意見書・要請書等
アスベスト問題における総合的な対策の強化を求める意見書
本年六月以降、アスベスト関連企業などにおける従業員やその家族、周辺住民の深刻な健康被害の実態が相次いで公表されるとともに、身近な施設や住宅等におけるアスベストの使用が明らかになる中で、アスベスト被害への不安が広がっています。
アスベストが主な原因とされる癌の一種、中皮腫による死亡者は、政府が統計を取り始めた平成七年以降六千人を超え、環境省では今後の発症者数を肺癌も含め八万五千人にのぼると推定しています。アスベストによる健康被害がここまで深刻化したのは、アスベストの危険性を認識しながら適切な対応をとってこれなかった国の責任であることが明白となっています。アスベストの危険性が国際問題になったもは昭和三十九年であり、昭和四十七年には、WHOやILOの専門家会議がアスベストの発癌性を指摘していました。しかし、わが国では有効な対策がないままに、この頃からアスベストの輸入が急増しており、輸入された九割以上は、建材として利用されています。建築物に吹付けアスベストが大量に使用された時期は、昭和三十年から昭和五十五年頃であり、当時の多くの建築物はこれから解体時期をむかえることから、解体工事によるアスベストの飛散防止対策の徹底は重要であります。
また、アスベストの健康被害は、数十年の潜伏期間を経て発症するため、住民の不安も長期に及び、健康被害の防止や被害者の救済対策など行政の果たす役割と責任は、極めて大きいものとなっています。
よって、中央区議会は、国会及び政府に対し、次の事項を含む総合的な対策の強化を強く求めるものであります。
一 アスベストの一刻も早い全面禁止を行うなどアスベスト対策の抜本的強化を図ること。
二 使用中の建物についてアスベストの室内環境を維持する管理基準等を設けるとともに、建物解体時の飛散防止を徹底する措置を図ること。
三 公共施設における調査及びアスベスト除去工事等、自治体が実施するアスベスト対策への財政的支援を行うこと。
四 アスベストに起因する被害者への迅速な救済措置の確立と肺癌や中皮腫を早期に発見するための検診体制の拡充を図ること。
右、地方自治法第九十九条の規定により、中央区議会の総意をもって意見書を提出します。
平成17年10月14日
東京都中央区議会議長 中嶋 寛明
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣

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