自治体として、住民の暮らしを守るとともに、地域全体の活性化へとつながる各種施策を講じてまいります。

 次に、区内共通買物・食事券の充実についてであります。

 買物券の発行額につきましては、コロナ禍以降、増額を図ってきたところですが、長引く物価高騰の影響を鑑み、本年度はさらなる増額を図るとともに、プレミアム率を上乗せしたことにより、他自治体と比較してもトップクラスの規模となっております。今後のさらなる増額については、区内の経済状況を注視しつつ、必要性をしっかりと見定めながら検討を進めてまいります。電子版との併用につきましては、利便性の向上が図られることから、これまでも検討を行ってまいりましたが、委託料の大幅な増加が見込まれるとともに、近年、他自治体において、電子版の買物券が売れ残り、紙のみの運用に戻した事例もあることから、現在は導入を見送っております。一方で、御指摘いただいた各事業と一体的な運用を行うことができる共通アプリの導入に向け、今年度から庁内検討を開始したところであり、こうした検討を進めていく中で、買物券事業の電子化について引き続き検討を進めてまいります。

 次に、就労支援の相談事業の充実についてであります。

 就職にお困りの方々が抱えている悩みを受け止め、おのおのの御事情に寄り添った支援につなげていく相談事業は、大変重要であります。区では、これまで、毎月の就職ミニ面接会と同時に実施している心理カウンセラーによる相談対応により、専門的な知見の下、求職者のメンタルケアを行っております。また、就職セミナーにおいては、就職活動に役立つノウハウや知識をお伝えするとともに、その場での個別の相談にも親身に対応しており、さらに、受講後には継続的にキャリアアドバイザーによる就活サポートを行っております。区といたしましては、今後も、中央区地域雇用問題連絡協議会をはじめとした関係団体との連携の機会を捉えて、就労にまつわる問題を共有し、年齢や性別といった属性にかかわらず、求職者の働きたいという気持ちに応えられるよう、一体となって就労支援事業に取り組んでまいります。

 次に、常設の相談窓口の設置についてであります。

 現在、区では、社会福祉協議会と連携して、おおむね五十五歳以上の方を対象とした就労の常設窓口として、無料職業紹介所、シルバーワーク中央を開設しております。また、本年四月にふくしの総合相談窓口を開設し、就労を含めた様々な困り事を受け止めた上で、必要な支援につなげていく体制を整え、幅広く区民の皆様の相談に対応しております。今後、こうした相談窓口の活用実績を見定めながら、就労支援に特化した常設相談窓口の必要性について検討してまいります。

 次に、ちゅうおうヘルス&ウォークについてであります。

 本年九月から、健康アプリ、ちゅうおうヘルス&ウォークの運用を開始するに当たり、ダウンロード方法や使い方を個別にサポートする説明会を九月及び十月に一回ずつ開催いたしました。また、保健所においてアプリをダウンロードした方を対象に、ウォーキング講座や食生活改善に関するセミナーなどの健康イベントを実施し、健康づくりの啓発を行っております。今後も、区民に関心を持ってもらえるような魅力的な健康イベントを企画するとともに、ヘルスアップ教室など既存の健康増進事業への参加や各種健診の受診に対しても新たにポイントを付与するなど、区民の日常生活における健康行動の実践、習慣化の促進に向け、利用者のさらなる拡大を図ってまいります。また、アプリの利用による健康増進への効果につきましては、来年度、利用者に対してアンケートを実施し、使い勝手やウォーキングに対する意識の変化を把握、検証してまいります。

 次に、五歳児健診と相談支援体制の構築についてであります。

 五歳児健診は、発達障害や知的障害等の子供の個々の発達の特性を早期に把握し、育児の困難さや子育て相談のニーズを踏まえながら、子供とその家族を必要な支援につなげることを主な目的としております。現在、区では、発達障害などがある子供を、保育園や幼稚園での生活を通して早期に把握し、社会性の発達状況に応じた支援の実施に向けて、健診等において支援が必要と判断した場合には、子ども発達支援センターや医療機関等と連携して、個々に応じた療育や育児相談を行っているところです。五歳児健診とその後の相談支援の実施につきましては、有用性を認識しておりますが、専門家や療育センター等の社会資源確保が課題となると考えております。今後は、医療、保健、福祉、教育等の関係部署で課題を共有し、区の実態に合わせた実施についての検討を進めてまいります。

 次に、認知症施策の充実についてであります。

 認知症は、早期に診断を受けて治療を開始することにより進行を遅らせることが可能であるため、早期発見・早期対応の推進は非常に重要であります。区では、これまで、おとしより相談センターを中心とした地域見守りネットワークの構築、高齢者が自分で簡単に認知症の疑いを確認できる認知症の気づきチェックリストの活用、医療機関への受診拒否などがある方に対する認知症初期集中支援チームによる支援などに取り組んでまいりました。お尋ねの認知症検診につきましては、特別区において既に十三区が実施しており、視察やヒアリングなどにより、認知症に早い段階で気づくことができる、医療機関につながるきっかけになる、認知症への関心や理解が深まるとの効果が確認できました。そのため、本区においては、それらを踏まえ、現在、地区医師会、認知症疾患医療センターである聖路加国際病院、おとしより相談センターとの連携の下、対象者、検査方法、受診後のフォローなど、具体的な実施に向けた検討を重ねているところです。また、今年度より、医療・健診・介護データから抽出した認知症のリスクの高い方への保健師等による保健指導を開始したところであり、引き続き、対象者の拡大など介護予防プログラムのさらなる充実を図ってまいります。区といたしましては、本年三月に策定した高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、今後も様々な認知症施策を展開することにより、認知症の方が住み慣れた地域で尊厳と希望を持って暮らせるまちづくりを推進してまいります。

 次に、補聴器購入の支援体制の充実についてであります。

 適切な聞こえを維持して他者とコミュニケーションを取ることは、認知症予防に有効であるため、本区では、他区に先駆け、平成八年度から補聴器購入費用の助成事業を実施し、長期にわたり高齢者の生活の質の向上に貢献してきたものと認識しております。一方、近年では、加齢性難聴による認知症のリスクは、難聴でない方と比べ、最大約五倍との研究報告などもあり、補聴器の使用による認知機能低下の抑制効果が注目されていることから、高齢者の補聴器に対するニーズはますます高まっております。こうした中、区では、現在、東京都が今年度から実施している高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を踏まえ、医師等専門家の意見や他区の取組も参考にしながら、購入費の助成額や対象者の拡大、耐用年数を考慮した買換えの際の助成など、幅広く検討を進めているところであります。区といたしましては、引き続き、区民の健康意識の変化などを適切に捉え、施策のさらなる充実を図ってまいります。

 次に、都心と臨海地域を結ぶ交通環境についてであります。

 区内の交通環境は、晴海や豊洲、有明などでの交通需要の増加などに対し、これまでも関係機関と連携しながら、各交通機関の増便や拡充に取り組んでまいりましたが、路線バスを中心とした公共交通機関は大変混雑しており、十分な対応がなされていない状況であると認識しております。そのため、区では、近年の運転手不足などの課題がある中で、区民生活に欠かせない都心と臨海地域を結ぶ交通ルートの確保に向け、運行事業者への支援を行うとともに、都バスや東京BRTの増便・拡充を引き続き要請してまいります。また、東京BRTの東京駅方面へのルート拡充については、都、運行事業者と連携し、交通管理者や道路管理者と運行ルートや停留所位置に関する調整に着手し、早期の実現を目指しているところであります。今後は、都が主体となって、道路の交通量などを基に、関係機関との様々な協議が行われる予定であります。区といたしましては、周辺地域における開発動向を見据えながら、交通需要に対応できるよう、引き続き、都、運行事業者と調整を図ってまいります。

 次に、交通安全対策の推進と快適な通行空間の確保についてであります。

 近年、幹線道路に限らず、自転車や電動キックボードの危険な走行が社会問題となっております。昨年においては、区内で発生した交通事故における自転車関与率は四二・九%と高い割合を示しております。これまでも、区では警察と連携し、自転車は車道が原則などの自転車安全利用五則をはじめとした基本的な交通ルールはもとより、本年十一月に施行した自転車の飲酒運転やながら運転に対する罰則強化についても、施行前から街頭キャンペーンの機会を捉えて、自転車利用者に直接訴えかけてまいりました。さらに、子供と保護者に向けた自転車乗り方教室により交通安全教育を行うなど、各種取組を推進してきたところであります。また、日常の移動手段として定着している自転車の利用環境のさらなる充実を図るため、道路の整備により、快適な通行空間を確保するとともに、ネットワークを構築する必要があると認識しております。区といたしましては、今後も、中央区自転車活用推進計画に基づき、交通状況や地域の道路特性を踏まえ、ナビマーク・ナビラインを基本とした自転車通行空間を積極的に整備してまいります。

 次に、築地市場跡地開発などに伴う総合的な交通対策についてであります。

 現在、本区においては、築地市場跡地開発をはじめ、首都高日本橋区間地下化事業、都心・臨海地下鉄新線などの都市基盤に関する取組とともに、まちの機能更新につながる複数の再開発事業の計画や工事が進行しております。これら本区の持続可能性を高める事業の多くが二○四○年を目指して進展していく中で、これから人口二十万都市を迎えるに当たっては、工事中も含めた将来の総合的な交通対策を図っていくことが非常に重要であり、各事業の工程や進捗を把握した上で、交通需要を見据えていく必要があるものと認識しております。また、各事業の計画段階では、周辺の事業計画も考慮し、歩行者や自動車などの交通計画を綿密に立てるとともに、工事段階においては、資材の搬出・搬入時などの工事車両の動線について、周辺道路の状況も踏まえた運用に向けて、適時適切に関係者が情報共有を図っていく必要があります。区といたしましては、誰もが安全・安心・快適に利用できる交通環境を目指して、事業者、交通管理者や公共交通機関などと連携し、総合的な交通対策が図られるよう取り組んでまいります。

 次に、築地川アメニティ整備構想についてであります。

 区は、十月三十一日に、首都高速道路株式会社、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と築地川アメニティ整備構想の実現に向けた基本協定を締結するとともに、覆蓋構造物等の具体化に併せて、上部空間における公園整備の検討を進めるため、同日付で首都高速道路株式会社と設計に関する協定を締結いたしました。上部空間の公園整備においては、地域特性を踏まえた整備コンセプトや、テーマなどを掲げる整備計画を策定し、築地川公園の改修時と同様に検討を進めていくことは重要であると考えております。今年度からは、現況調査や敷地分析を行い、築地川アメニティ整備構想に基づくコンセプトや、歴史や文化にも配慮した公園のゾーニングなどの計画案を作成していく予定であります。新たに整備する公園は、令和十七年度の完成を目指していることから、首都高速道路の大規模更新事業の進捗状況、築地市場跡地開発をはじめとする周辺開発などの動向、将来的なニーズや社会情勢の変化も考慮し、憩いとにぎわいの場となる緑豊かで魅力あふれる公園としてまいります。

 私からの答弁は以上であります。

〔教育長 平林治樹君登壇〕

○教育長(平林治樹君)
 教育問題についてお答えします。

 初めに、学校教育における読解力の向上についてであります。

 読解力は、様々な情報を正しく理解し、考えを形成した上で、文章等により表現するために必要な能力であり、全ての学習の基盤となるものと認識をしております。各学校においては、読書活動のほか、国語科を中心とした全ての教科の学習において、自身が資料から読み取った内容を協働的な学びの中で表現する活動を通し、読解力の向上を図っております。今後、GIGAスクール構想第二期が始まり、教育のデジタル化が一層進展する中で、これまで大切にしてきた学習の基盤となる読解力については、これからも子供たちに身につけさせていかなければならないものと考えております。教育委員会といたしましては、引き続き、読書活動を推進するとともに、教科書等の文章や図表、様々なデータ等の資料から読み取ったことを基にして、分かったことや考えたことを相手に伝える協働的な学びなどを通して、読解力の育成を図ってまいります。

 次に、学校図書館支援センターにおける読解力向上の取組についてであります。

 学校図書館は、授業の補助教材の提供や調べ学習のほか、本好きの子供の居場所機能を有しており、読解力を含め、総合的な学力向上を図る場所として欠かせないものと捉えております。こうしたことから、来年四月の学校図書館支援センターの開設に合わせ、学校図書館の開館時間の延長や取組内容の充実が図れるよう準備を進めているところであります。具体的な事項といたしましては、学校司書を週四日配置し、学校行事、学習単元に関連した展示や、読書感想文の作成指導のほか、新たな本との出会いを楽しめるイベントを開催することなどであります。また、現在もタブレット端末を活用し、グーグルクラスルーム機能で区立図書館からの情報発信を行っておりますが、新たに学校図書館情報の掲載や学校での読書活動の取組を紹介するなど、区立図書館と学校図書館が連携し、その相乗効果で読書活動への興味・関心がより一層高まるよう取り組んでまいります。教育委員会といたしましては、こうした取組を中学校から開始してまいりますが、読書活動を通した読解力の育成は、本来、幼少期から取り組むことが望ましいと考えており、小学校への展開につきましては、準備が整い次第、実施をしてまいります。あわせて、子供たちの好奇心を引き出しながら、自ら課題や問題を読み解く力を育成できるよう、読解力向上の取組を積極的に推進してまいります。

 次に、泰明小学校のスクールバス運行についてであります。

 泰明小学校へ通学する児童が多い月島地域においては、HARUMI FLAGのまちびらきをはじめとする人口増加や、観光客等の急増などにより、学校までの主要な交通手段である都営バスの混雑が報告されているほか、教職員による児童の分散乗車指導や、バス内のマナーに関する苦情対応などが学校の負担となっていることは認識をしております。さらに、月島地域は、令和七年度にHARUMI FLAGタワー棟が竣工するほか、勝どき駅周辺の再開発が検討されるなど、今後も児童数の増加が見込まれており、晴海通り周辺の通学事情が大きく変容しつつあると考えております。教育委員会といたしましては、月島地域の状況変化を的確に捉えつつ、通学における児童の安全を最優先に検討すべき事項と認識をしており、泰明小学校へのスクールバスの運行可能性について、総合的な視点に基づく検討を進めてまいりたいと存じます。

 答弁は以上であります。

〔三十番 田中広一議員登壇〕

○三十番(田中広一議員)
 各質問項目に対しまして御答弁をいただき、ありがとうございました。

 今回の質問につきましては、日頃からいただいております御相談などを基にいたしまして、経済、健康、交通、教育の四つの分野を取り上げて質問させていただきました。

 今、御答弁を伺いながら、しっかり取り組んでいただけるものと確信しておりますので、一層の充実を進めていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 大変にありがとうございました。(拍手)


○二十三番(木村克一議員)
 議事進行について動議を提出いたします。

 本日の会議はこの程度とし、明二十三日、明後二十四日を休会とし、来る十一月二十五日定刻に本会議を開かれるようお諮り願います。

〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 ただいま提出されました動議は賛成者がありますので、成立いたしました。よって、直ちにこれを議題といたします。

 お諮りいたします。ただいまの動議に御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(瓜生正高議員)
 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれにて打ち切り、明二十三日、明後二十四日を休会とし、来る十一月二十五日本会議を開きますから、定刻に御参集願います。

 本日は、これをもって散会いたします。

     午後八時二十四分 散会


署名議員
議長 瓜生 正高
議員 梶谷 優香
議員 原田 賢一

お問い合わせ先:区議会議会局調査係 
電話:03-3546-5559

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